JP2010533012A - ストロンチウムイオンを含む骨組織インプラント - Google Patents

ストロンチウムイオンを含む骨組織インプラント Download PDF

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Abstract

本発明は、骨組織中にストロンチウムイオンを局所的に投与することによって、該骨組織における骨組織インプラントの埋め込みの際に、骨形成及び骨量が改善されることが見出されたことに基づく。特に、本発明はストロンチウムイオンを含む酸化物層によって被覆されるインプラント表面を有する骨組織インプラント、及びその製造方法に関する。本発明によって、ストロンチウムイオンを含むブラスチング粉末、骨形成を局所的に増大させる方法、及び骨形成を局所的に増大させる薬学的組成物を製造するためのストロンチウムイオン又はその塩の使用が提供される。
【選択図】図8

Description

本発明は、骨組織内への埋め込みのためのインプラント、及びその製造方法に関する。
本発明は、また、ブラスチング粉末及び骨形成を局所的に増大させる方法に関する。
今日では、一段階手順が、一般的には金属製のインプラントである、整形外科用又は歯科用インプラントの骨組織内への埋め込みのために、しばしば使用される。
この一段階手順においては、歯科用固定具のような第一インプラント部分が骨組織内に外科的に置かれ、そして次に、ヒーリングキャップ(healing cap)又は橋脚歯のような第二インプラント部分が、外科手術後、第一インプラント部分に直接取り付けられる。次に、軟組織がヒーリングキャップ又は第二インプラント部分の周りの治癒を可能にする。ヒーリングキャップが使用される場合、数週間後又は数ヶ月後に、外科的手順を全く用いないでキャップが取り外され、そして橋脚歯及び暫定的歯冠のような第二インプラント部分が第一インプラント部分に取り付けられる。この一段階手順は、例えば非特許文献1に記載されている。
別の公知の埋め込み手順である二段階手順は、歯科用固定具のような第一インプラント部分を骨組織内に第一段階で外科的に置くことを含み、ここで、次いで、骨組織をインプラント表面上に成長させて、インプラントが骨組織に良く付着されるように、3ヶ月又はそれより長い治癒期間、負荷をかけず動かさない状態でそれを休ませ、インプラント部位を覆う軟組織の切開部をインプラント上で治癒させ、そして第二段階において、インプラントを覆う軟組織を開き、そして歯科用橋脚歯及び/又は修復歯のような第二インプラント部分を、前記固定具のような第一インプラント部分に取り付けられて、最終的なインプラント構造を形成する。この手順は、例えば、非特許文献2に記載されている。
しかしながら、治癒期間中、インプラントに負荷をかけるべきではないという事実は、第二インプラント部分を第一インプラント部分に取り付けできないこと、及び/又は3ヶ月の治癒期間中第二インプラント部分を使用できないことを意味する。これに伴う不快さの観点から、上記第一段階に要する期間を最短化すること、又は全体の埋め込み手順を1つの操作で実行すること、つまり一段階手順を使用することさえ望ましい。
患者によっては、一段階及び二段階手順の両方について、インプラントに機能的に負荷をかける前に、少なくとも三ヶ月待つことがより好ましいと考えられることもあり得る。しかしながら、一段階手順を使用する代替法は、埋め込み直後にインプラントを機能させること(即座に負荷をかける)又は埋め込みの数週間後にインプラントを機能させること(早めに負荷をかける)である。これらの手順は、例えば、非特許文献3に記載されている。
上に開示されたインプラントに即座に又は早めに負荷をかけることを可能ならしめるためには、インプラントが、インプラント及び骨組織の間の十分な安定性及び結合を確立することが重要である。また、インプラントに即座に又は早めに負荷をかけることは骨の形成のために有益な場合であることに気づくであろう。
骨のインプラントのために使用される、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ニオブ又はそれらの合金のような一部の金属又は合金は、骨組織との比較的強い結合、つまり、骨組織自体と同じ強度の、そして時にはそれよりも強い結合でさえも形成することができる。この種の金属製インプラント材料の最も注目すべき例は、この点に関するその性質が1950年頃以来知られている、チタン及びチタン合金である。金属及び骨組織の間の結合は、「オッセオインテグレーション」と名付けられている(非特許文献4)。
尚、酸素と接触すると、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ニオブ又はそれらの合金は瞬間的に薄い酸化物層で覆われることに注目され得る。チタン・インプラント上のこの自然酸化物は、少量のTi23、TiO及びTi34を有する、主として二酸化チタン(IV)(TiO2)から成る。
(酸化された)金属、例えばチタン及び骨組織の間の結合は比較的に強いものの、この結合を向上させることが望ましい。
今日まで、インプラントのより良い付着、従って改質されたオッセオインテグレーションを得るために、金属製インプラントを処理する幾つかの方法がある。これらの幾つかには、例えば、未処理の表面と比較して表面の粗さを増すために、インプラント表面上に凹凸を作出することによってインプラントの形態を変えることが含まれる。表面の粗さを増すことによって、インプラント及び骨組織の間の接触及び付着面積がより大きくなり、インプラント及び骨組織の間のより良い機械的保持と強度が与えられるものと考えられている。表面の粗さを、例えばプラズマ溶射、ブラスチング又は酸エッチングによって備えつけ得ることは、当該技術の範囲内でよく知られていることである。
インプラントの骨組織へのより良い付着を達成するための他の方法には、インプラント表面の化学的性質を変えることが挙げられる。
幾つかの方法には、ヒドロキシアパタイトが骨と化学的に関連がある故に、特にインプラントの骨への結合を改善するために、ヒドロキシアパタイトのようなセラミック材料の層をインプラント表面上に塗布することが挙げられる。しかしながら、セラミック被覆に伴う不利な点は、被覆が脆弱であり、そしてインプラント表面から剥がれ落ちるか破れ落ちるかもしれなく、それによって最終的にインプラントの失敗につながるかもしれない。
インプラントの化学的性質を変えるための他の方法には、インプラント表面上へのフッ素及び/又はフッ化物の塗布が挙げられる(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
インプラント上への骨成長を促進するために、インプラント上に塗布された、ヒドロキシアパタイトのような燐酸カルシウム含有被覆中にMg2+、Ca2+、Mn2+又はSr2+のようなあるイオンを組み込むことは例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8及び特許文献9から公知である。
例えば、特許文献10及びNi G Xらの非特許文献5;NIらは、ストロンチウム含有ヒドロキシアパタイトを含む生理活性骨セメントを開示している。
非特許文献6には、ストロンチウム含有ヒドロキシアパタイトが、ヒドロキシアパタイトよりも大きなアパタイトの沈殿誘起能力を有し、そしてストロンチウムが骨前駆体細胞(OPC1)の分化を刺激することが示されている。
また、特許文献11には、例えば、純水及びMg2+、Mn2+又はSr2+のような二価のカチオンを含む密閉された容器中に取り囲まれた、ヒドロキシル化された及び親水性のインプラントが記載されている。これらのカチオンはインプラントの酸化物層上に吸着すると言われている。
特許文献12には、その上に形成される、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Lu、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Ga、In、Ti、Sn及びBiの任意の1つ又はそれ以上から構成される金属酸化物の層及び生物活性材料の層を含む、チタン又はその合金のような骨誘導性(osseoinductive)金属インプラントが開示されている。生物活性材料の該層は、該金属酸化物の表面内へのイオン化された生物活性材料のインプランティングによって形成される。しかしながら、実施例には、その酸化チタン層中にイオン化されたカルシウムが取り込まれて含まれるチタン・インプラントのみが記載されている。
酸化チタン層中にカルシウム、リン又は硫黄を含むチタン・インプラントに言及している特許文献13、及び酸化チタン層中にマグネシウムを含むチタン・インプラントに言及している特許文献14についても述べることができる。
インプラント表面と骨との間の比較的強い結合を与えるインプラントが存在するものの、この結合を増強する、つまり骨組織中へのインプラントの「オッセオインテグレーション」プロセスを改善するニーズが当該技術において存在する。
従って、骨組織においてその埋め込みの際に、所望の付着速度を有し、そして骨とインプラント間の機械的に強い結合を形成する能力を有するインプラントを提供するニーズが、当該技術において存在する。
WO 94/13334 WO 95/17217 WO 04/008983 WO 04/008984 US 4917702 US 5441536 WO 99/53971 WO 03/039609 EP 1481696 WO 01/49327 EP 1023910 WO 2006/004297 WO 2002/096475 WO 2005/084577
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本発明の目的は、上記ニーズを満たすことである。
したがって、骨組織内への埋め込みを目的とした生体適合性インプラントを提供しようとするものである。
本発明者らは、骨組織中に局所的に投与されたストロンチウムイオンが、該骨組織における骨の成長及び骨量に対する局所的効果を有することを見出した。
更に、見出されたことは、ストロンチウムイオンを含み及び/又は放出する表面酸化物層を含むインプラントが、更なる分化及び石灰化に重要である、骨芽細胞におけるアルカリホスファターゼの産生の増強を誘導することである。更に、本発明のインプラントを用いると、プロスタグランジンE2(PGE2)の増産が観察される。従って、骨形成の改善された速度、並びに骨組織とインプラント間の改善された付着速度が達成でき、更にインプラントを直ちに又は早期にローディングする可能性が改善される。
更に、ストロンチウムイオンを含み及び/又は放出する表面酸化物層を含むインプラントが、例えば、カルシウム又はマグネシウムイオンを含有する表面酸化物層を含む金属インプラントと比べて、骨芽細胞増殖の増強及びオステオプロテゲリン産生の増強を与えることが見出された。それによって、インプラントと骨組織間の機械的により強い結合を示唆する改善された骨量が与えられる。
従って、局所的に投与されたストロンチウムイオンが、骨組織中のインプラントのオッセオインテグレーションプロセスを改善することが見出された。
本発明の第一の側面によると、上記目的は、酸化物層によって被覆される表面を有する、骨組織内への埋め込みのためのインプラントであって、ここで該酸化物層がストロンチウムイオンを含むインプラントによって達成される。
本発明の第二の側面によると、上記特性を有する骨組織インプラントの製造方法が提供される。本方法は以下の工程:
a)インプラント表面を有するインプラントを備えること;
b)該インプラント表面を被覆する酸化物層を形成すること;
c)該酸化物層上に負に荷電したイオンを形成すること;及び
d)該酸化物層をストロンチウムイオンと接触させること;
を含む。
本発明の方法は安価であり、そして実行し易いため、それによって大量生産が可能である。更に、それは滅菌及び貯蔵がし易い。
本発明の第三の側面によると、ストロンチウムイオンを含む金属酸化物を含むブラスチング粉末が提供される。
本発明の第四の側面によると、骨形成を局所的に増大させる方法が提供される。該方法は、ストロンチウムイオン又はその塩、及び薬学的に許容可能な担体を含む組成物を投与が必要な人に投与することを含む。
本発明の第五の側面は、骨形成を局所的に増大させるための薬学的組成物を製造するためのストロンチウムイオン又はその塩の使用に関する。
本発明の第六の側面は、インプラントを含む骨組織内へのインプラントの埋め込みのためのキット、及びストロンチウムイオン又はその塩及び薬学的に許容可能な担体を含む組成物に関する。
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の以下の記述から明らかになるであろう。
滅菌されたチタンサンプル上のストロンチウム(ピーク番号88)の存在を示している(TOF−SIMS測定から)。 Sr(OH)2中での陽極酸化後の滅菌されたチタンサンプルに対するストロンチウムの存在及び分布を示しているTOF−SIMS画像である(ストロンチウムは白く示されている)。 種々の濃度でストロンチウムを有する及びストロンチウムを有しない細胞処理ポリスチレン上での細胞培養3、7、及び14日後の細胞培養媒体中のアルカリホスファターゼの産生を示している。 非刺激参照表面1及び2と比較した、0.5mM及び5mMのストロンチウムを含む参照表面1上での、培養7日後のMG−63細胞の増殖度を示す。 非刺激参照表面1及び2と比較した、0.5mMの濃度でストロンチウムを含む参照表面1上でのアルカリホスファターゼの産生を示す。 非刺激参照表面1及び2と比較した、ストロンチウムを含む参照表面1上での、細胞培養7日及び14日後に測定されたプロスタグランジンE2(PGE2)の量を示している。 参照表面1上で培養された36時間後のMG−63細胞の形態を示す走査型電子顕微鏡の画像である。 参照表面2上で培養された36時間後のMG−63細胞の形態を示す走査型電子顕微鏡の画像である。 ストロンチウムを含む参照表面1上で培養された36時間後のMG−63細胞の形態を示す走査型電子顕微鏡の画像である。 ストロンチウム、カルシウム及びマグネシウムを各々含む参照表面1、参照表面2、及び参照表面1の間でのMG−63細胞の増殖における差異を示している。 ストロンチウム、カルシウム及びマグネシウムを各々含む参照表面1上での細胞培養の7及び14日後に測定されたオステオプロテゲリンの量を示す。 二つのコントロールインプラント表面と比較した、本発明のストロンチウムイオンを含むインプラントのウサギ脛骨における埋め込み6週間後の除去トルク試験(RTQ)の値を示している。
本明細書で使用されるように、用語「インプラント」は、脊椎動物、特にヒトのような哺乳類の体内にインプラントされることが意図された、任意のデバイスを、その範囲内に含む。インプラントは、体の解剖学的構造を代替するために及び/又は体の任意の機能を修復するために使用され得る。
一般に、インプラントは1つ又は幾つかのインプラント部分から構成される。例えば、歯科用インプラントは通常、橋脚歯及び/又は修復歯のような二次的インプラント部分と結合している歯科用固定具を含む。しかしながら、埋め込みを目的とする歯科用固定具のような任意のデバイスは、他の部分がそこに結合されることになる場合であっても単独でインプラントという場合がある。
本明細書で使用される用語「骨組織内への埋め込みのためのインプラント」は、歯科用インプラント、例えばワンピースインプラント、整形外科用インプラント等のような、骨組織内への少なくとも部分的な埋め込みを意図したインプラントのことをいう。骨組織内への埋め込みのためのインプラントは骨組織インプラントともいう。
本明細書で使用される用語「インプラント表面」は、インプラントの少なくとも1つの画成された表面領域を称する。このように、画成された表面領域はインプラントの全表面積又はその部分を含んでもよい。
骨組織内への埋め込みのために意図されたインプラント表面の例は、患者の顎骨内への埋め込みのために意図されたそして骨組織と接触させる歯科固定具の表面である。
骨組織内への埋め込みのために意図されたインプラント表面の別の例は、患者の大腿骨内への埋め込みのために意図された股関節インプラントの表面である。
本発明は、表面を有する骨組織内への埋め込みのため、該表面が酸化物層によって被覆されているインプラントであって、ここで該酸化物層はストロンチウムイオンを含む、インプラントに関する。
本発明のインプラントは生体適合性であり、そして骨組織における骨形成及び骨量に対する局所的効果を有する。更に、本発明のインプラントは、骨組織における骨芽細胞増殖の増強並びにアルカリホスファターゼ、オステオプロテゲリン及びプロスタグランジンE2産生の増強を引起す。
アルカリホスファターゼは、骨の石灰化において主要な役割を演じる骨芽細胞によって産生される酵素であり、そしてオステオプロテゲリンは、骨組織における骨のミネラル濃度及び骨量を増すと知られているサイトカインである。更に、プロスタグランジンE2は、骨成長にプラス効果を有し、そして骨吸収に阻害効果を有する。アルカリホスファターゼ、オステオプロテゲリン及びプロスタグランジンE2の産生は、本発明のインプラントが骨の再モデリングにプラス効果を有することを明らかに示している。
本発明のインプラントは、除去トルク(RTQ)試験(図12)によって測定される改善されたインプラントの安定性及び骨組織応答を与える。
インプラント表面を被覆する酸化物層は、酸化物層の少なくとも部分中に分散されるストロンチウムイオンを含む。
ストロンチウムは、小さく、正に荷電した、非毒性で、軽量のイオンであり、これはインプラントの表面を被覆する酸化物層中に容易に分散されることが見出されている。
更に、ストロンチウムは骨によって取り込まれる骨集積(bone-seeking)エレメントであることが知られている。例えば、Les Laboratoires Servier社によってProtelosの商標で販売されているラネル酸ストロンチウムは、骨粗鬆症の治療のために何年か使用されてきた。研究の結果、ラネル酸ストロンチウムの経口投与によって、骨芽細胞複製の増強を介して骨形成を増大させること及び破骨細胞の活性低下を介して骨吸収を減少させることも示されている。このように、新しい骨形成及び骨密度における改善が達成されている。Meunier P Jら、(The Effects of Strontium Ranelate on the Risk of Vertebral Fracture in Women with Postmenopausal Osteoperosis)、N Engl J Med, vol 350, pp 459-468 (2004); Coulombe Jら、(In Vitro Effects of Strontium Ranelate on the Extracellular Calcium-Sensing Receptor、Biochem and Biophys Res Comm, vol 323, issue 4, pp 1184-1190 (2004); Ammann P、「(Strontium Ranelate: A Physiological Approach for an Improved Bone Quality)」、Bone, vol 38, issue 2, suppl 1, pp 15-18 (2006); Li Z Yら、(Chemical Composition, Crystal Size and Lattice Structural Changes After Incorporation of Strontium into Biomimetic Apatite)、Biomaterials, 28(7), pp 1452-1460 (2006)。
ストロンチウムが以前から骨粗鬆症の治療に使用されてきたという事実は、全身投与の際の毒性学的様相及び副作用がよく知られていることを含意している。更に、ストロンチウムは相対的に単純な化学的性質を有し、そして一般的に例えば滅菌によって破壊されずかつ影響されない。
ストロンチウムイオンを酸化物層内に組み込むと、酸化物構造が乱れ、それによって酸化物の反応性がより高まる。酸化物層に正に荷電したストロンチウムイオンが組み込まれると、酸化物表面(インプラント表面)上に、増大した表面正荷電密度が与えられる。従って、骨組織中の電子に富んだ蛋白質が表面に電気的に引き付けられ得る。組み込まれたイオンは、酸化物の電気伝導率にも影響を及ぼし得て、それはオッセオインテグレーション及び血液適合性にプラス効果を有し得る。
酸化物層の少なくとも部分はストロンチウムイオンを含むべきであり、そして本発明のインプラントにおいてストロンチウムの所望の骨誘導(osseoinductive)オッセオインダクティブ効果が、酸化物層中のイオンの存在によって達成され得る。しかしながら、それは酸化物層からインプラントを囲む生理学的液体内へのストロンチウムイオンの放出によっても達成され得る。
好ましくは、ストロンチウムイオンは酸化物層中に均質に分散される。インプラント表面でのストロンチウムイオンの均質な分布が図2に示されている。
本発明のインプラントは、適切には、チタン又はチタンの合金でできたインプラントのような金属インプラントである。
しかしながら、実施態様において、インプラントは、例えば、セラミック、プラスチック、又は複合材料を含む非金属インプラントであり得る。そのような実施態様において、インプラント表面は、非金属インプラント上に塗布された金属インプラント層であり、そのことによって部分的に金属のインプラント表面が供される。金属インプラント層は好ましくはチタン又はチタンの合金を含む。
しかしながら、金属インプラント及び金属インプラント層は、特定の金属に限定されるものではなく、ジルコニウム又はその合金、ハフニウム又はその合金、ニオブ又はその合金、タンタル又はその合金、クロム−バナジウム合金、又はこれらの材料の任意の組合せのような任意の生体適合性金属材料で作られていてもよい。インプラントの表面を被覆する酸化物層は2から100nmの範囲内の厚みを有する。
酸素と接触すると、チタン、ジルコニウムハフニウム、ランタル、ニオブ又はそれらの合金は瞬間的に薄い自然酸化物で覆われる。チタン・インプラント上のこの自然酸化物は、少量のTi23、TiO及びTi34を有する、主として二酸化チタン(IV)(TiO2)から成る。
好ましい態様において、酸化物層は、自然に、例えば、空気と接触して形成される酸化物層である。そのような自然に形成された酸化物層の厚みは2から18nmの範囲内、例えば、2から6nmの範囲内である。
本発明の酸化物層は時間が経っても実質的により厚く成長せず、そして下に位置する金属表面が如何なる周囲の試薬とも反応することを防ぐ。
酸化物層によって被覆された金属インプラント表面は当該技術において公知である。しかしながら、幾つかの先行文献は、好ましくは約600nmを超える厚い酸化物層をインプラント表面上に供することの重要性を強調している。(Sulら、(Resonance frequency
and removal torque analysis of implants with turned and anodized surface oxides)、Clin. Oral. Impl. Res., Vol 13, pp252-259(2002); Sulら、(Qualitative and quantitative observations of bone tissue reactions to anodised implants)」、Biomaterials,Vol23, No8,pp1809-1817(2002))。上述の厚みの酸化物層が自然に得られない故に、そのようなインプラントは追加の酸化工程を必要とする。
本発明者らは、厚い酸化物層が非常に脆弱であり得る故に、100nm未満の厚みを有する酸化物層、好ましくは自然の酸化物層の厚みを有する酸化物層、つまり、18nm未満の自然に形成された酸化物層が骨組織内への埋め込みに適していることを見出した。更に、厚い酸化物層は、骨組織におけるインプラントのより長期間の埋め込み中に亀裂及び剥離をもたらし得る。
この知見は、自然の酸化物層を有するチタン・インプラントがより低い骨伝導性(osseoconductive)であると考えられると述べているXiropaidisらとは対照的である(Xiropaidisら、(Bone-implant contact at calcium phosphate-coated and porous titanium oxide(TiUnite(商標))-modified oral implants)」、Clin.Oral.Impl.Res,No 16,pp532-539(2005))。
本発明の酸化物層は、インプラント表面のトポグラフィーに干渉したり又はそれを修飾したりしない。更に100nm未満、例えば、18nm未満、例えば、2及び6nmの間の厚みを有する酸化物層を含むインプラントは生体適合性であり、ヒトの体内への組込みに適するものにする。
従って、本発明のストロンチウムイオンを含む酸化物層は、如何なる幾何形状又は如何なる基体に対しても適している。
本発明のインプラントのインプラント表面は、好ましくはその表面上に金属酸化物層を含む金属インプラント表面である。
特に、インプラント、特に、本発明のインプラントの表面は、チタン又はその合金を含む。従って、そのようなインプラント表面は酸化チタン層によって被覆される。
従って、本発明のインプラントにおいては、インプラント表面を被覆する酸化物層は、インプラントの金属表面上に形成される金属酸化物層である。
実施態様において、本発明のインプラントは、沈着物を酸化物層の上面に更に備えていてもよい。そのような沈着物は、骨刺激効果を有するストロンチウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム又は任意の他のイオンのような骨刺激剤を含んでもよい。一般的には、沈着物はストロンチウムイオンを含む。
本明細書で使用されるように、用語「沈着物」は、酸化物層の上面に備えられる連続又は不連続なフィルムを称する。そのような沈着物は、如何なる厚みを有してもよく、そして酸化物層内に組込まれず、その上に備えられる。
一般的には、沈着物は、ストロントウム、リチウム、マグネシウム及びカルシウムから選ばれたイオンの任意の1つ又は組合せを含む塩析沈殿(salt precipitation)である。
通常、沈着物はストロンチウム塩析沈殿、つまりインプラント表面の酸化物層の上面に沈殿するストロンチウム塩である。
適切なストロンチウム塩の例は、水酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウムである。しかしながら、インプラントを囲む生理学的液体中に少なくとも部分的に溶解され得る如何なるストロンチウム塩も使用され得る。そのような塩は当業者に公知である。
埋め込みの際に、塩析沈殿を含む沈着物は、骨刺激イオンがインプラントから放出されるように、周囲の液中に容易にかつ迅速に溶解する。そのような沈着物をその表面上に備えたインプラントは、インプラントがより迅速に一体化する必要がある場合に、例えば、質及び量に劣る骨において、特に有益である。
上記の種類の沈着物をその表面上に含むインプラントに伴う利点は、骨刺激イオン例えばストロンチウムイオンが容易にかつ効率的に、インプラントを囲む生理学的液体内に放出されることである。従って、より高い用量の骨刺激イオン、例えばストロンチウムイオンが、周囲の液内に放出され得る。
従って、インプラント表面上の酸化物層中の酸化物中に存在するイオン及びそこから放出されるイオンの両方からストロンチウムの所望の効果が得られ得る。
ストロンチウムイオンを含む本発明のインプラントの実施態様において、該インプラント表面が例えばX線光電子分光法(XPS)で測定された少なくとも0.5at%の平均原子濃度を有することが有利であることが分かった。しかしながら、インプラントの貯蔵中の潜在的な減少故に、初期に供されるストロンチウムの量はより高いことが必要である。
本発明のインプラントは、リン酸カルシウム化合物を含む被覆を欠くのが適切である。導入部で概述した通り、そのようなインプラントは、インプラント表面からより剥がれ落ち易く又は破れ落ちる傾向があり、インプラントの究極的な失敗に繋がり得る。
本発明の実施態様において、インプラント表面は、250nm以下の二乗平均平方根の粗さ(Rq及び/又はSq)を有するミクロ−粗さ(つまり、孔直径≦1μm、かつ孔深さ≦500nmを有する孔を含むミクロ−粗さ)をインプラント表面の少なくとも一部分上に更に含む。本明細書で使用されるように、用語「ナノ−又はミクロ−粗さ」は1μmよりも小さな寸法を有する表面凹凸を含む表面粗さを称する。
そのような表面粗さは、インプラント及び骨組織の間のより大きな接触及び付着領域を与えるようであり、そしてインプラント及び骨の間のよりよい機械的保持力及び強度を提供するようである。代替の実施態様において、インプラント表面は0.2〜20%のようなフッ素及び/又はフッ化物、そして場合により、250nm以下の二乗平均平方根粗さを有するミクロ−粗さ(Rq及び/又はSq)をインプラント表面の少なくとも一部分上に含む。
場合により、本発明のインプラントの表面はマクロ−粗さを含んでもよい。本明細書で使用されるように、用語「マクロ−粗さ」は1μmよりも大きな寸法を有する表面凹凸を含む表面粗さをいう。
尚、インプラント表面はネジ式(threaded)であるか又はネジ山が無い状態(unthreaded)であってよく、又は他の使用依存性のトポグラフィックな特徴が与えられてもよい。
更に、本発明は、上に概述された特性を有する骨組織インプラントの製造方法であって、以下の工程:
a)インプラント表面を有するインプラントを備えること;
b)該インプラント表面を被覆する酸化物層を形成すること;
c)該酸化物層上に負に荷電したイオンを形成すること;及び
d)該酸化物層をストロンチウムイオンと接触させること;
を含む、方法に関する。
先に述べた通り、インプラントは金属インプラントであってよく、また金属表面を備えられた非金属インプラントであってもよい。本発明において非金属インプラントが使用される場合、金属インプラント表面が、当業者に公知の任意の適切な技術で与えられてもよい。例えば、任意の適切な電気化学的処理を使用できる。
インプラントの表面を被覆する酸化物層は好ましくは自然に、例えば空気に接触して形成される。そのような層は不動態かつ不活性であり、つまりそれは安定であり、そして下に位置する金属表面が更に反応することを防ぐ。
しかしながら、上記方法においては如何なる従来の酸化技術も使用可能である。従って、本方法は酸化物層の自発的形成に限定されるものではない。例えば、酸化物層は、有機酸の水溶液のような電解質中でのインプラントの陽極酸化によって金属インプラント表面上に形成できる。酸化物層は金属インプラント表面上で、空気中における、例えば150〜1300℃での加熱によっても形成できる。更に、酸化物層は、金属インプラント表面上で適切な溶液から酸化物をインプラント表面上に沈殿させることによって形成できる。
既に述べた通り、前記インプラント表面を被覆する酸化物層は好ましくは自然に形成され、それは追加の酸化工程が実際に不要であるので有利である。
上に概述された方法における工程c)に関しては、インプラント表面をアルカリ性環境に晒すことによって、負に荷電したイオンが前記酸化物層上に形成され得る。
水溶液に接触して、金属酸化物、例えば酸化チタンの表面は、そのごく近傍において水の分子構造を乱し、そしてpHに依存して、正に又は負に荷電するようになる。表面が荷電されず、そしてイオンが表面上に吸着されない場合、そのpHはゼロ荷電点pHpzcと呼ばれる。酸化チタンに対するこのpHpzcは5から7の間である。
従って、酸化チタンの表面がアルカリ水性環境、例えば、7を超えるpHを有するアルカリ性溶液で囲まれる場合、表面に結合された負に荷電したヒドロオキシド基が形成する故に、その表面は少し負に荷電することになる。周囲の溶液中に存在し得る正に荷電したストロンチウムイオンを、このようにヒドロオキシド表面(インプラント表面)に電気的に引き寄せることができ、そしてそのことによって、ストロンチウムイオンが金属酸化物層の少なくとも部分内に、一般には酸化物層の上部に組み込まれるようになる。好ましくは、ストロンチウムイオンは酸化物層中に均質に分布される。
アルカリ性環境は、酸化物の表面上に局所的に達成することができ、つまり−0.5Vより負の;一般的には−0.5から−3.5Vの範囲で電位を印加することによって、負に荷電したイオンが酸化物層上に形成され得る。そのような電位を印加することによって水分子の乱れが増大し、そしてインプラント表面上で水素ガス及び表面に結合された負に荷電したヒドロキシド基の形成が生じる。
あるいは、アルカリ性環境はインプラント表面をアルカリ性溶液に晒すことによって、例えば、インプラント表面をアルカリ性溶液に浸漬することによって達成される。そのようなアルカリ性溶液は7より高い、例えば10より高い;そして一般的には11より高いpHを有するべきである。浸漬時間は30分より短く、例えば20分より短くてよく、一般的には10分及び15分の間であってよい。
次いで、例えばインプラント表面を、ストロンチウムイオンを含む溶液に晒すことによって、インプラント表面を正に荷電したストロンチウムイオンと接触させる。前記酸化物層をストロンチウムイオンと接触させる工程は、負に荷電したイオンを該酸化物層上に形成させる工程と同時に又はその後に実施されてもよい。好ましくは、本発明の方法の工程c)及びd)は同時に実施される。
例えば、ストロンチウムを含む溶液中に−0.5Vから−3.5Vの範囲内の電位を印加することによって、負に荷電したヒドロキシド基が形成され、表面に結合されたヒドロキシド基と溶液中に存在するストロンチウムイオンとの間で静電相互作用をもたらす。この静電相互作用によって、ストロンチウムイオンが酸化物層内に取り込まれることになる。これについて実施例1において更に述べる。
ストロンチウムイオンを含む溶液は、水酸化ストロンチウムの濃度が、水酸化ストロンチウムの溶解度積を表す0.03M又はそれより低い濃度で水酸化ストロンチウムを含む溶液であってよい。Sr(OH)2の濃度が0.03Mを超えた場合、酸化物の表面上に塩結晶が形成され、そして沈殿するであろう。本発明の方法の工程c)においては、イオンが酸化物内に組み込まれるようになることが望まれ、そしてそのためにSr(OH)2の濃度は溶解度積を超えるべきではない。
酸化物表面上に負に荷電したイオンを形成し、そして該酸化物層をストロンチウムイオンと接触させ、そのことによって、インプラントの表面を被覆する金属酸化物層内にストロンチウムイオンを組み込む工程は特定の方法に限定されるものではなく、如何なる適切な方法によっても又は如何なる方法の組合せによっても達成され得る。例えば、インプラント表面を、ストロンチウムイオンを含むアルカリ性溶液中で陽極酸化させてもよい。実施例1は水酸化ストロンチウム中で陽極酸化することによるストロンチウムイオンの組み込みを示す。
インプラント表面を陽極酸化工程にかけることによって、酸化物層の厚みが影響を受けるであろう。しかしながら、陽極酸化は、好ましくは、比較的低い走査速度、例えば8Vに到達するまで6mV/s未満の速度で実行されるので、酸化物の厚みは100nmより厚くは成長しないことになる。
従って、インプラント表面上に形成された負に荷電したヒドロキシド基と、周囲の溶液中に存在する正に荷電したストロンチウムイオンとの間の静電相互作用を用いて、ストロンチウムイオンが酸化物層内に組込まれる。
場合により、本発明の方法は、工程d)の後に、前記インプラント表面をすすぐ及び/又は洗浄する工程を含んでよい。更に、インプラント表面は該すすぎ工程の後、乾燥され、そして滅菌されてよい。
実施態様において、本発明の方法は、例えば、インプラントの表面上に、つまり外表面を被覆する酸化物層上に、上記イオンを含む塩を沈殿させることによって、ストロンチウム、ストロントウム、カルシウム、マグネシウムのような骨刺激材を含む沈着物を、該酸化物層の上面に形成する工程を更に含む。
この塩は、インプラントを取り囲む生理学的液体中に少なくとも部分的に溶解する上記イオンの如何なる適切な塩であってもよい。インプラント表面上での塩析沈殿によって連続又は不連続フィルムが表面上に形成されるであろう。沈着物の厚みは沈殿した塩の量に依存することになる。
そのような塩の沈着物は、インプラントを取り囲む生理学的液体と接触すると容易にかつ迅速に溶解し、その結果、インプラント表面からの骨刺激イオンの放出によって所望の骨刺激効果が達成される。
沈着物がストロンチウム塩析沈殿である場合、そのような沈着物の形成工程は、酸化物層表面上に負に荷電したイオンを形成する上記方法を改変することによって達成されてもよい。例えば、−3.5Vよりもっと負の電位を印加することができる。そのような負の電位によって、水素ガスの発生が著しく高まり、そして水分子の乱れが増大する。従って、過剰の負に荷電した、表面に結合したヒドロキシド基が酸化物表面で形成され、そして沈着、つまり水酸化ストロンチウムの沈殿が酸化物層の上面で起こる。更なる記述については実施例2を参照のこと。
更に、インプラント表面を、溶解度積の0.03Mを超える濃度で水酸化ストロンチウムを含む溶液に晒すによって、ストロンチウム塩の沈着物が酸化物表面(インプラント表面)上に形成されることになる。これはまた周囲における過剰なヒドロキシド基のせいでもある。
しかしながら、沈着物、例えばストロンチウム塩を形成する工程は如何なる特定の方法に限定されるものではなく、如何なる方法も使用され得る。それは特定のストロンチウム塩に限定されるものでもなく、インプラントを囲む生理学的液体中に少なくとも部分的に溶解し得る如何なる塩も使用され得る。
更に、ストロントウム、リチウム、マグネシウム及びカルシウムから選ばれる任意のイオン又は組合せをも含む塩析沈殿を形成するための如何なる方法も使用でき、例えば、ストロンチウムを含む溶液は上述のイオンの任意のもの又は組合せをも含み得る。そのような場合、酸化物層内に少量のこれらのイオンも組込まれるようになり得る。
沈着物を形成する工程も、上記の方法の組合せによって実施され得る。
尚、しかしながら、インプラント表面上でのイオンの組み込み及び沈着物の形成のための既知の方法も本発明において使用され得る。そのような方法には例えば:
−例えばプラズマ源イオン埋め込み又は金属プラズマ浸漬イオン埋め込みを使用したプラズマ溶着(deposition)、
−如何なる電気化学的処理、例えば、ストロンチウムイオンを含む電解質中でのボルタメトリー、
−ストロンチウムイオンを含む水溶液及び/又は非水溶液を用いたインプラントの処理、例えば、該インプラントの該溶液中への浸漬、
−ゾル−ゲル技術を用いたインプラントの処理、
−ビームイオン埋め込み、
−真空アーク、
−濾過された真空アーク、
−金属蒸気真空アーク、
−インプレーティング、
−化学蒸着、
−プラズマ支援化学蒸着、
−スパッタリング、
−レーザー焼灼術、
−インプラント表面中にストロンチウムイオンが組込みできるか又はそこに付着できるインプラント表面上へのリン酸カルシウム含有被覆、又はシラン被覆のような被覆を与えること、
−これらの方法の如何なる組合せ等
が挙げられる。
本発明の方法は、インプラント表面上にミクロ粗さを作出する工程を更に含み得る。
ストロンチウムイオン又はその塩をインプラント表面上に備える前、同時に及び/又は後に、場合により例えば穏やかなエッチング、ミクロ加工、陽極酸化、火炎溶射、電気化学的処理、レーザー、スパーク浸食、又は表面改質の任意の他の適切な方法を用いて、インプラント表面上にナノ−及び/又はミクロ−粗さを備えることができる。そのようなインプラント表面を得るための適切な方法が開示されているWO04/008983及びWO04/008984が参照できる。しかしながら、ナノ−及び/又はミクロ−粗さが、本発明の方法における工程a)の後で供されることが好ましい。
本発明の方法は、インプラント表面にフッ素を塗布する工程を含んでもよい。そのようなインプラント表面を得るための適切な方法が開示されているWO04/008983が参照できる。
WO04/008983による、フッ素及び/又はフッ化物、及び少なくともインプラント表面の一部において、250nm以下の二乗平均平方根の粗さ(Rq及び/又はSq)を有するミクロ−粗さを備えるための適切な方法は、0.1Mのような、0.5M未満の濃度を有するフッ化水素酸の水溶液を用いて、60秒のような、180秒までのエッチング時間でインプラントを室温で処理することによるものである(より多くの情報のためにはWO04/008983を参照のこと)。
また、ストロンチウムイオン又はその塩を備える前に、そしてその上にミクロ−粗さを場合により備える前に、場合によりインプラント表面上にマクロ−粗さを備えることができる。例えば、マクロ−粗さは、例えば酸化チタン粒子を用いるブラスチング、エッチング、ミクロ加工、陽極酸化、火炎溶射、如何なる電気化学的処理、レーザー、スパーク浸食、機械加工、刻み付け、又は如何なる他の適切な表面改質方法によっても備え得る。
尚、インプラント表面はネジ式であるか又はネジ山が無い状態であってよく、又は他の使用依存性のトポグラフィックな特徴が与えられてもよい。
本発明の骨組織インプラントの製造方法は、ストロンチウムイオンの組み込みに限定されるものではなく、一般にインプラント表面内に正に荷電したイオンを組み込むことも適用され得る。
従って、そのような方法は、以下の工程を含む:
a)インプラント表面を有するインプラントを備えること;
b)該インプラント表面を被覆する酸化物層を形成すること;
c)該酸化物層上に負に荷電したイオンを形成すること;及び
d)該酸化物層をストロンチウムイオンと接触させること。
本発明は更に金属酸化物を含むブラスチング粉末に関し、ここで金属酸化物がストロンチウムイオンを含む。
金属酸化物は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、及び酸化ニオブから成るグループから選ばれた金属酸化物であってよい。好ましくは、ブラスチング粉末は、その内にストロンチウムイオンが組み込まれる酸化チタンを含む。
本発明のブラスチング粉末として酸化ストロンチウムを簡単に使用することも可能である。
インプラント表面を被覆する酸化物層内へのストロンチウムイオンの組み込みを更に向上させるために、本発明の方法において該ブラスチング粉末を使用することが可能である。しかしながら、任意のインプラント表面上に備えた任意の酸化物層内にストロンチウムイオンを組み込むために、ブラスチング粉末が単独で使用され得る。
本発明はまた骨形成を局所的に増大させる方法にも関する。そのような方法は、ストロンチウムイオン又はその塩、及び薬学的に許容可能な担体を含む組成物を投与が必要なヒトに投与することを含む。好ましくは、埋め込み部位で、骨組織における空洞中に、前記インプラントが置かれる前に、同時に及び/又は後で、該埋め込み部位で骨組織内へのインプラントを埋め込む際に、該埋め込み部位で、ストロンチウムイオン又はその塩及び薬学的に許容可能な担体を含む組成物が投与される。
ストロンチウムイオン又はその塩を含む組成物は、骨組織における該空洞中に及び/又は近傍に投与できる。
前記組成物において使用される適切な薬学的に許容可能な担体の例は、生理食塩水;崩壊された自家骨;脱ミネラルされた骨マトリックス;リポソーム;ポリ乳酸(PLA)及びポリグリコール酸(PGA)のような生分解性高分子のナノ−又はミクロ粒子;ヒアルロン酸;コラーゲン;コンドロイチン硫酸;アルギネートのようなヒドロゲル;キトサン;ポリエステル及びリン酸三カルシウムのスキャフォールド等である。
適切な担体の具体例はPepGen P-15 PUTTY(商標)であり、これは、ヒアルロン酸ナトリウム中に懸濁した、タイプ−1コラーゲンの細胞結合領域を模した合成ペプチドであるP-15で増強されたヒドロキシアパタイトの粒子である。
本発明の組成物は、即時放出、遅延放出又は制御放出製剤のどれかであり得る。
本発明はまた骨形成を局所的に増大させる(上に開示された通りの)薬学的組成物を製造するためのストロンチウムイオン又はその塩の使用にも関する。
本組成物は、埋め込み部位で、骨組織内へのインプラントを埋め込む際に、該埋め込み部位で局所的に投与され得る。
本発明者達によると、ストロンチウムイオン又はその塩を直接、骨組織内に局所的に投与することが、全身に投与するより好ましい。外来薬剤は人体に対してしばしば種々の作用を有し、それは既知の場合もあれば未知の場合もある。ストロンチウム又はその塩を骨組織中に局所的に投与することは、骨刺激効果が達成されることになり、一方で副作用が避けられる故に有益である。
また、本発明は、骨組織内へのインプラントの埋め込みのためのインプラントを含むキット、及びストロンチウムイオン又はその塩及び薬学的に許容可能な担体を含む(上に開示された通りの)組成物にも関する。
本発明を詳細に、且つその具体的実施態様を参照して述べたが、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、その中で種々の変更及び改変がなされ得ることは当業者にとって明白であろう。
ここで本発明を以下の非限定的実施例を用いて説明する。
実施例1:酸化チタン層内へのストロンチウムイオンの組込み
LiNO3中での還元
チタンサンプルを、0.1MのSr(NO32、pH5〜6において、電位ステップ技法によって還元した。−3Vの電位ステップ(全ての電位は、二重接合Ag/AgCl/KCl参照電極、SHEに対して197mVについて述べられている)をサンプル全体に5分間印加した結果、連続して水素が発生した。還元プロセスの後、乾燥し及び滅菌する前に、サンプルを超音波浴中のMQ水中で2分間、すすいだ。
ストロンチウムの存在はX線光電子分光法分析(XPS分析)によって同定した。結果を下表1に示す。
Figure 2010533012
Sr(OH)2中への浸漬
チタンサンプルを、pH>11、40℃で10分間、0.1MのSr(OH)2中に浸漬した。この後、すすぎ水が中性のpH値に達するまで、サンプルを超音波浴中のMQ水中ですすいだ。分析の前にサンプルを乾燥しそしてβ滅菌した。ストロンチウムの存在はXPS−分析によって同定した。
Figure 2010533012
アルカリ性溶液中での陽極酸化
チタンサンプルを、0.1MのSr(OH)2、pH>11において、LSV(線形掃引ボルタメトリー)によって、OC(オープン回路)から7V(全ての電位は、二重接合Ag/AgCl/KCl参照電極、SHEに対して197mVについて述べられている)で、2及び/又は5mV/sの走査速度及び900rpmの回転数で陽極酸化/酸化した。陽極酸化プロセスの後、乾燥し及び滅菌する前に、サンプルを超音波浴中のMQ水中で2分間、すすいだ。
サンプルの表面でのストロンチウムの存在及び分布を、飛行時間二次イオン質量分光法(TOF−SIMS)によって同定し、そして表面上のストロンチウムの量をXPSによって分析した。ストロンチウムの存在及び分布を図2及び3において説明する。
Figure 2010533012
実施例2:チタン・インプラント表面からのストロンチウムの放出
チタンサンプルを、0.1MのSr(NO32、pH5〜6において、電位ステップ技法によって還元した。−4Vより負の電位ステップ(全ての電位は、二重接合Ag/AgCl/KCl参照電極、SHEに対して197mVについて述べられている)をサンプル全体に5分間印加した結果、激しく水素が発生した。還元プロセスの後、サンプルを水中ですすぎ、そして乾燥した。ストロンチウムの存在をXPS−分析によって同定した。
Figure 2010533012
ストロンチウムの放出をIPC(誘導結合プラズマ)によって同定した。上述のようにして調製された4つのコイン形状をしたサンプルを15mlのMQ水を有するビーカー中に置いた。この水を20mMのHNO3を用いてpH4に酸性化し、そしてその後、解析前に中程度の撹拌下で90分放置した。IPCを用いて溶液を解析したところ、50μgのストロンチウム/サンプルmlという同じ結果が得られた。
参考例1:MG−63細胞の培養
MG−63は、骨芽細胞のインビトロ研究のために当該技術において従来から使用されているヒト細胞株(ATCC No CRL-1427,US)である。MG−63は、ヒト骨肉腫に由来するものであり、そしてアルカリホスファターゼ(ALP)、プロスタグランジンE2(PGE2)及びオステオプロテゲリン(OPG)のようなヒト骨芽細胞の多くの形質特性を示す。
この研究において、MG−63細胞は、冷凍細胞からの第二継代から得られ、更に5%のFCS、1%のPEST、(Gibco、英国)を含むダルベッコ最少必須培地(Dulbecco's modified Eagle's Medium)(DMEM)中で、37℃、5%のCO2雰囲気中及び湿度100%で、培養した。細胞がコンフルエンスに達したら、0.05%トリプシン−EDTA(Gibco、英国)を用いて、細胞数が得られるまで継代培養した。
細胞生存率は全ての実験において高かった(>98%)そしてトリパンブルーの使用によって調べられた;ここで死亡した細胞による汚れの吸収を光学顕微鏡(LM)におけるBuerkerchamber中で調べた。
参考例2:アルカリホスファターゼ(ALP)の産生
MG−63細胞の増殖及びアルカリホスファターゼ(ALP)の産生に及ぼすストロンチウムの効果を調べるために、参考例1において調製されたMG−63細胞を、10000細胞/cm2、合計20000細胞/ウエルのプレーティング密度で、24ウェルプレート内で継代培養した。各々10mM、5mM、3mM、及び1mMの最終濃度(pH5.2)で無菌濾過されたSr(NO32を板の各々のウエルに添加した。未処理の細胞をコントロールとして使用した。細胞を3日、7日及び14日、37℃、5%のCO2雰囲気中及び湿度100%で培養した。
採取時に、細胞培地をALP含有量に関して分析した。細胞内ALPを、メーカーの取扱い説明書に従い(SenzoLyteTM pNPP Alkaline Phosphatase Assay Kit Colorimetric BioSite、スウェーデン)、細胞溶解によって測定した。吸収は自動プレートリーダー(Vmax, Molecular Device、英国)によって405nmに設定された。サンプルの光学密度を、キットに備わっている標準と比較して、ALP濃度を求めることができる。メーカーの取扱い説明書に従った(BioSite、スウェーデン)。
ALPの産生は、全てのストロンチウム濃度で、コントロール(非刺激細胞)と比べて最初はゆっくりであった。7日後に、少しの増加が検出された。しかしながら、14日後に、特にストロンチウム濃度1mM、3mM、5mMで、ALPレベルの著しい増加が観察された。最高のALP量が、3mMのストロンチウムで、14日後に観察された。これらの結果を図3に示す。
参考例3:参照表面の調製
コインの形状を有するチタンサンプルを洗浄し、次いで1Mのシュウ酸水溶液中に浸漬し、そして80℃で30分間、激しい撹拌下に置いた。30分後シュウ酸水溶液から、サンプルを取出して水中ですすぎ、続いて超音波浴中の水中で2分間、すすいだ。得られた表面を「参照表面1」と称する。
サンプルの幾つかを第二次のフッ化水素酸処理にかけた。すすぎの約10分後、サンプルを0.1MのHF水溶液中に室温で浸漬し、活発な溶解が始まるまで撹拌し、引続いて追加の活性化処理を40秒間、行った。次に、HF溶液からサンプルを取出して水中ですすぎ、引き続いて超音波浴中の水中で2分間、すすいだ。これらのサンプルを、滅菌前に室温で空気中において約60分間、乾燥した。得られた表面を「参照表面2」と称する。
参考例4:参照表面上でのMG−63の増殖
参照表面1及び2を有する滅菌された(β線−照射)Tiコインをそれぞれ24ウェルプレート中に置いた。MG−63細胞を、10000細胞/cm2、合計20000細胞/ウエルのプレーティング密度で、24ウェルプレート中のコイン上に継代培養した。5mM、及び0.5mM(pH5.2)の最終濃度で無菌濾過されたSr(NO32をそれぞれのウエルに添加した。未処理の細胞をコントロールとして使用した。細胞を7日間、37℃、5%のCO2雰囲気中及び湿度100%で培養した。
各時間後の各々のウエル中の合計細胞数(×105)を、NucleoCounter(ChemoMetec A/S、デンマーク)によるNucleoCassette法によって求めた。
細胞数を、1.25のpHを有する「試薬A」中の細胞の溶解、それに続く「試薬B」による安定化によって調べた。NucleoCassetteにおいて、放出されたDNAの量を標的とするプロピジウムヨージドを組み込んだ。カセットをNucleoCounter中に置き、そして測定された蛍光色素の量はDNA量と対応した。メーカーの取扱い説明書に従った(ChemoMetec A/S、デンマーク)。
図4を参照すると、ストロンチウムを含む参照表面は、培養7日後にMG−63細胞の増加した増殖を誘起した。0.5mMの濃度でのストロンチウムは、非刺激参照表面1及び2と比較して、最高のMG−63細胞増殖を誘起した。
参考例5:参照表面上でのALPの産生
0.5mMのストロンチウム濃度を含む参照表面1上でのALPの産生を、非刺激参照表面1及び2と比較した。
図5において説明される通り、ALPの産生増が、細胞培養の7日後に、0.5mMのストロンチウムで観察された。
参考例6:プロスタグランジンE2(PGE2)の産生
7日後及び14日後のPGE2の産生を、ストロンチウムを含む参照表面1を有するチタンサンプルを用いて分析した。結果を非刺激参照表面1及び2と比較した。
プロスタグランジンE2(PGE2)の定量的な評価を得るために、R&D Systems PGE2 Immunoassay (R&D Systems,英国)からのELISA法を使用した。各々のウエルからの上澄み液を、細胞がなくなるまで遠心分離し(400Gで5分)、更に調査のために使用した。その量をメーカーによって供された標準曲線に関連付けることによってサンプルOPGの濃度を求めた。試験の感度(MDD、最小検出用量)は27.5pg/mlであった。メーカーの取扱い説明書に従った(R&D Systems、英国)。
7日後に、非刺激参照表面と比較して、ストロンチウムを含む参照表面1でPGE2の産生の増加が観察された。培養14日後にPGE2の産生が更に増大した。結果を図6において説明する。
参考例6:形態
(i)参照表面1、(ii)参照表面2、及び(iii)参照表面1+ストロンチウムを有するチタンサンプルを走査型電子顕微鏡(SEM)観察のために調製した。これらのサンプルを4℃にてグルタルアルデヒドによって固定し(Kanowsky's)、続いて標準技術に従って四酸化オスミウム処理、脱水及び最終的に金スパッタリングを行った。
図7、8、及び9は36時間後のそれぞれの表面の形態を示す。ストロンチウムを含む参照表面1は、増殖の段階でより大量の細胞を有し(図9)(丸くて、広がりのない細胞)、そして同様に、刺激されていない参照表面1及び2上の細胞と比べて大量の粘着細胞を有する。参照表面1(図7)及び参照表面2(図8)の両方の上では、細胞がより薄く、より平らで、そしてより外へ広がっている。
参照表面1及び2上での細胞の間のスペースは、おそらく固定の困難さのせいであり、そして細胞が非常に薄く外へ広がっている場合にしばしば見られる。
ストロンチウムを含む参照表面1上で培養された細胞の形態は、細胞が高い活性を示して、よく外へ広がり、増殖し、そして表面上でマトリックス及び偽足を形成することを示す。これは、そのような表面が骨伝導性でもあり骨誘導性でもあり、かつ細胞の接着、増殖及びマトリックス形成に好ましいことを示す。
比較例1:ストロンチウム、カルシウム及びマグネシウムをそれぞれ含む参照表面上でのMG−63の増殖
参照表面1及び2を有する滅菌された(β線−照射)Tiコインを、ストロンチウム、カルシウム及びマグネシウムをそれぞれ含む参照表面1を有するTiコインと比較し、そしてこれらのコインを24ウェルプレート中に置いた。MG−63細胞を、10000細胞/cm2、合計20000細胞/ウエルのプレーティング密度で、24ウェルプレート中のコイン上で継代培養した。細胞を7日間、37℃、5%のCO2雰囲気中及び湿度100%で培養した。
各時間後の各々のウエル中の合計細胞数(×105)を、NucleoCounter(ChemoMetec A/S、デンマーク)によるNucleoCassette法によって求めた。
細胞数を、1.25のpHを有する「試薬A」中の細胞の溶解、それに続く「試薬B」による安定化によって調べた。NucleoCassetteにおいて、放出されたDNAの量を標的とするプロピジウムヨージドを組み込んだ。カセットをNucleoCounter中に置き、そして測定された蛍光色素の量はDNA量と対応した。メーカーの取扱い説明書に従った(ChemoMetec A/S、デンマーク)。
図10に関しては、ストロンチウムを含む参照表面が、細胞培養7日後に最高のMG−63細胞増殖を示した。細胞増殖は、カルシウム及びマグネシウムを含む参照表面よりも著しく高かった。
比較例2:ストロンチウム、カルシウム及びマグネシウムをそれぞれ含む参照表面上でのオステオプロテゲリンの産生
ストロンチウム、カルシウム及びマグネシウムをそれぞれ含む参照表面1を有するTiコインの間で、オステオプロテゲリン(OPG)の産生を比較した。
DuoSet ELISA ヒト OPG/TNFRSF11B(R&D Systems、英国)によってOPGの量を求めた。各々のウエルからの上澄み液を、細胞がなくなるまで遠心分離し(400Gで5分)、更に調査のために使用した。その量をメーカーによって提供された標準曲線に関連付けることによってサンプルOPGの濃度を求めた。試験の感度(MDD、最小検出用量)は50pg/mlであった。メーカーの取扱い説明書に従った(R&D Systems、英国)。
図11に示されている通り、細胞培養の7日後及び14日後に、ストロンチウムを含む参照表面1で最高のOPG産生が観察された。
比較例3:インビボの骨組織応答
本発明のインプラントの完全性をウサギモデルにおいて試験した。その目的は、市販のコントロールインプラントと比較して、本発明のインプラント表面改質に対するインビボの骨組織応答を定性的に及び定量的に調べることであった。
除去トルク試験用インプラント
ストロンチウムを含む参照表面1を有するトルク固定具(四角形の頭をした除去トルク設計、3.5×8.2mm)を、二つの固定具;(1)参照表面1(ストロンチウム無し)を有するトルク固定具(3.5×8.2mm)及び(2)市販のOsseoSpeed(商標)表面を有するトルク固定具(3.5×8.2mm)、と比較した。
インプラントの挿入
12把の成体の雄のニュージーランド白ウサギを手術用として予定した。二把のウサギは初期の麻酔で死んだ(#9、10)。手術は平穏に進んだ。連続食塩冷却を用いて、低速穴開け(穴開けのために1500rpg、そしてインプラント挿入のために20rpm)を行った。最初の穴開けは小さく丸いぎざぎざであり、そして、その次に開けるより大きな螺旋穴開け(1.2から3.35mmの範囲の直径を有する全部で6個の穴開け)のための目印として使用された。
三つのインプラント(「四角形の頭をした除去トルク設計」;3.5×8.2mm)を各々脛骨粗面中に挿入した。脛骨インプラントを除去トルク試験用に予定した。
除去トルク結果
6週間後に、試験を終了し、そしてウサギを犠牲にした。インプラント及び周囲の組織を調べた。脛骨インプラントは容易に位置が分かり、それらの全てで、骨膜骨組織成長の兆候が見られた。除去トルク試験(RTQ)を用いて、インプラント−骨界面の生体力学的試験を実施した。RTQ装置(Detektor AB、Goteborg、スウェーデン)は、骨層におけるインプラントの安定性(Ncmを単位とするピークゆるみトルク)を試験するために使用される歪ゲージトランスジューサーを含む電子機器であり、従って、骨組織及びインプラントの間の界面せん断力を大まかに反映する三次元試験と見なすことができる(Johansson C. B.,Albrektsson T.,Clin Oral implants Res 1991;2:24-9)。直線的に増大するトルクがインプラントの同じ軸上に、一体化が破壊されるまでかけられ、そしてピーク値が記録された。
図12に示されている通り、本発明のストロンチウムを含むインプラントに対する除去トルク値は、市販のOsseoSpeed(登録商標)表面と比べて改善されていた。

Claims (41)

  1. 表面を有する骨組織内への埋め込みのための、該表面が酸化物層によって被覆されているインプラントであって、ストロンチウムイオンを含むことを特徴とするインプラント。
  2. インプラントが金属インプラントである、請求項1に記載のインプラント。
  3. 金属インプラントがチタン又はチタンの合金を含む、請求項2に記載のインプラント。
  4. インプラントが非金属インプラントであって、該表面が塗布された金属インプラント層である、請求項1に記載のインプラント。
  5. 金属インプラント層がチタン又はチタンの合金を含む、請求項4に記載のインプラント。
  6. 酸化物層が2から100nmの範囲内の厚みを有する、請求項1〜5の何れか1項に記載のインプラント。
  7. 酸化物層が2から18nmの範囲内の厚みを有する、請求項6に記載のインプラント。
  8. 酸化物層が2から6nmの範囲内の厚みを有する、請求項6又は7に記載のインプラント。
  9. 酸化物層が、インプラントの表面から形成される金属酸化物層である、請求項1〜8の何れか1項に記載のインプラント。
  10. 酸化物層の上面に更に沈着物を含み、ここで該沈着物が骨刺激剤を含む、請求項1〜9の何れか1項に記載のインプラント。
  11. 骨刺激剤が、ストロントウム、リチウム、マグネシウム及びカルシウム又はその組合せから成るグループから選ばれる、請求項10に記載のインプラント。
  12. 沈着物が、ストロントウム、リチウム、マグネシウム及びカルシウムから選ばれるイオンの任意の1つ又は組合せを含む塩析沈殿である、請求項10又は11に記載のインプラント。
  13. 塩析沈殿がストロンチウムイオン塩析沈殿である、請求項12に記載のインプラント。
  14. インプラントが、リン酸カルシウム化合物を含む被覆を有しない、請求項1〜13の何れか1項に記載のインプラント。
  15. インプラントの表面がミクロ粗さを含む、請求項1〜14の何れか1項に記載のインプラント。
  16. インプラントの表面がフッ素を含む、請求項1〜15の何れか1項に記載のインプラント。
  17. ストロンチウムイオンを含む酸化物層によって被覆されたインプラント表面を有する骨組織インプラントの製造方法であって、以下の工程:
    a)インプラント表面を有するインプラントを備えること;
    b)該インプラント表面を被覆する酸化物層を形成すること;
    c)該酸化物層上に負に荷電したイオンを形成すること;及び
    d)該酸化物層をストロンチウムイオンと接触させること;
    を含む方法。
  18. 酸化物層が自然に形成される、請求項17に記載の方法。
  19. 酸化物層上の負に荷電したイオンが、インプラント表面をアルカリ性環境に晒すことによって形成される、請求項17又は18に記載の方法。
  20. アルカリ性環境が、インプラント表面をアルカリ性溶液に晒すことによって形成される、請求項19に記載の方法。
  21. 酸化物層上の負に荷電したイオンが、−0.5Vから−3.5Vの範囲内の電位を印加することによって形成される、請求項17〜19の何れか1項に記載の方法。
  22. 工程c及び工程dが同時に行われる、請求項17〜21の何れか1項に記載の方法。
  23. 酸化物層を、ストロンチウムイオンを含む溶液に晒すことによって、該酸化物層がストロンチウムイオンと接触する、請求項17〜22の何れか1項に記載の方法。
  24. 溶液が水酸化ストロンチウムを含む、請求項23に記載の方法。
  25. 溶液が0.03M又はそれ以下の濃度で水酸化ストロンチウムを含む、請求項24に記載の方法。
  26. 酸化物層の上面に骨刺激剤を含む沈着物を形成する工程を更に含む、請求項17〜25の何れか1項に記載の方法。
  27. 骨刺激剤が、ストロントウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウム、又はその組合せから成るグループから選ばれる、請求項26に記載の方法。
  28. 沈着物が、ストロントウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウムから選ばれるイオンの任意の1つ又は組合せを含む塩を、酸化物層の上に沈殿させることによって形成される、請求項26又は27に記載の方法。
  29. 塩が水酸化ストロンチウムである、請求項28に記載の方法。
  30. 沈着物が−3.5Vより負の電位を印加することによって形成される、請求項28又は29に記載の方法。
  31. インプラント表面を、0.03Mより高い濃度で水酸化ストロンチウムイオンを含むアルカリ性溶液に晒すことによって、沈着物が形成される、請求項29又は30に記載の方法。
  32. 工程a)の後で、インプラントの表面上にミクロ粗さを作出する工程を更に含む、請求項17〜31の何れか1項に記載の方法。
  33. インプラントの該表面にフッ素を塗布する工程を更に含む、請求項17〜32の何れか1項に記載の方法。
  34. 金属酸化物を含むブラスチング粉末であって、該金属酸化物がストロンチウムイオンを含むブラスチング粉末。
  35. 金属酸化物が二酸化チタンである、請求項34に記載のブラスチング粉末。
  36. 金属酸化物が酸化ストロンチウムである、請求項34に記載のブラスチング粉末。
  37. ストロンチウムイオン又はその塩、及び薬学的に許容可能な担体を含む組成物を投与が必要なヒトに投与することによって骨形成を局所的に増大させる方法。
  38. 埋め込み部位で、骨組織における空洞中に、インプラントが置かれる前に、同時に及び/又は後で、該埋め込み部位で骨組織内にインプラントを埋め込む際に、該埋め込み部位で該組成物が投与される、請求項37に記載の方法。
  39. 骨形成を局所的に増大させるための薬学的組成物を製造するためのストロンチウムイオン又はその塩の使用。
  40. 埋め込み部位で、骨組織内にインプラントを埋め込む際に、該埋め込み部位で組成物が局所的に投与される、請求項39に記載の使用。
  41. インプラントを含む骨組織内へのインプラントの埋め込みのためのキットであって、該キットが、ストロンチウムイオン又はその塩、及び薬学的に許容可能な担体を含む組成物を更に含むことを特徴とするキット。
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