JP2010522262A - 多形態形成剤により多分散性が制御されたイソオレフィンの重合 - Google Patents

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Abstract

1以上のモノマー10.12、希釈剤、及び触媒系からなる重合媒体中の1以上のモノマーをして、2.0を超えるMWDを有するイソオレフィンポリマー72を製造する反応ゾーン32を備える重合システムであって、;希釈剤は1以上のハロゲン化炭化水素を含み、触媒系は1以上のルイス酸24と、1以上の多形態形成剤16,26から成る複数の改質剤と、1以上の開始剤22とを含み;1以上のモノマーと希釈剤を反応ゾーンの重合媒体に供給するモノマー供給ラインと;これとは別に設けられ、1以上のルイス酸を反応ゾーンの重合媒体に供給する触媒供給ラインと;反応ゾーンへの1以上の多形態形成剤の供給速度を調整するためのシステムとを備える重合システム、多形態形成剤を用いた重合方法、及び多形態形成剤を含む触媒系に関する。
【選択図】図1

Description

この発明は、触媒系に多形態形成剤を用いて多分散性または分子量分布(MWD)を制御する、新規な重合方法及び重合システムに関する。
イソオレフィンポリマーは、カルボカチオン重合プロセスで製造される。特に重要なものは、イソブチレンと少量のイソプレンとの共重合体のブチルゴムである。ブチルゴムは低温カチオン重合によって製造される。低温カチオン重合では一般に、高分子量のブチルゴムを製造するために、純度>99.5wt%のイソブチレンと、純度>98.0wt%のイソプレンとが必要とされる。
イソブチレンのカルボカチオン重合、及びイソブチレンとイソプレン等との共重合は、機構的に複雑である。例えばOrganic Chemistry 第6版、MorrisonとBoyd著、Prentice-Hall社、1084-1085頁(Englewood Cliffs, New Jersey 1992年)、及びK. Matyjaszewski著、Cationic Polymerizations(Marcel Dekker社,New York,1996年)が参照される。
触媒は一般に、開始剤とルイス酸の2成分から成る。ルイス酸の例として、AlCl3及びBF3が挙げられる。開始剤の例としては、HCl、RCOOH(Rはアルキル基)、及びH2O等のブレンステッド酸が挙げられる。
重合プロセスの開始段階と呼ばれるステップにおいて、イソブチレンはルイス酸/開始剤のペアと反応してカルベニウムイオンを生成する。次に、成長段階と呼ばれるステップにおいて、生成したカルベニウムイオンに別のモノマーユニットが付加する。これらのステップは、一般に希釈剤または溶媒中で生じる。成長段階の化学反応には、温度、希釈剤の極性、及びカウンターイオン種が影響する。これらの中で、希釈剤は特に重要と考えられる。
ブチルゴム、ポリイソブチレン等の製造には、スラリー重合が広く用いられている。一般にこのようなスラリー重合では反応混合物の希釈剤として、通常−90℃以下の低温の塩化メチルが広く用いられている。塩化メチルは、モノマーと塩化アルミニウム触媒は溶解するがポリマー製品は溶解しない等の、様々な理由で用いられている。また、塩化メチルは低温重合に適した凝固点と、ポリマーと未反応モノマーとの効率的分離に適した沸点を有している。
さらに、溶液重合のポリマー濃度が約8%から12%であるのに対し、塩化メチルを用いたスラリー重合プロセスでは、反応混合物中において容積比で26%から37%のポリマー濃度を達成できる等の様々な利点がある。重合系全体の粘度が相対的に低いため、より有効に重合熱を熱交換によって除熱することができる。
最近、ハイドロフルオロカーボン(HFC)希釈剤中で、イソブチレンや、他のモノマーを重合する技術が開示されている。希釈剤または希釈剤のブレンド物にHFCを用いることにより、粒子の凝集を低減し、あるいは、重合システム中の塩化メチル等の塩化炭化水素の使用量を削減するか不要とすることができる、新たな重合システムが開発されている。
このような新しい重合システムは、ポリマー粒子の凝集、及び反応器のポリマー付着汚れを、プロセスのパラメータ、条件または構成要素に関し妥協することなく、および/または生産性/生産能力、および/または高分子量ポリマーを製造可能な能力を犠牲にすることなく、改善することができる。
HFCは、オゾン層を破壊する可能性が低い(ゼロのこともある)ことから、近年環境にやさしい冷媒として使用されている。HFCに塩素が含まれていないことが、オゾン層を破壊しにくいことに関係していると考えられている。また、HFCは一般に炭化水素や塩素化炭化水素と比べて燃えにくい。
HFCを用いることができる重合媒体、プロセス、反応器及び重合システムは、次の特許文献に開示されている。国際公開第2004/058827号; 国際公開第2004/058828号; 国際公開第2004/058829号; 国際公開第2004/067577号; 国際公開第2006/011868号; 米国出願第2005101751号; 米国出願第2005107536号; 米国出願第2006079655号; 米国出願第2006084770号; 米国出願第2006094847号; 米国出願第2006100398号; 及び米国出願第2006111522号。
HFCを重合プロセスで使用する際、この新技術に対応するための新たな重合後処理工程、または「下流」工程を開発することが必要となる。例えば、国際公開第2006/009550号には、HFCを含有する希釈剤を含むスラリーからポリマーを濾別することが開示されている。
さらに、希釈剤には、反応器からの流出液を重合プロセスへ再循環させる前に除去しておく必要がある成分が含まれている。重合後の反応器からの流出液には、イソブチレンやその他のモノマーが含まれているため、触媒系の溶剤に使用することはできない。これは、触媒系に含有されるイソブチレンが反応器へ入る前に重合し、また、触媒系の品質に有害な影響を及ぼすためである。
従って、反応器からの重合後の流出液を重合プロセスへ希釈剤として再循環する前に、この流出液に含まれる希釈剤(HFCまたはHFCの少なくとも一部等)を分離回収する方法が必要である。
従来のブチルゴム重合では、公知の蒸留法によってイソブチレンと塩化メチルとを容易に分離することができた。
しかし、過去にも、HFCを含む共沸混合物または擬共沸混合物が知られている。例えば、米国特許第5,087,329号、米国特許第5,200,431号、米国特許第5,470,442号、米国特許第5,723,429号、米国特許第5,744,662号、米国特許第5,830,325号、米国特許第6,156,161号、米国特許第6,307,115号、米国特許第6,527,917号、及び欧州特許第1003699 B号が参照される。
例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)や1,1-ジフルオロエタン(R152a)等のHFCは、イソブチレンと最大沸点共沸混合物または擬共沸混合物を形成する。このため、単純な蒸留では、重合後のイソブチレン等の未反応モノマーとHFCとを分離できない場合がある。国際公開第2006/009553号には、HFCを希釈剤に用いた反応器から流出するスラリーの各成分を抽出蒸留で分離する方法が開示されている。
市販のブチルゴムの、分子量分布(MWD = Mw/Mn)とも呼ばれる多分散性は、一般に最も可能性が高いと考えられる分子量分布(2.0)よりも広く、製造されたプラントによっても異なる。例えば、HFC含有希釈剤を用いて重合されたイソブチレンは、塩化メチル含有希釈剤を用いた場合よりMWDが狭いことが知られている。
製造設備が異なると、再循環される改質剤と未反応モノマー中の、微小量の不純物の種類と量が異なることを見出した。これは、種々の改質剤やモノマーを加工する方法や、再循環させるために反応器流出液から回収するときの方法の違いに起因すると思われる。例えば、反応器からの流出液を水で失活させる製造設備の場合のように、水の存在下では塩化メチルが加水分解され、メタノールとジメチルエーテルが生成する。生成したメタノールとジメチルエーテルは、希釈剤と未反応モノマーを回収する際に除去されない限り、再循環される希釈剤、および/または、モノマーに混入する。さらに、供給される新品のモノマーや希釈剤は、目立たないが比較的高濃度の不純物が含まれている。このため、製造設備における不純物の種類と量は、制御不能な変動を示す。通常、反応器へ供給されるモノマーやその他の供給ストリームから、水や加水分解性生物を除去するための手段が講じられている。
ブチルゴムの製造において、所望の分子量のポリマーを得るために反応器への触媒(ルイス酸と開始剤)の供給量を調整することは、広く行なわれている。一般的な製造設備では、回収されたポリマーまたはセメント状ポリマーのサンプルを反応器の下流で採取し、分子量をムーニー粘度計またはその他のレオロジー的手法、あるいはゲル透過型クロマトグラフィー(GPC)等のより正確な方法で測定する。分子量が目標値から外れているときは、一般に触媒供給量を調整し、プロセスを安定状態に保ち、次いで別の測定を行なって分子量が目標値に近づいたか調べる。サンプル採取から分子量測が終わるまでに1時間またはそれ以上の時間を要する。この間に、規格外の製品が製造され続け、またプロセスの条件が変化し得る。
ある製造設備で、別の製造設備の製品規格にあう製品を製造することは困難であるか、ほとんど不可能と思える場合が多い。
公開番号CN 1417234Aの中国特許出願第01134710.4号には、カチオン重合によるイソオレフィンのポリマーまたはコポリマーの製造方法が開示されている。この出願には、塩化炭化水素希釈剤中でC〜Cのイソオレフィンモノマーの重合反応や他のモノマーとの共重合体反応を、ルイス酸をプライマーに用い、反応系にカルボン酸エステル、エーテル、ケトン、アミン、スチレン、アルキル置換スチレン等の分散剤を添加することが提案されている。
分散剤は、重合系の粘度を低下させ、希釈剤中における不溶性ポリマー粒子の分散状態をより均一にするとしている。この出願によれば、反応温度が−20℃より低いとき、安定した分散状態の重合系が得られ、熱移動及び物質移動の問題が解決され、添加する分散剤は容易に入手でき、さらに、分子量分布(MWD)の狭いポリマーが得られるという。
しかし、ルイス酸に対する共開始剤は開示されておらず、分散剤のいくつかは、公知のコモノマーである。
本願出願人は、重合反応器へ供給される原料中に、ある種の添加化合物を所定量用いることにより、分子量、および/または、MWDに、未知および/または予想できない効果がもたらされるであろうことを提案する。
MWDを制御可能な態様で調整する重合方法及び重合システムは、例えば異なるプラント、および/または、異なる希釈剤または触媒系で製造された複数の製品の分子量分布をより正確に合わせることが可能になること、新しいプロセスで製造された製品の分子量分布を要求に応じて調整可能になること、あるいは、新たな製品を製造できる可能性があること、等の理由から求められている。
この発明は、本願で多形態形成剤と呼ぶ新規な触媒系改質剤を用いる新規な重合システム、及びプロセスを提供するものである。多形態形成剤は、触媒系を改質して、異なる重合速度、すなわち、異なる成長速度、連鎖移動速度、停止反応速度を有する複数の異なる活性触媒種の形成を促進、もしくは擬態し、多形態形成剤が異なる比率で存在するとき、異なる多分散性が示される。
多形態形成剤は、酸素分子、カルコゲン含有化合物から選択され、例えば有機酸素含有化合物、及びこの酸素含有化合物に対応する硫黄化合物が含まれる。
希釈剤中でルイス酸と開始剤を用いたイソオレフィンモノマーの重合において、多形態形成剤はポリマー製品の分子量分布特性(MWDを含む)を調整する制御手段として用いられる。
この発明の一側面では、1以上のモノマーを重合して、2.0を超える制御されたMWDを有するイソオレフィンポリマー及びコポリマーを製造する方法が提供される。
この方法には、1以上のモノマーと、希釈剤と、触媒系とを含む重合媒体中の1以上のモノマーを重合する工程が含まれる。希釈剤には、1以上のハロゲン化炭化水素を用いることができる。
触媒系には1以上のルイス酸と、1以上の多形態形成剤(開始剤であっても、開始剤ではなくてもよい)を含む複数の改質剤と、1以上の開始剤(別の多形態形成剤であっても、多形態形成剤で無くてもよい。)が含まれる。
ひとつの実施形態では、多形態形成剤の量は、イソオレフィンポリマー及びコポリマーが2.0を超える制御されたMWDを有するように調整される。
ひとつの実施形態では、この方法には重合媒体を1以上の供給ストリームから反応器へ供給して重合させ、反応器から希釈剤とポリマーとの混合物を回収し、この混合物から希釈剤を分離してポリマーを回収し、分離された希釈剤を1以上の供給ストリームへ再循環することが含まれる。
1以上の多形態形成剤の少なくとも1が、1以上の供給ストリームの少なくとも1へ添加される。
ひとつの実施形態では、希釈剤の分離工程には、多形態形成剤の分離操作が含まれる。別の実施形態では、希釈剤の分離工程には、例えば単蒸留または抽出蒸留等の蒸留操作が含まれる。別の実施形態では、反応器から回収される混合物は、希釈剤中にポリマーが分散したスラリーの形態である。
ひとつの実施形態では、多形態形成剤の添加操作には、少なくとも1の、1以上の供給ストリームにおける多形態形成剤の量を測定し、多形態形成剤の添加速度を調整して所望の多形態形成剤濃度にすることが含まれる。あるいは、多形態形成剤の添加操作には、回収されたポリマーのMWDを測定して、これに応じて多形態形成剤の添加速度を調整してMWDを調整すること、および/または、これに応じて多形態形成剤の所望濃度を調整することが含まれる。
この発明の実施形態では、1以上の多形態形成剤は、希釈剤を含むモノマー供給ストリーム、および/または、1以上のルイス酸を含む触媒供給ストリームに添加することができる。
この発明の別の側面では、1以上のモノマーを重合して、2.0を超える制御されたMWDを有するイソオレフィンポリマー及びコポリマーを製造する方法が提供される。
この方法には、重合反応器に触媒系供給ストリームと、1以上のモノマーを含む1以上の別の供給ストリームと、希釈剤、またはこれらの組合せとを供給し、少なくとも1の供給ストリームへの多形態形成剤の供給速度を調整することが含まれる。
希釈剤には、1以上のハロゲン化炭化水素を用いることができる。
触媒系には1以上のルイス酸と、供給速度が調整される多形態形成剤とは異なる1以上の開始剤とが含まれる。
この発明の別の側面では、1以上のモノマーを重合して、2.0を超える制御されたMWDを有するイソオレフィンポリマー及びコポリマーを製造する重合システムが提供される。
この重合システムは、1以上のモノマー、希釈剤、触媒系から成る重合媒体中の1以上のモノマーを重合させる反応ゾーンと;
1以上のモノマーと希釈剤とを反応ゾーンの重合媒体に供給するモノマー供給ラインと;
これとは別に設けられ、1以上のルイス酸を反応ゾーンの重合媒体に供給する触媒供給ラインと;反応ゾーンへの1以上の多形態形成剤の供給速度を調整するためのシステム(例えば制御ループ)とを備える。
希釈剤には、1以上のハロゲン化炭化水素を用いることができる。
触媒系には1以上のルイス酸と、複数の1以上の多形態形成剤から成る改質剤と、1以上の開始剤とが含まれる。
ひとつの実施形態では、重合システムにはさらに、反応ゾーンからポリマーと希釈剤との混合物を回収する製品ラインと;この混合物から希釈剤を分離してポリマーを回収するポリマー回収ユニットと;分離された希釈剤を濃縮する希釈剤回収ユニットと;濃縮された希釈剤をモノマー供給ラインへ再循環する移送ラインとを備える。
重合システムにはまた、1以上の多形態形成剤を反応ゾーンに導入する多形態形成剤供給ラインが設けられている。多形態形成剤供給ラインからの多形態形成剤は、反応ゾーンへ直接導入してもよいし、モノマー供給ライン、または触媒供給ライン、またはこの両者を経由して反応ゾーンへ導入してもよい。
ひとつの実施形態では、希釈剤回収ユニットに分留工程を設けることができる。分留工程は、再循環用の低多形態形成剤濃度の希釈剤を生成する抽出蒸留ユニットとすることができる。
別の実施形態では、希釈剤回収ユニットに多形態形成剤除去手段を設けることができる。
別の実施形態では、制御ループに、モノマー供給ライン中、触媒供給ライン中、またはこの両者の多形態形成剤濃度を検知するための多形態形成剤分析計と、酸素含有化合物供給ラインに接続されるとともにこの多形態形成剤分析計と通信し、例えば多形態形成剤分析計において所望の多形態形成剤濃度が得られるように多形態形成剤供給ラインの流量を制御可能な流量制御装置を設けることができる。
ひとつの実施形態では、制御ループは回収されたポリマーのMWDを測定するためのMWD分析器を備える。このMWD分析器は、多形態形成剤供給ラインの流量を制御する流量制御装置と通信可能であり、この流量制御装置により、入力されたMWD目標値が得られる。
あるいは、制御ループは回収されたポリマーのMWDを測定し、多形態形成剤濃度を比例制御する流量制御装置と通信可能なMWD分析器を備える。この流量制御装置により、所望のMWD目標値が得られる。
この発明の実施形態では、多形態形成剤供給ラインは、モノマー供給ラインに接続され、および/または、触媒供給ラインに接続される。モノマー供給ラインと触媒供給ラインは、反応ゾーンの反応器ハウジングに接続することができる。
触媒系を改質して、
この発明の別の実施形態では、ルイス酸、開始剤、及び多形態形成剤を組み合わせて成る活性触媒錯体種を複数備える触媒系が提供される。
ひとつの実施形態では、多形態形成剤は、異なる重合速度、すなわち、異なる成長速度、連鎖移動速度、停止反応速度を有する複数の異なる活性触媒種の形成を促進し、特にブチル反応器中で塩化メチル希釈剤を用いてイソブチレンのスラリー重合を-95℃で行なう場合、多形態形成剤が異なる比率で存在するときに異なる多分散性が示される。
ひとつの実施形態では、多形態形成剤はルイス酸に対し、準化学量論比で存在する。
この発明の別の実施形態では、この発明の触媒と方法により製造され、制御されたMWDが2.0を超えるイソブチレンポリマーが提供される。
ひとつの実施形態では、触媒系改質剤にはさらに、弱配位性アニオンが含まれる。
図1は、この発明のひとつの実施形態に係る重合システムのフローを模式的に表わす図である。
図2は、種々の酸素含有化合物を含む重合媒体中で製造されたポリマーのMWDを比較するグラフである。
本願では、CHEMICAL AND ENGINEERING NEWS, 63(5)、27頁 (1985年)に記載されている周期律表の新しい番号付与方式を用いる。
本願で「触媒系」というときは、この発明に開示するオレフィンモノマーの重合反応の触媒に用いることができるルイス酸またはその他の金属錯体と、少なくとも1の多形態形成剤を含む複数の触媒改質剤と、少なくとも1の開始剤と、任意成分としての他の少量の触媒成分とを含む触媒を意味する。
ひとつの実施形態では、この発明は、1以上のモノマーと、希釈剤と、多形態形成剤及び開始剤から成る触媒系とを含む重合媒体中の1以上のモノマーを重合することにより、制御された多分散性を有するイソオレフィンポリマー及びコポリマーを製造する方法を提供する。多分散性はMWDとも呼ばれ、本願ではMWDは2より大きい。
モノマーを重合してポリマーを製造するために適した重合媒体は、重合条件及び成分の選択に依存する。制御されたMWDを有する所望のポリマーを得ることは、本願に開示するプロセスのパラメータと原料成分の性質に基づいて当業者の能力の範囲内で行なえる。
重合プロセスには多くの工程順序があり、MWDを含む所望の性質のポリマーを製造するために用いることができる重合成分には多くの種類がある。
好ましい実施形態では、このようなポリマーにはポリイソブチレンホモポリマー、イソブチレン−イソプレン(ブチルゴム)コポリマー、イソブチレンとパラメチルスチレンのコポリマー、及び星状分岐ブチルゴムターポリマーが含まれる。
「希釈剤」とは、希釈用または溶解用の薬剤を意味する。希釈剤は、特に、ルイス酸、その他の金属錯体、開始剤、モノマー、その他の添加剤の溶剤として作用する薬剤と定義される。この発明では、希釈剤中の多形態形成剤や不純物等の触媒系を変質させる成分とは異なり、希釈剤は重合媒体中の各成分、すなわち触媒成分やモノマー等の一般的性質を変化させない。しかし、希釈剤と反応物との相互作用は生じ得る。
好ましい実施形態では、希釈剤と触媒成分やモノマー等との実用上問題となるような反応は生じない。さらに、希釈剤と言う用語には、2種類以上の希釈剤の混合物が含まれる。
「反応器」とは、その中で化学反応が生じる容器を意味する。
本願の実施形態で用いられる商業生産用ブチル反応容器は、容積が10から30リットル以上で、インペラーポンプにより高流速で循環されて十分に撹拌され得る反応容器である。重合反応とポンプの両者から熱が生じるので、スラリーを低温に保つためには、重合システムが除熱能力を有することが必要である。このような、定流速撹拌槽反応器(CFSTR)の例は、本願に参照として組み込まれる米国特許第5,417,930号に開示されている。
本願の実施形態に係るこれらの反応器では、スラリーはポンプによって熱交換器のチューブを通して循環される。シェル側で液体エチレンを沸騰させることにより冷却が行なわれ、スラリーの温度は沸騰エチレンの温度、要求される熱流束、及び全熱伝達抵抗によって定まる。
「スラリー」とは、希釈剤から沈殿したポリマーと、ルイス酸、及び開始剤を含む希釈剤を意味する。スラリー濃度とは、スラリーの全容積に対する、一部または全部が沈殿したポリマーの容積パーセントを意味する。
「ポリマー」と言う用語は、ホモポリマー、コポリマー、中間体ポリマー、ターポリマー等の意味で用いる。
また、コポリマーと言う用語は、少なくとも2種類のモノマーを含み、任意に他のモノマーを含むポリマーを意味する。ポリマーがモノマーから成ると言うときは、そのモノマーは重合された形態またはそのモノマーの誘導体の形態でポリマー中に存在する。また、触媒成分がその成分の中立安定化形態から成ると言うときは、当業者であれば、その成分のイオン化された形態がモノマーと反応してポリマーを生成させる形態を意味することが理解できるであろう。
「イソオレフィン」とは、同一の炭素原子上に2つの置換基を有するモノマーを意味する。「マルチオレフィン」とは、二重結合を2つ有するモノマーを意味する。本願で「エラストマー」または「エラストマー組成物」と言うときは、ASTM D 1566の定義に従うポリマーまたはポリマー組成物を意味する。本願では、エラストマーまたはエラストマー組成物と「ゴム」を同義で用いることがある。
「擬ハロゲン」とは、アジド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、またはシアナイドを意味する。
「酸素含有化合物」とは、オキソ−置換、または水酸基置換の炭化水素、あるいは、酸素原子を有する非置換の炭化水素を意味する。「有機酸素含有化合物」とは、本質的に水素、炭素及び酸素原子から成る化合物を意味し、例えばアルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸、エステル、アルデヒド、エポキシドなどである。また、モノ塩基性、及びポリ塩基性酸素含有化合物が含まれ、また、これらの酸素含有化合物中の、1以上の酸素原子が硫黄原子で置換された構造に対応する硫黄化合物も含まれる。
この用語には、例えば一酸化炭素、二酸化炭素、水等の、少なくとも1の炭素原子、1の水素原子、及び1の酸素原子を有しない化合物は含まれない。また、例えばメタロイドや金属等で置換された炭化水素等の、水素、炭素、及び酸素以外の非有機性成分を含有する化合物も含まれない。
ひとつの実施形態では、この発明は制御されたMWD を有するポリマーの製造における多形態形成剤の使用に関する。例えば、多形態形成剤を、塩素化炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンと炭化水素、および/または、塩素化炭化水素との混合物とともに用いて、イソオレフィンとジエン、および/または、アルキルスチレンを重合または共重合体し、制御されたMWDを有するイソオレフィンのポリマー及びコポリマーを製造することができる。
ひとつの実施形態では、この発明は多形態形成剤を含有する反応供給原料ストリームを用いる新規な重合プロセス及び重合システムの発見に関する。このような多形態形成剤は、触媒系を有効に改質して、MWDを変化させる複数の活性触媒種を生成させる。
このような多形態形成剤が用いられる重合システムでは、制御された分子量とMWDを有するポリマーが製造される。この発明はさらに、重合システムにおいてこれらの多形態形成剤の供給速度を制御し、重合システムにおける多形態形成剤の供給速度によって制御された目的の分子量とMWDを有するポリマー及びコポリマーを製造することに関する。
<モノマー及びポリマー>
本願の重合システムで重合されるモノマーには、この発明により重合可能な全ての炭化水素モノマーが含まれる。
好ましいモノマーには、1以上のオレフィン、α−オレフィン、二置換オレフィン、イソオレフィン、共役ジエン、非共役ジエン、スチレン系および/または置換されたスチレン系、及びビニルエーテルが含まれる。
スチレン系モノマーは、アルキル基、アリール基、ハライド、またはアルコキサイド基で置換(環上で)されている。好ましくは、モノマーには炭素原子が2から20個含まれ、より好ましくは2から9個含まれ、さらに好ましくは3から9個含まれている。
好ましいオレフィンの例として、スチレン、パラ−アルキルスチレン、パラ−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、イソブチレン、2-メチル-1-ブテン、3 -メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ペンテン、イソプレン、ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、β-ピネン、ミルセン、6,6-ジメチル-フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ピペリレン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル及びイソブチルビニルエーテル等が挙げられる。
2以上のモノマーを組み合わせることもできる。スチレン系ブロックコポリマーをモノマーとして用いることもできる。好ましいブロックコポリマーには、スチレン、パラ−メチルスチレン、アルファ−メチルスチレン等のスチレン系モノマーと、イソプレン、ブタジエン等のCからC30のジオレフィンとのコポリマーが含まれる。
特に好ましいモノマーの組合せには、1)イソブチレンとパラ−メチルスチレン、2)イソブチレンとイソプレンが含まれ、イソブチレンのホモポリマーを用いることもできる。
また、好ましいモノマーには、「Cationic Polymerization of Olefins, A Critical Inventory」、Joseph Kennedy著、(Wiley Interscience社、New York、1975年)に記載された、カチオン重合可能なモノマーが含まれる。
モノマーには、電子供与基を有することによりカチオンを安定化するか、中心を成長させることができるような、カチオン重合可能な全てのモノマーが含まれる。
ひとつの実施形態では、モノマーは重合媒体中に75wt%から0.01wt%の範囲で存在し、別の実施形態では60wt%から0.1wt%、あるいは40wt%から0.2wt%、あるいは30から0.5wt%、あるいは20wt%から0.8wt%、あるいは15wt%から1wt%存在する。
好ましいポリマーには、本願に開示する全てのモノマーのホモポリマーが含まれる。
ホモポリマーの例として、ポリイソブチレン、ポリパラ-メチルスチレン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリアルファ-メチルスチレン、ポリビニルエステル(ポリメチルビニルエステル、ポリエチルビニルエステル等)などが挙げられる。また、好ましいポリマーには、1)イソブチレンとアルキルスチレンのコポリマー、及び2)イソブチレンとイソプレンのコポリマーが含まれる。
ひとつの実施形態では、ブチルポリマーはコモノマーの混合物を反応させて製造される。この混合物は、少なくとも(1)イソブテン等のCからCのイソオレフィンモノマーと、(2)マルチオレフィン、または共役ジエンモノマー成分とを含有する。
ひとつの実施形態では、全コモノマー混合物に対するイソオレフィン含有量は70から99.5wt%であり、別の実施形態では85から99.5wt%である。また別の実施形態では92から99.5wt%である。
全コモノマー混合物に対する共役ジエン含有量は、ひとつの実施形態では30から0.5wt%であり、別の実施形態では15から0.5wt%である。また別の実施形態では、8から0.5wt%である。
からCのイソオレフィンモノマーは、イソブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、及び4-メチル-l-ペンテンの内の1種類以上である。
マルチオレフィンは、イソプレン、ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、β-ピネン、ミルセン、6,6-ジメチル-フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、及びピペリレン等の、CからC14の共役ジエンである。
この発明のひとつの実施形態のブチルゴムポリマーは、85から99.5wt%のイソブチレンと、15から0.5wt%のイソプレンとを反応させて得られ、別の実施形態では、95から99.5wt%のイソブチレンと、5.0から0.5wt%のイソプレンとを反応させて得られる。
この発明はさらに、上記のモノマーの組み合わせから成るターポリマー及びテトラポリマーに関する。
好ましいターポリマー及びテトラポリマーには、イソブチレン、イソプレン、及びジビニルベンゼンから成るポリマー、イソブチレン、パラ−アルキルスチレン(好ましくはパラ−メチルスチレン)及びイソプレンから成るポリマー、シクロペンタジエン、イソブチレン、及びパラ−アルキルスチレン(好ましくはパラ−メチルスチレン)から成るポリマー、イソブチレン、シクロペンタジエン、及びイソプレンから成るポリマー、シクロペンタジエン、イソブチレン、及びメチルシクロペンタジエンから成るポリマー、イソブチレン、パラ−メチルスチレン、及びシクロペンタジエンから成るポリマーが含まれる。
<ルイス酸>
好ましい実施形態では、ルイス酸(共開始剤または触媒とも呼ばれる)は、周期律表の第4,5,13,14及び15族の金属のルイス酸であり、周期律表の第4,5,13,14及び15族の金属のルイス酸には、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、バナジウム、砒素、アンチモニー、及びビスマスが含まれる。
当業者であれば、これらの元素のいくつかはこの発明に適していることを理解できるであろう。ひとつの実施形態では、金属はアルミニウム、ホウ素、及びチタンであり、アルミニウムが好ましい。
一例として、AlCl3、(アルキル)AlCl2、(C2H5)2AlCl 及び(C2H5)3Al2Cl3、BF3、SnCl4、TiCl4が挙げられる。特に好ましい実施形態では、BF3は好ましいルイス酸ではない。
第4,5,及び14族のルイス酸は式MX4で表され、ここでMは第4,5,及び14族の金属、Xはそれぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、及び沃素から成る群から選択されるハロゲンであり、好ましくは塩素である。また、Xは擬ハロゲンであってもよい。
このようなルイス酸の非限定的例示として4塩化チタン、4臭化チタン、4塩化バナジウム、4塩化スズ、及び4塩化ジルコニウムが挙げられる。
また、第4,5,及び14族のルイス酸には、2種類以上のハロゲンが含まれていてもよい。このようなルイス酸の非限定的例示として3塩化臭化チタン、2塩化2臭化チタン、3塩化臭化バナジウム、3フッ化塩化スズが挙げられる。
また、この発明で用いられる第4,5,及び14族のルイス酸は式MRnX4‐nで表され;ここでMは第4,5,及び14族の金属;RはC1からC12のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、及びシクロアルキル基から成る群から選択される一価の炭化水素基;nは0から4の整数、Xはそれぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、及び沃素から成る群から選択されるハロゲンであり、好ましくは塩素である。また、Xは擬ハロゲンであってもよい。
このようなルイス酸の非限定的例示として3塩化ベンジルチタン、2塩化ジベンジルチタン、3塩化ベンジルジルコニウム、2臭化ジベンジルジルコニウム、3塩化メチルチタン、2フッ化ジメチルチタン、2塩化ジメチルスズ、及び3塩化フェニルバナジウムが挙げられる。
また、この発明で用いられる第4,5,及び14族のルイス酸は式M(RO) nR'mX4-(m+n)で表され;ここでMは第4,5,及び14族の金属;ROはC1からC30のアルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、アルキルアリールオキシ基から成る群から選択される1価のハイドロカルボキシ基;R'はC1からC12のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、及びシクロアルキル基から成る群から選択される一価の炭化水素基;nは0から4の整数で、m はnとmの合計が4を超えないように選ばれる0から4の整数;Xはそれぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、及び沃素から成る群から選択されるハロゲンであり、好ましくは塩素である。また、Xは擬ハロゲンであってもよい。
このようなルイス酸の非限定的例示として3塩化メトキシチタン、3塩化n-ブトキシチタン、2塩化ジ(イソプロポキシ)チタン、3臭化フェノキシチタン、3フッ化フェニルメトキシジルコニウム、2塩化メチルメトキシチタン、2塩化メチルメトキシスズ、及び2塩化ベンジルイソプロポキシバナジウムが挙げられる。
この発明で用いられる第5族のルイス酸は式MOX3で表され;ここでMは第5族の金属;Xはそれぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、及び沃素から成る群から選択されるハロゲンであり、好ましくは塩素である。
このようなルイス酸の非限定的例示として、3塩化オキシバナジウムが挙げられる。
この発明で用いられる第13族のルイス酸は式MX3で表され;ここでMは第13族の金属;Xはそれぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、及び沃素から成る群から選択されるハロゲンであり、好ましくは塩素である。Xは擬ハロゲンであってもよい。このようなルイス酸の非限定的例示として、3塩化アルミニウム、3フッ化ホウ素、3塩化ガリウム、及び3フッ化インジウムが挙げられる。
この発明で用いられる第13族のルイス酸は式MRn X3-nで表され;ここでMは第13族の金属;RはC1からC12のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、及びシクロアルキル基から成る群から選択される一価の炭化水素基;nは0から3の数;Xはそれぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、及び沃素から成る群から選択されるハロゲンであり、好ましくは塩素である。また、Xは擬ハロゲンであってもよい。このようなルイス酸の非限定的例示として、エチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、ベンジルアルミニウムジクロリド、イソブチルガリウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、トリメチルアルミニウム、及びトリエチルアルミニウムが挙げられる。
また、この発明で用いられる第13族のルイス酸は式M(RO) nR'mX3-(m+n)で表され;ここでMは第13族の金属;ROはC1からC30のアルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、アルキルアリールオキシ基から成る群から選択される1価のハイドロカルボキシ基;R'はC1からC12のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、及びシクロアルキル基から成る群から選択される一価の炭化水素基;nは0から3の数で、mはnとmの和が3を超えないように選ばれる0から3の数;Xはそれぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、及び沃素から成る群から選択されるハロゲンであり、好ましくは塩素である。また、Xは擬ハロゲンであってもよい。このようなルイス酸の非限定的例示として、2塩化メトキシアルミニウム、2塩化エトキシアルミニウム、2塩化2,6‐ジ‐ターシャリブチルフェノキシアルミニウム、塩化メトキシメチルアルミニウム、塩化2,6‐ジ‐ターシャリブチルフェノキシメチルアルミニウム、2塩化イソプロポキシガリウム、及びフッ化フェノキシメチルインジウムが挙げられる。
また、この発明で用いられる第13族のルイス酸は式M(RC=OO) nR'mX3-(m+n)で表され;ここでMは第13族の金属;RC=OOはC2からC30のアルコアシルオキシ基、アリールアシルオキシ基、アリールアルコアシルオキシ基、アルキルアリールアシルオキシ基から成る群から選択される1価のハイドロカルボアシル基;R'はC1からC12のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、及びシクロアルキル基から成る群から選択される一価の炭化水素基;nは0から3の数で、mはnとmの和が3を超えないように選ばれる0から3の数;Xはそれぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素、及び沃素から成る群から選択されるハロゲンであり、好ましくは塩素である。また、Xは擬ハロゲンであってもよい。このようなルイス酸の非限定的例示として、2塩化アセトキシアルミニウム、2臭化ベンゾイルオキシアルミニウム、2フッ化ベンゾイルオキシガリウム、塩化メチルアセトキシアルミニウム、及び3塩化イソプロポイルオキシインジウムが挙げられる。
特に好ましいルイス酸は、イソブチレンコポリマーのカチオン重合に適したものであり、アルミニウムトリクロリド 、アルミニウムトリブロミド 、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、ボロントリフルオリド、チタンテトラクロリド等が挙げられ、エチルアルミニウムジクロリドと、エチルアルミニウムセスキクロリドが好ましい。
この発明では、メチルアルミノキサン(MAO)や、B(C6F5)3等の特別に設計され弱配位性ルイス酸も、好ましいルイス酸である。
<多形態形成剤>
この発明の多形態形成剤には、ルイス酸と開始剤とから成るカルボカチオン重合触媒系中の触媒錯体を改質または一部改質して、異なる重合速度を有する複数の異なる活性触媒錯体種の形成を促進、もしくは擬態することができる元素または化合物が含まれる。
異なる活性触媒錯体種の異なる重合速度は、成長速度、連鎖移動速度、停止反応速度等の相違に起因し、多形態形成剤が異なる比率で存在するとき、異なる多分散性が示される。
希釈剤中でルイス酸と開始剤を用いるイソオレフィンモノマーの重合において、重合媒体または反応ゾーンへの多形態形成剤の供給速度が、製造されるポリマーの分子量分布特性(MWDを含む)を調整する制御手段として用いられる。
多形態形成剤は、酸素分子、カルコゲン含有化合物から選択され、有機酸素含有化合物、及びこの酸素含有化合物に対応する硫黄化合物が含まれる。
酸素分子は重合媒体へ直接添加されるか、重合媒体へ酸素が容易に放出される酸素溶媒、酸素付加体または酸素吸着体を用いて重合媒体へ添加される。
この発明で用いられる酸素含有化合物には、置換または非置換のエーテル、ケトン、アルデヒド、アルコール、エステル、カルボン酸等が含まれる。酸素含有化合物は、1個から12個の炭素原子を有し、好ましくは1個から8個の炭素原子、より好ましくは2個から5個の炭素原子を有する。
ひとつの実施形態では、酸素含有化合物には少なくとも1の非イオン性酸素含有化合物が含まれる。
別の実施形態では、酸素含有化合物には少なくとも1の、ブロンステッド酸ではない酸素含有化合物が含まれる。アルデヒド、エーテル、ケトンが好ましい酸素含有化合物であり、特に、エーテルまたはケトンと、アルコールとの組合せを含めて、エーテルとケトンが好ましい酸素含有化合物である。
好ましいエーエルは式;R1-O-R2で表され、好ましいケトンは式;R1-C(O)-R2で表され、ここでRlとR2はそれぞれ独立して置換または非置換、飽和または不飽和で、炭素数1から8、好ましくは炭素数1から4の、アルキル基、アリール基、アルカリル基、アラルキル基である。
置換基Rl、R2の例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。
ひとつの実施形態では、酸素含有化合物には、真の開始剤として作用する三級アルキルやその他のエーテルは含まれず;別の実施形態では、複数の改質剤には三級アルキルエーテルが含まれない。ひとつの実施形態では、重合媒体には三級アルキルエーテルが実質的に含まれず、例えば重合媒体中での含有量が5wppm未満である。
好ましいエーテルの例として、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、イソプロピルプロピルエーテル等が挙げられる。
ひとつの実施形態では、重合媒体にはアルコールや、イオン性の酸素含有化合物、および/または、真の開始剤として作用するブロンステッド酸から成る酸素含有化合物等の、他の酸素含有化合物は実質的に含まれず、例えば重合媒体中の含有量が5wppm未満、好ましくは2wppm未満、あるいはルイス酸1モルに対する量が0.001モル未満である。
この場合、アルコールはMWDに対し何ら影響しない。あるいは、アルコールはエーテル、ケトンまたはその他のMWD制御多形態形成剤の、MWDへの効果を抑制するか、大きく増加させる。
この発明の別の実施形態では、反応器への1以上の供給原料ストリーム中で、好ましくはエーテルやケトン等の他の酸素含有化合物とともに用いられるアルコールは、1から12個の炭素原子、好ましくは1から8個の炭素原子、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する。
代表的な例として、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、2-メチルプロパン-2-オール、シクロヘキサノール、及びベンジルアルコールが挙げられる。供給ストリーム中に用いられるフェノール類の例として、フェノール;2-メチルフェノール;2,6-ジメチルフェノール;p-クロロフェノール;p-フルオロフェノール;2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノール;及び2-ヒドロキシナフタレンが挙げられる。ジオール、グリコール、ポリオールを用いることもできる。アルコールは、置換されていてもよく、あるいは非置換でもよい。
アルコールを用いない重合との比較において、分子量分布、特にMWDに影響を及ぼす量の多形態形成剤が、モノマー、触媒または他の供給原料ストリーム中に存在する。
ひとつの実施形態では、多形態形成剤は重合媒体中に、ルイス酸1モルに対する全多形態形成剤のモル数の下限値0.001, 0.005, 0.01, 0.02, 0.05モルで、上限値1.0, 0.5, 0.2モルとなる比率で存在し、これらの下限値のいずれかと、これらの上限値のいずれかとの範囲内で存在する。あるいは、多形態形成剤は重合媒体の重量に対し、5から25wppmの範囲の濃度で用いられる。
アルコールが共多形態形成剤として、エーテル、ケトン、その他の多形態形成剤とともに用いられる場合、アルコールは、エーテル、ケトン、その他の酸素含有化合物よりも低い重量比で用いることが好ましい。全多形態形成剤使用量が不十分な場合、MWDへの影響は小さい。
いくつかの触媒系では、全多形態形成剤量の比率を次第に高くし、多形態形成剤触媒錯体が他の触媒種より優勢になるまでは、MWDが次第に広くなる。さらに全多形態形成剤の比率を高くすると、MWDは次第に低下する。
全多形態形成剤は、MWDを制御するために調整可能な範囲で用いられ、好ましくは全多形態形成剤の増加に伴い、MWDがこれに比例して増加する範囲で用いられる。しかし、全多形態形成剤の増加に伴い、MWDが次第に低下する範囲で用いることもできる。
多形態形成剤を、前記の酸素含有化合物の酸素原子を硫黄原子で置換した化合物に対応する硫黄化合物から選択することもできる。例えば、チオエーテル(メルカプタン)及びジアルキルチオカルボニルを、多形態形成剤カルコゲン含有化合物として用いることができる。チオ化合物は、単独で用いてもよいし、酸素分子、または1以上の他の酸素含有化合物と組み合わせて用いることもできる。
ひとつの実施形態では、1以上の多形態形成剤は酸素及びカルコゲン化合物から選択され、例えば有機酸素含有化合物、これに対応する硫黄化合物、及びこれらの組合せから選択される。多形態形成剤は非イオン性でもよい。ひとつの実施形態では、多形態形成剤はブロンステッド酸ではない。
ひとつの実施形態では、多形態形成剤はアルコール、エーテル、ケトン、エステル、アルデヒド、及び炭素数1から12のカルボン酸から選択される、1以上の酸素含有化合物である。
別の実施形態では、1以上の酸素含有化合物は、少なくとも1のエーテルと、少なくとも1のケトン、またはこれらの組合せから選択される。1以上の酸素含有化合物に、アルコールが含まれていてもよい。
別の実施形態では、1以上の酸素含有化合物は炭素数1から8、または炭素数1から4である。
ひとつの実施形態では、1以上の有機酸素含有化合物は、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、イソプロピルプロピルエーテル、アセトン、及びメチルエチルケトンから選択される。
ひとつの実施形態では、1以上の有機酸素含有化合物は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール異性体、及びイソブタノール異性体から選択されるアルコールから成る。
別の実施形態では、1以上の有機酸素含有化合物は、メタノール、ジメチルエーテル、アセトン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、及びメチルエチルケトンから選択される。
別の実施形態では、1以上の多形態形成剤は、前記の有機酸素含有化合物の酸素原子の1以上が硫黄原子で置換された化合物に相当する硫黄化合物である。
ひとつの実施形態では、1以上の多形態形成剤は重合媒体中に、多形態形成剤とルイス酸のモル比が1未満、または0.01から0.5、または0.05から0.2となる量で存在する。
別の実施形態では、制御された多形態形成剤は、有機酸素含有化合物と全開始剤のモル比が0.01から0.5、好ましくは0.05から0.2となる量で存在する。
<開始剤>
この発明で用いる開始剤は、適切な希釈剤中において選択されたルイス酸と錯体を形成し、オレフィンと急速に反応してオレフィン鎖を成長させる錯体となり得るものである。一例として、H2O、HCl、RCOOH (Rはアルキル基)等のブロンステッド酸、(CH3)3CC1、C6H5C(CH3)2C1、 (2-塩化-2,4,4-トリメチルペンタン) 及び2-クロロ-2-メチルプロパン等のアルキルハライドである。
最近、弱配位性のルイス酸またはルイス酸塩で活性化されてシングルサイト触媒として作用する、メタロセン等の遷移金属錯体がイソブチレンの重合に用いられている。
ひとつの実施形態では、1以上の開始剤は少なくとも1の非酸素含有化合物から成る。
別の実施形態では、1以上の開始剤はそれぞれ独立して、ハロゲン化水素、カルボン酸、カルボン酸ハライド、スルホン酸、アルコール、フェノール、三級アルキルハライド、三級アラルキルハライド、三級アルキルエステル、三級アラルキルエステル、三級アルキルエーテル、三級エーテル、アルキルハライド、アリールハライド、アルキルアリールハライド、アリールアルキル酸ハライドからなる群から選択される。
別の実施形態では、1以上の開始剤は、塩化水素、臭化水素、沃化水素、1-クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p-クロロ安息香酸、p-フルオロ安息香酸、アセチルクロリド、アセチルブロミド、シアノアミルクロリド、ベンゾイルクロリド、ベンゾイルブロミド、トリクロロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド、p-フルオロベンゾイルクロリド、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホニルクロリド、メタンスルホニルブロミド、トリクロロメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリド、p-クロロフェノール、p-フルオロフェノール、及び2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノール、からなる群から選択される。
ひとつの実施形態では、反応器と触媒には水が実質的に存在しない。水が実質的に存在しないとは、水の量が(触媒の全重量に対し)30wppm未満、好ましくは20wppm未満、好ましくは10wppm未満、好ましくは5wppm未満、好ましくは1wppm未満であることを意味する。
しかし、水を開始剤として選択したときは、水の量は(触媒の全重量に対し)30wppmより多く、好ましくは40wppmより多く、好ましくは50 wppmより多い。
好ましい実施形態では、開始剤はハロゲン化水素、カルボン酸、カルボン酸ハライド、スルホン酸、アルコール、フェノール、三級アルキルハライド、三級アラルキルハライド、三級アルキルエステル、三級アラルキルエステル、三級アルキルエーテル、三級アラルキルエーテル、アルキルハライド、アリールハライド、アルキルアリールハライド、アリールアルキル酸ハライドのうちの、いずれか1以上である。
別の実施形態では、開始剤は酸素含有化合物、またはこれに対応する硫黄化合物等の、カルコゲン化合物ではない。
触媒系中の開始剤カルコゲン化合物、またはその属、またはその種について「実質的に存在しない」というときは、開始剤カルコゲン化合物とルイス酸のモル比が0.05未満、好ましくは重合媒体の重量に対し5wppm未満、特に好ましくは1wppm未満であることを意味する。
ひとつの実施形態では、イオン性カルコゲン化合物開始剤は実質的に存在せず、別の実施形態では、ブレンステッド酸のカルコゲン化合物開始剤は実質的に存在しない。
好ましいハロゲン化水素開始剤には、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素が含まれる。特に好ましいハロゲン化水素は、塩化水素である。
好ましいカルボン酸には、脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸の両者が含まれる。この発明の開始剤として用いられるカルボン酸の例には、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、桂皮酸、安息香酸、1-クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p-クロロ安息香酸、及びp-フルオロ安息香酸が含まれる。特に好ましいカルボン酸は、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、及びp-フルオロ安息香酸である。
ひとつの実施形態では、カルボン酸は実質的に触媒系に含まれていない。
この発明で用いられるカルボン酸ハライドは、カルボン酸に構造が類似しており、カルボン酸のOHがハライドで置換されている。ハライドはフルオリド、クロリド、ブロミド、またはヨードであり、クロリドが好ましい。親のカルボン酸からカルボン酸ハライドを合成する方法は公知であり、当業者にとってこの方法は公知である。
この発明で用いられるカルボン酸ハライドの例には、アセチルクロリド、アセチルブロミド、シナミルクロリド、ベンゾイルクロリド、ベンゾイルブロミド、トリクロロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド及び、p-フルオロベンゾイルクロリドが含まれる。
特に好ましいカルボン酸ハライドには、アセチルクロリド、アセチルブロミド、トリクロロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルクロリド、及びp-フルオロベンゾイルクロリドが含まれる。
ひとつの実施形態では、カルボン酸ハライドは実質的に触媒系に含まれていない。
この発明で開始剤に用いられるスルホン酸には、脂肪族スルホン酸及び芳香族スルホン酸の両者が含まれる。好ましいスルホン酸の例として、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸が挙げられる。
ひとつの実施形態では、スルホン酸は実質的に触媒系に含まれていない。
この発明で用いられるスルホン酸ハライドは、スルホン酸に構造が類似しており、スルホン酸のOHがハライドで置換されている。ハライドはフルオリド、クロリド、ブロミド、またはヨードであり、クロリドが好ましい。親のスルホン酸からスルホン酸ハライドを合成する方法は公知であり、当業者にとってこの方法は公知である。
この発明で用いられるスルホン酸ハライドの例には、メタンスルホン酸クロリド、メタンスルホン酸ブロミド、トリクロロメタンスルホン酸クロリド、トリフルオロメタンスルホン酸クロリド、及びp-トルエンスルホン酸クロリドが含まれる。
ひとつの実施形態では、スルホン酸ハライドは実質的に触媒系に含まれていない。
触媒系中で用いられる場合、この発明の開始剤として用いられるアルコールには、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、2-メチルプロパノール-2-オール、シクロヘキサノール、及びベンジルアルコールが含まれる。
この発明の触媒中で用いられるフェノールには;2-メチルフェノール;2,6-ジメチルフェノール;p-クロロフェノール;p-フルオロフェノール;2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノール;及び2-ヒドロキシナフタレンが含まれる。
ひとつの実施形態では、アルコールは実質的に触媒系に含まれていない。
好ましい三級アルキル及びアラルキル開始剤には、次式で表わされる三級化合物が含まれる:
Figure 2010522262
ここで、Xはハロゲン、擬ハロゲン、エーテル、エステル、またはこれらの混合物であり、好ましくはハロゲンであり、好ましくは塩素である。R1, R2, R3はそれぞれ独立して、好ましくは1から15個の炭素原子、より好ましくは1から8個の炭素原子を有する直鎖、環状または分岐鎖アルキル、アリール、アリールアルキルである。nは開始剤のサイト数であり1以上の数、好ましくは1から30の数、より好ましくは1から6の数である。アリールアルキルは置換、非置換のいずれでもよい。本願では、アリールアルキルとは芳香族構造と脂肪族構造の両者を有する化合物を意味する。
好ましい開始剤の例として、2-クロロ-2,4,4-トリメチルペンタン;2-ブロモ-2,4,4-トリメチルペンタン;2-クロロ-2-メチルプロパン;2-ブロモ-2-メチルプロパン;2-クロロ-2,4,4,6,6-ペンタメチルヘプタン;2-ブロモ-2,4,4,6,6-ペンタメチルヘプタン;1-クロロ-1-メチルエチルベンゼン;1-クロロアダマンタン;1-クロロエチルベンゼン;1,4-ビス(l-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン;5-ターシャリ-ブチル-l,3-ビス(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン;2-アセトキシ-2,4,4-トリメチルペンタン;2-ベンゾイルオキシ-2,4,4-トリメチルペンタン;2-アセトキシ-2-メチルプロパン;2-ベンゾイルオキシ-2-メチルプロパン;2-アセトキシ-2,4,4,6,6-ペンタメチルヘプタン;2-ベンゾイル-2,4,4,6,6-ペンタメチルヘプタン;1-アセトキシ-1-メチルエチルベンゼン;1-アセトキシアダマンタン;1-ベンゾイルオキシエチルベンゼン;l,4-ビス(l-アセトキシ-1-メチルエチル)ベンゼン;5-ターシャリ-ブチル-l,3-ビス(1-アセトキシ-1-メチルエチル)ベンゼン;2-メトキシ-2,4,4-トリメチルペンタン;2-イソプロポキシ-2,4,4-トリメチルペンタン;2-メトキシ-2-メチルプロパン;2-ベンジルオキシ-2-メチルプロパン;2-メトキシ-2,4,4,6,6-ペンタメチルヘプタン;2-イソプロポキシ-2,4,4,6,6-ペンタメチルヘプタン;1-メトキシ-1-メチルエチルベンゼン;1-メトキシアダマンタン;1-メトキシエチルベンゼン;l,4-ビス(l-メトキシ-1-メチルエチル)ベンゼン;5-ターシャリ-ブチル-l,3-ビス(1-メトキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、及びl,3,5-トリス(l-クロロ-l-メチルエチル)ベンゼンが挙げられる。
このほかの適切な開始剤は、本願に参照として組み込まれる米国特許第4,946,899号に開示されている。
このほかの好ましい開始剤は高分子性ハライドであり、前記の式のRl,R2,R3のいずれか1がオレフィンポリマーで、残余のR基は前述の通りである。好ましいオレフィンポリマーには、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、及びポリ塩化ビニルが含まれる。高分子性開始剤は、高分子鎖末端、または高分子主鎖上または主鎖に沿った位置に、ハロゲン化された三級炭素を有する。
オレフィンポリマーが、主鎖から吊下がっているか、または主鎖上にある三級炭素上に、複数のハロゲン原子を有する場合、オレフィンポリマー上のハロゲン原子の位置と数に応じて、最終製品は櫛型構造となり、および/または、分岐側鎖を有する構造となる。
同様に、高分子主鎖の末端が三級のハライド開始剤を用いることにより、ブロックコポリマーを含む製品を製造する方法が提供される。
特に好ましい開始剤はイソブチレンコポリマーのカチオン重合に適したものであり、塩化水素、2-クロロ-2,4,4-トリメチルペンタン、2-クロロ-2-メチルプロパン、1-クロロ-1-メチルエチルベンゼン、及びメタノールが含まれる。
この発明に用いられる触媒組成物は、
(1)ルイス酸共開始剤、及び(2)少なくとも1の開始剤(多形態形成剤であってもよい)と、少なくとも1の多形態形成剤(改質剤であってもよい)とを含む少なくとも2種類の改質剤からなる。ただし、開始剤が多形態形成剤のとき(あるいは多形態形成剤が開始剤のとき)、触媒系に第2の開始剤が含まれること、好ましくは非カルコゲン開始剤(特に非酸素含有化合物開始剤)が多形態形成剤開始剤より高いモル濃度で存在することを条件とする。
好ましい実施形態では、存在する開始剤の全モル数に対するルイス酸共開始剤のモル比が、約0.1から約200の範囲にある。さらに好ましい実施形態では、存在する開始剤の全モル数に対するルイス酸共開始剤のモル比が、約0.8から約20の範囲にある。
好ましい実施形態では、開始剤は1リットル当り約0.1モルから約10−6モルの範囲で存在する。開始剤がこの範囲より多い場合や少ない場合も、本願発明の範囲に含まれることはいうまでも無い。
使用する触媒の量は、製造しようとするポリマーの分子量及び分子量分布の目標値に依存する。一般に、触媒の量の範囲は、1リットル当り約1×10-6モルから3×10-2モル、最も好ましくは10-4モルから10-3モルである。
この発明で用いられる触媒系にはさらに、反応性カチオンと弱配位性アニオン(「WCアニオン」または「WCA」または「NCA」)が含まれる。WCアニオンを含む触媒組成物には反応性カチオンが含まれ、新規な触媒系の場合もある。
弱配位性アニオンは、カチオンに配位しないか、カチオンに弱く配位して、この発明において安定化アニオンとして作用するとき、WCAはアニオン性部位または置換基をカチオンへ転移させず、これにより中性の副生物またはその他の中性化合物を生成する。
このような弱配位性アニオンの好ましい例には、アルキルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン (RB(pfp)3 )、テトラペルフルオロフェニルボロン(B(pfp)4 )、テトラペルフルオロフェニルアルミニウムカルボラン、ハロゲン化カルボラン等が含まれる。
アニオンは当業者にとって公知の方法でカチオンと組み合わされる。好ましい実施形態では、例えばWCアニオンは希釈剤中にアニオンとカチオンの両者を含む活性触媒系の形態の化合物として導入される。
別の好ましい実施形態では、WCアニオン性部位を含む化合物を、先ずカチオンまたは反応性カチオンの存在下で処理してアニオンを生成させる。すなわち、アニオンが活性化される。
また、WCアニオンはカチオンまたは反応性カチオンの不存在下で活性化され、カチオンまたは反応性カチオンはその後導入される。好ましい実施形態では、アニオンを含む化合物と、カチオンを含む化合物とを組合せて反応させ、副生物としてアニオンとカチオンを生成させる。
この発明のいくつかの好ましい実施形態では、WCアニオンは、異なるクラスのカチオン及びカチオン源から選択される1以上のカチオンと組み合わされる。いくつかの好ましいクラスは、置換されたカルボカチオン、置換されたシリリウム、プロトンを生成可能な化合物等である。
好ましい置換されたカルボカチオンの例には、下式で表される化合物が含まれ、
Figure 2010522262
ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、R1、R2、R3のいずれか1のみが水素であることを条件に、水素、または、直鎖、分岐、環状の芳香族または脂肪族であり、好ましくはC1からC30のアルキル基、アリール基、アラルキル基またはこれらからの派生物、好ましくはC1からC20の芳香族または脂肪族である。
好ましい実施形態では、R1、R2、R3のいずれも水素ではない。
好ましい芳香族には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基が含まれる。
好ましい脂肪族には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、3-メチルフェニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基等が含まれる。
特に好ましい実施形態では、R1、R2、R3がフェニル基のとき、脂肪族または芳香族アルコールを添加することにより、イソブチレンの重合が顕著に改善される。
別の好ましい実施形態では、置換されたシリリウム化合物、好ましくは三置換シリリウム化合物をWCAと組み合わせてモノマーを重合する。
好ましいシリリウムカチオンは、下式で表され、
Figure 2010522262
ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、R1、R2、R3のいずれか1のみが水素であることを条件に、水素、または、直鎖、分岐、環状の芳香族または脂肪族である。
好ましい実施形態では、R1、R2、R3のいずれも水素ではない。
好ましくは、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、C1からC30のアルキル基、アリール基、アラルキル基またはこれらからの派生物、好ましくはC1からC20の芳香族または脂肪族である。より好ましくは、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、C1からC8のアルキル基である。
有用な芳香族基の例は、フェニル基、トリル基、キシリル基、及びビフェニル基から成る群から選択されるものである。
有用な脂肪族基の非限定的例示として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、3-メチルフェニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基から成る群から選択されるものが挙げられる。
反応性置換シリリウムカチオンの特に好ましいものとして,トリメチルシリリウム、トリエチルシリリウム、及びベンジルジメチルシリリウムから成る群から選択されるものが挙げられる。
置換シリリウムの安定形態と合成方法については、F.A. Cotton, G. Wilkinson著,「Advanced Inorganic Chemistry」, John Wiley and Sons社, New York, 1980年を参照されたい。
また、カチオン性スズ、ガリウム、及び鉛の安定形態と合成方法については、「Dictionary of Organometallic compounds」, Chapman and Hall社, New York, 1984年を参照されたい。
カチオンの第3の供給源は、弱配位性アニオン、または、弱配位性アニオンを含む組成物と組み合わされたとき、プロトンを生成する化合物である。プロトンは、弱配位性アニオン及び非求核性アニオンを含む安定カルボカチオン塩と、プロトンを生成するために存在する水、アルコールまたはフェノールとの反応から生成し、また対応する副生物(アルコールまたはフェノールの場合はエーテル、水の場合はアルコール)が生成する。
このような反応は、プロトン化された添加剤によってカルボカチオン塩の反応が、オレフィンとの反応と比較して速くなる場合に好ましい。他のプロトンを生成する反応物には、チオール、カルボン酸等が含まれる。
同様の反応が、シリリウム型触媒でも生じる。
特に好ましい実施形態では、R1、R2、R3がフェニル基のとき、脂肪族または芳香族アルコールを添加することにより、イソブチレンの重合が顕著に改善される。
プロトンを生成させる別の方法は、第1族または第2族の金属、好ましくはリチウムと水を、湿式溶剤を用いて、オレフィン等との重合を妨害しないルイス塩基の存在下で反応させることから成る。
イソブチレン等のルイス塩基が、第1族または第2族の金属及び水とともに存在するとき、プロトンが生成することが観察された。
好ましい実施形態では、弱配位性アニオンも「湿式」溶剤中に存在して、第1族または第2族の金属が添加されたとき活性触媒を生成する。
<希釈剤>
この発明の希釈剤には、ハロゲン化炭化水素、特に塩化および/またはフッ化炭化水素等が含まれる。
希釈剤の非限定的例示として、ハロゲン化されたプロパン、イソブタン、ペンタン、メチルシクロペンタン、イソヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2-メチルブタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、3-エチルペンタン、2,2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、2-メチルヘプタン、3-エチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、2,24,-トリメチルペンタン、オクタン、ヘプタン、ブタン、エタン、メタン、ノネン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、1,1-ジメチルシクロペンタン、シス1,2-ジメチルシクロペンタン、トランス-1,2-ジメチルシクロペンタン、トランス-1,3-ジメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、オルト-キシレン、パラ-キシレン、及びメタ-キシレン、好ましくは上記の炭化水素の塩化物、より好ましくは上記の全ての炭化水素のフッ化物が挙げられる。
この発明では、ハイドロフルオロカーボンは単独で、または他のハイドロフルオロカーボンと組合せて、または塩素化炭化水素等の他の希釈剤と組み合わせて、希釈剤として用いることが好ましい。本願では、ハイドロフルオロカーボン(HFC)は、実質的に水素、炭素、及びフッ素から成り、少なくとも1の水素、少なくとも1の炭素、及び少なくとも1のフッ素が存在する、飽和または不飽和の化合物と定義される。
ひとつの実施形態では、希釈剤は式:CxHyFzで表わされるハイドロフルオロカーボンであり、ここでxは1から40の整数、または1から30、または1から20、または1から10、または1から6、または2から20、または3から10、または3から6、最も好ましくは1から3の整数であり、yとzは整数であって少なくとも1である。
ひとつの実施形態では、希釈剤は、フルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、およびこれらの組合せからなる群から独立して選択される。ひとつの実施形態では、希釈剤は、希釈剤の全容積に対し15から100容積%の HFCを含む。
ひとつの実施形態では、希釈剤は非パーフルオロ化合物、または非パーフルオロ希釈剤である。パーフルオロ化合物は炭素とフッ素から成る。
しかし別の実施形態では、希釈剤がブレンド物である場合、このブレンド物はパーフルオロ化合物を含み、好ましくは、触媒、モノマー及び希釈剤は均一相となる。または、後述するように、前記の化合物は希釈剤と混和し得る。別の実施形態では、このブレンド物にはクロロフルオロカーボン(CFC) が含まれ、あるいは塩素、フッ素、及び炭素から成る化合物が含まれる。
別の実施形態では、所望の製品が高重量平均分子量(Mw)(一般に10,000 Mwより大きく、好ましくは50,000 Mwより大きく、より好ましくは100,000 Mwより大きい)の場合、ハイドロフルオロカーボン等の好ましい希釈剤の-85°Cにおける誘電率は10より大きく、好ましくは15より大きく、より好ましくは20より大きく、より好ましくは25より大きく、より好ましくは40より大きい。
所望の製品が低分子量(一般に10,000 Mwより小さく、好ましくは5000 Mwより小さく、より好ましくは3,000 Mwより小さい)の場合、誘電率は10未満であり、誘電率が10を超える場合は、多量の開始剤または連鎖移動剤を添加する。
希釈剤の誘電率εDは、希釈剤に浸漬した平行板キャパシターのキャパシタンス(測定値CD)と、誘電率が既知の参照液のキャパシタンス(測定値CR)と、空気中のキャパシタンスεA=1(測定値CA)とから求めることができる。この場合、キャパシタンスの測定値CMはCM=εCC+CSであり、ここで、εはキャパシターが浸漬される液の誘電率、CCはセル定数、はCS浮遊容量である。
これらの測定値から、εDは式εD=((CD-CAR + (CR-CD))/(CR-CA)で求められる。あるいは、Brookhaven Instrument Corporation 社製のBIC-870のような専用の測定装置で希釈剤の誘電率を直接測定することもできる。
別の実施形態では、1以上のHFCは他の希釈剤、または希釈剤の混合物と組み合わせて用いられる。
好ましい他の希釈剤は、炭化水素、特にヘキサン及びヘキサン、ハロゲン化炭化水素、特に塩化炭化水素などである。これらの希釈剤の例には前記のものも含まれる。
ひとつの実施形態では、HFCは塩化メチル等の塩化炭化水素と組み合わせて用いられる。
更なる実施形態には、HFCをヘキサン、または塩化メチルとヘキサンの混合物と組み合わせて用いることが含まれる。
別の実施形態では、HFCは、重合反応に対し不活性なガスと組み合わせ用いられる。このような不活性ガスの例は、二酸化炭素、窒素、水素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、クリプトン、キセノン、および/または反応器の入口で液状となるその他の不活性ガスである。好ましいガスには、二酸化炭素、および/または窒素が含まれる。
別の実施形態では、HFCは、C1からC40の硝酸化された直鎖、環状または分岐アルカンを含む硝酸化アルカンの1以上と組み合わせて用いられる。
好ましい硝酸化アルカンの非限定的例示として、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロブタン、ニトロペンタン、ニトロヘキサン、ニトロヘプタン、ニトロオクタン、ニトロデカン、ニトロノナン、ニトロドデカン、ニトロウンデカン、ニトロシクロメタン、ニトロシクロエタン、ニトロシクロプロパン、ニトロシクロブタン、ニトロシクロペンタン、ニトロシクロヘキサン、ニトロシクロヘプタン、ニトロシクロオクタン、ニトロシクロデカン、ニトロシクロノナン、ニトロシクロドデカン、ニトロシクロウンデカン、ニトロベンゼン、及び前記のジ−またはトリ−ニトロ化物が挙げられる。
好ましい実施形態では、HFCをニトロメタンとブレンドする。
HFCを希釈剤として用いる場合、HFCは希釈剤の全容積に対する割合は、1から100容積%であり、あるいは、下限値が5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 97, 98, または99容積%である。
好ましい実施形態では、HFCは1以上の塩化炭化水素と組み合わせて用いられる。別の好ましい実施形態では、HFCはジフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
別の実施形態では、希釈剤または希釈剤混合物は、ポリマーへの溶解性を考慮して選択される。ある種の希釈剤はポリマー中に溶解する。好ましい希釈剤は、ポリマー中への溶解性が極小さいか、全く無い。
ポリマー中への溶解性は、ポリマーを厚み50から100ミクロンのフィルムに成形し、-75℃において希釈剤に(フィルムが十分浸漬されるようにして)4時間浸漬することにより測定する。フィルムを希釈剤から取り出し、室温で外気に90秒間曝して過剰な希釈剤をフィルム表面から蒸発させた後、重量を測定する。質量の増加から、浸漬後の重量増加パーセントを求める。いくつかの実施形態では、希釈剤または希釈剤の混合物を、ポリマーの質量増加率が4wt%未満となるよう選択し、好ましくは3wt%未満、好ましくは2wt%未満、好ましくは1wt%未満、より好ましくは0.5wt%未満となるよう選択する。
好ましい実施形態では、希釈剤または希釈剤の混合物は、希釈剤、未反応モノマー、及び添加剤の含有量が0.1wt%未満のポリマーを50から100ミクロンのフィルムに成形し、このフィルムを希釈剤に浸漬する前のガラス転移温度Tgと、希釈剤に(フィルムが十分浸漬されるようにして)-75℃において4時間浸漬した後のTgとの差が15℃以内となるように選択する。
ガラス転移温度は示差走査熱量測定(DSC)により求める。この測定方法は、例えば “Assignment of the Glass Transition” ASTM STP 1249, R. J. Seyler, 著, American Society for Testing and Materials, Philadelphia, 1994年, 17-31ページの「The Nature of the Glass Transition and its Determination by Thermal Analysis」に記載されている。
測定用サンプルを上記のようにして調製し、浸漬後直ちにDSC測定用容器に封入し、DSC測定の直前まで-80℃以下に保つ。希釈剤を含まないポリマーと、希釈剤に浸漬後のポリマーのTg値の差は12℃以内であり、好ましくは、11℃、10℃、9℃、8℃、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃、2℃、1℃以内である。
ひとつの実施形態では、希釈剤は、20℃における誘電率が6より大きく、または9より大きく、または10より大きい。別の実施形態では、希釈剤は、−85℃における誘電率が20より大きく、または25より大きく、または40より大きい。
別の実施形態では、希釈剤は、例えば塩化エチル、塩化メチル、塩化メチレン、CHCl3、CCl4、塩化ノルマルブチル、クロロベンゼン、およびこれらの組合せから成る群から選択される塩化炭化水素である。ひとつの実施形態では、希釈剤は塩化メチルである。
別の実施形態では、希釈剤に炭化水素、非反応性オレフィン、および/または、不活性ガスが含まれていてもよい。
<重合プロセス>
図1は、この発明の非限定的実施形態の重合システムまたはプロセスの模式図である。
ライン10からのイソブチレン、ライン12からのコモノマー、貯槽14からの希釈剤14a、及びライン16からの多形態形成剤が、供給物混合装置18において混合される。多形態形成剤が添加される点を除き、供給物混合装置18は公知である。
必要に応じて不純物を除くために、イソブチレン、および/またはコモノマーを供給物混合装置18へ送る前に乾燥し分留することは、一般に公知である。
触媒調合ユニット20は、開始剤22とルイス酸24とを混合し、この触媒錯体を希釈剤貯槽14から供給される所定量の希釈剤14bで希釈するための公知の装置を備える。所望により、任意成分の多形態形成剤を、ライン26から触媒調合ユニット20へ導入することができる。
モノマーは供給物混合装置18からライン28を経由し、任意にチラー30を通して重合反応器32へ供給される。同様に、触媒錯体は触媒調合ユニット20からライン34を経由し、任意にチラー36を通して重合反応器32へ供給される。
この発明は連続及びバッチプロセスで実施することができる。さらに、反応器32にはプラグフロー反応器、および/または、撹拌槽反応器を用いることができる。チラー30と36は任意に設けることができ、供給物混合装置18、および/または触媒調合ユニット20の上流または下流に設けることができる。
多形態形成剤は、モノマー供給物混合装置18、触媒調合ユニット20、または両者を経由して反応器32へ供給される。
さらに、多形態形成剤の濃度または流量は、供給物混合装置18または触媒調合ユニット20に出入りする供給ラインの1以上において監視することができる。
このようなラインは例えば、ライン0,12,14a,14b,22,24,28または34、あるいは反応器32への別のライン(図示せず)である。
図1の実施形態では、多形態形成剤はライン16を経由して供給物混合装置18に添加される。ライン16は、流量制御弁40を備え、これに接続される制御ループには多形態形成剤流量または流速用トランスミッタ42と流量調整器44を備える。
図1の別の実施形態では、多形態形成剤がライン26を経由して触媒調合ユニット20へ、代替してまたは追加して添加される。
ライン26は、流量制御弁46を備え、これに接続される制御ループには多形態形成剤の流量または流速用トランスミッタ48と流量調整器50を備える。
制御ループは公知である。多形態形成剤用トランスミッタは、ガスクロマトグラフや流量計等のオンライン分析器を備える。
流量制御ループにより、多形態形成剤16、26の流量が、流量トランスミッタ42,48各々の設定値に合うように調整される。例えば、多形態形成剤の流量が設定値を下回る場合には、対応する調整弁40,46を開いて多形態形成剤の流量を増加させる。多形態形成剤の流量の目標値は、手動、またはMWDコントローラー52、または分散または集中制御システムの一部として自動的に入力される。
多形態形成剤の流量の設定値は、所望のMWDを有するポリマーを得るために、製造されたポリマーの分析結果に基づいて決定され、調整することができる。例えば、MWD を広げるために多形態形成剤の流量を増加させ、あるいはMWD を小さくするために多形態形成剤の流量を減少させことができる。
MWDはサンプリングして実験室で分析して測定することができ、オペレータまたは分析器とMWDコントローラー52との通信リンクによりデータが入力される。または、分析サンプルが得られる下流側の適切な位置でオンライン分析を行い、MWDトランスミッタ54を経由してオンラインで測定することができる。
反応器32からのポリマーを含有する流出液56は、所望により、ライン58から供給されるスチームまたは熱水等の失活媒体により失活させることができる。次に、ポリマー回収ユニット60において、例えばフラッシュタンクまたはストリッパー中で、失活媒体の熱を利用して希釈剤と未反応モノマーを蒸発させることにより、ポリマーをスラリーから分離する。
蒸発した蒸気ストリーム62は、希釈剤回収ユニット64で乾燥、分留されて、再循環希釈剤流れ66と、同様に再循環される回収モノマー流れ68と、1以上の多形態形成剤または水ストリーム70とが得られる。
また、多形態形成剤の一部または全部を、プロセスに過剰量が蓄積することを防止するためのパージまたはブリード機構が備えられていることを条件に、再循環希釈剤流れ66と回収モノマー流れ68から生成させることもできる。例えば、多形態形成剤の一部または全部を、失活媒体、および/または製造されたポリマーから抽出することができる。
ひとつの実施形態では、ポリマー回収ユニット60は、適切な温度・圧力条件を維持することにより、蒸気ストリーム62と液状失活媒体の間の多形態形成剤の分離が制御されるように操業される。回収されたポリマーはライン72からこれに続くスクリーン及び押出機によって、ポリマーから残留希釈剤、モノマー失活媒体を除去する最終工程74へ移送され、次いで、ベール形状に圧縮され、所望により包装され、コンテナーに積み込まれる。
ポリマー回収ユニット60、希釈剤回収ユニット64、及び最終工程74に用いられる装置と方法は公知である。
いくつかの実施形態では、この発明は「ブチル反応器」を用いて実施される。例として、反応器32は連続流撹拌槽反応器、プラグフロー反応器、走行ベルトまたは回転ドラム反応器、ジェットまたはノズル反応器、チューブ状反応器、バッチ式反応器、及び自動冷却ボイリングプール反応器からなる群から選択される。反応器を連続的または半連続的に操業することができる。
製造されたポリマーのMWDは6未満、または2.5から5の範囲である。
別の側面では、反応器32からの除熱は、熱交換面により行なわれる。例えばチューブ状反応器の場合、チューブの一方の側に冷媒を通し、他方の側に重合混合物を通す。また除熱は、例えば自動冷却ボイリングプール反応器のように、重合混合物を蒸発させることによって行うことができる。また別の例として、重合混合物が反応器内を移動するときに、重合混合物の一部を蒸発させるプラグフロー反応器が挙げられる。また別の例は、プラグフロー反応器において、熱交換面の重合混合物とは反対側に冷媒を用いて除熱する方法である。
別の例は、走行ベルトまたは回転ドラム反応器で重合させる際に、希釈剤/モノマー/触媒の混合物をベルトまたはドラムに向けて噴射し、反応の進行に伴い希釈剤を蒸発させて除熱する方法である。さらに、これらの反応器では、熱交換面(冷媒がドラム内部またはベルトの下に存在し、ポリマーはドラムまたはベルトの反対側で生成する)により除熱することもできる。
別のタイプの反応器32は、ジェットまたはノズル反応器である。これらの反応器の滞留時間は相対的に短く、ライン28から供給されるモノマーと、ライン34から供給される触媒錯体は、ジェットまたはノズルにおいて混合され、この混合物がノズルを高速で通過するときに重合反応が生じる。
好ましい反応器32には、バッチまたは連続操業され、撹拌機付タンクまたは管状反応器中で操業される連続流撹拌槽反応器が含まれる。好ましい反応器32にはまた、重合反応が熱交換面の一方の側で生じ、冷媒が他の側に存在する反応器が含まれる。一例は、冷媒を通す管が反応器内の重合ゾーンに設けられている反応器である。別の例は、重合反応が管の中で生じ、冷媒が反応器内において管の外側に存在する反応器である。
この発明は、モノマー、希釈剤、触媒及び酸素含有化合物を反応器32に投入し、次に重合反応を生じさせて(例えば失活させて)完了させた後、ポリマーを回収するバッチ反応器で実施することもできる。
反応器32内にある反応したモノマーは、スラリーの一部を構成する。ひとつの実施形態では、スラリー中の固形分は10vol%以上、別の実施形態では25vol%以上で、75vol%未満である。あるいは、1から70vol%、5から70vol%、10から70vol%、15から70vol%、20から70vol%、25から70vol%、30から70vol%、または40から70vol%の範囲である。
一般に、連続流撹拌機付タンク型反応器32が用いられる。反応器32は、通常ターボミキサーやインペラー等の効率的な撹拌手段、及び外部冷却ジャケット、および/または、内部冷却管および/またはコイル等の、重合熱を除熱して所定の反応温度を維持するための手段、及びモノマー、希釈剤、触媒及び多形態形成剤の(個別または組合せられた)供給手段(例えばライン28とライン34の各末端に設けられた入口パイプ)、及び温度測定手段、反応器からポリマー、希釈剤、及び未反応モノマーを抜き出して貯蔵ドラムまたは失活タンク(図示せず)へ移送するオーバーフローまたはアウトフロー配管を備える。
反応器32から、空気と水分がパージされていることが好ましい。当業者であれば、装置の構成と操作方法を理解できるであろう。
反応器32は、反応器内において触媒とモノマーの良好な混合、熱交換チューブまたはコイル内での良好な乱流、及び反応物内でのポリマーの蓄積または希釈剤からの分離を防止可能な十分な流動性が得られるように設計されていることが好ましい。
この発明を実施するために用いられる他の反応器には、本願に参照として組み込まれる米国特許第5,417,930号に開示されたもの等の、連続スラリープロセスを実施可能な公知の反応器、または公知の反応器と均等な反応器が含まれる。反応器のポンプのインペラーには、アップポンピング傾斜翼またはダウンポンピング傾斜翼を用いることができる。
反応器32には、モノマーを含む供給原料ストリームを重合させて、所望の性質を有するポリマーを製造することが可能な、本願発明に係る酸素含有化合物を含む触媒系が十分な量含有されている。
ひとつの実施形態では、ライン28の供給原料ストリームには、(モノマー、希釈剤、酸素含有化合物、及び触媒系の全重量を基準として)5wt%を超える濃度のモノマーが含まれ、好ましくは15wt%、20wt%、25wt%、または30wt%を超える濃度のモノマーが含まれる。別の実施形態では、ライン28の供給原料ストリームには、モノマー、希釈剤、多形態形成剤、及び触媒系の全重量を基準として5wt%から50wt%、または30wt%から50wt%の濃度のモノマーが含まれる。
反応条件は、反応媒体が液体状態に保たれ、所望の性質を有する所望のポリマーが得られる所定の温度、圧力、及び滞留時間とすることができる。ライン28から供給されるモノマーには、重合条件下で触媒を阻害する反応を生じるような不純物が実質的に含まれていない。例えば、いくつかの実施形態では、ライン28から供給されるモノマーには塩基(例えば苛性ソーダ)、制御された多形態形成剤として用いられるのではない硫黄含有化合物(例えばH2S、COS、及びメチルメルカプタンやエチルメルカプタン等の有機メルカプタン)、窒素含有塩基、アルコール等の酸素含有化合物を含む塩基が含有されていないことが好ましい。
しかし、ライン28から供給されるモノマーの純度は、ライン10と12から供給される全オレフィンモノマーの重量を基準として95%以上、好ましくは98%以上、99%以上である。好ましい実施形態では、不純物の量は、ライン10と12から供給される全オレフィンモノマーの重量を基準として、10,000wppm未満(重量基準)、好ましくは500wppm未満、好ましくは250wppm未満、好ましくは150wppm未満、好ましくは100wppm未満である。
通常、製品の分子量と分子量分布(MWD)は反応時間、温度、濃度、反応物の性質等の要素により決まる。特にこの発明では、多形態形成剤の種類と量により決まる。
重合反応温度は、目標とするポリマーの分子量及び重合されるモノマー、さらに例えば反応速度や温度制御などの標準的プロセス変動、及び経済性要因等に基づいて選択される。
重合温度は0℃未満であり、ひとつの実施形態では好ましくは-10℃からスラリーの凝固点まで、別の実施形態では-25℃から-120℃の温度範囲である。さらに別の実施形態では、重合温度は-40℃から-100℃、また別の実施形態では-70℃から-100℃の温度範囲である。また別の好ましい実施形態では、-80℃から-100℃の温度範囲である。
別の実施形態では、重合温度は、0℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、または-100℃以下である。
好ましい実施形態では、重合温度は希釈剤の凝固点より10℃以内高い温度であり、好ましくは希釈剤の凝固点より8℃以内高い温度、好ましくは希釈剤の凝固点より6℃以内高い温度、好ましくは希釈剤の凝固点より4℃以内高い温度、好ましくは希釈剤の凝固点より2℃以内高い温度、好ましくは希釈剤の凝固点より1℃以内高い温度である。
本願で「希釈剤の凝固点よりX℃以内高い温度」というときは、希釈剤の凝固点プラスX℃の意味で用いる。例えば、希釈剤の凝固点が-98℃の場合、希釈剤の凝固点より10℃高い温度は-88℃である。
反応圧力は、ひとつの実施形態では0を超える圧力から14,000kPaまでの範囲(ここで0kPaは完全な真空である)、また別の実施形態では、7kPaから12,000kPaまで、100kPaから2000kPaまで、200kPaから1500kPaまで、200kPaから1200kPaまで、200kPaから1000kPaまで、7kPaから100kPaまで、20kPaから70kPaまで、40kPaから60kPaまで、1000kPaから14,000kPaまで、3000kPaから10,000kPaまで、または3,000kPaから6,000kPaまでの範囲である。
供給されるモノマー、触媒、開始剤剤を含む触媒改質剤、多形態形成剤、及び希釈剤の接触の程度は実施形態毎に異なる。したがって、反応条件が異なれば、分子量の異なる製品が製造される。
別の実施形態では、開始剤22とルイス酸24は、ライン26から供給される多形態形成剤と、選択された希釈剤中において任意の順序で混合され、0.01秒から10時間の範囲の予め決められた時間混合されて予備錯体化され、次いで、触媒ノズルまたは触媒注入装置から連続反応器32に注入される。
また別の実施形態では(図示せず)、開始剤22とルイス酸24は反応器32に別々に添加され、ライン26から供給される多形態形成剤とともに、あるいは別に添加される。
別の実施形態では(図示せず)、開始剤22は、反応器32に注入される前に供給物混合装置18中で供給モノマーと混合される。モノマーが反応器に入る前に、モノマーとルイス酸24とを接触させないことが好ましく、または、モノマーとルイス酸24及び開始剤22の組み合わせとを接触させないことが好ましい。
この発明のひとつの実施形態では、多形態形成剤26を含むか、または含まず、好ましくは多形態形成剤26を含む開始剤22とルイス酸24は、選択された希釈剤中で混合され、予備錯体化される。混合と予備錯体化は、反応器に注入する前に、-40℃から希釈剤の凝固点の間の温度で、接触時間0.01秒から数時間、または0.1秒から5分間、好ましくは3分間未満、好ましくは0.2秒から1分間行われる。
この発明の別の実施形態では、多形態形成剤26を含むか、または含まず、好ましくは多形態形成剤26を含む開始剤22とルイス酸24は、選択された希釈剤中で+80℃から-150℃の温度範囲、一般に-40℃から-98℃の温度範囲において混合され、予備錯体化される。
反応器32での全滞留時間は、例えば触媒活性及び触媒濃度、モノマー濃度、供給物注入速度、生産速度、反応温度、及び目標分子量によって異なり、一般的には約数秒から5時間、典型的には約10から60分である。滞留時間に影響する要因には、モノマー及び希釈剤供給速度及び反応器の全容積が含まれる。
触媒(ルイス酸)とモノマーの比はカルボカチオン重合プロセスにおいて従来公知の範囲である。ひとつの実施形態では、モノマーと触媒のモル比は500から10000、あるいは別の実施形態では、2000から6500の範囲である。
また別の実施形態では、ルイス酸と開始剤のモル比は0.5から10、または0.75から8の範囲である。反応器中の開始剤の全濃度は一般に5から300wppm、または10から250wppmである。供給触媒ストリーム中の開始剤濃度は、ひとつの実施形態では50から3000wppmである。反応器中の開始剤の量を記述する他の方法は、ポリマーに対する開始剤の量であり、例えばポリマーモル数/開始剤モル数の比が0.25から20、別の実施形態では、0.5から12である。
反応器中の触媒効率(ルイス酸基準)は、ルイス酸の開始剤に対するモル比を制御することにより、触媒1kg当りのポリマーが10,000から300kgの範囲、好ましくは触媒1kg当りのポリマーが4000から1000kgの範囲に維持される。
ひとつの実施形態では、カチオン重合可能なモノマーの重合(例えばイソブチレンとイソプレンの重合によるブチルゴムの製造)はいくつかの工程からなる。
まず、アップポンピングまたはダウンポンピング可能なポンプインペラーを有する反応器を準備する。ポンプインペラーは電流を測定可能な電気モーターで駆動される。
反応器は一般に、液体エチレンを保有するジャケット内に設けられた、複数の平行な垂直反応チューブを備える。反応器の反応チューブを含む全内部容積は30から50リッターより大きく、大容量スケールでの重合反応が可能である。この反応器では一般に、形成されるスラリーの重合反応熱の除熱を、液体エチレンを用いて行う。ポンプインペラーは、スラリー、希釈剤、触媒系、及び未反応モノマーを、一定速度で反応チューブを流通させる。
極性希釈剤中のカチオン重合可能なモノマー供給ストリーム(例えばイソブチレンとイソプレン)は、反応器に投入される。
供給原料ストリームには、カチオンを生成するシリカ化合物が0.0005wt%未満含まれ、一般に芳香族モノマーを含まない。
次に触媒が反応器に投入される。触媒中のルイス酸と開始剤のモル比は、0.50から10.0である。
反応器の中で、供給されたモノマーと触媒が互いに接触し、反応して、ポリマー(例えばブチルゴム)のスラリーを生じる。スラリー中の固形分は20vol%から50vol%である。
生成したポリマー(ブチルゴム等)は最終的に、出口ラインまたはアウトフローラインを通って反応器から取り出される。これと並行して、原料の供給が継続して行なわれ、連続スラリー重合が行なわれる。
ひとつの実施形態では、この発明により得られるポリマーは、分子量分布が約2から5で、不飽和度がモノマー100モルにつき0.5から2.5モルの、ポリイソブチレン/イソプレン(ブチルゴム)である。この製品を、さらにハロゲン化して、ハロゲン化ブチルゴムを得ることができる。
この発明のポリマーは種々の用途に応用可能な化学的及び物理的性質を備える。気体の透過性が低いことにより、これらのポリマーの主用途である、タイヤのインナーチューブやインナーライナーに用いることができる。これらの性質は、エアークッション、空気バネ、エアーベローズ、アキュームレータバッグ、及び医薬用封止材の用途において重要である。この発明のポリマーは熱安定性がよいことにより、ゴムタイヤ加硫ブラダー、高温用ホース、及び高温物質を取り扱うコンベアベルトの用途に適している。
このポリマーは高い振動減衰特性を示し、また、温度及び振動周期の広い範囲において優れた振動減衰性及び衝撃吸収性を有する。これらは自動車用ゴム成形部品として有用であり、自動車のサスペンションダンパー、排気管ハンガー、車体マウントに広く用いられる。
この発明のポリマーは、タイヤのサイドウォール及びトレッド用コンパウンドに用いることができる。サイドウォールの場合、このポリマーの有する性質により、良好な耐オゾン性、亀裂抵抗性、及び外観が得られる。この発明のポリマーをブレンドに用いることもできる。高ジエン含量ジエンゴムと適切に配合され、共連続相となるブレンド物から、優れたサイドウォールが得られる。この発明のポリマーを用いることにより、ハイパフォーマンスタイヤの水、雪、氷の上でのスキッド抵抗性を改良し、耐摩耗性及び転がり抵抗を損なうことなく乾燥時静摩擦係数を改良することができる。
この発明のポリマーと熱可塑性樹脂とをブレンドすることにより、この配合物を強靱化することができる。高密度ポリエチレン、あるいはアイソタクチックポリプロピレンを、5から30wt%のポリイソブチレンで改質することができる。いくつかの用途では、この発明のポリマーから、熱可塑性樹脂用成形機で加工可能な高弾性配合物を得ることができる。この発明のポリマーをポリアミドとブレンドして、他の工業用途に用いることもできる。
この発明のポリマーを、接着剤、コーキング材、シーラント材、及びグレージング材に用いることもできる。
この発明のポリマーを、ブチルゴム、SBR、天然ゴムを配合する際の可塑剤に用いることもできる。直鎖低密度ポリエチレンとのブレンドの場合、ストレッチ包装用フィルムに粘着性が賦与される。また、この発明のポリマーは、潤滑油の分散剤、あるいは封止材または電線被覆の充填材に用いることができる。
いくつかの用途では、この発明のポリマーをチューインガムや、医薬品のゴム栓等の医学用途、あるいは塗装ローラー等に用いることができる。
以下の実施例に基づき本願の実施形態を説明するが、本願発明はこれらに限定されない。
重合は、実験室スケールの連続反応器を用いて行なった。この反応器はステンレス製であり、モノマー及び供給触媒を導入可能で、また製造されたポリマーを連続的に取り出せるように設計されていた。混合は、ステンレス製シャフトに取り付けられた三枚の撹拌翼を有し、外部電気モーターで駆動されるインペラーを用いて行なった。
このモーターを1200から1600rpmで回転させた。また、この反応器には、反応器の内容物の温度を監視するための熱電対が設けられていた。
この反応器の温度制御は、不活性雰囲気下のグローブボックス内で、ペンタンまたはイソヘキサン浴に反応器を浸して、各実施例に示す所望の反応温度に冷却することにより行なった。この炭化水素浴を撹拌し、温度を、±2℃で制御した。反応媒体と液接触する全ての装置は、使用する前に120℃で乾燥させ、窒素雰囲気下で乾燥させた。
イソブチレン(Matheson社製、またはExxonMobil社製)及び塩化メチル(Air Gas社製)の乾燥は、これらのガスを3本の酸化バリウム入りステンレス製カラムに通して乾燥させ、グローブボックス中で凝縮させ、生じた液を回収することにより行なった。または、塩化メチルの乾燥は、液状の塩化メチルにトリエチルアルミニウムを低温で添加し、次にこの溶液から塩化メチルをそれ自身の蒸気圧で蒸発させることにより蒸留して行なった。
1,1,1,2-テトラフルオロエタン(134a)(National Refrigerants社製)の乾燥は、ガスを3本の3Åのモレキュラーシーブ入りステンレス製カラムに通して乾燥させ、グローブボックス中で凝縮させ、生じた液を回収することにより行なった。
イソプレン(Aldrich社製)は使用する前に蒸留するか、またはそのまま使用した。
HCl溶液は、塩化メチルまたは134aを用い、この凝縮液に低温下で気体状のHCl (Aldrich社製、純度99%)を溶解させて調製した。この溶液中のHCl濃度は、標準的な滴定法で測定した。以下の実施例で、「ブレンド」と呼ぶ希釈剤組成物は134aと塩化メチルの50/50wt/wt混合物である。
スラリー共重合反応は、先ず供給モノマーと供給触媒を調製して行なった。
供給モノマーはイソブチレン、イソプレン、選択された希釈剤、及び任意成分の他の酸素含有化合物から成り、ガラス製または金属製容器内で調製した。
重合実験1、及び3から11の供給モノマーはイソブチレンを20wt%含有するものであった。重合実験2、及び12から15の供給モノマーはイソブチレンを22wt%含有するものであった。
イソプレンは、イソブチレンに対し2.8モル%となるように供給モノマーに添加した。
メタノールを故意に添加した場合は、供給モノマー中の濃度が表1に示した値になるように供給モノマーに添加した。
表1と図2で用いた用語の定義は以下の通りである。
MeOH = メタノール;DME = ジメチルエーテル;Et2O = ジエチルエーテル;DIPE = ジイソプロピルエーテル;MEK = メチルエチルケトン;134a = 1,1,1,2-テトラフルオロエタン;MeCl = 塩化メチル;ブレンド = 134aとMeClの50/50wt/wt混合物;IB =イソブチレン
重合実験4から11で用いた塩化メチルは、そのガスを前記の乾燥剤に通して乾燥させたものである。微量のメタノール、ジメチルエーテル、及びアセトンは、この乾燥剤では完全に除去されず、塩化メチル中に残存する。
塩化メチル中のこれらの成分の残存量はガスクロマトグラフィー(GC)で測定した。GCで求めたこれらの有機酸素含有化合物の分析値は、最終的供給原料中におけるこれらの成分の全濃度の計算に用いた。これらの実施例について、全酸素含有化合物濃度を表1に示す。
重合実験12から15で用いた塩化メチルは、トリエチルアルミニウムで処理された液状塩化メチルから蒸発させて得たものである。この方法では、有用なメタノール、ジメチルエーテル、及びアセトンが除去される。このため、表1に示すように、これらの重合実験で用いられた塩化メチルはこれらの酸素含有化合物を、故意に添加されない限り、含有していない。これは表1に示されている。HFC 134aは、これらの酸素含有化合物を含有しない。
供給触媒は、共重合反応毎に別々の容器で調製した。供給触媒は、所定量の前記HCl溶液、エチルアルミニウムジクロリド(EADC)炭化水素溶液、及び任意成分の有機酸素含有化合物を添加して調製した。全ての実施例において、供給触媒中のEADC/HClモル比は3.0であった。
重合実験6から11では、有機酸素含有化合物は供給触媒にのみ添加した。
重合実験12,14及び15では、有機酸素含有化合物を供給モノマーに添加したため、供給触媒には有機酸素含有化合物は含まれていない。
また、重合を開始するために、開始供給モノマーを調製して反応器へ投入した。この開始供給モノマー中のイソブチレンモノマー濃度は、10wt%であった。またこの開始供給モノマーに、イソブチレンに対し2.8モル%のイソプレンを添加した。全ての供給原料を、グローブボックス中の前記炭化水素浴を用いて、反応器と同じ温度まで冷却した。
塩化メチル中での重合は、反応器温度約-95℃±3℃で行なった。134a、またはブレンド中での重合は、反応器温度約-75±3℃で行なった。
重合開始前に、炭化水素浴の温度を数度下げ、炭化水素浴と反応器内容物の初期温度差を付けた。反応器に触媒を導入して共重合反応を開始した。反応器と炭化水素浴の温度差が一定になるように触媒の流量を調整して、その重合実験の目標重合温度を達成した。任意に、目標重合温度を達成するために、炭化水素浴の温度を下げた。
ポリマー粒子(スラリー粒子)の沈殿が生じたことで反応の開始を確認した約10分後に、追加の供給モノマーを容器から反応器に導入した。重合実験は、容器中の供給モノマーが無くなるか、あるいは予定量の供給モノマーが消費されるまで行なった。一般に、平均モノマー転換率は75%を超えており、95%に達することもあった。
重合実験の終了直前に、反応器から分子量測定用のポリマーのサンプルを採取した。このサンプルは、各実験の安定した重合条件下で製造された製品のサンプルである。このポリマーサンプルを、サイズ排除クロマトグラフィーで分析し、数平均分子量、重量平均分子量、及びMWDを求めた。本願に示す各実験のMWDは、重量平均分子量を数平均分子量で割った値である。
ポリマーの分子量は、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)で分析した。使用した装置は、Agilent 1100オートサンプラー、Waters社製 515 HPLCポンプ、Waters社製カラムオーブン、Waters社製 2414示差屈折計で構成されていた。テトラヒドロフランを溶出液(1 ml/分, 35°C)に用い、3本のPLgel社製 Mixed-B LS 10μmカラムを直列に連結して用いた。分子量と分子量分布の計算には、狭分子量分布ポリイソブチレンの標準サンプル(American Polymer Standards社製)に基づく較正を用いた。
ポリマーの分子量は、別のSEC装置を用い、別の較正方法及び測定方法を用いて測定することもできる。
SEC(GPCまたはゲル透過クロマトグラフィーとしても知られている)によりポリマーの分子量を測定する方法は、多くの文献に記載されている。このような文献の例は、本願に参照として組み込まれる、Polymer Yearbook(H.-G. Elias、R. A. Pethrick共著, Harwood Academic Publishers社, New York, 1984年, 93-100頁)のL.H. Tungによる総説である。
表1の各実験のデータは、表1に示した条件下、すなわち各希釈剤種と有機酸素含有化合物濃度の条件下で、少なくとも3回重合を行った結果の平均値である。
平均モノマー供給速度と、平均MWDのデータは、その条件下で行なった全実験結果の単純平均値である。
重合実験1,2,4及び13には有機酸素含有化合物は添加されておらず、これらの重合実験は比較例である。
残用の重合実験の結果は、有機酸素含有化合物を供給原料に添加することによりMWDが広くなることを示している。図2を参照されたい。
さらに、これらのデータは、実験した酸素含有化合物の濃度範囲では、酸素含有化合物の濃度を上げることにより、MWDの幅が増大することを示している。
Figure 2010522262
本願に引用した全ての特許文献と特許出願、試験方法(ASTM試験法等)及び他の文献は本願と抵触しない限り、それが許される法域において、本願に参照として組み込まれる。
複数の上限値と下限値が記載されている場合、いずれかの下限値といずれかの上限値との組合せが考慮される。
この発明について実施形態に基づき説明したが、当業者であれば、この発明の真髄から離れることなく、明細書に開示された事項に基づき、種々の変更、修正を行なうことが可能であろう。従って本願発明の範囲は実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に基づいて、当業者であればこの発明と均等と認められる範囲を含め、本願に開示された全ての新規で特許性のある事項が含まれる。

Claims (41)

  1. 1以上のモノマーを重合してイソオレフィンポリマー及びコポリマーを製造する重合方法において、
    1以上のモノマーと、希釈剤と、触媒系とを含む重合媒体中の、1以上のモノマーを重合する工程を備え;希釈剤が1以上のハロゲン化炭化水素から成り;
    触媒系が1以上のルイス酸と、1以上の開始剤及び1以上の多形態形成剤を含む複数の改質剤とを含有し;
    重合媒体中の1以上の多形態形成剤の濃度を、イソオレフィンポリマー及びコポリマーの制御されたMWDが2.0より大きくなるように調整する、重合方法。
  2. さらに、1以上の供給ストリームから重合媒体を反応器へ供給して重合させる工程と;
    反応器から希釈剤及びポリマーの混合物を回収する工程と;
    この混合物から希釈剤を分離してポリマーを回収する工程と;
    分離された希釈剤を1以上の供給ストリームへ再循環する工程と;
    1以上の多形態形成剤の少なくとも1を、1以上の供給ストリームの少なくとも1に添加する工程とを含む、請求項1に記載の重合方法。
  3. 希釈剤を分離する工程に、多形態形成剤を除去することが含まれる、請求項2に記載の重合方法。
  4. 多形態形成剤を添加するとき、1以上の供給ストリームの少なくとも1における多形態形成剤の量を測定し、添加する多形態形成剤の流量を調整して、所望の多形態形成剤の量を得る、請求項2または3に記載の重合方法。
  5. さらに、回収されたポリマーのMWDを測定し、添加する多形態形成剤の流量を調整して、MWDを制御する、請求項2から4のいずれか1項に記載の重合方法。
  6. 1以上の多形態形成剤の少なくとも1が、希釈剤を含むモノマー供給ストリームに添加される、請求項2から5のいずれか1項に記載の重合方法。
  7. 1以上の多形態形成剤の少なくとも1が、1以上のルイス酸を含む触媒供給ストリームに添加される、請求項2から6のいずれか1項に記載の重合方法。
  8. 1以上の供給ストリームスが、モノマー供給ストリームと、触媒供給ストリームと、1以上の多形態形成剤の少なくとも1を含む別の供給ストリームとから成る、請求項2から7のいずれか1項に記載の重合方法。
  9. ポリマーのMWDが6未満である、請求項1から8のいずれか1項に記載の重合方法。
  10. 1以上の多形態形成剤が、酸素分子、有機酸素含有化合物、及びこの有機酸素含有化合物に対応する硫黄化合物から成る群から選択される、請求項1から9のいずれか1項に記載の重合方法。
  11. 1以上の多形態形成剤が、炭素数1から12のアルコール、エーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、及びカルボン酸から成る群から選択される、請求項1から10のいずれか1項に記載の重合方法。
  12. 1以上の多形態形成剤が、多形態形成剤とルイス酸とのモル比が1未満となる量で存在する、請求項1から11のいずれか1項に記載の重合方法。
  13. 1以上の多形態形成剤が、重合媒体の全重量に対し5から25wppmの量で存在する、請求項1から12のいずれか1項に記載の重合方法。
  14. 1以上の開始剤が、少なくとも1の非カルコゲン化合物から成る、請求項1から13のいずれか1項に記載の重合方法。
  15. 1以上の開始剤がそれぞれ独立して、ハロゲン化水素、カルボン酸、カルボン酸ハライド、スルホン酸、アルコール、フェノール、多価ハライド、三級アルキルハライド、三級アラルキルハライド、三級アルキルエステル、三級アラルキルエステル、三級アルキルエーテル、三級アラルキルエーテル、アルキルハライド、アリールハライド、アルキルアリールハライド、アリールアルキル酸ハライドからなる群から選択される、請求項1から14のいずれか1項に記載の重合方法。
  16. 触媒系改質剤がさらに、弱配位性アニオンを含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の重合方法。
  17. 希釈剤の20℃における誘電率が6を超える、請求項1から16のいずれか1項に記載の重合方法。
  18. 希釈剤が、塩化エチル、塩化メチル、塩化メチレン、CHCl3、CCl4、塩化ノルマルブチル、クロロベンゼン、およびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1から17のいずれか1項に記載の重合方法。
  19. 希釈剤がさらに、炭化水素、非反応性オレフィン、および/または、不活性ガスのいずれかを含む、請求項1から18のいずれか1項に記載の重合方法。
  20. 希釈剤が、1以上のハイドロフルオロカーボン(HFC)を含む、請求項1から19のいずれか1項に記載の重合方法。
  21. 希釈剤が、希釈剤の全重量に対し15から100容積%のHFCを含む、請求項20に記載の重合方法。
  22. 1以上のルイス酸がそれぞれ独立して、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、及び4塩化チタンから成る群から選択される、請求項1から21のいずれか1項に記載の重合方法。
  23. 1以上のモノマーがそれぞれ独立して、オレフィン、α−オレフィン、二置換オレフィン、イソオレフィン、共役ジエン、非共役ジエン、スチレン系、置換されたスチレン系、及びビニルエーテルから成る群から選択される、請求項1から22のいずれか1項に記載の重合方法。
  24. 1以上のモノマーを重合して、2.0を超える制御されたMWDを有するイソオレフィンポリマー及びコポリマーを製造するように構成され、1以上のモノマー、希釈剤、及び触媒系からなる重合媒体中の1以上のモノマーを重合させる反応ゾーンを備える重合システムであって、;
    希釈剤は1以上のハロゲン化炭化水素を含み、
    触媒系は1以上のルイス酸と、1以上の多形態形成剤から成る複数の改質剤と、1以上の開始剤とを含み;
    1以上のモノマーと希釈剤を反応ゾーンの重合媒体に供給するモノマー供給ラインと;
    別のラインであり、1以上のルイス酸を反応ゾーンの重合媒体に供給する触媒供給ラインと;
    反応ゾーンへの1以上の多形態形成剤の供給速度を調整するためのシステムとを備える、重合システム。
  25. さらに、反応ゾーンからポリマーと希釈剤の混合物を回収する製品ラインと;
    この混合物から希釈剤を分離してポリマーを回収するポリマー回収ユニットと;
    分離された希釈剤を濃縮する希釈剤回収ユニットと;
    濃縮された希釈剤をモノマー供給ラインへ再循環する移送ラインと;
    モノマー供給ライン、または触媒供給ライン、またはこの両者に、1以上の多形態形成剤を導入する酸素含有化合物供給ラインを備える、請求項24に記載の重合システム。
  26. 希釈剤回収ユニットが多形態形成剤除去手段を備える、請求項24または25に記載の重合システム。
  27. 希釈剤回収ユニットが、再循環用の低多形態形成剤濃度の希釈剤を生成する分留カラムを備える、請求項24から26のいずれか1項に記載の重合システム。
  28. 反応ゾーンへの1以上の多形態形成剤の供給速度を調整するためのシステムが;
    モノマー供給ライン中、触媒供給ライン中、またはこの両者の多形態形成剤濃度を分析するための多形態形成剤分析計と;
    多形態形成剤供給ラインに設けられ、多形態形成剤分析計において所望の多形態形成剤濃度が得られるように多形態形成剤供給ラインの流量を制御する流量制御装置とを備える、請求項24から27のいずれか1項に記載の重合システム。
  29. 反応ゾーンへの1以上の多形態形成剤の供給速度を調整するためのシステムが、回収されたポリマーのMWDを測定するためのMWD分析器と、
    多形態形成剤供給ラインの流量を制御して、MWD分析器に入力されたMWD目標値を達成する流量制御装置とを備える、請求項24から28のいずれか1項に記載の重合システム。
  30. 多形態形成剤供給ラインが、モノマー供給ライン、または触媒供給ラインに接続されている、請求項24から29のいずれか1項に記載の重合システム。
  31. 反応ゾーンが、連続流撹拌槽反応器、プラグフロー反応器、走行ベルトまたは回転ドラム反応器、ジェットまたはノズル反応器、チューブ状反応器、バッチ式反応器、及び自動冷却ボイリングプール反応器からなる群から独立して選択される、請求項24から30のいずれか1項に記載の重合システム。
  32. イソオレフィンをカルボカチオン重合させるための触媒系であって、ルイス酸と、開始剤と、多形態形成剤とを組み合わせて成り、複数の活性触媒錯体種を含む触媒系。
  33. −95℃の塩化メチル希釈剤を用いたブチル反応器中でのイソブチレンのスラリー重合において、異なる前記活性触媒錯体種が異なる重合速度を有する、請求項32に記載の触媒系。
  34. 多形態形成剤が、酸素分子、有機酸素含有化合物、及びこの有機酸素含有化合物に対応する硫黄化合物から成る群から選択される、請求項32または33に記載の触媒系。
  35. 多形態形成剤が、炭素数1から12のアルコール、エーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、及びカルボン酸から成る群から選択される、請求項32または33に記載の触媒系。
  36. 多形態形成剤が、多形態形成剤とルイス酸とのモル比が1未満となる量で存在する、請求項32から35のいずれか1項に記載の触媒系。
  37. 開始剤が、少なくとも1の非カルコゲン化合物から成る、請求項32から36のいずれか1項に記載の触媒系。
  38. 開始剤が、ハロゲン化水素、カルボン酸、カルボン酸ハライド、スルホン酸、アルコール、フェノール、三級アルキルハライド、三級アラルキルハライド、三級アルキルエステル、三級アラルキルエステル、三級アルキルエーテル、三級アラルキルエーテル、アルキルハライド、アリールハライド、アルキルアリールハライド、アリールアルキル酸ハライドからなる群から選択される、請求項32から36のいずれか1項に記載の触媒系。
  39. さらに、弱配位性アニオンを含む、請求項32から38のいずれか1項に記載の触媒系。
  40. 請求項1から23のいずれか1項に記載の重合方法で製造された、制御されたMWDが2.0より大きいイソオレフィンポリマーまたはコポリマー。
  41. 請求項32から39のいずれか1項に記載の触媒系と、1以上のモノマーとを、反応条件下で接触させて製造された、制御されたMWDが2.0より大きいイソオレフィンポリマーまたはコポリマー。
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