JP2011023545A - 放熱構造体およびパワーモジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウム系めっき鋼板を緩衝材に用いた放熱構造体において、反りの発生を効果的に抑制しながら、熱伝導性を向上させたものを提供する。
【解決手段】半導体発熱部品搭載側から順に「絶縁基板」、「緩衝材」、「伝熱材」をろう付け接合した構造を有し、緩衝材は、アルミニウム系めっき鋼板を素材として板厚を貫通する穴を形成したものであり、絶縁基板のアルミニウム系金属層と重なる領域に占める穴のトータル面積率が10〜50%となるように1個または複数個の穴を有し、伝熱材は、緩衝材側から受け取った熱を空気中または他の接合部材に伝えるためのアルミニウム系金属部材であり、「絶縁基板のアルミニウム系金属層」と「伝熱材」とが緩衝材の貫通穴を通してアルミニウム系金属で繋がったろう付け接合構造を有する放熱構造体。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体素子やLSIなどで構成される半導体発熱部品を搭載し、その発熱部品から発生する熱を空気中または他の接合部材に伝えるための放熱構造体であって、ろう付け接合によって一体化されたものに関する。また、この放熱構造体に半導体発熱部品を搭載したパワーモジュールに関する。
電力制御用の半導体スイッチング素子に代表される半導体発熱部品は、放熱構造体に取り付けられた状態で使用される。放熱構造体は、セラミックスの表面に金属を接合した「絶縁基板」と、金属製の「伝熱材」とを備えるものである。伝熱材は、それ自体が空気中へ熱を放散させるためのヒートシンクである場合もあるし、あるいは他の部材へ熱を逃がすための放熱板である場合もある。
伝熱材の金属は、絶縁基板のセラミックスと比べ熱膨張率が大きいため、放熱板と伝熱材を直接ろう付けなどにより接合すると、接合時の加熱・冷却過程で伝熱材に反りが生じやすく、また絶縁基板に割れが発生しやすい。そこで、絶縁基板と伝熱材の間には、両者の熱膨張差に起因する歪を緩和するための「緩衝材」を介在させることがある。
緩衝材としては、従来、熱膨張率の低いCu−Mo合金を銅材で挟んだ3層構造のクラッド材が使用されている。しかし、Cu−Mo合金は非常に高価であること、厚さが3mm程度と厚いこと、ヒートシンクとのろう付けが難しくゲル系接着剤などを使用する必要があることなど、種々の問題がある。
特許文献1には、絶縁基板とヒートシンクの間に、低熱膨張材(インバー合金)を高熱伝導材(アルミニウム、銅)で挟んだ積層体を介在させることが記載されている。しかし、低熱膨張材と高熱伝導材を一体化させることは必ずしも容易ではない。
特許文献2には、絶縁基板とヒートシンクの間に多数の突起を有する板状体を応力緩和部材として介在させることが記載されている。しかし、複雑形状の応力緩和部材を作製するには手間が掛かり、また、絶縁基板との接触が突起部に限られるので熱伝導性が低下しやすい。
特開2004−153075号公報 特開2007−19023号公報
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車の普及に伴い、その駆動モーターを制御するパワーコントロールユニット(PCU)に使用するためのパワーモジュール(電力制御用半導体回路と放熱構造体のユニット)の需要が増大している。このような用途においては、今後、さらに振動に強く、よりコンパクトで、且つ安価な放熱構造体の適用が望まれる。
そこで本出願人は、絶縁基板とヒートシンクの間に、緩衝材としてアルミニウム系めっき鋼板を介在させ、これらを真空ろう付けにより一体化する手法を特願2007−334842にて開示した。アルミニウム系めっき鋼板は大量生産が可能であり、従来の緩衝材に比べ大幅なコスト低減が可能となる。フェライト系鋼種はヒートシンクの材料(例えばアルミニウム)に比べ熱膨張率が小さいため、一般的なフェライト系鋼種をめっき原板とするアルミニウム系めっき鋼板を使用すれば、絶縁基板とヒートシンクの間の歪を効果的に低減することができる。また、絶縁基板としてDBA(Direct Brazed Aluminum)を使用し、ヒートシンクとしてAl系材料を使用すると、「絶縁基板」と「緩衝材(アルミニウム系めっき鋼板)」と「ヒートシンク」を真空ろう付けにて一体化することができる。この場合、接着剤やグリースによる接合が回避されるため、耐振動性、熱伝導性が向上し、且つ接着剤等による接合工程が不要となる。また、板厚が例えば1mm以下といった薄肉の緩衝材(アルミニウム系めっき鋼板)を容易に適用できるため、放熱構造体のコンパクト化も可能となる。
最近では、ハイブリッド自動車のPCUなどにおいて高電圧が印加できるタイプのパワー半導体素子(IGBTなど)を採用するケースが増えている。それに伴い、半導体発熱部品を搭載する放熱構造体にも、熱伝導性の向上が要求される。上記のアルミニウム系めっき鋼板を「緩衝材」に用いた放熱構造体では、アルミニウム系材料と比較して熱伝導性に劣る鉄系材料を使用している。この場合、鋼板の板厚を薄くすることで熱伝導性の低下をある程度抑えることができる。しかし、鋼板の板厚をあまり薄くすると緩衝材の強度レベルが低下して材料間の熱膨張差に起因する歪(反り)を吸収しきれなくなり、絶縁基板などに割れを生じる原因となる。
本発明はこのような状況に鑑み、アルミニウム系めっき鋼板を緩衝材に用いた放熱構造体において、反りの発生を効果的に抑制しながら、熱伝導性を向上させたものを提供しようというものである。
発明者らは種々検討の結果、緩衝材として用いるアルミニウム系めっき鋼板に板厚を貫通する穴を適度に設け、その穴を通じて緩衝材両側の材料間を直接アルミニウム系ろう材で接合することによって上記目的が達成できることを見出した。
すなわち本発明では、半導体発熱部品を搭載する放熱構造体であって、
半導体発熱部品搭載側から順に「絶縁基板」、「緩衝材」、「伝熱材」をろう付け接合した構造を有し、
絶縁基板は、セラミックスからなる絶縁体の少なくとも緩衝材側の表面にアルミニウム系金属層を備えたものであり、
緩衝材は、基材鋼板の両面にアルミニウム系めっき層を有するアルミニウム系めっき鋼板を素材として板厚を貫通する穴を形成したものであり、当該緩衝材を板厚方向に見た投影像における穴の貫通部分の面積を当該穴の面積と定義するとき、絶縁基板のアルミニウム系金属層と重なる領域に占める穴のトータル面積率が10〜50%となるように1個または複数個の穴を有し、
伝熱材は、緩衝材側から受け取った熱を空気中または他の接合部材に伝えるためのアルミニウム系金属部材であり、
「絶縁基板のアルミニウム系金属層」と「伝熱材」とが緩衝材の貫通穴を通してアルミニウム系金属で繋がったろう付け接合構造を有する放熱構造体が提供される。
本明細書において「アルミニウム系金属」とは、純アルミニウムまたはアルミニウム合金であり、ここでいうアルミニウム合金は合金元素の中でAlの含有量(質量%)が最も多く、且つ固相線温度が、当該放熱構造体を一体化するときに使用するろう材の液相線温度よりも高いものをいう。純アルミニウムおよびアルミニウム合金の例としては、JIS H4000:2006の成分表に規定されるものが挙げられる。
また、「アルミニウム系めっき鋼板」は、基材鋼板(めっき原板)の両面に純Alめっき層またはSiを12質量%以下の範囲で含有するAl−Si合金めっき層を有するものを意味する。このアルミニウム鋼板としては、例えば、めっき原板である基材鋼板の板厚が0.1〜2mmであるものが挙げられる。溶融アルミニウム系鋼板が好適である。基材鋼板は、常温(20℃)での線膨張係数(常温)が13×10-6/K以下の鋼種を採用することが好ましい。耐食性を考慮すると、フェライト系ステンレス鋼種を採用することが好ましい。例えば、JIS G4305:2005の表4またはJIS G4312の表3に規定されるフェライト系鋼種のいずれかに相当するものが挙げられる。
緩衝材の貫通穴の部分において、基材鋼板の鋼素地露出部と、貫通穴の内部に存在するアルミニウム系金属との間に非接合部が形成されていても構わない。絶縁基板のセラミックスは例えばAlNである。
また本発明では、上記の放熱構造体の絶縁基板側に、半導体発熱部品を搭載したパワーモジュールが提供される。
本発明によれば、以下のようなメリットが得られる。
(1)緩衝材に安価な素材であるアルミニウム系めっき鋼板を使用するので、放熱構造体のコスト低減が図れる。
(2)絶縁基板、緩衝材および伝熱材(例えばヒートシンク)を真空ろう付けにより直接接合することができるので、製造工程が短縮化でき、得られた放熱構造体は振動に対して強いものとなる。
(3)緩衝材に設けた穴を通してアルミニウム系金属により絶縁基板から伝熱材(例えばヒートシンク)までが繋がっているので、放熱構造体内部の熱伝導性が向上する。
(4)緩衝材に適度な量の鉄系材料(めっき原板に由来する鋼材)を使用しているので、材料間の熱膨張差に起因した歪を効果的に吸収できる。
(5)緩衝材の厚さは例えば1mm程度以下と薄肉化することが容易にできるので、パワーモジュールの小型化にも対応しやすい。
本発明の放熱構造体を用いたパワーモジュールの断面構造を模式的に例示した図。 実施例で使用した緩衝材を板厚方向に見た投影像を表す図。
図1に、本発明の放熱構造体を用いたパワーモジュールの断面構造を模式的に示す。この図は、説明の便宜のため厚さ方向の寸法などを一部誇張して描いてあり、実際の寸法形状をそのまま反映したものではない。
放熱構造体は、絶縁基板2、緩衝材3および伝熱材4をろう付け接合した構造を有している。絶縁基板2の一方の表面上に半導体発熱部品1が搭載される。
半導体発熱部品1は、種々の半導体素子やLSI等が対象となるが、発熱量の大きい電力制御用のスイッチング素子が好適な対象となる。
絶縁基板2は、絶縁体21の少なくとも緩衝材3側の表面にアルミニウム系金属層22を有しており、半導体発熱部品1の搭載面には導電層23を有している。導電層23はアルミニウム系金属層22と同質の素材であっても構わない。このような構成を有する限り、従来から使用されている絶縁基板が広く適用対象となる。絶縁体21としては例えばAlNが挙げられる。特にAlNプレートの両面にアルミニウム系金属層を接合して一体化したDBA基板が普及しており、本発明でもそれを適用することができる。
ろう付け前の段階において、緩衝材3は、めっき原板である基材鋼板31の両面にアルミニウム系めっき層32を有するアルミニウム系めっき鋼板からなる。アルミニウム系めっき鋼板には、その板厚を貫通する貫通穴6が形成されている。アルミニウム系めっき層は、溶融したろう材と接触すると反応するので、ろう付け後には明確なめっき層の残存を確認することが難しい状態となる。そこで本明細書では、溶融したろう材と接触した領域におけるアルミニウム系めっき層由来部分32’は、ろう付け金属5の一部として取り扱う。
基材鋼板31は鉄系材料であることから、その熱膨張率は、絶縁基板2(低熱膨張率)と伝熱材4(高熱膨張率)の中間の値を示す。このため基材鋼板31は、絶縁基板2(低熱膨張率)と伝熱材4の間に生じる熱膨張差に起因した歪を緩和する作用を呈し、絶縁基板2等に割れが発生することを抑止する。また、伝熱材4の熱膨張を拘束する作用を呈し、ろう付け時または使用時における伝熱材4の「反り」を軽減する。
伝熱材4は、アルミニウム系金属からなり、それ自体が空気中に熱を逃がすためのヒートシンクであっても構わないし、あるいは、他の接触部材(例えば水冷された金属部材)に熱を逃がすためのアルミニウム系金属板(放熱板)であっても構わない。図1にはヒートシンクを模式的に示した。
ろう材は、アルミニウム系金属用のものが適用される。例えば、Al−Si系合金、Al−Si−Mg系合金、Al−Cu−Si−Mg系合金などを用いたろう材が使用される。規格材としては、JIS Z3263:2002に規定されるろう材が使用可能であるが、さらに液相線温度の低いものが好適である。なかでもAl−Cu−Si−Mg系合金組成において液相線温度が530〜540℃程度となるものを使用することが好ましい。
本発明の放熱構造体は、絶縁基板2のアルミニウム系金属層22、緩衝材3のアルミニウム系めっき層32、伝熱材4が、いずれもアルミニウム系金属からなる。また、上記のようなろう材もアルミニウム系金属である。ろう付け後の状態において、「絶縁基板2のアルミニウム系金属層22」と「緩衝材3の基材鋼板31」の間、および「緩衝材3の基材鋼板31」と「伝熱材4」の間が、それぞれろう付け金属5により接合される。そして、「絶縁基板2のアルミニウム系金属層22」と「伝熱材4」とが緩衝材3の貫通穴6を通してアルミニウム系金属で繋がったろう付け接合構造が構築される。ろう付け時に貫通穴6の内部が空洞であれば、図1に模式的に示したように、貫通穴6の内部にろう付け金属5が入り込み、貫通穴6を通して上下の部材が「ろう付け金属5からなるアルミニウム系金属」で繋がる。一方、ろう付け時に予め貫通穴6の内部にアルミニウム系金属片を挿入しておくこともできる。その場合には、そのアルミニウム系金属片と上下の部材とがろう付け金属5により一体化される。
ここで、「ろう付け金属」とは、ろう付け時に溶融・凝固した部分、およびろう付け時の反応で新たに生じた金属相の部分をいう。前述のように、溶融したろう材と接触したアルミニウム系めっき層はろう材と反応するので、めっき層としての明確な残存が確認できない場合が多い。そこで本明細書では、溶融したろう材と接触した領域におけるアルミニウム系めっき層由来部分32’(めっき層としての残存が認められる場合は、その部分も含む)も、ろう付け金属5の一部として扱っている。溶融したろう材と接触した領域の基材鋼板表面にはFe−Al系反応層が観察されることがあるが、この反応層も「ろう付け金属」の一部として扱う。なお、溶融したろう材はアルミニウム系金属層22や伝熱材4とも反応するので、ろう付け後にはアルミニウム系金属層22とろう付け金属5の界面、およびろう付け金属5と伝熱材4の界面も不明瞭となることがある。この場合、反応前のアルミニウム系金属層22あるいは伝熱材4の表面位置を、ろう付け金属5との境界とみなす。
本明細書で用いるアルミニウム系金属用のろう材は、鉄に対する濡れ性が悪い。このため、緩衝材3の貫通穴6の部分において、基材鋼板31の鋼素地が露出している部分は、溶融したろう材が濡れにくい状態である。真空ろう付けを行うと、貫通穴6の部分において鋼素地露出部と、貫通穴6の内部に存在するアルミニウム系金属との間に非接合部を形成することができる。この非接合部7は、ろう付け工程の冷却過程および使用時において、基材鋼板31と貫通穴6の内部に存在するアルミニウム系金属の間の応力緩和作用を発揮し、絶縁基板2などにおける割れの発生を抑止する機能を有する。
緩衝材3に形成された貫通穴6は、少なくとも絶縁基板2のアルミニウム系金属層22と重なる領域に、1個または複数個形成される。貫通穴6の形成は、プレス打抜きや放電加工など、公知の加工方法によって行うことができる。貫通穴6のトータル開口面積が多くなるほど、貫通穴6を通じて「絶縁基板2のアルミニウム系金属層22」と「伝熱材4」の間を繋ぐアルミニウム系金属の量が増大するので、熱伝導性は向上する。しかし、貫通穴6の量が増大すると基材鋼板31の「鉄系材料」の量が減少するので、絶縁基板2と伝熱材4の間に生じる熱膨張差に起因した歪を緩和する作用が低下し、また、伝熱材4の熱膨張を拘束するための強度が低下する。したがって、割れや反りを抑制するうえではマイナスとなる。種々検討の結果、緩衝材3を板厚方向に見た投影像における穴の貫通部分の面積を当該穴の面積と定義するとき、絶縁基板2のアルミニウム系金属層22と重なる領域に占める穴のトータル面積率が10〜50%となるように1個または複数個の貫通穴6を形成したとき、割れや反りを効果的に抑制しながら、熱伝導性を改善することができる。穴のトータル面積率は10〜45%とすることがより好ましく、15〜35%が一層好ましい。
緩衝材3の基材鋼板31は、常温(20℃)の線膨張係数が13×10-6/K以下の鋼種を採用することが望ましい。常温での線膨張係数は、アルミニウム系金属が約22〜23(×10-6/K)程度、銅合金が約16〜18(×10-6/K)程度、オーステナイト系ステンレス鋼が約15〜17(×10-6/K)程度、フェライト系鋼(フェライト系ステンレス鋼を含む)が約9.5〜12.5(×10-6/K)程度である。一方、AlNの線膨張係数は4.5(×10-6/K)程度である。したがって、基材鋼板31はできるだけ線膨張係数の小さい鋼種とすることが望ましく、検討の結果、常温の線膨張係数が13×10-6/K以下の鋼種を採用することがより効果的であることがわかった。この要求はフェライト系鋼種を採用することによって満たすことができる。なかでもフェライト系ステンレス鋼は線膨張係数が低く、且つ耐食性にも優れるので、本発明における基材鋼板31としては特に好適である。なお、一般に金属の線膨張係数は温度上昇に伴ってわずかに上昇する傾向にあるが、常温での線膨張係数の序列は、300℃程度までの線膨張係数の序列と概ね一致するので、常温の線膨張係数で評価して差し支えない。
緩衝材3の素材として使用するアルミニウム系めっき鋼板は、従来一般的な溶融アルミニウム系めっき鋼板を採用することができる。基材鋼板31(めっき原板)の板厚は、用途に応じて0.1〜2mmの範囲で選択すればよい。板厚0.1mm未満では、割れや反りを抑止する機能が十分に果たせない。あまり厚いと小型化のニーズに逆行する。アルミニウム系めっき鋼板のアルミニウム系めっき層の厚さは、片面当たり5〜50μm程度とすればよい。
本発明の放熱構造体は、各部材を積層した状態で真空ろう付けを行うことによって製造することができる。絶縁基板2と緩衝材3の間、および緩衝材3と伝熱材4の間に、それぞれシート状のろう材を置けばよい。その際、絶縁基板2のアルミニウム系金属層22と重なる領域に存在する全ての貫通穴6において、ろう付け金属5による上下部材間の接合状態が得られるように、ろう材の使用量および配置を設定する。真空ろう付けの手法は従来一般的な方法が適用できる。
以下のようにして、3種類の放熱構造体を真空ろう付けにより作製し、ろう付け後、常温まで冷却した後の「反り」を調べた。
絶縁基板として、市販のDBA基板を用意した。これは、厚さ0.65mmのAlN板の両側に、0.4mm厚さのアルミニウム系金属板をAl−Si系ろう材を用いてろう付け接合したものである。AlN板の寸法は20mm×30mm×0.65mm、両側のアルミニウム系金属板(すなわちアルミニウム系金属層)の寸法はいずれも18mm×28mm×0.4mmである。
緩衝材として、JIS G4312:1991に規定のSUH409に相当するフェライト系ステンレス鋼を基材鋼板(めっき原板)とする溶融アルミニウム系めっき鋼板を用いた。基材鋼板の板厚は0.4mmである。溶融アルミニウム系めっきの組成はAl−9質量%Siであり、めっき層の厚さは片面当たり約15μmである。この溶融アルミニウム系めっき鋼板から、25mm×35mmの試料を切り出し、絶縁基板のアルミニウム系金属層と重なる領域(18mm×28mm)に貫通穴を設けていない緩衝材と、貫通穴を設けた緩衝材(パターン1、2)を用意した。貫通穴は放電加工により形成した。パターン1の貫通穴のレイアウトを図2(a)に、パターン2の貫通穴のレイアウトを図2(b)に示す。絶縁基板のアルミニウム系金属層と重なる領域に占める穴のトータル面積率は、以下の通りである。
・パターン1;
(5mm×5mm×6箇所)/(18mm×28mm)×100
=29.8%
・パターン2;
(4mm×4.5mm×12箇所)/(18mm×28mm)×100
=42.9%
伝熱材として、ここではフラットな形状のアルミニウム系金属板(JIS H4000:2006の合金番号1050A相当材、板厚5mm)を用意した。伝熱材の寸法は50mm×50mm×5mmである。
ろう材として、液相線温度が530〜540℃であるAl−Cu−Si−Mg系合金のシートを使用した。基材鋼板の上下におけるろう付け金属厚さがそれぞれ約100μmとなり、且つ緩衝材に貫通穴を有するものでは全ての貫通穴の合計容積を埋めるに足るろう付け金属の量が確保できるように、ろう材の使用量を設定した。
上記の各材料を所定の位置に積層した状態で、真空ろう付けに供した。ろう材シートは絶縁基板と緩衝材の間、および緩衝材と伝熱材の間に配置した。ろう付け条件は、真空度:10-3Pa、温度:550℃の雰囲気に15min保持した後、真空を保った炉内で300℃まで冷却し、その後炉外で常温まで空冷する条件とした。このようにして、以下の3種類の放熱構造体を各3体ずつ作製した。
・タイプA; 緩衝材に貫通穴を有しないもの(対照例)
・タイプB; 緩衝材に前記パターン1の貫通穴を有するもの(本発明例)
・タイプC; 緩衝材に前記パターン2の貫通穴を有するもの(本発明例)
得られた放熱構造体を治具に固定し、ダイヤルゲージを用いて、伝熱材裏面の中心位置の高さH0、伝熱材裏面の一方の短辺中央位置の高さH1、他方の短辺中央位置の高さH2を測定し、下記(1)式により求まるΔH(μm)を反り量とした。ただし、伝熱材側から絶縁基板側へ向かう方向を「正」とする。
ΔH=H0−(H1+H2)/2 …(1)
A〜Cの各タイプにつき、3体の放熱構造体で測定された最も大きいΔH値(最も反りが大きいもの)をそのタイプの「反り量」の成績として採用した。
結果は以下の通りであった。
・タイプA(対照例); 穴のトータル面積率:0%、反り量:219μm
・タイプB(本発明例); 穴のトータル面積率:29.8%、反り量:225μm
・タイプC(本発明例); 穴のトータル面積率:42.9%、反り量:265μm
この試験における反り量が300μm以下であれば、緩衝材としての反り防止作用は十分に機能していると評価される。本発明例のものは基材鋼板に貫通穴を有するにもかかわらず、良好な耐反り性を呈した。
測定後のタイプBおよびCの放熱構造体から断面サンプルを切り出し、貫通穴の部分の断面を観察した結果、全ての貫通穴において上下の部材がろう付け金属(アルミニウム系金属)によって繋がっており、また、各貫通穴の鋼素地が露出している部分には非接合部(ろう付け金属不存在部分)が存在することが確認された。
実施例1と同じ方法で作成したタイプAおよびBの放熱構造体について、厚さ方向の熱伝導率を定常法により求めた。投入電力10Wとして、厚さ方向の温度勾配から熱抵抗を求め、下記(2)式により熱伝導率を算出した。
熱伝導率[W/(m・K)]
=1/(熱抵抗[K/W]×試料厚さ[m]) …(2)
結果は以下の通りであった。
・タイプA(対照例); 穴のトータル面積率:0%、熱伝導率:109.3W/(m・K)
・タイプB(本発明例); 穴のトータル面積率:29.8%、熱伝導率:120.1W/(m・K)
貫通穴の面積率が増大すると、熱伝導率が向上することが確認された。
1 半導体発熱部品
2 絶縁基板
3 緩衝材
4 伝熱材
5 ろう付け金属
6 貫通穴
7 非接合部
21 絶縁体
22 アルミニウム系金属層
23 導電層
31 基材鋼板
32 アルミニウム系めっき層
32’ アルミニウム系めっき層由来部分

Claims (8)

  1. 半導体発熱部品を搭載する放熱構造体であって、
    半導体発熱部品搭載側から順に「絶縁基板」、「緩衝材」、「伝熱材」をろう付け接合した構造を有し、
    絶縁基板は、セラミックスからなる絶縁体の少なくとも緩衝材側の表面にアルミニウム系金属層を備えたものであり、
    緩衝材は、基材鋼板の両面にアルミニウム系めっき層を有するアルミニウム系めっき鋼板を素材として板厚を貫通する穴を形成したものであり、当該緩衝材を板厚方向に見た投影像における穴の貫通部分の面積を当該穴の面積と定義するとき、絶縁基板のアルミニウム系金属層と重なる領域に占める穴のトータル面積率が10〜50%となるように1個または複数個の穴を有し、
    伝熱材は、緩衝材側から受け取った熱を空気中または他の接合部材に伝えるためのアルミニウム系金属部材であり、
    「絶縁基板のアルミニウム系金属層」と「伝熱材」とが緩衝材の貫通穴を通してアルミニウム系金属で繋がったろう付け接合構造を有する放熱構造体。
  2. 緩衝材のアルミニウム系めっき鋼板は、溶融アルミニウム系めっき鋼板である請求項1に記載の放熱構造体。
  3. 緩衝材のアルミニウム系めっき鋼板は、線膨張係数(常温)が13×10-6/K以下の鋼種を基材鋼板(めっき原板)とするものである請求項1または2に記載の放熱構造体。
  4. 前記基材鋼板の鋼種は、JIS G4305:2005の表4またはJIS G4312の表3に規定されるフェライト系鋼種である請求項3に記載の放熱構造体。
  5. 緩衝材のアルミニウムめっき鋼板は、基材鋼板(めっき原板)の板厚が0.1〜2mmである請求項1〜4のいずれかに記載の放熱構造体。
  6. 緩衝材の貫通穴の部分において、基材鋼板の鋼素地露出部と、貫通穴の内部に存在するアルミニウム系金属との間に非接合部が形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の放熱構造体。
  7. 絶縁基板のセラミックスはAlNである請求項1〜6のいずれかに記載の放熱構造体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の放熱構造体の絶縁基板側に、半導体発熱部品を搭載したパワーモジュール。
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