JP2011012031A - 化粧料用紫外線カット剤およびそれを用いた化粧料 - Google Patents

化粧料用紫外線カット剤およびそれを用いた化粧料 Download PDF

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Abstract

【課題】分散性および貯蔵安定性に優れると共に、化粧料に配合した場合に、配合安定性および貯蔵安定性に優れ、かつ肌に対する刺激性が小さい化粧料を与える化粧料用紫外線カット剤およびそれを用いた化粧料を提供すること。
【解決手段】酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ一次粒子径が1nm以上、100nm以下である金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有する化粧料用紫外線カット剤であって、さらに、重量平均分子量が1,000以上であり、酸価が60mgKOH/g以上、400mgKOH/g以下であるポリアクリル系分散剤を含有することを特徴とする化粧料用紫外線カット剤およびそれを用いた化粧料。
【選択図】なし

Description

本発明は、化粧料用紫外線カット剤およびそれを用いた化粧料に関する。
酸化亜鉛や酸化チタンは、紫外線遮断能に優れていることから、化粧料の紫外線カット剤として用いることが期待される。これらの金属酸化物は、屈折率が高くて隠蔽力が大きいので、肌上で不自然に白化しやすく、化粧料に適した透明性を確保しようとすると、粒子径が100nm以下の微粒子で分散していることが必要となる。しかし、粒子径が小さくなると、表面積が増大するので、分散状態を維持することが困難になる。また、酸化亜鉛は両性酸化物であるので、酸性やアルカリ性の条件下では、水分に溶出し、例えば、肌にアレルギー症状を引き起すことがある。酸化チタンは強力な光触媒であるので、他の配合成分を劣化させることがある。さらに、一般に、金属酸化物は、有機化合物に比べて、肌に対する感触が劣るので、化粧料に配合することが好まれない傾向にある。
そこで、これらの問題点を解決するために、特許文献1には、金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆する技術が開示されている。この技術では、シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理する際に、および/または、シリカ被覆金属酸化物微粒子、好ましくはカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子の存在下で乳化重合を行う際に、水性媒体にシリカ被覆金属酸化物微粒子を分散させるために分散剤が用いられる。この場合、例えば、低分子量のアニオン系分散剤を用いると、皮膚から吸収されやすいので、得られたポリマー被覆金属酸化物微粒子を、例えば、化粧料に配合した場合に、皮膚刺激性が大きくなるという懸念がある。また、低分子量のアニオン系分散剤に代えて、低分子量のノニオン系分散剤を用いると、皮膚刺激性は小さいが、固形分が高い水分散体の状態では、貯蔵安定性が低下し、経時的に凝集することがある。しかも、得られたポリマー被覆金属酸化物微粒子を、例えば、化粧料に配合した場合に、必要に応じて、剤型の安定性を高めるために、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを配合すると、化粧料の配合安定性および貯蔵安定性が低下し、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が激しく凝集することがある。
また、例えば、特許文献2および3にも、金属酸化物微粒子の表面を(メタ)アクリル系ポリマーで被覆する技術が開示されている。しかし、これらの技術は、溶液重合で調製した(メタ)アクリル系ポリマーと金属酸化物微粒子とを溶媒中で混合し、乾燥させて粉体化するので、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の粒子径が大きくなり、透明性が発現されないことがある。しかも、金属酸化物微粒子と(メタ)アクリル系ポリマーとが化学結合していないので、金属酸化物微粒子と(メタ)アクリル系ポリマーとの間に水分などが侵入し、例えば、酸化亜鉛微粒子を用いた場合には、酸化亜鉛の溶出が起こり、酸化鉄微粒子を用いた場合には、酸化鉄の酸化が進み、変色することがある。いずれにせよ、特許文献2および3に開示された技術は、金属酸化物微粒子に疎水性を付与することにより、洗い流し性を改善することや肌に対する密着性および付着性を向上することを課題としたものであって、分散体の貯蔵安定性や化粧料の配合安定性および貯蔵安定性を向上することを意図したものではない。
特開2008−266283号公報 特開2007−277415号公報 特開平8−337514号公報
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、高い透明性と優れた紫外線遮断能を維持しながら、分散性および貯蔵安定性に優れると共に、化粧料に配合した場合に、配合安定性および貯蔵安定性に優れ、かつ肌に対する刺激性が小さい化粧料を与える化粧料用紫外線カット剤およびそれを用いた化粧料を提供することにある。
本発明者らは、種々検討の結果、一次粒子径が1nm以上、100nm以下である特定の金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有する化粧料用紫外線カット剤が、さらに、所定の重量平均分子量および酸価を有するポリアクリル系分散剤を含有するようにすれば、上記課題が解決されることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ一次粒子径が1nm以上、100nm以下である金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有する化粧料用紫外線カット剤であって、さらに、重量平均分子量が1,000以上であり、酸価が60mgKOH/g以上、400mgKOH/g以下であるポリアクリル系分散剤を含有することを特徴とする化粧料用紫外線カット剤を提供する。本発明の化粧料用紫外線カット剤において、前記ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、例えば、分散体および/または粉体の形態である。
また、本発明は、上記のような化粧料用紫外線カット剤を含有することを特徴とする化粧料を提供する。なお、前記化粧料は、好ましくは、親水性増粘剤または乳化安定剤としてカルボキシビニルポリマーが配合されている。ここで、「カルボキシビニルポリマー」とは、化粧料や化粧基剤の分野において「カルボマー」とも呼ばれる親水性増粘剤または乳化安定剤を意味し、ペンタエリスチルアリルエーテル、スクロースアリルエーテルまたはプロピレンアリルエーテルなどで架橋したアクリル系ポリマーである。
本発明によれば、特定のポリマー被覆金属酸化物微粒子を特定のポリアクリル系分散剤と組み合わせることにより、高い透明性と優れた紫外線遮断能を有しながら、分散性および貯蔵安定性に優れると共に、化粧料に配合した場合に、配合安定性および貯蔵安定性に優れ、かつ肌に対する刺激性が小さい化粧料を与える化粧料用紫外線カット剤、および、このように優れた化粧料が得られる。
≪化粧料用紫外線カット剤≫
本発明の化粧料用紫外線カット剤は、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ一次粒子径が1nm以上、100nm以下である金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有する化粧料用紫外線カット剤であって、さらに、重量平均分子量が1,000以上であり、酸価が60mgKOH/g以上、400mgKOH/g以下であるポリアクリル系分散剤を含有することを特徴とする。ここで、「一次粒子径」とは、金属酸化物微粒子を構成する最小の粒子である一次粒子の粒子径を意味し、本発明では、下記の実施例に記載する画像解析法により求めた数平均粒子径である。
なお、本発明の化粧料用紫外線カット剤において、ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、例えば、分散体および/または粉体である。ここで、「分散体」とは、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が分散媒に分散してなる分散液を意味する。分散体のうち、分散媒が水性媒体である場合には、特に「水分散体」ということがある。
<ポリアクリル系分散剤>
本発明の化粧料用紫外線カット剤は、特定のポリマー被覆金属酸化物微粒子に加えて、重量平均分子量が1,000以上であり、酸価が60mgKOH/g以上、400mgKOH/g以下であるポリアクリル系分散剤を含有する。
ポリアクリル系分散剤の重量平均分子量は、通常1,000以上、好ましくは1,500以上であり、また、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは100,000以下、さらに好ましくは50,000以下、さらにまた好ましくは20,000以下である。ポリアクリル系分散剤の重量平均分子量が小さすぎると、紫外線カット剤を配合した化粧料の皮膚刺激性が大きくなることがある。逆に、ポリアクリル系分散剤の重量平均分子量が大きすぎると、粘度が高くなり、作業性が低下することがある。なお、ポリアクリル系分散剤の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の測定値またはカタログ値である。
ポリアクリル系分散剤の酸価は、通常60mgKOH/g以上、好ましくは65mgKOH/g以上、より好ましくは70mgKOH/g以上、さらに好ましくは75mgKOH/g以上であり、また、通常400mgKOH/g以下、好ましくは350mgKOH/g以下、より好ましくは250mgKOH/g以下、さらに好ましくは200mgKOH/g以下、さらにまた好ましくは150mgKOH/g以下である。ポリアクリル系分散剤の酸価が小さすぎると、水溶性が低下することがある。逆に、ポリアクリル系分散剤の酸価が大きすぎると、分散性能が低下し、分散体の貯蔵安定性や化粧料の配合安定性および貯蔵安定性が低下することがある。なお、ポリアクリル系分散剤の酸価は、水酸化カリウムを用いた指示薬滴定法による測定値またはカタログ値である。なお、水酸化カリウムを用いた指示薬滴定法は、JIS K 0070に記載されている測定方法である。
ポリアクリル系分散剤は、例えば、シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理する際に、および/または、シリカ被覆金属酸化物微粒子、好ましくはカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子の存在下で乳化重合を行う際に、水性媒体にシリカ被覆金属酸化物微粒子を分散させるために用いられるものである。また、ポリアクリル系分散剤は、乳化重合により得られたポリマー被覆金属酸化物微粒子の分散体または粉体に後から添加したものであってもよい。
いずれにしても、本発明の「化粧料用紫外線カット剤がポリアクリル系分散剤を含有する」とは、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が分散体および/または粉体の形態である場合には、ポリアクリル系分散剤がポリマー被覆金属酸化物微粒子の第2層であるポリマー層の表面もしくは内部に存在し、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が分散体の形態である場合には、さらに、ポリアクリル系分散剤が分散媒中にポリマー被覆金属酸化物微粒子と独立して存在することを意味する。
かくして、本発明の化粧料紫外線カット剤において、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が分散体の形態である場合には、ならびに、本発明の化粧料用紫外線カット剤を、例えば、粉体型以外の剤型を有する化粧料に配合した場合には、ポリアクリル系分散剤が分散媒中に存在するので、また、ポリアクリル系分散剤がポリマー被覆金属酸化物微粒子の第2層であるポリマー層の表面もしくは内部から分散媒中に滲出するので、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が充分に分散した状態を維持し、分散体の貯蔵安定性や化粧料の配合安定性および貯蔵安定性が向上する。さらに、本発明の化粧料用紫外線カット剤を、例えば、化粧料に配合した場合に、必要に応じて、剤型の安定性を高めるために、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマーを配合しても、ノニオン系分散剤を単独で用いた場合と異なり、化粧料の配合安定性および貯蔵安定性が低下することなく、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が凝集することもない。
ポリアクリル系分散剤としては、重量平均分子量が1,000以上であり、酸価が60mgKOH/g以上、400mgKOH/g以下である限り、特に限定されるものではない。ポリアクリル系分散剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。ポリアクリル系分散剤を構成する(メタ)アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸の共重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/またはスチレン系モノマーとの共重合体がより好ましく、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体がさらに好ましい。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されるものではないが、好ましくは炭素数4〜18、より好ましくは炭素数4〜15、さらに好ましくは炭素数4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどが好ましい。
スチレン系モノマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−クロロスチレン、4−クロロメチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらのスチレン系モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのスチレン系モノマーのうち、スチレン、α−メチルスチレンなどが好ましい。
上記の共重合体は、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/またはスチレン系モノマー以外に、これらのモノマーと共重合可能な他のモノマーを含有していてもよい。共重合可能な他のモノマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシ基含有モノマー;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホエチルなどのスルホ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピロリドンなどのビニル系モノマー;などが挙げられる。これらの共重合可能な他のモノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/またはスチレン系モノマー、ならびに、必要に応じて用いられる共重合可能な他のモノマーは、得られる共重合体の重量平均分子量および酸価が上記した所定の範囲内に収まる限り、共重合比率を任意に選択して用いることができる。
本発明において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および、必要に応じて用いられる共重合可能な他のモノマーは、アルキル部分が直鎖状および分岐状の各種異性体、ならびに、置換基の位置が異なった各種異性体および誘導体を包含するものである。また、必要に応じて用いられる共重合可能な他のモノマーが酸基を有する場合には、その少なくとも一部が中和されていてもよい。
ポリアクリル系分散剤は、従来公知の重合方法により、自ら調製してもよいし、あるいは、市販品を利用してもよい。ポリアクリル系分散剤の市販品としては、例えば、JONCRYL(ジョンクリル;登録商標)シリーズ(商品名、BASFジャパン製)、具体的には、JONCRYL 67(重量平均分子量12,500、酸価213mgKOH/g)、JONCRYL 678(重量平均分子量8,500、酸価215mgKOH/g)、JONCRYL 586(重量平均分子量4,600、酸価108mgKOH/g)、JONCRYL 680(重量平均分子量4,900、酸価215mgKOH/g)、JONCRYL 682(重量平均分子量1,700、酸価238mgKOH/g)、JONCRYL 683(重量平均分子量8,000、酸価160mgKOH/g)、JONCRYL 690(重量平均分子量16,500、酸価240mgKOH/g)、JONCRYL 819(重量平均分子量14,500、酸価75mgKOH/g)、JONCRYL JDX−C3000(重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g)、JONCRYL JDX−C3080(重量平均分子量14,000、酸価230mgKOH/g)などが挙げられる。JONCRYLシリーズは、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/またはスチレン系モノマーとの共重合体であり、特に、JONCRYL JDX−C3000は(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体である。なお、JONCRYLシリーズの重量平均分子量および酸価は、いずれもカタログ値である。
本発明の化粧料用紫外線カット剤におけるポリアクリル系分散剤の含有量は、特に限定されるものではないが、ポリマー被覆金属酸化物微粒子(固形分)の全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。ポリアクリル系分散剤の含有量が少なすぎると、分散性能が低く、分散体の貯蔵安定性や化粧料の配合安定性および貯蔵安定性が低下することがある。逆に、ポリアクリル系分散剤の含有量が多すぎると、ポリアクリル系分散剤を必要以上に用いることになり、製造コストが高くなることがある。
本発明の化粧料用紫外線カット剤にポリアクリル系分散剤を後から添加する場合、その添加量は、本発明の化粧料用紫外線カット剤におけるポリアクリル系分散剤の含有量が上記の範囲内となるように適宜調整すればよく、特に限定されるものではない。
<ポリマー被覆金属酸化物微粒子>
本発明の化粧料用紫外線カット剤は、特定のポリアクリル系分散剤に加えて、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ一次粒子径が1nm以上、100nm以下である金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有する。
ポリマー被覆金属酸化物微粒子において、金属酸化物微粒子は、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物微粒子である。
金属酸化物微粒子の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、球状、楕円体状、多角体状などの粒状;鱗片状、(六角)板状などの薄片状;針状、柱状、棒状、筒状;などが挙げられる。これらの形状は、単独で存在していても2種以上が混在していてもよい。これらの形状のうち、球状、楕円体状、多角体状などの粒状が好ましい。
金属酸化物微粒子の一次粒子径は、通常1nm以上、好ましくは3nm以上、より好ましくは4nm以上、さらに好ましくは5nm以上であり、また、通常100nm以下、好ましくは80nm以下、より好ましくは60nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。金属酸化物微粒子の一次粒子径が小さすぎると、凝集しやすく、取り扱いが困難になることがある。逆に、金属酸化物微粒子の一次粒子径が大きすぎると、表面を第1層としてシリカで被覆する際や、その外側を第2層としてポリマーで被覆する際に、均一に被覆できないことがある。
なお、金属酸化物微粒子の一次粒子径は、下記の実施例に記載する方法で測定した値であるが、「一次粒子径」とは、特に断らない限り、一次粒子の最短部の粒子径を意味し、「最短部の粒子径」とは、一次粒子の中心を通る最短の長さを意味する。例えば、金属酸化物微粒子の形状が球状であれば、球の直径を意味し、形状が楕円体状であれば、短径および長径のうち、短径を意味し、形状が多角体状であれば、一次粒子の中心を通る最短の長さを意味し、形状が鱗片状、(六角)板状などの薄片状であれば、板面方向に垂直な方向(すなわち、厚さ方向)において、一次粒子の中心を通る最短の長さ(=厚さ)を意味し、形状が針状、柱状、棒状、筒状などであれば、長さ方向に対して垂直方向に測定される一次粒子の中心を通る最短の長さを意味する。
金属酸化物微粒子は、従来公知の方法により、自ら調製してもよいし、市販品を利用してもよい。
ポリマー被覆金属酸化物微粒子において、第1層であるシリカ層の厚さは、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上であり、また、好ましくは100nm以下、より好ましくは60nm以下、さらに好ましくは40nm以下である。シリカ層の厚さが薄すぎると、金属酸化物微粒子の表面がシリカで充分に被覆されないことがある。逆に、シリカ層の厚さが厚すぎると、化粧料を肌に塗布した際の透明感が低下することがある。なお、「シリカ層の厚さ」とは、金属酸化物微粒子の表面に第1層として形成されたシリカ層の最も厚い部分の厚さを意味し、電子顕微鏡を用いた画像解析法で求めた値である。
シリカ被覆金属酸化物微粒子は、従来公知の方法により、自ら調製してもよいし、市販品を利用してもよい。シリカ被覆金属酸化物微粒子は、例えば、特開平11−302015号公報に記載された方法を用いて調製することも可能であるが、特開2008−266283号公報に記載された方法が最も好ましい調製法である。
ポリマー被覆金属酸化物微粒子において、第2層であるポリマー層の厚さは、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、さらに好ましくは3nm以上であり、また、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは60nm以下である。ポリマー層の厚さが薄すぎると、分散性が低下し、分散体の貯蔵安定性や化粧料の配合安定性および貯蔵安定性が低下することがある。逆に、ポリマー層の厚さが厚すぎると、紫外線遮断能が不充分となり、紫外線を有効に遮断できないことや、化粧料を肌に塗布した際の透明感が低下することがある。なお、「ポリマー層の厚さ」とは、シリカ被覆金属酸化物微粒子の外側に第2層として形成されたポリマー層の最も厚い部分の厚さを意味し、電子顕微鏡を用いた画像解析法で求めた値である。
ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、特定の金属酸化物微粒子の表面が第1層としてシリカで被覆され、かつその外側が第2層としてポリマーで被覆されている。ここで、「ポリマーで被覆されている」とは、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面全体がポリマーで切れ目なく覆われていることを意味する。なお、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面を被覆するポリマーを「被覆ポリマー」ということがある。
被覆ポリマーとしては、水性媒体中、シリカ被覆金属酸化物微粒子、好ましくはカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子の存在下で、重合性モノマーおよびラジカル開始剤を用いた乳化重合を行うことにより、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面をポリマーで被覆することができる限り、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、これらの共重合体などが挙げられる。これらのポリマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのポリマーのうち、上記のような重合反応が容易に行えることから、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、これらの共重合体が好ましい。
ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、単一のポリマーで被覆されていても2種以上のポリマーで被覆されていてもよく、また、被覆ポリマーが同じ1種類の微粒子から構成されていても被覆ポリマーが異なる2種類以上の微粒子から構成されていてもよい。
乳化重合に先立ってカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子を用いる場合には、得られたポリマー被覆金属酸化物微粒子において、被覆ポリマーは、カップリング剤を介して、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に化学結合している。ここで、「化学結合」とは、主として共有結合を意味するが、例えば、異なる原子間の共有結合は多少ともイオン結合の性格を帯びることがあるので、本発明でいう「化学結合」は、共有結合とイオン結合とが共鳴している場合を包含する。しかし、本発明でいう「化学結合」は、例えば、静電引力、分散力、水素結合、電荷移動力などの分子間に働く弱い結合は包含しない。また、「カップリング剤を介して・・・化学結合している」とは、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に存在するヒドロキシ基とカップリング剤とが化学結合し、前記カップリング剤と被覆ポリマーとが化学結合していることを意味する。
乳化重合に先立ってカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子を用いる場合には、ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、被覆ポリマーがカップリング剤を介してシリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に化学結合しているので、シリカ被覆金属酸化物微粒子と被覆ポリマーとが強固に接合されており、シリカ被覆金属酸化物微粒子と被覆ポリマーとの間に水分などが侵入することがなく、優れた耐水性を発揮する。それゆえ、例えば、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子を用いた場合には、酸化亜鉛の溶出が起こりにくい。
本発明者らは、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の第2層を構成するポリマーの溶解度パラメータ(SP値)が比較的小さいほど、ポリマー被覆金属酸化物微粒子とポリアクリル系分散剤との相性が良くなり、数平均粒子径が比較的小さいポリマー被覆金属酸化物微粒子を調製することができるので、分散体の貯蔵安定性や化粧料の配合安定性および貯蔵安定性が向上することを見出した。具体的には、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の第2層を構成するポリマーのSP値は、好ましくは14MPa−2以上、より好ましくは16MPa−2以上、さらに好ましくは18MPa−2以上であり、また、好ましくは25MPa−2以下、より好ましくは22MPa−2以下、さらに好ましくは20MPa−2以下である。ポリマー被覆金属酸化物微粒子の第2層を構成するポリマーのSP値が大きすぎると、分散体の貯蔵安定性や化粧料の配合安定性および貯蔵安定性がそれほど向上しないことがある。なお、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の第2層を構成するポリマーのSP値は、下記の実施例に記載する方法で算出した値である。
ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上であり、また、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径が小さすぎると、凝集しやすく、取り扱いが困難になることがある。逆に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径が大きすぎると、紫外線カット剤を配合した化粧料を肌に塗布した際の透明感が低下することがある。なお、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の数平均粒子径は、下記の実施例に記載する方法で測定した値であるが、「一次粒子径」とは、特に断らない限り、金属酸化物微粒子の場合と同様に定義される意味を有する。ただし、本発明のポリマー被覆金属酸化物微粒子には、シリカ被覆金属酸化物微粒子の一次粒子(すなわち、単一粒子)がポリマーで被覆されている場合と、シリカ被覆金属酸化物微粒子の二次粒子(すなわち、2個以上の単一粒子が凝集した集団)がポリマーで被覆されている場合とがあるが、いずれのポリマー被覆金属酸化物微粒子も一次粒子である。また、本発明のシリカ被覆金属酸化物微粒子には、金属酸化物微粒子の一次粒子(すなわち、単一粒子)がシリカで被覆されている場合と、金属酸化物微粒子の二次粒子(すなわち、2個以上の単一粒子が凝集した集団)がシリカで被覆されている場合とがあるが、いずれのシリカ被覆金属酸化物微粒子も一次粒子である。
本発明の化粧料用紫外線カット剤は、特定のポリアクリル系分散剤に加えて、ポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有する。ポリマー被覆金属酸化物微粒子が分散体の形態である場合、固形分としてのポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量は、化粧料用紫外線カット剤の全質量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。また、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が粉体の形態である場合、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量は、化粧料用紫外線カット剤の全質量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。いずれの場合も、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量が少なすぎると、紫外線遮断能が不充分となり、紫外線を有効に遮断できないことがある。逆に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量が多すぎると、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が分散体の形態である場合には、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が凝集しやすく、分散性が低下し、分散体の貯蔵安定性や化粧料の配合安定性および貯蔵安定性が低下することがある。なお、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が粉体の形態である場合には、分散体の形態である場合とは異なり、経時的に凝集が起こるという貯蔵安定性の問題がなくなるので、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量に上限はないが、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量を多くしようとすると、その他の成分を洗浄するための工程が必要になり、製造コストが高くなることがある。
なお、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量に言及する場合には、ポリアクリル系分散剤がポリマー被覆金属酸化物微粒子の第2層であるポリマー層の表面もしくは内部に存在すれば、このようなポリアクリル系分散剤を含めて、ポリマー被覆金属酸化物微粒子というものとする。
ポリマー被覆金属酸化物微粒子が分散体の形態である場合、分散媒としては、例えば、水;エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量200〜2000)などのグリコール類;ポリオキシエチレンメチルグルコシド、グリセリン、ジグリセリンなどの多価アルコール類;メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンなどのジメチルシリコン類;デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの環状ジメチルシリコン類;メチルフェニルポリシロキサンなどのメチルフェニルシリコン類;などが用いられる。これらの分散媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
<ポリマー被覆金属酸化物微粒子の製造>
ポリマー被覆金属酸化物微粒子は、シリカ被覆金属酸化物微粒子、好ましくはカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子の存在下で、重合性モノマーおよびラジカル開始剤を用いた乳化重合を行うことにより、水分散体の形態で製造することができる。
なお、シリカ被覆金属酸化物微粒子は、好ましくは、乳化重合に先立ってカップリング剤で処理されている。シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理することにより、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に存在するヒドロキシ基とカップリング剤とを反応させて、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に化学結合を介して官能基を導入することができる。シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に官能基を導入した後、前記官能基と反応しうる反応性基を有する重合性モノマーを反応させ、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面において、重合性モノマーからポリマーを合成することにより、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面をポリマーで切れ目なく被覆することができる。
カップリング剤としては、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に存在するヒドロキシ基と反応する反応性部位と、反応性基を有する重合性モノマーの前記反応性基と反応する官能基とを有する化合物である限り、特に限定されるものではないが、例えば、様々な官能基を有するシランカップリング剤やチタネート系カップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤を用いた場合には、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に存在するヒドロキシ基と反応して、−O−Si−結合を介して、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に様々な官能基が導入される。チタネート系カップリング剤を用いた場合には、−O−Ti−結合を介して、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に様々な官能基が導入される。カップリング剤としては、様々な官能基を有するものが市販されており、入手し易いことから、シランカップリング剤が好ましい。カップリング剤が有する官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基などを含有するシランカップリング剤であれば、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルジメチルクロロシランなどのビニル基含有シランカップリング剤;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤;γ−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのシランカップリング剤のうち、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面からポリマー合成を効率よく行えることから、ビニル基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤が好ましい。
シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理する方法としては、例えば、水性媒体中で、シリカ被覆金属酸化物微粒子とカップリング剤とを混合して攪拌すればよい。その際、シリカ被覆金属酸化物微粒子とカップリング剤との反応を促進させるために、必要に応じて、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上であり、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下の温度に加温または加熱することができる。カップリング剤の使用量は、シリカ被覆金属酸化物微粒子の全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。カップリング剤の使用量が少なすぎると、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面をポリマーで充分に被覆できないことがある。逆に、カップリング剤の使用量が多すぎると、反応液の粘度が上昇したり、反応液がゲル化を起こしたりすることがある。
シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理する際に用いる水性媒体は、下記で説明する重合反応に用いる水性媒体と同様であるが、重合反応に用いる水性媒体と同一であっても異なっていてもよい。
シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理する際には、水性媒体中にシリカ被覆金属酸化物微粒子を充分に分散させることが好ましいので、必要に応じて、分散剤を用いることができる。この場合、分散剤としては、上記のようなポリアクリル系分散剤を用いる。上記のようなポリアクリル系分散剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、上記のようなポリアクリル系分散剤に加えて、本発明の効果を損なわない限度で、他の高分子分散剤や低分子量のアニオン系および/またはノニオン系分散剤を併用してもよい。
分散剤の使用量は、シリカ被覆金属酸化物微粒子の全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。分散剤の使用量が少なすぎると、シリカ被覆金属酸化物微粒子が凝集しやすく、分散性が低下し、カップリング剤で効率よく処理することができないことがある。逆に、分散剤の使用量が多すぎると、分散剤を必要以上に用いることになり、製造コストが高くなることがある。
重合性反応基を有するカップリング剤の場合、シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理した後、未反応のカップリング剤が存在すると、重合工程での重合安定性が低下し、シリカ被覆金属酸化物微粒子が凝集することがある。それゆえ、シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理した後、未反応のカップリング剤を除去することを目的として、カップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子を洗浄してもよい。カップリング剤で処理されたシリカ被覆金属酸化物微粒子を洗浄するには、例えば、適当な溶媒に再分散させ、遠心分離し、上澄み液は捨てて沈降物のみを回収すればよい。この再分散、遠心分離および沈降物のみの回収という操作は、経済的観点からは必ずしも行う必要はないが、この操作を行う場合には、1回だけ行っても複数回行ってもよいが、3回またはそれ以上繰り返すことが好ましい。
重合反応は、水性媒体中、シリカ被覆金属酸化物微粒子、好ましくはカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子の存在下で行われる。重合反応をカップリング剤で処理したシリカ被覆金属酸化物微粒子の存在下で行う場合には、重合反応には、シリカ被覆金属酸化物微粒子をカップリング剤で処理して得られた分散体をそのまま用いてもよいし、カップリング剤で処理した後で洗浄したシリカ被覆金属酸化物微粒子を水性媒体に再分散させて得られた分散体を用いてもよい。
重合反応に用いる重合性モノマーは、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面に導入された官能基と反応しうる反応性基を有する重合性モノマーから前記官能基に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基などの官能基と反応しうる反応性基を含有する重合性モノマー、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基などを含有する重合性モノマーが挙げられる。
ビニル基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレンなどのスチレン誘導体;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合体モノマーのうち、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体が好ましい。
(メタ)アクリロイル基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
アミノ基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル類;N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミンなどのビニルアミン類;アリルアミン、α−メチルアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミンなどのアリルアミン類;(メタ)アクリルアミド,N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;p−アミノスチレンなどのアミノスチレン類;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル類が好ましい。
エポキシ基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸エステル類;ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテル類;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸エステル類が好ましい。
カルボキシ基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸;これらの不飽和ジカルボン酸のモノエステル化物;これらの不飽和ジカルボン酸の無水物;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸が好ましい。
ヒドロキシ基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;ポリカプロラクトン変性の(メタ)アクリル酸エステル類;ポリオキシエチレン変性やポリオキシプロピレン変性の(メタ)アクリル酸エステル類;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性モノマーのうち、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類が好ましい。
重合性モノマーの使用量は、シリカ被覆金属酸化物微粒子の使用量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ被覆金属酸化物微粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。重合性モノマーの使用量が少なすぎると、重合反応が速やかに進行せず、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面をポリマーで効率的に被覆できないことがある。逆に、重合性モノマーの使用量が多すぎると、シリカ被覆金属酸化物微粒子を含まないポリマー粒子が多く生成することがある。
重合開始剤としては、水溶性のラジカル重合開始剤である限り、特に限定されるものではないが、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウムなどの過酸化物;これらの過酸化物に、アスコルビン酸およびその塩、エリソルビン酸およびその塩、酒石酸およびその塩、クエン酸およびその塩、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ロンガリットC(NaHSO・CHO・HO)、ロンガリットZ(ZnSO・CHO・HO)、デクロリン(Zn(HSO・CHO))などの還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤;t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、t−ヘキシルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシドなどのジアルキルペルオキシド類;ジベンゾイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジドデカノイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ系化合物;などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量は、重合性モノマーの使用量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、重合性モノマーの使用量に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上であり、また、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
モノマー成分の重合反応は、水性媒体中で行われる。ここで、「水性媒体」とは、水、または、水と水混和性の有機溶媒との混合溶媒を意味する。水性媒体として、水と水混和性の有機溶媒との混合溶媒を用いると、界面活性剤などの分散剤を使用しなくても、原料のシリカ被覆金属酸化物微粒子や生成するポリマー被覆金属酸化物微粒子の単分散状態を充分良好に保持することができる。
しかし、有機溶媒がポリマー被覆金属酸化物微粒子水分散体や化粧用紫外線カット剤に混入することが望ましくない場合は、分散剤を用いることにより、原料のシリカ被覆金属酸化物微粒子や生成するポリマー被覆金属酸化物微粒子の単分散状態を充分良好に保持することができる。この場合、分散剤としては、上記のようなポリアクリル系分散剤を用いる。上記のようなポリアクリル系分散剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、上記のようなポリアクリル系分散剤に加えて、本発明の効果を損なわない限度で、他の高分子分散剤や低分子量のアニオン系および/またはノニオン系分散剤を併用してもよい。
分散剤の使用量は、シリカ被覆金属酸化物微粒子の全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。分散剤の使用量が少なすぎると、シリカ被覆金属酸化物微粒子が凝集しやすく、分散性が低下し、ポリマーで効率よく被覆できないことがある。逆に、分散剤の使用量が多すぎると、分散剤を必要以上に用いることになり、製造コストが高くなることがある。
水性媒体として、水と水混和性の有機溶媒との混合溶媒を用いる場合、水に対する水混和性の有機溶媒の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
水と併用しうる水混和性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、アリルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなどのケトン類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒のうち、モノマー成分から合成されるポリマーに対して貧溶媒となる有機溶媒、すなわちモノマー成分は溶解するが、モノマー成分から合成されるポリマーは溶解しない有機溶媒が好ましい。
重合反応を行う際の反応温度は、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。また、反応時間も、シリカ被覆金属酸化物微粒子や重合性モノマーの使用量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されることはないが、例えば、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上であり、また、好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下である。
重合反応後、シリカ被覆金属酸化物微粒子の表面がポリマーで被覆されてなるポリマー被覆金属酸化物微粒子の水分散体が得られる。得られた水分散体は、そのまま用いてもよいし、例えば、重合反応液を遠心分離にかけて上澄み液と沈降物に分離し、この沈降物を回収して乾燥させることにより、ポリマー被覆金属酸化物微粒子を得て、粉体の形態で用いてもよい。なお、ポリマー被覆金属酸化物微粒子を乾燥させる方法としては、従来公知の乾燥方法から適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥などが挙げられる。得られたポリマー被覆金属酸化物微粒子は、粉体のままで用いてもよいし、適当な溶媒に再分散させた分散体の形態で用いてもよい。
ポリマー被覆金属酸化物微粒子を分散媒に再分散させる方法としては、従来公知の分散方法から適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、攪拌機、ボールミル、サンドミル、超音波ホモジナイザーなどを用いた方法が挙げられる。
また、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が分散体の形態であり、前記ポリマー被覆金属酸化物微粒子を異なる分散媒に分散させる場合には、例えば、分散体を濾過、遠心分離、分散媒の蒸発などにより、ポリマー被覆金属酸化物微粒子を分離した後、置換したい分散媒に混合した後、上記のような方法を用いて分散させるか、あるいは、分散体を加熱することにより、分散体を構成する分散媒の一部または全部を蒸発させて留去しながら、置換したい分散媒を混合する、いわゆる加熱溶媒置換法などを採用することができる。
<その他>
本発明の化粧料用紫外線カット剤には、ポリマー被覆金属酸化物微粒子およびポリアクリル系分散剤以外にも、通常の化粧料に用いられる様々な化粧基剤を、紫外線遮断能などの機能を損なわない範囲で配合することができる。このような化粧基剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、増粘剤、乳化安定剤、界面活性剤、pH調節剤、防腐剤、酸化防止剤、有機系紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明の化粧料用紫外線カット剤の形態は、配合する化粧料の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、粉体、水分散体、水中油型(O/W型)分散体、油中水型(W/O型)分散体、多相型(W/O/W型またはO/W/O型)分散体、水性媒体以外の分散媒を用いた分散体などが挙げられる。
一般に、水分散体、水中油型(O/W型)や多相型(W/O/W型)の分散体の場合、例えば、シリカ被覆酸化チタン微粒子やシリカ被覆酸化亜鉛微粒子は、表面が第1層としてシリカで被覆されているので、アルカリ性であれば、安定に分散しているが、化粧料や化粧基剤に必要とされる弱酸性になると、例えば、pH調節剤を配合すると、分散性が低下し、凝集して沈降することがある。また、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子は、pHが中性からアルカリ性側や酸性側に傾くと、両性金属酸化物である酸化亜鉛の溶出が起こることがある。しかし、これらのシリカ被覆金属酸化物微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆すれば、弱酸性でも安定に分散するようになり、酸化亜鉛の溶出も起こりにくい。
他方、油中水型(W/O型)や多相型(O/W/O型)の分散体の場合、シリカ被覆金属酸化物微粒子は、分散性が劣り、容易に凝集して沈降することがある。また、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子は、例えば、保湿剤を配合すると、水分を吸着するので、両性金属酸化物である酸化亜鉛の溶出が起こることがある。しかし、これらのシリカ被覆金属酸化物微粒子の外側をポリマーで被覆すれば、安定に分散するようになり、酸化亜鉛の溶出も起こりにくい。
さらに、親水性増粘剤または乳化安定剤として、カルボキシビニルポリマーを配合すると、シリカ被覆金属酸化物微粒子との相性が悪く、化粧料用紫外線カット剤を化粧料に配合して肌に塗布した場合の感触に劣ることがある。しかし、これらのシリカ被覆金属酸化物微粒子の外側をポリマーで被覆すれば、このような親水性増粘剤または乳化安定剤との相性が良くなり、化粧料用紫外線カット剤を化粧料に配合して肌に塗布した場合の感触が向上する。また、化粧料用紫外線カット剤がポリアクリル系分散剤を含有するので、カルボキシビニルポリマーを配合しても、ノニオン系分散剤を単独で用いた場合と異なり、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が凝集することがなく、化粧料の配合安定性および貯蔵安定性が低下することもない。
本発明の化粧料用紫外線カット剤は、上記のようなポリマー被覆金属酸化物微粒子およびポリアクリル系分散剤を含有するので、高い透明性と優れた紫外線遮断能を維持しながら、分散性および貯蔵安定性に優れると共に、化粧料に配合した場合に、配合安定性および貯蔵安定性に優れ、かつ肌に対する刺激性が小さい化粧料を与える。
≪化粧料≫
本発明の化粧料は、上記のような化粧料用紫外線カット剤を配合することにより得られる。化粧料用紫外線カット剤は、化粧料の剤型に応じて適宜選択された形態で配合されるが、例えば、化粧料がパウダーファンデーションなどの粉体型の場合は、粉体の形態で配合され、化粧料が口紅、油性ファンデーションなどの油性剤型の場合は、粉体、および/または、水性媒体以外の分散媒を用いた分散体の形態で配合され、化粧料が乳化ファンデーション、クリーム、ジェルなどの乳化型の場合には、粉体、および/または、水性媒体を分散媒に用いた水分散体、および/または、水性媒体以外の分散媒を用いた分散体の形態で配合される。
化粧料用紫外線カット剤の配合量は、化粧料の全質量に対して、通常1質量%以上、80質量%以下であり、化粧料の剤型に応じて適宜選択できる。すなわち、パウダーファンデーションなどの粉体型では、好ましくは約40質量%以上、約80質量%以下であり、口紅、油性ファンデーションなどの油性剤型では、好ましくは約1質量%以上、約20質量%以下であり、乳化ファンデーション、クリーム、ジェルなどの乳化型では、好ましくは約1質量%以上、約40質量%以下である。これらの化粧料は、常法により製造され、各々の目的のために提供される。
なお、化粧料用紫外線カット剤の形態にかかわらず、化粧料における固形分としてのポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量は、化粧料の全質量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量が少なすぎると、紫外線遮断能が不充分となり、紫外線を有効に遮断できないことがある。逆に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の配合量が多すぎると、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が凝集しやすく、化粧料の配合安定性および貯蔵安定性が低下することがある。
本発明の化粧料、例えば、乳化ファンデーション、クリーム、ジェルなどの乳化型の化粧料には、好ましくは、親水性増粘剤または乳化安定剤としてカルボキシビニルポリマーが配合される。カルボキシビニルポリマーを配合する場合、その配合量は、化粧料の全質量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。カルボキシビニルポリマーの配合量が少なすぎると、化粧料が充分なゲル状態にならないことがある。逆に、カルボキシビニルポリマーの配合量が多すぎると、化粧料の粘度が必要以上に上昇することがある。
また、本発明の化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲で、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの界面活性剤;スクワラン、流動パラフィン、パラフィンワックスなどの炭化水素類;パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル;ジメチコン、シクロメチコンなどのシリコーン油;ミツロウ、オリーブ油、サフラワー油などの油剤;グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの多価アルコール;塩化ナトリウム、硫酸マグネシウムなどの安定剤;ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類;アミノ酸類;グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸塩などの抗炎症剤;パラジメチルアミノ安息香酸などのPABA系、メトキシ桂皮酸オクチルなどの桂皮酸系、オキシベンゾンなどのベンゾフェノン系、その他サリチル酸系などの有機系紫外線吸収剤;香料、色素、顔料、防腐剤、酸化防止剤、収斂剤、細胞賦活剤、美白剤、保湿剤、肌荒れ改善剤、美容成分などの公知成分を適宜配合して、例えば、ファンデーション、口紅、リップクリーム、油性ファンデーション、乳液、クリーム、ジェルなどの化粧料、特に日焼け止めを目的とした化粧料とすることができる。
本発明の化粧料は、上記のような化粧料用紫外線カット剤を含有しているので、高い透明性と優れた紫外線遮断能を有しながら、配合安定性および貯蔵安定性に優れ、かつ肌に対する刺激性が小さい。
以下、調製例、製造例および配合例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記の調製例、製造例および配合例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、下記の調製例、製造例および配合例において、特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
下記の製造例で得られたポリマー被覆金属酸化物微粒子の分散体または粉体について、含有される微粒子の形状や数平均粒子径は、以下の方法により判定または測定した。判定および測定に先立って粉末化する必要がある場合には、特に断りがない限り、以下に記載の方法に従って、粉末化した後、得られた粉末を測定試料とした。
<形状>
ポリマー被覆金属酸化物微粒子の形状は、微粒子を走査型または透過型電子顕微鏡(倍率:1万倍)で観察することにより判定した。
<一次粒子径および数平均粒子径>
金属酸化物微粒子またはポリマー被覆金属酸化物微粒子を走査型または透過型電子顕微鏡(倍率:1万倍)で観察して得られた撮影像に含まれる任意の微粒子100個の一次粒子径を測定して、下記の数式により算出した。なお、走査型電子顕微鏡で観察する場合、観察に先立って微粒子に貴金属合金の蒸着処理を行うので、蒸着層の厚さの分だけ補正して、数平均粒子径を求めた。

[式中、dは数平均粒子径、Dはi番目の微粒子の一次粒子径、nは微粒子数を表す]
<溶解度パラメータ(SP値)>
ポリマー被覆金属酸化物微粒子の第2層を構成するポリマーのSP値は、カップリング剤以外の重合性モノマーから形成される共重合体について、まず、各重合性モノマーから形成されるホモポリマーのSP値を算出し、得られた各ホモポリマーのSP値から、共重合体における各ホモポリマーの質量比に基づいて、平均値を算出することにより求めた。
各ホモポリマーのSP値は、下記式で示されるように、凝集エネルギー密度と分子容との比の平方根で表される。
SP値(MPa−2)=(ΔE/ΔV)1/2
[式中、ΔEは凝集エネルギー密度、ΔVは分子容を表す]
以下に、代表的なホモポリマーのSP値を示す。
アクリル酸エチル :21.1MPa−2
アクリル酸ブチル :20.1MPa−2
アクリル酸2−エチルヘキシル:18.9MPa−2
メタクリル酸メチル :20.5MPa−2
メタクリル酸ブチル :19.4MPa−2
なお、様々なホモポリマーの凝集エネルギーおよび分子容は、「SP値 基礎・応用と計算法」(著者:山本秀樹、第2刷、発行元:株式会社情報機構、2005年)に記載されている。
まず、金属酸化物微粒子の表面をシリカで被覆してなるシリカ被覆金属酸化物微粒子、特にシリカ被覆酸化チタン微粒子およびシリカ被覆酸化亜鉛微粒子の調製例について説明する。
≪調製例1≫
従来公知の方法、すなわち、硫酸チタニアの加水分解によって得られた含水酸化チタンを苛性アルカリで処理し、塩酸中で加熱熟成することによって得られた、平均粒子径15nmのルチル形の結晶構造を有する酸化チタン微粒子を含む強塩酸系チタニアゾル(TiO濃度140g/L)を100g/Lに濃度調整し、この強塩酸系チアニアゾルを10L(TiO換算で1,000g)測り取った。この強塩酸系チタニアゾルを室温下で攪拌しながら、これにケイ酸ソーダ水溶液(SiOとして200g/Lの濃度に調整済み)を150mL(基材である酸化チタン微粒子の全質量に対してSiO換算で3質量%)添加し、15分間熟成した。熟成後のスラリーを濾過、水洗し、基材である酸化チタン微粒子の表面に、第1の層として、該基材の全質量に対してSiO換算で3質量%の含水シリカ層が形成された酸化チタン微粒子を50質量%含有する濾過ケーキを得た。この濾過ケーキを乾燥することなく、次の工程に供した。
得られた濾過ケーキ2,060gにイソプロピルアルコールを5,000g加えた後、ディスパーで混合攪拌し、スラリー化した。さらに、このスラリーに脱イオン水1,000gとアンモニア水50gとを加え、さらに混合攪拌した(このとき、混合液のpHは10〜11とした;アンモニアの量はpHを調整するために加減した)。
得られたスラリーを、横型ビーズミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社製、商品名:DYNO−MILL ECO−5)に150mL/分で送液し、このスラリーを横型ビーズミル内で攪拌しながら、これに平均重合度が約5であるテトラメトキシシランオリゴマー(三菱化学株式会社製、商品名:MKC(登録商標)シリケートMS51;分子量:500〜700、SiO含有量52質量%)423gとイソプロピルアルコール212gとを混合した液(この混合液中のテトラメトキシシランのオリゴマーの濃度は346g/Lである)を、6時間かけて徐々に添加して、前記第1の層としての含水シリカ層上に、第2の層として、基材である酸化チタン微粒子の全質量に対してSiO換算で22質量%の含水シリカ層を形成した。このときの添加速度は1.76g/minであった。このようなテトラメトキシシランのオリゴマーの添加を行った後のスラリーは、著しい増粘や白濁化が認められなかった。
次いで、得られたスラリーを真空加熱式ニーダーに移し、加熱、減圧して、水とイソプロピルアルコールとを留去した。その後、さらに150℃まで加熱し、その温度を2時間保持してキュアリングを行った。このようなキュアリングを経て得られた粉体をJOミル(株式会社セイシン企業製、商品名:SKジェット・オー・ミル)で粉砕してシリカ被覆酸化チタン微粒子を得た。このシリカ被覆酸化チタン微粒子のシリカ被覆量は、基材である酸化チタン微粒子の全質量に対してSiO換算で25質量%であった。得られたシリカ被覆酸化チタン微粒子350g、脱イオン水650gを容器に入れ、高速分散機を用い、3,000rpmで5分間分散して、シリカ被覆酸化チタン微粒子水分散液を得た。このシリカ被覆酸化チタン微粒子水分散液は、B型粘度計で測定したところ、粘度が10mPa・s(6rpm、液温25℃)であった。最後に、脱イオン水750gを添加し、シリカ被覆酸化チタン微粒子水分散液(TS−1)を得た。このシリカ被覆酸化チタン微粒子水分散液(TS−1)は、不揮発分20%、酸化チタン微粒子の一次粒子径15nm、シリカ層の厚さ20nmであった。
≪調製例2≫
酸化亜鉛微粒子(テイカ株式会社製、商品名:MZ−500;平均一次粒子径25nm)1,000gを測り取った後、これに水を加えてディスパーにより混合攪拌して、酸化亜鉛微粒子の濃度が100g/Lのスラリーを調製した。得られたスラリーを室温下で攪拌しながら、これにケイ酸ソーダ水溶液(SiOとして200g/Lの濃度に調整済み)を150mL(基材である酸化亜鉛微粒子の全質量に対してSiOとして3質量%)添加した。ケイ酸ソーダ水溶液が添加される間、スラリーのpHが7〜8に保持されるよう塩酸を添加し、15分間熟成した。以後、シリカ被覆酸化チタン微粒子の製造例と同様の操作を経由して、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子を得た。
すなわち、上記熟成後のスラリーを濾過、水洗し、基材である酸化亜鉛微粒子の表面に、第1の層として、該基材の全質量に対してSiO換算で3質量%の含水シリカ層が形成された酸化亜鉛微粒子を50質量%含有する濾過ケーキを得た。この濾過ケーキを乾燥することなく、2,060g計り取り、該濾過ケーキにイソプロピルアルコールを5,000g加えた後、ディスパーで混合攪拌し、スラリー化した。さらに、このスラリーに脱イオン水1,000gとアンモニア水50gとを加え、さらに混合攪拌して、pHを10〜11にした。
得られたスラリーを、横型ビーズミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社製、商品名:DYNO−MILL ECO−5)に150mL/分で送液し、このスラリーを横型ビーズミル内で攪拌しながら、これに平均重合度が約5であるテトラメトキシシランオリゴマー(三菱化学株式会社製、商品名:MKC(登録商標)シリケートMS51;分子量500〜700、SiO含有量52質量%)423gとイソプロピルアルコール212gとを混合した液を、6時間かけて徐々に添加して、前記第1の層としての含水シリカ層上に、第2の層として、基材である酸化亜鉛微粒子の全質量に対してSiO換算で22質量%の含水シリカ層を形成した。このときの添加速度は1.76g/minであった。このようなテトラメトキシシランのオリゴマーの添加を行った後のスラリーは、著しい増粘や白濁化が認められなかった。
次いで、得られたスラリーを真空加熱式ニーダーに移し、加熱、減圧して、水とイソプロピルアルコールとを留去した。その後、さらに150℃まで加熱し、その温度を2時間保持してキュアリングを行った。このようなキュアリングを経て得られた粉体をJOミル(株式会社セイシン企業製、商品名:SKジェット・オー・ミル)で粉砕してシリカ被覆酸化亜鉛微粒子を得た。このシリカ被覆酸化亜鉛微粒子のシリカ被覆量は、基材である酸化亜鉛微粒子の全質量に対してSiO換算で25質量%であった。得られたシリカ被覆酸化亜鉛微粒子350g、脱イオン水650gを容器に入れ、高速分散機を用い、3,000rpmで5分間分散して、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子水分散液を得た。このシリカ被覆酸化亜鉛微粒子水分散液は、B型粘度計で測定したところ、粘度が30mPa・s(6rpm、液温25℃)であった。最後に、脱イオン水750gを添加し、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子水分散液(ZS−1)を得た。このシリカ被覆酸化亜鉛微粒子水分散液(ZS−1)は、不揮発分20%、酸化亜鉛微粒子の一次粒子径25nm、シリカ層の厚さ20nmであった。
次に、金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子の水分散体(化粧料用紫外線カット剤)および粉体の製造例について説明する。
≪製造例1≫
攪拌機、滴下口、窒素導入管、温度計、還流冷却器を備えた容量2Lのガラス製反応器中に、窒素ガスを吹き込みながら、シリカ被覆酸化チタン微粒子水分散体(TS−1)1,000部、ポリアクリル系分散剤として、JONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液20部を添加混合した後、攪拌しながら80℃まで加熱した。次いで、攪拌しながら、カップリング剤として、KBE−503(商品名、信越シリコーン株式会社製、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)10部を30分間かけて滴下し、滴下終了後、50℃で5時間保持した。次いで、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部、重合開始剤として、5%過硫酸アンモニウム水溶液1部を添加した。攪拌しながら5時間保持し、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子の水分散体を得た。
さらに、得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子の水分散体を、50℃、70Torr(約9.33×10Pa)の条件で濃縮することにより、不揮発分30%のポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−1)を得た。なお、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−1)は、その全質量に対して、0.5質量%のポリアクリル系分散剤を含有していた。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−1)は、総回収量が740gであった。ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−1)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたメタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(SP値20.7MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−1)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−1)を得た。ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−1)は、数平均粒子径が180nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、11.2%の質量減少が観察された。
≪製造例2≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、メタクリル酸メチル10部およびアクリル酸ブチル10部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%のポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−2)を得た。なお、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−2)は、その全質量に対して、0.5質量%のポリアクリル系分散剤を含有していた。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−2)は、総回収量が745gであった。ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−2)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたメタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体(SP値20.3MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−2)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−2)を得た。ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−2)は、数平均粒子径が180nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、11.0%の質量減少が観察された。
≪製造例3≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸2−エチルヘキシル8部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%のポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−3)を得た。なお、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−3)は、その全質量に対して、0.5質量%のポリアクリル系分散剤を含有していた。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−3)は、総回収量が750gであった。ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−3)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたメタクリル酸メチル−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(SP値19.9MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−3)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−3)を得た。ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−3)は、数平均粒子径が130nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、10.6%の質量減少が観察された。
≪製造例4≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、メタクリル酸メチル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%のポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−4)を得た。なお、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−4)は、その全質量に対して、0.5質量%のポリアクリル系分散剤を含有していた。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−4)は、総回収量が750gであった。ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−4)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたメタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体(SP値20.0MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−4)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−4)を得た。ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−4)は、数平均粒子径が130nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、10.7%の質量減少が観察された。
≪製造例5≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、メタクリル酸ブチル20部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%のポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−5)を得た。なお、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−5)は、その全質量に対して、0.5質量%のポリアクリル系分散剤を含有していた。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−5)は、総回収量が760gであった。ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−5)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたメタクリル酸ブチルホモポリマー(SP値19.4MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−5)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−5)を得た。ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−5)は、数平均粒子径が120nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、10.4%の質量減少が観察された。
≪製造例6≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、アクリル酸2−エチルヘキシル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%のポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−6)を得た。なお、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−6)は、その全質量に対して、0.5質量%のポリアクリル系分散剤を含有していた。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−6)は、総回収量が760gであった。ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−6)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸ブチル共重合体(SP値19.2MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−6)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−6)を得た。ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−6)は、数平均粒子径が120nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、10.8%の質量減少が観察された。
≪製造例7≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、アクリル酸2−エチルヘキシル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用い、かつ、ポリアクリル系分散剤として、JONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液20部に代えて、JONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液50部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%のポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−7)を得た。なお、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−7)は、その全質量に対して、1.3質量%のポリアクリル系分散剤を含有していた。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−7)は、総回収量が780gであった。ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−7)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸ブチル共重合体(SP値19.2MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−7)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−7)を得た。ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−7)は、数平均粒子径が100nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、12.1%の質量減少が観察された。
≪製造例8≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、アクリル酸2−エチルヘキシル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用い、かつ、ポリアクリル系分散剤として、JONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液20部に代えて、JONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液80部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%のポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−8)を得た。なお、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−8)は、その全質量に対して、2.0質量%のポリアクリル系分散剤を含有していた。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−8)は、総回収量が800gであった。ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−8)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸ブチル共重合体(SP値19.2MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−8)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−8)を得た。ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−8)は、数平均粒子径が100nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、12.9%の質量減少が観察された。
≪製造例9≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、アクリル酸2−エチルヘキシル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用い、かつ、ポリアクリル系分散剤として、JONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液20部に代えて、JONCRYL 683(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量8,000、酸価160mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液50部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%のポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−9)を得た。なお、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−9)は、その全質量に対して、0.5質量%のポリアクリル系分散剤を含有していた。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−9)は、総回収量が770gであった。ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−9)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸ブチル共重合体(SP値19.2MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−9)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−9)を得た。ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−9)は、数平均粒子径が120nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、12.0%の質量減少が観察された。
≪製造例10≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、アクリル酸2−エチルヘキシル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用い、かつ、ポリアクリル系分散剤として、JONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液20部に代えて、JONCRYL 690(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量16,500、酸価240mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液50部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%のポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−10)を得た。なお、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−10)は、その全質量に対して、0.5質量%のポリアクリル系分散剤を含有していた。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−10)は、総回収量が760gであった。ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−10)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸ブチル共重合体(SP値19.2MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−10)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−10)を得た。ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−10)は、数平均粒子径が130nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、12.2%の質量減少が観察された。
≪製造例11≫
製造例1において、シリカ被覆酸化チタン微粒子水分散体(TS−1)1,000部に代えて、シリカ被覆酸化亜鉛微粒子水分散体(ZS−1)1,000部を用い、かつ、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、アクリル酸2−エチルヘキシル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%のポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−11)を得た。なお、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−11)は、その全質量に対して、0.5質量%のポリアクリル系分散剤を含有していた。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−11)は、総回収量が760gであった。ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−11)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸ブチル共重合体(SP値19.2MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−11)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−11)を得た。ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PCP−11)は、数平均粒子径が120nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、10.9%の質量減少が観察された。
≪比較製造例1≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、メタクリル酸メチル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用い、かつ、ポリアクリル系分散剤のJONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液20部に代えて、高分子分散剤のアクアリック(登録商標)YS−100(商品名、株式会社日本触媒製、ポリアクリル酸ナトリウム;重量平均分子量6,000、酸価779mgKOH/g)の20%水溶液20部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%の比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−1)を得た。なお、比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−1)は、その全質量に対して、0.5質量%の高分子分散剤を含有していた。
得られた比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−1)は、総回収量が710gであった。比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−1)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたメタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体(SP値20.0MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−1)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなる比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PNP−1)を得た。比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PNP−1)は、数平均粒子径が230nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、11.0%の質量減少が観察された。
≪比較製造例2≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、メタクリル酸メチル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用い、かつ、ポリアクリル系分散剤のJONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液20部に代えて、高分子分散剤のK−30W(商品名、株式会社日本触媒製、ポリビニルピロリドン;K値27.0〜33.0)の20%水溶液20部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%のポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−2)を得た。なお、比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−2)は、その全質量に対して、0.5質量%の高分子分散剤を含有していた。
得られた比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−2)は、総回収量が680gであった。比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−2)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたメタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体(SP値20.0MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−2)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなる比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PNP−2)を得た。比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PNP−2)は、数平均粒子径が300nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、10.8%の質量減少が観察された。
≪比較製造例3≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、メタクリル酸メチル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用い、かつ、ポリアクリル系分散剤のJONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液20部に代えて、高分子分散剤のマクロゴール(登録商標)6000(商品名、株式会社三洋化成製、ポリエチレングリコール;重量平均分子量6,000)の20%水溶液20部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%の比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−3)を得た。なお、比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−3)は、その全質量に対して、0.5質量%の高分子分散剤を含有していた。
得られた比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−3)は、総回収量が690gであった。比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−3)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたメタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体(SP値20.0MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−3)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなる比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PNP−3)を得た。比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PNP−3)は、数平均粒子径が250nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、10.8%の質量減少が観察された。
≪比較製造例4≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、メタクリル酸メチル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用い、かつ、ポリアクリル系分散剤のJONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液20部に代えて、高分子分散剤のニューポール(登録商標)PE−108(商品名、三洋化成工業株式会社製、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(モル比300:55)ブロック共重合体;重量平均分子量16,390)の20%水溶液20部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%の比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−4)を得た。なお、比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−4)は、その全質量に対して、0.5質量%の高分子分散剤を含有していた。
得られた比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−4)は、総回収量が690gであった。比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−4)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたメタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体(SP値20.0MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−4)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなる比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PNP−4)を得た。比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PNP−4)は、数平均粒子径が280nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、10.7%の質量減少が観察された。
≪比較製造例5≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、メタクリル酸メチル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用い、かつ、ポリアクリル系分散剤のJONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液20部に代えて、高分子分散剤のゴーセノール(登録商標)EG−05P(商品名、日本合成化学工業株式会社製、ポリビニルアルコール;ケン化度86.5〜89.0)の20%水溶液20部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、不揮発分30%の比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−5)を得た。なお、比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−5)は、その全質量に対して、0.5質量%の高分子分散剤を含有していた。
得られた比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−5)は、総回収量が700gであった。比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−5)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ被覆酸化チタン微粒子の表面が重合により形成されたメタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体(SP値20.0MPa−2)で被覆されていることが確認された。
また、比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−5)に含有される微粒子を遠心分離により分散媒から分離し、得られた微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した後、50℃、10Torr(約1.33×10Pa)の条件で24時間真空乾燥することにより、シリカ被覆酸化チタン微粒子の外側を第2層としてポリマーで被覆してなる比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PNP−5)を得た。比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子粉体(PNP−5)は、数平均粒子径が210nmであり、100℃から500℃までの昇温条件で熱質量減少を測定したところ、11.1%の質量減少が観察された。
≪比較製造例6≫
製造例1において、重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル12部およびアクリル酸エチル8部に代えて、アクリル酸2−エチルヘキシル10部およびメタクリル酸ブチル10部を用い、かつ、ポリアクリル系分散剤として、JONCRYL JDX−C3000(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量10,000、酸価85mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液20部に代えて、JONCRYL 611(商品名、BASFジャパン製;重量平均分子量8,100、酸価53mgKOH/g;水酸化ナトリウムにより等量比で120%中和)の20%水溶液50部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体を製造しようとしたが、ポリアクリル系分散剤の水溶性が低いので、安定した乳化重合を行うことができなかった。
次に、上記で得られたポリマー被覆金属酸化物微粒子の水分散体(化粧料用紫外線カット剤)を用いた化粧料の配合例および評価について説明する。
≪配合例1≫
まず、スクワラン(岩瀬コスファ株式会社製、商品名:ヒトデルム)4部、ステアリン酸ポリグリセリル−6(日光ケミカルズ株式会社製、商品名:NIKKOL(登録商標)Hexaglyn 1−SV)0.4部をディスパーで攪拌混合し、配合物Aを得た。また、精製水15部、ブチレングリコール(協和発酵ケミカル株式会社製、商品名:1,3−ブチレングリコール)5部、メチルパラベン(上野製薬株式会社製、商品名:メッキンス(登録商標)M)0.2部、ポリソルベート60(花王株式会社製、商品名:レオドール(登録商標)TW−S120V;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)0.6部をディスパーで攪拌混合し、配合物Bを得た。さらに、化粧料用紫外線カット剤として、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−1)44部、精製水20.5部、カルボマー(Noveon,Inc.製、商品名:Carbopol 940;カルボキシビニルポリマー)0.3部、キサンタンガム(太陽化学株式会社製、商品名:ネオソフトXZ)0.05部、グリセリン(花王株式会社製、商品名:化粧品用濃グリセリン;グリセリン分98.5%以上)10部をディスパーで攪拌混合し、配合物Cを得た。
次いで、配合物Bに配合物Aを加えて乳化させた後、配合物Cを加えて攪拌した。最後に、水酸化ナトリウムを加えてpHを6.5に調製し、均一になるまで攪拌することにより、ジェルである化粧料(BC−1)を得た。
≪配合例2〜11≫
配合例1において、化粧料用紫外線カット剤として、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−1)に代えて、それぞれ、配合後の酸化チタン濃度が化粧料(BC−1)の酸化チタン濃度と同じになるように精製水で調整したポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−2)〜(PCL−10)を用いたこと以外は、あるいは、配合後の酸化亜鉛濃度が化粧料(BC−1)の酸化チタン濃度と同じになるように精製水で調整したポリマー被覆酸化亜鉛微粒子水分散体(PCL−11)を用いたこと以外は、配合例1と同様にして、それぞれ、ジェルである化粧料(BC−2)〜(BC−11)を得た。
≪比較配合例1〜5≫
配合例1において、化粧料用紫外線カット剤として、ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−1)に代えて、それぞれ、配合後の酸化チタン濃度が化粧料(BC−1)の酸化チタン濃度と同じになるように精製水で調整した比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−1)〜(PNL−5)を用いたこと以外は、配合例1と同様にして、それぞれ、ジェルである比較用化粧料(BN−1)〜(BN−5)を得た。
得られたポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PCL−1)〜(PCL−10)、ポリマー被覆酸化亜鉛微粒子水分散体(PCL−11)および比較用ポリマー被覆酸化チタン微粒子水分散体(PNL−1)〜(PNL−5)ならびに化粧料(BC−1)〜(BC−11)および比較用化粧料(BN−1)〜(BN−5)を、以下のような特性について試験し、その性能を評価した。結果を表1に示す。
<水分散体の貯蔵安定性>
各水分散体を23℃で1ヶ月静置後、濃縮直後からの数平均粒子径の変化を測定することにより、下記の基準で貯蔵安定性を評価した。
3点:数平均粒子径の変化が50nm以下;
2点:数平均粒子径の変化が50nmより大きく、100nm以下;
1点:数平均粒子径の変化が100nmより大きい。
<化粧料の配合安定性>
各化粧料を人体の皮膚に塗布した際の伸びの状態を観察することにより、下記の基準で配合安定性を評価した。
3点:非常に伸びがある;
2点:やや伸びがある;
1点:伸びがない。
<化粧料の貯蔵安定性>
各化粧料を23℃で24時間静置後、化粧料の配合安定性を評価する試験法と同様の手法により、下記の基準で貯蔵安定性を評価した。
3点:非常に伸びがある;
2点:やや伸びがある;
1点:伸びがない。
表1から明らかなように、金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有し、さらに、所定のポリアクリル系分散剤を含有する製造例1〜11の化粧料用紫外線カット剤は、いずれも貯蔵安定性に優れていた。特に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の第2層を構成するポリマーのSP値が18MPa−2以上、20MPa−2以下である製造例3〜8および11の化粧料用紫外線カット剤は、いずれも貯蔵安定性が格段に優れていた。
これに対し、金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有し、さらに、所定のポリアクリル系分散剤以外の高分子分散剤を含有する比較製造例1〜5の化粧料用紫外線カット剤は、いずれも貯蔵安定性に劣っていた。
なお、所定の重量平均分子量を有するが、酸価が所定の範囲を下回るポリアクリル系分散剤を用いた比較製造例6では、ポリアクリル系分散剤の水溶性が低いので、安定した乳化重合を行うことができなかった。
また、表1から明らかなように、金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有し、さらに、所定のポリアクリル系分散剤を含有する製造例1〜11の化粧料用紫外線カット剤を用いた配合例1〜11の化粧料は、いずれも配合安定性および貯蔵安定性に優れていた。特に、ポリマー被覆金属酸化物微粒子の第2層を構成するポリマーのSP値が18MPa−2以上、20MPa−2以下である製造例3〜8および11の化粧料用紫外線カット剤を用いた配合例3〜8および11の化粧料は、いずれも配合安定性および貯蔵安定性が格段に優れていた。しかも、高分子量のポリアクリル系分散剤を含有する化粧料用紫外線カット剤を配合しているので、配合例1〜11の化粧料は、いずれも皮膚から吸収されにくく、肌に対する刺激性が小さいことは明らかである。さらに、配合例1〜11の化粧料は、剤型の安定性を高めるために、側鎖にカルボキシ基を有する増粘性ポリマー(ここでは、カルボキシビニルポリマー)を配合しているが、ノニオン系分散剤を単独で用いた場合と異なり、化粧料の配合安定性および貯蔵安定性が低下することなく、ポリマー被覆金属酸化物微粒子が凝集することもなかった。
これに対し、金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有し、さらに、所定のポリアクリル系分散剤以外の高分子分散剤を含有する比較製造例1〜5の化粧料用紫外線カット剤を用いた比較配合例1〜5の比較用化粧料は、いずれも配合安定性および貯蔵安定性に劣っていた。
かくして、金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有すると共に、さらに、重量平均分子量が1,000以上であり、酸価が60mgKOH/g以上、400mgKOH/g以下であるポリアクリル系分散剤を含有する化粧料用紫外線カット剤を用いれば、高い透明性と優れた紫外線遮断能を維持しながら、分散性および貯蔵安定性に優れると共に、化粧料に配合した場合に、配合安定性および貯蔵安定性に優れ、かつ肌に対する刺激性が小さい化粧料を与えることができる。
本発明の化粧料用紫外線カット剤は、高い透明性と優れた紫外線遮断能を維持しながら、分散性および貯蔵安定性に優れると共に、化粧料に配合した場合に、配合安定性および貯蔵安定性に優れ、かつ肌に対する刺激性が小さい化粧料を与えることができる。それゆえ、本発明の化粧料用紫外線カット剤は、化粧料や化粧基剤の分野において多大の貢献をなすものである。

Claims (4)

  1. 酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子および酸化鉄微粒子よりなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ一次粒子径が1nm以上、100nm以下である金属酸化物微粒子の表面を第1層としてシリカで被覆し、かつその外側を第2層としてポリマーで被覆してなるポリマー被覆金属酸化物微粒子を含有する化粧料用紫外線カット剤であって、さらに、重量平均分子量が1,000以上であり、酸価が60mgKOH/g以上、400mgKOH/g以下であるポリアクリル系分散剤を含有することを特徴とする化粧料用紫外線カット剤。
  2. 前記ポリマー被覆金属酸化物微粒子が分散体および/または粉体の形態である請求項1記載の化粧料用紫外線カット剤。
  3. 請求項1または2記載の化粧料用紫外線カット剤を含有することを特徴とする化粧料。
  4. 親水性増粘剤または乳化安定剤としてカルボキシビニルポリマーが配合されている請求項3記載の化粧料。
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