JP2010279144A - 熱膨張性耐火材料および耐火成形体および防火処理方法 - Google Patents

熱膨張性耐火材料および耐火成形体および防火処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 防火区画における長尺体貫通部の防火処理において、熱膨張性耐火材料の利用効率を高めながら、熱膨張性耐火材料によって長尺体貫通部の開口部を閉塞する防火処理の信頼性を高め、さらに防火処理の施工作業が効率的に行えるような防火処理方法を提供する。
【解決手段】 樹脂材料M1と膨張材料を主成分として混練された熱膨張性耐火材料Mにおいて、加熱により収縮する棒状または繊維状の収縮性材料M2が、所定の方向に配向するように含まれるようにする。上記熱膨張性耐火材料により耐火成形体1を形成し、耐火成形体の表面に沿って収縮性材料が配向されるようにする。上記耐火成形体1を長尺体貫通部の隙間に挿入して防火処理を行う際に、長尺体の長さ方向に沿って収縮性材料が配向されるようにする。収縮性膨張材料M2の配向は、熱膨張性耐火材料Mや耐火成形体1を延伸することにより行うことができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、建物などの防火区画を画成する防火壁や床などを、ケーブルや配管などの長尺体が貫通する長尺体貫通部の防火処理に使用される熱膨張性耐火材料や耐火成形体、およびそれらを用いた防火処理方法に関するものである。
建築物の防火区画壁や床には、ケーブル(プラスチック被覆電線)や配管などの貫通物(長尺体)が貫通するための貫通穴が設けられている。これらの貫通穴では、火災の際に貫通物が延焼して火災が広がるのを防止するために、貫通穴に防火処理を施す必要がある。
こうした箇所における従来の防火処理は、貫通物と貫通穴の隙間を、直接シート状耐火材やパテ状防火材で覆う処理であった。こうした処理は、現場での施工の手間が大きく、工事期間・費用がかさむ上に、貫通物の追加や除去の融通性に欠けるものであった。
そうした問題を解決するために、以下の特許文献1ないし特許文献3に示されたような技術(耐火処理部材)が提案されている。
特許文献1には、貫通穴と長尺体の隙間に装着可能な厚みを有し、かつ長尺体の外周に沿って捲回可能な長さと可撓性を有する熱膨張性耐熱シール材を、保持手段と共に長尺体貫通部に敷設して防火処理をすることが開示されている。また、特許文献2には、熱膨張性黒鉛や熱膨張性ゴムを主材料に、円筒状本体の長手方向に割り溝を有するように形成された防火区画貫通部材を、ケーブルなどの周囲にワンタッチで装着して貫通穴の内部に敷設して防火処理をすることが開示されている。また、特許文献3には、長尺体貫通部の防火処理方法に関し、長尺体貫通部の開口部を閉塞する熱膨張性耐火シール材を設け、さらに熱膨張性耐火シール材の外側を被覆するように貫通穴外方への膨張を抑制する膨張抑制手段を設けることが開示されている。
特開2000−240854号公報 特許第3853718号公報 特開2007−32631号公報
しかしながら、これら従来の耐火処理方法においては、その取り扱い性や施工性、および火災時の貫通部閉塞の能力およびその信頼性にいまだ改良の余地がある。
例えば、特許文献1や特許文献2に開示された防火処理方法によれば、防火処理の施工性は向上するものの、火災等の際に貫通穴の内部で膨張する熱膨張性耐火材料が、貫通部の開口から外側に漏れ出しやすいため、熱膨張性耐火材料の利用効率が低かった。また、膨張する熱膨張性耐火材料の漏れ出しが著しい場合には、長尺体貫通部の隙間を完全に閉塞するのに十分な熱膨張性耐火材料が貫通穴と長尺体の隙間にゆきわたらず、防火処理の信頼性が不十分なものとなるおそれもある。
一方、特許文献3に記載された防火処理方法によれば、熱膨張性耐火シール材の外側を被覆するように設けられた膨張抑制手段により貫通穴外方への膨張が抑制されて、長尺体貫通部の開口部を閉塞する信頼性が高められるが、その一方で、膨張抑制手段を粘着テープなどによって現場施工する必要があり、施工作業の煩雑さが増して作業効率が低下する傾向がある。
したがって、本発明の目的は、熱膨張性耐火材料の利用効率を高めながら、熱膨張性耐火材料によって長尺体貫通部の開口部を閉塞する防火処理の信頼性を高め、さらに防火処理の施工作業が効率的に行えるような防火処理方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そのような防火処理方法に好適に使用可能な耐火成形体(防火処理部材)や熱膨張性耐火材料を提供することにある。
発明者は、鋭意検討の結果、防火処理に使用される耐火成形体を構成する熱膨張性耐火材料中に、加熱により収縮する棒状または繊維状の収縮性材料を特定の方向に配向して含ませるようにすると、熱膨張性耐火材料が膨張する際の膨張倍率を上記配向方向において低下させることができ、熱膨張性耐火材料の膨張倍率に異方性を与えることができることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、樹脂材料と膨張材料を主成分として混練された熱膨張性耐火材料であって、加熱により収縮する棒状または繊維状の収縮性材料が、所定の方向に配向するように含まれていることを特徴とする熱膨張性耐火材料である。
本発明において、収縮性材料は熱膨張性耐火材料が加熱された際に巻縮する繊維材料であることが好ましく(請求項2)、あるいは、収縮性材料は熱膨張性耐火材料の主成分たる樹脂材料よりも融点または軟化点が高く、かつ熱膨張性耐火材料の主成分たる樹脂材料とは相溶性のない熱可塑性樹脂材料を棒状または繊維状にした材料であることが好ましい(請求項3)。
また、本発明は、上記熱膨張性耐火材料を板状またはシート状またはチューブ状に形成した耐火成形体であって、棒状または繊維状の収縮性材料の配向方向が、耐火成形体の板またはシートまたはチューブの表面に沿う方向となるようにしたことを特徴とする耐火成形体である(請求項4)。
また、本発明は、上記耐火成形体を長尺体貫通部の貫通穴と長尺体の間の隙間に配置する防火処理方法であって、棒状または繊維状の収縮性材料の配向方向が、長尺体の長さ方向に沿う方向となるように耐火成形体を配置することを特徴とする防火処理方法である(請求項5)。
上記熱膨張性耐火材料や耐火成形体は、主成分たる樹脂材料を軟化させた状態で熱膨張性耐火材料を延伸させる工程により、収縮性材料を所定方向に配向させて製造することが好ましい(請求項6)。
本発明の熱膨張性耐火材料によれば、収縮性材料が配向された方向については熱膨張性耐火材料の膨張が抑制され、収縮性材料の配向方向と直交する方向については熱膨張性耐火材料が自由に膨張して、熱膨張性耐火材料の膨張倍率に異方性を与えることができる。
さらに、収縮性材料として、熱膨張性耐火材料が加熱された際に巻縮する繊維材料や、あるいは、熱膨張性耐火材料の主成分たる樹脂材料よりも融点または軟化点が高く、かつ熱膨張性耐火材料の主成分たる樹脂材料とは相溶性のない熱可塑性樹脂材料を棒状または繊維状にした材料を採用した場合には、さらに効果的に膨張倍率に異方性を発現させることができる。
また、本発明の熱膨張性耐火材料により、収縮性材料の配向方向が、耐火成形体の表面に沿う方向となるようにして、板状またはシート状またはチューブ状の耐火成形体を形成すれば、このような耐火成形体は、耐火成形体の表面に垂直な方向には自由に膨張する一方で、収縮性材料が配向された面内方向には膨張が抑制されるようになり、耐火成形体の厚み方向には十分な膨張倍率を持たせながら、耐火成形体の表面に沿う特定の方向(配向方向)にはその膨張を抑制できるように膨張倍率に異方性を持たせることができる。このような膨張特性は、比較的薄肉に成形される耐火成形体として施工の容易性を高めつつ防火処理の信頼性を高める上で特に好ましいものである。
そして、長尺体貫通部の貫通穴と長尺体の間の隙間に、棒状または繊維状の収縮性材料の配向方向が長尺体の長さ方向に沿う方向となるように上記耐火成形体を配置するような防火処理方法とすれば、膨張が不要、むしろ膨張させたくない方向である長尺体長さ方向については耐火成形体の膨張が抑制される一方、他の方向には耐火成形体が自由に膨張して長尺体貫通部の隙間をふさぐことができる。したがって、熱膨張性耐火材料の材料利用効率を高めながら、同時に防火処理の信頼性を高めることができる。しかも、本防火処理方法によれば、長尺体貫通部の開口部から膨張した耐火材料が漏れ出すことが抑制されるので、特許文献3に記載されたような膨張抑制手段を別途施工する必要もなく、防火処理を簡単に行うことができる。
また、本発明の熱膨張性耐火材料や耐火成形体を、主成分たる樹脂材料を軟化させた状態で熱膨張性耐火材料を延伸させる工程により、収縮性材料を所定方向に配向させるようにして製造すれば、簡単に本発明の熱膨張性耐火材料や耐火成形体を製造できる。
本発明実施形態の耐火成形体の形状を示す図である。 本発明実施形態の熱膨張性耐火材料中の収縮性材料の配向状態を示す図である。 本発明実施形態の耐火成形体を用いて長尺体貫通部に耐火処理を行った状態を示す図である。 本発明の他の実施形態の耐火成形体の形状を示す図である。 図4に示した耐火成形体を用いて長尺体貫通部に耐火処理を行った状態を示す図である。 本発明の他の実施形態の熱膨張性耐火材料において収縮性材料の配向を示す図である。 本発明のさらに他の実施形態の耐火成形体の形状を示す図である。
以下、図面を使用して本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、防火処理部材である耐火成形体を用いて、防火区画を区画する防火壁(軽量発泡コンクリート製)に設けられた貫通穴に、長尺体として電力ケーブルが挿通された長尺体貫通部の防火処理を行う実施形態を中心に説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る耐火成形体1を示す。耐火成形体1は、熱膨張性耐火材料をシート状に成形して構成されたものであり、図3に示すようにケーブル12,12に巻きつけられたりして、長尺体貫通部の長尺体12の外周面と貫通穴11の内周面との間の隙間に配置されて防火処理に使用される。
まず、耐火成形体1を構成する熱膨張性耐火材料Mについて説明する。
熱膨張性耐火材料Mは、樹脂材料と膨張材料とを主成分として混練され、さらに加熱により収縮する棒状または繊維状の収縮性材料を所定の方向に配向するように含まされた耐火性樹脂組成物である。
熱膨張性耐火材料Mの主成分の樹脂材料M1としては、弾力性のあるゴムや樹脂やエラストマーが使用できる。すなわち、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、熱可塑性エラストマー(オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマーなど)、α-オレフィン系コポリマー、エチレン系コポリマー等が例示される。上記樹脂材料は単独で、あるいは適宜混合して使用しても良い。耐火成形体1の施工性を高める観点からは、熱膨張性耐火材料Mの主成分の樹脂材料としては、弾力性に富む樹脂材料を使用することが好ましい。
さらに、上記樹脂材料として、弾力性に乏しいポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリルスチレンブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂などの樹脂材料を単独で、あるいは弾力性のある樹脂材料と混合して使用しても良い。フェノール系樹脂は加熱により硬化・炭化するので、フェノール系樹脂を樹脂材料として混合すると、耐火成形体が加熱された際に容易に軟化・変形してしまうことが防止され、耐火成形体が当初の位置に保たれやすくなり、耐火断熱層を形成することに有効である。
上記樹脂材料に混練される膨張材料は、熱膨張性黒鉛や発泡性窒素化合物などの加熱により膨張する膨張材料が使用できる。中でも、従来公知の熱膨張性黒鉛を膨張材料として使用するのが、熱膨張性耐火材料の膨張倍率を高くできるので望ましい。熱膨張性黒鉛は、後述するリン化合物と反応したりすることがないように、中和処理されたものを使用するのが望ましい。本発明における膨張材料の好ましい膨張倍率は、体積膨張率で2.5倍〜200倍、更に好ましくは5倍〜150倍である。
本発明の熱膨張性耐火材料Mには、必須成分として、加熱により収縮する棒状または繊維状の材料(以下単に「収縮性材料」と呼ぶことがある)が含まれている。
繊維状の収縮性材料としては、例えば、ウール繊維や毛繊維、パルプなどの天然繊維や、ポリエステル繊維やポリアミド繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、アクリル繊維などの合成樹脂繊維や、再生セルロース系繊維などが例示できる。繊維の太さや長さは適宜決定すればよいが、繊維の配向や、熱膨張性耐火材料の混練や、耐火成形体の成形工程が行いやすいよう、長さが20mm以内、好ましくは10mm以内、さらに好ましくは5mm以内の短繊維であることが好ましい。
繊維状収縮性材料が加熱により収縮する形態は特に限定されないが、以下のような収縮形態を例示できる。例えば、ウール繊維のように、巻縮により収縮する繊維材料の収縮形態が例示できる。繊維が巻縮により収縮する形態としては、あらかじめ巻縮した状態の繊維状収縮性材料を伸長状態で樹脂材料中に配向させておいて、樹脂材料が加熱により軟化すると、繊維状収縮性材料が伸長状態から巻縮状態に戻ろうとして収縮するような形態とすることができるほか、巻縮していないあるいは巻縮が少ない状態の繊維状収縮性材料を樹脂材料中に配向させておいて、加熱されることで繊維状収縮性材料自体が変質して巻縮し、収縮するような形態としてもよい。
繊維の巻縮による収縮が発現しやすいように、繊維はフィブリル化された繊維であることが特に好ましく、そのような繊維としては、パルプや再生セルロース系繊維を例示することができる。
また、繊維の収縮形態としては、繊維状の収縮性材料が、繊維長さ方向に収縮する形態もある。例えば、熱可塑性合成樹脂繊維などは、加熱されて繊維材料が軟化する際に、内部応力や表面張力の作用により繊維長さ方向に収縮する。繊維状の収縮性材料が熱可塑性樹脂繊維である場合には、加熱による収縮性が発現しやすいよう、繊維素材を製造する際において延伸工程を経て製造された繊維であることが特に好ましい。
棒状の収縮性材料としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂を長さ5mm程度の棒状にした収縮性材料が例示できる。これら熱可塑性樹脂は、あらかじめ短い棒状に成形しておいたものを熱膨張性耐火材料の主材料である樹脂材料M1中に混練させてもよいほか、熱膨張性耐火材料の第2実施形態として後述するように、熱膨張性耐火材料の主材料である樹脂材料M1中に、樹脂材料M1と相溶性のない熱可塑性樹脂M2を混合・分散させて、樹脂材料M1と熱可塑性樹脂M2を加熱し軟化させた状態で所定方向に延伸して、熱可塑性樹脂M2を棒状にして樹脂材料M1中に含ませるようにしてもよい。
本実施形態においては、アクリル系熱可塑性エラストマーを樹脂材料M1ベース材料とし、膨張材料として熱膨張性黒鉛を配合したものに、繊維状収縮性材料として、長さ4.6mm程度のアクリル繊維を含ませて熱膨張性耐火材料を構成している。
さらに、本発明の熱膨張性耐火材料においては、図2に示すように、熱膨張性耐火材料Mに含まれる棒状または繊維状の収縮性材料M2は、棒や繊維が所定の方向に配向された状態で、熱膨張性耐火材料M中に含まれている。配向の状態は必ずしも棒状または繊維状の収縮性材料が完全に平行かつ均一に配向される必要はなく、棒状または繊維状の収縮性材料が互いになす角度αが60度以下、より好ましくは45度以下、さらに好ましくは30度以下となるように配向されていればよい。
熱膨張性耐火材料に含まれる棒状または繊維状の収縮性材料M2を配向させるには、例えば、熱膨張性耐火材料の各材料を調製・混練した段階で、熱膨張性耐火材料の主たる成分である樹脂成分が溶融あるいは半溶融状の軟化状態となるように加熱して、その状態で所定の方向に延伸(溶融延伸)をかけてやればよく、延伸の方向に棒状または繊維状の収縮性材料M2が配向する。なお、加熱により収縮する材料M2の配向は、必ずしも熱膨張性耐火材料Mを混練・調製する段階で配向させる必要はなく、耐火成形体1を形成する時点(例えば熱膨張性耐火材料Mをシート状の素材に加工する時点)で配向がなされるものであってもよい。
また、収縮性材料M2があらかじめ巻縮された繊維である場合には、熱膨張性耐火材料の各材料を調製・混練した段階で、所定の方向に溶融延伸をかけてやることにより、繊維が巻縮状態から伸長状態となって、繊維状収縮性材料M2が配向する。
本発明における熱膨張性耐火材料Mには、その他、必要に応じて以下のものを適宜加えることができる。
赤リンやリン酸エステル、リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム類などのリン化合物を加えると、難燃性を高め、耐火断熱効果を向上させることができる。特にポリリン酸アンモニウムの添加が好適である。
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの含水無機物を加えると、加熱時に脱水反応が起こり、生成した水の吸熱作用によって耐火断熱性能を向上させることができる。
本発明における熱膨張性耐火材料の加熱時の体積膨張率の好ましい範囲は2倍〜40倍であり、より好ましくは、5倍〜30倍である。膨張倍率が低いと、防火性能を確保するために多量の熱膨張性耐火材料が必要となるために不経済であり、膨張倍率が高すぎると、膨張した耐火材料が散逸しやすくなり、形成される耐火断熱層がもろくなる。したがって、適度な膨張倍率と膨張後の耐火材料の強度や耐火性が得られるように、樹脂材料と膨張材料の配合比率を調整する。
また、防火処理の施工性を高める観点から、耐火成形体2に適度な弾力性を与えるために熱膨張性耐火材料は弾力性を有する材料であることが好ましく、熱膨張性耐火材料の好ましい弾性の程度は、JIS K 7171による曲げ弾性率で1MPa〜1000MPaである。
本発明の熱膨張性耐火材料において、樹脂材料や膨張材料や収縮性材料は、以下に説明するような関係となるように、その温度特性を選択することが好ましい。膨張材料が膨張する温度帯域(すなわち、膨張開始温度以上の温度帯)において、主材料たる樹脂材料M1は、軟化・半溶融状態となるような樹脂材料であることが好ましく、収縮性材料M2は、膨張材料が膨張する温度帯域で収縮する材料であることが好ましい。すなわち、熱膨張性耐火材料Mが加熱されていく際に、膨張材料が膨張していく時点において、収縮性材料M2が同時並行的に収縮するようにその温度特性を決定・選択することが好ましい。そして、少なくとも、棒状のまたは繊維状の収縮性材料M2の分解温度(分解点)が、樹脂材料M1の軟化温度や膨張材料の膨張開始温度よりも高い温度であることが好ましい。
また、収縮性材料としては、加熱されても軟化・溶融せずに収縮するような繊維状材料であることが特に好ましい。そのような収縮性材料であれば、より幅広い温度帯域で繊維状材料による熱膨張性耐火材料の拘束効果が発揮される。そのような収縮性材料としては、例えばウール繊維などが例示できる。また、収縮性材料が加熱により軟化・溶融する材料である場合には、収縮性材料M2の融点又は軟化点が、主材料たる樹脂材料M1の融点又は軟化点よりも高いことが好ましい。
次に、上記熱膨張性耐火材料Mにより構成される耐火成形体1(図1)について説明する。耐火成形体1は、熱膨張性耐火材料Mを押出し成形等によりシート状に加工して、所定の寸法に切断して得られる略長方形状のシート状部材である。ここで、耐火成形体1の形状は、シート状に限定されず、板状であっても良く、あるいは図4に示すようなチューブ状の耐火成形体1’であってもよい。ここで、チューブ状とは、中空の筒状であること、すなわち部材の軸線方向に沿って、ほぼ同一な断面を有する中空の形状であることを意味し、円形の断面を持つ中空円筒状の形状だけを指すのではなく、楕円形状や、矩形状、多角形状の断面を持つような形状のものなどを含む。
耐火成形体1において、熱膨張性耐火材料M中に含まれる棒状または繊維状の収縮性材料M2は、図1中の矢印に示すように、シート面に沿う方向で、略長方形状の耐火成形体の一辺とおおむね平行な方向(図中のx方向)に配向されている。
調製・混練された熱膨張性耐火材料Mを押出し加工する際に、押出されたシート状帯状体を押し出しの長さ方向に延伸することによって、棒状または繊維状の収縮性材料M2をシートの長さ方向に配向することができる。延伸による配向は、必ずしも押出し直後に行う必要はなく、押出された半溶融状態のシートを2軸ロールなどによって厚み調整する際に延伸することで収縮性材料M2の配向を行ってもよい。
図4に示した耐火成形体1’を製造する場合には、熱膨張性耐火材料Mをチューブ状に押出し加工する際に延伸をかけることによって、収縮性材料M2をチューブの面に沿って、特にチューブの軸方向(m方向)に沿って配向させ、その後、所定長さに切断することによって耐火成形体1’を製造することができる。
熱膨張性耐火材料Mに使用される膨張材料が、熱膨張性黒鉛などのように、加熱時の膨張倍率に関して異方性を有する膨張材料である場合には、膨張材料の主たる膨張方向(膨張倍率が高い方向)が、シート状の耐火成形体1の厚み方向(図1や図4のz方向)となるように、膨張材料を配向させることも好ましい実施の形態である。熱膨張性黒鉛を膨張材料として選択した場合には、樹脂材料M1と膨張材料とを混練した後に、ロール圧延工程や延伸工程を経ることにより、膨張材料をそのような方向に配向することができる。
以下に、耐火成形体1を用いた長尺貫通部の防火処理方法について説明する。図3に示したような防火壁10の貫通穴11に挿通されたケーブル12の周囲に、以下のようにして耐火成形体1を押し込んで防火処理を行う。
耐火成形体1の施工に当たっては、ケーブル12の周囲を捲回できる長さを有するように形成された耐火成形体1をケーブル12,12の周囲に積層状態に捲回して、その状態で、ケーブル12に沿う方向にスライドさせて、貫通穴11とケーブル12の間の隙間に詰め込む。詰め込まれた耐火処理部材1は、貫通穴11やケーブル12との間に生ずる摩擦力によって貫通穴11の内部に保持される。ここで、耐火成形体1に含まれる加熱により収縮する収縮性材料M2が配向される方向(図1でのx方向)が、ケーブル12の長さ方向(図3でいえば、紙面に直交する奥行き方向)に沿う方向となるように、耐火成形体1を施工する。したがって、図1における耐火成形体1のx方向の長さは、防火壁10の壁厚や、貫通穴11の貫通方向長さと略同じとしておくことが好ましく、y方向の長さはケーブルを捲回するのに十分な長さとしておくことが好ましい。
以上の作業により、ケーブル外周面と貫通穴内周面の間の空間に、「の」の字状に巻かれた防火処理部材1が配置されて、当該長尺体貫通部の防火処理が完了する。
耐火成形体1を用いた防火処理方法は必ずしも上記防火処理方法に限定されず、例えば、板状に成形された耐火成形体1を、ケーブル外周面と貫通穴内周面の間の空間に平板状に並べたり、レンガ積みするように並べたりして防火処理を行ってもよい(図示省略)。なお、この場合においても、耐火成形体1に含まれる収縮性材料M2が配向される方向(図1でのx方向)が、ケーブル12の長さ方向(図3でいえば、紙面に直交する奥行き方向)に沿う方向となるように、耐火成形体1を施工する。
あるいは、図4に示したチューブ状の耐火成形体1’を用いて防火処理を行う場合には、図5に示すように、チューブ状の耐火成形体1’を、その弾力性を利用して押圧し、やや扁平にした状態で、ケーブル外周面と貫通穴内周面の間の空間に押し込んで、複数の耐火成形体1’、1’によって、ケーブルの外周を取り囲むように施工して、防火処理を行ってもよい。なお、この場合においても、耐火成形体1’に含まれる収縮性材料M2が配向される方向(図4でのm方向)が、ケーブル12の長さ方向(図5でいえば、紙面に直交する奥行き方向)に沿う方向となるように、耐火成形体1’を施工する。
以上の施工すなわち防火処理方法においては、耐火成形体1をより確実に固定するために、粘着剤や接着剤、粘着テープなどを併用してもよい。また、加熱により膨張する熱膨張性耐火材料の崩壊や散逸を防ぐために、不燃性あるいは難燃性の袋素材によって耐火成形体を包み込んで貫通穴内部に配置して防火処理を行ってもよい。また、耐火成形体1の配置の効率を高めるために、積層されるシート状耐火成形体の間に発泡樹脂やロックウールなどからなるスペーサ部材を挟み込むように施工してもよい。
以下、上記熱膨張性耐火材料Mおよび耐火成形体1の作用・効果について説明する。
本発明にかかる耐火成形体1を構成する熱膨張性耐火材料Mは、樹脂材料に膨張材料が練り込まれているので、膨張材料が粉状や小片状に脱落することが抑制・防止されるうえに、膨張材料が膨張する際にも、樹脂材料が膨張材料を包み込むような形態で一体となって膨張するため、膨張した熱膨張性耐火材料がばらばらになりにくく、長尺体貫通部の隙間を効果的に閉塞する。
さらに、本発明の熱膨張性耐火材料Mおよび耐火成形体1には、所定の方向(以下「収縮方向」ともいう)に加熱により収縮する棒状または繊維状の収縮性材料が配向されているため、火災時に熱膨張性耐火材料が膨張する際には、収縮方向の膨張を抑制できる。
すなわち、火災の際の火炎や熱風により、熱膨張性耐火材料Mの温度が徐々に上昇していくと、膨張材料が膨張を開始し、このときには熱膨張性耐火材料の主材料たる樹脂材料M1は溶融状態または半溶融状態に軟化して、熱膨張性耐火材料が膨張するのであるが、本発明においては、加熱により収縮する棒状または繊維状の収縮性材料M2が所定の方向(収縮方向)に配向されて含まれているため、主に収縮方向とは直交する方向に熱膨張性耐火材料が膨張していく。即ち、収縮性の材料M2が縮むことによって周囲の樹脂材料M1や膨張材料が引っ張られて、収縮方向では熱膨張性耐火材料の膨張が抑制・阻害され、一方、収縮方向に直交する方向にはそのような拘束効果がないために自由に膨張することになり、膨張に方向性が発現する。
したがって、本発明の熱膨張性耐火材料Mおよび耐火成形体1によれば、収縮性の材料M2が配向される所定方向(収縮方向)の膨張倍率は抑えながらも、他の方向の膨張倍率は通常レベルあるいはより高いレベルとしたような、膨張倍率に異方性を持たせた熱膨張性耐火材料Mおよび耐火成形体1が得られる。
加熱により収縮する材料の存在によって、膨張材料そのものの膨張倍率(体積膨張率)が低下するわけではないので、本発明の熱膨張性耐火材料Mにおいては、収縮方向で膨張倍率が抑えられる分、他の方向(シート厚み方向:z方向や、収縮方向と直交する方向:y方向)では、膨張倍率がむしろ高められる傾向となることが多い。
特に、上記実施形態に示したように、膨張材料の主たる膨張方向がシート状成形体の厚み方向となるようにした場合には、得られる熱膨張性耐火成形体の膨張倍率が、シート厚み方向(図1のz方向)に最も高く(例えば10〜30倍)、シート面に沿う収縮方向(図1のx方向)で最も低く(例えば1.0〜2.0倍)、シート厚み方向とも収縮方向とも直交する方向(図1のy方向)ではその中間(例えば、1.5〜3.0倍)となるような耐火成形体1が得られる。なお、ここでいう膨張倍率とは、所定方向の長さ寸法が膨張前と膨張後を比較して何倍になったかを示す倍率であり、例えば膨張前のシート厚みが3mmで、膨張後に厚みが60mmとなった場合には、膨張倍率は20倍となる。
長尺体貫通部の防火処理においては、このような耐火成形体1を、加熱により収縮する棒状または繊維状の収縮性材料の配向方向(収縮方向)が、長尺体の長さ方向に沿う方向となるように、長尺体貫通部に配置、施工して防火処理を行えば、耐火成形体1が加熱されて膨張する際には、耐火成形体1が長尺体12の長手方向に沿う方向に膨張することが抑制されるので、膨張する熱膨張性耐火材料が貫通穴の内部からはみ出すように膨張して耐火層の形成に有効活用されなくなってしまうことを未然に予防できる。一方で、収縮方向以外の方向には、耐火成形体1は従来の熱膨張性耐火材料が有するのと同様あるいはそれ以上の膨張倍率で膨張するので、貫通穴11の内周面と長尺体12外周面の間の隙間を埋めるように効率的に膨張して、効果的に耐火層を形成して貫通部の開口部を閉塞する。
したがって、本発明の熱膨張性耐火材料や耐火成形体により防火処理を行えば、熱膨張性耐火材料を無駄にすることなく効果的に膨張させて耐火層を形成でき、材料節約的であり、材料の利用効率を高めることができる。
また、本発明の熱膨張性耐火材料や耐火成形体により防火処理を行えば、加熱されて膨張した熱膨張性耐火材料が貫通穴の開口部から外部に漏れ出してしまうことが抑制されるため、特許文献3に記載されたような貫通穴外方への膨張を抑制する膨張抑制手段を設ける必要もなく、防火処理作業を簡素化・効率化できる。
また、加熱により収縮する棒状または繊維状の収縮性材料の配向方向をシート表面に沿う方向とすれば、熱膨張性耐火材料中の膨張材料の主たる膨張方向をシート厚み方向として、厚み方向には十分な膨張性を持たせながら、シートの幅または長さのいずれかの方向においては、熱膨張性耐火材料の膨張を抑制することができて、種々の防火処理が必要な部位の形状に応じて、簡単に施工でき、かつ効果的で信頼性の高い防火処理が可能な耐火成形体を設計・提供することができる。
熱膨張性耐火材料の主成分たる樹脂成分M1としてアクリル系熱可塑性エラストマーを、膨張材料として熱膨張性黒鉛を使用し、これら主成分を混練した熱膨張性耐火材料に、アクリル繊維(長さ4.6mm)を配合し、混練して厚さ4.0mmの板状に押出した後に、厚みが2.5mmとなるまで樹脂成分が溶融した状態で延伸加工して、アクリル繊維を延伸方向に配向させてシート状として、本発明の熱膨張性耐火材料を得て、さらに、70mm×70mmの正方形状にカットして本発明の耐火成形体を得た。
得られた耐火成形体をマッフル炉中に置いて、オーブン中の温度を徐々に高めた(昇温速度40℃/分)ところ、庫内温度が170℃に達したころから耐火成形体が膨張を始め、庫内温度が400℃に達するころにほぼ膨張し、耐火成形体を構成する熱膨張性耐火材料が、110mm×70mm×50mmの直方体状に膨張した状態で固化するに至った。
その後庫内温度を下げてから膨張した耐火成形体を取り出して各方向の膨張倍率を測定したところ、厚み方向の膨張倍率は約20倍、加熱により収縮するアクリル繊維を配向した方向(収縮方向)の膨張倍率は約1.0倍、厚み方向とも収縮方向とも直交する方向(図1のy方向)の膨張倍率は約1.5倍であり、本発明の熱膨張性耐火材料または耐火成形体が、熱収縮性の繊維の配向方向の膨張倍率が抑制されたものであることが確認された。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に本発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその説明を省略する。
上記実施形態の説明においては、熱膨張性耐火材料に加熱により収縮する繊維状収縮性材料を所定方向に配向させて含ませた実施例を中心に説明したが、以下の説明では、熱膨張性耐火材料に加熱により収縮する棒状の樹脂材料を所定の配向状態で含ませる実施形態について説明する。
本第2実施形態の熱膨張性耐火材料や耐火成形体を得るためには、熱膨張性耐火材料の主成分たる樹脂材料M1と、加熱により収縮する樹脂材料M3とを、以下の観点で熱可塑性樹脂の中から選択して使用することができる。
まず、主成分たる樹脂材料M1と収縮性樹脂材料M3とは、互いに相溶性のない樹脂材料となるように選択する。互いに相溶性がある材料を選択した場合には、混練過程で両材料が混じり合ってしまって棒状や繊維状の収縮性樹脂材料が認められなくなってしまう。
また、熱可塑性樹脂の中でも、主成分たる樹脂材料M1よりも収縮性樹脂材料M3のほうが融点や軟化点が高い温度となるように両者を選択することが好ましく、収縮性樹脂材料M3を棒状や繊維状とするのに好適である。
そのような樹脂材料として、例えば、主成分たる樹脂材料M1としてエチレン系コポリマー樹脂(融点が約90℃)を、収縮性樹脂材料M3としてポリアセタール(POM)樹脂(融点が約170℃)を採用すること、あるいは、主成分たる樹脂材料M1としてポリプロピレン(PP)樹脂(融点が140〜160℃)を、収縮性樹脂材料M3としてポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(融点が約230℃)を採用することが例示できる。
本実施形態において、加熱により収縮する樹脂材料M3を棒状または繊維状にして熱膨張性耐火材料中に所定の配向方向となるように含ませる方法としては、例えば以下の方法を例示できる。
まず、主成分たる熱可塑性樹脂材料M1(例えばエチレン系コポリマー樹脂)よりも融点が高くかつ相溶性がない熱可塑性樹脂M3(例えばポリアセタール樹脂)を粒状あるいは粉状の状態で、熱可塑性樹脂材料M1中に混練し分散させる。この際の混練温度は、熱可塑性樹脂材料M1が十分に軟化しながらも、熱可塑性樹脂M3は軟化しないような温度で行うことが好ましい。膨張材料の配合はこの時点で行っておくことが好ましい。
上記工程で得られた熱可塑性樹脂組成物には、図6(a)に示すように熱可塑性樹脂M3が粒状または粉状の状態で分散しているが、これをさらに熱可塑性樹脂M3が軟化する温度まで加熱して、押出し加工やロール成形を行うとともに延伸加工を施して、耐火成形品(あるいはその前駆体である板状またはシート状またはチューブ状の素材)を成形する。膨張材料の混練は、これら工程に前後して、あるいは同時に行うことができる。熱可塑性樹脂M3が軟化した状態で延伸加工されることによって、熱可塑性樹脂組成物中で、熱可塑性樹脂M3の粒あるいは粉体は伸ばされて、図6(b)に示すように、棒状あるいは繊維状となり、かつ、延伸方向に配向された状態となる。この状態で熱可塑性樹脂組成物を冷却し、所定の寸法となるようにカットして耐火成形体とすることができる。以上の製造方法によって、本実施形態の熱膨張性耐火材料による板状やシート状やチューブ状の耐火成形体が得られる。
本実施形態においても、製造工程で溶融延伸することによって棒状あるいは繊維状にされた熱可塑性樹脂M3が、火災時などに膨張材料が膨張する際には収縮して、配向された方向の膨張を抑制阻害するので、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
図7には、チューブ状に成形された本発明の耐火成形体の別の実施形態を示す。本実施形態の耐火成形体2においては、加熱により収縮する棒状または繊維状の収縮性材料は、チューブの周方向(図中の矢印の方向)に沿って配向されている。本発明の熱膨張性耐火材料を一旦シート状に形成して、収縮性材料の配向方向が長手方向となるように短冊状にカットし、さらに短冊の両端部を継ぎ合わせるように接着剤や粘着テープで接着一体化してチューブ状にすることにより、本実施形態の耐火成形体2を製造できる。このように、耐火成形体がチューブ状に形成される場合の収縮性材料の配向方向は、チューブの周方向であってもよい。
本実施形態のチューブ状の耐火成形体2は、防火処理を行うために耐火成形体2を長尺体貫通部に詰め込む際に、チューブ状耐火成形体2の中心軸cが長尺体が延在する方向とおおむね直交する方向となるように詰め込む防火処理方法において、特に有効に使用できる。
本発明の熱膨張性耐火材料および耐火成形体は、防火区画を画成する壁や床に設けられた貫通穴にケーブルなどの長尺体が貫通する長尺体貫通部の防火処理に利用できる。本発明は、材料節約的でコストの点で優れる上、その取り扱い性や施工性が良く、防火処理方法及び処理に使用される部材としての利用価値が高い。
1、1’ 耐火成形体
10 耐火壁
11 貫通穴
12 ケーブル(長尺体)
2 耐火成形体

Claims (6)

  1. 樹脂材料と膨張材料を主成分として混練された熱膨張性耐火材料であって、
    加熱により収縮する棒状または繊維状の収縮性材料が、所定の方向に配向するように含まれていることを特徴とする熱膨張性耐火材料。
  2. 熱膨張性耐火材料が加熱された際に巻縮する繊維材料を、繊維状収縮性材料として熱膨張性耐火材料に含ませたことを特徴とする請求項1に記載の熱膨張性耐火材料。
  3. 熱膨張性耐火材料の主成分たる樹脂材料よりも融点または軟化点が高く、かつ熱膨張性耐火材料の主成分たる樹脂材料とは相溶性のない熱可塑性樹脂材料を棒状または繊維状にして、加熱により収縮する収縮性材料として熱膨張性耐火材料に含ませたことを特徴とする請求項1に記載の熱膨張性耐火材料。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の熱膨張性耐火材料を板状またはシート状またはチューブ状に形成した耐火成形体であって、
    棒状または繊維状の収縮性材料の配向方向が、耐火成形体の板またはシートまたはチューブの表面に沿う方向となるようにしたことを特徴とする耐火成形体。
  5. 請求項4に記載の耐火成形体を長尺体貫通部の貫通穴と長尺体の間の隙間に配置する防火処理方法であって、
    棒状または繊維状の収縮性材料の配向方向が、長尺体の長さ方向に沿う方向となるように耐火成形体を配置することを特徴とする防火処理方法。
  6. 請求項1ないし請求項4に記載の熱膨張性耐火材料や耐火成形体を製造する方法であって、主成分たる樹脂材料を軟化させた状態で熱膨張性耐火材料を延伸させる工程により、収縮性材料を所定方向に配向させることを特徴とする熱膨張性耐火材料や耐火成形体の製造方法。
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