以下、本発明に係る遊技球発射装置の第一実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態では弾球遊技機の一種であるパチンコ遊技機に本発明を適用した構成を説明する。本発明の遊技球発射装置は、遊技球の発射制御処理を行なう電子回路を有する発射制御基板1と、前記発射制御基板1に接続され遊技者が操作することにより遊技球の打撃力を調節するための打球力調整ハンドル2と、前記発射制御基板1の発射信号に従い遊技球を弾いて発射する打球発射機構3とから大略構成される。
前記打球力調整ハンドル2は、図1に示したように、パチンコ遊技機を前面側から見てその右下隅部に突設される筒状のハンドル基部4と、前記ハンドル基部4の前端に設けられる球面殻状の前面カバー5と、前記ハンドル基部4と前記前面カバー5との境界縁の外周に回転自在に設けられる環状の操作レバー6とから概ね構成されている。前記ハンドル基部4は筒状に形成され、中間部から後端縁にかけての円筒部4aと径が漸次拡大された前端側の拡径部4bとを備え、拡径部4bの外周面には矩形状の挿通孔7が開設されている。また、拡径部4bの前端縁の外周面には、前記操作レバー6を遊嵌させるための嵌合部8が形成される。さらに、拡径部4bの前端側の内周面には、三個のネジ止め用のボス9が適宜間隔を離して設けられ、該拡径部4bの前端縁よりも若干内部位置には、中心孔10が開設された前面板11が設けられる。
ハンドル基部4内には、回転角度検出手段としての可変抵抗器12が内設され、前記操作レバー6の初期位置からの回転角度を電気信号として検出するようになっている。この可変抵抗器12は、前面板11の前面側からナット13を締めることにより該前面板11の後面側に固着され、その回転軸14が前記前面板11の前方へ突出するようになっている。また、可変抵抗器12は、前記発射制御基板1に電気的に接続され、操作レバー6の初期位置からの回転角度を該発射制御基板1に電気信号として伝達するようになっている。
前記前面カバー5は略半球形の球面殻状に形成され、その後端縁の外周面には、前記操作レバー6を遊嵌させるための嵌合部15が形成される。また、該前面カバー5の後端部の内周面には、前記ハンドル基部4の各ボス9に相対位置するように三個のネジ受け突起16が後側へ突出するように設けられる。一方、前面カバー5の内周面の中心には、前記操作レバー6を前側から軸支するための支軸17が該前面カバー5の後側へ延びるように設けられる。
前記操作レバー6は合成樹脂材料により円環状に形成され、その外周面には三個の指掛部18が一体に設けられている。これら指掛部18は、人差指と中指と薬指とを添えられるような間隔になっている。また、操作レバー6の外周面は金属等の導電性材料が被着され、電気的な導通性を有するようになっている。一方、操作レバー6の前端部の内周面には、該操作レバー6の中心方向へ延びる二つの連結部19,19が設けられ、これら連結部19により円盤部20が支持されている。円盤部20の前面側の中央には、前方へ突出する筒状の前ハブ部21が一体に形成される。また、該円盤部20の前面には、該前ハブ部21から若干離れた位置にフック22が設けられている。さらに、円盤部20の後面側の中央には、後方へ突出する筒状の後ハブ部23が一体に形成される。
このような操作レバー6は、前記可変抵抗器12の回転軸14を前記後ハブ部23へ挿入させつつ、該操作レバー6の後端側の内周面を前記ハンドル基部4の嵌合部8へ遊嵌させることにより、該ハンドル基部4の前端縁外周部に回転自在に支持される。また、前記前面カバー5は、各ネジ受け突起16の先端部を前記ハンドル基部4のボス9へ其々嵌入させると共に、これらをビス24で螺締することにより、前記操作レバー6を挟んで前記ハンドル基部4の前端側に固着される。そして、前記前面カバー5の嵌合部15が前記操作レバー6の前端側の内周面に遊嵌すると共に、該前面カバー5の支軸17の先端部が前記前ハブ部21へ挿入され、前記操作レバー6が前側から支持される。
前記前ハブ部21の外周面には、コイルバネ25が嵌合される。このコイルバネ25の両端寄りは、該コイルバネ25の円筒部から其々外方へ所定長さで直線状に延ばされ、各先端部が鉤状に形成されている。そして、該コイルバネ25の一方の先端部は前記フック22に係止され、他方の先端部は前記前面カバー5の内周面にネジ止め固定される。こうして、コイルバネ25により、前記操作レバー6には、初期位置へ向かって反時計回りに常に付勢される復帰力が与えられる。
前記ハンドル基部4における拡径部4bの内側であって前記前面板11の前面には、プッシュボタン式の記憶操作スイッチ26がビス27,27,…,27により固着される。この記憶操作スイッチ26の押しボタン26aは、その先端が前記挿通孔7を介して拡径部4bの外側へ突出され、遊技者が遊技中に該押しボタン26aを押圧操作できるようになっている。また、記憶操作スイッチ26は、前記発射制御基板1に電気的に接続され、押しボタン26aの押圧操作の有無が電気信号として該発射制御基板1に伝達されるようになっている。この押しボタン26aの押圧操作により、該押しボタン26aが押圧されたときの操作レバー6の回転角度を打撃力Aとして後述する打撃力記憶手段31に記憶するようになっている。また、打撃力記憶手段31が打撃力を記憶しているときに該押しボタン26aが押圧操作されると、打撃力記憶手段31の記憶が解除されるようになっている。
押しボタン26aは透光性を有しており、その内部には発光ダイオード等からなるランプ26bが設けられる。そして、このランプ26bの点灯または消灯により、打撃力記憶手段31が操作レバー6の回転角度を記憶しているか否かを遊技者が確認し得るようになっている。なお、このランプ26bは、必ずしも押しボタン26aの内部に設ける必要はなく、遊技中に遊技者が視認し得る位置であれば、パチンコ遊技機のどの部位に設けられていても構わない。また、記憶操作スイッチ26の取着位置についても、必ずしもハンドル基部4の拡径部4bである必要はなく、遊技者が遊技中に操作できる位置であれば、打球力調整ハンドル2の外周面によらず、パチンコ遊技機のどの位置に設けられていても構わない。さらに、記憶操作スイッチ26は、必ずしもプッシュボタン式である必要はなく、遊技中に遊技者が操作したことを電気的に検出できるものであればよい。また、記憶操作スイッチ26とは別個に記憶解除スイッチ(図示せず)を設け、この記憶解除スイッチの操作により打撃力記憶手段31の記憶を解除させるようにしてもよい。
一方、前記ハンドル基部4における円筒部4aの内側であって前記前面板11の後面には、前記操作レバー6への遊技者の接触を検出するタッチセンサ28がビス29,29,…,29により固着される。このタッチセンサ28は、電導ケーブル(図示せず)により前記操作レバー6の外周面に接続され、該操作レバー6の外周面に遊技者が接触しているか否かを検知できるようになっている。また、タッチセンサ28は、前記発射制御基板1に電気的に接続され、操作レバー6への人体の接触の有無が該発射制御基板1に電気信号として伝達されるようになっている。
前記発射制御基板1は、図4に示したように、遊技球の打撃力を決定すると共に前記打球発射機構3に発射信号を送信する打球制御手段30と、記憶操作スイッチ26の押しボタン26aが押圧されたときの操作レバー6の回転角度に従った遊技球の打撃力を記憶する打撃力記憶手段31とを備えている。そして、発射制御基板1には、前記打球力調整ハンドル2の操作レバー6の回転角度を電気信号として検出する可変抵抗器12と、該操作レバー6の外周面に遊技者の手が接触しているか否かを電気信号として検知するタッチセンサ28と、該打球力調整ハンドル2に設けられ遊技者が遊技中に押圧操作する記憶操作スイッチ26とが接続される。発射制御基板1は、可変抵抗器12、タッチセンサ28、記憶操作スイッチ26の押しボタン26aから其々電気信号を受け取ると共に、該押しボタン26aの内部に設けたランプ26bに点灯消灯信号を送信するようになっている。また、発射制御基板1は、パチンコ遊技機の内部に設けられ遊技球を叩打して発射する打球発射機構3に作動信号を送信するようになっている。
以下、遊技球発射装置の発射制御基板1における遊技球発射処理について、図5乃至図8に示したフローチャート図に従って説明する。図5は、打球発射処理を示すフローチャート図である。発射制御基板1の打球制御手段30は、まず、打撃力記憶処理を実行する(S11)。この打撃力記憶処理では、記憶操作スイッチ26が押圧操作されたときの操作レバー6の回転角度に従った所定の打撃力を打撃力記憶手段31に記憶させる処理が行なわれる。次に、打球制御手段30は、打撃力設定処理を実行して遊技球を叩打する打撃力を設定すると共に(S12)、発射処理を実行して遊技球の打球発射機構3を作動させる(S13)。これにより、打撃力設定手段において設定された打撃力で打球発射機構3が遊技球を叩打する。すなわち、遊技球が発射される。この打球発射処理は、パチンコ遊技機の電源投入中に、例えば、4ミリ秒といった非常に短い時間間隔で繰り返し何度も呼び出されるようになっている。
図6は、打撃力記憶処理を詳細に示すフローチャート図である。この打撃力記憶処理において、打球制御手段30は、まず、ハンドル基部4に取着された記憶操作スイッチ26の押しボタン26aの押圧があったか否かの判定をする(S21)。押しボタン26aの押圧があったと判定された場合は(S21のY)、続いて、打撃力記憶手段31が打撃力Aを記憶している状態であるか否かの判定をする(S22)。ここで、打撃力記憶手段31が打撃力Aを記憶していないと判定された場合(S22のN)、打球制御手段30は、操作レバー6の現在の回転角度を可変抵抗器12の抵抗値に基づいて取得する(S23)。さらに、打球制御手段30は、取得した回転角度を遊技球の打撃力Aとして認識し(S24)、該打撃力Aを打撃力記憶手段31に記憶させる(S25)。これにより、打撃力記憶手段31が打撃力Aとして所定の値を記憶している状態となる。さらに、打球制御手段30は、打撃力記憶手段31が打撃力Aを記憶していることを表す打撃力記憶状態の表示用のランプ26bを点灯させる(S26)。そして、打撃力記憶処理を終了する。なお、操作レバー6の回転角度は可変抵抗器12の抵抗値として検出され、その抵抗値を打撃力として打撃力記憶手段31に記憶させることができるが、デジタル化された制御系においては、回転角度と打撃力との値を相互に変換するための換算式を使用したり、または、回転角度と打撃力との値の換算テーブルを使用するようにしてもよい。
一方、S22において、打撃力記憶手段31が打撃力Aを記憶していると判定された場合は(S22のY)、該打撃力記憶手段31に記憶されている打撃力Aの値をリセットして記憶が解除された状態に戻すクリア処理を行なう(S27)。具体的には、打撃力記憶手段31の打撃力Aが消去され、これをもって、該打撃力記憶手段31が打撃力を記憶していない状態とされる。そして、打撃力の記憶状態表示用のランプ26bを消灯させ(S28)、打撃力記憶処理を終了する。また、S21において、記憶操作スイッチ26の押しボタン26aの押圧が無かったと判定された場合は(S21のN)、上記S22からS28までの処理はすべてスキップされ、直ちに打撃力記憶処理を終了する。
図7は、打撃力設定処理を詳細に示すフローチャート図である。この打撃力設定処理において、打球制御手段30は、まず、操作レバー6の現在の回転角度を可変抵抗器12の抵抗値に基づいて取得する(S31)。さらに、打球制御手段30は、取得した回転角度をその回転角度に従った遊技球の打撃力Bとして認識する(S32)。次に、打球制御手段30は、打撃力記憶手段31が打撃力Aを記憶している状態であるか否かの判定をする(S33)。ここで、打撃力記憶手段31に打撃力Aが記憶されていると判定された場合(S33のY)、打球制御手段30は、該打撃力記憶手段31が記憶している打撃力Aを打球発射機構3へ送信する発射信号にセットする(S34)。そして、打撃力設定処理を終了する。一方、S33において、打撃力記憶手段31に打撃力Aが記憶されていないと判定された場合(S33のN)、打球制御手段30は、操作レバー6の現在の回転角度に従う打撃力である打撃力Bを打球発射機構3へ送信する発射信号にセットし(S35)、打撃力設定処理を終了する。
図8は、発射処理を詳細に示すフローチャート図である。この発射処理において、打球制御手段30は、まず、遊技者が操作レバー6に接触しているか否か、すなわち、遊技者が該操作レバー6を手で握っているか否かをタッチセンサ28からの信号の有無により判定する(S41)。タッチセンサ28からの信号があると判定された場合は(S41のY)、遊技者が操作レバー6を直接手で触れて操作していると判断され、上述した打撃力設定処理のS34またはS35にて設定された発射信号を打球発射機構3に送信する(S42)。これにより発射信号にセットされた打撃力で打球発射機構3が遊技球を発射する。そして、遊技球発射処理を終了する。一方、S41において、タッチセンサ28からの信号が無いと判定された場合は(S41のN)、遊技者が操作レバー6を手で触れていないと判断され、打球制御手段30は、遊技球の発射信号を打球発射機構3に送信することなく遊技球発射処理を終了する。すなわち、遊技球は発射されない。
本発明に係る遊技球発射装置は上述した構成からなり、通常は、打球力調整ハンドル2の操作レバー6が初期位置にあるとき、すなわち、該操作レバー6の回転角度が0度であるときに遊技球の打撃力が0となり該遊技球が発射されない状態となっている。そして、遊技者が操作レバー6を手で握ると、前記タッチセンサ28が遊技者の手の接触を検知すると共に、この検知信号が前記発射制御基板1に送信される。これにより、発射制御基板1の打球制御手段30は、操作レバー6が遊技者の手で操作されていると判断する。さらに、該操作レバー6をコイルバネ25の弾性力に抗して時計回りに回転させると、打球制御手段30は、その回転角度を可変抵抗器12の抵抗値に基づいて取得すると共に、該回転角度に従い遊技球の打撃力Bを決定する。そして、この打撃力Bを遊技球の発射信号にセットすると共に、該発射信号を打球発射機構3へ送信する。これにより、打球発射機構3が作動し、該打撃力Bで遊技球が発射されるようになっている。このときの、操作レバー6の回転角度と遊技球の打撃力との関係は、例えば、図9(a)に実線で示したように、操作レバーの回転角度の増加に従い打撃力が漸次増大するようになっている。
操作レバー6の回転操作中に前記記憶操作スイッチ26の押しボタン26aが押圧操作されると、そのときの該操作レバー6の回転角度(回転角度A)に従った打撃力Aが打撃力記憶手段31に記憶される。そして、これを表示する押しボタン26a内のランプ26bが点灯する。そうすると、操作レバー6が遊技者に握られていれば、打球制御手段30は、打撃力Aを発射信号にセットして打球発射機構3へ送信するようになる。このときの操作レバー6の回転角度と遊技球の打撃力との関係は、例えば、図9(b)に実線で示したようになっている。すなわち、操作レバー6の回転角度が何度であっても、遊技球の打撃力は一定であって打撃力Aとなっている。これにより、タッチセンサ28が操作レバー6への手の接触を検知していれば、操作レバー6を回転操作しなくても打撃力記憶手段31に記憶された一定の打撃力Aで遊技球が発射されるようになる。つまり、操作レバー6を初期位置に復帰させた状態で該操作レバー6に触れるだけで、所望の打撃力Aで遊技球を発射できる。従って、所定の打撃力で遊技球を発射するために操作レバー6をコイルバネ25の付勢に抗して一定の回転角度で保持する必要がなくなり、遊技者の手や腕にかかる筋力的負担を軽減することができる。よって、遊技の快適性を向上させることができる。また、タッチセンサ28が遊技者の接触を検知していないと遊技球が発射されないので、遊技者の手以外の器具等による操作レバー6の固定行為が防止される。
打撃力記憶手段31が記憶する打撃力の解除は、該打撃力記憶手段31が打撃力を記憶しているときに記憶操作スイッチ26の押しボタン26aを再度押圧操作することで行なえるようになっている。これにより、打撃力記憶手段31は打撃力を記憶していない状態に戻り、操作レバー6の回転角度と遊技球の打撃力との関係が図9(b)から図9(a)のような通常状態に復帰する。つまり、操作レバー6の回転角度に従った打撃力で遊技球を発射するといった通常の遊技球発射態様に戻すことができる。そして、打撃力記憶手段31の記憶状態を表示する押しボタン26a内のランプ26bが消灯される。したがって、打撃力記憶手段31に打撃力を記憶させる操作と、その記憶を解除する操作とが記憶操作スイッチ26の押圧という同一の操作に単純化される。これにより、遊技者は遊技球発射強度の調整に戸惑うことがなくなり、遊技に集中できるようになる。なお、再度の記憶操作スイッチ26の押圧により記憶の解除が行なわれず、この状態が所定時間経過した場合は、該記憶が自動的に解除されるようにすることが好ましい。これにより、遊技中の遊技者がいないことを検知し、そのような場合に打撃力記憶手段31の記憶をクリアすることができるようになる。
このように、本発明の第一実施形態では、操作レバー6の回転角度を可変抵抗器12の抵抗値として検出し、遊技中に遊技者が記憶操作スイッチ26を操作すると、そのときの操作レバー6の回転角度Aに従う打撃力Aが打撃力記憶手段31に記憶されるようになっている。そして、遊技者が操作レバー6に接触していることがタッチセンサ28により検知され、且つ、打撃力記憶手段31に打撃力Aが記憶されていると、その記憶されている打撃力Aで遊技球が発射されるようになっている。これにより、一旦、操作レバー6を適宜角度で回転させて遊技球の打撃力を調整すると共に、記憶操作スイッチ26を操作してそのときの打撃力を打撃力記憶手段31に記憶させれば、該操作レバー6を回転させなくとも、単に握るだけで所望の打撃力で遊技球が発射されるようになる。従って、操作レバー6を回転させる必要がなくなり、遊技者の腕や手にかかる筋力的な負担を軽減することができる。このため、疲労が蓄積されることを防止でき、長時間の遊技であっても快適に楽しめるようになる。
次に、本発明に係る遊技球発射装置の第二実施形態を説明する。第二実施形態の構成の多くは上述した第一実施形態と略同一であり、打球制御手段30による打撃力設定処理が相違している。従って、以下の説明では、同一の構成については同一の符号を付すと共に説明を省略し、相違する構成についてのみ説明する。図10は、第二実施形態における打撃力設定処理を詳細に示すフローチャート図である。
第二実施形態の打撃力設定処理において、打球制御手段30は、まず、操作レバー6の現在の回転角度を可変抵抗器12の抵抗値に基づいて取得する(S51)。さらに、打球制御手段30は、取得した回転角度をその回転角度に従った遊技球の打撃力Bとして認識する(S52)。次に、打球制御手段30は、打撃力記憶手段31が打撃力Aを記憶している状態であるか否かの判定をする(S53)。ここで、打撃力記憶手段31に打撃力Aが記憶されていると判定された場合は(S53のY)、続いて、上述の打撃力Bが、記憶されている打撃力Aよりも小さいか否かを判定する(S54)。そして、打撃力Bが打撃力Aよりも小さいと判定された場合(S54のY)、打球制御手段30は、該打撃力記憶手段31が記憶している打撃力Aを打球発射機構3へ送信する発射信号にセットする(S55)。そして、打撃力設定処理を終了する。
一方、S54において、現在の操作レバー6の回転角度に従う打撃力Bが、打撃力記憶手段31の記憶する打撃力A以上であると判定された場合は(S54のN)、該打撃力記憶手段31に記憶されている打撃力Aの値を消去するクリア処理を行なう(S56)。これにより、打撃力記憶手段31は、記憶が解除されて打撃力が記憶されていない状態に戻る。そして、打撃力の記憶状態表示用のランプ26bを消灯させる(S57)。さらに、打球制御手段30は、操作レバー6の現在の回転角度に従う打撃力である打撃力Bを打球発射機構3へ送信する発射信号にセットする(S57)。その後、打撃力設定処理を終了する。また、S53において、打撃力記憶手段31に打撃力Aが記憶されていないと判定された場合は(S52のN)、処理がS58に移行する。そして、操作レバー6の現在の回転角度に従う打撃力である打撃力Bを打球発射機構3へ送信する発射信号にセットし(S58)、打撃力設定処理を終了する。
第二実施形態の遊技球発射装置における打球制御手段30は、上述したような打撃力設定処理を実行し、常態においては、図9(a)に実線で示したように、打球力調整ハンドル2の操作レバー6が初期位置にあるとき、すなわち、該操作レバー6の回転角度が0度であるときに遊技球の打撃力が0となり、遊技球が発射されず、操作レバー6の回転角度を大きくするに従い打撃力Bが増大し、この打撃力Bで遊技球が発射されるようになっている。そして、記憶操作スイッチ26の押しボタン26aが押圧操作されるとそのときの該操作レバー6の回転角度(回転角度A)に従った打撃力Aが打撃力記憶手段31に記憶される。この記憶操作スイッチ26の操作により打撃力Aが打撃力記憶手段31に記憶されていると、打球制御手段30は、現在の操作レバー6の回転角度が上記回転角度Aよりも小さければ、言い換えると、操作レバー6の現在の回転角度に従う打撃力Bが上記打撃力Aよりも小さければ、打撃力Bに代わって打撃力Aを打球発射機構3への発射信号にセットするようになる。従って、操作レバー6の回転角度と遊技球の打撃力との関係は、例えば、図11に実線で示したようになる。すなわち、操作レバー6の回転角度が回転角度Aよりも小さければ、遊技球の打撃力は一定であって打撃力Aとなっている。これにより、タッチセンサ28が操作レバー6への手の接触を検知していれば、操作レバー6を回転操作しなくても打撃力Aで打球発射機構3から遊技球が発射されるようになる。すなわち、操作レバー6を初期位置に復帰させた状態であっても該操作レバー6に触れるだけで、所望の打撃力で遊技球を発射できる。
また、打撃力記憶手段31に打撃力Aを記憶させたときの操作レバー6の回転角度Aよりも該操作レバー6を大きく回転させると、言い換えれば、操作レバー6の回転角度に従う打撃力Bが打撃力記憶手段31に記憶された打撃力Aよりも大きくなるように該操作レバー6を回転させると、該打撃力記憶手段31の記憶が解除される。これにより、打撃力記憶手段31は打撃力を記憶していない状態に戻り、したがって、操作レバー6の回転角度と遊技球の打撃力との関係が図11から図9(a)のような通常状態に復帰する。つまり、操作レバー6の回転角度に従った打撃力で遊技球を発射するといった通常の遊技球発射態様に戻すことができる。
このように、本発明の第二実施形態では、操作レバー6を回転させ、その回転角度が打撃力記憶手段31に打撃力Aを記憶させたときの回転角度Aよりも大きくなった場合に、該打撃力記憶手段31の記憶が解除されるようになっている。すなわち、遊技球の発射強度の調整態様が、記憶させた所望の打撃力Aでの発射から操作レバーの回転角度に従う打撃力Bでの発射に復帰するようになっている。これにより、操作レバーの回転操作のみで、一定の強度の打撃力Aによる遊技球の発射から操作レバー6の回転角度に従った打撃力Bでの遊技球の発射へ簡単に切り替えられるようになり、遊技球の発射強度調整の利便性や快適性が向上する。
次に、本発明に係る遊技球発射装置の第三実施形態を説明する。第三実施形態の構成の多くは上述した第一実施形態と略同一であり、打球制御手段30による打撃力設定処理が相違している。従って、以下の説明では、同一の構成については同一の符号を付すと共に説明を省略し、相違する構成についてのみ説明する。図12は、第三実施形態における打撃力設定処理を詳細に示すフローチャート図である。
第三実施形態の打撃力設定処理において、打球制御手段30は、まず、操作レバー6の現在の回転角度を可変抵抗器12の抵抗値に基づいて取得する(S61)。さらに、打球制御手段30は、取得した回転角度をその回転角度に従う遊技球の打撃力Bとして認識する(S62)。次に、打球制御手段30は、記憶操作スイッチ26の押しボタン26aの押圧で打撃力記憶手段31が打撃力Aを記憶している状態となっているか否かの判定をする(S63)。ここで、打撃力記憶手段31が打撃力Aを記憶していると判定された場合は(S63のY)、続いて、操作レバー6の現在の回転角度に従う打撃力Bが、打撃力記憶手段31が記憶している打撃力Aよりも小さいか否かを判定する(S64)。そして、打撃力Bが打撃力Aよりも小さいと判定された場合(S64のY)、打球制御手段30は、打撃力記憶手段31が記憶している打撃力Aを打球発射機構3へ送信する発射信号にセットする(S65)。そして、打撃力設定処理を終了する。
一方、S64において、操作レバー6の現在の回転角度に従う打撃力Bが、打撃力記憶手段31の記憶する打撃力A以上であると判定された場合は(S64のN)、改めて打撃力Cを決定する処理を実行する(S66)。この打撃力Cの決定処理では、例えば、記憶操作スイッチ26の押しボタン26aの押圧で打撃力記憶手段31が打撃力Aを記憶したときにおける操作レバー6の回転角度(回転角度A)において打撃力が0となり、それを超えて該操作レバー6をさらに回転するに従い打撃力が増大するような設定で該打撃力Cを決定する。そして、この打撃力Cを打球発射機構3へ送信する発射信号にセットし(S67)、打撃力設定処理を終了する。また、S63において、打撃力記憶手段31に打撃力Aが記憶されていないと判定された場合は(S63のN)、操作レバー6の現在の回転角度に従う打撃力である打撃力Bを打球発射機構3へ送信する発射信号にセットし(S68)、打撃力設定処理を終了する。
第三実施形態の遊技球発射装置における打球制御手段30は、上述したような打撃力設定処理を実行し、常態においては、図9(a)に実線で示したように、打球力調整ハンドル2の操作レバー6が初期位置にあるとき、すなわち、該操作レバー6の回転角度が0度であるときに遊技球の打撃力が0となり、遊技球が発射されず、操作レバー6の回転角度を大きくするに従い打撃力Bが増大し、この打撃力Bで遊技球が発射されるようになっている。そして、記憶操作スイッチ26の押しボタン26aが押圧操作されるとそのときの該操作レバー6の回転角度(回転角度A)に従った打撃力Aが打撃力記憶手段31に記憶される。この記憶操作スイッチ26の操作により打撃力Aが打撃力記憶手段31に記憶されていると、打球制御手段30は、現在の操作レバー6の回転角度が上記回転角度Aよりも小さければ、言い換えると、現在の操作レバー6の回転角度に従う打撃力Bが上記打撃力Aよりも小さければ、打撃力Bに代わって打撃力Aを打球発射機構3への発射信号にセットするようになる。これにより、タッチセンサ28が操作レバー6への手の接触を検知していれば、操作レバー6を回転操作しなくても打撃力Aで打球発射機構3から遊技球が発射される。すなわち、操作レバー6を初期位置に復帰させた状態であっても該操作レバー6に触れるだけで、所望の打撃力で遊技球を発射できる。
また、打撃力Aを打撃力記憶手段31に記憶させたときの操作レバー6の回転角度(回転角度A)以上に現在の操作レバー6の回転角度を大きくすると、打球制御手段30は、上述した打撃力Cの決定処理を実行すると共に、この打撃力Cを打球発射機構3への発射信号にセットするようになる。従って、第三実施形態における操作レバー6の回転角度と遊技球の打撃力との関係は、例えば、図13に実線で示したようになる。すなわち、現在の操作レバー6の回転角度が回転角度Aよりも小さいときは、打撃力Aで遊技球が発射され、一方、現在の操作レバー6の回転角度が回転角度A以上になると、該回転角度Aを超えたその回転角度に従って増大する打撃力Cで遊技球が発射される。従って、打撃力記憶手段31に記憶させた打撃力Aによる遊技球の発射と、操作レバー6の回転角度に従う打撃力Cによる遊技球の発射とを両立させた状態で遊技球の発射強度調整ができるようになる。
このように、本発明の第三実施形態では、現在の操作レバー6の回転角度が打撃力記憶手段31に打撃力Aを記憶させたときの操作レバー6の回転角度Aよりも小さいときは、遊技者の接触をタッチセンサ28が検知しているだけで該打撃力記憶手段31に記憶されている打撃力Aで遊技球が発射されるようになっている。一方、現在の操作レバー6の回転角度が打撃力記憶手段31に打撃力Aを記憶させたときの操作レバー6の回転角度Aよりも大きいときは、該操作レバー6の回転角度を増加させるに従って打撃力が漸次増大するようになっている。従って、打撃力記憶手段31に記憶させた所定の打撃力Aにおける遊技球の発射と、操作レバー6の回転角度で変化する打撃力Cでの遊技球の発射とを両立させた状態で遊技球の発射強度調整ができるようになり、これにより、遊技球の発射強度調整の利便性を向上させることができる。
次に、本発明に係る遊技球発射装置の第四実施形態を説明する。第四実施形態の構成の多くは上述した第一実施形態と略同一であり、打球制御手段30による打撃力設定処理が相違している。従って、以下の説明では、同一の構成については同一の符号を付すと共に説明を省略し、相違する構成についてのみ説明する。図14は、第四実施形態における打撃力設定処理を詳細に示すフローチャート図である。
第四実施形態の打撃力設定処理において、打球制御手段30は、まず、操作レバー6の現在の回転角度を可変抵抗器12の抵抗値に基づいて取得する(S71)。さらに、打球制御手段30は、取得した回転角度をその回転角度に従う遊技球の打撃力Bとして認識する(S72)。次に、打球制御手段30は、記憶操作スイッチ26の押しボタン26aの押圧で打撃力記憶手段31が打撃力Aを記憶している状態となっているか否かの判定をする(S73)。ここで、打撃力記憶手段31が打撃力Aを記憶していると判定された場合は(S73のY)、続いて、操作レバー6の現在の回転位置が初期位置になっているか否か、すなわち該操作レバー6の現在の回転角度が0度であるか否かを判定する(S74)。そして、操作レバー6の回転位置が初期位置であると判定された場合(S74のY)、打球制御手段30は、打撃力記憶手段31が記憶している打撃力Aを打球発射機構3へ送信する発射信号にセットする(S75)。そして、打撃力設定処理を終了する。
一方、S74において、操作レバー6の回転位置が初期位置でないと判定された場合は(S74のN)、該操作レバー6が回転されていると判断され、続いて、その回転角度に従う打撃力Bが、打撃力記憶手段31が記憶している打撃力Aよりも小さいか否かを判定する(S76)。そして、打撃力Bが打撃力Aよりも小さいと判定された場合(S76のY)、すなわち、操作レバー6の現在の回転角度が回転角度Aよりも小さい場合、打球制御手段30は、その回転角度から改めて打撃力Dを決定する処理を実行する(S77)。この打撃力Dの決定処理では、例えば、操作レバー6の回転角度がその初期位置から増加していくに伴って打撃力が打撃力Aから漸次減少していき、記憶操作スイッチ26の押しボタン26aを押圧したときの操作レバー6の回転角度(回転角度A)において打撃力が0となるようにする。そして、この打撃力Dを打球発射機構3へ送信する発射信号にセットし(S78)、打撃力設定処理を終了する。
一方、S76において、操作レバー6の現在の回転角度に従う打撃力Bが、打撃力記憶手段31の記憶する打撃力A以上であると判定された場合(S76のN)、すなわち、操作レバー6の現在の回転角度が回転角度A以上である場合、打球制御手段30は、その回転角度から改めて打撃力Eを決定する処理を実行する(S79)。この打撃力Eの決定処理では、例えば、記憶操作スイッチ26の押しボタン26aを押圧したときの操作レバー6の回転角度(回転角度A)において打撃力が0であって、そこから該操作レバー6をさらに回転させるに伴って打撃力が漸次増大するようにする。そして、この打撃力Eを打球発射機構3へ送信する発射信号にセットし(S80)、打撃力設定処理を終了する。また、S73において、打撃力記憶手段31に打撃力Aが記憶されていないと判定された場合(S73のN)、打球制御手段30は、操作レバー6の現在の回転角度に従う打撃力である打撃力Bを打球発射機構3へ送信する発射信号にセットし(S81)、打撃力設定処理を終了する。
第四実施形態の遊技球発射装置における打球制御手段30は、上述したような打撃力設定処理を実行し、常態においては、図9(a)に実線で示したように、打球力調整ハンドル2の操作レバー6が初期位置にあるとき、すなわち、該操作レバー6の回転角度が0度であるときに遊技球の打撃力が0となり、遊技球が発射されず、操作レバー6の回転角度を大きくするに従い打撃力Bが増大し、この打撃力Bで遊技球が発射されるようになっている。そして、記憶操作スイッチ26の押しボタン26aが押圧操作されるとそのときの該操作レバー6の回転角度(回転角度A)に従った打撃力Aが打撃力記憶手段31に記憶される。この記憶操作スイッチ26の操作により打撃力Aが打撃力記憶手段31に記憶されていると、打球制御手段30は、操作レバー6の回転角度が初期位置にあるとき、すなわち、操作レバー6の回転角度が0度であるときに上記打撃力Aを打球発射機構3への発射信号にセットする。これにより、タッチセンサ28が操作レバー6への手の接触を検知していれば、操作レバー6を回転操作しなくても打撃力Aで打球発射機構3から遊技球が発射されるようになる。すなわち、操作レバー6を初期位置に復帰させた状態であっても該操作レバー6に触れるだけで、所望の打撃力で遊技球を発射できる。
また、操作レバー6を回転させると、打球制御手段30は、その回転角度が打撃力記憶手段31に打撃力Aを記憶させたときの回転角度(回転角度A)よりも小さいか又はそれ以上かによって、上述した打撃力D又は打撃力Eの決定処理を実行すると共に、決定された打撃力を打球発射機構3への発射信号にセットする。従って、第四実施形態における操作レバー6の回転角度と遊技球の打撃力との関係は、例えば、図15に実線で示したようになっている。すなわち、現在の操作レバー6の回転角度が回転角度Aよりも小さいときは、該操作レバー6の回転角度の増加に伴って打撃力が減少していき、操作レバー6の回転角度が回転角度Aになると打撃力が0となり、また、操作レバー6の回転角度が回転角度Aを超えると、該回転角度Aを超えたその回転角度の増加に伴って打撃力が増大するようになっている。従って、打撃力記憶手段31に記憶させた打撃力Aによる遊技球の発射と、操作レバー6の回転角度に伴って変化する打撃力による遊技球の発射とを両立させた状態で遊技球の発射強度調整ができるようになる。
このように、本発明の第四実施形態では、操作レバー6が回転操作されていないときは、タッチセンサ28が遊技者の接触を検知しているだけで打撃力記憶手段31に記憶されている打撃力Aで遊技球が発射される。また、操作レバー6が回転操作され、且つ、タッチセンサ28が遊技者の接触を検知しているときは、該操作レバー6の現在の回転角度で変化する打撃力Dまたは打撃力Eで遊技球が発射される。すなわち、操作レバー6の現在の回転角度が打撃力記憶手段31に打撃力Aを記憶させたときの回転角度Aよりも小さいときは、その回転角度が増加するに従って打撃力が漸次減少するようになり、一方、操作レバー6の現在の回転角度が該回転角度Aよりも大きいときは、その回転角度が増加するに従って打撃力が漸次増大するようになっている。従って、打撃力記憶手段31に記憶させた所定の打撃力Aにおける遊技球の発射と、操作レバー6の回転角度に伴って減少する打撃力Dまたは増大する打撃力Eでの遊技球の発射とが両立され、これにより、遊技球の発射強度調整の利便性を向上させることができる。