JP5552421B2 - エキソグリコシダーゼを用いるn−グリカンの特性決定法 - Google Patents
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Description
本出願は、2007年4月16日に出願された米国仮特許出願第60/923,688号の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本明細書に援用する。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
グリカン調製物を提供するステップと、
グリカン調製物の第1の試料に第1のエキソグリコシダーゼ処置をほどこすステップと、
グリカン調製物の第2の試料に、第1のエキソグリコシダーゼ処置とは異なる第2のエキソグリコシダーゼ処置をほどこすステップと、
第1および第2のエキソグリコシダーゼ処置での切断産物を特性決定するステップと、
グリカン調製物のグリコシル化の特徴を少なくとも1つ判断できるように、第1のエキソグリコシダーゼ処置の切断産物の特性決定と第2のエキソグリコシダーゼ処置の特性決定切断産物とを比較するステップと、を含み、
第1および第2のエキソグリコシダーゼ処置が、
処理なし;
逐次処理;および
同時処理
からなる群から選択される、方法。
(項目2)
比較するステップが、第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置の切断産物の特性決定と参照試料の切断産物とを比較することを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量で提供される、項目4に記載の方法。
(項目6)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量では提供されない、項目4に記載の方法。
(項目7)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される2種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される3種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される4種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される5種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される6種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも7種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで逐次処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで同時処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料をエキソグリコシダーゼで処理しないことを含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
少なくとも1つの切断産物が3つのマンノースと2つのN−アセチルグルコサミン残基とを含む五糖コアを含む、項目1に記載の方法。
(項目17)
少なくとも1つの切断産物が分岐フコシル化を含む、項目1に記載の方法。
(項目18)
少なくとも1つの切断産物がラクトサミン伸長を含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
少なくとも1つの切断産物が、硫酸化グリカン、リン酸化グリカン、N−アセチルグルコサミンに結合したシアル酸またはアセチル化グリカンを含む、項目1に記載の方法。
(項目20)
グリカン調製物を提供するステップが、
a)複数の糖タンパク質に結合されたN−グリカンを各々が少なくとも1つ含む複数の糖タンパク質を提供するステップと、
b)少なくとも1つのN−グリカンを少なくとも1つの糖タンパク質から除去するステップと、
c)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップとを含む、項目1に記載の方法。
(項目21)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質をグリカナーゼに曝露することを含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
グリカナーゼがN−グリカナーゼFを含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質を化学的に切断することを含む、項目20に記載の方法。
(項目24)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質をヒドラジンに曝露することを含む、項目20に記載の方法。
(項目25)
単離するステップの前に、除去後のN−グリカンを蛍光標識で標識するステップをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目26)
単離するステップの後に、除去後のN−グリカンを蛍光標識で標識するステップをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目27)
蛍光標識が、2−アミノベンズアミド、2−アミノプリンまたはアニリンを含む、項目25または26に記載の方法。
(項目28)
単離するステップの前に、除去後のN−グリカンを放射性標識および同位体標識作用剤のうちの一方または両方で標識するステップをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目29)
単離するステップの後に、除去後のN−グリカンを放射性標識で標識するステップをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目30)
特性決定のステップが、クロマトグラフによる方法、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、質量分析(MS)、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、電気泳動法、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、核磁気共鳴(NMR)一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される手法を切断産物に適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目31)
特性決定するステップが、切断産物に質量分析(MS)を適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目32)
特性決定するステップが、切断産物にタンデムMSを適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目33)
特性決定するステップが、切断産物にMALDI−MSを適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目34)
特性決定するステップが、切断産物に核磁気共鳴(NMR)を適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目35)
特性決定するステップが、切断産物にクロマトグラフによる方法を適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目36)
特性決定するステップが、切断産物に細管式電気泳動(CE)を適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目37)
特性決定するステップが、切断産物にCE−MSを適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目38)
N−グリカン調製物における異常な修飾の存在を評価することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目39)
異常な修飾が、リン酸化、硫酸化、アセチル化、ラクトサミン伸長および分岐フコシル化からなる群から選択される、項目38に記載の方法。
(項目40)
複数のタンパク質結合型N−グリカンを特性決定する方法であって、
a)複数の糖タンパク質に結合されたN−グリカンを各々が少なくとも1つ含む複数の糖タンパク質を提供するステップと、
b)少なくとも1つのN−グリカンを少なくとも1つの糖タンパク質から除去するステップと、
c)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップと、
d)少なくとも1つの除去後のN−グリカンを少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼ酵素に曝露することで少なくとも1つの末端グリコシド結合を少なくとも1つの除去後のN−グリカンの非還元末端から切断し、複数の切断産物を生成するステップと、
e)これらの切断産物を特性決定するステップとを含み、
複数の少なくとも1つのメンバーのグリコシル化パターンが、複数の少なくとも1つの他のメンバーのグリコシル化パターンとは異なる、方法。
(項目41)
切断産物の特性決定を参照試料と比較するステップをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼ酵素が、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目40に記載の方法。
(項目43)
切断するステップが、単離されたN−グリカンを、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼ酵素に曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目44)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量で提供される、項目43に記載の方法。
(項目45)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量では提供されない、項目43に記載の方法。
(項目46)
切断するステップが、単離されたN−グリカンを、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される2種類のエキソグリコシダーゼに曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目47)
切断するステップが、単離されたN−グリカンを、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される3種類のエキソグリコシダーゼに曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目48)
切断するステップが、単離されたN−グリカンを、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される4種類のエキソグリコシダーゼに曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目49)
切断するステップが、単離されたN−グリカンを、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される5種類のエキソグリコシダーゼに曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目50)
切断するステップが、少なくとも1つの除去後のN−グリカンを、少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼに逐次的に曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目51)
切断するステップが、少なくとも1つの除去後のN−グリカンを、少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼに同時に曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目52)
少なくとも1つの切断産物が3つのマンノースと2つのN−アセチルグルコサミン残基とを含む五糖コアを含む、項目40に記載の方法。
(項目53)
少なくとも1つの切断産物が分岐フコシル化を含む、項目40に記載の方法。
(項目54)
少なくとも1つの切断産物がラクトサミン伸長を含む、項目40に記載の方法。
(項目55)
少なくとも1つの切断産物が、硫酸化グリカン、リン酸化グリカン、N−アセチルグルコサミンに結合したシアル酸またはアセチル化グリカンを含む、項目40に記載の方法。
(項目56)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質をグリカナーゼに曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目57)
グリカナーゼがN−グリカナーゼFを含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質を化学的に切断することを含む、項目40に記載の方法。
(項目59)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質をヒドラジンに曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目60)
単離するステップの前に、除去後のN−グリカンを蛍光標識で標識するステップをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目61)
単離するステップの後に、除去後のN−グリカンを蛍光標識で標識するステップをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目62)
蛍光標識が2−アミノベンズアミドを含む、項目60または61に記載の方法。
(項目63)
単離するステップの前に、除去後のN−グリカンを放射性標識で標識するステップをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目64)
単離するステップの後に、除去後のN−グリカンを放射性標識で標識するステップをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目65)
特性決定するステップが、クロマトグラフによる方法、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、質量分析(MS)、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、電気泳動法、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、核磁気共鳴(NMR)一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される手法を切断産物に適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目66)
特性決定するステップが、切断産物に質量分析(MS)を適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目67)
特性決定するステップが、切断産物にタンデムMSを適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目68)
特性決定するステップが、切断産物にMALDI−MSを適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目69)
特性決定するステップが、切断産物に核磁気共鳴(NMR)を適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目70)
特性決定するステップが、切断産物にクロマトグラフによる方法を適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目71)
特性決定するステップが、切断産物に細管式電気泳動(CE)を適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目72)
特性決定するステップが、切断産物にCE−MSを適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目73)
複数のエキソグリコシダーゼの逐次投与を含み、グリカン調製物のグリカンを切断するエキソグリコシダーゼ処置を、グリカン調製物にほどこすステップと、
エキソグリコシダーゼ処置の際に、グリカン調製物から少なくとも第1の試料を取得するステップと、
少なくとも1つの取得した試料における切断されたグリカンを分析するステップと、を含む、方法。
(項目74)
取得するステップが、時間的に間隔をあけて、グリカン調製物から複数の試料を除去することを含み、
分析するステップが、除去された試料のうちの1つ以上において切断されたグリカンを特性決定することを含む、項目73に記載の方法。
(項目75)
分析するステップが、少なくとも1つの除去された試料における切断されたグリカンと少なくとも1つの他の除去された試料における切断されたグリカンとを比較することを含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
分析するステップが、少なくとも1つの除去された試料における切断されたグリカンと参照試料における切断されたグリカンとを比較することを含む、項目74に記載の方法。
(項目77)
試料を一定間隔で除去する、項目74に記載の方法。
(項目78)
試料を不規則な間隔で除去する、項目74に記載の方法。
(項目79)
エキソグリコシダーゼ処置が約10%完了したら試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目80)
エキソグリコシダーゼ処置が約25%完了したら試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目81)
エキソグリコシダーゼ処置が約50%完了したら試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目82)
エキソグリコシダーゼ処置が約75%完了したら試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目83)
エキソグリコシダーゼ処置が約90%完了したら試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目84)
エキソグリコシダーゼ処置がほぼ100%完了したら試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目85)
エキソグリコシダーゼ処置が100%完了する前に試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目86)
グリカンが100%切断される前に試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目87)
エキソグリコシダーゼ処理が、少なくとも第1および第2のエキソグリコシダーゼの逐次投与を含み、
取得するステップが、
第1のエキソグリコシダーゼの投与後であるが第2のエキソグリコシダーゼの投与前に、少なくとも第1の試料を除去するステップと、
第2のエキソグリコシダーゼの投与後に少なくとも第2の試料を除去するステップとを含む、項目73に記載の方法。
(項目88)
糖タンパク質のバッチ同士を比較する方法であって、
糖タンパク質の第1のバッチから第1のグリカン調製物を提供するステップと、
糖タンパク質の第2のバッチから第2のグリカン調製物を提供するステップと、
第1および第2のグリカン調製物に、それぞれエキソグリコシダーゼ処置をほどこして、グリカン調製物におけるN−結合型グリカンの非還元末端から単糖を特異的に切断するステップと、
2つのバッチの一貫性を評価できるように、第1のグリカン調製物から得られた切断産物と第2の調製物から得られた切断産物とを比較するステップと、を含む、方法。
(項目89)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目90)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目91)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量で提供される、項目90に記載の方法。
(項目92)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量では提供されない、項目90に記載の方法。
(項目93)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される2種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目94)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される3種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目95)
エキソグリコシダーゼ処置が、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される4種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目96)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される5種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目97)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで逐次処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目98)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで同時処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目99)
少なくとも1つの切断産物が、
3つのマンノースと2つのN−アセチルグルコサミン残基とを含む五糖コアと、
分岐フコシル化と、
ラクトサミン伸長と、
硫酸化グリカンと、
リン酸化グリカンと、
N−アセチルグルコサミンに結合したシアル酸と、
アセチル化グリカンと、
からなる群から選択される糖型を含む、項目88に記載の方法。
(項目100)
グリカン調製物を提供するステップが、
a)少なくとも1つのN−グリカンを第1または第2のバッチの少なくとも1つの糖タンパク質から除去するステップと、
b)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップとを含む、項目88に記載の方法。
(項目101)
除去するステップが、糖タンパク質のバッチをグリカナーゼに曝露するか、あるいは化学的に切断することを含む、項目100に記載の方法。
(項目102)
単離するステップの前または後に、除去後のN−グリカンを蛍光標識で標識するステップをさらに含む、項目100に記載の方法。
(項目103)
単離するステップの前または後に、除去後のN−グリカンを放射性標識で標識するステップをさらに含む、項目100に記載の方法。
(項目104)
特性決定のステップが、クロマトグラフによる方法、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、質量分析(MS)、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、電気泳動法、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、核磁気共鳴(NMR)一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される手法を切断産物に適用することを含む、項目88に記載の方法。
(項目105)
糖タンパク質の産生を監視するための方法であって、
糖タンパク質の産生時、少なくとも第1および第2のグリカン含有試料を産生系から除去するステップと、
第1および第2のグリカン含有試料の各々にエキソグリコシダーゼ処置をほどこし、グリカン含有試料におけるN−結合型グリカンの非還元末端から単糖を特異的に切断するステップと、
差を判断して糖タンパク質産生の進行を監視できるように、第1のグリカン含有試料から得られた切断産物と第2のグリカン含有試料から得られた切断産物とを比較するステップと、を含む、方法。
(項目106)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれら
の組み合わせからなる群から選択される1種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目107)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目108)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量で提供される、項目107に記載の方法。
(項目109)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量では提供されない、項目107に記載の方法。
(項目110)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される2種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目111)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される3種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目112)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される4種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目113)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される5種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目114)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで逐次処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目115)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで同時処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目116)
少なくとも1つの切断産物が、
3つのマンノースと2つのN−アセチルグルコサミン残基とを含む五糖コアと、
分岐フコシル化と、
ラクトサミン伸長と、
硫酸化グリカンと、
リン酸化グリカンと、
N−アセチルグルコサミンに結合したシアル酸と、
アセチル化グリカンと、
からなる群から選択される糖型を含む、項目105に記載の方法。
(項目117)
グリカン含有試料を除去するステップが、グリカン含有試料から少なくとも1つのグリカン調製物を取得することをさらに含む、項目105に記載の方法。
(項目118)
少なくとも1つのグリカン調製物を取得することが、
a)少なくとも1つのN−グリカンを、グリカン含有試料に含まれる少なくとも1つの複合糖質から除去するステップと、
b)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップとを含む、項目117に記載の方法。
(項目119)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質をグリカナーゼに曝露するか、あるいは化学的に切断することを含む、項目118に記載の方法。
(項目120)
単離するステップの前または後に、除去後のN−グリカンを蛍光標識で標識するステップをさらに含む、項目118に記載の方法。
(項目121)
単離するステップの前または後に、除去後のN−グリカンを放射性標識で標識するステップをさらに含む、項目118に記載の方法。
(項目122)
特性決定のステップが、クロマトグラフによる方法、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、質量分析(MS)、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、電気泳動法、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、核磁気共鳴(NMR)一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される手法を切断産物に適用することを含む、項目105に記載の方法。
(項目123)
グリカン含有試料を一定間隔で除去する、項目105に記載の方法。
(項目124)
グリカン含有試料を不規則な間隔で除去する、項目105に記載の方法。
(項目125)
エキソグリコシダーゼ処置が約10%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目126)
エキソグリコシダーゼ処置が約25%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目127)
エキソグリコシダーゼ処置が約50%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目128)
エキソグリコシダーゼ処置が約75%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目129)
エキソグリコシダーゼ処置が約90%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目130)
エキソグリコシダーゼ処置がほぼ100%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目131)
エキソグリコシダーゼ処置が100%完了する前に少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目132)
グリカンが100%切断される前に少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
およそ、約、だいたい:本明細書で使用する場合、1以上の目的の値に適用される「およそ」、「約」または「だいたい」という表現は、明記された参照値に近い値を示す。特定の実施形態では、「およそ」、「約」または「だいたい」という表現は、明記された参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満以内に入る値の範囲を示す。
本開示は、N−結合型グリカンの組成を分析する方法を提供するものである。本開示によれば、本明細書に記載の方法を使用して、N−グリカンの混合物を分析し、この特異的な構造基および通常とは違う修飾の混合物(コアまたは分岐型フコース、ラクトサミン伸長、高マンノース型グリカンおよびハイブリッド型グリカン、硫酸化、リン酸化など)での相対濃度を測定することが可能である。たとえば、分岐フコシル化がどのようにしてヘキソサミニダーゼによるglcNAcの消化を防ぐのかを図6に示す。多くの実施形態では、本開示は、N−グリカン調製物を取得するステップと、N−結合型グリカンをエキソグリコシダーゼ酵素で消化して、非還元末端から単糖を特異的に切断するステップと、切断産物を分析するステップとを含む方法を提供するものである。
通常、グリカンとは糖質部分(いくつかの実施形態では糖タンパク質と共有結合されている)を示す。糖質部分(オリゴ糖鎖など)は、小胞体およびゴルジ体でN−結合またはO−結合のいずれかによって糖タンパク質に結合される。一般に、N−結合型オリゴ糖鎖は小胞体の管腔で糖タンパク質に付加される(本明細書に援用するAlberts et al.,Molecular Biology of the Cell,1994を参照のこと)。糖質部分は、Asn−X−Ser/Thrの標的コンセンサス配列に含まれるアスパラギン残基の側鎖のアミノ基に付加されるが、この場合のXは、プロリン以外のどのようなアミノ酸であってもよい。はじめのオリゴ糖鎖は通常、小胞体の特定のグリコシダーゼ酵素でトリミングされ、2つのN−アセチルグルコサミンと3つのマンノース残基からなる短い分岐コアオリゴ糖になる。
本開示は、グリカン調製物における個々のグリカンの構造および/または組成を分析する方法を提供するものである。グリカン調製物については、当該技術分野において利用可能などのような方法で取得してもよい。通常、N−グリカン調製物の取得は、(1)糖タンパク質調製物を取得するステップと、(2)糖タンパク質調製物からN−グリカン調製物を取得するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、N−グリカン調製物を取得することが、任意に、N−グリカン調製物を検出可能な標識で標識するステップを含む。
糖タンパク質調製物については、治療製剤(エリスロポエチン、インスリン、ヒト成長ホルモンなど)、市販の生物由来物質(表3に示すものなど)、生物学的試料を含むがこれに限定されるものではない、どのような供給源から取得してもよい。本明細書で使用する場合、「生物学的試料」という用語は、組織培養、人間または動物の組織、植物、果物、野菜、単細胞微生物(細菌および酵母など)、多細胞生物を含むがこれに限定されるものではない、何らかの生きた細胞または生物体から得られる、排泄される、あるいは分泌される、あらゆる固体試料または流体試料を示す。たとえば、生物学的試料は、血液、血漿、血清、尿、胆汁、精液、脳脊髄液、房水または硝子体液などから得られる生物流体あるいは、分泌液、浸出液、滲出液(膿瘍または他の任意の感染部位または炎症部位から得られる流体など)または関節(正常な関節またはリウマチ性関節炎、変形性関節炎、痛風性関節炎または敗血症性関節炎などの疾患に羅患した関節)から得られる流体であってもよい。また、生物学的試料は、臓器または組織(生検組織または剖検標本を含む)から得られる試料などであってもよく、細胞(一次細胞であるか培養細胞であるかを問わない)、細胞、組織または臓器で調節した培地、組織培養を含むものであってもよい。
いくつかの実施形態では、糖タンパク質集合体を提供し、糖タンパク質集合体の糖タンパク質からN−グリカンを除去することでN−グリカン調製物が得られる。
いくつかの実施形態では、N−グリカン(糖タンパク質集合体から除去されたN−グリカンなど)を1つ以上の検出可能な標識と会合させることが可能である。検出可能な標識は一般に、N−グリカンの還元末端に会合する。いくつかの実施形態では、検出可能な標識が蛍光部分である。本開示に基づいて使用可能なフルオロフォアの例として、2−アミノ安息香酸(2AA)、2−アミノベンズアミド(2AB)および/または2−アミノプリン(2AP)があげられるが、これに限定されるものではない。通常、本開示に基づいて用いられるフルオロフォアには、グリカンを損傷および/または破壊しない条件下でオリゴ糖および/または単糖の還元末端との反応性があるという特徴がある。いくつかの実施形態では、蛍光部分は、還元末端に直接的に結合される。たとえば、この直接結合を還元的アミノ化による直接的な共役によって達成可能である。いくつかの実施形態では、蛍光部分が還元末端に間接的に結合される。たとえば、この間接結合を反応性リンカーアームによって達成可能である。
本開示は、糖タンパク質のグリコシル化パターンを判断する改良された方法を提供するものである。このような方法は一般に、N−グリカン集合体を1種類以上のエキソグリコシダーゼに曝露し、消化産物の構造および/または組成を分析することを含む。いくつかの実施形態では、本開示に基づいて用いられるエキソグリコシダーゼが、特定の1つのタイプのグリコシド結合だけを認識および切断する。いくつかの実施形態では、本開示に基づいて用いられるエキソグリコシダーゼが、特定の2以上のタイプのグリコシド結合を認識および切断する。
エキソグリコシダーゼは、末端グリコシド結合をグリカンの非還元末端から切断する酵素である。この酵素は一般に、特定の単糖結合およびアノマ性(α/β)に対して極めて特異性が高い。いくつかの実施形態では、隣り合った分岐パターンがエキソグリコシダーゼの特異性に影響することがある。エキソグリコシダーゼ処理によって、通常は、標準的な分岐型結合が五糖コア(M3N2)(3マンノースおよび2glcNAc残基を含む)に切断されたグリカンが得られる。しかしながら、異常修飾種(分岐型またはコアフコシル化種、高マンノースおよびハイブリッド型グリカン、ラクトサミン伸長グリカン、硫酸化グリカン、リン酸化グリカンなど)は、エキソグリコシダーゼ処理がきかないため、クロマトグラフ的に分離してM3N2五糖に対して定量化することが可能である。
いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼでの同時消化を利用して、グリカンの構造および/または機能を分析することができる。場合によっては、特定のタイプの結合および/またはグリカン修飾の存在を判断する目的で同時消化を実施することが可能である。一例をあげると、以下に示す仮想のグリカン構造で:
他の非限定的な例と同様に、N−グリカン集合体を第1の時間だけ第1のエキソグリコシダーゼに曝露した後、N−グリカン集合体を第2の時間だけ第2のエキソグリコシダーゼに曝露して、N−グリカンを消化してもよい。第2のエキソグリコシダーゼでの処理の前に、第1のエキソグリコシダーゼを任意に除去および/または不活性化してもよい。一例として、第1のエキソグリコシダーゼを不活性化し、エキソグリコシダーゼを不活性化するのに十分な時間と温度でこれをインキュベートしてもよい。それに加えてあるいはその代わりに、第1のエキソグリコシダーゼを、エキソグリコシダーゼに特異的な阻害因子(第1のエキソグリコシダーゼを特異的に結合し、その触媒活性を阻害する抗体または他の分子など)と一緒にインキュベートして不活性化してもよい。第1のエキソグリコシダーゼを不活性化する他の方法については、当業者間で周知である。第1のエキソグリコシダーゼを特異的阻害因子と一緒にインキュベートして不活性化する場合、阻害因子の存在が第2のエキソグリコシダーゼの活性を実質的に阻害しないようにすべき点は明らかであろう。いくつかの実施形態では、第2のエキソグリコシダーゼを加える前に第1のエキソグリコシダーゼを不活性化または除去するための方法として、反応混合物の加熱、反応混合物の冷却、有機溶媒の添加、プロテアーゼの添加および/またはこれらの組み合わせがあげられる。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィ、固相抽出カートリッジ、分子量フィルタ、遠心分離、沈殿および/またはこれらの組み合わせなどによって、第2のエキソグリコシダーゼを加える前に第1のエキソグリコシダーゼを反応物から除去する。これと同じ原理を、第3、第4、第5、第6などのエキソグリコシダーゼにも適用できることは、当業者であれば自明であろう。
通常、本開示による方法は、グリカン調製物にエキソグリコシダーゼ処理をほどこすことを含む。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ処理を完了したら、切断されたグリカンの構造および/またはアイデンティティを分析する。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ処理の過程でグリカン調製物から試料を除去してもよい。いくつかの実施形態では、時間的な隔たり(一定間隔または不規則な間隔など)のある複数の試料をエキソグリコシダーゼ処理の過程で(エキソグリコシダーゼ処理終了前の任意の時点など)グリカン調製物から除去してもよい。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ処理が、少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼを投与することを含み、除去するステップが、少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼの投与の過程で(エキソグリコシダーゼをグリカン調製物に添加した後であるが、エキソグリコシダーゼの不活性化および/またはグリカン調製物からの除去前など)、少なくとも1つの試料を除去することを含む。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ処理が、少なくとも第1および第2のエキソグリコシダーゼ(第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7および/またはそれよりも多くのエキソグリコシダーゼなど)の逐次投与を含み、除去するステップが、(i)第1のエキソグリコシダーゼの投与後であるが第2のエキソグリコシダーゼの投与前に少なくとも第1の試料を除去するステップと、(ii)第2のエキソグリコシダーゼの投与後に少なくとも第2の試料を除去するステップとを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの除去された試料で切断されたグリカンの構造および/またはアイデンティティを分析する。いくつかの実施形態では、分析するステップが、除去された試料のうちの1つ以上における切断されたグリカンの構造および/または機能と、少なくとも1つの他の除去された試料における切断されたグリカンの構造および/または機能とを比較することを含む。いくつかの実施形態では、分析するステップが、除去された試料のうちの1つ以上における切断されたグリカンの構造および/または機能と、参照試料における切断されたグリカンの構造および/または機能とを比較することを含む。
本開示は、どのようなグリカンでも構造および/または組成を分析するための方法を提供するものである。一例をあげると、本開示は、糖タンパク質のグリコシル化パターンを分析するための方法を提供するものである。本開示は、糖タンパク質のグリコシル化パターンを判断することに、商用、工業用および/または治療用の多くの潜在的な用途があるという認識を包含するものである。
材料および方法
試料の調製
一例としての精製糖タンパク質からN−グリカナーゼFによって N−グリカンを放出した後、クリンナップステップを実施して、塩、洗浄剤、タンパク質および非グリカン物質を除去した。まず、タンパク質を熱変性させた後、過剰なN−グリカナーゼFを用いてSDSの存在下、37℃で一晩処理した。放出されたグリカンを、黒鉛化炭素カラム(EnviCarbなど)を用いて塩および酵素から単離した。N−グリカンを還元末端(N−グリカン−2AB)で蛍光標識し、さらにクリンナップステップを実施して余分な標識を除去した。まず、2−AB標識を30%酢酸のDMSO溶液に溶解させ、シアノボロ水素化ナトリウムを加えて最終濃度を1.2Mとした。この標識溶液約5〜10μlを乾燥グリカンに加え、3時間かけて65℃まで加熱して、標識を完了させた。次に、試料をGlycoclean Sカートリッジに適用し、96%アセトニトリルで洗浄し、水で溶出して標識グリカンを遊離標識および塩から単離する。
グリカン混合物(0.25nmol/μl〜0.5nmol/μl)を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼからなる群から選択される少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼ(反応容積20μl〜40μlあたり配列グレードのグリコシダーゼ1μl〜2μl)で段階的に処理した。一般に、反応はpH5.5前後で実施された。段階的な分析の各ステップの後、次の酵素を加える前に酵素を不活性化した。
消化産物を質量分析(MS)につないだアミドカラムでの液体クロマトグラフィ(LC)で分離した。マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)でグリカンピークを構造的に同定した。グリカン保持時間を周知の標準およびグルコースラダーの場合と比較した。
エキソグリコシダーゼで徹底して段階的に処理した後、大多数のN−グリカンが消化されて、保存されたM3N2コアになり、いくつかの微小ピークが後からクロマトグラムに溶出した(図2B)。質量分析(MS)によって、これらの微小ピークがラクトサミンに対応することが確認された(図2B)。図2Aに消化前のN−グリカンのクロマトグラムを示す。
材料および方法
試料の調製と消化産物の分析
実施例1で説明したようにしてN−グリカンを調製し、消化産物を分析した。
グリカン混合物(0.25nmol/μl〜0.5nmol/μl)を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼからなる群から選択される少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼ(反応容積20μl〜40μlあたり配列グレードのグリコシダーゼ1μl〜2μl)で同時処理した。一般に、反応はpH5.5前後で実施された。
N−グリカンを2種類以上のエキソグリコシダーゼで同時に処理したら、N−グリカン構造の大半が崩壊し、保存されたコア(M3N2)になった。ガラクトシダーゼ活性とヘキソサミニダーゼ活性が同時に存在することで、ラクトサミン伸長が排除される。図3に示すように、使用したすべてのエキソグリコシダーゼに耐性のあった、LC保持時間30〜70分間の種がいくつかある。これらの種が従来のエキソグリコシダーゼ処理に対しても抵抗性であるという事実から、通常とは違う修飾が含まれていることが分かるが、これをMS分析で同定することが可能であり、ピーク面積を全体に対する割合で測定して定量化することが可能である。
逐次対同時エキソグリコシダーゼ消化プロトコルを使用して、グリカン調製物におけるN−グリカンの構造および/または組成に関する情報を得ることが可能である。たとえば、仮想のN−グリカン構造についての表4に概要を示すように、逐次消化および同時消化で生成された消化産物を比較することで、ラクトサミン基の存在を判断することができる。
逐次対同時エキソグリコシダーゼ消化プロトコルを使用して、グリカン調製物におけるN−グリカンの構造および/または組成に関する情報を得ることが可能である。たとえば、仮想のN−グリカン構造についての表5に概要を示すように、逐次消化および同時消化で生成された消化産物を比較することで、シアル酸結合の存在および/またはタイプを判断することができる。
同時エキソグリコシダーゼ消化プロトコルを使用して、グリカン調製物におけるN−グリカンの構造および/または組成に関する情報を得ることが可能である。たとえば、さまざまな組み合わせのエキソグリコシダーゼでの消化を用いて、事前に脱シアリル化したN−グリカンのアーム(分岐)α−1/3,4フコシル化をコアα−1,6フコシル化と区別することができる。表6に示す各処理による効果を以下のグリカン構造例の場合で示す。
ペプチド:N−グリコシダーゼF(PNGase−F)を使用して、N−結合型グリカンをモデル糖タンパク質から放出し、グリカン試料を得た。N−結合型糖タンパク質からの高マンノース、ハイブリッドおよび複合オリゴ糖の一番内側のGlcNAcとアスパラギン残基の間を切断するアミダーゼがPNGase−Fである(Maley et al.,1989,Anal.Biochem.,180:195;本明細書に援用)。PNGase Fは、糖ペプチドおよび/または糖タンパク質からのほぼあらゆるタイプのN−グリカン鎖を加水分解することができる。得られるグリカン試料を活性黒鉛化炭素固相抽出カートリッジで精製した。次に、グリカン混合物を2−ベンズアミドで蛍光標識した。グリカン試料を二等分し、それぞれ同時および逐次的に一組のエキソグリコシダーゼ(すなわち、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ,およびN−アセチルヘキソサミニダーゼ)と反応させた。続いて、アミドカラムを用いる順相蛍光HPLCまたはMALDI−MSによって反応生成物を分析した。分析結果を図8(クロマトグラム)および図9(MALDI−MS)に示す。
当業者であれば、本明細書に記載の本開示による特定の実施形態の多くの等価物を定法による実験だけで認識するか、または確認できる。本開示の範囲は上記の説明に限定されることを意図したものではなく、添付の特許請求の範囲に記載されているようなものである。
特許請求の範囲において、「a」「an」「the」などの冠詞は、1つまたは2つ以上を意味することがある(そうでないことが明示されている場合または文脈から明らかな場合を除く)。よって、たとえば、「ナノ粒子」とあっても複数のこのようなナノ粒子が含まれ、「細胞」とあっても当業者間で周知の1つ以上の細胞が含まれるなどである。1つ以上のグループメンバ間に「または」を含む特許請求の範囲またはその説明は、グループメンバのうちの1つ、2つ以上またはすべてが、特定の産物またはプロセスに存在し、用いられ、または関連している場合に満たされるものとする(そうでないことが明示されている場合または文脈から明らかな場合を除く)。本開示は、厳密に1つのグループメンバが、特定の産物またはプロセスに存在し、用いられ、または関連している実施形態を含む。本開示は、2つ以上またはすべてのグループメンバが、特定の産物またはプロセスに存在し、用いられ、または関連している実施形態を含む。さらに、本開示は、列挙した特許請求の範囲のうちの1項以上の1つ以上の限定、要素、句、記述用語などが他の特許請求の範囲に導入された、あらゆる変形例、組み合わせおよび置き換えを包含する。たとえば、他の特許請求の範囲に従属する特許請求の範囲を修正して、同一の基本クレームに従属する他のいずれかの特許請求の範囲にある1つ以上の限定を含むようにすることが可能である旨を理解できよう。さらに、特許請求の範囲で組成について言及する場合、特に明記しないかぎり、あるいは矛盾または不一致が生じることが当業者らに自明でないかぎり、その組成を本明細書に開示の何らかの目的に用いる方法も含まれ、本明細書に開示の製造方法または当該技術分野において周知の他の方法によってその組成を作るための方法も含まれる点も理解できよう。
Claims (16)
- グリカン調製物を提供するステップと、
該グリカン調製物の第1の部分に第1のエキソグリコシダーゼ処置をほどこすステップであって、該第1のエキソグリコシダーゼ処置は、該第1の部分の少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼでの逐次処理を含み、該第1の部分は、1回に各エキソグリコシダーゼ1種に曝露され、第1のエキソグリコシダーゼは第2のエキソグリコシダーゼでの処理の前に不活性化または除去される、ステップと、
該グリカン調製物の第2の部分に、第2のエキソグリコシダーゼ処置をほどこすステップであって、該第2の部分は、該第1の部分とは異なり、該第2のエキソグリコシダーゼ処置は、該第2の部分の該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼによる同時処理を含み、該第2の部分は、各エキソグリコシダーゼに同時に曝露され、該逐次エキソグリコシダーゼ処理において用いられる少なくとも2種のエキソグリコシダーゼと該同時エキソグリコシダーゼ処理において用いられる少なくとも2種のエキソグリコシダーゼとは同一である、ステップと、
該第1および第2のエキソグリコシダーゼ処置での切断産物を特性決定するステップと、
該グリカン調製物のグリコシル化の特徴を少なくとも1つ判断できるように、該第1のエキソグリコシダーゼ処置の該切断産物の特性決定と第2のエキソグリコシダーゼ処置の該切断産物の特性決定とを比較するステップと、
を含む、方法。 - 前記比較するステップが、前記第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置の切断産物の特性決定と参照試料の切断産物とを比較することを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、前記グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類または複数のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、請求項1に記載の方法。
- 少なくとも1つの切断産物が、硫酸化グリカン、リン酸化グリカン、N−アセチルグルコサミンに結合したシアル酸、アセチル化グリカン、分岐フコシル化、ラクトサミン伸長、または3つのマンノースと2つのN−アセチルグルコサミン残基とを含む五糖コアを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記グリカン調製物を提供するステップが、
a)複数の糖タンパク質に結合されたN−グリカンを各々が少なくとも1つ含む複数の糖タンパク質を提供するステップと、
b)少なくとも1つのN−グリカンを少なくとも1つの糖タンパク質から除去するステップと、
c)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップとを含む、請求項1に記載の方法。 - 前記特性決定のステップが、クロマトグラフによる方法、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、質量分析(MS)、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、電気泳動法、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、核磁気共鳴(NMR)一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される手法を前記切断産物に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
- リン酸化、硫酸化、アセチル化、ラクトサミン伸長および分岐フコシル化からなる群から選択される、前記N−グリカン調製物における修飾の存在を評価することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 複数のタンパク質結合型N−グリカンを含むグリカン調製物を、該グリカン調製物の1または複数の特性が決定されるように特性決定する方法であって、
a)複数の糖タンパク質を含むグリカン調製物を提供するステップであって、各糖タンパク質は少なくとも2つまたはそれより多くのN結合型グリカンを含み、該複数のうちの少なくとも1つの糖タンパク質のグリコシル化パターンは、該複数のうちの少なくとも1つの他の糖タンパク質のグリコシル化パターンとは異なる、ステップと、
b)少なくとも2つのN−グリカンを、該複数のうちの少なくとも1つの糖タンパク質から除去し、該少なくとも2つの除去されたN−グリカンを2またはそれより多くの部分に分けるステップと、
c)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップと、
d)該除去されたN−グリカン部分を複数の別個のエキソグリコシダーゼ酵素処理をほどこすステップであって、該複数の別個のエキソグリコシダーゼ処理は、
1)該グリカン調製物を少なくとも2種のエキソグリコシダーゼに逐次曝露して消化結果を得ることを含む逐次エキソグリコシダーゼ酵素処理であって、該第1の部分は1回に各エキソグリコシダーゼ1種に曝露され、第1のエキソグリコシダーゼは第2のエキソグリコシダーゼでの処理の前に不活性化または除去される処理、
2)該グリカン調製物を少なくとも2種のエキソグリコシダーゼに同時曝露して消化結果を得ることを含む同時エキソグリコシダーゼ酵素処理であって、該逐次エキソグリコシダーゼ処理において用いられる該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼと該同時エキソグリコシダーゼ処理において用いられる該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼとは同一である、処理
を含むステップと、
e)各エキソグリコシダーゼ処理由来の切断産物を特性決定するステップと、
f)任意に、該切断産物の特性決定を参照試料と比較するステップ
を含む、方法。 - 糖タンパク質のバッチ同士を比較する方法であって、
該糖タンパク質の第1のバッチから第1のグリカン調製物を提供し、該第1のグリカン調製物を2またはそれより多くの部分に分けるステップと、
該糖タンパク質の第2のバッチから第2のグリカン調製物を提供し、該第2のグリカン調製物を2またはそれより多くの部分に分けるステップと、
第1および第2のグリカン調製物の各々に、複数の別個のエキソグリコシダーゼ酵素処理をほどこすステップであって、該複数の別個のエキソグリコシダーゼ処理は、
a)該グリカン調製物を少なくとも2種のエキソグリコシダーゼに逐次曝露して消化結果を得ることを含む逐次エキソグリコシダーゼ酵素処理であって、該第1の部分は1回に各エキソグリコシダーゼ1種に曝露され、第1のエキソグリコシダーゼは第2のエキソグリコシダーゼでの処理の前に不活性化または除去される処理、
b)該グリカン調製物を少なくとも2種のエキソグリコシダーゼに同時曝露して消化結果を得ることを含む同時エキソグリコシダーゼ酵素処理であって、該第2の部分は該第1の部分とは異なり、該逐次エキソグリコシダーゼ処理において用いられる該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼと該同時エキソグリコシダーゼ処理において用いられる該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼとは同一である、処理
を含む、ステップと、
該第1のグリカン調製物および該第2のグリカン調製物から該逐次消化結果と同時消化結果とを差が明らかになるように比較して、それによって、2つの該バッチの一貫性を決定するステップと、
を含む、方法。 - 前記エキソグリコシダーゼ処置が、前記第1および第2のグリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、請求項9に記載の方法。
- 少なくとも1つの切断産物が、
3つのマンノースと2つのN−アセチルグルコサミン残基とを含む五糖コアと、
分岐フコシル化と、
ラクトサミン伸長と、
硫酸化グリカンと、
リン酸化グリカンと、
N−アセチルグルコサミンに結合したシアル酸と、
アセチル化グリカンと、
からなる群から選択される糖型を含む、請求項9に記載の方法。 - 前記グリカン調製物を提供するステップが、
a)少なくとも1つのN−グリカンを前記第1または第2のバッチの少なくとも1つの糖タンパク質から除去するステップと、
b)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップとを含む、請求項9に記載の方法。 - 糖タンパク質の産生を監視するための方法であって、
糖タンパク質の産生時、少なくとも第1および第2のグリカン含有試料を産生系から除去するステップと、
該第1および第2のグリカン含有試料の各々に、複数の別個のエキソグリコシダーゼ酵素処理をほどこすステップであって、該複数の別個のエキソグリコシダーゼ処理は、
a)該グリカン含有試料の第1の部分を少なくとも2種のエキソグリコシダーゼに逐次曝露して消化結果を得ることを含む逐次エキソグリコシダーゼ酵素処理であって、該第1の部分は1回に各エキソグリコシダーゼ1種に曝露され、第1のエキソグリコシダーゼは第2のエキソグリコシダーゼでの処理の前に不活性化または除去される処理、
b)該グリカン含有試料の第2の部分を少なくとも2種のエキソグリコシダーゼに同時曝露して消化結果を得ることを含む同時エキソグリコシダーゼ酵素処理であって、該第2の部分は該第1の部分とは異なり、該逐次エキソグリコシダーゼ処理において用いられる該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼと該同時エキソグリコシダーゼ処理において用いられる該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼとは同一である、処理
を含む、ステップと、
該第1および第2のグリカン含有試料からの該逐次消化結果と同時消化結果とを、差が明らかになり、それによって糖タンパク質産生の進行を監視できるように比較するステップと、
を含む、方法。 - 前記エキソグリコシダーゼ処置が少なくとも10%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、請求項13に記載の方法。
- 前記エキソグリコシダーゼ処置が100%完了する前に少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、請求項13に記載の方法。
- 前記グリカンが100%切断される前に少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、請求項13に記載の方法。
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