本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。まず、図1乃至図5を参照して、本発明を適用した帳票評価判定具について詳細に説明する。
本発明を適用した帳票評価判定具は、個々の帳票の問題点を主にヒューリスティック(heuristics:経験則)的な観点から判定し評価しようとするものである。ここで、「帳票」は、契約に関する各種書類、伝票、明細書、領収書、各種通知書を含む広い概念であり、例えば、パンフレット、カタログ、リーフレットなどのプロモーション(販売促進)用の書類も含まれる。
以下、本発明の好ましい実施の形態に係る帳票評価判定具について説明する前に、個々の帳票の問題点をどのようにして評価するかについて述べておく。本発明者らによる緻密な調査・研究の結果、帳票の問題点をヒューリスティックに評価するために重要な観点(視点)ないし要素は、図1に示すように、少なくとも、「情報量」、「タスク」、「テキスト(文意)」、「レイアウト」、「タイポグラフィ(文字)」、「色彩設計」の6つの観点から評価することが必須不可欠であり、次いで、「マーク・図表」、「記入欄」、「使用上の問題」の3つの観点が重要であることを見出し、これらを評価項目として扱うこととした。
そして、本発明の実施の形態による帳票評価判定具としての帳票評価シート1の主たる構成は、図1に示すように、帳票に発生し得る問題点が上述した複数の評価項目の観点から記載された問題点記載領域(11)と、問題点記載領域(11)に記載された個々の問題点と1体1で対応付けて配置され、当該問題点の深刻度が複数の選択肢で記載され、選択された選択肢を記入するための記入欄が設けられた選択評価記入領域(12)と、が印刷されたシート体である。
ここで、帳票評価シート1は、例えばA3サイズの用紙で形成することが可能である。但し、材質及び大きさは特に限定されることはなく、シート状であればいずれの材質をも選択することが可能であり、その大きさも適宜変更することが可能である。
〔問題点記載領域〕
次に、問題点記載領域(11)の構成について説明する。
「情報量」の評価項目は、評価対象となる帳票(以下、「評価対象帳票」と称する。)につき、情報量として適正かの観点、例えば「ユーザが心理的圧迫感(プレッシャー)を受けない情報量で一つの紙面(ないし該当する帳票の構成部分)が作られているか。」の観点から評価するための項目である。そして、問題点記載領域(11)には、必須要素である「情報量」の観点による問題点が一つ以上記載される。この記載は、「情報量が適正でない」といったやや抽象的な記載、或いは「文章の量が多すぎる」、「行間が狭くて読みづらい」、「情報量が多すぎてプレッシャーが生じる」などの、より具体的な記載とすることができ、さらにはこれらを別々に記載することもできる(図16参照)。
以下、他の評価項目についても、問題点記載領域(11)に記載される記載の抽象度等について特に限定されるものではない。但し、評価者が専門家である場合には、記載の抽象度を高くすることが可能であり、逆に評価者が一般ユーザである場合には、記載の抽象度を相対的に低く(すなわちより具体的な記載と)した方が扱いやすいと考えられる。
ここで、「専門家」の代表例としては、企業が発信するコミュニケーションのコンサルティングを行う「コミュニケーションエンジニア」、同コミュニケーションに必要な情報を設計する「情報デザイナー」、紙面のレイアウトデザインを行う「グラフィックデザイナー」、紙面構成や文章ライティングを行う「エディトリアルデザイナー」、人間の視覚効果により情報の流れを構成する「視覚情報アーキテクト」の5人が挙げられる。
また、「タスク」の評価項目は、ユーザに要求される行動がわかりやすく設計されているかの観点、例えば「ユーザがその帳票に対して何をすればいいのかが明記されているか。」、「ユーザが読むべきところ、書くべきところがブロックとして整理されているか。」の観点から評価するための項目である。したがって、問題点記載領域(11)には、必須要素である「タスク」の観点による問題点が一つ以上記載される。かかる問題点の記載の例としては、「確認すべき内容がわかりづらい」、「必要な行動が起こしづらい」、「何を書けばよいか迷う」、「重要な部分が強調されていない」、「どこに捺印をすればいいかわからない」、などが挙げられる。
「テキスト(文意)」の評価項目は、文意のハードルがないかの観点、例えば「大多数のユーザが理解できる単語が使用されているか。」、「特殊な専門用語や、一般的ではないカタカナ用語を多用していないか。」、及び「ひとつの文章が読みやすい単語数で構成されているか。」の観点から評価するための項目である。かかる問題点の記載の例としては、「文章の意味がわかりづらい」、「意味のわかりにくい用語がある」、「わかりにくい文章がある」、「文章が長すぎる」などが挙げられる。
「レイアウト」の評価項目は、認知の導線が自然に設計されているかの観点、例えば「ユーザが情報の優先順序にそって読んでいけるように配置されているか。」、「大見出し、小見出し、本文、キャプションのジャンプ率が適切か。」の観点から評価するための項目である。したがって、問題点記載領域(11)には、必須要素である「レイアウト」の観点による問題点が一つ以上記載される。かかる問題点の記載の例としては、「罫線の使い方が効果的ではない」、「重要な部分が強調されていない」、「控除証明書の添付箇所がわかりづらい」、「罫線がわかりにくい」、「行間が狭くて読みにくい」、「文字のサイズが不適切」、などが挙げられる。
「タイポグラフィ(文字)」の評価項目は、文字の読みやすさ、可読性への配慮の観点、例えば「ユーザが判読にストレスを感じないレベルの等級を使用しているか。」、「不適切な変形、圧縮がないか。」の観点から評価するための項目である。したがって、問題点記載領域(11)には、必須要素である「タイポグラフィ(文字)」の観点による問題点が一つ以上記載される。かかる問題点の記載の例としては、「文字が小さくて読みづらい」、「フォントが読みにくい」、「判読時にストレスを感じるフォントである」、などが挙げられる。
「色彩設計」の評価項目は、多様な色覚のユーザへの配慮の観点、例えば「”カラーユニバーサルデザイン認証”に沿った配色がされているか。」、「色弱者、一般色覚者を問わず、識別しやすい配色を心がけているか。」の観点から評価するための項目である。したがって、問題点記載領域(11)には、必須要素である「色彩設計」の観点による問題点が一つ以上記載される。かかる問題点の記載の例としては、「色の使い方が不適切である」、「印刷の色が不適切」、「色の使用が足りない」、「色の使用が多すぎる」などが挙げられる。
以上の6つの要素は、各種の帳票で問題となり得る点であることから、必須の評価項目として扱われる。換言すると、「情報量」、「タスク」、「テキスト(文意)」、「レイアウト」、「タイポグラフィ(文字)」、「色彩設計」は、帳票の種類等にかかわらず、常に「見やすさ、わかりやすさ、伝わりやすさ」に大きな影響を与える要素であることが本発明者らによって見出されたものである。
以下の任意要素である「マーク・図表」、「記入欄」、「使用上の問題」は、必要に応じて問題点記載領域(11)に記載することができる。なお、これらを任意要素としたのは、「見やすさ、わかりやすさ、伝わりやすさ」に大きな影響を与える要素でありながらも、「マーク・図表」、「記入欄」、「使用上の問題」は、帳票の種類によっては存在しない等、評価対象に入れられない場合が発生するとの理由による。
「マーク・図表」の評価項目は、既知性に基づく図型化がなされているかの観点、例えば「ユーザが理解しやすいマークやピクトグラムを使用しているか。」、「チャートやグラフ、ダイアグラムは分かりやすく表現できているか。」の観点から評価するための項目である。かかる問題点の記載の例としては、「図表がわかりづらい」、「注意喚起の記号やアイコンがわかりづらい」、或いはより具体的に、「マークや図表が小さすぎる」、「マークや図表の挿入位置が適切でない」などが挙げられる。上述のように、この項目は、帳票の種類などによってはマーク・図表が無い場合があるので任意項目とされるが、評価対象帳票にマーク・図表がある場合には、上記のような問題点が問題点記載領域(11)に記載されることが極めて好ましい。
「記入欄」の評価項目は、記入する際の書き込みやすさの観点、例えば「記入スペースは、ユーザが書き込みやすくデザインされているか。」、「デザインや情報量を優先し、スペースが小さくなっていないか」の観点から評価するための項目である。かかる問題点の記載の例としては、「記入スペースが小さくて書きづらい」、「記入の仕方がわかりづらい」、「書き込みにくいデザインである」、或いはより抽象的に「記入スペースが不適切」などが挙げられる。この項目も、帳票の種類などによっては記入欄が無い場合があるので任意項目とされるが、評価対象帳票に記入欄がある場合には、上記のような問題点が問題点記載領域(11)に記載されることが極めて好ましい。
「使用上の問題」の評価項目は、利用にかかわる阻害要因の観点から評価するための項目であり、換言すると、評価対象帳票をユーザが実際に使用する際に想定される問題点(換言すると「使いづらさ」)を判定・評価するための項目である。この評価項目は、典型的には、評価対象帳票に返信用封筒が同封されている場合に「開封時に破れる、封筒から出しにくいなど、形状に問題はないか。」の観点から評価し、評価対象帳票が複数枚ないし複数冊子に亘る場合に「複数の帳票がどんな役目を持っているのか一目で判別できるか。」の観点から評価することができる。また、かかる問題点の記載の例としては、「形状、サイズ、綴じ方、紙質、保管性など全体的に使いづらい」、「封筒を開けるときに書類も切れてしまう」、「返信用の封筒が小さい(大きすぎる)」などが挙げられる。この項目も、帳票の種類などによっては評価対象帳票が1枚の場合や返信用封筒が無い場合があるので任意項目とされるが、評価対象帳票が複数枚の場合や返信用封筒付きのような場合には、上記のような問題点が問題点記載領域(11)に記載されることが極めて好ましい。
このように、本発明では、帳票に発生し得る個々の問題点を予め問題点記載領域に記載しておく構成とすることで、評価対象帳票の分かりやすさ、読みやすさ、伝わりやすさを速やかに判定することができ、また、問題点記載領域に記載される評価項目及び問題点が統一化されているので、評価対象帳票を複数の評価者で評価する場合に、評価項目や問題点の指摘(換言すると判定評価する事項)につき評価者毎に異なってしまうなどの事態が回避され、より客観的な評価が可能になる。
なお、問題点記載領域(11)は、図2に「その他( )」の欄として示すように、記載された問題点以外の評価項目に関する問題点を評価者が個別に記入するための記入欄が設けられた構成とすることもできる。かかる記入欄が設けられることで、評価対象帳票の問題点についての評価者の知見を後に反映させることが可能になる。すなわち、帳票の問題点につき評価者が個別に気付いた点などが記入されることで、個々の帳票特有の問題点が明確になることが期待され、よりきめ細やかな評価を行うことや、かかる知見等を後に反映させてより良い帳票評価判定具を再構成することなどに役立つ。具体的には、この記入欄に記載され指摘された新たな問題点は、上述した9項目の内のいずれかの項目に該当すると考えられるので、かかる項目の問題点記載領域(11)の記載内容を再構築するのに役立つ。
〔選択評価記入領域〕
次に、選択評価記入領域12について説明する。選択評価記入領域12は、上述した問題点記載領域11の個々の記載に1対1で対応付けて配置される複数の欄(すなわち区分された枠)を有する。選択評価記入領域12は、問題点記載領域11の該当欄に記載された問題点の程度(換言すると深刻さの高低度合い)の選択評価結果を記入するための記入欄が設けられる。この例では、「1問題ない」、「2やや問題あり」、「3問題あり」、「4非常に問題あり」の4段階評価を行うために、かかる記載を表示した選択肢と、選択された選択肢を記入するための記入欄が設けられる。この記入欄は、図1の例では「(評価結果: 番)」として示すように、選択した枝番号(1〜4のいずれか)を記入する形式としているが、デジタルペンやOCRなどの機械的読み取り装置での読み取りを容易にするために、図3に示すように、各選択肢の横(例えば左側)に、記入欄としてのチェック欄(□)を設ける構成としてもよい。
選択評価記入領域12の一の欄に記載される選択肢の数は、特に限定されるものではなく、他の例としては、図4に示すように、さらに3段階の選択肢(「非常に良い」、「まあ良い」、「まあ良い」)を加えた7段階評価の構成とすることも可能である。
図2に、帳票評価判定具としての帳票評価シートの他の一例を示す。図2に示す帳票評価シートは、上述した問題点記載領域(11)に記載された問題点と対応付けて配置され、当該記載された問題点が上述した評価項目のいずれの項目に属するかを表示する表示子(131)が記載された評価項目表示領域(13)を備えている。かかる表示子を設けることで、問題点記載領域(11)に記載された問題点が上述した複数(9つ)の評価項目のいずれに属するかを識別することが容易になるので、種々の利便性が提供される。
すなわち、上述のように、問題点記載領域(11)の一の評価項目につき複数の問題点が記載され得ること(図2参照)、評価対象帳票につき複数の評価者で判定されること、などに鑑みて、このような評価項目表示領域(13)を設けることで、集計時の集計さらには後述する評価項目毎の点数評価の処理の迅速化を図ることが可能になる。
図2の例では評価項目表示領域(13)を問題点記載領域(11)と選択評価記入領域(12)との間に配置する構成を示したが、評価項目表示領域(13)の配置はこれに限られず、例えば問題点記載領域(11)の左側や選択評価記入領域(12)の右側に配置してもよい。
なお、図2では理解容易のため、評価項目表示領域(13)に文字による表示子(131)を記載する構成としたが、表示子(131)の形態はこれに限定されるものではない。すなわち、表示子は、例えば数字で記載することが可能であり、この場合には各評価項目と使用する数字とを予め対応付けておけばよい。表示子(131)を数字で記載する場合には、図5に示すように、枝番の形式で記載することもできる。
さらには、図示しないが、読み取り処理時におけるOCR等の一層の負荷軽減を図る観点から、表示子(131)をバーコードやQRコードなどの2次元コードの形態としてもよい。
さらにまた、図2では表示子(131)を(他の領域と区分けされた独立した領域である)評価項目表示領域(13)内に配置する構成を示したが、表示子の配置はこれに限られず、例えば、問題点記載領域(11)内や選択評価記入領域(12)内に配置する構成(図示せず)とすることもできる。
以下は、評価項目「1」が「情報量」、評価項目「2」が「タスク」、評価項目「3」が「テキスト(文意)」、評価項目「4」が「レイアウト」、評価項目「5」が「タイポグラフィ(文字)」、評価項目「6」が「色彩設計」、評価項目「7」が「マーク・図表」、評価項目「8」が「記入欄」、評価項目「9」が「使用上の問題」、として対応付けられた場合について説明する。
図3に、帳票評価判定具としての帳票評価シートの他の一例を示す。図3に示す帳票評価シートは、問題点記載領域(11)に記載された個々の問題点と1対1で対応付けて配置され、選択評価記入領域(12)の記入欄への記入を行った旨のチェックを記入するためのチェック欄(14)を備えた構成となっている。
このチェック欄(14)は、評価者が各問題点に対して選択評価記入領域(12)の記入欄へ記入する際に記入されるものであり、評価者や集計者の便宜のみならず、デジタルペンやOCR等で選択評価記入領域(12)の記入内容を読み取る場合にも使用されることができる。すなわち、選択評価記入領域(12)の記入内容を読み取る際にチェック欄(14)も併せて読み取ることにより、選択評価記入領域(12)の記入が薄い(機械で読み取り難い)場合に、チェック欄(14)でのチェックを読み取ることができれば、選択評価記入領域(12)の読み取りエラーを検出することができる。
また、問題点記載領域(11)の記載が肥大化するような場合(図5参照)や、複数用紙に亘る評価対象帳票を複数部の帳票評価シートで評価するような場合には、問題点のいわゆる重複記載が増え、評価対象としなかった問題点も増えると考えられるため、チェック欄(14)を設けることで、このような場合であっても判定作業や集計処理等の迅速化を図ることが可能となる。
図3の例では、チェック欄(14)を問題点記載領域(11)内に配置する構成を示したが、チェック欄(14)の配置はこれに限られず、例えば、選択評価記入領域(12)内、選択評価記入領域(12)の右側、後述する評価項目表示領域(13)内、などに配置してもよい。さらには、チェック欄(14)を独立した領域として配置する構成としてもよい。
なお、評価者の記入や集計者のチェックの便宜上、及びデジタルペンやOCR等での読み取り処理時における一層の負荷軽減を図る観点から、各チェック欄(14)は、予め定められた所定の位置(行/列上の位置)に配置することが好ましい。
図5に、帳票評価判定具としての帳票評価シートの他の一例を示す。図5に示す帳票評価シートは、評価対象帳票の一部をなす構成部分及び帳票全体(15E)を評価対象の該当部分として予め指示する指示子(151)を備えた該当部分指示領域(15)が設けられた構成となっている。また、上述した問題点記載領域(11)は、該当部分指示領域(15)における評価対象の該当部分(指示子151)毎に設定された構成となっている。このような構成とすることで、評価対象帳票を構成部分毎に抽出(区分け)して、かかる構成部分毎に問題点を記載することができるので、評価対象帳票の種類等に応じたより詳細な判定、評価、集計等を行うことが可能となる。
なお、該当部分指示領域(15)は、図5に示す例では帳票全体(15E)の欄を備えた構成としているが、該当部分指示領域(15)において帳票全体の欄は、場合により(例えば評価対象帳票の構成部分が非常に多い場合など)省略することが可能である。
また、該当部分指示領域(15)を構成する評価対象の該当部分(指示子の数)が幾つになるか、及び各指示子(151)がどのような表示(名称等)とされるかは、個々の評価対象帳票によって異なることが考えられるため、特に限定されない。
但し、本発明者らによる緻密な調査・研究の結果、該当部分指示領域(15)を構成する評価対象の該当部分(指示子)の数、及び各指示子の名称(実体)は、評価対象帳票の種類に基づいて、ある程度特定できることが見い出された。この結果、帳票評価判定具の構成を、該当部分指示領域(15)を設けつつ、評価対象帳票の種類に応じた画一的な構成とすることが可能になり、評価対象帳票の種類が同一であれば、帳票評価判定具の構成を個別に変更することなく使用することができる。
本発明者らによる綿密な調査・研究の結果、帳票の種類は、典型的には「ドキュメント」、「コンファーム」、「アプリケーションフォーム」及び「プロモーション」の4つに大別することが可能であることが判明した。ここで「ドキュメント」は社会一般に広く使われる一般帳票(例えば納品書や請求書、給料の支払明細など)であり、「コンファーム」は、ユーザが契約内容等を確認するために使用される帳票であり、例えば約款・重要事項説明書・証券・一般通知書などが該当する。「アプリケーションフォーム」は、企業等が受領者(ユーザ)に何らかのタスクを要求する帳票であり、例えば、各種の申込書・契約更新時に送付され記入及び返信を要求される更新確認書等が該当する。「プロモーション」は、販売促進用や募集用に使用される帳票であり、例えば、パンフレット・リーフレットなどが該当する。
そして、これら帳票は、本発明者らによる綿密な調査・研究の結果、帳票の種類により「注意喚起部分」、「便益情報部分」、「確認部分」、「プラン選択部分」、「記入部分」、「検索部分」、「支援情報部分」、「付帯情報部分」、「行動促進部分」、及び「全体」の組み合わせに分けられることが判明した。「注意喚起部分」は、ユーザ(契約者)がこの帳票を閲覧・確認・記入する際、必ず読んで理解しなくてはいけない部分である。「便益情報部分」は、ユーザ(契約者)の便益となる情報を示す部分である。「確認部分」は、ユーザ(契約者)が、記入されている契約内容や住所・氏名などの情報を確認する部分である。「プラン選択部分」は、企業がユーザ(契約者)に新しい契約プランを提案し、ユーザ(契約者)が選択をする部分である。「記入部分」は、ユーザ(契約者)が、住所・氏名などの必要事項を記入・捺印する部分である。「検索部分」は、ユーザ(契約者)が、帳票に記載された情報の項目を検索する部分である。「支援情報部分」は、ユーザ(契約者)が、帳票に記されている内容を理解し読み進めていくためのガイド部分である。「付帯情報部分」は、帳票の内容と直接関係はないが、ユーザ(契約者)にとって有益な情報が記されている部分である。「行動促進部分」は、ユーザ(契約者)の行動(電話をかける・返信する・契約するなど)を、促進するための情報を示す部分である。「全体」は、ユーザ(契約者)が封筒を開ける時や複写に記入する際など帳票を使用する際の部分、及び帳票を全体で捉えたときの部分、として分けられる。
以上のような構成を備えた帳票評価判定具(帳票評価シート)を用いて評価対象帳票を数値的に評価するための手順等について説明する。以下の説明では、評価対象帳票が「アプリケーションフォーム」であり、図5の帳票評価シートを用い、かつ図6及び図7に示すように、複数枚(表/裏)からなる評価対象帳票を複数部(2枚)の帳票評価シートを用いて評価する場合について説明する。
評価対象帳票の評価にあたっては、評価対象帳票を複数の評価者で評価する場合の評価者毎の区分けのバラツキを防止する観点から、評価対象帳票を上記各部分に予め区分けして、当該区分け結果を各評価者に提示しておく。図6及び図7では、アプリケーションフォームの帳票の一例として、自動車保険の更新申込及び契約内容確認のための表面/裏面からなる帳票を示しており、図6が表面、図7が裏面であり、それぞれ各構成部分に区分けされた状態を示している。この例では、枠Aで囲まれた部分が「注意喚起部分」、枠Bで囲まれた部分が「確認部分」、枠Cで囲まれた部分が「プラン選択部分」、枠Dで囲まれた部分が「記入部分」に、それぞれ該当する。
なお、この例では、評価対象帳票の表面には枠Cすなわち「プラン選択部分」及び枠Dすなわち「記入部分」が無く、評価対象帳票の裏面には枠Bすなわち「確認部分」が無いので、1枚目の帳票評価シートの「プラン選択部分」及び「記入部分」の問題点記載領域(11)と選択評価記入領域(12)、及び2枚目の帳票評価シートの「確認部分」問題点記載領域(11)と選択評価記入領域(12)への記入は不要となる。
各評価者から記入済みの帳票評価シートを回収した後、全て手作業で集計することもできるが、後述する帳票評価支援システム2のデジタルペンを使用した入力及び集計、或いは帳票評価支援システム2の画面入力機能を使用したデータ入力を行うことで、集計作業者の労力を大幅に軽減することが可能となる。
評価対象帳票の評価にあたっては、選択評価記入領域(12)で段階付けて記載された複数の選択肢につき、各選択肢毎に付与される点数(すなわち配点)を予め設定しておく。
この実施形態では、それぞれ、「問題ない」が0点、「やや問題あり」が1点、「問題あり」が2点、「非常に問題あり」が3点付与されるものと定められている。
さらに、最終評価時において具体的な提案内容を提示するために、改善を要するか否かについての基準値(閾値)を予め設定しておく。
決定された配点及び閾値に関し、例えば下記の表1に示すような配点/閾値表を用いることができる。
かかる配点/閾値表は、上述した複数の選択肢と各選択肢に割り当てられる配点の対応関係が表示(記述)された配点表を含み、さらに、この配点表に記述された配点の範囲内の数値で予め定められた閾値と、かかる閾値に満たない場合、閾値を超えた場合の行動指針が最終評価として表示(記述)された閾値表も含んでいる。
この例は、上記のように4段階評価を行う場合の構成を図示しているが、図4で上述したように7段階評価の構成とすることも可能であり、この場合には例えば「非常に良い」が−3点、「良い」が−2点、「まあ良い」が−1点とすることが考えられる。
評価者が一人の場合には、各問題点毎の点数を算出する。本実施形態では評価者が複数であることを想定しているため、さらに、各問題点毎に評価者の評価点を集計し、その平均点を求める。
そして、算出された数値を上記基準値と比較し、かかる基準値以下の数値の場合は、当該評価事項につき、大きな変更を伴わなくても(文章やマーク、レイアウト等が)問題ないと最終評価し、一方、基準値よりも大きい数値の場合は、当該評価事項につき、早急に改善する必要性ありと最終評価する。
また、表1の例では基準値(閾値)が一つの場合について説明したが、下記表2に示すように、閾値を複数個設定することもできる。
上述した配点/閾値表は、紙面に印字された形態の配点/閾値シートとして用いられることができる。この場合、上述した配点表と閾値表とをそれぞれ配点シート及び基準値(閾値)シートとして別紙面に構成してもよい。さらには、上述した配点/閾値表(或いは配点表及び/又は閾値表)を、上述した帳票評価シート1内に表示することもできる。さらにまた、上述した配点/閾値表は、ハードディスクなどの各種データ記憶媒体に、データベース化された形態で登録されることもできる。
このように、上述した帳票評価判定具(帳票評価シート)によれば、帳票の評価に不可欠な「情報量」、「タスク」、「テキスト(文意)」、「レイアウト」、「タイポグラフィ」、及び「色彩設計」上の観点から発生し得る問題点が予め記載された問題点記載領域(11)と、記載された各問題点の程度(換言すると、深刻さの高低度合い)の選択評価結果を記入するための記入欄が設けられた選択評価記入領域(12)と、を備えているので、各種の帳票の分かりやすさ、読みやすさ、伝わりやすさを速やかに判定することが可能になる。
すなわち、上述した帳票評価シートでは、評価対象帳票に発生し得る問題点についての質問が、問題点記載領域(11)に予め記載されていることになる。そして、評価者は、評価対象帳票と帳票評価シートの問題点記載領域(11)に記載された各質問とを対比しながら、これら各質問に対する回答を選択評価記入領域(12)の各記入欄に記入していく。すなわち、問題点記載領域(11)に記載された個々の問題点につき、選択評価記入領域(12)に記載された、当該問題点の深刻度の程度を段階的に表した複数の選択肢(回答肢)の中から、評価者自らの経験や感性等に基づいて適合する選択肢を択一的に選んで記入することで、当該問題点の深刻度の程度を判定、評価する。ここで、段階的に示された選択肢は、上述のように予め点数が対応付けられている。
そして、評価者により記入された各選択肢を集計、算出することにより、当該帳票が有する問題点を、種々の観点から数値評価することが可能となる。
また、上述のように、問題点記載領域(11)の評価項目としてさらに、「マーク・図表」、「記入欄」、「使用上の問題」の内のいずれか一つ以上についての問題点が記載された構成とすることにより、個々の帳票の問題点についてよりきめ細やかに評価することが可能となる。
また、上述のように、問題点記載領域(11)に記載された問題点以外の問題点を評価者が個別に記入するための記入欄(「その他( )」の欄)を設けることにより、よりきめ細やかな評価を行うことや、かかる知見等を後に反映させてより良い帳票評価判定具を再構成することなどに役立てることができる。
また、評価対象となる帳票の一部をなす構成部分(さらには帳票全体)を評価対象の該当部分として予め指示する該当部分指示領域(15)を備え、該当部分指示領域(15)における評価対象の該当部分毎に問題点記載領域(11)が設定された構成とすることにより、評価対象帳票を構成部分毎に抽出して、かかる構成部分毎に問題点を記載することができるので、評価対象帳票の種類等に応じたより詳細な評価等を行うことが可能となる。
上述した帳票評価判定具(帳票評価シート1)は、既存の帳票の見直しの際、或いは新規ビジネス等により新たな帳票を開発する際に利用されることで、見やすい、わかりやすい、伝わりやすい帳票を作るためのツールとして活用することができる。
また、上述した帳票評価判定具は、例えば、各種コンサルティングに利用することができる。この場合には、相談者ないし依頼者(企業)の使用する帳票のユーザビリティ上の問題点、改善を要する点の指摘、さらには具体的な改善策のアドバイス、等を行うためのツールとして活用することができる。また、上述した複数の専門家による評価のみならず、一般人も評価者に加わってもらい、専門家及び一般人全体の評価を集計することによって、より一層改善された帳票を作成するためのツールとして帳票評価シートを活用することができる。
〔帳票評価支援システム〕
次に、上述した帳票評価判定具を使用して判定対象帳票の評価の支援を行うための帳票評価支援システムについて説明する。
図8に示すように、本実施の形態の帳票評価支援システム2は、帳票評価シート1に記入された情報を読取るための読取部21と、各種データが格納されたHDDなどの外部記憶部22と、キーボードやマウス、或いは各種ポインティングデバイスなどの操作入力部23と、各種情報を画像表示するためのLCDやCRTなどの表示部24と、シート上に情報を印字出力する印字出力部25と、通信網を介してクライアント端末5とデータ通信を行うためのモデム等のデータ送受信部26と、装置全体の制御を司る制御部27と、を備える。本実施形態では、読取部21としてデジタルペンが、印字出力部25としてカラープリンタ装置が、制御部27としてパーソナルコンピュータ(PC)が、それぞれ使用される。また、本実施形態では、通信網としてインターネットを使用する場合について説明するが、通信網として他の専用通信回線を使用することも可能である。
クライアント端末5は、通信網を介して帳票評価支援システム2とのデータ通信が可能な端末装置であり、パーソナルコンピュータ(PC)、各種携帯電話機やPDAなどが含まれる。図示しないが、クライアント端末5は、通信網を介したデータ通信を行うための通信部、評価対象帳票の評価を行う評価者が操作を行うためのマウスやキーボードなどの操作入力部、各種表示を行うためのLCDなどの表示部、装置全体を制御するための制御部を備える。
帳票評価支援システム2は、上述した帳票評価判定具(帳票評価シート1)の構成を編集し印字出力部25で出力する帳票評価判定具作成装置、帳票評価シート1の情報を読取部21(デジタルペン)を使用して読み取り、評価対象帳票の問題点についての集計及び評価を行うための帳票評価集計装置、さらには、帳票評価シート1の情報を通信網を介して評価者のクライアント端末に送信し、クライアント端末から受信されたデータに基づいて評価対象帳票の問題点についての集計及び評価を行う帳票評価集計システム、として機能する。
また、帳票評価支援システム2は、上記帳票評価判定具作成装置、帳票評価集計装置、及び帳票評価集計システムで使用される各種機能についての設定や管理を行えるようになっている。帳票評価支援システム2の表示部24に表示される主要な画面の遷移図を図9に示す。帳票評価支援システム2のメインメニュー画面(240)では、図示しないが、各種画面に遷移するためのスイッチ(アイコン)が表示され、所望のアイコンを操作入力部部23で選択することにより、メインメニューの下位に位置付けられ種々の機能を実行するための各種画面に遷移するようになっている。本実施形態では、表示される主要な画面として、評価者情報編集画面241、ツール区分別・該当項目編集画面242、評価項目編集画面243、評価設問編集画面244、依頼者情報編集画面245、帳票評価シート/テーブル生成処理画面246、データ集計処理画面248、及び報告書作成処理画面249が含まれ、これら各画面については後述する。
帳票評価支援システム2の外部記憶部22に格納されるデータの概要を図10に示す。図10に示すように、外部記憶部22には、評価対象帳票の評価を行う評価者の情報が登録される評価者データベース221、評価対象帳票の問題点の指摘を依頼する依頼者の情報が登録される依頼者データベース222、上述した帳票評価判定具の情報(帳票評価シートに記載される具体的内容についてのデータ)が登録される帳票データベース223、後述する集計処理時に使用するための集計用データベース224及び集計用データテーブル225が格納される。また、図示しないが、外部記憶部22には、帳票評価支援システム2の各機能を実行するためのソフトウェアプログラムや、後述する各種設定における設定データなどが格納される。
この帳票評価支援システム2では、初期登録事項として、評価者情報(氏名やIDなど)の登録、帳票の種類(以下、「ツール区分」ともいう。)別に設定される該当項目の登録、上述した9つの評価項目の登録、該当項目別に行われる評価設問の登録、などがシステム管理者によって行われる。
図11に評価者データベース221の一例を示す。図11に示すように、評価者データベース221には、上述した帳票評価判定具(帳票評価シート)を使用して評価対象帳票の評価を行う評価者についての各種情報が、各評価者毎に対応付けて登録される。本実施形態では、個々の評価者に付される評価者ID2211に対して、パスワード2212,評価者名2213などの各種データが対応付けて登録される。
評価者のデータを管理するためのメインテナンス画面(図9の評価者情報編集画面241)の一例を図12に示す。図12に示すように、この例では、評価者データベース221の評価者ID2211,パスワード2212,及び評価者氏名2213を個別に登録、編集、及び削除できるようになっている。すなわち、図12の評価者情報編集画面241からシステム管理者が操作入力部23を操作して各欄に情報を入力して「登録」のアイコンを選択すると、制御部27が外部記憶部22を制御して、当該入力されたデータを評価者データベース221の評価者ID2211,パスワード2212,及び評価者氏名2213のデータとして登録する。
図13に依頼者データベース222の一例を示す。図13に示すように、依頼者データベース222には、帳票を作成し判定を依頼する依頼者(帳票をユーザに提示する契約当事者の企業)についての各種情報が、各依頼者毎に対応付けて登録される。本実施形態では、個々の依頼者に付される依頼者ID2221に対して、依頼者名(企業名)2222や、依頼者が使用する帳票(評価対象帳票)についての各種情報(この例では、帳票毎に付される帳票ID2223、帳票名2224、帳票区分2225、及び帳票の表裏や枚数を表示するページ情報2226のデータ)が対応付けて登録される。なお、依頼者データベース222の帳票区分(2225)欄に登録されたデータは、後述する帳票データベース223(図15参照)の帳票区分2231のデータと対応付けられる。
依頼者のデータを管理するためのメインテナンス画面(図9の依頼者情報編集画面245)の一例を図14に示す。図14に示すように、この例では、依頼者データベース222の依頼者ID2221,依頼者名2222,帳票ID2223,帳票名2224,帳票区分2225,及びページ情報2226を個別に登録、編集、及び削除できるようになっている。すなわち、図14の依頼者情報編集画面245からシステム管理者が操作入力部23を操作して各欄に情報を入力して「登録」のアイコンを選択すると、制御部27が外部記憶部22を制御して、当該入力されたデータを依頼者データベース222の依頼者ID2221,依頼者名2222,帳票ID2223,帳票名2224,帳票区分2225,及びページ情報2226のデータとして登録する。
図15及び図16に帳票データベース223の一例を示す。初期設定状態での帳票データベース223は、帳票の種類が大きく「プロモーション」、「コンファーム」、「アプリケーションフォーム」、「ドキュメント」の4つに区分され、1〜4に区分されたそれぞれの帳票区分(2231)に対して、帳票区分名2232、該当項目2233、評価項目2234及び問題点2235のデータが対応付けて登録される。ここで、「プロモーション」、「コンファーム」、「アプリケーションフォーム」、「ドキュメント」の定義等については上述した通りである。また、本実施形態では、「プロモーション」、「コンファーム」、「アプリケーションフォーム」、及び「ドキュメント」が、それぞれ帳票区分1、帳票区分2、帳票区分3、及び帳票区分4として予め登録されている。
また、上述のように、帳票の種類(すなわち「プロモーション」、「コンファーム」、「アプリケーションフォーム」、及び「ドキュメント」の別)によって構成部分が異なることから、本実施形態では、図15に示すように、当該帳票の種類に応じた該当項目の数及び名称が該当項目2233のデータとして予め登録されている。該当項目2233のデータは、上述した帳票評価シート(図5参照)の該当部分指示領域(15)に記載されるデータとして登録される。また、評価項目2234及び問題点2235のデータは、それぞれ、上述した帳票評価シートの評価項目表示領域(13)及び問題点記載領域(11)に記載されるデータとして登録される。
さらに、本実施形態の帳票評価支援システム2では、上記以外にも帳票の種類や構成部分が新たに見出された場合等を考慮して、帳票データベース223の帳票区分の追加や該当項目の構成を編集する機能が備えられている。
図17に帳票データベース223の登録データを編集するためのメインテナンス画面(図9のツール区分別・該当項目編集画面242)の一例を示す。この例では、帳票データベース223の帳票区分の追加や該当項目の構成の編集ができるようになっている。すなわち、図17のツール区分別・該当項目編集画面242からシステム管理者が操作入力部23を操作して「帳票区分」の番号をプルダウン選択すると、制御部27が帳票データベース223(図15)を参照して、対応する該当項目2233のデータを「該当項目」欄に表示するように表示部24を制御する。ここで、評価対象帳票の新たな構成を定義する場合には、操作入力部23を操作して「帳票区分」の番号を5に設定し、「帳票区分名」及び「該当項目」の各欄に情報を入力して「登録」のアイコンを選択すると、制御部27が外部記憶部22を制御して、当該入力されたデータを帳票データベース223の帳票区分2231,帳票区分名2232,及び該当項目2233のデータとして登録する。
また、帳票データベース223の構成要素として、本実施の形態では、図16に示すように、評価項目2234のデータとして登録される項目番号と、帳票評価シート(帳票評価判定具)に記載される問題点2235のデータとが対応付けられたデータ登録テーブルが用いられる。このデータ登録テーブルのデータは、表示部24に表示され(図18参照)、操作入力部23の操作で編集、削除が可能とされる。
図18に帳票データベース223の評価項目2234及び問題点2235の登録データを編集するためのメインテナンス画面(図9の評価項目編集画面243)の一例を示す。この例では、帳票データベース223の評価項目2234の追加/削除や問題点2235の記載内容の編集ができるようになっている。すなわち、図18の評価項目編集画面243からシステム管理者が操作入力部23を操作して各欄に情報を入力して「登録」のアイコンを選択すると、制御部27が外部記憶部22を制御して、当該入力されたデータを帳票データベース223の評価項目2234,問題点2235のデータとして登録する。ここで、一の評価項目について複数の問題点が記載される場合には、評価項目2234の番号として枝番が付されることになる(図16参照)。
このような構成とすることで、評価対象帳票の評価に使用する帳票評価シート(帳票評価判定具)につき、該当部分指示領域15については評価対象帳票の種類に応じた該当項目の構成としつつ、問題点記載領域11については画一的な記載とすることができる。
すなわち、帳票データベース223につき、本実施形態では、図15に示すように、帳票の種類(すなわち帳票区分2231)及び該当項目の構成に関わらず、評価項目2234のデータとして共通の項目(項目番号)が登録されている。これにより、帳票評価シートの問題点記載領域11に記載される問題点(各質問)を画一的にすることができ、後に問題点記載領域11の記載内容を追加変更等(再構成)した場合でも、当該再構成された内容が帳票の種類(すなわち帳票区分2231)等にかかわらず一律に反映される。
なお、他の実施の形態として、帳票の種類(すなわち帳票区分2231)毎に評価項目2234のデータを登録する構成としてもよい。このような構成とした場合には、帳票の種類に応じて問題点記載領域11の記載内容を別個に構成できるので、作成される帳票評価シート(帳票評価判定具)につき、当該帳票の固有の性質や特徴などを反映した問題点記載領域11の記載内容とすることができる。
さらには、他の実施の形態として、該当項目2233毎に評価項目2234のデータを登録する構成としてもよく、このような構成とした場合には該当項目(すなわち帳票の構成部分)の性質に応じて問題点記載領域11の記載内容を別個に構成できるので、作成される帳票評価シート(帳票評価判定具)につき、帳票の構成部分の固有の性質や特徴などを反映した問題点記載領域11の記載内容とすることができる。
帳票評価シート(帳票評価判定具)の選択評価記入領域12の構成と各選択肢の配点を管理するためのメインテナンス画面(図9の評価設問編集画面244)の一例を図19に示す。図19に示すように、この例では、依頼者データベース222の帳票ID(2223)毎に、帳票評価シートの選択評価記入領域12に記載される選択肢の数及び配点を設定できるようになっている。
図19の評価設問編集画面244でシステム管理者が操作入力部23を操作して帳票IDを指定(プルダウン選択)すると、制御部27は、依頼者データベース222(図13)を参照して、対応する帳票区分(2225)及び帳票名(2224)を表示するように表示部24を制御する。また、操作入力部23の操作により、帳票評価シート1の選択評価記入領域12の構成に対応する「評価点設定」のチェック入力及び各選択肢の点数(1〜n)が入力されて「登録」のアイコンが選択されると、制御部27は、当該選択されたデータを登録するように外部記憶部22の設定データを更新する。本実施形態では、初期設定状態において、各設問で選択肢の数が「問題ない」、「やや問題あり」、「問題あり」、及び「非常に問題あり」の4つであり、かつ配点がそれぞれ0点、1点、2点、及び3点に設定されており、以下は簡明のため、かかる初期設定状態のままで各種処理を行う場合について説明する。
帳票評価支援システム2で帳票評価シートを依頼者毎に自動作成する際の表示画面(図9の帳票評価シート/テーブル自動生成処理画面246)の一例を図20に示す。この例では、図20の表示画面で依頼者IDを選択入力することで、依頼者データベース222の登録データに登録された情報が表示され、さらに評価対象帳票(帳票ID2223及び帳票名2224)をプルダウン入力で指定することで、当該評価対象帳票の帳票区分及び上述した選択肢の設定に従った帳票評価シート(図5等参照)が表示部24に表示され、かかる表示内容が印字出力部25でプリントアウトできるようになっている。
すなわち、図20の帳票評価シート/テーブル自動生成処理画面246でシステム管理者が操作入力部23を操作して依頼者ID(2221)を選択すると、制御部27は、外部記憶部22にアクセスして、依頼者データベース222の対応する依頼者名2222、帳票ID2223、及び帳票名2224のデータを読み出し、該読み出されたデータを図20の表示画面上に表示するように表示部24を制御する。そして、この状態からシステム管理者が操作入力部23を操作して「参照」のアイコンを選択すると、制御部27は、外部記憶部22の帳票データベース223にアクセスして、当該依頼者IDに対応する帳票区分に従った該当項目2233及び評価項目2234のデータ、及び上述した選択肢の設定データを読み出し、該読み出されたデータに従って帳票評価シートのイメージ(図5等参照)を生成し、該生成されたイメージを画面表示するように表示部24を制御する。このとき、記載される問題点の数(記載行数)や使用する用紙等によっては1枚のシートに収まらない場合があるので、かかる場合には複数の用紙分のイメージが表示されることになる。そして、かかる状態からシステム管理者が操作入力部23を操作して不図示の印刷のアイコンを選択すると、制御部27は、画面表示された帳票評価シートをプリントアウトするように印字出力部25を制御する。
したがって、本実施形態の帳票評価支援システム2によれば、登録された依頼者の情報(すなわち提示された評価対象帳票など)に基づいて、評価対象帳票の種類に従った最適な帳票評価シートを作成することができる。
さらに、本実施の形態では、帳票評価支援システム2の通信機能を用いてクライアント端末5に帳票評価シートのデータを送信できるようになっている。この場合には、上述した図20の帳票評価シート/テーブル自動生成処理画面246で「参照」のアイコンを選択した後に、「作成」のアイコンを選択するように操作入力部23を操作する。このとき、制御部27は、上述のように生成した帳票評価シートのイメージ(図5等参照)のデータを外部記憶部22の所定領域に格納して、帳票評価支援システム2にアクセスするクライアント端末5に対してかかるデータを送信可能な状態にする。さらに、「作成」のアイコンが選択された場合に、制御部27は、当該依頼者IDに対応する帳票区分に従った該当項目2233及び評価項目2234のデータを再度読み出し、該読み出されたデータに従った帳票評価シートを、その選択評価記入領域12及びチェック欄14をクライアント端末5側の操作入力部の操作でチェックし、かつ上述した「その他( )」の欄に文字を入力できるような例えば表形式のデータとして生成し(以下、帳票評価シートと区別するため「帳票評価テーブル」と称する。)、該生成された帳票評価テーブルを、上述した帳票評価シートのイメージ(図5等参照)のデータとともに外部記憶部22の所定領域に格納して、帳票評価支援システム2にアクセスするクライアント端末5に対してかかるデータを送信可能な状態にする。
図21に、集計用データベース224の一例を示す。集計用データベース224は、一の評価対象帳票を複数の評価者で評価する場合の便宜を図るためのデータが格納される。この実施の形態では、集計用データベース224は、図21に示すように、担当評価者を示すデータ(担当評価者ID2243)、各担当評価者が評価対象帳票の評価を行ったか否かの状態を示すデータ(提出状態2244)、担当評価者により評価され提出された評価対象帳票の評価のデータ(提出データ2245)、及び、集計処理が完了したか否かを示すデータ(集計処理欄2246)が、上述した帳票ID(2241)毎に対応付けて登録される。本実施形態では、集計用データベース224の提出データ2245としてCSV形式のデータが登録されるようになっている。
図22に、集計用データテーブル225の一例を示す。集計用データテーブル225は、後述する集計時及び集計結果の出力時に用いられるものであり、帳票ID毎に別個に作成される。図22では集計用データテーブル225の一例として、上述した4段階評価に設定されたアプリケーションフォームの帳票評価シート(図5参照)用のテーブルを示している。集計用データテーブル225は、この例では、帳票評価シート(帳票評価判定具)の上述したチェック欄(14)へのチェック記入の有無及び記入数を登録するためのチェック記入数欄2252と、個々のチェック記入数欄2252に対応し、選択評価記入領域(12)への記入の有無及び記入数を登録するための評価記入数欄2253とが、上述した該当部分(2251)毎に設けられた構成となっている。この例では、評価記入数欄2252の一例として、上述した4段階評価の配点(問題ない=1点、やや問題あり=1点、問題あり=2点、非常に問題あり=3点)に設定された点数を予め表示した欄(取得点数欄)の構成となっている。
また、本実施の形態の集計用データテーブル225は、チェック記入数欄2252及び評価記入数欄2253の格納データ(点数)に基づいて算出される種々の集計結果を格納するための集計結果欄2254が設けられている。この例では、集計結果欄2254は、図22に示すように、各問題点毎の集計データを格納するための「個別合計点」欄及び「個別平均点」欄、各該当部分毎の集計データを格納するための「部分別合計点」欄、「部分別指摘数」欄、及び「部分別平均点」欄、各評価項目毎の集計データを格納するための「要素別合計点」欄、「要素別指摘数」欄、及び「要素別平均点」欄に、それぞれ区分される。これら各欄に格納されるデータの詳細については後述する。
〔通信処理の概要〕
以下、図23の信号フロー図を参照して、帳票評価支援システム2がクライアント端末5との間で行う通信の概略について説明する。なお、評価対象帳票については、かかる通信に先立って、上述のように、システム管理者側で予め構成部分毎に区分けする作業が行われ、該区分け済みの帳票が(区分け無しのオリジナルの帳票とともに)各評価者に渡されているものとする。また、図23の各ステップにつき、クライアント端末5側の処理は該端末の使用者(すなわち評価者)の操作入力部の操作に基づいて行われるが、帳票評価支援システム2(以下、「サーバ」ともいう)側の処理は、人手を介することなく自動で行うことが可能である。
まず、ステップS1で、クライアント端末5が所定のサイトにアクセスすることにより、帳票評価支援システム2(サーバ)と接続される。このとき、クライアント端末5の表示部には、サーバに接続するためのIDやパスワードなどのログイン情報を入力するためのログイン画面(図示せず)が表示される。したがって、評価者が操作入力部を操作して当該画面内にログイン情報を入力し送信指示を行うことで、クライアント端末5からサーバにログイン情報が送信される(ステップS2)。
かかるログイン情報を受信したサーバは、ステップS3で認証の処理を行い、正当な評価者と判定された場合に、上述のように生成された帳票評価シートのイメージデータ及び帳票評価テーブルのデータをクライアント端末5に送信する(ステップS4)。ここで、この帳票評価テーブルのデータは、一画面で収まらない場合には、スクロール画面のデータとして送信することができる。また、ステップS3の認証処理で正当な評価者でないと判定された場合には、サーバは、その旨を通知し且つ再度のログイン情報の入力を促す画面のデータをクライアント端末5に送信する。
サーバからのデータを受信したクライアント端末5は、ステップS5で当該帳票評価テーブルを表示部に画像表示する(図5参照)。したがって、評価者が操作入力部(マウスなど)を操作して帳票評価テーブルの選択評価記入領域(12)内のチェック欄(□)を選択する操作を行い、各問題点につき全ての選択(入力)が終了した時点で送信指示を行うことで、クライアント端末5からサーバに、各問題点についての入力データが送信される(ステップS6)。
かかる入力データを受信したサーバは、ステップS7で該受信データを所定の形式(例えばCSV形式)で集計用データベース224の提出データ欄(2245)に記録し、当該評価者の提出状態欄(2244)を「未」から「済み」に更新し、続くステップS8で集計用データテーブル225を更新し、所定の場合にステップS9の集計の処理を行う。なお、ステップS1乃至ステップS9の処理の詳細については後述する。
〔サーバとしての処理の詳細〕
次に、図23で概説した処理、すなわち制御部27がサーバの機能として行う処理の詳細を、図24のフローチャートを参照して説明する。
ステップS31で、制御部27は、データ送受信部41の受信信号を監視することで、通信網6を介してクライアント端末5からのアクセスがあるかをチェックし、YESすなわち端末からのアクセスがあると判定された場合にはステップS32に移行する。
ステップS32で、制御部27は、当該アクセスされた端末宛に上述したログイン画面のデータを送信するように、データ送受信部41を制御する。続くステップS33で、制御部27は、データ送受信部41の受信信号を監視して、当該端末からのログイン情報が受信されたかを判定し、YESすなわち受信されたと判定するとステップS34に移行する。
ステップS34で、制御部27は、当該受信されたログイン情報を外部記憶部22内の評価者データベース221(図11参照)と照合することにより、正当な評価者であるか否かを判定し、正当な評価者と判定された場合にステップS35に移行する。ステップS35で、制御部27は、対象となる帳票評価シートすなわち当該評価者が使用すべき帳票評価シートのイメージデータ及び帳票評価テーブルのデータをクライアント端末5に送信するようにデータ送受信部41を制御する(図23のS4参照)。
続くステップS36で、制御部27は、データ送受信部41の受信信号を監視することで、クライアント端末5からの入力データ(図23のS6)が受信されたかをチェックし、YESすなわち入力データが受信されたと判定した場合には、ステップS37で所定の形式(この例ではCSV形式)で外部記憶部22の該当領域、すなわち集計用データベース224の当該評価者の提出データ欄2245(図21参照)に登録する。
ステップS38で、制御部27は、ステップS37で登録されたデータをチェックして、入力洩れが無いかについて判定する。この入力洩れの有無の判定処理では、問題点記載領域11のチェック欄(14)にチェック入力があるにも関わらず選択評価記入領域(12)の選択評価のチェック入力がされていない場合、或いはこの逆に、選択評価のチェック入力は有るが問題点記載領域11のチェック欄(14)にチェック入力がされていない場合に「記入洩れ有り」と判定される。
ここで、記入洩れあり(NG)と判定された場合には、制御部27は、ステップS39で、記入洩れの箇所を指摘するとともに再度の読取り操作を行うべき旨を促すエラー表示画面をクライアント端末5に送信するようにデータ送受信部26を制御して、上述したステップS36に戻る。したがって、この場合には、評価者への入力内容の確認等を行った後に、上述したステップS36乃至ステップS38の処理が再度行われる。
ステップS38で洩れ無し(OK)と判定された場合には、制御部27は、ステップS40に移行して、集計用データベース224の当該担当評価者の提出状態(2244)を「未」から「済み」に更新し、続くステップS41で集計用データテーブル225の更新処理を行うように外部記憶部22を制御する。
ここで、ステップS41では、制御部27は、ステップS37で登録された各評価データに対して、予め設定された点数(表1,図19等参照)を付与する(割り当てる)とともに、当該データを集計用データテーブル225のチェック記入数欄(2252)及び評価記入数(取得点数)欄2253の該当する箇所に1を加算するように、集計用データテーブル225を更新する処理を行う。かかる処理を行うことにより、評価者によりチェックが記入された問題点についての選択肢の判定評価結果が集計用データテーブル225に記録される。また、この処理を他の評価者の分についても行うことにより、複数の評価者によりチェックが記入された問題点についての選択肢の判定評価結果が、集計用データテーブル225にその都度記録されていく。
続くステップS42で、制御部27は、当該帳票IDに対応する集計用データベース224の提出状態(2244)が全て「済み」であるか否かをチェックすることで、評価者全員分のデータが提出されたかについて判定し、YESすなわち全員分のデータが提出されたと判定された場合にはステップS43の集計処理に移行し、NOすなわち未だ全員分のデータが揃っていない旨判定された場合には処理を終了する。
本実施形態では、後述する集計処理の前に集計用データテーブル225のデータの一部を更新することとしているが、集計用データテーブル225のデータの更新を集計処理の際に一括して行うこともできる。
また、本実施形態では、当該帳票IDに対応する集計用データベース224の提出状態(2244)が全て「済み」になると後述する集計処理を自動で行う構成としているが、集計用データベース224の提出状態(2244)が全て「済み」になった場合に、システム管理者の指示を待って集計処理を行うようにすることもできる。この場合には、制御部27は、集計用データベース224の提出状態(2244)が全て「済み」になるとデータ集計処理を行える状態になった旨をシステム管理者に通知する表示を行うとともに、図25に示すデータ集計処理画面248を表示するように表示部24を制御する。そして、制御部27は、操作入力部23の操作によりデータ集計処理画面248の「データ集計」のアイコンが選択された場合に後述する集計処理を実行し、一方、データ集計処理画面248の「終了」のアイコンが選択された場合には、集計処理を行わず保留状態にする。この保留状態では、担当評価者をさらに追加すること(すなわち集計用データベース224の担当評価者IDを加えること)ができる。
〔デジタルペンでの読取処理〕
さらに、この帳票評価支援システム2では、評価者が記入した帳票評価シートの記入内容をデジタルペンを使用して読み取ることができるようになっている。この場合には、帳票評価シートは、シート上のxy座標が割り当てられた特殊なドットパターンがカーボンインクなどで施されたシートに印刷される。また、かかる印刷に先立って、記入者が記入する各チェック欄の領域のxy座標及び当該欄に対応する項目名(例えば、注意喚起部分における評価項目1−1の「問題ない」欄など)が、テーブル形式(データテーブル)で外部記憶部22に格納される。このデータテーブルは、帳票評価シート1の種類毎、或いは個々の帳票ID毎に設定することができる。
そして、システム管理者等がデジタルペン(例えば赤外線方式のもの)を帳票評価シートの記入部分(チェック欄のチェック箇所)に接触させることにより、該接触されたシートのxy座標のデータがデジタルペンで検出され、該検出された座標データが制御部27に順次入力される。制御部27は、かかる座標データを入力すると、上述のデータテーブルと照合することにより、問題点記載領域11の各チェック欄(14)のチェックの有無と、これに対応する選択評価記入領域(12)の選択評価のチェックの有無及びチェック箇所を判読し、当該判読されたデータを所定の形式(この例ではCSV形式)で外部記憶部22の該当領域、すなわち集計用データベース224の当該評価者の提出データ欄2245(図22参照)に登録する。
〔集計処理の詳細〕
図26は上述したステップS43の集計処理の詳細を示すサブルーチンであり、以下は図26を参照して制御部27が行う処理について説明する。
ステップS51で、制御部27は、外部記憶部22の集計用データテーブル225にアクセスし、各問題点毎の集計値を算出する個別集計処理を実行する。
具体的には、ステップS51で、制御部27は、集計用データテーブル225のチェック記入数欄(2252)及び取得点数欄(2253)のデータを順次読み出して、一の問題点につき評価者全員分のデータによる合計点及び平均点を算出し、該算出値を集計結果欄(2254)の該当する「個別合計点」欄及び「個別平均点」欄に格納する。
ここで、「個別合計点」は、評価記入数(取得点数)欄2253の合計点数を求めることで算出される。また、「個別平均点」は、図22の例では、以下の算出式(1)を用いて算出している。
算出された個別合計点/(チェック数−0点を付けた者の数)・・・式(1)
ここで、「チェック数」とは、チェック記入数欄2252の数である。
例えば、評価者が5人であり、注意喚起部分(15A)の評価項目1−1、すなわち「情報量が不適切」であるかにつき、各評価者の評価結果がそれぞれ「問題ややあり1」、「問題あり2」、「非常に問題あり3」、「問題あり2」、及び「問題あり2」の場合には、取得点数欄(2253)は「0点」欄に0(或いは空白),「1点」欄に1,「2点」欄に3,「3点」欄に1が格納されているので(表1、図19及びステップS41)、この場合、注意喚起部分(15A)の評価項目1−1の「個別合計点」として、[(1*1)+(2*1)+(3*1)]=6(点)が算出される。
また、この場合には、集計用データテーブル225の注意喚起部分のチェック記入数欄(2252)の「1−1」の欄は5であり、0点を付けた者が2人いるので、注意喚起部分(15A)の評価項目1−1の「個別平均点」として、6/(5−2)=2(点)が算出される。
なお、個別平均点の他の算出式として、以下の算出式(2)を使用することもできる。
算出された個別合計点/チェック数 ・・・式(2)
さらに、ステップS52で、制御部27は、算出された個別平均点が予め設定された閾値(表1等参照)を超えた場合には、当該値を「個別平均点」欄に格納する際にフラグを設定しておくようにする。
制御部27は、このようにして、個々の問題点についての「個別合計点」及び「個別平均点」を順次算出し、該算出値を集計結果欄(2254)の該当する「個別合計点」欄及び「個別平均点」欄にすべて格納すると、ステップS53に移行する。
ステップS53で、制御部27は、評価対象帳票の各該当部分毎の集計値を算出する部分別集計処理を実行する。
具体的には、ステップS53で、制御部27は、集計用データテーブル225の集計結果欄(2254)のデータを順次読み出して、一の該当部分について評価者全員分のデータによる指摘数、合計点、及び平均点を算出し、該算出値を集計結果欄(2254)の該当する「部分別指摘数」欄、「部分別合計点」欄及び「部分別平均点」欄にそれぞれ格納する。
ここで、「部分別指摘数」は、一の該当部分についてのチェック記入数欄2252に格納された数(総指摘数)から0点を付けたチェック数を減算することで算出することができる。また、「部分別合計点」は、一の該当部分についての「個別合計点」欄に格納された点数の合計を求めることで算出することができる。さらに、「部分別平均点」は、算出された「部分別合計点」を「部分別指摘数」で除することで算出される。
例えば、注意喚起部分(15A)につき、「部分別指摘数」が39、「個別合計点」欄に格納された点数の合計が60点の場合には、「部分別平均点」として、60/39=1.54(点)が算出される(図22参照)。
さらに、ステップS54で、制御部27は、算出された部分別平均点が予め設定された閾値(表1等参照)を超えた場合には、当該値を「部分平均点」欄に格納する際にフラグを設定しておくようにする。図22では、「プラン選択部分」の部分平均点が閾値(2)を超えた場合を例示している。
制御部27は、このようにして、それぞれの該当部分についての「部分別指摘数」、「部分別合計点」、及び「部分別平均点」を順次算出し、該算出値を集計結果欄(2254)の該当する「部分別指摘数」欄、「部分別合計点」欄、及び「部分別平均点」欄にすべて格納すると、ステップS55に移行する。
ステップS55で、制御部27は、各該当部分の「部分別指摘数」及び「部分別合計点」の格納データを参照して、最も値が大きい「部分別指摘数」の格納データ及び「部分別合計点」の格納データのそれぞれにフラグを設定する処理を行う。図22では、「確認部分」の部分別指摘数及び部分別合計点の格納データがそれぞれ最大値であった場合を例示している。
続くステップS56で、制御部27は、全ての該当部分の「部分別指摘数」の格納データの合計値(すなわち指摘数の総合値)、及び「部分別合計点」の格納データの合計値(すなわち総合取得点数)を算出し、該算出された総合取得点数を指摘数の総合値で除することにより、総合的な平均値を算出する。図22の例では、指摘数の総合値が(39+76+34+30+16)=195、総合取得点数が(60+126+72+43+25)=326となり、総合的な平均値として326/195=1.67が算出される。制御部27は、これら各算出値を、集計用テーブル225の該当する「総合値」欄(図22の下部参照)に格納する。
さらに、続くステップS57で、制御部27は、ステップS56で算出された「指摘数の総合値」及び「総合取得点数」を、該当部分の数でそれぞれ除することにより、一該当部分当たりの指摘数の平均値及び取得点数の平均値を算出する。図22の例では、該当部分の数が5つであり、したがって、一該当部分当たりの指摘数の平均値として195/5=39.00が、一該当部分当たりの取得点数の平均値として65.20が、それぞれ算出手段される。制御部27は、これら各算出値を、集計用テーブル225の該当欄(図22の下部参照)に格納する。
ステップS58で、制御部27は、評価対象帳票の各評価項目の要素毎の集計値を算出する要素別集計処理を実行する。
具体的には、ステップS58で、制御部27は、集計用データテーブル225の一の評価項目について、各該当部分の「チェック記入数」欄(2252)の格納値を順次読み出して合算することで、「要素別指摘数」の値を算出し、かかる算出値を集計用テーブル225の該当欄(図22の右上部参照)に格納する。また、制御部27は、集計用データテーブル225の一の評価項目について、各該当部分の集計結果欄(2254)の「個別合計点」欄(2252)格納値を順次読み出して合算することで、「要素別合計点」の値を算出し、かかる算出値を集計用テーブル225の該当欄(図22の右上部参照)に格納する。さらに、制御部27は、算出された「要素別合計点」の値を「要素別指摘数」の値で除することにより、「要素別平均点」の値を算出し、かかる算出値を集計用テーブル225の該当欄(図22の右上部参照)に格納する。
図22の例では、評価項目2,3,4,及び9が枝番付きである(すなわち複数の問題点で記載されている)が、このような場合、枝番号に分岐された問題は、相互に同一の評価項目に属するので、一の評価項目として合算される。
さらに、ステップS59で、制御部27は、算出された要素別平均点が予め設定された閾値(表1等参照)を超えた場合には、当該値を「要素別平均点」欄に格納する際にフラグを設定しておくようにする(図22参照)。
制御部27は、このようにして、それぞれの評価項目についての「要素別指摘数」、「要素別合計点」、及び「要素別平均点」を順次算出し、該算出値を集計結果欄(2254)の該当する「要素別指摘数」欄、「要素別合計点」欄、及び「要素別平均点」欄にすべて格納すると、ステップS60に移行する。
ステップS60で、制御部27は、各評価項目の「要素別指摘数」及び「要素別合計点」の格納データを参照して、最も値が大きい「要素別指摘数」の格納データ及び「要素別合計点」の格納データのそれぞれにフラグを設定する処理を行う。図22では、評価項目5(すなわち「タイポグラフィ(文字)」)の要素別指摘数「40」、及び評価項目4(すなわち「レイアウト」)の要素別合計点「57」がそれぞれ最大値であった場合を例示している。
続くステップS61で、制御部27は、全ての評価項目の「要素別指摘数」の格納データの合計値(すなわち指摘数の総合値)、及び「要素別合計点」の格納データの合計値(すなわち総合取得点数)を算出し、該算出された総合取得点数を指摘数の総合値で除することにより、総合的な平均値を算出する。図22の例では、指摘数の総合値が(12+13+20+37+40+22+24+12+15)=195、総合取得点数が(20+36+32+57+54+43+25+26+33)=326となり、上述したステップS56での算出結果と等しくなる。したがって、総合的な平均値として326/195=1.67が算出される。制御部27は、これら各算出値を、集計用テーブル225の該当する「総合値」欄(図22の右側参照)に格納する。
ステップS62で、制御部27は、以上の集計結果を、画像表示の対象となる各表のフォーマットに出力するように、集計用テーブル225に格納された各データを処理する。この実施の形態では、画像表示の対象となる表として、データテーブル形式の表やレーダーチャートが使用される。
また、この処理の際、制御部27は、上述のステップS52,S54,S55,S59,及びS60でフラグ設定された事項を強調するように処理する(ステップS63)。この強調の処理は、例えば、フラグ設定された事項については目立つ色にする、網掛けの表示にする、個別に問題点を表示する、などの処理が挙げられる。
ステップS64で、制御部27は、ステップS62及びS63に従って処理された集計結果のデータを表示画面上に表示するように表示部24を制御して、処理を終了する。なお、かかる集計処理の終了の際、制御部27は、図21の集計用データベース(224)につき、当該集計を行った評価対象帳票の帳票IDに対応付けられた集計処理欄2246の表示を「未」から「完了」に更新する。
このように、帳票評価集計システム2によれば、複数の評価者がそれぞれ帳票評価シート1を使用して行った評価結果について、各種エラーチェックを行いつつ、タスク管理、集計、算出、評価等の処理の殆どを自動で行うことが可能となる。
この例では、簡明のため、ステップS51〜ステップS64の処理を一の評価対象帳票全体について行う場合について説明したが、上述のように、複数頁からなる評価対象帳票を複数部の帳票評価シートを用いて評価する場合には、ステップS51〜S64の集計処理を評価対象帳票の頁毎(すなわち帳票評価シート毎)に行ってもよい。この場合には、集計用データテーブル225を評価対象帳票の頁毎(帳票評価シート毎)に使用すればよい。
ステップS64で表示される集計結果の画面(図9の報告書作成処理画面249)の一例を図27に示す。かかる集計結果の画面は、適時にカラープリンタ25で印字出力される。
なお、依頼者へ提示する報告書を完成させるためには、最終的には人手によるデータ入力が必要となるが、帳票評価集計システム2によれば、上述のように、評価対象帳票の問題点について多角的な観点からの数値評価結果が自動で出力されるので、報告書作成に要する手間及び時間等が大幅に軽減及び短縮され、評価対象帳票の評価に関する有効な支援を行うことが可能になる。
このように、帳票評価支援システム2によれば、帳票ID(2241)毎に評価対象帳票の構成内容、帳票担当評価者の構成、評価点の設定、集計されたデータなどが対応付けられるデータベースを有し、かかるデータベースの登録データに基づいて各処理が遂行されることにより、評価対象帳票の評価、集計、報告書作成等を案件毎に効果的に支援することができる。また、帳票ID(2241)を指定することで、案件毎に、各種設定状態や進捗状況を確認したり、設定を適宜変更することができる。
以上、詳細に説明したように、本実施の形態による帳票評価判定具、及びかかる帳票評価判定具を用いた帳票評価支援システムによれば、企業と顧客(ユーザ)との間のトラブルの原因の一因である「見にくい、わかりにくい、伝わりにくい」帳票の問題点を、より明確に抽出することができ、該抽出された問題点をユーザ視点で改善することが可能となる。これにより、企業と顧客(ユーザ)との間のトラブルを削減し、企業担当者ならびにコールセンター、帳票制作者の労働コストの削減を実現し、経費の削減も含めて全体効率を高めることが可能となる。さらには、顧客(ユーザ)にとって「見やすい、わかりやすい、伝わりやすい」帳票を送付することにより、顧客(ユーザ)の信頼感が得られ、顧客(ユーザ)との関係を良好なものとし、解約防止や顧客ロイヤリティの向上に資することが大いに期待できる。
また、本実施の形態による帳票評価判定具及びかかる帳票評価判定具を用いた帳票評価支援システムによれば、個々の帳票が有する問題点を発見するだけに留まらず、その問題点のレベル(深刻度の程度)をはっきり明示することが可能であり、これにより関係企業の担当者や専門家、さらには意思決定者に対して改善が必要な事項及び必要性を伝えることができるため、帳票製作に要する検討から最終指示までのプロセスを短縮でき、また、帳票を制作するデザイナーに対しても、どの部分をどの程度改善する必要があるかを示すことができるため、改善のスピードを大幅に短縮することが可能となる。
上述した実施の形態では、1台のサーバで通信を行う場合について説明したが、例えば上述した認証処理と集計処理とを別々のサーバで行うなど、複数台のサーバを使用することもできる。
また、上述した実施の形態では、読取部21としてデジタルペンを使用した例について説明したが、他の例としては、読取部21としてイメージスキャナを使用することもできる。
以上、本発明を具体的な実施形態に則して詳細に説明したが、形式や細部についての種々の置換、変形、変更等が、特許請求の範囲の記載により規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われることが可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。従って、本発明の範囲は、前述の実施形態及び添付図面に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。