JP2010286035A - 防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発生する異音の大きさを低減すること。
【解決手段】振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材11、および他方に連結される第2取付け部材12を備え、第1取付け部材内に、封入液Lが封入されかつ振動の入力に伴って液圧が変動する受圧液室14が形成され、受圧液室の液圧変動に伴って振動を吸収および減衰する装置であって、封入液は、互いに不溶な第1液体および第2液体を含有し、この第2液体は、第1液体よりも該封入液中に含まれる重量が少なく、かつ第1液体の主たる成分よりも同一温度において蒸気圧が高く、第2液体は、互いに相溶する第3液体および第3液体よりも同一温度において比重が低い第4液体を含有し、第1液体の比重は、同一温度における第3液体の比重よりも低くかつ同一温度における第4液体の比重よりも高い防振装置10を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、振動発生部の振動を吸収および減衰する防振装置に関するものである。
この種の防振装置として、従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材を備え、第1取付け部材内に、封入液が封入されかつ振動の入力に伴って液圧が変動する受圧液室が形成された構成が知られている。また、この防振装置には、第1、第2取付け部材を弾性的に連結する弾性体と、第1取付け部材の内部を、弾性体を壁面の一部とする一方側の前記受圧液室と他方側の副液室とに区画する仕切り部材と、が備えられ、仕切り部材に、受圧液室と副液室とを連通するとともに封入液が流通することで液柱共振を生じさせる制限通路が形成されている。
特開2005−351350号公報
しかしながら、前記従来の防振装置では、路面の凹凸等により大きな振動(荷重)が入力されて受圧液室の液圧が急激に上昇した後、例えば弾性体のリバウンド等によって逆方向に振動が入力されたときに、受圧液室が負圧になり、受圧液室内の封入液中に気泡が生成されるキャビテーションが発生することがあった。この場合、その後に受圧液室内の液圧が上昇するのに伴って気泡が凝縮して崩壊(キャビテーション崩壊)し液中から消滅するときに衝撃波が発生し、この衝撃波が例えば第1取付け部材等の金属材料に伝播することで大きな異音が生じてしまう恐れがあった。
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、発生する異音の大きさを低減することができる防振装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材を備え、前記第1取付け部材内に、封入液が封入されかつ振動の入力に伴って液圧が変動する受圧液室が形成され、前記受圧液室の液圧変動に伴って振動を吸収および減衰する防振装置であって、前記封入液は、互いに不溶な第1液体および第2液体を含有し、この第2液体は、第1液体よりも該封入液中に含まれる重量が少なく、かつ第1液体の主たる成分よりも同一温度において蒸気圧が高く、前記第2液体は、互いに相溶する第3液体および第3液体よりも同一温度において比重が低い第4液体を含有し、前記第1液体の比重は、同一温度における前記第3液体の比重よりも低くかつ同一温度における前記第4液体の比重よりも高いことを特徴とする。
この発明では、受圧液室に封入された封入液が、互いに不溶な第1液体および第2液体を含有し、かつ第2液体が、第1液体よりも該封入液中に含まれる重量が少ないので、大きな振動(荷重)が入力されると、受圧液室の液圧変動に伴って、粒状になった無数の第2液体が第1液体中で互いに独立した状態で分散される。
そして、受圧液室の液圧が低下する過程において、第1液体の主たる成分よりも蒸気圧が高い第2液体で優先的にキャビテーションが発生する。これにより、受圧液室の液圧低下が抑えられて第1液体にキャビテーションが発生するのが抑制され、たとえこの第1液体にキャビテーションが発生したとしても、気泡の成長が抑えられることとなる。したがって、第1液体中のキャビテーション崩壊に起因して発生する衝撃波を小さく抑えることができる。
一方、第2液体は、第1液体中で前述のように分散しているので、この第2液体中で発生する気泡が大きく成長するのが抑えられることとなる。したがって、凝縮時における気泡の収縮速度が高くなるのが抑制されることとなり、第2液体中のキャビテーション崩壊に起因して発生する衝撃波を小さく抑えることができる。
以上より、受圧液室内の封入液全体で発生する衝撃波を小さく抑えることが可能になり、発生する異音の大きさを低減することができる。
さらに、第1液体中で分散されている個々の第2液体からの無数の衝撃波同士が、互いに干渉し合いそのエネルギーを打ち消しあうこととなり、前述のように第2液体中で発生する衝撃波が小さく抑えられることと相俟って、この第2液体からの衝撃波が防振装置の外側に伝播するのを防ぐことが可能になり、発生する異音の大きさを一層低減することができる。
なお、その後さらに振動(荷重)が繰り返し入力されると、第2液体が第1液体中でより一層細かくかつ全域にわたって均等に分散されることとなり、前述の作用効果が効果的に奏功される。
また、第1液体の主たる成分よりも蒸気圧が高くキャビテーションが発生し易い第2液体の封入液中に含まれる重量が、第1液体よりも少なくなっていることから、前述の作用効果を確保した上で、想定される通常の大きさの振動が入力されたときにもキャビテーションが発生し易くなるのを防ぐことが可能になり、受圧液室の液圧変動に伴って発揮される防振装置の減衰性能を確実に確保することができる。
しかも、第2液体が、互いに相溶する第3液体および第4液体を含有し、さらに、第1液体の比重が、第3液体の比重よりも低くかつ第4液体の比重よりも高いので、第2液体における第3液体および第4液体それぞれの含有量を予め調整しておくことで、第2液体の比重を第1液体の比重に近づけることができる。
よって、第1液体中に分散された第2液体が、これらの両液体の比重差に起因して第1液体中を沈降もしくは浮上することで集合し易くなるのを抑制することが可能となり、粒状になった無数の第2液体が第1液体中で互いに独立した状態で分散された態様を、長期間にわたって維持することができる。
従って、例えばこの防振装置が取り付けられた装置の運転を長期間停止した後に再開する場合など、最後に受圧液室の液圧が変動してから長期間経過した後にこの防振装置に大きな振動が入力されて受圧液室の液圧が大きく低下する場合であっても、粒状になった無数の第2液体を第1液体中で互いに独立した状態で分散させておくことが可能となり、発生する異音の大きさを確実に低減することができる。
また、第2液体における第3液体および第4液体それぞれの含有量を調整することで、第2液体の比重を第1液体の比重に近づける程度を調整することが可能となり、受圧液室の液圧変動に伴う第1液体中における第2液体の分散状態を調整することができる。よって、防振装置の構成に応じて前記含有量を調整することで、前述の第2液体の分散状態を、その防振装置においてキャビテーションの発生を効果的に抑制可能な分散状態に調整することが可能となる。従って、キャビテーションの発生を抑制して発生する異音の大きさをより確実に低減することができる。
また、前記第2液体は、前記第1液体よりも表面張力が小さくても良い。
この場合、第2液体が、第1液体よりも表面張力が小さいので、第2液体を第1液体中で確実に細かい粒状にして互いに独立させて分散させることが可能になり、前述の作用効果がより効果的に奏功されることとなる。
また、前記第1液体は、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1つを含有し、前記第3液体は、フッ素オイルを含有し、前記第4液体は、シリコーンオイルを含有していても良い。
さらに、前記第2液体の比重は、同一温度における前記第1液体の比重の0.9倍以上1.2倍以下となっていても良い。
これらの場合、防振装置の減衰性能を低下させることなく前述の作用効果が確実に奏されることになる。
なお、第2液体の比重が、同一温度における第1液体の比重の0.9倍よりも小さいと、第1液体と第2液体とが分離しやすくなり、粒状になった無数の第2液体が第1液体中で互いに独立した状態で分散された態様を、長期間にわたって維持しにくくなる。一方、第2液体の比重が、同一温度における第1液体の比重の1.2倍よりも大きいと、防振装置の減衰性能が低下する恐れがある。
本発明に係る防振装置によれば、発生する異音の大きさを低減することができる。
本発明の一実施形態に係る防振装置の縦断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る防振装置を、図1を参照して説明する。
防振装置10は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材11、および他方に連結される第2取付け部材12と、これらの第1取付け部材11および第2取付け部材12を弾性的に連結する弾性体13と、第1取付け部材11の内部を後述する主液室(受圧液室)14と副液室15とに区画する仕切り部材16と、を備えている。
なお、これらの各部材はそれぞれ、上面視円形状もしくは円環状に形成されるとともに、共通軸と同軸に配置されている。以下、この共通軸を中心軸線Oといい、この中心軸線Oに直交する方向を径方向という。
そして、この防振装置10が例えば自動車に装着された場合、第2取付け部材12が振動発生部としてのエンジンに連結される一方、第1取付け部材11が図示しないブラケット等を介して振動受部としての車体に連結されることにより、エンジンの振動が車体に伝達するのを抑えられるようになっている。
第2取付け部材12は、柱状に形成されるとともに、第1取付け部材11における前記中心軸線O方向の一端開口部に配置されている。また、弾性体13は、第1取付け部材11の一端開口部と第2取付け部材12の外周面とに接着されて、第1取付け部材11を前記中心軸線O方向の一端側から閉塞している。なお、第2取付け部材12の一端面には雌ねじ部が形成されている。また、第2取付け部材12の軸方向一端部は、第1取付け部材11における前記中心軸線O方向の一端開口面よりも前記中心軸線O方向の外方に突出している。
さらに、第1取付け部材11における前記中心軸線O方向の他端開口部には、ダイヤフラム19が配設されている。このダイヤフラム19は、上面視円形状に形成されるとともに、前記中心軸線O方向の他端側に向けて開口した逆椀状体となっている。また、このダイヤフラム19の外周縁部には、その全周にわたってリング板19aの内周面が加硫接着されている。そして、このリング板19aが、第1取付け部材11の前記他端開口部内に嵌合されることにより、ダイヤフラム19は第1取付け部材11を前記中心軸線O方向の他端側から閉塞している。
以上の構成において、第1取付け部材11の内部のうち、ダイヤフラム19と弾性体13との間に位置する部分が、これらのダイヤフラム19および弾性体13によって液密に閉塞され、後述する封入液Lが充填された液室17となっている。そして、この液室17の一部が、振動の入力に伴って液圧が変動する主液室14となっている。本実施形態では、液室17は、仕切り部材16によって、弾性体13を壁面の一部に有しこの弾性体13の変形により内容積が変化する前記主液室14と、ダイヤフラム19を壁面の一部に有しこのダイヤフラム19の変形により内容積が変化する副液室15と、に区画されている。
仕切り部材16は、円環状に形成されるとともに第1取付け部材11内に嵌合された仕切り部材本体16aと、仕切り部材本体16aの径方向内側に配設され仕切り部材本体16aの径方向中央部を閉塞する円板状のゴム部材16bと、を備えている。
ここで、防振装置10には、主液室14と副液室15とを連通するとともに後述する封入液Lが流通することで液柱共振を生じさせる制限通路24が形成されている。本実施形態では、制限通路24は、仕切り部材16の外周面側と第1取付け部材11の内周面側との間に、第1取付け部材11の周方向に沿って延びるように形成されている。図示の例では、仕切り部材本体16aの外周面に周溝が形成されており、制限通路24は、第1取付け部材11の内周面に被覆された被覆膜18によって前記周溝が径方向の外側から閉塞されることで形成されている。被覆膜18は、弾性体13と一体に形成され、第1取付け部材11の内周面は、弾性体13および被覆膜18により全域にわたって覆われている。なお、これらの弾性体13および被覆膜18としては、ゴムや合成樹脂などの弾性体を採用することができる。
さらに、本実施形態では、この防振装置10は、主液室14が鉛直方向上側に位置しかつ副液室15が鉛直方向下側に位置するように取り付けられて用いられる圧縮式となっている。
このように形成された防振装置10では、振動の入力に伴って弾性体13が変形し、この変形による主液室14の内容積の変化に応じて主液室14の液圧が変動する。また、このように主液室14の内容積が変化することで、後述する封入液Lが主液室14と副液室15との間で制限通路24を通って流通するので、この流通時に生じる液柱共振により振動が吸収および減衰される。つまり、この防振装置10では、主液室14の液圧変動に伴って振動が吸収および減衰される。
また、封入液Lは、互いに不溶な、つまり互いに非相溶性を有する第1液体および第2液体を含有している。第2液体は、第1液体よりも該封入液中に含まれる重量が少なく、かつ第1液体の主たる成分よりも同一温度において蒸気圧が高くなっているとともに、第1液体よりも表面張力が小さくなっている。さらに、第1液体は、第2液体よりも粘度が高くなっている。
なお、−30℃以上100℃以下の温度範囲のうちの少なくとも一点で、第2液体は、第1液体の主たる成分よりも蒸気圧が高くなっているとともに第1液体よりも表面張力が小さく、かつ前記少なくとも一点で、第1液体は、第2液体よりも粘度が高くなっている。例えば、第2液体の蒸気圧は第1液体の主たる成分の蒸気圧の2倍以上とされている。
また、封入液Lは、第1液体を60重量%以上99.9重量%以下含有し、第2液体を0.1重量%以上40重量%以下含有している。好ましくは、封入液Lは、第1液体を80重量%以上99重量%以下含有し、第2液体を1重量%以上20重量%以下含有している。また例えば、封入液L中に、第1液体は80cc〜200cc含まれ、第2液体は0.5cc〜5cc含まれている。
なお、本実施形態では、第1液体は、極性物質であり、第2液体は、非極性物質である。つまり、第2液体は、第1液体よりも極性が低くなっている。また、第1液体の分子間における水素結合は、第2液体の分子間における水素結合よりも多くなっている。
また、第2液体は、互いに相溶する、つまり互いに相溶性を有する第3液体および第3液体よりも同一温度において比重が低い第4液体を含有している。そして、本実施形態では、第1液体の比重は、同一温度における第3液体の比重よりも低くかつ同一温度における第4液体の比重よりも高くなっている。
以上のような第1液体としては、例えばエチレングリコールおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1つを含有するもの等が挙げられ、また第3液体としては、例えばフッ素オイル等が挙げられ、第4液体としては、例えばシリコーンオイル等が挙げられる。なお、エチレングリコールの比重は例えば1.1、またフッ素オイルの比重は例えば1.6、シリコーンオイルの比重は例えば0.7となっている。
そして、本実施形態では、第2液体の比重が、同一温度における第1液体の比重の例えば0.9倍以上1.2倍以下となるように、第2液体における第3液体および第4液体それぞれの含有量が予め調整されている。
以上説明したように、本実施形態に係る防振装置10によれば、主液室14に封入された封入液Lが、互いに不溶な第1液体および第2液体を含有し、かつ第2液体が、第1液体よりも該封入液L中に含まれる重量が少ないので、大きな振動(荷重)が入力されると、主液室14の液圧変動に伴って、例えば主液室14の内容積が変化したり、封入液Lが制限通路24を通過したり、さらには封入液Lにキャビテーションが発生したりすること等に起因して、粒状になった無数の第2液体が第1液体中で互いに独立した状態で分散される。
そして、主液室14の液圧が低下する過程において、第1液体の主たる成分よりも蒸気圧が高い第2液体で優先的にキャビテーションが発生する。本実施形態の防振装置10では、振動が入力されたときに、主液室14内において特に封入液Lの流速が高くなる制限通路24の開口付近の第2液体で、優先的にキャビテーションが発生する。これにより、主液室14内の前記開口付近における局所的な液圧低下が抑えられ、この開口付近における第1液体にキャビテーションが発生するのが抑制され、たとえこの第1液体にキャビテーションが発生したとしても、気泡の成長が抑えられることとなる。したがって、第1液体中のキャビテーション崩壊に起因して発生する衝撃波を小さく抑えることができる。
一方、第2液体は、第1液体中で前述のように分散しているので、この第2液体中で発生する気泡が大きく成長するのが抑えられることとなる。したがって、凝縮時における気泡の収縮速度が高くなるのが抑制されることとなり、第2液体中のキャビテーション崩壊に起因して発生する衝撃波を小さく抑えることができる。
以上より、主液室14内の封入液L全体で発生する衝撃波を小さく抑えることが可能になり、発生する異音の大きさを低減することができる。
さらに、第1液体中で分散されている個々の第2液体からの無数の衝撃波同士が、互いに干渉し合いそのエネルギーを打ち消しあうこととなり、前述のように第2液体中で発生する衝撃波が小さく抑えられることと相俟って、この第2液体からの衝撃波が防振装置10の外側に伝播するのを防ぐことが可能になり、発生する異音の大きさを一層低減することができる。
なお、その後さらに振動(荷重)が繰り返し入力されると、第2液体が第1液体中でより一層細かくかつ全域にわたって均等に分散されることとなり、前述の作用効果が効果的に奏功される。
また、第1液体の主たる成分よりも蒸気圧が高くキャビテーションが発生し易い第2液体の封入液L中に含まれる重量が、第1液体よりも少なくなっていることから、前述の作用効果を確保した上で、想定される通常の大きさの振動が入力されたときにもキャビテーションが発生し易くなるのを防ぐことが可能になり、主液室14の液圧変動に伴って発揮される防振装置10の減衰性能を確実に確保することができる。
しかも、第2液体が、互いに相溶する第3液体および第4液体を含有し、さらに、第1液体の比重が、第3液体の比重よりも低くかつ第4液体の比重よりも高いので、第2液体における第3液体および第4液体それぞれの含有量を予め調整しておくことで、第2液体の比重を第1液体の比重に近づけることができる。
よって、第1液体中に分散された第2液体が、これらの両液体の比重差に起因して第1液体中を沈降もしくは浮上することで集合し易くなるのを抑制することが可能となり、粒状になった無数の第2液体が第1液体中で互いに独立した状態で分散された態様を、長期間にわたって維持することができる。
従って、例えばこの防振装置10が取り付けられた装置の運転を長期間停止した後に再開する場合など、最後に主液室14の液圧が変動してから長期間経過した後にこの防振装置10に大きな振動が入力されて主液室14の液圧が大きく低下する場合であっても、粒状になった無数の第2液体を第1液体中で互いに独立した状態で分散させておくことが可能となり、発生する異音の大きさを確実に低減することができる。
また、第2液体における第3液体および第4液体それぞれの含有量を調整することで、第2液体の比重を第1液体の比重に近づける程度を調整することが可能となり、主液室14の液圧変動に伴う第1液体中における第2液体の分散状態を調整することができる。よって、防振装置10の構成に応じて前記含有量を調整することで、前述の第2液体の分散状態を、その防振装置10においてキャビテーションの発生を効果的に抑制可能な分散状態に調整することが可能となる。従って、キャビテーションの発生を抑制して発生する異音の大きさをより確実に低減することができる。
また、第2液体が、第1液体よりも表面張力が小さいので、第2液体を第1液体中で確実に細かい粒状にして互いに独立させて分散させることが可能になり、前述の作用効果がより効果的に奏功されることとなる。
また、第1液体が、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1つを含有し、第4液体がシリコーンオイルを含有し、さらに、第2液体の比重が第1液体の比重の0.9倍以上1.2倍以下となっており、しかも、封入液Lが、第1液体を60重量%以上99.9重量%以下含有し、第2液体を0.1重量%以上40重量%以下含有しているので、防振装置10の減衰効果が低減されることがない。このため、防振装置10の減衰性能を低下させることなく前述の作用効果が確実に奏されることになる。
なお、第2液体の比重が、同一温度における第1液体の比重の0.9倍よりも小さいと、第1液体と第2液体とが分離しやすくなり、粒状になった無数の第2液体が第1液体中で互いに独立した状態で分散された態様を、長期間にわたって維持しにくくなる。一方、第2液体の比重が、同一温度における第1液体の比重の1.2倍よりも大きいと、防振装置10の減衰性能が低下する恐れがある。
さらにまた、シリコーンオイルおよびフッ素オイルは、エチレングリコールおよびプロピレングリコールと比べて高価であるものの、第2液体は、第1液体よりも封入液L中に含まれる重量が少なくなっているので、この防振装置10のコストが上昇するのを抑えることができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、封入液Lに封入される各液体は、前述したものに限らず、動粘度が比較的低く(25℃において1×10−4/s以下)、沸点が比較的高く(80℃以上)かつ凝固点が比較的低い(0℃以下)液体であれば、適宜変更してもよい。
また、第2液体は、第3液体および第4液体のみに限らず、他種類の液体を含有してもよい。さらに、封入液Lは、第1液体および第2液体のみに限らず、他種類の液体を含有してもよい。
また、本発明は、第1液体が相溶性を有する複数の成分(液体)からなっていてもよい。この場合、第2液体の蒸気圧が同一温度において第1液体の主たる成分の蒸気圧より高くなっていれば、第1液体の蒸気圧が第2液体の蒸気圧よりも高くなっていてもよい。例えば、第1液体が、相溶性を有するエチレングリコール(常温時の蒸気圧13.4Pa、含有率96%、主成分)と水(常温時の蒸気圧3173Pa、含有率4%、副成分)との混合溶液からなる場合、第1液体(混合溶液)の蒸気圧が400Paとなるが、第2液体の蒸気圧は第1液体の主成分の蒸気圧(13.4Pa)よりも高ければ、第1液体の蒸気圧(400Pa)より低くても、キャビテーションの発生を抑制する効果を得ることができる。
また、第2液体の蒸気圧が水単体の蒸気圧よりも高い場合には、第1液体として水単体を用いることもできる。つまり、第1液体は、水単体、エチレングリコール単体、プロピレングリコール単体、もしくはこれらのうち少なくとも2つを含有していても良い。
また、封入液Lには、例えば乳化剤等の界面活性剤を混入してもよい。この場合、封入液L中で防振装置10を組み立てることでこの組み立てと同時に主液室14および副液室15に封入液Lを封入する場合に、効率よくこの防振装置10を製造することができる。
さらに、例えば仕切り部材16の仕切り部材本体16aの表面において制限通路24を除く主液室14内に位置する部分をゴム膜等で覆う等して、異音の発生を防ぐようにしてもよい。
また、前記実施形態では、第2液体は、第1液体よりも表面張力が小さいものとしたが、これに限られるものではない。
さらに、前記実施形態では、第1液体が極性物質であり、第2液体が非極性物質であるものとしたが、これに限られない。また、第1液体の分子間における水素結合が、第2液体の分子間における水素結合よりも多くなっているものとしたが、これに限られない。
さらにまた、前記実施形態では、第1液体は、第2液体よりも粘度が高いものとしたが、これに限られるものではない。
さらにまた、前記実施形態では、第2液体の比重が、第1液体の比重の0.9倍以上1.2倍以下となっているものとしたが、これに限られるものではない。
また、前記実施形態では、防振装置10として圧縮式を示したが、主液室14が鉛直方向下側に位置しかつ副液室15が鉛直方向上側に位置するように取り付けられて用いられる吊り下げ式の防振装置にも適用可能である。
さらに、前記実施形態では、防振装置10として、弾性体13および仕切り部材16を備え、主液室14および副液室15が制限通路24で連通されている構成を示したが、これに限られるものではなく、筒状の第1取付け部材および第2取付け部材を備え、第1取付け部材内に封入液が封入されかつ振動の入力に伴って液圧が変動する受圧液室(主液室)が形成され、受圧液室の液圧変動に伴って振動を吸収および減衰する防振装置(例えば、ショックアブソーバーなど)であれば、適用可能である。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
次に、前述した作用効果に係る検証試験について説明する。
この検証試験では、エチレングレコール(第1液体)と、フッ素オイル(第3液体)およびシリコーンオイル(第4液体)の混合溶液(第2液体)と、を含有する封入液が封入された複数の防振装置を用いた。各防振装置において、封入液中における第1液体の重量濃度と第2液体の重量濃度とを共通とした上で、第2液体における第3液体の重量濃度と第4液体の重量濃度とを互いに異ならせることで、第2液体の比重の第1液体の比重に対する倍率(第2液体の比重/第1液体の比重)を互いに異ならせた。そして、各防振装置に同一の荷重を入力(加振)した後、24時間経過後の各防振装置の封入液の濁度(単位:NTU)を測定した。
結果を表1に示す。
この表において、濁度が大きいほど、第2液体が第1液体中で細かい粒状で互いに独立して良好に分散していることを示す。
Figure 2010286035
この結果、第2液体の比重の第1液体の比重に対する倍率を0.9以上にすることで、加振後長期間にわたって封入液が濁度の高い状態で維持されることが確認された。また、第2液体の比重の第1液体の比重に対する倍率を0.8にすると、加振後長期間経過後、封入液が濁りなく、ほぼ透明で第1液体と第2液体とが分離されているのが確認された。
以上より、第2液体の比重が、同一温度における第1液体の比重の0.9倍以上となっていることで、粒状になった無数の第2液体が第1液体中で互いに独立した状態で分散された態様を、長期間にわたって確実に維持できることが確認された。
10 防振装置
11 第1取付け部材
12 第2取付け部材
14 主液室(受圧液室)
L 封入液

Claims (4)

  1. 振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材を備え、
    前記第1取付け部材内に、封入液が封入されかつ振動の入力に伴って液圧が変動する受圧液室が形成され、
    前記受圧液室の液圧変動に伴って振動を吸収および減衰する防振装置であって、
    前記封入液は、互いに不溶な第1液体および第2液体を含有し、この第2液体は、第1液体よりも該封入液中に含まれる重量が少なく、かつ第1液体の主たる成分よりも同一温度において蒸気圧が高く、
    前記第2液体は、互いに相溶する第3液体および第3液体よりも同一温度において比重が低い第4液体を含有し、
    前記第1液体の比重は、同一温度における前記第3液体の比重よりも低くかつ同一温度における前記第4液体の比重よりも高いことを特徴とする防振装置。
  2. 請求項1記載の防振装置であって、
    前記第2液体は、前記第1液体よりも表面張力が小さいことを特徴とする防振装置。
  3. 請求項1又は2記載の防振装置であって、
    前記第1液体は、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1つを含有し、前記第3液体は、フッ素オイルを含有し、前記第4液体は、シリコーンオイルを含有していることを特徴とする防振装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の防振装置であって、
    前記第2液体の比重は、同一温度における前記第1液体の比重の0.9倍以上1.2倍以下となっていることを特徴とする防振装置。
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