JP2010280609A - 肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血の治療剤 - Google Patents

肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血の治療剤 Download PDF

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Abstract

【課題】肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血のいずれの治療にも有効であるため適用範囲が広く、これらの2以上の症状が併発した場合にも1の薬剤で簡便に治療を行なうことができ、しかも、安全性及び有効性に優れる治療剤を提供することを目的とする。
【解決手段】トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血の治療剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血の治療剤に関する。
肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血は、年齢および性別に関係なく多発する症状であり、日常生活、仕事、スポーツ時などにおいては、これらのうち2以上の症状が併発することが多い。例えば、肩こり、腰痛及び筋肉痛の治療には、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、フェルビナクなどのシクロオキシゲナーゼ阻害薬を有効成分とする消炎鎮痛剤が使用されている。しかしながら、これらの消炎鎮痛剤は外傷による内出血には効果がない。このため、例えば該外傷による内出血と筋肉痛とを併発した場合には、外傷による内出血及び筋肉痛それぞれに対して、外傷による内出血用の治療剤及び筋肉痛の治療剤を使用する必要があった。
しかしながら、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血それぞれの治療において、症状ごとに別の薬剤を使用することは、処置が煩雑であった。また、複数の薬剤を選択する必要があるため煩雑であるという問題もあった。さらに、症状ごとに複数の薬剤を購入することは経済的にも負担が大きかった。このため、1つの薬剤で肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血のうち2以上の症状を治療できる、適用範囲が広い薬剤が望まれていた。
また、シクロオキシゲナーゼ阻害薬は、内因性プロスタグランジンの合成を阻害する作用を有するため、シクロオキシゲナーゼ阻害薬を使用する場合には、防御機構低下による消化管粘膜障害や、心筋梗塞などの心血管合併症のリスクについて留意する必要がある。このため、より安全性の高い薬剤も望まれていた。
一方、Ethyl-3,5,6-tri-O-benzyl-D-glucofuranoside(一般名:トリベノシド(tribenoside))は、スイスチバガイギー社のHuberらにより1957年(昭32年)に合成された六炭糖グルコフラノースの誘導体で下記の構造式で表わされる化合物である。
Figure 2010280609
トリベノシドは、薬理作用として血液循環障害改善作用、抗浮腫作用、創傷治癒促進作用などを有することが知られており、これらの薬理作用から、痔疾患治療用薬剤に使用されている(特許文献1)。また、ジクロフェナク及びトリベノシドを併用する骨関節炎の治療剤が開示されている(特許文献2)。さらに、トリベノシドを虚血および/または虚血もしくはエネルギー欠乏に関連する異常を治療および/または予防に用いること(特許文献3)が開示されている。また、血管保護作用を有する化合物と、コエンチームQ10を含有する血管保護剤において、血管保護作用を有する化合物の一つとして、トリベノシドが挙げられている(特許文献4)。
しかしながら、トリベノシドが肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血の治療に有効であることについては、一切報告がなく知られていない。
特開平10−49685号公報 国際公開第WO96/18403号公報 特表2001−526658号公報 特開昭61−280424号公報
本発明は、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血のいずれの治療にも優れた有効性を示すため適用範囲が広く、これらの2以上の症状が併発した場合にも1の薬剤で簡便に治療又は処置を行なうことができ、しかも、安全性に優れる治療剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、多種の薬物について治療効果を鋭意検討した結果、痔疾患の治療に用いられている有効成分トリベノシドが、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血のいずれの治療においても有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。トリベノシドが血液循環障害改善作用などを有することは知られていたが、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血の治療に有効であることは知られておらず、トリベノシドがこのような多様な症状に優れた効果を示すことは、全く予想外の知見であった。さらに、本発明の治療剤は、例えばシクロオキシゲナーゼ阻害剤を併用する場合であっても、その配合量を従来の治療剤よりも少なくすることができることから、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血の治療に、より安全性の高い剤を提供できることに想到した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(9)に関する。
(1)トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする肩こり治療剤。
(2)トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする腰痛治療剤。
(3)トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする筋肉痛治療剤。
(4)トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする打撲治療剤。
(5)トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする捻挫治療剤。
(6)トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする頸肩腕症候群治療剤。
(7)トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする外傷による内出血用治療剤。
(8)トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫及び頸肩腕症候群からなる群より選択される少なくとも1種、並びに外傷による内出血の治療剤。
(9)肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血からなる群より選択される少なくとも1種の治療のための、トリベノシドの使用。
本発明はまた、トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有する組成物を患部に適用することを特徴とする、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血からなる群より選択される少なくとも1種の治療方法に関する。
本発明はさらに、トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有する組成物を患部に適用することを特徴とする、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫及び頸肩腕症候群からなる群より選択される少なくとも1種、並びに外傷による内出血の治療方法に関する。
本発明によれば、日常生活、仕事、スポーツなどにおいて併発することが多い肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血のうちの2以上を、症状ごとに複数の薬剤を選択することなく一つの薬剤で治療することが可能となる。このため、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血のうち2以上を併発した場合にも、治療又は処置を簡便に行うことができる。さらに、本発明の治療剤に、例えばシクロオキシゲナーゼ阻害剤を配合する場合であっても、その配合量を従来の治療剤よりも少なくすることができることから、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血に、より安全性の高い剤を提供できる。
本発明の治療剤は、トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有するものである。
本発明の治療剤は、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血のいずれにも有効であることから、肩こり治療剤、腰痛治療剤、筋肉痛治療剤、打撲治療剤、捻挫治療剤、頸肩腕症候群治療剤又は外傷による内出血用治療剤として用いることができるものである。本発明の治療剤はまた、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血のうちの少なくとも2種に対する治療剤としても好適である。中でも、本発明の治療剤は、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫及び頸肩腕症候群からなる群より選択される少なくとも1種、並びに外傷による内出血の治療剤として好適なものである。
なお、本発明における外傷による内出血とは、打ち身、打撲、捻挫などにより生じる青あざ(皮下出血)を意味する。
本発明の治療剤を、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血のうちの少なくとも2種を併発した場合に適用する場合は、(1)体の同じ部位において肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血のうちの2種以上を発症した(又は有する)場合、(2)これらの症状の2種以上を、それぞれ別の部位で発症した(又は有する)場合(つまり、2種以上の症状ごとに、患部が異なる場合)のいずれの場合においても、本発明の治療剤を患部に適用することにより、該2種以上の症状を効果的に治療できる。2種以上の症状、例えば、筋肉痛と外傷による内出血とを同部位に発症した(有する)とは、筋肉痛を発症した部位と外傷による内出血を発症した部位とが、少なくとも一部重なっていることを意味する。
本発明において、「治療」とは、病態を完全に治癒させることの他、完全に治癒しなくても症状の進展及び/又は悪化を抑制し、病態の進行をとどめること、又は病態の一部若しくは全部を改善して治癒の方向へ導くことを意味する。
医薬上許容できるキャリア(賦形剤)は、疎水性基剤又は親水性基剤のいずれでもよい。
疎水性基剤としては、例えば、常温で液状であるヤシ油、パーム核油、ツバキ油、オリーブ油、大豆油、ゴマ油、トウモロコシ油、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ミリスチン酸イソプロピル、流動パラフィン;常温で半固形状の白色ワセリン、精製ラノリン、ゲル化炭化水素、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの界面活性剤、ステアリルアルコール、セタノールなどの高級アルコールの1種または2種以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではなく医薬上許容されるものであればよい。本発明における疎水性基剤としては、白色ワセリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、流動パラフィン等が好ましい。
親水性基剤としては、例えば、精製水、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、1,3―ブチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールの1種又は2種以上の組み合わせ、更に水溶性高分子であるヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カルメロース、カルメロースナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく医薬上許容されるものであればよい。親水性基剤としては、精製水及び/又はポリエチレングリコールと、ゲル化剤であるヒドロキシプロピルセルロースとの組み合わせなどが好ましい。
本発明の治療剤には、所望により他の有効成分を配合することができる。このような有効成分としては、通常肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群又は外傷による内出血の治療剤に使用される成分が好ましく、例えば、血行促進剤が挙げられる。血行促進剤としては、例えば、アルニカ、イチョウ、イラクサ、ウイキョウ、エンメイソウ、オウバク、オタネニンジン、オトギリソウ、オノニス、カミツレ、カラシナ、キイチゴ、キナ、クスノキ、グビジンソウ、クララ、ケイ、コウホネ、サルビア、サンザシ、サンショウ、ジオウアルニカ、シブガキ、シャクヤク、ショウガ、ショウキョウ、ショウブ、セイヨウサンザシ、セイヨウトチノキ、セイヨウトチノミ、センキュウ、センブリ、ダイオウ、タイム、ダイダイ、タマサキツツラフジ、タマネギ、チョウジ、テルミナリア、テンダイウヤク、トウガラシ、トウキ、トウキンセンカ、トウショウ、ドクダミ、ニラ、ニンニク、ニンジン、ネギ、ハッカ、ハマメリス、ビスナガベラ、ブドウ、ベニバナ、ボタイジュ、ボタン、ホップ、マツ、マロニエ、マンネリロウ、メリッサ、メリロート、ヤマザクラ、ヤマボウフウ、ヤマモモ、ユーカリ油、ヨモギ、ラッキョウ、ラベンダー、リンドウなどの植物エキス;ニコチン酸(別名ナイアシンアミド)及びその誘導体(ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸β−ブトキシエチル);ビタミンE及びその誘導体(酢酸トコフェロール等)などのビタミン類;デキストラン硫酸ナトリウム等の高分子;へパリン及びその類似物質;炭酸ガス、クロロゲン酸類、カフェ酸、フェルラ酸などの有機酸及びそれらの塩;オロチン酸エステル、酢酸エステル、コハク酸エステルなどのエステル類;フェニルシクロアルキルエーテル誘導体、メトキシフェニルアルキルエーテル誘導体、メトキシ基置換フェニルアルコキシアルキルエーテル誘導体、バニリルブチルエーテル等のエーテル類;l−メントール、オリザノール、ヒノキチオール等のテルペン系アルコール;アセチルコリン(アミノアルコール)及びその誘導体;カフェイン(アルカロイド)及びその誘導体;塩化カプロニウム(四級アンモニウム);ミノキシジル及びその類縁体;オクチルフタリド、セファラチン、カンフル、ノニル酸ワニリルアミドなどが挙げられる。中でも、カンフル、トコフェロール酢酸エチル、グリチルレチン酸、ユーカリ油、サリチル酸メチル、ノニル酸ワニリルアミド、オウバクエキス、l−メントール、トウガラシエキスなどが好ましい。
本発明における他の有効成分としては、例えば、リドカインまたはジブカインなどの局所麻酔剤;インドメタシン、アスピリンなどの解熱鎮痛消炎剤;サリチル酸メチルなどの消炎鎮痛剤;塩化リゾチームまたはグリチルレチン酸などの消炎剤;クロタミトンなどの鎮痒剤;アラントイン等の創傷治癒剤;肝油、エルゴカルシフェロール、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、トコフェロールまたは酢酸トコフェロールなどのビタミン剤;スルフイソミジン、スルフイソミジンナトリウム、ホモスルファミンまたはスルファジアジンなどのサルファ剤;塩酸クロルヘキシジン、セトリミド、塩化デカリニウムまたは塩化ベンザルコニウムなどの殺菌剤;ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤;抗生物質なども挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の治療剤は、外用剤であることが好ましい。本発明の治療剤の剤形は、例えば、軟膏剤、ゲル、クリーム剤、エアゾール剤、液剤、懸濁剤、乳剤、貼付剤、パップ剤、硬膏剤、リニメント剤、ローション剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の治療剤には、さらに必要に応じて、通常医薬製剤に配合される溶解補助剤、pH調節剤、保湿剤、防腐剤、粘凋化剤、界面活性剤、溶媒、乳化剤、安定化剤、緩衝剤、懸濁化剤、芳香剤、経皮吸収促進剤などを、剤型に応じて適宜添加してもよい。
(軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤の場合)
吸収促進剤としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピルなどの脂肪酸エステル;エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルコール類;メントールなどのテルペン類などが挙げられる。
乳化剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、セスキオレイン酸ソルビタン、ラウロマクロゴールなどが挙げられる。
軟膏剤、ゲル剤及びクリーム剤に用いられる懸濁化剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられる。その他、抗酸化剤としては、トコフェロール、安息香酸類、フェノール類やキノン類などが挙げられる。保存剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類などが挙げられる。保湿剤としては、グリセリン、D−ソルビトール、プロピレングリコールなどが挙げられる。防腐剤としては、高級アルケン酸(例えば、オレイン酸)などが挙げられる。
(エアゾール剤の場合)
保存剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウムなどが挙げられる。安定化剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸などが挙げられる。湿潤剤としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールが挙げられる。油分としては、スクワラン、流動パラフィンなどの炭化水素類;ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル及びミリスチン酸オクチルドデシルなどのエステル類が挙げられる。
(貼付剤の場合)
可塑剤としては、例えば、ハイシスポリイソプレンゴム、ポリブテン、ポリイソブチレンなどの液状ゴム;プロセスオイル、エキステンダーオイル、流動パラフィンなどの石油系軟化剤などが挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤のBHT(化学名:ジブチルヒドロキシトルエン)及びBHA(ジブチルヒドロキシアニソール)などが挙げられる。
貼付剤の支持体としては、フィルム、不織布、和紙、綿布、編布、不織布及びフィルムのラミネート複合体などの柔軟性を有する支持体が挙げられる。これらの支持体は、皮膚に密着することができ、かつ、皮膚の動きに追随することができる程度の柔軟な材質が好ましい。このような支持体の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ナイロン、コットン、アセテートレーヨン、レーヨン、レーヨン/ポリエチレンテレフタレート複合体、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、アクリル系ポリウレタン、エステル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタン、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、セロハンなどを必須成分とするものが挙げられる。支持体としては、薬物が吸着されず、かつ、支持体側から薬物が放出されないものが好ましい。
(硬膏剤の場合)
可溶化剤としては、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
吸収促進剤として、ミリスチン酸イソプロピル、レモンオイル、リモネン、クロタミトン、エタノール、ベンジルアルコール、ハッカ油、L−メントールなどが挙げられる。
(パップ剤の場合)
非イオン性界面活性剤としては、モノオレイン酸ジグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;モノパルミチン酸ポリオキシエチレングリコールソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリコールソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ヘキサステアリン酸ポリオキシエチレングリコールソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレングリコールソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどが通常用いられるが、中でもモノオレイン酸ジグリセリル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(2EO)、セスキイソステアリン酸ソレビタン、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油が特に好ましい。
パップ剤に用いられる水溶性高分子としては、ゼラチン、寒天、アルギン酸、マンナン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、メチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウムなど、あるいは、これらのうちの少なくとも一種を有機又は無機の架橋剤により架橋させたものなどが好適なものとして挙げられる。
パップ剤に用いられる湿潤剤(保湿剤)としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、還元麦芽糖水飴などの多価アルコールが好適なものとして挙げられる。
パップ剤とする場合は、更に、高分子を架橋させて粘着力を増加させるための架橋剤や、充填剤、防腐剤、pH調整剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、吸収促進剤などの添加剤を製剤処方的に許容できる範囲で含有してもよい。
架橋剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートなどの多価金属化合物;ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテルなどの有機化合物などが好適なものとして挙げられる。また、2種以上の架橋剤を組み合わせて用いてもよい。
パップ剤に用いられる上記の諸成分以外の添加剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、チモール、イソプロピルメチルフェノールなどの防腐剤;水酸化ナトリウム、クエン酸、酢酸、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのpH調整剤;アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸エステル、ビタミンE、ビタミンE酢酸エステル、エデト酸二ナトリウムなどの抗酸化剤;カオリン、亜鉛華、二酸化チタン、タルク、ベントナイト、含水ケイ酸ナトリウムなどの無機充填剤;p−アミノ安息香酸エチル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、サリチル酸フェニルなどの紫外線吸収剤;l−メントールなどの冷感成分;カプサイシンなどの温感成分;クロタミトン、界面活性剤以外の安定化剤;吸収促進剤などが挙げられる。
(ローション剤の場合)
ローション剤に用いられる保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル及びスクワランなどの単独或いはこれらの混合物が挙げられる。
ローション剤に用いられる界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの単独或いはこれらの混合物が挙げられる。防腐剤としては、例えばソルビン酸、安息香酸ナトリウム及びパラオキシ安息香酸エステル類が挙げられ、中でもパラオキシ安息香酸メチル及びパラオキシ安息香酸プロピルの混合物が通常よく用いられる。更に安定剤として、例えばエデト酸ニナトリウムなどが用いられる。
本発明の治療剤は、その剤型に応じて、それ自体公知の方法で製造することができ、通常、有効成分であるトリベノシド(及び所望により他の有効成分)及び医薬上許容できるキャリアを、自体公知の方法によって混合及び/又は溶解、又はトリベノシド(及び所望により他の有効成分)を医薬上許容できるキャリア中に分散させることによって製造される。例えば、軟膏を製造する場合は、通常、トリベノシド及び医薬上許容しうるキャリア(並びに所望により配合される他の有効成分)を混合し、加温(通常約40〜80℃)してこれらの成分を溶解させて溶液とした後、該溶液を室温まで冷却し、適宜成型することによって製造できる。また、ゲル、ローション、クリーム剤、乳剤、液剤、スプレー剤を製造する場合も、上記トリベノシドを医薬上許容しうるキャリア(並びに所望により配合される他の有効成分)に溶解又は分散し、それ自体公知の方法で成型して目的の製剤とすることができる。
本発明の治療剤におけるトリベノシドの配合量は、治療剤に対して通常約0.5〜40質量%、好ましくは約1〜20質量%である。
本発明の治療剤の投与方法は特に限定されるものでなく、剤型により適宜選択すればよいが、好ましくは、経皮投与である。具体的には軟膏などであれば患部に直接塗布することが好ましい。貼付剤、パップ剤などであれば、通常、患部に該剤を貼付する。
本発明の治療剤の投与量は、本発明の効果を奏することになる限り特に限定されない。
本発明の治療剤の好ましい投与対象は、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血からなる群より選択される少なくとも1種の症状を発症した(症状を有する)患者である。肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血からなる群より選択される少なくとも2種の症状を発症した(症状を有する)患者も好適である。より好ましくは、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫及び頸肩腕症候群からなる群より選択される少なくとも1種、並びに外傷による内出血を発症した(症状を有する)患者である。また、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血からなる群より選択される少なくとも2種の症状を発症した(症状を有する)患者は、該2種以上の症状を同部位に発症して(有して)いてもよく、別々の部位に発症して(有して)いてもよい。
本発明は、トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有する組成物を患部に適用する、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血からなる群より選択される少なくとも1種の治療方法も包含する。トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有する組成物としては、上述した治療剤が好適である。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
(肩こりへの治療効果)
患者:成人(男性)
症状:肩こり
適用:トリベノシドを配合する軟膏(100g中トリベノシド11.3gを含有する。添加物として、中鎖脂肪酸トリグリセリド:25g、ミツロウ:3g、白色ワセリン:適量を含有する。)を1日2回、1回につき約0.2gを3日間にわたって患部に塗布した。
結果:肩こりが改善した。
<実施例2>
(腰痛への治療効果)
患者:成人(男性)
症状:腰痛
適用:トリベノシドを配合する軟膏(100g中トリベノシド11.3gを含有する。添加物として、中鎖脂肪酸トリグリセリド:25g、ミツロウ:3g、白色ワセリン:適量を含有する。)を1日2回、1回につき約0.2gを3日間にわたって患部に塗布した。
結果:腰痛が改善した。
<実施例3>
(青あざ(皮下出血)の治療効果)
患者:子供(女性)
症状:ひざに直径約1cmの青あざ(打撲によるもの)があった。
適用:トリベノシドを配合する軟膏(100g中トリベノシド11.3gを含有する。添加物として、中鎖脂肪酸トリグリセリド:25g、ミツロウ:3g、白色ワセリン:適量を含有する。)を1日2回、1回につき約0.2gを3日間にわたって患部に塗布した。
結果:青あざ(皮下出血)及び痛みが消失した。
本発明の治療剤は、肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血のいずれの治療においても有用であり、安全性が高いため長期使用可能なものである。

Claims (9)

  1. トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする肩こり治療剤。
  2. トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする腰痛治療剤。
  3. トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする筋肉痛治療剤。
  4. トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする打撲治療剤。
  5. トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする捻挫治療剤。
  6. トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする頸肩腕症候群治療剤。
  7. トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする外傷による内出血用治療剤。
  8. トリベノシド及び医薬上許容できるキャリアを含有することを特徴とする肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫及び頸肩腕症候群からなる群より選択される少なくとも1種、並びに外傷による内出血の治療剤。
  9. 肩こり、腰痛、筋肉痛、打撲、捻挫、頸肩腕症候群及び外傷による内出血からなる群より選択される少なくとも1種の治療のための、トリベノシドの使用。
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