JP2011026829A - 建物の制振構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダンパーの設置数を減らし、且つ設置スペースの確保を容易にし、極小敷地に構築する建物や塔状建物などに対しても好適に制振性能を向上させることが可能な建物の制振構造を提供する。
【解決手段】建物本体架構2の外側に、一端4aを建物本体架構2に繋げて水平方向外側に延設した梁部材4と、梁部材4の他端4bを繋げて上下方向に延設した柱部材5とを備えてなるアウトリガー架構3を一体に設け、アウトリガー架構3の最下層に、梁部材4の他端4b側に一端を繋げて上下方向に延びる縦型ダンパー8を設置する。
【選択図】図1
【解決手段】建物本体架構2の外側に、一端4aを建物本体架構2に繋げて水平方向外側に延設した梁部材4と、梁部材4の他端4bを繋げて上下方向に延設した柱部材5とを備えてなるアウトリガー架構3を一体に設け、アウトリガー架構3の最下層に、梁部材4の他端4b側に一端を繋げて上下方向に延びる縦型ダンパー8を設置する。
【選択図】図1
Description
本発明は、多層構造の建物の制振構造に関する。
従来、高層建物などの多層構造の建物の制振性能を向上させるために、建物本体の外周側に制振架構(アウトリガー架構)を設けることが行われている。一般に、この種の制振架構は、柱部材と梁部材(鉛直構造部材と水平構造部材)で囲まれた架構面内に、ダンパーを水平に設置、あるいは斜めブレースとして設置して構築されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。そして、このようにダンパーを水平あるいは斜めに設置することにより、地震や強風などによって建物に水平力が作用した際に、建物のせん断変形をダンパーで制御することが可能になり、建物の揺れを抑制(建物の応答を低減)することが可能になる。
しかしながら、ダンパーを水平あるいは斜めに設置する場合には、すなわち建物のせん断変形を制御して建物の制振性能を向上させる場合には、建物の各階(各層)にダンパーを設置する必要が生じる。このため、ダンパーの設置数が多くなり、建物の制振性能を向上させるために多大なコストを要するという問題があった。
また、せん断変形を制御する場合には、設置幅(制振架構の幅)を広げてブレースなどの制振材の効率を上げたり、大きなダンパー(制振装置)を組み込むことが必要になり、建物の平面、立面に与える制約が大きくなってしまう。
さらに、極小敷地に構築する建物や塔状建物(塔状比が大きい建物)などの場合には、取り付けスペースがなく、ダンパーを水平に設置できないケースが多い。また、塔状建物などでは、せん断変形よりも曲げ変形が支配的になり、効果的に建物の制振性能を向上できないおそれもある。
本発明は、上記事情に鑑み、ダンパーの設置数を減らし、且つ設置スペースの確保を容易にし、極小敷地に構築する建物や塔状建物などに対しても好適に制振性能を向上させることが可能な建物の制振構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の建物の制振構造は、多層構造の建物の制振構造であって、建物本体架構の外側に、一端を前記建物本体架構に繋げて水平方向外側に延設した梁部材と、前記梁部材の他端を繋げて上下方向に延設した柱部材とを備えてなるアウトリガー架構が一体に設けられ、前記アウトリガー架構の最下層に、前記梁部材の他端側に一端を繋げて上下方向に延びる縦型ダンパーが設置されていることを特徴とする。
この発明においては、アウトリガー架構(制振架構)の最下層にダンパー(縦型ダンパー)を上下方向に配して設置することにより、従来のようにせん断変形を制御するのではなく、ダンパーで曲げ変形を制御して建物の制振性能を向上させることが可能になる。
本発明の建物の制振方法及び制振構造によれば、縦型ダンパーで曲げ変形を制御することにより、各層にそれぞれダンパーを設置する必要がなくなり、アウトリガー架構の最下層にのみ設置した縦型ダンパーによって、確実に建物の制振性能を向上させることが可能になる。これにより、ダンパーの設置数を大幅に減らすことが可能になる。
また、このようにアウトリガー架構の最下層に縦型ダンパーを設置して建物の制振性能を向上させることができるため、従来の水平にダンパーを設置する場合に対し、縦型ダンパーの設置スペースを容易に確保することが可能になるとともに、アウトリガー架構の幅を小さくすることが可能になる。さらに、縦型ダンパーを設置したアウトリガー架構の最下層(1階部分)に通路やオープンスペースなどとして利用可能なスペースを形成することも可能になる。これにより、特に、せん断変形よりも曲げ変形が支配的となり、間口の狭い極小敷地に構築する建物や塔状建物などに採用することで、効果的に制振性能を向上させることが可能になる。
以下、図1から図3を参照し、本発明の一実施形態に係る建物の制振構造について説明する。本実施形態は、例えば極小敷地に構築する建物や塔状建物などの制振性能を好適に向上させることが可能な建物の制振構造に関するものである。
本実施形態の建物1は、例えば図1に示すように、多層構造の高層建物であり、この建物の制振構造Aは、建物本体架構2の外側にアウトリガー架構3を一体に設けて構成されている。
アウトリガー架構3は、一端4aを建物本体架構2に繋げて水平方向外側に延設され、層毎(1FL〜RFL)に設けられた複数の梁部材4と、各梁部材4の他端4bを繋げて上下方向に延設した複数の柱部材5とを備えて構成され、建物本体架構2に沿って設けられている。また、このアウトリガー架構3は、最下層(1FL)を除いた上層に柱部材5を配設して構築されており、この最下層よりも上層の各層(2FL〜6FL)には、梁部材4と柱部材5で囲まれた架構面内にブレース6が設置されている。
また、このアウトリガー架構3の最下層には、柱部材5の直下に、上端(一端)を梁部材4の他端4b側に、下端(他端)を基礎7にそれぞれ繋げて上下方向に延びる縦型ダンパー8が設置されている。なお、縦型ダンパー8には、例えばオイルダンパー、粘性ダンパー、粘弾性ダンパーなどが適用される。
このようにアウトリガー架構3の最下層にのみ縦型ダンパー8を設置して建物の制振構造Aを構成することにより、水平あるいは斜めにダンパーを設置するが故に各層にダンパーを設置する必要が生じる従来の制振構造と比較し、ダンパーの設置数が大幅に削減される。また、最下層にのみ上下方向に延びる縦型ダンパー8を設置することで、アウトリガー架構3の幅Tを小さくしてもダンパー8の設置スペースが容易に確保され、建物1の平面、立面に与える制約が小さくなる。さらに、アウトリガー架構3の最下層に縦型ダンパー8を設置することで、間口の狭い極小敷地に建物1を構築する場合においても、1階(1FL)部分に通路やオープンスペースなどとして利用可能なスペース9が形成される。
そして、本実施形態の建物の制振構造Aにおいては、地震や強風によって建物1に水平力が作用すると、建物本体架構2とともにアウトリガー架構3の柱部材5が軸変形し、建物1を質点棒とした場合の曲げ変形が生じる。このとき、アウトリガー架構3の梁部材4が一端4aを建物本体架構2に繋げて水平方向外側に延設されているため、建物本体架構2が曲げ変形するとともにこの梁部材4の他端4b側が大きく回転して変形する。
このため、アウトリガー架構3の最下層に設置した縦型ダンパー8には、梁部材4の他端4b側から集中的に上下方向の大きな外力が作用することになり、この縦型ダンパー8が外力によって変形しつつ大きな減衰力を発揮することになる。これにより、建物1の曲げ変形が減衰され、従来の制振構造のようにダンパーを水平あるいは斜めに設置してせん断変形を制御するのではなく、上下方向に縦型ダンパー8を設置して曲げ変形を制御することによって、確実に建物1の制振性能が向上することになる。特に、塔状建物などでは、せん断変形よりも曲げ変形の割合が大きくなるため、このような塔状建物などに本実施形態の制振構造Aを採用することによって、効果的に建物1の制振性能が向上することになる。
ここで、図2及び図3は、最下層にオイルダンパーの縦型ダンパー8を設置した本実施形態の制振構造Aと、最下層に縦型ダンパー8を設置することなく最下層から最上層まで柱部材5を延設した従来の耐震構造とに対して、地震動にエルセントロ波を用いて行ったシミュレーションの結果を示したものであり、図2は各層(1FL〜6FL)の最大層せん断力、図3は各層(1FL〜6FL)の層間変形角をそれぞれ示している。
そして、図2に示すように、本実施形態の制振構造Aと従来の耐震構造の最大層せん断力には大きな差がなく、本実施形態の制振構造Aは、最下層にのみ縦型ダンパー8を設置しても、ダンパーのない上層(2FL以上)の層せん断力が増大することがないことが確認された。一方、図3に示すように、本実施形態の制振構造Aは、従来の耐震構造よりも全ての層(1FL〜6FL)で層間変形角が大幅に小さく抑えられることが確認された。これにより、本実施形態の建物の制振構造Aにおいては、最下層に上下方向に延びる縦型ダンパー8を設置して建物1の曲げ変形を制御することにより、建物の制振性能が大幅に向上することが実証された。
したがって、本実施形態の建物の制振構造Aにおいては、建物本体架構2の外側にアウトリガー架構3を一体に設け、このアウトリガー架構3の最下層に縦型ダンパー8を設置することにより、従来のようにせん断変形を制御するのではなく、縦型ダンパー8で曲げ変形を制御して確実に建物1の制振性能を向上させることが可能になる。これにより、ダンパーの設置数を大幅に減らすことが可能になる。
また、このようにアウトリガー架構3の最下層に縦型ダンパー8を設置して建物1の制振性能を向上させることができるため、従来の水平にダンパーを設置する場合に対し、縦型ダンパー8の設置スペースを容易に確保することが可能になるとともに、アウトリガー架構3の幅Tを小さくすることが可能になる。さらに、縦型ダンパー8を設置したアウトリガー架構3の最下層(1階部分)に通路やオープンスペースなどとして利用可能なスペース9を形成することも可能になる。これにより、特に、せん断変形よりも曲げ変形が支配的となり、間口の狭い極小敷地に構築する建物や塔状建物などに採用することで、効果的に制振性能を向上させることが可能になる。
なお、本発明に係る建物の制振構造の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 建物
2 建物本体架構
3 アウトリガー架構(制振架構)
4 梁部材
4a 一端
4b 他端
5 柱部材
6 ブレース
7 基礎
8 縦型ダンパー
9 スペース
A 建物の制振構造
2 建物本体架構
3 アウトリガー架構(制振架構)
4 梁部材
4a 一端
4b 他端
5 柱部材
6 ブレース
7 基礎
8 縦型ダンパー
9 スペース
A 建物の制振構造
Claims (1)
- 多層構造の建物の制振構造であって、
建物本体架構の外側に、一端を前記建物本体架構に繋げて水平方向外側に延設した梁部材と、前記梁部材の他端を繋げて上下方向に延設した柱部材とを備えてなるアウトリガー架構が一体に設けられ、
前記アウトリガー架構の最下層に、前記梁部材の他端側に一端を繋げて上下方向に延びる縦型ダンパーが設置されていることを特徴とする建物の制振構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009173267A JP2011026829A (ja) | 2009-07-24 | 2009-07-24 | 建物の制振構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009173267A JP2011026829A (ja) | 2009-07-24 | 2009-07-24 | 建物の制振構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011026829A true JP2011026829A (ja) | 2011-02-10 |
Family
ID=43635865
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009173267A Pending JP2011026829A (ja) | 2009-07-24 | 2009-07-24 | 建物の制振構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011026829A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104314166A (zh) * | 2014-10-10 | 2015-01-28 | 同济大学 | 竖向粘滞阻尼器连接的消能减震伸臂桁架高层结构体系 |
KR20220097592A (ko) | 2020-12-30 | 2022-07-08 | 단국대학교 산학협력단 | 외부 부착형 마찰 점성 감쇠 시스템 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004316112A (ja) * | 2003-04-11 | 2004-11-11 | Kajima Corp | 構造物 |
-
2009
- 2009-07-24 JP JP2009173267A patent/JP2011026829A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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