JP2011020105A - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
自動車車体外板等の各種工業製品に対して、高明度であって黄味の少ない優れた外観を示す塗膜を形成可能な複層塗膜形成方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、基材上にL*a*b*表色系におけるL*値が80以上のホワイトベース塗膜(A)、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体を母体結晶とし、ユーロピウム、デスプロシウム又はネオジウムを賦活性剤とする蛍光体の中から選ばれる1種もしくは2種以上の蛍光性白色顔料を含有してなる蛍光ベース塗膜(B)及びトップクリヤー塗膜(C)を順次形成してなる複層塗膜形成方法であって、トップクリヤー塗膜(C)の波長380nmにおける光線透過率が50%以上であり且つ紫外線吸収剤を含む塗膜形成方法に関するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は高明度で、黄味の少ない優れた外観を示す複層塗膜の形成方法に関するものである。
自動車等の工業製品において、高明度の白系の塗色は、高級感があり、存在感を示す塗色として人気が高いものとなっている。しかしながら、塗装によって白色度が高い塗色を得ようとする場合には、黄味が生じてしまって高級感を損ねてしまう場合があった。
特許文献1は、耐候性に優れ、黄味の少ない光輝感に優れた外観を有する複層塗膜の形成方法に関するものであり、基材上にカラーベース塗膜(A)、光輝性顔料(a)及び蛍光性白色顔料(b)を含有してなる光輝性ベース塗膜(B)及びクリヤー塗膜(C)を順次形成してなる複層塗膜形成方法であって、該蛍光性白色顔料(b)がアルカリ土類金属アルミン酸を母体結晶とし、ユーロピウム、デスプロシウム又はネオジウムを賦活性剤とする蛍光体の中から選ばれる1種もしくは2種以上であることを特徴とする複層塗膜形成方法が開示されている。特許文献に開示された塗膜形成方法による塗膜は、高明度であって且つフリップフロップ感を有する塗膜を形成可能ではあるが、蛍光性白色顔料を含む塗膜の上にクリヤー塗膜が形成されていることから、通常のクリヤー塗膜に含まれている紫外線吸収剤によって、白色蛍光顔料の効果が減じられてしまう問題点があった。
特開2006ー192384号公報
本発明の目的は、高明度であって黄味の少ない優れた外観を示す塗膜を形成可能な複層塗膜形成方法を提供することである。
本発明は、
1.基材上にL*a*b*表色系におけるL*値が80以上のホワイトベース塗膜(A)、アルカリ土類金属アルミン酸塩を母体結晶とし、ユーロピウム、デスプロシウム又はネオジウムを賦活性剤とする蛍光体の中から選ばれる1種もしくは2種以上の蛍光性白色顔料を含有してなる蛍光ベース塗膜(B)及びトップクリヤー塗膜(C)を順次形成してなる複層塗膜形成方法であって、トップクリヤー塗膜(C)の波長380nmにおける光線透過率が50%以上であり且つ紫外線吸収剤を含む複層塗膜形成方法、
2.蛍光ベース塗膜(B)が、蛍光性白色顔料を含有する塗膜(B1)と鱗片状光輝性顔料を含有する(B2)の2層よりなるものである1項に記載の複層塗膜形成方法
に関する。
本発明によれば、高明度であって黄味の少ない優れた外観を示す塗膜を形成可能な複層塗膜形成方法を得ることができる。
本発明の複層塗膜形成方法において、基材としては、鉄、亜鉛、アルミニウム等の金属やこれらを含む合金、及びこれらの金属によるメッキまたは蒸着が施された成型物、ならびに、ガラス、プラスチックや発泡体などによる成型物等を挙げることができる。これら素材に応じて適宜、脱脂処理や表面処理して基材とすることができる。さらに、上記基材に下塗り塗膜や中塗り塗膜を形成させて基材とすることもでき、これらのものが特に好ましい。
上記下塗り塗膜とは、素材表面を隠蔽したり、素材に防食性及び防錆性などを付与するために形成されるものであり、下塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。この下塗り塗料種としては特に限定されるものではなく、例えば、電着塗料、溶剤型プライマー等を挙げることができる。
また、上記中塗り塗膜とは、下塗り塗膜を隠蔽したり、付着性や耐チッピング性などを付与するために形成されるものであり、乾燥硬化した下塗り塗膜又は未硬化の下塗り塗膜上に、中塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。中塗り塗料種は、特に限定されるものではなく、既知のものを使用でき、例えば、熱硬化性樹脂組成物及び着色顔料を必須成分とする有機溶剤系又は水系の中塗り塗料を好ましく使用できる。
また、基材として、下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を形成させる場合においては、下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を加熱し、架橋硬化後に本発明の塗料組成物を塗装することができる。あるいは、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が未硬化の状態で、塗装することもできる。
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記の如き基材上に、L*a*b*表色系における明度L*が80以上のホワイトベース塗膜(A)を形成する。L*a*b*表色系とは、1976年に国際照明委員会で規定され、JIS Z 8729にも採用されている表色系であり、L*は明度を表わす数値である。本明細書において、ホワイトベース塗膜の(A)のL*a*b*表色系における明度L*は、乾燥硬化したホワイトベース塗膜(A)をMA−68II(商品名、多角度分光光度計、x−rite社製)を使用して、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光から45度の角度で受光したときの分光反射率から計算して得られた数値とする。
酸化チタン顔料は、屈折率が高いことから白色顔料として広く使用されているものであり、結晶形によってルチル型とアナターゼ型があり、本発明においてはいずれを使用しても良いが、耐候性の点からルチル型を使用することができる。また、分散性や耐候性を向上させることを目的として、表面をシリカ、ジルコニウム、アルミニウム等の無機化合物で処理したものを使用しても良い。ホワイトベース塗膜(A)の隠蔽力の点から、一次粒子径が100〜400nmの範囲内のものを使用することが好ましく、さらに好ましくは、200〜300nmの範囲内のものである。
ホワイトベース塗料への酸化チタン顔料の含有量は、隠蔽性や仕上がり性の点から、後述するビヒクル形成成分である樹脂固形分100質量部に対して、30〜200質量部が好ましく、特に好ましくは、50〜120質量部である。
ホワイトベース塗料には、酸化チタン顔料の他にも、複層塗膜の色相や明度を微調整することを目的として、着色顔料を配合することができる。着色顔料としては、特に制限されるものではないが、具体的には、透明性酸化鉄顔料、チタンイエロー等の複合酸化物顔料等の無機顔料やアゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料等の有機顔料及びカーボンブラック顔料等の中から任意のものを1種もしくはそれ以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、ホワイトベース塗料に酸化チタン顔料以外の着色顔料を配合せしめる場合その含有量は、複層塗膜の明度の点から、有機顔料やカーボンブラック顔料の場合には、樹脂固形分100質量部に対し0.1質量%以下とすることが好ましく、無機顔料の場合には、0.01〜5質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.05〜3質量部の範囲内であることが好ましい。
ホワイトベース塗料には、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、具体的には、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂と、必要に応じてメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤とを併用したものが挙げられ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散して使用される。
さらに、ホワイトベース塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
ホワイトベース塗料は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて10〜150μmの範囲内とするのが、基材を隠蔽する点や塗膜の平滑性の点から好ましく、より好ましくは20〜100μmの範囲内である。本発明のホワイトベース塗料による塗膜は通常、常温〜約150℃の温度で架橋硬化させることができる。ホワイトベース塗膜(A)は、1層の塗膜として形成することができるが、素材を隠ぺいする点から2層の塗膜として形成することができる。その場合には、ホワイトベース塗膜を形成せしめた塗膜上にさらにホワイトベース塗料を塗装して、乾燥硬化せしめることができる。
本発明の複層塗膜形成方法においては、前述の方法で形成されたホワイトベース塗膜(A)上に、蛍光性白色顔料を含む蛍光ベース塗膜(B)を形成する。蛍光ベース塗膜(B)は、蛍光性白色顔料を含む蛍光ベース塗料を塗装し、硬化せしめることによって形成することができる。蛍光ベース塗膜(B)は、1層の塗膜として形成することができるが、2層の塗膜として形成しても良い。まず、1層の塗膜として形成させる場合について説明する。
蛍光性白色顔料は、紫外線(波長380nm付近)を吸収し、それを目に見える青色の可視光(波長420nm付近;蛍光という)に変えて放出する蛍光増白効果を奏する顔料である。蛍光性白色顔料としては、化学的に安定で耐水性や耐候性に優れる無機系の蛍光体であるアルミン酸塩バリウムマグネシウム蛍光体を使用することができる。具体的には、特開2006ー43894号に開示されている化学式が(Ba1−x−yCaEu)MgAl1017で表され、xは0≦x≦0.33、yは0.07≦y≦0.35且つ0.1≦x+y≦0.4である蛍光増白体を使用することができる。
上記蛍光性白色顔料としては、粒子径が、D50で2μm〜4.5μmの範囲のものを使用することが、90%メジアン径で10μm以下のものが好ましい。
蛍光性白色顔料の蛍光ベース塗料における含有量は、塗膜の仕上がり性や、複層塗膜において黄味を消す効果の点から蛍光ベース塗料中の樹脂成分100質量部に対して10〜200質量部の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは20〜150質量部の範囲内、特に好ましくは50〜120質量部の範囲内であることが好ましい。
蛍光ベース塗料には、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、上記ホワイトベース塗料に用いることができるものとして例示したものを同様に用いることができる。
さらに、蛍光ベース塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
蛍光ベース塗料は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、12〜50質量%、好ましくは15〜30質量%に、20℃における粘度を15〜20秒/フォードカップ#3に調整しておくことが好ましい。
蛍光ベース塗料は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて5〜100μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましく、より好ましくは15〜50μmの範囲内である。蛍光ベース塗膜(B)は、通常、常温〜約150℃の温度で架橋硬化させることができる。
複層塗膜に、粒子感やフリップフロップ感を付与する場合には、蛍光ベース塗膜(B)を2層の塗膜として形成することができる。その場合、上記1層の塗膜として形成する場合と同様にして、蛍光ベース塗料によって、蛍光性白色顔料を含有する塗膜(B1)を形成し、その硬化若しくは未硬化の塗膜面上に、鱗片状光輝性顔料を含有する塗料を塗装して鱗片状光輝性顔料を含有する塗膜(B2)を形成する。この場合、蛍光性白色顔料を含有する塗膜(B1)の膜厚が、硬化塗膜として5〜100μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましく、より好ましくは15〜50μmの範囲内である。
鱗片状光輝性顔料としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル合金、ステンレス等の鱗片状金属顔料、表面を金属酸化物で被覆した鱗片状金属顔料、表面に着色顔料を化学吸着させた鱗片状金属顔料、表面に酸化還元反応を起こさせることにより酸化アルミニウム層を形成した鱗片状アルミニウム顔料、アルミニウム固溶板状酸化鉄顔料、ガラスフレーク顔料、表面を金属又は金属酸化物で被覆したガラスフレーク顔料、表面に着色顔料を化学吸着させたガラスフレーク顔料、表面を二酸化チタンで被覆した干渉マイカ顔料、干渉マイカ顔料を還元した還元マイカ顔料、表面に着色顔料を化学吸着させたり、表面を酸化鉄で被覆した着色マイカ顔料、表面を二酸化チタンで被覆したグラファイト顔料、表面を二酸化チタンで被覆したシリカフレークやアルミナフレーク顔料、盤状酸化鉄顔料、ホログラム顔料、合成マイカ顔料、らせん構造を持つコレステリック液晶ポリマー顔料、オキシ塩化ビスマス顔料などが挙げられる。本発明においては、これらのうちで、マイカ、ガラスフレーク、人工マイカ、シリカフレーク及びアルミナフレーク等の透明な鱗片状基材を二酸化チタンで被覆した光輝性顔料を使用することが、複層塗膜に粒子感やフロップフロップ感を付与する点から好ましい。
鱗片状光輝性顔料の大きさは、平均粒径が5〜45μmの範囲内のものを使用することが、塗装された塗膜の仕上がり性や粒子感の点から好ましく、より好ましくは粒径が7〜30μmの範囲内もの、特に好ましくは8〜25μmの範囲内ものである。厚さは0.05〜1.5μmの範囲内のものを使用することが好ましい。ここでいう粒径及び厚さは、光学顕微鏡又は電子顕微鏡で該鱗片状光輝性顔料を観察して得られた数値を意味する。
また、鱗片状光輝性顔料の含有量は、塗装して得られる塗膜の粒子感やフリップフロップ性及び明度の点から、鱗片状光輝性顔料を含む塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、合計で0.1〜20質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは1〜18質量部の範囲内、特に好ましくは2〜15質量部の範囲内である。
鱗片状光輝性顔料を含む塗料にはさらに蛍光性白色顔料を含有することができる。その場合、含有量は、複層塗膜において黄味を消す効果や粒子感やフリップフロップ性の発現を阻害しない点から蛍光ベース塗料中の樹脂成分100質量部に対して0.1〜50質量部の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量部の範囲内、特に好ましくは1〜20質量部の範囲内であることが好ましい。
鱗片状光輝性顔料を含む塗料には、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、上記ホワイトベース塗料に用いることができるものとして例示したものを同様に用いることができる。
さらに、鱗片状光輝性顔料を含む塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
鱗片状光輝性顔料を含む塗料は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて5〜45μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましく、より好ましくは10〜30μmの範囲内である。本発明の鱗片状光輝性顔料を含む塗料による塗膜(B2)は通常、常温〜約150℃の温度で架橋硬化させることができる。
本発明の複層塗膜形成方法においては、硬化又は未硬化の蛍光ベース塗膜(B)上に、トップクリヤー塗料を1層もしくは2層以上塗装して、トップクリヤー塗膜(C)を形成する。
本発明の塗膜形成方法におけるトップクリヤー塗料は、樹脂成分および溶剤を主成分とし、さらに必要に応じてその他の塗料用添加剤などを配合してなる無色もしくは有色の透明塗膜を形成する液状塗料であり、上記蛍光性白色顔料による効果を阻害しない点から、塗装して得られるトップクリヤー塗膜(C)の波長380nmにおける光線透過率が50%以上となるものを使用することが好ましい。
本明細書においてトップクリヤー塗膜の波長380nmにおける光線透過率は、トップクリヤー塗料を平滑なPTFE板に塗装し、乾燥硬化させた後に剥離して得られた膜厚35μmのフリー塗膜を、分光光度計MPSー2450(商品名、島津製作所製)にて測定した数値で定義するものとする。
本発明方法におけるトップクリヤー塗料としては、従来公知のものが制限なく使用できる。例えば、基体樹脂及び架橋剤を含有する液状もしくは粉体状の塗料組成物が適用できる。基体樹脂の例としては、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基などの架橋性官能基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂などが挙げられる。架橋剤としては、前記基体樹脂の官能基と反応しうるメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂等が挙げられる。また、必要に応じて、水や有機溶剤等の溶媒、硬化触媒、消泡剤、レオロジーコントロール剤、酸化防止剤、表面調整剤等の添加剤を適宜配合することができる。
トップクリヤー塗料には、複層塗膜の耐候性を得ること及び上記波長380nmにおける光線透過率の点から、紫外線吸収剤を配合せしめることができる。紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、酸化セリウム系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、酸化亜鉛系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、酸化チタン系紫外線吸収剤などをあげることができる。これらの中でも、紫外線吸収安定性及び波長380nmにおける光線透過率の点から、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルとオキシラン[(C10−C16主としてC12−C13アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルとの反応生成物との反応生成物、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。
トップクリヤー塗料における紫外線吸収剤の配合量は、複層塗膜の耐候性を得ること及び上記波長380nmにおける光線透過率の点から、トップクリヤー塗料中の樹脂成分100質量部に対して0.1〜50質量部の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量部の範囲内、特に好ましくは1〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
上記トップクリヤー塗料には、透明性を損なわず、波長380nmにおける光線透過率を50%以上に維持する範囲内において、着色顔料を適宜配合することができる。着色顔料としては、インク用、塗料用として従来公知の顔料を1種あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。その添加量は、適宜決定されて良いが、トップクリヤー塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、30質量部以下、好ましくは0.01〜5質量部である。
上記トップクリヤー塗料は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて5〜40μmの範囲内とするのが好ましい。トップクリヤー塗料の塗膜それ自体は常温〜150℃の温度で架橋硬化させることができる。
本発明の複層塗膜形成方法においては、ホワイトベース塗膜(A)、蛍光ベース塗膜(B)、トップクリヤー塗膜(C)は、各々加熱して、乾燥硬化後に、その塗膜上に次工程の塗膜を形成することができるが、未硬化の塗膜上に形成せしめて、トップクリヤー塗料を塗装後に加熱し、複層塗膜を同時に硬化せしめても良い。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(製造例1)水酸基含有アクリル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート40部を仕込み、撹拌混合し、135℃に昇温した。次いで下記のモノマー/重合開始剤の混合物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10部、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.6部からなる混合物を同温度に保持した1時間30分かけて滴下し、さらに2時間熟成した。次にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを減圧下で留去し、水酸基価54mgKOH/g、数平均分子量50,000、樹脂固形分65質量%の水酸基含有アクリル樹脂を得た。ここで数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものを意味する。
モノマー/重合開始剤の混合物:
メチルメタクリレート38部、エチルアクリレート17部、n−ブチルアクリレート17部、ヒドロキシエチルメタクリレート7部、ラウリルメタクリレート20部及びアクリル酸1部及び2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)2部からなる混合物。
(製造例2)ベース塗料1の調製
225ml容マヨネーズビンに、製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂15.4部、溶剤20部、CR−95(商品名、白色酸化チタン、石原産業社製)50部を投入し、攪拌混合後、さらに1.5mm径のガラスビーズ130部を投入して密栓し、DASH2000ーK Disperser(商品名、LAU社製、振とう型ペイントコンディショナー)を使用して60分間分散した。分散後100メッシュの金網濾過を行なってガラスビーズを除去して、固形分70.3質量%、顔料固形分/樹脂固形分5/1の分散ペーストを得た。ステンレス製ビーカーに得られた分散ペースト170.8部、製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂84.6部、ユーバン28ー60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)41.7部を投入し、さらに溶剤200部を配合して攪拌混合する。さらに塗装に適正な粘度に希釈して、樹脂固形分100質量部に対して二酸化チタンが100質量部含まれるベース塗料1を調製した。
(製造例3)ベース塗料2の調製
225ml容マヨネーズビンに、製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂15.4部、溶剤20部、PDBーB(H)(商品名、蛍光白色顔料、根本特殊化学社製)50部を投入し、攪拌混合後、さらに1.5mm径のガラスビーズ130部を投入して密栓し、DASH2000ーK Disperser(商品名、LAU社製、振とう型ペイントコンディショナー)を使用して60分間分散した。分散後100メッシュの金網濾過を行なってガラスビーズを除去して、固形分70.3質量%、顔料固形分/樹脂固形分5/1の分散ペーストを得た。ステンレス製ビーカーに得られた分散ペースト170.8部、製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂84.6部、ユーバン28ー60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)41.7部を投入し、さらに溶剤200部を配合して攪拌混合する。さらに塗装に適正な粘度に希釈して、樹脂固形分100質量部に対して蛍光白色顔料が100部含まれるベース塗料2を調製した。
(製造例4)ベース塗料3の調製
ステンレス製ビーカーに製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂115.4部、ユーバン28ー60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)41.7部、Xirallic T60ー10WNT Crystal Silver(商品名、鱗片状酸化アルミニウムを二酸化チタンで被覆した鱗片状光輝性顔料、メルク社製)5部及び溶剤200部を配合して攪拌混合する。さらに塗装に適正な粘度に希釈して、樹脂固形分100質量部に対して鱗片状光輝性顔料が5質量部含まれるベース塗料3を調製した。
(製造例5)クリヤー塗料1の調製
ステンレス製ビーカーにカルボキシル基含有アクリル樹脂(注1)50部、エポキシ基含有アクリル樹脂(注2)50部、Tinuvin400(商品名、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、チバスペシャリティケミカルズ社製)3部、テトラブチルアンモニウムブロマイドとモノブチルりん酸との当量配合物2部、BYK300(商品名、表面調整剤、ビッグケミー社製)0.1部を配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈してクリヤー塗料1を調製した。得られたクリヤー塗料1を35μmの膜厚となるように平滑なPTFE板に塗装し、約20℃の実験室内に15分静置後に熱風乾燥機を使用して140℃30分間加熱乾燥硬化させた後に剥離して得られた塗膜を、分光光度計MPSー2450(商品名、島津製作所製)を使用して波長380nmにおける光線透過率を測定すると、83.1%であった。
(注1)カルボキシル基含有アクリル樹脂:無水マレイン酸のメタノールハーフエステル化物20部、アクリル酸4ーヒドロキシnーブチル20部、nーブチルアクリレート40部及びスチレン20部からなる単量体成分の共重合体。数平均分子量3500、水酸基価78mgKOH/g、酸価86mgKOH/g。
(注2)エポキシ基含有アクリル樹脂:グリシジルメタクリレート30部、アクリル酸4ーヒドロキシnーブチル20部、nーブチルアクリレート30部及びスチレン20部からなる単量体成分の共重合体。数平均分子量3000、エポキシ基含有量2.12ミリモル/g、水酸基価78mgKOH/g。
(製造例6)クリヤー塗料2の調製
製造例6におけるTinuvin400に換えてTinuvin384ー2(商品名、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チバスペシャリティケミカルズ社製)を使用する以外は、製造例5と同様にしてクリヤー塗料2を調製した。得られたクリヤー塗料2を35μmの膜厚となるように平滑なPTFE板に塗装し、約20℃の実験室内に15分静置後に熱風乾燥機を使用して140℃30分間加熱乾燥硬化させた後に剥離して得られた塗膜を、分光光度計MPSー2450(商品名、島津製作所製)を使用して波長380nmにおける光線透過率を測定すると、40%であった。
(製造例7)クリヤー塗料3の調製
製造例6において配合したTinuvin400を配合しない以外は、製造例5と同様にしてクリヤー塗料2を調製した。得られたクリヤー塗料3を35μmの膜厚となるように平滑なPTFE板に塗装し、約20℃の実験室内に15分静置後に熱風乾燥機を使用して140℃30分間加熱乾燥硬化させた後に剥離して得られた塗膜を、分光光度計MPSー2450(商品名、島津製作所製)を使用して波長380nmにおける光線透過率を測定すると、98.6%であった。
(試験板の作成)
(1) 基材の調整
脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG3141、大きさ400×300×0.8mm)にカチオン電着塗料「エレクロン9400HB」(商品名:関西ペイント株式会社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネート化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させて電着塗膜を得た。
得られた電着塗面に、中塗塗料「ルーガベーク中塗りグレー」(商品名:関西ペイント株式会社製、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系、有機溶剤型)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚30μmになるように塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させて、中塗塗膜を形成せしめて得られた塗板を基材として用いた。
(2) 塗装
(1)で調整した基材に上記ベース塗料及びクリヤー塗料を表1に示す構成となるようにエアスプレーを用いて塗装し、クリヤー塗料を塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、その後に熱風乾燥機を使用して140℃の温度で30分間乾燥硬化せしめて試験板を作成した。複数回の塗装を行なう場合には、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、その後に次工程の塗料を塗装した。
Figure 2011020105
(意匠性の評価)
上記試験板の意匠性、耐候性を以下の要領にて評価し、結果を表2に示した。
Figure 2011020105
測色による白さ(明度L*)と黄味(b*)の評価
試験板をMA68II(商品名、多角度分光光度計、x−rite社製)を使用して測定した正反射光に対して45度で受光した分光反射率から計算して得られた白さ(明度L*)と黄味(b*)を表2に示した。
目視による白さと光輝感の評価
晴れた日の午後に、直射日光が当たらない屋外において、自動車外板向け塗料の塗色設計に3年以上従事した技術者及びデザイナーが、塗板を観察して、白さと光輝感を目視にて評価した。
白さ:
5:青味白さを非常に感じる。
4:青味白さを感じる。
3:青味白さを多少感じる。
2:青味を余り感じないが通常の黄味帯びた白さとは違うと感じる。
1:通常の黄味帯びた白さとして感じる。
光輝感:
○:観察角度によって白さが変化する(フリップフロップ感がある)。
×;光輝感(フリップフロップ感)がない。
促進耐候性試験
Superxenonウェザーメーター(商品名、促進耐候性試験機、スガ試験機社製)を使用して、JIS K5600−7−7(方法1)に記載された試験条件にて照射と降雨条件を組み合わせたサイクル試験を行った。サイクル試験時間の合計が1200時間後に塗膜の劣化状態を光沢及び目視で評価した。光沢の測定にはTri−GROSS(商品名、光沢度測定器、BYK社製)を使用して、60度鏡面光沢度を求めた。また、目視で塗板の状態を評価し、結果を表2に示した。
本発明の塗膜形成方法は、各種工業製品、特に自動車車体の外板に適用できる。

Claims (2)

  1. 基材上にL*a*b*表色系におけるL*値が80以上のホワイトベース塗膜(A)、アルカリ土類金属アルミン酸塩を母体結晶とし、ユーロピウム、デスプロシウム又はネオジウムを賦活性剤とする蛍光体の中から選ばれる1種もしくは2種以上の蛍光性白色顔料を含有してなる蛍光ベース塗膜(B)及びトップクリヤー塗膜(C)を順次形成してなる塗膜形成方法であって、トップクリヤー塗膜(C)の波長380nmにおける光線透過率が50%以上であり且つ紫外線吸収剤を含む複層塗膜形成方法。
  2. 蛍光ベース塗膜(B)が、蛍光性白色顔料を含有する塗膜(B1)と鱗片状光輝性顔料を含有する(B2)の2層よりなるものである1項に記載の複層塗膜形成方法。
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