JP2010511088A - ポリアミドグラフトコポリマー、これを含有する材料、製造方法及び用途 - Google Patents
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Abstract
Description
欧州特許出願公開第0537767A1号は、グルタル酸無水物官能基を担持するPMMAと、ポリアミドであってもよい熱可塑性樹脂と、エポキシド官能基を担持するコポリマーを反応させることによって得られた材料を記載している。
B−(A)n
[上式中、
− Aは0℃を越えるガラス転移温度を有する剛性ポリマーブロックであり;
− Bは0℃未満のガラス転移温度を有する可撓性ポリマーブロックであり;
− nは1であるか又は1より大なる自然数であり、
nが2又はそれ以上の場合、ブロックAは同一か異なっている]
のブロックコポリマーから形成された骨格と、剛性ポリマーブロックによって担持されるポリアミド(PA)グラフトからなるグラフトコポリマーであって、一般式:
(Ag)m−B−(A)p
[上式中、
− A及びBは上の定義の通りであり;
− Agは少なくとも一のグラフト(PA)を担持するブロックAであり;
− m及びpは自然数であり、その合計はnに等しいが、pが0に等しい場合がある]
によって表されるグラフトコポリマーである。
本発明の更に他の主題は、本発明に係るグラフトコポリマー又はそれを含有する材料の使用に関する。
ブロックA及びBを構成するモノマーは、ビニル、ビニリデン、ジエン、オレフィン及びアルキルモノマーから選択され得、当業者であれば、それらの各々について所望のTgを得るためにそれらを如何に組み合わせるかは分かるであろう。
CH2=C(CH3)−COOR° 及び CH2=CH−COO−R°
[上式中、R°は次の基から選択される:1〜18の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の、第1級、第2級又は第3級アルキル、5〜18の炭素原子を含むシクロアルキル、(1〜18の炭素原子を含むアルコキシ)−1〜18の炭素原子を含むアルキル、(1〜18の炭素原子を含むアルキルチオ)−1〜18の炭素原子を含むアルキル、アリール及びアリールアルキルで、該基は少なくとも一のハロゲン原子(例えばフッ素)及び/又は該ヒドロキシル基の保護後に少なくとも一のヒドロキシル基で置換されていてもよく、上記アルキル基は直鎖状又は分枝状であるもの;及びグリシジル、ノルボルニル又はイソボニル(メタ)アクリレート。
ビニリデンモノマーとしては、フッ化ビニリデンを挙げることができる。
「ジエンモノマー」なる用語は、直鎖状又は環状の、共役又は非共役ジエン、例えばブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、2−アルキル−2,5−ノルボルナジエン、5−エチレン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル−2−ノルボルネン)、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、ビシクロ[2,2,2]オクタ−2,5−ジエン、シクロペンタジエン、4,7,8,9−テトラヒドロインデン及びイソプロピリデンテトラヒドロインデンから選択されるジエンを意味することを意図している。
更に、nは1又は有利には2〜20の自然数である。
特定の一実施態様によれば、nが少なくとも2である場合、全てのブロックAは同一であり、及び/又は全てのブロックAgは同一である。有利には、p=0である。
特にグラフトコポリマーAg−B−Agを生じるトリブロック骨格コポリマーA−B−Aを挙げることができる。
出発ブロックコポリマーの調製は当業者によく知られており、ここでは繰り返さない。この点について、特許文献・国際公開第2004/087796号、国際公開第2003/062293号及び仏国特許第2807439号を参照のこと。特に、モノマーと官能性nのアルコキシアミンを混合し、ついでブロックAを形成することが意図されたモノマー混合物中にブロックBを希釈させることからなる一般的な方策を使用してブロックBを調製することからなる重合プロセスを挙げることができる(制御ラジカル重合)。
その又は各メタクリルブロックAはよって70重量%〜99.5重量%、有利には80重量%〜99.5重量%、好ましくは85重量%〜99.5重量%のMMA単位を含有しうる。
従って、その又は各ブロックAは、グラフト化を可能にし、酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基から、有利には酸及び無水物官能基から選択される少なくとも一の官能基を担持する少なくとも一の単位を含有する。
・ 酸、酸塩、無水物及びポキシド官能基から選択される少なくとも一の官能基を担持する当該ブロックAを形成する主モノマーと共重合性のC=C二重結合を含む少なくとも一のモノマーから誘導された単位;及び
・ 式:
(上式中、R3及びR4はH又はメチル基を示す)のグルタル酸無水物単位
から選択される。
特にその又は各ブロックAは、少なくとも一のグルタル酸無水物単位及び/又は少なくとも一のアクリル酸単位及び/又は少なくとも一のメタクリル酸単位を含有する。
上記単位がMMAと共重合性で、少なくとも一の酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基を担持するC=C二重結合を含むモノマーから誘導される場合、該モノマーはラジカル機構を介してMMAと共重合する。
少なくとも一のエポキシド官能基を担持するモノマーの例としては、脂肪族グリシジルエステル又は脂肪族グリシジルエーテル、例えばアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、マレイン酸グリシジル及びイタコン酸グリシジル、アクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリシジル、脂環式グリシジルエステル又は脂環式グリシジルエーテル、例えば2−シクロヘキセン−1−グリシジルエーテル、シクロヘキセン−4,5−ジグリシジルカルボキシレート、シクロヘキセン−4−グリシジルカルボキシレート、5−ノルボルネン−2−メチル−2−グリシジルカルボキシレート及びエンド−シス−ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジグリシジルジカルボキシレートを挙げることができる。メタクリル酸グリシジルが好ましいモノマーであるが、これは、MMAと同様に、メタクリル酸エステルであるから、MMAと効率的に共重合するためである。
・式CH2=CH−C(=O)−O−R1のアクリルモノマー、ここで、R1は、直鎖状、環状又は分枝状のC1−C40アルキル基で、ハロゲン原子又はヒドロキシル、アルコキシ又はシアノ基で置換されていてもよいもの、例えばメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル又は2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、アクリロニトリル;
・式CH2=C(CH3)−C(=O)−O−R2のメタクリルモノマー、ここで、R2は、直鎖状、環状又は分枝状のC2C40アルキル基で、ハロゲン原子又はヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、アミノ又はエポキシ基で置換されていてもよいもの、例えばエチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル又は2−エチルヘキシルメタリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、メタクリロニトリル;及び
・ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン、置換スチレン、例えばα−メチルスチレン、モノクロロスチレン、tert−ブチルスチレン。
・70重量%〜99.5重量%のMMA;
・MMAと共重合性の少なくとも一のC=C二重結合を含み、酸、酸塩、無水物又はポキシド官能基を担持しない0〜20重量%のコモノマー(a);
・少なくとも一の酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基を担持する0.5重量%〜30重量%少なくとも一の基
を含みうる。
・80重量%〜99.5重量%のMMA;
・MMAと共重合性の少なくとも一のC=C二重結合を含み、酸、酸塩、無水物又はポキシド官能基を担持しない0〜10重量%のコモノマー(a);
・少なくとも一の酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基を担持する0.5重量%〜20重量%少なくとも一の基
を含みうる。
・85重量%〜99.5重量%のMMA;
・MMAと共重合性の少なくとも一のC=C二重結合を含み、酸、酸塩、無水物又はポキシド官能基を担持しない0〜5重量%のコモノマー(a);
・少なくとも一の酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基を担持する0.5重量%〜15重量%少なくとも一の基
を含みうる。
(上式中、R3及びR4はH又はメチル基を示す)によって表されるグルタル酸無水物を含みうる。該基は、隣り合う二つの官能基間、例えば二つの酸官能基間、酸官能基とエステル官能基又は2つのエステル官能基間の分子内反応によって得られる。この主の基は、ポリアミドの第1級アミン官能基に対するその高い反応性のために特に評価される。
官能性コポリマーB−(A)nの重量平均分子量(Mw)は一般に10000〜500000g/molである。好ましくは、Mwは50000〜200000g/molであるが、これは非常に低い分子量はポリマーのガラス転移温度(Tg)に影響を及ぼす一方、非常に高い分子量はその流動性に影響を及ぼし、その融解転換を困難にするためである。当業者であれば、例えば移動剤を導入し及び/又は重合温度パラメータを使用することによって、重量平均分子量を如何にして調節するかは分かるであろう。
有利には、熱機械抵抗を有する本発明に係る材料を提供するためには、ポリアミドは100〜300℃、好ましくは140〜250℃の融点を有している。
第一のタイプによれば、コポリアミドは、少なくとも二つのα,ω−アミノカルボン酸又は6〜12の炭素原子を含む少なくとも二つのラクタム又は同数の炭素原子を有していないラクタム及びアミノカルボン酸の縮合から生じる。この第一のタイプのコポリアミドはジアミン及びジカルボン酸の残基である単位をまた含みうる。
ジアミンの例としては、ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタン及びトリメチルヘキサメチレンジアミンを挙げることができる。
ラクタムの例としては、カプロラクタム、エナントラクタム(oenantholactam)及びラウロラクタムを挙げることができる。
の連鎖停止剤を使用することができ、ここで、R5は水素又は20の炭素原子までを含む直鎖状又は分枝状のアルキルであり、R6は20の炭素原子までを含む直鎖状又は分枝状のアルキル又はアルケニル基であり;停止シクロ脂肪族基は、例えばラウリルアミン又はオレイルアミンでありうる。
本発明に係るグラフトコポリマーは特に次の特徴を含みうる:
− 一又は各ブロックの数平均分子量は5000〜100000g/mol、むしろ10000〜70000g/mol、有利には15000〜50000g/molであり;
− ブロックBの数平均分子量は5000〜100000g/mol、むしろ5000〜60000g/mol、有利には5000〜40000g/mol、好ましくは10000〜40000g/molであり;及び
− ポリアミドグラフトの数平均分子量は1000〜50000g/mol、むしろ1000〜40000g/mol、有利には1000〜30000g/mol、好ましくは1000〜20000g/molである。
本発明に係るグラフトコポリマーは、コポリマーB−(A)n(ブロックAは官能化されている)と第1級アミン又は酸官能基を末端に有するポリアミドを反応させることによって得られる。ポリアミドが第1級アミン官能基を末端に有する場合、ブロックAは好ましくは酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基を担持している。ポリアミドが酸官能基を末端に有する場合は、ブロックAは好ましくはエポキシド官能基を担持している。
平均で、一般に、ブロックAg当たり1から100、好ましくは1〜50のポリアミド(PA)が存在する。
− 本発明のグラフトコポリマー;
− 反応しなかったコポリマーB−(A)n(ブロックAは第1級アミン又は酸官能機と反応可能な官能基を担持する);
− 反応しなかった第1級アミン又は酸官能基を末端に有するポリアミド
からなる材料が得られる。
− 10%〜98%の本発明のグラフトコポリマー;
− 1%〜50%の反応しなかった上記(官能性)コポリマーB−(A)n;
− 1%〜50%の反応しなかった第1級アミン又は酸官能基を末端に有するポリアミド
からなり、全体が100%になる。
− 20%〜80%の本発明のグラフトコポリマー;
− 5%〜50%の反応しなかった上記(官能性)コポリマーB−(A)n;
− 5%〜50%の反応しなかった第1級アミン又は酸官能基を末端に有するポリアミド
からなり、全体が100%になる。
コア−シェルタイプの衝撃改質剤を、その衝撃強度を改善する目的で材料に添加することができる。この衝撃改質剤は、エラストマーコアと少なくとも一の熱可塑性シェルを有する微細粒子の形態であり、粒子のサイズは、一般に1μm未満で有利には50〜300nmである。衝撃改質剤は乳化重合によって調製される。材料に対して0〜60重量%、好ましくは0〜30重量%のコア−シェルタイプの衝撃改質剤が材料に添加される。
・イソプレン又はブタジエンのホモポリマー、又は
・多くとも30mol%のビニルモノマーとのイソプレンのコポリマー又は
・多くとも30mol%のビニルモノマーとのブタジエンのコポリマー
からなりうる。
ビニルモノマーは、スチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリル又はアルキル(メタ)アクリレートでありうる。
・アルキル(メタ)アクリレートのホモポリマー又は
・他のアルキル(メタ)アクリレート及びビニルモノマーから選択される多くとも30mol%のモノマーとのアルキル(メタ)アクリレートのコポリマーからなりうる。
アルキル(メタ)アクリレートは有利にはアクリル酸ブチルである。ビニルモノマーは、スチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリル、ブタジエン又はイソプレンでありうる。
有利には、コアは衝撃改質剤の70重量%〜90重量%を占め、シェルは30重量%〜10重量%を占める。
(i)少なくとも93モル%のブタジエン、5モル%のスチレン及び0.5モル%〜1モル%のジビニルベンゼンを含有する75〜80部のコアと、
(ii)一方が内側でポリスチレンからなり他方が外側でPMMAからなる本質的に同重量の25〜20部の二つのシェルと
からなるものを挙げることができる。
ソフト/ハードタイプの衝撃改質剤の他の例としては、ポリ(アクリル酸ブチル)又はアクリル酸ブチル/ブタジエンコポリマーコア及びPMMAシェルを有するものを挙げることができる。
ハード/ソフト/ハードタイプの衝撃改質剤の例としては、
(i)メタクリル酸メチル/アクリル酸エチルコポリマー製のコア、
(ii)アクリル酸ブチル/スチレンコポリマー製の層、
(iii)メタクリル酸メチル/アクリル酸エチルコポリマー製のシェル
からなるものを挙げることができる。
(i)メタクリル酸メチル/アクリル酸エチルコポリマーからなるコア、
(ii)アクリル酸ブチル/スチレンコポリマーからなるシェル、
(iii)メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/スチレンコポリマーからなるシェル、及び
(iv)メタクリル酸メチル/アクリル酸エチルコポリマーからなるシェル
からなるものである。
他の添加剤を材料にまた添加することができる。それらは、抗UV添加剤、抗酸化剤、離型剤、潤滑剤等でありうる。抗UV添加剤の例としては米国特許第5256472号に記載されたものを挙げることができる。ベンゾトリアゾール及びベンゾフェノンが好適に使用される。例としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製のTinuvin(登録商標)213又はTinuvin(登録商標)109、好ましくはTinuvin(登録商標)234又はTinuvin P(登録商標)又はTinuvin770(登録商標)を使用することができる。
本発明に係るグラフトコポリマー及びこれを含む材料は、フィルム、押出ブロー成型部品又は射出部品の形態で使用することができる。それはまた衛生用途(バスタブ、洗面台、シャワートレイ等)に使用される押出シートの形態でもある。衛生分野では、材料の耐薬品性と亀裂強度が二つの高く評価される性質である。
− 式CH2=CH−C(=O)−O−R1のアクリルモノマー、ここで、R1は直鎖状、環状又は分枝状のC1−C40アルキル基で、ハロゲン原子又はヒドロキシル、アルコキシ又はシアノ基で置換されていてもよいもの、例えばメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル又は2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、アクリロニトリルを表す;
− 式CH2=C(CH3)−C(=O)−O−R2のメタクリルモノマー、ここで、R2は直鎖状、環状又は分枝状のC2−C40アルキル基で、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、アミノ又はエポキシ基で置換されていてもよいもの、例えばエチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル又は2−エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、メタクリロニトリルを表す;
− ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン、又は置換スチレン、例えばα−メチルスチレン、モノクロロスチレン又はtert−ブチルスチレンを表す。
・2%〜20%の本発明に係るグラフトコポリマー又はそれを含む材料;
・PA6、PA6−6、PA11又はPA12から選択されうる10%〜90%のポリアミド;
・PMMA、PVDF、PVC及びアクリルポリマーから選択される10%〜90%のポリマー
を含有する。
− ポリアミドの層c1;
− 本発明に係る材料の層c2;
− PMMA、PVDF、PVC及びアクリルポリマーから選択されるポリマーの層c3
からなり、該層は互いに接着している。
ポリアミド、PMMA及びPVDFなる用語の定義は上に与えた。
これらの実施例において、次の略語を使用した:
MMA : メタクリル酸メチル;
BA : アクリル酸ブチル;
MAA : メタクリル酸;
THF : テトラヒドロフラン;
PTA : リンタングステン酸;
BzOH : ベンジルアルコール;
CDCl3 : 重水素化クロロホルム;
PA : ポリアミド;
PMMAf : MMA及び無水グルタル酸ジメチル基を含むMMAのコポリマーのブロック;
P(MMAf−b−BA−b−MMAf): 末端ブロックがPMMAfブロックであり、中央ブロック がポリ(アクリル酸ブチル)ブロックであり,メタクリル酸及び無水グルタル酸ジメチル基は反応性部位を構成するトリブロックコポリマー;
P(MMAf−b−BA−b−MMAf)−g−PA:本発明に係るトリブロックグラフトコポリマー;
R : 本発明を例証する実施例において使用した2つのポリマー(骨格及びグラフト)の分子量P(MMAf−b−BA−b−MMAf):PAの比;
SEC : サイズ排除クロマトグラフィー;
FTIR : フーリエ変換赤外線分光法;
TEM : 透過電子顕微鏡法;
1H NMR : プロトン核磁気共鳴;
DSC : 示差走査熱量測定;
DMA : 動的機械分析;
Mn : 数平均分子量;
Ip : 多分散度 (数平均分子量に対する重量平均分子量の比);
Mp : 融点。
グラフトトリブロックコポリマー材料はP(MMAf−b−BA−b−MMAf)と末端第1級アミン官能基を含むPAを、窒素雰囲気下で200rpmの回転速度で6分間、250℃にて、3g容量のDACA製マイクロ押出機で、反応性押出によって調製した。
材料の安定性を観察するために、サンプルに、真空下で1時間、235℃での熱アニールを施した。
P(MMAf−b−BA−b−MMAf)コポリマーの特徴は次の通りである:
− 標準としてPMMAを用いてSECによって決定したMn及びIpはそれぞれ70000g/mol及び2.1である;
− BAのモル百分率は1H NMRによって評価して34%である;
− MMA、MAA及び無水グルタル酸ジメチルのモル百分率はクロロホルム中の溶液でFTIRによって評価して、それぞれ58%、6%及び2%である。
− アクリル酸ブチルの密度を増加させることを可能にする液相ルテニウム標識で、図1aで黒く見える;
− 標識プロモータとしてBzOHを用いる水溶液中でのPTA標識で、PMMAを標識することを可能にする(図1bで灰色)。
P(MMAf−b−BA−b−MMAf)コポリマーは、迷路のようなラメラ相として記述できる長い距離のオーダーのない波状で互いにつながったラメラ形態を示す。
末端第1級アミン官能基を含む様々なPAsを用いた。これらのポリアミドは、無水トリフルオロ酢酸を用いてCDCl3中で1H NMRによって決定したそのMnと、DSCによって測定したそのMpによって特徴付けた。
PA1 : 218℃のMpを有している2550g/molのMnの一アミノ化PA6である。
PA2 : 219℃のMpを有している5320g/molのMnの一アミノ化PA6である。
PA3 : 222℃のMpを有している16500g/molのMnの一アミノ化PA6である。
熱機械抵抗:
得られたサンプルの熱機械的挙動をDMAによってモニターした。ロッドを250℃にて長方形棒の形態にプレスした後、3℃/分の傾斜で−80から250℃の間で、1Hzの周波数で大きさが20ミクロンの撓みの変形を施した。貯蔵弾性率(E’)を、TAインストルメンツDMA9980マシーンを使用して測定する。得られた貯蔵弾性率をMPa単位で与える。
試験は、室温で3日間クロロホルム中に配したロッドの耐性を観察することからなる(ロッドはクロロホルムに対して3重量%を占める)。耐性の評価は定性的で、ロッドがその形状を維持するかどうか又は溶媒に接触したときに崩壊するかどうかを決定することからなる。ロッドが崩壊すれば、耐薬品性は非常に乏しく、ロッドがその形状を維持すれば、耐薬品性は非常に良好である。
透明性:
透明性は定性的に評価される。
押出機から出るか又はアニール(真空下で235℃にて1時間)の後、TEMによって形態を研究した。サンプルを室温でミクロトーム化した後:
− ルテニウムを用いて標識した:ポリ(アクリル酸ブチル)ブロック、ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック及びポリアミドグラフトによって形成されたドメインは、それぞれ黒、白及び灰色に見える;
− 又はBzOHの存在下でPTAを用いて標識した:ポリアミド(遊離又はグラフトの形態)、及びポリ(メタクリル酸メチル)ブロック及びポリ(アクリル酸ブチル)によって形成されたドメインは、それぞれ黒、灰色及び白に見える;
反応性押出によるP(MMAf−b−BA−b−MAAf):PA1コポリマー材料の調製
表題のグラフトトリブロックコポリマーを、上に示した条件下で、それぞれ80:20(実施例1);70:30(実施例2)及び60:40(実施例3)の比Rで、調製した。
図2a及び2bは、TEM:ルテニウム標識(図2a)及びPTA/BzOH標識(図2b)によって観察された、押出機を出た際の実施例2の材料の形態を示す。
1時間アニールした同じ材料は、図2c(PTA/BzOH標識)に見られるように変化しなかった。
従って、グラフト材料は安定であり、残留ホモポリマーはグラフトコポリマーの構造中に取り込まれている。
実施例1及び3の材料の形態はまた非常に微細でアニーリングに対して安定であった。
− P(MMAf−b−BA−b−MMAf):実線
− 実施例1のグラフトコポリマー材料: ++++++++++++
− 実施例2のグラフトコポリマー材料: 破線
− 実施例3のグラフトコポリマー材料: 「−」符号の連続。
以下の表1に、20℃での貯蔵弾性率をまとめる。
図3では、混合物の成分の全ての転移が観察できる:
− −50℃のポリ(アクリル酸ブチル)のガラス転移;
− 約30℃のポリアミドのガラス転移;及び
− 約130℃のポリ(メタクリル酸メチル)のガラス転移;及び
最後に、220℃のPAの結晶性部分の融解。
弾性率安定期は材料中の30%のPA−1ぁら始まるポリ(メタクリル酸メチル)ブロックの転移温度を上回るように思われる。安定期は混合物中のPA−1の結晶性から生じる。従って、グラフト化は確かに起こっている。
反応性押出によるP(MMAf−b−BA−b−MAAf):PA2及びPA3コポリマーの調製
R=70:30の比で、PA2(実施例4)及びPA3(実施例5)でグラフト化した表題のグラフトを、上に示した条件下で調製した。
グラフトのサイズの増加はサンプルの透明性を有意には損なわない一方、同じ条件で調製されたR=70:30のPMMAf/PA3ロッドは白色であることが観察された。
実施例2、4及び5及び上記PMMAf/PA3の材料の形態はまたそれぞれ図4a,4b,4c及び4dに示され、そこには、235℃で真空下で1時間アニーリングした後のTEMによって観察され、PTA(ポリアミドによって形成されたドメインは黒くみえる)によって標識された様々なサンプルの顕微鏡写真が示されている。
− P(MMAf−b−BA−b−MMAf):実線
− 実施例2のグラフトコポリマー: 破線
− 実施例4のグラフトコポリマー: ++++++++++++
− 実施例5のグラフトコポリマー: oooooooooooo
以下の表1に、20℃での貯蔵弾性率の値をまとめた。
従って、高分子量(PA3)のPA6を用いた材料により、PAが非常に微細に分散し、有利な性質を有している材料を得ることが可能になった。
反応性押出によるP(MMAf−b−BA−b−MAAf):PA3コポリマーの調製
R=80:20(実施例6)、R=50:50(実施例7)及びR=30:70(実施例8)で表題のコポリマーを、上に示した条件下で調製した。
得られた材料(押出品)は、実施例8の材料を除いて、比較的透明である。
真空下で235℃にて1時間アニールされた実施例6、5、7及び8の材料のTEM顕微鏡写真はそれぞれ図6aから6d(PTAで標識)に与える。
− P(MMAf−b−BA−b−MMAf) : 実線
− 実施例5のグラフトコポリマー材料 : oooooooooooo
− 実施例7のグラフトコポリマー材料 : ++++++++++++
− 実施例8のグラフトコポリマー材料 : ggxx
− PA3 : 破線
また、約80℃でのPAの挙動が改善されることが図7から分かる。
本発明のグラフトトリブロック材料は、使用されるPA鎖のサイズにかかわらず、微細で均質な形態を示す。グラフトトリブロックコポリマーの含量は高く、残留P(MMAf−b−BA−b−MMAf)及びPA ポリマーは構造中に十分に取り込まれる。更に、混合物の形態はアニール(真空下で235℃で1時間)中変化しない。これらの結果は、中央PBAブロックがない場合に得られたものとは異なる。従って、P(MMAf−b−BA−b−MMAf)の構造化は、グラフト化プロセス及びえられた混合物の安定性について重要な役割を担っている。
Claims (30)
- 一般式:
B−(A)n
[上式中、
− Aは0℃を越えるガラス転移温度を有する剛性ポリマーブロックであり;
− Bは0℃未満のガラス転移温度を有する可撓性ポリマーブロックであり;
− nは1であるか又は1より大なる自然数であり、
nが2又はそれ以上の場合、ブロックAは同一か異なっている]
のブロックコポリマーから形成された骨格と、剛性ポリマーブロックによって担持されるポリアミド(PA)グラフトからなるグラフトコポリマーであって、一般式:
(Ag)m−B−(A)p
[上式中、
− A及びBは上の定義の通りであり;
− Agは少なくとも一のグラフト(PA)を担持するブロックAであり;
− m及びpは自然数であり、その合計はnに等しいが、pが0に等しい場合がある]
によって表されるグラフトコポリマー。 - nが1であるか、又は2から20の自然数であることを特徴とする請求項1に記載のグラフトコポリマー。
- nが少なくとも2である場合、全てのブロックAは同一であり、及び/又は全てのブロックAgは同一であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のグラフトコポリマー。
- − 一又は各一のブロックAの数平均分子量が5000〜100000g/mol、むしろ10000〜70000g/mol、有利には15000〜50000g/molであり;
− ブロックBの数平均分子量が5000〜100000g/mol、むしろ10000〜60000g/mol、有利には5000〜40000g/mol、好ましくは10000〜40000g/molであり;
− ポリアミドグラフトの数平均分子量が1000〜50000g/mol、むしろ1000〜40000g/mol、有利には1000〜30000g/mol、好ましくは1000〜20000g/molである
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。 - ポリアミド(PA)グラフトに対する請求項1に定義したコポリマーB−(A)nの質量比が、10:90〜95:5、有利には50:50〜90:10、好ましくは60:40〜80:20であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。
- 該ブロックAが50℃以上、有利には80℃以上のガラス転移温度を有するポリマーのブロックであることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。
- ブロックBが−10℃以下、有利には−30℃以下のガラス転移温度を有するポリマーのブロックであることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。
- 該ブロックAが、主にメタクリル酸メチル(MMA)単位を含有するメタクリルブロックであることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。
- 該ブロックAが、70重量%〜99.5重量%、有利には80重量%〜99.5重量%、好ましくは85重量%〜99.5重量%のMMA単位を含有していることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。
- 該ブロックAが、グラフトを可能にしたもので、酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基から、有利には酸及び無水物官能基から選択される少なくとも一の官能基を担持する少なくとも一の単位を含むことを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。
- 酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基から選択される少なくとも一の官能基を担持する単位が、
・ 当該ブロックAを形成する主モノマーと共重合性のC=C二重結合を含み、酸、酸塩、無水物及びエポキシド官能基から選択される少なくとも一の官能基を担持する少なくとも一のモノマーから誘導される単位;及び
・ 式:
(上式中、R3及びR4はH又はメチル基を示す)のグルタル酸無水物
から選択されることを特徴とする請求項10に記載のグラフトコポリマー。 - 該ブロックAが、少なくとも一のグルタル酸無水物単位及び/又は少なくとも一のアクリル酸単位及び/又は少なくとも一のメタクリル酸単位を含むことを特徴とする請求項11に記載のグラフトコポリマー。
- 該ブロックAが、0.5重量%〜30重量%、有利には0.5重量%〜20重量%、好ましくは0.5重量%〜15重量%の、少なくとも一の酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基、有利には少なくとも一の酸及び/又は無水物官能基を担持する単位を含有していることを特徴とする請求項1から12の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。
- 該ブロックAが、当該ブロックAを形成する主モノマーと共重合性の少なくとも一のC=C二重結合を含み、酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基を担持しないコモノマー(a)の少なくとも一の単位を含有することを特徴とする請求項1から13の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。
- コモノマー(a)が次のモノマー:
・式CH2=CH−C(=O)−O−R1(該式中、R1は、ハロゲン原子又はヒドロキシル、アルコキシ又はシアノ基で置換されていてもよい直鎖状、環状又は分枝状のC1−C40アルキル基を示す)のアクリル酸モノマー;
・式(該式中、R2は、ハロゲン原子又はヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、アミノ又はエポキシ基で置換されていてもよい直鎖状、環状又は分枝状のC2−C40アルキル基を示す)
・ビニル芳香族モノマー
から選択されることを特徴とする請求項14に記載のグラフトコポリマー。 - 該ブロックAが、MMAベースであり、
・70重量%〜99.5重量%のMMA;
・MMAと共重合性の少なくとも一のC=C二重結合を有し、酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基を担持しない0〜20重量%のコモノマー(a);
・少なくとも一の酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基を担持する0.5重量%〜30重量%の少なくとも一の基
を含むことを特徴とする請求項1から15の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。 - 該ブロックAが、MMAベースであり、
・80重量%〜99.5重量%のMMA;
・MMAと共重合性の少なくとも一のC=C二重結合を有し、酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基を担持しない0〜10重量%のコモノマー(a);
・少なくとも一の酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基を担持する0.5重量%〜20重量%の少なくとも一の基
を含むことを特徴とする請求項16に記載のグラフトコポリマー。 - 該MMAベースのブロックAが、
・85重量%〜99.5重量%のMMA;
・MMAと共重合性の少なくとも一のC=C二重結合を有し、酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基を担持しない0〜5重量%のコモノマー(a);
・少なくとも一の酸、酸塩、無水物又はエポキシド官能基を担持する0.5重量%〜15重量%の少なくとも一の基
を含むことを特徴とする請求項17に記載のグラフトコポリマー。 - ブロックBが、アクリル酸ブチル単位又は主としてアクリル酸ブチル単位を含有することを特徴とする請求項1から19の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。
- グラフト形成ポリアミドが、PA6、PA6−6、PA11、PA12及びそのコポリマーから選択されることを特徴とする請求項1から19の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。
- ポリアミドが100〜400℃、有利には120〜300℃、好ましくは140〜250℃の融点を有することを特徴とする請求項20に記載のグラフトコポリマー。
- ブロックAg当たり、平均で1〜100、好ましくは1〜50のポリアミド(PA)グラフトが存在していることを特徴とする請求項1から21の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。
- トリブロックコポリマーAg−B−Agからなることを特徴とする請求項1から22の何れか一項に記載のグラフトコポリマー。
- 請求項1から23の何れか一項に定義されたグラフトコポリマーの製造方法であって、第1級アミン又は酸官能基を末端に有するポリアミドと、一般式B−(A)n(該式中、A、B及びnは請求項1に定義した通りでり、ブロックAは、ポリアミドの第1級アミン又は酸官能基と反応性の官能基を担持している)のコポリマーを反応させることからなることを特徴とする方法。
- 180〜320℃、好ましくは180〜280℃の温度で、1秒〜15分、好ましくは1秒〜10分の間、反応性押出によって実施されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
- − 特に10重量%〜98重量%の割合の、請求項1から23の何れか一項に記載のグラフトコポリマー(Ag)m−B−(A)p;
− 特に1重量%〜50重量%の反応しなかったコポリマーB−(A)nで、該ブロックAは第1級アミン又は酸官能基と反応可能な官能基を担持するもの;
− 特に1重量%〜50重量%の割合の、反応しなかった第1級アミン又は酸官能基を末端に有する1重量%〜50重量%のポリアミド
からなり、全体が100重量%になる材料。 - 材料に対して0〜60重量%、好ましくは0〜30重量%のコア−シェルタイプの衝撃改質剤が添加されていることを特徴とする請求項26に記載の材料。
- フィルム、押出ブロー成形部品、射出部品又は押出シートの形態である、請求項1から23の何れか一項に記載のグラフトコポリマー又は請求項26又は27の何れかに記載の材料の使用。
- ポリアミドと、PMMA、PVDF、PVC及びアクリルポリマーから選択されるポリマーとをベースとするアロイを得るための相溶化剤としての、請求項1から23の何れか一項に記載のグラフトコポリマー又は請求項26又は27の何れかに記載の材料の使用。
- ポリアミドと、PMMA、PVDF、PVC及びアクリルポリマーから選択されるポリマーとをベースとし、次の順で次の層:
− ポリアミドの層c1;
− 材料の層c2;
− PMMA,PVDF、PVC及びアクリルポリマーから選択されるポリマーの層c3
を有し、該層は互いに接着している多層構造のための共押出バインダーとしての、請求項1から23の何れか一項に記載のグラフトコポリマー又は請求項26又は27の何れかに記載の材料の使用。
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