JP2011004339A - 圧電アクチュエータの駆動装置及び画像処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制御波形生成部を1系統で構成可能とする圧電アクチュエータ駆動装置を提供する。
【解決手段】振動子に接続された圧電素子を備えた圧電アクチュエータに対し駆動電圧を供給する圧電アクチュエータ駆動装置において、制御波形信号を生成し出力する制御波形生成部と、制御信号を生成し出力するコントロール部と、制御波形生成部の制御波形信号とコントロール部の制御信号を入力し、その制御波形信号及び制御信号に基づいて電圧を制御し出力する電圧保持部と、制御波形生成部の制御波形信号と基準電圧を入力し、一定ゲインで非反転増幅し、第1の駆動電圧として圧電アクチュエータへ出力する非反転増幅部と、制御波形生成部の制御波形信号と電圧保持部の出力電圧を入力し、一定ゲインで反転増幅し、第2の駆動電圧として圧電アクチュエータへ出力する反転増幅部と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電体に電圧を印加することによって生じる歪みを利用して被駆動体をアクチュエータとして駆動させる圧電アクチュエータに対して電圧を供給する圧電アクチュエータ駆動装置及び画像処理装置に関する。
圧電素子(圧電体)は、分極方向に電圧を印加すると印加電圧の電位に比例した歪み、即ち伸縮を生じる。いわゆる逆圧電効果を発揮することが知られており、従来、この圧電素子を利用して被駆動体に駆動力を伝達するようにした圧電アクチュエータが実現されている。圧電アクチュエータに用いられる圧電素子は、例えるなら、永久磁石のように一方向に分極されている状態で駆動力を発揮するものであり、その分極方向両端面に電極を形成している。そして、この電極間に対し、圧電アクチュエータ駆動装置(圧電アクチュエータ駆動回路)から出力される電圧の印加が接続されることで、駆動力を得ることができる。前述の分極は、素子の組成を考慮し、ある一定の直流電圧を一定時間印加し続けることで得られる。一度分極が得られた素子は、一般的に分極を与えた電圧方向とゼロの間で電圧を印加して駆動させる。万一、分極を与えた方向と逆方向に電圧をかけてしまうと、分極反転という現象が現れ、駆動力が発生しなくなってしまう。
ここで、圧電アクチュエータ駆動システム(画像処理装置)の例を用いて、従来の問題点について説明する。図3に圧電アクチュエータ駆動システムの構成例を示す。図3に示す圧電アクチュエータ駆動システムは、圧電アクチュエータ駆動装置と、圧電アクチュエータ(点線で囲んだ部分)とが接続されて構成される。圧電アクチュエータは、振動子1と、圧電素子2〜5を有している、圧電素子2〜5が圧電アクチュエータ駆動装置から出力される電圧の印加を受けると、振動子1が回動する。振動子1は、例えば、静電潜像を形成するレーザ光を偏向するためのミラーである。なお、圧電素子2及び3は駆動電圧V1で駆動され、圧電素子4及び5は駆動電圧V2で駆動される。電圧Vcは圧電素子2〜5の裏面の共通電極になっており、この電圧Vcで駆動或いは固定電位が供給される。
図3に示す圧電アクチュエータを側面から見た状態を図4に示す。図4に示すように、圧電素子2〜5が備えられた面の裏には、上記共通電極6が備えられている。
図3に示す圧電アクチュエータの電気的接続(電極部分の接続とV1、V2及びVcの接続)を図5に示す。図6は、図3に示す圧電アクチュエータを等価回路図として示したものである。図6に示すように、図3に示す圧電アクチュエータ駆動装置の負荷は主に容量成分となっている。
図7は、図3に示す圧電アクチュエータにおいて、駆動電圧V1、V2と圧電アクチュエータの回動動作を示したものである。図7に示すように、V1及びV2は各々180度位相がずれている。例えば時刻t1においては、V1は0ボルトであるので左側の圧電素子2、3は動かないが、V2には最大電圧が印加され、右側の圧電素子4、5が駆動して傾くため、振動子1の回動の角度は最大となる。また、例えば時刻t2においては、V1=V2であり、それぞれに最大電圧の半分が印加されているため、圧電素子2、3及び4、5は変形しているが、振動子1は回動ゼロの位置に戻っている。また、例えば時刻t3においては、今度はV2が0ボルトとなるので右側の圧電素子4、5は動かないが、V1には最大電圧が印加され、左側の圧電素子2、3が駆動して傾くため、振動子1の回動の角度はt1の時刻の逆の角度で最大となる。以降は、上述した動作が繰り返され、振動子1が回動(回転)する。
図14は、図3に示す圧電アクチュエータ駆動装置の構成を示す図である。図14に示すように、圧電アクチュエータ駆動装置は、制御波形生成部を+、−各々1系統ずつ備えている。このように、2系統の制御波形生成部を備えた構成は、例えば特許文献1に開示されている。
図15は、図3に示す圧電アクチュエータ駆動装置の出力電圧の波形を示している。当然のことながら、圧電アクチュエータ駆動システムにおいては、フリーランでは使用することはできないため、制御が必要になる。しかし、圧電アクチュエータは共振状態で使用することが前提となっているので、正弦波で駆動する場合は振幅を調整することで行われる。図7までの説明で明らかなように、圧電素子の駆動は、0から正電圧方向で、かつ、V1とV2は同一振幅になるようにしなければならない。もしV1とV2で振幅が異なれば、回動時の角度が一定でなくなる。図15は、出力電圧波形の一例であり、V1を基準とし、周期毎に振幅を大きくしていった場合を示している。実際の使用では、このように1周期ごとに振幅を変化させるような使い方はしないが、説明のために示した。また、時刻t4、t8に不連続点が存在し、高周波成分が含まれるため回動に若干影響するが、過渡的なものであるので問題にはならない。しかしながら、駆動電圧V2の波形は、通常のオペアンプ回路等では生成不可能であるので、図14に示すように、圧電アクチュエータ駆動装置において制御波形生成部が2系統必要であった。
上述したように、圧電アクチュエータの駆動電圧は、分極している方向に印加して使用する必要があり、更に、共振状態で回動を得るために、対向する圧電アクチュエータに位相が反転した駆動電圧を印加する必要がある。しかしながら、一般のオペアンプ等を用いた従来の圧電アクチュエータ駆動装置では、ある基準電圧を基準に制御波形信号を反転することは容易であったが、制御波形信号の振幅を変化させた場合、前述の基準電圧も変化させる必要があり、制御波形信号の反転は極めて困難であった。結局、制御波形生成部を2つ用意して、別系統で駆動電圧を発生させる必要があり、コストがかかるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、制御波形生成部を1系統で構成可能とする圧電アクチュエータ駆動装置及び画像処理装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の圧電アクチュエータ駆動装置は、圧電アクチュエータに対して、当該圧電アクチュエータを駆動させるための駆動電圧を供給する圧電アクチュエータ駆動装置において、制御波形信号を生成し、出力する制御波形生成部と、制御信号を生成し、出力するコントロール部と、制御波形生成部から出力された制御波形信号と、コントロール部から出力された制御信号とを入力し、入力された制御波形信号及び制御信号に基づいて電圧を制御し、出力する電圧保持部と、制御波形生成部から出力された制御波形信号と、基準電圧とを入力し、一定ゲインで非反転増幅し、第1の駆動電圧として圧電アクチュエータへ出力する非反転増幅部と、制御波形生成部から出力された制御波形信号と、電圧保持部から出力された電圧とを入力し、一定ゲインで反転増幅し、第2の駆動電圧として圧電アクチュエータへ出力する反転増幅部と、を有することを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、本発明の圧電アクチュエータ駆動装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、制御波形生成部を1系統で構成可能とする圧電アクチュエータ駆動装置を提供することが可能となる。
本発明の第1の実施形態の構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態のタイミングチャートの一例を示す図である。 圧電アクチュエータ駆動システムの全体の概念の一例を示す図である。 圧電アクチュエータの一例を示す模式図である。 圧電アクチュエータの電気的接続の一例を表す図である。 圧電アクチュエータの等価回路の一例を示す図である。 圧電アクチュエータの駆動電圧と動作の関係の一例を表した図である。 入力選択部の構成例を示す図である。 電圧保持部の構成例としてのピークホールドの回路の一例を示す図である。 電圧保持部の構成例としてのサンプルアンドホールドの回路の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態の構成の一例を示す図である。 本発明の一実施形態である画像処理装置の構成の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態の動作の一例を示す図である。 従来の圧電アクチュエータ駆動回路を示す図である。 従来の圧電アクチュエータ駆動回路における出力電圧波形を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
本発明の一実施形態である圧電アクチュエータ駆動装置(圧電アクチュエータ駆動回路)は、例えば上述した図3に示すような圧電アクチュエータ駆動システム(本発明の一実施形態である画像処理装置)の構成要素の1つとして備えられ、圧電アクチュエータに対して駆動電圧を供給する装置である。
本実施形態の圧電アクチュエータ駆動装置の構成の一例を図1に示す。図1に示すように、本実施形態の圧電アクチュエータ駆動装置は、制御波形生成部11、コントロール部12、電圧保持部13、非反転増幅部14、反転増幅部15を有する。本実施形態の圧電アクチュエータ駆動装置において、制御波形生成部は1系統である。
制御波形生成部11は、制御波形データに基づいて制御波形信号を生成し、生成された制御波形信号を出力する。出力された制御波形信号は、電圧保持部13、非反転増幅部14、反転増幅部15に入力される。この制御波形信号の電圧は、例えば図2(a)に示すようになる。なお、制御波形信号は、本実施形態では正弦波とするが、正弦波以外(例えば三角波など)も適用可能である。また、制御波形生成部11は、例えば正弦波を生成させることを考えれば、DAコンバータを使用するのが望ましい。
コントロール部12は、予め設定された制御信号を出力する。出力された制御信号は、電圧保持部13に入力される。この制御信号は、例えば図2(a)に示すようになる。また、コントロール部12は、本実施形態の圧電アクチュエータ駆動装置が搭載される画像処理装置(例えば、後述する光走査装置又は画像形成装置)のCPU(Control Processing Unit。図示せず)と信号の入出力を行う。コントロール部12は、CPUからのデータを基に、制御波形データ及びビームセンサ入力信号を出力する。出力された制御波形データ及びビームセンサ入力信号は、制御波形生成部11に入力される。図1において、制御波形データは、制御波形信号(本実施形態では正弦波)を制御波形生成部11に発生させる元になるデジタルデータである。また、ビームセンサ入力信号は、例えば、レーザがスキャンする長さを100(左端を0、右端を100)とし、画像形成領域が20〜80の範囲とし、ビームセンサがその外側に配置された場合において、レーザ光が入力されたときにデジタルハイレベルを出力し、レーザ光が入力されていないときはデジタルローレベルを出力するものである。また、CPU出力信号は、例えば、制御波形データ、図8に示す切替信号(詳細は後述する)、図9、図10に示す制御信号(詳細は後述する)等である。また、CPU入力信号は、例えば、ビームセンサ入力信号等である。
電圧保持部13は、入力された制御波形信号と制御信号に基づいて電圧を制御し、出力する。出力された電圧(出力電圧という)は、反転増幅部15へ入力される。この出力電圧は、例えば図2(b)に示すようになる。
非反転増幅部14は、制御波形信号及び基準電圧を入力し、一定ゲインで非反転増幅し、駆動電圧V1として圧電アクチュエータへ出力する。この駆動電圧V1は、例えば図2(a)に示すようになる。
反転増幅部15は、制御波形信号及び出力電圧を入力し、一定ゲインで反転増幅し、駆動電圧V2として圧電アクチュエータへ出力する。この駆動電圧V2は、例えば図2(c)に示すようになる。
図2は、本実施形態におけるタイムチャートを示す図である。図2(a)及び(b)では、制御信号がハイレベルのときに、電圧保持部13に入力された電圧が取り込まれ、それ以外のときは保持する状態を示している。また、図2(a)では、理解が容易なようにV1の振幅が徐々に大きくなっていく状態を示しているが、もちろん、小さくなる方向、大小が混在する状況もありうる。つまり、電圧保持部13の出力電圧は、制御波形信号のプラス側の最大電圧を常に出力するようになっている。非反転増幅部14は、制御波形信号を単純に増幅しているが、反転増幅部15は、この最大電圧を基準として反転増幅を行っている。この結果、V2の波形は、図2(c)に示すようになり、正しく圧電アクチュエータを駆動することができる。なお、図2(c)において、t4からt5の間、t8からt9の間で負側に振れるが、反転増幅部15の負側の電源電圧に余裕があれば、実線で示したように、このままの波形となる。もし負側に余裕がない場合は、電圧がクランプされ、一部は点線で示したような波形となるが、次の周期から最低電位は0Vとなるので、問題はない。もし、増幅器を飽和させたくない場合は、入力を適切にクランプすることで回避可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、制御波形生成部(DAコンバータ)を2個使いから1個使いにすることができるので、圧電アクチュエータ駆動装置自体及びその圧電アクチュエータ駆動装置を備えた圧電アクチュエータ駆動システムにおいて、コストの削減を実現できる。
〔第2の実施形態〕
従来、分極を掛ける際の駆動電圧は、当然のことながら、通常使用する駆動電圧範囲を超えることから、システムに組み付ける前に、事前に専用治具で分極を発生させておく必要があった。また、従来では、通常の使用では分極している方向にのみ駆動電圧を印加させるが、徐々にではあるが、電圧を掛けているうちに圧電素子の特性が劣化し、回動時の振幅が低下してしまうという問題があった。本実施形態では、このような問題を解決するために、上記第1の実施形態の圧電アクチュエータ駆動システム内で分極を発生させることを可能にし、更に、圧電素子の特性劣化を防止することを可能にする。
本実施形態の圧電アクチュエータ駆動装置の構成を図11に示す。図11に示すように、本実施形態の圧電アクチュエータ駆動装置は、上記第1の実施形態と同様に、制御波形生成部11、コントロール部12、電圧保持部13、非反転増幅部14、反転増幅部15を有する他に、選択部16を有する。この選択部16以外の各部は、上記第1の実施形態と基本的に同じであるので、ここでの説明は省略する。なお、図11では、リファレンス電圧Vrを明示的に示したが、必要がなければ、基準(グラウンド)に接続しても構わない。
選択部16は、コントロール部12から入力された切替信号に基づいて、反転増幅部15への出力として、制御波形信号及びリファレンス電圧Vrのいずれかを選択する。切替信号は、選択部16に制御波形信号を選択させる内容、又は、選択部16にリファレンス電圧Vrを選択させる内容のいずれかである。図8は、選択部16の構成例として、切替信号の内容に応じて選択(切替)を行う、2対1の単純なアナログマルチプレクサを示している。
選択部16によって、制御波形信号が選択された場合を「通常動作モード」といい、リファレンス電圧Vrが選択された場合を「特別動作モード」という。このように、本実施形態の圧電アクチュエータ駆動装置では、通常動作モードと特別動作モードとを切り替えて動作する。通常動作モードは、上記第1の実施形態で説明した動作と同様であるが、以下、通常動作モードが選択された場合の動作について図13のフローを用いて説明する。
まず、ステップS1のリセット工程が行われる。このとき、切替信号は、選択部16への出力として制御波形信号を選択するように設定される。また、制御信号は、ローレベル保持に設定される。また、制御波形データは、ゼロに設定される。なおこのとき、レーザ光(圧電アクチュエータの振動子1にて偏向されるレーザ光)は、オフとなっている。
次に、ステップS2のイニシャル設定工程が行われる。このとき、切替信号は、選択部16への出力として制御波形信号を選択するように設定保持される。また、制御信号は、規定のパルス信号発生となる。制御波形データは、規定のデータ発生となる。なおこのとき、レーザ光は、オフ保持となっている。
次に、ステップS3の振幅初期設定工程が行われる。このとき、切替信号、制御信号、制御波形データは、上記イニシャル設定工程のときと同じ設定であるが、レーザ光は、数スキャン分のみ点灯される。
次に、ステップS4の初期設定値取得動作工程が行われる。このとき、ビームセンサ入力の時間間隔が図示しないCPU(本実施形態の圧電アクチュエータ駆動装置が搭載される画像処理装置のCPU)で測定される。コントロール部12は、その測定結果を受け、規定の時間より長ければ振幅を小さくし、短ければ大きくし、それをビームセンサ入力信号として出力する。このときの許容時間は粗く規定しておくことが望ましい。
次に、ステップS5の振幅初期設定値取得工程が行われる。このとき、切替信号、制御信号、制御波形データは、上記振幅初期設定工程のときと同じ設定であり、レーザ光も、数スキャン分のみ点灯される。
次に、ステップS6のスタンバイ工程が行われる。切替信号は、選択部16への出力として制御波形信号を選択するように設定保持される。また、制御信号は、ローレベルに保持される。また、制御波形データは、ゼロになる。なお、レーザ光は、オフになる。
次に、ステップS7の通常動作準備工程が行われる。切替信号は、選択部16への出力として制御波形信号を選択するように設定保持される。また、制御信号は、規定のパルス信号発生となる。また、制御波形データは、取得した初期値でデータ発生となる。なお、レーザ光は、数スキャン分のみ点灯される。
次に、ステップS8の通常動作設定値取得動作工程が行われる。このとき、ビームセンサ入力の時間間隔が図示しないCPU(本実施形態の圧電アクチュエータ駆動装置が搭載される画像処理装置のCPU)で測定される。コントロール部12は、その測定結果を受け、規定の時間より長ければ振幅を小さくし、短ければ大きくし、それをビームセンサ入力信号として出力する。このときの許容時間は粗く規定しておくことが望ましい。
次に、ステップS9の通常動作工程が行われる。切替信号は、選択部16への出力として制御波形信号を選択するように設定保持され、制御信号は、規定のパルス信号発生となる。制御波形データは、常に測定される時間間隔を元に振幅を微調整し続ける内容となっている。レーザ光は、画像領域では画像データに応じてオンオフ、画像領域外では点灯を保持される。
このように、本実施形態では、増幅回路からの電気信号の振幅で光スキャナを振動させてレーザビームをスキャンさせることになる。ビームセンサで規定長さを走査する時間を検知し、その時間が既定時間になるように振幅を制御する。既定時間±許容時間に納まったらその状態を保持する。つまり、ポリゴンミラーと異なり、振動によってレーザをスキャンさせている。光スキャナは非常に小さく(数mm角)、軽い(マイクログラムオーダー)ので、振動、騒音は発生しないという非常に優れた長所がある(振動数は数千回/秒)。本実施形態の光スキャナは、共振状態で使用する(エネルギーの利用効率が最大であるため。一方、共振周波数はモノにより異なり(固有共振周波数)、制御は固有共振周波数にて、振幅を制御することで行われる。
特別動作モードについて説明する。特別動作モードでは、切替信号が選択部16にリファレンス電圧Vrを選択させる一方で、制御信号はハイレベル固定(図2(a)下側に示す波形が常に持続する)となる。すなわち、電圧保持部13からは、制御波形生成部11の電圧(図2(a)上側に示す波形)がそのまま反転増幅部15に対して常に出力されるようになる。この結果、反転増幅部15では、反転端子にリファレンス電圧Vr(例えばグラウンド電位)、非反転端子に制御波形信号が入力される。従って、反転増幅部15は非反転増幅部14と同一の入力となるので、V2としては、V1とおおよそ同じ電圧が出力されることになる。
また、特別動作モード時において、非反転増幅部14と反転増幅部15は、おおよそ同電位で、かつ、所望する時間の間、正電圧もしくは負電圧を出力する。
ここで、特別動作モードの利点について説明する。圧電アクチュエータに対して、分極のための前処理(分極生成工程)が必要であることは既に説明した通りである。本実施形態では、制御波形生成部で分極を発生させるための電圧を圧電アクチュエータに印加することができるので、分極形成工程を省略できる。従って低コスト化を図ることができる。また、圧電アクチュエータの特性の劣化を回復させるための負電圧も発生させることができるので、更に、機能、性能の面でも優れていることは明らかである。
以上のことから、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他に、組み付け前の分極形成工程のためのコストが削減でき、更に、使用中もメンテナンスフリーとなる。
〔第3の実施形態〕
本実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態において、電圧保持部13にピークホールド回路を用いることを特徴とする。
図9に、本実施形態の電圧保持部13の構成例として、ピークホールド回路を適用した例を示す。図9において、7はコンデンサ、8はダイオード、9はMOSトランジスタ、10は抵抗である。また、図9中の非反転増幅部は、図1や図11の非反転増幅部14とは別物であるが、同様の機能を有する。図9に示すように、コンデンサ7の両端には、制御信号(オプション)でオン/オフ可能なスイッチ(点線で囲まれた部分)を設けるようにしているが、これは省略することも可能である。
ピークホールド回路について説明する。図9において、制御波形信号が非反転増幅部の非反転入力に入力されると、この電圧と反転入力の電位差がほぼゼロになるように出力からフィードバックがかかる。すなわち、出力電圧がほぼ制御波形信号と同じになるようになるのである。非反転増幅部の出力にダイオードが接続されているので、コンデンサ7の両端の電圧は、制御波形信号の出力の最大電圧が保持されることになる。この電圧は、ダイオード8及びMOSトランジスタ9へのリーク電流で徐々に低下していくのであるが、コンデンサ7の選び方でその時定数を決定することができる。なお、スイッチを設けておき、コンデンサの両端の電圧を強制的にゼロにリセットすることも可能である。
以上、ピークホールド回路の具体的な回路構成を明らかにしたが、電圧保持部13を構成する部品は、トータルで考えてもDAコンバータより低コストであることは明らかであり、本実施形態は低コスト化に優位である。
以上のことから、本実施形態によれば、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様の効果を奏する他に、電圧保持部をピークホールド回路で構成することによって、更に低コストを実現することができる。
〔第4の実施形態〕
本実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態において、電圧保持部13にサンプルアンドホールド回路を用いることを特徴とする。
図10に、本実施形態の電圧保持部13の構成例として、サンプルアンドホールド回路を適用した例を示す。図10において、7はコンデンサである。
サンプルアンドホールド回路について説明する。図10において、制御波形信号は常にスイッチの左端に印加されており、制御信号によりオン/オフ制御される。オンのときは、非反転バッファ部の非反転入力及びコンデンサ7に入力される。スイッチがオフになると、コンデンサ7の両端の電圧が出力される。すなわち、制御信号がオンの時の制御波形信号の電圧が、常に出力されることになる。
以上、サンプルアンドホールド回路の具体的な回路構成を明らかにしたが、電圧保持部13を構成する部品は、トータルで考えてもDAコンバータ及びピークホールド回路より低コストであることは明らかであり、本実施形態は低コスト化に更に優位である。
以上のことから、本実施形態によれば、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様の効果を奏する他に、電圧保持部をサンプルホールド回路で構成することによって、更に低コストかつ高精度を実現できる。
〔第5の実施形態〕
本実施形態では、第1の実施形態から第4の実施形態のいずれかにおいて、電源を、全て正電圧の単電源にしたことを特徴とする。本実施形態では、圧電アクチュエータの特性劣化補正の機能は実現できないが、負電源を省略したことで、更に低コスト化を図ることができる。
〔第6の実施形態〕
上述したように、第1の実施形態から第5の実施形態のいずれかの圧電アクチュエータ駆動装置は、例えば図3に示すような圧電アクチュエータ駆動システム(本発明の一実施形態である画像処理装置)の構成要素の1つとして備えられる。そして、その圧電アクチュエータ駆動システムは、例えば2次元スキャナやレーザプリンタ等に適用される。
ここで、本実施形態の圧電アクチュエータ駆動システムが適用されるレーザプリンタ及びレーザスキャナユニット(光走査装置)の例について図12を参照して説明する。
図12は、レーザプリンタの一例の概略構成を示す図である。このレーザプリンタ(以下、プリンタという)では、プリンタの電源をオンにすると、プリンタ内に設けられた各ユニットに電力が供給され、プリンタ内部の各ユニットの動作が制御されて、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及び定着工程の各工程が順に行われる。
さらに詳細に説明する。プリンタでは、図12に実線の矢印で示すように、給紙ローラ81によって給紙カセット80から記録紙が送り出される。給紙カセット80から送り出された記録紙は、搬送ローラ82に搬送される。搬送ローラ82を通過した記録紙は、一対のレジストローラ83においてその向きが矯正されて感光体ドラム18への搬送タイミングが調整された後、搬送ガイド84を通って感光体ドラム18と転写ローラ51との間のニップ部へ搬送される。
このように記録紙が感光体ドラム18に搬送されるとき、まず、帯電ユニットが、帯電ローラ21の放電により感光体ドラム18の表面全体を帯電させる。
次にレーザスキャナユニット30から感光体ドラム18に向けてレーザ光が照射される。ここで、レーザスキャナユニット30内について説明する。図示はしていないが、レーザスキャナユニット30には、本実施形態の圧電アクチュエータ駆動システムの他に、光源や各種光学系(コリメータレンズ、絞り、f−θレンズ等)が備えられている。そして、光源から出射されたレーザ光は、コリメータレンズや絞りを介し、上述したように圧電により回動する振動子1で反射され、f−θレンズを介して、レーザスキャナユニット30外へ出射される。
そして、感光体ドラム18の表面のうちレ―ザ光が当たった部分には静電潜像が形成される。これにより、感光体ドラム18に対する画像データの書き出しが行われる。
次に、現像ユニット40が、その内部にある帯電したトナーを、現像ローラ42により感光体ドラム18に供給することで、感光体ドラム18の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行う。続いて、転写ユニットが、転写工程において感光体ドラム18と転写ローラ51との間のニップ部を通過する記録紙に感光体ドラム18の表面に付着したトナーを転写させる。転写工程においてトナーが転写された記録紙は、搬送ガイド84を通って定着ユニット60における定着ローラ61と加圧ローラ63との間のニップ部へ搬送される。
定着ユニット60は、定着ローラ61と加圧ローラ63との間のニップ部を通過する記録紙のトナーを、定着ローラ61の熱によって溶解させるとともに加圧ローラ63によって記録紙に圧力を加えることで、トナーを記録紙に定着させる。トナーが定着した記録紙は、排紙ローラ85によってプリンタの外部へ送り出され、排紙トレイ86へ排出される。
このように、本実施形態では、増幅回路からの電気信号の振幅で光スキャナを振動させてレーザビームをスキャンさせる。そして、ビームセンサで規定長さを走査する時間を検知し、その時間が既定時間になるように振幅を制御する。既定時間±許容時間に納まったらその状態を保持する。つまり、ポリゴンミラーと異なり、振動によってレーザをスキャンさせている。光スキャナは非常に小さく(数mm角)、軽い(マイクログラムオーダー)ので、振動、騒音は発生しないという非常に優れた長所がある(振動数は数千回/秒)。本実施形態の光スキャナは、共振状態で使用する(エネルギーの利用効率が最大であるため。一方、共振周波数はモノにより異なり(固有共振周波数)、制御は固有共振周波数にて、振幅を制御することで行われる。
以上のように、本実施形態では、低コストな圧電アクチュエータ駆動装置を適用することで、画像処理装置全体を低コストに実現することができる。
これまで本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
1 振動子
2、3、4、5 圧電素子
6 共通電極
7 コンデンサ
8 ダイオード
9 MOSトランジスタ
10 抵抗
11 制御波形生成部
12 コントロール部
13 電圧保持部
14 非反転増幅部
15 反転増幅部
16 選択部
特許第3804312号公報

Claims (7)

  1. 圧電アクチュエータに対して、当該圧電アクチュエータを駆動させるための駆動電圧を供給する圧電アクチュエータ駆動装置において、
    制御波形信号を生成し、出力する制御波形生成部と、
    制御信号を生成し、出力するコントロール部と、
    前記制御波形生成部から出力された前記制御波形信号と、前記コントロール部から出力された前記制御信号とを入力し、前記入力された制御波形信号及び制御信号に基づいて電圧を制御し、出力する電圧保持部と、
    前記制御波形生成部から出力された前記制御波形信号と、基準電圧とを入力し、一定ゲインで非反転増幅し、第1の駆動電圧として前記圧電アクチュエータへ出力する非反転増幅部と、
    前記制御波形生成部から出力された前記制御波形信号と、前記電圧保持部から出力された前記電圧とを入力し、一定ゲインで反転増幅し、第2の駆動電圧として前記圧電アクチュエータへ出力する反転増幅部と、
    を有することを特徴とする圧電アクチュエータ駆動装置。
  2. 前記コントロール部から出力される切替信号に基づいて前記制御波形生成部からの制御波形信号又はリファレンス電圧のいずれかを選択し、前記反転増幅部へ出力する選択部をさらに有することで、通常動作モードと特別動作モードの切替動作が可能であり、
    前記通常動作モードで動作する場合、
    前記コントロール部は、前記選択部に前記制御波形生成部からの制御波形信号を選択させるための切替信号を前記選択部へ出力するとともに、前記電圧保持部に前記制御波形生成部からの制御波形信号のプラス側の最大電圧を取り込んで出力させるための制御信号を前記電圧保持部へ出力し、
    前記選択部は、前記切替信号に基づいて、前記制御波形生成部からの制御波形信号を選択して前記反転増幅部へ出力し、
    前記電圧保持部は、前記制御信号に基づいて、前記制御波形信号のプラス側の最大電圧を取り込んで前記反転増幅部へ出力し、
    前記反転増幅部は、前記最大電圧を基準として前記制御波形信号の反転増幅を行い、前記第2の駆動電圧として出力する一方で、
    前記特別動作モードで動作する場合、
    前記コントロール部は、前記選択部に前記リファレンス電圧を選択させるための切替信号を前記選択部へ出力するとともに、前記電圧保持部に前記制御波形生成部からの制御波形信号をそのまま出力させるための制御信号を前記電圧保持部へ出力し、
    前記選択部は、前記切替信号に基づいて、前記リファレンス電圧を選択して前記反転増幅部へ出力し、
    前記電圧保持部は、前記制御信号に基づいて、前記制御波形信号をそのまま前記反転増幅部へ出力し、
    前記反転増幅部は、前記リファレンス電圧を基準として前記制御波形信号の反転増幅を行い、前記第2の駆動電圧として出力する、
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電アクチュエータ駆動装置。
  3. 前記特別動作モードで動作する場合、
    前記非反転増幅部及び前記反転増幅部は、おおよそ同電位で、かつ所定の時間の間、正電圧又は負電圧を出力することを特徴とする請求項2記載の圧電アクチュエータ駆動装置。
  4. 前記電圧保持部は、前記制御波形信号のピーク電圧を保持するピークホールド回路を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ駆動装置。
  5. 前記電圧保持部は、前記制御波形信号の所定期間の電圧を保持するサンプルアンドホールド回路を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ駆動装置。
  6. 前記圧電アクチュエータ駆動装置の電源系統は、全て正電圧の単電源であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ駆動装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ駆動装置を有することを特徴とする画像処理装置。
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