JP2011032202A - チオール化合物の製造方法 - Google Patents

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功 山上
Akiko Ueno
明子 上野
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Abstract

【課題】耐水性、耐アルカリ性の良好な樹脂組成物の原料となるチオール化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(2)で示される化合物のn個のフェノール性水酸基を、一般式(3)で示されるカルボニル基を持つアルコキシ基に置換する工程1、
前記カルボニル基を還元して水酸基に変換する工程2、及び
前記水酸基をメルカプト基に変換する工程3を含むことを特徴とする一般式(1)で示される芳香族エーテル系多官能二級チオール化合物の製造方法。
Figure 2011032202

(式中、Aはn官能性の芳香族基を表わし、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、mは1〜4の整数であり、nは2〜4の整数である。)。
【選択図】なし

Description

本発明は、チオール化合物の製造方法に関する。さらに詳しく言えば、耐水性、耐アルカリ性及び耐熱性に優れた樹脂組成物に用いられる芳香族エーテル系多官能二級チオール化合物の製造方法に関する。
従来、多官能チオール化合物はハロゲン系樹脂安定剤や感光性組成物、エポキシ樹脂硬化剤など各種工業分野で様々な用途に広く用いられている。このような多官能チオール化合物は、その化学構造から脂肪族エーテル系、脂肪族エステル系などに分類することができる。
脂肪族エーテル系としては、東レ(株)製チオコール(登録商標)RLPやQE−340M、ADEKA(株)製EH−310、コグニス(株)製キャップキュア(登録商標)R3−800などが知られている。また、脂肪族エステル系としては、堺化学(株)製TMMP、ADEKA(株)製EH−317、ジャパンエポキシレジン(株)製QX−40、昭和電工(株)製カレンズMT(登録商標)RPE1、カレンズMT(登録商標)RBD1、カレンズMT(登録商標)RNR1などが知られている。
多官能チオールの用途のうち、感光性組成物はコーティング、接着剤、印刷版、カラープルーフ、カラーフィルタ、ソルダーレジスト、光硬化インクなどさまざまな方面で用いられている。特に、近年、これらの用途を含め環境問題、省エネルギー、作業安全性、生産コスト等の観点から、常温で短時間で硬化すること及び溶剤が不要であること等の光硬化の特徴が注目され、感光性組成物について数多く研究、開発が進められている。
さらに、コーティング分野においては、成形加工が容易で、耐衝撃性が高く、耐水性に優れた樹脂組成物の需要が高くなっている。
多官能チオール化合物は、チオール・エン硬化型の樹脂組成物に使用した場合、酸素阻害がないこと、開始剤の使用量を少なくできること、硬化収縮が小さいこと、感度が高いことなどの特徴があることから、様々な用途が開発されている。しかしながら、従来の脂肪族エステル系多官能チオールはエステル構造を有しているため耐水性に劣るという欠点がある。また、特開平9−043907号公報(特許文献1)に開示されている従来の脂肪族エーテル系チオールは柔軟な構造のため、ガラス転移温度が低いという欠点がある。
これらの欠点を解消するための検討が行なわれている。特開2007−70417号公報(特許文献2)には、ポリメルカプトカルボン酸アミドからなる光硬化モノマーが開示されており、従来のエステル系多官能チオール化合物の耐水性を向上させるために、アミド系多官能チオールとすることによりその欠点の解消を狙っている。
特開平09−043907号公報 特開2007−70417号公報
本発明は、高感度で酸素阻害がなく耐水性、耐アルカリ性及び耐熱性に優れた光重合開始剤組成物、及びその光重合開始剤組成物を含む感光性組成物に好適な新規なチオール化合物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、メルカプト基に対してα位の炭素原子に置換基を持つ構造を有する芳香族エーテル型のチオール化合物を光重合開始剤組成物の一成分とする感光性組成物に用いることにより上記課題が解決することを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の新規な多官能チオール化合物の製造方法に関するものである。
[1] 一般式(2)
Figure 2011032202
(式中、Aはn官能性の芳香族基を表わし、nは2〜4の整数である。)
で示される化合物のn個のフェノール性水酸基を、一般式(3)
Figure 2011032202
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、mは1〜4の整数である。)
で示されるカルボニル基を持つアルコキシ基に置換する工程1、
前記カルボニル基を還元して水酸基に変換する工程2、及び
前記水酸基をメルカプト基に変換する工程3を含むことを特徴とする一般式(1)
Figure 2011032202
(式中の記号は前記と同じ意味を表わす。)
で示される芳香族エーテル系多官能二級チオール化合物の製造方法。
[2] 前記一般式(1)で示されるチオール化合物が、一般式(4)
Figure 2011032202
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R2は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、mは1〜4の整数であり、aは1〜2の整数であり、bは2〜4の整数であり、cは0または1〜2の整数であり、a+bは4である。)
で示される前記[1]に記載のチオール化合物の製造方法。
[3] 前記一般式(4)で示されるチオール化合物が、一般式(5)
Figure 2011032202
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R2は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、mは1〜4の整数であり、cは0または1〜2の整数である。)
で示される前記[2]に記載のチオール化合物の製造方法。
[4] 前記一般式(4)で示されるチオール化合物が、一般式(6)
Figure 2011032202
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R2は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、mは1〜4の整数であり、cは0または1〜2の整数である。)
で示される前記[2]に記載のチオール化合物の製造方法。
[5] 前記一般式(1)で示されるチオール化合物が、一般式(7)
Figure 2011032202
(式中、Bは単結合または酸素原子を表わし、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、mは1〜4の整数であり、cは0または1〜2の整数である。)
で示される前記[1]に記載のチオール化合物の製造方法。
で示される請求項1に記載のチオール化合物の製造方法。
[6] 前記一般式(1)で示されるチオール化合物が、一般式(1−1)で
Figure 2011032202
(式中の記号は前記[1]の記載と同じ意味を表わす。)
で示される前記[1]に記載のチオール化合物の製造方法。
[7] 前記一般式(1)で示されるチオール化合物が、一般式(1−2)
Figure 2011032202
(式中の記号は前記[1]の記載と同じ意味を表わす。)
で示される前記[1]に記載のチオール化合物の製造方法。
[8] 水酸基をメルカプト基に変換する前記工程3が、
水酸基をp−トルエンスルホン酸誘導体でトシル化する工程3−1−1、
前記工程で得られたトシル化体をチオ酢酸またはチオ酢酸金属塩でチオ酢酸エステル体とする工程3−1−2、及び
前記チオ酢酸エステル体を還元してメルカプト基に変換する工程3−1−3を含む前記[1]に記載のチオール化合物の製造方法。
[9] 水酸基をメルカプト基に変換する前工程3が、
水酸基とチオ尿素を反応させることによりイソチオ尿素化合物を合成する工程3−2−1、及び
イソチオ尿素化合物を塩基と反応させた後、酸と反応させてメルカプト基に変換する工程3−2−2を含む前記[1]に記載のチオール化合物の製造方法。
本発明の製造方法で得られるチオール化合物、特定の芳香族エーテル型構造と分岐チオール構造を有しているため、チオール・エン硬化の硬化剤として使用した場合その硬化物の耐水性、耐アルカリ性が良好であり、このチオール化合物を含む光重合開始剤組成物を用いると、高感度で酸素阻害がなく、耐水性、耐アルカリ性及び耐熱性に優れた感光性組成物を得ることができる。
本発明の方法で得られたチオール化合物を用いた感光性組成物は、コーティング組成物、接着剤、光製版用レジスト、ソルダーレジスト、エッチングレジスト、カラーフィルターレジスト、ホログラム、光造形、UVインク等の用途分野に好適に用いられる。
実施例1で得られたトリス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)メタン(TPT)の1H−NMRスペクトル。 実施例1で得られたTPTの13C−NMRスペクトル。
[I]チオール化合物
本発明の方法で製造されるチオール化合物は、特定のメルカプト基含有基を有するチオール化合物であって、前記メルカプト基含有基が、メルカプト基に対してα位の炭素原子が置換基を有する構造である下記一般式(1)で示される芳香族エーテル系多官能チオール化合物であることを特徴とする。
Figure 2011032202
式中、Aはn官能性の芳香族基を表わし、nは2〜4の整数であり、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、mは1〜4の整数である。
一般式(1)で示される芳香族エーテル系化合物は、後述するように下記一般式
Figure 2011032202
(式中、Aはn官能性の芳香族基を表わし、nは2〜4の整数である。)
で示されるn個のフェノール性水酸基を有する化合物(多価フェノール化合物)から誘導される。
チオール化合物として好ましいのは、芳香族エーテル化合物の酸素原子とメルカプト基の間の炭素原子が2個の化合物である下記一般式(1−1)
Figure 2011032202
(式中の記号は前記と同じ意味を表わす。)
で示される多官能チオール化合物である。この化合物は、反応性の高い原料を用いて製造できるため好ましい。
チオール化合物としてさらに好ましいのは、メルカプト基に対してα位の置換基がメチル基である下記一般式(1−2)
Figure 2011032202
(式中の記号は前記と同じ意味を表わす。)
で示される多官能チオール化合物である。
n個のフェノール性水酸基を有する化合物(多価フェノール化合物)としては、例えば
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,2,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、3,9−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシテトラブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−イソプロピルベンジル)−4−イソプロピルフェノール、ビス(2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1,3−トリス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明の製造方法で得られるチオール化合物は、メルカプト基を2〜4個有していることにより単官能化合物と比較して、光重合に関し、より高感度とすることが可能である。
本発明の方法で得られる上記一般式(1)の構造を有するチオール化合物の具体例としては、ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)メタン、1,1−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)エタン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)ブタン、1,1−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−(2−メルカプトプロポキシ)−5−メチルフェニル)プロパン、ビス(2−(2−メルカプトプロポキシ)−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)−3−t−ブチルフェニル)プロパン、トリス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)エタン、テトラキス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2−メルカプトブトキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトブトキシ)フェニル)プロパン、トリス(4−(2−メルカプトブトキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(2,4−ビス(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)プロパン、9,9−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)フルオレン、4,4’−ビス(2−メルカプトプロポキシ)ジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ビス(2−メルカプトプロポキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(2−メルカプトプロポキシ)ジフェニルエーテル、1,5−ビス(2−メルカプトプロポキシ)ナフタレン、2,2,5,5−テトラキス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)ヘキサン、3,9−ビス(3−メトキシ−4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)テトラブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)スルホン、1,3,5−トリス(2−メルカプトプロポキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2−(2−メルカプトプロポキシ)−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2,6−ビス(2−(2−メルカプトプロポキシ)−5−イソプロピルベンジル)−4−イソプロピルフェノール、ビス(2−(2−メルカプトプロポキシ)−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチル)メタン、トリス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)フェニルメタン、1,1,3−トリス(3−t−ブチル−4−(2−メルカプトプロポキシ)−6−メチルフェニル)ブタン9,9−ビス(4−(2−メルカプトブトキシ)フェニル)フルオレン、4,4’−ビス(2−メルカプトブトキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(2−メルカプトブトキシ)ジフェニルエーテル、2,6−ビス(2−(2−メルカプトブトキシ)−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス(2−(2−メルカプトブトキシ)−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチル)メタン等が挙げられる。
[II]チオール化合物の製造方法
本発明は、一般式(2)
Figure 2011032202
(式中、Aはn官能性の芳香族基を表わし、nは2〜4の整数である。)
で示される化合物のn個のフェノール性水酸基を、一般式(3)
Figure 2011032202
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、mは1〜4の整数である。)
で示されるカルボニル基を持つアルコキシ基に置換する工程1、
前記カルボニル基を還元して水酸基に変換する工程2、及び
前記水酸基をメルカプト基に変換する工程3を含むことを特徴とする一般式(1)
Figure 2011032202
(式中の記号は前記と同じ意味を表わす。)
で示される芳香族エーテル系多官能二級チオール化合物の製造方法を提供するものである。
一般式(1)で示されるチオール化合物は、好ましくは下記一般式(4)
Figure 2011032202
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R2は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、mは1〜4の整数であり、aは1〜2の整数であり、bは2〜4の整数であり、cは0または1〜2の整数であり、a+bは4である。)
で示される。
一般式(4)中のaは1〜2が好ましく、bは2〜3が好ましい。
一般式(4)で示される化合物の中でも、下記一般式(5)及び(6)で示される化合物が好ましい。
Figure 2011032202
式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R2は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、mは1〜4の整数であり、cは0または1〜2の整数である。
Figure 2011032202
式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R2は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、mは1〜4の整数であり、cは0または1〜2の整数である。
一般式(1)で示されるチオール化合物としては、下記一般式(7)で示される化合物も好ましい。
Figure 2011032202
式中、Bは単結合または酸素原子を表わし、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、mは1〜4の整数であり、cは0または1〜2の整数である。
一般式(4)〜(7)中のR1及びR2が表わす炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びiso−プロピル基が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。
一般式(4)〜(7)中のR3が表わす炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びiso−プロピル基、t−ブチル基などが挙げられ、メチル基、t−ブチル基が好ましい。
一般式(4)〜(7)中のR3が表わす炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、i―プロポキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられ、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
一般式(4)〜(7)中のR3が表わす炭素数1〜4のアルキル基及び1〜4のアルコキシ基の置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、水酸基などが挙げられる。
本発明の製造方法の工程1において、フェノール性水酸基をカルボニル基を持つアルコキシ基に置換する反応では、α位に脱離基を有するカルボニル化合物を使用し多価フェノール化合物との反応を塩基性条件下で行なうことが、収率及び選択率の観点から好適である。
工程1において、好ましく用いられカルボニル基を持つ化合物として、クロロアセトン、ブロモアセトン、及びヨードアセトンからなる群から選ばれる少なくとも1種のハロゲン化アセトンが挙げられる。これらのハロゲン化アセトンは入手が容易であるため本発明の多官能チオール化合物の原料として好ましい。
塩基性条件下で行なうために使用する塩基性化合物は特に限定されないが、有機塩基、無機塩基を使用することができる。有機塩基としては三級アミンを好適に使用することができ、トリエチルアミン、ピリジン、トリエチレンジアミンなどを使用することができる。無機塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウムなどを使用することができ、中でも炭酸カリウム、炭酸ナトリウムは塩基性及び反応性の面からより好適である。
さらに、無機塩基の反応性を向上させるために、アルカリ金属のハロゲン化物を添加しても良い。アルカリ金属のハロゲン化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムなどのヨウ化物が好適に使用できる。
工程1において、多価フェノール化合物とカルボニル基を持つ化合物の反応モル比は特に限定されないが、多価フェノールの水酸基に対してカルボニル基を持つ化合物を0.9〜2.0当量用いることができ、さらに好適には1.0〜1.2当量使用することができる。また、塩基性化合物の使用量はカルボニル化合物に対して0.9〜3.0当量使用することができ、さらに好適には1.0〜1.2当量使用することができる。
工程1において、原料及び生成物の取り扱いを容易にするため、また、原料と塩基性化合物との接触を容易にするために溶媒を使用することができる。溶媒としては、原料、生成物と反応しないような溶媒で通常の条件で蒸留可能な沸点を有する溶媒を使用することができる。具体的にはカルボニル化合物を使用することができ、中でもアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンは沸点や原料の溶解性の観点から好適である。
工程1において、反応温度は特に限定されないが、原料の溶解性及び溶媒の沸点などにより、0℃〜120℃の温度で行なうのが好適である。さらに、反応温度のコントロールの点から溶媒の沸点付近の温度で行なうことが好ましい。
工程2において、カルボニル基を還元する方法としては、一般的に行なわれている還元反応を使用することができる。還元剤としては、水素、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ヒドラジンなどを使用することができる。還元反応において、触媒を使用することもできる。触媒としてはニッケル、パラジウム、白金、金、銅、コバルト、ロジウム、鉄、ルテニウムなどの金属及びこれら金属の硝酸塩、塩化物、有機酸塩などの化合物をそのままあるいは担体に担持させた状態で用いることができる。
工程2において、還元剤の使用量は特に限定されないが、カルボニル基に対して当量以上使用することが好ましい。還元剤として水素化物を用いる場合は、カルボニル基に対して1〜10当量使用することができるが、未反応物及び水素化物由来の生成物とカルボニル基の還元により生成した水酸基含有化合物との分離を容易にするためにカルボニル基に対して1〜4当量使用することが好ましい。
工程2において、原料及び生成物の取り扱いを容易にするため、また、原料と触媒との接触を容易にするために溶媒を使用することができる。溶媒としては、原料、生成物と反応しないような溶媒で通常の条件で蒸留可能な沸点を有する溶媒を使用することができる。具体的にはエーテル系の溶剤を使用することができ、中でもジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが沸点や原料の溶解性の観点から好適である。
工程2において、反応温度は特に限定されないが、原料の溶解性及び副反応を抑えるために、−20℃〜50℃で行なうことが好ましい。さらに、反応速度のコントロールの点からに−5℃〜20℃で行なうことが好ましい。
工程3の水酸基をメルカプト基に変換する工程は、以下に示す2つの経路、即ち工程3−1と工程3−2を採ることができる。工程3−1は、下記の3つの工程を含む。
水酸基をスルホン酸誘導体でスルホン酸エステル体とする工程3−1−1、
スルホン酸エステル体をチオ酢酸あるいはチオ酢酸金属塩でチオ酢酸エステル体とする工程3−1−2、
チオ酢酸エステル体を還元してメルカプト基に変換する工程3−1−3。
工程3−1−1において、水酸基をスルホン酸誘導体でスルホン酸エステルとする工程では、スルホン酸誘導体として、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸クロライド、メタンスルホン酸クロライド、p−トルエンスルホン酸無水物、硫酸、硫酸水素ナトリウムなどを使用することができる。
工程3−1−1では、スルホン酸誘導体と共に反応速度を早くするために塩基を使用することができる。塩基としては、有機塩基、無機塩基を使用することができる。有機塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルベンジルアミンなどを使用することができる。無機塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどを使用することができる。スルホン酸誘導体の使用量は、水酸基1molに対して0.9〜1.5molが好ましく、1.0〜1.1molがさらに好ましい。塩基の使用量は、スルホン酸誘導体と等mol〜小過剰あるいは大過剰用いることができる。工程3−1−1において、反応熱を効率的に除去するため、また原料の接触を容易にするために溶媒を使用することができる。溶媒としては、原料及び生成物と反応せず、通常の条件で蒸留可能な沸点を有する溶媒を使用することができる。具体的には、沸点や原料の溶解性の観点から、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、ヘキサンなどが好ましい。また、上記の有機塩基を溶媒を兼ねるものとして使用してもかまわない。
工程3−1−1において、反応温度は特に限定されないが、原料の溶解性及び副反応を抑えるために、−20℃〜50℃で行なうのが好適である。さらに、反応速度をコントロールする点から、−5℃〜20℃で行なうことがより好ましい。
スルホン酸エステル体をチオ酢酸あるいはチオ酢酸塩でチオ酢酸エステル体とする工程3−1−2工程では、チオ酢酸塩としては、チオ酢酸ナトリウム、チオ酢酸カリウムを使用することができる。チオ酢酸を使用する場合は、塩基を併用することもできる。チオ酢酸あるいはチオ酢酸塩の使用量としては、スルホン酸エステル体1molに対し1.0〜3.0molが好ましく、1.0〜1.2molがより好ましい。
工程3−1−2において、反応熱の除去を効率的に行なうため、また原料の接触を容易にするために溶媒を使用することができる。溶媒としては、原料、生成物と反応しないような溶媒で通常の条件で蒸留可能な沸点を有する溶媒を使用することができる。具体的にはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレンなどが原料の溶解性の観点から好適である。
工程3−1−2において、反応温度は特に限定されないが、原料の溶解度が高く、副反応を抑えるために、0〜150℃で行なうのが好適である。さらに、反応速度をコントロールする点から5〜120℃で行なうことがより好ましい。
工程3−1−3において、チオ酢酸エステル体を還元してメルカプト基に変換する工程としては、一般的に行なわれている還元反応を使用することができる。還元剤としては、水素、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウムなどを使用することができる。還元反応において、還元触媒を使用することもできる。還元触媒としてはニッケル、パラジウム、白金、金、銅、コバルト、ロジウム、鉄、ルテニウムなどの金属及びこれら金属の硝酸塩、塩化物、有機酸塩などの化合物をそのままあるいは担体に担持させた状態で用いることができる。
工程3−1−3において、還元剤の使用量は特に限定されないが、チオ酢酸エステル基に対して当量以上使用することが好ましい。還元剤として水素化物を用いる場合は、チオ酢酸エステル基に対して1〜10当量使用することができるが、未反応物及び水素化物由来の生成物とカルボニル基の還元により生成した水酸基含有化合物との分離を容易にするためにチオ酢酸エステル基に対して1〜4当量使用することが好ましい。
工程3−1−3において、原料及び生成物の取り扱いを容易にするため、また、原料と触媒との接触を容易にするために溶媒を使用することができる。溶媒としては、原料及び生成物と反応せず、通常の条件で蒸留可能な沸点を有する溶媒を使用することができる。具体的にはエーテル系の溶剤を使用することができる。中でも、沸点や原料の溶解性の観点から、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが好ましい。
工程3−1−3において、反応温度は特に限定されないが、原料の溶解性及び副反応を抑えるために、−20〜50℃で行なうことが好ましい。さらに、反応速度をコントロールする点から、−5〜20℃で行なうことが好ましい。
工程3−2は、下記の2つの工程を含む。
水酸基とチオ尿素を反応させることによりイソチオウレア誘導体とする工程3−2−1、
イソチオウレア誘導体を塩基と反応させた後、酸と反応させてメルカプト基に変換する工程3−2−2。
工程3−2−1において、水酸基とチオ尿素を反応させることによりイソチオウレア誘導体とする工程では、チオ尿素を反応させる際に酸を添加することができる。添加する酸としては、硫酸、塩酸、臭化水素酸などを使用することができる。工程3−2−1において、水酸基とチオ尿素を硫酸、塩酸、臭化水素酸の水溶液とともに加熱還流させることによりイソチオウレア誘導体とすることができる。この際、原料の溶解性が低い場合は、不活性溶媒を添加することができる。不活性溶媒としては、水よりも沸点が高く、硫酸、塩酸、臭化水素酸などと反応しない溶媒であれば特に問題なく使用することができる。具体的には、トルエン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどを使用することができる。イソチオウレア誘導体は、単離するかあるいは単離することなく工程3−2−2の原料として使用することができる。
工程3−2−2において、イソチオウレア誘導体と反応させる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、その後に反応させる酸としては、塩酸、硫酸などが挙げられる。イソチオウレア誘導体を水媒体中、塩基の水溶液と反応させることによりメルカプト基に変換することができる。この際、原料の溶解性が低い場合は、不活性溶媒を添加することができる。不活性溶媒としては、水よりも沸点が高く、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどと反応しない溶媒であれば特に問題なく使用することができる。具体的には、トルエン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどを使用することができる。イソチオウレア誘導体を単離しない場合は、工程3−2−1における反応混合物と塩基の水溶液を反応させることによりメルカプト基に変換することができる。この場合使用する塩基の量は、工程3−2−1において使用した酸を中和するのに十分な量を使用し、かつ工程3−2−2を塩基性条件で行うのに必要な塩基を使用することができる。反応温度は0℃〜100℃で行うことができるが、0℃〜25℃で行うことが反応による発熱を制御することから好ましい。メルカプト基に変換した後に生成物を単離する方法としては、蒸留、再結晶、有機溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーなど基質にあわせて一般的な単離方法を使用することができる。これらの中でも、工程3−2−1および工程3−2−2で副生する無機塩と分離するために有機溶媒抽出を使用することが好ましい。有機溶媒抽出において使用する有機溶媒としては、水との相溶性が低く通常の条件で留去することのできる溶媒であれば特に限定することなく使用することができる。具体的には、トルエン、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチルなどを使用することができる。有機溶媒抽出した後にカラムクロマトグラフィーにより精製を行ってもよい。
以下、実施例及び参考例に基づいて本発明を説明するが、本発明は下記の例により何ら制限されるものではない。なお、下記の例中、部及び%はそれぞれ質量を基準とするものである。
実施例1:トリス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)メタン(TPT)の合成
工程1:トリス(4−(2−オキソプロポキシ)フェニル)メタン(TPK)の合成
トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(東京化成(株)試薬)1.0g(3.4mmol)、炭酸カリウム1.7g(12.1mmol)、沃化カリウム2.0g(12.1mmol)、クロロアセトン1.1g(12.1mmol)アセトン20mlを2口100ml容ナスフラスコに仕込み、内容物を窒素雰囲気下、室温にて15時間撹拌した。液体クロマトグラフィ及び薄層クロマトグラフィにより原料消失を確認した後、反応液中に析出した塩を桐山漏斗にてろ過し、アセトンにて洗浄した。次に、ろ液からアセトンを留去し、残分をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにて、溶出溶媒n−ヘキサン/酢酸エチルを用いて精製しTPKを得た。精製して得られたTPKは黄色液体であり、収量は1.4g、収率は90%であった。TPKの組成式はC28H28O6、分子量は296.36である。
工程2:トリス(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)メタン(TPA)の合成
300ml容ナスフラスコにTPK1.2g(2.6mmol)、エタノール30mlを仕込み、水素化硼素ナトリウム0.12g(3.1mmol)を少しずつ添加した。冷却管を装着し、窒素雰囲気下にてオイルバス温度80℃で加熱撹拌した。反応開始3時間後、液体クロマトグラフィ及び薄層クロマトグラフィにて原料の消失を確認し、室温まで放冷した。水250mlを入れた三角フラスコに反応液を上げ、さらに1規定塩酸を2ml加え中和処理を行った。その後、酢酸エチルを用い有機層を抽出し、無水硫酸ナトリウムにて脱水・乾燥を行い、白色結晶状のTPA1.3gを得た。還元体の組成式はC28H34O6、分子量は466.57である。
工程3−1−1:トリス(4−(2−(p−トルエンスルホニルオキシ)プロポキシ)フェニル)メタン(TPTs)の合成
TPA1.5g(3.2mmol)、p−トルエンスルホニルクロライド2.2g(11.6mmol)、脱水ピリジン10mlを100ml容ナスフラスコに仕込み、窒素雰囲気下室温撹拌した。反応開始16時間後、薄層クロマトグラフィにて原料消失を確認し、反応液中に析出した塩を桐山漏斗にてろ過、ジクロロメタンにて洗浄した。次にジクロロメタンを留去し、残分を飽和炭酸水素ナトリウム溶液にて洗浄、有機層をジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタンを留去し、残分をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにて、溶出溶媒n−ヘキサン/酢酸エチルを用いて精製した。精製して得られたTPTsは白色結晶であり、収量は1.9g、収率は64%であった。TPTsの組成式はC49H52O12S3、分子量は929.125である。
工程3−1−2:トリス(4−(2−(アセチルスルファニル)プロポキシ)フェニル)メタン(TPTA)の合成
TPTs32.4g(35mmol)、チオ酢酸s−カリウム16.7g(146mmol)、脱水ジメチルホルムアミド120mlを1000ml容ナスフラスコに仕込み、冷却管を装着した。内容物を撹拌しながら、窒素雰囲気下にてオイルバス温度90℃にて加熱した。反応開始4時間後、薄層クロマトグラフィにて原料消失を確認し、水800mlを加えた。油状物質のみをろ過した後、酢酸エチルに溶解、無水硫酸マグネシウムにて脱水・乾燥した。酢酸エチルを留去後、残分をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにて、溶出溶媒n−ヘキサン/酢酸エチルを用いて精製した。精製して得られたTPTAは茶色液体であり、収量は8.6g、収率は39%であった。チオ酢酸付加体の組成式はC35H42O5S3、分子量は638.900である。
工程3−1−3:トリス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)メタン(TPT)の合成
500ml容ナスフラスコに上記反応生成物8.6g(12.2mmol)、脱水ジエチルエーテル150gを仕込み、窒素雰囲気下で内容物を撹拌しながら氷冷し、リチウムアルミニウムハイドライド0.76g(20mmol)を氷冷下にてゆっくり添加し、その後室温まで昇温した。反応開始40分後にリチウムアルミニウムハイドライド0.38gを追添し、さらに反応開始3時間半後にリチウムアルミニウムハイドライド0.23g及び脱水ジエチルエーテル30mlを追添した。反応開始15時間後、液体クロマトグラフィ及び薄層クロマトグラフィにて原料消失を確認し、水を加えリチウムアルミニウムハイドライドを失活させた。0.1規定塩酸にて中和し、酢酸エチルにて抽出後、無水硫酸マグネシウムにて脱水・乾燥した。酢酸エチルを留去後、残分をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにて、溶出溶媒n−ヘキサン/酢酸エチルを用いて精製した。精製して得られたTPTは無色液体であり、収量は4.1g、収率は59%であった。TPTの組成式はC28H34O3S3、分子量は514.76である。
構造分析:
(1)TPT
1H−NMR]
TPTの1H−NMRチャートを図1に示した。1H−NMRはJEOL社製AL400を使用し、重クロロホルム中にて測定を行い、さらに各ケミカルシフトのピークについて帰属を行った。
Figure 2011032202
1.33ppm:d;9H;10、10’、10’’の炭素につく水素原子、
1.77ppm:d;3H;チオール基の水素原子、
3.15−3.25ppm:m;3H;9、9’、9’’の炭素につく水素原子、
3.88ppm:dd;3H;8、8’、8’’の炭素につく水素原子、
5.31ppm:s;1H;1の炭素につく水素原子、
6.73ppm:d;6H;3、3’、3’’、7、7’、7’’の炭素につく水素原子、
6.91ppm:d;6H;4,4’、4’’、5、5’、5’’の炭素につく水素原子。
13C−NMR]
TPTの13C−NMRチャートを図2に示した。13C−NMRは、JEOL社製AL400を使用し、重クロロホルム中にて測定を行い、さらに各ケミカルシフトのピークについて帰属を行った。
20.7ppm、33.7ppm:9、9’、9’’、10、10’、10’’につく炭素原子、
54.0ppm:1につく炭素原子、
74.1ppm:8、8’、8’’につく炭素原子、
113.9ppm、129.8ppm、136.6ppm:2,2’、2’’、3、3’、3’’、4、4’、4’’、6、6’、6’’、7、7’、7’’につく炭素原子、
156.4ppm:5、5’、5’’につく炭素原子。
[質量分析]
TPTの質量分析は、直接導入EI−MS測定(JEOL,JMS−SX10)を用いて測定を行った。
MH+に相当するピークはm/z=515の位置に検出され、TPTの分子量である514.76と一致した。
参考施1:
本発明の多官能チオール化合物とポリエン化合物を光重合開始剤存在下、紫外線硬化させることにより硬化物を作成し、その耐水性について検討した。
TPT 0.50gとTMP3A(共栄社化学(株)製,トリメチロールプロパントリアクリレート,商品名「ライトアクリレートTMPA」)0.50gとIrg184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製,商品名「イルガキュア(登録商標)184」)0.02gを混合し均一に溶解させた。この液を、フッ素コートした2枚のガラス板にはさみ、ウシオ電機(株)製超高圧水銀ランプにて紫外線照射(3J/cm2)することにより厚さ0.7mmの硬化物を作成した。この硬化物をコマックス製レーザー加工機(VD7050−15W)でカットし、幅10mm長さ20mmの試験片を作成した。試験片を水あるいは5質量%水酸化ナトリウム水溶液に入れ、23℃で7日間浸漬し、浸漬前後の質量を比較した。結果を表1に示す。
比較参考例1〜2:
TPTの代わりにPE1(昭和電工(株)製,ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート),商品名「カレンズ(登録商標)PE1」,チオール基当量139g/eq)0.50gあるいは3−800(コグニスジャパン(株)製,商品名「キャップキュア(登録商標)3−800」,チオール基当量278g/eq)0.50gを用いた以外は参考例1と同様の操作により耐水・耐アルカリ試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2011032202

Claims (9)

  1. 一般式(2)
    Figure 2011032202
    (式中、Aはn官能性の芳香族基を表わし、nは2〜4の整数である。)
    で示される化合物のn個のフェノール性水酸基を、一般式(3)
    Figure 2011032202
    (式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、mは1〜4の整数である。)
    で示されるカルボニル基を持つアルコキシ基に置換する工程1、
    前記カルボニル基を還元して水酸基に変換する工程2、及び
    前記水酸基をメルカプト基に変換する工程3を含むことを特徴とする一般式(1)
    Figure 2011032202
    (式中の記号は前記と同じ意味を表わす。)
    で示される芳香族エーテル系多官能二級チオール化合物の製造方法。
  2. 前記一般式(1)で示されるチオール化合物が、一般式(4)
    Figure 2011032202
    (式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R2は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、mは1〜4の整数であり、aは1〜2の整数であり、bは2〜4の整数であり、cは0または1〜2の整数であり、a+bは4である。)
    で示される請求項1に記載のチオール化合物の製造方法。
  3. 前記一般式(4)で示されるチオール化合物が、一般式(5)
    Figure 2011032202
    (式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R2は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、mは1〜4の整数であり、cは0または1〜2の整数である。)
    で示される請求項2に記載のチオール化合物の製造方法。
  4. 前記一般式(4)で示されるチオール化合物が、一般式(6)
    Figure 2011032202
    (式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R2は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、mは1〜4の整数であり、cは0または1〜2の整数である。)
    で示される請求項2に記載のチオール化合物の製造方法。
  5. 前記一般式(1)で示されるチオール化合物が、一般式(7)
    Figure 2011032202
    (式中、Bは単結合または酸素原子を表わし、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基を表わし、mは1〜4の整数であり、cは0または1〜2の整数である。)
    で示される請求項1に記載のチオール化合物の製造方法。
  6. 前記一般式(1)で示されるチオール化合物が、一般式(1−1)で
    Figure 2011032202
    (式中の記号は請求項1の記載と同じ意味を表わす。)
    で示される請求項1に記載のチオール化合物の製造方法。
  7. 前記一般式(1)で示されるチオール化合物が、一般式(1−2)
    Figure 2011032202
    (式中の記号は請求項1の記載と同じ意味を表わす。)
    で示される請求項1に記載のチオール化合物の製造方法。
  8. 水酸基をメルカプト基に変換する前記工程3が、
    水酸基をp−トルエンスルホン酸誘導体でトシル化する工程3−1−1、
    前記工程で得られたトシル化体をチオ酢酸またはチオ酢酸金属塩でチオ酢酸エステル体とする工程3−1−2、及び
    前記チオ酢酸エステル体を還元してメルカプト基に変換する工程3−1−3を含む請求項1に記載のチオール化合物の製造方法。
  9. 水酸基をメルカプト基に変換する前記工程3が、
    水酸基とチオ尿素を反応させることによりイソチオ尿素化合物を合成する工程3−2−1、及び
    イソチオ尿素化合物を塩基と反応させた後、酸と反応させてメルカプト基に変換する工程3−2−2を含む請求項1に記載のチオール化合物の製造方法。
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