JP2010505396A - リボ核酸を抽出するための安定化組成物および方法 - Google Patents

リボ核酸を抽出するための安定化組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、生物学的試料由来のリボ核酸(RNA)を試料中のリボ核酸が室温で安定に保持されるように安定化させるための組成物および方法を提供する。かかる組成物は、アニオン系界面活性剤とpH約5〜約8.2の緩衝剤とを含み、生物学的試料由来のリボ核酸を抽出しかつ保存するための方法に用いられる。

Description

関連出願の相互参照
本願は、米国仮特許出願第60/828,563号明細書、米国仮特許出願第60/866,985号明細書および米国仮特許出願第60/949,778号明細書の優先権を主張するものであり、これらの全内容はそれら全体が参照により本明細書に援用される。
本発明の分野は、一般に体液および/または分泌物(例えば唾液、粘液)および/または組織に由来するリボ核酸の保存および/または単離を行うための組成物および方法に関する。
リボ核酸(RNA)の検出および分析の重要性がますます顕著になりつつある。例えば、多数の病原性哺乳類ウイルス(例えばSARS−CoA、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、狂犬病ウイルス、デング熱ウイルス、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、HIVおよびA、C〜E型肝炎ウイルス)は、DNAではなくRNAに基づくゲノムを有する。かかるRNAの検出および/または分析は潜在的に極めて重要であるが、RNAの採取、保存/安定化、輸送および抽出に最適な一般に認められた方法はいまだ開発されていない。
RNAは不安定な化合物であり、RNAの検出および分析における分析対象としてRNAを日常的に幅広く用いることは、その不安定な性質ゆえに制限されている。RNAの糖−リン酸塩骨格は、アルカリ性溶液による破壊(分解、加水分解)を特に受けやすい。同様に酸性溶液による破壊も受けやすい。最も安定性があるRNAのpHはほぼ中性であると一般に考えられるが、従来、これについての正確な測定はなされていない。
RNAはまた、エンドリボヌクレアーゼ(例えば膵リボヌクレアーゼ)により酵素的に分解されうる。リボヌクレアーゼ活性は既にヒト唾液中で同定されているが(バードン(Bardon)およびシュガー(Shugar)、1980年)、この酵素の生化学的特性は十分に特徴づけられていない。ブランドン(Brandon)およびシュガー(Shugar)(1980年)は、唾液のリボヌクレアーゼが膵リボヌクレアーゼ様であることを示唆しているが、これはいまだ証明されていない。
RNAは、その不安定性を少なくとも1つの原因として、診断または検出にとって不適当な分析対象として考えられることが多い。RNAウイルスの場合、RNAの直接検出を必要としない検出方法が考案されている。例えば、液体培養系を用いて十分な量のウイルス/細菌を「成長させる」ことで診断が確定される。細菌感染は、典型的には試料の直接染色および顕微鏡検査により診断される。電子顕微鏡を用いても細菌およびウイルス含有試料が同定される。血清学では、間接蛍光抗体試験および酵素結合免疫吸着アッセイによる血清中の病原体(例えばウイルス、細菌、寄生虫)に対する抗体の検出により診断が可能である。
逆転写酵素PCR(RT−PCR)法は、病原体の検出に対する感度が良好であり、場合により症状の発現に先立つ。迅速なウイルス診断は、伝染病の抑制およびウイルス感染に罹った患者の管理の双方においてますます重要になるであろう。現在、免疫蛍光アッセイ(IFA)は、SARS−CoA感染の検出における「ゴールドスタンダード」と考えられている。しかし、この試験では、十分に訓練された技術者によるバイオセーフティレベル3(BSL−3)の施設を備えた実験室での感染SARSウイルスの培養が必要である。それ故、感染性のある臨床標本の採取および処理を行うためのより便利で経済的でありかつ低リスクの方法が望まれている。
RNAは、(赤血球以外の)ヒト身体内の全部ではないが大部分の細胞種ならびに種々の細胞を含有する体液および/または分泌物および組織から抽出されうる。場合により、糞便、尿、脳脊髄液、動物組織、骨髄穿刺液、植物、植物抽出物、微生物、ウイルス、土壌試料、汚水、廃水、および/または(ミルクを含む)食料を含む他の供給源からRNAを取得可能であることも望ましい。
典型的には、一旦RNA含有試料が採取されると、RNAの抽出のため、それは(例えば液体窒素で)凍結されるかまたは4℃の未凍結状態で実験室に速やかに輸送される必要がある。迅速な輸送の必要性および/または凍結の必要性により、コストおよび保管スペースの点で問題が生じる可能性がある。さらに、遠隔地および/または大規模な試料の採取の場合、速やかな輸送および/または凍結ができない場合がある。重要なことには、伝染病の間、臨床試料の速やかな処理/試験ができない場合があり、未処理分の試料は経時でおよび/または最適でない保存条件下で分解が生じ得ることになる。試料をすぐに凍結することも、冷凍庫、冷蔵庫、遠心分離機などの機器を設置した実験室への輸送も必要としない形態のより単純なRNA採取手順があれば望ましいことになる。
上記のように、RNAには種々の細胞供給源が存在する。口腔由来の細胞は唾液の試料から都合良く得られる。唾液では、唾を吐くことによる「受動的な」採取、および/または道具(例えば綿棒)を活用する「能動的な」採取が可能である。鼻粘膜試料は都合よく得られ、かつ上皮および免疫細胞(例えばリンパ球)の豊富な供給源である。この手順は例えば静脈血の採血と比べて侵襲的なものではなく、唾液に基づく単純な手順であれば、本質的に事前の訓練なしで個々人による自己採取が可能となる。しかし、一旦採取されると、使用可能なRNAの回収可能な時間は制限される。なぜなら、大部分の組織内および体液中にリボヌクレアーゼが存在するからである。
ヒトおよび獣医薬や研究における核酸に基づく試験の利用の増加に伴い、体液および/または分泌物および組織からのRNAの確実な回収が可能になると思われる組成物および方法に対する要望が存在する。望ましくは、採取された体液または体組織を周囲温度で長期間、例えば数日間または数週間保存できることが可能であるべきである。例えば、これは、身体試料または体組織が精製および分析のために、特に冷凍または凍結されずに、遠隔地へ輸送される必要がある場合に有利になると思われる。
テトラデシルトリメチルアンモニウムシュウ酸塩(tetradecyltrimethylammonium oxalate)などの陽イオン化合物は、核酸の精製で用いられる溶液中の成分として従来より用いられている。米国特許出願公開第20020146677号明細書は、血中の核酸を安定化させるためのテトラデシルトリメチルアンモニウムシュウ酸塩+酒石酸を含む。しかし、テトラデシルトリメチルアンモニウムシュウ酸塩を含む陽イオン化合物は、RNAの使いやすさおよび長期安定性の観点で十分でないことが見出されている。一旦陽イオン界面活性剤が核酸に結合されると核酸の溶解が困難であることが見出されている。
さらに、採取試料中のRNAの量は、メッセンジャーRNAなどのコピー数の少ないRNA種および一部のウイルスの検出が可能な程度に十分に多いと望ましい。
この背景情報は、本出願人により本発明に関連する可能性があると考えられる既知の情報を構成する目的で提供される。先行情報のいずれかが本発明に対する先行技術であるとの承認が必ずしも意図されないばかりかそのように解釈されるべきではない。
本発明の目的は、体液および/または組織に由来するRNAを室温で長期間保存するための組成物および方法であって、できるだけ高い収量および無傷に近い状態でのRNAの抽出をさらに容易にする組成物および方法を提供することである。
本発明の一態様によると、試料中のリボ核酸が室温で安定状態を保持するように前記試料由来のリボ核酸を抽出しかつ保存するための組成物であって、アニオン系界面活性剤とpH約5〜約8.2の緩衝剤とを含有し、前記リボ核酸を室温で安定化する組成物が提供される。
本発明の別の態様によると、生物学的試料由来のリボ核酸を保存するための方法であって、a.対象から試料を得るステップと、b.前記試料を、アニオン変性剤とpH約5〜約8.2の緩衝剤とを含有する組成物と接触させて混合物を形成するステップと、c.前記混合物を室温で保存するステップと、d.以降の処理の前に、前記混合物を約50℃以上で加熱するステップとを含み、前記組成物は前記リボ核酸を室温で安定化する方法が提供される。
本発明の別の態様によると、a.本発明に記載の組成物を含むRNA保存キットが提供される。
本発明の組成物中に保存された唾液由来のRNAの電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 本発明の組成物中に保存された唾液およびオラジーン(Oragene)(商標)内に保存された唾液に由来するRNAの電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 所定のpH範囲の組成物中に保存されたRNA試料の電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 唾液の細胞フリー画分と結合されたRNAの電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 所定のpH範囲の唾液の細胞フリー画分と結合されたRNAの電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 所定のSDS濃度範囲における、本発明の組成物中で保存された唾液中のRNAの電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 本発明の組成物を用い、唾液中のRNAを37℃を対照として室温で保存した場合の電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 本発明の組成物中での室温で保存された唾液中のRNAの電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 本発明の組成物中での室温で保存された唾液中のRNAの電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 本発明の組成物中で保存されかつ室温での保存後に様々な温度で加熱されたRNA試料の電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 本発明の組成物中で保存されかつ室温での保存後に様々な温度で加熱されたRNA試料の電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 本発明の組成物中での室温で10〜16日間保存されたRNA試料の電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 RT−PCR産物の電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 指示温度で1週間(パネルA)保存された唾液由来のRNA試料の電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 指示温度で8週間(パネルB)保存された唾液由来のRNA試料の電気泳動の結果を示す、臭化エチジウムで染色されて透光されたアガロースゲルの写真である。 対象から唾液を採取するための追随可能なステップを示す図面である。
以下に詳細に記載されるように、本発明は、唾液、鼻汁などの体液および/または組織由来のリボ核酸(RNA)を長期間保存しかつ抽出するための組成物および方法に関し、ここで得られる組成物中のRNAは長期間、室温で安定状態を保持する。
本明細書で用いられる「約」という用語は、規定された値の±10%またはその化学的もしくは明白な等価値を示す。
本明細書で用いられる「体液」という用語は、ヒトまたは動物由来の天然液体を示し、限定はされないが、唾液、喀痰、血清、血漿、血液、咽頭、鼻/鼻咽頭および肛門分泌物、尿、粘液、胃液、膵液、骨髄穿刺液、脳脊髄液、糞便、精液、授乳または生理の生成物、頚管分泌物、膣液、涙、またはリンパ液を含む。
本明細書で用いられる「体組織」または「組織」という用語は、植物または動物の構造物質の1つを形成しかつ動物においては結合組織、上皮、粘膜、筋肉組織、および神経組織などを含む細胞間物質を伴う、通常は特定種の細胞の集合体を示す。
本明細書で用いられる「Ct値」という用語は、発明者らのローター−ジーン(Rotor−Gene)(商標)6000(リアルタイム遺伝子増幅検出システム;コルベット・ライフ・サイエンス(Corbett Life Science)により製造)におけるオペレーターマニュアル中の定義に準じており、増幅曲線が検出の閾値に交差する点でのフラクショナルサイクル数(fractional cycle number)を示す。閾値ラインを設定し、各試料の曲線との交点を計算することにより、各試料におけるCt値が求まる。閾値ラインは、ノイズの防止を目的にバックグラウンドレベルを有意に超えかつ後期サイクルにおけるシグナルのプラトーの開始点を下回るようにラン中の指数増殖期に設定される。
本明細書で用いられる「核酸」という用語は、典型的には染色体、クロマチン、ミトコンドリア、リボソーム、細胞質、核、微生物(例えば細菌)またはウイルスにおいて見出されるデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を含むヌクレオチドの鎖を示す。
本明細書で用いられる「リボ核酸」または「RNA」という用語は、限定はされないが、高分子RNA、大型および小型のリボソームRNA、メッセンジャーRNA、プレメッセンジャーRNA、小型の調節RNA、RNAウイルス(一本鎖および二本鎖、正鎖または負鎖)などを含む広範囲のRNA種を示す。RNAは、限定はされないが、ヒト、非ヒト、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、寄生性、単細胞、多細胞、インビトロ、インビボ、天然、および/または合成の供給源を含む種々の供給源から得られうる。
本明細書で用いられる「プライマー」という用語は、合成がDNA鋳型またはRNA鋳型、重合用試薬などの存在下で開始する開始点として機能するオリゴヌクレオチドを示す。プライマーは好ましくは一本鎖であるが、二本鎖プライマーも使用可能である。二本鎖プライマーが用いられる場合、増幅反応での使用前にそれをその一本鎖形態に変換することが望ましい。プライマーは、周知の方法を用いて化学的または酵素的に合成されうるかまたは生物から単離されうる。
本明細書で用いられる「唾液」という用語は、耳下腺、顎下腺、および舌下腺を含む唾液腺のいずれかに由来する分泌物または分泌物の複合物を示し、それは場合により口に対して直線状に並ぶ極めて多数の小さい口唇腺、頬腺、および口蓋腺に由来する分泌物と混合される。
本明細書で用いられる「喀痰」という用語は、唾液および肺を含む呼吸経路からの排出物を含む、哺乳動物の鼻腔内または口腔内に含まれるかまたはそれから排出される粘液性物質を示す。
本明細書で用いられる「対象」という用語は、限定はされないが、ヒト、非ヒト哺乳類、他の動物種、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、寄生性、単細胞、多細胞、インビトロ、インビボ、天然、および/または合成の供給源を含む種々の生物/供給源を示す。好適な対象の非限定的な具体例として、ヒトおよびウシが挙げられる。非限定的な具体例として、肉牛、乳牛、ヒツジ、ヤギ、ブタ、家禽およびウマが挙げられる。非限定的な具体例として、ペット、例えばイヌ、ネコなども挙げられる。
本明細書で用いられる「長期保存」という用語は、少なくとも約1日間、2日間、3日間、4日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、もしくは8週間、約1日間〜約8週間、または約8週間超にわたる保存を示す。
組成物
本発明の組成物は、RNAを体液または組織から抽出し、その中に含まれるRNAを長期間、室温で安定に維持するための組成物である。
以下に詳述するように、本発明の組成物はアニオン系界面活性剤および緩衝液を含有する。
組成物の特定の成分の選択は、例えば、リボ核酸の安定化における有効性、コスト、対象および研究所職員に対する安全性、入手容易性、および下流用途との適合性を含む様々な基準に基づいて行われる。成分およびその濃度の選択は、生物学的試料中のRNAを室温で安定化させるのに適切である必要がある。
本発明の組成物は、試料の室温での保存およびそれに続くその中に含まれるRNAを単離し精製するための処理を可能にする。本明細書で用いられる「処理」という用語は、生物学的試料と混合された組成物からリボ核酸を単離または精製するのに用いられる機械的または化学的ステップを示す。
生物学的試料中での核酸の不安定性の主因は、デオキシリボヌクレアーゼおよびリボヌクレアーゼの存在である。デオキシリボヌクレアーゼおよびリボヌクレアーゼは各々、DNAまたはRNAを分解する酵素である。消化管内のそれらの主な供給源は膵臓の分泌物であるが、これらの酵素は唾液腺および頬粘膜の分泌物および細胞の中にも存在しうる。さらに、口内に常在するかまたは消化されたばかりの食物に由来する微生物は、デオキシリボヌクレアーゼまたはリボヌクレアーゼを放出しうる。長期にわたり、水中に保存された生物学的試料(例えば唾液)中の核酸であれば、劣化または分解が想定されることになる。
本発明の組成物は、リボヌクレアーゼを含むヌクレアーゼの阻害およびRNAの化学的安定化をもたらす。リボヌクレアーゼ阻害およびリボヌクレアーゼ含有RNA試料の室温保存能力は、後の試料処理前に、アニオン系界面活性剤および適切なpHが維持された緩衝液で処理し、次いで約50℃以上インキュベーションすることにより得られる。場合により、インキュベーションステップにはプロテイナーゼKが含まれる。本明細書で用いられる適切なpHは、(i)RNアーゼ活性が最小化または除去されるpH、および(ii)RNAが化学的安定状態を保持するpHである。
アニオン系界面活性剤
理論に拘束されたくないが、デオキシリボヌクレアーゼおよびリボヌクレアーゼの作用がそれらの複合体構造、特にそれらの触媒部位を破壊するアニオン系界面活性剤により阻害されると考えられる。それ故、アニオン系界面活性剤は本発明の組成物中に含まれうる。適切なアニオン系界面活性剤の非限定的な例として、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、サルコシンナトリウム(サルコシル)、ドデシル硫酸リチウム、1−オクタンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明の特定の実施形態によると、組成物はアニオン系界面活性剤SDSを、それが唾液と混合される場合にSDSが約0.5%〜約8%の範囲内にあるような濃度で含有する。別の例では、組成物はアニオン系界面活性剤SDSを、それが唾液と混合される場合に変性剤が約1%〜約8%または2%〜約8%の範囲内にあるような濃度で含有する。
一例では、組成物は変性剤サルコシルを、それが唾液と混合される場合にサルコシルが約0.5%〜約8%の範囲内にあるような濃度で含有する。別の例では、サルコシルの濃度は約2%〜約4%の範囲内にある。
緩衝液
本発明の一実施形態によると、組成物は、アニオン系界面活性剤および5〜8.2の範囲内のpHを維持するための緩衝液を含有する。本発明の別の実施形態によると、組成物は、変性剤および5.1〜7.0の範囲内のpHを維持するための緩衝液を含有する。一例では、組成物のpHは約5.5〜約7.5の範囲内にある。一例では、組成物のpHは約6.5〜約7.0の範囲内にある。一例では、組成物のpHは約6.8である。組成物のpHは、緩衝液を用いて所望のpHに維持されうる。
適切な緩衝剤の非限定的な例として、シクロヘキサンジアミンテトラアセテート(CDTA)ナトリウム、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(ヘペス)、酢酸または酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム)、クエン酸またはクエン酸塩、リンゴ酸、フタル酸、コハク酸、ヒスチジン、ピロリン酸、マレイン酸、カコジル酸、ββ’−ジメチルグルタル酸、炭酸または炭酸塩、5(4)−ヒドロキシメチルイミダゾール、グリセロール2−リン酸、エチレンジアミン、イミダゾール、ヒ酸、リン酸またはリン酸塩、酢酸ナトリウム、2:4:6−コリジン、5(4)−メチルイミダゾール、N−エチルモリホリン、トリエタノールアミン、ジエチルバルビツール酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸;4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−プロパンスルホン酸(EPPS)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。他の例として、リン酸塩、炭酸塩、エチレンジアミンまたはイミダゾール緩衝液が挙げられる。
適切な緩衝剤のさらなる非限定的な例として、25℃で約4.7〜約8.0のpKaを有する緩衝剤が挙げられる。
具体例では、緩衝液はCDTAである。別の例では、緩衝液はクエン酸塩/クエン酸である。
以下は本発明に記載の組成物の非限定的な例である。
具体例によると、組成物はpH6.2に調節された4% SDS、50mM CDTAを含有する。
具体例によると、組成物はpH6.6に調節された4% SDS、50mM CDTAを含有する。
具体例によると、組成物はpH6.2に緩衝化された16% SDSもしくは12% SDSもしくは8% SDS、50mM CDTAを含有する。
具体例によると、組成物はpH6.6に調節された1% SDS、50mM CDTAを含有する。
具体例によると、組成物はpH6.6に緩衝化された4% SDS、50mMクエン酸を含有する。
具体例によると、組成物はpH6.6に緩衝化された4%サルコシル、50mM CDTAを含有する。別の例では、組成物はpH6.6に緩衝化された8%サルコシル、50mM CDTAを含有する。
具体例によると、組成物はpH6.8に調節された4% SDS、50mM LiCDTA、250mM LiClを含有する。
驚くべきことに、本発明の組成物が喀痰または唾液または鼻、鼻前部、および/または鼻咽頭試料などの生物学的試料中に存在するRNA、例えば高分子量RNAを室温で長期間安定化しうることが見出されている。特に、RNAは種々の方法を用いて精製可能であり、フェノール抽出物、グアニジウム塩、または任意のカラムもしくは結合マトリックスを必要とすることなく精製可能である。精製RNAの純度は、例えば相補的DNA(cDNA)の調製などの下流用途における直接使用に十分である。しかし、フェノール抽出物、グアニジウム塩、または任意のカラムもしくはマトリックスは必要に応じて用いられうる。
理論に拘束されたくないが、上記の具体例の場合、アニオン系界面活性剤、例えばSDSが唾液のリボヌクレアーゼに結合し、変性・阻害し、かつ、緩衝液、例えばCDTAが唾液試料の中性もしくは弱酸性のpHを維持すると考えられる。比較的狭い範囲内での試料の緩衝化により、リボヌクレアーゼ、例えば唾液のリボヌクレアーゼがこのpH範囲内で潜在的に活性があるという事実に反し、RNAが化学的に安定であることが確認しやすくなる。唾液のRNAがこの組成物中で長期間(例えば数週間から数か月間)安定である一方、唾液のリボヌクレアーゼ活性が一部の試料中で活発であり、永久的に不活性化される場合がないことが発見されている。一旦、SDSの制約が以降の処理/精製の間に除去されていると(例えば本願の組成物が特定の濃度未満に希釈される場合(例えば0.5%未満のSDS))、試料中のRNAは実質的に分解されうる。
出願人は、驚くべきことに、試料を室温で保存後、また以降の処理の前に、約50℃超の温度で加熱することで試料中のRNAが実質的に無傷形態で抽出可能になることを見いだしている。さらに、理論に拘束されたくないが、この加熱ステップにより、大幅にまたは完全に唾液のリボヌクレアーゼ活性が不活性化される間、細胞由来のRNAの遊離が促進されるように見られる。精製の前に、加熱ステップの間にプロテイナーゼKをこの組成物中の生物学的試料に添加するという任意のステップにより唾液中のタンパク質の消化が促進され、それはまた唾液のリボヌクレアーゼ活性の不活性化に寄与しうる。
本発明の組成物の一実施形態の成分の最適化においては、出願人は、一方でRNAの化学的分解の最小化において最適であり、他方ではSDSによる唾液のリボヌクレアーゼ活性に対する強力な阻害を可能にするpH範囲を決定している。本願の組成物は、リボヌクレアーゼ活性をほぼ完全に低下させる一方、RNAの化学的安定性を維持する。
本発明の具体例によると、変性剤はグアニジウム塩ではない。
本発明の組成物を用いて抽出および保存がなされたRNAが実質的に無傷であり、RT−PCR分析に適し、かつシリカコートした常磁性ビーズまたはシリカ系膜などの核酸結合マトリックスを使用しないで試料から回収可能であることが見出された。
一例では、本発明の方法は無傷の高分子量RNAの回収を促進する。
方法
本発明の別の態様によると、RNAを室温で長期間保存するための方法が提供される。
試料は、限定はされないが、ヒト、非ヒト霊長類、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、シチメンチョウ、キジ、アヒル、ガチョウなどの家禽)、狩猟動物および野生動物(例えば、シカ、ヘラジカ、ムース、魚、鳥、クマ)、実験動物およびペット(例えば、非ヒト霊長類、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、アレチネズミ、ハムスターなどの齧歯類)、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、魚、ヘビ、トカゲ、カメ、ウマなどを含む種々の供給源から得ることができる。試料は、植物、細胞系、土壌微生物、汚水微生物、病原微生物(例えば、ウイルス、細菌、寄生虫)などからも得ることができる。
具体例では、試料はヒト供給源から得られる。他の具体例では、試料はウシ供給源から得られる。
具体例では、RNAは唾液中に含まれる。前記方法は、唾液の試料を本発明の組成物と混合し、次いで唾液−組成物混合物を室温で保存するステップを含む。一例では、前記方法は、唾液の試料をほぼ等量の本発明の組成物と混合し、次いで唾液−組成物混合物を室温で保存するステップを含む。以降の処理の前に、試料は約50℃超で短期間加熱される。
他の具体例では、RNAは、鼻、鼻前部および/または鼻咽頭試料の中に含まれる。方法は、鼻、鼻前部および/または鼻咽頭試料を本発明の組成物と混合し、次いで混合物を室温で保存するステップを含む。RNAは少なくとも約1日および少なくとも約4週間安定である。以降の処理の前に、試料は約50℃超で短期間加熱される。
対象から、リボ核酸の供給源として血液試料ではなく唾液試料または鼻、鼻前部および/または鼻咽頭試料を採取する利点は、対象が通常出血に伴う不快さ、疼痛および不安を回避したがるという点が挙げられる。さらに、使用可能量のDNAの回収には1滴の血液を得るための小さな針で十分であるが、RNAの場合、予想される採取量が少なすぎるためほとんどの目的に使用できない。唾液、喀痰、鼻、鼻前部および/または鼻咽頭試料は、採取についての専門家を必要としないことから、(例えば伝染病/流行病の間に)大量の試料採取が行われている場合でのコストが削減されるというさらなる利点を有する。しかし、唾液がRNAの1つの供給源である一方、血液を含む他の体液および体組織が用いられうることは当業者にとって明らかであろう。本発明は、喀痰、唾液、鼻、鼻前部および/または鼻咽頭試料から得られるRNAの採取および保存に限定されるように意図されていない。
唾液を対象から採取するため、口はサンプリング前にすすがれることが好ましい。食品粒子は外来RNAを導入する可能性があり、かつキスで移される唾液は外来ヒトRNAまたはウイルスRNAの供給源でありうる。口を、約50mlの生ぬるい湯で、勢いよく音をたててすすぐかまたは歯磨き粉なしで歯ブラシでブラッシングしてすすいでもよい。刺激されていない唾液は、通常は粘液タイプであり、穏やかに分泌される。刺激された唾液(味の良い食品、甘いかもしくは酸っぱいキャンデーを想定)は漿液(水性)タイプであり、より速やかに分泌される。口をすすぎ、口から水を除去して約5分間待機した後、対象はある容量(例えば約1〜2ml)の唾液、好ましくは刺激された唾液を受けチューブに吐くことができる。唾液の流れは、舌の上部に置かれた数粒/数つまみのテーブルシュガーまたはRNAの安定性または後の増幅を妨げない任意の他の唾液刺激物質で都合良く刺激可能である。
唾液は、幼児、若年小児や、場合により採取デバイスに直接に唾を吐くことができない障害および/または病気を有する人々などの対象からも得られうる。この例では、道具(例えば綿棒など)を用いて唾液が採取される。
唾液は、場合により採取デバイスに直接に唾を吐くことができないかまたは吐こうとしない家畜、ペットなどの非ヒト動物からも得られうる。この例では、道具(例えば綿棒など)を用いて唾液が採取される。
対象から鼻前部または鼻咽頭試料を採取するため、種々の道具の使用が可能である。粘膜細胞を硬いもしくは軟らかいブラシ、綿棒、またはプラスチック/木製のスクレーパを用いてこすり、液体(例えば生理食塩水)を導入して液体を回収することにより細胞を鼻腔から流し出すことが可能である。例えば、硬い綿棒/ブラシを鼻の前部に、かつ軟らかい綿棒/ブラシを後部鼻咽頭腔に置き、それを用いて粘膜分泌物を採取し、細胞を粘膜から優しくこすり落としてもよい。前記液体および/または道具を用いて採取された試料を、本発明の組成物を有する採取デバイスに送達してもよい。組成物の容量より多い容量の前記液体を導入することが望ましい状況であれば、それに対応するより多量の本発明の組成物が提供されることになる。切断デバイス(例えばハサミ)を用いて綿棒/アプリケータの取っ手の長さを短くすることで、採取デバイスの閉鎖が可能になる。あるいは、加圧下で折れる取っ手を有する綿棒またはブラシ、ならびに取っ手/シャフト内に成形された切断点を有する綿棒またはブラシを用い、試料採取が容易になりうる。「完全長」の取っ手により試料の採取が容易になり、かつ改変された切断点での綿棒/ブラシの短縮により採取デバイスへのよりよい適合が可能になる。鼻腔から採取された組織試料からRNAを回収することも可能である。それに続くRNA単離においては、鼻形成術または内視鏡的洞手術を受ける患者から得られた新しい組織標本/生検(例えば正常な鼻粘膜または鼻ポリープ組織)の採取が本発明の組成物中で可能である。
本発明の方法は、かかる方法で用いられる組成物をキットの形態で提供することにより都合良く実施される。かかるキットは、好ましくは適切な組成物を有し、試料の採取を容易にするための綿棒を含みうる。標的遺伝子または核酸配列(例えば転写産物)の検出における試料の適合性を示すための核酸(DNAまたはRNA)鋳型でありうる少なくとも1つのタイプの陽性対照または標準が提供されうる。かかるキットは、好ましくはその使用についての使用説明書を含む。
場合により、キットは、例えば国際PCT出願番号、国際公開第03/104251号パンフレット(この内容はその全体が参照により本明細書中に援用される)に記載される容器を含む。
場合により、キットは、例えば米国仮特許出願第60/748,977号明細書またはPCT/CA2006/002009(これら双方の内容はそれら全体が参照により本明細書中に援用される)に記載される容器を含む。
場合により、キットは、例えばPCT/US2007/64240(この内容はその全体が参照により本明細書中に援用される)に記載される採取アセンブリを含む。
望ましくは、容器は、診療所または病院を必要とせずに現場での採取を容易にし、採取現場および/または分析現場への送達のためにサイジングされる。
用途
本発明の組成物および方法は、広範囲の用途での使用に適する。
呼吸器ウイルス性/細菌性伝染病/流行病が常に関心の的であるのに伴い、本発明の方法および組成物が、生物学的試料、例えば鼻、鼻咽頭、喀痰および/または唾液試料の大規模な採取、輸送、保存、精製およびその後の診断実験室における分析にとって有用であることが期待される。試料が本発明の組成物中に室温で安定であることは、試験室が多数の患者試料で溢れかえる状況(例えば伝染病の場合)では非常に有用であることが期待される。
さらに、家畜の監視および追跡の重要性および必要性の増大に伴い、本願の組成物および方法は、疾患の監視および家畜の監視のための家畜試料の採取、保存および保管に適する。本願の組成物および方法は、イヌ、ネコなどのペットでの使用にも適する。
唾液は、多数の臨床診断および遺伝子試験において選択される試料として血液よりも優位であることが予想される。一般に、喀痰、唾液、鼻、鼻前部および/または鼻咽頭試料は、採取して処理する上での有害性が血液より低い標本であり、唾液の採取と鼻、鼻前部および/または鼻咽頭の採取の双方は患者に対して非侵襲性であるかまたは侵襲性が最小であり、多くの場合に容易に採取されうる。一般に、かかる試料の採取においては熟練した技術者を必要としない。
鼻、鼻前部および鼻咽頭試料は、本明細書中で本発明の方法および組成物での使用に適することが示されている。
鼻腔は上部気道の一部であると考えられる。鼻粘膜は上皮および免疫細胞(例えばリンパ球)の豊富な供給源である。気道粘膜(鼻腔および肺)は、吸入される病原体(例えば細菌およびウイルス)への暴露の第1の部位である。呼吸粘膜内に存在するT細胞は、粘膜表面を攻撃する外来抗原(例えば感染性微生物抗原)に対する粘膜免疫応答の調節において重要な役割を果たすと考えられる。
呼吸器ウイルス(例えば呼吸器多核体ウイルスRSV)は、感染し、複製し、呼吸器粘膜から落とされる、すなわち鼻および口を介して他者に伝染される。RSVは、若年小児において重篤な呼吸器感染を引き起こす。
本発明の組成物中で安定化された鼻試料は、種々の鼻症/炎症性疾患の病態生理を理解するための、正常な鼻粘膜および鼻ポリープ組織での遺伝子発現特性の分析にとって有用である(1)。
粘膜分泌物/試料(唾液および鼻試料)の評価により、感染および/または免疫により誘発される粘膜(および全身)の液性および細胞性応答への重要な洞察がもたらされうる(2、9)。
本発明の組成物中に採取される唾液および鼻試料の双方は、病原体、例えばSARS−CoA、RSV、麻疹ウイルス、インフルエンザウイルス、狂犬病ウイルス、デング熱ウイルス、HIV、A型肝炎、C〜E型肝炎ウイルス、マイコバクテリウムなどの診断/同定にも用いられうる。
動物由来のRNAの検出および/または分析もますます重要かつ望ましい。本発明の方法および組成物は、家畜に感染するRNAウイルスの診断および/または同定での使用に適する。非限定的な例として、(家畜および野生の反芻動物およびブタに感染し、最も一般的には感染動物の呼気中に由来する感染性飛沫の吸入を介して感染が拡大する)口蹄疫ウイルス(FMDV);ウシ白血症ウイルス(BLV);ウシパラインフルエンザウイルス(例えばパラインフルエンザ−3ウイルス、PI−3);ウシ呼吸器多核体ウイルス(BRSV);豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス;水疱性口内炎ウイルス;ウシウイルス性下痢ウイルス(エアロゾル感染);ウシコロナウイルス(例えばSARS随伴コロナウイルス(SARS−CoV));BHV1ウイルス(ウシ鼻気管炎、呼吸器疾患);ウマ動脈炎ウイルス(エアロゾル感染);ニパウイルス(ブタ呼吸器および神経学的症候群);ブタ呼吸器コロナウイルス感染(PRCV);狂犬病ウイルス(哺乳類);ヤーグジークテヒツジレトロウイルス(ヒツジにおける伝染性肺癌);伝染性気管支炎ウイルス(IBV)(家禽);トリニューモウイルス(APV)(家禽);ニューカッスル病ウイルス(NDV)(家禽の呼吸器系、神経系、および消化器系);インフルエンザウイルスA(鳥インフルエンザ(Avian influenza))サブタイプH5N1(「鳥インフルエンザ(avian flu)」)が挙げられる。
本発明の方法および組成物は、細菌、真菌、ウイルスに感染された細胞、単離ウイルスや、ウイルス、細菌、原虫、真菌などに汚染されているかまたはそれらによる汚染が疑われる組織培養物、細胞系および体液および/または組織、ならびにこれらの組み合わせに由来するリボ核酸の安定化およびその後の検出/分析に適する。
さらに、本発明の組成物および方法は、細胞質、核および/またはミトコンドリアのRNAの安定性および分析、試料(体液および/または組織)の保管(例えばバンキング)、RNAの供給源の追跡(例えば胎盤/胎児か母体由来か)、リボ核酸系の追跡(例えばウイルスの感染源およびその後の感染経路の同定および特徴づけ)における使用に適する。
さらに望ましくは、本発明の組成物により、病原体(ウイルスおよび細菌)が非感染性になり、臨床試料の安全な処理が行われる。これは特に試料が一旦加熱されている場合である。それに対し、「従来の」無菌輸送培地(例えばウイルス輸送培地(VTM)(付録8)「Collecting,preserving and shipping specimens for the diagnosis of avian influenza A(H5N1)virus infection.Guide for field operations」、2006年10月、世界保健機関(WHO))内に採取されかつ病原体を含有すると疑われる臨床標本は、バイオセーフティレベル3または4の格納施設内で処理されなければならない。これらの施設はあまり多くなく、伝染病発生の場合には多大な負担がかかることになる。さらに、遠隔地域、例えばアフリカの一部の国はバイオセーフティレベル3または4の格納施設/実験室がない。
本発明の組成物および方法は、幅広い地理的領域にわたる現場での健常者および感染者に由来するRNAの採取および単離に適しており、それは大規模な伝染病の予測および予防のための極めて重要な監視情報を提供しうる。かかる試料であれば、分子疫学的研究における候補ワクチン株の同定およびウイルス遺伝子型の同定にとって非常に貴重なものとなる。
本発明の組成物および方法は、病気の初期(例えばセロコンバージョン前)における感染の診断に適する。この態様は、1)患者ケアの管理および疾患転帰の改善と、2)伝染の予防/低減にとって重要である。(上記のように)「従来の」血清学的試験の感度は感染の早期検出にとって低すぎる。例えば、この従来の方法によると、SARS−CoAは症状の発現(例えば発熱)の14〜28日後まで検出不能である。SARS−CoAの早期の迅速な同定に対する要望に対処するため、逆転写(RT)−PCRに基づくアッセイが世界保健機関(World Health Organization(WHO))により提唱され、ウイルス特異的RNAを検出するために日常的に用いられている(4、5)。より最近では、重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの迅速な検出用のループ媒介等温増幅法(loop−mediated isothermal amplification method)が開発されている(3)。PCRに基づく診断技術における進歩が著しい一方、これらのアッセイの奏功は、臨床標本の無菌輸送培地への採取および迅速な処理のためのバイオセーフティレベル3/4の格納施設への4℃での迅速な輸送に大いに依存する。典型的には、これらの試料は既に入院した患者から採取され、細胞培養におけるウイルスの複製、その後の細胞変性効果の監視に貴重な時間(日数)が「費やされる」ことが多い。上述した通り、試料の輸送培地への採取についての「従来の」方法は、診断実験室が試料で溢れかえることになる伝染病/流行病の間では不十分なものである。実験室が有する試料の冷蔵能および/または凍結能には制限があることから、伝染病の間であれば未処理分の試料の分解が予想されることになる。その場合、試料の再採取が必要とされかつ貴重な時間が費やされることになる。
RT−PCRと組み合わされる本発明の組成物および方法は、無症状疾患の診断での使用にも適する。例えばオランダでは、RT−PCR試験で、発疹の発生の5日前から12日後に至る喉の綿棒標本中に麻疹ウイルス(MV)RNAが検出されている(7)。「口腔液はMV特異的なIgM抗体とウイルスRNAの同時検出にとって最も実用的な標本であることが判明した。ウイルスRNAはMV感染の血清学的証拠を有する健常接触者3名に由来する口腔咽頭標本中でも検出された」。それ故、鼻腔および口腔から採取された試料は、臨床的および無症状MV感染の診断において用いられうる。類似の実験結果が、1999年のオーストラリア、ビクトリア州における麻疹の発生について研究する別のグループにより報告された(8)。リンパ球(末梢血白血球)、尿、喉の綿棒、および血清標本については、喉の綿棒標本は、発疹後の最初の2週間での麻疹ウイルスRNAの検出において最適であるかまたは好ましい標本であった。この場合、喉の綿棒の先端が3mLの無菌ウイルス輸送培地内に入れられ、4℃で実験室に輸送された。
最近の診断試験(すなわちRT−PCR試験)の分野での進歩は著しいが、臨床標本は相変わらず「無菌輸送培地」(例えば上記のVTM)に採取されることから極めて不安定である。このタイプの培地内のRNA(ヒトおよび/または細菌および/またはウイルス転写産物)は輸送中に分解に至る可能性が高いことから、試料の発現特性は、一旦診断実験室まで達すると、採取時の患者の特性を正確に反映することにならない。また、これらの臨床試料中の病原菌が実験室への輸送後に依然として感染性を示す確率が高い。
本明細書中に記載の本発明についてより十分な理解を得るため、以下の実施例が示される。これらの実施例はあくまで例示目的であることは理解されるべきである。したがって、それらは本発明の範囲を決して限定すべきものではない。
実施例1:ヒト対象由来の唾液試料を得るためのプロトコル
被験者に対し、最終の食事から30〜60分間あけるよう指示する。可能であれば、被験者に自分の歯を(歯磨き粉を用いずに)磨いてもらう。可能であれば、被験者に自分の歯を水50mlですすいでもらう。そして被験者に5〜10分間待機するよう指示することで、口からの水分の除去が可能になる。唾を吐くことができる被験者においては、特定の採取チューブに唾液の量が1もしくは2mlの水準に達するまで唾液を吐くように指示される。最後の食事から時間をあけて口をすすいでもらうことが望ましいが、必須ではない。唾液の採取には数分かかる場合がある。被験者が十分な量の唾液をだせないばあい、その被験者に数粒のテーブルシュガーを与え、舌の上に乗せるか或いは噛んでもらう。このとき、被験者には、糖の一部がチューブ内に吐き出されてしまうかどうか気にかけないように伝えられる。吐くことができない被験者(例えば、幼児、若年小児、制限/障害を有する者)においては、試料採取のため、糖とともに道具(例えば、綿棒、ブラシ、トランスファーピペット)の使用が可能である。同様に、被験者に液体(例えばうがい薬、水、生理食塩水)を提供して自らの口および喉をうがいするかまたは生理食塩水を提供して自らの鼻腔を洗い出すことが可能である。前記液体を用いて採取した試料であれば、採取チューブ内に送達されることになる。唾液/喀痰/鼻汁が前記液体により実質的に希釈されている状況であれば、その結果より多量の本発明の組成物が提供されることになる。
2つの組成物を比較する目的で2種以上の試料を一人の被験者から採取する場合、被験者は唾液を少量ずつ2つ以上のチューブに各チューブが1mlのマークまで満たされるまで交互に入れるように求められる。この操作は、被験者の唾液組成物が唾を吐くプロセスの間に変化しうることから必要である。
必要量の唾液が採取された後、直ちに等量の組成物と混合される。唾液を導入する正確な方法は、容器の設計に依存することになる。一旦唾液が導入されて組成物と混合されると、容器はしっかりとキャップされる。RNA含有試料は室温で長時間維持されうる。RNA含有試料の水溶液の一部を逆転写反応におけるRNA鋳型として用いて相補的DNA(cDNA)を生成し、次いでPCR反応で用いてもよい。
実施例2:本組成物とオラジーン(ORAGENE)(商標)との比較
試料採取
この実施例では、一人の被験者から2種の喀痰/唾液試料(各2ml)を短期間内に得た。第1の試料を採取し、4% SDS、50mM CDTA、pH6.6を含む本発明の組成物2mlを有するバイアルに入れた。その後間もなく、同じ被験者が提供した第2の試料をオラジーン(Oragene)(商標)溶液2mlを有するバイアルに入れた。核酸の精製の3日前、試料を振とうさせ、室温(RT)で放置した。
方法
核酸を、オラジーン(Oragene)(商標)中または本発明の組成物中でこの被験者の唾液から精製した。オラジーン(Oragene)(商標)中の被験者の試料の一部をプロテイナーゼKと混合し50℃で2時間加熱し、次いで90℃で15分のさらなる加熱を行うか(図1および2)または行わなかった(図2)。組成物中の被験者の試料の一部をプロテイナーゼKと混合し、50℃で2時間、次いで90℃で15分間加熱した(図1)。一部の唾液試料に対しては、50℃超の温度での短時間のインキュベーションが、本発明の組成物中での採取された唾液からの無傷の高分子量RNAの抽出の促進に必要であることが見出されたが、オラジーン(Oragene)(商標)中で採取された唾液に対しては全く効果がなかった。
次いで試料を短時間遠心して不溶性材料を除去し、上清中に残存するDNAおよびRNAを2倍量の95%エタノールで沈殿させた。沈殿物を0.1% SDSを含有する適切な緩衝液中に溶解し、10μlの一定分量(約10μlの未希釈唾液に相当)を0.9%アガロースゲル上での電気泳動により分析し、次いで臭化エチジウム(1μg/mL)で染色し、DNAおよびRNAを画像化した(図1および2を参照)。各精製試料の10μLについてゲル電気泳動前に膵リボヌクレアーゼで処理し、本発明の組成物中で安定化・抽出された高分子量物質がRNAであることを実証した(図1)。なお、図1では、唾液試料中に存在する高分子量のゲノムDNAを矢印(→)で示し、特徴的なリボソームRNAダブレットをアスタリスク(*)で示し、低分子量RNAをプラス記号(+)で示した。
図1の試料順序は以下の通りである。
図2の試料順序は以下の通りである。
結論
この実施例は、i)唾液のリボ核酸を室温で少なくとも3日間保存する本発明の組成物の能力と、ii)実質的に無傷のリボ核酸を回収するための抽出/精製手順の適合性について示す。この実施例は、RNAの安定性の観点での本発明の組成物のオラジーン(Oragene)(商標)に対する優位性について示す。
リボソームRNAであることを示す(図1、レーン7内の二重バンドを参照)無傷の高分子量RNAの保存および抽出は、他の形態のRNA(臭化エチジウム染色および透光により検出される存在量が少なすぎるメッセンジャーRNAなど)も本発明の組成物中で採取された試料中に無傷形態で維持されることを示唆している。
実施例3:喀痰/唾液から誘導される純粋RNAの安定性を維持するためのpH範囲の最適化
方法
純粋RNAを6倍に希釈し、広範囲のpH値(pH3.0、5.0、6.0、7.0、8.2および10.0)にわたる緩衝化溶液を調製した。RNAのリン酸ジエステル骨格での部分加水分解の発生を可能にするため、50℃で16時間のインキュベーション期間後、各pH値に緩衝化されたRNAの一定分量(下記)を0.9%アガロースゲル上での電気泳動により分析し、臭化エチジウムで染色した(図3)。
図3の試料順序は以下の通りである。
結論
リボソームRNAの染色二重バンド特性がpH5.0〜8.2処理レーンで保たれていることから示されるように、RNAは中性から弱酸性pHで化学的に安定である。上部バンドの強度低下が下部バンドの強度低下前に予想されることに注意のこと。理論に拘束されたくないが、これは短い方のRNA種(下部バンド)よりも1つのリン酸ジエステル骨格が切断される確率が高い大きい方のリボソームRNA種に起因する可能性が高い。2つのリボソームRNA種に特有のバンドパターンが、より強酸で、各々3.0および10.0の基本的なpH値で完全に消失する。
実施例4:細胞を含有しない唾液画分中の強力なRNアーゼ活性の実証
方法
3人の被験者に、唾液1mLを等量の生理食塩水を含有するチューブ内に吐いてもらった。その直後、唾液試料および生理食塩水を混合し、高速遠心分離を施し、唾液中に含有される細胞をペレット化した。得られた上清、つまり細胞を含有しない唾液画分(CFSF)を希釈し、次いで一定量(1.0μg)の純粋RNAと増加量で混合した。CFSFと混合した純粋RNAを37℃で30分間インキュベートし、次いでアガロースゲル(1.0%)での電気泳動により分析した。ゲルを臭化エチジウムで染色し、RNAの完全性を画像化した(図4)。
図4の試料順序は以下の通りである。
結論
RNAは、細胞を含有しない唾液1μlの画分とともにインキュベートされる場合、速やかに分解される。それ故、強力なリボヌクレアーゼ活性が唾液の細胞外画分中に存在する。
この実施例は、被験者ごとに含まれる唾液のリボヌクレアーゼにおいてかなりのばらつきが存在することも示す。等量のRNAの分解に必要とされる被験者3由来のCFSFの容量は、被験者1および2に比べて極めて少なかった。
実施例5:唾液のリボヌクレアーゼ活性における最適pH
方法
唾液のリボヌクレアーゼが活性を示すpH範囲を決定するため、0.1μL相当のCFSF(被験者2、実施例4)を、pH5.1、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.1および8.6に緩衝化した純粋RNA1μgと混合した。この実施例では、CFSFの不在下での純粋RNA(レーン10)を、この実施例で用いられるRNAの状態すなわち無傷性を例示するために含めた。37℃で30分間のインキュベーション後、試料をアガロースゲル(0.9%)での電気泳動により分析し、臭化エチジウムで染色した(図5)。RNA分解の兆候には、1)一方もしくは両方のリボソームRNAサブユニット、ゲルの中央での明確な二重バンドの消失、2)臭化エチジウムで染色された物質の細長いスミア標本の出現、および/または3)ゲル上での臭化エチジウムで染色された物質の対照RNAマーカーよりも加速された移動度が含まれる。
図5の試料順序は以下の通りである。
結論
pH>6.5に緩衝化された純粋RNAが、細胞を含有しない唾液0.1μLの添加時に速やかに分解された(レーン6〜9)。pH5.1〜6.5で、純粋RNAが、細胞を含有しない唾液の存在下で無傷のままであった。これらの実験結果は、唾液に対して内因性のリボヌクレアーゼが中性(pH7.0)から弱アルカリ性pHで最適な酵素活性を示すことを示唆している。酸性条件下では有意なリボヌクレアーゼ活性が全く検出されなかった(レーン2〜5)。
実施例6:所定のSDS濃度範囲におけるRNAの安定性
方法
5人の対象から採取した唾液から本発明の3つのうちの1つの組成物に抽出したRNAの例を示す(図6)。唾液を採取し、直ちに等量の指示組成物と混合した。組成物は、SDS(下記の表中に示される濃度でのドデシル硫酸ナトリウム)を含有し、50mM CDTA(シクロヘキサンジアミン四酢酸のナトリウム塩)を用いてpH6.2に緩衝化した。唾液の各試料を等量の表示した組成物と混合し、室温で3週間保存した。各試料中に含有されるRNAを調べるため、一定分量50μlを取り出し、90℃で15分間加熱し、次いで5倍希釈した。プロテイナーゼKを一定分量の各希釈物に添加し、次いで50℃で1時間インキュベートし、プロテアーゼによりタンパク質を消化させた。室温に冷却後、KClの2.5M溶液10μlを添加してSDSを沈殿させ、次いで試料を遠心して沈殿SDSを除去した。95%冷却エタノール(2倍量)を透明な上清に添加し、核酸を沈殿させた。−20℃で1時間放置後、沈殿核酸を希釈緩衝液25μl中に溶解した。この溶液10μl(元の唾液約10μlに相当)を0.9%アガロースゲルにアプライし、1時間電気泳動を行った。ゲルを臭化エチジウムで染色し、透光下で撮影した。各試料レーンにおける上部バンドはゲノムDNAである。ゲルの中央の2つのバンドは、唾液中に存在しかつ指示組成物により保存されたリボソームRNAを示す。
図6の試料順序は以下の通りである。
結論
これらのデータは、唾液中のRNAが、弱酸性性pH(6.2)に緩衝化された、アニオン系界面活性剤(濃度:8〜16% SDS)を含む組成物と1:1で混合される場合、室温で少なくとも3週間安定であることを示す。これらのデータは、唾液中に存在するRNAの量において被験者間でかなりのばらつきがあることも示す。
実施例7:室温および37℃で本発明の組成物を用いた、唾液中のRNAの安定性
この実施例では、組成物は、pH6.2に緩衝化された16% SDS、50mM CDTAを含有した。唾液試料を組成物と1:1で混合し、室温(RT)または37℃のいずかで7日間保存した。試料を37℃でインキュベートすることにより、RTと比べ、唾液のリボヌクレアーゼによるRNAの分解が促進されると予想され、RNAが存在する場合には本発明の組成物中での活性が保持される必要がある。試料を90℃で15分間加熱し、次いで5倍に希釈し、プロテイナーゼKとともに50℃で1時間インキュベートした。SDSを塩化カリウムで沈殿させ、沈殿物の遠心分離による除去後、核酸を2倍量の95%冷却エタノールで上清から沈殿させた。各沈殿核酸試料の一部をアガロースゲル電気泳動により分析し、臭化エチジウムで染色し、透光下で撮影した(図7)。
図7の試料順序は以下の通りである。
結論
この実施例は、唾液の試料中のRNAを安定化するための本発明の組成物の有効性を示す。37℃で1週間後、4人の被験者から得た唾液試料は、高分子量RNAが大して分解されないことを示した。
実施例8:異なる緩衝液を含有するRNA安定化組成物の試験
この実施例では、クエン酸ナトリウム/クエン酸緩衝液(pK6.4、50mM)を先の組成物中のpHの緩衝化に用いたCDTAと交換した。他の実施例などでは、唾液を2人の被験者から採取し、組成物(pH6.6に緩衝化された4% SDS、50mMクエン酸)と1:1で混合した。次いで、試料を室温で3週間保存した。唾液/組成物混合物中に存在するRNAを抽出するため、試料をプロテイナーゼKとともに50℃で1時間インキュベートし、90℃で15分間加熱し、SDSを塩化カリウムで沈殿させ、沈殿物の遠心分離による除去後、核酸を2倍量の冷却エタノールで上清から沈殿させた。抽出された物質がRNAであることを確認するため、沈殿核酸の一部を膵リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)で処理した。次いで、RNアーゼでの処理抽出物および未処理抽出物をアガロースゲル電気泳動により分離し、上記のように臭化エチジウムで染色した(図8)。レーン5および9における速やかに移動するRNアーゼ耐性材料の一部がDNAである可能性が高く、90℃での加熱期間により変性され、部分的に分解されていることに注意のこと。
図8の試料順序は以下の通りである。
結論
この実施例は、組成物のpHの緩衝化にクエン酸とCDTAとの交換が適することを示す。
実施例9:異なるアニオン系界面活性剤を用いたRNA安定化溶液の試験
この実施例では、サルコシル(N−ラウロイルサルコシンナトリウム塩またはラウロイルサルコシンナトリウム)をSDSと置換した。唾液を3人の被験者から採取し、i)pH6.6に緩衝化された4%サルコシル、50mM CDTAと、ii)pH6.6に緩衝化された8%サルコシル、50mM CDTAの2つの組成物と1:1で混合した。次いで、試料を室温で3週間保存した。唾液/組成物混合物中に存在するRNAを抽出するため、試料の一部をプロテイナーゼKとともに50℃で1時間インキュベートし、90℃で15分間加熱し、塩化カリウムで処理し、遠心分離した。上清中に残存する核酸を2倍量の冷却エタノールで沈殿させた。抽出された材料がRNAであったことを確認するため、沈殿核酸の一部を膵リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)で処理した。次いで、RNアーゼでの処理抽出物および未処理抽出物をアガロースゲル電気泳動により分離し、臭化エチジウムで染色した(図9)。
図9の試料順序は以下の通りである。
結論
この実験は、サルコシルという別の強力なアニオン系界面活性剤が本発明の組成物中でSDSと交換可能であることを示す。実施例6および9は、アニオン系界面活性剤が適切な緩衝剤とともに唾液中のRNAを有効に安定化することを示す。
実施例10:50℃超での短時間の加熱を含むステップが唾液由来のRNAの抽出において有益であることの実証
この実施例では、組成物は、pH6.6で緩衝化された4% SDS、50mM CDTAを含有した。1人の被験者から得た唾液試料を組成物と1:1で混合し、室温で6日間インキュベートした。唾液/組成物混合物中に存在するRNAを抽出するため、まず試料をプロテイナーゼKとともに50℃で1時間インキュベートし、タンパク質を消化した。一定分量を採取し、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃もしくは90℃で15分間加熱した。SDSを塩化カリウムで加熱された一定分量から沈殿し、沈殿物の遠心分離による除去後、核酸を2倍量の冷却エタノールで上清から沈殿させた。各沈殿核酸試料の一部をアガロースゲル電気泳動により分析し、臭化エチジウムで染色し、透光下で撮影した(図10)。
図10の試料順序は以下の通りである。
結論
この実施例では、50℃超と最大で約90℃の温度での15分間の加熱により、この唾液/組成物試料から抽出された高分子量RNAの収量が50℃のみの場合と比べて改善された。これらの結果は、抽出されたRNAの、最大90℃の温度で15分間の加熱ステップによる分解が有意でないことも示す。
実施例11:90℃での短時間の加熱を含むステップが唾液由来のRNAの抽出において有益であることの実証
この実施例では、組成物は、pH6.6で緩衝化された4% SDS、50mM CDTAを含有した。2人の被験者から得た唾液試料を組成物と1:1で混合し、室温で4日間インキュベートした。唾液/組成物混合物中に存在するRNAを抽出するため、まず試料をプロテイナーゼKとともに50℃で1時間インキュベートし、タンパク質を消化した。一定分量を採取し、90℃で0、5、15、30もしくは60分間加熱し、次いで水で4倍に希釈し、室温でさらに18時間インキュベートした。試料を希釈し、SDSの濃度を通常であればRNアーゼ活性を許容することになるレベルまで低下させることにより、加熱ステップの効率の試験が可能になった。SDSを塩化カリウムで沈殿させ、沈殿物の遠心分離による除去後、核酸を2倍量の冷却エタノールで上清から沈殿させた。各沈殿核酸試料の一部をアガロースゲル電気泳動により分析し、臭化エチジウムで染色し、透光下で撮影した(図11;被験者1、左パネル;被験者2、右パネル)。
図11の試料順序は以下の通りである。
結論
この実施例では、90℃での5〜15分の加熱により、2人の被験者の試料から抽出された無傷RNAの収量が未加熱試料の場合に対して改善された。RNAの分解が90℃で30および60分間加熱された試料中で観察された。
さらに、試料の加熱、希釈およびその後のさらなるインキュベーション後に実質的に無傷のリボソームRNAが回収されたことは、本発明の組成物および抽出プロトコルにより、リボヌクレアーゼ活性が低下した精製物質が得られることを示唆している。
実施例12:本組成物中に採取された試料からのヒトmRNAの抽出・精製
この実施例では、逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を用い、本発明の組成物中での採取された6人の被験者の唾液から回収されたRNA中でのヒト特異的なメッセンジャーRNAの検出が可能であることが示される。
方法
6人の被験者から得た唾液試料を組成物(4% SDS、50mM CDTA、pH6.6で緩衝化)と1:1で混合し、室温で10〜16日間保存した。室温での保存後、各唾液/組成物混合物の一部をプロテイナーゼKとともに50℃で1時間、次いで90℃で15分間加熱した。SDSを塩化カリウムで沈殿させ、沈殿物の遠心分離による除去後、核酸を2倍量の95%冷却エタノールで上清から沈殿させた。各沈殿核酸試料の一部をアガロースゲル電気泳動により分析し、臭化エチジウムで染色し、透光下で撮影した(図12)。
シュミット−タンホイザー(Schmidt−Tannhauser)法の改良法を用い、本発明の組成物中の同じ6人の被験者から採取した唾液試料中でのRNAの全量を評価した(図12)。つまり、各試料の一部を水酸化ナトリウムで処理し、RNAをオリゴヌクレオチドまたはモノヌクレオチドに選択的に分解することで(冷却塩酸による沈殿を不可にすることで)、冷却HClで沈殿可能な未分解のDNAが残存する。このようにしてDNAおよびRNAは分解され、260nmでの吸光度測定により定量可能である。
ヒトメッセンジャーRNA(mRNA)がこれらの唾液試料から安定化され、回収されることを実証するため、各被験者から得た精製試料の一部を、β2−ミクログロブリンのメッセンジャーRNAに対するヒト特異的なプライマーを用いるRT−PCR分析における鋳型として使用した(図13)。具体的には、各被験者由来の沈殿核酸試料の一部(図12)をDNアーゼで処理し、DNAを消化した。次いで、DNAを含有しない試料をランダムヘキサヌクレオチドプライマーおよびM−MVL逆転写酵素と混合し、相補的DNA(cDNA)を合成した。最後に、cDNAを希釈し、従来のPCR(表I)のため、ヒト特異的なプライマー(β2−ミクログロブリン−フォワード5’cgctactctctctttctggc(配列番号1)およびβ2−ミクログロブリン−リバース5’aacttcaatgtcggatggat(配列番号2))およびTaq DNAポリメラーゼと混合し、定量リアルタイムPCR分析(表II)のため、サイバーグリーン(SybrGreen)を添加した。図15に示されるCt値は、試料中のメッセンジャーRNAの量に反比例する。ヒト結腸癌細胞系HCT−116から精製したRNAをRT−PCR分析における陽性対照として使用した。陰性対照には、M−MVL RTもcDNAも全く添加しなかった反応が含まれる。
図13の試料順序は以下の通りである。
結論
この実施例は、唾液中のヒトメッセンジャーRNAが本発明の組成物により安定化され、かつ抽出物がRT−PCR分析に適することを示す。
実施例13:本発明の組成物中で採取された唾液と混合されたウイルスRNAの保存、放出および精製
この実施例では、逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を用い、本発明の組成物中で採取された唾液から回収された全RNA中でのウイルスRNAの検出が可能であることが示される。
方法
被験者1由来の2つの唾液(1mL)試料に、pH6.6に緩衝化された4% SDS、50mM CDTAとの1:1の混合の前に、4.25×10pfu(プラーク形成単位)の水疱性口内炎ウイルス(VSV)を添加し、室温で5分間インキュベートした。各唾液/組成物試料からの一定分量0.5mLを取り出し、プロテイナーゼKとともに50℃で1時間、次いで90℃で15分間加熱した。SDSを塩化カリウムで沈殿させ、沈殿物の遠心分離による除去後、核酸を2倍量の95%冷却エタノールで上清から沈殿させた。各沈殿物を適切な緩衝液(0.1M NaClを含有するCBS100μl)中に再溶解させ、次いで核酸を、冷却エタノール200μlを添加し−20℃で40分間インキュベートすることにより再沈殿させた。沈殿核酸を水50μl中にリボヌクレアーゼ阻害剤を用いて再溶解した。上記の核酸の精製の前に、被験者1由来の1つの試料を室温で4週間保存した。被験者2由来の唾液試料2mLを本発明の組成物と1:1で混合し、次いで5.0×10pfuのVSVと混合した。室温で18時間のインキュベーション後、RNAを80℃で40分間インキュベートすることにより一定分量0.5mLから抽出し、その後の精製におけるステップは上記の通りであった。
ウイルスRNAが安定化されかつこれらの唾液試料から回収可能であることを実証するため、精製核酸の一部をRT−PCRにおける鋳型として用い、ランダムヘキサヌクレオチドでプライムした。具体的には、試料の一部をランダムヘキサヌクレオチドプライマーおよびM−MVL逆転写酵素と混合し、相補的DNA(cDNA)を合成した。cDNAの一部をウイルス特異的なプライマー(VSV−フォワード5’ggattattccctctgcc(配列番号3)およびVSV−リバース5’gttccctttctgtggtag(配列番号4))、Taq DNAポリメラーゼおよびサイバーグリーン(SybrGreen)と混合し、定量リアルタイムPCR分析により分析した。図16〜18に示されるCt値は、試料中のウイルス鋳型RNAの量に反比例する。ウイルス配列(pVSV)をコードするプラスミドDNAをRT−PCR分析における陽性対照として使用した。陰性対照には、M−MVL RT(−RT)もcDNAも全く添加しなかった反応が含まれる。RT−PCR結果を3つの別々の実験に対して示す(表III−V)。
結論
この実施例は、唾液中のウイルスRNAが本発明の組成物により安定化され、かつ抽出材料がRT−PCR分析に適することを示す。
実施例14.室温で8週間にわたる唾液中のRNAの安定性
この実施例では、組成物は、pH6.8に調整された4% SDS、50mM LiCDTA、250mM LiClを含有した。10人の被験者由来の唾液試料(2mL)を採取し、組成物と1:1で混合した。採取の直後、試料を激しく振とうし、一定分量100μLを取り出した。各一定分量を室温(RT)、4℃および−20℃で保存した。RT、4℃、および−20℃での1週間および8週間の保存後、試料を分析した。唾液/組成物混合物からRNAを抽出するため、一定分量を、プロテイナーゼKの存在下、50℃で1時間、次いで90℃で15分間加熱した。SDSを塩化カリウムで沈殿させ、沈殿物の遠心分離による除去後、核酸を2倍量の95%冷却エタノールで上清から沈殿させた。各沈殿核酸試料の一部をアガロースゲル電気泳動により分析し、臭化エチジウムで染色し、透光下で撮影した(図14Aおよび14B)。
ヒトメッセンジャーRNA(mRNA)が、室温で1および8週間後、安定化されかつこれらの唾液試料から回収可能であることを実証するため、各被験者由来の精製核酸の一部を、ヒト18SリボソームRNAに特異的なプライマーを用いる逆転写酵素−PCR(RT−PCR)分析における鋳型として用いた。具体的には、逆転写酵素ステップの前に、各被験者由来の沈殿核酸試料の一部をDNアーゼで処理し、DNAを除去した。次いで、DNAを含有しない試料をランダムヘキサヌクレオチドプライマーおよびM−MVL逆転写酵素と混合し、相補的DNA(cDNA)を合成した。最後に、cDNAを希釈し、定量リアルタイムPCR分析のため、ヒト特異的なプライマー(ヒト18S−165フォワード5’gtggagcgatttgtctggtt(配列番号5)およびヒト18S−165リバース5’ggacatctaagggcatcacag(配列番号6))、Taq DNAポリメラーゼおよびサイバーグリーン(SybrGreen)と混合した。図20に示されるCt(交差閾値)値は、試料中の18S RNAの量に反比例する。ヒト結腸癌細胞系HCT−116から精製したRNAをRT−PCR分析における陽性対照として使用した。陰性対照には、M−MVL RT(−RT)もcDNA/鋳型も全く添加しなかった反応が含まれる。
図14の試料順序は以下の通りである。
結論
これらの例は、唾液の試料中のRNAを室温で長期間安定化させるための本発明の組成物の有効性を示す。8週間後、10人の被験者由来の唾液試料は、(図14Aおよび14Bに示されるように)高分子量RNAが大して分解されず、(表VIに示されるように)ヒト18SリボソームRNAにおけるCt値の変化が有意でないことが示された。
実施例15:幼児および若年小児からのヒトRNAの抽出および精製
この実施例では、RT−PCRを用い、本発明の組成物中で幼児および若年小児11名の唾液から回収されたRNA中でのヒト特異的なメッセンジャーRNAの検出が可能であることが示される。唾液試料の採取は、前記被験者が唾液1〜2mLを採取デバイスに直接送達できなかったことから、フォームチップ綿棒(foam−tipped swab)(1被験者当たり綿棒5本)を用いて容易にした。少量の糖を用い、若年小児からの唾液の分泌が刺激された。試料採取の直後、ハサミを用いて各綿棒のフォームチップを切断し、pH6.8に調整された4% SDS、50mM LiCDTA、250mM LiClを含む本発明の組成物(2mL)を有する採取デバイスに入れた。試料を激しく振とうし、室温(RT)で保存した。試料を、RTで最大で1週間保存後、プロテイナーゼKの存在下、50℃で1時間加熱した。唾液/組成物をフォームチップから以下の低速遠心分離により回収した。チップを、15mLのコニカルチューブ内部に配置した5mLのプラスチック注射器のバレルに移し、それに対して低速遠心分離を行った。回収された液体を採取デバイス内に残存する試料とともにプールした。唾液試料からRNAを抽出するため、一定分量を90℃で15分間加熱し、SDSを塩化カリウムで沈殿させ、沈殿物の遠心分離による除去後、核酸を2倍量の95%冷却エタノールで上清から沈殿させた。
被験者11名に由来する各沈殿核酸試料の一部を、ヒト18SリボソームRNAに特異的なプライマーを用いる逆転写酵素−PCR(RT−PCR)分析における鋳型として用いた。具体的には、逆転写酵素ステップの前に、各被験者由来の沈殿核酸試料の一部をDNアーゼで処理し、DNAを除去した。次いで、DNAを含有しない試料をランダムヘキサヌクレオチドプライマーおよびM−MVL逆転写酵素と混合し、相補的DNA(cDNA)を合成した。最後に、cDNAを10倍に希釈し、定量リアルタイムPCR分析のため、ヒト特異的なプライマー(ヒト18S−165フォワード5’gtggagcgatttgtctggtt(配列番号5)およびヒト18S−165リバース5’ggacatctaagggcatcacag(配列番号6))、Taq DNAポリメラーゼおよびサイバーグリーン(SybrGreen)と混合した。表VIIに示されるCt(交差閾値)値は試料中の18S RNAの量に反比例する。ヒト結腸癌細胞系HCT−116から精製したRNAをRT−PCR分析における陽性対照として使用させた。陰性対照には、M−MVL RT(−RT)もcDNA/鋳型も全く添加しなかった反応が含まれる。
結論
これらの例は、幼児および若年小児、すなわち採取デバイスに直接唾を吐けない個体から非侵襲的に採取した唾液の試料中のRNAを安定化するための本発明の組成物の有効性を示す。RT−PCR分析に適する大量のヒトRNAが前記「唾を吐かない者(non−spitters)」の唾液から回収されうる。
実施例16:被験者の鼻腔からヒトRNAの新規供給源を得るためのプロトコル
被験者から鼻前部または鼻咽頭試料を採取するため、種々の道具の使用が可能である。粘膜細胞を硬いもしくは軟らかいブラシ、綿棒、またはプラスチック/木製のスクレーパを用いてこすり、液体(例えば生理食塩水)を導入して液体を回収することにより細胞を鼻腔から流し出すことが可能である。例えば、硬い綿棒/ブラシを鼻の前部に、かつ軟らかい綿棒/ブラシを後部鼻咽頭腔に置き、それを用いて粘膜分泌物を採取し、細胞を粘膜から優しくこすり落としてもよい。前記液体および/または道具を用いて採取した試料を、本発明の組成物を有する採取デバイスに送達してもよい。組成物の容量より多い容量の前記液体を導入することが望ましい状況であれば、それに対応するより多量の本発明の組成物が提供されることになる。切断デバイス(例えばハサミ)を用いて綿棒/アプリケータの取っ手の長さを短くすることで、採取デバイスの閉鎖が可能になる。あるいは、加圧下で折れる取っ手を有する綿棒またはブラシ、ならびに取っ手/シャフト内に成形された切断点を有する綿棒またはブラシを用い、試料採取が容易になりうる。「完全長」の取っ手により試料の採取が容易になり、かつ改変された切断点での綿棒/ブラシの短縮により採取デバイスへのよりよい適合が可能になる。鼻腔から採取した組織試料からRNAを回収することも可能である。それに続くRNA単離においては、鼻形成術または内視鏡的洞手術を受ける患者から得られた新しい組織標本/生検(例えば正常な鼻粘膜または鼻ポリープ組織)の採取が本発明の組成物中で可能である。
幼児または小児からの鼻試料(鼻前部または鼻咽頭)の採取は、一般にヒト成人において用いられる手順に対応する。かかる試料の採取に選択される綿棒または道具は、1)対象とされる空洞(例えば鼻孔、鼻咽頭腔)の範囲内に適合しかつそれに到達するように適切なサイジングおよび成形がなされ、2)安全で(例えば化学的残基を有しない)かつ汚染のない/無菌である(例えば核酸を有しない)と考えられる材料から作製され、かつ3)試料採取を容易にする適切な軟性/硬性と長さを有する取っ手を有することが必要であることは当業者には明らかであろう。試料採取の道具が綿棒である場合、試料採取が意図された綿棒の端(例えばフォームミット)が取っ手に固く付着される必要がある。
一旦、鼻汁、剥離物、および/または組織を採取し、採取デバイス/容器に導入すると、すぐに試料を本発明の組成物と混合する。RNA含有試料は室温で数か月間維持されうる。水溶液中のRNA含有試料の一部を逆転写(RT)反応におけるRNA鋳型として用い、相補的DNA(cDNA)の産生が可能であり、次いでそれはPCR反応で用いられうる。
実施例17:ヒト鼻試料中のRNAの室温で4週間にわたる安定性
この実施例では、組成物は、pH6.8に調整された4% SDS、50mM LiCDTA、250mM LiClを含有した。鼻前部試料を1被験者当たりフォームチップ綿棒2本で採取した。試料採取の直後、ハサミを用いて各綿棒のフォームチップを切断して、本発明の組成物(2mL)を有する採取デバイスに入れた。試料を激しく振とうし、室温(RT)で保存した。室温での1日および4週間の保存後、各試料由来の一定分量を分析した。鼻試料からRNAを抽出するため、一定分量をプロテイナーゼKの存在下、50℃で1時間、次いで90℃で15分間加熱した。SDSを塩化カリウムで沈殿させ、沈殿物の遠心分離による除去後、核酸を2倍量の95%冷却エタノールで上清から沈殿させた。
7人の被験者由来の各沈殿核酸試料の一部を、ヒト18SリボソームRNAに特異的なプライマーを用いる逆転写酵素−PCR(RT−PCR)分析における鋳型として用いた。具体的には、逆転写酵素ステップの前に、各被験者由来の沈殿核酸試料の一部をDNアーゼで処理し、DNAを除去した。次いで、DNAを含有しない試料をランダムヘキサヌクレオチドプライマーおよびM−MVL逆転写酵素と混合し、相補的DNA(cDNA)を合成した。最後に、cDNAを10倍に希釈し、定量リアルタイムPCR分析のため、ヒト特異的なプライマー(ヒト18S−165フォワード5’gtggagcgatttgtctggtt(配列番号5)およびヒト18S−165リバース5’ggacatctaagggcatcacag(配列番号6))、Taq DNAポリメラーゼおよびサイバーグリーン(SybrGreen)と混合した。表VIIIに示されるCt(交差閾値)値は試料中の18S RNAの量に反比例する。ヒト結腸癌細胞系HCT−116から精製したRNAをRT−PCR分析における陽性対照として使用した。陰性対照には、M−MVL RT(−RT)もcDNA/鋳型も全く添加しなかった反応が含まれる。
結論
この実施例は、鼻腔から採取した試料中のRNAを室温で長期間安定化させるための本発明の組成物の有効性を示す。4週間後、(表VIIIに示されるように)7人の被験者由来の鼻前部試料が示すヒト18SリボソームRNAにおけるCt値の変化は全く有意でなかった。重要なことに、この実施例は、鼻腔がヒトRNAの新規供給源であることを示す。
実施例18:ヒト対象から唾液を得るためのプロトコル
この実施例は、図15に示されるように、被験者から唾液を採取するために行われうるステップの一例を提供する。
糖が用いられる場合、唾液の試料を得るのに平均で約1分かかる可能性があることに注意のこと。使用者が十分な唾液を作ることが困難である場合、もう少し多量の糖を用いてもよい。試料の採取を5分以内で完了させて、試料の採取を速やかに得ることが望ましい。糖代替物の使用も可能である。一旦、唾液試料が本発明の組成物中で採取されると、試料は室温(15〜30℃)で保存されうる。
実施例19:RNAを精製するためのプロトコル
この実施例は、本発明の組成物を用いて保存された試料からのRNAの単離のために行われうるステップの一例を提供する。この実施例では、本発明の組成物を試料(唾液など)と混合し、室温で保存する。次いで、以下のステップを用い、試料/組成物混合物を処理し、RNAが試料から精製されうる。
試薬および機器
1.中和剤溶液。
2.エタノール溶液:70%および80%(室温)、95%(−20℃)。
3.キアゲン(Qiagen)アールエヌイージー・マイクロキット(RNeasy Micro Kit)(カタログ番号74004)および使用説明書。アールエヌイージー(RNeasy)キットの成分:RLT緩衝液、ミンエルート(MinElute)スピンカラム、採取チューブ、RW1緩衝液、ディーエヌアーゼI(DNase I)ストック溶液、RDD緩衝液、RPE緩衝液およびRNアーゼを含有しない水。あるいは、キアゲン(Qiagen)アールエヌイージー・ミニキット(RNeasy Mini Kit)(カタログ番号74104)は、キアゲン(Qiagen)アールエヌアーゼ−フリー・ディーエヌアーゼ・セット(RNase−Free DNase Set)(カタログ番号79254)と併用されうる。
精製に先立つステップ
1.本発明の組成物と組み合わせた試料を受け取る場合(例えば研究室内で)、8秒以上の間、非常に激しく振とうさせる。
2.試料は、室温で最大で8週間保存されうる。または−20℃で永続的に凍結保存されうる。
3.精製の前に、全試料を、50℃で、水槽内で1時間またはエアインキュベーター内で2時間、元のバイアル内でインキュベートする。
初期精製
1.一定分量250〜500μLを1.5mLのマイクロ遠心チューブに移す(2つのチューブ内で一定分量1000μLが処理される必要がある)。
2.一定分量を90℃で15分間インキュベートし、次いで室温まで冷却する。
3.1/25倍量の中和剤溶液(例えば試料250μLに対して中和剤10μL)を添加する。氷上で10分間インキュベートする。
4.最大速度(>13,000×g)で3分間遠心分離する。
5.ペレットを破壊しないように注意し、上清を新しいチューブに慎重に移し、ペレットを捨てる。
6.2倍量の95%冷却EtOH(エタノール)を添加する。転倒攪拌、ボルテックスまたは振とうにより徹底的に混合する。
7.−20℃で30分間インキュベートする。
8.沈殿物を最大速度(>13,000×g)で3分間の遠心分離により回収する。
9.ペレットを破壊しないように注意し、上清を慎重に移して捨てる。
10.ペレットを緩衝液RLT(アールエヌイージー(RNeasy))350μL中に激しいボルテックスにより溶解させる。このとき、ペレットが完全に溶解されるように注意する。
11.1倍量(350μL)の70%エタノールを添加する。ボルテックスにより十分に混合する。
12.直ぐにキアゲン(Qiagen)アールエヌイージー・サンプル・ピューリフィケーション(RNeasy Sample Purification)の使用説明書の手順に進む。
キアゲン(Qiagen)アールエヌイージー(RNeasy)精製手順
キアゲン(Qiagen)アールエヌイージー・マイクロキット(RNeasy Micro Kit)による「動物細胞からの全RNA単離」プロトコルのステップ#5(注:溶出ステップ#13にやや改良を加えたもの)から開始。
5.2mLの採取チューブ内のアールエヌイージー・ミンエルート(RNeasy MinElute)スピンカラム上に試料を移す。蓋を閉じ、>8000×gで15秒間遠心分離する。濾過物を捨てる。ステップ6で回収チューブを再使用する。
6.350μLの緩衝液RW1をアールエヌイージー・ミンエルート(RNeasy MinElute)スピンカラムに添加する。蓋を閉じ、>8000×gで15秒間遠心分離する。濾過物を捨てる。ステップ8で回収チューブを再使用する。
7.10μLのディーエヌアーゼI(DNase I)ストック溶液を70μLの緩衝液RDDに添加する。チューブを静かに反転させて混合する。
8.ディーエヌアーゼI(DNase I)インキュベーション混合物(80μL)をアールエヌイージー・ミンエルート(RNeasy MinElute)スピンカラム膜上に直接添加し、ベンチトップ上で15分間インキュベートする。
9.350μLの緩衝液RW1をアールエヌイージー・ミンエルート(RNeasy MinElute)スピンカラムに添加する。蓋を閉じ、>8000×gで15秒間遠心分離する。濾過物および回収チューブを捨てる。
10.アールエヌイージー・ミンエルート(RNeasy MinElute)スピンカラムを新しい2mLの回収チューブ内に設置する。500μLの緩衝液RPEをスピンカラムに添加する。蓋を閉じ、>8000×gで15秒間遠心分離する。濾過物を捨てる。ステップ11で回収チューブを再使用する。
11.80%エタノール500μLをアールエヌイージー・ミンエルート(RNeasy MinElute)スピンカラムに添加する。蓋を閉じ、>8000×gで2分間遠心分離する。濾過物および回収チューブを捨てる。
12.アールエヌイージー・ミンエルート(RNeasy MinElute)スピンカラムを新しい2mLの回収チューブ内に設置する。スピンカラムの蓋を開き、全速で5分間遠心分離する。濾過物および回収チューブを捨てる。
13.アールエヌイージー・ミンエルート(RNeasy MinElute)スピンカラムを新しい1.5mLの回収チューブ内に設置する。RNアーゼを含有しない水25μLをスピンカラム膜の中央に直接添加する。室温で5分間インキュベートする。蓋を閉じ、全速で1分間遠心分離し、RNAを溶出する。
実施例20:本発明の組成物中での鼻試料からの小児由来のヒトRNAの抽出および精製
この実施例では、RT−PCRを用い、本発明の組成物中で若年小児6名の鼻腔前部から回収されたRNA中のヒト特異的なメッセンジャーRNAを検出した。試料を、フォームチップ綿棒2本(1鼻孔につき綿棒1本)を用いて採取した。具体的には、成人がフォームチップを小児の鼻腔前部/下部に挿入し、フォームチップで綿棒を円運動させることにより粘膜を採取した。第2の鼻孔においては新しい綿棒で手順を繰り返した。試料採取の直後、ハサミを用い、各綿棒のフォームチップを切断し、pH6.8に緩衝化された4% SDS、50mM LiCDTA、250mM LiClからなる本発明の組成物(2mL)を有する採取デバイスに入れた。試料を激しく振とうし、室温(RT)で保存した。
試料を、室温で1〜4日間保存後、プロテイナーゼKの存在下、50℃で1時間加熱した。フォームチップにより吸収された鼻試料/組成物混合物を以下のような低速遠心分離により回収した。フォームチップ(1小児当たり2つ)を15mLのコニカルチューブ内部に配置した5mLのプラスチック注射器のバレルに移し、それに対して低速遠心分離を行った。フォームチップから15mLのコニカルチューブに回収された鼻試料/組成物を採取デバイス内に残存する鼻試料/組成物とともにプールした。鼻試料からRNAを抽出するため、一定分量(500μL)を90℃で15分間加熱し、SDSを塩化カリウムで沈殿させ、沈殿物を遠心分離により除去し、核酸を得られた上清から2倍量の95%冷却エタノールで沈殿させた。最終的な核酸ペレットを、リボヌクレアーゼを含有しない水中に溶解した。
小児6名由来の各沈殿核酸試料の一部を、ヒト18SリボソームRNA(18S rRNA)に特異的なプライマーを用いる逆転写酵素−PCR(RT−PCR)分析における鋳型として用いた。具体的には、逆転写酵素ステップの前に、各被験者由来の沈殿核酸試料の一部をDNアーゼで処理し、DNAを除去した。次いで、DNAを含有しない試料をランダムヘキサヌクレオチドプライマーおよびM−MVL逆転写酵素と混合し、相補的DNA(cDNA)を合成した。最後に、cDNAを10倍に希釈し、定量リアルタイムPCR分析のため、18S rRNAプライマー(18S−165フォワード5’gtggagcgatttgtctggtt(配列番号5)および18S−165リバース5’ggacatctaagggcatcacag(配列番号6))、Taq DNAポリメラーゼおよびSyto9と混合した。表IXに示されるCt(交差閾値)値は試料中の18S rRNAの量に反比例する。ヒト結腸癌細胞系HCT−116から精製したRNAをRT−PCR分析における陽性対照として使用した。陰性対照には、M−MVL RT(−RT)もcDNA/鋳型も全く添加しなかった反応が含まれる。
結論
この実施例は、小児由来の鼻前部試料中のRNAを抽出しかつ安定化させるための本発明の組成物の有効性を示す。RT−PCR分析に適する大量のヒトRNAは、侵襲性が最小限のこの採取方法および安定化組成物により小児から回収されうる。
実施例22:家畜の鼻腔および口腔から試料を得るためのプロトコル
鼻腔および口腔試料を、肉牛、乳牛、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ニワトリおよびウマなどの家畜から採取してもよい。非限定的な具体例としては、鼻腔または口腔試料は、乳牛(ボビダエ・ボス・タウルス(Bovidae Bos taurus))から、ウシが搾乳室内の支柱の所に立っている間かまたは檻につながれている間、容易に採取可能である。動物の年齢、サイズ、および/または力により、鼻試料の採取における動物の頭部の制止/固定または口腔試料の採取における動物の口を開けるのに調教師の支援が必要とされる場合もあればそうでない場合もある。種々の道具を用い、家畜からの鼻腔および口腔試料の採取が可能である。例えば、上記の実施例16における道具と同じかまたは類似の道具の使用が可能である。道具が挿入されることになる空洞の寸法を考慮し、道具を適切にサイジングする必要がある。この方法を用いると獣医の支援が必要でない場合があることは明白であろう。
実施例23:本発明の組成物を用いてホルスタイン乳牛(ボビダエ・ボス(Bovidae bos))由来の鼻試料中で安定化されたRNA
この実施例では、組成物は、pH6.8に緩衝化された4% SDS、50mM LiCDTA、250mM LiClを含有した。鼻前部試料を、ウシ1頭につき大きいフォームチップ綿棒(頭長2.6cm、頭幅1.2cm、綿棒長15.1cm)1本を用いて採取した。各々の場合、ウシの頭部を「調教師」により固定する間、「コレクター(collector)」により綿棒のフォームチップをウシの鼻孔、具体的には鼻前部に速やかに挿入した。フォームチップを鼻前部/鼻孔の粘膜に対して速やかにこすり、次いで回収した。通常、「調教師」は子牛からの鼻試料の採取にとって必要ではない。採取直後、ハサミを用い、綿棒のフォームチップを切断し、本発明の組成物(2mL)を有する採取デバイスに入れた。試料を激しく振とうし、室温(RT)で保存した。
室温で16日後、フォームチップにより吸収された試料/組成物混合物を以下の低速遠心分離により回収した。フォーセップス(Forceps)を用い、フォームチップを15mLのコニカルチューブ内部に配置した5mLのプラスチック注射器のバレルに移し、それに対して低速遠心分離を行った。このプロセスによりフォームチップから回収された試料/組成物を、採取デバイス内の試料/組成物とともにプールした。鼻試料からRNAを抽出するため、各一定分量をプロテイナーゼKの存在下、50℃で1時間、次いで90℃で15分間加熱し、SDSを塩化カリウムで沈殿させ、沈殿物の遠心分離による除去後、核酸を2倍量の95%冷却エタノールで上清から沈殿させた。最終的な核酸ペレットを、リボヌクレアーゼを含有しない水中に溶解した。
乳牛8頭由来の各沈殿核酸試料の一部を、18SリボソームRNAに対するプライマーを用いる逆転写酵素−PCR(RT−PCR)分析における鋳型として用いた。具体的には、逆転写酵素ステップの前に、各乳牛由来の沈殿核酸試料の一部をDNアーゼで処理し、DNAを除去した。次いで、DNAを含有しない試料をランダムヘキサヌクレオチドプライマーおよびM−MVL逆転写酵素と混合し、相補的DNA(cDNA)を合成した。最後に、cDNAを10倍に希釈し、定量リアルタイムPCR分析のため、18SリボソームRNAプライマー(18S−165フォワード5’gtggagcgatttgtctggtt(配列番号5)および18S−165リバース5’ggacatctaagggcatcacag(配列番号6))、Taq DNAポリメラーゼおよびSyto9と混合した。表Xに示されるCt(交差閾値)値は、試料中の18SリボソームRNAの量に反比例する。HCT−116 RNAをRT−PCR分析における陽性対照として使用した。陰性対照には、M−MVL RT(−RT)もcDNA/鋳型も全く添加しなかった反応が含まれる。
結論
この実施例は、(表Xに示されるように)乳牛の鼻腔前部から採取した試料中のRNAを抽出しかつ安定化させるための本発明の組成物の有効性を示す。重要なことには、この実施例は、鼻腔がウシにおけるメッセンジャーRNAの新規の豊富な供給源であることを示す。
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本明細書中に記載のあらゆる出版物、特許および特許出願は、本発明が関連する技術分野における当業者のスキルのレベルを示し、出版物、特許または特許出願の各々が具体的かつ個別に参照により援用されるように示された場合と同程度に参照により本明細書中に援用される。
本発明がこのように記載されていることから、同じものが多くの方法で変形されうることは明らかであろう。かかる変形は、本発明の精神および範囲から逸脱するものとしてみなされるべきではなく、当業者にとってみれば明らかとなるあらゆるかかる改良は以下の特許請求の範囲の中に含まれるように意図されている。

Claims (30)

  1. 試料由来のリボ核酸を、前記試料中の前記リボ核酸が室温で安定に維持されるように抽出しかつ保存するための組成物であって、
    a.アニオン系界面活性剤、および
    b.pH約5〜約8.2の緩衝剤
    を含有し、前記リボ核酸を室温で安定化する、組成物。
  2. 前記アニオン系界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム(サルコシル)、ドデシル硫酸リチウムまたは1−オクタンスルホン酸ナトリウムである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記アニオン系界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムまたはラウロイルサルコシン酸ナトリウムである、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記ドデシル硫酸ナトリウムまたはサルコシルが、前記試料と混合されたとき、約0.5%〜約8%の濃度である、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記緩衝剤のpHが、約5.1〜約7、約5.5〜約7.5、約6.5〜約7.0または約6.8である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記緩衝剤が、シクロヘキサンジアミンテトラアセテート(CDTA)ナトリウム、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(ヘペス)、酢酸または酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム)、クエン酸またはクエン酸塩、リンゴ酸、フタル酸、コハク酸、ヒスチジン、ピロリン酸、マレイン酸、カコジル酸、ββ’−ジメチルグルタル酸、炭酸または炭酸塩、5(4)−ヒドロキシメチルイミダゾール、グリセロール2−リン酸、エチレンジアミン、イミダゾール、ヒ酸、リン酸またはリン酸塩、酢酸ナトリウム、2:4:6−コリジン、5(4)−メチルイミダゾール、N−エチルモリホリン、トリエタノールアミン、ジエチルバルビツール酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−プロパンスルホン酸(EPPS)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、それらの類似体、あるいはこれらの組み合わせである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記緩衝液が、リン酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液、エチレンジアミン緩衝液またはイミダゾール緩衝液である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記緩衝剤がCDTAまたはクエン酸である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記試料が哺乳動物由来の体液または体組織である、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記哺乳動物がヒトまたはウシである、請求項9に記載の組成物。
  11. 前記試料が、ヒト;非ヒト霊長動物;ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギまたはニワトリ、シチメンチョウ、キジ、アヒルもしくはガチョウを含む家禽を含む家畜;シカ、ヘラジカ、ムース、魚、鳥またはクマを含む狩猟動物または野生動物;非ヒト霊長類、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、アレチネズミもしくはハムスターを含む齧歯類を含む実験動物またはペット;イヌ;ネコ;魚;ヘビ;トカゲ;カメ;ウマ;植物;植物の一部;細胞系;土壌微生物;汚水微生物;またはウイルス、細菌もしくは寄生虫を含む病原微生物に由来する、請求項1に記載の組成物。
  12. 前記組成物が、室温で少なくとも約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間または8週間、約1日間〜約8週間、または約8週間超にわたり前記リボ核酸を安定化する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 前記組成物が、室温で約1日間〜約8週間にわたり前記リボ核酸を安定化する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 生物学的試料由来のリボ核酸を保存するための方法であって、
    a.前記試料を対象から得るステップと、
    b.前記試料を、アニオン系界面活性剤とpH約5〜約8.2の緩衝剤とを含有する組成物と接触させ、混合物を形成するステップと、
    c.前記混合物を室温で保存するステップと、
    d.以降の処理の前に、前記混合物を約50℃以上で加熱するステップと、
    を含み、前記組成物が前記リボ核酸を室温で安定化する、方法。
  15. ステップdが、前記混合物をプロテアーゼと接触させるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記プロテアーゼがプロテイナーゼKである、請求項15に記載の方法。
  17. (e)以降の処理の前に、前記混合物を約90℃以上で加熱するステップをさらに含む、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記アニオン系界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ドデシル硫酸リチウムまたは1−オクタンスルホン酸ナトリウムである、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記アニオン系界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムまたはサルコシンナトリウムである、請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記ドデシル硫酸ナトリウムまたはサルコシルが、約0.5%〜約8%の濃度である、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記緩衝剤のpHが、約5.1〜約7、約5.5〜約7.5、約6.5〜約7.0または約6.8である、請求項14〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記緩衝剤が、シクロヘキサンジアミンテトラアセテート(CDTA)ナトリウム、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸(ヘペス)、酢酸または酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム)、クエン酸またはクエン酸塩、リンゴ酸、フタル酸、コハク酸、ヒスチジン、ピロリン酸、マレイン酸、カコジル酸、ββ’−ジメチルグルタル酸、炭酸または炭酸塩、5(4)−ヒドロキシメチルイミダゾール、グリセロール2−リン酸、エチレンジアミン、イミダゾール、ヒ酸、リン酸またはリン酸塩、酢酸ナトリウム、2:4:6−コリジン、5(4)−メチルイミダゾール、N−エチルモリホリン、トリエタノールアミン、ジエチルバルビツール酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−プロパンスルホン酸(EPPS)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、またはこれらの組み合わせである、請求項14〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記緩衝剤が、リン酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液、エチレンジアミン緩衝液またはイミダゾール緩衝液である、請求項14〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記緩衝剤がCDTAまたはクエン酸である、請求項14〜22のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記試料が哺乳動物由来の体液または体組織である、請求項14〜25のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記哺乳動物がヒトまたはウシである、請求項25に記載の方法。
  27. 前記試料が、ヒト;非ヒト霊長動物;ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギまたはニワトリ、シチメンチョウ、キジ、アヒルもしくはガチョウを含む家禽を含む家畜;シカ、ヘラジカ、ムース、魚、鳥またはクマを含む狩猟動物または野生動物;非ヒト霊長類、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、アレチネズミもしくはハムスターを含む齧歯類を含む実験動物またはペット;イヌ;ネコ;魚;ヘビ;トカゲ;カメ;ウマ;植物;植物の一部;細胞系;土壌微生物;汚水微生物;またはウイルス、細菌もしくは寄生虫を含む病原微生物に由来する、請求項14に記載の方法。
  28. 前記組成物が、室温で少なくとも約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間または8週間、約1日間〜約8週間、または約8週間超にわたり前記リボ核酸を安定化する、請求項14〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記組成物が、室温で約1日間〜約8週間にわたり前記リボ核酸を安定化する、請求項14〜27のいずれか一項に記載の方法。
  30. a.請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物、および
    b.その使用についての使用説明書
    を含むRNA保存キット。
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