JP2010516458A - フィルタモジュール用ドレイン/洗い流しシーケンス及びシステム - Google Patents

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Abstract

本開示システム及び装置は、膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転を改善するため、使用することができる。本システムは、近位側端部と遠位側端部を有し、各ろ過モジュールが1以上のチューブ状膜フィルタを収容する1以上の膜ろ過モジュールを含んでよい。本システム及び方法は、供給液の導入乃至流通を中断させ、1以上の膜ろ過モジュールにある前記供給液の少なくとも一部をそこから排出させ、及び前記供給液の導入乃至流通を再開させるステップを含んで構成できる。任意で、本開示システム及び装置は、前記回収した透過水の少なくとも一部で1以上の膜フィルタを洗い流せるステップを含んで構成することもできる。

Description

関連出願の相互参照
本発明は、2007年1月26日に申請した米国仮出願第11/627,870号の便益を主張し、その全ての内容は参照によって本開示に含まれるものである。
膜バイオリアクタは、当技術分野においては廃水処理工程として公知の技術である。これらバイオリアクタは、活性汚泥の生物学的過程と膜ろ過とを結合したものである。フィルタ膜モジュールは、通常、ケーシング内に中空の膜を含んで構成され、その中を供給液が膜を長手方向に貫通して流れ、ケーシングと膜との間の空間に向けて浄化水又は透過水が流れ、そこで、透過水排出システムを介して排出される。この種のフィルタ膜モジュールの一例は、米国特許5494577号に記載されている。
これらシステムの運転時、各膜チューブ内のフィルタ膜壁に固形物が残存する。ある工程条件下で、これら固形物は堆積し、時間経過とともに徐々に厚さを増して、チューブ内側の環状空間を減少させる。かかるプロセスは、固形物が膜によって脱水され、チューブ内に堆積して流れを減少させるにしたがって、急激に加速されてしまう。そのまま放置すると、これら固形物は膜チューブの内側で詰りを生じて、流れが事実上阻止され、膜チューブの機能が失われてしまう。その結果、この反応により、他の膜チューブに対する固形物の負荷が増加し、こうして、システム全体に前記プロセスが拡大、加速することになる。固形物の堆積及び詰り生成を効果的に防止又は食い止めることが、廃水処理装置を有効に実施する上で望まれる。
固形物の堆積及び詰りの生成を防止しやすくするため、通常、逆流洗浄工程が行われる。この工程では、膜ろ過モジュールを通る供給液の流れが反転され、フィルタ膜に堆積された固形物や詰りの除去が促進されるように、透過水が正常なろ過流とは逆向きに膜を通って流れる。しかし、この種の洗浄工程の効果には限界がある。
しかし、逆流洗浄を空のチューブに行えば、2相流を介して膨大な量の渦流を各膜チューブ内に発生させることが可能となる。この渦には、膜壁の固形物を除去しようとする傾向がある。加えて、堆積した固形物の周りに液柱が形成されて、これにより、該固形物を取り払って除去するのに必要な力を与えることができる。このように、空の膜チューブに排出処理を行い、さらに逆流洗浄を行えば、膜前後圧力の純変化を最大にすることができ、それによって、逆流洗浄工程の効果が高められる。
本発明の一実施形態によれば、膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転方法が開示されているが、ここでは、該システムは、膜バイオリアクタと、1以上の膜ろ過モジュールとを含んで構成される。それぞれのろ過モジュールは、近位側端部と遠位側端部を有し、複数の膜フィルタを収納できる。バイオリアクタには流入液を導くことができ、該流入液が導入されたバイオリアクタから供給液が取り出され、該供給液は1以上の膜ろ過モジュールの近位側端部へと導かれる。大部分の供給液は1以上の膜ろ過モジュールの遠位側端部から回収でき、回収液はバイオリアクタに戻せばよい。しかし、少なくとも一部の供給液は、複数の膜フィルタの一側から通過させ、他側へ流出して透過水となることができる。本方法は、1以上の膜ろ過モジュールの近位側端部に対する供給液の導入を中断するステップと、1以上の膜ろ過モジュールにある供給液の少なくとも一部を、そこから前記複数の膜フィルタの片側に堆積されてしまっている残滓の少なくとも一部と共に排出させるステップと、そして1以上の膜ろ過モジュールの近位側端部に対する供給液の導入を再開するステップと、を含んで構成される。
本方法は、1以上の次の形態を含むことができる。すなわち、入口弁を閉じることによって、供給液の導入が遮断されることと、少なくとも一部の該供給液が重力作用によって排出されることと、少なくとも一部のドレイン弁を開くことによって排出されることと、供給液の導入の再開前に、複数の膜フィルタが、透過水の少なくとも一部を前記複数の膜フィルタの他側から一側に流出させるか、あるいは、前記複数の膜フィルタの一側から他側に流出させることによって、洗い流すことができることと、第1の化学溶液が1以上の膜ろ過モジュールに導かれる。第2の化学溶液が1以上の膜ろ過モジュールに導かれることと、第1の化学溶液及び第2の化学溶液の少なくとも一方は、1以上の次亜塩素酸塩、酸、腐食剤、界面活性剤、又はこれらの任意の組み合わせを含んで構成されることと、そして、前記供給液の導入は、前記膜バイオリアクタ廃水処理システムの連続運転で少なくとも6時間毎に1回中断することができることと、である。
本発明の別の実施形態においては、膜ろ過モジュールを維持する方法が開示され、その中で、膜ろ過モジュールは、近位側端部と遠位側端部を有し、1以上のチューブ状膜フィルタを収容できる。該フィルタを介して、大部分の供給液は、膜ろ過モジュールの近位側端部に流入し遠位側端部から流出する。少なくとも一部の供給液は、1以上の膜フィルタの一側を通り抜けて他側へ流出し、透過水となることができる。本方法は、供給液の流通を中断することと、膜ろ過モジュールにある供給液の少なくとも一部を、そこから1以上のチューブ状膜フィルタの一側に堆積されてしまっている残滓の少なくとも一部と共に排出させることと、有効量の透過水を1以上のチューブ状膜フィルタの前記他側から前記一側に流通させ、あるいは、複数の膜フィルタの前記一側から前記他側に流出させることによって、1以上のチューブ状膜フィルタを洗い流すことと、そして、供給液の流通を再開することと、を含んで構成される。
本方法は、1以上の次の形態を含むことができる。すなわち、透過水の有効量を、膜ろ過モジュール総体積量の約0,05倍から約10倍の範囲とすることと、前記洗い流しステップは、少なくとも一部の前記供給液を排出させているその間、又はその後に実行できることと、そして、少なくとも一部の前記供給液は、1以上の膜フィルタの下方に配置されたドレイン弁を開き、そして同膜フィルタの上方に配置されたベントを開くことによって、排出させることができることとをである。
本発明の更に別の実施形態においては、膜廃水ろ過システムが開示され、ここでは該システムは、近位側端部と遠位側端部を有する1以上の膜ろ過モジュール、各ろ過モジュールが1以上のチューブ状膜フィルタを収容する膜ろ過モジュールと、少なくとも一つの供給液導入用入口と、1以上のチューブ状膜フィルタの下方に配置された少なくとも一つのドレイン口と、導入された供給液の大部分を再利用又は循環利用するための少なくとも一つの第1出口と、透過水回収用の少なくとも一つの第2出口と、そして少なくとも一つのコントローラと、を含んで構成される。前記少なくとも一つのコントローラは、(i)供給液の供給を中断し、(ii)1以上の膜ろ過モジュールにある供給液の少なくとも一部を、そこから排出させ、及び(iii)少なくとも一部の回収された透過水を1以上のチューブ状膜フィルタに逆流して洗い流す、ように構成することができる。
本システムは、1以上の次の形態を含むことができる。すなわち供給液を少なくとも一つの入口に供給する第1ポンプと、第1ポンプと液体連結する循環弁とを備え、コントローラが循環弁を閉じて前記供給流の導入を中断するように構成されることと、第2出口と液体連結する第2ポンプと、少なくとも一つのドレイン口と液体連結するドレイン弁とを備え、コントローラはドレイン弁が開いている間、第2ポンプを駆動するように構成できることと、コントローラは、第2ポンプの駆動を開始する前にドレイン弁を閉じる構成としてもよいことと、1以上の膜ろ過モジュールの近位側端部付近に空気を導く送風機を備え、コントローラはドレイン弁が開いている間か、第2ポンプが作動中の間か、あるいは、その組み合わさった状態において、送風機を駆動制御するように構成されることと、化学溶液源と、第2ポンプと液体連結する化学物質流通弁とを備え、コントローラは化学物質流通弁を開き、第2ポンプを駆動するように構成されることと、そして、1以上の膜ろ過モジュールの近端部付近に空気を導く送風機とである。
既述した概要説明および後述する詳細な説明は、代表例や説明的記述に過ぎず、特許請求の範囲に記載された本発明を制限するものではないことを理解されるべきである。
本発明のこれら、および他の特徴、形態及び利点は、後述する詳細な説明、添付の特許請求の範囲及び以下で概説する図面に示された添付の例示上実施形態から明らかとなるであろう。
本発明の一実施形態に係る廃水処理システムの概要構成を示す図。 本発明の一実施形態に係る膜ろ過モジュールの概要構成を示す図。 図2に示した膜ろ過モジュール用のチューブ状フィルタの概要構成を示す図。 コントローラによって運転される前記廃水処理システムの各種運転モードを示すフローチャート。 本発明の一実施形態に係る「ろ過」モード400の工程を示すフローチャート。 本発明の一実施形態に係る「逆洗」モード600の工程を示すフローチャート。 本発明の一実施形態に係る「排出−洗い流し」モード800の工程を示すフローチャート。 本発明の一実施形態に係るCEC1モード900及び「CEC2」モード1000の工程を示すフローチャート。 本発明の一実施形態に係る「保存」モード1100及び「保存排出」モード1200の工程を示すフローチャート。 本発明の別の実施形態に係る廃水処理システムの概要構成を示す図。 本発明のもう一つ別の実施形態に係る廃水処理システムの概要構成を示す図。 本発明のさらに別の実施形態に係る廃水処理システムの概要構成を示す図。
図面について、図1〜3は、本発明の一実施形態に係る廃水処理システム10及びその構成要素の概要を示す。本装置10は、一個のバイオリアクタ20と1以上の膜ろ過モジュール40とを含んで構成できる。廃水(「流入液」としても既知)は、入口21でバイオリアクタ20に流入する。バイオリアクタ20は、有酸素領域22,無酸素領域23,嫌悪性領域(図示せず),又はこれらの任意の組み合わせを含みうる。無酸素領域及び嫌悪性領域は、必要に応じて栄養塩除去用に使用できる。バイオリアクタ20は、全ての当業者に公知であり、例えば、長期の汚泥寿命設計とすることができる。
処理された廃水は、出口26を通って流出し、流通ライン31を通って循環ポンプ32へ至る。循環ポンプ32は、処理された廃水を、流通ライン33及び循環弁34を介して膜ろ過モジュール40の拡散器41へと圧送する。流通ライン33は、循環弁34と拡散器41との間に連結されるT−ブランチ36を含んでもよい。T−ブランチ36は、流通ライン37に入り、ドレイン弁38を通って、ドレイン口39に至る。循環弁34,ドレイン弁38,及びドレイン口39は、本発明の一実施形態に係る運転方法に関連して、後述する。
膜ろ過モジュール40は、図2に示されており、ここでは、ろ過モジュール40は遠位側端部45及び近位側端部46を備えることができ、拡散器41,ハウジング42,及び戻り部43を含んでよい。拡散器41は、流通ライン33に連結され、流通ライン33で、処理された廃水(「供給液」としても既知)は膜ろ過モジュール40に流入する。供給液は、拡散器41を介してハウジング42まで導かれる。ハウジング42は複数のチューブ状膜等の膜フィルタ47を含み、該フィルタ47において、供給液48は前記チューブの軸方向49上方に流れ続け、その間、浄化水(「透過水」としても既知)は、チューブ状膜の内側から膜フィルタの周面を通って前記周面の反対側に向かって径方向50に流れる。換言すれば、供給液は膜ろ過モジュール40の近位側端部46から膜フィルタ47を軸方向49に通って膜ろ過モジュール40の遠位側端部45まで流れ、その間、透過水はフィルタの一側からチューブ状膜の周面を通って、径方向50の他側へと流出する。
膜ろ過モジュール40の遠位側端部45へ流れる供給液は、戻りライン61に連結された出口を含む膜ろ過モジュール40の戻り部43へ流入する。戻りライン61は追加工程用のバイオリアクタ20の入口27に連結される。加えて、戻りライン61には戻りライン制御弁84を有し、戻りライン61の流れが継続するように、供給水のろ過中、該弁84は、開かれる。その間に、膜フィルタ47から流出した透過水は、膜ろ過モジュール40の周面に連結された出口ライン71及び72を通って流れる。例えば出口ライン71及び72は、膜ろ過モジュール40の側面内に入り込ませて取り付けられた2.5インチ径のポートに連結される。出口ライン71及び72は、流通ライン73及び74と液体連結する。
流通ライン73は、透過水の流通ライン73への流量を制御する透過水制御弁75を含む。流通ライン73内の透過水は、透過水が集められる貯蔵タンク90へと流れる。一旦タンク90に入った透過水は、産業用、農業用、又はその他の実行可能な用途で用いるための廃水として排水口91を流出する。流通ライン74は、逆洗制御弁78を含み、かつ、逆洗ポンプ77に連結される。逆洗ポンプ77は、タンク制御弁83を含む流通ライン79を介して貯蔵タンク90に連結される。
逆流洗浄工程においてが膜フィルタ47の内側洗浄が必要な場合、透過水制御弁75は、透過水が流通ライン73内を流れるのを阻止するため、閉じる。逆洗制御弁78は、開かれ、これにより、透過水は流通ライン74内を流れる。タンク制御弁83は、逆洗ポンプ77と貯蔵タンク90とを相互に液体連結させるように開かれる。一方、洗浄化学溶液制御弁82’及び82”と、保存溶液制御弁122(後に詳述する)は閉じる。透過水は、逆洗ポンプ77によって、貯蔵タンク90から出口ライン71,72へと、通常使用時、即ち、「ろ過」モード時とは逆向きに圧送される。透過水は、出口ライン71及び72から膜フィルタ47を通って流れる、即ち、膜フィルタの外側から膜フィルタの内側への流れが引き起こされる。次いで透過水は、近位側端部46に向かって下方へ、あるいは、遠位側端部45へ向かって上方へ流れることができる。近位側端部46に向かう下方への流れのため、逆流洗浄流は、拡散器41から流出して流通ライン33へ流入する。逆流洗浄工程中、ドレイン弁38が開かれているときに透過水が循環ポンプに戻されるのを防止するため、循環弁34は閉じる。ドレイン弁38が開かれることにより、逆流洗浄透過水は、例えば6インチ径パイプのドレイン口39から流出できる。一方、遠位側端部45に向かう上方への流れのため、逆流洗浄流は、戻り部43から戻りライン61へと流出し、最終的にはバイオリアクタ20へと抜き出される。代替として、透過水がバイオリアクタ20へ戻ることを防止するため、戻りライン61上の戻りライン制御弁84を閉じるようにすることができる。この場合、全ての逆流洗浄透過水はドレイン口39に導かれることになる。
幾つかの事例では、膜フィルタの化学洗浄が必要とされる。図1に示す実施形態では、異なる洗浄化学溶液を含むことができる2つの化学洗浄を備える。第1の化学洗浄のため、第1洗浄化学溶液源80’が第1洗浄化学溶液制御弁82’と第1洗浄化学溶液注入ポンプ86’とを含む流通ライン81’に連結される。該流通ライン81'は、逆洗ポンプ77とタンク制御弁83との間の流通ライン79で、前記システムに連結される。第2の化学洗浄のため、第2洗浄化学溶液源80”は、第2洗浄化学溶液制御弁82”と第2洗浄化学溶液注入ポンプ86”とを含む流通ライン81”に連結され、該流通ライン81”は、逆洗ポンプ77とタンク制御弁83との間の流通ライン79で、前記システムに連結される。
第1化学洗浄が望ましいとき、透過水制御弁75は閉じ、これにより、前記洗浄化学溶液が流通ライン73を通って貯蔵タンク90に流れ込むことを防止する。逆洗制御弁78は、液が流通ライン74を通って流れるように開かれる。タンク制御弁83は開かれ、これにより、透過水は逆洗ポンプ77によって貯蔵タンク90から流通ライン74を通って送り出される。第1洗浄化学溶液制御弁82'が開かれると共に、第1洗浄化学溶液注入ポンプ86’が起動され、それによって、液が第1洗浄化学溶液源80’から流通ライン74及び逆洗ポンプ77へ流れることが可能となる。一方、第2洗浄化学溶液制御弁82”が閉じ、その結果、第2洗浄化学溶液源80”と、流通ライン74と、そして逆洗ポンプ77との間の液体連結が断たれる。この状態から、逆洗ポンプ77及び第1洗浄化学溶液注入ポンプ86’が、第1洗浄化学溶液を第1洗浄化学溶液源80’から出口ライン72及び71へと、通常使用時とは逆向きに圧送する。第1洗浄化学溶液は、出口ライン72及び71から膜フィルタ47へ流れる。次いで、該第1洗浄化学溶液を含んだ透過水が、近位側端部46に向かって下方へ流れ、あるいは、遠位側端部45に向かって上方へ流れることができる。近位側端部に向かう下方への流れについて、該流れは、拡散器41から流通ライン33へ流出する。第1化学洗浄工程時、循環弁34は第1洗浄化学溶液が循環ポンプ32へ戻されることを防止するため、閉じることができる。一方、ドレイン弁38は、化学浸漬工程(後に詳述する)の間は閉じ、あるいは、第1洗浄化学溶液を、流通ライン37を介してドレイン口39を通ってシステムから流出させる必要がある場合には、開くことができる。遠位側端部45に向かう上方への流れを得るために、戻りライン制御弁84は閉じることができ、これにより、第1洗浄化学溶液が戻り部43からバイオリアクタ20に通じる戻りライン61へ戻るのを防止できる。加えて、タンク制御弁83は、開くことができ、これにより、透過水を第1洗浄化学溶液源80’からの化学物質と共に膜フィルタ47に流入させることができる。
第2化学洗浄が求められるとき、透過水制御弁75は閉じ、逆洗制御弁78,及びタンク制御弁83は開かれる。しかし、第1洗浄化学溶液制御弁82’は閉じられて、第1洗浄化学溶液源80’と流通ライン74及び逆洗ポンプ77との間の液体連結が防止される。さらに、第1洗浄化学溶液注入ポンプ86’が駆動されるのではなく、第2洗浄化学溶液注入ポンプ86”が駆動される。一方、第2洗浄化学溶液制御弁82”は開かれて、第2洗浄化学溶液源80”,流通ライン74,及び逆洗ポンプ77間は液体連結される。次いで、逆洗ポンプ77及び第2洗浄化学溶液注入ポンプ86”は、第2洗浄化学溶液を第2洗浄化学溶液源80”から出口ライン71及び72へと、通常使用時とは逆向きに圧送する。第2洗浄化学溶液は、出口ライン71及び72から膜フィルタ47へ流れる。次いで、(第2洗浄化学溶液を含んだ)透過水が、近位側端部46に向かって下方へ流れ、あるいは、遠位側端部45に向かって上方へ流れることができる。近位側端部に向かう下方への流れに関しては、該流れは、拡散器41から流通ライン33へ流出する。第2化学洗浄工程の間は、循環弁34は第2洗浄化学溶液が循環ポンプ32へ戻されるのを防止するため、閉じる。一方、ドレイン弁38は、化学浸漬工程(後に詳述する)の間は閉じることが、あるいは、第2洗浄化学溶液を、流通ライン37を介してドレイン口39を通ってシステムから流出させる必要のある場合には、開くことができる。遠位側端部45に向かう上方への流れに関しては、戻りライン制御弁84は閉じることができ、これにより、第2洗浄化学溶液が戻り部43からバイオリアクタ20に通じる戻りライン61へ戻ることを防止できる。加えて、タンク制御弁83は、開くことができ、これにより、透過水を第2洗浄化学溶液源80’からの化学物質と共に膜フィルタ47に流入させることができる。
一実施形態では、第1及び第2洗浄を同時に発生させることができ、洗浄化学溶液制御弁82’及び,82”は共に、第1及び第2洗浄化学溶液注入ポンプ86’及び86”が駆動されて逆洗ポンプ77及び膜ろ過モジュール40への流れが生じている間は開いている。
図1のシステムの別の形態は、送気ライン52に連結された送風機51を含む。送気ライン52は、2つの異なる送気ライン、即ち、バイオリアクタ20への送気ライン53と、膜ろ過モジュール40への送気ライン54とに分岐させることができる。送気ライン53は、必要に応じてバイオリアクタ20の有機領域へ酸素源を供給する。
送気ライン54は、拡散器41を介して膜ろ過モジュール40に連結され、膜ろ過モジュール40に空気を導入する。供給液の送気ライン54への流入を防止するため、空気遮断弁55が送気ライン54に配設される。膜ろ過モジュール40への送気により空気揚程を生じて、膜ろ過モジュール40への層状堆積物及び付着物の量を減少することができる。送風機51は、コントローラ100の使用によって、連続的あるいは間欠的に空気を導くように構成できる。さらに、コントローラ100は、送風機51により送風され、膜ろ過モジュール40に運ばれる空気量を自動的に調整できるように構成してもよい。この調整運転は、コントローラに、1以上の膜運転パラメータ(膜ろ過モジュール40内側の圧力、膜の前後差圧、又は他の運転パラメータ等)を監視させ、かつ、1以上の制御弁(図示せず)を用いた所定の最適運転条件に応じた運転パラメータの値に基づき空気運搬量を調整させるという形態であってもよい。
一実施形態によれば、1以上の洗浄装置を送気ライン52,53及び54の少なくとも一つの洗浄用に任意で使用し、少なくとも一つの液体及び空気の流れによって前記送気ライン中のあらゆる微粒子ないし他の含有物を除去することも可能である。例えば、図1には、流通ライン57を介して送気ライン54と液体連結する洗浄装置56が示されている。洗浄装置56は、当業者に公知のものでよく、上記のような洗浄が必要とされるとき、流通ライン57を流れる空気又は液体の流れを、開かれた洗浄弁58を介して送気ライン54に送るようにすればよい。所望の送気ラインを介しての洗浄空気流又は液体流の流れを制御するため、一連の弁(図示せず)を送気ライン52,53及び54の少なくとも一つに連結することもできる。このように、洗浄空気又は液体の流れが、1以上の送気ラインに向かうようにしてもよい。洗浄空気又は液体の流れはまた、例えば、拡散器41,バイオリアクタ20及びドレイン口(図示せず)の少なくとも一つに流出するようにしてもよい。送気ラインの洗浄が必要とされないときは、洗浄弁58を閉じて、流通ライン57を介して生じると洗浄装置56との間の流れを防ぐことができる。
本システムの別の形態はコントローラ100であり、該コントローラ100は、1以上の循環ポンプ32と、循環弁34と、ドレイン弁38と、透過水制御弁75と、逆洗制御弁78と、逆洗ポンプ77と、タンク制御弁83と、洗浄化学溶液制御弁82’及び82”と、洗浄化学溶液注入ポンプ86’及び86”と、戻りライン制御弁84と、そして送風機51とを制御することによって、システム全体の流体の流れを制御するため使用される。例えば、コントローラ100は、本処理システム10の運転方法を実施するのに必要な全てのソフトウエア及びハードウエアを含むことができる。コントローラ100はまた、1以上のサブコントローラ101を含むことができる。各サブコントローラ101は、1以上の膜ろ過モジュールが使用されるとき、これら各膜ろ過モジュール40を監視し、かつ、制御するため使用することができる。さらに、コントローラ100は、共通のコントローラ102を含むことができ、該コントローラ102は、洗浄化学溶液注入ポンプなど、システムの共通源を制御することができる。自動モードでは、共通コントローラ102は、各サブコントローラ101の運転を制御できる。サブコントローラは、共通コントローラ102によって与えられたフラックス又はろ過速度、そしてろ過時間に基づいてろ過及び逆流洗浄を実施することができる。サブコントローラは、逆流洗浄が必要とされるとき、ろ過ルーチンを実行し、共通コントローラ102へシグナルを送る。共通コントローラは、全体システムを通して逆流洗浄を制御し、順序を決める。
本発明の一実施形態では、コントローラ100は1以上の以下の方法ステップを実施するため使用される。すなわち1以上の膜ろ過モジュール40の近位側端部に対する供給液の導入を中断することと、1以上の膜ろ過モジュール40に存在する前記供給液の少なくとも一部を、前記複数の膜フィルタの一側に堆積されてしまった残滓の少なくとも一部と共に膜ろ過モジュール40から排出させることと、前記透過水の少なくとも一部を複数の膜フィルタの他側から一側の外側へ流出させ、あるいは、複数の膜フィルタの一側から他側の外側へ流出させることによって、複数の膜フィルタを洗い流すことと、第1洗浄化学溶液を1以上の膜ろ過モジュールに導くことと、第2洗浄化学溶液を1以上の膜ろ過モジュールに導くことと、そして1以上の膜ろ過モジュール40の近位側端部46へ供給液の導入を再開することである。
図4は、コントローラ100内にプログラムされ、かつ、コントローラ100によって制御される膜バイオリアクタ廃水処理システムを運転するための各種運転モード及びシステムを示すフローチャートである。これらのモードは、「OFF」モード300と、「ろ過」モード400と、「スタンバイ」モード500と、「逆洗」モード600と、「ストップ」モード700と、「排出−洗い流し」モード800と、「CEC1」モード900と、「CEC2」モード1000と、「保存」モード1100と、「保存排出」モード1200とそして、「禁止」モード1300と、を含む。これら各モードは、以下で説明する。
「OFF」モード300
「OFF」モード300は、省略時運転モードであり、本システムが運転不能となったときに生じる。全ての弁は閉ざされ、そして全ての装置は非駆動とされる。また、「OFF」モード300は、省略時プログラム状態で、かつ、危険警告中のフェールセーフ運転モードであり、ここではコントローラ100によるか、あるいは運転者によって手動で起動できる。さらに、適正な洗浄又は保存をしないで、本システムを連続した期間、「OFF」モード300にしておかないように注意すべきである。かかる事態を生じたときは、運転者に警報を与えることができる。
「ろ過」モード400
前記「OFF」モード300(又は後述する「逆洗」モード600)から、本システムは「ろ過」モード400へ移行することができるが、ここでは、貯蔵タンク90に集められる処理済の廃水(即ち透過水)が製造される。「ろ過」モードはコントローラ100によって制御され、一度開始されると、本システムは運転者又は警報により停止されるまで自動的に運転され続ける。
図5は、本発明の一実施形態に係る「ろ過」モード400のステップを示すフローチャートである。該モードは、ステップ402で開始され、送風機51が始動し、かつ、空気遮断弁55及び戻りライン制御弁84が開かれて空気の送風が開始される。確実に送風機51が運転速度及び圧力に達し、また送気ライン54から流体が全て排除されるように、短いタイムラグが与えられる。
次のステップ404は、供給液の流通開始ステップである。該ステップでは、循環ポンプ32(コントローラ100によって制御される)が起動され、処理済廃水(供給液)は流通ライン33に流入し、開かれた循環弁34を通って拡散器41に至る。ドレイン弁38,透過水制御弁75,及び逆洗制御弁78は全て閉じられ、これにより、供給液流は、膜ろ過モジュール40のみへ流れ、戻りライン61及び開かれた戻りライン制御弁84を通って、バイオリアクタ20へ戻される。
再度、別の短いタイムディレイが与えられて、2相の流れが確実に本システム全体に行き渡るようにする。ろ過はステップ406で開始され、透過水制御弁75が前記タイムディレイの後で開かれる。2相の流れは、膜ろ過モジュール40全長を流れ、この結果、廃水が膜フィルタ47の膜壁を通り抜け、その間に生物学的固形物は、膜表面に集積される。送気ライン54を介して導入された空気により生じた気泡は、膜フィルタの表面を洗浄して、システムの性能を維持する。ろ過は、ある固定時間実施されるが、これは、通常、例えば5分から15分の範囲に設定され、運転者によりコントローラ100を介して調整可能である。
「ろ過」モードは、本来コントローラ100を介して制御でき、そこで、ろ過速度及びろ過時間をバイオリアクタ20内の供給液レベルに基づいて設定できる。代替としては、運転者がコントローラ100上でろ過速度及びろ過時間を直接設定することにより、システムを手動で運転することができる。この状態では、コントローラ100のディスプレイは、「手動優先」を表示した状態となる。
ろ過は、固定時間実施できる。ろ過の終了時に、本システムは、自動的に「逆洗」モード600(後述する)を実施することができる。この自動的な逆洗サイクルは、コントローラ100によって統合される。また代替として、運転者は、いつでもコントローラにより「逆洗」モードを手動で呼び出してもよい。さらにまた、運転者はまた、停止コマンドを出すことにより、即ち、「ストップ」モード700(後述する)を立ち上げることによって、「ろ過」モードを終了させるようにしてもよい。
ろ過中は、膜前後差圧(膜通過圧又はTMPとして既知)が、定常的にモニターされ、記録される。前記TMPは、膜を横切るように透過水を押し出すのに必要な差力を指示する。付着ないし詰りが増大すると、TMPも増す。TMPは、拡散器41及び戻り部43の供給側圧力から出口ライン71,72の圧力を差し引いた圧力を平均化して算出される。正常なTMPは、0.2〜4psiの範囲とすることができる。上限許容TMPは、システムの供給圧を制限する。もしも上限許容TMPを超えると、システムはトリガされて、システムが自動的に逆流洗浄されるという、即ち、「逆洗」モード600が立ち上げられるという警報を含む。これらの事態が連続して生じる場合、コントローラ100は、自動的に「排出−洗い流し」モード800をトリガする。
TMPのモニターに際し、コントローラ100は、長期間システム性能をモニターするためのろ過中に、1分間の運転での平均TMP(以下、平均TMPという)を記録することができる。このパラメータは、ろ過サイクル毎にリセットすることができる。前記モニターは、平均TMPを運転者が設定した限界値と比較することによって実施できる。平均TMPが低すぎる場合は、「ローTMP」警報がトリガされて、本システムは自動的に排出−洗い流し工程、即ち、「排出−洗い流し」モード800を実施できる。平均TMPが高すぎる場合は、化学洗浄が求められて、「洗浄要求」警報をトリガすることができる。異なる運転時間平均値が1分間運転平均値の代わりに使用できることに留意すべきである。
平均TMPのモニタリングに加え、コントローラ100はまた、適正な循環流の確保と膜ろ過モジュール入口における破片の堆積防止のため、拡散器41での高圧及び低圧をモニターすることもできる。拡散器41での供給圧が適正範囲から外れた場合は、警報状態が自動的にトリガされて、「排出−洗い流し」モード800を開始することができる。
表1は、ろ過工程用の例示的運転パラメータの例のリストを示すが、他のパラメータを使用することもできる。

Figure 2010516458


「スタンバイ」モード500
バイオリアクタのレベルが所定の下限値を下回るときは、「スタンバイ」モード500に入る。このようにして、システムはオフラインに維持できる。即ち、透過水は生成されず、供給準備状態となる。
システムの不要な循環を防止するため、1〜20分等の調整可能なディレイを設定できる。「スタンバイ」モードが指令されると、「スタンバイ」モードに入る前に、まず、現在の「ろ過」モードが終了する。運転者は、コントローラ100から「スタンバイ」モードを手動で設定してもよい。この「スタンバイ」作動は、バイオリアクタのレベルが所定の下限値を上回ったときに終了させることができる。
「スタンバイ」モード500中は、コントローラは供給液の循環及び送風を維持する一方、透過水の生成は停止され、こうして、ろ過速度はゼロに設定される。したがって、循環ポンプ32と送風機51は運転され続け、循環弁34,空気遮断弁55,及び戻りライン制御弁84は開かれ、そして、透過水制御弁75及び逆洗制御弁78は閉じられる。
「スタンバイ」モード中に、システム全体に供給液を循環し、かつ、送風することにより、たとえ出口ライン71及び72を介しての透過水の流れが(透過水制御弁75を閉じることによって)停止しているときでも、固形物が膜表面に堆積するのを確実に回避できる。その結果、全ての警報及び「ろ過」モードからの他の工程状況が、表2に示すように維持される。


Figure 2010516458
膜ろ過モジュール40は、バイオリアクタ20の液位に基づいて(即ち、該バイオリアクタの液位は、許容レベルまで増大)コントローラ100により自動的に、又は、運転者によりコントローラ100を介して手動操作で、供給再開に戻されてもよい。この場合、逆流洗浄(下記「逆洗」モードを参照)は、膜ろ過モジュール40毎に、それぞれ供給再開に戻される前に実施され、そして、ろ過タイマーがゼロにリセットされる。
「逆洗」モード600
「逆洗」モード600は、システム性能を維持するため、各ろ過サイクル(「ろ過」モード400)毎の終了時に実施される。このモードは、膜表面に堆積した生物学的固形物を、膜を通過する透過水の流れを逆向きにすることによって物理的に除去する。さらに、逆流洗浄はまた、膜ろ過モジュール40が「スタンバイ」モードであった場合にも実施される。
コントローラ100は、運転中の全ての膜ろ過モジュール40に対して必要な逆流洗浄間隔の調整及び維持を行う。前記シーケンスには供給流の循環及び送風が要求されるため、「逆洗」モード600は、「ろ過」モード又は「スタンバイ」モードのみから、入ることができる。
図6は、本発明の実施形態に応じた「逆洗」モード600の工程を示すフローチャートである。図示しないが、送風機51から送気ライン54を経由して膜ろ過モジュール40を全体を流れる送風流は、「逆洗」モード600の間、膜ろ過モジュール40に堆積した残滓(固形物等)を除去するための精錬工程を促進することが可能である。
「逆洗」モード600は、必要な際には、ステップ602において透過水制御弁75を閉じ、透過水の流れを停止させることによって始動する。さらに、循環弁34が閉じられ、循環ポンプ32が停止される。一実施形態では、ステップ604において戻りライン制御弁84を閉じ、ドレイン弁38を開くことができ、その結果、逆洗流は、出口ライン72,71のみに流入し、拡散器41,流通ライン33,流通ライン37,及びドレイン弁38を通って、ドレイン口39へと流入する。別の実施例では、ステップ604において戻りライン制御弁84を開き、ドレイン弁38は閉じることができ、その結果、逆洗流は、出口ライン72,71のみに流入し、前記戻り部42,戻りライン61,及び戻りライン制御弁84を通って、バイオリアクタ20へと流入する。さらに別の実施形態では、ステップ604において戻りライン制御弁84及びドレイン弁38を共に開くことができ、その結果、逆洗流は、バイオリアクタ20及びドレイン口39の両方へと流動する。
透過水制御弁75及び循環弁34が閉じた後、ステップ606において、逆洗制御弁78もまた閉じられ、そして逆洗ポンプ77はポンプ駆動を開始する。一実施形態では、逆流洗浄装置が、複数の逆洗ポンプ77を含むようにしてもよい。例えば、システムを逆洗ポンプ77として使用される3個のポンプを含んで構成してもよい。その場合、2個のポンプは、それぞれ50%ずつの逆洗流を圧送する一方、第3のポンプをスタンバイさせておくことができる。このように、この実施形態では、逆流洗浄開始時、3個の使用可能な逆洗ポンプ77のうちの2個が起動される。別の実施形態では、逆洗ポンプ77,1つで十分であり、「逆洗」モードの開始に際しては、該1個の逆洗ポンプ77が起動される。
逆洗流源は、貯蔵タンク90に貯蔵された透過水である。逆洗ポンプ77の起動時、タンク制御弁83は開かれ、貯蔵タンク90からの透過水は逆洗ポンプ77と液体連結する。洗浄化学溶液制御弁82’及び82”は閉ざされたままで(「ろ過」モード400の場合と同様に)、その結果、流通ライン79を流れる透過水は洗浄化学溶液源80’及び80”から遮断される。ひとたび逆洗ポンプ77のうちの1つが起動されると、複数の逆洗ポンプ77は、その後僅かの時間差で運転を開始し、その結果、運転速度及び圧力は全開に達する。それまで閉じられていた逆洗制御弁78が今度はステップ608において開かれ、所定時間の流れが生じる。透過水制御弁75は閉じているので、流通ライン73への流入は生じないことに留意すべきである。
上述したように、逆洗工程は、貯蔵タンク90からの透過水が逆洗ポンプ77によりポンプ輸送されて出口ライン71及び72に流入し、その後膜ろ過モジュール40内をろ過流(即ち通常使用モード)とは逆方向に流入するように実施される。膜フィルタ47への透過水の急激な流入によって膜に堆積した詰りが除去され、このようにしてフィルタ47の詰りが除去される。逆流洗浄は、それから、拡散器41を通って流出し、最終的にドレイン口39、あるいは、出口の少なくとも一方に戻り部43を通って到達し、最終的にバイオリアクタ20に至る。代表的な運転パラメータの一例が、下記の表3に示されてはいるが、これらパラメータは、所望の運転効率又は所望の出力に基づいて変更可能である。


Figure 2010516458


逆流洗浄は、許容不能TMP状態、又は「ろ過」モード用時限の終了に基づいて自動的に開始することができる。逆流洗浄を自動的に開始させる場合、全長の最も長い膜ろ過モジュール40(図12に示されるもの以外にモジュールがある場合)を、初めに洗浄することになる。このような場合は、コントローラは、シーケンス途中の全ての膜ろ過モジュール40(現在の運転時間に関わらず)を逆流洗浄して、これによりシステム全体の逆流洗浄シーケンスを効果的にリセットし、装置を効率よく運転できるように構成できる。逆流洗浄が1個の膜ろ過モジュール40(1個以上ある場合)の許容不能TMP状態に基づく場合は、逆流洗浄は、該許容不能TMP状態となっている特定の膜ろ過モジュール40に対して行われ、該特定の膜ろ過モジュール40のろ過時間を休止させる。この場合は、コントローラは、残る膜ろ過モジュール40の逆流洗浄を実施する必要はない。
逆流洗浄中、作動圧は重要な因子であり、引き続き監視される。システムは、「逆洗」モード時は負のTMPを示すが、これは、膜ろ過モジュール40を通る流れが逆向きとなる、すなわち、圧力が膜ろ過モジュール40の透過水側(出口ライン71及び72)で最大となるからである。「逆洗」モード中の最大許容TMPは、膜が永久的損傷を被らなくて済む値を設定することが可能である。例えば、一実施形態では、最大許容TMPを14.7psiとすることができる。この場合、最大許容TMPを超えると警報を発し、それによってシステムを中断させ(即ち、「OFF」モード300が立ち上げられる)、かつ、運転者に対し、警報状態を報せることができる。
逆流洗浄が完了すると、逆洗ポンプ77は停止され、逆洗制御弁78,ドレイン弁38,タンク制御弁83,及び戻りライン制御弁84は閉じられる。こうして、図5に示される「ろ過」モード400が再開される。
「停止」モード700
「停止」モード700は、膜ろ過モジュール40用の停止シーケンスを作動させ、かつ、膜ろ過モジュール40が「OFF」モードに入る方法である。したがって、全ての制御弁は閉じ、全てのポンプ及び送風機は停止する。「停止」モードは、膜ろ過モジュールが供給再開前にメンテナンスを行うための短い時間、運転者に流体供給を停止させるため設けられる。一実施形態では、膜ろ過モジュール40は、洗い流し処理の開始前は、所定時間、例えば5〜10分を超えて停止すべきではない。例えば、コントローラは、膜ろ過モジュール40が5分より長く動作停止した場合には警報を発することができ、10分後に「排出−洗い流し」モード800が実施される。この警報は、運転者によって手動で解除されるまで維持される。
「停止」モードは、図4に示すように、「ろ過」,「スタンバイ」,又は「逆洗」モードから立ち上げることができる。「逆洗」モード中に「停止」モードが立ち上げられた場合、前記特定の膜ろ過モジュール40に対し、停止前に逆流洗浄を完了させる。さらに、選択された一般的な警報状態中に、「停止」モードを指令することもできる。これらの状態は、以下の透過水タンクの低レベル警報,循環ポンプの異常警報,送風機の異常警報,及び洗浄化学溶液の低レベル警報のうちの1以上の状態を含む。一旦、「停止」モードになると、透過水の流れは、透過水制御弁75を閉じ(まだ閉じていない場合)、循環ポンプ32を停止し(まだ停止していない場合)、及び循環制御弁34を閉じる(まだ閉じていない場合)ことによって停止する。送風機51は、空気遮断弁55を閉じ、かつ、該送風機51を停止する前に、短時間運転させることができる。
「排出−洗い流し」モード800
「排出−洗い流し」モード800は、膜ろ過モジュール40から堆積した固形物を除去するため実施される。このモードは、コントローラ100により設定された時間毎に自動的に実施されるか、選択された警報条件のもと(高TMP又は低TMP)で実施されるか,または、運転者により手動で起動されてよい。自動的に実施される場合、コントローラは、例えば1時間に1回から6時間に1回など、所定の間隔でモードを開始できる。「排出−洗い流し」は、膜ろ過モジュール40が「OFF」モード300又は「停止」モード700にあるときか、あるいは、これらを終了した後にのみ実施される。これは膜ろ過モジュール40内の全ての流体がシーケンス中に排出されるためである。図7は、本発明の一実施形態に係る「排出−洗い流し」モード800のステップを示すフローチャートである。
このように、「排出−洗い流し」モード800の開始時点では、循環ポンプ32は作動しておらず循環弁34が閉じている。同様に、逆洗ポンプ77と洗浄化学溶液注入ポンプ86’及び86”がOFFになっており、また、制御弁75,82’,及び82”は閉じている。ドレイン弁38はステップ802で開かれ、膜ろ過モジュール40は所定の時間ドレイン口39より排出可能である。一実施形態では、前記排出は重力によって生じる。任意で、膜ろ過モジュール上方に位置した通気孔に通じる専用の通気弁85を、戻りライン61に配設することができる(図1参照)。通気弁85は、「排出−洗い流し」モード800中に開かれる以外、他の全てのモードにある間は、閉じたままである。図7には示されないが、送風機51から送気ライン54を介して膜ろ過モジュール40全体を流れる空気流は、排出工程中は送風機51の停止、及び、空気遮断弁54の閉鎖の少なくとも一方により、流れを停止することができる。代替としては、排出工程時に除去用空気を供給するため、空気遮断弁54を開いた状態で送風機51を作動することができる。
重力による排出が完了すると、1以上の逆洗シーケンスが逆洗装置を使用して実施される。洗い流し工程は、膜の供給側から全ての物質を除去し、これらの物質は、システムから重力で排出される。洗い流し工程の開始時、即ち、膜ろ過モジュールの排出時には、透過水制御弁75,逆洗制御弁78,洗浄化学溶液制御弁82’及び82”,タンク制御弁83と、そして循環弁34は閉じ、循環ポンプ32は停止する。通気制御弁85及びドレイン弁38は、ステップ802では開いている。
ステップ802での排出工程後または該工程中にタンク制御弁83が開かれ、逆洗ポンプ77はステップ804で起動する。上述したように、逆洗装置は、運転パラメータに従って複数の逆洗ポンプ77を含んでもよく、含まなくてもよい。ポンプ77が起動し、タンク制御弁83が開かれると、貯蔵タンク90からの透過水は逆洗ポンプ77に液体連結する。逆洗ポンプ77が起動されるや、該ポンプは、運転速度及び圧力が最大限に達するように短時間遅れて運転される。逆洗制御弁78(閉じられていた)が今度はステップ806で開かれ、所定時間の洗い流し流を生じさせる。図7には示されないが、ステップ806での洗い流し工程中、送風機51を起動し、空気遮断弁55を開くことによって、送風機51から送気ライン54を介して膜ろ過モジュール40全体を流れる空気流を、流すこともできる。代替としては、洗い流し工程中、送風機51の停止、及び空気遮断弁55の閉鎖の少なくとも一方により、前記空気流を止めておくことができる。
上述したように、逆洗工程又は洗い流し工程では、貯蔵タンク90からの透過水が逆洗ポンプ77によって、ろ過(即ち、通常の使用モード)とは逆向きに、出口ライン71及び72にポンプ輸送され、さらに、膜ろ過モジュール40に輸送される。この洗い流しは、供給液の少なくとも一部を排出させている時またはその後に行うことができる。この膜フィルタ47への透過水の急激な流入は、膜に堆積された詰りを除去し、このようにして、フィルタ47の詰りを除去する。洗い流し工程で使用できる透過水の有効量は、必要に応じて変えることができる。例えば、洗い流し工程での透過水の有効量を、膜ろ過モジュール40の総体積の約0.05倍から約10倍の範囲とすることができる。「逆洗」モード600の場合と同様に、戻りライン制御弁84を閉じ、かつ、ドレイン弁38を開いて洗い流し流をドレイン口39に流入させるか、あるいは、戻りライン制御弁84を開き、かつ、ドレイン弁38を閉じてバイオリアクタ20に流入させるかの、少なくとも一方とすることができる。
代表的な運転パラメータの一例を、下記の表4に示すが、これらパラメータは、望ましい運転効率や望ましい出力に基づいて変更可能である。これ以外の運転パラメータについては、表3の「逆洗」モードと同様にすることができる。


Figure 2010516458


コントローラ100は、「排出−洗い流し」モードが開始されると「禁止」モードが指令されない限り、該モードを完了まで遂行させる。「排出−洗い流し」モードを完了すると、「OFF」モード300,「CEC1」モード900,「CEC2」モード1000,又は「保存」モード1100となるまで、「ろ過」モードが実行される。
「CEC1」モード900及び「CEC2」モード1000
定期的に、膜ろ過モジュールは、膜表面に吸着又は吸収された付着物を化学的に洗浄除去する必要がある。洗浄は、規則的な時間間隔(コントローラ100で監視される)で実施されるか、又は、システム性能がある運転限界に達したときに実施される。例えば、洗浄を、30日から6ヶ月の定期的間隔で実施することができる。「CEC1」モード及び「CEC2」モードは、化学洗浄工程を簡易化し、自動化するため別々のルーチンとすることができる。運転者は、前記工程用の洗浄化学溶液の準備及び「CEC1/CEC2」モードの起動を要求される。一旦、起動されると、運転者の介入無しで「CEC1/CEC2」モードの全てが実行される。
通常の適用例では、2つの連続的な洗浄が実施されるが、ここでは「CEC1」モードが弱次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用して実施され、次いで、クエン酸溶液を使用して「CEC2」モードが実施される。この2ステップの洗浄により、有機物質及び無機物質が膜から確実に除去される。
しかし、洗浄工程の別の実施形態もまた考えられる。例えば、第1及び第2の洗浄溶液は、次亜塩素酸ナトリウム溶液及びクエン酸溶液に限定されない。第1及び第2の洗浄溶液は、次亜塩素酸塩,酸,腐食剤,界面活性剤,又は、これらの任意の組み合わせを含んで構成可能である。
別の実施形態では、1つの化学的洗浄モード(CEC1)だけが、第2の化学的洗浄モード(CEC2)無しで、使用される。この場合、図10に示すように、流通ライン81に連結された1個の第1洗浄化学溶液源80,1個の洗浄化学溶液制御弁82,及び1個の洗浄化学溶液注入ポンプ86が必要とされる。
図8は、本発明の実施形態に係る「CEC1」モード900及び「CEC2」モード1000のステップを示すフローチャートである。「CEC1」モード及び「CEC2」モードの少なくとも一方は、化学反応の効果を最大限高め、かつ、膜ろ過モジュール40から使用された化学溶液を適正に排出するため、「排出−洗い流し」モードを自動的に用いることができる。このように、「CEC1」モードは、自動的に「排出−洗い流し」モード800を開始することができる。「排出−洗い流し」モード800が完了すると、ステップ902に示すように、膜ろ過モジュール40は全ての弁(循環弁32,戻りライン制御弁84,ドレイン弁38,透過水制御弁75,逆洗制御弁78,そして洗浄化学溶液制御弁82’及び82”)を閉じることによって完全に遮断される。さらに、「CEC1」モード及び「CEC2」モードは、必要な場合には、「ろ過」モード400(高TMPの場合等)の後、又は、「逆洗」モード600の後、速やかに始動することができる。「CEC1」モード又は「CEC2」モード中、送気ライン54を経由する送風機51からの送風は、送風機51の運転を始動させないか、及び空気遮断弁55を閉じるかの少なくとも一方により、遮断することができる。
「CEC1」モードを開始するため、ステップ904では、逆洗制御弁78が開かれ、逆洗ポンプ77が起動され、そしてタンク制御弁83が開かれる。その結果、貯蔵タンク90から出た透過水は逆洗ポンプ77により逆洗制御弁78を介して膜ろ過モジュール40へと、通常流とは逆向きに流れる。上述したように、逆洗ポンプ77は1以上含んでよく、例えば3個のポンプを使用できる。この点からみて、逆洗ポンプ77の数は「CEC1」モード用に1以上としてよい。同時に、第1の洗浄化学溶液注入ポンプ86’が起動され、かつ、第1の洗浄化学溶液制御弁82’が開かれる。第1の洗浄化学溶液源80’からの洗浄化学溶液は、膜ろ過モジュール40を満たすために直接逆流洗浄流に設定された時間注入される。設定時間の経過後、ステップ906で、洗浄化学溶液注入ポンプ86’は駆動停止され、第1の洗浄化学溶液制御弁82’は閉じる。透過水は、ステップ906(逆流洗浄流注入後CECステップとして既知)中は、洗浄化学溶液の注入完了後も僅かな時間、逆洗配管、例えば、出口ライン71及び流通ライン74,及び79から膜ろ過モジュール40に至るまで、第1の洗浄化学溶液を洗い流し続けさせる。この後、ステップ908で、逆洗ポンプ77は停止し、逆洗制御弁78は閉じられる。
膜ろ過モジュール40は、ステップ908(CEC化学的浸漬ステップとして知られる)で所定期間浸漬することができ、この浸漬時間は運転者により設定されるか、又は、コントローラ100により設定される。浸漬時間が終わると、膜ろ過モジュール40からの第1の洗浄化学溶液を洗い流す、別の逆流洗浄ステップ(CEC逆流洗浄ステップとして既知)を実施することもできる。こうして、逆洗ポンプ77が駆動され、逆洗制御弁78及びタンク制御弁83が開かれて、これにより、透過水が逆洗ポンプ77と液体連結する。一方、ドレイン弁38を開いて、これにより、第1の洗浄化学溶液を膜ろ過モジュール40から流出し、拡散器41を介して、流通ライン33及びドレイン弁38へ至りそして、ドレイン口39から排出される。
「CEC1」モードの後に、「CEC2」モードが始動し、ステップ910での洗い流しの後、ステップ1002において、ドレイン弁38は閉じられ、逆洗制御弁78は開いた状態のままである。同様に、逆洗ポンプ77の駆動を維持し、タンク制御弁83も開いた状態を維持する。この結果、透過水は、依然として通常の流れとは逆方向に、貯蔵タンク90から逆洗ポンプ77によって、逆洗制御弁78を通り、そして膜ろ過モジュール40へと流れることができる。ステップ1004で、第2の洗浄化学溶液注入ポンプ86”が起動し、第2の洗浄化学溶液制御弁82”が開く。第2の洗浄化学溶液源80”からの洗浄化学溶液は、膜ろ過モジュール40を満たすように直接逆洗流に設定された時間注入される。設定時間の経過後、ステップ1006で、洗浄化学溶液注入ポンプ86”は駆動停止され、第2の洗浄化学溶液制御弁82”は閉じる。透過水は、洗浄化学溶液の注入完了後も短い間は、逆流洗浄配管、すなわち、出口ライン71及び流通ライン74,及び79から膜ろ過モジュール40に至るまで、第1の洗浄化学溶液を洗い流し続けさせる。この後、ステップ1008において、逆洗ポンプ77は停止し、逆洗制御弁78及びタンク制御弁83は閉じられる。
膜ろ過モジュール40を、ステップ1008(CEC化学的浸漬ステップ)の間、一定期間浸漬することができ、この浸漬時間は運転者により設定されるか、又は、コントローラ100により設定される。浸漬時間の終わりに、ステップ1010で膜ろ過モジュール40から第2の洗浄化学溶液を洗い流す、別の逆洗ステップ(CEC逆洗ステップ)を実施することもできる。この場合は、逆洗ポンプ77が駆動し、逆洗制御弁78及びタンク制御弁83が開いて、これにより、透過水が逆洗ポンプ77と液体連結する。一方、第1の洗浄化学溶液が膜ろ過モジュール40から流出し、拡散器41を介して、流通ライン33及びドレイン弁38に至り、そしてドレイン口39から排出するように、ドレイン弁38を開くことができる。逆流洗浄又は洗い流しステップ1010が実施された後、ステップ1012で、全てのポンプは停止され、全ての制御弁は閉じられる。
代替の実施形態では、「CEC1」モードと「CEC2」モードとを同時に実施することもできる。さらに別の実施形態では、洗浄サイクルの間には、「CEC1」モードと「CEC2」モードとのいずれか一方のみの運転が必要である。
「CEC1」及び「CEC2」モード運転での代表的な運転パラメータの例を下記の表5に示す。他のモードで与えられる運転パラメータと同様、これらのパラメータは例示に過ぎず、システムの望ましい運転効率や望ましい出力に基づいて変更しうる。


Figure 2010516458

別の実施形態では、任意の排出ステップを「CEC1」及び「CEC2」モード用のCEC逆流洗浄流ステップの後(即ち、ステップ910又はステップ1010の後)に開始することができる。この任意の排出ステップ(CEC排出ステップとして知られる)は、ドレイン弁38及び任意の通気弁85を除く全ての弁(制御弁34,75,78,82’,82”,及び84)が閉じ、かつ、全てのポンプが停止しているときに実施することができる。このようにして、膜ろ過モジュール40は重力による排出が可能であり、これにより、「CEC1」又は「CEC2」モードで残留している全ての洗浄化学溶液は、膜ろ過モジュール40から拡散器41を経てライン37に至り、ドレイン口39から排出することができる。この任意のCEC排出ステップは、ドレイン弁38(及び装着可能であれば通気弁85)がステップ1012で閉じる前に約1秒〜15秒間実施することができ、その後、「OFF」モード300が開始され、これにより、「ろ過」モード400へと導かれる。
「保存」モード1100
定期的に1個以上の膜ろ過モジュール40は、時間を延長して、供給を止めておくようにしてもよい。この間、膜ろ過モジュールは、洗浄され損傷から保護、保存されるべきである。「保存」モード1100は、この工程を完了する半自動的な手段を運転者に提供する。該「保存」モード1100は、運転者による開始が可能である。図9は、「保存」モード1100及び「保存排出」モード1200のステップを示すフローチャートである。「保存」モード1100及び「保存排出」モード1200の間、送風機51から発して送気ライン54を介する空気流は、送風機51を始動させないか、空気遮断弁55を閉じるかの少なくとも一方により、その流れを停止することができる。
運転者が「保存」モード1100を開始した後、上述のように「排出−洗い流し」モード800において、規則的に排出−洗い流しシーケンスが実施され、これによって膜ろ過モジュール40から全ての物質が除去される。膜ろ過モジュール40は、(供給液の)供給を遮断することができ(図12に示すように1以上の膜ろ過モジュールがある場合)、保存化学溶液が逆洗システム、即ち、逆洗ポンプ77及び逆洗制御弁78を介して、CEC1又は「CEC2」モードの場合と同様、機能的に導かれる。換言すれば、「保存」モードにおいては、浸漬時間が不定であるということを除いては、「CEC1」又は「CEC2」モードと同様に運転される。
図1は、システム10の実施形態を示し、該システムには、保存化学物質源120を保存化学物質注入ポンプ123に連結する流通ライン121を伴った保存化学物質源120を有する。流通ライン124は保存化学物質注入ポンプ123を流通ライン79に連結させることができ、保存化学物質制御弁122を含んで構成できる。保存化学物質溶液は、二硫化ナトリウム及びメタ重亜硫酸塩ナトリウムの少なくとも一方の1%重量比溶液など、適切な溶液であればどのような溶液でもよい。
「保存」モード1100を運転するため、まず、「排出−洗い流し」モード800が実施される。「排出−洗い流し」モード800がひとたび完了すると、ステップ1102に示すように、膜ろ過モジュール40を、全ての弁(循環弁32,戻りライン制御弁84,ドレイン弁38,透過水制御弁75,逆洗制御弁78,洗浄化学溶液制御弁82’及び82”,そして保存化学物質制御弁122)を閉じることによって、完全に遮断することができる。
次に、ステップ1104において、逆洗制御弁78が開き、逆洗ポンプ77が起動し、そしてタンク制御弁83が開く。その結果、貯蔵タンク90からの透過水は逆洗ポンプ77によって、逆洗制御弁78を通り膜ろ過モジュール40へと、通常流とは逆向きに流れる。上述したように、逆洗ポンプ77は1以上のポンプを含んでよく、例えば3個のポンプを使用できる。この点から、逆洗ポンプ77の数は「保存」モード用に1以上としてよい。同時に、保存化学物質注入ポンプ123が起動され、かつ、保存化学溶液制御弁122が開かれる。保存化学物質源120からの保存化学物質は、膜ろ過モジュール40を満たすために直接逆洗流に設定された時間注入される。設定時間経過後、ステップ1106で、保存化学物質注入ポンプ123は駆動停止され、保存化学溶液制御弁122は閉じられる。
透過水は、ステップ1106中に保存化学物質の注入完了後(逆洗流注入後保存ステップとして既知)も短時間は、逆流洗浄配管、例えば、出口ライン71と、流通ライン74,及び79から膜ろ過モジュール40に至るまで、第1の洗浄化学溶液を洗い流し続ける。この後、ステップ1108で、逆洗ポンプ77は停止され、逆洗制御弁78は閉じられる。
膜ろ過モジュール40は、ステップ1108(保存化学浸漬ステップとして既知)で所定期間浸漬することができる。浸漬時間を変えることができるが、しかし長期貯蔵の場合は、約30〜90日後に、システムは再保存されるべきである。即ち、ステップ1110でドレイン弁38を開き、ステップ1102に戻ることによって膜ろ過モジュール40が新たな保存化学物質で満たされるべきである。「保存」モード運転の代表的な運転パラメータの例を下記の表6に示す。他のモードで与えられる運転パラメータと同様、これらのパラメータは例示に過ぎず、所望の運転効率や所望の出力に基づいて変更しうる。


Figure 2010516458

別の実施形態では、保存化学物質源120,流通ライン121,保存化学物質注入ポンプ123,及び流通ライン124を除き、保存化学溶液を、注入ポンプ86’及び制御弁82’によってシステムへの導入が促進される第1化学物質源80’か、または、対応する注入ポンプ86”及び制御弁82”によってシステムへの導入が促進される第2化学物質源80”かのいずれかに、設置することができる。
運転者によって、膜ろ過モジュール40を「保存」モード1100にした後、供給に戻すことが決定されると、「保存排出」モード1200が以下のように開始される。
「保存排出」モード1200
浸漬時間の終了時に、排出ステップ1112(CEC排出ステップとして既知)が実施可能となり、ここで、ドレイン弁38及び任意の通気弁85を除く全ての弁(制御弁34,75,78,82’,82”,及び84)が閉じ、かつ、全てのポンプが停止する。このようにして、膜ろ過モジュール40は重力による排出が可能となり、この結果「保存」モードで残留している全ての化学溶液が、膜ろ過モジュール40から拡散器41を出てライン37に至り、ドレイン口39から排出される。この「保存排出」ステップは、ドレイン弁38(及び装着可能であれば通気弁85)がステップ1114で閉じる前の約10秒〜60秒間実施することができる。保存排出モード1200から「OFF」モード300へと進み、そして「ろ過」モード400へと続く。
一実施形態では、ステップ1114の後に、「逆洗」モード600で詳述したような、逆洗を任意に実施することもできる。
「禁止」モード1300
「禁止」モードは、「非常停止」モードであり、非常時に全ての装置を速やかに停止させるため使用される。このモードは、コントローラ100の前部に配置されたマッシュルーム型スイッチなどの非常スイッチを押すことにより起動される。該「禁止」モードは、運転モード乃至他のいかなる状態に関わらず、速やかに全ての装置を停止させ、かつ、全ての弁を閉じる。「禁止」モードが起動されると、供給システム、即ち、「ろ過」モードに戻す前に「排出−洗い流し」モードが実施されることとなる。
上述した実施形態に加えて、システム10は、システムの種々の構成要素をチェックするため使用される様々な警報など、種々の別形態を含むこともできる。例えば、貯蔵タンク液面低下警報は、運転者に、貯蔵タンク90内の透過水が少なすぎること、又は、膜ろ過モジュール用の完全な逆洗1サイクルに必要な体積量を供給できないことを警報できる。循環ポンプ異常警報は、ポンプとの乾燥接触あるいは流量測定器(システム10が装備していた場合)からの信号の欠落によって、発生しうる。コントローラ100は、異常を来たしているポンプによって供給されている膜ろ過モジュール40が原因で、自動的に「停止」及び「排出−洗い流し」モードを指令する。送風機異常警報は、膜ろ過モジュール40への送風圧の減少によって発生しうる。逆洗ポンプ異常警報は、透過水ポンプとの乾燥接触又は、膜ろ過モジュール40からの透過水流量及び透過水圧力の少なくとも一方の減少によって発生できる。この場合、コントローラは、影響を受けた膜ろ過モジュールに対して停止及び「排出−洗い流し」モードを開始する。CEC化学物質レベル警報は、化学洗浄処理用の化学溶液が不足している場合に、第1及び第2洗浄化学溶液源にある化学物質レベルタンクスイッチによって発生し、これにより、CECモードの起動を防止できる。弁異常警報もまた、各種弁の異常を検出するために使用できる。
システム10の運転中、各種パラメータを監視及び演算の少なくとも一方を行うことができ、また、コントローラ100によって、連続的または所定の間隔で記憶できる。監視されたパラメータは、各種検出器からの各種信号によって決定される。監視されるパラメータには、供給液流量,供給液体積量,逆洗流量,逆洗体積量,第1洗浄化学溶液消費量,第2洗浄化学溶液消費量,透過水濁度,供給液圧力,及び透過水圧力が含まれる。演算される変数には、ろ過中のTMP圧力,逆洗中のTMP圧力,ろ過中の流束,逆洗中の流束,透水性,日間平均透水性,日間最大透水性,日間最小透水性,日間透水性変化率,週間透水性変化率,日間最大透水性変化率,日間最小透水性変化率,総ろ過時間,総透過水生成量,逆流洗浄回数,日間逆洗体積量,日間平均ろ過体積量,日間平均ろ過時間,「CEC1」モード実施回数,「CEC2」モード実施回数,及び日間純透過水生成量が含まれる。さらに、コントローラは、警報の発生(警報の種類,日時)及びあらゆる設定変更(変更の種類,日時,及び運転者番号など)を、監視及び記録することができる。
本発明が開示されれば、当業者は、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で他の実施形態及び変形態様であってもよいことを理解するであろう。例えば、図11は本発明の別の実施形態を示し、逆洗ポンプ77及び流通ライン74が出口ライン71及び72の代わりに拡散器41に至る入口ライン33に連結されている。この実施形態では、「逆洗」モード600,「排出−洗い流し」モード800,「CEC1」モード900,「CEC2」モード1000,及び「保存」モード1100中の流れは、「逆洗」及び「排出−洗い流し」モード中の透過水の流れ,「CEC1」及び「CEC2」モード用の透過水及び洗浄化学溶液、又は「保存」モード時の透過水及び保存化学溶液が「ろ過」モード時の供給液の方向に流れるのとは、異なって処理される。換言すれば、透過水は、拡散器41に流入し、膜ろ過モジュール40の残部を通り、かわって「ろ過」モード時と逆向きに、即ち、出口ライン71,72へ流れ込む。この流れは、次いで、膜ろ過モジュール40を流出して出口ライン71及び72を通ることができる。該流れはさらに、透過水制御弁75直前でTブランチ36’に至る。「逆洗」モード600,「排出−洗い流し」モード800,「CEC1」モード900,「CEC2」モード1000,及び「保存」モード1100時に、透過水制御弁75は閉じ、一方、ドレイン弁38はTブランチ36’に連通し、逆洗液,洗い流し液,洗浄化学溶液,及び保存化学溶液の少なくとも1つは、ドレイン口39乃至貯蔵タンク90に至る代わりに、ドレイン口39’に流れ込む。勿論、「排出−洗い流し」モード及び保存排出モードのドレインステップ中は、ドレイン弁38は開かれるが、「逆洗」モード600,「排出−洗い流し」モード800,「CEC1」モード900,「CEC2」モード1000,及び「保存」モード1100中のそれ以外ではドレイン弁38は閉じる。
本発明のさらに別の実施形態では、複数の膜ろ過モジュール40が、図12(1以上の送風機及びそれらに連結するエアラインは、明瞭化のため図では省略している)に示すように使用できる。この実施形態では、複数の透過水制御弁75,複数のドレイン弁38,複数の循環弁34,及び複数の逆洗制御弁78を使用して、「逆洗」モード又は「排出−洗い流し」モード等の特定の工程が求められるとき、該特定工程用の特定の膜ろ過モジュール40を遮断する一方で、他の膜ろ過モジュール40は運転、即ち、「ろ過」モードに維持することができる。
本発明の範疇及び技術思想の範囲内で他の実施形態及び変形態様であってもよい。したがって、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で当業者により本発明の開示から達成された全ての変形態様は、本発明のさらなる実施形態として含まれるものである。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載のとおりに定義されるものである。

Claims (26)

  1. 膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転方法であって、
    前記システムは、バイオリアクタと、1以上の膜ろ過モジュールとを含んで構成され、
    前記それぞれの膜ろ過モジュールは、
    近位側端部と遠位側端部を有し、
    複数の膜フィルタを収納しており、
    前記バイオリアクタに流入液が導入され、
    供給液が、前記バイオリアクタから取り出されて前記1以上の膜ろ過モジュールの
    前記近位側端部へと導かれ、
    前記供給液の大部分は前記1以上の膜ろ過モジュールの前記遠位側端部から回収されて前記バイオリアクタに戻され、
    前記供給液の少なくとも一部は、前記複数の膜フィルタの一方の側から他側へ通過して透過水を提供することが可能であり、
    前記方法は、
    前記1以上の膜ろ過モジュールの前記近位側端部へ前記供給液を導入することを中断すること、
    前記1以上の膜ろ過モジュール内にある前記供給液の少なくとも一部を、前記複数の膜フィルタの前記一側に堆積され得る残滓の少なくとも一部と共に、前記1以上の膜ろ過モジュールから排出させること、及び
    前記1以上の膜ろ過モジュールの近位側端部へ前記供給液を導入することを再開すること、
    を含んで構成される
    膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転方法。
  2. 前記供給液の前記導入は、入口弁を閉じることによって中断される請求項1に記載の膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転方法。
  3. 前記供給液の前記少なくとも一部は、重力の作用によって排出させられる請求項1に記載の膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転方法。
  4. 前記供給液の少なくとも一部は、ドレイン弁を開くことによって排出させられる請求項2に記載の膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転方法。
  5. 前記供給液の前記の再開に先立ち、前記透過水の少なくとも一部を前記複数の膜ろ過モジュールの前記他側から前記一側に流通させるか、又は、前記複数の膜ろ過モジュールの前記一側から前記他側に流通させることによって前記複数の膜ろ過モジュールを洗い流すステップをさらに含んで構成される請求項1に記載の膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転方法。
  6. 第1の化学溶液を前記1以上の膜ろ過モジュールへ導くステップをさらに含んで構成される請求項5に記載の膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転方法。
  7. 第2の化学溶液を前記1以上の膜ろ過モジュールへ導くステップをさらに含んで構成される請求項6に記載の膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転方法。
  8. 前記第1の化学溶液は、1以上の次亜塩素酸塩,酸,腐食剤,界面活性剤,又はこれらの任意の組み合わせで構成されている請求項6に記載の膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転方法。
  9. 前記第2の化学溶液は、1以上の次亜塩素酸塩,酸,腐食剤,界面活性剤,又はこれらの任意の組み合わせを含んで構成されている請求項7に記載の膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転方法。
  10. 前記供給液の導入は、前記膜バイオリアクタ廃水処理システムの6時間の連続運転毎に少なくとも1回中断される請求項1に記載の膜バイオリアクタ廃水処理システムの運転方法。
  11. 前記膜ろ過モジュールは、近位側端部と遠位側端部を有し、1以上のチューブ状膜フィルタを収容し、該フィルタを介して、供給液の大部分は、膜ろ過モジュールの近位側端部に流入して遠位側端部から流出し、少なくとも一部の供給液は、膜フィルタの一方の側を通り抜けて反対側へ流通し、透過水となる、膜ろ過モジュールの維持方法であって、
    供給液の流通を中断し、
    膜ろ過モジュールにある供給液の少なくとも一部を、そこから1以上のチューブ状膜フィルタの一側に堆積されうる残滓の少なくとも一部と共に排出させ、
    透過水の有効量を1以上のチューブ状膜フィルタの前記反対側から前記一方の側に流出させ、あるいは、複数の膜フィルタの前記一側から前記他側に流通させることによって、1以上のチューブ状膜フィルタを洗い流し、そして、
    供給液の流通を再開させる
    構成を含む方法。
  12. 透過水の有効量は、膜ろ過モジュールの総体積量の約0,05倍から約10倍の範囲である請求項11に記載の膜ろ過モジュールの維持方法。
  13. 前記洗い流すステップは、少なくとも一部の供給液の排出中又はその後に実行される請求項11に記載の膜ろ過モジュールの維持方法。
  14. 少なくとも一部の前記供給液は、1以上の膜フィルタの下方に配置されたドレイン弁を開き、同じく上方に配置されたベントを開くことによって、排出することができる請求項13に記載の膜ろ過モジュールの維持方法。
  15. 膜廃水ろ過システムであって、
    近位側端部と遠位側端部を有し、各ろ過モジュールが1以上のチューブ状膜フィルタを収容する1以上の膜ろ過モジュールと、
    少なくとも1つの供給液導入用入口と、
    1以上のチューブ状膜フィルタの下方に排出された少なくとも1つのドレイン口と、
    導入された供給液の大部分を回収するための少なくとも1つの第1出口と、
    透過水回収用の少なくとも1つの第2出口と、そして、
    (i)供給液の供給を中断し、(ii)1以上の膜ろ過モジュールにある供給液の少なくとも一部を、そこから排出させ、及び、(iii)少なくとも一部の回収された透過水を1以上のチューブ状膜フィルタに逆流して洗い流す、ように構成された少なくとも1つのコントローラと、を含んで構成される膜廃水ろ過システム。
  16. 供給液を前記少なくとも1つの入口に供給する第1ポンプと、該第1ポンプと液体連結する循環弁とをさらに含んで構成され、前記コントローラが循環弁を閉じて前記供給流の導入を中断する請求項15に記載の膜廃水ろ過システム。
  17. 前記第2出口と液体連結する第2ポンプと、前記少なくとも1つのドレイン口と液体連結するドレイン弁とをさらに含んで構成される請求項15に記載の膜廃水ろ過システム。
  18. 前記コントローラは、前記ドレイン弁が開のとき、前記第2ポンプを駆動するように構成される請求項17に記載の膜廃水ろ過システム。
  19. 前記コントローラは、前記第2ポンプを駆動する前に前記ドレイン弁を開とするように構成される請求項17に記載の膜廃水ろ過システム。
  20. 前記1以上の膜ろ過モジュールの前記近位側端部付近に空気を導く送風機をさらに含んで構成され、前記コントローラは前記ドレイン弁が開のとき前記送風機を駆動し、前記第2ポンプを運転し、あるいは、これらを組み合わせて制御するように構成される請求項17に記載の膜廃水ろ過システム。
  21. 化学溶液源と第2ポンプと液体連結する化学溶液制御弁をさらに含んで構成され、前記コントローラは前記化学溶液制御弁を開き、かつ、前記第2ポンプを駆動するように構成される請求項17に記載の膜廃水ろ過システム。
  22. 前記1以上の膜ろ過モジュールの前記近端部付近に空気を導く送風機をさらに含んで構成される請求項15に記載の膜廃水ろ過システム。
  23. 前記送風機は、空気を連続的に導くように構成される請求項22に記載の膜廃水ろ過システム。
  24. 前記送風機は、空気を間欠的に導くように構成される請求項22に記載の膜廃水ろ過システム。
  25. 前記送風機は、搬送装置を介して前記1以上の膜ろ過モジュールの前記近位側端部に連結され、該ろ過システムは、少なくとも1つの液及び空気の流れを伴って前記搬送装置を洗い流す洗浄装置をさらに含んで構成される請求項22に記載の膜廃水ろ過システム。
  26. 前記少なくとも1つのコントローラは、膜の運転パラメータの機能として送風機により送風される空気量を自動的に調整するように構成される請求項22に記載の膜廃水ろ過システム。
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