JP2002543854A - 癌におけるetsドメインタンパク質の発現 - Google Patents

癌におけるetsドメインタンパク質の発現

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、腺特異的Ets転写因子(GSEF)配列の発現の検出による、転移性および潜在的に転移性の癌性細胞の検出方法を特徴とする。腺特異的Ets転写因子(GSEF)配列は、Ets−ドメイン含有タンパク質をコードする。本発明はまた、予防目的および治療目的(例えば、転移性癌性細胞への細胞の進行の阻害)のための、ポリペプチドおよび/または遺伝子活性の調節のための方法および組成物を特徴とする。本発明は、(GSEFの発現に起因して)転移の可能性の低いまたは(癌性であることが公知の細胞においてGSEF発現が存在しないことに起因して)転移の可能性の高い細胞の同定を容易にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は一般的に、乳癌におけるマーカーおよび治療標的の同定に関する。
【0002】 (序論) (背景) 乳癌は、最も一般的な悪性疾患のうちの1つであり、全世界で1年あたり約百
万の症例が新たに発症している。多数の組織化学的、遺伝的および免疫学的なマ
ーカーの使用にもかかわらず、臨床医には依然として、どの腫瘍が他の器官に転
移するかを予測するのが困難な時期がある。何人かの患者は、再発および転移を
予防するためにアジュバント治療の必要があり、そして他の患者はそうではない
。しかし、患者のこれらの部分集団の間を区別することは簡単ではなく、そして
処置の経過は容易には計画されない。当該分野には、転移するかまたは転移した
腫瘍と、転移する可能性が低い腫瘍との間を区別するための新たなマーカーにつ
いての必要性が存在する。
【0003】 大多数の上皮癌は、細胞分化および細胞増殖における欠損をもたらす遺伝子発
現の変化に起因して生じる。乳癌における1つの主な転移機構は、侵襲性胚性上
皮において観察された、いわゆる、上皮から間葉への移行(EMT)であるよう
である(Hendrix(1997)Am.J.Pathol.150:483
−495;Pulyaeva(1997)Clin.Exp.Metastas
is 15:111−120;McCormick(1989)Cancer
Research 49:4258−4263;Birchmeier(199
6)Acta Anat.156:217−226)。EMTの1つの目印は、
間葉中間体フィラメントタンパク質ビメンチン(VIM+)を発現するヒト乳癌
(HBC)細胞株が、高度に侵襲性であり(例えば、MDA−MB−231、M
DA−MB435 Hendrix(1997)Am.J.Pathol.15
0:483−495)、他方、VIMネガティブ細胞株(例えば、MCF−7、
MDA−MB−468、MDA−MB−361))がヌードマウスにおいてほと
んど侵襲性でないという観察である。しかし、EMTのレギュレーターの正体は
大部分未知のままである。
【0004】 前立腺癌は、かなり重要であって、そしてさらなる治療および診断が必要な別
の癌である。前立腺癌は、年配の男性において最も頻繁な固形癌であり、そして
癌に関連する死亡の主な原因である。最初に、前立腺癌は、前立腺上皮の正常前
立腺基底細胞のアンドロゲン依存性の増殖、および分泌管腔上皮細胞への分化を
含む;しかし、前立腺癌細胞は最終的に、アンドロゲン非依存性になり、そして
ホルモン治療に抵抗するようになる。前立腺特異的抗原(PSA)遺伝子は、ア
ンドロゲン非依存性前立腺癌およびアンドロゲン依存性前立腺癌についての診断
指標として用いられている(Ablin(1997)J.Cancer Res
.Clin.Oncol.123:583−594)。前立腺の正常な管腔上皮
細胞および癌性管腔上皮細胞におけるPSAの発現は、アンドロゲンレセプター
を通して作用するアンドロゲンの調節下にある。従って、アンドロゲン非依存性
前立腺癌は一般的に、PSA発現の減少を示す。あいにく、PSAは、ホルモン
治療抵抗性前立腺癌においてさえも少なくともある程度まで発現される。このこ
とは、PSA発現の調節が、アンドロゲン非依存性成分もまた含むことを示す(
Sadar(1999)J.Biol.Chem.274:7777−7783
)。
【0005】 ETSドメインは、DNA結合を容易にし、真核生物転写因子のファミリーの
目印である。ETSドメインファミリーのメンバーは元々、E26鳥類赤芽球症
ウイルスによってコードされるv−ets癌遺伝子のタンパク質産物との一次配
列相同性の領域に基づいて同定された。ETS−ドメイン転写因子は、さらに細
かく分類され得る。これは主に、それらのETSドメインにおける高いアミノ酸
保存、ならびに他のドメインまたはモチーフの保存(例えば、このタンパク質の
生物学的特異性を調節し得る他の配列)による。ETS DNA結合ドメインは
また、構造レベルで保存され、そしてDNA結合タンパク質の翼状(winge
d)ヘリックス−ターン−ヘリックススーパーファミリーの分岐したメンバーで
ある。
【0006】 ETS−ドメインタンパク質は、転写アクチベーターまたは転写リプレッサー
のいずれかとして作用し、この活性はしばしば、シグナル伝達経路(例えば、M
APキナーゼ経路)によって調節される。多くのETS−ドメインタンパク質は
、特異的DNA−タンパク質およびタンパク質−タンパク質相互作用の組み合わ
せによって、プロモーターに対して標的化される。多くのETS−ドメインタン
パク質は、シグナル伝達経路の標的であり、そして種々の細胞外刺激に応答して
活性化される。Ets遺伝子およびそれらのコードされるタンパク質は、胚発生
の間および成体における、細胞の増殖および分化を含む種々の必須の生物学的プ
ロセスに関与する。ETS−ドメイン転写因子ファミリーの概説については、例
えば、Sharrocksら(1997)Int.J.Biochem.Cel
l Biol.29:1371−87を参照のこと。
【0007】 発生経路におけるそれらの役割に加えて、ETS−ドメイン転写因子はまた、
腫瘍発生に関係している。例えば、1つのETS関連転写因子であるE1AFは
、侵襲性表現型をヒト癌細胞に付与する(Kayaら(1996)Oncoge
ne 12:221−7)。E1AFの、腫瘍発生のアクチベーターとしての役
割は、経口扁平上皮細胞癌細胞へのアンチセンスE1AFのトランスフェクショ
ンが、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)遺伝子(これは、腫瘍細胞
の侵襲および転移に関係している)をダウンレギュレートすることによって、腫
瘍侵襲を阻害するという知見によってさらに支持される(Hildaら(199
7)Oral Oncol.33(6):426−30)。さらに、非転移性細
胞株MCF−7(乳房の腺癌)におけるE1AFの発現は、侵襲性表現型をこの
細胞株に付与する(Kayaら,1996,前出)。
【0008】 他のETSドメイン含有タンパク質もまた、腫瘍発生に関係している。例えば
、Ets−1転写因子およびEts−2転写因子は、上皮増殖因子に応答して、
侵襲に関連したウロキナーゼ遺伝子およびコラゲナーゼ遺伝子のプロモーターを
活性化する(Watabeら(1998)Int J Cancer.77:1
28−37)。さらに、推定のETS関連転写因子は、マウスオステオポンチン
プロモーター(発現が細胞の転移の可能性と相関するプロモーター)においてr
as活性化エンハンサーと相互作用する(Guoら(1995)Mol Cel
l Biol 15:476−87)。
【0009】 いくつかのETS−ドメインタンパク質が同定された(例えば、GenBan
k登録番号AF071538を参照のこと)が、それらの正確な生物学的役割(
例えば、発癌におけるこのような遺伝子の役割)は同定されていない。本発明は
、1つのこのようなETSドメインタンパク質の発現と転移性表現型の発達との
関連を同定する。
【0010】 (文献) ヒトPDEFの全長のDNA配列およびアミノ酸配列は、GenBank登録
番号AF071538に記載されており、そして「Isolation and
characterization of a novel prostat
e epithelium−specific Ets transcript
ion factor, PDEF」と題されている。
【0011】 高度に転移性のメラニン欠乏性C8161ヒト黒色腫株との体細胞性細胞融合
体による転移性表現型の転移は、Barskyら(1997)「Evidenc
e of a dominant transcriptional path
way which regulates an undifferentia
ted and complete metastatic phanotyp
e」、Oncogene 15:2077−91によって記載されている。
【0012】 悪性黒色腫転移調節遺伝子がヒト第6染色体に存在し得ることを示唆する証拠
は、Welchら(1994)「Microcell−mediated tr
ansfer of chromosome 6 into metastat
ic human C8161 melanoma cells suppre
sses metastatis but does not inhibit
tumorigenicity」,Oncogene 9:255−62に記
載される。乳癌における第6染色体の長腕でのヘテロ接合性の喪失は、Novi
elloら(1996)「Loss of heterozygosity o
n the long arm of chromosome 6 in br
east cancer:possibly four regions of
deletion.」Clin Cancer Res.2:1601−6に
記載される。第6染色体の導入によるヒト黒色腫転移の抑制は、Youら(19
95)「Suppression of human melanoma me
tastasis by introduction of chromoso
me 6 may be partially due to inhibit
ion of motility, but not to inhibiti
on of invasion.」Biochem Biophys Res
Commun.208:476−84;およびMieleら(1997)「Su
ppression of human melanoma metastat
is following introduction of chromos
ome 6 is independent of NME1 (Nm23).
」Clin Exp Metastasis.15:259−65に記載される
【0013】 ETSドメイン転写因子ファミリーの概説については、Sharrocksら
(1997)「The ETS−domain transcription
factor family」,Int.J.Biochem.Cell Bi
ol.29:1371−87を参照のこと。
【0014】 ヒトESXの全長DNAおよびアミノ酸の配列(配列番号4および5)は、C
hangら(1997)「ESX:a structurally uniqu
e Ets overoxpressed early during hum
an breast tumorigenesis」,Oncogene 14
:1617−22およびGenBank登録番号U66894に記載される。
【0015】 (発明の要旨) 本発明は、腺特異的Ets転写因子(GSEF)配列の発現の検出による、転
移性および潜在的に転移性の癌性細胞の検出方法を特徴とする。腺特異的Ets
転写因子(GSEF)配列は、Ets−ドメイン含有タンパク質をコードする。
本発明はまた、予防目的および治療目的(例えば、転移性癌性細胞への細胞の進
行の阻害)のための、ポリペプチドおよび/または遺伝子活性の調節のための方
法および組成物を特徴とする。
【0016】 本発明の主な目的は、(GSEFの発現に起因して)転移の可能性の低いまた
は(癌性であることが公知の細胞においてGSEF発現が存在しないことに起因
して)転移の可能性の高い細胞の同定を容易にすることである。
【0017】 本発明の1つの利点は、GSEFの検出が、転移の可能性の高い細胞の、感度
が高くかつ正確な検出を提供すること、そしてさらに、転移の可能性の高い細胞
と転移の可能性の低いかまたは非転移性の細胞との識別を提供することである。
【0018】 さらなる目的および利点は、本明細書を読めば、当業者に容易に明らかである
【0019】 遺伝子治療(gene theapie)および癌マウスモデルの開発のため
に有用な、分泌腺(前立腺および乳腺を含む)の腺上皮に特異的なヒトGSEF
プロモーターフラグメントを含む。
【0020】 (発明の詳細な説明) 本発明を記載する前に、本発明が、記載された任意の特定の実施形態に限定さ
れず、また、当然、変化することを理解すべきである。本明細書中で用いられる
用語が、特定の実施形態を記載する目的のためのみのものであり、そして限定さ
れることを意図していないこともまた理解すべきである。なぜなら、本発明の範
囲は、添付の特許請求の範囲のみによって限定されるからである。
【0021】 ある範囲の値が提供された場合、文脈がそうでないことを明確に示すのでない
限り、下限の単位の10分の1までの、その範囲の上限と下限との間の各々の間
にある値、および任意の他の言及された値またはその言及された範囲において間
に存在する値が、本発明に包含されることが理解される。より小さな範囲に独立
して含まれ得る、これらのより小さな範囲の上限および下限もまた、言及された
範囲における任意の特に排除された限定を条件として、本発明に包含される。言
及された範囲が限定の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限定のいず
れかまたは両方を排除した範囲もまた本発明に含まれる。
【0022】 他に定義しない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語および科学用語
は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する
。本明細書中に記載されるのと同じかまたは等価な任意の方法および材料もまた
、本発明の実施または試験において用いられ得、好ましい方法および材料がここ
で記載される。本明細書中で言及した全ての刊行物は、本明細書中に参考として
援用されて、刊行物が引用されるものに関連して方法および/または材料を開示
および記載する。
【0023】 本明細書中で記載される場合、および添付の特許請求の範囲において、単数形
の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さ
ない限り、複数形の言及を含むことに留意しなければならない。従って、例えば
、「細胞」への言及は、複数のこのような細胞を含み、そして「ポリペプチド」
への言及は、1以上のポリペプチドおよび当業者に公知のその等価物への言及を
含む、などである。
【0024】 本明細書中で考察される刊行物は、本発明の出願日前のその開示についてのみ
提供される。本明細書中では、本発明が先の発明によってこのような刊行物より
も前に行う権利がないことを認めていると解釈されるべきでない。さらに、提供
される刊行日は、独立して確認されることが必要であり得る実際の刊行日とは異
なり得る。
【0025】 (概要) 本発明は、ETSドメイン含有タンパク質であるGSEFをコードする遺伝子
の発現(以前はJKETSと呼ばれた)が、転移の可能性の低い細胞、非転移性
の癌性細胞または正常細胞のいずれかの細胞と比較して、転移の可能性の高い細
胞において減少しているという知見に基づく。この知見は、GSEFが腫瘍抑制
遺伝子であること、そして(例えば、遺伝子発現の阻害、GSEFポリペプチド
の生物学的活性における変化などによる)GSEF機能の阻害が、転移性表現型
の発生をもたらすことを示す。
【0026】 従って、GSEFポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする核酸組成
物は、例えば、コードされるタンパク質の発現または機能を調節する組成物を産
生または同定する際に;相同な遺伝子または関連の遺伝子を同定する際に;遺伝
子治療のために;このタンパク質の機能的領域をマッピングする際に;そして関
連の生理学的経路を研究する際に有用である。
【0027】 (GSEFの特徴付け) GSEFのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を、本明細書中にそれぞれ、
配列番号1および2として提供する。GSEFプロモーターおよびコード配列を
含むGSEF cDNA配列を配列番号12として提供し、コードされるGSE
Fアミノ酸配列を配列番号13として再度提供する。GSEFの機能的ドメイン
および他の特徴を、以下で詳細に記載する。
【0028】 (GSEF核酸組成物) 本発明のGSEFをコードする核酸は、cDNA、ゲノムDNA、対応するR
NAまたはそのフラグメントであり得る。用語「GSEF遺伝子」は、提供され
たGSEFポリペプチドのうちのいずれか(配列番号2のGSEFポリペプチド
が特に目的のものである)をコードするオープンリーディングフレーム、イント
ロン、ならびにこのコード領域を約20kb超えるところまでの、しかし、おそ
らく、いずれかの方向のさらに遠くまでの、発現の調節に関与する隣接する5’
および3’の非コードヌクレオチド配列を意味することを意図する。この遺伝子
は、染色体外での維持のために、または宿主ゲノムへの組込みのために、適切な
ベクター中に導入され得る。用語「核酸」は、DNA、cDNA、ゲノムDNA
およびRNA組成物を包含することを意味するがこれらにかならずしも限定され
ない。特異的DNA配列が言及される場合、この配列は、特に他に言及されてい
ない限り、DNAおよびその対応するRNAの両方を包含することが理解される
【0029】 GSEFをコードするポリヌクレオチドは、一般的に、インタクトな染色体以
外としてかなりの純度で単離され、そして入手される。通常、このDNAは、一
般的に少なくとも約50%、通常少なくとも約90%の純度で、GSEF配列ま
たはそのフラグメントを含まない他の核酸配列を実質的に含まずに得られる。そ
して代表的に「組換え体」である(すなわち、天然に存在する染色体上で通常関
連していない1以上のヌクレオチドが隣接している)。特に目的のものは、GS
EFをコードするDNAである。
【0030】 本発明の核酸は、DNA、cDNA、ゲノムDNA、または本発明のDNA、
cDNAまたはゲノムDNA配列に対応するRNA、ならびに本発明の核酸のフ
ラグメント、特に、生物学的に活性な遺伝子産物をコードする、および/または
本明細書中に開示される方法において有用であるフラグメント(例えば、抗体産
生のための抗原性ポリペプチドの産生、アンチセンス、プライマーなど)であり
得る。DNA配列の二本鎖または一本鎖のフラグメントは、オリゴヌクレオチド
を従来の方法に従って化学的に合成することによって、制限酵素消化、PCR増
幅などによって、得られ得る。大部分は、DNAフラグメントは、少なくとも1
5nt、通常少なくとも18ntまたは25ntのものであり、そして少なくと
も約50ntであり得る。このような小さなDNAフラグメントは、PCRのた
めのプライマー、ハイブリダイゼーションスクリーニングプローブなどとして有
用である。より大きなDNAフラグメント(すなわち、100ntよりも大きい
)は、コードされるポリペプチドの産生のために有用である。増幅反応(例えば
、PCR)において用いるために、一対のプライマーが用いられる。プライマー
配列の正確な組成は、本発明には重要ではないが、大部分の適用については、こ
のプライマーは、当該分野で公知のように、本発明の配列にストリンジェントな
条件下でハイブリダイズする。少なくとも約50nt、好ましくは少なくとも約
100ntの増幅産物を生じる一対のプライマーを選択することが好ましい。プ
ライマー配列の選択のためのアルゴリズムは一般的に公知であり、そして市販の
ソフトウェアパッケージにおいて利用可能である。増幅プライマーは、DNAの
相補鎖にハイブリダイズし、そして互いに向かってプライミングする。
【0031】 この用語は、本明細書中で使用される場合、ネイティブな成熟mRNA種にお
いて見出される配列エレメントの配置を共有する、全ての核酸を含むことを意図
し、ここで、配列エレメントは、エキソンならびに3’非コード領域および5’
非コード領域である。通常のmRNA種は連続したエキソンを有し、介在するイ
ントロンが存在する場合、核RNAスプライシングによって除去されて、GSE
Fタンパク質をコードする連続したオープンリーディングフレームを作製する。
【0032】 GSEF遺伝子もまた、ゲノム配列として提供され得る。目的の代表的なゲノ
ム配列は、ネイティブな染色体中に通常存在するイントロンの全てを含めて、列
挙された配列において規定されるような、開始コドンと停止コドンとの間に存在
する核酸を含む。この配列はさらに、成熟mRNAにおいて見出される、3’非
翻訳領域および5’非翻訳領域を含み得る。これはさらに、転写された領域の5
’末端または3’末端のいずれかに約1kbの、しかしおそらく、より大きな隣
接ゲノムDNAを含む、特異的転写調節配列および翻訳調節配列(例えば、プロ
モーター、エンハンサーなど)を含み得る。このゲノムDNAは、100kbp
以下のフラグメントとして単離され得;そして実質的に隣接する染色体配列を含
まない。3’もしくは5’のいずれかでコード領域に隣接するゲノムDNA、ま
たはイントロンにおいて時々見出されるような内部調節配列は、適切な組織特異
的発現および時期特異的発現に必要とされる配列を含む。
【0033】 本発明の核酸組成物は、本明細書中に記載される核酸組成物の開示によって当
業者によって容易に理解されるように、種々の方法で用いられ得る。例えば、ゲ
ノム配列の5’隣接領域の配列は、組織における組織特異的調節および/または
発生調節を提供するプロモーターエレメント(エンハンサー結合部位を含む)の
ために利用され得、ここで、GSEF遺伝子が発現される。組織特異的発現は、
発現パターンを決定するため、およびネイティブな発現パターン(例えば、GS
EF)を模倣するプロモーターを提供するために有用である。1つの実施形態で
は、GSEF プロモーターを用いて、遺伝子の発現を正常細胞または転移前細
胞(特に、乳管(breast ductal)細胞に指向させる)。
【0034】 プロモーター領域中の天然に存在する多型は、発現における天然のバリエーシ
ョン(特に、疾患と関連し得るバリエーション)を決定するために有用である。
.あるいは、変異はプロモーター領域に導入されて、発現を変更する効果を実験
的に規定された系において決定し得る。転写因子の結合に関係する特異的DNA
モチーフの同定のための方法(例えば、公知の結合モチーフに対する配列類似性
、ゲル遅延研究など)は、当該分野で公知である。例えば、Blackwell
ら(1995)Mol.Med.1:194−205;Mortlockら(1
996)Genome Res.6:327−33;ならびにJoulinおよ
びRichard−Foy(1995)Eur.J.Biochem.232:
620−626。
【0035】 調節配列を使用して、GSEF発現の転写調節または翻訳調節(特に癌の異な
る組織または発達病期において(例えば、前転移性または正常細胞))のために
必要とされるシス作用性配列を同定し得、そしてGSEF発現を調節または媒介
するシス作用配列およびトランス作用因子を同定し得る。そのような転写または
翻訳制御領域は、培養された細胞において、あるいは、胚性組織、胎児組織また
は成体組織において、ならびに遺伝子治療のために、野生型または変更されたG
SEFポリペプチドあるいは他の目的のタンパク質の発現を促進するために、G
SEFコード遺伝子に作動可能に連結され得る。
【0036】 このDNAはまた、生物学的検体における遺伝子の発現を同定するために使用
され得る。ゲノムDNAまたはRNAのような特定のヌクレオチド配列の存在に
ついて細胞を検査する様式は、文献において十分樹立されており、本明細書で詳
述する必要はない。DNAまたはmRNAは、細胞サンプルから単離される。こ
のmRNAは、相補性DNA鎖を形成するための逆転写酵素を用いたRT−PC
R、次いでその目的のDNA配列について特異的なプライマーを用いたポリメラ
ーゼ連鎖反応増幅によって増幅され得る。あるいは、そのmRNAサンプルは、
ゲル電気泳動によって分離され、適切な支持体(例えば、ニトロセルロース、ナ
イロンなど)に転写され、次いでプローブとして被験体DNAのフラグメントを
用いて検査する。他の技術(例えば、オリゴヌクレオチド連結アッセイ、インサ
イチュハイブリダイゼーション、および固体チップに配列されたDNAプローブ
へのハイブリダイゼーション)もまた用途を見出し得る。被験体配列へのmRN
Aハイブリダイズの検出は、そのサンプルにおけるGSEF遺伝子発現の指標で
ある。
【0037】 (改変体、ホモログ、およびオルソログ) 提供される特定のGSEF配列に加えて、GSEF核酸組成物はまた、本明細
書において提供される特定のポリヌクレオチド配列に対して実質的な配列類似性
または配列同一性を有する核酸配列を含む。配列類似性は、参照配列に基づいて
算出される。これは、保存されたモチーフ、コード領域、隣接領域などのような
より大きな配列のサブセットであり得る。参照配列は、通常、18の連続するn
t長であり、より通常は少なくとも約30の連続するntから約100〜約20
0の連続するnt長であり、そして比較される完全な配列にまで伸び得る。配列
分析のためのアルゴリズムは当該分野において公知である(例えば、BLAST
(Altschulら(1990),J.Mol.Biol.215:403−
10に記載される))。一般に、本発明の改変体は、MPSRCHプログラム(
Oxford Molecular)において実行されるSmith−Wate
rman相同性検索アルゴリズムによって決定される場合、少なくとも約65%
より高い、このましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約85
%の配列同一性を有し、そして少なくとも約90%以上より高くあり得る。所望
の配列同一性の配列を同定するためのMPSRCHプログラムでの使用のための
例示的な検索パラメーターは以下のとおりである:gap open pena
lty:12;およびgap extension penalty:1。
【0038】 本明細書において考察されるGSEF核酸組成物はまた、核酸配列の天然に存
在する、合成、および組換えの改変体(例えば、縮重改変体、対立遺伝子改変体
など)を包含する。本発明のポリヌクレオチドの対立遺伝子改変体は、ストリン
ジェント条件下で本明細書において開示されたヌクレオチド配列を有する推定対
立遺伝子改変体のハイブリダイゼーションによって同定される。例えば、以下の
洗浄条件(2×SSC,0.1% SDS,室温30分2回;次いで2×SSC
,0.1% SDS,50℃30分1回;次いで2×SSC,室温10分2回)
用いることによって、本発明のポリヌクレオチドの各々の対立遺伝子改変体が同
定され得、これらは、多くても約25〜30%の塩基対ミスマッチを含む。一般
に、対立遺伝子改変体は、約15〜25%の塩基対ミスマッチを含み、そして約
5〜15%ほど、または2〜5%ほど、または1〜2%の塩基対ミスマッチ、な
らびに単一塩基対ミスマッチを含み得る。
【0039】 GSEF核酸組成物はまた、本発明のポリヌクレオチドに対応するホモログを
含む。ここで、ホモログ遺伝子の供給源は、任意の哺乳動物種(例えば、霊長類
種、特にヒト;齧歯類(例えば、ラット)、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、酵
母、線虫など)であり得る。哺乳動物種(例えば、ヒトとマウスとの)間では、
ホモログは、実質的な配列類似性を有する(例えば、ヌクレオチド配列間で少な
くとも75%配列同一性、通常、少なくとも90%、より通常は少なくとも95
%)。
【0040】 (改変されたGSEFコード核酸) 本発明の核酸組成物はまた、改変されたGSEFコードポリヌクレオチドを包
含する。これには、以下が挙げられるが必ずしもそれらに限定されない:フラグ
メント(例えば、本発明のポリペプチドのすべてまたは一部分をコードする)、
遺伝子的に改変されたGSEFポリペプチドをコードするポリヌクレオチドなど
。ここで、改変されたGSEFコードポリヌクレオチドが特に関心がある。GS
EFコード遺伝子の配列(隣接するプロモーター領域およびコード領域を含む)
は、プロモーターの強さ、コードされるタンパク質の配列などにおける変化を生
成するための当該分野において公知の方法において変異され得る。そのような変
異のDNA配列またはタンパク質の産物は、通常、本明細書において提供される
配列に実質的に類似する。すなわち、それは、それぞれ少なくとも1ヌクレオチ
ドまたはアミノ酸分異なり、そして少なくとも2であるが、約10以下のヌクレ
オチドまたはアミノ酸分異なり得る。この配列変化は、置換、挿入または欠失で
あり得る。欠失は、さらに、大きな変化を包含し得る(例えば、ドメインまたは
エキソンの欠失)。目的の他の改変は、エピトープタグ化(例えば、FLAG系
、HAなど)を包含する。細胞内局在化の研究のために、緑色蛍光タンパク質(
GFP)を用いた融合タンパク質が使用され得る。
【0041】 本発明の改変されたGSEFポリペプチドおよび核酸を生成する場合、当業者
は、GSEFの構造および機能の周辺の知識に鑑み、変更または維持すべきアミ
ノ酸残基の当業者の選択において、当業者がガイドされ得ることを容易に認識す
る。例えば、改変されたGSEFは、GSEFポリペプチドコード領域(例えば
、ETSドメイン)の保存された領域内の改変を含み得、および/またはその外
側の改変を含み得る。GSEFのETSドメインのアミノ酸配列は、以下である
: IHLWQFLKELLLKPHSYGRFIRWLNKEKGIFKIEDS
AQVARLWGIRKNRPAMNYDKLSRSIRQYYKKGIIRK
PDISQRLVYQFV(配列番号3)。
【0042】 クローニングされた遺伝子のインビトロ変異誘発のための技術は公知である。
部位特異的変異誘発のためのプロトコルの例は、以下に見出され得る:Gust
inら,Biotechniques 14:22(1993);Barany
,Gene 37:111−23(1985);Colicelliら,Mol
Gen Genet 199:537−9(1985);およびPrentk
iら,Gene 29:303−13(1984)。部位特異的変異誘発のため
の方法は、以下に見出され得る:Sambrookら,Molecular C
loning:A Laboratory Manual,CSH Press
1989,15.3−15.108頁;Weinerら,Gene 126:
35−41(1993);Sayersら,Biotechniques 13
:592−6(1992);JonesおよびWinistorfer,Bio
techniques 12:528−30(1992);Bartonら,N
ucleic Acids Res 18:7349−55(1990);Ma
rottiおよびTomich,Gene Anal Tech 6:67−7
0(1989);ならびにZhu,Anal Biochem 177:120
−4(1989)。そのような変異された遺伝子を使用して、GSEF遺伝子の
構造機能関係を研究し得、特に、種々の組織におけるGSEFの示差発現を研究
し得るかまたはその機能または調節に影響を与えるこれらのタンパク質の特性を
変更し得る。
【0043】 (GSEFポリペプチド) GSEF核酸配列を使用して、GSEFポリペプチドのすべてまたは部分を生
成し得る。発現のために、発現カセットが使用され得る。この発現ベクターは、
転写開始領域および翻訳開始領域ならびに転写終結領域および翻訳終結領域を提
供する。これら転写開始領域および翻訳開始領域は、誘導性または構成性であり
得る。ここで、コード領域は、その転写開始領域の転写制御下に作動可能に連結
される。これらの制御領域は、GSEFコード遺伝子に対してネイティブであり
得(例えば、GESFコード遺伝子に対してネイティブであり得)るか、または
外因性供給源に由来し得る。
【0044】 そのポリペプチドは、従来の方法に従って、発現の目的に応じて原核生物また
は真核生物において発現され得る。そのタンパク質の大規模産生のために、単細
胞生物(例えば、E.coli,B.subtilis,S.cerevisi
ae)、バキュロウイルスベクターと組み合わせた昆虫細胞、または脊椎動物(
特に哺乳動物(例えば、COS7細胞))のような高等生物の細胞を、発現宿主
細胞として使用し得る。いくつかの状況において、真核生物細胞においてGSE
F遺伝子(例えば、GSEF遺伝子)を発現することが所望される。ここで、そ
の組換えタンパク質はネイティブ折り畳みおよび翻訳後修飾からの利益を受ける
。低分子ペプチドはまた、研究室において合成され得る。完全な指向される抗体
を惹起し得る。
【0045】 発現宿主を用いることによる、多量のそのタンパク質またはそのフラグメント
の入手可能性を用いて、このタンパク質は、従来の方法に従って単離および精製
され得る。溶解物は、発現宿主から調製され得、そしてその溶解物は、HPLC
,排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー
または他の精製技術を用いて精製され得る。その精製されたタンパク質は、少な
くとも約80%純粋であり、好ましくは少なくとも90%純粋であり、そして1
00%純粋までおよびそれを含むまでであり得る。純粋とは、他のタンパク質お
よび細胞砕片を含まないことを意味することが意図される。
【0046】 発現されたGSEFポリペプチドは、抗体の産生に有用である。ここで、短い
フラグメントは、特定のポリペプチドについて特異的な抗体を提供し、そしてよ
り大きなフラグメントまたはそのタンパク質全体は、そのポリペプチドの表面に
わたる抗体の産生を可能にする。抗体は、GSEFポリペプチドまたはその免疫
原性フラグメントの野生型または改変形態に対して惹起され得るか、または特定
のドメインに対応する単離されたペプチド、またはネイティブタンパク質に対し
て惹起され得る。GSEFポリペプチドに特異的に結合する抗体が特に興味深い
(特に、GSEFポリペプチドに優先的に結合する抗体(例えば、他のETSド
メインファミリータンパク質に対するヒトGSEFポリペプチドを優先的に結合
する抗体))。
【0047】 抗体は、従来の方法に従って調製される。ここで、その発現されたポリペプチ
ドまたはタンパク質は、それ自身または公知の免疫原性キャリア(例えば、KL
H、pre−S HBsAg、他のウイルスタンパク質または真核生物タンパク
質など)と結合体化されて、免疫原として使用される。種々のアジュバントが適
切な場合一連の注射と共に使用され得る。モノクローナル抗体について、1回以
上の追加免疫注射の後に、脾臓が単離され、リンパ球が細胞融合によって不死化
され、そして次いで高親和性抗体結合についてスクリーニングされ得る。所望の
抗体を産生する不死化された細胞(すなわち、ハイブリドーマ)は、増殖され得
る。さらなる説明について、Monoclonal Antibodies:A
Laboratorv Manual,Harlow and Lane編,
Cold Spring Harbor Laboratories,Cold
Spring Harbor,New York,1988を参照のこと。所
望の場合、重鎖および軽鎖をコードするmRNAは、E.coli中にクローニ
ングをすることによって、単離および変異誘発され得、そして重鎖および軽鎖が
混合されて、さらに抗体の親和性が増強され得る。抗体を惹起する方法としての
、インビボ免疫化の代替は、通常インビトロアフィニティー成熟と組み合わせて
、ファージ「ディスプレイ」ライブラリーへ結合することを包含する。
【0048】 (診断適用) この核酸および/またはポリペプチドの組成物は、種々の診断適用において使
用され得る。そのような診断適用の例示的な実施形態は、以下に記載される。
【0049】 (GSEF発現および/または発現レベルの検出によって癌の診断および予後
) 上記のように、本発明は、GSEF発現は、転移の可能性の低い細胞、非点異
性の可能性の細胞、および正常細胞よりも、転移の可能性の高い細胞において減
少する。一般に、用語「転移の可能性の高い」および「転移の可能性の低い」と
は、動物モデルにおける転移を生じる細胞の相対的能力を記載するために用いら
れ、ここで、「転移の可能性の高い」細胞は、「転移の可能性の低い」細胞より
多数の転移および/またはより大きな転移を生じる。従って、転移の可能性の高
い細胞は、転移の可能性の低い細胞よりもその被験体に対してより高い転移の危
険性を提示する。「非転移性の細胞」とは、癌性であるが、動物における注射の
後に検出可能な転移を発生しない細胞である。例示的な高い転移性の細胞として
は、MDA−MB435、MDA−MB231およびALABが挙げられる。例
示的な低い転移性の細胞としては、MDA−MB−468、MDA−MB−36
1、ZR−75−1およびMCF−7が挙げられる。
【0050】 従って、本発明は、癌の診断および予後、ならびに悪性度分類および病期分類
のための方法および組成物を特徴とする。これらは、生物学的試験サンプル(例
えば、細胞サンプルまたは組織サンプル)におけるGSEF発現の検出による。
本発明の方法はまた、例えば、癌(例えば、乳癌について、BRCAI、BRC
A2、TP53、ATMまたはAPC)に対する感受性に関連する対立遺伝子の
遺伝による、特定の癌を発達させる素因を有する患者をモニタリングするために
使用され得る。GSEF発現レベルの検出およびモニタリングを使用して、癌が
肉眼で形態学的レベルで検出可能になる前に、分子レベルで潜在的に悪性の事象
を検出し得る。
【0051】 一般に、癌の診断、予後および悪性度分類および/または病期分類は、転写レ
ベルで示差的に発現されるGSEF遺伝子の発現の相対レベル、および/または
患者の細胞における正常もしくは異常なGSEFポリペプチドの非存在もしくは
存もしくは変更された量を決定する多数の方法によって行われ得る。本明細書に
おいて使用される「示差的に発現された遺伝子」とは、少なくとも約25%、通
常少なくとも約50%〜75%、より通常は少なくとも約90%もしくはそれを
超える発現レベルの減少に関連する、発現レベル(例えば、次いで、GSEFポ
リペプチド産生および/またはGSEF転写のレベルに関連する)を有する遺伝
子をいう。一般に、示差的に発現されるGSEFにおけるそのような減少は、転
移の表現型の発症または発達の指標である。
【0052】 「診断」とは、本明細書において使用される場合、疾患または障害に対する被
験体の感受性の決定、被験体が疾患もしくは障害に影響を受けていないかどうか
、感受性であるかどうか、もしくは現在罹患しているかどうか、ならびに/ある
いは腫瘍が良性、非癌性または癌性(例えば、非転移性または転移性、例えば、
転移の可能性が高いまたは転移の可能性が低い)として識別することの判定を包
含する。「予後」とは、本明細書において使用されて、概して、疾患の重篤度(
例えば、癌の同定または、前転移性もしくは転移性の癌性の病期、癌病期など)
の判定を意味し、これは、次いで、潜在的な出力、治療に対する応答などと相関
付けられ得る。従って、完全な診断は、上記のような診断、ならびに予後、癌の
病期分類、および腫瘍の悪性度分類を包含し得る。本発明は特に、種々の起源の
癌の状況(特に乳癌(例えば、上皮内癌(例えば、上皮内腺管癌)、エストロゲ
ンレセプター(ER)陽性乳癌、ER陰性乳癌、または乳癌の他の形態および/
もしくは病期)および前立腺癌)における、被験体の診断および予後を包含する
【0053】 上記のように、GSEF発現レベルの検出を使用して、その腫瘍の病期を決定
し、そして/またはその腫瘍の悪性度分類を決定し得る(例えば、腫瘍の細胞の
文化状態を決定し得る)。病期分類は、その癌性状態が患者においてどれだけ進
行するかを記載するために内科医によって使用されるプロセス(過程)である。
悪性度分類は、予後を判定するにおいて、処置を計画するにおいて、およびその
ような処置の結果を評価するにおいて内科医を補助する。異なる病期分類が、異
なる型の癌について使用されるが、一般に、各々、以下の考慮事項を包含する:
腫瘍の型(Tに8より表す);その癌がリンパ節付近に転移したかどうか(Nで
表す);およびその癌が身体のより遠位部分に転移したかどうか(Mで表す)。
病期分類のシステムは、TNMシステムと呼ばれる。一般に、癌が原発病巣の領
域でのみ検出可能であり、リンパ節には全く広がっていない場合、それは病期I
と呼ばれる。癌が最も近くのリンパ節にのみ広がった場合、病期IIと呼ばれる
。病期IIIでは、その癌は、原発病巣の部位の付近におけるリンパ節にほぼ広
がっている。身体の遠位部分(例えば、肝臓、骨、脳または別の部位)に広がっ
た癌は病期IVと呼ばれ、最も進行した病期である。
【0054】 GSEF発現レベルの検出は、癌の攻撃性(例えば、転移の可能性)について
のマーカーを同定する働きをすること、および身体の異なる領域における存在に
よって病期プロセスの精緻化を容易にし得る。従って、転移の可能性の高いこと
を意味する、減少しまたは検出不可能なGSEF遺伝子産物発現レベルを有する
病期IIを使用して、病期II腫瘍は、病期III腫瘍とより正確に悪性度分類
し得、より積極的な治療を正当化し得る。逆に、より転移の可能性が低いことを
意味するより高いまたは正常なGSEF遺伝子産物発現レベルは、腫瘍をより攻
撃性の低いものとして病期分類することを容易にし得る。
【0055】 癌の「悪性度分類」(grade)は、腫瘍がその腫瘍と同じ型の正常組織に
どれだけ類似するかを記載するために用いられる。腫瘍の顕微鏡での外観に基づ
いて、病理学者は、細胞形態学、細胞構成、および分化の他のマーカーのような
パラメータに基づいて腫瘍の悪性度分類を同定する。一般的な規則として、腫瘍
の悪性度分類は、増殖または攻撃性のその速度に対応する。すなわち、分化して
いないかまたは高悪性度分類の腫瘍は、より分化したまたは低悪性度分類腫瘍よ
りも迅速に増殖する。腫瘍悪性度分類に関する情報は、処置を計画すること、お
よび予後を予測することにおいて有用である。
【0056】 American Joint Commission on Cancer
は、腫瘍の悪性度分類のために以下のガイドラインを推奨している:GX Gr
adeは評価され得ない;2)G1 Well 分化した;G2 中程度に十分
分化した;3)G3 ほとんど分化していない;4)G4 分化していない。悪
性度分類は、ほとんどの癌を記載するために病理学者によって使用されているが
、特定の型についての処置計画において最も重要な役割を果たしている。例とし
ては、前立腺癌について特異的であるグリーソン(Gleason)システムで
ある。これは、分化の程度を記載するために悪性度分類数を使用する。より低い
グリーソンスコアは、十分に分化した細胞を意味する。中程度のスコアは、中程
度に分化した細胞を有する腫瘍を示す。より高いスコアは、余り分化していない
細胞を記載する。悪性度分類はまた、脳腫瘍および軟組織肉腫のいくつかの型に
おいても重要である。
【0057】 「遺伝子産物」とは、本発明の診断、予後、悪性度分類および病期分類の方法
に関して使用され、部分長または全長のポリペプチドまたはmRNAを包含する
ことを意味する。mRNA遺伝子産物の検出は、mRNAからcDNAを産生す
ること、およびそのように産生された対応するcDNAを検出することを包含し
得る。
【0058】 「サンプル」または「生物学的サンプル」とは、本明細書全体を通して使用さ
れ、概して、生物学的流体または組織のサンプル、特に、組織から得られたサン
プル(特に、診断適用が計画される疾患に関連する型の細胞(例えば、腺管癌腺
癌)など)をいうことを意味する。「サンプル」はまた、そのようなサンプルの
誘導体または画分(例えば、細胞溶解物)を包含することも意味する。そのサン
プルが固体組織である場合、その組織の細胞は、剥離され得るか、または組織切
片が分析され得る。
【0059】 診断または予後において有用な本発明の方法は、代表的に、目的のサンプル中
のGSEF遺伝子産物の量とコントロールのものとを比較して、遺伝子産物の発
現における相対的相違を検出することを包含する。ここで、その相違は、定性的
および/または定量的に測定され得る。定量は、例えば、標準曲線に存在する産
物量と、そのサンプルにおいて検出された発現産物のレベルを比較することによ
って行われ得る。ELISAを用いて肉眼で比較を行って、試験サンプルおよび
コントロールサンプル中のGSEFポリペプチドの相対量を検出し得;濃度計の
ような技術を用いて、コンピューターの補助ありかまたはなしで、検出可能に標
識されたGSEFポリペプチドまたはGSEFコード核酸の相対量を検出し得;
試験サンプルから単離されたmRNAのcDNAクローンの代表的なライブラリ
ーを調製し、そのライブラリーにおけるクローンを配列決定して、その同じ遺伝
子産物に対応するcDNAクローンの数を決定し得、そしてコントロールサンプ
ルにおける同じ遺伝子産物のクローンの数に対して、その同じ遺伝子産物に対応
するクローンの数を分析し得;またはアレイを用いて抗GSEFポリペプチド抗
体結合の相対レベルを検出し得、もしくはGSEFコード核酸配列に対するハイ
ブリダイゼーションの相対レベルを検出し得、そしてコントロールのものに対す
る抗体結合もしくは核酸ハイブリダイゼーションのパターンを比較し得る。
【0060】 本発明の方法のいくつかの実施形態において、GSEF産物の発現および少な
くとも1つの遺伝子産物の他のGSEFの発現を検出することが特に望ましくあ
り得る。GSEF発現は、転移の発達において減少し、そして天使細胞において
は検出可能でないかもしれない。他方、GSEFは非転移および正常の細胞にお
いて発現される。GSEFに加えて他の遺伝子産物の発現の検出をすることもま
た望ましくあり得る。例えば、ELAFは、非転移性の細胞、転移の可能性の低
い、転移の可能性の高いおよび転移性の癌細胞において発現されるが、正常細胞
においては有意にもしくは検出可能なレベルでは発現されない。従って、E1A
F遺伝子産物の検出は、癌細胞から正常細胞を識別するためのコントロールとし
て役立ち得る。さらに、または代替的に、ESX遺伝子の発現は、低い転移性の
表現型を示す細胞の検出のためのさらなるマーカーとして役立ち得る。ESXの
発現は、概して、転移の可能性の低い細胞において検出可能であるが、概して、
転移の可能性の高い細胞においては検出可能ではない。従って、E1AFおよび
/またはESXをともなったGSEFの検出は、細胞の転移の可能性の分類のた
めに、より感度の良いアッセイを提供し得る。ESXポリヌクレオチドおよびア
ミノ酸の配列は、配列表において、配列番号4および5として提供される。
【0061】 コントロールとして役立ち得るかまたは細胞の転移性表現型の分類の感受性を
増加する、他の遺伝子産物、ならびに正常細胞の同定についてコントロールとし
て役立ち得る遺伝子産物(例えば、正常細胞において発現されるが、転移性細胞
では発現されない遺伝子産物など)は、当該分野において公知である。さらに、
その細胞は、光学顕微鏡によって判断されるように、全体の形態のような従来の
方法論に基づいて正常または癌性と分類され得る。例えば、形態に基づいて細胞
を癌性と分類するための従来の技術は、GSEF発現の検出の前または同時に行
われ得る。従って、癌性の表現型に関連する異常形態を示し、そして正常細胞に
比較して低レベルのGSEFを発現するかまたはその中でGSEF発現が検出可
能ではない細胞は、転移の可能性の高い細胞と同定される。
【0062】 サンプルにおけるポリペプチドまたは核酸の定性的および定量的な検出のため
の方法、ならびにそのようなものを、コントロールサンプルと比較するための方
法は、当該分野において周知である。例えば、サンプルにおける核酸含量を判定
するための種々の異なる方法は当業者に公知であり、ここで、特に興味深い方法
は、以下に記載されるものを包含する:Pietuら,Genome Res.
(1996)6:492;Zhaoら,Gene(1995)156:207;
Soares,Curr.Opin.Biotechnol.(1977)8:
542;Raval,J.Pharmacol Toxicol Method
s(1994)32:125;Chalifourら,Anal.Bioche
m(1994)216:299;Stolzら,Mol.Biotechnol
.(1996)6:225;Hongら,Biosci.Reports(19
82)2:907;McGraw,Anal.Biochem.(1984)1
43:29;およびWO97/27317。
【0063】 そのサンプルが入手される患者は、見かけ上健常であり得、疾患に感受性であ
り(例えば、家族歴または特定の環境因子への暴露によって判断される)、また
はすでに、本発明の遺伝子産物の発現変化が相関づけられている状態を有すると
同定され得る。
【0064】 本発明のアッセイにおいて、その診断は、検出されたGSEF遺伝子産物発現
レベルに基づいて判定され得、そしてまた、さらなる診断マーカーおよび/また
は参照の配列の検出を包含し得る。その診断方法が転移性癌の存在またはそれに
対する患者の感受性を検出するように設計される場合、そのアッセイは、好まし
くは、GSEF遺伝子産物の検出、および検出された遺伝子産物レベルを、正常
サンプルに関連するレベルと、転移の可能性の低いサンプルに関連するレベルと
、および/または転移の可能性の高いサンプルに関連するレベルと比較すること
を包含する。例えば、正常レベルに比較してより低いレベルのGSEF発現の検
出は、高い転移の可能性を有する細胞がサンプルに存在することの指標である。
本明細書において提供される開示に鑑みると、本明細書において記載される診断
および予後のアッセイ改変は、当業者には容易に明白である。
【0065】 種々の検出可能な任意の標識は、本発明の種々の方法と組合せて使用され得る
。適切な検出可能な標識は、蛍光色素、放射性標識などを含む。適切な標識とし
ては、以下が挙げられるがそれらには必ずしも限定されない:蛍光色素(例えば
、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッ
ド、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、6−カルボキシフルオレセイン(
6−FAM)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキ
シフルオレセイン(JOE),6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX),6
−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HE
X)、5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM)またはN,N,N’,N’
−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA))、放射性標識(例
えば、32P、35S、3H)など。検出可能な標識は、2段階系(例えば、ビオチ
ン−アビジン、ハプテン抗ハプテン抗体など)を包含し得る。
【0066】 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドについて特異的な試薬(例えば
、検出可能に標識された抗体または検出可能に標識されたヌクレオチドプローブ
)は、生物学的サンプルにおける発現産物の存在を検出するためのキットに供給
され得る。このキットはまた、緩衝液または標識成分、および生物学的サンプル
における発現産物の検出および定量にそれらの試薬を使用するための指示書を備
え得る。本発明の診断方法の例示的な実施形態は、以下により詳細に記載される
【0067】 (診断、予後、癌悪性度分類および癌病期分類におけるポリペプチド検出) 1つの実施形態において、試験サンプルは、GSEFポリペプチドのレベルに
ついてアッセイされる。診断は、試験サンプルにおいて示差的に発現されるポリ
ペプチドの非存在もしくは存在または変化した量を判定するための多数の方法の
いずれかを用いて行われ得る。例えば、検出は、細胞または組織学的切片(例え
ば、生検サンプル由来)を標識された抗体で染色することを利用し、これは、従
来の方法に従って行われる。細胞を透過化させて、細胞質分子を染色し得る。一
般に、示差的に発現された本発明のポリペプチドを特異的に結合する抗体は、サ
ンプルに添加され、そしてそのエピトープの結合が可能であるに十分な時間(通
常10分間)の間インキュベートされる。この抗体は、直接検出のために検出可
能に標識され得(例えば、放射性同位体、酵素、蛍光体、化学発光体などを用い
る)、または結合を検出するための第二病期の抗体または試薬と組み合わせて使
用され得る(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化アビジン、蛍光化合
物(例えば、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッドなど)に結合体化さ
れた二次抗体))。抗体結合の非存在または存在は、種々の方法(脱離した細胞
のフローサイトメトリー、顕微鏡、放射性写真、シンチレーション計数などを含
む)によって判定され得る。示差的に発現されるポリペプチドのレベルまたは量
の定性または定量の検出であり得る任意の適切な代替方法は、以下が使用され得
る:ELISA、ウェスタンブロット、免疫沈降、放射免疫アッセイなど。
【0068】 一般に、試験サンプルにおけるGSEFポリペプチドの検出されるレベルは、
参照またはコントロールサンプル(例えば、正常細胞または公知の疾患状態を有
する細胞(転移の可能性の高い細胞))において示差的に発現される遺伝子産物
のレベルに比較される。
【0069】 (mRNA検出) 本発明の診断、予後、悪性度分類および病期分類方法はまた、または代替的に
、GSEF遺伝子によってコードされるmRNAの検出を包含し得る。当該分野
において公知の、特定mRNAを検出するために適切な任意の定性または定量的
な方法が使用され得る。mRNAは、例えば、組織切片におけるインサイチュハ
イブリダイゼーション、逆転写酵素PCR、またはポリA+mRNAを含むノー
ザンブロットによって検出され得る。当業者は、これらの方法を容易に用いて2
つのサンプルの間のmRNA転写物の大きさまたは量における相違を判定し得る
。例えば、癌性であると推測される組織サンプル(特に、転移の可能性が高いこ
とが推測される組織)における本発明のmRNAのレベルは、参照サンプルにお
けるmRNAの発現と比較される(例えば、陽性または陰性のコントロールサン
プル(例えば、正常組織、癌組織など))。
【0070】 サンプルにおけるmRNA発現レベルを検出および比較するための任意の適切
な方法は、本発明の診断方法と組み合わせて使用され得る(例えば、以下を参照
のこと:米国特許第5,804,382号)。例えば、サンプルにおけるmRN
A発現レベルは、そのサンプルからの発現配列タグ(EST)のライブラリーの
生成によって判定され得、ここで、ESTライブラリーは、サンプルにおいて存
在する配列の代表である(Adamsら(1991)Science 252:
1651)。そのライブラリー内のESTの相対的な表示の数値化は、出発サン
プル内の遺伝子転写物の相対的表示を近似するために用いられ得る。次いで、試
験サンプルのEST分析の結果を参照サンプルのEST分析と比較されて、選択
されたポリヌクレオチド(特に、本明細書において記載される示差的に発現され
る遺伝子の1つ以上に対応するポリヌクレオチド)の相対発現レベルを判定し得
る。
【0071】 あるいは、試験サンプルにおける遺伝子発現は、遺伝子発現の連続分析(SA
GE)方法論を用いて行われ得る(Velculescuら,Science(
1995)270:484)。手短には、SAGEは、各転写物内の特定の位置
から短い特有の配列タグの単離を包含する。その配列タグは連鎖され、クローニ
ングされ、そして配列決定される。出発サンプル内の特定の転写の頻度は、関連
する配列タグが配列集団と遭遇する回数に反映される。
【0072】 試験サンプルにおける遺伝子発現はまた、デファレンシャルディスプレイ(D
D)方法論を用いて分析され得る。DDにおいて、特定の配列デリミッタ(例え
ば、制限酵素部位)によって規定されるフラグメントは、遺伝子の特有の識別子
として使用され、発現される遺伝子内のフラグメント長またはフラグメント位置
に関する情報と組み合わされる。次いで、サンプルと発現される遺伝子との相対
表示は、すべての可能なフラグメントのプール内のでのその遺伝子と関連するフ
ラグメントの相対表示に基づいて見積もられ得る。DDを行うための方法および
組成物は、当該分野において周知である。例えば、以下を参照のこと:米国特許
第5,776,683号;および同第5,807,680号。
【0073】 あるいは、ヌクレオチド相互作用の特異性に基づいた、ハイブリダイゼーショ
ン分析を用いたサンプルにおける遺伝子発現。オリゴヌクレオチドまたはcDN
Aは、特定の配列組成物のDNAまたはRNAを選択的に同定または捕捉するた
めに使用され得る。そして、既知の捕捉配列に対してハイブリダイズしたRNA
またはcDNAの量が定性的または定量的に決定されて、サンプル中の細胞メッ
セージのプール内での特定のメッセージの相対表示に関する情報を提供し得る。
ハイブリダイゼーション分析は、例えば、高密度形式を有するアレイベース技術
を用いて、または分光光度学分析を使用する溶液ベースの技術(例えば、質量分
析)を用いて、数百から数千、数十万までの遺伝子の相対発現の同時スクリーニ
ングを可能にするように設計され得る。本発明の診断方法におけるアレイの1つ
の例示的使用は、以下により詳細に記載される。
【0074】 (アレイを用いた診断におけるパターン適合) 別の実施形態において、本発明の診断および/または予後方法は、試験サンプ
ルにおける遺伝子の選択されたセットの発現を選択して試験発現パターン(TE
P)を生成することを包含する。ここで、その選択されたセットは、GSEF遺
伝子発現産物を含む。TEPは、参照発現パターン(REP)と比較する。これ
は、参照サンプル(例えば、陽性または陰性のコントロールサンプル)の検出に
よって生成される。
【0075】 「参照配列」または「参照ポリヌクレオチド」は、示差的遺伝子発現分析およ
び診断/予後の状況において本明細書において使用されるとき、選択されたセッ
トのポリヌクレオチドをいう。ここで、この選択されたセットは、少なくとも1
つ以上の示差的に発現される、本明細書において記載されるポリヌクレオチドを
包含する。複数の参照配列(好ましくは、陽性および陰性のコントロール配列を
含む)は、参照配列として含有され得る。さらに適切な参照配列としては、Ge
nBank,Unigene、および他のヌクレオチド配列データベース(例え
ば、発現配列タグ(EST)、部分配列および全長配列のもの)が挙げられる。
【0076】 「参照アレイ」とは、サンプルとのハイブリダイゼーションにおける使用する
ための参照配列を有するアレイを意味する。ここで、その参照配列は、本明細書
において記載される、示差的に発現されるポリヌクレオチドのすべて、少なくと
も1つまたは任意のサブセットを含む。通常、そのようなアレイは、少なくとも
1つの異なる参考配列を含む。目的のアレイは、さらに、配列を含み得、これに
は、疾患または障害(例えば、癌、形成異常、または他の関連のもしくは無関連
の疾患、障害もしくは状態)についてスクリーニングするための他の遺伝子配列
、特に他の目的の配列の多型が挙げられる。アレイにおけるオリゴヌクレオチド
配列は、通常、少なくとも約12nt長であり、そして提供される配列のおおよ
その長さであり得るか、または100ntから200nt長もしくはそれを超え
るのフラグメントを生成するための隣接領域へと伸長され得る。
【0077】 「参照発現パターン」または「REP」は、本明細書において使用されて、選
択されたセットの遺伝子の発現の相対レベル、特に示差的に発現される遺伝子の
発現の相対レベルをいう。この遺伝子は、選択された細胞型(例えば、正常細胞
、癌細胞、環境刺激に暴露された細胞など)に関連する。「試験発現パターン」
または「TEP」とは、選択されたセットの遺伝子、特に、試験サンプル(例え
ば、mRNAが単離される、未知または疾患状態が推定される細胞)において、
示差的に発現される遺伝子の発現の相対レベルをいう。
【0078】 REPは、当該分野において周知の方法に従って種々の方法で生成され得る。
例えば、REPは、選択されたセットのポリヌクレオチドを有するアレイに対し
て、コントロールサンプルをハイブリダイズさせる工程、そのハイブリダイゼー
ションデータを、そのアレイから獲得する工程、およびTEPとREPとを容易
に比較することを可能にする形式でデータを格納する工程によって生成され得る
。あるいは、コントロールサンプルにおいて全ての発現された配列は、単離およ
び配列決定され得る(例えば、mRNAをコントロールサンプルから単離する工
程、mRNAをcDNAへと変換する工程、およびそのcDNAを配列決定する
工程による)。得られた配列情報は、大まかまたは正確に、サンプル中の、発現
された配列の同一性および相対的な数を反映する。次いで、その配列情報を、T
EPとREPとの容易な比較を可能にする形式(例えば、コンピュータ読み取り
可能な形式)において格納され得る。そのREPは、データ格納前またはその後
に正規化され得、そして/または処理されて、あまり関心のないか、または分析
を複雑にし得る、発現された遺伝子の配列を選択的に除去し得る(例えば、ハウ
スキーピング遺伝子に関連するいくつかまたはすべての配列はREPデータから
除去され得る)。
【0079】 TEPは、REPと類似の様式で生成され得る(例えば、試験サンプルを、選
択されたセットのポリヌクレオチドを有するアレイ(特に、選択されたセットの
示差的に発現されるポリヌクレオチド)に対してハイブリダイズさえる工程、そ
のアレイからそのハイブリダイゼーションデータを取得する工程、およびそのデ
ータを、REPとTEPとの容易な比較を可能にする形式で格納をする工程によ
る)。比較に使用されるこのREPおよびTEPは、同時に生成され得るか、ま
たはTEPが以前に生成されそして格納されたREPに対して比較され得る。
【0080】 本発明の1つの実施形態において、TEPとREPとの比較は、試験サンプル
と、参照アレイとをハイブリダイズする工程を含み、ここで、その参照配列は、
サンプルとのハイブリダイゼーションのために使用するための1つ以上の参照配
列を有する。この参照配列は、本明細書において記載される、示差的に発現され
るポリヌクレオチドのすべて、少なくとも1つまたは任意のサブセットを含む。
試験サンプルについてのハイブリダイゼーションデータが獲得され、そしてデー
タが正規化され、そして生成されたTEPが、同じまたは類似の選択されたセッ
トの示差的に発現されるポリヌクレオチドを有するアレイを用いて生成されたR
EPと比較される。2つのサンプルの間で示差的に発現される配列に対応するプ
ローブは、他方に対するそのサンプルの一方についてのハイブリダイゼーション
効率の減少または増加を示す。
【0081】 参照アレイは、当該分野で公知の任意の適切な方法に従って生成され得る。例
えば、オリゴヌクレオチドの大きなアレイを生成する方法は、光指向合成技術を
用いた、米国特許第5,134,854号および同第5,445,934号に記
載される。コンピュータ制御システムを用いて、モノマーの異種アレイを、多数
の反応部位で同時に結合させることによって変換して、ポリマーの異種アレイを
生成する。あるいは、マイクロアレイは、固体支持体へ予備合成したオリゴヌク
レオチドの沈着によって生成される。これは、例えば、PCT公開出願第WO
95/35505号に記載される。
【0082】 参照アレイとサンプルとのハイブリダイゼーションからのデータの収集のため
の方法もまた、当該分野において周知である。例えば、参照サンプルおよび試験
サンプルのポリヌクレオチドは、検出可能な蛍光標識を用いて生成され得、そし
てそのサンプルにおけるポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、その検
出可能な標識の存在についてマイクロアレイを走査することによって検出され得
る。デバイスにおける蛍光標識された標的を検出するための方法およびデバイス
は、当該分野において公知である。一般に、そのような検出デバイスは、顕微鏡
および基板へと光を指向させるための光源を備える。光子カウンターは、その基
板からの蛍光を検出し、他方、x−y移動ステージは、その基板の位置を変動さ
せる。本発明の方法において使用され得る共焦点検出デバイスは、米国特許第5
,631,734号に記載されている。走査レーザー顕微鏡は、Shalonら
,Genome Res.(1996)6:639に記載される。適切な励起線
を使用した走査は、使用される発蛍光団の各々について行われる。次いで、走査
から生成されるデジタル画像を、続きの分析について併せられる。任意の特定の
アレイ要素について、1つのサンプル(例えば、試験サンプル)からのその蛍光
信号の比率を、別のサンプル(例えば、参照サンプル)からの蛍光信号と比較し
、そして、相対信号強度が決定される。
【0083】 アレイに対するハイブリダイゼーションから収集されるデータを分析するため
の方法は、当該分野において周知である。例えば、ハイブリダイゼーションの検
出が蛍光標識を包含する場合、データ分析は、収集されたデータから基板の位置
の関数として蛍光強度を決定する工程、アウトライアー(outlier)(す
なわち、所定の統計学的分布から逸脱するデータ)を除去する工程、および残り
のデータから標的の相対的な結合親和性を算出する工程を包含する。得られるデ
ータは、標的とプローブとの間の結合親和性に従って変動しつつ、各領域におい
て強度を有する画像として表示され得る。
【0084】 一般的に、試験サンプルは、参照サンプル(例えば、癌または癌の特定の病期
、異常形成、癌以外の疾患に罹患したサンプルなど)から生成された1つ以上の
REPに対して、試験サンプルから生成されるTEPを比較することによって、
疾患または非疾患状態に関連するものに対応する遺伝子発現プロファイルを有す
ると分類される。TEPとREPとの間の適合または実質的な適合についての基
準は、遺伝子の同じセットまたは実質的に同じセットの発現、およびこれらの遺
伝子の実質的に同じレベルを包含する(例えば、そのサンプルの正規化後の選択
された参照配列に関連する信号について、そのサンプルの間に統計学的に差異が
ないこと、または所定の参照配列について、信号強度において少なくとも約25
%を超えない〜約40%を超えない相違が存在する)。本発明の目的について、
一般に、TEPとREPとの間のパターン適合は、発現における適合であり、好
ましくは、少なくとも1つのGSEF遺伝子の、定性的または定量的な発現レベ
ルにおける適合である。
【0085】 パターン適合は、手動で行われ得るか、またはコンピュータプログラムを用い
て実施され得る。基板マトリクス(例えば、アレイ)の調製のための方法、その
ようなマトリクスを用いるためのオリゴヌクレオチドの設計、プローブの標識、
ハイブリダイゼーション条件、ハイブリダイズしたマトリクスの走査、および生
成されるパターンの分析(比較分析を含む)は、例えば、米国特許第5,800
,992号に記載されている。
【0086】 (本発明の方法を用いた診断、予後、病期分類および/または悪性度分類を受
け入れる癌) 本発明の方法を使用して、任意の細胞または組織サンプルにおいてGSEF発
現レベルを検出し得る。ここで、GSEF発現レベルは、転移表現型の発生と連
鎖し得る。特に興味深いのは、乳房組織または前立腺組織からとられたサンプル
におけるGSEF発現レベルの検出である。GSEF発現レベルはまた、種々の
起源の細胞または組織における転移表現型の発生と連鎖し得る。これには、肺、
結腸、前立腺、肝臓、気管、上皮由来組織などが含まれるがそれらに限定されな
い。
【0087】 GSEF発現レベルは、単一の組織において発生し得る、種々の癌において転
移表現型の発生を示し得る。例えば、GSEF発現レベルは、乳癌、前立腺癌、
肺癌または結腸癌の種々の型における転移表現型の発生を検出し、そしてそれら
の間での識別のために使用され得る。1つの実施形態において、本発明の方法は
、乳癌および前立腺癌の診断、予後、病期分類および/または悪性度分類を包含
する。
【0088】 (乳癌における本発明の方法の使用) GSEFの発現の検出は、組織間の示差的遺伝子発現を分析することによって
、非癌性乳房組織、転移の可能性の低い、および転移の可能性の高い乳房組織の
間を識別するために使用され得る。同様に、GSEFの発現は、乳癌の診断およ
び管理において使用され得る。乳癌の有害な性質および/または転移の可能性の
判定は、GSEF発現のレベルを比較することによって決定され得る。これは、
癌組織(例えば、ER発現)において変動することが知られる別の配列のレベル
に比較され得る。さらに、GSEF発現レベルの検出は、ステロイドホルモンま
たは他のホルモン(例えば、成長ホルモン、インスリン)のレベルの検出と組み
合わせて、行われ得る。
【0089】 乳癌の診断はまた、罹患した組織の1つ以上の形態と比較して、本発明のポリ
ヌクレオチドの発現を、非悪性乳房組織サンプルにおける他の配列の発現と比較
することを包含し得る。サンプルの間の本発明の1つ以上のポリヌクレオチドの
発現の比較は、これらのポリヌクレオチドの相対レベルについての情報、ならび
に正常に対して比較される目的の組織における他の配列の発現に対するこれらの
ポリヌクレオチドの比率を提供する。例えば、GSEF発現は、管上皮のサンプ
ルにおいて検査され得、そして正常な管上皮におけるGSEF発現のレベルと比
較され得る。管上皮サンプルにおけるGSEF発現の、正常な管上皮におけるG
SEF発現に比較した減少は、そのサンプルが転移の可能性の高い細胞を含むこ
とを示す。
【0090】 診断および危険の評価のために使用されることと同様に、本発明のポリヌクレ
オチドの発現は、悪性乳癌の転移可能性を決定するための予後の価値があり得る
。なぜなら、この分子は、転移可能性の高い組織腫瘍と、転移可能性の低い組織
腫瘍との間で示差的に発現されるからである。悪性乳癌を有する患者におけるこ
れらのポリヌクレオチドのレベルは、正常組織、公知の転移の可能性の高いレベ
ルを有する悪性組織、および公知のより低いレベルの転移の可能性を有する悪性
組織と比較されて、特定の患者についての予後を提供し得る。そのような予後は
、癌の程度および性質の予測である。判定される予後は、疾患の初期処置のため
および同じ患者の長期のモニタリングのための両方で、乳癌を有する患者の予後
を判定するにおいて有用である。一定期間にわたり、同じ個体からサンプルがと
られる場合、その患者に特異的なポリヌクレオチド発現における相違が同定され
得そして厳密に観察され得る。
【0091】 特に興味深くあり得る乳癌の特定の型は、以下に記載される。
【0092】 上皮内腺管癌(ductal carcinoma in situ;DCI
S):上皮内腺管癌は、非侵襲性の乳癌の最も一般的な型である。DCISにお
いて、悪性細胞は、乳房の脂肪組織へと管の壁を通じて転移されない。面皰癌(
Comedocarcinoma)は、DCISの型の中で乳腺腫瘤摘出の後に
同じ領域の戻ることが最も確からしく、そしてDCISの形態の中で、侵襲性の
腺管癌の最終的な発生に最も密接に連鎖するDCISの型である。
【0093】 浸潤(または侵襲性)の腺管癌(IDC):IDCにおいて、癌性細胞は、管
の壁を通じて転移しており、そして乳房の脂肪組織に侵襲している。この時点で
、身体のより遠い部分への転移のために、リンパ系および血流を使用する可能性
を有する。
【0094】 上皮内小葉癌(LCIS):真の癌ではないが、LCIS(これはまた、小葉
腫瘍形成とも呼ばれる)は、ときに、非侵襲性の乳癌の1つの型に分類される。
小葉の壁を通じてはこれは浸透しない。それは、通常、自分自身は、侵襲性の癌
にはならないが、この状態を有する女性は、同じまたは反対側の乳房において侵
襲性の乳癌を発生するより高い危険を有する。
【0095】 浸潤(または侵襲性)小葉癌(ILC):ILCは、IDCに対して以下の点
で類似する:ILCは、身体において至る所に転院する可能性を有する。侵襲性
乳癌の約10〜15%は、侵襲性の小葉癌腫であり、そしてIDCよりも乳房X
線写真によって検出することがより困難であり得る。
【0096】 炎症性乳癌:この侵襲性乳癌(これは、全乳癌の約1%を担う)は、非常に攻
撃性である。この癌に関連する多数の皮膚症状は、乳房にわたり皮膚におけるリ
ンパ管またはチャネルをブロックする癌細胞によって生じる。
【0097】 髄質癌腫:浸潤乳癌のこの特定の型は、乳癌の約5%を現在占めるが、腫瘍組
織と正常組織とのあいだに、比較的十分に規定され、異なる境界を有する。髄質
癌腫についての予後は、侵襲性乳癌の他の型についてよりもより良好である。
【0098】 ムチン性癌腫:ムチン性癌腫は、ムチン産生細胞に起源がある。ムチン性癌腫
についての予後は、侵襲性乳癌のより一般的な型についてよりもより良好である
【0099】 乳頭のパジェー病。この型の乳癌は、管において始まり、そして乳頭および乳
輪の皮膚へと広がる。これは珍しい型の乳癌であり、全ての症例の1%のみで生
じる。パジェー病は、上皮内癌腫と関連し得、そして侵襲性乳癌と関連し得る。
しこりが乳房組織において感知され得ず、そして生検がDCISを示すが侵襲性
癌を示さない場合、その予後は卓越している。
【0100】 葉状腫瘍(Phyllodes tumor):この非常に珍しい型の乳腫瘍
は、乳房の間質から形成する。これは、管または小葉において発生する癌とは対
照的である。葉状(これはまた、phylloidesともつづる)腫瘍は、通
常良性であるが、非常に稀に悪性である。
【0101】 管癌腫:すべての乳癌の約2%を占める、管癌腫は、浸潤性乳癌の特定の型で
ある。これらは、通常の浸潤性の管または小葉の癌腫よりもよりよい予後を有す
る。
【0102】 (他の起源の癌における本発明の方法の使用) 乳癌の診断における使用に加えて、GSEF遺伝子産物発現レベルの検出は、
他の組織起源の癌の診断、予後、悪性度分類および/または病期分類において使
用され得る。一般に、上記のように、本発明の方法は、GSEF遺伝子産物発現
レベルの変化が癌関連表現型(例えば、転移)の発生を関連する任意の組織とと
もに使用され得る。本発明の方法について用途が見出され得る例示的な癌として
は、以下が挙げられるが必ずしもそれらに限定されない:前立腺癌、子宮頸癌、
メラノーマ、結腸直腸腺癌、ウイルムス腫瘍、網膜芽腫、肉腫、筋肉腫、肺癌腫
、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病、前骨髄性白血病、単球性白血病、および
骨髄性白血病)ならびにリンパ腫(例えば、組織球リンパ腫)。特に興味深いの
は、前立腺組織においてGSEF発現を検出して、癌性前立腺細胞の同定を容易
にすること、ならびにそのような可能性のある前立腺腫瘍の悪性度分類および/
または病期分類を行うことである。
【0103】 例えば、GSEF遺伝子産物発現レベルは、前立腺癌の診断、および/または
前立腺癌の型または悪性度分類の間を識別すること、特に病期Iまたは病期II
の前立腺癌(非転移性または転移の可能性の低い)を、病期III(前立腺嚢の
外に広がった癌)または病期IV(転移性)の前立腺癌を、初期の病期(例えば
、顕著な転移の発生の前)に識別することに使用され得る。乳癌および他の癌と
同様に、転移の可能性の高い細胞の検出はまた、治療の前または後のいずれかの
、癌の再発の危険性についての情報を提供し得る(例えば、化学療法、手術など
)。
【0104】 GSEF遺伝子産物発現レベルはまた、肺癌の診断において、および/または
肺癌の型の間を識別するために使用され得る。2つの主要な型の肺癌は、小細胞
癌腫および非小細胞癌腫である。小細胞癌腫(これはまた、燕麦細胞癌腫とも呼
ばれる)は通常、より大きな気管支の1つにおいて始まり、かなり迅速に増殖し
、そして従来の診断の時間までに大きくなるようである。非小細胞肺癌(NSC
LC)は、3つの一般的な亜型から構成される:類表皮癌腫、腺管癌、および大
きな細胞癌腫。類表皮癌腫(これはまた、扁平細胞癌腫とも呼ばれる)は、通常
、より大きな気管支の一つにおいて始まり、比較的ゆっくり増殖する。腺管癌は
、肺の表面の外側付近で増殖を開始し、そして大きさおよび増殖速度の両方にお
いて変動し得る。いくつかのゆっくり増殖する腺管癌は、肺胞細胞癌と記載され
る。大きな細胞癌腫は、肺の表面付近から始まり、迅速に増殖し、そしてその増
殖は、診断されるときには、通常かなり大きい。他のあまり一般的でない形態の
肺癌は、類癌腫、円柱腫(cylindroma)、粘液性類表皮(mucoe
pidermoid)癌および悪性中皮腫である。
【0105】 GSEF遺伝子産物発現レベルはまた、結腸癌を検出、診断および/または識
別するために使用され得る。腫瘍な型の結腸癌としては、家族性腺管癌ポリポシ
ス(FAP)、ガードナー症候群、および遺伝性非ポリープ性結腸癌(HNPC
C)が挙げられる。FAPは、患者の結腸および直腸において数百または数千数
十万でさえのポリープを伴い、このポリープは通常、まず、ティーンエイジの年
代の間に現れる。癌はほぼ常に、これらのポリープの1つ以上において30から
50の年齢の間に発生する。FAPと同様に、ガードナー症候群は、ポリープお
よび直腸結腸癌を伴い。これは、若年齢で発生し、そしてまた、皮膚、軟結合組
織および骨の良性腫瘍が伴う。HNPCCの患者は、若年で直腸結腸癌を発生す
る傾向があり、これは、初めは多くのポリープを有しない。さらに、最近の研究
によって、東欧のユダヤ人子孫のいくつかの間で結腸直腸癌を発生する遺伝傾向
が見出された。この集団は、転移の表現型の発生の早期検出のための予後および
診断からの利益を受ける。
【0106】 (多型の検出および合理的な治療) 1つの実施形態において、本明細書において記載される核酸および/またはポ
リペプチドの組成物を使用して、配列における多型の存在、または目的の遺伝子
の発現における改変を検出し得る(例えば、遺伝子型決定)。そのような分析は
、特定の多型が疾患状態または疾患状態(特に、GSEFに関連する状態、障害
または疾患(例えば、転移性癌)に対する遺伝的素因に関連するかどうかを決定
するために用いられ得る。目的の遺伝子産物(例えば、GSEF)をコードする
配列の分析、またはそのような遺伝子産物の発現を提供するプロモーターの配列
もしくは他の調節配列の分析は、個体の遺伝子型と、その個体が治療剤と反応す
る能力との間の関連を評価するための薬理遺伝学的分析のために行われ得る。標
的の感受性における相違は、毒性または治療の失敗を生じ得る。発現レベルまた
は特性における多型間の関連を使用して、治療用量投与を最適化し得る。
【0107】 遺伝子多型は、GSEF遺伝子(例えば、GSEFゲノム配列のコード領域内
、および/またはそのような配列の調節ドメイン内)において同定され得、そし
て多型配列を含む核酸は、GSEFポリペプチドに対して作用する薬物に応答し
て変化した反応性および有害な副作用について、患者をスクリーニングするため
に使用され得る。GSEF遺伝子型決定は、患者からの任意の簡便なサンプル(
例えば、生検材料、血液サンプル、頬からの掻き取り物など)の、DNAもしく
はRNAの配列および/またはハイブリダイゼーション分析によって行われ得る
。個体からの核酸サンプルは、GSEFにおける多型の存在について、特に活性
、治療剤に対する応答性(例えば、活性のインヒビターまたはエンハンサー)ま
たはGSEFの発現に影響を与える多型について分析される。目的の特定の配列
は、1つ以上の組織における基本的発現における変化、GSEF発現の調節にお
ける変化、またはGSEF特異性および/もしくは活性における変化をもたらす
任意の多型を包含する。特に興味深いのは、GSEF発現または活性における減
少をもたらすような変化であり、この減少は、転移性表現型の発生に関連する。
【0108】 特定の薬剤に対する応答に対する、GSEF遺伝子配列における多型の効果は
、インビトロまたはインビボのアッセイによって判定され得る。そのようなアッ
セイは、臨床試験の間のモニタリング、遺伝子的に規定される細胞株における試
験などを包含し得る。次いで、その薬剤に対する個体の応答は、多型に関してG
SEF遺伝子型を判定することによって予測され得る。人種バックグラウンドに
よる多型の示差的分布が存在する場合、薬物投与についてのガイドラインが特定
の人口集団に対して一般的に改変され得る。そのような研究は、類似の症候群を
有する大多数の患者において有効であると証明された治療に対して個体が非応答
であることの理解を提供し得る(そして、例えば、GSEF活性を阻害する遺伝
子産物のインヒビターの投与に対して非応答性であるかまたはそのようである患
者の同定を容易にし得る)。
【0109】 生化学的研究を行って、GSEFコード領域またはコントロール領域における
配列多型が疾患に関連するかどうかを判定し得る(例えば、特定の疾患または状
態(例えば、転移性癌(乳癌、前立腺癌などを含むがそれらに限定されない))
とGSEF多型との関連)。多型に関連する疾患としては、遺伝子の欠失または
短縮、発現レベルを変更する変異、GSEF活性に影響を与える変異などが挙げ
られ得る。
【0110】 多数の方法が、特定の配列の存在について核酸を分析するために利用可能であ
る。大量のDNAが利用可能である場合、ゲノムDNAが直接使用される。ある
いは、目的の領域は、適切なベクター中にクローニングされ、そして十分な量で
、分析のために増殖される。この核酸は、従来の技術(例えば、ポリメラーゼ連
鎖反応(PCR))を用いて増幅して、分析に十分な量を提供し得る。ポリメラ
ーゼ連鎖反応の使用は、以下に記載されており:Saikiら(1985)Sc
ience 239:487、そして最近の技術の概説は、以下に見出され得る
:SambrookらMolecular Cloning:A Labora
tory Manual,CSH Press 1989,14.2−14.3
3頁。多型に特異的であるプライマーを使用することによって、増幅を使用して
、その多型が存在するかどうかを判定し得る。あるいは、多型を検出する手段と
して、オリゴヌクレオチド連結を利用する、種々の方法が当該分野において公知
である(例えば、以下を参照のこと:Rileyら(1990)Nucl.Ac
ids Res.18:2887−2890;およびDelahuntyら(1
996)Am.J.Hum.Genet.58:1239−1246)。検出可
能な標識は、増幅反応において含まれ得る。この標識は、2段階系であり得、こ
こで、増幅されたDNAは、結合パートナー(例えば、アビジン、特異的抗体な
ど)と高い親和性を有する、ビオチン、ハプテンなどと結合体化される。ここで
、その結合パートナーは、検出可能な標識と結合体化される。その標識は、プラ
イマーの一方または両方と結合体化され得る。あるいは、増幅において使用され
るヌクレオチドのプールが標識され、その結果、増幅産物にその標識が取り込ま
れる。
【0111】 サンプル核酸(例えば、増幅されたかまたはクローニングされたフラグメント
)は、当該分野において公知の多数の方法の一つにより分析される。核酸は、ジ
デオキシまたは他の方法によって配列決定され得る。改変配列とのハイブリダイ
ゼーションもまた使用して、サザンブロット、ドットブロットなどによって、そ
の存在を判定し得る。固体支持体に固定された、コントロールおよび改変配列の
、オリゴヌクレオチドプローブのアレイに対するハイブリダイゼーションパター
ン(米国特許第5,445,934号またはWO95/35505に記載される
)はまた、改変配列の存在を検出する手段として使用され得る。一本鎖コンホメ
ーション多型(SSCP)分析、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、ミスマッ
チ切断検出、およびゲルマトリクス中のヘテロ二重鎖分析を使用して、電気泳動
移動度における変化として、DNA配列改変によって生成されるコンホメーショ
ン変化を検出し得る。あるいは、多型が制限エンドヌクレアーゼ(制限フラグメ
ント長多型、RFLP)についての認識部位を生成または破壊する場合、そのサ
ンプルは、そのエンドヌクレアーゼで消化され、そしてその産物の大きさは、分
画されて、そのフラグメントが消化されたかどうかが判定される。分画は、ゲル
電気泳動またはキャピラリー電気泳動(特に、アクリルアミドまたはアガロース
のゲル)によって行われる。
【0112】 本発明の1つの実施形態において、オリゴヌクレオチドのアレイが提供され、
ここで、そのアレイにおける異なる位置は、提供される多型配列(例えば、少な
くとも12ntのオリゴヌクレオチド、しばしば20ntまたはそれより大きい
)の1つ以上に対して相補的であり、そして多型位置に隣接する配列を含む。そ
のようなアレイは、一連のオリゴヌクレオチドを含み得、その各々は、異なる多
型に対して特異的にハイブリダイズし得る。アレイの例については以下を参照の
こと:Haciaら(1996)Nature Genet.14:441−4
47;Lockhartら(1996)Nature Biotechnol.
14:1675−1680;およびDe Risiら(1996)Nature
Genet.14:457−460。
【0113】 GSEFアミノ酸配列における多型についてスクリーニングすることは、その
タンパク質の機能性または抗原性の特性に基づき得る。タンパク質短縮アッセイ
は、そのタンパク質の生物学的活性に影響を与え得る欠失を検出するにおいて有
用である。GSEFタンパク質における多型を検出するために設計される種々の
免疫アッセイは、スクリーニングにおいて使用され得る。多くの多様な遺伝子変
異が特定の疾患表現型を生じる場合、機能的なタンパク質アッセイは、有効なス
クリーニングツールであることが証明されている。
【0114】 GSEF遺伝子産物について特異的な抗体は、染色または免疫アッセイにおい
て使用され得る。サンプルは、本明細書において使用されるように、精液、血液
、脳脊髄液、涙液、唾液、リンパ、透析液などのような生物学的流体;器官また
は組織の培養物に由来する流体;ならびに生理学的組織から抽出される流体を含
む。この用語には、そのような流体の誘導体および画分が含まれる。固形組織の
場合において、その細胞は剥離され得、または組織切片が分析され得る。あるい
は、その細胞の溶解物が調製され得る。
【0115】 (薬学的組成物および治療上の使用) 薬学的組成物は、GSEFポリペプチド、抗体またはGSEFポリヌクレオチ
ドを含み得る。この薬学的組成物は、治療有効量の、請求される本発明のポリペ
プチド、抗体またはポリヌクレオチドのいずれかを含む。一般に、その薬学的組
成物は、癌性細胞における転移の発生を阻害、遅延または他の方法でそれに緩衝
するために、GSEF生物学的活性を増強し得る分子に基づく(例えば、細胞に
おいて存在するGSEFの量を増加させることによる(例えば、癌性細胞におけ
るGSEF遺伝子産物の発現を増加させることによる、例えば、その中の発現の
ために細胞へとGSEFコード配列を導入することによる)、またはGSEFイ
ンヒビターを阻害することによる)。同様に、処置のための方法(例えば、転移
表現型の発生の阻害または転移表現型の逆転)は、GSEF生物学的活性を増強
するような薬学的組成物を使用する。
【0116】 用語「治療有効量」とは、本明細書において使用されるように、所望の疾患ま
たは状態を処置、改良または予防するため、あるいは検出可能な治療効果または
予防効果を示すための治療剤の量をいう。この効果は、例えば、化学マーカーま
たは抗原レベルによって検出され得る。治療効果はまた、体温の減少のような身
体的症状における低減を包含する。被検体について正確な有効量は、被検体の大
きさおよび健康状態、状態の性質および程度、ならびに投与のために選択される
治療剤または治療剤の組合せに依存する。従って、予め、正確な有効量を特定す
ることは有用ではない。しかし、所定の状態について有効量は、寛容実験によっ
て判定され、そして臨床医の判断内にある。本発明の目的のために、有効量は、
概して、以下である:投与される固体当たり、約0.01mg/kgから50m
g/kgまたは0.05mg/kgから約10mg/kgのDNA構築物。
【0117】 薬学的組成物はまた、薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。用語「薬学的
に受容可能なキャリア」とは、治療剤の投与のためのキャリアをいう(例えば、
抗体またはポリペプチド、遺伝子および他の治療剤)。この用語は、任意の薬学
的なキャリアであって、それ自身が、その組成物を受ける個体に対して有害な抗
体の産生を誘導せず、かつ、不当な毒性なしに投与され得るものをいう。適切な
キャリアは、大きく、ゆっくり代謝される高分子(例えば、タンパク質、ポリサ
ッカリド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポリ
マー、および不活化ウイルス粒子)であり得る。そのようなキャリアは当業者に
周知である。
【0118】 薬学的に受容可能な塩は、そこにおいて使用され得る(例えば、鉱物酸塩(例
えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩など);ならびに有機酸の塩(
例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩など))。薬学的に
受容可能な賦型剤の完全な議論は、以下において利用可能である:Reming
ton’s Pharmaceutical Sciences(Mack P
ub.Co.,N.J.1991)。
【0119】 治療組成物における薬学的に受容可能なキャリアは、水、生理食塩水、グリセ
ロールおよびエタノールのような液体を含み得る。補助物質(例えば、湿潤剤ま
たは乳化剤、pH緩衝化物質など)もまた、そのようなビヒクル中に存在し得る
。代表的には、その治療組成物は、液体溶液または懸濁物のいずれかで注射物と
して調製され;注射前に液体ビヒクル中に溶液または懸濁物として適切な固体形
態もまた調製され得る。リポソームは、薬学的に受容可能なキャリアの定義内に
含まれる。
【0120】 (送達方法) 一旦処方されると、本発明の組成物は以下であり得る:(1)被検体に直接投
与される(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとして);または(2
)エキソビボで被検体由来の細胞へと送達される(例えば、エキソビボ遺伝子治
療のように、例えば以下を参照のこと:WO 93/14778)。一般に、そ
の治療は、その被検体に薬学的組成物の直接送達を包含する。その組成物の直接
送達は、概して、皮下、腹腔内、静脈内もしくは筋肉内のいずれかへの注射によ
り達成され、または組織の間質空間への送達される。その組成物はまた、腫瘍ま
たは病巣へと直接投与され得る。他の態様の投与は、経口および肺への投与、坐
剤および経皮塗布、針および遺伝子銃またはハイポスプレーを包含する。投薬処
置は、単回投与スケジュールまたは多数回スケジュールであり得る。
【0121】 種々の方法を使用して、身体における特定の部位へと直接治療組成物を投与し
得る。例えば、小さな転移病巣が配置され、そして治療組成物は、その腫瘍の身
体内でのいくつかの異なる配置において数回注射される。あるいは、腫瘍として
役立つ動脈が同定され、そして治療組成物は、そのような動脈に注射されて、腫
瘍中へその組成物へと直接送達される。壊死中心を有する腫瘍は、吸引され、そ
してその組成物は、今度は、腫瘍の空の中心へと直接注射される。X線画像化を
使用して、上記送達方法の特定の方法において補助し得る。
【0122】 この治療組成物はまた、レセプター媒介標的化送達を用いて送達され得る。そ
のようなレセプター媒介送達の例について、例えば以下を参照のこと:Find
eisら,Trends Biotechnol.(1993)11:202;
Chiouら,Gene Therapeutics:Methods And
Applications Of Direct Gene Transfe
r(J.A.Wolff編)(1994);Wuら,J.Biol.Chem.
(1988)263:621;Wuら,J.Biol.Chem.(1994)
269:542;Zenkeら,Proc.Natl.Acad.Sci.(U
SA)(1990)87:3655;Wuら,J.Biol.Chem.(19
91)266:338。
【0123】 治療組成物がポリヌクレオチドを含む場合、そのポリヌクレオチドは、局所投
与について、約100ngから約200mgのDNAの範囲で投与され得る。約
500ngから約50mg、約1μgから約2mg、約5μgから約500μg
および約20μgから約100μgの濃度範囲もまた、使用され得る。実際の投
薬量は、当業者によって容易に認識される種々の因子によって変動する(例えば
、形質転換および発現の効率)。より高い発現がより広い領域の組織にわたって
所望される場合、より多い量のポリヌクレオチドまたは連続的プロトコルにおい
て再投与される同じ量、または例えば腫瘍部位の種々の隣接するまたは近接する
組織部分への数回の投与が行われ得る。全ての症例において、臨床試験において
慣用的な試験は、最適な治療効果についての特定の範囲を判定する。
【0124】 細胞へインビボでポリヌクレオチドを送達することおよびその中で発現するこ
とを達成するための種々のベクターおよびプロトコルは、当該分野において公知
である。そのポリヌクレオチド送達ビヒクルは、ウイルスまたは非ウイルス起源
のものであり得る(概して以下を参照のこと:Jolly,Cancer Ge
ne Therapy(1994)1:51;Kimura,Human Ge
ne Therapy(1994)5:845;Connelly,Human
Gene Therapy(1995)1:185;およびKaplitt,
Nature Genetics(1994)6:148)。GSEFポリペプ
チドのコード配列を含む構築物の送達のための遺伝子治療ビヒクルは、局所的ま
たは全身へのいずれかで投与され得る。そのようなGSEFコード配列の発現は
、内因性哺乳動物のまたは異種プロモーターを誘導され得(すなわち、発現され
るべきGSEF遺伝子のもの以外の供給源に由来するプロモーター)、そしてそ
れは構成性または調節されるもののいずれかであり得る。
【0125】 ウイルスベクターが使用される場合、組み換えウイルスベクターは、例えば、
レトロウイルスベクター、αウイルスベースのベクター(例えば、シンドビスウ
イルス、セムリキ森林ウイルス、ロスリバーウイルス、ベネズエラウマ脳脊髄炎
ウイルスなどに基づくウイルス)、パルボウイルスベクター(例えば、アデノ随
伴ウイルス(AAV))、またはアデノウイルスベクターに基づき得る。レトロ
ウイルスベクターは、その標的細胞が迅速に分裂する場合(例えば、その標的細
胞が、迅速に分裂する癌細胞である場合)余り所望されないかもしれない。
【0126】 非ウイルス性ビヒクルおよび方法が使用され得る。そのようなビヒクルおよび
方法は、例えば、リポソーム、脂質:DNA複合体、ポリカチオン性縮合DNA
(殺傷アデノウイルスに連結されているかまたは連結されていない)、リガンド
連結されたDNA、光重合したヒドロゲル材料;裸のDNA;ハンドヘルド遺伝
子転移粒子銃、イオン照射(例えば、以下を参照のこと:米国特許第5,206
,152号)、核酸電荷中和または細胞膜との融合に基づき得る。さらなるアプ
ローチは、以下に記載される:Philip,Mol.Cell Biol.(
1994)14:2411,およびWoffendin,Proc.Natl.
Acad.Sci.(1994)91:1581。
【0127】 (遺伝子発現の調節) GSEF遺伝子、遺伝子フラグメントまたはコードされるタンパク質もしくは
タンパク質フラグメントは、GSEF遺伝子における欠損に関連する障害を処置
する遺伝子治療において有用である。GSEF遺伝子、遺伝子フラグメント、プ
ロモーターエレメント、またはコードされるタンパク質もしくはタンパク質フラ
グメントは、特に興味深い。発現ベクターを使用して、所望のGSEFポリペプ
チドコード遺伝子を細胞内へ導入し得る。一般的にそのようなベクターは、核酸
配列の挿入を提供する、プロモーター配列の近くに位置する都合の良い制限部位
を有する。転写カセットが調製され得、そのカセットは転写開始領域、標的遺伝
子またはそのフラグメントおよび転写終結領域を含む。その転写カセットは、種
々のベクター(例えば、プラスミド;レトロウイルス(例えば、レンチウイルス
);アデノウイルスなど)に導入され得、ここで、そのベクターは、通常少なく
とも約1日間、より通常には少なくとも約数日間から数週間の間、細胞内に一過
的にか、または安定に維持され得る。
【0128】 このGSEFポリペプチドコード遺伝子は、多数の経路(ウイルス感染、直接
注射、マイクロインジェクションまたは小胞の融合を含むが、必ずしもこれらに
限定されない)により組織または宿主細胞内に導入され得る。発現のためのDN
Aの直接注射は、例えば、米国特許第5,580,859号に記載される。ジェ
ット注射もまた、Furthら、(1992)Anal.Biochem.20
5:365−368によって記載されるように、筋肉内投与のために使用され得
る。このDNAは、金微粒子上にコーティングされ得、そして粒子ボンバードメ
ント(bombardment)デバイス、すなわち文献(例えば、Tangら
、(1992)Nature 356:152−154を参照のこと)に記載さ
れるような「遺伝子銃」によって皮内に送達され得る。ここでは、金微粒子発射
体(gold microprojectile)を、GSEF DNAでコー
ティングして、次いで皮膚細胞内へ衝突させる。生細胞内へのDNAの送達のた
めのリポソームの使用は、当該分野において公知である(例えば、米国特許第4
,394,448号を参照のこと)。
【0129】 アンチセンス分子を使用して、例えば、転移性の表現型の発生におけるGSE
Fの機構を研究するため(例えば、GSEF発現の非存在下で発現される遺伝子
産物を同定するため)に、細胞におけるGSEFの発現を下方制御し得る。この
アンチセンス試薬は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ODN)、(ネイティ
ブな核酸に由来する化学的改変を有する特に合成ODN)またはRNAとしてア
ンチセンス分子を発現する核酸構築物であり得る。このアンチセンス配列は、標
的遺伝子のmRNAに対して相補的であり、標的遺伝子産物の発現を阻害する。
アンチセンス分子は、種々の機構(例えば、翻訳のために利用可能なmRNA量
の減少、RNAseHの活性化、または立体障害)によって遺伝子発現を阻害す
る。1つのアンチセンス分子または複数のアンチセンス分子の組み合わせを導入
し得、ここでその組み合わせは、複数の異なる配列を含み得る。
【0130】 アンチセンス分子は、適切なベクターにおける標的遺伝子配列の全てまたはそ
の一部を発現させることによって産生され得、ここで、その転写開始が、アンチ
センス鎖がRNA分子として産生されるように方向付けられる。あるいは、アン
チセンス分子は、合成オリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオ
チドは、一般的に、少なくともおよそ7ヌクレオチド長、通常少なくともおよそ
12ヌクレオチド長、より通常には少なくともおよそ20ヌクレオチド長であり
、そしておよそ500ヌクレオチド長以下、通常およそ50ヌクレオチド長以下
、より通常にはおよそ35ヌクレオチド長以下であり、その長さは、阻害の効率
、特異性(交叉反応性の非存在を含む)などによって決定される。短いオリゴヌ
クレオチド(7塩基長〜8塩基長)は遺伝子発現の強力かつ選択的なインヒビタ
ーであるということが見出されている(Wagnerら、(1996)Natu
re Biotechnol.14:840−844を参照のこと)。
【0131】 内因性センス鎖mRNA配列の1つの特定の領域または複数の領域は、そのア
ンチセンス配列によって相補されるように選択される。そのオリゴヌクレオチド
の特定配列の選択は、経験的な方法を使用し得、ここでいくつかの候補配列が、
インビトロもしくは動物モデルにおける標的遺伝子の発現の阻害についてアッセ
イされる。配列の組み合わせでもまた使用され得、ここでmRNA配列のいくつ
かの領域がアンチセンス相補性について選択される。
【0132】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、当該分野に公知の方法によって化学的に
合成され得る(例えば、Wagnerら、(1993)前出、およびMilli
ganら、前出を参照のこと)。好ましいオリゴヌクレオチドは、その細胞内安
定性および結合親和性を増加させるために、ネイティブなホスホジエステル構造
から化学的に改変される。多数のそのような改変が文献に記載されており、これ
らは、その骨格、糖または複素環式塩基の化学(chemistry)を変化さ
せる。
【0133】 骨格化学におけるとりわけ有用な変化は、ホスホロチオネート;ホスホロジチ
オネート(ここで両方の非架橋酸素は硫黄で置換される);ホスホロアミダイト
(phosphoroamidite);アルキルホスホトリエステルおよびボ
ラノホスフェート(boranophosphate)である。アキラルホスフ
ェート誘導体としては、3’−O’−5’−S−ホスホロチオネート、3’−S
−5’−O−ホスホロチオネート、3’−CH2−5’−O−ホスホネート、お
よび3’−NH−5’−O−ホスホロアミデートが挙げられる。ペプチド核酸は
、リボースリン酸ジエステル骨格全体をペプチド結合で置換する。また糖改変を
使用して、安定性および親和性を増強し得る。デオキシリボースのα−アノマー
が使用され得、ここでその塩基は天然のβ−アノマーに関して転化される。リボ
ース糖の2’−OHは、2’−O−メチルまたは2’−O−アリル糖を形成する
ように変更され得る。これらは親和性を含むことを伴わずに分解に対する耐性を
提供する。複素環式塩基の改変は、適切な塩基対形成を維持しなくてはならない
。いくつかの有用な置換としては、デオキシチミジンに対するデオキシウリジン
;デオキシシチジンに対する5−メチル−2’−デオキシシチジンおよび5−ブ
ロモ−2’−デオキシシチジンが挙げられる。5−プロピニル−2’−デオキシ
ウリジンおよび5−プロピニル−2’−デオキシシチジンは、それぞれデオキシ
チミジンおよびデオキシシチジンから置換される場合、親和性および生物学的活
性を増加させることが示されている。
【0134】 アンチセンスインヒビターに対する代替物として、触媒性核酸化合物(例えば
、リボザイム、アンチセンス結合体など)を使用して遺伝子発現を阻害し得る。
リボザイムは、インビトロで合成され得、そして患者に投与され得るか、または
発現ベクター上にコードされ得、そのリボザイムは、その発現ベクターから標的
細胞中で合成される(例えば、国際特許出願第WO9523225号およびBe
igelmanら、(1995)Nucl.Acids Res.23:443
4−42を参照のこと)。触媒活性を有するオリゴヌクレオチドの例は、WO9
506764に記載される。金属錯体(例えば、テルピリジル(terpyri
dyl)Cu(II))を有するアンチセンスODNの結合体は、mRNA加水
分解を媒介し得、Bashkinら、(1995)Appl.Biochem.
Biotechnol.54:43−56に記載される。
【0135】 (GSEF機能について遺伝子改変された細胞または動物モデル) 本発明の核酸を使用して、トランスジェニック動物、または細胞株における部
位特異的遺伝子改変を生成し得る。トランスジェニック動物は、相同組換えを介
して作製され得、ここで正常なGSEFcDNAが変更される。あるいは、核酸
構築物(例えば、ヒトGSEF遺伝子座またはプロモーターをコードする核酸構
築物)が、無作為にそのゲノム内に組み込まれる。安定な組み込みのためのベク
ターとしては、プラスミド、レトロウイルスおよび他の動物ウイルス、YACな
どが挙げられる。トランスジェニック動物は、この遺伝子改変についてホモ接合
性またはヘテロ接合性であり得、そしてトランスジェニック動物は、「ノックア
ウト」トランスジェニック動物(すなわち、対応するGSEFコード遺伝子の1
つの対立遺伝子が非機能性にされるトランスジェニック動物)および/または「
ノックイン」トランスジェニック動物(すなわち、そのゲノム内(例えば、その
生殖細胞系DNA内)に存在する、組換えGSEFコード配列の少なくとも1コ
ピーを有するトランスジェニック動物)であり得る。トランスジェニック動物を
作製するための方法は、当該分野において周知である。
【0136】 改変された細胞または動物は、GSEFの機能および調節の研究、特に転移性
の表現型の発生の研究ならびに癌治療を開発および試験するためのモデルの研究
に関して有用である。例えば、一連の小さな欠失および/または置換が、GSE
F機能などを調節するための薬剤または候補薬剤と結合させてGSEFの役割を
決定するために、GSEF遺伝子中に作製され得る。興味深いのは、GSEFに
おける欠損(ここで、GSEFの発現が特異的に減少しているか、または発現し
ていない)と関連する状態または障害についてのトランスジェニック動物モデル
を構築するために、本発明の核酸組成物を使用することである。目的の特定の構
築物は、GSEFの発現;ドミナントネガティブなGSEF変異の発現を阻害す
るアンチセンスGSEFなどを含む。また、GSEF遺伝子が正常に発現しない
か、または発生の異常な時点において発現される細胞または組織において、GS
EF遺伝子またはその改変体の発現を提供し得る。
【0137】 相同組換えのためのDNA構築物は、所望の遺伝子改変を有する選択されたG
SEFコード遺伝子の少なくとも一部を含み得、そして標的遺伝子座に対して相
同な領域をさらに含み得る。無作為な組込みのためのDNA構築物は、組換えを
媒介するための相同領域を含むことを必要としない。簡便には、ポジティブ選択
およびネガティブ選択のためのマーカーが含まれる。相同組換えを介して、標的
遺伝子改変を有する細胞を作製するための方法は、当該分野において公知である
。哺乳動物細胞をトランスフェクトするための種々の技術に関しては、Keow
nら、(1990)Methods Enzymol.185:527−537
を参照のこと。
【0138】 トランスジェニック動物は、当該分野において利用可能な任意の適切な方法を
使用して作製され得る。例えば、トランスジェニック動物は、胚性幹細胞(ES
)を使用することによって作製され得る。この目的に対して、ES細胞株が利用
され得るか、または胚性細胞が、宿主(例えば、マウス、ラット、モルモットな
ど)から新鮮な状態で取得され得る。そのような細胞を、適切な線維芽細胞支持
細胞層上で増殖させるか、または白血病抑制因子(LIF)の存在下で増殖させ
る。ES細胞または胚性細胞が形質転換された場合、それらの細胞を使用してト
ランスジェニック動物を作製し得る。形質転換後、その細胞を、適切な培地中の
支持細胞層上にプレートする。その構築物を含む細胞は、選択培地を利用するこ
とによって検出され得る。コロニーが増殖するのに十分な時間の後、コロニーを
選び、そしてその構築物の相同組換えまたは組込みの存在について分析する。次
いでポジティブであるそれらのコロニーを胚操作および胚盤胞注射のために使用
する。胚盤胞は、4〜6週齢の過剰排卵させた雌から取得され得る。そのES細
胞をトリプシン処理し、そしてその改変された細胞は、胚盤胞の胞胚腔に注射さ
れる。注射後、胚盤胞は、偽妊娠の雌の各々の子宮角に戻される。次いで、雌は
、妊娠期間に移行することが可能となり、そして得られた子孫がその構築物につ
いてスクリーニングされる。胚盤胞の異なる表現型および遺伝的に改変された細
胞を提供することによって、キメラ子孫が容易に検出され得る。
【0139】 キメラ動物が、改変された遺伝子の存在についてスクリーニングされ、そして
ヘテロ接合性改変を有する雄および雌が、ホモ接合性の子孫を産生するように交
配させる。その遺伝子改変が、発生のある時点で致死を引き起こす場合、組織ま
たは器官が、同種異系遺伝子型もしくは類遺伝子性の移植片または移植組織とし
てか、あるいはインビトロ培養物として保存され得る。このトランスジェニック
動物は、任意の非ヒト動物(例えば、実験動物、家畜動物など)であり得る。こ
のトランスジェニック動物を、機能研究、薬物スクリーニングなどにおいて使用
し得、GSEFまたは関連する遺伝子の活性化、腫瘍形成などに対する候補薬物
の効果を決定する。
【0140】 (GSEFにより調節されるGSEFおよび/または遺伝子産物の活性を変更
する薬剤についてのスクリーニング) GSEF発現は、転移性表現型の発症の抑制に関連する。従って、治療のため
またはGSEFの役割およびガン治療の開発の研究のための本発明における目的
の薬剤を設計し、転移の抑制においてGSEF活性を調節(例えば、阻害または
増強、治療の場合は好ましくは増強)する。GSEFの生物学的活性を増強する
薬剤は、転移または転移の発達を阻害するための治療での使用に関する特別な関
心事である。さらに、GSEFは発現の調節因子として働くので、GSEF活性
により相対的発現レベルが影響される遺伝子産物はまた、治療標的としての目的
物である。従って、GSEF活性に応答して発現の増大または減少を示す遺伝子
産物の活性を調節する候補薬剤もまた、本発明の目的物である。
【0141】 本ポリペプチドは、新規な候補化合物(およびGSEFに作用することが公知
の化合物のアナログおよび誘導体)の特異性を試験するためのインビトロモデル
およびインビボモデルにおいて用いられ得る。本ポリペプチドは、そのネイティ
ブな形態(例えば、全長)でこのようなアッセイに用いられ得るか、または配列
欠損、挿入、置換などにより改変され得る。このようなスクリーニングアッセイ
における改変GSEFの使用は、例えば、以下を容易にし得る:ポリペプチドの
正常な生物学的機能に重要なそのポリペプチドの領域の同定、薬物相互作用の特
に適切な標的部位の同定、および/または適切な薬物標的であり得る、GSEF
活性により発現が調節(アップレギュレートまたはダウンレギュレート)された
遺伝子産物の同定。従って、このようなモデルは、種々のGSEFの生物学的活
性を特異的に阻害または増強する化合物の開発のための理論的薬物設計を容易に
する。
【0142】 1つの実施形態において、インビトロモデル(遺伝子操作した細胞もしくは動
物またはモノマー、ホモマルチマーもしくはヘテロマルチマーのいずれかとして
、精製GSEFタンパク質)を用いて薬物スクリーニングを実施する。当業者は
、GSEFに結合するか、GSEFの作用を調節するか、または摸倣するリガン
ドもしくは基質、および/あるいはGSEF活性を促進または阻害する他の遺伝
子もしくは遺伝子産物に作用する、リガンドもしくは基質、またはGSEF活性
により調節される活性を示すリガンドもしくは基質を同定し得る。例えば、薬物
スクリーニングは、相対的に低いGSEF活性レベルを有する異常な細胞(例え
ば、高い転移能を有する細胞)におけるGSEF機能の置換を提供する薬剤を同
定し得る。特に興味深いのは、ヒト細胞に低い毒性を有する薬剤についてのスク
リーニングアッセイである。広範な種々のアッセイが、この目的に用いられ得る
。このアッセイには、候補薬剤の存在下でGSEF活性レベルをモニタリングす
ること、標識化インビトロ薬剤−タンパク質結合アッセイ、電気泳動移動度シフ
トアッセイ、タンパク質結合のイムノアッセイなどが挙げられる。精製タンパク
質はまた、3次元結晶構造(分子間相互作用をモデリングするために用いられ得
る)の決定のために用いられ得る。
【0143】 特に興味深い1つの実施形態において、スクリーニング方法は、GSEFで安
定にトランスフェクトされた転移性の高い細胞株(例えば、MDA−MB−43
5)の使用を包含する。転移性の高い細胞株におけるGSEFの発現は、転移性
の低い細胞への細胞の復帰を容易にする。GSEF復帰細胞株における遺伝子の
相対的発現レベルを、親細胞株(すなわち、高い転移能細胞)における遺伝子の
発現レベル、ならびに低転移能細胞および正常細胞と比較して、GSEF発現ま
たは活性の存在および非存在において示差的に発現される遺伝子産物を同定し得
る。このような示差的に発現される遺伝子は、GSEFの下流で作用する、可能
性のある治療標的を示す。つまり、GSEFは、転移性表現型の発生または阻害
において役割を有し得る遺伝子の発現を開始または停止するのに用いられ得る。
【0144】 本明細書において用いる場合、用語「薬剤(agent)」は、GSEFまた
はGSEFにより調節される遺伝子の生理学的機能を変更もしくは摸倣する能力
を有する、任意の分子、例えば、タンパク質または薬物をいう。一般に、複数の
アッセイ混合を、種々の濃度に対して異なる反応を得るために、異なる薬剤の濃
度で平行に行う。代表的には、この濃度のうち1つを、ネガティブコントロール
として(すなわち、ゼロ濃度または検出レベル未満で)用いる。
【0145】 候補薬剤は多くの化学クラスを包含するが、代表的には有機分子であり、好ま
しくは50ダルトンより大きく約2,500ダルトン未満の分子量を有する低分
子有機化合物である。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用(特に水素結
合)に必要な官能基を含み、そして代表的には、少なくとも1つのアミン基、カ
ルボニル基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基、好ましくはこれらの官能基
のうちの2つを含む。候補化合物は、しばしば環式炭素もしくは複素環式構造お
よび/または芳香族構造もしくは多環芳香族構造(上記の官能基の1つ以上で置
換された)を含む。候補化合物はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、
プリン、ピリミジン、誘導体、構造的アナログまたはそれらの組合せを含む生体
分子間で見出される。
【0146】 候補薬剤は、合成化合物または天然の化合物のライブラリーを含む広範な種々
の供給源から得られる。例えば、広範な種々の有機化合物および生体高分子のラ
ンダム合成および定方向合成(ランダムなオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプ
チドの発現を含む)のために多くの手段が利用可能である。あるいは、細菌、真
菌、植物および動物の抽出物形態の天然化合物のライブラリーが、利用可能であ
るか、または容易に産生される。さらに、天然かまたは合成的に生成したライブ
ラリーおよび化合物が、従来の化学的手段、物理的手段および生化学的手段を通
じて容易に改変され、そしてコンビナトリアルライブラリーを生成するために用
いられ得る。公知の薬理学的薬剤は、定方向またはランダムな化学的改変(例え
ば、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化など)に供され、構造的アナ
ログを生成し得る。
【0147】 スクリーニングアッセイが結合アッセイである場合、1つ以上の分子を標識に
結合し得る。ここで標識は、検出可能なシグナルを直接または間接的に提供し得
る。種々の標識としては、放射性同位体、蛍光剤、化学発光剤、酵素、特異的結
合分子、粒子(例えば、磁性粒子など)が挙げられる。特異的結合分子としては
、ビオチンとストレプトアビジン、ジゴキシンと抗ジゴキシンなどのような対が
挙げられる。この特異的結合メンバーについては、相補的メンバーは、通常は、
公知の手順に従って、検出される分子で標識される。
【0148】 スクリーニングアッセイには、種々の他の試薬が含まれ得る。これらとしては
、塩、天然タンパク質、例えば、アルブミン、界面活性剤などのような試薬が挙
げられる。これらの試薬は、至適なタンパク質間結合を容易にするため、そして
/または、非特異的相互作用もしくはバックグラウンドの相互作用を減少させる
ために、用いられる。アッセイの効率を改善する試薬(例えば、プロテアーゼイ
ンヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗菌剤など)が用いられ得る。必須の
結合を提供する任意のオーダーで、成分の混合物を添加する。任意の適切な温度
、代表的には4℃〜40℃の間で、インキュベーションを行う。インキュベーシ
ョン時間は、至適活性について選択するが、この時間はまた、迅速なハイスルー
プットスクリーニングを容易にするためにも至適にされ得る。代表的には、0.
1〜1時間で十分である。
【0149】 本発明において特に興味深いのは、GSEFの生物学的活性に実質的に特異的
に影響する薬剤の同定である。従って、例えば、GSEF発現を増大することに
より、GSEF活性を模倣することにより、および/またはGSEF活性の内因
性インヒビターを阻害することにより、GSEF活性を増強する薬剤は、ガンの
処置、特に転移性ガンまたは高転移能のガン(特に乳癌)において有用である。
【0150】 所望の薬理学的活性を有する化合物は、生理学的に受容可能なキャリア中で、
種々の手段にて、経口、局所、非経口(例えば、皮下、腹腔内、ウイルス感染に
より、静脈内、など)で、宿主に投与され得る。導入の様式に依存して、化合物
を、種々の方法で処方し得る。処方物中の治療上活性な化合物の濃度は、約0.
1から100重量%まで変化し得る。薬学的組成物は、種々の形態(例えば、顆
粒、錠剤、丸剤、坐剤、カプセル、懸濁液、唾液、乳液(ローション)など)に
調製し得る。製剤等級の有機キャリアもしくは無機キャリアならびに/または経
口使用および局所使用に適切な稀釈剤を用いて、治療上活性な化合物を含む組成
物を生成し得る。当該分野で公知の稀釈物としては、水性媒体、植物および動物
の油および脂肪が挙げられる。安定化剤、保湿剤、および乳化剤、塩(浸透圧を
変化するため)、または適切なpH値を保持するための緩衝液、および皮膚浸透
増強剤が、補助剤として用いられ得る。
【0151】 (実施例) 以下の実施例は、本発明を実施および使用する方法の完全な開示および記載を
当業者に提供するために、記載しており、本発明とみなされるものの範囲を限定
する意図ではない。用いられる数字(例えば、量、温度、濃度など)に関する正
確性を保つための労力を払ったが、ある程度の実験誤差および偏差は許容される
べきである。他に示さない限り、割合は重量の割合であり、分子量は、平均分子
量であり、温度は摂氏であり;そして圧力は、大気圧であるか大気圧付近である
【0152】 (実施例1:間葉移行の前および後のヒト乳房癌腫(HBC)細胞株の特徴付
け) 間葉線維ビメンチン(mesenchymal filament vime
ntin:VIM)の発現は、乳房腺管癌の予後マーカーであり、そして乏しい
5年生存率に有意に関連している(Domagala(1996)Clin.C
ancer Res.2:147〜154)。VIM染色は、正常乳房の筋上皮
でのみ陽性と観察された、ここでは、原発性腫瘍において検出されたクラスター
化した染色(clustered staining)を有した。より進行した
浸潤癌腫が最強のビメンチン染色を示し、このことは、より間葉的なパターンへ
の遺伝子発現の移行を示す。
【0153】 転移のためのインビトロモデル系を確立するため、本発明者らは、一群のヒト
乳房腺癌(HBC)細胞株を用いた。この細胞株は、腫瘍形成について、および
ヌードマウスにおける転移形成能について、以前に特徴付けされている。これら
の細胞株の特徴を、以下の表に簡略に記載する。
【0154】
【表1】 scidマウスモデルにおける原発性腫瘍および転移の発生に従って、「高転
移能」または「低い転移能」であるとして、細胞を分類した。手短には、5週齢
のscid CB−17マウスを麻酔し、そして小切開を行い乳房脂肪パッドを
露出させた。約2.5×106の細胞を注射した。MCF−7細胞を注射したマ
ウスに、12−β−エストラジオールを放出する(60日の期間にわたって0.
36mg)皮下ペレットを与えた。他のエストロゲンレセプター(ER)陽性細
胞株(例えば、ZR−75−1およびMDA−MB−361)は、腫誘増殖のた
め外因性エストラジオールを必要としない。腫瘍増殖を毎週の検査およびキャピ
ラリー測定によりモニターした。特定のヒト乳癌細胞株が離れた転移を形成する
能力を試験するため、32〜40日後(ER陰性細胞株MDA−MB−231、
MDA−MB−435およびALABについて;腫瘍容積は600〜1,000
mm3)、または60日後(ER陽性細胞株MCF−7、ZR−75−1、およ
びMDA−MB−361について;腫瘍容積は60〜100mm3)、原発性腫
瘍を手術的に取り出した。原発性腫瘍の除去42日後、マウスを屠殺して、OC
Tゲル(Sakura Finetek)への埋め込み後のヘマトキシリン染色
およびエオシン染色により、肺転移の存在について検査した。
【0155】 高い転移能であると同定した細胞は、肺において転移を生成した細胞であった
(MDA−MB−435、MDA−MB−231、およびALAB)。MDA−
MB−435は、原発性腫瘍の切除後、肺中で原発性腫瘍および大転移を迅速に
形成するが、一方MDA−MB−231およびALABは、微小転移を形成する
。肺において原発性腫瘍を形成するが検出可能な転移は形成しない細胞を、低転
移能と分類分けした(MDA−MB−468、MDA−MB−361、ZR−7
5−1、MCF−7およびMDA−MB−453)。原発性腫瘍を形成しない細
胞(例えば、SK−BR−3)を、非転移性と分類した。
【0156】 上皮から間葉への移行(EMT)の状況で、これらの細胞株の発現表現型を分
析するため、イムノブロット分析を実行して、間葉線維ビメンチンを含む一連の
乳癌マーカーの発現状況を決定した(図1)。興味深いことに、3つの高転移性
細胞株のうち2つが強力なビメンチン発現を示したが、低転移性細胞株の全てが
、ビメンチン陰性であり、このことは、これらの細胞株がより間葉表現型にシフ
トしたことを示す。サイトケラチン8、18および19を単層上皮のマーカーと
して用いた。これらは、より活発な高転移性細胞株における発現の減少を示した
。9つ全ての細胞株が、筋上皮マーカーであるサイトケラチン17に陰性であっ
た(データ示さず)。驚くべきことに、Her−2/neu発現は、ヌードマウ
スの乳房パッドへの注射後の腫瘍形成能と逆相関し、そして腫瘍非形成細胞株S
K−BR−3において最強の発現を示した。
【0157】 まとめれば、このデータは、間葉移行が少なくとも部分的にはこれらのHBC
細胞株において保存されており、そしてより侵襲性の表現型と相関することを実
証する。さらに、この群のHBC細胞株は、EMTおよび転移能に関連する遺伝
子発現変化を同定するためのモデル系として働き得る。
【0158】 (実施例2:GSEF(ETS転写因子)の同定およびクローニング) EMT−関連乳房癌腫進行における侵襲性の分子調節の理解を進めるために、
上記の特徴付けされたHBC細胞株を用いて、広範な遺伝子発現プロフィール化
研究を行った。ETS転写因子は、乳房癌腫の進行において機構的に関係し、そ
して細胞分化、発ガンおよび細胞増殖に関連するので、この研究は、ETS転写
因子ファミリーに焦点を当てた。この研究の過程において、EST(GenBa
nk Accession No.AA662164)。乳房cDNAライブラ
リーを用いて全長cDNAを得るために、PCRアプローチを用いた。後者の研
究は、ヒト外分泌腺の単層上皮由来の組織中に特異的発現プロフィールを示した
ので、同定された遺伝子を、腺特異的Ets転写因子(GSEF)と命名した。
【0159】 全長cDNAの配列、および5’RACEにより得られた5’プロモーター領
域を、図2A〜2Bに示す。予想転写開始部位(5’RACEクローンの配列分
析により決定した)は、開始コドンの434塩基上流に位置する。5’RACE
分析と一致して、TATAボックスを推定RNA開始部位の5’側の24塩基と
同定した。さらに、開始部位と重複するコンセンサスイニシエーター配列を見出
した。このことは、得られた配列がコアプロモーターを含むことを再度示唆する
。一連の推定ETS結合部位を、このプロモーターフラグメント中で同定した(
図2A太字)。GSEF cDNAの配列分析により、C末端に位置するETS
ドメインを有する335アミノ酸のオープンリーディングフレームを示した(図
2B)。
【0160】 (実施例3:cDNAライブラリー比較によって決定されるような転移可能性
の高い細胞および転移可能性の低い細胞におけるGSEFの示差的発現) GSEF遺伝子の相対的な発現レベルを、転移可能性の低い乳房細胞および転
移可能性の高い乳房細胞株から調製したいくつかのcDNAライブラリーにおい
て評価した。以下の表は、短縮したライブラリー名(以降で使用する)、cDN
Aライブラリーを調製するために使用したmRNA供給源、以下の表において使
用するライブラリーの「ニックネーム」(引用符で囲んである)、およびライブ
ラリー中のおよそのクローン数を含む、これらのライブラリーの記載を提供する
【0161】
【表2】 MDA−MB−231細胞株は、元々、胸水から単離され(Cailleau
,J.Natl.Cancer.Inst.(1974)53:661)、高い
転移可能性を有し、そして乳癌と一貫するヌードマウスにおける十分に分化され
ないII度の腺癌を形成する。MCF7細胞株は、乳腺癌の胸水から誘導され、
そして非転移性(例えば、低い転移可能性)である。これらの細胞株は、ヒト乳
癌の研究のためのモデルとして、当該分野でよく認識されている(例えば、Ch
andrasekaranら、Cancer Res.(1979)39:87
0;Gastparら、J Med Chem(1998)41:4965;R
ansonら、Br J Cancer(1998)77:1586;Kuan
gら、Nucleic Acids Res(1998)26:1116を参照
のこと)。
【0162】 各々のライブラリーは、cDNAクローンのコレクションから構成され、これ
らのクローンは、順々に、示されたmRNA供給源において発現されるmRNA
を表す。単離されたmRNAからcDNAライブラリーを作製するための方法は
、当該分野で周知である。各ライブラリーにおける何百万もの配列の分析を容易
にするために、これらの配列を、クラスターに割り当てた。「クローンのクラス
ター」の概念は、約300個の7bpのオリゴヌクレオチドプローブのパネルに
対する、それらのハイブリダイゼーションパターンに基づいて、cDNAクロー
ンを選別/分類することに由来する(Drmanacら、Genomics(1
996)37(1):29を参照のこと)。組織ライブラリー由来の無作為のc
DNAクローンを、中程度のストリンジェンシーで300個の7bpオリゴヌク
レオチドにハイブリダイズさせる。各オリゴヌクレオチドは、それらの特定のク
ローンに対する、ある程度の特異的ハイブリダイゼーションを有する。300プ
ローブに対するハイブリダイゼーションのこれらの程度の、300の組み合わせ
は、特定のクローンに対する「ハイブリダイゼーションサイン」と等しい。類似
の配列を有するクローンは、類似のハイブリダイゼーションサインを有する。こ
れらのサインを分析するための選別/分類アルゴリズムを開発することによって
、ライブラリー中のクローンのグループを、コンピューターで同定および一致さ
せ得る。これらのクローンのグループを、「クラスター」と呼ぶ。このアルゴリ
ズムにおける選択のストリンジェンシー(古典的なライブラリーcDNAスクリ
ーニングプロトコルにおけるハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに類
似する)に依存して、各クラスターの「純度」を制御し得る。例えば、たとえ最
も高いストリンジェンシーであっても、アーティファクトが400bpのcDN
Aフラグメントでの「水溶液実験(wet−lab)」でのcDNAライブラリ
ーのスクリーニングにおいて生じ得るのと同様に、クラスターのアーティファク
トは、コンピューターによるクラスター化において生じ得る。本明細書中のクラ
スターの実装において使用されるストリンジェンシーは、同じcDNAまたは密
接に関連するcDNAから一般に由来する、クローンのグループを提供する。密
接に関連するクローンは、同じcDNAの異なる長さのクローン、非常に関連す
る遺伝子ファミリー由来の密接に関連するクローン、または同じcDNAのスプ
ライシング改変体から生じ得る。
【0163】 選択されたクラスターについての示差的発現を、第1のライブラリー(例えば
、「転移性の高い乳房(high met breast)」)における選択さ
れたクラスターに対応するcDNAクローンの数を最初に決定し、そして第2の
ライブラリー(例えば、「転移性の低い乳房(low met breast)
」)における選択されたクラスターに対応するcDNAクローンの数を決定する
ことによって、評価した。第2のライブラリーに対する第1のライブラリーにお
ける選択されたクラスターの示差的発現は、この2つのライブラリー間の発現パ
ーセントの「比」として表される。一般に、この「比」は、以下によって計算さ
れる:1)第1のライブラリーにおける選択されたクラスターに対応するクロー
ンの数を第1のライブラリーから分析されたクローンの総数で除算して、第1の
ライブラリーにおけるこの選択されたクラスターの発現パーセントを計算し;2
)第2のライブラリーにおける選択されたクラスターに対応するクローンの数を
第2のライブラリーから分析されたクローンの総数で除算して、第2のライブラ
リーにおけるこの選択されたクラスターの発現パーセントを計算し;3)第1の
ライブラリーから計算された発現パーセントを、第2のライブラリーから計算さ
れた発現パーセントで除算する。ライブラリー中の選択されたクラスターに対応
する「クローンの数」が0の場合、この値を1に設定し、計算を補助する。この
比の計算に使用される式は、比較される各々のライブラリーの「深さ」(すなわ
ち、各ライブラリー中の分析されるクローンの総数)を考慮に入れる。
【0164】 一般に、ポリヌクレオチドは、比の値を上記の方法を使用して計算した場合に
、その比の値が、少なくとも約2より大きい、好ましくは少なくとも約3より大
きい、より好ましくは少なくとも約5より大きい場合に、2つのサンプル間で有
意に示差的に発現されていると言われる。示差的発現の有意性は、ゼロ点検定(
Zar,Biostatistical Analysis,Perntice
Hall,Inc.,USA,「Differences between
Proportions」、296−298頁(1974))を使用して決定す
る。
【0165】 GSEF遺伝子を、この様式で分析し、GSEFが、転移可能性の高い乳癌組
織および低い転移性の乳癌細胞由来の細胞の間で、示差的に発現されているか否
かを決定した。GSEF特異的クラスターは、185412であり、そしてGS
EF遺伝子に対応する41個のクローンを、MCF7ライブラリー(「転移性の
低い乳房(low met breast)」)において同定し、一方、MDA
−MB−231ライブラリー(「転移性の高い乳房」)は、GSEFに対応する
クローンを含まなかった。これらの知見は、GSEFが、転移可能性の高い乳房
細胞および低い転移性の乳房細胞の間で、示差的に発現されていることを示す。
以下の表に例示されるように、発現の比は、約40である。
【0166】
【表3】 これらのデータは、GSEFが、転移可能性の高い乳房細胞より、転移可能性
の低い乳房細胞において、より高レベルで発現されていることを示す。
【0167】 (実施例4:GSEFは、前立腺特異的かつ乳房特異的因子として正常に発現
される) GSEF発現を、RNA Master Blot(Clontech)およ
びRNA組織ブロット(InVitrogen)の両方を使用して分析した。R
NA組織ブロットを、当該分野で周知の方法に従って、種々の組織から調製した
。手短には、原発性腫瘍または肝臓における転移由来の細胞株から、グアニジウ
ムチオシアネート/フェノールクロロホルム抽出によって単離した20〜30μ
gの総RNAを使用して、ノーザンブロット分析を行った。原発性腫瘍および肝
臓転移は、当該分野で周知の方法に従って、重篤複合免疫不全(scid)マウ
ス内に注射した細胞株から発生させた。GSEFの全長cDNAクローン(1〜
1894bp(pCR2.0−TAベクター(InVitrogen)にクロー
ニングされている))またはE1AFの全長cDNA(2kbコード領域)のい
ずれかを含むプラスミドを、放射性標識し、そして65℃でExpress−h
yb(Clontech)にハイブリダイズさせた。
【0168】 これらの結果を、図3および4に示す。図4において、C7は、前立腺であり
;D7は、唾液腺であり;D8は、乳腺であり;C8は、胃であり;C4は、結
腸であり;F3は、気管であり;そしてH3およびH4は、ポジティブコントロ
ールである。GSEF発現を、約2.4kbのバンドとして検出する。
【0169】 RNA MasterブロットおよびRNA組織ブロットに従って、GSEF
は、前立腺組織に主に発現される。比較的低いレベルのGSEF発現が、胃、唾
液腺、乳腺および気管において検出された。これらの組織の共通の1つの特徴は
、これらは全て分泌機能に関連することであり、これは、GSEFが、分泌上皮
に特異的であることを示唆する。この仮説を試験するために、インサイチュハイ
ブリダイゼーション実験を、正常乳房組織および腫瘍組織を使用して行った。G
SEF発現を、正常乳腺(breast gland)の管腔または単層上皮細
胞において検出した。これらの細胞はまた、サイトケラチン8、18および19
の発現によって特徴付けられる(概説については、R.Moll,(1998)
Subcell.Biochem.31:205−262を参照のこと)。免疫
ブロット分析によって検出されるようなGSEF発現は、これらの単層上皮特異
的サイトケラチンのGSEF発現と、完全に相関した。
【0170】 要約すると、これらのデータは、GSEFが、ホルモン応答性の分泌腺(例え
ば、前立腺および乳腺)の単層上皮(通常の腺癌に最も一般に関連する細胞型)
に特異的なETSホモログであることを示す。
【0171】 (実施例5:ノーザンブロットによって検出された乳癌細胞株におけるGSE
Fの示差的発現) 乳癌におけるGSEF、ESXおよびE1AFの示差的発現をさらに調査する
ために、これらの遺伝子の発現を、定義された転移性表現型を有するヒト乳癌細
胞株のパネルから調製した、ノーザンブロットおよびウエスタンブロットの両方
を使用して調査した。
【0172】 RNAレベルで発現を評価するために、これらの遺伝子の発現を、当該分野で
周知の方法に従って、各々の細胞株、および原発性腫瘍または転移の細胞から単
離したRNAにおいて検出し、そしてGSEF、ESX、E1AFおよびβ−ア
クチン(コントロール)の発現を検出した。上記で議論したように、E1AFは
、転移性表現型のアクチベーターとして関連付けられる。ESX遺伝子の発現は
また、GenBank登録番号U66894における配列に基づくプローブを使
用して、並行サンプル中に検出された。ESXは、ヒト乳房腫瘍形成の間の初期
に過剰発現される、Etsドメイン含有遺伝子である(Changら(1997
)Oncogene 14:1617−1622)。GSEFの全長cDNAク
ローン(1〜1894bp(pCR2.0−TAベクター(InVitroge
n)にクローニングされている))またはE1AFの全長cDNA(2kbコー
ド領域)のいずれかを含むプラスミドを、放射性標識し、そして65℃でExp
ress−hyb(Clontech)にハイブリダイズさせた。ESX遺伝子
の発現はまた、GenBank登録番号U66894における配列に基づくプロ
ーブを使用して、並行サンプル中に検出された。ESXは、ヒト乳房腫瘍形成の
間の初期に過剰発現される、Etsドメイン含有遺伝子である(Changら(
1997)Oncogene 14:1617−1622)。β−アクチンおよ
びESXの全長cDNAを含むプラスミドを、GSEFプローブについて記載さ
れたように標識した。
【0173】 これらの結果を、図5に示す。ここで、上パネルは、GSEF発現を示し、上
から2番目のパネルは、ESX発現を示し、上から3番目のパネルは、E1AF
発現を示し、そして一番下のパネルは、β−アクチン発現(コントロール)を示
す。GSEF発現は、転移可能性の低い乳房細胞株および非転移性の乳房細胞株
の両方において検出された、一方、GSEF発現は、このアッセイにおける転移
可能性の高い乳房細胞株(435、231、ALAB)において実質的に検出可
能でなかった。これは、高い転移可能性を有する細胞株における機能の特異的損
失を示す。細胞株HS578Bstは、乳房組織から誘導された細胞株であるが
、線維芽細胞様であることが特徴付けられており、そして全く発現を示さなかっ
たが、これらの6つの低い転移性の上皮由来の細胞株は、GSEFの強い発現を
示した。同じノーザンブロットを、E1AF(PEA3)特異的プローブおよび
ESXに対するプローブでプローブした。E1AFおよびESXは、両方とも転
移に関係するETS転写因子である。興味深いことに、ESX(上皮特異的ET
S転写因子)は、GSEFに類似の発現プロフィールを示したが、E1AF発現
は、この2つの高転移性細胞株435および231において最も強力であった。
いくらかのESXおよびGSFEのmRNAが、高転移性細胞株におけるRT
PCRによって検出されたが、これは、この発現の非存在が、染色体上での欠失
に起因しないことを示唆することに留意する(データは示さず)。従って、GS
EF発現は、乳癌細胞の転移可能性に反比例的に相関する。これらのデータは、
転移性表現型の抑制におけるGSEFの役割をさらに支持する。
【0174】 この発現プロフィールが、インビトロ培養条件によって影響される可能性を排
除するために、マウス異種移植片由来のRNAを分析した(図5、レーン11〜
18;PT原発性腫瘍(肺転移から誘導された転移性435))。3つ全てのE
TS転写因子の細胞株特異的発現をインビボで維持し、従って、示差的発現の要
因として培養条件を除外した。
【0175】 タンパク質レベルに対する示差的遺伝子発現の結果を確認するために、GSE
F、ESXおよびE1AFに対する特異的ポリクローナル抗体を作製し、そして
免疫ブロット分析に使用した。上記の乳房細胞株の各々由来の等量の核抽出物を
、SDS−PAGEゲルにロードし、そして当該分野で周知の方法に従ってPV
DF膜に転移した。GSEFの合成C末端ポリペプチド(RKPDISQRLV
YQFVHPI(配列番号6))およびESXの合成C末端ポリペプチド(GK
NSSGWKEEEVLQSM(配列番号7))に対して惹起されたポリクロー
ナル抗体を使用して、タンパク質を検出した。Ets1およびE1AFを、市販
の抗体を使用して検出した。
【0176】 図6に示されるように、タンパク質発現は、ノーザンのデータを確認した。G
SEFタンパク質発現は、この6つの低転移性細胞株のうちの4つの細胞株にお
いて非常に多量であったが、高転移性のHBS細胞株においては検出可能でなか
った(図4)。ESXタンパク質はまた、低転移性細胞株に限定され、これは、
高転移性細胞株における、より非上皮様の表現型へのシフトを示唆する。E1A
Fに対する免疫ブロットは、高転移性細胞株におけるE1AFタンパク質のわず
かな上方調節を示したが、低転移性細胞株のいくらかにおいてもまた検出可能で
あった。3つのさらなるETS因子(ERM、Ets2、Ets1)に対する免
疫ブロットを行ったが、これらの細胞株の表現型との有意な相関は明らかにされ
なかった。Ets2特異的抗体を使用して、本発明者らは、高転移性細胞株にお
いて特異的な、さらなるより小さいポリペプチドを観察した(図4の第2の矢印
)。この小さいEts2特異的シグナルは、高転移性細胞株由来の細胞抽出物に
おけるタンパク質分解活性に起因した(データは示さず)。
【0177】 要約すると、これらのデータは、2つのEts転写因子、GSEFおよびES
Xの同定を例示し、これらの因子は、その発現がEMTの間に特異的に下方調節
される。
【0178】 (実施例6:ヒト腫瘍組織におけるGSEF発現) 上記の結果を考慮すると、ヒト乳房腫瘍組織におけるGSEFの発現を、正常
な乳房組織および腫瘍乳房組織由来の同等の総RNAにおいて調査した。図7A
に示されるように、5人の患者全員が、正常な組織において同等のGSEF発現
を示した(図7A、偶数レーン)。2人の患者が、正常な組織と比較した場合に
、腫瘍組織におけるGSEFメッセージのアップレギュレーションを示したが、
GSEF発現は3人の患者の腫瘍において検出不能であった。これらの結果は、
乳癌の進行の間のGSEFの遺伝子発現における変化を示す。
【0179】 GSEFの発現を、ヒト乳房組織においてインサイチュでも調べた。簡略に述
べると、外科的除去直後に凍結させそして10mに凍結切片化したヒト組織に対
して、Pfaffら(1996)Cell 84:309〜320のプロトコル
に従って、インサイチュハイブリダイゼーションを実施した。ジゴキシゲニン−
UTP標識リボプローブを、GSEF cDNAを含むテンプレートを用いて作
製した。このアンチセンスプローブの作製のために、そのDNAを5’末端にて
線状化し、そしてT3ポリメラーゼを用いて転写させて、約1kb長の転写産物
を作製した。ハイブリダイズしたプローブを、基質としてBMパープル(Roc
h Molecular Bochemicals、Indianapolis
、IN)を使用して、アルカリホスファターゼ結合抗ジゴキシゲニン抗体を用い
て検出した。
【0180】 図7Bにて提供される例示的結果に示されるように、GSEFは、正常な導管
上皮細胞にて特に発現され、転移性乳癌細胞において発現は減少しているかまた
は検出不能である。従って、GSEF発現は、同じ患者のインサイチュ癌腫にて
維持され、これはまた、腫瘍原性の、転移性の低いHBC細胞株におけるGSE
Fのインビトロ遺伝子発現と関連があった。
【0181】 (実施例7:GSEFの染色体マッピング) GSEFの染色体位置を、放射線ハイブリッドマッピングにより決定した。ヒ
ト/ハムスターハイブリッド細胞由来のゲノムDNA(Reseach Gen
eticsTM)に対する以下のPCR反応用のGSEF特異的プライマー:
【0182】
【化1】 (配列番号10)および
【0183】
【化2】 (配列番号11)。この結果が、最も近いマーカー(SHGC−15970)に
ついて、外部実験室により分析された。
【0184】 GSEFは、第6染色体、特に6p21.1〜6p21.3に位置付けされた
。正常なヒト第6染色体は、微小核体移入後のC8161黒色腫の転移性表現型
の抑制に関係している(Welchら(1994)Oncogene 9:25
5〜262;Barskyら(1997)Oncogene 15:2077〜
2091)。興味深いことに、サイクリン依存性キナーゼインヒビター1A(p
21/WAF/CDKN1A)(推定腫瘍抑制遺伝子であると考えられる)もま
た、6p21.1に位置する(Knuutilaら(1999)Am.J.Pa
thol.155:683〜694)。さらに、染色体6p21.2におけるヘ
テロ接合性の損失は、頸部癌の放射線治療後の再発についての潜在的マーカーで
あることが示唆されている(Harimaら(2000)Clin.Cance
r Res.6:1079〜1085)。
【0185】 (実施例8:GSEFのプロモーター) GSEFのプロモーターを、当該分野で周知の方法に従って設計したGSEF
cDNAに特異的なPCRプライマーと組み合わせてHuman Genom
e Walker KitTM(Clontech)を使用して、得た。生じた
PCR産物を、TAクローニングベクター(InVitrogen)中にクロー
ン化し、そして二本鎖配列決定を行った。GSEFプロモーター、およびGSE
FをコードするcDNAの開始が、配列番号8に提供される。推定最小GESF
プロモーターの配列(例えば、GSEFコードcDNA配列を含まない)が、配
列番号9(配列番号8のヌクレオチド1〜1381)として提供される。古典的
TATAボックスは、残基1356で開始し(TATAA)、そして転写開始部
位は、残基1381に位置する。
【0186】 (実施例9:GSEFプロモーターおよびGSEFタンパク質は、一過性トラ
ンスフェクションアッセイにおいて機能性である) GSEFの転写調節を特徴付けるために、1380bpプロモーターフラグメ
ントを、c−Fosのプロモーター、CMVプロモーター(CMV 10×)、
pGL3のプロモーター、またはGSEFプロモーターのいずれかを含むルシフ
ェラーゼレポーター構築物の上流にクローン化し、そして転移性の高い細胞株M
DA−MB−435および2つの転移性の低い細胞株(MDA−MB−468、
SK−BR−3)に、当該分野で周知の技術を使用してトランスフェクトした。
ルシフェラーゼプロモーターの同時トランスフェクションは、例えば、Mart
inら(1999)Mol.Cell.Biol.5548〜5556(c−F
os;CMVプロモーター)に記載されている。
【0187】 GSEFプロモーターは、転移性の高い乳癌細胞株MDA−MB−435にお
いて有意な活性を示さなかった(図8、左パネル;プロモーターなしpGL3コ
ントロールをGSEF−プロモーター構築物と比較する)。しかし、この転移性
の低い細胞株におけるGSEFレポーター活性は、CMV−basicプロモー
ター構築物、c−FOS−basicプロモーター構築物およびpGL−bas
icプロモーター構築物と比較して増加した(図8、絶対ルシフェラーゼ単位が
示される)。この結果は、このクローン化GSEFプロモーターフラグメントが
、転移性の低い特異的転写調節を媒介するに十分であり、そして内因性GSEF
の示差的発現を反映することを示す。
【0188】 (実施例10:GSEFは、GSEFプロモーターの転写アクチベーターとし
て作用する) 異所にて発現されるGSEFタンパク質が転移性の高い細胞株MDA−MB−
435においてGSEFプロモーターの転写活性化として作用する能力を、調査
した。指示されるレポーター構築物を発現プラスミド(pcDNA3.1)と組
み合わせて使用する同時トランスフェクションを、EFFECTENETMトラン
スフェクション試薬(Quiagen)を製造業者のプロトコルに従って使用し
て実施した(Martinら(1999)Mol.Cell.Biol.554
8〜5556)。GSEF、E1AF、およびESXが、ウェスタンブロットに
より確認して同様のレベルで、トランスフェクトした細胞にて発現された(デー
タ示さず)。
【0189】 発現プラスミドGSEF、E1AF、ESXとGFPコントロールとの同時ト
ランスフェクションにより、GSEFがGSEFプロモーター構築物の最も強力
な転写トランスアクチベーターであることが示された(図9)。ESXおよびE
1AFの両方もまた、これらの一過性トランスフェクションアッセイにおけるい
くらかのトランス活性化を示した。これは、GSEFプロモーターフラグメント
が一連のETS結合部位(図2A、太字で示される)を含むことを考慮すると、
驚くべきことではない。しかし、最小c−Fosプロモーターは、これらのET
S因子のいずれによっても刺激されなかった。
【0190】 転写因子としてのGSEFの活性を、DAPI対比染色と組み合わせて免疫組
織化学プロトコルを使用する核位置決定により確認した(データは示さず)。
【0191】 これらのデータは、GSEFタンパク質が核に位置し、そして転移性の高い細
胞株MDA−MB−435における転写アクチベーターとして機能し得ることを
、示す。
【0192】 (実施例11:GSEFの異所発現は、ビメンチンまたはサイトケラチン19
の発現に影響しないが、MDA−MB−435細胞の形態を変化させる) GSEFタンパク質を高転移能細胞において機能的様式で発現し得ることを確
立した後、GSEFを安定に発現するMDA−MB−435細胞株を産生して、
GSEF発現がMDA−MB−435細胞の転移性表現型を妨害し得るか否かに
取り組んだ。発現プラスミド(pcDNA.3、Promega)をMDA−M
B−435細胞(EFFECTENETM(Quiagen))に移入し、そして
細胞をG418選択(200μg/ml)下で1週間インキュベートした。個別
のクローンを釣菌しそして分析した。
【0193】 GSEF、E1AF、ESX、Vimentinおよびサイトケラチン19の
発現を、E1AF発現構築物(E1AF Cl.43)を含むMDA−MB−4
35細胞、GSEF発現構築物(GSEF Cl.11、GSEF CL.46
およびGSEF Cl.48)を含むMDA−MB−435細胞、ならびにES
X発現構築物(ESX.Cl.7、ESX Cl.15およびESX Cl.1
5)を含むMDA−MB−435細胞の全細胞溶解物のウェスタンブロットによ
り試験した。MDA−MB−435およびSK−BR−3細胞の全細胞溶解物が
、コントロールとして役立った。E1AFの発現をネガティブコントロールとし
て使用した。なぜなら、親MDA−MB−435細胞が内因性E1AFを発現す
るからである。図10に示されるように、3つのETS転写因子はいずれも、内
因性ビメチンおよびサイトケラチン19の発現レベルに対して効果を有さなかっ
た。
【0194】 形態、足場非依存性増殖(以前に記載されたような軟寒天アッセイ(Hamb
urgerおよびSalmon(1977)Science 197:461〜
463)およびMDA−MB−435細胞の侵襲性(マトリゲルアッセイ:以前
に記載された(Petersonら(1992)Proc.Natl.Acad
.Sci.USA 89:9064〜9068)ように商業的に調製された再構
成基底膜(Matrigel;Collaborative Research
、Waltham、MA)を使用して、3次元再構成基底膜培養物を作製した)
に対するGSEF発現の効果を、当該分野で周知の方法を使用して試験した。
【0195】 図11に示されるように、MDA−MB−435細胞(MDA−MB−GSE
F(Cl.46)およびMDA−MB−435−GSEF(Cl.48))中で
のGSEFの発現は、非トランスフェクト細胞と比較して細胞形態に対して有意
な効果を有し、そしてさらに、E1AFの安定な発現よりも劇的な効果さえ有し
た(MDA−MB−435−E1AF(Cl.43))。
【0196】 GSEFタンパク質を機能的様式で発現し得ることを確認した後、安定なMD
A−MB−435細胞株を作製した。これらの実験は、GSEF発現がMDA−
MB−435細胞の転移性表現型を妨害し得るか否か、またはGSEF発現がこ
れらの細胞の分化状態に対して効果を有し得るか否かという問題に取り組むよう
に設計した。簡略には、免疫ブロット分析を、当該分野で周知の方法に従って実
施して、ビメンチンおよびサイトケラチン19の発現に対するGSEF、E1A
F、およびESXの効果を決定した。図10に示されるように、MDA−MB−
435細胞は、ほぼ等しいレベルのGSEF、E1AFおよびESXを発現した
。E1AF発現プラスミドをネガティブコントロールとして使用した。なぜなら
、親MDA−MB−435細胞が内因性E1AFを発現するからである(図5を
参照のこと)。しかし、3つのETS転写因子はいずれも、これらのEMT指標
(indicator)遺伝子のタンパク質発現レベルに対して効果を有さなか
った(図10)。
【0197】 トランスフェクトした細胞の形態の研究により、その細胞形態が、親MDA−
MB−435またはE1AFコントロールトランスフェクタントと比較して、G
SEF安定トランスフェクタントにおいて顕著に異なった(図11)ことが明ら
かになった。MDA−MB−435細胞の特徴的な細長い針様の形態は、その針
様突出を欠く、より球状形態に変化した。興味深いことに、GSEF安定トラン
スフェクタントの形態は、非腫瘍原性SK−BR−3細胞の表現型とより類似し
た(図11、上右のパネル)。E1AF発現クローン、およびGFP発現プラス
ミドで安定にトランスフェクトされた細胞(データは示さず)は、MDA−MB
−435の針様構造を維持した。
【0198】 図12は、GSEFを発現するMDA−MB−435細胞の足場非依存性増殖
を試験するための実験の例示的結果を提供する。次いで、この安定なMDA−M
B−435トランスフェクタントを、当該分野で周知の方法に従って血清の存在
下で足場非依存性細胞増殖について試験した。異所発現されたEts転写因子E
1AFまたはGSEFのいずれも、親MDA−MB−435細胞と比較した場合
に、コロニー形成寒天アッセイにて有意な変化を引き起こさなかった(図12)
。非腫瘍原性SK−BR3細胞は、このアッセイにおけるネガティブコントロー
ルとして役立った。これらのデータは、異所発現されたGSEFが、足場非依存
性細胞増殖に影響しないことを示す。しかし、この結果は、驚くことではなかっ
た。なぜなら、転移性の低い腫瘍原性HBC細胞株のうちの2つ(MCF−7、
ZR−75−1)は、有意な量の内因性GSEFを発現するからである(図5を
参照のこと)。乳房脂肪パッドマウスモデルを使用する予備データにより、安定
なトランスフェクタントすべてが、原発性腫瘍を形成する能力を維持しているこ
とが明らかになった(データは示さず)。
【0199】 図13は、GSEFを発現するMDA−MB−435細胞の侵襲性を試験する
Matrigel侵襲/運動性アッセイの例示的結果を提供する。また、SK−
BR−3細胞株をネガティブコントロールとして使用した。そしてこの細胞は、
予期したような3次元増殖を全く示さなかった。親MDA−MB−435トラン
スフェクタントおよびE1AFトランスフェクタントは、転移性細胞を示す特徴
的3次元増殖パターンを示した(図13)。このアッセイにて分析した両方のG
SEFトランスフェクタントは、Matrigelアッセイにて増殖したが、3
次元増殖表現型を明らかに欠いた。これらの結果は、異所発現されたGSEFタ
ンパク質の存在が、これらの細胞の移動および/または運動性を抑制するが、上
記のアッセイにて測定されたような足場非依存性増殖に対する検出可能な効果を
有さないことを示す。一般に、これらのデータは、GSEFの発現がMDA−M
B−435細胞の侵襲性を減少することを示す。
【0200】 本明細書中に引用されるすべての刊行物および特許出願は、あたかも個々の刊
行物または特許出願各々が参考として援用されると特に個別に示されたかのよう
に、本明細書中で参考として援用される。
【0201】 上記の発明は理解を明確にする目的で例示および実施例によっていくらか詳細
に記載されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱せずに特
定の変更および改変が本発明に対してなされ得ることが、本発明の教示を考慮す
れば当業者には容易に明らかである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ヌードマウスにおける異種移植片(xenographic)注射に
よって決定される、転移の可能性の高い(MDA−MB−435、MDA−MB
−231およびALAB)、転移の可能性の低い、または非転移性である(MD
A−MB−468、MDA−MB−361、ZR−75−1、MCF−7、MD
A−MB−453、SK−BR−3)、9つのヒト乳癌(HBC)細胞株のウェ
スタンブロット分析の写真である。転移性表現型(転移性表現型)、動物モデル
中での注射後に原発性腫瘍を形成する能力(原発性腫瘍)、およびエストロゲン
レセプター(エストロゲン表現型)の発現を、写真の下に示す。
【図2】 図2A〜2Bは、GSEF cDNAおよび5’プロモーター領域のヌクレオ
チド配列を示す模式図である。図2Aでは、プロモーター領域は、cDNAに比
較して示される。TATAボックスおよび推定の転写開始部(+1)を示す。可
能性のあるETS転写因子結合部位を、太字で示す。図2Bでは、ヒトGSEF
のコード配列および3’非コード配列を、推定アミノ酸配列とともに示す。C末
端ETSドメインを太字で示す。プロモーターを有する全長cDNAは配列表に
配列番号12として提供され、コードされるアミノ酸配列は配列番号13として
提供される。
【図3】 図3は、種々の組織におけるGSEFの発現を示す、RNAブロットの写真で
ある。C7=前立腺;D7=唾液腺;D8=乳腺;C8=胃;C4=結腸;F3
=気管;H3およびH4=ポジティブコントロール。
【図4】 図4は、ヒトの心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺
、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸および末梢血におけるGSEF発現を示す、
RNA組織ブロットの写真である。
【図5】 図5は、異種移植片からの、HBC細胞株由来または腫瘍もしくは転移組織由
来の総RNAを用いたGSEF、ESX、E1AF、およびβ−アクチンの発現
を示す、ノーザンブロットの写真である。特異的シグナル1を矢印によって示す
【図6】 図6は、示したETS転写因子について特異的な抗血清を用いたウェスタンブ
ロットの写真である。特異的シグナルを矢印によって示す。
【図7A】 図7Aは、GSEF mRNAが、原発性腫瘍乳房組織(T)および正常乳房
組織(N)において示差的に発現されることを図示するノーザンブロットの写真
である。一致した正常組織(偶数のレーン)および原発性腫瘍組織(奇数のレー
ン)由来の総RNAを用いた:レーン1:侵襲性腺管癌;レーン3:侵襲性腺管
癌;レーン5:中程度に分化した侵襲性腺管癌;レーン7:侵襲性腺管癌;レー
ン9:侵襲性腺管癌。
【図7B】 図7Bは、正常ヒト乳房組織および悪性ヒト乳房組織におけるGSEFのイン
サイチュハイブリダイゼーション分析の結果を示す、写真である。同じ切片のH
&E染色を左のパネルに示す。
【図8】 図8は、転移性が高いHBC細胞株よりも、転移性が低いHBC細胞株におい
てGSEFプロモーターの活性が高いことを図示するグラフである。以下の全て
のプロモーターを、pGL3 basicルシフェラーゼ発現プラスミド(Pr
omega)中にクローニングする:pGL−3プロモーターなし(promo
terless)、c−Fosプロモーター、GSEFプロモーター、CMV−
プロモーター(絶対数の1/10を示す)。c−Fos:cFosプロモーター
を有する構築物;pGL3;GSEF−Prom:GSEFプロモーターを有す
る構築物;CMV(10×):CMVプロモーターを有する構築物。
【図9】 図9は、転移性が高い乳房細胞株MDA−MB−435中のGSEF−pGL
3−luc構築物のGSEFプロモーターが、GSEFタンパク質によってトラ
ンス活性化され得ることを例示するグラフである。+GFP:GFP発現構築物
;+E1AF:発現構築物;+ESX:ESX発現構築物;およびGSEF:G
SEF発現構築物。
【図10】 図10は、MDA−MB−435細胞におけるビメンチンおよびサイトケラチ
ン19産生に対するE1AF、GSEFまたはESXの発現の効果を示す、ウェ
スタンブロットの写真である。
【図11】 図11は、MDA−MB−435細胞の形態に対するGSEFまたはE1AF
の発現の効果を示す、写真である。
【図12】 図12は、MDA−MB−435細胞の足場非依存性増殖に対するE1AFま
たはGSEFの発現の効果を示す、写真である。
【図13】 図13は、MATRIGELアッセイにおけるMDA−MB−435細胞の侵
襲性に対するE1AFまたはGSEFの発現の効果を示す、写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/21 1/19 C12Q 1/68 A 1/21 G01N 33/15 Z 5/10 33/48 M C12Q 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/48 M 33/50 37/00 102 33/53 C12N 15/00 ZNAA 5/00 A 37/00 102 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ハロー, グレッグ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94706, アルバニー, ブキャナン ストリート 711 Fターム(参考) 2G045 AA24 AA26 CB02 CB26 DA12 DA13 DA14 DA36 FA20 FB02 FB03 FB07 4B024 AA01 AA12 BA80 CA01 CA04 CA09 CA11 DA01 DA02 DA05 DA11 EA01 EA02 EA03 EA04 FA02 GA11 HA12 4B063 QA01 QA19 QQ08 QQ42 QQ52 QR08 QR33 QR42 QR55 QR59 QR62 QR74 QR80 QR82 QS05 QS25 QS34 QS36 QX02 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 BA01 CA44 CA46 4C084 AA02 AA06 AA07 AA13 AA17 BA01 BA22 CA53 DB63 NA05 ZB212 ZB261 ZB262

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞の転移の可能性を決定する方法であって、該方法は、以
    下: 試験哺乳動物細胞から得られた試験サンプル中のGSEF遺伝子産物を検出す
    る工程であって、ここで、該試験サンプル中のGSEF遺伝子産物の、正常細胞
    から得られたコントロールサンプル中の該GSEF遺伝子産物の量に実質的に類
    似する量での検出が、該試験サンプルを得た該細胞が、正常細胞であるか、転移
    の可能性の低い細胞であるか、または非転移性細胞であることの指標である、工
    程 を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記GSEF遺伝子産物が、GSEFポリペプチドである、
    請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記GSEF遺伝子産物が、GSEFポリヌクレオチドであ
    る、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記検出する工程が、アレイに対するハイブリダイゼーショ
    ンによる、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記試験細胞が、ヒト乳房組織から得られる、請求項1に記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 前記試験細胞が、ヒト前立腺組織から得られる、請求項1に
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 転移の可能性の高い癌性細胞を同定する方法であって、該方
    法は、以下の工程: 試験哺乳動物細胞から得られた試験サンプル中のGSEF遺伝子産物を検出す
    る工程; コントロールサンプル中のGSEF遺伝子産物の量に対して該試験サンプル中
    の該GSEF遺伝子産物の量を比較する工程であって、ここで、該コントロール
    サンプルは、転移の可能性の高くない細胞中のGSEFの量を示す量のGSEF
    遺伝子産物を含む、工程;および 該コントロールサンプル中の該遺伝子産物の量に対して、該試験サンプル中の
    該遺伝子産物の量を比較する工程であって; ここで、該コントロールサンプル中の該GSEF遺伝子産物の量未満である量
    における、該試験サンプル中のGSEF遺伝子産物の検出が、該試験サンプルが
    、転移の可能性が高い細胞由来であることを示す、工程 を包含する、方法。
  8. 【請求項8】 前記検出する工程が、アレイに対するハイブリダイゼーショ
    ンによる、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記試験細胞が、ヒト乳房組織由来である、請求項7に記載
    の方法。
  10. 【請求項10】 前記試験細胞が、ヒト前立腺組織由来である、請求項7に
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 GSEF発現を増強する薬剤の同定のための方法であって
    、該方法は、以下: 候補薬剤を、転移の可能性の高い哺乳動物細胞と接触させる工程;および 該細胞中のGSEF遺伝子産物の発現を検出する工程であって; ここで、該接触工程の前の該GSEF遺伝子産物の発現と比較した、該接触工程
    後の該GSEF遺伝子産物発現の増加の検出が、該候補薬剤がGSEF発現を増
    強することを示す、工程 を包含する、方法。
  12. 【請求項12】 癌性細胞における転移を阻害する方法であって、該方法は
    、癌性細胞を、該細胞中のGSEF遺伝子産物の活性を増強させる薬剤と接触さ
    せる工程を包含する、方法。
  13. 【請求項13】 GSEF遺伝子産物活性が、GSEFポリペプチドをコー
    ドする遺伝子の転写の増加によって増強される、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記薬剤が、GSEFポリペプチドである、請求項13に
    記載の方法。
  15. 【請求項15】 癌性細胞における転移を阻害する方法であって、該方法は
    、GSEF遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドを癌性細胞に導入して、該
    細胞中のGSEFの発現を促進する工程を包含する、方法。
  16. 【請求項16】 GSEFプロモーター配列またはその相補体を含む、単離
    されたポリヌクレオチド。
  17. 【請求項17】 配列番号9のポリヌクレオチド配列を含む、請求項16に
    記載のポリヌクレオチド。
  18. 【請求項18】 単離されたポリヌクレオチドであって、ストリンジェント
    なハイブリダイゼーション条件下で請求項16に記載のポリヌクレオチドにハイ
    ブリダイズする、ポリヌクレオチド。
  19. 【請求項19】 請求項16に記載のポリヌクレオチドを含む、組換え発現
    ベクター。
  20. 【請求項20】 前記GSEFプロモーターが、異種ポリヌクレオチドに作
    動可能に連結されている、請求項19に記載の組換え発現ベクター。
  21. 【請求項21】 請求項16に記載のポリヌクレオチド配列を含む、単離さ
    れた組換え体宿主細胞。
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