JP2011032690A - 複合型堤防およびその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る複合型堤防1は、盛土3と、該盛土3を貫通して不透水層13まで根入れされた少なくとも一列の鋼矢板壁7とを備え、鋼矢板壁7に接する両面の地盤を薬液で改良してなることを特徴とするものである。鋼矢板壁7を形成する鋼矢板15は継手部21内側に軸方向に延びる凹溝25を有し、薬液で改良された地盤は凹溝25に薬液を注入することで形成されてなることを特徴とするものである。
【選択図】 図1
Description
このような盛土の補強構造によれば、盛土の幅方向の浸透、透水を防止し、洪水時や地震時の外力による盛土構造物自体の破壊を防止することができるとしている。
また、水みちが形成されることにより、地盤と鋼矢板15の境界に沿って土粒子が移動・流出するパイピング現象を起こす可能性が指摘されている(「河川堤防技術の変遷」,中島秀雄,河川 2004-1月号,pp.17〜28,(社)日本河川協会)。
また、盛土に鋼矢板を貫入する場合、打設方法による程度の差はあるものの、鋼矢板近傍地盤を乱すことは経験的に知られており、このため鋼矢板と地盤との間に水みちが形成されやすく、また強度上の問題もある。
以下、各構成をさらに詳細に説明する。
盛土3は河川堤防を構成する。盛土3は、既設の堤防の盛土であってもよく、また、新たに堤防を構築するために施工された新設の盛土であってもよい。
鋼矢板壁7は、盛土3の中央部すなわちセンターコア及び透水層11を貫通して不透水層13まで根入れされている。
鋼矢板壁7を構成する鋼矢板15は、図2、図3に示すように、断面視で、水平なウェブ部17と、その幅方向両端から傾斜して延びるフランジ部19と、該フランジ部19の先端に爪状のラルゼン形の継手部21とを備えている。そして、ラルゼン形の継手部21の爪底部23の内面側には、鋼矢板軸方向に延びる凹溝25が形成されている。
改良地盤9は、例えばベントナイトスラリーのような薬液によって鋼矢板壁7に接する両面地盤を改良したものである。
また、元の地盤と改良地盤9とは性質が異なるが、鋼矢板15と元の地盤のように明らかに性質の異なるものではなくその境界は曖昧であり、境界部においてパイピング現象を起こす可能性は低い。
次に、上記の複合型堤防1の施工方法を説明する。
本実施の形態に係る複合型堤防1の施工方法は、鋼矢板15を盛土3に打設して鋼矢板壁7を形成する鋼矢板壁形成工程と、打設された鋼矢板15における凹溝25の土砂を排出する土砂排出工程と、形成された鋼矢板壁7の両側近傍の地盤に薬液を注入して地盤改良する地盤改良工程とを備えている。
以下、各工程を詳細に説明する。
鋼矢板壁形成工程においては、図3に示したように、継手部21に軸方向に延びる凹溝25を有する鋼矢板15を用い、継手部21を係合させて順次不透水層13に到達するように打設する。
土砂排出工程は、打設された鋼矢板15における凹溝25の土砂を排出する工程である。土砂の排出方法としては、継手部21の天端部から凹溝25にホースを差し込み、ポンプで水や圧縮空気を送り込みながら、継手の隙間から土砂を押し出すようにする。
地盤改良工程は、形成された鋼矢板壁7の両側近傍の地盤に薬液を注入して地盤改良する工程である。具体的には、土砂排出工程で凹溝25に挿入したホースを利用し、該ホースに薬液を流すことにより、継手下端部から順に薬液を注入しながら、ホースを引抜くようにする。ホースの引抜き速度は、鋼矢板近傍地盤に十分に薬液が行き渡るように薬液の吐出量から算定する。
なお、薬液27はベントナイトスラリーに限定されるものではなく、同様の効果を発揮する材料を用いても良い。
また、地盤と鋼矢板15との境界は改良地盤9で塞がれているので、地盤と鋼矢板15の境界に沿って土粒子が移動・流出するパイピング現象を起こすこともない。
また、薬液27として、充填性に優れ水膨張性を併せ持つベントナイトをスラリー状にしたものを用いることにより、地震や沈下等により鋼矢板15と周辺地盤の間に一時的に隙間が生じたとしても、その水膨張性により水みちを塞ぐという効果もある。
もっとも、前者の方法の場合、鋼矢板壁7の極近傍に注入孔を設けるのは難しく、鋼矢板15と近傍地盤に確実に薬液27を送り込むのには技術的な困難を伴う。また、後者の方法の場合、鋼矢板15の貫入に伴って改良された地盤が乱されるおそれがある他、地盤強度を増加させる薬液の場合、鋼矢板15の貫入が困難になることも予想される。
この点、本実施の形態においては、鋼矢板壁7に、断面視で継手の爪底部内面側に止水材が充填される凹溝25が形成される鋼矢板15を用い、その凹溝25から薬液27を注入するようにしたので、打設時に乱した鋼矢板周辺地盤の隙間に接する側から薬液27を注入できるため、鋼矢板15と近傍地盤に円滑かつ確実に薬液27を送り込むことができる。
また、本実施の形態の複合型堤防1は、既存の堤防を補強することによって構築される複合型堤防であってもよいし、新規に盛土をして新たに複合型堤防として構築する場合であってもよい。
3 盛土
7 鋼矢板壁
9 改良地盤
11 透水層
13 不透水層
15 鋼矢板
17 ウェブ部
19 フランジ部
21 継手部
23 爪底部
25 凹溝
27 薬液
Claims (6)
- 盛土と、該盛土を貫通して不透水層まで根入れされた少なくとも一列の鋼矢板壁とを備え、該鋼矢板壁に接する両面の地盤を薬液で改良してなることを特徴とする複合型堤防。
- 前記鋼矢板壁を形成する鋼矢板は継手部内側に軸方向に延びる凹溝を有し、薬液で改良された地盤は前記凹溝に薬液を注入することで形成されてなることを特徴とする請求項1記載の複合型堤防。
- 鋼矢板を盛土に打設して鋼矢板壁を形成する鋼矢板壁形成工程と、形成された鋼矢板壁の両面近傍の地盤に薬液を注入して地盤改良する地盤改良工程とを備えたことを特徴とする複合型堤防の施工方法。
- 前記鋼矢板壁形成工程においては継手部内側に軸方向に延びる凹溝を有する鋼矢板を用い、前記鋼矢板壁形成工程の後、打設された鋼矢板における凹溝の土砂を排出する土砂排出工程を有し、前記地盤改良工程における薬液の注入は前記凹溝に薬液を注入することによって行うことを特徴とする請求項3記載の複合型堤防の施工方法。
- 薬液にベントナイトスラリーを用いることを特徴とする請求項3又は4記載の複合型堤防の施工方法。
- 請求項3乃至5のいずれかに記載の複合型堤防の施工方法によって施工されたことを特徴とする複合型堤防。
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