JP2006063399A - 耐半田性金組成物およびその応用 - Google Patents

耐半田性金組成物およびその応用 Download PDF

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Abstract

【課題】 良好な導電性を有し、しかも、半田による変質がないまたは少ない耐半田性金組成物およびその応用を提供する。
【解決手段】 本発明の耐半田性金組成物は、金またはその合金中に、ケイ素および/またはゲルマニウムが含有されてなり、金とケイ素およびゲルマニウムの合計との割合が、原子数比で97:3〜70:30である。本発明の導電性粒子は、磁性を示す芯粒子の表面に、上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜が形成されてなる。本発明の異方導電性シートは、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる異方導電性シートにおいて、前記導電路形成部の各々は、弾性高分子物質中に、上記の導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐半田性金組成物およびその応用に関し、更に詳しくは、PbやSnを含む半田に対して耐性を有する耐半田性金組成物、この耐半田性金組成物よりなる導電性被膜およびその他の応用に関する。
例えば、半導体素子等の電子部品や、多数の集積回路が形成されたウエハなどの回路装置の電気的検査においては、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置された多数の検査電極を有するプローブカードが用いられている。かかるプローブカードとしては、従来、ピンまたはブレードよりなる接触子が配列されてなるものが使用されている。
然るに、検査対象である回路装置が多数の被検査電極を有するものである場合において、当該回路装置を検査するためのプローブカードを作製する場合には、多数の検査電極を配列することが必要となるので、当該プローブカードは極めて高価なものとなる。また、検査対象である回路装置が小さいピッチで配置された多数の被検査電極を有するものである場合には、プローブカードを作製すること自体が困難となる。更に、検査対象である回路装置が例えば多数の集積回路が形成されたウエハである場合には、当該ウエハには、一般に反りが生じており、その反りの状態も製品(ウエハ)毎に異なるため、当該ウエハにおける多数の被検査電極に対して、プローブカードの検査電極の各々を安定にかつ確実に接触させることは実際上困難である。
以上のような理由から、近年、多数の被検査電極が形成された回路装置を検査するためのプローブカードとして、表面に被検査電極のパターンに対応するパターンに従って複数の検査電極が形成された検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面上に配置された異方導電性シートとからなるプローブカード(例えば特許文献1参照。)や、検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面上に配置された異方導電性シートと、この異方導電性シート上に配置された、柔軟な絶縁膜にその厚み方向に貫通して伸びる複数の複合電極体が配列されてなるシート状プローブとからなるプローブカード(例えば特許文献2参照。)が提案されている。前者のプローブカードにおいては、異方導電性シートが被検査電極に接触する接触子とされ、後者のプローブカードにおいては、シート状プローブが被検査電極に接触する接触子とされている。
これらのプローブカードにおける異方導電性シートとしては、厚み方向にのみ導電性を示すもの、または厚み方向に加圧されたときに厚み方向にのみ導電性を示す加圧導電性導電部を有するものであり、かかる異方導電性シートとしては、種々の構造のものが知られており、例えば特許文献3等には、磁性を示す導電性粒子をエラストマー中に均一に分散して得られる異方導電性シート(以下、これを「分散型異方導電性シート」という。)が開示され、また、特許文献4等には、磁性を示す導電性粒子をエラストマー中に不均一に分布させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電路形成部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなる異方導電性シート(以下、これを「偏在型異方導電性シート」という。)が開示され、更に、特許文献5等には、導電路形成部の表面と絶縁部との間に段差が形成された偏在型異方導電性シートが開示されている。
これらの異方導電性シートにおいては、導電性粒子として、酸化による変質が少なく、高い導電性が得られる点で、強磁性体よりなる芯粒子の表面に金よりなる被膜が形成されてなるものが好ましく用いられている。
また、シート状プローブとしては、酸化による変質が少なく、高い導電性が得られる点で、複合電極体における表面電極の表面に金よりなる被膜を有するものが好ましく用いられている。
一方、検査対象である回路装置においては、半田よりなる半球状の電極が形成されてなるものが知られている。
しかしながら、このような半田よりなる被検査電極を有する回路装置の電気的検査において、上記のプローブカードを用いる場合には、以下のような問題がある。
接触子として異方導電性シートを具えたプローブカードにおいては、半田よりなる被検査電極を有する回路装置のプローブ試験に多数回にわたって繰り返し使用した場合、或いは、当該回路装置のバーンイン試験に繰り返して使用した場合には、被検査電極を構成する半田物質例えばPbやSnが、異方導電性シートの表面に付着し、更には、導電性粒子における被膜中に移行することによって当該被膜が変質する結果、所要の導電性を維持することが困難となる。
また、接触子としてシート状プローブを具えたプローブカードにおいては、半田よりなる被検査電極を有する回路装置のプローブ試験に多数回にわたって繰り返し使用した場合や、バーンイン試験に繰り返して使用した場合には、被検査電極を構成する半田物質例えばPbやSnが、表面電極に付着し、更には、当該表面電極における被膜中に移行することによって当該被膜が変質する結果、被膜の導電性が著しく低下して所要の導電性を維持することが困難となる。
このように被膜の導電性が著しく低下するのは、半田を構成するPbおよびSnは、被膜を形成する金と合金化しやすいものである反面、偏晶しやすいものであるためと考えられる。
特開2002−203879号公報 特開平7−231019号公報 特開昭51−93393号公報 特開昭53−147772号公報 特開昭61−250906号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的は、良好な導電性を有し、しかも、半田による変質がないまたは少ない耐半田性金組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、良好な導電性を有し、しかも、半田による変質がないまたは少ない導電性被膜を提供することにある。
本発明の第3の目的は、良好な導電性を有し、しかも、半田による変質がないまたは少ない導電性粒子を提供することにある。
本発明の第4の目的は、良好な導電性を有し、しかも、半田による変質がないまたは少ない導電性材料が得られる導電性ペースト組成物を提供することにある。
本発明の第5の目的は、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、良好な導電性が安定に維持される異方導電性シートを提供することにある。
本発明の第6の目的は、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、良好な導電性が安定に維持される電極を提供することにある。
本発明の第7の目的は、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる被検査電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、良好な導電性が安定に維持されるシート状プローブを提供することにある。
本発明の第8の目的は、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる被検査電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、良好な導電性が安定に維持されるプローブカードを提供することにある。
本発明の第9の目的は、半田よりなる被検査電極を有する回路装置に対しても、信頼性の高い電気的検査を長期間にわたって実行することができる回路装置の検査装置を提供することにある。
本発明の耐半田性金組成物は、金またはその合金中に、ケイ素および/またはゲルマニウムが含有されてなり、金とケイ素およびゲルマニウムの合計との割合が、原子数比で97:3〜70:30であることを特徴とする。
本発明の導電性被膜は、上記の耐半田性金組成物よりなることを特徴とする。
本発明の導電性粒子は、磁性を示す芯粒子の表面に、上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜が形成されてなることを特徴とする。
本発明の導電性ペースト組成物は、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に、上記の導電性粒子が含有されてなることを特徴とする。
本発明の異方導電性シートは、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる異方導電性シートにおいて、
前記導電路形成部の各々は、弾性高分子物質中に、上記の導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなることを特徴とする。
本発明の異方導電性シートにおいては、弾性高分子物質中に、上記の導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなることが好ましい。
また、本発明の異方導電性シートは、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる異方導電性シートにおいて、
前記導電路形成部の各々の一面には、上記の耐半田性金組成物よりなる被膜が形成されていることを特徴とする。
本発明の電極は、表面に上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜を有することを特徴とする。
また、本発明の電極は、上記の耐半田性金組成物よりなることを特徴とする。
本発明のシート状プローブは、絶縁性シート体と、この絶縁性シート体の表面に露出する表面電極および当該絶縁性シート体の裏面に露出する裏面電極が当該絶縁性シート体をその厚み方向に貫通して伸びる短絡部によって互いに連結されてなる複数の複合電極体とを具えてなるシート状プローブにおいて、
前記複合電極体における表面電極は、その表面に上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜を有することを特徴とする。
本発明のプローブカードは、表面に複数の検査電極が形成されてなる検査用回路基板と、この検査用回路基板上に配置された、上記の異方導電性シートとを具えてなることを特徴とする。
また、本発明のプローブカードは、表面に複数の検査電極が形成されてなる検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面上に配置された異方導電性シートと、この異方導電性シート上に配置された、上記のシート状プローブとを具えてなることを特徴とする。
本発明の回路装置の検査装置は、上記のプローブカードを具えてなることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、金またはその合金中に、金に対して親和性が極めて高くて偏晶しにくいケイ素および/またはゲルマニウムが特定の割合で含有されていることにより、金それ自体が有する高い導電性が損なわれることがないため、良好な導電性を有すると共に、半田と接触しても当該半田を構成するPbまたはSnが組成物中に移行することが抑制されるため、半田による変質がないまたは少ない耐半田金組成物を提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、上記の耐半田性金組成物よりなることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田による変質がないまたは少ない導電性被膜を提供することができる。
請求項3に係る発明によれば、磁性を示す芯粒子の表面に、上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜が形成されていることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田による変質がないまたは少ない導電性粒子を提供することができる。
請求項4に係る発明によれば、上記の導電性粒子が含有されていることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田による変質がないまたは少ない導電性材料が得られる導電性ペースト組成物を提供することができる。
請求項5および請求項6に係る発明によれば、弾性高分子物質中に上記の導電性粒子が含有されてなることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、導電性粒子の変質がないまたは少ないため、良好な導電性が安定に維持される異方導電性シートを提供することができる。
請求項7に係る発明によれば、導電路形成部の一面に上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜が形成されていることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、良好な導電性が安定に維持される異方導電性シートを提供することができる。
請求項8に係る発明によれば、表面に上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜を有することにより、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、良好な導電性が安定に維持される電極を提供することができる。 請求項9に係る発明によれば、上記の耐半田性金組成物よりなることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、良好な導電性が安定に維持される電極を提供することができる。
請求項10に係る発明によれば、複合電極体における表面電極がその表面に上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜を有することにより、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、良好な導電性が安定に維持されるシート状プローブを提供することができる。
請求項11に係る発明によれば、被検査電極に接触する接触子として上記の異方導電性シートを具えてなることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる被検査電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、良好な導電性が安定に維持されるプローブカードを提供することができる。
請求項12に係る発明によれば、被検査電極に接触する接触子として上記のシート状プローブを具えてなることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる被検査電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、良好な導電性が安定に維持されるプローブカードを提供することができる。
請求項13に係る発明によれば、上記のプローブカードを具えてなることにより、半田よりなる被検査電極を有する回路装置に対しても、信頼性の高い電気的検査を長期間にわたって実行することができる回路装置の検査装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔耐半田性金組成物〕
本発明の耐半田性金組成物は、金またはその合金中に、ケイ素およびゲルマニウムのいずれか一方または両方が含有されてなるものである。
ここで、金合金としては、金の割合が好ましくは70質量%以上のもの、より好ましくは80質量%以上のものが用いられる。金合金の具体例としては、Au−Ni、Au−Pt、Au−Cu、Au−Ag、Au−Tb、Au−Yなどが挙げられる。
本発明の耐半田性金組成物において、金とケイ素およびゲルマニウムの合計との割合は、原子数比で97:3〜70:30とされ、好ましくは95:5〜80:20とされる。 また、ゲルマニウムを含有しない場合には、金とケイ素との割合は、原子数比で95:5〜80:20であることが好ましく、より好ましくは90:10〜80:20である。一方、ケイ素を含有しない場合には、金とゲルマニウムとの割合は、原子数比で97:3〜73:27であることが好ましく、より好ましくは83:17〜78:22である。
金の割合が過小である場合には、金の有する導電性が阻害されるため、当該組成物は、電気抵抗の高いものとなる。一方、金の割合が過大である場合には、当該組成物は、偏晶が起きやすく、また、半田を構成するPbやSnが移行しやすいため、半田に対して変質しやすいものとなる。
本発明の耐半田性金組成物は、金に対して親和性が極めて高くて偏晶しにくいケイ素およびゲルマニウムのいずれか一方または両方が、金またはその合金中に特定の割合で含有されていることにより、金それ自体の導電性が損なわれることがないため、良好な導電性を有すると共に、半田と接触しても当該半田を構成するPbまたはSnが組成物中に移行することが抑制されるため、半田による変質がないまたは少ないものである。
〔導電性被膜〕
本発明の導電性被膜は、上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜(以下、「特定の導電性被膜」という。)である。
この特定の導電性被膜の厚みは、目的に応じて適宜設定されるが、例えば0.1〜5μmである。
このような特定の導電性被膜を形成する方法としては、当該特定の導電性被膜が形成される基体の材質、形状および寸法などに応じて適宜選択されるが、例えば真空蒸着法、スパッタ法、プラズマCVD法などの乾式法、無電解メッキ法、電気メッキ法などの湿式法などを利用することができ、更には、予め耐半田性金組成物よりなる箔を製造し、この箔を基体に溶着する方法を利用することもできる。
例えばスパッタ法によって、特定の導電性被膜を形成する場合には、金または金合金、並びにケイ素および/またはゲルマニウムが含有されてなる単一のターゲットを用いて行うことができるが、金または金合金よりなるターゲット、並びにケイ素よりなるターゲットおよび/またはゲルマニウムからなるターゲットなどの互いに異なる複数のターゲットを用いて行うこともできる。
単一のターゲットを用いる場合には、当該ターゲットを構成する各成分の割合は、形成すべき特定の導電性被膜を構成する各成分の割合に応じて設定される。
また、互いに異なる複数のターゲットを用いる場合には、特定の導電性被膜が形成される基体に対して、各ターゲットを相対的に回転させ、各ターゲットによる被膜を交互に形成すればよい。
また、無電解メッキ法または電解メッキ法によって、特定の導電性被膜を形成する場合には、金と、ケイ素および/またはゲルマニウムとを含有してなるメッキ液が用いられる。
ここで、メッキ液としては、強酸性のものまたは強アルカリ性のもの、具体的にはpHが3以下のものまたは12以上のものを用いることが好ましい。中性、弱酸性または弱アルカリ性のメッキ液では、ケイ素および/またはゲルマニウムが、水酸基と結合しやすくなるため、ゲル状となって沈殿するおそれがある。
また、メッキ液に含有される各成分の割合は、形成すべき特定の導電性被膜を構成する各成分の割合に応じて設定される。
本発明の特定の導電性被膜は、上記の耐半田性金組成物よりなることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田と接触しても当該半田を構成するPbまたはSnが特定の導電性被膜中に移行することが抑制されるため、半田による変質がないまたは少ないものである。
〔導電性粒子〕
本発明の導電性粒子は、磁性を示す芯粒子に上記の特定の導電性被膜が形成されてなる導電性粒子(以下、「特定の導電性粒子」という。)である。
特定の導電性粒子の粒子径は、当該特定の導電性粒子の具体的な用途に応じて適宜選定されるが、後述する異方導電性シートに用いる場合には、数平均粒子径が3〜30μmであることが好ましく、より好ましくは5〜15μmである。ここで、数平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって測定されたものをいう。
このような数平均粒子径を有する特定の導電性粒子であれば、加圧変形が容易で、電気抵抗値が低くて接続信頼性の高い異方導電性シートが得られやすい。
また、特定の導電性粒子は、その粒子径の変動係数が50%以下のものであることが好ましく、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下のものである。ここで、粒子径の変動係数は、式:(σ/Dn)×100(但し、σは、粒子径の標準偏差の値を示し、Dnは、粒子の数平均粒子径を示す。)によって求められるものである。
上記粒子径の変動係数が50%以下であれば、粒子径の均一性が大きいため、導電性のバラツキの小さい異方導電性シートが得られる。
特定の導電性粒子を構成する芯粒子としては、磁性を示すものであれば種々のものを用いることができ、その具体例としては、鉄、ニッケル、コバルト若しくはこれらの合金よりなる粒子、或いはこれらの金属を、銅などの非磁性金属や樹脂などによってコーティングした粒子などを用いことができる。
芯粒子の粒子径は、目的とする特定の導電性粒子の粒子径、形成すべき導電性被膜の厚みなどを考慮して適宜選定されるが、数平均で3〜30μmであることが好ましく、より好ましくは5〜15μmである。
また、磁性芯粒子は、そのBET比表面積が10〜500m2 /kgであることが好ましく、より好ましくは20〜500m2 /kg、特に好ましくは50〜400m2 /kgである。
このBET比表面積が10m2 /kg以上であれば、当該芯粒子は導電性被膜を形成することが可能な領域が十分に大きいものであるため、当該芯粒子に十分な量の導電性被膜を確実に形成することができ、従って、導電性の大きい特定の導電性粒子を得ることができると共に、当該特定の導電性粒子間において、接触面積が十分に大きいため、安定で高い導電性が得られる。一方、このBET比表面積が500m2 /kg以下であれば、当該芯粒子が脆弱なものとならず、物理的な応力が加わった際に破壊することが少なく、安定で高い導電性が保持される。
芯粒子の表面に形成される導電性被膜の厚みは、100nm以上であることが好ましく、より好ましくは200〜500nmである。
この導電性被膜の厚みが100nm以上であれば、当該特定の導電性粒子はその導電性が十分に高いものとなる。ここで、導電性粒子の導電性被膜の厚みは、下記式(I)によって算出されるものをいう。
式(I):t=〔1/(Sw・ρ)〕×〔N/(1−N)〕
〔但し、tは導電性被膜の厚み(m)、Swは芯粒子のBET比表面積(m2 /kg)、ρは導電性被膜を形成する物質の比重(kg/m3 )、Nは導電性被膜による被覆率(導電性被膜の質量/導電性粒子の質量)を示す。〕
上記の式(I)は、次のようにして導かれたものである。
(a)芯粒子の質量をMp(kg)とすると、芯粒子の表面積S(m2 )は、
S=Sw・Mp ………式(1)
によって求められる。
(b)導電性被膜の質量をm(kg)とすると、当該導電性被膜の体積V(m3 )は、
V=m/ρ ………式(2)
によって求められる。
(c)ここで、導電性被膜の厚みが導電性粒子の表面全体にわたって均一なものであると仮定すると、t=V/Sであり、これに上記式(1)および式(2)を代入すると、導電性被膜の厚みtは、
t=(m/ρ)/(Sw・Mp)=m/(Sw・ρ・Mp) ………式(3)
によって求められる。
(d)また、導電性被膜による被覆率Nは、導電性粒子の質量に対する導電性被膜の質量の比であるから、この被覆率Nは、
N=m/(Mp+m) ………式(4)
によって求められる。
(e)この式(4)の右辺における分子・分母をMpで割ると、
N=(m/Mp)/(1+m/Mp)となり、両辺に(1+m/Mp)をかけると、
N(1+m/Mp)=m/Mp、更には、
N+N(m/Mp)=m/Mpとなり、N(m/Mp)を右辺に移行すると、
N=m/Mp−N(m/Mp)=(m/Mp)(1−N)となり、両辺を(1−N)で割ると、
N/(1−N)=m/Mpとなり、
従って、芯粒子の質量Mpは、
Mp=m/〔N/(1−N)〕=m(1−N)/N ………式(5)
によって求められる。
(f)そして、式(3)に式(5)を代入すると、
t=1/〔Sw・ρ・(1−N)/N〕
=〔1/(Sw・ρ)〕×〔N/(1−N)〕
が導かれる。
このような特定の導電性粒子は、例えば以下の方法によって得ることができる。
例えば強磁性体材料を常法により粒子化し或いは市販の強磁性体粒子を用意し、この粒子に対して分級処理を行うことにより、所要の粒子径を有する芯粒子を調製する。
ここで、粒子の分級処理は、例えば空気分級装置、音波ふるい装置などの分級装置によって行うことができる。
また、分級処理の具体的な条件は、目的とする芯粒子の数平均粒子径、分級装置の種類などに応じて適宜設定される。
次いで、芯粒子の表面を酸によって処理し、更に、例えば純水によって洗浄することにより、芯粒子の表面に存在する汚れ、異物、酸化膜などの不純物を除去し、その後、当該芯粒子の表面に前述の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜を形成することによって、特定の導電性粒子が得られる。
ここで、芯粒子の表面を処理するために用いられる酸としては、塩酸などを挙げることができる。
導電性被膜を形成する方法としては、前述の方法、すなわち真空蒸着法、スパッタ法、プラズマCVD法などの乾式法、無電解メッキ法、電解メッキ法などの湿式法などを利用することができる。
無電解メッキ法を利用する場合について説明すると、先ず、メッキ液中に、酸処理および洗浄処理された芯粒子を添加してスラリーを調製し、このスラリーを攪拌しながら当該芯粒子の無電解メッキを行う。次いで、スラリー中の粒子をメッキ液から分離し、その後、当該粒子を例えば純水によって洗浄処理することにより、芯粒子の表面に導電性被膜が形成されてなる特定の導電性粒子が得られる。
また、芯粒子の表面に下地メッキを行って下地メッキ層を形成した後、当該下地メッキ層の表面に導電性被膜を形成してもよい。
また、芯粒子の表面に導電性被膜を形成する際に、粒子が凝集することにより、粒子径の大きい導電性粒子が発生することがあるため、必要に応じて、導電性粒子の分級処理を行うことが好ましく、これにより、所期の粒子径の導電性粒子が確実に得られる。
導電性粒子の分級処理を行うための分級装置としては、前述の芯粒子を調製するための分級処理に用いられる分級装置として例示したものを挙げることができる。
本発明の特定の導電性粒子は、磁性を示す芯粒子の表面に、上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜が形成されていることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田と接触しても当該半田を構成するPbまたはSnが特定の導電性粒子中に移行することが抑制されるため、半田による変質がないまたは少ないものである。
〔導電性ペースト組成物〕
本発明の導電性ペースト組成物は、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に、上記の特定の導電性粒子が含有されてなるものである。
液状の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができるが、液状シリコーンゴムが好ましい。
液状シリコーンゴムは、付加型のものであっても縮合型のものであってもよいが、付加型液状シリコーンゴムが好ましい。この付加型液状シリコーンゴムは、ビニル基とSi−H結合との反応によって硬化するものであって、ビニル基およびSi−H結合の両方を含有するポリシロキサンからなる一液型(一成分型)のものと、ビニル基を含有するポリシロキサンおよびSi−H結合を含有するポリシロキサンからなる二液型(二成分型)のものがあるが、本発明においては、二液型の付加型液状シリコーンゴムを用いることが好ましい。
液状シリコーンゴムは、その23℃における粘度が100〜1250Pa・sのものを用いることが好ましく、より好ましくは150〜800Pa・s、特に好ましくは250〜500Pa・sである。この粘度が過小である場合には、液状シリコーンゴム中における導電性粒子が沈降しやすく、保存安定性が良好な導電性ペースト組成物を得ることが困難となることがある。一方、この粘度が過大である場合には、得られる導電性ペースト組成物は粘度が高いものとなって、加工性が低いものとなることがある。特に、この導電性ペースト組成物によって、後述する異方導電性シートを製造する場合には、当該導電性ペースト組成物よりなる成形材料層を形成しにくく、また、成形材料層にその厚み方向に磁場を作用させても、導電性粒子が十分に移動せず、そのため、導電性粒子を厚み方向に配向させることが困難となることがある。
本発明の導電性ペースト組成物によって、後述する異方導電性シートを製造する場合には、当該導電性ペースト組成物を構成する液状シリコーンゴムとしては、その硬化物の150℃における圧縮永久歪みが10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。この圧縮永久歪みが10%を超える場合には、得られる異方導電性シートを多数回にわたって繰り返し使用したとき或いは高温環境下において繰り返し使用したときには、導電路形成部に永久歪みが発生しやすく、これにより、導電路形成部における導電性粒子の連鎖に乱れが生じる結果、所要の導電性を維持することが困難となる。
ここで、液状シリコーンゴムの硬化物の圧縮永久歪みは、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
また、液状シリコーンゴムとしては、その硬化物の23℃におけるデュロメーターA硬度が10〜60のものであることが好ましく、さらに好ましくは15〜55、特に好ましくは20〜50のものである。
このデュロメーターA硬度が10未満である場合には、加圧されたときに、導電路形成部を相互に絶縁する絶縁部が過度に歪みやすく、導電路形成部間の所要の絶縁性を維持することが困難となることがある。一方、このデュロメーターA硬度が60を超える場合には、導電路形成部に適正な歪みを与えるために相当に大きい荷重による加圧力が必要となるため、接続対象体例えば被検査回路装置に大きな変形や破壊が生じやすくなる。
また、液状シリコーンゴムとして、その硬化物のデュロメーターA硬度が上記の範囲外のものを用いる場合には、得られる異方導電性シートを多数回にわたって繰り返し使用したときには、導電路形成部に永久歪みが発生しやすく、これにより、導電路形成部における導電性粒子の連鎖に乱れが生じる結果、所要の導電性を維持することが困難となる。
また、バーンイン試験に用いられる異方導電性シートを製造する場合には、液状シリコーンゴムは、その硬化物の23℃におけるデュロメーターA硬度が25〜40のものであることが好ましい。
液状シリコーンゴムとして、その硬化物のデュロメーターA硬度が上記の範囲外のものを用いる場合には、得られる異方導電性シートをバーンイン試験を繰り返し使用したときに、導電路形成部に永久歪みが発生しやすく、これにより、導電路形成部における導電性粒子の連鎖に乱れが生じる結果、所要の導電性を維持することが困難となる。
ここで、液状シリコーンゴムの硬化物のデュロメーターA硬度は、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
また、液状シリコーンゴムとしては、その硬化物の23℃における引き裂き強度が8kN/m以上のものであることが好ましく、さらに好ましくは10kN/m以上、より好ましくは15kN/m以上、特に好ましくは20kN/m以上のものである。この引き裂き強度が8kN/m未満である場合には、得られる異方導電性シートに過度の歪みが与えられたときに、耐久性の低下を起こしやすい。
ここで、液状シリコーンゴムの硬化物の引き裂き強度は、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
本発明の導電性ペースト組成物においては、液状シリコーンゴムを硬化させるために適宜の硬化触媒を含有させることができる。このような硬化触媒としては、白金系のものを用いることができ、その具体例としては、塩化白金酸およびその塩、白金−不飽和基含有シロキサンコンプレックス、ビニルシロキサンと白金とのコンプレックス、白金と1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとのコンプレックス、トリオルガノホスフィンあるいはホスファイトと白金とのコンプレックス、アセチルアセテート白金キレート、環状ジエンと白金とのコンプレックスなどの公知のものが挙げられる。
硬化触媒の使用量は、硬化触媒の種類、その他の硬化処理条件を考慮して適宜選択されるが、通常、液状シリコーンゴム100質量部に対して3〜15質量部である。
また、本発明の導電性ペースト組成物には、当該組成物のチクソトロピー性の向上、粘度調整、導電性粒子の分散安定性の向上、或いは高い強度を有する硬化物を得ることなどを目的として、必要に応じて、通常のシリカ粉、コロイダルシリカ、エアロゲルシリカ、アルミナなどの無機充填材を含有させることができる。
本発明の導電性ペースト組成物において、特定の導電性粒子の割合は、組成物全体の20〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜95質量%である。
特定の導電性粒子の割合が過小である場合には、良好な導電性を有する導電性材料を得ることが困難となることがある。一方、特定の導電性粒子の割合が過小である場合には、当該導電性ペースト組成物の粘度が増大して加工性が低下すると共に、得られる導電性材料は脆いものとなることがある。
上記の導電性ペースト組成物によれば、上記の特定の導電性粒子が含有されていることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田による変質がないまたは少ない導電性材料が得られる。
〔異方導電性シート〕
図1は、本発明に係る異方導電性シートの一例における要部の構成を示す説明用断面図である。
この異方導電性シート10は、互いに面方向に離間して配置された、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部11と、これらの導電路形成部11の間に形成され、当該導電路形成部11の各々を相互に電気的に絶縁する絶縁部12とにより構成されている。図示の例の異方導電性シート10においては、その一面(図1において上面)が平坦面とされており、一方、その他面においては、導電路形成部11が絶縁部12の表面から突出する突出部11Aが形成されている。
導電路形成部11は、絶縁性の弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されている。この導電路形成部11を構成する導電性粒子Pとしては、前述の特定の導電性粒子が用いられる。一方、絶縁部12は、絶縁性の弾性高分子物質よりなり、導電性粒子が全く或いは殆ど含有されていないものである。
導電路形成部11および絶縁部12を形成する弾性高分子物質は、架橋構造を有する耐熱性の高分子物質が好ましい。かかる架橋高分子物質を得るために用いることができる硬化性の高分子物質形成材料としては、前述の導電性ペースト組成物を調製するための高分子物質形成材料として例示したものを用いることができる。
導電路形成部11における導電性粒子Pの割合は、体積分率で10〜60%であることが好ましく、より好ましくは15〜50%である。この割合が過小である場合には、電気抵抗値が十分に小さい導電路形成部11を得ることが困難となることがある。一方、この割合が過大である場合には、得られる導電路形成部11は脆弱なものとなりやすく、導電路形成部11として必要な弾性が得られないことがある。
異方導電性シート10の厚みは、当該異方導電性シート10の具体的な用途によって適宜設定されるが、導電路形成部11の厚みは、50〜2000μmであることが好ましく、より好ましくは70〜1000μm、特に好ましくは80〜500μmである。この厚みが50μm以上であれば、当該異方導電性シート10には十分な強度が得られる。一方、この厚みが2000μm以下であれば、所要の導電性特性を有する導電路形成部11が確実に得られる。
また、絶縁部12の厚みは、30〜1500μmであることが好ましく、より好ましくは40〜500μmである。
また、導電路形成部11における突出部11Aの突出高さは、当該導電路形成部11の10%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上である。このような突出高さを有する突出部11Aを形成することにより、小さい加圧力で導電路形成部11が十分に圧縮されるため、良好な導電性が確実に得られる。
また、突出部11Aの突出高さは、当該突出部11Aの最短幅または直径の100%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以下である。このような突出高さを有する突出部11Aを形成することにより、当該突出部11Aが加圧されたときに座屈することがないため、所期の導電性が確実に得られる。
このような異方導電性シート10は、例えば以下の方法によって製造することができる。
この方法においては、図2に示すような異方導電性シート製造用金型(以下、単に「金型」という。)60が用いられる。この金型60は、上型61およびこれと対となる下型65が互いに対向するよう配置されて構成されている。
上型61においては、図3に拡大して示すように、基板62の下面に、製造すべき異方導電性シート10の導電路形成部11のパターンに対掌なパターンに従って強磁性体層63が形成され、この強磁性体層63以外の個所には、当該強磁性体層63の厚みと同等の厚みを有する非磁性体層64が形成されており、これらの強磁性体層63および非磁性体層64によって成形面が形成されている。
一方、下型65においては、基板66の上面に、製造すべき異方導電性シート10の導電路形成部11のパターンと同一のパターンに従って強磁性体層67が形成され、この強磁性体層67以外の個所には、非磁性体層68が形成されており、これらの強磁性体層67および非磁性体層68によって成形面が形成されている。また、下型65における非磁性体層68は、強磁性体層67の厚みより大きい厚みを有し、これにより、当該下型65の成形面には、製造すべき異方導電性シートの突出部に対応する凹所68aが形成されている。
上型61および下型65の各々における基板62,66は、強磁性体により構成されていることが好ましく、このような強磁性体の具体例としては、鉄、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属が挙げられる。この基板62,66は、その厚みが0.1〜50mmであることが好ましく、表面が平滑で、化学的に脱脂処理され、また、機械的に研磨処理されたものであることが好ましい。
また、上型61および下型65の各々における強磁性体層63,67を構成する材料としては、鉄、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属を用いることができる。この強磁性体層63,67は、その厚みが10μm以上であることが好ましい。この厚みが10μm以上であれば、後述する成形材料層に対して、十分な強度分布を有する磁場を作用させることができ、この結果、当該成形材料層における導電路形成部11となる部分に導電性粒子を高密度に集合させることができ、良好な導電性を有する導電路形成部11が得られる。
また、上型61および下型65の各々における非磁性体層64,68を構成する材料としては、銅などの非磁性金属、耐熱性を有する高分子物質などを用いることができるが、フォトリソグラフィーの手法により容易に非磁性体層64,68を形成することができる点で、電磁波によって硬化された高分子物質を好ましく用いることができ、その材料としては、例えばアクリル系のドライフィルムレジスト、エポキシ系の液状レジスト、ポリイミド系の液状レジストなどのフォトレジストを用いることができる。
そして、このような金型60を用い、以下のようにして異方導電性シート10が製造される。
先ず、前述の導電性ペースト組成物、すなわち液状の高分子物質形成材料中に上記の特定の導電性粒子が含有されてなる導電性ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を、金型60における上型61の成形面および下型65の成形面のいずれか一方または両方に塗布し、その後、上型61および下型65をスペーサーを介して重ね合わせることにより、図4に示すように、上型61および下型65の間に成形材料層10Aを形成する。この成形材料層10Aにおいては、導電性粒子Pは成形材料層10A全体に分散された状態で含有されている。
その後、上型61における基板62の上面および下型65における基板66の下面に例えば一対の電磁石を配置してこれを作動させることにより、上型61および下型65の強磁性体層63,67が磁極として機能するため、上型61の強磁性体層63とこれに対応する下型65の強磁性体層67との間においてその周辺領域より大きい強度を有する磁場が形成される。その結果、成形材料層10Aにおいては、当該成形材料層10A中に分散されていた導電性粒子Pが、図5に示すように、上型61の強磁性体層63とこれに対応する下型65の強磁性体層67との間に位置する導電路形成部11となる部分に集合して厚み方向に並ぶよう配向する。
そして、この状態において、成形材料層10Aを硬化処理することにより、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる複数の導電路形成部11が、導電性粒子Pが全く或いは殆ど存在しない高分子弾性物質よりなる絶縁部12によって相互に絶縁された状態で形成されてなる異方導電性シート10が製造される。
以上において、成形材料層10Aにおける導電路形成部11となる部分に作用させる磁場の強度は、平均で0.1〜2.5Tとなる大きさが好ましい。
成形材料層10Aの硬化処理は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。加熱により成形材料層10Aの硬化処理を行う場合には、電磁石にヒーターを設ければよい。具体的な加熱温度および加熱時間は、成形材料層10Aを構成する高分子物質形成材料などの種類、導電性粒子Pの移動に要する時間などを考慮して適宜選定される。
上記の異方導電性シート10によれば、導電路形成部11が弾性高分子物質中に上記の特定の導電性粒子が含有されてなることにより、当該導電路形成部11は、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、半田を構成するPbまたはSnが導電性粒子中に移行することが抑制されるため、導電性粒子の変質がなくまたは少なく、従って、良好な導電性を安定に維持することができる。
図6は、本発明に係る異方導電性シートの他の例における要部の構成を示す説明用断面図である。
この異方導電性シート14においては、絶縁性の弾性高分子物質中に、磁性を示す多数の導電性粒子Pが、当該異方導電性シート14の厚み方向に並ぶよう配向して連鎖Cを形成した状態で、かつ、当該導電性粒子Pによる連鎖Cが当該異方導電性シート14の面方向に分散した状態で、含有されている。この導電性粒子Pとしては、前述の特定の導電性粒子が用いられる。
異方導電性シート14の厚みは、20〜500μmであることが好ましく、より好ましくは50〜200μmである。この厚みが20μm未満である場合には、当該異方導電性シート14は厚み方向の弾性変形量が小さくて応力吸収能が低いものとなりやすく、接続対象体に損傷を与えやすくなる。一方、この厚みが500μmを超える場合には、厚み方向の電気抵抗が大きいものとなりやすく、また、高い分解能が得られないことがある。
異方導電性シート14には、導電性粒子Pが体積分率で5〜30%、好ましくは7〜27%、特に好ましくは10〜25%となる割合で含有されていることが好ましい。この割合が5%以上であれば、厚み方向に十分に電気抵抗値の小さい導電路が形成されるので好ましい。一方、この割合が30%以下であれば、得られる異方導電性シート14は必要な弾性を有するものとなるので好ましい。
本発明の異方導電性シート14は、例えば以下のようにして製造することができる。
先ず、図7に示すように、それぞれシート状の一面側成形部材50および他面側成形部材51と、目的とする異方導電性シート14の平面形状に適合する形状の開口52Kを有すると共に当該異方導電性シート14の厚みに対応する厚みを有する枠状のスペーサー52とを用意すると共に、前述の導電性ペースト組成物、すなわち液状の高分子物質形成材料中に上記の特定の導電性粒子が含有されてなる導電性ペースト組成物を調製する。
そして、図8に示すように、他面側成形部材51の成形面(図8において上面)上にスペーサー52を配置し、他面側成形部材51の成形面上におけるスペーサー52の開口52K内に、調製した導電性ペースト組成物14Bを塗布し、その後、この導電性ペースト組成物14B上に一面側成形部材50をその成形面(図8において下面)が導電性ペースト組成物14Bに接するよう配置する。
以上において、一面側成形部材50および他面側成形部材51としては、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などよりなる樹脂シートを用いることができる。
また、一面側成形部材50および他面側成形部材51を構成する樹脂シートの厚みは、50〜500μmであることが好ましく、より好ましくは75〜300μmである。この厚みが50μm未満である場合には、成形部材として必要な強度が得られないことがある。一方、この厚みが500μmを超える場合には、後述する成形材料層に所要の強度の磁場を作用させることが困難となることがある。
次いで、図9に示すように、加圧ロール53および支持ロール54よりなる加圧ロール装置55を用い、一面側成形部材50および他面側成形部材51によって導電性ペースト組成物を挟圧することにより、当該一面側成形部材50と当該他面側成形部材51との間に、導電性ペースト組成物よりなる所要の厚みの成形材料層14Aを形成する。この成形材料層14Aにおいては、図10に拡大して示すように、導電性粒子Pが均一に分散した状態で含有されている。
その後、一面側成形部材50の裏面および他面側成形部材51の裏面に、例えば一対の電磁石を配置し、当該電磁石を作動させることにより、成形材料層14Aの厚み方向に平行磁場を作用させる。その結果、成形材料層14Aにおいては、当該成形材料層14A中に分散されている導電性粒子Pが、図11に示すように、面方向に分散された状態を維持しながら厚み方向に並ぶよう配向し、これにより、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電性粒子Pによる連鎖Cが、面方向に分散した状態で形成される。
そして、この状態において、成形材料層14Aを硬化処理することにより、弾性高分子物質中に、導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向し、かつ、当該導電性粒子Pによる連鎖が面方向に分散された状態で含有されてなる異方導電性シート14が製造される。
以上において、成形材料層14Aの硬化処理は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともできるが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともできる。
成形材料14Aに作用される平行磁場の強度は、平均で0.02〜2.5テスラとなる大きさが好ましい。
成形材料層14Aの硬化処理は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、成形材料層14Aを構成する高分子物質用材料などの種類、導電性粒子Pの移動に要する時間などを考慮して適宜選定される。
上記の異方導電性シート14によれば、弾性高分子物質中に上記の特定の導電性粒子が含有されてなることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、半田を構成するPbまたはSnが導電性粒子中に移行することが抑制されるため、導電性粒子の変質がなくまたは少なく、従って、良好な導電性を安定に維持することができる。
図12は、本発明の異方導電性シートの更に他の例における要部の構成を示す説明用断面図である。
この異方導電性シート15は、互いに離間して配置された、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部17を有する異方導電性シート本体16と、この異方導電性シート本体16における導電路形成部17の各々の一面(図12において上面)に形成された、上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜19とにより構成されている。
異方導電性シート本体16においては、導電路形成部17の各々の間に、これらの相互に電気的に絶縁する絶縁部18が形成されている。図示の例の異方導電性シート本体16においては、その一面が平坦面とされており、一方、その他面においては、導電路形成部17が絶縁部18の表面から突出する突出部17Aが形成されている。
導電路形成部17は、絶縁性の弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されている。一方、絶縁部18は、絶縁性の弾性高分子物質よりなり、導電性粒子が全く或いは殆ど含有されていないものである。
導電路形成部17および絶縁部18を形成する弾性高分子物質は、架橋構造を有する耐熱性の高分子物質が好ましい。かかる架橋高分子物質を得るために用いることができる硬化性の高分子物質形成材料としては、前述の導電性ペースト組成物を調製するための高分子物質形成材料として例示したものを用いることができる。
導電性粒子Pとしては、磁性を示す芯粒子の表面に、高導電性金属よりなる導電性被膜が形成されてなるものを用いることが好ましい。ここで、「高導電性金属」とは、0℃における導電率が5×106 Ω-1-1以上のものをいう。
芯粒子を構成する材料としては、前述の特定の導電性粒子における芯粒子を形成する材料として例示したものを用いることができる。 また、導電性被膜を構成する高導電性金属としては、金、銀、ロジウム、白金、クロムなどを用いることができ、これらの中では、化学的に安定でかつ高い導電率を有する点で金を用いることが好ましい。
芯粒子の表面に形成される導電性被膜の厚みは、50nm以上であることが好ましく、より好ましくは100〜200nmである。
この導電性被膜の厚みが50nm以上であれば、当該特定の導電性粒子はその導電性が十分に高いものとなる。ここで、導電性粒子の導電性被膜の厚みは、上記式(I)によって算出されるものをいう。
導電路形成部17における導電性粒子Pの割合は、体積分率で10〜60%であることが好ましく、より好ましくは15〜50%である。この割合が過小である場合には、電気抵抗値が十分に小さい導電路形成部17を得ることが困難となることがある。一方、この割合が過大である場合には、得られる導電路形成部17は脆弱なものとなりやすく、導電路形成部17として必要な弾性が得られないことがある。
異方導電性シート本体16の厚みは、当該異方導電性シート15の具体的な用途によって適宜設定されるが、導電路形成部17の厚みは、50〜2000μmであることが好ましく、より好ましくは70〜1000μm、特に好ましくは80〜500μmである。この厚みが50μm以上であれば、当該異方導電性シート本体16には十分な強度が得られる。一方、この厚みが2000μm以下であれば、所要の導電性特性を有する導電路形成部17が確実に得られる。
また、絶縁部18の厚みは、30〜1500μmであることが好ましく、より好ましくは40〜500μmである。
また、導電路形成部17における突出部17Aの突出高さは、当該導電路形成部17の10%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上である。このような突出高さを有する突出部17Aを形成することにより、小さい加圧力で導電路形成部17が十分に圧縮されるため、良好な導電性が確実に得られる。
また、突出部17Aの突出高さは、当該突出部17Aの最短幅または直径の100%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以下である。このような突出高さを有する突出部17Aを形成することにより、当該突出部17Aが加圧されたときに座屈することがないため、所期の導電性が確実に得られる。
導電性被膜19の厚みは、0.05〜100μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmである。
この厚みが過小である場合には、半田物質が導電性被膜19を通過して導電路形成部17に含有される導電性粒子中に移行しやすくなるため、当該導電路形成部17における良好な導電性を維持することが困難となることがある。一方、この厚みが過大である場合には、当該導電性被膜19の剥離が生じやすくなり、また、導電路形成部17を含む導電路全体の長さが過大となって電気抵抗の高いものとなることがある。
このような異方導電性シート15は、例えば以下の方法によって製造することができる。
先ず、図2に示すような金型を用い、異方導電性シート本体16を製造する。
具体的には、液状の高分子物質形成材料中に導電性粒子が含有されてなる導電性ペースト組成物を調製し、この導電性ペースト組成物を、金型60における上型61の成形面および下型65の成形面のいずれか一方または両方に塗布し、その後、上型61および下型65をスペーサーを介して重ね合わせることにより、図13に示すように、上型61および下型65の間に成形材料層15Aを形成する。この成形材料層15Aにおいては、導電性粒子Pは成形材料層15A全体に分散された状態で含有されている。
その後、上型61における基板62の上面および下型65における基板66の下面に例えば一対の電磁石を配置してこれを作動させることにより、上型61および下型65の強磁性体層63,67が磁極として機能するため、上型61の強磁性体層63とこれに対応する下型65の強磁性体層67との間においてその周辺領域より大きい強度を有する磁場が形成される。その結果、成形材料層15Aにおいては、当該成形材料層15A中に分散されていた導電性粒子Pが、図14に示すように、上型61の強磁性体層63とこれに対応する下型65の強磁性体層67との間に位置する導電路形成部17となる部分に集合して厚み方向に並ぶよう配向する。
そして、この状態において、成形材料層15Aを硬化処理することにより、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる複数の導電路形成部17が、導電性粒子Pが全く或いは殆ど存在しない高分子弾性物質よりなる絶縁部18によって相互に絶縁された状態で形成されてなる異方導電性シート本体16が製造される。
以上において、成形材料層15Aにおける導電路形成部17となる部分に作用させる磁場の強度は、平均で0.1〜2.5Tとなる大きさが好ましい。
成形材料層15Aの硬化処理は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。加熱により成形材料層15Aの硬化処理を行う場合には、電磁石にヒーターを設ければよい。具体的な加熱温度および加熱時間は、成形材料層15Aを構成する高分子物質形成材料などの種類、導電性粒子Pの移動に要する時間などを考慮して適宜選定される。
このようにして得られた異方導電性シート本体16に対して、その導電路形成部17の一面上に、前述の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜19を形成することにより、図12に示す異方導電性シート15が製造される。
以上において、導電性被膜19を形成する方法としては、前述の方法、すなわち真空蒸着法、スパッタ法、プラズマCVD法などの乾式法、無電解メッキ法、電解メッキ法などの湿式法、予め耐半田性金組成物よりなる箔を製造し、この箔を基体に溶着する方法などを利用することができる。
上記の異方導電性シート15によれば、導電路形成部の一面に上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜が形成されていることにより、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、当該電極が導電性粒子に直接接触することが回避されるため、導電性粒子が変質することがなく、更に、導電性被膜中に半田を構成するPbまたはSnが移行することが抑制されるため、導電性被膜の変質がなくまたは少なく、従って、良好な導電性を安定に維持することができる。
〔シート状プローブ〕
図15は、本発明のシート状プローブの一例における構成を示す説明用断面図である。このシート状プローブ20は、柔軟な絶縁性シート21を有し、この絶縁性シート21には、当該絶縁性シート21の厚み方向に伸びる複数の金属よりなる複合電極体22が、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って、当該絶縁性シート21の面方向に互いに離間して配置されている。
複合電極体22の各々は、絶縁性シート21の表面(図において下面)に露出する突起状の表面電極23と、絶縁性シート21の裏面に露出する板状の裏面電極24とが、絶縁性シート21の厚み方向に貫通して伸びる短絡部25によって互いに一体に連結されて構成されている。電極複合体22の各々における表面電極23は、図16に拡大して示すように、短絡部25に連結された表面電極基体23Aの表面に、前述の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜26が形成されて構成されている。
絶縁性シート21としては、絶縁性を有する柔軟なものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリイミド樹脂、液晶ポリマー、ポリエステル、フッ素系樹脂などよりなる樹脂シート、繊維を編んだクロスに上記の樹脂を含浸したシートなどを用いることができる。
また、絶縁性シート21の厚みは、当該絶縁性シート21が柔軟なものであれば特に限定されないが、10〜50μmであることが好ましく、より好ましくは10〜25μmである。
複合電極体22における表面電極基体23A、短絡部25および裏面電極24を構成する金属としては、ニッケル、銅、金、銀、パラジウム、鉄などを用いることができ、全体が単一の金属よりなるものであっても、2種以上の金属の合金よりなるものまたは2種以上の金属が積層されてなるものであってもよい。
また、複合電極体22における裏面電極24は、当該裏面電極24の酸化が防止されると共に、接触抵抗の小さい裏面電極24が得られる点で、裏面電極基体の表面に金、銀、パラジウムなどの化学的に安定で高導電性を有する金属被膜が形成されて構成されていてもよい。
複合電極体22における表面電極23の突出高さは、検査対象である回路装置の被検査電極に対して安定な電気的接続を達成することができる点で、15〜50μmであることが好ましく、より好ましくは15〜30μmである。また、表面電極23の径は、検査対象である回路装置の被検査電極の寸法およびピッチに応じて設定されるが、例えば30〜80μmであり、好ましくは30〜50μmである。
複合電極体22における裏面電極24の径は、短絡部25の径より大きく、かつ、複合電極体22の配置ピッチより小さいものであればよいが、可能な限り大きいものであることが好ましく、これにより、後述するプローブカードにおいて、異方導電性シートに対する安定な電気的接続を確実に達成することができる。また、裏面電極24の厚みは、強度が十分に高くて優れた繰り返し耐久性が得られる点で、20〜50μmであることが好ましく、より好ましくは35〜50μmである。
複合電極体22における短絡部25の径は、十分に高い強度が得られる点で、30〜80μmであることが好ましく、より好ましくは30〜50μmである。
表面電極23における導電性被膜26の厚みは、0.05〜100μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmである。
この厚みが過小である場合には、半田物質が導電性被膜26を通過して表面電極基体23A中に移行しやすくなるため、良好な導電性を維持することが困難となることがある。一方、この厚みが過大である場合には、導電性被膜26の剥離が生じやすくなることがある。
このようなシート状プローブ20は、例えば以下の方法によって製造することができる。
先ず、図17に示すように、絶縁性シート21上に金属層24Aが積層されてなる積層体20Aを用意し、図18に示すように、積層体20Aにおける絶縁性シート21に対して、当該絶縁性シート21の厚み方向に貫通する複数の貫通孔25Hを、形成すべき複合電極体22のパターンに対応するパターンに従って形成する。
ここで、絶縁性シート21に貫通孔25Hを形成する方法としては、レーザ加工法、ウエットエッチング法、ドライエッチング法などを利用することができる。
次いで、図19に示すように、積層体20Aにおける金属層24A上にレジスト膜27を形成したうえで、金属層24Aを共通電極として電解メッキ処理を施すことにより、それぞれ絶縁性シート21の貫通孔25Hの内部に金属の堆積体が充填されてなる、金属層24Aに一体に連結された複数の短絡部25が形成されると共に、当該絶縁性シート21の表面に、それぞれ短絡部25に一体に連結された複数の突起状の表面電極基体23Aが形成される。
その後、金属層24Aからレジスト膜27を除去し、更に、図20に示すように、表面電極基体23Aを含む絶縁性シート21の表面全面にレジスト膜28を形成すると共に、金属層24A上に、形成すべき裏面電極のパターンに対応するパターンに従ってパターニングされたレジスト膜29を形成する。そして、金属層24Aに対してエッチング処理を施することにより、図21に示すように、金属層24Aにおける露出する部分が除去される結果、それぞれ短絡部25に一体に連結された複数の裏面電極24が形成される。
次いで、表面電極基体23Aを含む絶縁性シート21の表面に形成されたレジスト膜28を除去すると共に、裏面電極24上に形成されたレジスト膜29を除去し、その後、表面電極基体23Aの表面に、前述の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜を形成することにより、表面電極23が形成され、以て、図15に示すシート状プローブ20が製造される。
以上において、導電性被膜26を形成する方法としては、前述の方法、すなわち真空蒸着法、スパッタ法、プラズマCVD法などの乾式法、無電解メッキ法、電解メッキ法などの湿式法、予め耐半田性金組成物よりなる箔を製造し、この箔を基体に溶着する方法などを利用することができる。
上記のシート状プローブ20によれば、複合電極体22における表面電極23がその表面に上記の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜26を有することにより、良好な導電性を有し、しかも、半田よりなる電極を長時間圧接してもまたは多数回圧接しても、半田を構成するPbまたはSnが複合電極体22中に移行することが抑制されるため、複合電極体22の変質がなくまたは少なく、従って、良好な導電性を安定に維持することができる。
〔プローブカードおよび回路装置の検査装置〕
図22は、本発明の回路装置の検査装置の一例における構成を示す説明図であり、この回路装置の検査装置は、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うためのウエハ検査装置である。
この検査装置は、被検査回路装置であるウエハ1に形成された半田よりなる突起状の被検査電極2の各々とテスターとの電気的接続を行うプローブカード30を有する。このプローブカード30の裏面(図において上面)には、当該プローブカード30を下方に加圧する加圧板3が設けられ、プローブカード30の下方には、ウエハ1が載置されるウエハ載置台4が設けられており、加圧板3およびウエハ載置台4の各々には、加熱器5が接続されている。
プローブカード30は、図23にも拡大して示すように、ウエハ1に形成された全ての集積回路における被検査電極2のパターンに対応するパターンに従って複数の検査電極32が表面(図において下面)に形成された検査用回路基板31と、この検査用回路基板31の表面上に配置された異方導電性コネクター35とにより構成されている。
異方導電性コネクター35は、図24に示すように、ウエハ1に形成された全ての集積回路における被検査電極2が配置された電極領域に対応して複数の開口37が形成されたフレーム板36を有し、このフレーム板36には、図1に示す構成の複数の異方導電性シート10が、それぞれ一の開口37を塞ぐよう配置されて当該フレーム板36の開口縁部に固定されて支持されており、この異方導電性シート10の各々がウエハ1に形成された被検査電極2に接触する接触子とされている。そして、異方導電性コネクター35は、検査用回路基板31の表面上に、各異方導電性シート10における導電路形成部11の各々が検査電極32上に位置するよう配置されている。
検査用回路基板31を構成する基板材料としては、従来公知の種々の基板材料を用いることができ、その具体例としては、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型フェノール樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型ビスマレイミドトリアジン樹脂等の複合樹脂材料、ガラス、二酸化珪素、アルミナ等のセラミックス材料などが挙げられる。
また、WLBI試験を行うための検査装置を構成する場合には、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは1×10-7〜1×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜6×10-6/Kである。
このような基板材料の具体例としては、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、アルミナ、ベリリア、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などのセラミックス材料が挙げられる。
異方導電性コネクター35におけるフレーム板36を構成する材料としては、当該フレーム板36が容易に変形せず、その形状が安定に維持される程度の剛性を有するものであれば特に限定されず、例えば、金属材料、セラミックス材料、樹脂材料などの種々の材料を用いることができ、フレーム板36を例えば金属材料により構成する場合には、当該フレーム板36の表面に絶縁性被膜が形成されていてもよい。
フレーム板36を構成する金属材料の具体例としては、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルト、マグネシウム、マンガン、モリブデン、インジウム、鉛、パラジウム、チタン、タングステン、アルミニウム、金、白金、銀などの金属またはこれらを2種以上組み合わせた合金若しくは合金鋼などが挙げられる。
フレーム板36を構成する樹脂材料の具体例としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
また、この検査装置がWLBI(Wafer Lebel Burn−in)試験を行うためのものである場合には、フレーム板36を構成する材料としては、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは−1×10-7〜1×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜8×10-6/Kである。
このような材料の具体例としては、インバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、スーパーインバー、コバール、42アロイなどの磁性金属の合金または合金鋼などが挙げられる。
フレーム板36の厚みは、その形状が維持されると共に、異方導電性シート10を支持することが可能であれば、特に限定されるものではなく、具体的な厚みは材質によって異なるが、例えば25〜600μmであることが好ましく、より好ましくは40〜400μmである。
このような検査装置においては、ウエハ載置台4上に検査対象であるウエハ1が載置され、次いで、加圧板3によってプローブカード30が下方に加圧されることにより、その異方導電性コネクター35の異方導電性シート10における導電路形成部11の各々が、ウエハ1の被検査電極2の各々に接触し、更に、当該被検査電極2の各々によって加圧される。この状態においては、異方導電性コネクター35の異方導電性シート10における導電路形成部11の各々は、検査用回路基板31の検査電極32とウエハ1の被検査電極2とによって挟圧されて厚み方向に圧縮されており、これにより、当該導電路形成部11にはその厚み方向に導電路が形成され、その結果、ウエハ1の被検査電極2と検査用回路基板31の検査電極32との電気的接続が達成される。その後、加熱器5によって、ウエハ載置台4および加圧板3を介してウエハ1が所定の温度に加熱され、この状態で、当該ウエハ1における複数の集積回路の各々について所要の電気的検査が実行される。
上記の検査装置によれば、被検査電極2に接触する接触子として図1に示す構成の異方導電性シート10を有するプローブカード30を具えてなることにより、半田よりなる被検査電極2を有するウエハ1に対しても、信頼性の高い電気的検査を長期間にわたって実行することができる。
図25は、本発明の回路装置の検査装置の他の例における構成を示す説明図であり、この回路装置の検査装置は、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うためのウエハ検査装置である。
この検査装置は、被検査回路装置であるウエハ1に形成された半田よりなる突起状の被検査電極2の各々とテスターとの電気的接続を行うプローブカード30を有する。このプローブカード30の裏面(図において上面)には、当該プローブカード30を下方に加圧する加圧板3が設けられ、プローブカード30の下方には、ウエハ1が載置されるウエハ載置台4が設けられており、加圧板3およびウエハ載置台4の各々には、加熱器5が接続されている。
プローブカード30は、図26にも拡大して示すように、ウエハ1に形成された全ての集積回路における被検査電極2のパターンに対応するパターンに従って複数の検査電極32が表面(図において下面)に形成された検査用回路基板31と、この検査用回路基板31の表面上に配置された異方導電性コネクター35とにより構成されている。
異方導電性コネクター35は、図24に示すように、ウエハ1に形成された全ての集積回路における被検査電極2が配置された電極領域に対応して複数の開口37が形成されたフレーム板36を有し、このフレーム板36には、それぞれ図12に示す構成の複数の異方導電性シート15が、それぞれ一の開口37を塞ぐよう配置されて当該フレーム板36の開口縁部に固定されて支持されており、この異方導電性シート15の各々がウエハ1に形成された被検査電極2に接触する接触子とされている。そして、異方導電性コネクター35は、検査用回路基板31の表面上に、各異方導電性シート15における各導電路形成部17上に形成された導電性被膜19の各々が検査電極32上に位置するよう配置されている。
検査用回路基板31を構成する基板材料並びに異方導電性コネクター35におけるフレーム板36を構成する材料および寸法は、図22に示す検査装置におけるプローブカード30と同様である。
このような検査装置においては、ウエハ載置台4上に検査対象であるウエハ1が載置され、次いで、加圧板3によってプローブカード30が下方に加圧されることにより、その異方導電性コネクター35の異方導電性シート15における導電路形成部17の各々の表面に形成された導電性被膜19が、ウエハ1の被検査電極2の各々に接触し、更に、当該被検査電極2の各々によって加圧される。この状態においては、異方導電性コネクター35の異方導電性シート15における導電路形成部17の各々は、検査用回路基板31の検査電極32とウエハ1の被検査電極2とによって挟圧されて厚み方向に圧縮されており、これにより、当該導電路形成部17にはその厚み方向に導電路が形成され、その結果、ウエハ1の被検査電極2と検査用回路基板31の検査電極32との電気的接続が達成される。その後、加熱器5によって、ウエハ載置台4および加圧板3を介してウエハ1が所定の温度に加熱され、この状態で、当該ウエハ1における複数の集積回路の各々について所要の電気的検査が実行される。
上記の検査装置によれば、被検査電極2に接触する接触子として図12に示す構成の異方導電性シート15を有するプローブカード30を具えてなることにより、半田よりなる被検査電極2を有するウエハ1に対しても、信頼性の高い電気的検査を長期間にわたって実行することができる。
図27は、本発明の回路装置の検査装置の更に他の例における構成を示す説明図であり、この回路装置の検査装置は、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うためのウエハ検査装置である。
この検査装置は、被検査回路装置であるウエハ1に形成された半田よりなる突起状の被検査電極2の各々とテスターとの電気的接続を行うプローブカード30を有する。このプローブカード30の裏面(図において上面)には、当該プローブカード30を下方に加圧する加圧板3が設けられ、プローブカード30の下方には、ウエハ1が載置されるウエハ載置台4が設けられており、加圧板3およびウエハ載置台4の各々には、加熱器5が接続されている。
プローブカード30は、図28にも拡大して示すように、ウエハ1に形成された全ての集積回路における被検査電極2のパターンに対応するパターンに従って複数の検査電極32が表面(図において下面)に形成された検査用回路基板31と、この検査用回路基板31の表面上に配置された異方導電性コネクター35と、この異方導電性コネクター35の表面(図において下面)上に配置された、図15に示す構成のシート状プローブ20とにより構成されており、このシート状プローブ20がウエハ1に形成された被検査電極2に接触する接触子とされている。
異方導電性コネクター35は、図24に示すように、ウエハ1に形成された全ての集積回路における被検査電極2が配置された電極領域に対応して複数の開口37が形成されたフレーム板36を有し、このフレーム板36には、複数の異方導電性シート40が、それぞれ一の開口37を塞ぐよう配置されて当該フレーム板36の開口縁部に固定されて支持されている。
異方導電性シート40の各々は、弾性高分子物質によって形成されており、被検査回路装置であるウエハ1に形成された一の電極領域の被検査電極2のパターンに対応するパターンに従って形成された、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部41と、これらの導電路形成部41の各々を相互に電気的に絶縁する絶縁部42とにより構成されている。また、図示の例では、異方導電性シート40の両面には、導電路形成部41が位置する個所に、それ以外の表面から突出する突出部41A,41Bが形成されている。異方導電性シート40における導電路形成部41の各々には、磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に含有されている。これに対して、絶縁部42は、導電性粒子Pが全く或いは殆ど含有されていないものである。
そして、異方導電性コネクター35は、検査用回路基板31の表面上に、各異方導電性シート40における導電路形成部41の各々が検査電極32上に位置するよう配置され、シート状プローブ20は、異方導電性コネクター35の表面上に、複合電極体22の裏面電極24の各々が導電路形成部41上に位置するよう配置されている。
検査用回路基板31を構成する基板材料並びに異方導電性コネクター35におけるフレーム板36を構成する材料および寸法は、図22に示す検査装置におけるプローブカード30と同様である。
また、異方導電性シート40における導電路形成部41および絶縁部42を形成する弾性高分子物質並びに導電路形成部41を構成する導電性粒子Pとしては、図12に示す異方導電性シート15における導電路形成部17および絶縁部18を形成する弾性高分子物質および導電路形成部17を構成する導電性粒子Pと同様のものを用いることができる。 また、異方導電性シート40における導電路形成部41の厚みは、50〜2000μmであることが好ましく、より好ましくは70〜1000μm、特に好ましくは80〜500μmである。この厚みが50μm以上であれば、当該異方導電性シート40には十分な強度が得られる。一方、この厚みが2000μm以下であれば、所要の導電性特性を有する導電路形成部41が確実に得られる。
突出部41A,41Bの突出高さは、その合計が導電路形成部41の厚みの10%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上である。このような突出高さを有する突出部41A,41Bを形成することにより、小さい加圧力で導電路形成部41が十分に圧縮されるため、良好な導電性が確実に得られる。
また、突出部41A,41Bの突出高さは、当該突出部41A,41Bの最短幅または直径の100%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以下である。このような突出高さを有する突出部41A,41Bを形成することにより、当該突出部41A,41Bが加圧されたときに座屈することがないため、所期の導電性が確実に得られる。
導電路形成部41における導電性粒子Pの含有割合は、体積分率で10〜60%、好ましくは15〜50%となる割合で用いられることが好ましい。この割合が10%未満の場合には、十分に電気抵抗値の小さい導電路形成部41が得られないことがある。一方、この割合が60%を超える場合には、得られる導電路形成部41は脆弱なものとなりやすく、導電路形成部41として必要な弾性が得られないことがある。
以上のような異方導電性コネクターは、例えば特開2002−324600号公報に記載された方法によって製造することができる。
このような検査装置においては、ウエハ載置台4上に検査対象であるウエハ1が載置され、次いで、加圧板3によってプローブカード30が下方に加圧されることにより、そのシート状プローブ20の複合電極体22における表面電極23の各々が、ウエハ1の被検査電極2の各々に接触し、更に、当該表面電極23の各々によって、ウエハ1の被検査電極2の各々が加圧される。この状態においては、異方導電性コネクター35の異方導電性シート40における導電路形成部41の各々は、検査用回路基板31の検査電極32とシート状プローブ20の複合電極体22の裏面電極24とによって挟圧されて厚み方向に圧縮されており、これにより、当該導電路形成部41にはその厚み方向に導電路が形成され、その結果、ウエハ1の被検査電極2と検査用回路基板31の検査電極32との電気的接続が達成される。その後、加熱器5によって、ウエハ載置台4および加圧板3を介してウエハ1が所定の温度に加熱され、この状態で、当該ウエハ1における複数の集積回路の各々について所要の電気的検査が実行される。
上記の検査装置によれば、被検査電極2に接触する接触子として図15に示す構成のシート状プローブ20を有するプローブカード30を具えてなることにより、半田よりなる被検査電極2を有するウエハ1に対しても、信頼性の高い電気的検査を長期間にわたって実行することができる。
〔その他の実施の形態〕
本発明においては、上記の上記の実施の形態に限定されず、例えば以下のように種々の変更を加えることが可能である。
(1)本発明の耐半田性金組成物、導電性被膜および導電性粒子は、導電性および耐半田性が要求される種々の用途に利用することができる。
(2)本発明の異方導電性シートは、両面が平坦面とされたものであっても、両面に突出部が形成されたものであってもよい。
(3)図12に示す異方導電性シートにおいて、導電性被膜19としては、扁平なものに限られず、例えば扁平な基膜とこの基膜から突出する突出部とからなるものであってもよい。
(4)本発明の電極は、シート状プローブにおける電極に限定されず、ピンまたはブレードよりなるプローブに適用することができる。
(5)また、本発明の電極は、電極全体が耐半田性金組成物よりなるものであってもよい。
(6)本発明のシート状プローブにおける複合電極体は、図15に示す形状のものに限定されず、例えば特開平11−326378号公報、特開2002−196018号公報などに記載のシート状プローブのように、基端から先端に向かって小径となるテーパ状の表面電極を有するものであっても、国際公開第2004/038433号パンフレットなどに記載のシート状プローブのように、表面電極の基端に保持部が形成されてなるものであってもよい。
(7)本発明のプローブカードおよび検査装置は、ウエハに形成された集積回路を検査するためのものに限定されず、例えば半導体チップや、BGA、CSPなどのパッケージLSI、MCMなどの半導体集積回路装置などに形成された回路を検査するためのプローブカードおよび検査装置として構成することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈導電性粒子の調製〉
《調製例1》
市販のニッケル粒子を用い、以下のようにして芯粒子を調製した。
日清エンジニアリング株式会社製の空気分級機「ターボクラシファイア TC−15N」によって、ニッケル粒子を、比重が8.9、風量が2.5m3 /min、ローター回転数が1600rpm、分級点が25μm、ニッケル粒子の供給速度が16g/minの条件で分級処理し、粒子径が26μm以下のニッケル粒子を捕集し、更に、このニッケル粒子を、比重が8.9、風量が3.0m3 /min、ローター回転数が3000rpm、分級点が10μm、ニッケル粒子の供給速度が14g/minの条件で分級処理することにより、ニッケルよりなる芯粒子を調製した。
得られた芯粒子は、数平均粒子径が10μm、粒子径の変動係数が10%、BET比表面積が0.2×103 2 /kgであった。この芯粒子を「芯粒子(A)」とする。
スパッタリング装置の真空チャンバー内に、試料を攪拌するための回転ドラムを配置すると共に、Auターゲット(純度:3N以上のもの)およびSiターゲット(純度:5N以上)を配置した。2つのターゲットを互いに独立の直流高圧電源に接続し、両者の電力制御が互いに独立して行えるよう構成した。
次いで、回転ドラム内に調製した芯粒子(A)2kgを投入し、この芯粒子(A)を攪拌しながら、Auターゲットによるスパッタレートが4nm/min、Siターゲットによるスパッタレートが1nm/min、2つのターゲットについて0.5分間毎に交互にスパッタさせる条件で、芯粒子(A)に対して5時間スパッタ処理を行うことにより、芯粒子(A)の表面に導電性被膜を形成して導電性粒子を調製した。得られた導電性粒子をX線分析したところ、導電性被膜における金とケイ素との割合は、原子数比で82.5:17.5であった。また、導電性粒子の数平均粒子径は11μm、粒子径の変動係数は12%、導電性被膜の厚みは0.38μmであった。この導電性粒子を「導電性粒子(a)」とする。
《調製例2》
市販のニッケル粒子を用い、以下のようにして芯粒子を調製した。
日清エンジニアリング株式会社製の空気分級機「ターボクラシファイア TC−15N」によって、ニッケル粒子を、比重が8.9、風量が2.5m3 /min、ローター回転数が1800rpm、分級点が20μm、ニッケル粒子の供給速度が15g/minの条件で分級処理し、粒子径が22μm以下のニッケル粒子を捕集し、更に、このニッケル粒子を、比重が8.9、風量が2.8m3 /min、ローター回転数が2750rpm、分級点が12μm、ニッケル粒子の供給速度が12g/minの条件で分級処理することにより、ニッケルよりなる芯粒子を調製した。
得られた芯粒子は、数平均粒子径が10μm、粒子径の変動係数が30%、BET比表面積が0.1×103 2 /kgであった。この芯粒子を「芯粒子(B)」とする。
スパッタリング装置の真空チャンバー内に、試料を攪拌するための回転ドラムを配置すると共に、Auターゲット(純度:3N以上のもの)およびGeターゲット(純度:4.5N以上)を配置した。2つのターゲットを互いに独立の直流高圧電源に接続し、両者の電力制御が互いに独立して行えるよう構成した。
次いで、回転ドラム内に調製した芯粒子(B)2kgを投入し、この芯粒子(B)を攪拌しながら、Auターゲットによるスパッタレートが3nm/min、Geターゲットによるスパッタレートが1nm/min、2つのターゲットについて1.0分間毎に交互にスパッタさせる条件で、芯粒子(B)に対して6時間スパッタ処理を行うことにより、芯粒子(B)の表面に導電性被膜を形成して導電性粒子を調製した。得られた導電性粒子をX線分析したところ、導電性被膜における金とゲルマニウムとの割合は、原子数比で81:19であった。また、導電性粒子の数平均粒子径は13μm、粒子径の変動係数は14%、導電性被膜の厚みは0.35μmであった。この導電性粒子を「導電性粒子(b)」とする。
《調製例3》
市販のニッケル粒子を用い、以下のようにして芯粒子を調製した。
日清エンジニアリング株式会社製の空気分級機「ターボクラシファイア TC−15N」によって、ニッケル粒子を、比重が8.9、風量が2.8m3 /min、ローター回転数が1900rpm、分級点が18μm、ニッケル粒子の供給速度が12g/minの条件で分級処理し、粒子径が20μm以下のニッケル粒子を捕集し、更に、このニッケル粒子を、比重が8.9、風量が3.0m3 /min、ローター回転数が3000rpm、分級点が10μm、ニッケル粒子の供給速度が10g/minの条件で分級処理することにより、ニッケルよりなる芯粒子を調製した。
得られた芯粒子は、数平均粒子径が12μm、粒子径の変動係数が25%、BET比表面積が0.3×103 2 /kgであった。この芯粒子を「芯粒子(C)」とする。
スパッタリング装置の真空チャンバー内に、試料を攪拌するための回転ドラムを配置すると共に、Au−Si合金ターゲット(金とケイ素との割合が原子数比で83:17のもの)を配置し、直流高圧電源に接続した。
次いで、回転ドラム内に調製した芯粒子(C)2kgを投入し、この芯粒子(C)を攪拌しながら、スパッタレートが2.5nm/minの条件で、芯粒子(C)に対して6時間スパッタ処理を行うことにより、芯粒子(C)の表面に導電性被膜を形成して導電性粒子を調製した。得られた導電性粒子をX線分析したところ、導電性被膜における金とケイ素との割合は、原子数比で85:15であった。また、導電性粒子の数平均粒子径は15μm、粒子径の変動係数は22%、導電性被膜の厚みは0.41μmであった。この導電性粒子を「導電性粒子(c)」とする。
《調製例4》
市販のニッケル粒子を用い、以下のようにして芯粒子を調製した。
日清エンジニアリング株式会社製の空気分級機「ターボクラシファイア TC−15N」によって、ニッケル粒子を、比重が8.9、風量が2.9m3 /min、ローター回転数が1950rpm、分級点が16μm、ニッケル粒子の供給速度が11g/minの条件で分級処理し、粒子径が18μm以下のニッケル粒子を捕集し、更に、このニッケル粒子を、比重が8.9、風量が3.2m3 /min、ローター回転数が2850rpm、分級点が8μm、ニッケル粒子の供給速度が10g/minの条件で分級処理することにより、ニッケルよりなる芯粒子を調製した。
得られた芯粒子は、数平均粒子径が10μm、粒子径の変動係数が25%、BET比表面積が0.05×103 2 /kgであった。この芯粒子を「芯粒子(D)」とする。
KAu(CN)2 (Auの濃度が2.5g/L)、KCNおよびNaOHが溶解されてなる、pHが13.7〜14の水溶液に、シリコン(純度が5Nのもの)を溶解させることにより、金およびケイ素が原子数比で95:5となる割合で含有されてなるメッキ液を調製した。
次いで、芯粒子(D)を酸処理およひアルカリ処理した後、当該芯粒子(D)2kgを、調製したメッキ液中に入れ、メッキ液を攪拌しながら、75℃、1.5時間の条件で無電解メッキ処理を行うことにより、芯粒子(D)の表面に導電性被膜を形成して導電性粒子を調製した。得られた導電性粒子をX線分析したところ、導電性被膜における金とケイ素との割合は、原子数比で94.5:5.5であった。また、導電性粒子の数平均粒子径は8.5μm、粒子径の変動係数は27%、導電性被膜の厚みは0.25μmであった。この導電性粒子を「導電性粒子(d)」とする。
《調製例5》
市販のコバルト粒子を用い、以下のようにして芯粒子を調製した。
日清エンジニアリング株式会社製の空気分級機「ターボクラシファイア TC−15N」によって、コバルト粒子を、比重が8.85、風量が2.5m3 /min、ローター回転数が1750rpm、分級点が18μm、コバルト粒子の供給速度が14g/minの条件で分級処理し、粒子径が20μm以下のコバルト粒子を捕集し、更に、このコバルト粒子を、比重が8.85、風量が2.8m3 /min、ローター回転数が2500rpm、分級点が15μm、コバルト粒子の供給速度が12g/minの条件で分級処理することにより、コバルトよりなる芯粒子を調製した。
得られた芯粒子は、数平均粒子径が10μm、粒子径の変動係数が30%、BET比表面積が0.5×103 2 /kgであった。この芯粒子を「芯粒子(E)」とする。
KAu(CN)4 (Auの濃度が4.2g/L)、エチレンジアミン、次亜リン酸ナトリウム、チオジグリコール酸および塩酸が溶解されてなる、pHが0.5〜2.5の水溶液に、アモルファスGaO2 (純度が4Nのもの)を溶解させることにより、金およびゲルマニウムが原子数比で93:7となる割合で含有されてなるメッキ液を調製した。
次いで、芯粒子(E)を酸処理およひアルカリ処理した後、当該芯粒子(E)2kgを、調製したメッキ液中に入れ、メッキ液を攪拌しながら、50℃、2時間の条件で無電解メッキ処理を行うことにより、芯粒子(E)の表面に導電性被膜を形成して導電性粒子を調製した。得られた導電性粒子をX線分析したところ、導電性被膜における金とゲルマニウムとの割合は、原子数比で93.5:6.5であった。また、導電性粒子の数平均粒子径は16μm、粒子径の変動係数は31%、導電性被膜の厚みは0.28μmであった。この導電性粒子を「導電性粒子(e)」とする。
〈異方導電性コネクターの製造〉
《製造例1−1》
(1)フレーム板の作製:
図24の構成に従い、下記の仕様のフレーム板を作製した。
このフレーム板(36)は、直径が8インチの円板状で、その材質はコバール(飽和磁化1.4Wb/m2 ,線熱膨張係数5×10-6/K)で、その厚みは50μmである。このフレーム板(36)には、横方向の寸法が4mmで縦方向の寸法が0.4mmの矩形の開口(37)が合計で650個形成されている。
(2)スペーサーの作製:
下記の仕様の異方導電性シート製造用スペーサーを2枚作製した。
これらのスペーサーは、厚みが20μmで、その材質はステンレス(SUS304)である。このスペーサーには、横方向の寸法が4.1mmで縦方向の寸法が0.41mmの矩形の開口が合計で650個形成されている。
(3)金型の作製:
図3に示す構成に従い、下記の仕様の異方導電性製造用金型を作製した。
この金型における上型および下型は、それぞれ厚みが6mmの鉄よりなる基板を有し、この基板上には、16250個の矩形の強磁性体層が形成されている。具体的には、強磁性体層の各々は、横方向の寸法が100μm、縦方向の寸法が300μm、厚みが50μmであり、この強磁性体層の25個が横方向に160μmのピッチで配置された組が、合計で650組形成されている。
また、上型の基板上における強磁性体層が形成された個所以外の個所には、厚みが38μmの非磁性体層が形成され、下型の基板上における強磁性体層が形成された個所以外の個所には、厚みが88μmの非磁性体層が形成されている。これらの非磁性体層は、ドライフィルムレジストが硬化処理されてなるものである。
(4)導電性ペースト組成物の調製:
付加型液状シリコーンゴム100質量部に、導電性粒子(a)30質量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、導電性ペースト組成物を調製した。
以上において、付加型液状シリコーンゴムとしては、A液の粘度が250Pa・sで、B液の粘度が250Pa・sである二液型のものであって、硬化物の150℃における永久圧縮歪みが5%、硬化物のデュロメーターA硬度が32、硬化物の引裂強度が25kN/mのものを用いた。
また、上記の付加型液状シリコーンゴムおよびその硬化物の特性は、次のようにして測定した。
(i)付加型液状シリコーンゴムの粘度:
B型粘度計により、23±2℃における粘度を測定した。
(ii)シリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪み:
二液型の付加型液状シリコーンゴムにおけるA液とB液とを等量となる割合で攪拌混合した。次いで、この混合物を金型に流し込み、当該混合物に対して減圧による脱泡処理を行った後、120℃、30分間の条件で硬化処理を行うことにより、厚みが12.7mm、直径が29mmのシリコーンゴム硬化物よりなる円柱体を作製し、この円柱体に対して、200℃、4時間の条件でポストキュアを行った。このようにして得られた円柱体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して150±2℃における圧縮永久歪みを測定した。
(iii)シリコーンゴム硬化物の引裂強度:
上記(ii)と同様の条件で付加型液状シリコーンゴムの硬化処理およびポストキュアを行うことにより、厚みが2.5mmのシートを作製した。このシートから打ち抜きによってクレセント形の試験片を作製し、JIS K 6249に準拠して23±2℃における引裂強度を測定した。
(iv)デュロメーターA硬度:
上記(iii)と同様にして作製されたシートを5枚重ね合わせ、得られた積重体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して23±2℃におけるデュロメーターA硬度を測定した。
(5)異方導電性シートの形成:
上記の金型の上型および下型の各々の成形面に、スクリーン印刷によって、調製した導電性ペースト組成物を形成すべき異方導電性シートのパターンに従って塗布し、下型の成形面上に、一方のスペーサーを介してフレーム板を位置合わせして重ね、更に、このフレーム板上に、他方のスペーサーを介して上型を位置合わせして重ねることにより、上型および下型の間に、合計で650個の成形材料層を形成した。次いで、上型の裏面および下型の裏面に電磁石を配置して、各成形材料層に対し、上型の強磁性体層と下型の強磁性体層との間に位置する部分に、厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で硬化処理を施すことにより、フレーム板に合計で650個の異方導電性シートを形成し、以て、本発明に係る異方導電性シートを有する異方導電性コネクターを製造した。
得られた異方導電性コネクターにおける各異方導電性シートについて具体的に説明すると、これらの異方導電性シートの各々は、横方向の寸法が4.1mm、縦方向の寸法が0.41mmであり、25個の導電路形成部が160μmのピッチで横方向に一列に配列されており、異方導電性コネクター全体では、16250個の導電路形成部が形成されている。また、これらの異方導電性シートの一面は平坦面であり、他面には、導電路形成部が位置する個所に突出部が形成されており、その突出高さは38μmである。導電路形成部の各々は、厚みが128μm、横方向の寸法が100μm、縦方向の寸法が300μmであり、絶縁部の厚みが90μmである。また、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で22.5%である。この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクター(1−1)」とする。
《製造例1−2》
導電性粒子(a)の代わりに導電性粒子(b)を用いたこと以外は、製造例1−1と同様にして本発明の異方導電性シートを有する異方導電性コネクターを製造した。
得られた異方導電性コネクターにおける各異方導電性シートについて具体的に説明すると、これらの異方導電性シートの各々は、横方向の寸法が4.1mm、縦方向の寸法が0.41mmであり、25個の導電路形成部が160μmのピッチで横方向に一列に配列されており、異方導電性コネクター全体では、16250個の導電路形成部が形成されている。また、これらの異方導電性シートの一面は平坦面であり、他面には、導電路形成部が位置する個所に突出部が形成されており、その突出高さは38μmである。導電路形成部の各々は、厚みが128μm、横方向の寸法が100μm、縦方向の寸法が300μmであり、絶縁部の厚みが90μmである。また、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で22.5%である。この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクター(1−2)」とする。
《製造例1−3》
導電性粒子(a)の代わりに導電性粒子(c)を用いたこと以外は、製造例1−1と同様にして本発明の異方導電性シートを有する異方導電性コネクターを製造した。
得られた異方導電性コネクターにおける各異方導電性シートについて具体的に説明すると、これらの異方導電性シートの各々は、横方向の寸法が4.1mm、縦方向の寸法が0.41mmであり、25個の導電路形成部が160μmのピッチで横方向に一列に配列されており、異方導電性コネクター全体では、16250個の導電路形成部が形成されている。また、これらの異方導電性シートの一面は平坦面であり、他面には、導電路形成部が位置する個所に突出部が形成されており、その突出高さは38μmである。導電路形成部の各々は、厚みが128μm、横方向の寸法が100μm、縦方向の寸法が300μmであり、絶縁部の厚みが90μmである。また、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で22.5%である。この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクター(1−3)」とする。
《製造例1−4》
導電性粒子(a)の代わりに導電性粒子(d)を用いたこと以外は、製造例1−1と同様にして本発明の異方導電性シートを有する異方導電性コネクターを製造した。
得られた異方導電性コネクターにおける各異方導電性シートについて具体的に説明すると、これらの異方導電性シートの各々は、横方向の寸法が4.1mm、縦方向の寸法が0.41mmであり、25個の導電路形成部が160μmのピッチで横方向に一列に配列されており、異方導電性コネクター全体では、16250個の導電路形成部が形成されている。また、これらの異方導電性シートの一面は平坦面であり、他面には、導電路形成部が位置する個所に突出部が形成されており、その突出高さは38μmである。導電路形成部の各々は、厚みが128μm、横方向の寸法が100μm、縦方向の寸法が300μmであり、絶縁部の厚みが90μmである。また、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で22.5%である。この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクター(1−4)」とする。
《製造例1−5》
導電性粒子(a)の代わりに導電性粒子(e)を用いたこと以外は、製造例1−1と同様にして本発明の異方導電性シートを有する異方導電性コネクターを製造した。
得られた異方導電性コネクターにおける各異方導電性シートについて具体的に説明すると、これらの異方導電性シートの各々は、横方向の寸法が4.1mm、縦方向の寸法が0.41mmであり、25個の導電路形成部が160μmのピッチで横方向に一列に配列されており、異方導電性コネクター全体では、16250個の導電路形成部が形成されている。また、これらの異方導電性シートの一面は平坦面であり、他面には、導電路形成部が位置する個所に突出部が形成されており、その突出高さは38μmである。導電路形成部の各々は、厚みが128μm、横方向の寸法が100μm、縦方向の寸法が300μmであり、絶縁部の厚みが90μmである。また、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で22.5%である。この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクター(1−5)」とする。
《製造例2−1》
(1)フレーム板の作製:
図24の構成に従い、下記の仕様のフレーム板を作製した。
このフレーム板(36)は、直径が8インチの円板状で、その材質はコバール(飽和磁化1.4Wb/m2 ,線熱膨張係数5×10-6/K)で、その厚みは50μmである。このフレーム板(36)には、横方向の寸法が33mmで縦方向の寸法が0.4mmの矩形の開口(37)が合計で25個形成されている。
(2)スペーサーの作製:
下記の仕様の異方導電性シート製造用スペーサーを2枚作製した。
これらのスペーサーは、厚みが20μmで、その材質はステンレス(SUS304)である。このスペーサーには、横方向の寸法が35mmで縦方向の寸法が0.5mmの矩形の開口が合計で25個形成されている。
(3)金型の作製:
図3に示す構成に従い、下記の仕様の異方導電性製造用金型を作製した。
この金型における上型および下型は、それぞれ厚みが6mmの鉄よりなる基板を有し、この基板上には、3250個の矩形の強磁性体層が形成されている。具体的には、強磁性体層の各々は、横方向の寸法が125μm、縦方向の寸法が225μm、厚みが50μmであり、この強磁性体層の130個が横方向に250μmのピッチで配置された組が、合計で25組形成されている。
また、上型の基板上における強磁性体層が形成された個所以外の個所には、厚みが50μmの非磁性体層が形成され、下型の基板上における強磁性体層が形成された個所以外の個所には、厚みが85μmの非磁性体層が形成されている。これらの非磁性体層は、ドライフィルムレジストが硬化処理されてなるものである。
(4)導電性ペースト組成物の調製:
付加型液状シリコーンゴム100質量部に、導電性粒子30質量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、導電性ペースト組成物を調製した。
以上において、導電性粒子としては、ニッケルよりなる芯粒子の表面に金よりなる導電性被膜が形成されてなるものであって、数平均粒子径が13μm、粒子径の変動係数が22%、導電性被膜の厚みが0.25μmのものを用いた。
また、付加型液状シリコーンゴムとしては、A液の粘度が250Pa・sで、B液の粘度が250Pa・sである二液型のものであって、硬化物の150℃における永久圧縮歪みが5%、硬化物のデュロメーターA硬度が32、硬化物の引裂強度が25kN/mのものを用いた。
(5)異方導電性シート本体の形成:
上記の金型の上型および下型の各々の成形面に、スクリーン印刷によって、調製した導電性ペースト組成物を形成すべき異方導電性シート本体のパターンに従って塗布し、下型の成形面上に、一方のスペーサーを介してフレーム板を位置合わせして重ね、更に、このフレーム板上に、他方のスペーサーを介して上型を位置合わせして重ねることにより、上型および下型の間に、合計で25個の成形材料層を形成した。次いで、上型の裏面および下型の裏面に電磁石を配置して、各成形材料層に対し、上型の強磁性体層と下型の強磁性体層との間に位置する部分に、厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で硬化処理を施すことにより、フレーム板に合計で25個の異方導電性シート本体を形成した。
得られた各異方導電性シート本体について具体的に説明すると、これらの異方導電性シート本体の各々は、横方向の寸法が35mm、縦方向の寸法が0.5mmであり、130個の導電路形成部が250μmのピッチで横方向に一列に配列されており、全ての異方導電性シート本体の合計では、3250個の導電路形成部が形成されている。また、これらの異方導電性シート本体の一面は平坦面であり、他面には、導電路形成部が位置する個所に突出部が形成されており、その突出高さは35μmである。導電路形成部の各々は、厚みが125μm、横方向の寸法が125μm、縦方向の寸法が225μmであり、絶縁部の厚みが90μmである。また、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で28%である。
(6)導電性被膜の形成:
縦横の寸法が230mm×230mmで厚みが40μmのAu−Si合金(金とケイ素との割合が原子数比で85:15のもの)よりなる箔(以下、「Au−Si箔」という。)を、フレーム板に形成された各異方導電性シート本体の一面に接するよう配置し、このAu−Si箔上に、縦横の寸法が230mm×230mmで厚みが厚みが10mmの無水石英ガラス板(質量が約1.15kg)を配置し、この無水石英ガラス板の周縁部上に、14kgの重りを配置した。ここで、異方導電性シートに加わる荷重は、導電路形成部1個当たり6.15gである。
次いで、YAGレーザー加工機を用い、レーザー光を無水石英ガラス板を介してAu−Si箔に照射することにより、異方導電性シート本体における導電路形成部の一面にAu−Si箔を溶着させ、当該Au−Si箔における溶着された部分以外の部分を除去することにより、当該導電路形成部の一面に、寸法が125μm×225μm×40μmの導電性被膜を形成し、以て、本発明の異方導電性シートを有する異方導電性コネクターを製造した。以上において、レーザー光の照射は、ビーム径が25μmで、レーザー光の照射によってAu−Si箔の温度が400℃となる条件で行った。この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクター(2−1)」とする。
《製造例2−2》
製造例2−1と同様にしてフレーム板に25個の異方導電性シートを形成し、これらの異方導電性シートにおける導電路形成部の一面にAu−Si箔を溶着させ、当該Au−Si箔における溶着された部分以外の部分を除去することにより、導電路形成部の一面に基膜を形成した。その後、縦横の寸法が230mm×230mmで厚みが20μmのAu−Si箔を、導電路形成部に形成された基膜に接するよう配置し、このAu−Si箔上に、縦横の寸法が230mm×230mmで厚みが厚みが10mmの無水石英ガラス板(質量が約1.15kg)を配置し、この無水石英ガラス板の周縁部上に、14kgの重りを配置した。
次いで、YAGレーザー加工機を用い、レーザー光を無水石英ガラス板を介してAu−Si箔に照射することにより、当該Au−Si箔を導電路形成部の一面に形成された基膜に溶着させ、当該Au−Si箔における溶着された部分以外の部分を除去することにより、寸法が125μm×225μm×40μmの基膜上に、寸法が82μm×162μm×18μmの突出部が形成されてなる導電性被膜を形成し、以て、本発明の異方導電性シートを有する異方導電性コネクターを製造した。この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクター(2−2)」とする。
《製造例2−3》
(1)フレーム板の作製:
図24の構成に従い、下記の仕様のフレーム板を作製した。
このフレーム板(36)は、直径が8インチの円板状で、その材質はコバール(飽和磁化1.4Wb/m2 ,線熱膨張係数5×10-6/K)で、その厚みは50μmである。このフレーム板(36)には、横方向の寸法が3.5mmで縦方向の寸法が0.4mmの矩形の開口(37)が合計で256個形成されている。
(2)スペーサーの作製:
下記の仕様の異方導電性シート製造用スペーサーを2枚作製した。
これらのスペーサーは、厚みが25μmで、その材質はステンレス(SUS304)である。このスペーサーには、横方向の寸法が4mmで縦方向の寸法が0.5mmの矩形の開口が合計で256個形成されている。
(3)金型の作製:
図3に示す構成に従い、下記の仕様の異方導電性製造用金型を作製した。
この金型における上型および下型は、それぞれ厚みが6mmの鉄よりなる基板を有し、この基板上には、5632個の矩形の強磁性体層が形成されている。具体的には、強磁性体層の各々は、横方向の寸法が160μm、縦方向の寸法が250μm、厚みが50μmであり、この強磁性体層の22個が横方向に200μmのピッチで配置された組が、合計で256組形成されている。
また、上型の基板上における強磁性体層が形成された個所以外の個所には、厚みが50μmの非磁性体層が形成され、下型の基板上における強磁性体層が形成された個所以外の個所には、厚みが75μmの非磁性体層が形成されている。これらの非磁性体層は、ドライフィルムレジストが硬化処理されてなるものである。
(4)導電性ペースト組成物の調製:
付加型液状シリコーンゴム100質量部に、導電性粒子30質量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、導電性ペースト組成物を調製した。
以上において、導電性粒子としては、ニッケルよりなる芯粒子の表面に金よりなる導電性被膜が形成されてなるものであって、数平均粒子径が11μm、粒子径の変動係数が28%、導電性被膜の厚みが0.20μmのものを用いた。
また、付加型液状シリコーンゴムとしては、A液の粘度が150Pa・sで、B液の粘度が150Pa・sである二液型のものであって、硬化物の150℃における永久圧縮歪みが5%、硬化物のデュロメーターA硬度が32、硬化物の引裂強度が25kN/mのものを用いた。
(5)異方導電性シート本体の形成:
上記の金型の上型および下型の各々の成形面に、スクリーン印刷によって、調製した導電性ペースト組成物を形成すべき異方導電性シート本体のパターンに従って塗布し、下型の成形面上に、一方のスペーサーを介してフレーム板を位置合わせして重ね、更に、このフレーム板上に、他方のスペーサーを介して上型を位置合わせして重ねることにより、上型および下型の間に、合計で256個の成形材料層を形成した。次いで、上型の裏面および下型の裏面に電磁石を配置して、各成形材料層に対し、上型の強磁性体層と下型の強磁性体層との間に位置する部分に、厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で硬化処理を施すことにより、フレーム板に合計で256個の異方導電性シート本体を形成した。
得られた各異方導電性シート本体について具体的に説明すると、これらの異方導電性シート本体の各々は、横方向の寸法が4mm、縦方向の寸法が0.5mmであり、22個の導電路形成部が200μmのピッチで横方向に一列に配列されており、全ての異方導電性シート本体の合計では、5632個の導電路形成部が形成されている。また、これらの異方導電性シート本体の一面は平坦面であり、他面には、導電路形成部が位置する個所に突出部が形成されており、その突出高さは25μmである。導電路形成部の各々は、厚みが125μm、横方向の寸法が160μm、縦方向の寸法が250μmであり、絶縁部の厚みが100μmである。また、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で26%である。
(6)導電性被膜の形成:
縦横の寸法が230mm×230mmで厚みが30μmのAu−Ge合金(金とゲルマニウムとの割合が原子数比で80:20のもの)よりなる箔(以下、「Au−Ge箔」という。)を、フレーム板に形成された各異方導電性シート本体の一面に接するよう配置し、更に真空吸引装置によって、Au−Ge箔を異方導電性シートの一面に吸着させた。このとき、異方導電性シートの導電路形成部1個当たりに加わる力が5.5gfとなるよう、真空吸引装置の吸引力を調整した。
次いで、YAGレーザー加工機を用い、レーザー光を無水石英ガラス板を介してAu−Ge箔に照射することにより、異方導電性シート本体における導電路形成部の一面にAu−Ge箔を溶着させ、当該Au−Ge箔における溶着された部分以外の部分を除去することにより、当該導電路形成部の一面に、寸法が160μm×250μm×30μmの導電性被膜を形成し、以て、本発明の異方導電性シートを有する異方導電性コネクターを製造した。以上において、レーザー光の照射は、ビーム径が15μmで、レーザー光の照射によってAu−Ge箔の温度が370℃となる条件で行った。この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクター(2−3)」とする。
《比較製造例1》
導電性粒子(a)の代わりに、ニッケルよりなる芯粒子の表面に金よりなる導電性被膜が形成されてなる導電性粒子(数平均粒子径:13μm,粒子径の変動係数:20%,導電性被膜の厚み:0.25μm)を用いたこと以外は、製造例1−1と同様にして比較用の異方導電性シートを有する異方導電性コネクターを製造した。
得られた異方導電性コネクターにおける各異方導電性シートについて具体的に説明すると、これらの異方導電性シートは、横方向の寸法が4.1mm、縦方向の寸法が0.41mmであり、25個の導電路形成部が160μmのピッチで横方向に一列に配列されている。また、これらの異方導電性シートの一面は平坦面であり、他面には、導電路形成部が位置する個所に突出部が形成されており、その突出高さは38μmである。導電路形成部の各々は、厚みが128μm、横方向の寸法が100μm、縦方向の寸法が300μmであり、絶縁部の厚みが90μmである。また、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で27%である。この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクター(1−11)」とする。
《比較製造例2》
導電性被膜を形成しなかったこと以外は、製造例2−1と同様にして比較用の異方導電性シートを有する異方導電性コネクターを製造した。
得られた異方導電性コネクターにおける各異方導電性シートについて具体的に説明すると、これらの異方導電性シートは、横方向の寸法が35mm、縦方向の寸法が0.5mmであり、130個の導電路形成部が250μmのピッチで横方向に一列に配列されている。また、これらの異方導電性シートの一面は平坦面であり、他面には、導電路形成部が位置する個所に突出部が形成されており、その突出高さは35μmである。導電路形成部の各々は、厚みが125μm、横方向の寸法が125μm、縦方向の寸法が225μmであり、絶縁部の厚みが90μmである。また、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で24%である。この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクター(2−11)」とする。
《比較製造例3》
導電性被膜を形成しなかったこと以外は、製造例2−3と同様にして比較用の異方導電性シートを有する異方導電性コネクターを製造した。
得られた異方導電性コネクターにおける各異方導電性シートについて具体的に説明すると、これらの異方導電性シートは、横方向の寸法が4mm、縦方向の寸法が0.5mmであり、22個の導電路形成部が200μmのピッチで横方向に一列に配列されている。また、これらの異方導電性シートの一面は平坦面であり、他面には、導電路形成部が位置する個所に突出部が形成されており、その突出高さは25μmである。導電路形成部の各々は、厚みが125μm、横方向の寸法が160μm、縦方向の寸法が250μmであり、絶縁部の厚みが100μmである。また、導電路形成部における導電性粒子の割合は体積分率で25%である。この異方導電性コネクターを「異方導電性コネクター(2−12)」とする。
〈異方導電性シートの評価》
(1)試験用ウエハの作製:
直径が8インチのシリコン(線熱膨張係数3.3×10-6/K)製のウエハに、それぞれ寸法が5mm×5mmの正方形の集積回路Lを合計で650個形成した。ウエハに形成された集積回路の各々には、鉛フリー半田よりなる直径が100μmの半球状の25個の被検査電極が160μmのピッチで横方向に一列に配列されている。このウエハ全体の被検査電極の総数は16250個である。このウエハを「試験用ウエハW1」とする。
また、直径が8インチのシリコン(線熱膨張係数3.3×10-6/K)製のウエハに、それぞれ寸法が5mm×5mmの正方形の集積回路Lを合計で650個形成した。ウエハに形成された集積回路の各々には、共晶半田よりなる直径が100μmの半球状の25個の被検査電極が160μmのピッチで横方向に一列に配列されている。このウエハ全体の被検査電極の総数は16250個である。このウエハを「試験用ウエハW2」とする。
また、直径が8インチのシリコン(線熱膨張係数3.3×10-6/K)製のウエハに、それぞれ寸法が40mm×20mmの正方形の集積回路Lを合計で25個形成した。ウエハに形成された集積回路の各々には、鉛フリー半田よりなる直径が90μmの半球状の130個の被検査電極が250μmのピッチで横方向に一列に配列されている。このウエハ全体の被検査電極の総数は3250個である。このウエハを「試験用ウエハW3」とする。
また、直径が8インチのシリコン(線熱膨張係数3.3×10-6/K)製のウエハに、それぞれ寸法が40mm×20mmの正方形の集積回路Lを合計で25個形成した。ウエハに形成された集積回路の各々には、共晶半田よりなる直径が90μmの半球状の130個の被検査電極が250μmのピッチで横方向に一列に配列されている。このウエハ全体の被検査電極の総数は3250個である。このウエハを「試験用ウエハW4」とする。
また、直径が8インチのシリコン(線熱膨張係数3.3×10-6/K)製のウエハに、それぞれ寸法が8mm×8mmの正方形の集積回路Lを合計で256個形成した。ウエハに形成された集積回路の各々には、共晶半田よりなる直径が100μmの半球状の22個の被検査電極が200μmのピッチで横方向に一列に配列されている。このウエハ全体の被検査電極の総数は5632個である。このウエハを「試験用ウエハW5」とする。
(2)検査用回路基板の作製:
基板材料としてアルミナセラミックス(線熱膨張係数4.8×10-6/K)を用い、試験用ウエハW1における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が形成された検査用回路基板を作製した。この検査用回路基板は、全体の寸法が30cm×30cmの矩形であり、その検査電極は、横方向の寸法が80μmで縦方向の寸法が250μmである。以下、この検査用回路基板を「検査用回路基板T1」という。
また、基板材料としてアルミナセラミックス(線熱膨張係数4.8×10-6/K)を用い、試験用ウエハW3における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が形成された検査用回路基板を作製した。この検査用回路基板は、全体の寸法が30cm×30cmの矩形であり、その検査電極は、横方向の寸法が100μmで縦方向の寸法が200μmである。以下、この検査用回路基板を「検査用回路基板T2」という。
また、基板材料としてアルミナセラミックス(線熱膨張係数4.8×10-6/K)を用い、試験用ウエハW5における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が形成された検査用回路基板を作製した。この検査用回路基板は、全体の寸法が30cm×30cmの矩形であり、その検査電極は、横方向の寸法が150μmで縦方向の寸法が240μmである。以下、この検査用回路基板を「検査用回路基板T3」という。
(3)バーンイン試験:
異方導電性コネクター(1−2)、異方導電性コネクター(1−3)、異方導電性コネクター(1−5)および異方導電性コネクター(1−11)について、以下のようにしてバーンイン試験における耐久性を調べた。
試験用ウエハW1を、電熱ヒーターを具えた試験台に配置し、この試験用ウエハW1上に異方導電性コネクターをその導電路形成部の各々が当該試験用ウエハW1の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電製コネクター上に、検査用回路基板T1をその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターの導電路形成部上に位置するよう位置合わせして配置した。
次いで、検査用回路基板T1を下方に105kgの荷重(導電路形成部1個当たりに加わる荷重が平均で約6.5g)で加圧し、この状態で、試験台を125℃に加熱して4時間保持した後、試験用ウエハW1の被検査電極と検査用回路基板T1の検査電極との間の電気抵抗(以下、「導通抵抗」という。)を測定した。その後、試験台を室温まで冷却し、検査用回路基板T1に対する加圧を解除した。以上の操作を1サイクルとして繰り返し行い、導通抵抗が1Ω以上となるサイクル数を測定した。
また、異方導電性コネクター(2−1)、異方導電性コネクター(2−2)および異方導電性コネクター(2−11)について、以下のようにしてバーンイン試験における耐久性を調べた。
試験用ウエハW3を、電熱ヒーターを具えた試験台に配置し、この試験用ウエハW3上に異方導電性コネクターをその導電路形成部の各々が当該試験用ウエハW3の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電製コネクター上に、検査用回路基板T2をその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターの導電路形成部上に位置するよう位置合わせして配置した。
次いで、検査用回路基板T2を下方に24kgの荷重(導電路形成部1個当たりに加わる荷重が平均で約7.5g)で加圧し、この状態で、試験台を125℃に加熱して4時間保持した後、試験用ウエハW3の被検査電極と検査用回路基板T2の検査電極との間の電気抵抗(以下、「導通抵抗」という。)を測定した。その後、試験台を室温まで冷却し、検査用回路基板T2に対する加圧を解除した。以上の操作を1サイクルとして繰り返し行い、導通抵抗が1Ω以上となるサイクル数を測定した。
更に、試験用ウエハW3を試験用ウエハW4に変更したこと以外は上記と同様にして、異方導電性コネクター(2−1)、異方導電性コネクター(2−2)および異方導電性コネクター(2−11)について、バーンイン試験における耐久性を調べた。
以上、結果を表1に示す。
Figure 2006063399
表1の結果から明らかなように、本発明の異方導電性シートを有する異方導電性コネクター(1−2)、(1−3)、(1−5)、(2−1)および(2−2)によれば、良好な導電性を有すると共に、高温環境下ににおいて、半田よりなる被検査電極を長時間圧接しても、良好な導電性が安定に維持されることが確認された。
これに対し、比較用の異方導電性シートを有する異方導電性コネクター(1−11)および(2−11)においては、高温環境下ににおいて、半田よりなる被検査電極を圧接すると、早期に導電性が低下するものであった。
また、試験終了後に、異方導電性コネクターにおける異方導電性シートを、AES(Auger Electron Spectoscopy)によって分析したところ、異方導電性コネクター(1−2)、(1−3)、(2−1)および(2−2)については、Snが全く検出されず、異方導電性コネクター(1−5)ついては、微量のSnが検出された。一方、異方導電性コネクター(1−11)および(2−11)については、多量のSnが検出され、導電性の低下の原因がSnの移行によるものであることが確認された。
(4)プローブ試験:
異方導電性コネクター(1−1)、異方導電性コネクター(1−4)および異方導電性コネクター(1−11)について、以下のようにしてプローブ試験における耐久性を調べた。
試験用ウエハW2を、電熱ヒーターを具えた試験台に配置し、この試験用ウエハW2上に異方導電性コネクターをその導電路形成部の各々が当該試験用ウエハW2の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電製コネクター上に、検査用回路基板T1をその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターの導電路形成部上に位置するよう位置合わせして配置した。
次いで、試験台を90℃に加熱し、検査用回路基板T2を下方に50kgの荷重(導電路形成部1個当たりに加わる荷重が平均で約9g)で加圧し、1分間保持した後、導通抵抗を測定した。その後、検査用回路基板T2に対する加圧を解除した。以上の操作を1サイクルとして繰り返し行い、導通抵抗が1Ω以上となるサイクル数を測定した。
また、異方導電性コネクター(2−3)および異方導電性コネクター(2−12)について、以下のようにしてプローブ試験における耐久性を調べた。
試験用ウエハW5を、電熱ヒーターを具えた試験台に配置し、この試験用ウエハW5上に異方導電性コネクターをその導電路形成部の各々が当該試験用ウエハW5の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電製コネクター上に、検査用回路基板T3をその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターの導電路形成部上に位置するよう位置合わせして配置した。
次いで、試験台を90℃に加熱し、検査用回路基板T3を下方に45kgの荷重(導電路形成部1個当たりに加わる荷重が平均で約8g)で加圧し、1分間保持した後、導通抵抗を測定した。その後、検査用回路基板T3に対する加圧を解除した。以上の操作を1サイクルとして繰り返し行い、導通抵抗が1Ω以上となるサイクル数を測定した。
以上、結果を表2に示す。
Figure 2006063399
表2の結果から明らかなように、本発明の異方導電性シートを有する異方導電性コネクター(1−1)、(1−4)および(2−3)によれば、良好な導電性を有すると共に、半田よりなる被検査電極を多数回にわたって圧接しても、良好な導電性が安定に維持されることが確認された。
これに対し、比較用の異方導電性シートを有する異方導電性コネクター(1−11)および(2−12)においては、半田よりなる被検査電極を繰り返して圧接すると、早期に導電性が低下するものであった。
また、試験終了後に、異方導電性コネクターにおける異方導電性シートを、AES(Auger Electron Spectoscopy)によって分析したところ、異方導電性コネクター(1−1)および(2−3)については、PbおよびSnが全く検出されず、異方導電性コネクター(1−4)ついては、微量のPbおよび微量のSnが検出された。一方、異方導電性コネクター(1−11)および(2−12)については、多量のPbおよび多量のSnが検出され、導電性の低下の原因がPbおよびSnの移行によるものであることが確認された。
本発明に係る異方導電性シートの一例における要部の構成を示す説明用断面図である。 異方導電性シート製造用金型の一例における構成を示す説明用断面図である。 図2に示す異方導電性シート製造用金型の一部を拡大してた示す説明用断面図である。 異方導電性シート製造用金型内に成形材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。 図4に示す成形材料層に対してその厚み方向に磁場を作用させた状態を示す説明用断面図である。 本発明に係る異方導電性シートの他の例における要部の構成を示す説明用断面図である。 図6に示す異方導電性シートを製造するための一面側成形部材、他面側成形部材およひスペーサーを示す説明用断面図である。 他面側成形部材の表面に導電性ペースト組成物が塗布された状態を示す説明用断面図である。 一面側成形部材と他面側成形部材との間に成形材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。 図9に示す成形材料層を拡大して示す説明用断面図である。 図9に示す成形材料層に対してその厚み方向に磁場を作用させた状態を示す説明用断面図である。 本発明に係る異方導電性シートの更に他の例における要部の構成を示す説明用断面図である。 異方導電性シート製造用金型内に成形材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。 図13に示す成形材料層に対してその厚み方向に磁場を作用させた状態を示す説明用断面図である。 本発明に係るシート状プローブの一例における構成を示す説明用断面図である。 図15に示すシート状プローブにおける表面電極を拡大して示す説明用断面図である。 図15に示すシート状プローブを製造するために用いられる積層体の構成を示す説明用断面図である。 積層体における絶縁性シートに貫通孔が形成された状態を示す説明用断面図である。 積層体に短絡部および表面電極基体が形成された状態を示す説明用断面図である。 積層体における金属層上にパターニングされたレジスト膜が形成された状態を示す説明用断面図である。 絶縁性シートの裏面に裏面電極が形成された状態を示す説明用断面図である。 本発明に係る回路装置の検査装置の一例における構成を示す説明図である。 図22に示す本発明に係る回路装置の検査装置の要部の構成を拡大して示す説明図である。 異方導電性コネクターにおけるフレーム板を示す平面図である。 本発明に係る回路装置の検査装置の他の例における構成を示す説明図である。 図25に示す本発明に係る回路装置の検査装置の要部の構成を拡大して示す説明図である。 本発明に係る回路装置の検査装置の更に他の例における構成を示す説明図である。 図27に示す本発明に係る回路装置の検査装置の要部の構成を拡大して示す説明図である。
符号の説明
1 ウエハ
2 被検査電極
3 加圧板
4 ウエハ載置台
5 加熱器
10 異方導電性シート
10A 成形材料層
11 導電路形成部
11A 突出部
12 絶縁部
14 異方導電性シート
14A 成形材料層
14B 導電性ペースト組成物
15 異方導電性シート
15A 成形材料層
16 異方導電性シート本体
17 導電路形成部
17A 突出部
18 絶縁部
19 導電性被膜
20 シート状プローブ
20A 積層体
21 絶縁性シート
22 複合電極体
23 表面電極
23A 表面電極基体
24 裏面電極
24A 金属層
25 短絡部
25H 貫通孔
26 導電性被膜
27,28,29 レジスト膜
30 プローブカード
31 検査用回路基板
32 検査電極
35 異方導電性コネクター
36 フレーム板
37 開口
40 異方導電性シート
41 導電路形成部
41A,41B 突出部
42 絶縁部
50 一面側成形部材
51 他面側成形部材
52 スペーサー
52K 開口
53 加圧ロール
54 支持ロール
55 加圧ロール装置
60 異方導電性シート製造用金型
61 上型
62 基板
63 強磁性体層
64 非磁性体層
65 下型
66 基板
67 強磁性体層
68 非磁性体層
68a 凹所
P 導電性粒子

Claims (13)

  1. 金またはその合金中に、ケイ素および/またはゲルマニウムが含有されてなり、金とケイ素およびゲルマニウムの合計との割合が、原子数比で97:3〜70:30であることを特徴とする耐半田性金組成物。
  2. 請求項1に記載の耐半田性金組成物よりなることを特徴とする導電性被膜。
  3. 磁性を示す芯粒子の表面に、請求項1に記載の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜が形成されてなることを特徴とする導電性粒子。
  4. 硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に、請求項3に記載の導電性粒子が含有されてなることを特徴とする導電性ペースト組成物。
  5. それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる異方導電性シートにおいて、
    前記導電路形成部の各々は、弾性高分子物質中に、請求項3に記載の導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなることを特徴とする異方導電性シート。
  6. 弾性高分子物質中に、請求項3に記載の導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなることを特徴とする異方導電性シート。
  7. それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる異方導電性シートにおいて、
    前記導電路形成部の各々の一面には、請求項1に記載の耐半田性金組成物よりなる被膜が形成されていることを特徴とする異方導電性シート。
  8. 表面に請求項1に記載の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜を有することを特徴とする電極。
  9. 請求項1に記載の耐半田性金組成物よりなることを特徴とする電極。
  10. 絶縁性シート体と、この絶縁性シート体の表面に露出する表面電極および当該絶縁性シート体の裏面に露出する裏面電極が当該絶縁性シート体をその厚み方向に貫通して伸びる短絡部によって互いに連結されてなる複数の複合電極体とを具えてなるシート状プローブにおいて、
    前記複合電極体における表面電極は、その表面に請求項1に記載の耐半田性金組成物よりなる導電性被膜を有することを特徴とするシート状プローブ。
  11. 表面に複数の検査電極が形成されてなる検査用回路基板と、この検査用回路基板上に配置された、請求項5乃至請求項7のいずれか一に記載の異方導電性シートとを具えてなることを特徴とするプローブカード。
  12. 表面に複数の検査電極が形成されてなる検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面上に配置された異方導電性シートと、この異方導電性シート上に配置された、請求項10に記載のシート状プローブとを具えてなることを特徴とするプローブカード。
  13. 請求項11または請求項12に記載のプローブカードを具えてなることを特徴とする回路装置の検査装置。
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