JP2018051468A - 排ガス浄化フィルタ - Google Patents

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知弘 足立
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一樹 白田
島戸 孝明
Takaaki Shimado
孝明 島戸
達郎 宮川
Tatsuro Miyagawa
達郎 宮川
珠里 吉田
Juri Yoshida
珠里 吉田
亮介 澤
Ryosuke Sawa
亮介 澤
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Tsutomu Furuta
勤 古田
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Abstract

【課題】各種内燃機関の排ガスの浄化に使用される排ガス浄化フィルタにおいて、高いPM燃焼性能を発現できる触媒の担持量を確保しつつ、PM堆積量の増加に伴う圧力損失の増大を抑制することを目的とする。【解決手段】多孔質のフィルタ基材と、排ガスが流入する側のセル壁の表面の一部または全部に粒子状物質燃焼触媒が含まれた触媒層とを備え、前記粒子状物質燃焼触媒は、バナジウムに対するセシウムのモル比(Cs/V)が1.0≦Cs/V≦1.5である、セシウムとバナジウムの複合酸化物と、セリウム含有酸化物とを含み、前記触媒層の厚みを10μm以上50μm以下とし、かつ前記触媒層に、前記粒子状物質燃焼触媒の全担持量のうち、70質量%以上が存在するという構成により、高いPM燃焼性能と、PM堆積量の増加に伴う圧力損失の増大の抑制を両立した排ガス浄化フィルタを得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関の排ガスの浄化に使用される排ガス浄化フィルタに関するものである。
従来、ガソリンエンジンは排ガスの厳しい規制に伴って技術が進歩しており、排ガス中に含まれる有害物質は確実に減少しつつある。しかし、ディーゼルエンジンは、固体状炭素微粒子や、液体又は固体状の高分子量炭化水素微粒子などの粒子状物質(PM:Particulate Matter)が有害成分として排出されるという特殊性から、ガソリンエンジンに比べて法規制及び技術の開発が遅れていた。
ところで、自動車の内燃機関、特にディーゼルエンジンから排出されるPMは、その粒子径の殆どが1μm以下であり、大気中に浮遊しやすく、呼吸により人体に取り込まれやすい。しかも、PMにはベンゾピレン等の発癌性物質が含まれていることが明らかとなり、人体への影響が大きな問題となってきている。このため、ディーゼルエンジンから排出されるPMを効率よく除去する方法が種々検討されている。
近年、PMを除去する方法の一つとして、セラミックハニカム、セラミックフォーム、金属発泡体等の耐熱性の排ガス浄化フィルタを用いる方法が開発されている。この方法では、まず排ガス浄化フィルタで排ガス中のPMを捕集する。そして、PMの捕集によりフィルタの圧力損失が上昇した場合には、バーナー又はヒーター等で排ガス浄化フィルタを加熱し、堆積したPMを燃焼させ、炭酸ガスに変えて外部に放出することにより、フィルタを再生する。しかし、この方法では、捕集したPMを燃焼してフィルタを再生するために多量のエネルギーが必要となる。また、PMの燃焼温度が高温となるため、フィルタの溶解や割れを生じる恐れがあった。
一方、触媒を排ガス浄化フィルタに担持し、PMを触媒作用により燃焼させることで、バーナー又はヒーターなどによる燃焼操作を軽減して、フィルタを再生する方法がある。例えば、耐熱性セラミックからなるフィルタ基材に予めPM燃焼触媒を担持させておき、PMの捕集と共に燃焼反応を行わせる方法が研究されている。
現在、PM燃焼触媒には白金、パラジウム等の白金族金属が広く使用されている。これは白金族金属を用いた触媒が、良好なPM燃焼性能と耐久性とを持つためである。しかし、白金族金属は希少、かつ高価である。そのためPM燃焼触媒においては省白金族使用、白金族代替に関する研究が世界中において行われている(非特許文献1参照)。
白金族金属不使用のPM燃焼触媒として、アルカリ金属等からなる溶融塩型触媒(ま
たは溶融易動型触媒とも言う)がある。溶融塩型触媒は、PMとの反応温度近傍において
溶融し、液相となる。そのため、触媒とPMとの接触は飛躍的に増大し、性能が良化する
と考えられている。溶融塩型触媒としては、例えば、セシウム(Cs)とバナジウム(V)との複合酸化物(以下、CsV酸化物と記載)が知られている。CsV酸化物の触媒としては、例えばTiO2にCsV酸化物を担持してなる触媒が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2012/147333号
羽田政明 他、「排出ガス浄化触媒の白金族金属使用量低減及び代替技術」、自動車技術 Vol.63、42−47頁、2009年
溶融塩型触媒は、PMとの接触によりPMを燃焼するため、触媒とPMとの接触性がPM燃焼性能に大きく影響する。そのため、フィルタ基材に対する触媒の担持量を増加させ、触媒とPMとの接触面積を増大させることで、PM燃焼性能を高めることができる。一方で、触媒の担持量を増加させると、フィルタ基材内部における排ガスの流れが悪くなり、排ガス浄化フィルタにPMが堆積していくことで、圧力損失が増大するという課題を有していた。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、高いPM燃焼性能を発現できる触媒の担持量を確保しつつ、PM堆積量の増加に伴う圧力損失の増大を抑制した排ガス浄化フィルタを提供することを目的とする。
そして、この目的を達成するために、本発明は、セル壁で区画された複数のセルを有する多孔質のフィルタ基材と、粒子状物質を燃焼して浄化する粒子状物質燃焼触媒と、
排ガスが流入する側の前記セル壁の表面の一部または全部に前記粒子状物質燃焼触媒が含まれた触媒層とを備え、前記粒子状物質燃焼触媒は、バナジウムに対するセシウムのモル比(Cs/V)が1.0≦Cs/V≦1.5である、セシウムとバナジウムの複合酸化物と、セリウム含有酸化物とを含む溶融塩型触媒であり、前記触媒層の厚みを10μm以上50μm以下とし、かつ前記触媒層に、前記粒子状物質燃焼触媒の前記フィルタ基材への全担持量のうち、70質量%以上が存在していることを特徴とするものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
本発明では、セル壁で区画された複数のセルを有する多孔質のフィルタ基材と、粒子状物質を燃焼して浄化する粒子状物質燃焼触媒と、排ガスが流入する側の前記セル壁の表面の一部または全部に前記粒子状物質燃焼触媒が含まれた触媒層とを備え、前記粒子状物質燃焼触媒は、バナジウムに対するセシウムのモル比(Cs/V)が1.0≦Cs/V≦1.5である、セシウムとバナジウムの複合酸化物と、セリウム含有酸化物とを含む溶融塩型触媒であり、前記触媒層の厚みを10μm以上50μm以下とし、かつ前記触媒層に、前記粒子状物質燃焼触媒の前記フィルタ基材への全担持量のうち、70質量%以上が存在している構成とした。
触媒層がセル壁の表面に形成されることで、触媒層によりPMの一部が捕集されることとなり、流入したPMがセル壁の内部に入り込む量を低減する。また、溶融塩型触媒を含む触媒層は層内に適度な空隙を有しており、この空隙を通じて排ガスを流通させつつ、触媒層にPMが捕集されるため、PM堆積による排ガス流れの阻害を軽減する。さらに、触媒層の内部および表面に堆積したPMは触媒との接触界面が大きいため燃焼しやすく、PM燃焼性能の向上につながる。
したがって、高いPM燃焼性能を発現できる触媒の担持量を確保しつつ、PM堆積量の増加に伴う圧力損失の増大を抑制することができる。
本発明の実施の形態1の排ガス浄化フィルタの一部を示す断面図 実施例における排ガス浄化フィルタの断面の一部を示す図 比較例における排ガス浄化フィルタの断面の一部を示す図 評価結果を示す図
本発明の請求項1記載の排ガス浄化フィルタは、セル壁で区画された複数のセルを有する多孔質のフィルタ基材と、粒子状物質を燃焼して浄化する粒子状物質燃焼触媒と、
排ガスが流入する側の前記セル壁の表面の一部または全部に前記粒子状物質燃焼触媒が含まれた触媒層とを備え、前記粒子状物質燃焼触媒は、バナジウムに対するセシウムのモル比(Cs/V)が1.0≦Cs/V≦1.5である、セシウムとバナジウムの複合酸化物と、セリウム含有酸化物とを含む溶融塩型触媒であり、前記触媒層の厚みを10μm以上50μm以下とし、かつ前記触媒層に、前記粒子状物質燃焼触媒の前記フィルタ基材への全担持量のうち、70質量%以上が存在している構成とした。
触媒層がセル壁の表面に形成されることで、触媒層によりPMの一部が捕集されることとなり、流入したPMがセル壁の内部に入り込む量を低減する。また、溶融塩型触媒を含む触媒層は層内に適度な空隙を有しており、この空隙を通じて排ガスを流通させつつ、触媒層にPMが捕集されるため、PM堆積による排ガス流れの阻害を軽減する。さらに、触媒層の内部および表面に堆積したPMは触媒との接触界面が大きいため燃焼しやすく、PM燃焼性能の向上につながる。
したがって、高いPM燃焼性能を発現できる触媒の担持量を確保しつつ、PM堆積量の増加に伴う圧力損失の増大を抑制することができる。
(実施の形態1)
図1に示すように、排ガス浄化フィルタ1は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関の排気通路(図示せず)に設けられ、排ガス中の粒子状物質(以下、PMと記載)を捕集するものである。排ガス浄化フィルタ1は、セル壁2で区画された複数のセル3を有する多孔質のフィルタ基材4と、PMを燃焼して浄化する粒子状物質燃焼触媒(以下、PM燃焼触媒と記載)を含む触媒層5とを備える。
まず、本分野で前提となる濾過の過程を説明する。
排ガス浄化フィルタ1は、フィルタ基材4のセル壁2に設けられた細孔を通じて排ガスを流通させることができ、この際にセル壁2の内部および表面、さらには触媒層5で排ガス中のPMを捕集することができる。捕集された排ガス中のPMは、触媒層5に含まれるPM燃焼触媒によって速やかに燃焼除去される。
説明を加えると、排ガス流れに沿って排ガス浄化フィルタ1に流入したPMは、まずフィルタ基材4のセル壁2に設けられた細孔部分に堆積する。この堆積過程は深層ろ過と呼ばれており、PM堆積量の増加に伴う圧力損失の増大が著しい。ある程度PMがセル壁2の内部に堆積すると、次にPMはセル壁2の表面、つまり触媒層5の内部および表面に堆積していく。さらにPMの堆積が進行すると、最終的にはPMの上にPMが堆積していく。この堆積過程はケーキろ過と呼ばれており、PM堆積量の増加に伴い、徐々に圧力損失が増大する。
したがって、PM堆積量の増加に伴う圧力損失の増大を抑制するためには、PM堆積過程における深層ろ過の割合を減らすこと、およびケーキろ過時の圧力損失上昇率を低減することが必要である。
そこで、本実施の形態の排ガス浄化フィルタ1は、特に以下の構成を備えたものである。
フィルタ基材4は、ウォールフロー型の構造であり、セル壁2で区画された複数のセル3を備え、隣接するセルの端部が交互に目封じされている。これにより、排ガスの上流側を開口し、下流側が閉塞した排ガス流入セルと、排ガスの上流側が閉塞し、下流側が開口した排ガス流出セルとが、セル壁2を介して隣接した構成となっている。なお、フィルタ基材4の形状は上記のような形状に限定されるものではなく、ウォールスルー型、フロースルーハニカム型、金属あるいはセラミックスの発泡体型などでもよい。
フィルタ基材4の材質は、耐熱性セラミックスや金属材料等からなる多孔質材料であればよい。耐熱性セラミックスとしては、例えば炭化ケイ素(SiC)、コージェライト、窒化ケイ素、チタン酸アルミニウム等を用いることができる。金属材料としては、例えばステンレス合金、Fe−Cr−Al合金等を用いることができる。これらの中でも、耐熱性および触媒塗工性の観点から、炭化ケイ素が好ましい。セル壁2に設けられた細孔の平均細孔径は特に限定されないが、例えば5μm〜50μmとすることができる。平均細孔径が5μm以上の場合には、PMが堆積しても圧力損失の過度の上昇を抑制することができる。また、平均細孔径が50μm以下の場合には、PMの過度の素抜けを抑制することができる。セル3の断面形状は特に限定されないが、触媒とPMの接触面積を大きくできる観点から、4〜8角形のうちのいずれかであることが好ましい。またセル3の形成密度は特に限定されないが、上記と同様の観点から、セル3の数は1平方インチあたり200〜400セルであることが好ましい。セル数を200セル以上とすることで、触媒とPMの接触面積を十分に確保することができる。また、セル数を400セル以下とすることで、セル3へのPM堆積による目詰まりを生じにくくすることができる。
また、本実施の形態のPM燃焼触媒は、バナジウムに対するセシウムのモル比(Cs/V)が1.0≦Cs/V≦1.5である、セシウムとバナジウムの複合酸化物と、セリウム含有酸化物とを含む溶融塩型触媒である。溶融塩型触媒は、PMとの反応温度近傍において溶融し、液相となる。そのため、触媒とPMとの接触は飛躍的に増大し、性能が良化すると考えられている。中でも、優れたPM燃焼活性を示す触媒として、セシウムとバナジウムの複合酸化物(以下、Cs−V複合酸化物と記載)が知られている。バナジウム化合物は排ガス中の酸素を取り入れて活性酸素に変換する作用があるため、セシウムと複合酸化物を形成することで、活性酸素への変換作用が向上すると推測される。さらに、当該Cs−V複合酸化物は、後述するように、高熱安定性及び高比表面積を有する特定の担体に担持されている。そのため、PMの燃焼熱や排ガスによるCs−V複合酸化物の凝集を抑制し、良好なPM燃焼活性を長期間維持することが可能となる。上述のCs−V複合酸化物としては、例えば、CsVO3 (メタバナジン酸セシウム、Cs:V=1.0:1.0)、Cs5V3O10(Cs:V=1.7:1.0)、Cs32V18O61(Cs:V=1.8:1.0)、Cs4V2O7(Cs:V=2.0:1.0)、Cs3VO4(Cs:V=3.0:1.0)などを挙げることができる。この中でも、Cs−V複合酸化物としては、バナジウムに対するセシウムのモル比(Cs/V)がCs/V=1.0であるメタバナジン酸セシウムを含むことが好ましい。メタバナジン酸セシウムは化学的安定性が高いため、長期間に亘り優れたPM燃焼活性を維持することが可能となる。
また、本実施の形態のPM燃焼触媒は、セリウム含有酸化物を含んでおり、これはCs−V複合酸化物をその表面に担持する担体として機能している。Cs−V複合酸化物は単独でも高いPM燃焼性を有しているが、触媒の比表面積が低いためにPMと触媒との接触率が低下し、燃焼反応が起こり難い恐れがある。また、担体を用いない場合には、排ガスの温度及び組成変動により容易に凝集し、PM燃焼活性が低下する恐れがある。そのため、Cs−V複合酸化物を、担体の表面に接触して保持することにより、Cs−V複合酸化物の比表面積を増加させつつも、高温雰囲気下での凝集を抑制することができる。
上述のとおり、本実施の形態のPM燃焼触媒は、セリウム含有酸化物を含む担体を用いることで、Cs−V複合酸化物が有するPM燃焼活性を維持しつつも、比表面積の増加と凝集の抑制とを両立することが可能となる。また、セリウム含有酸化物は、排ガスの空気過剰率に対応した酸素吸蔵放出能を有している。そして、バナジウム化合物は、排ガス中の酸素を取り入れて活性酸素に変換する作用を有している。そのため、バナジウム化合物により、排ガス中の酸素だけでなく、セリウム含有酸化物から放出される酸素が活性酸素に変換されるため、生成した活性酸素によりPM燃焼反応をさらに促進することが可能となる。
なお、Cs−V複合酸化物を担持する担体は、セリウム酸化物を主成分とすることが好ましい。つまり、Cs−V複合酸化物を担持する担体は、セリウム酸化物を50質量%以上含有することが好ましい。このようなセリウム酸化物を主成分とする担体は、酸素吸蔵放出能が特に高いため、活性酸素の生成効率をより向上させることが可能となる。
なお、Cs−V複合酸化物を担持する担体は、セリウム酸化物を70質量%以上含有することがより好ましく、80質量%以上含有することが特に好ましい。また、当該担体は、セリウム酸化物以外の元素を含有してもよく、例えばジルコニウム、チタン、ケイ素、ニオブ、ランタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、プラセオジム、イットリウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、およびスズからなる群より選ばれる少なくとも一つを含有することができる。このような金属元素は、担体の耐熱性を向上させることができる。
担体の平均粒子径(メジアン径、D50)は特に限定されないが、Cs−V複合酸化物とPMとの接触界面を増大させる観点から、10nm〜10μmとすることが好ましい。
本実施の形態の触媒層5は、溶融塩型触媒であるPM燃焼触媒を含み、排ガスが流入する側のセル壁2の表面の一部または全部に形成されてなる。溶融塩型触媒は、その融点を超える熱が入ることにより液相となるという特性を有することから、溶融塩型触媒を含み、ある厚みをもった層として形成した場合に、層内に適度な空隙を生じやすい。この空隙を通じて排ガスを流通させつつ、触媒層5で排ガスに含まれるPMを捕集することができる。
これにより、流入したPMがセル壁2の内部に入り込む量を低減し、PM堆積過程における深層ろ過の割合を減少させる。また、適度な空隙を有する触媒層5の内部および表面にPMが堆積するため、PM堆積による排ガス流れの阻害を軽減し、ケーキろ過時の圧力損失上昇率を低減することができ、PM堆積量の増加に伴う圧力損失の増大を抑制することができる。さらに、触媒層5の内部および表面にPMが堆積するため、PMと触媒との接触界面が大きく、PM燃焼性能の向上につながる。
本実施の形態の触媒層5の厚みは、10μm以上50μm以下である。触媒層5の厚みを10μm以上とすることにより、流入したPMがセル壁2の内部に入り込む量を低減し、PM堆積過程における深層ろ過の割合を減少させることで、PM堆積時の圧力損失の増大を抑制できる。また触媒層5の厚みを50μm以下とすることにより、触媒コート後の初期圧損を低く保ちつつ、セル壁2の表面と触媒層5との接着性を確保できる。
本実施の形態の触媒層5は、排ガス浄化フィルタ1に担持されているPM燃焼触媒の全担持量のうち、70質量%以上を含んでなる。これは、排ガス浄化フィルタ1に担持されたPM燃焼触媒の質量の70%以上が、排ガスが流入する側のセル壁2の表面に存在していることを意味する。つまり、本実施の形態の排ガス浄化フィルタ1では、フィルタ基材4のセル壁2に設けられた細孔内部に侵入したPM燃焼触媒の割合が、排ガス浄化フィルタ1への全担持量のうち、30%未満である。
上記構成により、流入したPMがセル壁2の内部に入り込む量を低減し、PM堆積過程における深層ろ過の割合を減少させるとともに、適度な空隙を有する触媒層5の内部および表面にPMが堆積するため、PM堆積による排ガス流れの阻害を軽減し、ケーキろ過時の圧力損失上昇率を低減することができ、PM堆積量の増加に伴う圧力損失の増大を抑制することができる。さらに、触媒層5の内部および表面にPMが堆積するため、PMと触媒との接触界面が大きく、PM燃焼性能の向上につながる。
このように、本実施の形態の排ガス浄化フィルタ1は、セル壁2で区画された複数のセル3を有する多孔質のフィルタ基材4と、PMを燃焼して浄化するPM燃焼触媒と、排ガスが流入する側の前記セル壁2の表面の一部または全部に前記粒子状物質燃焼触媒が含まれた触媒層5とを備え、前記PM燃焼触媒は、バナジウムに対するセシウムのモル比(Cs/V)が1.0≦Cs/V≦1.5である、セシウムとバナジウムの複合酸化物と、セリウム含有酸化物とを含む溶融塩型触媒であり、前記触媒層5の厚みを10μm以上50μm以下とし、かつ前記触媒層5に、前記PM燃焼触媒の前記フィルタ基材への全担持量のうち、70質量%以上が存在している。
このような排ガス浄化フィルタ1を用いることにより、高いPM燃焼性能を発現できる触媒の担持量を確保しつつ、PM堆積量の増加に伴う圧力損失の増大を抑制することができる。
次に、本実施の形態に係る排ガス浄化フィルタ1の製造方法について説明する。
まず、バナジウムに対するセシウムのモル比(Cs/V)が1.0≦Cs/V≦1.5である、セシウムとバナジウムの複合酸化物と、セリウム含有酸化物とを含むPM燃焼触媒と、分散溶媒とを混合し、これを湿式粉砕して触媒スラリーを得る。この触媒スラリーを、フィルタ基材4表面の一部または全部、具体的には、例えば排ガスが流入する側のセル壁2の表面の一部または全部に塗布し、乾燥および焼成することにより、PM燃焼触媒を含む触媒層5を備えた排ガス浄化フィルタ1を得ることができる。
また本実施の形態では、排ガスが流入する側のセル壁2の表面の一部または全部に形成される触媒層5の厚みと、PM燃焼触媒が触媒層5に存在する割合を上記の範囲内に調整するために、触媒スラリーに増粘剤を添加してスラリーの粘度を調整し、フィルタ基材4に塗布することで、PM燃焼触媒をセル壁2の表面に担持させた。具体的には、分散溶媒としてグリコールエーテル類を用い、増粘剤として変性ウレア溶液を用いた。
なお、フィルタ基材4に対してPM燃焼触媒を固定しやすくするために、バインダーを使用してもよい。バインダーとしては、例えば、アルミナゾル、シリカゾル、ジルコニアゾル、セリアゾル、およびマグネシアゾルからなる群より選ばれる少なくとも一種を使用することができる。
なお、本実施の形態に係る排ガス浄化フィルタ1の製造方法は上記に限定されるものではなく、同様の構成が得られる製造方法であればよい。
以下、本発明の形態を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本実施の形態はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)PM燃焼触媒の調製
まず、セシウムとバナジウムのモル比率が1.3:1.0となるように、炭酸セシウムと五酸化二バナジウムの混合水溶液を調製した。次に、その混合水溶液を、乳鉢内のセリウム酸化物(阿南化成株式会社製、85質量%)に加えた後に、乾燥炉を用いて110℃で3時間蒸発乾固させた。
次に、得られた固体を電気炉を用いて、大気中、昇温速度300℃/hとし、800℃で3時間焼成することにより、本実施例の触媒を得た。なお、バナジウム金属の担持量は、セリウム酸化物100gに対して9.4gとした。
得られた触媒を酸分解し、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−OES)および誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)で解析した結果、セシウムとバナジウムのモル比率が1.3:1.0であることが確認された。
(2)排ガス浄化フィルタの作製
上述のPM燃焼触媒と、分散溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを、質量%比率が1:9となるよう混合し、ボールミルで湿式粉砕し、触媒スラリーを得た。得られた触媒スラリーに、増粘剤として変性ウレア溶液を添加し、攪拌することで触媒スラリーの粘度を調整した。粘度調整後の触媒スラリーを、フィルタ基材の排ガスが流入する側のセルに注入し、乾燥炉を用いて80℃で1.5時間、さらに110℃で1.5時間乾燥させた。次に、得られたフィルタを大気中、昇温速度300℃/hとし、700℃で2時間焼成することにより、本例の排ガス浄化フィルタを得た。触媒の担持量は、排ガス浄化フィルタの1リットルあたり46gであった。
得られた排ガス浄化フィルタを切断してサンプリングしたものを酸分解し、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−OES)および誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)で解析した結果、セシウムとバナジウムのモル比率が1.3:1.0であることが確認された。
(比較例1)
(1)粒子状物質燃焼触媒の調製
実施例1と同様にして行った。
(2)排ガス浄化フィルタの作製
上述の粒子状物質燃焼触媒と、分散溶媒としてエタノールとを、質量%比率が1:9となるよう混合し、ボールミルで湿式粉砕し、触媒スラリーを得た。得られた触媒スラリーに、増粘剤として変性ウレア溶液を添加し、攪拌することで触媒スラリーの粘度を調整した。粘度調整後の触媒スラリーを、フィルタ基材の排ガスが流入する側のセルに注入し、乾燥炉を用いて110℃で3時間乾燥させた。次に、得られたフィルタを大気中、昇温速度300℃/hとし、700℃で2時間焼成することにより、本例の排ガス浄化フィルタを得た。触媒の担持量は、排ガス浄化フィルタの1リットルあたり16gであった。
得られた排ガス浄化フィルタを切断してサンプリングしたものを酸分解し、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−OES)および誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)で解析した結果、セシウムとバナジウムのモル比率が1.3:1.0であることが確認された。
(評価項目1)
実施例1、比較例1で得た排ガス浄化フィルタを切断して適切な大きさにサンプリングし、断面SEM観察用のサンプルを作製した。倍率300倍で、排ガスが流入する側のセル壁表面と、および排ガスが流出する側のセル壁表面とが視野に入るよう調整し、排ガス浄化フィルタの断面SEM写真を撮影した(実施例1は図2、比較例1は図3に示す)。撮影した断面SEM写真から、排ガスが流入する側のセル壁表面に担持した触媒層の平均厚みを算出した。
さらに、撮影した断面SEM写真を、画像解析ソフトによりコントラスト調整および2値化することで、触媒とそれ以外とを色分けした。次に、断面SEM写真内に存在する触媒の面積と、排ガスが流入する側のセル壁表面に担持した触媒層に含まれる触媒の面積を、画像処理ソフトにより算出した。
そして、下記に示す担持率の算出式により、排ガス浄化フィルタに担持したPM燃焼触媒の全担持量のうち、触媒層に存在するPM燃焼触媒の担持率(図4では触媒層の担持率と記載)を算出した。
(担持率の算出式)
触媒層の担持率(%)=(触媒層におけるPM燃焼触媒の面積/全PM燃焼触媒の面積)×100
評価結果を図4に示している。
(評価項目2)
実施例、比較例で得た排ガス浄化フィルタに、ディーゼルパティキュレートフィルタ試験装置(DPG:Diesel Particulate Generator、Cambustion社製)を用いて、排ガス浄化フィルタの入口温度を240℃、空気流量を300kg/hとし、PMを排ガス浄化フィルタの1リットルあたり5g堆積させた。その際のPM堆積前後の圧力損失を測定し、PM堆積による圧力損失の増加分を算出した。
評価結果を図4に示している。
(評価項目3)
実施例、比較例で得た排ガス浄化フィルタに、評価項目2と同様の手順でPMを排ガス浄化フィルタの1リットルあたり5g堆積させた。次に、DPGを用いて、排ガス浄化フィルタの入口温度を550℃、空気流量を200kg/h、試験時間600秒とし、堆積したPMを燃焼させた。試験前後の各排ガス浄化フィルタの重量を測定することにより、燃焼したPMの量を算出した。燃焼したPMの量を、試験時間600秒で除してPM燃焼速度(mg/s)を算出し、排ガス浄化フィルタのPM燃焼性能の指標とした。
評価結果を図4に示している。
(まとめ)
図4より、触媒層の厚みが10μm以上であり、かつ触媒層の担持率が70%以上である実施例1は、比較例1に対して、触媒の担持量が多いにも関わらず、PM堆積による圧力損失の増加分が小さいことが確認された。さらに、実施例1は比較例1に対して、高いPM燃焼性能を有することが確認された。
以上の結果から、触媒層の厚みは10μm以上が好ましいことが確認された。また、排ガス浄化フィルタに担持したPM燃焼触媒の全担持量のうち、触媒層に70質量%以上が存在することが好ましいことが確認された。
本発明にかかる排ガス浄化フィルタは、高いPM燃焼性能を発現できる触媒の担持量を確保しつつ、PM堆積量の増加に伴う圧力損失の増大を抑制できるものであるので、各種内燃機関から発生する排ガスを浄化する排ガス浄化フィルタや、ディーゼルエンジンの排ガスを浄化する触媒DPF等として有用である。
1 排ガス浄化フィルタ
2 セル壁
3 セル
4 フィルタ基材
5 触媒層

Claims (1)

  1. セル壁で区画された複数のセルを有する多孔質のフィルタ基材と、粒子状物質を燃焼して浄化する粒子状物質燃焼触媒と、
    排ガスが流入する側の前記セル壁の表面の一部または全部に前記粒子状物質燃焼触媒が含まれた触媒層とを備え、
    前記粒子状物質燃焼触媒は、バナジウムに対するセシウムのモル比(Cs/V)が1.0≦Cs/V≦1.5である、セシウムとバナジウムの複合酸化物と、セリウム含有酸化物とを含む溶融塩型触媒であり、前記触媒層の厚みを10μm以上50μm以下とし、かつ前記触媒層に、前記粒子状物質燃焼触媒の前記フィルタ基材への全担持量のうち、70質量%以上が存在している、排ガス浄化フィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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