JP2011020916A - 焼結セラミックス成形用組成物、焼結セラミックスの製法、及びセラミックス - Google Patents
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Abstract
【課題】実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で加熱することにより吸熱分解する吸熱分解型高分子バインダーを含む焼結セラミックス成形用組成物を提供すること。
【解決手段】セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーとを含んでなる焼結セラミックス成形用組成物であって、上記吸熱分解型高分子バインダーが、一般式(1)で表されるエポキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートであることを特徴とする組成物。
【選択図】なし
【解決手段】セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーとを含んでなる焼結セラミックス成形用組成物であって、上記吸熱分解型高分子バインダーが、一般式(1)で表されるエポキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートであることを特徴とする組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、セラミックス粉末と、特定の吸熱分解型高分子バインダーとを含んでなる焼結セラミックス成形用組成物、焼結セラミックスの製法、及び上記組成物から製造されたセラミックスに関する。本発明は、特に、非酸化物系セラミックスを製造するために好適な焼結セラミックス成形用組成物、焼結セラミックスの製法、及び上記組成物から製造されたセラミックスに関する。
セラミックス、特にファインセラミックス、ニューセラミックス等と称されるセラミックスは、一般的に、セラミックス粉末と、セラミックス成形用バインダーとを含むスラリーを製造し、成型し、そして焼結させることにより製造されている。上述のセラミックス成形用バインダーとしては、非特許文献1に記載されるような、ポリビニルブチラール(PVB)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル系ポリマー等が用いられている。
上述のバインダーは、主としてセラミックスの成形のための材料であり、焼結の際に完全に消失することが好ましいが、上述のバインダーは、吸熱分解しにくく、単に加熱したのみでは、成形したセラミックス中にバインダー残渣が残り、セラミックスの性能に悪影響を及ぼすので、焼結の際に酸素を供給してバインダーを燃焼させ、消失させる方法が用いられている。しかし、焼結の際の高温条件下において酸素が存在すると、セラミックス中に金属の酸化物が生成し、セラミックスの性能が低下する場合があり、焼結後に、還元工程が必要となることが多い。従って、焼結の際に酸素を供給せずに消失することができるバインダーを含むセラミックス成形用組成物が望まれている。
エレクトロニクス分野では、高出力化、高集積化、薄型化、軽量化、高周波対応、環境調和等の観点から、放熱性に優れる非酸化物系セラミックス、例えば、AlNが使用されており、今後、ますます重要な材料になると考えられる。また、汎用インバータ、車載インバータ、半導体レーザー、高周波通信機器の分野でも、電気絶縁性、放熱特性、熱膨張特性に優れるAlNが用いられている。
さらに、ベアリングボール、車載用部品、例えば、ディーゼルポンプ、ディーゼルポンプ用ブランジャー、産業用部品等の分野では、高強度、高剛性、耐摩耗性など優れた機械的特性を有する非酸化物系セラミックス、例えば、窒化ケイ素(Si3N4)セラミックスが用いられている。
上記非酸化物系セラミックスは、当該セラミックス中に金属酸化物が存在すると、その性能、例えば、放熱特性が低下することが知られている。例えば、AlNの場合には、酸化物であるAl2O3の存在により、放熱特性が顕著に低下する。従って、上記非酸化物系セラミックスは、酸化物が生成しない条件下で製造されることがより好ましい。
焼結時に酸素を必要とせず、熱分解しうるバインダーとして、特許文献1に記載されるように、ポリプロピレンカーボネート及びポリエチレンカーボネートが検討されている。しかし、特許文献1に記載されるような、焼結セラミックス用のバインダーとして用いられてきた従来のポリプロピレンカーボネート及びポリエチレンカーボネートは、その構造中に、エポキシドと二酸化炭素とが交互に共重合することにより生成した炭酸エステル結合部分のみならず、エポキシド同士の結合に由来するエーテル結合部分を含む。当該エーテル結合部分は、炭酸エステル結合部分よりも熱分解しにくいので、不活性雰囲気下における焼結では、セラミックス中にエーテル結合部分に由来する有機物が残り、当該有機物がセラミックスの性能を下げる恐れがある。
工業調査会編集部編、「最新 ファインセラミックス技術」株式会社工業調査会 1983年10月、9〜15頁
以上のように、従来のカーボネートでは、完全に除去するためには酸素を供給する必要が依然としてあり、特に非酸化物系セラミックスの焼結に際しては、還元処理が不可欠であった。
従って、本発明は、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で加熱することにより完全に吸熱分解する吸熱分解型高分子バインダーを含む焼結セラミックス成形用組成物を提供することを目的とする。
従って、本発明は、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で加熱することにより完全に吸熱分解する吸熱分解型高分子バインダーを含む焼結セラミックス成形用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーとを含んでなる焼結セラミックス成形用組成物であって、上記吸熱分解型高分子バインダーが、一般式(1)で表されるエポキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートであることを特徴とする組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は以下の態様に関する。
[態様1]
セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーとを含んでなる焼結セラミックス成形用組成物であって、
上記吸熱分解型高分子バインダーが、次の一般式(1):
(式中、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、又は置換若しくは非置換の芳香族基であるか、又はR1とR2が互いに結合して置換若しくは非置換の環を形成してもよい)
で表されるエポキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートであることを特徴とする組成物。
[態様1]
セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーとを含んでなる焼結セラミックス成形用組成物であって、
上記吸熱分解型高分子バインダーが、次の一般式(1):
で表されるエポキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートであることを特徴とする組成物。
[態様2]
上記吸熱分解型高分子バインダーが、エチレンオキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリエチレンカーボネート、又はプロピレンオキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリプロピレンカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリエチレンカーボネート又はポリプロピレンカーボネートである、態様1に記載の組成物。
[態様3]
上記セラミックス粉末が、金属及び半金属の炭化物、窒化物、ホウ化物及びフッ化物から成る群から選択される非酸化物系セラミックス粉末を含む、態様1又は2に記載の組成物。
[態様4]
上記非酸化物系セラミックス粉末が、窒化アルミニウム粉末である、態様3に記載の組成物。
上記吸熱分解型高分子バインダーが、エチレンオキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリエチレンカーボネート、又はプロピレンオキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリプロピレンカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリエチレンカーボネート又はポリプロピレンカーボネートである、態様1に記載の組成物。
[態様3]
上記セラミックス粉末が、金属及び半金属の炭化物、窒化物、ホウ化物及びフッ化物から成る群から選択される非酸化物系セラミックス粉末を含む、態様1又は2に記載の組成物。
[態様4]
上記非酸化物系セラミックス粉末が、窒化アルミニウム粉末である、態様3に記載の組成物。
[態様5]
セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーと分散媒とを含むスラリーを調製するステップ;
上記スラリーを用いて成形体を成形するステップ;及び
上記成形体を、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で加熱することにより上記吸熱分解型高分子バインダーを吸熱分解させ、且つ上記セラミックス粉末を焼結させるステップ:
を含んでなる焼結セラミックスの製造方法であって、
上記吸熱分解型高分子バインダーが、次の一般式(1):
(式中、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、又は置換若しくは非置換の芳香族基であるか、又はR1とR2が互いに結合して置換若しくは非置換の環を形成してもよい)
で表されるエポキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートであることを特徴とする方法。
セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーと分散媒とを含むスラリーを調製するステップ;
上記スラリーを用いて成形体を成形するステップ;及び
上記成形体を、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で加熱することにより上記吸熱分解型高分子バインダーを吸熱分解させ、且つ上記セラミックス粉末を焼結させるステップ:
を含んでなる焼結セラミックスの製造方法であって、
上記吸熱分解型高分子バインダーが、次の一般式(1):
で表されるエポキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートであることを特徴とする方法。
[態様6]
上記加熱の温度が800℃以上である、態様5に記載の方法。
[態様7]
上記不活性雰囲気が窒素雰囲気である、態様5又は6に記載の方法。
[態様8]
上記焼結セラミックスを還元するステップを一切含まない、態様5〜7のいずれか1つに記載の方法。
上記加熱の温度が800℃以上である、態様5に記載の方法。
[態様7]
上記不活性雰囲気が窒素雰囲気である、態様5又は6に記載の方法。
[態様8]
上記焼結セラミックスを還元するステップを一切含まない、態様5〜7のいずれか1つに記載の方法。
[態様9]
上記セラミックス粉末が、金属及び半金属の炭化物、窒化物、ホウ化物及びフッ化物から成る群から選択される非酸化物系セラミックス粉末を含む、態様5〜8のいずれか1つに記載の方法。
[態様10]
上記非酸化物系セラミックス粉末が、窒化アルミニウム粉末である、態様9に記載の方法。
[態様11]
態様1〜4のいずれか1つに記載の組成物から製造されたセラミックス。
上記セラミックス粉末が、金属及び半金属の炭化物、窒化物、ホウ化物及びフッ化物から成る群から選択される非酸化物系セラミックス粉末を含む、態様5〜8のいずれか1つに記載の方法。
[態様10]
上記非酸化物系セラミックス粉末が、窒化アルミニウム粉末である、態様9に記載の方法。
[態様11]
態様1〜4のいずれか1つに記載の組成物から製造されたセラミックス。
本発明の焼結セラミックス成形用組成物は、焼結時に、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で完全に熱分解して消失することができるので、ポリビニルブチラール等を含むセラミック成形用組成物に必要となりうる還元処理を省略することができる。
本発明の焼結セラミックス成形用組成物はまた、特に実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で、ポリビニルブチラール等を含むセラミック成形用組成物よりも不純物の少ないセラミックスを製造することができる。
本発明の焼結セラミックス成形用組成物はまた、特に実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で、ポリビニルブチラール等を含むセラミック成形用組成物よりも不純物の少ないセラミックスを製造することができる。
本発明の焼結セラミックス成形用組成物はまた、従来のポリカーボネート系バインダーと比較して、焼結時に、特に実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で、完全に熱分解して消失することができるので、バインダー残渣の少ないセラミックスを簡易に製造することができる。
本発明の焼結セラミックス成形用組成物及び焼結セラミックス成形用組成物の製造方法について、以下、詳細に説明する。
[吸熱分解型高分子バインダー]
本明細書において、「吸熱分解型高分子バインダー」は、熱を吸収することにより分解するタイプの高分子バインダーを意味する。従って、当該吸熱分解型高分子バインダーには、燃焼しなければ消失しない高分子バインダーは、含まれない。
なお、本明細書において、「高分子」とは、後述の数平均分子量範囲を意味する。
本明細書において、「吸熱分解型高分子バインダー」は、熱を吸収することにより分解するタイプの高分子バインダーを意味する。従って、当該吸熱分解型高分子バインダーには、燃焼しなければ消失しない高分子バインダーは、含まれない。
なお、本明細書において、「高分子」とは、後述の数平均分子量範囲を意味する。
上記吸熱分解型高分子バインダーは、次の一般式(1):
(式中、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、又は置換若しくは非置換の芳香族基であるか、又はR1とR2が互いに結合して置換若しくは非置換の環を形成してもよい)
で表されるエポキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートである。
で表されるエポキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートである。
上記ポリカーボネートの原料として用いられる一般式(1):
で表されるエポキシドにおいて、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、又は置換若しくは非置換の芳香族基であるか、又はR1とR2が互いに結合して置換若しくは非置換の環を形成してもよい。
R1及びR2のアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状の置換又は非置換のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、1−メチル−1−エチル−n−ペンチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、n−ヘプチル基、2−ヘプチル基、1−エチル−1,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−2,2−ジメチル−n−プロピル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられ、より好ましくはメチル基である。該アルキル基は、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、芳香族基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R1及びR2の置換又は非置換の芳香族基としては、炭素数6〜10の置換又は非置換の芳香族基が好ましく、例えば、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基等の置換又は非置換の芳香族炭化水素基が挙げられ、より好ましくはフェニル基である。該芳香族基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R1及びR2は、互いに結合して置換又は非置換の環を形成してもよく、好ましくは炭素数4〜10の置換又は非置換の脂肪族環を形成してもよい。例えば、R1及びR2が、−(CH2)4−を介して互いに結合した場合、シクロヘキサン環を形成する。このように形成された環は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
上記一般式(1)で表されるエポキシドの中で特に好ましいものの具体例としては、次の式(1−1)〜(1−4)のものが挙げられる。
上記ポリカーボネートの合成において、用いられる触媒は、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートを生成することができるものであれば特に制限されないが、例えば、次の一般式(2):
(式中、R3及びR4は、同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換の芳香族基、又は置換若しくは非置換の芳香族複素環基であってよい)
で表される光学活性コバルト錯体を用いることができる。
で表される光学活性コバルト錯体を用いることができる。
R3及びR4の置換又は非置換のアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状の置換又は非置換のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基は、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、芳香族基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3及びR4の置換又は非置換の芳香族基としては、炭素数6〜10の置換又は非置換の芳香族基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等の置換又は非置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。該芳香族基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R3及びR4の置換又は非置換の芳香族複素環基としては、炭素数5〜10の置換又は非置換の芳香族複素環基が好ましく、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピラリジニル基、キノリル基、イソキノリル基等の置換又は非置換の芳香族複素環基が挙げられる。該芳香族複素環基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
また、2個のR3同士又は2個のR4同士は、互いに結合して置換又は非置換の環を形成してもよく、好ましくは炭素数4〜10の置換又は非置換の脂肪族環を形成してもよい。例えば、R3及びR4が−(CH2)4−を介して互いに結合した場合、シクロヘキサン環を形成する。このように形成された環は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
さらに、R5、R6及びR7は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換の芳香族基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、アシル基、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは非置換の芳香族オキシカルボニル基、又は置換若しくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基である。
R5、R6及びR7の置換又は非置換のアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状の置換又は非置換のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の置換又は非置換のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基は、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、芳香族基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R5、R6及びR7の置換又は非置換のアルケニル基としては、炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基、例えば、ビニル基、2−プロペニル基等が挙げられる。該アルケニル基は、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、芳香族基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R5、R6及びR7の芳香族基としては、炭素数6〜10の置換又は非置換の芳香族基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等の置換又は非置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。該芳香族基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R5、R6及びR7の置換又は非置換の芳香族複素環基としては、炭素数5〜10の置換又は非置換の芳香族複素環基が好ましく、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピラリジニル基、キノリル基、イソキノリル基等の置換又は非置換の芳香族複素環基が挙げられる。該芳香族複素環基は、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ハロゲン原子基、ニトロ基、シアノ基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R5、R6及びR7のアシル基としては、炭素数1〜20のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基等の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、3,5−ジメチルベンゾイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基、2,6−ジメトキシベンゾイル基、2,4,6−トリメトキシベンゾイル基、2,6−ジイソプロポキシベンゾイル基、1−ナフチルカルボニル基、2−ナフチルカルボニル基、9−アントリルカルボニル基等の芳香族アシル基等が挙げられる。
R5、R6及びR7の置換又は非置換のアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20の置換又は非置換のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、シクロオクチルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基が挙げられる。該アルコキシカルボニル基は、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、芳香族基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R5、R6及びR7の置換又は非置換の芳香族オキシカルボニル基としては、炭素数7〜20の置換又は非置換の芳香族オキシカルボニル基が好ましく、例えば、フェノキシカルボニル基が挙げられる。該芳香族オキシカルボニル基は、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ハロゲン原子基、ニトロ基、シアノ基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
R5、R6及びR7の置換又は非置換のアラルキルオキシカルボニル基としては、炭素数7〜20のアラルキルオキシカルボニル基が好ましく、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基等が挙げられる。該アラルキルオキシカルボニル基は、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、スルホ基、ホルミル基、ハロゲン原子、芳香族基、アルコキシアルキレンオキシ基、例えばメトキシエチレンオキシ基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
さらに、R6及びR7は、互いに結合して環を形成してもよく、好ましくは炭素数4〜10の置換又は非置換の脂肪族環を形成してもよい。例えば、R6及びR7が−(CH2)4−を介して互いに結合した場合、シクロヘキサン環を形成する。このように形成された環は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基等から選択される1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
一般式(2)で表される光学活性コバルト錯体の中で特に好ましいものの具体例としては、次の式(2−1)〜(2−11)のものが挙げられる。
また、一般式(2)で表される光学活性コバルト錯体から誘導して得られる、一般式(3):
で表される光学活性コバルト錯体も、本発明で用いられるポリカーボネートを製造するための触媒として有効であり、ここでR3、R4、R5、R6、R7は一般式(2)について定義した通りであり、X-は、塩を形成し得る陰イオン対を表す。
一般式(3)におけるX-としては、I-、SbF6 -、CF3SO3 -、p−CH3C6H4SO3 -、BF4 -、OCOCF3 -、NO2 -、NO3 -、CH3CO2 -、OBz-、OBzF5 -、OBz(3,5CF3)-、OBz(3,5Cl)-、OBz(4Me2N)-、OBz(4tBu)-、F-、Cl-、Br-、OH-、PF6 -、BPh4 -、SbF6 -、ClO4 -、OTf-、又はOTs-等が挙げられ、好ましくOBzF5 -、OBz-、NO3 -、OCOCF3 -、又はI-である。
一般式(3)で表される光学活性コバルト錯体の中で特に好ましいものの具体例としては、次の式(3−1)〜(3−14)のものが挙げられる。
本発明に用いられるポリカーボネートは、次の一般式(4):
で表され、ここでR1及びR2は上記のとおりである。
一般式(4)で表されるポリカーボネートの数平均分子量の範囲は、原則として、用いられるセラミックス粉末種、形成されるセラミックス種等により異なるものであるが、上記数平均分子量の下限は、例えば、約1,000、約3,000、約5,000、約1万、約3万、約5万等であることができ、そして上記数平均分子量の上限は、例えば、約25万、約20万、約10万、約5万等であることができ、これら数平均分子量の下限及び上限を任意に組み合わせた範囲とすることができる。
一般式(4)で表されるポリカーボネート樹脂の中で特に好ましいものの具体例としては、次の式(4−1)〜(4−4)のものが挙げられる。
一般式(2)で表される光学活性コバルト錯体を用いたポリカーボネートの合成において、求核剤を使用することができる。
求核剤は重合開始剤として働くが、求核剤を使用しない場合は痕跡量の水が重合開始剤として働いているものと考えられる。
求核剤は重合開始剤として働くが、求核剤を使用しない場合は痕跡量の水が重合開始剤として働いているものと考えられる。
求核剤としては、ビス(トリフェニルホスフォラニリデン)アンモニウムクロリド(PPNCl)、ピペリジン、ビス(トリフェニルホスフォラニリデン)アンモニウムフルオリド(PPNF)、ビス(トリフェニルホスフォラニリデン)アンモニウムペンタフルオロベンゾエート(PPNOBzF5)、nBu4NCl、nBu4NBr、nBu4NBr3、nBu4NI、nBu4NOAc、Ph3P等が挙げられ、好ましくはPPNCl、PPNF、PPNOBzF5又はnBu4NClであり、より好ましくはPPNFである。
さらに、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートを生成することができる触媒として、次の一般式(5):
のコバルト錯体を挙げることができる。
一般式(5)のコバルト触媒において、Raは、それぞれ独立して、H、炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアシロキシ基、F、Cl、Br、I、又は−Si(Rb)2−Rc−Xから選択され、但しRaの少なくとも1つは−Si(Rb)2−Rc−Xである。ここで、−Si(Rb)2−Rc−Xはシリル置換基を表し、Rbは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜14のアリール基から選択され、Rcは、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3の二価の炭化水素基であり、Xは、F、Cl、Br又はIから選択される。
シリル置換基−Si(Rb)2−Rc−Xにおける、Rbの具体例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの、直鎖又は分岐のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基などの置換又は非置換のアリール基などが挙げられる。また、Rcの具体例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基などの直鎖又は分岐の二価の炭化水素基が挙げられる。Rbは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はフェニル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又はフェニル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。Rcは、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。Xは、Cl、Br又はIであることが好ましく、Clであることがより好ましい。
Raの具体例として、H;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの、直鎖又は分岐のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基などの置換又は非置換のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、ビニルオキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、アリルオキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基などのアルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、デカノイル基などのアシル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基などのアシロキシ基;F、Cl、Br、I;フロロメチルジメチルシリル基、クロロメチルジメチルシリル基、ブロモメチルジメチルシリル基、ヨードメチルジメチルシリル基、クロロメチルジエチルシリル基、クロロメチルジ(イソプロピル)シリル基、クロロメチルジフェニルシリル基、(1−クロロエチル)ジメチルシリル基、(2−クロロエチル)ジメチルシリル基、(2−クロロプロピル)ジメチルシリル基、(3−クロロプロピル)ジメチルシリル基、(4−クロロブチル)ジメチルシリル基、(6−クロロヘキシル)ジメチルシリル基、(8−クロロオクチル)ジメチルシリル基などのシリル置換基が挙げられる。Raがシリル置換基以外である場合、H、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、メトキシ基、エトキシ基、ビニルオキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、アリルオキシ基、アセチル基、アセトキシ基、F、Cl、Br、又はIであることが好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、又はフェニル基であることがより好ましく、tert−ブチル基であることが特に好ましい。Raがシリル置換基である場合、クロロメチルジメチルシリル基、(2−クロロエチル)ジメチルシリル基、又は(3−クロロプロピル)ジメチルシリル基であることが好ましく、クロロメチルジメチルシリル基であることがより好ましい。Raの両方ともシリル置換基であることがより好ましい。
Rdは、各ベンゼン環上の0〜3個の置換基であって、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアシロキシ基、F、Cl、Br又はIから選択される。Rdの具体例として、シリル置換基以外のRaについて上述した有機基を挙げることができ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、メトキシ基、エトキシ基、ビニルオキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、アリルオキシ基、アセチル基、アセトキシ基、F、Cl、Br、又はIであることが好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、又はフェニル基であることがより好ましく、tert−ブチル基であることが特に好ましい。Rdは各ベンゼン環について1個であることが好ましく、このとき、Rdの位置は、配位子のサリチルアルデヒドに相当する部位の3位であることが好ましい。
一般式(5)のコバルト触媒において、Yは、2個の炭素原子を介して2個のイミノ窒素を連結する二価の連結基である。その2個の炭素原子に1又は複数の、炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜10のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜14のアリール基が結合していてもよい。このような二価の連結基Yの炭素原子に結合する基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの、直鎖又は分岐のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基などの置換又は非置換のアリール基を挙げることができる。また、二価の連結基Yにおいて、その2個の炭素原子が、置換又は非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族環又は芳香環の一部を構成してもよい。このような飽和もしくは不飽和の脂肪族環又は芳香環として、例えば、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環などが挙げられ、これらの脂肪族環又は芳香族環は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基などの、1又は複数の置換基で置換されていてもよい。
一般式(5)のコバルト触媒において、二価の連結基Yの具体例として、上述したような炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数3〜10のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよいエチレン基が挙げられ、このエチレン基は無置換であるか、1又は複数のメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、又はフェニル基で置換されていることが好ましい。また、二価の連結基Yの具体例として、隣接する2個の炭素原子がそれぞれ別のイミノ窒素に結合している置換又は非置換のシクロアルキレン基(例えばシクロヘキサン−1,2−ジイル基)又はフェニレン基(例えば1,2−フェニレン基)も挙げられる。これらの中でシクロヘキサン−1,2−ジイル基が好ましい。
一般式(5)のコバルト触媒において、Zは、F-、Cl-、Br-、I-、N3 -、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。アニオン性配位子はエポキシド化合物のエポキシド炭素に対して求核性を有する場合がある。Zの具体例として、F-、Cl-、Br-、I-、N3 -、アセタート、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、プロピオナート、シクロヘキシルカルボキシラートなどの脂肪族カルボキシラート;ベンゾアート、p−メチルベンゾアート、3,5−ジクロロベンゾアート、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアート、4−ジメチルアミノベンゾアート、4−tert−ブチルベンゾアート、ペンタフルオロベンゾアート(-OBzF5)、ナフタレンカルボキシラートなどの芳香族カルボキシラート;メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシドなどのアルコキシド;フェノキシド、o−ニトロフェノキシド、p−ニトロフェノキシド、m−ニトロフェノキシド、2,4−ジニトロフェノキシド、3,5−ジニトロフェノキシド、3,5−ジフルオロフェノキシド、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシド、1−ナフトキシド、2−ナフトキシドなどのアリールオキシドなどが挙げられる。Zは、F-、Cl-、Br-、I-、アセタート、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、ベンゾアート、又はペンタフルオロベンゾアートであることが好ましく、F-、Cl-、Br-、I-、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、又はペンタフルオロベンゾアートであることがより好ましく、F-、Cl-又はペンタフルオロベンゾアートであることが特に好ましい。
一般式(5)のコバルト触媒において、次の式(6):
又は次の式(7):
(式中、Rc、X及びZは上述の通りである。)
で表されるものが好ましく、次の式(8):
又は次の式(9):
(式中、Zは上述の通りである。)
で表されるものがより好ましく、式(8)で表されるものが特に好ましい。
で表されるものが好ましく、次の式(8):
で表されるものがより好ましく、式(8)で表されるものが特に好ましい。
一般式(5)のコバルト触媒に、助触媒を組み合わせた触媒システムを用いて、エポキシド化合物と二酸化炭素の共重合を行うこともできる。助触媒を併用することにより、共重合の反応速度を高める、及び/又は共重合体の交互規則性を高める、及び/又は副生成物である環状カーボネートの生成を抑制することができる。
一般式(5)のコバルト触媒と組み合わせることが可能な助触媒の一例は、リン及び/又は窒素を含むカチオンと対アニオンとからなる塩である。そのような助触媒として、
[(Re)4N]+、
[(Re)4P]+、
[(Re)3P=N=P(Re)3]+
(式中、Reは、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)、及び次の式(10):
(式中、Rfは、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、Rgは、イミダゾリウム環の炭素上の0〜3個の置換基であって、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)からなる群から選択されるリン及び/又は窒素を含むカチオンと、F-、Cl-、Br-、I-、N3 -、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオンとの塩を使用できる。
[(Re)4N]+、
[(Re)4P]+、
[(Re)3P=N=P(Re)3]+
(式中、Reは、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)、及び次の式(10):
上記塩を構成するカチオン[(Re)4N]+、[(Re)4P]+、[(Re)3P=N=P(Re)3]+における、Reの具体例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などの、直鎖又は分岐のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基などの置換又は非置換のアリール基が挙げられる。式(10)のイミダゾリウムにおけるRf及びRgの具体例として、Reについて上述したような、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、及び置換又は非置換のアリール基が挙げられる。これらのRe,Rf及びRgは、上記カチオン([(Re)4N]+、[(Re)4P]+、[(Re)3P=N=P(Re)3]+、式(10)のイミダゾリウム)が全体として共重合反応に有利な立体的効果を発揮する、すなわち適切な嵩高さを有するように、選択して組み合わせることができる。
上記塩を構成するカチオンとして、[(Re)4N]+、[(Re)3P=N=P(Re)3]+、又は式(10)のイミダゾリウムを使用することが好ましく、[(Re)3P=N=P(Re)3]+を使用することがより好ましい。
四級アンモニウム[(Re)4N]+の具体例として、テトラブチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、トリシクロヘキシルメチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウムなどが挙げられる。
四級ホスホニウム[(Re)4P]+の具体例として、テトラブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、テトラシクロヘキシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、テトラ(メトキシフェニル)ホスホニウムなどが挙げられる。
ビス(ホスホラニリデン)アンモニウム[(Re)3P=N=P(Re)3]+の具体例として、ビス(トリブチルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(エチルジフェニルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(n−ブチルジフェニルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(ジメチルフェニルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(トリトリルホスホラニリデン)アンモニウム、ビス(トリナフチルホスホラニリデン)アンモニウムなどが挙げられる。これらの中でも、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムが好ましい。
式(10)のイミダゾリウムの具体例として、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムなどが挙げられる。
上記塩を構成するアニオンとして、Zについて上述したものを挙げることができ、F-、Cl-、Br-、I-、アセタート、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、ベンゾアート、又はペンタフルオロベンゾアートであることが好ましく、F-、Cl-、Br-、I-、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、又はペンタフルオロベンゾアートであることがより好ましく、F-、Cl-又はペンタフルオロベンゾアートであることが特に好ましい。
上記カチオン及びアニオンからなる塩として、例えば、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムアセタート、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムフルオリド(PPNF)、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムクロリド(PPNCl)、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムペンタフルオロベンゾアート(PPNOBzF5)、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウムクロリドなどが挙げられ、PPNF、PPNCl及びPPNOBzF5が好ましい。
一般式(5)のコバルト錯体と助触媒とを組み合わせた触媒システムにおいて、コバルト錯体を式(6)又は式(7)の化合物とすることが好ましく、式(8)又は式(9)の化合物とすることがより好ましく、式(8)の化合物とすることが特に好ましい。
このような触媒システムの中で、
式(8):
(式中、Zは、F-、Cl-、Br-、I-、N3 -、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオン性配位子である。)で表される化合物と、[(Re)3P=N=P(Re)3]+(式中、Reは、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜20のアリール基である。)で表されるリン及び窒素を含むカチオンと、F-、Cl-、Br-、I-、N3 -、脂肪族カルボキシラート、芳香族カルボキシラート、アルコキシド、及びアリールオキシドからなる群から選択されるアニオンとの塩からなる助触媒とを含むものがより好ましく、ここで、Zがペンタフルオロベンゾアートであり、助触媒がPPNClであることが特に好ましい。
式(8):
エポキシド化合物と二酸化炭素の共重合は、加圧可能な公知の重合反応装置、例えば、オートクレーブを用いて行うことができる。共重合の反応温度は、一般に約0℃以上、約100℃以下とすることができ、約10℃以上、約90℃以下であることが好ましく、約20℃以上、約60℃以下であることがより好ましい。共重合を低温で行うと環状カーボネートの生成を抑制でき、高温で行うと反応速度が増加してTOF及び/又はTONを向上させることができる。一般式(5)のコバルト錯体を用いると、従来の触媒又は触媒システムと比べて広い温度範囲で共重合を行うことができる。
エポキシド化合物と触媒であるコバルト錯体のモル比は、一般にエポキシド化合物:コバルト錯体=約1000:1以上とすることができ、約2000:1以上であることが好ましい。一般式(5)のコバルト錯体は、反応温度を適宜上げることによって、エポキシド化合物:コバルト錯体=約4000:1以上、約8000:1以上、約32000:1以上といった、錯体濃度が非常に低い条件で共重合することもできる。錯体濃度が低いと一般に反応時間が長くなるため、エポキシド化合物:コバルト錯体=約100000:1以下、又は約50000:1以下とすることが一般的である。必要に応じて使用される助触媒の量は、コバルト錯体1モルに対して、一般に約0.1〜約10モルとすることができ、約0.3〜約5モルであることが好ましく、約0.5〜約1.5モルであることがより好ましい。
所望量のエポキシド化合物が重合した後、公知の後処理を行うことができる。例えば、塩酸、メタノール、塩酸/メタノール混合物などを反応停止剤として反応混合物に投入し、必要に応じて昇温及び/又は攪拌して反応を終了することができる。その後、例えば、貧溶媒としてメタノール、ヘキサンなどを用いてポリマーを再沈殿してもよく、ソックスレー抽出器を利用して固体状混合物から錯体を抽出してもよい。また、カラムクロマトグラフィーなどの周知の手段を用いて、ポリマーをさらに精製してもよい。
本発明に用いられるポリカーボネートを合成するための二酸化炭素の使用量に特に制限はないが、反応は、通常、二酸化炭素雰囲気下、又は二酸化炭素加圧条件下で行われる。このうち、好ましい二酸化炭素圧は、0.1MPa〜10MPa、さらに好ましくは0.1MPa〜2MPaの範囲である。また、窒素やアルゴン等の反応に顕著な影響を与えない不活性ガスと二酸化炭素との混合ガス下で反応を行うこともできる。
反応温度は、通常−40℃〜+50℃が好ましく、さらに0℃〜30℃が好ましい。
反応時間は、反応条件により異なるが、通常、1〜100時間である。
反応温度は、通常−40℃〜+50℃が好ましく、さらに0℃〜30℃が好ましい。
反応時間は、反応条件により異なるが、通常、1〜100時間である。
また、本発明に用いられるポリカーボネートの製造において、必要に応じて溶媒を使用することができる。用いられる溶媒としては、使用されるエポキシド、二酸化炭素、光学活性コバルト錯体、求核剤と反応しないものであれば特に制限はなく、例えば、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。具体的には、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等が挙げられ、好ましくはクロロホルムである。これらは単独で用いても、2種以上混合して用いてもかまわない。溶媒の使用量としては、原料であるエポキシドに対して質量比で0.5〜100、好ましくは1〜50の範囲で添加することができる。
[セラミックス粉末]
本発明に用いられるセラミックス粉末は、当技術分野で通常用いられているセラミックス粉末であれば、特に制限されず用いることができる。上記セラミックス粉末としては、非酸化物系セラミックス粉末、酸化物系セラミックス粉末等を挙げることができる。
本明細書において、「非酸化物系セラミックス」は、酸化物を含まないセラミックスを意味し、そして「酸化物系セラミックス」は、酸化物を含むセラミックスを意味する。
本発明に用いられるセラミックス粉末は、当技術分野で通常用いられているセラミックス粉末であれば、特に制限されず用いることができる。上記セラミックス粉末としては、非酸化物系セラミックス粉末、酸化物系セラミックス粉末等を挙げることができる。
本明細書において、「非酸化物系セラミックス」は、酸化物を含まないセラミックスを意味し、そして「酸化物系セラミックス」は、酸化物を含むセラミックスを意味する。
上記セラミックス粉末としては、非酸化物系セラミックス粉末が好ましく、当該非酸化物系セラミックス粉末は、金属又は半金属の炭化物、窒化物、ホウ化物又はフッ化物、あるいはそれらの組み合わせから選択されることが好ましい。
ここで、上記金属としては、例えば、Al、Mg、Zr、Ti、Pb、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd等を挙げることができ、Alが好ましい。また、半金属としては、Si、Ge、Se、Te等を挙げることができ、Siが好ましい。
上記非酸化物系セラミックス粉末としては、例えば、AlN、Si3N4、SiCを挙げることができる。
上記非酸化物系セラミックス粉末としては、例えば、AlN、Si3N4、SiCを挙げることができる。
本発明に用いられる吸熱分解型高分子バインダーは、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で吸熱分解することができるので、セラミックス粉末としては、上記非酸化物系セラミックス粉末が好適である。しかし、本発明に用いられるセラミックス粉末としては、上記非酸化物系セラミックス粉末に限定されず、さらに酸化物系セラミックス粉末をも好適に用いることができる。
上記酸化物系セラミックス粉末としては、例えば、金属及び/又は半金属の酸化物を挙げることができる。上記金属及び半金属としては、非酸化物系セラミックス粉末の項で記載したものを挙げることができる。
上記酸化物系セラミックス粉末としては、例えば、ムライト(3Al2O3・2SiO2〜2Al2O3・SiO2)粉末、アルミナ(Al2O3)粉末、ジルコニア(ZrO2)粉末、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)粉末、コーディエライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)粉末、硼珪酸塩バリウム粉末、珪酸鉄粉末、ルチル(TiO2)、スピネル(Al2O3・MgO)、シリマナイト(Al2O・SiO4)、マグネシア(MgO)、ジルコン(ZrO2・SiO2)、ステアタイト(MgO・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、フェライト(M2+O・Fe2O3、M=Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mg,Cd等)及びガラスセラミックス材料粉末を挙げることができる。
上記セラミックス粉末の粒径は、特に制限されず、セラミックスの用途によって異なるが、例えば、質量基準の中位径(メディアン径)が、0.1〜20μm、0.2〜10μm、0.3〜5.0μm、0.5〜2.0μmである粉末を用いることができる。
[焼結セラミックス成形用組成物]
本発明の焼結セラミックス成形用組成物は、セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーとを含んでなる。
上記セラミックス粉末に対する吸熱分解型高分子バインダーの量は、特に制限されず、成形するセラミックスにより異なるが、例えば、上記吸熱分解型高分子バインダーの量は、上記セラミックス粉末100質量部に対して、0.1〜30質量部、0.5〜20質量部、1.0〜10質量部、0.1〜5質量部であることができる。
本発明の焼結セラミックス成形用組成物は、セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーとを含んでなる。
上記セラミックス粉末に対する吸熱分解型高分子バインダーの量は、特に制限されず、成形するセラミックスにより異なるが、例えば、上記吸熱分解型高分子バインダーの量は、上記セラミックス粉末100質量部に対して、0.1〜30質量部、0.5〜20質量部、1.0〜10質量部、0.1〜5質量部であることができる。
本発明の焼結セラミックス成形用組成物は、上記成分の他に、分散媒、並びに所望による分散剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤等を含むことができる。
上記分散媒としては、特に制限されないが、ケトン系分散媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール系分散媒、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、オレイルアルコール、エステル系分散媒、例えば、酢酸エチル、ブチルカルビトールアセテート、エーテル系分散媒、例えば、ジブチルカルビトール、芳香族系分散媒、例えば、トルエン、キシレン、複素環系分散媒、例えば、ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、並びに水等が挙げられ、これらは、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
上記分散剤としては、グリセリン、ソルビタン等の多価アルコールエステル系、ポリエーテルポリオール系、ポリエチレンイミン等のアミン系、ポリアクリル酸等の高分子電解質、イソブチレン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体及びそのアミン塩等を用いることができる。
また、上記可塑剤としては、ポリエチレングリコールの誘導体、フタル酸エステル系等が用いられる。上記可塑剤の量は、セラミック粉末100質量部に対し、15重量部以下が好ましく、10重量部以下が特に好ましい。
[焼結セラミックスの製造方法]
本発明の焼結セラミックスの製造方法は、セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーと分散媒とを含むスラリーを調製するステップを含む。
セラミックス粉末、吸熱分解型高分子バインダー及び分散媒は、上述の「吸熱分解型高分子バインダー」の項で説明したものと同一の意味を有する。
本発明の焼結セラミックスの製造方法は、セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーと分散媒とを含むスラリーを調製するステップを含む。
セラミックス粉末、吸熱分解型高分子バインダー及び分散媒は、上述の「吸熱分解型高分子バインダー」の項で説明したものと同一の意味を有する。
上記スラリーは、上記セラミック粉末、吸熱分解型高分子バインダー、分散媒、所望による分散剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤等を、セラミックボールが充填されたミル等の装置に充填し、当該装置を回転、振動等させることにより調製することができる。
本発明の焼結セラミックスの製造方法は、上記スラリーを用いて成形体を成形するステップを含む。
上記成形体は、上記スラリーを、所望によりスプレードライヤー等の装置で顆粒体に造粒し、冷間静水圧加圧成形(CIP)、加圧成形、押し出し成形、テープ成形、射出・鋳込成形等を用いて成形される。上記テープ成形には、ドクターブレードが用いられるのが一般的である。
上記成形体は、上記スラリーを、所望によりスプレードライヤー等の装置で顆粒体に造粒し、冷間静水圧加圧成形(CIP)、加圧成形、押し出し成形、テープ成形、射出・鋳込成形等を用いて成形される。上記テープ成形には、ドクターブレードが用いられるのが一般的である。
本発明の焼結セラミックスの製造方法は、上記成形体を、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で加熱することにより上記吸熱分解型高分子バインダーを吸熱分解させ、且つ上記セラミックス粉末を焼結させるステップを含む。
本明細書において、「実質的に酸素を含まない」とは、必ずしも酸素の含有率が0体積%であることを意味するのではなく、本発明に用いられる吸熱分解型高分子バインダーが焼結時に燃焼しない量の酸素を許容することを意味し、例えば、酸素の含有率が、3体積%以下、好ましくは1体積%以下、より好ましくは0.1体積%以下、最も好ましくは0.01体積%以下であることを意味する。
本明細書において、「実質的に酸素を含まない不活性雰囲気」は、酸素の含有率が上記範囲内にあれば特に制限されるものではないが、例えば、窒素、希ガス、例えば、アルゴン、ヘリウムを含む雰囲気又はそれらから成る雰囲気が挙げられる。
また、「実質的に酸素を含まない不活性雰囲気」には、減圧下、例えば、150hPa以下、50hPa以下、5hPa以下、0.5hPa以下における空気も含まれうる。
本発明に用いられる吸熱分解型高分子バインダーは、吸熱分解型であり、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下であっても完全に分解して消失することができる。
また、「実質的に酸素を含まない不活性雰囲気」には、減圧下、例えば、150hPa以下、50hPa以下、5hPa以下、0.5hPa以下における空気も含まれうる。
本発明に用いられる吸熱分解型高分子バインダーは、吸熱分解型であり、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下であっても完全に分解して消失することができる。
焼結の際の加熱は、生成されるセラミックスにより異なるが、一般的には、600℃以上、好ましくは800℃以上、そして2,300℃以下、好ましくは2,200℃以下の温度範囲で行われる。特に、セラミックス粉末が窒化アルミニウム粉末の場合には、上記加熱は、1,500℃〜1,900℃の温度範囲で行われるのが一般的である。
本発明に用いられる吸熱分解型高分子バインダーは、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下であっても、少なくとも230℃で完全に消失することができる。従って、上述の温度範囲で焼結させる場合には、本発明に用いられる吸熱分解型高分子バインダーは、当然ながら完全に消失することができる。
従来は、ポリマーの残渣を取り除くため、酸素供給による燃焼が必要であったが、例えば、AlNの場合には、800℃で、アルミがアルミナに酸化されてしまう問題点があった。
本発明によると、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で完全に高分子バインダーを除去することが可能であり、AlN等の非酸化物系セラミックス粉末を酸化することなく焼結させることができる。
本発明によると、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で完全に高分子バインダーを除去することが可能であり、AlN等の非酸化物系セラミックス粉末を酸化することなく焼結させることができる。
本発明の焼結セラミックスの製造方法は、上記加熱が、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で行われるため、金属酸化物が実質的に生成せず、セラミックスを還元するステップを採用しなくてもよいが、セラミックスを還元するステップを行って、セラミックス中の金属酸化物の濃度をさらに下げることができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない(ここで、ケトイミナトコバルト錯体については上記具体例の番号により示すものとする)。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない(ここで、ケトイミナトコバルト錯体については上記具体例の番号により示すものとする)。
[プロピレンオキシドとCO2との交互共重合]
[製造例1]
ステンレス耐圧容器に、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)0.0143mmol及びPPNF 0.0143mmolを入れ、プロピレンオキシド28.6mmolを加えた後、二酸化炭素を圧入し、全圧が2.0MPaとなるように調整した。室温で48時間反応させた後、二酸化炭素を抜き、この反応混合物について、1H−NMRにより分析を行った。1H−NMR分析は、溶媒として重クロロホルムを、内部標準にはテトラメチルシランを用い、温度22℃で実施した。また、1H−NMR測定装置には日本電子株式会社製のJOEL−EX270及びGX−400を用いた。
[製造例1]
ステンレス耐圧容器に、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)0.0143mmol及びPPNF 0.0143mmolを入れ、プロピレンオキシド28.6mmolを加えた後、二酸化炭素を圧入し、全圧が2.0MPaとなるように調整した。室温で48時間反応させた後、二酸化炭素を抜き、この反応混合物について、1H−NMRにより分析を行った。1H−NMR分析は、溶媒として重クロロホルムを、内部標準にはテトラメチルシランを用い、温度22℃で実施した。また、1H−NMR測定装置には日本電子株式会社製のJOEL−EX270及びGX−400を用いた。
得られた反応混合物には、二酸化炭素とプロピレンオキシドとが交互に反応したポリカーボネートが99%以上存在しており、二酸化炭素とプロピレンオキシドとが1分子ずつ反応した環状カーボネートはほぼ生成していなかった。さらに、1H−NMRにより、ポリカーボネート鎖に含まれるカーボネート結合の割合は99%以上であり、すなわち、生成物は完全な交互共重合体であった。得られたポリカーボネートの収率は72%であり、また13C−NMRにより頭−尾(Head−to−Tail)結合選択性は92%であった。得られたポリカーボネートをGPCで分析したところ、数平均分子量Mnは16800、分子量分布Mw/Mnは1.2(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例2]
製造例1において、PPNFを、PPNClに変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、38%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は54%、頭−尾結合選択性は92%、Mnは15700、Mw/Mnは1.2(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、PPNFを、PPNClに変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、38%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は54%、頭−尾結合選択性は92%、Mnは15700、Mw/Mnは1.2(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例3]
製造例1において、PPNFを、ビス(トリフェニルホスフォラニリデン)アンモニウムペンタフルオロベンゾエート(PPNOBzF5)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は64%、頭−尾結合選択性は92%、Mnは25400、Mw/Mnは1.7(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、PPNFを、ビス(トリフェニルホスフォラニリデン)アンモニウムペンタフルオロベンゾエート(PPNOBzF5)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は64%、頭−尾結合選択性は92%、Mnは25400、Mw/Mnは1.7(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例4]
製造例1において、PPNFを、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリドに変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、4%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は43%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは17900、Mw/Mnは1.0(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、PPNFを、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリドに変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、4%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は43%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは17900、Mw/Mnは1.0(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例5]
製造例1において、PPNFを、トリフェニルホスフィンに変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は10%、頭−尾結合選択性は85%、Mnは4400、Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、PPNFを、トリフェニルホスフィンに変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は10%、頭−尾結合選択性は85%、Mnは4400、Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[求核剤の検討]
[製造例6〜17]
製造例1において、求核剤を変更した以外は特に明記しない限り、同様にして反応を行った。結果を表1に示す(標準ポリスチレン基準、クロロホルム)。
[製造例6〜17]
製造例1において、求核剤を変更した以外は特に明記しない限り、同様にして反応を行った。結果を表1に示す(標準ポリスチレン基準、クロロホルム)。
[製造例18]
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を、ケトイミナトコバルトベンゾエート錯体(3−2)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は85%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは26400、Mw/Mnは1.7(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を、ケトイミナトコバルトベンゾエート錯体(3−2)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は85%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは26400、Mw/Mnは1.7(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例19]
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を、ケトイミナトコバルトニトラート錯体(3−3)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は81%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは16900、Mw/Mnは1.2(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を、ケトイミナトコバルトニトラート錯体(3−3)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は81%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは16900、Mw/Mnは1.2(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例20]
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を、ケトイミナトコバルトトリフルオロアセテート錯体(3−4)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は82%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは26500、Mw/Mnは1.7(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を、ケトイミナトコバルトトリフルオロアセテート錯体(3−4)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は82%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは26500、Mw/Mnは1.7(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例21]
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を、ケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、36%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は50%、頭−尾結合選択性は77%、Mnは4200、Mw/Mnは1.0(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を、ケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、36%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は50%、頭−尾結合選択性は77%、Mnは4200、Mw/Mnは1.0(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例22]
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を、ケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−6)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、43%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は41%、頭−尾結合選択性は76%、Mnは8200、Mw/Mnは1.4(標準ポリスチレン基準、クロロホルム)であった。
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を、ケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−6)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、43%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は41%、頭−尾結合選択性は76%、Mnは8200、Mw/Mnは1.4(標準ポリスチレン基準、クロロホルム)であった。
[製造例23]
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を、ケトイミナトコバルト(II)錯体(2−1)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、3%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は57%、頭−尾結合選択性は92%、Mnは20700、Mw/Mnは1.4(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を、ケトイミナトコバルト(II)錯体(2−1)に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、3%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は57%、頭−尾結合選択性は92%、Mnは20700、Mw/Mnは1.4(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[錯体における配位子の検討(製造例24〜28)]
製造例1において、錯体を変更し、またPPNFをPPNClに変更した以外は、特に明記しない限り、同様にして反応を行った。結果を表2に示す(標準ポリスチレン基準、クロロホルム)。
製造例1において、錯体を変更し、またPPNFをPPNClに変更した以外は、特に明記しない限り、同様にして反応を行った。結果を表2に示す(標準ポリスチレン基準、クロロホルム)。
[錯体における陰イオン対の検討]
[製造例29〜41]
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)の陰イオン対を変更し、またPPNFをPPNClに変更した以外は、特に明記しない限り、同様にして反応を行った。結果を表3に示す(標準ポリスチレン基準、クロロホルム)。
[製造例29〜41]
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)の陰イオン対を変更し、またPPNFをPPNClに変更した以外は、特に明記しない限り、同様にして反応を行った。結果を表3に示す(標準ポリスチレン基準、クロロホルム)。
[製造例42]
製造例1において、無溶媒であるところを、テトラヒドロフラン溶媒2mLに変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、7%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は52%、頭−尾結合選択性は88%、Mnは13700、Mw/Mnは1.2(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、無溶媒であるところを、テトラヒドロフラン溶媒2mLに変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、7%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は52%、頭−尾結合選択性は88%、Mnは13700、Mw/Mnは1.2(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例43]
製造例1において、無溶媒であるところを、塩化メチレン溶媒2mLに変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、4%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は28%、頭−尾結合選択性は89%、Mnは9200、Mw/Mnは1.5(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、無溶媒であるところを、塩化メチレン溶媒2mLに変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、4%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は28%、頭−尾結合選択性は89%、Mnは9200、Mw/Mnは1.5(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例44]
製造例1において、無溶媒であるところを、クロロホルム溶媒2mLに変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、6%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は86%、頭−尾結合選択性は82%、Mnは12300、Mw/Mnは1.3(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、無溶媒であるところを、クロロホルム溶媒2mLに変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、6%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は86%、頭−尾結合選択性は82%、Mnは12300、Mw/Mnは1.3(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例45]
製造例1において、反応時間を5時間に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、10%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は6%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは4461、Mw/Mnは1.2(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、反応時間を5時間に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、10%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は6%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは4461、Mw/Mnは1.2(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例46]
製造例1において、反応時間を10時間に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は29%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは15600、Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、反応時間を10時間に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は29%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは15600、Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例47]
製造例1において、反応時間を15時間に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は34%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは17300、Mw/Mnは1.0(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、反応時間を15時間に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は34%、頭−尾結合選択性は91%、Mnは17300、Mw/Mnは1.0(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例48]
製造例1において、反応時間を24時間に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は56%、頭−尾結合選択性は93%、Mnは17400、Mw/Mnは1.0(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、反応時間を24時間に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は56%、頭−尾結合選択性は93%、Mnは17400、Mw/Mnは1.0(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例49]
製造例1において、反応時間を72時間に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は69%、頭−尾結合選択性は92%、Mnは33500、Mw/Mnは1.7(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、反応時間を72時間に変更した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は69%、頭−尾結合選択性は92%、Mnは33500、Mw/Mnは1.7(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例50]
製造例1において、耐圧容器を予め減圧加熱乾燥した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は83%、頭−尾結合選択性は93%、Mnは31000、Mw/Mnは1.6(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例1において、耐圧容器を予め減圧加熱乾燥した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物は、99%以上の選択性でポリカーボネートであった。収率は83%、頭−尾結合選択性は93%、Mnは31000、Mw/Mnは1.6(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例51]
製造例10において、耐圧容器を予め減圧加熱乾燥した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、2%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は69%、頭−尾結合選択性は92%、Mnは17200、Mw/Mnは1.0(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例10において、耐圧容器を予め減圧加熱乾燥した以外は同様にして反応を行った。このとき得られた反応混合物には、2%程度の環状カーボネートが含まれていた。収率は69%、頭−尾結合選択性は92%、Mnは17200、Mw/Mnは1.0(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[比較製造例1]
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を用いない以外は同様にして反応を行ったが、反応は全く進行しなかった。
製造例1において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体を用いない以外は同様にして反応を行ったが、反応は全く進行しなかった。
[シクロヘキセンオキシドとCO2の交互共重合]
[製造例52]
ステンレス耐圧容器に、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)0.0143mmol及びPPNF 0.0143mmolを入れ、シクロヘキセンオキシド14.8mmolを加えた後、二酸化炭素を圧入し、全圧が2.0MPaとなるように調整した。30℃で48時間反応させた後、二酸化炭素を抜き、この反応混合物について、1H−NMRにより分析を行った。
[製造例52]
ステンレス耐圧容器に、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)0.0143mmol及びPPNF 0.0143mmolを入れ、シクロヘキセンオキシド14.8mmolを加えた後、二酸化炭素を圧入し、全圧が2.0MPaとなるように調整した。30℃で48時間反応させた後、二酸化炭素を抜き、この反応混合物について、1H−NMRにより分析を行った。
得られた反応混合物には、二酸化炭素とシクロヘキセンオキシドとが交互に反応したポリカーボネートが99%以上存在しており、二酸化炭素とシクロヘキセンオキシドとが1分子ずつ反応した環状カーボネートはほぼ生成していなかった。さらに、1H−NMRにより、ポリカーボネート鎖に含まれるカーボネート結合の割合は99%以上であり、すなわち、生成物は完全な交互共重合体であった。得られたポリカーボネートの収率は58%であった。また得られたポリカーボネートをGPCで分析したところ、数平均分子量Mnは6000、分子量分布Mw/Mnは1.4(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例53]
製造例52において、PPNFを、PPNClに変更し、反応時間を48時間から65時間に変更した以外は同様にして反応を行った。収率は57%、Mnは5100、分子量分布Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例52において、PPNFを、PPNClに変更し、反応時間を48時間から65時間に変更した以外は同様にして反応を行った。収率は57%、Mnは5100、分子量分布Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例54]
製造例52において、溶媒としてトルエンを0.5mL加えた以外は同様にして反応を行った。収率は69%、Mnは6000、分子量分布Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例52において、溶媒としてトルエンを0.5mL加えた以外は同様にして反応を行った。収率は69%、Mnは6000、分子量分布Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例55]
製造例52において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)を、ケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)に変更した以外は同様にして反応を行った。収率は29%、Mnは4500、分子量分布Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例52において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)を、ケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)に変更した以外は同様にして反応を行った。収率は29%、Mnは4500、分子量分布Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例56]
製造例52において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)を、ケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)に変更し、またPPNFをPPNClに変更した以外は同様にして反応を行った。収率は5%、Mnは1900、分子量分布Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例52において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)を、ケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)に変更し、またPPNFをPPNClに変更した以外は同様にして反応を行った。収率は5%、Mnは1900、分子量分布Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例57]
製造例52において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)を、ケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)に変更し、またPPNFをPPNClに変更し、さらに溶媒としてトルエンを0.5mL加えた以外は同様にして反応を行った。収率は70%、Mnは4300、分子量分布Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例52において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)を、ケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)に変更し、またPPNFをPPNClに変更し、さらに溶媒としてトルエンを0.5mL加えた以外は同様にして反応を行った。収率は70%、Mnは4300、分子量分布Mw/Mnは1.1(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
[製造例58]
製造例52において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)を、ケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)に変更し、また溶媒としてトルエンを0.5mL加えた以外は同様にして反応を行った。収率は39%、Mnは1500、分子量分布Mw/Mnは1.2(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例52において、ケトイミナトコバルトペンタフルオロベンゾエート錯体(3−1)を、ケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)に変更し、また溶媒としてトルエンを0.5mL加えた以外は同様にして反応を行った。収率は39%、Mnは1500、分子量分布Mw/Mnは1.2(標準ポリスチレン基準、THF)であった。
製造例52〜58の結果を表4にまとめる。
[エチレンオキシドとCO2との交互共重合]
[製造例59]
内容積50mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)5.8mg(10μmol)、PPNF5.4mg(10μmol)、塩化メチレン1.0mL、エチレンオキシド1.56g(35mmol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、25℃で48時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート1.94gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは22000であり、またMw/Mnは1.16であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は100:0であった。なお、触媒活性は173g/g触媒(コバルト錯体とPPNFの合計量)であった。
[製造例59]
内容積50mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)5.8mg(10μmol)、PPNF5.4mg(10μmol)、塩化メチレン1.0mL、エチレンオキシド1.56g(35mmol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、25℃で48時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート1.94gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは22000であり、またMw/Mnは1.16であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は100:0であった。なお、触媒活性は173g/g触媒(コバルト錯体とPPNFの合計量)であった。
[製造例60]
内容積50mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)5.8mg(10μmol)、PPNCl 5.7mg(10μmol)、塩化メチレン1.0mL、エチレンオキシド1.50g(34mmol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、25℃で48時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート0.86gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは8700であり、またMw/Mnは1.20であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は48:52であった。なお、触媒活性は74g/g触媒(コバルト錯体とPPNClの合計量)であった。
内容積50mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)5.8mg(10μmol)、PPNCl 5.7mg(10μmol)、塩化メチレン1.0mL、エチレンオキシド1.50g(34mmol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、25℃で48時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート0.86gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは8700であり、またMw/Mnは1.20であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は48:52であった。なお、触媒活性は74g/g触媒(コバルト錯体とPPNClの合計量)であった。
[製造例61]
内容積50mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトテトラフルオロボレート錯体(3−13)5.4mg(10μmol)、PPNCl 5.7mg(10μmol)、塩化メチレン1.0mL、エチレンオキシド1.16g(26mmol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、25℃で48時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート0.08gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは4600であり、またMw/Mnは1.24であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は75:25であった。なお、触媒活性は7g/g触媒(コバルト錯体とPPNClの合計量)であった。
内容積50mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトテトラフルオロボレート錯体(3−13)5.4mg(10μmol)、PPNCl 5.7mg(10μmol)、塩化メチレン1.0mL、エチレンオキシド1.16g(26mmol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、25℃で48時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート0.08gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは4600であり、またMw/Mnは1.24であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は75:25であった。なお、触媒活性は7g/g触媒(コバルト錯体とPPNClの合計量)であった。
[製造例62]
内容積50mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトフルオリド錯体(3−14)4.7mg(10μmol)、PPNCl 5.7mg(10μmol)、塩化メチレン1.0mL、エチレンオキシド1.02g(23mmol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、25℃で48時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート1.04gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは15000であり、またMw/Mnは1.13であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は100:0であった。なお、触媒活性は100g/g触媒(コバルト錯体とPPNClの合計量)であった。
内容積50mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトフルオリド錯体(3−14)4.7mg(10μmol)、PPNCl 5.7mg(10μmol)、塩化メチレン1.0mL、エチレンオキシド1.02g(23mmol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、25℃で48時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート1.04gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは15000であり、またMw/Mnは1.13であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は100:0であった。なお、触媒活性は100g/g触媒(コバルト錯体とPPNClの合計量)であった。
[製造例63]
内容積50mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)5.8mg(10μmol)、PPNF5.4mg(10μmol)、塩化メチレン1.0mL、エチレンオキシド10.37g(250mmol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、25℃で48時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート2.45gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは63000であり、またMw/Mnは1.17であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は100:0であった。なお、触媒活性は219g/g触媒(コバルト錯体とPPNFの合計量)であった。得られたポリエチレンカーボネートの1H−NMR分析、空気雰囲気下におけるDSC分析及び、DTA分析及びTGA分析の結果を、それぞれ図1、図2、図3及び図4に示す。
内容積50mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)5.8mg(10μmol)、PPNF5.4mg(10μmol)、塩化メチレン1.0mL、エチレンオキシド10.37g(250mmol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、25℃で48時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート2.45gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは63000であり、またMw/Mnは1.17であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は100:0であった。なお、触媒活性は219g/g触媒(コバルト錯体とPPNFの合計量)であった。得られたポリエチレンカーボネートの1H−NMR分析、空気雰囲気下におけるDSC分析及び、DTA分析及びTGA分析の結果を、それぞれ図1、図2、図3及び図4に示す。
[製造例64]
内容積50mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)5.8mg(10μmol)、PPNF5.4mg(10μmol)、塩化メチレン1.0mL、エチレンオキシド9.97g(230mmol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、40℃で48時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート3.45gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは38000であり、またMw/Mnは1.41であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は70:30であった。なお、触媒活性は338g/g触媒(コバルト錯体とPPNFの合計量)であった。
内容積50mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)5.8mg(10μmol)、PPNF5.4mg(10μmol)、塩化メチレン1.0mL、エチレンオキシド9.97g(230mmol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、40℃で48時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート3.45gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは38000であり、またMw/Mnは1.41であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は70:30であった。なお、触媒活性は338g/g触媒(コバルト錯体とPPNFの合計量)であった。
[比較例1]
Empower社から入手したポリエチレンカーボネート(商品名:QPAC25)の1H−NMR分析、空気雰囲気下におけるDSC分析、DTA分析及びTGA分析の結果を、それぞれ図5、図6、図7及び図8に示す。
Empower社から入手したポリエチレンカーボネート(商品名:QPAC25)の1H−NMR分析、空気雰囲気下におけるDSC分析、DTA分析及びTGA分析の結果を、それぞれ図5、図6、図7及び図8に示す。
製造例63で得られたポリエチレンカーボネートは、1H−NMR分析において、エーテル結合に由来するピーク(3.6ppm付近)を実質的に含まない(図1)。図1中、3.7ppm付近にわずかに見えるピーク(1%以下)は、ポリエチレンカーボネートの末端メチレン基のプロトンに由来するピークである。したがって、このポリエチレンカーボネートは、エチレンオキシドと二酸化炭素とが一つずつ交互に重合している完全交互共重合体であるといえる(エーテル結合が存在したとしても1H−NMR分析の検出限界以下の量である)。対照的に、市販のポリエチレンカーボネート「QPAC25」は、1H−NMR分析において、末端プロトン由来のピーク(3.7ppm付近)の他に、エーテル結合に由来するピーク(3.6ppm付近)を3〜5%程度含有している(図5)。すなわち、このポリエチレンカーボネートは、エチレンオキシド同士が結合している部分を含む。
製造例63で得られたポリエチレンカーボネートは、DSC分析において、ガラス転移温度Tgが17.5℃であった(図2)。一方、市販のポリエチレンカーボネート「QPAC25」は、DSC分析において、ガラス転移温度Tgが15.7℃であった(図6)。
図4から、製造例63で得られたポリエチレンカーボネートは、TGA分析において、250℃付近で実質的に全部が消失したことが分かる。また、図3のDTA分析の結果から、当該消失は、吸熱分解に起因するものであることが分かる。さらに、図3のDTA分析の結果から、約250℃以上の温度において、製造例63で得られたポリエチレンカーボネートの燃焼に起因する発熱ピークが存在しないことが分かる。
一方、図8から、市販のポリエチレンカーボネートであるQPAC25は、約250℃においてその約95質量%が消失し、残りの約5質量%は、約390℃で消失が完了することが分かる。さらに、図7のDTAのグラフを観察すると、QPAC25は、約240℃〜約250℃の吸熱ピークと、約250℃〜約370℃の発熱ピークを有することが分かる。従って、図7及び図8を組み合わせて考察すると、QPAC25のうち、約95質量%を占める炭酸エステル結合部分は、約240℃〜約250℃において吸熱分解により消失したが、残りの約5質量%を占めるエーテル結合部分は、約250℃〜約370℃において酸素と共に燃焼して消失したことが示唆される。従って、市販のポリエチレンカーボネートであるQPAC25を焼結セラミックス成形用バインダーとして用いた場合には、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で焼結させると、約5質量%が不純物としてセラミックス中に残存し、セラミックスの性能が低下しうることが示唆される。
[製造例65]
オートクレーブにケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)231mg(398μmol)、PPNF223mg(413μmol)、塩化メチレン15.0mL、エチレンオキシド200g(4.49mol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、35℃で60時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート99gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは55,400であり、またMw/Mnは1.29であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は100:0であった。なお、触媒活性は218g/g触媒(コバルト錯体とPPNFの合計量)であった。
オートクレーブにケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)231mg(398μmol)、PPNF223mg(413μmol)、塩化メチレン15.0mL、エチレンオキシド200g(4.49mol)を仕込み、二酸化炭素を充填し(2.0MPa)、35℃で60時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート99gを得た。このポリカーボネートをGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは55,400であり、またMw/Mnは1.29であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は100:0であった。なお、触媒活性は218g/g触媒(コバルト錯体とPPNFの合計量)であった。
以下の例で得られた化合物の1H−NMRスペクトルの測定は、JEOL社製JNM−ECP500(500MHz)及びJEOL社製JNM−ECS400(400MHz)を用いて行った。ポリカーボネートの分子量測定は、ジーエルサイエンス社製高速液体クロマトグラフィーシステム(DG660B・PU713・UV702・RI704・CO631A)とSHODEX社製KF−804Fカラム2本を用いてテトラヒドロフラン又はクロロホルムを溶出液として(40℃,1.0mL/分)、ポリスチレン標準を基準に換算して測定し、解析ソフトウェア(Scientific Software社製EZ Chrom Elite)で処理して求めた。
[(1)触媒の調製]
以下の合成例に溶媒として使用したトルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ジエチルエーテルは関東化学株式会社から入手した脱水グレードの試薬をGlass Contour社製溶媒精製装置に通したものを使用した。メタノール、エタノールは脱水グレードの試薬を関東化学から入手したものをそのまま使用した。また、酢酸エチルは和光純薬株式会社から入手したものをそのまま使用した。
以下の合成例に溶媒として使用したトルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ジエチルエーテルは関東化学株式会社から入手した脱水グレードの試薬をGlass Contour社製溶媒精製装置に通したものを使用した。メタノール、エタノールは脱水グレードの試薬を関東化学から入手したものをそのまま使用した。また、酢酸エチルは和光純薬株式会社から入手したものをそのまま使用した。
tert−ブチルリチウムn−ペンタン溶液、トリエチルアミン、酢酸コバルトは関東化学から入手した。クロロメチルジメチルシリルクロリド、ペンタフルオロ安息香酸は東京化成工業株式会社から、(1R,2R)−ジアミノシクロヘキサンは和光純薬株式会社から入手した試薬をそのまま使用した。塩化マグネシウム、パラホルムアルデヒドはAldrich社から入手した試薬をそのまま使用した。
以下の配位子合成において原料に用いられる4−ブロモ−2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチル−5−((3’−クロロプロピル)ジメチルシリル)サリチルアルデヒドは文献(J.Am.Chem.Soc.,2007,129,8082)に従って調製したものを使用した。
[合成例A:コバルト錯体(1)の合成]
[A−1:シリル置換サリチルアルデヒドの合成]
Ar雰囲気下、4−ブロモ−2−tert−ブチルフェノール5.4gをTHF200mLに溶解させ、−78℃に冷却した後、tert−ブチルリチウム(1.6M n−ペンタン溶液)41mLを2時間かけて滴下した。滴下後、−78℃で2時間攪拌し、クロロメチルジメチルシリルクロリド7.1mLを加えた。溶液を室温まで徐々に温め、4時間攪拌した後、水300mLを加え4時間撹拌した。酢酸エチル200mLで抽出を行い、有機層を減圧濃縮した。得られた黄色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1、Rf=0.47)により精製し、2−tert−ブチル−4−[(クロロメチル)ジメチルシリル]フェノール6.3gを薄黄色オイルとして得た(収率79%)。
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ7.43(s,1H),7.25(dd,1H),6.69(d,1H),4.84(s,1H),2.92(s,2H),1.41(s,9H),0.38(s,6H)ppm
[A−1:シリル置換サリチルアルデヒドの合成]
Ar雰囲気下、4−ブロモ−2−tert−ブチルフェノール5.4gをTHF200mLに溶解させ、−78℃に冷却した後、tert−ブチルリチウム(1.6M n−ペンタン溶液)41mLを2時間かけて滴下した。滴下後、−78℃で2時間攪拌し、クロロメチルジメチルシリルクロリド7.1mLを加えた。溶液を室温まで徐々に温め、4時間攪拌した後、水300mLを加え4時間撹拌した。酢酸エチル200mLで抽出を行い、有機層を減圧濃縮した。得られた黄色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1、Rf=0.47)により精製し、2−tert−ブチル−4−[(クロロメチル)ジメチルシリル]フェノール6.3gを薄黄色オイルとして得た(収率79%)。
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ7.43(s,1H),7.25(dd,1H),6.69(d,1H),4.84(s,1H),2.92(s,2H),1.41(s,9H),0.38(s,6H)ppm
2−tert−ブチル−4−[(クロロメチル)ジメチルシリル]フェノール2.1g、トリエチルアミン3.5mL、塩化マグネシウム2.62gをTHF120mL中、室温で30分撹拌した。そこに、パラホルムアルデヒド0.8gを加え、3時間還流した。反応後、酢酸エチル100mL、水100mLを加え、室温で30分撹拌した後、分液し、水層をさらに酢酸エチル100mLで抽出した。有機層を水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥した後、揮発分を減圧濃縮し得られた薄黄色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1、Rf=0.09)で精製した。3−tert−ブチル−5−[(クロロメチル)ジメチルシリル]サリチルアルデヒド1.4gを白色固体として得た(収率63%)。
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ11.89(s,1H),9.90(s,1H),7.67(s,1H),7.56(s,1H),2.94(s,2H),1.42(s,9H),0.43(s,6H)ppm
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ11.89(s,1H),9.90(s,1H),7.67(s,1H),7.56(s,1H),2.94(s,2H),1.42(s,9H),0.43(s,6H)ppm
[A−2:サレン配位子の合成]
3−tert−ブチル−5−[(クロロメチル)ジメチルシリル]サリチルアルデヒド808.9mg、(1R,2R)−ジアミノシクロヘキサン136mgを無水エタノール20mL中、室温で6時間攪拌した。揮発分を減圧濃縮後、析出物をろ過し、冷ヘキサン5mLで洗浄しサレン化合物770mgを黄色粉末として得た(収率85%)。
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ14.10(s,2H),8.31(s,2H),7.39(s,2H),7.15(s,2H),3.37(t,2H),2.84(s,4H),2.07−1.68(m,8H),1.40(s,18H),0.33(s,12H)ppm
3−tert−ブチル−5−[(クロロメチル)ジメチルシリル]サリチルアルデヒド808.9mg、(1R,2R)−ジアミノシクロヘキサン136mgを無水エタノール20mL中、室温で6時間攪拌した。揮発分を減圧濃縮後、析出物をろ過し、冷ヘキサン5mLで洗浄しサレン化合物770mgを黄色粉末として得た(収率85%)。
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ14.10(s,2H),8.31(s,2H),7.39(s,2H),7.15(s,2H),3.37(t,2H),2.84(s,4H),2.07−1.68(m,8H),1.40(s,18H),0.33(s,12H)ppm
[A−3:コバルト錯体の合成]
Ar雰囲気下、サレン配位子770mgを脱水メタノール5mL、トルエン1mLに溶解させ、そこに無水酢酸コバルト212mgを加え、室温で3時間攪拌した。生じた沈殿をろ過で集め、冷メタノール5mLで洗浄し、赤色粉末のコバルト(II)錯体を得た。これを塩化メチレン10mLに溶解させ、ペンタフルオロ安息香酸240mgを加え、空気下、15時間攪拌した。揮発分を減圧濃縮した後、残留物を冷ヘキサンで洗浄し、緑褐色固体のコバルト(III)錯体(1)527mgを得た(収率48%)。
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz)δ7.93(s,2H),7.55(s,2H),7.41(s,2H),3.65(m,2H),3.14(s,4H),2.05−1.85(m,8H),1.73(s,18H),0.37(s,6H),0.23(s,6H)ppm
Ar雰囲気下、サレン配位子770mgを脱水メタノール5mL、トルエン1mLに溶解させ、そこに無水酢酸コバルト212mgを加え、室温で3時間攪拌した。生じた沈殿をろ過で集め、冷メタノール5mLで洗浄し、赤色粉末のコバルト(II)錯体を得た。これを塩化メチレン10mLに溶解させ、ペンタフルオロ安息香酸240mgを加え、空気下、15時間攪拌した。揮発分を減圧濃縮した後、残留物を冷ヘキサンで洗浄し、緑褐色固体のコバルト(III)錯体(1)527mgを得た(収率48%)。
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz)δ7.93(s,2H),7.55(s,2H),7.41(s,2H),3.65(m,2H),3.14(s,4H),2.05−1.85(m,8H),1.73(s,18H),0.37(s,6H),0.23(s,6H)ppm
[合成例B:コバルト錯体(2)の合成]
[B−1:サレン配位子の合成]
3−tert−ブチル−5−[(3’−クロロプロピル)ジメチルシリル]サリチルアルデヒド313mg、(1R,2R)−ジアミノシクロヘキサン57mgをエタノール10mLに溶解させ、室温で12時間撹拌した。揮発分を減圧留去した後、残留物を冷ヘキサン1mLで洗浄しサレン化合物330mgを黄色粉末として得た(収率94%)。
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ14.11(s,2H),8.45(s,2H),7.34(s,2H),7.23(s,2H),3.53−3.44(m,6H),2.00−1.93(m,2H),1.90−1.68(m,14H),1.40(s,18H),0.70(t,4H),0.26(s,6H),0.21(s,6H)ppm
[B−1:サレン配位子の合成]
3−tert−ブチル−5−[(3’−クロロプロピル)ジメチルシリル]サリチルアルデヒド313mg、(1R,2R)−ジアミノシクロヘキサン57mgをエタノール10mLに溶解させ、室温で12時間撹拌した。揮発分を減圧留去した後、残留物を冷ヘキサン1mLで洗浄しサレン化合物330mgを黄色粉末として得た(収率94%)。
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ14.11(s,2H),8.45(s,2H),7.34(s,2H),7.23(s,2H),3.53−3.44(m,6H),2.00−1.93(m,2H),1.90−1.68(m,14H),1.40(s,18H),0.70(t,4H),0.26(s,6H),0.21(s,6H)ppm
[B−2:コバルト錯体の合成]
Ar雰囲気下、サレン配位子200mgを塩化メチレン2mLに溶解させ、そこに無水酢酸コバルト50mgを加え、室温で2時間攪拌した。揮発分を減圧留去した後、ジエチルエーテル1mLで洗浄し、赤色粉末のコバルト(II)錯体を得た。これを塩化メチレン2mL、トルエン2mLに溶解させ、ペンタフルオロ安息香酸60mgを加え、空気下、16時間攪拌した。揮発分を減圧濃縮した後、残留物を冷ヘキサン5mLで洗浄し、緑褐色粉末のコバルト(III)錯体(2)162mgを得た(収率60%)。
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz)δ7.91(s,2H),7.52(s,2H),7.42(s,2H),3.63−3.57(m,6H),2.04−1.80(m,6H),1.77(s,18H),1.71−1.55(m,8H),0.76(t,4H),0.31(s,6H),0.24(s,6H)ppm
Ar雰囲気下、サレン配位子200mgを塩化メチレン2mLに溶解させ、そこに無水酢酸コバルト50mgを加え、室温で2時間攪拌した。揮発分を減圧留去した後、ジエチルエーテル1mLで洗浄し、赤色粉末のコバルト(II)錯体を得た。これを塩化メチレン2mL、トルエン2mLに溶解させ、ペンタフルオロ安息香酸60mgを加え、空気下、16時間攪拌した。揮発分を減圧濃縮した後、残留物を冷ヘキサン5mLで洗浄し、緑褐色粉末のコバルト(III)錯体(2)162mgを得た(収率60%)。
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz)δ7.91(s,2H),7.52(s,2H),7.42(s,2H),3.63−3.57(m,6H),2.04−1.80(m,6H),1.77(s,18H),1.71−1.55(m,8H),0.76(t,4H),0.31(s,6H),0.24(s,6H)ppm
[合成例C:コバルト−非対称サレン錯体(3)の合成]
[C−1:非対称サレン配位子の合成]
Ar雰囲気下、(R,R)−シクロヘキサンジアミンモノ塩酸塩(216mg、1.74mmol)、3,5−ジ−tert−ブチルサリチルアルデヒド(336mg、1.74mmol)、モレキュラーシーブス4A(200mg)を無水エタノール(6mL)、無水メタノール(6mL)混合溶媒中、室温で4時間撹拌した。そこに3−tert−ブチル−5−[(クロロメチル)ジメチルシリル]サリチルアルデヒド(648mg、1.74mmol)、トリエチルアミン(0.4mL、2.88mmol)を塩化メチレン(12mL)に溶解させた溶液を加え、室温で4時間撹拌した。反応溶液を、シリカゲルを用いてろ過し、シリカゲルを塩化メチレンで洗浄後、ろ液を濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1、Rf=0.57)で精製し、黄色固体(701mg)を得た(収率67%)。
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ14.10(s,2H),8.31(s,1H),8.12(s,1H),7.39−7.15(m,4H),3.37(t,2H),2.84(s,2H),2.07−1.68(m,8H),1.40(s,18H),1.25(s,9H),0.33(s,6H)ppm
[C−1:非対称サレン配位子の合成]
Ar雰囲気下、(R,R)−シクロヘキサンジアミンモノ塩酸塩(216mg、1.74mmol)、3,5−ジ−tert−ブチルサリチルアルデヒド(336mg、1.74mmol)、モレキュラーシーブス4A(200mg)を無水エタノール(6mL)、無水メタノール(6mL)混合溶媒中、室温で4時間撹拌した。そこに3−tert−ブチル−5−[(クロロメチル)ジメチルシリル]サリチルアルデヒド(648mg、1.74mmol)、トリエチルアミン(0.4mL、2.88mmol)を塩化メチレン(12mL)に溶解させた溶液を加え、室温で4時間撹拌した。反応溶液を、シリカゲルを用いてろ過し、シリカゲルを塩化メチレンで洗浄後、ろ液を濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1、Rf=0.57)で精製し、黄色固体(701mg)を得た(収率67%)。
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ14.10(s,2H),8.31(s,1H),8.12(s,1H),7.39−7.15(m,4H),3.37(t,2H),2.84(s,2H),2.07−1.68(m,8H),1.40(s,18H),1.25(s,9H),0.33(s,6H)ppm
[C−2:コバルト錯体の合成]
Ar雰囲気下、非対称サレン配位子(700mg、1.17mmol)を脱水メタノール5mL、トルエン1mLに溶解させ、そこに無水酢酸コバルト(207mg、1.28mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。生じた沈殿をろ過で集め、冷メタノール5mLで洗浄し、赤色粉末のコバルト(II)錯体を得た。これを塩化メチレン10mLに溶解させ、ペンタフルオロ安息香酸(270mg、1.28mmol)を加え、空気下、15時間攪拌した。揮発分を減圧濃縮した後、残留物を冷ヘキサンで洗浄し、緑褐色固体のコバルト(III)錯体512mgを得た(収率51%)。
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz)δ7.96(s,1H),7.87(s,1H),7.77(s,1H),7.48(m,3H),3.59(m,2H),3.11(s,2H),2.01−1.92(m,8H),1.75(s,18H),1.32(s,9H),0.37(s,6H)ppm
Ar雰囲気下、非対称サレン配位子(700mg、1.17mmol)を脱水メタノール5mL、トルエン1mLに溶解させ、そこに無水酢酸コバルト(207mg、1.28mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。生じた沈殿をろ過で集め、冷メタノール5mLで洗浄し、赤色粉末のコバルト(II)錯体を得た。これを塩化メチレン10mLに溶解させ、ペンタフルオロ安息香酸(270mg、1.28mmol)を加え、空気下、15時間攪拌した。揮発分を減圧濃縮した後、残留物を冷ヘキサンで洗浄し、緑褐色固体のコバルト(III)錯体512mgを得た(収率51%)。
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz)δ7.96(s,1H),7.87(s,1H),7.77(s,1H),7.48(m,3H),3.59(m,2H),3.11(s,2H),2.01−1.92(m,8H),1.75(s,18H),1.32(s,9H),0.37(s,6H)ppm
[合成例D:コバルト錯体(4)の合成]
[D−1:サレン配位子の合成]
Ar雰囲気下、合成例Aのサレン配位子600mg、ヨウ化ナトリウム347mgをアセトニトリル10mLに溶解し、90℃で24時間撹拌した。生じた沈殿をろ過し、ろ液を減圧濃縮後、残留物を塩化メチレン20mLに溶解させ、飽和重曹水10mL、飽和食塩水10mLで洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮したところ、塩素がヨウ素で置換されたサレン配位子643mgを黄色粉末として得た(収率82%)。
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ14.09(s,2H),8.30(s,2H),7.39(s,2H),7.14(s,2H),3.33(t,2H),2.07(s,4H),1.98−1.74(m,8H),1.40(s,18H),0.36(s,12H)ppm
[D−1:サレン配位子の合成]
Ar雰囲気下、合成例Aのサレン配位子600mg、ヨウ化ナトリウム347mgをアセトニトリル10mLに溶解し、90℃で24時間撹拌した。生じた沈殿をろ過し、ろ液を減圧濃縮後、残留物を塩化メチレン20mLに溶解させ、飽和重曹水10mL、飽和食塩水10mLで洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮したところ、塩素がヨウ素で置換されたサレン配位子643mgを黄色粉末として得た(収率82%)。
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ14.09(s,2H),8.30(s,2H),7.39(s,2H),7.14(s,2H),3.33(t,2H),2.07(s,4H),1.98−1.74(m,8H),1.40(s,18H),0.36(s,12H)ppm
[D−2:コバルト錯体の合成]
Ar雰囲気下、配位子100mgを塩化メチレン5mLに溶解させ、酢酸コバルト22mgを加え、室温で2時間撹拌した。揮発分を減圧留去した後、真空下3時間乾燥すると、赤色固体を得た。これをトルエン5mLに溶解させ、ペンタフルオロ安息香酸28mgを加え、室温、空気下で15時間撹拌した。揮発分を減圧留去し、残留物を冷ヘキサンで洗浄したところ、コバルト錯体(4)99mgを暗緑色粉末として得た(収率75%)。
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz)δ8.30(s,2H),7.39(s,2H),7.14(s,2H),3.33(t,2H),2.07(s,4H),1.98−1.74(m,8H),1.40(s,18H),0.36(s,12H)ppm
Ar雰囲気下、配位子100mgを塩化メチレン5mLに溶解させ、酢酸コバルト22mgを加え、室温で2時間撹拌した。揮発分を減圧留去した後、真空下3時間乾燥すると、赤色固体を得た。これをトルエン5mLに溶解させ、ペンタフルオロ安息香酸28mgを加え、室温、空気下で15時間撹拌した。揮発分を減圧留去し、残留物を冷ヘキサンで洗浄したところ、コバルト錯体(4)99mgを暗緑色粉末として得た(収率75%)。
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz)δ8.30(s,2H),7.39(s,2H),7.14(s,2H),3.33(t,2H),2.07(s,4H),1.98−1.74(m,8H),1.40(s,18H),0.36(s,12H)ppm
以下の製造例に使用したプロピレンオキシドは、東京化成工業から入手した試薬を水素化カルシウムで脱水後、アルゴン雰囲気下で蒸留して得られたものであり、エチレンオキシドは住友精化株式会社から入手したものをそのまま使用した。
各金属錯体の触媒活性は金属1mol当たり、1時間当たりのエポキシド化合物のポリマーへの転化量(mol)(以下TOF)、又は、触媒(助触媒含む)1g当たりのポリマーの収量(g)(以下TON)によって評価した。
選択性は、反応溶液の1H−NMRスペクトルの積分値から以下のようにして算出した。
ポリプロピレンカーボネート:
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=[5.0ppmの積分値]:[4.5ppmの積分値]:[3.5ppmの積分値]
ポリエチレンカーボネート:
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=[4.2ppmの積分値]:[4.5ppmの積分値]:[3.6ppmの積分値]
ポリプロピレンカーボネート:
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=[5.0ppmの積分値]:[4.5ppmの積分値]:[3.5ppmの積分値]
ポリエチレンカーボネート:
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=[4.2ppmの積分値]:[4.5ppmの積分値]:[3.6ppmの積分値]
収率は生成物の重量から以下のようにして算出した。
収率(%)=[得たポリマーの総重量]/[仕込みエポキシド全てが反応したと仮定した際の重量]×100
仕込みエポキシドが全て反応したと仮定した際の重量=
[エポキシドの重量]×[(エポキシドの分子量)+(二酸化炭素の分子量)]/[エポキシドの分子量]
収率(%)=[得たポリマーの総重量]/[仕込みエポキシド全てが反応したと仮定した際の重量]×100
仕込みエポキシドが全て反応したと仮定した際の重量=
[エポキシドの重量]×[(エポキシドの分子量)+(二酸化炭素の分子量)]/[エポキシドの分子量]
[製造例66]
内容積50mLのステンレス製オートクレーブに、合成例Aで製造されたコバルト錯体(1)6.5mg、PPNCl(Aldrich社から購入したものをそのまま用いた)4.1mgを入れ、Ar雰囲気に置換した後、プロピレンオキシド1.0mL、二酸化炭素1.4MPaを仕込み、25℃で2時間反応させた。1H−NMRを測定した後、内容物を塩化メチレンに溶解させ、1N塩酸で洗浄後、メタノールを用いて析出させ、白色固体を0.86g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、収率:59%、TOF:590h-1、TON:82g/g−cat、Mn=26000、Mw/Mn=1.14
内容積50mLのステンレス製オートクレーブに、合成例Aで製造されたコバルト錯体(1)6.5mg、PPNCl(Aldrich社から購入したものをそのまま用いた)4.1mgを入れ、Ar雰囲気に置換した後、プロピレンオキシド1.0mL、二酸化炭素1.4MPaを仕込み、25℃で2時間反応させた。1H−NMRを測定した後、内容物を塩化メチレンに溶解させ、1N塩酸で洗浄後、メタノールを用いて析出させ、白色固体を0.86g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、収率:59%、TOF:590h-1、TON:82g/g−cat、Mn=26000、Mw/Mn=1.14
[製造例67]
触媒量を2分の1にし、プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合時間を12時間にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを1.89g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、収率65%、TOF:433h-1、TON:365g/g−cat、Mn=82000、Mw/Mn=1.19
触媒量を2分の1にし、プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合時間を12時間にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを1.89g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、収率65%、TOF:433h-1、TON:365g/g−cat、Mn=82000、Mw/Mn=1.19
[製造例68]
触媒量を8分の1にし、プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合時間を72時間にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを1.53g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、収率53%、TOF:236h-1、TON:1173g/g−cat、Mn=74000、Mw/Mn=1.15
触媒量を8分の1にし、プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合時間を72時間にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを1.53g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、収率53%、TOF:236h-1、TON:1173g/g−cat、Mn=74000、Mw/Mn=1.15
[製造例69]
プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合温度を50℃、重合時間を30分にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを1.23g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=96:4:0、収率21%、TOF:1680h-1、TON:58g/g−cat、Mn=17400、Mw/Mn=1.07
プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合温度を50℃、重合時間を30分にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを1.23g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=96:4:0、収率21%、TOF:1680h-1、TON:58g/g−cat、Mn=17400、Mw/Mn=1.07
[製造例70]
プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合温度を55℃、重合時間を30分にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを1.5g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=99:1:0、収率26%、TOF:2080h-1、TON:71g/g−cat、Mn=29200、Mw/Mn=1.08
プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合温度を55℃、重合時間を30分にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを1.5g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=99:1:0、収率26%、TOF:2080h-1、TON:71g/g−cat、Mn=29200、Mw/Mn=1.08
[製造例71]
プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合温度を70℃、重合時間を15分にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.8g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=94:6:0、収率14%、TOF:2240h-1、TON:38g/g−cat、Mn=12900、Mw/Mn=1.10
プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合温度を70℃、重合時間を15分にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.8g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=94:6:0、収率14%、TOF:2240h-1、TON:38g/g−cat、Mn=12900、Mw/Mn=1.10
[製造例72]
プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合温度を80℃、重合時間を10分にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.46g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=85:15:0、収率8%、TOF:1920h-1、TON:22g/g−cat、Mn=7600、Mw/Mn=1.09
プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合温度を80℃、重合時間を10分にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.46g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=85:15:0、収率8%、TOF:1920h-1、TON:22g/g−cat、Mn=7600、Mw/Mn=1.09
[製造例73]
プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合温度を90℃、重合時間を15分にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.57g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=71:29:0、収率10%、TOF:1600h-1、TON:27g/g−cat、Mn=10400、Mw/Mn=1.10
プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合温度を90℃、重合時間を15分にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.57g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=71:29:0、収率10%、TOF:1600h-1、TON:27g/g−cat、Mn=10400、Mw/Mn=1.10
[製造例74]
プロピレンオキシドの量を2.5mL、重合温度を60℃、重合時間を30分にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマー1.0gを得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=93:7:0、収率11%、TOF:1100h-1、TON:38g/g−cat、Mn=19200、Mw/Mn=1.01
プロピレンオキシドの量を2.5mL、重合温度を60℃、重合時間を30分にした以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマー1.0gを得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=93:7:0、収率11%、TOF:1100h-1、TON:38g/g−cat、Mn=19200、Mw/Mn=1.01
[製造例75]
重合温度を40℃、重合時間を40時間にした以外は製造例68と同様の方法で重合を行い、ポリマーを1.86g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=97:3:0、収率64%、TOF:512h-1、TON:1431g/g−cat、Mn=106000、Mw/Mn=1.36
重合温度を40℃、重合時間を40時間にした以外は製造例68と同様の方法で重合を行い、ポリマーを1.86g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=97:3:0、収率64%、TOF:512h-1、TON:1431g/g−cat、Mn=106000、Mw/Mn=1.36
[製造例76]
合成例Bで合成されたコバルト錯体(2)6.8mgを用いた以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.5g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、収率:34%、TOF:340h-1、TON:45g/g−cat、Mn=35700、Mw/Mn=1.18
合成例Bで合成されたコバルト錯体(2)6.8mgを用いた以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.5g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、収率:34%、TOF:340h-1、TON:45g/g−cat、Mn=35700、Mw/Mn=1.18
[製造例77]
合成例Cで合成されたコバルト錯体(3)6.0mgを用いた以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.71g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、収率:49%、TOF:490h-1、TON:71g/g−cat、Mn=39000、Mw/Mn=1.08
合成例Cで合成されたコバルト錯体(3)6.0mgを用いた以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.71g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、収率:49%、TOF:490h-1、TON:71g/g−cat、Mn=39000、Mw/Mn=1.08
[製造例78]
合成例Dで合成されたコバルト錯体(4)7.8mgを用いた以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.56g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、収率:38%、TOF:380h-1、TON:47g/g−cat、Mn=21900、Mw/Mn=1.10
合成例Dで合成されたコバルト錯体(4)7.8mgを用いた以外は製造例66と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.56g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、収率:38%、TOF:380h-1、TON:47g/g−cat、Mn=21900、Mw/Mn=1.10
[製造例79]
プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合温度を70℃、重合時間を30分にした以外は製造例78と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.35g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=78:22:0、収率:12%、TOF:960h-1、TON:29g/g−cat、Mn=7000、Mw/Mn=1.11
製造例66〜79の結果を、表5にまとめる。
プロピレンオキシドの量を2.0mL、重合温度を70℃、重合時間を30分にした以外は製造例78と同様の方法で重合を行い、ポリマーを0.35g得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=78:22:0、収率:12%、TOF:960h-1、TON:29g/g−cat、Mn=7000、Mw/Mn=1.11
製造例66〜79の結果を、表5にまとめる。
[製造例80]
内容積1Lのオートクレーブにケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)231mg(10μmol)、PPNF223mg、塩化メチレン15mL、エチレンオキシド150mLを仕込み、二酸化炭素(1.3MPa)を充填し、40℃で66時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。エチレンオキシドの量を200mLに変更して、同一の反応を2回繰り返した。計3回の反応物を混合し、希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート(以下、「PEC−1」と称する)277gを得た。PEC−1をGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは55,400であり、またMw/Mnは1.30であった。また、PEC−1は、ガラス転移温度が18℃であった。さらに、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は100:0であった。
内容積1Lのオートクレーブにケトイミナトコバルトヨージド錯体(3−5)231mg(10μmol)、PPNF223mg、塩化メチレン15mL、エチレンオキシド150mLを仕込み、二酸化炭素(1.3MPa)を充填し、40℃で66時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。エチレンオキシドの量を200mLに変更して、同一の反応を2回繰り返した。計3回の反応物を混合し、希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート(以下、「PEC−1」と称する)277gを得た。PEC−1をGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは55,400であり、またMw/Mnは1.30であった。また、PEC−1は、ガラス転移温度が18℃であった。さらに、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は100:0であった。
[製造例81]
内容積500mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトベンゾエート錯体(3−2)86mg、PPNF90mg、エチレンオキシド200mLを仕込み、二酸化炭素(2.0MPa)を充填し、40℃で90時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート(以下、「PEC−2」と称する)68gを得た。PEC−2をGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは107,200であり、またMw/Mnは1.37であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は100:0であった。
内容積500mLのオートクレーブにケトイミナトコバルトベンゾエート錯体(3−2)86mg、PPNF90mg、エチレンオキシド200mLを仕込み、二酸化炭素(2.0MPa)を充填し、40℃で90時間反応させた。その後、脱圧し、希塩酸、メタノールを加え反応を停止させた。内容物を希塩酸で洗浄し、メタノールに注ぎ、白色沈殿物を得た。これをろ過し、減圧乾燥して、ポリエチレンカーボネート(以下、「PEC−2」と称する)68gを得た。PEC−2をGPC(ポリスチレン標準)で分析したところ、数平均分子量Mnは107,200であり、またMw/Mnは1.37であった。また、1H−NMRによる分析結果から、ポリエチレンカーボネートとエチレンカーボネート(環状カーボネート)の比は100:0であった。
[製造例82]
内容積3Lのステンレス製オートクレーブに、合成例Aで製造されたコバルト錯体(1)393mg、PPNCl(Aldrich社から購入したものをそのまま用いた)246mgを入れ、Ar雰囲気に置換した後、プロピレンオキシド600mL、二酸化炭素3.0MPaを仕込み、30℃で59時間反応させた。1H−NMRを測定した後、内容物を塩化メチレンに溶解させ、1N塩酸で洗浄後、メタノールを用いて析出させ、白色固体としてポリプロピレンカーボネート(以下、「PPC−1」と称する)224gを得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、Mn=107,000、Mw/Mn=1.27
内容積3Lのステンレス製オートクレーブに、合成例Aで製造されたコバルト錯体(1)393mg、PPNCl(Aldrich社から購入したものをそのまま用いた)246mgを入れ、Ar雰囲気に置換した後、プロピレンオキシド600mL、二酸化炭素3.0MPaを仕込み、30℃で59時間反応させた。1H−NMRを測定した後、内容物を塩化メチレンに溶解させ、1N塩酸で洗浄後、メタノールを用いて析出させ、白色固体としてポリプロピレンカーボネート(以下、「PPC−1」と称する)224gを得た。
ポリカーボネート:環状カーボネート:ポリエーテル=100:0:0、Mn=107,000、Mw/Mn=1.27
[実施例1]
[湿式成形法における焼結セラミックス成形用組成物の製造及び分散性の評価]
窒化アルミニウム(トクヤマ(株)製、Hグレード)100質量部に対して、製造例65で合成されたポリエチレンカーボネートを、それぞれ、0.5質量部、1.0質量部及び2.0質量部添加し、さらに分散媒として1−メチル−2−ピロリドンを、窒化アルミニウムの濃度が30体積%となるように添加し、混合した。当該混合物をボールミルで24時間さらに混合してスラリーを生成させた。当該スラリー50mLを沈降管(内容量50mL、外径24mm、全高200mm)に入れ、上記ポリエチレンカーボネートの分散性能を評価した。評価は、沈降管中の上澄み層の厚さを測定することにより行った。上澄み層の厚さが薄いことは、上記ポリエチレンカーボネートが、窒化アルミニウムを分散させる分散能が高いことを意味する。
なお、比較例として、製造例65で合成されたポリエチレンカーボネートを含まない試料を作成し、評価した。結果を、表6にまとめる。
[湿式成形法における焼結セラミックス成形用組成物の製造及び分散性の評価]
窒化アルミニウム(トクヤマ(株)製、Hグレード)100質量部に対して、製造例65で合成されたポリエチレンカーボネートを、それぞれ、0.5質量部、1.0質量部及び2.0質量部添加し、さらに分散媒として1−メチル−2−ピロリドンを、窒化アルミニウムの濃度が30体積%となるように添加し、混合した。当該混合物をボールミルで24時間さらに混合してスラリーを生成させた。当該スラリー50mLを沈降管(内容量50mL、外径24mm、全高200mm)に入れ、上記ポリエチレンカーボネートの分散性能を評価した。評価は、沈降管中の上澄み層の厚さを測定することにより行った。上澄み層の厚さが薄いことは、上記ポリエチレンカーボネートが、窒化アルミニウムを分散させる分散能が高いことを意味する。
なお、比較例として、製造例65で合成されたポリエチレンカーボネートを含まない試料を作成し、評価した。結果を、表6にまとめる。
表6より、上記ポリエチレンカーボネートの添加量が増えるにつれ、経時での上澄み層の厚さが薄くなる傾向を有する。従って、上記ポリエチレンカーボネートは、窒化アルミニウムを良好に分散することができることが分かる。
[実施例2]
[湿式成形法における焼結セラミックス成形用組成物の成形]
窒化アルミニウム(トクヤマ(株)製、Hグレード)100質量部に対して、製造例65で合成されたポリエチレンカーボネート2.0質量部を添加し、実施例1と同様の操作を行い、スラリーを製造した。当該スラリーを、テフロン(登録商標)(商標)シート上の40mm×40mm×0.95mm、及び45mm×45mm×0.95mmの金属枠に流し込み、テープ状の成形体No.1(成形体サイズ:40mm×40mm×1mm)及びNo.2(成形体サイズ:45mm×45mm×1mm)を作成し、乾燥挙動を観察した。
[湿式成形法における焼結セラミックス成形用組成物の成形]
窒化アルミニウム(トクヤマ(株)製、Hグレード)100質量部に対して、製造例65で合成されたポリエチレンカーボネート2.0質量部を添加し、実施例1と同様の操作を行い、スラリーを製造した。当該スラリーを、テフロン(登録商標)(商標)シート上の40mm×40mm×0.95mm、及び45mm×45mm×0.95mmの金属枠に流し込み、テープ状の成形体No.1(成形体サイズ:40mm×40mm×1mm)及びNo.2(成形体サイズ:45mm×45mm×1mm)を作成し、乾燥挙動を観察した。
[比較例2]
上記ポリエチレンカーボネートを、セラミックス用バインダーとして実績のあるポリビニルブチラール(和光純薬工業製、ポリビニルブチラール800、特級)に変更した以外は、実施例2と同様にして、テープ状の成形体No.3(成形体サイズ:40mm×40mm×1mm)及びNo.4(成形体サイズ:45mm×45mm×1mm)を作成し、乾燥挙動を観察した。
上記ポリエチレンカーボネートを、セラミックス用バインダーとして実績のあるポリビニルブチラール(和光純薬工業製、ポリビニルブチラール800、特級)に変更した以外は、実施例2と同様にして、テープ状の成形体No.3(成形体サイズ:40mm×40mm×1mm)及びNo.4(成形体サイズ:45mm×45mm×1mm)を作成し、乾燥挙動を観察した。
製造例65で合成されたポリエチレンカーボネートを用いた成形体No.1及びNo.2は、乾燥後もほとんど亀裂が観察されなかった。一方、ポリビニルブチラールを用いた成形体No.3及びNo.4は、乾燥後に複数の亀裂が入った。
以上より、上記ポリエチレンカーボネートは、ポリビニルブチラールと同等以上の成形特性を有することが示唆される。
さらに、上記ポリエチレンカーボネートを含むスラリーは、ポリビニルブチラールを含むスラリーよりも粘性が高く、成形がしやすい傾向を有していた。
以上より、上記ポリエチレンカーボネートは、ポリビニルブチラールと同等以上の成形特性を有することが示唆される。
さらに、上記ポリエチレンカーボネートを含むスラリーは、ポリビニルブチラールを含むスラリーよりも粘性が高く、成形がしやすい傾向を有していた。
[乾式成形法における焼結セラミックス成形用組成物の製造、及びセラミックスの製造、並びに分解挙動の評価]
[実施例3]
窒化アルミニウム(トクヤマ(株)製、Hグレード)100質量部に対して、製造例65で合成されたポリエチレンカーボネート2.0質量部を添加し、さらに分散媒として1−メチル−2−ピロリドンを窒化アルミニウムの濃度が30体積%となるように添加し、そして混合した。当該混合物をボールミルで24時間さらに混合してスラリーを生成させ、60℃で分散媒を取り除き、さらに60℃で真空乾燥を行って分散媒を取り除いた。生成した粉末を60メッシュのふるいに通して造粒し、顆粒No.1を製造した。
[実施例3]
窒化アルミニウム(トクヤマ(株)製、Hグレード)100質量部に対して、製造例65で合成されたポリエチレンカーボネート2.0質量部を添加し、さらに分散媒として1−メチル−2−ピロリドンを窒化アルミニウムの濃度が30体積%となるように添加し、そして混合した。当該混合物をボールミルで24時間さらに混合してスラリーを生成させ、60℃で分散媒を取り除き、さらに60℃で真空乾燥を行って分散媒を取り除いた。生成した粉末を60メッシュのふるいに通して造粒し、顆粒No.1を製造した。
製造例65で合成されたポリエチレンカーボネート単体のTG−DTA分析結果のデータを図9に示し、そして顆粒No.1のTG−DTA分析結果のデータを図10に示す。
なお、TG−DTAは、大気中で、昇温速度10℃/分で昇温させ、そしてポリエチレンカーボネート単体は700℃まで、そして顆粒は1,000℃まで評価した。
なお、TG−DTAは、大気中で、昇温速度10℃/分で昇温させ、そしてポリエチレンカーボネート単体は700℃まで、そして顆粒は1,000℃まで評価した。
[比較例3]
上記ポリエチレンカーボネートを、ポリビニルブチラール(和光純薬工業製、ポリビニルブチラール800、特級)に変更した以外は、実施例3と同様にして、顆粒No.2を製造した。顆粒No.2のTG−DTA分析結果のデータを図11に示す。
なお、TG−DTAは、大気中で、昇温速度10℃/分で昇温させ、そして1,000℃まで評価した。
上記ポリエチレンカーボネートを、ポリビニルブチラール(和光純薬工業製、ポリビニルブチラール800、特級)に変更した以外は、実施例3と同様にして、顆粒No.2を製造した。顆粒No.2のTG−DTA分析結果のデータを図11に示す。
なお、TG−DTAは、大気中で、昇温速度10℃/分で昇温させ、そして1,000℃まで評価した。
図9を参照すると、製造例65で合成されたポリエチレンカーボネートは、約210℃から質量が減少し始め、約230℃で完全に消失していることが分かる。また、示唆熱の変化から、当該減少は、吸熱分解に起因するものであることが分かる。
次に、図10を参照すると、製造例65で合成されたポリエチレンカーボネートを用いた顆粒No.1は、約155℃までゆっくりと質量が減少し、約155℃〜約180℃まで質量が大きく減少し、約180℃からは質量は一定であり、そして約800℃から質量が増加に転ずることが分かる。これらの挙動は、以下のように考えられる。
約155℃までの質量の減少は、分散媒として用いた1−メチル−2−ピロリドンの揮発に起因するものであり、その後の約155℃〜約180℃における質量の減少は、その間に吸熱ピークがあることを考慮すると、ポリエチレンカーボネートの吸熱分解に起因するものと思われる。図10における吸熱分解温度は、図9のポリエチレンカーボネートの吸熱分解温度(約210℃〜約230℃)と比較すると、低温側に大きくシフトしているが、これは、大きな表面積を有する窒化アルミニウム粉末の表面に吸着しているポリエチレンカーボネートが、窒化アルミニウムによる触媒作用を受け、より低い温度で吸熱分解したためと思われる。
また、800℃以上における質量の増加は、窒化アルミニウムが酸化し、アルミナが生成したことに起因すると思われる。
また、800℃以上における質量の増加は、窒化アルミニウムが酸化し、アルミナが生成したことに起因すると思われる。
さらに、図11を参照すると、ポリビニルブチラールを用いた顆粒No.2は、約240℃〜約300℃において、質量が大きく減少することが分かる。同様に、約240℃〜約300℃において発熱ピークが観察されることから、これは、ポリビニルブチラールの燃焼による質量の減少であることが分かる。
実施例3及び比較例3を参照すると、本発明の焼結セラミックス成形用組成物は、従来型の酸素を必要とする燃焼型の焼結セラミックス成形用組成物と異なり、焼結時に吸熱分解反応により完全に消失することができ、残渣のないセラミックスを簡易に製造することができる。
本発明の焼結セラミックス成形用組成物はまた、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で完全に吸熱分解することができるので、酸化物の混入がセラミック特性の低下につながる非酸化物系セラミックスの製造に特に適している。
[実施例4]
製造例84で製造したPEC−1の分解挙動を、窒素下で測定した。測定には、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用い、昇温速度を10℃/分とし、700℃まで加熱した。結果を、図12及び図13に示す。
[実施例5]
製造例85で製造されたPEC−2についても同様に、分解挙動を測定した。
[実施例6]
製造例86で製造されたPPC−1についても同様に、分解挙動を測定した。
製造例84で製造したPEC−1の分解挙動を、窒素下で測定した。測定には、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用い、昇温速度を10℃/分とし、700℃まで加熱した。結果を、図12及び図13に示す。
[実施例5]
製造例85で製造されたPEC−2についても同様に、分解挙動を測定した。
[実施例6]
製造例86で製造されたPPC−1についても同様に、分解挙動を測定した。
[比較例4]
QPAC25についても同様に、分解挙動を測定した。結果を、図14及び図15に示す。
[比較例5]
PVB(和光純薬工業製,ポリビニルブチラール800)についても同様に、分解挙動を測定した。結果を、図14及び図15に示す。
QPAC25についても同様に、分解挙動を測定した。結果を、図14及び図15に示す。
[比較例5]
PVB(和光純薬工業製,ポリビニルブチラール800)についても同様に、分解挙動を測定した。結果を、図14及び図15に示す。
図12及び図13から、実施例4〜6において用いられたPEC−1,PEC−2及びPPCは、全て、約210℃から質量が減少し、約300℃では完全に消失していることが分かる。また、DTA曲線から、PEC−1,PEC−2及びPPCの反応は、酸素を必要としない吸熱分解反応であることが再確認された。
現在用いられているPVB等のバインダーは、発熱反応、すなわち、燃焼により分解するので、除去するために酸素を必要とする。しかし、セラミックス粉末が、非酸化物系粉末、例えば、窒化アルミニウムの場合には、酸素と反応するとアルミナを生成し、不純物を含むこととなるので、形成するセラミックスの性能が低下する場合がある。従って、窒素下、すなわち、酸素の非存在下で除去されうる本発明に用いられる吸熱分解型高分子バインダーは、不純物を生成しにくく、非酸化物系のバインダーとして有望である。
現在用いられているPVB等のバインダーは、発熱反応、すなわち、燃焼により分解するので、除去するために酸素を必要とする。しかし、セラミックス粉末が、非酸化物系粉末、例えば、窒化アルミニウムの場合には、酸素と反応するとアルミナを生成し、不純物を含むこととなるので、形成するセラミックスの性能が低下する場合がある。従って、窒素下、すなわち、酸素の非存在下で除去されうる本発明に用いられる吸熱分解型高分子バインダーは、不純物を生成しにくく、非酸化物系のバインダーとして有望である。
市販のポリエチレンカーボネートであるQPAC25は、完全に分解するために約400℃の温度を必要とする。これは、QPAC25が、エチレンオキシド同士が結合している部分を含むことに起因しており、窒素下でセラミックスを焼成した場合に残存する可能性がある。
[焼成温度と焼成体密度との関係]
[実施例7]
窒化アルミニウム(トクヤマ(株)製、Hグレード)100質量部に対して、製造例85で製造されたPEC−2を、2.0質量部添加し、さらに分散媒として1−メチル−2−ピロリドンを、窒化アルミニウムの濃度が30体積%となるように添加し、混合した。当該混合物をボールミルで24時間さらに混合してスラリーを生成した。当該スラリーを、減圧下及び60℃において、エバポレーターを用いて脱溶媒し、さらに60℃で真空乾燥して溶媒を除去し、粉末を得た。上記粉末を、100メッシュのふるいを通して造粒し、一軸加圧成形及び静水圧加圧成形により、直径18mm、厚さ約4.5mmの円柱形状を有する、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造した。上記ペレットを、窒素雰囲気下で、室温から焼成温度まで10℃/分の速度で昇温し、所定温度で2時間又は4時間焼成した。なお、窒化アルミニウムの焼成には、低温化及び高熱伝導化を図るため、焼結助剤が添加されるのが一般的であるが、本実施例では、バインダーそのものの性能を確認するために、助剤を添加せずに焼成し、密度を測定した。結果を表7に示す。
なお、上記密度は、アルキメデス法を用いて測定した。
[実施例7]
窒化アルミニウム(トクヤマ(株)製、Hグレード)100質量部に対して、製造例85で製造されたPEC−2を、2.0質量部添加し、さらに分散媒として1−メチル−2−ピロリドンを、窒化アルミニウムの濃度が30体積%となるように添加し、混合した。当該混合物をボールミルで24時間さらに混合してスラリーを生成した。当該スラリーを、減圧下及び60℃において、エバポレーターを用いて脱溶媒し、さらに60℃で真空乾燥して溶媒を除去し、粉末を得た。上記粉末を、100メッシュのふるいを通して造粒し、一軸加圧成形及び静水圧加圧成形により、直径18mm、厚さ約4.5mmの円柱形状を有する、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造した。上記ペレットを、窒素雰囲気下で、室温から焼成温度まで10℃/分の速度で昇温し、所定温度で2時間又は4時間焼成した。なお、窒化アルミニウムの焼成には、低温化及び高熱伝導化を図るため、焼結助剤が添加されるのが一般的であるが、本実施例では、バインダーそのものの性能を確認するために、助剤を添加せずに焼成し、密度を測定した。結果を表7に示す。
なお、上記密度は、アルキメデス法を用いて測定した。
[実施例8]
PEC−2を、製造例86で製造されたPPC−1に変更し、且つ分散媒をメチルエチルケトン(和光純薬工業製、特級)に変更した以外は実施例7に従って、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造し、焼成し、そして密度を測定した。結果を表7に示す。
PEC−2を、製造例86で製造されたPPC−1に変更し、且つ分散媒をメチルエチルケトン(和光純薬工業製、特級)に変更した以外は実施例7に従って、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造し、焼成し、そして密度を測定した。結果を表7に示す。
[比較例6]
PEC−2をPVB(和光純薬工業製,ポリビニルブチラール800)に変更した以外は実施例7に従って、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造し、焼成し、そして密度を測定した。結果を表7に示す。
PEC−2をPVB(和光純薬工業製,ポリビニルブチラール800)に変更した以外は実施例7に従って、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造し、焼成し、そして密度を測定した。結果を表7に示す。
表7から、製造例85のPEC−2をバインダーとして用いた焼結セラミックス成形用組成物は、1900℃4時間の条件で緻密化することが分かる。一方、PVBをバインダーとして用いた焼結セラミックス成形用組成物は、この条件では緻密化しなかった。死蔵例86のPPC−1をバインダーとして用いた焼結セラミックス成形用組成物は、同一の焼成条件において、PVBを用いたものよりも緻密化していた。
[焼成時の残留炭素]
[実施例9]
窒化アルミニウム(トクヤマ(株)製、Hグレード)100質量部に対して、PEC−2を2.0質量部添加し、さらに分散媒として1−メチル−2−ピロリドンを、窒化アルミニウムの濃度が30体積%となるように添加し、混合した。当該混合物をボールミルで24時間さらに混合してスラリーを生成した。当該スラリーを、減圧下及び60℃において、エバポレーターを用いて脱溶媒し、さらに60℃で真空乾燥して、溶媒を除去し、粉末を得た。当該粉末を、1000℃、1300℃、1600℃又は1900℃に加熱し、次いでその温度で4時間焼成した後の焼成体の残留炭素濃度を測定した。昇温速度は、10℃/分であった。なお、上記残留炭素濃度は、JIS R 1675:2007 ファインセラミックス用窒化アルミニウム微粉末の化学分析方法に準拠して測定した。結果を表8にまとめる。
[実施例9]
窒化アルミニウム(トクヤマ(株)製、Hグレード)100質量部に対して、PEC−2を2.0質量部添加し、さらに分散媒として1−メチル−2−ピロリドンを、窒化アルミニウムの濃度が30体積%となるように添加し、混合した。当該混合物をボールミルで24時間さらに混合してスラリーを生成した。当該スラリーを、減圧下及び60℃において、エバポレーターを用いて脱溶媒し、さらに60℃で真空乾燥して、溶媒を除去し、粉末を得た。当該粉末を、1000℃、1300℃、1600℃又は1900℃に加熱し、次いでその温度で4時間焼成した後の焼成体の残留炭素濃度を測定した。昇温速度は、10℃/分であった。なお、上記残留炭素濃度は、JIS R 1675:2007 ファインセラミックス用窒化アルミニウム微粉末の化学分析方法に準拠して測定した。結果を表8にまとめる。
[比較例7]
PEC−2をPVB(和光純薬工業製,ポリビニルブチラール800)に変更した以外は実施例9に従って、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造し、焼成し、そして焼成体の残留炭素濃度を測定した。結果を表8にまとめる。
PEC−2をPVB(和光純薬工業製,ポリビニルブチラール800)に変更した以外は実施例9に従って、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造し、焼成し、そして焼成体の残留炭素濃度を測定した。結果を表8にまとめる。
表8から、1000℃の焼成温度では、PVBを含む比較例7の焼成体は、PEC−2を含む実施例9の焼成体の2倍の残留炭素濃度を有するが分かる。
[4点曲げ強さ]
[実施例10]
窒化アルミニウム(トクヤマ(株)製、Hグレード)100質量部に対して、PEC−2を2.0質量部添加し、さらに分散媒として1−メチル−2−ピロリドンを、窒化アルミニウムの濃度が30体積%となるように添加し、混合した。当該混合物をボールミルで24時間さらに混合してスラリーを生成した。当該スラリーを、減圧下及び60℃において、エバポレーターを用いて脱溶媒し、さらに60℃で真空乾燥して、溶媒を除去し、粉末を得た。上記粉末を、100メッシュのふるいを通して造粒し、一軸加圧成形及び静水圧加圧成形により、49mm×42mm×7mmの立方体状の、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造した。上記ペレットを、窒素雰囲気中で、室温から1,900℃まで10℃/分の速度で昇温し、4時間焼成し、焼成体を形成した。焼成後、上記焼成体から、JIS R 1601:2008に従って、試験片を複数本切り出した。次いで、JIS R 1601:2008に従って、4点曲げ強さを測定した。また、相対密度も測定した。結果を表9に示す。相対密度、4点曲げ強さ及び標準偏差の値は、12点の測定データに基づく。また、上記焼成体の断面の走査型電子顕微鏡写真を図16に示す。
なお、上記相対密度は、アルキメデス法で測定した密度を、窒化アルミニウムの真密度で割ったものである。
[実施例10]
窒化アルミニウム(トクヤマ(株)製、Hグレード)100質量部に対して、PEC−2を2.0質量部添加し、さらに分散媒として1−メチル−2−ピロリドンを、窒化アルミニウムの濃度が30体積%となるように添加し、混合した。当該混合物をボールミルで24時間さらに混合してスラリーを生成した。当該スラリーを、減圧下及び60℃において、エバポレーターを用いて脱溶媒し、さらに60℃で真空乾燥して、溶媒を除去し、粉末を得た。上記粉末を、100メッシュのふるいを通して造粒し、一軸加圧成形及び静水圧加圧成形により、49mm×42mm×7mmの立方体状の、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造した。上記ペレットを、窒素雰囲気中で、室温から1,900℃まで10℃/分の速度で昇温し、4時間焼成し、焼成体を形成した。焼成後、上記焼成体から、JIS R 1601:2008に従って、試験片を複数本切り出した。次いで、JIS R 1601:2008に従って、4点曲げ強さを測定した。また、相対密度も測定した。結果を表9に示す。相対密度、4点曲げ強さ及び標準偏差の値は、12点の測定データに基づく。また、上記焼成体の断面の走査型電子顕微鏡写真を図16に示す。
なお、上記相対密度は、アルキメデス法で測定した密度を、窒化アルミニウムの真密度で割ったものである。
[実施例11]
PEC−2をPPC−1に変更し、且つ分散媒をメチルエチルケトン(和光純薬工業製、特級)に変更した以外は実施例10に従って、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造し、焼成体を形成し、4点曲げ強度及び相対密度を測定した。結果を表9に示す。なお、相対密度、4点曲げ強さ及び標準偏差は、14点の測定データに基づく。
PEC−2をPPC−1に変更し、且つ分散媒をメチルエチルケトン(和光純薬工業製、特級)に変更した以外は実施例10に従って、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造し、焼成体を形成し、4点曲げ強度及び相対密度を測定した。結果を表9に示す。なお、相対密度、4点曲げ強さ及び標準偏差は、14点の測定データに基づく。
[比較例8]
PEC−2をPVB(和光純薬工業製,ポリビニルブチラール800)に変更した以外は実施例10に従って、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造し、焼成体を形成し、4点曲げ強度及び相対密度を測定した。結果を表9に示す。なお、相対密度、4点曲げ強さ及び標準偏差は、12点の測定データに基づく。また、上記焼成体の断面の走査型電子顕微鏡写真を図17に示す。
PEC−2をPVB(和光純薬工業製,ポリビニルブチラール800)に変更した以外は実施例10に従って、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造し、焼成体を形成し、4点曲げ強度及び相対密度を測定した。結果を表9に示す。なお、相対密度、4点曲げ強さ及び標準偏差は、12点の測定データに基づく。また、上記焼成体の断面の走査型電子顕微鏡写真を図17に示す。
PEC−2を用いて製造された実施例10の焼成体は、ポリビニルブチラールを用いて製造された比較例8の焼成体よりも、相対密度が高く且つ4点曲げ強度が高いことが分かる。また、PPC−1を用いて製造された実施例11の焼成体は、ポリビニルブチラールを用いて製造された比較例8の焼成体よりも、相対密度が高く且つ同等の4点曲げ強さを有することが分かる。
[熱伝導度]
[実施例12]
実施例7に従って、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造し、室温から1,900℃まで10℃/分の速度で昇温し、1900℃で4時間焼成し、焼成体を製造した。上記焼成体を1mmの厚さに切断し、レーザーフラッシュ法により、熱伝導度を測定した。また、嵩密度も測定した。3回の測定の平均値を、表10に示す。
なお、上記嵩密度は、アルキメデス法に従って測定した。
[実施例12]
実施例7に従って、焼結セラミックス成形用組成物のペレットを製造し、室温から1,900℃まで10℃/分の速度で昇温し、1900℃で4時間焼成し、焼成体を製造した。上記焼成体を1mmの厚さに切断し、レーザーフラッシュ法により、熱伝導度を測定した。また、嵩密度も測定した。3回の測定の平均値を、表10に示す。
なお、上記嵩密度は、アルキメデス法に従って測定した。
[実施例13]
PEC−2をPPC−1に変更し、且つ分散媒をメチルエチルケトン(和光純薬工業製、特級)に変更した以外は実施例12と同様にして、熱伝導度及び嵩密度を測定した。3回の測定の平均値を表10に示す。
PEC−2をPPC−1に変更し、且つ分散媒をメチルエチルケトン(和光純薬工業製、特級)に変更した以外は実施例12と同様にして、熱伝導度及び嵩密度を測定した。3回の測定の平均値を表10に示す。
[比較例9]
PEC−2をPVB(和光純薬工業製,ポリビニルブチラール800)に変更した以外は実施例12と同様にして、熱伝導度及び嵩密度を測定した。3回の測定の平均値を表10に示す。
PEC−2をPVB(和光純薬工業製,ポリビニルブチラール800)に変更した以外は実施例12と同様にして、熱伝導度及び嵩密度を測定した。3回の測定の平均値を表10に示す。
各焼成体に熱伝導度の差はほとんど認められなかった。
Claims (11)
- セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーとを含んでなる焼結セラミックス成形用組成物であって、
前記吸熱分解型高分子バインダーが、次の一般式(1):
で表されるエポキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートであることを特徴とする組成物。 - 前記吸熱分解型高分子バインダーが、エチレンオキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリエチレンカーボネート、又はプロピレンオキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリプロピレンカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリエチレンカーボネート又はポリプロピレンカーボネートである、請求項1に記載の組成物。
- 前記セラミックス粉末が、金属及び半金属の炭化物、窒化物、ホウ化物及びフッ化物から成る群から選択される非酸化物系セラミックス粉末を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記非酸化物系セラミックス粉末が、窒化アルミニウム粉末である、請求項3に記載の組成物。
- セラミックス粉末と吸熱分解型高分子バインダーと分散媒とを含むスラリーを調製するステップ;
前記スラリーを用いて成形体を成形するステップ;及び
前記成形体を、実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下で加熱することにより前記吸熱分解型高分子バインダーを吸熱分解させ、且つ前記セラミックス粉末を焼結させるステップ:
を含んでなる焼結セラミックスの製造方法であって、
前記吸熱分解型高分子バインダーが、次の一般式(1):
で表されるエポキシドと二酸化炭素とが交互に結合して得られたポリカーボネートであって、1H−NMR分析により検出可能なエーテル結合成分を含まないポリカーボネートであることを特徴とする方法。 - 前記加熱の温度が800℃以上である、請求項5に記載の方法。
- 前記不活性雰囲気が窒素雰囲気である、請求項5又は6に記載の方法。
- 前記焼結セラミックスを還元するステップを一切含まない、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セラミックス粉末が、金属及び半金属の炭化物、窒化物、ホウ化物及びフッ化物から成る群から選択される非酸化物系セラミックス粉末を含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記非酸化物系セラミックス粉末が、窒化アルミニウム粉末である、請求項9に記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物から製造されたセラミックス。
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