JP2011034647A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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ゆか里 中森
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Abstract

【課題】磁気記録媒体とした際に温度や湿度の環境変化や保存による寸法変化を小さくすることができ、電磁変換特性が良好でエラーレートが少なく、かつ、磁気テープの磁性層の剥がれが少なく走行耐久性に優れた高密度磁気記録媒体とすることができる二軸配向ポリエステルフィルムを提供すること。
【解決手段】長手方向および/または幅方向について、動的粘弾性測定による損失正接tanδの最大値が0.2〜0.5でありかつ屈折率が1.66〜1.80である方向が少なくとも一つ存在し、融解熱量ΔHmが30〜60J/gである二軸配向ポリエステルフィルムとする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気テープなどの磁気記録媒体に用いられる支持体と、該支持体上に磁性層を設けた磁気記録媒体とに関する。
二軸配向ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のしやすさから各種用途に使用されており、特に延伸技術を用いて高強度化した磁気記録媒体などの支持体としての有用性がよく知られている。近年、磁気テープなどの磁気記録媒体は、機材の軽量化、小型化、大容量化のため高密度記録化が要求されている。高密度記録化のためには、記録波長を短くし、記録トラックを小さくすることが有用である。しかしながら、記録トラックを小さくすると、テープ走行時における熱やテープ保管時の温湿度変化による変形により、記録トラックのずれが起こりやすくなるという問題がある。したがって、テープの使用環境および保管環境での寸法安定性といった特性の改善に対する要求がますます強まっている。
この観点から、支持体には、強度、寸法安定性の点で二軸延伸ポリエステルフィルムよりも優れた剛性の高い芳香族ポリアミドが用いられることがある。しかしながら芳香族ポリアミドは高価格でコストがかかり、汎用記録媒体の支持体としては現実的ではない。
一方、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどを用いたポリエステルフィルムにおいても、延伸技術を用いて高強度化した磁気記録媒体用支持体が開発されている。さらに、ポリエステルフィルムの寸法安定性を高めるために、ポリエステルに他の熱可塑性樹脂をブレンドするなどの方法が検討されている。
例えば、ポリエステルとポリエーテルイミドからなる二軸配向ポリエステルフィルムが特許文献1、2に開示されている。しかしながら、温度や湿度に対する寸法安定性などの厳しい要求を満足することはいまだ困難である。また、特許文献3、4には、透明結晶核剤としてポリ乳酸などに脂肪族カルボン酸アミドまたは脂肪族カルボン酸塩などを添加する成形体に関することも開示されている。しかし、ヤング率などの機械物性も低く、また、延伸を制御し温度膨張や湿度膨張を向上させる具体的な方法は開示されていない。
特開2000−309650号公報 特開2000−205332号公報 特開平9−278991号公報 特開平7−126496号公報
本発明の目的は、上記の問題を解決し、剛性や寸法安定性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにあり、特に、磁気記録媒体用、電気絶縁用、コンデンサー用、回路材料、太陽電池用材料などに好適に用いることができるが、中でも磁気記録媒体とした際に温度や湿度の環境変化や保存による寸法変化を小さくすることができ、エラーレートが少なく、かつ、磁気ヘッドや磁気テープの削れが少なく走行耐久性に優れた高密度磁気記録媒体とすることができる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、次の(1)〜(8)を特徴とするものである。
(1)長手方向および/または幅方向について、動的粘弾性測定による損失正接tanδの最大値が0.2〜0.5でありかつ屈折率が1.66〜1.80である方向が少なくとも一つ存在し、融解熱量ΔHmが30〜60J/gである二軸配向ポリエステルフィルム。
(2)熱収縮応力の最大値が長手方向または幅方向の少なくとも一方で10〜20MPaである、上記(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(3)長手方向および幅方向のヤング率の和が10〜20GPaである、上記(1)または(2)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(4)脂肪族カルボン酸アミドを0.01〜10質量%含有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(5)脂肪族カルボン酸塩を0.01〜10質量%含有する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(6)脂肪族カルボン酸アミドがエチレンビスラウリン酸アミドである、上記(4)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(7)脂肪族カルボン酸塩がステアリン酸バリウムである、上記(5)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムに磁性層を設けた磁気記録媒体。
本発明によれば、剛性や寸法安定性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができ、特に、磁気記録媒体用、電気絶縁用、コンデンサー用、回路材料、太陽電池用材料などに好適に用いることができるが、中でも磁気記録媒体とした際に温度や湿度の環境変化や保存による寸法変化を小さくすることができ、電磁変換特性が良好でエラーレートが少なく、かつ、磁気テープの磁性層の剥がれが少なく走行耐久性に優れた高密度磁気記録媒体とすることができる二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
幅寸法を測定する際に用いるシート幅測定装置の模式図である。
本発明において、ポリエステルとは、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーで構成されたものである。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分としては、炭素数2〜10のアレキレンが好ましく、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸などが挙げられる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分は主成分として用いることもできるが、他の芳香族ポリエステル成分と共重合させることが好ましい。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の好ましい共重合量は、5〜50モル%であり、より好ましくは10〜40モル%、さらに好ましくは15〜30モル%である。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合させたポリエステルの融点は220〜260℃であることが好ましい。より好ましくは230〜250℃である。さらに好ましくは235〜245℃である。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合させたポリエステルのガラス転移温度は100〜140℃が好ましい。より好ましくは110〜130℃である。さらに好ましくは115〜125℃である。また、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合させたポリエステルの溶融結晶化ピーク温度は140〜180℃であることが好ましい、より好ましくは150〜170℃である。さらに好ましくは155〜165℃である。
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。ポリマーの共重合割合はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート)が好ましい。また、これらの共重合体や変性体でもよく、他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイでもよい。ここでいうポリマーアロイとは高分子多成分系のことであり、共重合によるブロックコポリマーであってもよいし、混合などによるポリマーブレンドでもよい。特に、上記ポリエステル樹脂とポリイミド系樹脂のポリマーアロイは混合割合によって耐熱性(ガラス転移温度)を制御できるため、使用条件に合わせたポリマー設計ができるため好ましい。ポリマーの混合割合はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。
ポリイミド系樹脂としては、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
Figure 2011034647
(ただし、上記式中Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基、Rは6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)
上記R、Rとしては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を挙げることができる。
Figure 2011034647
本発明では、ポリエステルとの親和性、コスト、溶融成形性等の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物である、下記式で示される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
Figure 2011034647
または
Figure 2011034647
(nは2以上の整数、好ましくは20〜50の整数)
このポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商品名で、SABICイノベーティブプラスチック社より入手可能であり、「Ultem1000」、「Ultem1010」、「Ultem1040」、「Ultem5000」、「Ultem6000」および「UltemXH6050」シリーズや「Extem XH」および「Extem UH」の登録商標名等で知られているものである。
本発明では損失正接tanδの範囲に制御するために延伸助剤となる脂肪族カルボン酸アミドを用いることが好ましい。脂肪族カルボン酸アミドとしては、通常アミド結合と呼ばれる結合を有する化合物である。本発明における脂肪族カルボン酸アミドとしては、脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類、脂肪族ビスカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類、N−置換尿素類が挙げられる。
脂肪族カルボン酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族モノカルボン酸アミド類;N−オレイルパルミチン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミドのようなN−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、へキサメチレンビスステアリン酸アミド、へキサメチレンビスベヘニン酸アミド、へキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族ビスカルボン酸アミド類;N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N’−ジステアリルテレフ夕ル酸アミドのようなN−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類;N−ブチル−N’−ステアリル尿素、N−プロピル−N’−ステアリル尿素、N−ステアリル−N’−ステアリル尿素、N−フェニル−N’−ステアリル尿素、キシリレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素のようなN−置換尿素類が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。特に本発明の効果をより発現し耐熱性の観点から、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。
本発明で用いられる脂肪族カルボン酸アミドの含有量は損失正接tanδを本発明の範囲内にするためには0.01〜10質量%が好ましい。より好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜2%質量である。0.01質量%より少ない場合、延伸助剤としての効果が小さく損失正接tanδが小さくなりやすく寸法安定性が向上しにくい。10質量%より大きい場合、フィルム製膜時などで押出状態が不安定になり、製膜性が低下する傾向にある。
本発明では損失正接tanδの範囲に制御するために延伸助剤となる脂肪族カルボン酸塩を用いることが好ましい。脂肪族カルボン酸塩は下記一般式(1)に示される化合物を包含する。
Figure 2011034647
(Rは、炭素原子数10〜40の、飽和若しくは不飽和又は直鎖若しくは分岐の炭化水素基であり、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ベリリウム、バリウム、銅、ニッケル、鉛、タリウム、亜鉛及び銀から選ばれる金属元素である。)
脂肪族カルボン酸塩の具体例としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸水素カリウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸銀等のラウリン酸塩;ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸水素カリウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸銀等のミリスチン酸塩;パルミチン酸リチウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸鉛、パルミチン酸タリウム、パルミチン酸コバルト等のパルミチン酸塩;オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸鉛、オレイン酸タリウム、オレイン酸銅、オレイン酸ニッケル等のオレイン酸塩;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸タリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸ベリリウム等のステアリン酸塩;イソステアリン酸ナトリウム、イソステアリン酸カリウム、イソステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸カルシウム、イソステアリン酸バリウム、イソステアリン酸アルミニウム、イソステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸ニッケル等のイソステアリン酸塩;ベヘニン酸ナトリウム、ベヘニン酸カリウム、べヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸バリウム、ベヘニン酸アルミニウム、べヘニン酸亜鉛、ベヘニン酸ニッケル等のベヘニン酸塩;モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸ニッケル等のモンタン酸塩等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。特に本発明の効果をより発現し耐熱性の観点から、ステアリン酸バリウムが好ましい。
本発明で用いられる脂肪族カルボン酸塩の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。より好ましくは0.05〜1質量%、さらに好ましくは0.1〜0.5%質量である。0.01質量%より少ない場合、延伸助剤としての効果が小さく寸法安定性が向上しにくい。10質量%より大きい場合、フィルム製膜時などで押出状態が不安定になり、製膜性が低下したり、ブリードアウトにより磁性層が剥がれやすくなったりする。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、長手方向および/または幅方向について、動的粘弾性測定による損失正接tanδの最大値が0.2〜0.5でありかつ屈折率が1.66〜1.80である方向が少なくとも一つ存在している。上記の損失正接tanδの最大値は、好ましくは0.22〜0.45、さらに好ましくは0.25〜0.40である。tnaδは貯蔵弾性率と損失弾性率の比で求められ、変形に対するエネルギーの損失量を表す。幅方向の寸法安定性向上の観点からは、幅方向のtanδの最大値が0.20〜0.50であることが好ましい。0.20より小さい場合、変形に対するエネルギー損失が小さいことを意味し、非晶部が緩和しており、非常に運動しやすい状態であるためにエネルギー損失が少ない。非晶部が緩和している状態では温湿度膨張は大きくなり、寸法安定性向上が達成できない。tanδが0.50より大きい場合は分子鎖の緊張度が高すぎて製膜性が悪化し、延伸ムラや厚みムラが悪化するなどの問題がある。tanδを制御するには非晶部の配向度合いや結晶量が関与するが、延伸助剤(脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩)の種類や添加量が影響する。tanδを大きくするためには延伸助剤効果の大きい延伸助剤を採用することが好ましく、また添加量は多い方がよい。それにより延伸性が向上しtanδが大きくなる。また、延伸助剤効果を大きく発現させtanδを高めるために3段目延伸を行うことが好ましい。特に本発明の効果をより発現する好ましい延伸助剤はエチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸バリウムである。
また、上記の屈折率は、好ましくは1.662〜1.750、より好ましくは1.664〜1.700である。幅方向の寸法安定性向上の観点からは、幅方向の屈折率が1.66〜1.80であることが好ましい。1.66より小さい場合、配向が小さく寸法安定性が悪化する。1.80より大きい場合は配向を極めて高くする必要があり、製膜製が悪化し、延伸ムラや厚みムラが悪化するなどの問題がある。屈折率を制御するには延伸倍率と延伸温度が影響する。特に2段目の延伸倍率を大きくすればするほど屈折率が高くなる。また延伸温度をTg+90℃〜Tg+140℃の範囲で行うことで屈折率を高くすることができる。
屈折率は損失正接tanδが0.2〜0.5である方向と同方向が1.66〜1.80であることが好ましい。すなわち、幅方向について、tanδの最大値が0.2〜0.5の範囲にあり、かつ、屈折率が1.66〜1.80の範囲にあることが好ましい。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは融解熱量が30〜60J/gである。好ましくは32〜55J/g、より好ましくは35〜50J/gである。融解熱量はポリエステルフィルムの結晶量により変化する。融解熱量が30J/gより小さい場合は結晶量が少なく非晶量が多くなるため温湿度膨張が大きくなり寸法安定性が悪化する。融解熱量が60J/gより大きい場合は結晶量が多すぎるため脆いフィルムとなり製膜製が悪化し、また非晶部が緩和しやすく寸法安定性が悪化する問題がある。融解熱量を制御するには特に延伸助剤の種類と押出温度が影響する。とくに押出温度は延伸助剤の分解に影響するため、押出温度が低いと延伸助剤が分解されずに結晶核剤として作用し、結晶量が増大し、融解熱量が大きくなる。逆に押出温度が高いと延伸助剤が分解され結晶量を減少し融解熱量が小さくなる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは長手方向または幅方向の少なくとも一方の熱収縮応力の最大値が10〜20MPaであることが好ましい。より好ましくは12〜18MPa、さらに好ましくは13〜17MPaである。熱収縮応力の最大値が10MPaより小さい場合、非晶部分の緊張が小さく寸法安定性向上効果は小さくなる傾向にある。また、熱収縮応力の最大値が20MPaより大きい場合は分子鎖の緊張度が高すぎて製膜性が悪化し、延伸ムラや厚みムラが悪化するなどの問題が生じやすい。熱収縮応力は2段目の延伸倍率と延伸温度で制御することができる。
さらに、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、長手方向のヤング率と幅方向のヤング率の和が10〜20GPaであることが好ましい。ヤング率の和の好ましい範囲は、11〜19GPaであり、さらに好ましい範囲は12〜18GPaである。ヤング率の和が12GPaより小さい場合、例えば磁気記録媒体用に使用する場合などに、後述するように、長手方向や幅方向のヤング率が不足するために、伸び変形により幅方向に収縮し、記録トラックずれという問題が発生したり、エッジダメージが発生したりしやすくなる。また、ヤング率の和が20GPaより大きい場合、延伸倍率を高めて極度に配向させる必要があり、フィルム破れが頻発して生産性に劣ったり、破断伸度が小さくなり破断しやすくなったりすることがある。ヤング率は延伸条件によって制御することができるが、特に2段目の延伸倍率と延伸温度の影響が大きく、その中でも延伸倍率の影響が最も大きい。延伸倍率が大きいほどヤング率も高くなる。
長手方向のヤング率と幅方向のヤング率の和を上述の範囲内とするためには、二軸配向ポリエステルフィルムの長手方向のヤング率を4〜10GPaとすることが好ましい。長手方向のヤング率が4GPaより小さい場合、テープドライブ内での長手方向への張力によって長手方向に伸び、この伸び変形により幅方向に収縮し、記録トラックずれという問題が発生しやすい。長手方向のヤング率の下限は、より好ましくは5GPaであり、さらに好ましくは6GPaである。一方、長手方向のヤング率が10GPaより大きい場合、幅方向のヤング率を好ましい範囲に制御することが難しくなり、幅方向のヤング率が不足し、エッジダメージの原因となる傾向がある。長手方向のヤング率の上限は、より好ましくは9GPa、さらに好ましくは10GPaである。より好ましい範囲は5〜9GPaであり、さらに好ましい範囲は6〜10GPaである。
また、幅方向のヤング率は4〜10GPaの範囲とすることが好ましい。幅方向のヤング率が4GPaより小さい場合、エッジダメージの原因となったりすることがある。幅方向のヤング率の下限は、より好ましくは7GPaである。一方、幅方向のヤング率が12GPaより大きい場合、長手方向のヤング率を好ましい範囲に制御することが難しくなり長手方向の張力により変形しやすくなったり、スリット性が悪化したりすることがある。幅方向のヤング率の上限は、より好ましくは11GPa、さらに好ましくは10GPaである。より好ましい範囲は7〜11GPa、さらに好ましい範囲は7〜10GPaである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、幅方向の温度膨張係数が−10〜10ppm/℃であることが好ましい。温度膨張係数が上記範囲内であることは、例えば磁気記録媒体用に用いた場合に磁気記録媒体の記録再生時の温度変化による寸法安定性や高温条件での保存後の寸法安定性の観点から好ましい。幅方向の温度膨張係数の上限は、好ましくは7ppm/℃、さらに好ましくは5ppm/℃であり、下限は、好ましくは−5ppm/℃、さらに好ましくは−3ppm/℃である。幅方向の温度膨張係数を−10ppm/℃より小さくするためには、幅方向の配向をかなり高める必要があり、実質的に二軸配向ポリエステルフィルムを得ることが困難であり、得ることができても長手方向のクリープ特性が悪化してしまう。より好ましい範囲としては、−5〜7ppm/℃、さらに好ましい範囲としては−3〜5ppm/℃である。温度膨張係数は非晶部の緊張度合いが影響するため損失正接tanδを制御することで制御することができる。tanδが大きいほど温度膨張係数は小さくなる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、幅方向の湿度膨張係数が0〜6.0ppm/%RHであることが好ましい。湿度膨張係数が上記範囲内であることは、磁気記録媒体用に用いた場合に磁気記録媒体の記録再生時の湿度変化による寸法安定性や高湿条件での保存後の寸法安定性が良好となる。幅方向の湿度膨張係数の上限は、好ましくは5ppm/%RH、さらに好ましくは4.5ppm/%RHである。幅方向の湿度膨張係数の下限を0ppm/%RHより小さくするためには、幅方向の配向をかなり高める必要があり、実質的に二軸配向ポリエステルフィルムを得ることが困難であり、得ることができても長手方向のクリープ特性が悪化してしまう。より好ましい範囲としては、0〜5ppm/%RH、さらに好ましい範囲としては0〜4.5ppm/%RHである。温度膨張係数は非晶部の緊張度合いが影響するため損失正接tanδを制御することで制御することができる。tanδが大きいほど温度膨張係数は小さくなる。
本発明において、二軸配向ポリエステルフィルムは2層以上の積層構成であることが好ましい。特に、本発明の支持体は、磁気記録媒体に用いるため、一方の表面には、優れた電磁変換特性を得るための平滑さが求められ、他方の表面には、製膜・加工工程での搬送性や、磁気テープの走行性や走行耐久性を付与するための粗さが求められる。そのため、ポリエステルフィルムを2層以上の積層構成にすることが好ましい。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを磁気記録媒体用として用いる場合、磁性層を設ける側の表面(A)の中心線平均粗さRaAが0.5nm〜10nmであることが好ましい。磁性層を設ける側の表面(A)のRaAが0.5nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、磁気ヘッドとの摩擦が大きくなり、磁気テープ特性が低下しやすい。また、RaAが10nmより大きい場合は、高密度記録の磁気テープとして用いる場合に、電磁変換特性が低下することがある。磁性層を設ける側の表面(A)のRaAの下限は、より好ましくは1nm、さらに好ましくは2nmであり、上限は8nm、さらに好ましくは6nmである。より好ましい範囲としては、1〜8nm、さらに好ましい範囲としては、2〜6nmである。Raは添加する粒子の粒子経と含有濃度、積層比などで制御することができる。0.5〜10nmに制御するためには表面(A)側の層に含まれる粒子の粒子経は0.04〜0.5μmであることが好ましく、含有濃度は0.03〜0.5質量%であることが好ましい。積層比(表面(A)側)/(表面(B)側:厚み比)は、10/1〜3/1であることが好ましい。
一方、バックコート層側の表面(B)の中心線平均粗さRaBは3〜30nmであることが好ましい。バックコート層側の表面(B)のRaBが3nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、ガイドロールとの摩擦が大きくなり、テープ走行性が低下することがある。また、RaBが30nmより大きい場合は、フィルムロールやパンケーキとして保管する際に、表面突起が反対側の表面に転写し、電磁変換特性が低下する傾向がある。バックコート層側の表面(B)のRaBの下限は、より好ましくは5nm、さらに好ましくは7nmであり、上限は20nm、さらに好ましくは15nmである。より好ましい範囲としては、5〜20nm、さらに好ましい範囲としては7〜15nmである。Raは添加する粒子の粒子経と含有濃度、積層比などで制御することができる。3〜30nmに制御するためには表面(B)側の層に含まれる粒子の粒子経は0.1〜1.0μmであることが好ましく、含有濃度は0.001〜0.1質量%であることが好ましい。積層比(表面(A)側)/(表面(B)側:厚み比)は、10/1〜3/1であることが好ましい
本発明において、二軸配向ポリエステルフィルムとしての厚みは、用途に応じて適宜決定できるが、通常磁気記録媒体用途では1〜7μmが好ましい。この厚みが1μmより小さい場合、磁気テープにした際に電磁変換特性が低下することがある。一方、この厚みが7μmより大きい場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になる場合がある。したがって、高密度磁気記録媒体用途の場合、厚みの下限は、好ましくは2μm、より好ましくは3μmであり、上限は、好ましくは6.5μm、より好ましくは6μmである。より好ましい範囲としては2〜6.5μm、より好ましい範囲としては3〜6μmである。
上記したような本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、たとえば次のように製造される。
まず、二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムを製造する。ポリエステルフィルムを製造するには、たとえばポリエステルのペレットを、押出機を用いて溶融し、口金から吐出した後、冷却固化してシート状に成形する。このとき、脂肪族カルボン酸アミドは熱分解を起こす可能性があるため、できるだけ低温で押し出すことが好ましい。繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好ましい。また、ポリエステルフィルムの表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するため、無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン、イミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などを添加することも好ましい。さらに、本発明を阻害しない範囲内であれば、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
続いて、上記シートを長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。延伸工程は、特に限定されないが、各方向において2段階以上に分けることが好ましい。すなわち再縦、再横延伸を行う方法が高密度記録の磁気テープとして最適な高強度のフィルムが得られ易いために好ましい。
延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
特に同時二軸延伸法を用いることが好ましい。本発明では、ポリエステルフィルム中に均一に結節点を形成させることが重要であり、延伸工程においてその性能を用いて分子鎖緊張を増大させるには、逐次二軸延伸の各工程で徐々に分子鎖緊張させるより、同時二軸延伸を用いて、長手方向と幅方向に均一に分子鎖緊張させることが高倍率に延伸しやすくなり、特に有効である。さらに脂肪族カルボン酸アミドや脂肪族カルボン酸塩が含まれる場合は多段で同時二軸延伸することが好ましい。脂肪族カルボン酸アミドや脂肪族カルボン酸塩は延伸助剤として働きポリエステルの延伸性を向上させる。特に二段延伸の二段目の延伸時の延伸性が向上し、さらに二段目の延伸温度を比較的高温で最適化すると効果が大きくなる。延伸性が向上されることで、本願のポリエステルフィルムは非晶部分が高配向化し緊張しtanδ、屈折率、融解熱量が本願の範囲内のポリエステルフィルムが得られやすい。なお、ここでいう同時二軸延伸とは、長手方向と幅方向の延伸が同時に行われる工程を含む延伸方式である。必ずしも、すべての区間で長手方向と幅方向が同時に延伸されている必要はなく、長手方向の延伸が先にはじまり、その途中から幅方向にも延伸を行い(同時延伸)、長手方向の延伸が先に終了し、残りを幅方向のみ延伸するような方式でもよい。延伸装置としては、例えば同時二軸延伸テンターなどが好ましく例示され、中でもリニアモータ駆動式の同時二軸テンターが破れなくフィルムを延伸する方法として特に好ましい。
以下、本発明の支持体の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。もちろん、本願はPETフィルムを用いた支持体に限定されるものではなく、他のポリマーを用いたものものでもよい。例えば、ガラス転移温度や融点の高いポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを用いてポリエステルフィルムを構成する場合は、以下に示す温度よりも高温で押出や延伸を行えばよい。
まず、ポリエチレンテレフタレートを準備する。ポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させる場合には、エチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不活性粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の不活性粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有しないPETで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
次に、得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、脂肪族カルボン酸アミドが熱分解しないように比較的低温の260〜280℃に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層する場合には、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。
次に、この未延伸フィルムを同時二軸延伸テンターに導いて、長手および幅方向に同時に二軸延伸を多段で行う。延伸速度は長手、幅方向ともに100〜20,000%/分の範囲で行うのが好ましい。より好ましくは、500〜10,000%/分、さらに好ましくは2,000〜7,000%/分である。延伸速度が100%/分よりも小さい場合には、フィルムが熱にさらされる時間が長くなるため、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下したりすることがある。また、20,000%/分よりも大きい場合には、延伸時点で分子間の絡み合いが生成しやすくなり、延伸性が低下して、高倍率の延伸が困難となることがある。
また、1段目の延伸温度は、用いるポリマーの種類によって異なるが、未延伸フィルムのガラス転移温度Tgを目安として決めることができる。長手方向および幅方向それぞれの1段目の延伸工程における温度は、Tg〜Tg+30℃の範囲であることが好ましく、より好ましくはTg+2℃〜Tg+20℃であり。さらに好ましくはTg+5〜Tg+15である。上記範囲より延伸温度が低い場合には、フィルム破れが多発して生産性が低下したり、再延伸性が低下したりして、高倍率に安定して延伸することが困難となることがある。また、上記範囲よりも延伸温度が高い場合には、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下したりすることがある。
延伸倍率は、用いるポリマーの種類や延伸温度によって異なり、また多段延伸の場合も異なるが、総面積延伸倍率(総縦延伸倍率×総横延伸倍率)が、20〜40倍の範囲になるようにすることが好ましい。より好ましくは25〜35倍である。長手方向、幅方向の一方向の総延伸倍率としては、2.5〜8倍が好ましく、より好ましくは、3〜7倍である。延伸倍率が上記範囲より小さい場合には、延伸ムラなどが発生しフィルムの加工適性が低下することがある。また、延伸倍率が上記範囲より大きい場合には、延伸破れが多発して、生産性が低下する場合がある。なお、各方向に関して延伸を多段で行う場合、1段目の長手、幅方向それぞれにおける延伸倍率は、2.5〜5倍が好ましく、より好ましくは3〜4倍である。また、1段目における好ましい面積延伸倍率は8〜16倍であり、より好ましくは、9〜14倍である。これらの延伸倍率の値は、特に同時二軸延伸法を採用する場合に好適な値であるが、逐次二軸延伸法でも適用できる。
本発明のポリエステルフィルムの2段目の延伸温度は脂肪族カルボン酸アミドや脂肪族カルボン酸塩の延伸助剤効果を発現するために重要であり、Tg+90℃〜Tg+140℃の範囲が好ましく、さらに好ましくはTg+100℃〜Tg+130℃である。延伸温度が上記範囲を外れる場合には、脂肪族カルボン酸アミドや脂肪族カルボン酸塩の延伸助剤効果を発現せず、熱量不足や結晶化の進みすぎによって、フィルム破れが多発して生産性が低下し、十分に配向を高めることができず、強度が低下する場合がある。
また、再延伸を行う場合の一方向における延伸倍率は、1.05〜2.5倍が好ましく、より好ましくは1.2〜1.8倍である。再延伸の面積延伸倍率としては、1.4〜4倍が好ましく、より好ましくは1.9〜3倍である。さらに延伸助剤効果を活用し配向を高めるために3段目として幅方向に微延伸を行うことが好ましい、3段目の延伸倍率は、1.05〜1.2倍が好ましい。続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する。熱処理条件は、ポリマーの種類によっても異なるが、熱処理温度は、150℃〜230℃が好ましく、熱処理時間は0.5〜10秒の範囲で行うのが好ましい
次に、磁気記録媒体を製造する方法を説明する。上記のようにして得られた磁気記録媒体用支持体(二軸配向ポリエステルフィルム)を、たとえば0.1〜3m幅にスリットし、速度20〜300m/min、張力50〜300N/mで搬送しながら、一方の面(A)に磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布する。なお、上層に磁性塗料を厚み0.1〜0.3μmで塗布し、下層に非磁性塗料を厚み0.5〜1.5μmで塗布する。その後、磁性塗料および非磁性塗料が塗布された支持体を磁気配向させ、温度80〜130℃で乾燥させる。次いで、反対側の面(B)にバックコートを厚み0.3〜0.8μmで塗布し、カレンダー処理した後、巻き取る。なお、カレンダー処理は、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)を用い、温度70〜120℃、線圧0.5〜5kN/cmで行う。その後、60〜80℃にて24〜72時間エージング処理し、1/2インチ(1.27cm)幅にスリットし、パンケーキを作製する。次いで、このパンケーキから特定の長さ分をカセットに組み込んで、カセットテープ型磁気記録媒体とする。
ここで、磁性塗料などの組成は例えば以下のような組成が挙げられる。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100質量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
・変成ポリウレタン : 10質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
・2−エチルヘキシルオレート : 1.5質量部
・パルミチン酸 : 1質量部
・カーボンブラック : 1質量部
・アルミナ : 10質量部
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95質量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10質量部
・アルミナ : 0.1質量部
・変成ポリウレタン : 20質量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30質量部
・シクロヘキサノン : 200質量部
・メチルエチルケトン : 300質量部
・トルエン : 100質量部
磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(例えばリニアテープ式の記録媒体(LTO5やLTO6など))や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
(1)幅方向の温度膨張係数
フィルムの幅方向に対して、下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における温度膨張係数とする。
・測定装置:島津製作所製熱機械分析装置TMA−50
・試料サイズ:フィルム長手方向10mm×フィルム幅方向12.6mm
・荷重:0.5g
・測定回数:3回
・測定温度:窒素をフローした状態で温度25℃から昇温速度2℃/分で温度50℃まで昇温して、5分間保持した後、温度25℃まで降温速度2℃/分で降温し、温度40〜30℃のフィルム幅方向の寸法変化量ΔL(mm)を測定する。次式から温度膨張係数(ppm/℃)を算出する。
・温度膨張係数(ppm/℃)=10×{(ΔL/12.6)/(40−30)}
(2)幅方向の湿度膨張係数
フィルムの幅方向に対して、下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における湿度膨張係数とする。
・測定装置:島津製作所製熱機械分析装置TMA−50(湿度発生器:アルバック理工製湿度雰囲気調節装置HC−1)
・試料サイズ:フィルム長手方向10mm×フィルム幅方向12.6mm
・荷重:0.5g
・測定回数:3回
・測定温度:30℃
・測定湿度:40%RHで6時間保持し寸法を測定し時間40分で80%RHまで昇湿し、80%RHで6時間保持したあと支持体幅方向の寸法変化量ΔL(mm)を測定する。次式から湿度膨張係数(ppm/%RH)を算出する。
・湿度膨張係数(ppm/%RH)=10×{(ΔL/12.6)/(80−40)}
(3)ヤング率
ASTM−D882(1997年)に準拠してフィルムのヤング率を測定する。なお、インストロンタイプの引張試験機を用い、条件は下記のとおりとする。5回の測定結果の平均値を本発明におけるヤング率とする。
・測定装置:インストロン社製超精密材料試験機MODEL5848
・試料サイズ:
フィルム幅方向のヤング率測定の場合
フィルム長手方向2mm×フィルム幅方向12.6mm
(つかみ間隔はフィルム幅方向に8mm)
フィルム長手方向のヤング率測定の場合
フィルム幅方向2mm×フィルム長手方向12.6mm
(つかみ間隔はフィルム長手方向に8mm)
・引張り速度:1mm/分
・測定環境:温度23℃、湿度65%RH
・測定回数:5回測定し、平均値から算出する。
(4)中心線平均粗さRa
触針式表面粗さ計を用いて下記条件にてフィルムの中心線平均粗さRaを測定する。フィルム幅方向に20回走査して測定を行い、得られた結果の平均値を本発明における中心線平均粗さRaとする。
・測定装置 :小坂研究所製高精度薄膜段差測定器ET−10
・触針先端半径:0.5μm
・触針荷重 :5mg
・測定長 :1mm
・カットオフ値:0.08mm
・測定環境 :温度23℃湿度65%RH
(5)ガラス転移温度(Tg)
下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121(1987年)に従って決定する。
・装置 :TA Instrument社製温度変調DSC
・測定条件:
・加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法)
・温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
・温度変調振幅:±1K
・温度変調周期:60秒
・昇温ステップ:5K
・試料重量 :5mg
・試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg)
・参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出する。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
(7)熱収縮応力
フィルムを幅4mmの短冊状にサンプリングし、熱収応力測定機により、室温からフィルムの融点までで加熱したときに発生する収縮力を測定し、温度に対する熱収縮応力の変化をプロットし、上記温度範囲における熱収縮応力の最大値を求めた。最大熱収縮応力が、5.0MPa未満のものを○、5.0MPa以上6.0MPa未満の範囲のものを△、6.0MPa以上を×として評価した。
・測定装置 :真空理工(株)熱分析システムMTS9000型
・加熱部 :加熱制御部TA−1500
・試料サイズ :試長12.6mm×幅4mm
・測定条件 :昇温速度10℃/分
・荷重 :10g
(8)屈折率
JIS−K7105−1981に従って、下記測定器を用いて測定した。
・装置:アッベ屈折計 4T(株式会社アタゴ社製)
・光源:ナトリウムD線
・測定温度:25℃
・測定湿度:65%RH
・測定範囲 : 〜1.87
・マウント液:ヨウ化メチレン、硫黄ヨウ化メチレン
(9)損失正接tanδ
JIS−K7244(1999)に従って、下記測定器を用いて測定した。
・測定装置 :セイコーインスツルメンツ社製動的粘弾性測定装置”DMS6100”
・測定条件 :引張モード
チャック間距離 5mm
駆動周波数 1Hz
歪振幅 10μm
力振幅初期値 100mN
昇温速度 2℃/min
温度範囲 25℃〜240℃
サンプリング間隔 1秒
・算出方法 :指定した温度範囲の各測定点の中で最も大きい値を最大値とした。
(10)幅寸法安定性
1m幅にスリットしたフィルムを、張力200Nで搬送させ、支持体の一方の表面(A)に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布し(上層が磁性塗料で、塗布厚0.2μm、下層が非磁性塗料で塗布厚0.9μm)、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させる。次いで反対側の表面(B)に下記組成のバックコートを塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧2.0×10N/mでカレンダー処理した後、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ(12.65mm)幅にスリットし、パンケーキを作成する。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、カセットテープとする。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100質量部
〔Fe:Co:Ni:Al:Y:Ca=70:24:1:2:2:1(質量比)〕
〔長軸長:0.09μm、軸比:6、保磁力:153kA/m(1,922Oe)、飽和磁化:146Am /kg(146emu/g)、BET比表面積:53m /g、X線粒径:15nm〕
・変成塩化ビニル共重合体(結合剤) : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・変成ポリウレタン(結合剤) : 10質量部
(数平均分子量:25,000,スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・ポリイソシアネート(硬化剤) : 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
・カーボンブラック(帯電防止剤) : 1質量部
(平均一次粒子径:0.018μm)
・アルミナ(研磨剤) : 10質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
(非磁性塗料の組成)
・変成ポリウレタン : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック : 95質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.018μm)
・カーボンブラック : 10質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.3μm)
・アルミナ : 0.1質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・変成ポリウレタン : 20質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 30質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・シクロヘキサノン : 200質量部
・メチルエチルケトン : 300質量部
・トルエン : 100質量部
カセットテープのカートリッジからテープを取り出し、下記恒温恒湿槽内へ図1のように作製したシート幅測定装置を入れ、幅寸法測定を行う。なお、図1に示すシート幅測定装置は、レーザーを使って幅方向の寸法を測定する装置で、磁気テープ9をフリーロール5〜8上にセットしつつ荷重検出器3に固定し、端部に荷重となる分銅4を吊す。この磁気テープ9にレーザー光10を照射すると、レーザー発振器1から幅方向に線状に発振されたレーザー光10が磁気テープ9の部分だけ遮られ、受光部2に入り、その遮られたレーザーの幅が磁気テープの幅として測定される。3回の測定結果の平均値を本発明における幅とする。
・測定装置:(株)アヤハエンジニアリング社製シート幅測定装置
・レーザー発振器1、受光部2:レーザー寸法測定機 キーエンス社製LS−5040
・荷重検出器3:ロードセル NMB社製CBE1−10K
・恒温恒湿槽:(株)カトー社製SE−25VL−A
・荷重4:分銅(長手方向)
・試料サイズ:幅1/2inch×長さ250mm
・保持時間:5時間
・測定回数:3回測定する。
(幅寸法変化率:寸法安定性)
2つの条件でそれぞれ幅寸法(l、l)を測定し、次式にて寸法変化率を算出する。具体的には、次の基準で寸法安定性を評価する。
A条件で24時間経過後lを測定して、その後B条件で24時間経過後にlを測定する。テープカートリッジのはじめから30m地点から切り出したサンプル、100m地点から切り出したサンプル、170m地点から切り出したサンプルの3点を測定した。×を不合格とする。
A条件:10℃10%RH 張力0.85N
B条件:29℃80%RH 張力0.55N
幅寸法変化率(ppm)=10×((l−l)/l
◎:幅寸法変化率の最大値が500(ppm)未満
○:幅寸法変化率の最大値が500(ppm)以上600(ppm)未満
△:幅寸法変化率の最大値が600(ppm)以上700(ppm)未満
×:幅寸法変化率の最大値が700(ppm)以上
(10)製膜安定性
フィルムの製膜性について、下記の基準で評価した。
○:フィルム破れの発生がほとんどなく、安定製膜が可能である。
△:フィルム破れが時々発生し、製膜安定性が若干低い。
×:フィルム破断が多数発生し、製膜安定性が低い。
(12)磁性層の走行耐久性
(10)で作製したカセットテープからテープを取り出しテープ走行性試験機を用いて走行テストを行った。走行テストは下記の条件とした。
測定装置:(株)横浜システム研究所製テープ走行性試験機TBT−300型
試料サイズ:幅1/2inch(12.65mm)、測定長10cm
測定環境:温度25℃、湿度65%RH
ガイドロール:SUS27(6mmφ,表面粗度0.2S)
巻き付け角度:90°
走行速度:3.3cm/s
初期荷重:0.5N
テスト面:両面
繰り返し走行回数:各面20回
走行テスト後に、各面を光学顕微鏡にて×100倍で10視野観察し、走行テストによる磁性層の剥がれを評価した。評価結果は以下の基準で磁性層の走行耐久性を判定した。
○:10視野中剥がれ跡がまったく観察されない。
△:10視野中1〜3視野で剥がれ跡が観察される。
×:10視野中4視野以上で剥がれ跡が観察される。
(13)エラーレート
上記(11)で作製したカセットテープを、市販のIBM社製LTOドライブ3580−L11を用いて23℃50%RHの環境で記録・再生(記録波長0.55μm)することで評価する。エラーレートはドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)から次式にて算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。×を不合格とする。
エラーレート=(エラービット数)/(書き込みビット数)
◎;エラーレートが1.0×10−6未満
○;エラーレートが1.0×10−6以上、1.0×10−5未満
△;エラーレートが1.0×10−5以上、1.0×10−4未満
×;エラーレートが1.0×10−4以上
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)をPEN、ポリエーテルイミドをPEI、ポリエーテルエーテルケトンをPEEKと表記する。
(参考例1)
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム4水塩0.1質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量部エチレングリコール溶液を1質量部(リン酸トリメチルとして0.05質量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達したら、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのPETペレットXを得た。
(参考例2)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例1にて作製したPETペレットXを98質量部と平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子の10質量部水スラリーを20質量部(球状架橋ポリスチレンとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量部含有する固有粘度0.62のPETペレットZ0.3を得た。
(参考例3)
平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子ではなく平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を用いたこと以外、参考例2と同様の方法にて、平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量部含有する固有粘度0.62のPETペレットZ0.8を得た。
(参考例4)
温度270℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に、ペレットXを90質量部と日本化成製スリバックL(エチレンビスラウリン酸アミド)10質量部を供給し、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度10℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップ(i)を作製した。
(参考例5)
温度270℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に、ペレットXを90質量部と日本化成製スリバックE(エチレンビスステアリン酸アミド)10質量部を供給し、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度10℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップ(ii)を作製した。
(参考例6)
温度270℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に、ペレットXを90質量部とステアリン酸バリウムを10質量部を供給し、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度10℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップ(iii)を作製した。
(参考例7)
温度300℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に、参考例1で得られたPETペレットXの50質量部とSABICイノベーティブプラスチック社製のPEI“Ultem1010”のペレット50質量部を供給し、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップ(iv)を作製した。
(参考例8)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100質量部とエチレングリコール60質量部の混合物に、酢酸マンガン・4水和物塩0.03質量部を添加し、150℃の温度から240℃の温度に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中、反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024質量部を添加した。また、反応温度が220℃に達した時点で3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.042質量部(2mmol%に相当)を添加した。その後、引き続いてエステル交換反応を行い、トリメチルリン酸0.023質量部を添加した。次いで、反応生成物を重合装置に移し、290℃の温度まで昇温し、30Paの高減圧下にて重縮合反応を行い、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.65のPENペレットX’を得た。
(実施例1)
押出機E、F2台を用い、272℃に加熱された押出機Eには、参考例1、2、4で得られたPETペレットX96質量部、PETペレットZ0.32質量部、ブレンドペレット(i)2質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく272℃に加熱された押出機Fには、参考例1、2、3、4で得られたPETペレットX87.5質量部、PETペレットZ0.310質量部、およびPETペレットZ0.80.5質量部、ブレンドペレット(i)2質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比E(表面(A)側)/F(表面(B)側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度90℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度195℃で長手方向および幅方向に同時に1.6×1.6倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、製膜性が良好で磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例2)
押出機E、F2台を用い、272℃に加熱された押出機Eには、参考例1、2、4で得られたPETペレットX97質量部、PETペレットZ0.32質量部、ブレンドペレット(i)1質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく272℃に加熱された押出機Fには、参考例1、2、3、4で得られたPETペレットX88.5質量部、PETペレットZ0.310質量部、およびPETペレットZ0.80.5質量部、ブレンドペレット(i)1質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給したこと以外は実施例1と同等に作成した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、製膜性が良好で磁気テープとして使用した際に走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例3)
押出機E、F2台を用い、272℃に加熱された押出機Eには、参考例1、2、4で得られたPETペレットX92質量部、PETペレットZ0.32質量部、ブレンドペレット(i)6質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく272℃に加熱された押出機Fには、参考例1、2、3、4で得られたPETペレットX83.5質量部、PETペレットZ0.310質量部、およびPETペレットZ0.80.5質量部、ブレンドペレット(i)6質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給したこと以外は実施例1と同等に作成した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性やエラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例4)
二段目延伸を温度195℃で長手方向および幅方向に同時に1.1×1.8倍に再延伸したこと以外は実施例3と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性やエラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例5)
二段目延伸を温度170℃で長手方向および幅方向に同時に1.1×1.8倍に再延伸したこと以外は実施例3と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた
(実施例6)
二段目延伸を温度215℃で再延伸したこと再延伸したこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、製膜性が良好で磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例7)
押出機E、Fを280℃に加熱した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、製膜性が良好で磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例8)
積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度90℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度195℃で長手方向および幅方向に同時に1.6×1.6倍に再延伸した。最後に幅方向に1.05倍の延伸を行わず温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理すること以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、製膜性が良好で磁気テープとして使用した際に走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例9)
押出機E、Fを268℃に加熱した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例10)
ブレンドチップ(i)をブレンドチップ(ii)に変更すること以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例11)
押出機E、Fを280℃に加熱した以外は実施例10と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、製膜性が良好で磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性に優れた特性を有していた。
(実施例12)
ブレンドチップ(i)をブレンドチップ(ii)に変更し、積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度90℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度195℃で長手方向および幅方向に同時に1.5×1.5倍に再延伸したこと以外は実施例3と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、製膜性が良好で磁気テープとして使用した際に寸法安定性やエラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例13)
ブレンドチップ(i)をブレンドチップ(ii)に変更し、積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度90℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度195℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸したこと以外は実施例2と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、製膜性が良好で磁気テープとして使用した際に走行耐久性やエラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例14)
ブレンドチップ(i)をブレンドチップ(iii)に変更し、積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度90℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度195℃で長手方向および幅方向に同時に1.5×1.5倍に再延伸したこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性やエラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例15)
ブレンドチップ(i)をブレンドチップ(iii)に変更し、積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度90℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度195℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸したこと以外は実施例3と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例16)
ブレンドチップ(i)をブレンドチップ(iii)に変更し、積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度90℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度195℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸したこと以外は実施例2と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、良好で磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例17)
押出機E、F2台を用い、272℃に加熱された押出機Eには、参考例1、2、4、7で得られたPETペレットX86質量部、PETペレットZ0.32質量部、ブレンドペレット(i)2質量部、ブレンドチップ(iv)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく272℃に加熱された押出機Fには、参考例1、2、3、4,7で得られたPETペレットX77.5質量部、PETペレットZ0.310質量部、およびPETペレットZ0.80.5質量部、ブレンドペレット(i)2質量部、ブレンドチップ(iv)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比E(表面(A)側)/F(表面(B)側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度95℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度195℃で長手方向および幅方向に同時に1.6×1.6倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、製膜性が良好で磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例18)
押出機E、F2台を用い、272℃に加熱された押出機Eには、参考例1、2、4、7で得られたPETペレットX82質量部、PETペレットZ0.32質量部、ブレンドペレット(i)6質量部、ブレンドチップ(iv)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく272℃に加熱された押出機Fには、参考例1、2、3、4、7で得られたPETペレットX73.5質量部、PETペレットZ0.310質量部、およびPETペレットZ0.80.5質量部、ブレンドペレット(i)6質量部、ブレンドチップ(iv)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給したこと以外は実施例17と同等に作製した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性やエラーレートに優れた特性を有していた。
(実施例19)
参考例1のPETペレットXを参考例8のPENペレットX’に変更し、積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度115℃、延伸速度6,000%で3.8倍×3.8倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度210℃で長手方向および幅方向に同時に1.5×1.5倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行った以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、製膜性が良好で磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性に優れた特性を有していた。
(実施例20)
参考例1のPETペレットXを参考例8のPENペレットX’に変更し、積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度115℃、延伸速度6,000%で3.8倍×3.8倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度210℃で長手方向および幅方向に同時に1.5×1.5倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行った以外は実施例3と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、製膜性が良好で磁気テープとして使用した際に寸法安定性に優れた特性を有していた。
(実施例21)
二段目延伸を温度210℃で長手方向および幅方向に同時に1.3×1.6倍に再延伸したこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた
(実施例22)
長手方向および幅方向に同時に1.3×1.6倍に再延伸したこと以外は実施例2と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた
(実施例23)
二段目延伸を温度160℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸し、最後に幅方向に1.05倍の延伸を行わないこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表1、表2、表3に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性や走行耐久性、エラーレートに優れた特性を有していた。
(比較例1)
押出機E、F2台を用い、285℃に加熱された押出機Eには、参考例1、2で得られたPETペレットX98質量部、PETペレットZ0.32質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく285℃に加熱された押出機Fには、参考例1、2、3で得られたPETペレットX89.5質量部、PETペレットZ0.310質量部、およびPETペレットZ0.80.5質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比E(表面(A)側)/F(表面(B)側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度90℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度160℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸した。温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、本発明の範囲外であったため、磁気テープとして使用した際に大きく劣った特性を有していた。
(比較例2)
押出機E、F2台を用い、272℃に加熱された押出機Eには、参考例1、2で得られたPETペレットX98質量部、PETペレットZ0.32質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく272℃に加熱された押出機Fには、参考例1、2、3で得られたPETペレットX89.5質量部、PETペレットZ0.310質量部、およびPETペレットZ0.80.5質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比E(表面(A)側)/F(表面(B)側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度90℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度195℃で長手方向および幅方向に同時に1.3×1.3倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、本発明の範囲外であったため、磁気テープとして使用した際に大きく劣った特性を有していた。
(比較例3)
押出機E、F2台を用い、272℃に加熱された押出機Eには、参考例1、2、4で得られたPETペレットX78質量部、PETペレットZ0.32質量部、ブレンドペレット(i)20質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく272℃に加熱された押出機Fには、参考例1、2、3、4で得られたPETペレットX69.5質量部、PETペレットZ0.310質量部、およびPETペレットZ0.80.5質量部、ブレンドペレット(i)20質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給したことと積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度95℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度195℃で長手方向および幅方向に同時に1.5×1.5倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行ったこと以外は実施例1と同等に作成した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、本発明の範囲外であったため、磁気テープとして使用した際に大きく劣った特性を有していた。
(比較例4)
積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度95℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度160℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行ったこと以外は実施例1と同等に作成した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、本発明の範囲外であったため、磁気テープとして使用した際に大きく劣った特性を有していた。
(比較例5)
290℃に加熱された押出機を用いて作製した積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度95℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度140℃で長手方向および幅方向に同時に1.3×1.3倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行ったこと以外は実施例1と同等に作成した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、本発明の範囲外であったため、磁気テープとして使用した際に大きく劣った特性を有していた。
(比較例6)
積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度95℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度225℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行ったこと以外は実施例1と同等に作成した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、本発明の範囲外であったため、磁気テープとして使用した際に大きく劣った特性を有していた。
Figure 2011034647
Figure 2011034647
Figure 2011034647
1:レーザー発振器
2:受光部
3:荷重検出器
4:荷重
5:フリーロール
6:フリーロール
7:フリーロール
8:フリーロール
9:磁気テープ
10:レーザー光

Claims (8)

  1. 長手方向および/または幅方向について、動的粘弾性測定による損失正接tanδの最大値が0.2〜0.5でありかつ屈折率が1.66〜1.80である方向が少なくとも一つ存在し、融解熱量ΔHmが30〜60J/gである二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 熱収縮応力の最大値が長手方向または幅方向の少なくとも一方で10〜20MPaである、請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 長手方向および幅方向のヤング率の和が10〜20GPaである、請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 脂肪族カルボン酸アミドを0.01〜10質量%含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 脂肪族カルボン酸塩を0.01〜10質量%含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 脂肪族カルボン酸アミドがエチレンビスラウリン酸アミドである、請求項4に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 脂肪族カルボン酸塩がステアリン酸バリウムである、請求項5に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムに磁性層を設けた磁気記録媒体。
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