JP2011014594A - フレキシブルプリント基板接合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】配線部、および上記配線部上に形成され金を主成分とする金属パッド部を有する接続領域を備える第一フレキシブルプリント基板と、第二フレキシブルプリント基板を準備するフレキシブルプリント基板準備工程と、上記金属パッド部の少なくとも一方に含まれる金属結晶のサイズを粗大化させる結晶粗大化処理を行う結晶粗大化工程と、上記結晶粗大化工程後に、上記金属パッド部を密着させ、超音波接合により、両者を拡散接合させる拡散接合工程と、を有することを特徴とするフレキシブルプリント基板接合体の製造方法を提供すること。
【選択図】図1
Description
本発明のフレキシブルプリント基板接合体の製造方法は、第一配線部、および上記第一配線部上に形成され金を主成分とする第一金属パッド部を有する接続領域を備える第一フレキシブルプリント基板と、第二配線部、および上記第二配線部上に形成され金を主成分とする第二金属パッド部を有する接続領域を備える第二フレキシブルプリント基板とを準備するフレキシブルプリント基板準備工程と、上記第一金属パッド部および上記第二金属パッド部の少なくとも一方に含まれる金属結晶のサイズを粗大化させる結晶粗大化処理を行う結晶粗大化工程と、上記結晶粗大化工程後に、上記第一金属パッド部および上記第二金属パッド部を密着させ、超音波接合により、両者を拡散接合させる拡散接合工程と、を有することを特徴とするものである。
以下、本発明のフレキシブルプリント基板接合体の製造方法について、工程毎に説明する。
まず、本発明におけるフレキシブルプリント基板準備工程について説明する。本工程は、第一配線部、および上記第一配線部上に形成され金を主成分とする第一金属パッド部を有する接続領域を備える第一フレキシブルプリント基板と、第二配線部、および上記第二配線部上に形成され金を主成分とする第二金属パッド部を有する接続領域を備える第二フレキシブルプリント基板とを準備する工程である。
接続領域における配線部は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。配線部の材料としては、例えば銅(Cu)等を挙げることができる。また、配線部の厚さとしては、フレキシブルプリント基板の種類によって異なるものであるが、通常6μm〜18μmの範囲内であり、中でも8μm〜12μmの範囲内であることが好ましい。
接続領域における金属パッド部は、上記配線部上に形成され、金を主成分とするものである。ここで、金を主成分とするとは、金属パッド部の組成において、金(Au)の割合が最も多いことをいう。すなわち、金属パッド部は、Au単体からなるものであっても良く、Auを主成分とする合金からなるものであっても良い。Auを主成分とする合金としては、例えばAu−Pd合金を挙げることができる。Au−Pd合金は金属表面が酸化、腐食し難く、接合し易いという利点を有する。
本発明におけるフレキシブルプリント基板は、上述した配線部および金属パッド部を有する接続領域を備えるものであれば特に限定されるものではなく、任意のフレキシブルプリント基板を組合せることができる。具体的には、サスペンション用基板、中継基板および半導体用パッケージ基板等を挙げることができる。
本発明におけるフレキシブルプリント基板の一例としては、サスペンション用基板を挙げることができる。本発明におけるサスペンション用基板は、適度なばね性を有する基板である。サスペンション用基板の具体例としては、HDDに用いられ、磁気ヘッド等の素子を実装するものを挙げることができる。
本発明におけるフレキシブルプリント基板の他の例としては、中継基板を挙げることができる。本発明における中継基板(一方のフレキシブルプリント基板)は、他方のフレキシブルプリント基板と、その他の部材との電気的接続を中継するための基板である。中継基板の具体例としては、上述したHDDに用いられるサスペンション用基板と、マザーボードとの電気的接続を中継するマザーボード接続用中継基板を挙げることができる。特に、本発明においては、一方のフレキシブルプリント基板(第一フレキシブルプリント基板)がサスペンション用基板であり、他方のフレキシブルプリント基板(第二フレキシブルプリント基板)が中継基板であることが好ましい。また、本発明においては、第一フレキシブルプリント基板および第二のフレキシブルプリント基板の両方が、中継基板であっても良い。
次に、本発明における結晶粗大化工程について説明する。本工程は、上記第一金属パッド部および上記第二金属パッド部の少なくとも一方に含まれる金属結晶のサイズを粗大化させる結晶粗大化処理を行う工程である。
結晶粗大化処理が加熱処理である場合、熱により金属パッド部に含まれる金属結晶を再結晶化することで、容易に結晶の粗大化が生じる。加熱温度は、180℃以上であることが好ましく、190℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。加熱温度が低すぎると、充分に金属結晶が粗大化しない可能性や金属結晶の粗大化に多くの時間を必要とするという可能性があるからである。一方、加熱温度は、240℃以下であることが好ましく、230℃以下であることがより好ましく、220℃以下であることがさらに好ましい。加熱温度が高すぎると、フレキシブルプリント基板が熱収縮し、寸法精度が損なわれる可能性があるからである。特に、フレキシブルプリント基板の絶縁層が、ポリイミド等の樹脂である場合は、熱収縮が顕著に生じる。さらに、加熱温度が高すぎると、金属パッド部の接合面まで、配線部の材料(例えばCu)や下地層の材料(例えばNi)が拡散し、接合強度が低下する問題が生じる可能性がある。
結晶粗大化処理がめっき処理である場合、金属パッド部に含まれる金属結晶の表面にさらに金属元素が堆積することで、容易に結晶の粗大化が生じる。金属パッド部がAuめっきである場合の結晶粗大化の一例としては、無光沢タイプのAuめっき液を用いた電解Auめっきの際に電流密度を調整する方法を挙げることができる。
次に、本発明における拡散接合工程について説明する。本工程は、上記結晶粗大化工程後に、上記第一金属パッド部および上記第二金属パッド部を密着させ、超音波接合により、両者を拡散接合させる工程である。
次に、本発明のフレキシブルプリント基板の製造方法について説明する。本発明のフレキシブルプリント基板の製造方法は、配線部、および上記配線部上に形成され金を主成分とする金属パッド部を有する接続領域を備える結晶粗大化前フレキシブルプリント基板を準備する結晶粗大化前フレキシブルプリント基板準備工程と、上記金属パッド部に含まれる金属結晶のサイズを粗大化させる結晶粗大化処理を行う結晶粗大化工程と、を有することを特徴とするものである。
次に、本発明のフレキシブルプリント基板接合体について説明する。本発明のフレキシブルプリント基板接合体は、第一配線部、および上記第一配線部上に形成され金を主成分とする第一金属パッド部を有する接続領域を備える第一フレキシブルプリント基板と、第二配線部、および上記第二配線部上に形成され金を主成分とする第二金属パッド部を有する接続領域を備える第二フレキシブルプリント基板とを有し、上記第一金属パッド部および上記第二金属パッド部が、拡散接合により接合されており、かつ、接合された金属パッド部に含まれる金属結晶のサイズが1.2μm以上の大きさであることを特徴とするものである。
次に、本発明のフレキシブルプリント基板について説明する。本発明のフレキシブルプリント基板は、配線部、および上記配線部上に形成され金を主成分とする金属パッド部を有する接続領域を備えるフレキシブルプリント基板であって、上記金属パッド部に含まれる金属結晶のサイズが1.2μm以上の大きさであることを特徴とするものである。
[製造例]
(第一フレキシブルプリント基板10の作製)
図1(a)に示す第一フレキシブルプリント基板10を作製した。まず、図5に示す3層材を用意した。ここで、支持基板61は厚さ20μmのSUS304であり、絶縁層62は厚さ10μmのポリイミド層であり、導電層63は厚さ12μmの電解銅箔である。次に、この部材に化学エッチングを行い、金属パッド部を形成する前の第一フレキシブルプリント基板10を得た。
第一フレキシブルプリント基板10の作製時と同様の3層材を用い、同様の方法により、第二フレキシブルプリント基板20を得た。なお、Auめっきからなる第二金属パッド部15の厚さは1.0μmとした。
製造例で得られた第一フレキシブルプリント基板10および第二フレキシブルプリント基板20の両者を、150℃60分の条件で加熱した。加熱はバッチ式オーブンにより行った。その後、冷却することで、結晶を粗大化させたフレキシブルプリント基板を得た。次に、第一フレキシブルプリント基板10と、第二フレキシブルプリント基板20とを超音波接合により接合した。超音波接合は、図1(b)に示すように、接合側第一金属パッド部5aと、第二金属パッド部15とを密着させ、超音波接合ツール30を圧着させることにより行った。この時、超音波振動の周波数は120kHzであった。これにより、フレキシブルプリント基板接合体を得た。
加熱処理の条件を、180℃60分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント基板接合体を得た。
加熱処理の条件を、210℃60分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント基板接合体を得た。
加熱処理の条件を、240℃60分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント基板接合体を得た。
加熱処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント基板接合体を得た。
加熱処理の条件を、210℃15分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント基板接合体を得た。
加熱処理の条件を、210℃30分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント基板接合体を得た。
加熱処理の条件を、240℃15分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント基板接合体を得た。
加熱処理の条件を、240℃30分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント基板接合体を得た。
(1)金属結晶のサイズの測定
実施例1〜4および比較例1で得られたフレキシブルプリント基板接合体の接合部分の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した。そのSEM写真を図9〜図11に示す。また、得られたSEM写真を用いて、金属結晶のサイズを測定した。なお、この測定方法については上述した通りである。その結果を図12に示す。図12に示されるように、加熱処理により、実施例1〜4において金属結晶のサイズが粗大化することが確認された。
製造例で得られた第一フレキシブルプリント基板を用いて、第一金属パッド部のビッカース硬度の経時変化を測定した。加熱温度は、上述した実施例1〜4と同様に、それぞれ150℃、180℃、210℃、240℃とした。また、測定には市販の測定機器を用い、荷重10g、負荷速度10μm/秒の条件で測定した。その結果を図13に示す。図13に示されるように、加熱処理により、金属パッド部のビッカース硬度が低下することが確認された。なお、加熱処理の前の金属パッド部のビッカース硬度は90Hvであった。
実施例1〜4および比較例1で得られたフレキシブルプリント基板接合体の接合部分の接合強度を測定した。具体的には、市販の測定装置を用い、第二フレキシブルプリント基板20から第一フレキシブルプリント基板10を引き剥がす時のピール強度を測定した。ピール方向は、90°上方とし、ピール速度50mm/分とした。その結果を図14に示す。図14に示すように、比較例1に比べて、接合強度は、実施例1では8.3%向上し、実施例2では16.7%向上し、実施例3では66.7%向上し、実施例4では83.3%向上することが確認された。
実施例1〜4において、加熱処理後、超音波接合前の第一フレキシブルプリント基板10を用いて、第一金属パッド部の表面元素分析を行った。表面元素分析はオージェ電子分光法により行った。その結果を表1に示す。
図15に示す試験片90を作製した。まず、実施例1と同様の3層材を用意し、実施例1と同様の方法により、導電層63の表面に、Auめっきからなる金属パッド部64を形成し、試験片90(初期試験片)を得た。次に、初期試験片を、実施例3と同様の210℃60分の条件で加熱処理を行った。これにより、加熱後試験片を得た。次に、加熱後試験片を、温度85℃、湿度85RH%の条件下に168時間静置させた。これにより、耐久後試験片を得た。
2、12 … 絶縁部
3… 第一配線部
4… カバー部
5… 第一金属パッド部
5a… 接合側第一金属パッド部
5b… 非接合側第一金属パッド部
10… 第一フレキシブルプリント基板
13… 第二配線部
14… 絶縁部
15… 第二金属パッド部
20… 第二フレキシブルプリント基板
30… 超音波接合ツール
Claims (18)
- 第一配線部、および前記第一配線部上に形成され金を主成分とする第一金属パッド部を有する接続領域を備える第一フレキシブルプリント基板と、第二配線部、および前記第二配線部上に形成され金を主成分とする第二金属パッド部を有する接続領域を備える第二フレキシブルプリント基板とを準備するフレキシブルプリント基板準備工程と、
前記第一金属パッド部および前記第二金属パッド部の少なくとも一方に含まれる金属結晶のサイズを粗大化させる結晶粗大化処理を行う結晶粗大化工程と、
前記結晶粗大化工程後に、前記第一金属パッド部および前記第二金属パッド部を密着させ、超音波接合により、両者を拡散接合させる拡散接合工程と、
を有することを特徴とするフレキシブルプリント基板接合体の製造方法。 - 前記第一配線部および前記第一金属パッド部の間、ならびに、前記第二配線部および前記第二金属パッド部の間の少なくとも一方に、下地層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板接合体の製造方法。
- 前記結晶粗大化処理により、前記金属結晶のサイズを1.2μm以上の大きさまで粗大化させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフレキシブルプリント基板接合体の製造方法。
- 前記結晶粗大化処理により、前記第一金属パッド部および前記第二金属パッド部の少なくとも一方の硬度を、ビッカース硬度(HV)で80以下まで低下させることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のフレキシブルプリント基板接合体の製造方法。
- 前記結晶粗大化処理が、加熱処理であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のフレキシブルプリント基板接合体の製造方法。
- 前記加熱処理の温度が、180℃〜240℃の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のフレキシブルプリント基板接合体の製造方法。
- 前記結晶粗大化処理が、めっき処理であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のフレキシブルプリント基板接合体の製造方法。
- 前記第一フレキシブルプリント基板がサスペンション用基板であり、前記第二フレキシブルプリント基板が中継基板であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のフレキシブルプリント基板接合体の製造方法。
- 配線部、および前記配線部上に形成され金を主成分とする金属パッド部を有する接続領域を備える結晶粗大化前フレキシブルプリント基板を準備する結晶粗大化前フレキシブルプリント基板準備工程と、
前記金属パッド部に含まれる金属結晶のサイズを粗大化させる結晶粗大化処理を行う結晶粗大化工程と、
を有することを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。 - 前記配線部および前記金属パッド部の間に、下地層が形成されていることを特徴とする請求項9に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
- 前記結晶粗大化処理により、前記金属結晶のサイズを1.2μm以上の大きさまで粗大化させることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
- 前記結晶粗大化処理により、前記金属パッド部の硬度を、ビッカース硬度(HV)で80以下まで低下させることを特徴とする請求項9から請求項11までのいずれかの請求項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
- 前記結晶粗大化処理が、加熱処理であることを特徴とする請求項9から請求項12までのいずれかの請求項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
- 前記加熱処理の温度が、180℃〜240℃の範囲内であることを特徴とする請求項13に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
- 前記結晶粗大化処理が、めっき処理であることを特徴とする請求項9から請求項12までのいずれかの請求項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
- 前記フレキシブルプリント基板がサスペンション用基板であることを特徴とする請求項9から請求項15までのいずれかの請求項に記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
- 第一配線部、および前記第一配線部上に形成され金を主成分とする第一金属パッド部を有する接続領域を備える第一フレキシブルプリント基板と、
第二配線部、および前記第二配線部上に形成され金を主成分とする第二金属パッド部を有する接続領域を備える第二フレキシブルプリント基板とを有し、
前記第一金属パッド部および前記第二金属パッド部が、拡散接合により接合されており、かつ、接合された金属パッド部に含まれる金属結晶のサイズが1.2μm以上の大きさであることを特徴とするフレキシブルプリント基板接合体。 - 配線部、および前記配線部上に形成され金を主成分とする金属パッド部を有する接続領域を備えるフレキシブルプリント基板であって、
前記金属パッド部に含まれる金属結晶のサイズが1.2μm以上の大きさであることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
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