JP2010532668A - Mipol1−etv1遺伝子再編成 - Google Patents

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Abstract

癌の診断および治療に有益な反復性のMIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する組成物および方法を開示する。

Description

本出願は、2007年7月6日に出願された米国仮特許出願番号第60/958,629号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、米国国立衛生研究所により授与された助成金番号CA069568およびCA111275の下で米国政府支援によりなされたものである。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
発明の技術分野
本発明は、それらに限定されるものではないが、癌マーカーを含めた癌の診断、研究、治療のための組成物と方法に関連する。特に、本発明は前立腺癌に対する診断マーカーあるいは臨床上のターゲットとして有用な、反復性のMIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する。
発明の背景
癌研究は、発癌の原因に関与する遺伝子変化を明らかにする可能性がある。塩基の置換、挿入、欠落、転移や染色体獲得および染色体欠損を含めた、発癌遺伝子や腫瘍抑制遺伝子の活性変化をもたらす、数種類の体細胞突然変異がこれまでに同定されている。癌において、ある種の染色体再編成が発癌の原因となる役割を果たしているという納得できる証拠が存在する(Rowley, Nat Rev Cancer 1: 245 [2001](非特許文献1))。反復性の染色体異常は、白血病、リンパ腫、および肉腫の主要な特徴である。既知の疾患特異的な染色体再編成の1%未満が、はるかに一般的であり、ヒトの癌における罹病率と死亡率の比較的大きな部分を占める上皮性腫瘍(癌腫)に関わり合いがある(Mitelman, Mutant Res 462: 247 [2000](非特許文献2))。造血器腫瘍がしばしば疾患特異性の染色体再編成により特徴付けられる一方、ほとんどの固形腫瘍に非特異的染色体異常の過多が見られる。固形腫瘍の核型の複雑性は、癌の進化や進行の過程で獲得された二次的な変化に起因すると考えられている。
癌に関連する染色体再編成は、二つの主要なメカニズムに起因する可能性がある。その一つは、癌原遺伝子に隣接する、ある遺伝子のプロモーター/エンハンサーに再編成が起こり、そのために発癌性タンパク質の発現が変化することによる。この種の転座は、免疫グロブリン(IG)遺伝子とT細胞受容体(TCR)遺伝子のMYC発癌遺伝子への並置にその例がみられ、それぞれ、B細胞およびT細胞の悪性病変における発癌遺伝子の活性化を導く(Rabbits, Nature 372:143 [1994](非特許文献3))。もう一つのメカニズムにおいては、再編成が二遺伝子の融合物をもたらし、それによって新しい機能あるいは変化した活性を有する融合タンパク質が生成されることによる。この種の転座は、慢性骨髄性白血病(CML)におけるBCR-ABL遺伝子融合物に例がみられ、(Rowley, Nature 243: 290 [1973](非特許文献4);de Klein等、Nature 300;765 [1982](非特許文献5))、それにより、BCR-ABLキナーゼをターゲットとすることに成功したイマチニブメシル酸塩の理にかなった開発が行われた(Deininger等、Blood 105:2640 [2005](非特許文献6))。
本明細書には、ヒトの上皮性腫瘍に関連する診断と治療に有益な、反復性のMIPOL1-ETV1遺伝子再編成が記載される。
Rowley, Nat Rev Cancer 1: 245 [2001] Mitelman, Mutant Res 462: 247 [2000] Rabbits, Nature 372:143 [1994] Rowley, Nature 243: 290 [1973] de Klein 等、 Nature 300; 765 [1982] Deininger 等、 Blood 105: 2640 [2005]
生体試料におけるMIPOLI-ETV1の遺伝子再編成の有無を検出する段階を含む前立腺癌を診断するための方法であって、該遺伝子再編成の存在が生体試料を採取した被験者における前立腺癌の徴候を示す方法が開示される。幾つかの実施形態においては、前記試料は、組織、血液、血漿、血清、尿、精液、前立腺分泌物あるいは前立腺細胞である。幾つかの実施形態においては、検出のステップは、MIPOL1とETV1をコードするゲノムDNAの染色体再編成を検出する段階を含む。前記検出ステップは、核酸配列決定技術、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイの一つもしくは複数の配列へのハイブリダイゼーション、またはサザンブロット分析のような核酸ハイブリダイゼーション技術を使うこともできる。幾つかの実施形態においては、検出ステップはさらに、既知の方法を使っても良い核酸増幅法を含み、それらの方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、転写媒介増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)が含まれるがこれらに限定されるものではない。幾つかの実施形態においては、前記検出ステップは、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連するmRNAあるいは、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に起因するタンパク質発現を検出する。このような検出は、RNAおよび/またはタンパク質発現レベルの分析、または配列の特徴の決定を含むこともできる。
前立腺癌を診断するための、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関わるETV1遺伝物質とMIPOL1遺伝物質との間の連結を直接的にあるいは間接的に検出するための試薬を含む組成物が開示される。そのような試薬の態様には以下のものが含まれる:MIPOL1遺伝子にETV1遺伝子が挿入された連結部であってもよい、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関わるETV1遺伝物質とMIPOL1遺伝物質との間の連結部にハイブリダイズする配列を含むプローブ;ETV1遺伝子にハイブリダイズする配列を含む第一のプローブと、MIPOL1遺伝子にハイブリダイズする配列を含む第二のプローブとの組み合わせ;およびETV1遺伝子に特異的にハイブリダイズする配列を含む少なくとも一つの第一の増幅オリゴヌクレオチドと、MIPOL1遺伝子に特異的にハイブリダイズする配列を含む少なくとも一つの第二の増幅オリゴヌクレオチド。
幾つかの実施形態においては、増幅オリゴヌクレオチド組成物はまた、第一の増幅オリゴヌクレオチドによってハイブリダイズされる配列と第二の増幅オリゴヌクレオチドによってハイブリダイズされる配列との間に位置する配列と特異的にハイブリダイズするプローブを含むこともでき、該プローブはETV1遺伝子内の配列あるいはMIPOL1遺伝子内の配列と特異的にハイブリダイズできる。全てのプローブは、直接的にあるいは間接的に、検出可能なシグナルを提供する標識物質に結合されることができる。
LNCaPおよびMDA-PCa2B前立腺癌細胞において14q13.3〜14q21.1において再編成された全ETV1遺伝子座を図示する。図1のaは、7番染色体上のETV1遺伝子座を図示するもので、図1のbは14番染色体上の14q13.3〜14q21.1および遺伝子再編成の検出用の蛍光インサイツハイブリダイゼーション法(FISH)のためにプローブとして使用されたBACを図示する。図1のcとdは、ETV1座位(左側のパネル)と14q13.3〜14q21.1(右側のパネル)における再編成を検出するために、LNCaP細胞(四倍体)(図1のc)および(d)MDA-PCa 2B細胞(二倍体)(図1のd)からの分裂中期スプレッド上に、相当する蛍光標識によって示されるBACを使って行われたFISH法による分析を図示する。図1のe〜gは、各細胞におけるETV1と14q13.3〜14q21.1の構造を図示する:正常細胞(図1のe)、LNCaP細胞(図1のf)、およびMDA-PCa 2B細胞(図1のg)について全てFISH法で決定された。 LNCaP細胞においてETV1座位が14番染色体に再編成されていることを示す。図2のa〜bは、それぞれ、染色体7pと14q32から使われたBAC(前もってFISHにより14番染色体にマッピングされている)の概略図である。図2のcは、表示されている蛍光標識により標識されたBACを使ったFISHが、RP11-483K13によって同定されているように、ETV1の、7番染色体上の二つのコピーおよび14番染色体上の二つのコピーを示していることを図示する。 LNCaP細胞におけるETV1座位でのゲノム切断点の同定を示す。図3のaはBAC12とBAC2の間の切断点の領域を狭めるために使ったFISH法を図示し、図3のbに緑で示されるように、BAC1とBAC 12は7番染色体と14番染色体に共局在することが示される。図3のbは、関連する領域全体にわたるようにデザインされたサザンブロット法のための一連の22のプローブ(A〜Q)を図示する。図3のcは、サザンブロットにおいて再編成バンドを示した唯一のプローブであるプローブA領域の制限酵素切断地図を、PstIおよびEcoRI制限酵素切断部位を添えて図示する。図3のdは、EcoRIとPstIにより切断されたLNCaPゲノムDNAには見られたが、VCaP、正常男性(「Nor male」)のゲノムDNAあるいはヒトの胎盤DNAには見られなかった追加のバンドを示すプローブAを使ったサザンブロットの結果を示す。 14番染色体上のMIPOL1座位へのETV1の挿入を同定する逆PCR(inverse PCR)を示す。図4のaは、プローブAを用いたEcoRIおよびPstI切断LNCaPゲノムDNAにおける再編成の検出に基づいた逆PCR(A3-B3)のためにデザインされた一連の互いに異なるPCRプライマーを示す。図4のbは、続いてPstIにより切断された継代数の低い(L)および継代数の高い(H)LNCaPのゲノムDNAについて、A1とB1(1)、A2とB2(2)、A3とB3(3)を使ったネステッドPCR(nested PCR)法によるPCR増幅結果を示す。図4のcは、A3とB3の(図4のbに示される)ネステッドPCR産物の配列を示すもので、DNAの切断点は赤色で表示され、パートナー配列はMIPOL1座位の14q13.3〜14q21.1のイントロンDNAによるものであった。図4のdは切断点の位置を星印で示す。図4のeは、未消化のDNAにおけるPCRにより融合物を確認するために(図4のcに示されるように)デザインされたプライマーを図示し、PCRによって、継代数の低いおよび継代数の高いLNCaP細胞の両方においては融合物が確認されたが、VcaP、正常男性(「Norm Male」)からのゲノムDNAあるいはヒトの胎盤DNAにおいては、確認されなかった。 分裂中期のLNCaPについて7番染色体のセントロメアプローブと7pテロメアプローブとを用いたFISH法によって、7pテロメアがLNCaPの7番染色体の全てのコピーに保持されていることを示す。セントロメアプローブによって同定された7番染色体の四つのコピーの全てが7pテロメア配列を保持しており、ETV1再編成は、転座でも7pにおいてのテロメア欠落によるものでもないことを示す。 ETV1と14q13.3〜14q21.1における隣接遺伝子とが、前立腺癌、LNCaPおよびLNCaPのアンドロゲン不応性誘導株であるC4-2Bにおいて、協調的に制御されることを示す。図6のaは、expOのデータセット(オンコマイン(Oncomine)使用)による情報を用いて調べ、28種の全く異なる腫瘍と前立腺癌についての発現(標準化された発現ユニットによる)による14q13.3〜14q21.1領域の四つの遺伝子の組織特異性を示す。図6のbとcは、用いて合成アンドロゲンR1881による刺激の有る(+)または無い(−)LNCaP細胞おけるqPCR法によって確認した、14q13.3〜14q21.1における隣接遺伝子(図6のb)およびETV1(図6のc)のアンドロゲンによる調節を示している。ターゲット遺伝子のGAPDHに対する発現率(平均値(n=4)+標準誤差)が示されている。図6のdは、LNCaPおよびそのアンドロゲン不応性誘導株であるC4-2Bについて、マイクロアレイ(アジレント社の全ゲノムマイクロアレイ(Agilent Whole Genome Microarrays))を用いた遺伝子発現のプロファイリングを示し、最も発現に差のある10個の遺伝子の発現(LNCaP/C4-2B)が示されている。図6のe〜gは、qPCRの結果を図示し、これは、LNCaPと比較したC4-2Bにおける、ETV1(図6のe)、PSA(図6のf)、および14q13.3〜14q21.1領域の四つの隣接遺伝子(図6のg)をマーカーとした、アンドロゲンによって制御される遺伝子の発現の減少を示す。 ERGとETV1の発現を、前立腺癌細胞株であるMDA-PCa 2B、LNCaP、PC3、NCI-H660、22RV1、VCaP、DU145、LAPC4および不死化良性前立腺上皮細胞株であるRWPEをqPCR法により測定し、各試料におけるERGとETV1の発現を、各試料のGAPDHおよびHMBSの平均発現量に対して標準化した結果であり、MDA-PCa 2BがETV1のアウトライアー発現を有することを示す。 LNCaPのアンドロゲン不応性誘導株であるC4-2Bは、親細胞株であるLNCaPと同じETV1再編成を有することを示す。図8のaは、7番染色体上のETV1座位および、ETV1座位における再編成を検出するための蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)のプローブとして用いられたBACを図示し、LNCaPにおいて同定された切断点の位置を星印で表示した。図8のbは、C4-2B(4倍体)において、相当する蛍光標識で示されるBACを用いたFISH法によって得られた結果を示す。図8のcは、7番および14番染色体からのプライマーを用いたPCR法による結果を示し、継代数の低い、および継代数の高いLNCaPと同様にC4-2BにおいてETV1の再編成があり、その他の前立腺癌細胞株、ヒトの胎盤DNAあるいは正常男性ヒトDNAにはそれがみられないことが確認された。 LNCaPのアンドロゲン不応性誘導株であるC4-2Bは、親細胞株であるLNCaPと同じETV1再編成を有することを示す。図9のaは、7番染色体(青色)上のETV1座位(紫色)および、ETV1座位における再編成を検出するための蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)のプローブとして用いられたBACを図示し、LNCaPにおいて同定された切断点の位置を星印で表示した。図8のbは、C4-2B(4倍体)において相当する蛍光標識で示されるBACを用いたFISH法によって得られた結果を示す。図9のcは、7番および14番染色体からのプライマーを用いたPCR法による結果を示し、継代数の低い、および継代数の高いLNCaPと同様にC4-2BにおいてETV1の再編成があり、その他の前立腺癌細胞株、ヒトの胎盤DNAあるいは正常男性ヒトDNAにはそれがみられないことが確認された。
用語の定義
本発明の開示の理解を容易にするために、用語の定義を以下のように規定する。
本明細書に使われる「遺伝子再編成」あるいは「遺伝子の再編成」という用語は、二つの全く異なる遺伝子領域、二つの異なる遺伝子、あるいは二つの異なる遺伝子の一部の、染色体再編成に起因するゲノムDNAの配列上の変化の全てを意味する。遺伝子再編成の産物には、遺伝子再編成が無ければ存在しない遺伝物質の融合物が含まれる。すなわち、遺伝子再編成は、ある遺伝子配列と別の遺伝子配列とを融合させる結合をもたらし、野生型の再編成の無いゲノムには存在しない連結部を生じさせる。遺伝子再編成の例には、第一の遺伝子または遺伝子座位の全体または一部の、第二の遺伝子または遺伝子座位への挿入が含まれるが、それらに限定されるものではない。場合によっては、挿入の結果として、例えば、野生型タンパク質の発現の増大あるいは減少をもたらすような、発現調節を変化させる、第一と第二の遺伝子あるいは遺伝子座位の新しい配置を生じることがある。別の場合には、挿入の結果として、キメラRNAに転写される遺伝子融合物あるいはキメラDNAを生じ、そのキメラRNAは野生型タンパク質に比べて変化したタンパク質に翻訳されることがあり、すなわち、野生型の配置において産生されるものとは異なる産物を生じる結果となる可能性がある。
本明細書に用いられる「遺伝子融合物」という用語は、キメラゲノムDNA、キメラDNAから転写されたキメラmRNA(「遺伝子融合RNA」と呼ばれても良い)、あるいはキメラDNAから転写されたキメラRNAから翻訳されたタンパク質を意味する。このような「遺伝子融合タンパク質」(あるいは、「遺伝子融合ポリペプチド」)は、野生型のタンパク質に比べて短いタンパク質であるか、あるいは第一の遺伝子の少なくとも一部が第二の遺伝子の少なくとも一部に融合して発現されたキメラタンパク質である可能性がある。遺伝子融合物(あるいは遺伝子融合DNAから転写されたRNA)は、遺伝子の全体あるいは遺伝子のエキソンを含む必要はない。
本明細者に用いられる「転写調節領域」という用語は、5’非翻訳領域(5’UTR)とも呼ばれる、遺伝子の非翻訳上流調節配列を意味する。
本明細書に用いられる「検出する」、「検出すること」、あるいは「検出」という用語は、発見する、あるいは見分ける一般的な行為、あるいは検知可能なように標識された組成物の具体的な観察を意味する。
本明細書に用いられる「遺伝子融合物の少なくとも一つの生物学的活性を阻害する」という用語は、本明細書において開示される遺伝子融合物、その転写産物および/または翻訳産物の活性のいずれか(例えば本明細書に記載される活性を含むがそれらに限定されるものではない)を、遺伝子融合タンパク質に直接接触することによって、遺伝子融合mRNAまたはゲノムDNAに接触することによって、遺伝子融合ポリペプチドの立体構造の変化を起こさせることによって、遺伝子融合タンパク質のレベルを減少させることによって、または遺伝子融合物とシグナル伝達パートナーとの相互作用を妨げることによって、およびターゲットとなる遺伝子融合物の発現(すなわち転写または得られる転写産物の翻訳)に影響を与えることによって、低減させる任意の物質を意味する。阻害物質はまた、上流のシグナル伝達分子を妨げることによって遺伝子融合物の生物学的活性を間接的に調節する分子を含む。
本明細書に用いられる、「siRNA」という用語は、低分子干渉RNAを意味する。幾つかの実施形態においては、siRNAは18〜25ヌクレオチドの長さをもつ二本鎖あるいは、二本鎖領域を含む;しばしばsiRNAは各鎖の3’末端に2〜4個の対を持たないヌクレオチドを含む。siRNAの二本鎖または二本鎖領域の少なくとも一本の鎖は、ターゲットRNA分子に実質的に相同であるか、あるいは実質的に相補性を有する。ターゲットRNA分子に相補的なRNA鎖は「アンチセンス鎖」である;ターゲットRNA分子に相同なRNA鎖は「センス鎖」であり、かつsiRNAのアンチセンス鎖に相補的である。siRNAはまたさらに付加された配列を含んでいてもよい;そのような配列の非限定例にはステムおよび他の折れたたみ構造だけでなく、結合配列やループが含まれる。siRNAは、無脊椎動物および脊椎動物におけるRNA干渉の誘発において、および植物における転写後遺伝子サイレンシングにおいて肝要な仲介物質として機能するようである。
「RNA干渉」あるいは「RNAi」という用語はsiRNAによる遺伝子発現の不活性化あるいは減少を意味する。それは、その二本鎖領域において不活性化される遺伝子の配列に相同なsiRNAによって開始される、動物および植物における配列特異性の転写後遺伝子不活性化の過程である。前記の遺伝子はその生物にとって内因性であっても外因性であってもよく、染色体に組み込まれているか、あるいはゲノムに組み込まれていない形質導入ベクター上にあってもよい。前記遺伝子の発現は、完全に、あるいは部分的に阻害される。RNAiはまた、ターゲットRNAの機能を阻害すると考えられても良い;ターゲットRNAの機能は完全であるかもしれないし、不完全であるかもしれない。
本明細書に用いられる「癌のステージ」という用語は、癌の進行度の定性的および定量的な評価を意味する。癌のステージを決定するために使われる判定基準には腫瘍のサイズや転移の程度(例えば、限局性あるいは遠位性)が含まれるがそれらに限定されるものではない。
本明細書に用いられる「遺伝子導入システム」という用語は、核酸配列を含む組成物を細胞または組織に送達する全ての手段を意味する。例えば、遺伝子導入システムには、ベクター(例えば、レトロウィルス、アデノウィルス、アデノ随伴ウィルスおよびその他の核酸に基づく送達システム)、核酸そのもののマイクロインジェクション、ポリマーに基づく送達システム(例えば、リポソームに基づく、そして金属粒子に基づくシステム)、微粒子銃注入(biolistic injection)などが含まれるが、それらに限定されるものではない。本明細書に用いられる「ウィルス遺伝子導入システム」という用語は、試料を希望する細胞あるいは組織へ送達することを容易にするためのウィルス要素(例えば、無傷ウィルス、改変されたウィルスおよび核酸またはタンパク質のようなウィルス成分)を含む遺伝子導入システムを意味する。本明細書に用いられる「アデノウィルス遺伝子導入システム」という用語は、アデノウィルス科に属する無傷の、あるいは改変されたウィルスを含む遺伝子導入システムを意味する。
本明細書に用いられる「部位特異的組み換えターゲット配列」という用語は、組み換え因子に組み換えが起こる位置を提供する認識配列を意味する。
本明細書に用いられる「核酸分子」という用語は、DNAやRNAを含むがそれらに限定されるものではない、核酸含有分子の全てを意味する。前記用語には4−アセチルシトシン、8−ヒドロキシ−N6−メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、擬似イソシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1−メチルアデニン、1−メチル擬似ウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、 5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルキューオシン、5’-メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、オキシブトキソシン、擬似ウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、N-ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、擬似ウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、および2,6-ジアミノプリンを含むがそれらに限定されるものではない、DNAおよびRNAの任意の既知の塩基類似物を含む配列が含まれる。
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド、前駆物質、あるはRNA(例えば、rRNA, tRNA)を生成するのに必要なコード配列を含む核酸(例えば、DNA)配列を意味する。前記ポリペプチドは、全長のコード配列によって、あるいは全長のあるいは断片の希望する活性または機能的性状(例えば、酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達、免疫原性)が保持されるのに充分な長さのコード配列の部分によってコードされていても良い。前記の用語はまた、構造遺伝子のコード領域やコード領域の5’および3’末端に隣接して位置し、その遺伝子が全長のmRNAの長さに相当するように、各末端から約1kb以上の長さにわたる配列を含める。コード領域の5’末端に位置し、mRNA上に存在する配列は、5’非翻訳配列と呼ばれる。3’末端あるいはコード領域の下流に位置し、mRNA上に存在する配列は3’非翻訳配列と呼ばれる。前記の「遺伝子」という用語には、cDNAおよびゲノム型の遺伝子も含まれる。ゲノム型の遺伝子や遺伝子クローンは、「イントロン」または「介在領域」あるいは「介在配列」の用語で呼ばれる非コード配列によって分断されるコード領域を含む。イントロンは核内RNA(hnRNA)に転写される遺伝子の分節である;イントロンにはエンハンサーのような調節要素が含まれてもよい。イントロンは削除あるいは「スプライス」されて、核内あるいは一次転写産物から除かれる;従って、イントロンはメッセンジャーRNA(mRNA)転写産物には存在しない。mRNAは翻訳過程で、新生ポリペプチドのアミノ酸の配列や順序を特定する機能を持つ。
本明細書に用いられる「異種遺伝子」という用語は、本来の自然環境にない遺伝子を意味する。例えば、異種遺伝子には、一つの種から別の種に導入された遺伝子が含まれる。異種遺伝子にはまた、何らかの様相で変化を加えられたある生物体の本来の遺伝子が含まれる(例えば、突然変異した、多コピーとして加えられた、本来には無い調節配列に結合された、等)。異種遺伝子配列が一般には、染色体中の該遺伝子配列に付随することが本来はみられないDNA配列に連結されるか、あるいは自然には見られない染色体部分に付随する(例えば、通常はその遺伝子が発現されない遺伝子座位において発現される遺伝子)点で、異種遺伝子は内因性遺伝子と区別される。
本明細書に用いられる「オリゴヌクレオチド」という用語は、短い1本鎖のポリヌクレオチド鎖を意味する。オリゴヌクレオチドは、典型的には200残基未満の長さ(例えば、15から100)であるが、本明細書に用いられる場合の用語は、さらに長いポリヌクレオチド鎖をも含むことが意図される。オリゴヌクレオチドは、しばしば、長さによって呼ばれる。例えば、24残基からなるオリゴヌクレオチドは「24‐マー(24-mer)」と呼ばれる。オリゴヌクレオチドは、自己ハイブリダイズ(self-hybridizing)によって、あるいは他のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって二次および三次構造を形成できる。そのような構造には、二本鎖、ヘアピン、十字型、屈曲、および三本鎖の構造が含まれるがそれらに限定されるものではない。
本明細書に用いられる「相補的な」あるいは「相補性」という用語は、塩基対の規則に関連してポリヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチド配列)について用いられる。例えば、「5’-A-G-T-3’」の配列は、「3’-T-C-A-5’」の配列に相補的である。「相補性」は部分的であってもよく、核酸塩基の幾つかだけが塩基対の規則にしたがった組み合わせになっていてもよい。あるいは、核酸間に「完全な」あるいは「全体的な」相補性があってもよい。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率と強度に重要な影響を及ぼす。このことは、核酸間の結合に頼る検出法だけでなく、増幅反応においても特に重要である。
「相同性」という用語は、相補性の程度を意味する。部分的な相同性あるいは完全な相同性(すなわち、同一性)がありうる。部分的に相補性のある配列とは、完全に相補性のある核酸がターゲットである「実質的に相同性である」核酸とハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害する核酸分子である。完全に相補的な配列とそのターゲット配列とのハイブリダイゼーションの阻害は、低ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイゼーションアッセイ(サザンあるいはノーザンブロット、液相ハイブリダイゼーション等)を用いて試験できる。実質的に相同性のある配列あるいはプローブは、低ストリンジェンシーの条件下で完全な相同性のある核酸分子のそのターゲット分子との結合(すなわち、ハイブリダイゼーション)に競合し、阻害する。このことは、低ストリンジェンシーの条件が非特異性結合を可能にするという意味ではない;低ストリンジェンシーの条件は二つの配列の相互の結合が特異的な(すなわち、選択的な)相互作用であることを必要とする。非特異的結合が関与していないことは、実質的に非相補的な(例えば、同一性が約30%未満)第二のターゲットを使って試験できる;非特異的な結合が関与しない場合には、前記のプローブは第二の非相補性のターゲットとハイブリダイズしない。
cDNAやゲノムクローンのような二本鎖の核酸に関して使われる場合は、「実質的に相同な」という用語は上記のような低ストリンジェンシーの条件下で二本鎖核酸の片方のあるいは両方の鎖とハイブリダイズできるプローブの全てを意味する。
一つの遺伝子が、一次転写産物RNAの差次的スプライシング(differential splicing)によって生成される複数のRNA分子種を生じることがある。同じ遺伝子のスプライシングによる異型であるcDNAは、同一性あるいは完全な相同性(両cDNA上に同じエキソンあるいは同じエキソンの一部が存在することを示す)と完全な非同一性の(例えば、cDNA1上のエキソン「A」の代わりにcDNA2はエキソン「B」を含むことを示す)領域を含む。上記の二つのcDNAは配列同一性の領域を含むので、両方のcDNAに見られる配列を含む遺伝子の全体あるいは一部に由来するプローブに、両者ともハイブリダイズする;従って、上記の二つのスプライスによる異型分子はそのようなプローブに対しても、相互にも実質的に相同である。
1本鎖の核酸に関して用いられる場合には、「実質的に相同な」という用語は上記のような低ストリンジェンシーの条件下で、その一本鎖の核酸配列とハイブリダイズできる(すなわち、相補である)プローブの全てを意味する。
本明細書に用いられる「ハイブリダイゼーション」という用語は、相補的な核酸が対を形成することに関して用いられる。ハイブリダイゼーションとハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間の結合の強度)は、核酸間の相補性の程度、結合の際の条件のストリンジェンシー、形成されたハイブリッドのTm,核酸内のG:C比のような因子に影響される。その核酸構造内に、相補的な核酸の対形成を含む単一分子は、「自己ハイブリダイズする」と言及される。
本明細書に用いられる「ストリンジェンシー」という用語は、温度、イオン強度、そして有機溶媒のような他の化合物の存在といった、核酸のハイブリダイゼーションが行われる際の条件に関して用いられる。「低ストリンジェンシーの条件」下において、関心の対象である核酸配列はその的確な相補的配列、単一塩基のミスマッチがある配列、密接に関連する配列(例えば、90%以上の相同性のある配列)、そして部分的な相同性しかない配列(例えば、50〜90%の相同性のある配列)とハイブリダイズする。「中等度のストリンジェンシーの条件」下では、関心の対象である核酸配列は、その的確な相補的配列、単一塩基のミスマッチのある配列、および密接に関連する配列(例えば、90%以上の相同性)としかハイブリダイズしない。「高ストリンジェンシーの条件」下では、関心の対象である核酸配列は、その厳密な相補的配列、そして(温度などの条件によって)単一塩基のミスマッチのある配列としかハイブリダイズしない。言い換えると、高ストリンジェンシーの条件下では、単一塩基のミスマッチのある配列とのハイブリダイゼーションを除外するべく温度を高めることができる。
核酸のハイブリダイゼーションに関して用いられる場合の「高ストリンジェンシーの条件」は、長さが約500ヌクレオチドからなるプローブを用いた時に、42℃で5X SSPE (43.8 g/l NaCl、6.9 g/l NaH2PO4 H2Oおよび1.85 g/l EDTA、pHをNaOHで7.4に調整)、0.5% SDS、5X デンハート試薬、および100μg/ml変性サケ精子DNAからなる溶液中で結合あるいはハイブリダイゼーションを行い、42°Cで0.1X SSEP、1.0% SDSを含む溶液中で洗浄する条件に相当する。
核酸のハイブリダイゼーションに関して用いられる場合の「中等度のストリンジェンシーの条件」は、長さが約500ヌクレオチドからなるプローブを用いた時に、42℃で5X SSPE (43.8 g/l NaCl、6.9 g/l NaH2PO4 H2Oおよび1.85 g/l EDTA、pHをNaOHで7.4に調整)、0.5% SDS、5X デンハート試薬、および100μg/ml変性サケ精子DNAからなる溶液中で結合あるいはハイブリダイゼーションを行い、42°Cで1.0X SSEP、1.0% SDSを含む溶液中で洗浄する条件に相当する。
核酸のハイブリダイゼーションに関して用いられる場合の「低ストリンジェンシーの条件」は、長さが約500ヌクレオチドからなるプローブを用いた時に、42℃で5X SSPE (43.8 g/l NaCl,6.9 g/l NaH2PO4 H2Oおよび1.85 g/l EDTA、pHをNaOHで7.4に調整)、0.1% SDS、5X デンハート試薬[50X デンハート試薬が500mlあたりに含まれる:5gファイコール(タイプ400、Pharmacia)、5gBSA(フラクションV; Sigma)]、および100μg/ml変性サケ精子DNAからなる溶液中で結合あるいはハイブリダイゼーションを行い、42°Cで5X SSEP、0.1% SDSを含む溶液中で洗浄する条件に相当する。
当技術分野では、低ストリンジェンシーの条件を成り立たせるために多数の同等な条件が使用できることは周知である;プローブの長さや性状のような因子(DNA、RNA、塩基組成)やターゲット(DNA、RNA、塩基組成、溶液中に存在するかあるいは固定化されているか等)および塩やその他の組成物の濃度(例えば、フォルムアミド、デキストラン硫酸やポリエチレングリコールの有無)が考慮され、ハイブリダイゼーションを行う溶液は上記の条件と同等ではあるが、異なった低ストリンジェンシーの条件を作成するために多様であってもよい。さらに、当技術分野では、高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイゼーションを促進する条件(例えば、ハイブリダイゼーションおよび/あるいは洗浄ステップの温度を高める、ハイブリダイゼーション溶液中にフォルムアミドを使用する等)(「ストリンジェンシー」についての上記の定義を参照)が知られている。
本明細書において用いられる「増幅オリゴヌクレオチド」という用語は、ターゲットの核酸、あるいはその相補配列とハイブリダイズし、核酸増幅反応に関与するオリゴヌクレオチドを意味する。増幅オリゴヌクレオチドの一例は、テンプレートの核酸とハイブリダイズし、増幅過程でポリメラーゼにより伸長される3’OH末端を含む「プライマー」である。増幅オリゴヌクレオチドのもう一つの例は、ポリメラーゼによって伸長されないが(例えば、ブロックされた3’末端を有するので)、増幅に加わるかあるいは増幅を促進するオリゴヌクレオチドである。増幅オリゴヌクレオチドは随意に、修飾されたヌクレオチドまたは類似化合物、あるいは増幅反応に関与するがターゲットの核酸に相補的でなかったり、あるいはターゲット核酸に含まれていない、追加のヌクレオチドを含めても良い。増幅オリゴヌクレオチドには、ターゲットやテンプレートの配列に相補的でない配列が含まれても良い。例えば、プライマーの5’領域には、ターゲットの核酸に非相補的なプロモーター配列(「プロモーター−プライマー」と呼ばれる)が含まれても良い。当業者は、プライマーとして機能する増幅オリゴヌクレオチドは、プロモータープライマーとして機能するように5’プロモーター配列を含むように修飾されてもよいことを理解している。同様に、プロモーター−プライマーは、プロモーター配列を除去したり、それなしで合成しても、なおプライマーとして機能するように修飾されてもよい。3’末端がブロックされた増幅オリゴヌクレオチドは、プロモーター配列を提供し、重合のテンプレートとなることもできる(「プロモーター−プロバイダー」と呼ばれる)。
本明細書に用いられる「プライマー」という用語は、精製された制限酵素による消化物として得られる天然のものであろうと、合成品であろうと、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下に置かれると(すなわち、ヌクレオチド、DNAポリメラーゼのような誘導剤の存在下で、適切な温度とpHにおいて)、合成の開始点として作用できるオリゴヌクレオチドを意味する。上記プライマーは、増幅における効率を最大にするために一本鎖であることが好ましいが、あるいは二本鎖であってもよい。もし二本鎖である場合には、プライマーは、伸長産物の調製のために使用される前に、先ず二本鎖を分離する処理を受ける。上記のプライマーは、オリゴヌクレオチドであることが好ましい。プライマーは誘導剤の存在下で伸長産物の合成を開始するために充分な長さが必要である。プライマーの正確な長さは、温度、プライマー源や使用する方法を含めた多くの因子に依存する。
本明細書に用いられる「プローブ」という用語は、精製された制限酵素消化物としての天然のものであれ、合成や組み換えにより、あるいはPCR増幅により産生されたものであろうと、関心の対象である別のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部とハイブリダイズできるオリゴヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチド配列)を意味する。プローブは一本鎖であってもよいし、二本鎖であっても良い。プローブは、特定の遺伝子配列の検出、同定、および単離に有用である。本明細書に開示される方法において用いられるプローブは全て、どの検出システムにおいても検出が可能なように、酵素(例えば、酵素を用いた組織化学的アッセイばかりでなくELISA)、蛍光、放射活性、発光系を含むがそれらに限定されない、いずれかの「レポーター分子」で標識されることができると考えられている。本明細書に開示される組成物とそのような組成物を使用する方法は、特定の検出システムや標識のいずれかに限定されるものではない。
「単離されたオリゴヌクレオチド」あるいは「単離されたポリヌクレオチド」のように核酸に関して用いられる「単離された」という用語は、同定され、天然源において通常付随される少なくとも一つの成分あるいは夾雑物から分離された核酸配列を意味する。単離された核酸は、天然にあるものとは異なる状況や形体において存在する。対照的に、DNAやRNAのような核酸として単離されていない核酸は、天然に存在する状態で見られる。例えば、あるDNA配列(例えば、遺伝子)は宿主細胞の染色体上に隣接する遺伝子の近くに見られる;特異的なタンパク質をコードする特異的なmRNA配列のようなRNA配列は細胞内に、多数のタンパク質をコードする多数の他のmRNAとの混合物として見られる。しかしながら、一例として、あるタンパク質をコードする単離された核酸は、生来の細胞のものとは異なる染色体の位置にあってそのタンパク質を普通に発現している細胞にある核酸、あるいはそうでなければ天然にみられるものとは異なる核酸配列に隣接された核酸を含む。上記の単離された核酸、オリゴヌクレオチド、あるいはポリヌクレオチドは、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。単離された核酸、オリゴヌクレオチド、あるいはポリヌクレオチドがタンパク質を発現するために用いられる場合は、前記オリゴヌクレオチド、あるいはポリヌクレオチドは、最小限、センスあるいはコード鎖(すなわち、オリゴヌクレオチドあるいはポリヌクレオチドは一本鎖でもよい)を含むが、センスおよびアンチセンス鎖の両方を含んでいても良い(すなわち、オリゴヌクレオチドあるいはポリヌクレオチドは二本鎖であってもよい)。
本明細書に用いられる「精製された」あるいは「精製すること」という用語は試料から幾つかの成分(例えば夾雑物)を除去することを意味する。例えば、抗体は混入する非免疫グロブリンタンパク質を除去することにより精製される;それらはまた、ターゲット分子に結合しない免疫グロブリンを除去することによっても精製される。非免疫グロブリンタンパク質の除去および/あるいはターゲット分子に結合しない免疫グロブリンの除去は、試料中のターゲットに反応する免疫グロブリンのパーセントの増加をもたらす。別の実施例では、組み換えポリペプチドがバクテリア宿主細胞で発現され、そのポリペプチドは宿主細胞タンパク質の除去によって精製される;試料中の組み換えポリペプチドのパーセントはそれによって増加される。
発明の詳細な説明
本明細書に開示される組成物と方法は、前立腺癌における反復性の遺伝子再編成の発見に基づく。これらの組成物と方法は、直接的にまたは間接的にMIPOL1-ETV1遺伝子再編成の検出、あるいはそれをターゲットとする診断への応用、治療法および治療の評価に有用である。
I. 遺伝子再編成
本明細書に開示される反復性の遺伝子再編成は、前立腺癌の徴候を意味する。これらの遺伝子再編成はMIPOL1遺伝物質がETV1遺伝子座位へ挿入される染色体再編成に起因する。これらの反復性の遺伝子再編成は前立腺癌の有用な診断用マーカーであり治療のターゲットである。
幾つかの実施形態においては、ETV1の全てあるいは一部がMIPOL1遺伝子座位に挿入される(例えば、イントロンへ)。上記の遺伝子再編成は、例えば、MIPOL1遺伝子座位へ挿入されたETV1遺伝子の少なくとも一部を有するゲノムDNAの染色体再編成として検出可能である。
II. 抗体
本明細書に開示される遺伝子再編成はその結果として、診断や治療への応用に有用な抗体を産生するための免疫原として使用可能な、その断片、誘導体、および類似体を含めた、タンパク質をもたらす。このような抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ型、またはヒト化型であってもよく、単鎖あるいはFab断片でもよく、標識されてもされなくてもよく、これらの全てがよく知られた方法と標準的な実験室操作によって作製できるものである。例えば、Burns編、Immunochemical Protocols(免疫化学のプロトコール)、第3版、Humana Press [2005];HarlowとLane, Antibodies:A Laboratory Manual (抗体:実験室操作法)、Cold Spring Harbor Laboratory [1988];Kozbor等、Immunology Today 4:72 [1983];KohlerとMilstein、Nature 256:495[1975]を参照。
III. 診断的応用
本明細書に開示されたMIPOL1-ETV1遺伝子再編成は、直接的にあるいは間接的に、上記の遺伝子再編成の結果としての遺伝子再編成、あるいは遺伝子再編成の結果として特異的に生成される産生物を検出する、DNA、RNAおよびタンパク質に基づく診断方法を提供する。上記の開示されるMIPOL1-ETV1遺伝子再編成はまた、上記の遺伝子再編成の全てを、あるいは一部を特異的に検出するオリゴヌクレオチドプローブのような診断目的に有用な組成物を提供する。そのような組成物はその形体がキットであってもよい。
開示される診断方法は、定性的でも定量的でもよい。定量的方法は、たとえば、治療医師と患者に有用な診断および/あるいは予後に関する情報の提供となる、そのレベル以上の発現が癌の急速な進行性に関する情報を提供するという閾値のレベルやカットオフ値を介して、緩徐進行型の癌と急速進行型の癌を識別できるかもしれない。定性的、あるいは定量的な診断方法には、MIPOL1-ETV1の遺伝子再編成に伴う特異的なターゲットの存在やレベルを示すマーカーとして働く配列を増幅する普遍的なプライマーを用いるといったような、ターゲット、シグナルあるいは仲介物の増幅が含まれてもよい。
初めのアッセイは、遺伝子再編成の存在を確認するかもしれないが特異的な再編成を同定できないかもしれない。もし必要であれば、特定の再編成を同定するためにその次のアッセイが行われる。第二のアッセイは、最初のアッセイとは異なる検出技術を使用することもできる。
ここで開示されるMIPOL1-ETV1遺伝子再編成は、マルチプレックスあるいはパネル形式で、その他のマーカーと合わせて検出されることもできる。マーカーは、単独での、あるいは上記の遺伝子再編成との組み合わせによる予測値によって選択される。典型的な前立腺癌のマーカーには、それらに限定されるものではないが以下のものが含まれる:AMACR/P504S(米国特許番号第6,262,245号); PCA3(米国特許番号第7,008,765号);PCGEM1(米国特許第6,828,429号);プロステイン/P501S、P503S、P504S、P509S、P510S、プロスターゼ/P703P、P710P(米国特許公開番号第20030185830号);および、米国特許番号第5,854,206号と米国特許公開番号第20030175736号に開示されるもので、それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる。その他の癌、疾患、感染および代謝状態に関するマーカーもまたパネル形式のマルチプレックスな読み取りに含めることで観察される。
本明細書に開示される診断方法は、特定の遺伝子再編成を前記の疾患のステージ、攻撃性、あるいは進行、または転移の存在あるいは危険性に相関するデータに関して修正されてもよい。これらの診断方法によって提供される情報は、そのような情報に基づいて、特定の患者に適切な治療法を選択する可能性のある医師に、有用な情報を提供する。
A. 試料
MIPOL1-ETV1遺伝子再編成を含む疑いのある生体試料の全てが、本明細書に開示される方法によってテストされ得る。そのような試料は組織(例えば、前立腺生検試料あるいは前立腺切除によって得られる組織)、血液、尿、精液、前立腺分泌物、あるいはそれらの分画(例えば、血漿、血清、尿上清、尿中の細胞ペレットあるいは前立腺細胞)であってもよく、それらは患者あるいはその他の生物学的材料源、例えば、剖検または法医学的材料、から得られてもよい。好ましい実施形態においては、尿試料は、前立腺から前立腺細胞を尿路へ流れさせる注意深い直腸診(DRE)の直後に採取される。
上記の試料は遺伝子再編成、あるいは遺伝子再編成のある細胞を単離あるいは濃縮するために処理されてもよい。この目的のために、例えば、遠心分離、免疫捕獲、細胞溶解、および核酸ターゲット捕獲のような標準的な実験室操作を用いる多様な技術が使用できる(例えば、本明細書にその全体を参照として組み込まれたヨーロッパ特許番号第1409727号を参照)。
B. DNAとRNAの検出
本明細書に開示されるMIPOL1-ETV1遺伝子再編成はゲノムDNAの染色再編成あるいは染色体再編成によって生成されるキメラmRNAとして、例えば、核酸配列決定、核酸ハイブリダイゼーション、そして、核酸増幅のような標準的な実験室方法にたよる、多様なよく知られた核酸技術を使って検出されてもよい。
1. 配列決定
例証となる核酸配列決定技術の非限定例としては、それらに限定されるものではないが、チェーンターミネーター配列決定法(Sanger)とダイターミネーター配列決定法が含まれる。当業者は、RNAは細胞内で安定性が低くヌクレアーゼにより消化されやすいので、実験においては、配列決定に先立ち、RNAは通常DNAに逆転写されることを認識している。
チェーンターミネーター配列決定法は、修飾されたヌクレオチド基質を使った配列特異的なDNA合成反応の停止を利用する。短い放射性の、あるいは他の標識による、テンプレートのその領域に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを使ってテンプレートの特異的な部位で伸長が開始される。上記のオリゴヌクレオチドプライマーは、DNAポリメラーゼ、標準の四つのデオキシヌクレオチド塩基、および最も一般的にはジデオキシヌクレオチドである低濃度の連鎖停止ヌクレオチドを使って、伸長される。DNAポリメラーゼによる連鎖停止ヌクレオチドの限られた組み込みの結果として、その特定のジデオキシヌクレオチドが使われた位置でのみ停止された一連の関連するDNA断片が生成される。各反応試験管について、平板ポリアクリルアミドゲルあるいは粘性のポリマーで満たされた毛細管をもちいた電気泳動によって、各断片がサイズによって分離される。配列は、ゲルを上から下へスキャンして、標識されたプライマーからの可視化されたマークがどのレーンに生じたかを読み取ることで決定される。
ダイターミネーター配列決定法は、代わりにターミネーターをラベルする。異なる波長において蛍光を発する別の蛍光色素でそれぞれのジデオキシヌクレオチドチェーンターミネーターで標識することによって一回の反応で完全な配列決定が行われる。
2. ハイブリダイゼーション
例証となる核酸ハイブリダイゼーション技術の非限定の例には、それらに限定されることはないが、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイ、およびサザンあるいはノーザンブロットが含まれる。
インサイツハイブリダイゼーション(ISH)は、特異的なDNAまたはRNA配列の存在を組織の一部あるいは切片において(インサイツ)、あるいは組織が充分に小さければ組織全体において(ホールマウントISH)位置づけるために、プローブとして標識された相補的なDNAあるいはRNA鎖を使用する。DNA ISHは染色体の構造を決定するために使用できる。RNA ISHは組織切片あるいはホールマウント(全標本)におけるmRNAの測量と位置づけのために使用される。細胞および組織試料は通常、ターゲットである転写産物をその場に固定し、プローブの接近を助長するための処理を受ける。高められた温度で、プローブはターゲット配列とハイブリダイズし、過剰のプローブは洗い流される。放射活性、蛍光、あるいは抗原を使って標識されたプローブの組織内の位置づけと定量が、それぞれオートラジオグラフィー、蛍光顕微鏡あるいは免疫組織化学法によって行われる。ISHは、二つ以上の転写産物を検出するために、放射活性またはその他の非放射活性標識によって標識された二つ以上のプローブを用いることができる。
2.1 FISH
幾つかの実施形態においては、遺伝子再編成は蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)を用いて検出される。好ましいFISHアッセイは、ヒトゲノム配列決定プロジェクト(Nature 409:953-958[2001]参照)に広く使われ、特異的なBACを含むクローンがどこででも入手可能であるかまたは標準的な実験室操作を使って作製できる細菌人工染色体(BAC)を用いる。ヒトゲノムからの各BACクローンには、それを明瞭に同定する参照名が付けられる。これらの参照名は、相当するGenBankの配列を探したり、販売者からのそのクローンのコピーを注文するために使用される。
MIPOL1-ETV1遺伝子再編成を検出するためのFISH法のプロトコールに使用できる特異的なBACクローンは、RP11-124L22およびRP11-703A4に特異的なプローブである。これらのプローブ、あるいはその他の適当なプローブは、適切な蛍光またはその他のマーカーで標識されてハイブリダイゼーションに使われる。本明細書に提供される実施例の項は、再編成を測定するために効果的な一つの特定なプロトコールを説明するが、熟練した当業者は、このアッセイの数多くの変形が、同様に使用できることを認識することは確かである。具体的なプロトコールは技術分野では周知のもので、MIPOL1-ETV1再編成を検出するために容易に順応させることができる。そのような方法論に関する指導要綱は以下のものを含めて多くの参照文献において提供される: In situ Hybridization: Medical Applications (インサイツハイブリダイゼーション:医学への応用)(G.R. CoultonとJ.de Belleroche編)、Kluwer Academic Publishers、Boston [1992]; In situ Hybridization: In Neurobiology; Advances in Methodology (インサイツハイブリダイゼーション:神経細胞学において;方法論の進歩)(J.H. Eberwine、K.L. Valentino, および J.D. Barchas編)、Oxford University Press Inc.、英国[1994];In situ Hybridization: A Practical Approach (インサイツハイブリダイゼーション:その実践)(D.G. Wilkinson編、Oxford University Press Inc.、英国[1992];Kuo等、Am. J. Hum. Genet. 49:112-119 [1991]; Klinger等、Am. J. Hum. Genet. 51:55-65 [1992]およびWard等、Am. J. Hum. Genet. 52: 854-865 [1993])。そのような方法論に関する指導要領を提供する特許には、米国特許第5,225,326号、5,545,524号、6,121,489号および6,573,043号が含まれ、また市販の入手可能なキットもFISH法の実施のプロトコールを提供する(例えば、Oncor, Inc.、 Gaithersburg、メリーランド)。これらの参照文献の全ては、その全体を参照として本明細書に組み込まれ、技術分野の同様な参考文献や、特定の実験施設が操作ステップを確立するために本明細書の実施例の項に提供される情報とを合わせて用いてもよい。
2.2 マイクロアレイ
マイクロアレイと呼ばれる異なる種類の生物学的アッセイには、それらに限定されるものではないが、以下のものが含まれる:DNAマイクロアレイ(例えば、cDNAマイクロアレイおよびオリゴヌクレオチドマイクロアレイ);タンパク質マイクロアレイ;組織マイクロアレイ;遺伝子導入あるいは細胞マイクロアレイ;化合物マイクロアレイ;そして抗体マイクロアレイ。一般的に遺伝子チップあるいはバイオチップとして知られるDNAマイクロアレイは、同時に何千という遺伝子の発現のプロファイルを調べたり、発現レベルをモニターする目的で、固体表面(例えば、ガラス、プラスチックあるいはシリコンチップ)に付着された顕微鏡的なDNAスポットの整列を集積させたものである。貼り付けられたDNAの分節はプローブとして知られ、その何千もが単一のDNAマイクロアレイに用いられることができる。マイクロアレイは、疾患のある細胞と正常な細胞における遺伝子発現を比較することにより、疾患関連遺伝子を同定するために使用できる。マイクロアレイは、それらに限定されるものではないが、以下のものを含めて多様な技術を使って製作される:ガラススライド上に先細のピンを用いて印を付ける;出来合いのマスクを用いたフォトリソグラフィ;マイクロミラーデバイスを使ったフォトリソグラフィ;インクジェットによる印付け;あるいは微小電極アレイ上での電気化学などによる。
サザンおよびノーザンブロット法が、特異的なDNAまたはRNAを検出するためにそれぞれ用いられる。試料から抽出されたDNAあるいはRNAは切断され、ゲル上で電気泳動的に分離され、フィルター膜上に移される。フィルターに結合したDNAあるいはRNAは、関心の対象である配列に相補的な標識されたプローブとのバイブリダイゼーションを遂行される。フィルターに結合したハイブリダイズしたプローブは検出される。上記の手順の変形が逆ノーザンブロットで、膜上に貼り付けられた基質核酸は分離されたDNAの断片を集めたもので、プローブが組織から抽出され標識されたRNAである。
3.増幅
ゲノムDNAとキメラmRNAの染色体再編成は、検出に先立って、あるいは検出と同時に増幅されても良い。核酸増幅技術の例証となる非限定の例には、それらに限定されるものではないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、転写媒介増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)が含まれる。当業者は、増幅技術のあるもの(例えば、PCR)では増幅に先立ってRNAがDNAに逆転写される必要があるが(例えば、RT-PCR)、他の増幅技術は直接RNAを増幅することを認識する(例えば、TMAおよびNASBA)。
一般的にPCRと呼ばれるポリメラーゼ連鎖反応(米国特許番号第4,683,195号、4,683,202号、4,800,159号、および4,965,188号のそれぞれの全体が参照として本明細書に組み込まれる)は、複数回のサイクルの変性、プライマー対の相対鎖へのアニーリング、ターゲット核酸配列のコピー数の指数関数的な増加をもたらすプライマーの伸長を利用する。RT-PCRと呼ばれるその変形においては、mRNAから相補的なDNA(cDNA)を生成するために逆転写酵素(RT)が使われ、続いてcDNAがPCRによって増幅され、DNAの多数のコピーを生成する。その他のPCRの多様な変更型については、例えば、米国特許番号第4,683,195号、4,683,202号、および4,800,159号;Mullis等、Meth. Enzymol. 155:335[1987];そしてMurakawa等、DNA 7:287[1988]を参照し、これらのそれぞれはその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
転写媒介増幅(米国特許番号第5,480,784号、および5,399,491号、そのそれぞれはその全体が参照として本明細書に組み込まれる)は、一般的にTMAと呼ばれ、ターゲットとする配列の多数のRNAコピーが自己触媒的に追加のコピーを生成する、温度、イオン強度、およびpHが実質的に一定な条件下で、自己触媒的にターゲット核酸配列の多数のコピーを合成する。例えば、米国特許番号第5,399,491号および5,824,518号を参照、これらのそれぞれはその全体が参照として本明細書に組み込まれる。米国特許公開番号第20060046265号(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載される変形法においては、TMAはTMAの過程の感受性と正確度を高めるために、ブロック用の部分、停止用の部分、およびその他の修正部分の使用を随意に組み込む。
リガーゼ連鎖反応(Weiss, R.、Science 254:1292[1991]、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)は一般的にLCRと呼ばれ、ターゲット核酸の隣接配列とハイブリダイズする二組の相補的なDNAオリゴヌクレオチドを使用する。上記のDNAオリゴヌクレオチドは、検出可能な二本鎖の結合されたオリゴヌクレオチド産物を生成するための、温度による変性、ハイブリダイゼーション、結合の繰り返しのサイクルにおいて、DNAリガーゼによって共有結合される。
鎖置換増幅(Walker, G. 等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:392-396 [1992];米国特許番号第5,270,184号、および5,455,166号を参照、そのそれぞれの全体が参照として本明細書に組み込まれる)は、一般的にSDAと呼ばれ、プライマー配列のターゲット配列対向鎖とのアニーリング、二本鎖のヘミホスホチオエート化されたプライマー伸長産物を生成するためのdNTPαSの存在下でのプライマー伸長、半修飾された制限エンドヌクレアーゼの認識部位のエンドヌクレアーゼ仲介によるニッキング(切れ目をいれること)、既存の核酸鎖を置換し、次のサイクルのプライマーのアニーリング、ニッキング、および鎖置換のために核酸鎖を生成するための切れ目の3’末端からのポリメラーゼ仲介によるプライマー伸長、のサイクルを用いて、産物のゲノム増幅をもたらす。好熱性のSDA(tSDA)は、基本的には同じ方法を、より高い温度で、好熱性のエンドヌクレアーゼとポリメラーゼを用いて行われる。(ヨーロッパ特許番号第0684315号)。
その他の増幅方法には、例えば、一般的にNASBAと呼ばれる、核酸配列ベース増幅(米国特許番号第5,130,238号、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)、一般的にQB自己複製酵素法と呼ばれる、プローブ分子自体を増幅するRNA複製酵素を用いるもの(Lizardi等、BioTechnol. 6: 1197[1988]、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)、転写に基づく増幅方法(Kwoh等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173[1989]);および、自己持続配列複製法(Guatelli等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 1874[1990]、そのそれぞれの全体が参照として本明細書に組み込まれる)が含まれる。既知の増幅方法のさらなる考察については、Persing, David H.、“In Vitro Nucleic Acid Amplification Techniques(「インビトロ核酸増幅技術」)、Diagnostic Medical Microbiology: Principles and Applications (診断用の医学微生物学:原理と応用) (Persing等、編.)、pp. 51-87、American Society for Microbiology (米国微生物学会)、ワシントンD.C[1993]を参照のこと。
4. 検出方法
非増幅の、または増幅された遺伝子再編成核酸は、従来のいずれの方法によっても検出され得る。例えば、前記の遺伝子再編成は、検出可能なように標識されたプローブとのハイブリダイゼーションと、その結果としてのハイブリッドの測定によって検出され得る。例証となる非制限の検出方法を以下に記載する。
例示的な検出方法の一つであるハイブリダイゼーション保護アッセイ(HPA)法は、化学発光性のオリゴヌクレオチド(例えば、アクリジニウムエステル標識(AE)プローブ)のターゲット配列へのハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションのないプローブ上の化学発光性の標識の選択的な加水分解、残りのプローブからの化学発光をルミノメーターにより測定することを含む。例えば、米国特許番号第5,283,174号およびNorman C. Nelson 等、Nonisotopic Probing, Blotting, and Sequencing(非同位体プローブ、ブロッティング、および配列決定)、第17章、(Larry J. Kricka、第2版、[1995]、そのそれぞれの全体が参照として本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
もう一つの例示的な検出方法は、リアルタイムで増幅過程の定量的な評価を提供する。増幅過程の「リアルタイム(実時間での)」評価には、増幅反応中の連続的なあるいは定期的な反応混合物中の増幅産物量の測定、最初に試料中に存在したターゲット配列の量の算定のための、測定値の使用が含まれる。リアルタイム増幅に基づく試料中の最初のターゲット配列量の決定のための多様な方法が技術分野ではよく知られている。これらには、米国特許番号第6,303,305号と6,541,205号において開示される方法が含まれ、そのそれぞれが全体として本明細書に組み込まれる。試料中に最初に存在したターゲット配列量を決定するまた別の方法が、リアルタイム増幅に基づくものではないが、米国特許番号第5,710,029号に開示され、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
増幅産物は、そのほとんどがステムループ構造を有する、多様な自己ハイブリダイゼーションプローブを使って検出されてもよい。そのような自己ハイブリダイゼーションプローブは、自己ハイブリダイゼーションの状態であるか、プローブがターゲット配列とのハイブリダイゼーションによってそれとは異なる状態にあるかによって、検出シグナルの発光が異なるように標識される。非制限の例として、「分子トーチ(molecular torch)」は、前もって決められたハイブリダイゼーション条件下で互いにハイブリダイズする、明瞭な自己相補性領域(「ターゲット結合ドメイン」や「ターゲット閉鎖ドメイン」と呼ばれる)を含む一種の自己ハイブリダイゼーションプローブである。好適な実施形態の一つにおいては、分子トーチは長さが1から約20塩基であるターゲット結合ドメインの一本鎖塩基領域を含み、鎖置換条件下での増幅反応において存在するターゲット配列とのハイブリダイゼーションに利用されやすい。鎖置換条件下においては、ターゲット結合ドメインに存在する一本鎖領域に結合して、ターゲット閉鎖ドメインの全てまたは一部に置換するターゲット配列が存在しない場合は、分子トーチの完全なあるいは部分的な相補性であり得る、二つの相補性領域のハイブリダイゼーションが起こりやすい。分子トーチのターゲット結合ドメインとターゲット閉鎖ドメインは、検出可能な標識、あるいは分子トーチが自己ハイブリダイズした場合と分子トーチがターゲット配列とハイブリダイズした場合とでは異なるシグナルが発せられるように位置づけられた、一対の相互作用のある標識(例えば、化学発光/消光剤)を含み、それによってハイブリダイゼーションのない分子トーチの存在下で試験試料中の「プローブ:ターゲット」の二本鎖の検出を可能にする。分子トーチおよび多種類の相互作用する対となる標識の組み合わせが知られている(例えば、米国特許番号第6,534,274号でその全体が参照として本明細書に組み込まれる)。
自己相補性を有する別の検出プローブの例は、「分子ビーコン(molecular beacon)」である(米国特許番号第5,925,517号、および6,150,097号を参照、それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる)。分子ビーコンは、ターゲット相補性配列、増幅反応において存在するターゲット配列が無い場合にはプローブを閉じられた配置に保持する親和性ペア(あるいは核酸分岐)、およびプローブが閉じられた配置にある場合に作用する標識ペアを含む。ターゲット配列とターゲット相補性配列とのハイブリダイゼーションは親和性ペアを分離し、それによって、プローブを開いた配置に変える。開いた配置への変化は、標識ペアの作用が減少することによって検出可能で、それは例えば、フルオロフォアと消光剤(例えば、DABCYLとEDANS)であってもよい。
その他の自己ハイブリダイゼーションプローブが当業者にはよく知られている。非限定の例として、相互作用のある標識を有するプローブ結合対(例えば、米国特許番号第5,928,862号があり、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)は本明細書に開示される組成物と方法における使用のために適合させてもよい。一塩基多型(SNP)を検出するためのプローブシステムもまた使用してもよい。さらに追加される検出システムには、「分子スイッチ」(例えば、米国特許公開番号20050042638号があり、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)。挿入色素および/または蛍光色素を含むもののような、その他のプローブもまた本明細書に開示される方法において増幅産物の検出に有用である(例えば、米国特許番号第5,814,447号があり、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)。
C. データの解析
幾つかの実施形態においては、検出アッセイによって生じる生のデータ(例えば、与えられた一つあるいは複数のマーカーの有無、あるいは量)を、臨床医にとって予言的なデータに書き変えるためにコンピューターによる解析プログラムが用いられる。臨床医は、適切な手段のいずれかを用いて、予言的なデータを利用することができる。従って、好適な実施形態の幾つかにおいては、本発明は、遺伝学や分子生物学の訓練を受けていることはなさそうな臨床医が生のデータを理解する必要はない。上記のデータは、最も有用な形式で臨床医に直接、呈示される。そこで、臨床医は、得られた情報を直ちに、患者の医療を最適化するために利用できる。
アッセイを行って情報を提供する研究施設と、医療従事者、および患者間の相互の情報の授受、処理、および伝達を可能にするどんな方法が使われても良い。例えば、本発明の幾つかの実施例においては、試料(例えば、生検、血清、あるいは尿試料)は患者から得られ、世界のどこかに所在する(例えば、患者の居住国あるいは得られる情報が最終的に利用される国とは異なる国における)プロファイルを調べるサービス(例えば、医療施設の臨床検査室、ゲノムプロファイルを調べる業者等)へ、生のデータを作成するために提出される。前記の試料が組織あるいはそのほかの生物学的試料からなる場合は、患者が医療機関に出向いて試料が採取されプロファイルを調べる機関に送られる、あるいは患者が自ら試料を採取し(例えば、尿試料)直接、プロファイルを調べる機関へ送っても良い。試料が、あらかじめ決定された生物学的情報を含む場合には、患者によってその情報が直接、プロファイルを調べるサービスへ送られてもよい(例えば、コンピューターによってスキャンできる情報を含む情報カードや電子通信システムを使ってプロファイルを調べる機関のコンピューターに伝達されるデータ)。ひとたびプロファイルを調べるサービス機関によって受理されれば、試料は処理され、患者が願望する診断的なあるいは予後診断的な情報に特異的なプロファイル(すなわち、発現データ)が作成される。
プロファイルのデータは、治療を行う臨床医が解釈するために適切なファイル形式で調整される。例えば、生の発現データを提供するよりは、調整されたファイル形式は、特定の治療の選択肢についての推薦事項に添えて、診断や危険性の評価(例えば、癌がある可能性)を呈示し得る。前記のデータは、臨床医に適切な方法のいずれを用いて表示されてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、プロファイルを調べるサービス機関は、臨床医のために印刷可能なレポートを作成したり(例えば、治療の場で)あるいは臨床医にコンピューターのモニター上で表示してもよい。
幾つかの実施形態においては、上記の情報はまず、治療の場であるいは地方の施設で解析される。生のデータはそれから、さらなる分析および/あるいは生のデータを臨床医または患者にとって有用な情報に変換させるために中央の処理施設へ送られる。中央の処理施設は、プライバシー(全てのデータは一定の警備プロトコルによって中央施設に保管される)、スピード、およびデータ分析の均一性といった有利性を提供する。中央の処理施設は、次に患者の治療後のデータ処置を制御できる。例えば、電子通信システムを用いて、中央施設はデータを臨床医、患者あるいは研究者に提供できる。
幾つかの実施形態においては、患者は直接電子通信システムを使って、データを入手できる。患者は、前記の結果に基づいて、さらに治療を受けたり、助言を求めることを選択するかもしれない。幾つかの実施形態においては、データが研究目的に使用される。例えば、上記のデータは疾患の特定の症状あるいはステージの有用なマーカーとして、マーカーの組み入れや除外をさらに最適化するために使用される。
D. インビボ画像解析
本明細書に開示される遺伝子再編成はまたインビボ画像解析技術を使用して検出することもでき、それらに限定されるものではないが、それには以下の技術が含まれる;放射性核種画像解析;ポジトロン断層撮影法(PET);コンピューター断層撮影法、X線あるいは核磁気共鳴画像解析法、蛍光検出、および化学発光検出。幾つかの実施形態においては、インビボ画像解析技術は動物体内(例えば、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物)における癌のマーカーの存在や発現を可視化するために用いられる。例えば、幾つかの実施形態においては、癌のマーカーに特異的な、標識された抗体を使って癌のマーカーのmRNAあるいはタンパク質が標識される。特異的に結合した標識された抗体は、それらに限定されるものではないが、放射性核種画像解析、ポジトロン断層撮影法、コンピューター断層撮影法、X線あるいは核磁気共鳴画像解析法、蛍光検出、および化学発光検出を含む生体画像解析法によって体内で検出され得る。開示される癌のマーカーに対する抗体の作製法は上述のとおりである。
MIPOL1-ETV1の再編成あるいはそれに由来する産物を検出する本明細書に開示される組成物を用いるインビボ画像解析法は、癌の診断、本明細書に開示される癌のマーカーを発現する癌の、特に前立腺癌の、診断に有用である。インビボ画像解析は、癌の徴候を示すマーカーの存在を可視化し、不快な生検を用いないで診断および/予後の診断を可能にする。例えば、転移を起こる可能性の高い癌の徴候を示すマーカーの存在が検出され得る。インビボ画像解析法はさらに体の別の部位における転移癌の検出に使用できる。
幾つかの実施形態においては、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する癌のマーカーに特異的な試薬(例えば、抗体)が蛍光によって標識される。標識された抗体は患者に導入される(例えば、経口的に、あるいは非経口的に)。蛍光によって標識された抗体は適切な方法やシステムのいずれかを使って検出される(例えば、米国特許番号第6,198,107号があり、本明細書に参照として組み込まれる)。
他の実施形態においては、抗体は放射活性を使って標識される。インビボ診断のための抗体の使用は、例えば、腫瘍の画像解析のために抗体に基づく標識システムの使用は当分野では周知である(Sumerdon等、Nucl. Med. Biol. 17:247-154[1990];Griffin等、J. Clin. Onc. 9:631-640[1991]、およびLauffer、Magnetic Resonance in Medicine(医学における核磁気共鳴):22:339-342[1991])。抗体に基づくシステムに用いられる標識は、例えば、平面スキャンや単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)に使われるインジウム−111、テクネチウム−99m、あるいはヨウ素−131のような放射活性標識、ポジトロン断層撮影法(PET)に使われるフッ素−19のようなポジトロン放出核種標識、MRIに使われるガドリニウム(III)あるいはマンガン(II)のような常磁性のイオンのように、選択される画像解析の様式に依存する。
スカンジウム−47(3.5日)、ガリウム−67(2.8日)、ガリウム−68(68分)、テクネチウム−99m(6時間)、およびインジウム−111(3.2日)のような半減期が1時間から3.5日の放射活性金属が抗体との結合体形成に利用でき、そのうち、ガリウム−67、テクネチウム−99m、およびインジウム−111は、ガンマ線画像解析に好適であり、ガリウム−68はポジトロン断層撮影法に好適である。
そのような放射性金属で抗体を標識する有用な方法は、例えば、Khaw等(In-111 _およびTc- 99mに関しては、Science 209:205 [1980])およびScheinberg等(Science 215:1511[1982])により記載されたようにジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)のような二機能性試薬の使用による。その他のキレート剤もまた使用できるが、1−(p-カルボキシメトキシベンジル)EDTAやDTPAのカルボキシ炭酸無水物は、抗体の免疫反応性に実質的な影響を与えないで結合体形成ができるので有利である。
DPTAをタンパク質に結合させるもう一つの方法としては、Hnatowich等により(Int. J. Appl. Radiat. Isot. 33:327[1982])アルブミンをIn-111で標識することが記載された、抗体の標識に適応できるDTPAの環状無水物の使用によるものである。Tc-99mを用いて抗体を標識する適切な方法が知られている(例えば、Crockford等、米国特許番号第4,323,546号があり、本明細書に参照として組み込まれる)。
Tc-99mで免疫グロブリンを標識する好適な方法の一つは、血漿タンパク質についてWong等によって記載されたもので(Int. J. Appl. Radiat. Isot., 29:251[1978])、最近、Wong等によって(J. Nucl. Med., 23:229[1981])抗体の標識に適用され成功した方法である。
特異的な抗体に結合させた放射性金属については、同様にその免疫特異性を破壊しないで抗体に可能な限り高い比率で放射性標識を導入することが望ましい。抗体の抗原結合部位の保護を確実にするために、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する特異的な癌マーカーの存在下で放射性標識を行うことでさらに改良され得る。抗原は標識後に分離される。
さらに追加される実施形態においては、インビボ画像解析のために、インビボバイオフォトニック画像解析法(Xenogen、Almeda、カリフォルニア)が用いられる。このリアルタイムインビボ画像解析法は、発光反応を触媒する酵素であるルシフェラーゼを利用する。前記癌マーカーが活性を示す時は、CCDカメラと適切なソフトウェアを使って、画像として捕らえられる発光が起こるように、ルシフェラーゼ遺伝子が細胞、微生物、および動物に組み込まれる(例えば、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する癌マーカーとの融合タンパク質を生成するため)。
E. 組成物およびキット
本明細書に開示される診断方法に用いられる組成物は、それらに限定されるものではないが、プローブ、増幅オリゴヌクレオチド、および抗体を含む。上記組成物は、MIPOL1-ETV1再編成の産物を、好ましくはMIPOL1遺伝物質に挿入されたETV1遺伝物質を検出する。これらの組成物は、限定されるものではないが、次のものを含む:ETV1がMIPOL1遺伝子座位に挿入された連結部(すなわち、遺伝子再編成連結部に及ぶ)とハイブリダイズする配列を含む単一の標識プローブ;第一の増幅オリゴヌクレオチドがMIPOL1とハイブリダイズする配列を含み、第二の増幅オリゴヌクレオチドがETV1とハイブリダイズする配列を含む、一対の増幅オリゴヌクレオチド。しかし、その他の有用な組成物には、第一の標識プローブがMIPOL1とハイブリダイズする配列を含み、第二の標識プローブがETV1とハイブリダイズする配列を含む、一対の標識プローブが含まれる。
これらの組成物のいずれも、単独で、あるいは本明細書に開示されるか、当分野では周知の他の組成物との組み合わせにおいて、キットの形で提供され得る。例えば、単一の標識プローブと一対の増幅オリゴヌクレオチドは、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成の増幅と検出のためのキットとして提供されてもよい。キットはさらに適切な対照標準物質および/または検出試薬を含む。本明細書に記載される方法のいずれかにおいて有用な一つ以上の試薬のいずれもが、キットとして提供されることができる。
上記プローブと抗体の組成物もまた、アレイの形で提供されてよい。
IV. 薬物スクリーニングへの応用
幾つかの実施形態においては、前記の開示される組成物と方法は薬物のスクリーニングアッセイに使用される(例えば、癌治療薬をスクリーニングするため)。これらのスクリーニングの方法は、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連するものを含む癌マーカーを使用するが、それらの遺伝子再編成に限定されるものではない。例えば、実施形態の一つは、MIPL1-ETV1遺伝子再編成に関連するものを含む癌マーカー遺伝子の発現を変化させる(例えば、減少させる)化合物をスクリーニングしてもよい。スクリーニングされる化合物あるいは薬物は転写を妨げてもよいし(例えば、プロモーター領域との作用によって)、再編成によって生成されるmRNAを妨げてもよいし(例えば、RNA干渉、アンチセンス技術等)、あるいは前記遺伝子再編成の生物学的活性の上流あるいは下流の経路を妨げてもよい。幾つかの実施形態においては、候補化合物は、癌マーカーに対するアンチセンスあるいはRNA干渉作用物質(例えば、オリゴヌクレオチド)である。他の実施形態においては、候補化合物はMIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する癌マーカー調節分子あるいは発現産物と特異的に結合してその生物学的機能を阻害する抗体あるいは小分子化合物である。
幾つかの実施形態においては、候補化合物は、化合物を癌マーカーを発現する細胞に接触させて、その化合物の発現に及ぼす影響をアッセイすることによって、癌マーカーの発現を変化させる能力で評価される。幾つかの実施形態においては、候補化合物の癌マーカー遺伝子の発現への影響を、細胞によって発現される癌マーカーのmRNA量を検出することによってアッセイする。mRNA発現は適切な方法のいずれによって検出されてもよい。別の実施形態においては、候補化合物の癌マーカー遺伝子の発現への影響は、癌マーカーによってコードされるポリペプチドの量を測定することによってアッセイされる。発現されたポリペプチドの量は、それらに限定されるものではないが、本明細書に開示される方法を含めた適切な方法のいずれかを使って測定できる。
試験化合物は、生物学的ライブラリ、ペプトイドライブラリ(ペプチドの機能性があるが、新規な非ペプチドの化学構造を有していて、酵素分解には抵抗性があるが、それにもかかわらず生物学的に活性な分子のライブラリ;Zuckennann等、J. Med. Chem. 37 : 2678-85 [1994]を参照)、空間的にアドレスが付けられるパラレル固相あるいは液相ライブラリ、デコンボルーション(deconvolution)を必要とする合成ライブラリ法、「一ビーズ一化合物」ライブラリ法、および親和性クロマトグラフィーによる選択を使った合成ライブラリ法を含めた、当分野では周知の網羅的な化合物ライブラリ法における多数のやり方のいずれかを使って得ることが出来る。ペプチドライブラリを用いた生物学的ライブラリとペプトイドライブラリによる取り組みが好ましく、その他の四つの取り組みは、ペプチド、非ペプチドオリゴマー、または小分子化合物のライブラリについて適用できる(Lam(1997) Anticancer Drug Des. 12:145)。
分子ライブラリの合成法の実施例は、当技術分野でみつけることができ、例えば、DeWitt等、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6909 [1993];Erb 等、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 91:11422[1994];Zuckermann等、J. Med. Chem. 37:2678[1994];Cho等、Science 261:1303[1993];Carrell等、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33. 2059 [1994];Carell等、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061[1994]およびGallop等、J.Med. Chem. 37:1233[1994]が参照できる。
化合物のライブラリは、溶液(例えば、Houghton、Biotechniques 13:412−421[1992])で、ビーズ上で(Lam、Nature 354:82-84[1991])、チップ上で(Fodor、Nature 364:555-556[1993])、バクテリアまたは胞子として(米国特許番号第5,223,409号、参照として本明細書に組み込まれる)、プラスミドとして(Cull等、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 89:1865−1869[1992])あるいはファージ上に(ScottとSmith、Science 249:386−390[1990];Devlin、Science 249:404-406[1990];Cwirla等、Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382[1990];Felici、J. Mol. Biol. 222:301 [1991])提示され得る。
VI. 治療への応用
幾つかの実施形態は、癌(例えば、前立腺癌)の治療法を提供する。好適な治療の実施形態は、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連するものを含む癌マーカーを、直接的または間接的にターゲットとする。
A. RNA干渉とアンチセンス治療法
幾つかの実施形態は、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する癌マーカーの発現をターゲットとする。幾つかの実施形態は、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する癌マーカーをコードする核酸分子の機能を調整する、究極的には発現される癌マーカーの量を調整するために使用するオリゴマーのアンチセンスあるいはRNAi化合物、特にオリゴヌクレオチド(例えば、上記の薬物スクリーニング方法において同定された)を含む。
1. RNA干渉(RNAi)
幾つかの実施形態においては、RNAiはMIPOL1-ETV1遺伝子再編成の発現を阻害するために用いられる。RNAiは、ヒトを含めたほとんどの真核生物における外来性の遺伝子の発現を調整するための、進化的に保存された細胞性防御を象徴する。RNAiは、典型的には二本鎖RNA(dsRNA)によって誘発され、dsRNAに応答して相同性の一本鎖ターゲットRNA配列特異的mRNA分解を起こす。mRNA分解を仲介するのは短い干渉RNA二本鎖(siRNA)であり、それらは、通常は細胞内で長いdsRNAから酵素による切断によって生成される。siRNAは一般的にほぼ21ヌクレオチドの長さ(例えば、21〜23ヌクレオチドの長さ)であり、二つのヌクレオチドの3’オーバーハング(突出)が特徴の塩基対構造を持つ。短いRNA、あるいはRNAiの細胞への導入に続いて、その配列がRISC(RNA誘導サイレンシング複合体)と呼ばれる酵素複合体に届くと考えられている。RISCはターゲットを認識し、エンドヌクレアーゼで切断する。もし、より長いRNA配列が細胞に入ると、RNase IIIの酵素(ダイサー)が長いdsRNAを21〜23ヌクレオチドの二本鎖siRNA断片に変える。幾つかの実施形態においては、RNAiオリゴヌクレオチドは遺伝子再編成の結合領域をターゲットとするようにデザインされる。
化学的に合成されたsiRNAは培養された体細胞における哺乳類動物の遺伝子機能のゲノム全体での分析のための強力な試薬となった。遺伝子機能の確認のための価値を超えて、siRNAはまた遺伝子特異的な治療薬(TuschlとBorkhardt、Molecular Intervent. 2002; 2(3):158-67、本明細書に参照として組み込まれる)としての偉大な可能性を有する。
siRNAの動物細胞への形質導入は、結果として特異的遺伝子の、強力で長く持続する、転写後サイレンシングをもたらす(Caplen等、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2001; 98: 9742-7、Elbashir等、Nature 2001; 411:494-8、Elbashir等、Genes Dev. 2001; 15:188−200、およびElbashir等、EMBO J. 2001;20:6877−88、これらの全ては参照として本明細書に組み込まれる)。siRNAを使ってRNAiを実施するための方法や組成物については周知である(例えば、米国特許第6,506,559号があり、参照として本明細書に組み込まれる)。
siRNAはターゲットRNAの量を、伸展タンパク質によって、しばしば検出不可能な量にまで減少させることに並外れた効果がある。上記のサイレンシング効果は数ヶ月持続し、ターゲットRNAとsiRNAの中央領域の間の単一のヌクレオチドの不整合はしばしばサイレンシングを妨げるので、並外れて特異的である(Brummelkamp等、Science 2002;296:550-3、およびHolen等、Nucleic Acids Res. 2002; 30:1757-66の両方が参照として本明細書に組み込まれる)。
siRNAのデザインにおいて重要な因子は、siRNAの結合のための接近部位の存在である。Bahoia等は(J. Biol. Chem. 2003; 278:15991-15997、参照として本明細書に組み込まれる)、効果的なsiRNAをデザインするためにmRNAにおける接近部位を見つけるためのスキャニングアレイと呼ばれる一種のDNAアレイを使用することを説明している。これらのアレイは、サイズがモノマーから通常はコマー(Comers)である一定の最大数にわたる配列の各塩基を一つずつ加えていくことにより物理的な遮蔽物(マスク)を使って合成されるオリゴヌクレオチドから成る。従って、アレイはターゲット遺伝子のある領域に相補する完全なオリゴヌクレオチドを提示する。ターゲットmRNAのこれらのアレイへのハイブリダイゼーションは、ターゲットmRNAのこの領域の網羅的な、接近可能性のプロファイルを提供する。そのようなデータは、有効性とターゲット特異性を保持するために、オリゴヌクレオチドの長さと結合親和性の間の折り合いを達成することが重要である、アンチセンスのオリゴヌクレオチド(7マーから25マーにわたる)のデザインに有用である(Sohail等、Nucleic Acids Res.、2001; 29(10):2041−2045)。さらに追加される方法とsiRNAの選択に関する懸念については、例えば、国際公開番号第WO05054270号、国際公開番号第WO05038054A1号、国際公開番号第WO03070966A2号、J, Mol. Biol. 2005 May 13; 348(4):883-93、J. Mol. Biol. 2005 May 13; 348(4)871-81、およびNucleic Acids Res. 2003 Aug 1;31(15):4417-24に記載され、これらのそれぞれは、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。さらに、ソフトウェア(例えば、MWGオンラインsiMAX siRNAデザインツール)が、siRNAの選択のために市販で、あるいは公的に入手可能である。
2. アンチセンス
他の実施形態においては、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成の発現は、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する癌マーカーをコードする一つ以上の核酸と特異的にハイブリダイズするアンチセンス化合物を用いて調整される。オリゴマー化合物とそのターゲットの核酸の特異的なハイブリダイゼーションは、その核酸の正常な機能を妨げる。特異的にハイブリダイズする化合物による、ターゲット核酸の機能の調整は、一般的に「アンチセンス」と呼ばれる。DNAの妨げられる機能には複製と転写が含まれる。RNAの妨げられる機能には、例えば、タンパク質翻訳部位へのRNAの転座、RNAからのタンパク質の翻訳、一つ以上のm RNAを生じるためのスプライシング、RNAに関与するか、あるいは促進される触媒作用、のような生命維持のための全ての機能が含まれる。ターゲット核酸機能に対するそのような干渉はMIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する癌マーカーの発現調節となる。本明細書に用いられる「調節」という用語は、ある遺伝子の発現の増大(刺激)か、あるいは減少(阻害)を意味する。例えば、発現の阻害は、腫瘍の増殖を潜在的に防ぎ得る。
アンチセンス法は、好ましくは特異的な核酸をターゲットとする。アンチセンス化合物が特定の核酸を「ターゲットとする」という用語は、通常、調節されるべき機能に関わる核酸配列の同定に始まる多段階の過程を意味する。これは、例えば、その発現が特定の疾患や病状に関連する細胞の遺伝子(あるいは遺伝子から転写されたmRNA)あるいは、感染性の病原体からの核酸分子であってもよい。本明細書においては、上記のターゲットはMIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する癌マーカーをコードする核酸分子である。前記のターゲットする過程はまた、望ましい効果、例えば、結果としてそのタンパク質の発現を検出あるいは調節するという効果があるような、アンチセンスの作用が及ぶ、遺伝子内での一つあるいはそれ以上の部位の決定を含む。本明細書においては、好適な遺伝子内部位は、その遺伝子の翻訳領域(ORF)の翻訳開始あるいは終止コドンを含む領域である。翻訳開始コドンは典型的には5’-AUGなので(転写されたmRNA分子において、それに相当するDNA分子においては5’-ATG)、翻訳開始コドンはまた、「AUGコドン」、「スタートコドン」あるいは「AUGスタートコドン」とも呼ばれる。遺伝子のうちの少数は、5’-GUG、5’-UUG、あるいは5’-CUGのRNA配列を翻訳開始コドンとし、そして5’-AUA、5’-ACGおよび5’-CUGのRNA配列がインビボで機能することが示されている。従って、「翻訳開始コドン」および「スタートコドン」という用語は、それぞれにおいて開始アミノ酸は一般的にはメチオニン(真核生物)あるいはフォルミルメチオニン(原核生物)であるが、多くのコドン配列を含む。真核および原核生物の遺伝子は二つ以上の代替となるスタートコドンを有してもよく、そのいずれかの一つが、特定の種類の細胞あるいは組織において、または特定の条件下で、翻訳開始のために好んで使われてもよい。本明細書において用いられる「スタートコドン」と「翻訳開始コドン」という用語は、そのようなコドンの配列には関係なく、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する腫瘍抗原をコードする遺伝子から転写されたmRNA分子の翻訳を開始するためにインビボで使われるコドンあるいは複数のコドンを意味する。
遺伝子の翻訳終止コドン(あるいは「ストップコドン」)は三つの配列中(すなわち、5’-UAA、5’-UAG、および5’-UGA、であり相当するDNA配列はそれぞれ、5’-TAA、5’-TAG、および5’-TGAである)の一つを有することができる。「スタートコドン領域」および「翻訳開始コドン領域」という用語は、翻訳開始コドンから、いずれかの方向に(すなわち、5’あるいは3’の方向)隣接する約25から50のヌクレオチドを含む、そのようなmRNAあるいは遺伝子の一部を意味する。同様に、「ストップコドン領域」および「翻訳終止コドン領域」という用語は、翻訳終止コドンから、いずれかの方向に(すなわち、5’あるいは3’の方向)隣接する約25から約50の連続ヌクレオチドを含む、そのようなmRNAあるいは遺伝子の一部を意味する。
翻訳開始コドンから翻訳終止コドンとの間の領域を意味する、翻訳領域(ORF)あるいは「コード領域」はまた効果的なターゲットとなる領域である。その他のターゲットとなる領域には、翻訳開始コドンから5’の方へのmRNAの一部であり、従ってmRNAの5’キャップサイトと翻訳開始コドンの間のヌクレオチド、あるいは遺伝子のそれに相当するヌクレオチドを含む、5’非翻訳領域(5’UTR)と、翻訳終止コドンから3’の方へのmRNAの一部であり、従ってmRNAの翻訳終止コドンと3’末端の間のヌクレオチド、あるいは遺伝子のそれに相当するヌクレオチドを含む、3’非翻訳領域(3’UTR)が含まれる。mRNAの5’キャップは、5’-5’三燐酸結合を介したmRNAの5’側のほとんどの残基に結合したN7-メチル化グアノシン残基を含む。mRNAの5’キャップ領域は、キャップに隣接する最初の50ヌクレオチドだけでなく、5’キャップ構造それ自体を含むと考えられている。キャップ領域もまた好ましいターゲット領域であり得る。
真核生物のmRNA転写産物のあるものは、直接翻訳されるにもかかわらず、多くは翻訳される前に転写産物から切除される「イントロン」として知られる一つ以上の領域を含む。残りの(従って、翻訳される)領域は「エキソン」として知られ、連続したmRNA配列を形成するために、一緒にスプライスされる。mRNAのスプライス部位(すなわち、イントロン−エキソン接合部)もまた好ましいターゲット領域となり得て、そして異常なスプライスが疾患に関係づけられるか、あるいは、特定のmRNAのスプライス産物が疾患に関係づけられるような原位置では、特に有用である。再編成や欠失による異常な融合接合部もまた好適なターゲットである。またイントロンもまた、例えば、DNAあるいはmRNA前駆体をターゲットとするアンチセンス化合物にとって、効果的であるので好適なターゲット領域であることがわかっている。
幾つかの実施形態においては、アンチセンスによる阻害のターゲット部位は、市販のソフトウェアのプログラムを使って同定される(例えば、Biognostik、Gottingen、ドイツ;SysArris Software、Bangalore、インド;Antisense Research Group、リバプール大学、Liverpool、英国;CarlTrove、Carlsbad、カリフォルニア)。別の実施形態では、アンチセンスの阻害のターゲット部位は、国際出願公開番号第WO0198537A2号に記載される接近可能部位の方法を使って同定され、この文献は参照として本明細書に組み込まれる。
ひとたび、一つ以上のターゲット部位が同定されると、望ましい効果が得られるように、ターゲットに充分相補性のあるオリゴヌクレオチドが選択される(すなわち、充分な特異性で、充分なハイブリダイゼーションを行う)。例えば、好ましい実施例では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連するスタートコドンを、あるいはその近くをターゲットとする。
本発明に関連して、アンチセンス組成物および方法に関する「ハイブリダイゼーション」という用語は、水素結合を意味し、相補性のヌクレオシドあるいはヌクレオチド塩基間のワトソン−クリック、フーグスティーン水素結合であってもよい。例えば、アデニンとチミンは水素結合を介して対を形成する相補性の核酸塩基である。特異的なハイブリダイゼーションのために、アンチセンス化合物の配列がそのターゲット核酸の配列に100%相補性である必要はない。アンチセンス化合物は、その化合物のターゲットのDNAあるいはRNAへの結合がターゲットDNAあるいはRNAの正常な機能を妨げその有用性を失わせる場合には特異的なハイブリダイゼーションが可能であり、特異的結合が望まれる条件下での(すなわち、インビボアッセイや治療処置の場合には生理学的条件下で、そしてインビトロのアッセイの場合には、アッセイが実施される条件下で)非ターゲット配列へのアンチセンス化合物の非特異的な結合を避けるのに充分な相補性がある。
アンチセンス化合物は通例、研究試薬や診断試薬として使用される。例えば、特異性をもって遺伝子発現を阻害できるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定の遺伝子の機能の解明に使用できる。アンチセンス化合物はまた、例えば、生物学的経路の多種類のメンバーの機能を区別するために使用できる。
アンチセンスの特異性と感度はまた、治療上の使用にも応用される。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、動物やヒトの疾患状態の治療における治療法の一部として用いられてきた。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、安全に効果的にヒトに投与されてきており、多数の臨床試験の準備が現在、進行中である。従って、オリゴヌクレオチドは、細胞、組織、そして動物、特にヒトにとっての治療法において有用であるとされ得る、有用な治療様式であることが確立されている。
アンチセンスヌクレオチドが好適である一方、それらに限定されるものではないが、以下に記載されるようなオリゴヌクレオチド類似物質を含む、他のオリゴマーアンチセンス化合物も使用できる。好適なアンチセンス化合物は、それよりも長いものや短いものも使用できるが、約8から約30の核酸塩基を(すなわち、約8から約30の連結した塩基)を含む。特に好適なアンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドであり、さらにより好適なものは約12から約25の核酸塩基を含むものである。
好適なアンチセンス化合物の具体的な例には、修飾された分子骨格あるいは非天然のヌクレオシド間の結合を含むオリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書に定義されるように、修飾された分子骨格を有するオリゴヌクレオチドには、分子骨格にリン原子を保持するものや分子骨格にリン原子を持たないものが含まれる。本明細書の目的として、ヌクレオシド結合による分子骨格にリン原子を持たない修飾されたオリゴヌクレオチドもオリゴヌクレオチドとみなされる。
好適な修飾されたオリゴヌクレオチド分子骨格には、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’-アルキレンホスホン酸エステルおよびキラルホスホン酸エステルを含むメチルおよびその他のホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、3’-アミノホスホロアミド酸エステルおよびアミノアルキルホスホロアミド酸エステルを含むホスホロアミド酸エステル、チオノホスホロアミド酸エステル、チオノアルキルホスホン酸エステル、チオノアルキルホスホトリエステル、および正常な3’-5’結合を有するボラノリン酸、これらの2’-5'結合類似体、そして隣接するヌクレオシド単位の対が3’-5’から5’-3’へあるいは、2’-5’から5’-2’へ結合し、逆の極性を有する化合物が含まれる。多様な塩、混合塩、および遊離型の酸もまた含まれる。
リン原子を含まない修飾された好適なオリゴヌクレオチド分子骨格は、短鎖のアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合へテロ原子およびアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、あるいは一つ以上の短鎖のヘテロ原始またはヘテロ環状ヌクレオシド間結合から形成される分子骨格を有する。これらには、モルフォリノ結合(一部はヌクレオシドの糖の部分から形成される)、シロキサン分子骨格、スルフィド、スルホキシド、およびスルフォンの分子骨格、フォルムアセチルおよびチオフォルムアセチル分子骨格、メチレンフォルムアセチルおよびチオフォルムアセチル分子骨格、アルケン含有分子骨格、スルファミン酸の分子骨格、メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ分子骨格、スルフォン酸およびスルフォンアミド分子骨格、アミド分子骨格、そしてN、O、S、およびCH2の混合した組成部分を有するその他のものが含まれる。
別の好適なオリゴヌクレオチド類自体においては、ヌクレオチド単位の糖とヌクレオシド間結合(すなわち、分子骨格)の両方が新奇な基で置換される。塩基単位は、適切な核酸ターゲット化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。非常に優れたハイブリダイゼーション能を有することが示されたオリゴヌクレオチドの模擬化合物である、そのようなオリゴマー化合物の一つはペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物においては、オリゴヌクレオチドの糖骨格がアミド含有骨格、特にアミノエチルグリシンの骨格で置換されている。核酸塩基は保持され、直接的にあるいは間接的に分子骨格のアミド部分のアザ窒素原子に結合されている。PNA化合物の調製法については周知とされる(例えば、米国特許番号第5,539,082号、5,714,331号、および5,719,262号やNielsen等、Science 254:1497 (1991)があり、これらのそれぞれは、参照として本明細書に組み込まれる)。本発明の非常に好ましい実施形態は、ホスホロチオエート分子骨格を持つオリゴヌクレオチドとヘテロ原子骨格をもつオリゴヌクレオシドであり、特に-CH2、-NH-O-CH2-、-CH2-N(CH3)-O-CH2[メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として知られる]、-CH2-O-N(CH3)-CH2-、-CH2-N(CH3)-N(CH3)-CH2-、および-O-N(CH3)-CH2-CH2-[もとのホスホジエステル骨格が-O-P-O-CH2-で代表される]、アミド骨格、そしてモルフォリノ骨格構造であり、それらの全てはよく知られている(例えば、米国特許番号第5,489,677号、5,602,240号、および5,034,506号を参照)。
修飾されたオリゴヌクレオチドは、また一つ以上の置換された糖部分を含んでいてもよい。好適なオリゴヌクレオチドは、2’の位置に以下のうちの一つを含む:OH;F;O-、S-、またはN-アルキル;O-、S-、またはN-アルケニル;O-、S-、またはN-アルキニル;あるいはO-アルキル-O-アルキルであって、ここでアルキル、アルケニル、およびアルキニルは置換された、または置換されていないC1からC10のアルキル、あるいはC2からC10のアルケニルおよびアルキニルである。特に、好適なのは、O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2)nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、およびO(CH2)nON[(CH2)nCH3]]2、であり、ここでnとmは1から約10である。他の好適なオリゴヌクレオチドは2’の位置に以下のものうちの一つを含む:C1からC10の低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリルまたはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断残基、レポーター残基、介入物質、オリゴヌクレオチドの薬物動態的性状を改善する残基、あるいは薬力学的性状を改善する残基、およびその他の同様な性状の置換基。好適な修飾には、2’-メトキシエトキシ(2’-O-CH2CH2OCH3、また2’-O-(2-メトキシエチル)あるいは2’-MOEとしても知られる)(Martin等、Helv. Chim. Acta 78:486[1995])すなわち、アルコキシアルコキシ基が含まれる。さらに好適な修飾には、2’-DMAOEとしても知られる2’-ジメチルアミノオキシエトキシ(すなわち、O(CH2)2ON(CH3)2基)、および2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(また当分野では2’-O-ジメチルアミノエトキシエチルあるいは2’-DMAEOEとしても知られる)、すなわち2’-O-CH2-O-CH2-N(CH2)2が含まれる。
その他の好適な修飾には、2’-メトキシ(2’-O-CH3)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCH2CH2CH2NH2)および2’-フルオロ(2’-F)が含まれる。同様な修飾はまたオリゴヌクレオチドの他の位置、特に3’末端のヌクレオチドの、あるいは2’-5’結合したオリゴヌクレオチドの糖の3’の位置や5’末端のヌクレオチドの5’の位置であってもよい。オリゴヌクレオチドはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチルの部分のような糖類似体を有していても良い。
オリゴヌクレオチドはまた核酸塩基(当分野ではしばしば単に「塩基」と呼ばれる)の修飾あるいは置換を含んでも良い。本明細書に用いられる「非修飾の」あるいは「天然の」核酸塩基には、プリン塩基のアデニン(A)とグアニン(G)およびピリミジン塩基のチミン(T)とシトシン(C)とウラシル(U)が含まれる。修飾された核酸塩基はよく知られていて(例えば、米国特許番号第3,687,808号を参照)、5-メチルシトシン(5-me-C),5-ヒドロキシメチルC,キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノ-A,6-メチルまたは2-プロピルおよびその他のAとGのアルキル誘導体、2-チオ-U,2-チオ-T、および2-チオ-C、5-ハロ-U、tと-C、5-プロピニルUとC、6-アゾU、C、とT、5-ウラシル(偽ウラシル)、4-チオ-U、8-ハロ、8−アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル、および他の8-置換型AとG、5-ハロ置換型UとC、特に、5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、およびその他の5-置換型UとC、7-メチル-Gと7-メチル-A、8-アザ-Gと8-アザ-A、7-デアザ-Gと7-デアザ-Aと3-デアザ-Gおよび3-デアザ-Aのようなその他の合成および天然の核酸塩基(それについては塩基に関するA、G、T、CおよびUの略号が上記の例に用いられる)を含む。これらの核酸塩基のあるものは、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増加させるために特に有用である。これらには、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニル-Uや5-プロピニル-Cを含めた、5-置換型ピリミジン、6-アザピリミジンそしてN-2、N-6およびO-6置換型プリンが含まれる。5-メチル-C置換は核酸二本鎖の安定性を増すことが知られ実施形態の幾つかにおいては好ましい塩基置換であるが、2’-O-メトキシエチル糖の修飾との組み合わせにおいては、さらにとりわけ好適である。
オリゴヌクレオチドのまた別の修飾には、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞内取り込みを強める一つ以上の成分あるいは複合体をオリゴヌクレオチドに化学的に結合させることが含まれる。そのような成分には、それらに限定されるものではないが、コレステロール成分、コール酸、チオエーテル(例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール)、チオコレステロール、脂肪属鎖(例えば、ドデカンディオール、またはウンデシル残基)、リン脂質(例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖あるいはアダマンタン酢酸、パルミチル残基、またはオクラデシルアミンあるいはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール成分が含まれる。
熟練した当業者は、上記の修飾を含むオリゴヌクレオチドを生成する方法を周知している。本発明は、上記に説明されたアンチセンスのオリゴヌクレオチドに限定されない。全ての適切な修飾や置換を用いることができる。
ある与えられた化合物の全ての位置が均等に修飾されている必要はなく、実際のところ、前述の修飾の一つ以上が単一の化合物あるいはオリゴヌクレオチドの単一のヌクレオシドに組み込まれていてもよい。アンチセンス化合物は、キメラ化合物でもよい。本明細書に用いられる「キメラの」アンチセンス化合物あるいは「キメラ」という用語は、特にオリゴヌクレオチドであるアンチセンス化合物であって、二つ以上のそれぞれが少なくとも一つのモノマー単位、すなわち、オリゴヌクレオチド化合物の場合には一つのオリゴヌクレオチドからなる、化学的に異なる領域を含むものを意味する。これらのオリゴヌクレオチドは典型的には、オリゴヌクレオチドがヌクレアーゼによる分解に対する抵抗性の増加、細胞内取り込みの増加、そして/またはターゲット核酸に対する結合親和性の増加がみられるようにオリゴヌクレオチドが修飾された少なくとも一つの領域を含む。さらに追加されるオリゴヌクレオチド領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAのハイブリッドを切断することができる酵素の基質として働いても良い。例として、RNase HはRNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞内エンドヌクレアーゼである。RNase Hの活性化は、従って、RNAターゲットの切断をもたらし、それによって遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害の効率を多大に強化する。従って、同じターゲット領域とハイブリダイゼーションを行うホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドに比較して、キメラ型のオリゴヌクレオチドが使われると、しばしば同等な結果がより短いオリゴヌクレオチドで得られる。RNAターゲットの切断は、ゲル電気泳動および、もし必要であれば、当分野に周知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術で、日常的に検出可能である。
キメラ型のアンチセンス化合物は、上述されたような二つ以上のオリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシドそして/あるいはオリゴヌクレオチド類似体から構成されてもよい。
他の実施形態には、本明細書に記載されるアンチセンス化合物を含む医薬組成物と製剤処方が含まれる。
B. 遺伝子治療
実施形態は、本明細書に記載されたMIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する癌マーカーの発現を調節するためのどんな遺伝子操作を用いてもよい。遺伝子操作の実施例としては、それらに限定されるものではないが、遺伝子ノックアウト(染色体から遺伝子再編成を、例えば、遺伝子組み換えによって取り除くような)や、誘導可能なプロモーターが有るまたは無いアンチセンス構築物の発現のような遺伝子操作が含まれる。核酸構築物のインビトロでの送達は、どんな適切な方法を用いて行っても良い。適切な方法とは、核酸構築物を望ましい現象が起こるように(例えば、アンチセンス構築物の発現)、細胞内に核酸構築物を導入するものである。遺伝子治療はまた、インビボで発現されるsiRNAまたはその他の干渉分子を送達するために用いられてもよい(例えば、誘導可能なプロモーター(例えば、アンドロゲン反応性プロモーター)による刺激時)。
遺伝子情報を細胞内への導入には、それらに限定されるわけではないが、DNA構築物そのままの注入、前記構築物を載せた金粒子の打ち込み、および例えば、リポソームやバイオポリマー等の巨大分子を使った遺伝子導入法が含まれる。好適な方法は、それらに限定されるものではないが、アデノウィルス、レトロウィルス、ワクチニアウィルスおよびアデノ随伴ウィルスを含めたウィルス由来の遺伝子送達媒介物を用いる。レトロウィルスに比較して、効率がより高いという理由で、アデノウィルス由来のベクターは、インビボで宿主細胞に核酸分子を導入するための好ましい遺伝子送達媒介物である。遺伝子導入におけるアデノウィルスベクターとその使用については良く知られている(例えば、国際出願公開番号第WO00/12738号、WO00/09675号、および米国特許番号第6,033,908号、6,019,978号、6,001,557号、5,994,132号、5,994,128号、5,994,106号、5,981,225号、5,885,808号、5,872,154号、5,830,730号、そして5,824,544号を参照し、これらのそれぞれは、その全体が本明細書に参照として組み込まれる)。そのようなベクターと方法は、動物モデルにおける多様な固形腫瘍、および免疫不全マウスにおけるヒトの固形腫瘍の異種移植片へのインビボ遺伝子導入に非常に有効であることが示されている。
ベクターは、たとえば腫瘍や腫瘍関連組織に直接的注入あるいは血液またはリンパ液循環を介しての投与のような周知の多様な方法によって患者に投与されることが出来る(例えば、国際出願公開番号第99/02685号を参照とし、これは本明細書にその全体が参照として組み込まれる)。典型的なアデノウィルスベクターの投与量は好ましくは、108から1011ベクター粒子が還流液に加えられる。
C. 抗体あるいは小分子化合物による治療法
幾つかの実施形態は、MIPOL1-ETV1遺伝子再編に関連する癌マーカーを発現する前立腺癌をターゲットとする抗体および/または小分子化合物についてであるか、それらを使用するものである。幾つかの実施形態においては、治療法は、診断結果に基づいて選択され、治療法においての適切な抗体(例えば、モノクローナル、ポリクローナル、または合成された)を用いる。好適な実施形態においては、癌治療に用いられる抗体は、ヒト化された抗体である。抗体をヒト化する方法については、よく知られている(例えば、米国特許番号6,180,370号、5,585,089号、6,054,297号、および5,565,332号を参照とし、これらのそれぞれは参照として本明細書に組み込まれる)。
幾つかの実施形態においては、治療用の抗体は、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する癌マーカーに対して作製された抗体を含み、ここで抗体は細胞傷害性の薬物との複合体である。そのような実施形態においては、腫瘍特異的な治療薬は正常細胞をターゲットとしないように作製され、従って、従来の化学療法の有害な副作用の多くが低減されている。ある適用に関しては、前記治療薬は特に細胞傷害性であるか、別のやり方で細胞を殺すか内皮細胞の増殖または細胞分裂を抑制することが可能な抗細胞作用のある薬剤である、抗体へ付加するための有用な薬物となる薬理学的薬剤であると想像される。実施形態は、抗体に結合可能で活性型として送達可能な、どんな薬理学的薬剤を用いてもよい。典型的な抗細胞薬剤には、化学療法剤、放射性同位元素、および細胞毒が含まれる。そのような治療用抗体は、それらに限定されるものではないが、放射性同位元素(例えば、ヨウ素−131、ヨウ素−123、テクニシウム−99m、インジウム−111、レニウム−188、レニウム−186、ガリウム−67、銅‐67、イットリウム−90、ヨウ素−125、あるいはアスタチン−211)、ステロイド、シトシンのような抗代謝物質(例えば、アラビノシド、フルオロウラシル、メトトレキセートあるいはアミノプテリン;アントラサイクリン;マイトマイシンC)、ビンカアルカロイド(例えば、デメコルチン;エトポシド;ミトラマイシン)、およびクロランブシルまたはメルファランのような抗腫瘍アルキル化剤を含めた、多様な細胞傷害性分子の部分を含むことが出来る。他の実施形態は、血液凝固薬、サイトカイン、増殖因子、バクテリアエンドトキシンまたはバクテリアエンドトキシンのリピドA部分の様な薬剤を含むことが出来る。例えば、幾つかの実施形態において、治療薬は、数例をあげてみると、A鎖トキシン、リボソーム不活化タンパク質、α‐サルシン、アスペルギリン、レストリクトシン、リボヌクレアーゼ、ジフテリアトキシン、またはシュードモナス外毒素、植物由来、真菌由来、あるいはバクテリア由来のトキシンを含む。好ましい幾つかの実施形態においては、脱グリコシル化リシンA鎖が使われる。
いずれにしても、これらのような薬剤は、もし必要であれば、既知の結合技術を使って、必要に応じてターゲットの腫瘍細胞で、ターゲットの識別、内部移行、放出、または血液成分への供与を可能とするように抗体に成功裡に結合されることができることを意図される(例えば、Ghose等、Methods Enzymol. 93:280[1983]を参照)。
例えば、実施形態の幾つかは、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する癌マーカーをターゲットとする免疫毒素を提供する。免疫毒素は、典型的にはトキシン部分のような細胞傷害性薬剤との複合体である、腫瘍に対する抗体あるいはその断片である特異的なターゲットをもった薬剤である。ターゲットをもった薬剤は、ターゲットとされた抗原を有する細胞にトキシンを向かわせ、それによって選択的にそれらの細胞を殺す。幾つかの実施形態においては、治療用抗体は、インビボでの高い安定性を提供するクロスリンカーが用いられる(Thorpe等、Cancer Res. 48:6396[1988])。
他の実施形態、特に、固形腫瘍の治療を含むものにおいては、抗体は、血管内皮細胞の増殖や細胞分裂を抑制することによって腫瘍血管系に対する細胞傷害性あるいはそれ以外の抗細胞効果を有するようにデザインされる。この細胞攻撃は、腫瘍細胞、特に血管系から離れた腫瘍細胞から酸素と栄養素を取り上げて究極的に細胞死と腫瘍壊死へと導く、腫瘍に局在する血管系の破壊を招くことを意図する。
好ましい実施形態においては、抗体に基づく治療法は本明細書に記載されるように医薬組成物として処方される。好ましい実施形態においては、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連する分子をターゲットとする抗体組成物の投与は、癌の測りうる縮小をもたらす(例えば、腫瘍の縮小あるいは除去)。
VII. 遺伝子改変動物
実施形態は、その変異体や異型体を含む(例えば、トランケーションまたは一塩基多型)、本明細書に記載されるMIPOL1-ETV1遺伝子再編成に同一かあるいはそれを代表する外因性の癌マーカー遺伝子を含む遺伝子改変動物の作製を含む。好ましい実施形態においては、遺伝子改変動物は、野生型の動物に比較して、変化した表現型を示す(例えば、MIPOL1-ETV1遺伝子再編成に関連するマーカーの増大や減少)。そのような表現型の有無を分析する方法には、それらに限定されないが、本明細書に開示されたものが含まれる。好ましい実施形態の幾つかにおいては、遺伝子改変動物はさらに腫瘍の増殖の増加や減少、あるいは癌の徴候を提示する。
そのような遺伝子改変動物は、薬物(例えば、癌治療剤)のスクリーニングを行うのに有用である。幾つかの実施形態においては、試験化合物(例えば、癌の治療に有用であることが示唆される薬物)およびコントロール化合物(例えば、プラセボ)が遺伝子改変動物および対照動物に投与され、その効果が評価される。
遺伝子改変動物は、多様な方法によって作製することができる。幾つかの実施形態においては、遺伝子改変動物作製のための導入遺伝子を導入するために様々な発生段階の胚細胞が使われる。胚細胞の発生段階によって異なる方法が使われる。接合子がマイクロインジェクションには最良のターゲットである。マウスにおいては、雄の前核は、再現性のある1〜2ピコリットル(pl)のDNA溶液の注入が可能となる直径ほぼ20マイクロメーターのサイズに達する。遺伝子導入のターゲットとしての前核の使用は、ほとんどの場合、注入されたDNAが最初の卵割の前に宿主のゲノムに取り込まれるという主な有利性がある(Brinster等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:4438-4442 [1985])。従って、ヒト以外の遺伝子改変動物の全ての細胞が組み込まれた導入遺伝子を保持する。このことは、標準的なメンデルの遺伝学に基づくと、50%の胚細胞が導入遺伝子を保持するので、最初の導入体(founder)の子孫への導入遺伝子の効果的な移行に反映される。遺伝子改変動物の作製法についてはよく知られている(例えば、米国特許番号第4,873,191号があり、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)。
他の実施形態においては、レトロウィルス感染がヒト以外の動物への導入遺伝子の導入に使われる。幾つかの実施形態においては、前記レトロウィルスベクターは、卵母細胞の囲卵腔にレトロウィルスベクターを注入することによって、卵母細胞に導入するために使われる(米国特許第6,080,912号、参照として本明細書に組み込まれる)。別の実施形態においては、発生中のヒト以外の動物胚が胚盤胞の段階までインビトロで培養される。この期間、卵割球がレトロウィルス感染のターゲットとなり得る(Janenich等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 73:1260 [1976])。卵割球の効率的な感染は、酵素処理によって透明帯を除去することで得られる(Hogan等、Manipulating the Mouse Embryo (マウス胚の操作)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、ニューヨーク[1986])。導入遺伝子の導入に使われるウィルスベクターシステムは、典型的には導入遺伝子を運ぶ複製不能なレトロウィルスである(Jahner等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:6927 [1985])。形質導入は、ウィルス産生細胞の単層培養上に卵割球を培養することによって容易に効率的に行われる(Stewart等、EMBO J. 6:383 [1987])。あるいは、ウィルス感染は、さらに進んだ発生段階でも可能である。ウィルスあるいはウィルス産生細胞は卵割腔へ注入することもできる(Jahner等、Nature 298:623 [1982])。導入遺伝子は、遺伝子改変動物を形成する一部の細胞にしか組み込まれないので、最初の導入体のほとんどは導入遺伝子についてモザイク状である。さらに、最初の導入体は、一般には子孫において分離される、多様なレトロウィルスによる導入遺伝子の挿入をゲノム上の多様な座位に含んでいる可能性がある。さらに、低い効率で、妊娠中期の胎児への子宮内レトロウィルス感染によって導入遺伝子を生殖系列に導入することもできる(Jahner等、同上、[1982])。当分野に周知の、レトロウィルスやレトロウィルスベクターを使って遺伝子改変動物を作製する、さらなる手段にはレトロウィルス粒子あるいはマイトマイシンCで処理されたレトロウィルス産生細胞の、受精卵や初期胚の囲卵腔へのマイクロインジェクションが含まれる(国際出願番号第WO90/08832[1990]、およびHaskellとBowen、Mol. Reprod. Dev. 40:386[1995])。
他の実施形態においては、導入遺伝子が胚性幹細胞に導入され形質導入された幹細胞が胎児形成に使われる。ES細胞は、適切な条件下で着床前の胚をインビトロで培養することによって得られる(Evans等、Nature 292:154[1981]; Bradley等、Nature 309:255[1984]; Gossler等、Proc. Acad. Sci. USA 83:9065[1986]; およびRobertson等、Nature 322:445[1986])。導入遺伝子は、リン酸カルシウム共沈法、プロトプラストやスフェロプラストの融合、リポフェクションやDEAEデキストランを介する形質導入を含めた、分野に周知の多様な方法によるDNAの形質導入法によってES細胞に導入される。導入遺伝子はまた、レトロウィルスを介した形質導入またはマイクロインジェクションによってES細胞に導入される。そのようにして形質導入されたES細胞は胚盤胞の段階の胞胚口腔に導入後、コロニー形成し、その結果としてのキメラ動物の生殖系列に寄与する(総説については、Jaenisch、Science 240:1468[1988]を参照)。形質導入されたES細胞の胞胚腔への導入に先立って、前記の形質導入されたES細胞は、導入遺伝子がそのような選択の手段を提供すると推定して、組み込まれた導入遺伝子を有するES細胞を濃縮する多様な選択プロトコルの対象となることもある。あるいは、ポリメラーゼ連鎖反応が導入遺伝子を組み込まれたES細胞のスクリーニングのために使われても良い。この技術は、胞胚腔へ導入する前に適切な選択的条件下で形質導入されたES細胞を増殖させることを不要にする。
さらに他の実施形態においては、周知の方法(米国特許第5,614,396号があり、本明細書に参照として組み込まれる)を使って遺伝子機能のノックアウトをしたり、欠失変異体(例えば、トランケーション変異体)を作製したりするために相同性遺伝子組み換えが利用される。
実験
以下の実施例は、本明細書に開示されるある好適な実施形態と組成物と方法の態様を説明し例証するために提供されるもので、本発明の請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
実施例1:細胞株におけるETV1遺伝子再編成
実施例は、LNCaPおよびMDA-PCa 2B細胞株が、ETV1座位が14q13.3〜14q21.1の位置にある再編成を有することを示す。
実験は異常なETV1活性化の細胞株モデルを同定するためにデザインされた。前立腺癌細胞株LNCaPには顕著なETV1の過剰発現があるが、RLM-RACEにより野生型の転写産物のみの発現であることが明らかとなった(Tomlins等、Science 310: 644-8 [2005])。これらの実験は、LNCaP細胞におけるETV1の発現に影響する新奇な再編成を同定するためにデザインされた。従って、一つのプローブはETV1座位上に、もう一つのプローブはETV1座位の5’側とした、スプリットプローブを用いたFISH法を使って、ETV1を含む大まかな再編成を調べた(図1)。
フォルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片に、既知の方法を用いて中間期FISHが行われた(実質的には、Tomlins等、Cancer Res 66: 3396-400 [2006]によって既に説明されたように)。少なくともアッセイあたり50の核が調べられた。標準的な細胞遺伝学の技術を用いてLNCaPおよびMDA-PCa 2B細胞の分裂中期スプレッドが調製された。スライドは2xSSCで2分、70%エタノールで2分、100%エタノールで2分前処理され、風乾された。スライド試料とプローブの両方を75℃で2分間変性させ、37℃で一夜ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションの後に、0.5xSSCで42℃、5分間処理し、続いてPBST中で3回洗浄した。蛍光の検出は、フルオレセインを結合させた抗ジゴキシゲニン抗体(Roche Applied Science、Indianapolis、インディアナ)とフルオロフォアを結合させたストレプトアビジン(Alexa Fluor 594、Invitrogen)を使って行われた。スライドは、標準的な試薬と方法を用いて対比染色されマウントされた(DAPIのあるProLong Gold Antifade Reagent、Invitrogen)。スライドは蛍光顕微鏡(Axio Imager Z1、Zeiss、Thornwood、ニューヨーク)で検査され、結果を分析する標準的なアルゴリズムを使って、CCDカメラで画像解析された(ISISソフトウェア、Metasystems、Altlussheim、ドイツ)。BAC(表2に掲載、BACPAC Resource Center (Oakland、カリフォルニア)から入手)が、すでに記載された方法(Tomline等、2006、同上)を使ってプローブの調製に使用された。あらかじめ標識された7番染色体のセントロメアと7pのテロメアのプローブも使用した(Vysis Corp.、Des Plaines、イリノイ、から入手)。全てのプローブの完全性と正しい局在性は正常な末梢血リンパ球の分裂中期スプレッドとハイブリダイゼーションさせて確認した。
LNCaP分裂中期において、このアッセイでは、7pのETV1座位における二対の共局在シグナルと、7pに5’シグナルが残る一方でETV1座位の二つのコピーが別の染色体に挿入された二つの分かれたシグナルとが示された(図1c)。7番染色体の4つのコピーのうちの二つにおけるこの再編成は、4倍体のLNCaP細胞におけるG分染法あるいはスペクトル核型決定法(SKY)によって観察された再編成に一致する(Beheshti等、Mol Diagn 5: 23-32 [2000]; Beheshti等、Neoplasia 3: 62-9 [2001];Gibas等、Cancer Genet Cytogenet 11: 399-404[1984];van Bokhoven等、Prostate 57: 226-44 [2003])。細胞遺伝学的解析は、ETV1が14番染色体に挿入されたことを示し、これは、それまでに14qに局在していた、FISH法でマッピングされたBACを使って確認された(図2)。それに続くFISHアッセイは、完全長のETV1の過剰発現を明らかにしたRACEに一致して、7番染色体上の切断がETV1座位に対して5’側に完全に局在があることを決定するために使われた(図3)。
切断点を位置づけるために、7pの関与する領域全体にわたる22のプローブを使ってサザンブロットを行った。ゲノムDNA(10μg)をEcoRIまたはPstI(New England Biologicals、Ipswich、マサチューセッツ)で一夜、消化した。標準的な実験室操作に従って、断片を0.8%アガロースを使って40Vで一夜、泳動分離し、ナイロン膜に移し(Hybond NX)、プレハイブリダイゼーション後、プローブとハイブリダイズさせ洗浄した。FISH法により示された7番染色体の領域にわたる(RP11-313C20とRP11-703A4の間)一連の22のプローブを、プールされた正常ヒト男性ゲノムDNAを鋳型とし、高精度のポリメラーゼ(Platinum Taq High Fidelity)および表1に記載されたプライマーを使ってPCRによって作製した。各プローブの25 ngをdCTP-P32で標識し、ハイブリダイゼーションに使用した。
単一のプローブ(プローブA、表1の「サザンプローブ」を参照)は、EcoRIおよびPstIで切断したLNCaP DNAの両方が余分なバンドを示していることから、再編成を実証した(図3)。
PstIによる切断DNAは、パートナー配列だけでなく7番染色体上のゲノム切断点の配列を同定するための逆PCR法に使用した(図4)。野生型の配列と逆相補性でありかつプライマーB1、B2、B3と異なるプライマーA1、A2、A3が、LNCaPゲノムDNAテンプレートを用いてPstIで消化され、再連結(分子内連結)させたDNAの逆PCRに使われた。プライマーの組み合わせは以下の順序でネステッドPCRが行われた:A1とB1、次にA2とB2、最後にA3とB3。融合産物をPCR増幅と標準的実験室操作を使って増幅した(Expand 20 kbplus PCR System Roche Diagnostics GmbH、Mannheim、ドイツ、製造業者の使用説明書に従って用いた)。ネステッドPCRにおいて見られた濃縮された3Kbバンドをベクター(pCR8/GW/TOPO、Invitrogen)にクローニングし、多様なクローンから単離されたDNAについて挿入断片をスクリーニングし、陽性のクローンを標準的な実験室操作で(ミシガン大学DNA配列決定中央研究施設、Ann Arbor、ミシガン)配列決定した。融合クローンの配列は、融合物特異的なプライマー(表1のGenomic fusion-fおよびr)を使ってPCR増幅によって確認された(Platinum Taq High Fidelity システム)。
増幅産物の配列決定によって、サザンブロットを使って同定された領域に位置する7番染色体p上の切断点が確認され、挿入点は14番染色体のq13.3〜q21.1でのMIPOL1座位からのイントロン配列であり(図1bおよび4)、上述したFISH法による分析結果と一致した。この再編成は、二つの異なる継代数の細胞から分離された未切断のLNCaPゲノムDNAを鋳型に使って作製されたPCR増幅産物によって確認されたが、他方、VCaP、正常男性あるいは胎盤のゲノムDNAからの増幅産物では認められなかった(図4)。LNCaP細胞29〜32の7番あるいは14番染色体において全体的な再編成はみられなかった細胞遺伝学的データおよびSKYによるデータに一致して、14q13.3〜14q21.1座位周辺のスプリットプローブを使ったFISH法による分析は、共局在シグナルを示した(図1c)。これらの結果は、ETV1の周辺での限定された挿入が起こったか、あるいはETV1までの染色体腕7pのテロメア全体(約14 MB)の欠損が起こったという解釈に矛盾しない。後者の可能性は、高密度のCGHがETV1からテロメア側のいかなる欠損の存在も明らかにせず、かつFISH法によって7番染色体の全てのコピーにおいて完全な7pのテロメア配列が明示されたため、除外された(図5)。従って、これらの結果はLNCaPにおけるETV1周囲の最小限の領域の14q13.3〜14q21.1への隠れた挿入を確認した。
追加の前立腺癌細胞株が、追加の遺伝子再編成を同定するために、定量的PCR(qPCR)によって、ERGおよびETV1の発現のスクリーニングのために調べられた。以下の細胞が調べられた:不死化良性前立腺上皮細胞株(RWPE)一株と前立腺癌細胞株の八株(MDA-PCa 2B、LNCaP、VCaP、LAPC4、22Rv1、NCI-H660、PC3、およびDU145)。定量的PCR(QPCR)は、表1に示されるオリゴヌクレオチドのプライマーを用いて(「融合物QPCR」と「アンドロゲンQPCR」の項目)、標準的な実験室操作と試薬を使って実施された(Power SYBR Green Mastermixと7300 Real Time PCR system、Applied Biosystems、Foster City、カリフォルニア)。全てのオリゴヌクレオチドプライマーは、標準的方法によって合成された(Integrated DNA Technologies、Coralville、アイオワ)。HMBSとGAPDH5およびPSA6については前述した(Vandesompele等、Genome Biol. 3:RESEARCH0034 [2002]; Specht等、Am J. Pathol. 158:419 [2001])。アンドロゲン刺激反応の測定はそれぞれ四つ組みで行われ、その他の全ての反応の測定はそれぞれ二つ組で行われた。
顕著なETV1の過剰発現がLNCaP3細胞で検出され、ERGの過剰発現が、両方ともTMPRSS2:ERGについて陽性であるVCaP細胞およびNCI-H660細胞で検出された(Tomlins等、Science 310: 644-8 [2005])。結果は、MDA-PCa 2B細胞がLNCaP細胞よりも高いレベルのETV1を発現していることを示した(図7)。
MDA-PCa 2B細胞はまたETV1座位を含む遺伝子再編成についても分析された。RLM-RACEによる解析は、完全長のETV1のみがMDA-PCa 2B細胞で生成されることを明らかにし、全ETV1座位を含む再編成が示された。MDA-PCa 2B細胞からのDNAの前のSKYおよびG分染法による解析は、均衡型のt(7;14)(p21;q21)32の存在、ETV1とMIPOL1座位の位置を示した。MDA-PCa 2B細胞について、LNCaP細胞について上述した同じFISH法でETV1座位周辺と14q13.3〜14q21.1領域の解析を行った。その結果、MDA-PCa 2B細胞にもETV1を含む再編成があり、全ETV1座位の染色体d14への転座が明らかとなった(図1d)。FISH解析は、テロメアの14q13.3〜14q21.1プローブが染色体d7へ転座し、1.5 MBの14q13.3〜14q21.1領域はこの均衡型転座のパートナーであることを明らかにした(図1d)。
実施例2:遺伝子再編成に関連するETV1の異常発現
この実施例は、14q13.3〜14q21.1の領域が前立腺癌とLNCaP細胞とにおいて協調的に調節されることを示す。
ETV1の並外れた発現を伴う、前立腺癌細胞株におけるETV1の14q13.3〜14q21.1への局在(図1、e〜g)をもたらす機械的な独特な再編成の存在は、この領域の遺伝子要素が異常なETV1の転写を仲介することを示す。LNCaP細胞における遺伝子再編成の構造は、ほぼ200kbの5’上流配列がETV1座位とともに挿入されるので、ETV1は14q13.3〜14q21.1座位への挿入後に新しい近位のプロモーターを獲得しないことが示される(図1a参照)。さらに、前立腺におけるMIPOL1の発現については記載されていない一方、MIPOL1に直接隣接するFOXA1はヒトとマウスの前立腺の発達の期間を通じて、強く発現され、アンドロゲン反応性遺伝子発現の転写増強因子として作用する(Mirosevich等、Prostate 66:1013-28 [2006];Mirosevich等、Prostate 62:339-52 [2005])。これらの細胞株におけるETV1の過剰発現は、調整された前立腺特異性、あるいはこの領域へのアンドロゲン調節をもたらす増強要素によるものであるかもしれない。この仮説を試すために、1.5 MBの14q13.3〜14q21.1領域の四つの連続する転写産物(SLC25A21、MIPOL1、FOXA1、TTC6)の発現をexpOデータセットを使って(国際ゲノムコンソーシアム(IGC)腫瘍学のための発現プロジェクト(expO))評価した。expOデータセットはTGENを含めた研究施設の共同体によって作られた多種類の癌の遺伝子発現データセットであり、オンコマイン(Oncomine)に含まれる(Rhodes等、Neoplasia 6:1-6 [2004])。四つの全ての転写産物が、その他の癌に比較して前立腺癌に有意な過剰発現を示した(図6a)。さらに、14番染色体上の測定された全ての遺伝子は、このデータセットにある他の全ての癌に比較した前立腺癌における有意な過剰発現によってランク付けすると、MIPOL1が2位、FOXA1が5位、そしてTTC6が23位にランク付けされた。
四つの全ての転写産物が前立腺癌において過剰発現されたが、LNCaPのR1881による刺激はFOXA1(1.3倍、p=0.05)の発現を最小限にしか増大させず、SLC25A21 (0.75倍、p=0.008)、MIPOL1(1.2倍、p=0.08)、およびTTC6(0.70倍、p=0.10)はR1881の刺激によって有意な変化を示さないか発現の減少を示した(図6b)。しかしながら、LNCaPのR1881による刺激はETV1の発現を有意に増加させ(1.8倍、p=0.0004、図6c)、この領域の再編成がETV1に、異常発現に合わせて、アンドロゲン反応性をもたらすことを示した。合わせて、これらの結果は、アンドロゲンによって仲介される調節が加えられるとともに、前立腺癌においてのこの領域のこれらの遺伝子(そしてそれらに挿入された場合にはETV1も)の過剰発現が同等に起こることを示す。
ホルモン不応性代謝疾患についてのモデル開発のために、LNCaP細胞はこれまでにアンドロゲン不在下で培養され、アンドロゲンに不応性のクローンが選択された。従って、これらのモデルシステムは、LNCaP細胞株およびこの細胞から作製された派生クローンに含まれうる、ETV1と14q13.3〜14q21.1領域の遺伝子とを含む、該細胞における遺伝子成分の発現レベルとアンドロゲンにより調節される遺伝子成分の発現とに関連する。一般に利用可能な発現プロファイルのデータのある、これらの独立した由来細胞株の全てについてのわれわれの研究は、アンドロゲン不応性のLNCaP36〜39細胞の誘導株においてETV1の顕著な発現抑制を示す。これらの知見を確認するために、LNCaPとそのアンドロゲン不応性誘導株であるC4-2B40について遺伝子発現を調べるために、ハイブリダイゼーションに基づくアッセイによってプロファイルを検討した(Agilent Whole Genome Microarrays)。図6dに示すように、ETV1はC4-2Bに比較してLNCaPにおいて四番目に高い過剰発現が見られた(違いは307倍)。qPCR法を使って測定すると、親細胞株であるLNCaPに比較してC4−2B(約22,500倍)におけるETV1の顕著な発現抑制が確認された(図6e)。さらにqPCRはまた、C4-2B細胞においてはLNCaP細胞に比較してPSA(3倍少ない)と14q13.3〜14q21.1領域の四つの遺伝子の発現減少があることを明らかにした(図6f〜g)。これらの結果によって、アンドロゲンにより誘導される遺伝子と14q13.3〜14q21.1に在る遺伝子との協調的な制御が実証される。これらの結果によって、欠損または転写機構によってアンドロゲン不応性のLNCaP誘導株においてETV1が顕著に発現抑制されたか、あるいはins(7;14)を持たないクローンが、LNCaP細胞株からこれらのクローンをもたらすために使ったアンドロゲン欠乏方法によって選択された可能性が示される。ゲノムDNAのFISH法およびPCR法による分析によって、C4-2B細胞がLNCaP細胞と同じETV1再編成を有することが確認され(図8と9)、ETV1の発現抑制は、誘導クローンにおける変異または転写における変化によるものであるという結論が導かれた。
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上記の本明細書において言及される記載番号によって同定される全ての出版物、特許、特許出願、および配列はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。本発明は、具体的な実施形態との関係において説明されているが、請求される本発明はそのような具体的な実施形態に不当に限定されるべきでないことが理解されるべきである。説明された本発明の組成物と方法の機能的特徴を著しく変化させない、本発明の説明された組成物と方法の修正および変化を加えられたものは以下の請求項の範囲にあることを意図するものである。

Claims (10)

  1. 生物学的試料中のMIPOL1-ETV1遺伝子再編成の存在を検出する段階を含む前立腺癌を検出するための方法であって、試料中の該遺伝子再編成の存在が、該試料が由来する個人における前立腺癌を示す、方法。
  2. MIPOL1-ETV1の遺伝子再編成を検出する段階が、同じゲノム領域にMIPOL1遺伝物質およびETV1遺伝物質を含むゲノムDNAの染色体再編成を検出する段階を含む、請求項1記載の方法。
  3. ゲノムDNAの染色体再編成を検出する段階が、核酸配列決定技術を使用する、請求項2記載の方法。
  4. ゲノムDNAの染色体再編成を検出する段階が、核酸ハイブリダイゼーション技術を使用する、請求項2記載の方法。
  5. ゲノムDNAの染色体再編成を検出する段階が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、プローブのマイクロアレイへのハイブリダイゼーションの分析、およびサザンブロット分析からなる群から選択される核酸ハイブリダイゼーション技術を使用する、請求項4記載の方法。
  6. ゲノムDNAの染色体再編成を検出する段階が、核酸増幅法を使用する、請求項2記載の方法。
  7. 使用される核酸増幅法が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、転写媒介増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群から選択される、請求項6記載の方法。
  8. 前記試料が、組織、血液、血漿、血清、尿、尿上清、尿中の細胞ペレット、精液、前立腺分泌物および前立腺細胞からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
  9. 前立腺癌に関連するMIPOL1-ETV1遺伝子再編成を検出するための組成物であって、
    (a)ETV1遺伝子がMIPOL1遺伝子内に挿入される連結部と特異的にハイブリダイズする配列を含むプローブ、
    (b)MIPOL1遺伝子と特異的にハイブリダイズする配列を含む第一のプローブ、およびETV1遺伝子と特異的にハイブリダイズする配列を含む第二のプローブ、または、
    (c)MIPOL1遺伝子と特異的にハイブリダイズする配列を含む第一の増幅オリゴヌクレオチド、およびETV1遺伝子と特異的にハイブリダイズする配列を含む第二の増幅オリゴヌクレオチド、および増幅産物を検出するための手段、
    のうちの少なくとも一つを含む、組成物。
  10. (c)における増幅産物を検出するための手段が、プローブ、インターカレート色素、および標識された増幅オリゴヌクレオチドからなる群から選択される、請求項10記載の組成物。
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