JP5552421B2 - エキソグリコシダーゼを用いるn−グリカンの特性決定法 - Google Patents

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Description

関連出願への相互参照
本出願は、2007年4月16日に出願された米国仮特許出願第60/923,688号の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本明細書に援用する。
糖タンパク質のグリコシル化パターンが、その糖タンパク質の機能に重要な役割を果たすことは多い。いくつかの例をあげると、糖タンパク質のグリコシル化パターンは、糖タンパク質の正しい折りたたみをする機能、安定性(タンパク質分解および/または他の分解に対する耐性など)、触媒活性、薬力学的特性および/または薬物動態学的特性および/またはその糖タンパク質が他の分子と適切に相互作用する機能に影響することがある。上記の他にまたは上記に加えて、糖タンパク質のグリコシル化パターンが糖タンパク質の輸送および標的に影響する可能性もある。たとえば、糖タンパク質のグリコシル化パターンは、糖タンパク質が細胞内にとどまるか(糖タンパク質を適切な細胞内区画に正しく標的することなどを含む)否か、糖タンパク質が膜結合されるか否かおよび/または糖タンパク質が細胞から分泌されるか否かに影響することがある。
現行の方法では、グリカン集合体に低濃度で存在するグリカン種を検出できないことが多い。主要なグリカン種が、低濃度で存在するグリカン種の検出および同定を妨害することもある。さらに、現行の方法では通常、グリカン集合体での個々のグリカン種の相対濃度を正確に定量化することはできない。また、現行の方法では、グリカン集合体での非標準結合を検出できないこともある。このため、グリカン集合体に低濃度で存在するグリカン種を検出するための方法が必要である。グリカン集合体での個々のグリカン種の相対濃度を定量化するための方法も必要である。
本開示は、N−結合型グリカンの組成および/または構造を分析する方法を提供するものである。本明細書に記載の方法を使用すれば、N−グリカンの調製物(N−グリカンの混合物など)を分析し、特定の構造基および/または通常の修飾の調製物(コアフコースまたは分岐型フコース、ラクトサミン伸長、高マンノース型グリカンおよびハイブリッド型グリカン、硫酸化、リン酸化など)での相対濃度を測定することが可能である。本明細書に記載の方法は通常、N−グリカン調製物を取得するステップと、N−結合型グリカンをエキソグリコシダーゼ酵素で消化して、非還元末端から単糖を特異的に切断するステップと、切断産物を分析するステップと、を用いるものであってもよい。エキソグリコシダーゼ酵素による複数の処理(同時処理およびさまざまな逐次処理)の結果を比較することで、N−グリカンの調製物中に極めて低濃度で存在するグリカン種を同定できるなど、グリカン構造に関する驚くべき情報を得られる。
グリカン調製物については、当該技術分野において利用可能な任意の方法で取得すればよい。通常、N−グリカン調製物の取得には、(1)糖タンパク質または他の複合糖質調製物を取得するステップと、(2)この複合糖質調製物からN−グリカン調製物を取得するステップと、を含む。複合糖質(糖タンパク質など)調製物は、治療製剤、市販の生物由来物質、生物学的試料を含むがこれに限定されるものではない、どのような供給源から得たものであってもよい。
いくつかの実施形態では、N−グリカン調製物は、糖タンパク質集合体を提供し、この糖タンパク質集合体の糖タンパク質からN−グリカンを除去して取得される。いくつかの実施形態では、N−グリカンを検出可能な標識(蛍光および/または放射性部分など)と関連させることが可能である。
いくつかの実施形態では、N−グリカン集合体を1種類以上のエキソグリコシダーゼで消化し、消化産物の構造および/または組成を分析する。いくつかの実施形態では、本開示に基づいて用いられるエキソグリコシダーゼが、特定の一タイプのグリコシド結合だけを認識および切断する。いくつかの実施形態では、本開示に基づいて用いられるエキソグリコシダーゼが、特定の二以上のタイプのグリコシド結合を認識および切断する。本開示に基づいて使用可能なエキソグリコシダーゼの例としては、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼがあげられるが、これに限定されるものではない。
本開示によれば、どのエキソグリコシダーゼでもN−グリカン集合体を消化可能である。特定の実施形態では、N−グリカン集合体を複数のエキソグリコシダーゼに曝露することでN−グリカンを消化する。たとえば、N−グリカン集合体を、2、3、4、5、6、7、8、9、10種類またはそれよりも多くのエキソグリコシダーゼに曝露してもよい。いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼを同時に投与する。いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼを逐次的に投与する。いくつかの実施形態では、投与対象となるエキソグリコシダーゼのアイデンティティを変えることで、N−グリカンの構造および/または組成に関する情報が明らかになる。いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼを投与する順序を変えることで、N−グリカンの構造および/または組成に関する情報が明らかになる。
いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼで逐次消化することで、同じ一組のエキソグリコシダーゼでの同時消化によって明らかになる情報とは異なる、N−グリカンの構造および/または組成に関する情報が明らかになる。いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼで逐次消化することで、同じ一組のエキソグリコシダーゼでの同時消化によって明らかになる情報と同じ、N−グリカンの構造および/または組成に関する情報が明らかになる。
いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼでの処理を終えたら、切断されたグリカンの構造および/またはアイデンティティを分析する。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ処理の過程(エキソグリコシダーゼ処理終了前の任意の時点など)で、少なくとも1つの試料をグリカン調製物から除去することができる。いくつかの実施形態では、除去された試料のうちの少なくとも1つで切断されたグリカンの構造および/またはアイデンティティを分析する。いくつかの実施形態では、分析するステップが、除去された試料のうちの1つ以上における切断されたグリカンの構造および/または機能と、少なくとも1つの他の除去された試料における切断されたグリカンの構造および/または機能とを比較することを含む。いくつかの実施形態では、分析するステップは、除去された試料のうちの1つ以上における切断されたグリカンの構造および/または機能と、参照試料における切断されたグリカンの構造および/または機能とを比較することを含む。
消化されたN−グリカンの構造および組成については、利用可能な任意の方法(クロマトグラフ的な方法、質量分析、核磁気共鳴、細管式電気泳動など)で分析可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、N−グリカン集合体に低濃度で存在するN−グリカン種の検出を可能にするものである。たとえば、本開示によれば、本明細書に記載の方法は、N−グリカン集合体に、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.25%未満または0.1%未満の低濃度で存在するN−グリカン種の検出を可能にするものである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、N−グリカン集合体に低濃度で存在する特定の結合の検出を可能にするものである。たとえば、本開示によれば、本明細書に記載の方法は、N−グリカン集合体に、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.25%未満、0.1%未満、0.075%未満、0.05%未満、0.025%未満または0.01%未満の低濃度で存在する特定の結合の検出を可能にするものである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、N−グリカン集合体における個々のN−グリカン種の相対濃度の検出を可能にするものである。たとえば、液体クロマトグラフの各ピークの下にある面積を測定し、全体に対する割合として表すことができる。このような分析をすることで、N−グリカン集合体における各N−グリカン種の量の相対的な比率が分かる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、治療薬として用いられる糖タンパク質のグリコシル化パターンを分析することが可能である(インターフェロン、コロニー刺激因子、血液凝固因子など)。当業者ならば明らかであろうように、これらの治療用糖タンパク物質のグリコシル化パターンには、その治療特性に影響する可能性がある。この場合、目的の発現糖タンパク質のグリコシル化パターンを正確に特性決定することが重要である。特定の実施形態では、本開示による方法は、このような治療用糖タンパク質のグリコシル化パターンの正確な特性決定に有用である。
特定の実施形態では、目的の治療用糖タンパク質が細胞で産生され、産生後に細胞から分泌される。本開示による方法を使用して、このような分泌された治療用糖タンパク質のグリコシル化パターンを予測できることがある。
いくつかの実施形態では、本開示による方法を使用して、細胞による糖タンパク質の産生時に糖タンパク質のグリコシル化パターンを監視できることがある。たとえば、糖タンパク質の産生(量産など)は、(1)糖タンパク質を産生する細胞を培養するステップと、(2)細胞を培養するプロセスをとおして一定間隔または不規則な間隔で試料を取得するステップと、(3)取得した試料各々における産生された糖タンパク質のグリコシル化パターンを分析するステップと、を含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、このような方法は、取得した各試料における産生された糖タンパク質のグリコシル化パターン同士を比較するステップをさらに含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、このような方法は、取得した試料各々における産生された糖タンパク質のグリコシル化パターンと、参照試料のグリコシル化パターンとを比較するステップをさらに含むものであってもよい。
特定の実施形態では、目的の治療用糖タンパク質が、市販の糖タンパク質(疾患、症状または機能障害の治療に用いられる、抗体、ポリペプチド、インターロイキン、受容体類似体、受容体アンタゴニストなどおよび/またはその特徴的な部分など)である。本開示による方法を使用して、このような市販の糖タンパク質のグリコシル化パターンを判断することが可能である。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
グリカン調製物を提供するステップと、
グリカン調製物の第1の試料に第1のエキソグリコシダーゼ処置をほどこすステップと、
グリカン調製物の第2の試料に、第1のエキソグリコシダーゼ処置とは異なる第2のエキソグリコシダーゼ処置をほどこすステップと、
第1および第2のエキソグリコシダーゼ処置での切断産物を特性決定するステップと、
グリカン調製物のグリコシル化の特徴を少なくとも1つ判断できるように、第1のエキソグリコシダーゼ処置の切断産物の特性決定と第2のエキソグリコシダーゼ処置の特性決定切断産物とを比較するステップと、を含み、
第1および第2のエキソグリコシダーゼ処置が、
処理なし;
逐次処理;および
同時処理
からなる群から選択される、方法。
(項目2)
比較するステップが、第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置の切断産物の特性決定と参照試料の切断産物とを比較することを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量で提供される、項目4に記載の方法。
(項目6)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量では提供されない、項目4に記載の方法。
(項目7)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される2種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される3種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される4種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される5種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される6種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも7種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで逐次処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料を少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで同時処理することを含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、グリカン調製物試料をエキソグリコシダーゼで処理しないことを含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
少なくとも1つの切断産物が3つのマンノースと2つのN−アセチルグルコサミン残基とを含む五糖コアを含む、項目1に記載の方法。
(項目17)
少なくとも1つの切断産物が分岐フコシル化を含む、項目1に記載の方法。
(項目18)
少なくとも1つの切断産物がラクトサミン伸長を含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
少なくとも1つの切断産物が、硫酸化グリカン、リン酸化グリカン、N−アセチルグルコサミンに結合したシアル酸またはアセチル化グリカンを含む、項目1に記載の方法。
(項目20)
グリカン調製物を提供するステップが、
a)複数の糖タンパク質に結合されたN−グリカンを各々が少なくとも1つ含む複数の糖タンパク質を提供するステップと、
b)少なくとも1つのN−グリカンを少なくとも1つの糖タンパク質から除去するステップと、
c)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップとを含む、項目1に記載の方法。
(項目21)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質をグリカナーゼに曝露することを含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
グリカナーゼがN−グリカナーゼFを含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質を化学的に切断することを含む、項目20に記載の方法。
(項目24)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質をヒドラジンに曝露することを含む、項目20に記載の方法。
(項目25)
単離するステップの前に、除去後のN−グリカンを蛍光標識で標識するステップをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目26)
単離するステップの後に、除去後のN−グリカンを蛍光標識で標識するステップをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目27)
蛍光標識が、2−アミノベンズアミド、2−アミノプリンまたはアニリンを含む、項目25または26に記載の方法。
(項目28)
単離するステップの前に、除去後のN−グリカンを放射性標識および同位体標識作用剤のうちの一方または両方で標識するステップをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目29)
単離するステップの後に、除去後のN−グリカンを放射性標識で標識するステップをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目30)
特性決定のステップが、クロマトグラフによる方法、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、質量分析(MS)、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、電気泳動法、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、核磁気共鳴(NMR)一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される手法を切断産物に適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目31)
特性決定するステップが、切断産物に質量分析(MS)を適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目32)
特性決定するステップが、切断産物にタンデムMSを適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目33)
特性決定するステップが、切断産物にMALDI−MSを適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目34)
特性決定するステップが、切断産物に核磁気共鳴(NMR)を適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目35)
特性決定するステップが、切断産物にクロマトグラフによる方法を適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目36)
特性決定するステップが、切断産物に細管式電気泳動(CE)を適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目37)
特性決定するステップが、切断産物にCE−MSを適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目38)
N−グリカン調製物における異常な修飾の存在を評価することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目39)
異常な修飾が、リン酸化、硫酸化、アセチル化、ラクトサミン伸長および分岐フコシル化からなる群から選択される、項目38に記載の方法。
(項目40)
複数のタンパク質結合型N−グリカンを特性決定する方法であって、
a)複数の糖タンパク質に結合されたN−グリカンを各々が少なくとも1つ含む複数の糖タンパク質を提供するステップと、
b)少なくとも1つのN−グリカンを少なくとも1つの糖タンパク質から除去するステップと、
c)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップと、
d)少なくとも1つの除去後のN−グリカンを少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼ酵素に曝露することで少なくとも1つの末端グリコシド結合を少なくとも1つの除去後のN−グリカンの非還元末端から切断し、複数の切断産物を生成するステップと、
e)これらの切断産物を特性決定するステップとを含み、
複数の少なくとも1つのメンバーのグリコシル化パターンが、複数の少なくとも1つの他のメンバーのグリコシル化パターンとは異なる、方法。
(項目41)
切断産物の特性決定を参照試料と比較するステップをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼ酵素が、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目40に記載の方法。
(項目43)
切断するステップが、単離されたN−グリカンを、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼ酵素に曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目44)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量で提供される、項目43に記載の方法。
(項目45)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量では提供されない、項目43に記載の方法。
(項目46)
切断するステップが、単離されたN−グリカンを、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される2種類のエキソグリコシダーゼに曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目47)
切断するステップが、単離されたN−グリカンを、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される3種類のエキソグリコシダーゼに曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目48)
切断するステップが、単離されたN−グリカンを、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される4種類のエキソグリコシダーゼに曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目49)
切断するステップが、単離されたN−グリカンを、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される5種類のエキソグリコシダーゼに曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目50)
切断するステップが、少なくとも1つの除去後のN−グリカンを、少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼに逐次的に曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目51)
切断するステップが、少なくとも1つの除去後のN−グリカンを、少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼに同時に曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目52)
少なくとも1つの切断産物が3つのマンノースと2つのN−アセチルグルコサミン残基とを含む五糖コアを含む、項目40に記載の方法。
(項目53)
少なくとも1つの切断産物が分岐フコシル化を含む、項目40に記載の方法。
(項目54)
少なくとも1つの切断産物がラクトサミン伸長を含む、項目40に記載の方法。
(項目55)
少なくとも1つの切断産物が、硫酸化グリカン、リン酸化グリカン、N−アセチルグルコサミンに結合したシアル酸またはアセチル化グリカンを含む、項目40に記載の方法。
(項目56)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質をグリカナーゼに曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目57)
グリカナーゼがN−グリカナーゼFを含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質を化学的に切断することを含む、項目40に記載の方法。
(項目59)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質をヒドラジンに曝露することを含む、項目40に記載の方法。
(項目60)
単離するステップの前に、除去後のN−グリカンを蛍光標識で標識するステップをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目61)
単離するステップの後に、除去後のN−グリカンを蛍光標識で標識するステップをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目62)
蛍光標識が2−アミノベンズアミドを含む、項目60または61に記載の方法。
(項目63)
単離するステップの前に、除去後のN−グリカンを放射性標識で標識するステップをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目64)
単離するステップの後に、除去後のN−グリカンを放射性標識で標識するステップをさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目65)
特性決定するステップが、クロマトグラフによる方法、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、質量分析(MS)、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、電気泳動法、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、核磁気共鳴(NMR)一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される手法を切断産物に適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目66)
特性決定するステップが、切断産物に質量分析(MS)を適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目67)
特性決定するステップが、切断産物にタンデムMSを適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目68)
特性決定するステップが、切断産物にMALDI−MSを適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目69)
特性決定するステップが、切断産物に核磁気共鳴(NMR)を適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目70)
特性決定するステップが、切断産物にクロマトグラフによる方法を適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目71)
特性決定するステップが、切断産物に細管式電気泳動(CE)を適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目72)
特性決定するステップが、切断産物にCE−MSを適用することを含む、項目40に記載の方法。
(項目73)
複数のエキソグリコシダーゼの逐次投与を含み、グリカン調製物のグリカンを切断するエキソグリコシダーゼ処置を、グリカン調製物にほどこすステップと、
エキソグリコシダーゼ処置の際に、グリカン調製物から少なくとも第1の試料を取得するステップと、
少なくとも1つの取得した試料における切断されたグリカンを分析するステップと、を含む、方法。
(項目74)
取得するステップが、時間的に間隔をあけて、グリカン調製物から複数の試料を除去することを含み、
分析するステップが、除去された試料のうちの1つ以上において切断されたグリカンを特性決定することを含む、項目73に記載の方法。
(項目75)
分析するステップが、少なくとも1つの除去された試料における切断されたグリカンと少なくとも1つの他の除去された試料における切断されたグリカンとを比較することを含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
分析するステップが、少なくとも1つの除去された試料における切断されたグリカンと参照試料における切断されたグリカンとを比較することを含む、項目74に記載の方法。
(項目77)
試料を一定間隔で除去する、項目74に記載の方法。
(項目78)
試料を不規則な間隔で除去する、項目74に記載の方法。
(項目79)
エキソグリコシダーゼ処置が約10%完了したら試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目80)
エキソグリコシダーゼ処置が約25%完了したら試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目81)
エキソグリコシダーゼ処置が約50%完了したら試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目82)
エキソグリコシダーゼ処置が約75%完了したら試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目83)
エキソグリコシダーゼ処置が約90%完了したら試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目84)
エキソグリコシダーゼ処置がほぼ100%完了したら試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目85)
エキソグリコシダーゼ処置が100%完了する前に試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目86)
グリカンが100%切断される前に試料を除去する、項目74に記載の方法。
(項目87)
エキソグリコシダーゼ処理が、少なくとも第1および第2のエキソグリコシダーゼの逐次投与を含み、
取得するステップが、
第1のエキソグリコシダーゼの投与後であるが第2のエキソグリコシダーゼの投与前に、少なくとも第1の試料を除去するステップと、
第2のエキソグリコシダーゼの投与後に少なくとも第2の試料を除去するステップとを含む、項目73に記載の方法。
(項目88)
糖タンパク質のバッチ同士を比較する方法であって、
糖タンパク質の第1のバッチから第1のグリカン調製物を提供するステップと、
糖タンパク質の第2のバッチから第2のグリカン調製物を提供するステップと、
第1および第2のグリカン調製物に、それぞれエキソグリコシダーゼ処置をほどこして、グリカン調製物におけるN−結合型グリカンの非還元末端から単糖を特異的に切断するステップと、
2つのバッチの一貫性を評価できるように、第1のグリカン調製物から得られた切断産物と第2の調製物から得られた切断産物とを比較するステップと、を含む、方法。
(項目89)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目90)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目91)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量で提供される、項目90に記載の方法。
(項目92)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量では提供されない、項目90に記載の方法。
(項目93)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される2種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目94)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される3種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目95)
エキソグリコシダーゼ処置が、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される4種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目96)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される5種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目97)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで逐次処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目98)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン調製物を少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで同時処理することを含む、項目88に記載の方法。
(項目99)
少なくとも1つの切断産物が、
3つのマンノースと2つのN−アセチルグルコサミン残基とを含む五糖コアと、
分岐フコシル化と、
ラクトサミン伸長と、
硫酸化グリカンと、
リン酸化グリカンと、
N−アセチルグルコサミンに結合したシアル酸と、
アセチル化グリカンと、
からなる群から選択される糖型を含む、項目88に記載の方法。
(項目100)
グリカン調製物を提供するステップが、
a)少なくとも1つのN−グリカンを第1または第2のバッチの少なくとも1つの糖タンパク質から除去するステップと、
b)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップとを含む、項目88に記載の方法。
(項目101)
除去するステップが、糖タンパク質のバッチをグリカナーゼに曝露するか、あるいは化学的に切断することを含む、項目100に記載の方法。
(項目102)
単離するステップの前または後に、除去後のN−グリカンを蛍光標識で標識するステップをさらに含む、項目100に記載の方法。
(項目103)
単離するステップの前または後に、除去後のN−グリカンを放射性標識で標識するステップをさらに含む、項目100に記載の方法。
(項目104)
特性決定のステップが、クロマトグラフによる方法、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、質量分析(MS)、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、電気泳動法、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、核磁気共鳴(NMR)一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される手法を切断産物に適用することを含む、項目88に記載の方法。
(項目105)
糖タンパク質の産生を監視するための方法であって、
糖タンパク質の産生時、少なくとも第1および第2のグリカン含有試料を産生系から除去するステップと、
第1および第2のグリカン含有試料の各々にエキソグリコシダーゼ処置をほどこし、グリカン含有試料におけるN−結合型グリカンの非還元末端から単糖を特異的に切断するステップと、
差を判断して糖タンパク質産生の進行を監視できるように、第1のグリカン含有試料から得られた切断産物と第2のグリカン含有試料から得られた切断産物とを比較するステップと、を含む、方法。
(項目106)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれら
の組み合わせからなる群から選択される1種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目107)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目108)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量で提供される、項目107に記載の方法。
(項目109)
少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼが、互いに実質的に等しい量では提供されない、項目107に記載の方法。
(項目110)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される2種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目111)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される3種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目112)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される4種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目113)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される5種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目114)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで逐次処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目115)
エキソグリコシダーゼ処置が、第1および第2のグリカン含有試料を、少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで同時処理することを含む、項目105に記載の方法。
(項目116)
少なくとも1つの切断産物が、
3つのマンノースと2つのN−アセチルグルコサミン残基とを含む五糖コアと、
分岐フコシル化と、
ラクトサミン伸長と、
硫酸化グリカンと、
リン酸化グリカンと、
N−アセチルグルコサミンに結合したシアル酸と、
アセチル化グリカンと、
からなる群から選択される糖型を含む、項目105に記載の方法。
(項目117)
グリカン含有試料を除去するステップが、グリカン含有試料から少なくとも1つのグリカン調製物を取得することをさらに含む、項目105に記載の方法。
(項目118)
少なくとも1つのグリカン調製物を取得することが、
a)少なくとも1つのN−グリカンを、グリカン含有試料に含まれる少なくとも1つの複合糖質から除去するステップと、
b)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップとを含む、項目117に記載の方法。
(項目119)
除去するステップが、1つまたは複数の糖タンパク質をグリカナーゼに曝露するか、あるいは化学的に切断することを含む、項目118に記載の方法。
(項目120)
単離するステップの前または後に、除去後のN−グリカンを蛍光標識で標識するステップをさらに含む、項目118に記載の方法。
(項目121)
単離するステップの前または後に、除去後のN−グリカンを放射性標識で標識するステップをさらに含む、項目118に記載の方法。
(項目122)
特性決定のステップが、クロマトグラフによる方法、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、質量分析(MS)、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、電気泳動法、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、核磁気共鳴(NMR)一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される手法を切断産物に適用することを含む、項目105に記載の方法。
(項目123)
グリカン含有試料を一定間隔で除去する、項目105に記載の方法。
(項目124)
グリカン含有試料を不規則な間隔で除去する、項目105に記載の方法。
(項目125)
エキソグリコシダーゼ処置が約10%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目126)
エキソグリコシダーゼ処置が約25%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目127)
エキソグリコシダーゼ処置が約50%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目128)
エキソグリコシダーゼ処置が約75%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目129)
エキソグリコシダーゼ処置が約90%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目130)
エキソグリコシダーゼ処置がほぼ100%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目131)
エキソグリコシダーゼ処置が100%完了する前に少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
(項目132)
グリカンが100%切断される前に少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、項目105に記載の方法。
N−グリカン構造の一例である。 2AB標識N−グリカンの混合物をシアリダーゼ酵素、ガラクトシダーゼ酵素、ヘキソサミニダーゼ酵素、フコシダーゼ酵素で処理した。試料をアミドカラムに適用し、順相クロマトグラフィで溶出した。(A)アミドカラム上で分離されたN−グリカン混合物。(B)酵素での段階的な処理後のN−グリカン。クロマトグラムから明らかなように、ラクトサミン伸長グリカンは、この処理では完全に切断されてM3N2になるわけではない。マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)でピークのアイデンティティを確認した。 シアリダーゼ酵素、ガラクトシダーゼ酵素、ヘキソサミニダーゼ酵素、フコシダーゼ酵素で混合物を同時処理する徹底した消化後のN−グリカン混合物のクロマトグラム。試料をアミドカラムに適用し、順相クロマトグラフィで溶出した。挿入画像:より小さなピークを可視化するために拡大した、およそ30分からおよそ70分のクロマトグラムのクロースアップ。 広特異的シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ(Rx05−C処理)で逐次的に消化したN−グリカン集合体の一例。さまざまな消化産物の集合体が図示されている。 α−2/3,6,8,9−シアリダーゼ、β−1/3,4,6−ガラクトシダーゼ、β−1,4−ヘキソサミニダーゼでグリカン集合体を逐次(左)消化および同時(右)消化した後に得られた消化産物の比較(上側の2つのグリカンで示す)。同時消化では、グリカン集合体のどちらのグリカンでも同じ反応生成物(マンノースコア)が得られる。逐次消化では、2種類の消化産物が得られる。この例は、同時消化では得られない情報を逐次消化によっていかに明らかにできるかを示すものである。 glcNAc(正方形)のフコシル化(三角形で示す)によって、ヘキソサミニダーゼが末端glcNAcを切断できなくなる。ここに示すのは、2つのグリカン種であり、一方には分岐フコシル化glcNAc(右)があり、他方にはこれがない(左)。シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼでの消化後、左側の種がそのマンノースコアまで切断される。これとは対照的に、同等のエキソグリコシダーゼ処理ではフコシル化glcNAcを切断できない。 ハイブリッドおよびポリラクトサミン構造を明らかにするための同時および逐次エキソグリコシダーゼ処理。グリカン混合物をエキソグリコシダーゼで処理し、標識した。同時対逐次切断で残るグリカン構造の比較をHPLCで示す(A)。グリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ(上のパネル)、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ(中央のパネル)またはシアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ(下のパネル)で同時または逐次的に処理した。シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ反応の同時対逐次切断で残るグリカン構造の比較を質量分析(MS)で示す(B)。逐次切断後に残るポリラクトサミン構造をHPLCと対応するMSの両方でマークする。 ハイブリッドおよびポリラクトサミン構造を明らかにするための同時および逐次エキソグリコシダーゼ処理。グリカン混合物をエキソグリコシダーゼで処理し、標識した。同時対逐次切断で残るグリカン構造の比較をHPLCで示す(A)。グリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ(上のパネル)、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ(中央のパネル)またはシアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ(下のパネル)で同時または逐次的に処理した。シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ反応の同時対逐次切断で残るグリカン構造の比較を質量分析(MS)で示す(B)。逐次切断後に残るポリラクトサミン構造をHPLCと対応するMSの両方でマークする。 同じグリカン試料についての逐次および同時酵素処理で得られるクロマトグラムの1対1比較によるポリラクトサミンを含むグリカンの高速同定。酵素反応には、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼを使用した。逐次処理と同時処理を矢印で示す。 同じグリカン試料に対する逐次(上のパネル)および同時(下のパネル)酵素処理で得られるMALDI−MSスペクトルの1対1比較によるポリラクトサミンを含むグリカンの高速同定。酵素反応には、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼを使用した。
定義
およそ、約、だいたい:本明細書で使用する場合、1以上の目的の値に適用される「およそ」、「約」または「だいたい」という表現は、明記された参照値に近い値を示す。特定の実施形態では、「およそ」、「約」または「だいたい」という表現は、明記された参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満以内に入る値の範囲を示す。
生物学的試料:「生物学的試料」という用語は、本明細書で使用する場合、組織培養、バイオリアクター試料、人間または動物の組織、植物、果物、野菜、単細胞微生物(細菌および酵母など)、多細胞生物を含むがこれに限定されるものではない、何らかの生きた細胞または生物体から得られる、排泄される、あるいは分泌される、あらゆる固体試料または流体試料を示す。たとえば、生物学的試料は、血液、血漿、血清、尿、胆汁、精液、脳脊髄液、房水または硝子体液などから得られる生物流体あるいは、分泌液、浸出液、滲出液(膿瘍または他の任意の感染部位または炎症部位から得られる流体など)または関節(正常な関節またはリウマチ性関節炎、変形性関節炎、痛風性関節炎または敗血症性関節炎などの疾患に羅患した関節)から得られる流体であってもよい。また、生物学的試料は、臓器または組織(生検組織または剖検標本を含む)から得られる試料などであってもよく、細胞(一次細胞であるか培養細胞であるかを問わない)、細胞または組織または臓器で調節した培地、組織培養を含むものであってもよい。
細胞表面糖タンパク質:本明細書で使用する場合、「細胞表面糖タンパク質」という用語は、少なくとも一部が細胞の外面に存在する糖タンパク質を示す。いくつかの実施形態では、細胞表面糖タンパク質は、グリカン構造の少なくとも1つが細胞の外面に存在するように細胞表面に位置するタンパク質である。
細胞表面グリカン:「細胞表面グリカン」とは、細胞の外面に存在するグリカンである。本開示の多くの実施形態では、細胞表面グリカンは、細胞表面糖タンパク質の一部としてポリペプチドに共有結合される。細胞表面グリカンは、細胞膜脂質にも結合可能である。
グリカン:当該技術分野において周知のように、かつ本明細書で使用する場合、「グリカン」とは糖である。グリカンは、糖残基のモノマーまたはポリマーであってもよいが、一般に少なくとも3つの糖を含み得るものであり、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。グリカンには、天然の糖残基(ブドウ糖、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルノイラミン酸、ガラクトース、マンノース、フコース、ヘキソース、アラビノース、リボース、キシロースなど)および/または修飾糖(2’−フルオロリボース、2’−デオキシリボース、ホスホマンノース、6’スルホN−アセチルグルコサミンなど)を含むこともある。「グリカン」という用語は、糖残基のホモポリマーおよびヘテロポリマーを含む。「グリカン」という用語はまた、(糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカンなどの)複合糖質のグリカン成分も包含する。この用語はまた、複合糖質から切断されたか、そうでなければ放出されたグリカンをはじめとする、遊離グリカンも包含する。
グリカン調製物:「グリカン調製物」という用語は、本明細書で使用する場合、特定の製造方法で得られる一組のグリカンを示す。いくつかの実施形態では、グリカン調製物は、糖タンパク質調製物(下記の糖タンパク質調製物の定義を参照のこと)から得られる一組のグリカンを示す。
複合糖質:「複合糖質」という用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つの糖部分が、少なくとも1つの他の部分に共有結合されたあらゆる分子を包含する。この用語は、たとえば、N−結合型糖タンパク質、O−結合型糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカンなどをはじめとする、共有結合付加された糖部分を有するあらゆる生体分子を明確に包含する。
糖型:「糖型」という用語は、本明細書では、複合糖質の特定の形態を示すものとして用いられる。すなわち、複合糖質の一部である同じ骨格部分(ポリペプチド、脂質など)が、異なるグリカンまたは一組のグリカンに結合できる可能性を持つ場合、複合糖質の異なる形態(すなわち、骨格が特定の一組のグリカンに結合している)それぞれを「糖型」と呼ぶ。
糖脂質:「糖脂質」という用語は、本明細書で使用する場合、1つ以上の共有結合した糖部分(すなわちグリカン)を含む脂質を示す。糖部分は、単糖、二糖、オリゴ糖および/または多糖の形であってもよい。糖部分は、糖残基の単一の非分岐鎖を含むものであってもよいし、1つ以上の分岐鎖で構成されるものであってもよい。特定の実施形態では、糖部分が、硫酸基および/またはリン酸基を含むものであってもよい。特定の実施形態では、糖タンパク質がO−結合型糖部分を含有する。特定の実施形態では、糖タンパク質がN−結合型糖部分を含有する。
糖タンパク質:本明細書で使用する場合、「糖タンパク質」という用語は、1つ以上の糖部分(すなわちグリカン)に共有結合されたペプチド骨格を有するタンパク質を示す。当業者であれば理解できるように、ペプチド骨格は一般に、アミノ酸残基の直鎖を含む。特定の実施形態では、ペプチド骨格が、膜貫通部分と細胞外部分とを含むように細胞膜にまでおよぶ。特定の実施形態では、細胞膜にまでおよぶ糖タンパク質のペプチド骨格が、細胞内部分、膜貫通部分および細胞外部分を含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、プロテアーゼで細胞表面糖タンパク質を切断し、糖タンパク質の細胞外部分またはその一部を遊離させることを含み、当該曝露では細胞膜を実質的に破壊しない。糖部分は、単糖、二糖、オリゴ糖および/または多糖の形であってもよい。糖部分は、糖残基の単一の非分岐鎖を含むものであってもよいし、1つ以上の分岐鎖を含むものであってもよい。特定の実施形態では、糖部分は、硫酸基および/またはリン酸基を含むものであってもよい。上記の他にまたは上記に加えて、糖部分は、アセチル、グリコリル、プロピルまたは他のアルキル修飾を含むものであってもよい。特定の実施形態では、糖タンパク質がO−結合型糖部分を有する。特定の実施形態では、糖タンパク質がN−結合型糖部分を有する。特定の実施形態では、本明細書に開示の方法が、細胞表面糖タンパク質、細胞表面糖タンパク質の遊離フラグメント(糖ペプチドなど)、細胞表面糖タンパク質に結合した細胞表面グリカン、細胞表面糖タンパク質のペプチド骨格、このような糖タンパク質、グリカンおよび/またはペプチド骨格のフラグメント、およびこれらの組み合わせのうちのいずれかまたはすべてを分析するステップを含む。
グリコシダーゼ:「グリコシダーゼ」という用語は、本明細書で使用する場合、グリカンにおける連続した糖と糖との間または糖と骨格部分との間(糖と糖タンパク質のペプチド骨格との間など)の共有結合を切断する作用剤を示す。いくつかの実施形態では、グリコシダーゼが酵素である。特定の実施形態では、グリコシダーゼが、1つ以上のポリペプチド鎖を含むタンパク質(タンパク質酵素など)である。特定の実施形態では、グリコシダーゼが化学的な切断剤である。
グリコシル化パターン:本明細書で使用する場合、「グリコシル化パターン」という用語は、特定の試料に存在する一組のグリカン構造を示す。たとえば、特定の複合糖質(糖タンパク質など)または一組の複合糖質(一組の糖タンパク質など)がグリコシル化パターンを持つことになる。いくつかの実施形態では、細胞表面グリカンのグリコシル化パターンに言及する。グリコシル化パターンは、たとえば、グリカンのアイデンティティ、個々のグリカンまたは特定タイプのグリカンの量(絶対量または相対量)、グリコシル化部位の占有度など、あるいはこれらのパラメータの組み合わせによって特性決定可能なものである。
糖タンパク質調製物:「糖タンパク質調製物」とは、この用語を本明細書で使用する場合、各々が少なくとも1つのグリコシル化部と共有結合した少なくとも1つのグリカンと特定のアミノ酸配列(このアミノ酸配列は少なくとも1つのグリコシル化部位を含む)を有するポリペプチドを含む個々の糖タンパク質分子の組を示す。糖タンパク質調製物中の特定の糖タンパク質の個々の分子は一般に、同じアミノ酸配列を有するが、少なくとも1つのグリコシル化部位の占有率および/または少なくとも1つのグリコシル化部位に結合されたグリカンのアイデンティティが異なっていてもよい。すなわち、糖タンパク質調製物は、特定の糖タンパク質の糖型を1つだけ含むものであってもよいが、より一般には複数の糖型を含む。同じ糖タンパク質の異なる調製物同士で、存在する糖型のアイデンティティが異なる(1つの調製物に存在する糖型が他の糖型には存在しなくてもよい)および/または異なる糖型の相対量が異なっていてもよい。
N−グリカン:「N−グリカン」という用語は、本明細書で使用する場合、複合糖質から放出されたが、それまでは窒素結合によって複合糖質に結合されていた糖のポリマーを示す(下記のN−結合型グリカンの定義を参照のこと)。
N−結合型グリカン:N−結合型グリカンとは、窒素結合によって複合糖質に結合されたグリカンである。種々雑多なN−結合型グリカンが存在するが、これらは一般に共通の五糖コア(Man)(GlcNAc)(GlcNAc)をベースにしている。
O−グリカン:「O−グリカン」という用語は、本明細書で使用する場合、複合糖質から放出されたが、それまでは酸素結合によって複合糖質に結合されていた糖のポリマーを示す(下記のO−結合型グリカンの定義を参照のこと)。
O−結合型グリカン:O−結合型グリカンとは、酸素結合によって複合糖質に結合されたグリカンである。O−結合型グリカンは一般に、L−セリン(Ser)またはL−トレオニン(Thr)の水酸基に対するN−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc)またはN−アセチル−D−グルコサミン(GlcNAc)を介して糖タンパク質に結合されている。O−結合型グリカンの中にはアセチル化および硫酸化などの修飾を有するものもある。場合によっては、O−結合型グリカンは、L−セリン(Ser)またはL−トレオニン(Thr)の水酸基に対するフコースまたはマンノースを介して糖タンパク質に結合されている。
リン酸化:本明細書で使用する場合、「リン酸化」という用語は、分子(グリカンなど)に1つ以上のリン酸基を共有結合するプロセスを示す。
プロテアーゼ:「プロテアーゼ」という用語は、本明細書で使用する場合、ポリペプチド鎖における連続したアミノ酸の間にあるペプチド結合を切断する作用剤を示す。いくつかの実施形態では、プロテアーゼが酵素(すなわちタンパク質分解酵素)である。特定の実施形態では、プロテアーゼが、1つ以上のポリペプチド鎖を含むタンパク質(タンパク質酵素など)である。特定の実施形態では、プロテアーゼが化学的な切断剤である。
タンパク質:通常、「タンパク質」とは、ポリペプチド(すなわちペプチド結合によって互いに結合された少なくとも2つの連続したアミノ酸)である。タンパク質は、アミノ酸以外の部分を含むものであってもよい(糖タンパク質であってもよい)および/または加工または修飾されたものであってもよい。細胞(シグナル配列の有無を問わない)によって産生されれば「タンパク質」が完全なポリペプチド鎖あるいはその機能的部分であってもよいことは、当業者であれば理解できよう。また、タンパク質には、たとえば1つ以上のジスルフィド結合で結合されるか、他の手段で会合された2つ以上のポリペプチド鎖が含まれる場合もあることは、当業者であれば理解できよう。
シアル酸:「シアル酸」という用語は、本明細書で使用する場合、9炭素の単糖であるノイラミン酸のN−置換誘導体またはO−置換誘導体の総称である。ノイラミン酸のアミノ基には一般に、シアル酸のアセチル基またはグリコリル基を運搬する。シアル酸のヒドロキシル置換基は、アセチル化、メチル化、硫酸化、リン酸化によって修飾されていてもよい。優位なシアル酸にN−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)がある。シアル酸はグリカンに負電荷を与えるが、これはカルボキシル基が生理学的pHでプロトンを解離するためである。脱プロトン化したシアル酸の例を以下に示す。
実質的に:本明細書で使用する場合、「実質的に」という表現は、目的の特徴または特性の提示された程度全体またはほぼ全体あるいは度合いの定性的な条件を示す。生物学的現象および化学的現象が、完了に至るおよび/または完全な状態まで進行あるいは絶対的な結果が実現または回避されることは、あるとしてもめったにない点を、生物学分野の当業者であれば理解できよう。よって、「実質的に」という表現は、本明細書では、多くの生物学的現象および化学的現象に固有の完全性を欠く可能性について用いるものである。具体例をあげると、処理が「実質的に」細胞膜を破壊しないと表現した場合、これは、たとえば細胞内糖タンパク質または糖ペプチドが細胞から放出されないように処理時と処理後に細胞膜の全部またはほとんどが無傷のまま残る旨を示すことを意図したものである。特定の実施形態では、破壊されない細胞膜に対して「実質的に」という表現を適用する場合、特定の処理をほどこした細胞のうち15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはこれよりも少ない細胞に測定可能な細胞膜の破壊が認められる状態を示す。特定の実施形態では、破壊されない細胞膜に「実質的に」という表現を適用する場合、特定の処理をほどこした細胞に測定可能な細胞膜の破壊がまったく認められない状態を示す。
特定の実施形態の詳細な説明
本開示は、N−結合型グリカンの組成を分析する方法を提供するものである。本開示によれば、本明細書に記載の方法を使用して、N−グリカンの混合物を分析し、この特異的な構造基および通常とは違う修飾の混合物(コアまたは分岐型フコース、ラクトサミン伸長、高マンノース型グリカンおよびハイブリッド型グリカン、硫酸化、リン酸化など)での相対濃度を測定することが可能である。たとえば、分岐フコシル化がどのようにしてヘキソサミニダーゼによるglcNAcの消化を防ぐのかを図6に示す。多くの実施形態では、本開示は、N−グリカン調製物を取得するステップと、N−結合型グリカンをエキソグリコシダーゼ酵素で消化して、非還元末端から単糖を特異的に切断するステップと、切断産物を分析するステップとを含む方法を提供するものである。
N−結合型グリカン
通常、グリカンとは糖質部分(いくつかの実施形態では糖タンパク質と共有結合されている)を示す。糖質部分(オリゴ糖鎖など)は、小胞体およびゴルジ体でN−結合またはO−結合のいずれかによって糖タンパク質に結合される。一般に、N−結合型オリゴ糖鎖は小胞体の管腔で糖タンパク質に付加される(本明細書に援用するAlberts et al.,Molecular Biology of the Cell,1994を参照のこと)。糖質部分は、Asn−X−Ser/Thrの標的コンセンサス配列に含まれるアスパラギン残基の側鎖のアミノ基に付加されるが、この場合のXは、プロリン以外のどのようなアミノ酸であってもよい。はじめのオリゴ糖鎖は通常、小胞体の特定のグリコシダーゼ酵素でトリミングされ、2つのN−アセチルグルコサミンと3つのマンノース残基からなる短い分岐コアオリゴ糖になる。
N−グリカンは、「高マンノース型」、「ハイブリッド型」、「複合型」と呼ばれる3つの異なる群に分けることができるが、3つの群のすべてに同じ五糖コア(Manp(α1,6)−(Manp(α1,3))−Manp(β1,4)−GlcpNAc(β1,4)−GlcpNAc(β1,N)−Asn)がある。コアの修飾としては、たとえば、さらにグリコシル化して二分したGlcNAcを提供する、一番内側のGlcNAcにフコシル残基を結合する、シアル酸(Neu)残基でキャッピングすることがあげられる。N−グリカンの一例を図1に示す。図示のように、N−グリカンの構造的な違いのほとんどが、図1に示されるN−グリカンの左側の(最大)4つのアンテナに関して生じている。N−結合型グリカンは一般に、ペプチドの成分(すなわち糖ペプチド)およびタンパク質の成分(すなわち糖タンパク質)として見られる。
小胞体での初期プロセシング後、糖タンパク質はゴルジ体に輸送され、そこでさらにプロセシングが起こることもある。トリミングされたN−結合型オリゴ糖鎖にいくつかのマンノース残基を付加して修飾すれば、「高マンノースオリゴ糖」が得られる。上記の他にまたは上記に加えて、N−アセチルグルコサミンの1つ以上の単糖ユニットをコアマンノースサブユニットに付加すれば、「複合オリゴ糖」が得られる。ガラクトースをN−アセチルグルコサミンサブユニットに付加し、シアル酸サブユニットをガラクトースサブユニットに付加すれば、シアル酸、ガラクトースまたはN−アセチルグルコサミン残基のいずれかで終端する鎖が得られる。フコース残基をコアオリゴ糖のN−アセチルグルコサミン残基に付加してもよい。これらの付加は各々、特定のグリコシルトランスフェラーゼに触媒される。
N−結合型グリカンは、多岐にわたる細胞プロセスに関与している。たとえば、N−グリカンは、真核細胞での適切なタンパク質フォールディングの一助をなす。小胞体のシャペロンタンパク質(カルネキシンおよびカルレティキュリンなど)がN−グリカンコアにある3つのブドウ糖残基に結合する。シャペロンタンパク質は一般に、グリカンが結合されるタンパク質のフォールディングを助ける。適切なフォールディングの後、3つのブドウ糖残基を除去し、グリカンをさらにプロセシング反応に供することが可能である。タンパク質が正しく折りたたまれなければ、3つのブドウ糖残基を再度結合させ、タンパク質をシャペロンと再度会合させる。タンパク質が適切な構造になるまで、このサイクルを数回繰り返してもよい。タンパク質が何度も折りたたみに失敗したら、それは通常、小胞体から排泄されて細胞質プロテアーゼによって分解される。
上記の他にまたは上記に加えて、N−グリカンは、立体効果によるタンパク質フォールディングの一助となる。たとえば、近くのグリカンの大きさがゆえに、ペプチドのシステイン残基が一時的に他のシステイン残基とジスルフィド結合を形成できなくなることがある。よって、N−結合型グリカンが存在することで、どのシステイン残基がジスルフィド結合を形成するかを細胞で制御することができるようになる。
N−グリカンは細胞間相互作用に関与することもできる。たとえば、腫瘍細胞は異常なN−グリカン構造を産生することが多く、これをナチュラルキラー細胞のCD337受容体で当該細胞が癌性である徴候として認識することが可能である。
N−グリカンは、リソソームに対する分解性リソソーム酵素の標的に関与することもできる。特に、N−グリカンをマンノース−6−ホスフェート残基で修飾すると、この修飾はグリカンが結合されるタンパク質をリソソームに標的すべきシグナルとしての役目を果たすことができる。
よって、本開示は、N−グリカン(糖タンパク質とコンジュゲートしたN−グリカンなど)のグリコシル化パターンを判断することが重要であるという認識を包含するものである。本明細書に記載の方法を用いて、N−グリカンの特徴(組成および/または構造など)を分析してもよい。
N−グリカン調製物
本開示は、グリカン調製物における個々のグリカンの構造および/または組成を分析する方法を提供するものである。グリカン調製物については、当該技術分野において利用可能などのような方法で取得してもよい。通常、N−グリカン調製物の取得は、(1)糖タンパク質調製物を取得するステップと、(2)糖タンパク質調製物からN−グリカン調製物を取得するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、N−グリカン調製物を取得することが、任意に、N−グリカン調製物を検出可能な標識で標識するステップを含む。
糖タンパク質調製物
糖タンパク質調製物については、治療製剤(エリスロポエチン、インスリン、ヒト成長ホルモンなど)、市販の生物由来物質(表3に示すものなど)、生物学的試料を含むがこれに限定されるものではない、どのような供給源から取得してもよい。本明細書で使用する場合、「生物学的試料」という用語は、組織培養、人間または動物の組織、植物、果物、野菜、単細胞微生物(細菌および酵母など)、多細胞生物を含むがこれに限定されるものではない、何らかの生きた細胞または生物体から得られる、排泄される、あるいは分泌される、あらゆる固体試料または流体試料を示す。たとえば、生物学的試料は、血液、血漿、血清、尿、胆汁、精液、脳脊髄液、房水または硝子体液などから得られる生物流体あるいは、分泌液、浸出液、滲出液(膿瘍または他の任意の感染部位または炎症部位から得られる流体など)または関節(正常な関節またはリウマチ性関節炎、変形性関節炎、痛風性関節炎または敗血症性関節炎などの疾患に羅患した関節)から得られる流体であってもよい。また、生物学的試料は、臓器または組織(生検組織または剖検標本を含む)から得られる試料などであってもよく、細胞(一次細胞であるか培養細胞であるかを問わない)、細胞、組織または臓器で調節した培地、組織培養を含むものであってもよい。
糖タンパク質調製物については、どのような機械、人間または事業体で受け取ってもよい。いくつかの実施形態では、糖タンパク質調製物を機械で受け取ることができ、この機械で糖タンパク質調製物に対して1つ以上の試験、加工または改良をすることができる。いくつかの実施形態では、糖タンパク質調製物を人間が受け取ることができる。いくつかの実施形態では、糖タンパク質調製物を外部の事業体で受け取ることができる。いくつかの実施形態では、糖タンパク質調製物を人間または企業での特性決定サービス(別の人または企業用)で受け取ることができる。たとえば、他の企業または研究所から特性決定対象となる糖タンパク質調製物を受け取る事業をおこなってもよい。糖タンパク質調製物を適当な方法で前加工しておいてもよい。たとえば、糖タンパク質調製物を前加工して1つ以上の糖型を単離してもよい。
N−グリカン調製物
いくつかの実施形態では、糖タンパク質集合体を提供し、糖タンパク質集合体の糖タンパク質からN−グリカンを除去することでN−グリカン調製物が得られる。
いくつかの実施形態では、消化によってN−グリカンを糖タンパク質から除去する。通常、本開示に基づいて用いられるグリカナーゼが、コアのGlcNAc−Asn、GlcNAc−GlcNAcまたはMan−GlcNAc残基の間を切断する。糖タンパク質からN−グリカンを除去するのに使用可能な酵素の例として、N−グリカナーゼFおよび/またはN−グリカナーゼ−A、O−グリカナーゼおよび/またはEndo Hがあげられるが、これに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、化学的切断によってN−グリカンを糖タンパク質から除去する。いくつか例をあげると、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、および/またはトリフルオロメタンスルホン酸(TFMS)を用いてグリカンを糖タンパク質から除去することができる。
N−グリカンの標識
いくつかの実施形態では、N−グリカン(糖タンパク質集合体から除去されたN−グリカンなど)を1つ以上の検出可能な標識と会合させることが可能である。検出可能な標識は一般に、N−グリカンの還元末端に会合する。いくつかの実施形態では、検出可能な標識が蛍光部分である。本開示に基づいて使用可能なフルオロフォアの例として、2−アミノ安息香酸(2AA)、2−アミノベンズアミド(2AB)および/または2−アミノプリン(2AP)があげられるが、これに限定されるものではない。通常、本開示に基づいて用いられるフルオロフォアには、グリカンを損傷および/または破壊しない条件下でオリゴ糖および/または単糖の還元末端との反応性があるという特徴がある。いくつかの実施形態では、蛍光部分は、還元末端に直接的に結合される。たとえば、この直接結合を還元的アミノ化による直接的な共役によって達成可能である。いくつかの実施形態では、蛍光部分が還元末端に間接的に結合される。たとえば、この間接結合を反応性リンカーアームによって達成可能である。
いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、放射性部分または同位体標識された分子を含む。本開示に基づいて使用可能な放射性部分の例としては、トリチウム(H)、ジュウテリウム(H)および/または35Sがあげられるが、これに限定されるものではない。一般に、このような部分はフルオロフォアに対して直接的に結合または会合される。放射性フルオロフォアの一例をあげると、すべての水素が重水素化されるように2APを修飾することが可能である。
N−結合型グリカンの消化
本開示は、糖タンパク質のグリコシル化パターンを判断する改良された方法を提供するものである。このような方法は一般に、N−グリカン集合体を1種類以上のエキソグリコシダーゼに曝露し、消化産物の構造および/または組成を分析することを含む。いくつかの実施形態では、本開示に基づいて用いられるエキソグリコシダーゼが、特定の1つのタイプのグリコシド結合だけを認識および切断する。いくつかの実施形態では、本開示に基づいて用いられるエキソグリコシダーゼが、特定の2以上のタイプのグリコシド結合を認識および切断する。
エキソグリコシダーゼ
エキソグリコシダーゼは、末端グリコシド結合をグリカンの非還元末端から切断する酵素である。この酵素は一般に、特定の単糖結合およびアノマ性(α/β)に対して極めて特異性が高い。いくつかの実施形態では、隣り合った分岐パターンがエキソグリコシダーゼの特異性に影響することがある。エキソグリコシダーゼ処理によって、通常は、標準的な分岐型結合が五糖コア(M3N2)(3マンノースおよび2glcNAc残基を含む)に切断されたグリカンが得られる。しかしながら、異常修飾種(分岐型またはコアフコシル化種、高マンノースおよびハイブリッド型グリカン、ラクトサミン伸長グリカン、硫酸化グリカン、リン酸化グリカンなど)は、エキソグリコシダーゼ処理がきかないため、クロマトグラフ的に分離してM3N2五糖に対して定量化することが可能である。
本開示に基づいて用いられるエキソグリコシダーゼの例としては、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼがあげられるが、これに限定されるものではない。エキソグリコシダーゼについては、商業的供給源(QA−Bio、ProZyme、Roche、Sigma、NEB、EMD、Glykoなどから)をはじめとするどのような供給源から入手してもよい。上記の他にまたは上記に加えて、エキソグリコシダーゼを細胞源(細菌、酵母、植物など)から単離および/または精製することも可能である。
いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ(シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼおよびマンノシダーゼなど)を複数のカテゴリすなわち「サブセット」に分けることが可能である。いくつかの実施形態では、サブセットが違えば、異なるタイプの結合を切断するための機能も異なる。表1に、エキソグリコシダーゼ、その結合特異性、由来となった生物体の例をいくつかあげておく。このエキソグリコシダーゼの一覧は一例にすぎず、包括的なものではない旨、また、どのような結合特異性を持つ、どのようなエキソグリコシダーゼでも本開示に基づいて使用できる旨は、当業者であれば理解できよう。
本開示によれば、どのエキソグリコシダーゼまたは一組のエキソグリコシダーゼでもN−グリカン集合体を消化することが可能である。通常、エキソグリコシダーゼ反応は、酵素活性に合った条件下で実施される。たとえば、所望のエキソグリコシダーゼ活性レベルを実現するために、pH、温度、反応溶液成分間、濃度(塩、洗剤など)、反応時間の長さを最適化することができる。
通常、エキソグリコシダーゼ反応は、中性条件下または酸性条件下で実施される。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応を実質的に中性の条件下で実施する。いくつかの実施形態では、中性条件とはおよそ6からおよそ8の間の範囲のpHを示す。いくつかの実施形態では、中性条件とはおよそ7のpHを示す。いくつかの実施形態では、中性条件とはおよそ6.5のpHを示す。いくつかの実施形態では、中性条件とはおよそ7.5のpHを示す。いくつかの実施形態では、中性条件とはおよそ6のpHを示す。いくつかの実施形態では、中性条件とはおよそ8のpHを示す。
いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応を酸性条件下で実施する。いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ7未満のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ1からおよそ7の間の範囲のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ2からおよそ7の間の範囲のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ3からおよそ7の間の範囲のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ4からおよそ7の間の範囲のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ5からおよそ7の間の範囲のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ6からおよそ7の間の範囲のpHを示す。
いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ2からおよそ6の間の範囲のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ3からおよそ6の間の範囲のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ4からおよそ6の間の範囲のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ5からおよそ6の間の範囲のpHを示す。
いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ1からおよそ2の間の範囲のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ2からおよそ3の間の範囲のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とは、およそ4からおよそ5の間の範囲のpHを示す。
いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ6.5のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ6のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ5.5のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ5のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ4.5のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ4のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ3.5のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ3のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ2.5のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ2のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ1.5のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ1のpHを示す。いくつかの実施形態では、酸性条件とはおよそ0.5のpHを示す。
特定の実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応をおよそ5からおよそ6の範囲のpHで実施する。特定の実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応をおよそ5.5のpHで実施する。特定の実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応をおよそ6からおよそ8の範囲のpHで実施する。
通常、エキソグリコシダーゼ反応は、およそ20℃からおよそ45℃の間の範囲、たとえばおよそ30℃からおよそ40℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応をおよそ25℃からおよそ40℃の間の範囲の温度で実施する。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応を、およそ20℃、およそ25℃、およそ30℃、およそ35℃、およそ36℃、およそ37℃、およそ38℃、およそ39℃、およそ40℃、およそ42℃またはおよそ45℃で実施する。特定の実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応をおよそ35℃からおよそ40℃の間の範囲の温度で実施する。特定の実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応をおよそ36℃からおよそ38℃の間の範囲の温度で実施する。特定の実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応をおよそ37℃の温度で実施する。
通常、エキソグリコシダーゼ反応は、およそ10分間からおよそ20時間の範囲の時間をかけて実施される。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応を、およそ10分間、およそ30分間、およそ1時間、およそ2時間、およそ5時間、およそ10時間、およそ12時間、およそ15時間、およそ18時間、およそ20時間、およそ24時間、およそ36時間またはおよそ48時間かけて実施する。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応を一晩実施する。
いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応を洗浄剤の存在下(最大で洗浄剤25%など)で実施する。本開示によるエキソグリコシダーゼ反応に利用できる洗浄剤の例としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ソルビタン脂肪酸エステル(Tween、Span、Myrjなど)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(クレモホアなど)、Brij、トリトン、ノニルフェノキシルポリエトキシルエタノール(NP−40)があげられる。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応を、およそ0.1%、およそ0.5%、およそ1%、およそ5%、およそ10%、およそ15%、およそ20%、およそ25%または25%より多くの洗浄剤を用いて実施する。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応を洗浄剤の非存在下で実施する。
いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応を塩の存在下で実施する。本開示によるエキソグリコシダーゼ反応に利用可能な洗浄剤の例として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化マンガンおよび/またはこれらの組み合わせがあげられるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応を、およそ1mMからおよそ500mMの塩の存在下で実施する。たとえば、いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応を、およそ1mM、およそ2mM、およそ5mM、およそ10mM、およそ25mM、およそ50mM、およそ100mM、およそ150mM、およそ200mM、およそ250mM、およそ300mM、およそ400mM、およそまたはmM、およそ500mMの塩の存在下で実施する。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応をおよそ100mMの塩の存在下で実施する。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応を塩の非存在下で実施する。
特定の実施形態では、N−グリカン集合体を複数のエキソグリコシダーゼに曝露することで、N−グリカンを消化する。たとえば、N−グリカン集合体を、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15種類またはそれよりも多くのエキソグリコシダーゼに曝露する。いくつかの実施形態では、N−グリカン集合体を、すべてが実質的に同じ量で存在する2種類以上のエキソグリコシダーゼで消化する。いくつかの実施形態では、N−グリカン集合体を、すべてが実質的に等しい量では存在しない2種類以上のエキソグリコシダーゼで消化する。一例をあげると、N−グリカン集合体を、比が1:2:1のエキソグリコシダーゼA、B、Cで消化することができる。いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼを同時に投与する。いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼを逐次的に投与する。
複数のエキソグリコシダーゼでの同時消化
いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼでの同時消化を利用して、グリカンの構造および/または機能を分析することができる。場合によっては、特定のタイプの結合および/またはグリカン修飾の存在を判断する目的で同時消化を実施することが可能である。一例をあげると、以下に示す仮想のグリカン構造で:
ガラクトシダーゼおよびヘキソサミニダーゼでの同時処理では、最初は末端シアル酸残基を含むアンテナのみが残ると想定される。これらのシアル酸残基を任意に除去し、得られるグリカン混合物をHPLCで分析して、元の混合物に存在したモノシアリル化分岐型種、ジシアリル化分岐型種、トリシアリル化分岐型種、テトラシアリル化分岐型種のプロファイルを明らかにしてもよい。同時消化による方法と、この方法での分析の例については、実施例2で説明する。
複数のエキソグリコシダーゼでの逐次消化
他の非限定的な例と同様に、N−グリカン集合体を第1の時間だけ第1のエキソグリコシダーゼに曝露した後、N−グリカン集合体を第2の時間だけ第2のエキソグリコシダーゼに曝露して、N−グリカンを消化してもよい。第2のエキソグリコシダーゼでの処理の前に、第1のエキソグリコシダーゼを任意に除去および/または不活性化してもよい。一例として、第1のエキソグリコシダーゼを不活性化し、エキソグリコシダーゼを不活性化するのに十分な時間と温度でこれをインキュベートしてもよい。それに加えてあるいはその代わりに、第1のエキソグリコシダーゼを、エキソグリコシダーゼに特異的な阻害因子(第1のエキソグリコシダーゼを特異的に結合し、その触媒活性を阻害する抗体または他の分子など)と一緒にインキュベートして不活性化してもよい。第1のエキソグリコシダーゼを不活性化する他の方法については、当業者間で周知である。第1のエキソグリコシダーゼを特異的阻害因子と一緒にインキュベートして不活性化する場合、阻害因子の存在が第2のエキソグリコシダーゼの活性を実質的に阻害しないようにすべき点は明らかであろう。いくつかの実施形態では、第2のエキソグリコシダーゼを加える前に第1のエキソグリコシダーゼを不活性化または除去するための方法として、反応混合物の加熱、反応混合物の冷却、有機溶媒の添加、プロテアーゼの添加および/またはこれらの組み合わせがあげられる。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィ、固相抽出カートリッジ、分子量フィルタ、遠心分離、沈殿および/またはこれらの組み合わせなどによって、第2のエキソグリコシダーゼを加える前に第1のエキソグリコシダーゼを反応物から除去する。これと同じ原理を、第3、第4、第5、第6などのエキソグリコシダーゼにも適用できることは、当業者であれば自明であろう。
いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼで逐次消化することで、同じ一組のエキソグリコシダーゼでの同時消化によって明らかになる情報とは異なる、N−グリカンの構造および/または組成に関する情報が明らかになる。
いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼで逐次消化することで、同じ一組のエキソグリコシダーゼでの同時消化によって明らかになる情報と同じ、N−グリカンの構造および/または組成に関する情報が明らかになる。
いくつかの実施形態では、複数のエキソグリコシダーゼを投与する順序を変えることで、N−グリカンの構造および/または組成に関する情報が明らかになる。一例をあげると、特定のN−グリカンを、その特定の順番で、(1)シアリダーゼ、(2)ガラクトシダーゼ、(3)ヘキソサミニダーゼ、(4)フコシダーゼ、(5)マンノシダーゼに曝露することで、同一のN−グリカンを(1)ヘキソサミニダーゼ、(2)マンノシダーゼ、(3)シアリダーゼ、(4)フコシダーゼ、(5)シアリダーゼに、その順番で曝露して得られる消化産物とは異なる一組の消化産物が得られる。両方の一連の逐次消化を実施し、両方の逐次消化で得られた、異なる消化産物の組を分析し、異なる消化産物の組同士を比較(互いに比較および/または参照試料と比較など)することで、一連の逐次消化のうちの一方だけを実施して、一連の逐次消化の一方だけから得られる消化産物を分析しても得られなかったであろうN−グリカンの構造および/または組成に関する情報を得られる。逐次消化による方法と、この方法での分析の例については、実施例3で説明する。
いくつかの実施形態では、消化の実施によって得られる情報を最大限にするよう、逐次消化および/または同時消化で用いられる一組の酵素を構成する個々の酵素を選択する。表2に示す処理は、シアリル化グリカンでの特定のグリカン修飾を同定するための酵素処理の選択例である。
いくつかの実施形態では、表2に示す反応からシアリダーゼを除外すること以外は表2に示すようにして、非シアリル化グリカンでの修飾を同定するための酵素処理を実施することが可能である。
グリカン構造の分析
通常、本開示による方法は、グリカン調製物にエキソグリコシダーゼ処理をほどこすことを含む。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ処理を完了したら、切断されたグリカンの構造および/またはアイデンティティを分析する。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ処理の過程でグリカン調製物から試料を除去してもよい。いくつかの実施形態では、時間的な隔たり(一定間隔または不規則な間隔など)のある複数の試料をエキソグリコシダーゼ処理の過程で(エキソグリコシダーゼ処理終了前の任意の時点など)グリカン調製物から除去してもよい。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ処理が、少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼを投与することを含み、除去するステップが、少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼの投与の過程で(エキソグリコシダーゼをグリカン調製物に添加した後であるが、エキソグリコシダーゼの不活性化および/またはグリカン調製物からの除去前など)、少なくとも1つの試料を除去することを含む。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ処理が、少なくとも第1および第2のエキソグリコシダーゼ(第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7および/またはそれよりも多くのエキソグリコシダーゼなど)の逐次投与を含み、除去するステップが、(i)第1のエキソグリコシダーゼの投与後であるが第2のエキソグリコシダーゼの投与前に少なくとも第1の試料を除去するステップと、(ii)第2のエキソグリコシダーゼの投与後に少なくとも第2の試料を除去するステップとを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの除去された試料で切断されたグリカンの構造および/またはアイデンティティを分析する。いくつかの実施形態では、分析するステップが、除去された試料のうちの1つ以上における切断されたグリカンの構造および/または機能と、少なくとも1つの他の除去された試料における切断されたグリカンの構造および/または機能とを比較することを含む。いくつかの実施形態では、分析するステップが、除去された試料のうちの1つ以上における切断されたグリカンの構造および/または機能と、参照試料における切断されたグリカンの構造および/または機能とを比較することを含む。
N−グリカンの構造および組成については、利用できるどのような方法で分析してもよい。いくつかの実施形態では、N−グリカンの構造および組成を、クロマトグラフによる方法、質量分析(MS)方法、クロマトグラフによる方法に続いてMS、電気泳動法、電気泳動法に続いてMS、核磁気共鳴(NMR)法、およびこれらの組み合わせで分析することが可能である。
いくつかの実施形態では、N−グリカンの構造および組成を、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、およびこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、クロマトグラフによる方法で分析することが可能である。
いくつかの実施形態では、N−グリカンの構造および組成を、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、およびこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、質量分析(MS)および関連の方法で分析することが可能である。
いくつかの実施形態では、N−グリカンの構造および組成を、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、およびこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、電気泳動法で分析することが可能である。
いくつかの実施形態では、N−グリカンの構造および組成を、一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、核磁気共鳴(NMR)および関連の方法で分析することが可能である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、N−グリカン集合体に低濃度で存在するN−グリカン種の検出を可能にするものである。たとえば、本方法は、N−グリカン集合体に、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.25%未満、0.1%未満、0.075%未満、0.05%未満、0.025%未満または0.01%未満の濃度で存在するN−グリカン種の検出を可能にするものである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、N−グリカン集合体に低濃度で存在する特定の結合の検出を可能にするものである。たとえば、本方法は、N−グリカン集合体に、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.25%未満、0.1%未満、0.075%未満、0.05%未満、0.025%未満または0.01%未満で存在する特定の結合の検出を可能にするものである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、N−グリカン集合体における個々のN−グリカン種の相対濃度の検出を可能にするものである。たとえば、液体クロマトグラフの各ピークの下の面積を測定し、全体に対する割合として表すことができる。このような分析をすることで、N−グリカン集合体における各N−グリカン種の量の相対的な比率が分かる。
用途
本開示は、どのようなグリカンでも構造および/または組成を分析するための方法を提供するものである。一例をあげると、本開示は、糖タンパク質のグリコシル化パターンを分析するための方法を提供するものである。本開示は、糖タンパク質のグリコシル化パターンを判断することに、商用、工業用および/または治療用の多くの潜在的な用途があるという認識を包含するものである。
本開示による方法は、治療製剤(エリスロポエチン、インスリン、ヒト成長ホルモンなど)、市販の生物由来物質(表3に示すものなど)、生物学的試料を含むがこれに限定されるものではない、広範囲にわたる供給源から取得したグリカンに適用可能なものである。本開示による分析の前または後に、生物学的試料に1以上の分析および/または精製ステップをほどこしてもよい。いくつかの例をあげると、いくつかの実施形態では、生物学的試料を1種類以上のプロテアーゼおよび/またはエキソグリコシダーゼで処理する(グリカンが放出されるようにするなど)。いくつかの実施形態では、生物学的試料のグリカンを、たとえば質量分析またはNMRによる分析を容易にできる1つ以上の検出可能なマーカーまたは他の作用剤で標識する。本開示によって多岐にわたる分離ステップおよび/または単離ステップのいずれを生物学的試料に適用してもよい。
本開示の方法を利用して、たとえば遊離グリカン、複合糖質(糖ペプチド、糖脂質、プロテオグリカンなど)、細胞関連グリカン(核関連グリカン、細胞質関連グリカン、細胞膜関連グリカンなど);細胞、細胞外、細胞内および/または細胞内(subcellular)成分に関連したグリカン(タンパク質など);細胞外間隙のグリカン(細胞培養液など)などを含む、多岐にわたる状態のいずれでもグリカンを分析することが可能である。
本開示の方法を、治療用または他の商業的に関連のある目的の糖タンパク質製造用のプロセス開発の1つ以上の段階に使用してもよい。本開示の方法を採用可能なこのようなプロセス開発段階の非限定的な例としては、細胞選択、クローン選択、培地の最適化、培養条件、プロセス条件および/または精製手法があげられる。当業者には他のプロセス開発段階も分かるであろう。
また、たとえば特定の所望のグリコシル化パターンを実現または特定の望ましくないグリコシル化パターンの発生を回避する目的で、本開示を利用して、特定の細胞培養物で起こっているグリコシル化の程度および/またはタイプを監視し、これによって培養の調節または場合によっては終了できるようにすることも可能である。
さらに、本開示を利用して、(たとえば、細胞または細胞系を操作して糖タンパク質を産生あるいは糖タンパク質を商業的に関連のあるレベルで産生する前であっても)特定の所望の糖タンパク質の製造で検討対象となっている細胞または細胞系のグリコシル化の特徴を評価することも可能である。
たとえば、標的糖タンパク質が1つ以上の国で法令による審査があるなどの治療用糖タンパク質である場合、培養を監視して、厳密に同一の経路で製造されるか否かを問わず、グリコシル化パターンがすでに確立された医薬製品のグリコシル化パターンにできるだけ近い産物が生成される尤度を評価すると望ましいことが多い。本明細書で使用する場合、「近い」とは、すでに確立された医薬製品のグリコシル化パターンに対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%相関するグリコシル化パターンを示す。このような実施形態では、相対的なグリコシル化を評価するために、産生培養の試料は一般に、複数の時点で採取され、確立された標準または対照培養と比較される。
たとえば、いくつかの実施形態では、糖タンパク質の産生を監視するための方法が、(i)糖タンパク質の産生時、少なくとも第1および第2のグリカン含有試料を産生系から除去するステップと、(ii)第1および第2のグリカン含有試料の各々にエキソグリコシダーゼ処置をほどこして、グリカン含有試料におけるN−結合型グリカンの非還元末端から単糖を特異的に切断するステップと、(iii)差を判断して糖タンパク質産生の進行を監視できるように、第1のグリカン含有試料から得られた切断産物と第2のグリカン含有試料から得られた切断産物とを比較するステップと、を含むものであってもよい。
いくつかの実施形態では、糖タンパク質の産生を監視するための方法が、エキソグリコシダーゼ反応(エキソグリコシダーゼ処置など)のどこかの時点で少なくとも1つのグリカン含有試料を除去することを含む。いくつかの実施形態では、糖タンパク質の産生を監視するための方法が、エキソグリコシダーゼ反応の完了前に少なくとも1つのグリカン含有試料を除去することを含む。いくつかの実施形態では、糖タンパク質の産生を監視するための方法が、エキソグリコシダーゼ反応が完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去することを含む。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ処置が約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%完了、約60%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%、約99%、ほぼ100%、実質的に100%または100%完了したら、少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応がほぼ100%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応が100%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する。いくつかの実施形態では、エキソグリコシダーゼ反応の100%完了前に少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する。
いくつかの実施形態では、グリカン含有試料が複合糖質(糖タンパク質など)を含む。いくつかの実施形態では、複合糖質が100%切断されたら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する。いくつかの実施形態では、複合糖質が100%切断されたら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する。いくつかの実施形態では、複合糖質が約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%完了、約60%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%、約99%、ほぼ100%、実質的に100%または100%切断されたら、少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する。いくつかの実施形態では、複合糖質が100%切断されたら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する。いくつかの実施形態では、複合糖質が100%切断される前に少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する。
いくつかの実施形態では、グリカン含有試料を一定間隔で除去する。いくつかの実施形態では、グリカン含有試料を約30秒間、約1分間、約2分間、約5分間、約10分間、約30分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約10時間、約12時間または約18時間間隔あるいは、さらに長い間隔で除去する。いくつかの実施形態では、グリカン含有試料を不規則な間隔で除去する。いくつかの実施形態では、グリカン含有試料を5時間間隔で除去する。
本開示のいくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが一層広範囲におよぶ。たとえば、いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンは、グリコシル化部位の占有率が高い(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)。いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンは、分岐度が高い(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも多くの三または四分岐型構造を有するなど)。
本開示のいくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンがそれほど広範囲にはおよばない。たとえば、いくつかの実施形態では、所望の細胞表面グリコシル化パターンは、グリコシル化部位の占有率が低い(約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、約15%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも少ないなど)および/または分岐度が低い(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも少ない三または四分岐型構造を有するなど)。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが、いくつかの態様では一層広範囲におよび、他の態様ではそれほど広範囲にはおよばない。たとえば、長い未分岐のオリゴ糖鎖のある糖タンパク質を産生しやすい細胞系を用いると望ましいことがある。あるいは、短い高度分岐オリゴ糖鎖のある糖タンパク質を産生しやすい細胞系を用いると望ましいこともある。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが特定タイプのグリカン構造で富化される。たとえば、いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンは、低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)のマンノースまたはハイブリッド構造、高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)の高マンノース構造、高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど;たとえば糖タンパク質1つあたり少なくとも1つ)のリン酸化高マンノースまたは低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)のリン酸化高マンノースを有する。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが少なくとも約1つのシアル酸を含む。いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンは、高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)のシアリル化末端を含む。いくつかの実施形態では、シアリル化を含む所望のグリコシル化パターンは、少なくとも約85%、約90%、約95%、約98%、約99%またはそれよりも多くのN−アセチルノイラミン酸および/または約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも少ないN−グリコリルノイラミン酸を呈する。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンは、分岐鎖の伸長度に特異性がある(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも多くの伸長物がα1,6マンノース分岐鎖にあるか、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも多くの伸長物がα1,3マンノース分岐鎖にある)。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが、低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)または高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)のコアフコシル化を含む。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが、低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)または高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)の硫酸化グリカンを含む。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが、低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)または高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)のリン酸化グリカンを含む。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが、低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)または高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)のN−アセチルグルコサミン結合シアル酸を含む。
いくつかの実施形態では、所望のグリコシル化パターンが、低レベル(約20%、約15%、約10%、約5%、約1%未満、あるいはそれよりも低いなど)または高レベル(約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、約99%を超える、あるいはそれよりも高いなど)のアセチル化グリカンを含む。
特定の標的タンパク質の産生を品質制御目的で監視するか否かを問わず、本開示を利用して、たとえば、特定の発達段階で、あるいは特定の成長条件下で、グリコシル化を監視することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、治療用産物の品質を特性決定および/または制御または比較することが可能である。一例をあげると、本方法論を使用して、治療用タンパク質産物を産生する細胞でのグリコシル化を評価することが可能である。特に、グリコシル化が治療用タンパク質産物の活性やバイオアベイラビリティまたは他の特徴に影響し得ることが多いとすれば、このような治療用タンパク質産物の産生時に細胞グリコシル化を評価するための方法が特に望ましい。とりわけ、本開示は、治療用タンパク質の産生系でのグリコシル化のリアルタイム分析を容易にし得るものである。
本開示によって産生および/または品質を監視可能な代表的な治療用糖タンパク質産物としては、たとえば、多岐にわたる血液作用剤(たとえば、エリスロポエチン、血液凝固因子など)、インターフェロン、コロニー刺激因子、抗体、酵素およびホルモンがあげられる。
代表的な市販の糖タンパク質産物としては、たとえば、表3に示すものがあげられる。
いくつかの実施形態では、本開示は、異なる供給源または試料からのグリカン同士を比較する方法を提供するものである。このようないくつかの例では、同一の供給源から時間をかけて複数の試料を取得し、グリコシル化パターン(ならびに、特に細胞表面グリコシル化パターン)の変化を監視する。いくつかの実施形態では、試料のうちの1つが経時試料または経時試料の記録である。いくつかの実施形態では、試料のうちの1つが参照試料である。
いくつかの実施形態では、1つ以上の選択されたパラメータ(細胞型、培養のタイプ[連続供給対バッチ供給など]、培養条件[培地のタイプ、特定培地の特定の成分の存在または濃度(a)、モル浸透圧濃度、pH、温度、タイミングまたは1つ以上の成分のシフトの度合い、たとえばモル浸透圧濃度、pH、温度など]、培養時間、単離ステップなど)は異なるがそれ以外は同じ条件下で調製した、異なる細胞培養試料からのグリカン同士を比較するため、選択されたパラメータがN−グリコシル化パターンにおよぼす影響を判断できる。特定の実施形態では、選択された単一のパラメータがグリコシル化パターンにおよぼす影響を判断できるように、選択された単一のパラメータが異なる条件下で調製した、異なる細胞培養試料からのグリカンを比較する。よって、その他の用途として、本明細書に記載したような技法を用いることで、特定のパラメータが細胞のグリコシル化パターンにおよぼす影響を判断しやすくできるのである。
いくつかの実施形態では、目的の糖タンパク質(治療用糖タンパク質など)の異なるバッチからのグリカン同士を、同一の方法で調製するか異なる方法で調製するかを問わず、かつ、同時に調製するか別々に調製するかを問わず、比較する。このような実施形態では、本開示は、糖タンパク質調製物の品質制御を容易にするものである。上記の他にまたは上記に加えて、このような実施形態のいくつかは、目的の糖タンパク質を産生する特定の培養の進行の監視を容易にするものである(異なる時点で培養から試料を除去し、分析して互いに比較する場合)。いくつかの例では、同一の供給源から時間をかけて複数の試料を取得し、グリコシル化パターンの変化を監視できるようにする。いくつかの実施形態では、約30秒間、約1分間、約2分間、約5分間、約10分間、約30分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約10時間、約12時間または約18時間の間隔、あるいはそれよりも長い間隔で、グリカン含有試料を除去する。いくつかの実施形態では、グリカン含有試料を不規則な間隔で除去する。いくつかの実施形態では、グリカン含有試料を5時間間隔で除去する。
いくつかの実施形態では、本開示による方法を使用して、細胞が糖タンパク質を産生する過程で、そのグリコシル化パターンを監視してもよい。たとえば、糖タンパク質の産生(量産など)は、(1)糖タンパク質を産生する細胞を培養するステップと、(2)培養時に試料を一定間隔または不規則な間隔で取得するステップと、(3)取得した試料で産生された糖タンパク質のグリコシル化パターンを分析するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、このような方法は、取得した試料で産生された糖タンパク質のグリコシル化パターンを互いに比較するステップを含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、このような方法は、取得した試料で産生された糖タンパク質のグリコシル化パターンと参照試料のグリコシル化パターンとを比較するステップを含むものであってもよい。
これらの実施形態のいずれにおいても、グリカン分析の特徴を、たとえば品質制御記録に記録することが可能である。上述したように、いくつかの実施形態では、比較が、糖タンパク質の事前または標準的なバッチの履歴記録および/または参照試料との間で実施されるものである。
いくつかの実施形態では、異なるバッチの目的の糖タンパク質(治療用糖タンパク質など)からのグリカンを、同一の方法で調製するか異なる方法で調製するかを問わず、かつ、同時に調製するか別々に調製するかを問わず、互いにおよび/または参照試料と比較する。いくつかの実施形態では、バッチ対バッチ比較が、(i)糖タンパク質の第1のバッチから第1のグリカン調製物を提供するステップと、(ii)糖タンパク質の第2のバッチから第2のグリカン調製物を提供するステップと、(iii)第1および第2のグリカン調製物の各々にエキソグリコシダーゼ処置(1、2、3、4、5、6、7種類またはそれよりも多くのエキソグリコシダーゼでの逐次および/または同時処理など)をほどこし、グリカン調製物でのN−結合型グリカンの非還元末端からの単糖を特異的に切断するステップと、(iv)2つのバッチの一貫性を評価できるように、第1のグリカン調製物から得られた切断産物と第2の調製物から得られた切断産物とを比較するステップと、を含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、バッチからの少なくとも1つの糖タンパク質から少なくとも1つのN−グリカンを除去し、任意に、除去後のN−グリカンを単離することで、グリカン調製物を提供することが可能である。いくつかの実施形態では、グリカン調製物を本明細書に記載したようにして標識してもよい(蛍光標識および/または放射性標識など;単離の前および/または後など)。
いくつかの実施形態では、本開示は、糖タンパク質調製物の品質制御を容易にするものである。グリカン分析の特徴を、たとえば品質制御記録で記録することが可能である。上述したように、いくつかの実施形態では、比較が、糖タンパク質の事前または標準的なバッチの履歴記録との間でなされる。いくつかの実施形態では、比較が参照糖タンパク質試料との間でなされる。
特定の実施形態では、本開示を研究に利用して、細胞のグリコシル化の特徴を改変し、たとえば1つ以上の望ましいグリコシル化の特徴を有する細胞系および/または培養条件を確立してもよい。必要があれば、このような細胞系および/または培養条件をさらに利用し、当該グリコシル化の特徴が有益であると想定される特定の標的複合糖質(糖タンパク質など)を産生することが可能である。
特定の実施形態では、本開示による技法は、細胞の表面に存在するグリカンに適用される。このようないくつかの実施形態では、分析したグリカンが実質的に非細胞表面グリカンを含まないものである。このようないくつかの実施形態では、分析したグリカンが、細胞表面に存在する場合、1つ以上の細胞表面複合糖質(糖タンパク質または糖脂質など)との関連で存在する。特定の実施形態では、(1)1種類以上のプロテアーゼでの処理によって糖タンパク質を遊離させ、(2)遊離した糖タンパク質をグリカナーゼで消化してグリカン集合体を単離させ、(3)本明細書に記載のいずれかの方法でグリカン集合体をエキソグリコシダーゼ消化によって消化し、(4)当業者が利用可能な任意の方法で消化産物を分析することによって、膜結合または膜貫通細胞表面糖タンパク質のグリコシル化パターンを判断することが可能である。
いくつかの特定の実施形態では、1つ以上の目的の標的糖タンパク質を評価するために、特に、このような標的糖タンパク質が細胞表面糖タンパク質でない場合に、細胞表面グリカンを分析する。いくつかの実施形態では、糖タンパク質自体を単離せずに、標的糖タンパク質のグリコシル化を監視することが可能である。特定の実施形態では、本開示は、細胞表面グリカンを、目的の発現糖タンパク質のグリカン構造のリードアウトまたは代用として利用するための方法を提供するものである。特定の実施形態では、このような方法として、事後処理、バッチ、スクリーニングまたは産物の品質の「インライン」測定があげられるが、これに限定されるものではない。このような方法は、産生された糖タンパク質の破壊を必要とせずに、産生反応の副生物(細胞など)を利用して、産生された目的の糖タンパク質のグリコシル化パターンを独立して測定できるようにするものである。さらに、本開示による方法では、産物の単離に必要な労力と、単離時に必要となる場合もある産物糖型選択の可能性とを排除することが可能である。
特定の実施形態では、本開示による技法を細胞から分泌されるグリカンに適用する。このようないくつかの実施形態では、分析したグリカンが、複合糖質(糖タンパク質または糖脂質など)に関連して細胞で産生されるものである。
本開示によれば、本明細書に記載の技法を用いて、望ましいグリカンまたは望ましくないグリカンを検出し、たとえば産物中の1種類以上の汚染物質を検出または定量化あるいは、1種類以上の活性種または所望の種の存在を検出または定量化することが可能である。
さまざまな実施形態では、この方法を用いて、存在または濃度(絶対濃度であるか相対濃度であるかを問わない)が特定の疾患状態(特定の疾患への羅患性を含む)と関連している可能性のある1種類以上の特定のグリカンおよび/またはこのようなグリカンの濃度の経時的変化を検出することで、治療不能または治療しにくい症状に対する徴候が現れるおよび/または疾患状態が進行する前に疾患状態などを示すバイオマーカーを検出することが可能である。
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、供給源(生物学的試料、グリカン調製物など)に極低濃度で存在するグリカンの検出を容易にする。このような実施形態では、グリカン集合体に、約10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.25%未満、0.1%未満、0.075%未満、0.05%未満、0.025%未満または0.01%未満の濃度で存在するグリカンの濃度を検出および/または任意に定量化することが可能である。いくつかの実施形態では、0.1%から5%、たとえば0.1%から2%、たとえば0.1%から1%のグリカン調製物を含むグリカンの濃度を検出および/または任意に定量化することが可能である。特定の実施形態では、約0.1fmolから約1mmolの間の細胞表面グリカンの濃度を検出および/または任意に定量化することが可能である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、グリカン集合体に低濃度で存在する特定の結合の検出を可能にするものである。たとえば、本方法は、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.25%未満、0.1%未満、0.075%未満、0.05%未満、0.025%未満または0.01%未満の濃度でグリカン集合体に存在する特定の結合の検出を可能にするものである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、グリカン集合体中の個々のグリカン種の相対濃度の検出を可能にするものである。たとえば、液体クロマトグラフの各ピークの下にある面積を測定し、全体に対する割合として表すことができる。このような分析をすることで、グリカン集合体における各グリカン種の量の相対的な比率が分かる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の技法を、グリカンまたは複合糖質を検出、分析およびまたは単離するための1つ以上の他の技術と組み合わせてもよい。たとえば、特定の実施形態では、1つ以上の利用可能な方法を用いて本開示に基づいてグリカンを分析する(いくつかの例をあげると、Anumula,Anal.Biochem.350(1):1,2006;Klein et al.,Anal.Biochem.,179:162,1989;および/またはTownsend,R.R.Carbohydrate Analysis”High Permofrmance Liquid Chromatography and Capillary Electrophoresis.,Ed.Z.El Rassi,pp 181〜209,1995を参照のこと(各々その内容全体を本明細書に援用する)を参照のこと)。たとえば、いくつかの実施形態では、クロマトグラフによる方法、電気泳動法、核磁気共鳴法、およびこれらの組み合わせのうちの1つ以上を用いて、グリカンを特性決定する。このような方法の例として、たとえば、NMR、質量分析、液体クロマトグラフィ、二次元クロマトグラフィ、SDS−PAGE、抗体染色、レクチン染色、単糖定量化、細管式電気泳動、蛍光標識糖質電気泳動(FACE)、ミセル動電クロマトグラフィ(MEKC)、エキソグリコシダーゼ処理またはエンドグリコシダーゼ処理、およびこれらの組み合わせがあげられる。当業者であれば、本明細書に記載のIMAC法と一緒にグリカンの特性決定に利用可能な他の方法も分かるであろう。
いくつかの実施形態では、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、およびこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、クロマトグラフによる方法で、グリカンの構造および組成を分析することが可能である。
いくつかの実施形態では、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、およびこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、質量分析(MS)および関連の方法で、グリカンの構造および組成を分析することが可能である。
いくつかの実施形態では、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、およびこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、電気泳動法で、グリカンの構造および組成を分析することが可能である。
いくつかの実施形態では、一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、核磁気共鳴(NMR)および関連の方法で、グリカンの構造および組成物を分析することが可能である。
以下の実施例を参照し、本開示を一層具体的に示す。しかしながら、本開示はこれらの実施例に何ら限定されるものではない旨は理解されたい。
実施例1:エキソグリコシダーゼによるN−グリカンの段階的消化
材料および方法
試料の調製
一例としての精製糖タンパク質からN−グリカナーゼFによって N−グリカンを放出した後、クリンナップステップを実施して、塩、洗浄剤、タンパク質および非グリカン物質を除去した。まず、タンパク質を熱変性させた後、過剰なN−グリカナーゼFを用いてSDSの存在下、37℃で一晩処理した。放出されたグリカンを、黒鉛化炭素カラム(EnviCarbなど)を用いて塩および酵素から単離した。N−グリカンを還元末端(N−グリカン−2AB)で蛍光標識し、さらにクリンナップステップを実施して余分な標識を除去した。まず、2−AB標識を30%酢酸のDMSO溶液に溶解させ、シアノボロ水素化ナトリウムを加えて最終濃度を1.2Mとした。この標識溶液約5〜10μlを乾燥グリカンに加え、3時間かけて65℃まで加熱して、標識を完了させた。次に、試料をGlycoclean Sカートリッジに適用し、96%アセトニトリルで洗浄し、水で溶出して標識グリカンを遊離標識および塩から単離する。
エキソグリコシダーゼ反応
グリカン混合物(0.25nmol/μl〜0.5nmol/μl)を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼからなる群から選択される少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼ(反応容積20μl〜40μlあたり配列グレードのグリコシダーゼ1μl〜2μl)で段階的に処理した。一般に、反応はpH5.5前後で実施された。段階的な分析の各ステップの後、次の酵素を加える前に酵素を不活性化した。
消化産物の分析
消化産物を質量分析(MS)につないだアミドカラムでの液体クロマトグラフィ(LC)で分離した。マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)でグリカンピークを構造的に同定した。グリカン保持時間を周知の標準およびグルコースラダーの場合と比較した。
結果
エキソグリコシダーゼで徹底して段階的に処理した後、大多数のN−グリカンが消化されて、保存されたM3N2コアになり、いくつかの微小ピークが後からクロマトグラムに溶出した(図2B)。質量分析(MS)によって、これらの微小ピークがラクトサミンに対応することが確認された(図2B)。図2Aに消化前のN−グリカンのクロマトグラムを示す。
実施例2:複数のエキソグリコシダーゼによるN−グリカンの同時消化
材料および方法
試料の調製と消化産物の分析
実施例1で説明したようにしてN−グリカンを調製し、消化産物を分析した。
エキソグリコシダーゼ反応
グリカン混合物(0.25nmol/μl〜0.5nmol/μl)を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼからなる群から選択される少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼ(反応容積20μl〜40μlあたり配列グレードのグリコシダーゼ1μl〜2μl)で同時処理した。一般に、反応はpH5.5前後で実施された。
結果
N−グリカンを2種類以上のエキソグリコシダーゼで同時に処理したら、N−グリカン構造の大半が崩壊し、保存されたコア(M3N2)になった。ガラクトシダーゼ活性とヘキソサミニダーゼ活性が同時に存在することで、ラクトサミン伸長が排除される。図3に示すように、使用したすべてのエキソグリコシダーゼに耐性のあった、LC保持時間30〜70分間の種がいくつかある。これらの種が従来のエキソグリコシダーゼ処理に対しても抵抗性であるという事実から、通常とは違う修飾が含まれていることが分かるが、これをMS分析で同定することが可能であり、ピーク面積を全体に対する割合で測定して定量化することが可能である。
実施例3:エキソグリコシダーゼによる同時消化および逐次消化を用いる、N−グリカンにおけるラクトサミン基の存在の判断
逐次対同時エキソグリコシダーゼ消化プロトコルを使用して、グリカン調製物におけるN−グリカンの構造および/または組成に関する情報を得ることが可能である。たとえば、仮想のN−グリカン構造についての表4に概要を示すように、逐次消化および同時消化で生成された消化産物を比較することで、ラクトサミン基の存在を判断することができる。
表4に示すすべてのエキソグリコシダーゼが、基質特異性の広いすなわち、結合のタイプとは関係なく末端糖を非還元末端から切断するものである。逐次(Q)処理と同時(S)処理Rx04またはRx05を比較することで、グリカン調製物にポリラクトサミン基が存在することを確認できる。
表4に示すように、Rx04(S)およびRx04(Q)は各々同一のN−グリカンを同一の酵素の組(広特異的シアリダーゼ、ガラクトシダーゼおよびヘキソサミニダーゼ)で消化したものを示す。しかしながら、同時(S)消化と逐次(Q)消化では異なる消化産物が生成される。同様に、Rx05(S)およびRx05(Q)は各々同一のN−グリカンを同一の酵素の組(広特異的シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼおよびフコシダーゼ)で消化したものを示す。しかしながら、同時(S)消化と逐次(Q)消化では異なる消化産物が生成される。この例は、同時消化および逐次消化で生成された消化産物を比較することで、グリカンの構造および/または組成に関する情報を得られる1つの方法を示すものである。
上記の例を図7(逐次消化対同時消化によって、どのようにしてポリラクトサミン構造を解明可能なのかを示す図である)にさらに示す。図7において、試料はグリカン集合体を含む。グリカン集合体を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼで同時消化した後、液体クロマトグラフィ(LC;図7A)および質量分析(MS;図7B)で示すように、大半のグリカンが切断されてMan3Gn2コア構造になる。保持時間が長めの若干のピークの選択が高マンノースタイプ構造に対応する。しかしながら、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼでの逐次消化時、高マンノースタイプの構造と関連するピークに加えて別のピークが残る。これらの別のピークは、MSデータで示されるようにMan3Gn2コアリメイン(remain)と結合したラクトースのあるグリカンに対応する。これらのピークの(逐次であり、同時ではない)存在は、元の試料におけるポリラクトサミンタイプの構造に対応する。
実施例4:エキソグリコシダーゼによる逐次消化と同時消化を用いる、N−グリカンにおけるシアル酸結合の同定
逐次対同時エキソグリコシダーゼ消化プロトコルを使用して、グリカン調製物におけるN−グリカンの構造および/または組成に関する情報を得ることが可能である。たとえば、仮想のN−グリカン構造についての表5に概要を示すように、逐次消化および同時消化で生成された消化産物を比較することで、シアル酸結合の存在および/またはタイプを判断することができる。
表5は、各々が異なる基質結合特異性を有するシアリダーゼの群を示す。本例は、末端α−2,3シアル酸結合をいかにしてα−2,6−結合と区別できるかを示すものである。
表5に示すように、Rx12(S)およびRx12(Q)は各々同一のN−グリカンを同一の酵素の組(α−2/3,6,8,9−シアリダーゼ、β−1/3,4,6−ガラクトシダーゼ、β−1,4−ヘキソサミニダーゼ)で消化したものを示す。しかしながら、同時(S)消化と逐次(Q)消化では異なる消化産物が生成される。図示のように、逐次消化と同時消化を比較することで、ポリラクトサミン構造が解明され、その2,6−結合型シアル酸がポリラクトサミン伸長に存在するのに対し、2,3−結合型シアル酸はラクトサミンが1つだけでアームにあることが解明される。この例は、同時消化および逐次消化で生成された消化産物を比較することで、グリカンの構造および/または組成に関する情報を得られる1つの方法を示すものである。
また、表5に示すように、処理Rx15(Q)では、グリカン集合体の非シアリル化アンテナがすべて切断されてコアトリマンノシルグリカンになる。切断産物は、一分岐型、二分岐型、三分岐型および四分岐型の種を含み、これをクロマトグラフ的にプロファイル決定することが可能である。このようなプロファイル決定によって、元のグリカン混合物の分岐組成のリードアウトが得られる。特に、このようなプロファイル決定によって、シアリル化分岐鎖の分岐組成のリードアウトが得られる。複数の試料で、このようなグリコシダーゼ処理を実施した後、個々のグリカンがシアリル化の場合と同じ分岐鎖を持つことになり、これらをクロマトグラフィで分離することが可能である。これを、表5に示すようにRx05(Q)の消化条件に曝露したN−グリカン集合体の例を示す図4にさらに示す。図4に示すN−グリカン集合体の場合、この例は、逐次処理によって消化産物の集合体をどのように生成できるかを示すものである。消化産物を分析することが可能であり、その構造および/または組成を判断することが可能である。
実施例5:エキソグリコシダーゼによる逐次消化と同時消化を用いる、N−グリカンにおけるフコシル結合の同定
同時エキソグリコシダーゼ消化プロトコルを使用して、グリカン調製物におけるN−グリカンの構造および/または組成に関する情報を得ることが可能である。たとえば、さまざまな組み合わせのエキソグリコシダーゼでの消化を用いて、事前に脱シアリル化したN−グリカンのアーム(分岐)α−1/3,4フコシル化をコアα−1,6フコシル化と区別することができる。表6に示す各処理による効果を以下のグリカン構造例の場合で示す。
表6に示すように、異なる組み合わせの酵素でのエキソグリコシダーゼ消化によって、さまざまな消化産物が生成される。ここに提示した例では、質量だけに基づく分析で2つのフコース残基の存在が示される。しかしながら、上記の手法を用いることで、2つのフコース残基の位置を判断することができる(すなわち、一方のフコースがコアに、他方のフコースが分岐鎖に、これに対し両方のフコース残基が分岐鎖に認められる)。この例は、同時消化で生成された消化産物を比較することで、グリカンの構造および/または組成に関する情報を得られる1つの方法を示すものである。
実施例6:ポリラクトサミン含有グリカンの高速同定
ペプチド:N−グリコシダーゼF(PNGase−F)を使用して、N−結合型グリカンをモデル糖タンパク質から放出し、グリカン試料を得た。N−結合型糖タンパク質からの高マンノース、ハイブリッドおよび複合オリゴ糖の一番内側のGlcNAcとアスパラギン残基の間を切断するアミダーゼがPNGase−Fである(Maley et al.,1989,Anal.Biochem.,180:195;本明細書に援用)。PNGase Fは、糖ペプチドおよび/または糖タンパク質からのほぼあらゆるタイプのN−グリカン鎖を加水分解することができる。得られるグリカン試料を活性黒鉛化炭素固相抽出カートリッジで精製した。次に、グリカン混合物を2−ベンズアミドで蛍光標識した。グリカン試料を二等分し、それぞれ同時および逐次的に一組のエキソグリコシダーゼ(すなわち、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ,およびN−アセチルヘキソサミニダーゼ)と反応させた。続いて、アミドカラムを用いる順相蛍光HPLCまたはMALDI−MSによって反応生成物を分析した。分析結果を図8(クロマトグラム)および図9(MALDI−MS)に示す。
等価物および範囲
当業者であれば、本明細書に記載の本開示による特定の実施形態の多くの等価物を定法による実験だけで認識するか、または確認できる。本開示の範囲は上記の説明に限定されることを意図したものではなく、添付の特許請求の範囲に記載されているようなものである。
当業者であれば、本明細書に記載の本開示による特定の実施形態の多くの等価物を定法による実験だけで認識するか、または確認できる。本開示の範囲は上記の説明に限定されることを意図したものではなく、添付の特許請求の範囲に記載されているようなものである.
特許請求の範囲において、「a」「an」「the」などの冠詞は、1つまたは2つ以上を意味することがある(そうでないことが明示されている場合または文脈から明らかな場合を除く)。よって、たとえば、「ナノ粒子」とあっても複数のこのようなナノ粒子が含まれ、「細胞」とあっても当業者間で周知の1つ以上の細胞が含まれるなどである。1つ以上のグループメンバ間に「または」を含む特許請求の範囲またはその説明は、グループメンバのうちの1つ、2つ以上またはすべてが、特定の産物またはプロセスに存在し、用いられ、または関連している場合に満たされるものとする(そうでないことが明示されている場合または文脈から明らかな場合を除く)。本開示は、厳密に1つのグループメンバが、特定の産物またはプロセスに存在し、用いられ、または関連している実施形態を含む。本開示は、2つ以上またはすべてのグループメンバが、特定の産物またはプロセスに存在し、用いられ、または関連している実施形態を含む。さらに、本開示は、列挙した特許請求の範囲のうちの1項以上の1つ以上の限定、要素、句、記述用語などが他の特許請求の範囲に導入された、あらゆる変形例、組み合わせおよび置き換えを包含する。たとえば、他の特許請求の範囲に従属する特許請求の範囲を修正して、同一の基本クレームに従属する他のいずれかの特許請求の範囲にある1つ以上の限定を含むようにすることが可能である旨を理解できよう。さらに、特許請求の範囲で組成について言及する場合、特に明記しないかぎり、あるいは矛盾または不一致が生じることが当業者らに自明でないかぎり、その組成を本明細書に開示の何らかの目的に用いる方法も含まれ、本明細書に開示の製造方法または当該技術分野において周知の他の方法によってその組成を作るための方法も含まれる点も理解できよう。
たとえばマーカッシュ群形式で要素を列挙する場合、要素の各サブグループも開示され、いずれの要素もグループから除外可能であることは理解できよう。通常、本開示または本開示による態様が特定の要素や特徴などを含む場合、本開示による特定の実施形態または本開示による態様がこのような要素や特徴からなるまたは実質的にこれからなるものである点を理解されたい。分かりやすくする目的で、これらの実施形態は、本明細書では正確に引用して具体的に記載したものではない。「含む(comprising)」という用語は、オープンであることを意図したものであり、別の要素またはステップの追加も許容される。
範囲が記載されている箇所では、端点もその範囲に含まれる。さらに、特に明記しないかぎり、あるいは文脈および当業者の理解から自明である場合をのぞき、範囲として表されている値は、本開示による異なる実施形態において、その範囲の下限の単位の十分の一まで具体的な値または表記の範囲内の部分的な範囲を仮定できる(文脈から明らかにそうではないことが分かる場合を除く)旨は理解できよう。
また、従来技術の範囲に含まれる本開示の特定の実施形態については、1つ以上の特許請求の範囲から明示的に除外できることも理解できよう。このような実施形態は当業者らに周知であると思われるため、本明細書で明示的に除外しなくても自身でこうしたものを除外できる。また、何らかの理由で、従来技術の存在に関連しているか否かを問わず、本開示による組成物の特定の実施形態(エキソグリコシダーゼ、グリコシド結合、反応条件、精製方法、産物分析方法など)を1つ以上の特許請求の範囲から除外することも可能である。
上記ならびに本明細書全体をとおして論じた刊行物はいずれも、本出願の出願日以前の開示物として記載したものである。これらはいずれも、先行する開示がゆえに本発明者らが当該開示物に先行する権利がないと認めることを意図したものではない。

Claims (16)

  1. グリカン調製物を提供するステップと、
    該グリカン調製物の第1の部分に第1のエキソグリコシダーゼ処置をほどこすステップであって、該第1のエキソグリコシダーゼ処置は、該第1の部分の少なくとも2種類のエキソグリコシダーゼでの逐次処理を含み、該第1の部分は、1回に各エキソグリコシダーゼ1種に曝露され、第1のエキソグリコシダーゼは第2のエキソグリコシダーゼでの処理の前に不活性化または除去される、ステップと、
    該グリカン調製物の第2の部分、第2のエキソグリコシダーゼ処置をほどこすステップであって、該第2の部分は、該第1の部分とは異なり、該第2のエキソグリコシダーゼ処置は、該第2の部分の該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼによる同時処理を含み、該第2の部分は、各エキソグリコシダーゼに同時に曝露され、該逐次エキソグリコシダーゼ処理において用いられる少なくとも2種のエキソグリコシダーゼと該同時エキソグリコシダーゼ処理において用いられる少なくとも2種のエキソグリコシダーゼとは同一である、ステップと、
    該第1および第2のエキソグリコシダーゼ処置での切断産物を特性決定するステップと、
    該グリカン調製物のグリコシル化の特徴を少なくとも1つ判断できるように、該第1のエキソグリコシダーゼ処置の該切断産物の特性決定と第2のエキソグリコシダーゼ処置の該切断産物の特性決定とを比較するステップと、
    含む、方法。
  2. 前記比較するステップが、前記第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置の切断産物の特性決定と参照試料の切断産物とを比較することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1または第2のエキソグリコシダーゼ処置が、前記グリカン調製物試料を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種類または複数のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 少なくとも1つの切断産物が、硫酸化グリカン、リン酸化グリカン、N−アセチルグルコサミンに結合したシアル酸、アセチル化グリカン、分岐フコシル化、ラクトサミン伸長、または3つのマンノースと2つのN−アセチルグルコサミン残基とを含む五糖コアを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記グリカン調製物を提供するステップが、
    a)複数の糖タンパク質に結合されたN−グリカンを各々が少なくとも1つ含む複数の糖タンパク質を提供するステップと、
    b)少なくとも1つのN−グリカンを少なくとも1つの糖タンパク質から除去するステップと、
    c)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記特性決定のステップが、クロマトグラフによる方法、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、質量分析(MS)、タンデムMS、LC−MS、LC−MS/MS、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、フーリエ変換質量分析(FTMS)、イオン移動度質量分析(IMS−MS)、電子移動解離(ETD−MS)、電気泳動法、細管式電気泳動(CE)、CE−MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に続いて特定のグリカン構造を認識する抗体を用いるウェスタンブロッティング、核磁気共鳴(NMR)一次元NMR(1D−NMR)、二次元NMR(2D−NMR)、相関分光磁気角スピニングNMR(COSY−NMR)、全相関分光NMR(TOCSY−NMR)、異種核一量子コヒーレンスNMR(HSQC−NMR)、異種核多重量子コヒーレンス(HMQC−NMR)、回転系での核オーバーハウザー効果分光NMR(ROESY−NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY−NMR)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される手法を前記切断産物に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
  7. リン酸化、硫酸化、アセチル化、ラクトサミン伸長および分岐フコシル化からなる群から選択される、前記N−グリカン調製物における修飾の存在を評価することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  8. 複数のタンパク質結合型N−グリカンを含むグリカン調製物を、該グリカン調製物の1または複数の特性が決定されるように特性決定する方法であって、
    a)複数の糖タンパク質を含むグリカン調製物を提供するステップであって、各糖タンパク質は少なくとも2つまたはそれより多くのN結合型グリカンを含み、該複数のうちの少なくとも1つの糖タンパク質のグリコシル化パターンは、該複数のうちの少なくとも1つの他の糖タンパク質のグリコシル化パターンとは異なる、ステップと、
    b)少なくとも2つのN−グリカンを、該複数のうちの少なくとも1つの糖タンパク質から除去し、該少なくとも2つの除去されたN−グリカンを2またはそれより多くの部分に分けるステップと、
    c)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップと、
    d)該除去されたN−グリカン部分を複数の別個のエキソグリコシダーゼ酵素処理をほどこすステップであって、該複数の別個のエキソグリコシダーゼ処理は、
    1)該グリカン調製物を少なくとも2種のエキソグリコシダーゼに逐次曝露して消化結果を得ることを含む逐次エキソグリコシダーゼ酵素処理であって、該第1の部分は1回に各エキソグリコシダーゼ1種に曝露され、第1のエキソグリコシダーゼは第2のエキソグリコシダーゼでの処理の前に不活性化または除去される処理、
    2)該グリカン調製物を少なくとも2種のエキソグリコシダーゼに同時曝露して消化結果を得ることを含む同時エキソグリコシダーゼ酵素処理であって、該逐次エキソグリコシダーゼ処理において用いられる該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼと該同時エキソグリコシダーゼ処理において用いられる該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼとは同一である、処理
    を含むステップと、
    e)各エキソグリコシダーゼ処理由来の切断産物を特性決定するステップと、
    f)任意に、該切断産物の特性決定を参照試料と比較するステップ
    を含、方法。
  9. 糖タンパク質のバッチ同士を比較する方法であって、
    該糖タンパク質の第1のバッチから第1のグリカン調製物を提供し、該第1のグリカン調製物を2またはそれより多くの部分に分けるステップと、
    該糖タンパク質の第2のバッチから第2のグリカン調製物を提供し、該第2のグリカン調製物を2またはそれより多くの部分に分けるステップと、
    第1および第2のグリカン調製物の各々に、複数の別個のエキソグリコシダーゼ酵素処理をほどこすステップであって、該複数の別個のエキソグリコシダーゼ処理は、
    a)該グリカン調製物を少なくとも2種のエキソグリコシダーゼに逐次曝露して消化結果を得ることを含む逐次エキソグリコシダーゼ酵素処理であって、該第1の部分は1回に各エキソグリコシダーゼ1種に曝露され、第1のエキソグリコシダーゼは第2のエキソグリコシダーゼでの処理の前に不活性化または除去される処理、
    b)該グリカン調製物を少なくとも2種のエキソグリコシダーゼに同時曝露して消化結果を得ることを含む同時エキソグリコシダーゼ酵素処理であって、該第2の部分は該第1の部分とは異なり、該逐次エキソグリコシダーゼ処理において用いられる該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼと該同時エキソグリコシダーゼ処理において用いられる該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼとは同一である、処理
    を含む、ステップと、
    該第1のグリカン調製物および該第2のグリカン調製物から該逐次消化結果と同時消化結果とを差が明らかになるように比較して、それによって、2つの該バッチの一貫性を決定するステップと、
    含む、方法。
  10. 前記エキソグリコシダーゼ処置が、前記第1および第2のグリカン調製物を、シアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、フコシダーゼ、マンノシダーゼ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のエキソグリコシダーゼで処理することを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 少なくとも1つの切断産物が、
    3つのマンノースと2つのN−アセチルグルコサミン残基とを含む五糖コアと、
    分岐フコシル化と、
    ラクトサミン伸長と、
    硫酸化グリカンと、
    リン酸化グリカンと、
    N−アセチルグルコサミンに結合したシアル酸と、
    アセチル化グリカンと、
    からなる群から選択される糖型を含む、請求項9に記載の方法。
  12. 前記グリカン調製物を提供するステップが、
    a)少なくとも1つのN−グリカンを前記第1または第2のバッチの少なくとも1つの糖タンパク質から除去するステップと、
    b)任意に、除去後のN−グリカンを単離するステップとを含む、請求項9に記載の方法。
  13. 糖タンパク質の産生を監視するための方法であって、
    糖タンパク質の産生時、少なくとも第1および第2のグリカン含有試料を産生系から除去するステップと、
    該第1および第2のグリカン含有試料の各々に、複数の別個のエキソグリコシダーゼ酵素処理をほどこすステップであって、該複数の別個のエキソグリコシダーゼ処理は、
    a)該グリカン含有試料の第1の部分を少なくとも2種のエキソグリコシダーゼに逐次曝露して消化結果を得ることを含む逐次エキソグリコシダーゼ酵素処理であって、該第1の部分は1回に各エキソグリコシダーゼ1種に曝露され、第1のエキソグリコシダーゼは第2のエキソグリコシダーゼでの処理の前に不活性化または除去される処理、
    b)該グリカン含有試料の第2の部分を少なくとも2種のエキソグリコシダーゼに同時曝露して消化結果を得ることを含む同時エキソグリコシダーゼ酵素処理であって、該第2の部分は該第1の部分とは異なり、該逐次エキソグリコシダーゼ処理において用いられる該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼと該同時エキソグリコシダーゼ処理において用いられる該少なくとも2種のエキソグリコシダーゼとは同一である、処理
    を含む、ステップと、
    該第1および第2のグリカン含有試料からの該逐次消化結果と同時消化結果とを、差が明らかになり、それによって糖タンパク質産生の進行を監視できるように比較するステップと、
    含む、方法。
  14. 前記エキソグリコシダーゼ処置が少なくとも10%完了したら少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記エキソグリコシダーゼ処置が100%完了する前に少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、請求項13に記載の方法。
  16. 前記グリカンが100%切断される前に少なくとも1つのグリカン含有試料を除去する、請求項13に記載の方法。
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