JP3760950B2 - シート状プローブの製造方法 - Google Patents
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Description
然るに、被検査回路装置が多数の集積回路が形成されたウエハである場合において、当該ウエハを検査するためのプローブカードを作製する場合には、非常に多数の検査電極を配列することが必要となるので、当該プローブカードは極めて高価なものとなる。また、検査対象であるウエハが小さいピッチで配置された多数の被検査電極を有するものである場合には、プローブカードを作製すること自体が困難となる。更に、ウエハには、一般に反りが生じており、その反りの状態も製品(ウエハ)毎に異なるため、当該ウエハにおける多数の被検査電極に対して、プローブカードの検査電極の各々を安定にかつ確実に接触させることは実際上困難である。
先ず、図40(a)に示すように、絶縁膜91の一面に金属層92が形成されてなる積層体90Aを用意し、図40(b)に示すように、絶縁膜91にその厚み方向に貫通する貫通孔98Hを形成する。
次いで、図40(c)に示すように、絶縁膜91の金属層92上にレジスト膜93を形成したうえで、金属層92を共通電極として電解メッキ処理を施すことにより、絶縁膜91の貫通孔98Hの内部に金属の堆積体が充填されて金属層92に一体に連結された短絡部98が形成されると共に、当該絶縁膜91の表面に、短絡部98に一体に連結された突起状の表面電極部96が形成される。
その後、金属層92からレジスト膜93を除去し、更に、図40(d)に示すように、表面電極部96を含む絶縁膜91の表面にレジスト膜94Aを形成すると共に、金属層92上に、形成すべき裏面電極部のパターンに対応するパターンに従ってレジスト膜94Bを形成し、当該金属層92に対してエッチング処理を施することにより、図40(e)に示すように、金属層92における露出する部分が除去されて裏面電極部97が形成され、以て電極構造体95が形成される。
そして、絶縁膜91および表面電極部96上に形成されたレジスト膜94Aを除去すると共に、裏面電極部97上に形成されたレジスト膜94Bを除去することにより、シート状プローブ90が得られる。
そして、このようなプローブカードによれば、ウエハがプローブカードによって押圧されたときに、当該ウエハの反りの大きさに応じて異方導電性シートが変形するため、ウエハにおける多数の被検査電極の各々に対して良好な電気的接続を確実に達成することができる。
上記のシート状プローブの製造方法における短絡部98および表面電極部96を形成する工程においては、電解メッキによるメッキ層が等方的に成長するため、図41に示すように、得られる表面電極部96においては、当該表面電極部96の周縁から短絡部98の周縁までの距離wは、当該表面電極部96の突出高さhと同等の大きさとなる。従って、得られる表面電極部96の径Rは、突出高さhの2倍を超えて相当に大きいものとなる。そのため、被検査回路装置における被検査電極が微小で極めて小さいピッチで配置されてなるものである場合には、隣接する電極構造体95間の離間距離を十分に確保することができず、その結果、得られるシート状プローブにおいては、絶縁膜91による柔軟性が失われるため、被検査回路装置に対して安定した電気的接続を達成することが困難となる。
また、電解メッキ処理において、金属層92の全面に対して電流密度分布が均一な電流を供給することは実際上困難であり、この電流密度分布の不均一性により、絶縁膜91の貫通孔98H毎にメッキ層の成長速度が異なるため、形成される表面電極部96の突出高さhや、表面電極部96の周縁から短絡部98の周縁までの距離wすなわち径Rに大きなバラツキが生じる。そして、表面電極部96の突出高さhに大きなバラツキがある場合には、被検査回路装置に対して安定した電気的接続が困難となり、一方、表面電極部96の径に大きなバラツキがある場合には、隣接する表面電極部96同士が短絡する恐れがある。
図42(a)に示すように、絶縁膜91の表面にレジスト膜93Aおよび表面側金属層92Aがこの順で形成され、当該絶縁膜91の裏面に裏面側金属層92Bが積層されてなる積層体90Bを用意し、図42(b)に示すように、この積層体90Bにおける裏面側金属層92B、絶縁膜91およびレジスト膜93Aの各々に互いに連通する厚み方向に伸びる貫通孔を形成することにより、当該積層体90Bの裏面に、形成すべき電極構造体の短絡部および表面電極部に適合するテーパ状の形態を有する電極構造体形成用凹所90Kを形成する。次いで、図42(c)に示すように、この積層体90Bにおける表面側金属層92Aを電極としてメッキ処理することにより、電極構造体形成用凹所90Kに金属を充填して表面電極部96および短絡部98を形成する。そして、この積層体における裏面側金属層にエッチング処理を施してその一部を除去することにより、図42(d)に示すように、裏面電極部97を形成し、以てシート状プローブが得られる。
図43(a)に示すように、形成すべきシート状プローブにおける絶縁膜より大きい厚みを有する絶縁膜材91Aの表面に表面側金属層92Aが形成され、当該絶縁膜材91Aの裏面に裏面側金属層92Bが積層されてなる積層体90Cを用意し、図43(b)に示すように、この積層体90Cにおける裏面側金属層92Bおよび絶縁膜材91Aの各々に互いに連通する厚み方向に伸びる貫通孔を形成することにより、当該積層体90Cの裏面に、形成すべき電極構造体の短絡部および表面電極部に適合するテーパ状の形態を有する電極構造体形成用凹所90Kを形成する。次いで、この積層体90Cにおける表面側金属層92Aを電極としてメッキ処理することにより、図43(c)に示すように、電極構造体形成用凹所90Kに金属を充填して表面電極部96および短絡部98を形成する。その後、この積層体90Cにおける表面側金属層92Aを除去すると共に、絶縁膜材91Aをエッチング処理して当該絶縁膜の表面側部分を除去することにより、図43(d)に示すように、所要の厚みの絶縁膜91を形成すると共に、表面電極部96を露出させる。そして、裏面側金属層92Bをエッチング処理することにより、図43(e)に示すように、裏面電極部97を形成し、以てシート状プローブが得られる。
しかしながら、これらのシート状プローブにおいては、電極構造体における表面電極部の径が短絡部の径すなわち絶縁膜に形成された貫通孔の径と同等またはそれより小さいものであるため、電極構造体が絶縁膜の裏面から脱落してしまい、当該シート状プローブを実際上使用することは困難である。
例えば直径が8インチ以上のウエハにおいては、5000個または10000個以上の被検査電極が形成されており、当該被検査電極のピッチは160μm以下である。このようなウエハの検査を行うためのシート状プローブとしては、当該ウエハに対応した大面積のものであって、5000個または10000個以上の電極構造体が160μm以下のピッチで配置されてなるものを用いることが必要となる。
而して、ウエハを構成する材料例えばシリコンの線熱膨張係数は3.3×10-6/K程度であり、一方、シート状プローブにおける絶縁膜を構成する材料例えばポリイミドの線熱膨張係数は4.5×10-5/K程度である。従って、例えば25℃において、それぞれ直径が30cmのウエハおよびシート状プローブの各々を、20℃から120℃までに加熱した場合には、理論上、ウエハの直径の変化は99μmにすぎないが、シート状プローブにおける絶縁膜の直径の変化は1350μmに達し、両者の熱膨張の差は、1251μmとなる。
このように、ウエハとシート状プローブにおける絶縁膜との間で、面方向における熱膨張の絶対量に大きな差が生じると、絶縁膜の周縁部をウエハの線熱膨張係数と同等の線熱膨張係数を有する支持部材によって固定しても、バーンイン試験において、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを確実に防止することは困難であるため、良好な電気的接続状態を安定に維持することができない。
また、検査対象が小型の回路装置であっても、その被検査電極のピッチが50μm以下のものである場合には、バーンイン試験において、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを確実に防止することは困難であるため、良好な電気的接続状態を安定に維持することができない。
然るに、このような手段においては、絶縁膜に対してその面方向における全ての方向について均一に張力を作用させることは極めて困難であり、また、電極構造体を形成することによって絶縁膜に作用する張力のバランスが変化し、その結果、当該絶縁膜は熱膨張について異方性を有するものとなるため、面方向における−方向の熱膨張を抑制することが可能であっても、当該一方向と交差する他の方向の熱膨張を抑制することができず、結局、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを防止することができない。
金属よりなる支持膜形成用層と、この支持膜形成用層の表面に一体的に積層された絶縁膜と、この絶縁膜の表面に一体的に積層された金属よりなる保持部形成用層と、この保持部形成用層の表面に一体的に積層された絶縁性の電極部成形用層と、この電極部成形用層の表面に一体的に積層された金属よりなるメッキ電極用層とを有する積層体を用意し、
この積層体における支持膜形成用層、絶縁膜、保持部形成用層および電極部成形用層の各々に互いに連通する厚み方向に伸びる貫通孔を形成することにより、当該積層体の裏面に、形成すべき電極構造体のパターンに対応するパターンに従って複数の電極構造体形成用凹所を形成し、
この積層体におけるメッキ電極用層を電極としてメッキ処理を施して電極構造体形成用凹所の各々に金属を充填することにより、絶縁膜の表面から突出する表面電極部、当該表面電極部の基端から連続して当該絶縁膜をその厚み方向に貫通して伸びる短絡部、およびこの短絡部に連結された、当該絶縁膜の裏面に露出する裏面電極部を形成し、
この積層体における支持膜形成用層をエッチング処理することにより、開口が形成された支持膜を形成し、
この積層体から前記メッキ電極用層および前記電極部成形用層を除去することにより、前記表面電極部および前記保持部形成用層を露出させ、その後、当該保持部形成用層にエッチング処理を施すことにより、前記表面電極部の基端部分から連続して前記絶縁膜の表面に沿って外方に伸びる保持部を形成する工程を有することを特徴とする。
また、積層体としてその保持部成形用層がエッチング可能な高分子材料よりなるものを用い、電極構造体形成用凹所における保持部成形用層の貫通孔がエッチングにより形成されることが好ましい。
また、電極構造体形成用凹所における絶縁膜の貫通孔が、当該絶縁膜の裏面から表面に向かうに従って小径となる形状に形成されることが好ましい。
また、積層体としてその絶縁膜がエッチング可能な高分子材料よりなるものを用い、電極構造体形成用凹所における絶縁膜の貫通孔がエッチングにより形成されることが好ましい。
また、絶縁膜の表面に形成された保持部形成用層をエッチング処理することにより、表面電極部の基端部分から連続して絶縁膜の表面に沿って外方に伸びる保持部を確実に形成することができるため、当該表面電極部の径が小さいものであっても、当該電極構造体が絶縁膜から脱落することがなくて高い耐久性を有するシート状プローブを製造することができる。
〔シート状プローブ〕
図1は、本発明に係る製造方法によって得られるシート状プローブの第1の例を一部を破断して示す平面図であり、図2は、第1の例のシート状プローブにおける接点膜を拡大して示す平面図、図3は、第1の例のシート状プローブにおける接点膜を拡大して示す説明用断面図である。
この第1の例のシート状プローブ10は、例えば複数の集積回路が形成されたウエハについて当該集積回路の各々の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられるものであって、複数の開口11Hが形成された金属よりなる支持膜11を有する。この支持膜11の開口11Hは、検査対象であるウエハにおける集積回路の被検査電極が形成された電極領域のパターンに対応して形成されている。また、この例における支持膜11には、後述するプローブカードにおける異方導電性コネクターおよび検査用回路基板との位置決めを行うための位置決め孔11Kが形成されている。
また、支持膜11としては、その線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは−1×10-7〜1×10-5/K、特に好ましくは−1×10-6〜8×10-6/Kである。
このような支持膜11を構成する材料の具体例としては、インバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、スーパーインバー、コバール、42合金などの合金または合金鋼が挙げられる。
この厚みが3μm未満である場合には、接点膜12を支持する支持膜として必要な強度が得られないことがある。一方、この厚みが100μmを超える場合には、後述する製造方法において、エッチング処理によって開口11Hを容易に形成することが困難となることがある。
この接点膜12は、柔軟な絶縁膜13を有し、この絶縁膜13には、当該絶縁膜13の厚み方向に伸びる複数の電極構造体15が、検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って、当該絶縁膜13の面方向に互いに離間して配置されており、当該接点膜12は、電極構造体15の各々が、支持膜11の各開口11H内に位置するよう配置されている。
電極構造体15の各々は、絶縁膜13の表面に露出し、当該絶縁膜13の表面から突出する突起状の表面電極部16と、絶縁膜13の裏面に露出する矩形の平板状の裏面電極部17と、表面電極部16の基端から連続して前記絶縁膜13をその厚み方向に貫通して伸びて裏面電極部17に連結された短絡部18と、表面電極部16の基端部分の周面から連続して絶縁膜13の表面に沿って外方に放射状に伸びる円形リング板状の保持部19とにより構成されている。この例の電極構造体15においては、表面電極部16が、短絡部18に連続して基端から先端に向かうに従って小径となるテーパ状とされて全体が円錐台状に形成され、当該表面電極部16の基端に連続する短絡部18が、絶縁膜13の裏面から表面に向かうに従って小径となるテーパ状とされて全体が円錐台状に形成されており、表面電極部16の基端の径R1 が当該基端に連続する短絡部18の一端の径R3 と同一とされている。
また、絶縁膜13の厚みdは、当該絶縁膜13が柔軟なものであれば特に限定されないが、10〜50μmであることが好ましく、より好ましくは10〜25μmである。
また、電極構造体15における表面電極部16および裏面電極部17の表面には、当該電極部の酸化を防止すると共に、接触抵抗の小さい電極部を得るために、金、銀、パラジウムなどの化学的に安定で高導電性を有する金属被膜が形成されていてもよい。
また、表面電極部16の基端の径R1 は、当該電極構造体15のピッチの30〜70%であることが好ましく、より好ましくは35〜60%である。
また、表面電極部16の基端における径R1 に対する突出高さhの比h/R1 は、0.2〜3であることが好ましく、より好ましくは0.25〜0.6である。このような条件を満足することにより、検査対象であるウエハがピッチが小さくて微小な被検査電極を有するものであっても、当該被検査電極のパターンに対応するパターンの電極構造体15を容易に形成することができ、当該ウエハに対して安定な電気的接続状態が一層確実に得られる。
表面電極部16の基端の径R1 は、上記の条件や検査対象であるウエハの被検査電極の直径などを勘案して設定されるが、例えば30〜80μmであり、好ましくは30〜50μmである。
表面電極部16の突出高さhの高さは、検査対象であるウエハの被検査電極に対して安定な電気的接続を達成することができる点で、15〜50μmであることが好ましく、より好ましくは15〜30μmである。
また、裏面電極部17の厚みD2 は、強度が十分に高くて優れた繰り返し耐久性が得られる点で、10〜40μmであることが好ましく、より好ましくは15〜35μmである。
また、短絡部18の他端の径R4 に対する一端の径R3 の比R3 /R4 は、0.45〜1であることが好ましく、より好ましくは0.7〜0.9である。
また、短絡部18の一端の径R3 は、当該電極構造体15のピッチの30〜70%であることが好ましく、より好ましくは35〜60%である。
また、保持部19の径R6 は、当該電極構造体15のピッチの30〜70%であることが好ましく、より好ましくは40〜60%である。
また、保持部19の厚みD1 は、3〜12μmであることが好ましく、より好ましくは5〜9μmである。
また、径の小さい表面電極部16を有することにより、隣接する表面電極部16の間の離間距離が十分に確保されるため、絶縁膜13による柔軟性が十分に発揮され、その結果、小さいピッチで被検査電極が形成されたウエハに対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができる。
先ず、図4に示すように、金属よりなる円形の支持膜形成用層11Aと、この支持膜形成用層11Aの表面上に一体的に積層された、当該支持膜形成用層11Aの径より小さい径を有する円形の絶縁膜13と、この絶縁膜13の表面上に一体的に積層された金属よりなる保持部形成用層19Aと、この保持部形成用層19Aの表面上に一体的に積層された絶縁性の電極部成形用層16Bと、この電極部成形用層16Bの表面上に一体的に積層されたメッキ電極用層16Aとを有する積層体10Aを作製する。図示の例の積層体10Aにおいては、支持膜形成用層11Aの表面にその周縁部に沿って保護テープ11Tが設けられている。
この積層体10Aにおいて、保持部形成用層19Aは、形成すべき電極構造体15における保持部19の厚みと同等の厚みを有するものとされている。また、電極部成形用層16Bは、当該電極部成形用層16Bの厚みと保持部形成用層19Aの厚みとの合計の厚みが、形成すべき電極構造体15における表面電極部16の突出高さと同等となるものとされている。また、支持膜形成用層11Aは、形成すべき支持膜11の厚みと同等の厚みを有するものとされている。
絶縁膜13を構成する材料としては、エッチング可能な高分子材料を用いることが好ましく、より好ましくはポリイミドである。
また、電極部成形用層16Bを構成する絶縁性の材料としては、エッチング可能な高分子材料を用いることが好ましく、より好ましくはポリイミドである。
ここで、レジスト膜14A,14Bを形成する材料としては、エッチング用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができる。
また、絶縁膜13および電極部成形用層16Bをエッチング処理するためのエッチング液としては、ヒドラジン系水溶液、水酸化カリウム水溶液、アミン系エッチング液などを用いることができ、エッチング処理条件を選択することにより、絶縁膜13および電極部成形用層16Bに、それぞれ裏面から表面に向かうに従って小径となるテーパ状の貫通孔13H,16Hを形成することができる。
ここで、レジスト膜14C,14Dを形成する材料としては、メッキ用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができる。
このようにして表面電極部16、短絡部18および裏面電極部17が形成された積層体10Aからレジスト膜14Dを除去することにより、図12に示すように、支持膜形成用層11Aの裏面を露出させ、その後、図13に示すように、裏面電極部17および支持膜形成用層11Aにおける支持膜11となる部分を覆うよう、パターニングされたエッチング用のレジスト膜14Eを形成し、更に、積層体10Aからレジスト膜14Cを除去することにより、図14に示すように、メッキ電極用層16Aを露出させる。そして、メッキ電極用層16Aおよび支持膜形成用層11Aにおける露出した部分にエッチング処理を施すことにより、メッキ電極用層16Aの全部を除去すると共に、支持膜形成用層11Aにおける露出した部分を除去し、これにより、図15に示すように、互いに分離した複数の裏面電極部17が形成されると共に、検査対象であるウエハに形成された集積回路の電極領域に対応する複数の開口11Hを有する支持膜11が形成される。
そして、電極部成形用層16Bに対してエッチング処理を施してその全部を除去することにより、図17に示すように、表面電極部16および保持部形成用層19Aを露出し、その後、図18に示すように、表面電極部16および保持部形成用層17Aにおける保持部19となるべき部分を覆うよう、パターニングされたエッチング用のレジスト膜14Gを形成する。次いで、保持部形成用層17Aにエッチング処理を施して露出した部分を除去することにより、図19に示すように、表面電極部16の基端部分の周面から連続して当該絶縁膜11の表面に沿って外方に放射状に伸びる保持部19が形成され、以て電極構造体15が形成される。
そして、表面電極部16および保持部19からレジスト膜14Gを除去すると共に、支持膜11の裏面、絶縁膜13の裏面および裏面電極部17からレジスト膜14Fを除去し、更に支持膜11の表面から保護テープ11T(図4参照)を除去することにより、図1〜図3に示す第1の例のシート状フローブ10が得られる。
また、絶縁膜13の表面に形成された保持部形成用層19Aをエッチング処理することにより、表面電極部16の基端部分から連続して絶縁膜13の表面に沿って外方に伸びる保持部19を確実に形成することができるため、当該表面電極部16の径が小さいものであっても、当該電極構造体15が絶縁膜13から脱落することがなくて高い耐久性を有するシート状プローブ10を製造することができる。
また、積層体10Aには、絶縁膜13が支持膜形成用層11Aに一体的に積層されており、当該絶縁膜13に電極構造体15を形成したうえで、支持膜形成用層11をエッチング処理して開口11Hを形成するため、支持膜11上に接点膜12を高い位置精度で一体的に形成することができる。
この第2の例のシート状プローブ10は、例えば複数の集積回路が形成されたウエハについて当該集積回路の各々の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられるものであって、第1の例のシート状プローブ10と同様の構成の支持膜11を有する。
この接点膜12aの各々は、柔軟な絶縁膜13aを有し、この絶縁膜13aには、当該絶縁膜13aの厚み方向に伸びる複数の電極構造体15が、検査対象であるウエハに形成された一部の集積回路における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って、当該絶縁膜13aの面方向に互いに離間して配置されており、当該接点膜12aは、電極構造体15の各々が、支持膜11の各開口11H内に位置するよう配置されている。
電極構造体15の各々は、絶縁膜13aの表面に露出し、当該絶縁膜13aの表面から突出する突起状の表面電極部16と、絶縁膜13aの裏面に露出する矩形の平板状の裏面電極部17と、表面電極部16の基端から連続して前記絶縁膜13aをその厚み方向に貫通して伸びて裏面電極部17に連結された短絡部18と、表面電極部16の基端部分の周面から連続して絶縁膜13aの表面に沿って外方に放射状に伸びる円形リング板状の保持部19とにより構成されている。この例の電極構造体15においては、表面電極部16が、短絡部18に連続して基端から先端に向かうに従って小径となるテーパ状とされて全体が円錐台状に形成され、当該表面電極部16の基端に連続する短絡部18が、絶縁膜13aの裏面から表面に向かうに従って小径となるテーパ状とされて全体が円錐台状に形成されており、表面電極部16の基端の径R1 が当該基端に連続する短絡部18の一端の径R3 と同一とされている。
この第2の例のシート状プローブ10において、絶縁膜13aの材質、電極構造体15の材質および寸法などは、第1の例のシート状プローブの絶縁膜13および電極構造体15と同様である。
先ず、前述の第1の例のシート状プローブ10の製造方法と同様にして、図4に示す構成の積層体10Aから支持膜11および電極構造体15およびを形成する(図5乃至図19参照。)。
次いで、表面電極部16および保持部19からレジスト膜14Gを除去した後、図23に示すように、絶縁膜13の表面、表面電極部16および保持部19に、形成すべき接点膜12aのパターンに対応するパターンに従ってレジスト膜14Hを形成し、絶縁膜13に対してエッチング処理を施して露出した部分を除去することにより、絶縁膜13が分割されて、図24に示すように、互いに独立した複数の絶縁膜13aが形成され、これにより、それぞれ絶縁膜13aにその厚み方向に貫通して伸びる複数の電極構造体15が配置されてなる複数の接点膜12aが形成される。
そして、支持膜11の裏面、絶縁膜13aの裏面および裏面電極部17からレジスト膜14Fを除去すると共に、絶縁膜13aの表面、表面電極部16および保持部19からレジスト膜14Hを除去し、更に支持膜11の表面から保護テープを除去することにより、図20〜図22に示す第2の例のシート状フローブ10が得られる。
また、径の小さい表面電極部16を有することにより、隣接する表面電極部16の間の離間距離が十分に確保されるため、絶縁膜13aによる柔軟性が十分に発揮され、その結果、小さいピッチで被検査電極が形成されたウエハに対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができる。
この第3の例のシート状プローブ10は、例えば複数の集積回路が形成されたウエハについて当該集積回路の各々の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられるものであって、第1の例のシート状プローブ10と同様の構成の支持膜11を有する。
接点膜12bの各々は、柔軟な絶縁膜13bを有し、当該絶縁膜13bには、当該絶縁膜13bの厚み方向に伸びる金属よりなる複数の電極構造体15が、検査対象であるウエハに形成された一の集積回路の電極領域における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って、当該絶縁膜13bの面方向に互いに離間して配置されており、当該接点膜12bは、電極構造体15の各々が、支持膜11の開口11H内に位置するよう配置されている。
電極構造体15の各々は、絶縁膜13bの表面に露出し、当該絶縁膜13bの表面から突出する突起状の表面電極部16と、絶縁膜13bの裏面に露出する矩形の平板状の裏面電極部17と、表面電極部16の基端から連続して前記絶縁膜13bをその厚み方向に貫通して伸びて裏面電極部17に連結された短絡部18と、表面電極部16の基端部分の周面から連続して絶縁膜13bの表面に沿って外方に放射状に伸びる円形リング板状の保持部19とにより構成されている。この例の電極構造体15においては、表面電極部16が、短絡部18に連続して基端から先端に向かうに従って小径となるテーパ状とされて全体が円錐台状に形成され、当該表面電極部16の基端に連続する短絡部18が、絶縁膜13bの裏面から表面に向かうに従って小径となるテーパ状とされて全体が円錐台状に形成されており、表面電極部16の基端の径R1 が当該基端に連続する短絡部18の一端の径R3 と同一とされている。
この第3の例のシート状プローブ10において、絶縁膜13bの材質、電極構造体15の材質および寸法などは、第1の例のシート状プローブの絶縁膜13および電極構造体15と同様である。
先ず、前述の第1の例のシート状プローブ10の製造方法と同様にして、図4に示す構成の積層体10Aから支持膜11および電極構造体15を形成する(図5乃至図19参照。)。
次いで、表面電極部16および保持部19からレジスト膜14Gを除去した後、図28に示すように、絶縁膜13の表面、表面電極部16および保持部19に、形成すべき接点膜12bのパターンに対応するパターンに従ってレジスト膜14Hを形成し、絶縁膜13に対してエッチング処理を施して露出した部分を除去することにより、図29に示すように、互いに独立した複数の絶縁膜13bが形成され、これにより、それぞれ絶縁膜13bにその厚み方向に貫通して伸びる複数の電極構造体15が配置されてなる複数の接点膜12bが形成される。
そして、支持膜11の裏面、絶縁膜13bの裏面および裏面電極部17からレジスト膜14Fを除去すると共に、絶縁膜13bの表面、表面電極部16および保持部19からレジスト膜14Hを除去し、更に支持膜11から保護テープを除去することにより、図25〜図27に示す第3の例のシート状フローブ10が得られる。
また、径の小さい表面電極部16を有することにより、隣接する表面電極部16の間の離間距離が十分に確保されるため、絶縁膜13bによる柔軟性が十分に発揮され、その結果、小さいピッチで被検査電極が形成されたウエハに対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができる。
図30は、本発明に係る製造方法によって得られるシート状プローブを具えた回路装置の検査装置の一例における構成を示す説明用断面図であり、この回路装置の検査装置は、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うためのウエハ検査装置である。
この検査装置は、被検査回路装置であるウエハ6の被検査電極7の各々とテスターとの電気的接続を行うプローブカード1を有する。このプローブカード1の裏面(図において上面)には、当該プローブカード1を下方に加圧する加圧板3が設けられ、プローブカード1の下方には、ウエハ6が載置されるウエハ載置台4が設けられており、加圧板3およびウエハ載置台4の各々には、加熱器5が接続されている。
シート状プローブ10における電極構造体15は、ウエハ6に形成された全ての集積回路における被検査電極7のパターンに対応するパターンに従って複数の電極構造体15が配置された、図1に示す構成のシート状プローブ10が配置されている。
異方導電性コネクター30は、図32に示すように、ウエハ6に形成された全ての集積回路における被検査電極7が配置された電極領域に対応して複数の開口32が形成されたフレーム板31と、このフレーム板31に、それぞれ一の開口32を塞ぐよう配置され、当該フレーム板31の開口縁部に固定されて支持された複数の異方導電性シート35とにより構成されている。異方導電性シート35の各々は、弾性高分子物質によって形成されており、被検査回路装置であるウエハ6に形成された一の電極領域の被検査電極7のパターンに対応するパターンに従って形成された、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電部36と、これらの導電部36の各々を相互に絶縁する絶縁部37とにより構成されている。また、図示の例では、異方導電性シート35の両面には、導電部36およびその周辺部分が位置する個所に、それ以外の表面から突出する突出部38が形成されている。異方導電性シート35における導電部36の各々には、磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に含有されている。これに対して、絶縁部37は、導電性粒子Pが全く或いは殆ど含有されていないものである。
そして、異方導電性コネクター30は、検査用回路基板20の表面上に、導電部36の各々が検査電極21上に位置するよう配置され、シート状プローブ10は、異方導電性コネクター30の表面上に、電極構造体15の裏面電極部17の各々が導電部36上に位置するよう配置されている。図示の例では、シート状プローブ10における支持膜11に形成された位置決め孔(図示省略)並びに異方導電性コネクター30におけるフレーム板31に形成された位置決め孔(図示省略)の各々に、ガイドピン2が挿通され、この状態で、シート状プローブ10および異方導電性コネクター30が互いに固定されている。
また、WLBI試験を行うための検査装置を構成する場合には、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは1×10-7〜1×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜6×10-6/Kである。
このような基板材料の具体例としては、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、アルミナ、ベリリア、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などが挙げられる。
フレーム板31を構成する金属材料の具体例としては、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルト、マグネシウム、マンガン、モリブデン、インジウム、鉛、パラジウム、チタン、タングステン、アルミニウム、金、白金、銀などの金属またはこれらを2種以上組み合わせた合金若しくは合金鋼などが挙げられる。
フレーム板31を構成する樹脂材料の具体例としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
また、この検査装置がWLBI(Wafer Lebel Burn−in)試験を行うためのものである場合には、フレーム板31を構成する材料としては、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは−1×10-7〜1×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜8×10-6/Kである。
このような材料の具体例としては、インバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、スーパーインバー、コバール、42アロイなどの磁性金属の合金または合金鋼などが挙げられる。
フレーム板31の厚みは、その形状が維持されると共に、異方導電性シート35を支持することが可能であれば、特に限定されるものではなく、具体的な厚みは材質によって異なるが、例えば25〜600μmであることが好ましく、より好ましくは40〜400μmである。
突出部38の突出高さは、その合計が当該突出部38における厚みの10%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上である。このような突出高さを有する突出部38を形成することにより、小さい加圧力で導電部36が十分に圧縮されるため、良好な導電性が確実に得られる。
また、突出部38の突出高さは、当該突出部38の最短幅または直径の100%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以下である。このような突出高さを有する突出部38を形成することにより、当該突出部38が加圧されたときに座屈することがないため、所期の導電性が確実に得られる。
液状シリコーンゴムは、付加型のものであっても縮合型のものであってもよいが、付加型液状シリコーンゴムが好ましい。この付加型液状シリコーンゴムは、ビニル基とSi−H結合との反応によって硬化するものであって、ビニル基およびSi−H結合の両方を含有するポリシロキサンからなる一液型(一成分型)のものと、ビニル基を含有するポリシロキサンおよびSi−H結合を含有するポリシロキサンからなる二液型(二成分型)のものがあるが、本発明においては、二液型の付加型液状シリコーンゴムを用いることが好ましい。
ここで、シリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪みは、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
このデュロメーターA硬度が10未満である場合には、加圧されたときに、導電部36を相互に絶縁する絶縁部37が過度に歪みやすく、導電部36間の所要の絶縁性を維持することが困難となることがある。一方、このデュロメーターA硬度が60を超える場合には、導電部36に適正な歪みを与えるために相当に大きい荷重による加圧力が必要となるため、被検査回路装置であるウエハに大きな変形や破壊が生じやすくなる。
また、シリコーンゴム硬化物として、デュロメーターA硬度が上記の範囲外のものを用いる場合には、得られる異方導電性コネクターを多数回にわたって繰り返し使用したときには、導電部36に永久歪みが発生しやすく、これにより、導電部36における導電性粒子の連鎖に乱れが生じる結果、所要の導電性を維持することが困難となる。
シリコーンゴム硬化物として、デュロメーターA硬度が上記の範囲外のものを用いる場合には、WLBI試験を繰り返し行ったときに、導電部36に永久歪みが発生しやすく、これにより、導電部36における導電性粒子の連鎖に乱れが生じる結果、所要の導電性を維持することが困難となる。
ここで、シリコーンゴム硬化物のデュロメーターA硬度は、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
ここで、シリコーンゴム硬化物の引き裂き強度は、JIS K 6249に準拠した方法によって測定することができる。
硬化触媒の使用量は、硬化触媒の種類、その他の硬化処理条件を考慮して適宜選択されるが、通常、付加型液状シリコーンゴム100重量部に対して3〜15重量部である。
また、付加型液状シリコーンゴム中には、付加型液状シリコーンゴムのチクソトロピー性の向上、粘度調整、導電性粒子の分散安定性の向上、或いは高い強度を有する基材を得ることなどを目的として、必要に応じて、通常のシリカ粉、コロイダルシリカ、エアロゲルシリカ、アルミナなどの無機充填材を含有させることができる。
ここで、磁性芯粒子の数平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって測定されたものをいう。
上記数平均粒子径が3μm以上であれば、加圧変形が容易で、抵抗値が低くて接続信頼性の高い導電部36が得られやすい。一方、上記数平均粒子径が40μm以下であれば、微細な導電部36を容易に形成することができ、また、得られる導電部36は、安定な導電性を有するものとなりやすい。
また、磁性芯粒子は、そのBET比表面積が10〜500m2 /kgであることが好ましく、より好ましくは20〜500m2 /kg、特に好ましくは50〜400m2 /kgである。
このBET比表面積が10m2 /kg以上であれば、当該磁性芯粒子はメッキ可能な領域が十分に大きいものであるため、当該磁性芯粒子に所要の量のメッキを確実に行うことができ、従って、導電性の大きい導電性粒子Pを得ることができると共に、当該導電性粒子P間において、接触面積が十分に大きいため、安定で高い導電性が得られる。一方、このBET比表面積が500m2 /kg以下であれば、当該磁性芯粒子が脆弱なものとならず、物理的な応力が加わった際に破壊することが少なく、安定で高い導電性が保持される。
また、磁性芯粒子は、その粒子径の変動係数が50%以下のものであることが好ましく、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下のものである。
ここで、粒子径の変動係数は、式:(σ/Dn)×100(但し、σは、粒子径の標準偏差の値を示し、Dnは、粒子の数平均粒子径を示す。)によって求められるものである。
上記粒子径の変動係数が50%以下であれば、粒子径の均一性が大きいため、導電性のバラツキの小さい導電部36を形成することかできる。
磁性芯粒子を構成する材料としては、鉄、ニッケル、コバルト、これらの金属を銅、樹脂によってコーティングしたものなどを用いことができるが、その飽和磁化が0.1Wb/m2 以上のものを好ましく用いることができ、より好ましくは0.3Wb/m2 以上、特に好ましくは0.5Wb/m2 以上のものであり、具体的には、鉄、ニッケル、コバルトまたはそれらの合金などが挙げられる。
高導電性金属の割合が15質量%未満である場合には、得られる異方導電性コネクターを高温環境下に繰り返し使用したとき、当該導電性粒子Pの導電性が著しく低下する結果、所要の導電性を維持することができない。
また、導電性粒子Pは、そのBET比表面積が10〜500m2 /kgであることが好ましい。
このBET比表面積が10m2 /kg以上であれば、被覆層の表面積が十分に大きいものであるため、高導電性金属の総重量が大きい被覆層を形成することができ、従って、導電性の大きいを粒子を得ることができると共に、当該導電性粒子P間において、接触面積が十分に大きいため、安定で高い導電性が得られる。一方、このBET比表面積が500m2 /kg以下であれば、当該導電性粒子が脆弱なものとならず、物理的な応力が加わった際に破壊することが少なく、安定で高い導電性が保持される。
また、導電性粒子Pの数平均粒子径は、3〜40μmであることが好ましく、より好ましくは6〜25μmである。
このような導電性粒子Pを用いることにより、得られる異方導電性シート35は、加圧変形が容易なものとなり、また、導電部36において導電性粒子P間に十分な電気的接触が得られる。
また、導電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子による塊状のものであることが好ましい。
また、導電性粒子Pは、その表面がシランカップリング剤などのカップリング剤で処理されたものあってもよい。導電性粒子Pの表面がカップリング剤で処理されることにより、当該導電性粒子Pと弾性高分子物質との接着性が高くなり、その結果、得られる異方導電性シート35は、繰り返しの使用における耐久性が高いものとなる。
カップリング剤の使用量は、導電性粒子Pの導電性に影響を与えない範囲で適宜選択されるが、導電性粒子Pの表面におけるカップリング剤の被覆割合(導電性粒子の表面積に対するカップリング剤の被覆面積の割合)が5%以上となる量であることが好ましく、より好ましくは上記被覆率が7〜100%、さらに好ましくは10〜100%、特に好ましくは20〜100%となる量である。
先ず、強磁性体材料を常法により粒子化し或いは市販の強磁性体粒子を用意し、この粒子に対して分級処理を行うことにより、所要の粒子径を有する磁性芯粒子を調製する。
ここで、粒子の分級処理は、例えば空気分級装置、音波ふるい装置などの分級装置によって行うことができる。
また、分級処理の具体的な条件は、目的とする磁性芯粒子の数平均粒子径、分級装置の種類などに応じて適宜設定される。
次いで、磁性芯粒子の表面を酸によって処理し、更に、例えば純水によって洗浄することにより、磁性芯粒子の表面に存在する汚れ、異物、酸化膜などの不純物を除去し、その後、当該磁性芯粒子の表面に高導電性金属を被覆することによって、導電性粒子が得られる。
ここで、磁性芯粒子の表面を処理するために用いられる酸としては、塩酸などを挙げることができる。
高導電性金属を磁性芯粒子の表面に被覆する方法としては、無電解メッキ法、置換メッキ法等を用いることができるが、これらの方法に限定されるものではない。
また、磁性芯粒子の表面に下地メッキを行って下地メッキ層を形成した後、当該下地メッキ層の表面に高導電性金属よりなるメッキ層を形成してもよい。下地メッキ層およびその表面に形成されるメッキ層を形成する方法は、特に限定されないが、無電解メッキ法により、磁性芯粒子の表面に下地メッキ層を形成し、その後、置換メッキ法により、下地メッキ層の表面に高導電性金属よりなるメッキ層を形成することが好ましい。
無電解メッキまたは置換メッキに用いられるメッキ液としては、特に限定されるものではなく、種々の市販のものを用いることができる。
導電性粒子の分級処理を行うための分級装置としては、前述の磁性芯粒子を調製するための分級処理に用いられる分級装置として例示したものを挙げることができる。
(1)図1に示すシート状プローブ10を具えてなるため、小さいピッチで被検査電極7が形成されたウエハ6に対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができ、しかも、シート状プローブ10における電極構造体15が脱落することがないので、高い耐久性が得られる。
(2)シート状プローブ10における接点膜12全体が支持膜11に支持されているため、温度変化による電極構造体15と被検査電極7との位置ずれを確実に防止することができる。
また、異方導電性コネクター30におけるフレーム板31の開口32の各々は、検査対象であるウエハ6における全ての集積回路の被検査電極7が形成された電極領域に対応して形成されており、当該開口32の各々に配置される異方導電性シート30は面積が小さいものでよく、面積の異方導電性シート30は、その面方向における熱膨張の絶対量が少ないため、異方導電性シート30の面方向における熱膨張がフレーム板31によって確実に規制される結果、温度変化による導電部36と電極構造体15および検査電極21との位置ずれを確実に防止することができる。
従って、検査対象であるウエハ6が直径が8インチ以上の大面積で被検査電極のピッチが極めて小さいものであっても、バーンイン試験において、ウエハに対する良好な電気的接続状態を安定に維持することができる。
(1)図30および図31に示すプローブカード1は、ウエハ6に形成された全ての集積回路の被検査電極7に対して一括して電気的接続を達成するものであるが、ウエハ6に形成された全ての集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極7に電気的に接続されるものであってもよい。選択される集積回路の数は、ウエハ6のサイズ、ウエハ6に形成された集積回路の数、各集積回路における被検査電極の数などを考慮して適宜選択され、例えば16個、32個、64個、128個である。
このようなプローブカード1を有する検査装置においては、ウエハ6に形成された全ての集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極7に、プローブカード1を電気的に接続して検査を行い、その後、他の集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極7に、プローブカード1を電気的に接続して検査を行う工程を繰り返すことにより、ウエハ6に形成された全ての集積回路の電気的検査を行うことができる。
そして、このような検査装置によれば、直径が8インチまたは12インチのウエハに高い集積度で形成された集積回路について電気的検査を行う場合において、全ての集積回路について一括して検査を行う方法と比較して、用いられる検査用回路基板の検査電極数や配線数を少なくすることができ、これにより、検査装置の製造コストの低減化を図ることができる。
このような保持部材40を構成する材料としては、インバー、スーパーインバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、コバール、42アロイなどの低熱膨張金属材料、またはアルミナ、炭化珪素、窒化珪素などのセラミックス材料などを用いることができる。
(4)本発明の製造方法によって得られるシート状プローブを具えた検査装置は、ウエハ検査装置に限定されるものではなく、半導体チップや、BGA、CSPなどのパッケージLSI、CMCなどの半導体集積回路装置などに形成された回路の検査装置として構成することができる。
図34に示すように、直径が8インチのシリコン(線熱膨張係数3.3×10-6/K)製のウエハ6上に、それぞれ寸法が8mm×8mmの正方形の集積回路Lを合計で393個形成した。ウエハ6に形成された集積回路Lの各々は、図35に示すように、その中央に被検査電極領域Aを有し、この被検査電極領域Aには、図36に示すように、それぞれ縦方向(図36において上下方向)の寸法が200μmで横方向(図36において左右方向)の寸法が50μmの矩形の60個の被検査電極7が100μmのピッチで横方向に一列に配列されている。このウエハ6全体の被検査電極7の総数は23580個であり、全ての被検査電極7は互いに電気的に絶縁されている。以下、このウエハを「試験用ウエハW1」という。
また、全ての被検査電極(7)を互いに電気的に絶縁することに代えて、集積回路(L)における60個の被検査電極のうち最も外側の被検査電極(7)から数えて1個おきに2個ずつを互いに電気的に接続したこと以外は、上記試験用ウエハW1と同様の構成の393個の集積回路(L)をウエハ(6)上に形成した。以下、このウエハを「試験用ウエハW2」という。
直径が20cmで厚みが17.5μmのポリイミドシートの両面にそれぞれ直径が20cmで厚みが5μmの銅よりなる金属層が積層された積層ポリイミドシート(以下、「積層シートA」という。)と、直径が22cmで厚みが10μmの42アロイよりなる金属層の一面に直径が20.4cmで厚みが12.5μmのポリイミドシートが積層された積層ポリイミドシート(以下、「積層シートB」という。)とを用意した。次いで、積層シートBにおけるポリイミドシートの表面に、厚みが約1μmの熱可塑性ポリイミドからなる接着層を形成し、この接着層上に積層シートAを配置すると共に、積層シートBの金属層における周縁部分の一面に、内径が20.4cmで外径が22cmのポリエチレンテレフタレートよりなる保護テープを配置し、この状態で熱圧着処理することにより、図4に示す構成の積層体(10A)を作製した。
得られた積層体(10A)は、厚みが10μmの42アロイよりなる支持膜形成用層(11A)の表面上に、厚みが12.5μmのポリイミドよりなる絶縁膜(13)、厚みが5μmの銅よりなる保持部形成用層(19A)、厚みが17.5μmのポリイミドよりなる電極部成形用層(16B)および厚みが5μmの銅よりなるメッキ電極用層(16A)がこの順で積層され、更に支持膜形成用層(11A)の表面における周縁領域に保護テープ(11T)が積層されてなるものである。
その後、保持部形成用層(19A)に対し、塩化第二鉄系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、保持部形成用層(19A)に、それぞれ絶縁膜(13)の貫通孔(13H)に連通する23580個の貫通孔(19H)を形成した(図8参照)。更に、電極部成形用層(16B)に対し、アミン系ポリイミドエッチング液(東レエンジニアリング株式会社製、「TPE−3000」)を用い、80℃、10分間の条件でエッチング処理を施すことにより、電極部成形用層(16B)に、それぞれ保持部形成用層(19A)の貫通孔(19H)に連通する23580個の貫通孔(16H)を形成した(図9参照)。この貫通孔(16H)の各々は,電極部成形用層(16B)の裏面から表面に向かうに従って小径となるテーパ状のものであって、裏面側の開口径が47μm、表面側の開口径が18μmのものであった。
このようにして、積層体(10A)の裏面に、それぞれ支持膜形成用層(11A)の貫通孔(17H)、絶縁膜(13)の貫通孔(13H)、保持部形成用層(19A)の貫通孔(19H)および電極部成形用層(16B)の貫通孔(16H)が連通されてなる23580個の電極構造体形成用凹所(10K)を形成した。
次いで、積層体(10A)をスルファミン酸ニッケルを含有するメッキ浴中に浸漬し、当該積層体(10A)に対し、メッキ電極用層(16A)を電極として、電解メッキ処理を施して各電極構造体形成用凹所(10K)およびレジスト膜(14D)の各パターン孔(K2)内に金属を充填することにより、表面電極部(16)、短絡部(18)および支持膜形成用層(11A)によって互いに連結された裏面電極部(17)を形成した(図11参照)。
次いで、積層体(10A)に形成されたレジスト膜(14C)から保護シールを除去し、その後、レジスト膜(14E)および支持膜形成用層(11A)における露出した部分を、厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートよりなる保護シールによって覆い、当該積層体(10A)を45℃の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬することにより、当該積層体(10A)からレジスト膜(14C)を除去した(図14参照)。
次いで、レジスト膜(14E)および支持膜形成用層(11A)から保護シールを除去し、その後、メッキ電極用層(16A)および支持膜形成用層(11A)に対し、アンモニア系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、メッキ電極用層(16A)の全部を除去すると共に、支持膜形成用層(11A)における露出した部分を除去し、これにより、裏面電極部(17)の各々を互いに分離させると共に、試験用ウエハW1に形成された集積回路における電極領域のパターンに対応するパターンに従って形成された、それぞれ縦横の寸法が2mm×6.5mmの複数の開口(11H)を有する支持膜(11)を形成した(図15参照)。
次いで、厚みが25μmのドライフィルムレジストによって、表面電極部(16)および第1の表面側金属層(17A)における保持部(19)となるべき部分を覆うよう、パターニングされたレジスト膜(14G)を形成した(図18参照)。ここで、レジスト膜(14G)の形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。その後、保持部形成用層(19A)に対し、塩化第二鉄系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、表面電極部(16)の基端部分の周面から連続して絶縁膜(11)の表面に沿って外方に放射状に伸びる円板リング状の保持部(19)を形成し、以て電極構造体(15)を形成した(図19参照)。
そして、レジスト膜(14F)から保護シールを除去した後、45℃の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬することにより、表面電極部(16)および保持部(19)からレジスト膜(14G)を除去すると共に、支持膜(11)の裏面、絶縁膜(13)の裏面および裏面電極部(17)からレジスト膜(14F)を除去し、更に支持膜(11)の表面から保護テープ(11T)を除去した。その後、支持膜(11)における周縁部分の表面に、外径が22cm、内径が20.5cmで厚みが2mmのリング状の窒化シリコンよりなる保持部材(40)を配置した後、保持部材(40)と支持膜(11)とを加圧し、180℃で2時間保持することにより、保持部材(40)を支持膜(11)に接合することにより、シート状プローブ(10)を製造した(図33参照)。
このようにして、合計で4枚のシート状プローブを製造した。これらのシート状プローブを「シート状プローブM1」〜「シート状プローブM4」とする。
実施例1と同様にして、積層体(10A)から支持膜(11)および電極構造体(15)を形成し(図4乃至図19参照。)、45℃の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬することにより、表面電極部(16)および保持部(19)からレジスト膜(14G)を除去した。
次いで、絶縁膜(13)の表面、表面電極部(16)および保持部(19)に、形成すべき接点膜のパターンに対応するパターンに従って、それぞれ縦横の寸法が4000μm×7000μmのレジスト膜(14H)を形成し、その後、絶縁膜(13)に対してエッチング処理を施して露出した部分を除去することにより、互いに独立した複数の絶縁膜(13b)を形成し、これにより、それぞれ絶縁膜(13b)にその厚み方向に貫通して伸びる複数の電極構造体(15)が配置されてなる複数の接点膜(12b)を形成した(図28および図29参照)。
そして、支持膜(11)の裏面、絶縁膜(13b)の裏面および裏面電極部(17)からレジスト膜(14F)を除去すると共に、絶縁膜(13b)の表面、表面電極部(16)および保持部(19)からレジスト膜(14H)を除去し、更に支持膜(11)から保護テープを除去した。その後、支持膜(11)における周縁部分の表面に、外径が22cm、内径が20.5cmで厚みが2mmのリング状の窒化シリコンよりなる保持部材(40)を配置した後、保持部材(40)と支持膜(11)とを加圧し、180℃で2時間保持することにより、保持部材(40)を支持膜(11)に接合することにより、シート状プローブ(10)を製造した。
このようにして、合計で4枚のシート状プローブを製造した。これらのシート状プローブを「シート状プローブL1」〜「シート状プローブL4」とする。
シート状プローブの作製において、支持膜形成用層の全部をエッチング処理によって除去して支持膜を形成しなかったこと、保持部形成用層の全部をエッチング処理によって除去して保持部を形成しなかったこと、および、保持部材を絶縁膜における周縁部分の表面に設けたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状プローブを作製した。
得られたシート状プローブは、絶縁膜の厚みdが12.5μm、電極構造体の表面電極部の形状が円錐台状で、その基端の径が47μm、その先端の径が18μm、その突出高さが25μm、短絡部の形状が円錐台状で、その表面側の一端の径が47μm、裏面側の他端の径が60μm、裏面電極部の形状が矩形の平板状で、その横幅が60μm、縦幅が150μm、厚みが30μmのものである。
このようにして、合計で5枚のシート状プローブを製造した。これらのシート状プローブを「シート状プローブN1」〜「シート状プローブN4」とする。
(1)磁性芯粒子の調製:
市販のニッケル粒子(Westaim社製,「FC1000」)を用い、以下のようにして磁性芯粒子を調製した。
日清エンジニアリング株式会社製の空気分級機「ターボクラシファイア TC−15N」によって、ニッケル粒子2kgを、比重が8.9、風量が2.5m3 /min、ローター回転数が2,250rpm、分級点が15μm、ニッケル粒子の供給速度が60g/minの条件で分級処理し、粒子径が15μm以下のニッケル粒子0.8kgを捕集し、更に、このニッケル粒子0.8kgを、比重が8.9、風量が2.5m3 /min、ローター回転数が2,930rpm、分級点が10μm、ニッケル粒子の供給速度が30g/minの条件で分級処理し、ニッケル粒子0.5kgを捕集した。
得られたニッケル粒子は、数平均粒子径が7.4μm、粒子径の変動係数が27%、BET比表面積が0.46×103 m2 /kg、飽和磁化が0.6Wb/m2 であった。
このニッケル粒子を「磁性芯粒子[A]」とする。
粉末メッキ装置の処理槽内に、磁性芯粒子[A]100gを投入し、更に、0.32Nの塩酸水溶液2Lを加えて攪拌し、磁性芯粒子[A]を含有するスラリーを得た。このスラリーを常温で30分間攪拌することにより、磁性芯粒子[A]の酸処理を行い、その後、1分間静置して磁性芯粒子[A]を沈殿させ、上澄み液を除去した。
次いで、酸処理が施された磁性芯粒子[A]に純水2Lを加え、常温で2分間攪拌し、その後、1分間静置して磁性芯粒子[A]を沈殿させ、上澄み液を除去した。この操作を更に2回繰り返すことにより、磁性芯粒子[A]の洗浄処理を行った。
そして、酸処理および洗浄処理が施された磁性芯粒子[A]に、金の含有割合が20g/Lの金メッキ液2Lを加え、処理層内の温度を90℃に昇温して攪拌することにより、スラリーを調製した。この状態で、スラリーを攪拌しながら、磁性芯粒子[A]に対して金の置換メッキを行った。その後、スラリーを放冷しながら静置して粒子を沈殿させ、上澄み液を除去することにより、導電性粒子を調製した。
このようにして得られた導電性粒子に純水2Lを加え、常温で2分間攪拌し、その後、1分間静置して導電性粒子を沈殿させ、上澄み液を除去した。この操作を更に2回繰り返し、その後、90℃に加熱した純水2Lを加えて攪拌し、得られたスラリーを濾紙によって濾過して導電性粒子を回収した。そして、この導電性粒子を、90℃に設定された乾燥機によって乾燥処理した。
得られた導電性粒子は、数平均粒子径が7.3μm、BET比表面積が0.38×103 m2 /kg、(被覆層を形成する金の質量)/(磁性芯粒子[A]の質量)の値が0.3であった。
この導電性粒子を「導電性粒子(a)」とする。
図37および図38に示す構成に従い、下記の条件により、上記の試験用ウエハW1における各被検査電極領域に対応して形成された393個の開口(32)を有する直径が8インチのフレーム板(31)を作製した。
このフレーム板(31)の材質はコバール(線熱膨張係数5×10-6/K)で、その厚みは、60μmである。
開口(32)の各々は、その横方向(図37および図38において左右方向)の寸法が6400μmで縦方向(図37および図38において上下方向)の寸法が320μmである。
縦方向に隣接する開口(32)の間の中央位置には、円形の空気流入孔(33)が形成されており、その直径は1000μmである。
付加型液状シリコーンゴム100重量部に、導電性粒子[a]30重量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、異方導電性シート用の成形材料を調製した。
以上において、使用した付加型液状シリコーンゴムは、それぞれ粘度が250Pa・sであるA液およびB液よりなる二液型のものであって、その硬化物の圧縮永久歪みが5%、デュロメーターA硬度が32、引裂強度が25kN/mのものである。
ここで、付加型液状シリコーンゴムおよびその硬化物の特性は、以下のようにして測定されたものである。
(i)付加型液状シリコーンゴムの粘度は、B型粘度計により、23±2℃における値を測定した。
(ii)シリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪みは、次のようにして測定した。
二液型の付加型液状シリコーンゴムにおけるA液とB液とを等量となる割合で攪拌混合した。次いで、この混合物を金型に流し込み、当該混合物に対して減圧による脱泡処理を行った後、120℃、30分間の条件で硬化処理を行うことにより、厚みが12.7mm、直径が29mmのシリコーンゴム硬化物よりなる円柱体を作製し、この円柱体に対して、200℃、4時間の条件でポストキュアを行った。このようにして得られた円柱体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して150±2℃における圧縮永久歪みを測定した。
(iii)シリコーンゴム硬化物の引裂強度は、次のようにして測定した。
上記(ii)と同様の条件で付加型液状シリコーンゴムの硬化処理およびポストキュアを行うことにより、厚みが2.5mmのシートを作製した。このシートから打ち抜きによってクレセント形の試験片を作製し、JIS K 6249に準拠して23±2℃における引裂強度を測定した。
(iv)デュロメーターA硬度は、上記(iii)と同様にして作製されたシートを5枚重ね合わせ、得られた積重体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して23±2℃における値を測定した。
上記(3)で作製したフレーム板(31)および上記(4)で調製した成形材料を用い、特開2002−324600号公報に記載された方法に従って、フレーム板(31)に、それぞれ一の開口(32)を塞ぐよう配置され、当該フレーム板(31)の開口縁部に固定されて支持された、図31に示す構成の393個の異方導電性シート(35)を形成することにより、異方導電性コネクターを製造した。ここで、成形材料層の硬化処理は、電磁石によって厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で行った。
得られた異方導電性シート(35)について具体的に説明すると、異方導電性シート(35)の各々は、横方向の寸法が7000μm、縦方向の寸法が1200μmであり、60個の導電部(36)が100μmのピッチで横方向に一列に配列されており、導電部(36)の各々は、横方向の寸法が40μm、縦方向の寸法が200μm、厚みが150μm、突出部(38)の突出高さが25μm、絶縁部(37)の厚みが100μmである。また、横方向において最も外側に位置する導電部(36)とフレーム板の開口縁との間には、非接続用の導電部が配置されている。非接続用の導電部の各々は、横方向の寸法が60μm、縦方向の寸法が200μm、厚みが150μmである。
また、各異方導電性シート(35)における導電部(36)中の導電性粒子の含有割合を調べたところ、全ての導電部(36)について体積分率で約25%であった。
このようにして、合計で12枚の異方導電性コネクターを製造した。これらの異方導電性コネクターを「異方導電性コネクターC1」〜「異方導電性コネクターC12」とする。
基板材料としてアルミナセラミックス(線熱膨張係数4.8×10-6/K)を用い、試験用ウエハW1における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極(21)が形成された検査用回路基板(20)を作製した。この検査用回路基板(20)は、全体の寸法が30cm×30cmの矩形であり、その検査電極は、横方向の寸法が60μmで縦方向の寸法が200μmである。得られた検査用回路基板を「検査用回路基板T1」とする。
(1)試験1(隣接する電極構造体間の絶縁性):
シート状プローブM1、シート状プローブM2、シート状プローブL1、シート状プローブL2、シート状プローブN1およびシート状プローブN2の各々について、以下のようにして隣接する電極構造体間の絶縁性の評価を行った。
室温(25℃)下において、試験用ウエハW1を試験台に配置し、この試験用ウエハW2の表面上に、シート状プローブをその表面電極部の各々が当該試験用ウエハW1の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、このシート状プローブ上に、異方導電性コネクターをその導電部の各々が当該シート状プローブの裏面電極部上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電性コネクター上に、検査用回路基板T1をその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターの導電部上に位置するよう位置合わせして配置し、更に検査用回路基板T1を下方に118kgの荷重(電極構造体1個当たりに加わる荷重が平均で約5g)で加圧した。ここで、異方導電性コネクターとしては下記表1に示すものを使用した。
そして、検査用回路基板T1における23580個の検査電極の各々に順次電圧を印加すると共に、電圧が印加された検査電極と他の検査電極との間の間の電気抵抗をシート状プローブにおける電極構造体間の電気抵抗(以下、「絶縁抵抗」という。)として測定し、全測定点における絶縁抵抗が10MΩ以下である測定点の割合(以下、「絶縁不良割合」という。)を求めた。
ここで、絶縁抵抗が10MΩ以下である場合には、実際上、ウエハに形成された集積回路の電気的検査に使用することが困難である。
以上の結果を下記結果を表1に示す。
シート状プローブM3、シート状プローブM4、シート状プローブL3、シート状プローブL4、シート状プローブN3およびシート状プローブN4の各々について、以下のようにして被検査電極に対する電極構造体の接続安定性の評価を行った。
室温(25℃)下において、試験用ウエハW2を、電熱ヒーターを具えた試験台に配置し、この試験用ウエハW2の表面上に、シート状プローブをその表面電極部の各々が当該試験用ウエハW2の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、このシート状プローブ上に、異方導電性コネクターをその導電部の各々が当該シート状プローブの裏面電極部上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電性コネクター上に、検査用回路基板T1をその検査電極の各々が当該異方導電性コネクターの導電部上に位置するよう位置合わせして配置し、更に検査用回路基板T1を下方に118kgの荷重(電極構造体1個当たりに加わる荷重が平均で約5g)で加圧した。ここで、異方導電性コネクターとしては下記表2に示すものを使用した。
そして、検査用回路基板T1における23580個の検査電極について、シート状プローブ、異方導電性コネクターおよび試験用ウエハW2を介して互いに電気的に接続された2個の検査電極の間の電気抵抗を順次測定し、測定された電気抵抗値の2分の1の値を、検査用回路基板T1の検査電極と試験用ウエハW2の被検査電極との間の電気抵抗(以下、「導通抵抗」という。)として記録し、全測定点における導通抵抗が1Ω以上である測定点の割合(以下、「接続不良割合」という。)を求めた。この操作を「操作(1)」とする。
次いで、検査用回路基板T1に対する加圧を解除し、その後、試験台を150℃に昇温してその温度が安定するまで放置し、その後、検査用回路基板T1を下方に118kgの荷重(電極構造体1個当たりに加わる荷重が平均で約5g)で加圧し、上記操作(1)と同様にして接続不良割合を求めた。この操作を「操作(2)」とする。
次いで、試験台を室温(25℃)まで冷却し、検査用回路基板T1に対する加圧を解除した。この操作を「操作(3)」とする。
そして、上記の操作(1)、操作(2)および操作(3)を1サイクルとして合計で300サイクル連続して行った。
ここで、導通抵抗が1Ω以上である場合には、実際上、ウエハに形成された集積回路の電気的検査に使用することが困難である。
以上の結果を下記結果を表2に示す。
これに対し、シート状プローブN3については、23850個の電極構造体のうち48個の電極構造体が絶縁膜から脱落しており、また、シート状プローブN4については、23850個の電極構造体のうち27個の電極構造体が絶縁膜から脱落していた。
2 ガイドピン
3 加圧板
4 ウエハ載置台
5 加熱器
6 ウエハ
7 被検査電極
10 シート状プローブ
10A 積層体
10K 電極構造体形成用凹所
11 支持膜
11A 支持膜形成用層
11H 開口
11K 位置決め孔
11T 保護テープ
12,12a,12b 接点膜
13,13a,13b 絶縁膜
13H 貫通孔
14A,14B,14C,14D,14E,14F,14G,14H レジスト膜
15 電極構造体
16 表面電極部
16B 電極部成形用層
16A メッキ電極用層
16H 貫通孔
17 裏面電極部
17H 貫通孔
18 短絡部
19 保持部
19A 保持部形成用層
19H 貫通孔
20 検査用回路基板
21 検査電極
30 異方導電性コネクター
31 フレーム板
32 開口
33 空気流入孔
35 異方導電性シート
36 導電部
37 絶縁部
38 突出部
40 保持部材
80 異方導電性シート
85 検査用回路基板
86 検査電極
90 シート状プローブ
90A,90B,90C 積層体
90K 電極構造体形成用凹所
91 絶縁膜
91A 絶縁膜材
92,92A,92B 金属層
93,93A レジスト膜
94A,94B レジスト膜
95 電極構造体
96 表面電極部
97 裏面電極部
98 短絡部
98H 貫通孔
K1,K2 パターン孔
L 集積回路
P 導電性粒子
Claims (5)
- 柔軟な樹脂よりなる絶縁膜に、それぞれ接続すべき電極に対応するパターンに従って当該絶縁膜の厚み方向に貫通して伸びる複数の電極構造体が配置されてなる接点膜と、この接点膜を支持する金属よりなる支持膜とを具えてなり、前記電極構造体の各々は、前記絶縁膜の表面に露出し、当該絶縁膜の表面から突出する表面電極部と、前記絶縁膜の裏面に露出する裏面電極部と、前記表面電極部の基端から連続して前記絶縁膜をその厚み方向に貫通して伸び、前記裏面電極部に連結された短絡部と、前記表面電極部の基端部分から連続して前記絶縁膜の表面に沿って外方に伸びる保持部とよりなるシート状プローブを製造する方法であって、
金属よりなる支持膜形成用層と、この支持膜形成用層の表面に一体的に積層された絶縁膜と、この絶縁膜の表面に一体的に積層された金属よりなる保持部形成用層と、この保持部形成用層の表面に一体的に積層された絶縁性の電極部成形用層と、この電極部成形用層の表面に一体的に積層された金属よりなるメッキ電極用層とを有する積層体を用意し、
この積層体における支持膜形成用層、絶縁膜、保持部形成用層および電極部成形用層の各々に互いに連通する厚み方向に伸びる貫通孔を形成することにより、当該積層体の裏面に、形成すべき電極構造体のパターンに対応するパターンに従って複数の電極構造体形成用凹所を形成し、
この積層体におけるメッキ電極用層を電極としてメッキ処理を施して電極構造体形成用凹所の各々に金属を充填することにより、絶縁膜の表面から突出する表面電極部、当該表面電極部の基端から連続して当該絶縁膜をその厚み方向に貫通して伸びる短絡部、およびこの短絡部に連結された、当該絶縁膜の裏面に露出する裏面電極部を形成し、
この積層体における支持膜形成用層をエッチング処理することにより、開口が形成された支持膜を形成し、
この積層体から前記メッキ電極用層および前記電極部成形用層を除去することにより、前記表面電極部および前記保持部形成用層を露出させ、その後、当該保持部形成用層にエッチング処理を施すことにより、前記表面電極部の基端部分から連続して前記絶縁膜の表面に沿って外方に伸びる保持部を形成する工程を有することを特徴とするシート状プローブの製造方法。 - 電極構造体形成用凹所における保持部成形用層の貫通孔が、当該保持部成形用層の裏面から表面に向かうに従って小径となる形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のシート状プローブの製造方法。
- 積層体としてその保持部成形用層がエッチング可能な高分子材料よりなるものを用い、電極構造体形成用凹所における保持部成形用層の貫通孔がエッチングにより形成されることを特徴とする請求項2に記載のシート状プローブの製造方法。
- 電極構造体形成用凹所における絶縁膜の貫通孔が、当該絶縁膜の裏面から表面に向かうに従って小径となる形状に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載のシート状プローブの製造方法。
- 積層体としてその絶縁膜がエッチング可能な高分子材料よりなるものを用い、電極構造体形成用凹所における絶縁膜の貫通孔がエッチングにより形成されることを特徴とする請求項4に記載のシート状プローブの製造方法。
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