JP2010530295A - 圧力で向上させた、分子の抽出および分配 - Google Patents

圧力で向上させた、分子の抽出および分配 Download PDF

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Abstract

複数の成分から着目成分を抽出する方法を述べる。

Description

本発明は、圧力で向上させた、分子の抽出および分配に関する。本出願は、2007年6月4日出願、米国特許出願第60/933,209号、および、2007年9月17日出願、米国特許出願第60/972,971号に対して優先権を主張するものである。前述の出願の内容は全て本件に引用して援用する。
現在の抽出法は多くの場合、ある特定の種類の分子に対して特異的であり、他種類の分子を排除および除去するものである。しばしば分析試料の量は限られており、また、1種類の分子の抽出で試料が使い果たされ、試料から更に別の種類の分子を抽出することはできない。液液分配は、異なる溶媒中における分子の溶解性の差に基づいて、複雑な混合物から分子実体(molecular entities)を抽出するために用いられている。しかし、液液分配で非混和性または部分混和性の溶媒を用いる場合、溶媒間の交換が起きるのは溶媒界面のみで、溶媒の大部分は相互作用に関わらないままである。このため、溶媒間で分子を分配するには、機械的に激しく震盪して溶媒間の液液界面の表面積を大きくする必要がある。溶媒の震盪は一般に分液漏斗中で行われ、漏斗中に存在する余分の気体が震盪による乳化を促す。気相の存在により、抽出された分子が空気酸化され、あるいは他の影響を受ける、例えば、洗浄剤があると泡立つため、従来の液液抽出法では不便、不十分、または不可能となることがある。
米国特許第6,274,726号明細書 米国特許第6,120,985号明細書 米国特許第6,270,723号明細書 米国特許第6,696,019号明細書
Ennaceur and Sanderson, Langmuir 21:552-561 (2005) Paternoste et al., Biophys. J. 69:2476-2488 (1995)
本明細書では特に、様々な種類の試料由来成分に対して全く異なる親和性を備えた、非混和性の抽出溶媒(例えば、液相または溶媒相)の混合物を用いることで、試料(例えば、混合物または複数の成分)から、1つの実体(例えば、成分)または多種類の分子実体(例えば、複数の成分)を抽出することのできる抽出法を提示する。この方法は、例えば、液液抽出、ゲル−液体抽出、懸濁液−液体抽出に用いることができる。
一部の実施の形態では、抽出法において圧力(例えば、圧力サイクル)が使用できる。いくつかの実施の形態において、例えば、1つ以上の抽出溶媒と試料とを入れた抽出チャンバ内の試料に高い圧力(例えば、静水圧)をかけると、ヘテロ共沸混合物(heteroazeotrope)が生じて、溶媒の相互共沸溶解性が変化する。高い圧力は、ミセルを小さくし、あるいは崩壊することで、直接ミセルに影響を与えることができる(例えば、Ennaceur and Sanderson, Langmuir 21:552-561 (2005) を参照)。例えば、周囲圧力から高圧にした後、圧力を下げる(例えば、周囲圧力に戻す)圧力(例えば、静水圧)のサイクル(圧力循環(pressure cycling))は、循環しない圧力をかけるよりも効果的に細胞や組織を破壊することができる(例えば、米国特許第6,274,726号、米国特許第6,120,985号、米国特許第6,270,723号、および米国特許第6,696,019号を参照)。
本件でいう“抽出”および“抽出する”とは、1つの相(例えば、複数の液相から成る1つの相)中において、他の成分(例えば、汚染物質)より、1つの成分(例えば、着目成分(a component of interest))を増すことをいう。いくつかの実施の形態において、抽出は完全抽出ではなく、部分抽出であって、1つの成分を完全に除去および/または分離することなく、1つの成分(例えば、着目成分)の相対量を、1つまたは複数の他の成分(例えば、汚染物質)に対して大きくする(1つの成分の、例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%を、1つまたは複数の他の成分から分離する)。いくつかの実施の形態では、1つの成分を、他の成分から完全に抽出する(例えば、他の成分と完全に分ける)。
いくつかの態様において、圧力循環を用いることで、例えば、膜、細胞、組織、および複雑な基質から分子実体を抽出する際、特に、水性抽出溶媒中での疎水性実体の溶解を促進するために界面活性剤や洗剤(detergent)を用いる場合に生成する、ミセルおよび/またはエマルションを破壊し、その数を減らすことができる。繰り返し圧力(例えば、静水圧)をかけることでミセルやエマルションを破壊し、試料由来分子をその物理化学的性質(physiochemical properties)に基づいて個々の液相に分配することができる。
更に、本明細書では、試料に由来する分子実体の、溶媒間での分配を促進するための、溶媒(例えば、1つ以上の溶媒)の使用について述べる。これらの溶媒は、周囲圧力および室温(例えば、約25℃)では相互溶解性に乏しい(例えば、クロロホルムは、水に0.815%(w/w)溶解し、ヘキサンは、水に0.001%(w/w)しか溶けない)。高い圧力によって、溶媒の相互溶解性を変えることができる。適切な溶媒と、溶媒の量と、圧力レベルを選ぶことで、非混和性の溶媒と抽出すべき試料とを一時的に混ぜ合わせて準安定混合物を生成することができる。生成した可溶性溶媒は、異なる性質、例えば、試料成分を溶解する能力を持つ。このような準安定系を減圧(例えば、急に減圧)すると、混合物は個々の画分に分かれ、部分的に解離した化合物が分配される場合、それぞれの物理化学的性質、例えば、分配係数(logP)または分布係数(logD)などに従って、溶媒間で分子実体が分配される(例えば、Paternoste et al., Biophys. J. 69:2476-2488 (1995)およびそれに引用されている参考文献を参照)。いくつかの実施の形態において、抽出の際にいくつもの溶媒を用いることで、洗剤の使用を著しく減らし、あるいは省くことができる。
更に、本明細書では、2つ以上の非混和性溶媒を両親媒性溶媒(例えば、非混和性の液相、例えば、水と油の、いずれとも混和性の高い溶媒)で増した、3成分以上の溶媒混合物の使用について述べる。両親媒性溶媒が存在すると、大きくした(例えば、高)圧力が溶媒の相互溶解性を変える効果を更に高め、圧力を低いレベルに下げた際に、抽出すべき試料(例えば、混合物)の成分が個々の相に分配し易くなる。両親媒性溶媒は、水相とは水素結合により、油や脂質とは疎水性相互作用によって安定な会合物を形成すると考えられる。このように、一部の実施の形態では、圧力循環により両親媒性溶媒への多成分試料の溶解を促進すると、親油性および親水性化合物が、後に機械的に分離可能な2つ以上の液相に相分離すると考えられる。
ある態様において、本明細書は、複数の成分から着目成分を抽出する方法を示す。この方法は、複数の成分と少なくとも1つの液相(例えば、複数の液相、例えば、少なくとも2つの液相)(例えば、非混和性液相を成している)とを含む試料(例えば、混合物)を調製する工程であって、この試料(例えば、混合物)が、第1の静水圧にある工程と、試料(例えば、混合物)に第2の静水圧をかける工程であって、この第2静水圧が、第1静水圧より大きく、これにより更に液相が生じる工程と、圧力を第2静水圧から下げることにより、着目成分を複数成分から抽出する(例えば、液相の1つにおける着目成分の割合(または比率)を大きくする)工程と、を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、様々な疎水性を備えた成分を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、複数の液相の1つの相を含む(例えば、生成する)。
いくつかの実施の形態において、液相は、抽出の間に、または抽出完了時に固相を生じる。
いくつかの実施の形態において、複数成分の1つの成分は、複数液相の1つの液相に可溶である。
いくつかの実施の形態において、複数成分の1つの成分は、複数液相の1つの液相に不溶である。
いくつかの実施の形態において、複数成分はコロイドを含む。本件でいうコロイドまたはコロイド状分散液とは、視覚的には均一溶液に見える不均一混合物である。不均一混合物が2つの相の混合物であるのに対し、溶液は1つの相である。コロイド中の分散相は、連続相中に一様に分散した微粒子または液滴でできている。コロイドの例としては、乳、クリーム、エーロゾル(例えば、霧、スモッグ、煙)、アスファルト、インキ、塗料、接着剤、および海の泡が挙げられる。
いくつかの実施の形態において、複数成分はエマルションを含む。本件でいうエマルションとは、コロイドの一種である。エマルションは2つの非混和性物質の混合物である。1つの物質(分散相)が別の物質(連続相)中に分散している。エマルションの例としては、バター、マーガリン、エスプレッソ、マヨネーズ、写真フィルムの感光性側、金属加工用切削液、塗料、インキ、潤滑剤、局所用薬剤、ローション、化粧品などが挙げられる。バターやマーガリンでは、連続する液相が水滴を囲んでいる(油中水型エマルション)。
いくつかの実施の形態において、少なくとも2つの液相は、第1静水圧において混和しない。
いくつかの実施の形態において、少なくとも2つの液相は、第2静水圧において混和(例えば、完全に混和)する。
いくつかの実施の形態において、少なくとも2つの液相は、第1静水圧において可溶でない。
いくつかの実施の形態において、少なくとも2つの液相は、第1静水圧において部分的に可溶である。
いくつかの実施の形態において、少なくとも2つの液相は、第2静水圧において部分的に可溶である。
いくつかの実施の形態において、少なくとも2つの液相は、第2静水圧において完全に可溶である。
いくつかの実施の形態において、第2静水圧を、第1静水圧に等しい、第3の静水圧に下げる。いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)に、第4の圧力をかけ、このとき第4圧力は、第1、第2、または第3圧力より大きい。
いくつかの実施の形態において、第2静水圧を、第1静水圧より大きい、第3静水圧に下げる。いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)に、第4圧力をかけ、このとき第4圧力は、第1、第2、または第3圧力より大きい。
いくつかの実施の形態において、第2静水圧を、第1静水圧より小さい、第3静水圧に下げる。いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)に、第4圧力をかけ、このとき第4圧力は、第1、第2、または第3圧力より大きい。
いくつかの実施の形態において、圧力を第2静水圧から下げると、少なくとも2つの液相は個々の相に分かれ、着目成分は、少なくとも2つの液相の一方に分配される。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)に、第3圧力および第4圧力をかける。このとき第4圧力は、第1、第2、または第3圧力より大きい。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は、試薬を含む2次容器を含んでいる。いくつかの実施の形態において、第2、第3、または第4静水圧をかけて、2次容器の中身を放出させることにより、試薬を試料(例えば、混合物)に加える。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、着目成分を含まない、例えば、着目成分を殆ど含まない液相に分配される。
いくつかの実施の形態において、本方法は、着目成分を液相から単離/精製する工程を更に含む。
いくつかの実施の形態において、液相は、画分に分かれている。
いくつかの実施の形態において、抽出された着目成分は、後続プロセス(例えば、分析法、例えば、HPLCまたはLC/MS)にそのまま使用できる。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、タンパク質(例えば、膜結合タンパク質、膜貫通タンパク質、I型またはII型膜タンパク質、受容体、酵素、リポタンパク質、糖タンパク質)である。いくつかの実施の形態において、タンパク質の立体配座は、抽出の間に(または、完了までに)変化する。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、多糖(例えば、ヘパリンまたはヘパリン由来多糖)、ポリフェノール(例えば、タンニン、フェニルプロパノイド(例えば、リグニン、フラボノイド))、ビタミン、毒素、汚染物質、脂質(例えば、リン脂質類(例えば、ホスファチジルコリン(PtdCho)、ホスファチジルエタノールアミン(PtdEtn)、ホスファチジルイノシトール(PtdIns)、ホスファチジルセリン(PtdSer))、糖脂質類、ステロイド類(例えば、エストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲン、テストステロン、エクジステロンなどのエクジステロイド類、グルココルチコイド類およびミネラルコルチコイド類などのコルチコステロイド類、タンパク同化ステロイド類、コレステロール、植物ステロール類、ブラシノステロイド類、エルゴステロール類)、膜(細胞膜、オルガネラ膜、脂質二重層)、細菌封入体中に存在する成分、抗原(例えば、細菌からの)、ウイルス(例えば、ワクチン生産のための)、小分子などの薬学試剤、代謝産物(例えば、小分子代謝産物)、薬物(例えば、医薬)、薬物代謝産物、染料、食品成分、ナノ粒子配合物、脂質ラフト、アミロイド斑、微小管、細胞質ゾル、または特定の細胞型である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、核酸(DNA(核DNA、ミトコンドリアDNA)、RNA(mRNA、tRNA、rRNA))である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、ウイルス(例えば、HIV、HPV、肝炎ウイルス(A、B、C、D、E、F、またはG型)、サイトメガロウイルス、エプスタイン−バーウイルス、黄熱病など)、または細菌(例えば、グラム陽性またはグラム陰性菌、相利共生菌、病原菌)である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、農薬(例えば、殺菌剤、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤(例えば、殺卵剤、幼虫駆除剤、または成虫駆除剤)、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺鼠剤、または殺ウイルス剤である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は疎水性である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は親水性である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は両親媒性(amphipathic/amphiphilic)である。
いくつかの実施の形態において、複数の着目成分は、複数の成分から抽出される。いくつかの実施の形態において、複数の着目成分は、核酸およびタンパク質を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、細胞(例えば、原核または真核)、オルガネラ(例えば、ミトコンドリア、核、ゴルジ体、葉緑体、小胞体、液胞、アクロソーム、中心小体、繊毛、グリオキシソーム、ヒドロゲノソーム、リソソーム、メラノソーム、ミトソーム(mitosome)、筋原線維、核小体、パレンテソーム(parenthesome)、ペルオキシソーム、リボソーム、ミクロソーム、小胞)、細胞膜、生体試料(組織試料(脂肪組織、肝臓、腎臓、皮膚、膵臓、胃、腸、結腸、乳房、卵巣、子宮、前立腺、骨、腱、軟骨、毛髪、爪、歯、心臓、脳、肺、皮膚、生検材料など)、血液、尿、乳、精液、唾液、粘液、その他の体液および固体)、細胞の集合(例えば、血液、精液、粘液、唾液、組織生検材料)を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は生体起源のものである。いくつかの実施の形態において、生体起源の複数成分は、動物(例えば、哺乳類(例えば、ヒトまたは飼い慣らされた動物))、は虫類、両生類、魚類、昆虫、鳥類、真菌、細菌、ウイルス、または植物から得たものである。いくつかの実施の形態において、生体起源の複数成分は、古代の試料、例えば、化石(例えば、化石動物、化石木材、化石骨、化石歯、化石糞など)から得たものである。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、エマルション(例えば、ラテックス塗料、潤滑剤など)を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、合成/人工物(例えば、インキ、潤滑剤、ラテックス塗料、クリーム、ローション、燃料、液体推進剤、エラストマ)である。
いくつかの実施の形態において、複数成分は圧力サイクルに曝され、このとき第1、第2、および第3静水圧は、圧力サイクルの一部である。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は、繰り返される圧力サイクルに曝される。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は、約1から約1000回の圧力サイクルに曝される。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は第3静水圧に曝され、このとき第3静水圧は、第1静水圧より小さい。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は第3静水圧に曝され、このとき第3静水圧は、第1静水圧に等しい。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は第3静水圧に曝され、このとき第3静水圧は、第1静水圧より大きい。
いくつかの実施の形態において、第1静水圧は、約1.33×10−7MPaから約1,000MPaである。
いくつかの実施の形態において、第1静水圧は、約0.1MPaから約1,000MPaである。
いくつかの実施の形態において、第2静水圧は、最大約1,000MPaまでである。
いくつかの実施の形態において、第2静水圧は、約100kPaから約1,000MPaである。
いくつかの実施の形態において、第2静水圧は、約133kPaから約1,000MPaである。
いくつかの実施の形態において、第1静水圧と第2静水圧との圧力差は、約10kPaから1GPaである。
いくつかの実施の形態において、本方法は、約−40℃から約+100℃の温度(例えば、−2℃、25℃、70℃)で行われる。
いくつかの実施の形態において、圧力は、液圧または空気圧である。
いくつかの実施の形態において、複数液相は共沸混合物を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、様々な特定の割合の様々な液体から成る混合物を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は二相性である。
いくつかの実施の形態において、複数液相は三相性である。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、水性溶媒(例えば、水、あるいは、リン酸緩衝液、リン酸緩衝液/生理食塩水、Tris緩衝液、MES緩衝液、HEPES緩衝液、重炭酸アンモニウムなどの緩衝性化合物および/または塩類の水溶液)を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、有機溶媒(炭素を含む溶媒)(例えば、酢酸、アセトン、アセトニトリル、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、塩化メチレン、またはメタノール)を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、無機非水溶媒を含む。無機非水溶媒とは、水でなく、有機溶媒でもない溶媒(例えば、液体アンモニア、液体二酸化硫黄、塩化スルフリル、塩化フッ化スルフリル、塩化ホスホリル、四酸化二窒素、三塩化アンチモン、五フッ化臭素、フッ化水素、純硫酸、およびその他の無機酸)である。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、クロロホルム、テトラクロロエチレン、メタノール、イソプロパノール、エタノール、その他のアルコール(例えば、フッ素化アルコール(例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)、2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)、2−フルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパン−1−オール、1,3−ジフルオロプロパン−2−オール))、水、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン)、アセトニトリル、ギ酸、トリフルオロ酢酸、グリセロール、脂質類(例えば、トリグリセリド類、リン脂質類、スフィンゴリピド類、糖脂質廃物)、フルオロカーボン類、他のハロカーボン類、溶液(洗剤、緩衝剤、カオトロピック塩類の)、および/またはこれらの混合物を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、プロトン性溶媒(例えば、水、メタノール、エタノール、ギ酸、フッ化水素、またはアンモニア)を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、またはこれらの混合物)を含む。いくつかの実施の形態において、1つまたは複数の溶媒は、例えば、着目成分を更に処理する前に、抽出した着目成分から除かれる。
いくつかの実施の形態において、1つまたは複数の溶媒は、蒸発(例えば、周囲温度(例えば、約20から約23.5℃)での、または高めた温度(例えば、周囲温度より高い温度、例えば、約27℃、約30℃、約32℃、約35℃、または約37℃、あるいはそれ以上)での)によって除かれる。
いくつかの実施の形態において、1つまたは複数の溶媒は、着目成分を沈殿させ(例えば、水の添加により)、例えば、上澄み溶媒を除き、これを選択した溶媒で置き換えることによって除かれる。
いくつかの実施の形態において、最適塩濃度を用いて所望の着目成分を選択的に沈殿させ、不要成分を上澄み中に留めておくことができる。またその逆も可能である。例えば、このような方法を用いて、非常に豊富なタンパク質種から成る複合試料(例えば、血清アルブミン、免疫グロブリン類など)を精製して(deplete)、存在量の少ない生物学的に重要なタンパク質を濃縮することができる。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、1つの液相または複数の液相を生成する。
いくつかの実施の形態において、液相は、脂質、有機溶媒、水性緩衝液、エマルション、または固体粒子の懸濁液である。
いくつかの実施の形態において、液相は、静水圧下で固相から生成する(例えば、液相の1つ以上は、抽出処理の温度(例えば、0℃以下)より高い融解温度を持つ成分(例えば、氷)である)。試料(例えば、混合物)を所定の静水圧まで加圧すると、相転移が起き、抽出処理の温度より高い融解温度を持つ成分(例えば、氷)は融解して液相となる。
いくつかの実施の形態において、固相は、静水圧下、例えば、静水圧下で、液相から生成する。
いくつかの実施の形態において、本方法は低張塩濃度で行われる。
いくつかの実施の形態において、本方法は高張塩濃度で行われる。
いくつかの実施の形態において、本方法は等張塩濃度で行われる。
いくつかの実施の形態において、塩濃度を変えて着目成分を選択的に沈殿させ、および/または、汚染物質を溶液中に留めておく。
いくつかの実施の形態において、塩濃度を変えて汚染物質を選択的に沈殿させ、および/または、着目成分を溶液中に留めておく。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は洗剤(例えば、SDS)を含む。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は洗剤を含まない、または殆ど含まない。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は鉱油を含む。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は緩衝液(例えば、リン酸緩衝液(PBS))を含む。
いくつかの実施の形態において、タンパク質は生体膜から抽出される。
いくつかの実施の形態において、タンパク質は脂質相から抽出される。
本件に記載の方法の例は、次のとおりである。本件に記載の方法を用いて、タンパク質、核酸、または脂質を、脂肪組織、脳、神経、バター、クリームなどから抽出することができる。エマルションや固体粒子の懸濁液、例えば、製剤または化粧品処方物(軟膏、ローション、クリーム、シャンプ、コンディショナ、ナノ粒子製剤等)などから成分を抽出することができる。錠剤、カプセル、またはジェルキャップ形の製剤処方物から成分を抽出することができる。多相組成物、例えば、エマルションまたは固体粒子の懸濁液(例えば、インキ、塗料、ラッカー、潤滑剤、燃料、化学合成原料など)、リポソームや膜小胞の懸濁液などから成分を抽出することができる。油類、テルペン類、および/または他の親油性化合物を、植物原料から抽出することができる。様々な化合物(例えば、アルカロイド類、フラボノイド類、イソフラボン類、プロアントシアニジン類、アントシアニン類)を、植物(例えば、薬用植物)から抽出することができる。食品香料成分(例えば、カプサイシン)を、食品から抽出することができる。脂溶性ビタミン(例えば、トコフェロール、カロテノイド、リコピンなど)を、植物油または動物性脂肪から抽出することができる。局所製剤成分を、皮膚および下層組織から抽出することができる。
いくつかの実施の形態において、成分(例えば、染料)は塗料から抽出される。
いくつかの実施の形態において、成分は土から抽出される。
いくつかの実施の形態において、成分は、固体粒子の懸濁液から抽出される。
いくつかの実施の形態において、複数成分はエマルションを含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、脂質、あるいは、脂質または脂質混合物に1つまたは複数の成分を加えた溶液を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質、糖脂質、ステロイド、ビタミン、薬物、または薬物代謝産物を更に含んでいる。いくつかの実施の形態において、複数成分は、細胞または単細胞生物を含む。
いくつかの実施の形態において、本方法は、複数の液相の間で複数の成分を分配させるものであり、この方法は、試料(例えば、混合物)を調製する工程であって、試料(例えば、混合物)は、複数の成分と複数の液相とを含み、複数液相は、周囲圧力において相互溶解性に乏しく、複数液相は分画されている工程と、試料(例えば、混合物)に高めた圧力をかける工程であって、高めた圧力が、複数液相の相互溶解性を高めることにより、相互溶解性に乏しい複数液相を混合して、準安定混合物を生成する工程と、試料(例えば、混合物)の圧力を下げることにより、液相の溶解性を下げ、複数液相を画分に分かれさせて、複数液相の間で成分を分配させる工程と、を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、周囲温度において相互溶解性に乏しい。
いくつかの実施の形態において、本明細書は、複数の成分から着目成分を抽出する方法を提示する。この方法は、複数の成分と複数の液相とを含む試料(例えば、混合物)を調製する工程であって、試料(例えば、混合物)は第1の静水圧にある工程と、試料(例えば、混合物)に第2の静水圧をかける工程であって、第2静水圧は第1静水圧より大きく、複数液相中の少なくとも2つの液相が部分的に混和して、異なる性質を備えた混合液相を生成し、少なくとも1つの成分を溶解する工程と、試料(例えば、混合物)に第3の静水圧をかける工程であって、第3静水圧は第2静水圧より低く、試料(例えば、混合物)に第3静水圧をかける(例えば、第1から第2、第3圧力への移行する)と、複数成分から着目成分が分離し、これにより複数成分から着目成分を抽出する(例えば、液相の1つにおける着目成分の割合(または比率)を大きくする)工程と、を含む。
いくつかの態様において、本明細書は、脂肪組織から、または脂質含量の高い他の試料から、着目する1つまたは複数のタンパク質を抽出する方法を示す。この方法は、複数の成分と、大量の脂質(脂肪または脳組織など)と、少なくとも1つの液相(または、複数の液体)(例えば、非混和性液相を形成している)とを含む試料(例えば、混合物)を調製する工程であって、試料(例えば、混合物)は第1の静水圧にある工程と、試料(例えば、混合物)に第2の静水圧をかける工程であって、第2静水圧は第1静水圧より大きく、これによって液相を互いに完全に、または部分的に溶媒和させて、1つまたは複数の着目タンパク質を溶解させる工程とを含む。この方法は更に、第2静水圧から圧力を下げて、更に1つ以上の液相を生成させ、これにより液相間で複数の成分を分配させる工程であって、このとき1つまたは複数の着目タンパク質が液相に分配される工程を含む。
いくつかの実施の形態において、得られた、複数成分を含む液相は、画分に分かれている。
いくつかの実施の形態において、1つまたは複数の液相は溶媒を含む。
いくつかの実施の形態において、得られた、1つまたは複数の着目タンパク質を含む液相(例えば、有機相)は、そのまま分析可能であり、あるいは1つまたは複数の着目タンパク質を含む液相を更に処理するため、溶媒を除くことができる。
いくつかの実施の形態において、溶媒は、蒸発(例えば、周囲温度(例えば、約20から約23.5℃)での、または高めた温度(例えば、周囲温度より高い温度、例えば、約27℃、約30℃、約32℃、約35℃、または約37℃、あるいはそれ以上)での)によって除くことができる。
いくつかの実施の形態において、溶媒は、1つまたは複数の着目タンパク質を沈殿させ、上澄み溶媒を除き、これを選択した溶媒で置き換えることによって除くことができる。
いくつかの実施の形態において、最適塩濃度を用いて所望のタンパク質を選択的に沈殿させ、不要なタンパク質を上澄み中に留めておくことができる。またその逆も可能である。例えば、このような方法を用いて、非常に豊富なタンパク質種から成る複合試料(例えば、血清アルブミン、免疫グロブリン類など)を精製して、存在量の少ない生物学的に重要なタンパク質を濃縮することができる。
本件に記載の方法のその他の特徴は次のとおりである。
いくつかの実施の形態において、本明細書は、循環する圧力を用いて試料の溶解を促進する、タンパク質抽出法を提示する。試料には、タンパク質および/または脂質、例えば、トリグリセリド、リン脂質、糖脂質、スフィンゴリピドなど、またはその他の疎水性化合物、例えば、脂肪酸、脂肪族炭化水素などが含まれる。
いくつかの実施の形態において、試料は、1つ以上のタンパク質を含む。
いくつかの実施の形態において、試料は、1つ以上の脂質を含む。
いくつかの実施の形態において、試料は、脂肪組織の一部である、またはこれを含む。
いくつかの実施の形態において、試料は、脳組織である、またはこれを含む。
いくつかの実施の形態において、試料は、エマルション、懸濁液、またはコロイドである、あるいはこれらを含む。
いくつかの実施の形態において、試料は、乳、乳製品、樹液等である、またはこれらを含む。
いくつかの実施の形態において、試料は、塗料、工業用潤滑油、化粧品(例えば、クリームまたはローション)である、またはこれらを含む。
いくつかの実施の形態において、溶解は、循環する圧力によって促進される。
いくつかの実施の形態において、溶解は、機械的均質化によって促進される。
いくつかの実施の形態において、溶解は、超音波細胞破壊によって促進される。
いくつかの実施の形態において、溶解は、撹拌、混和、ビーズ(ガラス、セラミック、または金属)の衝突、粉砕、あるいは混合によって促進される。
いくつかの実施の形態において、液相は、HFIP、TFE、PFOA、トリクロロエタノール、トリフルオロ酢酸、または他のハロゲン化アルコールまたは酸である、あるいはこれらを含む。
いくつかの実施の形態において、液相は、他の有機溶媒(例えば、本件に記載のような)である、またはこれを含む。
いくつかの実施の形態において、液相は、水または水性緩衝液(例えば、有機溶媒を混ぜ合わせたもの)である、あるいはこれを含む。
いくつかの実施の形態において、液相は、本件に記載のいくつかの溶媒の混合物である、またはこれを含む。
いくつかの実施の形態において、分割(partitioning)は、定温静置(例えば、−20から+50℃の温度範囲)で行う。
いくつかの実施の形態において、分割は、遠心分離(例えば、相対遠心力:範囲1×g(例えば、回転なし)から4万×g)で促進する。
いくつかの実施の形態において、試料由来の疎水性物質が層を形成するには十分でない場合、相分離を進めるため、疎水性液体試薬(例えば、油、脂質、鉱油、脂肪族炭化水素など、またはこれらの混合物)を試料に加えて分割を促進する。
いくつかの実施の形態において、分割は、前述の方法をどのように組み合わせて行っても良い。
いくつかの実施の形態において、試料の溶解は起こるが、分割は観察されない(例えば、脂質の存在量が少なすぎる場合)。
いくつかの実施の形態において、試料溶解後、少なくとも1つの液相が生成する。
いくつかの実施の形態において、液相は、ピペット操作、傾斜(decanting)、吸着などによって物理的に分けられる。
いくつかの実施の形態において、液相は、カラムクロマトグラフィ(吸着の例)を用いて分けられる。
いくつかの実施の形態において、液相を分けた後、試料(極性相)を希釈して沈殿を誘発する。
いくつかの実施の形態において、液相を分けず、試料を希釈して沈殿を誘発する。
別の態様において、本明細書は、複数の成分から着目成分(例えば、タンパク質)を抽出する方法を示す。この方法は、複数の成分を、溶媒、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)、TFE、PFOA、トリクロロエタノール、トリフルオロ酢酸、あるいは他のハロゲン化アルコールまたは酸などに曝露させる工程を含む。溶媒との曝露により、複数の成分から着目成分を抽出することができる。この方法は更に、例えば、抽出を促すため、機械的ステップ(例えば、均質化ステップ)を含んでいても良い。別の例として、機械的ステップを加える代わりに、試料を圧力変化に曝す工程(例えば、圧力の循環を用いて、あるいは用いずに)を、本方法に加えても良い。
いくつかの実施の形態において、本方法は、複数の成分と少なくとも1つの液相(例えば、複数の液相)とを含む試料(例えば、混合物)を調製する工程であって、液相は、溶媒(例えば、HFIP、TFE、PFOA、トリクロロエタノール、トリフルオロ酢酸、あるいは他のハロゲン化アルコールまたは酸)を含む工程と、試料(例えば、混合物)に少なくとも1つの処理ステップを行って、少なくとも2つの液相を生成し、これにより着目成分を複数の成分から抽出する工程と、を含む。
いくつかの実施の形態において、処理ステップは、温度、マイクロ波放射、または機械的処理の1つ以上を含む。
いくつかの実施の形態において、機械的処理ステップは、ホモジナイズ(例えば、物理的均質化、例えば、ビード撹拌(bead beater)、超音波処理、ロータ・ステータホモジナイザ、ダウンス型ホモジナイザ、ポッター型ホモジナイザ)、ボルテックス処理、超音波処理、ピペット操作、剪断(例えば、シリンジ剪断)、粉砕(例えば、臼と杵による粉砕)、震盪、混和、混合、ハンマリングなどの1つ以上を含む。いくつかの実施の形態において、機械的処理ステップは、物質移動ステップ(例えば、激しい混合、機械的震盪、またはハンマリング)を含む。
いくつかの実施の形態において、本方法は、圧力(例えば、1つ以上の圧力サイクル)と、別の種類の処理、例えば、温度、マイクロ波放射、または機械的処理(例えば、1つ(またはそれ以上)の種類の機械的処理のみ、あるいは、圧力または他の種類の処理と組み合わせたもの)などを、同時に(相乗的に)、または交互に加える工程を含む。
いくつかの実施の形態において、本方法は、2つ(またはそれ以上)の種類の処理、例えば、温度、マイクロ波放射、または機械的処理(例えば、2つ(またはそれ以上)の種類の機械的処理のみ、または他の種類の処理と組み合わせたもの)などを、同時に(相乗的に)、または交互に加える工程を含む。
いくつかの実施の形態において、液相は、抽出の間に、または抽出完了時に固相を生じる。
いくつかの実施の形態において、着目成分はタンパク質である。
いくつかの実施の形態において、着目成分はプロテオームである。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、様々な疎水性を備えた成分を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、複数の液相の1つの相を含む(例えば、生成する)。
いくつかの実施の形態において、複数成分の1つの成分は、複数液相の1つの液相に可溶である。
いくつかの実施の形態において、複数成分の1つの成分は、複数液相の1つの液相に不溶である。
いくつかの実施の形態において、複数液相は共沸混合物を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、様々な特定の割合の様々な液体から成る混合物を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は二相性である。
いくつかの実施の形態において、複数液相は三相性である。
いくつかの実施の形態において、得られた、1つまたは複数の着目タンパク質を含む液相(例えば、有機相)は、そのまま分析可能であり、あるいは1つまたは複数の着目タンパク質を含む液相を更に処理するため、溶媒を除くことができる。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は洗剤(例えば、SDS)を含む。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は洗剤を含まない、または殆ど含まない。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は鉱油を含む。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は緩衝液(例えば、リン酸緩衝液(PBS))を含む。
いくつかの実施の形態において、タンパク質は生体膜から抽出される。
いくつかの実施の形態において、タンパク質は脂質相から抽出される。
いくつかの実施の形態において、複数成分はコロイドを含む。本件でいうコロイドまたはコロイド状分散液とは、視覚的には均一溶液に見える不均一混合物である。不均一混合物が2つの相の混合物であるのに対し、溶液は1つの相である。コロイド中において、分散相は、連続相中に一様に分散した微粒子または液滴でできている。コロイドの例としては、乳、クリーム、エーロゾル類(例えば、霧、スモッグ、煙)、アスファルト、インキ、塗料、接着剤、および海の泡が挙げられる。
いくつかの実施の形態において、複数成分はエマルションを含む。本件でいうエマルションとは、コロイドの一種である。エマルションは2つの非混和性物質の混合物である。1つの物質(分散相)が別の物質(連続相)中に分散している。エマルションの例としては、バターおよびマーガリン、エスプレッソ、マヨネーズ、写真フィルムの感光性側、金属加工用切削液、塗料、インキ、潤滑剤、局所用薬剤、ローション、化粧品などが挙げられる。バターおよびマーガリンでは、連続する液相が水滴を囲んでいる(油中水型エマルション)。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、着目成分を含まない、例えば、着目成分を殆ど含まない液相に分配される。
いくつかの実施の形態において、本方法は、着目成分を液相から単離/精製する工程を更に含む。
いくつかの実施の形態において、液相は、画分に分かれている。
いくつかの実施の形態において、抽出された着目成分は、後続プロセス(例えば、分析法、例えば、HPLCまたはLC/MS)にそのまま使用できる。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、タンパク質(例えば、膜結合タンパク質、膜貫通タンパク質、I型またはII型膜タンパク質、受容体、酵素、リポタンパク質、糖タンパク質)である。いくつかの実施の形態において、タンパク質の立体配座は、抽出の間(または、完了まで)に変化する。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、多糖(例えば、ヘパリンまたはヘパリン由来多糖、ポリフェノール(例えば、タンニン、フェニルプロパノイド(例えば、リグニン、フラボノイド))、ビタミン、毒素、汚染物質、脂質(例えば、リン脂質類(例えば、ホスファチジルコリン(PtdCho)、ホスファチジルエタノールアミン(PtdEtn)、ホスファチジルイノシトール(PtdIns)、ホスファチジルセリン(PtdSer))、糖脂質類、ステロイド類(例えば、エストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲン、テストステロン、エクジステロンなどのエクジステロイド類、グルココルチコイド類およびミネラルコルチコイド類などのコルチコステロイド類、タンパク同化ステロイド類、コレステロール、植物ステロール類、ブラシノステロイド類、エルゴステロール類)、膜(細胞膜、オルガネラ膜、脂質二重層)、細菌封入体中に存在する成分、抗原(例えば、細菌から)、ウイルス(例えば、ワクチン生産のための)、小分子などの薬学試剤、代謝産物(例えば、小分子代謝産物)、薬物(例えば、医薬)、薬物代謝産物、染料、食品成分、ナノ粒子配合物、脂質ラフト、アミロイド斑、微小管、細胞質ゾル、または特定の細胞型である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、核酸(DNA(核DNA、ミトコンドリアDNA)、RNA(mRNA、tRNA、rRNA))である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、ウイルス(例えば、HIV、HPV、肝炎ウイルス(A、B、C、D、E、F、またはG型)、サイトメガロウイルス、エプスタイン−バーウイルス、黄熱病など)、または細菌(例えば、グラム陽性またはグラム陰性菌、相利共生菌、病原菌)である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、農薬(例えば、殺菌剤、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤(例えば、殺卵剤、幼虫駆除剤、または成虫駆除剤)、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺鼠剤、または殺ウイルス剤である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は疎水性である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は親水性である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は両親媒性である。
いくつかの実施の形態において、複数の着目成分は、複数の成分から抽出される。いくつかの実施の形態において、複数の着目成分は、核酸およびタンパク質を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、細胞(例えば、原核または真核)、オルガネラ(例えば、ミトコンドリア、核、ゴルジ体、葉緑体、小胞体、液胞、アクロソーム、中心小体、繊毛、グリオキシソーム、ヒドロゲノソーム、リソソーム、メラノソーム、ミトソーム、筋原線維、核小体、パレンテソーム、ペルオキシソーム、リボソーム、ミクロソーム、小胞)、膜、生体試料(組織試料(脂肪組織、肝臓、腎臓、皮膚、膵臓、胃、腸、結腸、乳房、卵巣、子宮、前立腺、骨、腱、軟骨、毛髪、爪、歯、心臓、脳、肺、皮膚、生検材料など)、血液、尿、乳、精液、唾液、粘液、その他の体液および固体)、細胞の集合(例えば、血液、精液、粘液、唾液、組織生検材料)を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は生体起源のものである。いくつかの実施の形態において、生体起源の複数成分は、動物(例えば、哺乳類(例えば、ヒトまたは飼い慣らされた動物))、は虫類、両生類、魚類、昆虫、鳥類、真菌、細菌、ウイルス、または植物から得たものである。いくつかの実施の形態において、生体起源の複数成分は、古代の試料、例えば、化石(例えば、化石動物、化石木材、化石骨、化石歯、化石糞など)から得たものである。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、エマルション(例えば、ラテックス塗料、潤滑剤など)を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、合成/人工物(例えば、インキ、潤滑剤、ラテックス塗料、クリーム、ローション、燃料、液体推進剤、エラストマ)である。
いくつかの実施の形態において、成分は、固体粒子の懸濁液から抽出される。
いくつかの実施の形態において、複数成分はエマルションを含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、脂質、あるいは、脂質または脂質混合物に1つまたは複数の成分を加えた溶液を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質、糖脂質、ステロイド、ビタミン、薬物、または薬物代謝産物を更に含んでいる。いくつかの実施の形態において、複数成分は、細胞または単細胞生物を含む。
いくつかの実施の形態において、1つまたは複数の溶媒は、例えば、着目成分を更に処理する前に、抽出した着目成分から除かれる。
いくつかの実施の形態において、1つまたは複数の溶媒は、蒸発(例えば、周囲温度(例えば、約20から約23.5℃)での、または高めた温度(例えば、周囲温度より高い温度、例えば、約27℃、約30℃、約32℃、約35℃、または約37℃、あるいはそれ以上)での)によって除かれる。
いくつかの実施の形態において、1つまたは複数の溶媒は、着目成分を沈殿させ、例えば、上澄み溶媒を除き、これを選択した溶媒で置き換えることによって除かれる。
いくつかの実施の形態において、最適塩濃度を用いて所望の着目成分を選択的に沈殿させ、不要成分を上澄み中に留めておくことができる。またその逆も可能である。例えば、このような方法を用いて、非常に豊富なタンパク質種から成る複合試料(例えば、血清アルブミン、免疫グロブリン類など)を精製して、存在量の少ない生物学的に重要なタンパク質を濃縮することができる。
いくつかの実施の形態において、本方法は、約−40℃から約+100℃の温度(例えば、−2℃、25℃、70℃)で行われる。
いくつかの実施の形態において、本方法は低張塩濃度で行われる。
いくつかの実施の形態において、本方法は高張塩濃度で行われる。
いくつかの実施の形態において、本方法は等張塩濃度で行われる。
いくつかの実施の形態において、塩濃度を変えて着目成分を選択的に沈殿させ、および/または、汚染物質を溶液中に留めておく。
いくつかの実施の形態において、塩濃度を変えて汚染物質を選択的に沈殿させ、および/または、着目成分を溶液中に留めておく。
いくつかの実施の形態において、液相は、ピペット操作、傾斜、吸着などによって物理的に分けられる。
いくつかの実施の形態において、液相は、カラムクロマトグラフィ(吸着の例)を用いて分けられる。
いくつかの実施の形態において、液相を分けた後、試料(極性相)を希釈して沈殿を誘発する。
いくつかの実施の形態において、液相を分けず、試料を希釈して沈殿を誘発する。
いくつかの態様において、例えば、膜、細胞、組織、および複雑な基質から分子実体を抽出する際に、特に、水性抽出溶媒中での疎水性実体の溶解を促進するために界面活性剤や洗剤を用いる場合に生成する、ミセルおよび/またはエマルションを、処理を用いて破壊または変性させることができる。処理を行う(例えば、処理(例えば、機械的処理)を繰り返し行う)ことでミセルやエマルションを破壊し、試料由来分子をその物理化学的性質に基づいて個々の液相に分配することができる。
いくつかの実施の形態において、処理ステップは、温度、マイクロ波放射、または機械的処理の1つ以上を含む。
いくつかの実施の形態において、機械的処理ステップは、ホモジナイズ(例えば、物理的均質化、例えば、ビード撹拌、超音波処理、ロータ・ステータホモジナイザ、ダウンス型ホモジナイザ、ポッター型ホモジナイザ)、ボルテックス処理、超音波処理、ピペット操作、剪断(例えば、シリンジ剪断)、粉砕(例えば、臼と杵による粉砕)、震盪、混和、混合、ハンマリングなどの1つ以上を含む。いくつかの実施の形態において、機械的処理ステップは、物質移動ステップ(例えば、激しい混合、機械的震盪、またはハンマリング)を含む。
いくつかの実施の形態において、本方法は、圧力(例えば、1つ以上の圧力サイクル)と、別の種類の処理、例えば、温度、マイクロ波放射、または機械的処理などを、同時に(相乗的に)、または交互に加える工程を含む。
更に、本明細書では、試料に由来する分子実体の、溶媒間での分配を促進するための、溶媒(例えば、1つ以上の溶媒)の使用について述べる。これらの溶媒は、周囲圧力および室温(例えば、約25℃)では相互溶解性に乏しい(例えば、クロロホルムは、水に0.815%(w/w)溶解し、ヘキサンは、水に0.001%(w/w)しか溶けない)。機械的処理によって、溶媒の相互溶解性を変えることができる。適切な溶媒と、溶媒の量と、機械的処理の量(例えば、持続時間および/または強度)を選ぶことで、非混和性の溶媒と抽出すべき試料とを一時的に混ぜ合わせて準安定混合物を生成することができる。生成した可溶性溶媒は、異なる性質、例えば、試料成分を溶解する能力を持つ。このような準安定系の機械的処理を停止し、または弱めると、混合物は個々の画分に分かれ、部分的に解離した化合物が分配される場合、それぞれの物理化学的性質、例えば分配係数(logP)または分散係数(logD)などに従って、溶媒間で分子実体が分配される(例えば、Paternoste et al., Biophys. J. 69:2476-2488 (1995) およびそれに引用されている参考文献を参照)。いくつかの実施の形態において、抽出の際にいくつもの溶媒を用いることで、洗剤の使用を著しく減らし、あるいは省くことができる。
更に、本明細書では、2つ以上の非混和性溶媒を両親媒性溶媒(例えば、非混和性の液相、例えば、水と油の、いずれとも混和性の高い溶媒)で増した、3成分以上の溶媒混合物の使用について述べる。両親媒性溶媒が存在すると、機械的処理が溶媒の相互溶解性を変える効果を更に高め、機械的処理を弱め、あるいは停止した際に、抽出すべき試料(例えば、混合物)の成分が個々の相に分配し易くなる。両親媒性溶媒は、水相とは水素結合により、油や脂質とは疎水性相互作用によって安定な会合物を形成すると考えられる。このように、一部の実施の形態では、機械的処理で両親媒性溶媒への多成分試料の溶解を促進すると、親油性および親水性化合物が、後に機械的に分離可能な2つ以上の液相に相分離すると考えられる。
ある態様において、本明細書は、複数の成分から着目成分を抽出する方法を示す。この方法は、複数の成分と少なくとも1つの液相(例えば、複数の液相)(例えば、非混和性液相を成している)とを含む試料(例えば、混合物)を調製する工程と、試料(例えば、混合物)に第1処理ステップを行って、懸濁液、スラリ、エマルション、ミセル、または更に液相を生成する工程と、処理ステップを弱め、または停止することにより、着目成分を複数成分から抽出する(例えば、液相の1つにおける着目成分の割合(または比率)を大きくする)工程と、を含む。
いくつかの実施の形態において、処理ステップは、温度、マイクロ波放射、または機械的処理の1つ以上を含む。
いくつかの実施の形態において、機械的処理ステップは、ホモジナイズ(例えば、物理的均質化、例えば、ビード撹拌、超音波処理、ロータ・ステータホモジナイザ、ダウンス型ホモジナイザ、ポッター型ホモジナイザ)、ボルテックス処理、超音波処理、ピペット操作、剪断(例えば、シリンジ剪断)、粉砕(例えば、臼と杵による粉砕)、震盪、混和、混合、ハンマリングなどの1つ以上を含む。いくつかの実施の形態において、機械的処理ステップは、物質移動ステップ(例えば、激しい混合、機械的震盪、またはハンマリング)を含む。
いくつかの実施の形態において、本方法は、圧力と(例えば、1つ以上の圧力サイクル)と、別の種類の処理、例えば、温度、マイクロ波放射、または機械的処理などを、同時に(相乗的に)、または交互に加える工程を含む。
ある態様において、本明細書は、複数の成分から着目成分を抽出する方法を示す。この方法は、複数の成分と少なくとも1つの液相(例えば、複数の液相)(例えば、非混和性液相を成している)とを含む試料(例えば、混合物)を調製する工程と、試料(例えば、混合物)に第1機械的処理ステップを行って、懸濁液、スラリ、エマルション、ミセル、または更に液相を生成する工程と、機械的処理ステップを弱め(減少させ)、または停止することにより、着目成分を複数成分から抽出する(例えば、液相の1つにおける着目成分の割合(または比率)を大きくする)工程と、を含む。
いくつかの実施の形態において、機械的処理ステップは、ホモジナイズ(例えば、物理的均質化、例えば、ビード撹拌、超音波処理、ロータ・ステータホモジナイザ、ダウンス型ホモジナイザ、ポッター型ホモジナイザ)、ボルテックス処理、超音波処理、ピペット操作、剪断(例えば、シリンジ剪断)、粉砕(例えば、臼と杵による粉砕)、震盪、混和、混合、ハンマリングなどの1つ以上を含む。いくつかの実施の形態において、機械的処理ステップは、物質移動ステップ(例えば、激しい混合、機械的震盪、またはハンマリング)を含む。
いくつかの実施の形態において、本方法は、機械的処理ステップと、圧力(例えば、1つ以上の圧力サイクル)または別の種類の処理、例えば、温度またはマイクロ波放射などを、同時に(相乗的に)、または交互に加える工程を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、様々な疎水性を備えた成分を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、複数の液相の1つの相を含む(例えば、生成する)。
いくつかの実施の形態において、液相は、抽出の間に、または抽出完了時に固相を生じる。
いくつかの実施の形態において、複数成分の1つの成分は、複数液相の1つの液相に可溶である。
いくつかの実施の形態において、複数成分の1つの成分は、複数液相の1つの液相に不溶である。
いくつかの実施の形態において、複数成分はコロイドを含む。本件でいうコロイドまたはコロイド状分散液とは、視覚的には均一溶液に見える不均一混合物である。不均一混合物が2つの相の混合物であるのに対し、溶液は1つの相である。コロイド中において、分散相は、連続相中に一様に分散した微粒子または液滴でできている。コロイドの例としては、乳、クリーム、エーロゾル(例えば、霧、スモッグ、煙)、アスファルト、インキ、塗料、接着剤、および海の泡が挙げられる。
いくつかの実施の形態において、複数成分はエマルションを含む。本件でいうエマルションとは、コロイドの一種である。エマルションは2つの非混和性物質の混合物である。1つの物質(分散相)が別の物質(連続相)中に分散している。エマルションの例としては、バター、マーガリン、エスプレッソ、マヨネーズ、写真フィルムの感光性側、金属加工用切削液、塗料、インキ、潤滑剤、局所用薬剤、ローション、化粧品などが挙げられる。バターおよびマーガリンでは、連続する液相が水滴を囲んでいる(油中水型エマルション)。
いくつかの実施の形態において、少なくとも2つの液相は、第1機械的処理ステップの前には混和しない。
いくつかの実施の形態において、少なくとも2つの液相は、機械的処理ステップを行った後は混和(例えば、完全に混和)する。
いくつかの実施の形態において、少なくとも2つの液相は、機械的処理の前には可溶でない。
いくつかの実施の形態において、少なくとも2つの液相は、第1機械的処理ステップを行った後には部分的に可溶である。
いくつかの実施の形態において、少なくとも2つの液相は、第1機械的処理ステップを行った後には完全に可溶である。
いくつかの実施の形態において、第1機械的処理ステップで終了とする。いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)を第2の機械的処理ステップにかけ、このとき第2機械的処理ステップは、第1機械的処理ステップと同じ種類の機械的処理である、あるいは、異なる種類の機械的処理ステップである。
いくつかの実施の形態において、第2機械的処理ステップが行われ、これは第1機械的処理ステップと同じ種類の機械的処理である、あるいは、異なる種類の機械的処理ステップである。いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)を第3の機械的処理ステップにかけ、これは第1または第2機械的処理ステップと同じ種類の機械的処理である、あるいは、第1または第2機械的処理ステップとは異なる種類の機械的処理ステップである。
いくつかの実施の形態において、機械的処理ステップを弱め、または停止させると、少なくとも2つの液相は個々の相に分かれ、着目成分は、少なくとも2つの液相の一方に分配される。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は、試薬を含む2次容器を含んでいる。いくつかの実施の形態において、第1、第2、または第3機械的処理ステップにかけて2次容器の中身を放出させることにより、試薬を試料(例えば、混合物)に加える。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、着目成分を含まない、例えば、着目成分を殆ど含まない液相に分配される。
いくつかの実施の形態において、本方法は、着目成分を液相から単離/精製する工程を更に含む。
いくつかの実施の形態において、液相は、画分に分かれている。
いくつかの実施の形態において、抽出された着目成分は、後続プロセス(例えば、分析法、例えば、HPLCまたはLC/MS)にそのまま使用できる。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、タンパク質(例えば、膜結合タンパク質、膜貫通タンパク質、I型またはII型膜タンパク質、受容体、酵素、リポタンパク質、糖タンパク質)である。いくつかの実施の形態において、タンパク質の立体配座は、抽出の間(または、完了まで)に変化する。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、多糖(例えば、ヘパリンまたはヘパリン由来多糖)、ポリフェノール(例えば、タンニン、フェニルプロパノイド(例えば、リグニン、フラボノイド)、ビタミン、毒素、汚染物質、脂質(例えば、リン脂質類(例えば、ホスファチジルコリン(PtdCho)、ホスファチジルエタノールアミン(PtdEtn)、ホスファチジルイノシトール(PtdIns)、ホスファチジルセリン(PtdSer))、糖脂質類、ステロイド類(例えば、エストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲン、テストステロン、エクジステロンなどのエクジステロイド類、グルココルチコイド類およびミネラルコルチコイド類などのコルチコステロイド類、タンパク同化ステロイド類、コレステロール、植物ステロール類、ブラシノステロイド類、エルゴステロール類)、膜(細胞膜、オルガネラ膜、脂質二重層)、細菌封入体中に存在する成分、抗原(例えば、細菌からの)、ウイルス(例えば、ワクチン生産のための)、小分子などの薬学試剤、代謝産物(例えば、小分子代謝産物)、薬物(例えば、医薬)、薬物代謝産物、染料、食品成分、ナノ粒子配合物、脂質ラフト、アミロイド斑、微小管、細胞質ゾル、または特定の細胞型である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、核酸(DNA(核DNA、ミトコンドリアDNA)、RNA(mRNA、tRNA、rRNA))である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、ウイルス(例えば、HIV、HPV、肝炎ウイルス(A、B、C、D、E、F、またはG型)、サイトメガロウイルス、エプスタイン−バーウイルス、黄熱病など)、または細菌(例えば、グラム陽性またはグラム陰性菌、相利共生菌、病原菌)である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は、農薬(例えば、殺菌剤、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤(例えば、殺卵剤、幼虫駆除剤、または成虫駆除剤)、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺鼠剤、または殺ウイルス剤である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は疎水性である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は親水性である。
いくつかの実施の形態において、着目成分は両親媒性である。
いくつかの実施の形態において、複数の着目成分は、複数の成分から抽出される。いくつかの実施の形態において、複数の着目成分は、核酸およびタンパク質を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、細胞(例えば、原核または真核)、オルガネラ(例えば、ミトコンドリア、核、ゴルジ体、葉緑体、小胞体、液胞、アクロソーム、中心小体、繊毛、グリオキシソーム、ヒドロゲノソーム、リソソーム、メラノソーム、ミトソーム、筋原線維、核小体、パレンテソーム、ペルオキシソーム、リボソーム、ミクロソーム、小胞)、膜、生体試料(組織試料(脂肪組織、肝臓、腎臓、皮膚、膵臓、胃、腸、結腸、乳房、卵巣、子宮、前立腺、骨、腱、軟骨、毛髪、爪、歯、心臓、脳、肺、皮膚、生検材料など)、血液、尿、乳、精液、唾液、粘液、その他の体液および固体)、細胞の集合(例えば、血液、精液、粘液、唾液、組織生検材料)を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は生体起源のものである。いくつかの実施の形態において、生体起源の複数成分は、動物(例えば、哺乳類(例えば、ヒトまたは飼い慣らされた動物))、は虫類、両生類、魚類、昆虫、鳥類、真菌、細菌、ウイルス、または植物から得たものである。いくつかの実施の形態において、生体起源の複数成分は、古代の試料、例えば、化石(例えば、化石動物、化石木材、化石骨、化石歯、化石糞など)から得たものである。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、エマルション(例えば、ラテックス塗料、潤滑剤など)を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、合成/人工物(例えば、インキ、潤滑剤、ラテックス塗料、クリーム、ローション、燃料、液体推進剤、エラストマ)である。
いくつかの実施の形態において、機械的処理ステップは、複数の成分に1回以上行われる。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)に、機械的処理ステップを繰り返し行う。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)に、約1から約1000回の機械的処理ステップを行う。
いくつかの実施の形態において、同じ種類の機械的処理ステップを行う。
いくつかの実施の形態において、異なる種類の機械的処理ステップを行う。例えば、ホモジナイズ(例えば、物理的均質化、例えば、ビード撹拌、超音波処理、ロータ・ステータホモジナイザ、ダウンス型ホモジナイザ、ポッター型ホモジナイザ)、ボルテックス処理、超音波処理、ピペット操作、剪断(例えば、シリンジ剪断)、粉砕(例えば、臼と杵による粉砕)、震盪、混和、混合、およびハンマリングの1つ以上から成る1つ以上のステップを行うことができる。
いくつかの実施の形態において、複数液相は共沸混合物を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、様々な特定の割合の様々な液体から成る混合物を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は二相性である。
いくつかの実施の形態において、複数液相は三相性である。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、水性溶媒(例えば、水、あるいは、リン酸緩衝液、リン酸緩衝液/生理的食塩水、Tris緩衝液、MES緩衝液、HEPES緩衝液、重炭酸アンモニウムなどの緩衝化合物および/または塩類の水溶液)を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、有機溶媒(炭素を含む溶媒)(例えば、酢酸、アセトン、アセトニトリル、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、塩化メチレン、またはメタノール)を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、無機非水溶媒を含む。無機非水溶媒とは、水でなく、有機溶媒でもない溶媒(例えば、液体アンモニア、液体二酸化硫黄、塩化スルフリル、塩化フッ化スルフリル、塩化ホスホリル、四酸化二窒素、三塩化アンチモン、五フッ化臭素、フッ化水素、純硫酸、およびその他の無機酸)である。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、クロロホルム、テトラクロロエチレン、メタノール、イソプロパノール、エタノール、その他のアルコール(例えば、フッ素化アルコール(例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)、2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)、2−フルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパン−1−オール、1,3−ジフルオロプロパン−2−オール))、水、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン)、アセトニトリル、ギ酸、トリフルオロ酢酸、グリセロール、脂質類(例えば、トリグリセリド類、リン脂質類、スフィンゴリピド類、糖脂質廃物)、フルオロカーボン類、他のハロカーボン類、溶液(洗剤、緩衝剤、カオトロピック塩類の)、および/またはこれらの混合物を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、プロトン性溶媒(例えば、水、メタノール、エタノール、ギ酸、フッ化水素、またはアンモニア)を含む。
いくつかの実施の形態において、複数液相は、非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、またはこれらの混合物)を含む。
いくつかの実施の形態において、1つまたは複数の溶媒は、例えば、着目成分を更に処理する前に、抽出した着目成分から除かれる。
いくつかの実施の形態において、1つまたは複数の溶媒は、蒸発(例えば、周囲温度(例えば、約20から約23.5℃)での、または高めた温度(例えば、周囲温度より高い温度、例えば、約27℃、約30℃、約32℃、約35℃、または約37℃、あるいはそれ以上)での)によって除かれる。
いくつかの実施の形態において、1つまたは複数の溶媒は、着目成分を沈殿させ(例えば、水の添加により)、例えば、上澄み溶媒を除き、これを選択した溶媒で置き換えることによって除かれる。
いくつかの実施の形態において、最適塩濃度を用いて所望の着目成分を選択的に沈殿させ、不要成分を上澄み中に留めておくことができる。またその逆も可能である。例えば、このような方法を用いて、非常に豊富なタンパク質種から成る複合試料(例えば、血清アルブミン、免疫グロブリン類など)を精製して、存在量の少ない生物学的に重要なタンパク質を濃縮することができる。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、1つの液相または複数の液相を生成する。いくつかの実施の形態において、液相は、脂質、有機溶媒、水性緩衝液、エマルション、または固体粒子の懸濁液である。いくつかの実施の形態において、液相は、機械的処理を行うと固相から生成する(例えば、液相の1つ以上は、抽出処理の温度(例えば、0℃以下)より高い融解温度を持つ成分(例えば、氷)である)。試料(例えば、混合物)に機械的処理ステップを行うと、相転移が起き、抽出処理の温度より高い融解温度を持つ成分(例えば、氷)は融解して液相となる。
いくつかの実施の形態において、本方法は低張塩濃度で行われる。
いくつかの実施の形態において、本方法は高張塩濃度で行われる。
いくつかの実施の形態において、本方法は等張塩濃度で行われる。
いくつかの実施の形態において、塩濃度を変えて着目成分を選択的に沈殿させ、および/または、汚染物質を溶液中に留めておく。
いくつかの実施の形態において、塩濃度を変えて汚染物質を選択的に沈殿させ、および/または、着目成分を溶液中に留めておく。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は洗剤(例えば、SDS)を含む。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は洗剤を含まない、または殆ど含まない。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は鉱油を含む。
いくつかの実施の形態において、試料(例えば、混合物)は緩衝液(例えば、リン酸緩衝液(PBS))を含む。
いくつかの実施の形態において、タンパク質は生体膜から抽出される。
いくつかの実施の形態において、タンパク質は脂質相から抽出される。
本件に記載の方法の例は、次のとおりである。本件に記載の方法を用いて、タンパク質、核酸、または脂質を、脂肪組織、脳、神経、バター、クリームなどから抽出することができる。エマルションや固体粒子の懸濁液、例えば、製剤または化粧品処方物(軟膏、ローション、クリーム、シャンプ、コンディショナ、ナノ粒子製剤等)などから成分を抽出することができる。錠剤、カプセル、またはジェルキャップ形の製剤処方物から、成分を抽出することができる。多相組成物、例えば、エマルションまたは固体粒子の懸濁液(例えば、インキ、塗料、ラッカー、潤滑剤、燃料、化学合成原料など)、リポソームや膜小胞の懸濁液などから、成分を抽出することができる。油類、テルペン類、および/または他の親油性化合物を、植物原料から抽出することができる。様々な化合物(例えば、アルカロイド類、フラボノイド類、イソフラボン類、プロアントシアニジン類、アントシアニン類)を、植物(例えば、薬用植物)から抽出することができる。食品香料成分(例えば、カプサイシン)を、食品から抽出することができる。脂溶性ビタミン(例えば、トコフェロール、カロテノイド、リコピンなど)を、植物油または動物脂肪から抽出することができる。局所製剤成分を、皮膚および下層組織から抽出することができる。
いくつかの実施の形態において、染料は塗料から抽出される。
いくつかの実施の形態において、成分は土から抽出される。
いくつかの実施の形態において、成分は固体粒子の懸濁液から抽出される。
いくつかの実施の形態において、複数成分はエマルションを含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、脂質、あるいは、脂質または脂質混合物に1つまたは複数の成分を加えた溶液を含む。
いくつかの実施の形態において、複数成分は、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質、糖脂質、ステロイド、ビタミン、薬物、または薬物代謝産物を更に含んでいる。いくつかの実施の形態において、複数成分は、細胞または単細胞生物を含む。
いくつかの実施の形態において、本方法は、複数の液相の間で複数の成分を分配させるものであり、この方法は、試料(例えば、混合物)を調製する工程であって、試料(例えば、混合物)は、複数の成分と複数の液相とを含み、複数液相は分画されている工程と、試料(例えば、混合物)に第1の機械的処理ステップを行う工程であって、機械的処理が、複数液相の相互溶解性を高めることにより、相互溶解性に乏しい複数液相を混合して、準安定混合物を生成する工程と、試料(例えば、混合物)に第1機械的処理ステップを行うことにより、液相の溶解性を下げ、複数液相を画分に分かれさせて、複数液相の間で成分を分配させる工程と、を含む。
いくつかの実施の形態において、複数の液相は、周囲温度において相互溶解性に乏しい。
いくつかの実施の形態において、本明細書は、複数の成分から着目成分を抽出する方法を提示する。この方法は、複数の成分と複数の液相とを含む試料(例えば、混合物)を調製する工程と、試料(例えば、混合物)に第2の機械的処理ステップを行う工程であって、第2機械的処理ステップは、第1機械的処理ステップとは異なる種類の機械的処理であり、複数液相中の少なくとも2つの液相が部分的に混和して、異なる性質を備えた混合液相を生成し、少なくとも1つの成分を溶解する工程と、試料(例えば、混合物)に第3の機械的処理ステップを行う工程であって、第3機械的処理ステップは、第1または第2機械的処理ステップとは異なる種類の機械的処理であり、試料(例えば、混合物)に第3機械的処理ステップを行うと、複数成分から着目成分が分離し、これにより複数成分から着目成分を抽出する工程と、を含む。
いくつかの実施の形態において、得られた、複数成分を含む液相は、画分に分かれている。
いくつかの実施の形態において、1つまたは複数の液相は溶媒を含む。
いくつかの実施の形態において、得られた、1つまたは複数の着目タンパク質を含む液相(例えば、有機相)は、そのまま分析可能であり、あるいは1つまたは複数の着目タンパク質を含む液相を更に処理するため、溶媒を除くことができる。
いくつかの実施の形態において、溶媒は、蒸発(例えば、周囲温度(例えば、約20から約23.5℃)での、または高めた温度(例えば、周囲温度より高い温度、例えば、約27℃、約30℃、約32℃、約35℃、または約37℃、あるいはそれ以上)での)によって除くことができる。
いくつかの実施の形態において、溶媒は、1つまたは複数の着目タンパク質を沈殿させ、上澄み溶媒を除き、これを選択した溶媒で置き換えることによって除くことができる。
いくつかの実施の形態において、最適塩濃度を用いて所望のタンパク質を選択的に沈殿させ、不要なタンパク質を上澄み中に留めておくことができる。またその逆も可能である。例えば、このような方法を用いて、非常に豊富なタンパク質種から成る複合試料(例えば、血清アルブミン、免疫グロブリン類など)を精製して、存在量の少ない生物学的に重要なタンパク質を濃縮することができる。
本件に記載の方法のその他の特徴は次のとおりである。
いくつかの実施の形態において、本明細書は、循環する圧力を用いて試料の溶解を促進する、タンパク質抽出法を提示する。試料には、タンパク質および/または脂質、例えば、トリグリセリド、リン脂質、糖脂質、スフィンゴリピドなど、または他の疎水性化合物、例えば、脂肪酸、脂肪族炭化水素などが含まれる。
いくつかの実施の形態において、試料は、1つ以上のタンパク質を含む。
いくつかの実施の形態において、試料は、1つ以上の脂質を含む。
いくつかの実施の形態において、試料は、脂肪組織の一部である、またはこれを含む。
いくつかの実施の形態において、試料は、脳組織である、またはこれを含む。
いくつかの実施の形態において、試料は、エマルション、懸濁液、またはコロイドである、またはこれらを含む。
いくつかの実施の形態において、試料は、乳、乳製品、樹液等である、またはこれらを含む。
いくつかの実施の形態において、試料は、塗料、工業用潤滑油、化粧品(例えば、クリームまたはローション)である、またはこれらを含む。
いくつかの実施の形態において、溶解は、機械的処理、例えば、機械的均質化、超音波細胞破壊、撹拌、混和、ビーズ(ガラス、セラミック、または金属)の衝突、粉砕、あるいは混合によって促進される。
いくつかの実施の形態において、液相は、HFIP、TFE、PFOA、トリクロロエタノール、トリフルオロ酢酸、あるいは他のハロゲン化アルコールまたは酸である、あるいはこれらを含む。
いくつかの実施の形態において、液相は、他の有機溶媒(例えば、本件に記載のような)である、またはこれらを含む。
いくつかの実施の形態において、液相は、水または水性緩衝液(例えば、有機溶媒を混ぜ合わせたもの)である、あるいはこれらを含む。
いくつかの実施の形態において、液相は、本件に記載のいくつかの溶媒の混合物である、またはこれを含む。
いくつかの実施の形態において、分割は、定温静置(例えば、−20から+50℃の温度範囲)で行う。
いくつかの実施の形態において、分割は、遠心分離(例えば、相対遠心力:範囲1×g(例えば、回転なし)から4万×g)で促進する。
いくつかの実施の形態において、試料由来の疎水性物質が層を形成するには十分でない場合、相分離を進めるため、疎水性液相(例えば、油、脂質、鉱油、脂肪族炭化水素など、またはこれらの混合物)を試料に加えて分割を促進する。
いくつかの実施の形態において、分割は、前述の方法をどのように組み合わせて行っても良い。
いくつかの実施の形態において、試料の溶解は起こるが、分割は観察されない(例えば、脂質の存在量が少なすぎる場合)。
いくつかの実施の形態において、試料溶解後、少なくとも1つの液相が生成する。
いくつかの実施の形態において、液相は、ピペット操作、傾斜、吸着などによって物理的に分けられる。
いくつかの実施の形態において、液相は、カラムクロマトグラフィ(吸着の例)を用いて分けられる。
いくつかの実施の形態において、液相を分けた後、試料(極性相)を希釈して沈殿を誘発する。
いくつかの実施の形態において、液相を分けず、試料を希釈して沈殿を誘発する。
“混和する”または“混和性”とは、あらゆる比率で液体が混ざり合い、均一溶液となる性質をいう。例えば、水とエタノールはどのような比率でも混ざり合う。どのような比率であっても溶液とならなければ、この物質は“非混和性である”または“混和しない”といわれる。
“可溶な”または“溶解性”とは、ある物質が別のものに溶解する能力をいう。ある物質が他の物質に溶け込むことができない、例えば、物質の少なくとも約90質量%、約92質量%、約95質量%、約96質量%、約97質量%、約98質量%、約99質量%、または約100質量%が溶けなければ(溶解することができない)、この物質は“不溶な”または“可溶でない”あるいは“溶解性に乏しい”といわれる。ある物質が他の物質中に溶解することができる、例えば、物質の少なくとも約90質量%、約92質量%、約95質量%、約96質量%、約97質量%、約98質量%、約99質量%、または約100質量%が溶ければ、この物質は“完全に可溶”である。ある物質が他の物質中にある程度溶解することができる、例えば、物質の少なくとも約10質量%、約15質量%、約20質量%、約25質量%、約30質量%、約35質量%、約40質量%、約45質量%、約50質量%、約55質量%、約60質量%、約65質量%、約70質量%、約75質量%、約80質量%、約85質量%、または約90質量%までが溶ければ、この物質は“部分的に可溶”である。
固体は一定の体積と形状を持つ。
液体は一定の体積を持つが、例えば、流れることによってその形を変えることができる。
気体は一定の体積または形状を持たない。
本件に挙げた全ての特許、特許出願、および参考文献は、その内容を全て本件に引用して援用する。不一致がある場合、本出願を主とする。
本発明の1つ以上の実施の形態の詳細は、添付図および以下の記述に述べられている。本発明のその他の特徴、目的、および長所は、以下の記述と図、および請求項より明らかとなろう。
圧力サイクルを示すダイアグラムである。 圧力サイクルを示すダイアグラムである。 成分および溶媒の分配に使用可能なデバイスを示す図である。 圧力循環を介した液液分配を示す略図である。 本件に記載の方法での、細胞数に応じたDNA回収量を示す線グラフである。
試料、例えば、複雑な生体試料の、様々な成分の抽出とそれに続く分析は、医薬の開発、診断、生物医学および環境研究において重要である。
分析法の多くでは、分析すべき分子実体の溶液を使用するが、多くの試料(例えば、生体試料の大部分)は、様々な非混和性化合物(脂質、タンパク質、核酸、小分子実体など)の、コロイド、ゲル、非常に組織化された混合物、および/または、区分化された混合物として存在している。このように複雑な系は一般に、様々な物理化学的性質、例えば、特定の溶媒中における溶解性または混和性、疎水性、静電電荷、大きさ、および立体配座を持つ分子実体を含んでいる。一部の分子実体(例えば、細胞質、小胞、オルガネラ)は、生体膜などの脂質バリアで覆われており、他のもの(例えば、膜タンパク質、脂質ラフト)は、脂質中に埋め込まれている。
分子実体の物理化学的性質が様々であるため、ある特定種類の分子実体が所定の抽出溶媒でうまく回収できないことが多い。例えば、水性抽出緩衝液は、細胞質のいくつかの成分、例えば、可溶性のタンパク質や小分子は回収するが、疎水性の膜タンパク質や脂質は回収しない。
本明細書は、細胞や組織などの成分発生源からの分子実体の抽出法と、一部の事例では、溶解法を示す。抽出は、化学試薬の選択が基本である。抽出に影響する要素としては、溶媒の選択、緩衝剤の選択、多相混合物(例えば、非混和性試薬(液体、気体、または固体など))の選択、反応温度、および洗剤の選択の1つ以上が挙げられる。いくつかの実施の形態において、試薬と共に、圧力(例えば、静水圧)のサイクルを用いる。抽出に影響する要素としては更に、最大圧力、最小圧力、圧力サイクルの数、および圧力サイクルの長さの1つ以上が挙げられる。いくつかの実施の形態において、試薬と共に、機械的処理を用いる。抽出に影響する要素としては更に、用いる機械的処理の種類、機械的処理の持続時間、加える機械的処理の強さなどの1つ以上が挙げられる。
本件に記載の方法の特徴としては、次のものが挙げられる。
・界面活性剤または洗剤を使用しない、または使用量の少ない抽出法
・液体クロマトグラフィ、電気泳動、質量分析など、後続の分析法にそのまま使用できる
・疎水性タンパク質の回収量が多い(および/または回収物が高品質である)
・脂質含量の高い試料、例えば、脂肪または脳組織、あるいは、生体膜内に濃縮された試料から、疎水性分子をより完全に抽出する
・2種類以上の分子実体(例えば、タンパク質、脂質、核酸、および小分子代謝産物;農薬および乱用薬物、医薬品;ナノ粒子配合物;食品成分など)を1回の工程で抽出
・試料の取り扱いおよび分画に便利な形
・従来の方法では抽出不可能な試料から分析物を抽出できる、もう一つの分画技術
・従来の方法では試料から特定の分析物が抽出されていないかどうかを確認できる、もう一つの分画技術
・フッ素化アルコール類、および/または、他の両親媒性溶媒、あるいはこれらを組み合わせたもので、脂質抽出物と極性抽出物とを2つの別々の画分として生成する、1つの抽出試薬ができる
・圧力循環により、組織の均質化と、画分の明瞭な分離が促進される
・この方法により、ミセル生成を制御し易くし、また、所望の特性を備えたコロイド、ナノ粒子、エマルションを作り出し、あるいは所望の特性を持つものに変えることができる。
[圧力]
静水圧(例えば、圧力循環)を用いることにより、混合物(例えば、共沸混合物、溶液、懸濁液、または多相混合物)中の溶媒の相互溶解性または混和性を変えることができる;ミセル、エマルション、ゲル、またはコロイド中の分子の配置を制御することができる;および/または、多相混合物の1つ以上の成分の、他の成分または溶媒への溶解を制御することができる。圧力を変えることで、成分の相互溶解性が変わり、系を減圧すると混合物が複数の相に分かれ、物理化学的性質に基づいて分子を個々の相に分けることができる。
静水圧を用いて、成分を1つの溶媒に溶解し、第1溶媒を他の溶媒と混ぜ合わせて、第1溶媒が大気圧にある場合には非混和性の、多相混合物を生成することによって、コロイドまたはナノ材料を調製することができる。また、圧力を用いて、多相系またはエマルション中のミセルの大きさを制御し、その物理的性質や安定性を変えることができる。
圧力は、例えば、液圧または空気圧として加えることができる。
圧力サイクルは、1つ以上の圧力の、各圧力での持続時間の総和、例えば、高めた圧力と下げた圧力、例えば、第1圧力から第2圧力へ上げ、次に第2圧力から第3圧力へ下げたときに、試料に加えられた各圧力の持続時間の総和である。更に、第2の圧力サイクル、例えば、第3圧力から第4圧力、第5圧力などを行っても良い。この工程は、繰り返すことができる。例えば、圧力サイクルを、試料(例えば、圧力サイクルに曝される混合物、例えば、着目成分を含む混合物)に第1圧力を第1の期間かけ、試料に第2圧力を第2の期間かけ、次に、混合物に第3圧力を第3の期間かけるものとしても良い。しかし、試料に加える圧力の数に制限はなく、また各圧力での期間は同じである必要もない。圧力サイクルの例を、図1Aおよび図1Bに示す。図1Bに示されているように、試料に、第1圧力を期間(t)の間かける。次に、試料に、第2圧力を期間(t)の間かける。次に試料に、第3圧力を期間(t)の間かける。試料には、様々な圧力を様々な期間(t)かけることができる。それぞれの圧力にそれぞれの期間かけたものの総和が、圧力サイクルである。いくつかの実施の形態において、試料に、第1または第2圧力より高い圧力を、ある期間(図1Bではtn−1で示されている)かける。この圧力に曝されると、例えば、試薬を入れた2次容器が破裂して、圧力サイクルに曝されている混合物、またはチャンバ(例えば、圧力サイクルに曝されている混合物を入れたチャンバ)に、1つまたは複数の試薬を加えることができる。
使用する最大圧力は、約100MPaから約1,000MPa、例えば、約100MPaから約900MPa、約200MPaから約800MPa、約300MPaから約700MPa、約400MPaから約600MPa、約100MPaから約350MPa、約250MPaから約500MPaとすることができる。例えば、最大圧力は、約15から約35kpsi(35kpsi=235MPa)、または約80kpsi(537MPa)、または約30kpsi、あるいは約240MPaとすることができる。
使用する最小圧力は、約133Paから約200MPa、例えば、約150Paから約150MPa、約200Paから約100MPa、約350Paから約75MPa、約500Paから約50MPa、750Paから約35MPa、約1MPaから約25MPa、約1kPaから約1MPa、約25kPaから約250kPa、約50kPaから約500kPa、約100kPaから約300kPa、約250kPaから約750kPa、約1MPaから約100MPa、約25MPaから約200MPa、約50MPaから約100MPa、約100MPaから約200MPa、約135Paから約500Pa、約150kPa、約100MPaとすることができる。いくつかの実施の形態において、使用される最小圧力は、海水面での大気圧、例えば、約100kPa(例えば、0.1MPa)、例えば、101.3kPaである。
いくつかの実施の形態において、最大および最小圧力は、圧力値に最小または最大の差が生じるよう選ばれる。例えば、最小および最大圧力の差は、200MPa以上ではない。別の例として、最小および最大圧力の差は、100kPa以下ではない。
使用される圧力サイクルの数(例えば、圧力を上下させる回数、例えば、圧力を、第1値から第2値へ、第3値(例えば、これは第2値より低い)へと変化させる回数)も、抽出に影響を及ぼす要素である。例えば、圧力サイクルの数は、約1から約1000サイクル、例えば、約5から約800サイクル、約10から約500サイクル、約20から約250サイクル、約30から約150サイクル、約50から約100サイクル、約100から約300サイクル、約200から約400サイクル、約50から約150サイクル、約5から約35サイクル、約10から約25サイクルの範囲とすることができる。いくつかの実施の形態において、圧力は、第1圧力から第2圧力(例えば、第1圧力よりも高い)へ、第3圧力(例えば、第2圧力よりも低い。第3圧力は第1圧力と同じでなくても良い)へ、などと循環する。これらの実施の形態において、3つ(またはそれ以上)全ての圧力は、サイクルの一部として含まれている。
圧力サイクルの長さ(サイクル中での総時間、即ち、第1圧力での期間+第2圧力での期間+更にその他の1つまたは複数の圧力(例えば、第3圧力、第4圧力など)での期間)も重要である。例えば、サイクルの長さは、約5秒間から約60分間、例えば、約10秒間、約20秒間、約30秒間、約45秒間、約60秒間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約6分間、約7分間、約8分間、約9分間、約10分間、約11分間、約12分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、約60分間である。多くの実施の形態において、第1圧力と第2圧力での期間は同じである。例えば、20秒サイクルでは、混合物を、第1圧力で10秒間、第2圧力で10秒間置く。
所定の圧力レベル(例えば、第1または第2または第3圧力)での期間は、例えば、約5秒間から約30分間、例えば、約10秒間、約20秒間、約30秒間、約45秒間、約60秒間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約6分間、約7分間、約8分間、約9分間、約10分間、約11分間、約12分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間とすることができる。多くの実施の形態において、第1圧力と第2圧力での期間は同じである。例えば、20秒のサイクルでは、混合物を、第1圧力で10秒間、第2圧力で10秒間置く。
特定の圧力レベルへの曝露は、溶媒と、複数の成分から成る組成物との性質に応じて、最適化する必要がある。つまり、ある1つの圧力での期間を、別の1つ以上の圧力での期間より長くする必要がある。いくつかの実施の形態において、混合物を、それぞれの圧力に、異なる期間置く。例えば、混合物を、第1圧力で10秒間、第2圧力で30秒間置くことができる。
圧力サイクルの例は、更に、次のとおりである。
海水面における大気圧(101.3kPa)で開始した後、100MPaで5秒間保ち、海水面における大気圧(101.3kPa)で30秒間保つ。これを20サイクル行う。
海水面における大気圧(101.3kPa)で開始した後、240MPaで20秒間、海水面における大気圧(101.3kPa)で20秒間。これを50サイクル行う。
100MPaで開始した後、413MPaで10秒間、200MPaで10秒間、100MPaで10秒間保つ。この過程を10サイクル以上繰り返す。
サイクル中に3段階の圧力を含む一部の実施の形態において、圧力サイクルの長さは、第1、第2、および第3サイクルでの期間の合計である。
圧力循環のパラメータの例としては、35kpsiで1分間サイクルを5回、このとき圧力は、241MPaで30秒間、次に約101.3kPa(大気圧)で30秒間保つ;20サイクル、このときそれぞれのサイクル内で、100MPaの圧力で5秒間保ち、大気圧(101.3kPa)で30秒間保つ;30サイクル、このとき圧力は、500MPaで10秒間、次のステップでは200MPaで20秒、次に100MPaで30秒間保ち、各圧力サイクルで1分となる、が挙げられる。
[処理ステップ]
例えば、本件に記載の溶媒と組み合わせ、および/または、圧力変化と組み合わせ、処理(機械的処理など)を使用して、混合物(例えば、共沸混合物、溶液、懸濁液、または多相混合物)中の試料成分および/または溶媒の溶解性または混和性を変えることができる;ミセル、エマルション、ゲル、またはコロイド中の分子の配置を制御することができる;および/または、多相混合物の1つ以上の成分の、他の成分または溶媒への溶解を制御することができる。機械的処理の後、系の成分を複数の相に分け、物理化学的性質に基づいて分子を個々の相に分配することができる。
例えば、本件に記載の溶媒と組み合わせ、および/または、圧力変化と組み合わせ、処理(機械的処理など)を使用して、成分を1つの溶媒中に溶解し、および/または、第1溶媒を他の溶媒と混ぜ合わせ、これにより非混和性の多相混合物を生成して、懸濁液、スラリ、エマルション、ミセル、更なる液相、コロイド、またはナノ材料を調製することができる。
処理の例としては、温度、マイクロ波放射、および機械的処理が挙げられる。
機械的処理の例としては、ホモジナイズ(例えば、物理的均質化、例えば、ビード撹拌、超音波処理、ロータ・ステータホモジナイザ、ダウンス型ホモジナイザ、ポッター型ホモジナイザ)、ボルテックス処理、超音波処理、ピペット操作、剪断(例えば、シリンジ剪断)、粉砕(例えば、臼と杵による粉砕)、震盪、混和、混合、ハンマリングなどが挙げられる。機械的処理は、物質移動ステップ(例えば、激しい混合、機械的震盪、またはハンマリング)を含んでいても良い。
処理(機械的処理など)は、制御および/または調節することができる。変数としては、処理の持続期間、処理ステップを繰り返す回数、処理ステップの強さ(例えば、試料に加える力)、処理を行う温度などが挙げられる。
本件に提示の方法と共に、1種類以上の処理(機械的処理など)を用いることができる。更に、1種類以上の処理(機械的処理など)を、本件に提示の方法の圧力循環と組み合わせても良い。
[温度]
抽出法を行う温度もプロセスに影響する。温度は、試料(例えば、生体膜)の無秩序性を増し、着目する分子実体(例えば、成分)の抽出を促進することができる。
例えば、抽出法は、約−40℃から+100℃、例えば、約−20℃から約70℃、約0℃から約50℃、4℃から約37℃、約10℃から約30℃、約15℃から約25℃、約20℃、約23℃、約25℃、約70℃、または約−2℃で行うことができる。
本方法で使用する温度の選択は、溶媒および試料成分の性質に影響される。温度は1℃ずつ変えて(増減して)最適化することができる。本方法を行う温度は、例えば、水浴を循環させることにより制御できる。
温度は溶媒と試料成分との相互溶解性を更に変えるため、即ち、温度と圧力を相乗的に用いることができるため、温度と圧力をそれぞれのサイクル中で変化させて抽出法を行っても良い。例えば、サイクル中の第1圧力において、試料(混合物)を第1温度とし、サイクルの第2圧力において、試料(混合物)を第2温度とする。いくつかの実施の形態において、第1温度は第2温度よりも高い。別の実施の形態においては、第2温度は第1温度より高い。
温度は溶媒と試料成分との相互溶解性を更に変えるため、即ち、温度と機械的処理を相乗的に用いることができるため、温度を処理(機械的処理など)と共に変化させて抽出法を行っても良い。例えば、処理(機械的処理など)の前には、試料(混合物)を第1温度とし、処理(機械的処理など)の間には、試料(混合物)を第2温度とする。いくつかの実施の形態において、第1温度は第2温度よりも高い。別の実施の形態においては、第2温度は第1温度より高い。
[液体]
本件に提示の抽出法の液相には、様々な液体が使用できる。例えば、溶媒、洗剤、緩衝液、カオトロピック剤(例えば、カオトロピック塩)、およびこれらの混合物が使用可能である。
[溶媒]
本件に記載の抽出法では、様々な溶媒が使用できる。例えば、溶媒は、水性溶媒、有機溶媒、または脂質とすることができる。溶媒系は、多相混合物(例えば、非混和性試薬の)とすることができ、例えば、この系は、二相性または三相性であっても良い。
望ましい実施の形態において、少なくとも2つの溶媒相(例えば、液相)を使用し、少なくとも2つの溶媒相は、圧力サイクルの1つの圧力において混和しない(例えば、溶媒相は、第1圧力において混和しない)。しかし、圧力が循環して別の圧力(例えば、第2圧力において。このとき第2圧力は第1圧力より大きい)になると、2つの溶媒相は、少なくとも部分的に混和(一部の事例では、部分的に溶解)する。第1圧力に戻ると(あるいは、第2圧力より低い第3圧力に移行すると)、部分的な相互混和性は失われ、溶媒相は分離する。いくつかの実施の形態において、使用する溶媒相の選択によっては、第2圧力において、溶媒相を完全に混和(一部の事例では、完全に溶解)することができる。
他の望ましい実施の形態において、少なくとも2つの溶媒相(例えば、液相)を使用し、少なくとも2つの溶媒相は、処理(機械的処理など)の前には混和しない(例えば、溶媒相は混和しない)。しかし処理(機械的処理など)を行うと、2つの溶媒相は少なくとも部分的に混和(一部の事例では、部分的に溶解)する。処理(機械的処理など)を停止する(または弱める)と、部分的な相互混和性は失われ、溶媒相は分離する。いくつかの実施の形態において、使用する溶媒相の選択によっては、処理(機械的処理など)を行うと、溶媒相を完全に混和(一部の事例では、完全に溶解)することができる。
溶媒の例としては、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、t−ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、1,2−ジメトキシエタン(グリム、DME)、ジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(hexamethylphosphorous triamide)(HMPT)、ヘキサン、メタノール、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、塩化メチレン、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル(リグロイン)、1−プロパノール、2−プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、トリエチルアミン、水、重水(DO)、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、およびこれらの混合物が挙げられる。
溶媒は、プロトン性または非プロトン性としても分類できる。プロトン性溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、ギ酸、フッ化水素、およびアンモニアが挙げられる。非プロトン性溶媒の例としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、およびこれらの混合物が挙げられる
本件に記載のどのような溶媒の混合物も使用可能である。
本明細書の方法の実施に有用な溶媒の非制限的な例としては、クロロホルム、テトラクロロエチレン、メタノール、イソプロパノール、エタノール、水、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン)、アセトニトリル、ギ酸、トリフルオロ酢酸、グリセロール、脂質(例えば、トリグリセリド、リン脂質、スフィンゴリピド、糖脂質廃物、例えば、試料自体から、例えば、生体膜(例えば、脂質膜;脂質二重層)から)、水溶液(例えば、試料自体、例えば、生体膜または細胞質に由来する1つまたは複数の液体成分)、フルオロカーボン、他のハロカーボン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、フッ素化アルコール類(例えば、両親媒性フッ素化アルコール類)(例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)、2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)、2−フルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパン−1−オール、1,3−ジフルオロプロパン-2−オール、パーフルオロオクタノール)、他のアルコール類、およびこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施の形態において、試料(例えば、成分の発生源)が溶媒を生成する(例えば、溶媒として働く)。一部の事例では、試料からのこの溶媒が、抽出系の液相の1つを構成する。例えば、膜タンパク質の抽出において、適当な条件下で、脂質二重層は、抽出法の溶媒として、また液相として働く(例えば、膜タンパク質は脂質二重層に溶解する)。
溶媒の濃度は最適化することができる。濃度の例としては、約0.2M HFIP、約0.05M HFIP、約0.38Mから約0.57M HFIP、約60%HFIP、約75%HFIP、約95%HFIP、約100%HFIP、約1%から約5%ギ酸が挙げられる。溶媒は、様々な他の溶媒(例えば、アセトニトリル)または緩衝液(例えば、リン酸緩衝液(PBS))中に作ることができる。この溶媒だけを用いて、本件に記載の方法の1つの相を構成することができる。あるいは、溶媒(例えば、本件に挙げた溶媒)は、他の成分(例えば、液体、例えば、他の溶媒)と共に1つの溶媒相を形成する溶媒であっても良い。例えば、本件の例に示したように、0.1%ギ酸を加えた50%アセトニトリルが、溶媒相を形成していても良い。
1つの溶媒相に、組み合わせた溶媒が含まれていても良い。例えば、溶媒相は、クロロホルム:メタノール:水(2:5:2または4:4:1(w/w/w)の比);あるいは、メタノール:クロロホルム(1:1(w/w)の比)であっても良い。別の例として、0.1%ギ酸を加えた50%アセトニトリルを溶媒相として用いることができる。
溶媒には、共沸混合物が含まれていても良く、あるいは、溶媒相に高めた(例えば、第2)圧力をかけた場合に、共沸混合物を生成することができる。溶媒混合物の共沸性は主に蒸留での応用について研究されているが、生成する共沸混合物の沸騰温度が、その成分溶媒の沸点とは異なるため、共沸混合物は、異なった溶解性と他の化合物を溶解する能力とを示す別の溶媒として作用する。静水圧は、個々の溶媒の性質を変えるため、共沸溶媒混合物の性質が変わる。溶媒相中に存在可能な、あるいは、第2圧力をかけたときに生成する共沸混合物の例としては、95.5%のエタノールと4.5%の水(w/w);20.2%の塩化水素と79.8%の水(w/w);1.2%の水と98.8%のジエチルエーテル(w/w);20%のアセトンと80%のクロロホルム(w/w);30%のアセトン、47%のクロロホルム、および23%のメタノール(w/w/w)が挙げられる。
いくつかの実施の形態において、1つ以上の溶媒を試料(例えば、抽出のための成分の発生源)に加えると、2つ以上の液相が生じる。例えば、溶媒、例えば、HFIPなどの両親媒性物質を、1つ以上の親水性および/または極性成分と1つ以上の脂質とを含む試料に加えると、1つ以上の親水性および/または極性成分と1つ以上の脂質との安定な混合物が生成する(例えば、高めた圧力レベルに曝すと、あるいは処理(機械的処理など)を行うと)。圧力を下げると、あるいは、処理(機械的処理など)を停止する(または弱める)と、1つ以上の親水性および/または極性相(例えば、HFIP)と1つ以上の脂質とが2つ以上の液相に分かれ、例えば、これによって成分が親水性および/または極性相、あるいは脂質相に分かれ、例えば、着目成分が分離される。いくつかの望ましい実施の形態において、1つの溶媒を試料(例えば、抽出のための成分の発生源)に加えると、2つ以上の液相が生じ、例えば、試料が1つまたは複数の溶媒(例えば、液相)を生成する。例えば、溶媒、例えば、HFIPなどの両親媒性物質を、水と脂質とを含む試料に加えると、水と脂質との安定な混合物が生成する(例えば、高めた圧力レベルに曝すと、あるいは処理(機械的処理など)を行うと)。圧力を下げると、あるいは、処理(機械的処理など)を停止する(または弱める)と、水(例えば、HFIPを加えたもの)と脂質とが2つ以上の液相に分かれ、例えば、これによって成分が水相と脂質相に分かれ、例えば、着目成分が分離される。
いくつかの実施の形態においては、有機溶媒(例えば、揮発性有機溶媒)(例えば、HFIP)を除く必要がある。例えば、揮発性有機溶媒の除去は、蒸発によって行うことができる。いくつかの実施の形態において、揮発性有機溶媒の除去は、1つまたは複数の着目成分の沈殿によって行うことができる。次に、残っている溶媒を生成したペレットと分けることができる。沈殿は、適当な成分、例えば、水溶液を加えることにより、溶媒、例えば、HFIPから行うことができる。沈殿効率は、試料濃度、温度、pH、時間、圧力、および、他の溶質、例えば、塩類、カオトロピック剤、洗剤、その他の成分の添加により変えることができる。
[緩衝剤]
本件に記載の抽出法と共に、様々な緩衝剤を用いることができる。例えば、本方法の溶媒相にPBSを用いることができる。様々な緩衝剤を用いて、抽出溶媒を所望のpHに保ち、また、特定の溶媒中における所望成分の溶解性や、後続の分析法との適合性を保つことができる。このような緩衝剤の例としては、HEPES、TRIS、MES、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、ギ酸、トリフルオロ酢酸、酢酸などが挙げられる。
様々な濃度の塩類を用いて、細胞物質の選択的抽出の際の浸透圧を制御することができる。例えば、哺乳類細胞から様々な成分を抽出するには、0.9%塩化ナトリウムが使用できる。浸透圧を、処理(機械的処理など)と、または圧力循環を用いる場合には静水圧と、相乗的に作用させても良い。例えば、抽出溶液中の塩類が低張濃度であると細胞が膨張し、処理(機械的処理など)または圧力循環処理を相乗的に行って細胞原形質膜を破壊することができる。反対に、ある圧力循環(または処理(機械的処理など))状態にある細胞を破壊から守る必要がある場合、高張塩濃度を用いてこれを行うことができる。例えば、哺乳類細胞では、約0.9%以下のNaCl濃度は低張性であり、約0.9%以上の濃度は高張性である。
[洗剤およびカオトロピック剤]
洗剤またはカオトロピック剤(例えば、カオトロピック塩)を溶媒相に加えて、着目分子実体(例えば、成分)の抽出を助けることができる。いくつかの実施の形態において、使用する洗剤またはカオトロピック剤の量を、本件に記載の溶媒を使用しない方法や、機械的震盪(例えば、本件に記載の溶媒を用いずに)による方法などの、公知の分配法で用いられる量より少なくすることができる。いくつかの実施の形態において、本件に記載の方法で洗剤を用いても、抽出の際に泡が生じない。
使用可能な洗剤の例としては、陰イオン洗剤(例えば、SDS、コール酸塩、デオキシコール酸塩)、陽イオン洗剤(例えば、C16TAB)、両性洗剤(例えば、LysoPC、CHAPS、両性洗浄剤(Zwittergent)3−14)、および非イオン洗剤(例えば、オクチルグルコシド、ジギトニン、C12E8、Lubrol、Triton X−100、Nonidet P−40、Tween 80)が挙げられる。いくつかの両親媒性有機溶媒、例えば、フッ素化アルコール類(HFIP、TFE、パーフルオロオクタノールなど)はしばしば、洗剤としての機能を持つと考えられる。このような溶媒は、単独で、あるいは、他の溶媒および緩衝液系、例えば、本件に記載の溶媒および緩衝液系への添加剤として、組み合わせて用いることができる。
使用する洗剤の濃度は、例えば、約0.001%から約10%、例えば、約0.1%から約2%、例えば、約0.5%から約4%、例えば、約1%から約2%とすることができる。
いくつかの実施の形態において、液相(例えば、組み合わせた液相)は、洗剤を含まない、または殆ど含まない。
カオトロピック剤も使用できる。このような試剤の例としては、尿素、塩化グアニジン、イソチオシアン酸グアニジン、および塩酸グアニジンが挙げられる。使用濃度は、約0.1Mから約8Mとすることができる。カオトロピック剤の例としては、例えば、米国特許第7,064,192号および米国特許出願公開第2006−0188970号、米国特許出願公開第2004−0038333号、米国特許出願公開第2003−0083475号、および米国特許出願公開第2002−0137157号に記載のものが挙げられる。
[液体中の他の成分]
本件に記載の液相には、必要に応じて更に試薬を加えて良い。例えば、酵素阻害薬、例えば、プロテアーゼ阻害薬(例えば、セリン、システイン、およびアスパラギン酸プロテアーゼ類、およびアミノペプチダーゼ類の阻害薬)(例えば、4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド(AEBSF)、ペプスタチンA、E−64、ベスタチン、ロイペプチン(leupeptin)、およびアプロチニン)、DNAse阻害薬(例えば、アウリントリカルボン酸)、RNAse阻害薬(例えば、ジエチルピロカルボナート(DEPC)、セシウムトリフルオロ酢酸(CsTFA)、組み換え胎盤RNAse阻害薬、SUPERASE・IN(商標)、ANTI−RNAseまたはRNASECURE(商標)(Ambion製)、SCRIPTGUARD(商標)(Epicentre Biotechnologies製)、DEPC)、金属キレート剤(例えば、DTPA、EDTA、EGTA、NTA、デスフェラール)などの1つ以上を、例えば、着目成分、例えば、抽出される成分を安定化させるため、液相に加えることができる。
その他の例として、鉱油を液相に加えることができる。鉱油を試料に加えると、バンドの鮮鋭度と強度を改善することができる。例えば、実施例に示すように、試料中の鉱油の量を増すと、例えば、相分離が改善され、遠心分離の際に試料中の内在性脂質が油層へ効率良く分配するため、有利である。
[塩]
高濃度の塩は、特定のタンパク質の沈殿の程度に影響を与えることができる。例えば、高塩濃度は、タンパク質の沈殿を妨げ、または促進することができる。一般に、内在する試料由来の塩は、沈殿に十分な影響を与えるには不足している。多くの例で、外から塩を加えて全タンパク質沈殿を改善することができる。更に、最適塩濃度を用いて、所望のタンパク質を選択的に沈殿させ、不要なタンパク質を上澄み中に留めておくことができる。またその逆も可能である。例えば、このような方法を用いて、非常に豊富なタンパク質種から成る複合試料(例えば、血清アルブミン、免疫グロブリン類など)を精製し、存在量の少ない生物学的に重要なタンパク質を濃縮することができる。
高塩濃度とは、溶液の総質量に対して約1質量%以上の塩濃度をいう。例えば、塩濃度は、溶液の総質量に対して少なくとも約5質量%、または少なくとも約10質量%である。
高塩溶液の例としては、塩化ナトリウム飽和溶液(35.9g/100ml、25℃)、硫酸アンモニウム飽和水溶液(70.6g/100ml、0℃、または、103.8g/100ml、100℃)、4M イソチオシアン酸グアニジンが挙げられる。
低塩濃度とは、溶液の総質量に対して約1質量%以下の塩濃度をいう。
[2次容器]
本件に記載の抽出法の一部の実施の形態において、本件に記載の抽出法(例えば、圧力サイクルおよび/または処理(機械的処理など)を含む方法)を行う混合物中に、2次容器(例えば、カプセル、アンプル)が存在していても良い。2次容器の中身としては、2次容器からその中身を放出(例えば、破裂)させるに足りる、ある程度の圧力または処理(機械的処理など)を加えると主容器に導入される、試薬または複数の試薬類を入れることができる。いくつかの実施の形態において、2次容器を、凍らせた成分(例えば、水)から作っても良い。例えば、このような実施の形態では、圧力または処理(機械的処理など)によって2次容器が溶け、例えば、その中身が放出される。凍らせた2次容器は、不活性で、活性成分を加えるために用いられるものでも、あるいは凍らせた2次容器自体が活性成分であっても良い(例えば、圧力によって活性成分である容器が溶け、またはこれによって容器の中身が放出される)。
圧力または処理(機械的処理など)を加えている間に導入される1つまたは複数の試薬が、第2(または第3など)の液相として働き、試料成分の分配を促すものであっても良い。あるいはこの試薬が、既にある1つまたは複数の液相への添加剤として働くものでも良い。本抽出法で試薬を用いて、例えば、1つまたは複数の着目成分の分配を大きくする、着目成分の溶解性を大きくする、汚染物質(例えば、着目しない成分、例えば、着目成分を含まない相に分配されるもの)の分配を大きくする、抽出溶媒の性質、例えば、pH、浸透圧などを変えることができる。このような試薬の例としては、有機溶媒、両親媒性溶媒、カオトロピック塩または洗剤の溶液、洗剤溶液(ドデシル硫酸ナトリウム、[(3−コルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート(CHAPS)、Tween−80)、有機溶媒(例えば、ヘキサン、ペンタン、メタノール、エタノール、アセトニトリル、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、キシレン、ベンゼン、トルエンなど、またはこれらの混合物)、両親媒性試薬(例えば、HFIP、TFE)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、酢酸リチウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなど)、酸類または塩基類(例えば、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなど)が挙げられる。
例えば、圧力を循環させてある程度の圧力に達したときに、例えば、同じ、または異なる2次容器から、このような試薬の1つ以上を導入することができる。例えば、ある程度の圧力で、あるいはそれ以上でその中身を放出する(例えば、破裂、漏れ、溶解、または融解により)よう、2次容器を設計することができる。一部の実施の形態では、2つ以上の2次容器が使用できる。例えば、第1の2次容器を、第1の圧力でその中身を放出するよう設計し、第2の2次容器を、第2の圧力でその中身を放出するよう設計する、などとしても良い。この方法では、異なる試薬(または別の投与とした同じ試薬)を、制御された時間に(例えば、ある特定の圧力サイクル数の後に)混合物に導入することができる。2次容器の形状や構造に制限はない。本件でいう“2次容器”とは、その中身が試薬を含むものであり、圧力または処理(機械的処理など)がある程度まで強まって、2次容器の中身が放出されるまで、2次容器に含まれている試薬が混合物または液相中に導入されないよう保っている、ひとつの形態(例えば、密封された形態)をいう。2次容器を作る材料に制限はない。例えば、2次容器を、ゼラチン様物質、セルロースポリマ、ガラス、ポリマ(SAN、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、その他のポリマなど)から作ることができる。2次容器が壊れる圧力または処理(機械的処理など)は、2次容器材料の剛性と、2次容器内の試料および他の圧縮性材料(例えば、気体、空気、窒素、二酸化炭素、酸素、不活性ガス(ヘリウム、アルゴン、ネオンなど))の量、および/または、容器の組成によって決めることができると考えられる。例えば、2次容器は、2次容器の中身の圧縮性より低い、その耐圧縮性の圧力レベルでその中身を放出する(例えば、破裂、漏れ、または融解により)と考えられる。2次容器は、例えば、融点が大気圧において試料処理温度より高い無定形または結晶性化合物で作られていても良い。高い圧力をかけると2次容器材料が融解すると考えられる。あるいは、2次容器全体を、液体試薬の混合物に加えられる成分、例えば、固体氷、固体脂質、パラフィンなどから作っても良い。このような材料は、圧力下で液体となって、試料成分の分配に関わることができると考えられる。混合物を減圧すると、これらが再び固化することもある。この成分が固化し、また、圧力下でその中に分配した、最初の混合物のいくつかの構成成分を含んでいるならば、混合物から固化した物質を取り出すだけで、混合物から成分を分けることができる。
[追加ステップ]
本件に記載の抽出の方法は、単独で、あるいは、着目成分を単離するための1つ以上の追加のステップ/方法と組み合わせて行うことができる。1つまたは複数の追加ステップは、本件に記載の抽出法の前または後に行うことができる。本件に記載の抽出法と共に、例えば、遠心分離(例えば、勾配遠心分離または超遠心分離)(例えば、本件に記載の抽出法が行われているのと同じ容器中での遠心分離)、沈殿(例えば、1つ以上の試料成分の沈殿)、免疫沈降(例えば、汚染物質を除くため)、易透化(例えば、洗剤を用いた、例えば、細胞の)、低張緩衝条件を用いた、原形質膜またはオルガネラを囲むその他の膜の破壊、特定の組織、細胞または生物の種類、膜画分などの濃縮;試料成分の、細胞または組織中におけるその局在性に従った、あるいは、その物理化学的性質(例えば、静電電荷、疎水性、特定の溶媒での溶解性、分子配座、結合親和力など)に従った分画を行って、着目成分の単離または精製を改善することができる。
[抽出のための成分の発生源]
着目成分が、試料中の1つまたは複数の他の成分と異なる物理化学的性質(例えば、静電電荷、あるいは溶媒または溶媒系での溶解性)を持っているならば、本件に記載の抽出法を用いて、少なくとも2つの成分を含む試料から着目成分を抽出することができる。
ある成分を抽出することのできる発生源の例としては、生物学的なものと合成(例えば、人工)による試料発生源が挙げられる。生体起源の試料発生源の例としては、哺乳類(例えば、ヒトまたは飼い慣らされた動物)、真菌、細菌、ウイルス、および植物試料発生源が挙げられる。このような試料発生源の例としては、細胞、オルガネラ(例えば、ミトコンドリア、核、ゴルジ体、葉緑体、小胞体、液胞、アクロソーム、中心小体、繊毛、グリオキシソーム,ヒドロゲノソーム、リソソーム、メラノソーム、ミトソーム、筋原線維、核小体、パレンテソーム、ペルオキシソーム、リボソーム、ミクロソーム、小胞)、膜(例えば、脂質膜、例えば、脂質二重層)、生体試料(組織試料(脂肪組織、肝臓、腎臓、皮膚、膵臓、胃、腸、結腸、乳房、卵巣、子宮、前立腺、骨、腱、軟骨、毛髪、爪、歯、心臓、脳、肺、皮膚、神経、生検材料など)、血液、尿、乳、精液、唾液、粘液、その他の体液および固体)、細胞の集合(例えば、血液、精液、粘液、唾液、組織生検材料)、古代の試料(例えば、化石(例えば、化石動物、化石木材、化石骨、化石歯、化石糞など))が挙げられる。その他の試料発生源の例としては、バター、クリーム、製剤または化粧品処方物(軟膏、ローション、クリーム、シャンプ、コンディショナ、ナノ粒子製剤など)、錠剤、カプセル、またはジェルキャップ形の製剤処方物、エマルションまたは固体粒子の懸濁液などの多相組成物(インキ、塗料(例えば、ラテックス塗料)、ラッカー、潤滑剤、燃料、化学合成原料など)、リポソームや膜小胞の懸濁液、液体推進剤、燃料、エラストマ類、ポリマ類、インキ配合物、水や他の溶媒に油を加えたエマルション(工業用潤滑油など)、土(例えば、土試料の懸濁液)、鉱物類などが挙げられる。
[抽出成分]
本件に記載の方法で抽出可能な成分(例えば、分子実体)の例としては、タンパク質(例えば、膜結合タンパク質、膜貫通タンパク質、I型またはII型膜タンパク質、受容体、酵素、リポタンパク質、糖タンパク質)、多糖(例えば、ヘパリンまたはヘパリン由来多糖、澱粉、イヌリンなど)、プロテオグリカン(例えば、コラーゲン、キチン、ムレインなど)、ポリフェノール(例えば、タンニン、フェニルプロパノイド(例えば、リグニン、フラボノイド))、ビタミン、毒素、汚染物質、脂質(例えば、リン脂質類(例えば、ホスファチジルコリン(PtdCho)、ホスファチジルエタノールアミン(PtdEtn)、ホスファチジルイノシトール(PtdIns)、ホスファチジルセリン(PtdSer))、糖脂質類、ステロイド類(例えば、エストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲン、テストステロン、エクジステロンなどのエクジステロイド類、グルココルチコイド類やミネラルコルチコイド類などのコルチコステロイド類、タンパク同化ステロイド類、コレステロール、植物ステロール類、ブラシノステロイド類、エルゴステロール類)、膜(細胞膜、オルガネラ膜、脂質二重層)、核酸(DNA(核DNA、ミトコンドリアDNA)、RNA(mRNA、tRNA、rRNA、mtRNA、ミクロRNA))、ウイルス(例えば、HIV、HPV、肝炎ウイルス(A、B、C、D、E、F、またはG型)、サイトメガロウイルス、エプスタイン−バーウイルス、黄熱病など)、細菌(例えば、グラム陽性またはグラム陰性菌、相利共生菌、病原菌)、細菌細胞中、あるいは他の微生物または他の細胞型の細胞中に存在する成分(例えば、細菌、酵母、または哺乳類細胞によって組み換え生産されたタンパク質)、封入体、細菌DNA、またはRNA中に含まれる組み換えタンパク質、抗原(例えば、細菌、真菌、または哺乳類細胞からの、あるいはウイルスからの)、ウイルス(例えば、ワクチン生産のための)、小分子などの薬学試剤、代謝産物(例えば、小分子代謝産物)、農薬(例えば、殺菌剤、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤(例えば、殺卵剤、幼虫駆除剤、または成虫駆除剤)、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、殺鼠剤、殺ウイルス剤)、薬物(例えば、医薬)、薬物代謝産物、染料、食品成分、ナノ粒子配合物、脂質ラフト、アミロイド斑、微小管、細胞質ゾル、油類、テルペン類、および他の親油性化合物(例えば、植物材料からの)、植物(例えば、薬用植物)からの様々な化合物(例えば、アルカロイド類、フラボノイド類、イソフラボン類、プロアントシアニジン類、アントシアニン類)、食品香料成分(例えば、カプサイシン)(例えば、食品からの)、脂溶性ビタミン類(例えば、トコフェロール類、カロテノイド類、リコピンなど)(例えば、植物油または動物性脂肪からの)、局所製剤成分(例えば、皮膚および下層組織からの)、特定の細胞型、ポリマ、エラストマ、潤滑剤、顔料、可塑剤などが挙げられる。例えば、脂質に富む脂肪組織からの膜タンパク質の抽出、あるいは、肝ミクロソーム画分からのシトクロムP450などの酵素の抽出は、非常に簡単となり、所望のタンパク質が高収量で得られる。
細胞型の例としては、分割球、卵、胚幹細胞、上皮細胞、赤血球、線維芽細胞、肝細胞、白血球、筋芽細胞、筋管、ニューロン、卵母細胞、骨芽細胞、破骨細胞、精子、T細胞、接合体(動物または植物)、アリューロン、厚角組織、内皮、内胚乳、表皮、葉内、分裂組織細胞、柵状細胞、柔組織、師部篩管、花粉生殖、花粉栄養、厚壁細胞、仮道管、木部導管が挙げられる。更に挙げられるものは、様々な種類の角化した上皮細胞、湿潤層状障壁(wet stratified barrier)上皮細胞、外分泌上皮細胞、ホルモン分泌細胞、消化管、外分泌腺および尿生殖路細胞、代謝および貯蔵細胞、関門機能を持つ細胞(肺、腸管、外分泌腺、および尿生殖路)、上皮細胞で覆われた閉じた内部体腔、推進機能を備えた繊毛細胞、細胞外マトリックス分泌細胞、収縮性細胞、血液および免疫系細胞、感覚変換器細胞、自律神経ニューロン細胞、感覚器官および末梢ニューロン支持細胞、中枢神経系ニューロンおよびグリア細胞、水晶体細胞、色素細胞、生殖細胞、ナース細胞である。
[抽出成分の分析]
抽出した成分は、当該技術で公知の様々な方法で分析可能である。例えば、本件に記載の方法を用いて精製した着目成分(例えば、着目成分を含む相)は、後続プロセス(例えば、分析法)で使用可能(例えば、洗剤を用いては行えないプロセスに適合する)であり、および/または、このようなプロセスにそのまま使用できる。
例えば、二次元ゲル電気泳動、一次元ゲル電気泳動、ウエスタンブロット法、ELISA、タンパク質またはペプチド質量フィンガープリント法(例えば、MALDI−TOF/TOFを用いた)、多次元電気泳動(例えば、溶液相を等電点電気泳動にかけた後、濃縮したpI画分を二次元ゲル電気泳動にかける)、質量分析(MALDI−MS、LC−MS/MS、MALDI−TOF MS、またはLC−ESI−MS/MS)、PCR、RT−PCR、およびマイクロアレイ、薄層クロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ(例えば、HPLC)、ガスクロマトグラフィ、GC/MS、電子顕微鏡、蛍光顕微鏡、および表面分析法である。ある実施の形態においては、単離した分子またはその複合物を、機能分析、例えば、酵素活性分析、in vitro代謝分析などに使用し、あるいは更に分画または抽出工程を行っても良い。
本抽出法で得られた1つまたは複数の着目成分を含む1つまたは複数の相は、更に精製する必要がなく、ある種の分析法、例えば、HPLCおよび/またはLC/MS、GCおよび/またはGC/MSにそのまま使用できる(例えば、洗剤を含まず、溶媒が揮発性で、予め溶媒を除去することなく、生成した抽出物を直接HPLCカラムに注入できるため)。試料をそのまま使用できることで、劣化や試料操作によって起こり得る着目成分の損失を少なくすることができる。
[デバイス]
本件に記載の抽出法は、多くのデバイス中で行うことができ、特定のデバイスの使用に限定されない。例えば、試料(混合物)の液液分配ができる、または促進するデバイスが使用可能である。図2に、溶媒を用いて試料成分を溶解および分配するための、使い捨て試料容器の例を示す。2つのコンパートメントは穴開きディスク(溶解ディスク)で仕切られている。このディスクは、液相境界の予想位置の近くに置くことができる。溶媒境界がこれを横切るとき、ディスクによって乱流が生じ、溶媒と試料材料とが、また複数の溶媒が互いに良く混ぜ合わされる。これにより、圧力循環の際の2つの液体の混合が促進される。循環の際の加圧による物質移動によって、液体界面がディスクを通過する。静水圧は、溶媒の相互溶解性を変える。交互に変化する静水圧(例えば、圧力循環)をかけて溶媒を混合すると、試料の微粒子物質を更に溶解させることができる。図3に示すように、圧力循環を介した液液分配は、次のように行われる。
1.非混和性溶媒aおよびbを、複数の成分を含む固体試料と共に、試料容器に加える。
2.静水圧P2で、液体と固体試料とを圧縮する。溶媒境界が穴開きディスクを通過するにつれ、溶媒の急激な混合が起こる。
3.静水圧下に置くことで溶媒の相互溶解性を変え、溶媒aとbの組み合わせた性質を持つ、第3の準安定溶媒cを生成させる。この段階で試料を溶解させることができる。
4.系を低い圧力P3に減圧して混合物を膨張させ、溶媒aとbを分け、その分配係数(logP)または分布係数(logD)(部分的に解離した溶質について)に従って、溶媒aとbの間で溶質を分配させる。
5.系を、元の平衡状態(圧力P1)に戻す。この段階からサイクルを繰り返し、溶解および分配プロセスを続ける。
この例では、穴開きディスク(溶解ディスク)はある特定の位置に置かれている。本件に記載の方法を行い易くするよう、現在用いられているデバイスを改良する点としては、穴開きディスクの位置を可変とする、多数のディスクを使用する、2次容器(2次容器がその中身を放出(例えば、破裂)するレベルに圧力が達したら、導入される試薬(例えば、本件に記載のような)を含んでいる)を試料管中(例えば、上部または下部コンパートメント中)に差し込む、などが挙げられる。
<実施例1>
[植物組織からの脂質、タンパク質、および小分子の抽出]
植物組織から分子実体を抽出した。2つの溶媒を含む溶媒系に植物組織を入れた。溶媒Aは、50%含水アセトニトリルおよび0.1%ギ酸であり、溶媒Bは、クロロホルムであった。2つの溶媒は2相に分離していた。混合物をフレキシブルコンテナ中に密閉した。混合物に、10秒間で20サイクル、圧力循環をかけて処理した。圧力循環は、大気圧(海面位で101.3kPa)から240MPaであった。循環を終えると、溶媒は2つの個々の相に分かれ、植物組織からの分子実体は2つの溶媒間で分配した。親水性成分の大部分は、主に水とギ酸と50%(w/w)以下のアセトニトリルから成る、上部溶媒画分中に残っていた。主にクロロホルムと残りのアセトニトリルから成る下部画分は、疎水性分子実体を含んでいた。いずれの画分も、それぞれの化合物の検出および定量に適した分析法にかけることができる。
<実施例2>
[脂肪組織からの脂質およびタンパク質の抽出]
脂肪組織からの脂質およびタンパク質の抽出は、100mgの組織試料を、純粋な、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)に加えて行った。HFIPは両親媒性溶媒であり、水と、試料中に存在する脂質との、安定な均一の混合物を生成する。圧力循環によって試料を抽出した後、生成した溶液は非混和性となり、大気圧に戻すと個別の相に分かれた。高い圧力は、生成する相の部分的な混和性を保ち、それらの間での試料成分の分配を高めるが、圧力の低下は、相分離を促す重要な要素として働く。続いて、脂質画分を除き(例えば、ピペットで)、次にHFIP/水画分をそのままHPLCで分析し、または蒸発させてタンパク質と核酸を濃縮する。あるいは、過剰の水、水性緩衝液、あるいは塩および/または他の試薬の水溶液を加えて、有機溶媒からタンパク質を析出させる。タンパク質画分をHPLC用の一般的な試薬または緩衝液(洗剤を用いたもの、例えば、9M尿素/4%CHAPS、あるいは、例えば、2%SDS)中で再構成し、最適なゲル分離法(例えば、一次元または二次元ゲル電気泳動)に適したものとする。
<実施例3>
[脂肪組織からのタンパク質抽出法の比較]
圧力循環によって脂肪組織からタンパク質を抽出するため、図2に示すデバイスを用いた。次の3つの抽出試薬を比較した。
1.Tris緩衝生理食塩水(TBS)、洗剤なし
2.9M尿素+4%CHAPS
3.HFIP(両親媒性フッ素化アルコール)
TBS中で処理した試料の脂肪組織の崩壊が最も小さく、タンパク質抽出量も最少であった。
脂質含量が高い(最大70質量%まで)と、洗剤がミセル中に閉じ込められるため、尿素/CHAPS中で処理した試料は良く溶解せず、脂質の塊にまだ結合している疎水性タンパク質を含んでいる。HFIP中で抽出した試料は、目に見えるほどの残留脂肪組織(白色の脂肪状残留物のように見える)を含んでいない。代わりに、条件3では、脂肪と溶媒が、親水性(下部)相と疎水性(上部)相に分かれている。両親媒性溶媒は、圧力循環が抽出処理を促進している間、極性成分と無極性成分を同じように良く溶解させることができる。生成した抽出物は、減圧すると2つ以上の相に分かれる。
<実施例4>
[ブタ脂肪組織からの、脂質、タンパク質、小分子の抽出]
いくつかの溶媒を用いて、圧力循環媒介抽出の比較を行った。比較した溶媒は、HFIP+0.1%TFA、Tris緩衝液+0.9%NaCl、および2%SDS水溶液であった。それぞれの溶媒1.4mlに入れた100mgの組織を用いた。それぞれの試料を同じ圧力循環条件(各サイクルの間、240MPaで20秒間と、大気圧で20秒間とを、30サイクル)にかけた。3つの溶媒による1回目の抽出の後、得られた親水性相を、SDS−PAGEと、クマシーブルー染色で分析した。それぞれの試料は2連で行った。2%SDS水溶液(データは提示せず)に比べ、HFIP+0.1%TFA溶媒では約2倍のタンパク質が抽出された。Tris緩衝液+0.9%NaClによるタンパク質の抽出量が最も少なかった。
同じそれぞれの溶媒を用いて、残留脂質残屑の2回目の抽出を行った。得られた抽出物を、SDS−PAGEと、クマシーブルー染色で分析した。HFIP+0.1%TFA溶媒で抽出した試料からの残留タンパク質の回収が最も少なく、他の供試溶媒を用いた場合より(データは提示せず)、この条件での1回目の抽出で、より大量のタンパク質が抽出されたことが確認された。
<実施例5>
[脂肪組織からのタンパク質の抽出:HFIPと洗剤との比較]
HFIPと、9M尿素/4%CHAPS試薬との効果を比較するため、実験を行い、圧力循環(各サイクルの間、240MPaで20秒間と、大気圧で20秒間とを、30サイクル)を用いて、マウス脂肪組織からタンパク質を抽出した。HFIPで、尿素/CHAPS試薬を用いたものの2から3倍のタンパク質が抽出された。結果を表1に示す。
<実施例6>
[ラット脳タンパク質の抽出:二元および三元の溶媒の組み合わせ]
ラットの脳からタンパク質を抽出する実験を行った。脳組織は相分離を起こすのに十分な内在性脂質を含んでいない。内在性脂質の不足を“補償”して相分離を促すため、二次的な疎水性溶媒を加えた。
全ての試料を、圧力循環(20秒間圧力を上げ、20秒間圧力を下げるのを30サイクル。高い圧力は35,000psi、低い圧力は大気圧)にかけた。実験条件毎に50mgの組織を用いた。5μlのプロテアーゼ阻害薬を加えた。試薬を加えて、最終容量を1.4mlとした。
試験した条件は次のとおり。HFIP、ヘキサン、鉱油、HFIP/ヘキサン(1:2)、およびHFIP/ヘキサン(1:1)。
HFIPのみで抽出した試料では、相分離は認められなかった。HFIP:ヘキサン、HFIP/鉱油、およびHFIP/ヘキサン/鉱油を用いた場合に、相分離が認められた。
より揮発性の試薬(ヘキサン)を加えると、蒸発による溶媒除去が劇的にスピードアップする。
これらの実験で、洗剤を用いた抽出と、溶媒を用いた抽出との比較を行う。SDSが全てのタンパク質を取り出せない理由として、主に化学量論的なもの(全ての脂肪を溶解させるために十分なSDSがない)が考えられるため、一般的には、より長く機械的均質化を行って、脂肪球の中に埋め込まれているタンパク質分子を全て回収する。この処理は通常、大量の泡(foam、froth)やエマルションを生じ、タンパク質の損失が避けられない。脂肪の溶解を洗剤に依存する試薬は、脂肪の大半をそのまま残すと考えられる。反対に、HFIPなどの溶媒と組み合わせた圧力循環は、泡を作らずに脂肪組織を完全に溶解することができる。
<実施例7>
[圧力循環による無洗剤タンパク質抽出と、高分解能タンデム型質量分析とを使用する、脂肪組織のプロテオーム分析]
脂肪組織のプロテオーム分析は、2型糖尿病、肥満、癌、その他ヒトの病気の多くの研究にとって非常に重要である。しかし、高脂質含量の組織に従来のタンパク質可溶化法を行うと、特に、ミトコンドリア、ER、原形質膜、および脂質液滴からの重要な疎水性タンパク質に関して、ばらつきの大きな結果を生じる。大量の試料由来脂質が洗剤をミセル中に閉じ込めて、タンパク質の抽出を妨げる。
これらの実験では、細胞、ミセル、および膜フラグメントを、洗剤を用いずに破壊し、従来の均質化および溶解法に比べて、マウス脂肪組織試料からのタンパク質回収効率を大きくするための、交互静水圧(圧力循環法(Pressure Cycling Technology:PCT))と、様々な有機溶媒の使用について調べた。得られたタンパク質抽出物を、SDS−PAGE、2D電気泳動、ナノフローHPLC、および高分解能高質量精度タンデム型質量分析で分析した。
圧力循環で支援した、新たな液液抽出および分画法を開発し、ほぼ完全に組織を溶解して、脂質とタンパク質を別々の液相に分画した。この新たな圧力循環法による全体的に高いタンパク質回収量に加え、脂肪組織の圧力循環抽出において、いくつもの新たなタンパク質種が同定された。従来の方法を用いて得られた抽出物中では、タンパク質の多くが過少に見積もられていることも示された。いくつかの発生学的に異なるモデルマウス血統の分析から、疾病の進行に関係する、または潜在的な薬剤標的となると考えられるタンパク質発現のいくつかの傾向が明らかとなった。将来の脂質解析研究のための、分画法による脂質画分が得られ、集められた。
[圧力循環法(PCT)による試料調製]
本研究の目的は、脂肪組織からの信頼性と再現性のあるタンパク質抽出法を開発し、将来のマウス疾患モデルのプロテオーム研究を可能にすることであった。野生型(WT)の肥満した(ObOb+/+)動物からの白色脂肪組織試料(腹部脂肪体)を使用した。何匹かの動物からそれぞれ、ほぼ等量(100±15mg)の脂肪組織を採取した。試料をそれぞれ特製の1.4mlの使い捨て容器(図2)に入れ、BAROCYCLER(登録商標)NEP−3229(マサチューセッツ州ウエストブリッジウォータ、Pressure BioSciences, Inc.製)で発生させた交互静水圧、20サイクルを室温でかけて、均質化と分画とを同時に行った。各サイクルは、35,000psiで20秒間と、次に、大気圧で20秒間とから成る。プロテアーゼ阻害薬カクテル(ミズーリ州セントルイス、Sigma-Aldrich製)を、各容器中の抽出試薬に加えた。圧力循環処理の後、試料管をBAROCYCLER(登録商標)から取り出し、短時間遠心し、液相を完全に分離させた。別記のない限り、ゲル担持ピペットチップを用いてそれぞれの管から上部液体層を取り、後の脂質画分の分析のため保存した。それぞれの極性画分をSpeedVac遠心濃縮器(ThermoFisher Scientific製)中で脱溶媒和して約5〜10μlとし、2×Laemmli SDS−PAGE緩衝液(4%SDS)、または2D試料緩衝液(9M尿素、4%CHAPS)のいずれかで再構成して、所望とする後続の分析法に適合させた。
[脂肪組織:脂質/タンパク質分画法]
交互静水圧を用いて、1つの使い捨て容器中で、試料の均質化と、試料化合物の非混和性液相間での分配の促進とを同時に行った。抽出は、0.2mlの鉱油を加えた1.2mlのHFIP中で行った。生成した抽出物は、そのままLC−MS/MS法やタンパク質の電気泳動分離に使用できた。
2D試料緩衝液中で直接、2つの連続する工程で制御抽出を行った。タンパク質分析およびSDS−PAGE分析のため、それぞれの抽出物から50μlを取った後、1回目からと2回目からの抽出物を合わせ、還元し、TBP/アクリルアミドを用いてアルキル化し、Amicon ULTRA−4限外濾過装置(マサチューセッツ州ダンバーズ、Millipore Corporation製)で元の試料体積まで濃縮した。
[電気泳動、イメージ分析、およびゲル内消化]
SDS−PAGEは、4〜12%のポリアクリルアミド勾配ゲル上で行った。固定化したpH勾配ストリップ(pH3〜10)を試料で6時間水和した後、1万Vで10万V・時間、等電点電気泳動(IEF)を行った。全ての成形済電気泳動供給品およびCriterion垂直ゲル電気泳動装置は、カリフォルニア州ハーキュリーズ、Bio-Rad Laboratories製でありIsoelectrIQ2一体化IEF装置は、マサチューセッツ州ウォバーン、Proteome Systems製であった。ゲルを、コロイド状クマシーブリリアントブルー(Proteome Systems製)またはSYPRO(登録商標)ルビー(Bio-Rad Laboratories製)で染め、スキャンし、PDQuestソフトウェアで解析して、統計的有意差を持つ抽出のタンパク質を求めた。選択したゲルスポットまたはバンドを切り取り、通常のゲル内消化プロトコルを用いて処理した。消化のため、シークエンシンググレードの変性ブタトリプシン(Promega製)を用いた。
[ナノLC−FTICRタンデム型質量分析によるタンパク質の同定]
タンパク質消化物(5〜10μl)を、C18固相抽出捕集カラム(内径300mm×5mm、カリフォルニア州、Dionex製)、および内径75mm×15cmのナノLC逆相自己充填フューズドシリカカラム(固定相:Magic C18AQ、3μm、100オングストローム(マサチューセッツ州、Michrom Bioresources製);カラム:PicoFrit、内径15mm、10ポートのValco弁を通してチップを引く)上に注入した。0.1%FA中アセトニトリルの直線勾配を用いてペプチド分離を行い、ナノエレクトロスプレにより、溶離液をLTQ FTICR質量分析計(Thermo Fisher Scientific製)に導入した。データ解析は、SEQUESTアルゴリズムおよびGPMDBソフトウェアを用い、SORCERER(商標)(Sage-N製)サーチエンジン上で行った。結合させた“forward”および“reverse”FASTA DBに対して検索を行った。推定誤検出タンパク質同定率(estimated false positive protein identification rate:FPPrR)を≦1%に調整して、タンパク質同定データの信頼性と感度のバランスを保った。Xcorrに基づいて重複するペプチドの一方を除き、相同タンパク質とそのイソ型によって生じる冗長性を除いた。DTASelectおよびProtein Prophetから出力されたタンパク質ID表に冗長性を加えることなく、スコアの最も高いタンパク質入力値と共に、同様のタンパク質をリストした。
[結果および考察]
有機溶媒と両親媒性フッ素化アルコール類とを用いた、膜標本から脂質を除去するための実験を、従来法による細胞破壊および分画に続けて行った。我々は、非混和性液体の界面で一時的に準安定“混成”溶媒を作り出すことで分析物の分配を促進する、交互静水圧によって改善された、無洗剤液液抽出に基づく組織溶解および分画技術を開発した。圧力循環機器装置は、静水圧のサイクルを発生し、これが一時的に非混和性溶媒の相互溶解性を変えて、試料成分を液相間でより効率的に分配させる。従来の抽出では、脂質含量が高い(例えば、最大70質量%まで)と、洗剤はミセル中に閉じ込められ、疎水性タンパク質が脂質塊に付着したままとなってしまう。
脂肪組織からのタンパク質の無洗剤抽出を行った。減圧すると、対応する溶媒中でのそれぞれの分析物の分配係数に従って各分析物を含む、適切に選んだ液相が分離する。
異なる抽出剤の比較を行った。ブラッドフォード分析による測定で、タンパク質の回収量を定量した。各抽出物の最終容量は1.4mlであった。
有機溶媒(無極性と両親媒性の両方)のいくつの組み合わせが、水性緩衝液と共に、液液分配を促進することが分かった。この新たな方法により、電気泳動、クロマトグラフィ、質量分析など、後続の分離法での直接使用が可能となった。様々な溶媒系を用いて、タンパク質抽出効率の著しい差が示された。IEF試料緩衝液(9M尿素、4%CHAPS)を用いて、脂肪組織試料から2回の連続したタンパク質抽出を行い、1回目の抽出の後、脂肪塊中にタンパク質が残存している証拠を得た。
圧力循環を使用し、脂肪組織の破壊と、ヘキサンによる脱脂と、2×Laemmli試料緩衝液(4%SDS)または脱イオン水での抽出とを同時に行った。ヘキサンやベンジルアルコールなどの溶媒は、水性緩衝液による抽出と同時に組織の脱脂も行うが、イソプロパノールなどのいくつかの極性溶媒は、段階的に抽出する方法で、タンパク質をその疎水性によって分画することができる。
一部の溶媒組成物に両親媒性溶媒、即ち、HFIPを加えると、ほぼ完全に組織を溶解し、相が分離する。100mgの正常マウス白色脂肪組織の塊から、タンパク質の抽出を行った。ヘキサフルオロイソプロパノールを含む溶媒系中で圧力循環により組織を溶解し、次に、脂質画分と溶媒を除き、2D電気泳動試料緩衝液で再構成したものと、従来の2D試料抽出緩衝液との比較を行った。CHAPSを用いた2D電気泳動緩衝液は、主に血漿タンパク質を抽出するが、溶媒を用いた抽出物は、脂肪組織のほぼ全てのタンパク質補体を含んでいる。例を、表2に示す。
従来の抽出技術を用いて得られた脂肪組織のプロテオーム分析結果では、いくつものタンパク質が非常に少なく見積もられていたことが分かった。これらのタンパク質とその翻訳後修飾の詳細な分析は、脂肪酸代謝の調節と、II型糖尿病および肥満の発生の予防が期待される手段について、極めて重要な情報をもたらす。例えば、ネズミFABPaP2のいくつかのイソ型のうち1つについて、代表的なスペクトル解釈を行った。aP2遺伝子生成物の多様性は翻訳後修飾によって説明でき、規制する役目を持っていると考えられる。
<実施例8>
[HFIPからのタンパク質の回収:蒸発による溶媒除去と、蒸留水を用いた沈殿による溶媒除去との比較]
極性および無極性試料成分の、圧力支援抽出および分配では、少なくとも1つの液相、試料溶液が生成する。いくつかの事例では、多数の液相が生成する。この相は適当な手法で物理的に分けられる。生成した個々の相を、多くの可能な方法、HPLCなどのカラムクロマトグラフィ、ゲル電気泳動(例えば、SDS−PAGEまたは2Dゲル電気泳動)などで分析する。
この実施例において、着目する試料成分はタンパク質である。更に、タンパク質は有機溶媒に溶けている。ある事例では、溶媒は、ハロゲンを含む有機溶媒、例えば、塩素化アルコール、塩素化酸、フッ素化アルコール、フッ素化酸など、またはこれらの混合物である。ハロゲン含有有機溶媒の一部は、タンパク質の立体配座を変化させるという意味で、洗剤として作用するといえる。いくつかの例において、有機溶媒中でのタンパク質立体配座は、水溶液中でのタンパク質立体配座と異なっている。有機溶媒中のタンパク質溶解性は、水溶液などの試薬を加えて変えることができる。この例が示すように、効果的な沈殿を起こすには、有機溶媒中のタンパク質または他の溶質の濃度が、ある閾値を超えている必要があるといえる。
(実施例8a)
250mgのウシ脂肪組織を、1mlのHFIP中で圧力循環により処理した。圧力循環条件は次のとおりであった。35kpsiで20秒間、次に大気圧で20秒間を、20サイクル。圧力循環ステップでは、PULSE管を用いた。
圧力循環後、脂質画分とタンパク質画分との相分離を促すため、試料を、11,000×gで遠心した。下部画分(タンパク質を含む)を回収して等量の試料に分けた。一方の試料を、遠心真空濃縮器(SpeedVac、マサチューセッツ州ウォルサム、Thermo Scientific製)中で蒸発乾固した。もう一方の試料は、蒸留水(試料体積の3倍)を加えて沈殿させ、氷上で10分間冷却し、11,000×gで15分間遠心してペレットを回収した。上澄み(水/HFIP混合物)を清浄な管に移し、前述のように蒸発させて、沈殿の際にタンパク質が失われたかどうかを調べた。
全ての試料を、SDS−PAGE試料緩衝液で再構成し、ゲル上で泳動させた。得られたゲルをクマシーブルーで染め、2つの方法によるタンパク質回収量を比較した(データは提示せず)。ゲルの結果は、このような条件下において、沈殿させた試料のタンパク質のバンドパターンと強度は、蒸発させた試料と同程度であることを示した。更に、ゲル分析により、沈殿後の水/HFIP上澄み中には検出可能なタンパク質が存在していないことが確認され、試料沈殿の間にタンパク質の検出可能な損失がないことが確認された。
(実施例8b)
組織質量のHFIP体積に対する比を、250mg/mlから約40mg/mlに小さくして(1.3mlのHFIP中で圧力循環により処理される、50mgのウシ脂肪組織に相当する)、ウシ脂肪組織を前述のように処理すると、沈殿反応で、溶解したタンパク質が効率良く回収されず、試料の大部分が水/HFIP画分中に残っていることが認められた。
(実施例8c)
HFIPの量を減らし、組織質量のHFIP体積に対する比を、約40mg/mlから、125または167mg/mlに大きくして(この比は、0.3〜0.4mlのHFIP中、50mgの組織に相当する)、ウシ脂肪組織を前述のように処理すると、沈殿反応の効率は回復した。試料は、沈殿したペレット中に回収され、水/HFIP画分中に失われる検出可能なタンパク質はなかった。PULSE管中の余分な体積を置換するため、反応物に鉱油を加え、最終的な全反応物体積を1.3〜1.4mlまでとした。余分な鉱油は、圧力循環抽出または沈殿反応に対して、良くも悪くも目立つ効果はなかった。
(実施例8d)
ウシ脂肪組織を用いて同様の実験を行い、異なる脂肪組織:HFIP比(質量:体積)を調べた。この比は、鉱油の量を変えて調節した。その結果、高い脂肪組織:HFIP比、例えば、約160mg/mlで、沈殿効率が向上することがわかった。
<実施例9>
[圧力循環によるタンパク質抽出に対する鉱油の効果]
(実施例9a)
圧力循環反応への鉱油の添加は、試料を溶媒から乾固して抽出するか、沈殿によって抽出するかに拘わらず、相分離を向上させるため有利である。更に、脂質画分の回収を目的としない場合(例えば、実施例10参照)、沈殿法でタンパク質を回収する前に、脂質相を除去する必要がなくなる。
50mgのブタ脂肪組織を、配合の異なる3つのHFIP/鉱油(0mlの油/1.3mlのHFIP;0.1mlの油/1.2mlのHFIP;または、0.5mlの油/0.8mlのHFIP)中で圧力循環により処理した。圧力循環(35kpsiで20秒間、次に大気圧で20秒間を、20サイクル)の後、脂質画分とタンパク質画分との相分離を促すため、試料を11,000×gで遠心した。各試料の下部画分(タンパク質を含む)を新たな試験管に移し、遠心真空濃縮器(SpeedVac、マサチューセッツ州ウォルサム、Thermo Scientific製)中で蒸発乾固した。全ての試料をSDS−PAGE試料緩衝液で再構成し、ゲル上で泳動させた。得られたゲルをクマシーブルーで染め、タンパク質の回収量とバンドの鮮鋭度を比較した(データは提示せず)。ゲルの結果は、このような条件下において、鉱油を試料へ添加すると、バンドの鮮鋭度と強度が多少向上することを示した。鉱油の量を、試料当たり0.1から0.5ml増しても悪影響はなく、3つの供試試料中で、0.5mlの鉱油を含む試料のバンドが最も強かったことから、実際には有益であったといえる。要約すると、油の添加は有害ではなく、相分離と抽出効率においては有益と考えられる。
(実施例9b)
圧力循環反応への鉱油の添加は、脳組織などの、通常では相に分かれない試料の相分離を促すことから、有益といえる。120〜130mgのラット脳組織を、配合の異なる3つのHFIP/鉱油(0mlの油/1.1mlのHFIP;0.1mlの油/1.0mlのHFIP;または0.5mlの油/0.6mlのHFIP)中で抽出し、圧力循環(35kpsiで20秒間、大気圧で20秒間を、20サイクル)で処理した。2つの試料を、乾燥法と沈殿法で処理した。ゲルの結果は、鉱油を加えた後、試料を乾燥させると、バンドの鮮鋭度が著しく向上することを示した。鉱油を加えないと、試料中にある内在性脂肪が効率良く除去されず、SDS−PAGEゲル上のバンド分離に著しく影響するミセルが発生する。反応物に鉱油を加える(0.1または0.5mlのいずれか)と相分離が良くなり、遠心分離の際に、内在性脂質が油層へ効率良く分配される。結果として、ゲル電気泳動の結果が劇的に改善される。後に沈殿させる試料に鉱油を加えても多少の改善が見られるが、油を添加しなくとも、沈殿させた試料は乾燥させた試料よりも良好なバンド分離を示した。
<実施例10>
[別の溶媒除去法:鉱油を用いて得られた結果と匹敵するもの]
一部の状況においては、乾燥プロトコルを沈殿プロトコルに切り替えることで、鉱油の添加と同様の効果が得られることがある。120〜130mgのラット脳組織を、配合の異なる2つのHFIP/鉱油(0mlの油/1.1mlのHFIP;0.1mlの油/1.0mlのHFIP)中で抽出し、圧力循環(35kpsiで20秒間、大気圧で20秒間を、20サイクル)で処理した。圧力循環後、相分離を良くするため、試料を11,000×gで遠心し、下部画分(タンパク質を含む)を回収して、蒸留水(試料体積の3倍)を加えて沈殿させ、氷上で10分間冷却し、11,000×gで15分間遠心してペレットを回収した。試料をSDS−PAGE試料緩衝液で再構成し、ゲル上で泳動させた。得られたゲルをクマシーブルーで染め、タンパク質の回収量とバンド鮮鋭度を比較した。ゲルの結果は、このような条件下において、油の添加による有意な不都合がないことを示した。このような沈殿条件下では、内在性脂質はタンパク質と共に沈殿せず、このため電気泳動の際の試料中には存在しないと考えられる。
<実施例11>
[外因性の塩類の影響]
外因性の塩類を加えて、全タンパク質沈殿量を上げることができる。更に、最適塩濃度を用いて、所望のタンパク質を選択的に沈殿させ、不要なタンパク質を上澄み中に留めておくことができる。4種類の精製したタンパク質(ウシ血清アルブミン(画分V)(BSA)、炭酸脱水酵素、ニワトリ卵白リゾチーム、およびヒトγグロブリン(全て、ミズーリ州セントルイス、Sigma-Aldrichより入手))をHFIPに溶解し、20mg/mlの最終濃度とした。それぞれのタンパク質、または4種類全てのタンパク質の1:1:1:1混合物を、3倍量のdHOで沈殿させ、氷上で20分間沈殿させ(precipitated)、10,000×gで15分間遠心した。ペレットをSDS−PAGE試料緩衝液で再構成した。上澄みも回収し、SpeedVac中で乾燥し、SDS−PAGE試料緩衝液中に再懸濁させた。得られた全ての試料をゲル上で泳動させた。得られたゲルをコロイド状クマシーブルーで染めた。
蒸留水によるタンパク質沈殿の効率は、タンパク質に特異的である。BSAと炭酸脱水酵素は効率良く沈殿してペレット中に回収されるが、リゾチームとγグロブリンはいずれも主に上澄み中に残っていた。
更に、dHOでいくつかのタンパク質を選択的に沈殿させ、他のものを溶液中に残すことで、同種のタンパク質の混合物を分別した。しかし、dHOに代えて25mg/ml NaCl溶液を加えると、水だけでは沈殿しなかったタンパク質の沈殿が向上した。この方法は、複雑なタンパク質混合物の分別に応用できる。
<実施例12>
[生体試料からの、タンパク質、核酸、および脂質を同時に単離および分別するための、無洗剤試料調製技術]
この方法は、交互静水圧による細胞破壊(圧力循環技術、またはPCT)と、異なる種類の分子を溶解し、個々の画分に分配する試薬系との、相乗的な組み合わせを活用するものである。PCTで促進した液液抽出では、高静水圧を用いて様々な化合物の溶媒和エネルギーと溶解性とを変える。大気圧では非混和性のいくつかの液体が高圧下で影響し合い、溶媒相の間で分子が分配する際に相境界があまり障壁とならなくなる。この結果、界面だけでなく、容器の体積全体で分配が起こる。タンパク質と脂質は圧力下で可溶化し、フッ素化アルコール類、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)などの両親媒性有機溶媒によって溶液中に保たれる。この新たなPCT/HFIP抽出法で、ヒトまたは野生動物の生検組織などの貴重または希有な試料や、小細胞集団様の初期幹細胞培養物などの複製の困難な試料からの、タンパク質、脂質、および核酸の効率的な同時抽出が行える。この方法のもう一つの長所は、不均一な試料をより正確に分析できることである。タンパク質、脂質、および核酸分析用にそれぞれ試料を分ける必要がないため、試料中の成分の不均一な分布による人為的影響が排除できる。PCTによる試料破壊とHFIPでの抽出の組み合わせによって、酵素や洗剤を用いずに試料成分を溶解および分配し、多数の試料、不便で時間のかかる組織均質化法、または徹底的な抽出後クリーンアップを必要することなく、様々な種類の試料から効率的かつ容易に、脂質、タンパク質、RNA、およびDNAが抽出できる。つまり、この新たな方法は、使用できる材料の量が限られているために、転写プロフィールとタンパク質発現との相関、翻訳後タンパク質修飾および組織脂質組成物の分析が、以前は実行不可能と考えられていた、あるいは、試料(replicates)間の精密な比較を行うには個々の試料間のばらつきが大きすぎる、特異的な生物学的研究体系の実現に役立つと考えられる。
この新たな方法は、少量の貴重な試料だけでなく、多成分の精製を一度にできる便利な方法が求められているような、より大きな試料にも有益である。PCT/HFIPプロトコルは、大きな試料用に容易に拡張できるため、現在利用できる他の方法よりも多くの長所がある。250〜300mg/mlと、高い試料/溶媒比、場合によってはそれより高い試料/溶媒比で、HFIPを用いることができる。後の精製工程に沈殿反応が含まれる場合、希薄な溶液中での効率は常に低いため、高い試料/溶媒比が重要である。試料のタンパク質と脂質の大半をPCT/HFIP抽出した後、核酸を多く含む画分を、その後のRNAまたはDNA精製のための比較的少量の試薬に加えることができる。これにより、RNAおよびDNAを少ししか含まない大量の試料(例えば、土、ヨーグルト、皮膚など)から一層効率良く抽出ができると考えられる。
HFIPなどの両親媒性溶媒中での静水圧による抽出は、素早く細胞を破壊し、脂質を溶解し、タンパク質を溶解および変性する。減圧後の溶液中に核酸は残っておらず、試料抽出後に、不溶画分から回収することができる。更に、親油性の高いタンパク質の抽出に適した特徴的な条件により、この新たな方法で特異的に抽出された、いくつかのタンパク質種が、ゲル内トリプシン消化およびLC−MS/MSによって同定された。この新たな方法で抽出された脂質は、クロマトグラフィや酵素消化法などのクリーンアップおよび分離工程を更に行わずに、MALDI−TOF質量分析計を用いてそのまま分析できる。
(実施例12a)
[HFIP(PCT/HFIP)中での圧力媒介抽出後の各画分の分析]
RNAおよびタンパク質分散分析のため、約4×10個のPC12細胞を、PBSで1度洗い、0.9mlのHFIP中に懸濁させて、PULSE管へ移した。鉱油(0.5ml)を加えて、最終容量を1.4mlとした。各試料に圧力サイクルを20回かけた。各圧力サイクルは、35,000psiで20秒間、次に、大気圧で20秒間であった。PCT後、試料全体を、タンパク質用とRNA用の試料として均等に2つの管に分け、約12,000×gで15分間遠心して相を分けた。遠心後、無極性の上相の層を除いた。界面層を清浄な管に移し、短時間遠心して、溶媒の残りを吸引して除いた。溶媒相を清浄な管に移し、SpeedVac上で乾燥して溶媒を除いた。ペレットを短時間遠心して残留溶媒の吸引を促した。SDS−PAGEでタンパク質を可視化するため、ペレットと、界面と、乾燥した溶媒画分とを、50mM DTTを加えた1mlのLaemmli試料緩衝液に溶解した。RNAを単離するため、1mlのTRIZOL(登録商標)試薬を各画分に加えた後、細胞からRNAを抽出するための標準TRIZOL(登録商標)プロトコルを行った。
DNA分散分析では、200mgの冷凍マウス肝臓を、1.0mlのHFIPと250μlの鉱油を用いて、前述のように抽出した。試料を等量に分け、前述のように相を分けた。Qiagen DNEASY(登録商標)血液および組織キットを使用し、細胞からのDNAの抽出に関する製造者の指示に従って、一方の試料のペレット、界面、および乾燥溶媒画分からDNAを抽出した。
アガロースゲル電気泳動により、3つの画分からのRNAおよびDNA回収を比較した。3つ全ての画分からのタンパク質を、SDS−PAGEで分離した。タンパク質の大部分は可溶性相から回収された。Qubit分析で定量した核酸の回収量から、ペレットと界面とで、RNA、DNA両方の約90%を占めることが確認された。
ウシ脂肪組織をPCT/HFIPで抽出し、3つの画分に分けた。次に、脂質画分と不溶性画分とを再抽出して、更にタンパク質が回収されるかどうかを調べた。再抽出した試料をSDS−PAGEで可視化し、固体残分からは更に少量のタンパク質が回収できるが、脂質相からは検出できるほどのタンパク質は回収されないことを確認した。脂質相からタンパク質を再抽出するため、350mgのウシ脂肪組織を、鉱油を加えない1.05mlのHFIP中でPCTにより処理した。抽出および遠心後、溶媒相を除き、脂質相を清浄な試験管に移し、ペレットと界面を集めた。次に、ペレット/界面画分と脂質画分とを、新たなHFIPで再抽出し、12,000×gで10分間遠心した。溶媒を減圧下で蒸発させて除き、得られた試料をLaemmli試料緩衝液に溶解して、SDS−PAGEにかけた。
先の実験から、次のことが分かった。1)脂質層中には、検出されるほどの抽出可能なタンパク質はない。2)極性溶媒相は、試料タンパク質の大部分を含んでおり、RNAとDNAは痕跡程度であった。3)ペレットと界面の両方がRNAとDNAを含んでおり、ペレットは回収された核酸の約70%を含み、界面は約20%を含んでいる(残りの約10%は、蒸発後、溶媒相から回収できる)。
(実施例12b)
組織からゲノムDNAを抽出するための簡単で効果的な方法の多くは、タンパク質の十分な酵素消化により、無傷の(intact)DNAを放出するものである。我々は、HFIPとPCTにより、細胞または組織からタンパク質を抽出した後、核酸画分をDNA単離のために処理することができ、無傷のゲノムDNAを高収量で回収できることを示した。培養哺乳類細胞の試料からタンパク質を抽出した後、DNAを単離するため、DNEASY(登録商標)キット(Qiagen製)を用いて固体画分を処理し、DNEASY(登録商標)キットを用いて直接抽出した対照細胞と回収量を比較した。このプロトコルで最大のDNA収量を得るには、十分なプロテイナーゼK消化が必要なため、この方法は通常、無傷の組織タンパク質の回収には適さない。
タンパク質とDNAを抽出するため、等量の培養哺乳類細胞を、HFIP中で圧力循環により処理した。BAROCYCLER(登録商標)(NEP3229型またはNEP2320型)を用いて、各試料に、20回の圧力サイクルを加えた。各圧力サイクルは、高圧(35,000psi)で20秒間、次に、低(大気)圧で20秒間であった。タンパク質抽出物を乾燥し、IEF緩衝液に溶解して、2D−PAGEにかけた。次に、試料のDNAとRNAの大部分を含んでいるペレットと全ての固体界面層を、核酸抽出のため処理した。DNAの定量のための、QUANT−IT(商標)dsDNA BR分析キットを用い、Qubitフルオロメータ(Invitrogen製)で核酸回収量を測定した。
この結果、DNAが、多くの入手可能な試薬により、また手間のかかる試料の均質化も必要なく、固相から容易に抽出できることが分かった。更に、タンパク質の大部分は既に核酸画分から抽出されているため、抽出の際のDNA劣化の可能性も非常に低い。
冷凍マウス肝臓(23mg/試料)を前述のように処理した。遠心後、タンパク質相を乾燥し、SDS−PAGEにかけた。DNEASY(登録商標)キットを用いて、固相からDNAを抽出した。対照組織は、プロテイナーゼKで消化した後、製造者の指示に従って、DNEASY(登録商標)キットを用いてDNAを単離した。
細胞破壊とタンパク質抽出のためのPCT/HFIP法を、DNA精製のためのDNEASY(登録商標)キットと組み合わせると、細胞からのDNAとタンパク質の同時回収は非常に良い結果が得られた。更に、同じ逐次プロトコルが、肝臓組織からのタンパク質とDNAの抽出にうまく応用できた。タンパク質抽出物を、1Dまたは2D−PAGEで分析して、広範囲のタンパク質が、PCT/HFIP抽出物から回収されることを確認した。組み合わせ法を用いた、細胞培養物からのDNA回収は、プロテイナーゼK消化を用いたDNEASY(登録商標)対照と同程度であったが、組織試料からのDNA回収量は、対照から得たものの約30%であった(表3)。
(実施例12c)
[PCT/HFIPによるDNA抽出は、広範囲の試料量に適応可能]
PC12細胞を、遠心分離によりペレットとし、生理学的緩衝液中に懸濁させてカウントした。1×10〜5×10細胞の試料を、0.5〜1.0mlのHFIP(各試料の最終容量を、鉱油を加えて1.4mlに調節した)中、PCTで抽出した。35kpsiで20サイクル処理(高圧で20秒間、大気圧で20秒間)した後、試料を遠沈管に移し、約12,000×gで遠心して、相とペレット(DNAを含む不溶画分)とを分けた。DNEASY(登録商標)キット(Qiagen製)を用いてペレットからDNAを回収し、細胞数に応じたDNA回収量を、図4に示した。この結果から、PCT/HFIPによるDNA回収は、わずか1万細胞程の試料からでも有効であることが確認された。
(実施例12d)
[RNAとタンパク質との同時抽出のための、他の市販の方法と、PCT/HFIP法との比較]
PCT/HFIP、TRIZOL(登録商標)試薬(Invitrogen製)、ALLPREP(商標)RNA/タンパク質キット(Qiagen製)、およびPARIS(商標)キット(Ambion製)を用いて、PC12細胞(10細胞/試料)を処理した。
PCT/HFIP抽出のため、BAROCYCLER(登録商標)(NEP3229型またはNEP2320型)を用いて、20回の圧力サイクルを加えた。各圧力サイクルは、高圧(35,000psi)で20秒間、次に、低(大気)圧で20秒間であった。HFIP中でPCT抽出を行った後、タンパク質を含む溶媒相を乾燥し、試料緩衝液に溶解して、SDS−PAGE分析にかけた。ペレットと固体界面層を集め、RNA抽出のため、0.5mlのTRIZOL(登録商標)を加えて、標準TRIZOL(登録商標)プロトコルで抽出処理した。他の3つの試料は、製造者の指示に従って処理した。各試料からの等量のタンパク質抽出物を、SDS−PAGEで分離した。各RNA試料の最終容量は100μlであった。等量の各RNA試料をゲル上で泳動させて、RNAが分解されていないことを確認した。アガロースゲル上に、顕著な28Sおよび18SリボソームRNAバンドがあることから、4つの方法全てで抽出されたRNAは分解されていないことが確認された。全RNA回収量を、QUANT−IT(商標)RNA分析キットで測定した。
TRIZOL(登録商標)(主にRNAを抽出するよう設計された最適化試薬)は、優れたRNA回収量を示すが、有機相からのタンパク質の抽出とクリーンアップのための多段階プロトコルには時間がかかり、2回の沈殿工程と、3回の、300mM グアニジンHClを加えた95%エタノール中での30分間の洗浄と、最後に、TRIZOL(登録商標)試薬からフェノールと染料を除くための、エタノール中での20分間の洗浄が必要である。この徹底したクリーンアップにより、やや化学量論的な(sub-stoichiometric)in vitroタンパク質変性(N−末端、Lys)が起き、これは後に続くタンパク質の翻訳後修飾の定量分析を妨害するおそれがある。他の3つのキットは使用が簡単だが、AmbionのPARIS(商標)キットからのRNA回収量は、他の試薬のいずれよりも常に低かった(表4)。これは、試料の溶解後、溶解物の半分しかRNA抽出に用いられず、もう半分をタンパク質のために取り置いたためと考えられる。更に、処理を終えてからずっとタンパク質抽出物は塩と洗剤とを含む細胞破壊緩衝液中にあるため、透析や濾過などの追加のタンパク質クリーンアップ工程が必要である。Qiagenキットを用いたRNA回収量は、TRIZOL(登録商標)およびPCT/HFIPで得られたものと同程度であるが、カラムの結合能力が低いため、試料(10PC12細胞)を2本のカラムに分けなければならず、仕事量と各試料のコストが増える。また、RNAからタンパク質画分を分けるために用いられるALLPREP(商標)スピンカラムの性質のため、多くのタンパク質が結合RNA画分と共に残り、回収したタンパク質画分にはない。更に、ALLPREP(商標)プロトコルで集めたタンパク質画分は、SDS−PAGEに適さないRNA安定化緩衝液を含んでいるため、SDS−PAGE分析の前にタンパク質をアセトンで沈殿させなければならず、これは潜在的な損失につながる。
(実施例12e)
新たな方法を用いて回収したRNA画分が、ゲル上の28Sおよび18S RNAの存在によって示されたように、無傷であるだけでなく、無傷のmRNAも含み、またRT−PCRに適合することを確認するため、前述の4種のRNA試料を、βアクチンプライマを用いる、リアルタイム−RT−PCR増幅にかけた。PCT/HFIPでPC12細胞から抽出したRNA抽出物は、試験した3種の標準法と非常に良く一致し、試料が、予想濃度の増幅可能なmRNAを含んでいることを示している(表5)。
(実施例12f)
標準的なプロテオーム試料中では通常少なく見積もられる、いくつかの疎水性タンパク質を、PCT媒介液液抽出法が脱脂および可溶化する能力を示すため、2つの異なる抽出緩衝液を使用してネズミの白色脂肪組織を抽出し、次に2D−PAGE分離、ゲル内消化、LC−MS/MSによる分析を行って比較した。ネズミの腹部脂肪の2つの試料を、PCT/HFIP溶媒系、または洗剤を用いた抽出緩衝液(7M尿素、2Mチオ尿素、4%CHAPS)のいずれかを用い、同じ圧力循環条件下で処理した。
SDS−PAGEは、4〜12%のポリアクリルアミド勾配ゲル上で行った。2D−PAGE分離のため、トリブチルホスフィン/アクリルアミドによる同時還元およびアルキル化を行った。固定化したpH勾配ストリップ(pH3〜10)を試料で6時間水和した後、1万Vで10万V・時間、IEFを行った。全ての成形済電気泳動供給品およびCriterion垂直ゲル電気泳動装置は、Bio-Rad Laboratories(カリフォルニア州ハーキュリーズ)製であり、IsoelectrIQ一体化IEF装置は、Proteome Systems(マサチューセッツ州ウォバーン)製であった。ゲルをコロイド状CBBまたはSYPRO(登録商標)ルビーで染め、スキャンし、PDQuestソフトウェアで解析して、統計的有意差を持つ抽出のタンパク質を求めた。選択したゲルスポットを切り取り、通常のゲル内消化プロトコル26を用いて処理した。消化のため、シークエンシンググレードの変性ブタトリプシン(ウィスコンシン州マディソン、Promega製)を用いた。
タンパク質消化物(5〜10μl)を、C18固相抽出捕集カラム(内径300μm×5mm、カリフォルニア州、Dionex製)と、内径100μm×12cmのナノLC逆相自己充填フューズドシリカカラム(PicoFrit、内径8μmのプルドチップ(pulled tip)(マサチューセッツ州ウォバーン、New Objective, Inc.製)、固定相:Magic C18AQ、3μm、100オングストローム(カリフォルニア州オーバーン、Michrom Bioresources製))とを用い、0.1%ギ酸中アセトニトリルの直線勾配を用いて分離した。ナノエレクトロスプレにより、溶出液を、LTQ Orbitrap、または、LCQ Deca XP Plus質量分析計(カリフォルニア州サンホセ、Thermo Fisher Scientific製)に導入した。データ解析は、SEQUEST−SORCERER(商標)アルゴリズムを用い、SORCERER(商標)(カリフォルニア州サンホセ、Sage-N Research製)サーチエンジン上で行った。結合させた“forward”および“reverse”FASTAデータベースに対して検索を行った。同定結果をフィルタにかけ、タンパク質予測およびペプチド予測プラットフォームを用いて確認した。推定誤検出同定率(estimated false positive identification rate)を≦1%に調整して、タンパク質同定データの信頼性と感度のバランスを保った。
洗剤を用いて抽出した試料中にはなかった、あるいはごく微量であった、いくつかのタンパク質が、PCT/HFIPで抽出したマウス脂肪組織の2Dゲル上で確認された。このようなタンパク質としては、フェリチン軽鎖、アポリポタンパク質A1、スーパーオキシドジスムターゼ[Cu−Zn]、ペリリピン(タンパク質に結びついた脂質滴)、αエノラーゼ、および炭酸脱水酵素が挙げられる。
(実施例12g)
[圧力循環媒介HFIP抽出より得られた脂質画分の直接利用は、陽イオン化モードでDHBマトリックスを使用するMALDI−TOF分析に適合]
ラット脳組織から、前述のように、鉱油を加えたHFIPを使用し、PCTで脂質を抽出した。ウシ心膜脂肪は、鉱油を加えずに、PCT/HFIPで抽出した。2つの組織からの脂質相をMALDI−TOF分析にかけた。
PCT/HFIPで抽出した脂質画分は、クリーンアップ法(クロマトグラフィ、追加の抽出工程、または酵素消化など)を更に行う必要がなく、MALDI−TOF質量分析計による分析にそのまま使用できる。MALDI−TOFによる脂質相のリン脂質およびトリグリセリド分析は、次のような変更を加えて、前述と同様に行った。50%アセトニトリル/水に加えた0.5M 2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB)マトリックス溶液の2μlの液滴をMALDIターゲット上に置き、直後に、この液滴上に一定分量(0.5μl)の脂質相画分をスポットした。この試料塗布法は、有機溶媒中の脂質溶液の粘度と表面張力が非常に小さいために、MALDIターゲットの複数のスポット位置に液滴が広がってしまうのを防いだ。更に、結晶化するマトリックス混合物上に両親媒性溶媒を塗布すると、比較的均一なマトリックス/試料スポットができた。データは、陽イオン化モードで、ABI4700プロテオーム分析器(カリフォルニア州フォスターシティ、Applied Biosystems製)に集めた。
その結果は、新たな方法で抽出した脂質は、広範囲の脂質タイプを示し、また十分に純度が高く、更に精製工程を行うことなくそのまま分析できることを示している。2つの異なる組織から組織特有の脂質スペクトルが得られた。脳試料のリン脂質特性は、ラット脳抽出物中では明瞭であるが、ウシ脂肪組織の脂質組成物には認められなかった。
(実施例12h)
PCT/HFIP抽出法の有用性を更に示すため、5つの異なるラット組織から、タンパク質、RNA、およびDNAの逐次抽出を行った。
急速冷凍したラットの組織(264mgの腎臓、330mgの腹部脂肪体、310mgの肝臓、264mgの脳、200mgの心筋)を、それぞれ、1.0mlのHFIPと、150〜200μlの鉱油を用いて処理した。BAROCYCLER(登録商標)(NEP3229型またはNEP2320型)を用いて、それぞれの試料に、20回の圧力サイクルをかけた。各圧力サイクルは、高圧(35,000psi)で20秒間、次に、低(大気)圧で20秒間であった。PCTおよび遠心後、それぞれのタンパク質画分の10%量を、SDS−PAGE用に調製した。各試料からのペレットと界面画分を集め、0.5mlのTRIZOL(登録商標)に溶解し、十分にボルテックスにかけて、細胞からRNAおよびDNAを抽出するための標準TRIZOL(登録商標)プロトコルに従って処理した。
SDS−PAGEで分離したタンパク質含有画分は、各試料の組織特有のタンパク質パターンを明らかにした。アガロースゲル電気泳動から、28Sおよび18SリボソームRNAの存在が示すように、RNAは無傷であることが確認された。固相からRNAおよびDNAを単離するためのTRIZOL(登録商標)プロトコルを用いて、PCT/HFIPによるタンパク質の抽出後に、ゲノムDNAと無傷の全RNAの両方を単離できることを確認した(表6)。
この結果から、PCT/HFIP媒介組織破壊および抽出により、様々な組織から、タンパク質、無傷のRNA、およびゲノムDNAを効率的に回収できることが確認された。
本発明の多くの実施の形態を述べたが、本発明の意図および範囲から外れることなく、様々な変形が行えることは理解されよう。

Claims (83)

  1. 複数の成分から着目成分を抽出する方法であって、
    前記方法は、
    複数の成分と少なくとも2つの液相とを含む混合物を調製する工程であって、前記複数成分は着目成分を含み、前記混合物は第1の静水圧にある工程と、
    前記混合物に第2の静水圧をかける工程であって、前記第2静水圧は前記第1静水圧より大きく、これにより更なる液相が生じる工程と、
    前記第2静水圧から圧力を下げることにより、前記着目成分を前記複数成分から抽出する工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記複数成分は、様々な疎水性を備えた成分を含むことを特徴とする方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、前記複数成分は、少なくとも2つの液相の1つの相を含むことを特徴とする方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、前記複数成分の1つの成分は、前記の少なくとも2つの液相の1つの液相に可溶であることを特徴とする方法。
  5. 請求項1に記載の方法であって、前記着目成分はタンパク質であることを特徴とする方法。
  6. 請求項5に記載の方法であって、前記タンパク質の立体配座は、抽出の間、または抽出後に変化することを特徴とする方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、前記の少なくとも2つの液相は、前記第1静水圧において混和しないことを特徴とする方法。
  8. 請求項1に記載の方法であって、前記の少なくとも2つの液相は、前記第2静水圧において混和することを特徴とする方法。
  9. 請求項1に記載の方法であって、前記の少なくとも2つの液相は、前記第1静水圧において可溶でないことを特徴とする方法。
  10. 請求項1に記載の方法であって、前記の少なくとも2つの液相は、前記第2静水圧において部分的に可溶であることを特徴とする方法。
  11. 請求項1に記載の方法であって、前記の少なくとも2つの液相は、前記第2静水圧において完全に可溶であることを特徴とする方法。
  12. 請求項1に記載の方法であって、前記第2静水圧は、前記第1静水圧に等しい、第3の静水圧に下げられることを特徴とする方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、前記混合物には、第4の圧力がかけられ、前記第4圧力は、前記第1、第2、または第3圧力より大きいことを特徴とする方法。
  14. 請求項1に記載の方法であって、前記第2静水圧は、第3の静水圧に下げられ、前記第3圧力は、前記第1静水圧より大きいことを特徴とする方法。
  15. 請求項14に記載の方法であって、前記混合物には、第4の圧力がかけられ、前記第4圧力は、前記第1、第2、または第3圧力より大きいことを特徴とする方法。
  16. 請求項1に記載の方法であって、前記第2静水圧は、第3の静水圧に下げられ、前記第3圧力は、前記第1静水圧より小さいことを特徴とする方法。
  17. 請求項16に記載の方法であって、前記混合物には、第4の圧力がかけられ、前記第4圧力は、前記第1、第2、または第3圧力より大きいことを特徴とする方法。
  18. 請求項1に記載の方法であって、前記第2静水圧から圧力を下げると、少なくとも2つの液相は個々の相に分かれ、前記着目成分は、前記の少なくとも2つの液相の一方に分配されることを特徴とする方法。
  19. 請求項1に記載の方法であって、前記混合物には、第1、第2、第3、または第4圧力がかけられ、前記第4圧力は、前記第1、第2、または第3圧力より大きいことを特徴とする方法。
  20. 請求項19に記載の方法であって、前記混合物は、試薬を含む2次容器を含み、前記第4静水圧をかけて前記2次容器の内身を放出させ、これにより前記試薬を前記混合物に加えることを特徴とする方法。
  21. 請求項1に記載の方法であって、前記複数成分は、前記着目成分を殆ど含まない液相に分配されることを特徴とする方法。
  22. 請求項1に記載の方法であって、前記着目成分を前記液相から単離する工程を更に含むことを特徴とする方法。
  23. 請求項1に記載の方法であって、前記の抽出された着目成分は、後続プロセスにそのまま使用できることを特徴とする方法。
  24. 請求項1に記載の方法であって、前記複数成分は、コロイドを含むことを特徴とする方法。
  25. 請求項24に記載の方法であって、前記複数成分は、エマルションを含むことを特徴とする方法。
  26. 請求項1に記載の方法であって、前記着目成分は、多糖、ポリフェノール、ビタミン、毒素、汚染物質、脂質、糖脂質、ステロイド、膜、細菌封入体中に存在する成分、抗原、ウイルス、薬学試剤、代謝産物、薬物、薬物代謝産物、染料、食品成分、ナノ粒子配合物、脂質ラフト、アミロイド斑、微小管、細胞質ゾル、または特定の細胞型であることを特徴とする方法。
  27. 請求項1に記載の方法であって、前記着目成分は、核酸であることを特徴とする方法。
  28. 請求項1に記載の方法であって、前記着目成分は、ウイルスまたは細菌であることを特徴とする方法。
  29. 請求項1に記載の方法であって、前記着目成分は、農薬であることを特徴とする方法。
  30. 請求項1に記載の方法であって、前記着目成分は、疎水性であることを特徴とする方法。
  31. 請求項1に記載の方法であって、前記着目成分は、親水性であることを特徴とする方法。
  32. 請求項1に記載の方法であって、前記着目成分は、両親媒性であることを特徴とする方法。
  33. 請求項1に記載の方法であって、複数の着目成分は、複数の成分から抽出されることを特徴とする方法。
  34. 請求項33に記載の方法であって、前記の複数の着目成分は、核酸およびタンパク質を含むことを特徴とする方法。
  35. 請求項1に記載の方法であって、前記複数成分は、細胞、オルガネラ、膜、または生体試料を含むことを特徴とする方法。
  36. 請求項1に記載の方法であって、前記複数成分は、生体起源のものであることを特徴とする方法。
  37. 請求項36に記載の方法であって、生体起源の前記複数成分は、動物、真菌、細菌、ウイルス、または植物から得たものであることを特徴とする方法。
  38. 請求項1に記載の方法であって、前記複数成分は、エマルションを含むことを特徴とする方法。
  39. 請求項1に記載の方法であって、前記複数成分は、合成物であることを特徴とする方法。
  40. 請求項1に記載の方法であって、前記第2圧力は、第3の圧力に下げられ、前記複数成分は、圧力サイクルに曝され、前記第1、第2、および第3静水圧は、圧力サイクルを構成することを特徴とする方法。
  41. 請求項40に記載の方法であって、前記混合物は、繰り返される圧力サイクルに曝されることを特徴とする方法。
  42. 請求項41に記載の方法であって、前記混合物は、約1から約1000回の圧力サイクルに曝されることを特徴とする方法。
  43. 請求項42に記載の方法であって、前記第3静水圧は、前記第1静水圧より小さいことを特徴とする方法。
  44. 請求項43に記載の方法であって、前記第3静水圧は、前記第1静水圧に等しいことを特徴とする方法。
  45. 請求項44に記載の方法であって、前記第3静水圧は、前記第1静水圧より大きいことを特徴とする方法。
  46. 請求項1に記載の方法であって、前記第1静水圧は、約0.1MPaから約1,000MPaであることを特徴とする方法。
  47. 請求項1に記載の方法であって、前記第2静水圧は、最大約1,000MPaまでであることを特徴とする方法。
  48. 請求項1に記載の方法であって、前記第2静水圧は、約100kPaから約1,000MPaであることを特徴とする方法。
  49. 請求項1に記載の方法であって、前記第1静水圧と前記第2静水圧との圧力差は、約10kPaから1GPaであることを特徴とする方法。
  50. 請求項1に記載の方法であって、前記方法は、約−40℃から約+100℃の温度で行われることを特徴とする方法。
  51. 請求項1に記載の方法であって、前記圧力は、液圧または空気圧であることを特徴とする方法。
  52. 請求項1に記載の方法であって、前記複数液相は、共沸混合物を含むことを特徴とする方法。
  53. 請求項1に記載の方法であって、前記複数液相は、様々な特定の割合の様々な液体から成る混合物を含むことを特徴とする方法。
  54. 請求項1に記載の方法であって、前記複数液相は、二相性であることを特徴とする方法。
  55. 請求項1に記載の方法であって、前記複数液相は、三相性であることを特徴とする方法。
  56. 請求項1に記載の方法であって、前記複数液相は、水性溶媒を含むことを特徴とする方法。
  57. 請求項1に記載の方法であって、前記複数液相は、有機溶媒を含むことを特徴とする方法。
  58. 請求項1に記載の方法であって、前記複数液相は、クロロホルム、テトラクロロエチレン、アルコール、水、脂肪族炭化水素、アセトニトリル、ギ酸、トリフルオロ酢酸、グリセロール、脂質、ハロカーボン、洗浄剤、緩衝液、カオトロピック塩、またはこれらの混合物を含むことを特徴とする方法。
  59. 請求項1に記載の方法であって、前記複数成分は、1つの液相または複数の液相を生成することを特徴とする方法。
  60. 請求項59に記載の方法であって、前記液相は、脂質、有機溶媒、水性緩衝液、エマルション、または固体粒子懸濁液であることを特徴とする方法。
  61. 請求項59に記載の方法であって、前記液相は、静水圧下で固相から生成することを特徴とする方法。
  62. 請求項1に記載の方法であって、前記方法は、低張塩濃度で行われることを特徴とする方法。
  63. 請求項1に記載の方法であって、前記方法は、高張塩濃度で行われることを特徴とする方法。
  64. 請求項1に記載の方法であって、前記方法は、高張塩濃度で行われることを特徴とする方法。
  65. 請求項1に記載の方法であって、前記混合物は、洗剤を含むことを特徴とする方法。
  66. 請求項1に記載の方法であって、前記混合物は、緩衝剤を含むことを特徴とする方法。
  67. 請求項1に記載の方法であって、タンパク質は、生体膜から抽出されることを特徴とする方法。
  68. 請求項1に記載の方法であって、タンパク質は、脂質相から抽出されることを特徴とする方法。
  69. 請求項1に記載の方法であって、成分は、塗料から抽出されることを特徴とする方法。
  70. 請求項1に記載の方法であって、成分は、土から抽出されることを特徴とする方法。
  71. 請求項1に記載の方法であって、成分は、固体粒子の懸濁液から抽出されることを特徴とする方法。
  72. 請求項1に記載の方法であって、前記複数成分は、エマルションを含むことを特徴とする方法。
  73. 請求項1に記載の方法であって、前記複数成分は、脂質、あるいは、脂質または脂質混合物に1つまたは複数の成分を加えた溶液を含むことを特徴とする方法。
  74. 請求項73に記載の方法であって、前記複数成分は、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質、糖脂質、ステロイド、ビタミン、薬物、または薬物代謝産物を更に含むことを特徴とする方法。
  75. 請求項74に記載の方法であって、前記複数成分は、細胞または単細胞生物を含むことを特徴とする方法。
  76. 請求項1に記載の方法であって、前記の少なくとも2つの液相は、前記第1圧力において相互溶解性に乏しく、前記の少なくとも2つの液相は分画されており、
    前記混合物に前記第2圧力をかけて、前記の少なくとも2つの液相の相互溶解性を高めることにより、相互溶解性に乏しい前記の少なくとも2つの液相を混合して、準安定混合物を生成し、
    前記第2圧力から圧力を下げることにより、前記の少なくとも2つの液相の溶解性を下げ、前記複数液相を画分に分かれさせて、前記複数液相の間で前記成分を分配させることを特徴とする方法。
  77. 複数の液相の間で複数の成分を分配させる方法であって、
    前記方法は、
    混合物を調製する工程であって、前記混合物は、複数の成分と複数の液相とを含み、前記複数液相は、周囲圧力において相互溶解性に乏しく、前記複数液相は分画されている工程と、
    前記混合物に高めた圧力をかける工程であって、前記の高めた圧力が、前記複数液相の相互溶解性を高めることにより、相互溶解性に乏しい前記複数液相を混合して、準安定混合物を生成する工程と、
    前記混合物の圧力を下げることにより、前記液相の溶解性を下げ、前記複数液相を画分に分かれさせて、前記複数液相の間で前記成分を分配させる工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  78. 請求項77に記載の方法であって、前記複数液相は、周囲温度において相互溶解性に乏しいことを特徴とする方法。
  79. 複数の成分から着目成分を抽出する方法であって、
    前記方法は、
    複数の成分と少なくとも2つの液相とを含む混合物を調製する工程であって、前記複数成分は着目成分を含む工程と、
    前記混合物を溶媒に曝す工程であって、前記溶媒が着目成分を抽出することにより、前記着目成分が前記複数成分から抽出される工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
  80. 請求項79に記載の方法であって、前記溶媒は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)を含むことを特徴とする方法。
  81. 請求項79に記載の方法であって、前記方法は、前記混合物を圧力変化に曝す工程を更に含むことを特徴とする方法。
  82. 請求項79に記載の方法であって、前記方法は、前記混合物を機械的処理ステップにかける工程を更に含むことを特徴とする方法。
  83. 請求項82に記載の方法であって、前記機械的処理ステップは、ホモジナイズ、ボルテックス処理、超音波処理、ピペット処理、剪断、粉砕、震盪、混和、混合、ハンマリング、またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする方法。
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