JP3685191B2 - 異方導電性コネクターおよびプローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法 - Google Patents

異方導電性コネクターおよびプローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3685191B2
JP3685191B2 JP2003289032A JP2003289032A JP3685191B2 JP 3685191 B2 JP3685191 B2 JP 3685191B2 JP 2003289032 A JP2003289032 A JP 2003289032A JP 2003289032 A JP2003289032 A JP 2003289032A JP 3685191 B2 JP3685191 B2 JP 3685191B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anisotropic conductive
conductive
wafer
inspection
connection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003289032A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004111930A5 (ja
JP2004111930A (ja
Inventor
良司 瀬高
雅也 直井
克己 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2003289032A priority Critical patent/JP3685191B2/ja
Publication of JP2004111930A publication Critical patent/JP2004111930A/ja
Publication of JP2004111930A5 publication Critical patent/JP2004111930A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3685191B2 publication Critical patent/JP3685191B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Testing Of Individual Semiconductor Devices (AREA)
  • Measuring Leads Or Probes (AREA)
  • Testing Or Measuring Of Semiconductors Or The Like (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Description

本発明は、ウエハに形成された複数の集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために好適に用いることができる異方導電性コネクターおよびこの異方導電性コネクターを具えたプローブ部材、並びにこのプローブ部材を具えたウエハ検査装置およびこのプローブ部材を使用したウエハ検査方法に関し、更に詳しくは、例えば直径が8インチ以上のウエハであって、これに形成された集積回路における被検査電極の総数が5000点以上であるものについて、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために好適に用いることができる異方導電性コネクターおよびこの異方導電性コネクターを具えたプローブ部材並びにこのプローブ部材を具えたウエハ検査装置およびこのプローブ部材を使用したウエハ検査方法に関する。
一般に、半導体集積回路装置の製造工程においては、例えばシリコンよりなるウエハに多数の集積回路を形成し、その後、これらの集積回路の各々について、基礎的な電気特性を検査することによって、欠陥を有する集積回路を選別するプローブ試験が行われる。次いで、このウエハを切断することによって半導体チップが形成され、この半導体チップが適宜のパッケージ内に収納されて封止される。更に、パッケージ化された半導体集積回路装置の各々について、高温環境下において電気特性を検査することによって、潜在的欠陥を有する半導体集積回路装置を選別するバーンイン試験が行われる。
このようなプローブ試験またはバーイン試験などの集積回路の電気的検査においては、検査対象物における被検査電極の各々をテスターに電気的に接続するためにプローブ部材が用いられている。このようなプローブ部材としては、被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が形成された検査用回路基板と、この検査用回路基板上に配置された異方導電性エラストマーシートとよりなるものが知られている。
かかる異方導電性エラストマーシートとしては、従来、種々の構造のものが知られており、例えば特許文献1等には、金属粒子をエラストマー中に均一に分散して得られる異方導電性エラストマーシート(以下、これを「分散型異方導電性エラストマーシート」という。)が開示され、また、特許文献2等には、導電性磁性体粒子をエラストマー中に不均一に分布させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなる異方導電性エラストマーシート(以下、これを「偏在型異方導電性エラストマーシート」という。)が開示され、更に、特許文献3等には、導電部の表面と絶縁部との間に段差が形成された偏在型異方導電性エラストマーシートが開示されている。
そして、偏在型異方導電性エラストマーシートは、検査すべき集積回路の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って導電部が形成されているため、分散型異方導電性エラストマーシートに比較して、被検査電極の配列ピッチすなわち隣接する被検査電極の中心間距離が小さい集積回路などに対しても電極間の電気的接続を高い信頼性で達成することができる点で、有利である。
このような偏在型異方導電性エラストマーシートにおいては、検査用回路基板および検査対象物との電気的接続作業において、それらに対して特定の位置関係をもって保持固定することが必要である。
然るに、異方導電性エラストマーシートは柔軟で容易に変形しやすいものであって、その取扱い性が低いものである。しかも、近年、電気製品の小型化あるいは高密度配線化に伴い、これに使用される集積回路装置は、電極数が増加し、電極の配列ピッチが一層小さくなって高密度化する傾向にある。そのため、検査対象物の被検査電極に対する電気的接続を行う際に、偏在型異方導電性エラストマーシートの位置合わせおよび保持固定が困難になりつつある。
また、バーンイン試験においては、一旦は集積回路装置と偏在型異方導電性エラストマーシートとの所要の位置合わせおよび保持固定が実現された場合であっても、温度変化による熱履歴を受けると、熱膨張率が、検査対象である集積回路装置を構成する材料(例えばシリコン)と偏在型異方導電性エラストマーシートを構成する材料(例えばシリコーンゴム)との間で大きく異なるため、偏在型異方導電性エラストマーシートの導電部と集積回路装置の被検査電極との間に位置ずれが生じる結果、電気的接続状態が変化して安定な接続状態が維持されない、という問題がある。
このような問題を解決するため、開口を有する金属製のフレーム板と、このフレーム板の開口に配置され、その周縁部が当該フレーム板の開口縁部に支持された異方導電性シートとよりなる異方導電性コネクターが提案されている(特許文献4等参照。)。
この異方導電性コネクターは、一般に、以下のようにして製造される。
図23に示すように、上型80およびこれと対となる下型85よりなる異方導電性エラストマーシート成形用の金型を用意し、この金型内に、開口91を有するフレーム板90を位置合わせして配置すると共に、硬化処理によって弾性高分子物質となる高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子が分散されてなる成形材料を、フレーム板90の開口91およびその開口縁部を含む領域に供給して成形材料層95を形成する。ここで、成形材料層95に含有されている導電性粒子Pは、当該成形材料層95中に分散された状態である。
上記の金型における上型80および下型85の各々は、成形すべき異方導電性エラストマーシートの導電部のパターンに対応するパターンに従って形成された複数の強磁性体層81,86と、これらの強磁性体層81,86が形成された個所以外の個所に形成された非磁性体層82,87とからなる成形面を有し、対応する強磁性体層81,86が互いに対向するよう配置されている。
そして、上型80の上面およひ下型85の下面に例えば一対の電磁石を配置してこれを作動させることにより、成形材料層95には、上型80の強磁性体層81とこれに対応する下型85の強磁性体層86との間の部分すなわち導電部となる部分において、それ以外の部分より大きい強度の磁場が当該成形材料層95の厚み方向に作用される。その結果、成形材料層95中に分散されている導電性粒子Pは、当該成形材料層95における大きい強度の磁場が作用されている部分、すなわち上型80の強磁性体層81とこれに対応する下型85の強磁性体層86との間の部分に集合し、更には厚み方向に並ぶよう配向する。そして、この状態で、成形材料層95の硬化処理を行うことにより、導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有された複数の導電部と、これらの導電部を相互に絶縁する絶縁部とよりなる異方導電性エラストマーシートが、その周縁部がフレーム板の開口縁部に支持された状態で成形され、以て異方導電性コネクターが製造される。
このような異方導電性コネクターによれば、異方導電性エラストマーシートが金属製のフレーム板に支持されているため、変形しにくくて取扱いやすく、また、予めフレーム板に位置決め用マーク(例えば孔)を形成することにより、集積回路装置の電気的接続作業において、当該集積回路装置に対する位置合わせおよび保持固定を容易に行うことができ、しかも、フレーム板を構成する材料として熱膨張率の小さいものを用いることにより、異方導電性シートの熱膨張がフレーム板によって規制されるため、温度変化による熱履歴を受けた場合にも、偏在型異方導電性エラストマーシートの導電部と集積回路装置の被検査電極との位置ずれが防止される結果、良好な電気的接続状態が安定に維持される。
ところで、ウエハに形成された集積回路に対して行われるプローブ試験においては、従来、多数の集積回路のうち例えば16個または32個の集積回路が形成された複数のエリアにウエハを分割し、一のエリアに形成された全ての集積回路について一括してプローブ試験を行い、順次、その他のエリアに形成された集積回路についてプローブ試験を行う方法が採用されている。
そして、近年、検査効率を向上させ、検査コストの低減化を図るために、ウエハに形成された多数の集積回路のうち例えば64個若しくは124個または全部の集積回路について一括してプローブ試験を行うことが要請されている。
一方、バーンイン試験においては、検査対象である集積回路装置は微小なものであってその取扱いが不便なものであるため、多数の集積回路装置の電気的検査を個別的に行うためには、長い時間を要し、これにより、検査コストが相当に高いものとなる。このような理由から、ウエハ上に形成された多数の集積回路について、それらのバーンイン試験をウエハの状態で一括して行うWLBI(Wafer Lebel Burn−in)試験が提案されている。
しかしながら、検査対象であるウエハが、例えば直径が8インチ以上の大型のものであって、その被検査電極の数が例えば5000以上、特に10000以上のものである場合には、各集積回路における被検査電極のピッチが極めて小さいものであるため、プローブ試験またはWLBI試験のためのプローブ部材として上記の異方導電性コネクターを適用すると、以下のような問題がある。
すなわち、直径が例えば8インチ(約20cm)のウエハを検査するためには、異方導電性コネクターとして、その異方導電性エラストマーシートの直径が8インチ程度のものを用いることが必要となる。然るに、このような異方導電性エラストマーシートは、全体の面積が大きいものであるが、各導電部は微細で、当該異方導電性エラストマーシート表面に占める導電部表面の面積の割合が小さいものであるため、当該異方導電性エラストマーシートを確実に製造することは極めて困難である。従って、異方導電性エラストマーシートの製造においては、歩留りが極端に低下する結果、異方導電性エラストマーシートの製造コストが増大し、延いては検査コストが増大する。
また、ウエハのプローブ試験またはWLBI試験のためのプローブ部材として上記の異方導電性コネクターを用いる場合には、以下のような問題がある。
プローブ試験においては、前述したように、ウエハを2つ以上のエリアに分割し、分割されたエリア毎に、当該エリアに形成された集積回路について一括してプローブ試験を行う方法が採用されている。而して、直径が8インチまたは12インチのウエハに高い集積度で形成された集積回路についてプローブ試験を行う場合には、一つのウエハについて多数回の検査処理工程が必要となる。従って、多数のウエハについてプローブ試験を行うためには、用いられる異方導電性エラストマーシートとして、繰り返し使用における耐久性が高いものであることが要求される。
一方、WLBI試験においては、異方導電性エラストマーシートは、その導電部が、検査対象であるウエハにおける被検査電極と検査用回路基板の検査用電極とによって挟圧され、この状態で、長時間高温環境下に晒される。従って、異方導電性エラストマーシートは、このような過酷な条件下で繰り返し使用された場合においても、高い耐久性を有するものであることが要請される。
このような観点から、ウエハのプローブ試験またはWLBI試験に用いられる異方導電性エラストマーシートにおいては、その材質すなわち弾性高分子物質および導電性粒子として耐久性を有するものが選択される。
然るに、異方導電性エラストマーシートの材質として耐久性を有するものを選択した場合であっても、実際に得られる個々の製品としては、耐久性が低いものとなることが少なくない。これは、異方導電性エラストマーシートの各導電部において、突出高さ、導電性粒子の配向状態および導電性粒子の割合などにバラツキが生じるためであると考えられる。そして、異方導電性エラストマーシートに損傷を与えずに、導電部の突出高さ、導電性粒子の配向状態および導電性粒子の割合などを調べる手段としては、目視によって判定する手段以外はなく、このような手段では、客観的な判定をすることができないばかりか、作業自体が極めて煩雑であるため、異方導電性エラストマーシートの製造コストが増大する、という問題がある。また、異方導電性エラストマーシートの耐久性は、通常の導通試験では判定することはできないため、当該異方導電性エラストマーシートを使用することによって初めて耐久性の良否が分かるのが現状である。
また、ウエハを構成する材料例えばシリコンの線熱膨張係数は3.3×10-6/K程度であり、一方、異方導電性エラストマーシートを構成する材料例えばシリコーンゴムの線熱膨張係数は2.2×10-4/K程度である。従って、例えば25℃において、それぞれ直径が20cmのウエハおよび異方導電性エラストマーシートの各々を、20℃から120℃までに加熱した場合には、理論上、ウエハの直径の変化は0.0066cmにすぎないが、異方導電性エラストマーシートの直径の変化は0.44cmに達する。
このように、ウエハと異方導電性エラストマーシートとの間で、面方向における熱膨張の絶対量に大きな差が生じると、異方導電性エラストマーシートの周辺部を、ウエハの線熱膨張係数と同等の線熱膨張係数を有するフレーム板によって固定しても、WLBI試験を行う場合において、ウエハにおける被検査電極と異方導電性エラストマーシートにおける導電部との位置ずれを防止することは極めて困難である。
また、WLBI試験のためのプローブ部材としては、例えばウエハの線熱膨張係数と同等の線熱膨張係数を有するセラミックスよりなる検査用回路基板上に、異方導電性エラストマーシートが固定されてなるものが知られている(例えば特許文献5,特許文献6等参照)。このようなプローブ部材において、検査用回路基板に異方導電性エラストマーシートを固定する手段としては、例えば螺子等によって異方導電性エラストマーシートにおける周辺部を機械的に固定する手段、接着剤等によって固定する手段などが考えられる。
しかしながら、螺子等によって異方導電性エラストマーシートにおける周辺部を固定する手段では、前述のフレーム板に固定する手段と同様の理由により、ウエハにおける被検査電極と異方導電性エラストマーシートにおける導電部との間の位置ずれを防止することは極めて困難である。
一方、接着剤によって固定する手段においては、検査用回路基板に対する電気的接続を確実に達成するためには、異方導電性エラストマーシートにおける絶縁部のみに接着剤を塗布することが必要となるが、WLBI試験に用いられる異方導電性エラストマーシートは、導電部の配置ピッチが小さく、隣接する導電部間の離間距離が小さいものであるため、そのようなことは実際上極めて困難である。また、接着剤によって固定する手段においては、異方導電性エラストマーシートが故障した場合には、当該異方導電性エラストマーシートのみを新たなものに交換することができず、検査用回路基板を含むプローブ部材全体を交換することが必要となり、その結果、検査コストの増大を招く。
また、異方導電性コネクターを用いてウエハのプローブ試験またはWLBI試験を行う場合においては、その異方導電性エラストマーシートが検査対象であるウエハと検査用回路基板とによって挟圧されることにより、弾性高分子物質により形成された導電部が加圧変形され、これにより、検査対象であるウエハの被検査電極と検査用回路基板の検査電極との電気的接続が達成される。
検査対象であるウエハの被検査電極と検査用回路基板の検査電極との電気的接続において、被検査電極の各々の突出高さおよび検査電極の各々の突出高さにバラツキが生じている場合には、異方導電性コネクターにおける導電部の各々に加わる加圧力が異なり、これにより、導電部の各々においては、当該導電部に加わる加圧力の大きさに応じて加圧変形の程度が変化するため、被検査電極と検査用回路基板の検査電極との電気的接続が達成される。以下、このような異方導電性コネクターの機能を「段差吸収能」と称する。
異方導電性コネクターの段差吸収能は、導電部を形成する弾性高分子物質の有する加圧変形性により生ずるものであることから、全ての被検査電極に対する電気的接続を達成するためには、被検査電極の各々の突出高さの差および検査電極の各々の突出高さの差が大きければ大きいほど、大きい加圧力が必要となり、また、被検査電極の各々の突出高さの差および検査電極の各々の突出高さの差が過大であるときには、全ての被検査電極に対する電気的接続を達成することが困難となる。
また、異方導電性コネクターにおける弾性高分子物質により形成された各導電部には、それらの突出高さにバラツキが生じていることがある。
導電部の各々の突出高さの差が大きい異方導電性コネクターは、段差吸収能が低いものであるため、このような異方導電性コネクターによって、検査対象であるウエハの全ての被検査電極に対する電気的接続を達成するためには、相当に大きい加圧力が必要となり、或いは、全ての被検査電極に対する電気的接続を達成することが困難となる。
検査対象であるウエハが、例えば直径が8インチ以上の大面積のものであって、その被検査電極の数が例えば5000以上、特に10000以上のものである場合には、当該ウエハの検査に用いられる異方導電性コネクターとしては、その導電部の数が極めて多いものが必要となる。そのため、このようなウエハを検査するための異方導電性コネクターは、検査時において、全ての被検査電極に対する電気的接続を達成するために大きい加圧力で加圧される。そして、全ての被検査電極に対する電気的接続を達成するためには、被検査電極の各々の突出高さの差および検査電極の各々の突出高さの差が大きければ大きいほど、一層大きい加圧力が必要となる。
また、ウエハ検査用のプローブ部材としては、検査用回路基板上に異方導電性コネクターおよびシート状コネクターがこの順で配置されてなるものが知られている。このプローブ部材におけるシート状コネクターは、メッキによって形成された突起状の表面電極(バンプ)を有し、この表面電極が被検査電極に接触することにより、当該被検査電極に対する電気的接続が達成される。そして、このようなシート状コネクターの表面電極には、その突出高さにバラツキが生じており、しかも、表面電極の各々の突出高さの差が比較的大きいものであるため、このようなシート状コネクターを有するプローブ部材においては、異方導電性コネクターの段差吸収能が極めて重要となる。
直径が8インチ以上の大面積で被検査電極の数が極めて多いウエハの検査においては、全ての被検査電極に対して電気的接続を達成するために必要な加圧力が大きくなると、当該ウエハを検査するためのウエハ検査装置に搭載される加圧機構として、大型のものが必要となり、その結果、ウエハ検査装置全体が大型のものとなる。そのため、ウエハ検査装置に用いられるプローブ部材としては、小さい加圧力で全ての被検査電極に対して電気的接続を達成することかできるものであることが望まれている。従って、このようなプローブ部材に用いられる異方導電性コネクターとしては、各導電部の突出高さの差が小さく、段差吸収能が高く、小さい加圧力で全ての被検査電極に対して電気的接続を達成することができるものであることが望まれている。
特開昭51−93393号公報 特開昭53−147772号公報 特開昭61−250906号公報 特開平11−40224号公報 特開平7−231019号公報 特開平8−5666号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的はウエハに形成された複数の集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられる異方導電性コネクターにおいて、検査対象であるウエハが、例えば直径が8インチ以上の大面積のものであって、形成された集積回路における被検査電極のピッチが小さいものであっても、当該ウエハに対する位置合わせおよび保持固定を容易に行うことができ、しかも、多数回にわたって繰り返し使用した場合や高温環境下において繰り返し使用した場合にも、長期間にわたって良好な導電性が維持される異方導電性コネクターを提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記の目的に加えて、更に、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても良好な電気的接続状態が安定に維持される異方導電性コネクターを提供することにある。
本発明の第3の目的は、検査対象であるウエハが、例えば直径が8インチ以上の大面積のものであって、形成された集積回路における被検査電極のピッチが小さいものであっても、当該ウエハに対する位置合わせおよび保持固定を容易に行うことができ、しかも、多数回にわたって繰り返し使用した場合や高温環境下において繰り返し使用した場合にも、長期間にわたって良好な導電性が維持され、熱的耐久性が高くて長い使用寿命が得られるプローブ部材を提供することにある。
本発明の第4の目的は、上記のプローブ部材を使用して、ウエハに形成された複数の集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うウエハ検査装置およびウエハ検査方法を提供することにある。
本発明の第5の目的は、直径が8インチまたは12インチのウエハに高い集積度で形成された集積回路についてプローブ試験を行う場合において、繰り返し使用における耐久性の高い異方導電性コネクターおよびプローブ部材を提供することにある。
本発明の第6の目的は、大面積のウエハに高い集積度で形成された、突起状電極を有する集積回路について電気的検査を行う場合において、繰り返し使用における耐久性の高い異方導電性コネクターおよびプローブ部材を提供することにある。
本発明の第7の目的は、例えば直径が8インチ以上の大面積で、5000以上の被検査電極を有するウエハの検査においても、小さい加圧力で全ての被検査電極に対して電気的接続が達成されるプローブ部材およびウエハ検査装置を構成することができる段差吸収能の高い異方導電性コネクターを提供することにある。
本発明の異方導電性コネクターは、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられる異方導電性コネクターにおいて、
検査対象であるウエハに形成された全てのまたは一部の集積回路における被検査電極が配置された電極領域に対応してそれぞれ厚み方向に伸びる複数の異方導電膜配置用孔が形成されたフレーム板と、このフレーム板の各異方導電膜配置用孔内に配置され、当該異方導電膜配置用孔の周辺部に支持された複数の弾性異方導電膜とよりなり、
前記弾性異方導電膜の各々は、検査対象であるウエハに形成された集積回路における被検査電極に対応して配置された、磁性を示す導電性粒子が密に含有されてなる厚み方向に伸びる複数の接続用導電部、およびこれらの接続用導電部を相互に絶縁する絶縁部を有する機能部と、この機能部の周縁に一体に形成され、前記フレーム板における異方導電膜配置用孔の周辺部に固定された被支持部とよりなり、
前記弾性異方導電膜は、その接続用導電部の合計の数をYとし、当該弾性異方導電膜に対してその厚み方向にY×1gの荷重を加えた状態における接続用導電部の電気抵抗をR1gとし、当該弾性異方導電膜に対してその厚み方向にY×6gの荷重を加えた状態における接続用導電部の電気抵抗をR6gとしたとき、R1gの値が1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の90%以上であり、R6gの値が0.1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の95%以上であり、R6gの値が0.5Ω以上である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の1%以下である初期特性を有することを特徴とする。
本発明の異方導電性コネクターにおいては、前記フレーム板の線熱膨張係数が3×10-5/K以下であることが好ましい。
本発明のプローブ部材は、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられるプローブ部材であって、
検査対象であるウエハに形成された集積回路における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が表面に形成された検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面に配置された上記の異方導電性コネクターとを具えてなることを特徴とする。
本発明のプローブ部材においては、前記異方導電性コネクターにおけるフレーム板の線熱膨張係数が3×10-5/K以下であり、前記検査用回路基板を構成する基板材料の線熱膨張係数が3×10-5/K以下であることが好ましい。
また、前記異方導電性コネクター上に、絶縁性シートと、この絶縁性シートをその厚み方向に貫通して伸び、被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置された複数の電極構造体とよりなるシート状コネクターが配置されていてもよい。
本発明のウエハ検査装置は、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うウエハ検査装置において、
上記のプローブ部材を具えてなり、当該プローブ部材を介して、検査対象であるウエハに形成された集積回路に対する電気的接続が達成されることを特徴とする。
本発明のウエハ検査方法は、ウエハに形成された複数の集積回路の各々を、上記のプローブ部材を介してテスターに電気的に接続し、当該ウエハに形成された集積回路の電気的検査を実行することを特徴とする。
本発明に係る異方導電性コネクターによれば、弾性異方導電膜は、特定の初期特性を有するものであるため、多数回にわたって繰り返し使用した場合や高温環境下において繰り返し使用した場合においても、接続用導電部の電気抵抗が著しく増大することがなく、長期間にわたって所要の導電性を維持することができる。
また、本発明に係る異方導電性コネクターによれば、弾性異方導電膜には、接続用導電部を有する機能部の周縁に被支持部が形成されており、この被支持部がフレーム板の異方導電膜配置用孔の周辺部に固定されているため、変形しにくくて取扱いやすく、検査対象であるウエハとの電気的接続作業において、当該ウエハに対する位置合わせおよび保持固定を容易に行うことができる。
また、フレーム板の異方導電膜配置用孔の各々は、検査対象であるウエハに形成された全てのまたは一部の集積回路における被検査電極が形成された電極領域に対応して複数の異方導電膜配置用孔が形成されており、当該異方導電膜配置用孔の各々に配置される弾性異方導電膜は面積が小さいものでよいため、個々の弾性異方導電膜の形成が容易である。しかも、面積の小さい弾性異方導電膜は、熱履歴を受けた場合でも、当該弾性異方導電膜の面方向における熱膨張の絶対量が少ないため、フレーム板を構成する材料として線熱膨張係数の小さいものを用いることにより、弾性異方導電膜の面方向における熱膨張がフレーム板によって確実に規制される。従って、大面積のウエハに対してWLBI試験を行う場合においても、良好な電気的接続状態を安定に維持することができる。
本発明に係るプローブ部材によれば、検査対象であるウエハとの電気的接続作業において、当該ウエハに対する位置合わせおよび保持固定を容易に行うことができ、しかも、多数回にわたって繰り返し使用した場合や高温環境下において繰り返し使用した場合にも、長期間にわたって所要の導電性を維持することができる。
本発明に係るウエハ検査装置およびウエハ検査方法によれば、上記のプローブ部材を介して、検査対象であるウエハの被検査電極に対する電気的接続が達成されるため、被検査電極のピッチが小さいものであっても、当該ウエハに対する位置合わせおよび保持固定を容易に行うことができ、しかも、多数回にわたって繰り返し使用した場合や高温環境下において繰り返し使用した場合にも、所要の電気的検査を長期間にわたって安定して実行することができる。
本発明に係る異方導電性コネクターによれば、各接続用導電部の突出高さの差が小さく、段差吸収能が大きく、小さい加圧力で検査対象であるウエハにおける全ての被検査電極に対する電気的接続を達成することができる。
本発明に係る段差吸収能の高い異方導電性コネクターを用いて構成されるプローブ部材およびウエハ検査装置によれば、直径が8インチ以上の大面積で、5000以上の被検査電極を有するウエハの検査において、小さい加圧力で全ての被検査電極に対して電気的接続を達成することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔異方導電性コネクター〕
図1は、本発明に係る異方導電性コネクターの一例を示す平面図、図2は、図1に示す異方導電性コネクターの一部を拡大して示す平面図、図3は、図1に示す異方導電性コネクターにおける弾性異方導電膜を拡大して示す平面図、図4は、図1に示す異方導電性コネクターにおける弾性異方導電膜を拡大して示す説明用断面図である。
図1に示す異方導電性コネクターは、例えば複数の集積回路が形成されたウエハについて当該集積回路の各々の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられるものであって、図2に示すように、それぞれ厚み方向に貫通して伸びる複数の異方導電膜配置用孔11(破線で示す)が形成されたフレーム板10を有する。このフレーム板10の異方導電膜配置用孔11は、検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路における被検査電極が配置された電極領域に対応して形成されている。フレーム板10の各異方導電膜配置用孔11内には、厚み方向に導電性を有する弾性異方導電膜20が、当該フレーム板10の当該異方導電膜配置用孔11の周辺部に支持された状態で、かつ、隣接する弾性異方導電膜20と互いに独立した状態で配置されている。また、この例におけるフレーム板10には、後述するウエハ検査装置において、減圧方式の加圧手段を用いる場合に、当該異方導電性コネクターとこれに隣接する部材との間の空気を流通させるための空気流通孔15が形成され、更に、検査対象であるウエハおよび検査用回路基板との位置決めを行うための位置決め孔16が形成されている。
弾性異方導電膜20は、弾性高分子物質によって形成されており、図3に示すように、厚み方向(図3において紙面と垂直な方向)に伸びる複数の接続用導電部22と、この接続用導電部22の各々の周囲に形成され、当該接続用導電部22の各々を相互に絶縁する絶縁部23とよりなる機能部21を有し、当該機能部21は、フレーム板10の異方導電膜配置用孔11に位置するよう配置されている。この機能部21における接続用導電部22は、検査対象であるウエハに形成された集積回路における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置され、当該ウエハの検査において、その被検査電極に電気的に接続されるものである。
機能部21の周縁には、フレーム板10における異方導電膜配置用孔11の周辺部に固定支持された被支持部25が、当該機能部21に一体に連続して形成されている。具体的には、この例における被支持部25は、二股状に形成されており、フレーム板10における異方導電膜配置用孔11の周辺部を把持するよう密着した状態で固定支持されている。 弾性異方導電膜20の機能部21における接続用導電部22には、図4に示すように、磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に含有されている。これに対して、絶縁部23は、導電性粒子Pが全く或いは殆ど含有されていないものである。この例においては、弾性異方導電膜20における被支持部25には、導電性粒子Pが含有されている。
また、図示の例では、弾性異方導電膜20における機能部21の両面には、接続用導電部22およびその周辺部分が位置する個所に、それ以外の表面から突出する突出部24が形成されている。
フレーム板10の厚みは、その材質によって異なるが、25〜600μmであることが好ましく、より好ましくは40〜400μmである。
この厚みが25μm未満である場合には、異方導電性コネクターを使用する際に必要な強度が得られず、耐久性が低いものとなりやすく、また、当該フレーム板10の形状が維持される程度の剛性が得られず、異方導電性コネクターの取扱い性が低いものとなる。一方、厚みが600μmを超える場合には、異方導電膜配置用孔11に形成される弾性異方導電膜20は、その厚みが過大なものとなって、接続用導電部22における良好な導電性および隣接する接続用導電部22間における絶縁性を得ることが困難となることがある。 フレーム板10の異方導電膜配置用孔11における面方向の形状および寸法は、検査対象であるウエハの被検査電極の寸法、ピッチおよびパターンに応じて設計される。
フレーム板10を構成する材料としては、当該フレーム板10が容易に変形せず、その形状が安定に維持される程度の剛性を有するものであれば特に限定されず、例えば、金属材料、セラミックス材料、樹脂材料などの種々の材料を用いることができ、フレーム板10を例えば金属材料により構成する場合には、当該フレーム板10の表面に絶縁性被膜が形成されていてもよい。
フレーム板10を構成する金属材料の具体例としては、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルト、マグネシウム、マンガン、モリブデン、インジウム、鉛、パラジウム、チタン、タングステン、アルミニウム、金、白金、銀などの金属またはこれらを2種以上組み合わせた合金若しくは合金鋼などが挙げられる。
フレーム板10を構成する樹脂材料の具体例としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
また、フレーム板10は、後述する方法により、弾性異方導電膜20における被支持部25に導電性粒子Pを容易に含有させることができる点で、少なくとも異方導電膜配置用孔11の周辺部すなわち弾性異方導電膜20を支持する部分が磁性を示すもの、具体的にはその飽和磁化が0.1Wb/m2 以上のものであることが好ましく、特に、当該フレーム板10の作製が容易な点で、フレーム板10全体が磁性体により構成されていることが好ましい。
このようなフレーム板10を構成する磁性体の具体例としては、鉄、ニッケル、コバルト若しくはこれらの磁性金属の合金またはこれらの磁性金属と他の金属との合金若しくは合金鋼などが挙げられる。
また、異方導電性コネクターをWLBI試験に用いる場合には、フレーム板10を構成する材料としては、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは−1×10-7〜1×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜8×10-6/Kである。
このような材料の具体例としては、インバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、スーパーインバー、コバール、42合金などの磁性金属の合金または合金鋼などが挙げられる。
本発明の異方導電性コネクターにおいて、弾性異方導電膜20は、下記(1)〜下記(3)に示す初期特性を有するものとされる。
(1)接続用導電部22の合計の数をYとし、当該弾性異方導電膜20に対してその厚み方向にY×1gの荷重を加えた状態における接続用導電部22の電気抵抗をR1gとしたとき、R1gの値が1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の90%以上であること。
1gの値が1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の90%未満である場合には、多数回にわたって繰り返し使用したとき或いは高温環境下において繰り返し使用したときに、所要の導電性を維持することが困難となる。
(2)弾性異方導電膜20に対してその厚み方向にY×6gの荷重を加えた状態における接続用導電部22の電気抵抗をR6gとしたとき、R6gの値が0.1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の95%以上であること。
6gの値が0.1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の95%未満である場合には、多数回にわたって繰り返し使用したとき或いは高温環境下において繰り返し使用したときに、所要の導電性を維持することが困難となる。
(3)R6gの値が0.5Ω以上である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下、特に好ましくは0%であること。
6gの値が0.5Ω以上である接続用導電部の数が過大である場合には、当該異方導電性コネクターをウエハの検査に実際に使用することができない。
弾性異方導電膜20は、その全厚(図示の例では接続用導電部22における厚み)は、50〜2000μmであることが好ましく、より好ましくは70〜1000μm、特に好ましくは80〜500μmである。この厚みが50μm以上であれば、十分な強度を有する弾性異方導電膜20が確実に得られる。一方、この厚みが2000μm以下であれば、所要の導電性特性を有する接続用導電部22が確実に得られる。
突出部24の突出高さは、その合計が当該突出部24における厚みの10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。このような突出高さを有する突出部24を形成することにより、小さい加圧力で接続用導電部22が十分に圧縮されるため、良好な導電性が確実に得られる。
また、突出部24の突出高さは、当該突出部24の最短幅または直径の100%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以下である。このような突出高さを有する突出部24を形成することにより、当該突出部24が加圧されたときに座屈することがないため、所期の導電性が確実に得られる。
また、被支持部25の厚み(図示の例では二股部分の一方の厚み)は、5〜250μmであることが好ましく、より好ましくは10〜150μm、特に好ましくは15〜100μmである。
また、被支持部25は二股状に形成されることは必須のことではなく、フレーム板10の一面のみに固定されていてもよい。
弾性異方導電膜20を形成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する耐熱性の高分子物質が好ましい。かかる架橋高分子物質を得るために用いることができる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のをものを用いることができるが、液状シリコーンゴムが好ましい。
液状シリコーンゴムは、付加型のものであっても縮合型のものであってもよいが、付加型液状シリコーンゴムが好ましい。この付加型液状シリコーンゴムは、ビニル基とSi−H結合との反応によって硬化するものであって、ビニル基およびSi−H結合の両方を含有するポリシロキサンからなる一液型(一成分型)のものと、ビニル基を含有するポリシロキサンおよびSi−H結合を含有するポリシロキサンからなる二液型(二成分型)のものがあるが、本発明においては、二液型の付加型液状シリコーンゴムを用いることが好ましい。
付加型液状シリコーンゴムとしては、その23℃における粘度が100〜1,250Pa・sのものを用いることが好ましく、さらに好ましくは150〜800Pa・s、特に好ましくは250〜500Pa・sのものである。この粘度が100Pa・s未満である場合には、後述する弾性異方導電膜20を得るための成形材料において、当該付加型液状シリコーンゴム中における導電性粒子の沈降が生じやすく、良好な保存安定性が得られず、また、成形材料層に平行磁場を作用させたときに、導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向せず、均一な状態で導電性粒子の連鎖を形成することが困難となることがある。一方、この粘度が1250Pa・sを超える場合には、得られる成形材料が粘度の高いものとなるため、金型内に成形材料層を形成しにくいものとなることがあり、また、成形材料層に平行磁場を作用させても、導電性粒子が十分に移動せず、そのため、導電性粒子を厚み方向に並ぶよう配向させることが困難となることがある。
このような付加型液状シリコーンゴムの粘度は、B型粘度計によって測定することができる。
弾性異方導電膜20を液状シリコーンゴムの硬化物(以下、「シリコーンゴム硬化物」という。)によって形成する場合において、当該シリコーンゴム硬化物は、その150℃における圧縮永久歪みが10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。この圧縮永久歪みが10%を超える場合には、得られる異方導電性コネクターを高温環境下において繰り返し使用したときには、接続用導電部22における導電性粒子の連鎖に乱れが生じる結果、所要の導電性を維持することが困難となる。
ここで、シリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪みは、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
また、弾性異方導電膜20を形成するシリコーンゴム硬化物は、その23℃におけるデュロメーターA硬度が10〜60のものであることが好ましく、さらに好ましくは15〜60、特に好ましくは20〜60のものである。このデュロメーターA硬度が10未満である場合には、加圧されたときに、接続用導電部22を相互に絶縁する絶縁部23が過度に歪みやすく、接続用導電部22間の所要の絶縁性を維持することが困難となることがある。一方、このデュロメーターA硬度が60を超える場合には、接続用導電部22に適正な歪みを与えるために相当に大きい荷重による加圧力が必要となるため、例えば検査対象であるウエハに大きな変形や破壊が生じやすくなる。
ここで、シリコーンゴム硬化物のデュロメーターA硬度は、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
また、弾性異方導電膜20を形成するシリコーンゴム硬化物は、その23℃における引き裂き強度が8kN/m以上のものであることが好ましく、さらに好ましくは10kN/m以上、より好ましくは15kN/m以上、特に好ましくは20kN/m以上のものである。この引き裂き強度が8kN/m未満である場合には、弾性異方導電膜20に過度の歪みが与えられたときに、耐久性の低下を起こしやすい。
ここで、シリコーンゴム硬化物の引き裂き強度は、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
このような特性を有する付加型液状シリコーンゴムとしては、信越化学工業株式会社製の液状シリコーンゴム「KE2000」シリーズ、「KE1950」シリーズとして市販されているものを用いることができる。
本発明においては、付加型液状シリコーンゴムを硬化させるために適宜の硬化触媒を用いることができる。このような硬化触媒としては、白金系のものを用いることができ、その具体例としては、塩化白金酸およびその塩、白金−不飽和基含有シロキサンコンプレックス、ビニルシロキサンと白金とのコンプレックス、白金と1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとのコンプレックス、トリオルガノホスフィンあるいはホスファイトと白金とのコンプレックス、アセチルアセテート白金キレート、環状ジエンと白金とのコンプレックスなどの公知のものが挙げられる。
硬化触媒の使用量は、硬化触媒の種類、その他の硬化処理条件を考慮して適宜選択されるが、通常、付加型液状シリコーンゴム100質量部に対して3〜15質量部である。
また、付加型液状シリコーンゴム中には、付加型液状シリコーンゴムのチクソトロピー性の向上、粘度調整、導電性粒子の分散安定性の向上、或いは高い強度を有する基材を得ることなどを目的として、必要に応じて、通常のシリカ粉、コロイダルシリカ、エアロゲルシリカ、アルミナなどの無機充填材を含有させることができる。
このような無機充填材の使用量は、特に限定されるものではないが、多量に使用すると、磁場による導電性粒子の配向を十分に達成することができなくなるため、好ましくない。
弾性異方導電膜20における接続用導電部22および被支持部25に含有される導電性粒子Pとしては、磁性を示す芯粒子(以下、「磁性芯粒子」ともいう。)の表面に高導電性金属が被覆されてなるものを用いることが好ましい。
ここで、「高導電性金属」とは、0℃における導電率が5×106 Ω-1-1以上のものをいう。
導電性粒子Pを得るための磁性芯粒子は、その数平均粒子径が3〜40μmのものであることが好ましい。
ここで、磁性芯粒子の数平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって測定されたものをいう。
上記数平均粒子径が3μm以上であれば、加圧変形が容易で、抵抗値が低くて接続信頼性の高い接続用導電部22が得られやすい。一方、上記数平均粒子径が40μm以下であれば、微細な接続用導電部22を容易に形成することができ、また、得られる接続用導電部22は、安定な導電性を有するものとなりやすい。
また、磁性芯粒子は、そのBET比表面積が10〜500m2 /kgであることが好ましく、より好ましくは20〜500m2 /kg、特に好ましくは50〜400m2 /kgである。
このBET比表面積が10m2 /kg以上であれば、当該磁性芯粒子はメッキ可能な領域が十分に大きいものであるため、当該磁性芯粒子に所要の量のメッキを確実に行うことができ、従って、導電性の大きい導電性粒子Pを得ることができると共に、当該導電性粒子P間において、接触面積が十分に大きいため、安定で高い導電性が得られる。一方、このBET比表面積が500m2 /kg以下であれば、当該磁性芯粒子が脆弱なものとならず、物理的な応力が加わった際に破壊することが少なく、安定で高い導電性が保持される。
また、磁性芯粒子は、その粒子径の変動係数が50%以下のものであることが好ましく、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下のものである。
ここで、粒子径の変動係数は、式:(σ/Dn)×100(但し、σは、粒子径の標準偏差の値を示し、Dnは、粒子の数平均粒子径を示す。)によって求められるものである。
上記粒子径の変動係数が50%以下であれば、粒子径の均一性が大きいため、導電性のバラツキの小さい接続用導電部22を形成することができる。
磁性芯粒子を構成する材料としては、鉄、ニッケル、コバルト、これらの金属を銅、樹脂にコーティングしたものなどを用いることができるが、その飽和磁化が0.1Wb/m2 以上のものを好ましく用いることができ、より好ましくは0.3Wb/m2 以上、特に好ましくは0.5Wb/m2 以上のものであり、具体的には、鉄、ニッケル、コバルトまたはそれらの合金を挙げることができる。
この飽和磁化が0.1Wb/m2 以上であれば、後述する方法によって、当該弾性異方導電膜20を形成するための成形材料層中において導電性粒子Pを容易に移動させることができ、これにより、当該成形材料層における接続用導電部となる部分に、導電性粒子Pを確実に移動させて導電性粒子Pの連鎖を形成することができる。
磁性芯粒子の表面に被覆される高導電性金属としては、金、銀、ロジウム、白金、クロムなどを用いることができ、これらの中では、化学的に安定でかつ高い導電率を有する点で金を用いることが好ましい。
導電性粒子Pは、芯粒子に対する高導電性金属の割合〔(高導電性金属の質量/芯粒子の質量)×100〕が15質量%以上であることが好ましく、より好ましくは25〜35質量%である。
高導電性金属の割合が15質量%未満である場合には、得られる異方導電性コネクターを高温環境下に繰り返し使用したとき、当該導電性粒子Pの導電性が著しく低下する結果、所要の導電性を維持することができない。
また、導電性粒子Pは、下記の式(1)によって算出される、高導電性金属による被覆層の厚みtが50nm以上のものであることが好ましく、より好ましくは100〜200nmのものである。
式(1) t=〔1/(Sw・ρ)〕×〔N/(1−N)〕
〔但し、tは高導電性金属による被覆層の厚み(m)、Swは芯粒子のBET比表面積(m2 /kg)、ρは高導電性金属の比重(kg/m3 )、Nは(高導電性金属の質量/導電性粒子全体の質量)の値を示す。〕
上記の式(1)は、次のようにして導かれたものである。
(i)磁性芯粒子の質量をMp(kg)とすると、磁性芯粒子の表面積S(m2 )は、
S=Sw・Mp ………式(2)
によって求められる。
(ii)高導電性金属による被覆層の質量をm(kg)とすると、当該被覆層の体積V(m3 )は、
V=m/ρ ………式(3)
によって求められる。
(iii )ここで、被覆層の厚みが導電性粒子の表面全体にわたって均一なものであると仮定すると、t=V/Sであり、これに上記式(2)および式(3)を代入すると、被覆層の厚みtは、
t=(m/ρ)/(Sw・Mp)=m/(Sw・ρ・Mp) ………式(4)
によって求められる。
(iv)また、Nは、導電性粒子全体の質量に対する被覆層の質量の比であるから、このNの値は、
N=m/(Mp+m) ………式(5)
によって求められる。
(v)この式(5)の右辺における分子・分母をMpで割ると、
N=(m/Mp)/(1+m/Mp)となり、両辺に(1+m/Mp)をかけると、
N(1+m/Mp)=m/Mp、更には、
N+N(m/Mp)=m/Mpとなり、N(m/Mp)を右辺に移行すると、
N=m/Mp−N(m/Mp)=(m/Mp)(1−N)となり、両辺を(1−N)で割ると、
N/(1−N)=m/Mpとなり、
従って、磁性芯粒子の質量Mpは、
Mp=m/〔N/(1−N)〕=m(1−N)/N ………式(6)
によって求められる。
(vi)そして、式(4)に式(6)を代入すると、
t=1/〔Sw・ρ・(1−N)/N〕
=〔1/(Sw・ρ)〕×〔N/(1−N)〕
が導かれる。
この被覆層の厚みtが50nm以上であれば、当該異方導電性コネクターを高温環境下に繰り返し使用した場合において、磁性芯粒子を構成する強磁性体が被覆層を構成する高導電性金属中に移行しても、当該導電性粒子Pの表面には、高導電性金属が高い割合で存在するので、当該導電性粒子Pの導電性が著しく低下することがなく、所期の導電性が維持される。
また、導電性粒子Pは、そのBET比表面積が10〜500m2 /kgであることが好ましい。
このBET比表面積が10m2 /kg以上であれば、被覆層の表面積が十分に大きいものであるため、高導電性金属の総質量が大きい被覆層を形成することができ、従って、導電性の大きい粒子を得ることができると共に、当該導電性粒子P間において、接触面積が十分に大きいため、安定で高い導電性が得られる。一方、このBET比表面積が500m2 /kg以下であれば、当該導電性粒子が脆弱なものとならず、物理的な応力が加わった際に破壊することが少なく、安定で高い導電性が保持される。
また、導電性粒子Pの数平均粒子径は、3〜40μmであることが好ましく、より好ましくは6〜25μmである。
このような導電性粒子Pを用いることにより、得られる弾性異方導電膜20は、加圧変形が容易なものとなり、また、当該弾性異方導電膜20における接続用導電部22において導電性粒子P間に十分な電気的接触が得られる。
また、導電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子による塊状のものであることが好ましい。
また、導電性粒子Pは、下記に示す電気抵抗値Rが0.3Ω以下となるものであることが好ましく、より好ましくは0.1Ω以下のものである。
電気抵抗値R:導電性粒子0.6gと液状ゴム0.8gとを混練することによってペースト組成物を調製し、このペースト組成物を、0.5mmの離間距離で互いに対向するよう配置された、それぞれ径が1mmの一対の電極間に配置し、当該一対の電極間に0.3Tの磁場を作用させ、この状態で当該一対の電極間の電気抵抗値が安定するまで放置したときの当該電気抵抗値。
具体的には、この電気抵抗値Rは、以下のようにして測定される。
図5は、電気抵抗値Rを測定するための装置であり、71は試料室Sを形成するセラミック製のセルであって、筒状の側壁材72と、それぞれ中央に貫通孔73Hを有する一対の蓋材73とにより構成されている。74は導電性を有する一対の磁石であって、それぞれ表面から突出する、蓋材73の貫通孔73Hに適合する形状の電極部75を有し、この電極部75が蓋材73の貫通孔73Hに嵌合された状態で、当該蓋材73に固定されている。76は電気抵抗測定機であって、一対の磁石74の各々に接続されている。セル71の試料室Sは、直径d1が3mm、厚みd2が0.5mmの円板状であり、蓋材73の貫通孔73Hの内径すなわち磁石74の電極部75の直径rは1mmである。
そして、セル71の試料室Sに、上記のペースト組成物を充填し、磁石74の電極部75間に当該試料室Sの厚み方向に0.3Tの平行磁場を作用させながら、電気抵抗測定機76によって磁石74の電極部75間の電気抵抗値を測定する。その結果、ペースト組成物中に分散されていた導電性粒子が、平行磁場の作用により磁石74の電極部75間に集合し、更には厚み方向に並ぶよう配向し、この導電性粒子の移動に伴って、磁石74の電極部75間の電気抵抗値が低下した後安定状態となり、このときの電気抵抗値を測定する。ペースト組成物に平行磁場を作用させてから、磁石74の電極部75間の電気抵抗値が安定状態に達するまでの時間は、導電性粒子の種類によって異なるが、通常、ペースト組成物に平行磁場を作用させてから500秒間経過した後における電気抵抗値を電気抵抗値Rとして測定する。
この電気抵抗値Rが0.3Ω以下であれば、高い導電性を有する接続用導電部22が確実に得られる。
導電性粒子Pの含水率は、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。このような条件を満足することにより、成形材料の調製または弾性異方導電膜20の形成において、硬化処理する際に気泡が生ずることが防止または抑制される。
また、導電性粒子Pは、その表面がシランカップリング剤などのカップリング剤で処理されたものあってもよい。導電性粒子Pの表面がカップリング剤で処理されることにより、当該導電性粒子Pと弾性高分子物質との接着性が高くなり、その結果、耐久性が高い導電性材料が得られる。
カップリング剤の使用量は、導電性粒子Pの導電性に影響を与えない範囲で適宜選択されるが、導電性粒子Pの表面におけるカップリング剤の被覆割合(導電性粒子の表面積に対するカップリング剤の被覆面積の割合)が5%以上となる量であることが好ましく、より好ましくは上記被覆率が7〜100%、さらに好ましくは10〜100%、特に好ましくは20〜100%となる量である。
このような導電性粒子Pは、例えは以下の方法によって得ることができる。
先ず、強磁性体材料を常法により粒子化し或いは市販の強磁性体粒子を用意し、この粒子に対して分級処理を行うことにより、所要の粒子径を有する磁性芯粒子を調製する。
ここで、粒子の分級処理は、例えば空気分級装置、音波ふるい装置などの分級装置によって行うことができる。
また、分級処理の具体的な条件は、目的とする磁性芯粒子の数平均粒子径、分級装置の種類などに応じて適宜設定される。
次いで、磁性芯粒子の表面を酸によって処理し、更に、例えば純水によって洗浄することにより、磁性芯粒子の表面に存在する汚れ、異物、酸化膜などの不純物を除去し、その後、当該磁性芯粒子の表面に高導電性金属を被覆することによって、導電性粒子が得られる。
ここで、磁性芯粒子の表面を処理するために用いられる酸としては、塩酸などを挙げることができる。
高導電性金属を磁性芯粒子の表面に被覆する方法としては、無電解メッキ法、置換メッキ法等を用いることができるが、これらの方法に限定されるものではない。
無電解メッキ法または置換メッキ法によって導電性粒子を製造する方法について説明すると、先ず、メッキ液中に、酸処理および洗浄処理された磁性芯粒子を添加してスラリーを調製し、このスラリーを攪拌しながら当該磁性芯粒子の無電解メッキまたは置換メッキを行う。次いで、スラリー中の粒子をメッキ液から分離し、その後、当該粒子を例えば純水によって洗浄処理することにより、磁性芯粒子の表面に高導電性金属が被覆されてなる導電性粒子が得られる。
また、磁性芯粒子の表面に下地メッキを行って下地メッキ層を形成した後、当該下地メッキ層の表面に高導電性金属よりなるメッキ層を形成してもよい。下地メッキ層およびその表面に形成されるメッキ層を形成する方法は、特に限定されないが、無電解メッキ法により、磁性芯粒子の表面に下地メッキ層を形成し、その後、置換メッキ法により、下地メッキ層の表面に高導電性金属よりなるメッキ層を形成することが好ましい。
無電解メッキまたは置換メッキに用いられるメッキ液としては、特に限定されるものではなく、種々の市販のものを用いることができる。
また、磁性芯粒子の表面に高導電性金属を被覆する際に、粒子が凝集することにより、粒子径の大きい導電性粒子が発生することがあるため、必要に応じて、導電性粒子の分級処理を行うことが好ましく、これにより、所期の粒子径を有する導電性粒子が確実に得られる。
導電性粒子の分級処理を行うための分級装置としては、前述の磁性芯粒子を調製するための分級処理に用いられる分級装置として例示したものを挙げることができる。
機能部21の接続用導電部22における導電性粒子Pの含有割合は、体積分率で10〜60%、好ましくは15〜50%となる割合で用いられることが好ましい。この割合が10%未満の場合には、十分に電気抵抗値の小さい接続用導電部22が得られないことがある。一方、この割合が60%を超える場合には、得られる接続用導電部22は脆弱なものとなりやすく、接続用導電部22として必要な弾性が得られないことがある。
また、被支持部25における導電性粒子Pの含有割合は、弾性異方導電膜20を形成するための成形材料中の導電性粒子の含有割合によって異なるが、弾性異方導電膜20における接続用導電部22のうち最も外側に位置する接続用導電部22に、過剰な量の導電性粒子Pが含有されることが確実に防止される点で、成形材料中の導電性粒子の含有割合と同等若しくはそれ以上であることが好ましく、また、十分な強度を有する被支持部25が得られる点で、体積分率で30%以下であることが好ましい。
上記の異方導電性コネクターは、例えば以下のようにして製造することができる。
先ず、検査対象であるウエハにおける集積回路の被検査電極が形成された電極領域のパターンに対応して異方導電膜配置用孔11が形成された磁性金属よりなるフレーム板10を作製する。ここで、フレーム板10の異方導電膜配置用孔11を形成する方法としては、例えばエッチング法などを利用することができる。
次いで、付加型液状シリコーンゴム中に磁性を示す導電性粒子が分散されてなる、弾性異方導電膜成形用の成形材料を調製する。そして、図6に示すように、弾性異方導電性膜成形用の金型60を用意し、この金型60における上型61および下型65の各々の成形面に、所要のパターンすなわち形成すべき弾性異方導電膜の配置パターンに従って成形材料を塗布することによって成形材料層20Aを形成する。
ここで、金型60について具体的に説明すると、この金型60は、上型61およびこれと対となる下型65が互いに対向するよう配置されて構成されている。
上型61においては、図7に拡大して示すように、基板62の下面に、成形すべき弾性異方導電性膜20の接続用導電部22の配置パターンに対掌なパターンに従って強磁性体層63が形成され、この強磁性体層63以外の個所には、非磁性体層64が形成されており、これらの強磁性体層63および非磁性体層64によって成形面が形成されている。また、上型61の成形面には、成形すべき弾性異方導電膜20における突出部24に対応して凹所64aが形成されている。
一方、下型65においては、基板66の上面に、成形すべき弾性異方導電膜20の接続用導電部22の配置パターンと同一のパターンに従って強磁性体層67が形成され、この強磁性体層67以外の個所には、非磁性体層68が形成されており、これらの強磁性体層67および非磁性体層68によって成形面が形成されている。また、下型65の成形面には、成形すべき弾性異方導電膜20における突出部24に対応して凹所68aが形成されている。
上型61および下型65の各々における基板62,66は、強磁性体により構成されていることが好ましく、このような強磁性体の具体例としては、鉄、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属が挙げられる。この基板62,66は、その厚みが0.1〜50mmであることが好ましく、表面が平滑で、化学的に脱脂処理され、また、機械的に研磨処理されたものであることが好ましい。
また、上型61および下型65の各々における強磁性体層63,67を構成する材料としては、鉄、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属を用いることができる。この強磁性体層63,67は、その厚みが10μm以上であることが好ましい。この厚みが10μm以上であれば、成形材料層20Aに対して、十分な強度分布を有する磁場を作用させることができ、この結果、当該成形材料層20Aにおける接続用導電部22となる部分に導電性粒子を高密度に集合させることができ、良好な導電性を有する接続用導電部22が得られる。
また、上型61および下型65の各々における非磁性体層64,68を構成する材料としては、銅などの非磁性金属、耐熱性を有する高分子物質などを用いることができるが、フォトリソグラフィーの手法により容易に非磁性体層64,68を形成することができる点で、放射線によって硬化された高分子物質を好ましく用いることができ、その材料としては、例えばアクリル系のドライフィルムレジスト、エポキシ系の液状レジスト、ポリイミド系の液状レジストなどのフォトレジストを用いることができる。
上型61および下型65の成形面に成形材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷法を用いることが好ましい。このような方法によれば、成形材料を所要のパターンに従って塗布することが容易で、しかも、適量の成形材料を塗布することができる。
次いで、図8に示すように、成形材料層20Aが形成された下型65の成形面上に、スペーサー69aを介して、フレーム板10を位置合わせして配置すると共に、このフレーム板10上に、スペーサー69bを介して、成形材料層20Aが形成された上型61を位置合わせして配置し、更に、これらを重ね合わせることにより、図9に示すように、上型61と下型65との間に、目的とする形態(形成すべき弾性異方導電膜20の形態)の成形材料層20Aが形成される。この成形材料層20Aにおいては、図10に示すように、導電性粒子Pは成形材料層20A全体に分散された状態で含有されている。
このようにフレーム板10と上型61および下型65との間にスペーサー69a,69bを配置することにより、目的とする形態の弾性異方導電膜を形成することができると共に、隣接する弾性異方導電膜同士が連結することが防止されるため、互いに独立した多数の弾性異方導電膜を確実に形成することができる。
その後、上型61における基板62の上面および下型65における基板66の下面に例えば一対の電磁石を配置してこれを作動させることにより、上型61および下型65が強磁性体層63,67を有するため、上型61の強磁性体層63とこれに対応する下型65の強磁性体層67との間においてその周辺領域より大きい強度を有する磁場が形成される。その結果、成形材料層20Aにおいては、当該成形材料層20A中に分散されていた導電性粒子Pが、図11に示すように、上型61の強磁性体層63とこれに対応する下型65の強磁性体層67との間に位置する接続用導電部22となる部分に集合して厚み方向に並ぶよう配向する。以上において、フレーム板10が磁性金属よりなるため、上型61および下型65の各々とフレーム板10との間においてその付近より大きい強度の磁場が形成される結果、成形材料層20Aにおけるフレーム板10の上方および下方にある導電性粒子Pは、上型61の強磁性体層63と下型65の強磁性体層67との間に集合せず、フレーム板10の上方および下方に保持されたままとなる。
そして、この状態において、成形材料層20Aを硬化処理することにより、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる複数の接続用導電部22が、導電性粒子Pが全く或いは殆ど存在しない高分子弾性物質よりなる絶縁部23によって相互に絶縁された状態で配置されてなる機能部21と、この機能部21の周辺に連続して一体に形成された、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが含有されてなる被支持部25とよりなる弾性異方導電膜20が、フレーム板10の異方導電膜配置用孔11の周辺部に当該被支持部25が固定された状態で形成され、以て異方導電性コネクターが製造される。
以上において、成形材料層20Aにおける接続用導電部22となる部分および被支持部25となる部分に作用させる外部磁場の強度は、平均で0.1〜2.5テスラとなる大きさが好ましい。
成形材料層20Aの硬化処理は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。加熱により成形材料層20Aの硬化処理を行う場合には、電磁石にヒーターを設ければよい。具体的な加熱温度および加熱時間は、成形材料層20Aを構成する高分子物質形成材料などの種類、導電性粒子Pの移動に要する時間などを考慮して適宜選定される。
上記の異方導電性コネクターによれば、弾性異方導電膜20は、特定の初期特性を有するものであるため、高温環境下において繰り返し使用した場合においても、接続用導電部22の電気抵抗が著しく増大することがなく、長期間にわたって所要の導電性を維持することができる。
また、弾性異方導電膜20には、接続用導電部22を有する機能部21の周縁に被支持部25が形成されており、この被支持部25がフレーム板10の異方導電膜配置用孔11の周辺部に固定されているため、変形しにくくて取扱いやすく、検査対象であるウエハとの電気的接続作業において、当該ウエハに対する位置合わせおよび保持固定を容易に行うことができる。
また、フレーム板10の異方導電膜配置用孔11の各々は、検査対象であるウエハに形成された集積回路における被検査電極が配置された電極領域に対応して形成されており、当該異方導電膜配置用孔11の各々に配置される弾性異方導電膜20は面積が小さいものでよいため、個々の弾性異方導電膜20の形成が容易である。しかも、面積の小さい弾性異方導電膜20は、熱履歴を受けた場合でも、当該弾性異方導電膜20の面方向における熱膨張の絶対量が少ないため、フレーム板10を構成する材料として線熱膨張係数の小さいものを用いることにより、弾性異方導電膜20の面方向における熱膨張がフレーム板によって確実に規制される。従って、大面積のウエハに対してWLBI試験を行う場合においても、良好な電気的接続状態を安定に維持することができる。
また、上記の異方導電性コネクターは、その弾性異方導電膜20の形成において、成形材料層20Aにおける被支持部25となる部分に例えば磁場を作用させることによって当該部分に導電性粒子Pが存在したままの状態で、当該成形材料層20Aの硬化処理を行うことにより得られるため、成形材料層20Aにおける被支持部25となる部分すなわちフレーム板10における異方導電膜配置用孔11の周辺部の上方および下方に位置する部分に存在する導電性粒子Pが、接続用導電部22となる部分に集合することがなく、その結果、得られる弾性異方導電膜20における接続用導電部22のうち最も外側に位置する接続用導電部22に、過剰な量の導電性粒子Pが含有されることが防止される。従って、成形材料層20A中の導電性粒子Pの含有量を少なくする必要もないので、弾性異方導電膜20の全ての接続用導電部22について、良好な導電性が確実に得られると共に隣接する接続用導電部22との絶縁性が確実に得られる。
また、フレーム板10に位置決め孔16が形成されているため、検査対象であるウエハまたは検査用回路基板に対する位置合わせを容易に行うことができる。
また、フレーム板10に空気流通孔15が形成されているため、後述するウエハ検査装置において、プローブ部材を押圧する手段として減圧方式によるものを利用した場合には、チャンバー内を減圧したときに、異方導電性コネクターと検査用回路基板との間に存在する空気がフレーム板10の空気流通孔15を介して排出され、これにより、異方導電性コネクターと検査用回路基板とを確実に密着させることができるので、所要の電気的接続を確実に達成することができる。
〔ウエハ検査装置〕
図12は、本発明に係る異方導電性コネクターを用いたウエハ検査装置の一例における構成の概略を示す説明用断面図である。このウエハ検査装置は、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うためのものである。
図12に示すウエハ検査装置は、検査対象であるウエハ6の被検査電極7の各々とテスターとの電気的接続を行うプローブ部材1を有する。このプローブ部材1においては、図13にも拡大して示すように、検査対象であるウエハ6の被検査電極7のパターンに対応するパターンに従って複数の検査電極31が表面(図において下面)に形成された検査用回路基板30を有し、この検査用回路基板30の表面には、図1〜図4に示す構成の異方導電性コネクター2が、その弾性異方導電膜20における接続用導電部22の各々が検査用回路基板30の検査電極31の各々に対接するよう設けられ、この異方導電性コネクター2の表面(図において下面)には、絶縁性シート41に検査対象であるウエハ6の被検査電極7のパターンに対応するパターンに従って複数の電極構造体42が配置されてなるシート状コネクター40が、当該電極構造体42の各々が異方導電性コネクター2の弾性異方導電膜20における接続用導電部22の各々に対接するよう設けられている。
また、プローブ部材1における検査用回路基板30の裏面(図において上面)には、当該プローブ部材1を下方に加圧する加圧板3が設けられ、プローブ部材1の下方には、検査対象であるウエハ6が載置されるウエハ載置台4が設けられており、加圧板3およびウエハ載置台4の各々には、加熱器5が接続されている。
検査用回路基板30を構成する基板材料としては、従来公知の種々の基板材料を用いることができ、その具体例としては、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型フェノール樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型ビスマレイミドトリアジン樹脂等の複合樹脂材料、ガラス、二酸化珪素、アルミナ等のセラミックス材料などが挙げられる。
また、WLBI試験を行うためのウエハ検査装置を構成する場合には、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは1×10-7〜1×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜6×10-6/Kである。
このような基板材料の具体例としては、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、アルミナ、ベリリア、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などが挙げられる。
プローブ部材1におけるシート状コネクター40について具体的に説明すると、このシート状コネクター40は、柔軟な絶縁性シート41を有し、この絶縁性シート41には、当該絶縁性シート41の厚み方向に伸びる複数の金属よりなる電極構造体42が、検査対象であるウエハ6の被検査電極7のパターンに対応するパターンに従って、当該絶縁性シート41の面方向に互いに離間して配置されている。
電極構造体42の各々は、絶縁性シート41の表面(図において下面)に露出する突起状の表面電極部43と、絶縁性シート41の裏面に露出する板状の裏面電極部44とが、絶縁性シート41の厚み方向に貫通して伸びる短絡部45によって互いに一体に連結されて構成されている。
絶縁性シート41としては、絶縁性を有する柔軟なものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリイミド樹脂、液晶ポリマー、ポリエステル、フッ素系樹脂などよりなる樹脂シート、繊維を編んだクロスに上記の樹脂を含浸したシートなどを用いることができる。
また、絶縁性シート41の厚みは、当該絶縁性シート41が柔軟なものであれば特に限定されないが、10〜50μmであることが好ましく、より好ましくは10〜25μmである。
電極構造体42を構成する金属としては、ニッケル、銅、金、銀、パラジウム、鉄などを用いることができ、電極構造体42としては、全体が単一の金属よりなるものであっても、2種以上の金属の合金よりなるものまたは2種以上の金属が積層されてなるものであってもよい。
また、電極構造体42における表面電極部43および裏面電極部44の表面には、当該電極部の酸化が防止されると共に、接触抵抗の小さい電極部が得られる点で、金、銀、パラジウムなどの化学的に安定で高導電性を有する金属被膜が形成されていることが好ましい。
電極構造体42における表面電極部43の突出高さは、ウエハ6の被検査電極7に対して安定な電気的接続を達成することができる点で、15〜50μmであることが好ましく、より好ましくは15〜30μmである。また、表面電極部43の径は、ウエハ6の被検査電極の寸法およびピッチに応じて設定されるが、例えば30〜80μmであり、好ましくは30〜50μmである。
電極構造体42における裏面電極部44の径は、短絡部45の径より大きく、かつ、電極構造体42の配置ピッチより小さいものであればよいが、可能な限り大きいものであることが好ましく、これにより、異方導電性コネクター2の弾性異方導電膜20における接続用導電部22に対しても安定な電気的接続を確実に達成することができる。また、裏面電極部44の厚みは、強度が十分に高くて優れた繰り返し耐久性が得られる点で、20〜50μmであることが好ましく、より好ましくは35〜50μmである。
電極構造体42における短絡部45の径は、十分に高い強度が得られる点で、30〜80μmであることが好ましく、より好ましくは30〜50μmである。
シート状コネクター40は、例えば以下のようにして製造することができる。
すなわち、絶縁性シート41上に金属層が積層されてなる積層材料を用意し、この積層材料における絶縁性シート41に対して、レーザ加工、ドライエッチング加工等によって、当該絶縁性シート41の厚み方向に貫通する複数の貫通孔を、形成すべき電極構造体42のパターンに対応するパターンに従って形成する。次いで、この積層材料に対してフォトリソグラフィーおよびメッキ処理を施すことによって、絶縁性シート41の貫通孔内に金属層に一体に連結された短絡部45を形成すると共に、当該絶縁性シート41の表面に、短絡部45に一体に連結された突起状の表面電極部43を形成する。その後、積層材料における金属層に対してフォトエッチング処理を施してその一部を除去することにより、裏面電極部44を形成して電極構造体42を形成し、以てシート状コネクター40が得られる。
このような電気的検査装置においては、ウエハ載置台4上に検査対象であるウエハ6が載置され、次いで、加圧板3によってプローブ部材1が下方に加圧されることにより、そのシート状コネクター40の電極構造体42における表面電極部43の各々が、ウエハ6の被検査電極7の各々に接触し、更に、当該表面電極部43の各々によって、ウエハ6の被検査電極7の各々が加圧される。この状態においては、異方導電性コネクター2の弾性異方導電膜20における接続用導電部22の各々は、検査用回路基板30の検査電極31とシート状コネクター40の電極構造体42の表面電極部43とによって挟圧されて厚み方向に圧縮されており、これにより、当該接続用導電部22にはその厚み方向に導電路が形成され、その結果、ウエハ6の被検査電極7と検査用回路基板30の検査電極31との電気的接続が達成される。その後、加熱器5によって、ウエハ載置台4および加圧板3を介してウエハ6が所定の温度に加熱され、この状態で、当該ウエハ6における複数の集積回路の各々について所要の電気的検査が実行される。
このようなウエハ検査装置によれば、前述の異方導電性コネクター2を有するプローブ部材1を介して、検査対象であるウエハ6の被検査電極7に対する電気的接続が達成されるため、被検査電極7のピッチが小さいものであっても、当該ウエハに対する位置合わせおよび保持固定を容易に行うことができ、しかも、高温環境下において繰り返し使用した場合にも、所要の電気的検査を長期間にわたって安定して実行することができる。
また、異方導電性コネクター2における弾性異方導電膜20は、それ自体の面積が小さいものであり、熱履歴を受けた場合でも、当該弾性異方導電膜20の面方向における熱膨張の絶対量が少ないため、フレーム板10を構成する材料として線熱膨張係数の小さいものを用いることにより、弾性異方導電膜20の面方向における熱膨張がフレーム板によって確実に規制される。従って、大面積のウエハに対してWLBI試験を行う場合においても、良好な電気的接続状態を安定に維持することができる。
図14は、本発明に係る異方導電性コネクターを用いたウエハ検査装置の他の例における構成の概略を示す説明用断面図である。
このウエハ検査装置は、検査対象であるウエハ6が収納される、上面が開口した箱型のチャンバー50を有する。このチャンバー50の側壁には、当該チャンバー50の内部の空気を排気するための排気管51が設けられており、この排気管51には、例えば真空ポンプ等の排気装置(図示省略)が接続されている。
チャンバー50上には、図12に示すウエハ検査装置におけるプローブ部材1と同様の構成のプローブ部材1が、当該チャンバー50の開口を気密に塞ぐよう配置されている。具体的には、チャンバー50における側壁の上端面上には、弾性を有するO−リング55が密着して配置され、プローブ部材1は、その異方導電性コネクター2およびシート状コネクター40がチャンバー50内に収容され、かつ、その検査用回路基板30における周辺部がO−リング55に密着した状態で配置されており、更に、検査用回路基板30が、その裏面(図において上面)に設けられた加圧板3によって下方に加圧された状態とされている。
また、チャンバー50および加圧板3には、加熱器5が接続されている。
このようなウエハ検査装置においては、チャンバー50の排気管51に接続された排気装置を駆動させることにより、チャンバー50内が例えば1000Pa以下に減圧される結果、大気圧によって、プローブ部材1が下方に加圧される。これにより、O−リング55が弾性変形するため、プローブ部材1が下方に移動する結果、シート状コネクター40の電極構造体42における表面電極部43の各々によって、ウエハ6の被検査電極7の各々が加圧される。この状態においては、異方導電性コネクター2の弾性異方導電膜20における接続用導電部22の各々は、検査用回路基板30の検査電極31とシート状コネクター40の電極構造体42の表面電極部43とによって挟圧されて厚み方向に圧縮されており、これにより、当該接続用導電部22にはその厚み方向に導電路が形成され、その結果、ウエハ6の被検査電極7と検査用回路基板30の検査電極31との電気的接続が達成される。その後、加熱器5によって、チャンバー50および加圧板3を介してウエハ6が所定の温度に加熱され、この状態で、当該ウエハ6における複数の集積回路の各々について所要の電気的検査が実行される。
このようなウエハ検査装置によれば、図12に示すウエハ検査装置と同様の効果が得られ、更に、大型の加圧機構が不要であるため、検査装置全体の小型化を図ることができると共に、検査対象であるウエハ6が例えば直径が8インチ以上の大面積のものであっても、当該ウエハ6全体を均一な力で押圧することができる。しかも、異方導電性コネクター2におけるフレーム板10には、空気流通孔15が形成されているため、チャンバー50内を減圧したときに、異方導電性コネクター2と検査用回路基板30との間に存在する空気が、異方導電性コネクター2におけるフレーム板10の空気流通孔15を介して排出され、これにより、異方導電性コネクター2と検査用回路基板30とを確実に密着させることができるので、所要の電気的接続を確実に達成することができる。
〔他の実施の形態〕
本発明は、上記の実施の形態に限定されず、次のような種々の変更を加えることが可能である。
(1)異方導電性コネクターにおいては、弾性異方導電膜20には、接続用導電部22以外に、ウエハにおける被検査電極に電気的に接続されない非接続用導電部が形成されていてもよい。以下、非接続用導電部が形成された弾性異方導電膜を有する異方導電性コネクターについて説明する。
図15は、本発明に係る異方導電性コネクターの他の例における弾性異方導電膜を拡大して示す平面図である。この異方導電性コネクターの弾性異方導電膜20においては、その機能部21に、検査対象であるウエハの被検査電極に電気的に接続される厚み方向(図15において紙面と垂直な方向)に伸びる複数の接続用導電部22が、被検査電極のパターンに対応するパターンに従って2列に並ぶよう配置され、これらの接続用導電部22の各々は、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に含有されてなり、導電性粒子が全く或いは殆ど含有されていない絶縁部23によって相互に絶縁されている。
そして、接続用導電部22が並ぶ方向において、最も外側に位置する接続用導電部22とフレーム板10との間には、検査対象であるウエハの被検査電極に電気的に接続されない厚み方向に伸びる非接続用導電部26が形成されている。この非接続用導電部26は、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に含有されてなり、導電性粒子が全く或いは殆ど含有されていない絶縁部23によって、接続用導電部22と相互に絶縁されている。
また、図示の例では、弾性異方導電膜20における機能部21の両面には、接続用導電部22およびその周辺部分が位置する個所並びに非接続用導電部26およびその周辺部分が位置する個所に、それら以外の表面から突出する突出部24および突出部27が形成されている。
機能部21の周縁には、フレーム板10における異方導電膜配置用孔11の周辺部に固定支持された被支持部25が、当該機能部21に一体に連続して形成されており、この被支持部25には、導電性粒子が含有されている。
その他の構成は、基本的に図1〜図4に示す異方導電性コネクターの構成と同様である。
図16は、本発明に係る異方導電性コネクターの更に他の例における弾性異方導電膜を拡大して示す平面図である。この異方導電性コネクターの弾性異方導電膜20においては、その機能部21に、検査対象であるウエハの被検査電極に電気的に接続される厚み方向(図16において紙面と垂直な方向)に伸びる複数の接続用導電部22が、被検査電極のパターンに対応するパターンに従って並ぶよう配置され、これらの接続用導電部22の各々は、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に含有されてなり、導電性粒子が全く或いは殆ど含有されていない絶縁部23によって相互に絶縁されている。
これらの接続用導電部22のうち中央に位置する互いに隣接する2つの接続用導電部22は、その他の互いに隣接する接続用導電部22間における離間距離より大きい離間距離で配置されている。そして、中央に位置する互いに隣接する2つの接続用導電部22の間には、検査対象であるウエハの被検査電極に電気的に接続されない厚み方向に伸びる非接続用導電部26が形成されている。この非接続用導電部26は、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に含有されてなり、導電性粒子が全く或いは殆ど含有されていない絶縁部23によって、接続用導電部22と相互に絶縁されている。
また、図示の例では、弾性異方導電膜20における機能部21の両面には、接続用導電部22およびその周辺部分が位置する個所並びに非接続用導電部26およびその周辺部分が位置する個所に、それら以外の表面から突出する突出部24および突出部27が形成されている。
機能部21の周縁には、フレーム板10における異方導電膜配置用孔11の周辺部に固定支持された被支持部25が、当該機能部21に一体に連続して形成されており、この被支持部25には、導電性粒子が含有されている。
その他の具体的な構成は、基本的に図1〜図4に示す異方導電性コネクターの構成と同様である。
図15に示す異方導電性コネクターおよび図16に示す異方導電性コネクターは、図7に示す金型の代わりに、成形すべき弾性異方導電性膜20の接続用導電部22および非接続用導電部26の配置パターンに対応するパターンに従って強磁性体層が形成され、この強磁性体層以外の個所には、非磁性体層が形成された上型および下型からなる金型を用いることにより、前述の図1〜図4に示す異方導電性コネクターを製造する方法と同様にして製造することができる。
すなわち、このような金型によれば、上型における基板の上面および下型における基板の下面に例えば一対の電磁石を配置してこれを作動させることにより、当該上型および当該下型の間に形成された成形材料層においては、当該成形材料層における機能部21となる部分に分散されていた導電性粒子が、接続用導電部22となる部分および非接続用導電部26となる部分に集合して厚み方向に並ぶよう配向し、一方、成形材料層におけるフレーム板10の上方および下方にある導電性粒子は、フレーム板10の上方および下方に保持されたままとなる。
そして、この状態において、成形材料層を硬化処理することにより、弾性高分子物質中に導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる複数の接続用導電部22および非接続用導電部26が、導電性粒子が全く或いは殆ど存在しない高分子弾性物質よりなる絶縁部23によって相互に絶縁された状態で配置されてなる機能部21と、この機能部21の周辺に連続して一体に形成された、弾性高分子物質中に導電性粒子が含有されてなる被支持部25とよりなる弾性異方導電膜20が、フレーム板10の異方導電膜配置用孔11の周辺部に当該被支持部25が固定された状態で形成され、以て異方導電性コネクターが製造される。
図15に示す異方導電性コネクターにおける非接続用導電部26は、弾性異方導電膜20の形成において、成形材料層における非接続用導電部26となる部分に磁場を作用させることにより、成形材料層における最も外側に位置する接続用導電部22となる部分とフレーム板10との間に存在する導電性粒子を、非接続用導電部26となる部分に集合させ、この状態で、当該成形材料層の硬化処理を行うことにより得られる。そのため、当該弾性異方導電膜20の形成において、導電性粒子が、成形材料層における最も外側に位置する接続用導電部22となる部分に過剰に集合することがない。従って、形成すべき弾性異方導電膜20が、比較的多数の接続用導電部22を有するものであっても、当該弾性異方導電膜20における最も外側に位置する接続用導電部22に、過剰な量の導電性粒子が含有されることが確実に防止される。
また、図16に示す異方導電性コネクターにおける非接続用導電部26は、弾性異方導電膜20の形成において、成形材料層における非接続用導電部26となる部分に磁場を作用させることにより、成形材料層における大きい離間距離で配置された隣接する2つの接続用導電部22となる部分の間に存在する導電性粒子を、非接続用導電部26となる部分に集合させ、この状態で、当該成形材料層の硬化処理を行うことにより得られる。そのため、当該弾性異方導電膜20の形成において、導電性粒子が、成形材料層における大きい離間距離で配置された隣接する2つの接続用導電部22となる部分に過剰に集合することがない。従って、形成すべき弾性異方導電膜20が、それぞれ大きい離間距離で配置された2つ以上の接続用導電部22を有するものであっても、それらの接続用導電部22に、過剰な量の導電性粒子が含有されることが確実に防止される。
(2)異方導電性コネクターにおいては、弾性異方導電膜20における突出部24は必須のものではなく、一面または両面が平坦面のもの、或いは凹所が形成されたものであってもよい。
(3)弾性異方導電膜20における接続用導電部22の表面には、金属層が形成されていてもよい。
(4)異方導電性コネクターの製造において、フレーム板10の基材として非磁性のものを用いる場合には、成形材料層20Aにおける被支持部25となる部分に磁場を作用させる方法として、当該フレーム板10における異方導電膜配置用孔11の周辺部に磁性体をメッキしてまたは磁性塗料を塗布して磁場を作用させる手段、金型60に、弾性異方導電膜20の被支持部25に対応して強磁性体層を形成して磁場を作用させる手段を利用することができる。
(5)成形材料層の形成において、スペーサーを用いることは必須のことではなく、他の手段によって、上型および下型とフレーム板との間に弾性異方導電膜成形用の空間を確保してもよい。
(6)プローブ部材においては、シート状コネクター40は、必須のものではなく、異方導電性コネクター2における弾性異方導電膜20が検査対象であるウエハに接触して電気的接続を達成する構成であってもよい。
(7)本発明の異方導電性コネクターは、そのフレーム板の異方導電膜配置用孔が、検査対象であるウエハに形成された一部の集積回路における被検査電極が配置された電極領域に対応して形成され、これらの異方導電膜配置用孔の各々に弾性異方導電膜が配置されたものであってもよい。
このような異方導電性コネクターによれば、ウエハを2以上のエリアに分割し、分割されたエリア毎に、当該エリアに形成された集積回路について一括してプローブ試験を行うことができる。
すなわち、本発明の異方導電性コネクターまたは本発明のプローブ部材を使用したウエハの検査方法においては、ウエハに形成された全ての集積回路について一括して行うことは必須のことではない。
バーンイン試験においては、集積回路の各々に必要な検査時間が数時間と長いため、ウエハに形成された全ての集積回路について一括して検査を行えば高い時間的効率が得られるが、プローブ試験においては、集積回路の各々に必要な検査時間が数分間と短いため、ウエハを2以上のエリアに分割し、分割されたエリア毎に、当該エリアに形成された集積回路について一括してプローブ試験を行っても、十分に高い時間的効率が得られる。
このように、ウエハに形成された集積回路について、分割されたエリア毎に電気的検査を行う方法によれば、直径が8インチまたは12インチのウエハに高い集積度で形成された集積回路について電気的検査を行う場合において、全ての集積回路について一括して検査を行う方法と比較して、用いられる検査用回路基板の検査電極数や配線数を少なくすることができ、これにより、検査装置の製造コストの低減化を図ることができる。
そして、本発明の異方導電性コネクターまたは本発明のプローブ部材は、繰り返し使用における耐久性が高いものであるため、ウエハに形成された集積回路について、分割されたエリア毎に電気的検査を行う方法に用いる場合には、異方導電性コネクターに故障が生じて新たなものに交換する頻度が小さくなるので、検査コストの低減化を図ることができる。
(8)本発明の異方導電性コネクターまたは本発明のプローブ部材は、アルミニウムよりなる平面状の電極を有する集積回路が形成されたウエハの検査の他に、金またははんだなどよりなる突起状電極(バンプ)を有する集積回路が形成されたウエハの検査に用いることもできる。
金やはんだなどよりなる電極は、アルミニウムよりなる電極に比較して、表面に酸化膜が形成されにくいものであるため、このような突起状電極を有する集積回路が形成されたウエハの検査においては、酸化膜を突き破るために必要な大きな荷重で加圧することが不要となり、シート状コネクターを用いずに、異方導電性コネクターの接続用導電部を被検査電極に直接接触させた状態で検査を実行することができる。
被検査電極である突起状電極に異方導電性コネクターの接続用導電部を直接接触させた状態でウエハの検査を行う場合においては、当該異方導電性コネクターを繰り返し使用すると、その接続用導電部が突起状電極によって加圧されることにより摩耗したり永久的に圧縮変形したりする結果、当該接続用導電部には、電気抵抗の増加や被検査電極に対する接続不良が発生するため、高い頻度で異方導電性コネクターを新たなものに交換することが必要であった。
而して、本発明の異方導電性コネクターまたは本発明のプローブ部材によれば、繰り返し使用における耐久性が高いものであるため、検査対象であるウエハが、直径が8インチまたは12インチであって高い集積度で集積回路が形成されたものであっても、長期間にわたって所要の導電性が維持され、これにより、異方導電性コネクターを新たなものに交換する頻度が少なくなるので、検査コストの低減化を図ることができる。
〈実施例〉
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔試験用ウエハの作製〕
図17に示すように、直径が8インチのシリコン(線熱膨張係数3.3×10-6/K)製のウエハ6上に、それぞれ寸法が8mm×8mmの正方形の集積回路Lを合計で393個形成した。ウエハ6に形成された集積回路Lの各々は、図18に示すように、その中央に被検査電極領域Aを有し、この被検査電極領域Aには、図19に示すように、それぞれ縦方向(図19において上下方向)の寸法が200μmで横方向(図19において左右方向)の寸法が50μmの矩形の50個の被検査電極7が100μmのピッチで横方向に一列に配列されている。また、このウエハ6全体の被検査電極7の総数は19650個であり、全ての被検査電極は、当該ウエハ6の周縁部に形成された共通の引出し電極(図示省略)に電気的に接続されている。以下、このウエハを「試験用ウエハW1」という。
また、集積回路(L)における50個の被検査電極(7)のうち最も端の被検査電極(7)から数えて1個おきに2個ずつを互いに電気的に接続し、引出し電極を形成しなかったこと以外は、試験用ウエハW1と同様の構成の393個の集積回路(L)をウエハ(6)上に形成した。このウエハ全体の被検査電極の総数は19650個である。以下、このウエハを「試験用ウエハW2」という。
また、直径が6インチのシリコン製のウエハ上に、それぞれ寸法が6.5mm×6.5mmの正方形の集積回路Lを合計で225個形成した。ウエハに形成された集積回路の各々は、その中央に被検査電極領域を有し、この被検査電極領域には、それぞれ縦方向の寸法が100μmで横方向の寸法が50μmの矩形の50個の被検査電極が100μmのピッチで横方向に二列(一列の被検査電極の数が25個)に配列されている。縦方向に隣接する被検査電極の間の離間距離は、350μmである。また、50個の被検査電極のうち2個ずつが互いに電気的に接続されている。このウエハ全体の被検査電極の総数は11250個であり、全ての被検査電極は、当該ウエハの周縁部に形成された共通の引出し電極に電気的に接続されている。以下、このウエハを「試験用ウエハW3」という。
また、集積回路における50個の被検査電極のうち2個ずつを互いに電気的に接続し、引出し電極を形成しなかったこと以外は、試験用ウエハW3と同様の構成の225個の集積回路をウエハ上に形成した。このウエハ全体の被検査電極の総数は11250個である。以下、このウエハを「試験用ウエハW4」という。
〔磁性芯粒子の調製〕
(1)磁性芯粒子[A]の調製:
市販のニッケル粒子(Westaim社製,「FC1000」)を用い、以下のようにして磁性芯粒子[A]を調製した。
日清エンジニアリング株式会社製の空気分級機「ターボクラシファイア TC−15N」によって、ニッケル粒子2kgを、比重が8.9、風量が2.5m3 /min、ローター回転数が1,600rpm、分級点が25μm、ニッケル粒子の供給速度が16g/minの条件で分級処理し、ニッケル粒子1.8kgを捕集し、更に、このニッケル粒子1.8kgを、比重が8.9、風量が2.5m3 /min、ローター回転数が3,000rpm、分級点が10μm、ニッケル粒子の供給速度が14g/minの条件で分級処理し、ニッケル粒子1.5kgを捕集した。
次いで、筒井理化学機器株式会社製の音波ふるい器「SW−20AT形」によって、空気分級機によって分級されたニッケル粒子120gを更に分級処理した。具体的には、それぞれ直径が200mmで、開口径が25μm、20μm、16μmおよび8μmの4つのふるいを上からこの順で4段に重ね合わせ、ふるいの各々に直径が2mmのセラミックボール10gを投入し、最上段のふるい(開口径が25μm)にニッケル粒子20gを投入し、55Hzで12分間および125Hzで15分間の条件で分級処理し、最下段のふるい(開口径が8μm)に捕集されたニッケル粒子を回収した。この操作を合計で25回行うことにより、磁性芯粒子[A]110gを調製した。
得られた磁性芯粒子[A]は、数平均粒子径が10μm、粒子径の変動係数が10%、BET比表面積が0.2×103 2 /kg、飽和磁化が0.6Wb/m2 であった。
(2)磁性芯粒子[B]〜磁性芯粒子[H]の調製:
空気分級機および音波ふるい器の条件を変更したこと以外は磁性芯粒子[A]の調製と同様にして、下記の磁性芯粒子[B]〜磁性芯粒子[H]を調製した。
磁性芯粒子[B]:
数平均粒子径が12μm、粒子径の変動係数が30%、BET比表面積が0.1×103 2 /kg、飽和磁化が0.6Wb/m2 であるニッケルよりなる磁性芯粒子。
磁性芯粒子[C]:
数平均粒子径が10μm、粒子径の変動係数が10%、BET比表面積が0.03×103 2 /kg、飽和磁化が0.6Wb/m2 であるニッケルよりなる磁性芯粒子。
磁性芯粒子[D]:
数平均粒子径が9μm、粒子径の変動係数が28%、BET比表面積が0.05×103 2 /kg、飽和磁化が0.6Wb/m2 であるニッケルよりなる磁性芯粒子。
磁性芯粒子[E]:
数平均粒子径が6μm、粒子径の変動係数が30%、BET比表面積が0.5×103 2 /kg、飽和磁化が0.6Wb/m2 であるニッケルよりなる磁性芯粒子。
磁性芯粒子[F]:
数平均粒子径が10μm、粒子径の変動係数が20%、BET比表面積が0.05×103 2 /kg、飽和磁化が0.6Wb/m2 であるニッケルよりなる磁性芯粒子。
磁性芯粒子[G]:
数平均粒子径が10μm、粒子径の変動係数が15%、BET比表面積が0.15×103 2 /kg、飽和磁化が0.6Wb/m2 であるニッケルよりなる磁性芯粒子。
磁性芯粒子[H]:
数平均粒子径が8μm、粒子径の変動係数が25%、BET比表面積が0.15×103 2 /kg、飽和磁化が0.6Wb/m2 であるニッケルよりなる磁性芯粒子。
〔導電性粒子の調製〕
(1)導電性粒子[a]の調製:
粉末メッキ装置の処理槽内に、磁性芯粒子[A]100gを投入し、更に、0.32Nの塩酸水溶液2Lを加えて攪拌し、磁性芯粒子[A]を含有するスラリーを得た。このスラリーを常温で30分間攪拌することにより、磁性芯粒子[A]の酸処理を行い、その後、1分間静置して磁性芯粒子[A]を沈殿させ、上澄み液を除去した。
次いで、酸処理が施された磁性芯粒子[A]に純水2Lを加え、常温で2分間攪拌し、その後、1分間静置して磁性芯粒子[A]を沈殿させ、上澄み液を除去した。この操作を更に2回繰り返すことにより、磁性芯粒子[A]の洗浄処理を行った。
そして、酸処理および洗浄処理が施された磁性芯粒子[A]に、金の含有割合が20g/Lの金メッキ液2Lを加え、処理層内の温度を90℃に昇温して攪拌することにより、スラリーを調製した。この状態で、スラリーを攪拌しながら、磁性芯粒子[A]に対して金の置換メッキを行った。その後、スラリーを放冷しながら静置して粒子を沈殿させ、上澄み液を除去することにより、導電性粒子[a]を調製した。
このようにして得られた導電性粒子[a]に純水2Lを加え、常温で2分間攪拌し、その後、1分間静置して導電性粒子[a]を沈殿させ、上澄み液を除去した。この操作を更に2回繰り返し、その後、90℃に加熱した純水2Lを加えて攪拌し、得られたスラリーを濾紙によって濾過して導電性粒子[a]を回収した。そして、この導電性粒子[a]を、90℃に設定された乾燥機によって乾燥処理した。
得られた導電性粒子[a]は、数平均粒子径が12μm、BET比表面積が0.25×103 2 /kg、被覆層の厚みtが111nm、(被覆層を形成する金の質量)/(導電性粒子[a]全体の質量)の値Nが0.3、電気抵抗値Rが0.025Ωであった。
(2)導電性粒子[b]の調製:
磁性芯粒子[A]の代わりに磁性芯粒子[B]を用い、金メッキ液中の金の含有割合を変更したこと以外は、導電性粒子[a]の調製と同様にして導電性粒子[b]を調製した。
得られた導電性粒子[b]は、数平均粒子径が13μm、BET比表面積が0.12×103 2 /kg、被覆層の厚みtが146nm、(被覆層を形成する金の質量)/(導電性粒子[b]全体の質量)の値Nが0.22、電気抵抗値Rが0.1Ωであった。
(3)導電性粒子[c]の調製:
磁性芯粒子[A]の代わりに磁性芯粒子[C]を用い、金メッキ液中の金の含有割合を変更したこと以外は、導電性粒子[a]の調製と同様にして導電性粒子[c]を調製した。
得られた導電性粒子[c]は、数平均粒子径が14μm、BET比表面積が0.04×103 2 /kg、被覆層の厚みtが192nm、(被覆層を形成する金の質量)/(導電性粒子[c]全体の質量)の値Nが0.10、電気抵抗値Rが0.12Ωであった。
(4)導電性粒子[d]の調製:
磁性芯粒子[A]の代わりに磁性芯粒子[D]を用い、金メッキ液中の金の含有割合を変更したこと以外は、導電性粒子[a]の調製と同様にして導電性粒子[d]を調製した。
得られた導電性粒子[d]は、数平均粒子径が10μm、BET比表面積が0.06×103 2 /kg、被覆層の厚みtが90nm、(被覆層を形成する金の質量)/(導電性粒子[d]全体の質量)の値Nが0.08、電気抵抗値Rが0.15Ωであった。
(5)導電性粒子[e]の調製:
磁性芯粒子[A]の代わりに磁性芯粒子[E]を用い、金メッキ液中の金の含有割合を変更したこと以外は、導電性粒子[a]の調製と同様にして導電性粒子[e]を調製した。
得られた導電性粒子[e]は、数平均粒子径が7μm、BET比表面積が0.7×103 2 /kg、被覆層の厚みtが58nm、(被覆層を形成する金の質量)/(導電性粒子[e]全体の質量)の値Nが0.35、電気抵抗値Rが0.25Ωであった。
(6)導電性粒子[f]の調製:
磁性芯粒子[A]の代わりに磁性芯粒子[F]を用い、金メッキ液中の金の含有割合を変更したこと以外は、導電性粒子[a]の調製と同様にして導電性粒子[f]を調製した。
得られた導電性粒子[f]は、数平均粒子径が11μm、BET比表面積が0.06×103 2 /kg、被覆層の厚みtが128nm、(被覆層を形成する金の質量)/(導電性粒子[f]全体の質量)の値Nが0.11、電気抵抗値Rが0.18Ωであった。
(7)導電性粒子[g]の調製:
磁性芯粒子[A]の代わりに磁性芯粒子[G]を用い、金メッキ液中の金の含有割合を変更したこと以外は、導電性粒子[a]の調製と同様にして導電性粒子[g]を調製した。
得られた導電性粒子[g]は、数平均粒子径が12μm、BET比表面積が0.17×103 2 /kg、被覆層の厚みtが135nm、(被覆層を形成する金の質量)/(導電性粒子[g]全体の質量)の値Nが0.28、電気抵抗値Rが0.015Ωであった。
(8)導電性粒子[h]の調製:
磁性芯粒子[A]の代わりに磁性芯粒子[H]を用い、金メッキ液中の金の含有割合を変更したこと以外は、導電性粒子[a]の調製と同様にして導電性粒子[h]を調製した。
得られた導電性粒子[h]は、数平均粒子径が10μm、BET比表面積が0.16×103 2 /kg、被覆層の厚みtが61nm、(被覆層を形成する金の質量)/(導電性粒子[g]全体の質量)の値Nが0.15、電気抵抗値Rが0.08Ωであった。
調製した導電性粒子の特性および当該導電性粒子に使用した磁性芯粒子の特性を、下記表1にまとめて示す。
Figure 0003685191
〔高分子物質形成材料〕
高分子物質形成材料として、A液の粘度が250Pa・sで、B液の粘度が250Pa・sである二液型の付加型液状シリコーンゴムであって、硬化物の150℃における永久圧縮歪みが5%、硬化物のデュロメーターA硬度が32、硬化物の引裂強度が25kN/mのものを用意した。この付加型液状シリコーンゴムを「シリコーンゴム(1)」とする。
また、上記の付加型液状シリコーンゴムの特性は、次のようにして測定した。
(i)付加型液状シリコーンゴムの粘度:
B型粘度計により、23±2℃における粘度を測定した。
(ii)シリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪み:
二液型の付加型液状シリコーンゴムにおけるA液とB液とを等量となる割合で攪拌混合した。次いで、この混合物を金型に流し込み、当該混合物に対して減圧による脱泡処理を行った後、120℃、30分間の条件で硬化処理を行うことにより、厚みが12.7mm、直径が29mmのシリコーンゴム硬化物よりなる円柱体を作製し、この円柱体に対して、200℃、4時間の条件でポストキュアを行った。このようにして得られた円柱体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して150±2℃における圧縮永久歪みを測定した。
(iii)シリコーンゴム硬化物の引裂強度:
上記(ii)と同様の条件で付加型液状シリコーンゴムの硬化処理およびポストキュアを行うことにより、厚みが2.5mmのシートを作製した。このシートから打ち抜きによってクレセント形の試験片を作製し、JIS K 6249に準拠して23±2℃における引裂強度を測定した。
(iv)デュロメーターA硬度:
上記(iii)と同様にして作製されたシートを5枚重ね合わせ、得られた積重体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して23±2℃におけるデュロメーターA硬度を測定した。
〔WLBI試験用異方導電性コネクターの製造〕
(1)フレーム板の作製:
図20および図21に示す構成に従い、下記の条件により、試験用ウエハW2における各被検査電極領域に対応して形成された393の異方導電膜配置孔を有する直径が8インチのフレーム板を合計で80枚作製した。
このフレーム板10の材質はコバール(飽和磁化1.4Wb/m2 ,線熱膨張係数5×10-6/K)で、その厚みは、60μmである。
異方導電膜配置用孔11の各々は、その横方向(図20および図21において左右方向)の寸法が5250μmで縦方向(図20および図21において上下方向)の寸法が320μmである。
縦方向に隣接する異方導電膜配置用孔11の間の中央位置には、円形の空気流入孔15が形成されており、その直径は1000μmである。
(2)スペーサーの作製:
下記の条件により、試験用ウエハW2における被検査電極領域に対応して形成された複数の貫通孔を有する弾性異方導電膜成形用のスペーサーを2枚作製した。これらのスペーサーの材質はステンレス(SUS304)で、その厚みは20μmである。
各被検査電極領域に対応する貫通孔は、その横方向の寸法が6000μmで縦方向の寸法が1200μmである。
(3)金型の作製:
図7および図22に示す構成に従い、下記の条件により、弾性異方導電膜成形用の金型を作製した。
この金型における上型61および下型65は、それぞれ厚みが6mmの鉄よりなる基板62,66を有し、この基板62,66上には、試験用ウエハW1における被検査電極のパターンに対応するパターンに従ってニッケルよりなる接続用導電部形成用の強磁性体層63(67)および非接続用導電部形成用の強磁性体層63a(67a)が配置されている。具体的には、接続用導電部形成用の強磁性体層63(67)の各々の寸法は40μm(横方向)×200μm(縦方向)×100μm(厚み)で、50個の強磁性体層63(67)が100μmのピッチで横方向に一列に配列されている。また、強磁性体層63(67)が並ぶ方向において、最も外側に位置する強磁性体層63(67)の外側には、非接続用導電部形成用の強磁性体層63a(67a)が配置されている。各強磁性体層63a(67a)の寸法は、60μm(横方向)×200μm(縦方向)×100μm(厚み)である。
そして、50個の接続用導電部形成用の強磁性体層63(67)および2個の非接続用導電部形成用の強磁性体層63a(67a)が形成された領域が、試験用ウエハW2における被検査電極領域に対応して合計で393個形成され、基板全体で19650個の接続用導電部形成用の強磁性体層63(67)および786個の非接続用導電部形成用の強磁性体層63a(67a)が形成されている。
また、非磁性体層64(68)は、ドライフィルムレジストを硬化処理することによって形成され、接続用導電部形成用の強磁性体層63(67)が位置する凹所64a(68a)の各々の寸法は、60μm(横方向)×210μm(縦方向)×25μm(深さ)で、非接続用導電部形成用の強磁性体層63a(67a)が位置する凹所64b(68b)の各々の寸法は、90μm(横方向)×260μm(縦方向)×25μm(深さ)で、凹所以外の部分の厚みは125μm(凹所部分の厚み100μm)である。
(4)異方導電性コネクター(A1)〜(A10)の作製:
上記のフレーム板、スペーサーおよび金型を用い、以下のようにしてフレーム板に弾性異方導電膜を形成した。
シリコーンゴム(1)100質量部に、導電性粒子[a]30質量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、弾性異方導電膜成形用の成形材料を調製した。
上記の金型の上型および下型の表面に、調製した成形材料をスクリーン印刷によって塗布することにより、形成すべき弾性異方導電膜のパターンに従って成形材料層を形成し、下型の成形面上に、下型側のスペーサーを介してフレーム板を位置合わせして重ね、更に、このフレーム板上に、上型側のスペーサーを介して上型を位置合わせして重ねた。
そして、上型および下型の間に形成された成形材料層に対し、強磁性体層の間に位置する部分に、電磁石によって厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で硬化処理を施すことにより、フレーム板の異方導電膜配置用孔の各々に弾性異方導電膜を形成した。
得られた弾性異方導電膜について具体的に説明すると、弾性異方導電膜の各々は、横方向の寸法が6000μm、縦方向の寸法が1200μmである。弾性異方導電膜の各々における機能部には、50個の接続用導電部が100μmのピッチで横方向に一列に配列されており、接続用導電部の各々は、横方向の寸法が40μm、縦方向の寸法が200μm、厚みが150μmであり、機能部における絶縁部の厚みが100μmである。また、横方向において最も外側に位置する接続用導電部とフレーム板との間には、非接続用導電部が配置されている。非接続用導電部の各々は、横方向の寸法が60μm、縦方向の寸法が200μm、厚みが150μmである。また、弾性異方導電膜の各々における被支持部の厚み(二股部分の一方の厚み)は20μmである。
以上のようにして、10枚のフレーム板の各々に弾性異方導電膜を形成し、合計で10枚の異方導電性コネクターを製造した。以下、これらの異方導電性コネクターを異方導電性コネクター(A1)〜異方導電性コネクター(A10)とする。
また、異方導電性コネクター(A1)〜異方導電性コネクター(A10)の各々について、弾性異方導電膜の被支持部および機能部における絶縁部を観察したところ、被支持部には導電性粒子が存在していることが確認され、機能部における絶縁部には導電性粒子がほとんど存在していないことが確認された。
(5)異方導電性コネクター(B1)〜(B10)の作製:
導電性粒子[a]の代わりに導電性粒子[b]を用いたこと以外は、異方導電性コネクター(A1)〜(A10)と同様にして10枚の異方導電性コネクターを製造した。以下、これらの異方導電性コネクターを異方導電性コネクター(B1)〜異方導電性コネクター(B10)という。
また、異方導電性コネクター(B1)〜異方導電性コネクター(B10)の各々について、弾性異方導電膜の被支持部および機能部における絶縁部を観察したところ、被支持部には導電性粒子が存在していることが確認され、機能部における絶縁部には導電性粒子がほとんど存在していないことが確認された。
(6)異方導電性コネクター(C1)〜(C10)の作製:
導電性粒子[a]の代わりに導電性粒子[c]を用いたこと以外は、異方導電性コネクター(A1)〜(A10)と同様にして10枚の異方導電性コネクターを製造した。以下、これらの異方導電性コネクターを異方導電性コネクター(C1)〜異方導電性コネクター(C10)という。
また、異方導電性コネクター(C1)〜異方導電性コネクター(C10)の各々について、弾性異方導電膜の被支持部および機能部における絶縁部を観察したところ、被支持部には導電性粒子が存在していることが確認され、機能部における絶縁部には導電性粒子がほとんど存在していないことが確認された。
(7)異方導電性コネクター(D1)〜(D10)の作製:
導電性粒子[a]の代わりに導電性粒子[d]を用いたこと以外は、異方導電性コネクター(A1)〜(A10)と同様にして10枚の異方導電性コネクターを製造した。以下、これらの異方導電性コネクターを異方導電性コネクター(D1)〜異方導電性コネクター(D10)という。
また、異方導電性コネクター(D1)〜異方導電性コネクター(D10)の各々について、弾性異方導電膜の被支持部および機能部における絶縁部を観察したところ、被支持部には導電性粒子が存在していることが確認され、機能部における絶縁部には導電性粒子がほとんど存在していないことが確認された。
(8)異方導電性コネクター(E1)〜(E10)の作製:
導電性粒子[a]の代わりに導電性粒子[e]を用いたこと以外は、異方導電性コネクター(A1)〜(A10)と同様にして10枚の異方導電性コネクターを製造した。以下、これらの異方導電性コネクターを異方導電性コネクター(E1)〜異方導電性コネクター(E10)という。
また、異方導電性コネクター(E1)〜異方導電性コネクター(E10)の各々について、弾性異方導電膜の被支持部および機能部における絶縁部を観察したところ、被支持部には導電性粒子が存在していることが確認され、機能部における絶縁部には導電性粒子がほとんど存在していないことが確認された。
(9)異方導電性コネクター(F1)〜(F10)の作製:
導電性粒子[a]の代わりに導電性粒子[f]を用いたこと以外は、異方導電性コネクター(A1)〜(A10)と同様にして10枚の異方導電性コネクターを製造した。以下、これらの異方導電性コネクターを異方導電性コネクター(F1)〜異方導電性コネクター(F10)という。
また、異方導電性コネクター(F1)〜異方導電性コネクター(F10)の各々について、弾性異方導電膜の被支持部および機能部における絶縁部を観察したところ、被支持部には導電性粒子が存在していることが確認され、機能部における絶縁部には導電性粒子がほとんど存在していないことが確認された。
(10)異方導電性コネクター(G1)〜(G10)の作製:
導電性粒子[a]の代わりに導電性粒子[g]を用いたこと以外は、異方導電性コネクター(A1)〜(A10)と同様にして10枚の異方導電性コネクターを製造した。以下、これらの異方導電性コネクターを異方導電性コネクター(G1)〜異方導電性コネクター(G10)という。
また、異方導電性コネクター(G1)〜異方導電性コネクター(G10)の各々について、弾性異方導電膜の被支持部および機能部における絶縁部を観察したところ、被支持部には導電性粒子が存在していることが確認され、機能部における絶縁部には導電性粒子がほとんど存在していないことが確認された。
(11)異方導電性コネクター(H1)〜(H10)の作製:
導電性粒子[a]の代わりに導電性粒子[h]を用いたこと以外は、異方導電性コネクター(A1)〜(A10)と同様にして10枚の異方導電性コネクターを製造した。以下、これらの異方導電性コネクターを異方導電性コネクター(H1)〜異方導電性コネクター(H10)という。
また、異方導電性コネクター(H1)〜異方導電性コネクター(H10)の各々について、弾性異方導電膜の被支持部および機能部における絶縁部を観察したところ、被支持部には導電性粒子が存在していることが確認され、機能部における絶縁部には導電性粒子がほとんど存在していないことが確認された。
〔プローブ試験用異方導電性コネクターの製造〕
(1)フレーム板の作製:
下記の条件により、上記の試験用ウエハW3における各被検査電極領域に対応して形成された225の異方導電膜配置孔を有する直径が6インチのフレーム板を作製した。
このフレーム板の材質はコバール(飽和磁化1.4Wb/m2 ,線熱膨張係数5×10-6/K)で、その厚みは、80μmである。
異方導電膜配置用孔の各々は、その横方向の寸法が2740μmで縦方向の寸法が600μmである。
縦方向に隣接する異方導電膜配置用孔の間の中央位置には、円形の空気流入孔が形成されており、その直径は1000μmである。
(2)スペーサーの作製:
下記の条件により、試験用ウエハW2における被検査電極領域に対応して形成された複数の貫通孔を有する弾性異方導電膜成形用のスペーサーを2枚作製した。
これらのスペーサーの材質はステンレス(SUS304)で、その厚みは30μmである。
各被検査電極領域に対応する貫通孔は、その横方向の寸法が3500μmで縦方向の寸法が1400μmである。
(3)金型の作製:
下記の条件により、弾性異方導電膜成形用の金型を作製した。
この金型における上型および下型は、それぞれ厚みが6mmの鉄よりなる基板を有し、この基板上には、試験用ウエハW3における被検査電極のパターンに対応するパターンに従ってニッケルよりなる接続用導電部形成用の強磁性体層および非接続用導電部形成用の強磁性体層が配置されている。具体的には、接続用導電部形成用の強磁性体層の各々の寸法は50μm(横方向)×100μm(縦方向)×100μm(厚み)で、50個の強磁性体層が100μmのピッチで横方向に二列(一列の強磁性体層の数が25個で、縦方向に隣接する強磁性体層の間の離間距離が350μm)に配列されている。また、強磁性体層が並ぶ方向において、最も外側に位置する強磁性体層の外側には、非接続用導電部形成用の強磁性体層が配置されている。この強磁性体層の寸法は、50μm(横方向)×200μm(縦方向)×100μm(厚み)である。
そして、50個の接続用導電部形成用の強磁性体層および2個の非接続用導電部形成用の強磁性体層が形成された領域が、試験用ウエハW2における被検査電極領域に対応して合計で225個形成され、基板全体で11250個の接続用導電部形成用の強磁性体層および450個の非接続用導電部形成用の強磁性体層が形成されている。
また、非磁性体層は、ドライフィルムレジストを硬化処理することによって形成され、接続用導電部形成用の強磁性体層が位置する凹所の各々の寸法は、50μm(横方向)×100μm(縦方向)×25μm(深さ)で、非接続用導電部形成用の強磁性体層が位置する凹所の各々の寸法は、50μm(横方向)×200μm(縦方向)×25μm(深さ)で、凹所以外の部分の厚みは125μm(凹所部分の厚み100μm)である。
(4)異方導電性コネクター(A11)〜(A20)の作製:
上記のフレーム板、スペーサーおよび金型を用い、以下のようにしてフレーム板に弾性異方導電膜を形成した。
シリコーンゴム(1)100質量部に、導電性粒子[a]30質量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、弾性異方導電膜成形用の成形材料を調製した。
上記の金型の上型および下型の表面に、調製した成形材料をスクリーン印刷によって塗布することにより、形成すべき弾性異方導電膜のパターンに従って成形材料層を形成し、下型の成形面上に、下型側のスペーサーを介してフレーム板を位置合わせして重ね、更に、このフレーム板上に、上型側のスペーサーを介して上型を位置合わせして重ねた。
そして、上型および下型の間に形成された成形材料層に対し、強磁性体層の間に位置する部分に、電磁石によって厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で硬化処理を施すことにより、フレーム板の異方導電膜配置用孔の各々に弾性異方導電膜を形成した。
得られた弾性異方導電膜について具体的に説明すると、弾性異方導電膜の各々は、横方向の寸法が3500μm、縦方向の寸法が1400μmである。弾性異方導電膜の各々における機能部には、50個の接続用導電部が100μmのピッチで横方向に二列(一列の接続用導電部の数が25個で、縦方向に隣接する接続用導電部の間の離間距離が350μm)に配列されており、接続用導電部の各々は、横方向の寸法が50μm、縦方向の寸法が100μm、厚みが190μmであり、機能部における絶縁部の厚みが140μmである。また、横方向において最も外側に位置する接続用導電部とフレーム板との間には、非接続用導電部が配置されている。非接続用導電部の各々は、横方向の寸法が50μm、縦方向の寸法が200μm、厚みが190μmである。また、弾性異方導電膜の各々における被支持部の厚み(二股部分の一方の厚み)は30μmである。
以上のようにして、10枚のフレーム板の各々に弾性異方導電膜を形成し、合計で10枚の異方導電性コネクターを製造した。以下、これらの異方導電性コネクターを異方導電性コネクター(A11)〜異方導電性コネクター(A20)とする。
また、異方導電性コネクター(A11)〜異方導電性コネクター(A20)の各々について、弾性異方導電膜の被支持部および機能部における絶縁部を観察したところ、被支持部には導電性粒子が存在していることが確認され、機能部における絶縁部には導電性粒子がほとんど存在していないことが確認された。
(5)異方導電性コネクター(D11)〜(D20)の作製:
導電性粒子[a]の代わりに導電性粒子[d]を用いたこと以外は、異方導電性コネクター(A11)〜(A20)と同様にして10枚の異方導電性コネクターを製造した。以下、これらの異方導電性コネクターを異方導電性コネクター(D11)〜異方導電性コネクター(D20)という。
また、異方導電性コネクター(D11)〜異方導電性コネクター(D20)の各々について、弾性異方導電膜の被支持部および機能部における絶縁部を観察したところ、被支持部には導電性粒子が存在していることが確認され、機能部における絶縁部には導電性粒子がほとんど存在していないことが確認された。
(6)異方導電性コネクター(E11)〜(E20)の作製:
導電性粒子[a]の代わりに導電性粒子[e]を用いたこと以外は、異方導電性コネクター(A11)〜(A20)と同様にして10枚の異方導電性コネクターを製造した。以下、これらの異方導電性コネクターを異方導電性コネクター(E11)〜異方導電性コネクター(E20)という。
また、異方導電性コネクター(E11)〜異方導電性コネクター(E20)の各々について、弾性異方導電膜の被支持部および機能部における絶縁部を観察したところ、被支持部には導電性粒子が存在していることが確認され、機能部における絶縁部には導電性粒子がほとんど存在していないことが確認された。
(7)異方導電性コネクター(G11)〜(G20)の作製:
導電性粒子[a]の代わりに導電性粒子[g]を用いたこと以外は、異方導電性コネクター(A11)〜(A20)と同様にして10枚の異方導電性コネクターを製造した。以下、これらの異方導電性コネクターを異方導電性コネクター(G11)〜異方導電性コネクター(G20)という。
また、異方導電性コネクター(G11)〜異方導電性コネクター(G20)の各々について、弾性異方導電膜の被支持部および機能部における絶縁部を観察したところ、被支持部には導電性粒子が存在していることが確認され、機能部における絶縁部には導電性粒子がほとんど存在していないことが確認された。
〔WLBI試験用検査用回路基板の作製〕
基板材料としてアルミナセラミックス(線熱膨張係数4.8×10-6/K)を用い、試験用ウエハW2における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が形成された検査用回路基板を作製した。この検査用回路基板は、全体の寸法が30cm×30cmの矩形であり、その検査電極は、横方向の寸法が60μmで縦方向の寸法が200μmである。以下、この検査用回路基板を「検査用回路基板T1」という。
〔プローブ試験用検査用回路基板の作製〕
基板材料としてガラス繊維補強型エポキシ樹脂を用い、試験用ウエハW4における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が形成された検査用回路基板を作製した。この検査用回路基板は、全体の寸法が16cm×16cmの矩形であり、その検査電極は、横方向の寸法が50μmで縦方向の寸法が100μmである。以下、この検査用回路基板を「検査用回路基板T2」という。
〔WLBI試験用シート状コネクターの作製〕
厚みが20μmのポリイミドよりなる絶縁性シートの一面に厚みが15μmの銅層が積層されてなる積層材料を用意し、この積層材料における絶縁性シートに対してレーザ加工を施すことによって、当該絶縁性シートの厚み方向に貫通する、それぞれ直径が30μmの19650個の貫通孔を、試験用ウエハW2における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って形成した。次いで、この積層材料に対してフォトリソグラフィーおよびニッケルメッキ処理を施すことによって、絶縁性シートの貫通孔内に銅層に一体に連結された短絡部を形成すると共に、当該絶縁性シートの表面に、短絡部に一体に連結された突起状の表面電極部を形成した。この表面電極部の径は40μmであり、絶縁性シートの表面からの高さは20μmであった。その後、積層材料における銅層に対してフォトエッチング処理を施してその一部を除去することにより、60μm×210μmの矩形の裏面電極部を形成し、更に、表面電極部および裏面電極部に金メッキ処理を施すことによって電極構造体を形成し、以てシート状コネクターを製造した。以下、このシート状コネクターを「シート状コネクターM1」という。
〔プローブ試験用シート状コネクターの作製〕
厚みが20μmのポリイミドよりなる絶縁性シートの一面に厚みが15μmの銅層が積層されてなる積層材料を用意し、この積層材料における絶縁性シートに対してレーザ加工を施すことによって、当該絶縁性シートの厚み方向に貫通する、それぞれ直径が30μmの11250個の貫通孔を、試験用ウエハW2における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って形成した。次いで、この積層材料に対してフォトリソグラフィーおよびニッケルメッキ処理を施すことによって、絶縁性シートの貫通孔内に銅層に一体に連結された短絡部を形成すると共に、当該絶縁性シートの表面に、短絡部に一体に連結された突起状の表面電極部を形成した。この表面電極部の径は40μmであり、絶縁性シートの表面からの高さは20μmであった。その後、積層材料における銅層に対してフォトエッチング処理を施してその一部を除去することにより、20μm×60μmの矩形の裏面電極部を形成し、更に、表面電極部および裏面電極部に金メッキ処理を施すことによって電極構造体を形成し、以てシート状コネクターを製造した。以下、このシート状コネクターを「シート状コネクターM2」という。
〔弾性異方導電膜の初期特性試験〕
(1)WLBI試験用異方導電性コネクター:
以下のようにして、異方導電性コネクター(A1)〜(A10)、異方導電性コネクター(B1)〜(B10)、異方導電性コネクター(C1)〜(C10)、異方導電性コネクター(D1)〜(D10)、異方導電性コネクター(E1)〜(E10)、異方導電性コネクター(F1)〜(F10)、異方導電性コネクター(G1)〜(G10)および異方導電性コネクター(H1)〜(H10)の各々における弾性異方導電膜の初期特性を測定した。
試験用ウエハW1を試験台に配置し、この試験用ウエハW1上に異方導電性コネクターをその接続用導電部の各々が当該試験用ウエハW1の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電製コネクター上に、検査用回路基板T1をその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターの接続用導電部上に位置するよう位置合わせして配置し、更に、検査用回路基板T1を下方に19.65kgの荷重(接続用導電部1個当たりに加わる荷重が平均で1g)で加圧した。そして、室温(25℃)下において、検査用回路基板Tにおける19650個の検査電極と試験用ウエハW1の引出し電極との間の電気抵抗を順次測定し、測定された電気抵抗値を異方導電性コネクターにおける接続用導電部のR1gの値として記録し、R1gが1Ω未満である接続用導電部の数を求め、全接続用導電部におけるR1gが1Ω未満である接続用導電部の割合を算出した。
また、検査用回路基板T1を加圧する荷重を117.9kg(接続用導電部1個当たりに加わる荷重が平均で6g)に変更したこと以外は上記と同様にして検査用回路基板T1における19650個の検査電極と試験用ウエハW1の引出し電極との間の電気抵抗を順次測定し、測定された電気抵抗値を異方導電性コネクターにおける接続用導電部のR6gとして記録し、R6gが0.1Ω未満である接続用導電部の数およびR6gが0.5Ω以上である接続用導電部の数を求め、全接続用導電部におけるR6gが0.1Ω未満である接続用導電部の割合およびR6gが0.5Ω以上である接続用導電部の割合を算出した。
以上、結果を表2および表3に示す。

Figure 0003685191

Figure 0003685191
(2)プローブ試験用異方導電性コネクター:
以下のようにして、異方導電性コネクター(A11)〜(A20)、異方導電性コネクター(D11)〜(D20)、異方導電性コネクター(E11)〜(E20)および異方導電性コネクター(G11)〜(G20)の各々における弾性異方導電膜の初期特性を測定した。
試験用ウエハW3を試験台に配置し、この試験用ウエハW3上に異方導電性コネクターをその接続用導電部の各々が当該試験用ウエハW3の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電製コネクター上に、検査用回路基板T2をその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターの接続用導電部上に位置するよう位置合わせして配置し、更に、検査用回路基板T2を下方に11.25kgの荷重(接続用導電部1個当たりに加わる荷重が平均で1g)で加圧した。そして、室温(25℃)下において、検査用回路基板T2における11250個の検査電極と試験用ウエハW3の引出し電極との間の電気抵抗を順次測定し、測定された電気抵抗値を異方導電性コネクターにおける接続用導電部のR1gの値として記録し、R1gが1Ω未満である接続用導電部の数を求め、全接続用導電部におけるR1gが1Ω未満である接続用導電部の割合を算出した。
また、検査用回路基板T2を加圧する荷重を67.5kg(接続用導電部1個当たりに加わる荷重が平均で6g)に変更したこと以外は上記と同様にして検査用回路基板T2における11250個の検査電極と試験用ウエハW3の引出し電極との間の電気抵抗を順次測定し、測定された電気抵抗値を異方導電性コネクターにおける接続用導電部のR6gとして記録し、R6gが0.1Ω未満である接続用導電部の数およびR6gが0.5Ω以上である接続用導電部の数を求め、全接続用導電部におけるR6gが0.1Ω未満である接続用導電部の割合およびR6gが0.5Ω以上である接続用導電部の割合を算出した。
以上、結果を表4に示す。
Figure 0003685191
〔高温環境下における耐久性試験〕
(1)試験1:
下記表5に示す異方導電性コネクターについて、以下のようにして、高温環境下における耐久性試験を行った。
試験用ウエハW2を、電熱ヒーターを具えた試験台に配置し、この試験用ウエハW2上に異方導電性コネクターをその接続用導電部の各々が当該試験用ウエハW2の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電製コネクター上に、検査用回路基板T1をその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターの接続用導電部上に位置するよう位置合わせして配置し、更に、検査用回路基板T1を下方に158kgの荷重(接続用導電部1個当たりに加わる荷重が平均で約8g)で加圧した。次いで、試験台を125℃に加熱し、試験台の温度が安定した後、検査用回路基板T1における19650個の検査電極について、異方導電性コネクターおよび試験用ウエハW2を介して互いに電気的に接続された2個の検査電極の間の電気抵抗を順次測定し、測定された電気抵抗値の2分の1の値を異方導電性コネクターにおける接続用導電部の電気抵抗(以下、「導通抵抗」という。)として記録し、導通抵抗が1Ω以上である接続用導電部の数を求めた。その後、この状態で1時間放置し、次いで、試験台を室温まで冷却し、その後、検査用回路基板に対する加圧を解除した。
そして、上記の操作を1サイクルとして、合計で500サイクル連続して行った。
以上において、接続用導電部の導通抵抗が1Ω以上のものについては、ウエハに形成された集積回路の電気的検査において、これを実際上使用することが困難である。
以上の結果を下記表5に示す。また、下記表5において、実施例として表示されている異方導電性コネクターは、R1gの値が1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の90%以上、R6gの値が0.1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の95%以上、およびR6gの値が0.5Ω以上である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の0%である初期特性を有するものである。
(2)試験2:
下記表6に示す異方導電性コネクターについて、以下のようにして、高温環境下における耐久性試験を行った。
試験用ウエハW2を、電熱ヒーターを具えた試験台に配置し、この試験用ウエハW2上に、シート状コネクターM1をその表面電極部が当該試験用ウエハの被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、このシート状コネクターM1上に異方導電性コネクターをその接続用導電部がシート状コネクターM1における裏面電極部上に位置するよう位置合わせして配置し、更に、検査用回路基板T1を下方に158kgの荷重(接続用導電部1個当たりに加わる荷重が平均で約8g)で加圧した。次いで、試験台を125℃に加熱し、試験台の温度が安定した後、検査用回路基板T1における19650個の検査電極について、異方導電性コネクターおよび試験用ウエハW2を介して互いに電気的に接続された2個の検査電極の間の電気抵抗を順次測定することにより、異方導電性コネクターにおける接続用導電部の導通抵抗を記録し、導通抵抗が1Ω以上である接続用導電部の数を求めた。その後、この状態で1時間放置し、次いで、試験台を室温まで冷却し、その後、検査用回路基板に対する加圧を解除した。
そして、上記の操作を1サイクルとして、合計で500サイクル連続して行った。
以上において、接続用導電部の導通抵抗が1Ω以上のものについては、ウエハに形成された集積回路の電気的検査において、これを実際上使用することが困難である。
以上の結果を下記表6に示す。また、下記表6において、実施例として表示されている異方導電性コネクターは、R1gの値が1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の90%以上、R6gの値が0.1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の95%以上、およびR6gの値が0.5Ω以上である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の0%である初期特性を有するものである。

Figure 0003685191

Figure 0003685191
(3)考察:
表5および表6の結果から明らかなように、実施例に係る異方導電性コネクターによれば、弾性異方導電膜における接続用導電部のピッチが小さいものであっても、当該接続用導電部には良好な導電性が得られ、しかも、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても良好な電気的接続状態が安定に維持され、更に、高温環境下において繰り返し使用した場合にも、長期間にわたって良好な導電性が維持されることが確認された。
また、実施例に係る異方導電性コネクターによれば、被検査電極の数が多いウエハに対する電気的接続作業を、シート状コネクターを介して行った場合にも、小さい加圧力で全ての被検査電極に対して電気的接続を達成することができ、段差吸収能の高いものであることが確認された。
〔繰り返し使用における耐久性試験〕
(1)試験3:
下記表7に示す異方導電性コネクターについて、以下のようにして、繰り返し使用における耐久性試験を行った。
試験用ウエハW4を、電熱ヒーターを具えた試験台に配置し、この試験用ウエハW4上に異方導電性コネクターをその接続用導電部の各々が当該試験用ウエハW4の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電製コネクター上に、検査用回路基板T2をその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターの接続用導電部上に位置するよう位置合わせして配置し、更に、検査用回路基板T2を下方に90kgの荷重(接続用導電部1個当たりに加わる荷重が平均で約8g)で加圧した。そして、室温(25℃)下において、異方導電性コネクターにおける接続用導電部の導通抵抗を測定し、導通抵抗が1Ω以上である接続用導電部の数を求めた。以上の操作を「操作(i)」とする。
次いで、検査用回路基板T2を加圧したままの状態で、試験台の温度を85℃に昇温して1分間保持した後、異方導電性コネクターにおける接続用導電部の導通抵抗を測定し、導通抵抗が1Ω以上である接続用導電部の数を求めた。そして、検査用回路基板に対する加圧を解除し、その後、試験台を室温まで冷却した。以上の操作を「操作(ii)」とする。
そして、上記の操作(i)および操作(ii)を1サイクルとして、合計で50000サイクル連続して行った。
以上において、接続用導電部の導通抵抗が1Ω以上のものについては、ウエハに形成された集積回路の電気的検査において、これを実際上使用することが困難である。
85℃における導通抵抗が1Ω以上である接続用導電部の数を下記表7に示す。また、下記表7において、実施例として表示されている異方導電性コネクターは、R1gの値が1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の90%以上、R6gの値が0.1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の95%以上、およびR6gの値が0.5Ω以上である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の0.1%以下である初期特性を有するものである。

Figure 0003685191
(2)考察:
表7の結果から明らかなように、実施例に係る異方導電性コネクターによれば、弾性異方導電膜における接続用導電部のピッチが小さいものであっても、当該接続用導電部には良好な導電性が得られ、しかも、多数回にわたって繰り返し使用した場合にも、良好な導電性が維持されることが確認された。
また、実施例に係る異方導電性コネクターによれば、被検査電極の数が多いウエハに対する電気的接続作業を、シート状コネクターを介して行った場合にも、小さい加圧力で全ての被検査電極に対して電気的接続を達成することができ、段差吸収能の高いものであることが確認された。
本発明に係る異方導電性コネクターの一例を示す平面図である。 図1に示す異方導電性コネクターの一部を拡大して示す平面図である。 図1に示す異方導電性コネクターにおける弾性異方導電膜を拡大して示す平面図である。 図1に示す異方導電性コネクターにおける弾性異方導電膜を拡大して示す説明用断面図である。 電気抵抗値Rを測定するための装置の構成を示す説明用断面図である。 弾性異方導電膜成形用の金型に成形材料が塗布されて成形材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。 弾性異方導電成形用の金型をその一部を拡大して示す説明用断面図である。 図6に示す金型の上型および下型の間にスペーサーを介してフレーム板が配置された状態を示す説明用断面図である。 金型の上型と下型の間に、目的とする形態の成形材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。 図9に示す成形材料層を拡大して示す説明用断面図である。 図10に示す成形材料層にその厚み方向に強度分布を有する磁場が形成された状態を示す説明用断面図である。 本発明に係る異方導電性コネクターを使用したウエハ検査装置の一例における構成を示す説明用断面図である。 本発明に係るプローブ部材の一例における要部の構成を示す説明用断面図である。 本発明に係る異方導電性コネクターを使用したウエハ検査装置の他の例における構成を示す説明用断面図である。 本発明に係る異方導電性コネクターの他の例における弾性異方導電膜を拡大して示す平面図である。 本発明に係る異方導電性コネクターの更に他の例における弾性異方導電膜を拡大して示す平面図である。 実施例で使用した試験用ウエハの上面図である。 図17に示す試験用ウエハに形成された集積回路の被検査電極領域の位置を示す説明図である。 図17に示す試験用ウエハに形成された集積回路の被検査電極を示す説明図である。 実施例で作製したフレーム板の上面図である。 図20に示すフレーム板の一部を拡大して示す説明図である。 実施例で作製した金型の成形面を拡大して示す説明図である。 従来の異方導電性コネクターを製造する工程において、金型内にフレーム板が配置されると共に、成形材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
符号の説明
1 プローブ部材 2 異方導電性コネクター
3 加圧板 4 ウエハ載置台
5 加熱器 6 ウエハ
7 被検査電極 10 フレーム板
11 異方導電膜配置用孔
15 空気流通孔
16 位置決め孔 20 弾性異方導電膜
20A 成形材料層 21 機能部
22 接続用導電部 23 絶縁部
24 突出部 25 被支持部
26 非接続用導電部 27 突出部
30 検査用回路基板 31 検査電極
40 シート状コネクター41 絶縁性シート
42 電極構造体 43 表面電極部
44 裏面電極部 45 短絡部
50 チャンバー 51 排気管
55 O−リング
60 金型 61 上型
62 基板 63 強磁性体層
64 非磁性体層 64a 凹所
65 下型 66 基板
67 強磁性体層 68 非磁性体層
68a 凹所
69a,69b スペーサー
71 セル 72 側壁材
73 蓋材 73H 貫通孔
74 磁石 75 電極部
76 電気抵抗測定機
80 上型 81 強磁性体層
82 非磁性体層 85 下型
86 強磁性体層 87 非磁性体層
90 フレーム板 91 開口
95 成形材料層 P 導電性粒子

Claims (7)

  1. ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために、検査用回路基板の表面に配置されて当該検査用回路基板とウエハとを電気的に接続するための異方導電性コネクターにおいて、
    検査対象であるウエハに形成された全てのまたは一部の集積回路における被検査電極が配置された電極領域に対応してそれぞれ厚み方向に伸びる複数の異方導電膜配置用孔が形成されたフレーム板と、このフレーム板の各異方導電膜配置用孔内に配置され、当該異方導電膜配置用孔の周辺部に支持された複数の弾性異方導電膜とよりなり、
    前記弾性異方導電膜の各々は、検査対象であるウエハに形成された集積回路における被検査電極に対応して配置された、磁性を示す導電性粒子が密に含有されてなる厚み方向に伸びる複数の接続用導電部、およびこれらの接続用導電部を相互に絶縁する絶縁部を有する機能部と、この機能部の周縁に一体に形成され、前記フレーム板における異方導電膜配置用孔の周辺部に固定された被支持部とよりなり、
    前記弾性異方導電膜は、その接続用導電部の合計の数をYとし、当該弾性異方導電膜に対してその厚み方向にY×1gの荷重を加えた状態における接続用導電部の電気抵抗をR1gとし、当該弾性異方導電膜に対してその厚み方向にY×6gの荷重を加えた状態における接続用導電部の電気抵抗をR6gとしたとき、R1gの値が1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の90%以上であり、R6gの値が0.1Ω未満である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の95%以上であり、R6gの値が0.5Ω以上である接続用導電部の数が全接続用導電部の数の1%以下である初期特性を有することを特徴とする異方導電性コネクター。
  2. フレーム板の線熱膨張係数が3×10 -5 /K以下であることを特徴とする請求項1に記載の異方導電性コネクター。
  3. ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられるプローブ部材であって、
    検査対象であるウエハに形成された集積回路における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極が表面に形成された検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面に配置された、請求項1または請求項2に記載の異方導電性コネクターとを具えてなることを特徴とするプローブ部材。
  4. 異方導電性コネクターにおけるフレーム板の線熱膨張係数が3×10 -5 /K以下であり、検査用回路基板を構成する基板材料の線熱膨張係数が3×10 -5 /K以下であることを特徴とする請求項3に記載のプローブ部材。
  5. 異方導電性コネクター上に、絶縁性シートと、この絶縁性シートをその厚み方向に貫通して伸び、被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置された複数の電極構造体とよりなるシート状コネクターが配置されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のプローブ部材。
  6. ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うウエハ検査装置において、
    請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のプローブ部材を具えてなり、当該プローブ部材を介して、検査対象であるウエハに形成された集積回路に対する電気的接続が達成されることを特徴とするウエハ検査装置。
  7. ウエハに形成された複数の集積回路の各々を、請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のプローブ部材を介してテスターに電気的に接続し、当該ウエハに形成された集積回路の電気的検査を実行することを特徴とするウエハ検査方法。
JP2003289032A 2002-08-09 2003-08-07 異方導電性コネクターおよびプローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法 Expired - Fee Related JP3685191B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003289032A JP3685191B2 (ja) 2002-08-09 2003-08-07 異方導電性コネクターおよびプローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002232558 2002-08-09
JP2003289032A JP3685191B2 (ja) 2002-08-09 2003-08-07 異方導電性コネクターおよびプローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2004111930A JP2004111930A (ja) 2004-04-08
JP2004111930A5 JP2004111930A5 (ja) 2005-06-30
JP3685191B2 true JP3685191B2 (ja) 2005-08-17

Family

ID=32300950

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003289032A Expired - Fee Related JP3685191B2 (ja) 2002-08-09 2003-08-07 異方導電性コネクターおよびプローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3685191B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20070010012A (ko) * 2004-04-14 2007-01-19 제이에스알 가부시끼가이샤 이방 도전성 시트 제조용 형 및 이방 도전성 시트의 제조방법
JP4714840B2 (ja) * 2004-08-04 2011-06-29 Dowaエレクトロニクス株式会社 導電性磁性粉および導電性ペースト
JP7405337B2 (ja) * 2018-10-11 2023-12-26 積水ポリマテック株式会社 電気接続シート、及び端子付きガラス板構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004111930A (ja) 2004-04-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3685192B2 (ja) 異方導電性コネクターおよび導電性ペースト組成物、プローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法
KR100756120B1 (ko) 이방 도전성 커넥터 및 도전성 페이스트 조성물, 프로브부재 및 웨이퍼 검사 장치 및 웨이퍼 검사 방법
KR100714327B1 (ko) 이방 도전성 커넥터 및 도전성 페이스트 조성물, 프로우브부재 및 웨이퍼 검사 장치 및 웨이퍼 검사 방법
KR100715751B1 (ko) 이방 도전성 커넥터 및 프로우브 부재 및 웨이퍼 검사장치 및 웨이퍼 검사 방법
JP3804542B2 (ja) 異方導電性コネクターおよびその製造方法、プローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法
KR100595787B1 (ko) 시트형 커넥터 및 그 제조 방법 및 그 응용
KR20070046033A (ko) 웨이퍼 검사용 이방 도전성 커넥터 및 그의 제조 방법 및응용
KR100741228B1 (ko) 이방 도전성 커넥터 및 프로브 부재 및 웨이퍼 검사 장치및 웨이퍼 검사 방법
JP2007085833A (ja) ウエハ検査用異方導電性コネクターおよびその製造方法、ウエハ検査用プローブカード並びにウエハ検査装置
JP3685191B2 (ja) 異方導電性コネクターおよびプローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法
JP3770126B2 (ja) 異方導電性シートおよび回路装置の電気的検査装置
JP4423991B2 (ja) 異方導電性コネクターおよびプローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法
JP3760950B2 (ja) シート状プローブの製造方法
JP2006351504A (ja) ウエハ検査用異方導電性コネクターおよびその製造方法、ウエハ検査用プローブカードおよびその製造方法並びにウエハ検査装置
JP3685190B2 (ja) 異方導電性コネクターおよび導電性ペースト組成物、プローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法
WO2006043631A1 (ja) ウエハ検査用異方導電性コネクターおよびその製造方法、ウエハ検査用プローブカードおよびその製造方法並びにウエハ検査装置
JP3938117B2 (ja) 異方導電性コネクターおよびプローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法
JP2006098395A (ja) ウエハ検査用異方導電性コネクターおよびその製造方法並びにその応用
JP2009098065A (ja) プローブ部材およびその製造方法ならびにその応用
JP2009115579A (ja) プローブ部材およびこのプローブ部材を用いたプローブカードならびにこれを用いたウエハ検査装置
JP2006216502A (ja) 異方導電性コネクター、プローブカード並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法
JP2004309465A (ja) 異方導電性コネクターおよび導電性ペースト組成物、プローブ部材並びにウエハ検査装置およびウエハ検査方法
JP2006100391A (ja) ウエハ検査用プローブカードおよびウエハ検査装置
JP2006038874A (ja) シート状プローブおよびその応用
WO2005103735A1 (ja) シート状プローブおよびその製造方法並びにその応用

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041215

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20041216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050510

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050523

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3685191

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080610

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090610

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090610

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090610

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100610

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100610

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110610

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110610

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120610

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120610

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130610

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130610

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees