JP2010540333A - 走行動特性制御装置内における絶対圧力弁の使用 - Google Patents

走行動特性制御装置内における絶対圧力弁の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、少なくとも1つの車輪ブレーキ・シリンダ内の圧力を制御するための少なくとも1つの入口弁および少なくとも1つの出口弁を含む、車輪滑り制御を実行するための装置に関するものである。本発明の本質は、入口弁または出口弁の少なくとも1つが絶対圧力弁として形成されていることにある。
【選択図】図1

Description

本発明は、走行動特性制御装置内における絶対圧力弁の使用に関するものである。
ドイツ特許公開第10237002号から、第1の車輪に付属されている車輪ブレーキ・シリンダ内のブレーキ圧力の値が第2の車輪に付属されている車輪ブレーキ・シリンダ内のブレーキ圧力と結合されている、車両の1つの車軸の少なくとも2つの車両車輪のブレーキ作動方法および装置が既知である。この発明の本質は、前記結合が、それぞれの入口弁において降下する油圧圧力差を介して与えられていることにある。独立請求項の上位概念の特徴はドイツ特許公開第10237002号からとられている。
ドイツ特許公開第10237002号
本発明の目的は、ほとんど除去できない個々の弁のハードウェア公差は別として、公差の影響を除去することである。
本発明は、少なくとも1つの車輪ブレーキ・シリンダ内の圧力を制御するための少なくとも1つの入口弁および/または少なくとも1つの出口弁および/または少なくとも1つの切換弁を含む、車輪滑り制御を実行するための装置に関するものである。本発明の本質は、入口弁および/または出口弁および/または切換弁の少なくとも1つが絶対圧力弁として形成されていることにある。これにより、より正確で且つより少ない公差を有する車輪滑り制御が可能である。切換弁はマスタ・ブレーキ・シリンダと入口弁との間に配置されている。
本発明の有利な一形態は、絶対圧力弁が、その電気操作に基づいて、弁の入口または出口に所定の圧力値を設定することを特徴とする。これにより、絶対圧力の特に簡単な設定が可能となる。
本発明の有利な一形態は、圧力が油圧であることを特徴とする。
本発明の有利な一形態は、ブレーキ回路の全ての入口弁および出口弁が絶対圧力弁として形成されていることを特徴とする。入口弁の出口および出口弁の入口にそれぞれ、車輪ブレーキ・シリンダ内において本質的に作用している圧力がかかっている。
本発明の有利な一形態は、さらに、切換弁が、または切換弁のみが絶対圧力弁として形成されていることを特徴とする。
本発明の有利な一形態は、絶対圧力弁が、その電気操作に基づいて、弁の入口または出口に作用している圧力と、大気圧の周囲圧力との間に所定の圧力差を設定することを特徴とする。
本発明の有利な一形態は、車輪滑り制御が、ABS制御、ASR制御またはESP制御であることを特徴とする。
本発明の有利な一形態は、絶対圧力弁が電磁弁であることを特徴とする。
図面は図1から構成されている。
図1は、個々の車輪滑り制御に適したブレーキ回路の典型的な形態を示す。
差圧制御における主な問題点は、回避できない製作に基づく機械公差ないしはハードウェア公差のほかに、弁の前後の圧力がわかっていなければならないことである。差圧制御においては、弁において降下する差圧のみが決定されるので、弁の前後の圧力は必ずしも必要ではなく、または状況に応じてのみ必要であるにすぎない。例えば、電子式ブレーキ制御装置におけるドライバの供給圧力ないしはマスタ・シリンダ圧力は、センサの測定精度の範囲内においてのみ、および測定信号のフィルタリングに基づいて時間遅れを有してのみ検出されるにすぎない。さらに、多くのアンチロック装置(ABS装置)においては圧力センサが存在せず、即ち、マスタ・ブレーキ・シリンダ圧力は評価可能であるにすぎない。車輪ブレーキ・シリンダ内に作用している車輪圧力は、ABS装置においてのみならず、駆動滑り制御装置(ASR装置)ないしは走行動特性制御装置(ESP装置)においてもまた、ほとんどの場合、評価されるにすぎない。車輪圧力センサを使用したとき、車輪圧力は、同様に、圧力センサの測定精度の範囲内においてのみ、且つ測定信号のフィルタリングに基づいて時間遅れを有してのみ検出されるにすぎない。
リターン・ポンプによる能動的圧力上昇の場合、回路圧力評価の精度は、ポンプおよび油圧装置の機械公差に基づいている。これらの公差は圧力精度したがって制御の精度に影響を与える。本発明の目的は、ほとんど除去できない個々の弁のハードウェア公差は別として、公差の影響を除去することである。
図1に、走行動特性制御装置を備えた車両のブレーキ装置が略図で示されている。ここでは、理解のために不要な部分は全て削除されている。2つのブレーキ回路を有するブレーキ装置が考察されるものとする。ブレーキ回路1は図1における左側分岐であり(これはフロート回路とも呼ばれる)、右側分岐はブレーキ回路2(これはロッド回路とも呼ばれる)である。この場合、ブレーキ回路1は後車輪にわたって伸長し、ブレーキ回路2は前車輪にわたって伸長する。この分割はII型分割とも呼ばれる。他の分割もまた考えられることは明らかである。
はじめに、個々のブロックを簡単に説明するものとする。
300 油圧ブレーキ圧力制御装置
301 マスタ・ブレーキ・シリンダ
302:HSV1 ブレーキ回路1の高圧切換弁
303:USV1 ブレーキ回路1の切換弁
306:RFP1 ブレーキ回路1のリターン・ポンプ
308:EVHL 後方左側入口弁、即ち左後車輪のブレーキにおける入口弁
309:AVHL 後方左側出口弁
311:EVHR 後方右側入口弁
310:AVHR 後方右側出口弁
316 左後車輪の車輪ブレーキ
317 右後車輪の車輪ブレーキ
305:HSV2 ブレーキ回路2の高圧切換弁
304:USV2 ブレーキ回路2の切換弁
307:RFP2 ブレーキ回路2のリターン・ポンプ
312:EVVL 前方左側入口弁
313:AVVL 前方左側出口弁
315:EVVR 前方右側入口弁
314:AVVR 前方右側出口弁
318 左前車輪の車輪ブレーキ
319 右前車輪の車輪ブレーキ
両方のリターン・ポンプは共通の電動機により駆動され、即ち両方のリターン・ポンプは並列運転される。
マスタ・ブレーキ・シリンダ301からブレーキ圧力制御装置300に2つの配管が出ている。ブレーキ圧力制御装置300内において、高圧切換弁302および305と、および切換弁303および304とに分岐が行われている。高圧切換弁302は、出口弁309および310と、並びにリターン・ポンプ306の吸込側と結合されている。切換弁303は、入口弁308および311と、並びにリターン・ポンプ306の吐出側と結合されている。入口弁308の出口側および出口弁309の入口側は車輪ブレーキ316と結合され、同様に、入口弁311および出口弁310は車輪ブレーキ317と結合されている。
高圧切換弁305は、出口弁313および314と、並びにリターン・ポンプ307の吸込側と結合されている。切換弁304は、入口弁312および315と、並びにリターン・ポンプ307の吐出側と結合されている。入口弁312の出口側および出口弁313の入口側は車輪ブレーキ318と結合され、同様に、入口弁315および出口弁314は車輪ブレーキ319と結合されている。
リターン・ポンプ306は切換弁303(吐出側)と出口弁310(吸込側)との間に存在し、リターン・ポンプ307は切換弁304(吐出側)と出口弁313(吸込側)との間に存在する。
本発明により、入口弁、出口弁および切換弁のいくつかまたは全てが絶対圧力弁として形成されている。差圧弁においては弁において降下する圧力差即ち弁の入口と出口との間の圧力差が操作を介して設定されるが、一方、絶対圧力弁においては弁の入口において作用する圧力の操作を介して設定され、即ち弁の入口と車両周囲(大気圧)との間の圧力差が設定される。これにより、油圧回路の個々の部分に作用する圧力の、油圧モデルによる費用のかかる評価が不要となり、即ち累積公差が低減される。
低減される累積公差に対する例として、車輪ブレーキ・シリンダ内の圧力が考察される。典型的な走行動特性制御装置において、マスタ・ブレーキ・シリンダの出口に作用している供給圧力が圧力センサにより測定される。この測定値は測定誤差を有することがある。切換弁USV1ないしはUSV2により、ポンプが吐出しているときの回路圧力は切換弁において発生する圧力差だけ上昇される。発生するこの圧力差は正確には検出されず、その理由は、例えば切換弁およびポンプの機械公差がこの圧力差内に入り込むからである。入口弁において、新たに公差を有する圧力降下が発生する。したがって、複数の公差の影響により、車輪ブレーキ・シリンダ内に作用している車輪圧力は正確には決定可能ではない。絶対圧力弁の使用により、次の利点が得られる:
− 差圧従属性が除去される。
− 累積公差が明らかに低減される。
− 圧力設定公差は弁のハードウェア公差に低減する。
− ABS機能はABS制御装置およびESP制御装置内において同様に形成可能である。絶対圧力弁の使用により、入口弁における供給圧力が正確にはいかなる大きさであるか、および供給圧力がどのように形成ないしは決定されたかは重要ではない。入口弁手前の圧力が入口弁後方の圧力より大きいことのみが重要である。
− 供給圧力センサは明らかに簡単にすることができ、ないしは省略さえ可能である。
− 差圧弁における差圧の関数としてのハードウェア公差は、絶対圧力弁の関数としてのハードウェア公差に低減可能である。これは、特に、圧力差が大きいとき、例えば供給圧力が高く且つ車輪圧力が小さいときに有利である。
− 車輪圧力に対しては入口弁ないしは出口弁が決定的な役割を果たすので、切換弁の許容ハードウェア公差は場合により拡大可能である。

Claims (10)

  1. 少なくとも1つの車輪ブレーキ・シリンダ内の圧力を制御するための少なくとも1つの入口弁(308、311、312、315)および/または少なくとも1つの出口弁(309、310、313、314)および/または少なくとも1つの切換弁(303、304)を含む、車輪滑り制御(300)を実行するための装置において、
    前記入口弁(308、311、312、315)および/または前記出口弁(309、310、313、314)および/または前記切換弁(303、304)の少なくとも1つが絶対圧力弁として形成されていることを特徴とする車輪滑り制御を実行するための装置。
  2. 前記絶対圧力弁が、その電気操作に基づいて、弁の入口または出口に所定の圧力値を設定することを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記圧力が油圧であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  4. ブレーキ回路の全ての入口弁(308、311、312、315)および出口弁(309、310、313、314)が絶対圧力弁として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  5. さらに、切換弁(303、304)が絶対圧力弁として形成されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
  6. 切換弁(303、304)のみが絶対圧力弁として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  7. 前記絶対圧力弁が、その電気操作に基づいて、弁の入口または出口に作用している圧力と、大気圧の周囲圧力との間に所定の圧力差を設定することを特徴とする請求項2に記載の装置。
  8. 前記車輪滑り制御が、ABS制御、ASR制御またはESP制御であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  9. 前記絶対圧力弁が電磁弁であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  10. 前記切換弁(303、304)が、マスタ・ブレーキ・シリンダ(301)と入口弁(308、311、312、315)との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
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