JP2011003243A - 光記録媒体及び光記録媒体への情報記録方法 - Google Patents

光記録媒体及び光記録媒体への情報記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光記録の高転送レート化が可能な光記録媒体及びこの光記録媒体への光記録方法を提供する。
【解決手段】光記録媒体10は、情報記録層14と、支持基板18と、保護層22とを有し、情報記録層14は、吸収層12と、第1のハーフフォーマット層16A及び第2のハーフフォーマット層16Bからなるフォーマット層16とを有し、第1のハーフフォーマット層16A、第1のハーフフォーマット層に隣接する吸収層12、吸収層12に隣接する第2のハーフフォーマット層16Bをこの順で積層して構成され、吸収層12の記録波長のレーザ光に対する消衰係数kは、k≧1E−4であり、かつ、フォーマット層16の消衰係数kとしたときに、k>kであり、隣接する情報記録層間の第1のハーフフォーマット層及び第2のハーフフォーマット層は連続一体的に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光記録の高転送レート化が可能な光記録媒体及びこの光記録媒体への記録方法に関する。
特許文献1には、反射型ホログラムによるフォーマットホログラムが内部に形成されているホログラフィ書込み媒体であって、フォーマットホログラム内に局所変性として内部に書き込まれたデータを備えたデバイスが開示されている。この特許文献1には、媒体容積全体にわたって延在する反射型フォーマットホログラムが、媒体の深さ方向に対して垂直な、実質的に平板状の周縁部を有し、対向する2つの平面波により形成されることが記載されている。
また、特許文献2及び特許文献3には、フォーマットホログラムを効率的に局所変性する手段として、媒体中にナノ粒子を導入することが開示されている。
特表2002−502057号公報 米国特許第6512606号明細書 米国特許第7129006号明細書
フォーマットホログラム内に、局所変性として内部に情報を書き込む方法として、光を用いる方法と熱を用いる方法がある。
光を用いる方法としては、光記録媒体の材料に2光子吸収等の非線形材料を用いることが考えられる。しかし、熱量レベルの非線形材料が市販されていないこと、また、非線形効果を出すには、記録用のレーザ光が十分な光密度を持つような光源が必要になることから、一般的ではない。
熱を用いる方法としては、光吸収材料をフォーマットホログラム内に一様に分散させておくか、フォーマットホログラム用材料自体に光吸収性を持たせることが考えられる。しかしながら、フォーマットホログラムを形成するには、光記録媒体として透明性が要求されるので、上記のような方法では、光の吸収を多くすることに限度があり、光記録の高転送レート化を実現するのは困難である。
この発明は、光記録の高転送レート化が可能な光記録媒体及びこの光記録媒体への光記録方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、記録層の膜厚が250μmの条件で、光記録媒体の透明性を保ち、均一なフォーマットホログラムを形成するには、消衰係数は1E−4以下とする必要があることを見出した。
詳細には、光記録媒体の吸収係数をα、膜厚をz(μm)とすると、光記録媒体の透過率I/Iは、(1)式で表される。
I/I=e−αz …(1)
吸収係数αは、
α=4πk/λ (k:消衰係数、λ:波長)
である。
これより、透過率I/Iを満足する膜厚zは、(2)式で表される。
z=−λ/4πk・ln(I/I)…(2)
光記録媒体の透過率50%、記録用のレーザ光の波長405nmの場合の、消衰係数kと膜厚z(μm)の関係は図11に示されるようになる。
図11に示される、z=250μmの条件での上限値である、消衰係数1E−4の光記録媒体に、レーザ光を集光して温度を上げることを考える。図12は、記録パワー100mW、波長405nmのレーザ光をNA=0.85の対物レンズで光記録媒体中に集光したときの光記録媒体内の温度上昇をシミュレーションした結果を示す。
ここで、光記録媒体の屈折率をn=1.6、消衰係数をk=1E−4、比熱をC=1.512(J/cm/deg)、熱伝導係数をK=0.00223(W/cm/deg)とし、Blu−ray(登録商標) Disc 1倍速の線速度である、4.917m/secで光記録媒体を回転させるものとした。
図12より、レーザ光が光記録媒体中で吸収されることから、下層へ行くほど温度の上昇は小さくなり、最も温度上昇の高い上層でも100℃の温度上昇しか期待できないことが分かる。光記録媒体の環境温度安定性を考えると、100℃の温度上昇で局所変性するのは好ましくなく、この記録パワーのレーザ光では記録できないことが分かる。
本発明者等は、鋭意研究の結果、フォーマットホログラム層(以下、フォーマット層という)と吸収層を分離して積層し、吸収層の記録波長のレーザ光に対する消衰係数をk、フォーマット層の消衰係数をkとしたときに、k>kとすることで、光記録の高転送レート化が可能となることを見出した。
即ち以下の実施例により上記課題を解決することができる。
(1)反射型ホログラムが設けられたフォーマット層と、レーザ光を吸収する吸収層とを含んで構成される少なくとも一層の情報記録層を有し、前記吸収層の消衰係数をk、前記フォーマット層の消衰係数をkとしたときに、k>kであることを特徴とする光記録媒体。
(2)k≧1E−4であることを特徴とする(1)に記載の光記録媒体。
(3)前記フォーマット層は、第1及び第2のハーフフォーマット層からなり、前記情報記録層は、第1のハーフフォーマット層、該第1のハーフフォーマット層に隣接する前記吸収層、前記吸収層に隣接する前記第2のハーフフォーマット層をこの順で積層して構成されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の光記録媒体。
(4)前記情報記録層は複数設けられ、隣接する情報記録層間の前記第1のハーフフォーマット層及び前記第2のハーフフォーマット層は連続一体的に形成されていることを特徴とする(3)に記載の光記録媒体。
(5)前記反射型ホログラムは、前記フォーマット層の、前記吸収層に接する面を中心として、厚さ方向両側が局所的に変性されることにより、記録マークが形成されていることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の光記録媒体。
(6)請求項1乃至4のいずれかに記載の光記録媒体への情報記録方法であって、レーザ光を照射して、前記吸収層の温度を上昇させ、前記フォーマット層に設けられた反射型ホログラムを変性することを特徴とする光記録媒体への情報記録方法。
本発明の光記録媒体によれば、フォーマット層と吸収層とが分離して積層され、吸収層の記録波長のレーザ光に対する消衰係数をk、フォーマット層の消衰係数をkとしたときに、k>kとなるようにされていて、フォーマット層での光吸収を大きくすることなく、すなわち、透明性を低下させることなく、吸収層での光吸収を多くできるので光記録の高転送レート化が可能になる。
本発明の実施例に係る光記録媒体の断面を拡大して模式的に示す断面図 本発明の実施例に係る光記録媒体を示す斜視図 本発明の実施例に係る光記録媒体に変性記録を行った状態を模式的に示す断面図 本発明の実施例に係る光記録媒体内の温度上昇を示すグラフ 本発明の実施例に係る光記録媒体内の温度上昇を示すグラフ 本発明の実施例に係る光記録媒体のフォーマット信号形成を行なうための反射型ホログラム記録光学系を模式的に示すブロック図 本発明の実施例に係る光記録媒体のフォーマット信号の再生を行なうための反射型ホログラム再生光学系を模式的に示すブロック図 本発明の実施例に係る光記録媒体の変性記録を行なうための反射型ホログラム変性記録光学系を模式的に示すブロック図 本発明の実施例に係る光記録媒体内の温度上昇を示すグラフ 本発明の実施例に係る光記録媒体の変性記録を行なうための反射型ホログラム変性記録光学系を模式的に示すブロック図 光記録媒体の消衰係数と膜厚の関係を示すグラフ 光記録媒体内の温度上昇を示すグラフ
以下、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る光記録媒体10について詳細に説明する。
光記録媒体10は、図2に示されるようなディスク状に形成され、その内部には、図1に示されるように、厚さ方向に吸収層12とフォーマット層16とからなる情報記録層14が4層積層されている。
吸収層12は、レーザ光を吸収するようにされている。
各情報記録層14におけるフォーマット層16は、第1のハーフフォーマット層16A及び第2のハーフフォーマット層16Bからなり、これらは吸収層12の厚さ方向両側に設けられている。フォーマット層16の消衰係数をk、吸収層12の消衰係数をkとしたときに、k>kとなるようにされている。
図2の上端及び下端のハーフフォーマット層以外では、ある情報記録層14の下側の第2のハーフフォーマット層16Bと、その下側に隣接する情報記録層14の上側の第1のハーフフォーマット層16Aは、連続一体的に形成されている。
また、これらの交互に積層された吸収層12とフォーマット層16とは、支持基板18上に形成され、図1において最下部のハーフフォーマット層16Aは反射層24を介して支持基板18に接し、最上部のハーフフォーマット層16Bの更に上部には、保護層22が形成されている。
支持基板18は、グルーブ19を有し、また、そのグルーブ19側の表面に、SiO、SiN等の誘電体材料、或いはAg,Al等の金属材料をスパッタリング等の手段によって成膜した前記反射層24が設けられている。
以下、光記録媒体10の各層の材料について説明する。
吸収層12は、記録波長のレーザ光に対して光吸収性を有する材料を好適に用いればよい。材料としては、吸収率の制御がし易く、記録波長に対する散乱性が低いことが好ましい。例えば、色素、ナノ粒子が均一に分散した層、或いは、無機薄膜層等を用いることができる。後述するフォーマット層16にフォトポリマー系の材料を用いた場合は、色素、或いはナノ粒子層を積層するのが製法上好ましい。色素を用いる場合は、吸収率を膜厚で制御しても良いし、或いは、有機材料中に分散し、その濃度で制御しても良い。
フォーマット層16は、ホログラム材料を好適に用いればよい。詳細には、記録用レーザ光照射時における吸収層12の熱によってホログラム回折条件が変化し、吸収層12の熱の影響を受けない位置ではホログラムが維持される熱閾値を有する感光性材料、例えば、フォトポリマー系の材料が好ましい。
支持基板18としては、ガラス基板、ポリカーボネート樹脂基板等が、また、保護層22としては透明な光硬化樹脂やポリカーボネートのシート等が、それぞれ用いられる。
図4、5は、レーザ光の記録パワーをそれぞれ100mW、50mWとし、波長405nmのレーザ光をNA=0.85の対物レンズで光記録媒体10中に集光したときの光記録媒体10内の温度上昇をシミュレーションしたものである。
ここで、吸収層12の屈折率をn=1.6、消衰係数をk=1E−4、比熱をC=1.512(J/cm/deg)、熱伝導係数をK=0.00223(W/cm/deg)とし、光記録媒体10を固定し、同一箇所にレーザ光を照射し続けるものとした。
レーザ光の記録パワーは、半導体レーザで使用可能な最大パワーが100mWと想定し、光記録媒体10の透過率が50%としたときに、最下層(図2において最下部)の吸収層12に到達するパワーは、50mWになるものと仮定した。
同一箇所にレーザ光を当て続けた場合においても、吸収層12の消衰係数が1E−4未満では、最下層の温度上昇は200℃に達せず、記録が困難であることが分かった。
従って、吸収層12の消衰係数kは1E−4以上、即ち、k≧1E−4とすることが必要である。
本実施形態では、このような吸収層12に光を照射し、吸収層12の温度を上昇させることで、上下に隣接するハーフフォーマット層16A、16Bに形成されている干渉縞を熱変性させて記録マークを形成し、記録を行う。そのため、吸収層12の熱を効率的にフォーマット層16へ伝えることが好ましい。記録層を20層とする場合は、吸収層12の厚みを10μm以下に抑えることで、吸収層の消衰係数を1E−4以上にすることが可能となり、最下層の温度上昇を200℃以上とすることで、効率的に、隣接するハーフフォーマット層16A、16Bへ熱を伝えることができる。
このときの光記録媒体10を図3に示す。図3に示されるように、フォーマット層16の反射型ホログラムは、フォーマット層16の吸収層12に接する面を中心として、厚さ方向両側が局所的に変性され、記録マーク26が形成されている。即ち、情報記録層14中の第1のハーフフォーマット層16Aと吸収層12の接する面及び第2のハーフフォーマット層16Bと吸収層12の接する面を中心として厚さ方向両側が局所的に変性され、記録マーク26が形成されている。
記録マーク26は、情報記録層14内にのみ形成される大きさとされ、隣接する情報記録層等へ侵食(クロストーク)しないようにされている。
(媒体作製)
実施例1の光記録媒体20は次のように作成した。
(吸収層溶液作製)
テトラブトキシチタン(Ti(OBu)4,高純度化学製)7.3gと、2−メチルペンタン−2,4,ジオール(東京化成製)5.04gとをn−ブタノール溶媒2ml中で室温にて混合し、10分間攪拌した。このときモル比は、Ti(OBu)4:2−メチルペンタン−2,4−ジオール=1:2であった。
この反応液に、ジフェニルジメトキシシラン(PhSi(OME) 信越化学製)5.2gを加え、金属アルコキシド溶液とした。このときモル比は、Ti:Si=1:1であった。
次に、水0.4ml、2N塩酸水溶液0.16ml、及び溶媒エタノール2mlからなる溶液を、金属アルコキシド溶液に攪拌しながら室温で滴下し、30分間攪拌を続け、加水分解反応及び縮合反応を行ない、ゾル溶液を得た。
光重合性化合物として、ポリエチレングリコールモノアクリレート(共栄社化学製:130A)100重量部に、光重合開始剤としてIRG−907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)30重量部と、光増感剤として2,4−ジエチル−9H−チオキサンテン−9−オン0.3重量部とを加え、光重合性化合物を含む混合物とした。
不揮発分としてのマトリックス材料の割合が75重量部、光重合性化合物の割合が25重量部となるように、ゾル溶液と光重合性化合物の混合物とを室温にて混合し、遮光した状態で、更に1時間ゾル−ゲル反応を十分に進行させ、ホログラム記録材料溶液を得た。
得られた溶液を、遮光状態で80℃加熱濃縮し、特有の溶液とした。この溶液を遮光状態のままガラス基板上へスピンコータで塗布後、80℃オーブンで20時間乾燥して記録膜厚20μmの光記録媒体を得た。この光記録媒体の記録膜上に、溶媒で溶かした色素を、スピンコート法にて塗布した。塗布厚は、0.1μmであった。
この塗膜上に、ホログラム記録材料溶液をスピンコート法で塗布後、80℃オーブンで20時間乾燥して、「ホログラム記録材料/色素/ホログラム記録材料」の3層積層の光記録媒体を得た。ここで、ホログラム記録材料層は光記録媒体10のフォーマット層16に相当し、色素層は光記録媒体10の吸収層12に相当する。
この光記録媒体上に、UV硬化樹脂をスピンコートで塗布した。膜厚は、表面から色素層までの距離が87.5μmになるように調整し、光記録媒体20を得た。
光記録媒体20の透過率を、波長405nmのレーザを照射して測定したところ、表面反射を除いた正味の透過率は、97%であった。また、ホログラム記録材料、及び色素を、スライドガラス上に塗布し光学特性を測定したところ、ホログラム記録材料の消衰係数は、1E−5、色素の消衰係数は、1E−2であった。即ち、吸収層(色素層)の消衰係数をk、フォーマット層(ホログラム記録材料層)の消衰係数をkとしたときに、k>kであった。
(反射型ホログラムの記録)
光記録媒体20に、以下の方法で反射型ホログラムを形成した。反射型ホログラムを形成するに当たり図6、7に示す光学系を構築した。
反射型ホログラムは、図6に示す反射型ホログラム記録光学系80により、次のように形成した。
外部共振器LD(以下、ECLDという、波長405nm)82から出射された(ビーム断面が)楕円形状のレーザ光は、アナモフィックプリズム83を通して、略円形状にビーム整形され、アイソレータ84を通る。
アイソレータ84は、反射光がECLD82に戻り、レーザ発振が不安定になることを防ぐために設けられている。アイソレータ84を通過したレーザ光は、シャッター85及びレンズ対86A、86Bとピンホール86Cの組合せからなる空間フィルタ86によりビームプロファイルを改良されると共に、ビーム径を拡げられ、約10φのレーザ光となる。
レーザ光は、ミラー87により光路を曲げた後、1/2波長板(以下、HWPという)88により、偏光方向がS偏光となる。S偏光は、ビームスプリッタ(以下、BSという)89により2光束に分割される。
2光束のS偏光は、それぞれ、ミラー91A、91Bで反射された後、アパーチャ93A、93Bで約4φのビーム径に絞られ、光記録媒体20内に相互に反対方向から入射してお互いに干渉する。
図6に示す反射型ホログラム記録光学系80のサンプルホルダ90に、光記録媒体20をセットして、ここで2光束のS偏光を干渉させてフォーマット層16に反射型ホログラムの形成を行なった。
記録時のレーザパワーは、それぞれ600μWであり、60秒の露光を行なった。その後、中心波長400nmのLEDを用い、ポストキュアを行ない、記録材料の重合反応を完了させた。
(反射型ホログラムの再生)
反射型ホログラムの再生は、図7に示す反射型ホログラム再生光学系100により行なった。
この反射型ホログラム再生光学系100は、図6に示される反射型ホログラム記録光学系80に、一対の光検出器95A、95B、一対の偏光ビームスプリッタ(以下、PBSという)96A、96B、一対の1/4波長板(以下、QWPという)97A、97B、及び、遮蔽板98を加え、且つ、ミラー91Aを除外したものと同等である。
他の構成は反射型ホログラム記録光学系80の構成と同一であるので、同一構成部分には図6と同一符号を付することにより説明を省略するものとする。
HWP88までの光路は、ホログラム形成時と同様である。再生時には、HWP88で偏光方向がP偏光となる。また、BS89で分割したレーザ光の一方のみを使用する。他方の光路は、遮蔽板98のようなシャッターを用いて遮断する。
BSを通過したP偏光は、PBS96Bを通過し、QWP97Bを通ることで直線偏光から円偏光にされ、反射型ホログラムの形成された光記録媒体20へ照射される。
照射光は、光記録媒体20の法線方向から入射する。照射光は、反射型ホログラムにより反射光と透過光へ分離される。反射光、透過光共にQWP97B、97Aを再度通過することで、S偏光となる。S偏光は、PBS96B、96Aにより全て90°方向へ反射される。反射されたS偏光は、光検出器95B、95Aにより、それぞれの強度が検出される。透過光と反射光の和に対する、反射光の比を算出することで、形成された反射型ホログラムの反射率(回折効率)を求めることができる。
反射型ホログラム再生光学系100のサンプルホルダ90に記録済みの光記録媒体20をセットして、反射型ホログラムの再生を行なったところ、20%の反射率を観測し、一様に反射型ホログラムが形成されていることを確認した。
(反射型ホログラムへの変性記録)
反射型ホログラムへの変性記録を行なうために、図8に示す反射型ホログラム変性記録光学系120を構築した。
この反射型ホログラム変性記録光学系120は、ブルーレーザダイオード(以下、BLDという)102と、コリメートレンズ(以下、CLという)104と、HWP106と、PBS108と、QWP110と、対物レンズ112と、レンズ114と、ピンホール116と、光検出器118とから構成される。
波長405nmのBLD102から出射した発散光は、CL104により、平行光となり、HWP106により、P偏光となる。P偏光は、PBS108を通過し、QWP110により円偏光にされ、対物レンズ112により光記録媒体20中に集光する。対物レンズ112で集光されたレーザ光は、反射型ホログラムを局所的に変性する。
この反射型ホログラム変性記録光学系120を用いて変性記録を行った。
再生は、変性記録と同様に、対物レンズ112によりレーザ光を光記録媒体20中に集光することにより行われる。集光されたレーザ光は、フォーカス点近傍で平行光となる。平行光は、光記録媒体20中に形成された反射型ホログラムと干渉し、反射光(回折光)を形成する。
反射光はQWP110を再度通過し、S偏光となり、PBS108で90°方向に反射し、レンズ114で集光され、ピンホール116を通過した後、光検出器118で検出される。平行光となる領域は波長λと対物レンズのNAと光記録媒体の屈折率nで決定され、次式で表される。
集光幅:w=λ/NA
集光深さ:L=4λn/NA
構築した光学系では、λ=405nm、NA=0.85、光記録媒体の屈折率n=1.62より、
集光幅:w=0.48μm
集光深さ:L=3.6μm
の領域の反射型ホログラムからの反射光が検出される。
なお、光検出器118の直前に設けているピンホール116は、反射型ホログラム以外の迷光を遮断するために設置されている。
次に、反射型ホログラムを形成した光記録媒体20を反射型ホログラム変性記録光学系120へ設置し、停止した状態で青色レーザを照射した。使用した対物レンズ112は、媒体表面から87.5μmの位置で球面収差が小さくなるものを用いた。記録した深さ位置は、色素層のある光記録媒体20の表面から87.5μmの位置とした。
次に、照射した位置を中心に光記録媒体20を回転させて反射率の変動を観測した。断面50mWのパワーで、1μs照射した後、光記録媒体20を回転させて反射率の変動を観測したところ、照射位置で変調度80%の反射率の低下が認められた。即ち、情報が記録されていることが分かった。
(媒体作製)
実施例1と同様に、ホログラム記録材料溶液を調整し、遮光状態で80℃加熱濃縮し、塗布用の溶液とした。
次に、実施例1と同様に、ホログラム記録材料溶液と色素溶液をスピンコート法により重ね塗りを行なった。重ね塗りにより、「ホログラム記録材料/色素/ホログラム記録材料/色素/ホログラム記録材料」の5層積層の光記録媒体30を得た。各ホログラム記録材料(フォーマット層)の膜厚は20μm、色素(吸収層)の膜厚は0.1μmとした。
この光記録媒体30上に、UV硬化樹脂をスピンコータで塗布した。膜厚は、表面から3層目のフォーマット層16の中心までの距離が87.5μmになるように調整した。
本光記録媒体30の透過率を、波長405nmのレーザを照射して測定したところ、表面反射を除いた正味の透過率は92%であった。また、ホログラム記録材料、及び色素を、スライドガラス上に塗布し光学特性を測定したところ、ホログラム記録材料の消衰係数は、1E−5、色素の消衰係数は、1E−2であった。即ち、吸収層(色素層)の消衰係数をk、フォーマット層(ホログラム記録材料層)の消衰係数をkとしたときに、k>kであった。
(反射型ホログラムの記録)
反射型ホログラムの記録は、実施例1と同様に行なった。
(反射型ホログラムの再生)
実施例1と同様に反射型ホログラムの再生を行なったところ、30%の反射率を観測し、一様に反射型ホログラムが形成されていることを確認した。
(反射型ホログラムへの変性記録)
反射型ホログラムへの変性記録を行なうために、実施例1の反射型ホログラム変性記録光学系120の光路にリレーレンズ122を挿入した図10の反射型ホログラム変性記録光学系130を構築した。
他の構成は反射型ホログラム変性記録光学系120の構成と同一であるので、同一構成部分には図8と同一符号を付することにより説明を省略するものとする。
リレーレンズ122は、光記録媒体30内の焦点位置を変えた時に、球面収差が増加しないように光学設計がされている。リレーレンズ122を動かすことにより、光記録媒体30の表面から87.5μmの位置を中心に、±15μm焦点位置を動かしても、球面収差の増加がほとんど認められないことを確認した。
この反射型ホログラム変性記録光学系130を用いて、実施例1と同様に光記録媒体30の変性記録を行なった。記録した深さ位置は、色素層(吸収層)のある、光記録媒体30の表面から上層色素層77.5μm及び下層色素層97.5μmの位置とした。
次に、照射した位置を中心に光記録媒体30を回転させて反射率の変動を観測した。50mWのパワーで1μs照射した後、光記録媒体30を回転させて反射率の変動を観測したところ、上層色素層及び下層色素層の照射位置で変調度80%の反射率の低下が認められた。即ち、情報が記録されていることが分かった。
(吸収層溶液作製)
テトラブトキシチタン(Ti(OBU)、高純度化学製)2.51gと、アセト酢酸エチル(東京化成製)1.92gとをn−ブタノール溶媒2ml中で室温にて混合し、10分間攪拌した。このとき、Ti(OBU)とアセト酢酸エチルのモル比は1:2であった。
この反応液に、ジフェニルジメトキシシラン(PhSi(OME)、信越化学製)1.80gを加え、金属アルコキシド溶液とした。このとき、モル比はTi:Si=1:1であった。
水0.3ml、2N塩酸水溶液0.12ml及び溶媒エタノール2mlからなる溶液を、金属アルコキシド溶液に攪拌しながら室温で滴下し、30分攪拌を続け加水分解反応及び縮合反応を行なった。このようにしてゾル溶液を得た。
ゾル溶液にポリエチレングリコールモノアクリレート(共栄社化学製:130A)を0.7g加えて室温にて混合し、更に1時間ゾル−ゲル反応を十分に進行させ、着色ゾルゲル塗布用の溶液とした。
(媒体作製)
実施例1と同様に、ホログラム記録材料溶液を調整し、記録膜厚20μmの光記録媒体を得た。
着色ゾルゲル溶液を光記録媒体上へスピンコータで塗布後、80℃オーブンで15時間乾燥して1μmの膜を得た。
塗膜上に、ホログラム記録材料溶液をスピンコート法で塗布後、80℃オーブンで10時間乾燥して、「ホログラム記録材料/着色ゲル/ホログラム記録材料」の3層積層の光記録媒体を得た。
この光記録媒体上に、UV硬化樹脂をスピンコートで塗布した。膜厚は、光記録媒体の表面から着色ゲル層(吸収層)中心までの距離が87.5μmになるように調整した。本光記録媒体の透過率を、波長405nmのレーザを照射して測定したところ、表面反射を除いた正味の透過率は、97%であった。
ホログラム記録材料、及び着色ゲルを、スライドガラス上に塗布し、光学特性を測定したところ、ホログラム記録材料の消衰係数は1E−5、着色ゲルの消衰係数は1E−2であった。即ち、吸収層(色素層)の消衰係数をk、フォーマット層(ホログラム記録材料層)の消衰係数をkとしたときに、k>kであった。
(反射型ホログラムの記録)
反射型ホログラムの記録は、実施例1と同様に行なった。
(反射型ホログラムの再生)
実施例1と同様に再生を行なったところ、30%の反射率を観測し、一様に反射型ホログラムが形成されていることを確認した。
(反射型ホログラムへの変性記録)
反射型ホログラムへの変性記録は、実施例1と同様に行なった。50mWのパワーで1μs照射した後、光記録媒体を回転させて反射率の変動を観測したところ、照射位置で変調度85%の反射率の低下が認められた。即ち、情報が記録されていることが分かった。
上記光記録媒体について、情報記録層の膜厚を250μmとしたときの、最上層の吸収層の温度上昇のシミュレーションを行った。その結果を図9に示す。
ここで、吸収層の屈折率を1.6、消衰係数を1E−3、膜厚を1μm、フォーマットホログラム層の屈折率を1.6、消衰係数を0、膜厚を11μm、レーザ光の記録パワーを50mWとし、その他は、図11のシミュレーション条件と同一にした。
この積層構造では、レーザ光の記録パワーが50mWでも、Blu−ray Disc 1倍速で500℃、2倍速で300℃、3倍速で200℃の温度上昇が見込まれ、高転送レートを達成することができる。
ここで、吸収層の厚みを1μm、消衰係数を1E−3と設定したのは、吸収層を20層積層した場合も、フォーマット層の吸収が0であれば、図11より、50%の透過率を確保できることが分かり、フォーマットホログラムの形成が可能であるからである。
[比較例1]
(吸収層溶液作製)
実施例1で使用した色素を、実施例1の光重合性化合物を含む混合物に添加した。実施例1と同様に、ホログラム記録材料溶液を調整し、遮光状態で80℃で加熱濃縮を行なうことで、塗布用の溶液とした。
(媒体作製)
この溶液を遮光状態のまま、ガラス基板上へスピンコータで塗布後、80℃オーブンで20時間乾燥して記録膜厚20μmの光記録媒体を得た。
この記録媒体上に、更にスピンコータで塗布後、80℃オーブンで20時間加熱し、記録膜厚40μmの光記録媒体を得た。
光記録媒体の透過率を、波長405nmのレーザを照射して測定したところ、表面反射を除いた正味の透過率は、97%であった。
ホログラム記録材料をスライドガラス上に塗布し光学特性を測定したところ、消衰係数は1E−4であった。
実施例1と同様に反射型ホログラムを形成し、反射型ホログラムの再生を行なったところ、20%の反射率を観測した。
次に、実施例1と同様に、反射型ホログラムへの変性記録を試みた。記録位置は、対物レンズの球面収差が小さい、光記録媒体の表面から87.5μmの位置に設定した。
50mWのパワーで、1μs照射した後、光記録媒体を回転させて反射率の変動を観測したところ、照射位置での反射率変化は認められなかった。即ち、情報が記録されていないことが分かった。
以上の結果より、実施例1乃至3の光記録媒体は、フォーマット層と吸収層を分離して積層し、吸収層の記録波長のレーザ光に対する消衰係数をフォーマット層と比較して大きくなるようにすることで、光記録の高転送レート化が可能になることが分かった。
なお、実施形態では4層の情報記録層を有する光記録媒体10を作成したが、本発明は情報記録層の数に限られず、少なくとも1層の情報記録層を有する光記録媒体に適用することができる。
また、本発明は、記録可能な光記録媒体のみならず、記録済の再生専用光記録媒体(ROM)にも適用されるものである。
本発明は、ホログラム光記録媒体等の光記録媒体に利用することができる。
10…光記録媒体
12…吸収層
14…情報記録層
16…フォーマット層
16A…第1のハーフフォーマット層
16B…第2のハーフフォーマット層
18…支持基板
22…保護層
80…反射型ホログラム記録光学系
100…反射型ホログラム再生光学系
120、130…反射型ホログラム変性記録光学系

Claims (6)

  1. 反射型ホログラムが設けられたフォーマット層と、レーザ光を吸収する吸収層とを含んで構成される少なくとも一層の情報記録層を有し、
    前記吸収層の消衰係数をk、前記フォーマット層の消衰係数をkとしたときに、k>kであることを特徴とする光記録媒体。
  2. 請求項1において、
    ≧1E−4であることを特徴とする光記録媒体。
  3. 請求項1又は2において、
    前記フォーマット層は、第1及び第2のハーフフォーマット層からなり、
    前記情報記録層は、第1のハーフフォーマット層、該第1のハーフフォーマット層に隣接する前記吸収層、前記吸収層に隣接する前記第2のハーフフォーマット層をこの順で積層して構成されていることを特徴とする光記録媒体。
  4. 請求項3において、
    前記情報記録層は複数設けられ、隣接する情報記録層間の前記第1のハーフフォーマット層及び前記第2のハーフフォーマット層は連続一体的に形成されていることを特徴とする光記録媒体。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記反射型ホログラムは、前記フォーマット層の、前記吸収層に接する面を中心として厚さ方向両側が局所的に変性されることにより、記録マークが形成されていることを特徴とする光記録媒体。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の光記録媒体への情報記録方法であって、
    レーザ光を照射して、前記吸収層の温度を上昇させ、前記フォーマット層に設けられた反射型ホログラムを変性することを特徴とする光記録媒体への情報記録方法。
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