<第1実施形態>
≪全体構成≫
この実施形態に係る貯湯式給湯装置1は、図1の様に、ヒートポンプユニット(加熱手段)3により沸き上げられた湯を貯湯タンク5に貯湯し、利用者の操作に応じて、その貯湯した湯を、浴槽9または給湯部(例えば蛇口またはシャワー)7から出湯するものである。
貯湯タンク5は、例えば円筒状に形成されており、例えば180L(L:リットル)の容量を有している。貯湯タンク5の上部には、缶体上サーミスタ(水温検出手段)T1が配設されており、貯湯タンク5の側面には、複数の残湯量サーミスタ(水温検出手段)T2〜T6が、上下に沿って間隔を空けて配設されている。各サーミスタT1〜T6は、貯湯タンク5内の湯水の温度を測定するものである。
各サーミスタT1〜T6はそれぞれ、貯湯タンク5の残湯量K(例えばK=ゼロL)、残湯量A(例えばA=20L),残湯量B(例えばB=50L),残湯量C(例えばC=80L),残湯量D(例えばD=120L),残湯量E(例えばE=150L)に対応する高さ位置に配設されている。尚、貯湯タンク5内は常に湯水で満たされており、湯は貯湯タンク5の上部側から順に貯湯される。
貯湯タンク5の底面には、貯湯タンク5内に給水するための給水口5aが設けられている。この給水口5aは、第1給水管h1を介して、水道水が供給される第2給水管h2の分岐点N1に分岐接続されている。第1給水管h1には、第2給水管h2から流入した水が逆流する事を防止するための逆止弁B1と、第1給水管h1に流れる水の水温を検出する水温サーミスタ(水温検出手段)T7とが配設されている。
また貯湯タンク5の底面には、吐出口5bが設けられている。この吐出口5bは、第1吐出管h3を介して第2吐出管h4に分岐接続されている。各吐出管h3,h4の分岐接続点には、排水用三方弁B2が配設されている。
尚、第2吐出管h4の一端口は、HP(ヒートポンプユニット)循環往き口11に接続されており、また第2吐出管h4の他端口は、排水接続口13に接続されている。HP循環往き口11は、循環配管h5を介してHP循環戻り口15に接続されており、排水接続口13は、外部の排水管h6に接続されている。
尚、循環配管h5は、ヒートポンプユニット3内に引き込まれている。ヒートポンプユニット3により循環配管h5が加熱されることで、循環配管h5において、HP循環往き口11側から流入する水が沸き上げられてHP循環戻り口15側へと流出する。
尚、排水用三方弁B2は、例えば手動操作によりその弁体の開度が調整されることで、第1吐出管h3からの水を、第2吐出管h4におけるHP循環往き口11側または排水接続口13側に流出させるものである。この排水用三方弁B2は、通常時は、第1吐出管h3からの水をHP循環往き口11側に流出させるように調整されている。
第2吐出管h4には、排水用三方弁B2とHP循環往き口11との間において、排水用三方弁B2からの水をHP循環往き口11側に送り出すための循環ポンプP1が配設されている。
貯湯タンク5の上面には、第1入湯口5cが設けられており、貯湯タンク5の底面には、第2入湯口5dが設けられている。第1入湯口5cは、第1入湯管h7を介してHP循環戻り口15に接続されており、第2入湯口5dは、第2入湯管h9を介して第1入湯管h7に分岐接続されている。各入湯管h7,h9の分岐接続点には、三方弁B3が設けられている。
尚、三方弁B3は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式である。三方弁B3は、後述の制御装置150の制御によりその弁体の開度が調整されることで、第1入湯管h7にHP循環戻り口15側から流入する湯を、第1入湯管h7を通じて第1入湯口5c側に流出させ、または第2入湯管h9を通じて第2入湯口5d側に流出させるものである。
また貯湯タンク5の上面には、出湯口5eが設けられている。この出湯口5eは、第1出湯配管h10を介して給湯混合弁B4に接続されている。尚、第1出湯配管h10には、出湯口5e側から流入する湯が逆流する事を防止するための逆止弁B5が配設されている。
給湯混合弁B4には、更に、第2給水管h2の一端口が接続されると共に、給湯配管h11の一端口が接続されている。尚、第2給水管h2の他端口は、給水接続口17に接続されており、給水接続口17には、外部からの給水管h20が接続されている。また給湯配管h11の他端口は、給湯接続口19に接続されており、給湯接続口19には、配管h12を介して給湯部(例えば蛇口またはシャワー)7が接続されている。
給湯混合弁B4は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式である。給湯混合弁B4は、後述の制御装置150の制御によりその弁体の開度が調整されることで、第1出湯配管h10からの湯と第2給水管h2からの水とを所望の混合比で混合し、その混合した湯を給湯配管h11を通じて給湯部7に流出させるものである。
尚、第2給水管h2には、例えば、給水接続口17と分岐点N1との間において、減圧弁B7と、逆止弁B6と、ストレーナS1とが配設されている。減圧弁B7は、給水接続口17側から流入した水の水圧を所定の水圧(例えば170kPa)に減圧するものである。逆止弁B6は、給水接続口17側から流入した水が逆流する事を防止するものである。ストレーナ20は、給水接続口17側から流入した水に含まれるゴミを取るものであり、そのメッシュ数は例えば#60である。また第2給水管h2には、例えば、給湯混合弁B4と分岐点N1との間において、分岐点N1側から流入した水が逆流する事を防止するための逆止弁B8が配設されている。
給湯配管h11には、給湯配管h11を流れる湯の水量を検出する給湯水量センサ(水量検出手段)W2と、給湯配管h11を流れる湯の温度を検出する給湯サーミスタ(水温検出手段)T9とが配設されている。
貯湯タンク5の上面には、第2出湯口5fが設けられている。この第2出湯口5fは、第2出湯配管h14を介して湯張り混合弁B11に接続されている。尚、第2出湯配管h14には、貯湯タンク5からの湯が逆流する事を防止するための逆止弁B10が配設されている。
湯張り混合弁B11には、更に、第3給水管h15の一端口が接続されると共に、第3出湯配管h16の一端口が接続されている。尚、第3給水管h15の他端口は、第2給水管h2の分岐点N4に接続されている。分岐点N4は、例えば、第2給水管h2における逆止弁B8と分岐点N1との間に位置している。また第3出湯配管h16の他端口は、風呂循環往き口23に接続されており、風呂循環往き口23には、配管h17を介して浴槽9が配設されている。
湯張り混合弁B11は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式である。湯張り混合弁B11は、後述の制御装置150の制御によりその弁体の開度が調整されることで、第2出湯配管h14からの湯と第3給水管h15からの水とを所望の混合比で混合して、その混合した湯を、第3出湯配管h16を通じて浴槽9側に流出させるものである。
また第3出湯配管h16には、複合水弁25が配設されている。複合水弁25は、湯張り電磁弁B12と、湯張り水量センサ(水量検出手段)W1と、逆止弁B13,B14と、排水弁B16とを備えている。それら各要素B12,B13,W1,B14は、湯張り混合弁B11側からその順に第3出湯配管h16に配設されている。
尚、湯張り電磁弁B12は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式である。湯張り電磁弁B12は、後述の制御装置150の制御によりその弁体の開度が調整されることで、第3出湯配管h16を流れる湯の水量を調整するものである。また湯張り水量センサW1は、第3出湯配管h16を流れる湯の水量を検出するものである。また各逆止弁B13,B14は、第3出湯配管h16を流れる湯が湯張り混合弁B11側に逆流する事または浴槽9からの湯が混合弁B11側に逆流する事を防止するものである。
第3出湯配管h16の分岐点N5には、外部に引き出された第4排水管h27の一端口が接続されており、排水弁B16は、その第4排水管h27に配設されている。尚、分岐点N5は、例えば、逆止弁B13と湯張り水量センサW1との間に位置している。
排水弁B16は、その弁体が開成することで、第3出湯配管h16に貯まった湯水を第4排水管h27から外部に排出するものである。この排水弁B16は、例えば、手動式に構成されて手動により、または電動式に構成されて後述の制御装置150の制御により、その弁体の開度が調整される様になっている。
また貯湯タンク5の底面には、追焚循環戻り口5gが設けられている。この追焚循環戻り口5gには、第1追焚循環配管h21の一端口が接続されている。第1追焚循環配管h21の他端口は、第2出湯配管h14の分岐点N8に接続されている。尚、分岐点N8は、第2出湯配管h14における逆止弁B10と湯張り混合弁B11の間に位置している。
また第1追焚循環配管h21の一部分は、追焚熱交換器25内に取り込まれている。
また第1追焚循環配管h21の分岐点N10は、第2出湯配管h14の分岐点N9に配管h22を介して接続されている。分岐点N9は、第2出湯配管h14における第2出湯口5fと逆止弁B10との間に位置しており、分岐点N10は、分岐点N8と追焚熱交換器25との間に位置している。
また第2出湯配管h14の分岐点N8には、外部に引き出された第3排水管h13の一端口が接続されている。第3排水管h13には、負圧作動弁付き逃し弁B9が配設されている。負圧作動弁付き逃し弁B9は、貯湯タンク5内の水圧が所定の水圧(例えば190kPa)以上の場合は、その弁体を開成して、貯湯タンク5内の湯水を、各部5f→N9→B10→N8→h13→N12→B9の経路を経て外部に排水し、他方、貯湯タンク5内の水圧が前記所定の水圧未満の場合は、その弁体を閉塞して、貯湯タンク5内の湯水が、上記の経路を経て外部に排水される事を禁止するものである。
また第2出湯配管h14の分岐点N9と第3排水管h13の分岐点N12とは、配管h23を介して接続されており、配管h23には、分岐点N12から分岐点N9に流れる湯が逆流する事を防止する逆止弁B17が配設されている。尚、分岐点N12は、第3排水管h13における分岐点N8と逃がし弁B9との間に位置している。
また第1追焚循環配管h21には、それに流れる湯を貯湯タンク5の追焚循環戻り口5g側に循環させるための熱交換循環ポンプP3が配設されている。ここでは、循環ポンプP3は、例えば、第1追焚循環配管h21における追焚熱交換器25と追焚循環戻り口5gとの間に配設されている。
第1追焚循環配管h21の分岐点N13には、外部に引き出された第4排水管h24の一端口が接続されており、第4排水管h24には、第1追焚循環配管h21中に貯まった水を排水するための水抜き栓B18が配設されている。水抜き栓B18は、例えば手動式のものが用いられている。
第3出湯配管h16の分岐点N14には、第2追焚循環配管h25の一端口が接続されている。第2追焚循環配管h25の他端口は、風呂循環戻り口27に接続されており、風呂循環戻り口27には、配管h26を介して浴槽9に接続されている。
第2追焚循環配管h25の一部分は、追焚熱交換器25内に引き込まれており、第1追焚循環配管h21との間で熱交換可能になっている。
第2追焚循環配管h25には、風呂循環ポンプP4と、風呂サーミスタ(水温検出手段)T10と、水流スイッチSW1と、水位センサYとが配設されている。
風呂循環ポンプP4は、浴槽9内の湯水を風呂循環戻り口27から取り込んで第2追焚循環配管h25および第3出湯配管h16aを循環させて風呂循環往き口23から浴槽9内に戻すためのものである。風呂サーミスタT10は、第2追焚循環配管h25を流れる湯水の温度を検出するものである。水流スイッチSW1は、第2追焚循環配管h25内を湯水が一定値以上の水流で循環しているか否かを検出するものであり、例えば、一定値以上の水流を検出するとオンし、一定値以上の水流を検出しない場合はオフになる。水位センサYは、浴槽9内の水位が浴槽9の追焚用吸水口9aよりも高いか否かを検出するものであり、例えば、所定水圧以上の水圧を検出すると、浴槽9内の水位が追焚用吸水口よりも高い事を検出するものである。これら各要素P4,T10,SW1,Yは、例えば、第2追焚循環配管h25における追焚熱交換器25と風呂循環戻り口27との間に配設されている。
またこの貯湯式給湯装置1は、図2の様に、制御装置150と、リモコン装置(設定入力手段)160とを備えている。制御装置150は、各サーミスタT1〜T10および各水量センサW1,W2の検出結果に基づき、各弁B3,B4,B11,B12、ヒートポンプユニット3および各循環ポンプP1,P3,P4を制御するものである。またリモコン装置160は、利用者の操作を受け付けるものである。
制御装置150は、主として、残湯量検出部(残湯量検出手段)150aと、湯不足検知部(湯不足検知手段)150bと、制御部(制御手段)150cと、沸上開始時刻算出部(算出手段)150dと、静音指定時間帯設定部(設定手段)150eとを備えている。
ヒートポンプユニット(加熱手段)3の加熱能力は、第1の出力値(例えば定格能力)による加熱能力と、第1の出力値よりも高い第2の出力値による加熱能力とに切換可能になっている。ヒートポンプユニット3は、一般に加熱能力が小さくなるほど稼働音が小さくなるので、第2の出力値で稼働されるよりも第1の出力値で稼働される方が稼働音が小さくなる。
尚、この実施形態では、ヒートポンプユニット3は、貯湯タンク5内の残湯量を制御する残湯量制御手段として機能している。
残湯量検出部150aは、貯湯タンク5の残湯量を検知するものである。残湯量検出部150aは、例えば、各サーミスタT1〜T6の検出結果に基づき、貯湯タンク5内の湯と水との境界面のおおよその位置を検出し、その位置に基づき貯湯タンク5の残湯量を検出する。例えば、残湯量検出部150aは、各サーミスタT1〜T3の検出温度が例えば75℃の高温で、サーミスタT4〜T6の検出温度が例えば20℃の低温である場合は、貯湯タンク5内の湯と水の境界面はおおよそサーミスタT3の高さ位置にあると判断し、貯湯タンク5の残湯量は、サーミスタT3の高さ位置に対応する残湯量Bであると検出する。尚、貯湯タンク5内は、常に水または湯で満たされており、上層側から湯が溜まるので、例えば残湯量Bとは、貯湯タンク5の天井から高さ位置Bまで湯が溜まっている事を意味する。
湯不足検知部150bは、貯湯タンク5の残湯量が湯不足状態(例えば残湯量Kよりも少ない状態)であるか否かを検知するものである。湯不足検知部150bは、残湯量検出部150bにより検出された残湯量と所定の基準量(例えば残湯量K)との比較を行い、その比較の結果、残湯量が所定の基準量未満の場合は、湯不足状態であると判定し、この判定により湯不足状態である事を検知する。また湯不足検知部150bは、比較の結果、残湯量が所定の基準量以上の場合は、湯不足状態でないと判定し、この判定により湯不足状態でない事を検知する。尚、前記所定の基準量は、起動残湯量よりも低い値とする。
静音指定時間帯設定部150eは、利用者がリモコン装置160に設定入力した所望の時間帯を静音指定時間帯(特定の時間帯)Δtsとして設定する。尚、静音指定時間帯Δtsとは、ヒートポンプユニット3を静かに稼動させるべき時間帯である。図3は、例えば、昼間時間帯Δt4内の所定の時間帯(例えば10:00〜14:00)Δt5および夜間時間帯Δt6の全ての時間帯(例えば19:00〜7:00)が、静音指定時間帯Δtsとして設定された場合を示している。
制御部150cは、残湯量検出部150aにより検出された残湯量が起動残湯量以下であり且つ湯不足検知部150bにより湯不足状態でない事が検知されている場合は、ヒートポンプユニット3を第1の出力値で稼働させて貯湯タンク5内の水を沸き上げさせる。また制御部150cは、残湯量検出部150aが検出した残湯量が停止残湯量以上である場合は、ヒートポンプユニット3を停止させて貯湯タンク5内の水の沸き上げを停止させる。尚、停止残湯量は、起動残湯量よりも高い値に設定されている。
また制御部150cは、湯不足検知部150bにより湯不足状態の発生が検知された場合は、その発生時刻から湯不足検知部150bにより湯不足状態の解消が検知される時刻(解消時刻)まで、ヒートポンプユニット3を第2の出力値で稼働させて貯湯タンク5内の水を沸き上げさせる。その稼働の際、制御部150cは、その湯不足状態の発生時刻が静音指定時間帯Δtsに含まれる場合は、その稼動時間(当該湯不足状態の発生時刻から解消時刻までの時間(湯不足沸上時間))Δt1を計時する。
沸上開始時刻算出部150dは、例えば図3の様に、湯不足状態の発生が検知された時刻(発生時刻)t1から当該湯不足状態の解消が検知された時刻(解消時刻)t2までの時間Δt1の間に、ヒートポンプユニット3により第2の出力値で貯湯タンク5内の水が沸き上げられた場合に、その沸き上げに要した加熱熱量(湯不足沸上加熱熱量)Qを算出し、ヒートポンプユニット3が第1の出力値でその加熱熱量Qを生成する場合に要する所要時間Δt2を算出し、発生時刻t1から所要時間Δt2遡った時刻t3を沸上開始時刻として算出する。
尚、湯不足沸上加熱熱量Qは、例えば、(ヒートポンプユニット3による第2の出力値での単位時間当たりの加熱能力)×湯不足沸上時間Δt1により算出される。また所要時間Δt2は、例えば、湯不足沸上加熱熱量Q÷(ヒートポンプユニット3による第1の出力値での単位時間当たりの加熱能力)で算出される。
尚、図3では、一例として、各時刻t1a,t1bで湯不足状態の発生が検知され、各時刻t2a,t2bで当該湯不足状態の解消が検知された場合が示されている。各時刻t3a,t3bは、それら各場合の沸上開始時刻t3であり、各時間Δt1a,Δt1bは、それら各場合の湯不足沸上時間Δt1であり、各時間Δt2a,Δt2bは、それら各場合の所要時間Δt2である。
また制御部150cは、静音指定時間帯Δtsにおいて上記の様に湯不足沸き上げが発生した場合(即ち湯不足状態の発生が検知されてヒートポンプユニット3が第2の出力値で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられた場合)は、その後の所定の日(例えば次の日)において、当該湯不足沸き上げの際に算出された沸上開始時刻t3から当該湯不足状態の発生時刻t1までの時間Δt2の間、ヒートポンプユニット3を第1の出力値(即ち小さい稼働音)で稼働させて貯湯タンク5内の水を沸き上げさせる。これにより、当該所定の日の発生時刻t1までに、ヒートポンプユニット3が小さい稼働音で稼働されて、貯湯タンク5の残湯量が前日の湯不足沸き上げの際に沸き上げられた湯量(即ち湯不足沸上加熱熱量Qに相当する湯量)だけ多めに確保される。よって当該所定の日の発生時刻t1に湯不足状態が再び発生する事が防止される。
また制御部150cは、例えばリモコン装置160への入力操作に基づき、ヒートポンプユニット3を起動すると共に三方弁B3を制御して、貯湯タンク5内の水の沸き上げを行う。また制御部150cは、リモコン装置160への入力操作に基づき、給湯混合弁B4の開度を制御して給湯部7から出湯する湯の温度を調整する。また制御部150cは、リモコン装置160への入力操作に基づき、湯張り混合弁B11の開度を制御して浴槽9に出湯する湯の温度を調整すると共に、湯張り電磁弁B12の開度を制御して浴槽9への出湯を制御する。
≪基本動作≫
この貯湯式給湯装置1では、外部の給水管h20中の水がその水圧により各部h2→N1→h1→B1→5aを通じて貯湯タンク5に供給されて、貯湯タンク5は常に満水状態に保たれる。
そして貯湯タンク5内の水を沸き上げる場合は、制御部150cの制御により、三方弁B3がまず第2入湯口5d側に全開され(即ち第1入湯口5c側は全閉され)、且つヒートポンプユニット3およびポンプP1が起動される。このポンプP1の起動により、貯湯タンク5内の水は、各部5b→B2→P1→11→h5→15→B3→5dの経路を経て流れる。またこのヒートポンプユニット3の起動により、循環配管h5がヒートポンプユニット3により加熱され、循環配管h5を流れる水が沸き上げられ、その沸き上げられた水は、第2入湯口5dから貯湯タンク5の下部に戻される。
そして一定時間経過して、ヒートポンプユニット3による加熱により所定の高温(例えば75℃)の湯が沸き上がると、制御部150cの制御により、三方弁B3が第1入湯口5c側に全開される(即ち第2入湯口5d側は全閉される)。これにより、貯湯タンク5内の水は、各部5b→B2→P1→11→h5→15→B3→5cの経路を経て流れ、その経路の途中で加熱されて、第1入湯口5cから貯湯タンクの上部に戻される。この状態が継続されることで、貯湯タンク5内の水は、ヒートポンプユニット3により所定の高温に沸き上げられて、貯湯タンク5の上部から貯湯されて行く。
その際、残湯量検出部150aは、貯湯タンク5に配設された各サーミスタT1〜T6の検出結果基づき、貯湯タンク5の残湯量を検出している。そして貯湯タンク5の残湯量が所定量(例えば停止残湯量)に達すると、制御部150cは、ヒートポンプユニット3およびポンプP1を停止して、貯湯タンク5内の水の沸き上げを停止する。
また給湯部7から所望の給湯温度の湯を出湯する場合は、まず利用者によりリモコン装置160に所望の給湯温度の設定が入力される。そして利用者により給湯部7が開操作されると、貯湯タンク5内の湯が第1出湯配管h10を通じて給湯混合弁B4に流入すると共に第2給水管h2からの水が給湯混合弁B4に流入して、給湯混合弁B4において、それら湯および水が所定の混合比で混合されて給湯配管h11を通じて給湯部7から出湯される。その際、給湯サーミスタT9により給湯配管h11に流れる湯の温度が検出され、その検出温度が上記の所望の給湯温度になる様に、制御部150cにより給湯混合弁B4の弁体の開度が制御され、給湯部7から出湯される湯の温度が上記の所望の給湯温度に調整される。
また浴槽9に湯張りを行う場合は、まず利用者によりモコン装置160に所望の湯張り温度および所望の湯張り湯量が設定される。そして利用者によりリモコン装置160に湯張り開始の操作が入力されると、制御部150cにより湯張り電磁弁B12の弁体が開成される。これにより貯湯タンク5内の湯が各部5f→N9→B10→N8を通じて湯張り混合弁B11に流入すると共に第2給水管h2からの水が各部h2→N4を通じて湯張り混合弁B11に流入して、湯張り混合弁B11において、それら湯と水とが所定の混合比で混合されて第3出湯配管h16を通じて浴槽9に出湯される。その際、給湯サーミスタT8により第3出湯配管h16に流れる湯の温度が検出され、その検出温度が上記の所望の湯張り温度になる様に、制御部150cにより湯張り電磁弁B11の弁体の開度が制御され、浴槽9に出湯される湯の温度が上記の所望の湯張り温度に調整される。尚、その際、貯湯タンク5内の湯が第1追焚循環配管h21を流れて貯湯タンク5の追焚循環戻り口5gに戻る循環が発生すると、湯張り混合弁B11に流入する湯量が変化して湯張り開始時刻の制度が悪化するため、これを防ぐべくポンプP3を停止する事が望ましい。
そして制御部150cにより、湯張り水量センサW1の検出結果に基づき、浴槽9に上記の所望の湯張り湯量の湯が出湯された事が検知されると、湯張り電磁弁B12の弁体が閉塞されて、浴槽9への湯張りが終了する。
また浴槽9内の湯水の追い焚きを行う場合は、リモコン装置160に入力された追焚開始の指示に応じて、制御部150cの制御により、各循環ポンプP3,P4が起動される。これにより、貯湯タンク5内の湯は、各部5→5f→N9→B10→N8→N10または各部5→5f→N9→h22→N10を経て、更に各部N10→25→N13→P3→5g→5を経て追焚用熱交換器25と貯湯タンク5との間を循環する。そして浴槽9内の湯水は、各部9→h26→27→Y→SW1→T10→P4→25→N14→23→h17→9を経て追焚熱交換器25と浴槽9との間を循環する。そして追焚用熱交換器25内で、貯湯タンク5からの湯と浴槽9からの湯水との間で熱交換が行われて、浴槽9内の湯水が追い焚きされる。そして制御部150cにより、風呂サーミスタT10の検出温度に基づき、浴槽9からの湯水の温度がリモコン装置160に予め設定された追焚温度になった事が検知されると、制御部150cの制御により、各循環ポンプP3,P4が停止されて追い焚きが終了する。
尚、熱交換器25で熱交換された貯湯タンク5からの湯は、水として追焚循環戻り口5gから貯湯タンク5に戻されるので、追い炊きにより第2出湯口5fから出湯した湯量の分だけ貯湯タンク5の残湯量は減少する。
≪主要動作≫
次に図4に基づき貯湯タンク5内の水の沸上動作について詳細に説明する。
ステップS1で、一日の処理が開始する。そしてステップS2で、制御部150cにより、残湯量検出部150aの検出結果に基づき、貯湯タンク5の残湯量が起動残湯量以下であるか否かの判定が行われる。その判定の結果、残湯量が起動残湯量以下である場合は、処理がステップS3に進み、制御部150cにより、ヒートポンプユニット3が第1の出力値で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられる。またステップS2の判定の結果、残湯量が起動残湯量以下でない場合は、処理がステップS4に進む。
ステップS4では、湯不足検知部150bにより、残湯量検出部150aの検出結果に基づき、貯湯タンク5の残湯量が湯不足状態であるか否かの判定が行われる。その判定の結果、残湯量が湯不足状態でない場合は、処理がステップS8に進む。他方、ステップS4の判定の結果、残湯量が湯不足状態である場合は、処理がステップS5に進み、制御部150cにより、その湯不足状態の発生時刻t1が静音指定時間帯Δtsに含まれるか否かが判定される。
ステップS5の判定の結果、発生時刻t1が静音指定時間帯Δtsに含まれる場合は、処理がステップS6に進み、制御部150cにより、ヒートポンプユニット3が発生時刻t1から当該湯不足状態の解消が検知される時まで第2の出力値で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられると共に、その第2出力値での稼働時間(湯不足沸上時間)Δt1が計時される。そして処理がステップS2に戻る。他方、ステップS5の判定の結果、発生時刻t1が静音指定時間帯Δtsに含まれない場合は、処理がステップS7に進み、制御部150cにより、ヒートポンプユニット3が当該湯不足状態の解消が検知される時まで第2の出力値で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられる。そして処理がステップS2に進む。尚、ヒートポンプユニット3が第2の出力値で稼働されることで、早期に湯不足状態が解消される。
ステップS8では、制御部150cにより、残湯量検出部150aの検出結果に基づき、貯湯タンク5の残湯量が停止残湯量以上であるか否かの判定が行われる。その判定の結果、残湯量が停止残湯量以上でない場合は、処理がステップS10に進み、他方、残湯量が停止残湯量以上である場合は、処理がステップS9に進み、ヒートポンプユニット3が停止されて貯湯タンク5内の水の沸き上げが停止される。そして処理がステップS10に進む。
ステップS10では、制御部150cにより、既に沸上開始時刻t3が算出されているか否かが判定される。その判定の結果、まだ沸上開始時刻t3が算出されていない場合は、処理がステップS11に進み、既に沸上開始時刻t3が算出されている場合は、処理がステップS13に進む。
ステップS11では、制御部150cにより、例えば前日に静音指定時間帯ΔtsでステップS6の湯不足沸き上げが発生したか否か(即ち湯不足状態が検知されてヒートポンプユニット3が第2の出力値で稼働されて貯湯タンク内の水が沸き上げられたか)が判定される。その判定の結果、当該湯不足沸き上げが発生した場合は、処理がステップS12に進み、当該湯不足沸き上げが発生していない場合は、処理がステップS19に進む。
ステップS12では、沸上開始時刻算出部150dにより、当該湯不足沸き上げの際に計時された湯不足沸上時間Δt1に基づき、沸上開始時刻t3が算出される。そしてステップS13で、制御部150cにより、現在時刻が、当該湯不足沸き上げの原因となった湯不足状態の発生時刻t1以降であるか否かが判定される。その判定の結果、現在時刻が発生時刻t1以降である場合は、処理がステップS2に戻り、他方、現在時刻が発生時刻t1以降でない場合は、処理がステップS14に進む。
ステップS14では、制御部150cにより、現在時刻が当該沸上開始時刻t3以降であるか否かが判定される。その判定の結果、現在時刻が当該沸上開始時刻t3以降でない場合は、処理がステップS2に戻る。他方、ステップS14の判定の結果、現在時刻が当該沸上開始時刻t3以降である場合は、処理がステップS14・1に進む。
ステップS14・1では、制御部150cにより、ヒートポンプユニット3が稼働しているか否かが判定される。その判定の結果、ヒートポンプユニット3が稼働している場合は、処理がステップS14・2に進み、ヒートポンプユニットが稼働していない場合(即ち停止している場合)は、処理がステップ15に進む。
ステップS14・2では、ステップ14・1でのヒートポンプユニット3の稼働が、貯湯タンク5内の残湯量が起動残湯量以下になってまたは湯不足状態になって稼働したものか否かが判定される。その判定の結果、貯湯タンク5内の残湯量が起動残湯量以下になってまたは湯不足状態になって稼働したものである場合は、処理がステップS4に戻り、貯湯タンク5内の残湯量が起動残湯量以下になってまたは湯不足状態になって稼働したものであない場合(即ち後述のステップS15で稼働したものである場合)は、処理がステップS16に進む。
ステップS15では、制御部150cにより、ヒートポンプユニット3が第1の出力値(即ち小さな稼働音)で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられる。
そしてステップS16で、制御部150cにより、残湯量検出部150aの検出結果に基づき、貯湯タンク5の残湯量が停止残湯量以上であるか否かの判定が行われる。その判定の結果、残湯量が停止残湯量以上でない場合は、処理がステップS17に進み、他方、残湯量が停止残湯量以上である場合は、処理がステップS18に進む。
ステップS17では、制御部150cにより、現在時刻が、当該湯不足沸き上げの原因となった湯不足状態の発生時刻t1以降であるか否かが判定される。その判定の結果、現在時刻が発生時刻t1以降でない場合は、処理がステップS4に戻り、他方、現在時刻が発生時刻t1以降である場合は、処理がステップS18に進む。
ステップS18では、制御部150cにより、ヒートポンプユニット3が停止されて貯湯タンク5内の水の沸き上げが停止される。そしてステップS19で、制御部150cにより、現在時刻が当該一日の終わりを過ぎたか否かの判定がされ、その判定の結果、現在時刻が当該一日の終わりを過ぎた場合は、ステップS1に戻り、次の一日に対して同様の処理が繰り返され、他方、現在時刻が当該一日の終わりを過ぎていない場合は、ステップS2に戻る。
この様な動作により、或る日(第1の日)に、例えばステップS1→・・・→S4→S5→S6の処理が行われて、時刻t1に湯不足状態の発生が検知されてヒートポンプユニット3が第2の出力値で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられた場合(S5,S6)は、後の所定の日(例えば次の日)に、例えばステップS1→・・・→S11→S12→S13→14→14・1→S15→S16→S17→S18の処理が行われて、時刻t3から時刻t1までの時間Δt2の間、ヒートポンプユニット3が第1の出力値(即ち小さい稼働音)で稼働されて、時刻t1までに貯湯タンク5の残湯量が所定の湯量(当該湯不足沸き上げの際に沸き上げられた湯量)だけ多く確保される(尚、残湯量は停止残湯量以上にならない範囲で多く確保される(S16,S18))。よって当該所定の日の時刻t1に湯不足状態が再び発生する事が防止される。
尚、時刻t3から時刻t1までの時間Δt2の間で湯不足状態が発生した場合(S17→S4→S5)は、貯湯タンク5の残湯量が十分に多く確保されていないので、その湯不足状態を完全に防止できない可能性はあるが、その場合でも、その湯不足状態の発生している時間Δt1を短くできる効果はある。
尚この動作では、例えば、ステップ15でヒートポンプユニット3が稼働された場合において、その稼働後から時刻t1までの間に、貯湯タンク5内の残湯量が起動残湯量以下になりまたは湯不足状態になった場合は、時刻t3になってもヒートポンプユニット3を停止させず、残湯量が停止残湯量以上になるまで稼働させる(S15→S16→S17→S4→・・・→S14.1→S14・2→S4)。
またこの動作では、例えば、時刻t3以降になった際にヒートポンプユニット3が停止している場合だけ、時刻t3から時刻t1まで、または停止残湯量以上になるまで、ヒートポンプユニット3を第1の出力値で稼働させる(S14・1→S15→S16→S17→S18)。また例えば、時刻t3以降になった際に、残湯量が起動残湯量以下になってまたは湯不足状態になってヒートポンプユニット3が既に稼働されている場合は、その稼働を優先させて、残湯量が停止残湯量以上になった場合だけヒートポンプユニット3を停止させる(即ち時刻t1以降になっても残湯量が停止残湯量以上でなければヒートポンプユニット3を停止させない)(S14・1→S14・2→S4→・・→S8→・・S14・1)。
尚、この動作では、説明便宜上、時刻t3から時刻t1までの間に一日の始まり(S1)および一日の終わり(S19)が起こらない事を想定しているが、その様な事が起こる事を想定しても構わない。
尚、この実施形態では、異なる日の対応する時刻には同じ符号を付している。即ち或る時刻に24時間の整数倍の時間を足した時刻は、当該或る時刻に付した符号と同じ符号を付している。
以上の様に構成された貯湯式給湯装置1によれば、第1の日の時刻t1に湯不足状態が検知されてヒートポンプユニット3が第2の出力値で稼働された場合は、その後の所定の日の時刻t1までに貯湯タンク5の残湯量が多めに確保されるので、前記所定の日の時刻t1に湯不足状態が再び発生する事が抑制できる。従って、前記所定の日の時刻t1にヒートポンプユニット3が第2の出力値で再び稼働される事が抑制でき、ヒートポンプユニット3の稼働音による近所への騒音を低減できる。
また前記所定の日の時刻t3から時刻t1までの時間Δt2の間、ヒートポンプユニット3が第1の出力値で稼働されるので、前記所定の日の時刻t1までに、ヒートポンプユニット3を第2の出力値で稼働させる事無く(従って第1の出力値で(即ち小さい稼働音で)稼働させて)、貯湯タンク5の残湯量を多めに確保できる。
また静音指定時間帯Δtsを設定する静音指定時間帯設定部150eを備えるので、静音指定時間帯Δtsで湯不足沸き上げが行われた場合のみ、ヒートポンプユニット3の稼働音による近所への騒音を低減させる事ができる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、ヒートポンプユニット3を稼働させることで、後の所定の日(例えば次の日)において、当該湯不足状態の発生時刻t1までに、貯湯タンク5内の残湯量を、当該湯不足沸き上げの際に沸き上げた湯量の分だけ多く確保させたが、この実施形態では、起動残湯量の設定値を上げることで、後の所定の日において、当該湯不足状態の発生時刻t1までに、貯湯タンク5内の残湯量を、当該湯不足沸き上げの際に沸き上げた湯量の分だけ多く確保させる。
この実施形態の制御装置150Bは、図5の様に、第1実施形態の制御装置150(図2)において、沸上開始時刻算出部150dを削除し、設定値算出部(設定値算出手段)150f、設定値変更時刻算出部(算出手段)150gおよび設定値変更部(設定値変更手段)150hを追加して構成される。以下、図5に関して、図2と同じ部分については同符号を付して説明を省略し、異なる部分だけ説明する。
設定値算出部150fは、例えば図3の様に、発生製時刻t1から解消時刻t2までの湯不足沸上時間Δt1に、ヒートポンプユニット3が第2の出力値で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられた場合に、その時間Δt1での沸き上げに要した湯不足沸上加熱熱量Qを算出し、その加熱熱量Qに相当する湯量を起動残湯量の第1の設定値に加算した値を、第2の設定値として算出する。尚、第2の設定値が停止残湯量以上になる場合は、第2の設定値として、停止残湯量と同じ値が使用される。尚、第1の設定値は、例えば、起動残湯量の初期設定値(例えば残湯量B)である。
設定値変更時刻算出部150gは、例えば図3の様に、湯不足沸上時間Δt1の間、ヒートポンプユニット3が第2の出力値で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられた場合に、その時間Δ1での沸き上げに要した湯不足沸上加熱熱量Qを算出し、その加熱熱量Qをヒートポンプユニット3の第1の出力値で生成する場合に要する所要時間Δt2を算出し、時刻t1から当該所要時間Δt2遡った時刻t3を、起動残湯量の設定値を第1の設定値から第2の設定値に変更する設定値変更時刻として算出する。
設定値変更部150hは、例えば図3の様に、静音指定時間帯Δtsにおいて、上記の様に湯不足沸き上げが発生した場合(即ち湯不足状態の発生が検知されてヒートポンプユニット3が第2の出力値で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられた場合)は、その後の所定の日(例えば次の日)において、当該湯不足沸き上げの際に算出された設定値変更時刻t3から当該湯不足状態の発生時刻t1までの時間Δt1の間、起動残湯量の設定値を第1の設定値から第2の設定値に変更する。これにより、貯湯タンク5の残湯量が第2の設定値以下になると、制御部150cによりヒートポンプユニット3が第1の出力値(小さな稼働音)で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられる。これにより、当該所定の日の発生時刻t1までに、ヒートポンプユニット3が小さい稼働音で稼働されて、貯湯タンク5の残湯量が例えば前日の湯不足沸き上げの際に沸き上げられた湯量(即ち湯不足沸上加熱熱量Qに相当する湯量)だけ多めに確保される。よって当該所定の日の発生時刻t1に湯不足状態が再び発生する事が防止される。
尚ここでは、時刻t3より前の時刻では起動残湯量は第1の設定値に設定されているので、時刻t3では貯湯タンク5内の残湯量は第1の設定値以上である事を想定している。この想定の下では、時刻t3に起動残湯量が第2の設定値に変更されれば、時刻t1までに必要な湯量(即ち湯不足沸上加熱熱量Qに相当する湯量)を沸き上げる事ができる。そうできる様に所要時間Δt2や時刻t3が上述のように算出されているからである。
尚、この実施形態では、設定値変更部150hは、貯湯タンク5内の残湯量を制御する残湯量制御手段として機能している。
次に図6に基づき貯湯タンク5内の水の沸上動作について詳細に説明する。図6は、図4において、ステップS1とS2の間に新たにステップS20を設け、且つステップS10,S12,S15,S17,S18をそれぞれステップS10a,S12a,S15a,S17a,S18aに変更し、且つステップS10aとS13の間に新たにステップS21を設け、且つステップS14・1,S14・2,S16を削除して構成される。以下、図6に関して、図4と同じステップについては同符号を付して説明を省略し、異なるステップだけ説明する。
ステップS20では、一日の始めに、設定値変更部150hにより、起動残湯量の設定値が第1の設定値に設定される。そして処理がステップS2に進む。
ステップS10aでは、制御部150cにより、既に設定値変更時刻t3および第2の設定値が算出されているか否かが判定される。その判定の結果、まだ設定値変更時刻t3および第2の設定値が算出されていない場合は、処理がステップS11に進み、既に設定値変更時刻t3および第2の設定値が算出されている場合は、処理がステップS21に進む。
ステップ21では、制御部150cにより、既に起動残湯量が第2の設定値に変更されているか否かが判定される。その判定の結果、既に起動残湯量が第2の設定値に変更されていない場合は、処理がステップS13に進み、他方、既に起動残湯量が第2の設定値に変更されている場合は、処理がステップS17aに進む。
ステップS12aでは、設定値変更時刻算出部150gにより、当該湯不足沸き上げの際に計時された湯不足沸上時間Δt1に基づき設定値変更時刻t3が算出されると共に、設定値算出部150fにより、第2の設定値が算出される。そして処理がステップS13に進む。
ステップS15aでは、設定値変更部150hにより、起動残湯量が第1の設定値から第2の設定値に変更される。そしてステップS17aで、制御部150cにより、現在時刻が、当該湯不足沸き上げの原因となった湯不足状態の発生時刻t1以降であるか否かが判定される。その判定の結果、現在時刻が発生時刻t1以降でない場合は、処理がステップS2に戻り、他方、現在時刻が発生時刻t1以降である場合は、処理がステップS18aに進み、設定値変更部150hにより、起動残湯量が第1の設定値に戻される。そして処理がステップS19に戻る。
この様な動作により、或る日(第1の日)に、例えばステップS1→・・・S4→S5→S6の処理が行われて、時刻t1に湯不足状態の発生が検知されてヒートポンプユニット3が第2の出力値で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられた場合(S5,S6)は、後の所定の日(例えば次の日)に、例えばステップS1→・・・S11→S12a→S13→S14→S15a→S17a→S18aの処理が行われて、時刻t3から時刻t1までの時間Δt2の間、起動残湯量の設定値が第1の設定値から第2の設定値に変更される。これにより、時刻t1までに貯湯タンク5の残湯量が当該湯不足沸き上げの際に沸き上げられた湯量の分だけ多く確保される(尚、残湯量は停止残湯量以上にならない範囲で多く確保される)。よって当該所定の日の時刻t1に湯不足状態が再び発生する事が防止される。
尚、時刻t3から時刻t1までの時間Δt2の間で湯不足状態が発生した場合(S17a→S2→S4→S5)は、貯湯タンク5の残湯量が十分に多く確保されていないので、その湯不足状態を完全に防止できない可能性はあるが、その場合でも、その湯不足状態の発生している時間Δt1を短くできる効果はある。
尚、この動作では、説明便宜上、時刻t3から時刻t1までの期間に一日の始まり(S1)および一日の終わり(S19)が起こらない事を想定しているが、その様な事が起こる事を想定しても構わない。
以上の様に構成された貯湯式給湯装置1Bによれば、湯不足状態の発生が検知された場合は、起動残湯量の設定値が第1の設定値よりも高い第2の設定値に変更されるので、所定の日の時刻t1までに、ヒートポンプユニット3を第2の出力値で稼働させる事無く、貯湯タンク5の残湯量を多めに確保できる。
また所定の日の時刻t3から時刻t1までの時間Δt2の間、起動残湯量の設定値が第1の設定値から第2の設定値に変更されるので、必要最小限度の期間だけ残湯量を多めに確保できる。
<第3実施形態>
第2実施形態では、時刻t3に起動残湯量が第1の設定値から第2の設定値に変更されたが、この実施形態では、後の所定の日(例えば次の日)の始めに、起動残湯量が第1の設定値から第2の設定値に変更される。
この実施形態の制御装置150Cは、図5の様に、設定値変更時刻算出部(算出手段)150gCおよび設定値変更部(設定値変更手段)150hCの処理内容が異なる以外は、第2実施形態の制御装置150Bと同様に構成される。以下、図5に関して、第2実施形態と同じ部分については同符号を付して説明を省略し、異なる部分だけ説明する。
設定値変更時刻算出部150gCは、湯不足沸き上げが発生した場合(即ち湯不足状態の発生が検知されてヒートポンプユニット3が第2の出力値で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられた場合)は、後の所定の日の当該湯不足状態の発生時刻t1を設定値変更時刻として設定する。尚、設定値変更時刻は、起動残湯量を第2の設定値から第1の設定値に変更する時刻である。
尚、湯不足沸き上げが複数回発生した場合は、それぞれの湯不足沸き上げの原因となる湯不足発生時刻t1(図3ではt1a,t1b)のうちの最も遅い時刻(t1b)を、設定値変更時刻として設定する。
設定値変更部150hCは、湯不足沸き上げが発生した場合は、後の所定の日において、その始めに起動残湯量を第1の設定値から第2の設置値に変更し、そして設定値変更時刻t1に起動残湯量を第2の設定値から第1の設定値に変更する。尚、設定値変更部150hCは、いつもその日の始めに起動残湯量の設定値を第1の設定値に初期設定するものとする。
次に図7に基づき貯湯タンク5内の水の沸上動作について詳細に説明する。図7は、図6において、ステップS20とS2の間にステップS21およびS22を設け、且つステップS10a,S11,S12a,S13,S14,S15a,S17a,18a,S21を削除し、ステップS8とS19の間にステップ23〜S25を設けて構成される。以下、図7に関して、図6と同じステップについては同符号を付して説明を省略し、異なるステップだけ説明する。
ステップS21では、制御部150cにより、例えば前日に静音指定時間帯Δtsで後述のステップS6の湯不足沸き上げが発生したか否かが判定される。その判定の結果、湯不足沸き上げが発生した場合は、処理がステップS22に進み、湯不足沸き上げが発生していない場合は、処理がステップS2に進む。
ステップS22では、設定値算出部150fにより当該湯不足沸き上げの際に計時された湯不足沸上時間Δt1に基づき起動残湯量の第2の設定値が算出され、設定値変更部150hCにより起動残湯量の設定値が第1の設定値から当該第2の設定値に変更される。尚、ステップS1→S21→S22の処理は短時間で行われるので、ステップS22の処理は、実質的に一日の始めに行われると言える。そして、設定値変更時刻算出部150gCにより当該湯不足沸き上げの原因である湯不足状態の発生時刻t1が設定値変更時刻t1として設定される。そして処理がステップS2に進む。
ステップS23では、制御部150cにより、設定値変更時刻t1が設定されているか否かが判定される。その判定の結果、まだ設定値変更時刻t1が設定されていない場合は、処理がステップS2に戻り、設定値変更時刻t1が設定されている場合は、処理がステップS24に進む。
ステップS24では、制御部150cにより、現在時刻が設定値変更時刻t1以降であるか否かが判定される。その判定の結果、現在時刻が設定値変更時刻t1以降である場合は、処理がステップS25に進み、設定値変更部150hCにより、起動残湯量の設定値が第2の設定値から第1の設定値に変更される。そして処理がステップS19に進む。他方、ステップS24の判定の結果、現在時刻が設定値変更時刻t1以降でない場合は、処理がステップS2に戻る。
この様な動作により、或る日(第1の日)に、例えばステップS1→・・・→S4→S5→S6の処理が行われて、時刻t1に湯不足状態の発生が検知されてヒートポンプユニット3が第2の出力値で稼働されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられた場合(S5,S6)は、後の所定の日(例えば次の日)に、ステップS1→S20→S21→S22→・・・→S24→S25の処理が行われて、当該所定の日においてその始めから時刻t1までの間、起動残湯量が第1の設定値から第2の設定に変更される。
即ち通常は起動残湯量が終日第1の設定値に設定されるが、例えば前日の時刻t1に湯不足沸き上げが発生した場合は、例えば次の日においてその始めから時刻t1までの間、起動残湯量が第2の設定値に変更されることで、当該次の日の時刻t1までに貯湯タンク5の残湯量が当該湯不足沸き上げの際に沸き上げられた湯量の分だけ多く確保される。よって当該次の時刻t1に湯不足状態が再び発生する事が防止される。
以上の様に構成された貯湯式給湯装置1Cによれば、所定の日においてその始めから時刻t1までの間、起動残湯量の設定値が第1の設定値よりも高い第2の設定値に変更されるので、貯湯タンク5の残湯量を当該所定の日の早い時刻から多めに確保でき、これにより再度の湯不足状態が時刻t1より早い時刻に発生しても対応できる。