JP3649245B2 - シート状プローブの製造方法 - Google Patents
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Description
然るに、被検査回路装置が多数の集積回路が形成されたウエハである場合において、当該ウエハ検査用のプローブ装置を作製するためには、非常に多数の検査プローブを配列することが必要となるので、当該プローブ装置は極めて高価なものとなり、また、被検査電極のピッチが小さい場合には、プローブ装置を作製すること自体が困難となる。更に、ウエハには、一般に反りが生じており、その反りの状態も製品(ウエハ)毎に異なるため、当該ウエハにおける多数の被検査電極に対して、プローブ装置の検査プローブの各々を安定にかつ確実に接触させることは実際上困難である。
例えば直径が8インチ以上のウエハにおいては、5000個または10000個以上の被検査電極が形成されており、当該被検査電極のピッチは160μm以下である。このようなウエハの検査を行うためのシート状プローブとしては、当該ウエハに対応した大面積のものであって、5000個または10000個以上の電極構造体が160μm以下のピッチで配置されてなるものを用いることが必要となる。
而して、ウエハを構成する材料例えばシリコンの線熱膨張係数は3.3×10-6/K程度であり、一方、シート状プローブにおける絶縁性シートを構成する材料例えばポリイミドの線熱膨張係数は4.5×10-5/K程度である。従って、例えば25℃において、それぞれ直径が30cmのウエハおよびシート状プローブの各々を、20℃から120℃までに加熱した場合には、理論上、ウエハの直径の変化は99μmにすぎないが、シート状プローブにおける絶縁性シートの直径の変化は1350μmに達し、両者の熱膨張の差は、1251μmとなる。
このように、ウエハとシート状プローブにおける絶縁性シートとの間で、面方向における熱膨張の絶対量に大きな差が生じると、絶縁性シートの周縁部をウエハの線熱膨張係数と同等の線熱膨張係数を有する保持部材によって固定しても、バーンイン試験において、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを確実に防止することは困難であるため、良好な電気的接続状態を安定に維持することができない。
また、検査対象が小型の回路装置であっても、その被検査電極のピッチが50μm以下のものである場合には、バーンイン試験において、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを確実に防止することは困難であるため、良好な電気的接続状態を安定に維持することができない。
然るに、このような手段においては、絶縁性シートに対してその面方向における全ての方向について均一に張力を作用させることは極めて困難であり、また、電極構造体を形成することによって絶縁性シートに作用する張力のバランスが変化し、その結果、当該絶縁性シートは熱膨張について異方性を有するものとなるため、面方向における−方向の熱膨張を抑制することが可能であっても、当該一方向と交差する他の方向の熱膨張を抑制することができず、結局、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを防止することができない。
また、絶縁性シートをこれに張力を作用させた状態で保持部材に固定するためには、加熱下において絶縁性シートを保持部材に接着する、という煩雑な工程が必要となるため、製造コストの増大を招く、という問題がある。
フレーム板形成用金属板と、このフレーム板形成用金属板上に一体的に積層された絶縁膜形成用シートとを有する積層体を用意し、
この積層体における絶縁膜形成用樹脂シートに、形成すべき電極構造体のパターンに対応するパターンに従って貫通孔を形成し、当該積層体に対してメッキ処理を施すことにより、当該絶縁膜形成用樹脂シートの貫通孔内に形成され、前記フレーム板形成用金属板に連結された短絡部および当該短絡部に連結された表面電極部を形成し、
その後、前記フレーム板形成用金属板をエッチング処理することにより、貫通孔が形成されたフレーム板を形成する工程を有することを特徴とする。
フレーム板形成用金属板と、このフレーム板形成用金属板上に一体的に積層された絶縁膜形成用シートとを有する積層体を用意し、
この積層体における絶縁膜形成用樹脂シートに、形成すべき電極構造体のパターンに対応するパターンに従って貫通孔を形成し、当該積層体に対してメッキ処理を施すことにより、当該絶縁膜形成用樹脂シートの貫通孔内に形成され、前記フレーム板形成用金属板に連結された短絡部および当該短絡部に連結された表面電極部を形成し、
その後、前記フレーム板形成用金属板をエッチング処理することにより、複数の貫通孔が形成されたフレーム板を形成する工程を有することを特徴とする。
フレーム板形成用金属板と、このフレーム板形成用金属板上に一体的に積層された絶縁膜形成用シートとを有する積層体を用意し、
この積層体における絶縁膜形成用樹脂シートに、形成すべき電極構造体のパターンに対応するパターンに従って貫通孔を形成し、当該積層体に対してメッキ処理を施すことにより、当該絶縁膜形成用樹脂シートの貫通孔内に形成され、前記フレーム板形成用金属板に連結された短絡部および当該短絡部に連結された表面電極部を形成し、
その後、前記フレーム板形成用金属板をエッチング処理することにより、複数の貫通孔が形成されたフレーム板を形成する工程を有することを特徴とする。
〈シート状プローブ〉
図1は、本発明の製造方法によって得られるシート状プローブの第1の例を示す平面図であり、図2は、第1の例のシート状プローブにおける接点膜を拡大して示す平面図、図3は、第1の例のシート状プローブにおける接点膜を拡大して示す説明用断面図である。 この第1の例のシート状プローブ10は、例えば複数の集積回路が形成されたウエハについて当該集積回路の各々の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられるものであって、図4にも示すように、それぞれ厚み方向に貫通して伸びる貫通孔12が形成された金属よりなるフレーム板11を有する。このフレーム板11の貫通孔12は、検査対象であるウエハにおける集積回路の被検査電極が形成された電極領域のパターンに対応して形成されている。また、この例におけるフレーム板11には、後述する異方導電性コネクターおよび検査用回路基板との位置決めを行うための位置決め孔13が形成されている。
また、フレーム板11としては、その線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは−1×10-7〜1×10-5/K、特に好ましくは−1×10-6〜8×10-6/Kである。
このようなフレーム板11を構成する材料の具体例としては、インバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、スーパーインバー、コバール、42合金などの合金または合金鋼が挙げられる。
この厚みが過小である場合には、接点膜15を支持するフレーム板として必要な強度が得られないことがある。一方、この厚みが過大である場合には、後述する製造方法において、エッチング処理によって貫通孔12を高い寸法精度で形成することが困難となることがある。
接点膜15の各々は、図3に示すように、柔軟な絶縁膜16を有し、この絶縁膜16には、当該絶縁膜16の厚み方向に伸びる金属よりなる複数の電極構造体17が、検査対象であるウエハの電極領域における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って、当該絶縁膜16の面方向に互いに離間して配置されており、当該接点膜15は、電極構造体17の各々が、フレーム板11の貫通孔12内に位置するよう配置されている。
電極構造体17の各々は、絶縁膜16の表面に露出する突起状の表面電極部18aと、絶縁膜16の裏面に露出する板状の裏面電極部18bとが、絶縁膜16の厚み方向に貫通して伸びる短絡部18cによって互いに一体に連結されて構成されている。また、この例においては、裏面電極部18bには、高導電性金属よりなる被覆膜19が形成されている。
絶縁膜16を構成するその他の材料としては、メッシュ若しくは不織布、またはこれらに樹脂若しくは弾性高分子物質が含浸されてなるものを用いることができる。かかるメッシュまたは不織布を形成する繊維としては、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ナイロン繊維、テフロン(登録商標)繊維等のフッ素樹脂繊維、ポリエステル繊維などの有機繊維を用いることができる。このような材料を絶縁膜16を構成する材料として用いることにより、電極構造体17が小さいピッチで配置されても、接点膜15全体の柔軟性が大きく低下することがないため、電極構造体17の突出高さや被検査電極の突出高さにバラツキがあっても、接点膜15の有する柔軟性により十分に吸収されるので、被検査電極の各々に対して安定した電気的接続を確実に達成することができる。
また、絶縁膜16の厚みは、当該絶縁膜16の柔軟性が損なわれなければ特に限定されないが、5〜150μmであることが好ましく、より好ましくは7〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。
このような粉末物質としては、ダイヤモンド粉末、窒化シリコン、炭化シリコン、セラミックス、ガラスなどを用いることができ、これらの非導電性の粉末物質の適量を含有させることにより、電極構造体17の導電性を損なうことなしに、電極構造体17の表面電極部18aによって、被検査電極の表面に形成された酸化膜を破壊することができる。
また、被検査電極の表面の酸化膜を容易に破壊するために、電極構造体17における表面電極部18aの形状を鋭利な突起状のものとしたり、表面電極部18aの表面に微細な凹凸を形成したりすることができる。
ここで、「電極構造体のピッチ」とは、隣接する電極構造体の間の中心間距離であって最も短いものをいう。
また、表面電極部18aの径Rは、短絡部18cの径rの1〜3倍であることが好ましく、より好ましくは1〜2倍である。
また、表面電極部18aの径Rは、当該電極構造体17のピッチpの30〜75%であることが好ましく、より好ましくは40〜60%である。
また、短絡部18cの径rは、当該電極構造体17のピッチpの15〜75%であることが好ましく、より好ましくは20〜65%である。
表面電極部18aの径Rは、上記の条件や被検査電極の直径などを勘案して設定されるが、例えば30〜200μmであり、好ましくは35〜150μmである。
短絡部18cの径rは、十分に高い強度が得られる点で、10〜120μmであることが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。
裏面電極部18bの厚みは、強度が十分に高くて優れた繰り返し耐久性が得られる点で、15〜150μmであることが好ましく、より好ましくは20〜100μmである。
また、被覆膜は、電極構造体17における表面電極部18aにも形成することができ、例えは被検査電極が半田材料により構成されている場合には、当該半田材料が拡散することを防止する観点から、被覆膜を構成する金属として、銀、パラジウム、ロジウムなど耐拡散性金属を用いることが好ましい。
先ず、図5に示すように、円形のフレーム板形成用金属板11Aと、このフレーム板形成用金属板11A上に一体的に積層された、フレーム板形成用金属板11Aの径より小さい径の円形の絶縁膜形成用シート16Aとを有する積層体20を作製する。図示の例の積層体20においては、絶縁膜形成用シート16Aの表面全面に、金属マスク形成用の金属層21が一体的に設けられ、また、フレーム板形成用金属板11Aの表面には、その周縁部に沿って保護テープ22が設けられている。
ここで、金属層21の厚みは、2〜15μmであることが好ましく、より好ましくは5〜15μmである。この厚みが2μm未満である場合には、後述する絶縁膜形成用シートに対するレーザー加工において、用いられるレーザー光に耐え得るために必要な強度が得られず、電極構造体17を確実に形成することが困難となることがある。一方、この厚みが15μmを超える場合には、エッチング処理によって後述する金属マスクの開口を高い寸法精度で形成することが困難となることがある。
また、金属層21を構成する材料としては、銅、ニッケルなどを用いることができる。 また、絶縁膜形成用シート16A上に金属層21を形成する方法としては、スパッター法、無電解メッキ法、接着法などを挙げることができる。
ここで、レジスト膜23,24を形成するフォトレジストとしては、メッキ用のフォトレジストとして使用されている種々のもの、感光性ドライフィルムなどを用いることができる。
また、レジスト膜23に形成されるパターン孔23Hおよび金属マスク21Mの開口21Hの各々の径は、形成すべき電極構造体17における短絡部18cの径に対応する径である。
そして、図9に示すように、金属マスク21Mの表面からレジスト膜を除去し、その後、絶縁膜形成用シート16Aに対して、金属マスク21Mの開口21Hを介してレーザー加工を施すことにより、図10に示すように、絶縁膜形成用シート16Aに、それぞれ形成すべき電極構造体17における短絡部18cの径に適合する径を有する複数の貫通孔17Hが、当該電極構造体17のパターンに対応するパターンに従って形成される。
次いで、図16に示すように、フレーム板11および裏面電極部18bの各々からレジスト膜を除去し、その後、図17に示すように、フレーム板11、絶縁膜形成用シート16Aおよび裏面電極部18bの各々を覆うよう、フォトレジストよりなるレジスト膜26を形成し、更に、図18に示すように、このレジスト膜26における裏面電極部18bが位置する部分にパターン孔26Hを形成する。そして、図19に示すように、裏面電極部18bに高導電金属のメッキ処理を施すことにより、当該裏面電極部18bに被覆膜19を形成し、以て電極構造体17が形成される。その後、図20に示すように、必要に応じて、被覆膜19を覆うようレジスト膜27を形成する。
そして、フレーム板11および接点膜15からレジスト膜25,26,27を除去すると共に、フレーム板11から保護テープ22(図5参照)を除去することにより、図1〜図3に示す第1の例のシート状プローブが得られる。
この第2の例のシート状プローブ10は、例えば複数の集積回路が形成されたウエハについて当該集積回路の各々の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられるものであって、第1の例のシート状プローブ10と同様の構成のフレーム板11(図4参照)を有する。
このフレーム板11の一面上には、当該フレーム板11の径より小さい径の円形の単一の接点膜15が当該フレーム板11に一体的に設けられて支持されている。
この接点膜15は、柔軟な絶縁膜16を有し、この絶縁膜16には、当該絶縁膜16の厚み方向に伸びる複数の電極構造体17が、検査対象であるウエハにおける被検査電極のパターンに対応するパターンに従って、当該絶縁膜16の面方向に互いに離間して配置されており、当該接点膜15は、電極構造体17の各々が、フレーム板11の各貫通孔12内に位置するよう配置されている。
電極構造体17の各々は、絶縁膜16の表面に露出する突起状の表面電極部18aと、絶縁膜16の裏面に露出する板状の裏面電極部18bとが、絶縁膜16の厚み方向に貫通して伸びる短絡部18cによって互いに一体に連結されて構成されている。また、この例においては、裏面電極部18bには、高導電性金属よりなる被覆膜19が形成されている。
また、この第2の例のシート状プローブ10は、前述の第1の例のシート状プローブ10の製造方法において、絶縁膜形成用シート16Aのエッチング処理を行わずに当該絶縁膜形成用シート16Aをそのまま絶縁膜16として用いること以外は、第1の例のシート状コネクター10と同様にして製造することができる。
この第3の例のシート状プローブ10は、例えば複数の集積回路が形成されたウエハについて当該集積回路の各々の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられるものであって、第1の例のシート状プローブ10と同様の構成のフレーム板11(図4参照)を有する。
このフレーム板11の一面上には、その表面に沿って並ぶよう互いに独立した状態で配置された複数(図示の例では9つ)の接点膜15が、当該フレーム板11に一体的に設けられて支持されている。
この接点膜15の各々は、柔軟な絶縁膜16を有し、この絶縁膜16には、当該絶縁膜16の厚み方向に伸びる複数の電極構造体17が、検査対象であるウエハにおける被検査電極のパターンに対応するパターンに従って、当該絶縁膜16の面方向に互いに離間して配置されており、当該接点膜15は、電極構造体17の各々が、フレーム板11の各貫通孔12内に位置するよう配置されている。
電極構造体17の各々は、絶縁膜16の表面に露出する突起状の表面電極部18aと、絶縁膜16の裏面に露出する板状の裏面電極部18bとが、絶縁膜16の厚み方向に貫通して伸びる短絡部18cによって互いに一体に連結されて構成されている。また、この例においては、裏面電極部18bには、高導電性金属よりなる被覆膜19が形成されている。
また、この第3の例のシート状プローブ10は、前述の第1の例のシート状プローブ10と同様にして製造することができる。
図29は、本発明の製造方法によって得られるシート状プローブを具えたプローブカードの第1の例における構成を示す説明用断面図であり、図30は、第1の例のプローブカードの要部の構成を示す説明用断面図である。
この第1の例のプローブカード30は、例えば複数の集積回路が形成されたウエハについて当該集積回路の各々の電気的検査をウエハの状態で行うために用いられるものであって、検査用回路基板31と、この検査用回路基板31の一面上に設けられた異方導電性コネクター40と、この異方導電性コネクター40上に設けられた第1の例のシート状プローブ10とにより構成されている。
検査用回路基板31を構成する基板材料としては、従来公知の種々の基板材料を用いることができ、その具体例としては、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型フェノール樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型ビスマレイミドトリアジン樹脂等の複合樹脂基板材料、ガラス、二酸化珪素、アルミナ等のセラミックス基板材料、金属板をコア材としてエポキシ樹脂またはポリイミド樹脂等の樹脂を積層した積層基板材料などが挙げられる。
また、バーンイン試験に用いるためのプローブカードを構成する場合には、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは1×10-7〜1×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜6×10-6/Kである。
このような基板材料の具体例としては、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、アルミナ、ベリリア、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等よりなる無機系基板材料、42合金、コバール、インバー等の鉄−ニッケル合金鋼よりなる金属板をコア材としてエポキシ樹脂またはポリイミド樹脂等の樹脂を積層した積層基板材料など挙げられる。
機能部51の周縁には、フレーム板41における異方導電膜配置用孔42の周辺部に固定支持された被支持部55が、当該機能部51に一体に連続して形成されている。具体的には、この例における被支持部55は、二股状に形成されており、フレーム板41における異方導電膜配置用孔42の周辺部を把持するよう密着した状態で固定支持されている。 弾性異方導電膜50の機能部51における接続用導電部52には、磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に含有されている。これに対して、絶縁部53は、導電性粒子Pが全く或いは殆ど含有されていないものである。
また、図示の例では、弾性異方導電膜50における機能部51の両面には、接続用導電部52およびその周辺部分が位置する個所に、それ以外の表面から突出する突出部54が形成されている。
この厚みが20μm未満である場合には、異方導電性コネクター40を使用する際に必要な強度が得られず、耐久性が低いものとなりやすく、また、当該フレーム板41の形状が維持される程度の剛性が得られず、異方導電性コネクター40の取扱い性が低いものとなる。一方、厚みが600μmを超える場合には、異方導電膜配置用孔42に形成される弾性異方導電膜50は、その厚みが過大なものとなって、接続用導電部52における良好な導電性および隣接する接続用導電部52間における絶縁性を得ることが困難となることがある。
フレーム板41の異方導電膜配置用孔42における面方向の形状および寸法は、検査対象であるウエハの被検査電極の寸法、ピッチおよびパターンに応じて設計される。
フレーム板41を構成する金属材料の具体例としては、鉄、銅、ニッケル、チタン、アルミニウムなどの金属またはこれらを2種以上組み合わせた合金若しくは合金鋼などが挙げられる。
このような材料の具体例としては、インバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、スーパーインバー、コバール、42合金などの磁性金属の合金または合金鋼などが挙げられる。
突出部54の突出高さは、その合計が当該突出部54における厚みの10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。このような突出高さを有する突出部54を形成することにより、小さい加圧力で接続用導電部52が十分に圧縮されるため、良好な導電性が確実に得られる。
また、突出部54の突出高さは、当該突出部54の最短幅または直径の100%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以下である。このような突出高さを有する突出部54を形成することにより、当該突出部54が加圧されたときに座屈することがないため、所期の導電性が確実に得られる。
また、被支持部55の厚み(図示の例では二股部分の一方の厚み)は、5〜600μmであることが好ましく、より好ましくは10〜500μm、特に好ましくは20〜400μmである。
また、被支持部55は二股状に形成されることは必須のことではなく、フレーム板41の一面のみに固定されていてもよい。
これらの中では、シリコーンゴムが、成形加工性および電気特性の点で好ましい。
また、ビニル基を両末端に含有する液状シリコーンゴムは、オクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として例えばジメチルジビニルシロキサンを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することにより得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。
このようなビニル基含有ポリジメチルシロキサンは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。以下同じ。)が10000〜40000のものであることが好ましい。また、得られる弾性異方導電膜50の耐熱性の観点から、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同じ。)が2以下のものが好ましい。
また、環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として、例えばジメチルヒドロクロロシラン、メチルジヒドロクロロシランまたはジメチルヒドロアルコキシシランなどを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することによっても得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。
本発明においては、上記のビニル基含有ポリジメチルシロキサンおよびヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサンのいずれか一方を用いることもでき、両者を併用することもできる。
硬化触媒として用いられる有機過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ビスジシクロベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジターシャリーブチルなどが挙げられる。
硬化触媒として用いられる脂肪酸アゾ化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
ヒドロシリル化反応の触媒として使用し得るものの具体例としては、塩化白金酸およびその塩、白金−不飽和基含有シロキサンコンプレックス、ビニルシロキサンと白金とのコンプレックス、白金と1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとのコンプレックス、トリオルガノホスフィンあるいはホスファイトと白金とのコンプレックス、アセチルアセテート白金キレート、環状ジエンと白金とのコンプレックスなどの公知のものが挙げられる。
硬化触媒の使用量は、高分子物質形成材料の種類、硬化触媒の種類、その他の硬化処理条件を考慮して適宜選択されるが、通常、高分子物質形成材料100重量部に対して3〜15重量部である。
これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に金や銀などの導電性の良好な金属のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば無電解メッキにより行うことができる。
また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の2.5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜45重量%、さらに好ましくは3.5〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
また、導電性粒子Pの粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜7、さらに好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4である。
このような条件を満足する導電性粒子Pを用いることにより、得られる弾性異方導電膜50は、加圧変形が容易なものとなり、また、当該弾性異方導電膜50における接続用導電部52において導電性粒子P間に十分な電気的接触が得られる。
このような平均粒子径を有する導電性粒子Pは、空気分級装置、音波ふるい装置などの分級装置によって、導電性粒子および/または当該導電性粒子を形成する芯粒子を分級処理することによって調製することができる。分級処理の具体的な条件は、目的とする導電性粒子の平均粒子径および粒子径分布、並びに分級装置の種類などに応じて適宜設定される。
また、導電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子による塊状のものであることが好ましい。
カップリング剤の使用量は、導電性粒子Pの導電性に影響を与えない範囲で適宜選択されるが、導電性粒子Pの表面におけるカップリング剤の被覆率(導電性芯粒子の表面積に対するカップリング剤の被覆面積の割合)が5%以上となる量であることが好ましく、より好ましくは上記被覆率が7〜100%、さらに好ましくは10〜100%、特に好ましくは20〜100%となる量である。
このような無機充填材の使用量は、特に限定されるものではないが、あまり多量に使用すると、後述する製造方法において、磁場による導電性粒子Pの移動が大きく阻害されるため、好ましくない。
また、異方導電性コネクター40におけるフレーム板41の異方導電膜配置用孔42の各々は、検査対象であるウエハにおける集積回路の被検査電極が形成された電極領域に対応して形成されており、当該異方導電膜配置用孔42の各々に配置される弾性異方導電膜50は面積が小さいものでよく、面積の小さい弾性異方導電膜50は、その面方向における熱膨張の絶対量が少ないため、弾性異方導電膜50の面方向における熱膨張がフレーム板41によって確実に規制される結果、温度変化による接続用導電部52と電極構造体17および検査用電極32との位置ずれを確実に防止することができる。
従って、検査対象であるウエハが直径が8インチ以上の大面積で被検査電極のピッチが極めて小さいものであっても、バーンイン試験において、ウエハに対する良好な電気的接続状態を安定に維持することができる。
この第2の例のプローブカード30は、第1の例のシート状コネクター10の代わりに第2の例のシート状コネクター10を用いたこと以外は、第1の例のプローブカード30と同様の構成である。
このようなプローブカード30によれば、第2の例のシート状プローブを有するため、温度変化による電極構造体17と被検査電極との位置ずれを確実に防止することができると共に、第1の例のプローブカード30と同様の構成の異方導電性コネクター40を有するため、温度変化による接続用導電部52と電極構造体17および検査用電極32との位置ずれを確実に防止することができ、従って、検査対象であるウエハが直径が8インチ以上の大面積で被検査電極のピッチが極めて小さいものであっても、バーンイン試験において、ウエハに対する良好な電気的接続状態を安定に維持することができる。
図34は、本発明の製造方法によって得られるシート状プローブを具えたウエハ検査装置の第1の例における構成の概略を示す説明用断面図であり、このウエハ検査装置は、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、当該集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うためのものである。
この第1の例のウエハ検査装置においては、検査対象であるウエハ1の被検査電極2の各々とテスターとの電気的接続を行うために、第1の例のプローブカード30を有し、このプローブカード30における検査用回路基板31の裏面には、当該プローブカード30を下方に加圧する加圧板35が設けられ、プローブカード30の下方には、検査対象であるウエハ1が載置されるウエハ載置台36が設けられており、加圧板35およびウエハ載置台36の各々には、加熱器37が接続されている。
この第2の例のウエハ検査装置は、第1の例のプローブカード30の代わりに第2の例のプローブカード30を用いたこと以外は、第1の例のウエハ検査装置と同様の構成である。
このような第2の例のウエハ検査装置によれば、第2の例のプローブカード30を介して、検査対象であるウエハ1の被検査電極2に対する電気的接続が達成されるため、ウエハ1が、直径が8インチ以上の大面積で被検査電極2のピッチが極めて小さいものであっても、バーンイン試験において、ウエハ1に対する良好な電気的接続状態を安定に維持することができ、ウエハ1における複数の集積回路の各々について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
(1)図29および図32に示すプローブカード30は、ウエハに形成された全ての集積回路の被検査電極に対して一括して電気的接続を達成するものであるが、ウエハに形成された全ての集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極に電気的に接続されるものであってもよい。選択される集積回路の数は、ウエハのサイズ、ウエハに形成された集積回路の数、各集積回路における被検査電極の数などを考慮して適宜選択され、例えば16個、32個、64個、128個である。
このようなプローブカード30を有する検査装置においては、ウエハに形成された全ての集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極に、プローブカード30を電気的に接続して検査を行い、その後、他の集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極に、プローブカード30を電気的に接続して検査を行う工程を繰り返すことにより、ウエハに形成された全ての集積回路の電気的検査を行うことができる。
そして、このような検査装置によれば、直径が8インチまたは12インチのウエハに高い集積度で形成された集積回路について電気的検査を行う場合において、全ての集積回路について一括して検査を行う方法と比較して、用いられる検査用回路基板の検査用電極数や配線数を少なくすることができ、これにより、検査装置の製造コストの低減化を図ることができる。
このような保持部材14を構成する材料としては、インバー、スーパーインバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、コバール、42アロイなどの低熱膨張金属材料、またはアルミナ、炭化珪素、窒化珪素などのセラミックス材料などを用いることができる。
(4)本発明において、プローブカードは、ウエハ検査用のものに限定されるものではなく、半導体チップや、BGA、CSPなどのパッケージLSI、MCMなどの半導体集積回路装置などに形成された回路を検査するためのプローブカードとして構成することができ、また、このようなプローブカードを具えた回路装置の検査装置を構成することができる。
図37に示すように、直径が8インチのシリコン(線熱膨張係数3.3×10-6/K)製のウエハ1上に、それぞれ寸法が8mm×8mmの正方形の集積回路Lを合計で393個形成した。ウエハ1に形成された集積回路Lの各々は、図38に示すように、その中央に被検査電極領域Aを有し、この被検査電極領域Aには、図39に示すように、それぞれ縦方向(図39において上下方向)の寸法が200μmで横方向(図39において左右方向)の寸法が50μmの矩形の60個の被検査電極2が100μmのピッチで横方向に一列に配列されている。また、このウエハ1全体の被検査電極2の総数は23580個であり、全ての被検査電極2は互いに電気的に絶縁されている。以下、このウエハを「試験用ウエハW1」という。
また、全ての被検査電極(2)を互いに電気的に絶縁することに代えて、集積回路(L)における60個の被検査電極(2)のうち最も外側の被検査電極(2)から数えて1個おきに2個ずつを互いに電気的に接続したこと以外は、上記試験用ウエハW1と同様の構成の393個の集積回路(L)をウエハ(1)上に形成した。以下、このウエハを「試験用ウエハW2」という。
直径が20cmで厚みが12.5μmのポリイミドシートの片面に直径が20cmで厚みが5μmの銅層が積層された積層ポリイミドシートと、直径22cmで厚みが25μmの42アロイよりなる金属板の表面上に、直径が20cmで厚みが2.5μmの熱可塑性ポリイミドよりなる樹脂層が積層された積層板とを用意した。次いで、積層板における樹脂層の表面上に、積層ポリイミドシートをそのポリイミドシートが樹脂層の表面に対接するよう配置すると共に、積層板の金属板における周縁部の表面に、内径が20.4cm、外径が22cmで厚みが25μmのポリエチレンフタレートよりなる保護テープを配置し、これらを熱圧着処理することにより、図5に示す構成の積層体(20)を作製した。
得られた積層体(20)は、直径が22cmで厚みが25μmの42アロイよりなるフレーム板形成用金属板(11A)の表面に、直径が20cmで厚みが15μmのポリイミドよりなる絶縁膜形成用シート(16A)が一体的に積層され、この絶縁膜形成用シート(16A)の表面に厚みが5μmの銅よりなる金属層(21)が一体的に積層され、更に、フレーム板形成用金属板(11A)の表面における周縁部に沿って、内径が20.4cm、外径が22cmで厚みが25μmの保護テープ(22)が設けられてなるものである。
その後、液状レジスト(JSR製、品名:THB−150N)によって、積層体(20)における絶縁膜形成用シート(16A)および表面電極部(18a)の全面を覆うよう、レジスト膜(25)を形成し、更に、このレジスト膜(25)の表面に厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートよりなる保護シールを配置した(図13参照)。
そして、積層体(20)におけるフレーム板形成用金属板(11A)対し、塩化第二鉄系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、それぞれ横方向の寸法が6400μmで縦方向の寸法が320μmの393個の貫通孔(12)が形成されたフレーム板(11)と、このフレーム板(11)の各貫通孔(12)内に横方向に100μmのピッチで並ぶよう配置された、それぞれ縦方向の寸法が200μmで横方向の寸法が40μmの矩形の23580(60×393)個の裏面電極部(18b)を形成した(図15参照)。
そして、金メッキ液(田中貴金属(株),品名:レクトロレス)を用い、裏面電極部(18b)に対して金メッキ処理を施すことにより、当該裏面電極部(18b)の表面に、厚み0.2μmの金よりなる被覆膜(19)を形成し、以て電極構造体(17)を形成した(図19参照)。その後、裏面電極部(18b)の表面に形成された被腹膜(19)の表面に、液状レジスト(JSR製、品名:THB−150N)によって、レジスト膜(27)を形成した(図20参照)。
その後、絶縁膜形成用シート(16A)に対し、アミン系ポリイミドエッチング液(東レエンジニアリング株式会社製、「TPE−3000」)を用い、80℃、10分間の条件でエッチング処理を施すことにより、それぞれ寸法が7.5mm×7.5mmの互いに独立した393個の絶縁膜(15)を形成し、以て393個の接点膜(12)を形成した(図22参照)。
そして、フレーム(11)および接点膜(12)からレジスト膜(25,26,27)を除去すると共に、フレーム板(11)から保護テープ(22)を除去した。その後、フレーム板(11)における周縁部の表面に、シリコーン系熱硬化性接着剤(信越化学製:品名1300T)を塗布し、150℃に保持した状態で、シリコーン系熱硬化性接着剤が塗布された部分に、外径が220mm、内径が205mmで厚み2mmの窒化シリコンよりなるリング状の保持部材(14)を配置し、更に、フレーム板(11)と保持部材(14)とを加圧しながら、180℃で2時間保持することにより、シート状プローブ(10)を製造した。
フレーム板(11)は、直径が22cmで厚みが25μmの円板状で、その材質が42アロイである。フレーム板(11)の貫通孔(12)の数は393個で、それぞれの横方向の寸法が6400μmで縦方向の寸法が320μmである。393個の接点膜(12)の各々における絶縁膜(13)は、材質がポリイミドで、その寸法は、横方向が7000μm、縦方向が700μm、厚みが15μmである。接点膜(12)の各々における電極構造体(18)は、その数が60個(合計23850個)で、横方向に100μmのピッチで一列に並ぶよう配置されている。電極構造体(18)の各々における表面電極部(18a)は、直径が約75μmで突出高さ約25μmの半球状であり、短絡部(18c)の直径30μmであり、裏面電極部(18b)は、40μm×200μmの矩形の平板状で、被覆膜(19)を含む裏面電極部(18b)の厚みは25.2μmである。
このようにして、合計で4枚のシート状プローブを製造した。これらのシート状プローブを「シート状プローブM1」〜「シート状プローブM4」とする。
フレーム板形成用金属板のエッチング処理において、裏面電極部となる部分以外の部分を除去することにより、フレーム板を形成しなかったこと、および、保持部材を絶縁膜の周縁部の表面に設けたこと以外は、実施例1と同様にして合計で4枚のシート状プローブを作製した。これらのシート状プローブを「シート状プローブN1」〜「シート状プローブN4」とする。
(1)磁性芯粒子の調製:
市販のニッケル粒子(Westaim社製,「FC1000」)を用い、以下のようにして磁性芯粒子を調製した。
日清エンジニアリング株式会社製の空気分級機「ターボクラシファイア TC−15N」によって、ニッケル粒子2kgを、比重が8.9、風量が2.5m3 /min、ローター回転数が2,250rpm、分級点が15μm、ニッケル粒子の供給速度が60g/minの条件で分級処理し、粒子径が15μm以下のニッケル粒子0.8kgを捕集し、更に、このニッケル粒子0.8kgを、比重が8.9、風量が2.5m3 /min、ローター回転数が2,930rpm、分級点が10μm、ニッケル粒子の供給速度が30g/minの条件で分級処理し、ニッケル粒子0.5kgを捕集した。
得られたニッケル粒子は、数平均粒子径が7.4μm、粒子径の変動係数が27%、BET比表面積が0.46×103 m2 /kg、飽和磁化が0.6Wb/m2 であった。
このニッケル粒子を「磁性芯粒子[A]」とする。
粉末メッキ装置の処理槽内に、磁性芯粒子[A]100gを投入し、更に、0.32Nの塩酸水溶液2Lを加えて攪拌し、磁性芯粒子[A]を含有するスラリーを得た。このスラリーを常温で30分間攪拌することにより、磁性芯粒子[A]の酸処理を行い、その後、1分間静置して磁性芯粒子[A]を沈殿させ、上澄み液を除去した。
次いで、酸処理が施された磁性芯粒子[A]に純水2Lを加え、常温で2分間攪拌し、その後、1分間静置して磁性芯粒子[A]を沈殿させ、上澄み液を除去した。この操作を更に2回繰り返すことにより、磁性芯粒子[A]の洗浄処理を行った。
そして、酸処理および洗浄処理が施された磁性芯粒子[A]に、金の含有割合が20g/Lの金メッキ液2Lを加え、処理層内の温度を90℃に昇温して攪拌することにより、スラリーを調製した。この状態で、スラリーを攪拌しながら、磁性芯粒子[A]に対して金の置換メッキを行った。その後、スラリーを放冷しながら静置して粒子を沈殿させ、上澄み液を除去することにより、導電性粒子を調製した。
このようにして得られた導電性粒子に純水2Lを加え、常温で2分間攪拌し、その後、1分間静置して導電性粒子を沈殿させ、上澄み液を除去した。この操作を更に2回繰り返し、その後、90℃に加熱した純水2Lを加えて攪拌し、得られたスラリーを濾紙によって濾過して導電性粒子を回収した。そして、この導電性粒子を、90℃に設定された乾燥機によって乾燥処理した。
得られた導電性粒子は、数平均粒子径が7.3μm、BET比表面積が0.38×103 m2 /kg、(被覆層を形成する金の質量)/(磁性芯粒子[A]の質量)の値が0.3であった。
この導電性粒子を「導電性粒子(a)」とする。
図40および図41に示す構成に従い、下記の条件により、上記の試験用ウエハW1における各被検査電極領域に対応して形成された393個の異方導電膜配置用孔(42)を有する直径が8インチのフレーム板(41)を作製した。
このフレーム板(41)の材質はコバール(線熱膨張係数5×10-6/K)で、その厚みは、60μmである。
異方導電膜配置用孔(42)の各々は、その横方向(図40および図41において左右方向)の寸法が6400μmで縦方向(図40および図41において上下方向)の寸法が320μmである。
縦方向に隣接する異方導電膜配置用孔(42)の間の中央位置には、円形の空気流入孔(44)が形成されており、その直径は1000μmである。
付加型液状シリコーンゴム100重量部に、導電性粒子[a]30重量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、成形材料を調製した。
以上において、使用した付加型液状シリコーンゴムは、それぞれ粘度が250Pa・sであるA液およびB液よりなる二液型のものであって、その硬化物の圧縮永久歪みが5%、デュロメーターA硬度が32、引裂強度が25kN/mのものである。
ここで、付加型液状シリコーンゴムおよびその硬化物の特性は、以下のようにして測定されたものである。
(i)付加型液状シリコーンゴムの粘度は、B型粘度計により、23±2℃における値を測定した。
(ii)シリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪みは、次のようにして測定した。
二液型の付加型液状シリコーンゴムにおけるA液とB液とを等量となる割合で攪拌混合した。次いで、この混合物を金型に流し込み、当該混合物に対して減圧による脱泡処理を行った後、120℃、30分間の条件で硬化処理を行うことにより、厚みが12.7mm、直径が29mmのシリコーンゴム硬化物よりなる円柱体を作製し、この円柱体に対して、200℃、4時間の条件でポストキュアを行った。このようにして得られた円柱体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して150±2℃における圧縮永久歪みを測定した。
(iii)シリコーンゴム硬化物の引裂強度は、次のようにして測定した。
上記(ii)と同様の条件で付加型液状シリコーンゴムの硬化処理およびポストキュアを行うことにより、厚みが2.5mmのシートを作製した。このシートから打ち抜きによってクレセント形の試験片を作製し、JIS K 6249に準拠して23±2℃における引裂強度を測定した。
(iv)デュロメーターA硬度は、上記(iii)と同様にして作製されたシートを5枚重ね合わせ、得られた積重体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して23±2℃における値を測定した。
上記(1)で作製したフレーム板(41)および上記(4)で調製した成形材料を用い、特開2002−324600号公報に記載された方法に従って、フレーム板(41)に、それぞれの異方導電膜配置用孔(42)内に配置され、当該異方導電膜配置用孔(42)の周辺部に固定されて支持された、図30に示す構成の393個の弾性異方導電膜(50)を形成することにより、異方導電性コネクター(40)を製造した。ここで、成形材料層の硬化処理は、電磁石によって厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で行った。
得られた弾性異方導電膜(50)について具体的に説明すると、弾性異方導電膜の各々は、横方向の寸法が7000μm、縦方向の寸法が1200μmであり、その機能部(51)には、60個の接続用導電部(52)が絶縁部(53)によって互いに絶縁された状態で100μmのピッチで横方向に一列に配列されており、接続用導電部(52)の各々は、横方向の寸法が40μm、縦方向の寸法が200μm、厚みが150μm、突出部(54)の突出高さが25μm、絶縁部(53)の厚みが100μmである。また、横方向において最も外側に位置する接続用導電部(52)とフレーム板(41)との間には、非接続用の導電部が配置されている。非接続用の導電部の各々は、横方向の寸法が60μm、縦方向の寸法が200μm、厚みが150μmである。また、弾性異方導電膜(50)の各々における被支持部(55)の厚み(二股部分の一方の厚み)は20μmである。
また、各弾性異方導電膜(50)における接続用導電部(52)中の導電性粒子の含有割合を調べたところ、全ての接続用導電部(52)について体積分率で約25%であった。
このようにして、合計で8枚の異方導電性コネクターを製造した。これらの異方導電性コネクターを「異方導電性コネクターC1」〜「異方導電性コネクターC8」とする。
基板材料としてアルミナセラミックス(線熱膨張係数4.8×10-6/K)を用い、試験用ウエハW1における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査用電極(31)が形成された検査用回路基板(30)を作製した。この検査用回路基板(30)は、全体の寸法が30cm×30cmの矩形であり、その検査用電極は、横方向の寸法が60μmで縦方向の寸法が200μmである。得られた検査用回路基板を「検査用回路基板T1」とする。
(1)試験1(隣接する電極構造体間の絶縁性):
シート状プローブM1、シート状プローブM2、シート状プローブN1およびシート状プローブN2の各々について、以下のようにして隣接する電極構造体間の絶縁性の評価を行った。
室温(25℃)下において、試験用ウエハW1を試験台に配置し、この試験用ウエハW2の表面上に、シート状プローブをその表面電極部の各々が当該試験用ウエハW1の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、このシート状プローブ上に、異方導電性コネクターをその接続用導電部の各々が当該シート状プローブの裏面電極部上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電性コネクター上に、検査用回路基板T1をその検査用電極の各々が当該異方導電性コネクターの接続用導電部上に位置するよう位置合わせして配置し、更に検査用回路基板T1を下方に118kgの荷重(電極構造体1個当たりに加わる荷重が平均で約5g)で加圧した。ここで、異方導電性コネクターとしては下記表1に示すものを使用した。
そして、検査用回路基板T1における23580個の検査用電極の各々に順次電圧を印加すると共に、電圧が印加された検査用電極と他の検査用電極との間の間の電気抵抗をシート状プローブにおける電極構造体間の電気抵抗(以下、「絶縁抵抗」という。)として測定し、全測定点における絶縁抵抗が10MΩ以下である測定点の割合(以下、「絶縁不良割合」という。)を求めた。
ここで、絶縁抵抗が10MΩ以下である場合には、実際上、ウエハに形成された集積回路の電気的検査に使用することが困難である。
以上の結果を下記結果を表1に示す。
シート状プローブM3、シート状プローブM4、シート状プローブN3およびシート状プローブN4の各々について、以下のようにして被検査電極に対する電極構造体の接続安定性の評価を行った。
室温(25℃)下において、試験用ウエハW2を、電熱ヒーターを具えた試験台に配置し、この試験用ウエハW2の表面上に、シート状プローブをその表面電極部の各々が当該試験用ウエハW2の被検査電極上に位置するよう位置合わせして配置し、このシート状プローブ上に、異方導電性コネクターをその接続用導電部の各々が当該シート状プローブの裏面電極部上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電性コネクター上に、検査用回路基板T1をその検査用電極の各々が当該異方導電性コネクターの接続用導電部上に位置するよう位置合わせして配置し、更に検査用回路基板T1を下方に118kgの荷重(電極構造体1個当たりに加わる荷重が平均で約5g)で加圧した。ここで、異方導電性コネクターとしては下記表2に示すものを使用した。
そして、検査用回路基板T1における23580個の検査用電極について、シート状プローブ、異方導電性コネクターおよび試験用ウエハW2を介して互いに電気的に接続された2個の検査用電極の間の電気抵抗を順次測定し、測定された電気抵抗値の2分の1の値を、検査用回路基板T1の検査用電極と試験用ウエハW2の被検査電極との間の電気抵抗(以下、「導通抵抗」という。)として記録し、全測定点における導通抵抗が1Ω以上である測定点の割合(以下、「接続不良割合」という。)を求めた。この操作を「操作(1)」とする。
次いで、検査用回路基板T1に対する加圧を解除し、その後、試験台を150℃に昇温してその温度が安定するまで放置し、その後、検査用回路基板T1を下方に118kgの荷重(電極構造体1個当たりに加わる荷重が平均で約5g)で加圧し、上記操作(1)と同様にして接続不良割合を求めた。この操作を「操作(2)」とする。
次いで、検査用回路基板T1に対する加圧を解除し、その後、試験台を室温(25℃)まで冷却した。この操作を「操作(3)」とする。
そして、上記の操作(1)、操作(2)および操作(3)を1サイクルとして合計で500サイクル連続して行った。
ここで、導通抵抗が1Ω以上である場合には、実際上、ウエハに形成された集積回路の電気的検査に使用することが困難である。
以上の結果を下記結果を表2に示す。
2 被検査電極
10 シート状プローブ
11 フレーム板
11A フレーム板形成用金属板
12 貫通孔
13 位置決め孔
14 保持部材
15 接点膜
16 絶縁膜
16A 絶縁膜形成用シート
17 電極構造体
17H 貫通孔
18a 表面電極部
18b 裏面電極部
18c 短絡部
19 被覆膜
20 積層体
21 金属層
21M 金属マスク
21H 開口
22 保護テープ
23,24,25,26,27 レジスト膜
24A レジストパターン
23H,24H,26H パターン孔
25H パターン溝
30 プローブカード
31 検査用回路基板
32 検査用電極
33 ガイドピン
35 加圧板
36 ウエハ載置台
37 加熱器
40 異方導電性コネクター
41 フレーム板
42 異方導電膜配置用孔
44 空気流入孔
50 弾性異方導電膜
51 機能部
52 接続用導電部
53 絶縁部
54 突出部
55 被支持部
90 シート状プローブ
91 絶縁性シート
92 保持部材
95 電極構造体
96 表面電極部
97 裏面電極部
98 短絡部
P 導電性粒子
Claims (4)
- 厚み方向に貫通する複数の貫通孔が形成された金属よりなるフレーム板と、このフレーム板の貫通孔の周辺部に支持された接点膜とを具えてなり、前記接点膜は、柔軟な樹脂よりなる絶縁膜と、この絶縁膜にそれぞれ接続すべき電極に対応するパターンに従って配置された、当該接点膜の表面に露出する表面電極部および当該接点膜の裏面に露出する裏面電極部が当該絶縁膜を貫通して伸びる短絡部によって互いに連結されてなる複数の電極構造体とよりなり、当該電極構造体の各々が、前記フレーム板の貫通孔内に位置するよう配置されたシート状プローブを製造する方法であって、
フレーム板形成用金属板と、このフレーム板形成用金属板上に一体的に積層された絶縁膜形成用シートとを有する積層体を用意し、
この積層体における絶縁膜形成用樹脂シートに、形成すべき電極構造体のパターンに対応するパターンに従って貫通孔を形成し、当該積層体に対してメッキ処理を施すことにより、当該絶縁膜形成用樹脂シートの貫通孔内に形成され、前記フレーム板形成用金属板に連結された短絡部および当該短絡部に連結された表面電極部を形成し、
その後、前記フレーム板形成用金属板をエッチング処理することにより、貫通孔が形成されたフレーム板を形成する工程を有することを特徴とするシート状プローブの製造方法。 - 検査対象である回路装置の被検査電極が形成された電極領域に対応してそれぞれ厚み方向に貫通する複数の貫通孔が形成された、金属よりなるフレーム板と、このフレーム板の各貫通孔の周辺部に支持された複数の接点膜とを具えてなり、前記接点膜の各々は、柔軟な樹脂よりなる絶縁膜と、この絶縁膜に前記電極領域における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置された、当該接点膜の表面に露出する表面電極部および当該接点膜の裏面に露出する裏面電極部が当該絶縁膜を貫通して伸びる短絡部によって互いに連結されてなる複数の電極構造体とよりなり、当該電極構造体の各々が、前記フレーム板の各貫通孔内に位置するよう配置されたシート状プローブを製造する方法であって、
フレーム板形成用金属板と、このフレーム板形成用金属板上に一体的に積層された絶縁膜形成用シートとを有する積層体を用意し、
この積層体における絶縁膜形成用樹脂シートに、形成すべき電極構造体のパターンに対応するパターンに従って貫通孔を形成し、当該積層体に対してメッキ処理を施すことにより、当該絶縁膜形成用樹脂シートの貫通孔内に形成され、前記フレーム板形成用金属板に連結された短絡部および当該短絡部に連結された表面電極部を形成し、
その後、前記フレーム板形成用金属板をエッチング処理することにより、複数の貫通孔が形成されたフレーム板を形成する工程を有することを特徴とするシート状プローブの製造方法。 - 検査対象である回路装置の被検査電極が形成された電極領域に対応してそれぞれ厚み方向に貫通する複数の貫通孔が形成されたフレーム板と、このフレーム板上に配置されて支持された接点膜とを具えてなり、前記接点膜は、柔軟な樹脂よりなる絶縁膜と、この絶縁膜に前記被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置された、当該接点膜の表面に露出する表面電極部および当該接点膜の裏面に露出する裏面電極部が当該絶縁膜を貫通して伸びる短絡部によって互いに連結されてなる複数の電極構造体とよりなり、当該電極構造体の各々が、前記フレーム板の各貫通孔内に位置するよう配置されたシート状プローブを製造する方法であって、
フレーム板形成用金属板と、このフレーム板形成用金属板上に一体的に積層された絶縁膜形成用シートとを有する積層体を用意し、
この積層体における絶縁膜形成用樹脂シートに、形成すべき電極構造体のパターンに対応するパターンに従って貫通孔を形成し、当該積層体に対してメッキ処理を施すことにより、当該絶縁膜形成用樹脂シートの貫通孔内に形成され、前記フレーム板形成用金属板に連結された短絡部および当該短絡部に連結された表面電極部を形成し、
その後、前記フレーム板形成用金属板をエッチング処理することにより、複数の貫通孔が形成されたフレーム板を形成する工程を有することを特徴とするシート状プローブの製造方法。 - フレーム板形成用金属板をエッチング処理することにより、貫通孔が形成されたフレーム板を形成すると共に、当該フレーム板形成用金属板の一部によって、短絡部に連結された裏面電極部を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のシート状プローブの製造方法。
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