以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
(インクジェット記録装置の全体構成)
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示した構成図である。同図に示すインクジェット記録装置10は、色材を含有するインクと該インクを凝集させる機能を有する凝集処理液を用いて、所定の画像データに基づいて記録媒体14の記録面に画像を形成する2液凝集方式の記録装置である。
インクジェット記録装置10は、主として、給紙部20、処理液塗布部30、描画部40、乾燥処理部50、定着処理部60、及び排出部70を備えて構成される。処理液塗布部30、描画部40、乾燥処理部50、定着処理部60の前段に搬送される記録媒体14の受け渡しを行う手段として渡し胴32,42,52,62が設けられるとともに、処理液塗布部30、描画部40、乾燥処理部50、定着処理部60のそれぞれに記録媒体14を保持しながら搬送する手段として、ドラム形状を有する圧胴34,44,54,64が設けられている。
渡し胴32〜62及び圧胴34〜64は、外周面の所定位置に記録媒体14の先端部を挟んで保持するグリッパー80A,80Bが設けられている。グリッパー80Aとグリッパー80Bにおける記録媒体14の先端部を挟んで保持する構造、及び他の圧胴又は渡し胴に備えられるグリッパーとの間で記録媒体14の受け渡しを行う構造を同一であり、かつ、グリッパー80Aとグリッパー80Bは、圧胴34の外周面の圧胴34の回転方向について180°移動させた対称位置に配置されている。
グリッパー80A,80Bにより記録媒体14の先端部を狭持した状態で渡し胴32〜62及び圧胴34〜64を所定の方向に回転させると、渡し胴32〜62及び圧胴34〜64の外周面に沿って記録媒体14が回転搬送される。
なお、図1中、圧胴34に備えられるグリッパー80A,80Bのみ符号を付し、他の圧胴及び渡し胴のグリッパーの符号は省略する。
給紙部20に収容されている記録媒体(枚葉紙)14が処理液塗布部30に給紙されると、圧胴34の外周面に保持された記録媒体14の記録面に、凝集処理液(以下、単に「処理液」と記載することがある。)が付与される。なお、「記録媒体14の記録面」とは、圧胴34〜64の保持された状態における外側面であり、圧胴34〜64に保持される面と反対面である。
その後、凝集処理液が付与された記録媒体14は描画部40に送出され、描画部40において記録面の凝集処理液が付与された領域に色インクが付与され、所望の画像が形成される。
さらに、該色インクによる画像が形成された記録媒体14は乾燥処理部50に送られ、乾燥処理部50において乾燥処理が施されるとともに、乾燥処理後に定着処理部60に送られ、定着処理が施される。乾燥処理及び定着処理が施されることで、記録媒体14上に形成された画像が堅牢化される。このようにして、記録媒体14の記録面に所望の画像が形成され、該画像が記録媒体14の記録面に定着した後に、排出部70から装置外部に搬送される。
以下、インクジェット記録装置10の各部(給紙部20、処理液塗布部30、描画部40、乾燥処理部50、定着処理部60、排出部70)について詳細に説明する。
(給紙部)
給紙部20は、給紙トレイ22と不図示の送り出し機構が設けられ、記録媒体14は給紙トレイ22から一枚ずつ送り出されるように構成されている。給紙トレイ22から送り
出された記録媒体14は、渡し胴(給紙胴)32のグリッパ(不図示)の位置に先端部が位置するように不図示のガイド部材によって位置決めされて一旦停止する。
(処理液塗布部)
処理液塗布部30は、給紙胴32から受け渡された記録媒体14を外周面に保持して記録媒体14を所定の搬送方向へ搬送する圧胴(処理液ドラム)34と、処理液ドラム34の外周面に保持された記録媒体14の記録面に処理液を付与する処理液塗布装置36と、含んで構成されている。処理液ドラム34を図1における反時計回りに回転させると、記録媒体14は処理液ドラム34の外周面に沿って反時計回り方向に回転搬送される。
図1に示す処理液塗布装置36は、処理液ドラム34の外周面(記録媒体保持面)と対向する位置に設けられている。処理液塗布装置36の構成例として、処理液が貯留される処理液容器と、処理液容器の処理液に一部が浸漬され、処理液容器内の処理液を汲み上げる汲み上げローラと、汲み上げローラにより汲み上げられた処理液を記録媒体14上に移動させる塗布ローラ(ゴムローラ)と、を含んで構成される態様が挙げられる。
なお、該塗布ローラを上下方向(処理液ドラム34の外周面の法線方向)に移動させる塗布ローラ移動機構を備え、該塗布ローラとグリッパー80A,80Bとの衝突を回避可能に構成する態様が好ましい。
処理液塗布装置36により記録媒体14に付与される処理液は、描画部40で付与されるインク中の色材(顔料)を凝集させる色材凝集剤を含有し、記録媒体14上で処理液とインクとが接触すると、インク中の色材と溶媒との分離が促進される。
処理液塗布部30は、記録媒体14に塗布される処理液量を計量しながら塗布することが好ましく、記録媒体14上の処理液の膜厚は、描画部40から打滴されるインク液滴の直径より十分に小さくすることが好ましい。
(描画部)
描画部40は、記録媒体14を保持して搬送する圧胴(描画ドラム)44と、記録媒体14を描画ドラム44に密着させるための用紙抑えローラ46と、記録媒体14にインクを付与するインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yを備えている。なお、描画ドラム44の基本構造は、先に説明した処理液ドラム34と共通しているので、ここでの説明は省略する。
用紙抑えローラ46は、描画ドラム44の外周面に記録媒体14を密着させるためのガイド部材であり、描画ドラム44の外周面に対向し、渡し胴42と描画ドラム44との記録媒体14の受渡位置よりも記録媒体14の搬送方向下流側であり、且つ、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yよりも記録媒体14の搬送方向上流側に配置される。
渡し胴42から描画ドラム44に受け渡された記録媒体14は、グリッパ(符号省略)によって先端が保持された状態で回転搬送される際に、用紙抑えローラ46によって押圧され、描画ドラム44の外周面に密着する。このようにして、記録媒体14を描画ドラム44の外周面に密着させた後に、描画ドラム44の外周面から浮き上がりのない状態で、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの直下の印字領域に送られる。
インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yはそれぞれ、マゼンダ(M)、黒(K)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色のインクに対応しており、描画ドラム44の回転方向(図1における反時計回り方向)に上流側から順に配置されるとともに、イ
ンクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yのインク吐出面(ノズル面、図2に符号100Aを付して図示する。)が描画ドラム44に保持された記録媒体14の記録面と対向するように配置される。なお、「インク吐出面(ノズル面)」とは、記録媒体14の記録面と対向するインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの面であり、後述するインクが吐出されるノズル(図1中不図示、図2に符号102を付して図示する。)が形成される面である。
また、図1に示すインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yは、描画ドラム44の外周面に保持された記録媒体14の記録面とインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yのノズル面が略平行となるように、水平面に対して傾けられて配置されている。
インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yは、記録媒体14における画像形成領域の最大幅(記録媒体14の搬送方向と直交する方向の長さ)に対応する長さを有するフルライン型のヘッドであり、記録媒体14の搬送方向と直交する方向に延在するように固定設置される。
インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yのノズル面(液体吐出面)には、記録媒体14の画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルがマトリクス配置されて形成されている。
記録媒体14がインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの直下の印字領域に搬送されると、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yから記録媒体14の凝集処理液が付与された領域に画像データに基づいて各色のインクが吐出(打滴)される。
インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yから、対応する色インクの液滴が、描画ドラム44の外周面に保持された記録媒体14の記録面に向かって吐出されると、記録媒体14上で処理液とインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料系色材)又は不溶化する色材(染料系色材)の凝集反応が発現し、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体14上に形成された画像における色材の移動(ドットの位置ズレ、ドットの色ムラ)が防止される。
また、描画部40の描画ドラム44は、処理液塗布部30の処理液ドラム34に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yに処理液が付着することがなく、インクの吐出異常の要因を低減することができる。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
(乾燥処理部)
乾燥処理部50は、画像形成後の記録媒体14を保持して搬送する圧胴(乾燥ドラム)54と、該記録媒体14上の水分(液体成分)を蒸発させる乾燥処理を施す乾燥処理装置56を備えている。なお、乾燥ドラム54の基本構造は、先に説明した処理液ドラム34及び描画ドラム44と共通しているので、ここでの説明は省略する。
乾燥処理装置56は、乾燥ドラム54の外周面に対向する位置に配置され、記録媒体1
4に存在する水分を蒸発させる処理部である。描画部40により記録媒体14にインクが付与されると、処理液とインクとの凝集反応により分離したインクの液体成分(溶媒成分)及び処理液の液体成分(溶媒成分)が記録媒体14上に残留してしまうので、かかる液体成分を除去する必要がある。
乾燥処理装置56は、ヒータによる加熱、ファンによる送風、又はこれらを併用して記録媒体14上に存在する液体成分を蒸発させる乾燥処理を施し、記録媒体14上の液体成分を除去するための処理部である。記録媒体14に付与される加熱量及び送風量は、記録媒体14上に残留する水分量、記録媒体14の種類、及び記録媒体14の搬送速度(干渉処理時間)等のパラメータに応じて適宜設定される。
乾燥処理装置56による乾燥処理が行われる際に、乾燥処理部50の乾燥ドラム54は、描画部40の描画ドラム44に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yにおいて、熱又は送風によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの吐出異常の要因を低減することができる。
記録媒体14のコックリングの矯正効果を発揮させるために、乾燥ドラム54の曲率を0.002(1/mm)以上とするとよい。また、乾燥処理後の記録媒体の湾曲(カール)を防止するために、乾燥ドラム54の曲率を0.0033(1/mm)以下とするとよい。
また、乾燥ドラム54の表面温度を調整する手段(例えば、内蔵ヒータ)を備え、該表面温度を50℃以上に調整するとよい。記録媒体14の裏面から加熱処理を施すことによって乾燥が促進され、次段の定着処理時における画像破壊が防止される。かかる態様において、乾燥ドラム54の外周面に記録媒体14を密着させる手段を具備するとさらに効果的である。記録媒体14を密着させる手段の一例として、真空吸着、静電吸着などが挙げられる。
なお、乾燥ドラム54の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム54の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75℃以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
このように構成された乾燥ドラム54の外周面に、記録媒体14の記録面が外側を向くように(すなわち、記録媒体14の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥処理を施すことで、記録媒体14のシワや浮きに起因する乾燥ムラが確実に防止される。
(定着処理部)
定着処理部60は、記録媒体14を保持して搬送する圧胴(定着ドラム)64と、画像形成がされ、さらに、液体が除去された記録媒体14に加熱処理を施すヒータ66と、該記録媒体14を記録面側から押圧する定着ローラ68と、を備えて構成される。なお、定着ドラム64基本構造は処理液ドラム34、描画ドラム44、及び乾燥ドラム54と共通しているので、ここでの説明は省略する。ヒータ66及び定着ローラ68は、定着ドラム64の外周面に対向する位置に配置され、定着ドラム64の回転方向(図1において反時計回り方向)の上流側から順に配置される。
定着処理部60では、記録媒体14の記録面に対してヒータ66による予備加熱処理が施されるとともに、定着ローラ68による定着処理が施される。ヒータ66の加熱温度は記録媒体の種類、インクの種類(インクに含有するポリマー微粒子の種類)などに応じて
適宜設定される。例えば、インクに含有するポリマー微粒子のガラス転移点温度や最低造膜温度とする態様が考えられる。
定着ローラ68は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体14を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ68は、定着ドラム64に対して圧接するように配置されており、定着ドラム64との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体14は、定着ローラ68と定着ドラム64との間に挟まれ、所定のニップ圧でニップされ、定着処理が行われる。
定着ローラ68の構成例として、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成する態様が挙げられる。かかる加熱ローラで記録媒体14を加熱することによって、インクに含まれるポリマー微粒子のガラス転移点温度以上の熱エネルギーが付与されると、該ポリマー微粒子が溶融して画像の表面に透明の被膜が形成される。
この状態で記録媒体14の記録面に加圧を施すと、記録媒体14の凹凸に溶融したポリマー微粒子が押し込み定着されるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、好ましい光沢性を得ることができる。なお、画像層の厚みやポリマー微粒子のガラス転移点温度特性に応じて、定着ローラ68を複数段設けた構成も好ましい。
また、定着ローラ68の表面硬度は71°以下であることが好ましい。定着ローラ68の表面をより軟質化することで、コックリングにより生じた記録媒体14の凹凸に対して追随効果を期待でき、記録媒体14の凹凸に起因する定着ムラがより効果的に防止される。
図1に示すインクジェット記録装置10は、定着処理部60の処理領域の後段(記録媒体搬送方向の下流側)には、インラインセンサ82が設けられている。インラインセンサ82は、記録媒体14に形成された画像(又は記録媒体14の余白領域に形成されたチェックパターン)を読み取るためのセンサであり、CCDラインセンサが好適に用いられる。
本例に示すインクジェット記録装置10は、インラインセンサ82の読取結果に基づいてインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの吐出異常の有無が判断される。また、インラインセンサ82は、水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段を含む態様も可能である。かかる態様において、水分量、表面温度、光沢度の読取結果に基づいて、乾燥処理部50の処理温度や定着処理部60の加熱温度及び加圧圧力などのパラメータを適宜調整し、装置内部の温度変化や各部の温度変化に対応して、上記制御パラメータが適宜調整される。
(排出部)
図1に示すように、定着処理部60に続いて排出部70が設けられている。排出部70は、張架ローラ72A,72Bに巻きかけられた無端状の搬送ベルト74と、画像形成後の記録媒体14が収容される排出トレイ76と、を備えて構成されている。
定着処理部60から送り出された定着処理後の記録媒体14は、搬送ベルト96によって搬送され、排出トレイ92に排出される。
(インクジェットヘッドの構造)
次に、描画部40に具備されるインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Y
の構造について説明する。なお、各色に対応するインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号200によってインクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)を示すものとする。
図2はヘッド100の構造例を示す平面透視図である。以降、本明細書において、先に説明した図と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略することとする。
図2に示すように、ヘッド100のノズル面には、記録媒体14の全幅Wmに対応する長さにわたって複数のノズル102が並べられた構造を有するフルライン型ヘッドである。なお、記録媒体14の搬送方向Sは副走査方向と呼ばれることがあり、記録媒体14の搬送方向Sと直交する方向Mは主走査方向と呼ばれることがある。
記録媒体14上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド100におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド100は、図2に示すように、インク吐出口であるノズル102と、各ノズル102と連通する圧力室104と、不図示の共通流路と各圧力室104とを連通させる供給口106等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)108をマトリクス配置した構造を有し、これにより、ヘッド100の長手方向である主走査方向に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(図3に符号Pnを付して図示する投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
ノズル102と連通する圧力室104は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル102が設けられ、他方に供給口106が設けられている。なお、圧力室104の形状は本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図3は、図2に図示したヘッド100の一部を拡大した拡大図である。同図に示すように、ノズル102及び圧力室104等からなるインク室ユニット108を、主走査方向(符号Mを付して図示)に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θ(0°<θ<90°)を有する斜めの列方向(符号S’を付して図示する。)に沿って一定の配列パターンでマトリクス配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度θをなす方向に沿ってインク室ユニット108を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルの投影ノズルピッチPnはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル102が一定のピッチPnで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列は、1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度配置を実現することが可能になる。
なお、記録媒体14の全幅Wmに対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図2の構成に代えて、図4に示すように、複数のノズル102が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール100’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで長尺化することにより、全体として記録媒体14の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
また、図5に示すように、記録媒体14の全幅に満たない短尺のヘッドモジュール100”を一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。同図において、列方向(図2参照)に沿って並べられたノズル102は斜めの実線で図示されている。
図6は、図2に示すヘッド100(インク室ユニット108)の立体構造を示す断面図(図2中A−A線に沿う断面図)である。
ノズル102と連通する圧力室104は、供給口106を介して共通流路110と連通している。共通流路110はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、該インクタンクから供給されるインクは共通流路110を介して各圧力室104に供給される。
圧力室104の上面を構成する振動板112には、個別電極114と共通電極116とを具備し、個別電極114と共通電極116との間に圧電体部118がはさまれた構造を有する圧電素子120が接合されている。また、図6に示すヘッド100は、圧力室104、供給口106、及び共通流路110などの流路構造が形成された構造体に、ノズル102の開口部122が形成されるノズル板124を接合した構造を有している。
個別電極114と共通電極116との間に所定の駆動電圧を印加することによって圧電素子120及び振動板112が変形し、これに伴い圧力室104の容積が変化する。圧力室104の容積変化により圧力室104内部のインクに圧力変化が生じ、圧力室104の容積変化に対応する体積のインクがノズル102から吐出される。インクが吐出された後は、圧電素子120及び振動板112が元の状態に戻る際に、共通流路110から供給口106を通って新しいインクが圧力室104に充填される。
本例では、ヘッド100に設けられたノズル102から吐出させるインクの吐出力発生手段として圧電素子120を適用したが、圧力室104内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
(制御系の説明)
図7は、インクジェット記録装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース140、システム制御部142、搬送制御部144、画像処理部146、ヘッド駆動部148を備えるとともに、記憶部(メモリ)150、一時記憶部152を備えている。
通信インターフェース140は、ホストコンピュータ154から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース140は、USB(Universal Serial Bus)などのシリアルインターフェースを適用してもよいし、セントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用してもよい。通信インターフェース140は、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
システム制御部142は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能し、さらに、記憶部150及び一時記憶部152のメモリコントローラとして機能する。すなわち、システム制御部142は、通信インターフェース140、搬送制御部144等の各部を制御し、ホストコンピュータ154との間の通信制御、記憶部150及び一時記憶部152の読み書き制御等を行うとともに、上記の各部を制御する制御信号を生成する。
ホストコンピュータ154から送出された画像データは通信インターフェース140を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、画像処理部146によって所定の画像処理が施される。
画像処理部146は、画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号(画像)処理機能を有し、生成した印字データをヘッド駆動部148に供給する制御部である。画像処理部146において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッド駆動部148を介してヘッド100の吐出液滴量(打滴量)や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。なお、図7に示すヘッド駆動部148には、ヘッド100の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
また、搬送制御部144は、画像処理部146により生成された印字制御用の信号に基づいて記録媒体14(図1参照)の搬送タイミング及び搬送速度を制御する。図7における搬送駆動部156は、図1の圧胴34〜64を回転させるモータや、渡し胴32〜62を回転させるモータ、給紙部20における記録媒体14の送出機構のモータ、排出部70の張架ローラ72A(72B)を駆動するモータなどが含まれ、搬送制御部144は上記のモータのドライバーとして機能している。
記憶部150は、システム制御部142のCPUが実行するプログラムや、装置各部の制御に必要な各種データ、制御パラメータなどが格納されており、システム制御部142を通じてデータの読み書きが行われる。記憶部150は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。また、外部インターフェースを備え、着脱可能な記憶媒体を用いてもよい。
一時記憶部(一時記憶メモリ)152は、通信インターフェース140を介して入力された画像データを一旦格納する一時記憶手段としての機能や、記憶部150に記憶されている各種プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域(例えば、画像処理部146の作業領域)としての機能を有している。一時記憶部152には、逐次読み書きが可能な揮発性メモリ(RAM)が用いられる。
さらに、このインクジェット記録装置10は、処理液付与制御部160、乾燥処理制御部162、及び定着処理制御部164を備えており、システム制御部142からの指示にしたがって、それぞれ、処理液塗布部30、乾燥処理部50、及びヒータ66、定着ローラ68(図1参照)を含む定着処理部60の各部の動作を制御する。
処理液付与制御部160は、画像処理部146から得られた印字データに基づいて、処理液付与のタイミングの制御を制御するとともに、処理液の付与量を制御する。また、乾燥処理制御部162は、乾燥処理のタイミングを制御するとともに、処理温度、送風量等を制御し、定着処理制御部164は、ヒータ66の温度を制御するとともに、定着ローラ68の押圧を制御する。
検出部166は、図1に示したインラインセンサ82と、インラインセンサ82から出力される読取信号にノズル除去や増幅、波形整形などの所定の信号処理を施す信号処理部を含む処理ブロックである。システム制御部142は、検出部166により得られた検出信号に基づいて、ヘッド100の吐出異常の有無を判断する。
ポンプ制御部170は、圧胴34,44,54,64(図2の搬送ドラム200)に記録媒体14(図1参照)を固定保持するための吸着圧力を発生させる真空ポンプ172(「吸着圧力発生手段」に相当する。)の制御を行う。例えば、所定の処理を終えた記録媒体が描画部40の圧胴44に供給されると、圧胴44の真空流路と接続された真空ポンプ172を動作させて、記録媒体の種類やサイズ、曲げ剛性に応じた真空(負圧)を発生させる。
すなわち、システム制御部142が記録媒体の種類の情報を取得すると、当該記録媒体の情報がポンプ制御部170に送られる。ポンプ制御部170は、当該記録媒体の情報に応じて吸着圧力を設定し、その設定に従って真空ポンプ172のオンオフ及び発生圧力を制御する。
例えば、薄紙等の曲げ剛性の低い記録媒体を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を低く設定し、厚紙等の曲げ剛性の高い記録媒体を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を高く設定する。また、記録媒体の厚みに応じて、厚い記録媒体を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を高く設定し、薄い記録媒体を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を低く設定する。なお、記録媒体の種類(厚み、曲げ剛性)と吸着圧力を対応付けしてデータテーブル化しておき、所定のメモリ(例えば、図7の記憶部150)に記憶しておくとよい。
図7には、真空ポンプ172を1つだけ図示したが、圧胴34,44,54,64のそれぞれに真空ポンプ172を備えてもよいし、制御弁などの切換手段を真空流路の途中に設け、1つの真空ポンプを選択的に切り換えて、複数の圧胴に対応してもよい。
(記録媒体を保持・搬送する媒体固定装置の説明)
次に、記録媒体14を保持した状態で所定の搬送方向に搬送する圧胴34,44,54,64の構造について詳説する。本例では、圧胴34,44,54,64の記録媒体14を保持する構造には共通の構造が適用されるので、ここでは、圧胴34,44,54,64を搬送ドラム200(「媒体保持手段」に相当)として説明する。
(第1実施形態)
図8は、搬送ドラム200の全体構造を示す斜視図である。同図に示すように、搬送ドラム200は、不図示の回転機構に連結され、軸受け(不図示)により支持される回転軸202の周りを、該回転機構の動作によって回転可能に構成される回転体部材である。
また、搬送ドラム200の記録媒体14(図1参照)が保持(固定)される媒体保持面(周面)204には、媒体吸着領域206(図8にドットハッチを付して図示した領域)が設けられており、媒体吸着領域206には多数の吸着穴が設けられている。なお、図示の都合上、図8では媒体吸着領域206における各吸着穴を個別に図示しないが、図11に符号272を付して吸着穴を図示する。
一方、図8において、符号208A〜208Dで示したように、搬送ドラム200の軸方向(回転軸202と平行方向、以下「ドラム軸線方向」という。)の略中央部(208A)と、中央から左右に約1/4のドラム長の位置(208B)、更に左右両端部の近傍(208C)、左右両端部(208D)に、吸着穴が設けられていない非開口部がドラム周方向に沿って帯状に一定幅で設けられている。なお、この非開口部208A〜208Dは、後述するドラム本体部(図8中不図示、図9に符号236を付して図示する。)に形成されるドラム吸着溝(図8中不図示、図9に符号232を付して図示する。)の位置に対応し、吸着シート230の裏面に形成される吸着溝(図8中不図示、図10に符号260,262を付して図示する。)の絞り部(図8中不図示、図10に符号264,266を付して図示する。)の背後を塞ぐように設けられている。以下、必要に応じて、非開口部208A〜208Dを符号208と記載する場合がある。
図8に示す非開口部208A〜208C(ドラム軸線方向両端の非開口部208Dを除く非開口部208)は、記録媒体の後端部に対応する位置にドラム軸線方向に沿う補助吸着溝210が設けられている。図8には、非開口部208A〜208Cについて、ドラム軸線方向に沿う複数の補助吸着溝210,210,(→同じ符号を付した複数の同じ構成
が連続していることを意味する記載です。「補助吸着溝210」と記載しても問題ありません。)が、ドラム外周面に沿うドラム周方向に沿って配置されている態様を示す。各補助吸着溝210,210,は、媒体保持面204に設けられる吸着穴(図15に示す補助吸着溝連通穴290)と連通する構造を有している。なお、補助吸着溝210,210の詳細については後述する。
図8に示す搬送ドラム200の内部には、媒体吸着領域206の吸着穴と連通する吸引用の真空流路が設けられており、該真空流路は、搬送ドラム200の側面に設けられた不図示の真空配管系(配管、ジョイント等)、及び搬送ドラム200の回転軸202の内部に設けられた真空流路(不図示)を介して搬送ドラム200の外部に設けられた真空ポンプ172(図7参照)に接続されている。該真空ポンプを動作させて真空(負圧)を発生させると、吸着穴及び真空流路等を介して記録媒体14に吸着圧力が付与される。すなわち、搬送ドラム200は、エア吸着方式により媒体保持面204である周面に記録媒体が保持されるように構成されている。
なお、図8では、図1に図示したグリッパー80A,80Bの図示を省略した。グリッパー、及び該グリッパーを動作させる駆動機構は、搬送ドラム200のドラム軸線方向に沿い、同方向の全長にわたって設けられた凹部222A,222Bに配設される。グリッパーの構成例として、L字形状を有する複数のグリッパー80がドラム軸線方向に沿って等間隔に配置されるとともに、対応可能な記録媒体14の全幅に対応する長さにわたって設けられる態様が挙げられる。グリッパーの配置個数や配置間隔は、対応可能な記録媒体14の全幅に対応して適宜決められている。
図9は、搬送ドラム200の構造を示す分解斜視図である。図9中、図8と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図9に示す搬送ドラム200は、表面側に多数の吸着穴が形成されている吸着シート230と、当該吸着シート230の裏面側に形成される吸着溝(図9中不図示、図10の符号260,262)及び絞り部(図9中不図示、図10に符号264,266を付して図示する。)を介して連通するドラム吸着溝232,232,を備えたドラム本体部236と、を含んで構成されている。ドラム本体部236の周面に設けられたドラム吸着溝232の端部には、ドラム本体部236の内部に設けられる不図示の真空流路と連通するドラム吸着穴238が設けられている。
また。図9に示すように、本例のドラム本体部236はドラム周方向に2分割されている。すなわち、ドラム本体部236は、グリッパー等の記録媒体(図1参照)の先端を挟持する機構が設けられた凹部222Bが、凹部222Aの反対側にも設けられており、ドラム周方向について、同様の構成を具備した記録媒体の吸着固定領域が2つ設けられている。なお、各分割領域は同様の構造を有しているので、ここでは、1つの分割領域について説明する。
図9に示すドラム本体部236は、ドラム周方向に2分割された各分割領域について、それぞれ、ドラム軸線方向の異なる位置(中央、両端近傍、中央両端近傍の中間、両端の7箇所)に、複数本のドラム吸着溝232が設けられている。ドラム軸線方向の各位置(7箇所)についてドラム周方向に2分割した2本のドラム吸着溝232が設けられているため、1つの分割領域内において、合計14本(=7列×2)のドラム吸着溝232を備える。同様の構成をドラム本体部236の全周にわたって適用すると、分割領域が2つあるので、合計28本のドラム吸着溝232を備える。
各ドラム吸着溝232の一方の端部にはドラム吸着穴238が設けられ、ドラム吸着溝
232は、ドラム吸着穴238を介してドラム本体部236の内部に設けられた真空流路(不図示)と連通されている。該真空流路は、ドラム本体部236に設けられた不図示の真空配管系及び回転軸202の内部に設けられた真空流路を介して真空ポンプ172(図7参照)と接続される。
図9に示すドラム本体部236の周面240には、吸着シート230を固定する際に、吸着シート230に設けられた折り返し構造(L字曲げ構造)を挟み込む溝構造(吸着シート固定用の挟持固定部)242が設けられるとともに、この挟持固定部242のドラム本体部236を挟んで反対側に、吸着シート230の折り返し構造(L字曲げ構造)を挟み込んだ状態で吸着シート230のドラム周方向に沿ってテンションをかける引張機構244が設けられている。
なお、ドラム本体部236の挟持固定部242及び引張機構244は、吸着シート230を密着させて固定できる構造であればよい。本例に示す搬送ドラム200は、吸着シート230をドラム周方向に2枚並べて、搬送ドラム200の全周に所定の真空流路を構成している。すなわち、上述した挟持固定部242と引張機構244は、ドラム周方向の対向する位置の2ヶ所に設けられている。
(吸着シートの構成)
図10は、吸着シート230の裏面の平面図であり、図11は図10の一部拡大図である。図10では、図示の便宜上、吸着穴の記載を省略し、吸着シート230裏面のパターンのみを示した。
図10において符号250〜256で示す太線で囲まれた矩形領域は、記録媒体14(図1参照)のサイズ別(第1サイズ〜第4サイズ)の吸着位置を表している。符号250で示す第1サイズはB4裁(542mm×382mm)、符号252で示す第2サイズは四六四裁(545mm×394mm)、符号254で示す第3サイズはA半裁(625mm×440mm)、符号256で示す第4サイズは菊半裁(636mm×469mm)に対応している。
同図において、吸着シート230の下端(符号258を付して図示する。)が記録媒体の先端であり、吸着シート230のドラム軸線方向の中心線(CL)が記録媒体のセンタ位置となる。図示のような位置関係で記録媒体(不図示)が吸着シート230の表面側に吸着保持される。
図10に示すように、吸着シート230の裏面側には、各吸着穴(不図示)と連通する複数の吸着溝260,262が複数種類の記録媒体のサイズに対応して所定の配列パターンに従って設けられている。また、四隅の角部には、吸着シートの剛性や熱伝導を均一化するためのダミーエッチ部(吸着溝260,262と同一の深さを有する凹部)が設けられている。同図では、ドラム軸線方向に沿った吸着溝260,262のパターンを例示するが、溝の形状や溝の配置形態(パターン)は本例に限定されず、記録媒体のサイズに対応して各吸着溝260,262の形状、長さ、溝方向、本数、配置形態が設計される。
本例の吸着シート230では、記録媒体の後端部分を吸着する吸着溝260(以下「第1吸着溝260」という。)の溝幅W1が、記録媒体の中央部分(用紙端部以外の内側部分)を吸着する吸着溝262(以下「第2吸着溝262」という。)の溝幅W2に比べて広く(W1>W2)、第1吸着溝260の溝長さ(絞り部264からのドラム軸線方向の長さ)L1は、第2吸着溝262の溝長さL2と同一か、第2吸着溝262の溝長さL2に比べて短い(L1≦L2)。
第1吸着溝260の端部には、他の部分(溝幅W1の部分)に比べて流路断面積の小さい絞り部264が形成されている。
また、図10に示すように、吸着シート230におけるドラム軸線方向の中央部分(CL)では、絞り部264を共有する2つの第1吸着溝260,260が、絞り部264を挟んで左右に分かれて配置されており、これらドラム軸線方向に並ぶ2つの第1吸着溝260,260が共通の絞り部264を介して連通した構造となっている。
記録媒体の後端部以外の部分(主に、記録媒体の中央部分)を吸着する位置に配置される第2吸着溝262についても同様に、各第2吸着溝262の端部には、他の部分(溝幅W2の部分)に比べて流路断面積の小さい絞り部266が形成されている。
絞り部264,266は、図9で説明したドラム吸着溝232と連通する構造となっており、かつ、吸着シート230の非開口部208A〜208Dによって媒体保持面204側の開口部分が塞がれて、直接的に大気開放されない構造になっている。
絞り部264,266の溝幅は、0.2mm以上5.0mm以下が好ましく、1.0mm以上3.0mm以下であることがより好ましい。また、絞り部264,266のドラム軸線方向の長さは2.0mm以上10.0mm以下であることが好ましい。
本例の場合、第1吸着溝260の絞り部264は、第2吸着溝262の絞り部266よりも流路断面積が大きい溝部となっている。第2吸着溝262の絞り部266に比べて、第1吸着溝260の絞り部264の吸引流量を増大させる形態としては、溝幅を広くして流路断面積を大きくする形態に限らず、これに代えて、又はこれと組み合わせて、絞り部264,266の長さを短くする形態、或いは、絞り部264の溝深さを深くする形態も可能である。
図9で説明した構成により、用紙後端部に対応する部分に配置される第1吸着溝260の単位長さ当たりの吸い込み流量(吸引流量)を、用紙中央部分に配置される第2吸着溝262の流量よりも多くすることができ、用紙後端部の吸引力を高めることができる。このため、厚紙など腰の強い用紙を効率的に吸着することができる。
用紙の後端部分は、吸い込みの際の空気漏れが発生しやすい。その一方、用紙の中央部分(内側)の溝(第2吸着溝262)はそのような漏れが発生しにくい。そのため、用紙の後端部分付近に必要な吸気流量を確保できるように、第1吸着溝260の幅W1を広くするとともに、絞り部264の断面積も大きくする溝構造を採用する態様が好ましい。
更に、本例の吸着シート230では、第1吸着溝260の中に凸形状を有する島状のリブ268,270が形成されている。リブ268,270の高さは、第1吸着溝260の深さと概ね同等である。リブ268は、ドラム軸線方向に平行な破線状に形成されている。また、ドラム軸線方向に沿って破線状に並ぶリブ268の列(リブ列)が同じ第1吸着溝260内に複数列(図4では2列)平行に形成されている。リブ列間の距離は、概ね、第2吸着溝262の溝幅W2と等しいものとなっている。
また、ドラム軸線方向に平行に並ぶリブ268の切れ目の部分には、ドラム軸線方向と直交する方向に沿って、リブ270が点線(破線)状に形成されている。
このように、それぞれ分断された島状のリブ268,270を設けたことにより、吸着シート230上に吸着保持される記録媒体の円弧面に対するへこみを防止することができ、スローディスタンスを均一にすることができる。また、分割された島状のリブ268,
270間の隙間を空気が移動できるため、第1吸着溝260の空気の流量を確保することができる。すなわち、第1吸着溝260の任意の位置で発生する漏れに対して、当該溝の他の部分から大きい流量を供給することができる。
仮に、溝内にリブ268,270を設けないとすると、記録媒体を吸引吸着する際に、吸着シート230の第1吸着溝260に対応する領域に凹みが生じる場合もある。また、リブ268を連結させて一本の直線状に形成すると、第1吸着溝260内がリブで区画され、実質的に狭幅の流路溝と等価になってしまう(第1吸着溝260の流路断面積が実質的に小さくなってしまう)。これでは、必要な吸い込み流量を確保できなくなる。
上記のような記録媒体の凹み防止、並びに必要な流量確保の観点から、溝内に島状のリブ268,270を形成する形態が好ましい。なお、リブの配列方向、配列形態は特に限定されず、ドラム軸線方向に対して斜めに並ぶ配列形態などでもよい。
ドラム軸線方向に長い第2吸着溝262についても、上記と同様の観点から、島状のリブ270がドラム軸線方向に適度な間隔で設けられている。
更に、用紙後端部に対応する幅広の第1吸着溝260の長さL1を、用紙中央部分を吸着する第2吸着溝262の長さL2の約半分の長さとすると、用紙の後端部については、L2の長さを2つに分けて、絞り部264からの長さがL1の第1吸着溝260をドラム軸線方向に2つ並べる構成により、絞り部264から最も遠い部分でも十分な吸引力を確保することができる。
上記説明では、用紙後端部の吸着力向上の観点を説明したが、図10の記載から明らかなように、用紙の左右両端部やコーナ部分に対応する吸着溝の構造により、用紙中央部と比較して、吸着力の向上が図られている。
(搬送ドラムの流路構造)
上述したように、本例の搬送ドラム200は、ドラム本体部236のドラム吸着溝232と吸着シート230の裏面側の絞り部264,266の位置合わせがされ、ドラム本体部236の周面に吸着シート230を巻きつけて密着固定した構造を有している。
図11には、吸着シート230の吸着穴272、吸着溝262(260)及びドラム吸着溝232の配置関係を図示する。また、図12は、図11に示す吸着シート230の立体構造(図11中、B−B線に沿う断面図)を示す。
図11に示すように、吸着シート230に設けられる吸着穴272の配置パターンは、裏面の吸着溝262のパターンに対応していることが好ましいが、吸着穴272のうち、吸着溝262と連通しないものがあってもよい。
また、絞り部266(264)の幅は、吸着溝262の幅よりも狭く、また、絞り部266と吸着溝262の深さは略同一となっている。すなわち、絞り部266の流路断面積は、吸着溝262の流路断面積よりも小さくなっており、この絞り部266により吸着溝262を流れる空気の流量が制限される。
図12に示すように、吸着穴層230Aの厚みは、裏面側の流路溝形成層230Bの厚みよりも厚くなっており、同図に示す態様では、吸着穴層230Aの厚みに対する流路溝形成層230Bの厚みは略1/2である。
流路溝形成層230Bは、図10で説明した吸着溝266やリブ268,270等のパ
ターンが形成されているシート裏面側の所定厚部分である。流路溝形成層230Bの厚みは、薄ければ薄いほど少ない負圧で高い吸着力を得ることが可能であるが、過度に薄いと、紙粉、ゴミ等の異物による詰まりが起こりやすくなる。このような条件を考慮すると、流路溝形成層196の厚みは、0.05mm〜0.5mm程度が好ましい。
吸着シート230の吸着穴層230Aは、下にリブ268,270が存在しないところでも吸着圧力によって陥没しない程度の剛性を確保する厚みが必要であり、かつ、吸着シート230をドラム本体部236の周面に巻き付けて固定するために、相応の柔軟性が必要である。例えば、ステンレスを用いて製作した吸着シート230の吸着穴層230Aの厚みは、0.1mm〜0.5mmとすることが好ましく、より好ましい厚みは0.2〜0.3mm程度である。
ステンレス以外の材料を用いる場合には、使用する材料の剛性及び柔軟性を考慮して、適宜の厚みに設計される。
(吸着穴の説明)
図13(a)、(b)は、図11に図示した吸着穴272の形状及びパターンの構成例を図示する。吸着シート230(図10参照)の表面側に形成される吸着穴272の形状は、図11に示す略円形状でもよいし、図13(a)に符号272’を付して図示しただ円(長穴)形状でもよいし、図13(b)に符号272”を付して図示した六角形(多角形)形状でもよい。
図13(a)に示す吸着穴272’は、長軸の長さxが2mm、短軸の長さyが1.5mmの長穴形状を有している。長穴形状を有する吸着穴272’の長軸の長さxと短軸の長さyの比率(y/x)は0.5以上1.0以下であることが好ましく、より好ましい長軸の長さxと短軸の長さyの比率は、0.7以上0.9以下である。
なお、図13(b)に示す吸着穴272”のように、吸着シート230の開口率を高めるために、開口形状(吸着穴272”の形状)を六角形などの多角形形状にする態様も好ましい。すなわち、吸着力は、(開口面積)×(単位面積あたりの圧力)で表すことができるので、開口率を高くすることで、吸着力をより高くすることが可能となる。しかし、開口面積をあまり大きくし過ぎると、吸着シート230の凹みや記録媒体14の凹みが問題となるので、隣り合う吸着穴272”の間の土手の部分を残した構造とし、吸着シート230の剛性を確保することが好ましい。
かかる条件を考慮すると、吸着穴272”の形状は、対角線(最も長い対角線)の長さdが1mm程度の六角形が好ましいといえる。更に、吸着穴272”に角(鋭角)形状があると、角部に応力が集中してしまうので、角部を丸めた形状とすることが好ましい。
図14に、吸着穴の他の構造例を示す吸着シート230’の断面図である。同図に示す吸着穴273は、上部273Aの面積(開口面積)が下部273Bの面積(開口面積)よりも大きい形状となっているため、吸着シート230’の強度を保ちながら吸着力を高めることができる。なお、吸着穴273は、連続的に開口面積を異ならせる形状(断面形状が逆テーパとなる形状)でもよい。
図示の吸着穴273の形成方法の例としては、吸着シート230’を吸着溝262(260)と吸着穴273の境界で厚み方向に二分割し、両面からエッチング処理を施す方法や、一体の吸着シート230’に多段で加工(エッチング処理、機械加工処理)を施す方法が挙げられる。
(補助吸着構造の詳細な説明)
次に、補助吸着構造について詳細に説明する。
(第1実施形態)
図15は、図10に図示した吸着シート230の一部拡大図であり、記録媒体14(図1参照)の後端部に対応する部分を拡大したものである。同図は、吸着シート230を表側面(媒体保持面204、図9参照)から見た図であり、同図における左斜め上方向が記録媒体の搬送方向である。
図15に示すように、吸着シート230の非開口部208(図8の非開口部208C)は、媒体保持面204側に補助吸着溝210(210A〜210D)が設けられている。同図には、非開口部208に設けられた補助吸着溝210のみを図示したが、他の非開口部208A,208Bも同様の補助吸着溝210が設けられている。
補助吸着溝210Aは、第1サイズ(図10参照)の記録媒体の後端部の位置280に対応して設けられ、補助吸着溝210B〜210Dは、それぞれ第2〜第4サイズ(図10参照)の記録媒体の後端部の位置282,284,286に対応して設けられている。
補助吸着溝210A〜210Dは、補助吸着溝連通穴290を介してドラム本体部236(図9参照)に設けられた不図示の真空流路と連通する構造を有している。補助吸着溝連通穴290は、補助吸着溝210と連通している以外の構造は他の吸着穴272(図11参照)と同じであり、所定の真空流路を介して真空ポンプ172(図7参照)と接続されている。
非開口部208の記録媒体の後端部に対応する位置に補助吸着溝210を設けることで、記録媒体の後端部をより強力に吸着することが可能となる。また、複数のサイズに対応して複数の補助吸着溝210B〜210Dを備えることで、使用される記録媒体のサイズが変更された場合にも、各サイズについて記録媒体の後端部における浮きが確実に防止される。
換言すると、補助吸着溝210は、複数のサイズの記録媒体に対応して、各サイズの記録媒体の後端部(周囲部)の吸着を補助するための補助吸着構造として機能している。
図15に図示した補助吸着溝210B〜210Dは、第1〜第4サイズの記録媒体のそれぞれの後端部に対応する位置から記録媒体の中央部の方へ10mm以内であると好ましい。また、補助吸着溝210の溝幅は、絞り部264,266(図10参照)の溝幅以下とする態様が好ましく、1mm以下であるとより好ましい。
図15には、非開口部208をドラム軸線方向(非開口部208の幅方向)について、直線状に貫通する構造(平面形状が略直線形状)の補助吸着溝210を例示したが、図16(a)〜(e)に図示するように、平面形状がV字形状でもよいし(図16(a))、非開口部208の略中央部で分断される非貫通構造を有していてもよい(図16(b))参照)。また、補助吸着溝210は平面形状が曲線状(円弧状)でもよいし(図16(C))、波線状でもよい(図16(d))。さらに、ドラム周方向について複数の補助吸着溝210を備える場合には、これらを互いに平行に配置してもよいし、ドラム軸線方向(又は、ドラム周方向)に対して異なる角度をなすように配置してもよい(図16(e))。
(第1変形例)
次に、図15及び図16を用いて説明した第1実施形態に係る補助吸着構造(補助吸着
溝210)の変形例について説明する。
図17は、吸着シート230’の非開口部208を表面側から見た拡大図である。同図に示す非開口部208は、吸着シートを貫通しない非貫通の凹み部292(ドットハッチを付して図示)が所定のパターンに従って配置されている。凹み部292は、第1補助連通溝294を介して吸着穴272と連通している。また、凹み部292同士は第2補助連通溝298を介して連通するように構成されている。
なお、図17では、ドラム吸着溝232及び第1吸着溝260、絞り部264が破線で図示されている。凹み部292の深さは吸着シート230を貫通しない厚みであればよいが、非開口部208の剛性確保及び流量の確保の観点から吸着シート230の厚みの1/4以上1/2以下とするとよい。
(第2変形例)
次に、第1実施形態に係る補助吸着構造の第2変形例について説明する。図18は、本例に示す補助吸着構造を有する吸着シート230”の一部を拡大した図であり、吸着シート230”を裏面側から見た図である。
同図に破線で図示した補助吸着溝210”は、補助連通穴291を介してドラム本体部236に設けられたドラム吸着溝232(図9参照)と直接連通する構造を有している。すなわち、図18に図示した補助連通穴291は、非開口部208に設けられるとともに、ドラム本体部に吸着シート230を重ねた状態で、ドラム本体部のドラム吸着溝に対応する位置に設けられている。
図18に図示した補助連通穴291は、絞り部264の溝幅以下の直径を有する円形状とする態様が好ましい。
上記の如く構成された搬送ドラム200(媒体固定装置)によれば、吸着溝260,262及び吸着穴272が設けられていない非開口部208における、記録媒体14の後端部に対応する位置に、真空ポンプ172と連通する補助吸着溝210を備えることで、記録媒体14の後端部をより強力に吸着することができ、記録媒体14の後端部における浮きが防止される。
また、複数のサイズに対応して複数の補助吸着溝210B〜210Dを備えることで、記録媒体14のサイズが変わった場合にも、記録媒体14の後端部の浮き防止することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る補助吸着構造について説明する。
図19は、本実施形態に係る搬送ドラムに適用される吸着シート330の裏面側の平面図である。同図における矢印線は記録媒体(図1参照)の搬送方向(ドラム周方向)を表している。
図19に示す吸着シート330は、第1吸着溝360、第2吸着溝362の配置や、絞り部364,366の構造など、図10に図示した吸着シート230と基本的な構造は共通している。一方、本例に示す吸着シート330は、記録媒体の後端部にあたる位置(符号382を付して図示した破線)に吸着穴(図11参照)が設けられていない一部が密閉された構造を有する後端特殊溝363を有している。
図19に示す後端特殊溝363は、符号382を付して破線で図示した位置が後端部の位置となるサイズの記録媒体について、該記録媒体の後端部の位置382よりも後ろ側に吸着穴が配置されない密閉された構造を有する密閉部363A(ドットハッチを付して図示する。)が設けられている。
後端特殊溝363の密閉部363Aは、図12に図示した吸着穴層230Aに設けられる吸着穴272がふさがれた構造であり、流路溝形成層230Bは他の吸着溝360と同じ構造となっている。すなわち、後端特殊溝363の溝幅は他の吸着溝360と同じであり、溝幅が狭くなって流路抵抗が増加することにより吸着圧力の低下が生じない構造である。また、密閉部363Aが設けられることで、記録媒体の後端部よりも後ろ側におけるエア漏れが発生せず、圧力損失が防止された構造となっている。
例えば、符号380を付した位置が後端部となる第1サイズの記録媒体と、符号384を付した位置が後端部となる第3サイズの記録媒体との間の、符号382を付した位置が後端部となる第2サイズの記録媒体を使用する場合にも、吸着溝の一部が記録媒体によってふさがれないことによるエア漏れは発生せず、吸着圧力の損失の発生が回避され、サイズの近い記録媒体が使用される場合に対応することが可能となる。
後端特殊溝363に流れる流量を他の吸着溝よりも多くするように構成することで、後端特殊溝363による吸引圧力の低下が防止される。例えば、後端特殊溝363と連通する絞り部の断面積を他の吸着溝と連通する絞り部よりも大きくする、又は後端特殊溝363と連通する絞り部の流路長を他の吸着溝と連通する絞り部よりも短くするなど、流路抵抗を小さくする態様が挙げられる。
(変形例1)
図20(a)は、第2実施形態の変形例1に係る吸着シート330’を表面側から見た平面図であり、図20(b)は吸着シート330’の断面図である。
図20(a)に示すように、吸着シート330’を表面側から見ると、媒体吸着領域306にはドラム軸線方向(両矢印線で図示)に沿って設けられる後端特殊溝363の密閉部363Aは、吸着穴が設けられていない非開口領域となっている。そして、図20(b)に示すように、この密閉部363Aに対応する非開口領域は、非貫通の複数の凹み部392が設けられている。
図20(b)に示す凹み部392は、後端特殊溝363と連通しない構造を有し、その深さは吸着穴372の深さの略1/2となっている。密閉部363Aに対応する非開口領域に凹み部392を設けることで、記録媒体の温度分布を吸着穴372が設けられている媒体吸着領域306と同様に保つことができ、記録媒体の温度分布に起因する画像形成における濃度ムラなどを低減化することが可能となる。
(変形例2)
図21は、図19及び図20で説明した後端特殊溝363を記録媒体の側端部に適用した吸着シート330”を裏面側から見た平面図である。同図に示す吸着シート330”に符号380”を付して破線で図示した記録媒体の側端部に対応する位置に、側端特殊溝363”が設けられている。
側端特殊溝363”は、記録媒体の側端位置380”の外側に、吸着穴372(図20(b)参照)が設けられていない密閉部363A”が設けられている。
図21に示す吸着シート330”は、ドラム周方向(両矢印線で図示)に沿って複数の
吸着溝360”,362”が形成され、吸着溝360”,362”はドラム軸線方向に沿って並ぶように配置されている。さらに、記録媒体の幅方向について最も外側に側端特殊溝363”が設けられている。
側端特殊溝363”は、隣に配置される吸着溝360”と同じ溝幅を有しており、側端特殊溝の流量は隣の吸着溝360”と同じ流量となる。一方、記録媒体の側端部よりも外側に密閉部363A”が設けられているので、記録媒体の外側からのエア漏れが防止される。
上述した変形例2によれば、幅の差が近い(吸着溝360”の溝幅以下の)記録媒体を用いる場合に対応することが可能となる。
図21では、吸着シート330”の一方の側端のみを図示したが、もちろん、吸着シート330”の両側端について側端特殊溝363”を設けてもよい。
(第3実施形態)
次に、図22(a),(b)を用いて、本発明の第3実施形態に係る補助吸着構造ついて説明する。図22(a),(b)における搬送ドラム400は図1の描画ドラム(圧胴)44に対応し、渡し胴402は図1の渡し胴52に対応している。
図22(a)及び図22(b)に図示した搬送ドラム400は、ドラム周方向について複数のドラム吸着溝432A〜423Cが設けられた構造を有している。ドラム本体部には、記録媒体14の搬送方向下流側(記録媒体の先端側)から、ドラム吸着溝432A、ドラム吸着溝432B、ドラム吸着溝432Cがこの順で配置されている。
ドラム吸着溝432Aは主として記録媒体14の先端側を吸着するためのものであり、ドラム吸着溝432Bは記録媒体14の略中央部、ドラム吸着溝432Cは記録媒体14の後方側を吸着するものである。また、記録媒体14の後端部を吸着するドラム吸着溝432Cは、最下流側のインクジェットヘッド48Yを通過するまでは、記録媒体14を次の渡し胴402に受け渡す受渡部404を通過しないように構成されている。
図22(a)に図示した状態は、先端側のドラム吸着溝432Aの先頭部分(記録媒体14の先端部)が受渡部404に到達し、中央部のドラム吸着溝432Bはインクジェットヘッド48Y,48Cの描画領域に位置し、後端側のドラム吸着溝432C(記録媒体14の後端部)はインクジェットヘッド48M,48Kの描画領域に位置している。
図22(a)に図示した状態から記録媒体14の搬送が進行し、後端側のドラム吸着溝432Cがインクジェットヘッド48Y(最下流側ヘッド)の下を通過したときに、このドラム吸着溝432Cは受渡部404を通過していない。
すなわち、搬送ドラム400の受渡部404からインクジェットヘッド48Yまでの間に複数のドラム吸着溝432を配置することで、受渡部404近傍とインクジェットヘッド48Yの近傍を別のドラム吸着溝により吸着することができる。
かかる態様によれば、記録媒体14の後端部が記録媒体搬送方向の最下流側に位置するインクジェットヘッド48Yを通過するまで、記録媒体の後端部を吸着しているドラム吸着溝432Cが受渡部404を超えないように構成されるので、記録媒体14のインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの下に位置する間、記録媒体14の吸着力が低下することなく、記録媒体14が搬送ドラム400から外れてインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yと接触することを防止できる。
図23は、ドラム吸着溝432A〜432Cの構成例を示す平面図である。同図に示すように、記録媒体14(図22参照)の後端部は記録媒体の先端部よりもドラム吸着溝432の数を増やすことで、記録媒体14のサイズが大きくなっても、記録媒体の後端部を固定する吸着溝の長さを短くすることができるので、厚みの大きな記録媒体、剛性の高い記録媒体の後端部を確実の固定することができる。なお、図23に符号480を付して破線で図示した領域は大サイズの記録媒体が固定されるものであり、符号482を付して破線で図示した領域は小サイズの記録媒体が固定されるものである。
また、図示は省略するが、記録媒体の後端部に対応するドラム吸着溝432Cと接続される流路の断面積を他のドラム吸着溝432A,432Bと接続される流路よりも大きくすることで、記録媒体の後端部に対応するドラム吸着溝432Cに供給される流量を他のドラム吸着溝432A,432Bに供給される流量よりも大きくすることができ、記録媒体の後端部をより強力に吸着することが可能となる。
(その他の変形例)
上述の説明では、1枚の吸着シート230(230’,330,330’,330”)の片側面に吸着穴272(372)を形成し、他方の面に吸着溝260,262(360,362)、絞り部264,266(364,366)、及びリブ268,270を形成した一体型の吸着シートを例示したが、本発明の実施に際しては、この例に限定されない。
例えば、吸着穴層230Aに相当する第1シートと、流路溝形成層230Bに相当する第2シート(中間シート)とを別々に構成し、これらを積層する形態も可能である。また、上記実施形態に例示した、ドラム本体136に吸着シート130を巻きつけた構造に限定されず、ドラム本体136及び吸着シート130を一体構成としてもよい。
上述の実施形態では、吸着シート230の裏面側に第1吸着溝260、第2吸着溝262を形成したが、該吸着溝の溝幅が十分に細い場合には、第1吸着溝260、第2吸着溝262を表面側(記録媒体と接する媒体保持面側)に形成する態様も可能である。例えば、図11で説明した吸着穴層230Aを省略し、媒体保持面204に第1吸着溝260、第2吸着溝262を露出させる態様も可能である。なお、この場合、絞り部264,266の上面は塞ぐ形態とすることが好ましい。かかる構成において、該吸着溝は吸着穴として機能する。例えば、図15に示す態様では、補助吸着溝連通穴290に代わり、吸着溝が補助吸着溝210A〜210Dと接続される。また、図17に示す態様では、凹み部292は第1補助連通溝294を介して吸着溝と接続される。
上記の実施形態で説明したように、本発明は圧胴のようなドラム形状(回転体形状)の媒体固定装置に効果的であるが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、ベルト状部材やフラットベッドタイプの媒体固定装置などの直動系にも適用可能である。
上記の実施形態では、用紙の後端部の吸着力を強化する場合を例示したが、後端部に限らず、用紙の先端部、両端部など、いずれの端部について、同様の構成を適用することができる。
(他の装置構成への適用例)
上記の実施形態では画像形成装置の例として、インクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、インクジェット方式だけでなく、レーザ記録方式や電子写真方式など他の方式の画像形成装置にも適用可能である。例えば、サーマル素子を記録素子とする記録ヘッドを備えた熱転写記録装置、LED素子を記録素子とする記録
ヘッドを備えたLED電子写真プリンタ、LEDライン露光ヘッドを有する銀塩写真方式プリンタなど各種方式のカラー画像形成装置についても本発明を適用することが可能である。
また、「画像形成装置」という用語の解釈においては、写真プリントやポスター印刷などのいわゆるグラフィック印刷の用途に限定されず、レジスト印刷装置、電子回路基板の配線描画装置、微細構造物形成装置など、画像として把握できるパターンを形成し得る工業用途の装置も包含する。
<付記>
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
(発明1):シート状の媒体を媒体固定面に固定した状態で前記媒体を所定の方向へ搬送し、前記媒体を吸着する複数の吸着溝を具備するとともに、前記吸着穴が設けられていない吸着溝非配設領域の前記媒体の周囲部に対応して設けられ前記媒体の周囲部の吸着を補助するための補助吸着構造を具備する媒体固定搬送手段と、前記吸着溝及び前記補助吸着構造に連通し、前記媒体を吸引するための吸着圧力を発生させる吸着圧力発生手段と、を備えたことを特徴とする媒体固定装置。
本発明によれば、媒体を吸着する複数の吸着溝を備えた媒体固定装置において、媒体の周囲部の吸着を補助するように構成したので、媒体の周囲部の浮きを確実に防止することができる。
「媒体の周囲部」には、少なくとも媒体の後端部が含まれる。さらに、媒体の側端部を含んでいてもよい。
本発明は、紙類、樹脂シート、金属シートなど様々な種類・材質のシート状の媒体に適用することができる。例えば、厚紙や腰の強いものを用いる場合にも、強力な吸着圧力で媒体を固定することが可能である。
(発明2):発明1に記載の媒体固定装置において、前記補助吸着構造は、前記吸着溝が設けられていない吸着溝非配設領域に設けられる溝形状の補助吸着溝を含むことを特徴とする。
かかる態様によれば、吸着溝が設けられていない吸着溝非配設領域に溝形状の補助吸着溝を備えることで、吸着溝非配設領域の上に位置する部分を強力に吸着することが可能となる。
(発明3):発明2に記載の媒体固定装置において、前記複数の吸着溝は、前記媒体の搬送方向と略直交する方向に沿って設けられるとともに、前記媒体の搬送方向と略平行方向に沿って並ぶように配置され、前記吸着溝非配設領域は、前記媒体の搬送方向と略平行方向に沿って設けられ、前記補助吸着溝は、前記媒体の搬送方向における前記媒体の後端部に対応して設けられ、前記媒体の搬送方向と略直交方向に沿って形成されることを特徴とする。
かかる態様によれば、媒体の後端部を吸着するための補助吸着溝が設けられるので、媒体の後端部は確実に保持され、媒体の後端部のめくれや浮きを効果的に抑制し得る。
(発明4):発明2又は3に記載の媒体固定装置において、前記補助吸着溝は、一方の
端部は前記複数の吸着溝のいずれかと連通し、他方の端部は他の吸着溝と連通する構造を有することを特徴とする。
吸着溝と連通する吸着穴が媒体固定面に設けられる態様では、補助吸着溝は吸着穴と連通されるとともに、吸着穴を介して吸着溝と連通される。
かかる態様によれば、圧力発生手段の吸着圧力を低下させることなく、吸着溝が設けられていない吸着溝非配設領域の上部を吸着することが可能となる。
(発明5):発明2又は3に記載の媒体固定装置において、前記補助吸着溝は、一方の端部において前記複数の吸着溝のいずれかと連通し、他方の端部は前記複数の吸着溝のいずれとも連通していない構造を有することを特徴する。
発明4に記載の構造を有する補助吸着溝と、発明5に記載の構造を有する吸着溝と、を組み合わせた態様も好ましい。
(発明6):発明2乃至5のいずれかに記載の媒体固定装置において、前記補助吸着溝は、前記媒体保持面から見た平面形状が直線形状、円弧形状、波線形状、略V字形状の少なくともいずれかの形状であることを特徴とする。
かかる態様において、上記各形状の補助吸着溝を適宜組み合わせてもよい。
(発明7):発明2乃至6のいずれかに記載の媒体固定装置において、前記補助吸着構造は、前記吸着溝非配接領域に設けられ、前記補助吸着溝と連通する凹み部を含むことを特徴する。
かかる態様によれば、吸着溝非配設領域に供給される流量をより多くすることができ、さらに、吸着溝非配設領域と吸着溝配設領域との間に生じる温度分布の発生を抑制することができる。
かかる態様における凹み部は吸着溝の深さ未満の深さを有し、吸着溝の溝幅未満の幅を有する形状とする態様が好ましい。また、複数の凹み部が設けられる態様では、等間隔に配置される態様が好ましい。
吸着穴が媒体固定面に設けられる態様では、補助吸着溝は吸着穴と連通される。
(発明8):発明2乃至7のいずれかに記載の媒体固定装置において、前記吸着溝のそれぞれの流量を制限する機能を有し、前記吸着溝と連通する構造を有するとともに前記吸着溝非配設領域に対応する位置に設けられる絞り部を介して、前記吸着溝と前記吸着圧力発生手段とを連通させる構造を有することを特徴とする。
かかる態様における「絞り部」とは、吸着溝に流れる流量を制限し、圧力損失を発生させる機能を有する構造である。
(発明9):発明8に記載の媒体固定装置において、前記補助吸着溝は、前記吸着溝非配設領域に設けられた補助連通穴を介して前記複数の吸着溝及び前記吸着圧力発生手段と連通する圧力発生部と接続される構造を有することを特徴とする。
かかる態様によれば、圧力発生部が設けられる吸着溝非配設領域の上部をより強力に吸着することが可能となる。
(発明10):発明1乃至9のいずれかに記載の媒体固定装置において、前記補助吸着構造は、複数のサイズの媒体に対応する複数の位置に設けられることを特徴とする。
かかる態様において、サイズの異なる複数種類の媒体が使用される場合でも、各サイズについて媒体の周囲部を確実に吸着することができる。
(発明11):発明1乃至10のいずれかに記載の媒体固定装置において、前記補助吸着構造は、前記媒体の周囲部に対応する前記吸着溝の一部が前記媒体固定面に開口せずに密閉された構造を有する特殊吸着溝を含むことを特徴する。
かかる態様によれば、複数の媒体が使用される場合に、吸着溝の配置間隔や溝幅よりもサイズの差が小さいときには、当該サイズに対応して特殊吸着溝を設けることで、各サイズについて媒体を確実に吸着することが可能である。
大きなサイズの媒体を吸着する場合に周囲部における吸着圧力が他の部分と比較して小さくなってしまので、かかる態様は、特に効果を発揮する。
(発明12):発明11に記載の媒体固定装置において、前記特殊吸着溝は、前記媒体の周囲部よりも外側が密閉された構造を有することを特徴する。
かかる態様によれば、媒体により遮蔽されない部分を密閉することで、吸着圧力の損失が防止される。
(発明13):発明11又は12に記載の媒体固定装置において、前記特殊吸着溝の密閉部分は、前記吸着圧力発生手段と連通しない構造を有する非連通穴が設けられることを特徴とする。
かかる態様によれば、密閉部分と開放部分の間に生じる温度分布の発生を抑制することができる。
(発明14):発明11乃至13のいずれかに記載の媒体固定装置において、前記特殊吸着溝は、前記媒体の後端部に対応する後端特殊溝を含むことを特徴とする。
かかる態様において、サイズが近い媒体を用いる場合に、いずれのサイズの媒体についても後端部を確実に吸着することができ、媒体の後端部における浮きを防止し得る。
(発明15):発明11乃至14のいずれかに記載の媒体固定装置において、前記特殊吸着溝の流路抵抗は、前記吸着溝の流路抵抗未満であることを特徴とする。
かかる態様によれば、一部を密閉した特殊吸着溝の吸着圧力の低下が防止される。
(発明16):発明9乃至15のいずれかに記載の媒体固定装置において、前記圧力発生部は、前記媒体の搬送方向について、前記媒体のサイズに対応して分割された構造を有することを特徴とする。
かかる態様によれば、媒体を連続的に搬送する場合において、先の媒体から次の媒体へ吸着対象を切り換える際に、先の媒体の搬送が終了する際に発生する当該先の媒体の後端部における浮きやめくれの発生を防止することが可能となる。
(発明17):発明16に記載の媒体固定装置において、前記圧力発生部は、前記媒体の中央部側よりも前記媒体の後端部側に多く設けられていることを特徴とする。
かかる態様によれば、大きなサイズの媒体に対しても媒体の後端部を固定する絞り部の長さを短くすることができ、媒体の後端部を確実に固定することができる。
(発明18):発明16又は17に記載の媒体固定装置において、前記媒体の後端部に設けられる圧力発生部と連通する流路の流路抵抗は、他の圧力発生部と連通する流路の流路抵抗未満であることを特徴とする。
かかる態様によれば、小さいサイズの媒体を吸着するときにも、強い吸着力を得ることができる。
(発明19):発明8乃至18のいずれかに記載の媒体固定装置において、前記媒体保持手段は、前記複数の吸着溝及び前記絞り部が形成されているシート状部材と、前記複数の吸着溝に連結される前記圧力発生部が形成されている本体部と、を備え、前記本体部に前記シート状部材を重ねた構造を有することを特徴とする。
かかる態様によれば、複雑な立体構造を容易に形成することが可能となる。
(発明20):発明19に記載の媒体固定装置において、前記シート状部材は、前記本体部に接する裏面側に前記複数の吸着溝が形成され、媒体保持面となる表側の面に前記吸着溝につながる複数の吸着穴が形成されていることを特徴とする。
かかる態様における複数の吸着穴と発明7に記載の凹み部は共通のパターンで配置される態様が好ましい。
(発明21):発明20に記載の媒体固定装置において、前記媒体の後端部に設けられる前記吸着穴は、上端の面積が下端の面積を超える面積を有する形状であることを特徴とする。
かかる態様によれば、シート状部材の強度を保ちながら、高い吸着圧力を得ることができる。
(発明22):発明1乃至21のいずれかに記載の媒体固定装置において、前記媒体保持手段は、円柱周面に前記媒体を吸着保持するドラム形状を有することを特徴とする。
かかる態様によれば、回転軸についてドラムを回転させることで、外周面に保持された媒体は、外周面に沿って搬送される。
(発明23):発明1乃至22のいずれかに記載の媒体固定装置と、前記媒体に画像記録を行う記録ヘッドと、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
本発明に係る画像形成装置の一態様としてのインクジェット記録装置は、ドットを形成するためのインク液滴を吐出するためのノズル(吐出口)及び吐出圧を発生させる圧力発生素子(圧電アクチュエータや加熱発泡用の発熱体)を含む液滴吐出素子を高密度に多数配置した液体吐出ヘッド(記録ヘッド)を備えるとともに、入力画像から生成されたインク吐出用データ(ドット画像データ)に基づいて前記液体吐出ヘッドからの液滴の吐出を制御する吐出制御手段とを備え、ノズルから吐出した液滴によって記録媒体上に画像を形成する。
例えば、画像入力手段を介して入力された画像データ(印字データ)に基づいて色変換やハーフトーニング処理が行われ、インク色に応じたインク吐出データが生成される。このインク吐出データに基づいて、液体吐出ヘッドの各ノズルに対応する圧力発生素子の駆動が制御され、ノズルからインク滴が吐出される。
高解像度の画像出力を実現するためには、インク液を吐出するノズル(吐出口)と、該ノズルに対応した圧力室及び圧力発生素子とを含んで構成される液滴吐出素子(インク室ユニット)を高密度に多数配置した記録ヘッドを用いる態様が好ましい。
かかるインクジェット方式の記録ヘッドの構成例として、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の吐出口(ノズル)を配列させたノズル列を有するフルライン型のヘッドを用いることができる。この場合、記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する比較的短尺の吐出ヘッドモジュールを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで全体として記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を構成する態様がある。
フルライン型のヘッドは、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってヘッドを配置する態様もあり得る。
記録媒体と記録ヘッドを相対的に移動させる搬送手段は、停止した(固定された)ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対してヘッドを移動させる態様、或いは、ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。なお、インクジェット方式の記録ヘッドを用いてカラー画像を形成する場合は、複数色のインク(記録液)の色別に記録ヘッドを配置してもよいし、1つの記録ヘッドから複数色のインクを吐出可能な構成としてもよい。
「記録媒体」は、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板、中間転写媒体、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
搬送手段の形態には、円筒形状を有し、所定の回転軸の周りを回転可能に構成された搬送ドラム(搬送ローラ)や、搬送ベルトなどの形態が挙げられる。かかる搬送手段における記録媒体の固定手段として、発明1乃至21で述べた媒体固定装置を適用することができる。
(発明24):発明23に記載の画像形成装置において、前記媒体の搬送方向について、前記媒体のサイズに対応して複数に分割された構造を有し、前記吸着溝及び前記補助吸着構造に連通し、前記記録ヘッドの記録領域において前記媒体に吸着圧力を付与する部分が、前記記録ヘッドの記録領域を前記媒体が通過するまで前記媒体の排出位置よりも手前に位置する構造を有する圧力発生部を備えたことを特徴とする。
かかる態様によれば、媒体を次の処理領域に受け渡す際に、媒体の後端部が浮き上がって記録ヘッドに接触してしまうことが防止される。