JP2011000514A - Egrクーラ用排ガス浄化触媒体及びegr還流装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排ガスから粒子状物質を選択的に除去することができ、EGRクーラに流入する排ガスの温度上昇を抑制できるEGRクーラ用排ガス浄化触媒体及びEGR還流装置を提供すること。
【解決手段】内燃機関5から排出される排ガスの少なくとも一部を内燃機関5の吸気側51に還流させるEGR通路11において、排ガスを冷却するEGRクーラ12よりも上流側に配置して用いられるEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2及びこれを備えたEGR還流装置1である。EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を触媒成分とする浄化触媒を含有する。
【選択図】図1
【解決手段】内燃機関5から排出される排ガスの少なくとも一部を内燃機関5の吸気側51に還流させるEGR通路11において、排ガスを冷却するEGRクーラ12よりも上流側に配置して用いられるEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2及びこれを備えたEGR還流装置1である。EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を触媒成分とする浄化触媒を含有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関から排出される排ガスの少なくとも一部を内燃機関の吸気側に還流させるEGR通路において、EGRクーラの上流側に配設されるEGRクーラ用排ガス浄化触媒体、及び該EGRクーラ用排ガス浄化触媒体を備えたEGR還流装置に関する。
排気ガス再循環(EGR)は、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガスの少なくとも一部を内燃機関の吸気側に還流する技術である。EGRは、排ガス中の窒素酸化物(NOx)の低減や燃費向上を目的として広く利用されている。
EGRにおいては、燃焼温度を下げるために、吸気側に還流させる排ガスの温度を低下させることが行われている。そのため、EGR還流装置においては、排ガスを還流させる還流通路の途中に、排ガスを冷却するためのEGRクーラが設けられている。
EGRにおいては、燃焼温度を下げるために、吸気側に還流させる排ガスの温度を低下させることが行われている。そのため、EGR還流装置においては、排ガスを還流させる還流通路の途中に、排ガスを冷却するためのEGRクーラが設けられている。
排ガスには、COやHCの他、煤等の粒子状物質(PM)が含まれている。そのため、PMを含んだ排ガスがEGRクーラに流入すると、EGRクーラを閉塞させ、その熱交換性能が低下してしまうという問題があった。また、PMを含んだ排ガスは、EGR弁をも閉塞させ、その結果排ガスの還流自体が不可能になるおそれがあった。
そこで、EGRガス還流回路中の未燃炭化水素及び煤塵を除去するパティキュレートトラップと、その下流に酸化触媒層を設ける技術が開発されている(特許文献1参照)。
また、EGRクーラの上流に酸化触媒を設ける技術が開発されている(特許文献2参照)。
また、EGRクーラの上流に酸化触媒を設ける技術が開発されている(特許文献2参照)。
しかしながら、従来の技術においては、EGR還流通路において、排ガスからPMだけでなく、HC及びCOも燃焼浄化されていた。その結果、燃焼熱によりEGRクーラの上流で排ガス温度が上昇し、EGRクーラでの排ガスの冷却効率が悪くなり、EGRクーラにかかる負担が増大するという問題があった。
また、HC及びCOを含んだ排ガスは、これを還流させると燃費向上に寄与できるが、従来技術においては、PMだけでなくHC及びCOをも浄化されていた。そのため、EGRによる燃費向上効果が充分に得られないという問題があった。
また、従来技術においては、浄化用の触媒として高価な貴金属が用いられていたため、コストが高いという問題があった。
また、HC及びCOを含んだ排ガスは、これを還流させると燃費向上に寄与できるが、従来技術においては、PMだけでなくHC及びCOをも浄化されていた。そのため、EGRによる燃費向上効果が充分に得られないという問題があった。
また、従来技術においては、浄化用の触媒として高価な貴金属が用いられていたため、コストが高いという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、排ガスから粒子状物質を選択的に除去することができ、EGRクーラに流入する排ガスの温度上昇を抑制できるEGRクーラ用排ガス浄化触媒体及びEGR還流装置を提供しようとするものである。
第1の発明は、内燃機関から排出される排ガスの少なくとも一部を上記内燃機関の吸気側に還流させるEGR通路において、排ガスを冷却するEGRクーラよりも上流側に配置して用いられるEGRクーラ用排ガス浄化触媒体であって、
該EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を触媒成分とする浄化触媒を含有することを特徴とするEGRクーラ用排ガス浄化触媒体にある(請求項1)。
該EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を触媒成分とする浄化触媒を含有することを特徴とするEGRクーラ用排ガス浄化触媒体にある(請求項1)。
第2の発明は、内燃機関から排出される排ガスの少なくとも一部を上記内燃機関の吸気側に還流させるEGR通路と、
該EGR通路に配設され、上記排ガスを冷却するEGRクーラと、
上記EGR通路における上記EGRクーラの上流側に配設されたEGRクーラ用排ガス浄化触媒体とを有し、
該EGRクーラ用排ガス浄化触媒体としては、上記第1の発明のものが採用されていることを特徴とするEGR還流装置にある(請求項8)。
該EGR通路に配設され、上記排ガスを冷却するEGRクーラと、
上記EGR通路における上記EGRクーラの上流側に配設されたEGRクーラ用排ガス浄化触媒体とを有し、
該EGRクーラ用排ガス浄化触媒体としては、上記第1の発明のものが採用されていることを特徴とするEGR還流装置にある(請求項8)。
上記第1の発明において、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を触媒成分とする浄化触媒を含有し、上記EGRクーラの上流側に配置して用いられる。
そのため、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、上記浄化触媒のPMに対する優れた燃焼促進特性を生かして、上記EGRクーラの上流側において排ガスから粒子状物質(PM)を選択的に除去することができる。
そのため、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、上記浄化触媒のPMに対する優れた燃焼促進特性を生かして、上記EGRクーラの上流側において排ガスから粒子状物質(PM)を選択的に除去することができる。
即ち、上記浄化触媒は、その触媒成分としてアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有するため、HC、COをほとんど燃焼させることなく、PMを選択的に除去することができる。そのため、上記EGRクーラへのPMの流入を防止することができると共に、HC及びCOの燃焼熱の発生を抑制することができるため、上記EGRクーラに流入する排ガスの温度上昇を抑制することができる。それ故、上記EGRクーラの閉塞を抑制できると共に、上記EGRクーラでの排ガスの冷却効率を向上させることができる。
また、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、上記のごとく、HC、COをほとんど燃焼させることがない。そのため、排ガスの還流時には、HC、COを含んだ排ガスを上記内燃機関の吸気側に還流させることができる。それ故、HC、COの発熱量を充分に再利用することができ、燃費向上効果を増大させることができる。
また、上記第2の発明において、上記EGR還流装置は、上記第1の発明の上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体が採用されている。そのため、上記EGR還流装置は、排ガスから粒子状物質を選択的に除去することができ、EGRクーラに流入する排ガス温度の上昇を抑制することができる。
次に、本発明を実施する形態について説明する。
本発明において、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガスの少なくとも一部を上記内燃機関の吸気側に還流させるEGR通路に配設して用いられ、特に上記EGR通路におけるEGRクーラの上流側に配置して用いられる。上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を触媒成分とする上記浄化触媒を含有する。
上記触媒成分としては、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む化合物を用いることができる。具体的には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等がある。
本発明において、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガスの少なくとも一部を上記内燃機関の吸気側に還流させるEGR通路に配設して用いられ、特に上記EGR通路におけるEGRクーラの上流側に配置して用いられる。上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を触媒成分とする上記浄化触媒を含有する。
上記触媒成分としては、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む化合物を用いることができる。具体的には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等がある。
また、上記浄化触媒は、8〜11族に属する遷移金属を含有していないことが好ましい。該遷移金属としては、例えばPt、Pd、Rh等がある。
8〜11族に属する遷移金属を含有する場合には、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体において排ガス中に含まれるCO、HC等が燃焼されてしまうおそれがある。そのため、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体を通過した排ガスの温度が上昇し、上記EGRクーラにおける冷却効率が低下するおそれがある。また、EGRクーラにかかる負担が大きくなるおそれがある。また、この場合には、上記内燃機関において再利用可能なCO、HC等が燃焼除去されてしまうため、燃費を充分に向上させることができなくなるおそれがある。
8〜11族に属する遷移金属を含有する場合には、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体において排ガス中に含まれるCO、HC等が燃焼されてしまうおそれがある。そのため、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体を通過した排ガスの温度が上昇し、上記EGRクーラにおける冷却効率が低下するおそれがある。また、EGRクーラにかかる負担が大きくなるおそれがある。また、この場合には、上記内燃機関において再利用可能なCO、HC等が燃焼除去されてしまうため、燃費を充分に向上させることができなくなるおそれがある。
上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、多孔質体からなる基材と、該基材に担持された浄化触媒とを有し、該浄化触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記浄化触媒は、温度400℃以上という低温領域からPMの燃焼除去が可能になる。そのため、排気マニホールドの直下に上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体を配置すると、常時運転領域でもPMの燃焼除去が可能になる。その結果、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体の目詰まりを抑制し、EGR通路の圧損上昇を抑制することができる。
また、上記浄化触媒は、排ガスに含まれる水分に対して優れた耐久性を示すことができる。そのため、長期間安定にPMを除去することができる。
この場合には、上記浄化触媒は、温度400℃以上という低温領域からPMの燃焼除去が可能になる。そのため、排気マニホールドの直下に上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体を配置すると、常時運転領域でもPMの燃焼除去が可能になる。その結果、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体の目詰まりを抑制し、EGR通路の圧損上昇を抑制することができる。
また、上記浄化触媒は、排ガスに含まれる水分に対して優れた耐久性を示すことができる。そのため、長期間安定にPMを除去することができる。
上記混合物又はソーダライトの焼成温度が600℃未満の場合には、上記浄化触媒の耐久性が劣化するおそれがある。その結果、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体を長期間安定して使用することができなくなるおそれがある。より好ましくは、焼成温度は700℃以上がよく、さらに好ましくは800℃以上がよい。
なお、焼成温度は、上記混合物又はソーダライト自体の温度のことであり、雰囲気温度ではない。したがって、焼成時には、上記混合物又はソーダライト自体の温度が600℃以上になるように焼成を行う。また、焼成時においては、上記焼成温度の焼成を好ましくは1時間以上、より好ましくは5時間以上、さらに好ましくは10時間以上行うことがよい。
なお、焼成温度は、上記混合物又はソーダライト自体の温度のことであり、雰囲気温度ではない。したがって、焼成時には、上記混合物又はソーダライト自体の温度が600℃以上になるように焼成を行う。また、焼成時においては、上記焼成温度の焼成を好ましくは1時間以上、より好ましくは5時間以上、さらに好ましくは10時間以上行うことがよい。
上記浄化触媒は、上記混合物又はソーダライトを上記温度600℃以上で焼成した後、上記基材に担持されていることが好ましい。
この場合には、上記浄化触媒に対して、粉砕等を行うことが可能になる。この粉末状の上記浄化触媒を上記基材に担持させることができるため、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体において触媒が担持された面の表面積を大きくすることができる。そのため、触媒活性を向上させることができる。
したがって、上記浄化触媒は、上記混合物又は上記ソーダライトの焼成後かつ上記基材への担持前に粉砕されてあることが好ましい。
また、粉砕時には、上記浄化触媒のメジアン径を50μm以下に調整することがよい。メジアン径が50μmを超える場合には、上記浄化触媒を上記基材にコートする際に、目詰まりが起こったり、担持量にばらつきが生じ易くなるおそれがある。より好ましくは、メジアン径は10μm以下であることがよい。
上記浄化触媒のメジアン径は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置あるいは走査電子顕微鏡等により測定することができる。
この場合には、上記浄化触媒に対して、粉砕等を行うことが可能になる。この粉末状の上記浄化触媒を上記基材に担持させることができるため、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体において触媒が担持された面の表面積を大きくすることができる。そのため、触媒活性を向上させることができる。
したがって、上記浄化触媒は、上記混合物又は上記ソーダライトの焼成後かつ上記基材への担持前に粉砕されてあることが好ましい。
また、粉砕時には、上記浄化触媒のメジアン径を50μm以下に調整することがよい。メジアン径が50μmを超える場合には、上記浄化触媒を上記基材にコートする際に、目詰まりが起こったり、担持量にばらつきが生じ易くなるおそれがある。より好ましくは、メジアン径は10μm以下であることがよい。
上記浄化触媒のメジアン径は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置あるいは走査電子顕微鏡等により測定することができる。
また、粉砕を行う場合には、上記混合物又はソーダライトの焼成時の温度は、1200℃以下であることが好ましい。上記混合物又はソーダライトを1200℃を越える温度で焼成した場合には、一旦溶融状態を経るため、上記浄化触媒が硬度の高い塊状になってしまうおそれがある。その結果この場合には、上述のごとく粉砕を行って上記浄化触媒を所望の粒径に調整することが困難になるおそれがある。
また、上記浄化触媒は、上記混合物又はソーダライトを上記基材に担持した後に上記温度600℃以上で焼成されていることが好ましい。
この場合には、上記混合物又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる上記浄化触媒の生成と、上記基材への担持(焼付け)を一度の焼成で行うことが可能になる。また、この場合には、例えば1200℃を越える高温での焼成も可能になる。上述のごとく、1200℃を越える高温で焼成を行うと、一旦溶融状態を経て上記浄化触媒が硬度の高い塊状になるが、この塊状の上記浄化触媒も、低温でPM等の粒子状物質に対する燃焼促進効果を示し、また、耐久性にも優れる。
この場合には、上記混合物又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる上記浄化触媒の生成と、上記基材への担持(焼付け)を一度の焼成で行うことが可能になる。また、この場合には、例えば1200℃を越える高温での焼成も可能になる。上述のごとく、1200℃を越える高温で焼成を行うと、一旦溶融状態を経て上記浄化触媒が硬度の高い塊状になるが、この塊状の上記浄化触媒も、低温でPM等の粒子状物質に対する燃焼促進効果を示し、また、耐久性にも優れる。
上記浄化触媒は、上記基材に直接担持させることができる。直接担持させるための方法は例えば次のような方法がある。
即ち、まず、上記浄化触媒とシリカゾルとを含むスラリーに上記基材を浸漬し、上記基材の内部にまで上記浄化触媒を進入させる。上記基材としては、例えばハニカム状又はフォーム状の多孔質体を採用することができる。次いで、エアブローにより、余分なスラリーを吹き飛ばした後、例えば温度400℃〜800℃で加熱することにより焼付けを行う。これにより、上記基材に上記浄化触媒を直接接触させて担持させることができる。
この場合には、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体の気孔率を高くすることができ、PMに対する燃焼効率をより向上させることができる。
また、上記浄化触媒の代わりに、上記混合物又はソーダライトを用いることにより、加熱時に上記基材への担持と上記浄化触媒の生成とを同時に行うことができる。この場合には、加熱は温度600℃以上で行うことが好ましい。
即ち、まず、上記浄化触媒とシリカゾルとを含むスラリーに上記基材を浸漬し、上記基材の内部にまで上記浄化触媒を進入させる。上記基材としては、例えばハニカム状又はフォーム状の多孔質体を採用することができる。次いで、エアブローにより、余分なスラリーを吹き飛ばした後、例えば温度400℃〜800℃で加熱することにより焼付けを行う。これにより、上記基材に上記浄化触媒を直接接触させて担持させることができる。
この場合には、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体の気孔率を高くすることができ、PMに対する燃焼効率をより向上させることができる。
また、上記浄化触媒の代わりに、上記混合物又はソーダライトを用いることにより、加熱時に上記基材への担持と上記浄化触媒の生成とを同時に行うことができる。この場合には、加熱は温度600℃以上で行うことが好ましい。
また、上記浄化触媒は、上記基材の表面に形成された担持層に担持させることができる。
この場合には、上記担持層を介して上記浄化触媒が上記基材に担持され、上記浄化触媒の担持を容易に行うことができる。
具体的には、アルミナ等を含有するウォッシュコート成分と上記浄化触媒とを混合し、ゾル状又はスラリー状の複合材料を作製し、該複合材料を上記基材にコートして例えば温度400℃〜600℃で加熱する。これにより、ウォッシュコート成分により担持層が形成され、該担持層に上記浄化触媒を担持させることができる。
この場合には、上記担持層を介して上記浄化触媒が上記基材に担持され、上記浄化触媒の担持を容易に行うことができる。
具体的には、アルミナ等を含有するウォッシュコート成分と上記浄化触媒とを混合し、ゾル状又はスラリー状の複合材料を作製し、該複合材料を上記基材にコートして例えば温度400℃〜600℃で加熱する。これにより、ウォッシュコート成分により担持層が形成され、該担持層に上記浄化触媒を担持させることができる。
上記担持層は、Al2O3、ZrO2、TiO2、CeO2、SiO2から選ばれる1種以上の酸化物からなることが好ましい。
この場合には、表面積の大きな上記担持層が形成されやすくなり、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体の表面積を大きくすることができる。その結果、上記浄化触媒とPM等の粒子状物質とが接触し易くなり、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体はより効率よく粒子状物質の燃焼除去を行うことができる。
この場合には、表面積の大きな上記担持層が形成されやすくなり、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体の表面積を大きくすることができる。その結果、上記浄化触媒とPM等の粒子状物質とが接触し易くなり、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体はより効率よく粒子状物質の燃焼除去を行うことができる。
また、上記浄化触媒の他に、上記基材には、Ce、Zr、La、Ndから選ばれる1種以上の元素を含む酸化物を助触媒成分として担持させることができる。
この場合には、PMに対する燃焼促進特性をより向上させることができる。
この場合には、PMに対する燃焼促進特性をより向上させることができる。
上記浄化触媒としては、上述のごとく、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物、又はソーダライトを温度600℃以上で焼成して得られるものを採用することができる。ここで、ゼオライトとしては、ソーダライトを用いることもできる。
即ち、上記浄化触媒としては、ゼオライト(ソーダライトを含む)とアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物を温度600℃焼成してなるものを採用することができる。
また、上記浄化触媒としては、ソーダライトを単独で他成分と混合することなく温度600℃以上で燃焼してなるものを用いることができる。
即ち、上記浄化触媒としては、ゼオライト(ソーダライトを含む)とアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物を温度600℃焼成してなるものを採用することができる。
また、上記浄化触媒としては、ソーダライトを単独で他成分と混合することなく温度600℃以上で燃焼してなるものを用いることができる。
ソーダライトを除くゼオライトは、一般に、一般式M2/nO・Al2O3・ySiO2・zH2O(但し、Mは、Na、K、及びHから選ばれる少なくとも1種の元素、y≧2、z≧0である)で表され、本発明においても、上記一般式で表されるゼオライトを採用することができる。ゼオライトとしては、例えばLTA型、FAU(フォージャサイト)型、MOR型、LTL型、FER型、MFI型、及びBEA型等の構造のゼオライトを採用することができる。
また、ソーダライトは、一般式3(Na2O・Al2O3・2SiO2)・2NaXで表される。Xは、一価の陰イオンとなる原子又は原子団であり、例えばF、Cl、Br、I等のハロゲン、又はOH等である。
また、ソーダライトは、一般式3(Na2O・Al2O3・2SiO2)・2NaXで表される。Xは、一価の陰イオンとなる原子又は原子団であり、例えばF、Cl、Br、I等のハロゲン、又はOH等である。
上記ゼオライトは、その組成中のAl2O31モルに対するSiO2量が200モル未満であることが好ましい。
即ち、ゼオライト組成中のSiO2/Al2O3(モル比)が200未満のゼオライト、さらに換言すれば、上記一般式M2/nO・Al2O3・ySiO2・zH2Oにおけるyの値がy<200であるゼオライトを採用することが好ましい。
ゼオライト組成中のAl2O31モルに対するSiO2量が200モル以上のゼオライト、即ち、上記一般式におけるyの値がy≧200のゼオライトは、所謂ハイシリカゼオライトと呼ばれ、かかるゼオライトを用いた場合には、上記浄化触媒のPMに対する燃焼促進特性の向上効果が小さくなるおそれがある。
即ち、ゼオライト組成中のSiO2/Al2O3(モル比)が200未満のゼオライト、さらに換言すれば、上記一般式M2/nO・Al2O3・ySiO2・zH2Oにおけるyの値がy<200であるゼオライトを採用することが好ましい。
ゼオライト組成中のAl2O31モルに対するSiO2量が200モル以上のゼオライト、即ち、上記一般式におけるyの値がy≧200のゼオライトは、所謂ハイシリカゼオライトと呼ばれ、かかるゼオライトを用いた場合には、上記浄化触媒のPMに対する燃焼促進特性の向上効果が小さくなるおそれがある。
上記混合物におけるゼオライトとしては、ソーダライトが採用されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、ソーダライト中のNaと、上記アルカリ金属元素源中のアルカリ金属元素及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素とがPM等の粒子状物質に対する優れた燃焼促進特性を発揮することができる。
この場合には、ソーダライト中のNaと、上記アルカリ金属元素源中のアルカリ金属元素及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素とがPM等の粒子状物質に対する優れた燃焼促進特性を発揮することができる。
また、上記ゼオライトとしてソーダライトを用いた場合には、上記混合物においては、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記ソーダライト中のSi元素1モルに対して2.25モル以下となっていることが好ましい(請求項4)。より好ましくは1モル以下がよく、さらに好ましくは0.5モル以下がよい。
上記アルカリ金属元素と上記アルカリ土類金属元素との合計量がソーダライト中のSi元素1モルに対して2.25モルを超える場合には、上記混合物の焼成中に該混合物が溶融し易くなる。その結果、焼成後に得られる上記浄化触媒は、一旦溶融状態を経るおそれがあるため、その硬度が高くなってしまうおそれがある。そのためこの場合には、焼成後に粉砕を行って上記浄化触媒を所望の粒径に調整することが困難になるおそれがある。また、この場合には、上記浄化触媒自体の触媒活性は優れていても、水分による影響を受けやすくなるおそれがある。即ち、水分による触媒活性の低下幅が大きくなるおそれがある。そのため、所定の触媒活性を長期間維持させることが困難になり、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体の寿命に悪影響を及ぼすおそれがある。
上記アルカリ金属元素と上記アルカリ土類金属元素との合計量がソーダライト中のSi元素1モルに対して2.25モルを超える場合には、上記混合物の焼成中に該混合物が溶融し易くなる。その結果、焼成後に得られる上記浄化触媒は、一旦溶融状態を経るおそれがあるため、その硬度が高くなってしまうおそれがある。そのためこの場合には、焼成後に粉砕を行って上記浄化触媒を所望の粒径に調整することが困難になるおそれがある。また、この場合には、上記浄化触媒自体の触媒活性は優れていても、水分による影響を受けやすくなるおそれがある。即ち、水分による触媒活性の低下幅が大きくなるおそれがある。そのため、所定の触媒活性を長期間維持させることが困難になり、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体の寿命に悪影響を及ぼすおそれがある。
上記ゼオライトとして、ソーダライト以外のゼオライトを採用する場合には、上記混合物においては、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記ゼオライト中のSi元素1モルに対して0.1モル以上かつ2.0モル以下となっていることが好ましく(請求項5)、0.2モル以上かつ1.5モル以下がより好ましい。
ゼオライト中のSi元素1モルに対する上記アルカリ金属元素と上記アルカリ土類金属元素との合計量が0.1モル未満の場合には、上記浄化触媒の耐水性が悪くなるおそれがある。
一方2.0モルを越える場合にも、水分存在下における上記浄化触媒の燃焼促進特性が低下し易くなり、その低下幅が非常に大きくなるおそれがある。またこの場合には、上記混合物の焼成中に該混合物が溶融し易くなる。したがって、上記焼成後に得られる上記浄化触媒は、一旦溶融状態を経るおそれがあるため、その硬度が高くなってしまうおそれがある。その結果この場合には、焼成後に粉砕を行って上記浄化触媒を所望の粒径に調整することが困難になるおそれがある。
ゼオライト中のSi元素1モルに対する上記アルカリ金属元素と上記アルカリ土類金属元素との合計量が0.1モル未満の場合には、上記浄化触媒の耐水性が悪くなるおそれがある。
一方2.0モルを越える場合にも、水分存在下における上記浄化触媒の燃焼促進特性が低下し易くなり、その低下幅が非常に大きくなるおそれがある。またこの場合には、上記混合物の焼成中に該混合物が溶融し易くなる。したがって、上記焼成後に得られる上記浄化触媒は、一旦溶融状態を経るおそれがあるため、その硬度が高くなってしまうおそれがある。その結果この場合には、焼成後に粉砕を行って上記浄化触媒を所望の粒径に調整することが困難になるおそれがある。
また、上述のアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量は、ゼオライトに混合するアルカリ金属元素源中のアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素との合計量であり、アルカリ金属元素源及びアルカリ土類金属元素源のうちいずれか一方だけを用いた場合には、もう一方の元素の量は0モルとして算出できる。また、複数のアルカリ金属元素源、複数のアルカリ土類金属元素源を用いた場合には、それらのすべての合計量として算出できる。
上記アルカリ金属元素源としては、例えばアルカリ金属の化合物等がある。また、上記アルカリ土類金属元素源としては、例えばアルカリ土類金属の化合物等がある。
上記混合物は、少なくとも上記アルカリ金属元素源を含有することが好ましい。
この場合には、上記浄化触媒のPM等の粒子状物質に対する燃焼促進特性をより向上させることができる。
上記混合物は、少なくとも上記アルカリ金属元素源を含有することが好ましい。
この場合には、上記浄化触媒のPM等の粒子状物質に対する燃焼促進特性をより向上させることができる。
上記アルカリ金属元素源は、Na、K、Rb、及びCsから選ばれる1種以上を含有し、上記アルカリ土類金属元素源はMg、Ca、Sr、及びBaから選ばれる1種以上を含有することが好ましい(請求項6)。
この場合にも、上記浄化触媒のPM等の粒子状物質に対する燃焼促進特性をより向上させることができる。
より好ましくは、上記ゼオライトとしてソーダライトを用いた場合には、上記アルカリ土類金属元素源としてはCa、Sr、Baを含有する化合物を用いることがよく、ソーダライト以外のゼオライトを用いた場合には、上記アルカリ土類金属元素源としてはBaを含有する化合物を用いることがよい。
この場合にも、上記浄化触媒のPM等の粒子状物質に対する燃焼促進特性をより向上させることができる。
より好ましくは、上記ゼオライトとしてソーダライトを用いた場合には、上記アルカリ土類金属元素源としてはCa、Sr、Baを含有する化合物を用いることがよく、ソーダライト以外のゼオライトを用いた場合には、上記アルカリ土類金属元素源としてはBaを含有する化合物を用いることがよい。
また、上記アルカリ土類金属元素源は、少なくともBaを含有することが好ましい。
この場合には、Ba以外の他のアルカリ土類金属元素を含有する上記アルカリ土類金属元素源を用いた場合に比べて、上記浄化触媒の燃焼促進特性をより向上させることができる。
この場合には、Ba以外の他のアルカリ土類金属元素を含有する上記アルカリ土類金属元素源を用いた場合に比べて、上記浄化触媒の燃焼促進特性をより向上させることができる。
上記混合物は、上記ゼオライトと上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とを極性溶媒中で混合し、該極性溶媒を蒸発させて得られる固形分からなることが好ましい。
この場合には、上記ゼオライトと上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源との混合を容易に行うことができ、これらが均一に混合した上記混合物を得ることができる。そのため、焼成後に得られる上記浄化触媒に触媒活性の偏りが発生することを抑制することができる。
上記極性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール、及び水等を用いることができる。また、これらの混合溶媒を用いることができる。
また、上記極性溶媒としては、揮発し易い溶媒を用いることが好ましい。
この場合には、混合後の乾燥を容易に行うことができる。
この場合には、上記ゼオライトと上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源との混合を容易に行うことができ、これらが均一に混合した上記混合物を得ることができる。そのため、焼成後に得られる上記浄化触媒に触媒活性の偏りが発生することを抑制することができる。
上記極性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール、及び水等を用いることができる。また、これらの混合溶媒を用いることができる。
また、上記極性溶媒としては、揮発し易い溶媒を用いることが好ましい。
この場合には、混合後の乾燥を容易に行うことができる。
上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源は、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、酸化物、又は水酸化物であることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源を容易に水等の極性溶媒に混合させることができるため、上記混合物の作製時に、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とゼオライトとを上記極性溶媒中で混合させることにより、これらが均一に分散された上記混合物を容易に得ることができる。
この場合には、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源を容易に水等の極性溶媒に混合させることができるため、上記混合物の作製時に、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とゼオライトとを上記極性溶媒中で混合させることにより、これらが均一に分散された上記混合物を容易に得ることができる。
より好ましくは、上記アルカリ金属元素源としてはアルカリ金属元素の塩を用い、上記アルカリ土類金属元素源としてはアルカリ土類金属元素の塩を用いることがよい。
この場合には、上記アルカリ金属元素源及び上記アルカリ土類金属元素源は、水等の極性溶媒に対して優れた溶解性で溶解できるため、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とゼオライトとの混合を水等の極性溶媒中で行う場合に、ゼオライトと、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とを簡単かつ均一に混合させることができる。
この場合には、上記アルカリ金属元素源及び上記アルカリ土類金属元素源は、水等の極性溶媒に対して優れた溶解性で溶解できるため、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とゼオライトとの混合を水等の極性溶媒中で行う場合に、ゼオライトと、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源とを簡単かつ均一に混合させることができる。
次に、上記基材は、多孔質隔壁を多角形格子状に配して軸方向に延びる多数のセルを形成した多孔質基材からなり、上記セルは排ガス流路を形成していることが好ましい。
この場合には、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体を排ガスの浄化用により最適な構造にすることができる。
また、全てのセルが両端面に開口した構造体を用いることもできるが、一部のセルが基材(ハニカム構造体)両端面に開口し、残りのセルは両端面に形成された栓部によって閉塞された構造体を用いることもできる。
全てのセルが両端面に開口した構造体を用いた場合には、ガソリンエンジン用のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体に好適なものになる。一方、一部のセルが両端面に開口し、残りのセルが栓部によって閉塞された構造体を用いた場合には、ディーゼルエンジン用のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体に好適なものになる。
この場合には、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体を排ガスの浄化用により最適な構造にすることができる。
また、全てのセルが両端面に開口した構造体を用いることもできるが、一部のセルが基材(ハニカム構造体)両端面に開口し、残りのセルは両端面に形成された栓部によって閉塞された構造体を用いることもできる。
全てのセルが両端面に開口した構造体を用いた場合には、ガソリンエンジン用のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体に好適なものになる。一方、一部のセルが両端面に開口し、残りのセルが栓部によって閉塞された構造体を用いた場合には、ディーゼルエンジン用のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体に好適なものになる。
上記基材は、金属、コージェライト、アルミナ、SiCを主成分とすることが好ましい。
この場合には、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体を排ガスの浄化により好適なものにすることができる。
この場合には、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体を排ガスの浄化により好適なものにすることができる。
(実施例1)
次に、本例のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体及びEGR還流装置の実施例について図面を用いて説明する。
図1に示すごとく、本例のEGR還流装置1は、内燃機関5から排出される排ガスの少なくとも一部を内燃機関5の吸気側51に還流させるEGR通路11と、EGRクーラ12と、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2とを有する。
次に、本例のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体及びEGR還流装置の実施例について図面を用いて説明する。
図1に示すごとく、本例のEGR還流装置1は、内燃機関5から排出される排ガスの少なくとも一部を内燃機関5の吸気側51に還流させるEGR通路11と、EGRクーラ12と、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2とを有する。
EGRクーラ12は、EGR通路11の途中に配設され、排ガスを冷却するように構成されている。EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2は、EGR通路11におけるEGRクーラ12の上流側に配設されており、排ガスからPMを燃焼除去することができる。
EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を触媒成分とする浄化触媒を含有する。
EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を触媒成分とする浄化触媒を含有する。
本例において、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2は、図2〜図5に示すごとく、多孔質体からなる基材20と、これに担持された浄化触媒4とを有する。そして、浄化触媒4は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる。
以下、本例のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2についてより詳細に説明する。
図2及び図3に示すごとく、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2においては、ハニカム状の基材20に浄化触媒4が担持されている。本例において、基材20は、外周壁21と、この外周壁21の内側においてハニカム状に設けられた隔壁25と、この隔壁25により仕切られた複数のセル3とを有する。セル3は、基材20の両端面23、24に部分的に開口している。即ち、各セル3は、基材20の一方の端面23(24)に開口し、もう一方の端面24(23)に形成された栓部32によって閉塞している。
図2及び図3に示すごとく、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2においては、ハニカム状の基材20に浄化触媒4が担持されている。本例において、基材20は、外周壁21と、この外周壁21の内側においてハニカム状に設けられた隔壁25と、この隔壁25により仕切られた複数のセル3とを有する。セル3は、基材20の両端面23、24に部分的に開口している。即ち、各セル3は、基材20の一方の端面23(24)に開口し、もう一方の端面24(23)に形成された栓部32によって閉塞している。
図2及び図3に示すように、本例においては、セル3の両端面23(24)における開口部31と栓部32とは交互に配置されており、所謂市松模様を形成している。
図5に示すごとく、本例のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2において、排ガス10の入口側となる上流側端面23及び排ガス10の出口となる下流側端面24に位置するセルの端部は、栓部32が配置された部分と配置されていない部分とをそれぞれ交互に有している。多孔質体の隔壁25には多数の空孔が形成され、排ガス10が通過できるようになっている。
そして、図3〜図5に示すごとく、基材20の隔壁25には、浄化触媒4が担持されている。図4に示すごとく、浄化触媒4は、多孔質の基材20の表面及び細孔内に担持されている。本例において、浄化触媒4としては、ソーダライトとK源(炭酸カリウム)との混合物を温度700℃で焼成してなる触媒を採用してある。
図5に示すごとく、本例のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2において、排ガス10の入口側となる上流側端面23及び排ガス10の出口となる下流側端面24に位置するセルの端部は、栓部32が配置された部分と配置されていない部分とをそれぞれ交互に有している。多孔質体の隔壁25には多数の空孔が形成され、排ガス10が通過できるようになっている。
そして、図3〜図5に示すごとく、基材20の隔壁25には、浄化触媒4が担持されている。図4に示すごとく、浄化触媒4は、多孔質の基材20の表面及び細孔内に担持されている。本例において、浄化触媒4としては、ソーダライトとK源(炭酸カリウム)との混合物を温度700℃で焼成してなる触媒を採用してある。
本例において、基材20は、コーディエライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)とアルミナ(Al2O3)の混合物を主成分とするハニカム構造体である。本例においては、基材20として、(株)ブリヂストン製の「セラミックフォーム#9」を採用した。基材20は、直径φ50mm×長さ150mmの円柱形状であり、骨格真比重2.8、空隙率85.7%、見掛比重0.4、セル数10PPIである。
本例のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、次のようにして作製した。
即ち、まず、ソーダライト(3(Na2O・Al2O3・2SiO2)・2NaOH)の粉末を準備した。このソーダライト100重量部と炭酸カリウム5重量部とを水に投入し、水中で混合した。
次いで、混合液を温度120℃で加熱し、水分を蒸発させた。これにより、固形分(ソーダライトと炭酸カリウムとの混合物)を得た。
次に、この固形分を温度700℃で焼成した。具体的には、固形分を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度700℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。
次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、浄化触媒を得た。
即ち、まず、ソーダライト(3(Na2O・Al2O3・2SiO2)・2NaOH)の粉末を準備した。このソーダライト100重量部と炭酸カリウム5重量部とを水に投入し、水中で混合した。
次いで、混合液を温度120℃で加熱し、水分を蒸発させた。これにより、固形分(ソーダライトと炭酸カリウムとの混合物)を得た。
次に、この固形分を温度700℃で焼成した。具体的には、固形分を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度700℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。
次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、浄化触媒を得た。
次に、シリカゾルを5wt%配合したシリカスラリーに浄化触媒を混合した。さらに固形分100重量部に対する水分量が300重量部となるように水を加え、スラリー状の浄化触媒を得た。
次に、スラリー状の浄化触媒中に基材((株)ブリヂストン製の「セラミックフォーム#9」)を浸漬し、基材に浄化触媒を含浸させた。次いで、エアーブローにより余分な水分を吹き飛ばした後、温度500℃で加熱することにより、焼き付けを行った。本例においては、浄化触媒を40g/L(そのうちK濃度はK2CO3換算で約8g/L)コートした。
このようにして、図2〜図4に示すごとく、浄化触媒4を基材20に担持したEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2を得た。
次に、スラリー状の浄化触媒中に基材((株)ブリヂストン製の「セラミックフォーム#9」)を浸漬し、基材に浄化触媒を含浸させた。次いで、エアーブローにより余分な水分を吹き飛ばした後、温度500℃で加熱することにより、焼き付けを行った。本例においては、浄化触媒を40g/L(そのうちK濃度はK2CO3換算で約8g/L)コートした。
このようにして、図2〜図4に示すごとく、浄化触媒4を基材20に担持したEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2を得た。
図1に、EGR還流装置1を備えたエンジンシステムの模式図を示す。
ディーゼルエンジン車において、内燃機関5の吸気ポートには、吸気マニホールド51を介して吸気管52が接続され、吸気通路が構成されている。また、排気ポートには、排気マニホールド53を介して排気管54が接続され、これらによって排気通路が構成されている。
ディーゼルエンジン車において、内燃機関5の吸気ポートには、吸気マニホールド51を介して吸気管52が接続され、吸気通路が構成されている。また、排気ポートには、排気マニホールド53を介して排気管54が接続され、これらによって排気通路が構成されている。
吸気管52には、過給圧コントロール手段を備えたターボ過給機55のコンプレッサ521と、ターボ過給機55により圧縮された吸気を冷却するインタークーラ522とがそれぞれ設けられている。また、外部から吸入した空気中に含まれるゴミ等を除去するためのエアクリーナ58が設けられている。
また、排気管54にはターボ過給機55のタービン541が設けられている。
ターボ過給機55において、コンプレッサ521の回転翼(図示略)とタービン541の回転翼(図示略)はシャフト(図示略)により連結されており、エンジンから排出される排ガスのエネルギーによりタービン541が回転し、さらにシャフトを介してコンプレッサ521が回転するように構成されている。そしてこのコンプレッサ521の回転により、吸気管52内の吸入空気が圧縮される。
また、排気管54にはターボ過給機55のタービン541が設けられている。
ターボ過給機55において、コンプレッサ521の回転翼(図示略)とタービン541の回転翼(図示略)はシャフト(図示略)により連結されており、エンジンから排出される排ガスのエネルギーによりタービン541が回転し、さらにシャフトを介してコンプレッサ521が回転するように構成されている。そしてこのコンプレッサ521の回転により、吸気管52内の吸入空気が圧縮される。
排気管54の途中には、エンジン側(排ガスの上流側)から順に、酸化触媒フィルタ13と、排ガス浄化フィルタ(DPF)14とが設けられる。酸化触媒フィルタ13は、酸化触媒としてだけでなく、NOx触媒としての機能も兼ね備える場合もある。
酸化触媒フィルタ13及び排ガス浄化フィルタ14は、排気管54の直径を拡大した筒状の捕集器19内に収容される。
酸化触媒フィルタ13及び排ガス浄化フィルタ14は、排気管54の直径を拡大した筒状の捕集器19内に収容される。
また、エンジン5には、排気を再び吸気に回して再循環させるためのEGR(Exhaust Gas Recirculation)制御バルブ56が取り付けられている。
排気マニホールド53には、内燃機関5(ディーゼルエンジン)から排出される排ガスの少なくとも一部を内燃機関の吸気側に還流させるEGR通路11が設けられている。EGR通路11には、排ガスを再び吸気に回す際に排ガスを冷却させるEGRクーラ12が配置されている。
そして、EGR通路11の途中におけるEGRクーラ12の上流側にEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2が配設される。EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2は、可能な限り排気マニホールド53に近い位置に設けることが好ましい。この場合には、より高温の排ガスをEGRクーラ用排ガス浄化触媒体に流入させることができ、浄化触媒によってPMを浄化し易くなる。
排気マニホールド53には、内燃機関5(ディーゼルエンジン)から排出される排ガスの少なくとも一部を内燃機関の吸気側に還流させるEGR通路11が設けられている。EGR通路11には、排ガスを再び吸気に回す際に排ガスを冷却させるEGRクーラ12が配置されている。
そして、EGR通路11の途中におけるEGRクーラ12の上流側にEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2が配設される。EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2は、可能な限り排気マニホールド53に近い位置に設けることが好ましい。この場合には、より高温の排ガスをEGRクーラ用排ガス浄化触媒体に流入させることができ、浄化触媒によってPMを浄化し易くなる。
内燃機関5には、吸気管52から吸気マニホールド51を経て空気が供給される。また、内燃機関5には、コモンレール及び燃料噴射装置等から構成される燃料供給系(図示略)の燃料添加弁50から燃料が供給される。内燃機関5においては、燃料と空気が所定の混合比で混合され、この混合燃料を圧縮着火により燃焼する。
燃焼後の排気ガスは、排気マニホールド53を経て排気管54に送られる。そして、排気ガスは、捕集器19内の酸化触媒フィルタ13に担持された酸化触媒により酸化され、さらに排ガス浄化フィルタ14内でPM等の粒子状物質が吸着除去されて外部に排出される。
燃焼後の排気ガスは、排気マニホールド53を経て排気管54に送られる。そして、排気ガスは、捕集器19内の酸化触媒フィルタ13に担持された酸化触媒により酸化され、さらに排ガス浄化フィルタ14内でPM等の粒子状物質が吸着除去されて外部に排出される。
一方、EGR制御バルブ56の制御により、燃焼後の排ガスの一部は、EGR通路11を通って再び吸気側に還流される。具体的には、EGR通路11に送られた排ガスは、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2において、排ガス中に含まれるPMが選択的に除去された後、EGRクーラ12に送られて冷却される。そして、冷却された排ガスが再び吸気マニホールド51を介して内燃機関5に供給される。
以下、本例の作用効果について説明する。
本例においては、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を触媒成分とする浄化触媒4を含有するEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2が、EGRクーラ12の上流側に配置されている(図1〜図5参照)。
そのため、EGRクーラ12の上流側において、EGR通路11内の排ガスから粒子状物質(PM)を選択的に除去することができる。
即ち、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2が含有する浄化触媒4は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有するため、その作用によりHC、COをほとんど燃焼させることなく、PMを選択的に除去することができる。そのため、EGRクーラ12へのPMの流入を防止することができると共に、EGRクーラ12に流入する排ガスの温度上昇を抑制することができる。それ故、EGRクーラ12の閉塞を抑制できると共に、EGRクーラ12での排ガスの冷却効率を向上させることができる。
本例においては、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を触媒成分とする浄化触媒4を含有するEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2が、EGRクーラ12の上流側に配置されている(図1〜図5参照)。
そのため、EGRクーラ12の上流側において、EGR通路11内の排ガスから粒子状物質(PM)を選択的に除去することができる。
即ち、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2が含有する浄化触媒4は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有するため、その作用によりHC、COをほとんど燃焼させることなく、PMを選択的に除去することができる。そのため、EGRクーラ12へのPMの流入を防止することができると共に、EGRクーラ12に流入する排ガスの温度上昇を抑制することができる。それ故、EGRクーラ12の閉塞を抑制できると共に、EGRクーラ12での排ガスの冷却効率を向上させることができる。
また、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2は、上記のごとく、HC、COをほとんど燃焼させることがない。そのため、排ガスの還流時には、HC、COを含んだ排ガスを内燃機関5の吸気側51に還流させることができる。それ故、HC、COの発熱量を充分に再利用することができ、燃費向上効果を増大させることができる。
また、本例において、浄化触媒4は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる。
そのため、浄化触媒4は、温度400℃以上という低温領域からPMの燃焼除去が可能になる。そのため、本例のように排気マニホールド53の直下にEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2を配置すると、常時運転領域でもPMの燃焼除去が可能になる。それ故、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2の目詰まりを抑制し、EGR通路11の圧損上昇を抑制することができる。また、浄化触媒4は、水分に対しても優れた耐久性を示すため、水分を含む排ガスに対しても長期間安定にPMを除去することができる。
そのため、浄化触媒4は、温度400℃以上という低温領域からPMの燃焼除去が可能になる。そのため、本例のように排気マニホールド53の直下にEGRクーラ用排ガス浄化触媒体2を配置すると、常時運転領域でもPMの燃焼除去が可能になる。それ故、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体2の目詰まりを抑制し、EGR通路11の圧損上昇を抑制することができる。また、浄化触媒4は、水分に対しても優れた耐久性を示すため、水分を含む排ガスに対しても長期間安定にPMを除去することができる。
(実施例2)
本例は、実施例1において作製したEGRクーラ用排ガス浄化触媒体(試料E1)のCO及び炭化水素に対する浄化効果を検討する例である。
まず、試料E1の比較用として、Pt触媒を担持した浄化触媒体(試料C1)を作製した。比較用の浄化触媒体は、浄化触媒として、Pt粉末を用いた点を除いては実施例1の試料E1と同様にして作製した。
具体的には、まず、シリカゾルを5wt%配合したシリカスラリーにPt粉末を混合した。さらに固形分100重量部に対する水分量が300重量部となるように水を加え、スラリー状のPt触媒を得た。
次に、スラリー状のPt触媒中に基材((株)ブリヂストン製の「セラミックフォーム#9」)を浸漬し、基材にPt触媒を含浸させた。次いで、エアーブローにより余分な水分を吹き飛ばした後、温度500℃で加熱することにより、焼き付けを行った。本例においては、Pt触媒を50g/L(そのうちPt濃度は約1g/L)コートした。
このようにして、Pt触媒を基材に担持してなる比較用の浄化触媒体(試料C1)を得た。
本例は、実施例1において作製したEGRクーラ用排ガス浄化触媒体(試料E1)のCO及び炭化水素に対する浄化効果を検討する例である。
まず、試料E1の比較用として、Pt触媒を担持した浄化触媒体(試料C1)を作製した。比較用の浄化触媒体は、浄化触媒として、Pt粉末を用いた点を除いては実施例1の試料E1と同様にして作製した。
具体的には、まず、シリカゾルを5wt%配合したシリカスラリーにPt粉末を混合した。さらに固形分100重量部に対する水分量が300重量部となるように水を加え、スラリー状のPt触媒を得た。
次に、スラリー状のPt触媒中に基材((株)ブリヂストン製の「セラミックフォーム#9」)を浸漬し、基材にPt触媒を含浸させた。次いで、エアーブローにより余分な水分を吹き飛ばした後、温度500℃で加熱することにより、焼き付けを行った。本例においては、Pt触媒を50g/L(そのうちPt濃度は約1g/L)コートした。
このようにして、Pt触媒を基材に担持してなる比較用の浄化触媒体(試料C1)を得た。
次に、直列4気筒2.2Lのディーゼルエンジンの排気マニホールド直下から分岐したEGR通路に、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体(試料E1又は試料C1)を収容するコンバータを取り付けた。そして、このコンバータの前後に、K熱電対とガスのサンプリング管を取付け、熱電対は測温器に、サンプリング管は分析計((株)堀場製作所製のMEXA−9100D)に接続した。
エンジン回転数が2000rpm、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体への入りガス温度が400℃になるように調整し、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体前後におけるHC(総炭化水素:THC)及びCO濃度差を測定し、その差分を浄化率として算出した。その結果を図6(CO)及び図7(THC)に示す。
また、上述の測定時に、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体を収容するコンバータ前後に取り付けた熱電対を用いてコンバータの出ガス温度を測定した。その結果を図8に示す。
エンジン回転数が2000rpm、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体への入りガス温度が400℃になるように調整し、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体前後におけるHC(総炭化水素:THC)及びCO濃度差を測定し、その差分を浄化率として算出した。その結果を図6(CO)及び図7(THC)に示す。
また、上述の測定時に、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体を収容するコンバータ前後に取り付けた熱電対を用いてコンバータの出ガス温度を測定した。その結果を図8に示す。
図6及び図7より知られるごとく、実施例1において作製したアルカリ金属を含有するEGRクーラ用排ガス浄化触媒体(試料E1)は、CO及び炭化水素をほとんど除去しないことがわかる。これに対し、Pt触媒を含有する浄化触媒体(試料C1)は、CO及び炭化水素をほぼ完全に除去していることがわかる。
したがって、実施例1で作製した試料E1を用いれば、CO及び炭化水素を含んだ排ガスを再びエンジンの吸気側に還流させることができ、CO及び炭化水素の発熱量を再利用することができる。
また、図8より知られるごとく、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体の出ガス温度は、試料E1の方が試料C1に比べて50℃以上低下していた。したがって、試料E1のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体を用いると、EGRクーラに流入する排ガス温度を低くできることがわかる。これにより、EGRクーラによる排ガスの冷却効率を高めることができる。
したがって、実施例1で作製した試料E1を用いれば、CO及び炭化水素を含んだ排ガスを再びエンジンの吸気側に還流させることができ、CO及び炭化水素の発熱量を再利用することができる。
また、図8より知られるごとく、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体の出ガス温度は、試料E1の方が試料C1に比べて50℃以上低下していた。したがって、試料E1のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体を用いると、EGRクーラに流入する排ガス温度を低くできることがわかる。これにより、EGRクーラによる排ガスの冷却効率を高めることができる。
(実験例1)
本例は、実施例1及び2のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体(試料E1)と同様の浄化触媒について、そのPMに対する触媒作用を検討する例である。
本例において、浄化触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物又はソーダライトを温度600℃以上で焼成して得られる。
本例においては、実施例1及び2の試料E1と同様にゼオライトとしてソーダライトを用い、このソーダライトをアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源と混合した混合物を用いた例について説明する。
本例は、実施例1及び2のEGRクーラ用排ガス浄化触媒体(試料E1)と同様の浄化触媒について、そのPMに対する触媒作用を検討する例である。
本例において、浄化触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物又はソーダライトを温度600℃以上で焼成して得られる。
本例においては、実施例1及び2の試料E1と同様にゼオライトとしてソーダライトを用い、このソーダライトをアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源と混合した混合物を用いた例について説明する。
具体的には、まず、原料となるゼオライトとして、ソーダライト(3(Na2O・Al2O3・2SiO2)・2NaOH)の粉末を準備した。このソーダライト100重量部と炭酸カリウム5重量部とを水に投入し、水中で混合した。
次いで、混合液を温度120℃で加熱し、水分を蒸発させた。これにより、固形分(ソーダライトと炭酸カリウムとの混合物)を得た。
次に、この固形分を温度800℃で焼成した。具体的には、固形分を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度800℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。
次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、浄化触媒を得た。これを試料E2とする。
次いで、混合液を温度120℃で加熱し、水分を蒸発させた。これにより、固形分(ソーダライトと炭酸カリウムとの混合物)を得た。
次に、この固形分を温度800℃で焼成した。具体的には、固形分を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度800℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。
次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、浄化触媒を得た。これを試料E2とする。
次に、本例において作製した浄化触媒(試料E2)について、PMに対する燃焼促進特性を調べた。また、比較用として、貴金属系触媒(Pt粉末)、炭酸カリウム粉末についても燃焼促進特性を調べた。
具体的には、まず、触媒種(試料E2、貴金属系触媒、又は炭酸カリウム粉末)200mgとカーボンブラック(CB;PMの代替として使用)20mgとをそれぞれ電子天秤にて正確に秤量した。これらをメノウ乳鉢を用いて触媒種(重量):CB(重量)=10:1となるように一定時間混合し、各触媒種とカーボンブラックとを含有する3種類の評価サンプルを得た。さらに、触媒種を用いずに、CBのみからなる評価サンプルを比較用として作製した。CB単独の評価サンプルについても、他のサンプルと同様にメノウ乳鉢を用いて一定時間混合したものを用いた。即ち、評価サンプルとしては、CB単独、貴金属系触媒とCBとの混合物、試料E2とCBとの混合物、炭酸カリウムとCBとの混合物という4種類のサンプルを作製した。
次いで、熱分析−示差熱重量(TG−DTA)同時測定装置(理学電機社製のTG8120)用いて、各評価サンプル6mgを昇温速度10℃/minにて最高温度900℃まで加熱してCBを燃焼させると共に、このときのDTA発熱ピーク温度、及び温度とTGとの関係を測定した。なお、CB単独からなる評価サンプルについては、0.5mgを用いてDTA発熱ピーク温度の測定を行った。また、加熱は、流束50mL//minで空気を評価サンプルに流通させながら行った。各触媒種を用いたときのDTA発熱ピーク温度の結果を図9に示す。また、温度とTGとの測定結果については、CB単独を用いた結果を図10に示し、触媒種として貴金属系触媒を用いた結果を図11に示し、K2CO3を用いた結果を図12に示し、試料E2を用いた結果を図13に示す。図10〜図13の縦軸は、カーボンブラックの最大燃焼速度を示すDTA発熱ピークを用いている。
また、触媒種(試料E2、貴金属系触媒、又は炭酸カリウム粉末)1gを水500cc中に投入し、一昼夜撹拌することにより洗浄した。次に、水洗浄処理後の触媒種をろ過し、ろ過後の触媒種にさらに1500ccの水を流通させて充分に洗浄した後、温度120℃にて乾燥させた。これらの水洗浄処理後の触媒種(試料E2及び貴金属系触媒)200mgとカーボンブラック(CB)20mgとを電子天秤にて正確に秤量した。これらをメノウ乳鉢を用いて触媒種(重量):CB(重量)=10:1となるように一定時間混合し、各触媒種とカーボンブラックとを含有する2種類の評価サンプルを得た。なお、CB単独からなる評価サンプルについては、他のサンプルと同様に洗浄及び乾燥を行い、その後メノウ乳鉢で混合したものを用いた。また、触媒種として炭酸カリウムを用いた評価サンプルは、水洗洗浄処理により水に溶解してしまったため、その後の操作を行うことができなかった。即ち、水洗後の評価サンプルとしては、CB単独、貴金属系触媒とCBとの混合物、試料E2とCBとの混合物という3種類のサンプルを作製した。これらのサンプルについて、再度熱分析−示差熱重量(TG−DTA)同時測定装置によって、DTA発熱ピーク温度の測定を行った。水洗浄処理後のDTA発熱ピーク温度の結果を図9に併記する。
図9〜図13より知られるごとく、水洗浄前において、試料E2を用いたサンプル及び炭酸カリウム用いたサンプルは、DTA発熱ピーク温度が低く、比較的低い温度でPM(CB)を燃焼できることがわかる。なお、図9及び図13から知られるごとく、試料E2は、約400℃付近に発熱ピークを有しているが、実際にはこれよりも低い温度(例えば350℃程度)でもカーボンブラックの燃焼は開始されている。
図9より知られるごとく、CB単独、貴金属系触媒、及び試料E2については、水洗前後でCBに対する燃焼促進特性はほとんど変化しなかった。これに対して、炭酸カリウムを用いたサンプルは、水洗後に炭酸カリウムが水に溶解し、測定が不可能であった。
したがって、試料E2のように、アルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源とゼオライトとを温度600℃以上で焼成してなる浄化触媒は、PMに対して優れた燃焼促進特性を有し、400℃程度の低温でPMを燃焼除去できることがわかる。また、かかる浄化触媒(試料E2)は、水分存在下においてもその優れた触媒特性を維持できるため、長期間安定してPMの燃焼を行うことができる。即ち、水蒸気を多く含む排ガス中においても、PMを長期間安定して燃焼させることができる。
上記試料E2は、上述のごとくソーダライト100重量部と炭酸カリウム5重量部との混合物を温度800℃で10時間焼成することにより作製した触媒である。次に、本例においては、焼成温度による触媒活性への影響を調べるために、異なる温度でソーダライトと炭酸カリウムとの混合物(上記固形分)を焼成して複数の触媒を作製した。
具体的には、まず、ソーダライト100重量部と炭酸カリウム10重量部とを水中で混合し混合液を得た。次いで、混合液を温度120℃で加熱し、水分を蒸発させ、固形分(混合物)を得た。次に、この混合物を温度500℃、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃、1200℃、1300℃で焼成して9種類の触媒を作製した。これらの触媒は、焼成温度を変更した点を除いては互いに同様にして作製した触媒であり、ソーダライトに対する炭酸カリウムの混合割合及び焼成温度を変更した点を除いては、上記試料E2と同様にして作製した触媒である。さらに、温度600℃での焼成については焼成時間の影響を調べるため、上記試料E2と同様に10時間の焼成を行って作製した触媒の他に、焼成時間を5時間にして作製した触媒も準備した。その他の焼成温度で作製した触媒については、上記試料E2と同様に、いずれも10時間焼成を行って作製した。
具体的には、まず、ソーダライト100重量部と炭酸カリウム10重量部とを水中で混合し混合液を得た。次いで、混合液を温度120℃で加熱し、水分を蒸発させ、固形分(混合物)を得た。次に、この混合物を温度500℃、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃、1200℃、1300℃で焼成して9種類の触媒を作製した。これらの触媒は、焼成温度を変更した点を除いては互いに同様にして作製した触媒であり、ソーダライトに対する炭酸カリウムの混合割合及び焼成温度を変更した点を除いては、上記試料E2と同様にして作製した触媒である。さらに、温度600℃での焼成については焼成時間の影響を調べるため、上記試料E2と同様に10時間の焼成を行って作製した触媒の他に、焼成時間を5時間にして作製した触媒も準備した。その他の焼成温度で作製した触媒については、上記試料E2と同様に、いずれも10時間焼成を行って作製した。
そしてこれらの触媒についても、上記試料E2と同様にPMに対する燃焼促進特性を調べた。このとき、比較用としてソーダライトと炭酸カリウムとの混合物についてもPMに対する燃焼促進特性を調べた。このソーダライトと炭酸カリウムとの混合物としては、焼成を行う代わりに室温(約25℃)で約10時間放置したものを採用した。
燃焼促進特性の測定は、上記試料E2と同様にしてDTA発熱ピーク温度を測定することにより行った。その結果を図14に示す。
燃焼促進特性の測定は、上記試料E2と同様にしてDTA発熱ピーク温度を測定することにより行った。その結果を図14に示す。
図14より知られるごとく、温度600℃以上で焼成を行って作製した浄化触媒のDTA発熱ピークトップ温度は、水洗前及び水洗後においても約460℃以下という非常に低い値を示した。PMに対する燃焼触媒として一般に用いられる貴金属(Pt)触媒のDTA発熱ピーク温度は520℃程度(図9参照)であることから、これらの浄化触媒は、PMに対して充分に優れた触媒活性を有していることがわかる。
これに対し、温度600℃未満で焼成した触媒は、水洗前においては、貴金属(Pt)触媒に比べて充分に低いDTA発熱ピーク温度を示し、優れた触媒活性を示していたが、水洗後においては、DTA発熱ピーク温度は著しく上昇し、貴金属触媒よりも触媒活性が低下していた。また、焼成を行っていないソーダライトと炭酸カリウムとの混合物についても、水洗前には優れた触媒活性を示していたが、水洗後には触媒活性が著しく低下していた。
温度600℃未満で焼成して得られる触媒、及び焼成を行なわずに作製した触媒において、上記のごとく水洗後において触媒活性が著しく低下していた原因は、水洗後にカリウムが溶出したためであると考えられる。
温度600℃未満で焼成して得られる触媒、及び焼成を行なわずに作製した触媒において、上記のごとく水洗後において触媒活性が著しく低下していた原因は、水洗後にカリウムが溶出したためであると考えられる。
したがって、水分を多く含む排ガスの浄化触媒として用いるためには、焼成温度は600℃以上で行う必要があることがわかる。また、図14より知られるごとく、特に温度700℃〜1200℃で焼成を行うことにより、よりDTA発熱ピーク温度の低い浄化触媒、即ち触媒活性に優れた浄化触媒が得られることがわかる。さらに、同図より知られるごとく、5時間で焼成を行った場合に比べて10時間焼成を行った場合の方が、水洗後の触媒活性の低下が抑制されていた。
上述の例においては、ソーダライトにK源として炭酸カリウムを混合して浄化触媒を作製した。次に、本例においては、ソーダライトに混合するカリウム塩の種類を変えて複数の浄化触媒を作製し、そのDTA発熱ピークトップ温度を調べた。
具体的には、ソーダライトに、各カリウム塩(炭酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、リン酸カリウム、又は水酸化カリウム)を混合して混合物を得た。各カリウム塩は、カリウム塩中のカリウム元素量がソーダライト中のSi元素1モルに対して0.225モル又は0.00225モルとなるように混合を行った。また、混合は、上記試料E2と同様に水中で行い、上述のごとく混合液の水分を乾燥させることにより混合物を得た。
次に、混合物を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度1000℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、浄化触媒を得た。
このようにして得られた各浄化触媒について、上記試料E2と同様に水洗前後のDTA発熱ピーク温度を測定した。その結果を図15に示す。
このようにして得られた各浄化触媒について、上記試料E2と同様に水洗前後のDTA発熱ピーク温度を測定した。その結果を図15に示す。
図7より知られるごとく、いずれのカリウム塩を用いて作製しても、浄化触媒は、水洗前後においてPMに対する優れた触媒活性を示した。また、カリウム塩の量を減らすと触媒活性は低下するものの、この場合においても水洗前後において450℃以下という非常にDTAピーク発熱トップ温度を維持しており、優れた触媒活性を示していた。
上述の例においては、混合時にソーダライトにアルカリ金属元素源(アルカリ金属塩)としてカリウム塩を混合し、浄化触媒を作製した。次に、本例においては、ソーダライトにカリウム塩の以外の各種アルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源を混合して複数の浄化触媒を作製し、これらのDTA発熱ピークトップ温度を調べた。
具体的には、まず、ソーダライトに、各種アルカリ金属塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、又は炭酸セシウム)、又はアルカリ土類金属塩(水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム)を混合して混合物を得た。各アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、ソーダライト中のSi元素1モルに対する各アルカリ金属塩中のアルカリ金属元素量又はアルカリ土類金属塩中のアルカリ土類金属元素量が0.225モル又は0.00225モルとなるように混合した。また、混合は、上記試料E2と同様に水中で行い、上述のごとく混合液の水分を乾燥させることにより固形分(混合物)を得た。
次に、混合物を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度1000℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、浄化触媒を得た。
このようにして得られた各浄化触媒について、上記試料E2と同様に水洗前後のDTA発熱ピーク温度を測定した。その結果を図16に示す。図16において、横軸は、混合時に添加したアルカリ金属元素源中のアルカリ元素種、及びアルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属種を示し、縦軸は、DTA発熱ピーク温度を示す。
このようにして得られた各浄化触媒について、上記試料E2と同様に水洗前後のDTA発熱ピーク温度を測定した。その結果を図16に示す。図16において、横軸は、混合時に添加したアルカリ金属元素源中のアルカリ元素種、及びアルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属種を示し、縦軸は、DTA発熱ピーク温度を示す。
図16より知られるごとく、ソーダライトに各種アルカリ金属元素(Na、K、Rb、Cs)を混合して作製した浄化触媒は、いずれのアルカリ金属元素を用いた場合でも、水洗前後において、PMに対して優れた触媒活性を示した。
これに対し、ソーダライトに各種アルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr、Ba)を混合して作製した浄化触媒においては、アルカリ土類金属元素としてMgを選択した場合に、若干触媒活性が不十分である場合が認められるものの、いずれの場合においても、実用上問題ないレベルの触媒活性を示した。
このように、K以外にも、その他のアルカリ金属、又はアルカリ土類金属をソーダライトに混合して焼成しても、PMに対して優れた触媒活性を有する浄化触媒が得られることがわかる。
これに対し、ソーダライトに各種アルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr、Ba)を混合して作製した浄化触媒においては、アルカリ土類金属元素としてMgを選択した場合に、若干触媒活性が不十分である場合が認められるものの、いずれの場合においても、実用上問題ないレベルの触媒活性を示した。
このように、K以外にも、その他のアルカリ金属、又はアルカリ土類金属をソーダライトに混合して焼成しても、PMに対して優れた触媒活性を有する浄化触媒が得られることがわかる。
また、アルカリ土類金属元素源としてMg源を用いた場合について、さらに詳細に説明すると、図16より知られるごとく、Mgをソーダライト中のSi元素1モルに対して0.00225モル加えて得られた触媒は優れた触媒活性を示した。しかし、Mgを0.225モル加えて作製した触媒は、実用に供することは可能であるものの、触媒活性が低下していた。一方、その他のアルカリ土類金属元素(Ca、Sr、Ba)を用いて得られた触媒は、いずれの場合においても優れた触媒活性を示した。
したがって、ソーダライトを用いる場合において、アルカリ土類金属元素源を選択する場合には、Mg以外のアルカリ土類金属元素源を採用することが好ましい。また、Mg源を採用する場合には、Mg源中のMg量がソーダライト中のSi元素1モルに対して0.225モル未満となるように、Mg源とソーダライトとの混合を行うことが好ましい。より好ましくは、0.00225モル以下がよい。
したがって、ソーダライトを用いる場合において、アルカリ土類金属元素源を選択する場合には、Mg以外のアルカリ土類金属元素源を採用することが好ましい。また、Mg源を採用する場合には、Mg源中のMg量がソーダライト中のSi元素1モルに対して0.225モル未満となるように、Mg源とソーダライトとの混合を行うことが好ましい。より好ましくは、0.00225モル以下がよい。
上記の例においては、ソーダライトに1種類のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を混合して浄化触媒を作製した。次に、本例においては、混合時にソーダライトに複数のアルカリ金属元素、アルカリ土類金属を混合して浄化触媒を作製し、そのDTA発熱ピーク温度を測定した。
具体的には、まず、ソーダライトに、炭酸カリウムを加え、さらにアルカリ金属元素源(炭酸ナトリウム、炭酸ルビジウム、又は炭酸セシウム)又はアルカリ土類金属元素源(水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、又は炭酸バリウム)を加えて混合し混合物を得た。このようにして得られた各混合物は、ソーダライトと、炭酸カリウムと、炭酸カリウム以外のアルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源とを含有する。
各混合物は、ソーダライト中のSi元素1モルに対して炭酸カリウム中のカリウム量が0.1125モルとなるようにソーダライトに炭酸カリウム(カリウム源)を加え、さらにソーダライト中のSi元素1モルに対して各アルカリ金属元素源中のアルカリ金属元素量又はアルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素量が0.1125モルとなるようにソーダライトに各種アルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源を加えて作製した。
したがって、各混合物においては、ソーダライト中のSi元素1モルに対する炭酸カリウム中のカリウム量と、その他のアルカリ金属元素量又はアルカリ土類金属元素量との合計量は、いずれも0.225モルとなっている。
また、混合は、上記試料E2と同様に水中で行い、上述のごとく混合液の水分を乾燥させることにより混合物を得た。
各混合物は、ソーダライト中のSi元素1モルに対して炭酸カリウム中のカリウム量が0.1125モルとなるようにソーダライトに炭酸カリウム(カリウム源)を加え、さらにソーダライト中のSi元素1モルに対して各アルカリ金属元素源中のアルカリ金属元素量又はアルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素量が0.1125モルとなるようにソーダライトに各種アルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源を加えて作製した。
したがって、各混合物においては、ソーダライト中のSi元素1モルに対する炭酸カリウム中のカリウム量と、その他のアルカリ金属元素量又はアルカリ土類金属元素量との合計量は、いずれも0.225モルとなっている。
また、混合は、上記試料E2と同様に水中で行い、上述のごとく混合液の水分を乾燥させることにより混合物を得た。
次に、混合物を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度1000℃(焼成温度)に達したところで10時間保持した。これにより混合物の焼成を行った。次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、浄化触媒を得た。
このようにして得られた各浄化触媒について、上記試料E2と同様に水洗前後のDTA発熱ピーク温度を測定した。その結果を図17に示す。同図において、縦軸はDTA発熱ピーク温度を示し、横軸は、炭酸カリウム以外に添加したアルカリ金属元素源中のアルカリ金属元素種又はアルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素種を示す。また、同図には、ソーダライトに炭酸カリウムだけを混合し焼成して作製した浄化触媒(図17において横軸がKで示されたサンプル)についての水洗前後のDTA発熱ピーク温度を併記する。
図17より知られるごとく、ソーダライトにK(カリウム)の他に、さらに各種アルカリ金属元素(Na、Rb、Cs)又はアルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr、Ba)を混合した場合においても、Kを単独で混合した場合と同様に、PM対して優れた触媒活性を有する浄化触媒が得られた。
このように、混合時に複数のアルカリ金属元素源及びアルカリ土類金属源を用いても、優れた触媒活性を有する浄化触媒が得られることがわかる。
このように、混合時に複数のアルカリ金属元素源及びアルカリ土類金属源を用いても、優れた触媒活性を有する浄化触媒が得られることがわかる。
次に、本例においては、アルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源の添加量が浄化触媒の触媒活性に与える影響を調べるために、ソーダライトに混合するアルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源の添加割合を変えて浄化触媒を作製し、そのDTA発熱ピーク温度を測定した。
まず、ソーダライト100重量部に、炭酸カリウム又は炭酸バリウムを0〜100重量部の添加量で混合し、混合物を得た。
具体的には、後述の表1及び図18に示すごとく、ソーダライト(SOD)100重量部に対して、炭酸カリウムをそれぞれ0重量部、0.1重量部、0.5重量部、1重量部、3重量部、5重量部、10重量部、15重量部、20重量部、40重量部、及び100重量部混合して混合物を作製した。
また、後述の表2及び図19に示すごとく、ソーダライト(SOD)100重量部に対して、炭酸バリウムをそれぞれ0重量部、5重量部、10重量部、15重量部、20重量部、40重量部、70重量部、100重量部、150重量部、200重量部、及び300重量部混合して混合物を作製した。
これらの混合は、上記試料E2と同様に水中で行い、上述のごとく混合液の水分を乾燥させることにより複数の混合物を得た。
具体的には、後述の表1及び図18に示すごとく、ソーダライト(SOD)100重量部に対して、炭酸カリウムをそれぞれ0重量部、0.1重量部、0.5重量部、1重量部、3重量部、5重量部、10重量部、15重量部、20重量部、40重量部、及び100重量部混合して混合物を作製した。
また、後述の表2及び図19に示すごとく、ソーダライト(SOD)100重量部に対して、炭酸バリウムをそれぞれ0重量部、5重量部、10重量部、15重量部、20重量部、40重量部、70重量部、100重量部、150重量部、200重量部、及び300重量部混合して混合物を作製した。
これらの混合は、上記試料E2と同様に水中で行い、上述のごとく混合液の水分を乾燥させることにより複数の混合物を得た。
次に、これらの混合物を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度1000℃に達したところで10時間保持した。これにより、混合物の焼成を行った。次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、浄化触媒を得た。
このようにして得られた各浄化触媒について、上記試料E2と同様に水洗前後のDTA発熱ピーク温度を測定した。
炭酸カリウムを用いて作製した浄化触媒の水洗前後のDTA発熱ピーク温度の結果を表1及び図18に示し、炭酸バリウムを用いて作製した浄化触媒の水洗前後のDTA発熱ピーク温度の結果を表2及び図19に示す。
なお、表1には、ソーダライト100重量部に対するKの混合量(重量部)をソーダライト中のSi量(mol)に対するKの混合量(mol)に換算した値を示してある(表1参照)。同様に、表2には、ソーダライト100重量部に対するBaの混合量(重量部)をソーダライト中のSi量(mol)に対するBaの混合量(mol)に換算した値を示してある(表2参照)。
炭酸カリウムを用いて作製した浄化触媒の水洗前後のDTA発熱ピーク温度の結果を表1及び図18に示し、炭酸バリウムを用いて作製した浄化触媒の水洗前後のDTA発熱ピーク温度の結果を表2及び図19に示す。
なお、表1には、ソーダライト100重量部に対するKの混合量(重量部)をソーダライト中のSi量(mol)に対するKの混合量(mol)に換算した値を示してある(表1参照)。同様に、表2には、ソーダライト100重量部に対するBaの混合量(重量部)をソーダライト中のSi量(mol)に対するBaの混合量(mol)に換算した値を示してある(表2参照)。
表1、表2、図18、及び図19より知られるごとく、混合時におけるアルカリ金属元素量及びアルカリ土類金属元素量を変えても、得られる浄化触媒は、PMに対して優れた触媒活性を示していた。
その一方で、アルカリ金属量又はアルカリ土類金属量を増やすと、水洗前後におけるDTA発熱ピーク温度の差が大きくなっていた。表1及び表2より知られるごとく、混合時に、アルカリ金属元素源(K2CO3)中に含まれるアルカリ金属元素(K)量、アルカリ土類金属元素源(BaCO3)中に含まれるアルカリ土類金属元素(Ba)量がソーダライト中のSi元素1モルに対して2.25モル以下となるように、ソーダライトとアルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源とを混合すれば、水洗前後におけるDTA発熱ピーク温度の差が比較的小さな浄化触媒、即ち水分に対する耐久性に優れた浄化触媒を作製できることがわかる。また、上述のアルカリ金属元素量とアルカリ土類金属元素量が2.25モルを超える場合には、混合物が焼成時に一旦溶融し易くなり、焼成後に得られる浄化触媒の粉砕が困難になる。
同様の観点から、より好ましくは、ソーダライト中のSi元素1モルに対してアルカリ金属元素量(モル)、アルカリ土類金属元素量(モル)は1モル以下がよく、さらにより好ましくは0.5モル以下がよい。
その一方で、アルカリ金属量又はアルカリ土類金属量を増やすと、水洗前後におけるDTA発熱ピーク温度の差が大きくなっていた。表1及び表2より知られるごとく、混合時に、アルカリ金属元素源(K2CO3)中に含まれるアルカリ金属元素(K)量、アルカリ土類金属元素源(BaCO3)中に含まれるアルカリ土類金属元素(Ba)量がソーダライト中のSi元素1モルに対して2.25モル以下となるように、ソーダライトとアルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源とを混合すれば、水洗前後におけるDTA発熱ピーク温度の差が比較的小さな浄化触媒、即ち水分に対する耐久性に優れた浄化触媒を作製できることがわかる。また、上述のアルカリ金属元素量とアルカリ土類金属元素量が2.25モルを超える場合には、混合物が焼成時に一旦溶融し易くなり、焼成後に得られる浄化触媒の粉砕が困難になる。
同様の観点から、より好ましくは、ソーダライト中のSi元素1モルに対してアルカリ金属元素量(モル)、アルカリ土類金属元素量(モル)は1モル以下がよく、さらにより好ましくは0.5モル以下がよい。
以上のように、本例によれば、ソーダライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物を温度600℃以上で焼成することにより、低温でかつ長期間安定にPMを燃焼除去できる浄化触媒が得られることがわかる。
かかる浄化触媒は、実施例1に示すごとく、ハニカム構造体等の基材に担持させ、EGR通路におけるEGRクーラの上流に配置することにより、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体として好適に用いることができる。
かかる浄化触媒は、実施例1に示すごとく、ハニカム構造体等の基材に担持させ、EGR通路におけるEGRクーラの上流に配置することにより、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体として好適に用いることができる。
(実験例2)
本例は、ソーダライトを単独で焼成することにより浄化触媒を作製し、その特性を評価する例である。
具体的には、まず、ソーダライト(3(Na2O・Al2O3・2SiO2)・2NaOH)の粉末を準備した。
次いで、このソーダライトを温度1000℃で焼成した。具体的には、ソーダライトを昇温速度100℃/時間で加熱し、温度1000℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。次いで、焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、粉末状の浄化触媒を得た。これを試料E3とする。
本例は、ソーダライトを単独で焼成することにより浄化触媒を作製し、その特性を評価する例である。
具体的には、まず、ソーダライト(3(Na2O・Al2O3・2SiO2)・2NaOH)の粉末を準備した。
次いで、このソーダライトを温度1000℃で焼成した。具体的には、ソーダライトを昇温速度100℃/時間で加熱し、温度1000℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。次いで、焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、粉末状の浄化触媒を得た。これを試料E3とする。
次に、本例において作製した浄化触媒(試料E3)について、PMに対する燃焼促進特性を調べた。また、比較用として、貴金属系触媒(Pt粉末)、炭酸カリウム粉末についても燃焼促進特性を調べた。
具体的には、まず、実験例1と同様にして、CB単独、貴金属系触媒とCBとの混合物、試料E3とCBとの混合物、炭酸カリウムとCBとの混合物という4種類の評価サンプルを作製した。
次いで、実験例1と同様に、DTA発熱ピーク温度を測定した。各触媒種を用いたときのDTA発熱ピーク温度の測定結果を図20に示す。
次いで、実験例1と同様に、DTA発熱ピーク温度を測定した。各触媒種を用いたときのDTA発熱ピーク温度の測定結果を図20に示す。
また、実験例1と同様に、触媒種(試料E3、貴金属系触媒、又は炭酸カリウム粉末)を水で洗浄し、乾燥後の触媒種(試料E3及び貴金属系触媒)とCBとを混合し、各触媒種とカーボンブラックとを含有する2種類の評価サンプルを得た。なお、CB単独からなる評価サンプルについても、実験例1と同様にして調整した。また、触媒種として炭酸カリウムを用いた評価サンプルは、水洗洗浄処理により水に溶解してしまったため、その後の操作を行うことができなかった。即ち、水洗後の評価サンプルとしては、CB単独、貴金属系触媒とCBとの混合物、試料E3とCBとの混合物という3種類のサンプルを作製した。これらのサンプルについて、再度熱分析−示差熱重量(TG−DTA)同時測定装置によって、DTA発熱ピーク温度の測定を行った。水洗浄処理後のDTA発熱ピーク温度の結果を図20に併記する。
図20より知られるごとく、水洗浄前において、試料E3を用いたサンプル及び炭酸カリウム用いたサンプルは、DTA発熱ピーク温度が低く、比較的低い温度でPM(CB)を燃焼できることがわかる。なお、図20から知られるごとく、試料E3は、約450℃付近に発熱ピークを有しているが、実際にはこれよりも低い温度(例えば400℃程度)でもカーボンブラックの燃焼は開始されている。
また、図20より知られるごとく、CB単独、貴金属系触媒、及び試料E3については、水洗前後でCBに対する燃焼促進特性はほとんど変化しなかった。これに対して、炭酸カリウムを用いたサンプルは、水洗後に炭酸カリウムが水に溶解し、測定が不可能であった。
また、図20より知られるごとく、CB単独、貴金属系触媒、及び試料E3については、水洗前後でCBに対する燃焼促進特性はほとんど変化しなかった。これに対して、炭酸カリウムを用いたサンプルは、水洗後に炭酸カリウムが水に溶解し、測定が不可能であった。
したがって、試料E3は、PMに対して優れた燃焼促進特性を有し、低温でPMを燃焼除去することができる。また、試料E3は、水分存在下においてもその優れた特性を維持できるため、水分を多く含む排ガスの浄化触媒として用いても長期間安定してPMの燃焼を行うことができる。
また、本例においては、上記試料E3とは異なる焼成温度でソーダライトを焼成し、さらに3種類の触媒を作製した。
即ち、上記試料E3においては、焼成温度1000℃(保持時間10時間)でソーダライトの焼成を行ったが、これら3種類の触媒は、それぞれ焼成温度700℃(保持時間10時間)、焼成温度600℃(保持時間10時間)又は焼成温度500℃(保持時間10時間)で焼成して作製した。そしてこれら3種類の浄化触媒についても、上記試料E3と同様にPMに対する燃焼促進特性を調べた。このとき、比較用として浄化触媒の作製に用いたソーダライト粉末についてもPMに対する燃焼促進特性を調べた。このソーダライトの粉末としては、焼成を行う代わりに室温(約25℃)で約10時間放置したものを採用した。燃焼促進特性の測定は、上記試料E3と同様にしてDTA発熱ピーク温度を測定することにより行った。その結果を図21に示す。なお、同図には、試料E3、即ち焼成温度1000℃で焼成してなる浄化触媒の結果を併記する。
即ち、上記試料E3においては、焼成温度1000℃(保持時間10時間)でソーダライトの焼成を行ったが、これら3種類の触媒は、それぞれ焼成温度700℃(保持時間10時間)、焼成温度600℃(保持時間10時間)又は焼成温度500℃(保持時間10時間)で焼成して作製した。そしてこれら3種類の浄化触媒についても、上記試料E3と同様にPMに対する燃焼促進特性を調べた。このとき、比較用として浄化触媒の作製に用いたソーダライト粉末についてもPMに対する燃焼促進特性を調べた。このソーダライトの粉末としては、焼成を行う代わりに室温(約25℃)で約10時間放置したものを採用した。燃焼促進特性の測定は、上記試料E3と同様にしてDTA発熱ピーク温度を測定することにより行った。その結果を図21に示す。なお、同図には、試料E3、即ち焼成温度1000℃で焼成してなる浄化触媒の結果を併記する。
図21より知られるごとく、ソーダライトを温度600℃以上で焼成して得られた浄化触媒のDTA発熱ピークトップ温度は、500℃以下という非常に低い値を示した。PMに対する燃焼触媒として一般に用いられる貴金属(Pt)触媒のDTA発熱ピーク温度は520℃程度(図20参照)であることから、これらの浄化触媒は、PMに対して充分に優れた触媒活性を有していることがわかる。
また、ソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる浄化触媒は、水洗後においても、貴金属(Pt)触媒のDTA発熱ピーク温度と同程度又はそれより低い温度を示しており、水洗後においても優れた触媒活性を維持できることがわかる。
また、ソーダライトを温度600℃以上で焼成してなる浄化触媒は、水洗後においても、貴金属(Pt)触媒のDTA発熱ピーク温度と同程度又はそれより低い温度を示しており、水洗後においても優れた触媒活性を維持できることがわかる。
これに対し、温度500℃で焼成して得られた触媒は、水洗前においては、貴金属(Pt)触媒と同程度のDTA発熱ピーク温度(約520℃)を示したが、水洗後においては、DTA発熱ピーク温度は約540℃まで上昇し、貴金属触媒よりも触媒活性が低下していた。また、焼成を行っていないソーダライトにおいては、水洗前後にかかわらずPMの燃焼に対する触媒活性が不十分であった。
また、本例においては、上記試料E3の比較用として、ソーダライト(SOD)以外の各種ゼオライトを単独で焼成し、これを触媒として用いて燃焼促進特性を調べた。
具体的には、まず、ソーダライト以外のゼオライトとして、ゼオライト構造(BEA型、FAU(フォージャサイト)型、FER型、LTA型、LTL型、MFI型、及びMOR型)及び/又はゼオライト組成中のSiO2/Al2O3比が異なる12種類のゼオライトを準備した(表3参照)。これらは、いずれも東ソー(株)製のゼオライトである。これらのゼオライトの製品名、ゼオライト構造の型の種類、及びSiO2/Al2O3比を表3に示す。なお、表3及び後述の図22におけるゼオライト種の名称は、東ソー(株)製のゼオライトの製品名である。また、表3には試料E3の作製に用いたソーダライト(SOD)についても併記してある。
具体的には、まず、ソーダライト以外のゼオライトとして、ゼオライト構造(BEA型、FAU(フォージャサイト)型、FER型、LTA型、LTL型、MFI型、及びMOR型)及び/又はゼオライト組成中のSiO2/Al2O3比が異なる12種類のゼオライトを準備した(表3参照)。これらは、いずれも東ソー(株)製のゼオライトである。これらのゼオライトの製品名、ゼオライト構造の型の種類、及びSiO2/Al2O3比を表3に示す。なお、表3及び後述の図22におけるゼオライト種の名称は、東ソー(株)製のゼオライトの製品名である。また、表3には試料E3の作製に用いたソーダライト(SOD)についても併記してある。
次に、表3に示す各種ゼオライトを上記試料E3と同様に焼成した。具体的には、各種ゼオライトをそれぞれ昇温速度100℃/時間で加熱し、温度1000℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。次いで、焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、粉末状の触媒を得た。そしてこれらの触媒についても、上記試料E3と同様にPMに対する燃焼促進特性を調べた。なお、これらの触媒については、水洗後の燃焼促進特性の測定は行っていない。その結果を図22に示す。また、図22には、ソーダライトを焼成して得られた上記試料E3の結果「SOD」として併記してある。
図22より知られるごとく、ソーダライト以外のゼオライトを焼成してなる物質を触媒として用いた場合には、DTA発熱ピーク温度が非常に高く、PMの燃焼促進特性が不十分であった。これに対し、SODを焼成してなる触媒(試料E3)は、約450℃という非常に低いDTA発熱ピーク温度を示しており、PMを低温で燃焼できる。よって、単独で焼成を行う場合には、ゼオライトの中でもソーダライトを採用することが必要であることがわかる。
以上のように、本例によれば、ソーダライトを単独で温度600℃以上で焼成することにより、低温でかつ長期間安定にPMを燃焼除去することができる浄化触媒が得られることがわかる。
かかる浄化触媒は、実施例1に示すごとく、ハニカム構造体等の基材に担持させ、EGR通路におけるEGRクーラの上流に配置することにより、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体として好適に用いることができる。
かかる浄化触媒は、実施例1に示すごとく、ハニカム構造体等の基材に担持させ、EGR通路におけるEGRクーラの上流に配置することにより、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体として好適に用いることができる。
(実験例3)
本例は、ソーダライト以外のゼオライトを用いて浄化触媒を作製し、その特性を評価する例である。
具体的には、まず、ゼオライトとして、LTA型で、Al2O31モルに対するSiO2量(SiO2/Al2O3)が2.0モルであるゼオライト(東ソー(株)製の「A−3」)を準備した。また、アルカリ金属元素源として、炭酸カリウムを準備した。
次に、ゼオライト中のSi元素1モルに対する炭酸カリウム中のK量が0.225モルとなる割合でゼオライトと炭酸カリウムとを水に投入し、水中で両者を混合した。
次いで、混合液を温度120℃で加熱し、水分を蒸発させ、固形分(混合物)を得た。
本例は、ソーダライト以外のゼオライトを用いて浄化触媒を作製し、その特性を評価する例である。
具体的には、まず、ゼオライトとして、LTA型で、Al2O31モルに対するSiO2量(SiO2/Al2O3)が2.0モルであるゼオライト(東ソー(株)製の「A−3」)を準備した。また、アルカリ金属元素源として、炭酸カリウムを準備した。
次に、ゼオライト中のSi元素1モルに対する炭酸カリウム中のK量が0.225モルとなる割合でゼオライトと炭酸カリウムとを水に投入し、水中で両者を混合した。
次いで、混合液を温度120℃で加熱し、水分を蒸発させ、固形分(混合物)を得た。
次に、固形分を温度1000℃で焼成した。具体的には、固形分を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度1000℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。
次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、浄化触媒を得た。これを試料E4とする。
次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、浄化触媒を得た。これを試料E4とする。
次に、本例において作製した浄化触媒(試料E4)について、PMに対する燃焼促進特性を調べた。また、比較用として、貴金属系触媒(Pt粉末)、炭酸カリウム粉末についても燃焼促進特性を調べた。
具体的には、まず、実験例1と同様にして、CB単独、貴金属系触媒とCBとの混合物、試料E4とCBとの混合物、炭酸カリウムとCBとの混合物という4種類の評価サンプルを作製した。
次いで、実験例1と同様に、DTA発熱ピーク温度を測定した。各触媒種を用いたときのDTA発熱ピーク温度の測定結果を図23に示す。
次いで、実験例1と同様に、DTA発熱ピーク温度を測定した。各触媒種を用いたときのDTA発熱ピーク温度の測定結果を図23に示す。
また、実験例1と同様に、触媒種(試料E4、貴金属系触媒、及び炭酸カリウム粉末)を水で洗浄し、乾燥後の触媒種(試料E4及び貴金属系触媒)とCBとを混合し、各触媒種とカーボンブラックとを含有する2種類の評価サンプルを得た。なお、CB単独からなる評価サンプルについても、実験例1と同様にして調整した。また、触媒種として炭酸カリウムを用いた評価サンプルは、水洗により水に溶解してしまったため、その後の操作を行うことができなかった。即ち、水洗後の評価サンプルとしては、CB単独、貴金属系触媒とCBとの混合物、試料E4とCBとの混合物という3種類のサンプルを作製した。これらのサンプルについて、再度熱分析−示差熱重量(TG−DTA)同時測定装置によって、DTA発熱ピーク温度の測定を行った。水洗浄処理後のDTA発熱ピーク温度の結果を図23に併記する。
図23より知られるごとく、水洗浄前において、試料E4を用いたサンプル及び炭酸カリウム用いたサンプルは、DTA発熱ピーク温度が低く、比較的低い温度でPM(CB)を燃焼できることがわかる。なお、図23から知られるごとく、試料E4は、約410℃付近(水洗前)にDTA発熱ピーク温度を有しているが、実際にはこれよりも低い温度(例えば360℃程度)でもカーボンブラックの燃焼は開始されている。
また、図23より知られるごとく、CB単独、貴金属系触媒、及び試料E4については、水洗前後でCBに対する燃焼促進特性はほとんど変化しなかった。これらの中でも試料E4は、水洗後における燃焼促進特性の低下幅が最も大きくなっているが、それでも水洗後のDTA発熱ピーク温度は450℃程度であり、CB単独及び貴金属系触媒に比べて充分低い値を示している。したがって、試料E4は、水洗後においてもPMに対する優れた燃焼促進特性を示すことがわかる。
一方、炭酸カリウムを用いたサンプルは、水洗後に炭酸カリウムが水に溶解し、測定が不可能であった。
一方、炭酸カリウムを用いたサンプルは、水洗後に炭酸カリウムが水に溶解し、測定が不可能であった。
このように、ソーダライト以外のゼオライトを用いて作製した浄化触媒(試料E4)も、PMに対して優れた燃焼促進特性を有し、低温でPMを燃焼除去することができる。また、試料E4は、水分存在下においてもその優れた特性を維持できるため、長期間安定してPMの燃焼を行うことができる。また、上記試料E4は、その作製時に高価な貴金属等を必要としないため、低コストで作製することができる。
かかる浄化触媒(試料E4)は、実施例1に示すごとく、ハニカム構造体等の基材に担持させ、EGR通路におけるEGRクーラの上流に配置することにより、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体として好適に用いることができる。
かかる浄化触媒(試料E4)は、実施例1に示すごとく、ハニカム構造体等の基材に担持させ、EGR通路におけるEGRクーラの上流に配置することにより、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体として好適に用いることができる。
(実験例4)
本例は、組成の異なる複数のゼオライトを用いて浄化触媒を作製し、水洗前後におけるPMに対する燃焼促進特性を調べる例である。
本例の浄化触媒は、ゼオライト種を変更する点を除いては、実験例3の上記試料E4と同様にして製造することができる。
本例は、組成の異なる複数のゼオライトを用いて浄化触媒を作製し、水洗前後におけるPMに対する燃焼促進特性を調べる例である。
本例の浄化触媒は、ゼオライト種を変更する点を除いては、実験例3の上記試料E4と同様にして製造することができる。
具体的には、まず、上記試料E4の作製に用いたゼオライト(東ソー株式会社製の「A−3」)を含む、構造及び/又は組成中のSiO2/Al2O3比(モル比)が異なる9種類のゼオライトを準備した。これらのゼオライトは、LTA型、BEA型、FAU(フォーじゃライト)型、FER型、LTL型、MFI型、又はMOR型の構造を有し(上述の表3参照)、いずれも東ソー(株)製のゼオライトである。具体的には、東ソー(株)製の「A−3」、「A−4」、「F−9」、「642NAA」、「320NAA」、「500KOA」、「720KOA」、「820NAA」、及び「940HOA」を用いた(表3参照)。
次に、各種ゼオライトと炭酸カリウムとをそれぞれ混合した。混合は、実験例3と同様に、水中で行い、混合液の水分を蒸発させることにより、固形分を得た。各種ゼオライトと炭酸カリウムとの混合割合は、実験例3と同様に、各種ゼオライト中のSi元素1モルに対する炭酸カリウム中のK量が0.225モルとなる割合とした。
次に、各固形分を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度1000℃(焼成温度)に達したところで10時間保持することにより焼成を行った。
次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、浄化触媒を得た。
次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、浄化触媒を得た。
このようにして、上述の各種ゼオライトを用いて9種類の浄化触媒を作製した。そして、これらの浄化触媒についても、実験例1の上記試料E2と同様に水洗前後におけるPMに対する燃焼促進特性を調べた。その結果を図24に示す。
また、本例においては、焼成の意義を調べるために、焼成前の上記固形分、即ち各種ゼオライトと炭酸カリウムとの混合物を触媒として用い、実験例3の上記試料E4と同様に水洗前後におけるPMに対する燃焼促進特性を調べた。その結果を図25に示す。
図24より知られるごとく、いずれのゼオライトを用いて場合においても、浄化触媒は、水洗浄前において約480℃以下という低いDTA発熱ピーク温度を示した。これは一般にPMの燃焼触媒として用いられている貴金属(Pt)触媒(DTA発熱ピーク温度:約520℃(図23参照))に比べて充分に小さな値である。したがって、各種ゼオライトを用いて作製した浄化触媒は、PMに対して優れた燃焼促進特性を有し、低温でPMを燃焼除去させることができることがわかる。
また、図24より知られるごとく、各種ゼオライトを用いて作製した浄化触媒は、水洗後においても貴金属(Pt)触媒(DTA発熱ピーク温度:約520℃(図23参照))と同等又はそれよりも小さなDTA発熱ピーク温度を示した。したがって、これらの浄化触媒は、水分存在下においてもPMに対して優れた燃焼促進特性を維持できることがわかる。
また、図25より知られるごとく、焼成を行っていない各種ゼオライトと炭酸カリウムとの混合物は、水洗前においては非常に低いDTA発熱ピーク温度を示した。しかし、水洗後においては、いずれの混合物においてもDTA発熱ピーク温度は顕著に上昇していた。
一方、焼成後においては、上述のごとく水洗後においてもDTA発熱ピーク温度の上昇が小さくなっていた(図24参照)ことから、混合物(上記固形分)を焼成することにより、水分に対する耐久性を向上させることができることがわかる。
一方、焼成後においては、上述のごとく水洗後においてもDTA発熱ピーク温度の上昇が小さくなっていた(図24参照)ことから、混合物(上記固形分)を焼成することにより、水分に対する耐久性を向上させることができることがわかる。
以上のように、本例によれば、様々なゼオライトを用いても、低温でかつ水分存在下でも長期間安定にPMを燃焼除去できる浄化触媒が得られることがわかる。かかる浄化触媒は、実施例1に示すごとく、ハニカム構造体等の基材に担持させ、EGR通路におけるEGRクーラの上流に配置することにより、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体として好適に用いることができる。
(実験例5)
本例は、ソーダライト以外のゼオライトを用いた場合における焼成温度が触媒活性に与える影響を調べる例である。
即ち、本例においては、異なる複数の焼成温度でゼオライトと炭酸カリウムとの混合物を焼成して複数の浄化触媒を作製し、これらの触媒のPMに対する燃焼促進特性を調べる。
本例の浄化触媒は、焼成温度を変更する点を除いては、実験例3と同様にして作製する。
本例は、ソーダライト以外のゼオライトを用いた場合における焼成温度が触媒活性に与える影響を調べる例である。
即ち、本例においては、異なる複数の焼成温度でゼオライトと炭酸カリウムとの混合物を焼成して複数の浄化触媒を作製し、これらの触媒のPMに対する燃焼促進特性を調べる。
本例の浄化触媒は、焼成温度を変更する点を除いては、実験例3と同様にして作製する。
具体的には、まず、実験例3と同様にして、LTA型で、SiO2/Al2O3比(モル比)が2.0のゼオライト(東ソー(株)製の「A−3」)と炭酸カリウムとの混合物(上記固形分)を得た。本例においても、実験例3と同様に、混合は水中で行い、ゼオライトと炭酸カリウムとの混合割合についても、実験例3と同様に、ゼオライト中のSi元素1モルに対する炭酸カリウム中のK量が0.225モルとなる割合とした。
次に、混合物を異なる温度で焼成して複数の触媒を作製した。
具体的には、混合物を焼成温度500℃、600℃、800℃、700℃、900℃、1000℃、1100℃、1200℃、1300℃で焼成した。焼成速度は100℃/hとし、各焼成温度で10時間保持することにより焼成を行った。その後、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、異なる温度で焼成された9種類の触媒を得た。
具体的には、混合物を焼成温度500℃、600℃、800℃、700℃、900℃、1000℃、1100℃、1200℃、1300℃で焼成した。焼成速度は100℃/hとし、各焼成温度で10時間保持することにより焼成を行った。その後、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、異なる温度で焼成された9種類の触媒を得た。
そしてこれら9種類の触媒についても、実験例3の上記試料E4と同様にPMに対する水洗前後の燃焼促進特性を調べた。このとき、比較用として、焼成を行っていないゼオライト(A−3)と炭酸カリウムとの混合物についてもPMに対する燃焼促進特性を調べた。このゼオライトと炭酸カリウムとの混合物としては、焼成を行う代わりに室温(約25℃)で約10時間放置したものを採用した。
燃焼促進特性の測定は、実験例3の上記試料E4と同様にしてDTA発熱ピーク温度を測定することにより行った。その結果を図26に示す。
燃焼促進特性の測定は、実験例3の上記試料E4と同様にしてDTA発熱ピーク温度を測定することにより行った。その結果を図26に示す。
図26より知られるごとく、温度600℃以上で焼成を行って作製した浄化触媒のDTA発熱ピークトップ温度は、水洗前及び水洗後においても500℃を下回っていた。PMに対する燃焼触媒として一般に用いられる貴金属(Pt)触媒のDTA発熱ピーク温度は520℃程度(図23参照)であることから、これらの浄化触媒は、PMに対して充分に優れた燃焼促進特性を有していることがわかる。
これに対し、図26より知られるごとく、温度600℃未満で焼成した触媒は、水洗前においては、貴金属(Pt)触媒に比べて充分に低いDTA発熱ピーク温度を示していたが、水洗後においては、DTA発熱ピーク温度は著しく上昇し、貴金属触媒のDTA発熱ピーク温度(520℃程度(図23参照))よりも大きくなっていた。即ち、水洗後には、PMに対する燃焼促進特性が不十分であった。
また、焼成を行っていないゼオライトと炭酸カリウムとの混合物も、水洗前にはPMに対して優れた燃焼促進特性を示していたが、水洗後には燃焼促進特性が著しく低下していた。
温度600℃未満で焼成して得られる触媒、及び焼成を行なわずに作製した触媒において、上記のごとく水洗後においてPMに対する燃焼促進特性が著しく低下していた原因は、水洗後にカリウムが溶出したためであると考えられる。
また、焼成を行っていないゼオライトと炭酸カリウムとの混合物も、水洗前にはPMに対して優れた燃焼促進特性を示していたが、水洗後には燃焼促進特性が著しく低下していた。
温度600℃未満で焼成して得られる触媒、及び焼成を行なわずに作製した触媒において、上記のごとく水洗後においてPMに対する燃焼促進特性が著しく低下していた原因は、水洗後にカリウムが溶出したためであると考えられる。
したがって、本例によれば、焼成時における焼成温度は600℃以上で行う必要があることがわかる。また、図26より知られるごとく、好ましくは温度700℃〜1200℃、より好ましくは、800℃〜1100℃で焼成を行うことにより、燃焼促進特性がより優れると共に耐水性にもより優れた浄化触媒が得られることがわかる。かかる浄化触媒は、実施例1に示すごとく、ハニカム構造体等の基材に担持させ、EGR通路におけるEGRクーラの上流に配置することにより、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体として好適に用いることができる。
(実験例6)
本例は、混合時にゼオライトに添加するアルカリ金属元素量が触媒活性に与える影響を調べる例である。
即ち、本例においては、ゼオライトに対して異なる複数の混合割合で炭酸カリウムを混合し、複数の浄化触媒を作製し、これらのPMに対する燃焼促進特性を調べる。
本例の浄化触媒は、ゼオライトと炭酸カリウムとの混合割合を変更する点を除いては、上記実験例3と同様にして作製する。
本例は、混合時にゼオライトに添加するアルカリ金属元素量が触媒活性に与える影響を調べる例である。
即ち、本例においては、ゼオライトに対して異なる複数の混合割合で炭酸カリウムを混合し、複数の浄化触媒を作製し、これらのPMに対する燃焼促進特性を調べる。
本例の浄化触媒は、ゼオライトと炭酸カリウムとの混合割合を変更する点を除いては、上記実験例3と同様にして作製する。
具体的には、まず、実験例3と同様にして、LTA型で、SiO2/Al2O3比(モル比)が2.0のゼオライト(東ソー(株)製の「A−3」)を準備した。
次いで、このゼオライト100重量部に炭酸カリウムを0〜100重量部混合し、混合物を得た。
具体的には、後述の表4及び図27に示すごとく、ゼオライト100重量部に対して、炭酸カリウムをそれぞれ0重量部、1重量部、2.5重量部、5重量部、10重量部、20重量部、40重量部、60重量部、80重量部、及び100重量部混合して混合物を作製した。
これらの混合は、実験例3の上記試料E4と同様に水中で行い、上述のごとく混合液の水分を蒸発させることにより、Kの配合割合の異なる複数の混合物(上記固形分)を得た。
次いで、このゼオライト100重量部に炭酸カリウムを0〜100重量部混合し、混合物を得た。
具体的には、後述の表4及び図27に示すごとく、ゼオライト100重量部に対して、炭酸カリウムをそれぞれ0重量部、1重量部、2.5重量部、5重量部、10重量部、20重量部、40重量部、60重量部、80重量部、及び100重量部混合して混合物を作製した。
これらの混合は、実験例3の上記試料E4と同様に水中で行い、上述のごとく混合液の水分を蒸発させることにより、Kの配合割合の異なる複数の混合物(上記固形分)を得た。
次に、これらの混合物を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度1000℃に達したところで10時間保持した。これにより、各混合物の焼成を行った。次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、Kの配合割合が異なる10種類の浄化触媒を得た。
このようにして得られた各浄化触媒について、実験例3の上記試料E4と同様にPMに対する水洗前後の燃焼促進特性を調べた。燃焼促進特性の測定は、実験例3の上記試料E4と同様にしてDTA発熱ピーク温度を測定することにより行った。その結果を表4及び図27に示す。
なお、表4には、ゼオライト100重量部に対するKの混合量(重量部)をゼオライト中のSi量(mol)に対するKの混合量「K/Si」(mol)に換算した値を示してある(表4参照)。
なお、表4には、ゼオライト100重量部に対するKの混合量(重量部)をゼオライト中のSi量(mol)に対するKの混合量「K/Si」(mol)に換算した値を示してある(表4参照)。
表4及び図27より知られるごとく、混合時に、ゼオライト中のSi元素1モルに対して炭酸カリウム中のK量が0.1モル〜2.0モルとなるように、ゼオライトと炭酸カリウムとを混合した場合、即ち本例における混合時にゼオライト100重量部に対して炭酸カリウムを5重量部〜80重量部混合した場合には、水洗前後におけるDTA発熱ピーク温度が低く、燃焼促進特性が優れた浄化触媒が得られた。
これに対し、上述の0.1モル〜2.0モルという範囲から外れた場合には、特に水洗後の発熱ピーク温度が高くなっており、得られた触媒は、耐水性の低いものであった。
また、好ましくは、ゼオライト中のSi元素1モルに対する炭酸カリウム中のK量を0.2モル以上かつ1.5モル以下にすることにより、より耐水性の優れた浄化触媒が得られることがわかる(表4、図27参照)。
これに対し、上述の0.1モル〜2.0モルという範囲から外れた場合には、特に水洗後の発熱ピーク温度が高くなっており、得られた触媒は、耐水性の低いものであった。
また、好ましくは、ゼオライト中のSi元素1モルに対する炭酸カリウム中のK量を0.2モル以上かつ1.5モル以下にすることにより、より耐水性の優れた浄化触媒が得られることがわかる(表4、図27参照)。
以上のように、本例によれば、混合時に、ゼオライトと炭酸カリウム(アルカリ金属元素源)とを、ゼオライト中のSi元素1モルに対する炭酸カリウム中のK元素(アルカリ金属元素)量が0.1モル〜2.0モルとなるように混合することにより、より耐水性に優れ長期間安定してPMを燃焼除去できる浄化触媒が得られることがわかる。
かかる浄化触媒は、実施例1に示すごとく、ハニカム構造体等の基材に担持させ、EGR通路におけるEGRクーラの上流に配置することにより、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体として好適に用いることができる。
かかる浄化触媒は、実施例1に示すごとく、ハニカム構造体等の基材に担持させ、EGR通路におけるEGRクーラの上流に配置することにより、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体として好適に用いることができる。
(実験例7)
本例は、混合時に、ゼオライトに対して種々のアルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源を添加して浄化触媒を作製し、そのPMに対する燃焼促進特性を調べる例である。
本例の浄化触媒は、ゼオライトに混合するアルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源を変更する点を除いては、実験例3と同様にして作製する。
本例は、混合時に、ゼオライトに対して種々のアルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源を添加して浄化触媒を作製し、そのPMに対する燃焼促進特性を調べる例である。
本例の浄化触媒は、ゼオライトに混合するアルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源を変更する点を除いては、実験例3と同様にして作製する。
具体的には、まず、実験例3と同様にして、LTA型で、SiO2/Al2O3比(モル比)が2.0のゼオライト(東ソー(株)製の「A−3」)を準備した。
次いで、このゼオライトに各種アルカリ金属元素源(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、又は炭酸セシウム)、又は各種アルカリ土類金属元素源(水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、又は炭酸バリウム)を混合した。ゼオライトと各種アルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源との混合割合は、実験例3と同様に、ゼオライト中のSi元素1モルに対するアルカリ土類金属元素源中のアルカリ金属元素量又はアルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素量が0.225モルとなる割合とした。
また、本例においても、実験例3と同様に、混合は水中で行い、混合液の水分を蒸発させることにより、ゼオライトと、各種アルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源との混合物(上記固形分)を作製した。
次いで、このゼオライトに各種アルカリ金属元素源(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、又は炭酸セシウム)、又は各種アルカリ土類金属元素源(水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、又は炭酸バリウム)を混合した。ゼオライトと各種アルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源との混合割合は、実験例3と同様に、ゼオライト中のSi元素1モルに対するアルカリ土類金属元素源中のアルカリ金属元素量又はアルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素量が0.225モルとなる割合とした。
また、本例においても、実験例3と同様に、混合は水中で行い、混合液の水分を蒸発させることにより、ゼオライトと、各種アルカリ金属元素源又はアルカリ土類金属元素源との混合物(上記固形分)を作製した。
次に、これらの混合物を昇温速度100℃/時間で加熱し、温度1000℃に達したところで10時間保持した。これにより、各混合物の焼成を行った。次いで、得られた焼成物をメジアン径10μm以下、かつ最大粒径100μm以下にまで粉砕し、異なるアルカリ金属元素(Na、K、Rb、又はCs)又はアルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr、又はBa)を含有する8種類の浄化触媒を得た。
このようにして得られた各浄化触媒について、実験例3の上記試料E4と同様にPMに対する水洗前後の燃焼促進特性を調べた。燃焼促進特性の測定は、実験例3の上記試料E4と同様にしてDTA発熱ピーク温度を測定することにより行った。その結果を図28に示す。なお、図28において、横軸は、混合時に添加したアルカリ金属元素源中のアルカリ金属元素種、及びアルカリ土類金属元素源中のアルカリ土類金属元素種を示し、縦軸は、DTA発熱ピーク温度を示す。
図28より知られるごとく、各種アルカリ金属元素源、アルカリ土類金属元素源を用いて作製した浄化触媒は、いずれの場合においても、水洗前後において従来の貴金属触媒とほぼ同等又はそれよりも低いDTA発熱ピーク温度を示した。
特に、アルカリ金属元素源を用いた場合及びアルカリ土類金属元素源としてBa源(炭酸バリウム)を用いた場合には、水洗後においても、DTA発熱ピーク温度が500℃を下回っており、より優れた浄化触媒が得られることがわかる。
特に、アルカリ金属元素源を用いた場合及びアルカリ土類金属元素源としてBa源(炭酸バリウム)を用いた場合には、水洗後においても、DTA発熱ピーク温度が500℃を下回っており、より優れた浄化触媒が得られることがわかる。
このように、本例によれば、混合時に、様々なアルカリ金属元素源、アルカリ土類金属元素源を用いても、低温でかつ水分存在下でも長期間安定にPMを燃焼除去することができる浄化触媒が得られることがわかる。
かかる浄化触媒は、実施例1に示すごとく、ハニカム構造体等の基材に担持させ、EGR通路におけるEGRクーラの上流に配置することにより、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体として好適に用いることができる。
かかる浄化触媒は、実施例1に示すごとく、ハニカム構造体等の基材に担持させ、EGR通路におけるEGRクーラの上流に配置することにより、EGRクーラ用排ガス浄化触媒体として好適に用いることができる。
1 EGR還流装置
2 EGRクーラ用排ガス浄化触媒体
11 EGR通路
12 EGRクーラ
5 内燃機関
2 EGRクーラ用排ガス浄化触媒体
11 EGR通路
12 EGRクーラ
5 内燃機関
Claims (8)
- 内燃機関から排出される排ガスの少なくとも一部を上記内燃機関の吸気側に還流させるEGR通路において、排ガスを冷却するEGRクーラよりも上流側に配置して用いられるEGRクーラ用排ガス浄化触媒体であって、
該EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を触媒成分とする浄化触媒を含有することを特徴とするEGRクーラ用排ガス浄化触媒体。 - 請求項1において、上記EGRクーラ用排ガス浄化触媒体は、多孔質体からなる基材と、該基材に担持された浄化触媒とを有し、該浄化触媒は、ゼオライトとアルカリ金属元素源及び/又はアルカリ土類金属元素源との混合物又はソーダライトを温度600℃以上で焼成してなることを特徴とするEGRクーラ用排ガス浄化触媒体。
- 請求項2において、上記混合物におけるゼオライトとしては、ソーダライトが採用されていることを特徴とするEGRクーラ用排ガス浄化触媒体。
- 請求項3において、上記混合物においては、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記ソーダライト中のSi元素1モルに対して2.25モル以下となっていることを特徴とするEGRクーラ用排ガス浄化触媒体。
- 請求項2において、上記混合物におけるゼオライトとしては、ソーダライト以外のゼオライトが採用されており、上記混合物においては、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源中に含まれるアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素との合計量が上記ゼオライト中のSi元素1モルに対して0.1モル以上かつ2.0モル以下となっていることを特徴とするEGRクーラ用排ガス浄化触媒体。
- 請求項2〜5のいずれか一項において、上記アルカリ金属元素源は、Na、K、Rb、及びCsから選ばれる1種以上を含有し、上記アルカリ土類金属元素源はMg、Ca、Sr、及びBaから選ばれる1種以上を含有することを特徴とするEGRクーラ用排ガス浄化触媒体。
- 請求項2〜6のいずれか一項において、上記アルカリ金属元素源及び/又は上記アルカリ土類金属元素源は、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、酸化物、又は水酸化物であることを特徴とするEGRクーラ用排ガス浄化触媒体。
- 内燃機関から排出される排ガスの少なくとも一部を上記内燃機関の吸気側に還流させるEGR通路と、
該EGR通路に配設され、上記排ガスを冷却するEGRクーラと、
上記EGR通路における上記EGRクーラの上流側に配設されたEGRクーラ用排ガス浄化触媒体とを有し、
該EGRクーラ用排ガス浄化触媒体としては、請求項1〜7のいずれか一項に記載のものが採用されていることを特徴とするEGR還流装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013224586A (ja) * | 2012-04-19 | 2013-10-31 | Toyota Motor Corp | 内燃機関のegr装置 |
Citations (4)
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-
2009
- 2009-06-17 JP JP2009143978A patent/JP2011000514A/ja active Pending
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