JP2010285421A - 腸管免疫賦活能を有する乳酸菌に対する効果促進剤 - Google Patents
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Abstract
人の健康維持のためには腸管免疫を賦活することが重要である。しかし、従来技術では腸管免疫賦活効果を持つ乳酸菌株の開発・探索は進んでいるが、それらの高免疫賦活乳酸菌株と併用して用いることができ、その能力を安全かつ効果的に高めるための手段については十分に検討されていなかった。
【解決手段】
オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する菌の培養液から培地由来成分などの不純物を除去した精製β-1,3-1,6-D-グルカンを、乳酸菌体またはその処理物が持つ免疫賦活効果における効果促進剤として用いる。精製β-グルカンと乳酸菌体とを併用することによって、乳酸菌体またはその処理物を単体で用いる場合より、パイエル板細胞からのIgA抗体産生量を大幅に増加させることができる。これにより、腸管免疫の活性化をもたらし、病原性微生物による感染症やそれらが産生する毒素による健康阻害の予防に有用な免疫賦活剤を提供する。
【選択図】なし
Description
例えば、アスパラガス処理物を含有する培地で乳酸菌を培養することで、通常の培地で培養する場合よりも高い免疫調節作用(INF-γ産生促進効果)が得られること(特許文献2)が知られている。しかしながら、上記文献に記載の方法では、天然由来成分を培地として用いており、産地や季節によって含有成分にバラツキが生じやすく、培地成分としての安定性に欠ける。また、培養に用いるために、粉砕や抽出などの工程を必要とし、製造工程や製造コストにおいて、実用的とは言えない。
項1. Lactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、およびLactobacillus plantarum HSK201Dから選択される少なくとも1種の菌体またはその処理物が有する、パイエル板細胞に対するIgA抗体産生誘導効果を向上させる、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)の培養液より精製した以下の(1)-(2)の性質を有するβ-1,3-1,6-D-グルカン
(1)1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液の1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する;
(2)水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下。
項2. パイエル板細胞に対するIgA抗体産生能を有するLactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、およびLactobacillus plantarum HSK201Dから選択される少なくとも1種の菌体またはその処理物と
上記記載の乳酸菌が有するパイエル板細胞に対するIgA抗体産生誘導効果を向上させるオーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)の培養液より精製した以下の(1)-(2)の性質を有するβ-1,3-1,6-D-グルカン
(1)1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液の1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する;
(2)水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下である、
を含有することを特徴とする腸管免疫賦活効果促進剤。
項3. 項2に記載の免疫賦活効果促進剤を含有する健康食品又は機能性食品。
なお、本発明において、以下β-グルカン又はβ-D-グルカンとある記載は、β-1,3-1,6-D-グルカンを意味する。
本発明で用いられる乳酸菌として、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、エンテロコッカス属、ペディオコッカス属、テトラジェノコッカス属、ストレプトコッカス属に属し、パイエル板細胞からのIgA抗体産生を誘導する作用(腸管免疫賦活能)を有し、ネガティブコントロールにおけるIgA抗体産生量と比較して、IgA抗体産生量を1.5倍以上向上させる乳酸菌を用いることができる。中でも、パイエル板細胞からのIgA抗体産生を強く誘導する作用(腸管免疫賦活能)を有するLactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、またはLactobacillus plantarum HSK201Dが好ましく、Lactobacillus plantarum IFO3070、またはLactobacillus reuteri JCM1081がより好ましい。上記乳酸菌は、単独で用いてもよく、複数の乳酸菌を組合せても用いてもよい。また、上記乳酸菌を培養により調整してもよく、市販されている乳酸菌を用いることも可能である。
本発明における精製β-1,3-1,6-D-グルカンは、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物に由来するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含むものである。このβ-1,3-1,6-D-グルカンは、好ましくは、1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液の1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有し、かつ水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が好ましくは200cP(mPa・s)以下、より好ましくは100cP(mPa・s)以下、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下のものである。上記粘度の下限値は通常10cP(mPa・s)程度であり得る。NMRの測定値は条件の微妙な変化によって変化し、また誤差を伴うことは周知のことであることから、「約4.7ppm」「約4.5ppm」は、通常予測される範囲の測定値の変動幅(例えば±0.2)を含む数値を意味する。
オーレオバシジウム属の微生物が産生するβ-1,3-1,6-D-グルカンは、菌体外に分泌されるため、キノコ類やパン酵母の細胞壁に含まれるβ-グルカンと比べて、回収が容易であり、また水溶性である点で好ましいものである。オーレオバシジウム属の微生物は、分子量が100万以上の高分子量のグルカンから分子量が数万程度の低分子のグルカンまでを培養条件に応じて産生することができる。
P-19285及びFERM P-19286として寄託済み)が産生するものがより好ましい。GM-NH-1A1株及びGM-NH-1A2株は、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)K-1株の変異株である。オーレオバシジウム属K-1株は、分子量200万以上と100万程度の2種類のβ-1,3-1,6-D-グルカンを産生することが知られている。
本発明に、特に好適に用いられるβ-1,3-1,6-D-グルカンは、水溶液にしたときの粘度が、オーレオバシジウム属微生物が産生する天然型β-1,3-1,6-D-グルカンより低い。この低粘度β-1,3-1,6-D-グルカンは、0.5%(w/v)水溶液(pH5.0)の30℃における粘度が好ましくは200cP(mPa・s)以下であり、より好ましくは100cP(mPa・s)以下であり、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下であり、よりさらに好ましくは10cP以下である。本発明において、粘度はBM型回転粘度計で測定した値である。
β-1,3-1,6-D-グルカンは、例えば、これを産生する微生物の培養上清に有機溶媒を添加することにより沈殿物として得ることができる。
上記の高粘度のβ-1,3-1,6-D-グルカンを含む培養液を、常温で攪拌しながら、これにアルカリを添加すると、急激に粘度が低下する。
本発明の腸管免疫賦活促進剤は、パイエル板細胞に対するIgA抗体産生能を有するLactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、およびLactobacillus plantarum HSK201Dから選択される少なくとも1種の菌体またはその処理物(菌体由来成分)と上記記載のオーレオバシジウム属(Aureobasidium)の培養液より、精製したβ-グルカンを含有することを特徴とする。乳酸菌体またはその処理物と精製β-グルカンを併用して使用することで、乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)を単独で用いるよりも、高い免疫賦活効果(IgA抗体産生向上)が得られる。
ここで、「高い免疫賦活効果(IgA抗体産生向上)」とは、精製β-グルカンと乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)を併用して用いることによって、乳酸菌体またはその処理物(菌体由来成分)を単独で用いた時よりも、統計的に有意水準5%でIgA抗体産生が向上する状態をいう。
また、製剤中に含まれる乳酸菌体またはその処理物の含有量は、IgA抗体産生を向上しうる量であればいかなる量であってもよく、使用形態、投与対象又は患者の年齢、体重、投与方法等によって変化し得るが、例えば、体重70kgの成人男性の場合、一日の摂取量が、乳酸菌乾燥重量当り、0.5mg〜3g程度となるように含有させることが好ましく。より好ましくは65〜260mg程度になるような量が含まれていればよい。
本発明の飲食品組成物は、パイエル板細胞に対するIgA抗体産生能を有するLactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、およびLactobacillus plantarum HSK201Dから選択される少なくとも1種の菌体またはその処理物(菌体由来成分)と、上記記載したオーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)の培養液より精製した、精製β-1,3-1,6-D-グルカンを含有することを特徴とする。
この飲食品組成物は、パイエル板細胞からのIgA抗体産生を誘導する作用(腸管免疫賦活能)を有するため、健康食品、機能性食品、又は栄養機能食品又は特定保健用食品のような保健機能食品として好適に使用できる。ここで、本発明における健康食品は、一般に「健康によい」として売られている食品全般、又は消費者が健康に良いと積極的な効果を期待して摂取する医薬品以外の食品を含み、健康補助食品を含む。また、本発明における機能性食品は、生体調節機能を充分に効率よく発現するように設計した食品を含む。
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明の技術的範囲はこれによって何ら限定されることはない。
(1)低粘度β-1,3-1,6-D-グルカンの調整
(1-1)β−グルカンの培養産生
後掲の表1に示す組成を有する液体培地100mlを500ml容量の肩付きフラスコに入れ、121℃で、15分間、加圧蒸気滅菌を行った後、オーレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)GM-NH-1A1株(FERM P-19285)を同培地組成のスラントより無菌的に1白金耳植菌し、130rpmの速度で攪拌しつつ、30℃で24時間培養することにより種培養液を調整した。
<多糖濃度測定>
多糖濃度は、培養液を数mlサンプリングし、菌体を遠心分離除去した後、その上清に最終濃度が66%(v/v)となるようにエタノールを加えて多糖を沈殿させて回収した後、イオン交換水に溶解し、フェノール硫酸法で定量した。
<置換スルホ含量測定>
同様にして菌体を除去した培養上清にエタノールを最終濃度が66%となるように添加し、β−グルカンを沈殿回収した。その後、再度イオン交換水に溶解し、再度遠心分離後、その上清に最終濃度が0.9%になるように食塩を加えた後、再度66%エタノールでβ−グルカンを回収した。このβ−グルカン回収精製操作を更に2回繰り返し、得られたβ−グルカン水溶液をイオン交換水で透析後、凍結乾燥によりβ−グルカン粉末を得た。
上記のようにして得られた培養液の粘度をBM型回転粘度計(東京計器製)を用いて、30℃、12rpmで測定したところ、1500cP((mPa・s))であった。測定に用いるロータは粘度にあわせて適当なものを選択した。
上記のβ−グルカン水溶液(培養ろ液)を0.3%に希釈後、限外ろ過(UF)膜(分子量カット5万、日東電工社製)を用いて脱塩を行い、最終的にナトリウムイオン濃度を20mg/100mlに落とした後、50%(w/v)クエン酸水溶液によりpHを3.5に調整した。
<硫黄含有量の測定>
また、得られたβ−グルカン水溶液をイオン交換水で透析後、凍結乾燥によりβ−グルカン粉末を得た。本β−グルカンの組成分析結果からS含量は330mg/kgであり、これから計算される置換スルホ酢酸含量は0.12%であった。
<結合状態の確認>
また、脱塩を行った上記培養ろ液について、コンゴーレッド法によって、480nmから525nm付近への波長シフトを確認することができたのでβ−1,3結合を含むグルカンを含有していることが証明された(K. Ogawa, Carbohydrate Research, 67, 527-535 (1978)、今中忠行 監修, 微生物利用の大展開, 1012-1015, エヌ・ティー・エス(2002))。そのときの極大値へのシフト差分はΔ0.48/500μg多糖であった。
<粒度測定>
次に、レ−ザ回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製LA−920)を用いて培養液の粒度を測定したところ、粒子としては0.3μmと100μm程度の大きさのところにピ−クが見られた。続いて、超音波を照射しながら、粒度測定を行うと、100μmのピ−クはみるみるうちに消失し、0.3μmのピ−クが増え、最終的に0.3μmのみとなった。超音波照射したときの培養液の粒度分布を図5に示す。
<分子量測定>
また、東ソー社製のトーヨーパールHW65(カラムサイズ75cm×φ1cm、排除分子量250万(デキストラン))を用いて、0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を溶離液としてゲルろ過クロマトグラフィーを行い、溶解β−1,3−1,6−D−グルカンとβ−1,3−1,6−Dグルカンの1次粒子とを含む溶液の分子量を測定したところ、溶解β−1,3−1,6−D−グルカンに由来する2〜30万のピークの低分子画分と、1次粒子に由来する見かけ上50〜250万の高分子画分との二種類が検出された。分子量のマーカーとしてShodex社製のプルランを用いた。
(1−2)において、アルカリ処理および菌体除去処理により調整された微粒子β-1,3-1,6-D-グルカンを含むβ-1,3-1,6-D-グルカン水溶液に、最終濃度が66%(v/v)となるようにエタノールを添加して、多糖グルカンを沈殿させ、遠心分離法により回収した。次いで凍結乾燥法によりエタノールと水分を除去し、乾燥β-1,3-1,6-D-グルカンを得た。そのときの収率はエタノール沈殿前の全糖濃度と比較して95%以上であった。
(1)においてアルカリ処理を行い低粘度化した培養液(多糖濃度0.5%(5mg/ml))90Lを50%クエン酸水溶液9kgで中和後、濾過助剤(日本製紙ケミカル製粉末セルロ−スKCフロック)を1.8kgプレコートした薮田式濾過圧搾機40D-4を通して、菌体を取り除いた。ろ液を限外濾過スパイラルエレメント(日東電工製NTU3150−S4)で9Lまで濃縮した。本濃縮液を攪拌しながら、pHを3.0-3.5にクエン酸により調整して、エタノール18Lを加え、グルカン/エタノール/水スラリーを得た。スラリーの粘度はBM型粘度計で22mPa・s(30℃)であった。室温で3時間静置し、上澄み液(エタノール/水)約17Lを取り除いた。残ったスラリーの粘度は45mPa・s(30℃)であった。本濃縮スラリー10Lを坂本技研型の噴霧乾燥装置R-3を用いて噴霧乾燥し、360gのβ-1,3-1,6-D-グルカン粉末を得た(回収率80%)。得られたβ-1,3-1,6-D-グルカンの純度はNMRスペクトルの解析の結果、90%以上であった。
なお、得られたβ-1,3-1,6-D-グルカン粉末を1N水酸化ナトリウム重水溶液に溶解させ、NMRスペクトルを測定したところ、1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを得た。また、得られたβ-1,3-1,6-D-グルカン粉末の濃度0.5(w/v%)の水溶液の粘度は200cP以下であった(pH5.0、30℃)。上記記載の方法によって得られた精製β-グルカンを下記の実施例に用いた。
本発明に係る、精製β-グルカンが及ぼす腸管パイエル板細胞からのIgA抗体産生促進について説明する。
1)乳酸菌Lactobacillus plantarum IFO3070の凍結保存液を10μl、MRS培地(OXOID)100mlに添加して37℃で24時間静置培養した。MRS培地の組成を下記表2に示す。
2)培養液を遠心分離して菌体のみを回収した。
3)0.9%の滅菌生理食塩水に菌体を懸濁した後、再び遠心分離して菌体を回収した。0.9%滅菌生理食塩水への菌体の懸濁と遠心分離処理は合計3回繰り返した。
4)滅菌水で菌体濃度が1×1010 cells/ml(乳酸菌乾燥粉末換算で約10mg)になるように調整した後、90℃で30分間加熱処理して乳酸菌を死滅させた。なお、乳酸菌体の細胞数はバクテリア計算盤を用いて計測した。
5)この乳酸菌液に4倍量のRPMI培地を添加した(乳酸菌濃度2×109cells/ml;乳酸菌乾燥粉末換算で約2mg)ものを乳酸菌調整液として下記の試験に供した。RPMI培地の組成を下記表3に示す。調整した乳酸菌調整液は、実施例1および比較例1、2に用いた。
1)上記製造例に記載した方法により得られた精製β-グルカン粉末を多糖濃度で4000μg/mlになるように滅菌水に溶解した後、90℃で30分間加熱処理した。
2)加熱処理したβ-グルカン水溶液に4倍量のRPMI培地を添加した(β-グルカン濃度800μg/ml)ものを精製β-グルカン調整液として、実施例1に用いた。
1)上記製造例に記載した手法により、Aureobasidium pullulans GM-NH-1A1株の培養液を作成した。その後、培養液中の多糖濃度をフェノール硫酸法により多糖濃度を測定し、4000μg/mlになるように滅菌水で調整した。
2)90℃で30分間加熱処理した。
3)4倍量のRPMI培地を添加して5倍希釈した。(β-グルカン濃度(多糖換算)800μg/ml)。これを未精製β-グルカン調整液として、比較例2に用いた。
1)BALB/c 雄マウス(5週齢)を購入後、通常の餌と水を与え1週間飼育した。
2)飼育終了後、当該試験マウスを解剖し、小腸に存在するパイエル板細胞を単離し、1×107cells/mlになるようにRPMI培地を用いて調整した。
3)調整したパイエル板細胞液を96wellマイクロプレートに100μlずつ分注した。
4)パイエル板細胞液を加えたマイクロプレートのwellに、ネガティブコントロール(コントロール1)として滅菌水をRPMI培地で5倍希釈したもの(以下、滅菌水調整液と記載)を用い、ポジティブコントロール(コントロール2)として2mg/mlになるように滅菌水で調整したLPS(Lipopolysaccharides from Escherichia coli 0111:B4(SIGMA ALDRICH)をRPMI培地で5倍希釈したもの(以下、LPS調整液と記載)を用いた。実施例1は、上述した乳酸菌調整液と精製β-グルカン調整液を50μlずつ添加した。比較例1は、乳酸菌調整液50μlと滅菌水調整液50μlを添加した。比較例2は、乳酸菌調整液と未精製β-グルカン調整液を50μlずつ添加した。なお、乳酸菌体5×108cell/mlは、乳酸菌乾燥粉末換算で約0.5mgに相当する。
5)各被検物質およぼその濃度については表4に示す。また、各被検物質につき3wellずつ試験を行った。
6)マイクロプレートにパイエル板細胞と披検物質の混合液を37℃、5%CO2濃度下で4日間培養した。
1)パイエル板細胞培養液を遠心分離して、上清を回収した。
2)パイエル板細胞培養液上清のIgA抗体量をELISA法により測定した。なお、1細胞液につき2回ずつ測定した。
腸管パイエル板細胞からのIgA抗体産生促進能を有している乳酸菌における精製β-グルカンの効果について説明する。
Lactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、またはLactobacillus plantarum kefirを用い、実施例1に記載の方法と同様の方法で乳酸菌調整液を調整した。なお、Lactobacillus reuteri JCM1081の乳酸菌体調整液は、実施例2および比較例3、Lactobacillus plantarum IFO3070の乳酸菌体調整液は、実施例3および比較例4、Lactobacillus plantarum kefirの乳酸菌体調整液は、比較例5および6に用いた。
実施例1および比較例1、2に記載の方法と同様の方法により、精製β-グルカン調整液を調整し、実施例2、3、および比較例6、7、8に用いた。
実施例1および比較例1、2に記載の方法と同様の方法により行った。実施例2、3および比較例3〜8における披検物質および被検物質濃度について表5に示す。
実施例1および比較例1、2に記載の方法と同様の方法により行った。
様々な機能性があり健康に対する効果が期待できるとされている、市販の機能性乳酸菌株における精製β-グルカンの効果について説明する。
1)乳酸菌Lactobacillus plantarum IFO3070の凍結保存液を10μl、MRS培地(OXOID)100mlに添加して37℃で24時間静置培養した。
2)培養液を遠心分離して菌体のみを回収した。
3)0.9%の滅菌生理食塩水に菌体を懸濁した後、再び遠心分離して菌体を回収した。0.9%滅菌生理食塩水への菌体の懸濁と遠心分離処理は合計3回繰り返した。
4)菌体ペレットを凍結乾燥処理して粉末化した。
5)滅菌水で菌体濃度が10.4mg/mlになるように調整した。
6)90℃で30分間加熱処理した。
7)この乳酸菌液に4倍量のRPMI培地を添加した(乳酸菌濃度2.08mg/ml)ものを乳酸菌調整液として下記の試験に供した。調整した乳酸菌調整液は、実施例4および比較例9に用いた。
1) 乳酸菌末1gを滅菌した0.9%生理食塩水50mlに懸濁し、遠心分離して菌体を回収した。
2)回収した菌体に滅菌した0.9%生理食塩水50mlを加えて再懸濁し、遠心分離して菌体を回収した。0.9%滅菌生理食塩水への菌体の懸濁と遠心分離処理は合計3回繰り返した。
3)菌体ペレットを凍結乾燥処理して粉末化した。
4)滅菌水で菌体濃度が10.4mg/mlになるように調整した。
5)90℃で30分間加熱処理した。
6)この乳酸菌液に4倍量のRPMI培地を添加した(乳酸菌濃度2.08mg/ml)ものを乳酸菌調整液として下記の試験に供した。Lactobacillus plantarum HSK201Dの乳酸菌調整液は実施例5および比較例10に用いた。Enterococcus faecalis EC-12の乳酸菌調整液は比較例11及び比較例12に用いた。Lactobacillus casei K-1の乳酸菌調整液は比較例13及び比較例14に用いた。
実施例1および比較例1、2に記載の方法と同様の方法により、精製β-グルカン調整液を調整し、実施例4、実施例5、比較例11、比較例13および比較例15に用いた。
実施例1および比較例1、2に記載の方法と同様の方法により行なった。実施例4、5および比較例9〜15における披検物質および披検物質濃度について表6に示す。
実施例1および比較例1、2に記載の方法と同様の方法により行なった。
処方例1(クッキー)
粉末β−1,3−1,6−D−グルカン 1重量%
殺菌乳酸菌末 0.2重量%
カテキン 1重量%
クッキー生地 残量
処方例2(サプリメント)
粉末β−1,3−1,6−D−グルカン 10重量%
コラーゲンペプチド 42重量%
ヒアルロン酸 0.06重量%
殺菌乳酸菌末 1重量%
ビタミンC 10重量%
ビタミンB2 0.03重量%
ビタミンB6 0.03重量%
賦形剤(デンプンなど)
残量
処方例3(ドリンク剤)
β−1,3−1,6−D−グルカン水溶液
(0.2重量%β‐グルカン水溶液) 61.5重量%
殺菌乳酸菌末 0.03重量%
ミルクオリゴ糖 0.8重量%
ラクトフェリン 0.09重量%
甘味料(スクラロース) 0.03重量%
クエン酸 0.22重量%
香料 0.37重量%
水 残部
処方例4(ドリンク剤)
β−1,3−1,6−D−グルカン水溶液
(0.2重量%β‐グルカン水溶液) 61.5重量%
殺菌乳酸菌末 0.03重量%
テアニン 0.8重量%
GABA 0.09重量%
甘味料(スクラロース) 0.03重量%
クエン酸 0.22重量%
香料 0.37重量%
水 残部
Claims (3)
- Lactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、およびLactobacillus plantarum HSK201Dから選択される少なくとも1種の菌体またはその処理物が有する、パイエル板細胞に対するIgA抗体産生誘導効果を向上させる、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)の培養液より精製した以下の(1)-(2)の性質を有するβ-1,3-1,6-D-グルカン
(1)1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液の1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する;
(2)水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下。 - パイエル板細胞に対するIgA抗体産生能を有するLactobacillus plantarum IFO3070、Lactobacillus reuteri JCM1081、およびLactobacillus plantarum HSK201Dから選択される少なくとも1種の菌体またはその処理物と
上記記載の乳酸菌が有するパイエル板細胞に対するIgA抗体産生誘導効果を向上させるオーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)の培養液より精製した以下の(1)-(2)の性質を有するβ-1,3-1,6-D-グルカン
(1)1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液の1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する;
(2)水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下である、
を含有することを特徴とする腸管免疫賦活効果促進剤。 - 請求項2に記載の免疫賦活効果促進剤を含有する健康食品又は機能性食品。
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