JP2011023264A - 燃料電池の製造方法および燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池の耐久性の向上を図る。
【解決手段】燃料電池の製造方法は、電解質膜10の一方面に触媒層12aからなる燃料極を他方の面に触媒層12bからなる空気極をそれぞれ配した膜電極接合体の周縁部にシール部材16が一体成形されたシール一体型膜電極接合体40のシール部材16上に、電解質膜10に含まれる樹脂成分を含有する電解質溶液60を塗布する工程(すなわち、塗布工程)と、電解質溶液60が乾燥する前またはシール一体型膜電極接合体40のシール部材16と多孔質のガス拡散部材との界面に電解質溶液60に含まれる溶媒が存在する状態で、シール一体型膜電極接合体40のシール部材16とガス拡散部材とを接合する工程(すなわち、接合工程)と、を備える。
【選択図】図3
【解決手段】燃料電池の製造方法は、電解質膜10の一方面に触媒層12aからなる燃料極を他方の面に触媒層12bからなる空気極をそれぞれ配した膜電極接合体の周縁部にシール部材16が一体成形されたシール一体型膜電極接合体40のシール部材16上に、電解質膜10に含まれる樹脂成分を含有する電解質溶液60を塗布する工程(すなわち、塗布工程)と、電解質溶液60が乾燥する前またはシール一体型膜電極接合体40のシール部材16と多孔質のガス拡散部材との界面に電解質溶液60に含まれる溶媒が存在する状態で、シール一体型膜電極接合体40のシール部材16とガス拡散部材とを接合する工程(すなわち、接合工程)と、を備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、燃料電池の製造方法および燃料電池、特に、燃料電池のサイクル耐久性の改善に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、図7に示すように、固体高分子膜からなる電解質膜72を燃料極70と空気極74との2枚の電極で挟んだ膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を、さらに2枚のセパレータ80に挟持してなるセルを最小単位とし、通常、このセルを複数積み重ねて燃料電池スタック(FCスタック)とし、高圧電圧を得るようにしている。
固体高分子型燃料電池の発電の仕組みは、一般に、燃料極(アノード側電極)70に燃料ガス、例えば水素含有ガスが、一方、空気極(カソード側電極)74には酸化剤ガス、例えば主に酸素(O2)を含有するガスあるいは空気が供給される。水素含有ガスは、燃料ガス流路を通って燃料極70に供給され、電極の触媒の作用により電子と水素イオン(H+)に分解される。電子は外部回路を通って、燃料極70から空気極74に移動し、電流を作り出す。一方、水素イオン(H+)は電解質膜72を通過して空気極74に達し、酸素および外部回路を通ってきた電子と結合し、反応水(H2O)になる。水素(H2)と酸素(O2)および電子の結合反応と同時に発生する熱は、冷却水によって回収される。また、空気極74のあるカソード側に生成した水(以下「生成水」という)は、カソード側から排出される。
ところで、近年、燃料電池のセルでは、電解質膜の両面にそれぞれ燃料極及び空気極が配置された膜電極接合体の周縁部に、セル作製時の熱圧着による膜電極接合体の物理的なダメージを回避したり、薄膜の膜電極接合体のハンドリング性を向上させるために、例えば高分子フィルムからなるシール部材が配置される。このシール部材は、電解質膜よりも耐熱性や体薬品性などに優れる反面、シール部材に用いられる材質のガラス転移温度(Tg)は、電解質膜のガラス転移温度より高温域になるため、ガス拡散層を構成するガス拡散部材をシール部材上に接合する際に、従来の投錨効果を利用することは難しく、シール部材とガス拡散部材との接合は、比較的弱くなる傾向にある。
また、シール部材とガス拡散部材との比較的弱い接合部分は、シール部材とガス拡散部材との界面に、燃料電池の起動時に生成した生成水が染み込み、低温起動時には、シール部材とガス拡散部材との界面に存在する生成水が氷結するため、界面破壊を引き起こす可能性がある。
特許文献1では、高分子電解質の溶液に添加剤とアルコールとを添加した塗布溶液を、ガス拡散部材からなるガス拡散層に塗布した後、乾燥させてから、ガス拡散層をシール部材からなる保護層に定着させる方法が提案されている。
しかしながら、上述の塗布溶液の塗布の後、乾燥させてからのシール部材とガス拡散部材との接合は、当初の接合性は良いものの、燃料電池の冷熱サイクルや大きく電池変化が繰り返される環境下での接合性の維持は、今一歩であった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、燃料電池の冷熱サイクルや大きく電池変化が繰り返される環境下でのサイクル耐久性が向上した燃料電池及びその製造方法を提供する。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池の製造方法及び燃料電池は以下の特徴を有する。
(1)電解質膜の一方面に燃料極を他方の面に空気極をそれぞれ配した膜電極接合体の周縁部にシール部材が一体成形されたシール一体型膜電極接合体のシール部材上に、前記電解質膜に含まれる樹脂成分を含有する電解質溶液を塗布する工程と、前記電解質溶液が乾燥する前に、前記シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材とを接合する工程と、を備える燃料電池の製造方法である。
シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材の界面に、電解質溶液が存在する状態で接合させることにより、多孔質のガス拡散部材の厚み方向に電解質溶液が浸透圧によって浸透していき、さらに、ガス拡散部材中に浸透した電解質溶液が乾燥して樹脂成分が凝固することにより、熱圧着を要しなくても、シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材との間に強固な界面密着性を得ることができる。これにより、膜電極接合体の物理的なダメージを回避し、さらに燃料電池の冷熱サイクルや大きく電池変化が繰り返される環境下でのサイクル耐久性が従来に比べ向上する。
(2)上記(1)に記載の燃料電池の製造方法において、前記シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材とを接合する工程は、前記シール一体型膜電極接合体のシール部材と多孔質のガス拡散部材との界面に前記電解質溶液に含まれる溶媒が存在する状態で、前記シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材とを接合させる燃料電池の製造方法である。
シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材の界面に、電解質溶液に含まれる溶媒が存在する状態で接合させることにより、多孔質のガス拡散部材の厚み方向に浸透圧によって電解質溶液が浸透していき、さらに、ガス拡散部材中に浸透した電解質溶液の溶媒が乾燥して樹脂成分が凝固することにより、熱圧着を要しなくても、シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材との間に強固な界面密着性を得ることができる。これにより、膜電極接合体の物理的なダメージを回避し、さらに燃料電池の冷熱サイクルや大きく電池変化が繰り返される環境下でのサイクル耐久性が従来に比べ向上する。
(3)上記(1)または(2)に記載の燃料電池の製造方法において、さらに、前記電解質膜に含まれる樹脂成分を含有する電解質溶液を、前記シール一体型膜電極接合体と接合するガス拡散部材の面に塗布する工程を有し、前記電解質溶液が乾燥する前または前記シール一体型膜電極接合体およびシール部材と多孔質のガス拡散部材との界面に前記電解質溶液に含まれる溶媒が存在する状態で、前記シール一体型膜電極接合体およびシール部材とガス拡散部材とを接合させる燃料電池の製造方法である。
さらに、電解質溶液をシール一体型膜電極接合体と接合するガス拡散部材の面に塗布し、電解質溶液が乾燥する前またはシール一体型膜電極接合体およびシール部材と多孔質のガス拡散部材との界面に電解質溶液に含まれる溶媒が存在する状態で、シール一体型膜電極接合体およびシール部材とガス拡散部材を接合することにより、多孔質のガス拡散部材の面全体に亘ってガス拡散部材の厚み方向に浸透圧によって電解質溶液が浸透していき、さらに、ガス拡散部材中に浸透した電解質溶液が乾燥して樹脂成分が凝固することにより、熱圧着を要しなくても、シール一体型膜電極接合体およびシール部材とガス拡散部材との間に、より強固な界面密着性を得ることができる。これにより、膜電極接合体の物理的なダメージを回避し、さらに燃料電池の冷熱サイクルや大きく電池変化が繰り返される環境下でのサイクル耐久性が従来に比べより向上する。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の燃料電池の製造方法において、前記シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材とを接合する工程は、加熱を要しない常温処理である燃料電池の製造方法である。
加熱を要さず常温で接合するため、シール部材よりガラス転移温度の低い電解質膜の損傷を防ぐことができ、燃料電池の性能を維持または向上させることができる。さらに、従来の熱圧着工程を省くことができるため、燃料電池の製造工程を簡便なものにすることができ、また量産性が向上する。
(5)電解質膜の周縁部を除いて電解質膜の両面に形成された触媒層と、前記電解質膜の周縁部に設けられたシール部材と、前記シール部材および触媒層上に積層されたガス拡散層と、前記ガス拡散層の周縁部であって前記ガス拡散層内部に形成され前記シール部材と接合した電解質浸透層と、を有する燃料電池である。
ガス拡散層内部に設けられた電解質浸透層がシール部材と接合しているので、シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材との間に、より強固な界面密着性を得ることができる。これにより、膜電極接合体の物理的なダメージを回避し、さらに燃料電池の冷熱サイクルや大きく電池変化が繰り返される環境下でのサイクル耐久性が従来に比べより向上する。
(6)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の燃料電池の製造方法により製造された燃料電池である。
上述したように、電解質溶液をシール一体型膜電極接合体と接合するガス拡散部材の面に塗布し、電解質溶液が乾燥する前またはシール一体型膜電極接合体およびシール部材と多孔質のガス拡散部材との界面に電解質溶液に含まれる溶媒が存在する状態で、シール一体型膜電極接合体およびシール部材とガス拡散部材を接合することにより、多孔質のガス拡散部材の厚み方向に浸透圧によって電解質溶液が浸透していき、さらに、ガス拡散部材中に浸透した電解質溶液が乾燥して樹脂成分が凝固することにより、熱圧着を要しなくても、シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材との間に、より強固な界面密着性を得ることができる。したがって、得られた燃料電池内の膜電極接合体は、従来に比べ物理的なダメージを受けていないため、燃料電池としての性能も向上し、さらに燃料電池の冷熱サイクルや大きく電池変化が繰り返される環境下でのサイクル耐久性も従来に比べ向上する。
本発明によれば、シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材との間に強固な界面密着性を得ることができ、得られた燃料電池の冷熱サイクルや大きく電池変化が繰り返される環境下でのサイクル耐久性も従来に比べ向上する。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態における燃料電池100には、外周部に、酸化剤ガス供給用マニホールド32aと燃料ガス供給用マニホールド34aと冷却媒体供給用マニホールド36a、および酸化剤ガス排出用マニホールド32bと燃料ガス排出用マニホールド34bと冷却媒体排出用マニホールド36bが形成されている。また、図示しないが、本実施の形態における燃料電池100は、後述する図2に示す発電体200とセパレータとが交互に積層されて構成されている。
また、本実施の形態の燃料電池における発電体200は、図2に示すように、電解質膜10の周縁部を除いて電解質膜10の両面に形成された触媒層12a,12bと、電解質膜10の周縁部に設けられたシール部材16と、シール部材16および触媒層12a,12b上に積層されたガス拡散層と、前記ガス拡散層の周縁部であって前記ガス拡散層内部に形成されシール部材16と接合した電解質浸透層22と、を有する。
また、本実施の形態において、ガス拡散層は、微多孔質層(マイクロポーラス層、以下「MPL層」という)18aとガス拡散基材20a、およびMPL層18bとガス拡散基材20bの積層体から形成されている。
ガス拡散基材20a,20bとして、例えば、クロス基材やフェルト基材、ペーパー基材などの多孔質基材が用いられる。また、MPL層は、吸収性コアと撥水性多孔シェルからなるコア・シェル構造を有する粉体から形成され、コア・シェル構造を有する粉体は、例えば、吸収性コアがナフィオン(商標名)などのパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーからなり、撥水性多孔シェルがカーボンとフッ素系樹脂からなるコア・シェル構造を有する粉体を用いることができる。
電解質浸透層22は、シール部材16に接合し、さらに電解質浸透層22の厚みは、ガス拡散層の厚み(すなわち、MPL層18aとガス拡散基材20aの厚みの合算厚みまたはMPL層18bとガス拡散基材20bの厚みの合算厚み)未満である。電解質浸透層22の厚みが拡散層の厚み以上の場合、拡散層上に電解質が露出し次工程の熱圧着時に不具合が生じる可能性がある。また、電解質浸透層22は、クロストークを防止するために、シール部材16の平面方向よりはみ出さず、また触媒層12a,12bと接触しないように配置されている。
また、本実施の形態では、電解質膜10の一方面に触媒層12aからなる燃料極を他方の面に触媒層12bからなる空気極をそれぞれ配した膜電極接合体の周縁部にシール部材16が一体成形されたシール一体型膜電極接合体を用い、このシール一体型膜電極接合体の両面にガス拡散層をそれぞれ配置して、ガスケット38からの押圧により、圧着により順次、発電体200とセパレータとを簡便に組み付けることができる。
次に、本実施の形態における燃料電池の製造方法の一例について、図3を用いて説明する。なお、図3では、図1の破線で囲ったX部分を拡大した部分断面図を用いて、製造方法の工程の一例を説明する。なお、図2において説明した構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
図3に示すように、本実施の形態における燃料電池の製造方法は、電解質膜10の一方面に触媒層12aからなる燃料極を他方の面に触媒層12bからなる空気極をそれぞれ配した膜電極接合体の周縁部にシール部材16が一体成形されたシール一体型膜電極接合体40のシール部材16上に、電解質膜10に含まれる樹脂成分を含有する電解質溶液60を塗布する工程(すなわち、塗布工程)と、電解質溶液60が乾燥する前またはシール一体型膜電極接合体40のシール部材16と多孔質のガス拡散部材からなるガス拡散層50との界面に電解質溶液60に含まれる溶媒が存在する状態で、シール一体型膜電極接合体40のシール部材16とガス拡散部材とを接合する工程(すなわち、接合工程)と、を備える。ここで、本実施の形態におけるガス拡散部材からなるガス拡散層50は、MPL層18aとガス拡散基材20a、およびMPL層18bとガス拡散基材20bの積層体から形成されている。
したがって、シール一体型膜電極接合体40のシール部材16とガス拡散部材の界面、すなわち、シール部材16とMPL層18aとの界面に、電解質溶液60が存在する状態または電解質溶液60の溶媒が存在する状態で接合させることにより、多孔質のガス拡散層50の厚み方向に電解質溶液60が浸透圧によって浸透していき、さらに、ガス拡散層50中に浸透した電解質溶液60が乾燥して樹脂成分が凝固することにより、熱圧着を要しなくても、常温処理で、シール部材16上に電解質塗布層21、電解質浸透層22が順次形成され、その結果、シール一体型膜電極接合体40のシール部材16とガス拡散層50との間に強固な界面密着性を得ることができる。上記同様にして、シール部材16とMPL層18bとの界面に電解質溶液60を存在させた状態で接合することにより、反対側でも、熱圧着を要しなくても、常温処理で、シール部材16上に電解質塗布層21、電解質浸透層22が順次形成され、その結果、シール一体型膜電極接合体40のシール部材16とガス拡散層50(すなわち、MPL層18bとガス拡散基材20bとからなる積層体)との間に強固な界面密着性を得ることができる。
ここで、「常温」とは、平常の温度をいい、加熱を要しない周囲温度をいう。
電解質溶液60は、電解質膜10に含まれる樹脂成分を含有していれば、いなかる溶液でも良いが、電解質膜10に含まれる樹脂成分として、例えば、ナフィオン(商標名)などのパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーなどのフッ素系樹脂が用いられ、電解質溶液60の溶媒としては、例えば、水や、エタノールなどのアルコールが用いられ、また、カーボンも含むことができる。
電解質溶液60の塗布方法は、ディスペンサー塗工やスクリーン印刷、スプレー塗工など少量の溶液を定量で塗布することができるものが用いられる。
さらに、他の実施の形態における燃料電池の製造方法では、さらに、電解質膜10に含まれる樹脂成分を含有する電解質溶液60を、シール一体型膜電極接合体40と接合するガス拡散部材の面に塗布する工程を有し、電解質溶液60が乾燥する前またはシール一体型膜電極接合体40およびシール部材16と多孔質のガス拡散層50との界面に電解質溶液60に含まれる溶媒が存在する状態で、シール一体型膜電極接合体40およびシール部材16とガス拡散部材とを接合させる。
これにより、シール部材16とガス拡散部材との接合性が向上するのみならず、シール一体型膜電極接合体40とガス拡散部材との接合性も向上する。なお、電解質溶液60の組成ならびに塗布方法は上述と同様である。
従来シール部材とガス拡散部材との熱圧着に比べ、シール部材16とガス拡散部材からなるガス拡散層50との接合性が強固になるばかりでなく、通常熱圧着を必要とする工程において、常温接合が可能となり、工程が簡素化され、大量生産時における生産性を大幅に向上させることができ、また、熱圧着の場合のような電解質膜の軟化および寸法変化を抑えることができ、製造時における電解質膜の損傷を抑制することができる。その結果、機械的な強度が従来に比べ向上し、特に、クロストーク耐久性を向上させることができる。
実施例1.
図2および図3に示す構造であって、電解質溶液60による電解質浸透層22をガス拡散層50中に配置した構成であって、電解質溶液60が乾燥する前に、シール部材とMPL層とを常温(すなわち、作製周囲温度)で接合することにより製造した燃料電池の発電体200の両側に、セパレータを配置した燃料電池のセルAを作製した。ここで、電解質溶液は、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(ナフィオン(商標名))を樹脂成分とし、カーボンを含み、溶媒としては水とエタノールを含有するものを用いた。
図2および図3に示す構造であって、電解質溶液60による電解質浸透層22をガス拡散層50中に配置した構成であって、電解質溶液60が乾燥する前に、シール部材とMPL層とを常温(すなわち、作製周囲温度)で接合することにより製造した燃料電池の発電体200の両側に、セパレータを配置した燃料電池のセルAを作製した。ここで、電解質溶液は、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(ナフィオン(商標名))を樹脂成分とし、カーボンを含み、溶媒としては水とエタノールを含有するものを用いた。
比較例1.
図4に示す構造であって、シール部材16上に実施例1と同様の電解質溶液を塗布し、この電解質溶液を乾燥させた後、電解質樹脂層23上にガス拡散部材を積層して熱圧着した以外は、実施例1と同様に、燃料電池の発電体を製造し、得られた発電体の両側に、セパレータを配置した燃料電池のセルBを作製した。
図4に示す構造であって、シール部材16上に実施例1と同様の電解質溶液を塗布し、この電解質溶液を乾燥させた後、電解質樹脂層23上にガス拡散部材を積層して熱圧着した以外は、実施例1と同様に、燃料電池の発電体を製造し、得られた発電体の両側に、セパレータを配置した燃料電池のセルBを作製した。
比較例2.
図5に示す構造であって、シール部材16上に電解質溶液を塗布せずに、シール16上にガス拡散部材を積層して熱圧着した以外は、実施例1と同様に、燃料電池の発電体を製造し、得られた発電体の両側に、セパレータを配置した燃料電池のセルCを作製した。
図5に示す構造であって、シール部材16上に電解質溶液を塗布せずに、シール16上にガス拡散部材を積層して熱圧着した以外は、実施例1と同様に、燃料電池の発電体を製造し、得られた発電体の両側に、セパレータを配置した燃料電池のセルCを作製した。
比較例3.
図6に示す構造であって、シール部材16上に実施例1と同様の電解質溶液を少量塗布し、電解質溶液が乾燥する前に、シール部材16とMPL層とを接合し、電解質溶液がMPL層の厚み未満まで浸透した電解質塗布層21のみ形成させ、実施例1の電解質浸透層22は形成させなかった以外は、実施例1と同様に、燃料電池の発電体を製造し、得られた発電体の両側に、セパレータを配置した燃料電池のセルDを作製した。
図6に示す構造であって、シール部材16上に実施例1と同様の電解質溶液を少量塗布し、電解質溶液が乾燥する前に、シール部材16とMPL層とを接合し、電解質溶液がMPL層の厚み未満まで浸透した電解質塗布層21のみ形成させ、実施例1の電解質浸透層22は形成させなかった以外は、実施例1と同様に、燃料電池の発電体を製造し、得られた発電体の両側に、セパレータを配置した燃料電池のセルDを作製した。
[評価方法]
上記実施例1および比較例1〜3について、冷熱サイクル試験後におけるテープ剥離試験での剥離界面の相違を表1に示す。また、初期特性として、燃料電池のセルの作製時の短絡リークの結果を表2に示す。また、耐久特性について、サイクル耐久試験を行い、クロストークに至たるまでの時間を表3に示す。
冷熱サイクル試験:
上記実施例1および比較例1〜3について、冷熱サイクル試験後におけるテープ剥離試験での剥離界面の相違を表1に示す。また、初期特性として、燃料電池のセルの作製時の短絡リークの結果を表2に示す。また、耐久特性について、サイクル耐久試験を行い、クロストークに至たるまでの時間を表3に示す。
冷熱サイクル試験:
燃料電池のセルを、80℃で60分間起動させた後、20℃で60分間起動させ、これを1サイクルとして、1サイクル毎に、ガス拡散部材をセロハンテープに貼り、90°まで剥離した時点の冷熱サイクル数を測定するとともに、剥離状態について目視により確認した。結果を表1に示す。
短絡リーク測定:
0.3Vで保持した際の、各セルのリーク電流値を測定した。結果を表2に示す。
0.3Vで保持した際の、各セルのリーク電流値を測定した。結果を表2に示す。
サイクル耐久試験:
燃料電池のセルA〜Dをそれぞれセル温度80℃で保持し、開回路電圧と0.1A/cm2とを交互に切替え、電解質膜が湿潤する前に急激に電位変化を行った際のクロスリークに至るまでの時間を測定した。結果を表3に示す。
燃料電池のセルA〜Dをそれぞれセル温度80℃で保持し、開回路電圧と0.1A/cm2とを交互に切替え、電解質膜が湿潤する前に急激に電位変化を行った際のクロスリークに至るまでの時間を測定した。結果を表3に示す。
表1より、冷熱サイクル試験を用いて、破壊された界面を確認したところ、実施例1は、比較例1に比べ、ガス拡散部材からなるガス拡散層とシール部材の両側に電解質溶液を塗布後ウェットな状態で接合しているので界面の接合強度が高いことが判明した。また、実施例1は、比較例1のように熱圧着することなく、常温で電解質溶液を拡散接合しているので、電解質膜の損傷もなく、また界面の接合強度も高いことが分かった。
表2,表3より、実施例1は、熱圧着を行った比較例2,3に比べ、常温接合を行っているので、初期における発電体の損傷が軽減され、さらに、実施例1は、比較例2,3に比べ、界面の接合強度が高いため、耐久時において界面に隙間が生じないため電解質膜の劣化が抑制されることが判明した。
本発明は、燃料電池の製造方法および燃料電池は、燃料電池を用いる用途であれば、いかなる用途にも有効であるが、特に車両用の燃料電池に供することができる。
10 電解質膜、12a,12b 触媒層、16 シール部材、18a,18b MPL層、20a,20b ガス拡散基材、21 電解質塗布層、22 電解質浸透層、23 電解質樹脂層、32a 酸化剤ガス供給用マニホールド、32b 酸化剤ガス排出用マニホールド、34a 燃料ガス供給用マニホールド、34b 燃料ガス排出用マニホールド、36a 冷却媒体供給用マニホールド、36b 冷却媒体排出用マニホールド、38 ガスケット、40 シール一体型膜電極接合体、50 ガス拡散層、60 電解質溶液、70 燃料極、72 電解質膜、74 空気極、80 セパレータ、100 燃料電池、200 発電体。
Claims (6)
- 電解質膜の一方面に燃料極を他方の面に空気極をそれぞれ配した膜電極接合体の周縁部にシール部材が一体成形されたシール一体型膜電極接合体のシール部材上に、前記電解質膜に含まれる樹脂成分を含有する電解質溶液を塗布する工程と、
前記電解質溶液が乾燥する前に、前記シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材とを接合する工程と、を備えることを特徴とする燃料電池の製造方法。 - 請求項1に記載の燃料電池の製造方法において、
前記シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材とを接合する工程は、前記シール一体型膜電極接合体のシール部材と多孔質のガス拡散部材との界面に前記電解質溶液に含まれる溶媒が存在する状態で、前記シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材とを接合させることを特徴とする燃料電池の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の燃料電池の製造方法において、
さらに、前記電解質膜に含まれる樹脂成分を含有する電解質溶液を、前記シール一体型膜電極接合体と接合するガス拡散部材の面に塗布する工程を有し、
前記電解質溶液が乾燥する前または前記シール一体型膜電極接合体およびシール部材と多孔質のガス拡散部材との界面に前記電解質溶液に含まれる溶媒が存在する状態で、前記シール一体型膜電極接合体およびシール部材とガス拡散部材とを接合させることを特徴とする燃料電池の製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池の製造方法において、
前記シール一体型膜電極接合体のシール部材とガス拡散部材とを接合する工程は、加熱を要しない常温処理であることを特徴とする燃料電池の製造方法。 - 電解質膜の周縁部を除いて電解質膜の両面に形成された触媒層と、
前記電解質膜の周縁部に設けられたシール部材と、
前記シール部材および触媒層上に積層されたガス拡散層と、
前記ガス拡散層の周縁部であって前記ガス拡散層内部に形成され前記シール部材と接合した電解質浸透層と、
を有することを特徴とする燃料電池。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池の製造方法により製造されたことを特徴とする燃料電池。
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