JP2011020365A - 樹脂付銅箔、積層板およびプリント配線板 - Google Patents

樹脂付銅箔、積層板およびプリント配線板 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁層の熱伝導性が良好で優れた放熱性を有するプリント配線板、それを与える樹脂付銅箔および積層板を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物を銅箔の片面に備えてなる樹脂付銅箔において、当該エポキシ樹脂として二官能成分が75wt%以上であるエポキシ樹脂、当該硬化剤として二官能成分が75wt%以上であるフェノール性樹脂を用いる。プリント配線板および及び積層板はこの樹脂付銅箔を含む材料を積層し、加熱加圧成形して得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、高熱伝導性、低熱膨張性、高耐熱性および低吸湿性に優れた樹脂付銅箔、当該樹脂付銅箔を用いた積層板ないしはプリント配線板に関する。
樹脂付銅箔は、樹脂層を銅箔上に積層した構成となっており、その樹脂層はプリント配線板の絶縁層を構成するため、広くプリント配線板製造に用いられてきている。樹脂付銅箔の樹脂層は、ガラスクロス等の基材を含まないプリント配線板の絶縁層を構成する。樹脂付銅箔はレーザー加工によってバイアホールを形成する際の穴明け加工性に優れるため、ビルドアップ工法を用いた多層プリント配線板の材料として、重用されてきている。樹脂層としては、電気特性、耐熱性、耐湿性、接着性等の観点から、エポキシ樹脂を主成分とした樹脂組成物を用いて構成している場合が多い。但し、エポキシ樹脂は三次元架橋を行うために可撓性に劣ることから、樹脂層としてのフィルム性に劣る欠点がある。そこで、一般的な樹脂層としては、例えば、特許文献1、2等にみられるように、フィルム性を発現させるための(a)高分子ポリマー成分、接着性を確保するための(b)液状エポキシ樹脂成分、さらに耐熱性を付与させるための(c)多官能エポキシ樹脂成分を主な成分として構成されている。
しかし、これら従来の樹脂組成物は、多官能性エポキシ樹脂を用いることから、得られたエポキシ樹脂硬化物は高次構造が制御されていないガラス状のアモルファス固体であり、熱伝導率、低熱膨張性等の点で十分ではなく、また多官能性であるため靭性に劣り脆い欠点があった。樹脂層の物性を改善するものとして、特許文献3にはフィラー粒子含有樹脂付銅箔が提案されている。但し、この場合も樹脂層としては、高分子成分を必要成分としているために、粘度が高いこともあり、フィラーを高充填させることは困難であった。
高熱伝導性に優れたエポキシ樹脂組成物としては、メソゲン構造を有するエポキシ樹脂を用いたものが知られており、例えば、特許文献4には、ビフェノール型エポキシ樹脂と多価フェノール樹脂硬化剤を必須成分としたエポキシ樹脂組成物が示され、高温下での安定性と強度に優れ、接着、注型、封止、成型、積層等の広い分野で使用できることが開示されている。また、特許文献5には、屈曲鎖で連結された二つのメソゲン構造を分子内に有するエポキシ化合物の開示がある。さらに、特許文献6には、メソゲン基を有するエポキシ化合物を含む樹脂組成物の開示がある。
しかし、上記のエポキシ樹脂組成物においても、硬化剤として多官能性のものが使用されており、架橋密度が高くなり、耐熱性が向上する反面、可撓性が低下し脆くなるという問題を生じた。さらには、樹脂付銅箔の保存安定性にも問題があった。
特許文献7、8にはビフェニルエーテル型エポキシ樹脂を使用した封止剤、プリプレグが記載されているが、かかるエポキシ樹脂の樹脂付銅箔用途への言及はない。
特開2002−359444号公報 特開2004−82347号公報 特開2008−105409号公報 特開平7−90052号公報 特開平9−118673号公報 特開平11−323162号公報 特開2004−123847号公報 WO2008−018364号公報
本発明は、高熱伝導性、低熱膨張性、高耐熱性、低吸湿性、高接着性および保存安定性に優れたエポキシ樹脂組成物の層を備える樹脂付銅箔、それを使用した積層板およびプリント配線板を提供することにある。
本発明者らは、エポキシ樹脂成分として二官能成分を80wt%以上とするエポキシ樹脂を用いて、これに硬化剤成分として二官能成分を80wt%以上とするフェノール性樹脂を組み合わせた場合において、高熱伝導性、低熱膨張性、高耐熱性、低吸湿性、高接着性および保存安定性等の物性が特異的に向上することを見出し、本発明に到達した。なかでも特定の二官能成分を75wt%以上とするエポキシ樹脂と特定の二官能成分を75wt%以上とするフェノール性硬化剤を組み合わせた場合において、硬化成形後においても結晶化するという極めて特異的現象の発現が認められる。本発明は、本現象を樹脂付銅箔へ適用することにより初めて到達し得たものであり、硬化状態における結晶性の発現により、積層板としての高い熱伝導性、低熱膨張性、高耐熱性および低吸湿性が確保された優れた特性を有する積層板およびプリント配線板を製造することが可能となる。
また、エポキシ樹脂、硬化剤ともに二官能成分を75wt%以上とすることで、加熱硬化反応後に得られる樹脂(Cステージ樹脂)は架橋が少なく、二次元の熱可塑樹脂的な特性を有するために、樹脂付銅箔の樹脂層を加熱硬化させてBステージ樹脂状態にした樹脂層(Bステージ樹脂層)とさせた後でも、融点またはそれ以上の温度で加熱圧縮成形を行うことにより積層体とすることができる。また、この場合のBステージ樹脂層は、硬化反応が進行して未反応のエポキシ基が殆ど残存していないことに加えて、樹脂層が結晶性を有することで、Bステージ樹脂層を備える樹脂付銅箔の保存安定性も大幅に向上させることが可能となる。
すなわち、本発明はエポキシ樹脂と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物の樹脂層を銅箔の片面に備えてなる樹脂付銅箔において、当該エポキシ樹脂として二官能成分が75wt%以上であるエポキシ樹脂を用い、当該硬化剤として二官能成分が75wt%以上であるフェノール性樹脂を用いたことを特徴とする樹脂付銅箔である。ここで、上記樹脂層は、エポキシ樹脂組成物を半硬化させてBステージ状態にした樹脂層であることができる。この場合、Bステージ樹脂の走査示差熱分析における融点のピークが150℃から300℃の範囲にある結晶性の樹脂層であることが好ましい。
上記エポキシ樹脂としては、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂が好ましく使用される。
Figure 2011020365
(ここで、Xは、-CH2-、-CO-、-CH=CH-、-CH=C(Me)-、-CH2-O-、-CH=N-、-O-、-S-、-SO2-、または単結合であり、mは0から2の数、nは0から10の数を示す。)
また、上記硬化剤としては、下記一般式(2)で表されるフェノール性樹脂が好ましく使用される。
Figure 2011020365
(ここで、Xは、-CH2-、-CO-、-CH=CH-、-CH=C(Me)-、-CH2-O-、-CH=N-、-O-、-S-、-SO2-、または単結合であり、mは0から2の数、pは0から10の数を示す。)
本発明に係る積層板又はプリント配線板は、上記の樹脂付銅箔を全層ないしは一部の層として有する積層材料を加熱加圧成形して一体に積層してなるもの又はこれを加工して得られるものである。
本発明によれば、二官能成分が一定量以上であるエポキシ樹脂および硬化剤を用いることにより、二次元的に分子鎖が成長した架橋の少ない硬化物となる。これにより、可撓性に優れた樹脂層を形成することが可能となり、銅箔との接着強度が大幅に高くなる。また、分子のパッキングを阻害する架橋点が少ないため分子鎖間の相互作用が強まることで分子の配向性が高まり、場合により結晶性を発現し高熱伝導性、低熱膨張性、高耐熱性、低吸湿性等に優れる樹脂付銅箔となる。本発明のプリント配線板は、絶縁層の熱伝導性が良好で優れた放熱性を有するので、自動車機器用のプリント配線板、家電製品の電源ユニット基板、パソコン、サーバー等の高密度実装プリント配線板に好適に使用される。
本発明の樹脂付銅箔は、エポキシ樹脂と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物またはこれをBステージ樹脂とした樹脂層を銅箔の片面に備えてなる。このエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂およびフェノール性硬化剤は、それぞれ二官能成分を75wt%以上とするものであるが、好ましくは80wt%以上、より好ましくは90wt%以上、さらに好ましくは95wt%以上である。これより少ないと架橋密度が高くなるためにガラス転移点が高くなる半面、硬化物が脆くなり接着強度が低下する。また、架橋点により分子の配向が乱れることで硬化後の結晶化度が低下し、高熱伝導性、低熱膨張性、高耐熱性、および低吸湿性等の効果が期待できない。ここで、エポキシ樹脂およびフェノール性硬化剤の二官能成分とは、エポキシ基を2つ有する二官能エポキシ樹脂、およびフェノール性水酸基を2つ有する二官能フェノール性硬化剤をいう。
本発明に用いる二官能エポキシ樹脂として、好ましいものは、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂である。このエポキシ樹脂は、下記一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンを反応させることにより製造することができる。この反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。
Figure 2011020365
(ここで、Xは、-CH2-、-CO-、-CH=CH-、-CH=C(Me)-、-CH2-O-、-CH=N-、-O-、-S-、-SO2-または単結合であり、mは0から2の数を示す。)
上記反応に用いる芳香族ジヒドロキシ化合物は、エポキシ樹脂とした後に硬化して得られる硬化物において配向性を持つ必要があるため、その分子構造は対称性に優れ、かつ立体障害が小さいものが好ましい。この観点から、式(3)において連結基Xは、溶剤溶解性等の点から判断して、中でも好ましいものは、-CH2-、-CO-、-O-、-S-または-SO2-である。また、式(3)で水酸基の置換位置は、好ましくは4,4’−位のものである。また、mは0、1または2であるが、好ましくは0または1である。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、具体的には、1,4−ジヒドロキシベンゼン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,3'−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,3'−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル等を例示することができる。これらの中で好ましいものは、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンであり、特に好ましいものは、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトンである。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物中には、少量の官能基の置換位置の異なる異性体を含んでいても良いが、好ましくは90wt%以上、より好ましくは95wt以上、特に好ましくは98wt%以上のものが用いられる。これより低いと高分子とした際の結晶性が低下する。
上記エポキシ化反応の条件としては、例えば、上記一般式(3)の芳香族ジヒドロキシ化合物を過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、50〜150℃、好ましくは、60〜100℃の範囲で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。この際の、アルカリ金属水酸化物の使用量は、ビスフェノール化合物中の水酸基1モルに対して、0.8〜1.2モル、好ましくは、0.9〜1.0モルの範囲である。エピクロルヒドリンは、芳香族ジヒドロキシ化合物中の水酸基に対して過剰量が用いられ、通常は、芳香族ジヒドロキシ化合物中の水酸基1モルに対して、1.2から15モルである。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。
上記一般式(1)において、nは0〜10の数であるが、nの値はエポキシ樹脂の合成反応時に用いるエピクロルヒドリンのビスフェノール化合物に対するモル比を変えることにより、容易に調整することができる。また、nの数平均値としては、0.1〜10.0の範囲が好ましい。これより大きいと融点、粘度が高くなり取り扱い性が低下する。低粘度性の点からは、nの数平均値は、0.1〜1.0の範囲が好ましい。
また、高分子量のエポキシ樹脂を得るためには、上記一般式(1)においてnが0のものを主成分とするエポキシ樹脂と上記一般式(3)の芳香族ジヒドロキシ化合物を反応させる方法を取ることもできる。
本発明に用いるエポキシ樹脂の純度、特に加水分解性塩素量は、信頼性向上の観点より少ない方がよい。特に限定するものではないが、好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。なお、本発明でいう加水分解性塩素とは、実施例に記載の方法により測定された値をいう。
本発明で用いるエポキシ樹脂として、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を用いる場合、このエポキシ樹脂以外に分子中にエポキシ基を2個以上有する他のエポキシ樹脂を併用してもよい。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトン、フルオレンビスフェノール、4,4'−ビフェノール、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2'−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t‐ブチルカテコール、t‐ブチルハイドロキノン、1,2‐ジヒドロキシナフタレン、1,3‐ジヒドロキシナフタレン、1,4‐ジヒドロキシナフタレン、1,5‐ジヒドロキシナフタレン、1,6‐ジヒドロキシナフタレン、1,7‐ジヒドロキシナフタレン、1,8‐ジヒドロキシナフタレン、2,3‐ジヒドロキシナフタレン、2,4‐ジヒドロキシナフタレン、2,5‐ジヒドロキシナフタレン、2,6‐ジヒドロキシナフタレン、2,7‐ジヒドロキシナフタレン、2,8‐ジヒドロキシナフタレン等の2価のフェノール類、あるいは、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o‐クレゾールノボラック、m‐クレゾールノボラック、p‐クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ‐p‐ヒドロキシスチレン、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2,4‐ベンゼントリオール、2,3,4‐トリヒドロキシベンゾフェノン、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等の3価以上のフェノール類、または、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグルシジルエーテル化物等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種または2種以上を混合して用いることができる。なお、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を使用しない場合は、上記の中から選ばれる二官能エポキシ樹脂を使用することができる。また、エポキシ基を3個以上有する他のエポキシ樹脂の使用量は25wt%以下であるが、5wt%以下にとどめることが好ましい。
本発明に用いる硬化剤として、好ましいものは、上記一般式(2)で表されるフェノール性樹脂である。一般式(2)において、m及びXは一般式(1)のm及びXと同じ意味を有する。
一般式(2)で表されるフェノール性樹脂の水酸基当量は、通常100から40,000の範囲であるが、フィルム性、可撓性付与の観点から、好ましくは200〜20,000の範囲である。この水酸基当量は、2種類以上のフェノール性樹脂を使用する場合においてもこれを満足することが好ましく、この場合、水酸基当量は、全重量(g)/水酸基(モル)で計算される。
一般式(2)において、pが0より大きい数の場合、このフェノール性樹脂は、たとえば、上記一般式(3)の芳香族ジヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンを反応させることにより製造することができる。この場合、芳香族ジヒドロキシ化合物中の水酸基1モルに対して、1モル以下のエピクロルヒドリンが使用され、アルカリ金属水酸化物の存在下で反応が行われる。
一般式(2)で表されるフェノール性樹脂は、上記一般式(3)の芳香族ジヒドロキシ化合物と上記一般式(1)においてnが0のものを主成分とするエポキシ樹脂を反応させる方法により合成することもできる。この場合の両者の使用比率は、芳香族ジヒドロキシ化合物中の水酸基1モルに対して、エポキシ樹脂中のエポキシ基が1モル以下、好ましくは0.1〜0.9、さらに好ましくは0.2〜0.6となるように調整される。
一般式(2)で表されるフェノール性樹脂は、一般式(2)中でpが0である単一の芳香族ジヒドロキシ化合物、もしくはこれらの混合物であってもよい。かかるフェノール性樹脂としての芳香族ジヒドロキシ化合物としては、一般式(2)において、mは0、1または2であるが、好ましくは0または1である。
本発明のエポキシ樹脂組成物では、エポキシ樹脂と硬化剤の配合比率は、エポキシ基と硬化剤中の官能基が当量比で0.8〜1.5の範囲である。この範囲外では硬化後も未反応のエポキシ基、又は硬化剤中の官能基が残留し、電気絶縁材料としての信頼性が低下するため好ましくない。
さらに、上記エポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂硬化物の熱伝導性、低熱膨張性、耐熱性、耐湿性等を向上させるため、無機充填材を配合することが好ましい。無機充填材としては、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物等が挙げられる。金属酸化物としては結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、三酸化タングステン等、金属窒化物としては窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等、金属炭化物としては炭化ケイ素等、金属水酸化物としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。無機充填材の形状としては、破砕状、球状、ウィスカー状、繊維状のものが適用できる。これらの無機充填材は単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。また、無機充填材とエポキシ樹脂との濡れ性の改善、無機充填材の界面の補強、分散性の改善等の目的で無機充填材に通常のカップリング剤処理を施してもよい。
上記無機充填材のなかで、電気絶縁性の観点から金属酸化物、金属窒化物が好ましく、特には、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムが好適に使用される。
無機充填材の添加量は、通常、エポキシ樹脂組成物に対して20〜96wt%であるが、好ましくは50〜95wt%である。これより少ないと高熱伝導性、低熱膨張性、高耐熱性等の効果が十分に発揮されない。これらの効果は、無機充填材の添加量が多いほどよいが、その体積分率に応じて向上するものではなく、特定の添加量から飛躍的に向上する。これらの物性は、高分子状態での高次構造が制御された効果によるものであり、この高次構造が主に無機充填材表面で達成されることから、特定量の無機充填材を必要とするものであると考えられる。一方、無機充填材の添加量がこれより多いと粘度が高くなり、成形性が悪化するため好ましくない。
無機充填材は球状のものが好ましく、断面が楕円状であるものも含めて球状であれば特に限定されるものではないが、流動性改善の観点からは、極力真球状に近いものであることが特に好ましい。これにより、面心立方構造や六方稠密構造等の最密充填構造をとり易く、充分な充填量を得ることができる。球形でない場合、充填量が増えると充填材同士の摩擦が増え、上記の上限に達する前に流動性が極端に低下して粘度が高くなり、成形性が悪化するため好ましくない。
熱伝導率向上の観点からは、無機充填材のうち、熱伝導率が5W/m・K以上である無機充填材を50wt%以上使用することが好ましく、アルミナ、窒化アルミニウム、結晶シリカ等が好適に使用される。これらの中で特に好ましいものは、球状アルミナである。その他、必要に応じて形状に関係なく無定形無機充填材、例えば溶融シリカ、結晶シリカなどを併用しても良い。
無機充填材の平均粒径は30μm以下であることが好ましい。平均粒径がこれより大きいとエポキシ樹脂組成物の流動性が損なわれ、また強度も低下するため好ましくない。
また、無機充填材は、ガラス繊維等の繊維状基材、あるいは繊維状基材と粒子状無機充填材を併用したものであっても良い。
ここで用いる無機充填材は、樹脂層を構成する樹脂成分との間での濡れ性が良好で、かつ硬化した後の樹脂層と無機充填材との良好な密着性を備えることが重要である。このような良好な特性を得るため無機充填材はシランカップリング剤処理を行うことが望ましく、特にアミノ系シランカップリング剤を用いることが好ましい。アミノ系シランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明に用いるエポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂と硬化剤の他に、従来より公知の硬化促進剤を含むことができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等があり、具体的には、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルポレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルポレートなどのテトラフェニルボロン塩などがある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2〜10重量部の範囲である。
本発明に用いるエポキシ樹脂組成物には、塗工時の流動性改良および基材等との密着性向上、またはシート性向上の観点より、オリゴマー類、または高分子類を添加することができる。オリゴマー類としては、C5系およびC9系の石油樹脂、スチレン樹脂、インデン樹脂、インデン・スチレン共重合樹脂、インデン・スチレン・フェノール共重合樹脂、インデン・クマロン共重合樹脂、インデン・ベンゾチオフェン共重合樹脂等が例示される。また、高分子類としては、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が例示される。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、2〜30重量部の範囲である。
本発明に用いるエポキシ樹脂組成物には、臭素化エポキシ等の難燃剤、カルナバワックス、エステル系ワックス等の離型剤、エポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、アルキルシラン、有機チタネート、アルミニウムアルコレート等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、シリコンオイル等の低応力化剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩等の滑剤等を使用できる。
本発明に用いるエポキシ樹脂組成物は、通常、溶剤を使用しワニスとして、銅箔上に塗布し乾燥して樹脂付銅箔を製造することがよい。この場合の溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶剤、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール溶剤、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤を使用することができる。
本発明に係る樹脂付銅箔は、通常、上記のエポキシ樹脂組成物が銅箔の片面側に塗工され、その樹脂層が設けられたものであるか、または、塗工されて形成された樹脂層を加熱乾燥してエポキシ樹脂組成物を半硬化状態としたBステージ樹脂の樹脂層が設けられたものである。この樹脂層は、加熱加圧成形すると更に硬化が進みCステージ樹脂の樹脂層となる。以下、各状態の樹脂層を区別する必要があるときは、硬化前の樹脂組成物の樹脂層を樹脂層A、Bステージ樹脂の樹脂層を樹脂層B、Cステージ樹脂の樹脂層を樹脂層Cということがある。
特に上記のエポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂とフェノール性硬化剤が、二官能成分を90wt%以上とするもので構成される場合、樹脂層Bは完全硬化状態に近い状態とすることができる。これにより保存中に樹脂層Bの硬化度が変化することが少ないために樹脂付銅箔の保存安定性が大幅に向上する。例えば、二官能成分を90wt%以上とするもので構成される場合、樹脂層Bは半硬化状態をさらに進め、エポキシ基がほぼ反応した状態(好ましくは90%以上)とすることができる。これは二次元的に硬化反応が進行するため、架橋点の数が少なく、実質的に、熱可塑性の所謂フェノキシ樹脂となっているためである。塗工された樹脂層の厚みは、通常、0.5μm〜500μm、好ましくは10μm〜250μmの範囲である。これより薄いと電気絶縁性が低下し、これより厚いとプリント配線板としての加工性が低下する。この樹脂層Bは、走査示差熱分析における融点のピークが150℃から300℃の範囲にある結晶性の樹脂層であることが好ましい。なお、樹脂層Bが実質的に二官能成分から構成される場合、これは熱硬化しても熱可塑性樹脂としての性質を示すが、熱硬化反応が終了した樹脂層、又は積層材料を加熱加圧成形して積層体としたときに形成される樹脂層を樹脂層Cという。
本発明の樹脂付銅箔に用いる銅箔は、表面粗さが4.0μm以下の電解銅箔又は圧延銅箔を用いることが好ましい。これより大きいとファインピッチ回路の形成が困難となる。
本発明の積層板は、樹脂付銅箔を全層ないしは一部の層として有する積層材料を加熱加圧成形してなるものである。そして、積層材料は樹脂付銅箔のみからなるものであっても、樹脂付銅箔以外の他の材料を使用してもよい。樹脂層が結晶化した樹脂層Bからなる樹脂付銅箔を用いる場合、樹脂層の融点のピーク温度から±15℃の温度で加熱加圧成形することが望ましい。積層材料が樹脂付銅箔層のみからなる場合、これを加熱加圧成形して得られる積層板は、M/E/M/E、M/E/E/M等の層構造を有する積層体となる。積層材料が樹脂付銅箔層と他の材料からなる場合、得られる積層板はM/E/P/E/M等の層構造を有する積層体となる。ここで、Mは銅箔を示し、Eはエポキシ樹脂組成物の硬化物である樹脂層Cを示し、Pは他の材料から生じる層を示す。
有利には、樹脂層Bからなる樹脂付銅箔とBステージ状態樹脂層を有する他の材料とを積層して得られる積層材料を加熱加圧成形する。
本発明のプリント配線板は、この上記積層板(銅張積層板)を用いてエッチング加工等を施すことにより得られる。例えば、樹脂付銅箔をFR4やFR5、BTレジンといった所定の内層コア材と積層し、熱間成形プレス加工し、銅箔エッチングによる回路形成、レーザーによるバイアホールの形成等の工程を経て、多層プリント配線板を得ることができる。
本発明の積層板、もしくはプリント配線板は、樹脂層Cの樹脂相が結晶化していることが望ましい。結晶相成長の程度は、示差熱分析による吸熱量から見積もることができる。好ましい吸熱量は、充填材、シート状繊維基材、金属箔等を除いた樹脂成分(エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤の合計に相当する)の単位重量あたり10J/g以上である。より好ましくは30J/g以上であり、特に好ましくは60J/g以上である。これより小さいとエポキシ樹脂硬化物としての熱伝導性、低熱膨張性、高耐熱性および低吸湿性の向上効果が小さい。さらに、吸熱量の大きいもの、すなわち結晶化度の高いものは、たとえガラス転移点が低くても、結晶性の維持により高温での強度を保持することが可能であり、実用的耐熱性である熱変形温度を高く維持することができる。結晶化した樹脂相の融点は、120℃から280℃の範囲であり、好ましくは150℃から250℃の範囲である。なお、ここでいう吸熱量は、示差熱分析計により、約10mgを精秤した試料を用いて、窒素気流下、昇温速度5℃/分の条件で測定して得られる吸熱量を指し、融点は示差熱分析の吸熱ピーク温度である。
樹脂層Cの樹脂の結晶化の度合いは、樹脂付銅箔の硬化条件の制御により調整することができる。最適な硬化条件は、エポキシ樹脂組成物の配合条件に大きく依存するが、通常は、成形温度としては80℃から250℃であり、成形時間は1分から20時間である。成形圧力は0.2MPaから20MPaの範囲が好ましいが、真空プレスであってもよい。エポキシ樹脂硬化物の結晶化度を上げるためには、低い温度で長時間かけて硬化させることが望ましい。好ましい硬化温度は120℃から200℃の範囲であり、より好ましくは140℃から180℃である。また、好ましい硬化時間は10分から6時間であり、より好ましくは30分から3時間である。さらに成形後、ポストキュアにより、さらに結晶化度を上げることができる。通常、ポストキュア温度は130℃から250℃であり、時間は1時間から24時間の範囲であるが、好ましくは、示差熱分析における吸熱ピーク温度よりも5℃から50℃低い温度で、1時間から24時間かけてポストキュアを行うことが望ましい。
合成例1
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル1010gをエピクロルヒドリン6475gに溶解し、減圧下(約120mmHg、60℃にて48%水酸化ナトリウム水溶液808gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸により系外に除き、溜出したエピクロルヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、さらに1時間反応を継続した。その後、エピクロルヒドリンを減圧留去し、メチルイソブチルケトン3660gに溶解した後、濾過により生成した塩を除いた。その後、20%水酸化ナトリウム水溶液119.4gを加え、80℃で2時間反応させた。反応後、濾過、水洗を行った後、溶媒であるメチルイソブチルケトンを減圧留去し、淡黄色結晶のエポキシ樹脂(エポキシ樹脂A)1440gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は163g/eq.、加水分解性塩素は280ppm、融点は78から84℃、150℃での粘度は6.2mPa・sであった。得られた樹脂のGPC測定より求められた一般式(1)における各成分比は、n=0が92.2%、n=1が7.8%であった。ここで、加水分解性塩素とは、試料0.5gをジオキサン30mlに溶解後、1N−KOH、10mlを加え30分間煮沸還流した後、室温まで冷却し、さらに80%アセトン水100mlを加えたものを、0.002N−AgNO3水溶液で電位差滴定を行うことにより測定された値である。また融点とは、キャピラリー法により昇温速度2℃/分で得られる値である。粘度はBROOKFIELD製、CAP2000Hで測定し、軟化点はJIS K−6911に従い環球法で測定した。また、GPC測定は、装置;日本ウォーターズ(株)製、515A型、カラム;TSK−GEL2000×3本およびTSK−GEL4000×1本(いずれも東ソー(株)製)、溶媒;テトラヒドロフラン、流量;1 ml/min、温度;38℃、検出器;RIの条件に従った。
合成例2
4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン100g、エピクロルヒドリン925g、48%水酸化ナトリウム水溶液80.8gを用いて、合成例1と同様に反応を行い、淡黄色液状の粗製エポキシ樹脂(エポキシ樹脂B)152gを得た。エポキシ当量は167であり、結晶化後の融点は58〜65℃であった。また、加水分解性塩素は280ppm、得られた樹脂のGPC測定より求められた一般式(1)における各成分比は、n=0が92.5%、n=1が6.0%であった。
実施例1〜6、比較例1〜5
エポキシ樹脂成分として、合成例1、2のエポキシ樹脂(エポキシ樹脂A、B)、ビフェニル系エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C:ジャパンエポキシレジン製、YL−6121(4,4’−ジヒドロキシビフェニルのエポキシ化物と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルのエポキシ化物との1:1の混合物)、エポキシ当量183)、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂D:日本化薬製、EOCN-1020、エポキシ当量 197、軟化点54℃)、を使用し、硬化剤として4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(硬化剤A、平均粒径4.8μm)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン(硬化剤B、平均粒径6.5μm)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(硬化剤C、平均粒径2.3μm)、又はフェノールノボラック(硬化剤D:群栄化学製、PSM−4261;OH当量103、軟化点 82℃)を使用した。また、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン、無機充填材として球状アルミナ(平均粒径12.2μm)、溶剤としてシクロペンタノンを使用した。表1に示す成分を配合し、プラネタリーミキサーで十分混合して樹脂ワニス溶液を調整した。なお、表1中の各配合物の数字は重量部を表す。
この樹脂ワニスを厚さ18μmの電解銅箔の粗化面にバーコーターを用いて、厚さ220μmに塗工した。これを熱風乾燥機中で120℃にて20分間乾燥して樹脂付銅箔Dを得た(樹脂層Bを備える銅箔)。この樹脂付銅箔Dの樹脂面をFR-4プリプレグに積層して、175℃にて5分間、プレス加工して積層板を得た。この積層板を用いて、銅箔の180度ピール強度を測定した。また、樹脂層Bが硬化して生じる樹脂層Cの物性は、2枚の樹脂付銅箔Dの樹脂層どうしが接するように積層して、175℃にて5分間、プレス加工し、170℃で12時間ポストキュアを行い硬化成形物を得たものから、エッチングにより銅箔を除去したものを用いて測定した。また、前記樹脂付銅箔Dを、さらに150℃にて20分間加熱し、樹脂層Bの硬化反応を進行させて樹脂付銅箔Eを作成した。これを二枚用いて樹脂層どうしを重ね合わせて190℃にてプレス加工し、熱履歴負荷後の樹脂層の接着性を評価した。以上の結果を表2に示す。なお、その他の評価は次により行った。
(1)熱伝導率
熱伝導率は、NETZSCH製LFA447型熱伝導率計を用いて非定常熱線法により測定した。
(2)融点、融解熱の測定(DSC法)
示差走査熱量分析装置(セイコーインスツル製DSC6200型)を用い、昇温速度10℃/分で測定した。
(3)線膨張係数、ガラス転移点
線膨張係数およびガラス転移点は、セイコーインスツル製TMA120C型熱機械測定装置を用いて、昇温速度10℃/分にて測定した。
(4)吸水率
直径50mm、厚さ3mmの円盤を成形し、ポストキュア後、85℃、相対湿度85%の条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。
Figure 2011020365
Figure 2011020365

Claims (8)

  1. エポキシ樹脂と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物またはこのエポキシ樹脂組成物をBステージ状態にした樹脂組成物の樹脂層を銅箔の片面に備えてなる樹脂付銅箔において、当該エポキシ樹脂として二官能成分が75wt%以上であるエポキシ樹脂を用い、当該硬化剤として二官能成分が75wt%以上であるフェノール性樹脂を用いたことを特徴とする樹脂付銅箔。
  2. エポキシ樹脂が下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1に記載の樹脂付銅箔。
    Figure 2011020365
    (ここで、Xは、-CH2-、-CO-、-CH=CH-、-CH=C(Me)-、-CH2-O-、-CH=N-、-O-、-S-、-SO2-、または単結合であり、mは0から2の数、nは0から10の数を示す。)
  3. 硬化剤が下記一般式(2)で表されるフェノール性樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂付銅箔。
    Figure 2011020365
    (ここで、Xは、-CH2-、-CO-、-CH=CH-、-CH=C(Me)-、-CH2-O-、-CH=N-、-O-、-S-、-SO2-、または単結合であり、mは0から2の数、pは0から10の数を示す。)
  4. エポキシ樹脂組成物の層がBステージ状態の樹脂層であり、走査示差熱分析における融点のピークが150℃から300℃の範囲にある結晶性の樹脂層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂付銅箔。
  5. エポキシ樹脂組成物が無機充填材を50から96wt%含有したものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂付銅箔。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂付銅箔を全層ないしは一部の層として有する積層材料を加熱加圧成形してなることを特徴とする積層板。
  7. 樹脂層の融点のピーク温度から±15℃の温度で加熱加圧成形することを特徴とする請求項6に記載の積層板。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂付銅箔を全層ないしは一部の層として有する積層材料を加熱加圧成形してなることを特徴とするプリント配線板。
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