JP2010280893A - 印刷配線板用樹脂組成物並びにこれを用いた樹脂ワニス,プリプレグ及び金属張積層板 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、印刷配線板用樹脂組成物、並びにこれを用いたワニス、プリプレグ及び金属張積層板に関する。より詳しくは、動作周波数が1GHzを超えるような電子機器に使用される印刷配線板用樹脂組成物、並びにこれを用いた樹脂ワニス、プリプレグ及び金属張積層板に関するものである。
携帯電話に代表される移動体通信機器、その基地局装置、サーバー及びルーター等のネットワーク関連電子機器、並びに大型コンピュータ等では、低損失かつ高速で、大容量の情報を伝送・処理することが要求されている。大容量の情報を伝送・処理する場合、電気信号が高周波数の方が高速に伝送・処理できる。ところが、電気信号は、基本的に高周波になればなるほど減衰しやすくなる、すなわちより短い伝送距離で出力が弱くなりやすく、損失が大きくなりやすい性質を有する。したがって、上述の低損失かつ高速との要求を満たすためには、機器に搭載された伝送・処理を行う印刷配線板自体の特性において、伝送損失、特に高周波帯域での伝送損失を一層低くする必要がある。
低伝送損失のプリント配線板を得るために、従来、比誘電率及び誘電正接の低い熱可塑性樹脂のフッ素系樹脂を使用した基板材料が使用されてきた。しかしながら、フッ素系樹脂は一般に溶融温度及び溶融粘度が高く、その流動性が比較的低いため、プレス成形時に高温高圧条件を設定する必要があるという問題点がある。しかも、上記の通信機器、ネットワーク関連電子機器及び大型コンピュータ等に使用される多層印刷配線板用途として使用するには、加工性、寸法安定性及び金属めっきとの接着性が不充分であるという問題点がある。
そこで、フッ素系樹脂に替わる、高周波用印刷配線板用途に対応するための熱硬化性樹脂材料が研究されている。そのうち、主鎖が炭化水素のみで構成され、優れた誘電特性(低比誘電率及び低誘電正接)を有する熱硬化性樹脂としてポリブタジエン樹脂が古くから注目されてきたが、ポリブタジエン樹脂単独の硬化物は、硬化収縮や熱膨張係数が大きいことや、寸法安定性に劣ることや、導体との接着性が低い等の課題があった。そこで、これら欠点の改善のため、ポリブタジエン樹脂にポリマレイミド化合物を併用した樹脂組成物(特許文献1〜5参照)等が提案されている。
本発明者らは、特許文献1〜5に記載されたものを始めとする、ポリブタジエン樹脂とマレイミド化合物を併用した樹脂組成物等、その印刷配線板用積層板用途への適用性について詳細に検討した。
その結果、特許文献1〜5に示されているような従来から知られているポリマレイミドを併用した樹脂組成物では、熱膨張特性、導体との接着性(特に導体層と絶縁層との接着面である粗化処理面(以下、「M面」という。)側の表面凹凸が小さい金属箔、具体的には、M面の表面粗さ(十点平均粗さ;Rz)が5μm以下の金属箔(以下、ロープロファイル箔。)を用いた場合)、また30層以上の高多層配線板を製造する際のプリプレグの成形性にやや限界があった。特に、熱膨張特性の課題に対してはポリマレイミドの配合量を増量すれば解消されるが、ポリブタジエン樹脂の優れた誘電特性が損なわれる。そのため、上述した欠点がより一層改善され、かつ誘電特性にも優れた、ポリブタジエン系熱硬化性樹脂組成物に対する需要があると考えられる。
その結果、特許文献1〜5に示されているような従来から知られているポリマレイミドを併用した樹脂組成物では、熱膨張特性、導体との接着性(特に導体層と絶縁層との接着面である粗化処理面(以下、「M面」という。)側の表面凹凸が小さい金属箔、具体的には、M面の表面粗さ(十点平均粗さ;Rz)が5μm以下の金属箔(以下、ロープロファイル箔。)を用いた場合)、また30層以上の高多層配線板を製造する際のプリプレグの成形性にやや限界があった。特に、熱膨張特性の課題に対してはポリマレイミドの配合量を増量すれば解消されるが、ポリブタジエン樹脂の優れた誘電特性が損なわれる。そのため、上述した欠点がより一層改善され、かつ誘電特性にも優れた、ポリブタジエン系熱硬化性樹脂組成物に対する需要があると考えられる。
そこで、本発明は、上記の問題点を解決するため、特に高周波帯域での良好な誘電特性、低吸湿性及び熱膨張特性に優れ、かつ金属箔との間の高い引き剥がし強さと良好な成形性を満足する印刷配線板用樹脂組成物、並びにそれを用いた樹脂ワニス、プリプレグ及び金属張積層板を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリブタジエン系樹脂組成物について、上記課題を解決できるよう鋭意研究を重ねた結果、化学変性されていないブタジエンポリマーと特定のマレイミド化合物を含有、又はこれらを予備反応させて得られるプレポリマーを含有する熱硬化性樹脂組成物を見出し、この樹脂組成物を印刷配線板用途に用いることにより、高周波帯域での良好な誘電特性、伝送損失を低減する特性に優れ、低熱膨張特性を発現した。また、従来のポリマレイミド化合物を用いた場合よりも金属箔との間の引き剥がし強さが高くなる樹脂系を見出し、特にロープロファイル箔のような表面粗さの小さい金属箔も適用できることを明らかにした。さらに、30層を超える高多層配線板に対応可能な優れた成形性を発現する樹脂系も見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関する(態様1)。
(A)側鎖に1,2−ビニル基を有する1,2−ブタジエン単位を分子中に40%以上含有し、かつ化学変性されていないブタジエンポリマー及び(B)マレイミド化合物、又は(A)成分と(B)成分とのプレポリマーを成分としてなる樹脂組成物であって、
(B)成分が、一般式(2):
(A)側鎖に1,2−ビニル基を有する1,2−ブタジエン単位を分子中に40%以上含有し、かつ化学変性されていないブタジエンポリマー及び(B)マレイミド化合物、又は(A)成分と(B)成分とのプレポリマーを成分としてなる樹脂組成物であって、
(B)成分が、一般式(2):
(式中、R2は、−C(Xc)2−又は−O−であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xcは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、pは0〜10の整数を示し、qは2〜10の整数を示す。)
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物である印刷配線板用樹脂組成物である。
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物である印刷配線板用樹脂組成物である。
(B)成分が、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンである印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
さらに(G)マレイミド化合物を含有し、(G)成分が、プレポリマーを構成しないマレイミド化合物であり、(B)成分とは別に含有される追加分のマレイミド化合物である印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
(G)成分が、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド、並びに下記一般式(1)及び一般式(3):
(式中、R1は、−C(Xb)2−、−CO−、−O−、−S−、−SO2−、又は連結する結合であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xaは炭素数2以上のアルキル基を少なくとも1つ以上含み、炭素数1〜4のアルキル基を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xbは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xa及びそれぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、mは0〜10の整数を示し、nは1〜10の整数を示す。)
(式中、R2は、−C(Xc)2−、−CO−、−O−、−S−、−SO2−、又は連結する結合であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xcは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、pは0〜10の整数を示し、qは2〜10の整数を示す。)
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物である印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物である印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
(G)成分が、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン又はビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを含有する少なくとも一種以上のマレイミド化合物である印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
(A)成分と(B)成分とのプレポリマーが、(B)成分の転化率が5〜100%の範囲となるように予備反応させて得るプレポリマーである印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
(B)成分の配合割合が、(A)成分100重量部に対して2〜200重量部の範囲である印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
(C)ラジカル反応開始剤を含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
(D)臭素系難燃剤及びリン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種類以上を含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
(E)無機充填剤を含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
(F)スチレン系飽和型熱可塑性エラストマを含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
上記の印刷配線板用樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散させて得られる樹脂ワニスであることが好ましい。
上記の樹脂ワニスを基材に含浸後、60〜200℃で乾燥させて得られるプリプレグであることが好ましい。
上記のプリプレグを1枚以上重ね、その片面又は両面に金属箔を配置し、加熱加圧して得られる金属張積層板であることが好ましい。
(D)臭素系難燃剤及びリン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種類以上を含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
(E)無機充填剤を含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
(F)スチレン系飽和型熱可塑性エラストマを含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
上記の印刷配線板用樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散させて得られる樹脂ワニスであることが好ましい。
上記の樹脂ワニスを基材に含浸後、60〜200℃で乾燥させて得られるプリプレグであることが好ましい。
上記のプリプレグを1枚以上重ね、その片面又は両面に金属箔を配置し、加熱加圧して得られる金属張積層板であることが好ましい。
本発明によれば、印刷配線板とした場合に、優れた高周波特性と低吸湿性及び低熱膨張特性を発現し、かつ金属箔との間の高い引き剥がし強さと良好な成形性を達成できる樹脂組成物、並びに樹脂ワニス、プリプレグ及び金属張積層板を提供することができる。したがって、本発明は、1GHz以上の高周波信号を扱う移動体通信機器やその基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワーク関連電子機器及び大型コンピュータ等の各種電気・電子機器に使用される印刷配線板の部材・部品用途として有用である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の一つの態様(態様2)は、以下に関する。
1. (A)側鎖に1,2−ビニル基を有する1,2−ブタジエン単位を分子中に40%以上含有し、かつ化学変性されていないブタジエンポリマー及び(B)マレイミド化合物、又は(A)成分と(B)成分とのプレポリマーを成分としてなる樹脂組成物であって、(B)成分が、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド、下記一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物である印刷配線板用樹脂組成物。
本発明の一つの態様(態様2)は、以下に関する。
1. (A)側鎖に1,2−ビニル基を有する1,2−ブタジエン単位を分子中に40%以上含有し、かつ化学変性されていないブタジエンポリマー及び(B)マレイミド化合物、又は(A)成分と(B)成分とのプレポリマーを成分としてなる樹脂組成物であって、(B)成分が、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド、下記一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物である印刷配線板用樹脂組成物。
(式中、R1は、−C(Xb)2−、−CO−、−O−、−S−、−SO2−、又は連結する結合であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xaは炭素数2以上を含む炭素数1〜4のアルキル基を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xbは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xa及びそれぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、mは0〜10の整数を示し、nは1〜10の整数を示す。)
(式中、R2は、−C(Xc)2−、−CO−、−O−、−S−、−SO2−、又は連結する結合であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xcは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、pは0〜10の整数を示し、qは2〜10の整数を示す。)
2. プレポリマーがさらに(B)成分を含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
3. (B)成分が、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン又はビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを含有する少なくとも一種以上のマレイミド化合物である印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
4. (A)成分と(B)成分とのプレポリマーが、(B)成分の転化率が5〜100%の範囲となるように予備反応させて得るプレポリマーである印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
5. (B)成分の配合割合が、(A)成分100重量部に対して2〜200重量部の範囲である印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
6. さらに(C)ラジカル反応開始剤を含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
7. さらに(D)臭素系難燃剤及びリン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種類以上を含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
8. さらに(E)無機充填剤を含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
9. さらに(F)スチレン系飽和型熱可塑性エラストマを含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
10. 上記1〜9のいずれか印刷配線板用樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散させて得られる樹脂ワニスであることが好ましい。
11. 上記11の樹脂ワニスを基材に含浸後、60〜200℃で乾燥させて得られるプリプレグであることが好ましい。
12. 上記12のプリプレグを1枚以上重ね、その片面又は両面に金属箔を配置し、加熱加圧して得られる金属張積層板であることが好ましい。
本発明の印刷配線板用樹脂組成物が、上述の目的を達成できる要因は、現在のところ詳細には明らかになっていない。本発明者らは以下のように推測しているが、他の要素の関わりを除外するものではない。
3. (B)成分が、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン又はビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを含有する少なくとも一種以上のマレイミド化合物である印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
4. (A)成分と(B)成分とのプレポリマーが、(B)成分の転化率が5〜100%の範囲となるように予備反応させて得るプレポリマーである印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
5. (B)成分の配合割合が、(A)成分100重量部に対して2〜200重量部の範囲である印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
6. さらに(C)ラジカル反応開始剤を含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
7. さらに(D)臭素系難燃剤及びリン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種類以上を含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
8. さらに(E)無機充填剤を含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
9. さらに(F)スチレン系飽和型熱可塑性エラストマを含有する印刷配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
10. 上記1〜9のいずれか印刷配線板用樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散させて得られる樹脂ワニスであることが好ましい。
11. 上記11の樹脂ワニスを基材に含浸後、60〜200℃で乾燥させて得られるプリプレグであることが好ましい。
12. 上記12のプリプレグを1枚以上重ね、その片面又は両面に金属箔を配置し、加熱加圧して得られる金属張積層板であることが好ましい。
本発明の印刷配線板用樹脂組成物が、上述の目的を達成できる要因は、現在のところ詳細には明らかになっていない。本発明者らは以下のように推測しているが、他の要素の関わりを除外するものではない。
本発明の一つの態様(態様1及び2)では、最も優れた誘電特性を発現する熱硬化性樹脂の一つとして知られる化学変性されていないブタジエンポリマーと特定のマレイミド化合物又はこれらのプレポリマーを成分として含有することにより、ブタジエンポリマーの良好な誘電特性と維持しつつ、低熱膨張特性、低吸湿性、高い引き剥がし強さ及び良好な成形性を発現させることを目的としている。本発明では、マレイミド化合物の骨格が印刷配線板とした時の特性に与える影響に着目した結果、上記の特定の一般式(2)のマレイミド化合物を用いることにより、高い金属箔引き剥がし強さを発現できることを見出した。これは、従来のマレイミド化合物よりも分子鎖が長いため、硬化物の架橋点間分子量が高くなり、伸び率や靭性が向上し、ポリブタジエン樹脂の欠点である低い破壊強度が一層改善されるためと考えられる。
さらに、上記に示したモノマレイミド化合物を併用することにより、硬化反応の際、従来のポリマレイミド化合物を用いた場合よりも、成型時に急激な架橋密度の上昇に伴う粘度上昇が抑えられため、樹脂流れ性が向上し、良好な成形性が得ることもできる。また、上記一般式(1)、上記一般式(3)及び上記モノマレイミド化合物を適宜併用することにより、それぞれの効果がバランスよく発現させることができる。また、上記一般式(1)のマレイミド化合物を併用することにより、低吸湿性、良好な誘電特性と低熱膨張特性を発現できる。これは、極性の低い置換アルキル基により、従来のマレイミド化合物に比べて吸水率が低減され、かつこの嵩高い置換基の立体障害により架橋点付近の分子鎖が拘束されることにより、弾性率が向上し、低熱膨張性が発現されたものと考えられる。
さらに、上記に示したモノマレイミド化合物を併用することにより、硬化反応の際、従来のポリマレイミド化合物を用いた場合よりも、成型時に急激な架橋密度の上昇に伴う粘度上昇が抑えられため、樹脂流れ性が向上し、良好な成形性が得ることもできる。また、上記一般式(1)、上記一般式(3)及び上記モノマレイミド化合物を適宜併用することにより、それぞれの効果がバランスよく発現させることができる。また、上記一般式(1)のマレイミド化合物を併用することにより、低吸湿性、良好な誘電特性と低熱膨張特性を発現できる。これは、極性の低い置換アルキル基により、従来のマレイミド化合物に比べて吸水率が低減され、かつこの嵩高い置換基の立体障害により架橋点付近の分子鎖が拘束されることにより、弾性率が向上し、低熱膨張性が発現されたものと考えられる。
本発明の他の態様(態様3)では、(A)側鎖に1,2−ビニル基を有する1,2−ブタジエン単位を分子中に40%以上含有し、かつ化学変性されていないブタジエンポリマー及び(B)マレイミド化合物とのプレポリマーに、更に追加分のマレイミド化合物を別に含有させた、樹脂組成物を用いることができる。
本発明の更に他の態様(態様4)では、プレポリマーを形成する(B)マレイミド化合物が、一般式(2):
(式中、R2は、−C(Xc)2−又は−O−であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xcは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、pは0〜10の整数を示し、qは2〜10の整数を示す。)
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物であり、好ましくは2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンである。
そして、本発明の更に他の態様(態様4)では、プレポリマーを構成しないマレイミド化合物であり、(B)成分とは別に含有される追加分のマレイミド化合物(例えば(G)成分)は、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド、並びに下記一般式(1)及び一般式(3):
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物であり、好ましくは2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンである。
そして、本発明の更に他の態様(態様4)では、プレポリマーを構成しないマレイミド化合物であり、(B)成分とは別に含有される追加分のマレイミド化合物(例えば(G)成分)は、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド、並びに下記一般式(1)及び一般式(3):
(式中、R1は、−C(Xb)2−、−CO−、−O−、−S−、−SO2−、又は連結する結合であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xaは炭素数2以上のアルキル基を少なくとも1つ以上含み、炭素数1〜4のアルキル基を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xbは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xa及びそれぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、mは0〜10の整数を示し、nは1〜10の整数を示す。)
(式中、R2は、−C(Xc)2−、−CO−、−O−、−S−、−SO2−、又は連結する結合であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xcは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、pは0〜10の整数を示し、qは2〜10の整数を示す。)
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物であり、好ましくは、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン又はビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを含有する少なくとも一種以上のマレイミド化合物である。
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物であり、好ましくは、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン又はビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを含有する少なくとも一種以上のマレイミド化合物である。
本発明の更に別の態様(態様5)では、プレポリマーを形成する(B)マレイミド化合物の好ましい例示と、プレポリマーを構成しないマレイミド化合物であり、(B)成分とは別に含有される追加分のマレイミド化合物(例えば(G)成分)の好ましい例示とを入れ換えて例示される。すなわち、本発明の更に別の態様(態様5)では、プレポリマーを形成する(B)マレイミド化合物が、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド、並びに下記一般式(1)及び一般式(3):
(式中、R1は、−C(Xb)2−、−CO−、−O−、−S−、−SO2−、又は連結する結合であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xaは炭素数2以上のアルキル基を少なくとも1つ以上含み、炭素数1〜4のアルキル基を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xbは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xa及びそれぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、mは0〜10の整数を示し、nは1〜10の整数を示す。)
(式中、R2は、−C(Xc)2−、−CO−、−O−、−S−、−SO2−、又は連結する結合であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xcは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、pは0〜10の整数を示し、qは2〜10の整数を示す。)
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物であり、好ましくは、N−フェニルマレイミド又はビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを含有する少なくとも一種以上のマレイミド化合物である。
そして、本発明の更に別の態様(態様5)では、プレポリマーを構成しないマレイミド化合物であり、(B)成分とは別に含有される追加分のマレイミド化合物(例えば(G)成分)は、一般式(2):
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物であり、好ましくは、N−フェニルマレイミド又はビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを含有する少なくとも一種以上のマレイミド化合物である。
そして、本発明の更に別の態様(態様5)では、プレポリマーを構成しないマレイミド化合物であり、(B)成分とは別に含有される追加分のマレイミド化合物(例えば(G)成分)は、一般式(2):
(式中、R2は、−C(Xc)2−又は−O−であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xcは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、pは0〜10の整数を示し、qは2〜10の整数を示す。)
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物であり、好ましくは2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンであり、併用する場合には2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン及びビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンの組み合わせが好ましい。ここで、特にN−フェニルマレイミド等のモノマレイミドを用いてプレポリマとした場合、プレポリマの粘度は比較的低く、(1)ワニスの不揮発分濃度を上げられ、且つプリプレグの多層化時の成形性に有利である。(2)ポリフェニレンオキシド等の他の低極性高分子量体との相溶性に優れ、より低誘電のワニスを得るのに有効である。
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物であり、好ましくは2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンであり、併用する場合には2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン及びビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンの組み合わせが好ましい。ここで、特にN−フェニルマレイミド等のモノマレイミドを用いてプレポリマとした場合、プレポリマの粘度は比較的低く、(1)ワニスの不揮発分濃度を上げられ、且つプリプレグの多層化時の成形性に有利である。(2)ポリフェニレンオキシド等の他の低極性高分子量体との相溶性に優れ、より低誘電のワニスを得るのに有効である。
本発明の印刷配線板用樹脂組成物は、(A)成分の側鎖に1,2−ビニル基を有する1,2−ブタジエン単位を分子中に40%以上含有するブタジエンホモポリマーと(B)特定のマレイミド化合物又はこれらのプレポリマーを含有する。以下、樹脂組成物の各成分及びプレポリマーの好適な製造方法について説明する。
本発明の樹脂組成物において用いられる(A)成分は、側鎖に1,2−ビニル基を有する1,2−ブタジエン単位を分子中に40%以上含有し、かつ化学変性されていないブタジエンポリマーであれば、特に特に限定されるものではなく、分子中の側鎖1,2−ビニル基や末端の両方又は片方を、エポキシ化、グリコール化、フェノール化、マレイン化、(メタ)アクリル化及びウレタン化等の化学変性された変性ポリブタジエンではなく、未変性のブタジエンポリマーである。変性ポリブタジエンを用いると、誘電特性、耐湿性及び吸湿後の耐熱性が悪化するため望ましくない。
また、(A)成分として、−〔CH2−CH=CH−CH2〕−単位(j)及び−〔CH2−CH(CH=CH2)〕−単位(k)からなる化学変性されていないブタジエンポリマーであり、j:kの比が60〜5:40〜95であるものを用いることができる。
また、(A)成分として、−〔CH2−CH=CH−CH2〕−単位(j)及び−〔CH2−CH(CH=CH2)〕−単位(k)からなる化学変性されていないブタジエンポリマーであり、j:kの比が60〜5:40〜95であるものを用いることができる。
(A)成分の分子中の側鎖1,2−ビニル基を有する1,2−ブタジエン単位の含有量は、樹脂組成物の硬化性を考慮すると、50%以上がより好ましく、65%以上が更に好ましい。また、(A)成分の数平均分子量は、樹脂組成物の硬化性や硬化物とした時の誘電特性と、プリプレグとした時の樹脂の流動性とのバランスを考慮すると、500〜10000の範囲であることが好ましく、700〜8000の範囲であることがより好ましく、1000〜5000の範囲であることが更に好ましい。なお、数平均分子量とは、なお、ここでいう数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定を行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算したものである。
本発明において好適に用いられる(A)成分の具体例としては、B−1000、B−2000、B−3000(日本曹達社製、商品名)、Ricon142、Ricon150、Ricon152、Ricon153、Ricon154(SARTOMER社製、商品名)等を商業的に入手可能である。
本発明において用いられる(B)成分は、上記一般式(2)で表されるマレイミド化合物であれば特に制限はなく、一般式(2)の好適な具体例としては、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。
本発明において、上記(B)成分と併用されるものは、例えば、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド、一般式(1)及び一般式(3)で表されるマレイミド化合物であれば特に制限はなく、一般式(1)の好適な具体例としては、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンが挙げられ、上記のモノマレイミドの中では、コストの点でN−フェニルマレイミドを用いることがより好ましい。そして、上記マレイミド化合物は単独でも、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、上記(B)成分と併用されるものは、例えば、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド、一般式(1)及び一般式(3)で表されるマレイミド化合物であれば特に制限はなく、一般式(1)の好適な具体例としては、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンが挙げられ、上記のモノマレイミドの中では、コストの点でN−フェニルマレイミドを用いることがより好ましい。そして、上記マレイミド化合物は単独でも、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において好適に用いられる(B)成分の具体例としては、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI−4000、大和化成工業社製)である。
そして併用されるものは、例えば、イミレックス-P(N−フェニルマレイミド)、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100、大和化成工業社製)を商業的に入手可能である。
そして併用されるものは、例えば、イミレックス-P(N−フェニルマレイミド)、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100、大和化成工業社製)を商業的に入手可能である。
また、(B)成分として、上記のマレイミド化合物と、分子中に(A)成分との反応性を有する官能基を有する架橋剤、例えば分子中に1個以上のエチレン性不飽和二重結合基を含有する架橋性モノマー又は架橋性ポリマーの一種以上とを併用しても用いてもよく、具体的には、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ジビニルビフェニル、ジアリルフタレート、(メタ)アクリロイル化合物、不飽和ポリエステル及びスチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられ、その中では、印刷配線板とした時の誘電特性と熱膨張特性が優れるという観点からジビニルビフェニルがより好ましい。
(B)成分において、本発明において用いられる特定のマレイミド化合物とその他の架橋剤とを併用して用いる場合は、(B)成分中のマレイミド化合物の割合を50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上であり、特に好ましくは100重量%、すなわち(B)成分がすべて特定のマレイミド化合物である。
また、本発明の樹脂組成物においては、(A)成分の、側鎖に1,2−ビニル基を有する1,2−ブタジエン単位を分子中に40%以上含有し、かつ化学変性されていないブタジエンポリマーと、(B)成分の、特定のマレイミド化合物とを、(B)成分を適正な転化率(反応率)で予備反応させることにより、一旦、完全に硬化させる前の未硬化状態のプレポリマーとすることが、プリプレグを製造した際のタック(表面のべたつき)の問題が軽減されるため望ましい。本発明において、予備反応とは、反応温度、例えば60〜170℃でラジカルを発生させて、(A)成分と(B)成分とを反応させる際、(B)成分の所定量が転化するが、この時の状態がゲル化には至っていない未硬化状態のことである。また、プレポリマーを製造する際の(B)成分は、上記の特定のマレイミド化合物を単独でも、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、(A)成分と(B)成分とのプレポリマーとして用いる場合、そのプレポリマーは、好ましくは媒体中に展開させた(A)成分と、(B)成分とをゲル化しない程度に予備反応させることにより製造される。本発明によれば、例えば、(A)成分と(B)成分とを溶媒に溶解させる等により媒体中に均一に展開させた後、60〜170℃で、0.1〜20時間、加熱・撹拌させることにより製造することができる。溶液中でプレポリマーを製造する場合、溶液中の固形分(不揮発分)濃度が通常5〜80重量%となるように溶媒の使用量を調節することが好ましい。また、プレポリマーを製造した後は、濃縮等により溶媒を完全に除去して無溶媒の樹脂組成物としてもよく、又はそのまま溶媒に溶解又は分散させた樹脂溶液としてもよい。また、溶液とする場合においても、濃縮等により固形分(不揮発分)濃度を高くした溶液としてもよい。
本発明の樹脂組成物において、(A)成分及び(B)成分の配合割合は、印刷配線板とした時の熱膨張係数、金属箔引き剥がし強さと誘電特性とのバランスを考慮して、(B)成分の配合割合が、(A)成分100重量部に対して2〜200重量部の範囲とするのが好ましく、5〜100重量部とすることがより好ましく、10〜75重量部とすることが更に好ましい。特に15〜75重量部が好ましく、とりわけ20〜60重量部が好ましい。
本発明において、(A)成分と(B)成分とのプレポリマーとして用いる場合、その製造の際に、例えば、(B)成分の転化率(反応率)が5〜100%の範囲となるように予備反応させて得られる。より好ましい範囲としては、上記(A)成分及び(B)成分の配合割合によって異なり、(B)成分の配合割合が、(A)成分100重量部に対して2〜10重量部の範囲の場合は、(B)成分の転化率(反応率)が10〜100%の範囲とするのがより好ましく、10〜100重量部の範囲の場合は、(B)成分の転化率(反応率)が7〜90%の範囲とするのがより好ましく、100〜200重量部の範囲の場合は、(B)成分の転化率(反応率)が5〜80%の範囲とするのがより好ましい。(B)成分の転化率(反応率)は、プリプレグとした時のタックの軽減や樹脂ワニスとした時の(B)成分の溶解性を考慮すると、5%以上であることが好ましい。なお、本発明におけるプレポリマーとは、(B)成分が100%転化した状態を含み、(B)成分の転化が100%未満であり、反応しない、未転化の(B)成分が残存する状態も含む。また、(B)成分の転化率(反応率)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したプレポリマー中の(B)成分の残存量と予め作成した(B)成分の検量線とから換算したものである。
上記の本発明、本願発明の一つの態様及び他の態様(態様1〜3)においては(本発明の態様4及び5の場合は除かれる)、(A)成分と(B)成分とのプレポリマーとして用いる場合、そのプレポリマーを製造後、更に追加で(B)成分(例えば(G)成分)を併用した樹脂組成物とすることができる。その際、追加で使用される(B)成分は、プレポリマーを製造した際のものと同種のものを用いても、異なる種類のものを用いてよく、また、単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。また、追加で(B)成分を使用する場合、さらに、上記に示した、分子中に1個以上のエチレン性不飽和二重結合基を含有する架橋性モノマー又は架橋性ポリマーの一種以上を併用しても用いてもよい。
また、上記の本発明の一つの態様(態様2)においては(本発明の態様3〜5の場合を除く)、上記追加で用いる(B)成分の配合割合は、上記の(A)成分と(B)成分との配合割合に関する記載が適用され、プレポリマーの製造に用いる(B)成分と追加で用いる(B)成分の合計量が、上記の(A)成分に対する(B)成分の好ましい配合割合を超えない範囲で追加することができる。
本発明の樹脂組成物における(G)成分としては、上記の本発明の更に他の態様(態様4)及び本発明の更に別の態様(態様5)に記載のように例示される。
本発明の樹脂組成物に(G)成分を添加する場合、(A)成分と(B)成分とのプレポリマーが形成された後に、(G)成分を樹脂組成物に添加する。
本発明における配合割合では、(G)成分の配合割合は、上記(B)成分の配合量を含まない割合である。(G)成分の配合割合は、樹脂組成物中のマレイミド化合物の配合量(たとえば測定量)から未反応の(B)成分の配合量を引いて求められる。未反応の(B)成分の配合量は、プレポリマーの形成するために用いる(A)成分と(B)成分の配合量と、プレポリマー形成後の(B)成分の転化率から求められる。
本発明の樹脂組成物に(G)成分を添加する場合、(A)成分と(B)成分とのプレポリマーが形成された後に、(G)成分を樹脂組成物に添加する。
本発明における配合割合では、(G)成分の配合割合は、上記(B)成分の配合量を含まない割合である。(G)成分の配合割合は、樹脂組成物中のマレイミド化合物の配合量(たとえば測定量)から未反応の(B)成分の配合量を引いて求められる。未反応の(B)成分の配合量は、プレポリマーの形成するために用いる(A)成分と(B)成分の配合量と、プレポリマー形成後の(B)成分の転化率から求められる。
本発明の樹脂組成物における(G)成分の配合割合は、特に限定されないが、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、2〜200重量部とすることが好ましく、5〜100重量部とすることがより好ましく、10〜75重量部とすることが更に好ましい。(G)成分の配合割合が2重量部未満では効果不充分となる傾向があり、200重量部を超えると誘電特性が悪くなる傾向にある。
本発明の樹脂組成物には、金属張積層板や多層印刷配線板を製造する際に樹脂組成物の硬化反応を開始又は促進させる目的と、予めプレポリマーとして用いる場合、その製造の際に(A)成分と(B)成分との予備反応を開始又は促進させる目的として、(C)ラジカル反応開始剤を含有していることが好ましい。
(C)成分の具体例としては、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、イソブチリルパーオキサイド、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物や2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンゾインメチルエーテル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、(A)成分と(B)成分とのプレポリマーを製造する場合、(C)成分は、プレポリマー製造時の予備反応を開始又は促進させる目的で用いるものと、プレポリマーの製造後に硬化反応を開始又は促進させる目的で用いるものとを、プレポリマー製造前後で分けて配合するのが好ましい。その場合、それぞれの目的で配合する(C)成分は、同種のものを用いても、異なる種類のものを用いてよく、それぞれ一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物における上記(C)成分の配合割合は、(A)成分及び(B)成分の配合割合に応じて決定することができ、(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に対して、0.05〜10重量部とすることが好ましく、0.1〜7重量部とすることがより好ましく、さらに好ましくは0.5〜5重量部とすることが好ましい。この数値範囲内で(C)成分のラジカル反応開始剤を配合すると、プレポリマーを製造する場合は、その予備反応において適切な反応速度が得られ、また、金属張積層板や多層プリント配線板を製造する際の硬化反応において、良好な硬化性が得られる。
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて(D)臭素系難燃剤及び/又はリン系難燃剤、(E)無機充填剤、(F)スチレン系飽和型熱可塑性エラストマ及び各種熱硬化性樹脂、各種熱可塑性樹脂、各種添加剤をプリント配線板とした時の誘電特性、耐熱性、接着性(金属箔引き剥がし強さ、ガラス等の基材との接着性等)、耐湿性、Tg、熱膨張特性等の特性を悪化させない範囲の配合量で、更に配合してもよい。
上記(D)成分の難燃剤としては、特に限定されないが、臭素系、リン系、金属水酸化物等の難燃剤が好適に用いられる。より具体的には、臭素系難燃剤としては、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン及び2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン等の臭素化添加型難燃剤、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート及び臭素化スチレン等の不飽和二重結合基含有の臭素化反応型難燃剤等が挙げられる。
リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ−2,6−キシレニルホスフェート及びレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族系リン酸エステル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル及びフェニルホスホン酸ビス(1−ブテニル)等のホスホン酸エステル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル、ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン含有ビニルベンジル化合物及び赤リン等のリン系難燃剤を例示でき、金属水酸化物難燃剤としては水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等が例示される。また、上述の難燃剤は一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物における(D)成分の配合割合は、特に限定されないが、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、5〜200重量部とすることが好ましく、5〜150重量部とすることがより好ましく、5〜100重量部とすることが更に好ましい。難燃剤の配合割合が5重量部未満では耐燃性が不充分となる傾向があり、200重量部を超えると印刷配線板とした時の耐熱性や金属箔引き剥がし強さが低下する傾向にある。
上記(E)成分の無機充填剤としては、特に限定されないが、具体的には、アルミナ、酸化チタン、マイカ、シリカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー等のクレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素等が用いられる。これらの無機充填剤は単独で用いてもよいし、二種類以上併用してもよい。また、無機充填剤の形状及び粒径についても特に制限はなく、通常、粒径0.01〜50μm、好ましくは0.1〜15μmのものが好適に用いられる。
本発明の樹脂組成物における(E)成分の配合割合は、特に限定されないが、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、1〜1000重量部が好ましく、5〜500重量部がより好ましく、5〜200重量部がさらに好ましい。
本発明の上記(F)成分は、スチレン系飽和型熱可塑性エラストマであれば、特に限定されるものではないが、好適に用いられる(F)成分としては、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体が挙げられ、スチレン−ブタジエン共重合体のブタジエンブロックの不飽和二重結合部分を水素添加する方法等により得ることができ、また、(F)成分中のスチレンブロックの含有比率が20〜70%であることが好ましい。さらに、(F)成分は、分子中にエポキシ基、水酸基、カロボキシル基、アミノ基、酸無水物等の官能基を付与した化学変性飽和型熱可塑性エラストマを用いることもできる。また、(F)成分は単独種類でも、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物における(F)成分の配合割合は、特に限定されないが、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、1〜100重量部とすることが好ましく、2〜50重量部とすることがより好ましく、5〜30重量部とすることが更に好ましい。(F)成分の配合割合が1重量部未満では誘電特性の向上効果が不充分となる傾向があり、100重量部を超えると硬化物の熱膨張特性が悪化する傾向にある。
本発明において、プレポリマーを溶媒中で製造する際に用いる溶媒としては、特に限定するものではないが、具体例としては、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、カルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類等の溶媒が挙げられる。また、これらは一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよく、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類や、芳香族炭化水素類とアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類との混合溶媒がより好ましい。これらの溶媒のうち、芳香族炭化水素類及びケトン類を混合溶媒として用いる場合のそれらの配合割合は、芳香族炭化水素類100重量部に対してケトン類を5〜100重量部であると好ましく、10〜80重量部であるとより好ましく、15〜60重量部であると更に好ましい。
また、本発明の樹脂組成物において、必要に応じて配合される各種熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、具体例としては、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂等が挙がられ、これらの硬化剤や硬化促進剤等も用いてもよい。また、必要に応じて配合される各種熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−ペンテン)等のポリオレフィン類及びその誘導体、ポリエステル類及びその誘導体、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、(メタ)アクリル酸エステル共重合体類、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン共重合体類、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体類、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール類、ポリビニルアルコール類、ポリブタジエンの水素添加物類、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイト、ポリアミドイミド、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー等が挙げられる。各種添加剤としては、特に限定されないが、具体例としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、滑剤等が挙げられる。また、これら各種熱硬化性樹脂、各種熱可塑性樹脂及び各種添加剤は、それぞれ、単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、上述した(A)成分及び(B)成分、又はこれらで得られるプレポリマー、必要に応じて配合される(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、(G)成分及び各種熱硬化性樹脂、各種熱可塑性樹脂、各種添加剤を、公知の方法で配合、撹拌・混合することにより製造することができる。
上述した本発明の樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散させることにより、本発明の樹脂ワニスを得ることができる。なお、予めプレポリマーとする際に溶液中でプレポリマーを製造した場合は、一旦、溶媒を除去して無溶媒のプレポリマーと、上述のその他の配合剤とを溶媒に溶解又は分散させて樹脂ワニスとしてもよく、プレポリマー溶液に、(C)成分及び必要に応じて(D)成分、(E)成分、(F)成分、(G)成分、上述のその他の配合剤と、必要に応じて追加の溶媒を更に配合して樹脂ワニスとしてもよい。
上述の樹脂組成物をワニス化する際に用いられる溶媒は、特に限定するものではないが、具体例や好ましい溶媒の例としては、上記プレポリマーの製造の際に用いられる溶媒に関する記載が適用され、これらは一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよく、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類や、芳香族炭化水素類とアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類との混合溶媒がより好ましい。なお、ワニス化する際の溶媒は、上記プレポリマーの製造の際に用いられる溶媒と同種のものでも、異なる種類の溶媒を用いてもよい。
また、ワニス化する際は、ワニス中の固形分(不揮発分)濃度が、5〜80重量%となるように溶媒の使用量を調節することが好ましいが、本発明の樹脂ワニスを用いてプリプレグ等の製造する際、溶媒量を調節することにより、塗工作業に最適な(例えば、良好な外観及び適正な樹脂付着量となるように)固形分(不揮発分)濃度やワニス粘度に調製することができる。
上述した本発明の樹脂組成物及び樹脂ワニスを用いて、公知の方法により、本発明のプリプレグや金属張積層板を製造することができる。例えば、本発明の印刷配線板用樹脂組成物及び樹脂ワニスを、ガラス繊維や有機繊維等の強化繊維基材に含浸させた後、乾燥炉中等で通常、60〜200℃、好ましくは80〜170℃の温度で、2〜30分間、好ましくは3〜15分間乾燥させることによってプリプレグが得られる。次いで、このプリプレグ1枚又は複数枚重ねた、その片面又は両面に金属箔を配置し、所定の条件で加熱及び/又は加圧することにより両面又は片面の金属張積層板が得られる。この場合の加熱は、好ましくは100℃〜250℃の温度範囲で実施することができ、加圧は、好ましくは0.5〜10.0MPaの圧力範囲で実施することができる。加熱及び加圧は真空プレス等を用いて同時に行うことが好ましく、この場合、これらの処理を30分〜10時間実施することが好ましい。また、上述のようにして製造されたプリプレグや金属張積層板を用いて、公知の方法によって、穴開け加工、金属めっき加工、金属箔をエッチング等による回路形成加工及び多層化接着加工を行うことによって、片面、両面又は多層プリント配線板が得られる。
本発明は、上記の形態に限定されず、その発明の目的から逸脱しない範囲内において、任意の変更、改変を行うことができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
樹脂ワニス(樹脂組成物)の調製
調製例1
温度計、還流冷却器、撹拌装置を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、トルエン40重量部、メチルエチルケトン(MEK)40重量部、成分(A)として化学変性されていないブタジエンポリマー(B−3000、日本曹達社製、Mn:3000、1,2−ビニル構造:90%)100重量部、成分(B)としてN−フェニルマレイミド(イミレックス−P、日本触媒社製)10重量部及び2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI−4000、大和化成工業社製)20重量部を投入し、フラスコ内の温度を70℃に設定して撹拌溶解し、溶解を確認後、撹拌しながら液温を室温まで冷却した。次いで、成分(C)の反応開始剤としてα,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂社製)5重量部を添加した後、濃度調整用のMEKを配合して、調製例1の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
調製例1
温度計、還流冷却器、撹拌装置を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、トルエン40重量部、メチルエチルケトン(MEK)40重量部、成分(A)として化学変性されていないブタジエンポリマー(B−3000、日本曹達社製、Mn:3000、1,2−ビニル構造:90%)100重量部、成分(B)としてN−フェニルマレイミド(イミレックス−P、日本触媒社製)10重量部及び2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI−4000、大和化成工業社製)20重量部を投入し、フラスコ内の温度を70℃に設定して撹拌溶解し、溶解を確認後、撹拌しながら液温を室温まで冷却した。次いで、成分(C)の反応開始剤としてα,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂社製)5重量部を添加した後、濃度調整用のMEKを配合して、調製例1の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
調製例2
調製例1において、N−フェニルマレイミドの代わりに、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100、大和化成工業社製)15重量部を用いたこと以外は、調製例1と同様にして調製例2の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
調製例1において、N−フェニルマレイミドの代わりに、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100、大和化成工業社製)15重量部を用いたこと以外は、調製例1と同様にして調製例2の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
調製例3
調製例1において、N−フェニルマレイミドの代わりに、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI−4000、大和化成工業社製)30重量部を用いたこと以外は、調製例1と同様にして調製例2の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
調製例1において、N−フェニルマレイミドの代わりに、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI−4000、大和化成工業社製)30重量部を用いたこと以外は、調製例1と同様にして調製例2の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
調製例4
(a) 温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容のセパラブルフラスコに、トルエン100重量部と、成分(A)としての化学変性されていないブタジエンポリマー(B−3000、日本曹達社製、Mn:3000、1,2−ビニル構造:90%)100重量部と、成分(B)としてのN−フェニルマレイミド(イミレックス−P、日本触媒社製)10重量部と、溶液中の固形分(不揮発分)濃度が40重量%となるように、溶媒としてのメチルイソブチルケトン(MIBK)を投入し、撹拌しながら、液温を95℃に上昇させ、これらが溶解又は均一分散したことを確認した。その後、液温温度を95℃に保ったまま、反応開始剤として、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH、日本油脂社製)0.5重量部を配合し、撹拌しながら約1時間予備反応させて、(A)成分と(B)成分とのプレポリマー溶液を得た。このプレポリマー溶液中のN−フェニルマレイミドの転化率をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ、転化率40%であった。転化率は、100からN−フェニルマレイミドの未転化分(測定値)を引いた値である。
(a) 温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容のセパラブルフラスコに、トルエン100重量部と、成分(A)としての化学変性されていないブタジエンポリマー(B−3000、日本曹達社製、Mn:3000、1,2−ビニル構造:90%)100重量部と、成分(B)としてのN−フェニルマレイミド(イミレックス−P、日本触媒社製)10重量部と、溶液中の固形分(不揮発分)濃度が40重量%となるように、溶媒としてのメチルイソブチルケトン(MIBK)を投入し、撹拌しながら、液温を95℃に上昇させ、これらが溶解又は均一分散したことを確認した。その後、液温温度を95℃に保ったまま、反応開始剤として、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH、日本油脂社製)0.5重量部を配合し、撹拌しながら約1時間予備反応させて、(A)成分と(B)成分とのプレポリマー溶液を得た。このプレポリマー溶液中のN−フェニルマレイミドの転化率をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ、転化率40%であった。転化率は、100からN−フェニルマレイミドの未転化分(測定値)を引いた値である。
(b) 次いで、フラスコ内の液温を80℃に設定後、撹拌しながら溶液の固形分濃度が60重量%となるように減圧濃縮した。次に、溶液を室温まで冷却した後、追加の成分(B)としてビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100、大和化成工業社製)10重量部と2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI−4000、大和化成工業社製)15重量部、成分(C)としてα,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂社製)5重量部、成分(D)としてエチレンビス(ペンタブロモフェニル)(SAYTEX8010、アルベマール社製)40重量部を配合した後、濃度調整用のメチルエチルケトン(MEK)を配合して、調製例1の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
調製例5
調製例4(a)において、N−フェニルマレイミドの代わりに、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI−4000、大和化成工業社製)20重量部を用いたこと以外は、調製例4(a)と同様にしてプレポリマー溶液を得た。このプレポリマー溶液中のBMI−4000の転化率をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ37%であった。続いて、この溶液を用いて、追加の成分(B)をビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100、大和化成工業社製)15重量部に変えて、SAYTEX8010の代わりに、成分(F)としてのスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1051、スチレン含有比率:42%、旭化成ケミカルズ社製)10重量部を配合した以外は調製例4と同様にして調製例5の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
調製例4(a)において、N−フェニルマレイミドの代わりに、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI−4000、大和化成工業社製)20重量部を用いたこと以外は、調製例4(a)と同様にしてプレポリマー溶液を得た。このプレポリマー溶液中のBMI−4000の転化率をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ37%であった。続いて、この溶液を用いて、追加の成分(B)をビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100、大和化成工業社製)15重量部に変えて、SAYTEX8010の代わりに、成分(F)としてのスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1051、スチレン含有比率:42%、旭化成ケミカルズ社製)10重量部を配合した以外は調製例4と同様にして調製例5の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
調製例6
調製例4(a)と同様にして得たプレポリマー溶液を用いて、追加の成分(B)を2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI−4000、大和化成工業社製)20重量部に変えて、SAYTEX8010の代わりに、成分(E)としての球形シリカ(SO−25R、アドマテックス社製、平均粒径0.5μm)40重量部を配合した以外は調製例4と同様にして調製例6の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
調製例4(a)と同様にして得たプレポリマー溶液を用いて、追加の成分(B)を2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI−4000、大和化成工業社製)20重量部に変えて、SAYTEX8010の代わりに、成分(E)としての球形シリカ(SO−25R、アドマテックス社製、平均粒径0.5μm)40重量部を配合した以外は調製例4と同様にして調製例6の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
比較調製例1
調製例1において、N−フェニルマレイミド及びBMI−4000の代わりに、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−1000、大和化成工業社製)30重量部を用い、溶媒をMEK20重量部、ジメチルホルムアミド70重量部に代えた以外は、調製例1と同様にして比較調製例1の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
調製例1において、N−フェニルマレイミド及びBMI−4000の代わりに、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−1000、大和化成工業社製)30重量部を用い、溶媒をMEK20重量部、ジメチルホルムアミド70重量部に代えた以外は、調製例1と同様にして比較調製例1の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
比較調製例2
比較調製例1において、BMI−1000の代わりに、ポリフェニルメタンマレイミド(BMI−2000、大和化成工業社製)30重量部を用いたこと以外は、比較調製例1と同様にして比較調製例2の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
比較調製例1において、BMI−1000の代わりに、ポリフェニルメタンマレイミド(BMI−2000、大和化成工業社製)30重量部を用いたこと以外は、比較調製例1と同様にして比較調製例2の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
比較調製例3
比較調製例1において、BMI−1000の代わりに、m−フェニレンビスマレイミド(BMI−3000、大和化成工業社製)30重量部を用いたこと以外は、比較調製例1と同様にして比較調製例3の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
比較調製例1において、BMI−1000の代わりに、m−フェニレンビスマレイミド(BMI−3000、大和化成工業社製)30重量部を用いたこと以外は、比較調製例1と同様にして比較調製例3の樹脂ワニス(固形分濃度約60重量%)を調製した。
調製例1〜6及び比較調製例1〜3の樹脂ワニス(樹脂組成物)の調製に用いた各原材料の使用量を表1にまとめて示す。
表1中、略号は以下の意味を有する。
イミレックス−P: N−フェニルマレイミド
パーヘキサTMH: 1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
パ−ブチルP: α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン
SAYTEX8010: エチレンビス(ペンタブロモフェニル)
H1051: スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物
SO−25R: 球形シリカ(平均粒径0.5μm)
イミレックス−P: N−フェニルマレイミド
パーヘキサTMH: 1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
パ−ブチルP: α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン
SAYTEX8010: エチレンビス(ペンタブロモフェニル)
H1051: スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物
SO−25R: 球形シリカ(平均粒径0.5μm)
プリプレグの作製
調製例1〜6及び比較調製例1〜3で得られた樹脂ワニスを、厚さ0.1mmのガラス布(Eガラス、日東紡績社製)に含浸した後、120℃で5分間加熱乾燥して、樹脂含有割合50重量%の作製例1〜6及び比較作製例1〜3のプリプレグを作製した。なお、調製例1〜6の樹脂ワニスを用いた場合がそれぞれ作製例1〜6に該当し、また比較調製例1〜3の樹脂ワニスを用いた場合がそれぞれ比較作製例1〜3に該当する。
調製例1〜6及び比較調製例1〜3で得られた樹脂ワニスを、厚さ0.1mmのガラス布(Eガラス、日東紡績社製)に含浸した後、120℃で5分間加熱乾燥して、樹脂含有割合50重量%の作製例1〜6及び比較作製例1〜3のプリプレグを作製した。なお、調製例1〜6の樹脂ワニスを用いた場合がそれぞれ作製例1〜6に該当し、また比較調製例1〜3の樹脂ワニスを用いた場合がそれぞれ比較作製例1〜3に該当する。
プリプレグの評価
上述の作製例1〜6及び比較作製例1〜3のプリプレグの樹脂流れ性を評価した。樹脂流れ性の評価は、プリプレグ試験規格JIS−C−6521に準拠した。評価結果を表2に示す。
上述の作製例1〜6及び比較作製例1〜3のプリプレグの樹脂流れ性を評価した。樹脂流れ性の評価は、プリプレグ試験規格JIS−C−6521に準拠した。評価結果を表2に示す。
両面銅張積層板の作製
上述の作製例1〜6及び比較作製例1〜3のプリプレグ4枚を重ねてなる基材の両面に、厚さ18μのロープロファイル銅箔(F3−WS、M面Rz:3μm、古河電気工業社製)をM面が接するように配置し、200℃、2.9MPa、70分のプレス条件で加熱加圧成形して、両面銅張積層板(厚さ:0.5mm)を作製した。また、作製例1及び比較作製例1のプリプレグについて、銅箔に厚さ18μmの一般銅箔(GTS、M面Rz:8μm、古河電気工業社製)を用いた両面銅張積層板を、ロープロファイル銅箔を用いた場合と同一プレス条件で、それぞれ作製した。なお、実施例1〜7及び比較例1〜4の銅張積層板における作製例1〜6及び比較作製例1〜3のプリプレグと使用銅箔との組合せについては、表2に示す。
上述の作製例1〜6及び比較作製例1〜3のプリプレグ4枚を重ねてなる基材の両面に、厚さ18μのロープロファイル銅箔(F3−WS、M面Rz:3μm、古河電気工業社製)をM面が接するように配置し、200℃、2.9MPa、70分のプレス条件で加熱加圧成形して、両面銅張積層板(厚さ:0.5mm)を作製した。また、作製例1及び比較作製例1のプリプレグについて、銅箔に厚さ18μmの一般銅箔(GTS、M面Rz:8μm、古河電気工業社製)を用いた両面銅張積層板を、ロープロファイル銅箔を用いた場合と同一プレス条件で、それぞれ作製した。なお、実施例1〜7及び比較例1〜4の銅張積層板における作製例1〜6及び比較作製例1〜3のプリプレグと使用銅箔との組合せについては、表2に示す。
両面銅張積層板の特性評価
上述の実施例1〜7及び比較例1〜4の銅張積層板について、伝送損失、誘電特性、銅箔引きはがし強さ、吸水率、熱膨張係数を評価した。その評価結果を表2に示す。銅張積層板の特性評価方法は以下の通りである。
上述の実施例1〜7及び比較例1〜4の銅張積層板について、伝送損失、誘電特性、銅箔引きはがし強さ、吸水率、熱膨張係数を評価した。その評価結果を表2に示す。銅張積層板の特性評価方法は以下の通りである。
伝送損失及び誘電特性の測定
銅張積層板の伝送損失は、ベクトル型ネットワークアナライザを用いたトリプレート線路共振器法により測定した。なお、測定条件はライン幅:0.6mm、上下グランド導体間絶縁層距離:約1.0mm、ライン長:200mm、特性インピーダンス:約50Ω、周波数:3GHz、測定温度:25℃とした。また、得られた伝送損失から3GHzの誘電特性(比誘電率、誘電正接)を算出した。
銅張積層板の伝送損失は、ベクトル型ネットワークアナライザを用いたトリプレート線路共振器法により測定した。なお、測定条件はライン幅:0.6mm、上下グランド導体間絶縁層距離:約1.0mm、ライン長:200mm、特性インピーダンス:約50Ω、周波数:3GHz、測定温度:25℃とした。また、得られた伝送損失から3GHzの誘電特性(比誘電率、誘電正接)を算出した。
銅箔引きはがし強さの測定
銅張積層板の銅箔引きはがし強さは、銅張積層板試験規格JIS−C−6481に準拠して測定した。
銅張積層板の銅箔引きはがし強さは、銅張積層板試験規格JIS−C−6481に準拠して測定した。
吸水率の測定
50mm角に切断した上述の銅張積層板の両面及び片側の銅箔をエッチングし、常態とプレッシャークッカーテスト(PCT)用装置(条件:121℃、2.2気圧)中に5時間保持した後のものの重量差から、吸水率を算出した。
50mm角に切断した上述の銅張積層板の両面及び片側の銅箔をエッチングし、常態とプレッシャークッカーテスト(PCT)用装置(条件:121℃、2.2気圧)中に5時間保持した後のものの重量差から、吸水率を算出した。
銅張積層板の熱膨張係数の測定
両面の銅箔をエッチングし、5mm角に切断した上述の銅張積層板における熱膨張係数(板厚方向、30〜130℃)は、TMAにより測定した。
両面の銅箔をエッチングし、5mm角に切断した上述の銅張積層板における熱膨張係数(板厚方向、30〜130℃)は、TMAにより測定した。
同じ樹脂組成物由来の樹脂ワニス及びプリプレグを用いた場合、実施例1及び2、又は比較例1及び2から分かるように、ロープロファイル箔と一般箔と比較すると、ロープロファイル箔は伝送損失に優れ、逆に金属箔との間の引き剥がし強さ(引き剥がし強さ)は、ロープロファイル箔が劣る。
特に、従来の樹脂組成物にロープロファイル箔を用いた比較例1では、伝送損失は一般箔4.47からロープロファイル箔4.04dB/mと改善されたが、引き剥がし強さは一般箔0.84に対してロープロファイル箔0.51kN/mと低い値である。このことは、上述の課題において述べたように、伝送損失の低減には、一般箔よりもロープロファイル箔の方が優れるが、金属箔との間の引き剥がし強さでは逆であり、そのために伝送損失の低減と所要な金属箔との間の引き剥がし強さとの両立が困難であったことを裏付けるものである。この比較調整例1の従来の樹脂組成物に用いたマレイミド化合物は、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンであり、特許文献1及び2、並びに特許文献5の実施例3〜8で用いられた多官能性マレイミド類に相当する。そして、比較調整例2におけるポリフェニルメタンマレイミドは、特許文献5の実施例1、並びに特許文献3及び4のポリマレイミド化合物に相当する。
特に、従来の樹脂組成物にロープロファイル箔を用いた比較例1では、伝送損失は一般箔4.47からロープロファイル箔4.04dB/mと改善されたが、引き剥がし強さは一般箔0.84に対してロープロファイル箔0.51kN/mと低い値である。このことは、上述の課題において述べたように、伝送損失の低減には、一般箔よりもロープロファイル箔の方が優れるが、金属箔との間の引き剥がし強さでは逆であり、そのために伝送損失の低減と所要な金属箔との間の引き剥がし強さとの両立が困難であったことを裏付けるものである。この比較調整例1の従来の樹脂組成物に用いたマレイミド化合物は、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンであり、特許文献1及び2、並びに特許文献5の実施例3〜8で用いられた多官能性マレイミド類に相当する。そして、比較調整例2におけるポリフェニルメタンマレイミドは、特許文献5の実施例1、並びに特許文献3及び4のポリマレイミド化合物に相当する。
そして、表2から明らかなように、本発明の樹脂組成物を用いた実施例1〜7の積層板特性としては、比誘電率3.4以下、誘電正接0.004以下と優れ、伝送損失も一般箔を用いた実施例2が4.37、ロープロファイル箔を用いた実施例1及び3〜7が4.06以下と良好であり、同じ銅箔種類を用いた各比較例とほぼ同等のレベルを示すが、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100)を用いている実施例3、5及び6の積層板は、各比較例と比べて低熱膨張化と低吸水率化が図られ(なお、実施例7は無機充填剤の併用による低熱膨張特性が発現。)、N−フェニルマレイミドを用いている実施例1、2、5及び6のプリプレグは樹脂流れが向上しており、成形性の向上に有利である。さらに、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(BMI−4000)を用いている樹脂組成物とロープロファイル箔を用いた実施例1、3〜7の積層板は、ロープロファイル箔を用いているにも関わらず、銅箔引き剥がし強さ0.66以上と、ロープロファイル箔を用いている比較例よりも優れ、伝送損失の低減と引き剥がし強さの両立に極めて有効な樹脂組成物であることが明らかである。
本発明の樹脂組成物は、ポリブタジエン樹脂と特定のマレイミド化合物からなる樹脂組成物という新規な構成を有し、そのために印刷配線板とした場合に、優れた高周波特性と低吸湿性及び低熱膨張特性を発現し、かつ金属箔との間の高い引き剥がし強さと良好な成形性を達成できる。
また、本発明の樹脂組成物は、樹脂ワニス、プリプレグ及び金属張積層板を提供することができる。したがって、本発明の樹脂組成物及びこれを用いた樹脂ワニス、プリプレグ、金属張積層板は、高周波帯域での伝送損失を充分な程度までに低減可能となるため、高周波分野で使用される印刷配線板の製造に好適に用いることができる。
そして、本発明は、高周波帯域、例えば1GHz以上の高周波信号を扱う移動体通信機器やその基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワーク関連電子機器及び大型コンピュータ等の各種電気・電子機器に使用される印刷配線板の部材・部品用途として有用である。
また、本発明の樹脂組成物は、樹脂ワニス、プリプレグ及び金属張積層板を提供することができる。したがって、本発明の樹脂組成物及びこれを用いた樹脂ワニス、プリプレグ、金属張積層板は、高周波帯域での伝送損失を充分な程度までに低減可能となるため、高周波分野で使用される印刷配線板の製造に好適に用いることができる。
そして、本発明は、高周波帯域、例えば1GHz以上の高周波信号を扱う移動体通信機器やその基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワーク関連電子機器及び大型コンピュータ等の各種電気・電子機器に使用される印刷配線板の部材・部品用途として有用である。
Claims (14)
- (A)側鎖に1,2−ビニル基を有する1,2−ブタジエン単位を分子中に40%以上含有し、かつ化学変性されていないブタジエンポリマー及び(B)マレイミド化合物、又は(A)成分と(B)成分とのプレポリマーを成分としてなる樹脂組成物であって、
(B)成分が、一般式(2):
(式中、R2は、−C(Xc)2−又は−O−であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xcは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、pは0〜10の整数を示し、qは2〜10の整数を示す。)
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物である印刷配線板用樹脂組成物。 - (B)成分が、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンである、請求項1記載の印刷配線板用樹脂組成物。
- さらに(G)マレイミド化合物を含有し、(G)成分が、プレポリマーを構成しないマレイミド化合物であり、(B)成分とは別に含有される追加分のマレイミド化合物である、請求項1又は2記載の印刷配線板用樹脂組成物。
- (G)成分が、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド、並びに下記一般式(1)及び一般式(3):
(式中、R1は、−C(Xb)2−、−CO−、−O−、−S−、−SO2−、又は連結する結合であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xaは炭素数2以上のアルキル基を少なくとも1つ以上含み、炭素数1〜4のアルキル基を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xbは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xa及びそれぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、mは0〜10の整数を示し、nは1〜10の整数を示す。)
(式中、R2は、−C(Xc)2−、−CO−、−O−、−S−、−SO2−、又は連結する結合であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい、Xcは炭素数1〜4のアルキル基、−CF3、−OCH3、−NH2、ハロゲン原子又は水素原子を示し、それぞれ同一又は異なっていてもよい、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、pは0〜10の整数を示し、qは2〜10の整数を示す。)
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上のマレイミド化合物である、請求項3記載の印刷配線板用樹脂組成物。 - (G)成分が、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン又はビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを含有する少なくとも一種以上のマレイミド化合物である、請求項3記載の印刷配線板用樹脂組成物。
- (A)成分と(B)成分とのプレポリマーが、(B)成分の転化率が5〜100%の範囲となるように予備反応させて得るプレポリマーである請求項1〜5のいずれか1項記載の印刷配線板用樹脂組成物。
- (B)成分の配合割合が、(A)成分100重量部に対して2〜200重量部の範囲である請求項1〜6のいずれか1項記載の印刷配線板用樹脂組成物。
- さらに(C)ラジカル反応開始剤を含有する、請求項1〜7のいずれか1項記載の印刷配線板用樹脂組成物。
- さらに(D)臭素系難燃剤及びリン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種類以上を含有する、請求項1〜8のいずれか1項記載の印刷配線板用樹脂組成物。
- さらに(E)無機充填剤を含有する、請求項1〜9のいずれか1項記載の印刷配線板用樹脂組成物。
- さらに(F)スチレン系飽和型熱可塑性エラストマを含有する請求項1〜10のいずれか1項記載の印刷配線板用樹脂組成物。
- 請求項1〜11のいずれか1項記載の印刷配線板用樹脂組成物を溶媒に溶解又は分散させて得られる樹脂ワニス。
- 請求項12記載の樹脂ワニスを基材に含浸後、60〜200℃で乾燥させて得られるプリプレグ。
- 請求項13記載のプリプレグを1枚以上重ね、その片面又は両面に金属箔を配置し、加熱加圧して得られる金属張積層板。
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