JP2010531135A - N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼを使用したo結合型グリコシル化 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ポリペプチドと水溶性重合体(例えばPEG)のような修飾基との間の共有結合複合体を提供する。ポリペプチドのアミノ酸配列は、各々がGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質である、1又はそれ以上のO結合型グリコシル化配列を含む。修飾基は、ポリペプチドと修飾基の間に挟まれ、ポリペプチドと修飾基の両方に共有結合されているグリコシル連結基を介してポリペプチドに共有結合される。1つの実施形態では、グルコサミン連結基はO結合型グリコシル化配列のアミノ酸残基に直接結合されている。本発明はさらに、ポリペプチド複合体を作製する方法を提供する。本発明はまた、少なくとも1つの本発明のO結合型グリコシル化配列を含み、各々のグリコシル化配列がGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質である、非天然に生じるポリペプチドを提供する。本発明はさらに、本発明のポリペプチド複合体を含有する医薬組成物を提供する。
Description
関連出願の交差参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下に、すべての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2007年6月4日出願の米国特許出願第60/941,926号の優先権を主張する。
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下に、すべての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2007年6月4日出願の米国特許出願第60/941,926号の優先権を主張する。
本発明は、グリコシル化によるペプチド修飾の分野に関する。特に、本発明は、重合体修飾基を含むペプチド複合体及びGlcNAcトランスフェラーゼによって基質として認識されるグリコシル化配列を使用してグリコシル化ペプチドを作製する方法に関する。
特定の生理的応答を生じさせるためのグリコシル化及び非グリコシル化ポリペプチドの投与は医薬技術分野において周知である。例えば、精製hGH及び組換えhGHの両方が、hGH欠損に関連する状態及び疾患、例えば小児における小人症を治療するために使用される。他の例としては、公知の抗ウイルス活性を有するインターフェロン並びに白血球の産生を刺激する顆粒球コロニー刺激因子が含まれる。
野生型グリコシル化パターンを有するポリペプチドを製造するために使用できる発現系の欠如が、そのようなポリペプチドの治療薬としての使用を制限してきた。適切に又は不完全にグリコシル化されたペプチドが免疫原性であり得、ペプチドの中和及び/又はアレルギー反応の発現を導き得ることは当技術分野において公知である。組換え生産された糖タンパク質の他の欠点として、最適より低い効力及び血流からの迅速なクリアランスが含まれる。
グリコシル化ペプチド治療薬の生産に固有の問題を解決するための1つのアプローチは、それらの発現後にインビトロでペプチドを修飾することであった。ポリペプチドの発現後のインビトロ修飾は、既存のグリカン構造の修飾及び非グリコシル化アミノ酸残基へのグリコシル部分の結合の両方に使用されてきた。組換え真核生物グリコシルトランスフェラーゼの包括的選択が使用可能となり、カスタム設計されたグリコシル化パターンとグリコシル構造を有する哺乳動物複合糖質のインビトロでの酵素的合成を可能にした。例えば米国特許第5,876,980号;同第6,030,815号;同第5,728,554号;同第5,922,577号;並びに国際公開公報第WO/9831826号;米国特許出願第US2003180835号;及び国際公開公報第WO03/031464号参照。
加えて、ポリペプチドは、水溶性重合体のような1又はそれ以上の非糖修飾基で誘導体化されてきた。ペプチドに結合された重合体の一例はポリ(エチレングリコール)(「PEG」)である。ポリペプチドの分子サイズを増大させるPEG結合は、免疫原性を低減し、PEG結合ポリペプチドが循環中にとどまる時間を延長させるために使用されてきた。例えばDavis et al.への米国特許第4,179,337号は、ポリエチレングリコール(PEG)又はポリプロピレングリコール(PPG)に結合された酵素及びペプチドホルモンなどの非免疫原性ポリペプチドを開示する。
PEG及びその誘導体をポリペプチドに結合するために主要な方法は、アミノ酸残基を通しての非特異的結合を含む(例えば米国特許第4,088,538号、同第4,496,689号、同第4,414,147号、同第4,055,635号及びPCT特許出願第WO87/00056号参照)。PEG結合のもう1つの方法は、糖ペプチドのグリコシル残基の非特異的酸化を含む(例えば国際公開公報第WO94/05332号参照)。
これらの非特異的方法では、PEGを、ポリペプチド骨格上の反応性残基にランダム且つ非特異的に付加する。このアプローチには、最終産物の均一性の欠如及び修飾ポリペプチドの低い生物活性又は酵素活性の可能性を含む、重大な欠点がある。それ故、特異的に標識されており、容易に特徴づけることができ、基本的に均一な産物の形成を生じさせる、治療用ペプチドのための誘導体化方法は極めて望ましい。
特異的に修飾された均一なペプチド治療薬は、酵素の使用を通してインビトロで生産することができる。修飾基(例えば合成ポリマー)をペプチドに結合するための非特異的な方法と異なり、酵素に基づく合成は位置選択性及び立体選択性という利点を有する。標識ペプチドの合成における使用のための酵素の2つの主要なクラスは、グリコシルトランスフェラーゼ(例えばシアリルトランスフェラーゼ、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ)とグリコシダーゼである。これらの酵素は、その後修飾基を含むように改変することができる糖類の特異的結合のために使用できる。あるいは、グリコシルトランスフェラーゼ及び修飾グリコシダーゼは、修飾された糖類をペプチド骨格に直接転移するために使用できる(例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,399,336号、及び米国特許出願第20030040037号、同第20040132640号、同第20040137557号、同第20040126838号及び同第20040142856号参照)。化学的アプローチと酵素的アプローチを組み合わせる方法も公知である(例えばYamamoto et al., Carbohydr. Res. 305:415-422(1998)及び参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20040137557号参照)。
糖鎖はいくつかの方法で糖ペプチドに結合され、そのうちアスパラギンへのN結合及びセリン及びトレオニンへのO結合が組換え糖タンパク質治療薬には最適である。O結合グリコシル化は、すべての真核細胞の分泌糖タンパク質及び細胞表面関連糖タンパク質で見出される。O結合グリコシル化によって創製される構造は極めて多様である。そのようなグリカンは、ゴルジ複合体内に存在する数百の酵素(グリコシルトランスフェラーゼ)の触媒活性によって生産される。多様性は、グリカン構造のレベルで、及びタンパク質骨格へのO−グリカンの結合の位置に関して存在する。高度の潜在的多様性にもかかわらず、O結合グリコシル化が多細胞生物の間で高度の保存を示す高度に調節された過程であることは明らかである。
残念ながら、必ずしもすべてのポリペプチドがそれらのアミノ酸配列の一部としてO結合型グリコシル化配列を含むわけではない。加えて、既存のグリコシル化配列はポリペプチドへの修飾基の結合には適さないことがあり得る。一例として、そのような修飾は、修飾ポリペプチドの生物活性の望ましくない低下を引き起こし得る。それ故、グリコシル化配列の正確な創製及びそれらの部位への修飾を正確に指令する能力の両方を可能にする方法への需要が当技術分野において存在する。本発明はこれらや他の需要に応えるものである。
本発明は、グルコサミントランスフェラーゼ(例えばGlcNAcトランスフェラーゼ)に対する基質である、O結合型グリコシル化配列を含むポリペプチド、好ましくは治療的価値を有するポリペプチドのグリコシル化及び修飾に関する。1つの実施形態では、ポリペプチドは、対応する親ポリペプチド内には存在しない又は同じ位置には存在しないO結合型グリコシル化配列を含む、非天然に生じるポリペプチドである。
本発明は、酵素的複合糖質化及び糖PEG化反応が、ポリペプチド内の特定のO結合型グリコシル化配列に特異的に標的され得るという発見を述べる。特に、場合により重合体修飾基で誘導体化されたグルコサミン部分は、ポリペプチドのアミノ酸残基に酵素的に転移される。このアミノ酸残基は、本明細書ではGlcNAcトランスフェラーゼとも称される、O−GlcNAcトランスフェラーゼ(OGT)などの酵素によって基質として認識される、O結合型グリコシル化配列の一部である。
本発明の1つの利点は、好ましくは修飾されたグルコサミン部分である、修飾糖が、ポリペプチドのアミノ酸側鎖に直接共有結合できることである。意外にも、発明人は、この過程で使用されるある種のグリコシルトランスフェラーゼが、グリコシル残基をポリペプチド骨格に直接付加できるだけでなく、最も重要な点として、これらの酵素が基質として使用するグリコシル供与体分子に対して有意の耐容性(tolerance)を示すことを発見した。例えば、ある種のGlcNAcトランスフェラーゼは、重合体修飾基で修飾されたグルコサミン部分をポリペプチドのアミノ酸残基に直接付加することができる。結果として、修飾糖残基による複合糖質化に先立つポリペプチドのグリコシル化が、必要ではないが可能である。
本発明のもう1つの利点は、複合糖質化反応(例えば糖PEG化)を触媒するグリコシルトランスフェラーゼが細菌発現系を使用して生産できることである。特に好ましい実施形態では、グリコシルトランスフェラーゼ(例えばGlcNAcトランスフェラーゼ)が大腸菌において発現される。これらや他の利点の故に、本発明は、水溶性重合体のような修飾基を含むポリペプチド複合体への時間及びコスト効率的な生産経路を提供する。
O結合型グリコシル化配列を含むポリペプチド
1つの実施形態では、本発明のO−グリコシル化配列は親ポリペプチド(例えば野生型ポリペプチド)内に存在する。もう1つの実施形態では、O結合型グリコシル化配列は突然変異によって親ポリペプチドに導入される。従って、本発明は、親ポリペプチドに対応し、対応する親ポリペプチド内には存在しない又は同じ位置には存在しない少なくとも1つの本発明のO結合型グリコシル化配列を含むアミノ酸配列を含む、非天然に生じるポリペプチドを提供する。一例では、各々のO結合型グリコシル化配列はGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質である。もう1つの例では、O結合型グリコシル化配列は、式(I)〜(VI):
1つの実施形態では、本発明のO−グリコシル化配列は親ポリペプチド(例えば野生型ポリペプチド)内に存在する。もう1つの実施形態では、O結合型グリコシル化配列は突然変異によって親ポリペプチドに導入される。従って、本発明は、親ポリペプチドに対応し、対応する親ポリペプチド内には存在しない又は同じ位置には存在しない少なくとも1つの本発明のO結合型グリコシル化配列を含むアミノ酸配列を含む、非天然に生じるポリペプチドを提供する。一例では、各々のO結合型グリコシル化配列はGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質である。もう1つの例では、O結合型グリコシル化配列は、式(I)〜(VI):
式(I)〜(VI)において、b及びgは0〜2から選択される整数であり、a、c、d、e、f及びhは0〜5から選択される整数である。Tはトレオニンであり、Sはセリンであり、Pはプロリンであり、Uは、V、S、T、E、Q及び非荷電アミノ酸から選択されるアミノ酸であり、そしてZは、P、E、Q、S、T及び非荷電アミノ酸から選択されるアミノ酸である。B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7及びB8の各々は、アミノ酸から独立して選択される成員である。
加えて、本発明は、本発明の非天然に生じるポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。本発明はさらに、上記核酸を含む発現ベクター並びに細胞を提供する。本発明はさらに、非天然に生じるポリペプチドのライブラリーを提供し、ライブラリーの各々の成員は、少なくとも1つの本発明のO結合型グリコシル化配列を含む。そのようなライブラリーを作製し、使用する方法も提供される。
ポリペプチド複合体
本発明はさらに、非天然に生じるポリペプチドと重合体修飾基との間の共有結合複合体を提供し、非天然に生じるポリペプチドは親ポリペプチドに対応し、対応する親ポリペプチド内には存在しない又は同じ位置には存在しない外因性O結合型グリコシル化配列を含むアミノ酸配列を有する。一例では、O結合型グリコシル化配列はGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質であり、ヒドロキシル基を有する少なくとも1つのアミノ酸残基を含む。重合体修飾基は、グリコシル連結基を介してO結合型グリコシル化配列のヒドロキシル基でポリペプチドに共有結合される。親ポリペプチドは、好ましくは治療用ポリペプチドである。
本発明はさらに、非天然に生じるポリペプチドと重合体修飾基との間の共有結合複合体を提供し、非天然に生じるポリペプチドは親ポリペプチドに対応し、対応する親ポリペプチド内には存在しない又は同じ位置には存在しない外因性O結合型グリコシル化配列を含むアミノ酸配列を有する。一例では、O結合型グリコシル化配列はGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質であり、ヒドロキシル基を有する少なくとも1つのアミノ酸残基を含む。重合体修飾基は、グリコシル連結基を介してO結合型グリコシル化配列のヒドロキシル基でポリペプチドに共有結合される。親ポリペプチドは、好ましくは治療用ポリペプチドである。
例示的実施形態では、本発明のポリペプチド複合体は、式(VII):
式(VII)において、wは0〜4から選択される整数である。一例では、wは0及び1から選択される。AA−Oは、ヒドロキシル基で置換された側鎖を有するアミノ酸残基(例えばセリン又はトレオニン)から誘導される部分であり、アミノ酸は本発明のO結合型グリコシル化配列内に位置する。qが1であるとき、アミノ酸はポリペプチドの内部アミノ酸であり、qが0であるとき、アミノ酸はN末端又はC末端アミノ酸である。Z*は、グルコサミン部分、グルコサミンミメティック(mimetic)部分、グルコサミン部分を含むオリゴ糖及びグルコサミンミメティック部分を含むオリゴ糖から選択される成員である。X*は、重合体修飾基及び重合体修飾基を含むグリコシル連結基から選択される成員である。一例では、Z*はグルコサミン部分(例えばGlcNAc又はGlcNH)であり、X*は重合体修飾基である。
本発明はまた、本発明の共有結合複合体と医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物を提供する。
修飾糖ヌクレオチド
修飾糖ヌクレオチド
本発明はさらに、式(XI):
[式中、各々のQは、H、負電荷及び塩の対イオン(すなわち陽イオン)から独立して選択される成員である。Eは、NH、O、S及びCH2から選択される成員である。E1は、O及びSから選択される成員である。Gは、−CH2−及びC=Aから選択される成員であり、ここで、AはO、S及びNR27から選択される成員であり、ここで、R27は、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから選択される成員である。R21、R22、R23及びR24は、H、OR25、SR25、NR25R26、NR25S(O)2R26、S(O)2NR25R26、NR25C(O)R26、C(O)NR25R26、C(O)OR25、アシル、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから独立して選択される成員であり、ここで、R25及びR26は、H、アシル、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから独立して選択される成員である。例示的実施形態では、R21、R22、R23、R24及びR27の少なくとも1つは重合体修飾基を含む]
の構造を有する化合物を提供する。
ポリペプチド複合体を形成する方法
本発明はさらに、ポリペプチドと重合体修飾基との間の共有結合複合体を形成する方法を提供し、ポリペプチドは、ヒドロキシル基を有する側鎖を備えたアミノ酸残基を含むO結合型グリコシル化配列(例えば外因性O結合型グリコシル化配列)を含む。O結合型グリコシル化配列はGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質である。重合体修飾基は、ポリペプチドと修飾基の間に挟まれ、ポリペプチドと修飾基の両方に共有結合されているグルコサミン連結基を介してポリペプチドに共有結合される。この方法は、(i)ポリペプチドを、重合体修飾基に共有結合されたグルコサミン部分を含むグルコサミン供与体と、GlcNAcトランスフェラーゼの存在下に、GlcNAcトランスフェラーゼがグルコサミン部分をグルコサミン供与体からO結合型グリコシル化配列のヒドロキシル基上に転移するのに十分な条件下で接触させる工程を含む。例示的なグルコサミン部分は、GlcNAc及びGlcNHを含む。
本発明はさらに、ポリペプチドと重合体修飾基との間の共有結合複合体を形成する方法を提供し、ポリペプチドは、ヒドロキシル基を有する側鎖を備えたアミノ酸残基を含むO結合型グリコシル化配列(例えば外因性O結合型グリコシル化配列)を含む。O結合型グリコシル化配列はGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質である。重合体修飾基は、ポリペプチドと修飾基の間に挟まれ、ポリペプチドと修飾基の両方に共有結合されているグルコサミン連結基を介してポリペプチドに共有結合される。この方法は、(i)ポリペプチドを、重合体修飾基に共有結合されたグルコサミン部分を含むグルコサミン供与体と、GlcNAcトランスフェラーゼの存在下に、GlcNAcトランスフェラーゼがグルコサミン部分をグルコサミン供与体からO結合型グリコシル化配列のヒドロキシル基上に転移するのに十分な条件下で接触させる工程を含む。例示的なグルコサミン部分は、GlcNAc及びGlcNHを含む。
本発明の付加的な態様、利点及び目的は以下の詳細な説明から明白である。
I. 略語
PEG、ポリ(エチレングリコール);m−PEG、メトキシポリ(エチレングリコール);PPG、ポリ(プロピレングリコール);m−PPG、メトキシポリ(プロピレングリコール);Fuc、フコース又はフコシル;Gal、ガラクトース又はガラクトシル;GalNAc、N−アセチルガラクトサミン又はN−アセチルガラクトサミニル;Glc、グルコース又はグルコシル;GlcNAc、N−アセチルグルコサミン又はN−アセチルグルコサミニル;GlcNH、グルコサミン又はグルコサミニル;Man、マンノース又はマンノシル;ManAc、酢酸マンノサミン又は酢酸マンノサミニル;Sia、シアル酸又はシアリル;及びNeuAc、N−アセチルノイラミン又はN−アセチルノイラミニル。
PEG、ポリ(エチレングリコール);m−PEG、メトキシポリ(エチレングリコール);PPG、ポリ(プロピレングリコール);m−PPG、メトキシポリ(プロピレングリコール);Fuc、フコース又はフコシル;Gal、ガラクトース又はガラクトシル;GalNAc、N−アセチルガラクトサミン又はN−アセチルガラクトサミニル;Glc、グルコース又はグルコシル;GlcNAc、N−アセチルグルコサミン又はN−アセチルグルコサミニル;GlcNH、グルコサミン又はグルコサミニル;Man、マンノース又はマンノシル;ManAc、酢酸マンノサミン又は酢酸マンノサミニル;Sia、シアル酸又はシアリル;及びNeuAc、N−アセチルノイラミン又はN−アセチルノイラミニル。
II. 定義
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び学術用語は、一般に、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名法並びに細胞培養、分子遺伝学、有機化学及び核酸化学及びハイブリダイゼーションにおける実験手順は、当技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。核酸及びペプチド合成には標準手法が使用される。手法及び手順は、一般に、この書類全体を通して提供される、当技術分野における従来の方法及び様々な一般的参考文献(一般に、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed. (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.参照)に従って実施される。本明細書で使用される命名法並びに以下で述べる分析及び合成有機化学の実験手順は、当技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。化学合成及び化学分析のためには標準手法又はその変法が使用される。
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び学術用語は、一般に、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名法並びに細胞培養、分子遺伝学、有機化学及び核酸化学及びハイブリダイゼーションにおける実験手順は、当技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。核酸及びペプチド合成には標準手法が使用される。手法及び手順は、一般に、この書類全体を通して提供される、当技術分野における従来の方法及び様々な一般的参考文献(一般に、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed. (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.参照)に従って実施される。本明細書で使用される命名法並びに以下で述べる分析及び合成有機化学の実験手順は、当技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。化学合成及び化学分析のためには標準手法又はその変法が使用される。
本明細書で述べるすべてのオリゴ糖は、非還元糖についての名称又は略語(すなわちGal)、続いてグリコシド結合の立体配置(α又はβ)、環結合(1又は2)、結合に含まれる還元糖の環位置(2、3、4、6又は8)、そして次に還元糖の名称又は略語(すなわちGlcNAc)で表記される。各々の糖は、好ましくはピラノースである。標準糖生物学命名法の総説については、例えばEssentials of Glycobiology Varki et al. eds. CSHL Press (1999)参照。
オリゴ糖は、還元末端の糖が実際に還元糖であるか否かにかかわらず、還元末端と非還元末端を有するとみなされる。
「グリコシル部分」という用語は、糖残基に由来する何らかのラジカルを意味する。「グリコシル部分」は、単糖及びオリゴ糖を含み、「グリコシルミメティック部分」を包含する。
本明細書で使用される「グリコシルミメティック部分」という用語は、グリコシル部分に構造的に類似する部分(例えばヘキソース又はペントース)を指す。「グリコシルミメティック部分」の例は、グリコシル部分のグリコシド酸素又は環酸素又はその両方が、結合又は別の原子(例えば硫黄)、又は炭素含有基(例えばCH2)若しくは窒素含有基(例えばNH)のような別の部分で置換された部分を含む。例としては、置換又は非置換シクロヘキシル誘導体、環状チオエーテル、環状アミン並びにチオグリコシド結合を含む部分等が含まれる。「グリコシルミメティック部分」の他の例は、二重結合を有する環構造、並びに環の炭素原子の1つが、カルボニル基又はヒドラゾン部分のようなもう1つ別の二重結合を担持する環構造を含む。一例では、「グリコシルミメティック部分」は、酵素によって触媒される反応においてポリペプチドのアミノ酸残基又は糖ペプチドのグリコシル部分に転移される。これは、例えば、「グリコシルミメティック部分」をハロゲンのような脱離基で活性化することによって達成できる。好ましい実施形態では、糖ヌクレオチドの糖部分はグリコシルミメティック部分を構成し、場合により修飾基で誘導体化されるこのグリコシルミメティック部分は、グリコシルトランスフェラーゼ(例えばGlcNAcトランスフェラーゼ)を使用して、糖ヌクレオチド(例えば修飾糖ヌクレオチド)からポリペプチドのアミノ酸残基に酵素的に転移される。「グリコシルミメティック部分」という用語の中の「グリコシル」という語は、特定糖部分を表す語で置き換えられてもよく、生じる用語は、特定糖部分に構造的に類似する部分を指す。例えば「GlcNAcミメティック部分」は、N−アセチルグルコサミン部分に類似する「グリコシルミメティック部分」を指す。
「核酸」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖又は二本鎖形態のデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)及びそれらの重合体を指す。特に限定されない限り、この用語は、参照核酸と類似の結合特性を有し、天然に生じるヌクレオチドと同じように代謝される天然ヌクレオチドの公知の類似体を含む核酸を包含する。特に指示されない限り、特定核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、保存的に修飾されたその変異体(例えば縮重コドン置換体)、対立遺伝子、オーソログ、SNP及び相補的配列を暗黙のうちに包含する。具体的には、縮重コドン置換体は、1又はそれ以上の選択された(又はすべての)コドンの3番目の位置が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換された配列を作製することによって達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985);及びRossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、及び遺伝子によってコードされるmRNAと交換可能に使用される。
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖を生成することに関与するDNAのセグメントを意味する。これは、コード領域の前及び後の領域(リーダー及びトレーラー)並びに個々のコードセグメント(エクソン)の間の介在配列(イントロン)を含み得る。
「単離された」という用語は、核酸又はタンパク質に適用されるとき、核酸又はタンパク質が、天然の状態で結合している他の細胞成分を基本的に含まないことを意味する。乾燥状態又は水溶液中で存在し得るが、好ましくは均一な状態である。純度及び均一性は、典型的にはポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高性能液体クロマトグラフィーなどの分析化学手法を用いて決定される。製剤中に存在する主要種であるタンパク質は実質的に精製されている。特に、単離された遺伝子は、その遺伝子と隣接しており、対象遺伝子以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離されている。「精製された」という用語は、核酸又はタンパク質が電気泳動ゲルにおいて基本的に1つのバンドを生じさせることを意味する。特に、この用語は、核酸又はタンパク質が少なくとも85%純粋である、より好ましくは少なくとも95%純粋である、最も好ましくは少なくとも99%純粋であることを意味する。
「アミノ酸」という用語は、天然に生じるアミノ酸及び合成アミノ酸、並びに天然に生じるアミノ酸と同じように機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸ミメティックを指す。天然に生じるアミノ酸は、遺伝子暗号によってコードされるもの、並びに後で修飾されるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート及びO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に生じるアミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、すなわち水素に結合されているα炭素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類似体は、改変されたR基(例えばノルロイシン)又は改変されたペプチド骨格を有するが、天然に生じるアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。「アミノ酸ミメティック」は、アミノ酸の一般的化学構造とは異なるが、天然に生じるアミノ酸と同じように機能する構造を有する化合物を指す。
「非荷電アミノ酸」という用語は、酸性(例えば−COOH)又は塩基性(例えば−NH2)官能基を含まないアミノ酸を指す。塩基性アミノ酸は、リシン(K)及びアルギニン(R)を含む。酸性アミノ酸は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)を含む。「非荷電アミノ酸」は、例えばグリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)を含むが、−OH又は−SH基を含むアミノ酸(例えばトレオニン(T)、セリン(S)、チロシン(Y)及びシステイン(C))も包含する。
非天然アミノ酸誘導体又は類似体を部位特異的にポリペプチド鎖に組み込むことを可能にする、様々な当技術分野において公知の方法があり、例えば国際公開公報第WO02/086075号参照。
アミノ酸は、本明細書において、一般的に公知の3文字表記によって又はIUPAC−IUB生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される1文字表記によって言及され得る。ヌクレオチドは、同様に、それらの一般的に認識されている1文字コードによって言及され得る。
「保存的に修飾された変異体」は、アミノ酸配列及び核酸配列の両方に適用される。特定核酸配列に関して、「保存的に修飾された変異体」は、同一又は基本的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、又は核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、基本的に同一の配列を指す。遺伝暗号の縮重のせいで、多数の機能的に同一の核酸が所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG及びGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。それ故、アラニンがコドンによって規定されるあらゆる位置で、コードされるポリペプチドを変化させずにコドンを上記の対応するコドンのいずれかに変更することができる。そのような核酸変異は、保存的に修飾された変異の1つの種である、「サイレント変異」である。ポリペプチドをコードする本明細書中のあらゆる核酸配列は、同時に核酸のあらゆる可能なサイレント変異を表す。当業者は、核酸内の各々のコドン(通常メチオニンについての唯一のコドンであるAUG、及び通常トリプトファンについての唯一のコドンであるTGGを除く)が機能的に同一の分子を生じるように修飾され得ることを理解する。従って、ポリペプチドをコードする核酸の各々のサイレント変異は、各々の記述される配列内に潜在する。
アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされる配列内の1個のアミノ酸又は小さな比率のアミノ酸を変化させる、付加する又は欠失させる核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質配列への個々の置換、欠失又は付加は、その変化が、あるアミノ酸の化学的に類似のアミノ酸による置換を生じさせる「保存的に修飾された変異体」であることを理解する。機能的に類似のアミノ酸を示す保存的置換表は当技術分野において周知である。そのような保存的に修飾された変異体は、本発明の多型変異体、種間ホモログ及び対立遺伝子に追加されるものであり、それらを除外しない。
以下の8つのグループは各々、互いに保存的置換体であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、トレオニン(T);及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えばCreighton, Proteins(1984年)参照)。
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、トレオニン(T);及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えばCreighton, Proteins(1984年)参照)。
「ペプチド」は、単量体がアミノ酸であり、アミド結合を通して相互に連結されている重合体を意味する。本発明のペプチドは、例えば2個のアミノ酸から数百又は数千のアミノ酸まで、様々な大きさであり得る。より大きなペプチドは、選択的に「ポリペプチド」又は「タンパク質」とも称される。加えて、非天然アミノ酸、例えばβ−アラニン、フェニルグリシン、ホモアルギニン及びホモフェニルアラニンも包含される。遺伝子によってコードされないアミノ酸も本発明において使用され得る。さらに、反応性基、グリコシル化配列、重合体、治療用部分、生体分子等を含むように修飾されたアミノ酸も、本発明において使用され得る。本発明で使用されるアミノ酸はすべて、D−異性体又はL−異性体のいずれでもよい。一般にL−異性体が好ましい。加えて、他のペプチドミメティックも本発明において有用である。本明細書で使用される、「ペプチド」は、グリコシル化ペプチドと非グリコシル化ペプチドの両方を指す。ペプチドを発現する系によって不完全にグリコシル化されているペプチドも包含される。一般的な総説については、Spatola, A. F., in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, Peptides and Proteins, B. Weinstein, eds., Marcel Dekker, New York, p.267 (1983)参照。
本出願では、アミノ酸残基を、「1」と番号づけられるポリペプチドのN末端アミノ酸(例えばN末端メチオニン)からそれらの相対的位置に従って番号づける。N末端のアミノ酸は、「1」と番号づけられる、メチオニン(M)であり得る。ポリペプチドのN末端がメチオニンなしで始まる場合、各々のアミノ酸残基に結びつく番号は、N末端メチオニンの不在を反映するように容易に調整できる。例示的ポリペプチドのN末端は、メチオニンから又はメチオニンなしのいずれでも開始され得ることが了解される。
「野生型ポリペプチド」という用語は、場合により及び天然に本発明のO結合型グリコシル化配列を含む、天然に生じるポリペプチドを指す。
「親ポリペプチド」という用語は、本発明の「外因性」O結合型グリコシル化配列を含まないアミノ酸配列を有する何らかのポリペプチドを指す。しかし、「親ポリペプチド」は、1又はそれ以上の天然に生じる(内因性)O結合型グリコシル化配列を含み得る。例えば、野生型ポリペプチドはO結合型グリコシル化配列PVSを含み得る。「親ポリペプチド」という用語は、野生型ポリペプチド、融合ポリペプチド、合成ポリペプチド、組換えポリペプチド(例えば治療用ポリペプチド)並びに、そのような修飾が本発明のO結合型グリコシル化配列を形成する結果に至らない限り、それらの何らかの変異体(例えば、1又はそれ以上のアミノ酸置換、アミノ酸の挿入、アミノ酸の欠失等を通してあらかじめ修飾された)を含む何らかのポリペプチドを指す。1つの実施形態では、親ポリペプチドのアミノ酸配列又は親ポリペプチドをコードする核酸配列は公的に定義されており、アクセス可能である。例えば、親ポリペプチドは野生型ポリペプチドであり、野生型ポリペプチドのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列は、公的にアクセス可能なタンパク質データベース(例えばEMBL Nucleotide Sequence Database, NCBI Entrez, Ex Pasy, Protein Data Bank等)の一部である。もう1つの例では、親ポリペプチドは野生型ポリペプチドではないが、治療用ポリペプチドとして使用されており(すなわち認可された薬剤)、そのようなポリペプチドの配列は学術公表文献又は特許において公的に入手可能である。さらにもう1つの例では、親ポリペプチドのアミノ酸配列又は親ポリペプチドをコードする核酸配列は、本発明の時点で公的にアクセス可能であった。1つの実施形態では、親ポリペプチドはより大きな構造の一部である。例えば、親ポリペプチドは抗体の定常領域(Fc)領域又はCH2ドメインに対応し、これらのドメインは全長抗体の一部であり得る。1つの実施形態では、親ポリペプチドは未知の配列の抗体ではない。
「突然変異ポリペプチド」又は「ポリペプチド変異体」という用語は、ポリペプチドのアミノ酸配列がその対応する野生型形態、天然に存在する形態又は他の何らかの親形態のアミノ酸配列とは異なるポリペプチドの形態を指す。突然変異ポリペプチドは、突然変異ポリペプチドを生じさせる1又はそれ以上の突然変異、例えば置換、挿入、欠失等を含み得る。
「非天然に生じるポリペプチド」又は「シークオンポリペプチド(sequon polypeptide)」という用語は、そのアミノ酸配列内に少なくとも1つの本発明の「外因性O結合型グリコシル化配列」(対応する野生型形態又は他の何らかの親形態には存在しない又は同じ位置には存在しないO結合型グリコシル化配列)を含むが、1又はそれ以上の内因性(例えば天然に生じる)O結合型グリコシル化配列を含んでもよい、ポリペプチド変異体を指す。「非天然に生じるポリペプチド」は、1又はそれ以上の本発明のO結合型グリコシル化配列を含むことができ、加えて他の突然変異、例えば置換、挿入、欠失、トランケーション等を含んでもよい。
「外因性O結合型グリコシル化配列」という用語は、O結合型グリコシル化配列を含まない又は異なる位置にO結合型グリコシル化配列を含む親ポリペプチド(例えば野生型ポリペプチド)のアミノ酸配列に導入される本発明のO結合型グリコシル化配列を指す。一例では、O結合型グリコシル化配列は、O結合型グリコシル化配列を有さない野生型ポリペプチドに導入される。もう1つの例では、野生型ポリペプチドは、1番目の位置に1番目のO結合型グリコシル化配列を天然に含む。2番目のO結合グリコシル化が2番目の位置でこの野生型ポリペプチドに導入される。この修飾は、2番目の位置に「外因性O結合型グリコシル化配列」を有するポリペプチドを生じさせる。外因性O結合型グリコシル化配列は突然変異によって親ポリペプチドに導入され得る。あるいは、化学合成によって外因性O結合型グリコシル化配列を有するポリペプチドが作製できる。
「親ポリペプチドに対応する」という用語(又はこの用語の文法的変形)は、本発明のシークオンポリペプチドを表すために使用され、シークオンポリペプチドのアミノ酸配列は、少なくとも1つの本発明の外因性O結合型グリコシル化配列の存在によってのみ対応する親ポリペプチドのアミノ酸配列と異なる。典型的には、シークオンポリペプチドと親ポリペプチドのアミノ酸配列は高い比率の同一性を示す。一例では、「親ポリペプチドに対応する」とは、シークオンポリペプチドのアミノ酸配列が親ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも約50%の同一性、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約98%の同一性を有することを意味する。もう1つの例では、シークオンポリペプチドをコードする核酸配列は、親ポリペプチドをコードする核酸配列と少なくとも約50%の同一性、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約98%の同一性を有する。
「親ポリペプチドにグリコシル化配列(例えばO結合型グリコシル化配列)を導入する(又は付加する等)」という用語(又はこの用語の文法的変形)、又はグリコシル化配列を含むように「親ポリペプチドを修飾する」(又はその文法的変形)という用語は、親ポリペプチドがそのような変換のための物理的出発物質であることを必ずしも意味せず、むしろ親ポリペプチドがもう1つ別のポリペプチドを作製するための指標アミノ酸配列を提供することを意味する。一例では、「親ポリペプチドにグリコシル化配列を導入する」とは、親ポリペプチドについての遺伝子が、適切な突然変異を通してシークオンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を創製するように修飾されることを意味する。もう1つの例では、「親ポリペプチドにグリコシル化配列を導入する」とは、生じるポリペプチドが親ポリペプチド配列を指標として用いて理論的に設計されることを意味する。設計されたポリペプチドは、その後、化学的手段又は他の手段によって作製され得る。
「リードポリペプチド(lead polypeptide)」という用語は、有効にグリコシル化又は糖PEG化され得る、少なくとも1つの本発明のO結合型グリコシル化配列を含む非天然に生じるポリペプチドを指す。本発明のポリペプチドがリードポリペプチドとして適格であるためには、そのようなポリペプチドは、適切な反応条件に供されたとき、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%、さらに一層好ましくは約80%、約85%、約90%又は約95%の反応収率でグリコシル化又は糖PEG化される。95%以上の反応収率でグリコシル化又は糖PEG化され得る本発明のリードポリペプチドが最も好ましい。1つの好ましい実施形態では、リードポリペプチドは、各々のO結合型グリコシル化配列の1個のアミノ酸残基だけがグリコシル化又は糖PEG化される(モノグリコシル化)ように、グリコシル化又は糖PEG化される。
「ライブラリー」という用語は、各々が共通の親ポリペプチドに対応する異なるポリペプチドの収集物を指す。ライブラリー中の各々のポリペプチド種は、ライブラリーの成員と称される。好ましくは、本発明のライブラリーは、その中からリードポリペプチドを同定する集団を提供するのに十分な数と多様性を備えたポリペプチドの収集物である。ライブラリーは少なくとも2つの異なるポリペプチドを含む。1つの実施形態では、ライブラリーは約2〜約10の成員を含む。もう1つの実施形態では、ライブラリーは約10〜約20の成員を含む。さらにもう1つの実施形態では、ライブラリーは約20〜約30の成員を含む。さらなる実施形態では、ライブラリーは約30〜約50の成員を含む。もう1つの実施形態では、ライブラリーは約50〜約100の成員を含む。さらにもう1つの実施形態では、ライブラリーは100以上の成員を含む。ライブラリーの成員は、混合物の部分であってもよく又は互いから単離されていてもよい。一例では、ライブラリーの成員は、場合により他の成分を含む混合物の部分である。例えば、少なくとも2つのシークオンポリペプチドが一定容量の細胞培養ブロス中に存在する。もう1つの例では、ライブラリーの成員は各々別々に発現され、場合により単離される。単離されたシークオンポリペプチドは、場合により、各々のウエルが異なる型のシークオンポリペプチドを含む、マルチウエル容器内に含まれてもよい。
本発明の「CH2」ドメインという用語は、免疫グロブリン重鎖定常CH2ドメインを表すことが意図されている。免疫グロブリンCH2ドメインを定義するとき、免疫グロブリン一般、及び特にKabat E. A. (1978) Adv. Protein Chem. 32:1-75によるヒトIgG1に適用される免疫グロブリンのドメイン構造が参照される。
「CH2ドメインを含むポリペプチド」又は「少なくとも1つのCH2ドメインを含むポリペプチド」という用語は、全長抗体分子、抗体フラグメント(例えばFcドメイン)、又は免疫グロブリンのCH2ドメイン領域と等価の領域を含む融合タンパク質を包含することが意図されている。
「ポリペプチド複合体」という用語は、ポリペプチドが本明細書で述べるように糖部分(例えば修飾糖)で複合糖質化されている本発明の種を指す。代表的な例では、ポリペプチドは、対応する野生型ポリペプチド又は親ポリペプチド内には存在しないO結合型グリコシル化配列を有する、非天然に生じるポリペプチドである。
本明細書で使用される「プロリン残基に近接する」又は「プロリン残基に近接して」は、プロリン残基から約10アミノ酸未満離れている、好ましくはプロリン残基から約9、8、7、6又は5アミノ酸未満離れている、より好ましくはプロリン残基から4、3、2又は1残基未満離れているアミノ酸を指す。「プロリン残基に近接する」アミノ酸は、プロリン残基のC末端側又はN末端側に存在し得る。
「シアル酸」という用語は、9個の炭素を含むカルボキシル化糖ファミリーの成員を指す。シアル酸ファミリーの最も一般的な成員は、N−アセチル−ノイラミン酸(2−ケト−5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクトノヌロピラノース−1−オン酸(しばしばNeu5Ac、NeuAc又はNANAと略される)である。このファミリーの2番目の成員は、NeuAcのN−アセチル基がヒドロキシル化されているN−グリコリル−ノイラミン酸(Neu5Gc又はNeuGc)である。3番目のシアル酸ファミリー成員は、2−ケト−3−デオキシ−ノヌロソン酸(KDN)である(Nadano et al. (1986) J. Biol. Chem. 261:11550-11557; Kanamori et al., J. Biol. Chem. 265:21811-21819 (1990))。また、9−O−ラクチル−Neu5Ac又は9−O−アセチル−Neu5Acのような9−O−C1〜C6アシル−Neu5Ac、9−デオキシ−9−フルオロ−Neu5Ac及び9−アジド−9−デオキシ−Neu5Acなどの9位置換シアル酸も含まれる。シアル酸ファミリーの総説については、例えばVarki, Glycobiology 2:25-40 (1992); Sialic Acids:Chemistry, Metabolism and Function, R.Schauer, Ed.(Springer-Verlag,New York(1992))参照。シアル酸付加手順におけるシアル酸化合物の合成及び使用は、1992年10月1日公開の国際公開公報第WO92/16640号に開示されている。
「グルコサミン」又は「グルコサミン部分」という用語は、環置換基についての相対的立体化学がグルコース又はN−アセチルグルコサミンにおけるものと同じである、グリコシル部分又はグリコシルミメティック部分を指す。例示的な「グルコサミン部分」は、式(VIIIa):
[式中、G、E、E1、R21、R22、R23及びR24は、以下の式(VIII)に関して定義される通りである]
によって表される。式(VIIIa)は、修飾及び非修飾グルコサミン類似体を含む。式(VIIIa)において、R21、R22、R23、R24及びR27は、場合により修飾基(例えば重合体修飾基)を含む。環置換基R22、R23及びR24の1又はそれ以上は水素であり得る。好ましいグルコサミン部分は、場合により重合体修飾基で修飾された、GlcNAc及びGlcNHを含む。
本明細書で使用される、「修飾糖」という用語は、天然又は非天然に生じる炭水化物を指す。1つの実施形態では、「修飾糖」は、本発明の方法を用いてポリペプチドのアミノ酸又はグリコシル残基上に酵素的に付加される。修飾糖は、糖ヌクレオチド(一リン酸、二リン酸及び三リン酸塩)、活性化糖(例えばグリコシルハロゲン化物、グリコシルメシラート)及び活性化されておらず、ヌクレオチドでもない糖を含むが、これらに限定されない、多くの酵素基質から選択される。「修飾糖」は、「修飾基」で共有結合的に官能基化される。有用な修飾基は、重合体修飾基(例えば水溶性重合体)、治療用部分、診断用部分、生体分子等を含むが、これらに限定されない。1つの実施形態では、修飾基は天然に生じるグリコシル部分(例えば天然に生じる多糖)ではない。修飾基は、好ましくは非天然に生じる。一例では、「非天然に生じる修飾基」は、少なくとも1つの重合体部分が非天然に生じる、重合体修飾基である。もう1つの例では、非天然に生じる修飾基は修飾された炭水化物である。修飾基による官能基化の位置は、「修飾糖」がポリペプチドに酵素的に付加されるのを妨げないように選択される。「修飾糖」はまた、修飾基で官能基化されており、グリコシルトランスフェラーゼのような天然又は修飾された酵素に対する基質である、グリコシルミメティック部分を指す。
本明細書で使用される、「重合体修飾基」という用語は、少なくとも1つの重合体部分(ポリマー)を含む修飾基である。ポリペプチドに付加された重合体修飾基は、そのようなポリペプチドの性質、例えばそのバイオアベイラビリティー、生物活性又は体内での組成物の半減期を変化させ得る。例示的な重合体は、水溶性及び水不溶性重合体を含む。重合体修飾基は直鎖状又は分枝状であり得、ポリアルキレングリコール及びその誘導体のような、1又はそれ以上の独立して選択される重合体部分を含み得る。一例では、重合体は非天然に生じる。1つの例示的実施形態では、重合体修飾基は、水溶性重合体、例えばポリ(エチレングリコール)及びその誘導体(PEG、m−PEG)、ポリ(プロピレングリコール)及びその誘導体(PPG、m−PPG)等を含む。好ましい実施形態では、ポリ(エチレングリコール)又はポリ(プロピレングリコール)は、基本的に均一分散である分子量を有する。1つの実施形態では、重合体修飾基は天然に生じる多糖ではない。
「水溶性」という用語は、水中で多少の検出可能な程度の溶解度を有する部分を指す。水溶解度を検出する及び/又は定量する方法は当技術分野において周知である。例示的な水溶性重合体は、ペプチド、糖、ポリ(エーテル)、ポリ(アミン)、ポリ(カルボン酸)等を含む。ペプチドは、混合配列を有してもよく又は単一アミノ酸で構成されてもよく、例えばポリリシンであり得る。例示的な多糖はポリシアル酸である。例示的なポリ(エーテル)は、ポリ(エチレングリコール)、例えばm−PEGである。ポリ(エチレンイミン)は例示的なポリアミンであり、ポリ(アクリル酸)は代表的なポリ(カルボン酸)である。
水溶性重合体の重合体骨格はポリ(エチレングリコール)(すなわちPEG)であり得る。しかし、他の関連重合体も本発明の実施における使用に適すること、及びPEG又はポリ(エチレングリコール)という用語の使用はこれに関して包括的であり、排他的ではないことが了解されるべきである。PEGという用語は、アルコキシPEG、二官能性PEG、マルチアームPEG、分岐PEG、分枝PEG、ペンダントPEG(すなわち重合体骨格にぶら下がった1又はそれ以上の官能基を有するPEG又は関連重合体)、又はその内部に分解性結合を有するPEGを含む、その形態のポリ(エチレングリコール)を包含する。
重合体骨格は直鎖状又は分枝状であり得る。分枝状の重合体骨格は一般に当技術分野において公知である。典型的には、分枝重合体は、中央の分枝コア部分と、中央の分枝コアに連結された複数の直鎖状重合体鎖を有する。PEGは、一般に、グリセロール、ペンタエリトリトール及びソルビトールなどの様々なポリオールにエチレンオキシドを付加することによって作製できる分枝形態で使用される。中央分枝部分はまた、リシンなどのいくつかのアミノ酸から誘導することもできる。分枝ポリ(エチレングリコール)は、R(−PEG−OH)m[式中、Rは、グリセロール又はペンタエリトリトールなどのコア部分を表し、mはアームの数を表す]として一般的形態で表すことができる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,932,462号に述べられているようなマルチアームPEG分子も、重合体骨格として使用することができる。
多くの他の重合体も本発明に適する。2〜約300の末端を有する、非ペプチド性及び水溶性の重合体骨格は本発明において特に有用である。適切な重合体の例は、ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)などの他のポリ(アルキレングリコール)、エチレングリコールとプロピレングリコール等とのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,629,384号に記載されているようなポリ(N−アクリロイルモルホリン)、並びにそれらのコポリマー、ターポリマー及び混合物を含むが、これらに限定されない。重合体骨格の各々の鎖の分子量は異なり得るが、典型的には約100Da〜約100,000Da、しばしば約5,000Da〜約80,000Daの範囲である。
「均一分散」という用語は、重合体の試料中の実質的な割合の重合体が概ね同じ分子量である重合体を指す。
本明細書で使用される、「複合糖質化」という用語は、ポリペプチド、例えば本発明の突然変異型ヒト成長ホルモンのアミノ酸又はグリコシル残基への修飾糖種の酵素を介した結合を指す。一例では、修飾糖は1又はそれ以上の修飾基に共有結合される。「複合糖質化」の亜属は、修飾糖の修飾基がポリエチレングリコール又はその誘導体、例えばアルキル誘導体(例えばm−PEG)又は反応性官能基を有する誘導体(例えばH2N−PEG、HOOC−PEG)である、「グリコールPEG化」又は「糖PEG化」である。
「大規模」及び「工業規模」という用語は交換可能に使用され、1回の反応サイクルの完了時に少なくとも約250mg、好ましくは少なくとも約500mg、より好ましくは少なくとも約1gの複合糖質を生産する反応サイクルを指す。
「O結合型グリコシル化配列」又は「シークオン」という用語は、ヒドロキシル基を有するアミノ酸残基(例えばセリン又はトレオニン)を含むアミノ酸配列(例えば約3〜約10アミノ酸、好ましくは約3〜約9アミノ酸を含む)を指す。1つの実施形態では、O結合型グリコシル化配列は、好ましくはポリペプチドのアミノ酸配列の一部であるとき、グリコシルトランスフェラーゼなどの酵素に対する基質である。典型的に実施形態では、酵素は、「グリコシル化の部位」と称される、上述したヒドロキシル基を修飾することによってグリコシル部分をO結合型グリコシル化配列上に転移する。本発明は、野生型ポリペプチド又はその何らかの他の親形態において天然に生じるO結合型グリコシル化配列(内因性O結合型グリコシル化配列)と「外因性O結合型グリコシル化配列」を区別する。外因性O結合型グリコシル化配列を含むポリペプチドは、「シークオンポリペプチド」とも称され得る。親ポリペプチドのアミノ酸配列は、組換え技術、化学合成又は他の手段を通して外因性O結合型グリコシル化配列を含むように修飾され得る。
本明細書で使用される、「グリコシル連結基」という用語は、修飾基(例えばPEG部分、治療用部分、生体分子)が共有結合しているグリコシル残基を指す;グリコシル連結基は、修飾基を複合体の残りの部分に連結する。本発明の方法において、「グリコシル連結基」は、グリコシル化又は非グリコシル化ポリペプチドに共有結合し、それによって修飾基をポリペプチドのアミノ酸及び/又はグリコシル残基に連結する。「グリコシル連結基」は、一般に、ポリペプチドのアミノ酸及び/又はグリコシル残基に「修飾糖」を酵素的に結合することによって「修飾糖」から誘導される。グリコシル連結基は、修飾基−修飾糖カセットの形成の間に分解される(例えば酸化→シッフ塩基形成→還元)糖由来構造体であってもよく又はグリコシル連結基は無傷であってもよい。「無傷グリコシル連結基」は、修飾基を複合体の残りの部分に連結する糖単量体が分解されていない、例えば酸化されていない、例えばメタ化ヨウ素酸ナトリウムによって酸化されていないグリコシル部分に由来する連結基である。本発明の「無傷グリコシル連結基」は、グリコシル単位の付加又は親糖構造体からの1又はそれ以上のグリコシル単位の除去により、天然に生じるオリゴ糖から誘導され得る。「グリコシル連結基」はグリコシルミメティック部分を含み得る。例えば、グリコシル化又は非グリコシル化ポリペプチドに修飾糖を付加するために使用されるグリコシルトランスフェラーゼ(例えばGlcNAcトランスフェラーゼ)は、グリコシルミメティック基質(例えば糖部分がグリコシルミメティック部分、例えばGlcNAcミメティック部分である修飾糖)に対する耐容性を示す。修飾されたグリコシルミメティック糖の転移は、グリコシルミメティック部分であるグリコシル連結基を有する複合体を生じさせる。
本明細書で使用される、「標的化部分」という用語は、身体の特定組織又は領域に選択的に局在する種を指す。局在化は、分子決定基の特異的認識、標的物質又は複合体の分子サイズ、イオン相互作用、疎水性相互作用等によって媒介される。物質を特定組織又は領域に標的する他の機構は当業者に公知である。例示的な標的化部分は、抗体、抗体フラグメント、トランスフェリン、HS−糖タンパク質、凝固因子、血清タンパク質、β−糖タンパク質、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、EPO等を含む。
本明細書で使用される、「治療用部分」は、抗生物質、抗炎症薬、抗腫瘍薬、細胞毒及び放射性物質を含むがこれらに限定されない、治療のために有用な物質を指す。「治療用部分」は、生物活性物質のプロドラッグ、複数の治療用部分が担体に結合している構築物、例えば多機能性物質(multivalent agents)を含む。治療用部分はまた、タンパク質及びタンパク質を含む構築物を包含する。例示的タンパク質は、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、インターフェロン(例えばインターフェロンα、β、γ)、インターロイキン(例えばインターロイキンII)、血清タンパク質(例えば第VII、VIIa、VIII、IX、X因子)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、卵胞刺激ホルモン(FSH)及び黄体化ホルモン(LH)及び抗体融合タンパク質(例えば腫瘍壊死因子受容体((TNFR)/Fcドメイン融合タンパク質))を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用される、「抗腫瘍薬」は、細胞毒、並びに代謝拮抗物質、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、有糸分裂阻害剤、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、アスパラギナーゼ、コルチコステロイド、インターフェロン及び放射性物質などの作用物質を含むがこれらに限定されない、癌に対抗するために有用な物質を意味する。抗腫瘍活性を有するペプチドの複合体、例えばTNF−αの複合体も、「抗腫瘍薬」という用語の範囲内に包含される。複合体は、治療用タンパク質と本発明の糖タンパク質との間で形成されるものを含むが、これらに限定されない。代表的な複合体は、PSGL−1とTNF−αとの間で形成されるものである。
本明細書で使用される、「細胞毒又は細胞傷害性物質」は、細胞に対して有害である何らかの物質を意味する。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール及びピューロマイシン並びにそれらの類似体又は同族体が含まれる。他の毒素は、例えばリシン、CC−1065及び類似体、デュオカルマイシン類を含む。さらに他の毒素としては、ジフテリア毒素及び蛇毒(例えばコブラ毒)が挙げられる。
本明細書で使用される、「放射性物質」は、腫瘍を診断する又は破壊するのに有効な放射性同位体を含む。例としては、インジウム−111、コバルト−60を含むが、これらに限定されない。加えて、典型的には放射性同位体の混合物である、ウラン、ラジウム及びトリウムなどの天然に生じる放射性元素は、放射性物質の適切な例である。金属イオンは、典型的には有機キレート化部分とキレートを形成する。
多くの有用なキレート基、クラウンエーテル、クリプタンドが当技術分野において公知であり、本発明の化合物に組み込むことができる(例えばEDTA、DTPA、DOTA、NTA、HDTA等及びDTPP、EDTP、HDTP、NTP等のようなそれらのホスホン酸類似体)。例えばPitt et al., "The Design of Chelating Agents for the Treatment of Iron Overload," In, Inorganic Chemistry in Biology and Medicine; Martell, Ed.; American Chemical Society, Washington, D.C., 1980, pp.279-312; Lindoy, The Chemistry of Macrocyclic Ligand Complexes; Cambridge University Press, Cambridge, 1989; Dugas, BIOORGANIC Chemistry; Springer-Verlag, New York, 1989、及びそれらの中に含まれる参考文献参照。
加えて、キレート剤、クラウンエーテル及びシクロデキストリンの他の分子への結合を可能にする多種多様な経路が当業者に使用可能である。例えばMeares et al., "Properties of In Vivo Chelate-Tagged Proteins and Polypeptides." In, Modification of Proteins: Food, Nutritional, and Pharmacological Aspects; "Feeney,et al., Eds., American Chemical Society, Washington, D.C., 1982, pp.370-387; Kasina et al., Bioconjugate Chem., 9:108-117 (1998); Song et al., Bioconjugate Chem., 8:249-255 (1997)参照。
本明細書で使用される、「医薬的に許容される担体」は、複合体と組み合わせたとき複合体の活性を保持し、好ましくは被験者の免疫系と非反応性である、あらゆる物質を含む。「医薬的に許容される担体」は、賦形剤、希釈剤及び溶媒などの、固体及び液体を含む。例としては、リン酸緩衝食塩水、水、油/水乳剤などの乳剤、及び様々なタイプの湿潤剤などの標準医薬担体を含むが、これに限定されない。他の担体は、滅菌溶液及び被覆錠剤を含む錠剤及びカプセルを含み得る。典型的には、そのような担体は、デンプン、乳、糖、ある種の粘土、ゼラチン、ステアリン酸若しくはその塩、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウム、滑石、植物性脂肪若しくは油、ゴム、グリコール、又は他の公知の賦形剤などの賦形剤を含む。そのような担体はまた、香味及び着色添加物又は他の成分を含み得る。そのような担体を含有する組成物は、周知の従来の方法によって製剤される。
本明細書で使用される、「投与すること」とは、被験者への、経口投与、坐剤としての投与、局所接触、静脈内、腹腔内、筋肉内、病巣内又は皮下投与、吸入による投与、又は徐放装置、例えばミニ浸透圧ポンプの移植を意味する。投与は、非経口投与及び経粘膜投与(例えば口、鼻、膣、直腸又は経皮)を含む経路によって、特に吸入によって行われる。非経口投与は、例えば静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、心室内及び頭蓋内投与を含む。さらに、注射で腫瘍を治療とする場合、例えばアポトーシスを誘導しようとする場合、投与は、腫瘍に対して直接に及び/又は腫瘍の周囲の組織中に行われ得る。送達の他の方式は、リポソーム製剤の使用、静脈内注入、経皮パッチ等を含むが、これらに限定されない。
「改善すること」又は「改善する」という用語は、症状の緩和、寛解若しくは軽減又は患者の身体的若しくは精神的健康の改善などの客観的又は主観的パラメータを含む、病状又は病態の治療における成功の徴候を指す。症状の改善は、理学的検査及び/又は精神鑑定の結果を含む、客観的又は主観的パラメータに基づき得る。
「治療」という用語は、ある疾患に対する素因があると考えられるが、まだその疾患の症状を経験していない又は示していない動物において、その疾患又は状態が起こるのを防ぐこと(予防的処置)、疾患を抑制すること(疾患の発現を遅らせる又は阻止すること)、疾患の症状又は副作用の緩和を提供すること(待機療法を含む)、及び疾患を軽減すること(疾患の後退を生じさせること)を含む、疾患若しくは状態を「処置すること」又は疾患若しくは状態の「処置」を指す。
「有効量」若しくは「〜に有効な量」若しくは「治療有効量」という用語又は文法的に等価の用語は、ある疾患を治療するために動物又はヒトに投与したとき、その疾患の治療を達成するのに十分な量を意味する。
「単離された」という用語は、その物質を生産するために使用される成分を実質的に又は基本的に含まない物質を指す。本発明のペプチド複合体に関して、「単離された」という用語は、ペプチド複合体を作製するために使用される混合物中で通常その物質に付随する成分を実質的に又は基本的に含まない物質を指す。「単離された」と「純粋な」は、交換可能に使用される。典型的には、本発明の単離されたペプチド複合体は、好ましくは範囲として表されるレベルの純度を有する。ペプチド複合体についての純度の範囲の下限は、約60%、約70%又は約80%であり、純度の範囲の上限は、約70%、約80%、約90%又は約90%以上である。
ペプチド複合体が約90%以上の純度であるとき、それらの純度も、好ましくは範囲として表される。純度の範囲の下限は、約90%、約92%、約94%、約96%又は約98%である。純度の範囲の上限は、約92%、約94%、約96%、約98%又は約100%の純度である。
純度は、当技術分野で認識されている分析方法(例えば銀染色ゲル上でのバンド強度、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、HPLC又は同様の手段)によって測定される。
本明細書で使用される、「基本的に集団の各々の成員」は、ペプチドに付加される選択された比率の修飾糖が、ペプチド上の複数の同一受容部位に付加されるという本発明のペプチド複合体の集団の特徴を説明する。「基本的に集団の各々の成員」は、修飾糖に結合されるペプチド上の部位の「均一性」を表し、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%均一である本発明の複合体を指す。
「均一性」は、修飾糖が結合される受容体部分の集団全体にわたる構造的一貫性を指す。それ故、各々の修飾糖部分が、他のすべての修飾糖が結合している受容部位と同じ構造を有する受容部位に結合している本発明のペプチド複合体においては、そのペプチド複合体は約100%均一であると称される。均一性は、典型的には範囲として表される。ペプチド複合体についての均一性の範囲の下限は、約50%、約60%、約70%又は約80%であり、均一性の範囲の上限は、約70%、約80%、約90%又は約90%以上である。
ペプチド複合体が約90%又はそれ以上均一であるとき、それらの均一性も、好ましくは範囲として表される。均一性の範囲の下限は、約90%、約92%、約94%、約96%又は約98%である。均一性の範囲の上限は、約92%、約94%、約96%、約98%又は約100%の均一性である。ペプチド複合体の純度は、当業者に公知の1又はそれ以上の方法、例えば液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC−MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDITOF)、キャピラリー電気泳動法等によって測定される。
糖ペプチド種に言及するとき、「実質的に一様なグリコフォーム」又は「実質的に一様なグリコシル化パターン」は、対象とするグリコシルトランスフェラーゼ(例えばフコシルトランスフェラーゼ)によってグリコシル化される受容体部分の比率を指す。例えば、α1,2−フコシルトランスフェラーゼの場合、Galβ1、4−GlcNAc−R及びそれらのシアル酸付加された類似体の実質的にすべて(以下で定義される)が本発明のペプチド複合体においてフコシル化されていれば、実質的に一様なフコシル化パターンが存在する。出発物質がグリコシル化された受容体部分(例えばフコシル化Galβ1、4−GlcNAc−R部分)を含み得ることは当業者に了解される。それ故、算定されるグリコシル化比率は、本発明の方法によってグリコシル化される受容体部分並びに出発物質において既にグリコシル化されていた受容体部分を包含する。
「実質的に一様な」の上記定義における「実質的に」という用語は、一般に、特定グリコシルトランスフェラーゼについての受容体部分の少なくとも約40%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、さらに一層好ましくは少なくとも約95%がグリコシル化されていることを意味する。
置換基がそれらの従来の化学式によって指定され、左から右に書かれている場合、それらは、その構造を右から左に書くことから生じる化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、−CH2O−は、−OCH2−も同時に示すことが意図されている。
「アルキル」という用語は、単独で又は別の置換基の一部分として、特に明記されない限り、直鎖若しくは分枝鎖又は環状の炭化水素基、又はそれらの組合せを意味し、それらは、完全飽和、一価不飽和又は多価不飽和であり得、指定の炭素原子数を有する(すなわちC1〜C10は、1〜10個の炭素を意味する)、二価及び多価の基を含み得る。飽和炭化水素基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロプロピルメチル、例えばn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等の同族体及び異性体などの基を含むが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は、1又はそれ以上の二重結合又は三重結合を有する基である。不飽和アルキル基の例は、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニル、並びにより高級な同族体及び異性体を含むが、これらに限定されない。「アルキル」という用語はまた、特に断りのない限り、「ヘテロアルキル」などの、以下でより詳細に定義されるアルキルの誘導体を含むことが意図されている。炭化水素基に限定されるアルキル基は、「ホモアルキル」と称される。
「アルキレン」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、−CH2CH2CH2CH2−によって例示されるがこれに限定されない、アルカンから誘導される二価の基を意味し、「ヘテロアルキレン」として以下で述べる基をさらに含む。典型的には、アルキル(又はアルキレン)基は1〜24個の炭素原子を有し、10個又はそれ以下の炭素原子を有する基が本発明では好ましい。「低級アルキル」又は「低級アルキレン」は、一般に8個又はそれ以下の炭素原子を有する、より短い鎖のアルキル基又はアルキレン基である。
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)という用語は、それらの従来の意味で使用され、それぞれ酸素原子、アミノ基又は硫黄原子を介して分子の残りの部分に結合しているアルキル基を指す。
「ヘテロアルキル」という用語は、単独で又は別の用語と組み合わせて、特に明記されない限り、指定された数の炭素原子とO、N、Si及びSから成る群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子から成り、窒素原子及び硫黄原子は場合により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されていてもよい、安定な直鎖若しくは分枝鎖又は環状の炭化水素基、又はそれらの組合せを意味する。ヘテロ原子O、N、S及びSiは、ヘテロアルキル基の内部位置に存在してもよく、又はアルキル基が分子の残りの部分に結合している位置に存在してもよい。例としては、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2,−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、及び−CH=CH−N(CH3)−CH3を含むが、これらに限定されない。例えば−CH2−NH−OCH3及び−CH2−O−Si(CH3)3のように、2個までのヘテロ原子が連続してもよい。同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、−CH2−CH2−S−CH2−CH2−及び−CH2−S−CH2−CH2−NH−CH2−によって例示されるがこれらに限定されない、ヘテロアルキルから誘導される二価の基を意味する。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子はまた、鎖の末端の一方又は両方を占有してもよい(例えばアルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ等)。さらに、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基については、連結基の配向は連結基の式が書かれる方向によって示されない。例えば、式−CO2R’−は、−C(O)OR’と−OC(O)R’の両方を表す。
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて、特に明記されない限り、それぞれ「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環状型を表す。加えて、ヘテロシクロアルキルについては、ヘテロ原子は、複素環が分子の残りの部分に結合している位置を占有してもよい。シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチル等を含むが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例は、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル等を含むが、これらに限定されない。
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、単独で又は別の置換基の一部として、特に明記されない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」のような用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことが意図されている。例えば、「ハロ(C1〜C4)アルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピル等を含むが、これらに限定されないことが意図されている。
「アリール」という用語は、特に明記されない限り、共に縮合されるか又は共有結合される、単環又は多環(好ましくは1〜3個の環)であり得る多価不飽和芳香族置換基を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、S、Si及びBから選択される1〜4個のヘテロ原子を含むアリール基(又は環)を指し、窒素原子及び硫黄原子は場合により酸化されており、また窒素原子は場合により四級化されている。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合され得る。アリール基及びヘテロアリール基の非限定的な例は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル及び6−キノリルを含む。上記のアリール及びヘテロアリール環系の各々についての置換基は、以下で述べる許容される置換基の群から選択される。
簡略化のため、「アリール」という用語は、他の用語(例えばアリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)と組み合わせて使用されるとき、上記に定義したようなアリール環とヘテロアリール環の両方を含む。それ故、「アリールアルキル」という用語は、アリール基が、炭素原子(例えばメチレン基)が例えば酸素原子(例えばフェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピル等)によって置換されたアルキル基を含む、アルキル基(例えばベンジル、フェネチル、ピリジルメチル等)に結合されている基を包含することが意図されている。
上記用語の各々(例えば「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」)は、指示される基の置換及び非置換型の両方を含むことが意図されている。各型の基についての好ましい置換基を以下に示す。
アルキル及びヘテロアルキル基についての置換基(しばしばアルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル及びヘテロシクロアルケニルと称される基を含む)は、総称的に「アルキル基置換基」と称され、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R'''、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R'''、−NR”C(O)2R’、−NR−C(NR’R”R''')=NR''''、−NR−C(NR’R”)=NR'''、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−NRSO2R’、−CN及び−NO2から、0から(2m’+1)個[式中、m’はそのような基の炭素原子の総数である]までの範囲の数で選択されるがこれらに限定されない、様々な基の1又はそれ以上であり得る。R’、R”、R'''及びR''''の各々は、好ましくは、水素、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、例えば1〜3個のハロゲンで置換されたアリール、置換又は非置換アルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基、又はアリールアルキル基を独立して意味する。例えば、本発明の化合物が複数のR基を含むとき、R基の各々は、R’、R”、R'''及びR''''の各々がこれらの基の2つ以上が存在するときに選択されるように、独立して選択される。R’及びR”が同じ窒素原子に結合するとき、それらは窒素原子と結合して5員、6員又は7員環を形成することができる。例えば、−NR’R”は、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルを含むが、これらに限定されないことが意図されている。置換基についての上記考察から、当業者は、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば−CF3及び−CH2CF3)及びアシル(例えば−C(O)CH3、−C(O)CF3、−C(O)CH2OCH3等)などの、水素基以外の基に結合された炭素原子を含む基を包含することが意図されていることを理解する。
アルキル基について述べた置換基と同様に、アリール基及びヘテロアリール基に対する置換基は、総称的に「アリール基置換基」と称される。これらの置換基は、例えば置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置ヘテロ換アリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R'''、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R'''、−NR”C(O)2R’、−NR−C(NR’R”R''')=NR''''、−NR−C(NR’R”)=NR'''、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−NRSO2R’、−CN及び−NO2、−R’、−N3、−CH(Ph)2、フルオロ(C1−C4)アルコキシ及びフルオロ(C1−C4)アルキルから、0から芳香族環系上の空の原子価の総数までの範囲の数で選択され、前記式中、R’、R”、R'''及びR''''は、好ましくは水素、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール及び置換又は非置換ヘテロアリールから独立して選択される。例えば、本発明の化合物が複数のR基を含むとき、R基の各々は、R’、R”、R'''及びR''''の各々がこれらの基の2つ以上が存在するときに選択されるように、独立して選択される。
アリール環又はヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、場合により、式−T−C(O)−(CRR’)q−U−[式中、T及びUは、独立して−NR−、−O−、−CRR’−又は単結合であり、qは0〜3の整数である]の置換基で置換されていてもよい。あるいは、アリール環又はヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、場合により、式−A−(CH2)r−B−[式中、A及びBは、独立して−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−S(O)2NR’−又は単結合であり、rは1〜4の整数である]の置換基で置換されていてもよい。このようにして形成された新しい環の一重結合のうちの1つは、場合によっては、二重結合に置き換えられてよい。あるいは、アリール環又はヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、場合により、式−(CRR’)s−X−(CR”R''')d−[式中、s及びdは、独立して0〜3の整数であり、Xは、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−又はS(O)2NR’−である]の置換基で置換されていてもよい。置換基R、R’、R”及びR'''は、好ましくは、水素又は置換若しくは非置換(C1〜C6)アルキルから独立して選択される。
本明細書で使用される、「アシル」という用語は、カルボニル残基、C(O)Rを含む置換基を表す。Rについての例示的な種は、H、ハロゲン、アルコキシ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルを含む。
本明細書で使用される、「縮合環系」という用語は、各々の環が少なくとも2つの原子をもう1つ別の環と共有する、少なくとも2つの環を意味する。「縮合環系」は、芳香環並びに非芳香環を含み得る。「縮合環系」の例は、ナフタレン類、インドール類、キノリン類、クロメン類等である。
本明細書で使用される、「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)及びリン(P)を含む。
「R」という記号は、置換又は非置換アルキル基、置換又は非置換ヘテロアルキル基、置換又は非置換アリール基、置換又は非置ヘテロ換アリール基、及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキル基から選択される置換基を表す一般的な略語である。
「医薬的に許容される塩」という用語は、本明細書で述べる化合物上で認められる特定置換基に依存して、比較的非毒性の酸又は塩基と共に調製される活性化合物の塩を含む。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含むときは、中性形態のそのような化合物と充分な量の所望塩基を、そのまま未希釈で又は適切な不活性溶媒中で接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。医薬的に許容される塩基付加塩の例は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩若しくはマグネシウム塩、又は同様の塩を含む。本発明の化合物が比較的塩基性の官能性を含むときは、中性形態のそのような化合物と充分な量の所望酸を、そのまま未希釈で又は適切な不活性溶媒中で接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。医薬的に許容される酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸又は亜リン酸等のような無機酸から誘導されるもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等のような比較的非毒性の有機酸から誘導される塩を含む。アルギン酸塩等のようなアミノ酸の塩、及びグルクロン酸又はガラクツロン酸等のような有機酸の塩も包含される(例えばBerge et al., Journal of Pharmaceutical Science, 66:1-19 (1977)参照)。本発明のある種の特定化合物は、化合物を塩基付加塩又は酸付加塩に変換することを可能にする塩基性官能基と酸性官能基の両方を含む。
中性形態の化合物は、好ましくは、塩を塩基又は酸と接触させ、親化合物を従来の方法で単離することによって再生される。親形態の化合物は、極性溶媒中の溶解度のような特定の物理的性質において様々な塩形態と異なるが、その他の点では、塩は本発明の目的に関して親形態の化合物と等価である。
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態である化合物を提供する。本明細書で述べる化合物のプロドラッグは、生理的条件下で容易に化学変化を受けて本発明の化合物を提供する化合物である。加えて、プロドラッグは、エクスビボ(ex vivo)環境において化学的又は生化学的方法によって本発明の化合物に変換することができる。例えば、プロドラッグは、適切な酵素又は化学的試薬と共に経皮パッチレザバー内に配置されたとき、緩やかに本発明の化合物に変換され得る。
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態並びに水和形態を含む溶媒和形態で存在し得る。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含される。本発明の特定化合物は、複数の結晶性形態又は非晶質形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態は本発明によって考慮される用途に関して等価であり、本発明の範囲内であることが意図されている。
本発明の特定化合物は、不斉炭素原子(光心)又は二重結合を有する;ラセミ化合物、ジアステレオマー、幾何異性体及び個々の異性体は本発明の範囲内に包含される。
本発明の化合物は、単一異性体(例えば鏡像異性体、シス−トランス異性体、位置異性体、ジアステレオマー)として又は異性体の混合物として製造し得る。好ましい実施形態では、化合物は実質的に単一の異性体として製造される。実質上異性体的に純粋な化合物を製造する方法は、当技術分野において公知である。例えば、鏡像異性的に富んだ混合物及び純粋な鏡像異性化合物は、鏡像異性的に純粋である合成中間体を、キラル中心の立体化学を変化させないか又はその完全な反転を生じさせる反応と組み合わせて使用することによって製造できる。あるいは、最終生成物又は合成経路に沿った中間体を単一立体異性体に分割することができる。特定の立体中心を反転させる又は特定の立体中心を変化させない手法、及び立体異性体の混合物を分割する手法は当技術分野において周知であり、特定状況のために適切な方法を選択することは十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、Furniss et al. (eds.), Vogel's Encyclopedia of Practical Organic Chemistry 5th Ed., Longman Scientific and Technical Ltd., Essex, 1991, pp.809-816;及びHeller, Acc. Chem. Res. 23:128 (1990)参照。
本明細書で使用されるラセミ化合物、アンビスケールミック(ambiscalemic)化合物及びスケールミック化合物又は鏡像異性的に純粋な化合物の図式的表示は、Maehr J. Chem. Ed., 62:114-120 (1985)から選んでいる:楔形の実線及び破線は、キラルな元素の絶対配置を示すために使用されている;波線は、それが表す結合が生み出し得る立体化学的意味の否定を指示する;実線及び破線の太線は、示されている相対配置を指示するが、絶対的立体化学を意味しない、幾何学的記述子である;そして、楔形の輪郭線及び点線又は破線は、確定できない絶対配置の鏡像異性的に純粋な化合物を表す。
「鏡像異性体過剰」と「ジアステレオマー過剰」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。単一立体中心を有する化合物は、「鏡像異性体過剰」で存在すると称され、少なくとも2つの立体中心を有する化合物は、「ジアステレオマー過剰率」で存在すると称される。
本発明の化合物は、そのような化合物を構成する原子の1又はそれ以上で、不自然な割合(unnatural proportions)の原子同位体を含み得る。例えば、化合物は、例えばトリチウム(3H)、ジュウテリウム(2D)、ヨウ素125(125I)又は炭素14(14C)のような放射性同位体で放射性標識し得る。本発明の化合物のすべての同位体変形物は、放射性であるか否かにかかわらず、本発明の範囲内に包含されること意図されている。
本明細書で使用される、「反応性官能基」は、オレフィン、アセチレン、アルコール、フェノール、エーテル、酸化物、ハロゲン化物、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、シアン酸塩、イソシアン酸塩、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、アミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、ヒドラジド、ジアゾ、ジアゾニウム、ニトロ、ニトリル、メルカプタン、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホン酸、スルフィン酸、アセタール、ケタール、無水物、硫酸塩、スルフェン酸、イソニトリル、アミジン、イミド、イミデート、ニトロン、ヒドロキシルアミン、オキシム、ヒドロキサム酸、チオヒドロキサム酸、アレン、オルトエステル、亜硫酸塩、エナミン、イナミン、尿素、プソイド尿素、セミカルバジド、カルボジイミド、カルバメート、イミン、アジド、アゾ化合物、アゾキシ化合物、及びニトロソ化合物を含むが、これらに限定されない基を指す。反応性官能基はまた、バイオコンジュゲートを製造するために使用されるもの、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミド等を含む。これらの官能基の各々を製造する方法は当技術分野において周知であり、特定目的のためのそれらの適用又は修正は当業者の能力の範囲内である(例えばSandler and Karo, eds. Organic Functional Group Preparations, Academic Press, San Diego, 1989参照)。
「非共有結合タンパク質結合基」は、会合的に(in an associative manner)無傷ポリペプチド又は変性ポリペプチドと相互作用する部分である。相互作用は、生物学的環境中で可逆性であってもよく又は不可逆性であってもよい。本発明のキレート化剤又は錯体への「非共有結合タンパク質結合基」の組込みは、非共有結合的にポリペプチドと相互作用する能力を有するキレート化剤又は錯体を提供する。例示的な非共有結合相互作用は疎水的相互作用及び静電的相互作用を含む。例示的な「非共有結合タンパク質結合基」は、アニオン性基、例えばリン酸、チオリン酸、ホスホン酸、カルボン酸、ボロン酸、硫酸、スルホン、スルホン酸、チオ硫酸及びチロスルホン酸基を含む。
「グリコシルトランスフェラーゼトランケーション(truncation)」又は「トランケートされたグリコシルトランスフェラーゼ」又は文法的変形は、天然に生じるグリコシルトランスフェラーゼよりも少ないアミノ酸残基を有するが、特定の酵素活性を保持するグリコシルトランスフェラーゼを指す。トランケートされたグリコシルトランスフェラーゼは、例えばトランケートされたGnT1酵素、トランケートされたGalT1酵素、トランケートされたST3GalIII酵素、トランケートされたGalNAc−T2酵素、トランケートされたCore−1−GalT1酵素、約32〜約90のアミノ酸残基(例えばヒト酵素);トランケートされたST3Gal1酵素、トランケートされたST6GalNAc−1酵素及びトランケートされたGalNAc−T2酵素を含む。酵素が活性を保持する限り、いかなる数のアミノ酸残基が欠失されてもよい。一部の実施形態では、ドメイン又はドメインの部分を欠失させることができ、例えばシグナルアンカードメインを欠失させて、ステム領域と触媒ドメインを含むトランケーションを残すことができる;シグナルアンカードメインとステム領域の一部を欠失させて、残りのステム領域及び触媒ドメインを含むトランケーションを残すことができ;又はシグナルアンカードメインとステム領域を欠失させて、触媒ドメインを含むトランスケーションを残すことができる。グリコシルトランスフェラーゼトランケーションはまた、タンパク質のC末端でも起こり得る。例えば、GalNAc−T2などの一部のGalNAcT酵素は、酵素活性を低下させずに欠失させることができるC末端レクチンドメインを有する。
「リフォールディング(refolding)発現系」は、酸化的細胞内環境を備える細菌又は他の微生物を指し、この微生物において発現されたとき、ジスルフィド含有タンパク質をそれらの適切/活性な形態にリフォールディングする能力を有する。例としては、大腸菌に基づく系(例えばOrigami(商標)(改変された大腸菌trxB−/gor−)、Origami 2(商標)等)、シュードモナス属(例えばフルオレセンス)を含む。Origami(商標)技術に関する例示的な参考文献については、各々が参照により本明細書に組み込まれる、Lobel et al., Endocrine 2001, 14(2):205-212;及びLobel et al., Protein Express. Purif. 2002, 25(1):124-133参照。
III. 緒言
本発明は、各々がグリコシルトランスフェラーゼ(例えばGlcNAcトランスフェラーゼ)に対する基質である、1又はそれ以上のO結合型グリコシル化配列を含むポリペプチドを提供する。この酵素は、グリコシル供与体分子(例えばUDP−GlcNAc)から、アミノ酸(例えばセリン又はトレオニン)がO結合型グリコシル化配列の一部である、アミノ酸側鎖(グルコシル化部位)の酸素原子上へのグリコシル分子(例えばグルコサミン部分)の転移を触媒する。選択的実施形態では、アミノ酸は、ヒドロキシル基の代わりにスルフヒドリル基(例えばシステイン)を含む。
本発明は、各々がグリコシルトランスフェラーゼ(例えばGlcNAcトランスフェラーゼ)に対する基質である、1又はそれ以上のO結合型グリコシル化配列を含むポリペプチドを提供する。この酵素は、グリコシル供与体分子(例えばUDP−GlcNAc)から、アミノ酸(例えばセリン又はトレオニン)がO結合型グリコシル化配列の一部である、アミノ酸側鎖(グルコシル化部位)の酸素原子上へのグリコシル分子(例えばグルコサミン部分)の転移を触媒する。選択的実施形態では、アミノ酸は、ヒドロキシル基の代わりにスルフヒドリル基(例えばシステイン)を含む。
本発明はまた、修飾糖部分が、ポリペプチド内に位置するO結合又はS結合グリコシル化配列に直接(例えば糖PEG化反応を通して)又は間接的に(例えば介在グリコシル残基を通して)結合されている、ポリペプチド複合体を提供する。また、本発明の複合体を作製するための方法も提供される。
本発明のグリコシル化及び糖PEG化方法は、O結合又はS結合グリコシル化配列が組み込まれているポリペプチドに関して実施できる。1つの実施形態では、グリコシル化配列は、本発明の非天然に生じるポリペプチドを創製する突然変異によって親ポリペプチドのアミノ酸配列に導入される。親ポリペプチドはいかなるポリペプチドでもよい。例としては、野生型ポリペプチド及びそれらの天然に生じる対応物から既に改変されている(例えば突然変異によって)ポリペプチドを含む。好ましい実施形態では、親ポリペプチドは、ヒト成長ホルモン(hGH)、エリスロポエチン(EPO)又は治療用抗体などの治療用ポリペプチドである。従って、本発明は、S結合及びO結合型グリコシル化配列から独立して選択される1又はそれ以上のグリコシル配列をそれらのアミノ酸配列内に含む、治療用ポリペプチドの複合体を提供する。
様々な実施例において、本発明は、例えば低いクリアランス速度又は免疫系若しくは細網内皮系(RES)による低い取込み率の故に、延長された治療半減期を有するポリペプチド複合体を提供する。さらに、本発明の方法は、ペプチド上の抗原決定基をマスキングし、それによってペプチドに対する宿主の免疫応答を低減する又は除去するための手段を提供する。適切な修飾糖を用いたペプチドへの標的物質の選択的結合も、ペプチドを特定標的物質に特異的な特定の組織又は細胞表面受容体に標的するために使用できる。
加えて、本発明の方法は、親ポリペプチドの「生物活性プロフィール」を調節するために使用できる。発明人は、本発明の方法を使用した水溶性重合体(例えばmPEG)などの修飾基の親ポリペプチドへの共有結合が、生じるポリペプチド種のバイオアベイラビリティー、薬動態学的性質、免疫原性、代謝安定性、生体分布及び水溶解度を変化させ得るのみならず、望ましくない治療作用の低減又は所望治療活性の増大を導き得ることを認めた。例えば、前者の作用は造血剤エリスロポエチン(EPO)に関して認められた。特定の化学的にPEG化されたEPO変異体は低い造血活性を示し、一方野生型ポリペプチドの組織保護作用は維持された。そのような結果は、例えば米国特許第6,531,121号;国際公開公報第WO2004/096148号、同第WO2006/014466号、同第WO2006/014349号、同第WO2005/025606号及び同第WO2002/053580号に述べられている。選択されたポリペプチドの異なる生物活性の評価のために有用な例示的細胞系を以下の表1に要約する:
1つの実施形態では、本発明のポリペプチド複合体は、生物学的標的タンパク質(例えば受容体)、天然リガンド又は阻害剤などの非天然リガンドに対して低い結合親和性又は高い結合親和性を示す。例えば、特定受容体のクラスに対する結合親和性を無効にすることは、関連する細胞シグナル伝達及び下流の生物学的事象を低減し得る又は排除し得る。それ故、本発明の方法は、複合体が由来する親ペプチドと同一の、類似の又は異なる治療プロフィールを有するポリペプチド複合体を作製するために使用できる。本発明の方法は、特定の(例えば改善された)生物学的機能を有する糖PEG化された治療薬を同定するため及び治療用ポリペプチド又は他の生物学的に活性なポリペプチドの治療プロフィールを「微調整する(fine-tune)」ために使用できる。
IV. 組成物
ポリペプチド
本発明は、親ポリペプチドに対応し、少なくとも1つの外因性O結合型グリコシル化配列を含むアミノ酸配列を有する非天然に生じるポリペプチドであって、O結合型グリコシル化配列が、その非天然に生じるポリペプチドが由来する対応親ポリペプチド内には存在しない又は同じ位置には存在しない、前記の非天然に生じるポリペプチドを提供する。
ポリペプチド
本発明は、親ポリペプチドに対応し、少なくとも1つの外因性O結合型グリコシル化配列を含むアミノ酸配列を有する非天然に生じるポリペプチドであって、O結合型グリコシル化配列が、その非天然に生じるポリペプチドが由来する対応親ポリペプチド内には存在しない又は同じ位置には存在しない、前記の非天然に生じるポリペプチドを提供する。
一例では、本発明によって提供されるポリペプチドのアミノ酸配列は、(ポリペプチドの一部であるとき)1又はそれ以上の野生型、突然変異型又はトランケート型グリコシルトランスフェラーゼに対する基質である、O結合型グリコシル化配列を含む。好ましいグリコシルトランスフェラーゼはGlcNAcトランスフェラーゼを含む。例示的なGlcNAcトランスフェラーゼは、配列番号:1〜9及び228〜230によって表される。
例示的実施形態では、本発明の非天然に生じるポリペプチドは、親ポリペプチド(例えば野生型ポリペプチド)のアミノ酸配列を突然変異によって変化させることによって作製される。生じるポリペプチド変異体は、対応する親ポリペプチド内には存在しないか又は同じ位置には存在しない少なくとも1つの「O結合型グリコシル化配列」を含む。非天然に生じるポリペプチドのアミノ酸配列は、少なくとも1つの外因性O結合型グリコシル化配列が存在する限り、天然に生じる(内因性)O結合型グリコシル化配列と非天然に生じる(外因性)O結合型グリコシル化配列の組合せを含み得る。
親ポリペプチドはいかなるポリペプチドであってもよい。例示的な親ポリペプチドは、野生型ポリペプチド及びそのフラグメント並びにそれらの天然に生じる対応物から改変されたペプチド(例えば先立つ突然変異又はトランケーションによって)を含む。1つの実施形態では、ポリペプチドは、治療薬(すなわち認可された薬剤)として使用されるもののような治療用ポリペプチドである。ポリペプチドの非限定的な選択は、参照により本明細書に組み込まれる、2006年6月8日出願の米国特許出願第10/552,896号の図28に示されている。従って、本発明は、そのアミノ酸配列内に1又はそれ以上の本発明のO結合型グリコシル化配列を含む治療用ポリペプチドの複合糖質を提供する。
例示定な親ポリペプチド及び野生型ポリペプチドは、肝細胞増殖因子(HGF)、神経成長因子(NGF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(例えばFGF−1、FGF−2、FGF−3、FGF−4、FGF−5、FGF−6、FGF−7、FGF−8、FGF−9、FGF−10、FGF−11、FGF−12、FGF−13、FGF−14、FGF−15、FGF−16、FGF−17、FGF−18、FGF−19、FGF−20、FGF−21、FGF−22及びFGF−23)などの増殖因子、血液凝固因子(例えば第V因子、第VII因子、第VIII因子、Bドメイン欠失第VIII因子、部分的Bドメイン欠失第VIII因子、vWF−第VIII因子融合物(例えば完全長第VIII因子、Bドメイン欠失第VIII因子又は部分的Bドメイン欠失第VIII因子)、第IX因子、第X因子及び第XIII因子)、ヒト成長ホルモン(hGH)及び卵胞刺激ホルモン(FSH)などのホルモン、並びにインターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18)及びインターフェロン(例えばINF−α、INF−β、INF−γ)などのサイトカインを含む。
他の例示的なポリペプチドは、グルコセレブロシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ(例えばFabrazyme(商標))、酸性α−グルコシダーゼ(酸性マルターゼ)、α−L−イズロニダーゼなどのイズロニダーゼ(例えばAldurazyme(商標))、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、β−グルコシダーゼ(例えば米国特許出願第10/411,044号に述べられている酵素参照)、アリールスルファターゼ、アスパラギナーゼ、α−グルコセラミダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、ウロキナーゼ及びα−ガラクトシダーゼA(例えば米国特許第7,125,843号に述べられている酵素参照)などの酵素を含む。
他の例示的な親ポリペプチドは、骨形成タンパク質(例えばBMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15)、ニューロトロフィン(例えばNT−3、NT−4、NT−5)、エリスロポエチン(EPO)、増殖分化因子(例えばGDF−5)、グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子(NGF)、フォン・ビルブランド因子(vWF)、vWF開裂プロテアーゼ(vWFプロテアーゼ、vWF分解プロテアーゼ)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、α1−アンチトリプシン(ATT又はα−1プロテアーゼ阻害剤)、組織型プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、ヒルジン、レプチン、ウロキナーゼ、ヒトDNアーゼ、インスリン、B型肝炎表面タンパク質(HbsAg)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、キメラジフテリア毒素−IL−2、グルカゴン様ペプチド(例えばGLP−1及びGLP−2)、アンチトロンビンIII(AT−III)、プロキネチシン、CD4、α−CD20、腫瘍壊死因子受容体(TNF−R)、P−セレクチン糖タンパク質リガンド1(PSGL−1)、補体、トランスフェリン、グリコシル化依存性細胞接着分子(GlyCAM)、神経細胞接着分子(N−CAM)、TNF受容体−IgG Fc領域融合タンパク質、エクステンジン4、BDNF、β2−ミクログロブリン、毛様体神経栄養因子(CNTF)、フィブリノーゲン、GDF(例えばGDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−4、GDF−5、GDF−6〜15)、GDNF及びGLP−1を含む。上記に列挙するポリペプチドの一部についての例示的アミノ酸配列は、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,214,660号に記載されている。
抗体であるポリペプチドも本発明の範囲内である。抗体という用語は、抗体フラグメント(例えばFcドメイン)、一本鎖抗体、ラマ抗体(Lama antibodies)、ナノ体(nano-bodies)等を含むことが意図されている。Igキメラのような抗体融合タンパク質もこの用語に包含される。好ましい抗体は、ヒト化抗体、モノクローナル抗体又はそれらのフラグメントを含む。そのような抗体のすべての公知のアイソタイプが本発明の範囲内である。例示的な抗体は、上皮増殖因子(EGF)、血管内皮増殖因子(例えばラニビズマブ(Lucentis(商標))などの、VEGF−Aに対するモノクローナル抗体)及びFGF−7、FGF−21及びFGF−23などの線維芽細胞増殖因子などの増殖因子に対する抗体及びそれらのそれぞれの受容体に対する抗体を含む。他の例示的な抗体は、抗TNF−αモノクローナル抗体(例えば米国特許出願第10/411,043号参照)、TNF受容体−IgG Fc領域融合タンパク質(例えばEnbrel(商標))、抗HER2モノクローナル抗体(例えばHerceptin(商標))、呼吸器合胞体ウイルスのプロテインFに対するモノクローナル抗体(例えばSynagis(商標))、TNF−αに対するモノクローナル抗体(例えばRemicade(商標))、IIb/IIIaなどの糖タンパク質に対するモノクローナル抗体(例えばReopro(商標))、CD20(例えばRituxan(商標))、CD4及びα−CD3に対するモノクローナル抗体、PSGL−1及びCEAに対するモノクローナル抗体を含む。上記に列挙するポリペプチドの修飾型(例えば突然変異型)も本発明の範囲内である。
本発明の突然変異ポリペプチドは、当技術分野において公知であり、本明細書で以下に述べる方法を用いて作製できる。
O結合型グリコシル化配列
1つの実施形態では、本発明のO結合型グリコシル化配列は野生型ポリペプチド内に天然に存在する。もう1つの実施形態では、O結合型グリコシル化配列は親ポリペプチド内には存在しないか又は同じ位置には存在せず、突然変異又は他の手段によって親ポリペプチドに導入される。本発明のO結合型グリコシル化配列は、その側鎖にヒドロキシル基を有する少なくとも1つのアミノ酸(例えばセリン、トレオニン)を含む、短いアミノ酸配列(例えば1〜10個、好ましくは約3〜9個のアミノ酸残基)であり得る。このヒドロキシル基がグリコシル化の部位を示す。
1つの実施形態では、本発明のO結合型グリコシル化配列は野生型ポリペプチド内に天然に存在する。もう1つの実施形態では、O結合型グリコシル化配列は親ポリペプチド内には存在しないか又は同じ位置には存在せず、突然変異又は他の手段によって親ポリペプチドに導入される。本発明のO結合型グリコシル化配列は、その側鎖にヒドロキシル基を有する少なくとも1つのアミノ酸(例えばセリン、トレオニン)を含む、短いアミノ酸配列(例えば1〜10個、好ましくは約3〜9個のアミノ酸残基)であり得る。このヒドロキシル基がグリコシル化の部位を示す。
本発明の各々のO結合型グリコシル化配列についてのグリコシル化の効率は、酵素並びにグリコシル化配列の状況、特にグリコシル化部位の周囲のポリペプチドの三次元構造に依存する。
O結合型グリコシル化配列の位置決め
1つの実施形態では、O結合又はS結合グリコシル化配列は、ポリペプチド(例えば補のシークオンポリペプチド)の一部であるとき、グリコシルトランスフェラーゼに対する基質である。一例では、グリコシル化配列はGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質である。もう1つの例では、グリコシル化配列は、トランケートされたGlcNAcトランスフェラーゼなどの、修飾された酵素に対する基質である。本発明の各々のO結合型グリコシル化配列が適切なグリコシル化反応の間にグリコシル化される効率は、酵素のタイプと性質に依存すると考えられ、またグリコシル化配列の状況、特にグリコシル化部位の周囲のポリペプチドの三次元構造にも依存し得る。
1つの実施形態では、O結合又はS結合グリコシル化配列は、ポリペプチド(例えば補のシークオンポリペプチド)の一部であるとき、グリコシルトランスフェラーゼに対する基質である。一例では、グリコシル化配列はGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質である。もう1つの例では、グリコシル化配列は、トランケートされたGlcNAcトランスフェラーゼなどの、修飾された酵素に対する基質である。本発明の各々のO結合型グリコシル化配列が適切なグリコシル化反応の間にグリコシル化される効率は、酵素のタイプと性質に依存すると考えられ、またグリコシル化配列の状況、特にグリコシル化部位の周囲のポリペプチドの三次元構造にも依存し得る。
一般に、O結合型グリコシル化配列は、ポリペプチドのアミノ酸配列内のいかなる位置にも導入できる。一例では、グリコシル化配列は親ポリペプチドのN末端(すなわち1番目のアミノ酸の前に又は1番目のアミノ酸の直後に)に導入される(アミノ末端突然変異体)。もう1つの例では、グリコシル化配列は、親ポリペプチドのアミノ末端の近くに(例えばN末端の10アミノ酸残基内に)導入される。もう1つの例では、グリコシル化配列は、親ポリペプチドのC末端で親ポリペプチドの最後のアミノ酸の直後に位置する(カルボキシ末端突然変異体)。さらにもう1つの例では、グリコシル化配列は、親ポリペプチドのC末端の近くに(例えばC末端の10アミノ酸残基内に)導入される。さらにもう1つの例では、O結合型グリコシル化配列は、親ポリペプチドのN末端とC末端の間のどこかに位置する(内部突然変異体)。修飾されたポリペプチドは、その生物活性が対応する親ポリペプチドの生物活性から変化している場合でも、生物活性であることが一般に好ましい。
シークオンポリペプチドのグリコシル化効率に影響を及ぼす重要な因子は、グリコシルトランスフェラーゼ(例えばGlcNAcトランスフェラーゼ)及び溶媒分子を含む他のタンパク質の反応パートナーにとってのグリコシル化部位(例えばセリン又はトレオニン側鎖)のアクセス可能性である。グリコシル化配列が三次元ポリペプチド構造の内部ドメイン内に位置する場合、グリコシル化は非効率的である可能性が高い。それ故、1つの実施形態では、グリコシル化配列は、ポリペプチドの溶媒接触表面に対応するポリペプチドの領域に導入される。例示的なポリペプチドの高次構造は、グリコシル化配列のヒドロキシル基が内向きではなく、ポリペプチドの他の領域と水素結合を形成しているものである。もう1つの例示的な高次構造は、ヒドロキシル基が水素結合を形成する可能性が低いものである。
一例では、グリコシル化配列は、親タンパク質のあらかじめ選択された特定領域内に創製される。本来、ポリペプチド骨格のグリコシル化は通常ポリペプチドのループ領域内で起こり、典型的にはらせん構造又はβシート構造では起こらない。それ故、1つの実施形態では、本発明のシークオンポリペプチドは、ループドメインに対応する親ポリペプチドの領域内にO結合型グリコシル化配列を導入することによって作製される。
例えば、タンパク質BMP−7の結晶構造は、Ala72とAla86並びにIle96とPro103の間の2つの長いループ領域を含む。O結合型グリコシル化配列がポリペプチドのそれらの領域内に位置するBMP−7突然変異体を作製することは、突然変異がポリペプチドのもとの三次構造の破壊をほとんど又は全く引き起こさないポリペプチドを生じ得る。
しかし、発明人は、βシート又はαヘリックス構造内に含まれるアミノ酸位置でのO結合型グリコシル化配列の導入も、新たに導入されたO結合型グリコシル化配列で効率的にグリコシル化されるシークオンポリペプチドを導き得ることを発見した。βシート又はαヘリックスドメインへのO結合型グリコシル化配列の導入はポリペプチドの構造変化を生じさせ、それが次に、効率的なグリコシル化を可能にすると考えられる(例えば、すべての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2007年7月23日出願の米国特許出願第11/781,885号参照)。
タンパク質の結晶構造は、O結合型グリコシル化配列の導入のために最も適切であり、有望な修飾部位の事前選択を可能にし得る、野生型ポリペプチド又は親ポリペプチドのドメインを同定するために使用できる。
結晶構造が利用可能でないときは、ポリペプチドのアミノ酸配列が、有望な修飾部位を事前選択するために使用できる(例えばループドメイン対α−ヘリックスドメインの予測)。しかし、ポリペプチドの三次元構造が公知である場合でも、構造動力学及び酵素/受容体相互作用は溶液中で可変的である。それ故、適切な突然変異部位の同定並びに適切なグリコシル化配列の選択は、いくつかのシークオンポリペプチドの創製(例えば本発明のシークオンポリペプチドのライブラリー)及び適切なスクリーニングプロトコール、例えば本明細書で述べるプロトコールを使用してそれらの変異体を所望特性に関して試験することを含み得る。
1つの実施形態では、親ポリペプチドは抗体又は抗体フラグメントである。一例では、抗体又は抗体フラグメントの定常領域(例えばCH2ドメイン)を本発明のO結合型グリコシル化配列で修飾する。一例では、O結合型グリコシル化配列を、天然に生じるN結合グリコシル化配列が置換される又は機能的に減弱されるように導入する。もう1つの例では、CH2ドメインの選択された領域にわたってシークオンスキャニングを実施し、各々が本発明の外因性O結合型グリコシル化配列を含む、抗体のライブラリーを作製する。さらにもう1つの実施形態では、生じたポリペプチド変異体を、導入されたグリコシル化配列にグリコシル部分を付加する酵素的グリコシル化反応に供する。十分にグリコシル化された変異体は、適切な受容体(例えばFcγRIIIaなどのFc受容体)に結合する能力に関して分析できる。1つの実施形態では、そのようなグリコシル化された抗体又は抗体フラグメントは、親抗体又はその天然グリコシル化型と比較したとき、Fc受容体への高い結合親和性を示す。本発明のこの態様は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2007年1月18日出願の米国特許出願第60/881,130号でさらに説明されている。上述した修飾は、抗体のエフェクター機能を変化させ得る。1つの実施形態では、グリコシル化抗体変異体は、低いエフェクター機能、例えばナチュラルキラー細胞の表面又はキラーT細胞の表面で認められる受容体への低い結合親和性を示す。
もう1つの実施形態では、O結合又はS結合グリコシル化配列を親ポリペプチド配列内に導入せずに、むしろ親ポリペプチドのN末端又はC末端のいずれかへのペプチドリンカーフラグメントの付加を通して親ポリペプチドの配列を延長させる。ポリペプチドリンカーフラグメントは、「PVS」などの、本発明のO結合又はS結合グリコシル化配列を含む。ペプチドリンカーフラグメントはいかなる数のアミノ酸を有してもよい。1つの実施形態では、ペプチドリンカーフラグメントは、少なくとも約5個、少なくとも約10個、少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約30個、少なくとも約50個又は50個以上のアミノ酸残基を含む。ペプチドリンカーフラグメントは、場合により、アミノ基(例えばリシン)又はスルフヒドリル基(例えばシステイン)などの反応性官能基を有する内部又は末端アミノ酸残基を含む。そのような反応性官能基は、ポリペプチドをもう1つ別の部分、例えば別のポリペプチド、細胞毒、低分子薬剤又は本発明の別の修飾基に連結するために使用し得る。本発明のこの態様は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2007年1月18日出願の米国特許出願第60/881,130号でさらに説明されている。例示的実施形態では、ペプチドリンカーフラグメントは、リンカーの分岐点として役立つリシン残基を含み、例えばリシンのアミノ基はリンカーの「アーム」の結合点として働く。例示的実施形態では、リシンはメチオニン部分を置換する。もう1つの例示的実施形態では、リンカーフラグメントは、ジスルフィド結合の形成を通して同一又は異なる構造の別のリンカーフラグメントと二量体化する。
1つの実施形態では、本発明のペプチドリンカーフラグメントで修飾される親ポリペプチドは、抗体又は抗体フラグメントである。この実施形態による一例では、親ポリペプチドはscFvである。本明細書で述べる方法は、scFv又はリンカーがグリコシル部分又はグリコシル連結基を介してペプチドに結合された修飾基で修飾されている、本発明のscFvを作製するために使用できる。グリコシル化及び複合糖質化の例示的な方法は、例えば、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる、PCT特許出願第US02/32263号及び米国特許出願第10/411,012号に述べられている。
発明人は、O結合型グリコシル化配列がグリコシル化の部位(例えばセリン又はトレオニン残基)の近くにプロリン(P)残基を含む場合にグリコシル化が最も効率的であることを発見した。1つの実施形態では、プロリン残基はグリコシル化部位に先行する(グリコシル化部位のN末端側に認められる)。この実施形態による本発明の例示的グリコシル化部位は、PVS、PB2VT及びP(B2)2VTを含む。典型的には、0〜5個、好ましくは0〜4個、より好ましくは0〜3個のアミノ酸がプロリン残基とグリコシル化部位の間に認められる。もう1つの実施形態では、プロリン残基はグリコシル化部位のC末端側に認められる。この実施形態による本発明の例示的O結合型グリコシル化配列は、SB7TP及びSB7SPを含む。
1つの実施形態では、特定のアミノ酸残基が、大腸菌などの特定生物における突然変異型ポリペプチドの発現可能性、タンパク質分解に対する安定性、構造特徴及び/又はポリペプチドの他の性質を調節するためにO結合型グリコシル化配列に組み込まれる。
1つの実施形態では、本発明のO結合型グリコシル化配列は、以下に示す式(I)〜(VI):
式(I)〜(VI)において、整数b及びgは、0〜2から独立して選択され、整数a、c、d、e、f及びhは、0〜5から独立して選択される。Tはトレオニンであり、Sはセリンであり、Pはプロリンである。Uは、V(バリン)、S(セリン)、T(トレオニン)、E(グルタミン酸)、Q(グルタミン)及び非荷電アミノ酸から選択される成員である。Zは、P、E、Q、S、T及び非荷電アミノ酸から選択される成員であり、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7及びB8の各々は、アミノ酸から独立して選択される成員である。
例示的実施形態では、本発明のポリペプチドは、式:
もう1つの例示的実施形態では、本発明のO結合型グリコシル化配列は、
[ここで、各々のトレオニン(T)は、独立して、場合によりセリン(S)で置換されていてもよく、各々のセリンは、独立して、場合によりトレオニンで置換されていてもよい]
から選択される成員であるアミノ酸配列を含む。
他の例示的O結合型グリコシル化配列は、すべての目的に関してその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、T. M. Leavy and C. R. Bertozzi, Bioorg. Med. Chem. Lett. 2007, 17:3851-3854に開示されている。一例では、O結合型グリコシル化配列は、以下のアミノ酸配列:PIPVSRE、RIPVSRE、RIPVSRA、PIPVSRA、RIPVSRP、PIPVSRP、AIPVSRA及びAIPVSRPの1つを含む。高い効率でグリコシル化するO結合型グリコシル化配列、及び酵素に、グリコシル化配列につき1個のグリコシル残基だけを付加させるO結合型グリコシル化配列が一般に好ましい。
非天然に生じるポリペプチド
本発明のO結合型グリコシル化配列は、親ポリペプチド又は野生型ポリペプチドの一部であってもよい。1つの実施形態では、親配列を、O結合型グリコシル化配列が親配列に挿入されて、親ポリペプチドのアミノ酸配列に全長及びアミノ酸のそれぞれの数を追加するように突然変異させる。もう1つの実施形態では、O結合型グリコシル化配列は、親ポリペプチドの1又はそれ以上のアミノ酸を置換する。例示的実施形態では、既存のアミノ酸の1又はそれ以上を使用してO結合型グリコシル化配列の一部となるように親ペプチドに突然変異を導入する。例えば、親ペプチド内のプロリン残基を維持し、プロリンの直前及び/又は直後のアミノ酸を、本発明のO結合型グリコシル化配列を創製するように突然変異させる。もう1つの例示的実施形態では、アミノ酸挿入と既存アミノ酸の置換の組合せを用いてO結合型グリコシル化配列を創製する。
本発明のO結合型グリコシル化配列は、親ポリペプチド又は野生型ポリペプチドの一部であってもよい。1つの実施形態では、親配列を、O結合型グリコシル化配列が親配列に挿入されて、親ポリペプチドのアミノ酸配列に全長及びアミノ酸のそれぞれの数を追加するように突然変異させる。もう1つの実施形態では、O結合型グリコシル化配列は、親ポリペプチドの1又はそれ以上のアミノ酸を置換する。例示的実施形態では、既存のアミノ酸の1又はそれ以上を使用してO結合型グリコシル化配列の一部となるように親ペプチドに突然変異を導入する。例えば、親ペプチド内のプロリン残基を維持し、プロリンの直前及び/又は直後のアミノ酸を、本発明のO結合型グリコシル化配列を創製するように突然変異させる。もう1つの例示的実施形態では、アミノ酸挿入と既存アミノ酸の置換の組合せを用いてO結合型グリコシル化配列を創製する。
突然変異ポリペプチドのライブラリー
グリコシル化又は糖PEG化反応に供したとき、効率的に(例えば満足し得る収率で)グリコシル化又は糖PEG化されるポリペプチドを同定するための1つの方法は、例えばβシートドメイン及びαヘリックスドメインを含む、親ポリペプチドのアミノ酸配列内の様々な異なる位置に本発明のO結合型グリコシル化配列を挿入し、次に、生じる多数のシークオンポリペプチドを、ヒトGlcNAcトランスフェラーゼなどのグリコシルトランスフェラーゼに対する効率的な基質として機能するそれらの能力に関して試験することである。
グリコシル化又は糖PEG化反応に供したとき、効率的に(例えば満足し得る収率で)グリコシル化又は糖PEG化されるポリペプチドを同定するための1つの方法は、例えばβシートドメイン及びαヘリックスドメインを含む、親ポリペプチドのアミノ酸配列内の様々な異なる位置に本発明のO結合型グリコシル化配列を挿入し、次に、生じる多数のシークオンポリペプチドを、ヒトGlcNAcトランスフェラーゼなどのグリコシルトランスフェラーゼに対する効率的な基質として機能するそれらの能力に関して試験することである。
それ故、もう1つの態様では、本発明は、ライブラリーの各々の成員が共通の親ポリペプチドに対応し、少なくとも1つの独立して選択される本発明の外因性O結合又はS結合グリコシル化配列を含む、複数の異なる成員を含むシークオンポリペプチドのライブラリーを提供する。1つの実施形態では、ライブラリーの各々の成員は、それぞれ親ポリペプチド内の異なるアミノ酸位置に、同じO結合型グリコシル化配列を含む。もう1つの実施形態では、ライブラリーの各々の成員は、親ポリペプチド内の同じアミノ酸位置に、異なるO結合型グリコシル化配列を含む。本発明のライブラリーと併用して有用なO結合型グリコシル化配列を本明細書で述べる。1つの実施形態では、本発明のライブラリーにおいて使用されるO結合型グリコシル化配列は、式(I)に従ったアミノ酸配列を有する。もう1つの実施形態では、本発明のライブラリーにおいて使用されるO結合型グリコシル化配列は、式(II)に従ったアミノ酸配列を有する。1つの実施形態では、本発明のライブラリーにおいて使用されるO結合型グリコシル化配列は、式(III)に従ったアミノ酸配列を有する。1つの実施形態では、本発明のライブラリーにおいて使用されるO結合型グリコシル化配列は、式(IV)に従ったアミノ酸配列を有する。1つの実施形態では、本発明のライブラリーにおいて使用されるO結合型グリコシル化配列は、式(V)に従ったアミノ酸配列を有する。1つの実施形態では、本発明のライブラリーにおいて使用されるO結合型グリコシル化配列は、式(VI)に従ったアミノ酸配列を有する。
ライブラリーの各々の成員が共通のO結合型グリコシル化配列を有する1つの実施形態では、親ポリペプチドは、「m」個のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。一例では、シークオンポリペプチドのライブラリーは、(a)親ポリペプチド内の第1のアミノ酸位置(AA)n[式中、nは1〜mから選択される成員である]にO結合型グリコシル化配列を有する第1のシークオンポリペプチド;及び(b)各々の付加的なシークオンポリペプチド内でO結合型グリコシル化配列が付加的なアミノ酸位置に導入されており、各々の付加的なアミノ酸位置が(AA)n+x及び(AA)n−x[式中、xは1〜(m−n)から選択される成員である]から選択される、少なくとも1つの付加的なシークオンポリペプチドを含む。例えば、第1のシークオンポリペプチドは、選択されたO結合型グリコシル化配列を第1のアミノ酸位置に導入することを介して作製される。その後のシークオンポリペプチドは、次に、同じO結合型グリコシル化配列を、親ポリペプチドのさらにN末端側又はC末端側に位置するアミノ酸位置に導入することによって作製され得る。
これに関して、n−xが0(AA0)であるとき、グリコシル化配列は親ポリペプチドのN末端アミノ酸の直前に導入される。例示的なシークオンポリペプチドは、部分配列:「PVSM1…」を有し得る。
第1のアミノ酸位置(AA)nは、親ポリペプチドのアミノ酸配列内のどこであってもよい。1つの実施形態では、第1のアミノ酸位置が選択される(例えばループドメインの開始部位)。
各々の付加的なアミノ酸位置は、親ポリペプチド内のどこであってもよい。一例では、シークオンポリペプチドのライブラリーは、(AA)n+p及び(AA)n−p[式中、pは1〜約10、好ましくは1〜約8、より好ましくは1〜約6、さらに一層好ましくは1〜約4、最も好ましくは1〜約2から選択される]から選択されるアミノ酸位置にO結合型グリコシル化配列を有する第2のシークオンポリペプチドを含む。一例では、シークオンポリペプチドのライブラリーは、アミノ酸位置(AA)nにO結合型グリコシル化配列を有する第1のシークオンポリペプチド及びアミノ酸位置(AA)n+1又は(AA)n−1にO結合型グリコシル化配列を有する第2のシークオンポリペプチドを含む。
もう1つの例では、付加的なアミノ酸位置の各々は、あらかじめ選択されたアミノ酸位置に直接隣接する。さらにもう1つの例では、各々の付加的なアミノ酸位置は、あらかじめ選択されたアミノ酸位置から正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10アミノ酸移動する。
親ポリペプチドの「所与のアミノ酸位置での」O結合又はS結合グリコシル化配列の導入は、突然変異が所与のアミノ酸位置のすぐ次から出発して(C末端側に)導入されることを意味する。導入は、完全な挿入(既存のアミノ酸を置換しない)を介して又はいくつかの既存アミノ酸を置換することによって起こり得る。
例示的実施形態では、シークオンポリペプチドのライブラリーは、各々があらかじめ選択されたアミノ酸位置に直接隣接して位置する、親ポリペプチドの連続するアミノ酸位置にO結合型グリコシル化配列を導入し、それにより、所望する最終アミノ酸位置に達するまでアミノ酸鎖にわたってグリコシル化配列を「スキャニング」することによって作製される。直接隣接するとは、正確に1アミノ酸位置だけ親ポリペプチドのさらにN末端側又はC末端側であることを意味する。例えば、1番目の突然変異体は、アミノ酸位置AAnにグリコシル化配列を導入することによって創製される。ライブラリーの第2の成員は、アミノ酸位置AAn+1でのグリコシル化部位の導入を介して作製され、第3の突然変異体はアミノ酸位置AAn+2でのグリコシル化部位の導入を介して作製される、等々である。この手順は「シークオンスキャニング」と命名された。当業者は、シークオンスキャニングが、第1の成員がアミノ酸位置(AA)nにグリコシル化配列を有し、第2の成員がアミノ酸位置(AA)n−2に、第3の成員が(AA)n+4にグリコシル化配列を有する等のようにライブラリーを設計することを含み得ることを理解する。同様に、ライブラリーの成員は、グリコシル化配列の他の戦略的位置決めによって特徴づけられ得る。例えば、
A) 成員1:(AA)n;成員2:(AA)n+3;成員3:(AA)n+6;成員4:(AA)n+9等
B) 成員1:(AA)n;成員2:(AA)n+4;成員3:(AA)n+8;成員4:(AA)n+12等
C) 成員1:(AA)n;成員2:(AA)n+5;成員3:(AA)n+10;成員4:(AA)n+15等。
A) 成員1:(AA)n;成員2:(AA)n+3;成員3:(AA)n+6;成員4:(AA)n+9等
B) 成員1:(AA)n;成員2:(AA)n+4;成員3:(AA)n+8;成員4:(AA)n+12等
C) 成員1:(AA)n;成員2:(AA)n+5;成員3:(AA)n+10;成員4:(AA)n+15等。
1つの実施形態では、シークオンポリペプチドの第1のライブラリーは、親ポリペプチドの特定領域にわたって(例えば特定ループの開始部位からそのループ領域の終了部位まで)選択された本発明のO結合又はS結合グリコシル化配列をスキャニングすることによって作製される。第2のライブラリーは、次に、第1の領域と第2の領域の間に位置するアミノ酸位置を「スキップして(skipping)」、ポリペプチドの別の領域にわたって同じグリコシル化配列をスキャニングすることによって作製される。残されたポリペプチド鎖の部分は、例えば、生物活性にとって重要な結合ドメイン又はグリコシル化に不適切であることが公知のポリペプチド配列の別の領域に対応し得る。ポリペプチドのさらなるストレッチに関して「シークオンスキャニング」を実施することにより、いかなる数の付加的なライブラリーも作製できる。例示的実施形態では、親ポリペプチド内の各々のアミノ酸位置に突然変異を導入するポリペプチド全体にわたってO結合型グリコシル化配列をスキャニングすることにより、ライブラリーを作製する。
1つの実施形態では、ライブラリーの成員はポリペプチドの混合物の一部である。例えば、細胞培養物を、各々のベクターが本発明の異なるシークオンポリペプチドについての核酸配列を含む、複数の発現ベクターに感染させる。発現後、培養ブロスは複数の異なるシークオンポリペプチドを含むと考えられ、それ故シークオンポリペプチドのライブラリーを含む。この手法は、ライブラリーのいずれのシークオンポリペプチドが所与の発現系において最も効率的に発現されるかを判定するために有用であり得る。
もう1つの実施形態では、ライブラリーの成員は相互から単離されて存在する。例えば、上記混合物のシークオンポリペプチドの少なくとも2つが単離され得る。合わせると、単離されたポリペプチドはライブラリーを表す。あるいは、ライブラリーの各々のシークオンポリペプチドは別々に発現され、シークオンポリペプチドは場合により単離される。もう1つの例では、ライブラリーの各々の成員は化学的手段によって合成され、場合により精製される。
本発明による突然変異ポリペプチドのライブラリーは、本明細書で述べるO結合型グリコシル化配列を使用して作製され得る。好ましい実施形態では、ライブラリーは、
例示的な親ポリペプチドは、組換えヒトBMP−7である。例示的な親ポリペプチドとしてのBMP−7の選択は説明のためであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。当業者は、いかなる親ポリペプチド(例えば本明細書で述べるもの)も以下の例示的修飾に等しく適することを理解する。このようにして得られたポリペプチド変異体も本発明の範囲内に含まれる。本発明の生物学的に活性なBMP−7変異体は、当業者に公知の何らかの適切な機能アッセイによって測定されるその生物活性の実質的な又は完全な喪失を生じさせない少なくとも1つの修飾を含む、部分的又は全体的な、あらゆるBMP−7ポリペプチドを含む。以下の配列(140アミノ酸)は、完全長BMP−7配列の生物活性部分を表す:
上記親ポリペプチド配列に基づく例示的な突然変異型BMP−7ポリペプチドを以下の表2〜11に列挙する。好ましい実施形態では、突然変異ポリペプチドはグリコシルトランスフェラーゼの基質要求性を考慮に入れて作製される。
1つの例示的実施形態では、親配列内の対応する数のアミノ酸を置換して、野生型BMP−7アミノ酸配列(配列番号:137)に突然変異を導入し、親ポリペプチドと同じ数のアミノ酸残基を含む突然変異ポリペプチドを生じさせる。例えば、通常BMP−7内に存在する3個のアミノ酸をO結合型グリコシル化配列「プロリン−バリン−セリン」(PVS)で直接置換し、次にPVS配列をポリペプチドのC末端の方向に連続的に移動させることにより、グリコシル化部位PVSを含む137 BMP−7類似体が提供される。この実施形態による例示的配列を以下の表2に列挙する。
表2: 3個の既存アミノ酸がO結合型グリコシル化配列「PVS」で置換された、140アミノ酸を含む突然変異型BMP−7ポリペプチドの例示的ライブラリー
3個の既存アミノ酸を置換する、1位での導入:
3個の既存アミノ酸を置換する、1位での導入:
3個の既存アミノ酸を置換する、2位での導入:
3個の既存アミノ酸を置換する、3位での導入:
付加的なBMP−7突然変異体は、配列全体にわたってグリコシル配列を「スキャニング」することによって作製できる。そのようにして得られるすべての突然変異型BMP−7配列は本発明の範囲内である。そのようにして作製された最終的な突然変異ポリペプチドは以下の配列を有する:
3個の既存アミノ酸を置換する、137位での導入:
もう1つの例示的実施形態では、1又はそれ以上のアミノ酸を親配列に付加することによって野生型BMP−7のアミノ酸配列(配列番号:137)に突然変異を導入する。例えば、O結合型グリコシル化配列PVSを、親配列内のアミノ酸の2又は1個を置換して又はアミノ酸を置換せずに親BMP−7配列に付加する。一例では、グリコシル化配列を親配列のN末端又はC末端に付加する。この実施形態による例示的配列を以下の表3に列挙する。
表3: PVSを含む例示的BMP−7突然変異体(141〜143アミノ酸)
既存アミノ酸を置換しない(完全挿入)、1位での導入:
既存アミノ酸を置換しない(完全挿入)、1位での導入:
1個の既存アミノ酸(S)を置換する、1位での導入:
2個の既存アミノ酸(ST)を置換する、1位での導入:
2個の既存アミノ酸(CH)を置換し、1個のアミノ酸を付加する、138位での導入:
1個の既存アミノ酸(H)を置換し、2個のアミノ酸を付加する、139位での導入:
3個のアミノ酸を付加する、140位での導入:
もう1つの例では、1又はそれ以上のアミノ酸を親配列に付加することにより、いずれかのアミノ酸位置でO結合型グリコシル化配列をペプチド配列に導入する。この例では、付加するアミノ酸残基の最大数は、挿入されるグリコシル化配列の長さに相当する。1つの例示的実施形態では、親配列は正確に1個のアミノ酸によって伸長される。例えば、BMP−7内に通常存在する2個のアミノ酸を置換してO結合型グリコシル化配列PVSを親BMP−7ペプチドに付加する。この実施形態による例示的配列を以下の表4に列挙する。
表4: 2個の既存アミノ酸がO結合型グリコシル化配列「PVS」で置換されている、141アミノ酸を含む突然変異型BMP−7ポリペプチドの例示的ライブラリー
1個のアミノ酸を付加し、2個のアミノ酸(ST)を置換する、1位での導入
1個のアミノ酸を付加し、2個のアミノ酸(ST)を置換する、1位での導入
1個のアミノ酸を付加し、2個のアミノ酸(TG)を置換する、2位での導入
1個のアミノ酸を付加し、2個のアミノ酸(GS)を置換する、3位での導入
1個のアミノ酸を付加し、2個のアミノ酸(SK)を置換する、4位での導入
1個のアミノ酸を付加し、2個のアミノ酸(KQ)を置換する、5位での導入
付加的なBMP−7突然変異体は、上記のように配列全体にわたってグリコシル配列を「スキャニング」することによって作製できる。そのようにして得られるすべての突然変異型BMP−7配列は本発明の範囲内である。
もう1つの例は、BMP−7内に通常存在する1個のアミノ酸を置換する(二重アミノ酸挿入)、親BMP−7ペプチドへのO結合型グリコシル化配列(例えばPVS)の付加を含む。この実施形態による例示的配列を以下の表5に列挙する。
表5: PVSを含むBMP−7突然変異体の例示的ライブラリー;1個の既存アミノ酸の置換(142アミノ酸)
2個のアミノ酸を付加し、1個のアミノ酸(S)を置換する、1位での導入
2個のアミノ酸を付加し、1個のアミノ酸(S)を置換する、1位での導入
2個のアミノ酸を付加し、1個のアミノ酸(T)を置換する、2位での導入
2個のアミノ酸を付加し、1個のアミノ酸(G)を置換する、3位での導入
2個のアミノ酸を付加し、1個のアミノ酸(S)を置換する、4位での導入
2個のアミノ酸を付加し、1個のアミノ酸(K)を置換する、5位での導入
付加的なBMP−7突然変異体は、上記のように配列全体にわたってグリコシル配列を「スキャニング」することによって作製できる。そのようにして得られるすべての突然変異型BMP−7配列は本発明の範囲内である。
さらにもう1つの例は、BMP−7内に通常存在するアミノ酸を全く置換せず、親ペプチド内のいずれかの位置にグリコシル化配列の全長を付加する(例えばPVSについての三重アミノ酸挿入)、親BMP−7配列内でのO結合型グリコシル化配列の創製を含む。この実施形態による例示的配列を以下の表6に列挙する。
表6: PVSを含むBMP−7突然変異体の例示的ライブラリー;3個のアミノ酸の付加(143アミノ酸)
3個のアミノ酸を付加する、1位での導入:
3個のアミノ酸を付加する、1位での導入:
3個のアミノ酸を付加する、2位での導入:
3個のアミノ酸を付加する、3位での導入:
3個のアミノ酸を付加する、4位での導入:
付加的なBMP−7突然変異体は、上記のように配列全体にわたってグリコシル配列を「スキャニング」することによって作製できる。そのようにして得られるすべての突然変異型BMP−7配列は本発明の範囲内である。
BMP−7突然変異体の類似反復(analogues iterations)は、本発明のO結合型グリコシル化配列を使用して作製できる。例えば、PVSの代わりに配列番号:x〜xのいずれかが使用できる。一例では、PVSの代わりに配列PAVT(配列番号:86)又はPIKVS(配列番号:108)が使用できる。例示的実施形態では、BMP−7内に通常存在する5個のアミノ酸を置換してPIKVSを親ペプチドに導入する。この実施形態による例示的配列を以下の表7に列挙する。
表7:PIKVSを含むBMP−7突然変異体の例示的ライブラリー;5個のアミノ酸の置換(140アミノ酸)
表7:PIKVSを含むBMP−7突然変異体の例示的ライブラリー;5個のアミノ酸の置換(140アミノ酸)
付加的なBMP−7突然変異体は、上記のように配列全体にわたってグリコシル配列を「スキャニング」することによって作製できる。そのようにして得られるすべての突然変異型BMP−7配列は本発明の範囲内である。
もう1つの例では、O結合型グリコシル化配列PIKVSを親配列のN末端若しくはC末端で又はその近くで野生型BMP−7配列に付加して、1〜5個のアミノ酸を野生型に付加する。この実施形態による例示的配列を以下の表8に列挙する。
表8: PIKVSを含むBMP−7突然変異体の例示的ライブラリー(141〜145アミノ酸)
アミノ末端突然変異体:
5個のアミノ酸を付加する、1位での導入
アミノ末端突然変異体:
5個のアミノ酸を付加する、1位での導入
4個のアミノ酸を付加し、1個のアミノ酸(S)を置換する、1位での導入
3個のアミノ酸を付加し、2個のアミノ酸(ST)を置換する、1位での導入
2個のアミノ酸を付加し、3個のアミノ酸(STG)を置換する、1位での導入
1個のアミノ酸を付加し、4個のアミノ酸(STGS)を置換する、1位での導入
カルボキシ末端突然変異体:
5個のアミノ酸を付加する、140位での導入
5個のアミノ酸を付加する、140位での導入
4個のアミノ酸を付加し、1個のアミノ酸(H)を置換する、139位での導入
3個のアミノ酸を付加し、2個のアミノ酸(CH)を置換する、138位での導入
2個のアミノ酸を付加し、3個のアミノ酸(GCH)を置換する、137位での導入
1個のアミノ酸を付加し、4個のアミノ酸(CGCH)を置換する、136位での導入
さらにもう1つの例は、親配列に1〜5個のアミノ酸を付加する、O結合型グリコシル化配列TSETP(配列番号:127)の野生型BMP−7配列への挿入を含む。この実施形態による例示的配列を以下の表9に列挙する。
表9: TSETPを含むBMP−7突然変異体の例示的ライブラリー
1個のアミノ酸の挿入
表9: TSETPを含むBMP−7突然変異体の例示的ライブラリー
1個のアミノ酸の挿入
付加的なBMP−7突然変異体は、上記のように配列全体にわたってグリコシル配列を「スキャニング」することによって作製できる。そのようにして得られるすべての突然変異型BMP−7配列は本発明の範囲内である。
2個のアミノ酸の挿入
付加的なBMP−7突然変異体は、上記のように配列全体にわたってグリコシル配列を「スキャニング」することによって作製できる。そのようにして得られるすべての突然変異型BMP−7配列は本発明の範囲内である。
3個のアミノ酸の挿入
付加的なBMP−7突然変異体は、上記のように配列全体にわたってグリコシル配列を「スキャニング」することによって作製できる。そのようにして得られるすべての突然変異型BMP−7配列は本発明の範囲内である。
4個のアミノ酸の挿入
付加的なBMP−7突然変異体は、上記のように配列全体にわたってグリコシル配列を「スキャニング」することによって作製できる。そのようにして得られるすべての突然変異型BMP−7配列は本発明の範囲内である。
5個のアミノ酸の挿入
付加的なBMP−7突然変異体は、上記のように配列全体にわたってグリコシル配列を「スキャニング」することによって作製できる。そのようにして得られるすべての突然変異型BMP−7配列は本発明の範囲内である。
O結合型グリコシル化配列を含む突然変異ポリペプチドの他の例は、すべての目的に関して参照により本明細書に組み込まれる、2005年8月22日出願の米国特許出願第60/710,401号;及び2005年9月23日出願の同第60/720,030号;国際公開公報第WO2004/99231号及び同第WO2004/10327号に開示されている。
親ペプチド内でのO結合型グリコシル化配列の最適位置(例えばグリコシル化、糖PEG化及び生物活性に関して)を同定するため、様々な突然変異体を創製し、その後所望特性に関してスクリーニングする(「シークオンスキャン」)。例示的な実施形態では、あらかじめ選択されたペプチド領域のN末端側からC末端側の方向に、突然変異部位を親ポリペプチドに沿って「移動」させる(例えば1回に1アミノ酸)。
一例では、既存アミノ酸の置換及び/又は挿入のいずれかにより、選択されたペプチド領域内のすべての可能なアミノ酸位置にO結合型グリコシル化配列(例えばPVS)を位置づける。この実施形態による例示的配列を以下の表10及び表11に列挙する。
表10: A73とA82の間にPVSを含むBMP−7突然変異体の例示的ライブラリー
既存アミノ酸A73〜A82の置換
既存アミノ酸A73〜A82の置換
表11: I95とP103の間にPVSを含むBMP−7突然変異体の例示的ライブラリー
既存アミノ酸I95〜P103の置換
既存アミノ酸I95〜P103の置換
既存アミノ酸A73からA82までの間の挿入(1個のアミノ酸の付加を伴う)
既存アミノ酸I95からP103までの間の挿入(1個のアミノ酸の付加を伴う)
例えば表3〜11の、上記置換及び挿入は、本発明の何らかの他のO結合型グリコシル化配列(例えば配列番号:36〜136)を用いて作製できる。そのようにして得られるすべての突然変異型BMP−7配列は本発明の範囲内である。
もう1つの例示的実施形態では、上記に示すような1又はそれ以上のO−グリコシル化配列を血液凝固因子、例えば第VII因子、第VIII因子又は第IX因子ポリペプチドに挿入する。BMP−7に関して述べたように、O−グリコシル化配列は、BMP−7で例示した様々なモチーフで挿入できる。例えば、O−グリコシル化配列は、野生型配列にネイティブないかなるアミノ酸も置換せずに野生型配列に挿入することができる。例示的実施形態では、O−グリコシル化配列をポリペプチドのN末端若しくはC末端で又はその近くで挿入する。もう1つの例示的実施形態では、O−グリコシル化部位の挿入の前に、野生型ポリペプチド配列にネイティブな1又はそれ以上のアミノ酸残基を除去する。さらにもう1つの例示的実施形態では、野生型配列にネイティブな1又はそれ以上のアミノ酸残基はO−グリコシル化配列の成分(例えばプロリン)であり、O−グリコシル化配列は野生型アミノ酸を包含する。野生型アミノ酸は、O−グリコシル化配列の末端又はO−グリコシル化配列の内部のいずれでもよい。
さらに、何らかの既存のN結合グリコシル化配列を本発明のO結合型グリコシル化配列で置換することができる。加えて、O結合型グリコシル化配列を1又はそれ以上のN結合グリコシル化配列に隣接して挿入することができる。好ましい実施形態では、O結合型グリコシル化配列の存在はN結合グリコシル化配列のグリコシル化を妨げる。
特定例では、ポリペプチドは第VIII因子である。第VIII因子及び第VIII因子変異体は当技術分野において公知である。例えば、米国特許第5,668,108号は、1241位のアスパラギン酸がグルタミン酸で置換されている第VIII因子変異体を述べている。米国特許第5,149,637号は、グリコシル化されているか又はグリコシル化されていないC末端画分を含む第VIII因子変異体を記述し、米国特許第5,661,008号は、少なくとも3個のアミノ酸残基によってアミノ酸1649〜2332に連結されたアミノ酸1〜740を含む第VIII因子変異体を記述する。それ故、第VIII因子の変異体、誘導体、修飾及び複合体は当技術分野において周知であり、本発明に包含される。第VIII因子の生産のための発現系も当技術分野で周知であり、米国特許第5,633,150号、同第5,804,420号及び同第5,422,250号に例示されるように、原核及び真核細胞を含む。上記で論じた第VIII因子配列が、本発明の外因性O結合又はS結合グリコシル化配列を含むように修飾され得る。
親ポリペプチドが第VIII因子であるとき、上記に示すモチーフに従ってO結合型グリコシル化配列をA、B又はCドメインに挿入することができる。複数のO結合グリコシル化部位を、やはり上記モチーフに従って、単一ドメイン又は複数のドメインに挿入できる。例えば、O−グリコシル化部位を、A、B及びCドメインの各々に、A及びCドメインに、A及びBドメイン又はB及びCドメインに挿入できる。あるいは、O結合型グリコシル化配列は、AドメインとBドメインに又はBドメインとCドメインに隣接し得る。
もう1つの例示的実施形態では、第VIII因子ポリペプチドはBドメイン欠失(BDD)第VIII因子ポリペプチドである。この実施形態では、O結合型グリコシル化配列を、第VIII因子ヘテロ二量体の80Kdと90Kdのサブユニットを連結するペプチドリンカーに挿入することができる。あるいは、O結合型グリコシル化配列は、Aドメインとリンカーに又はCドメインとリンカーに隣接し得る。BMP−7に関して上述したように、O結合型グリコシル化配列は、既存のアミノ酸の置換を伴わずに挿入することができ、又は親ポリペプチドの1又はそれ以上のアミノ酸を置換して挿入し得る。
一例では、第VIII因子は完全長又は野生型第VIII因子ポリペプチドである。完全長第VIII因子ポリペプチドについての例示的アミノ酸配列を図10(配列番号:10)及び11(配列番号:11)に示す。さらにもう1つの例では、ポリペプチドは、Bドメインが野生型又は完全長第VIII因子のBドメインよりも少ないアミノ酸残基を含む第VIII因子ポリペプチドである。それらの第VIII因子及び/又は、Bドメイン欠失又は部分的Bドメイン欠失第VIII因子と称される。当業者は、所与の第VIII因子ポリペプチド内のBドメインを同定することができる。Bドメイン欠失第VIII因子ポリペプチドについての例示的アミノ酸配列は、図12〜15(配列番号:12〜15)に示す配列を含む。もう1つの例示的第VIII因子配列は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Sandberg et al., Seminars in Hematology 38(2): 4-12(2000)に開示されている。
さらなる例示的実施形態では、親ポリペプチドはhGHであり、O−グリコシル化部位は上記に列挙したモチーフに従って付加される。
当業者には明白であるように、複数の本発明の突然変異型O結合型グリコシル化配列を含むポリペプチドも、本発明の範囲内である。例えば生物活性、代謝安定性(例えば低いタンパク質分解)、薬物動態等のような、ポリペプチドの性質の調節を可能にする付加的な突然変異を導入し得る。
ひとたび多様な突然変異体が作製されれば、それらを、例えばGlcNAcトランスフェラーゼを使用して、O結合グリコシル化又は糖PEG化のための基質として機能する能力に関して評価することができる。成功したグリコシル化又は糖PEG化は、質量分析法(例えばMALDI−TOF又はQ−TOF)、ゲル電気泳動(例えばデンシトメトリーと組み合わせて)又はクロマトグラフィー分析(例えばHPLC)などの、当技術分野で公知の方法を用いて検出し、定量し得る。酵素阻害アッセイ、受容体結合アッセイ及び/又は細胞ベースのアッセイなどの生物学手活性は、所与のポリペプチド複合体の生物活性を分析するために使用できる。評価方法は、本明細書中以下でより詳細に説明する(例えば「リードポリペプチドの同定」参照)。各々の突然変異ポリペプチドの化学的及び生物学的に評価のために有用である適切なアッセイ系を選択する及び/又は開発することは当業者の能力の範囲内である。
ポリペプチド複合体
もう1つの態様では、本発明は、本発明のポリペプチド(例えば突然変異ポリペプチド)と、修飾基がグリコシル連結基、例えば無傷グリコシル連結基を介してポリペプチドに結合されている、選択された修飾基との間の複合体を提供する。グリコシル連結基は、本発明のO結合型グリコシル化配列内のアミノ酸残基に直接結合されるか、あるいは1又はそれ以上の付加的なグリコシル残基を介してO結合型グリコシル化配列に結合される。本発明の複合体を作製する方法は、本明細書及びすべての目的に関してその開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,876,980号;同第6,030,815号;同第5,728,554号;及び同第5,922,577号、並びに国際公開公報第WO98/31826号;同第WO2003/031464号;同第WO2005/070138号;同第WO2004/99231号;同第WO2004/10327号;同第WO2006/074279号;及び米国特許出願第2003180835号において説明される。
もう1つの態様では、本発明は、本発明のポリペプチド(例えば突然変異ポリペプチド)と、修飾基がグリコシル連結基、例えば無傷グリコシル連結基を介してポリペプチドに結合されている、選択された修飾基との間の複合体を提供する。グリコシル連結基は、本発明のO結合型グリコシル化配列内のアミノ酸残基に直接結合されるか、あるいは1又はそれ以上の付加的なグリコシル残基を介してO結合型グリコシル化配列に結合される。本発明の複合体を作製する方法は、本明細書及びすべての目的に関してその開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,876,980号;同第6,030,815号;同第5,728,554号;及び同第5,922,577号、並びに国際公開公報第WO98/31826号;同第WO2003/031464号;同第WO2005/070138号;同第WO2004/99231号;同第WO2004/10327号;同第WO2006/074279号;及び米国特許出願第2003180835号において説明される。
本発明の複合体は、典型的には以下の構造:
[上記構造中、記号a、b、c、d及びsは、正のゼロではない整数を表し、tは0又は正の整数である]に対応する。「修飾基」は、重合体部分(例えばPEGなどの水溶性重合体)、治療薬、生理活性物質、検出可能標識等である。リンカーは、以下の多種多様な連結基のいずれでもよい。あるいは、リンカーは単結合でもよい。ペプチドの同一性は限定を伴わない。
例示的なペプチド複合体は、O結合グルコサミン残基(例えばGlcNAc又はGlcNH)を含む。1つの実施形態では、グルコサミン部分自体が修飾基で誘導体化されており、グリコシル連結基である。もう1つの実施形態では、付加的なグリコシル残基がペプチド結合グルコサミン部分に結合される。例えば、各々がグリコシル連結基としての機能を果たすことができる、別のGlcNAc又はGlcNH、Gal又はSia残基が1番目のグルコサミン部分に付加される。代表的な実施形態では、O結合サッカリル残基は、修飾されたグルコサミンミメティック部分、GlcNAc−X*、GlcNH−X*、Glc−X*、GlcNAc−GlcNAc−X*、GlcNAc−GlcNH−X*、GlcNH−GlcNAc−X*、GlcNAc−Gal−X*、GlcNH−Gal−X*、GlcNAc−Sia−X*、GlcNH−Sia−X*、GlcNAc−Gal−Sia−X*、GlcNH−Gal−Sia−X*、GlcNAc−GlcNAc−Gal−Sia−X*、GlcNAc−GlcNAc−Man−X*、GlcNAc−GlcNAc−Man(Man)2(場合により1又はそれ以上の修飾基を含む)又はGlcNAc−Gal−Gal−Sia−X*[式中、X*は修飾基である]から選択される成員である。上記の例において、各々のGlcNAcは、独立して、場合によりGlcNHで置換されていてもよい。
例示的実施形態では、ポリペプチドは、本発明の外因性O結合型グリコシル化配列を含む非天然に生じるポリペプチドである。ポリペプチドは、好ましくはグリコシル化配列内でグルコサミン部分によってO−グリコシル化される。付加的な糖残基を、GlcNAc又はGlcNHに付加することが公知のグリコシルトランスフェラーゼ(例えばガラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、グルコシルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ及びGlcNAcトランスフェラーゼ)を用いて、生じたO結合グルコサミン部分に付加することができる。合わせてこれらの方法は、2又はそれ以上の糖残基を含むグリコシル構造を生じさせることができる。
修飾基は、ポリペプチドと修飾基の間に挟まれたグリコシル連結基を介してポリペプチドに共有結合される。グリコシル連結基は、ポリペプチドのアミノ酸残基又は糖ペプチドのグリコシル残基に共有結合される。本明細書で論じたように、修飾基は、基本的に、グリコシル又はグリコシルミメティック部分に結合して「修飾糖」を生じさせることができる何らかの種である。修飾糖は、修飾糖をポリペプチド又は糖ペプチドに付加する、適切なトランスフェラーゼ酵素によって認識されるグリコシル供与体(例えば修飾糖ヌクレオチド)に組み込むことができる。
例示的な修飾基は、グリコシド修飾基(例えばデキストラン、ポリシアル酸)及び非グリコシド修飾基から選択され、重合体(例えばPEG)及びポリペプチド(例えば酵素、抗体、抗原等)を含む。例示的な非グリコシド修飾基は、直鎖又は分枝基から選択され、ポリ(アルキレングリコール)及びその誘導体のような、1又はそれ以上の独立して選択される重合体部分を含み得る。例示的実施形態では、修飾基は、水溶性重合体の基、例えばポリ(エチレングリコール)及びその誘導体(PEG、m−PEG)、ポリ(プロピレングリコール)及びその誘導体(PPG、m−PPG)等を含む。好ましい実施形態では、ポリ(エチレングリコール)又はポリ(プロピレングリコール)は、基本的に均一分散である分子量を有する。さらなる修飾基を本明細書中以下で述べる。1つの実施形態では、グリコシル連結基は、少なくとも1つの重合体非グリコシド修飾基に共有結合される。
1つの実施形態では、本発明は、それらの置換パターンにおいて高度の均一なポリペプチド複合体を提供する。本発明の方法を使用して、本発明の複合体の集団全体にわたる基本的にすべての修飾糖部分が、構造的に同一のアミノ酸又はグリコシル残基に結合される、ペプチドに複合体を形成できる。それ故、例示的実施形態では、本発明は、グリコシル連結基を介してポリペプチドのO結合型グリコシル化配列内のアミノ酸残基(例えばトレオニン)に共有結合された1又はそれ以上の水溶性重合体部分を含むポリペプチド複合体を提供する。一例では、グリコシル連結基が結合されている各々のアミノ酸残基は同じ構造を有する。もう1つの例示的実施形態では、水溶性重合体部分の集団の基本的に各々の成員は、グリコシル連結基を介してポリペプチドのグリコシル残基に結合され、グリコシル連結基が結合されているペプチドの各々のグリコシル残基は同じ構造を有する。
そこで、本発明は、ポリペプチドが親ポリペプチドに対応する、非天然に生じるポリペプチドと重合体修飾基との間の共有結合複合体を提供する。非天然に生じるポリペプチドのアミノ酸配列は、対応する親ポリペプチド内には存在しない又は同じ位置には存在しない少なくとも1つの外因性O結合型グリコシル化配列を含む。好ましい実施形態では、O結合型グリコシル化配列はGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質である。一例では、O結合型グリコシル化配列はヒドロキシル基を有するアミノ酸残基(例えばセリン又はトレオニン)を含み、重合体修飾基は、グリコシル連結基を介してO結合型グリコシル化配列のヒドロキシル基でポリペプチドに共有結合される。
例示的実施形態では、本発明の複合体は、式(VII):
式(VII)において、AA−Oは、ヒドロキシル基で置換された側鎖を有するアミノ酸残基(例えばセリン又はトレオニン)から誘導される部分であり、アミノ酸は本発明のO結合型グリコシル化配列内に位置する。qが1であるとき、アミノ酸はポリペプチドの内部アミノ酸であり、qが0であるとき、アミノ酸はN末端又はC末端アミノ酸である。Z*は、グルコサミン部分、グルコサミンミメティック部分、グルコサミン部分を含むオリゴ糖及びグルコサミンミメティック部分を含むオリゴ糖から選択される成員である。X*は、重合体修飾基及び重合体修飾基を含むグリコシル連結基から選択される成員である。一例では、Z*はグルコサミン部分であり、X*は重合体修飾基である。
1つの例示的実施形態では、X*は重合体修飾基である。もう1つの例示的実施形態では、Z*は、GlcNAc、GlcNH、Glc、GlcNAc−Fuc、GlcNAc−GlcNAc、GlcNH−GlcNH、GlcNAc−GlcNH、GlcNH−GlcNAc、GlcNAc−Gal、GlcNH−Gal、GlcNAc−Sia、GlcNH−Sia、GlcNAc−Gal−Sia、GlcNH−Gal−Sia、GlcNAc−GlcNAc−Gal−Sia、GlcNH−GlcNH−Gal−Sia、GlcNAc−GlcNH−Gal−Sia、GlcNH−GlcNAc−Gal−Sia、GlcNAc−GlcNAc−Man、GlcNAc−GlcNAc−Man(Man)2、GlcNAc−Gal−Gal−Sia並びにGlcNAc、GlcNH、Gal、Glc、Man、Fuc及びSiaの他の組合せから選択される成員である、1つの実施形態では、X*は重合体修飾基であり、Z*はGlcNAc及びGlcNHから選択される成員である。
グリコシル連結基
修飾糖のサッカリド成分は、ポリペプチドと修飾基の間に挟まれたとき、「グリコシル連結基」となる。例示的実施形態では、グリコシル連結基は、修飾基による修飾後、適切なグリコシルトランスフェラーゼに対する基質である、単糖又はオリゴ糖から形成される。もう1つの例示的実施形態では、グリコシル連結基はグリコシルミメティック部分から形成される。本発明のポリペプチド複合体は、一価又は多価(すなわちモノ及びマルチアンテナ構造(antennary structures))であるグリコシル連結基を含み得る。それ故、本発明の複合体は、選択された部分が一価グリコシル連結基を介してペプチドに結合されている種を含む。また、複数の修飾基が多価連結基を介してポリペプチドに結合されている複合体も本発明に包含される。
修飾糖のサッカリド成分は、ポリペプチドと修飾基の間に挟まれたとき、「グリコシル連結基」となる。例示的実施形態では、グリコシル連結基は、修飾基による修飾後、適切なグリコシルトランスフェラーゼに対する基質である、単糖又はオリゴ糖から形成される。もう1つの例示的実施形態では、グリコシル連結基はグリコシルミメティック部分から形成される。本発明のポリペプチド複合体は、一価又は多価(すなわちモノ及びマルチアンテナ構造(antennary structures))であるグリコシル連結基を含み得る。それ故、本発明の複合体は、選択された部分が一価グリコシル連結基を介してペプチドに結合されている種を含む。また、複数の修飾基が多価連結基を介してポリペプチドに結合されている複合体も本発明に包含される。
例示的実施形態では、本発明の共有結合複合体は、式(VIII):
式(VIII)において、Gは、−CH2−及びC=Aから選択される成員であり、前記式中、AはO、S及びNR28から選択される成員であり、R28は、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから選択される成員である。Eは、O、S、NR27及びCH2から選択される成員であり、前記式中、R27は、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから選択される成員である。E1は、O及びSから選択される成員である。R21、R22、R23及びR24は、H、OR25、SR25、NR25R26、NR25S(O)2R26、S(O)2NR25R26、NR25C(O)R26、C(O)NR25R26、C(O)OR25、アシル、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから独立して選択される成員であり、R25及びR26は、H、アシル、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル及び修飾基から独立して選択される成員である。好ましくは、R21、R22、R23、R24、R27及びR28の少なくとも1つは重合体修飾基を含む。
もう1つの例示的実施形態では、本発明の共有結合複合体は、式(IX):
[式中、X*は、直鎖又は分枝から選択される重合体修飾基であり;Laは、結合及びリンカー基から選択される成員であり、そしてR28は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから選択される成員である]
に従った部分を含む。
さらにもう1つの例示的実施形態では、本発明の共有結合複合体は、式(X):
一例では、修飾基は、
[式中、p及びp1は、1〜20から独立して選択される整数である]
から選択される成員である部分を含む。各々のnは、1〜5000から独立して選択される整数であり;mは1〜5の整数である。R1は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、−NR12R13、−OR12及び−SiR12R13から選択される成員であり、R12及びR13は、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換ヘテロアリールから独立して選択される成員である。一例では、R1は、OH及びOR2から選択される成員であり、R12は、C1、C2、C3、C4、C5及びC6アルキルから選択される成員である。R1は、OH及びOMeから選択される成員である。
一例では、修飾基X*は分枝であり、少なくとも2つの重合体部分を含む。例示的な修飾糖部分を以下に示す:
修飾基
本発明の修飾基はいかなる化学的部分であってもよい。例示的修飾基を以下で論じる。修飾基は、所与のポリペプチドの性質(例えば生物学的又は物理化学的性質)を変化させるそれらの能力によって選択できる。修飾基の使用によって変化させ得る例示的なポリペプチドの性質は、薬物動態、薬力学、代謝安定性、生体分布、水溶解度、親油性、組織標的能力及び治療活性プロフィールを含むが、これらに限定されない。好ましい修飾基は、対応する非修飾ポリペプチドと比較して修飾されたポリペプチドの薬力学及び薬物動態を改善するものである。他の修飾基は、診断適用又はインビトロでの生物学的アッセイ系において有用なポリペプチドを創製するために使用し得る。
本発明の修飾基はいかなる化学的部分であってもよい。例示的修飾基を以下で論じる。修飾基は、所与のポリペプチドの性質(例えば生物学的又は物理化学的性質)を変化させるそれらの能力によって選択できる。修飾基の使用によって変化させ得る例示的なポリペプチドの性質は、薬物動態、薬力学、代謝安定性、生体分布、水溶解度、親油性、組織標的能力及び治療活性プロフィールを含むが、これらに限定されない。好ましい修飾基は、対応する非修飾ポリペプチドと比較して修飾されたポリペプチドの薬力学及び薬物動態を改善するものである。他の修飾基は、診断適用又はインビトロでの生物学的アッセイ系において有用なポリペプチドを創製するために使用し得る。
例えば、治療用糖ペプチドのインビボ半減期は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)部分で延長され得る。PEGによるポリペプチドの化学修飾(PEG化)はそれらの分子サイズを増大させ、典型的には表面及び官能基に対するアクセス可能性を低下させるが、それらの各々はポリペプチドに結合されるPEG部分の数と大きさに依存する。しばしば、この修飾は、血漿半減期の改善及びタンパク質分解に対する安定性、並びに免疫原性の低下と肝取込みの低減を生じさせる(Chaffee et al. J. Clin. Invest. 89:1643-1651 (1992); Pyatak et al. Res. Commun. Chem. Pathol Pharmacol. 29:113-127 (1980))。例えば、インターロイキン2のPEG化はインビボでのその抗腫瘍効果を上昇させることが報告されており(Katre et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 84:1487-1491 (1987))、モノクローナル抗体A7に由来するF(ab’)2のPEG化はその腫瘍局在化を改善した(Kitamura et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 28:1387-1394 (1990))。
1つの実施形態では、本発明の方法によってPEG部分で誘導体化されたペプチドのインビボ半減期は、誘導体化されていない親ポリペプチドのインビボ半減期に比べて長い。ポリペプチドのインビボ半減期の延長は、親ポリペプチドと比較した延長比率の範囲として最もよく表される。延長比率の範囲の下限は、約40%、約60%、約80%、約100%、約150%又は約200%である。範囲の上限は、約60%、約80%、約100%、約150%又は約250%以上である。
水溶性重合体修飾基
1つの実施形態では、修飾基は、直鎖又は分枝から選択される重合体修飾基である。一例では、修飾基は、各々の重合体部分が独立して選択される、1又はそれ以上の重合体部分を含む。
1つの実施形態では、修飾基は、直鎖又は分枝から選択される重合体修飾基である。一例では、修飾基は、各々の重合体部分が独立して選択される、1又はそれ以上の重合体部分を含む。
多くの水溶性重合体が当業者に公知であり、本発明を実施する上で有用である。水溶性重合体という用語は、サッカリド(例えばデキストラン、アミロース、ヒアルロン酸、ポリ(シアル酸)、ヘパラン、ヘパリン等);ポリ(アミノ酸)、例えばポリ(アスパラギン酸)及びポリ(グルタミン酸);核酸;合成重合体(例えばポリ(アクリル酸)、ポリ(エーテル)、例えばポリ(エチレングリコール));ペプチド、タンパク質等のような種を包含する。本発明は、重合体が、複合体の残りの部分が結合される部位を含んでいなければならないことだけを唯一の制約として、いかなる水溶性重合体でも実施され得る。
修飾基を1又はそれ以上のポリペプチド部分に結合するために修飾基の反応性誘導体(例えば反応性PEG類似体)を使用することは本発明の範囲内である。本発明は、反応性類似体の同一性によって限定されない。
好ましい実施形態では、修飾基はPEG又はPEG類似体である。ポリ(エチレングリコール)の多くの活性化誘導体が市販されており、文献で記述されている。本発明において有用な基質を作製するための適切な活性化PEG誘導体を選択し、必要に応じて合成することは、十分に当業者の能力の範囲内である。Abuchowski et al. Cancer Biochem. Biophys., 7:175-186(1984); Abuchowski et al., J. Biol. Chem., 252:3582-3586 (1977); Jackson et al., Anal. Biochem., 165:114-127 (1987); Koide et al., Biochem Biophys. Res. Commun., 111:659-667 (1983))、トレシレート(Nilsson et al., Methods Enzymol., 104:56-69 (1984); Delgado et al., Biotechnol. Appl. Biochem., 12:119-128 (1990));N−ヒドロキシスクシンイミドの活性エステル(Buckmann et al., Makromol. Chem., 182:1379-1384 (1981); Joppich et al., Makromol. Chem., 180: 1381-1384 (1979); Abuchowski et al., Cancer Biochem. Biophys., 7:175-186 (1984); Katre et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 84:1487-1491 (1987); Kitamura et al., Cancer Res., 51:4310-4315 (1991); Boccu et al., Z. Naturforsch., 38C:94-99 (1983)、カルボネート(Zalipsky et al., Poly (ethylene glycol) Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications, Harris, Ed., Plenum Press, New York, 1992, pp.347-370; Zalipsky et al., Biotechnol. Appl. Biochem., 15:100-114 (1992); Veronese et al., Appl. Biochem.Biotech., 11:141-152 (1985))、イミダゾリルホルメート(Beauchamp et al., Anal. Biochem., 131:25-33 (1983); Berger et al., Blood, 71:1641-1647 (1988))、4−ジチオピリジン(Woghiren et al., Bioconjugate Chem., 4:314-318 (1993))、イソシアネート(Byun et al., ASAIO Journal, M649-M-653 (1992))及びエポキシド(Noishiki et al.に発行された米国特許第4,806,595号(1989)参照。他の連結基は、アミノ基と活性化PEGとの間のウレタン結合を含む。Veronese,et al., Appl. Biochem. Biotechnol., 11:141-152 (1985)参照。
重合体の活性化のための方法は、国際公開公報第WO94/17039号、米国特許第5,324,844号、国際公開公報第WO94/18247号、同第WO94/04193号、米国特許第5,219,564号、同第5,122,614号、国際公開公報第WO90/13540号、米国特許第5,281,698号、及びさらに国際公開公報第WO93/15189号に見出すことができ、活性化重合体とペプチドとの間の結合については、例えば凝固因子VIII(国際公開公報第WO94/15625号)、ヘモグロビン(国際公開公報第WO94/09027号)、酸素担持分子(米国特許第4,412,989号)、リボヌクレアーゼ及びスーパーオキシドジスムターゼ(Veronese at al.,App.Biochem.Biotech.11:141-45 (1985))参照。
本発明において有用な活性化PEG分子及びそれらの試薬を作製する方法は当技術分野において公知であり、例えば国際公開公報第WO04/083259号に述べられている。
本明細書で述べる化合物を製造するときに使用される直鎖PEG活性化するために適切な活性化基又は脱離基は、以下の種:
例示的な水溶性重合体は、重合体の試料中の実質的な割合の重合体が概ね同じ分子量であるものであり、そのような重合体は「均一分散」である。
本発明を、ポリ(エチレングリコール)複合体を参照してさらに説明する。PEGの官能基化及び複合体化に関するいくつかの総説及びモノグラフが入手可能である。例えばHarris, Macronol. Chem. Phys. C25:325-373 (1985); Scouten, Methods in Enzymology 135:30-65 (1987); Wong et al., Enzyme Microb. Technol. 14:866-874 (1992); Delgado et al., Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 9:249-304 (1992); Zalipsky, Bioconjugate Chem. 6:150-165 (1995);及びBhadra, et al., Pharmazie, 57:5-29 (2002)参照。反応性PEG分子を製造し、反応性分子を使用して複合体を形成するための経路は当技術分野において公知である。例えば、米国特許第5,672,662号は、直鎖又は分枝ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)及びポリ(アクリロモルホリン)から選択される重合体酸の活性エステルの水溶性で単離可能な複合体を開示する。
米国特許第6,376,604号は、有機溶媒中で重合体の末端ヒドロキシルをジ(1−ベンゾトリアゾイル)カルボネートと反応させることによって水溶性の非ペプチド性重合体の水溶性1−ベンゾトリアゾリルカルボネートエステルを製造するための方法を述べる。活性エステルは、ポリペプチドなどの生物学的に活性な物質との複合体を形成するために使用される。
国際公開公報第WO99/45964号は、生物学的に活性な物質と、安定な結合を介して重合体骨格に連結された少なくとも1つの末端を有する重合体骨格を備えた活性化水溶性重合体を含む複合体を述べており、その少なくとも1つの末端は分枝部分に連結された近位反応性基を有する分枝部分を含み、生物学的に活性な物質は近位反応性基の少なくとも1つに連結されている。他の分枝ポリ(エチレングリコール)は国際公開公報第WO96/21469号に記載されており、米国特許第5,932,462号は、反応性官能基を有する分枝末端を含む分枝PEG分子で形成される複合体を述べている。遊離反応性基は、ポリペプチドなどの生物学的に活性な種と反応させて、ポリ(エチレングリコール)と生物学的に活性な種との間の複合体を形成するために使用可能である。米国特許第5,446,090号は、二官能性PEGリンカー及びPEGリンカー末端の各々にペプチドを有する複合体を形成する際のその使用を述べる。
分解性PEG結合を含む複合体は、国際公開公報第WO99/34833号及び同第WO99/14259号、並びに米国特許第6,348,558号に述べられている。そのような分解性結合は本発明において適用可能である。
上記で述べた、当技術分野で認識されている重合体活性化の方法は、本明細書で述べる分枝重合体の形成において及びまたこれらの分枝重合体の他の種、例えば糖類、糖ヌクレオチド等への結合のために、本発明に関して有用である。
例示的な水溶性重合体は、ポリ(エチレングリコール)、例えばメトキシポリ(エチレングリコール)である。本発明において使用されるポリ(エチレングリコール)は、何らかの特定形態又は分子量範囲に限定されない。非分枝ポリ(エチレングリコール)分子に関して、分子量は、好ましくは500〜100,000である。2000〜60,000の分子量が好ましく使用され、より好ましくは約5,000〜約40,000の分子量が使用される。
本発明において有用な例示的ポリ(エチレングリコール)分子は、式:
[式中、R8は、H、OH、NH2、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、例えばアセタール、OHC−、H2N−(CH2)q−、HS−(CH2)q又は−(CH2)qC(Y)Z1である]
を有するものを含むが、これらに限定されない。添え字「e」は、1〜2500の整数を表す。添え字b、d及びqは、0〜20の整数を独立して表す。記号Z及びZ1は、OH、NH2、脱離基、例えばイミダゾール、p−ニトロフェニル、HOBT、テトラゾール、ハロゲン化物、S−R9、活性化エステルのアルコール部分;−(CH2)pC(Y1)V又は−(CH2)pU(CH2)sC(Y1)Vを独立して表す。記号Yは、H(2)、=O、=S、=N−R10を表す。記号X、Y、Y1、A1及びUは、O、S、N−R11部分を独立して表す。記号Vは、OH、NH2、ハロゲン、S−R12、活性化エステルのアルコール成分、活性化アミドのアミン成分、糖ヌクレオチド及びタンパク質を表す。添え字p、q、s及びvは、0〜20の整数から独立して選択される成員である。記号R9、R10、R11及びR12は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル及び置換又は非置換ヘテロアリールを独立して表す。
本発明の複合体を形成するのに有用なポリ(エチレングリコール)は、直鎖又は分枝である。本発明における使用に適した分枝ポリ(エチレングリコール)分子は、以下の式:
[式中、R8及びR8’は、上記で、R8に関して定義した群から独立して選択される成員である]
によって表されるものを含むが、これらに限定されない。A1及びA2は、A1に関して定義した群から独立して選択される成員である。添え字e、f、o及びqは上述したとおりである。Z及びYは上述したとおりである。X1及びX1’は、S、SC(O)NH、HNC(O)S、SC(O)O、O、NH、NHC(O)、(O)CNH及びNHC(O)O、OC(O)NHから独立して選択される成員である。
他の例示的実施形態では、分枝PEGは、システイン、セリン又はジリシンコアに基づく。もう1つの例示的実施形態では、ポリ(エチレングリコール)分子は、以下の構造:
さらなる実施形態では、ポリ(エチレングリコール)は、複数のPEG部分が結合している分枝PEGである。分枝PEGの例は、米国特許第5,932,462号;同第5,342,940号;同第5,643,575号;同第5,919,455号;同第6,113,906号;同第5,183,660号;国際公開公報第WO02/09766号;Kodera Y., Bioconjugate Chemistry 5:283-288 (1994);及びYamasaki et al., Agric. Biol. Chem., 52:2125-2127, 1998に述べられている。好ましい実施形態では、分枝PEGの各々のポリ(エチレングリコール)の分子量は、40,000ダルトン又はそれ以下である。
代表的な重合体修飾部分は、側鎖含有アミノ酸、例えばセリン、システイン、リシン、及び低分子ペプチド、例えばlys−lysに基づく構造を含む。例示的な構造は、
当業者は、ジリシン構造内の遊離アミンも、PEG部分とのアミド結合又はウレタン結合を介してPEG化されていてもよいことを理解する。
さらにもう1つの実施形態では、重合体修飾部分は、トリリシンペプチドに基づく分枝PEG部分である。トリリシンは、モノ、ジ、トリ又はテトラPEG化され得る。この実施形態による例示的な種は、式:
当業者には明白であるように、本発明において有用な分枝重合体は、上述した主題に関する変形を包含する。例えば、上記に示すジリシン−PEG複合体は3つの重合体サブユニットを含むことができ、3番目は、上記構造において非修飾として示されるα−アミンに結合している。同様に、所望する方法で重合体修飾部分によって標識された3又は4個の重合体サブユニットで官能基化されたトリリシンの使用は、本発明の範囲内である。
1又はそれ以上の重合体部分(例えばPEG)を含む分枝修飾基とのポリペプチド複合体を形成するために有用な例示的前駆体は、式:
1つの実施形態では、この式に従った分枝重合体種は、基本的に純粋な水溶性重合体である。X3’は、イオン性官能基(例えばOH、COOH、H2PO4、HSO3、NH2、及びそれらの塩等)又は他の反応性官能基、例えば以下を含む部分である。Cは炭素である。X5は非反応性基(例えばH、CH3、OH等)である。1つの実施形態では、X5は、好ましくは重合体部分ではない。R16及びR17は、非反応性基(例えばH、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル)及び重合体のアーム(例えばPEG)から独立して選択される。X2及びX4は、好ましくは生理的条件下で基本的に非反応性である連結フラグメントである。X2及びX4は独立して選択される。例示的なリンカーは、芳香族部分又はエステル部分を含まない。あるいは、これらの結合部分は、生理的に適切な条件下で分解するように設計された1又はそれ以上の部分、例えばエステル、ジスルフィド等を含んでもよい。X2及びX4は、重合体のアームR16及びR17をCに結合する。1つの実施形態では、X3’をリンカー、糖又はリンカー−糖カセット上の相補的反応性の反応性官能基と反応させたとき、X3’は連結フラグメントの成分に変換される。
X2及びX4を含む例示的な連結フラグメントは、S、SC(O)NH、HNC(O)S、SC(O)O、O、NH、NHC(O)、(O)CNH及びNHC(O)O、並びにOC(O)NH、CH2、CH2S、CH2O、CH2CH2O、CH2CH2S、(CH2)oO、(CH2)oS又は(CH2)oY’−PEG[式中、Y’は、S、NH、NHC(O)、C(O)NH、NHC(O)O、OC(O)NH又はOであり、oは1〜50の整数である]から独立して選択され、これらを含む。例示的実施形態では、連結フラグメントX2とX4は、異なる連結フラグメントである。
例示的実施形態では、上記前駆物質の1つ又はその活性化誘導体を、X3’と糖部分上の相補的反応性の基、例えばアミンとの間の反応を介して糖、活性化糖又は糖ヌクレオチドと反応させ、それによって糖、活性化糖又は糖ヌクレオチドに結合する。あるいは、X3’は、以下のスキーム2に従ってリンカーLaの前駆体上の反応性官能基と反応する。
例示的実施形態では、修飾基は、天然又は非天然アミノ酸、アミノ酸類似体又はアミノ酸ミメティック、又は1若しくはそれ以上のそのような種から形成される低分子ペプチドから誘導される。例えば、本発明の化合物において認められる特定の分枝重合体は、式:
この例では、連結フラグメントC(O)Laは、分枝重合体修飾部分の前駆体上の反応性官能基、例えばX3’と糖部分又はリンカーの前駆体上の反応官能基との反応によって形成される。例えば、X3’がカルボン酸であるとき、X3’は活性化されて、アミノ−糖から張り出している側鎖であるアミン基(例えばSia、GalNH2、GlcNH2、ManNH2等)に直接結合して、アミドを形成し得る。付加的な例示的反応性官能基及び活性化前駆体を本明細書中以下で述べる。記号は、上記で論じたのと同じ同一性を有する。
もう1つの例示的実施形態では、Laは、構造:
Xa及びXbについての例示的な種は、S、SC(O)NH、HNC(O)S、SC(O)O、O、NH、NHC(O)、C(O)NH及びNHC(O)O、並びにOC(O)NHを含む。
もう1つの例示的実施形態では、X4はR17へのペプチド結合であり、R17は、α−アミン部分及び/又は側鎖のヘテロ原子が重合体修飾部分で修飾されているアミノ酸、ジペプチド(例えばLys−Lys)又はトリペプチド(例えばLys−Lys−Lys)である。
上記で述べた本発明の実施形態を、重合体が水溶性重合体、特にポリ(エチレングリコール)(「PEG」)、例えばメトキシポリ(エチレングリコール)である種を参照することによってさらに例示する。当業者は、次の章における焦点が説明を明瞭にすることにあり、PEGを例示的重合体として使用して示す様々なモチーフが、PEG以外の重合体が使用される種にも等しく適用できることを理解する。
あらゆる分子量、例えば1kDa、2kDa、5kDa、10kDa、15kDa、20kDa、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa及び80kDaのPEGが本発明において有用である。
他の例示的実施形態では、ポリペプチド複合体は、以下の群:
上記式の各々において、添え字e及びfは、1〜2500の整数から独立して選択される。さらなる例示的実施形態では、e及びfは、約1kDa、2kDa、5kDa、10kDa、15kDa、20kDa、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa及び80kDaのPEG部分を与えるように選択される。記号Qは、置換若しくは非置換アルキル(例えばC1−C6アルキル、例えばメチル)、置換若しくは非置換ヘテロアルキル又はHを表す。
他の分枝重合体は、ジリシン(Lys−Lys)ペプチドに基づく構造、例えば:
上記の図の各々において、添え字e、f、f’及びf”は、1〜2500から独立して選択される整数を表す。添え字q、q’及びq”は、1〜20から独立して選択される整数を表す。
もう1つの例示的実施形態では、本発明の複合体は、
[式中、Qは、H及び置換又は非置換C1−C6アルキルから選択される成員である]
から選択される成員である式を含む。添え字e及びfは、1〜2500から独立して選択される整数であり、添え字qは、0〜20から選択される整数である。
もう1つの例示的実施形態では、本発明の複合体は、
[式中、Qは、H及び置換又は非置換C1−C6アルキルから選択される成員、好ましくはMeである]
から選択される成員である式を含む。添え字e、f及びf’は、1〜2500から独立して選択される整数であり、q及びq’は、1〜20から独立して選択される整数である。
もう1つの例示的実施形態では、本発明の複合体は、以下の式:
[式中、添え字m及びnは、0〜5000から独立して選択される整数である。添え字j及びkは、0〜20から独立して選択される整数である。A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10及びA11は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、−NA12A13、−OA12及び−SiA12A13から独立して選択される成員である。A12及びA13は、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換ヘテロアリールから独立して選択される成員である。]
に従った構造を含む。
上記の式に従った1つの実施形態では、分枝重合体は、以下の式:
もう1つの例示的実施形態では、リンカーLaは、アミノグリシン誘導体から選択される成員である。この実施形態による例示的重合体修飾基は、以下の式:
一例では、A1及びA2は、OCH3及びOHから独立して選択される成員である。この例による例示的重合体修飾基は、
修飾基が立体中心を含む上記実施形態、例えばアミノ酸リンカー又はグリセロールに基づくリンカーを含むものの各々において、立体中心はラセミであってもよく又は規定されていてもよい。そのような立体中心が規定されている1つの実施形態では、立体中心は(S)立体配置を有する。もう1つの実施形態では、立体中心は(R)立体配置を有する。
当業者は、分枝重合体のm−PEGのアームの1又はそれ以上が、異なる末端、例えばOH、COOH、NH2、C2−C10−アルキル等を有するPEG部分で置換されていてもよいことを理解する。さらに、上記構造は、α炭素原子と側鎖の官能基との間にアルキルリンカーを挿入する(又は炭素原子を除去する)ことによって容易に修飾される。それ故、「ホモ」誘導体及び高級同族体並びに低級同族体は、本発明において有用な分枝PEGについてのコアの範囲内である。
本明細書で述べる分枝PEG種は、以下のスキーム3に示すような方法によって容易に製造される:
スキーム3:分枝PEG種の製造
それ故、スキーム3に従って、天然又は非天然アミノ酸を活性化m−PEG誘導体、この場合はトシレートと接触させ、側鎖のヘテロ原子Xaをアルキル化することによって1を形成する。モノ官能基化m−PEGアミノ酸を反応性m−PEG誘導体によるN−アシル化条件に供し、それによって分枝m−PEG2を構築する。当業者に認識されるように、トシレート脱離基は、何らかの適切な脱離基、例えばハロゲン、メシレート、トリフレート等で置換することができる。同様に、アミンをアシル化するのに利用される反応性カルボネートも、活性エステル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミド等で置換することができ、又は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール等のような脱水剤を用いて酸をインサイチュー(in situ)で活性化することができる。
例示的な実施形態では、修飾基はPEG部分であるが、何らかの修飾基、例えば水溶性重合体、水不溶性重合体、治療用部分等を、適切な結合を通じてグリコシル部分に組み込むことができる。修飾糖は酵素的手段、化学的手段又はそれらの組合せによって形成され、それによって修飾糖を生成する。例示的実施形態では、修飾部分の結合を可能にし、さらに、糖が、依然として修飾糖をG−CSFペプチドに結合することができる酵素の基質として機能することを可能にする何らかの位置で、糖は活性アミンで置換される。例示的実施形態では、ガラクトサミンが修飾糖であるとき、アミン部分は6位の炭素原子に結合している。
水不溶性重合体
もう1つの実施形態では、上記で論じたものと同様に、修飾糖は、水溶性重合体ではなく水不溶性重合体を含む。本発明の複合体は、1又はそれ以上の水不溶性重合体を含み得る。本発明のこの実施形態は、制御された方法で治療用ペプチドを送達するためのビヒクルとして複合体を使用することによって例示される。重合体薬剤送達系は、当技術分野において公知である。例えばDunn et al., Eds. Polymeric Drugs And Drug Delivery Systems, ACS Symposium Series Vol.469, American Chemical Society, Washington, D.C. 1991参照。当業者は、実質的にいかなる公知の薬剤送達系も本発明の複合体に適用できることを理解する。
もう1つの実施形態では、上記で論じたものと同様に、修飾糖は、水溶性重合体ではなく水不溶性重合体を含む。本発明の複合体は、1又はそれ以上の水不溶性重合体を含み得る。本発明のこの実施形態は、制御された方法で治療用ペプチドを送達するためのビヒクルとして複合体を使用することによって例示される。重合体薬剤送達系は、当技術分野において公知である。例えばDunn et al., Eds. Polymeric Drugs And Drug Delivery Systems, ACS Symposium Series Vol.469, American Chemical Society, Washington, D.C. 1991参照。当業者は、実質的にいかなる公知の薬剤送達系も本発明の複合体に適用できることを理解する。
代表的な水不溶性重合体は、ポリホスファジン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミド、ポリカルボネート、ポリアルキレン、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、プルロニック及びポリビニルフェノール並びにそれらの共重合体を含むが、これらに限定されない。
本発明の複合体において有用な合成的に修飾された天然重合体は、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル及びニトロセルロースを含むが、これらに限定されない。広義のクラスの合成的に修飾された天然重合体の特に好ましい成員は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、並びにアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びアルギン酸の重合体を含むが、これらに限定されない。
本明細書で論じるこれらや他の重合体は、Sigma Chemical Co. (St. Lois, MO.)、Polysciences (Warrenton, PA.)、Aldrich (Milwaukee, WI.)、Fluka (Ronkonkoma, NY)及びBioRad (Richmond, CA)などの商業的供給源から容易に入手できるか、又はさもなければ、標準的手法を用いてこれらの供給者から得た単量体から合成することができる。
本発明の複合体において有用な代表的な生分解性重合体は、ポリラクチド、ポリグリコリド及びそれらの共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、それらの混合物及び共重合体を含むが、これらに限定されない。コラーゲン、プルロニック等を含むもののような、ゲルを形成する組成物は特に有用である。
本発明において有用な重合体は、その構造の少なくとも一部の中に生体吸収性分子を有する水不溶性物質を含む「ハイブリッド」重合体を含む。そのような重合体の一例は、重合体鎖ごとに生体吸収性領域、親水性領域及び複数の架橋性官能基を有する、水不溶性共重合体を含むものである。
本発明において、「水不溶性物質」とは、水又は水を含有する環境に実質的に不溶性である物質を含む。それ故、共重合体の一部の領域又はセグメントが親水性であるか、さらには水溶性であっても、重合体は、全体として、実質的な程度には水に溶解しない。
本発明において、「生体吸収性分子」という用語は、代謝又は分解されて、身体によって吸収される及び/又は通常の排泄経路を通して排出されることができる領域を含む。そのような代謝産物又は分解産物は、好ましくは、身体に対して実質上非毒性である。
生体吸収性領域は、共重合体組成物が全体として水溶性にならない限り、疎水性でも親水性でもよい。それ故、生体吸収性領域は、重合体が全体として水不溶性のままであるという優先条件に基づいて選択される。従って、相対的性質、すなわち、生体吸収性領域に含まれる官能基の種類、並びに生体吸収性領域及び親水性領域の相対的割合は、有用な生体吸収性組成物が水不溶性のままであることを確実にするように選択される。
例示的な吸収性重合体は、例えばポリ(α−ヒドロキシ−カルボン酸)/ポリオキシアルキレンの合成的に生成される吸収性ブロック共重合体を含む(Cohn et al.,米国特許第4,826,945号参照)。これらの共重合体は架橋されておらず、水溶性であるのえ、身体は分解されたブロック共重合体組成物を排出することができる。Younes et al.,J Biomed. Mater. Res. 21:1301-1316 (1987);及びCohn et al., J Biomed. Mater. Res. 22:993-1009 (1988)参照。
現在のところ好ましい生体吸収性重合体は、ポリ(エステル)、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミド)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カルボネート)、ポリ(ホスファジン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(チオエステル)、多糖及びそれらの混合物から選択される1又はそれ以上の成分を含む。さらにより好ましくは、生体吸収性重合体は、ポリ(ヒドロキシ)酸成分を含む。ポリ(ヒドロキシ)酸のうちで、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロン酸、ポリ酪酸、ポリ吉草酸、並びにそれらの共重合体及び混合物が好ましい。
インビボで吸収される(「生体吸収される」)フラグメントを形成することに加えて、本発明の方法で使用するための好ましい重合体被覆物はまた、排出可能及び/又は代謝可能なフラグメントを形成することもできる。
より高次の共重合体も本発明において使用することができる。例えば、1984年3月20日発行のCasey et al.、米国特許第4,438,253号は、ポリグリコール酸及びヒドロキシル末端のポリアルキレングリコールのエステル転移反応から生成されるトリブロック共重合体を開示する。そのような組成物は、吸収性モノフィラメント縫合糸としての使用に関して開示されている。そのような組成物の柔軟性は、テトラ−p−トリルオルトカルボネートなどの芳香族オルトカルボネートの共重合体構造への組込みによって制御される。
乳酸及び/又はグリコール酸を基にする他の重合体も利用できる。例えば、1993年4月13日発行のSpinu、米国特許第5,202,413号は、オリゴマージオール又はジアミン残基上にラクチド及び/又はグリコリドを開環重合させ、続いてジイソシアネート、ジアシルクロリド又はジクロロシランなどの二官能性化合物で鎖を伸長させることによって生成される、ポリラクチド及び/又はポリグリコリドの連続的に配置されたブロックを有する生分解性マルチブロック共重合体を開示する。
本発明において有用な被覆物の生体吸収性領域は、加水分解によって及び/又は酵素的に切断可能であるように設計することができる。本発明において、「加水分解によって切断可能」とは、共重合体、特に生体吸収性領域が、水又は水を含有する環境において加水分解を受けやすいことを指す。同様に、本明細書で使用される「酵素的に切断可能」とは、共重合体、特に生体吸収性領域が、内因性又は外因性の酵素による切断を受けやすいことを指す。
体内に入ったとき、親水性領域は、排出可能及び/又は代謝可能なフラグメントへと処理され得る。それ故、親水性領域は、例えば、ポリエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリオール、ポリ(ビニルピロリジン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アルキルオキサゾリン)、多糖、炭水化物、ペプチド、タンパク質、並びにそれらの共重合体及び混合物を含み得る。さらに、親水性領域はまた、例えばポリ(アルキレン)オキシドでもよい。そのようなポリ(アルキレン)オキシドは、例えばポリ(エチレン)オキシド、ポリ(プロピレン)オキシド、並びにそれらの混合物及び共重合体を含み得る。
ヒドロゲルの成分である重合体も本発明において有用である。ヒドロゲルは、比較的多量の水を吸収することができる重合体物質である。ヒドロゲル形成化合物の例は、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジン、ゼラチン、カラゲナン及び他の多糖類、ヒドロキシエチレンメタクリル酸(HEMA)、並びにそれらの誘導体等を含むが、これらに限定されない。安定で、生分解性且つ生体吸収性であるヒドロゲルを生成することができる。さらに、ヒドロゲル組成物は、これらの性質の1又はそれ以上を示すサブユニットを含んでもよい。
その完全性が架橋を通して制御できる生体適合性ヒドロゲル組成物は公知であり、現在のところ、本発明の方法における使用のために好ましい。例えば、Hubbell et al.の1995年4月25日発行の米国特許第5,410,016号及び1996年6月25日発行の米国特許第5,529,914号は、加水分解的に不安定な2つの伸長部分の間に挟まれた水溶性の中央ブロックセグメントを有する架橋ブロック共重合体である、水溶性の系を開示する。さらに、そのような共重合体は、光重合性アクリル酸官能基で末端キャップされている。架橋されたとき、これらの系はヒドロゲルになる。そのような共重合体の水溶性中央ブロックはポリエチレングリコールを含み得るが、一方加水分解的に不安定な伸長部分は、ポリグリコール酸又はポリ乳酸などのポリ(α−ヒドロキシ酸)であり得る。Sawhney et al., Macromolecules 26:581-587 (1993)参照。
もう1つの実施形態では、ゲルは、熱可逆性ゲルである。プルロニック、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、多類、ポリウレタンヒドロゲル、ポリウレタン尿素ヒドロゲル及びそれらの組合せ物などの成分を含む熱可逆性ゲルが、現在のところ好ましい。
さらにもう1つの例示的実施形態では、本発明の複合体はリポソーム成分を含む。リポソームは、例えば、1985年6月11日発行のEppstein et al.,米国特許第4,522,811号に述べられているいるような、当業者に公知の方法に従って作製できる。例えば、リポソーム製剤は、適切な脂質(ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジルコリン及びコレステロールなど)を無機溶媒中に溶解し、次に溶媒を蒸発させて、容器の表面に乾燥した脂質の薄膜を残すことによって製造され得る。活性化合物又は医薬的に許容されるその塩の水溶液を、その後、容器中に導入する。次に容器を手動で回転させ、容器の側面から脂質物質を遊離させて、脂質凝集体を分散させ、それによってリポソーム懸濁液を形成する。
上記に列挙した微粒子及び微粒子を製造する方法は、例として提供するものであり、本発明において有用な微粒子の範囲を限定することを意図しない。種々の方法によって製造される一連の微粒子が本発明において有用であることは当業者に明白である。
直鎖及び分枝の水溶性重合体に関して上記で論じた構造形態は、一般に水不溶性重合体に関しても適用できる。それ故、例えば、システイン、セリン、ジリシン及びトリリシン分岐コアは、2つの水不溶性重合体部分で官能基化することができる。これらの種を生成するために使用される方法は、一般に水溶性重合体を生成するのに使用される方法に極めて類似する。
他の修飾基
本発明はまた、ポリペプチドがグリコシル連結基を介して治療用部分、診断用部分、標的化部分、毒素部分等に結合されている、上述したものに類似の複合体を提供する。上記に列挙した部分の各々は、低分子、天然重合体(例えばポリペプチド)又は合成重合体であり得る。
本発明はまた、ポリペプチドがグリコシル連結基を介して治療用部分、診断用部分、標的化部分、毒素部分等に結合されている、上述したものに類似の複合体を提供する。上記に列挙した部分の各々は、低分子、天然重合体(例えばポリペプチド)又は合成重合体であり得る。
さらなる実施形態では、本発明は、標的物質が複合体の成分として存在することにより、特定組織に選択的に局在化する複合体を提供する。例示的実施形態では、標的物質はタンパク質である。例示的タンパク質は、トランスフェリン(脳、血液プール)、HS糖タンパク質(骨、脳、血液プール)、抗体(脳、抗体特異的抗原を有する組織、血液プール)、第V〜第XII凝固因子(損傷組織、血餅、癌、血液プール)、血清タンパク質、例えばα酸性糖タンパク質、フェチュイン、α−胎児性タンパク質(脳、血液プール)、β2−糖タンパク質(肝臓、アテローム性動脈硬化症のプラーク、脳、血液プール)、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、及びEPO(免疫刺激、癌、血液プール、赤血球過剰産生、神経保護)、アルブミン(半減期の延長)、IL−2、及びIFN−αを含む。
例示的な標的複合体では、インターフェロンα2β(IFN−α2β)を、PEG部分の各々の末端にグリコシル連結基を含む二官能性リンカーを介してトランスフェリンに結合する(スキーム1)。例えば、PEGリンカーの一方の末端は、トランスフェリンに結合している無傷シアル酸リンカーで官能基化され、他方は、IFN−α2βに結合している無傷C結合型Manリンカーで官能基化される。
生体分子
もう1つの実施形態では、修飾糖は生体分子を担持する。さらなる実施形態では、生体分子は、機能性タンパク質、酵素、抗原、抗体、ペプチド、核酸(例えば単一ヌクレオチド又はヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、並びに一本鎖及び多重鎖核酸)、レクチン、受容体又はそれらの組合せである。
もう1つの実施形態では、修飾糖は生体分子を担持する。さらなる実施形態では、生体分子は、機能性タンパク質、酵素、抗原、抗体、ペプチド、核酸(例えば単一ヌクレオチド又はヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、並びに一本鎖及び多重鎖核酸)、レクチン、受容体又はそれらの組合せである。
好ましい生体分子は、基本的に非蛍光性であるか又はアッセイにおいて蛍光マーカーとして使用するには不適切な程度の極微量の蛍光しか発しない。さらに、糖ではない生体分子を使用することが一般に好ましい。この優先条件に対する例外は、別の実体(例えばPEG、生体分子、治療用部分、診断用部分等)の共有結合によって修飾されている、その他の点では天然に生じる糖の使用である。例示的実施形態では、生体分子である糖部分をリンカーアームに結合し、その後、糖−リンカーアームのカセットを本発明の方法によってポリペプチドに結合する。
本発明を実施する上で有用な生体分子は、いかなる供給源からも誘導することができる。生体分子は、天然供給源から単離され得るか又は合成的方法によって生成され得る。ポリペプチドは天然ポリペプチド又は変異ポリペプチドのいずれでもよい。突然変異は、化学的突然変異誘発、部位指定突然変異誘発又は当業者に公知の突然変異を誘導する他の手段によって生じさせることができる。本発明を実施する上で有用なポリペプチドは、例えば酵素、抗原、抗体及び受容体を含む。抗体は、ポリクローナル又はモノクローナルのいずれでもよく、無傷又はフラグメントのいずれでもよい。ポリペプチドは、場合により、指定進化のプログラムの産物である。
天然由来及び合成の両方のポリペプチド並びに核酸は、本発明と組み合わせて有用である;これらの分子は、使用可能な反応性基によって糖残基成分又は架橋剤に結合することができる。例えば、ポリペプチドは、反応性アミン、カルボキシル、スルフヒドリル又はヒドロキシル基を通して結合できる。反応性基は、ポリペプチドの末端又はポリペプチド鎖の内部部位に存在し得る。核酸は、塩基上の反応性基(例えば環外アミン)又は糖部分上の使用可能なヒドロキシル基(例えば3’−又は5’−ヒドロキシル)を通して結合できる。ペプチド及び核酸鎖は、鎖への適切な反応性基の結合を可能にするために1又はそれ以上の部位でさらに誘導体化することができる。Chrisey et al. Nucleic Acids Res. 24:3031-3039 (1996)参照。
さらなる実施形態では、生体分子は、本発明の方法によって修飾されたポリペプチドを特定組織に向け、それによりその組織へのポリペプチドの送達を、その組織に送達される非誘導体化ポリペプチドの量に比べて増大させるように選択される。さらなる実施形態では、選択された期間内に特定組織に送達される誘導体化ポリペプチドの量は、誘導体化によって少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約100%増大される。現在、標的化適用のための好ましい生体分子は、抗体、ホルモン及び細胞表面受容体に対するリガンドを含む。
さらなる例示的実施形態では、ビオチンとの複合体として提供される。そこで、例えば、選択的にビオチン化されたポリペプチドが、1又はそれ以上の修飾基を担持するアビジン又はストレプトアビジン部分の結合によって生成される。
治療用部分
もう1つの実施形態では、修飾糖は治療用部分を含む。当業者は、治療用部分と生体分子のカテゴリーの間に重複が存在することを理解する;多くの生体分子は治療的性質又は潜在能を有する。
もう1つの実施形態では、修飾糖は治療用部分を含む。当業者は、治療用部分と生体分子のカテゴリーの間に重複が存在することを理解する;多くの生体分子は治療的性質又は潜在能を有する。
治療用部分は、臨床使用に関して既に承認されている薬剤であってもよく、又はその使用が実験段階である、又はその活性若しくは作用機構が試験中である薬剤であってもよい。治療用部分は、所与の疾患状態において証明された作用を有してもよく、又は所与の疾患状態において望ましい作用を示すとの仮説が立てられているだけでもよい。もう1つの実施形態では、治療用部分は、選択された組織と相互作用する能力に関してスクリーニングされる化合物である。本発明を実施する上で有用な治療用部分は、様々な薬理活性を有する広い範囲の薬剤クラスからの薬剤を含む。好ましい治療用部分は、基本的に非蛍光性であるか、又はアッセイにおいて蛍光マーカーとして使用するには不適切な程度の極微量の蛍光しか発しない。さらに、糖ではない治療用部分を使用することが一般に好ましい。この優先条件に対する例外は、PEG、生体分子、治療用部分、診断用部分等のような、別の実体の共有結合によって修飾されている糖の使用である。もう1つの例示的実施形態では、治療用糖部分をリンカーアームに結合し、その後、糖−リンカーアームのカセットを本発明の方法によってポリペプチドに結合する。
治療用物質及び診断用物質を様々な他の種に結合する方法は当業者に周知である。例えばHermanson, Bioconjugate Techniques, Academic Press, San Diego, 1996;及びDunn et al., Eds. Polymeric Drugs And Drug Delivery Systems, ACS Symposium Series Vol.469, American Chemical Society, Washington, D.C. 1991参照。
例示的実施形態では、治療用部分は、選択された条件下で切断される結合を介して修飾糖に結合される。例示的な条件は、選択されたpH、(例えば胃、腸、エンドサイトーシス小胞)、活性酸素の存在(例えばエステラーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ)、光、熱等を含む。多くの切断可能な基が当技術分野において公知である。例えば、Jung et al., Biochem. Biophys.Acta, 761:152-162 (1983); Joshi et al., J. Biol. Chem., 265:14518-14525 (1990); Zarling et al., J. Immunol., 124:913-920 (1980); Bouizar et al., Eur. J. Biochem., 155:141-147 (1986); Park et al., J. Biol. Chem., 261:205-210 (1986); Browning et al., J. Immunol., 143:1859-1867 (1989)参照。
有用な治療用部分のクラスには、例えば非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)が含まれる。NSAIDSは、例えば、以下のカテゴリー:(例えば、プロピオン酸誘導体、酢酸誘導体、フェナム酸誘導体、ビフェニルカルボン酸誘導体及びオキシカム);ヒドロコルチゾン等を含むステロイド系抗炎症薬;抗ヒスタミン薬(例えばクロルフェニラミン、トリプロリジン);鎮咳薬(例えばデキストロメトルファン、コデイン、カラミフェン及びカルベタペンタン);鎮痒薬(例えばメトジラジン及びトリメプラジン);抗コリン作用薬(例えばスコポラミン、アトロピン、ホマトロピン、レボドパ);鎮吐薬及び制吐薬(例えばシクリジン、メクリジン、クロルプロマジン、ブクリジン);食欲抑制薬(例えばベンズフェタミン、フェンテルミン、クロルフェンテルミン、フェンフルラミン);中枢興奮薬(例えばアンフェタミン、メタンフェタミン、デキストロアンフェタミン及びメチルフェニデート);抗不整脈薬(例えばプロパノロール、プロカインアミド、ジソピラミド、キニジン、エンカイニド);βアドレナリン遮断薬(例えばメトプロロール、アセブトロール、ベタキソロール、ラベタロール及びチモロール);強心薬(例えばミルリノン、アムリノン及びドブタミン);抗高血圧薬(例えばエナラプリル、クロニジン、ヒドララジン、ミノキシジル、グアナドレル、グアネチジン);利尿薬(例えばアミロリド及びヒドロクロロチアジド);血管拡張薬(例えばジルチアゼム、アミオダロン、イソクスプリン、ナイリドリン、トラゾリン及びベラパミル);血管収縮薬(例えばジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン及びメチルセルギド);抗潰瘍薬(例えばラニチジン及びシメチジン);麻酔薬(例えばリドカイン、ブピバカイン、クロロプロカイン、ジブカイン);抗うつ薬(例えばイミプラミン、デシプラミン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン);精神安定薬及び鎮静薬(例えばクロルジアゼポキシド、ベナシチジン、ベンズキナミド、フルラゼパム、ヒドロキシジン、ロキサピン及びプロマジン);抗精神病薬(例えばクロルプロチキセン、フルフェナジン、ハロペリドール、モリンドン、チオリダジン及びトリフロペラジン);抗微生物薬(抗菌薬、抗真菌薬、抗原虫薬及び抗ウイルス薬)から選択することができる。
本発明の組成物に組み込むために好ましい抗菌薬は、例えば、β−ラクタム系薬剤、キノロン系薬剤、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、アミカシン、トリクロサン、ドキシサイクリン、カプレオマイシン、クロルヘキシジン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クリンダマイシン、エタンブトール、ヘキサミジンイソチオネート、メトロニダゾール、ペンタミジン、ゲンタマイシン、カナマイシン、リネオマイシン、メタサイクリン、メテナミン、ミノサイクリン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ミコナゾール及びアマンタジンの医薬的に許容される塩を含む。
本発明を実施する上で有用な他の薬剤部分は、抗腫瘍薬(例えば抗男性ホルモン(例えばロイプロリド又はフルタミド)、細胞破壊薬(例えばアドリアマイシン、ドキソルビシン、タキソール、シクロホスファミド、ブスルファン、シスプラスチン、β2−インターフェロン)、抗エストロゲン(例えばタモキシフェン)、代謝拮抗物質(例えばフルオロウラシル、メトトレキセート、メルカプトプリン、チオグアニン)を含む。診断及び治療の両方のための放射性同位体に基づく薬剤、並びにリシン、ゲルダナマイシン、マイタンシン(mytansin)、CC−1065、デュオカルマイシン類、クリケアマイシン及び関連構造体などの複合毒素、並びにそれらの類似体もこのクラスに包含される。
治療用部分はまた、ホルモン(例えばメドロキシプロゲステロン、エストラジオール、ロイプロリド、メゲストロール、オクトレオチド又はソマトスタチン);筋弛緩薬(例えばシンナメドリン、シクロベンザプリン、フラボキセート、オルフェナドリン、パパベリン、メベベリン、イダベリン、リトドリン、ジフェノキシレート、ダントロレン及びアズモレン);鎮痙薬;骨活性化薬(例えばジホスホネート及びホスホノアルキルホスフィネート薬剤化合物);内分泌調節薬(例えば避妊薬(例えばエチノジオール、エチニルエストラジオール、ノルエチンドロン、メストラノール、デソゲストレル、メドロキシプロゲステロン)、糖尿病の調節薬(modulators of diabetes)(例えばグリブリド又はクロルプロパミド)、テストラクトン又はスタノゾロールなどのアナボリック、アンドロゲン(例えばメチルテストステロン、テストステロン又はフルオキシメステロン)、抗利尿薬(例えばデスモプレシン)、及びカルシトニンであり得る。
エストロゲン(例えばジエチルスチルベステロール)、糖質コルチコイド(例えばトリアムシノロン、ベタメタゾン等)及びノルエチンドロン、エチノジオール、ノルエチンドロン、レボノルゲストレルなどの黄体ホルモン;甲状腺剤(例えばリオチロニン若しくはレボチロキシン)又は抗甲状腺剤(例えばメチマゾール);抗高プロラクチン血症薬(例えばカベルゴリン);ホルモン抑制剤(例えばダナゾール又はゴセレリン)、分娩促進薬(例えばメチルエルゴノビン又はオキシトシン)及びミオプロストール、アルプロスタジル又はジノプロストンなどのプロスタグランジンも本発明において有用である。
他の有用な修飾基は、免疫調節薬(例えば抗ヒスタミン薬)、ロドキサミド及び/又はクロモリンなどの肥満細胞安定化剤、ステロイド類(例えばトリアムシノロン、ベクロメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベクロメタゾン又はクロベタゾール)、ヒスタミンH2拮抗薬(例えばファモチジン、シメチジン、ラニチジン)、免疫抑制薬(例えばアザチオプリン、シクロスポリン)等を含む。スリンダク、エトドラク、ケトプロフェン及びケトロラクなど抗炎症活性を有する群も有用である。本発明と組み合わせて有用な他の薬剤は、当業者に明白である。
修飾糖ヌクレオチド
修飾糖ヌクレオチド
本発明のある実施形態では、修飾糖をペプチドに付加するために修飾糖ヌクレオチドを利用する。修飾形態で本発明において使用される例示的な糖ヌクレオチドは、一リン酸ヌクレオチド、二リン酸ヌクレオチド若しくは三リン酸ヌクレオチド又はそれらの類似体を含む。好ましい実施形態では、修飾糖ヌクレオチドは、UDP−グリコシド、CMP−グリコシド及びGDP−グリコシドから選択される。さらにより好ましくは、修飾糖ヌクレオチドは、UDP−ガラクトース、UDP−ガラクトサミン、UDP−グルコース、UDP−グルコサミン、GDP−マンノース、GDP−フコース、CMP−シアル酸及びCMP−NeuAcから選択される。糖ヌクレオチドのN−アセチルアミン誘導体も、本発明の方法において有用である。
特に好ましい実施形態では、本発明の方法において有用な修飾糖ヌクレオチドは、糖部分がグルコサミン部分及びグルコサミンミメティック部分から選択される成員であるUDP−糖である。それ故、3番目の態様では、本発明は、式(XI):
[式中、各々のQは、H、負電荷及び塩の対イオン(例えばNa、K、Li、Mg、Mn、Fe)から選択される成員である]
に従った構造を有する化合物を提供する。Eは、O、S及びCH2から選択される成員である。Gは、−CH2−及びC=A[式中、AはO、S及びNR27から選択される成員であり、前記式中、R27は、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから選択される成員である]から選択される成員である。E1は、O及びSから選択される成員である。R21、R22、R23及びR24は、H、OR25、SR25、NR25R26、NR25S(O)2R26、S(O)2NR25R26、NR25C(O)R26、C(O)NR25R26、C(O)OR25、アシル、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから独立して選択される成員であり、前記式中、R25及びR26は、H、アシル、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから独立して選択される成員である。例示的実施形態では、修飾糖ヌクレオチドは、式(XIa)又は(XIb):
上記実施形態のいずれかによる一例では、R21、R22、R23及びR24の少なくとも1つは重合体修飾基を含む。上記実施形態、例えば式(XI)、(XIa)及び(XIb)のいずれかに従ったもう1つの例では、E及びE1はどちらも酸素(O)である。さらにもう1つの例では、修飾糖ヌクレオチドは、修飾されたUDP−GlcNAc又は修飾されたGlcNHである。さらなる例では、修飾されたUDP−GlcNAc又は修飾されたGlcNHは、2位又は6位で重合体修飾基によって修飾されている。
一例では、修飾糖ヌクレオチドの糖部分は、ポリアルキレンオキシド部分(例えばPEG又はPPG)などの水溶性重合体を含む重合体修飾基で修飾される。例示的な修飾糖ヌクレオチドは、糖鎖上のアミン部分を介して修飾されたグリコシル部分又はグリコシルミメティック部分を担持する。例えば、サッカリルアミン(修飾基を持たない)をペプチド(又は他の種)に酵素的に結合し、その後遊離アミン部分を所望修飾基に結合することができる。あるいは、修飾糖ヌクレオチドは、修飾糖をポリペプチド上のサッカリル受容体に転移する酵素に対する基質として機能することができる。
以下の考察では、本発明を実施する上で有用な修飾糖ヌクレオチドの特定例のいくつかを述べる。例示的実施形態では、グルコース、グルコースミメティック部分、グルコサミン部分、グルコサミンミメティック部分又はそれらの何らかの誘導体が、修飾基を結合する糖部分として利用される。グルコサミン誘導体に関する考察の焦点は説明を明瞭にすることであり、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。当業者は、様々なタンパク質の糖部分が本明細書で述べる例と同様の方法で活性化され、誘導体化され得ることを理解する。例えば、当技術分野で認識されている方法によって容易に修飾される糖基質のほんの数例として、ガラクトース、シアル酸、グルコース、N−アセチルガラクトサミン及びフコースを修飾するために数多くの方法が利用可能である。例えばElhalabi et al., Curr. Med. Chem. 6:93 (1999)及びSchafer et al., J. Org. Chem. 65:24 (2000)参照。
例示的実施形態では、修飾糖ヌクレオチドはグルコサミン部分に基づく。スキーム3及びスキーム4に示すように、グルコサミン又はN−アセチルグルコサミンは標準的方法を用いて2位又は6位で修飾することができる。
スキーム3:例示的修飾糖ヌクレオチドの製造
上記スキーム3において、添え字nは、0〜5000、好ましくは10〜2500、より好ましくは10〜1200の整数を表す。Laは、結合及びリンカー基であり、X*は、直鎖及び分枝から選択される重合体修飾基である。記号「A」は、活性化基、例えばハロ、活性化エステル(例えばN−ヒドロキシスクシンイミドエステル)の成分、カルボネート(例えばp−ニトロフェニルカルボネート)の成分等を表す。Qは、H、負電荷又は塩の対イオン(例えばNa+)である。スキーム3では、GlcNAc部分の第一ヒドロキシル基が最初に酸化されてアルデヒド基になり(例えばグルコースオキシダーゼなどのオキシダーゼを使用して)、それがさらに還元的アミノ化を介してアミンに変換される。当業者は、他のPEG−アミドヌクレオチド糖がこの方法や他の類似の方法によって容易に製造されることを理解する。
他の例示的実施形態では、アミド部分がウレタン又は尿素などの基によって置換される。
スキーム4:例示的修飾糖ヌクレオチドの製造
スキーム4では、グルコサミン1を保護されたアミノ酸(例えばグリシン)誘導体の活性化エステルで処理して、保護されたアミノ酸アミド付加物2を形成する。化合物2を、例えばUDP−Glcシンテターゼなどの酵素の作用を通して対応するUDP誘導体に変換し、続いてUDP誘導体の接触水素化によって化合物3を生成する。化合物3を活性化(m−)PEG誘導体(例えばPEG−C(O)NHS)と反応させることにより、グリシン側鎖のアミノ基をPEG又はPPGなどの重合体修飾基の結合に利用する。あるいは、化合物3を(m−)PPG誘導体(例えばPPG−C(O)NHS)と反応させて、対応するPPG類似体を得てもよい。アミン反応性PEG及びPPG類似体は市販されているか、又は当業者が容易に利用可能な方法によって製造できる。
本発明を実施する上で有用な修飾糖ヌクレオチドの糖部分は、以下の図(XIIa)及び(XIIb):
図(XIIa)及び(XIIb)において、X1、X2、X3及びX4は、連結基から独立して選択され、好ましくは単結合、−O−、−NRe−、−S−及び−CH2−から選択され、前記式中、各々のReは、Ra、Rb、Rc及びRdから独立して選択される成員である。記号Ra、Rb、Rc及びRdは、H、アシル(例えばアセチル)、修飾基(例えば重合体修飾基、治療用部分、生体分子等)及び修飾基に結合しているリンカーから独立して選択される。
上記構造において、Ra、Rb、Rc及びRdの少なくとも1つは、重合体修飾基などの修飾基を含む。2位及び6位が、重合体修飾基による糖部分の修飾のために特に好ましい。図(XIIb)において、Aは、O、S、NRfであり、前記式中、Rfは、H、Ra、Rb、Rc及びRd、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換シクロアルキル及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから選択される成員である。
一例では、Ra、Rb、Rc及びRdの少なくとも1つは、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド部分(例えばPEG又はPPG部分)を組み込んだ重合体修飾基を含む。もう1つの例では、Ra、Rb、Rc及びRdの少なくとも1つは、PEG、PPG、アシル−PEG、アシル−PPG、アルキル−PEG、アシル−アルキル−PEG、カルバモイル−PEG、カルバモイル−PPG、アリール−PEG、アシル−アリール−PEG、アリール−PPG、アシル−アリール−PPG、マンノース−6−ホスフェート、ヘパリン、ヘパラン、SLex、マンノース、コンドロイチン、ケラタン、デルマタン、アルブミン、ポリペプチド(本明細書で開示するもののいずれかなど)、ペプチド等(例えばFGF、VFGF、インテグリン)から選択される部分を含む。
以下の表12は、重合体修飾基などの修飾基(例えば、PEG又はPPG部分などの水溶性修飾基)で誘導体化された修飾糖ヌクレオチドの代表的な例を示す。表12の化合物の一部は、スキーム3の方法によって製造される。他の誘導体は、当技術分野で認識されている方法によって製造される。例えばKeppler et al., Glycobiology 11:11R (2001);及びCharter et al., Glycobiology 10:1049 (2000)参照。
さらなる実施形態では、重合体修飾基は、分枝PEG、例えば本明細書で示す種の1つである。この実施形態による例示的な修飾糖ヌクレオチド又はポリペプチド複合体は、
例示的な修飾糖ヌクレオチドは、
他の例示的な修飾糖ヌクレオチドは、
他の例示的な修飾糖ヌクレオチドは、
活性化糖
他の実施形態では、修飾糖は活性化糖である。本発明において有用な活性化された修飾糖は、典型的には脱離基を含むように合成的に改変されたグリコシドである。一例では、活性化糖は、活性化糖をペプチド又は糖ペプチド上の受容体に転移するための酵素反応において使用される。もう1つの例では、活性化糖は化学的手段によってペプチド又は糖ペプチドに付加される。「脱離基(又は活性化基)」は、酵素によって調節される求核置換反応で容易に置換される部分、あるいは求核反応のパートナー(例えばスルフヒドリル基を担持するグリコシル部分)を利用した化学反応において置換される部分を指す。各々のタイプの反応に適切な脱離基を選択することは当業者の能力の範囲内である。多くの活性化糖が当技術分野において公知である。例えばVocadlo et al., In Carbohydrate Chemistry and Biology, Vol.2, Ernst et al.Ed., Wiley-VCH Verlag: Weinheim, Germany, 2000; Kodama et al., Tetrahedron Lett. 34:6419 (1993); Lougheed, et al., J.Biol. Chem. 274:37717 (1999)参照。
他の実施形態では、修飾糖は活性化糖である。本発明において有用な活性化された修飾糖は、典型的には脱離基を含むように合成的に改変されたグリコシドである。一例では、活性化糖は、活性化糖をペプチド又は糖ペプチド上の受容体に転移するための酵素反応において使用される。もう1つの例では、活性化糖は化学的手段によってペプチド又は糖ペプチドに付加される。「脱離基(又は活性化基)」は、酵素によって調節される求核置換反応で容易に置換される部分、あるいは求核反応のパートナー(例えばスルフヒドリル基を担持するグリコシル部分)を利用した化学反応において置換される部分を指す。各々のタイプの反応に適切な脱離基を選択することは当業者の能力の範囲内である。多くの活性化糖が当技術分野において公知である。例えばVocadlo et al., In Carbohydrate Chemistry and Biology, Vol.2, Ernst et al.Ed., Wiley-VCH Verlag: Weinheim, Germany, 2000; Kodama et al., Tetrahedron Lett. 34:6419 (1993); Lougheed, et al., J.Biol. Chem. 274:37717 (1999)参照。
脱離基の例は、ハロゲン(例えばフルオロ、クロロ、ブロモ)、トシレートエステル、メシレートエステル、トリフレートエステル等を含む。酵素媒介反応における使用のための好ましい脱離基は、受容体へのグリコシドの酵素による転移を立体的に有意に妨げないものである。従って、活性化されたグリコシド誘導体の好ましい実施形態は、グリコシルフルオリド及びグリコシルメシレートを含み、グリコシルフルオリドが特に好ましい。グリコシルフルオリドの中で、α−ガラクトシルフルオリド、α−マンノシルフルオリド、α−グルコシルフルオリド、α−フコシルフルオリド、α−キシロシルフルオリド、α−シアリルフルオリド、α−N−アセチルグルコサミニルフルオリド、α−N−アセチルガラクトサミニルフルオリド、β−ガラクトシルフルオリド、β−マンノシルフルオリド、β−グルコシルフルオリド、β−フコシルフルオリド、β−キシロシルフルオリド、β−シアリルフルオリド、β−N−アセチルグルコサミニルフルオリド及びβ−N−アセチルガラクトサミニルフルオリドが最も好ましい。非酵素的求核置換のためには、これらや他の脱離基が有用であり得る。例えば、活性化供与体グリコシドは、ジニトロフェニル(DNP)又はブロモグリコシドであり得る。
例示として、グリコシルフルオリドは、最初に糖をアセチル化し、次に糖部分をHF/ピリジンで処理することによって遊離糖から製造できる。これにより、保護された(アセチル化された)グリコシルフルオリド(すなわちα−グリコシルフルオリド)の熱動態学的に最も安定なアノマーが生成される。より安定性の低いアノマー(すなわちβ−グリコシルフルオリド)を所望する場合は、過アセチル化された糖をHBr/HOAc又はHClを用いて変換し、アノマー臭化物又は塩化物を生成することによって製造できる。この中間体をフッ化銀などのフッ化塩と反応させて、グリコシルフルオリドを生成する。アセチル化されたグリコシルフルオリドは、メタノール中の弱(触媒性)塩基(例えばNaOMe/MeOH)との反応によって脱保護し得る。加えて、多くのグリコシルフルオリドが市販されている。
他の活性化されたグリコシル誘導体は、当業者に公知の従来の方法を用いて製造できる。例えば、グリコシルメシレートは、完全にベンジル化された糖のヘミアセタール形態を塩化メシルで処理し、次に接触水素化によってベンジル基を除去することによって製造できる。
さらなる例示的な実施形態では、修飾糖は、アンテナ構造を有するオリゴ糖である。もう1つの実施形態では、アンテナの末端の1又はそれ以上が修飾部分を担持する。複数の修飾部分がアンテナ構造を有するオリゴ糖に結合しているとき、このオリゴ糖は修飾部分を「増幅する」ために有用であり、ペプチドに結合している各々のオリゴ糖単位は、修飾基の複数のコピーをペプチドに結合する。上記の図で示した本発明の典型的な複合体の一般構造は、アンテナ構造を利用して本発明の複合体を作製することから生じる多価の種を包含する。多くのアンテナ型糖構造体が当技術分野において公知であり、本発明の方法は、限定を伴わずにそれらを用いて実施することができる。
修飾糖の製造
一般に、糖部分と修飾基との間の共有結合は反応性官能基の使用を通して形成され、それらの反応性官能基は、典型的には結合過程によって新しい有機官能基又は非反応性種に変換される。結合を形成するため、修飾基と糖部分は相補的な反応性官能基を担持する。反応性官能基は糖部分上のいかなる位置に存在してもよい。
一般に、糖部分と修飾基との間の共有結合は反応性官能基の使用を通して形成され、それらの反応性官能基は、典型的には結合過程によって新しい有機官能基又は非反応性種に変換される。結合を形成するため、修飾基と糖部分は相補的な反応性官能基を担持する。反応性官能基は糖部分上のいかなる位置に存在してもよい。
本発明を実施する上で有用な反応性基及び反応のクラスは、一般にバイオコンジュゲート化学の技術分野において周知のものである。反応性糖部分を用いて使用可能な反応の現時点で好ましいクラスは、比較的穏やかな条件下で進行する反応である。これらは、求核置換(例えばハロゲン化アシル、活性エステルとアミン及びアルコールの反応)、求電子置換(例えばエナミン反応)、並びに炭素−炭素及び炭素−ヘテロ原子多重結合への付加(例えばマイケル反応、ディールス−アルダー付加)を含むが、これらに限定されない。これら及び他の有用な反応は、例えばMarch, Advanced Organic Chemistry, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, 1985; Hermanson, Bioconjugate Techniques, Academic Press, San Diego,1996;及びFeeney et al., Modification of Proteins;Advances in Chemistry Series, Vol.198, American Chemical Society, Washington, D.C., 1982の中で論じられている。
反応性官能基
糖の核又は修飾基から懸垂している有用な反応性官能基は、以下を含むが、これらに限定されない:
(a)N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、酸ハロゲン化物、アシルイミダゾール、チオエステル、p−ニトロフェニルエステル、アルキル、アルケニル、アルキニル及び芳香族エステルを含むが、これらに限定されないカルボキシル基及び様々なその誘導体、
(b)例えばエステル、エーテル、アルデヒド等に転換することができるヒドロキ
シル基、
(c)例えばアミン、カルボン酸アニオン、チオールアニオン、カルボアニオン又はアルコキシドイオンなどの求核基でハロゲン化物を後に置換することができ、それによってハロゲン原子の官能基で新しい基の共有結合を生じさせるハロアルキル基、
(d)例えばマレイミド基のような、ディールス−アルダー反応に関与することができる求ジエン基、
(e)例えばイミン、ヒドラゾン、セミカルバゾン若しくはオキシムなどのカルボニル誘導体の形成を介して、又はグリニャール付加やアルキルリチウム付加のような機構を介して、その後の誘導体化が可能であるようなアルデヒド基又はケトン基、
(f)例えばスルホンアミドを形成するために、その後アミンと反応させるためのハロゲン化スルホニル基、
(g)例えばジスルフィドに変換する又はハロゲン化アシルと反応させることができる、チオール基、
(h)例えばアシル化、アルキル化又は酸化することができる、アミン基又はスルフヒドリル基、
(i)例えば付加環化、アシル化、マイケル付加等を受けることができるアルケン、並びに、
(j)例えばアミン及びヒドロキシル化合物と反応することができる、エポキシド。
糖の核又は修飾基から懸垂している有用な反応性官能基は、以下を含むが、これらに限定されない:
(a)N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、酸ハロゲン化物、アシルイミダゾール、チオエステル、p−ニトロフェニルエステル、アルキル、アルケニル、アルキニル及び芳香族エステルを含むが、これらに限定されないカルボキシル基及び様々なその誘導体、
(b)例えばエステル、エーテル、アルデヒド等に転換することができるヒドロキ
シル基、
(c)例えばアミン、カルボン酸アニオン、チオールアニオン、カルボアニオン又はアルコキシドイオンなどの求核基でハロゲン化物を後に置換することができ、それによってハロゲン原子の官能基で新しい基の共有結合を生じさせるハロアルキル基、
(d)例えばマレイミド基のような、ディールス−アルダー反応に関与することができる求ジエン基、
(e)例えばイミン、ヒドラゾン、セミカルバゾン若しくはオキシムなどのカルボニル誘導体の形成を介して、又はグリニャール付加やアルキルリチウム付加のような機構を介して、その後の誘導体化が可能であるようなアルデヒド基又はケトン基、
(f)例えばスルホンアミドを形成するために、その後アミンと反応させるためのハロゲン化スルホニル基、
(g)例えばジスルフィドに変換する又はハロゲン化アシルと反応させることができる、チオール基、
(h)例えばアシル化、アルキル化又は酸化することができる、アミン基又はスルフヒドリル基、
(i)例えば付加環化、アシル化、マイケル付加等を受けることができるアルケン、並びに、
(j)例えばアミン及びヒドロキシル化合物と反応することができる、エポキシド。
反応性官能基は、反応性の糖の核又は修飾基を構築するために必要な反応に関与しないように又は干渉しないように選択することができる。あるいは、反応性官能基を、保護基の存在によって反応に関与することから保護できる。当業者は、いかにして特定の官能基を選択された一連の反応条件に干渉しないように保護するかを理解する。有用な保護基の例については、例えばGreene et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991参照。
架橋基
本発明の方法において使用される修飾糖の調製は、糖残基に修飾基を付加し、グリコシルトランスフェラーゼに対する基質となる安定な付加物を形成することを含む。糖と修飾基は、ゼロ次又は高次架橋剤によって結合することができる。修飾基を糖質部分に結合するために使用できる例示的な二官能性化合物は、二官能性ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステル等を含むが、これらに限定されない。糖質を他の分子に連結するための一般的なアプローチは文献において公知である。例えばLee et al., Biochemistry 28:1856 (1989); Bhatia et al., Anal. Biochem. 178:408 (1989); Janda et al., J. Am. Chem. Soc. 112:8886 (1990)及びBednarski et al.,国際公開公報第WO92/18135号参照。以下の考察では、反応性基を、新生修飾糖の糖部分上で穏やかに処理する。考察の焦点は例示を明瞭にすることである。当業者は、この考察が修飾基上の反応性基にも関連することを理解する。
本発明の方法において使用される修飾糖の調製は、糖残基に修飾基を付加し、グリコシルトランスフェラーゼに対する基質となる安定な付加物を形成することを含む。糖と修飾基は、ゼロ次又は高次架橋剤によって結合することができる。修飾基を糖質部分に結合するために使用できる例示的な二官能性化合物は、二官能性ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステル等を含むが、これらに限定されない。糖質を他の分子に連結するための一般的なアプローチは文献において公知である。例えばLee et al., Biochemistry 28:1856 (1989); Bhatia et al., Anal. Biochem. 178:408 (1989); Janda et al., J. Am. Chem. Soc. 112:8886 (1990)及びBednarski et al.,国際公開公報第WO92/18135号参照。以下の考察では、反応性基を、新生修飾糖の糖部分上で穏やかに処理する。考察の焦点は例示を明瞭にすることである。当業者は、この考察が修飾基上の反応性基にも関連することを理解する。
様々な試薬が修飾糖の成分を分子内化学架橋で修飾するために使用される(架橋試薬及び架橋手順の総説については、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれる、Wold, F., Meth. Enzymol. 25:623-651, 1972; Weetall, H.H., and Cooney, D.A., In:Enzymes as Drugs. (Holcenberg, and Roberts, eds.) pp.395-442, Wiley, New York, 1981; Ji, T. H., Meth. Enzymol. 91:580-609, 1983; Mattson et al., Mol. Biol. Rep. 17:167-183, 1993参照)。好ましい架橋試薬は、様々なゼロ長、ホモ二官能性及びヘテロ二官能性の架橋試薬から誘導される。ゼロ長架橋試薬は、外因性物質を導入せずに2つの内因性化学基を直接結合することを含む。ジスルフィド結合の形成を触媒する作用物質はこのカテゴリーに属する。もう1つの例は、カルボジイミド、エチルクロロホルメート、ウッドワード試薬K(2−エチル−5−フェニルイソオキサゾリウム−3’−スルホネート)及びカルボニルジイミダゾールなどの、カルボキシル基と第一級アミノ基の縮合を誘導してアミド結合を形成する試薬である。これらの化学的試薬に加えて、酵素トランスグルタミナーゼ(グルタミル−ペプチドγ−グルタミルトランスフェラーゼ;EC2.3.2.13)もゼロ長架橋試薬として使用し得る。この酵素は、通常、第一級アミノ基を基質として、タンパク質結合グルタミニル残基のカルボキサミド基でのアシル転移反応を触媒する。好ましいホモ及びヘテロ二官能性試薬は、アミノ、スルフヒドリル、グアニジノ、インドール又は非特異的な基と反応し得る、それぞれ2つの同一部位又は2つの異なる部位を含む。
部位特異的な反応性部分の使用に加えて、本発明は、糖を修飾基に連結する非特異的な反応性基の使用を考慮する。
例示的な非特異的架橋剤は、適切なエネルギーの光子を吸収したとき反応性種に変換される、暗所で完全に不活性な光活性化可能基を含む。1つの実施形態では、光活性化可能基は、アジドを加熱又は光分解したときに生成されるナイトレンの前駆物質から選択される。電子不足ナイトレンは極めて反応性であり、N−H、O−H、C−H及びC=Cを含む様々な化学結合と反応し得る。3つのタイプのアジド(アリール、アルキル及びアシル誘導体)を使用し得るが、現在のところアリールアジドが使用される。光分解したときのアリールアジドの反応性は、C−H結合よりもN−H及びO−H結合の方が良好である。電子不足のアリールナイトレンは速やかに環拡大して、C−H挿入生成物を形成するよりも求核試薬と反応する傾向がある、デヒドロアゼピンを形成する。アリールアジドの反応性は、環の中にニトロ基又はヒドロキシル基などの電子求引性置換基が存在することによって増大され得る。そのような置換基は、アリールアジドの吸収極大をより長い波長に押し上げる。置換されていないアリールアジドは260〜280nmの範囲の吸収極大を有するのに対し、ヒドロキシ及びニトロアリールアジドは、305nmを超える有意の光を吸収する。それ故、ヒドロキシ及びニトロアリールアジドは、親和性成分に対して非置換アリールアジドよりも有害性の低い光分解条件を使用することを可能にするため、最も好ましい。
さらなる実施形態では、リンカー基は、切断されて糖残基から修飾基を遊離することができる基を備える。多くの切断可能な基が当技術分野において公知である。例えばJung et al., Biochem. Biophys. Acta 761:152-162 (1983); Joshi et al., J. Biol. Chem. 265:14518-14525 (1990); Zarling et al., J. Immunol. 124:913-920 (1980); Bouizar et al., Eur. J. Biochem. 155:141-147 (1986); Park et al., J. Biol. Chem. 261:205-210 (1986); Browning et al., J. Immunol. 143:1859-1867 (1989)参照。さらに、広い範囲の切断可能な二官能性(ホモ二官能性及びヘテロ二官能性の両方)のリンカー基がPierceなどの供給業者から市販されている。
例示的な切断可能部分は、光、熱、又はチオール、ヒドロキシルアミン、塩基、過ヨウ素酸塩等のような試薬を用いて切断することができる。さらに、一部の好ましい基は、エンドサイトーシスされることに応答してインビボで切断される(例えばシス−アコニチル;Shen et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 102:1048 (1991)参照)。好ましい切断可能な基は、ジスルフィド、エステル、イミド、カルボネート、ニトロベンジル、フェナシル及びベンゾイン基から成る群より選択される成員である切断可能部分を含む。
本明細書で開示される複合体に結合される例示的な部分は、PEG誘導体(例えばアルキル−PEG、アシル−PEG、アシル−アルキル−PEG、アルキル−アシル−PEGカルバモイル−PEG、アリール−PEG)、PPG誘導体(例えばアルキル−PPG、アシル−PPG、アシル−アルキル−PPG、アルキル−アシル−PPG、カルバモイル−PPG、アリール−PPG)、治療用部分、診断用部分、マンノース−6−ホスフェート、ヘパリン、ヘパラン、SLex、マンノース、マンノース−6−ホスフェート、シアリルルイスX、FGF、VFGF、タンパク質、コンドロイチン、ケラタン、デルマタン、アルブミン、インテグリン、アンテナオリゴ糖、ペプチド等を含むが、これらに限定されない。様々な修飾基を糖部分に結合する方法は、当業者には容易に利用可能である(Poly (Ethylene Glycol Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications, J. Milton Harris, Ed., Plenum Pub. Corp., 1992; Poly (Ethylene Glycol) Chemical and Biological Applications, J. Milton Harris, Ed., ACS Symposium Series No.680, American Chemical Society,1997; Hermanson, Bioconjugate Techniques, Academic Press, San Diego, 1996; and Dunn et al., Eds. Polymeric Drugs And Drug Delivery Systems, ACS Symposium Series Vol.469, American Chemical Society, Washington, D.C.1991)。
例示的な方法は、ヘテロ二官能性架橋剤SPDP(n−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)を使用して糖上に保護されたスルフヒドリルを組み込み、次に修飾基上のもう1つ別のスルフヒドリルとジスルフィド結合を形成させるために先のスルフヒドリルを脱保護することを含む。
SPDPが、修飾糖がグリコシルトランスフェラーゼの基質として働く能力に有害な影響を及ぼす場合は、ジスルフィド結合を形成するために2−イミノチオラン又はN−スクシンイミジルS−アセチルチオアセテート(SATA)などの一連の他の架橋剤の1つが使用される。2−イミノチオランは、第一級アミンと反応して、直ちに保護されていないスルフヒドリルをアミン含有分子上に組み込む。SATAも第一級アミンと反応するが、保護されたスルフヒドリルを組み込み、この保護されたスルフヒドリルは、その後、ヒドロキシルアミンを用いて脱アセチル化され、遊離スルフヒドリルを生じる。いずれの場合も、SPDPと同様に、組み込まれたスルフヒドリルは、他のスルフヒドリル又は保護されたスルフヒドリルと自由に反応して、必要なジスルフィド結合を形成する。
上述した方法は例示であり、本発明において有用なリンカーを限定するものではない。ペプチドに修飾基を架橋するための種々の方法において使用できる他の架橋剤も使用可能である。例えば、TPCH(S−(2−チオピリジル)−L−システインヒドラジド及びTPMPH(S−(2−チオピリジル)メルカプト−プロピオノヒドラジド)は、穏やかな過ヨウ素酸塩処理によってあらかじめ酸化された糖質部分と反応し、それによって、架橋剤のヒドラジド部分と過ヨウ素酸塩により生成されたアルデヒドとの間にヒドラゾン結合を形成する。TPCH及びTPMPHは、DTTで脱保護することができ、その後、成分間にジスルフィド結合を形成することなどの、結合のために使用することができる、2−ピリジルチオンで保護されたスルフヒドリル基を糖上に導入する。
ジスルフィド結合が安定な修飾糖を作製するために適切でないことが認められる場合は、成分間のより安定な結合を組み込む他の架橋剤を使用してもよい。ヘテロ二官能性架橋剤GMBS((N−γ−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド)及びSMCC(スクシンイミジル4−(N−マレイミド−メチル)シクロヘキサン)は、第一級アミンと反応し、それによってマレイミド基を成分上に導入する。マレイミド基は、その後、先に述べた架橋剤によって導入され得る、他方の成分上のスルフヒドリルと反応し、それによって成分間に安定なチオエーテル結合を形成することができる。成分間の立体障害が成分の活性又は修飾糖がグリコシルトランスフェラーゼ基質として働く能力のいずれかを妨げる場合は、成分間に長いスペーサーアームを導入する架橋剤を使用することができ、それらの架橋剤は、先に述べた架橋剤(すなわちSPDP)の一部の誘導体を含み得る。それうえ、有用である適切な架橋剤が豊富に存在し、それらの各々は、最適のペプチド複合体及び修飾糖の生産に及ぼす作用に依存して選択される。
様々な試薬が修飾糖の成分を分子内化学架橋で修飾するために使用される(架橋試薬及び架橋手順の総説については、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれる、Wold, F., Meth. Enzymol. 25:623-651, 1972; Weetall, H. H., and Cooney, D. A., In: Enzymes as Drugs. (Holcenberg, and Roberts, eds.) pp.395-442, Wiley, New York, 1981;Ji, T. H., Meth. Enzymol. 91:580-609, 1983; Mattson et al., Mol. Biol. Rep. 17:167-183, 1993参照)。好ましい架橋試薬は、様々なゼロ長、ホモ二官能性及びヘテロ二官能性の架橋試薬から誘導される。ゼロ長架橋試薬は、外因性物質を導入せずに2つの内因性化学基を直接結合することを含む。ジスルフィド結合の形成を触媒する作用物質はこのカテゴリーに属する。もう1つの例は、カルボジイミド、エチルクロロホルメート、ウッドワード試薬K(2−エチル−5−フェニルイソオキサゾリウム−3’−スルホネート)及びカルボニルジイミダゾールなどの、カルボキシル基と第一級アミノ基の縮合を誘導してアミド結合を形成する試薬である。これらの化学的試薬に加えて、酵素トランスグルタミナーゼ(グルタミル−ペプチドγ−グルタミルトランスフェラーゼ;EC2.3.2.13)もゼロ長架橋試薬として使用し得る。この酵素は、通常、第一級アミノ基を基質として、タンパク質結合グルタミニル残基のカルボキサミド基でのアシル転移反応を触媒する。好ましいホモ及びヘテロ二官能性試薬は、アミノ、スルフヒドリル、グアニジノ、インドール又は非特異的な基と反応し得る、それぞれ2つの同一部位又は2つの異なる部位を含む。
架橋試薬における好ましい特異的部位
1.アミノ反応性基
1つの実施形態では、架橋剤上の部位はアミノ反応性基である。アミノ反応性基の有用な非限定的例は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、イミドエステル、イソシアネート、ハロゲン化アシル、アリールアジド、p−ニトロフェニルエステル、アルデヒド及び塩化スルホニルを含む。
1.アミノ反応性基
1つの実施形態では、架橋剤上の部位はアミノ反応性基である。アミノ反応性基の有用な非限定的例は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、イミドエステル、イソシアネート、ハロゲン化アシル、アリールアジド、p−ニトロフェニルエステル、アルデヒド及び塩化スルホニルを含む。
NHSエステルは、修飾糖成分の第一級(芳香族を含む)アミノ基と優先的に反応する。ヒスチジンのイミダゾール基が反応に関して第一級アミンと競合することは公知であるが、その反応生成物は不安定であり、容易に加水分解される。この反応は、アミドを形成し、N−ヒドロキシスクシンイミドを遊離する、NHSエステルの酸性カルボキシル上でのアミンの求核攻撃を含む。それ故、もとのアミノ基の正電荷は失われる。
イミドエステルは、修飾糖成分のアミン基との反応に関して最も特異的なアシル化試薬である。pH7〜10では、イミドエステルは第一級アミンとのみ反応する。第一級アミンはイミデートを求核攻撃して、高いpHではアミジンに又は低いpHでは新たなイミデートへと分解する中間体を生成する。新たなイミデートは別の第一級アミンと反応し、それによって2つのアミノ基を架橋することができ、これは、推定上の単官能性イミデートが二官能的に反応する事例である。第一級アミンとの反応の主要生成物は、もとのアミンより強い塩基であるアミジンである。それ故、もとのアミノ基の正電荷は保持される。
イソシアネート(及びイソチオシアネート)は、修飾糖成分の第一級アミンと反応して安定な結合を形成する。スルフヒドリル、イミダゾール及びチロシル基とのそれらの反応は、比較的不安定な生成物を生じる。
アシルアジドも、親和性成分の求核性アミンがわずかにアルカリ性の条件下、例えばpH8.5で酸性カルボキシル基を攻撃する、アミノ特異的試薬として使用される。
1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなどのハロゲン化アリールは、修飾糖成分のアミノ基及びチロシンフェノール基と優先的に反応するが、スルフヒドリル基及びイミダゾール基とも反応する。
モノカルボン酸及びジカルボン酸のp−ニトロフェニルエステルも、有用なアミノ反応性基である。試薬特異性はあまり高くないが、α−アミノ基及びε−アミノ基が最も速やかに反応すると思われる。
グルタルアルデヒドなどのアルデヒドは、修飾糖の第一級アミンと反応する。アルデヒド類のアルデヒドとアミノ基が反応したとき不安定なシッフ塩基が形成されるが、グルタルアルデヒドは、安定な架橋結合で修飾糖を修飾することができる。典型的な架橋条件のpHである、pH6〜8で、環状重合体は脱水を受けて、α,β−不飽和アルデヒド重合体を形成する。シッフ塩基は、しかし、もう1つ別の二重結合に結合されているとき安定である。両方の二重結合の共鳴相互作用により、シッフ結合の加水分解が妨げられる。さらに、高い局所濃度のアミンは、エチレン二重結合を攻撃して、安定なマイケル付加生成物を形成することができる。
芳香族塩化スルホニルは修飾糖成分の様々な部位と反応するが、アミノ基との反応が最も重要であり、安定なスルホンアミド結合を生じさせる。
2.スルフヒドリル反応性基
もう1つの実施形態では、部位はスルフヒドリル反応性基である。スルフヒドリル反応性基の有用な非限定的例は、マレイミド、ハロゲン化アルキル、ピリジルジスルフィド及びチオフタルイミドを含む。
もう1つの実施形態では、部位はスルフヒドリル反応性基である。スルフヒドリル反応性基の有用な非限定的例は、マレイミド、ハロゲン化アルキル、ピリジルジスルフィド及びチオフタルイミドを含む。
マレイミドは、修飾糖成分のスルフヒドリル基と優先的に反応して、安定なチオエーテル結合を形成する。それらはまた、第一級アミノ基及びヒスジチンのイミダゾール基とも、はるかに緩やかな速度で反応する。しかし、pH7では、単純チオールの反応速度は対応するアミンの反応速度の1000倍であるため、マレイミド基はスルフヒドリル特異的な基とみなすことができる。
ハロゲン化アルキルは、スルフヒドリル基、スルフィド、イミダゾール及びアミノ基と反応する。中性からわずかにアルカリ性のpHでは、しかし、ハロゲン化アルキルは主としてスルフヒドリル基と反応して、安定なチオエーテル結合を形成する。より高いpHでは、アミノ基との反応が優先される。
ピリジルジスルフィドは、ジスルフィド交換を通して遊離スルフヒドリル基と反応し、混合ジスルフィドを生成する。結果として、ピリジルジスルフィドは最も特異的なスルフヒドリル反応性基である。
チオフタルイミドは、遊離スルフヒドリル基と反応してジスルフィドを形成する。
3.カルボキシル反応性残基
もう1つの実施形態では、水及び有機溶媒の両方に可溶性のカルボジイミドが、カルボキシル反応性試薬として使用される。これらの化合物は、遊離カルボキシル基と反応して、利用可能なアミンとその後に結合することができるプソイド尿素を形成し、アミド結合を生じる。これは、カルボキシル基をカルボジイミドでどのように修飾するかを教示する(Yamada et al., Biochemistry 20:4836-4842, 1981)。
もう1つの実施形態では、水及び有機溶媒の両方に可溶性のカルボジイミドが、カルボキシル反応性試薬として使用される。これらの化合物は、遊離カルボキシル基と反応して、利用可能なアミンとその後に結合することができるプソイド尿素を形成し、アミド結合を生じる。これは、カルボキシル基をカルボジイミドでどのように修飾するかを教示する(Yamada et al., Biochemistry 20:4836-4842, 1981)。
架橋試薬における好ましい非特異的部位
部位特異的反応性部分使用に加えて、本発明は、糖を修飾基に連結するための非特異的反応性基の使用を考慮する。
部位特異的反応性部分使用に加えて、本発明は、糖を修飾基に連結するための非特異的反応性基の使用を考慮する。
例示的な非特異的架橋剤は、適切なエネルギーの光子を吸収したとき反応性種に変換される、暗所で完全に不活性な光活性化可能基を含む。1つの実施形態では、光活性化可能基は、アジドを加熱又は光分解したときに生成されるナイトレンの前駆物質から選択される。電子不足ナイトレンは極めて反応性であり、N−H、O−H、C−H及びC=Cを含む様々な化学結合と反応し得る。3つのタイプのアジド(アリール、アルキル及びアシル誘導体)を使用し得るが、現在のところアリールアジドが使用される。光分解したときのアリールアジドの反応性は、C−H結合よりもN−H及びO−H結合の方が良好である。電子不足のアリールナイトレンは速やかに環拡大して、C−H挿入生成物を形成するよりも求核試薬と反応する傾向がある、デヒドロアゼピンを形成する。アリールアジドの反応性は、環の中にニトロ基又はヒドロキシル基などの電子求引性置換基が存在することによって増大され得る。そのような置換基は、アリールアジドの吸収極大をより長い波長に押し上げる。置換されていないアリールアジドは260〜280nmの範囲の吸収極大を有するのに対し、ヒドロキシ及びニトロアリールアジドは、305nmを超える有意の光を吸収する。それ故、ヒドロキシ及びニトロアリールアジドは、親和性成分に対して非置換アリールアジドよりも有害性の低い光分解条件を使用することを可能にするため、最も好ましい。
もう1つの好ましい実施形態では、光活性化可能基はフッ素化アリールアジドから選択される。フッ素化アリールアジドの光分解生成物は、そのすべてが、C−H結合への挿入を含む、この基の特徴的な反応を高い効率で受ける、アリールニトレンである(Keana et al., J. Org. Chem. 55:3640-3647, 1990)。
もう1つの実施形態では、光活性化可能基はベンゾフェノン残基から選択される。ベンゾフェノン試薬は、一般に、アリールアジド試薬よりも高い架橋形成率を与える。
もう1つの実施形態では、光活性化可能基は、光分解したとき電子不足カルベン(carben)を形成する、ジアゾ化合物から選択される。これらのカルベンは、C−H結合への挿入、二重結合(芳香族系を含む)への付加、水素誘引、及び炭素イオンを与える求核中心への配位を含む、様々な反応を受ける。
さらにもう1つの実施形態では、光活性化可能基はジアゾピルベートから選択される。例えば、p−ニトロフェニルジアゾピルベートのp−ニトロフェニルエステルは、脂肪族アミンと反応して、紫外光分解を受けてアルデヒドを形成するジアゾピルビン酸アミドを生じる。光分解されたジアゾピルベートで修飾された親和性成分は、架橋を形成するホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドと同様に反応する。
ホモ二官能性試薬
1.第一級アミンと反応性のホモ二官能性架橋剤
アミン反応性架橋剤の合成、性質及び適用は、文献中で商業的に述べられている(架橋の手順及び試薬の総説については、上記参照)。多くの試薬が入手可能である(例えばPierce Chemical Company, Rockford, Ill.; Sigma Chemical Company, St.Louis, Mo.; Molecular Probes, Inc., Eugene, OR.)。
1.第一級アミンと反応性のホモ二官能性架橋剤
アミン反応性架橋剤の合成、性質及び適用は、文献中で商業的に述べられている(架橋の手順及び試薬の総説については、上記参照)。多くの試薬が入手可能である(例えばPierce Chemical Company, Rockford, Ill.; Sigma Chemical Company, St.Louis, Mo.; Molecular Probes, Inc., Eugene, OR.)。
ホモ二官能性NHSエステルの好ましい非限定的な例は、グルタル酸ジスクシンイミジル(DSG)、スベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)、スベリン酸ビス(スルホスクシンイミジル)(BS)、酒石酸ジスクシンイミジル(DST)、酒石酸ジスルホスクシンイミジル(スルホ−DST)、ビス−2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチルスルホン(BSOCOES)、ビス−2−(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチルスルホン(スルホ−BSOCOES)、エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシネート)(スルホ−EGS)、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)及びジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(スルホ−DSP)を含む。ホモ二官能性イミドエステルの好ましい非限定的な例は、ジメチルマロンイミデート(DMM)、ジメチルスクシンイミデート(DMSC)、ジメチルアジピミデート(DMA)、ジメチルピメリミデート(DMP)、ジメチルスベリミデート(DMS)、ジメチル−3,3’−オキシジプロピオンイミデート(DODP)、ジメチル−3,3’−(メチレンジオキシ)ジプロピオンイミデート(DMDP)、ジメチル−3’−(ジメチレンジオキシ)ジプロピオンイミデート(DDDP)、ジメチル−3,3’−(テトラメチレンジオキシ)−ジプロピオンイミデート(DTDP)及びジメチル−3,3’−ジチオビスプロピオンイミデート(DTBP)を含む。
ホモ二官能性イソチオシアネートの好ましい非限定的な例は、p−フェニレンジイソチオシアネート(DITC)及び4,4’−ジイソチオシアノ−2,2’−ジスルホン酸スチルベン(DIDS)を含む。
ホモ二官能性イソシアネートの好ましい非限定的な例は、キシレン−ジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2−イソシアネート4−イソチオシアネート、3−メトキシジフェニルメタン−4、4’−ジイソシアネート、2,2’−ジカルボキシ−4,4’−アゾフェニルジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートを含む。
ホモ二官能性ハロゲン化アリールの好ましい非限定的な例は、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(DFDNB)及び4,4’−ジフルオロ−3,3’−ジニトロフェニルスルホンを含む。
ホモ二官能性脂肪族アルデヒド試薬の好ましい非限定的な例は、グリオキサール、マロンジアルデヒド及びグルタルアルデヒドを含む。
ホモ二官能性アシル化試薬の好ましい非限定的な例は、ジカルボン酸のニトロフェニルエステルを含む。
ホモ二官能性芳香族塩化スルホニルの好ましい非限定的な例は、フェノール−2,4−ジスルホニルクロリド及びα−ナフトール−2,4−ジスルホニルクロリドを含む。
さらなるアミノ反応性のホモ二官能性試薬の好ましい非限定的な例は、アミンと反応してビスカルバメートを生じるエリトリトールビスカルボネートを含む。
2.遊離スルフヒドリル基と反応性のホモ二官能性架橋剤
そのような試薬の合成、性質及び適用は文献に記載されている(架橋の手順及び試薬の総説については、上記参照)。試薬の多くが市販されている(例えばPierce Chemical Company, Rockford, Ill.; Sigma Chemical Company, St.Louis, Mo.; Molecular Probes, Inc., Eugene, OR.)。
そのような試薬の合成、性質及び適用は文献に記載されている(架橋の手順及び試薬の総説については、上記参照)。試薬の多くが市販されている(例えばPierce Chemical Company, Rockford, Ill.; Sigma Chemical Company, St.Louis, Mo.; Molecular Probes, Inc., Eugene, OR.)。
ホモ二官能性マレイミドの好ましい非限定的な例は、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−(1,2−フェニレン)ビスマレイミド、アゾフェニルジマレイミド及びビス(N−マレイミドメチル)エーテルを含む。
ホモ二官能性ピリジルジスルフィドの好ましい非限定的な例は、1,4−ジ−3’−(2’−ピリジルジチオ)プロピオンアミドブタン(DPDPB)を含む。
ホモ二官能性ハロゲン化アルキルの好ましい非限定的な例は、2,2’−ジカルボキシ−4,4’−ジヨードアセトアミドアゾベンゼン、α,α’−ジヨード−p−キシレンスルホン酸、α,α’−ジブロモ−p−キシレンスルホン酸、N,N’−ビス(b−ブロモエチル)ベンジルアミン、N,N’−ジ(ブロモアセチル)フェニルヒドラジン及び1,2−ジ(ブロモアセチル)アミノ−3−フェニルプロパンを含む。
3.ホモ二官能性光活性化可能架橋剤
そのような試薬の合成、性質及び適用は文献に記載されている(架橋の手順及び試薬の総説については、上記参照)。試薬の一部は市販されている(例えばPierce Chemical Company, Rockford, Ill.; Sigma Chemical Company, St. Louis, Mo.; Molecular Probes, Inc., Eugene, OR.)。
そのような試薬の合成、性質及び適用は文献に記載されている(架橋の手順及び試薬の総説については、上記参照)。試薬の一部は市販されている(例えばPierce Chemical Company, Rockford, Ill.; Sigma Chemical Company, St. Louis, Mo.; Molecular Probes, Inc., Eugene, OR.)。
ホモ二官能性の光活性化可能架橋剤の好ましい非限定的な例は、ビス−β−(4−アジドサリチルアミド)エチルジスルフィド(BASED)、ジ−N−(2−ニトロ−4−アジドフェニル)−シスタミン−S,S−ジオキシド(DNCO)及び4,4’−ジチオビスフェニルアジドを含む。
ヘテロ二官能性試薬
1. ピリジルジスルフィド部分を有するアミノ反応性ヘテロ二官能性試薬
そのような試薬の合成、性質及び適用は文献に記載されている(架橋の手順及び試薬の総説については、上記参照)。試薬の多くは市販されている(例えばPierce Chemical Company, Rockford, Ill.; Sigma Chemical Company, St. Louis, Mo.; Molecular Probes, Inc., Eugene, OR.)。
1. ピリジルジスルフィド部分を有するアミノ反応性ヘテロ二官能性試薬
そのような試薬の合成、性質及び適用は文献に記載されている(架橋の手順及び試薬の総説については、上記参照)。試薬の多くは市販されている(例えばPierce Chemical Company, Rockford, Ill.; Sigma Chemical Company, St. Louis, Mo.; Molecular Probes, Inc., Eugene, OR.)。
ピリジルジスルフィド部分とアミノ反応性NHSエステルを有するヘテロ二官能性試薬の好ましい非限定的な例は、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル6−3−(2−ピリジルチオ)プロピオンアミドヘキサノエート(LC−SPDP)、スルホスクシンイミジル6−3−(2−ピリジルチオ)プロピオンアミドヘキサノエート(スルホ−LCSPDP)、4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルチオ)トルエン(SMPT)及びスルホスクシンイミジル6−α−メチル−α−(2−ピリジルチオ)トルアミドヘキサノエート(スルホ−LC−SMPT)を含む。
2. マレイミド部分を有するアミノ反応性ヘテロ二官能性試薬
そのような試薬の合成、性質及び適用は文献に記載されている。マレイミド部分とアミノ反応性NHSエステルを有するヘテロ二官能性試薬の好ましい非限定的な例は、スクシンイミジルマレイミジルアセテート(AMAS)、スクシンイミジル3−マレイミジルプロピオネート(BMPS)、N−γ−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル(GMBS)、N−γ−マレイミドブチリルオキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ−GMBS)、スクシンイミジル6−マレイミジルヘキサノエート(EMCS)、スクシンイミジル3−マレイミジルベンゾエート(SMB)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ−MBS)、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、スルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)、スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB)及びスルホスクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(スルホ−SMPB)を含む。
そのような試薬の合成、性質及び適用は文献に記載されている。マレイミド部分とアミノ反応性NHSエステルを有するヘテロ二官能性試薬の好ましい非限定的な例は、スクシンイミジルマレイミジルアセテート(AMAS)、スクシンイミジル3−マレイミジルプロピオネート(BMPS)、N−γ−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル(GMBS)、N−γ−マレイミドブチリルオキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ−GMBS)、スクシンイミジル6−マレイミジルヘキサノエート(EMCS)、スクシンイミジル3−マレイミジルベンゾエート(SMB)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ−MBS)、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、スルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)、スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB)及びスルホスクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(スルホ−SMPB)を含む。
3. ハロゲン化アルキル部分を有するアミノ反応性ヘテロ二官能性試薬
そのような試薬の合成、性質及び適用は文献に記載されている。ハロゲン化アルキル部分とアミノ反応性NHSエステルを有するヘテロ二官能性試薬の好ましい非限定的な例は、N−スクシンイミジル−(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、スルホスクシンイミジル−(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(スルホ−SIAB)、スクシンイミジル−6−(ヨードアセチル)アミノヘキサノエート(SIAX)、スクシンイミジル−6−(6−((ヨードアセチル)−アミノ)ヘキサノイルアミノ)ヘキサノエート(SIAXX)、スクシンイミジル−6−(((4−(ヨードアセチル)−アミノ)−メチル)−シクロヘキサン−1−カルボニル)アミノヘキサノエート(SIACX)及びスクシンイミジル−4((ヨードアセチル)−アミノ)メチルシクロヘキサン−1−カルボキシレート(SIAC)を含む。
そのような試薬の合成、性質及び適用は文献に記載されている。ハロゲン化アルキル部分とアミノ反応性NHSエステルを有するヘテロ二官能性試薬の好ましい非限定的な例は、N−スクシンイミジル−(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、スルホスクシンイミジル−(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(スルホ−SIAB)、スクシンイミジル−6−(ヨードアセチル)アミノヘキサノエート(SIAX)、スクシンイミジル−6−(6−((ヨードアセチル)−アミノ)ヘキサノイルアミノ)ヘキサノエート(SIAXX)、スクシンイミジル−6−(((4−(ヨードアセチル)−アミノ)−メチル)−シクロヘキサン−1−カルボニル)アミノヘキサノエート(SIACX)及びスクシンイミジル−4((ヨードアセチル)−アミノ)メチルシクロヘキサン−1−カルボキシレート(SIAC)を含む。
アミノ反応性NHSエステルとジハロゲン化アルキル部分を有するヘテロ二官能性試薬の一例は、N−ヒドロキシスクシンイミジル2,3−ジブロモプロピオネート(SDBP)である。SDBPは、そのアミノ基を結合することによって親和性成分に分子内架橋を導入する。第一級アミン基に対するジブロモプロピオニル部分の反応性は、反応温度によって制御される(McKenzie et al., Protein Chem. 7:581-592 (1988))。
ハロゲン化アルキル部分とアミノ反応性p−ニトロフェニルエステル部分を有するヘテロ二官能性試薬の好ましい非限定的な例は、p−ニトロフェニルヨードアセテート(NPIA)を含む。
他の架橋剤は当業者に公知である。例えばPomato et al.,米国特許第5,965,106号参照。特定適用のための適切な架橋剤を選択することは当業者の能力の範囲内である。
切断可能なリンカー基
さらなる実施形態では、リンカー基は、切断されて糖残基から修飾基を遊離することができる基を備える。多くの切断可能な基が当技術分野において公知である。例えばJung et al., Biochem. Biophys. Acta 761:152-162 (1983); Joshi et al., J. Biol. Chem. 265:14518-14525 (1990); Zarling et al., J. Immunol. 124:913-920 (1980); Bouizar et al., Eur. J. Biochem. 155:141-147 (1986); Park et al., J.Biol. Chem. 261:205-210 (1986); Browning et al., J. Immunol. 143:1859-1867 (1989)参照。さらに、広い範囲の切断可能な二官能性(ホモ二官能性及びヘテロ二官能性の両方)のリンカー基がPierceなどの供給業者から市販されている。
さらなる実施形態では、リンカー基は、切断されて糖残基から修飾基を遊離することができる基を備える。多くの切断可能な基が当技術分野において公知である。例えばJung et al., Biochem. Biophys. Acta 761:152-162 (1983); Joshi et al., J. Biol. Chem. 265:14518-14525 (1990); Zarling et al., J. Immunol. 124:913-920 (1980); Bouizar et al., Eur. J. Biochem. 155:141-147 (1986); Park et al., J.Biol. Chem. 261:205-210 (1986); Browning et al., J. Immunol. 143:1859-1867 (1989)参照。さらに、広い範囲の切断可能な二官能性(ホモ二官能性及びヘテロ二官能性の両方)のリンカー基がPierceなどの供給業者から市販されている。
例示的な切断可能部分は、光、熱、又はチオール、ヒドロキシルアミン、塩基、過ヨウ素酸塩等のような試薬を用いて切断することができる。さらに、一部の好ましい基は、エンドサイトーシスされることに応答してインビボで切断される(例えばシス−アコニチル;Shen et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 102:1048 (1991)参照)。好ましい切断可能な基は、ジスルフィド、エステル、イミド、カルボネート、ニトロベンジル、フェナシル及びベンゾイン基から成る群より選択される成員である切断可能部分を含む。
本発明による特定実施形態は、
本発明の例示的複合体
例示的実施形態では、ポリペプチドはインターフェロンである。インターフェロンは、ヒトにおいて、ウイルス又は二本鎖RNAによる誘導後にヒト一次線維芽細胞によって分泌される、抗ウイルス性糖タンパク質である。インターフェロンは、治療薬、例えば抗ウイルス薬(例えばB型肝炎及びC型肝炎)、抗腫瘍薬(例えば肝細胞癌)として、また多発性硬化症の治療において有益である。インターフェロンαに関連する参考文献については、Asano, et al., Eur. J. Cancer, 27 (Suppl 4): S21-S25 (1991); Nagy, et al., Anticancer Research, 8(3):467-470 (1988); Dron, et al., J. Biol. Regul. Homeost. Agents, 3(1):13-19 (1989); Habib, et al., Am. Surg., 67(3):257-260 (3/2001);及びSugyiama, et al., Eur. J. Biochem., 217:921-927 (1993)参照。インターフェロンβを論じる参考文献については、例えば、Yu, et al., J. Neuroimmunol., 64(1):91-100 (1996); Schmidt, J., J. Neurosci. Res., 65(1):59-67 (2001); Wender, et al., Folia Neuropathol., 39(2):91-93 (2001); Martin, et al., Springer Semin. Immunopathol., 18(1):1-24 (1996); Takane, et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 294(2):746-752 (2000); Sburlati, et al., Biotechnol. Prog., 14:189-192 (1998); Dodd, et al., Biochimica et Biophysica Acta, 787:183-187 (1984); Edelbaum, et al., J. Interferon Res., 12:449-453 (1992); Conradt, et al., J. Biol. Chem., 262(30):14600-14605 (1987); Civas, et al., Eur. J. Biochem., 173:311-316 (1988); Demolder, et al., J. Biotechnol., 32:179-189 (1994); Sedmak, et al., J. Interferon Res., 9 (Suppl 1): S61-S65(1989); Kagawa, et al., J. Biol. Chem., 263(33):17508-17515 (1988); Hershenson, et al.、米国特許第4,894,330号;Jayaram, et al., J. Interferon Res., 3(2):177-180 (1983); Menge, et al., Develop. Biol. Standard., 66:391-401 (1987); Vonk, et al., J. Interferon Res., 3(2):169-175 (1983);及びAdolf, et al., J. Interferon Res., 10:255-267 (1990)参照。
例示的実施形態では、ポリペプチドはインターフェロンである。インターフェロンは、ヒトにおいて、ウイルス又は二本鎖RNAによる誘導後にヒト一次線維芽細胞によって分泌される、抗ウイルス性糖タンパク質である。インターフェロンは、治療薬、例えば抗ウイルス薬(例えばB型肝炎及びC型肝炎)、抗腫瘍薬(例えば肝細胞癌)として、また多発性硬化症の治療において有益である。インターフェロンαに関連する参考文献については、Asano, et al., Eur. J. Cancer, 27 (Suppl 4): S21-S25 (1991); Nagy, et al., Anticancer Research, 8(3):467-470 (1988); Dron, et al., J. Biol. Regul. Homeost. Agents, 3(1):13-19 (1989); Habib, et al., Am. Surg., 67(3):257-260 (3/2001);及びSugyiama, et al., Eur. J. Biochem., 217:921-927 (1993)参照。インターフェロンβを論じる参考文献については、例えば、Yu, et al., J. Neuroimmunol., 64(1):91-100 (1996); Schmidt, J., J. Neurosci. Res., 65(1):59-67 (2001); Wender, et al., Folia Neuropathol., 39(2):91-93 (2001); Martin, et al., Springer Semin. Immunopathol., 18(1):1-24 (1996); Takane, et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 294(2):746-752 (2000); Sburlati, et al., Biotechnol. Prog., 14:189-192 (1998); Dodd, et al., Biochimica et Biophysica Acta, 787:183-187 (1984); Edelbaum, et al., J. Interferon Res., 12:449-453 (1992); Conradt, et al., J. Biol. Chem., 262(30):14600-14605 (1987); Civas, et al., Eur. J. Biochem., 173:311-316 (1988); Demolder, et al., J. Biotechnol., 32:179-189 (1994); Sedmak, et al., J. Interferon Res., 9 (Suppl 1): S61-S65(1989); Kagawa, et al., J. Biol. Chem., 263(33):17508-17515 (1988); Hershenson, et al.、米国特許第4,894,330号;Jayaram, et al., J. Interferon Res., 3(2):177-180 (1983); Menge, et al., Develop. Biol. Standard., 66:391-401 (1987); Vonk, et al., J. Interferon Res., 3(2):169-175 (1983);及びAdolf, et al., J. Interferon Res., 10:255-267 (1990)参照。
例示的なインターフェロン複合体では、インターフェロンα、例えばインターフェロンα2b及び2aが、無傷グリコシルリンカーを介して水溶性重合体に結合している。
さらなる例示的実施形態では、本発明は、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)の複合体を提供する。G−CSFは、好中球産生(neutropoietic)の前駆細胞が機能的に成熟した好中球へと増殖し、分化して、活性化することを刺激する糖タンパク質である。注入されたG−CSFは体内から速やかに除去される。例えば、Nohynek, et al., Cancer Chemother. Pharmacol., 39:259-266 (1997); Lord, et al., Clinical Cancer Research, 7(7):2085-2090 (07/2001); Rotondaro, et al., Molecular Biotechnology, 11(2):117-128 (1999);及びBonig, et al., Bone Marrow Transplantation, 28:259-264 (2001)参照。
本発明は、GM−CSFを修飾するための方法を包含する。GM−CSFは、活性化T細胞、マクロファージ、内皮細胞及び間質線維芽細胞によって産生されるサイトカインとして当技術分野において周知である。GM−CSFは、主として炎症性白血球の産生を増大させるように骨髄に作用し、さらに、炎症作用の間に消費される好中球の補充を開始させる内分泌ホルモンとしても機能する。さらに、GM−CSFはマクロファージ活性化因子であり、ランゲルハンス細胞の樹状細胞への分化を促進する。G−CSFと同様に、GM−CSFも、化学療法後の骨髄置換において臨床適用を有する。
核酸
もう1つの態様では、本発明は、本発明の非天然に生じるポリペプチドをコードする単離された核酸を提供する。1つの実施形態では、本発明の核酸は発現ベクターの一部である。もう1つの関連実施形態では、本発明は、本発明の核酸を含む細胞を提供する。例示的な細胞は、大腸菌の様々な菌株、昆虫細胞及びCHO細胞のような哺乳動物細胞などの宿主細胞を含む。
もう1つの態様では、本発明は、本発明の非天然に生じるポリペプチドをコードする単離された核酸を提供する。1つの実施形態では、本発明の核酸は発現ベクターの一部である。もう1つの関連実施形態では、本発明は、本発明の核酸を含む細胞を提供する。例示的な細胞は、大腸菌の様々な菌株、昆虫細胞及びCHO細胞のような哺乳動物細胞などの宿主細胞を含む。
医薬組成物
もう1つの態様では、本発明は、少なくとも1つの本発明のポリペプチド又はポリペプチド複合体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。例示的実施形態では、医薬組成物は、水溶性重合体(例えば非天然に生じる水溶性重合体)と本発明のグリコシル化又は非グリコシル化ポリペプチドとの間の共有結合複合体並びに医薬的に許容される担体を含む。例示的な水溶性重合体は、ポリエチレングリコール及びメトキシポリエチレングリコールを含む。あるいは、ポリペプチドは、治療用部分又は生体分子などの、ポリエチレングリコール誘導体以外の修飾基に結合している。
もう1つの態様では、本発明は、少なくとも1つの本発明のポリペプチド又はポリペプチド複合体及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。例示的実施形態では、医薬組成物は、水溶性重合体(例えば非天然に生じる水溶性重合体)と本発明のグリコシル化又は非グリコシル化ポリペプチドとの間の共有結合複合体並びに医薬的に許容される担体を含む。例示的な水溶性重合体は、ポリエチレングリコール及びメトキシポリエチレングリコールを含む。あるいは、ポリペプチドは、治療用部分又は生体分子などの、ポリエチレングリコール誘導体以外の修飾基に結合している。
本発明のポリペプチド複合体は広い範囲の医薬適用を有する。例えば、複合糖質化エリスロポエチン(EPO)は、一般的な貧血、再生不良性貧血、化学療法誘発性損傷(骨髄への損傷など)、慢性腎不全、腎炎及びサラセミアを治療するために使用し得る。修飾されたEPOは、さらに、脳/脊椎損傷、多発性硬化症及びアルツハイマー病などの神経障害を治療するのにも使用し得る。
2番目の例は、AIDS及びB型肝炎又はC型肝炎、ヒトパピローマウイルス(HBV)、コロナウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)及び水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)などの様々なウイルスによって引き起こされるウイルス感染症、ヘアリー細胞白血病、AIDS関連カポジ肉腫、悪性黒色腫、濾胞性非ホジキンリンパ腫、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性の慢性期骨髄性白血病(CML)、腎癌、骨髄腫、慢性骨髄性白血病、頭頸部癌、骨癌などの癌、並びに子宮頸部形成異常及び多発性硬化症などの中枢神経系(CNS)の障害を治療するために使用し得る、インターフェロンα(IFN−α)である。加えて、本発明の方法によって修飾されたIFN−αは、シェーグレン症候群(自己免疫疾患)、ベーチェット病(自己免疫性炎症性疾患)、線維筋痛症(筋骨格疼痛/疲労疾患)、アフタ性潰瘍(口内炎)、慢性疲労症候群及び肺線維症などの他の疾患及び状態の組合せを治療するためにも有用である。
もう1つの例は、多発性硬化症(再発寛解型又は慢性進行性)などのCNS障害、AIDS及びB型肝炎又はC型肝炎、ヒトパピローマウイルス(HBV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)及び水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)などの様々なウイルスによって引き起こされるウイルス感染症、耳感染症、筋骨格感染症、並びに乳癌、脳の癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、頭頸部癌、基底細胞癌、子宮頸部形成異常、黒色腫、皮膚癌及び肝癌を含む癌を治療するために有用である、インターフェロンβである。本発明の方法によって修飾されたIFN−βは、移植片拒絶反応(例えば骨髄移植)、ハンチントン舞踏病、大腸炎、脳炎、肺線維症、黄斑変性、肝硬変及び角結膜炎などの他の疾患及び状態を治療するときにも使用される。
顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)はさらなる例である。本発明の方法によって修飾されたG−CSFは、癌を治療するための化学療法における補助剤として、並びに一部の医学的処置に関連する状態又は合併症、例えば化学療法誘発性の骨髄損傷、白血球減少症(全身性)、化学療法誘発性の熱性好中球減少症、骨髄移植に関連する好中球減少症及び重症慢性好中球減少症を予防する又は軽減するために使用し得る。修飾G−CSFはまた、移植、末梢血細胞動員、骨髄破壊的化学療法又は骨髄抑制性化学療法を受ける予定の患者において採取するための末梢血前駆細胞動員、及び急性骨髄性白血病(AML)に対する導入/強化治療後の好中球減少、発熱、抗生物質使用、入院の期間短縮にためにも使用し得る。喘息及びアレルギー性鼻炎を含む他の状態又は障害も、修飾G−CSFで治療し得る。
1つの追加例として、本発明の方法によって修飾されたヒト成長ホルモン(hGH)を、小人症、小児及び成人における低身長、悪液質/筋消耗、全身性筋萎縮並びに性染色体異常(例えばターナー症候群)などの成長に関連する状態を治療するために使用し得る。修飾hGHを用いて治療し得る他の状態は、短腸症候群、リポジストロフィー、骨粗しょう症、尿毒症、火傷、女性の不妊症、骨再生、一般の糖尿病、II型糖尿病、変形性関節炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び不眠症を含み得る。さらに、修飾hGHはまた、様々な過程、例えば全身の組織再生、骨再生及び創傷治癒を促進するため、又はワクチン補助剤としても使用し得る。
本発明の医薬組成物は様々な薬剤送達系における使用に適する。本発明において使用するための適切な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mace Publishing Company, Philadelphia, PA, 17th ed. (1985)に見出される。薬剤送達のための方法の簡略な総説については、Langer, Science 249:1527-1533 (1990)参照。
医薬組成物は、例えば局所、経口、経鼻、静脈内、頭蓋内、腹腔内、皮下又は筋肉内投与を含む、何らかの適切な投与方法のために製剤され得る。皮下注射などの非経口投与に関しては、担体は、好ましくは水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックス又は緩衝液を含む。経口投与に関しては、上記担体のいずれか又は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース及び炭酸マグネシウムなどの固形担体を使用し得る。マイクロスフェア(例えばポリラクテートポリグリコレート)などの生分解性マトリックスも、本発明の医薬組成物用の担体として使用し得る。適切な生分解性マイクロスフェアは、例えば米国特許第4,897,268号及び米国特許第5,075,109号に開示されている。
一般に、医薬組成物は、皮下的又は非経口的に、例えば静脈内に投与される。それ故、本発明は、許容される担体、好ましくは水性担体、例えば水、緩衝水、生理食塩水、PBS等に溶解又は懸濁された化合物を含有する、非経口投与用の組成物を提供する。この組成物はまた、Tween20及びTween80などの界面活性剤、マンニトール、ソルビトール、スクロース及びトレハロースなどの安定化剤、並びにEDTA及びメタクレゾールなどの防腐剤を含み得る。組成物は、pH調整剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、湿潤剤、界面活性剤等のような、生理的条件に近づけるために必要な医薬的に許容される補助物質を含み得る。
これらの組成物は、従来の滅菌手法によって滅菌してもよく又は滅菌ろ過してもよい。得られた水性液剤は、そのまま使用するために包装し得るか、又は凍結乾燥してもよく、凍結乾燥製剤は、投与の前に滅菌水性担体と混合する。製剤のpHは、典型的には3〜11、より好ましくは5〜9、最も好ましくは7〜8である。
一部の実施形態では、本発明の糖ペプチドを、標準的な小胞形成脂質から形成されたリポソーム中に組み込むことができる。例えばSzoka et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9:467 (1980)、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号及び同第4,837,028号に記載されているように、リポソームを作製するために様々な方法が利用可能である。様々な標的化剤(例えば本発明のシアリルガラクトシド)を用いたリポソームの標的化は当技術分野において周知である(例えば米国特許第4,957,773号及び同第4,603,044号参照)。
標的化剤をリポソームに結合するための標準的な方法が使用できる。これらの方法は、一般に、標的化剤を結合するために活性化することができる、ホスファチジルエタノールアミンなどの脂質成分、又は脂質誘導体化された本発明の糖ペプチドなどの、誘導体化された親油性化合物をリポソームに組み込むことを含む。
標的化機構は、一般に、標的化部分が標的、例えば細胞表面受容体との相互作用のために利用可能であるように、標的化剤がリポソームの表面に位置することを必要とする。本発明の糖質は、当業者に公知の方法(例えば、それぞれ長鎖ハロゲン化アルキル又は脂肪酸による、糖鎖上に存在するヒドロキシル基のアルキル化又はアシル化)を用いて、リポソームが形成される前に脂質分子に結合し得る。あるいは、膜が形成される時点で連結部分が最初に膜に組み込まれるようにリポソームを作製し得る。連結部分は、膜内に堅固に埋め込まれて固定される親油性部分を有していなければならない。連結部分はまた、リポソームの水性表面上で化学的に利用可能な反応性部分も有していなければならない。反応性部分は、後で添加される、標的化剤又は糖質と安定な化学結合を形成するのに化学的に適切であるように選択される。一部の場合には、標的化剤を連結分子に直接結合することが可能であるが、ほとんどの場合、化学架橋としての役割を果たす第三の分子を使用し、それによって膜内にある連結分子を標的化剤又は糖質と連結して、それらを小胞表面から離れて三次元的に伸長させることがより適切である。
本発明の方法によって製造される化合物はまた、診断試薬としても使用し得る。例えば、標識化合物は、炎症を有することが疑われる患者において炎症又は腫瘍転移の領域を特定するために使用できる。この用途のために、化合物を125I、14C又はトリチウムで標識することができる。
V. 方法
グリコシルトランスフェラーゼに対する基質としての突然変異ポリペプチドの同定
グリコシル反応に供したとき満足し得る収率でグリコシル化される突然変異ポリペプチドの同定のための1つの方法は、各々の突然変異ポリペプチドが少なくとも1つの本発明のO結合型グリコシル化配列を含む、非天然に生じる(すなわち突然変異)ポリペプチドのライブラリーを作製し、各々の突然変異ポリペプチドを、グリコシルトランスフェラーゼ(例えばGlcNacトランスフェラーゼ)に対する効率的な基質として機能するその能力に関して試験することである。突然変異ポリペプチドのライブラリーは、突然変異により、親ポリペプチドのアミノ酸配列内の異なる位置に本発明の選択されたO結合型グリコシル化配列を創製することによって作製できる。
グリコシルトランスフェラーゼに対する基質としての突然変異ポリペプチドの同定
グリコシル反応に供したとき満足し得る収率でグリコシル化される突然変異ポリペプチドの同定のための1つの方法は、各々の突然変異ポリペプチドが少なくとも1つの本発明のO結合型グリコシル化配列を含む、非天然に生じる(すなわち突然変異)ポリペプチドのライブラリーを作製し、各々の突然変異ポリペプチドを、グリコシルトランスフェラーゼ(例えばGlcNacトランスフェラーゼ)に対する効率的な基質として機能するその能力に関して試験することである。突然変異ポリペプチドのライブラリーは、突然変異により、親ポリペプチドのアミノ酸配列内の異なる位置に本発明の選択されたO結合型グリコシル化配列を創製することによって作製できる。
突然変異ポリペプチドのライブラリー
1つの態様では、本発明は、突然変異ポリペプチドが野生型ポリペプチド又は親ポリペプチドに由来する、突然変異ポリペプチドのライブラリーを作製する方法を提供する。1つの実施形態では、親ポリペプチドは、m個のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。アミノ酸配列内の各々のアミノ酸の位置は、(AA)n[式中、nは1〜mから選択される成員である]によって表される。突然変異ポリペプチドのライブラリーを作製する例示的な方法は、(i)親ポリペプチド内の第1のアミノ酸位置(AA)nに本発明の突然変異O結合型グリコシル化配列を導入することによって突然変異ポリペプチドを生成する;(ii)同じ突然変異O結合型グリコシル化配列を、(AA)n+x及び(AA)n−x[式中、xは1〜(m−n)から選択される成員である]から選択される成員である第2のアミノ酸位置に導入して、工程(i)を所望の回数反復することによって少なくとも1つの付加的な突然変異ポリペプチドを生成する、工程を含む。この方法の実施形態は、本明細書中上記で述べられている。例示的実施形態では、突然変異ポリペプチドのライブラリーは「シークオンスキャニング」によって作製される。
1つの態様では、本発明は、突然変異ポリペプチドが野生型ポリペプチド又は親ポリペプチドに由来する、突然変異ポリペプチドのライブラリーを作製する方法を提供する。1つの実施形態では、親ポリペプチドは、m個のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有する。アミノ酸配列内の各々のアミノ酸の位置は、(AA)n[式中、nは1〜mから選択される成員である]によって表される。突然変異ポリペプチドのライブラリーを作製する例示的な方法は、(i)親ポリペプチド内の第1のアミノ酸位置(AA)nに本発明の突然変異O結合型グリコシル化配列を導入することによって突然変異ポリペプチドを生成する;(ii)同じ突然変異O結合型グリコシル化配列を、(AA)n+x及び(AA)n−x[式中、xは1〜(m−n)から選択される成員である]から選択される成員である第2のアミノ酸位置に導入して、工程(i)を所望の回数反復することによって少なくとも1つの付加的な突然変異ポリペプチドを生成する、工程を含む。この方法の実施形態は、本明細書中上記で述べられている。例示的実施形態では、突然変異ポリペプチドのライブラリーは「シークオンスキャニング」によって作製される。
リードポリペプチドの同定
突然変異ポリペプチドのライブラリーを作製した後、ライブラリーの成員の中から、酵素的グリコシル化及び/又は糖PEG化反応に供したとき有効にグリコシル化及び/又は糖PEG化される突然変異体を選択することが望ましいと考えられる。有効にグリコシル化及び/又は糖PEG化されることが認められた突然変異ポリペプチドを「リードポリペプチド」と称する。例示的実施形態では、1又はそれ以上のリードポリペプチドを選択するために酵素的グリコシル化及び/又は糖PEG化反応の収率を利用する。もう1つの例示的実施形態では、リードポリペプチドについての酵素的グリコシル化及び/又は糖PEG化反応の収率は、約10%〜約100%、好ましくは約30%〜約100%、より好ましくは約50%〜約100%、最も好ましくは約70%〜約100%である。効率的にグリコシル化され得るリードポリペプチドは、場合により、グリコシル化されたリードポリペプチドを別の酵素的グリコシル化又は糖PEG化反応に供することによってさらに評価される。
突然変異ポリペプチドのライブラリーを作製した後、ライブラリーの成員の中から、酵素的グリコシル化及び/又は糖PEG化反応に供したとき有効にグリコシル化及び/又は糖PEG化される突然変異体を選択することが望ましいと考えられる。有効にグリコシル化及び/又は糖PEG化されることが認められた突然変異ポリペプチドを「リードポリペプチド」と称する。例示的実施形態では、1又はそれ以上のリードポリペプチドを選択するために酵素的グリコシル化及び/又は糖PEG化反応の収率を利用する。もう1つの例示的実施形態では、リードポリペプチドについての酵素的グリコシル化及び/又は糖PEG化反応の収率は、約10%〜約100%、好ましくは約30%〜約100%、より好ましくは約50%〜約100%、最も好ましくは約70%〜約100%である。効率的にグリコシル化され得るリードポリペプチドは、場合により、グリコシル化されたリードポリペプチドを別の酵素的グリコシル化又は糖PEG化反応に供することによってさらに評価される。
それ故、本発明は、リードポリペプチドを同定するための方法を提供する。例示的な方法は、(i)本発明の突然変異ポリペプチドのライブラリーを作製する(例えば本発明の方法によって);(ii)ライブラリーの少なくとも1つの成員を酵素的グリコシル化反応(又は場合により酵素的糖PEG化反応)に供し、グリコシル供与体分子からのグリコシル部分を突然変異O結合型グリコシル化配列の少なくとも1つに転移して、グリコシル部分が場合により修飾基で誘導体化される;及び(iii)ライブラリーの少なくとも1つの成員についての酵素的グリコシル化又は糖PEG化反応の収率を測定する、工程を含む。
転移されたグリコシル部分は、単糖及びオリゴ糖並びにグリコシルミメティック基を含む、何らかのグリコシル部分であり得る。例示的実施形態では、最初のグリコシル化反応において突然変異ポリペプチドに付加されるグリコシル部分は、GalNAc部分である。その後のグリコシル化反応を利用して、生じるGalNAcポリペプチドに付加的なグリコシル残基(例えばGal)を付加することができる。GalNAc修飾基は、mPEGなどの水溶性重合体を含む、本発明のいかなる修飾基であってもよい。
突然変異ポリペプチド(何らかのリードポリペプチドを含む)を生成する方法は当技術分野において公知である。例示的な方法を本明細書中で述べる。その方法は、以下の工程の1又はそれ以上を含み得る:(iv)突然変異ポリペプチドに対応する核酸配列を含む発現ベクターを作製すること;(v)発現ベクターで宿主細胞をトランスフェクトすること;(vi)突然変異ポリペプチドを宿主細胞において発現させること;及び(vii)突然変異ポリペプチドを単離すること。対象とする突然変異ポリペプチド(例えば選択されたリードポリペプチド)を工業規模で(例えば250mgより多い、好ましくは500mgより多いタンパク質の単離を導く)発現させることができる。
例示的実施形態では、突然変異ポリペプチドのライブラリーの各々の成員を酵素的グリコシル化反応に供する。例えば、各々の突然変異ポリペプチドを別々にグリコシル化反応に供し、1又はそれ以上の選択された反応条件に関してグリコシル化反応の収率を測定する。
例示的実施形態では、ライブラリーの1又はそれ以上の突然変異ポリペプチドを、グリコシル化及び/又は糖PEG化などのさらなる処理の前に精製する。
もう1つの例では、突然変異ポリペプチドの群を組み合わせることができ、生じた突然変異ポリペプチドの混合物をグリコシル化又は糖PEG化反応に供することができる。1つの例示的実施形態では、ライブラリーのすべての成員を含む混合物をグリコシル化反応に供する。一例では、この実施形態によれば、グリコシル供与体試薬を、突然変異ポリペプチドが酵素に対する基質として競合する環境を創造する化学量論量未満で(存在するグリコシル部位に関して)、グリコシル化反応混合物に添加することができる。酵素に対する基質であるそれらの突然変異ポリペプチドを、次に、例えば、グリコシル化混合物を事前に分離若しくは精製して又は事前の分離若しくは精製を行わずに、質量分析によって同定することができる。この同じアプローチを、各々が本発明の異なるO結合型グリコシル化配列を含む突然変異ポリペプチドの群に対して使用してもよい。
GlcNAcトランスフェラーゼに対する基質として機能する能力に関してポリペプチドをスクリーニングするために有用な例示的アッセイは、すべての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、T. M. Leavy and C. R. Bertozzi, Bioorg. Med. Chem. Lett. 2007, 17:3851-3854に記述されている。酵素的グリコシル化反応の収率はまた、当技術分野で公知の何らかの適切な方法を用いて測定することもできる。1つの実施形態では、質量分析法(例えばMALDI−TOF)又はゲル電気泳動を使用して、グリコシル化ポリペプチドと反応していない(例えば非グリコシル化)ポリペプチドを識別する。もう1つの好ましい実施形態では、グリコシル化の程度を測定するためにHPLCを使用する。核磁気共鳴技術もこの目的のために使用し得る。1つの実施形態では、多数のグリコシル化反応を並行して実施するためにマルチウエルプレート(例えば96穴プレート)を使用する。プレートは、場合により、各々のウエルの底部に分離又はろ過媒体(例えばゲルろ過膜)を備えてもよい。質量分析法又は他の手段による分析の前に各々の試料を前処理するために遠心(spinning)を使用してもよい。
宿主細胞内でのグリコシル化
宿主細胞内でのグリコシル化
本発明の突然変異ポリペプチドの一部である、突然変異O結合型グリコシル化配列の初期グリコシル化は、ポリペプチドが発現される宿主細胞内でも起こり得る。この技術は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2006年9月6日出願の米国特許出願第60/842,926号に述べられている。宿主細胞は、大腸菌又はシュードモナス(Pseudomonas)菌株などの原核生物であり得る。例示的実施形態では、宿主細胞は、trxB gor supp突然変異型大腸菌細胞である。
もう1つの例示的実施形態では、細胞内グリコシル化は、ポリペプチドと「活性なヌクレオチド糖:ポリペプチドグリコシルトランスフェラーゼタンパク質」(例えば可溶性の活性真核生物N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ)とを宿主細胞において共発現させ、グリコシル配列への糖部分の細胞内転移を可能にする条件下で宿主細胞を増殖させることによって達成される。もう1つの例示的実施形態では、突然変異ポリペプチドが発現される微生物は細胞内酸化環境を有する。微生物は、細胞内酸化環境を有するように遺伝的に改変され得る。細胞内グリコシル化は1個のグリコシル残基の転移に限定されない。必要な酵素の共発現及びそれぞれのグリコシル供与体の存在により、いくつかのグリコシル残基を連続的に付加することができる。このアプローチは、商業規模で突然変異ポリペプチドを生産するためにも使用できる。
突然変異ポリペプチドが宿主細胞内の突然変異O結合型グリコシル化配列において効率的にグリコシル化されるかどうかを判定するための方法が利用可能である。例えば、グリコシル化突然変異ポリペプチド対非グリコシル突然変異ポリペプチドの比率を測定するために細胞溶解産物(1又はそれ以上の精製工程後)を質量分析法によって分析する。もう1つの例では、グリコシル化ペプチドと非グリコシル化ペプチドを分離するゲル電気泳動によって細胞溶解産物を分析する。
リードポリペプチドのさらなる評価
初期スクリーニングの手順が、修飾されていないグリコシル部分を用いた酵素的グリコシル化(例えばGalNAc−T2によるGalNAc部分の転移)を含む1つの実施形態では、選択されたリードポリペプチドを、例えば別の酵素反応又は化学修飾を介して、さらなる修飾のための効率的な基質となるるそれらの能力に関してさらに評価し得る。例示的実施形態では、その後の「スクリーニング」は、グリコシル化リードポリペプチドをもう1つ別のグリコシル化反応(例えばGalの付加)及び/又はPEG化反応に供することを含む。
初期スクリーニングの手順が、修飾されていないグリコシル部分を用いた酵素的グリコシル化(例えばGalNAc−T2によるGalNAc部分の転移)を含む1つの実施形態では、選択されたリードポリペプチドを、例えば別の酵素反応又は化学修飾を介して、さらなる修飾のための効率的な基質となるるそれらの能力に関してさらに評価し得る。例示的実施形態では、その後の「スクリーニング」は、グリコシル化リードポリペプチドをもう1つ別のグリコシル化反応(例えばGalの付加)及び/又はPEG化反応に供することを含む。
PEG化反応は、例えば化学的PEG化反応又は酵素的糖PEG化反応であり得る。効率的に糖PEG化されるリードポリペプチドを同定するために、少なくとも1つのリードポリペプチド(場合によりあらかじめグリコシル化された)をPEG化反応に供し、この反応の収率を測定する。一例では、各々のリードポリペプチドについてのPEG化収率を測定する。例示的実施形態では、PEG化反応についての収率は、約10%〜約100%、好ましくは約30%〜約100%、より好ましくは約50%〜約100%、最も好ましくは約70%〜約100%である。PEG化の収率は、質量分析法(例えばMALDI−TOF、Q−TOF)、ゲル電気泳動(例えばデンシトメトリーなどの定量のための手段と組み合わせて)、NMR手法、並びに分析されるポリペプチドのPEG化及び非PEG化種の分離のために有用である適切なカラム材料を用いたHPLCのようなクロマトグラフィー法などの、当技術分野で公知の何らかの分析方法を用いて測定できる。グリコシル化に関して上述したように、多数のグリコシル化反応を並行して実施するためにマルチウエルプレート(例えば96穴プレート)が使用できる。プレートは、場合により、各々のウエルの底部に分離又はろ過媒体(例えばゲルろ過膜)を備えてもよい。質量分析法又は他の手段による分析の前に各々の試料を前処理するために遠心及び再溶解を使用してもよい。
もう1つの例示的実施形態では、突然変異ポリペプチドのグリコシル化及び糖PEG化は、以下で述べるような「ワンポット反応」において起こる。一例では、突然変異ポリペプチドを1番目の酵素(例えばGalNAc−T2)及び適切な供与体分子(例えばUDP−GalNAc)と接触させる。混合物を適切な時間インキュベートした後、2番目の酵素(例えばCore−1−GalT1)と2番目のグリコシル供与体(例えばUDP−Gal)を添加する。どのような数の付加的なグリコシル化/糖PEG化反応も、このようにして実施することができる。あるいは、複数の酵素と複数のグリコシル供与体を突然変異ポリペプチドと接触させて、1つの反応工程で複数のグリコシル残基を付加することができる。例えば、突然変異ポリペプチドを適切な緩衝系中で3つの異なる酵素(例えばGalNAc−T2、Core−1−GalT1及びST3Gal1)と3つの異なるグリコシル供与体部分(例えばUDP−GalNAc、UDP−Gal及びCMP−SA−PEG)に接触させて、ポリペプチド−GalNAc−Gal−SA−PEG(実施例4.6参照)のような糖PEG化突然変異ポリペプチドを生成する。上述した方法を用いて全体的な収率を測定することができる。
ポリペプチド複合体の形成
もう1つの態様では、本発明は、修飾基とポリペプチドとの間の共有結合複合体を形成する方法を提供する。本発明のポリペプチド複合体は、グリコシル化又は非グリコシル化ポリペプチドと、水溶性重合体、治療用部分、生体分子、診断用部分、標的化部分等のような様々な種との間で形成される。重合体、治療用部分又は生体分子は、ポリペプチドと修飾基(例えば水溶性重合体)との間に挟まれ、ポリペプチドと修飾基の両方に共有結合されているグリコシル連結基を介してペプチドに結合される。修飾糖の糖部分は、好ましくは、ヌクレオチド糖、活性化糖、及びヌクレオチドではなく且つ活性化されていない糖類から選択される。
もう1つの態様では、本発明は、修飾基とポリペプチドとの間の共有結合複合体を形成する方法を提供する。本発明のポリペプチド複合体は、グリコシル化又は非グリコシル化ポリペプチドと、水溶性重合体、治療用部分、生体分子、診断用部分、標的化部分等のような様々な種との間で形成される。重合体、治療用部分又は生体分子は、ポリペプチドと修飾基(例えば水溶性重合体)との間に挟まれ、ポリペプチドと修飾基の両方に共有結合されているグリコシル連結基を介してペプチドに結合される。修飾糖の糖部分は、好ましくは、ヌクレオチド糖、活性化糖、及びヌクレオチドではなく且つ活性化されていない糖類から選択される。
例示的実施形態では、ポリペプチド複合体は、ポリペプチドへの修飾糖の酵素的結合を介して形成される。公知の化学的及び酵素的ペプチド作製方法と異なり、本発明の方法は、実質的に均一な誘導体化パターンを有するペプチド及び糖ペプチドを構築することを可能にする。本発明において使用される酵素は、一般に、ペプチドの特定アミノ酸残基又はアミノ酸残基の組合せに対して選択的である。本発明の方法はまた、修飾ペプチド及び糖ペプチドの大規模生産のための実用的な手段を提供する。
グリコシルトランスフェラーゼなどの酵素の優れた選択性を利用して、本発明は、1又はそれ以上の特定位置に修飾基を担持するポリペプチドを提供する。それ故、本発明によれば、修飾糖はポリペプチド鎖内のO結合型グリコシル化配列に直接結合されるか、あるいは、修飾糖は糖ペプチドの糖質部分に付加される。修飾糖がグリコシル化部位に結合し、且つポリペプチド骨格のアミノ酸残基に直接結合しているペプチドも、本発明の範囲内である。好ましい実施形態では、修飾されたグルコサミン部分を、好ましくはGlcNAcトランスフェラーゼの作用を介して、本発明のO結合型グリコシル化配列のアミノ酸側鎖に直接付加する。
そこで、1つの態様では、本発明は、ポリペプチドと修飾基(例えば、場合により水溶性である、重合体修飾基)との間で共有結合複合体を形成する方法を提供し、その方法では、前記ポリペプチドは、ヒドロキシル基を有するアミノ酸残基を含むO結合型グリコシル化配列を含む。ポリペプチドの部分としてのO結合型グリコシル化配列は、グルコサミントランスフェラーゼ(例えばGlcNAcトランスフェラーゼ)に対する基質である。重合体修飾基は、ポリペプチドと修飾基との間に挟まれ、ポリペプチドと修飾基の両方に共有結合されているグルコサミン連結基を介してポリペプチドに共有結合される。例示的な方法は、(i)グルコサミン供与体がその基質であるグリコシルトランスフェラーゼ(例えばヒトGlcNAcトランスフェラーゼ)の存在下で、ポリペプチドと、重合体修飾基に共有結合されたグルコサミン部分又はグルコサミンミメティック部分を含むグルコサミン供与体を接触させることを含む。反応は、グリコシルトランスフェラーゼが、グルコサミン部分又はグルコサミンミメティック部分をグルコサミン供与体からO結合型グリコシル化配列の前記ヒドロキシル基上に転移するために十分な条件下で実施される。
本発明のポリペプチド複合体を形成するもう1つの例示的方法は、(i)本発明のO結合型グリコシル化配列を含むポリペプチドを組換え生産し、及び(ii)グルコサミン部分又はグルコサミンミメティック部分を、グルコサミン供与体(例えばGlcNAc又はGlcNAcミメティック部分を組み込んだ修飾糖ヌクレオチド)から、O結合型グリコシル化配列の一部であるアミノ酸の側鎖のヒドロキシル基上に酵素的に転移する、工程を含む。
上記方法において、グルコサミン部分はグルコサミンミメティック部分でもよい。好ましい実施形態では、グルコサミントランスフェラーゼはGlcNAcトランスフェラーゼである。グルコサミントランスフェラーゼは、好ましくは組換え酵素である。特に好ましい実施形態では、本発明の方法で使用されるGlcNAcトランスフェラーゼは、大腸菌などの細菌宿主細胞において発現される。
1つの実施形態では、本発明の方法で使用されるポリペプチドは、O結合型グリコシル化配列を天然に含む野生型ポリペプチドである。もう1つの実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも1つのO結合型グリコシル化配列が突然変異によって導入された、親ポリペプチドから誘導される、本発明の非天然に生じるポリペプチドである。
1つの実施形態では、本発明の方法で使用されるグルコサミン供与体は、供与体が修飾基を組み込む必要がないという相違点を除いて、本明細書中上記で述べた式(XI)に従った構造を有する。1つの実施形態では、式(XI)において、E及びE1はどちらも酸素である。特に好ましい実施形態では、グルコサミン供与体は、修飾又は非修飾UDP−GlcNAc及び修飾又は非修飾UDP−GlcNHから選択される。
グリコシル化又は糖修飾の工程は、別々に実施してもよく又は複数の酵素とサッカリル供与体を使用する「ワンポット」反応において組み合わせてもよい。例えば、発現されたポリペプチドから望ましくないグリコシル残基を切り取るために使用されるグリコシダーゼと1又はそれ以上のグリコシルトランスフェラーゼ並びにそれぞれのグリコシル供与体分子を単一容器内で組み合わせてもよい。もう1つの例は、各々の酵素と適切なグリコシル供与体を連続的に添加して、「ワンポット」モチーフで反応を実施することを含む。1つの実施形態では、添加の時点を、各々の酵素が所望酵素反応を達成するために必要な反応時間分だけ中断する。上記に示す方法の組合せは、本発明の化合物を製造するときにも有用である。
本発明はまた、1又はそれ以上の選択されたグリコシル残基をペプチドに付加し(又は除去し)、その後、修飾糖をペプチドの選択されたグリコシル残基の少なくとも1つに結合する手段を提供する。この実施形態は、例えば、ペプチド上に存在しないか又は所望量では存在しない選択されたグリコシル残基に修飾糖を結合することを所望するときに有用である。それ故、ペプチドに修飾糖を結合する前に、選択されたグリコシル残基を酵素的結合又は化学結合によってペプチドに結合する。もう1つの実施形態では、修飾糖を結合する前に糖ペプチドから糖質残基を除去することによって糖ペプチドのグリコシル化パターンを変化させる。例えば国際公開公報第WO98/31826号参照。
糖ペプチド上に存在する何らかの糖質部分の付加又は除去は、化学的又は酵素的に達成される。化学的脱グリコシル化は、好ましくはトリフルオロメタンスルホン酸又は糖化化合物へのポリペプチドの暴露によってもたらされる。この処理は、連結糖(N−アセチルグルコサミン又はN−アセチルガラクトサミン)を除く大部分又はすべての糖の切断を生じさせるが、一方ペプチドは無傷のまま残す。化学的脱グリコシルは、Hakimuddin et al.,Arch.Biochem.Biophys.259:52(1987)及びEdge et al.,Anal.Biochem.118:131(1981)によって記述されている。ポリペプチド変異体上の糖質部分の酵素的切断は、Thotakura et al.,Meth.Enzymol.138:350(1987)によって述べられているように様々なエンドグリコシダーゼ及びエキソグリコシダーゼを使用することによって達成され得る。
グリコシル部分の化学的付加は、当技術分野で認識されている何らかの方法によって実施される。糖部分の酵素的付加は、好ましくは、本発明において使用される修飾糖を天然グリコシル単位で置換する、本明細書で述べる方法の変法を用いて実施される。糖部分を付加する他の方法は、米国特許第5,876,980号;同第6,030,815号;同第5,728,554号及び同第5,922,577号に開示されている。本発明において有用な例示的方法は、1987年9月11日公開の国際公開公報第WO87/05330号及びAplin and Wriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp.259-306 (1981)に述べられている。
2又はそれ以上のポリペプチドを含むポリペプチド複合体
リンカーアームを介して互いに連結された2又はそれ以上のポリペプチドを含む複合体、すなわち多官能性複合体であって、少なくとも1つのペプチドがO結合グリコシル化されているか又は突然変異O結合型グリコシル化配列を含む複合体も提供される。本発明の多官能性複合体は、2又はそれ以上のコピーの同じペプチドを含んでもよく、又は異なる構造及び/又は性質を有する様々なペプチドの集合物を含んでもよい。この実施形態による例示的な複合体では、2つのペプチドの間のリンカーは、O結合無傷グリコシル連結基などのO結合グリコシル残基を介してペプチドの少なくとも1つに結合される。
リンカーアームを介して互いに連結された2又はそれ以上のポリペプチドを含む複合体、すなわち多官能性複合体であって、少なくとも1つのペプチドがO結合グリコシル化されているか又は突然変異O結合型グリコシル化配列を含む複合体も提供される。本発明の多官能性複合体は、2又はそれ以上のコピーの同じペプチドを含んでもよく、又は異なる構造及び/又は性質を有する様々なペプチドの集合物を含んでもよい。この実施形態による例示的な複合体では、2つのペプチドの間のリンカーは、O結合無傷グリコシル連結基などのO結合グリコシル残基を介してペプチドの少なくとも1つに結合される。
1つの実施形態では、本発明は、連結基を介して2又はそれ以上のペプチドを連結するための方法を提供する。連結基は何らかの有用な構造であり、直鎖及び分枝鎖構造から選択され得る。好ましくは、ペプチドに結合しているリンカーの各々の末端は、修飾糖(すなわち新生無傷グリコシル連結基)を含む。
本発明の例示的方法では、2つのペプチドは、PEGリンカーを含むリンカー部分を介して互いに連結される。この構築物は上記の図に示す一般構造に従う。本明細書で述べるように、本発明の構築物は2つの無傷グリコシル連結基を含む(すなわちs+t=1)。2つのグリコシル基を含むPEGリンカーに焦点を合わせることは明瞭さのためであり、本発明のこの実施形態において有用なリンカーアームの同一性を限定すると解釈されるべきではない。
それ故、PEG部分は、1番目の末端において1番目のグリコシル単位で及び2番目の末端において2番目のグリコシル単位で官能基化される。1番目と2番目のグリコシル単位は、好ましくは、1番目と2番目のペプチドがそれぞれ1番目と2番目のグリコシル単位に直交結合することを可能にする、異なるトランスフェラーゼに対する基質である。実際には、(グリコシル)1−PEG−(グリコシル)2リンカーを1番目のペプチド及び、1番目のグリコシル単位がその基質である1番目のトランスフェラーゼと接触させ、それによって(ペプチド)1−(グリコシル)1−PEG−(グリコシル)2を形成する。2番目のペプチド及び、2番目のグリコシル単位がその基質である2番目のトランスフェラーゼを(ペプチド)1−(グリコシル)1−PEG−(グリコシル)2複合体に添加し、(ペプチド)1−(グリコシル)1−PEG−(グリコシル)2−(ペプチド)2を形成する;グリコシル残基の少なくとも1つは直接又は間接的にO結合している。当業者は、上記で概説する方法が、例えば分枝PEG、デンドリマー、ポリアミノ酸、多糖等の使用によって3以上のペプチドの間で複合体を形成することにも適用できることを理解する。
上記で述べる工程は、何度でも所望する回数実施することができ、単一リンカーを用いて2つのペプチドの間で複合体を形成することに限定されない。さらに、当業者は、ペプチドによってPEG(又は他の)リンカーの末端で無傷グリコシル連結基を官能基化する反応が同じ反応容器内で同時に起こり得ること、又はそれらの反応が段階的に実施できることを理解する。反応を段階的に実施するとき、各段階で生成される複合体は、場合により1又はそれ以上の反応成分(例えば酵素、ペプチド)から精製される。
ペプチドへの修飾糖の酵素的結合
修飾糖は、結合を媒介する適切な酵素を用いてグリコシル化又は非グリコシル化ペプチドに結合される。好ましくは、供与体である修飾糖、酵素及び受容体ペプチドの濃度は、受容体が消費されるまでグリコシル化が進行するように選択される。
修飾糖は、結合を媒介する適切な酵素を用いてグリコシル化又は非グリコシル化ペプチドに結合される。好ましくは、供与体である修飾糖、酵素及び受容体ペプチドの濃度は、受容体が消費されるまでグリコシル化が進行するように選択される。
所望オリゴ糖構造を合成するためにグリコシルトランスフェラーゼを利用する多くの方法が公知であり、一般に本発明にも適用できる。例示的な方法は、例えば国際公開公報第WO96/32491号及びIto et al., Pure Appl. Chem. 65:753 (1993)、並びに米国特許第5,352,670号;同第5,374,541号及び同第5,545,553号に述べられている。
本発明は、単一酵素(例えばグリコシルトランスフェラーゼ)を用いて又はグリコシルトランスフェラーゼと場合により1又はそれ以上のグリコシダーゼの組合せを使用して実施される。例えば、グルコサミントランスフェラーゼとガラクトシルトランスフェラーゼの組合せが使用できる。複数の酵素を使用する実施形態では、好ましくは酵素と基質を初期反応混合物において組み合わせるか、又は1番目の酵素反応が完了するか又はほぼ完了したときに酵素と2番目の酵素反応のための試薬を反応媒質に添加する。単一容器内で2つの酵素反応を連続的に実施することにより、中間体の種を単離する手順に比べて全体的収率が改善される。さらに、過剰の溶媒及び副産物の除去と廃棄が低減される。
本発明のO結合グリコシル部分は、一般に、ペプチドに結合しているグルコサミン部分から生じる。グルコサミントランスフェラーゼのファミリーのいかなる成員も(例えば本明細書で述べるGlcNAcトランスフェラーゼ、例えば配列番号:1〜9及び228〜230)、グルコサミン部分をペプチドに結合するために使用できる(例えばHassan H,Bennett EP, Mandel U, Hollingsworth MA, and Clausen H(2000); and Control of Mucin-Type O-Glycosylation: O-Glycan Occupancy is Directed by Substrate Specificities of Polypeptide GalNAc-Transferases; Eds. Ernst, Hart, and Sinay; Wiley-VCH chapter "Carbohydrates in Chemistry and Biology-a Comprehension Handbook", 273-292参照)。GlcNAc部分自体がグリコシル連結基であり得、修飾基で誘導体化され得る。あるいは、1又はそれ以上の酵素と1又はそれ以上の適切なグリコシル供与体基質を使用してサッカリル残基が作製される。修飾糖を、次に、伸長されたグリコシル部分に付加し得る。
酵素は、通常はエンドグリカナーゼ加水分解工程の逆反応に類似する合成工程によって、反応を触媒する。これらの実施形態では、グリコシル供与体分子(例えば所望するオリゴ糖又は単糖構造)は脱離基を含み、供与体分子をタンパク質上のGlcNAc残基に付加することで反応が進行する。例えば、脱離基は、フッ化物などのハロゲンであり得る。他の実施形態では、脱離基はAsn又はAsn−ペプチド部分である。さらなる実施形態では、グリコシル供与体分子上のGlcNAc残基は修飾されている。例えば、GlcNAc残基は1,2オキサゾリン部分を含み得る。
もう1つの実施形態では、本発明の複合体を生成するために利用される酵素の各々は、触媒量で存在する。特定酵素の触媒量は、その酵素の基質の濃度並びに温度、時間及びpH値などの反応条件によって異なる。あらかじめ選択された基質濃度と反応条件の下で所与の酵素についての触媒量を決定するための手段は当業者に周知である。
上記工程を実施する温度は、凝固温度をわずかに上回る温度から、大部分の感受性酵素が変性する温度までの範囲にわたり得る。好ましい温度範囲は、約0℃〜約55℃、より好ましくは約20℃〜約32℃である。もう1つの例示的実施形態では、本発明の方法の1又はそれ以上の部分は、耐熱性酵素を使用して高温で実施される。
反応混合物は、受容体がグリコシル化され、それによって所望複合体を形成するのに十分な期間保持される。複合体の一部は、しばしば数時間後に検出されることがあり、回収可能な量は通常24時間以内に得られる。当業者は、反応の速度が、選択される系に合わせて最適化される、多くの可変因子(例えば酵素濃度、供与体濃度、受容体濃度、温度、溶媒容量)に依存することを理解する。
本発明はまた、修飾ペプチドの工業規模での生産を提供する。本明細書で使用される、工業規模は、一般に、好ましくは1回の反応サイクル後に、少なくとも約250mg、好ましくは少なくとも約500mg、より好ましくは少なくとも約1gの完成された精製複合体を生産する、すなわち複合体は、同一の連続的に反復される合成サイクルからの反応生成物の組合せではない。
以下の考察では、グリコシル化ペプチドへの修飾シアル酸部分の結合によって本発明を例示する。例示的な修飾シアル酸は、(m−)PEGで標識されている。PEGで修飾されたシアル酸とグリコシル化ペプチドの使用に関する以下の考察の焦点は説明を明瞭にすることにあり、本発明をこれら2つのパートナーの結合に限定することを意味するものではない。当業者は、この考察がシアル酸以外の修飾グリコシル部分の付加に一般的に適用できることを理解する。さらに、この考察は、他の水溶性重合体、治療用部分及び生体分子を含むPEG以外の物質によるグリコシル単位の修飾にも等しく適用できる。
ペプチド又は糖ペプチドへの修飾基(例えばmPEG又はmPPG)の選択的導入のために酵素的アプローチが使用できる。1つの実施形態では、その方法は、適切なグリコシルトランスフェラーゼ又はグリコシンターゼとの組合せで修飾基を含む修飾糖を利用する。所望糖質結合を作製するグリコシルトランスフェラーゼを選択すること及び修飾糖を供与体基質として使用することにより、修飾基をペプチド骨格、糖ペプチドの既存糖残基又はペプチドに付加された糖残基上に直接導入することができる。もう1つの実施形態では、その方法は、ペプチド又は糖ペプチドへの修飾糖の転移後に修飾基の結合のために使用できる、マスクされた反応性官能基を担持する修飾糖を利用する。
例示的実施形態では、GlcNAcトランスフェラーゼの作用によってGlcNAc残基をO結合型グリコシル化配列に付加する。Hassan H, Bennett EP, Mandel U, Hollingsworth MA, and Clausen H (2000), Control of Mucin-Type O-Glycosylation: O-Glycan Occupancy is Directed by Substrate Specificities of Polypeptide GalNAc-Transferases (Eds.Ernst, Hart, and Sinay), Wiley-VCH chapter "Carbohydrates in Chemistry and Biology-a Comprehension Handbook", pages 273-292。この方法は、修飾しようとするペプチドを、適切な量のガラクトシルトランスフェラーゼと適切なガラクトシル供与体を含む反応混合物と共にインキュベートすることを含む。反応を実質的に完了まで進行させるか、あるいはあらかじめ選択された量のガラクトース残基を付加したときに反応を終了させる。選択されたサッカリド受容体を構築する他の方法は、当業者に明白である。
以下の考察では、水溶性重合体が結合されている修飾糖の使用によって本発明の方法を例示する。考察の焦点は説明を明瞭にすることにある。当業者は、この考察が、修飾糖が治療用部分、生体分子等を担持する実施形態にも等しく該当することを理解する。
もう1つの例示的実施形態では、水溶性重合体を、修飾されたGlcNAc又はGlcNH残基、ガラクトシル(Gal)残基、フコシル(Fuc)残基、シアリル(Sia)残基又はマンノシル(Man)残基を介してGlcNAc残基に付加する。あるいは、修飾されていないグリコシル残基を末端GlcNAc残基に付加することができる。
さらなる例では、修飾されたGlcNAc、Gal、Sia、Fuc又はMan部分と適切なトランスフェラーゼを使用して、水溶性重合体(例えばPEG)を末端GlcNAc残基に付加する。
さらなるアプローチでは、マスクされた反応性官能基が、転移されたグリコシル残基上に存在する。マスクされた反応性官能基は、好ましくは、修飾糖をペプチドに結合するために使用される条件によって影響されない。ペプチドへの修飾糖の共有結合後、マスクを除去し、ペプチドを、修飾糖残基上のマスクされていない反応性基と反応性修飾基との反応によって水溶性重合体(例えばPEG又はPPG)などの修飾基に結合する。
選択的実施形態では、糖残基をペプチド骨格上のO結合型グリコシル化配列に転移することが知られるグリコシルトランスフェラーゼを使用して、修飾糖をペプチドに直接付加する。本発明を実施する上で有用な例示的グリコシルトランスフェラーゼは、GlcNAcトランスフェラーゼ等を含むが、これらに限定されない。このアプローチの使用により、糖質を欠くペプチドへの修飾糖の直接付加が可能となる。好ましい実施形態では、修飾糖ヌクレオチドは修飾されたUDP−グルコサミンであり、グリコシルトランスフェラーゼはGlcNAcトランスフェラーゼである。この例示的実施形態を以下のスキーム5に示す。
スキーム5:ポリペプチドのアミノ酸残基への例示的修飾糖の転移
もう1つの例示的実施形態では、糖ペプチドを標的化剤、例えばトランスフェリン(血液脳関門を越えてペプチドを送達するため及びエンドソームにペプチドを送達するため)、カルニチン(筋細胞にペプチドを送達するため、例えばLeBorgne et al., Biochem. Pharmacol. 59:1357-63 (2000)参照)、及びホスホネート、例えばヒスホスホネート(骨及び他の石灰質組織にペプチドを標的化するため、例えばModern Drug Discovery, August 2002, page 10参照)に結合する。標的化のために有用なタンパク質の作用物質は当業者に明白である。例えば、グルコース、グルタミン及びIGFも、筋肉を標的するために有用である。
標的化部分と治療用ペプチドは、本明細書で論じる又は当技術分野で公知の何らかの方法によって結合される。当業者は、上記に示すものに加えて、ペプチドはまた、本明細書で述べるように誘導体化することができる。例示的ペプチドは、2001年10月10日に出願された同時係属中の同一出願人による米国特許出願第60/328,523号に添付された付属書に述べられている。
例示的実施形態では、標的化剤と治療用ペプチドをリンカー部分を介して結合する。この実施形態では、治療用ペプチド又は標的化剤の少なくとも1つを、本発明の方法に従って無傷グリコシル連結基を介してリンカー部分に結合する。例示的実施形態では、リンカー部分は、ポリエチレングリコールなどのポリ(エーテル)を含む。もう1つの例示的実施形態では、リンカー部分は、複合体が身体の標的組織又は領域に送達された後、インビボで分解されて標的化剤から治療用ペプチドを遊離させる少なくとも1つの結合を含む。
さらにもう1つの例示的実施形態では、治療用ペプチドを標的化部分に結合せずに治療用部分のグリコフォームを変化させることによって治療用部分のインビボでの分布を変化させる。例えば、グリコシル基の末端ガラクトース部分をシアル酸(又はその誘導体)でキャップすることによって治療用ペプチドを細網内皮系による取り込みから回避させることができる。
酵素
グリコシルトランスフェラーゼ
本発明で使用されるグリコシルトランスフェラーゼは、修飾糖を糖供与体として利用することができる限り、いかなるものでもよい。そのような酵素の例は、ガラクトシルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、キシロシルトランスフェラーゼ、グルクロノニルトランスフェラーゼなどの、ルロワール経路のグリコシルトランスフェラーゼを含む。
グリコシルトランスフェラーゼ
本発明で使用されるグリコシルトランスフェラーゼは、修飾糖を糖供与体として利用することができる限り、いかなるものでもよい。そのような酵素の例は、ガラクトシルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、キシロシルトランスフェラーゼ、グルクロノニルトランスフェラーゼなどの、ルロワール経路のグリコシルトランスフェラーゼを含む。
グリコシルトランスフェラーゼ反応が関与する酵素的サッカリド合成のために、グリコシルトランスフェラーゼをクローン化する又は何らかの供給源から単離することができる。多くのクローン化グリコシルトランスフェラーゼが、それらのポリヌクレオチド配列と共に公知である。グリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列、及びアミノ酸配列をそれらから推定することができる、グリコシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列は、GenBank、Swiss−Prot、EMBLその他を含む、公的に利用可能な様々なデータベースに認められる。
本発明の方法において使用できるグリコシルトランスフェラーゼは、ガラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、グルコシルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、グルクロニルトランスフェラーゼ、シアリルトランスフェラーゼ、マンノシルトランスフェラーゼ、グルクロン酸トランスフェラーゼ、ガラクツロン酸トランスフェラーゼ及びオリゴサッカリルトランスフェラーゼを含むが、これらに限定されない。適切なグリコシルトランスフェラーゼは、真核生物並びに原核生物から得られるものを含む。
グリコシルトランスフェラーゼをコードするDNAは、化学合成によって、適切な細胞若しくは細胞系統培養物からのmRNAの逆転写産物をスクリーニングすることによって、適切な細胞からのゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって、又はこれらの手順の組合せによって入手し得る。mRNA又はゲノムDNAのスクリーニングは、グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子配列から作製したオリゴヌクレオチドプローブを用いて実施し得る。プローブは、公知の手順に従って蛍光基、放射性原子又は化学発光基などの検出可能な基で標識し、従来のハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用し得る。選択的方法では、グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)手順を使用して入手でき、PCRオリゴヌクレオチドプライマーはグリコシルトランスフェラーゼの遺伝子配列から作製される(例えばMullis et al.への米国特許第4,683,195号及びMullisへの米国特許第4,683,202号参照)。
グリコシルトランスフェラーゼは、グリコシルトランスフェラーゼ酵素をコードするDNAを含むベクターで形質転換した宿主細胞において合成し得る。ベクターは、グリコシルトランスフェラーゼ酵素をコードするDNAを増幅するため及び/又はグリコシルトランスフェラーゼ酵素をコードするDNAを発現するために使用される。発現ベクターは、グリコシルトランスフェラーゼ酵素をコードするDNA配列が、適切な宿主においてグリコシルトランスフェラーゼ酵素の発現を生じさせることができる適切な制御配列に作動可能に連結されている、複製可能なDNA構築物である。そのような制御配列の必要性は、選択される宿主及び選択される形質転換方法に依存して異なる。一般に、制御配列は、転写プロモーター、転写を制御するための選択的オペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、並びに転写及び翻訳の終結を制御する配列を含む。増幅ベクターは発現制御ドメインを必要としない。必要とされるのは、複製起点によって通常与えられる、宿主において複製する能力、及び形質転換体の認識を容易にするための選択遺伝子だけである。
例示的実施形態では、本発明は原核生物酵素を利用する。そのようなグリコシルトランスフェラーゼは、多くのグラム陰性細菌によって産生される、リポオリゴ糖(LOS)の合成に関与する酵素を含む(Preston et al.,Critical Reviews in Microbiology 23(3):139-180(1996))。そのような酵素は、β1,6ガラクトシルトランスフェラーゼ及びβ1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ(例えばEMBLアクセッション番号M80599及びM86935(大腸菌);EMBLアクセッション番号S56361(ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium))参照)、グルコシルトランスフェラーゼ(Swiss−Protアクセッション番号P25740(大腸菌))、β1,2−グルコシルトランスフェラーゼ(rfaJ)(Swiss−Protアクセッション番号P27129(大腸菌)及びSwiss−Protアクセッション番号P19817(ネズミチフス菌))、並びにβ1,2−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(rfaK)(EMBLアクセッション番号U00039(大腸菌))を含む、大腸菌及びネズミチフス菌などの種のrfaオペロンのタンパク質を含むが、これらに限定されない。アミノ酸配列が公知である他のグリコシルトランスフェラーゼは、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、大腸菌、ネズミチフス菌、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、腸炎エルシニア(Yersinia enterocolitica)、らい菌(Mycobacterium leprosum)などの生物において特徴づけられているrfaB、及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のrh1オペロンなどのオペロンによってコードされるものを含む。
ラクト−N−ネオテトラオース、D−ガラクトシル−β−1,4−N−アセチル−D−グルコサミニル−β−1,3−D−ガラクトシル−β−1、4−D−グルコース、並びに粘膜病原体である淋菌(Neisseria gonnorhoeae)及び髄膜炎菌(N. meningitidis)のLOS中で同定されたPk血液型三糖配列、D−ガラクトシル−α−1,4−D−ガラクトシル−β−1,4−D−グルコース(Scholten et al., J. Med. Microbiol. 41:236-243 (1994))を含む構造体を生成することに関与するグリコシルトランスフェラーゼも、本発明における使用に適する。これらの構造体の生合成に関与するグリコシルトランスフェラーゼをコードする髄膜炎菌及び淋菌由来の遺伝子は、髄膜炎菌の免疫型L3及びL1(Jennings et al., Mol. Microbiol. 18:729-740 (1995))並びに淋菌突然変異体F62(Gotshlich, J. Exp. Med. 180:2181-2190 (1994))から同定された。髄膜炎菌では、3つの遺伝子、lgtA、lgtB及びlgEから成る遺伝子座が、ラクト−N−ネオテトラオース鎖内の糖の最後の3つを付加するために必要なグリコシルトランスフェラーゼ酵素をコードする(Wakarchuk et al., J. Biol. Chem. 271:19166-73 (1996))。最近、lgtB及びlgtA遺伝子産物の酵素活性が明らかにされ、提唱されているそれらのグリコシルトランスフェラーゼ機能についての最初の直接的な証拠が提供された(Wakarchuk et al., J. Biol. Chem. 271(45):28271-276 (1996))。淋菌では、2つの付加的な遺伝子、すなわちラクト−N−ネオテトラオース構造体の末端ガラクトースの3位にβ−D−GalNAcを付加するlgtD、及びトランケートされたLOSのラクトースエレメントに末端α−D−Galを付加し、それによってPk血液型の抗原構造を創製するlgtCが存在する(Gotshlich (1994)、前出)。髄膜炎菌では、分離した免疫型L1もPk血液型抗原を発現し、lgtC遺伝子を担持することが示された(Jennings et al., (1995)、前出)。ナイセリア属(Neisseria)のグリコシルトランスフェラーゼ及び関連遺伝子は、米国特許第5,545,553号(Gotschlich)にも記載されている。ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)に由来するα1,2−フコシルトランスフェラーゼ及びα1,3−フコシルトランスフェラーゼについての遺伝子も特徴づけられている(Martin et al., J. Biol. Chem. 272:21349-21356 (1997))。また、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)のグリコシルトランスフェラーゼも本発明において有用である(例えばhttp://afmb.cnrs-mrs.fr/~pedro/CAZY/gtf_42.html参照)。
(a) N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ
一部の実施形態では、グリコシルトランスフェラーゼは、例えばKreppel et al., J. Biol. Chem. 1997, 272:9308-9315及びLubas et al., J. Biol. Chem. 1997, 272:9316-9324に述べられているウリジンジホスホ−N−アセチルグルコサミン:ポリペプチドβ−N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼなどの、N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼである。他の例示的なGlcNAcトランスフェラーゼは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kreppel, L. and G. Hart, J. Biol. Chem. 1999, 274:32015-32022; Lubas, W. and J. Hanover, J. Biol. Chem. 2000, 275:10983-10988; Hanover, J.et al., Arch. Biochem. Biophys. 2003, 409:287-297; Gross, B., Kraybill, B., and S. Walker, J. Am. Chem. Soc. 2005, 127:14588-14589及びGross, B., Swoboda, J., and S. Walker, J. Am. Chem. Soc. 2008, 130:440-441に開示されている。例示的なグルコサミントランスフェラーゼは、GnT−I〜GnT−VIを含む。本発明の方法において有用なGlcNAcトランスフェラーゼの例示的なアミノ酸配列は、例えば図1〜9(配列番号:1〜9)において及び本明細書中以下で(配列番号:228〜230)示される:
一部の実施形態では、グリコシルトランスフェラーゼは、例えばKreppel et al., J. Biol. Chem. 1997, 272:9308-9315及びLubas et al., J. Biol. Chem. 1997, 272:9316-9324に述べられているウリジンジホスホ−N−アセチルグルコサミン:ポリペプチドβ−N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼなどの、N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼである。他の例示的なGlcNAcトランスフェラーゼは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kreppel, L. and G. Hart, J. Biol. Chem. 1999, 274:32015-32022; Lubas, W. and J. Hanover, J. Biol. Chem. 2000, 275:10983-10988; Hanover, J.et al., Arch. Biochem. Biophys. 2003, 409:287-297; Gross, B., Kraybill, B., and S. Walker, J. Am. Chem. Soc. 2005, 127:14588-14589及びGross, B., Swoboda, J., and S. Walker, J. Am. Chem. Soc. 2008, 130:440-441に開示されている。例示的なグルコサミントランスフェラーゼは、GnT−I〜GnT−VIを含む。本発明の方法において有用なGlcNAcトランスフェラーゼの例示的なアミノ酸配列は、例えば図1〜9(配列番号:1〜9)において及び本明細書中以下で(配列番号:228〜230)示される:
ヒトGlcNAcトランスフェラーゼアイソフォーム1(NP858058)の配列
ヒトGlcNAcトランスフェラーゼアイソフォーム2(NP858059)の配列
ヒトGlcNAcトランスフェラーゼアイソフォームCRA_a(EAX05285 CH471132.2)の配列
他のグルコサミントランスフェラーゼ、例えば、他の哺乳動物(例えばマウス、ウシ、ブタ、ラット)、昆虫(ショウジョウバエ種(drosophila sp.))、酵母(例えばカンジダ種(candida sp.))、細菌(例えば大腸菌)及びC.エレガンス(C.elegans))などの他の生物に由来するものを含む。加えて、上記グルコサミントランスフェラーゼ(配列番号:228〜230)又は他の何らかのグルコサミントランスフェラーゼの何らかの突然変異又はトランケート形態も、本発明の方法において有用である。1つの実施形態では、GlcNAcトランスフェラーゼは、1又はそれ以上のテトラトリコペプチド反復配列(TPR)ドメインを欠く。O結合型グリコシル化配列につき1個のグルコサミン部分だけを付加することができる酵素、及び本発明の特定O結合型グリコシル化配列に対して基本的に特異的な酵素が特に好ましい。
(b) GalNAcトランスフェラーゼ
O結合グリコシル化における最初の工程は、通常はGalNAcをセリン及びトレオニン受容体部位に転移する、UDP−GalNAc:ポリペプチドN−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(GalNAcトランスフェラーゼ)の大きなファミリーの1又はそれ以上の成員によって触媒され得る(Hassan et al., J.Biol. Chem. 275:38197-38205 (2000))。今までに哺乳動物GalNAcトランスフェラーゼファミリーの12の成員が同定され、特徴づけられており(Schwientek et al.,J.Biol.Chem.277:22623-22638(2002))、この遺伝子ファミリーのいくつかの付加的な推定上の成員がゲノムデータベースの分析から予測された。GalNAcトランスフェラーゼアイソフォームは、異なる動態学的性質を有し、且つ時間的及び空間的に区別的な発現パターンを示し、それらが異なる生物学的機能を有することを示唆する(Hassan et al., J. Biol. Chem. 275:38197-38205 (2000))。GalNAcトランスフェラーゼの配列分析から、これらの酵素が2つの異なるサブユニット:中央触媒ユニット、及び「レクチンドメイン」と称される、植物レクチンであるリシンに配列類似性を有するC末端ユニットを含むという仮説が導かれた(Hagen et al., J. Biol. Chem. 274:6797-6803 (1999); Hazes, Protein Eng. 10:1353-1356 (1997); Breton et al., Curr. Opin. Struct. Biol. 9:563-571 (1999))。選択された保存残基の部位特異的突然変異誘発を含むこれまでの実験は、触媒ドメイン内の突然変異は触媒活性を消失させることを確認した。これに対し、「レクチンドメイン」内の突然変異は、GalNAcトランスフェラーゼアイソフォーム、GalNAc−T1の触媒活性に有意の影響を及ぼさなかった(Tenno et al.,J.Biol.Chem.277(49):47088-96(2002))。それ故、C末端の「レクチンドメイン」は機能性ではなく、GalNAcトランスフェラーゼの酵素機能のために役割を果たさないと考えられた(Hagen et al., J. Biol. Chem. 274:6797-6803 (1999)。
O結合グリコシル化における最初の工程は、通常はGalNAcをセリン及びトレオニン受容体部位に転移する、UDP−GalNAc:ポリペプチドN−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(GalNAcトランスフェラーゼ)の大きなファミリーの1又はそれ以上の成員によって触媒され得る(Hassan et al., J.Biol. Chem. 275:38197-38205 (2000))。今までに哺乳動物GalNAcトランスフェラーゼファミリーの12の成員が同定され、特徴づけられており(Schwientek et al.,J.Biol.Chem.277:22623-22638(2002))、この遺伝子ファミリーのいくつかの付加的な推定上の成員がゲノムデータベースの分析から予測された。GalNAcトランスフェラーゼアイソフォームは、異なる動態学的性質を有し、且つ時間的及び空間的に区別的な発現パターンを示し、それらが異なる生物学的機能を有することを示唆する(Hassan et al., J. Biol. Chem. 275:38197-38205 (2000))。GalNAcトランスフェラーゼの配列分析から、これらの酵素が2つの異なるサブユニット:中央触媒ユニット、及び「レクチンドメイン」と称される、植物レクチンであるリシンに配列類似性を有するC末端ユニットを含むという仮説が導かれた(Hagen et al., J. Biol. Chem. 274:6797-6803 (1999); Hazes, Protein Eng. 10:1353-1356 (1997); Breton et al., Curr. Opin. Struct. Biol. 9:563-571 (1999))。選択された保存残基の部位特異的突然変異誘発を含むこれまでの実験は、触媒ドメイン内の突然変異は触媒活性を消失させることを確認した。これに対し、「レクチンドメイン」内の突然変異は、GalNAcトランスフェラーゼアイソフォーム、GalNAc−T1の触媒活性に有意の影響を及ぼさなかった(Tenno et al.,J.Biol.Chem.277(49):47088-96(2002))。それ故、C末端の「レクチンドメイン」は機能性ではなく、GalNAcトランスフェラーゼの酵素機能のために役割を果たさないと考えられた(Hagen et al., J. Biol. Chem. 274:6797-6803 (1999)。
明らかなGalNAc糖ペプチド特異性を示さなかったポリペプチドGalNAcトランスフェラーゼも、それらの推定上のレクチンドメインによって調節されると思われる(国際公開公報第PCT WO01/85215 A2号)。最近、GalNAc−T1の推定上のレクチンドメインにおける突然変異が、GalNAc−T4において以前に分析されたものに類似して(Hassan et al., J. Biol. Chem. 275:38197-38205 (2000))、GalNAc−T4と同じように酵素の活性を改変することが認められた。それ故、野生型GalNAc−T1は、複数の受容体部位を有するペプチド基質に複数の連続的なGalNAc残基を付加したが、突然変異GalNAc−T1は、同じ基質に複数のGalNAc残基を付加することができなかった(Tenno et al., J. Biol. Chem. 277(49):47088-96 (2002))。ごく最近、マウスGalNAc−T1のx線結晶構造(Fritz et al., PNAS 2004, 101(43):15307-15312)並びにヒトGalNAc−T2のx線結晶構造(Fritz et al., J. Biol. Chem. 2006, 281(13):8613-8619)が測定された。ヒトGalNAc−T2構造は、触媒ドメインとレクチンドメインの間の予期せぬ柔軟性を明らかにし、グリコシル化基質を捕獲するためにGalNAc−T2によって利用される新しい機構を示唆した。レクチンドメインを欠くGalNAc−T2の動態学的分析は、糖ペプチド基質に作用する上でのこのドメインの重要性を確認した。しかし、非グリコシル化基質に関する酵素活性は、レクチンドメインの除去によって有意の影響を受けなかった。それ故、レクチンドメインを欠くトランケートされたヒトGalNAc−T2酵素は、生じるモノグリコシル化ペプチドのさらなるグリコシル化が望ましくないペプチド基質のグリコシル化のために有用であり得る。
最近の証拠により、一部のGalNAcトランスフェラーゼが、部分的にGalNAcグリコシル化された糖ペプチドに関してユニークな活性を示すことが明らかにされた。少なくとも3つのGalNAcトランスフェラーゼアイソフォーム、GalNAc−T4、GalNAc−T7及びGalNAc−T10の触媒作用は、クラスター化した潜在的グリコシル化配列の一部だけが他のGalNAcトランスフェラーゼによってGalNAcグリコシル化された、ムチン縦列反復配列ドメインに対応する糖ペプチドに対して選択的に働く(Bennett et al., FEBS Letters 460:226-230 (1999); Ten Hagen et al., J. Biol. Chem. 276:17395-17404 (2001); Bennett et al., J. Biol. Chem. 273:30472-30481 (1998); Ten Hagen et al., J. Biol. Chem. 274:27867-27874 (1999))。GalNAc−T4とGalNAc−T7は異なるGalNAcグリコシル化ペプチドを認識し、それまでに利用されたものに加えて受容体基質部位へのGalNAcの転移を触媒する。そのようなGalNAcトランスフェラーゼの機能の1つは、高密度のO結合グリコシル化を有する糖タンパク質におけるO−グリカン占有密度の制御工程であると予測される。
このことの一例は、癌関連ムチンMUC1のグリコシル化である。MUC1は、5つの潜在的O結合型グリコシル化配列を有する、20残基の縦列反復O結合グリコシル化領域
を含む。GalNAc−T1、GalNAc−T2及びGalNAc−T3は、MUC1縦列反復配列のグリコシル化を開始させ、3つの部位(HGVTSAPDTRPAPGSTAPPA(配列番号:231)、GalNAc結合部位に下線を付している)でのみ組み込むことができる。GalNAc−T4は、乳癌関連ムチン、MUC1の20アミノ酸の縦列反復配列内の5つの受容体部位全部にO結合型グリカン結合を完了することができる、これまでに同定された唯一のGalNAcトランスフェラーゼアイソフォームであるという点でユニークである。GalNAc−T4は、GalNAc4TAP24糖ペプチド上の、他のGalNAcトランスフェラーゼアイソフォームによって使用されない少なくとも2つの部位にGalNAcを転移する
、ユニークなGalNAc−T4結合部位を太字で示す)(Bennett et al., J. Biol. Chem. 273:30472-30481 (1998)。GalNAc−T4によって示されるような活性は、すべての潜在的部位がグリコシル化される、癌細胞によって発現されるMUC1のグリコフォームの産生のために必要であると思われる(Muller et al., J. Biol. Chem. 274:18165-18172 (1999))。乳汁分泌乳腺からの正常MUC1は、反復配列当たり約2.6個のO結合グリカンを有し(Muller et al., J. Biol. Chem. 272:24780-24793 (1997)、癌細胞系T47Dに由来するMUC1は、反復配列当たり4.8個のO結合グリカンを有する(Muller et al., J. Biol. Chem. 274:18165-18172 (1999))。癌関連形態のMUC1は、それ故、O結合グリカン占有のより高い密度に結びつき、これは、GalNAc−T4と同じか又は類似のGalNAcトランスフェラーゼ活性によって達成される。もう1つの酵素、GalNAc−T11は、例えばT. Schwientek et al., J. Biol. Chem. 2002, 277(25):22623-22638の中で述べられている。
を含む。GalNAc−T1、GalNAc−T2及びGalNAc−T3は、MUC1縦列反復配列のグリコシル化を開始させ、3つの部位(HGVTSAPDTRPAPGSTAPPA(配列番号:231)、GalNAc結合部位に下線を付している)でのみ組み込むことができる。GalNAc−T4は、乳癌関連ムチン、MUC1の20アミノ酸の縦列反復配列内の5つの受容体部位全部にO結合型グリカン結合を完了することができる、これまでに同定された唯一のGalNAcトランスフェラーゼアイソフォームであるという点でユニークである。GalNAc−T4は、GalNAc4TAP24糖ペプチド上の、他のGalNAcトランスフェラーゼアイソフォームによって使用されない少なくとも2つの部位にGalNAcを転移する
、ユニークなGalNAc−T4結合部位を太字で示す)(Bennett et al., J. Biol. Chem. 273:30472-30481 (1998)。GalNAc−T4によって示されるような活性は、すべての潜在的部位がグリコシル化される、癌細胞によって発現されるMUC1のグリコフォームの産生のために必要であると思われる(Muller et al., J. Biol. Chem. 274:18165-18172 (1999))。乳汁分泌乳腺からの正常MUC1は、反復配列当たり約2.6個のO結合グリカンを有し(Muller et al., J. Biol. Chem. 272:24780-24793 (1997)、癌細胞系T47Dに由来するMUC1は、反復配列当たり4.8個のO結合グリカンを有する(Muller et al., J. Biol. Chem. 274:18165-18172 (1999))。癌関連形態のMUC1は、それ故、O結合グリカン占有のより高い密度に結びつき、これは、GalNAc−T4と同じか又は類似のGalNAcトランスフェラーゼ活性によって達成される。もう1つの酵素、GalNAc−T11は、例えばT. Schwientek et al., J. Biol. Chem. 2002, 277(25):22623-22638の中で述べられている。
遺伝子操作による、クローン化遺伝子からの酵素GalNAc TI−XXなどのタンパク質の生産は周知である。例えば米国特許第4,761,371号参照。1つの方法は、十分な試料を収集し、次にN末端配列決定によって酵素のアミノ酸配列を決定することを含む。この情報を使用して、昆虫細胞系Sf9において発現されたとき完全に活性な酵素の合成を生じさせる完全長(膜結合)トランスフェラーゼをコードするcDNAクローンを単離する。次に、16の異なるタンパク質内の公知のグリコシル化配列の周囲のアミノ酸の半定量的分析、続いて合成ペプチドのインビトロでのグリコシル化試験を使用して、この酵素の受容体特異性を決定する。この作業は、一部のアミノ酸残基がグリコシル化ペプチドセグメントにおいて過剰に存在すること、並びにグリコシル化されたセリン及びトレオニン残基の周囲の特定位置の残基が、受容体の効率に対して他のアミノ酸部分よりも著明な影響を及ぼし得ることを明らかにした。
GalNAcトランスフェラーゼの突然変異が、野生型酵素によって産生されるものとは異なるグリコシル化パターンを生じさせるために利用できることが明らかにされたので、本発明のO結合型グリコシル化ポリペプチドを製造するときに1又はそれ以上の突然変異型又はトランケート型GalNAcトランスフェラーゼを使用することは本発明の範囲内である。GalNAc−T2タンパク質の触媒ドメイン及びトランケーション突然変異体は、例えば、どちらもすべての目的に関して参照により本明細書に組み込まれる、2004年6月3日出願の米国特許出願第60/576,530号及び2004年8月3日出願の米国特許出願第60/598584号に記載されている。触媒ドメインはまた、公知のグリコシルトランスフェラーゼとのアラインメントによっても同定することができる。ヒトGalNAc−T2(Δ51)、ヒトGalNAc−T2(Δ51 Δ445)などのトランケートされたGalNAc−T2酵素及びそれらの酵素を得る方法も、すべての目的に関して参照により本明細書に組み込まれる、国際公開公報第WO06/102652号(2006年3月24日出願のPCT/US06/011065号)及び2005年1月6日出願の国際公開公報第PCT/US05/00302号に記述されている。
(c) フコシルトランスフェラーゼ
一部の実施形態では、本発明の方法において使用されるグリコシルトランスフェラーゼはフコシルトランスフェラーゼである。フコシルトランスフェラーゼは当業者に公知である。例示的なフコシルトランスフェラーゼは、L−フコースをGDP−フコースから受容体糖のヒドロキシ位置に転移する酵素を含む。ヌクレオチドを含まない糖を受容体に転移するフコシルトランスフェラーゼも本発明において有用である。
一部の実施形態では、本発明の方法において使用されるグリコシルトランスフェラーゼはフコシルトランスフェラーゼである。フコシルトランスフェラーゼは当業者に公知である。例示的なフコシルトランスフェラーゼは、L−フコースをGDP−フコースから受容体糖のヒドロキシ位置に転移する酵素を含む。ヌクレオチドを含まない糖を受容体に転移するフコシルトランスフェラーゼも本発明において有用である。
一部の実施形態では、受容体糖は、例えば、オリゴ糖グリコシド中のGalβ(1→3,4)GlcNAcβ基におけるGlcNAcである。この反応のための適切なフコシルトランスフェラーゼは、最初にヒトの乳から特徴づけられたGalβ(1→3,4)GlcNAcβ1−α(1→3,4)フコシルトランスフェラーゼ(FTIII E.C.No.2.4.1.65)(Palcic, et al., Carbohydrate Res. 190:1-11 (1989); Prieels, et al., J. Biol. Chem. 256:10456-10463 (1981);及びNunez, et al., Can. J. Chem. 59:2086-2095 (1981)参照);及びヒト血清中で認められるGalβ(1→4)GlcNAcβ−αフコシルトランスフェラーゼ(FTIV、FTV、FTVI)を含む。FTVII(E.C.No.2.4.1.65)、すなわちシアリルα(2→3)Galβ(1→3)GlcNAcβフコシルトランスフェラーゼも特性決定されている。Galβ(1→3,4)GlcNAcβ−α(1→3,4)フコシルトランスフェラーゼの組換形態も特徴づけられている(Dumas, et al., Bioorg. Med. Letters 1:425-428 (1991)及びKukowska-Latallo, et al., Genes and Development 4:1288-1303 (1990)参照)。他の例示的なフコシルトランスフェラーゼは、例えばα1,2フコシルトランスフェラーゼ(E.C.No.2.4.1.69)を含む。酵素的フコシル化は、Mollicone, et al., Eur. J. Biochem. 191:169-176 (1990)又は米国特許第5,374,655号に述べられている方法によって実施できる。フコシルトランスフェラーゼを生成するために使用される細胞はまた、GDP−フコースを合成するための酵素系も含む。
(d) ガラクトシルトランスフェラーゼ
もう1つの群の実施形態では、グリコシルトランスフェラーゼはガラクトシルトランスフェラーゼである。例示的なガラクトシルトランスフェラーゼは、ウシ由来(GenBank j04989, Joziasse et al., J. Biol. Chem. 264:14290-14297 (1989))、マウス由来(GenBank m26925; Larsen et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 86:8227-8231 (1989))、ブタ由来(GenBank L36152; Strahan et al., Immunogenetics 41:101-105 (1995))のα(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ(E.C.No.2.4.1.151、例えばDabkowski et al., Transplant Proc. 25:2921 (1993)及びYamamoto et al. Nature 345:229-233 (1990)参照)を含む。もう1つの適切なα(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼは、B血液型抗原の合成に関与するものである(EC 2.4.1.37、Yamamoto et al., J. Biol. Chem. 265:1146-1151 (1990)(ヒト))。Cho, S. K. and Cummings, R. D. (1997) J. Biol. Chem., 272, 13622-13628によって報告されたようなα1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼの可溶性形態も、本発明の実施において適切である。
もう1つの群の実施形態では、グリコシルトランスフェラーゼはガラクトシルトランスフェラーゼである。例示的なガラクトシルトランスフェラーゼは、ウシ由来(GenBank j04989, Joziasse et al., J. Biol. Chem. 264:14290-14297 (1989))、マウス由来(GenBank m26925; Larsen et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 86:8227-8231 (1989))、ブタ由来(GenBank L36152; Strahan et al., Immunogenetics 41:101-105 (1995))のα(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ(E.C.No.2.4.1.151、例えばDabkowski et al., Transplant Proc. 25:2921 (1993)及びYamamoto et al. Nature 345:229-233 (1990)参照)を含む。もう1つの適切なα(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼは、B血液型抗原の合成に関与するものである(EC 2.4.1.37、Yamamoto et al., J. Biol. Chem. 265:1146-1151 (1990)(ヒト))。Cho, S. K. and Cummings, R. D. (1997) J. Biol. Chem., 272, 13622-13628によって報告されたようなα1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼの可溶性形態も、本発明の実施において適切である。
もう1つの実施形態では、ガラクトシルトランスフェラーゼは、Core−1−GalT1などのβ(1,3)−ガラクトシルトランスフェラーゼである。ヒトCore−1−β1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼが記述されている(例えばJu et al., J. Biol. Chem. 2002, 277(1):178-186参照)。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の酵素は、Correia et al., PNAS 2003, 100(11):6404-6409及びMuller et al., FEBS J. 2005, 272(17):4295-4305において記述されている。そのトランケート型を含む、さらなるCore−1−β3−ガラクトシルトランスフェラーゼが、国際公開公報第WO/0144478号及び2006年9月6日出願の米国仮特許出願第60/842,926号に開示されている。例示的実施形態では、β(1,3)−ガラクトシルトランスフェラーゼは、PubMedアクセッション番号AAF52724(CG9520−PCの転写産物)によって表される酵素及び、細菌における発現のためにコドン最適化されたもののような、それらの修飾型から選択される成員である。例示的な可溶性Core−1−GalT1(Core−1−GalT1 Δ31)酵素を以下に示す:
Core−1−GalT1 Δ31の配列
β(1,4)ガラクトシルトランスフェラーゼも本発明の方法における使用に適しており、それらは、例えば、EC2.4.1.90(LacNAcシンテターゼ)及びEC2.4.1.22(ラクトースシンテターゼ)(ウシ由来(D’Agostaro et al.,Eur.J.Biochem. 183:211-217 (1989))、ヒト由来(Masri et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 157:657-663 (1988))、マウス由来(Nakazawa et al., J. Biochem. 104:165-168 (1988))、並びにE.C.2.4.1.38及びセラミドガラクトシルトランスフェラーゼ(EC2.4.1.45、Stahl et al., J. Neurosci. Res. 38:234-242 (1994))を含む。他の適切なガラクトシルトランスフェラーゼは、例えばα1,2ガラクトシルトランスフェラーゼ(例えば分裂酵母(シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe))由来、Chapell et al., Mol. Biol. Cell 5:519-528 (1994))を含む。
(e) シアリルトランスフェラーゼ
シアリルトランスフェラーゼは、組換え細胞及び本発明の反応混合物において有用なもう1つのタイプのグリコシルトランスフェラーゼである。組換えシアリルトランスフェラーゼを産生する細胞はまた、シアリルトランスフェラーゼに対するシアル酸供与体であるCMP−シアル酸も産生する。本発明における使用に適するシアリルトランスフェラーゼの例は、ST3Gal III(例えばラット又はヒトST3Gal III)、ST3Gal IV、ST3Gal I、ST6Gal I、ST3Gal V、ST6Gal II、ST6GalNAc I、ST6GalNAc II及びST6Gal NAc IIIを含む(本明細書で使用されるシアリルトランスフェラーゼの命名法は、Tsuji et al., Glycobiology 6:v-xiv (1996)に記載されているとおりである。α(2,3)シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.6)と称される例示的なα(2,3)シアリルトランスフェラーゼは、Galβ1→3Glc二糖又はグリコシドの非還元末端Galにシアル酸を転移する。Van den Eijnden et al., J. Biol. Chem. 256:3159 (1981), Weinstein et al., J. Biol. Chem. 257:13845 (1982)及びWen et al., J. Biol. Chem. 267:21011 (1992)参照。もう1つの例示的なα2,3−シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.4)は、二糖又はグリコシドの非還元末端Galにシアル酸を転移する。Rearick et al., J. Biol. Chem. 254:4444 (1979)及びGillespie et al., J. Biol. Chem. 267:21004 (1992)参照。さらなる例示的な酵素は、Gal−β−1,4−GlcNAcα−2,6シアリルトランスフェラーゼを含む(Kurosawa et al., Eur. J. Biochem. 219:375-381 (1994)参照)。
シアリルトランスフェラーゼは、組換え細胞及び本発明の反応混合物において有用なもう1つのタイプのグリコシルトランスフェラーゼである。組換えシアリルトランスフェラーゼを産生する細胞はまた、シアリルトランスフェラーゼに対するシアル酸供与体であるCMP−シアル酸も産生する。本発明における使用に適するシアリルトランスフェラーゼの例は、ST3Gal III(例えばラット又はヒトST3Gal III)、ST3Gal IV、ST3Gal I、ST6Gal I、ST3Gal V、ST6Gal II、ST6GalNAc I、ST6GalNAc II及びST6Gal NAc IIIを含む(本明細書で使用されるシアリルトランスフェラーゼの命名法は、Tsuji et al., Glycobiology 6:v-xiv (1996)に記載されているとおりである。α(2,3)シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.6)と称される例示的なα(2,3)シアリルトランスフェラーゼは、Galβ1→3Glc二糖又はグリコシドの非還元末端Galにシアル酸を転移する。Van den Eijnden et al., J. Biol. Chem. 256:3159 (1981), Weinstein et al., J. Biol. Chem. 257:13845 (1982)及びWen et al., J. Biol. Chem. 267:21011 (1992)参照。もう1つの例示的なα2,3−シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.4)は、二糖又はグリコシドの非還元末端Galにシアル酸を転移する。Rearick et al., J. Biol. Chem. 254:4444 (1979)及びGillespie et al., J. Biol. Chem. 267:21004 (1992)参照。さらなる例示的な酵素は、Gal−β−1,4−GlcNAcα−2,6シアリルトランスフェラーゼを含む(Kurosawa et al., Eur. J. Biochem. 219:375-381 (1994)参照)。
好ましくは、糖ペプチドの糖質をグリコシル化するために、シアリルトランスフェラーゼは、完全にシアル酸付加された糖質構造体上の末端シアル酸の基礎となる最も一般的な最後から2番目の配列である、Galβ1,4GlcNAc配列にシアル酸を転移することができる(以下の表13を参照)。
特許請求する方法において有用なシアリルトランスフェラーゼの一例は、α(2,3)シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.6)とも称される、ST3Gal IIIである。この酵素は、Galβ1,3GlcNAc又はGalβ1,4GlcNAcグリコシドのGalへのシアル酸の転移を触媒し(例えばWen et al.,J.Biol.Chem.267:21011(1992);Van den Eijnden et al.,J.Biol.Chem.256:3159(1991)参照)、糖ペプチド中のアスパラギン結合オリゴ糖のシアル酸付加の役割を担う。シアル酸は、2つの糖の間でのα結合の形成を伴ってGalに結合する。糖の間の結合形成(連結)は、NeuAcの2位とGalの3位の間に存在する。この特定酵素はラットの肝臓から単離することができる(Weinstein et al., J. Biol. Chem. 257:13845 (1982));ヒトcDNA(Sasaki et al. (1993) J. Biol. Chem. 268:22782-22787; Kitagawa & Paulson (1994) J. Biol. Chem. 269:1394-1401)及びゲノム(Kitagawa et al. (1996) J. Biol. Chem. 271:931-938)DNA配列が公知であり、組換え発現によるこの酵素の生産を容易にする。もう1つの実施形態では、特許請求するシアル酸付加方法は、ラットST3Gal IIIを使用する。
本発明において有用な他の例示的シアリルトランスフェラーゼは、α(2,3)を含む、カンピロバクター・ジェジュニから単離されるものを包含する。例えば、国際公開公報第WO99/49051号参照。
表13に列挙したもの以外のシアリルトランスフェラーゼも、商業的に重要な糖ペプチドのシアル酸付加のための経済的且つ効率的な大規模工程において有用である。これら他の酵素の有用性を調べるための簡単な試験として、各々の酵素の様々な量(1〜100mU/mgタンパク質)をアシアロ−α1AGP(1〜10mg/ml)と反応させて、対象とするシアリルトランスフェラーゼがペプチドにシアル酸付加する能力を、ウシST6Gal I、ST3Gal III又はその両方のシアリルトランスフェラーゼと比較する。あるいは、他の糖ペプチド、又はペプチド骨格から酵素的に遊離されたN−結合型オリゴ糖を、この評価のためにアシアロ−α1AGPの代わりに使用することができる。ST6Gal Iより効率的に糖ペプチドのN−結合型オリゴ糖にシアル酸付加する能力を有するシアリルトランスフェラーゼは、ペプチドのシアル酸付加のための実用的大規模工程において有用である(本開示ではST3Gal IIIに関して例示されるように)。他の例示的なシアリルトランスフェラーゼを図10に示す。
融合タンパク質
他の例示的実施形態では、本発明の方法は、所望糖ペプチド複合体の合成に関与する複数の酵素活性を有する融合タンパク質を利用する。融合ポリペプチドは、例えば、補助酵素の触媒活性ドメインに連結されているグリコシルトランスフェラーゼの触媒活性ドメインから構成され得る。アクセサリー酵素の触媒ドメインは、例えば、グリコシルトランスフェラーゼのための供与体であるヌクレオチド糖の形成における工程を触媒する、又はグリコシルトランスフェラーゼサイクルに関与する反応を触媒することができる。例えば、グリコシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを、ヌクレオチド糖合成に関与する酵素をコードするポリヌクレオチドにインフレームで連結することができる。生じる融合タンパク質は、次に、ヌクレオチド糖の合成だけでなく、受容体分子への糖部分の転移も触媒することができる。融合タンパク質は、1つの発現可能なヌクレオチド配列に連結された2又はそれ以上のサイクル酵素であり得る。他の実施形態では、融合タンパク質は、2又はそれ以上のグリコシルトランスフェラーゼの触媒活性ドメインを含む。例えば第5,641,668号を参照のこと。本発明の修飾された糖ペプチドは、種々の適切な融合タンパク質を利用して容易に設計し、製造することができる(例えば、1999年6月24日に国際公開公報第WO99/31224号として公開されたPCT特許出願第PCT/CA98/01180号参照)。
他の例示的実施形態では、本発明の方法は、所望糖ペプチド複合体の合成に関与する複数の酵素活性を有する融合タンパク質を利用する。融合ポリペプチドは、例えば、補助酵素の触媒活性ドメインに連結されているグリコシルトランスフェラーゼの触媒活性ドメインから構成され得る。アクセサリー酵素の触媒ドメインは、例えば、グリコシルトランスフェラーゼのための供与体であるヌクレオチド糖の形成における工程を触媒する、又はグリコシルトランスフェラーゼサイクルに関与する反応を触媒することができる。例えば、グリコシルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを、ヌクレオチド糖合成に関与する酵素をコードするポリヌクレオチドにインフレームで連結することができる。生じる融合タンパク質は、次に、ヌクレオチド糖の合成だけでなく、受容体分子への糖部分の転移も触媒することができる。融合タンパク質は、1つの発現可能なヌクレオチド配列に連結された2又はそれ以上のサイクル酵素であり得る。他の実施形態では、融合タンパク質は、2又はそれ以上のグリコシルトランスフェラーゼの触媒活性ドメインを含む。例えば第5,641,668号を参照のこと。本発明の修飾された糖ペプチドは、種々の適切な融合タンパク質を利用して容易に設計し、製造することができる(例えば、1999年6月24日に国際公開公報第WO99/31224号として公開されたPCT特許出願第PCT/CA98/01180号参照)。
固定化酵素
細胞結合型酵素に加えて、本発明はまた、固体及び/又は可溶性の支持体上に固定化された酵素の使用を提供する。例示的実施形態では、本発明の方法による無傷グリコシルリンカーを介してPEGに結合されているグリコシルトランスフェラーゼが提供される。PEG−リンカー−酵素複合体は、場合により固体支持体に結合される。本発明の方法における固体支持酵素の使用は、反応混合物の検査及び反応生成物の精製を簡単にし、また、酵素の容易な回収を可能にする。グリコシルトランスフェラーゼ複合体は、本発明の方法において利用される。酵素と支持体の他の組合せは当業者に明白である。
ペプチド複合体の精製
細胞結合型酵素に加えて、本発明はまた、固体及び/又は可溶性の支持体上に固定化された酵素の使用を提供する。例示的実施形態では、本発明の方法による無傷グリコシルリンカーを介してPEGに結合されているグリコシルトランスフェラーゼが提供される。PEG−リンカー−酵素複合体は、場合により固体支持体に結合される。本発明の方法における固体支持酵素の使用は、反応混合物の検査及び反応生成物の精製を簡単にし、また、酵素の容易な回収を可能にする。グリコシルトランスフェラーゼ複合体は、本発明の方法において利用される。酵素と支持体の他の組合せは当業者に明白である。
ペプチド複合体の精製
本明細書中上記で述べた方法によって作製したポリペプチド複合体は、精製せずに使用することができる。しかし、通常はそのような生成物を回収することが好ましい。薄層若しくは厚層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー又は膜ろ過などの、グリコシル化サッカリドの精製のための標準的な周知の手法。本明細書中以下で及び本明細中で引用する文献で論じられているように、膜ろ過、より好ましくは逆浸透膜を利用する膜ろ過、又は1若しくはそれ以上のカラムクロマトグラフィー手法を回収のために使用することが好ましい。例えば、グリコシルトランスフェラーゼなどのタンパク質を除去するために、約3000〜約10,000の分子量カットオフ値を有する膜による膜ろ過が使用できる。次に、ナノろ過又は逆浸透法を用いて塩類を除去する及び/又はサッカリド生成物を精製することができる(例えば国際公開公報第WO98/15581号参照)。ナノフィルター膜は、使用する膜に依存して、1価の塩類を通過させるが多価の塩類及び約100〜約2,000ダルトンより大きい非荷電溶質は保持する、逆浸透膜の1つのクラスである。それ故、典型的な適用では、本発明の方法によって製造サッカリドは膜内に保持され、夾雑塩類は通過する。
修飾糖タンパク質が細胞内で生成される場合、最初の工程として、細胞及び細胞デブリを含む微粒子デブリを、例えば遠心分離又は限外ろ過によって除去する。場合により、タンパク質を市販のタンパク質濃縮フィルターで濃縮し、続いて免疫アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、ジエチルアミノエチル(DEAE)又はカルボキシメチル若しくはスルホプロピル基を含むマトリックスでの)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー及び疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)などの1又はそれ以上のクロマトグラフィー工程によって他の不純物からポリペプチド変異体を分離し得る。例示的な固定相は、ブルーセファロース、CMブルーセファロース、MONO−Q、MONO−S、レンチルレクチンセファロース、WGAセファロース、Con A−セファロース、エーテルトヨパール、ブチルトヨパール、フェニルトヨパール、SPセファロース又はタンパク質Aセファロースを含む。
他のクロマトグラフィー手法は、SDS−PAGEクロマトグラフィー、シリカクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、逆相HPLC(例えば脂肪族基を付加されたシリカゲル)、例えばセファデックス分子ふるい又はサイズ排除クロマトグラフィーを用いたゲルろ過、ポリペプチドに選択的に結合するカラムでのクロマトグラフィー、及びエタノール又は硫酸アンモニウム沈殿を含む。
培養下で生成される修飾糖ペプチドは、通常、細胞、酵素等からの初期抽出、続いて1又はそれ以上の濃縮、塩析、水性イオン交換、又はサイズ排除クロマトグラフィー工程、例えばSPセファロースを用いる工程によって単離される。加えて、修飾糖タンパク質はアフィニティークロマトグラフィーによって精製し得る。HPLCも、1又はそれ以上の精製工程のために使用し得る。
タンパク質分解を阻害するために、プロテアーゼ阻害剤、例えばメチルスルホニルフルオリド(PMSF)を前記工程のいずれかに含めてもよく、また偶発的夾雑物の増殖を防ぐために抗生物質を含めてもよい。
もう1つの実施形態では、本発明の修飾された糖ペプチドを生成する系からの上清を、最初に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmicon又はMillipore Pellicon限外ろ過ユニットを用いて濃縮する。濃縮工程後、濃縮物を適切な精製マトリックスに適用し得る。例えば、適切な親和性マトリックスは、ペプチドに対するリガンド、すなわち適切な支持体に結合されたレクチン又は抗体分子を含み得る。あるいは、アニオン交換樹脂、例えばペンダントDEAE基を有するマトリックス又は基質を使用し得る。適切なマトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース、又は、タンパク質精製において一般に使用される他の種類のものを含む。あるいは、カチオン交換工程を使用してもよい。適切なカチオン交換体は、スルホプロピル基又はカルボキシメチル基を含む様々な不溶性マトリックスを包含する。スルホプロピル基が特に好ましい。
最後に、疎水性RP−HPLC媒体、例えばペンダントメチル基又は他の脂肪族基を有するシリカゲルを使用する1又はそれ以上のRP−HPLC工程を使用して、ポリペプチド変異体組成物をさらに精製し得る。均一な修飾糖タンパク質を提供するために前記精製工程の一部又は全部を様々な組合せで使用することができる。
大規模発酵から生じる本発明の修飾糖ペプチドは、Urdal et al., J. Chromatog. 296:171 (1984)によって開示されているものに類似の方法によって精製し得る。この参考文献は、分取HPLCカラムで組換えヒトIL−2を精製するための2回の連続的なRP−HPLC工程を述べている。あるいは、アフィニティークロマトグラフィーなどの手法を、修飾糖タンパク質を精製するために利用し得る。
ペプチドコード配列の獲得
一般的組換え技術
本発明のO結合型グリコシル化配列を組み込んだ突然変異ポリペプチドの創製は、突然変異又はポリペプチドの完全な化学合成のいずれかにより、対応する親ポリペプチドのアミノ酸配列を変化させることによって達成できる。ペプチドのアミノ酸配列を、好ましくはDNAレベルでの変化を通して、特に、所望アミノ酸へと翻訳されるコドンを生成するように、あらかじめ選択された塩基位置でペプチドをコードするDNA配列を突然変異させることによって変化させる。DNA突然変異は、好ましくは当技術分野で公知の方法を用いて実施される。
一般的組換え技術
本発明のO結合型グリコシル化配列を組み込んだ突然変異ポリペプチドの創製は、突然変異又はポリペプチドの完全な化学合成のいずれかにより、対応する親ポリペプチドのアミノ酸配列を変化させることによって達成できる。ペプチドのアミノ酸配列を、好ましくはDNAレベルでの変化を通して、特に、所望アミノ酸へと翻訳されるコドンを生成するように、あらかじめ選択された塩基位置でペプチドをコードするDNA配列を突然変異させることによって変化させる。DNA突然変異は、好ましくは当技術分野で公知の方法を用いて実施される。
本発明は、組換え遺伝学の分野における常套的な手法に基づく、本発明において有用な一般的方法を開示する基本的なテキストは、Sambrook and Russell, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd ed.2001); Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990);及びAusubel et al., eds., Current Protocols in Molecular Biology (1994)を含む。
核酸の大きさは、キロベース(kb)又は塩基対(bp)のいずれかで表される。これらは、アガロース若しくはアクリルアミドゲル電気泳動、配列決定された核酸、又は公開されているDNA配列から導かれる推定値である。タンパク質に関しては、キロダルトン(kDa)又はアミノ酸残基数で大きさが示される。タンパク質の大きさは、ゲル電気泳動、配列決定されたタンパク質、導かれた(derived)アミノ酸配列、又は公開されているタンパク質配列から推定される。
市販されていないオリゴヌクレオチドは、例えば、Beaucage & Caruthers, Tetrahedron Lett. 22:1859-1862 (1981)によって最初に記述された固相ホスホルアミダイトトリエステル法に従い、Van Devanter et al., Nucleic Acids Res. 12:6159-6168 (1984)に述べられているように、自動合成装置を用いて化学合成することができる。遺伝子全体も化学合成することができる。オリゴヌクレオチドの精製は、当技術分野で認識されている方法を用いて、例えば、Pearson & Reanier, J. Chrom. 255:137-149 (1983)に述べられているように未変性アクリルアミドゲル電気泳動又はアニオン交換HPLCを用いて実施される。
クローン化された野生型ペプチド遺伝子、突然変異ペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び合成オリゴヌクレオチドの配列は、例えば、Wallace et al.,Gene 16:21-26(1981)の二本鎖鋳型を配列決定するためのチェーンターミネーション法を用いて、クローニング後に確認することができる。
例示的実施形態では、グリコシル化配列は、ポリヌクレオチドをシャッフルすることによって付加される。候補ペプチドをコードするポリヌクレオチドを、DNAシャッフリングプロトコールで改変することができる。DNAシャッフリングは、関連遺伝子のプールのランダムな断片化と、それに続くポリメラーゼ連鎖反応に類似する工程による断片の再構築によって実施される、組換えと突然変異を反復する工程である。例えば、Stemmer, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:10747-10751 (1994); Stemmer, Nature 370:389-391 (1994);及び米国特許第5,605,793号、同第5,837,458号、同第5,830,721号及び同第5,811,238号参照。
野生型ペプチドコード配列のクローニング及びサブクローニング
野生型ペプチドをコードする数多くのポリヌクレオチド配列が決定されており、商業的供給者から入手可能であり、例えばヒト成長ホルモン、例えばGenBankアクセッション番号NM 000515、NM 002059、NM 022556、NM 022557、NM 022558、NM 022559、NM 022560、NM 022561及びNM 022562が入手可能である。
野生型ペプチドをコードする数多くのポリヌクレオチド配列が決定されており、商業的供給者から入手可能であり、例えばヒト成長ホルモン、例えばGenBankアクセッション番号NM 000515、NM 002059、NM 022556、NM 022557、NM 022558、NM 022559、NM 022560、NM 022561及びNM 022562が入手可能である。
ヒトゲノム研究の急速な進歩により、以前に同定されたペプチドをコードする配列などの公知のヌクレオチド配列に対してある程度の比率の配列相同性を有する何らかの遺伝子セグメントに関して、ヒトDNA配列データベースを検索することができるクローニング手法が可能となった。そのようにして同定された何らかのDNA配列は、その後、化学合成及び/又はオーバーラップ伸長法などのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)手法によって入手することができる。短い配列については、完全な新規合成で十分であり得るが、より大きな遺伝子を得るためには、合成プローブを用いてヒトcDNA又はゲノムライブラリーから完全長コード配列を単離することがさらに必要であり得る。
あるいは、ペプチドをコードする核酸配列を、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)などの標準のクローニング手法を用いてヒトcDNA又はゲノムDNAのライブラリーから単離することができ、その場合相同性に基づくプライマーは、しばしばペプチドをコードする公知の核酸配列から誘導することができる。この目的のために最も一般的に使用される手法は、標準的なテキスト、例えばSambrook and Russell、前出の中で説明されている。
野生型ペプチドのコード配列を得るのに適したcDNAライブラリーは、市販されているものでもよく又は構築することもできる。増殖、スクリーニング及びクローニングのために、mRNAを単離し、逆転写によってcDNAを作製して、cDNAを組換えベクターに連結し、組換え宿主にトランスフェクトする一般的な方法は周知である(例えばGubler and Hoffman, Gene, 25: 263-269 (1983); Ausubel et al.、前出参照)。PCRによってヌクレオチド配列の増幅されたセグメントを得た後、そのセグメントを、野生型ペプチドをコードする完全長ポリヌクレオチド配列をcDNAライブラリーから単離するためのプローブとしてさらに使用することができる。適切な手順の一般的な説明は、Sambrook and Russell、前出に認められる。
同様の手順に従って、野生型ペプチド、例えば前述したGenBankアクセッション番号のうちのいずれか1つをコードする完全長配列をヒトゲノムライブラリーから得ることができる。ヒトゲノムライブラリーは、市販されているか又は様々な当技術分野において認識されている方法に従って構築できる。一般に、ゲノムライブラリーを構築するためには、最初に、ペプチドが存在する可能性が高い組織からDNAを抽出する。次にDNAを機械的にせん断するか又は酵素的に消化して、約12〜20kb長のフラグメントを生成する。それらのフラグメントを、その後、勾配遠心分離によって望ましくない大きさのポリヌクレオチドフラグメントから分離し、バクテリオファージλベクターに挿入する。これらのベクター及びファージをインビトロでパッケージングする。組換えファージを、Benton and Davis, Science, 196:180-182 (1977)に述べられているようにプラークハイブリダイゼーションによって分析する。コロニーハイブリダイゼーションは、Grunstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 72:3961-3965 (1975)によって説明されているように実施する。
配列相同性に基づき、縮重オリゴヌクレオチドをプライマーセットとして設計することができ、cDNA又はゲノムライブラリーからヌクレオチド配列のセグメントを増幅するために適切な条件下でPCRを実施することができる(例えば、White et al., PCR Protocols: Current Methods and Applications, 1993; Griffin and Griffin, PCR Technology, CRC Press Inc. 1994参照)。増幅されたセグメントをプローブとして用いて、野生型ペプチドをコードする完全長核酸が得られる。
野生型ペプチドをコードする核酸配列を得た後、生じた構築物から組換え野生型ペプチドを生産することができるように、コード配列をベクター、例えば発現ベクターにサブクローニングすることができる。分子の性質を変化させるために、その後、野生型ペプチドコード配列にさらなる修飾、例えばヌクレオチド置換を実施してもよい。
ペプチド配列への突然変異の導入
コードポリヌクレオチド配列から、野生型ペプチドのアミノ酸配列を決定することができる。その後、このアミノ酸配列を、アミノ酸配列内の様々な位置に付加的なグリコシル化部位を導入することにより、タンパク質のグリコシル化パターンを変化させるように修飾し得る。
コードポリヌクレオチド配列から、野生型ペプチドのアミノ酸配列を決定することができる。その後、このアミノ酸配列を、アミノ酸配列内の様々な位置に付加的なグリコシル化部位を導入することにより、タンパク質のグリコシル化パターンを変化させるように修飾し得る。
いくつかのタイプのタンパク質グリコシル化配列が当技術分野において周知である。例えば、真核生物では、コンセンサス配列Asn−Xaa−Ser/Thr[式中、Xaaはプロリンを除く何らかのアミノ酸である]のアスパラギン上でN結合グリコシル化が起こる(Kornfeld et al., Ann Rev Biochem 54:631-664 1985); Kukuruzinska et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:2145-2149 (1987); Herscovics et al., FASEB J 7:540-550 (1993);及びOrlean, Saccharomyces Vol.3 (1996))。O結合グリコシル化は、セリン又はトレオニン残基で起こる(Tanner et al., Biochim. Biophys. Acta. 906:81-91 (1987);及びHounsell et al., Glycoconj. J. 13:19-26 (1996))。他のグリコシル化パターンは、タンパク質のカルボキシル末端のカルボキシル基にグリコシルホスファチジルイノシトールを連結することによって形成される(Takeda et al., Trends Biochem. Sci. 20:367-371 (1995);及びUdenfriend et al., Ann. Rev. Biochem. 64:593-591 (1995)。この知識に基づき、適切な突然変異をこのようにして野生型ペプチド配列に導入して、新しいグリコシル化配列を形成することができる。
ペプチドポリペプチド配列内のアミノ酸残基の直接修飾は、新しいN結合型又はO結合型グリコシル化配列を導入するために適切であり得るが、より頻繁には、新しいグリコシル化配列の導入は、ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を突然変異させることによって達成される。これは、公知の突然変異誘発方法のいずれかを使用するによって達成でき、そのうちの一部を以下で論じる。
突然変異を生じさせる様々なプロトコールが当技術分野において確立され、記述されている。例えば、Zhang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94:4504-4509 (1997);及びStemmer, Nature, 370:389-391 (1994)参照。これらの手順は、一組の核酸の変異体、そしてそれ故コードされるポリペプチドの変異体を作製するために別々に又は組み合わせて使用することができる。突然変異誘発、ライブラリーの構築、及び多様性を生じさせる他の方法のためのキットが市販されている。
多様性を生じさせる突然変異方法は、例えば、部位指定突然変異誘発(Botstein and Shortle, Science, 229:1193-1201 (1985))、ウラシル含有鋳型を用いる突然変異誘発(Kunkel, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:488-492 (1985))、オリゴヌクレオチド指定突然変異誘発(Zoller and Smith, Nucl.Acids Res., 10:6487-6500 (1982))、ホスホロチオエート修飾DNA突然変異誘発(Taylor et al., Nucl. Acids Res., 13:8749-8764 and 8765-8787 (1985))、及びギャップ二本鎖DNAを用いる突然変異誘発(Kramer et al., Nucl. Acids Res., 12:9441-9456 (1984))を含む。
突然変異を生じさせるための他の方法は、点ミスマッチ修復(Kramer et al., Cell, 38:879-887 (1984))、修復能欠損宿主株を用いた突然変異誘発(Carter et al., Nucl. Acids Res., 13:4431-4443 (1985))、欠失突然変異誘発(Eghtedarzadeh and Henikoff, Nucl. Acids Res., 14:5115(1986))、制限選択及び制限精製(Wells et al., Phil. Trans. R. Soc. Lond. A, 317:415-423 (1986))、全遺伝子合成による突然変異誘発(Nambiar et al., Science, 223:1299-1301 (1984))、二本鎖切断修復(Mandecki, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83:7177-7181 (1986))、ポリヌクレオチドチェーンターミネーション法による変異誘発(米国特許第5,965,408号)、及びエラープロンPCR(Leung et al., Biotechniques, 1:11-15 (1989))を含む。
宿主生物における好ましいコドン使用頻度のための核酸の修飾
突然変異ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を、特定宿主の好ましいコドン使用頻度と一致するようにさらに変化させることができる。例えば、細菌細胞のある菌株の好ましいコドン使用頻度を、本発明の突然変異ペプチドをコードし、この菌株にとって好ましいコドンを含むポリヌクレオチドを誘導するために使用することができる。宿主細胞によって示される好ましいコドン使用頻度は、その宿主細胞によって発現される多数の遺伝子における好ましいコドン使用頻度を平均することによって算定できる(例えば、算定サービスは、Kazusa DNA Research Institure, Japanのウェブサイトから利用可能である)。この解析は、好ましくは、宿主細胞によって高発現される遺伝子に限定される。米国特許第5,824,864号は、例えば、双子葉植物及び単子葉植物によって示される高発現遺伝子によるコドン使用頻度を提供する。
突然変異ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を、特定宿主の好ましいコドン使用頻度と一致するようにさらに変化させることができる。例えば、細菌細胞のある菌株の好ましいコドン使用頻度を、本発明の突然変異ペプチドをコードし、この菌株にとって好ましいコドンを含むポリヌクレオチドを誘導するために使用することができる。宿主細胞によって示される好ましいコドン使用頻度は、その宿主細胞によって発現される多数の遺伝子における好ましいコドン使用頻度を平均することによって算定できる(例えば、算定サービスは、Kazusa DNA Research Institure, Japanのウェブサイトから利用可能である)。この解析は、好ましくは、宿主細胞によって高発現される遺伝子に限定される。米国特許第5,824,864号は、例えば、双子葉植物及び単子葉植物によって示される高発現遺伝子によるコドン使用頻度を提供する。
修飾の完了時に、配列決定によって突然変異ペプチドコード配列を確認し、その後、野生型ペプチドと同じようにして組換え生産のためのの適切な発現ベクターにサブクローニングする。
突然変異ポリペプチドの発現
例示的実施形態では、本発明の方法によって修飾されるポリペプチドは、原核細胞(例えば大腸菌)、酵母及び哺乳動物細胞(例えばCHO細胞)を含む真核細胞において、又はトランスジェニック動物において生産される。
例示的実施形態では、本発明の方法によって修飾されるポリペプチドは、原核細胞(例えば大腸菌)、酵母及び哺乳動物細胞(例えばCHO細胞)を含む真核細胞において、又はトランスジェニック動物において生産される。
配列確認後、本発明の突然変異ペプチドを、本明細書で開示されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に基づき、組換え遺伝学の分野における常套的手法を用いて作製することができる。
発現系
発現系
本発明の突然変異ペプチドをコードする核酸の高レベル発現を得るために、典型的には、突然変異ペプチドをコードするポリヌクレオチドを、転写を指令する強力なプロモーター、転写/翻訳ターミネーター及び翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクターにサブクローニングする。適切な細菌プロモーターは当技術分野において周知であり、例えば、Sambrook and Russell、前出及びAusubel et al.、前出に記載されている。野生型ペプチド又は突然変異ペプチドを発現するための細菌発現系は、例えば大腸菌、バチルス属(Bacillus sp)、サルモネラ属(Salmonella)及びカウロバクター属(Caulobacter)等において入手可能である。そのような発現系のためのキットが市販されている。哺乳動物細胞、酵母及び昆虫細胞についての真核生物発現系は当技術分野において周知であり、同じく市販されている。1つの実施形態では、真核細胞発現ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター又はレトロウイルスベクターである。
異種核酸の直接発現のために使用されるプロモーターは、特定の適用に依存する。プロモーターは、場合により、その天然環境で転写開始部位から離れているのとほぼ同じ距離だけ、異種転写開始部位から離れて位置する。当技術分野で公知であるように、しかしながら、この距離の多少の変化には、プロモーター機能の喪失を伴わずに適応することができる。
プロモーターに加えて、発現ベクターは、典型的には、転写単位又は宿主細胞における突然変異ペプチドの発現のために必要とされる付加的なエレメントすべてを含む発現カセットを含む。典型的な発現カセットは、それ故、突然変異ペプチドをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーター及び転写産物の効率的なポリアデニル化のために必要とされるシグナル、リボソーム結合部位、並びに翻訳終結部位を含む。ペプチドをコードする核酸配列は、典型的には、形質転換細胞によるペプチドの分泌を促進するための切断可能なシグナルペプチド配列に連結される。そのようなシグナルペプチドは、中でも特に、組織プラスミノーゲン活性化因子、インスリン、及び神経成長因子、並びにオオタバコガ(ヘリオジス・ビレセンス(Heliothis virescens))の幼若ホルモンエステラーゼからのシグナルペプチドを含む。カセットの付加的なエレメントは、エンハンサー及び、ゲノムDNAを構造遺伝子として使用する場合は、機能性スプライス供与部位及び受容部位を有するイントロンを含み得る。
プロモーター配列に加えて、発現カセットはまた、効率的な終結を提供するために構造遺伝子の下流に転写終結領域を含むべきである。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得てもよく又は異なる遺伝子から得てもよい。
細胞に遺伝情報を輸送するために使用される特定の発現ベクターは、特に重要ではない。真核細胞又は原核細胞での発現のために使用される従来のベクターのいずれかを使用し得る。標準的な細菌発現ベクターは、pBR322に基づくプラスミド、pSKF、pET23Dなどのプラスミド、並びにGST及びLacZなどの融合発現系を含む。単離の好都合な方法を提供するために、エピトープタグ、例えばc−mycも、組換えタンパク質に付加することができる。
真核生物ウイルスからの調節エレメントを含む発現ベクターが、真核細胞発現ベクター、例えばSV40ベクター、パピローマウイルスベクター及びエプスタイン・バーウイルス由来のベクターにおいて典型的に使用される。他の例示的な真核細胞ベクターは、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、及び、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター又は真核細胞における発現のために有効であることが示されている他のプロモーターの指令下でタンパク質の発現を可能にする他の何らかのベクターを含む。
一部の例示的実施形態では、発現ベクターは、参照により本明細書に組み込まれる2004年4月9日出願の共有米国特許出願に開示されている、pCWin1、pCWin2、pCWin2/MBP、pCWin2−MBP−SBD(pMS39)及びpCWin2−MBP−MCS−SBD(pMXS39)から選択される。
一部の発現系は、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ及びジヒドロ葉酸レダクターゼなどの遺伝子増幅を提供するマーカーを有する。あるいは、ポリヘドリンプロモーター又は他の強力なバキュロウイルスプロモーターの指令下で突然変異ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を有する、昆虫細胞におけるバキュロウイルスベクターなどの、遺伝子増幅に関与しない高収率発現系も適切である。
発現ベクターに典型的に含まれるエレメントはまた、大腸菌において機能するレプリコン、組換えプラスミドを保持する細菌の選択を可能にする抗生物質耐性をコードする遺伝子、及び真核生物配列の挿入を可能にする、プラスミドの非必須領域内のユニーク制限部位を含む。選択される特定の抗生物質耐性遺伝子は重要ではなく、当技術分野で公知の多くの耐性遺伝子のいずれも適切である。原核生物配列は、場合により、必要に応じて、真核細胞におけるDNAの複製を妨げないように選択される。
組換えタンパク質(例えば本発明のhgh突然変異体)のペリプラズム発現を所望するとき、発現ベクターは、発現しようとするタンパク質のコード配列の5’側に直接結合している、大腸菌OppA(ペリプラズムオリゴペプチド結合タンパク質)分泌シグナル又はその修飾型などの分泌シグナルをコードする配列をさらに含む。このシグナル配列は、細胞質で産生された組換えタンパク質を、細胞膜を通して細胞周辺腔へと向かわせる。この発現ベクターは、組換えタンパク質が細胞周辺腔に入ったときシグナル配列を酵素的に切断することができるシグナルペプチダーゼ1のコード配列をさらに含み得る。組換えタンパク質のペリプラズムでの生産についてのより詳細な説明は、例えば、Gray et al., Gene 39:247-254 (1985)、米国特許第6,160,089号及び同第6,436,674号に認められる。
上記で論じたように、当業者は、ぺプチドの生物活性を保持しつつ、何らかの野生型ペプチド若しくは突然変異ペプチド又はそのコード配列に様々な保存的置換を施し得ることを認識する。さらに、生じるアミノ酸配列を変化させずに特定発現宿主における好ましいコドン使用頻度を提供するようにポリヌクレオチドコード配列の修飾を実施し得る。
トランスフェクション法
標準的なトランスフェクション法を使用して、多量の突然変異ペプチドを発現する細菌、哺乳動物、酵母又は昆虫細胞を作製し、次に標準的な手法を用いてそれらを精製する(例えば、Colley et al., J. Biol. Chem. 264:17619-17622 (1989); Guide to Protein Purification,in Methods in Enzymology,vol.182 (Deutscher,ed.,1990)参照)。真核細胞及び原核細胞の形質転換は、標準的な手法に従って実施する(例えば、Morrison, J. Bact. 132:349-351 (1977); Clark-Curtiss & Curtiss, Methods in Enzymology 101:347-362 (Wu et al., eds, 1983)参照)。
標準的なトランスフェクション法を使用して、多量の突然変異ペプチドを発現する細菌、哺乳動物、酵母又は昆虫細胞を作製し、次に標準的な手法を用いてそれらを精製する(例えば、Colley et al., J. Biol. Chem. 264:17619-17622 (1989); Guide to Protein Purification,in Methods in Enzymology,vol.182 (Deutscher,ed.,1990)参照)。真核細胞及び原核細胞の形質転換は、標準的な手法に従って実施する(例えば、Morrison, J. Bact. 132:349-351 (1977); Clark-Curtiss & Curtiss, Methods in Enzymology 101:347-362 (Wu et al., eds, 1983)参照)。
宿主細胞内に外来ヌクレオチド配列を導入するための周知の手順のうちのいずれかを使用し得る。これらは、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、電気穿孔、リポソーム、微量注入、プラズマベクター(plasma vector)、ウイルスベクター、及びクローン化されたゲノムDNA、cDNA、合成DNA又は他の外来遺伝子物質を宿主細胞に導入するための他の周知の方法のいずれかの使用を含む(例えば、Sambrook and Russell、前出参照)。使用される特定遺伝子操作手順が、突然変異ペプチドを発現することができる宿主細胞内に少なくとも1つの遺伝子を成功裡に導入することができれば十分である。
宿主細胞における突然変異ペプチドの発現の検出
発現ベクターが適切な宿主細胞に導入された後、トランスフェクトされた細胞を、突然変異ペプチドの発現を促進する条件下で培養する。その後標準的な手法を用いて培養物から回収される、組換えポリペプチドの発現に関して細胞をスクリーニングする(例えば、Scopes,Protein Purification:Principles and Practice(1982);米国特許第4,673,641号;Ausubel et al.、前出;及びSambrook and Russell、前出参照)。
発現ベクターが適切な宿主細胞に導入された後、トランスフェクトされた細胞を、突然変異ペプチドの発現を促進する条件下で培養する。その後標準的な手法を用いて培養物から回収される、組換えポリペプチドの発現に関して細胞をスクリーニングする(例えば、Scopes,Protein Purification:Principles and Practice(1982);米国特許第4,673,641号;Ausubel et al.、前出;及びSambrook and Russell、前出参照)。
遺伝子発現をスクリーニングするためのいくつかの一般的な方法は、当業者の間で周知である。第一に、核酸レベルで遺伝子発現を検出することができる。核酸ハイブリダイゼーション手法を用いる特異的なDNA及びRNA測定の様々な方法が一般的に使用される(例えばSambrook and Russell、前出)。一部の方法は電気泳動による分離(例えば、DNAを検出するためのサザンブロット法及びRNAを検出するためのノーザンブロット法)を含むが、電気泳動なしでも同様にDNA又はRNAの検出が実施できる(ドットプロット法などによって)。トランスフェクト細胞における突然変異ペプチドをコードする核酸の存在も、配列特異的プライマーを使用したPCR又はRT−PCRによって検出できる。
第二に、遺伝子発現をポリペプチドレベルで検出することができる。様々な免疫学的アッセイが、特に本発明の突然変異ペプチドと特異的に反応するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を使用して、遺伝子産物のレベルを測定するために当業者によって常套的に使用される(例えば、Harlow and Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, Chapter 14, Cold Spring Harbor, 1988;Kohler and Milstein, Nature, 256:495-497 (1975))。そのような手法は、突然変異ペプチド又はその抗原性部分に対して高い特異性を有する抗体を選択することによる抗体作製を必要とする。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を惹起する方法は広く確立されており、それらの説明は文献において、例えば、Harlow and Lane、前出;Kohler and Milstein, Eur. J. Immunol., 6:511-519 (1976)において見出される。本発明の突然変異ペプチドに対する抗体を作製すること及び突然変異ペプチドを検出する免疫学的アッセイを実施することのより詳細な説明は、後の章で述べる。
組換え生産された突然変異ペプチドの精製
トランスフェクトされた宿主細胞における組換え突然変異ポリペプチドの発現がひとたび確認されれば、次に、組換えポリペプチドを精製するために適切な規模で宿主細胞を培養する。
トランスフェクトされた宿主細胞における組換え突然変異ポリペプチドの発現がひとたび確認されれば、次に、組換えポリペプチドを精製するために適切な規模で宿主細胞を培養する。
1. 細菌からの精製
本発明の突然変異ペプチドが、典型的にはプロモーターの導入後、形質転換された細菌によって大量に組換え生産されるとき、発現は構成的となり得るが、タンパク質が不溶性凝集体を形成することがある。タンパク質封入体を精製するのに適したいくつかのプロトコールがある。例えば、凝集体タンパク質(以下、封入体と称する)の精製は、典型的には、細菌細胞を破壊することによる、例えば、約100〜150μg/mlのリゾチームと非イオン性界面活性剤である0.1% Nonidet P40の緩衝液中でのインキュベーションによる、封入体の抽出、分離及び/又は精製を含む。細胞懸濁液を、Polytron粉砕機(Brinkman Instruments, Westbury, NY)を用いて粉砕することができる。あるいは、細胞を氷上で超音波処理することもできる。細菌を溶解する選択的な方法は、Ausubel et al.及びSambrook and Russell、前出に記載されており、当業者には明白である。
本発明の突然変異ペプチドが、典型的にはプロモーターの導入後、形質転換された細菌によって大量に組換え生産されるとき、発現は構成的となり得るが、タンパク質が不溶性凝集体を形成することがある。タンパク質封入体を精製するのに適したいくつかのプロトコールがある。例えば、凝集体タンパク質(以下、封入体と称する)の精製は、典型的には、細菌細胞を破壊することによる、例えば、約100〜150μg/mlのリゾチームと非イオン性界面活性剤である0.1% Nonidet P40の緩衝液中でのインキュベーションによる、封入体の抽出、分離及び/又は精製を含む。細胞懸濁液を、Polytron粉砕機(Brinkman Instruments, Westbury, NY)を用いて粉砕することができる。あるいは、細胞を氷上で超音波処理することもできる。細菌を溶解する選択的な方法は、Ausubel et al.及びSambrook and Russell、前出に記載されており、当業者には明白である。
一般に、細胞懸濁液を遠心分離し、封入体を含有するペレットを、封入体を溶解しないが洗浄する緩衝液、例えば、20mM Tris−HCl(pH7.2)、1mM EDTA、150mM NaCl及び非イオン系界面活性剤である2% Triton−X100に再懸濁する。できるだけ多くの細胞デブリを除去するために洗浄工程を反復する必要があり得る。封入体の残りのペレットは、適切な緩衝液(例えば20mMリン酸ナトリウム、pH6.8、150mM NaCl)中に再懸濁し得る。他の適切な緩衝液は当業者に明白である。
洗浄工程後、強力な水素受容体であり且つ強力な水素供与体でもある溶媒(又は各々がこれらの性質の1つを有する溶媒の組合せ)の添加によって封入体を可溶化する。封入体を形成していたタンパク質を、次に、適合性緩衝液で希釈又は透析することによって再生し得る。適切な溶媒は、尿素(約4M〜約8M)、ホルムアミド(少なくとも約80%、容積/容積ベース)、及び塩酸グアニジン(約4M〜約8M)を含むが、これらに限定されない。SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)及び70%ギ酸などの、凝集体形成タンパク質を可溶化することができるいくつかの溶媒は、免疫原性及び/又は活性の喪失を伴って、タンパク質を不可逆的に変性させる可能性があるため、この手順における使用には不適切であると考えられる。塩酸グアニジン及び同様の作用物質は変性剤であるが、この変性は不可逆的ではなく、変性剤の除去(例えば透析による)又は希釈後に再生が起こり、免疫学的及び/又は生物学的に活性な対象タンパク質の再形成を可能にし得る。可溶化後、タンパク質は、標準的な分離手法によって他の細菌タンパク質から分離することができる。細菌封入体から組換えペプチドを精製することのさらなる説明については、例えば、Patra et al., Protein Expression and Purification 18:182-190 (2000)参照。
あるいは、組換えポリペプチド、例えば突然変異ペプチドを細菌のペリプラズムから精製することが可能である。組換えタンパク質が細菌のペリプラズム内に輸送される場合、細菌のペリプラズム画分は、当業者に公知の他の方法に加えて低温浸透圧ショックによって単離することができる(例えばAusubel et al.、前出参照)。組換えタンパク質をペリプラズムから単離するために、細菌細胞を遠心分離してペレットを形成する。20%スクロースを含む緩衝液中にペレットを再懸濁する。細胞を溶解するため、細菌を遠心分離し、ペレットを氷冷5mM MgSO4に再懸濁して、約10分間氷浴中に保持する。細胞懸濁液を遠心分離し、上清を傾瀉して、保存する。上清中に存在する組換えタンパク質は、当業者に周知の標準的な分離手法によって宿主タンパク質から分離することができる。
2. 精製のための標準的なタンパク質分離手法
組換えポリペプチド、例えば本発明の突然変異ペプチドが可溶性形態で宿主細胞において発現されるとき、その精製は、例えば本明細書中以下で述べる標準的なタンパク質精製手順に従うことができ、又は別のところで、例えば、参照により本明細書に組み込まれるPCT公開番号第WO2006/105426号において開示される方法を用いて精製を実施することができる。
組換えポリペプチド、例えば本発明の突然変異ペプチドが可溶性形態で宿主細胞において発現されるとき、その精製は、例えば本明細書中以下で述べる標準的なタンパク質精製手順に従うことができ、又は別のところで、例えば、参照により本明細書に組み込まれるPCT公開番号第WO2006/105426号において開示される方法を用いて精製を実施することができる。
溶解度による分画
しばしば最初の工程として、そしてタンパク質混合物が複雑である場合に、初期塩分画は、対象とする組換えタンパク質、例えば本発明の突然変異ペプチドから望ましくない宿主細胞タンパク質(又は細胞培養培地に由来するタンパク質)の多くを分離することができる。好ましい塩は硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物中の水分量を効果的に低減することによってタンパク質を沈殿させる。そのときタンパク質は溶解度に基づいて沈殿する。タンパク質が疎水性であるほど、より低い硫酸アンモニウム濃度で沈殿する可能性が高い。典型的なプロトコールは、生じる硫酸アンモニウム濃度が20〜30%になるように、タンパク質溶液に飽和硫酸アンモニウムを添加する。これにより、大部分の疎水性タンパク質が沈殿する。沈殿物を廃棄し(対象タンパク質が疎水性でない限り)、対象タンパク質を沈殿させることが既知の濃度まで硫酸アンモニウムを上清に添加する。次に、緩衝液中で沈殿物を可溶化し、必要に応じて、透析又はダイアフィルトレーションを通して過剰の塩を除去する。低温エタノール沈殿などの、タンパク質の溶解度に基づく他の方法は当業者に周知であり、複雑なタンパク質混合物を分画するために使用できる。
しばしば最初の工程として、そしてタンパク質混合物が複雑である場合に、初期塩分画は、対象とする組換えタンパク質、例えば本発明の突然変異ペプチドから望ましくない宿主細胞タンパク質(又は細胞培養培地に由来するタンパク質)の多くを分離することができる。好ましい塩は硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物中の水分量を効果的に低減することによってタンパク質を沈殿させる。そのときタンパク質は溶解度に基づいて沈殿する。タンパク質が疎水性であるほど、より低い硫酸アンモニウム濃度で沈殿する可能性が高い。典型的なプロトコールは、生じる硫酸アンモニウム濃度が20〜30%になるように、タンパク質溶液に飽和硫酸アンモニウムを添加する。これにより、大部分の疎水性タンパク質が沈殿する。沈殿物を廃棄し(対象タンパク質が疎水性でない限り)、対象タンパク質を沈殿させることが既知の濃度まで硫酸アンモニウムを上清に添加する。次に、緩衝液中で沈殿物を可溶化し、必要に応じて、透析又はダイアフィルトレーションを通して過剰の塩を除去する。低温エタノール沈殿などの、タンパク質の溶解度に基づく他の方法は当業者に周知であり、複雑なタンパク質混合物を分画するために使用できる。
限外ろ過
算定分子量に基づき、より大きなタンパク質及びより小さなタンパク質を、種々の細孔径の膜(例えばAmicon又はMillipore膜)による限外ろ過を用いて単離することができる。1番目の工程として、対象タンパク質、例えば突然変異ペプチドの分子量より低い分子量カットオフ値を有する細孔径の膜を通してタンパク質混合物を限外ろ過する。限外ろ過の保持液を、次に、対象タンパク質の分子量より大きい分子量カットオフ値を有する膜に対して限外ろ過する。組換えタンパク質は膜を通過してろ液に入る。ろ液を、その後、以下で述べるようにクロマトグラフィーにかけることができる。
算定分子量に基づき、より大きなタンパク質及びより小さなタンパク質を、種々の細孔径の膜(例えばAmicon又はMillipore膜)による限外ろ過を用いて単離することができる。1番目の工程として、対象タンパク質、例えば突然変異ペプチドの分子量より低い分子量カットオフ値を有する細孔径の膜を通してタンパク質混合物を限外ろ過する。限外ろ過の保持液を、次に、対象タンパク質の分子量より大きい分子量カットオフ値を有する膜に対して限外ろ過する。組換えタンパク質は膜を通過してろ液に入る。ろ液を、その後、以下で述べるようにクロマトグラフィーにかけることができる。
カラムクロマトグラフィー
対象タンパク質(本発明の突然変異ペプチドなど)はまた、それらの大きさ、正味表面電荷、疎水性又はリガンドに対する親和性に基づいて他のタンパク質から分離することができる。加えて、ペプチドに対して惹起した抗体をカラムマトリックスに結合して、ペプチドを免疫精製することもできる。これらの方法はすべて当技術分野において周知である。
対象タンパク質(本発明の突然変異ペプチドなど)はまた、それらの大きさ、正味表面電荷、疎水性又はリガンドに対する親和性に基づいて他のタンパク質から分離することができる。加えて、ペプチドに対して惹起した抗体をカラムマトリックスに結合して、ペプチドを免疫精製することもできる。これらの方法はすべて当技術分野において周知である。
クロマトグラフィー手法が、いかなる規模でも及び多くの異なる製造業者(例えばPharmacia Biotech)からの装置を使用して実施できることは当業者に明白である。
突然変異ペプチド発現の検出のための免疫測定法
組換え突然変異ペプチドの産生を確認するには、試料中でポリペプチドの発現を検出するために免疫測定法が有用であり得る。免疫測定法はまた、組換えホルモンの発現レベルを定量するのにも有用である。これらの免疫測定法を実施するために突然変異ペプチドに対する抗体が必要である。
組換え突然変異ペプチドの産生を確認するには、試料中でポリペプチドの発現を検出するために免疫測定法が有用であり得る。免疫測定法はまた、組換えホルモンの発現レベルを定量するのにも有用である。これらの免疫測定法を実施するために突然変異ペプチドに対する抗体が必要である。
突然変異ペプチドに対する抗体の作製
対象とする免疫原と特異的に反応するポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を作製する方法は、当業者に公知である(例えば、Coligan, Current Protocols in Immunology Wiley/Greene, NY, 1991; Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Press, NY, 1989; Stites et al. (eds.) Basic and Clinical Immunology (4th ed.) Lange Medical Publications, Los Altos, CA、及びその中で引用されている参考文献;Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (2d ed.) Academic Press, New York, NY, 1986;並びにKohler and Milstein Nature 256:495-497, 1975参照)。そのような手法は、ファージ又は同様のベクターにおける組換え抗体のライブラリーから抗体を選択することによる抗体の作製を含む(Huse et al., Science 246:1275-1281, 1989;及びWard et al., Nature 341:544-546, 1989参照)。
対象とする免疫原と特異的に反応するポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を作製する方法は、当業者に公知である(例えば、Coligan, Current Protocols in Immunology Wiley/Greene, NY, 1991; Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Press, NY, 1989; Stites et al. (eds.) Basic and Clinical Immunology (4th ed.) Lange Medical Publications, Los Altos, CA、及びその中で引用されている参考文献;Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (2d ed.) Academic Press, New York, NY, 1986;並びにKohler and Milstein Nature 256:495-497, 1975参照)。そのような手法は、ファージ又は同様のベクターにおける組換え抗体のライブラリーから抗体を選択することによる抗体の作製を含む(Huse et al., Science 246:1275-1281, 1989;及びWard et al., Nature 341:544-546, 1989参照)。
所望の特異性を有する抗体を含有する抗血清を生成するため、対象ポリペプチド(例えば本発明の突然変異ペプチド)又はその抗原性フラグメントを用いて、適切な動物、例えばマウス、ウサギ又は霊長動物を免疫することができる。フロイントアジュバントなどの標準アジュバントが標準的な免疫プロトコールに従って使用できる。あるいは、その特定ポリペプチドから誘導された合成抗原ペプチドを担体タンパク質に結合し、その後免疫原として使用することができる。
免疫原製剤に対する動物の免疫応答は、被験血液を採取し、対象抗原に対する反応性の力価を測定することによって観測される。抗原に対する抗体の適切に高い力価が得られたとき、動物から血液を採取し、抗血清を調製する。その後、抗原に特異的に反応する抗体を冨化するための抗血清のさらなる分画及び抗体の精製を実施することができる。Harlow and Lane、前出、及び上述したタンパク質精製の一般的な説明参照。
モノクローナル抗体は、当業者が精通する様々な手法を用いて得られる。典型的には、所望抗原で免疫した動物からの脾細胞を、一般に骨髄腫細胞との融合によって不死化する(Kohler and Milstein, Eur. J. Immunol. 6:511-519, 1976参照)。不死化の選択的な方法は、例えば、エプスタインバーウイルス、癌遺伝子若しくはレトロウイルスによる形質転換、又は当技術分野で周知の他の方法を含む。単一不死化細胞から生じるコロニーを、所望の特異性及び抗原に対する親和性を有する抗体の産生に関してスクリーニングし、脊椎動物宿主の腹腔内への注射を含む様々な手法により、そのような細胞によって産生されるモノクローナル抗体の収率を高め得る。
加えて、モノクローナル抗体はまた、Huse et al.、前出によって概説される一般的なプロトコールに従ってヒトB細胞cDNAライブラリーをスクリーニングすることによる、所望の特異性を有する抗体又はそのような抗体の結合フラグメントをコードする核酸配列の同定に基づき、組換え生産し得る。上記で論じた組換えポリペプチド作製の一般的な原理及び方法は、組換え法による抗体作製にも適用できる。
所望するときは、本発明の突然変異ペプチドを特異的に認識することができる抗体を、野生型ペプチドに対するそれらの交叉反応性に関して試験し、それによって野生型タンパク質に対する抗体から区別することができる。例えば、突然変異ペプチドで免疫した動物から得られた抗血清を、野生型ペプチドが固定化されているカラムに通すことができる。カラムを通過する抗血清の部分は、突然変異ペプチドだけを認識し、野生型ペプチドは認識しない。同様に、突然変異ペプチドに対するモノクローナル抗体も、突然変異体だけを認識し、野生型ペプチドは認識しないというそれらの排他性に関してスクリーニングすることができる。
本発明の突然変異ペプチドだけを特異的に認識するが野生型ペプチドは認識しないポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体は、例えば、固体支持体上に固定化された突然変異ペプチド特異的ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体と共に試料をインキュベートすることにより、野生型タンパク質から突然変異タンパク質を単離するために有用である。
組換えペプチドの発現を検出するための免疫測定法
ひとたび本発明の突然変異ペプチドに特異的な抗体が使用可能になれば、試料中のポリペプチド、例えば細胞溶解産物の量を、当業者に定性的及び定量的な結果を提供する様々な免疫測定法法によって測定することができる。一般的な免疫学的手順及び免疫測定法の手順の総説については、例えば、Stites、前出;米国特許第4,366,241号;同第4,376,110号;同第4,517,288号;及び同第4,837,168号参照。
ひとたび本発明の突然変異ペプチドに特異的な抗体が使用可能になれば、試料中のポリペプチド、例えば細胞溶解産物の量を、当業者に定性的及び定量的な結果を提供する様々な免疫測定法法によって測定することができる。一般的な免疫学的手順及び免疫測定法の手順の総説については、例えば、Stites、前出;米国特許第4,366,241号;同第4,376,110号;同第4,517,288号;及び同第4,837,168号参照。
免疫測定法における標識化
免疫測定法は、抗体と標的タンパク質によって形成される結合複合体に特異的に結合し、それを標識する標識剤をしばしば利用する。標識剤は、それ自体が抗体/標的タンパク質複合体を含む部分の1つであってもよく、又はもう1つ別の抗体などの、抗体/標的タンパク質複合体に特異的に結合する第三の部分であってもよい。標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的又は化学的手段によって検出可能であり得る。例としては、磁性ビーズ(例えばDynabeads(商標))、蛍光染料(例えばフルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン等)、放射性標識(例えば3H、125I、35S、14C又は32P)、酵素(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びELISAにおいて一般的に使用される他の酵素)、及びコロイド金又は着色ガラス又はプラスチック(例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等)ビーズなどの比色標識を含むが、これらに限定されない。
免疫測定法は、抗体と標的タンパク質によって形成される結合複合体に特異的に結合し、それを標識する標識剤をしばしば利用する。標識剤は、それ自体が抗体/標的タンパク質複合体を含む部分の1つであってもよく、又はもう1つ別の抗体などの、抗体/標的タンパク質複合体に特異的に結合する第三の部分であってもよい。標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的又は化学的手段によって検出可能であり得る。例としては、磁性ビーズ(例えばDynabeads(商標))、蛍光染料(例えばフルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン等)、放射性標識(例えば3H、125I、35S、14C又は32P)、酵素(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びELISAにおいて一般的に使用される他の酵素)、及びコロイド金又は着色ガラス又はプラスチック(例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等)ビーズなどの比色標識を含むが、これらに限定されない。
一部の場合、標識剤は、検出可能な標識を担持する二次抗体である。あるいは、二次抗体は標識を有していなくてもよいが、代わりに、二次抗体が由来する種の抗体に特異的な標識された三次抗体に結合し得る。二次抗体を、酵素標識ストレプトアビジンなどの第三の標識された分子が特異的に結合することができる、ビオチンなどの検出可能部分で修飾することができる。
プロテインA又はプロテインGなどの、免疫グロブリンの定常領域に特異的に結合することができる他のタンパク質も、標識剤として使用できる。これらのタンパク質は、連鎖球菌の細胞壁の通常の構成成分である。それらは、様々な種からの免疫グロブリン定常領域に対して強い非免疫原性反応性を示す(一般に、Kronval, et al., J. Immunol., 111:1401-1406 (1973);及びAkerstrom, et al., J Immunol., 135:2589-2542 (1985)参照)。
免疫測定法の形式
試料から対象とする標的タンパク質(例えば突然変異型ヒト成長ホルモン)を検出するための免疫測定法は、競合的でもよく又は非競合的でもよい。非競合免疫測定法は、捕捉された標的タンパク質の量を直接測定するアッセイである。1つの好ましい「サンドイッチ」アッセイでは、例えば、標的タンパク質に特異的な抗体を、抗体が固定化されている固体基質に直接結合することができる。次にその抗体が被験試料中の標的タンパク質を捕捉する。このようにして固定化された抗体/標的タンパク質複合体に、前述したような標識を担持する二次抗体又は三次抗体などの標識剤を結合する。
試料から対象とする標的タンパク質(例えば突然変異型ヒト成長ホルモン)を検出するための免疫測定法は、競合的でもよく又は非競合的でもよい。非競合免疫測定法は、捕捉された標的タンパク質の量を直接測定するアッセイである。1つの好ましい「サンドイッチ」アッセイでは、例えば、標的タンパク質に特異的な抗体を、抗体が固定化されている固体基質に直接結合することができる。次にその抗体が被験試料中の標的タンパク質を捕捉する。このようにして固定化された抗体/標的タンパク質複合体に、前述したような標識を担持する二次抗体又は三次抗体などの標識剤を結合する。
競合アッセイでは、試料中の標的タンパク質の量を、試料中に存在する標的タンパク質によって標的タンパク質に特異的な抗体から移動させられた(又は競合して除去された)付加的な(外因性)標的タンパク質の量を測定することによって間接的に測定する。そのようなアッセイの典型的な例では、抗体を固定化し、外因性標的タンパク質を標識する。抗体に結合する外因性標的タンパク質の量は、試料中に存在する標的タンパク質の濃度に反比例するので、抗体に結合し、それによって固定化された外因性標的タンパク質の量に基づいて試料中の標的タンパク質レベルを決定することができる。
一部の場合には、試料中の突然変異ペプチドの存在を検出し、定量するためにウエスタンブロット(免疫ブロット)分析が使用される。この手法は、一般に、分子量に基づくゲル電気泳動によって試料タンパク質を分離すること、分離したタンパク質を適切な固体支持体(ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター又は誘導体化ナイロンフィルターなど)に転写すること、及び標的タンパク質に特異的に結合する抗体と共に試料をインキュベートすることを含む。これらの抗体は、直接標識し得るか、あるいは、その後、突然変異ペプチドに対する抗体に特異的に結合する標識抗体(例えば標識ヒツジ抗マウス抗体)を用いて検出し得る。
他のアッセイ形式は、特定分子(例えば抗体)に結合して、封入された試薬又はマーカーを放出するように設計されたリポソームを使用する、リポソーム免疫測定法(LIA)を含む。放出された化学物質を、次に、標準的手法に従って検出する(Monroe et al., Amer. Clin. Prod. Rev., 5:34-41 (1986)参照)。
治療方法
上記で論じた複合体に加えて、本発明は、疾患を発症する危険度の高い被験者又は疾患を有する被験者に本発明のポリペプチド複合体を投与することにより、疾患状態を予防する、治癒する又は改善する方法を提供する。加えて、本発明は、身体の特定組織又は領域に本発明の複合体を標的するための方法を提供する。
上記で論じた複合体に加えて、本発明は、疾患を発症する危険度の高い被験者又は疾患を有する被験者に本発明のポリペプチド複合体を投与することにより、疾患状態を予防する、治癒する又は改善する方法を提供する。加えて、本発明は、身体の特定組織又は領域に本発明の複合体を標的するための方法を提供する。
以下の実施例は、本発明の組成物及び方法を説明するために提供されるが、特許請求する本発明を限定するものではない。
実施例
実施例1
突然変異型インターフェロンα−2b−GlcNH−グリシン−PEG−30kDaの作製
突然変異型IFN−α−2b(30mg、1.55マイクロモル)を、Centricon Plus−20遠心フィルター、5kDa MWCOを使用して、10mg/mLの最終タンパク質濃度になるように反応緩衝液(50mM Tris、MgCl2、pH7.8)に緩衝液交換した。次に、UDP−GlcNH−グリシン−PEG−30kDa(2モル当量)及びMBP−GlcNAcトランスフェラーゼ(20mU/mgタンパク質)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を32℃でインキュベートした。反応の程度をSDS−PAGEゲルによって測定した。生成物であるIFN−α−2b−GlcNH−グリシン−PEG−30kDaを、製剤の前に、文献に記載されているように精製した(SP−セファロース及びSuperdex 200クロマトグラフィー)。
実施例1
突然変異型インターフェロンα−2b−GlcNH−グリシン−PEG−30kDaの作製
突然変異型IFN−α−2b(30mg、1.55マイクロモル)を、Centricon Plus−20遠心フィルター、5kDa MWCOを使用して、10mg/mLの最終タンパク質濃度になるように反応緩衝液(50mM Tris、MgCl2、pH7.8)に緩衝液交換した。次に、UDP−GlcNH−グリシン−PEG−30kDa(2モル当量)及びMBP−GlcNAcトランスフェラーゼ(20mU/mgタンパク質)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を32℃でインキュベートした。反応の程度をSDS−PAGEゲルによって測定した。生成物であるIFN−α−2b−GlcNH−グリシン−PEG−30kDaを、製剤の前に、文献に記載されているように精製した(SP−セファロース及びSuperdex 200クロマトグラフィー)。
IFNα突然変異体:
UDP−GlcNH−グリシン−PEG−30kDa:
実施例2
突然変異型インターフェロンα−2b−GlcNH−カプロイルアミド−PEG−40kDaの作製
突然変異型IFN−α−2b(1mg)を、Centricon Plus−20遠心フィルター、5kDa MWCOを使用して、1mg/mLの最終タンパク質濃度になるように反応緩衝液(50mM HEPES、MgCl2、pH7.4、100mM NaCl)に緩衝液交換した。次に、UDP−GlcNH−カプロイルアミド−PEG−40kDa(2モル当量)及びMBP−GlcNAcトランスフェラーゼ(100mU/mgタンパク質)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を32℃でインキュベートした。反応の程度をSDS−PAGEゲルによって測定した。生成物であるIFN−α−2b−GlcNH−カプロイルアミド−PEG−40kDaを、製剤の前に、文献に記載されているように精製した(SP−セファロース及びSuperdex 200クロマトグラフィー)。
突然変異型インターフェロンα−2b−GlcNH−カプロイルアミド−PEG−40kDaの作製
突然変異型IFN−α−2b(1mg)を、Centricon Plus−20遠心フィルター、5kDa MWCOを使用して、1mg/mLの最終タンパク質濃度になるように反応緩衝液(50mM HEPES、MgCl2、pH7.4、100mM NaCl)に緩衝液交換した。次に、UDP−GlcNH−カプロイルアミド−PEG−40kDa(2モル当量)及びMBP−GlcNAcトランスフェラーゼ(100mU/mgタンパク質)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を32℃でインキュベートした。反応の程度をSDS−PAGEゲルによって測定した。生成物であるIFN−α−2b−GlcNH−カプロイルアミド−PEG−40kDaを、製剤の前に、文献に記載されているように精製した(SP−セファロース及びSuperdex 200クロマトグラフィー)。
IFNα突然変異体:
UDP−GlcNH−カプロイルアミド−PEG−40kDa:
実施例3
突然変異型BMP7−GlcNH−グリシン−PEG−30kDaの作製
突然変異型BMP7(1mg)を、Centricon Plus−20遠心フィルター、5kDa MWCOを使用して、1mg/mLの最終タンパク質濃度になるように反応緩衝液(50mM MES、MgCl2、pH6.2)に緩衝液交換した。次に、UDP−GlcNH−グリシン−PEG−30kDa(1.5モル当量)及びMBP−GlcNAcトランスフェラーゼ(100mU/mgタンパク質)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を32℃でインキュベートした。反応の程度をSDS−PAGEゲルによって測定した。生成物であるBMP7−GlcNH−グリシン−PEG−30kDaを、製剤の前に、文献に記載されているように精製した(SP−セファロース及びSuperdex 200クロマトグラフィー)。
突然変異型BMP7−GlcNH−グリシン−PEG−30kDaの作製
突然変異型BMP7(1mg)を、Centricon Plus−20遠心フィルター、5kDa MWCOを使用して、1mg/mLの最終タンパク質濃度になるように反応緩衝液(50mM MES、MgCl2、pH6.2)に緩衝液交換した。次に、UDP−GlcNH−グリシン−PEG−30kDa(1.5モル当量)及びMBP−GlcNAcトランスフェラーゼ(100mU/mgタンパク質)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を32℃でインキュベートした。反応の程度をSDS−PAGEゲルによって測定した。生成物であるBMP7−GlcNH−グリシン−PEG−30kDaを、製剤の前に、文献に記載されているように精製した(SP−セファロース及びSuperdex 200クロマトグラフィー)。
突然変異型BMP7:
UDP−GlcNH−グリシン−PEG−30kDa:
実施例4
突然変異型ヒト成長ホルモン−GlcNH−グリシン−PEG−40kDaの作製
突然変異型成長ホルモン(1mg)を、Centricon Plus−20遠心フィルター、5kDa MWCOを使用して、1mg/mLの最終タンパク質濃度になるように反応緩衝液(50mM HEPES、CaCl2、50mM NaCl、pH7.4)に緩衝液交換した。次に、UDP−GlcNH−グリシン−PEG−40kDa(1.5モル当量)及びMBP−GlcNAcトランスフェラーゼ(50mU/mgタンパク質)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を室温でインキュベートした。反応の程度をSDS−PAGEゲルによって測定した。生成物である成長ホルモン−GlcNH−グリシン−PEG−40kDaを、製剤の前に、文献に記載されているように精製した(DEAEセファロース及びSuperdex 200クロマトグラフィー)。
突然変異型ヒト成長ホルモン−GlcNH−グリシン−PEG−40kDaの作製
突然変異型成長ホルモン(1mg)を、Centricon Plus−20遠心フィルター、5kDa MWCOを使用して、1mg/mLの最終タンパク質濃度になるように反応緩衝液(50mM HEPES、CaCl2、50mM NaCl、pH7.4)に緩衝液交換した。次に、UDP−GlcNH−グリシン−PEG−40kDa(1.5モル当量)及びMBP−GlcNAcトランスフェラーゼ(50mU/mgタンパク質)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を室温でインキュベートした。反応の程度をSDS−PAGEゲルによって測定した。生成物である成長ホルモン−GlcNH−グリシン−PEG−40kDaを、製剤の前に、文献に記載されているように精製した(DEAEセファロース及びSuperdex 200クロマトグラフィー)。
突然変異型成長ホルモン:
UDP−GlcNH−6’−グリシン−PEG−40kDa:
実施例5
突然変異型GCSF−GlcNH−グリシン−PEG−20kDaの作製
突然変異型GCSF(1mg)を、Centricon Plus−20遠心フィルター、5kDa MWCOを使用して、1mg/mLの最終タンパク質濃度になるように反応緩衝液(50mM MES、MgCl2、pH6.2)に緩衝液交換した。次に、UDP−GlcNH−グリシン−PEG−20kDa(2.0モル当量)及びMBP−GlcNAcトランスフェラーゼ(100mU/mgタンパク質)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を32℃でインキュベートした。反応の程度をSDS−PAGEゲルによって測定した。生成物であるGSCF−GlcNH−グリシン−PEG−20kDaを、製剤の前に、文献に記載されているように精製した(SP−セファロース及びSuperdex 200クロマトグラフィー)。
突然変異型GCSF−GlcNH−グリシン−PEG−20kDaの作製
突然変異型GCSF(1mg)を、Centricon Plus−20遠心フィルター、5kDa MWCOを使用して、1mg/mLの最終タンパク質濃度になるように反応緩衝液(50mM MES、MgCl2、pH6.2)に緩衝液交換した。次に、UDP−GlcNH−グリシン−PEG−20kDa(2.0モル当量)及びMBP−GlcNAcトランスフェラーゼ(100mU/mgタンパク質)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を32℃でインキュベートした。反応の程度をSDS−PAGEゲルによって測定した。生成物であるGSCF−GlcNH−グリシン−PEG−20kDaを、製剤の前に、文献に記載されているように精製した(SP−セファロース及びSuperdex 200クロマトグラフィー)。
突然変異型GCSF:
UDP−GlcNH−カプロイルアミド−PEG−20kDa:
実施例6
突然変異型Enbrel−[GlcNH−カプロイルアミド−PEG−80kDa]2の作製
本発明のO結合型グリコシル化配列を含む突然変異型Enbrel(100mg)を、Centricon Plus−20遠心フィルター、5kDa MWCOを使用して、10mg/mLの最終タンパク質濃度になるように反応緩衝液(50mM Tris、MgCl2、pH7.8)に緩衝液交換した。次に、UDP−GlcNH−カプロイルアミド−PEG−80kDa(2.2モル当量)及びMBP−GlcNAcトランスフェラーゼ(75mU/mgタンパク質)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を32℃でインキュベートした。反応の程度をSDS−PAGEゲルによって測定した。生成物であるEnbrel−[GlcNH−カプロイルアミド−PEG−80kDa]2を、製剤の前に、文献に記載されているように精製した(Q−セファロース及びSuperdex 200クロマトグラフィー)。
突然変異型Enbrel−[GlcNH−カプロイルアミド−PEG−80kDa]2の作製
本発明のO結合型グリコシル化配列を含む突然変異型Enbrel(100mg)を、Centricon Plus−20遠心フィルター、5kDa MWCOを使用して、10mg/mLの最終タンパク質濃度になるように反応緩衝液(50mM Tris、MgCl2、pH7.8)に緩衝液交換した。次に、UDP−GlcNH−カプロイルアミド−PEG−80kDa(2.2モル当量)及びMBP−GlcNAcトランスフェラーゼ(75mU/mgタンパク質)を添加した。反応が完了するまで反応混合物を32℃でインキュベートした。反応の程度をSDS−PAGEゲルによって測定した。生成物であるEnbrel−[GlcNH−カプロイルアミド−PEG−80kDa]2を、製剤の前に、文献に記載されているように精製した(Q−セファロース及びSuperdex 200クロマトグラフィー)。
実施例7
大腸菌におけるGlcNAcトランスフェラーゼの発現
最初の176アミノ酸を欠く(△176、配列番号:2、図2)、アクセッション番号O15294を有するヒトOGTをコードするDNA(配列番号:1、図1)を、大腸菌における高発現のために選択したコドンを用いて合成した。当技術分野で公知の一般的な方法を用いて、様々なトランケート形態及び/又は標識形態のヒトOGTをプラスミド7発現ベクターにおいて作製した(以下の表14参照)。例えば、すべての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2007年8月16日出願の米国特許仮出願第60/956332号(例えばその中の配列番号:8)参照。PCRによって作製した構築物を配列解析によって確認した。
大腸菌におけるGlcNAcトランスフェラーゼの発現
最初の176アミノ酸を欠く(△176、配列番号:2、図2)、アクセッション番号O15294を有するヒトOGTをコードするDNA(配列番号:1、図1)を、大腸菌における高発現のために選択したコドンを用いて合成した。当技術分野で公知の一般的な方法を用いて、様々なトランケート形態及び/又は標識形態のヒトOGTをプラスミド7発現ベクターにおいて作製した(以下の表14参照)。例えば、すべての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2007年8月16日出願の米国特許仮出願第60/956332号(例えばその中の配列番号:8)参照。PCRによって作製した構築物を配列解析によって確認した。
発現のために、各々のOGT構築物を担持する一晩培養した大腸菌細胞を使用して、50μg/mlカナマイシンを含有するあらかじめ温めておいた動物不含LB(1%マートン(martone)B−1、0.5%酵母抽出物、1% NaCl)の200mL培養物に接種した。培養物を振とうしながら37℃でインキュベートし、OD600で観測した。OD600が0.5〜1に達したとき、培養物を20〜40分間、20℃の振とうインキュベーターに移した。次に0.2mMの最終濃度になるようにIPTGを添加し、振とうインキュベーションを一晩続けた。採取時に再びOD600を測定し、4℃、7,000×gで15分間の遠心分離によって細胞を収集した。特に明記されない限り、すべてのOGT構築物はtrxB gor supp突然変異型大腸菌において発現させた。さらなる方法及び手順並びに配列は、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、Ausubel, F., et al., eds. 2007 Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, Inc. Hoboken, NJ); Coligan, J., et al., eds. 2007 Current Protocols in Protein Science (John Wiley & Sons,Inc. Hoboken, NJ); Kreppel, L. and G. Hart, J. Biol. Chem. 1999, 274:32015-32022; Lubas, W. and J. Hanover, J. Biol. Chem. 2000, 275:10983-10988; Hanover, J. et al., Arch. Biochem. Biophys. 2003, 409:287-297; Gross, B., Kraybill, B., and S. Walker, J. Am. Chem. Soc. 2005, 127:14588-14589; Gross, B., Swoboda, J., and S. Walker, J. Am. Chem. Soc. 2008, 130:440-441に認められる。
タンパク質発現を観測するため、全細胞溶解産物をSDS−PAGEによって分析した。細胞の等しい試料を、採取時のOD600に基づき、界面活性剤で可溶化して、DNアーゼで分解された細菌DNAを放出させた。還元及び熱変性後、試料を電気泳動によって分離し、Coomassie Fluor Orangeで染色した。図16に示すように、すべてのOGT構築物の発現を認めた。細菌において発現させた非標識OGT又はHis標識OGTを、当技術分野で公知の方法を用いて精製し、検定することができる。
Claims (49)
- 非天然に生じるポリペプチドと重合体修飾基との間の共有結合複合体であって、前記非天然に生じるポリペプチドは親ポリペプチドに対応し、前記親ポリペプチド内において、存在しない又は同じ位置には存在しない外因性O結合型グリコシル化配列を含み、前記O結合型グリコシル化配列はGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質であって、ヒドロキシル基を有するアミノ酸残基を含み、前記重合体修飾基は、グリコシル連結基を介して前記O結合型グリコシル化配列の前記ヒドロキシル基で前記ポリペプチドに共有結合されている、前記共有結合複合体。
- 前記重合体修飾基が水溶性重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の共有結合複合体。
- 前記水溶性重合体が、ポリ(アルキレンオキシド)、デキストラン及びポリシアル酸から選択される成員である、請求項5に記載の共有結合複合体。
- 前記ポリ(アルキレンオキシド)が、ポリ(エチレングリコール)及び(ポリプロピレングリコール)並びにそれらの誘導体から選択される成員である、請求項6に記載の共有結合複合体。
- 前記ポリ(エチレングリコール)がモノメトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)である、請求項7に記載の共有結合複合体。
- 前記ポリ(エチレングリコール)が、実質的に均一分散である分子量を有する、請求項7に記載の共有結合複合体。
- 前記親ポリペプチドが治療用ポリペプチドである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の共有結合複合体。
- 前記親ポリペプチドが、骨形成タンパク質2(BMP−2)、骨形成タンパク質7(BMP−7)、ニューロトロフィン3(NT−3)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、α1−アンチトリプシン(α−1プロテアーゼ阻害剤)、グルコセレブロシダーゼ、組織型プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、インターロイキン2(IL−2)、レプチン、ヒルジン、ウロキナーゼ、ヒトDNアーゼ、インスリン、B型肝炎表面タンパク質(HbsAg)、キメラジフテリア毒素−IL−2、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、α−ガラクトシダーゼ、α−L−イズロニダーゼ、β−グルコシダーゼ、α−ガラクトシダーゼA、酸性α−グルコシダーゼ(酸性マルターゼ)、アンチトロンビンIII(AT III)、卵胞刺激ホルモン、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルカゴン様ペプチド2(GLP−2)、線維芽細胞増殖因子7(FGF−7)、線維芽細胞増殖因子21(FGF−21)、線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)、第VII因子、第VIII因子、Bドメイン欠失第VIII因子、第IX因子、第XIII因子、プロキネチシン、エクステンジン4、CD4、腫瘍壊死因子受容体(TNF−R)、α−CD20、P−セレクチン糖タンパク質リガンド1(PSGL−1)、補体、トランスフェリン、グリコシル化依存性細胞接着分子(GlyCAM)、神経細胞接着分子(N−CAM)、TNF受容体−IgG Fc領域融合タンパク質、抗HER2モノクローナル抗体、呼吸器合胞体ウイルスに対するモノクローナル抗体、呼吸器合胞体ウイルスのプロテインFに対するモノクローナル抗体、TNF−αに対するモノクローナル抗体、糖タンパク質IIb/IIIaに対するモノクローナル抗体、CD20に対するモノクローナル抗体、VEGF−Aに対するモノクローナル抗体、PSGL−1に対するモノクローナル抗体、CD4に対するモノクローナル抗体、a−CD3に対するモノクローナル抗体、EGFに対するモノクローナル抗体、癌胎児性抗原(CEA)に対するモノクローナル抗体及びIL−2受容体に対するモノクローナル抗体から選択される成員である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の共有結合複合体。
- 前記GlcNAcトランスフェラーゼが組換え酵素である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の共有結合複合体。
- 前記GlcNAcトランスフェラーゼが細菌細胞において発現される、請求項12に記載の共有結合複合体。
- 前記グリコシル連結基が無傷グリコシル連結基である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の共有結合複合体。
- Z*が、GlcNAc、GlcNH、Glc、GlcNAc−Fuc、GlcNAc−GlcNAc、GlcNH−GlcNH、GlcNAc−GlcNH、GlcNH−GlcNAc、GlcNAc−Gal、GlcNH−Gal、GlcNAc−Sia、GlcNH−Sia、GlcNAc−Gal−Sia、GlcNH−Gal−Sia、GlcNAc−GlcNAc−Gal−Sia、GlcNH−GlcNH−Gal−Sia、GlcNAc−GlcNH−Gal−Sia、GlcNH−GlcNAc−Gal−Sia、GlcNAc−GlcNAc−Man、GlcNAc−GlcNAc−Man(Man)2及びGlcNAc−Gal−Gal−Siaから選択される成員である、請求項15に記載の共有結合複合体。
- Z*がGlcNAc及びGlcNHから選択される成員であり、X*が重合体修飾基である、請求項15に記載の共有結合複合体。
- 前記重合体修飾基が、
[式中、
p及びp1は、1〜20から独立して選択される整数であり;
j及びkは、0〜20から独立して選択される整数であり;
各々のnは、1〜5000から独立して選択される整数であり;
mは1〜5の整数であり;
R16及びR17は、独立して選択される重合体部分であり;
X2及びX4は、重合体部分R16及びR17をCに連結する、独立して選択される連結フラグメントであり;
X5は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、−NR12R13及び−OR12から選択される成員であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10及びR11は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、−NR12R13、−OR12及び−SiR12R13から独立して選択される成員であり、
前記式中、
R12及びR13は、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換ヘテロアリールから独立して選択される成員である]
から選択される成員である部分を含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の共有結合複合体。 - 前記共有結合複合体が、式(VIII):
[式中、
Gは、−CH2−及びC=A[式中、AはO、S及びNR27から選択される成員であり、前記式中、R27は、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから選択される成員である]から選択される成員であり;
Eは、O、S及びCH2から選択される成員であり;
E1は、O及びSから選択される成員であり;
R21、R22、R23及びR24は、H、OR25、SR25、NR25R26、NR25S(O)2R26、S(O)2NR25R26、NR25C(O)R26、C(O)NR25R26、C(O)OR25、アシル、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから独立して選択される成員であり;
前記式中、
R25及びR26は、H、アシル、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル及び重合体修飾基から独立して選択される成員であり;及び
R21、R22、R23、R24及びR27の少なくとも1つは重合体修飾基を含む]
に記載の部分を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の共有結合複合体。 - 請求項1〜22のいずれか一項に記載の共有結合複合体と医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物。
- 親ポリペプチドに対応し、前記親ポリペプチド内において存在しない又は同じ位置には存在しない外因性O結合型グリコシル化配列を含む、非天然に生じるポリペプチドであって、前記O結合型グリコシル化配列は、GlcNAcトランスフェラーゼに対する基質であり、式(I)〜(VI):
[式中、
b及びgは、0〜2から選択される整数であり;
a、c、d、e、f及びhは、0〜5から選択される整数であり;
Tはトレオニンであり;
Sはセリンであり;
Uは、V、S、T、E、Q及び非荷電アミノ酸から選択される成員であり;
Zは、P、E、Q、S、T及び非荷電アミノ酸から選択される成員であり;及び
B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7及びB8の各々は、アミノ酸から独立して選択される成員である]
から選択される成員であるアミノ酸配列を含む、前記の非天然に生じるポリペプチド。 - 請求項24に記載の前記非天然に生じるポリペプチドをコードする単離核酸。
- 請求項26に記載の前記核酸を含む発現ベクター。
- 請求項26に記載の前記核酸を含む細胞。
- 式(XI):
[式中、
Gは、−CH2−及びC=A[式中、AはO、S及びNR27から選択される成員であり、前記式中、R27は、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから選択される成員である]から選択される成員であり;
Qは、H、負電荷及び塩の対イオンから選択される成員であり;
Eは、O、S及びCH2から選択される成員であり;
E1は、O及びSから選択される成員であり;
R21、R22、R23及びR24は、H、OR25、SR25、NR25R26、NR25S(O)2R26、S(O)2NR25R26、NR25C(O)R26、C(O)NR25R26、C(O)OR25、アシル、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから独立して選択される成員であり;
前記式中、
R25及びR26は、H、アシル、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル及び修飾基から独立して選択される成員であり;及び
R21、R22、R23、R24及びR27の少なくとも1つは重合体修飾基を含む]
に記載の構造を有する化合物。 - 前記重合体修飾基が水溶性重合体である、請求項29に記載の化合物。
- 前記水溶性重合体が、ポリ(アルキレングリコール)、デキストラン及びポリシアル酸から選択される成員である、請求項30に記載の化合物。
- 前記ポリ(アルキレングリコール)が、ポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール)並びにそれらの誘導体から選択される成員である、請求項31に記載の化合物。
- 前記ポリ(エチレングリコール)がモノメトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)である、請求項32に記載の化合物。
- 前記ポリ(エチレングリコール)が、実質的に均一分散である分子量を有する、請求項32に記載の化合物。
- ポリペプチドと重合体修飾基との間の共有結合複合体を形成する方法であって、前記ポリペプチドは外因性O結合型グリコシル化配列を含み、前記O結合型グリコシル化配列はヒドロキシル基を有するアミノ酸残基を含み、前記O結合型グリコシル化配列はGlcNAcトランスフェラーゼに対する基質であり、前記重合体修飾基は、前記ポリペプチドと前記修飾基の間に挟まれ、前記ポリペプチドと前記修飾基の両方に共有結合されているグルコサミン連結基を介して前記ポリペプチドに共有結合されており、前記方法が、
(i)前記ポリペプチドと前記重合体修飾基に共有結合されたグルコサミン部分を含むグルコサミン供与体を、GlcNAcトランスフェラーゼの存在下に、前記GlcNAcトランスフェラーゼが前記グルコサミン部分を前記グルコサミン供与体から前記O結合型グリコシル化配列の前記ヒドロキシル基上に転移するのに十分な条件下で接触させること
を含み、それによって前記共有結合複合体を形成する方法。 - (ii)前記O結合型グリコシル化配列を含む前記ポリペプチドを組換え生産すること
をさらに含む、請求項35に記載の方法。 - (iii)前記共有結合複合体を単離すること
をさらに含む、請求項35又は36に記載の方法。 - 前記重合体修飾基が水溶性重合体である、請求項35〜37のいずれか一項に記載の方法。
- 前記水溶性重合体が、ポリ(アルキレングリコール)、デキストラン及びポリシアル酸から選択される成員である、請求項38に記載の方法。
- 前記ポリ(アルキレングリコール)が、ポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール)並びにそれらの誘導体から選択される成員である、請求項39に記載の方法。
- 前記ポリ(エチレングリコール)がモノメトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)である、請求項40に記載の方法。
- 前記ポリ(エチレングリコール)が、基本的に均一分散である分子量を有する、請求項40に記載の方法。
- 前記ポリペプチドが非天然に生じるポリペプチドである、請求項35〜42のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ポリペプチドが治療用ポリペプチドである、請求項35〜43のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ポリペプチドが、骨形成タンパク質2(BMP−2)、骨形成タンパク質7(BMP−7)、ニューロトロフィン3(NT−3)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、α1−アンチトリプシン(α−1プロテアーゼ阻害剤)、グルコセレブロシダーゼ、組織型プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、インターロイキン2(IL−2)、レプチン、ヒルジン、ウロキナーゼ、ヒトDNアーゼ、インスリン、B型肝炎表面タンパク質(HbsAg)、キメラジフテリア毒素−IL−2、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、α−ガラクトシダーゼ、α−L−イズロニダーゼ、β−グルコシダーゼ、α−ガラクトシダーゼA、酸性α−グルコシダーゼ(酸性マルターゼ)、アンチトロンビンIII(AT III)、卵胞刺激ホルモン、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルカゴン様ペプチド2(GLP−2)、線維芽細胞増殖因子7(FGF−7)、線維芽細胞増殖因子21(FGF−21)、線維芽細胞増殖因子23(FGF−23)、第VII因子、第VIII因子、Bドメイン欠失第VIII因子、第IX因子、第XIII因子、プロキネチシン、エクステンジン4、CD4、腫瘍壊死因子受容体(TNF−R)、α−CD20、P−セレクチン糖タンパク質リガンド1(PSGL−1)、補体、トランスフェリン、グリコシル化依存性細胞接着分子(GlyCAM)、神経細胞接着分子(N−CAM)、抗TNF−αモノクローナル抗体、TNF受容体−IgG Fc領域融合タンパク質、抗HER2モノクローナル抗体、呼吸器合胞体ウイルスに対するモノクローナル抗体、呼吸器合胞体ウイルスのプロテインFに対するモノクローナル抗体、TNF−αに対するモノクローナル抗体、糖タンパク質IIb/IIIaに対するモノクローナル抗体、CD20に対するモノクローナル抗体、VEGF−Aに対するモノクローナル抗体、PSGL−1に対するモノクローナル抗体、CD4に対するモノクローナル抗体、a−CD3に対するモノクローナル抗体、EGFに対するモノクローナル抗体、癌胎児性抗原(CEA)に対するモノクローナル抗体及びIL−2受容体に対するモノクローナル抗体から選択される成員である、請求項35〜43のいずれか一項に記載の方法。
- 前記グルコサミン部分が、GlcNAc及びGlcNHから選択される成員である、請求項35〜45のいずれか一項に記載の方法。
- 前記GlcNAcトランスフェラーゼが組換え酵素である、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。
- 前記GlcNAcトランスフェラーゼが細菌細胞において発現される、請求項47に記載の方法。
- 前記グルコサミン供与体が、式(XI):
[式中、
Gは、CH2及びC=A[式中、AはO、S及びNR27から選択される成員であり、前記式中、R27は、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから選択される成員である]から選択される成員であり;
Qは、H、負電荷及び塩の対イオンから選択される成員であり;
Eは、O、S及びCH2から選択される成員であり;
E1は、O及びSから選択される成員であり;
R21、R22、R23及びR24は、H、OR25、SR25、NR25R26、NR25S(O)2R26、S(O)2NR25R26、NR25C(O)R26、C(O)NR25R26、C(O)OR25、アシル、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキルから独立して選択される成員であり;
前記式中、
R25及びR26は、H、アシル、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル及び修飾基から独立して選択される成員であり;及び
R21、R22、R23、R24及びR27の少なくとも1つは重合体修飾基を含む]
に記載の構造を有する、請求項35〜48のいずれか一項に記載の方法。
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