JP6733951B2 - 核酸保存用組成物及び核酸保存方法 - Google Patents

核酸保存用組成物及び核酸保存方法 Download PDF

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本発明は、生体から採取した試料中の核酸を解析に供するまで長期間安定に保存することのできる核酸保存用組成物及び核酸保存方法に関する。
生体試料に含まれるDNAやRNA等の核酸の解析は、学術研究の分野のみならず、医療分野においても広く行われている。例えばDNA解析によって癌やアレルギー性疾患などに関連する遺伝子の変異を調べることが可能であり、その遺伝子情報に基づいて確実な診断と治療方針の決定が行われている。また、RNA解析によってインフルエンザ、AIDS、SARS、肝炎などのウイルス性疾患の早期診断が可能である。また、近年、遺伝子検査によって、三大疾病(癌・心筋梗塞・脳卒中)や生活習慣病(糖尿病、高血圧症、脂質異常症等)などの罹患リスクや、体質(肥満、肌質、毛髪等)の遺伝的傾向を調べて、個人の状態に適した食事療法や運動療法、化粧品を提案するというアプローチがあり、生体試料中の核酸の解析は、健康・美容のサポート面でも活用されており、より身近なものとなっている。
しかしながら、生体試料中の核酸は様々な要因により分解を受けやすく、安定性に欠ける。例えば、RNAの糖−リン酸塩骨格は、アルカリ性溶液による加水分解を特に受けやすく、RNA分解酵素(RNase)により容易に分解される。RNaseは、検体(唾液、血液、尿等)、検査器具、試薬、水、さらには実験者や検査従事者自身の唾液や汗からも混入する恐れがある。また、DNAもDNA分解酵素(DNase)による酵素的な分解を受けることから、その安定性は高いとは言えない。
上記事情により、生体試料中の核酸を解析する場合、いったん生体より試料が採取されると直ちに凍結処理が行われ、迅速に検査・分析機関等に輸送されて、核酸の抽出・精製を行うことが求められる。しかしながら、速やかな凍結が困難な場合や、凍結処理が不十分であった場合、輸送に時間を要する場合など、核酸が経時的に分解される恐れがある。そのため、核酸の採取や輸送の段階において凍結処理や低温管理の必要がなく、解析まで安定に保存できる手段が望まれる。
これまでに、生体試料中の核酸を保存するための試薬及び方法として様々なものが開発されている。例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の二価金属キレータと塩化リチウム等のキレータ増強成分を含む核酸保存液(特許文献1)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ドデシル硫酸リチウム等のアニオン系界面活性剤とpH5.5〜7.5の緩衝液を含有する組成物(特許文献2)が提案されている。しかしながら、従来提案されている核酸保存液は、いずれも核酸の保存安定効果について十分に満足できるものではなかった。また、従来の核酸保存液は、多数の成分を組み合わせていたり、配合した成分を核酸の解析前に核酸から溶解・除去する工程が必要であったり、試薬コスト面においても、核酸の抽出・精製の簡便さ等においても問題があった。また、RNA分解酵素阻害剤を用いる方法もあるが、RNA分解酵素阻害剤は多くの場合、強力なタンパク質変性剤であるため、これを含むRNA溶液をRT−PCRに供した場合、酵素反応である逆転写反応及び増幅反応を阻害する恐れがあるという欠点がある。また、RNAの中でも、より安定性の低い低分子RNA(miRNA)の保存安定効果については不明であった。
特表2001−526051号公報 特開2014−57590号公報
本発明は、上述した実情に鑑み、簡単な組成でありながら核酸に対して高い保存安定効果があり、かつ解析前の核酸の抽出・精製が容易な核酸保存用組成物及び核酸保存方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、アニオン系界面活性剤の中でもアルファオレフィンスルホン酸塩を用いることで、優れた核酸の保存安定性と抽出の簡便性を備えた核酸保存用組成物が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)アルファオレフィンスルホン酸塩を含む、生体から採取した試料中の核酸を保存するための核酸保存用組成物。
(2)前記アルファオレフィンスルホン酸塩が、下記一般式(I)で表されるアルケンスルホン酸塩と、下記一般式(II)で表されるヒドロキシアルカンスルホン酸塩の混合物である、(1)に記載の核酸保存用組成物。
[化1]
R−CH=CH−(CH−SОM (I)
R−CHCH(OH)−(CH−SОM (II)
(式中、Rは、炭素数8〜20のアルキル基を示し、nは0〜4の整数を示し、Mは、ナトリウム又はカリウムを示す。)
(3)前記アルファオレフィンスルホン酸塩が、アルファオレフィン(C14−16)スルホン酸塩である、(1)または(2)に記載の核酸保存用組成物。
(4)前記核酸保存用組成物のpHを6〜8に調整するための緩衝剤をさらに含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の核酸保存用組成物。
(5)前記緩衝剤が、クエン酸緩衝剤である、(4)に記載の核酸保存用組成物。
(6)前記核酸がRNA及び/又はDNAである、(1)〜(5)のいずれかに記載の核酸保存用組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の核酸保存用組成物を含む、核酸保存用キット。
(8)(1)〜(6)のいずれかに記載の核酸保存用組成物に、生体から採取した試料を混合する工程と、前記工程で得られた混合物を保存する工程を含む、核酸保存方法。
本発明によれば、生体から採取した試料中の核酸を解析に供するまで安定に保存することのできる核酸保存用組成物が提供される。本発明の核酸保存用組成物は、核酸を含む生体試料を凍結処理や低温管理をすることなく長期にわたり安定に保存できるので、生体から試料を採取後、直ちにその試料から核酸を抽出・精製して解析に供する必要はなく、液体窒素又はドライアイス等の凍結のための特別な貯蔵・輸送手段を要しない。また、本発明の核酸保存用組成物と生体から採取した試料の混合物から核酸を抽出してPCR等で解析する際に、当該核酸保存用組成物に配合した添加物を凝集や遠心分離などの処理によって除去する工程を必要とせず、核酸解析試料の調製を迅速かつ簡便に行うことができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の核酸保存用組成物は、生体から採取した試料中の核酸を保存するための液状の組成物であって、アルファオレフィンスルホン酸塩を含む。
アルファオレフィンスルホン酸塩は、従来より洗剤や洗髪料に使用されているアニオン系界面活性剤であり、本発明において使用するアルファオレフィンスルホン酸塩(AOS)は、下記一般式(I)で表されるアルケンスルホン酸塩と、下記一般式(II)で表されるヒドロキシアルカンスルホン酸塩の混合物が好ましい。
[化2]
R−CH=CH−(CH−SОM (I)
R−CHCH(OH)−(CH−SОM (II)
(式中、Rは、炭素数8〜20のアルキル基を示し、nは0〜4の整数を示し、Mは、ナトリウム又はカリウムを示す。)
Rで表される炭素数8〜20のアルキル基は、具体的には、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基が挙げられ、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
上記アルファオレフィンスルホン酸塩のなかでも、炭素数が12〜19のアルファオレフィンスルホン酸塩が好ましく、炭素数が14〜16のアルファオレフィンスルホン酸塩がより好ましい。また、炭素数が14〜16のアルファオレフィンスルホン酸塩は、それらの混合物の形態であるアルファオレフィン(C14−16)スルホン酸塩が好ましい。また、塩の種類としては、ナトリウム塩であってもカリウム塩であってもよいが、ナトリウム塩が好ましい。
本発明の核酸保存用組成物中のアルファオレフィンスルホン酸塩の濃度は、0.1〜30%が好ましく、1〜10%がより好ましい。
本発明の核酸保存用組成物は、該核酸保存用組成物のpHを6〜8に調整するための緩衝剤をさらに含むことが好ましい。緩衝剤としては、核酸保存用組成物のpHを6〜8に、好ましくは6〜7に保たれるようにその範囲で緩衝化能を有するものであれば特に限定はされず、有機酸系緩衝剤であっても無機酸系緩衝剤であってもよい。「緩衝化」とは、緩衝剤の作用によりpHが一定の範囲内に保たれている状態を示す。本発明に使用する緩衝剤としては、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤が挙げられるが、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤が好ましく、クエン酸緩衝剤がより好ましい。本発明において用いられるクエン酸緩衝剤は、クエン酸及び/又はその塩を含有する。クエン酸の塩としては、特に限定されず、例えば、クエン酸ナトリウム(クエン酸三ナトリウム)、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等が挙げられるが、クエン酸ナトリウムが好ましい。本発明の核酸保存用組成物中の当該緩衝剤の濃度は、1〜100mMが好ましく、30〜60mMがより好ましい。
生体から採取する試料(以下、「生体試料」と記載する場合もある)は、例えば、唾液、血液、尿、喀痰、咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、口腔(内頬)粘膜ぬぐい液、涙腺分泌液、膣液、精液、子宮頸分泌液、及び汗などの体液のほか、毛髪、皮膚付着後に剥がしたテープストリップ等が挙げられるが、検査の簡便性と低侵襲性の点から、唾液が好ましい。
生体試料は、生物から採取されたものであれば特に限定されるものではないが、哺乳動物由来であることが好ましく、ヒト由来であることがより好ましい。その他、培養細胞等の培養物であってもよい。
本発明において、核酸とは、RNA若しくはDNA、又はそれらの誘導体(メチル化体、二量体化等)をいう。RNAには、トータルRNA、メッセンジャーRNA(mRNA)、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、マイクロRNA(miRNA)、核内低分子RNA(snRNA)等が含まれ、DNAには、ゲノムDNA、cDNA、ミトコンドリアDNA等が含まれる。
本発明の核酸保存用組成物には、上記成分のほか、着色剤を添加してもよい。着色した核酸保存用組成物を用いれば、該組成物と生体試料とを混合した際に、核酸保存用組成物と生体試料との混合比を比色定量法などにより判断することができる。着色剤としては、食品添加物として使用される着色剤であることが好ましく、青色や緑色に着色できる着色剤が好ましく、例えば、ファストグリーンFCF(緑色3号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)等が挙げられるが、タンパク質と反応して色が変色しないブリリアントブルーFCFが特に好ましい。
本発明の核酸保存用組成物は、これを含む核酸保存用キットとして提供できる。本発明の核酸保存用キットは、上記の核酸保存用組成物を充填した容器のほか、生体試料採取具(例えば、唾液吸収用スポンジ、ストロー、綿棒、ランセット等)、所定量の生体試料を採取するためのシリンダー、容器を密閉するためのキャップ、キットの使用説明書や同意書を含めることができる。本発明の核酸保存用キットの使用の態様は、限定はされないが、例えば、キットに梱包される採取具を用いて核酸を含む生体試料を採取した後、同キットに梱包される核酸保存用組成物と混合し、この混合物(混液)を核酸の検査・分析機関に常温で輸送するという態様が挙げられる。
本発明の核酸保存方法は、上記の核酸保存用組成物に、生体から採取した試料を混合する工程と、前記工程で得られた混合物を保存する工程を含む。本発明の核酸保存用組成物に、核酸を含む生体試料を混合することで、該生体試料中の核酸を長期間安定して保存することができる。混合は、生体試料の採取者が、その生体試料を予め核酸保存用組成物を入れた容器に速やかに添加するだけでよく、特に撹拌をする必要はないが、生体試料を核酸保存用組成物に均一に懸濁・分散させる上で、軽く撹拌することが好ましい。例えば、生体試料を核酸保存用組成物を入れた容器に添加し、該容器を密閉した後、上下に数回転倒混和する方法が挙げられる。核酸保存用組成物と生体試料の混合比は、生体試料の種類によって適宜変更することができ、限定はされないが、例えば、唾液の場合、10:1〜1:10が好ましく、5:1〜1:5がより好ましく、2:1〜1:2がさらに好ましく、1:1が最も好ましい。
核酸を含む生体試料を混合した核酸保存用組成物は、冷蔵又は冷凍の必要はなく、常温で長期間保存できる。日本工業規格では、常温を20±15℃(5〜35℃)と規定しており(JIS Z 8703)、日本薬局法では、15〜20℃と定められているが、本発明において「常温」とは、冷蔵は要しないということと、季節による気温の変動は許容できるという点から、下限は10℃以上、好ましくは15℃以上、より好ましくは20℃以上、上限は、40℃以下、好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下をいう。また、長期間とは、採取場所から核酸の解析(抽出・精製を含む)場所への輸送期間を含み、少なくとも5日間以上、好ましくは少なくとも7日間以上、より好ましくは14日間以上、最も好ましくは30日以上をいう。
従来の核酸保存用組成物は、核酸を含む生体試料を混合した後、核酸の解析に供する際に、核酸保存用組成物に配合した添加物(例えば、核酸分解酵素のインヒビターとなる二価イオンのキレート剤、SDS等の界面活性剤)を除去するための工程が必要であり、多大な労力と手間を必要とした。これに対し、本発明の核酸保存用組成物は、そのような除去工程を経ることなく、PCR等の核酸解析に供することが可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(試験例1)核酸保存安定性の評価試験(1)
下記の各種界面活性剤についてRNAの保存安定効果を検討した。核酸保存液の緩衝剤としてクエン酸緩衝液を使用した。
<アニオン系界面活性剤>
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS) (SIGMA社製)
オレフィン(C14−16)スルホン酸Na(ライオン社製)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na(東邦化学工業社製)
N−アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン(味の素社製)
N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンK(味の素社製)
ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム(川研ファインケミカル社製)
<両性界面活性剤>
ラウリン酸アミドプロピルベタインナトリウム(松本油脂製薬社製)
上記の各種界面活性剤を4%含み、かつ濃度が50mMのクエン酸(和光純薬社製)溶液と、濃度が50mMであるクエン酸3Na・2HO(和光純薬社製)溶液を調製した。その後、上記の両溶液を、pHが6.6となるように混合した。そこにブリリアントブルーFCF(発巳化成社製)を最終濃度が50μg/mLとなるように溶かし着色した。その溶液を0.2μm口径のフィルター(ザルトリウス社製)を用いてフィルター滅菌を行い、遮光保存し、これを核酸保存液(試験液)として用いた。
作製した各核酸保存液(500μL)と被験者から採取した唾液(500μL)を混和し、常温で7日間静置した。保存後の唾液−核酸保存液混合試料を50℃で1時間加熱処理後、さらに90℃で15分の加熱処理を行った。混合試料を冷却後、2600×gで遠心分離処理を5分間行い、タンパク質などの凝集物を沈殿させた。その上清400μlを新しいエッペンドルフチューブにて回収し、等量の100%エタノール(SIGMA社製)を加え、転倒混和を行った。転倒混和後の混合試料について、RNA Clean & ConcentratorTM-5 - Zymo Research(Zymo Research社製)を用いて精製を行い、溶出したRNAの濃度と純度について定量解析を行った。RNAの純度は、230nm、260nm、280nmの吸光度を測定し、吸光度比260/280(核酸とタンパク質等との濃度比)、吸光度比260/230(核酸と塩類との濃度比)を求めることによって解析した。結果を表1に示す。
Figure 0006733951
表1に示すように、オレフィン(C14−16)スルホン酸Naを含有する核酸保存液と唾液試料の混合試料は、7日間の保存後も、採取直後の唾液試料のRNA濃度(約130ng/μl)を保持していた。また、吸光度比260/280及び260/230の値は、いずれも塩類やタンパク質の混入がなく、RNAの純度が高いと判断できる1.8〜2.2であった。
以上の結果より、オレフィン(C14−16)スルホン酸Naを含有する核酸保存液は、唾液中のRNAに対して優れた保存安定効果があることが認められた。また、オレフィン(C14−16)スルホン酸Naを含有する核酸保存液は、唾液中のDNAに対しても同様な保存安定効果を有することが確認できた。
(試験例2)核酸保存安定性の評価試験(2)
ヒトメッセンジャーRNA(mRNA)及びヒトマイクロRNA(miRNA)が唾液試料から安定的に回収されたことを実証するため、試験例1と同様にして、オレフィン(C14−16)スルホン酸Naを含有する核酸保存液と被験者から採取した唾液を混和し、保存した試料から抽出精製したRNAを鋳型として使用し、以下のようにしてRT−PCR分析を行った。
2−STEPリアルタイムPCRキット(Applied Biosystems社製)を用いて、精製mRNAをcDNAに逆転写した後、ABI7300(Applied Biosystems社製)により、下記のプライマーセットを用いてリアルタイムPCR(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を実施し、ハウスキーピング遺伝子であるGAPDH、及び、唾液に含まれている酵素(アミラーゼ)の遺伝子の一つであるAMY1Cの遺伝子発現を確認した。また、生体の様々な組織で発現が確認されているmiRNAであるmiR−16−5P、miR−21−5Pについても、その発現を確認した。miRNAの逆転写反応及びリアルタイムPCRは、miScript PCR Starter Kit(QIAGEN社製)を用い、製造者のプロトコルに従って行った。なお、miRNAのリアルタイムPCRにおいて、フォワードプライマーには下記のプライマー、リバースプライマーにはキット添付のユニバーサルプライマーを用いた。
GAPDH用のプライマーセット:
TGCACCACCAACTGCTTAGC(配列番号1)
TCTTCTGGGTGGCAGTGATG(配列番号2)
AMY1C用のプライマーセット:
ACTGGGGAGAAGGTTGGGGTTT(配列番号3)
CGCCATGTCCTCGTTGATTGTCA(配列番号4)
miR−16−5P用のプライマー:
TAGCAGCACGTAAATATTGGCG(配列番号5)
miR−21−5P用のプライマー:
TAGCTTATCAGACTGATGTTGA(配列番号6)
リアルタイムPCRでは、キット推奨の「Auto」に設定して、Ct(Threshold Cycle)値を確認した。Ct値は、蛍光強度が指数関数的に増加している範囲に設定される閾値に達するのに必要なPCRサイクル数をいい、RNAが安定に保存(分解が抑制)されていれば、経時的変化がなく、反対に、RNAの分解とともに経時的に増加する。その結果を表2に示す。
Figure 0006733951
表2に示すように、陰性対照である界面活性剤なしの保存液では、いずれの遺伝子に関してもCt値が40以上であったのに対し、オレフィン(C14−16)スルホン酸Naを配合した核酸保存液では、Ct値が30以下で陰性対照より低値となり、核酸保存液と唾液試料の混合試料中のRNAが適切に保存されていることが示された。
以上の結果から、本発明の核酸保存液は、唾液中のmRNAのみならず、より分解性の高いRNA種であるmiRNAをも安定に保存でき、かつ、保存後の核酸保存液と唾液試料の混合試料からの核酸抽出物がRT−PCR分析に適することが示された。
本発明の核酸保存用組成物は、生体試料中の核酸を長期間安定に保存することができるので、疾病の診断の発症リスクの予測などの遺伝子検査分野において利用できる。

Claims (6)

  1. アルファオレフィン(C14−16)スルホン酸塩を含む、生体から採取した試料中の核酸を保存するための核酸保存用組成物。
  2. 前記核酸保存用組成物のpHを6〜8に調整するための緩衝剤をさらに含む、請求項に記載の核酸保存用組成物。
  3. 前記緩衝剤が、クエン酸緩衝剤である、請求項に記載の核酸保存用組成物。
  4. 前記核酸がRNA及び/又はDNAである、請求項1〜のいずれか1項に記載の核酸保存用組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の核酸保存用組成物を含む、核酸保存用キット。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の核酸保存用組成物に、生体から採取した試料を混合する工程と、前記工程で得られた混合物を保存する工程を含む、核酸保存方法。
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