JP2010514106A - 電子顕微鏡及びデフォーカス偏差又は解像限界の測定方法 - Google Patents

電子顕微鏡及びデフォーカス偏差又は解像限界の測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010514106A
JP2010514106A JP2009541750A JP2009541750A JP2010514106A JP 2010514106 A JP2010514106 A JP 2010514106A JP 2009541750 A JP2009541750 A JP 2009541750A JP 2009541750 A JP2009541750 A JP 2009541750A JP 2010514106 A JP2010514106 A JP 2010514106A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron microscope
diffraction pattern
distribution
defocus
aberration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009541750A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010514106A5 (ja
JP5431169B2 (ja
Inventor
トゥスト・アンドレアス
バーテル・ユリ
Original Assignee
フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング filed Critical フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
Publication of JP2010514106A publication Critical patent/JP2010514106A/ja
Publication of JP2010514106A5 publication Critical patent/JP2010514106A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5431169B2 publication Critical patent/JP5431169B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/26Electron or ion microscopes; Electron or ion diffraction tubes
    • H01J37/261Details
    • H01J37/263Contrast, resolution or power of penetration
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2237/00Discharge tubes exposing object to beam, e.g. for analysis treatment, etching, imaging
    • H01J2237/26Electron or ion microscopes
    • H01J2237/282Determination of microscope properties
    • H01J2237/2823Resolution

Abstract

本発明は、電子顕微鏡及び電子顕微鏡のデフォーカス偏差又は解像限界の測定方法に関する。照射を傾斜させた場合に、電子顕微鏡の場合によっては存在する収差及びデフォーカス偏差が回折図形の強度分布を方向に依存して変化させることを利用している。特に、回折図形の包絡線が方向に依存して狭隘化する。電子ビームの傾斜も場合によっては存在する収差も分かっている場合、焦点分布がガウス形状であると仮定すると、電子顕微鏡のデフォーカス偏差は、強度分布の方向に依存した変化に影響を与える唯一の未知なパラメータとなる。従って、その変化からデフォーカス偏差を定量的に推定することができる。しかし、方向に依存した狭隘化からは、その形状に関する当初からの仮定が無くともモデル無しで焦点分布を算出することもできる。そのようにして、電子顕微鏡の解像限界を算出することが可能である。

Description

本発明は、電子顕微鏡及び電子顕微鏡のデフォーカス偏差又は解像限界の測定方法に関する。
電子顕微鏡では、観察すべき物体に電子ビームを照射している。物体から反射したビーム又は物体を貫通したビーム、或いは物体から放射される二次電子は、電磁レンズを用いて、物体の拡大像として集束される。この場合に実現可能な物体構造の最良の解像度(解像限界又は情報限界)は、電子ビームの時間的(縦)コヒーレンスが部分的であることによって物理的に制限され、最新の顕微鏡では、1オングストローム以下の範囲内に有る。非特許文献1と2により、電子ビームの時間的コヒーレンスが部分的であることが、ほぼ照射電子の最終的なエネルギー幅、加速電位の時間的変動及び電磁レンズの電流の時間的変動によって発生することが分かっている。
電子顕微鏡で撮影した画像の信頼性を判定するためには、解像限界が基本的に重要である。この解像限界は、デフォーカス偏差によって定義される。
デフォーカス偏差、更に間接的には解像限界は、従来から薄い非結晶物体の中央を照射した際の物体の回折図形にもとづき算出されていた。回折図形は、電子光学像に対してフーリエ変換を光学的又はデジタル的に実行した図形である。この回折図形の強度分布は、物体での電子の回折に関する具体的な実効断面積、物体の密度及び画像撮影に使用した検出器の変調伝達関数に依存する。これらのパラメータは、実際には殆ど分からないので、回折図形を定量的に評価できないことが欠点であった。
非特許文献3により、像のコントラストの視認性を改善する「ヤング縞」による方法が知られている。その場合、薄い非結晶物体を順番に撮影した二つの画像を僅かにずらして重ね合わせている。この重ね合わせた回折図形では、目立った線の縞が出現する。この線の縞がもはや雑音から識別できなくなる空間周波数が、電子顕微鏡の解像限界を定義している。それは、定性的な視認性判定基準にもとづき評価されている。
そのような観察者による主観的な評価にもとづく方法は不利である。更に、線の縞の視認性は、検出器の増幅特性に依存するとともに、回折図形の強度が線形目盛又は対数目盛で表示されているか否かに依存する。従って、そのような方法で算出した解像限界の誤差は、非常に大きく限定し得ないものである。
更に、従来の「ヤング縞による方法」は、その方法では線形的なコントラストと非線形的なコントラストを区別することができず、非線形的な成分が、所定の条件下で実際に存在するよりも遥かに良好な解像限界を偽装する可能性が有るという欠点を有する。従来の「ヤング縞による方法」では、特に、低い加速電位の場合、非線形的な効果のために、実際の解像限界の50%までの大きなシステム誤差が発生する可能性が有る。
ドイツ特許出願第102006038211.0号
K. J. Hanssen, L. Trepte, Der Einfluss von Strom- und Spannungsschwankungen, sowie der Energiebreite der Strahlelektronen auf Konstrastuebertragung und Aufloesung des Elektronenmikroskops, Optik 32, 519 (1971) K. Ishizaka, Contrast transfer of crystal images in TEM, Ultramicroscopy 5, 5565 (1980) J. Frank, Nachweis von Objektbewegungen im lichtoptischen Diffraktogramm von elektronenmikroskopischen Aufnahmen, Optik 30, 171(1969)
以上のことから、本発明の課題は、電子顕微鏡のデフォーカス偏差と解像限界を客観的な手法で定量的に算出することができるようにすることである。
本課題は、本発明にもとづき、請求項1による電子顕微鏡と請求項8による方法によって解決される。更に別の有利な実施形態は、それらを参照する従属請求項からそれぞれ明らかとなる。
本発明の範囲内において、電子顕微鏡を開発する。それは、電子ビームを傾斜させる手段と、回折図形の強度分布の方向依存性を算出する手段とを有する。
本発明の意味において、回折図形とは、電子顕微鏡で撮影した画像の空間周波数空間における図形であると解釈する。
ここで、本発明では、電子ビームの傾斜と関連させた、顕微鏡で撮影した少なくとも一つの回折図形の強度分布の方向依存性から、電子顕微鏡のデフォーカス偏差又は焦点分布を算出することが可能な評価ユニットが配備されており、この場合、「又は」との記載は、排他的なものではない。
焦点分布からも、デフォーカス偏差をパラメータとして使用する、この焦点分布のための数学モデルからも、同様に電子顕微鏡の解像限界を算出することができることが分かった。
焦点分布の算出とは、焦点分布に関する情報を取得することであると解釈する、特に、焦点分布から電子顕微鏡の解像限界を算出するのに十分な量の情報を取得することであると解釈する。焦点分布が解析的な公式として存在する必要はない。例えば、その値を離散的な数の点上で算出するか、或いはパラメータにより関数式を実験データに適合させることによって、その大まかな推移を算出すれば十分である。
照射を傾斜させた場合、電子顕微鏡のデフォーカス偏差が回折図形の強度分布の方向に依存した変化を生じさせることが分かった。即ち、例えば、回折図形の包絡線が、方向に依存して狭隘化する。
デフォーカス偏差も焦点分布も、電子顕微鏡の解像限界に関する尺度であるとともに、回折図形の包絡線の方向に依存した狭隘化から算出することが可能な変数である。そのため、評価ユニットは、そのユニットがこれらの変数を個別に、或いは組み合わせて算出することができることによって、電子顕微鏡の解像限界に関する尺度も提供することができる。
この場合、デフォーカス偏差と焦点分布は、技術的に関連している。デフォーカス偏差は、焦点分布の幅であり、この幅の定義は、焦点分布の形状に依存し、基本的に自由に選定することができる。例えば、ガウス分布の幅としては、その分布の半分の高さにおける幅で表される。従って、焦点分布からデフォーカス偏差を算出することができるが、デフォーカス偏差から焦点分布を算出することはできない。
しかし、デフォーカス偏差は、例えば、焦点分布がガウス分布であると仮定した数学モデルを実験データに適合させることによって、焦点分布を知らなくても実験データから直接算出することもでき、その場合、デフォーカス偏差は自由パラメータである。
電子ビームの傾斜が分かっている場合、収差を無視すると、電子顕微鏡のデフォーカス偏差は、強度分布の方向に依存した変化に影響を与える唯一の未知のパラメータとなる。そのため、そのような変化と、ここでは特に、回折図形の包絡線の方向に依存した狭隘化とから、デフォーカス偏差を定量的に推定することができる。そのためには、非結晶物体の具体的な特性が強度分布の方向に依存した変化だけを発生させるので、非結晶物体を用いて回折図形を撮影するのが有利である。
焦点分布を算出することが可能な評価ユニットを使用することは、デフォーカス量が僅かに異なる各電子が物体構造の像に寄与するという知見をベースとしている。このようにして、コントラストが僅かに異なる多くの「サブ画像」を撮影する毎に重ね合わせると、その結果として、構造の小さい方の細部のコントラストが構造の大きい方の細部のコントラストよりも大きく減衰された物体のスミア画像が得られる。この場合、コントラストの減衰は、全体像に寄与するデフォーカス量Zの出現率に依存する。この所定のデフォーカス量のサブ画像がその結果としての画像に寄与する出現率は、焦点分布f(Z)によって表される。最終的に、コントラストの減衰は、焦点分布のフーリエ変換F(ζ)によって算出され、この場合、ζ=1/2λg2 は、デフォーカス量と関連する焦点周波数である。ここで、λは、電子波長を表し、gは、間隔dの逆数である空間周波数g=1/dを表している。電子顕微鏡の解像限界は、構造細部の最小限の間隔dinfoによって定義され、その像の線形コントラストF(ζinfo)(ここで、ζinfo=λ/(2dinfo 2 ))は、ちょうど最大限の線形コントラストF(0)=1の1/e2 の小数部分≒13.5%にまで減衰する。この場合、dinfoは、多くの場合、電子顕微鏡の情報限界と呼ばれる。
本発明の特に有利な実施形態では、電子顕微鏡は、電子顕微鏡の少なくとも一つの収差を決定する手段を有する。
本発明の意味において、収差とは、特に、デフォーカス、球面収差、非点収差又はそれらの任意の組合せであると解釈する。しかし、収差という用語は、電子顕微鏡によって供給される画像が物体の構造の理想的な像と異なる像を生じさせる像の全ての誤差を含むものである。例えば、大きな球面収差は、物体構造の局所的な細部を画像の広い範囲に渡って暈してしまう。コマ収差によって、物体構造の点形状の細部は、画像内において延びた状態で出現する場合が有る。
収差を決定する手段とは、その収差に関する測定器又はそれとの組合せの他に、電子顕微鏡において収差を周知の大きさに調節することができる装置であるとも解釈する。例えば、電子顕微鏡は、デフォーカスを調節する手段を備えることができる。透過電子顕微鏡では、デフォーカスを調節する手段は、対物レンズの電流を変更する手段と、光軸に沿って物体をスライドさせる手段とによって実現される。
電子顕微鏡による撮影時には、そのためデフォーカス偏差の測定時にも、常に収差は存在する。収差を知ることは、必ずしもデフォーカス偏差の測定に必要なことではない。しかし、空間的コヒーレンスが部分的なことによる収差が回折図形の包絡線に影響を及ぼすので、それを正確に定量的評価において考慮することは、精度を劇的に向上させることとなる。
本発明の特に有利な実施形態では、電子顕微鏡は、透過電子顕微鏡として構成される。この場合、電子顕微鏡の解像限界は、デフォーカス偏差と電子波長にのみ依存する。評価ユニットは、電子顕微鏡のデフォーカス偏差を提供することができ、そのため解像限界も提供することができる。
有利には、評価ユニットは、回折図形用のローパスフィルターを有する。それによって、電子顕微鏡のデフォーカス偏差の算出と関係のない、空間周波数と共に速く変化する成分を回折図形から分離することができる。例えば、フーリエ変換をベースとする、或いはウェーブレット変換をベースとする、如何なる形式のローパスフィルターを使用することもできる。
本発明の特に有利な実施形態では、評価ユニットは、少なくとも一つの対数変換ユニットを有する。このユニットは、例えば、ローパスフィルターによって分離された回折図形の高周波成分において、乗法性雑音信号を加法性雑音信号に変換し、その結果、同じ又は別のローパスフィルターを用いて、その加法性雑音信号をユーザ信号から分離することが可能である。
評価ユニットは、有利には、回折図形の強度分布に関する数学モデル、ここでは、特に、ローパスフィルターを用いて抽出した回折図形の強度分布の低周波成分に関する数学モデルを有する。そのようなモデルに関する例は、特に、明細書の一部に記載されている。そして、このモデルは、回折図形において実際に存在する強度分布に適合させることができ、その際、算出すべきデフォーカス偏差をパラメータとして使用することができる。そのため、回折図形の強度分布における測定誤差に対して特に堅牢な手法でデフォーカス偏差を算出することが可能である。例えば、最小二乗法を用いて、このモデルを適合させることによって、取得した強度値における異常値の作用を低減することができる。
本発明の範囲内において、電子顕微鏡のデフォーカス偏差又は解像限界を算出する方法を開発し、この場合、「又は」との記載は、排他的なものではない。この方法では、物体を照射する電子ビームを傾斜させる。一つの物体で少なくとも一つの回折図形を撮影する。この回折図形の強度分布の方向依存性を算出する。
ここで、本発明では、この強度分布の方向依存性と電子ビームの傾斜から、電子顕微鏡のデフォーカス偏差又は焦点分布を評価し、この場合、「又は」との記載は、排他的なものではない。
焦点分布からも、デフォーカス偏差をパラメータとして使用する、この焦点分布のための数学モデルからも、同様に電子顕微鏡の解像限界を算出することができることが分かった。
焦点分布の評価とは、焦点分布に関する情報を取得することであると解釈する、特に、焦点分布から電子顕微鏡の解像限界を算出するのに十分な量の情報を取得することであると解釈する。焦点分布が解析的な公式として存在する必要はない。例えば、その値が離散的な数の点上で算出するか、或いはパラメータにより関数式を実験データに適合させることによって、その大まかな推移を算出すれば十分である。
照射を傾斜している場合、電子顕微鏡のデフォーカス偏差が回折図形の強度分布を方向に依存して変化させることが分かった。特に、回折図形の包絡線が、方向に依存して狭隘化する。
デフォーカス偏差も焦点分布も、電子顕微鏡の解像限界に関する尺度であるとともに、回折図形の包絡線の方向に依存した狭隘化から算出することが可能な変数である。そのため、これらの変数の評価は、電子顕微鏡の解像限界に関する尺度も提供する。
この場合、デフォーカス偏差と焦点分布は、技術的に関連している。デフォーカス偏差は、焦点分布の幅であり、この幅の定義は、焦点分布の形状に依存し、基本的に自由に選定することができる。例えば、ガウス分布の幅としては、その分布の半分の高さにおける幅で表される。従って、焦点分布からデフォーカス偏差を算出することができるが、デフォーカス偏差から焦点分布を算出することはできない。
しかし、デフォーカス偏差は、例えば、焦点分布がガウス分布であると仮定した数学モデルを実験データに適合させることによって、焦点分布を知らなくても実験データから直接算出することもでき、その場合、デフォーカス偏差は自由パラメータである。
電子ビームの傾斜が分かっている場合、収差を無視すると、電子顕微鏡のデフォーカス偏差が、強度分布を方向に依存して変化させる唯一の未知のパラメータとなる。そのため、そのような変化と、ここで特に、包絡線の狭隘化とから、デフォーカス偏差を定量的に推定することができる。そのためには、非結晶物体の具体的な特性が強度分布の方向に依存した変化だけを発生させるので、非結晶物体を選定するのが有利である。
焦点分布を評価する技術的な考えは、デフォーカス偏差が僅かに異なる各電子が物体構造の像に寄与するという知見をベースとしている。このようにして、コントラストが僅かに異なる多くの「サブ画像」を撮影する毎に重ね合わせると、その結果として、構造の小さい方の細部のコントラストが構造の大きい方の細部のコントラストよりも大きく減衰された物体のスミア画像が得られる。この場合、コントラストの減衰は、全体像に寄与するデフォーカス量Zの出現率に依存する。この所定のデフォーカス量のサブ画像がその結果としての画像に寄与する出現率は、焦点分布f(Z)によって表される。最終的に、コントラストの減衰は、焦点分布のフーリエ変換F(ζ)によって算出され、この場合、ζ=1/2λg2 は、デフォーカス量と関連する焦点周波数である。ここで、λは、電子波長を表し、gは、間隔dの逆数である空間周波数g=1/dを表している。電子顕微鏡の解像限界は、構造細部の最小限の間隔dinfoによって定義され、その像の線形コントラストF(ζinfo)(ここで、ζinfo=λ/(2dinfo 2 ))は、ちょうど最大限の線形コントラストF(0)=1の1/e2 の小数部分≒13.5%にまで減衰する。この場合、dinfoは、多くの場合、電子顕微鏡の情報限界と呼ばれる。従って、解像限界を測定することは、焦点分布関数f(Z)を測定することと同等である。
デフォーカス偏差の評価と異なり、焦点分布の評価は、焦点分布に関して仮定している数学モデルと関連しない。例えば、仮定しているガウス分布の幅を表す唯一のパラメータの代わりに、任意の焦点分布を表す多くの値を自由パラメータとして取得することができる。データ評価時に仮定している焦点分布の形態が測定時に実際に存在する焦点分布の形態と一致しないことによって生じるシステム的な測定誤差が排除される。実際に存在する焦点分布を追加して算出することによって、デフォーカス偏差だけを評価することによって可能となる場合よりも一層正確に透過電子顕微鏡の解像限界を算出することが可能となる。
焦点分布の評価は、デフォーカス偏差の評価だけと比べて、焦点分布のガウス分布からの偏差が大きくなる程、より良好に電子顕微鏡の解像限界を算出することが可能な精度を改善することができる。モノクロメーターを用いて、電子源の放出スペクトルを後で変更する場合、ガウス分布の偏差が特に大きくなる。焦点分布に関するモデルを間違って仮定すると、解像限界を算出する際にシステム誤差を発生させる可能性が有る。
別の側面において、焦点分布を評価することは、実験で算出した回折図形の強度値が右側に有り、それに寄与する個々のサブ画像及びそれらの焦点が左側に有る線形連立方程式を解くことと比較することができる逆転した問題となる。強度値が大きな雑音を含む場合、線形連立方程式の右側の雑音がその解に作用するのと同様に、評価によって雑音を増幅させる可能性が有る。そのようにして起こる焦点分布から算出される解像限界の不正確さは、極端な場合、デフォーカス分布に関する解像限界の評価時に、本当の焦点分布がガウス分布からずれていることによって生じるシステム的な不正確さよりも大きくなる可能性が有る。
従って、本発明の特に有利な実施形態では、デフォーカス偏差又は焦点分布から電子顕微鏡の解像限界を評価する。
本発明の特に有利な実施形態では、電子顕微鏡の少なくとも一つの収差を決定する。収差とは、特に、デフォーカス、球面収差、非点収差又はそれらの任意の組合せであると解釈する。しかし、収差という用語は、電子顕微鏡によって供給される画像が物体構造の理想的な像と異なる像を生じさせる像の全ての誤差を含むものである。
電子顕微鏡による撮影時には、そのためデフォーカス偏差の測定時にも、常に収差は存在する。収差を知ることは、必ずしもデフォーカス偏差の測定に必要なことではない。しかし、空間的コヒーレンスが部分的なことによる収差が回折図形の包絡線に影響を及ぼすので、それを正確に定量的評価において考慮することは、精度を劇的に向上させることとなる。
そのような改善も、デフォーカス偏差の代わりに、焦点分布を評価することによって達成することができる。
収差の決定は、収差を測定することによって、受動的に行うことができる。その測定は、回折図形の撮影と同時に行うこともでき、例えば、その回折図形を収差の測定に関しても活用することによって行うこともできる。そのために、出願人は、特許文献1の対象である方法を開発している。その場合、デフォーカス偏差の測定において収差を考慮するために、データを追加取得する必要はない。同様に、後で既存の回折図形から、電子顕微鏡が回折図形の撮影時点で持っていたデフォーカス偏差を再構成することができる。
収差の決定は、電子顕微鏡に対して収差を周知の大きさに調節することによって、能動的に行うことができる。例えば、所定のデフォーカス量に調節することができる。デフォーカスが支配的な収差である場合、回折図形がその原点の周りにほぼ等方性の強度分布を有するという利点が有る。そして、回折図形をその原点の周りの環状の軌道上において評価するために、より大きな面を利用することが可能である。
多くの電子顕微鏡では、標準的な結像時に焦点を調節する手段と同じ手段を用いて、デフォーカス量を調節することができる。この調節は、通常非常に正確である。高級な電子顕微鏡は、球面収差の補正メカニズムを備えており、その結果、球面収差をゼロにすることができる。多くの電子顕微鏡では、スティグメータによって、非点収差を低減するか、或いは完全に解消することもできる。
電子顕微鏡において周知の大きさに調節される収差は、電子顕微鏡の標準的な結像動作において生じる収差と明らかに異なる可能性も有る。例えば、デフォーカス偏差を算出するために、大きな双数の非点収差を用いて、デフォーカスの組合せをゼロに選定することができる。そのような構成では、標準的な収差は直感的に認識することはできないが、それにも関わらず、本発明によるデフォーカス偏差の算出を実行することが可能である。
収差の能動的な決定と受動的な算出、即ち、収差の調節と測定を組み合わせることもできる。それは、例えば、基本的に定義された調節可能な収差が温度に依存する変動を受ける場合に特に有利である。
本発明の特に有利な実施形態では、透過電子顕微鏡が顕微鏡として選定される。この場合、電子顕微鏡の解像限界が、デフォーカス偏差と電子波長にのみ依存する。そして、本方法は、デフォーカス偏差の他に、解像限界も自動的に提供する。
有利には、回折図形は、ローパスフィルターを用いてフィルター処理される。それによって、電子顕微鏡のデフォーカス偏差の算出と関係のない、空間周波数と共に速く変化する成分を回折図形から分離することができる。そうすることによって、デフォーカス偏差の算出を特に簡単に自動化することができる。
有利には、回折図形を対数変換する。例えば、ローパスフィルターによって分離した回折図形の高周波成分を対数変換する。そうすることによって、乗法性雑音信号を加法性雑音信号に変換して、同じ又は別のローパスフィルターを用いて、その信号をユーザ信号から分離することが可能である。
本発明の特に有利な実施形態では、回折図形をその原点の周りの円周ラインに沿って評価する。そのような評価によって検知された全ての強度変化は、強度分布に対する方向に依存した寄与分にフィードバックされる。そのような電子顕微鏡の電子ビームの傾斜、場合によっては存在する収差及びデフォーカス偏差によって決まる寄与分は正確である。そのため、そのようなデフォーカス偏差を算出するための寄与分だけが関連することとなる。
ユーザ信号に重なり合った全ての回転対称な加法性雑音信号と乗法性雑音信号は、円周ライン上において一定であり、従って、ユーザ信号の評価に影響を及ぼさない。回折図形の中心の周りの円周ライン上において減衰関数が狭隘化していると看做された場合、二つの極大値と二つの極小値が出現している。そのような減衰関数は、コヒーレントな収差によって生じる縞を含まない強度分布の包絡線である。そのような円周軌道に沿った極大値と極小値の間における強度の関数的な推移は、顕微鏡の倍率、使用するビームの傾斜角度及び結像プロセスモデルの枠組みにおける焦点分布によって決まる。倍率とビーム傾斜量が既知の変数であるので、焦点分布は一義的に規定される。
本発明の更に別の有利な実施形態では、回折図形の強度分布の数学モデルは、特に、そのような強度分布の低周波成分のモデルとすることができる場合には、撮影した回折図形に適合される。そのようなモデルの例は、特に、明細書の一部に記載されている。この場合、算出すべきデフォーカス偏差をパラメータとして使用することができる。そのため、回折図形の強度分布における測定誤差に対して特に堅牢な手法でデフォーカス偏差を算出することが可能である。
有利には、パラメータを最適化する方法による適合が行われる。例えば、最小二乗法を用いて、このモデルを適合することによって、取得した強度値における異常値の作用を低減することができる。しかし、例えば、ニュートン・ラプソン法、フック・ジーブス法、遺伝的アルゴリズム又は最尤法などのそれ以外の任意の適合方法を使用することも可能である。
有利には、デフォーカス偏差を算出する際の精度を向上させるために、異なるビーム傾斜で撮影した一連の少なくとも三つの回折図形を評価する。そのために、特に、電子顕微鏡の光軸に対して同じ角度であるが、光軸の周りの全ての方位方向に均一に分散させる形でビームを傾斜させて、この一連の回折図形を撮影することができる。そのように所謂方位傾斜シリーズとして一連のビーム傾斜を実施することによって、方向に依存した望ましくない追加の事象によるデフォーカス偏差の測定結果への影響を最小限とすることができる。そのような方向に依存した望ましくない事象は、例えば、物体の変動と物体の幾何学形状である。そのような事象は、同じく回折図形における強度分布の包絡線の方向に依存した狭隘化を発生させるので、単一の回折図形だけをベースとする評価時に、測定結果のシステム的な歪曲を生じさせる場合が有る。方位傾斜シリーズによる平均化によって、ビームの傾斜による狭隘化を望ましくない事象による狭隘化から分離することができる。そうすることによって、望ましくない事象の測定結果への影響を軽減している。
そのような異なるビーム傾斜で撮影した少なくとも三つの回折図形を評価する利点は、デフォーカス偏差の代わりに、焦点分布を評価することによっても達成することができ、その理由は、ユーザ信号としての回折図形の強度分布の方向依存性が、そのような評価のためにも活用されるからである。
本発明の特に有利な実施形態では、焦点分布の評価のために、回折図形におけるM個の離散的な点に関して、それらの点での回折図形の強度値をそれぞれN個の異なるサブ焦点での焦点分布の値の関数として表した連立方程式を立てる。
M個の離散的な点の各々に対して、一つの方程式が、この連立方程式にN個の未知数を与える。これらM個の点は、特に、回折図形の原点の周りの一つ以上の円周軌道上に分散することができる。そして、例えば、誤差の最小二乗法やエントロピーを最大化する原理にもとづく方法などの好適な適合方法又は解法を用いて、連立方程式の解として、N個の異なるサブ焦点における焦点分布の値を算出することができる。それらの解が強度値の雑音に対してどの程度敏感に反応するかの尺度である、連立方程式の条件は、MとNの比率によって制御することができる。
有利には、線形連立方程式を立てる。そのために、例えば、ローパスフィルターを用いた回折図形のフィルター処理によって、回折図形から環状縞を取り去ることができる。
以下において、実施例にもとづき本発明の対象を詳しく説明するが、それによって、本発明の対象を制限するものではない。
照射の傾斜を一定として電子顕微鏡で撮影した、デフォーカス偏差Δの三つの値に関する回折図形の強度分布の包絡線の図 ビームを傾斜させなかった場合と傾斜させた場合の電子顕微鏡で薄い非結晶炭素フィルムを撮影した回折図形の図 回折図形の図 回折図形の低周波成分の図 二つの円周軌道例に関する回折図形の低周波成分の実験値のグラフ 異なるビーム傾斜での一連の回折図形 異なるビーム傾斜での一連の回折図形 本発明による方法を異なる二つの電子顕微鏡に適用した場合のグラフ 本発明による方法を異なる二つの電子顕微鏡に適用した場合のグラフ 同じ半値幅だが、異なる解像限界を生じさせる焦点分布fのグラフ 図7aの焦点分布に対応する減衰関数Fのグラフ 300kVのFEI Titan 80−300顕微鏡に関して、本発明による方法を用いて算出した焦点分布のグラフ 図8aの焦点分布に対応する減衰関数のグラフ 200kVのPhilips CM200電子顕微鏡に関して、本発明による方法を用いて算出した焦点分布のグラフ 図9aの焦点分布に対応する減衰関数のグラフ
電子顕微鏡による撮影では、電子ビームのコヒーレンスが限定されているために、撮影毎に、コントラストの僅かに異なる多くの「サブ画像」が重ね合わさり、その結果として、構造の小さい方の細部のコントラストが構造の大きい方の細部のコントラストよりも大きく減衰された物体のスミア画像が得られる。一つの撮影内で得られるデフォーカス値の分布がガウス形状であることを出発点とすると、コントラスト伝達関数の減衰は、次の包絡線によって表される。
Figure 2010514106
この場合、λは電子波長を表し、gは間隔dの逆数である空間周波数g=1/dを表す一方、Δはデフォーカス分布の幅を定量化したものである。以下において、Δをデフォーカス偏差と称する。電子顕微鏡の解像限界は、構造細部の最小限の間隔dinfoによって定義され、その像のコントラストは、式(1)にもとづき、ちょうど最大限のコントラストEt (0)=1の1/e2 の小数部分≒13.5%にまで達する。この場合、dinfoは、電子顕微鏡の情報限界と呼ばれている。この情報限界は、この実施例で使用している通り、透過電子顕微鏡でデフォーカス分布がガウス形状である場合、以下の通り、デフォーカス偏差Δに依存する。
Figure 2010514106
透過電子顕微鏡の解像限界を定量化するために、照射を傾斜させて薄い非結晶物体を撮影した回折図形のデフォーカス状況を分析する。薄い非結晶物体によって、電子ビームの入射方向の周りの全ての方向に対して同じ確率で電子は散乱する。物体の散乱振幅O(g)は、散乱角が大きくなる程低下する。非結晶物体において、このような照射を傾斜させた場合の散乱状況は、軸方向に照射した場合と同じである。両方の場合において、回折図形での散乱振幅の絶対値の二乗|O(g)|2 は、空間周波数gが上昇する程低下する回転対称な関数である。
図1は、電子顕微鏡において、デフォーカス偏差Δの三つの値に関して照射の傾斜を一定として撮影した回折図形における強度分布の包絡線を図示している。デフォーカス分布が広がると、それと関連して電子ビームの時間的コヒーレンスが部分的に悪くなるために、強度分布の方向に依存した狭隘化が、より大きく起こる。本発明は、基本的に、方向に依存した狭隘化をユーザ信号と見做して、その信号からデフォーカス偏差Δと、そのため情報限界(解像限界)とを決定することをベースとしている。
薄い非結晶物体に関して、デフォーカスした状態で撮影した回折図形は、空間周波数が上昇する程、より狭くなる同心の環から成る縞を示す。この場合、環の間隔は、デフォーカスの大きさZに依存するとともに、空間周波数gの二乗に依存する。以下において、この環状縞は、その幾何学的な形態が電子顕微鏡のコヒーレンス特性に依存しないので、「コヒーレントな環状縞」と称する。
図2は、電子顕微鏡において、薄い非結晶炭素フィルムを撮影した場合の二つの回折図形を図示している。左の図面(a)では、ビームを傾斜していない。右の図面(b)では、ビームを40mrad傾斜させている。
このコヒーレントな環状縞は、デフォーカス量Zの他に、球面収差CS と、双数の非点収差の二つの成分A2x及びA2yとにも依存する。コヒーレントな環状縞は、sin2 [2πχ(gx ,gy )]によって表され、ここで、収差関数χ(gx ,gy )は、以下の式により、回折ベクトル
Figure 2010514106
に依存した個々の収差Z,CS ,A2x,A2yの作用全体を表している。
Figure 2010514106
ここで、λは電子波長を表す。ここでは、測定方法を簡単に説明するために、前述した収差だけを取り上げる。
式(3)の収差の係数Z,CS ,A2x,A2yが、照射を傾斜していない場合に対して与えられている場合、デフォーカス量Zが大きい場合にgに関して速く変化するコヒーレントな環状縞は、ビーム傾斜ベクトル
Figure 2010514106
で照射した際、
Figure 2010514106
で表される。照射を傾斜させた場合の薄い非結晶物体の回折図形では、図2bの通り、収差による環状縞の他に、gに関してゆっくりと変化する複数の乗法性成分と加法性成分が発生する。ゆっくりと変化する乗法性成分は、物体関数の絶対値の二乗|O(g)|2 と、電子ビームの時間的及び空間的コヒーレンスが部分的であることによる減衰関数
Figure 2010514106
及び
Figure 2010514106
の絶対値の二乗とである。後者は、明確に回折ベクトル
Figure 2010514106
とビーム傾斜ベクトル
Figure 2010514106
とに依存する。
Figure 2010514106
の形の加法性の寄与分は、gに関してゆっくりと変化する背景を表しており、それは、回折したビームと回折しなかったビーム間の不完全な干渉によって説明される。照射を傾斜している場合の回折図形の強度分布
Figure 2010514106
は、次の式によって表される。
Figure 2010514106
ここで、時間的な(縦の)減衰関数
Figure 2010514106
と空間的な(横の)減衰関数
Figure 2010514106
は、次の通り与えられる。
Figure 2010514106



パラメータθ0 は、照射の入射ビームコーンの開口角の半分を表している。更に、電子ビームの空間的コヒーレンスが部分的であることによる減衰は、回折ベクトル
Figure 2010514106
関する収差関数
Figure 2010514106
の勾配に依存する。この収差関数に考慮されている全ての収差は、測定技術にもとづき定量化することができるか、或いは電子顕微鏡において目的通り調節することができるので、関数
Figure 2010514106
は、基本的に既知である。
収差の無い特殊な場合には、収差関数の勾配も無くなり、関数
Figure 2010514106
は、1に等しくなる。
関数
Figure 2010514106
は、照射を傾斜した場合にのみゼロと異なる値を持つ。
Figure 2010514106
ローパスフィルターは、各回折図形に対して使用され、その結果、速く変化するコヒーレントな環状縞の周波数スペクトルが消去される一方、ゆっくりと変化する成分の周波数スペクトルが維持されることとなる。一般的な場合、ローパスフィルターを適用した後では、
Figure 2010514106
にもとづくコヒーレントな環状縞から1/2の平均値が残る。その結果、一般的な場合に、式(4)を出発点として、次の式によって表される回折図形の全ての低周波成分
Figure 2010514106
が得られる。
Figure 2010514106
収差の無い特殊な場合には、速く変化するコヒーレントな環状縞が発生せず、式(8)の定数1/2はゼロとなる。最も広い帯域の空間周波数が正負符号を変えること無く伝達されるシェルツァーフォーカスの特殊な場合には、式(8)の定数1/2は1となる。
図3aと図3bは、回折図形とその低周波成分の例を図示している。図3aは、非結晶炭素に対して照射を傾斜させて撮影した回折図形を図示している。図3bは、強度分布の低周波成分を図示しており、その方向に依存した形状からデフォーカス偏差Δを算出することができる。この低周波成分は、原点の周りの円周ライン上に二つの極大値と二つの極小値を示している。極大値と極小値の間の行程を表す唯一の未知数がデフォーカス偏差Δである。
収差を同時に測定した各回折図形に関する減衰関数
Figure 2010514106
が分かっているので、その回折図形強度の低周波成分への寄与分は、Es で除算することによって数値的に除去することができる。即ち、式(8)の通り得られる。
Figure 2010514106
全ての回転対称な加法性雑音信号をB0 (g)で表し、全ての回転対称な乗法性雑音信号をE0 (g)で表すと、式(9)から、回折図形の原点から半径gの円周軌道に沿ってユーザ信号を評価するために、
Figure 2010514106
に関する次の数学モデルが得られる。
Figure 2010514106




本発明による電子顕微鏡の実施例では、評価ユニットが、このような数学モデルを有する。
極座標におけるモデル関数D* Mod (g,φ,t,φt )の選択図では、フーリエ空間ベクトル
Figure 2010514106
は、その絶対値gと、回折図形のx軸に対する方位角φとによって与えられる。同様に、評価すべき回折図形を撮影する際に使用するビーム傾斜ベクトル
Figure 2010514106
は、絶対値tと方位角φt によって表される。絶対値tは、電子顕微鏡の光軸に対するビーム傾斜角度を表す、即ち、その傾斜に沿った円錐面を規定している。傾斜方位φt は、与えられた基準方向、例えば、回折図形のx軸に対する光軸と垂直な面内のビーム傾斜ベクトルの向きを表す。それは、絶対値tによって規定される円錐面の傾斜方向を指定する。各回折図形を評価する場合、それぞれ傾斜角の絶対値tと傾斜方位φt を式(10)のモデルにもとづき考慮しなければならない。
式(10)を見ると、項B0 (g)とE0 (g)が回転対称であり、従って、円周軌道上での評価時に加法性又は乗法性の定数として積極的な変化を生じさせないことが分かる。残りの指数項と双曲線余弦項は、それぞれ各回折図形の傾斜方位φt に関して変化する。これらの二つの項では、全ての入力変数g,φ,t,φt 及びλが既知である。円周軌道上で一定であるパラメータB0 (g)とE0 (g)の他に、(φ−φt )に対して変化する低周波実験データに適合可能なモデル関数のパラメータとしてデフォーカス偏差Δだけが残る。
図4は、二つの円周軌道例に関する低周波実験データD* LFを図示している。半径g=3nm-1の円周軌道上で取得されたデータ点は、正方形で表示されている。半径g=3.5nm-1の円周軌道上で取得されたデータ点は、三角形で表示されている。この例では、式(10)によるモデル関数は、それぞれ二乗誤差を最小化するための非線形的な方法によりパラメータBo (g),E0 (g)及びΔを変化させて実験データに適合されている。しかし、それ以外の如何なる適合方法を使用することもできる。この適合されたモデル関数は、二つの半径に関して、それぞれ実線で図示されている。
[測定例と精度見積り]
図5は、異なるビーム傾斜で撮影した一連の回折図形を図示している。これらのビーム傾斜は、各回折図形において、電子顕微鏡の光軸に対する電子ビームの傾斜角が同じである一方、その光軸と垂直な面内におけるビーム傾斜の方位角が等間隔に分散されるように、方位傾斜シリーズに対応して選定されている。図5aは、本来の回折図形を図示している。図5bは、それらの回折図形の低周波成分DLFを図示している。これらの成分は、明らかに包絡線の狭隘化がビーム傾斜の方位方向に依存することを示している。そのような方位・傾斜シリーズに渡っての個々の回折図形の測定結果を平均化することによって、固定した物体と関連するシステム誤差の最終結果に対する影響が低減される。特に、個々の回折図形の測定結果を歪曲する、方向に依存したシステム誤差が除去される。そのようなシステム誤差の原因は、物体の変動と物体の幾何学形状の影響の可能性が有る。それらは、同じく回折図形の強度分布を方向に依存して狭隘化させるが、ユーザ信号のようにビーム傾斜に対して一定ではない。一連の完全な回折図形を取り込むことによって、既知の傾斜方位φt に関して変化する信号成分(ユーザ信号)を一定な成分(雑音信号)から分離することができる。
図5に図示されている一連の回折図形は、例えば、特許文献1の対象である出願人による方法を用いて、収差を算出するために利用することもできる。そのため、特に、空間的な減衰関数
Figure 2010514106
を知るために必要な全ての収差を算出することができる。
図6は、本発明による方法を二つの異なる透過電子顕微鏡に適用した二つの結果を図示している。本方法を、図6aではFEI Titan 80−300に適用し、図6bではユーリッヒ研究センター社のエルンスト・ルスカセンターのPhilips CM200Cに適用したものである。各データ点は、円形軌道上での式(10)及び(11)の評価と、それに続く12個の画像から成る傾斜シリーズの全てのメンバーに渡っての平均化に対応している。
FEI Titan 80−300顕微鏡の例(λ=1.969×10-3nm)では、Δ=2.63nmのデフォーカス偏差の測定値がdinfo=0.0758nmの解像限界に対応している。Philips CM200C電子顕微鏡(λ=2.508×10-3nm)では、式(2)にもとづき、測定したデフォーカス偏差Δ=6.02nmからdinfo=0.129nmの解像限界が得られている。
空間周波数gに関するデフォーカス偏差Δの理論的に期待される不変性は、測定結果では、限られた間隔g1 <g<g2 内の円周軌道に関してのみ示されている。ここで述べた測定例では、g1 ≒3nm-1及びg2 ≒4nm-1である。
パラメータΔの理論的に期待される不変性からのずれは、g<g1 の範囲に関して、使用する簡単な弾性理論では考慮されていない電子の散乱と吸収に対する非弾性的な寄与分により説明される。g1 を下回る空間周波数に関しては、回折図形の強度を表す式(4)のモデルは適用できない。g>g2 の空間周波数の高い領域では、ユーザ信号の強度がゼロとなる傾向を有する。そのことは、ユーザ信号が消失する直前に、モデル関数を適合させる際に大きすぎる誤差範囲となる。その他に、システム誤差の影響が大きくなっている。
デフォーカス偏差Δに関する最終的な測定結果は、間隔g1 <g<g2 内で行った式(10)によるモデル関数を円周軌道上の低周波実験データD* LFに全て適合した平均値から求められる。この平均化に関する空間周波数の間隔は、デフォーカス偏差Δに関する測定値の不変性と誤差範囲の大きさにもとづき選定される。二つの例において、これらの誤差範囲は、測定値がgに関して一定となる所で最小となっている。
図6に図示されている測定例では、間隔g1 <g<g2 におけるデフォーカス偏差Δの平均値からの標準偏差は0.06nm又は0.02nmである。それに対して、従来技術による方法の精度は、精度の定量的な尺度が無いために約0.3nmと見積もられる。そのため、ここで提案した定量的な方法を用いて、従来技術と比べて少なくとも5倍の測定精度の改善が達成されるものと想定することができる。
以下において、デフォーカス偏差による評価と異なり、焦点分布がガウス分布であるとの仮定を出発点としない、焦点分布による電子顕微鏡の解像限界の評価を取り上げる。
ガウス分布からのずれは、電子源の放出スペクトルをモノクロメーターを用いて後で変更した場合に特に大きくなる。焦点分布に関するモデルを間違って仮定すると、解像限界を算出する際にシステム誤差を発生させる可能性が有る。図7aは、半値幅が同じであるが、異なる解像限界を生じさせるデフォーカス量Zの関数としての焦点分布の二つの例を図示している。それに対する減衰関数Fが空間周波数gの関数として図示されている図7bから、解像限界が異なることが分かる。図7aと7bでは、それぞれ破線がローレンツ分布を表し、実線がガウス分布を表している。半値幅(半波高全幅値)は、それぞれ4nmである。ローレンツ分布では、0.101nmの解像限界dinfoが得られ、ガウス分布では、0.094nmの解像限界dinfoが得られている。これらの解像限界では、減衰関数が、それぞれ最大線形コントラストF(0)=1の13.5%にまで低下している。
それゆえ、解像限界を出来る限り正確に測定するためには、焦点分布の正確な推移を知ることが必要である。
透過電子顕微鏡の分解能は、従来通り、薄い非結晶物体の中心を照射した際の物体の回折図形を用いて算出する。薄い非結晶物体は、全ての方向に一様に電子を散乱させて、分解能の検査が有利な方向を持たないので、そのような物体を使用している。回折図形
Figure 2010514106
は、画像をフーリエ変換したものの絶対値の二乗である。この場合、回折図形内の点は、空間周波数の次元を持つフーリエ空間ベクトル(回折ベクトル)
Figure 2010514106
に対応する。電子顕微鏡の解像度が限られているために、
Figure 2010514106
に関して、実験による回折図形の強度は、もはや確実にゼロと区別すことはできない。回折図形の強度
Figure 2010514106
は、次の通り表される。
Figure 2010514106
電子ビームの時間的コヒーレンスが部分的であることによる減衰
Figure 2010514106
が、(1)物体での電子の回折を表す物体関数
Figure 2010514106
と、(2)電子ビームの空間的(横)コヒーレンスが部分的であることによる減衰
Figure 2010514106
と、(3)像を撮影するために使用された検出器の変調伝達関数
Figure 2010514106
と乗算されているために、回折図形の強度
Figure 2010514106
が13.5%にまで低下することを実際に定義することが可能な絶対的な基準値は存在しない。
ここで述べた方法は、電子顕微鏡で照射を傾斜させて撮影した回折図形の強度分布の定量的な評価をベースとしており、電子ビームを傾斜させて照射することによって、広がった焦点分布が減衰関数Fの方向に依存した狭隘化を引き起し、そのため、回折図形の非対称的な強度分布を生じさせている(図2と5a参照)。焦点分布が広くなる、即ち、解像限界が悪くなる程、減衰関数の方向に依存した狭隘化は、分布が狭隘化する場合よりも大きくなることが観測されている。このようなビームが傾斜する方向に依存する減衰関数の狭隘化は、焦点分布を定量化するためのユーザ信号となる。そのために、電子顕微鏡による結像プロセスの数学モデルを考慮しつつ、好適な方法を用いて、十分な数のサンプリング点において焦点分布を算出し、そのモデルの枠組みにおいて、ユーザ信号の実験データを表すようにしている。
サンプリング点の数は、焦点分布の検知すべき推移の複雑さに合わせて、当業者が実験に応じて無理の無い数を決定することができる。更なるサンプリング点を追加しても定性的な変化が起こらない場合、そのことは、サンプリング点の数が十分であることの指標となる。
この解法は、重心に関して対称的である焦点分布f(Z)に限られる。実験で得られた焦点分布が、その重心に関して非対称的な成分を含む場合、ここで提案した方法を用いて、その分布関数を算出することはできない。しかし、典型的には、実際に生じる焦点分布の非対称的な成分は、対称的な成分と比べて非常に小さく、その結果、そのような成分から起こるシステム誤差は通常無視することができる。有意な非対称的な成分を取り込むことは、その場合に画像コントラストの重大な変化も起こり、それを表現するためには、複素数の包絡線を導入することとなり、それによって、純粋な減衰の表記がもはや正しいものとならないので、実数の減衰包絡線によって表すべき部分的な時間的コヒーレンスの作用の数学的な技術体系全体を何れにせよ損なうこととなる。以下で述べる実施形態は、対称的な焦点分布とその結果得られる実数の減衰包絡線に限定され、本発明者が知る限り、仮想的な複素数値の「減衰包絡線」に関する理論的な公式は未だ存在しない。
透過電子顕微鏡の解像限界を定量化するために、照射を傾斜させて薄い非結晶物体を撮影した回折図形のデフォーカス状況を分析する。薄い非結晶物体によって、電子は、電子ビームの入射方向の周りの全ての方向に対して同じ確率で散乱する。物体の散乱振幅
Figure 2010514106
は、散乱角が大きくなる程低下する。非結晶物体において、このような照射を傾斜させた場合の散乱状況は、軸方向に照射した場合と同じである。両方の場合において、回折図形での散乱振幅の絶対値は、空間周波数gが上昇する程低下する回転対称な関数である。散乱関数の絶対値の回転対称性の他に、散乱関数に関して更に知る必要はない。散乱関数の絶対値と位相は、未知の変数として扱われる。そのため、この解像限界の測定方法は、薄い非結晶物体の化学的な組成に依存しない。
照射を傾斜させた場合の薄い非結晶材料の電子顕微鏡像をフーリエ変換したものは、線形的に近似すると、次の通り表すことができる。
Figure 2010514106

式(13)は、焦点のサンプリング点に渡っての離散的な合計として、コヒーレントな部分画像を、求める焦点分布関数f(Z)で重み付けして重畳したものを表している。フーリエ変換したものを図形として表示するために、絶対値の二乗
Figure 2010514106
を算出している。そのような図形は、回折図形と呼ばれており、幾つかの例を図2と図5aに図示している。
式(13)では、λは電子波長を表し、
Figure 2010514106
は、所謂収差関数を表している。収差関数χ(gx ,gy )は、結像機器によって生じるコヒーレントな光の結像誤差(収差)が電子波関数に及ぼす作用全体を表している。多くの場合、デフォーカス量Zの他に、球面収差CS と双数の非点収差の二つの成分A2x及びA2yが収差関数において考慮される。回折ベクトル
Figure 2010514106
に依存する個々の収差Z,CS ,A2x及びA2yの収差関数χ(gx ,gy )への寄与分は、式(3)によって表される。
薄い非結晶物体では、デフォーカスした状態で撮影された回折図形(即ち、Z≠0)は、空間周波数が上昇する程狭くなる同心の環から成る縞を示す。この場合、環の間隔は、デフォーカスの大きさZに依存するとともに、空間周波数gの二乗に依存する(図2と式(3)を参照)。この環状縞は、sin2 [2πχ(gx ,gy )]で表される。照射を傾斜させない場合の式(13)における収差の係数Z,CS ,A2x及びA2yが与えられると、ビーム傾斜ベクトル
Figure 2010514106
で照射した場合における大きなデフォーカス量Zでgに対して速く変化する環状縞は、
Figure 2010514106
で表される。
図2bの通り、照射を傾斜させた場合の薄い非結晶物体の回折図形では、収差による環状縞の他に、フーリエ空間において空間周波数gに対して環状縞よりも明らかにゆっくりと変化する複数の乗法性及び加法性成分が生じる。これらのゆっくりと変化する乗法性成分は、物体関数
Figure 2010514106
と、検出器の変調伝達関数
Figure 2010514106
と、電子ビームの空間的コヒーレンスが部分的であることによる減衰関数
Figure 2010514106
とによって与えられる。
乗法性の空間的な減衰関数
Figure 2010514106
は、明確に回折ベクトル
Figure 2010514106
と、ビーム傾斜ベクトル
Figure 2010514106
に依存する。それは、式(6)によって与えられる。
パラメータθ0 は、照射の入射ビームコーンの開口角の半分を表している。更に、電子ビームの空間的コヒーレンスが部分的であることによる減衰は、回折ベクトル
Figure 2010514106
に関する収差関数
Figure 2010514106
の勾配に依存する。この収差関数で考慮されている全ての収差は、例えば、特許文献1の対象である本発明者による方法によって、測定技術にもとづき定量化することができるので、収差関数χと、そのため空間的な減衰関数
Figure 2010514106
とは、基本的に既知である。
電子ビームの時間的コヒーレンスが部分的であることによる乗法性の減衰は、僅かにデフォーカスした状態のサブ画像を重ね合わせることによって得られる。これらは、それぞれ、例えば、電子源からの放出時の初期エネルギーが異なる、レンズ電流の加速電位又は変動が異なるなどの様々な条件に曝された個々の電子に起因するものである。それらは、式(13)の通り、求める焦点分布f(Z)で重み付けされる。
以下において、
物体関数
Figure 2010514106
の振幅及び位相に関する知識が無いにも関わらず、検出器の実数の変調伝達関数
Figure 2010514106
を知らないにも関わらず、焦点分布f(Z)の算出を軽減することができる三つの点を説明する。この場合、式(13)において、求める焦点分布f(Z)を除く、それ以外の全ての変数は既知である。
1.物体関数の絶対値
Figure 2010514106
と、検出器の実数の変調伝達関数
Figure 2010514106
は、回転対称な関数である。そのため、有利には、像のフーリエ変換したものは、物体関数の絶対値
Figure 2010514106
と、変調伝達関数
Figure 2010514106
が一定の係数となる同心の円周軌道上に沿って評価することができる。
2.物体関数
Figure 2010514106
の位相は、ほぼ物体の幾何学特性のみを規定する。ユーザ信号は、回折図形の強度分布の方向に依存した狭隘化を示すが、物体の特別な幾何学特性に全く依存しない振幅信号であるので、フーリエ変換したものの位相は、解像限界を測定する役割を果たさない。そのため、有利には、像のフーリエ変換したものの絶対値又は絶対値の関数(例えば、絶対値の二乗)を評価することができる。
3.そのようなフーリエ変換したものの絶対値又は絶対値の二乗の演算によって、フーリエ空間の全体的な位相情報が失われることとなる。これらの位相情報は、この場合有用でない物体の幾何学情報の他に、場合によっては、焦点分布に含まれる非対称的な成分に関する情報も含んでいる。このような絶対値又は絶対値の二乗の演算によって、場合によっては、焦点分布の非対称的な成分に関する情報が失われることとなる。
先ずは、f(Z)を算出するために、N個の焦点のサンプリング点{Z0 ... ,Zi ... ,ZN }の有限の組を決定する。対称的な焦点分布を仮定しているために、正の焦点範囲に限定すれば十分である、即ち、Zi ≧0である。実際には、通常サンプリング点の組の如何なる焦点範囲を少なくともカバーしなければらないかを当初から決定して、焦点分布のゼロへの低下を過不足無く正確に規定することができる。焦点分布の形状が過不足無く正確に走査されるように、そのような範囲内の数NとN個のサンプリング点の分布を選定することができる。サンプリング点の数Nは、前記の通り、円周軌道上の独立した実験データ点の数によって限定される。数値的な実施形態に応じて、独立したデータ点として、ずっと少ないサンプリング点を決定するのが有利である。
フーリエ空間の中心から半径gの選定された円周軌道上の各点に関して、式(2)にもとづき、実験データ(|I(g)|又は|I(g)|の関数)と焦点分布f(Z)の間の一義的な関係が存在する。それにもとづき、各円周軌道上のM個の点
Figure 2010514106
を選定するために、N個の未知数f(Zi )を含むM個の連立方程式が得られる。例えば、誤差の二乗を最小化する原理による方法などの好適な適合方法又は解法を用いて、各円周軌道上の値f(Zi )が算出される。ここで、直前に述べた通り、個々の円周軌道上(g=一定)において、それぞれ独立して繰り返し評価するための数値計算方法が考えられるが、個々の回折図形の全ての円周軌道を同時に関連させて解く方法及びそれどころか一連の回折図形に属する全ての回折図形の全ての円周軌道を同時に関連させて解く方法も考えられる。
特に有利には、離散的な焦点分布f(Zi )は、線形連立方程式を解くことによって算出することができ、その連立方程式を立てるためには、コヒーレントな収差から生じる環状縞の無い回折図形の強度が必要である。ユーザ信号を算出するために、図3の通り、二つの基本的なフィルター工程により、当面の目的に対して邪魔となる環状縞を回折図形から除去して、ユーザ信号を構成する、回折図形の低周波の加法性成分と低周波の乗法性成分だけが含まれるようにする。
1.本来の回折図形に対して、ローパスフィルターを適用し、そうすることによって、低周波の加法性背景から、収差から生じる高周波の環状縞を分離する。低周波の背景は、ユーザ信号の加法性成分として後で再処理される。高周波の環状縞と乗法性の包絡線の積で表される高周波成分を次の工程で処理する。
2.工程1にもとづき計算した高周波成分から、絶対値の二乗の対数を計算する。この対数変換によって、当初乗法性として関連していた環状縞と包絡線が加法性成分となる。ここで、その対数に好適なローパスフィルターを適用することによって、本来のデータで当初乗法性として関連していた二つの変数、環状縞及び包絡線を分離することができ、速く振動する環状縞が、その対数の高周波領域内の雑音信号として存在するとともに、所望の包絡線が、その対数の低周波領域内のユーザ信号として存在することとなる。ここで、高周波の雑音信号(環状縞の対数)の分離後に、包絡線を当初の線形表現に戻すために、低周波のユーザ信号(包絡線の対数)に指数関数を適用する。ここで、工程1によるローパスフィルターの結果(加法性の背景)に対して、それを加算する。
このような前述した二つの基本的なフィルター工程の適用後に、高周波の雑音を含まないだけでなく、焦点の分布関数のサンプリング点を直接算出する手段を提供する低周波のユーザ信号
Figure 2010514106
が得られる。このユーザ信号は、式(13)の絶対値に対応し、収差関数
Figure 2010514106
は、除去された高周波の環状縞(雑音信号)の領域において、一定値π/2によって置き換えられており、それは、全ての空間周波数に渡って収差に依存せずにコントラストを伝達する理想的な顕微鏡に対応する。フィルター処理されたユーザ信号
Figure 2010514106
は、次の通り表される。
Figure 2010514106
f(Z)が、対称的な関数として設定されており、cos[πλZ’g2 ]が、Z’=0の周りに対称的な関数であるので、式(14)の複素数値の合計の虚数部分が消える。ユーザ信号
Figure 2010514106
は、ゼロ交差点を持たず、積
Figure 2010514106
は、定義の通り常に正である。従って、全ての焦点のサンプリング点に関する実数の合計は、同じく正であり、その結果、絶対値演算は不要である。次に、
Figure 2010514106
と短縮すると、次の線形方程式が得られる。
Figure 2010514106
Figure 2010514106
の周りの同心の円周軌道上において、物体関数とカメラの伝達関数との積
Figure 2010514106
は、定数となり、空間的な包絡線
Figure 2010514106
は、既知の関数である。前述した条件にもとづき選定した各円周軌道に対して、求めるサンプリング点値f(Zi )に関して特に小さい計算負荷で解くことが可能な線形連立方程式を立てることができる。
複数の円周軌道を選定して平均化することによって、f(Zi )を解いた場合の静的誤差を最小化することができる。そのような円周軌道を選定する際には、当初の回折図形に環状縞がもはや見えなくなる一方、それと垂直な方向には環状縞が明らかに見えるように、ビーム傾斜ベクトル
Figure 2010514106
の方向における減衰を大きくすることを考慮すべきである。そのために、(減衰の無い)小さい値から(減衰の最も大きい)大きい値までの焦点の周波数範囲全体をカバーするような円周軌道が存在する。即ち、そのような円周軌道上でユーザ信号
Figure 2010514106
を走査することによって、減衰包絡線を表すのに必要な焦点の周波数範囲が完全にカバーされることとなる。そのような円周軌道を回折図形で決定することができない場合には、撮影時に、より大きなビーム傾斜を使用すべきである。
電子顕微鏡において電子ビームを異なる傾斜で照射して撮影した複数の像から、分布関数f(Zi )に関する結果の平均値を算出するのが更に有利である。そうすることによって、物体の幾何学形状と試料の変動にもとづくシステム誤差の発生源を減らすことができる。
[測定例]
電子顕微鏡において、顕微鏡の光軸に対する傾斜角を同じとし、ビームの傾斜方向を円周に沿って変更して撮影した一連の回折図形(図5a参照)に対して、適合したローパスフィルターを適用する。その結果得られた回折図形の低周波成分は、定性的には、図5bの通り見える。それらは、包絡線の狭隘化がビーム傾斜の方位方向に依存することを明らかに反映したのである。そのような方位傾斜シリーズに関する個々の回折図形の測定結果を平均化することによって、固定された物体及び物体の変動と関連した対称的な誤差の最終結果に対する影響が軽減される。
本方法全体を二つの異なる透過電子顕微鏡に適用した。ビーム傾斜を40mradとした300kVのFEI Titan 80−300顕微鏡(λ=1.969×10-3nm)の例に関して、デフォーカス量Zに依存する焦点分布を測定したものが図8aに図示され、それから算出した空間周波数gに依存する減衰関数F(g)が図8bに図示されている。減衰関数が、11.8nm-1の空間周波数で13.5%にまで低下する。それは、dinfo=0.085の解像限界に対応する。
200kVのPhilips CM−200電子顕微鏡(λ=2.508×10-3nm)に関して、ビーム傾斜を40mradとした場合、測定した焦点分布f(Z)(図9a)とそれから算出した減衰関数F(g)(図9b)から、dinfo=0.106の解像限界が得られる。
[本方法の精度]
以下において、本方法の精度を静的誤差及びシステム誤差にもとづき考察する。同様に、誤差の観点において、実際に応用した際の堅牢性が重要である、詳しく言うと、信号対雑音比が悪い場合の方法が重要である。
本方法の統計的な精度に関する情報は、ビーム傾斜シリーズの全ての回折図形を評価した全ての円周軌道の間における解像限界の統計的な相互偏差から得られる。統計的な偏差は、基本的に撮影像に含まれる雑音によって起こる。
解像限界の平均値からの標準偏差は、図8と9に図示されている測定例では0.004nm又は0.011nmである。それに対して、従来の見えるヤング縞を撮影する方法の統計的な精度は、精度の定量的な尺度が無いために、粗くは約0.03と見積もられる。それゆえ、ここで提案している定量的な方法を用いて、純粋に統計的に見て、少なくとも3倍の測定精度の改善が達成されている。
更に、最近、従来のヤング縞による方法のシステム誤差が、解像限界の50%にまで悪くなる可能性の有ることが分かった。それは、特に、回折図形に対する非線形的なコントラストの寄与を無視したことと、コントラストの減衰に対する未知の「丸い包絡線」の寄与を誤って見積ったこととに起因している。特に、そのような目的のために実行される非線形的な合成画像によるコンピュータシミュレーションは、ここで提案した方法がコントラストの非線形的な雑音成分に対して非常に堅牢であり、そこで起こるシステム誤差の大きさが統計的な誤差とほとんど変わらないことを示している。更に、ここで提案した方法は、円周軌道上での評価のために、「丸い包絡線」の誤った見積りに対して全く影響を受けない。即ち、ここで述べた方法は、ここで考察しているシステム誤差に関して、ヤング縞による方法よりも明らかに優れている。
デフォーカス偏差だけの評価と比べて、良好な信号対雑音比での焦点分布の評価によって、同等の統計的な精度が達成された。しかし、特に、焦点分布がガウス形状の分布でない場合、焦点分布を評価する際のシステム誤差の方が著しく小さくなる。
しかし、実際には如何なる時でも避けることができない、入力データの信号品質が悪い場合には、デフォーカス偏差だけの評価を優先すべきである。その場合、唯一のパラメータ、即ち、固定的なガウス分布モデルにもとづくデフォーカス偏差しか算出されないので、本方法には、重要な入力データセットの信号対雑音比に関して、余りにも雑音に追従し過ぎるとともに信号からずれ過ぎた解が見出される自由度が最初から許されていない。そして、本方法の堅牢性は、雑音に対抗するよりも正確な焦点分布を算出することができることの方を優先している。
実験での雑音が小さく、取得データセットにおける異なる分布関数間の違いが実際にも反映されない場合、焦点分布の評価は、デフォーカス偏差の一般的な評価と比べて利点を提供する。異なる焦点分布を互いに識別可能とすべきある。しかし、解像限界の測定は稀にしか行う必要がないので、そのために、良好な信号対雑音比を提供する定性的に質の高い試料を使用することの負担は軽い。そのような場合、焦点分布の評価によって、システム誤差に関して明らかにより正確に解像限界を測定することが可能となる。
モノクロメーターの使用時に起こる可能性の有るような、焦点分布がガウス関数から大きくずれる場合には、雑音による精度の悪化と関係無く、焦点分布を算出するのが有意義である。

Claims (25)

  1. 電子ビームを傾斜させる手段と、回折図形の強度分布の方向依存性を算出する手段とを有する電子顕微鏡において、
    電子ビームの傾斜と関連させた、電子顕微鏡で撮影した少なくとも一つの回折図形の強度分布の方向依存性から、電子顕微鏡のデフォーカス偏差又は焦点分布を算出することが可能な評価ユニットを特徴とする電子顕微鏡。
  2. 電子顕微鏡の少なくとも一つの収差を決定する手段を特徴とする請求項1に記載の電子顕微鏡。
  3. 当該の少なくとも一つの収差が、デフォーカス、球面収差及び非点収差から成るグループの中の収差であることを特徴とする請求項2に記載の電子顕微鏡。
  4. 透過電子顕微鏡として構成されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の電子顕微鏡。
  5. 当該の評価ユニットが、回折図形用のローパスフィルターを有することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の電子顕微鏡。
  6. 少なくとも一つの対数変換ユニットを有することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の電子顕微鏡。
  7. 当該の評価ユニットが、回折図形の強度分布用の数学モデルを有することを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の電子顕微鏡。
  8. 電子ビームを傾斜させる工程と、
    物体の少なくとも一つの回折図形を撮影する工程と、
    その回折図形の強度分布の方向依存性を算出する工程と、
    強度分布の方向依存性と電子ビームの傾斜から、電子顕微鏡のデフォーカス偏差又は焦点分布を評価する工程と、
    を有する、電子顕微鏡のデフォーカス偏差又は解像限界を算出する方法。
  9. デフォーカス偏差又は焦点分布から電子顕微鏡の解像限界を算出することを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 非結晶物体を選定することを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
  11. 電子顕微鏡の少なくとも一つの収差を決定することを特徴とする請求項8から10までのいずれか一つに記載の方法。
  12. 当該の少なくとも一つの収差が、デフォーカス、球面収差及び非点収差から成るグループの中から選定されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 当該の収差を測定することを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
  14. 電子顕微鏡において、当該の収差を周知の大きさに調節することを特徴とする請求項11から13までのいずれか一つに記載の方法。
  15. 電子顕微鏡として、透過電子顕微鏡を選定することを特徴とする請求項8から14までのいずれか一つに記載の方法。
  16. 当該の回折図形をローパスフィルターを用いてフィルター処理することを特徴とする請求項8から15までのいずれか一つに記載の方法。
  17. 当該の回折図形を対数変換することを特徴とする請求項8から16までのいずれか一つに記載の方法。
  18. 当該の回折図形をその原点の周りの円周ラインに沿って評価することを特徴とする請求項8から17までのいずれか一つに記載の方法。
  19. 当該の回折図形の強度分布の数学モデルを、撮影した回折図形に適合させることを特徴とする請求項8から18までのいずれか一つに記載の方法。
  20. 当該の電子顕微鏡のデフォーカス偏差を、適合させるためのパラメータとして使用することを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 当該の適合を、パラメータを最適化する方法にもとづき実施することを特徴とする請求項19又は20に記載の方法。
  22. 異なるビーム傾斜で撮影した一連の少なくとも三つの回折図形を評価することを特徴とする請求項8から21までのいずれか一つに記載の方法。
  23. ビームを光軸に対して一定の角度に傾斜させるとともに、その傾斜角の方位を一様に分散させて、当該の一連の回折図形を撮影することを特徴とする請求項22に記載の方法。
  24. 当該の焦点分布を評価するために、回折図形内のM個の離散的な点に関して、それらの点における回折図形の強度値を、それぞれ画像のN個の異なるサブ焦点における焦点分布の値の関数として表した連立方程式を立てることを特徴とする請求項8から23までのいずれか一つに記載の方法。
  25. 線形連立方程式を立てることを特徴とする請求項24に記載の方法。
JP2009541750A 2006-12-21 2007-12-13 電子顕微鏡及びデフォーカス偏差又は解像限界の測定方法 Active JP5431169B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DE102006061978A DE102006061978A1 (de) 2006-12-21 2006-12-21 Elektronenmikroskop und Verfahren zur Messung der Defokusstreuung
DE102006061978.1 2006-12-21
PCT/DE2007/002252 WO2008074302A1 (de) 2006-12-21 2007-12-13 Elektronenmikroskop und ein verfahren zur messung der defokusstreuung oder der grenzauflösung

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2010514106A true JP2010514106A (ja) 2010-04-30
JP2010514106A5 JP2010514106A5 (ja) 2011-01-13
JP5431169B2 JP5431169B2 (ja) 2014-03-05

Family

ID=39316384

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009541750A Active JP5431169B2 (ja) 2006-12-21 2007-12-13 電子顕微鏡及びデフォーカス偏差又は解像限界の測定方法

Country Status (8)

Country Link
US (1) US9076630B2 (ja)
EP (1) EP2102886B1 (ja)
JP (1) JP5431169B2 (ja)
CN (1) CN101606215B (ja)
AT (1) ATE522921T1 (ja)
DE (2) DE102006061978A1 (ja)
DK (1) DK2102886T3 (ja)
WO (1) WO2008074302A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013519980A (ja) * 2010-02-10 2013-05-30 モチイ,インコーポレイテッド(ディービーエー ヴォクサ) 収差補正暗視野電子顕微鏡
EP2450936B1 (en) * 2010-11-03 2013-03-13 Carl Zeiss NTS Ltd. Microscope system, method for operating a charged-particle microscope
NL2006300C2 (en) * 2011-02-25 2012-08-28 Univ Delft Tech Electron microscope and method of estimating defocus therefor.
GB2491199A (en) * 2011-05-27 2012-11-28 Univ Antwerpen Methods and systems for material characterization
EP2584584A1 (en) * 2011-10-19 2013-04-24 FEI Company Method for adjusting a STEM equipped with an aberration corrector
US10283315B2 (en) * 2017-05-16 2019-05-07 International Business Machines Corporation Measuring spherical and chromatic aberrations in cathode lens electrode microscopes

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07114901A (ja) * 1993-10-15 1995-05-02 Jeol Ltd 画像信号処理方法および装置
JP2002260571A (ja) * 2001-03-05 2002-09-13 Nikon Corp 電子線装置および電子線装置を用いたデバイス製造方法
JP2003331773A (ja) * 2002-05-13 2003-11-21 Jeol Ltd 電子顕微鏡
JP2006130264A (ja) * 2004-11-05 2006-05-25 Takashi Okamura ショルダーベルトとストラップとの着脱式連結具
JP2006173027A (ja) * 2004-12-20 2006-06-29 Hitachi High-Technologies Corp 走査透過電子顕微鏡、及び収差測定方法、ならびに収差補正方法
JP2008130264A (ja) * 2006-11-17 2008-06-05 Jeol Ltd ロンチグラム中心の決定方法
JP2010500726A (ja) * 2006-08-16 2010-01-07 フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 二次元画像の類似性を測定するための方法および電子顕微鏡

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3235101A1 (de) * 1982-09-22 1984-03-22 Siemens AG, 1000 Berlin und 8000 München Verfahren und anordnung zur messung von linsenfehlern und/oder der zentrierung an sonden erzeugenden linsen fuer ladungstraeger
US5300776A (en) * 1992-09-16 1994-04-05 Gatan, Inc. Autoadjusting electron microscope
AUPP690098A0 (en) * 1998-11-02 1998-11-26 University Of Melbourne, The Phase determination of a radiation wave field
JP4069545B2 (ja) * 1999-05-19 2008-04-02 株式会社日立製作所 電子顕微方法及びそれを用いた電子顕微鏡並び生体試料検査方法及び生体検査装置
KR20040028623A (ko) * 2001-07-26 2004-04-03 코닌클리케 필립스 일렉트로닉스 엔.브이. 주사 전자 현미경의 성능을 측정하는 방법

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07114901A (ja) * 1993-10-15 1995-05-02 Jeol Ltd 画像信号処理方法および装置
JP2002260571A (ja) * 2001-03-05 2002-09-13 Nikon Corp 電子線装置および電子線装置を用いたデバイス製造方法
JP2003331773A (ja) * 2002-05-13 2003-11-21 Jeol Ltd 電子顕微鏡
JP2006130264A (ja) * 2004-11-05 2006-05-25 Takashi Okamura ショルダーベルトとストラップとの着脱式連結具
JP2006173027A (ja) * 2004-12-20 2006-06-29 Hitachi High-Technologies Corp 走査透過電子顕微鏡、及び収差測定方法、ならびに収差補正方法
JP2010500726A (ja) * 2006-08-16 2010-01-07 フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 二次元画像の類似性を測定するための方法および電子顕微鏡
JP2008130264A (ja) * 2006-11-17 2008-06-05 Jeol Ltd ロンチグラム中心の決定方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6012047728; 細川史生: 'ディフラクトグラムによるTEMオートチューニング' 電子顕微鏡 Vol.36,No.2, 20010731, P115-P117, 日本電子顕微鏡学会 *

Also Published As

Publication number Publication date
DK2102886T3 (da) 2011-10-24
DE102006061978A1 (de) 2008-06-26
US9076630B2 (en) 2015-07-07
EP2102886B1 (de) 2011-08-31
ATE522921T1 (de) 2011-09-15
EP2102886A1 (de) 2009-09-23
WO2008074302A1 (de) 2008-06-26
CN101606215B (zh) 2015-08-05
DE112007002849A5 (de) 2009-09-03
US20100032565A1 (en) 2010-02-11
CN101606215A (zh) 2009-12-16
JP5431169B2 (ja) 2014-03-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hart et al. Direct detection electron energy-loss spectroscopy: a method to push the limits of resolution and sensitivity
US10804074B2 (en) Image processing system and method of processing images
US8106357B2 (en) Scanning electron microscope and method for processing an image obtained by the scanning electron microscope
JP5431169B2 (ja) 電子顕微鏡及びデフォーカス偏差又は解像限界の測定方法
JP4857101B2 (ja) プローブ評価方法
JP6116598B2 (ja) 物質中のひずみを高空間分解能で測定するためのシステムおよび方法
JP2007179753A (ja) 走査透過電子顕微鏡、及び収差測定方法
JP5106627B2 (ja) 回折像取得方法、及び荷電粒子線装置
JP7228558B2 (ja) 透過菊池回折パターンの改良方法
JP4997013B2 (ja) 電子分光器を備えた電子顕微鏡
JP4337832B2 (ja) 電子線を用いた観察装置及び観察方法
JP5423612B2 (ja) 共焦点走査透過型電子顕微鏡装置及び3次元断層像観察方法
Zotta et al. The determination and application of the point spread function in the scanning electron microscope
JP4920370B2 (ja) 透過型電子顕微鏡の情報伝達限界測定法およびこの測定法が適用された透過型電子顕微鏡
JP2003249186A (ja) 走査透過型電子顕微鏡に依る観察方法及び観察装置
Radić et al. Comparison of experimental STEM conditions for fluctuation electron microscopy
US11380514B2 (en) Charged particle beam system
Joy et al. Evaluating SEM performance from the contrast transfer function
US8294118B2 (en) Method for adjusting optical axis of charged particle radiation and charged particle radiation device
JP6318986B2 (ja) 走査透過型電子顕微鏡像の取得方法及び走査透過型電子顕微鏡
Boothroyd et al. Comparison of approaches and artefacts in the measurement of detector modulation transfer functions
JP6163063B2 (ja) 走査透過電子顕微鏡及びその収差測定方法
JP4942000B2 (ja) 電子顕微鏡とその対物レンズ系収差特性の計測方法
Möbus et al. Quantitative diffractometry at 0.1 nm resolution for testing lenses and recording media of a high–voltage atomic resolution microscope
JP5289665B2 (ja) 薄膜評価方法及びその装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100604

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100819

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121002

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121211

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130702

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131204

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5431169

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250