[実施例1]
≪全体構成≫
図1は、実施例1に係る貯湯式給湯装置1の構成図であり、図2は、この貯湯タンク1の制御装置の構成図を示したものであり、図3は、この貯湯式給湯装置1の主要な動作のフローチャートである。
貯湯式給湯装置1は、ヒートポンプユニット(加熱手段)3により沸き上げられた湯を貯湯タンク5に貯湯し、その貯湯した湯を、利用者の操作に応じて、浴槽9に出湯しまたは浴槽9以外の給湯部(例えば蛇口またはシャワー)7から出湯するものである。
貯湯タンク5は、例えば円筒状に形成されており、例えば180L(L:リットル)の容量を有している。貯湯タンク5の上部には、缶体上サーミスタ(水温検出手段)T1が配設されており、貯湯タンク5の側面には、複数の残湯量サーミスタ(水温検出手段)T2〜T6が、上下に沿って間隔を空けて配設されている。各サーミスタT1〜T6は、貯湯タンク5内の湯または水(以後、湯水と呼ぶ)の温度を測定するものである。
各サーミスタT1〜T6はそれぞれ、貯湯タンク5の残湯量K(例えばK=ゼロL)、A(例えばA=20L),B(例えばB=50L),C(例えばC=80L),D(例えばD=120L),E(例えばE=150L)に対応する高さ位置に配設されている。尚、貯湯タンク5内は常に湯水で満たされており、湯は貯湯タンク5の上部側から順に貯湯される。
貯湯タンク5の底面には、貯湯タンク5内に給水するための給水口5aが設けられている。この給水口5aは、第1給水管h1を介して、水道水が供給される第2給水管h2の分岐点N1に分岐接続されている。第1給水管h1には、第2給水管h2から流入した水が逆流する事を防止するための逆止弁B1が配設されている。
また貯湯タンク5の底面には、吐出口5bが設けられている。この吐出口5bは、第1吐出管h3を介して第2吐出管h4に分岐接続されている。各吐出管h3,h4の分岐接続点には、排水用三方弁B2が配設されている。
尚、第2吐出管h4の一端口は、HP(ヒートポンプユニット)循環往き口11に接続されており、また第2吐出管h4の他端口は、排水接続口13に接続されている。HP循環往き口11は、循環配管h5を介してHP循環戻り口15に接続されており、排水接続口13は、外部の排水管h6に接続されている。
尚、循環配管h5は、ヒートポンプ3内に引き込まれている。ヒートポンプ3により循環配管h5が加熱されることで、循環配管h5において、HP循環往き口11側から流入する水が沸き上げられてHP循環戻り口15側へと流出する。
尚、排水用三方弁B2は、例えば手動操作によりその弁体の開度が調整されることで、第1吐出管h3からの水を、第2吐出管h4におけるHP循環往き口11側または排水接続口13側に流出させるものである。この排水用三方弁B2は、通常時は、第1吐出管h3からの水をHP循環往き口11側に流出させるように調整されている。
第2吐出管h4には、排水用三方弁B2とHP循環往き口11との間において、排水用三方弁B2からの水をHP循環往き口11側に送り出すための循環ポンプP1が配設されている。
貯湯タンク5の上面には、第1入湯口5cが設けられており、貯湯タンク5の底面には、第2入湯口5dが設けられている。第1入湯口5cは、第1入湯管h7を介してHP循環戻り口15に接続されており、第2入湯口5dは、第2入湯管h9を介して第1入湯管h7に分岐接続されている。各入湯管h7,h9の分岐接続点には、三方弁B3が設けられている。
尚、三方弁B3は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式である。三方弁B3は、後述の制御装置150の制御によりその弁体の開度が調整されることで、第1入湯管h7のHP循環戻り口15側から流入する湯を、第1入湯管h7を通じて第1入湯口5c側に流出させ、または第2入湯管h9を通じて第2入湯口5d側に流出させるものである。
また貯湯タンク5の上面には、出湯口5eが設けられている。この出湯口5eは、第1出湯配管h10を介して給湯混合弁B4に接続されている。尚、第1出湯配管h10には、出湯口5e側から流入する湯が逆流する事を防止するための逆止弁B5が配設されている。
給湯混合弁B4には、更に、第2給水管h2の一端口が接続されると共に、給湯配管h11の一端口が接続されている。尚、第2給水管h2の他端口は、給水接続口17に接続されており、給水接続口17には、外部からの給水管h20が接続されている。給湯配管h11の他端口は、給湯接続口19に接続されており、給湯接続口19には、配管h12を介して給湯部(例えば蛇口またはシャワー)7が接続されている。
給湯混合弁B4は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式である。給湯混合弁B4は、後述の制御装置150の制御によりその弁体の開度が調整されることで、第1出湯配管h10からの湯と第2給水管h2からの水とを所望の混合比で混合し、その混合した湯を給湯配管h11を通じて給湯部7に流出させるものである。
尚、第2給水管h2には、例えば、給水接続口17と分岐点N1との間において、逆止弁付きストレーナ20と、第2給水管h2を流れる水の温度を検出する水温サーミスタ(水温検出手段)T7と、給水接続口17側から流入した水の水圧を所定の水圧(例えば170kPa)に減圧する減圧弁B7とが配設されている。
逆止弁付きストレーナ20は、給水接続口17側から流入した水に含まれるゴミを取るためのストレーナS1(例えばメッシュ数#60)と、給水接続口17側から流入した水が逆流する事を防止するための逆止弁B6とを備えている。また第2給水管h2には、例えば、給湯混合弁B4と分岐点N1との間において、分岐点N1側から流入した水が逆流する事を防止するための逆止弁B8が配設されている。
給湯配管h11には、給湯配管h11を流れる湯の水量を検出する給湯水量センサ(水量検出手段)W2と、給湯配管h11を流れる湯の温度を検出する給湯サーミスタ(水温検出手段)T9とが配設されている。
第1出湯配管h10の分岐点N2には、外部に引き出された第3排水管h13の一端口が分岐接続されている。尚、分岐点N2は、例えば、第1出湯配管h10における出湯口5eと逆止弁B5との間に位置している。
第3排水管h13には、負圧作動弁付き逃し弁B9が配設されている。負圧作動弁付き逃し弁B9は、貯湯タンク5内の水圧が所定の水圧(例えば190kPa)未満の場合は、その弁体を閉塞して、貯湯タンク5内の湯水が、各部5e→N2→h13の経路を経て外部に排水される事を禁止し、他方、貯湯タンク5内の水圧が前記所定の水圧以上の場合は、その弁体を開成して、貯湯タンク5内の湯水を、各部5e→N2→h13の経路を経て外部に排出するものである。
第1出湯配管h10の分岐点N3には、第2出湯配管h14を介して湯張り混合弁B11接続されている。尚、分岐点N3は、例えば、第1出湯配管h10における分岐点N2と逆止弁B5との間に位置している。尚、第2出湯配管h14には、分岐点N3から流入した湯が逆流する事を防止するための逆止弁B10が配設されている。
湯張り混合弁B11には、第3給水管h15の一端口が接続されると共に、第3出湯配管h16の一端口が接続されている。尚、第3給水管h15の他端口は、第2給水管h2の分岐点N4に接続されている。分岐点N4は、例えば、第2給水管h2における逆止弁B8と分岐点N1との間に位置している。また第3出湯配管h16の他端口は、風呂配管口21に接続されており、風呂配管口21には、配管h17を介して浴槽9が配設されている。
湯張り混合弁B11は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式である。湯張り混合弁B11は、後述の制御装置150の制御によりその弁体の開度が調整されることで、第2出湯配管h14からの湯と第3給水管h15からの水とを所望の混合比で混合して、その混合した湯を、第3出湯配管h16を通じて浴槽9側に流出させるものである。
第3出湯配管h16には、複合水弁23が配設されている。複合水弁23は、湯張り電磁弁B12と、湯張り水量センサ(水量検出手段)W1と、逆止弁B13,B14と、排水弁B15とを備えている。それら各要素B12,B13,W2,B14は、例えば、湯張り混合弁B11側からその順に第3出湯配管h16に配設されている。
尚、湯張り電磁弁B12は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式である。湯張り電磁弁B12は、後述の制御装置150の制御によりその弁体の開度が調整されることで、第3出湯配管h16に流れる湯の水量を調整するものである。また湯張り水量センサW1は、第3出湯配管h16を流れる湯の水量を検出するものである。また各逆止弁B13,B14は、第3出湯配管h16を流れる湯が湯張り混合弁B11側に逆流する事または浴槽9からの湯が混合弁B11側に逆流する事を防止するものである。
排水弁B15には、第3出湯配管h16の分岐点N5からの配管h19が接続されると共に、第3出湯配管h16の分岐点N6からの配管h18が接続されている。尚、分岐点N5は、例えば、逆止弁B13と湯張り水量センサW1との間に位置しており、分岐点N6は、例えば、湯張り混合弁B11と湯張り電磁弁B12との間に位置している。また排水弁B15には、外部に引き出された第4排水管h27の一端口が接続されている。
排水弁B15は、その弁体が開成することで、第3出湯配管h16に貯まった湯水を配管h18,h19を通じて第4排水管h27から外部に排出するものである。この排水弁B15は、例えば、手動式に構成されて手動により、または電動式に構成されて後述の制御装置150の制御により、その弁体の開度が調整される様になっている。
第3出湯配管h16には、例えば複合水弁23と風呂配管口21との間において、第3出湯配管h16を流れる湯の温度を検出する湯張りサーミスタ(水温検出手段)T8が配設されている。
またこの貯湯式給湯装置1は、図2の様に、制御装置150と、リモコン装置(設定入力手段)160とを備えている。制御装置150は、各サーミスタT1〜T9および各水量センサW1,W2の検出結果に基づき、各弁B3,B4,B11,B12、ヒートポンプユニット3およびポンプP1を制御するものである。リモコン装置160は、利用者の操作を受け付けるものである。
制御装置150は、出湯量検出部(検出手段)150aと、残湯量検出部(残湯量検出手段)150bと、設定値変更部(設定値変更手段)150cと、制御部(制御手段)150dとを備えている。
出湯量検出部150aは、貯湯タンク5からの出湯量を検出するものである。ここでは、出湯量検出部150aは、給湯水量センサW2および給湯サーミスタT9の検出結果に基づき、給湯配管h11を流れる湯の熱量を検出することで、給湯部7から出湯される湯の湯量を検出する。また出湯量検出部150aは、湯張り水量センサW1および湯張りサーミスタT8の検出結果に基づき、第3出湯配管h16を流れる湯の熱量を検出することで、浴槽9に出湯される湯の湯量を検出する。そして出湯量検出部150aは、それらの湯量から貯湯タンク5からの出湯量を検出する。
尚ここでは、貯湯タンク5からの出湯量は、例えば熱量として検出される。貯湯タンク5内の残湯量の温度は、おおよそ所定温度(沸き上げの際の温度)に保たれているので、貯湯タンク5からの出湯量の熱量が分かれば、貯湯タンク5からの出湯量は特定できる。
残湯量検出部150bは、貯湯タンク5内の残湯量を検出するものであり、各サーミスタT1〜T6の検出結果に基づき、貯湯タンク5内の残湯と水との境界面のおおよその位置を検出し、その位置に基づき貯湯タンク5内の残湯量を検出する。例えば、残湯量検出部150bは、各サーミスタT1〜T3の検出温度が例えば75℃の高温で、サーミスタT4〜T6の検出温度が例えば20℃の低温である場合は、貯湯タンク5内の湯と水の境界面はサーミスタT3の高さ位置にあると判断し、貯湯タンク5内の残湯量は、サーミスタT3の高さ位置に対応する残湯量Bであると検出する。
設定値変更部150cは、出湯量検出部150aの検出結果に基づき、例えば図4(A)の様に、ヒートポンプユニット3を起動させるべき起動残湯量の設定値Vを、設定値V1(ここではV1=残湯量C)、またはそれよりも低い設定値V2(ここではV2=残湯量A)に変更する。また設定値変更部150cは、出湯量検出部150aの検出結果に基づき、例えば図4(A)の様に、ヒートポンプユニット3を停止させるべき停止残湯量の設定値Uを、設定値U1(ここではU1=残湯量E)、またはそれよりも低い設定値U2(ここではU2=残湯量B)、または貯湯タンク5の全量状態に対応する設定値U3(=残湯量F)に変更する。尚、設定値V1は設定値U1よりも低く設定されており、また設定値V2は設定値U2よりも低く設定されている。
尚、設定値U1は、例えば、貯湯タンク5の全量状態よりは低いが、1日の出湯量に対して十分な量の値に設定される。設定値V1は、設定値U1よりも低く設定されており、例えば、浴槽9への湯張りなどの大量出湯に対して湯切れしない量の値に設定されている。各設定値U2,V2は、例えば、1回(または1日)当たりの出湯量の平均値に所定係数を掛けた値に設定されている。設定値U2の当該所定係数が設定値V2の当該所定係数よりも大きく設定されることで、設定値U2が設定値V2よりも高くなる様に設定しても良い。
制御部150dは、例えばリモコン装置160への入力操作に基づき、ヒートポンプユニット3およびポンプP1を起動すると共に三方弁B3を制御して、貯湯タンク5内の水の沸き上げを行う。また制御部150dは、リモコン装置160への入力操作に基づき、給湯混合弁B4の開度を制御して給湯部7から出湯する湯の温度を調整する。また制御部150dは、リモコン装置160への入力操作に基づき、湯張り混合弁B11の開度を制御して浴槽9に出湯する湯の温度を調整すると共に、湯張り電磁弁B12の開度を制御して浴槽9への出湯を制御する。
また制御部150dは、所定時刻(例えば貯湯タンク5内の残湯量が全量状態にされる時刻(例えば7:00))に初期的に、起動残湯量および停止残湯量を設定する。
また制御部150dは、残湯量検出部150bの検出結果に基づき、ヒートポンプユニット3およびポンプP1を起動/停止を制御して、貯湯タンク5内の水の沸き上げを停止する。
設定値変更部150cは、出湯量検出部150aの検出結果に基づき、一定時刻毎に貯湯タンク5からの出湯量を検出し、その検出結果に基づき、大量出湯の発生の有無の検出を行う。より詳細には、大量出湯の発生の有無の検出は、所定長の時間内に所定量以上の出湯量が発生したか否かにより行われる。ここでは、上記の所定長の時間は、予め、例えば1時間(固定値)に設定されている。また上記の所定量は、予め、例えば浴槽9への湯張り1回分程度の量(固定値)に設定されている。
そして大量出湯の発生が検出された場合は、設定値変更部150cは、起動残湯量および停止残湯量の設定値を小さくして変更する。
≪基本動作≫
この貯湯式給湯装置1では、外部の給水管h20中の水が、その水圧により各部h2→N1→h1→B1→5aを通じて貯湯タンク5に供給されることで、貯湯タンク5は常に満水状態に保たれる。
そして貯湯タンク5内の水を沸き上げる場合は、制御部150dの制御により、三方弁B3がまず第2入湯口5d側に全開され(即ち第1入湯口5c側は全閉され)、且つヒートポンプユニット3およびポンプP1が起動される。このポンプP1の起動により、貯湯タンク5内の水は、各部5b→B2→P1→11→h5→15→B3→5dの経路を経て流れる。またこのヒートポンプユニット3の起動により、循環配管h5がヒートポンプユニット3により加熱されて循環配管h5を流れる水が沸き上げられ、その沸き上げられた水は、第2入湯口5dから貯湯タンク5の下部に戻される。
そして一定時間経過して、ヒートポンプユニット3による加熱により所定の高温(例えば75℃)の湯が沸き上がる様になると、制御部150dの制御により、三方弁B3が第1入湯口5c側に全開される(即ち第2入湯口5d側は全閉される)。これにより、貯湯タンク5内の水は、各部5b→B2→P1→11→h5→15→B3→5cの経路を経て流れ、その経路の途中で沸き上げられて、第1入湯口5cから貯湯タンクの上部に戻される。この状態が継続されることで、貯湯タンク5内の水は、ヒートポンプユニット3により所定の高温に沸き上げられて、貯湯タンク5の上部から貯湯されて行く。
その際、残湯量検出部150bは、貯湯タンク5に配設された各サーミスタT1〜T6の検出結果基づき、貯湯タンク5内の残湯量を検出している。そして貯湯タンク5内の残湯量が所定量に達すると、制御部150dは、ヒートポンプユニット3およびポンプP1を停止して、貯湯タンク5内の水の沸き上げを停止する。
また給湯部7から所望の給湯温度の湯を出湯する場合は、まず利用者によりモコン装置160に所望の給湯温度の設定が入力される。そして利用者により給湯部7が開操作されると、貯湯タンク5内の湯が第1出湯配管h10を通じて給湯混合弁B4に流入すると共に第2給水管h2からの水が給湯混合弁B4に流入して、給湯混合弁B4において、それら湯および水が所定の混合比で混合されて給湯配管h11を通じて給湯部7から出湯される。その際、給湯サーミスタT9により給湯配管h11に流れる湯の温度が検出され、その検出温度が上記の所望の給湯温度になる様に、制御部150eにより給湯混合弁B4の弁体の開度が制御され、給湯部7から出湯される湯の温度が上記の所望の給湯温度に調整される。
また浴槽9に湯張りを行う場合は、まず利用者によりモコン装置160に所望の湯張り温度および所望の湯張り湯量が設定される。そして利用者によりリモコン装置160に湯張り開始の操作が入力されると、制御部150eにより湯張り電磁弁B12の弁体が開成される。これにより貯湯タンク5内の湯が各部5f→N9→B10→N8→B11を通じて湯張り混合弁B11に流入すると共に第2給水管h2からの水が各部h2→N4→B11を通じて湯張り混合弁11に流入して、湯張り混合弁11において、それら湯と水とが所定の混合比で混合されて第3出湯配管h16を通じて浴槽9に出湯される。その際、給湯サーミスタT8により第3出湯配管h16に流れる湯の温度が検出され、その検出温度が上記の所望の湯張り温度になる様に、制御部150eにより湯張り電磁弁B11の弁体の開度が制御され、浴槽9に出湯される湯の温度が上記の所望の湯張り温度に調整される。尚、その際、ポンプP3は停止しているので、貯湯タンク5内の湯が第1追焚循環配管h21を流れて貯湯タンク5の追焚循環戻り口5gに戻る循環は、起こらない。
そして制御部150eにより、湯張り水量センサW1の検出結果に基づき、浴槽9に上記の所望の湯張り湯量の湯が出湯された事が検知されると、湯張り電磁弁B12の弁体が閉塞されて、浴槽9への湯張りが終了する。
≪沸き上げの動作≫
図3に基づき、貯湯タンク5内の水の沸き上げの動作を説明する。まずステップS0で、制御部150dにより、所定時刻(例えば7:00)に初期的に、起動残湯量の設定値Vが設定値V1に設定され、停止残湯量の設定値Uが設定値U1に設定される。
そしてステップS1で、制御部150dにより、残湯量検出部150bの検出結果に基づき、貯湯タンク5内の残湯量が起動残湯量以下であるか否かの判定が行われる。そしてその判定の結果、残湯量が起動残湯量以下でない場合は、処理がステップS3に進む。他方、残湯量が起動残湯量以下である場合は、ステップS2で、制御部150dにより、ヒートポンプユニット3およびポンプP1が起動されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられて、処理がステップS3に進む。
そしてステップS3で、制御部150dにより、残湯量検出部150bの検出結果に基づき、貯湯タンク5内の残湯量が停止残湯量以上であるか否かの判定が行われる。そしてその判定の結果、残湯量が停止残湯量以上でない場合は、処理がステップS5に進む。他方、残湯量が停止残湯量以上である場合は、ステップS4で、制御部150dにより、ヒートポンプユニット3およびポンプP1が停止されて貯湯タンク5内の水の沸き上げが停止される。そして、処理がステップS5に進む。
そしてステップS5で、設定値変更部150cにより、出湯量検出部150aの検出結果に基づき貯湯タンク5からの出湯量が検出され、その検出結果に基づき、大量出湯の発生の有無の検出が行われる。そしてその検出の結果、大量出湯の発生が検出されない場合は、処理がステップS7に進む。他方、大量出湯の発生が検出された場合は、ステップS6で、設定値変更部150cにより、起動残湯量の設定値Vが設定値V2に変更されると共に、停止残湯量の設定値Uが設定値U2に変更される。この各設定値V,Uの変更により、当該大量出湯が発生した場合に、直ぐに貯湯タンク5内の水が沸き上げられる事が抑制される。そして、ステップS6が実行された後、処理がステップS7に進む。
そしてステップS7で、制御部150dにより、貯湯タンク5内の残湯量を全量状態に沸き上げるのに要する所要時間が計算され、上記の所定時刻(例えば7:00)から上記の所要時間遡った時刻(全量沸上開始時刻)が算出され、現在時刻とその全量沸上開始時刻とが比較される。そしてその比較の結果、現在時刻が全量沸上開始時刻以降でない場合は、処理がステップS1に戻る。他方、現在時刻が全量沸上開始時刻以降である場合は、ステップS8で、制御部150dにより、設定値変更部150cが制御されて、停止残湯量の設定値Uが貯湯タンク5の全量状態に対応する設定値U3に設定されると共に、ヒートポンプユニット3およびポンプP1が起動されて貯湯タンク5内の水の沸き上げが開始される。
そしてステップS8が実行された後、ステップS9で、貯湯タンク5内の残湯量が全量状態になったと判断されると、ステップS10で、制御部150dにより、ヒートポンプユニット3およびポンプP1が停止されて全量沸き上げが終了する。そしてステップS0に戻る。
図4(A)は、1日(24時間)の出湯状況の一例を示した図であり、縦軸は貯湯タンク5内の残湯量Qを示し、横軸は時刻を示している。次に、図3の動作を図4(A)の出湯状況に当てはめて説明する。
時刻t1(例えば時刻7:00)では、貯湯タンク5内の残湯量Qは貯湯タンク5の全量状態にあり、停止残湯量は設定値U1(ここではU1=E)に設定されており、起動残湯量は設定値V1(ここではV1=C)に設定されている(ステップS0)。
時刻t1では、残湯量Qは停止残湯量の設定値U1よりも高いので、制御部150dにより、その事が判定されてヒートポンプ3およびポンプP1が停止されている(ステップS4)。この状態から、残湯量Qが、給湯部7等からの出湯により徐々減少して起動残湯量の設定値V1以下になると(時刻t2)、制御部150dにより、その事が判定されてヒートポンプユニット3およびポンプP1が起動され(ステップS1,S2)、これにより貯湯タンク5内の水が沸き上げられて、残湯量Qが増加する。そして残湯量Qが停止残湯量の設定値U1以上になると(時刻t3)、制御部150dにより、その事が判定されてヒートポンプユニット3およびポンプP1が停止され(ステップS3,S4)、これにより残湯量Qの増加が止まる。この様に、起動残湯量が設定値V1に設定され且つ停止残湯量が設定値U1に設定されている間は、残湯量Qは、各設定値V1,U1の間の範囲に保たれる。そして大量出湯の発生が発生せず(ステップS5)、また現在時刻が全量沸き上げ開始時刻以降でなければ(ステップS6)、処理がステップS1に戻る。
そして時刻t5(例えば時刻19:00)で、大量出湯が発生すると、その事が設定値変更部150cにより検出され、設定値変更部150cにより、停止残湯量の設定値Uが設定値U2に変更されると共に、起動残湯量の設定値Vが設定値V2に変更される(ステップS5,S6)。これにより、残湯量Qは、各設定U2,V2の間の範囲に保たれる様になる。
この様に、起動残湯量の設定値Vが設定値V1よりも低い設定値V2に変更されることで、大量出湯の発生後に直ぐにヒートポンプユニット3が起動する事を抑制でき、これにより電気料金の安い夜間時間帯に沸き上げるべき水を貯湯タンクに多く確保できる様になる。また停止残湯量の設定値Uが設定値U1よりも低い設定値U2に設定されることで、ヒートポンプユニット3が起動しても、その起動を直ぐに停止でき、これによっても電気料金の安い夜間時間帯に沸き上げるべき水を貯湯タンク5に多く確保できる様になる。
そして全量沸上開始時刻(時刻t6(例えば時刻3:00))になると、設定値変更部150cにより停止残湯量の設定値Uが設定値U3に設定されると共に、制御部150dによりヒートポンプユニット3およびポンプP1が起動されて貯湯タンク5内の水が沸き上げられる(ステップS7,S8)。そして時刻t7(=t1)に貯湯タンク5内の残湯量Qが全量状態になると、制御部150dによりヒートポンプユニット3およびポンプP1が停止される(ステップS9,S10)。
この様な沸き上げの動作により、例えば、時刻7:00〜10:00の時間帯D1(即ち、デイタイムに備えて残湯量Qを確保したいが、電気料金の高い時間帯であるために貯湯タンク5内の水を沸き上げたくない時間帯)および、時刻10:00〜17:00の時間帯D2(即ち、電気料金の高い時間帯であるために貯湯タンク5内の水を沸き上げたくなく、且つ湯切れを防止したい時間帯)では、起動残湯量が設定値V1に設定されるので、デイタイムに備えて残湯量Qを確保でき、しかも設定値V1をそれほど高い設定値に設定しなければ、貯湯タンク5内の水の沸き上げを抑制できる。また停止残湯量は全量状態よりも低い設定値U1に設定されるので、たとえ貯湯タンク5内の水が沸き上げられても、沸き上げ過ぎる事を抑制できる。
また例えば時刻17:00〜23:00の時間帯D3(即ち、大量出湯に備えて残湯量Qを確保したく、且つ大量出湯が発生した場合は、貯湯タンク5内の水の沸き上げを、直ぐに行わずに、電気料金の安い夜間時間帯まで遅らせたい時間帯)では、大量出湯が起こる前は、上記の時間帯D2と同様に、起動残湯量は設定値V1に設定されるので、貯湯タンク5内の残湯量Qを確保でき、貯湯タンク5内の水の沸き上げを抑制でき、且つ停止残湯量は設定値U1に設定されるので、貯湯タンク5内の水が沸き上げられ過ぎる事を防止できる。そして大量出湯が発生した後は、起動残湯量は設定値V1よりも低い設定値V2に設定されるので、当該大量出湯の後直ぐに貯湯タンク5内の水が沸き上げられる事を抑制できる。また停止残湯量も設定値U1よりも低い設定値U2に設定されるので、貯湯タンク5内の水の沸き上げが起こっても、その沸き上げを直ぐに停止させる事ができる。その結果、貯湯タンク5内の水の沸き上げを電気料金の安い夜間時間帯に遅らせる事ができる。
また例えば時刻23:00〜7:00の時間帯D4(即ち、時刻7:00に貯湯タンク5内の水の全量沸き上げを完了したく、且つ電気料金が安く貯湯タンク5内の湯の放熱ロスを減らした時間帯)では、制御部150dは、残湯量検出部150bの検出結果に基づき、一定時間毎に、貯湯タンク5内の残湯量を全量状態に沸き上げるのに要する所要時間を計算する。そして制御部150dは、所定時刻(貯湯タンク5の残湯量を全量状態にすべき時刻(例えば7:00))から上記の所要時間遡った時刻(全量沸上開始時刻)を算出し、現在時刻とその全量沸上開始時刻とを比較する。そしてその比較の結果、現在時刻が全量沸上開始時刻t6(例えば3:00)より前であれば、起動残湯量が設定値V2に設定されると共に停止残湯量が設定値U2に設定されるので、残湯量Qが少なく抑えられて貯湯タンク5の湯からの放熱ロスが低減される。そして現在時刻が全量沸上開始時刻t6以降であれば、制御部150dは、設定値変更部150cを制御して、停止残湯量の設定値Uを貯湯タンク5の全量状態に対応する設定値U3に設定すると共に、ヒートポンプユニット3およびポンプP1を起動させて貯湯タンク5内の水の沸き上げを開始させる。そして制御部150dは、貯湯タンク5内の残湯量が全量状態になると、ヒートポンプユニット3およびポンプP1を停止して全量沸き上げを終了する。この様にして、時刻7:00に残湯量Qを全量状態にできる。
≪従来の沸き上げの動作との比較≫
図4(B)は、従来の、1日における貯湯タンク内の水の沸き上げの動作の一例を示したものであり、縦軸は貯湯タンク内の残湯量を示し、横軸は時刻を示している。
従来では、起動残湯量は設定値V1に固定され、停止残湯量は全量沸上開始時刻t8まで設定値U1に固定されるので、貯湯タンク内の残湯量Qは、常に各設定値U1,V1の間に保たれる。そのため、大量出湯の後直ぐに貯湯タンクの水が沸き上げられるので、夜間電力で沸き上げられるべき水を多く確保できないという欠点や、大量出湯直後から全量沸き上げ開始するまでの時間帯(大量出湯が殆ど起こらない時間帯)に貯湯タンクに多くの残湯量を保持するので、放熱ロスが多く発生するという欠点がある。これらの欠点は、本発明では、上記の様に改善されている。
以上の様に構成された貯湯式給湯装置1によれば、大量出湯の発生が検出された場合に、起動残湯量の設定値Vは設定値V1(第1の設定値)からそれよりも低い設定値V2(第2の設定値)に変更されるので、大量出湯の発生後はヒートポンプユニット(加熱手段)3が起動することを抑制でき、これにより貯湯タンク5内の水の沸き上げ過ぎを抑制できる。
また貯湯タンク5からの出湯量に基づき大量出湯の発生が検出されるので、浴槽9への出湯だけでなく給湯(蛇口やシャワー)7からの出湯を含む出湯全般を考慮でき、これにより大量出湯の発生を正確に検出できる。
その際、貯湯タンク5からの出湯を浴槽9へと流す第3出湯配管h16(第1配管)に流れる湯の熱量に基づき、貯湯タンク5からの出湯量を検出するので、簡単な構成で、貯湯タンク5からの出湯量を検出できる。またその際、貯湯タンク5からの出湯を浴槽9以外の給湯部7へと流す給湯配管h11(第2配管)に流れる湯の熱量に基づき、貯湯タンク5からの出湯量を検出するので、簡単な構成で、貯湯タンク5からの出湯量を検出できる。
また大量出湯の発生が検出された場合に、停止残湯量の設定値Uは設定値U1(第3の設定値)からそれよりも低い設定値U2(第4の設定値)に変更するので、大量出湯の後にヒートポンプユニット3が起動しても、その駆動時間を短くでき、これによっても貯湯タンク5内の水の沸き上げ過ぎを抑制できる。
また大量出湯に関する所定長の時間は予め固定値として設定されるので、前記所定長の時間を所望の値に設定できる。
また各設定値V2,U2(第2,第4の設定値)は予め固定値として設定されるので、各設定値V2,U2を所望の値に設定できる。
[実施例2]
実施例1では、各配管h11,h16のサーミスタT9,T8および水量センサW2,W1の検出結果から各配管h11,h16を流れる湯の熱量を検出することで、貯湯タンク5からの出湯量を検出したが、この実施例では、各サーミスタT1〜T6の検出温度から貯湯タンク5からの出湯量を検出する。
より詳細には、出湯量検出部150aは、一定時間毎に各サーミスタT1〜T6の検出温度から貯湯タンク5内の残湯量およびその湯の温度を検出し、それらの検出結果から貯湯タンク5内の残湯量の熱量を検出する。そして今回検出したその残湯量の熱量と前回検出した残湯量の熱量との差を計算して残湯量の熱量の変化を検出し、その変化から貯湯タンク5からの出湯量を検出する。尚、上記の計算では、残湯量を熱量に変換して計算しているが、今回検出した残湯量と前回検出した残湯量の差を計算して、貯湯タンク5からの出湯量を計算してもよい。
尚、この実施例の他の構成は、実施例1と同じである。
以上の様に構成された貯湯式給湯装置1Bによれば、貯湯タンク5に配設された水温センサ(水温検出検出手段)の検出結果に基づき貯湯タンク5からの出湯量を検出するので、簡単な構成で、直接、貯湯タンク5からの出湯量を検出できる。
[実施例3]
この実施例では、実施例1において更に、大量出湯(所定長の時間内に所定量以上の出湯量)が発生する時間帯として予め設定された時間帯(設定時間帯)よりも早い時間帯において、出湯量検出部150aにより大量出湯が検出された場合は、停止残湯量および起動残湯量の各設定値U,Vが変更されない様にしたものである。
上記の設定時間帯は、リモコン装置160への設定入力により、固定値として所望の時間帯に設定してもよい。または図5の様に、実施例1の制御装置150に更に設定部150eを追加し、その設定部150eにより、出湯量検出部150aの一定期間(例えば24時間)の検出結果に基づき、その一定期間における一定時刻毎(例えば1時間毎)の出湯量の情報を取得させ、その情報に基づき、大量出湯が発生する時間帯を推定させ、その推定させた時間帯を上記の設定時間帯として設定させてもよい。尚この場合、出湯量検出部150aは、一定時刻毎(例えば1時間毎)に出湯量を検出しているものとする。尚、設定された上記の設定時間帯の情報は、制御装置150内の所定の記憶部に設定される。
例えば設定時間帯として時刻17:00〜23:00が設定されると、17:00以前に大量出湯が発生しても、停止残湯量および起動残湯量の各設定値U,Vはそれぞれ各設定値U2,V2に変更されない。
この実施例に係る貯湯式給湯装置の動作は、図3の動作を、例えば下記の様に修正すれば良い。即ちステップS5で、制御部150dにより残湯量が発生したと判断された場合に、更に、制御部150dにより、その判断時刻が上記の設定時間帯よりも早い時間帯であるか否かを判断させる。そしてその判断の結果、早い時間帯であると判断された場合は、ステップS7の処理を実行させ、他方、早い時間帯でないと判断された場合は、ステップS6の処理を実行させる。
以上の様に構成された貯湯式給湯装置1Cによれば、早い時間帯から起動残湯量および停止残湯量の各設定値V,Uが設定値V2,U2(第2,第4の設定値)に変更される事を防止でき、これにより貯湯タンク5内の湯が湯切れする事を防止できる。
また設定時間帯を予め固定値として設定する場合は、設定時間帯を所望の時間帯に設定できる。また設定時間帯を設定部150eにより設定させる場合は、設定時間帯を大量出湯の発生状況に応じて自動的に適切な時間帯に設定できる。
[実施例4]
この実施例は、実施例1において、大量出湯(所定長の時間内に所定量以上の出湯量)であるか否かを判定する際の前記所定長の時間、および停止残湯量の設定値U2および起動残湯量の設定値V2を、学習機能により自動的に最適値に設定する様にしたものである。
より詳細には、この実施例の制御装置150は、図5の様に、更に設定部150f(第1、第2および第3の設定手段)を備えている。この設定部150fは、出湯量検出部150aの一定期間(例えば24時間)の検出結果に基づき、その一定期間における一定時刻毎(例えば1時間毎)の出湯量の情報を取得し、その情報に基づき、大量出湯が発生する時間の長さを推定し、その時間を前記所定長の時間として設定する。尚この実施例では、出湯量検出部150aは、一定時刻毎(例えば1時間毎)に出湯量を検出しているものとする。
また設定部150fは、出湯量検出部150aの一定期間(例えば24時間)の検出結果に基づき1回(または1日)当たりの出湯量を推定し、その推定した出湯量に基づき設定値U2を設定する。具体的には、例えば、1回(または1日)当たりの出湯量から1回(または1日)の出湯量の平均値を計算し、その平均値に所定係数を掛けた値を設定値U2として設定する。
また設定部150fは、出湯量検出部150aの一定期間(例えば24時間)の検出結果に基づき1回(または1日)当たりの出湯量を推定し、その出湯量に基づき設定値V2を設定する。具体的には、例えば、1回(または1日)当たりの出湯量から1回(または1日)の出湯量の平均値を計算し、その平均値に所定係数を掛けた値を設定値V2として設定する。
尚、設定値U2の当該所定係数を設定値V2の当該所定係数よりも大きくすることで、設定値U2を設定値V2よりも高くなる様に設定しても良い。
以上の様に構成された貯湯式給湯装置1Dによれば、前記所定長の時間、設定値U2(第4の設定値)および設定値V2(第2の設定値)を設定部150fにより設定させるので、前記所定長の時間、設定値U2および設定値V2をそれぞれ、出湯の発生状況に応じて自動的に適切な値に設定できる。
尚、この実施例では、前記所定長の時間、設定値U2および設定値V2を設定部150fにより設定させる場合で説明したが、前記所定長の時間、設定値U2および設定値V2のうちの何れか1つまたは2つだけを設定部150fにより設定させてもよい。
[実施例5]
この実施例は、実施例1において更に、給湯貯湯タンク5内の湯と浴槽9内の湯水との間で熱交換を行って浴槽9内の湯水を暖め直す追い焚き機能を備えたものである。以下、図6に基づき、この実施例の貯等式給湯装置1Eの構成を説明する。
この貯湯式給湯装置1Eは、実施例1と比べて、貯湯タンク5から浴槽9への出湯配管の構成が異なり、且つ追い焚き機能のための配管および熱交換器が追加されている点が異なる以外は同様に構成されている。以下、実施例1と同じ部分または対応する部分には同一符号を付して説明を省略し、実施例1と異なる点を中心に、この貯湯式給湯装置1Eの構成を説明する。
貯湯タンク5の上面には、第2出湯口5fが設けられている。この第2出湯口5fは、第2出湯配管h14を介して湯張り混合弁B11に接続されている。尚、第2出湯配管h14には、貯湯タンク5からの湯が逆流する事を防止するための逆止弁B10が配設されている。
湯張り混合弁B11には、更に、第3給水管h15の一端口が接続されると共に、第3出湯配管h16の一端口が接続されている。尚、第3給水管h15の他端口は、第2給水管h2の分岐点N4に接続されている。分岐点N4は、例えば、第2給水管h2における逆止弁B8と分岐点N1との間に位置している。また第3出湯配管h16の他端口は、風呂循環往き口23に接続されており、風呂循環往き口23には、配管h17を介して浴槽9が配設されている。尚、この実施例では、水温サーミスタT7は、第1給水管h1における分岐点N1と逆止弁B1との間に配設されている。
湯張り混合弁B11は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式である。湯張り混合弁B11は、制御装置150の制御によりその弁体の開度が調整されることで、第2出湯配管h14からの湯と第3給水管h15からの水とを所望の混合比で混合して、その混合した湯を、第3出湯配管h16を通じて浴槽9側に流出させるものである。
また第3出湯配管h16には、複合水弁25が配設されている。複合水弁25は、湯張り電磁弁B12と、湯張り水量センサ(水量検出手段)W1と、逆止弁B13,B14と、排水弁B16とを備えている。それら各要素B12,B13,W1,B14は、湯張り混合弁B11側からその順に第3出湯配管h16に配設されている。
尚、湯張り電磁弁B12は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式である。湯張り電磁弁B12は、制御装置150の制御によりその弁体の開度が調整されることで、第3出湯配管h16を流れる湯の水量を調整するものである。また湯張り水量センサW1は、第3出湯配管h16を流れる湯の水量を検出するものである。また各逆止弁B13,B14は、第3出湯配管h16を流れる湯が湯張り混合弁B11側に逆流する事または浴槽9からの湯が混合弁B11側に逆流する事を防止するものである。
第3出湯配管h16の分岐点N5には、外部に引き出された第4排水管h27の一端口が接続されており、排水弁B16は、その第4排水管h27に配設されている。尚、分岐点N5は、例えば、逆止弁B13と湯張り水量センサW1との間に位置している。
排水弁B16は、その弁体が開成することで、第3出湯配管h16に貯まった湯水を配管h19を通じて第4排水管h27から外部に排出するものである。この排水弁B16は、例えば、手動式に構成されて手動により、または電動式に構成されて後述の制御装置150の制御により、その弁体の開度が調整される様になっている。
また第3出湯配管h16には、例えば複合水弁25と風呂循環往き口23との間において、第3出湯配管h16を流れる湯の温度を検出する湯張りサーミスタ(水温検出手段)T8が配設されている。
また貯湯タンク5の底面には、追焚循環戻り口5gが設けられている。この追焚循環戻り口5gには、第1追焚循環配管h21の一端口が接続されている。第1追焚循環配管h21の他端口は、第2出湯配管h14の分岐点N8に接続されている。尚、分岐点N8は、第2出湯配管h14における逆止弁B10と湯張り混合弁B11の間に位置している。
また第1追焚循環配管h21の一部分は、追焚熱交換器25内に取り込まれている。
また第1追焚循環配管h21の分岐点N10は、第2出湯配管h14の分岐点N9に配管h22を介して接続されている。分岐点N9は、第2出湯配管h14における第2出湯口5fと逆止弁B10との間に位置しており、分岐点N10は、分岐点N8と追焚熱交換器25との間に位置している。
また第2出湯配管h14の分岐点N8には、外部に引き出された第3排水管h13の一端口が接続されている。第3排水管h13には、負圧作動弁付き逃し弁B9が配設されている。負圧作動弁付き逃し弁B9は、貯湯タンク5内の水圧が所定の水圧(例えば190kPa)以上の場合は、その弁体を開成して、貯湯タンク5内の湯水を、各部5f→N9→B10→N8→N12→B9の経路を経て外部に排水し、他方、貯湯タンク5内の水圧が前記所定の水圧未満の場合は、その弁体を閉塞して、貯湯タンク5内の湯水が、各部5f→N9→B10→N8→N12→B9の経路を経て外部に排水される事を禁止するものである。
また第2出湯配管h14の分岐点N9と第3排水管h13の分岐点N12とは、配管h23を介して接続されており、配管h23には、分岐点N12から分岐点N9に流れる湯が逆流する事を防止する逆止弁B17が配設されている。尚、分岐点N12は、第3排水管h13における分岐点N8と逃がし弁B9との間に位置している。
また第1追焚循環配管h21には、それに流れる湯を貯湯タンク5の追焚循環戻り口5g側に循環させるための熱交換循環ポンプP3が配設されている。ここでは、循環ポンプP3は、例えば、第1追焚循環配管h21における追焚熱交換器25と追焚循環戻り口5gとの間に配設されている。
第1追焚循環配管h21の分岐点N13には、外部に引き出された第4排水管h24の一端口が接続されており、第4排水管h24には、第1追焚循環配管h21中に貯まった水を排水するための水抜き栓B18が配設されている。水抜き栓B18は、例えば手動式のものが用いられている。
第3出湯配管h16の分岐点N14には、第2追焚循環配管h25の一端口が接続されている。第2追焚循環配管h25の他端口は、風呂循環戻り口27に接続されており、風呂循環戻り口27には、配管h26を介して浴槽9に接続されている。
第2追焚循環配管h25の一部は、追焚熱交換器25内に引き込まれており、第1追焚循環配管h21との間で熱交換可能になっている。
第2追焚循環配管h25には、風呂循環ポンプP4と、風呂サーミスタ(水温検出手段)T10と、水流スイッチSW1と、水位センサYとが配設されている。
風呂循環ポンプP4は、浴槽9内の湯水を風呂循環戻り口27から取り込んで第2追焚循環配管h25内を循環させて風呂循環往き口23から浴槽9内に戻すためのものである。風呂サーミスタT10は、第2追焚循環配管h25を流れる湯水の温度を検出するものである。水流スイッチSW2は、第2追焚循環配管h25内を湯水が循環しているか否かを検出するものであり、例えば、湯水の循環を検出するとオンし、湯水の循環を検出しない場合はオフになる。水位センサYは、浴槽9内の水位が浴槽9の追焚用吸水口9aよりも高いか否かを検出するものであり、例えば、所定水圧以上の水圧を検出すると、浴槽9内の水位が追焚用吸水口よりも高い事を検出するものである。これら各要素P4,T10,SW1,Yは、例えば、第2追焚循環配管h25における追焚熱交換器25と風呂循環戻り口27との間に配設されている。
この実施例の出湯量検出部150aは、実施例1の出湯量検出部150aに於いて更に、循環ポンプP3の駆動時間に基づき第1追焚循環配管h21を流れる湯の水量を検出し、またサーミスタT1の検出温度に基づき第1追焚循環配管h21を流れる湯の水温を検出し、それら検出した水量および水温から第1追焚循環配管h21を流れる湯の熱量を検出することで、第1追焚循環配管h21に流れる湯の量を検出する。そして出湯量検出部150aは、第1追焚循環配管h21を流れる湯の量と、給湯配管h11を流れる湯の量と、第3出湯配管h16を流れる湯の量とに基づき、貯湯タンク5からの出湯量を検出する。尚ここでも、実施例1と同様に、貯湯タンク5からの出湯量は、熱量として検出されている。
この実施例の残湯量検出部150bは、実施例1の残湯量検出部150bと同じものである。
この実施例の制御部150dは、実施例1の制御部150dにおいて更に、リモコン装置160に設定入力された追い焚きに関する情報(追焚開始指示や追焚温度など)に基づき、循環ポンプP4を起動して浴槽9内の湯水を各部27→Y→SW1→T10→P4→25→N13→23を通じて第2追焚循環配管h25内を循環させると共に、循環ポンプP3を起動して貯湯タンク9内の湯を各部5f→N9→N8→N10→25→N13→P3→5gを通じて第1追焚循環配管h21内を循環させる。これらの循環により追焚交換器25において、貯湯タンク5からの湯と浴槽9からの湯水との間で熱交換が行われて、浴槽9内の湯水が追い焚きされる。
尚、熱交換器25で熱交換された貯湯タンク5からの湯は、水として追焚循環戻り口5gから貯湯タンク5に戻される。即ち第2出湯口5fからの出湯量の分だけ貯湯タンク5内の残湯量は減少する。
尚、この貯湯式給湯装置1Eの他の構成部分は、実施例1と同じであるので、その説明は省略する。
≪基本動作≫
次に実施例1と異なる点を中心に、この貯湯式給湯装置1Eの基本動作を説明する。
浴槽9に湯張りを行う場合は、実施例1と基本的には同じであるが、貯湯タンク5から浴槽9へと流れる配管経路が異なる。即ちこの実施例では、貯湯タンク5内の湯は、各部5f→N9→B10→N8→B11を経て湯張り混合弁B11に流れ、湯張り混合弁B11で第3給水管h15からの水と混合され、各部B11→B12→B13→N5→W1→B14→T8→N13→23を経て浴槽9に出湯する。その際、ポンプP3は停止しているので、貯湯タンク5内の湯が第1追焚循環配管h21を流れて貯湯タンク5の追焚循環戻り口5gに戻る循環は、起こらない。
浴槽9内の湯水の追い焚きを行う場合は、リモコン装置160に入力された追焚開始の指示に応じて、制御部150dの制御により、各循環ポンプP3,P4が起動される。これにより、貯湯タンク5内の湯は、各部5→5f→N9→B10→N8→N10または各部5→5f→N9→h22→N10を経て、更に各部N10→25→N13→P3→5g→5を経て追焚用熱交換器25内を循環する。そして浴槽9内の湯水は、各部9→h26→27→Y→SW2→T10→P4→25→N13→23→h17→9を経て追焚熱交換器25内を循環する。そして追焚用熱交換器25内で、貯湯タンク5からの湯と浴槽9からの湯水との間で熱交換が行われて、浴槽9内の湯水が追い焚きされる。そして制御部150dにより、風呂サーミスタT10の検出温度に基づき、浴槽9からの湯水の温度がリモコン装置160に予め設定された追焚温度になった事が検知されると、制御部150dの制御により、各循環ポンプP3,P4が停止されて追い焚きが終了する。
尚、追い焚きを行う際に、制御部150dにより、水位センサYの検出結果に基づき、浴槽9内の湯水の水位が追焚用吸水口9aよりも低い事が検出された場合は、追い焚きを行われない様にしてもよい。また制御部150dの制御により、先に循環ポンプP4を起動させた後、水流スイッチSW1の検出結果に基づき、第2追焚循環配管h25に湯水が流れている事が検知されてから、循環ポンプP3を起動させる様にしてもよい。これらにより第2追焚循環配管h25に湯水が流れていない状態での追い焚きを防止できる。
尚、貯湯タンク5への給水の動作、貯湯タンク5内の水の沸き上げの動作および給湯部7からの出湯の動作は、実施例1と同じあるので、その説明は省略する。尚、この貯湯式給湯装置1Eの主要部分の動作は、図3のフローチャートと同じある。
≪沸き上げの詳細動作≫
この実施例での貯湯タンク5内の水の沸き上げの動作は、貯湯タンク5の残湯量および貯湯タンク5からの出湯に、追い焚きによる出湯が考慮される点が異なる以外は、実施例1と同じなので、その説明は省略する。
以上の様に構成された貯湯式給湯装置1Eによれば、実施例1と同様の効果を得る他に、貯湯タンク5からの出湯を熱交換器25内に循環させる第1追焚循環配管(循環配管)h21に流れる湯の熱量を検出して、貯湯タンク5からの出湯量を検出するので、熱交換器25への出湯量を考慮して貯湯タンク5からの出湯量を検出できる。
また水量検出手段(第3の水量検出手段)として、第1追焚循環配管h21に配設された循環ポンプP3が用いられるので、新たに水量検出手段を配設する必要を無くせる。
尚、この実施例では、第1追焚循環配管h21を流れる湯の水量を検出するための水量検出手段として、循環ポンプP3を利用したが、循環ポンプP3の代わりに、第1追焚循環配管h21に水量センサを配設してもよい。
尚、実施例1では、湯張り完了の予定時刻を設定入力すると、起動残湯量の設定値Vを設定値V3に設定すると共に停止起動残湯量の設定値Uを例えば設定値U1に設定したが、この実施例では、更に、追い焚き完了の予定時刻を設定入力した場合も、同様に、起動残湯量の設定値Vを設定値V3に設定すると共に停止起動残湯量の設定値Uを例えば設定値U1に設定する様にしてもよい。この場合も、湯張りの場合と同じ効果が得られる。
尚、実施例5と実施例2,3または4とを組み合わせても良いことは言うまでも無いことである。