JP2006501850A - 核酸精製システムの媒体上に核酸を保存するツールとして、化学物質を用いる方法および材料 - Google Patents

核酸精製システムの媒体上に核酸を保存するツールとして、化学物質を用いる方法および材料 Download PDF

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Abstract

本発明は、細胞試料または細胞溶解物などの、核酸を含有する試料から、核酸を単離および保存する方法に関する。核酸は、固相媒体上で単離され、その後、この固相媒体は乾燥される。そして、上記核酸は、種々のフィルターや他の固相媒体を含む、カラム、チューブ、および多穴プレート内で、数日間、数週間、および数カ月間を含む長期間、効果的に保存されうる。本発明は、試料から核酸を単離および保存する方法を提供するものである。当該方法は、固相媒体に試料を供し、細胞を固定し、細胞保持物を溶解し、上記固相媒体を乾燥させ、核酸を保持し、長期間、室温・室内湿度で、核酸を保存し、随意的に核酸を溶出するものである。本発明は、市販されている多くのチューブ、カラム、または多穴プレート内の、様々な固相媒体上で、核酸を含む試料を保存する方法を提供する。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、2002年10月4日に仮出願がなされた、米国仮出願特許第60/416356に基づき優先権を主張するものである。なお、参考として、本明細書に、その内容を織り込む。
〔発明の分野〕
本発明は、核酸を含む試料、例えば、細胞試料、または細胞溶解物由来の核酸を保存する方法に関する。核酸を単離し、その核酸を、種々のフィルターおよびその他のタイプの固相媒体上で、長期間、室温・室内湿度で効率的に保存することができる。本発明は、一般的に利用されているチューブ、カラム、多穴プレート等の種々の固相媒体上で、核酸を含む試料を保存する方法を提供する。
〔発明の背景〕
遺伝子型の特徴づけ(genotyping)は、疾病に特有の対立遺伝子、および/または親からの遺伝の結果として発生する変異に関連するある個人の染色体を特定する専門の分野である。遺伝子型を特徴づける過程において、ヒトのゲノムDNAを迅速に精製することは、必須要素の一部である。ある個人の上記ゲノムDNAとは、発現しているすべての対立遺伝子の完全DNA配列の構造単位である。
ヒトのDNAの塩基配列決定は、複雑な作業である。変異部分や、疾病に特異的な配列を含む可能性のある染色体領域の塩基配列分析を行うためには、まず、PCR法などで選択領域を増幅する。そして、その増幅産物を用いて塩基配列決定法が行われる。増幅される染色体の選択領域は、PCRによる増幅で用いられる特定配列を含むプライマーによって決定される。なお、このプライマーは、疾病を引き起こす配列が特定の染色体上にあることを調べるために、関連した研究で用いられるものである。遺伝子型の特徴づけに用いられるプライマーセットは、一般に市販されているもので、染色体の研究に用いられる代表的なものである。染色体の長さは長いので、一被験者からのゲノムDNAテンプレートに対して、何回もPCR反応が行われる。
アガロースから種々の核酸(例えば、ゲノムDNA、相補的DNA(cDNA)、ミトコンドリアや葉緑体のDNA、種々のRNAなど)を精製する、比較的迅速で便利な方法が開発されている。しかしながら、より複雑な出発試料、例えば、細胞や細胞溶解物から直接、核酸を抽出することは、依然として困難な作業である。概して、細胞または細胞溶解物を含む、核酸を含有する試料から、核酸を精製するために、現在行われているほとんどの方法は、依然として多大な時間と労力とを要する。さらに、単離された核酸の保存では、通常、冷蔵庫、好ましくは冷凍庫内で、溶液の状態の核酸を入れた試薬ビンを保管する必要がある。したがって、長期間に渡り、多量の試料を保存するには、広大な保存専用の冷凍庫のスペースが必要となる。これらの保存に必要なものは、多大なエネルギーを消費することとなり、費用がかさむ。そのために、上記分野において、核酸の単離を行うことは、困難に、または、時としては不可能である。
そこで、複雑な試料から核酸を単離するために、従来用いられている方法において、困難で時間がかかる工程を最小限にする試みがなされている。そのような方法の1つが、欧州特許第0389063号で述べられている。欧州特許第0389063号に開示されている方法は、細胞試料、例えば、血液を、カオトロピック物質、並びにシリカまたはその誘導体を含む微粒子の核酸結合性固相と共に混合する工程を含んでいる。カオトロピック物質の存在下において、核酸は細胞より放出され、シリカベースの核酸結合性固相に結合することが知られている。続いて、核酸を有する固相を沈殿させるために、上記混合物を遠心分離する。そして、上清を捨てる。上記の沈殿した物質を、カオトロピック剤および有機溶媒を用いた数段階の洗浄工程にかける。最後に、DNAを低塩緩衝液で、上記固相から溶出する。
欧州特許第0389063号に述べられている方法には、手作業による部分が多く、たくさんの工程が含まれるという不都合がある。また、この方法には、遠心分離工程および容器に移し変える工程が多く含まれることから、自動化には不適当である。さらに、溶出されたDNAは、やはり溶液で、低温度下に保存する必要がある。
米国特許第5187083号および第5234824号には、それぞれ、細胞を含む生物学的試料から、相当に純度の高いDNAを迅速に得る方法が述べられている。これらの方法には、高分子状態のゲノムDNAを含む細胞溶解物を得るために、穏やかに細胞膜を溶解する工程が含まれる。その後、高分子のDNAを選択的にフィルター上に捕捉するために、上記溶解物を多孔性フィルターに通す。その後、水溶液を用いて、DNAをフィルターから遊離させる。
種々の方法を用いて、ヒトのゲノムDNAの精製を容易にする試みが行われている(Molecular Cloning, Sambrook et al. (1989))。その結果、多くの商用キット製造業者が、これらの方法に用いられる製品を提供している。その例として、AmpReadyTM (Promega, Madison, Wisconsin)、 DNeasyTM (Qiagen, Valencia, California)、Split SecondTM (Roche Molecular Biochemicals, Indianapolis, Indiana)が挙げられる。これらの製品は、ゲノムDNA分子の単離を迅速に行うために、専用のマトリクスや緩衝液システムを使用しなければならない。
最近では、多数の核酸と同様に、ゲノムDNAを精製するツールとして、微細多孔性フィルターをベースにした技法を用いる試みがなされている。このフィルターベースのマトリクスの利点は、チューブ、スピンチューブ、シート、および多穴プレートを含む多くの規格に合わせることができるということである。精製の補助マトリクスとしての微細多孔性フィルター膜は、上記技術において、その他の利点も有する。上記フィルター膜を用いることで、小型で取り扱いが簡単なシステムを提供することができる。さらに、上記システムは、所望の分子の捕捉と流体相(fluid phase)の不要物質の除去を、カラムクロマトグラフィーを用いてできるよりもよりハイスループット(high throughput)で、かつより短い処理時間で行うことを可能とする。これは、フィルター膜上では、高い拡散速度が実現できるからである。
通常、単純な吸着を通して、またはフィルター膜上あるいはフィルターに結合したリガンド上に存在する相補的な反応基との間で化学反応し、上記リガンドと上記所望の核酸との間で共有結合を形成することによって、核酸分子は、フィルター膜上に捕捉される。
非共有結合的に核酸を固定するために用いられる多孔性フィルター膜の材料には、ナイロン、ニトロセルロース、疎水性のポリフッ化ビニリデン(PVDF)、およびガラスミクロ繊維のような物質が含まれる。また、オリゴヌクレオチドやプライマーなどの核酸を、固相支持体上に直接結合させるための方法および試薬が、たくさん開発されている。DNAのUV架橋形成(Church et al. , PNAS, vol. 81, page 1991,1984)、Generation Capture Column Kit(Gentra Systems, Minneapolis, MN)、およびRNAのナイロン膜への吸着もまた、報告されている。
核酸のような分子をフィルター膜上に固定するために、多くの化学的手法が用いられている。例えば、活性紙(activated paper) (TransBindTM, Schleicher & Schuell Ltd., Keene, N.H.)、カルボジイミダゾール活性化ヒドロゲルコーティングPVDF膜(carbodimidazole-activated hydrogel-coated PVDF membrane) (Immobilin-IAVTM, Millipore Corp., Bedford, Mass.)、MAP紙(MAP paper) (Amersham, Littlechalfont Bucks, Wisconsin)、活性ナイロン(activated nylon) (BioDyne, Pall Corp., (Glen Cove, N. Y. )、DVS-および臭化シアン−活性化ニトロセルロース(cyanogen bromide-activated nitrocellulose)が挙げられる。特定のリガンドと結合した膜としては、ビオチン化した分子のストレプトアビジンに対する親和性に基づいて、ビオチン化した分子に結合するSAM2 Biotin Capture Membrane (Promega)、または、MAC affinity membrane system (protein A/G) (Amicon, Bedford, Massachusetts)などが知られている。活性化した膜に生体分子を共有結合により結合させることには、以下のような不利点がある。
(a)分子の固定がゆっくりであることが多く、反応が終了するまでに、20分から180分が必要である。
(b)固定を短時間で行うには、リガンドと生体分子が高濃度である必要がある。
(c)固定反応中に、一定の撹拌が必要とされるが、この撹拌により生体分子が変性および不活性化する恐れがある。
(d)ひとたび、固定反応が終了すれば、残存する共有結合形成能を除去するために、ブロッキング工程(キャップ形成工程)を行う必要があることがよくある。
(e)共有結合した分子は、フィルター膜から取り除くことができない。
法医学などの様々な特定分野では、危険な化学反応や、長時間におよぶ反応時間を必要とせずに、高い特異性で膜上に固定化することが可能な、核酸固定媒体および方法が必要とされる。このような方法は、犯罪現場での血液試料の保管や、その他の関連した使用法に用いられる。特に、法医学の分野においては、フィルター膜マトリクス上の流体相の混合物から核酸を捕捉および分離する必要がある。
種々の用途において、フィルター膜マトリクス上に結合した核酸を、保存または保管することができる方法(ability)に特に注目が注がれている。また、流動体の形状を必要とする用途においては、核酸を抽出することができる膜が用いられる。なお、本発明においては、これら両方のタイプの実施形態が記載されている。
米国特許第5496562号、第5756126号、および第5807527号に基づくと、核酸または遺伝物質を、セルロースベースの乾燥した固体支持体またはフィルター(FTA(登録商標)フィルター)に固定できることが示されている。
そこで述べられている固体支持体は、いくつかの機能を発揮することかできる化学化合物を用いて、調整されている。上記機能とは、(i)接触により無傷な細胞材料を溶解し、遺伝物質を放出させる機能、(ii)(通常は、機械的およびカオトロピック物質の組み合わせによって)固体支持体への遺伝物質の固定を容易にする状態を作りだす機能、(iii)分解、エンドヌクレアーゼ活性、紫外線の干渉、および微生物の攻撃により、遺伝物質が損傷することなく、安定した状態に、固定化された遺伝物質を維持する機能、および(iv)いかなる後続の処理中にも、上記固体支持体から除去されることがない支持体結合分子として、遺伝物質を維持する機能である(Del Rio et al (1995) BioTechniques. vol. 20: 970-974)。
FTA(登録商標)フィルターを用いると、核酸を長期間にわたり、安定して保存することができる。例えば、FTA(登録商標)カードを用いると、室温で長期間に渡り、DNA試料を保管することができる。いわゆる、米国特許第5496562号、第5756126号、および07527号で述べられているFTA(登録商標)セルロース系フィルター材料の有用性は、様々な核酸技法、例えば、細菌のリボタイプ(ribotyping)(Rogers, C. & Burgoyne, L. (1997) Anal. Biochem., vol. 247: 223-227)、ウィルスDNAとヒトDNAとの1塩基の違いの検出、(Ibrahim et al. (1998) Anal. Chem., vol. 70: 2013-2017)、DNAのデータベース化(DNA databasing) (Ledray et al. (1997) J. Emergency Nursing., vol. 23, No. 2 156-158)、STR電気泳動のための自動化されたプロセシング(automated processing) (Belgrader, B. & Marino, M. (1996) L. R. A. , vol. 9: 3-7 Belgrader et al. (1995) BioTechniques., vol. 19, No. 3: 427-432)、および診断学のためのオリゴヌクレオチドライゲーション検定(Baron et al. (1996) Nature Biotech., vol. 14: 1279-1282)で実証されている。
ごく最近になって、ガラスミクロ繊維は、種々の核酸を含む原料由来の核酸に、特異的に、かつとても効率よく、結合することが示された(Itoh et al (1997) Simple and rapid preparation of plasmid template by filtration method using microtiter filter plates. NAR, vol. 25, No. 6: 1315-1316; Andersson, B. et al. (1996) Method for 96-well M13 DNA template preparations for large-scale sequencing. BioTechniques vol. 20: 1022-1027などを参照)。適切な塩条件および緩衝状態下において、核酸は、高い特異性でもって、ガラスまたはシリカへと結合する。FTA(登録商標)などの結合剤およびコーティング剤をできる限り含む、フィルター形状のガラスミクロ繊維マトリクスは、核酸の単離および溶出に使用されるかもしれない。
また、フィルター形状ではない、シリカ、シリカゲル、ガラス粒子、またはガラス混合物は、懸濁液に懸濁されて、カラムやスピンチューブなどに充填されてもよい。カラム充填剤は、除去結合剤(removal binder)を有する、ガラス繊維またはガラスミクロ繊維を均質化し、その後、「半固体(sludge)」、「樹脂(resin)」、「スラリー(slurry)」として懸濁することにより得られる(米国特許第5658548号を参照)。
タンパク質分画カラムのような、この種のタイプのカラムは、常に湿潤させておらねばならず、乾燥させることは許されず、乾燥したカラムに捕捉された核酸およびタンパク質は、しばしば溶出されないことが技術的によく知られている。このような制限のため、乾燥を防ぐ条件下で、充填カラムを注意深く保管することを余儀なくされる。例えば、空気との接触を防ぐために密閉し、できる限り低温室または冷蔵庫に保管するといった具合である。さらに、上記の制限のために、末端部またはカラム内部の気泡によりカラムが乾燥しないように、注意深く、かつ一定の警戒をしながら、比較的短時間のタイムフレームで、単離実験を行う必要がある。たいへん長い単離実験の場合、長時間に渡り、頻繁に緩衝液を加えるために、低温室中で作業する必要がある。
カラム内の様々なタイプの媒体を使って、核酸を含む試料を保存する方法を提供することは有益である。上記方法は、試料から核酸を単離した後、媒体上に捕捉された上記試料を含むカラムを乾燥させ、当該カラムを、室温かつ室内湿度で、数日間、数週間または数カ月間保存するものである。
〔発明の概要〕
本発明の一態様において、以下の工程を含む、核酸を単離および保存する方法が提供される。上記の核酸を単離および保存する方法は、
(a)固相媒体を用意する工程と、
(b)核酸を含む細胞を含有する試料を、上記固相媒体に供する工程と、
(c)細胞保持物として、上記細胞を上記固相媒体で保持し、不純物を除去する工程と、
(d)界面活性剤、または洗剤を含む溶液と、上記細胞保持物とを接触させる工程と、
(e)細胞溶解物が上記媒体上に保持されている間に、上記細胞保持物を溶解し、核酸を含む細胞溶解物を形成させる工程と、
(f)核酸を含む上記細胞溶解物を保持する上記固相媒体を乾燥させる工程と、
(g)上記の核酸を保持する乾燥した固相媒体を保存する工程とを含む。
本発明のさらなる一態様において、以下の工程を含む、核酸を単離および保存する方法が提供される。すなわち、上記の核酸を単離および保存する方法は、
(a)固相媒体を用意する工程と、
(b)核酸を含む細胞を含有する試料を、上記固相媒体に供する工程と、
(c)細胞保持物として、上記細胞を上記固相媒体で保持し、不純物を除去する工程と、
(d)上記細胞保持物を、(i)弱塩基と、(ii)キレート剤と、(iii)陰イオン性の、界面活性剤または洗剤とを含む溶液と、接触させる工程と、
(e)細胞溶解物が上記媒体上に保持されている間に、上記細胞保持物を溶解し、核酸を含む細胞溶解物を形成させる工程と、
(f)核酸を含む上記細胞溶解物を保持する上記固相媒体を乾燥させる工程と、
(g)上記の核酸を保持する乾燥した固相媒体を保存する工程と、
(h)上記固相媒体から、上記核酸を溶出する工程とを含む。
ある実施形態においては、工程dの溶液は、さらに、尿酸または尿酸塩を含んでいる。
本発明のさらに別の一態様においては、以下の工程を含む、DNAを単離および保存する方法が提供される。すなわち、上記DNAを単離および保存する方法は、
(a)固相媒体(なお、上記固相媒体は、多数の繊維を含むフィルターを含有し、上記繊維は、(i)ガラスまたはシリカベースの繊維、(ii)プラスチックベースの繊維、または(iii)ニトロセルロースまたはセルロースベースの繊維を含む)を用意する工程と、
(b)核酸を含む細胞を含有する試料を、上記固相媒体に供する工程と、
(c)細胞保持物として、上記細胞を上記固相媒体で保持し、不純物を除去する工程と、
(d)上記細胞保持物を、(i)弱塩基と、(ii)キレート剤と、(iii)陰イオン性の、界面活性剤または洗剤とを含む溶液と、接触させる工程と、
(e)細胞溶解物が上記媒体上に保持されている間に、上記細胞保持物を溶解し、DNAを含む細胞溶解物を形成させる工程と、
(f)DNAを含む上記細胞溶解物を保持する上記固相媒体を乾燥させる工程と、
(g)上記のDNAを保持する乾燥した固相媒体を、5℃〜40℃の温度で、保存する工程と、
(h)上記固相媒体と共に、上記DNAを加熱し、65℃〜125℃の高温にする工程と、
(i)上記固相媒体から、上記DNAを溶出する工程とを含む。
ある実施形態においては、工程dの溶液は、さらに、尿酸または尿酸塩を含んでいる。
〔発明の詳細な説明〕
図1Aは、凍結されたヒトの全血液より抽出され、室温・室内湿度で1日間保存した後、ガラス繊維媒体から回収されたDNAの質をアガロースゲル電気泳動により解析した結果を示す(M=分子量スタンダード)。図1Bは、凍結されたヒトの全血液より抽出され、室温・室内湿度で5日間保存した後、ガラス繊維媒体から回収されたDNAの質をアガロースゲル電気泳動により解析した結果を示す(M=分子量スタンダード)。図2は、凍結されたヒトの全血液より抽出され、室温・室内湿度で20日間保存した後、ガラス繊維媒体から回収されたDNAの質をアガロースゲル電気泳動により解析した結果を示す(M=分子量スタンダード)。図3は、凍結されたヒトの血液より抽出され、室温・室内湿度で3.5カ月保存した後、ガラス繊維媒体から回収されたDNAの質をアガロースゲル電気泳動により解析した結果を示す(M=分子量スタンダード)。図4は、室温・室内湿度で、ガラス繊維GF/L-6TMおよびDBSTM媒体(Whatman)上に、1カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、アガロースゲル電気泳動により解析し、コントロールDNAと、FTA処理されたDNAとで比較した結果を示す(M=分子量スタンダード)。図5は、室温・室内湿度で、ガラス繊維GF/LTM GenFastカラム媒体(Whatman)上に、3.5カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、アガロースゲル電気泳動により解析し、コントロールDNA(下側)と、FTA(登録商標)処理されたDNA(上側)とで比較した結果を示す(M=分子量スタンダード)。図6は、室温・室内湿度で、ガラス繊維GF/L-6TM媒体(Whatman)上に、5カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、アガロースゲル電気泳動により解析し、コントロールDNAと、FTA(登録商標)様溶液(FTA(登録商標)-treated)処理されたDNAとで比較した結果を示す(M=分子量スタンダード)。図7は、室温・室内湿度で、シリカゲルQiaAmp Mini Kitカラム(Qiagen)上に、3.5カ月間保存した後、単離されたDNAの質のアガロースゲル電気泳動により解析した結果を示す。図8は、室温・室内湿度で、カラムベースに設計された親水性ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜上に、3カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、アガロースゲル電気泳動により解析し、コントロールDNAと、FTA(登録商標)処理されたDNAと、改変したFTA(登録商標)処理されたDNAとで比較した結果を示す(MW=分子量スタンダード、レーン1〜2:コントロール、レーン3:試料無し(ブランク)、レーン4〜5:FTA(登録商標)処理された試料、レーン4〜6:改変したFTA(登録商標)処理された試料)。
概して言うと、本発明は、どんな固相に基づいた核酸精製システム(商用キット、および自作(in-house)装置を含む)の媒体上でも、血液または生物学的試料由来の核酸(NA)を保存、および保管するための化合物(例えば、FTA(登録商標)技術(Whatman社)の化合物)、およびそれを用いる方法を提供するものである。例えば、本発明のある実施形態においては、試料を負荷した後、または核酸抽出工程の後に、FTA(登録商標)化学物質を、上記固相媒体に供し、上記固相媒体を乾燥させることで、核酸の単離および保存が行われる。
本発明は、さらに、核酸の精製システムには最良であると考えられる分量を遥かに超えて、核酸の保存量を増加させる化合物および方法を提供する。また、本発明は、FTA(登録商標)技術の試料の保存手順に記載されている時間および温度に限定するものではない。
本発明の方法は、DNAを回収するために、たった数種の緩衝液(バッファー)と、単純な熱により溶出する工程しか必要としないために、作業が短時間ですむ。また、本発明の方法は、カオトロピック塩、イオン交換法、または親和抽出法に依存するものではない。
ある場合には、上記固相媒体は、物理的に保持物を捕捉する。しかし、別の場合には、上記保持物は、上記固相媒体と、化学的に相互作用する。また、吸着および吸収が組み合わさって、起こっても構わない。
本発明の方法は、これまでは核酸の保存には不適当と考えられてきた、種々の市販されている固相媒体を用いて、核酸を保存し、その後、単離する方法を提供する。上記方法は、迅速かつ簡便で、費用効率に優れた方法である。本発明の方法は、手作業の部分が少なく、また、技量に依存するものではない。さらに、有害な化学物質を利用しない。また、本発明に基づいて調製された核酸は、その後に行われる種々の処理に用いることが可能である。
本発明の一態様においては、以下の工程を含む、核酸の単離・保存方法が提供される。上記の核酸を単離および保存する方法は、
(a)固相媒体を用意する工程と、
(b)核酸を含む細胞を含有する試料を、上記固相媒体に供する工程と、
(c)細胞保持物として、上記細胞を上記固相媒体で保持し、不純物を除去する工程と、
(d)界面活性剤、または洗剤を含む溶液と、上記細胞保持物とを接触させる工程と、
(e)細胞溶解物が上記媒体上に保持されている間に、上記細胞保持物を溶解し、核酸を含む細胞溶解物を形成させる工程と、
(f)核酸を含む上記細胞溶解物を保持する上記固相媒体を乾燥させる工程と、
(g)上記の核酸を保持する乾燥した固相媒体を保存する工程とを含む。
好ましい実施形態においては、さらに、
(h)上記固相媒体から、上記核酸を溶出する工程を含む。
ある好適な実施形態においては、乾燥する工程、すなわち工程fに先立ち、上記固相媒体に核酸を保持している間に、不純物を除去するために、核酸を保持する固相媒体を洗浄する。
別の好適な実施形態においては、溶出する工程、すなわち工程hに先立ち、上記固相媒体に核酸を保持している間に、不純物を除去するために、核酸を保持する乾燥した固相媒体を洗浄する。
ある好適な実施形態では、工程gにおける核酸を保持する乾燥した固相媒体は、実質的に5℃〜40℃の範囲内の温度で維持される。
工程gの核酸の保存期間は、少なくとも1週間であることが好ましく、少なくとも1カ月間であることがより好ましい。上記保存期間は、少なくとも3カ月間であることがさらに好ましく、少なくとも5カ月間であることが特に好ましい。
ある好適な実施形態においては、上記固相媒体は、多数の繊維を含むフィルターを含有している。上記フィルターは、実質的に無秩序な構造を有することが好ましい。また、上記繊維の直径は、1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。また、上記フィルターは、約0.2μm〜約2.7μmのポアサイズをもつ、1つ以上の穴を有することが好ましい。
ある好適な実施例においては、上記固相媒体は、(a)ガラスまたはシリカベースの固相媒体、(b)プラスチックベースの固相媒体、または(c)セルロースベースの固相媒体を含む。
固相媒体は、ガラス、ガラス繊維、ガラスミクロ繊維、シリカ、シリカゲル、酸化シリカ、セルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリアミド、糖質ポリマー、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidinefluoride)、ウール、または多孔質セラミックの1つから選択されることが好ましい。
ある好適な実施形態において、工程dの界面活性剤または洗剤は、陰イオン性の、界面活性剤または洗剤、好ましくはドデシル硫酸ナトリウムを含む。より好ましくは、約0.5%(w/v)〜約5%(w/v)の間の濃度のドデシル硫酸ナトリウムを含む。
別の好適な実施形態において、工程dの溶液は、さらに、(ii)弱塩基と、(iii)キレート剤とを含む。
上記に加えて、工程dの溶液は、さらに、(iv)尿酸または尿酸塩を含むことが好ましい。
ある好適な実施形態において、細胞保持物は、核由来の濃縮された物質を含む。
特に好適な実施形態においては、細胞保持物は、無傷なホールセル(intact whole cell)を含んでいる。さらに、工程eは、(i)固相媒体によって保持された核から濃縮された物質を放出させるために、上記固相媒体によって保持された無傷なホールセルを破壊する工程と、(ii)上記核酸を含む細胞溶解物を形成させるために、上記核由来の上記の濃縮された物質を溶解させる工程とを含む。
ある好適な実施形態においては、上記核酸が、実質的に、非イオン的な相互作用、好ましくは、双極分子−双極分子(dipole-dipole)の相互作用、双極分子により誘導される双極分子の相互作用(dipole-induced dipole interaction)、分散力、または水素結合によって、工程eの媒体により保持されるにように、上記固相媒体の組成と、大きさとが、選択される。
保持する工程、すなわち工程eは、さらに、上記固相媒体を通る核酸の動きを物理的に妨げる工程と定義づけられることが好ましい。
上記固相媒体は、カオトロピック物質(chaotrope)が存在しないときに、上記細胞および核酸を保持できることが好ましい。
工程bは、さらに、上記固相媒体内において、上記細胞を濃縮する工程を含むことが好ましい。
ある好適な実施形態においては、溶出する工程、すなわち工程hに先立ち、上記核酸を加熱して、65℃〜125℃の高温にすることが好ましく、80℃〜95℃の高温にすることがさらに好ましい。
上記細胞は、白血球細胞、上皮細胞、頬細胞(buccal cell)、組織培養細胞、精液、膣細胞、尿路細胞、植物細胞、細菌細胞、および結腸直腸細胞からなる群より選択されることが好ましい。
特に好適な実施形態においては、上記細胞は白血球細胞であり、さらに、上記方法は、上記固相媒体に全血液(whole blood)を供する工程と、全血液中の赤血球細胞を溶解する任意の工程と、不純物を取り除くために、上記固相媒体を洗浄する任意の工程と、上記白血球細胞から細胞溶解物を得る工程とを含む。
より好ましくは、試料は、血液細胞を含み、さらに、工程cで保持される細胞の大部分を、白血球細胞が占めるように、上記固相媒体の大きさが、選択される。
好適な実施形態においては、上記核酸は、DNAまたはRNAを含むことが好ましく、ゲノムDNAを含むことがさらに好ましい。
別の一態様において、本発明は以下の工程を含む核酸を単離および保存する方法を提供する。上記核酸を単離および保存する方法は、
(a)固相媒体を用意する工程と、
(b)核酸を含む細胞を含有する試料を、上記固相媒体に供する工程と、
(c)細胞保持物として、上記細胞を上記固相媒体で保持し、不純物を除去する工程と、
(d)(i)弱塩基、(ii)キレート剤、および(iii)陰イオン性の、界面活性剤または洗剤を含む溶液と、上記細胞保持物とを接触させる工程と、
(e)細胞溶解物が上記媒体上に保持されている間に、上記細胞保持物を溶解し、核酸を含む細胞溶解物を形成させる工程と、
(f)核酸を含む上記細胞溶解物を保持する上記固相媒体を乾燥させる工程と、
(g)上記の核酸を保持する乾燥した固相媒体を保存する工程と、
(h)上記固相媒体から、上記核酸を溶出する工程とを含む。
さらなる一態様において、本発明は、以下の工程を含むDNAを単離および保存する方法を提供する。上記DNAを単離および保存する方法は、
(a)固相媒体(なお、上記固相媒体は、多数の繊維を含むフィルターを含有し、上記繊維は、(i)ガラスまたはシリカベースの繊維、(ii)プラスチックベースの繊維、または(iii)ニトロセルロースまたはセルロースベースの繊維を含む)を用意する工程と、
(b)DNAを含む細胞を含有する試料を、上記固相媒体に供する工程と、
(c)細胞保持物として、上記細胞を上記固相媒体で保持し、不純物を除去する工程と、
(d)上記細胞保持物を、(i)弱塩基と、(ii)キレート剤と、(iii)陰イオン性の、界面活性剤または洗剤とを含む溶液と接触させる工程と、
(e)細胞溶解物が上記媒体上に保持されている間に、上記細胞保持物を溶解し、DNAを含む細胞溶解物を形成させる工程と、
(f)DNAを含む上記細胞溶解物を保持する上記固相媒体を乾燥させる工程と、
(g)上記のDNAを保持する乾燥した固相媒体を、5℃〜40℃の温度で、保存する工程と、
(h)上記固相媒体と共に、上記DNAを加熱し、65℃〜125℃の高温にする工程と、
(i)上記固相媒体から、上記DNAを溶出する工程とを含む。
上記保持物は、固相媒体中に包括されている間に溶解されることが好ましい。しかし、本発明にかかる方法は、実質的に保持物の全て、または一部分が、上記固相媒体に包括されてはいないが、上記固相媒体(媒体の表面上を含む)によって保持されている間に、溶解される実施形態をも含むと理解されるものである。
本発明の一態様においては、細胞保持物は、細胞破片のみならず、または、細胞破片の代わりに、無傷なホールセルを含む。上記無傷なホールセルは、上記固相媒体に保持されている間に、都合よく、上記の媒体に洗剤を供することにより、処理されてもよい。なお、細胞膜を破裂させる効果、または「剥がす(peeling away)」効果を有するものであれば、どのような洗剤を用いてもよい。
濃縮された核由来の物質または核酸は、上記の媒体によって保持される。上記洗剤は、デドシル硫酸ナトリウム(特に、0.5%(w/v)〜5%(w/v)のSDS)、ラウリルサルコシン酸ナトリウム(特に、0.5%(w/v)〜5%(w/v)のSLS)、または、その他の市販品で入手可能な洗剤、例えば、TWEENTM 20(特に、0.5%(v/v)〜5%(v/v)のTWEEN 20)、ラウリルデドシル硫酸塩(特に、0.5%(w/v)〜5%(w/v)のLDS)、もしくはTRITONTMX-100のようなTRITONTM(特に、0.5%(v/v)〜5%(v/v)のTRITON)から選択されることが好ましい。また、上記の物質の代わりに、3−[(3−コルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホン酸塩(CHAPS)を用いてもよい。使用される洗剤の量は、細胞膜を溶解するのには十分な分量だが、DNAを変成させてしまうほどの量ではない。適切な分量は、通常、0.1%(w/vまたはv/v)〜10%(w/vまたはv/v)である。なお、この分量は、0.2%(w/vまたはv/v)〜7%(w/vまたはv/v)であることが好ましく、0.5%(w/vまたはv/v)〜5%(w/vまたはv/v)の、SDS、TWEEN、またはTRITONであることがさらに好ましい。最も好ましい洗剤は、0.5%(w/v)〜5%(w/v)のSDSである。
保持物に洗剤を加えることが好ましいが、本発明の方法は、洗剤を添加せずに、その他公知の溶解剤、例えば、エタノールやスクロースなどの低塩非等張液を用いることによって、実施してもよい。しかしながら、保持物が上記固相媒体によって保持されている間に、洗剤を保持物に加えることで、DNA産物の質および収量が向上する。
洗剤は、無傷なホールセルを破裂させることに加えて、上記固相媒体に保持されている可能性のある、タンパク質やヘムを洗い落とす機能も有している。
細胞の核の溶解に関して、本発明の一態様においては、低塩で非等張性の緩衝液、例えば、低等張性緩衝液を加えることにより、細胞の核を、溶解、分解、または破裂させて、核酸を含む細胞溶解物を形成させる。なお、上記低塩緩衝液としては、以下のものが好ましい。すなわち、1リットルにつき、純水を500ml測定し、10ml(9.9−1.1ml)の1M Tris(Whatman WB420003)を加え、0.596g(0.595−0.597g)の塩化カリウム(Whatman WB410015)を加え、0.29g(0.28−0.30g)の塩化マグネシウム(Whatman WB410014)を加え、混合して、これら物質を溶解し、10.0mlのNFB(NFBの代わりに、牛胎児血清を用いてもよい)を加え、混合し、0.5g(0.49−0.51g)のメタ重亜硫酸ナトリウム(Whatman WB410055)を加え、混合し、水を1000mlとなるように加え、よく混合し、クラスII安全キャビネット内で、0.2μmフィルターを用いて、溶液を無菌フィルターにかけ、室温で保存した溶液;
AE(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、pH7.6−8);
TE−1(10mM Tris−HCl、0.1mM EDTA、pH8);または、
水が好ましい。その他の適切な溶解液には、あらゆる洗剤を含む溶液が含まれる。上記洗剤は、陽イオン性、陰イオン性、または中性であってもよい。また、カオトロピック物質を含む溶液、好ましくはカオトロピック物質を含む緩衝液を用いてもよい。上記溶解液は、濃縮された核由来の物質を溶解または破裂させ、核酸を放出させる。しかしながら、核を溶解させ、核酸を含む溶解物を形成させることは、その他の方法、例えば、加熱することによって達成できることは、当分野に熟達した当業者に理解されているところである。なお、そのような場合は、溶解の後、上記保持物は、フリーの核酸を含有している。
細胞であろうが、核であろうが、その溶解と、溶解の結果生じる不純物の除去とは、連続して行う。例えば、細胞の溶解に続いて、核由来ではない物質、または内容物を除去する。もしくは、核の溶解に続いて、核酸でない物質を除去する。また、連続的に行わない代わりに、上記の溶解と除去との工程を同時に、またはオーバーラップして行ってもよい。
上記溶液の化学組成は、ホールセルの溶解と、放出される核酸のその後の捕捉とを促進するものである。上記溶液は、界面活性剤または洗剤を含んでいることが好ましく、弱塩基、キレート剤、および陰イオン性の、界面活性剤もしくは洗剤を含んでいることがより好ましい。上記化学組成は、さらに、核酸の長期保存を補助する役割も果たす。また、上記溶液の組成は、捕捉された核酸の精製を迅速に行えるように考慮されている。すなわち、上記溶液自身は、溶出する工程で核酸を放出させることを考慮している。その結果、可溶性の核酸分画を得ることができる。以下でより詳細に述べられ、かつ、後述の実施例で例示しているように、本発明の方法は、試料からの全DNAを溶出することに関して、最も効果的であり、核酸および核酸群を特異的に溶出することが可能である。
フィルター膜を含む実施形態においては、上記溶液は、上記フィルター膜に吸着できる化学成分を含有することが好ましい。上記溶液組成は、好ましくは、米国特許第5756126号、第5807527号、および第5496562号に述べられている通りである。なお、これらの特許文献の内容を、本明細書に織り込んでいる。
ある実施例において、好適な溶液は、タンパク質変性剤とフリーラジカル捕捉剤とを含んでいる。上記の変性剤は、試料中のタンパク質および大部分の病原性の生物を変性させる、界面活性剤である。陰イオン性洗剤は、上記のような変性剤の代表的な例であり、単独で使用されてもよい。また、上記の化学溶液は、弱塩基、キレート剤、および陰イオン性の、界面活性剤または洗剤を含んでいても良い。さらに、上記の米国特許第5807527号に詳しく述べられているように、随意的に、尿酸または尿酸塩を含んでいてもよい。より好適には、上記弱塩基は、Tris(トリスヒドロキシメチルメタン)や、フリー塩基もしくは炭酸塩のいずれかのようなものである。また、キレート剤は、EDTAであることが好ましい。また、陰イオン性洗剤はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)であることが好ましい。なお、同様の機能を有するその他の溶液を、本発明に用いることもできる。
ある好ましい実施形態においては、本発明のこの態様で用いられる溶液は、以下のものを含んでいる。すなわち、(i)1価の塩基(例えば、Tris(トリスヒドロキシメチルメタン)や、フリー塩基もしくは炭酸塩のいずれか)、(ii)キレート剤(例えば、EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸))、および(iii)陰イオン洗剤(例えば、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム))を含む溶液が用いられる。また、随意的に、(iv)尿酸または尿酸塩を含んでいても良い。
上記溶液のある好ましい実施形態の例としては、Tris、EDTA、SDSおよび尿酸を含む、FTA(登録商標)溶液(Whatman)が挙げられる。
上記固相媒体上にDNAを短期間保存する場合には重要ではないが、DNAを固相媒体上に長期間保存する場合、本発明の方法に基づき、尿酸および尿酸塩を使用することが非常に重要であることが見出された。本発明の方法において、尿酸および尿酸塩は、多くの機能を果たす。その中には、フリーラジカル捕捉剤または弱酸としての役割が含まれる。尿酸および尿酸塩は、フリーラジカル捕捉剤として、優先的にフリーラジカルを受容する。フリーラジカルが捕捉されない場合、これらはDNA中の塩基グアニンを破損する。
上述のように、上記組成は、pHを8.0〜9.5のアルカリ性とし、マトリクス上に配された血液を塩基性の環境にさらすために、塩基、随意的に1価の弱塩基を含んでいてもよい。これは、キレート剤の2価金属結合を適切かつ確実に発生させるためである。また、塩基の存在により、2価金属に依存性でない核酸分解酵素の作用を防ぐことにもなる。上記塩基は、Trisなどの弱有機塩基であってよい。また、有機塩基の代わりに、炭酸または重炭酸の、ナトリウム塩、リチウム塩、またはカリウム塩などの、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属重炭酸塩などの無機塩基が使用されてもよい。
本発明に用いられるキレート剤は、EDTAなどの強キレート剤であることが好ましい。なお、現在、種々の強キレート剤を購入することが可能である。キレート剤の機能は、マグネシウムおよびカルシウムのような2価金属イオンと結合すること、また、遷移金属イオン(特に鉄)と結合することである。カルシウムとマグネシウムとは、共に、酵素の補因子として機能し、DNA分解を促進することが知られている。容易に酸化および還元される鉄などの金属イオンも、フリーラジカルを生産し、核酸を損傷させる。
本発明のこの態様の上記組成には、上記陰イオン性の、界面活性剤および洗剤は、主要な変性剤として含まれる。上記陰イオン性の洗剤は、単独で用いられてもよく、また、弱塩基、キレート剤、および随意的に尿酸もしくは尿酸塩と組み合わせて用いられてもよい。
タンパク質に結合し、タンパク質を変性させる、いかなる強陰イオン性の洗剤も、適している。また、上述したSDSと同様に、その他の洗剤、例えば、ラウリルサルコシン酸ナトリウムを用いてもよい。また、この陰イオン性の洗剤は、病原体の、外皮タンパク質、内部タンパク質、および、病原体の活動に必要不可欠なその他のあらゆる膜の2次構造を非選択的に破壊するために、ほとんどの病原体を不活性化することができる。しかし、上記陰イオン性の洗剤は、最も抵抗性の強い細菌の胞子や、一部の非常に抵抗性の強い腸内ウイルス粒子を不活性化できないという例外は存在する。これらの例外は、通常の接触により伝播されるような病原体である。また、現時点で、これらの病原体が、血液から危険を与える(血液から進入する)という懸念はない。
上記陰イオン性の洗剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む群から選択することができる。SDSは、様々な形態で得られる。例えば、C12型やラウリル硫酸塩などである。また、その他の陰イオン性の洗剤を用いることができる。例えば、アルキアリルスルホン酸塩、テトラデシル硫酸ナトリウム長鎖(脂肪性)アルコールスルフェート(sodium tetradecylsulphate long chain (fatty) alcohol sulphates)、2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムエチレン列炭化水素スルフェート(sodium 2-ethylhexysulphate olefine sulphates)、スルホコハク酸ナトリウム、またはリン酸エステルを用いることができる。SDSのような陰イオン性の洗剤は、種々の濃度で、フィルターマトリクスに供することができる。
通常、本発明においては、0.1%〜10%のSDSが用いられる。例えば、SDSの濃度を最大10%(上述の特許文献に記載されているように、FTA(登録商標)混合物には、このSDS濃度を用いることはできないが)にまで増加させると、臨界ミセル濃度がより高くなるために、後述の実施例で示すように、細胞の溶解能がより高くなり、それゆえ、核酸の収量がより増加する。異なるプラスミド集団を、液体培養から直接濃縮および精製するために、ガラスミクロ繊維を用いる場合、たとえば、充填カラム、フィルターカラム、従来公知の多穴プレート(multi-well format)を用いる場合、好適なSDS濃度は0.5%〜5%の範囲内である。
上記固相媒体として、適した材料には、ガラス繊維もしくはシリカベース、またはシリカ誘導体よりなる固相媒体、並びに、プラスチックベースの固相媒体、例えば、ポリエステルおよびポリプロピレンベースの媒体が含まれる。
ガラスミクロ繊維、ポリエチレン、ポリエステルまたはポリプロピレンを含む特定の材料を用いると、カオトロピック物質が存在しない場合にも、核酸を単離することができる。実質的にカオトロピック物質が存在せずとも、固相媒体が細胞および核酸を保持できるように、固相媒体の組成および大きさが選択されることが好ましい。また、驚くべきことに、発明者らは、ガラスミクロ繊維、ポリエチレン、ポリエステル、またはウールもしくはポリプロピレンを含む、特定の物質を用いることで、カオトロピック物質が存在せずとも核酸を単離できることを見出した。これは、当分野に熟達した、当業者の間で広く知られる知識に反するものである。
本発明の固相媒体は、実質的に損失なく、細胞および核酸を固相媒体内に捕捉するのに十分な厚みをもつことが好ましい。なお、本発明の方法は、スケールの変更が可能であるので、どんな表面積のフィルターでも、また、どんな直径のフィルターでも、用いることができる。
本発明の固相媒体は、上記固相媒体に固定された遺伝物質を、熱による溶出により、解離させることができる。ある好適な実施形態においては、遺伝物質が固定された固相媒体を、核酸分解酵素を含まない、加熱された溶出液または水にさらして、熱による溶出が行われる。また、ある好適な実施形態においては、上記固相媒体は、多孔性であり、核酸が結合するのに十分に広い表面積を備える固相媒体が用いられる。
本発明の固相媒体は、保存期間中のいかなる時点においても、上記固相媒体に固定された核酸を迅速に精製することができるものである。固定された核酸は、本発明の固相媒体より放出される間の簡単な溶出過程の後、可溶性画分の状態で収集される。本発明の固相媒体を用いると、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)法、リガーゼ連鎖反応(LCR)法、核酸増幅精密測定法(transcription mediated amplification)(TMA)、逆転写PCR法、DNAまたはRNAのハイブリダイゼーション法、塩基配列分析などの、単離した核酸を用いた分析に悪影響を及ぼさないだけ十分な質の核酸を得ることができる。
ある実施形態において、上記固相媒体には、フィルターまたはフィルター膜が含まれる。フィルターが繊維性のものである場合、上述の溶液は、単にフィルターの表面を覆うよりもむしろ、フィルター繊維を覆うことが好ましい。また、その代わりとして、上記溶液は、フィルター繊維に浸透してもよい。
なお、本明細書にて用いられている用語「フィルター」、「フィルター膜」、または「マトリクス」とは、多孔質材料、または全部または一部分が、ガラス、シリカ、シリカゲル、酸化シリカ、または石英から形成されるフィルター媒体を意味する。また、これら物質よりなる繊維、またはこれらの派生物から形成されるフィルター媒体も含まれる。しかし、上記多孔質材料またはフィルターを形成する材料は、上記の物質に限定されるものではない。上記以外にも、上記フィルター膜を構成するその他の材料には、セルロース質の材料(セルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、合成親水性ポリマーを含む親水性ポリマー(ポリエステル、ポリアミド、糖質ポリマー(carbohydrate polymer)など)、ポリテトラフルオロエチレン、多孔質セラミック、Sephacryl S-500、ウール、および珪藻土(酸化シリカ)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、1つ以上のフィルターを押しつぶしたり、破いたり、または均質化したりするなどして、チューブ、カラムまたは多穴プレートに充填して用いてもよい。このような場合、上記フィルターの材料は、例えば緩衝液やその他の溶液中で、半固体状(sludge)または懸濁液を形成させるために用いることができる。
本発明において用いられる固相媒体の好適な例として、GF/L-6TMガラス繊維媒体(Whatman社)、DBS-1000TMガラス繊維媒体(Whatman社)、GenFastカラム(Whatman社)、PVDF媒体(Whatman社)、QiaAmp(登録商標)カラム(Qiagen GmbH)、Wizard(登録商標)カラム(Promega)、Generation(登録商標)カラム(Gentra)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらなる例として、ニトロセルロース膜(Whatman社; Toronto; Schleicher & Schuell)、セルロースナイトレート膜(Arbor Tech)、アセチルセルロース膜(Tronto)、ナイロン膜(Whatman社; Toronto; Schleicher & Schuell)なども上記例に含まれるが、これらに限定されるものではない。技術的に知られているさらなる例としては、WO00/21973、米国特許第5234809号、欧州特許第0389063号により公開されているものが挙げられる。なお、参考のために、これらの内容を本明細書に織り込んでいる。
さらに、本発明の好適な実施形態には、広範囲の物質を含む、カラム方式またはハイスループットな96穴方式(吸引または遠心分離)のプラスミド調製キットが含まれるが、本発明はこれに限定されるものではない。市販のハイスループットなプラスミド調整キットの例としては、DNA結合マトリクスを含むキット(DNAce 96 Plasmid Kit(Bioline))、Perfectpre−96 Spin(Eppendorf Scientific, Inc))、シリカ膜(Aurum Plasmid 96 kit (Bio-Rad Laboratories)、Nucleospin Multi-96(Clontech Laboratories社)、Perfectprep 96 Vac DB(Eppendorf Scientific社)、Wizard SV 96 Plasmid DNA Purification System(Promega社)、シリカゲル膜(QIAprep 96 Turbo Miniprep kit (Qiagen) )、シリカマトリクス(96-well prep Express (Qbiogene); RPM Turbo 96 kit (Qbiogene))、および陰イオン交換膜(QIAwell 96 Ultra Plasmid kit (Qiagen))などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
試料の汚染の危険性を軽減するのに加えて、保存前の核酸の迅速な単離を促進するために、または保存後の核酸の溶出を促進するために、自動プラスミド調製装置を用いてもよい。上記の自動プラスミド調製装置の例としては、AutoGenprep 960(AutoGen社)、PERFECTPrep Process Platform(Brinkmann)、RevPrep(GeneMachines)、Miniprep Workstation(Hudson)、AutoPrep-12(ThermoHybaid)、Mini-Prep 24(MacConnel Research)、RoboPrep 2500/3000/4800(MWG Biotech社)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
同様に、ハイスループットな自動化された単離または溶出技術および装置を、ゲノムDNAおよびRNAの単離に用いることができる。
本発明のフィルター膜として用いられる媒体には、上述の溶液を不活性化せず、かつ保存、溶出およびその後に行われる核酸含有物質の分析の妨げとならない、物質を含むことが好ましい。このような媒体には、平らな乾燥マトリクスまたは結合剤と組み合わされたマトリクスが含まれる。結合剤の例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリジン(PVP)、およびその他の長鎖アルコールが挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明のフィルター膜は、核酸の固定化を促進するために、多孔性であることが好ましい。ある好ましい実施形態においては、上記フィルターは、多数の繊維を含み、実質的に無秩序な構造を有している。上記繊維の直径は、約1μm〜約10μmの範囲内であることが好ましい。また、上記繊維マトリクスは、約0.2μm〜約2.7μmのポアサイズをもつ、1つ以上の穴を有することが好ましい。
ある好ましい実施形態においては、イオン性の相互作用が実質的に存在しない状態で、上記フィルターによって核酸が保持されるように、上記フィルターの組成および大きさが選択されることが好ましい。また、上記フィルターを通る核酸の動きを物理的に妨げることにより、核酸がフィルターによって保持されることがより好ましい。
ある好ましい実施形態においては、網状構造のフィルターにより核酸が保持されるように、上記フィルターの組成および大きさが選択されることが好ましい。
「核酸物質」および「核由来の物質」には、核膜、および、ゲノムDNA(gDNA)またはプラスミドDNAを含む核の内容物が含まれる。「核の核酸でない内容物」には、核膜の構成物、および核酸でない、あらゆるその他のタンパク質または物質が含まれる。
「核酸」には、様々な形態のデオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)が含まれる。「遺伝物質」には、DNAの一種で、遺伝情報をコードするゲノムDNA(gDNA)が含まれる。
核酸は、ポリヌクレオチドを含むことが好ましい。
なお、本発明の方法は、あらゆる核酸に適応可能であるが、上記核酸は、DNA、特に、ゲノムDNAを含むことが好ましい。なお、この好ましい方法では、ゲノムDNAが好適な標的化合物であることが示されているが、本発明の方法を、RNA含有試料からRNAを単離するために用いることができる。
以下で述べる溶出する工程は別として、溶出する工程ではない工程を行う際の温度は、通常の大気温度、一般的には5℃〜40℃の範囲内であり、好ましくは、10℃〜40℃の範囲内であり、より好ましくは、15℃〜30℃の範囲内である。
ある好適な実施形態においては、上記保存工程は、大気温度(室温)・室内湿度で行われる。上記温度は、一般的には5℃〜40℃の範囲内であり、好ましくは10℃〜40℃の範囲内であり、より好ましくは15℃〜30℃の範囲内である。
上記乾燥した固相媒体を用いた核酸の保存は、数日間、数週間、または数カ月間、維持されてもよい。ある好適な実施形態においては、乾燥した固相媒体を用いて、核酸を少なくとも1週間保存することができる。また、核酸を1カ月間保存することが好ましく、3カ月間保存することがより好ましく、5カ月間保存することがさらに好ましい。
また、pHが5〜11の範囲内で、好ましくはpHが5.8〜10の範囲内で、核酸を溶出できるように、上記固相媒体の組成および大きさが選択されることが好ましい。より強アリカリの溶媒で、産物である核酸を溶出すると、潜在的に、産物である核酸が分解されるので、上記の範囲内のpHで核酸を溶出することは、本発明の方法において、好都合である。したがって、好ましい溶出時のpHの1つは、pH7〜9の範囲内である。
本発明のフィルターから核酸を溶出するのに適したpHの溶液であれば、どのようなものを用いてもよい。好適な溶出溶液には、水酸化ナトリウム(NaOH)(1mMから1M)、酢酸ナトリウム(1mMから1M)、10mMの2−[N−モルフィリノ]−エタンスルホン酸(MES)(pH5.6)、10mMの3−[シクロヘキシルアミノ]−1−プロパンスルホン酸(CAPS)(pH10.4)、TE(10mM Tris HCl(pH8)+1mM EDTA)、TE−1(10mM Tris、 0.1mM EDTA、pH8)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(特に、0.5%SDS)、TWEENTM 20(特に、1%のTWEENTM 20)、LSD(特に、1%のラルリルデドシル硫酸塩(LDS))、またはTRITONTM(特に、1%のTRITONTM)、水および10mMのTrisが含まれる。一般的な用途においては、これらの溶液を用いると、ほぼ同量の核酸が得られる。多量の溶出溶液を用いて溶出を行うと、核酸の合計収量はより高くなる。
核酸の溶出、言い換えれば、上記固相媒体からの核酸の放出は、いくつかの様式の影響を受ける。溶出前に核酸を放出させるためのインキュベーション(incubation)工程中に、上記システムにエネルギーを加えることで、溶出の効率を向上させることができる。上記エネルギーは、物理的エネルギー(攪拌など)または熱エネルギーの形であってよい。上記システムに加えるエネルギーを増やすことにより、インキュベーション時間または放出時間を短くすることができる。
上記固相媒体から、核酸を室温で溶出できるが、溶出前に核酸を放出させるためのインキュベーション工程中に、上記システムにエネルギーを加えることで、溶出の効率を向上させることができる。なお、上記エネルギーは熱エネルギーの形であってよい。溶出に先立ち、核酸が上記固相媒体に保持されている間に、所定の時間、核酸を加熱し、高温とすることによって、熱エネルギーをシステムに加えることが好ましい。しかし、核酸を損傷する程の温度および時間であってはならない。核酸を加熱して、40℃〜125℃の高温にすることが好ましく、80℃〜95℃の高温にすることがさらに好ましい。最も好ましくは、上記核酸を加熱して、約90℃の温度で約10分間加熱することが好都合である。
上記の昇温させる工程の代わりに、事前に加熱して温度が上昇している緩衝液を用いてもよい。また、昇温させる工程を行い、さらに、加熱した緩衝液を用いることがより好ましい。ある好適な実施形態においては、上述の溶出する工程は以下のようにして行われる。
(a)溶出緩衝液を加熱して、40℃〜125℃の高温とし、
(b)上記固相媒体へと上記溶出緩衝液を加え、
(c)上記固相媒体と上記溶出緩衝液とを加熱して、40℃〜125℃の高温とし、
(d)核酸を溶出し、
(e)(a)〜(d)の作業を、少なくとも1回は繰り返す。
なお、上記の工程において、80℃〜95℃の範囲内の高温とすることがより好ましい。また、核酸を加熱し、温度を約90℃に上昇させ、10分間加熱することがさらに好ましい。
本発明のシステムからは、主に1本鎖の物質が得られると思われる。しかし、得られる2本鎖DNAの割合は実験条件に依存しており、実験条件によりこの割合を調節することができる。
時間および温度のパラメーターを使って、インキュベーションを制御すると、この割合を調節することができる。溶出温度を低くし、溶出時間を長くすると、得られる2本鎖DNAの割合が増加する。また、溶出温度を高くし、溶出時間を短くしても、得られる2本鎖DNAの割合が増加する。
核酸がフィルターに保持されている間に、核酸を一度加熱して、温度を上昇させると、溶出する工程中に温度を高いままに保つ必要はない。溶出自体は、いかなる温度で行われてもよい。作業を簡便にするためにも、核酸がフィルターに保持されている間に、高温で核酸を加熱する場合には、溶出は、それよりも低い温度で行うことが好ましい。これは、加熱を止めると、時間と共に核酸の温度が低下し、さらに、室温に保たれた溶出緩衝液をフィルターに供することによっても、核酸の温度が低下するからである。
本発明の方法は、実質的に、カオトロピック物質が存在しない状況下において行われることが好ましい。
多くの場合、固相媒体を含むカラムに血液試料が供される。ある好適な実施形態においては、赤血球細胞溶解液を用いて、血液試料は処理される。本発明の方法に用いられる、典型的な赤血球細胞溶解液には、表1に示されるものが含まれる。好適な溶解液は、0.83%(w/v)の塩化アンモニウム、0.16%(w/v)の炭酸アンモニウム、0.1mMのEDTAである。赤血球細胞がフィルターを通過するときに、必ずしも無傷な赤血球細胞を溶解する必要があるわけではない。しかし、赤血球細胞溶解液を用いることで、より質の高い最終産物を得ることができる。
遊離したDNAの分析に適した試薬には、PCR法、DNAのプロセシング、DNAの消化もしくはサブクローニングまたはその一部、DNAの塩基配列分析、制限断片長多型(RFLP)解析、サザンブロッティング、並びに、その他の、溶出の後に行われるDNA分析の範疇に属する方法に適した、いかなる試薬も含めることができる。上記の試薬には、プローブ、プライマー、制限酵素、緩衝液、タンパク質、指示薬、および、その他のDNA分析に有効なあらゆる試薬が含まれるが、それらに限定されるものではない。
遊離したRNA(mRNAなど)の分析に適した試薬には、逆転写、プロセッシング、ノーザンブロッティング、および、その他の溶出後に行われるRNA分析の範疇に属するあらゆる方法に適した、あらゆる試薬も含めることができる。上記の試薬には、プローブ、プライマー、制限酵素、緩衝液、タンパク質、指示薬、および、その他のRNA分析に有効なあらゆる試薬が含まれるが、それらに限定されるものではない。
本発明の方法は、核酸産物の収量および純度を実質的に改善することが分かった。さらに、本発明の方法は、迅速かつ簡便で、費用効果に優れており、かつ、手作業の部分が少なく、技量に依存せず、有害な化学物質を用いない核酸の精製方法を提供する。本発明の一実施形態に従って生じさせられる核酸は、後の様々な処理に用いることが可能である。また、随意的に、適切なあらゆる洗浄溶液を用いて、フィルターに保持された核酸を洗浄してもよい。なお、上記のフィルターに保持された核酸は、そのpHが5.8〜10の範囲内にある緩衝液で洗浄されることが好ましく、pH7〜8の範囲内にある緩衝液で洗浄されることがより好ましい。特に、水、またはTE−1(100μMのEDTAを含む10mM Tris HCl(pH8))のような低塩緩衝液により洗浄されることが好ましい。上記の洗浄工程は、溶出前、または溶出と同時に行われてもよい。上記の洗浄は、核酸産物の収量および純度を高める。また、上記洗浄工程は、後の処理において、問題となる可能性のある、細胞の物質および溶解液のあらゆる残留物を除去する。
適切な洗浄緩衝液は、Tris/EDTA、70%エタノール、STET(0.1M NaCl、10mM Tris−Cl(pH8.0)、1mM EDTA(pH8.0)、5% Triton X-100)、SSC(20×SSC=3M NaCl、および0.3M クエン酸ナトリウムを含み、NaOHでpHを7.0に調整)、SSPE(20×SSPE=3M NaCl、0.2M NaHPO−HO、および0.02M EDTAを含み、pHを7.4に調整)、FTATM精製試薬、およびこれらに類似したものからなる群より選択することができる。特に、水、またはTE−1(100μMのEDTAを含む10mM Tris/HCl(pH8.0))のような低塩緩衝液を用いて、洗浄することが好ましい。
実施例の項で述べられる様々な緩衝液を用いるような洗浄する工程は、細胞を溶解した前、またはその後に行われるが、それに限定されるものではない。洗浄する工程が細胞を溶解した後に行われるとき、上記固相媒体は、その後、核酸を物理的に、その内部に捕捉する。さらに、洗浄する工程は、保存の後、溶出の直前に、行ってもよい。
ある好適な実施形態においては、本発明の方法は、細胞破片を含む細片などの不純物を除去するために、細胞を溶解する工程の前に、洗浄する工程を含む。別のある好適な実施形態においては、本発明の方法は、同じように汚染物質を除去するために、細胞を溶解する工程の後で、固相膜を乾燥させる工程の前に、洗浄する工程を含む。さらに別の好適な実施形態においては、本発明の方法は、保存する工程の後で、溶出する工程の前に、洗浄する工程を含む。
上記核酸の由来(source)は、ホールセルを含む生物学的試料である。上記ホールセルの例としては、血液、細菌培養物、細菌集落(コロニー)、組織培養細胞、唾液、尿、飲料水、血漿、糞便試料、精液、膣試料、痰、植物細胞の試料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら試料は、技術的に知られている種々の方法により採取し、固相媒体に移して、上記固相媒体に供することができる。なお、上記固相媒体は、布、シート材、ボールまたはその他類似物などの、試料採取装置(sampling device)の形態であってもよい。また、上記試料は、その由来から直接、得てもよい。言い換えれば、上記固相媒体は、強打、または別の方法で、由来から細胞試料を得ることができる装置の形態であってもよい。なお、試料の由来は、液体試料を含む試料管、口や耳またはヒトまたは動物のその他の部分などの器官、犯罪現場の血液試料やそれに類似するものなどの試料プール、全血液または白血球が減少した血液(leukocyte-reduced blood)、または科学、法医学、またはその他の分野において知られている種々の細胞由来である。上記の試料を供する工程は、上記固相媒体にホールセルを供することによって達成される。核酸は、真核生物または原核生物由来であり、プラスミドDNAをも含む。
概して、本発明の方法は、あらゆるホールセルの懸濁液に対して、好都合に用いることができる。本発明の方法に特に適した細胞には、細菌細胞、酵母細胞、並びに、哺乳動物およびその他動物の細胞、例えば、白血球細胞、上皮細胞、頬細胞(buccal cell)、組織培養細胞、精液、膣細胞、尿路細胞、結腸直腸細胞が含まれる。DNAは、綿棒で採った標本、塩水およびスクロース含嗽水、並びに軟膜の試料から、うまく得られる。
なお、細胞に白血球細胞が含まれる場合、本発明の方法は、さらに、全血液(whole blood)を固相媒体上に供する工程と、全血液に含まれる赤血球細胞を溶解する任意の工程と、不純物を除去するために、上記固相媒体を洗浄する任意の工程と、上記血液細胞から細胞溶解物を得る工程とを含むことが好ましい。全血液は、採取したばかりのものでも、凍結されたものであってもよい。Na/EDTA、K/DETAを含む血液、およびクエン酸エステル化された血液の全てにおいて、同様の収量が得られる。100μlの全血液試料から、約2〜5μgの収量で核酸が得られる。また、500μlの試料からは約15〜40μgの収量で核酸が得られる。さらに、10mlの試料からは、約200〜400μgの収量で核酸が得られる。
本発明は、遺伝学の様々な分野において、その有用性を見出すことができる。例えば、本発明は、遺伝物質を、迅速に精製するために、様々な市販の固相媒体、例えば、カラム、チューブ、または多穴プレートに入った固相媒体を用いて、固相媒体に結合した核酸を溶出する可能性(capability)を提供するものである。
Figure 2006501850
〔実施例〕
本来の、および改変された、Whatman Genomic DNA Purification System GenFastを用いて、ヒトの全血液試料(400〜1000μl)の処理を行った。有核細胞捕捉および赤血球溶解工程(Nucleated Cell Capture and Red Cell Lysis Step)の後、それぞれのカラムに、25〜50μlのFTA(登録商標)溶液(Whatman)を供した。その後、カラムを、乾燥、保存、およびその後のDNA抽出のために、室温で放置した。
上記の保存されたDNAの回収には、以下に示すGenFastのプロトコールを用いた。
〔実施例1〜4の研究デザイン〕
・異なるタイプのLeukoreduction(LR)ガラス繊維媒体が充填された、自家製カラムに、0.5〜1mlの採取したばかりの、または凍結されたヒトの全血液を供した。
・赤血球細胞溶解液GenFast溶液1(Whatman社)を用いて、Hb、および、その他の不要な血液成分を洗い流した(GenFast溶液1=155.2mMの塩化アンモニウム、10mMの炭酸アンモニウム、0.10mMのEDTA)。
・白血球細胞が捕捉されている上記媒体に、25〜50μlの容量のFTA(登録商標)溶液(Whatman社)を供した(FTA(登録商標)溶液=160mMのTris、7.8mMのEDTA、2%(w/v)のSDS、0.672%(w/v)の尿酸)。なお、他の手順が示されている場合はこの限りではない。
・室温または37℃でカラムを乾燥させた。
・カラムを周囲条件(室温・室内湿度)で1日間、5日間、20日間、または3.5カ月間保存した。
・保存中の異なる時点において、GenFast化合物(GenFast溶液2、3、4(Whatman社))を用いて、固相媒体からDNAを単離した(溶液2=0.5%(w/v)のラウリル硫酸ナトリウム;溶液3=8.0(±0.1)mMの塩化カリウム、3.0(±0.1)mMの塩化マグネシウム、10(±0.1)mMのTris/HCl(pH8)、1%(w/v)のFCS、0.05%(w/v)のメタ重亜硫酸ナトリウム;溶液4=10mMのTris/HCl、1mMのEDTA)。
・UV/vis分光分析、PicoGreen蛍光色素、およびアガロースゲル電気泳動法を用いて、得られたDNAの質および量を評価した。
以下の実施例は、室温で3.5カ月間、試料を保存した後、抽出されたDNAは最大約75%の2本鎖DNAを含むDNAを、期待されるDNA収量の最大78%(500μlの血液から8〜12μgのDNA)の収率で抽出することができることを示す。また、上記保存過程におけるDNAの安定性は、試料を1日間(図1A)、5日間(図1B)、20日間(図2)、および3.5カ月間(図3)保存した後の、アガロースゲル電気泳動の写真を表す図に示されている。
〔実施例1および2〕
自家製カラム内のガラス繊維GF/L-6TM媒体に、凍結された血液(#1)0.5mlの試料を供した。保存期間は、1日間および5日間とした。その結果を、表2、並びに図1Aおよび図1Bに示す。
Figure 2006501850
図1Aおよび図1Bは、室温で、GF/L-6TM媒体上に、1日間(I)(図1A)、および、5日間(II)(図1B)保存された後の血液試料から抽出されたDNAの質を、0.78%アガロースゲル電気泳動により調べた結果を示している(M=分子量スタンダード)。
〔実施例3〕
自家製カラム内のガラス繊維DBS-1000TM媒体に、採取されたばかりの血液(#2)0.5mlの試料を供した。保存期間は、20日間とした。その結果を、表3および図2に示す。
Figure 2006501850
図2は、室温で、DBS-1000TM媒体上に、20日間保存した後の血液試料から抽出されたDNAの質を、0.78%アガロースゲル電気泳動により調べた結果を示している(M=分子量スタンダード)。
〔実施例4〕
自家製カラム内のガラス繊維DBS-1000TM媒体に、採取したばかりの血液1.0mlの(#3)試料を供した。保存期間は、3.5カ月間とした。その結果を表4および図3に示す。
Figure 2006501850
図3は、室温で、DBS-1000TM媒体上に、3.5ヶ月間保存した後の血液試料から抽出されたDNAの質を、0.78%アガロースゲル電気泳動により調べた結果を示している(M=分子量スタンダード)。
本発明の実施例に基づく、これらの結果は固相ベースに精製する技術の後に、室温で核酸を保存する本発明の実施形態の使用を実証するものである。このように、本発明によれば、固相ベースの核酸精製技術を使って、核酸を好都合に保存、輸送、および/または、単離することができる。
〔実施例5:異なるタイプのガラス繊維媒体が充填された1mlカラムを用いて、血液由来のDNAを保存および単離するためのFTA(登録商標)化合物〕
(研究デザイン)
・2つの異なるタイプのLRガラス繊維媒体、GF/L-6TMおよびDBSTM(Whatman社)がそれぞれ充填された1mlカラムに、1mlの血液を供した。
・洗浄溶液を用いて、Hb、および、その他の不要な血液成分を洗い流した。
・カラムの一方のグループに、FTA(登録商標)溶液を供し(以下、GF/L-6−FTA(登録商標)またはDBS−FTA(登録商標)とも記する)、カラムの他方のグループにはFTA(登録商標)を加えなかった(以下、GF/L-6TM−コントロール、DBSTM−コントロールとも記する)。
・周囲条件(室温・室内湿度)で、カラムを1カ月間保存した。
・GenFastの標準プロトコールを用いて、上記媒体からDNAを単離した。
・UV/vis分光分析、PicoGreen蛍光色素(表5および6)、およびアガロースゲル電気泳動法(図4)を用いて、DNAの質および量を評価した。
(結果)
図4は、室温で、GF/L-6TM媒体およびDBSTM媒体上に、1カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、0.78%アガロースゲル電気泳動法により調べ、コントロール(図中、GLF6-コントロール、およびDBS-コントロール)とFTA(登録商標)処理したもの(図中、GLF6-FTA、およびDBS-FTA)とで比較したものである。(M=分子量スタンダード)。
図4、並びに表5および表6は、FTA(登録商標)処理した媒体から単離されたDNAの質および量がすばらしいことを実証している。すなわち、OD260/OD280の値が、1.8であり、DNAの約80%が、2本鎖型であった。コントロール、すなわち、FTA(登録商標)処理していない媒体から単離されたDNAは、顕著に品質が悪かった。すなわち、OD260/OD280の値が、1.5〜1.2であり、2本鎖型の割合は、20%以下であった。また、コントロールのカラムから単離されたDNAの量は、FTA(登録商標)処理されたカラムから単離されたDNAの量の3〜4分の1であった。
Figure 2006501850
Figure 2006501850
〔実施例6:室温で、3.5カ月間保存した後、ガラス繊維カラムシステムから抽出されたDNA試料の質〕
(研究デザイン)
・1−mlのLRガラス繊維GF/L-6TMスピンカラムのフィルター媒体に、1mlの凍結された全血液を供した。
・洗浄溶液(GenFast溶液1)を用いて、Hb、および、その他の不要な血液成分を1回洗浄した。
・上記の試験カラム内の細胞を捕捉した媒体に、FTA(登録商標)溶液を供し、一方、コントロール群には、FTA(登録商標)溶液を供さなかった。
・カラムを乾燥させ、周囲条件(室温、室内湿度)で、3.5カ月間保存した。
・GenFastの標準プロトコール(Whatman社)を用いて、上述の通り、上記媒体からDNAを単離した。
・アガロースゲル電気泳動法(図5)およびPicoGreen蛍光色素を用いて、単離されたDNAの質および量を評価した。
(結果)
図5は、室温で、GF/L-6TM媒体上に、1カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、0.8%アガロースゲル電気泳動法により調べ、コントロール(下段、コントロールカラム)とFTA(登録商標)処理したもの(上段、FTA処理カラム)とで比較したものである。(M=分子量スタンダード)。
その結果、FTA(登録商標)処理された媒体から単離されたDNAの質(図5)および量は、すばらしく、約80%が2本鎖の状態で(PicoGreen蛍光色素)、収量は、カラムあたり平均11μgであった。また、コントロール、すなわちFTA(登録商標)処理されていない媒体から単離されたDNAでは、その品質が大きく低下している徴候が見られた。
〔実施例7:室温で、5カ月間保存された後のガラス繊維カラムシステムから抽出されたDNA試料の質〕
(研究デザイン)
・ガラス繊維GF/L-6TM媒体を有する、1−ml GenFastのようなスピンカラムのフィルター媒体上に、1mlの凍結された全血液を供し、減圧濾過により負荷した。
・洗浄溶液(GenFast溶液1)を用いて、Hb、および、その他の不要な血液成分を1回洗浄した。
・上記試験カラム内の上記捕捉された細胞を有する媒体に、尿酸を含まないFTA(登録商標)様溶液(Whatman社)を供した。なお、2つの試料には、2%SDSを含むFTA(登録商標)様溶液を供し、別の2つの試料には、4%SDSを含むFTA(登録商標)様溶液を供した。一方、コントロール群には、FTA(登録商標)様溶液(Whatman社)を供さなかった。
・カラムを乾燥させて、周囲条件(室温、室内湿度)で5カ月間保存した。
・GenFastの標準プロトコール(Whatman社)を用いて、上記媒体よりDNAを単離した。
・アガロースゲル電気泳動法(図6)およびPicoGreen蛍光色素を用いて、単離されたDNAの質および量を評価した。
(結果)
図6は、室温で、ガラス繊維GF/L-6TMをもつGenFast様スピンカラム上に、5カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、0.78%アガロースゲル電気泳動により調べ、コントロール(図中、コントロール)とFTA(登録商標)様溶液で処理したもの(図中、FTA処理)とで比較したものである(M=分子量スタンダード)。
4つのFTA(登録商標)処理レーンのうち、左側の2レーン(コントロールの隣)は、4%SDSを含むFTA(登録商標)様溶液で処理されたものである。一方、右側の2レーンは、2%のSDSを含むFTA(登録商標)様溶液で処理されたものである。FTA(登録商標)様溶液で処理されたレーンにおけるDNA量は、1バンドあたり約100ngである。
この結果は、FTA(登録商標)処理された媒体から単離されたDNAの質(図6)、および量は、すばらしいことを実証するものである。具体的には、全DNAの収量は、1カラムあたり平均で16μgであった。コントロール、すなわち、FTA(登録商標)処理されていない媒体から単離されたDNAは、その品質が大きく低下している徴候を示した(図6)。
〔実施例8:室温で、3.5カ月間保存した後のシリカゲルカラムシステムから抽出されたDNA試料の質〕
(研究デザイン)
・0.2−mlのシリカゲルQiaAmp Mini Kit(Qiagen)スピンカラムのフィルター媒体上に、0.2mlの凍結された全血液を供した。
・洗浄溶液(GenFast溶液1)を用いて、Hb、および、その他の不要な血液成分を洗い流した。
・実験カラム内の捕捉された細胞を有する媒体に、FTA(登録商標)溶液を供し、一方、コントロール群には、FTA(登録商標)溶液を供さなかった。
・カラムを乾燥させ、周囲条件(室温、室内湿度)で3.5カ月間保存した。
・GenFastの標準プロトコール(Whatman社)を用いて、上述のように、上記媒体からDNAを単離した。
・アガロースゲル電気泳動法(図7)およびPicoGreen蛍光色素を用いて、単離されたDNAの質および量を評価した。
(結果)
図7は、室温で、FTA(登録商標)処理されたQiaAmp媒体上に、3.5カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、0.8%アガロースゲル電気泳動により調べた結果を示している(M=分子量スタンダード)。
この結果は、FTA(登録商標)処理された媒体から単離されたDNAの質(図7)、および量は、すばらしいことを実証するものである。具体的には、2本鎖DNAが約70%を占めるDNAを(PicoGreen蛍光色素)、1カラムあたり平均で約3.4μg得ることができた。
〔実施例9:室温で3.5カ月間保存した後のPVDFカラムシステムから抽出されたDNA試料の質〕
(研究デザイン)
・GenFastカラムベースデザイン(Whatman社)の、1.2μmPVDF(ポリフッ化ビニリデン)親水性膜(Whatman)のフィルター媒体に、0.4mlの白血球細胞の懸濁液(WBC;1μlあたりの細胞数=10000)減圧濾過により供した。
・洗浄溶液(GenFast溶液1)を用いて、カラムを1回洗浄した。
・試験カラム内の上記捕捉した細胞を有する媒体に、尿酸を含むFTA(登録商標)溶液、または、改変した尿酸を含まないFTA(登録商標)溶液を供した。一方、コントロール群には、FTA(登録商標)溶液を供さなかった。
・カラムを乾燥させ、周囲条件(室温、室内湿度)で3.5カ月間保存した。
・GenFastの標準プロトコール(Whatman社)を用いて、上述のように、上記媒体からDNAを単離した。
・DNA試料を10倍に希釈し、アガロースゲル電気泳動法(図8)およびPicoGreen蛍光色素を用いて、単離されたDNAの質および量を評価した。
(結果)
図8は、室温で、上記PVDF媒体上に、3カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、0.78%アガロースゲル電気泳動により、調べたものである結果を示している(M=分子量スタンダード、レーン1〜2=コントロール、レーン3=空きレーン(ブランク)、レーン4〜5=FTA(登録商標)処理試料、レーン6〜9=改変したFTA(登録商標)処理試料)。この結果は、FTA(登録商標)処理、および、改変したFTA(登録商標)処理された媒体から単離したDNAの質(図8)、および量は、すばらしいことを実証するものである。具体的には、2本鎖DNAが約75%を占めるDNA(PicoGreen蛍光色素)を、1カラムあたり平均で15μg(期待される収量の約60%)得ることができた。コントロール、すなわち、FTA(登録商標)処理されていない媒体から単離されたDNAでは、その質が大きく低下している徴候を見られた(図8)。
本明細書を通して、著者、出願年、および特許番号を用いて、米国特許を含む様々なの刊行物を引用している。本発明が属する技術の現状をより完全に述べるために、これらの刊行物および特許の完全な内容を、参考として本明細書に織り込んでいる。
本発明は、実例例を通じて述べられている。また、用いられている専門用語は、限定することを目的するものというよりはむしろ、伝達手段としての言葉または説明を目的とするものであると理解されるべきものである。
上述の説明の観点から、本発明に多くの修正や変更を加えることが可能である。したがって、特に記載がない限りは、上記のような修正や変更が加えられたものは、本発明の範囲内にふくまれるものであると理解すべきものである。
〔参考文献〕
1.米国特許第5496562号(Burgoyne, Solid medium and method for DNA storage, 1996)
2.米国特許第5756126号(Burgoyne, Solid medium and method for DNA storage, 1998)
3.米国特許第5807527号(Burgoyne, Solid medium and method for DNA storage, 1998)
4.国際特許WO00/21973(2000)(Mitchell et al., Isolation Methods and Apparatus (PCT/GB99/0337(1999)))
5.米国特許第5658548号(Padhey et al., Nucleic Acid Purification on silica gel and glass mixtures, 1997)
図1Aは、凍結されたヒトの全血液より抽出され、室温・室内湿度で1日間保存した後、ガラス繊維媒体から回収されたDNAの質をアガロースゲル電気泳動により解析した結果を示す(M=分子量スタンダード)。 図1Bは、凍結されたヒトの全血液より抽出され、室温・室内湿度で5日間保存した後、ガラス繊維媒体から回収されたDNAの質をアガロースゲル電気泳動により解析した結果を示す(M=分子量スタンダード)。 図2は、凍結されたヒトの全血液より抽出され、室温・室内湿度で20日間保存した後、ガラス繊維媒体から回収されたDNAの質をアガロースゲル電気泳動により解析した結果を示す(M=分子量スタンダード)。 図3は、凍結されたヒトの血液より抽出され、室温・室内湿度で3.5カ月保存した後、ガラス繊維媒体から回収されたDNAの質をアガロースゲル電気泳動により解析した結果を示す(M=分子量スタンダード)。 図4は、室温・室内湿度で、ガラス繊維GF/L-6TMおよびDBSTM媒体(Whatman)上に、1カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、アガロースゲル電気泳動により解析し、コントロールDNAと、FTA処理されたDNAとで比較した結果を示す(M=分子量スタンダード)。 図5は、室温・室内湿度で、ガラス繊維GF/LTM GenFastカラム媒体(Whatman)上に、3.5カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、アガロースゲル電気泳動により解析し、コントロールDNA(下側)と、FTA(登録商標)処理されたDNA(上側)とで比較した結果を示す(M=分子量スタンダード)。 図6は、室温・室内湿度で、ガラス繊維GF/L-6TM媒体(Whatman)上に、5カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、アガロースゲル電気泳動により解析し、コントロールDNAと、FTA(登録商標)様溶液(FTA(登録商標)-treated)処理されたDNAとで比較した結果を示す(M=分子量スタンダード)。 図7は、室温・室内湿度で、シリカゲルQiaAmp Mini Kitカラム(Qiagen)上に、3.5カ月間保存した後、単離されたDNAの質のアガロースゲル電気泳動により解析した結果を示す。 図8は、室温・室内湿度で、カラムベースに設計された親水性ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜上に、3カ月間保存した後、単離されたDNAの質を、アガロースゲル電気泳動により解析し、コントロールDNAと、FTA(登録商標)処理されたDNAと、改変したFTA(登録商標)処理されたDNAとで比較した結果を示す(MW=分子量スタンダード、レーン1〜2:コントロール、レーン3:試料無し(ブランク)、レーン4〜5:FTA(登録商標)処理された試料、レーン4〜6:改変したFTA(登録商標)処理された試料)。

Claims (76)

  1. 核酸を単離および保存する方法であって、
    a.固相媒体を用意する工程と、
    b.核酸を含む細胞を含有する試料を、上記固相媒体に供する工程と、
    c.細胞保持物(cell retentate)として、上記細胞を上記固相媒体で保持し、不純物を除去する工程と、
    d.界面活性剤、または洗剤を含む溶液と、上記細胞保持物とを接触させる工程と、
    e.細胞溶解物が上記媒体上に保持されている間に、上記細胞保持物を溶解し、核酸を含む細胞溶解物を形成させる工程と、
    f.核酸を含む上記細胞溶解物を保持する上記固相媒体を乾燥させる工程と、
    g.上記の核酸を保持する乾燥した固相媒体を保存する工程と、を含む核酸を単離および保存する方法。
  2. 乾燥させる工程、すなわち工程fに先立ち、上記核酸が、上記固相媒体に保持されている間に、核酸を保持する上記固相媒体を、不純物を除去するために、洗浄する、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  3. 工程gにおける、上記の核酸を保持する乾燥した固相媒体を、実質的に5℃〜40℃の温度で維持する、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  4. h.上記固相媒体から、上記核酸を溶出する工程をさらに含む、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  5. 溶出する工程、すなわち、工程hに先立ち、上記核酸が、上記固相媒体に保持されている間に、不純物を除去するために、上記の核酸を保持する乾燥した固相媒体を、洗浄する、請求項4に記載の核酸を単離および保存する方法。
  6. 上記工程gにおける核酸の保存期間が、少なくとも1週間である、請求項4に記載の核酸を単離および保存する方法。
  7. 上記工程gにおける核酸の保存期間が、少なくとも1ヶ月間である、請求項4に記載の核酸を単離および保存する方法。
  8. 上記工程gにおける核酸の保存期間が、少なくとも3ヶ月間である、請求項4に記載の核酸を単離および保存する方法。
  9. 上記工程gにおける核酸の保存期間が、少なくとも5ヶ月間である、請求項4に記載の核酸を単離および保存する方法。
  10. 上記固相媒体が、多数の繊維を含むフィルターを含有する、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  11. 上記フィルターが、実質的に無秩序な構造を有する、請求項10に記載の核酸を単離および保存する方法。
  12. 上記繊維の直径が、1μm〜10μmの範囲内である、請求項10に記載の核酸を単離および保存する方法。
  13. 上記フィルターが、約0.2μm〜約2.7μmのポアサイズをもつ1つ以上の穴を有する、請求項10に記載の核酸を単離および保存する方法。
  14. 上記固相媒体が、
    a.ガラス、またはシリカベースの固相媒体、
    b.プラスチックベースの固相媒体、または
    c.セルロースベースの固相媒体
    を含む、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  15. 上記固相媒体が、ガラス、ガラス繊維、ガラスミクロ繊維、シリカ、シリカゲル、酸化シリカ、セルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリアミド、糖質ポリマー(carbohydrate polymer)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidinefluoride)、ウール、または多孔質セラミックから選択される1つである、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  16. 上記工程dの界面活性剤または洗剤が、陰イオン性の、界面活性剤または洗剤を含む、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  17. 上記陰イオン性の、界面活性剤または洗剤が、ドデシル硫酸ナトリウムを含む、請求項16に記載の核酸を単離および保存する方法。
  18. 上記ドデシル硫酸ナトリウムの濃度が、約0.5%(w/v)〜約5%(w/v)の間である、請求項17に記載の核酸を単離および保存する方法。
  19. 上記工程dの溶液が、さらに、
    ii.弱塩基と、
    iii.キレート剤と
    を含む、請求項16に記載の核酸を単離および保存する方法。
  20. 上記工程dの溶液が、さらに、
    iv.尿酸または尿酸塩
    を含む、請求項19に記載の核酸を単離および保存する方法。
  21. 上記細胞保持物が、核由来の濃縮された物質を含む、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  22. 上記細胞保持物が、無傷なホールセル(intact whole cell)を含み、かつ、
    工程eが、
    i.固相媒体によって保持された核から濃縮された物質を放出させるために、上記固相媒体によって保持された無傷なホールセルを破壊する工程と、
    ii.上記核酸を含む細胞溶解物を形成させるために、上記核由来の上記の濃縮された物質を溶解させる工程と、
    を含む、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  23. 上記核酸が、実質的に、非イオン的な相互作用によって、工程eの媒体により保持されるように、上記固相媒体の組成と、大きさとが、選択される、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  24. 上記非イオン性の相互作用が、双極分子−双極分子の相互作用(dipole-dipole interaction)、双極分子により誘導される双極分子の相互作用(dipole-induced dipole interaction)、分散力、または水素結合を含む、請求項23に記載の核酸を単離および保存する方法。
  25. 保持する工程、すなわち工程eが、さらに、上記固相媒体を通る核酸の動きを物理的に妨げる工程と定義づけられる、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  26. 上記固相媒体が、カオトロピック物質(chaotrope)が存在しないときに、上記細胞と、上記核酸とを保持できる、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  27. 工程bが、さらに、上記固相媒体内において、上記細胞を濃縮する工程を含む、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  28. 溶出する工程、すなわち工程hに先立ち、上記核酸を加熱して、65℃〜125℃の高温にする、請求項4に記載の核酸を単離および保存する方法。
  29. 溶出する工程、すなわち工程hに先立ち、上記核酸を加熱して、80℃〜95℃の高温にする、請求項4に記載の核酸を単離および保存する方法。
  30. 上記細胞が、白血球細胞、上皮細胞、頬細胞(buccal cell)、組織培養細胞、精液、膣細胞、尿路細胞、植物細胞、微生物細胞、および結腸直腸細胞からなる群より選択される、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  31. 上記細胞が、白血球細胞であって、さらに、
    全血液を上記固相媒体に供する工程と、
    全血液中の赤血球細胞を溶解する任意の工程と、
    不純物を取り除くために、上記固相媒体を洗浄する任意の工程と、
    上記白血球細胞から細胞溶解物を得る工程と、
    を含む、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  32. 上記試料が、血液細胞を含み、
    工程cで保持される細胞の大部分を、白血球細胞が占めるように、上記固相媒体の大きさが、選択される、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  33. 上記核酸が、DNAまたはRNAを含む、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  34. 上記核酸が、ゲノムDNAを含む、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  35. 核酸を単離および保存する方法であって、
    a.固相媒体を用意する工程と、
    b.核酸を含む細胞を含有する試料を、上記固相媒体に供する工程と、
    c.細胞保持物として、上記細胞を上記固相媒体で保持し、不純物を除去する工程と、
    d.上記細胞保持物を
    i.弱塩基と、
    ii.キレート剤と、
    iii.陰イオン性の、界面活性剤または洗剤と、
    を含む溶液と接触させる工程と、
    e.細胞溶解物が上記媒体上に保持されている間に、上記細胞保持物を溶解し、核酸を含む細胞溶解物を形成させる工程と、
    f.核酸を含む上記細胞溶解物を保持する上記固相媒体を乾燥させる工程と、
    g.上記の核酸を保持する乾燥した固相媒体を保存する工程と、
    h.上記固相媒体から、上記核酸を溶出する工程と、
    を含む、核酸を単離および保存する方法。
  36. 乾燥させる工程、すなわち工程fに先立ち、上記核酸が上記固相媒体に保持されている間に、不純物を除去するために、上記核酸を保持する固相媒体を洗浄する、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  37. 溶出する工程、すなわち、工程hに先立ち、上記核酸が、上記固相媒体に保持されている間に、不純物を除去するために、上記の核酸を保持する乾燥した固相媒体を、洗浄する、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  38. 工程gにおける、上記の核酸を保持する乾燥した固相媒体が、実質的に5℃〜40℃の温度で維持される、請求項1に記載の核酸を単離および保存する方法。
  39. 工程gにおける核酸の保存期間が、少なくとも1週間である、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  40. 工程gにおける核酸の保存期間が、少なくとも1ヶ月間である、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  41. 工程gにおける核酸の保存期間が、少なくとも3ヶ月間である、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  42. 工程gにおける核酸の保存期間が、少なくとも5ヶ月間である、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  43. 工程dの溶液が、さらに、
    d.尿酸または尿酸塩
    を含む、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  44. 上記固相媒体が、多数の繊維を含むフィルターを含有する、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  45. 上記フィルターが、実質的に無秩序な構造を有する、請求項44に記載の核酸を単離および保存する方法。
  46. 上記繊維の直径が、1μm〜10μmの範囲内である、請求項44に記載の核酸を単離および保存する方法。
  47. 上記フィルターが、約0.2μm〜約2.7μmのポアサイズをもつ1つ以上の穴を有する、請求項44に記載の核酸を単離および保存する方法。
  48. 上記固相媒体が、
    a.ガラス、またはシリカベースの固相媒体、
    b.プラスチックベースの固相媒体、または
    c.セルロースベースの固相媒体
    を含む、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  49. 上記固相媒体が、ガラス、ガラス繊維、ガラスミクロ繊維、シリカ、シリカゲル、酸化シリカ、セルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリアミド、糖質ポリマー、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidinefluoride)、ウール、または多孔質セラミックから選択される1つである、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  50. 上記陰イオン性の、界面活性剤または洗剤が、ドデシル硫酸ナトリウムを含む、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  51. 上記ドデシル硫酸ナトリウムの濃度が、約0.5%(w/v)〜約5%(w/v)の間である、請求項50に記載の核酸を単離および保存する方法。
  52. 上記細胞保持物が、核由来の濃縮された物質を含む、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  53. 上記細胞保持物が、無傷なホールセル(intact whole cell)を含み、かつ、
    工程eが、
    i.固相媒体によって保持された核から濃縮された物質を放出させるために、上記固相媒体によって保持された無傷なホールセルを破壊する工程と、
    ii.上記核酸を含む細胞溶解物を形成させるために、上記核由来の上記の濃縮された物質を溶解させる工程と、
    を含む、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  54. 上記核酸が、実質的に、非イオン的な相互作用によって、工程eの媒体により保持されるにように、上記固相媒体の組成と、大きさとが、選択される、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  55. 上記非イオン性の相互作用が、双極分子−双極分子の相互作用(dipole-dipole interaction)、双極分子により誘導される双極分子の相互作用、分散力、または水素結合を含む、請求項54に記載の核酸を単離および保存する方法。
  56. 保持する工程、すなわち工程eが、さらに、上記固相媒体を通る拡散の動きを物理的に妨げる工程と定義づけられる、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  57. 工程bが、さらに、上記固相媒体上で、上記細胞を濃縮する工程を含む、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  58. 上記固相媒体が、カオトロピック物質(chaotrope)が存在しないときに、上記細胞と、上記核酸とを保持できる、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  59. 溶出する工程、すなわち工程hに先立ち、上記核酸を加熱して、65℃〜125℃の高温にする、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  60. 溶出する工程、すなわち工程hに先立ち、上記核酸を加熱して、80℃〜95℃の高温にする、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  61. 上記細胞が、白血球細胞、上皮細胞、頬細胞(buccal cell)、組織培養細胞、精液、膣細胞、尿路細胞、植物細胞、微生物細胞、および結腸直腸細胞からなる群より選択される、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  62. 上記細胞が、白血球細胞であって、さらに、
    全血液を上記固相媒体に供する工程と、
    赤血球細胞を溶解する任意の工程と、
    不純物を取り除くために、上記固相媒体を洗浄する任意の工程と、
    上記白血球細胞から細胞溶解物を得る工程と、
    を含む、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  63. 上記試料が、血液細胞を含み、
    工程bで保持される細胞の大部分を、白血球細胞が占めるように、上記固相媒体の大きさが、選択される、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  64. 上記核酸が、DNAまたはRNAを含む、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  65. 上記核酸が、ゲノムDNAを含む、請求項35に記載の核酸を単離および保存する方法。
  66. DNAを単離および保存する方法であって、
    a.固相媒体を用意する工程を含み、
    上記固相媒体が多数の繊維を含むフィルターを含有し、
    上記繊維が、
    i.ガラスまたはシリカベースの繊維、
    ii.プラスチックベースの繊維、または
    iii.ニトロセルロースまたはセルロースベースの繊維
    を含み、かつ、
    b.DNAを含む細胞を含有する試料を、上記固相媒体に供する工程と、
    c.細胞保持物として、上記細胞を上記固相媒体で保持し、不純物を除去する工程と、
    d.上記細胞保持物を
    i.弱塩基と、
    ii.キレート剤と、
    iii.陰イオン性の、界面活性剤または洗剤と、
    を含む溶液と接触させる工程と、
    e.細胞溶解物が上記媒体上に保持されている間に、上記細胞保持物を溶解し、DNAを含む細胞溶解物を形成させる工程と、
    f.DNAを含む上記細胞溶解物を保持する固相媒体を乾燥させる工程と、
    g.上記のDNAを保持する乾燥した固相媒体を、5℃〜40℃の温度で、保存する工程と、
    h.上記固相媒体と共に、上記DNAを加熱し、65℃〜125℃の高温にする工程と、
    i.上記固相媒体から、上記DNAを溶出する工程と、
    を含む、DNAを単離および保存する方法。
  67. 工程gにおけるDNAの保存期間が、少なくとも1週間である、請求項66に記載のDNAを単離および保存する方法。
  68. 工程gにおけるDNAの保存期間が、少なくとも1ヶ月間である、請求項66に記載のDNAを単離および保存する方法。
  69. 工程gにおけるDNAの保存期間が、少なくとも3ヶ月間である、請求項66に記載のDNAを単離および保存する方法。
  70. 工程gにおけるDNAの保存期間が、少なくとも5ヶ月間である、請求項66に記載のDNAを単離および保存する方法。
  71. 上記繊維の直径が、1μm〜10μmの範囲内である、請求項66に記載のDNAを単離および保存する方法。
  72. 上記フィルターが、約0.2μm〜約2.7μmのポアサイズをもつ1つ以上の穴を有する、請求項66に記載のDNAを単離および保存する方法。
  73. 工程dの溶液が、さらに、
    iv.尿酸または尿酸塩
    を含む、請求項66に記載のDNAを単離および保存する方法。
  74. 上記細胞保持物が、無傷なホールセル(intact whole cell)を含み、かつ、
    工程eが、
    i.固相媒体によって保持された核から濃縮された物質を放出させるために、上記固相媒体によって保持された無傷なホールセルを破壊する工程と、
    ii.上記DNAを含む細胞溶解物を形成させるために、上記核由来の濃縮された物質を溶解させる工程と、
    を含む、請求項66に記載のDNAを単離および保存する方法。
  75. 上記DNAが、実質的に、非イオン的な相互作用によって、工程eの媒体により保持されるにように、上記固相媒体の組成と、大きさとが、選択される、請求項66に記載のDNAを単離および保存する方法。
  76. 上記陰イオン性の、界面活性剤または洗剤が、約0.5%(w/v)〜約5%(w/v)の間の濃度のドデシル硫酸ナトリウムを含む、請求項66に記載のDNAを単離および保存する方法。
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