JP2011012211A - ポリカーボネート樹脂 - Google Patents

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JP2011012211A JP2009159059A JP2009159059A JP2011012211A JP 2011012211 A JP2011012211 A JP 2011012211A JP 2009159059 A JP2009159059 A JP 2009159059A JP 2009159059 A JP2009159059 A JP 2009159059A JP 2011012211 A JP2011012211 A JP 2011012211A
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Takaaki Hikosaka
高明 彦坂
Kengo Hirata
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Abstract

【課題】高い機械的性質と優れた汚染防止性を併せ持ち、さらに有機溶剤に対する高い溶解性および優れた溶液安定性を有する共重合ポリカーボネート樹脂、および当該樹脂を含有し、白化、ゲル化等が抑制された安定な塗工液を提供すること。
【解決手段】ビスフェノールAF化合物に由来する繰り返し単位およびビフェノール化合物に由来する繰り返し単位並びに特定の末端構造を有する特定の共重合ポリカーボネート樹脂である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂および当該ポリカーボネート樹脂を含有する塗工液に関し、さらに詳しくは、高い機械的性質と優れた汚染防止性を併せ持つ共重合ポリカーボネート樹脂および当該共重合ポリカーボネート樹脂を含有する塗工液に関する。
ポリカーボネート樹脂は、機械的性質や熱的性質、透明性や電気的性質に優れていることから、様々な産業分野において成形品の素材に用いられてきた。さらに近年、ポリカーボネート樹脂は、これらの特性とともに光学的性質等をも併せて利用する機能的な製品の分野においても多用されている。このような用途分野の拡大に伴って、ポリカーボネート樹脂に対する要求性能も多様化している。このような要請に応えるためには、従来から用いられてきた2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)や1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)等を原料とするポリカーボネート樹脂では充分ではないことから、これまでに様々な化学構造を有するポリカーボネート樹脂がその用途・要求特性に応じて提案されている。
例えば、特許文献1は、(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)(ビスフェノールAF)を使用する変性ポリカーボネート樹脂を含有する電子写真感光体を開示する。当該電子写真感光体においては、変性ポリカーボネート樹脂の良好な溶液安定性や機械性能が利用されている。特許文献2は、ビスフェノールAFとビスフェノールZの共重合体を含有する電子写真感光体を開示する。当該電子写真感光体においては、前記共重合体の良好な塗膜潤滑性、耐摩耗性、ソルベントクラック耐性等が利用されている。
また、特許文献3は、ビフェノール化合物とビスフェノール化合物の共重合体を用いる電子写真感光体を開示する。当該電子写真感光体においては、前記共重合体の良好な溶液安定性(塗工液の白化の抑制)や機械的強度等が利用されている。
上記のように、ビスフェノールAFを使用する共重合ポリカーボネート樹脂およびその特性はすでに知られているが、用途によってはその耐摩耗性の向上が望まれている。例えば、他の部材等と接触するフィルムや表面コーティング材として利用する際には、従来のビスフェノールAFを使用する共重合ポリカーボネート樹脂を使用した場合に耐久性が低いという問題があった。また、これらの用途においては耐汚染性に優れることが望まれるが、耐摩耗性と耐汚染性をともに満たすポリカーボネート樹脂はこれまで知られていない。さらに、湿式成形によりフィルムや表面コーティング材を製造する場合には、使用されるポリカーボネート樹脂は、有機溶剤に対する高い溶解性および優れた溶液安定性を有することが求められる。
特開昭63−65444号公報 特開平6−282094号公報 特開平5−80548号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、高い機械的性質と優れた汚染防止性を併せ持ち、さらに有機溶剤に対する高い溶解性および優れた溶液安定性を有する共重合ポリカーボネート樹脂、および当該樹脂を含有し、白化、ゲル化等が抑制された安定な塗工液を提供することを目的とするものである。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、耐汚染性に寄与するビスフェノールAF骨格および耐摩耗性に寄与するビフェノール骨格を共重合体中にそれぞれ一定の範囲内で含有し、さらに特定の末端構造を有する特定の共重合ポリカーボネート樹脂により、前記課題が解消することを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、
1. 下記式(I)で表される繰り返し単位および下記式(II)で表される繰り返し単位並びに下記式(III)で表される末端構造を有する共重合ポリカーボネート樹脂であって、式(I)で表される繰り返し単位および式(II)で表される繰り返し単位の合計に対して、式(I)で表される繰り返し単位の割合が50〜95モル%、式(II)で表される繰り返し単位の割合が5〜50モル%であり、共重合ポリカーボネート樹脂の全末端に対して、式(III)で表される末端構造の割合が80モル%以上である共重合ポリカーボネート樹脂、
Figure 2011012211
〔式(I)および式(II)中、R1〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基のいずれかを表す。〕
Figure 2011012211
〔式(III)中、R17〜R20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基のいずれかを表す。Zは、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基または以下の式(IV)で表される基を表す。〕
Figure 2011012211
〔式(IV)中、R21〜R25は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基のいずれかを表す。〕
2. さらに、下記式(V)で表される繰り返し単位を有する共重合ポリカーボネート樹脂であって、全モノマー単位に対して、式(V)で表される繰り返し単位の割合が30モル%以下である上記1に記載の共重合ポリカーボネート樹脂、
Figure 2011012211
〔式(V)中、Xは、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−CONH−、−CR3435−(ただし、R34、R35は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基である)、−O−R36−O−(ただし、R36はカルボニル基、置換もしくは無置換のメチレン基あるいは炭素数2〜6の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基であり、分岐を有する基であってもよい)、炭素数5〜12の置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基、置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、炭素数2〜12の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基、9,9−フルオレニリデン基、1,8−メンタンジイル基、2,8−メンタンジイル基、置換もしくは無置換のピラジリデン基、または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。R26〜R33は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、または炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基を表す。〕
3. キャストフィルムの水接触角が85°以上である上記1または2に記載の共重合ポリカーボネート樹脂、および
4. 上記1〜3のいずれかに記載の共重合ポリカーボネート樹脂および有機溶剤を含む塗工液
に関するものである。
本発明によれば、高い機械的性質と優れた汚染防止性を併せ持ち、さらに有機溶剤に対する高い溶解性および優れた溶液安定性を有する共重合ポリカーボネート樹脂、および当該樹脂を含有し、白化、ゲル化等が抑制された安定な塗工液が提供される。
〔ポリカーボネート樹脂〕
本発明のポリカーボネート樹脂は、下記式(I)で表される繰り返し単位および下記式(II)で表される繰り返し単位を含有する共重合ポリカーボネート樹脂である。なお、本明細書において、「共重合ポリカーボネート樹脂」を「共重合PC」と省略することがある。
Figure 2011012211
式(I)および式(II)中、R1〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基のいずれかを表す。
1〜R16を構成するハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
1〜R16を構成する炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec-ブチル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーアミル基、n−ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基が挙げられる。これらのアルキル基にフッ素原子等のハロゲン原子が付加していてもよい。
1〜R16を構成する炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。アリール基に付加する置換基としては、例えば、上記のハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
1〜R16を構成する炭素数1〜12のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基が挙げられる。アルコキシ基中のアルキル基としては、上記の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。
1〜R16を構成する炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基が挙げられる。アリールオキシ基中のアリール基としては、上記の炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
1〜R16を構成する炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基としては、例えば、フェニルメチル基やフェニルエチルが挙げられる。アリールアルキル基に付加する置換基としては、例えば、上記のハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
本発明の共重合PCは、式(I)で表される繰り返し単位および式(II)で表される繰り返し単位の合計に対して、式(I)で表される繰り返し単位の割合が50〜95モル%、式(II)で表される繰り返し単位の割合が5〜50モル%である。式(I)で表される繰り返し単位の割合が50モル%未満のときは、式(II)で表される繰り返し単位が50モル%を超えることになり、後記する点で好ましくない。一方、95%モルを超えると、式(II)で表される繰り返し単位量が十分ではなく、耐摩耗性等の機械的強度が低下する。また、式(II)で表される繰り返し単位の割合が5%未満のときは、耐摩耗性等の機械的強度が低下し、一方、50モル%を超えると、共重合PCの結晶性が高くなりすぎる。この高すぎる結晶性は、溶液安定性の低下や、溶液の白化、不溶化等の問題を引き起こし易く、塗工液の調製において好ましくない。
上記観点から、式(I)で表される繰り返し単位の割合は、好ましくは、55〜85モル%である。また、式(II)で表される繰り返し単位の割合は、好ましくは、15〜45モル%である。
本発明の共重合PCは、下記式(III)で表される末端構造を含有する。なお、式(I)、(II)で表される繰り返し単位の右端(O−C(O)−)に末端基が結合する場合は、式(III)で表される構造からカルボニル基を除いたものが結合する。すなわち、本発明の共重合PCの主鎖は、全てカーボネート結合を介して構成されるものである。
Figure 2011012211
式(III)中、R17〜R20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基のいずれかを表す。Zは、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基または以下の式(IV)で表される基を表す。〕
Figure 2011012211
式(IV)中、R21〜R25は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基のいずれかを表す。
式(III)におけるR17〜R20を構成する原子や基の具体例としては、式(I)および式(II)のR1〜R16に関して先に示した原子や基が挙げられる。
式(III)において、Zを構成する炭素数1〜22のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec-ブチル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーアミル基、n−ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基が挙げられる。これらのアルキル基にフッ素原子等のハロゲン原子が付加していてもよい。
Zを構成する炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基が挙げられる。
Zを構成する炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
Zを構成する炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基が挙げられる。
Zを構成する炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフロロブチル基、パーフロロヘキシル基、パフロロオクチル基、パーフロロデシル基、パーフロロドデシル基等が挙げられる。
式(IV)におけるR21〜R25を構成する原子や基の具体例としては、式(I)および式(II)のR1〜R16に関して先に示した原子や基が挙げられる。
本発明の共重合PCは、共重合PCの全末端に対して、式(III)で表される末端構造の割合が80モル%以上である。80モル%未満のときは、化学的安定性が低下し、フィルムや表面コーティング材等の成形体や塗工液の経時的変色が問題になる。また、水酸基等極性や反応性が高い官能基が残存する事により表面エネルギーが増大し、異物付着等が発生しやすくなり、耐汚染性が低下する。当該観点から、好ましくは式(III)で表される末端構造の割合が95モル%以上である。この化学的安定性の理由として、共重合PCの末端水酸基やクロロホーメート基が少ないため、光、熱、酸化性物質、湿気などの作用を受けにくいことが考えられる。
本発明の共重合PCは、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηSP/C]が0.2〜5.0dl/gの範囲であることが好ましい。還元粘度の範囲は0.3〜4.0の範囲がより好ましく、0.4〜3.0である事が最も好ましい。還元粘度[ηSP/C]が0.2dl/g未満では、用途によっては共重合PCの機械的強度が低すぎる場合がある。特に、この共重合PCを、各種材料の保護コーティング材として使用した場合は表面硬度が不足し、保護層が摩耗して寿命が短くなり、実用上不利となるおそれがある。一方、還元粘度[ηSP/C]が5.0dl/gを越えると、共重合PCの溶液粘度が上昇し、キャスト製膜や湿式コーティングが困難になる。
本発明の共重合PCは、本発明の目的に支障のない範囲で、式(I)および式(II)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。当該繰り返し単位としては、例えば以下の式(V)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2011012211
式(V)中、Xは、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−CONH−、−CR3435−(ただし、R34、R35は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基である)、−O−R36−O−(ただし、R36はカルボニル基、置換もしくは無置換のメチレン基あるいは炭素数2〜6の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基であり、分岐を有する基であってもよい)、炭素数5〜12の置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基、置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、炭素数2〜12の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基、9,9−フルオレニリデン基、1,8−メンタンジイル基、2,8−メンタンジイル基、置換もしくは無置換のピラジリデン基、または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。これらの中で、高い樹脂物性(耐摩耗性、硬度)を得られることから、−O−、−S−、−SO2−、−CR3435−、炭素数5〜12の置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基、置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、炭素数2〜12の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基、または9,9−フルオレニリデン基が好ましい。
26〜R33は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、または炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基を表す。
34、R35は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基である。R34、R35を構成するハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーアミル基、n−ヘキシル基が挙げられる。炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。アリール基に付加する置換基としては、例えば、上記のハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
36を構成する置換もしくは無置換のメチレン基としては、例えば、メチレン基やメチレン基の水素原子がメチル基やトリフルオロメチル基で置換された基が挙げられる。炭素数2〜6の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基としては、例えば、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基等のアルキレン基やこれらのアルキレン基の水素原子がメチル基やトリフルオロメチル基で置換された基が挙げられる。
Xを構成する、炭素数5〜12の置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロペンチル基やシクロヘキシル基が挙げられる。これらのシクロアルキリデン基に付加する置換基としては、例えば、R34、R35で説明したハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
Xを構成する、置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、アダマンタン−1,3−ジイル基、またはピラジリデン基における置換基としては、例えば、R34、R35で説明したハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
Xを構成する、炭素数2〜12の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基としては、例えば、エチレン基や1,3−プロピレン基が挙げられる。α,ω−アルキレン基に付加する置換基としては、例えば、R34、R35で説明したハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
Xを構成する、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基が挙げられる。アリーレン基に付加する置換基としては、例えば、R34、R35で説明したハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
26〜R33で表されるハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基を構成するアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基を構成するアリール基としては、R34、R35で説明した基が挙げられる。炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基としては、例えば、フェニルメチル基やフェニルエチルが挙げられる。アリールアルキル基に付加する置換基としては、例えば、R34、R35で説明したハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
上記式(V)で表される繰り返し単位は、溶解性のさらなる改良、柔軟性の付与等に寄与する。機械的性質と汚染防止性を低下させないためには、式(V)で表される繰り返し単位は、全モノマー単位に対して、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましい。下限値については特に制限されないが、溶解性や柔軟性等の特性改良を十分なものにするためには、5モル%以上が好ましい。また、本発明の共重合PCは、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン構造を有する単位を含有しているものであってもよい。
〔ポリカーボネート樹脂の製造方法〕
本発明の共重合PCは、後述するモノマーを原料として使用し、末端停止剤の存在下で公知の重縮合反応を行うことで容易にフレーク状の粉体として得ることができる。例えば、ホスゲンをはじめとする各種のジハロゲン化カルボニル、あるいはクロロホルメート化合物等のハロホルメート類、炭酸エステル化合物などを用いて、酸結合剤の存在下に界面重縮合を行うことで好適に炭酸エステル結合を形成することができる。
本発明の共重合PCを製造する際は、モノマーとして下記の(VI)式で表されるビスフェノールAF化合物および(VII)式で表されるビフェノール化合物が用いられる。
Figure 2011012211
式(VI)および式(VII)中、R1〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基のいずれかを表す。これらの基の具体例としては、式(I)および式(II)におけるR1〜R16に関して説明したものが挙げられる。
式(VI)で表されるビスフェノールAF化合物の具体例として、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロ−5−メチルフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−プロピル)フェニル]プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン等が挙げられる。これらの中で、入手性や耐汚染性の点から、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
本発明においては、上記式(VI)で表されるビスフェノールAF化合物の一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
式(VII)で表されるビフェノール化合物の具体例として、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジシクロヘキシルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルビフェニル等が挙げられる。これらの中で、入手性や耐摩耗性の点で、4,4’−ジヒドロキシビフェニルが好ましい。
本発明においては、上記式(VII)で表されるビフェノール化合物の一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂を製造する際は、上記の式(VI)、式(VII)で表される二価フェノール化合物に加えて、以下の式(VIII)で表されるビスフェノール化合物などをモノマーとして使用してもよい。
Figure 2011012211
式(VIII)中、Xは、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−CONH−、−CR3435−(ただし、R34、R35は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基である)、−O−R36−O−(ただし、R36はカルボニル基、置換もしくは無置換のメチレン基あるいは炭素数2〜6の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基であり、分岐を有する基であってもよい)、炭素数5〜12の置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基、置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、またはアダマンタン−1,3−ジイル基、炭素数2〜12の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基、9,9−フルオレニリデン基、1,8−メンタンジイル基、2,8−メンタンジイル基、置換もしくは無置換のピラジリデン基、または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリーレン基である。
26〜R33は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基である。これらの基の具体例としては、式(V)におけるX、R26〜R33に関して説明したものが挙げられる。
式(VIII)で表されるビスフェノール化合物などの具体例として、例えば、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(2−tert−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、末端フェノールポリジメチルシロキサン、α−トリメチルシロキシ−ω−ビス{3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピルジメチルシロキシ}−メチルシロキシ−2−ジメチルシリルエチル−ポリジメチルシロキサン、およびα,ω−ビス(3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロピル)−ジメチルシロキシ−ポリジメチルシロキサンなどのビスフェノール化合物が挙げられる。これらのビスフェノール化合物は2種以上を混合して用いてもよい。
これらのビスフェノール化合物の中で、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、末端フェノールポリジメチルシロキサン、α−トリメチルシロキシ−ω−ビス{3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピルジメチルシロキシ}−メチルシロキシ−2−ジメチルシリルエチル−ポリジメチルシロキサン、およびα,ω−ビス(3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロピル)−ジメチルシロキシ−ポリジメチルシロキサンが好ましい。
さらに好ましくは、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンである。
このようなビスフェノール化合物を(VI)式で表されるビスフェノールAF化合物および(VII)式で表されるビフェノール化合物と併用することで、得られるポリカーボネートの溶解性や柔軟性等の特性を改良することができる。
また、本発明の共重合PCを製造する際は、三価以上のフェノールをモノマーとして用いて分岐構造を持たせてもよい。
本発明の共重合PCを製造する際は、末端停止剤として下記の式(IX)で表されるフェノール化合物が用いられる。
Figure 2011012211
式(IX)中、R17〜R20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基のいずれかを表す。Zは、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基または前記式(IV)で表される基を表す。これらの基の具体例としては、式(III)におけるR17〜R20およびZに関して説明したものが挙げられる。
式(IX)で表されるフェノール化合物の具体例としては、例えば、p−tert−ブチル−フェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−パーフルオロノニルフェノール、p−パーフルオロヘキシルフェノール、p−パーフルオロオクチルフェノール、p−パーフルオロドデシルフェノール、p−パーフルオロデシルフェノール、p−パーフルオロオキシルフェノール、p−tert−パーフルオロブチルフェノール、1−(p−ヒドロキシベンジル)パーフルオロデカン、p−〔2−(1H,1H−パーフルオロトリドデシルオキシ)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕フェノール、p−(1H,1H−パーフルオロオクチルオキシ)フェノールなどが挙げられる。
末端停止剤の添加割合は、共重合組成比として、通常0.05〜30モル%、好ましくは0.1〜10モル%であり、この割合が30モル%を超えると機械的強度の低下を招くことがあり、0.05モル%未満であると成形性の低下を招くことがある。
本発明の共重合PCを製造する際に、必要に応じて分岐剤を使用してもよい。分岐剤の具体例としては、フロログルシン、ピロガロール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、2,4−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス〔4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、2,4−ビス〔2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス〔4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ〕メタン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、シアヌル酸、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロモイサチンなどが挙げられる。
これら分岐剤の添加量は、共重合組成比で通常30モル%以下、好ましくは5モル%以下であり、これが30モル%を超えると成形性の低下を招くことがある。
界面重縮合を行う場合、酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物や、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ピリジン、トリエチルアミンなどの有機塩基、あるいはこれらの混合物を用いることができる。この酸結合剤の使用割合も反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。具体的には、原料の二価フェノールの水酸基1モル当たり、1当量もしくはそれより過剰量、好ましくは1〜10当量の酸結合剤を使用すればよい。
ここで用いる溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素や、塩化メチレン、クロロホルム、1.1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、アセトフェノン、シクロヘキサノンなどのケトン化合物、THF、ジオキサン等のエーテル化合物などが好適なものとして挙げられる。これら溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、互いに混ざり合わない2種の溶媒を用いて界面重縮合反応を行ってもよい。
また、触媒としては、トリメチルアミンや、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルアニリンなどの三級アミン、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリブチルベンジルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイドなどの四級アンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどの四級ホスホニウム塩などが好適である。
さらに、必要に応じて、この反応系に亜硫酸ナトリウムやハイドロサルファイト塩などの酸化防止剤を少量添加してもよい。
本発明の共重合PCの製造法は、具体的には様々な態様で実施可能であり、例えば、(VI)式で表されるビスフェノールAF化合物等の二価フェノール化合物とホスゲンなどを反応させてポリカーボネートオリゴマーを製造し、ついで、前記溶媒および酸結合剤のアルカリ水溶液の混合液の存在下で、このポリカーボネートオリゴマーを二価フェノール化合物と反応させる方法が挙げられる。
また、その他の製造法として、(VI)式で表されるビスフェノールAF化合物や(VII)式で表されるビフェノール化合物等の二価フェノール化合物を、前記溶媒とアルカリ水溶液との混合液中で反応させて共重合PCを得る方法が挙げられる。
通常は、前者の、ポリカーボネートオリゴマーを製造した後これを用いて共重合PCを製造する方法が効率的であることから好ましい。この場合、ポリカーボネートオリゴマー製造段階においては、(VII)式で表されるビフェノール化合物の使用割合は、全モノマー基準で10モル%以下が好ましく、3モル%以下がより好ましく、使用しないことが特に好ましい。ビフェノール化合物の使用割合を減らすことで、得られた共重合PCを有機溶剤に溶解する際に溶液(塗工液)が白化することを避けることができる。
以下において、ポリカーボネートオリゴマーの製造方法について説明する。
ポリカーボネートオリゴマーを製造するには、まず、アルカリ水溶液に(VI)式で表されるビスフェノールAF化合物や(VII)式で表されるビフェノール化合物や、場合により(VIII)式で表される二価フェノール化合物を溶解し、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液を調製する。ついで、このアルカリ水溶液と塩化メチレンなどの有機溶媒との混合液に、ホスゲンを導入して反応させ、二価フェノール化合物のポリカーボネートオリゴマーを合成する。ホスゲンの導入はpH8〜9になった時点で終了することが好ましい。ついで、反応溶液を水相と有機相とに分離し、ポリカーボネートオリゴマーを含む有機相を得る。この際、アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、0.1〜5規定の範囲が好ましく、また有機相と水相との容積比は、10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5の範囲である。
反応温度は、冷却下に通常0〜70℃、好ましくは5〜65℃、さらに好ましくは10〜35℃であり、反応時間は15分間〜4時間、好ましくは30分間〜3時間程度である。
上記のようにホスゲンの導入をpH8〜9になった時点で終了することで、ポリカーボネートオリゴマー中の水酸基が少なくなり、かつ反応混合物中へのホスゲン残留を防止することができる。すなわち、pHが9以下であれば水酸基の転換率を十分高くすることができる。これは、過剰なアルカリが存在する条件では、pH9を超える範囲でホスゲンの導入を停止すると水酸基が消費されたことを確認できないが、pH9以下であれば、水酸基がクロロホーメート基に変換され、過剰なアルカリとホスゲンの反応によりpHが下がり始めていることを確認することで転換率を推測することができる。一方、pH8未満までホスゲンを吹き込むと、ホスゲンが残留するおそれがあるため好ましくない。
上記の方法で得られるポリカーボネートオリゴマーの平均分子量は6000以下、重合度は,通常20以下、好ましくは2〜10量体である。
このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーを含む有機相に、(VI)式で表されるビスフェノールAF化合物や(VII)式で表されるビフェノール化合物や、(VIII)式で表される二価フェノール化合物等の二価フェノール化合物を加えて反応させる。反応温度は、0〜150℃、好ましくは5〜40℃、特に好ましくは5〜20℃である。特に反応温度を20℃以下とすることで、生成する共重合PCの着色(YIの上昇)を抑制することができる。
反応に用いるアルカリ量は、全クロロホーメート基に対して通常1.1〜5当量、好ましくは1.4〜3当量、さらに好ましくは1.4〜2当量で行う。1当量未満ではアルカリが不足し、共重合PCの全末端に対する式(III)で表される末端構造の割合を80モル%以上にすることが困難になる。また、5当量を超えるとクロロホーメート基やカーボネート結合の分解反応により、目標とする共重合組成と異なる値のものが得られたり、分子量が低下する傾向があり好ましくない。
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでもよいが、通常は、常圧もしくは反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応時間は、反応温度によって左右されるが、通常0.5分間〜10時間、好ましくは1分間〜2時間程度である。
この反応にあたって、二価フェノール化合物は有機溶媒溶液および/またはアルカリ水溶液として添加するのが望ましい。その添加順序については特に制限はない。なお、触媒、末端停止剤および分岐剤などは、上記の製造法において、必要に応じて添加することができ、例えばポリカーボネートオリゴマーの製造時、その後の高分子量化の反応時のいずれか、またはその両方において用いられる。
このようにして得られる共重合PCは、前記式(I)で表される繰り返し単位および前記式(II)で表される繰り返し単位を含有し、共重合PCの全末端に対して、前記式(III)で表される末端構造の割合が80モル%以上である共重合PCである。
なお、得られる共重合PCの還元粘度[ηSP/C](粘度平均分子量と相関のある値)を前記の範囲にするには、例えば、前記反応条件の選択、分岐剤や分子量調節剤の使用量の調節など各種の方法によってなすことができる。また、場合により、得られた共重合PCに適宜物理的処理(混合、分画など)および/または化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所定の還元粘度[ηSP/C]の共重合PCを得ることもできる。
また、得られた反応生成物(粗生成物)は、公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)の共重合PCを回収することができる。
〔塗工液〕
本発明の共重合PCは、フィルムや表面コーティング材の原料として好ましく用いられる。フィルムや表面コーティング材を製造する場合、通常は本発明の共重合PCを含有する塗工液が用いられる。
前記塗工液は、本発明の共重合PCを有機溶剤に溶解、又は分散することにより得られる。塗工液中、共重合PCは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、塗工液には、他の樹脂、低分子化合物、各種添加剤、各種機能性化合物、着色剤、フィラー、ファイバー、微粒子などの他の成分を含んでいてもよい
塗工液の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、エチルセロソルブ等のエステル系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド等が挙げられる。これらの中で、好適に用いられるものとして、ハロゲン化炭化水素系溶媒及びエーテル系溶媒が挙げられる。
これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合溶媒として用いてもよい。
塗工液中の共重合PCの含有量は、共重合PC及び有機溶剤の合計量に対する共重合PCの割合が、通常、1〜30質量%、好ましくは、5〜20質量%である。
本発明の共重合PCは、有機溶剤に対する高い溶解性および優れた溶液安定性を有するものである。したがって本発明の共重合PCを利用する塗工液は長期にわたって重合体成分の白化又はゲル化を起こすことなく安定に保存することが可能である。
前記塗工液を使用してフィルムや表面コーティング材を製造する方法としては、従来公知の方法を使用することができる。
本発明の共重合PCを用いてキャストフィルムを製造すると、その水接触角は通常85°以上となり、優れた汚染防止性を有するフィルムが得られる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
〔還元粘度の測定〕
以下の実施例および比較例において、共重合PCの溶液(濃度:0.5g/dl、溶媒:塩化メチレン)を調製し、20℃で還元粘度〔ηsp/C〕を測定した。還元粘度の測定には、離合社製の自動粘度測定装置VMR−052USPCを用い、自動粘度用ウッベローデ改良型粘度計(RM型)により測定した。
〔構造および組成〕
共重合PCの構造および組成は、1H−NMR分析から求めた。末端構造は、1H−NMR分析を行い、積分比から、式(III)で表される構造、クロロホーメート基末端構造、水酸基末端構造の比を求め、式(III)で表される構造の割合を計算した。
〔キャストフィルムの作成〕
以下に示す実施例および比較例において得られた共重合PCを用いて以下の方法によりキャストフィルムを作成した。
共重合PC2.0gを12ミリリットルのテトラヒドロフランに分散し、塗工液を調製した。この塗工液をアプリケーターにより、厚み0.2mmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムに塗布し、乾燥し、膜厚約30ミクロンのフィルムを作成した。
〔キャストフィルムの評価〕
1.耐摩耗性
フィルムのキャスト面の耐摩耗性をスガ摩耗試験機NUS−ISO−3型(スガ試験機社製)を用いて評価した。試験条件は4.9Nの荷重をかけた摩耗紙(粒径3μmのアルミナ粒子を含有)をフィルム表面と接触させて2,000回往復運動を行い、質量減少量を測定した。
2.化学的安定性
フィルムを日光、風雨の当たる屋外に設置し、初期および3か月後の外観、色調を目視で確認した。
A:無色透明
B:変色または不透明な部分がある。
3.水接触角
フィルムに超純水をマイクロシリンジで滴下し、直後の画像を写真により取り込み、接触角の測定を行った。
4.耐汚染性
着色剤を混練により練り込んだポリスチレンを微粉砕して得られた樹脂粉末(体積平均粒径7μm)中にフィルムを埋没させ、同粉末全体を温度50℃、圧力1kg/cm2で1分間加圧した。フィルムを同粉末から取り出し、フィルム背面を軽く手で叩いた後のフィルム上に残存する樹脂粉末を目視確認し、耐汚染性の評価を行った。
A:付着物の残存なし
B:付着物があるが、直接付着物を布で擦ると完全に取れる。
C:付着物があり、直接付着物を布で擦った場合にも一部固着したものが残存する。
製造例1 ビスフェノールAFオリゴマー(PCO−AF)の合成
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ビドロキシフェニル)プロパン0.2kgを16質量%の水酸化カリウム水溶液1.2kgに溶解した溶液と、塩化メチレン1.3kgとを混合して撹拌しながら、反応内温が10〜30℃の範囲内になる様に冷却下、液中にホスゲンガスを1L/分の割合で吹き込み、pHが8〜9になった時点(吹き込み時間35分)で終了した。次いで、この反応液を静置分離し、有機相に重合度が2〜6であり、分子末端にクロロホルメート基を有するオリゴマー(PCO−AF)の塩化メチレン溶液を得た。
(クロロホーメート基濃度0.86モル/L、オリゴマー濃度280g/L)
製造例2 ビスフェノールZオリゴマー(PCO−Z)の合成
1,1−ビス(4−ビドロキシフェニル)シクロヘキサン0.2kgを16質量%の水酸化カリウム水溶液1.2kgに溶解した溶液と、塩化メチレン1.3kgとを混合して撹拌しながら、反応内温が10〜30℃の範囲内になる様に冷却下、液中にホスゲンガスを1L/分の割合で吹き込み、pHが8〜9になった時点(吹き込み時間40分)で終了した。次いで、この反応液を静置分離し、有機相に重合度が2〜6であり、分子末端にクロロホルメート基を有するオリゴマー(PCO−Z)の塩化メチレン溶液を得た。
(クロロホーメート基濃度0.42モル/L、オリゴマー濃度200g/L)
実施例1
反応容器に、メカニカルスターラー、撹拌羽根、邪魔板を装着し、製造例1で得られたPCO−AF(32mL)に塩化メチレン(28mL)を添加した。これに末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール(0.03g)を添加し、十分に混合した。
別の容器において、2モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液18mLを室温以下に冷却した後、ハイドロサルファイトを0.1g、4,4’−ビフェノール1.4gを添加し、完全に溶解してモノマー溶液を調製し、これを前記反応容器に加えた。さらに触媒として7%のトリエチルアミン水溶液を0.2mL加え、10〜20℃で1時間攪拌した。
得られた反応混合物を塩化メチレン200mL、水50mLで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水100mLで一回、0.01モル/L塩酸100mLで1回、水100mLで三回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥する事により下記構造のポリカーボネート共重合体(PC−1)を得た。PC−1は塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]が1.14dl/gであった。
PC−1を用いて、上記方法によりキャストフィルムを作成し、評価した。結果を第2表に示す。なお、フィルム作成に用いた塗工液は、溶解初期、及び1ヶ月間の放置によってもゲル化、白化などは起こさなかった。
Figure 2011012211
実施例2
PCO−AF(32mL)を、PCO−AF(154mL)とPCO−Z(126mL)の混合物に変更し、さらに第1表に示す試薬を使用した以外は実施例1と同様に反応を行い、下記構造のPC−2を得た。PC−2の[ηsp/C]は1.05dl/gであった。PC−2を用いて、上記方法によりキャストフィルムを作成し、評価した。結果を第2表に示す。
Figure 2011012211
比較例1
PCO−AF(32mL)を、PCO−AF(154mL)とPCO−Z(126mL)の混合物に変更し、さらに第1表に示す試薬を使用した以外は実施例1と同様に反応を行い、下記構造のPC−3を得た。PC−3の[ηsp/C]は1.15dl/gであった。PC−3を用いて、上記方法によりキャストフィルムを作成し、評価した。結果を第2表に示す。
Figure 2011012211
比較例2
PCO−AFをPCO−Z(32mL)に変更した以外は、請求項1と同様にして下記構造のPC−4を得た。PC−4の[ηsp/C]は1.18dl/gであった。PC−4を用いて、上記方法によりキャストフィルムを作成し、評価した。結果を第2表に示す。
Figure 2011012211
比較例3
モノマー溶液の調製において、2モル/LのNaOH水溶液の使用量を10mLに変更した以外は、請求項1と同様にして下記構造のPC−5を得た。PC−5の[ηsp/C]は0.75dl/gであった。また、PC−5の全末端中の式(III)で表される末端構造の割合は72モル%であった。これは共重合PCの合成反応が、水酸基のクロロホーメート化反応とアルカリによるクロロホーメートの分解が同時に起こる反応であるためと考えられる。クロロホーメート基1モルは4モルのアルカリと反応し、水酸基に変換される。よって過剰のアルカリがない場合は、水酸基またはクロロホーメート基が残存し、結果として共重合PCの末端が式(III)の構造になりにくくなる。
PC−5を用いて、上記方法によりキャストフィルムを作成し、評価した。結果を第2表に示す。なお、PC−5を用いたフィルムの化学的安定性試験においては3か月後には、淡黄色に変化し、一部に白く不透明な部分が見られた。
Figure 2011012211
Figure 2011012211
Figure 2011012211
本発明によれば、高い機械的性質と優れた汚染防止性を併せ持ち、さらに有機溶剤に対する高い溶解性および優れた溶液安定性を有する共重合ポリカーボネート樹脂、および当該樹脂を含有し、白化、ゲル化等が抑制された安定な塗工液が提供される。本発明の共重合ポリカーボネート樹脂および塗工液は、フィルムや表面コーティング材として好ましく用いられる。

Claims (4)

  1. 下記式(I)で表される繰り返し単位および下記式(II)で表される繰り返し単位並びに下記式(III)で表される末端構造を有する共重合ポリカーボネート樹脂であって、式(I)で表される繰り返し単位および式(II)で表される繰り返し単位の合計に対して、式(I)で表される繰り返し単位の割合が50〜95モル%、式(II)で表される繰り返し単位の割合が5〜50モル%であり、共重合ポリカーボネート樹脂の全末端に対して、式(III)で表される末端構造の割合が80モル%以上である共重合ポリカーボネート樹脂。
    Figure 2011012211
    〔式(I)および式(II)中、R1〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基のいずれかを表す。〕
    Figure 2011012211
    〔式(III)中、R17〜R20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基のいずれかを表す。Zは、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基または以下の式(IV)で表される基を表す。〕
    Figure 2011012211
    〔式(IV)中、R21〜R25は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基のいずれかを表す。〕
  2. さらに、下記式(V)で表される繰り返し単位を有する共重合ポリカーボネート樹脂であって、全モノマー単位に対して、式(V)で表される繰り返し単位の割合が30モル%以下である請求項1に記載の共重合ポリカーボネート樹脂。
    Figure 2011012211
    〔式(V)中、Xは、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−CONH−、−CR3435−(ただし、R34、R35は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基である)、−O−R36−O−(ただし、R36はカルボニル基、置換もしくは無置換のメチレン基あるいは炭素数2〜6の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基であり、分岐を有する基であってもよい)、炭素数5〜12の置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基、置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、炭素数2〜12の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基、9,9−フルオレニリデン基、1,8−メンタンジイル基、2,8−メンタンジイル基、置換もしくは無置換のピラジリデン基、または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。R26〜R33は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、または炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアリールアルキル基を表す。〕
  3. キャストフィルムの水接触角が85°以上である請求項1または2に記載の共重合ポリカーボネート樹脂。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の共重合ポリカーボネート樹脂および有機溶剤を含む塗工液。
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