JP2010525328A - 細胞表面グリコシル化に関連する方法 - Google Patents

細胞表面グリコシル化に関連する方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、細胞の細胞表面グリカンを分析することにより、細胞が産生する標的糖タンパク質のグリコシル化を評価するための方法を提供するものである。したがって、本開示は、細胞表面タンパク質のグリコシル化が他のタンパク質のグリコシル化の代用となり得ることを教示するものである。本開示は、ひとつには、細胞によって産生されるタンパク質のグリコシル化に反映される形で、細胞の状態に関する情報を細胞表面グリカンによって得られるという認識に基づくものである。特に、細胞から産生される(かつ任意に分泌される)糖タンパク質のグリコシル化状態に関する情報を細胞表面グリカンによって得られることができることが見いだされている。よって、標的タンパク質のグリコシル化状態に関する情報を得るために、これを細胞から単離する必要がない。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2007年4月16日に出願された米国仮特許出願第60/923,655号の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本明細書に援用する。
糖タンパク質のグリコシル化パターンが、その糖タンパク質の機能に重要な役割を果たすことは多い。いくつかの例をあげると、糖タンパク質のグリコシル化パターンは、糖タンパク質の正しい折りたたみをする機能、安定性(タンパク質分解および/または他の分解に対する耐性など)、触媒活性、薬力学的特性および/または薬物動態学的特性および/またはその糖タンパク質が他の分子と適切に相互作用する機能に影響することがある。上記の他にまたは上記に加えて、糖タンパク質のグリコシル化パターンが糖タンパク質の輸送および標的に影響する可能性もある。たとえば、糖タンパク質のグリコシル化パターンは、糖タンパク質が細胞内にとどまるか(糖タンパク質を適切な細胞内区画に正しく標的することなどを含む)否か、糖タンパク質が膜結合されるか否かおよび/または糖タンパク質が細胞から分泌されるか否かに影響することがある。このような理由で、糖タンパク質のグリコシル化パターンを同定および/または特性決定できるようにすることは重要である。
本開示は、ひとつには、細胞によって産生されるタンパク質のグリコシル化に反映される形で、細胞の状態に関する情報を細胞表面グリカンによって得られるという認識に基づくものである。特に、細胞から産生される(かつ任意に分泌される)糖タンパク質のグリコシル化状態に関する情報を細胞表面グリカンによって得られることができることが見いだされている。よって、標的タンパク質のグリコシル化状態に関する情報を得るために、これを細胞から単離する必要がない。むしろ、細胞表面での1種類以上のタンパク質または脂質のグリコシル化を評価して、標的タンパク質のグリコシル化の1つ以上の態様を間接的に明らかにすることができる。これによって、標的タンパク質のグリコシル化の分析を単純化かつ容易にすることができる。
とりわけ、本開示は、少なくとも1つの標的糖タンパク質を産生する細胞で細胞表面グリカンを分析する方法を提供するものである。細胞表面グリカンを検出することで、標的糖タンパク質でのグリコシル化の検出に代えることができる(すなわち、検出されたグリカンが標的糖タンパク質上にないか標的糖タンパク質由来ではない)。多くの実施形態において、標的糖タンパク質は非細胞表面糖タンパク質である。たとえば、標的糖タンパク質は可溶または細胞から分泌される。このような実施形態では、細胞表面グリカンを検出することで、産生された非細胞表面糖タンパク質での特定のグリカン構造の判定に代えることができる。
特定の実施形態では、本開示は、目的の糖タンパク質を産生する細胞(非細胞表面糖タンパク質または関連のグリカンが直接的に分析される以外の他の糖タンパク質など)を、目的の糖タンパク質の発現を可能にする条件下で培養した後、目的の糖タンパク質の一部ではない細胞表面グリカンのグリコシル化を検出する1種類以上の試薬と接触させる方法を提供するものである。一般に、このような方法には、目的の糖タンパク質を単離するステップが含まれない。さらに、多くの実施形態において、これらのステップには、目的の糖タンパク質の直接的な分析が含まれない。よって、このような実施形態では、細胞表面グリカンの分析を、標的糖タンパク質のグリコシル化を評価するための代用として用いるのである。
本開示のいくつかの実施形態では、関連の細胞がCHO細胞などの哺乳類細胞である。本開示のいくつかの実施形態では、標的糖タンパク質が治療用糖タンパク質である。いくつかの実施形態では、標的糖タンパク質が抗体または抗体フラグメントを含む。
いくつかの態様では、本開示は、細胞の細胞表面グリカン(細胞の表面における糖タンパク質または糖脂質の細胞表面グリカンなど)の特性を評価することで、細胞によって産生される糖タンパク質のグリコシル化の特性を同定する方法を提供するものである。他の態様では、細胞表面グリカンの特性は、より一般的には、細胞から糖タンパク質産物を産生するためのプロセスなど、細胞培養のプロセスなどにおいて、細胞の生存度、形態、密度または他の特性などの細胞の状態(プロセス条件が変わることで影響を受ける場合もある)と相関し得るものである。よって、本開示の実施形態は、多岐にわたる、異なった状況に利用できるものであり、とりわけ、
(a)治療用糖タンパク質産物などの糖タンパク質産物のグリコシル化の特徴を評価または予測する、
(b)糖タンパク質産物を生成するためのプロセスの1つ以上のステップで糖タンパク質産物の品質(グリカン構造など)を監視する、
(c)糖タンパク質産物を生成するためのプロセスにおけるプロセス条件の変化を検出する、
(d)(比較目的などで)糖タンパク質調製物の異なるバッチに関する情報を提供する、
(e)(比較目的などで)糖タンパク質産物を生成するためのプロセスの異なるステップで細胞の状態または糖タンパク質産物の状態に関する情報を提供する、
(f)(比較目的などで)糖タンパク質産物を生成するための複数のプロセスの同一のステップで細胞の状態または糖タンパク質産物の状態に関する情報を提供する、および/または
(g)(比較目的などで)同様または同一の条件下で増殖させた2つ以上の細胞または細胞集団(最初の細胞集団から選択された単一の細胞に由来するクローン集合体など)によって産生される糖タンパク質産物のグリコシル化の特徴に関する情報を提供する目的で、細胞表面グリカンを評価することが可能である。
グルコサミン補充量を増加した場合としない場合について、細胞培養液で産生された発現非細胞表面抗体糖タンパク質のコアフコシル化レベルを示す。 グルコサミン補充量を増加した場合としない場合について、細胞培養液で産生された細胞表面糖タンパク質のコアフコシル化レベルを示す。 対照培地(図3A)またはグルコサミン濃度を高めた培地(図3B)で増殖させた細胞表面糖タンパク質のグリカン構造を示す。 対照培地(図3A)またはグルコサミン濃度を高めた培地(図3B)で増殖させた細胞表面糖タンパク質のグリカン構造を示す。 発現(非細胞表面)組換え抗体および細胞表面糖タンパク質のシアル酸濃度の液体クロマトグラフィ分析を示す。 N−アセチルマンノサミン濃度を高めた場合と高めない場合について、細胞培養液で産生された発現抗体糖タンパク質のシアル酸濃度を、DMB標識およびHPLCで測定した値で示す。 N−アセチルマンノサミン濃度を高めた場合と高めない場合について、細胞培養液における細胞表面糖タンパク質のシアル酸濃度を、DMB標識およびHPLCで測定した値で示す。 N−アセチルマンノサミン濃度を高めた場合と高めない場合について、細胞培養液で産生された細胞表面糖タンパク質のシアル酸濃度を、シアル酸特異的レクチン結合およびフローサイトメトリーで測定した値で示す。 細胞表面グリカンの陰イオン交換クロマトグラフィで求めた細胞表面シアル酸含有量を示す。中性(NA2F)、モノシアリル化(A1)、ジシアリル化(A2)またはトリシアリル化(A3)標準の遊走を上側のクロマトグラムに示す。下側のクロマトグラムには、CHO細胞の細胞表面グリカンで得られる代表的なデータと相対比率を示す。
定義
およそ、約、だいたい:本明細書で使用する場合、1以上の目的の値に適用される「およそ」、「約」または「だいたい」という表現は、明記された参照値に近い値を示す。特定の実施形態では、「およそ」、「約」または「だいたい」という表現は、明記された参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満以内に入る値の範囲を示す。
生物学的試料:「生物学的試料」という用語は、本明細書で使用する場合、組織培養、バイオリアクター試料、人間または動物の組織、植物、果物、野菜、単細胞微生物(細菌および酵母など)、多細胞生物を含むがこれに限定されるものではない、何らかの生きた細胞または生物体から得られる、排泄される、あるいは分泌される、あらゆる固体試料または流体試料を示す。たとえば、生物学的試料は、血液、血漿、血清、尿、胆汁、精液、脳脊髄液、房水または硝子体液などから得られる生物流体あるいは、分泌液、浸出液、滲出液(膿瘍または他の任意の感染部位または炎症部位から得られる流体など)または関節(正常な関節またはリウマチ性関節炎、変形性関節炎、痛風性関節炎または敗血症性関節炎などの疾患に羅患した関節)から得られる流体であってもよい。また、生物学的試料は、臓器または組織(生検組織または剖検標本を含む)から得られる試料などであってもよく、細胞(一次細胞であるか培養細胞であるかを問わない)、細胞または組織または臓器で調節した培地、組織培養を含むものであってもよい。
細胞表面糖タンパク質:本明細書で使用する場合、「細胞表面糖タンパク質」という用語は、少なくとも一部が細胞の外面に存在する糖タンパク質を示す。いくつかの実施形態では、細胞表面糖タンパク質は、グリカン構造の少なくとも1つが細胞の外面に存在するように細胞表面に位置するタンパク質である。
細胞表面グリカン:「細胞表面グリカン」とは、細胞の外面に存在するグリカンである。本開示の多くの実施形態では、細胞表面グリカンは、細胞表面糖タンパク質の一部としてポリペプチドに共有結合される。細胞表面グリカンは、細胞膜脂質にも結合可能である。
相関:「相関」という表現は、本明細書で使用する場合、2つの事柄の間に予測可能な関係が確立されることを示す。本明細書に記載の実施形態では、細胞表面でのグリコシル化パターン(またはその特徴)が、その細胞によって産生される標的複合糖質(糖タンパク質など)のグリコシル化パターン(またはその特徴)と相関している。相関したパターン(または特徴)は、一方から他方を予測できさえすれば必ずしも互いに同一である必要はない。相関が確立されると、これをたとえば文書記録に残すことが可能であり、あるいは、媒体またはメモリソース(コンピュータ読み取り可能な媒体またはコンピュータメモリバンクまたはディスクなど)に保存することも可能である。この場合、相関したグリコシル化パターン(またはその特徴)の検出には、書きとめた記録または保存した記録あるいは比較器実験を参照して、相関を確認するなどしてもよい。このような比較器実験は、グリコシル化パターン(またはその特徴)の評価と同時に実施してもよいし、履歴的な実験であっても将来の実験であってもよい。
グリカン:当該技術分野において周知のように、かつ本明細書で使用する場合、「グリカン」とは糖である。グリカンは、糖残基のモノマーまたはポリマーであってもよいが、一般に少なくとも3つの糖を含み得るものであり、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。グリカンには、天然の糖残基(ブドウ糖、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルノイラミン酸、ガラクトース、マンノース、フコース、ヘキソース、アラビノース、リボース、キシロースなど)および/または修飾糖(2’−フルオロリボース、2’−デオキシリボース、ホスホマンノース、6’スルホN−アセチルグルコサミンなど)を含むこともある。「グリカン」という用語は、糖残基のホモポリマーおよびヘテロポリマーを含む。「グリカン」という用語はまた、(糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカンなどの)複合糖質のグリカン成分も包含する。この用語はまた、複合糖質から切断されたか、そうでなければ放出されたグリカンをはじめとする、遊離グリカンも包含する。
グリカン調製物:「グリカン調製物」という用語は、本明細書で使用する場合、特定の製造方法で得られる一組のグリカンを示す。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、糖タンパク質調製物(下記の糖タンパク質調製物の定義を参照のこと)から得られる一組のグリカンを示す。
複合糖質:「複合糖質」という用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つの糖部分が、少なくとも1つの他の部分に共有結合されたあらゆる分子を包含する。この用語は、たとえば、N−結合型糖タンパク質、O−結合型糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカンなどをはじめとする、共有結合付加された糖部分を有するあらゆる生体分子を明確に包含する。
糖型:「糖型」という用語は、本明細書では、複合糖質の特定の形態を示すものとして用いられる。すなわち、複合糖質の一部である同じ骨格部分(ポリペプチド、脂質など)が、異なるグリカンまたは一組のグリカンに結合できる可能性を持つ場合、複合糖質の異なる形態(すなわち、骨格が特定の一組のグリカンに結合している)それぞれを「糖型」と呼ぶ。
糖脂質:「糖脂質」という用語は、本明細書で使用する場合、1つ以上の共有結合した糖部分(すなわちグリカン)を含む脂質を示す。糖部分は、単糖、二糖、オリゴ糖および/または多糖の形であってもよい。糖部分は、糖残基の単一の非分岐鎖を含むものであってもよいし、1つ以上の分岐鎖で構成されるものであってもよい。特定の実施形態では、糖部分が、硫酸基および/またはリン酸基を含むものであってもよい。特定の実施形態では、糖タンパク質がO−結合型糖部分を含有する。特定の実施形態では、糖タンパク質がN−結合型糖部分を含有する。
糖タンパク質:本明細書で使用する場合、「糖タンパク質」という用語は、1つ以上の糖部分(すなわちグリカン)に共有結合されたペプチド骨格を有するタンパク質を示す。当業者であれば理解できるように、ペプチド骨格は一般に、アミノ酸残基の直鎖を含む。特定の実施形態では、ペプチド骨格が、膜貫通部分と細胞外部分とを含むように細胞膜にまでおよぶ。特定の実施形態では、細胞膜にまでおよぶ糖タンパク質のペプチド骨格が、細胞内部分、膜貫通部分および細胞外部分を含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、プロテアーゼで細胞表面糖タンパク質を切断し、糖タンパク質の細胞外部分またはその一部を遊離させることを含み、当該曝露では細胞膜を実質的に破壊しない。糖部分は、単糖、二糖、オリゴ糖および/または多糖の形であってもよい。糖部分は、糖残基の単一の非分岐鎖を含むものであってもよいし、1つ以上の分岐鎖を含むものであってもよい。特定の実施形態では、糖部分は、硫酸基および/またはリン酸基を含むものであってもよい。上記の他にまたは上記に加えて、糖部分は、アセチル、グリコリル、プロピルまたは他のアルキル修飾を含むものであってもよい。特定の実施形態では、糖タンパク質がO−結合型糖部分を有する。特定の実施形態では、糖タンパク質がN−結合型糖部分を有する。特定の実施形態では、本明細書に開示の方法が、細胞表面糖タンパク質、細胞表面糖タンパク質の遊離フラグメント(糖ペプチドなど)、細胞表面糖タンパク質に結合した細胞表面グリカン、細胞表面糖タンパク質のペプチド骨格、このような糖タンパク質、グリカンおよび/またはペプチド骨格のフラグメント、およびこれらの組み合わせのうちのいずれかまたはすべてを分析するステップを含む。
糖タンパク質調製物:「糖タンパク質調製物」とは、この用語を本明細書で使用する場合、各々が少なくとも1つのグリコシル化部と共有結合した少なくとも1つのグリカンと特定のアミノ酸配列(このアミノ酸配列は少なくとも1つのグリコシル化部位を含む)を有するポリペプチドを含む個々の糖タンパク質分子の組を示す。糖タンパク質調製物中の特定の糖タンパク質の個々の分子は一般に、同じアミノ酸配列を有するが、少なくとも1つのグリコシル化部位の占有率および/または少なくとも1つのグリコシル化部位に結合されたグリカンのアイデンティティが異なっていてもよい。すなわち、糖タンパク質調製物は、特定の糖タンパク質の糖型を1つだけ含むものであってもよいが、より一般には複数の糖型を含む。同じ糖タンパク質の異なる調製物同士で、存在する糖型のアイデンティティが異なる(1つの調製物に存在する糖型が他の糖型には存在しなくてもよい)および/または異なる糖型の相対量が異なっていてもよい。
グリコシダーゼ:「グリコシダーゼ」という用語は、本明細書で使用する場合、グリカンにおける連続した糖と糖との間または糖と骨格部分との間(糖と糖タンパク質のペプチド骨格との間など)の共有結合を切断する作用剤を示す。いくつかの実施形態では、グリコシダーゼが酵素である。特定の実施形態では、グリコシダーゼが、1つ以上のポリペプチド鎖を含むタンパク質(タンパク質酵素など)である。特定の実施形態では、グリコシダーゼが化学的な切断剤である。
グリコシル化パターン:本明細書で使用する場合、「グリコシル化パターン」という用語は、特定の試料に存在する一組のグリカン構造を示す。たとえば、特定の複合糖質(糖タンパク質など)または一組の複合糖質(一組の糖タンパク質など)がグリコシル化パターンを持つことになる。いくつかの実施形態では、細胞表面グリカンのグリコシル化パターンすなわち「表面グリコシル化パターン」に言及する。本明細書で使用する場合、「表面グリコシル化パターン」は、目的の単一の細胞表面糖タンパク質および/または糖脂質の細胞外ドメインに存在するグリカンのパターン(または「グリコシル化パターン」)を示すこともある。それに加えてあるいはその代わりに、「表面グリコシル化パターン」が、複数の細胞表面糖タンパク質および/または糖脂質の細胞外ドメインに存在するグリカンのパターン(または「グリコシル化パターン」)を示すこともある。特定の実施形態では、「表面グリコシル化パターン(pattnern)」とは、細胞表面糖タンパク質および/または糖脂質の相補体全体に存在するグリカンのパターン(または「グリコシル化パターン」)を説明するものである。文脈に応じて、「表面グリコシル化パターン」が、単一の細胞表面糖タンパク質および/または糖脂質のグリコシル化パターンを示すのか複数の細胞表面糖タンパク質および/または糖脂質のグリコシル化パターンを示すのかは、当業者であれば容易に理解できよう。グリコシル化パターンは、たとえば、グリカンのアイデンティティ、個々のグリカンまたは特定タイプのグリカンの量(絶対量または相対量)、グリコシル化部位の占有度など、あるいはこれらのパラメータの組み合わせによって特性決定可能なものである。
N−グリカン:「N−グリカン」という用語は、本明細書で使用する場合、複合糖質から放出されたが、それまでは窒素結合によって複合糖質に結合されていた糖のポリマーを示す(下記のN−結合型グリカンの定義を参照のこと)。
N−結合型グリカン:N−結合型グリカンとは、窒素結合によって複合糖質に結合されたグリカンである。種々雑多なN−結合型グリカンが存在するが、これらは一般に共通の五糖コア(Man)(GlcNAc)(GlcNAc)をベースにしている。
O−グリカン:「O−グリカン」という用語は、本明細書で使用する場合、複合糖質から放出されたが、それまでは酸素結合によって複合糖質に結合されていた糖のポリマーを示す(下記のO−結合型グリカンの定義を参照のこと)。
O−結合型グリカン:O−結合型グリカンとは、酸素結合によって複合糖質に結合されたグリカンである。O−結合型グリカンは一般に、L−セリン(Ser)またはL−トレオニン(Thr)の水酸基に対するN−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc)またはN−アセチル−D−グルコサミン(GlcNAc)を介して糖タンパク質に結合されている。O−結合型グリカンの中にはアセチル化および硫酸化などの修飾を有するものもある。場合によっては、O−結合型グリカンは、L−セリン(Ser)またはL−トレオニン(Thr)の水酸基に対するフコースまたはマンノースを介して糖タンパク質に結合されている。
リン酸化:本明細書で使用する場合、「リン酸化」という用語は、分子(グリカンなど)に1つ以上のリン酸基を共有結合するプロセスを示す。
プロテアーゼ:「プロテアーゼ」という用語は、本明細書で使用する場合、ポリペプチド鎖における連続したアミノ酸の間にあるペプチド結合を切断する作用剤を示す。いくつかの実施形態では、プロテアーゼが酵素(すなわちタンパク質分解酵素)である。特定の実施形態では、プロテアーゼが、1つ以上のポリペプチド鎖を含むタンパク質(タンパク質酵素など)である。特定の実施形態では、プロテアーゼが化学的な切断剤である。
タンパク質:通常、「タンパク質」とは、ポリペプチド(すなわちペプチド結合によって互いに結合された少なくとも2つの連続したアミノ酸)である。タンパク質は、アミノ酸以外の部分を含むものであってもよい(糖タンパク質であってもよい)および/または加工または修飾されたものであってもよい。細胞(シグナル配列の有無を問わない)によって産生されれば「タンパク質」が完全なポリペプチド鎖あるいはその機能的部分であってもよいことは、当業者であれば理解できよう。また、タンパク質には、たとえば1つ以上のジスルフィド結合で結合されるか、他の手段で会合された2つ以上のポリペプチド鎖が含まれる場合もあることは、当業者であれば理解できよう。
シアル酸:「シアル酸」という用語は、本明細書で使用する場合、9炭素の単糖であるノイラミン酸のN−置換誘導体またはO−置換誘導体の総称である。ノイラミン酸のアミノ基には一般に、シアル酸のアセチル基またはグリコリル基を運搬する。シアル酸のヒドロキシル置換基は、アセチル化、メチル化、硫酸化、リン酸化によって修飾されていてもよい。優位なシアル酸にN−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)がある。シアル酸はグリカンに負電荷を与えるが、これはカルボキシル基が生理学的pHでプロトンを解離するためである。脱プロトン化したシアル酸の例を以下に示す。
実質的に:本明細書で使用する場合、「実質的に」という表現は、目的の特徴または特性の提示された程度全体またはほぼ全体あるいは度合いの定性的な条件を示す。生物学的現象および化学的現象が、完了に至るおよび/または完全な状態まで進行あるいは絶対的な結果が実現または回避されることは、あるとしてもめったにない点を、生物学分野の当業者であれば理解できよう。よって、「実質的に」という表現は、本明細書では、多くの生物学的現象および化学的現象に固有の完全性を欠く可能性について用いるものである。具体例をあげると、処理が「実質的に」細胞膜を破壊しないと表現した場合、これは、たとえば細胞内糖タンパク質または糖ペプチドが細胞から放出されないように処理時と処理後に細胞膜の全部またはほとんどが無傷のまま残る旨を示すことを意図したものである。特定の実施形態では、破壊されない細胞膜に対して「実質的に」という表現を適用する場合、特定の処理をほどこした細胞のうち15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはこれよりも少ない細胞に測定可能な細胞膜の破壊が認められる状態を示す。特定の実施形態では、破壊されない細胞膜に「実質的に」という表現を適用する場合、特定の処理をほどこした細胞に測定可能な細胞膜の破壊がまったく認められない状態を示す。
特定の実施形態の詳細な説明
本明細書に記載されているように、本開示は、細胞の表面に存在するグリカン構造の検出に関するものであり、その存在、アイデンティティおよび/または分布(相対量など)によって、細胞によって産生される1つ以上の非細胞表面糖タンパク質のグリコシル化状態および/または特徴に関する情報など、細胞の状態に関する情報が明らかになる。すなわち、本開示の一態様では、細胞表面グリカンが、非細胞表面糖タンパク質に見られるグリカン構造および/またはグリコシル化パターンの判定の代用となる。本開示のいくつかの実施形態では、非細胞表面糖タンパク質が治療用糖タンパク質である。このようないくつかの実施形態では、あらかじめ定められたレベルまたはあらかじめ定められた条件下で、細胞を操作して治療用糖タンパク質を発現および/または治療用タンパク質を発現させる。
細胞表面グリカン
多くの異なるタイプの細胞が、自ら産生するタンパク質および/または脂質の少なくともいくつかをグリコシル化し、このようなグリコシル化にも何とおりかの機序が存在する。しかしながら、オリゴ糖鎖は通常、小胞体およびゴルジ体でN−結合またはO−結合のいずれかによってポリペプチド鎖(すなわちタンパク質)および/または脂質に結合される。
N−結合型グリコシル化
一般に、N−結合型オリゴ糖鎖は小胞体の管腔でタンパク質に付加される(Alberts et al.,Molecular Biology of the Cell,1994(本明細書に援用する)を参照のこと)。特に、はじめのオリゴ糖(一般に14糖)は、Asn−X−Ser/Thrの標的コンセンサス配列に含まれるアスパラギン残基の側鎖のアミノ基に付加されるが、この場合のXは、プロリン以外のどのようなアミノ酸であってもよい。このはじめのオリゴ糖の構造はほとんどの真核生物に共通であり、3つのブドウ糖、9つのマンノース、2つのN−アセチルグルコサミン残基を含む。このはじめのオリゴ糖鎖は通常、小胞体の特定のグリコシダーゼ酵素でトリミングされ、2つのN−アセチルグルコサミンと3つのマンノース残基からなる短い分岐コアオリゴ糖になる。
N−グリカンは、「高マンノース型」、「ハイブリッド型」、「複合型」と呼ばれる3つの異なる群に分けることができるが、3つの群のすべてに同じ五糖コア(Man(α1,6)−(Man(α1,3))−Man(β1,4)−GlcpNAc(β1,4)−GlcpNAc(β1,N)−Asn)がある。
小胞体での初期プロセシング後、糖タンパク質はゴルジ体に輸送され、そこでさらにプロセシングが起こることもある。グリカンが完全にトリミングされて五糖コア構造になる前にゴルジ体に移動すると、「高マンノース型グリカン」が得られる。
それに加えてあるいはその代わりに、N−アセチルグルコサミンの1つ以上の単糖ユニットをコアマンノースサブユニットに付加すれば、「複合型グリカン」が得られる。ガラクトースをN−アセチルグルコサミンサブユニットに付加し、シアル酸サブユニットをガラクトースサブユニットに付加すれば、シアル酸、ガラクトースまたはN−アセチルグルコサミン残基のいずれかで終端する鎖が得られる。また、フコース残基をコアオリゴ糖のN−アセチルグルコサミン残基に付加してもよい。これらの付加は各々、特定のグリコシルトランスフェラーゼに触媒される。
「ハイブリッド型グリカン」は、高マンノース型グリカンと複合型グリカンの両方の特徴を合わせ持つ。たとえば、ハイブリッド型グリカンのひとつの枝が、マンノース残基を主にまたは排他的に含み、別の枝がN−アセチルグルコサミン、シアル酸、ガラクトースおよび/またはフコースを含むものであってもよい。
O−結合型グリコシル化
ポリペプチド鎖の特定のセリンまたはトレオニン残基にO−結合型オリゴ糖鎖を加える。多くの場合はN−アセチルガラクトサミンである第1の糖残基の移動は、一般に小胞体で開始されてゴルジ体で完了する。O−結合型オリゴ糖の残基を一度にひとつずつ加え、各残基の付加を特定の酵素で触媒する。N−結合型グリコシル化とは対照的に、O−結合型グリコシル化のコンセンサスアミノ酸配列はあまりうまく画定されない。
標的糖タンパク質
本開示の技法を適用して、特定の細胞または細胞集団によってグリカンが直接的に分析または産生されるもの以外の目的の非細胞表面糖タンパク質または他の糖タンパク質のグリコシル化状態を評価してもよい。目的の非細胞表面糖タンパク質のアイデンティティは本開示を限定することを意図したものではない。しかしながら、ほとんどの実施形態では、細胞は、グリコシル化状態が評価対象となる、特定の目的の糖タンパク質(「標的」糖タンパク質)を産生することが知られている。
多くの実施形態において、目的の標的糖タンパク質は、細胞が本来産生しないものである。そうではなく、細胞を操作してこれを産生させる。いくつかの実施形態では、標的糖タンパク質は、細胞がもともと産生するものであるが、この細胞を操作して、高濃度および/またはあらかじめ定められた条件下(誘発剤の存在下など)でこれを産生させる。
多くの実施形態において、標的糖タンパク質は、動物(人間などの哺乳動物など)に投与すると治療活性を持つ。いくつかの例をあげると、エリスロポエチン、インターフェロン、血液凝固因子、コロニー刺激因子、多岐にわたる抗体、特定の酵素は、いずれも操作された細胞系において現段階で生物薬剤として産生される糖タンパク質である。本開示のいくつかの実施形態では、作用剤のグリコシル化を評価または監視するために、これらの作用剤のうちの1つ以上を産生する細胞表面のグリカンを、本明細書に記載されているようにしてアッセイする。当業者であれば、治療および他の目的で(製造用バイオリアクターなどにおいて)工業的に発現可能な他の商業的に関連のある糖タンパク質が分かるであろう。本開示は、このような商業的に関連のある糖タンパク質のグリコシル化パターンを監視するための方法を提供するものである。
代表的な市販の糖タンパク質産物は、たとえば以下のとおりである。
当業者ならば明らかであろうように、これらの治療用糖タンパク物質のグリコシル化パターンには、その治療特性に影響する潜在的な可能性がある。本開示は、タンパク質自体の単離を必要とせずに、細胞で産生されたときに研究者がこれらのタンパク質のグリコシル化を評価できるようにする技術を提供するものである。これ以上のことは後述するが、本開示は特に、糖タンパク質の産生時に治療用糖タンパク質産物の産物品質をリアルタイムに評価するものである。
本開示は、上記にて列挙した糖タンパク質、特に治療用糖タンパク質または細胞での発現(および/または発現の度合いまたはタイミング)を操作した糖タンパク質でのグリコシル化の評価に限定されるものではない旨は、当業者であれば分かるであろう。これは単に本開示の特定の実施形態を表すものである。しかしながら、当業者であれば、本開示の原理がどのような標的糖タンパク質にも適用されることが分かるであろう。
細胞における標的糖タンパク質の産生
本明細書に記載されているようにしてグリコシル化を監視する対象となる糖タンパク質を、多岐にわたる細胞および/または細胞系のいずれにおいて産生させてもよいことは、当業者であれば容易に分かるであろう。特に、そのタンパク質のうち少なくともいくつかをグリコシル化する細胞を利用して、このようなグリコシル化を発生させることのできる条件下で増殖させることが可能である。好適な細胞としては、哺乳類の細胞、鳥の細胞、魚の細胞、昆虫の細胞、植物の細胞、真菌の細胞、細菌の細胞、ハイブリッド細胞があげられるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、細胞を操作(遺伝的におよび/または化学的になど)して、ヒトの細胞に一層よく似ている1つ以上のグリコシル化の特徴を持たせるようにする。
本開示に基づいて使用可能な哺乳類の細胞の例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、メイディンダービーイヌ腎臓(MDCK)細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK細胞)、NS0細胞、MCF−7細胞、MDA−MB−438細胞、U87細胞、A172細胞、HL60細胞、A549細胞、SP10細胞、DOX細胞、DG44細胞、HEK 293細胞、SHSY5Y、ジャーカット細胞、BCP−1細胞、COS細胞、Vero細胞、GH3細胞、9L細胞、3T3細胞、MC3T3細胞、C3H−10T1/2細胞、NIH−3T3細胞、C6/36細胞があげられるが、これに限定されるものではない。
本開示に基づいて使用可能な魚の細胞系の例としては、ZF4細胞、AB9細胞、GAKS細胞、OLF−136細胞、CAEP細胞、CAF細胞、OLHE−131細胞、OLME−104細胞、ULF−23細胞、BRF41細胞、Hepa−E1細胞、Hepa−T1細胞、GEM−81細胞、GEM−199細胞、GEM−218細胞、GAKS細胞、D−11細胞、R1細胞、RTG−2細胞、RTO細胞、TPS細胞があげられるが、これに限定されるものではない。一層完全な一覧が、Fryer and Lannan,2005,“Three decades of fish cell culture:a current listing of cell lines derived from fishes,”J.Tissue Culture Methods,16:87〜94に記載されている。
本開示に基づいて使用可能な昆虫の細胞系の例としては、SFM細胞、Sf21細胞、Sf9細胞、Schneider細胞、S2細胞、T.ni細胞、SES−MaBr−1細胞、SES−MaBr−3細胞、NIAS−MB−25細胞、NIAS−MaBr−92細胞、FRI−SpIm−1229細胞、SES−MaBr−4細胞、NIAS−LeSe−11細胞、TUAT−SpLi−221細胞、NIAS−PX−64細胞、NIAS−MB−32細胞、NIAS−MaBr−93細胞、SES−MaBr−5細胞、BM−N細胞、NIAS−PX−58細胞、MBHL−2細胞、MBHL−3細胞があげられるが、これに限定されるものではない。
これは、包括的なものではなく本開示に基づいて使用できるさまざまな細胞の一例としての一覧であることは、当業者であれば分かるであろう。他の細胞を都合よく利用して標的糖タンパク質を産生してもよい。このような細胞は、培養中のものであってもよいし、組織、臓器または生物体の状態であってもよい。
本開示に基づいて用いられる目的のタンパク質を細胞または細胞系で発現させる目的で、多岐にわたる発現系およびベクターを使用できることは、当業者であれば自明であろう(Sambrook編,Molecular cloning:A Laboratory Manual,CSHL Press,2002などを参照のこと)。
また、1つ以上の細胞型または細胞系の増殖を支持できる複合培地および/または無血清培養液をはじめとする多岐にわたる細胞培養液のうちの任意のものを、本開示に基づいて使用してもよい。一般に、細胞培養液には、緩衝液、塩、エネルギ源、アミノ酸(天然アミノ酸、非天然アミノ酸など)、ビタミンおよび/または微量元素が含まれる。細胞培養液は、任意に、炭素源(天然糖、非天然糖など)、コファクター、脂質、糖、ヌクレオシド、動物由来の成分、加水分解物、ホルモン/成長因子、界面活性剤、指示薬、鉱物、特定酵素の活性化因子/阻害因子、有機物(グリコシラーゼを放出し、アポトーシスを誘導する酪酸によって、細胞の増殖率が落ちることがよくあり、これによってグリコシルトランスフェラーゼレベルが変化し、結果として一層成熟したグリコシル化につながることもあれば、細胞のエネルギが変化することもある;細胞内pHに影響するクロロキン;ベタインすなわち浸透圧保護剤;細胞内pHレベルを変化させ、グリコシルトランスフェラーゼ効率を変化させることのできるアンモニアなど)および/または小分子代謝物(CMP−シアル酸、グルコサミン、非天然糖誘導体など)などであるがこれに限定されるものではない、多岐にわたる他の成分を含むものであってもよい。本開示に基づいて使用するのに適した細胞培養液は、ATCC(Manassas、Va)などの多岐にわたる供給源から市販されている。
特定の実施形態では、以下の培地のうちの1つ以上を使用して、細胞を増殖させる。RPMI−1640培地、ダルベッコ変法イーグル培地、最小必須培地Eagle、F−12K培地、イスコフ改変ダルベッコ培地。当業者であれば理解できるであろうように、無血清および/またはペプトンを含まない既知培地を使用する場合、この培地は一般に、アミノ酸および微量元素が極めて濃縮されたものである(たとえば、Matherらに付与された米国特許第5,122,469号およびKeenらに付与された米国特許第5,633,162号を参照のこと)。
細胞培養液が違えば、培地で発現される糖タンパク質のグリコシル化パターンに影響することもある。たとえば、特定の細胞培養液を用いて、グリコシル化パターンの増えた糖タンパク質、グリコシル化パターンの減った糖タンパク質、あるいはグリコシル化の変化した(特定のグリカンが増加し、他のグリカンが減少するなど)糖タンパク質を産生させてもよい。当業者であれば、本開示の特定の方法で細胞表面グリカンを分析する対象となる細胞の増殖に用いられる1種類以上の好適な細胞培養液を知っており、かつ選択できるであろう。
いくつかの実施形態では、回分培養、流加培養、灌流培養、静置浮遊(ローラボトル、T型フラスコ、マイクロキャリア、T150など)において、および/または振盪機で細胞を培養する。
本開示による少なくとも1種類の非細胞表面糖タンパク質(すなわち標的糖タンパク質)を産生する細胞を、多岐にわたる細胞培養条件のうちの任意の条件で増殖させることが可能である。
いくつかの実施形態では、標的糖タンパク質が所望のグリコシル化パターンを呈すると想定されるような細胞培養条件下で細胞を培養する。いくつかの実施形態では、さらに望ましいグリコシル化パターンの標的糖タンパク質を産生する目的で、1以上の細胞培養条件を制御および/または改変する。このような制御または改変可能な細胞培養条件としては、pH、CO濃度、酸素濃度、培養攪拌速度、酸化還元条件、培養温度、細胞密度、種培養密度、培養時間、反応器の設計、スパージ速度および/またはモル浸透圧濃度があげられるが、これに限定されるものではない。
必要があれば、多岐にわたる方法のうちのいずれかを用いて、細胞を細胞培養液から単離することが可能である。特定の実施形態では、浮遊培養で細胞を増殖させる。このような実施形態では、遠心分離と洗浄(リン酸緩衝食塩水などの生理学的に好適な洗浄溶液を用いるなど)からなる1以上のサイクルで、細胞を細胞培養液から精製してもよい。
特定の実施形態では、付着培養で細胞を増殖させる。このような実施形態では、まずは細胞を培養表面から放出することで、細胞を細胞培養液から精製してもよい。たとえば、細胞をEDTAに曝露すれば、培養表面から放出させることができる。当業者であれば、付着細胞を培養表面から放出するのに使用可能な他の好適な作用剤を知っているであろう。放出後、遠心分離と洗浄(リン酸緩衝食塩水などの生理学的に好適な洗浄溶液を用いるなど)からなる1以上のサイクルで細胞を精製してもよい。浮遊培養で増殖させた細胞の場合と同様に、不必要に細胞を破壊してしまわないようにするために、細胞を遠心処理する力が強くなりすぎないように注意を払わなければならない。
細胞表面グリカンの分析
本開示に基づいて、好適な任意の手法を用いて細胞表面のグリカンを検出することができる。たとえば、依然として細胞によって産生される糖タンパク質の一部であるままの状態で、グリカンを細胞で検出および/または分析可能である。たとえば、特定の実施形態によれば、プロテアーゼ処理やグリコシダーゼ処理をほどこさずに、細胞でグリカンを検出および/または分析する。上記の他にまたは上記に加えて、グリカンを細胞から放出した後、検出および/または分析することが可能である。グリカンを細胞から放出するには、1種類以上のプロテアーゼ、グリコシダーゼまたはその両方に細胞を曝露してもよい。たとえば、限定することなく、本明細書に記載のプロテアーゼなどの1種類以上のプロテアーゼに細胞を曝露することで、糖ペプチドを細胞から遊離させることが可能であり、遊離された糖ペプチドを、限定することなく、本明細書に記載のグリコシダーゼなどの1種類以上のグリコシダーゼに曝露する。もうひとつの非限定的な例として、細胞にグリコシダーゼ処理をほどこすことで、細胞にプロテアーゼ処理をほどこさずに、細胞から直接的にグリカンを放出することが可能である。特定の代表的な分析法については下記にて詳細に説明するが、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。
糖ペプチドの放出
本開示の特定の実施形態では、細胞表面グリカンの分析に伴う一ステップは細胞の表面からこのようなグリカンを遊離している。このような実施形態で得られるいくつかの利点には、主に細胞内に見られるグリカンによって大幅に汚染されることなく、極めて純粋な細胞表面グリカンの集合体を得られることがある。たとえば、細胞表面グリカンを細胞から遊離させる際に、本開示の特定の方法を用いて、細胞の溶解を実質的に回避する。それに加えてあるいはその代わりに、本明細書に開示の特定の方法では、現在利用可能な方法と比較して、操作ステップの数および/または困難さが大幅に低減される。
特定の実施形態では、細胞を1種類以上のプロテアーゼに曝露することで、細胞表面糖タンパク質を細胞表面から遊離させる。プロテアーゼは、ポリペプチド鎖のアミド結合を切断する。化学的作用剤と酵素的な作用剤の両方を含めて、いくつかのクラスのプロテアーゼが存在する。タンパク質分解酵素としては、たとえば、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼがあげられる。本開示に基づいて使用可能な具体的なタンパク質分解酵素の非限定的な例としては、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、サブチリシン、プロテイナーゼK、ペプシン、フィシン、ブロメリン、プラスメプシン、レニン、キモシン、パパイン、カテプシン(カテプシンKなど)、カスパーゼ(CASP3、CASP6、CASP7、CASP14など)、カルパイン1、カルパイン2、ヘルモリシン(hermolysin)、カルボキシペプチダーゼAまたはB、マトリックスメタロプロテイナーゼ、グルタミン酸プロテアーゼおよび/またはこれらの組み合わせがあげられる。当業者であれば、細胞の表面から糖タンパク質を放出するために本開示に基づいて使用可能な他の多数のプロテアーゼが分かるであろう。
細胞糖タンパク質を分析する現行の方法は、細胞表面グリカンを標的にしていると明示的に提示されていたとしても、一般には細胞表面グリカンに対して特に選択的ではない。たとえば、現行の方法では一般に、1種類以上のきつい洗浄剤を用いて膜タンパク質を抽出し、その上で遊離糖を透析してから、タンパク質またはポリペプチドからグリカン構造を除去する作用剤で処理する。このような条件下では、グリカン調製物が、たとえば小胞体および/またはゴルジ体からの細胞内グリカンで汚染される。このような細胞内グリカンは一般に未熟な高マンノース型グリカンである。よって、これが含まれてしまうと、細胞表面糖タンパク質に関連するグリカン構造の分析に誤差を生じる可能性がある。
本開示のいくつかの実施形態では、細胞表面グリカンの分析に、膜から細胞表面糖タンパク質を放出させるための洗浄剤の使用を伴う。しかしながら、本開示のいくつかの実施形態では、細胞膜の破壊を最小限に抑える戦略に合わせて、洗浄剤での処理を最小限に抑えるか完全に排除する。たとえば、いくつかの実施形態では、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも多くの細胞膜が無傷のまま(トリパンブルー色素排除試験で監視した場合など)残る。このような方法は、細胞内に存在する未熟な高マンノース型糖タンパク質からの汚染を低減または排除できるため、とりわけ好都合である。
本開示の特定の実施形態では、細胞を1種類以上のプロテアーゼに曝露することで、グリカン(糖ペプチドの形態)を細胞表面から遊離させる。特定の実施形態では、細胞膜の破壊が最小限に抑えられる条件下で細胞を1種類以上のプロテアーゼに曝露する。本開示のいくつかの実施形態では、細胞膜の実質的な溶解を回避する目的で、限られた時間だけ細胞を1種類以上のプロテアーゼに曝露してグリカンを細胞表面から遊離させる。特定の実施形態では、細胞膜の実質的な溶解が起こらない十分に限られた時間だけ細胞を1種類以上のプロテアーゼに曝露する。
たとえば、約15分、14分、13分、12分、11分、10分、9分、8分、7分、6分、5分、4分、3分、2分または1分未満の時間だけ細胞を1種類以上のプロテアーゼに曝露してもよい。特定の実施形態では、細胞膜の実質的な溶解が起こらないかぎり、15分よりも長い時間をかけて細胞を1種類以上のプロテアーゼに曝露する。たとえば、全体としてのプロテアーゼ活性が細胞膜の実質的な溶解が起こらない点まで下がるように、十分に低濃度のプロテアーゼ、十分に低温および/または多岐にわたる他の要因または条件のいずれかを採用してもよい。当業者であれば、細胞膜の実質的な溶解が起こらないようにする要因または条件が分かり、これを採用できるであろう。
本開示の特定の実施形態では、たとえばプロテアーゼでの処理によって、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも多くの細胞表面グリカンが細胞から放出される。一具体例をあげると、本開示では、たとえば37℃で15分間かけるトリプシンでの切断によって、50%を上回る量の細胞表面グリカンが放出されることを示した。
特定の実施形態では、少なくとも約0.1mg/mLの濃度で細胞を1種類以上のプロテアーゼ(タンパク質分解酵素など)に曝露することで、細胞表面グリカンを遊離させる。特定の実施形態では、約2.0mg/mL未満の濃度で細胞を1種類以上のプロテアーゼ(タンパク質分解酵素など)に曝露することで、細胞表面グリカンを遊離させる。特定の実施形態では、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0mg/mLまたはこれよりも高い濃度で細胞を1種類以上のプロテアーゼ(タンパク質分解酵素など)に曝露することで、細胞表面グリカンを遊離させる。
特定の実施形態では、細胞を複数のプロテアーゼに曝露することで、細胞表面グリカンを遊離させる。たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれよりも多くのプロテアーゼに細胞を曝露して、細胞表面グリカンを遊離させてもよい。このような複数のプロテアーゼは、細胞に対して同時におよび/または逐次的に投与してもよい。特定の実施形態では、細胞を複数のプロテアーゼに同時に曝露して細胞表面グリカンを遊離させた後、遊離したグリカン(糖ペプチドの形態)を細胞から精製する。
特定の実施形態では、細胞を第1のプロテアーゼ(または複数の第1のプロテアーゼ)に第1の時間だけ曝露して細胞表面グリカンを遊離させた後、細胞を第2のプロテアーゼ(または複数の第2のプロテアーゼ)に第2の時間だけ曝露する。第2のプロテアーゼでの処理の前に、第1のプロテアーゼを任意に除去および/または不活性化してもよい。一例として、第1のプロテアーゼを不活性化するのに十分な温度と時間でプロテアーゼをインキュベートして、これを不活性化してもよい。それに加えてあるいはその代わりに、プロテアーゼに特異的な阻害因子(第1のプロテアーゼと特異的に結合し、その触媒活性を阻害する抗体または他の分子など)と一緒にインキュベートして、第1のプロテアーゼを不活性化してもよい。第1のプロテアーゼを不活性化する他の方法が当業者間で周知である。特定の阻害因子と一緒にインキュベートして第1のプロテアーゼを不活性化する場合、阻害因子の存在が、第2のプロテアーゼの活性を実質的に阻害しないものでなければならない点は理解できよう。
特定の実施形態では、グリカンの放出前にプロテアーゼを除去および/または不活性化する。一例として、プロテアーゼを不活性化するのに十分な時間と温度でこれをインキュベートして、プロテアーゼを不活性化してもよい。上記に代えてまたは上記に加えて、プロテアーゼを特異的に結合し、その触媒活性を阻害する阻害因子または抗体または他の分子と一緒にインキュベートして、プロテアーゼを不活性化してもよい。
グリカンの放出
本開示の特定の実施形態では、分析前に細胞表面グリカンを切断する。たとえば、特定の実施形態では、細胞表面糖ペプチドを(詳細については上述したように、プロテアーゼでの処理によるなどして)細胞から遊離させた後で、1つ以上のグリカン構造を細胞表面糖ペプチドから切断する。特定の実施形態では、細胞から遊離していない細胞表面糖タンパク質から1つ以上のグリカン構造を切断する。
特定の実施形態では、グリカン構造を認識および切断する酵素または複数の酵素を用いて、1つ以上のグリカン構造を放出させる。グリカン構造を細胞表面糖タンパク質から切断する多岐にわたるグリコシド酵素および他の酵素のうちのいずれを本開示に基づいて使用してもよい。このような酵素のいくつかの例が、R.A.O’Neill,Enzymatic release of oligosaccharides from glycoproteins for chromatographic and electrophoretic analysis,J.Chromatogr.A 720,201〜215.1996;S.Prime,et al.,Oligosaccharide sequencing based on exo− and endo−glycosidase digestion and liquid chromatographic analysis of the products,J.Chromatogr.A 720,263〜274,1996(各々その内容全体を本明細書に援用する)に概説されている。特定の実施形態では、酵素PNGase F(ペプチドN−グリコシダーゼF)を用いてグリカンを糖ペプチドまたは糖タンパク質から除去する。PNGase Fは、N−結合型糖タンパク質からの高マンノース型、ハイブリッド型および複合型オリゴ糖の一番内側のGlcNAcとアスパラギン残基との間のアミド結合を切断するアミダーゼである。それに加えてあるいはその代わりに、特定の実施形態では、酵素PNGase A、O−グリカナーゼおよび/またはEndo−Hを使用してグリカンを除去する。
切断酵素にとってのグリコシル化部位の到達性を改善するために、ほとんどの糖タンパク質はタンパク質変性工程を必要とする。一般に、これは洗浄剤(SDSなど)および/またはジスルフィド還元剤(β−メルカプトエタノールなど)を用いて達成されるが、本開示に基づいて用いられる糖タンパク質を変性させる方法は、このような作用剤を使うことに限定されるものではない。たとえば、グリカン構造の切断に好適な酵素が切断部位に到達できるように糖タンパク質を変性させるには、高温への曝露でも十分な場合もある。特定の実施形態では、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100℃またはこれよりも高い温度で、糖タンパク質を変性させるのに十分な時間だけ糖タンパク質をインキュベートして、糖タンパク質を変性させる。
特定の実施形態では、洗浄剤、ジスルフィド還元剤、高温および/または他の作用剤または反応条件の組み合わせを用いて糖タンパク質を変性させる。当業者であれば、糖タンパク質を変性させるのに十分な好適な条件、インキュベーション時間などが分かるであろう。免疫グロブリンG(IgG)の保存されたFc部位に位置するオリゴ糖はPNGase Fによって容易に切断される点に注意されたい。このため、IgG分子を使う場合でも、この酵素にはタンパク質変性ステップは一般に必要ない。また、PNGase Fは、希水酸化アンモニウム溶液でオリゴ糖を除去することもでき、2.5Mの尿素中37℃で24時間安定であり、5Mの尿素中でも依然としてその活性の40%を保持する。このため、PNGase Fには、特定の変性条件下で糖タンパク質からグリカンを切断できるという利点がある。
本開示に基づいてグリカン構造を糖タンパク質から切断するのに使用可能な他の好適な酵素としては、PNGase A、O−グリカナーゼおよび/またはEndo−Hがあげられるが、これに限定されるものではない。当業者であれば、グリカンを糖タンパク質から切断するための他の好適な酵素が分かるであろう。特定の実施形態では、複数の酵素を使用して、グリカン構造を糖タンパク質から切断する。特定の実施形態では、このような複数の切断酵素を同時に投与する。特定の実施形態では、このような複数の切断酵素を逐次的に投与する。
特定の実施形態では、酵素以外の作用剤を使用して、1つ以上のグリカン構造を細胞表面糖タンパク質から切断する。特定の実施形態では、化学作用剤または複数の化学作用剤(ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、エンドグリコシダーゼ、トリフルオロメタンスルホン酸(trifluoromethasenulfonic acid)(TFMS)などの作用剤への曝露などおよび/またはβ−除去など)を使用して、グリカン構造を糖タンパク質から切断することができる。たとえば、化学ヒドラジンを採用して、グリカン構造をうまく切断できた実績がある。もうひとつの非限定的な例として、天然形態のN−結合型オリゴ糖とO−結合型オリゴ糖の両方にアルカリ放出にアンモニア−炭酸アンモニウム混合物を使用できることが示唆されている(Y.Huang,et al.,Microscale nonreductive release of O−linked glycans for subsequent analysis through MALDI mass spectrometry and capillary electrophoresis,Anal.Chem.73,6063−60,2001(その全体を本明細書に援用する)を参照のこと)。当業者であれば、本開示に基づいて使用可能な他の好適な化学作用剤が分かるであろう。場合によっては、化学作用剤を用いてグリカン構造を糖タンパク質から切断すると、タンパク質が切断されるだけでなく分解もされる。しかしながら、切断後に、グリカン構造を糖タンパク質のタンパク質成分から精製してから分析および/または特性決定をすることが多い。このような場合、化学作用剤での処理後にタンパク質成分が分解されても、本開示の実施に有害になることはない。場合によっては、タンパク質成分の分解が、切断されたグリカン構造を精製するプロセスの助けになることすらある。
いくつかの実施形態では、糖タンパク質から放出および/または細胞表面から放出されたグリカンを1種類以上のエキソグリコシダーゼで消化し、消化産物の構造および/または組成を分析することが可能である。
エキソグリコシダーゼは、末端グリコシド結合をグリカンの非還元末端から切断する酵素である。この酵素は一般に、特定の単糖結合およびアノマ性(α/β)に対して極めて特異性が高い。いくつかの実施形態では、隣り合った分岐パターンがエキソグリコシダーゼの特異性に影響することがある。エキソグリコシダーゼ処理によって、通常は、標準的な分岐型結合が五糖コア(M3N2)(3マンノースおよび2glcNAc残基を含む)に切断されたグリカンが得られる。しかしながら、異常修飾種(分岐型フコシル化種、高マンノースおよびハイブリッド型グリカン、ラクトサミン伸長グリカン、硫酸化グリカン、リン酸化グリカンなど)は、エキソグリコシダーゼ処理がきかないため、クロマトグラフ的に分離してM3N2五糖に対して定量化することが可能である。
いくつかの実施形態では、本開示に基づいて用いられるエキソグリコシダーゼが、特定の1つのタイプのグリコシド結合だけを認識および切断する。いくつかの実施形態では、本開示に基づいて用いられるエキソグリコシダーゼが、特定の2つ以上のタイプのグリコシド結合を認識および切断する。本開示に基づいて用いられるエキソグリコシダーゼの例としては、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼがあげられるが、これに限定されるものではない。エキソグリコシダーゼについては、商業的供給源(QA−Bio、ProZyme、Roche、Sigma、NEB、EMD、Glykoなどから)をはじめとするどのような供給源から入手してもよい。上記の他にまたは上記に加えて、エキソグリコシダーゼを細胞源(細菌、酵母、植物など)から単離および/または精製することも可能である。
いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ(シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼおよびマンノシダーゼなど)を複数のカテゴリすなわち「サブセット」に分けることが可能である。いくつかの実施形態では、サブセットが違えば、異なるタイプの結合を切断するための機能も異なる。表1に、エキソグリコシダーゼ、その結合特異性、由来となった生物体の例をいくつかあげておく。このエキソグリコシダーゼの一覧は一例にすぎず、包括的なものではない旨、また、どのような結合特異性を持つ、どのようなエキソグリコシダーゼでも本開示に基づいて使用できる旨は、当業者であれば理解できよう。
本開示によれば、どのエキソグリコシダーゼでも糖タンパク質および/または細胞表面から放出されたグリカンを消化可能である。特定の実施形態では、グリカン集合体を複数のエキソグリコシダーゼに曝露することでグリカンを消化する。たとえば、グリカン集合体を、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれよりも多くのエキソグリコシダーゼに曝露してもよい。いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼを同時に投与する。いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼを逐次的に投与する。いくつかの実施形態では、投与対象となるエキソグリコシダーゼのアイデンティティを変えることで、グリカンの構造および/または組成に関する情報が明らかになる。いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼを投与する順序を変えることで、グリカンの構造および/または組成に関する情報が明らかになる。
いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼで逐次消化することで、同じ一組のエキソグリコシダーゼでの同時消化によって明らかになる情報とは異なる、グリカンの構造および/または組成に関する情報が明らかになる。いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼで逐次消化することで、同じ一組のエキソグリコシダーゼでの同時消化によって明らかになる情報と同じ、グリカンの構造および/または組成に関する情報が明らかになる。グリカン構造の分析にあたってのエキソグリコシダーゼ消化の実用性に関する一層完全な説明については、Parsonsらによって発明の名称「CHARACTERIZATION OF N−GLYCANS USING EXOGLYCOSIDASES」で2007年4月16日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第60/923,688号明細書(本明細書に援用する)を参照のこと。
グリカン分析
グリカンの分析には、たとえば、配位子結合、質量分析、核磁気共鳴および/または他の方法論をはじめとするどのような手法を用いてもよい。グリカンを分析するための多岐にわたる方法が従来技術において周知である。たとえば、Anumula,Anal.Biochem,350(1):1〜23,2006;Klein et al.Anal.Biochem.,179:162〜66,1989;and Townsend,R.R.,Carbohydrate Analysis:High Performance Liquid Chromatography and Capillary Electrophoresis,ed.Z.El Rassi,pp.181〜209,1995,Yuan et al.,J.Chromatography A(2005)1067:145〜152(各々その内容全体を本明細書に援用する)を参照のこと。
特定の実施形態では、細胞表面グリカンの構造を分析する前に、これを細胞から遊離させる(上述したように、プロテアーゼおよび/またはグリコシダーゼでの処理によるなど)。遊離した細胞表面糖タンパク質のグリコシル化パターンについては、多岐にわたる方法のうちの1つ以上で分析することが可能である。非限定的な例として、NMR、質量分析、液体クロマトグラフィ、二次元クロマトグラフィ、SDS−PAGE、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、細管式電気泳動、蛍光標識糖質電気泳動(FACE)、ミセル動電クロマトグラフィ(MEKC)、エキソグリコシダーゼ処理またはエンドグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせなどの方法で、遊離した細胞表面グリカンのグリコシル化パターンを特性決定することが可能である。当業者であれば、遊離した細胞表面グリカンの特性決定に使用できる他の方法も分かるであろう。
特定の実施形態では、構造分析の前に細胞表面グリカンを細胞から遊離させることはない。細胞表面に結合した細胞表面グリカンのパターンを、多岐にわたる方法のうちの1つ以上を用いて分析することが可能である。
非限定的な例として、抗体結合、レクチン結合、およびこれらの組み合わせなどの方法によって、細胞表面グリカンを特性決定することが可能である。1つ以上の特定のグリカン構造を認識する抗体、レクチンまたは他の作用剤の結合を、たとえば、免疫蛍光法、化学発光、ELISAアッセイ、フローサイトメトリーなどをはじめとする多岐にわたる技法のうちのいずれかで監視することが可能である。当業者であれば、細胞表面にある細胞表面グリカンのグリコシル化パターンの特性決定に使用可能な他の方法も分かるであろう。
特定の実施形態では、細胞から放出し、精製した上で分析する形で、細胞表面グリカンを分析する。たとえば、いくつかの実施形態では、クロマトグラフによる方法、質量分光分析法、電気泳動法、核磁気共鳴(NMR)法、およびこれらの組み合わせなどの方法で、このようなグリカンを特性決定する。たとえば、いくつかの実施形態では、NMR、質量分析、液体クロマトグラフィ、二次元クロマトグラフィ、SDS−PAGE、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、細管式電気泳動、蛍光標識糖質電気泳動(FACE)、ミセル動電クロマトグラフィ(MEKC)、エキソグリコシダーゼ処理またはエンドグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせのうちの1つ以上で、グリカンを特性決定する。
いくつかの実施形態では、N−グリカンの構造および組成を、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、およびこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、クロマトグラフによる方法で分析することが可能である。
いくつかの実施形態では、N−グリカンの構造および組成を、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、およびこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、質量分析(MS)および関連の方法で分析することが可能である。
いくつかの実施形態では、N−グリカンの構造および組成を、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、およびこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、電気泳動法で分析することが可能である。
いくつかの実施形態では、N−グリカンの構造および組成を、一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、核磁気共鳴(NMR)および関連の方法で分析することが可能である。
当業者であれば、遊離した細胞表面糖タンパク質のグリコシル化パターンの特性決定に使用可能な他の方法も分かるであろう。
特定の実施形態では、特性決定の前に、細胞表面糖タンパク質および/またはグリカン構造を標識する。当業者間で周知のように、このような標識によって、特性決定時のシグナルを増大および/またはバックグラウンドノイズを低減できることがある。蛍光標識、放射性標識および/または化学発光標識を含むがこれに限定されるものではない、多岐にわたる標識のうちのどれを本開示に基づいて使用してもよい。特定の実施形態では、蛍光2−アミノベンズアミド(「2−AB」)でグリカン構造を標識する。当業者であれば、本開示に基づいて使用可能な他の好適な標識も分かるであろう。
用途
多岐にわたる用途のいずれにも本明細書に記載の技法を利用できることは理解できよう。通常、これらの技法は、グリカンの構造的な特性決定を必要とするどのような用途でも有用であり、特に、標的複合糖質(糖タンパク質など)に関連したグリカンを特性決定することが望ましいが、標的複合糖質の単離には時間と手間を要する、あるいは他に課題がある(複合糖質の不安定さに関連する課題など)ような場合に有用である。
本開示の方法は、治療製剤および生物学的試料(含有細胞など)を含むがこれに限定されるものではない、広範囲にわたる供給源から得られるグリカンに適用可能なものである。このような生物学的試料に対し、本開示による分析前または後で1つ以上の分析および/または精製ステップをほどこしてもよい。いくつかの例をあげると、いくつかの実施形態では、生物学的試料を1種類以上のプロテアーゼおよび/またはグリコシダーゼで(たとえばグリカンが放出されるように)処理する。いくつかの実施形態では、たとえば、質量分析またはNMRによる分析を容易にできる1つ以上の検出可能なマーカーまたは他の作用剤で生物学的試料の細胞表面グリカンを標識する。多岐にわたる分離および/または単離ステップのどれを本開示に基づいて生物学的試料に適用してもよい。
本開示は、たとえば、遊離グリカン、複合糖質(糖ペプチド、糖脂質、プロテオグリカンなど)または細胞または細胞成分などをはじめとする多岐にわたる状態のいずれにある細胞表面グリカンの分析にも利用可能なものである。
本開示の方法を、治療用または他の商業的に関連のある目的の糖タンパク質製造用のプロセス開発の1つ以上の段階に使用してもよい。本開示の方法を採用可能なこのようなプロセス開発段階の非限定的な例としては、細胞選択、クローン選択、培地の最適化、培養条件、プロセス条件および/または精製手法があげられる。当業者には他のプロセス開発段階も分かるであろう。
また、たとえば特定の所望のグリコシル化パターンを実現または特定の望ましくないグリコシル化パターンの発生を回避する目的で、本開示を利用して、特定の細胞培養物で起こっているグリコシル化の程度および/またはタイプを監視し、これによって培養の調節または場合によっては終了できるようにすることも可能である。
さらに、本開示を利用して、(たとえば、細胞または細胞系を操作して糖タンパク質を産生あるいは糖タンパク質を商業的に関連のあるレベルで産生する前であっても)特定の所望の糖タンパク質の製造で検討対象となっている細胞または細胞系のグリコシル化の特徴を評価することも可能である。
本開示のいくつかの実施形態では、特定の標的糖タンパク質に望ましいグリコシル化パターンが周知であり、本明細書に記載の技術では、培養試料を監視して、所望のグリコシル化パターンを産生することが知られている経路での産生の進行を評価することができる。たとえば、標的糖タンパク質が1つ以上の国で法令による審査があるなどの治療用糖タンパク質である場合、培養を監視して、厳密に同一の経路で製造されるか否かを問わず、グリコシル化パターンがすでに確立された医薬製品のグリコシル化パターンにできるだけ近い産物が生成される尤度を評価すると望ましいことが多い。本明細書で使用する場合、「近い」とは、すでに確立された医薬製品のグリコシル化パターンに対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%相関するグリコシル化パターンを示す。このような実施形態では、相対的なグリコシル化を評価するために、産生培養の試料は一般に、複数の時点で採取され、確立された標準または対照培養と比較される。
いくつかの実施形態では、本開示による方法を使用して、糖タンパク質を産生する細胞の培養時に細胞表面グリコシル化パターンを監視できることがある。たとえば、糖タンパク質の産生(量産など)は、(1)糖タンパク質を産生する細胞を培養するステップと、(2)細胞を培養するプロセスをとおして一定間隔または不規則な間隔で試料を取得するステップと、(3)取得した試料の細胞表面グリコシル化パターンを分析するステップと、を含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、このような方法は、異なる試料の細胞表面グリコシル化パターンを互いにおよび/または関連細胞によって産生された1つ以上の非細胞表面糖タンパク質のグリコシル化パターンと比較するステップをさらに含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、このような方法は、1つ以上の取得した試料の細胞表面グリコシル化パターンを参照試料のグリコシル化パターンと比較するステップをさらに含むものであってもよい。
本開示のいくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターン(産生された非細胞表面糖タンパク質で観察される細胞表面グリコシル化パターンおよび/またはグリコシル化パターンなど)が一層広範囲におよぶことになる。たとえば、いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンは、グリコシル化部位の占有率が高い(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)。いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンは、分岐度が高い(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも多くの三または四分岐型構造を有するなど)。
本開示のいくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンがそれほど広範囲にはおよばない。たとえば、いくつかの実施形態では、所望の細胞表面グリコシル化パターンは、グリコシル化部位の占有率が低い(約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、約15%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも少ないなど)および/または分岐度が低い(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも少ない三または四分岐型構造を有するなど)。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが、いくつかの態様では一層広範囲におよび、他の態様ではそれほど広範囲にはおよばない。たとえば、長い未分岐のオリゴ糖鎖のある糖タンパク質を産生しやすい細胞系を用いると望ましいことがある。あるいは、短い高度分岐オリゴ糖鎖のある糖タンパク質を産生しやすい細胞系を用いると望ましいこともある。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが特定タイプのグリカン構造で富化される。たとえば、いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンは、低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)のマンノースまたはハイブリッド構造、高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)の高マンノース構造、高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど;たとえば糖タンパク質1つあたり少なくとも1つ)のリン酸化高マンノースまたは低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)のリン酸化高マンノースを有する。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが少なくとも約1つのシアル酸を含む。いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンは、高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)のシアリル化末端を含む。いくつかの実施形態では、シアリル化を含む所望のグリコシル化パターンは、少なくとも約85%、約90%、約95%、約98%、約99%またはそれよりも多くのN−アセチルノイラミン酸および/または約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも少ないN−グリコリルノイラミン酸を呈する。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンは、分岐鎖の伸長度に特異性がある(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも多くの伸長物がα1,6マンノース分岐鎖にあるか、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも多くの伸長物がα1,3マンノース分岐鎖にある)。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが、低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)または高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)のコアフコシル化を含む。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが、低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)または高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)の硫酸化グリカンを含む。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが、低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)または高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)のリン酸化グリカンを含む。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが、低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)または高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)のN−アセチルグルコサミン結合シアル酸を含む。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが、低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)または高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)のアセチル化グリカンを含む。
特定の標的タンパク質の産生を品質制御目的で監視するか否かを問わず、本開示を利用して、たとえば、特定の発達段階で、あるいは特定の成長条件下で、細胞表面グリコシル化を監視することができる。
本開示のいくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、治療用産物の品質を特性決定および/または制御または比較することが可能である。一例をあげると、本方法論を使用して、治療用タンパク質産物を産生する細胞での細胞表面グリコシル化を評価することが可能である。特に、グリコシル化が治療用タンパク質産物の活性やバイオアベイラビリティまたは他の特徴に影響し得ることが多いとすれば、このような治療用タンパク質産物の産生時に細胞グリコシル化を評価するための方法が特に望ましい。とりわけ、本開示は、治療用タンパク質の産生系での細胞表面グリコシル化のリアルタイム分析を容易にし得るものである。
特定の標的タンパク質の産生を品質制御目的で監視するか否かを問わず、本開示を利用して、たとえば、特定の発達段階で、あるいは特定の成長条件下で、グリコシル化を監視することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、治療用産物の品質を特性決定および/または制御または比較することが可能である。一例をあげると、本方法論を使用して、治療用タンパク質産物を産生する細胞でのグリコシル化を評価することが可能である。特に、グリコシル化が治療用タンパク質産物の活性やバイオアベイラビリティまたは他の特徴に影響し得ることが多いとすれば、このような治療用タンパク質産物の産生時に細胞グリコシル化を評価するための方法が特に望ましい。とりわけ、本開示は、治療用タンパク質の産生系でのグリコシル化のリアルタイム分析を容易にし得るものである。
本開示によって産生および/または品質を監視可能な代表的な治療用糖タンパク質産物としては、たとえば、多岐にわたる血液作用剤(たとえば、エリスロポエチン、血液凝固因子など)、インターフェロン、コロニー刺激因子、抗体、酵素およびホルモン、特に細胞表面で発現されるものがあげられる。
いくつかの実施形態では、本開示は、異なる供給源または試料からの細胞表面グリカン同士を比較する方法を提供するものである。このようないくつかの例では、同一の供給源から時間をかけて複数の試料を取得し、グリコシル化パターン(ならびに、特に細胞表面グリコシル化パターン)の変化を監視する。いくつかの実施形態では、グリカン含有試料を一定間隔で除去する。いくつかの実施形態では、グリカン含有試料を約30秒間、約1分間、約2分間、約5分間、約10分間、約30分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約10時間、約12時間または約18時間間隔あるいは、さらに長い間隔で除去する。いくつかの実施形態では、グリカン含有試料を不規則な間隔で除去する。いくつかの実施形態では、グリカン含有試料を5時間間隔で除去する。
いくつかの実施形態では、試料のうちの1つが経時試料または経時試料の記録である。いくつかの実施形態では、試料のうちの1つが参照試料である。
本明細書で説明するように、特定の実施形態では、細胞によって産生される糖タンパク質のグリコシル化パターンの1つ以上の特徴を判断するにあたって、本開示の方法が有用である。特定の実施形態では、このような方法は、目的の糖タンパク質を産生する細胞の表面に第1の一組の条件下で存在する第1の表面グリコシル化パターンと、この細胞の表面に第2の一組の条件下で存在する第2の表面グリコシル化パターンとの間のグリコシル化パターンの相違を判断するステップと、こうして判断した相違に基づいて、細胞によって産生される目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの1つ以上の特徴を確立するステップと、を含むものであってもよい。たとえば、細胞培養の異なる時点で細胞表面に存在するグリコシル化パターンを判断することで、目的の糖タンパク質の経時的なグリコシル化パターンを判断することが可能である。
それに加えてあるいはその代わりに、1つ以上の異なる成長パラメータ下で増殖させた目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの変化を試験して、糖タンパク質産生に合った1つ以上の所望の増殖パラメータまたはパラメータの組み合わせを求めることが可能である。特定の実施形態では、限定することなく、グリコシル化部位占有率、結合型グリカンのアイデンティティ、結合型グリカンの相対量、結合型グリカンの完全組成または部分組成および/または結合型グリカンの相対量などのグリコシル化パターンの特徴を観察および/または測定することで、グリコシル化パターンの相違を判断する。本開示の方法は、当業者間で周知の他のグリコシル化パターンの特徴を観察および/または測定することを包含する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、産物自体を単離することなく、治療用産物の品質を特性決定および/または制御または比較することが可能である。一例をあげると、本明細書に記載の本開示の方法論を使用して、治療用タンパク質産物を産生する細胞でのグリコシル化を評価することが可能である。特に、グリコシル化が治療用タンパク質産物の活性やバイオアベイラビリティまたは他の特徴に影響し得ることが多いとすれば、このような治療用タンパク質産物の産生時に細胞グリコシル化を評価するための方法が特に望ましい。とりわけ、本開示は、治療用タンパク質の産生系でのグリコシル化のリアルタイムの分析を容易にし得るものである。
いくつかの実施形態では、ここに提供される方法を使用して、(異なる細胞培養物などにおける)異なる試料で起こるグリコシル化の程度および/またはタイプを監視する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の選択されたパラメータ(細胞型、培養のタイプ[連続供給対バッチ供給など]、培養条件[培地のタイプ、特定培地の特定の成分の存在または濃度(a)、モル浸透圧濃度、pH、温度、タイミングまたは1つ以上の成分のシフトの度合い、たとえばモル浸透圧濃度、pH、温度など]、培養時間、単離ステップなど)は異なるがそれ以外は同じ条件下で調製した、異なる細胞培養試料からのグリカン同士を比較するため、選択されたパラメータがN−グリコシル化パターンにおよぼす影響を判断できる。特定の実施形態では、選択された単一のパラメータがグリコシル化パターンにおよぼす影響を判断できるように、選択された単一のパラメータが異なる条件下で調製した、異なる細胞培養試料からのグリカンを比較する。よって、他の用途として、本技法によって、特定のパラメータが細胞のグリコシル化パターンにおよぼす影響を判断しやすくすることができる。
いくつかの実施形態では、目的の糖タンパク質(治療用糖タンパク質など)を産生する細胞の異なるバッチからの細胞表面グリカン同士を、同一の方法で調製するか異なる方法で調製するかを問わず、かつ、同時に調製するか別々に調製するかを問わず、比較する。このような実施形態では、本開示は、糖タンパク質調製物(すなわち標的糖タンパク質調製物の調製物)の品質制御を容易にするものである。上記の他にまたは上記に加えて、このような実施形態のいくつかは、目的の糖タンパク質を産生する特定の培養の進行の監視を容易にするものである(異なる時点で培養から試料を除去し、分析して互いに比較する場合)。これらの実施形態のいずれにおいても、グリカン分析の特徴を、たとえば品質制御記録に記録することが可能である。上述したように、いくつかの実施形態では、比較が、糖タンパク質の事前または標準的なバッチの履歴記録および/または参照試料との間で実施されるものである。
特定の実施形態では、本開示を研究に利用して、細胞のグリコシル化の特徴を改変し、たとえば1つ以上の望ましいグリコシル化の特徴を有する細胞系および/または培養条件を確立してもよい。必要があれば、このような細胞系および/または培養条件をさらに利用し、当該グリコシル化の特徴が有益であると想定される特定の標的複合糖質(糖タンパク質など)を産生することが可能である。
本開示によれば、本明細書に記載の技法を用いて、望ましいグリカンまたは望ましくないグリカンを検出し、たとえば産物中の1種類以上の汚染物質を検出または定量化あるいは、1種類以上の活性種または所望の種の存在を検出または定量化することが可能である。
さまざまな実施形態では、この方法を用いて、存在または濃度(絶対濃度であるか相対濃度であるかを問わない)が特定の疾患状態(特定の疾患への羅患性を含む)と関連している可能性のある1種類以上の特定のグリカンおよび/またはこのようなグリカンの濃度の経時的変化を検出することで、治療不能または治療しにくい症状に対する徴候が現れるおよび/または疾患状態が進行する前に疾患状態などを示す1つ以上のバイオマーカーのグリコシル化を評価することが可能である。たとえば、本開示のいくつかの実施形態では、標的複合糖質がバイオマーカーである。
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、供給源(生物学的試料など)に極低濃度で存在するグリカン(細胞表面グリカンなど)の検出を容易にする。このような実施形態では、グリカン集合体に、約10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.25%未満、0.1%未満、0.075%未満、0.05%未満、0.025%未満または0.01%未満の濃度で存在する細胞表面グリカンの濃度を検出および/または任意に定量化することが可能である。いくつかの実施形態では、0.1%から5%、たとえば0.1%から2%、たとえば0.1%から1%のグリカン調製物を含むグリカンの濃度を検出および/または任意に定量化することが可能である。特定の実施形態では、約0.1fmolから約1mmolの間の細胞表面グリカンの濃度を検出および/または任意に定量化することが可能である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の技法を、グリカンまたは複合糖質を検出、分析およびまたは単離するための1つ以上の他の技術と組み合わせてもよい。
キット
1つ以上の本開示の方法を実施するのに有用な試薬については、キットに同梱して一緒に提供すると望ましいことがある。特定の実施形態では、本開示のキットは、糖タンパク質を細胞表面から遊離させるのに有用な1種類以上の試薬(1種類以上のプロテアーゼ、グリコシダーゼおよび/または他の作用剤など)および/または緩衝液、コファクターなどの補助成分などを含む。特定の実施形態では、本開示の胃キットは、細胞表面糖タンパク質の遊離元となる細胞からの遊離細胞表面糖タンパク質の精製および/または分析に有用な1種類以上の試薬を含む。
特定の実施形態では、本開示のキットは、糖タンパク質または糖ペプチドからグリカン構造を切断するのに有用な1種類以上の試薬を含む(PNGase F、PNGase A、O−グリカナーゼおよび/またはEndo−Hなどの酵素など)。特定の実施形態では、本開示のキットは、糖タンパク質または糖ペプチドのタンパク質成分から切断されたグリカン構造を精製するのに有用な1種類以上の試薬を含む(1種類以上のグリコシダーゼなど)。
特定の実施形態では、本開示のキットは、グリカン構造を標識するための1種類以上の試薬を含む。たとえば、本開示のキットは、蛍光標識、放射性標識および/または化学発光標識を含むものであってもよい。特定の実施形態では、本開示のキットは、蛍光2−アミノベンズアミド(「2−AB」)を含む。
特定の実施形態では、本開示のキットは、細胞を培養(細胞培養液、緩衝液、培地成分など)および/または細胞培養後に細胞を精製するための1種類以上の試薬を含む。
上記の説明は代表例にすぎず、限定を意図したものではないことは理解されよう。本開示ならびに、本開示を適用可能な別の用途を実施するための別の方法および材料については、当業者には自明であろうし、それも添付の特許請求の範囲に含むことを意図している。
例示
実施例1:エキソグリコシダーゼ処理によって放出される細胞表面グリカンの検出によって、細胞表面グリコシル化と非細胞表面グリコシル化に同等の変化あることが明らかになる
目的の細胞表面糖タンパク質を産生したCHO細胞(この場合、非細胞表面抗体)を、第1の量のグルコサミンを含有する第1の培地と、第2の量のグルコサミンを含有する第2の培地という2種類の培地にて標準的な条件下で培養した。ここで、グルコサミンの第2の量のほうがグルコサミンの第1の量よりも多かった。
培養にて一定時間の増殖後、同一の培養フラスコからの細胞と培養上清を収集した。細胞をペレット化し、PBSで洗浄して培地成分を除去し、さらには産物抗体の単離前に培養上清を清浄化した。
産物の単離のために、培養上清をタンパク質Aセファロースビーズと一緒に一晩培養した。次に、ビーズをペレット化し、PBSで洗浄した。低pHの0.1Mグリシン溶液で産物を溶出させた。
洗浄後の細胞の一アリコートをプロテアーゼで処理し、細胞表面糖ペプチドを放出させた。無傷細胞を遠心分離によって放出された細胞表面糖ペプチドから分離した。
単離後の産物抗体または放出された細胞表面糖ペプチドから、PNGase Fを用いてグリカンを酵素的に放出した。単離されたグリカンを蛍光標識し、エキソグリコシダーゼ(シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ)で処理してN−結合型グリカンをコアM3N2にした。フコシル化および非フコシル化グリカンの相対量を求めることができるように、この処理で放出されたグリカンをLCおよび/またはMSで分析した。
第1(対照)および第2の(グルコサミン増加)培地にて非細胞表面糖タンパク質(抗体産物)で観察された非フコシル化グリカンの割合を図1に示す。また、同じ培地にて細胞表面グリカンで観察された同じ割合を図3A〜図3Bに示す。細胞表面グリカンの代表的なLCスペクトルを、図3A〜図3Bの概要データに含まれるものとして、図2に示す。
図1および図3から明らかなように、非細胞表面グリカン集合体と細胞表面グリカン集合体の両方で非フコシル化構造に同様の増加(すなわち、コアα1−6フコシル化の喪失)が観察される。これらのデータから、本開示に基づいて用いられる方法は、細胞表面グリカンの容易な検出、単離およびまたは分析を可能にするものであることが分かり、さらに、細胞表面グリカンの検出が非細胞表面グリカンの検出の代用となり得るような形で、非細胞表面グリコシル化パターンの変化が細胞表面グリコシル化パターン(patters)の同様の変化に反映されている可能性があることも分かる。
実施例2:無傷細胞または放出された細胞表面グリカンでの細胞表面グリカンの検出によって、細胞表面グリコシル化と非細胞表面グリコシル化に同等の変化があることが明らかになる
目的の細胞表面糖タンパク質を産生したCHO細胞(この場合、非細胞表面抗体)を、第1の量のN−アセチルマンノサミンを含有する第1の培地と、第2の量のN−アセチルマンノサミンを含有する第2の培地という2種類の培地にて標準的な条件下で培養した。ここで、N−アセチルマンノサミンの第2の量のほうがN−アセチルマンノサミンの第1の量よりも多かった。
培養にて一定時間の増殖後、同一の培養フラスコからの(form)細胞と細胞培養上清を収集した。細胞をペレット化し、PBSで洗浄して培地成分を除去した。培養上清を清浄化した。
タンパク質Aセファロースビーズと一緒に一晩インキュベーションして、非細胞表面抗体産物を培養上清から単離した。次に、ビーズをペレット化し、PBSで洗浄した。低pHの0.1Mグリシン溶液で産物を溶出させた。
洗浄後の細胞の一アリコートを低張液に曝露して溶解し、得られた膜をペレット化した。
単離後の抗体産物および膜から酸処理によってシアル酸を放出させ、イオン交換クロマトグラフィで単離した。続いて、得られたシアル酸をDMB(1,2−ジアミノ−4,5−メチレンジオキシベンゼン−2HCl)標識し、HPLCで分析した。
同時に、洗浄後の細胞の第2のアリコートをレクチン染色し、フローサイトメトリーで分析した。各培養条件下の細胞表面グリカン試料と非細胞表面グリカン試料の両方についてシアル酸濃度を求めた。
細胞表面からのシアル酸濃度の代表的なLC分析を図4に示す。また、異なる培養条件下での細胞表面グリカンおよび非細胞表面グリカンにおけるシアル酸の相対量を図5〜図7に示す。図から明らかなように、N−アセチルマンノサミンの濃度を増して細胞を増殖させると、非細胞表面グリカン集合体と細胞表面グリカン集合体でシアル酸濃度に同様の増加が観察される。
これらのデータから、本明細書に記載の方法は、細胞表面グリカンの容易な検出、単離およびまたは分析を可能にするものであることが分かり、さらに、細胞表面グリカンの検出が非細胞表面グリカンの検出の代用となり得るような形で、非細胞表面グリコシル化パターンの変化が細胞表面グリコシル化パターン(patters)の同様の変化に反映されている可能性があることも分かる。重要なことに、このデータから、産物自体の単離を必要とせずに目的の産物のグリコシル化をリアルタイムに監視できることが分かる。
実施例3:グルコサミン補充が細胞表面と産物のシアリル化におよぼす影響
糖タンパク質産物を産生するCHO細胞をグルコサミン補充の存在下または非存在下で培養した。5日後、細胞および産物を収集し、シアル酸含有量を別々に分析した。細胞表面シアル酸含有量については、図8に示すように陰イオン交換クロマトグラフィで求めた。グルコサミンを補充しなかった場合に対するシアル酸の変化率を細胞表面と産物の両方について下記の表2に示す。表2のデータは複数回の平均(S.D.)で示してある。
これらのデータから、グルコサミン補充に関連する細胞表面シアリル化の減少が産物のシアリル化の減少と相関していることが分かる。
等価物
当業者であれば、本明細書に記載の本開示の特定の実施形態の多くの等価物を定法による実験だけで認識するか、または確認できる。本開示の範囲は上記の説明に限定されることを意図したものではなく、添付の特許請求の範囲に記載されているようなものである。
特許請求の範囲において、「a」「an」「the」などの冠詞は、1つまたは2つ以上を意味することがある(そうでないことが明示されている場合または文脈から明らかな場合を除く)。1つ以上のグループメンバ間に「または」を含む特許請求の範囲またはその説明は、グループメンバのうちの1つ、2つ以上またはすべてが、特定の産物またはプロセスに存在し、用いられ、または関連している場合に満たされるものとする(そうでないことが明示されている場合または文脈から明らかな場合を除く)。本開示は、厳密に1つのグループメンバが、特定の産物またはプロセスに存在し、用いられ、または関連している実施形態を含む。本開示は、2つ以上またはすべてのグループメンバが、特定の産物またはプロセスに存在し、用いられ、または関連している実施形態を含む。
さらに、本開示は、列挙した特許請求の範囲のうちの1項以上の1つ以上の限定、要素、句、記述用語などが他の特許請求の範囲に導入された、あらゆる変形例、組み合わせおよび置き換えを包含する。たとえば、他の特許請求の範囲に従属する特許請求の範囲を修正して、同一の基本クレームに従属する他のいずれかの特許請求の範囲にある1つ以上の限定を含むようにすることが可能である旨を理解できよう。さらに、特許請求の範囲で組成について言及する場合、特に明記しないかぎり、あるいは矛盾または不一致が生じることが当業者らに自明でないかぎり、その組成を本明細書に開示の何らかの目的に用いる方法も含まれ、本明細書に開示の製造方法または当該技術分野において周知の他の方法によってその組成を作るための方法も含まれる点も理解できよう。
たとえばマーカッシュ群形式で要素を列挙する場合、要素の各サブグループも開示され、いずれの要素もグループから除外可能であることは理解できよう。通常、本開示または本開示の態様が特定の要素や特徴などを含む場合、本開示の特定の実施形態または本開示の態様がこのような要素や特徴からなるまたは実質的にこれからなるものである点を理解されたい。分かりやすくする目的で、これらの実施形態は、本明細書では正確に引用して具体的に記載したものではない。「含む(comprising)」という用語は、オープンであることを意図したものであり、別の要素またはステップの追加も許容される。
範囲が記載されている箇所では、端点もその範囲に含まれる。さらに、特に明記しないかぎり、あるいは文脈および当業者の理解から自明である場合をのぞき、範囲として表されている値は、本開示の異なる実施形態において、その範囲の下限の単位の十分の一まで具体的な値または表記の範囲内の部分的な範囲を仮定できる(文脈から明らかにそうではないことが分かる場合を除く)旨は理解できよう。
また、従来技術の範囲に含まれる本開示の特定の実施形態については、1つ以上の特許請求の範囲から明示的に除外できることも理解できよう。このような実施形態は当業者らに周知であると思われるため、本明細書で明示的に除外しなくても自身でこうしたものを除外できる。また、何らかの理由で、従来技術の存在に関連しているか否かを問わず、本開示の組成物の特定の実施形態(エキソグリコシダーゼ、グリコシド結合、反応条件、精製方法、産物分析方法など)を1つ以上の特許請求の範囲から除外することも可能である。
上記ならびに本明細書全体をとおして論じた刊行物はいずれも、本出願の出願日以前の開示物として記載したものである。これらはいずれも、先行する開示がゆえに本発明者らが当該開示物に先行する権利がないと認めることを意図したものではない。

Claims (95)

  1. a)
    (i)目的の糖タンパク質を産生する細胞の表面に第1の一組の条件下で存在する第1の表面グリコシル化パターンと、
    (ii)この細胞の表面に第2の一組の条件下で存在する第2の表面グリコシル化パターンと、
    の間のグリコシル化パターンの相違を判断するステップと、
    b)こうして判断した相違に基づいて、細胞によって産生される目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの1つ以上の特徴を確立するステップと、を含む、細胞によって産生される糖タンパク質のグリコシル化パターンの1つ以上の特徴を判断する方法。
  2. 1つ以上の特徴が、目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの変化を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 相違を判断するステップが、第1の表面グリコシル化パターンと第2の表面グリコシル化パターンとの間のシアリル化の相違を判断することを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 1つ以上の特徴を確立するステップが、目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンに存在するシアリル化の程度を確立することを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 目的の糖タンパク質を産生する細胞が、目的の糖タンパク質を産生する細胞の培養であり、
    第1の表面グリコシル化パターンが第1の時点で培養中の細胞表面に存在するパターンであるように、第1の一組の条件が第1の時点を表し、
    第2の表面グリコシル化パターンが第2の時点で培養中の細胞表面に存在するパターンであるように、第2の一組の条件が第2の時点を表し、
    このため、目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの1つ以上の特徴を確立するステップが、目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの経時的な変化を確立することを含み、これによって産生状態または品質を評価できるようにする、請求項1に記載の方法。
  6. 目的の糖タンパク質を産生する細胞が、目的の糖タンパク質を産生する細胞の培養であり、
    第1および第2の一組の条件が、目的の糖タンパク質を産生する細胞の培養に適用される成長パラメータの異なる集合を表し、
    このため、目的の糖タンパク質の産生に望ましい増殖パラメータが確立される、請求項1に記載の方法。
  7. a)
    (i)細胞の第1の培養中の細胞表面に存在する第1の表面グリコシル化パターンと、
    (ii)培養中の細胞表面に存在する第2の表面グリコシル化パターンと、
    の間のグリコシル化パターンの相違を判断するステップと、
    b)こうして判断した相違に基づいて、少なくとも1つのパラメータが、培養中の細胞によって産生される糖タンパク質のグリコシル化に対しておよぼす影響を確立するステップと、を含み、
    第1の培養と第2の培養とは少なくとも1つのパラメータが互いに異なる、方法。
  8. 少なくとも1つのパラメータが単一のパラメータである、請求項7に記載の方法。
  9. 少なくとも1つのパラメータが細胞のアイデンティティを含む、請求項7または請求項8に記載の方法。
  10. 確立された効果に基づいて、糖タンパク質の産生に望ましい細胞を選択するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  11. 少なくとも1つのパラメータが少なくとも1つの増殖条件を含む、請求項7または8に記載の方法。
  12. 確立された効果に基づいて、糖タンパク質の産生に望ましい増殖条件を選択するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  13. 相違を判断するステップが、グリコシル化部位占有の度合い、結合型グリカンのアイデンティティ、結合型グリカンの相対量、結合型グリカンの完全組成または部分組成、結合型グリカンの相対量、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される特徴の相違を判断することを含む、請求項1または請求項7に記載の方法。
  14. 判断するステップが、少なくとも1つの細胞表面グリカンを細胞から遊離させ、遊離グリカンを分析することを含む、請求項1に記載の方法。
  15. 判断するステップが、
    少なくとも1つの第1の細胞表面グリカンを第1の培養にて細胞から遊離させるステップと、
    少なくとも1つの第2の細胞表面グリカンを第2の培養にて細胞から遊離させるステップと、
    第1および第2の遊離細胞表面グリカンを分析するステップとを含む、請求項7に記載の方法。
  16. 遊離させるステップが細胞をプロテアーゼに曝露することを含む、請求項14に記載の方法。
  17. 遊離させるステップが各々、細胞をプロテアーゼに曝露することを含む、請求項15に記載の方法。
  18. 曝露するステップが、少なくとも1つの糖タンパク質が遊離されるようにプロテアーゼ処理することを含み、プロテアーゼ処理は細胞膜を実質的に破壊しないものである、請求項16または17に記載の方法。
  19. プロテアーゼが、プロテイナーゼK、トリプシン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
  20. プロテアーゼ処理するステップが、約0.1から2.0mg/mLの濃度で1種類以上のプロテアーゼに曝露することを含む、請求項19に記載の方法。
  21. プロテアーゼ処理するステップが、約37℃の温度で約15分間プロテアーゼ処理することを含む、請求項19に記載の方法。
  22. 分析するステップが、NMR、質量分析、液体クロマトグラフィ、二次元クロマトグラフィ、SDS−PAGE、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、蛍光標識糖質電気泳動(FACE)、ミセル動電クロマトグラフィ(MEKC)、エキソグリコシダーゼ処理またはエンドグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される特性決定法を利用するものである、請求項14または15に記載の方法。
  23. 判断するステップが、細胞からグリカンを遊離させることを含まない、請求項1または請求項7に記載の方法。
  24. 判断するステップが、少なくとも1つの細胞表面複合糖質に、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、エキソグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される特性決定法を適用することを含む、請求項23に記載の方法。
  25. 遊離させるステップが、
    a)1つ以上のタンパク質結合型細胞表面グリカンを細胞表面糖タンパク質から切断し、
    b)1つ以上の切断されたタンパク質結合型細胞表面グリカンを特性決定することを含む、請求項14または15に記載の方法。
  26. NMR、質量分析、液体クロマトグラフィ、二次元クロマトグラフィ、SDS−PAGE、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、蛍光標識糖質電気泳動(FACE)、ミセル動電クロマトグラフィ(MEKC)、エキソグリコシダーゼ処理またはエンドグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって、1つ以上の切断されたタンパク質結合型細胞表面グリカンを特性決定する、請求項25に記載の方法。
  27. タンパク質結合型細胞表面グリカンがN−結合型グリカンである、請求項25に記載の方法。
  28. タンパク質結合型細胞表面グリカンがO−結合型グリカンである、請求項25に記載の方法。
  29. タンパク質結合型細胞表面グリカンが複合型グリカンを含む、請求項25に記載の方法。
  30. タンパク質結合型細胞表面グリカンが少なくとも1つのシアル酸残基を含む、請求項29に記載の方法。
  31. タンパク質結合型細胞表面グリカンが高マンノース型グリカンを含む、請求項25に記載の方法。
  32. タンパク質結合型細胞表面グリカンがハイブリッド型グリカンを含む、請求項25に記載の方法。
  33. 判断した相違に関する情報または固定培地におけるグリコシル化パターンのうちの少なくとも1つに関する情報を記録するステップをさらに含む、請求項1または請求項7に記載の方法。
  34. 記録した情報と履歴記録または参照標準とを比較するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
  35. 記録または比較するステップが品質制御手順の一部である、請求項33または34に記載の方法。
  36. a)目的の糖タンパク質を産生する細胞であって、細胞が細胞表面グリコシル化パターンを有するように細胞表面に結合した少なくとも1つの細胞表面グリカンを有する細胞を提供するステップと、
    b)細胞表面グリコシル化パターンの少なくとも1つの特徴を判断するステップと、
    c)こうして判断した特徴に基づいて、目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの1つ以上の特徴を確立するステップとを含み、判断した特徴が目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの1つ以上の特徴と相関する、
    細胞によって産生される目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの1つ以上の特徴を判断する方法。
  37. 少なくとも1つの細胞表面グリカンが細胞表面複合糖質の一部である、請求項36に記載の方法。
  38. 少なくとも1つの細胞表面グリカンが細胞表面糖タンパク質の一部である、請求項37に記載の方法。
  39. 確立するステップが、細胞表面糖タンパク質の一部である複数のグリカンを特性決定することを含む、請求項38に記載の方法。
  40. 判断した特徴が、グリコシル化部位占有の度合い、結合型グリカンのアイデンティティ、結合型グリカンの相対量、結合型グリカンの完全組成または部分組成、結合型グリカンの相対量、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、
    確立するステップが、目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンに、判断した特徴が共通して備わっている旨を判断することを含む、請求項39に記載の方法。
  41. 判断するステップよりも前に細胞表面糖タンパク質を細胞から遊離させる、請求項38に記載の方法。
  42. 糖タンパク質が細胞から遊離されるように細胞をプロテアーゼ処理することで、細胞表面糖タンパク質を細胞から遊離させ、プロテアーゼ処理は細胞膜を実質的に破壊しないものである、請求項41に記載の方法。
  43. プロテイナーゼK、トリプシン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類以上のタンパク質分解酵素に細胞を曝露することで、細胞表面糖タンパク質を細胞から遊離させる、請求項41に記載の方法。
  44. 曝露するステップが、約0.1から2.0mg/mLの濃度で1種類以上のタンパク質分解酵素に細胞を曝露することを含む、請求項43に記載の方法。
  45. 曝露するステップが、細胞を約37℃の温度で約15分間プロテアーゼ処理することを含む、請求項43に記載の方法。
  46. 判断するステップが、細胞表面糖タンパク質に、NMR、質量分析、液体クロマトグラフィ、二次元クロマトグラフィ、SDS−PAGE、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、蛍光標識糖質電気泳動(FACE)、ミセル動電クロマトグラフィ(MEKC)、エキソグリコシダーゼ処理またはエンドグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される特性決定法を適用することを含む、請求項41に記載の方法。
  47. 判断するステップよりも前に細胞表面糖タンパク質を細胞から遊離させない、請求項37に記載の方法。
  48. 判断するステップが、少なくとも1つの細胞表面複合糖質に、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、蛍光標識糖質電気泳動(FACE)、ミセル動電クロマトグラフィ(MEKC)、エキソグリコシダーゼ処理またはエンドグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される特性決定法を適用することを含む、請求項47に記載の方法。
  49. 細胞表面糖タンパク質が、1つ以上のタンパク質結合型細胞表面グリカンを含み、判断するステップが、
    a)1つ以上のタンパク質結合型細胞表面グリカンを細胞表面糖タンパク質から切断し、
    b)1つ以上の切断されたタンパク質結合型細胞表面グリカンを特性決定することを含む、請求項38に記載の方法。
  50. NMR、質量分析、液体クロマトグラフィ、二次元クロマトグラフィ、SDS−PAGE、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、蛍光標識糖質電気泳動(FACE)、ミセル動電クロマトグラフィ(MEKC)、エキソグリコシダーゼ処理またはエンドグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって、1つ以上の切断されたタンパク質結合型細胞表面グリカンを特性決定する、請求項49に記載の方法。
  51. タンパク質結合型細胞表面グリカンがN−結合型グリカンである、請求項49に記載の方法。
  52. タンパク質結合型細胞表面グリカンがO−結合型グリカンである、請求項49に記載の方法。
  53. タンパク質結合型細胞表面グリカンが複合型グリカンを含む、請求項49に記載の方法。
  54. タンパク質結合型細胞表面グリカンが少なくとも1つのシアル酸残基を含む、請求項53に記載の方法。
  55. タンパク質結合型細胞表面グリカンが高マンノース型グリカンを含む、請求項49に記載の方法。
  56. タンパク質結合型細胞表面グリカンがハイブリッド型グリカンを含む、請求項49に記載の方法。
  57. 固定培地で特性決定した少なくとも1つの細胞表面グリカンに関する情報を記録するステップをさらに含む、請求項36〜56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 記録した情報と履歴記録とを比較するステップをさらに含む、請求項57に記載の方法。
  59. 記録または比較するステップが品質制御手順の一部である、請求項57または請求項58に記載の方法。
  60. a)目的の糖タンパク質を産生する第1の細胞の表面に結合した少なくとも1つの第1の細胞表面グリカンを含む第1の細胞を提供するステップと、
    b)少なくとも1つの第1の細胞表面グリカンを特性決定するステップと、
    c)目的の糖タンパク質を産生する第2の細胞の表面に結合した少なくとも1つの第2の細胞表面グリカンを含む第2の細胞を提供するステップと、
    d)少なくとも1つの第2の細胞表面グリカンを特性決定するステップと、
    e)第1の細胞表面グリカンと第2の細胞表面グリカンとの1つ以上の相違を判断するステップと、
    f)目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンにおける1つ以上の相違を確立するステップとを含み、第1の細胞表面グリカンと第2の細胞表面グリカンとの間の判断した相違が、目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンにおける1つ以上の相違と相関している、目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンにおける1つ以上の相違を判断する方法。
  61. 第1および第2の細胞を細胞の初期集団から選択する、請求項60に記載の方法。
  62. 第1および第2の細胞を異なる細胞培養条件下で増殖させる、請求項60または61に記載の方法。
  63. 細胞培養条件が、細胞型、培養のタイプ、培養時間、培地のタイプ、モル浸透圧濃度、pH、温度、単離ステップ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるパラメータの点で異なっている、請求項62に記載の方法。
  64. 第1の細胞および第2の細胞を同一の細胞培養条件下で増殖させる、請求項60または61に記載の方法。
  65. 目的の糖タンパク質を産生する細胞を含む細胞培養液から、異なる時点で第1および第2の細胞を単離し、第1の細胞表面グリカンと第2の細胞表面グリカンとの間で判断した1つ以上の相違が、目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの経時的な変化を表す、請求項64に記載の方法。
  66. 第1および第2の細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、メイディンダービーイヌ腎臓(MDCK)細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK細胞)、NS0細胞、MCF−7細胞、MDA−MB−438細胞、U87細胞、A172細胞、HL60細胞、A549細胞、SP10細胞、DOX細胞、DG44細胞、HEK 293細胞、SHSY5Y、ジャーカット細胞、BCP−1細胞、COS細胞、Vero細胞、GH3細胞、9L細胞、3T3細胞、MC3T3細胞、C3H−10T1/2細胞、NIH−3T3細胞、C6/36細胞、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項60〜65のいずれか一項に記載の方法。
  67. 少なくとも1つの第1の細胞表面グリカンが第1の細胞表面複合糖質の一部であり、第2の細胞表面グリカンが第2の細胞表面複合糖質の一部である、請求項60に記載の方法。
  68. 少なくとも1つの第1の細胞表面グリカンが第1の細胞表面糖タンパク質の一部であり、第2の細胞表面グリカンが第2の細胞表面糖タンパク質の一部である、請求項67に記載の方法。
  69. 少なくとも1つの第1の細胞表面グリカンを特性決定するステップが、細胞表面糖タンパク質の一部である複数の第1のグリカンを特性決定することを含み、
    少なくとも1つの第2の細胞表面グリカンを特性決定するステップが、細胞表面糖タンパク質の一部である複数の第2のグリカンを特性決定することを含む、請求項68に記載の方法。
  70. 少なくとも1つの第1および第2の細胞表面グリカンを特性決定するステップが、グリコシル化部位占有の度合い、結合型グリカンのアイデンティティ、結合型グリカンの相対量、グリカンの完全組成または部分組成、および細胞表面グリカンに対するこれらの組み合わせからなる群から選択される特徴を評価することを含み、
    目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンにおける1つ以上の相違を確立するステップが、目的の糖タンパク質に、評価した特徴が共通して備わっている旨を判断することを含む、請求項69に記載の方法。
  71. 第1および第2の細胞表面グリカンを特性決定するステップの前に、第1および第2の細胞表面糖タンパク質を第1および第2の細胞から遊離させる、請求項69に記載の方法。
  72. 糖タンパク質が細胞から遊離されるように細胞をプロテアーゼ処理することで、第1および第2の細胞表面糖タンパク質を第1および第2の細胞から遊離させ、プロテアーゼ処理は細胞膜を実質的に破壊しないものである、請求項71に記載の方法。
  73. プロテイナーゼK、トリプシン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類以上のタンパク質分解酵素に細胞を曝露することで、第1および第2の細胞表面糖タンパク質を第1および第2の細胞から除去する、請求項72に記載の方法。
  74. 曝露するステップが、約0.1から2.0mg/mLの濃度で1種類以上のタンパク質分解酵素に細胞を曝露することを含む、請求項73に記載の方法。
  75. 曝露するステップが、細胞を約37℃の温度で約15分間プロテアーゼ処理することを含む、請求項73に記載の方法。
  76. 少なくとも1つの第1および第2の細胞表面グリカンを特性決定するステップが、少なくとも1つの第1および第2の細胞表面糖タンパク質に、NMR、質量分析、液体クロマトグラフィ、二次元クロマトグラフィ、SDS−PAGE、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、蛍光標識糖質電気泳動(FACE)、ミセル動電クロマトグラフィ(MEKC)、エキソグリコシダーゼ処理またはエンドグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される特性決定法を適用することを含む、請求項71に記載の方法。
  77. 少なくとも1つの第1および第2の細胞表面グリカンを特性決定するステップよりも前に第1および第2の細胞表面複合糖質を第1および第2の細胞から遊離させない、請求項67に記載の方法。
  78. 少なくとも1つの第1および第2の細胞表面グリカンを特性決定するステップが、第1および第2の細胞表面複合糖質に、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、エキソグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される特性決定法を適用することを含む、請求項77に記載の方法。
  79. 第1の細胞表面糖タンパク質が1つ以上の第1のタンパク質結合型細胞表面グリカンを含み、第2の細胞表面糖タンパク質が1つ以上の第2のタンパク質結合型細胞表面グリカンを含み、少なくとも1つの第1および第2の細胞表面グリカンを特性決定するステップが、
    a)1つ以上の第1および第2のタンパク質結合型細胞表面グリカンを第1および第2の細胞表面糖タンパク質から切断し、
    b)1つ以上の第1および第2の切断されたタンパク質結合型細胞表面グリカンを特性決定することを含む、請求項68に記載の方法。
  80. NMR、質量分析、液体クロマトグラフィ、二次元クロマトグラフィ、SDS−PAGE、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、蛍光標識糖質電気泳動(FACE)、ミセル動電クロマトグラフィ(MEKC)、エキソグリコシダーゼ処理またはエンドグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって、1つ以上の第1および第2の切断されたタンパク質結合型細胞表面グリカンを特性決定する、請求項79に記載の方法。
  81. 第1のタンパク質結合型細胞表面グリカンがN−結合型グリカンであるか、第2のタンパク質結合型細胞表面グリカンがN−結合型グリカンであるか、またはその両方である、請求項79に記載の方法。
  82. 第1のタンパク質結合型細胞表面グリカンがO−結合型グリカンであるか、第2のタンパク質結合型細胞表面グリカンがO−結合型グリカンであるか、またはその両方である、請求項79に記載の方法。
  83. 第1のタンパク質結合型細胞表面グリカンが複合型グリカンを含むか、第2のタンパク質結合型細胞表面グリカンが複合型グリカンを含むか、またはその両方である、請求項79に記載の方法。
  84. 第1のタンパク質結合型細胞表面グリカンが少なくとも1つのシアル酸残基を含むか、第2のタンパク質結合型細胞表面グリカンが少なくとも1つのシアル酸残基を含むか、またはその両方である、請求項83に記載の方法。
  85. 第1のタンパク質結合型細胞表面グリカンが高マンノース型グリカンを含むか、第2のタンパク質結合型細胞表面グリカンが高マンノース型グリカンを含むか、またはその両方である、請求項79に記載の方法。
  86. 第1のタンパク質結合型細胞表面グリカンがハイブリッド型グリカンを含むか、第2のタンパク質結合型細胞表面グリカンがハイブリッド型グリカンを含むか、またはその両方である、請求項79に記載の方法。
  87. 固定培地で特性決定した少なくとも1つの第1および第2の細胞表面グリカンに関する情報を記録するステップをさらに含む、請求項60〜86のいずれか一項に記載の方法。
  88. 記録した情報と履歴記録とを比較するステップをさらに含む、請求項87に記載の方法。
  89. 記録または比較するステップが品質制御手順の一部である、請求項87または請求項88に記載の方法。
  90. a)目的の糖タンパク質を産生する細胞の表面に結合した少なくとも1つの細胞表面グリカンを含む細胞を提供するステップと、
    b)少なくとも1つの細胞表面グリカンを特性決定するステップと、
    c)目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの1つ以上の特徴を判断するステップと、を含み、特性決定された少なくとも1つのグリカンが目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの1つ以上の特徴と相関している、目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンの1つ以上の特徴を判断する方法。
  91. 糖タンパク質が細胞から遊離されるように細胞をプロテアーゼ処理することで、細胞表面糖タンパク質を細胞から遊離させ、プロテアーゼ処理は細胞膜を実質的に破壊しないものである、請求項90に記載の方法。
  92. プロテイナーゼK、トリプシン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類以上のタンパク質分解酵素に細胞を曝露することで、細胞表面糖タンパク質を細胞から遊離させる、請求項90に記載の方法。
  93. 曝露するステップが、約0.1から2.0mg/mLの濃度で1種類以上のタンパク質分解酵素に細胞を曝露することを含む、請求項92に記載の方法。
  94. 曝露するステップが、細胞を約37℃の温度で約15分間プロテアーゼ処理することを含む、請求項92に記載の方法。
  95. 判断するステップが、細胞表面糖タンパク質に、NMR、質量分析、液体クロマトグラフィ、二次元クロマトグラフィ、SDS−PAGE、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、蛍光標識糖質電気泳動(FACE)、ミセル動電クロマトグラフィ(MEKC)、エキソグリコシダーゼ処理またはエンドグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される特性決定法を適用することを含む、請求項90に記載の方法。
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