JP6397333B2 - 防火区画の貫通孔に配設可能な熱膨張性長尺部材、区画貫通部の防火構造の形成方法、及び区画貫通部の防火構造 - Google Patents

防火区画の貫通孔に配設可能な熱膨張性長尺部材、区画貫通部の防火構造の形成方法、及び区画貫通部の防火構造 Download PDF

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Description

本発明は、防火区画の貫通孔に配設可能な熱膨張性長尺部材、区画貫通部の防火構造の形成方法、及び区画貫通部の防火構造に関する。
従来、防火区画の仕切り壁における、冷媒管等の配管を挿通する貫通孔周囲の耐火構造は、貫通孔を区画形成する仕切り壁の周面に配設された鋼製スリーブ、鋼製スリーブと配管の間の間隙を埋める粘土状の熱膨張性充填材、並びに熱膨張性充填材を受け止める貫通孔の外部の保持治具等から構成されている(特許文献1、2)。
また特許文献3には、構造物の仕切り部に設けられた区画を貫通する孔に挿通された、両端に開口部を有するスリーブと、スリーブ内部に挿通されたケーブル配線管類と、膨張開始温度120〜180℃の熱膨張性黒鉛を含む樹脂組成物を成形して得られる柱状本体の外周にエラストマー層を備えた柱状熱膨張性成形体と、を備え、柱状熱膨張性成形体がケーブル配線管類とスリーブとの隙間に設置されていることを特徴とする、防火区画貫通部構造が開示されている。
さらに、特許文献4には、構造物の仕切り部に設けられた区画の貫通孔に挿通された配管類と、貫通孔と前記配管類との隙間に沿って設置された、熱膨張性耐火シート本体と弾性突起部とを有する熱膨張性耐火シートと、を少なくとも備え、熱膨張性耐火シートの弾性突起部が、熱膨張性耐火シート本体の外周面に設置され、熱膨張性耐火シートの弾性突起部が、前記貫通孔の外側に突き出て、貫通孔の外側に掛っていることを特徴とする、防火区画貫通部構造が開示されている。また、熱膨張性耐火シート本体と弾性突起部とを有する第二の熱膨張性耐火シートが設置されることが記載されている。
特許第3935739号 特許第4060844号 特開2011-36290号 特開2013-23838号
ところが、特許文献1に記載されている粘土状の熱膨張性充填材の貫通孔への充填は、それ自体煩雑な作業であり、作業者の熟練度によって施工状態にばらつきが見られるため、その結果、区画貫通部における耐火性能にも差が見られ、コンプライアンス的に問題がある。
さらに、特許文献2に記載されているように、外部の保持治具を使用すると、保持治具自体が複雑な装置である上、保持治具が貫通孔の孔中心側に張り出して貫通孔周囲のスペースが失われるため、熱膨張性充填材の充填作業がより困難である。
また、特許文献3では、柱状本体の外周にエラストマー層を備えた柱状熱膨張性成形体が、スリーブとケーブル配線管類との隙間に並べられてはいるものの、配管と配管の間の耐火性については言及されていない。また、スリーブが金属材材料、無機材料等の火災発生時にもその形状を保つ材料からなるため、火災時に膨張せず、火災時の区画貫通部の耐火性能が十分とはいえない。
さらに、特許文献4では、熱膨張性耐火シートが弾性突起部とを有するため、貫通孔への弾性突起部の挿通に干渉し、熱膨張性耐火シート本体の施工に時間がかかる。また、配管と配管の間の耐火性についても言及されていない。
本発明の目的は、粘土状の熱膨張性充填材や外部保持治具を使用しなくても簡便かつ効果的に防火を達成する熱膨張性長尺部材、区画貫通部の防火構造の形成方法、及び区画貫通部の防火構造を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、貫通孔内の配管やケーブルの間に熱膨張性長尺部材を配設することで区画貫通部が十分な耐火性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
本発明の第一態様において、仕切り壁からなる防火区画における、複数の長尺物の配設用の貫通孔に施工可能な熱膨張性長尺部材であって、長尺部材の長手方向軸が前記貫通孔の中心軸と略平行な状態で貫通孔内に、長尺物と長尺物の間に配置されるように構成されている熱膨張性長尺部材が提供される。
一つの実施形態において、長尺部材は、不燃性材料からなる芯材を備える。
別の実施形態において、熱膨張性長尺部材は長手方向の端部に引っ掛け部を備えている。
また別の実施形態において、引っ掛け部は熱膨張性長尺部材と同一材料から一体的に形成されている。
本発明の第二態様において、区画貫通部の防火方法であって、複数の長尺物を貫通孔に挿通すること、および複数の長尺物が挿通された貫通孔内に熱膨張性長尺部材を配置することからなり、貫通孔内において、少なくとも一つの熱膨張性長尺部材は長尺物と長尺物の間に配置される区画貫通部の防火方法が提供される。
一つの実施形態において、方法は、複数の長尺物を貫通孔に挿通する前に、前記複数の長尺物を熱膨張性スリーブで一纏めに包囲することをさらに含む。
別の実施形態において、熱膨張性長尺部材は2つ以上配置され、少なくとも2つの熱膨張性長尺部材のなす角度が90°以上である。
本発明の第三態様において、区画貫通部の防火構造であって、長尺物の配設用の貫通孔を備えた、仕切り壁からなる防火区画と、貫通孔に配設された複数の長尺物と、少なくとも一つの熱膨張性長尺部材が長尺物と長尺物の間に配置されるように前記貫通孔に施工された熱膨張性長尺部材とを備えた区画貫通部の防火構造が提供される。
一つの実施形態において、熱膨張性長尺部材の横断面がL字型である。
別の実施形態において、熱膨張性長尺部材は2つ以上配置され、少なくとも2つの熱膨張性長尺部材のなす角度が90°以上である。
また別の実施形態において、貫通孔の内部に充填材が存在しない。
さらに別の実施形態において、区画貫通部の防火構造は、貫通孔を区画形成する仕切り壁の周面の形状に適合するように配置された熱膨張性スリーブをさらに備える。
本発明によれば、長尺物を配設する際に、貫通孔を区画形成する仕切り壁の周面の形状に適合するように貫通孔内に熱膨張性長尺部材を配設すれることにより、粘土状の熱膨張性充填材を充填したり外部保持治具を使用する煩雑な施工なく、簡便かつ迅速に耐火構造を構成することが可能となる。
本発明の一実施形態を示す仕切り壁と配管との関係を示す斜視図。 配管、熱膨張性スリーブ、及び熱膨張性長尺部材が貫通孔に配置された状態の貫通孔における区画貫通部の防火構造の断面図。 配管、熱膨張性スリーブ、及び熱膨張性長尺部材が貫通孔に配置された状態の区画貫通部の防火構造の縦断面図。 断面略矩形の貫通孔に複数の断面略矩形で熱膨張性スリーブが装着された状態を示す断面略図。 熱膨張性スリーブの別例を示す略図。 (a)(b)熱膨張性スリーブの別例を示す略図。 (a)(b)熱膨張性長尺部材の別例を示す略平面図。(c)熱膨張性長尺部材の別例を示す略断面図。 熱膨張性長尺部材の別例を示す略図。 (a)(b)熱膨張性長尺部材の引っ掛け部を示す略図。(c)熱膨張性長尺部材をスリーブに引っ掛けた状態を示す略図。 床における区画貫通部の防火構造を示す斜視図。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す仕切り壁と配管との関係を示す斜視図である。図2は、貫通孔における区画貫通部の防火構造の断面図である。
図1において、防火区画A,Bを画成する仕切り部としての仕切り壁1は、鋼製スタッド2の両側に、それぞれ2枚の石膏ボード3,4を固定したものであり、合計4枚の石膏ボード3,4の中間には空洞部5が形成されている。仕切り壁1には、隣接する防火区画A,Bを水平方向に貫通する略円筒形の貫通孔6が形成されている。貫通孔6は隣接する防火区画を連通するものであり、貫通孔6へ、長尺物としての配管10やケーブル16が挿入され、隣接する区画を繋いでいる。
本実施形態では、配管10として2本の冷媒管12及び2本のACドレイン配管14が示され、4本のケーブル16が示されている。冷媒管12、ACドレイン配管14、及びケーブル16の周囲には環状の熱膨張性スリーブ20が設けられている。熱膨張性スリーブ20は、冷媒管12、ACドレイン配管14、及びケーブル16を一纏めに包囲し、かつ貫通孔6を区画形成する仕切り壁3,4の周面3a,4aの形状に適合するように構成されている。
本実施形態では、熱膨張性スリーブ20の片側の防火区画からの施工を容易にするため、熱膨張性スリーブ20は全体が、厚みが一様な平面状のシート部材から構成されている。
熱膨張性スリーブ20の厚みは、熱膨張性スリーブ20が貫通孔6内に施工でき、かつ配管を貫通孔6内で熱膨張性スリーブ20により包囲できる寸法であれば特に限定されないが、好ましくは0.3〜6mmである。短冊状のものが好ましく、厚みが0.3mm 未満になると必要な巻き付け厚を得るのに何回も巻き付ける必要があり、6mmを超えると所定の厚みに巻き付けることが難しくなる。短冊状膨張体の巻き付け厚みは、短冊状膨張体の占有断面積が貫通孔の断面積の5〜95%又は貫通する複数の長尺物の合計の断面積の10〜90% に設定されることが好ましい。巻き付け厚みがかかる下限値未満になると火災時に十分な耐火断熱層が形成されにくくなり、上限値を超えると貫通孔の開口面積を大きくする必要が生じる可能性が高まる。
熱膨張性スリーブ20の直径は、貫通孔6の直径とほぼ一致していることが好ましい。熱膨張性スリーブ20の長手方向の大きさは、本発明の趣旨の防火構造を与える限り特に限定されないが、通常、貫通孔6の全長(つまり仕切り壁1の厚み)の約50%以上であり、好ましくは約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、又は約100%(貫通孔6の全長とほぼ同じ)である。
熱膨張性スリーブ20は、加熱によって膨張して耐火断熱層を形成できる任意の材料であってよく、50kW/m2の加熱条件下で30分加熱したあとの体積膨張率が1.1〜100倍であるものが好適に使用でき、このような熱膨張性材料は公知である。熱膨張性スリーブ20の具体例としては、例えば積水化学工業社製フィブロック(登録商標。エポキシ樹脂またはブチルゴムを樹脂成分とし、リン化合物、熱膨張性黒鉛および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物のシート状成形物)、住友スリーエム社のファイアバリア(クロロプレンゴムとバーキュライトを含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:3倍、熱伝導率:0.20kcal/m・h・℃)、三井金属塗料化学社のメジヒカット(ポリウレタン樹脂と熱膨張性黒鉛を含有する樹脂組成物からなるシート材料、膨張率:4倍、熱伝導率:0.21kcal/m・h・℃)等が挙げられる。熱膨張性スリーブ20は防火区画A,Bのいずれの側で火災が起きても、その熱により膨張し、貫通孔6内の空隙を閉塞できるので、隣接する区画への火炎の侵入を阻止し、要求される防火及び/又は耐火性能を確保できる。
熱膨張性スリーブ20の少なくとも一面、すなわち長尺物(例えば配管10及びケーブル16)を包囲する側の面は非接着性であり、熱膨張性スリーブ20は長尺物と非接着に互いに分離した状態にある。
熱膨張性スリーブ20自体に粘着性がある場合は、長尺物を包囲する面は離型基材を設けるが、貫通孔6を画成する周面3a,4aと接触させる面はその粘着表面を利用して石膏ボード3,4における貫通孔6を画成する周面3a,4aにスリーブ20を直接接着固定できる。このとき、熱膨張性スリーブ20の接着面に離型基材を設けておき、冷媒管12、ACドレイン配管14、及びケーブル16を貫通孔に挿通した状態で熱膨張性スリーブ20を貫通孔6内へスライドさせて配設する前に離型基材を剥離すると、熱膨張性スリーブ20の配設が容易である。
さらに、接着剤、粘着剤、アルミニウムガラスクロス(ALGC)テープを初めとする粘着テープなどの粘着手段を用いてスリーブ20を石膏ボード3,4における貫通孔6を画成する周面3a,4aに接着固定してもよい。熱膨張性スリーブ20に粘着性がないか、粘着性が低い場合にも、かかる粘着手段を用いてスリーブ20を石膏ボード3,4における貫通孔6を画成する周面3a,4aに接着固定できる。粘着手段でスリーブ20を接着させた後、粘着手段の上を針金をポリ塩化ビニルやPET等の樹脂で被覆したビニールタイ等のひも状部材32でさらに結束固定してもよい。
本発明の区画貫通部の防火構造においては、スリーブ20と貫通孔6を画成する周面3a,4aとの間に、耐火性能を高めるための不燃性材料からなる不燃性部材30が配置されるが、そのような不燃性部材30として、特に上記の粘着手段でもあるアルミガラスクロステープを熱膨張性スリーブ20の表面に一体的に積層させると、アルミガラスクロス層の熱の反射効果によって、遮熱性及び遮炎性の効果を更に高めることができる。通常、熱膨張性スリーブ20の外面にアルミガラスクロス層を巻きつけ、アルミガラスクロス層と石膏ボード3,4における貫通孔6を画成する周面3a,4aに接着させる。
このように、熱膨張性スリーブ20を周面3a,4aの上に、不燃性部材を介して接着固定することにより、火災時に、熱膨張性スリーブ20は周面3a,4a上に固定されたまま、貫通穴6の内方に向かって、貫通孔6内の空隙を埋めるべく膨張する。よって、優れた耐火性能が得られる。
図2において、貫通孔6内にはさらに、4本の配管10をそれぞれ仕切るように4本の板状の熱膨張性長尺部材24が配置されている。ここで「長尺」とは縦方向の長さが横方向の長さよりも大きいことを指す。
熱膨張性長尺部材24の厚みは、貫通孔6内の空隙に挿入できる寸法であれば特に限定されないが、好ましくは0.3〜6mmである。厚みが大きい方が、熱により膨張したときの防火及び/又は耐火性能は向上するが、貫通孔6内の空隙への挿入が困難になるため、熱膨張性長尺部材24の厚みはこのトレードオフにより決定される。
熱膨張性長尺部材24の幅は、貫通孔6の直径よりも小さいが、貫通孔6内の空隙に挿入できる寸法であれば特に限定されず、本実施形態では、4つの長尺部材24の幅は貫通孔6の半径と同程度である。
熱膨張性長尺部材24の長手方向の長さは、本発明の趣旨の防火構造を与える限り特に限定されないが、通常、貫通孔6の全長(つまり仕切り壁1の厚み)の約10%以上200%以下であり、好ましくは約30%以上200%以下、約40%以上200%以下、約50%以上200%以下、約60%以上200%以下、約70%以上200%以下、約80%以上200%以下、約90%以上200%以下、又は約100%(貫通孔6の全長とほぼ同じ)以上200%以下である。熱膨張性長尺部材24の長さが大きい程、防火及び/又は耐火性能は向上するが、貫通孔6内の空隙への挿入が困難になりその分コストも上がるため、熱膨張性長尺部材24の長さはこのトレードオフにより決定される。
本実施形態では、熱膨張性長尺部材24は、熱膨張性長尺部材24の長手方向軸が貫通孔6の中心軸と略平行な状態で貫通孔6内に配置されている。また、熱膨張性長尺部材24は、2つの熱膨張性長尺部材24の、貫通孔6の中心側の端部24aが結合されて、横断面がL字型となっており、これにより熱膨張性長尺部材24の強度が増しており、貫通孔6内の空隙への熱膨張性長尺部材24の挿入が促進される。
熱膨張性長尺部材24は、加熱によって膨張して耐火断熱層を形成できる任意の材料であってよく、50kW/m2の加熱条件下で30分加熱したあとの体積膨張率が1.1〜100倍であるものが好適に使用でき、このような熱膨張性材料は公知である。熱膨張性長尺部材24は熱膨張性スリーブ20と同じ材料から形成されていてもよいし、異なる材料から形成されていてもよい。具体例としては、熱膨張性長尺部材24は樹脂(特にはエポキシ樹脂)を樹脂成分とし、リン化合物、熱膨張性黒鉛および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物から形成されている。この場合、熱膨張性長尺部材24は非粘着性であり、貫通孔6内の空隙への熱膨張性長尺部材24の挿入に適している。
図1及び3に示されるように、防火区画Aの側には、貫通孔6内の防火構造を外部から目隠し(遮蔽)するための環状保持枠28が配管10及びケーブル16を貫通孔6から延出させた状態で、仕切り壁3における貫通孔6の周囲に取り付けられる。このような環状保持枠28は公知である。
次に、区画貫通部の防火構造の形成方法について説明する。
まず、冷媒管12、ACドレイン配管14、及びケーブル16を、熱膨張性スリーブ20で一纏めに包囲する。次に、防火区画Aの側から、冷媒管12、ACドレイン配管14、及びケーブル16を貫通孔6に挿通する。次に、防火区画Aの側から、貫通孔6を区画形成する仕切り壁3,4の周面3a,4aの形状に適合するように、熱膨張性スリーブ20を貫通孔6に配設する。さらに、防火区画Aの側から、貫通孔6内において、冷媒管12とACドレイン配管14の間に熱膨張性長尺部材24を配置する。最後に、防火区画Aの側から、貫通孔6内の防火構造を外部から見えなくするため、環状保持枠28が仕切り壁3における貫通孔6の周囲に取り付けられる。
上記のように構成された区画貫通部の防火構造では、熱膨張性スリーブ20及び熱膨張性長尺部材24を用いて、片側の防火区画Aのみから、迅速かつ簡便に防火構造を形成できる。そして、例えば防火区画Bから火災が起きても、熱膨張性スリーブ20及び熱膨張性長尺部材24は火災の熱により膨張し、貫通孔6内の空隙を閉塞できるため、貫通孔6の内部に、公知の粘土状又はパテ状の熱膨張性充填材が存在しなくとも、十分な防火及び/又は耐火性能が確保できる。
ここまで、本発明を第1実施形態を例にとって説明してきたが、本発明はこれに限られず、以下のような種々の変形が可能である。
・貫通孔6の形状は断面が円形のものに限らず、断面略矩形などの他の形状であってもよい。この場合でも、熱膨張性スリーブ20は複数の長尺物を一纏めに包囲し、かつ貫通孔6を区画形成する仕切り壁3,4の周面3a,4aの形状に適合するように構成可能である。また、図4に示すように、貫通孔6は断面略矩形であり、その中に複数の熱膨張性スリーブ20が装着されてもよい。この場合、貫通孔6と熱膨張性スリーブ20の間の空間には、熱膨張性スリーブ20、熱膨張性長尺部材24、パテ状の熱膨張性充填材、及びロックウール等の任意の防火材料が充填され得る。
・図5に示すように、熱膨張性スリーブ20には貫通孔6を区画形成する壁の形状への適合を容易にするための複数の略平行なスリット34を備えていてもよい。熱膨張性スリーブ20が円形の貫通孔6に配置される場合、熱膨張性スリーブ20はスリット34の延びる方向が貫通孔6の中心軸と略平行になるよう配置される。
・図5に示すように、被覆される部材を傷付けにくくするため、熱膨 張性スリーブ20の角を丸めてもよい。
・熱膨張性スリーブ20の一部又は全部には、熱膨張性スリーブ20の視認性を高めるための手段が施されていても良い。例えば図6(a)では、熱膨張性スリーブ20の一端、特には防火区画A(取り付け側)の端部に反射又は蛍光テープ36が貼られている。反射又は蛍光テープ36は赤色や黄色等の任意の色であってもよい。また、図6(b)では、熱膨張性スリーブ20の防火区画A(取り付け側)の端部に色素38が含有されている。例えば色素38としてブラックライトで光る色素を用いれば、暗い現場でも作業者は熱膨張性スリーブ20の位置を容易に確認することが可能となる。
・複数の長尺物は、冷媒管12、ACドレイン配管14、及びケーブル16に限らず、区画貫通部に挿通可能な他の任意の長尺物であってよい。
・上記の実施形態では、複数の長尺物を複数の長尺物で包囲するのみの構成となっているが、防火性及び/又は耐火性を高めるために、複数の長尺物の一部または全部の各々の周囲を別の公知の熱膨張性部材で被覆してもよく、このような態様も本発明の範囲に入るものとする。
・複数の長尺物の数は、上記実施形態のものに限定されない。配管10やケーブル16の種類や数は変更されてよい。
・上記実施形態において、熱膨張性長尺部材24は、板状のものとしたが、棒状、表面に凹凸があるもの等、長手方向に延びる任意の他の部材であってもよい。
・熱膨張性長尺部材24の数は、配管10の総数と同じでなくてもよい。例えば、複数の長尺物がN本の配管を含み、前記熱膨張性長尺部材24の数は1以上N以下であってもよい(Nを2以上の整数)し、熱膨張性長尺部材24はN本よりも多くてもよい。熱膨張性長尺部材24は2本を1セットとし、2本が対になって貫通孔6の直径又は断面における長さの両端を結ぶようにほぼ一直線に配置されるように1セット又は複数セットを用いてもよい。あるいは貫通孔6の直径又は断面における長さとほぼ同じ幅を有する熱膨張性長尺部材24を用いてもよい。また、各配管10が必ずしも両側で熱膨張性長尺部材24に仕切られず、ある配管10の片側のみにあってもよい。また、配管10から離れた貫通孔6内の空隙に熱膨張性長尺部材24が配置されてもよい。
・熱膨張性長尺部材24は、複数の長さが短い熱膨張性長尺部材24が、貫通孔6の中心軸と略平行に一直線上に配置されてもよい。
・上記実施形態では、前記熱膨張性長尺部材24の横断面をL字型としたが、個々の熱膨張性長尺部材24は独立してもよい。あるいは、3つ以上の熱膨張性長尺部材24が連結されてもよい。
・少なくとも2つの熱膨張性長尺部材24が用いられる場合に、ある2つの熱膨張性長尺部材24のなす角度は、それらが結合されているかされていないかにかかわらず特に限定されないが、好ましい一つの例では、ある2つの熱膨張性長尺部材24のなす角度は、90°以上である。別の例では、ある2つ熱膨張性長尺部材24は結合しており、それらののなす角度は、90°以上である。
・熱膨張性長尺部材24の一部又は全部には、熱膨張性長尺部材24の視認性を高めるための手段が施されていても良い。例えば図7(a)では、熱膨張性長尺部材24の一端、特には防火区画A(取り付け側)の端部に、反射又は蛍光テープ40が貼られている。反射又は蛍光テープ40は赤色や黄色等の任意の色であってもよい。また、図7(b)では、熱膨張性長尺部材24の防火区画A(取り付け側)の端部に色素42が含有されている。例えば色素42としてブラックライトで光る色素を用いれば、暗い現場でも作業者はスリーブ20の位置を容易に確認することが可能となる。
・熱膨張性長尺部材24は、火災時の熱により膨張しない熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、ゴム、ガラス、金属、又はこれらの組み合わせ等のからなる不燃性材料からなる非膨張性の芯材を備えていてもよい。例えば、図7(c)では熱膨張性長尺部材24は、基材としてのアルミニウムガラスクロスからなる芯材24cを、第1の熱可塑性樹脂24aと第2の熱可塑性樹脂24bで挟むことにより構成されている。非膨張性の芯材を熱膨張性長尺部材24が備えることにより、燃焼時に心材が膨張残渣の骨となり、燃焼後の残渣が強固に維持される。熱膨張性長尺部材24中の芯材24cの位置は限定されないが、特に図7(c)に示されるように芯材24cの両側に熱可塑性樹脂24a,24bがある場合、熱膨張性長尺部材24は図面における左右両方向に膨張できるため、配管と配管の間の空隙を効率よく埋めることが可能である。或いは、芯材24cを熱膨張性長尺部材24の一側面に配置し、そのような2つの熱膨張性長尺部材24の芯材24cを付き合わせて、左右両方向に膨張させてもよい。或いは、芯材24cを熱膨張性長尺部材24の一側面に配置し、熱膨張性長尺部材24が左又は右の一方向に膨張するように調整してもよい。
・熱膨張性長尺部材24は図8に示されるように波形状に形成してもよい。
・熱膨張性長尺部材24の長手方向端部には熱膨張性スリーブ20への固定を容易にするよう鍵状の引っ掛け部24dを設けてもよい。引っ掛け部24dは熱膨張性長尺部材24と同一の材料から一体的に形成されている。引っ掛け部24dは例えば図9(a)に示すようなL字型の端部であってもよいし、図9(b)に示すようなコの字型の端部であってもよい。図9(c)は熱膨張性長尺部材24をスリーブに引っ掛けた状態を示す略図であり、説明を容易にするために熱膨張性スリーブ20内の熱膨張性長尺部材24以外の部材を省略している。貫通孔6内の熱膨張性長尺部材24は引っ掛け部24dにより熱膨張性スリーブ20に対し熱膨張性長尺部材24の一端、特には防火区画A(取り付け側)の端部で係合する。これにより、熱膨張性長尺部材24の貫通孔6内での設置が容易となる。また、引っ掛け部24dに図7(a)に示したような反射又は蛍光テープ40や図7(b)に示したような色素42を設ければ、引っ掛け部24dの位置の確認が容易となる。
・熱膨張性長尺部材24は、貫通孔6内の空隙への挿入を容易にするため、熱膨張性長尺部材24よりも硬い支持体に取り付けられ、支持体と一体化した熱膨張性長尺部材24が貫通孔6内の空隙へ挿入されてもよい。
・上記の実施形態では、貫通孔6の内部に粘土状の熱膨張性充填材が存在しない構成としたが、本発明の区画貫通部の防火構造において、粘土状の熱膨張性充填材を貫通孔6内の空隙に追加的に用いてもよく、このような態様も本発明の範囲に入るものとする。
・区画貫通部の防火構造の形成方法において、熱膨張性スリーブ20をまず貫通孔6に配設し、その後、複数の長尺物を熱膨張性スリーブ20内へ配設してもよい。この時、膨張性長尺部材24は複数の長尺物よりも前、同時、後のいずれの順序で熱膨張性スリーブ20内へ配設してもよい。複数の長尺物や膨張性長尺部材24は、熱膨張性スリーブ20内への配設に先立って、結束部材により一纏めにしておいてもよい。
・複数の長尺物、熱膨張性スリーブ20、膨張性長尺部材24は、貫通孔6へ施工する際、防火区画Bの側から、又は防火区画A及び防火区画Bの両方から施工してもよい。
・熱膨張性スリーブ20及び膨張性長尺部材24は、上記実施形態では両方を用いたが、少なくともいずれか一方が用いられればよい。
・環状保持枠28は両側の防火区画A,Bに設けてもよいし、別の防火性及び/又は耐火性の遮蔽部材を用いてもよいし、省略してもよい。また、環状保持枠28の内部に粘土状又はパテ状の熱膨張性充填材を充填してもよい。
・仕切り壁1は鋼製スタッド2及び石膏ボード3,4から構成された中空壁に限定されず、軽量気泡コンクリート(ALC)板又はモルタルで忠実に形成された壁などの他の任意の壁、床、又は板であってよい。図10は本発明の防火構造を床7の貫通孔6に設けた図であるが、冷媒管12、ACドレイン配管14、及びケーブル16を熱膨張性スリーブ20で一纏めに包囲し、熱膨張性長尺部材24の端部を熱膨張性スリーブ20の端部の位置に合わせた後、熱膨張性スリーブ20の上を不燃性部材30、粘着手段及びひも状部材32で固定した後、粘着手段の上であって貫通孔6の付近の位置に、床7と接触するよう発泡ポリウレタンテープ等の化粧テープ44を設けてもよい。このような構成にすれば、貫通孔6が隠れて外観が良くなると共に、貫通孔6を通る部材の床7からの脱落が防止される。
本明細書中に引用されているすべての特許出願および文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。
実施例I
(1)試験体条件
仕切り壁として、石膏ボード(吉野石膏製:GB−R、12.5mm厚)を2枚張りしたものを2組用いて、鋼製スタッド(桐井製作所:SQ−Bar 4025、40×25)と鋼製ランナー(桐井製作所:SQランナー 25)を用いて枠体を作成し、鋼製スタッドの両側にビスで止め付けて、壁厚75mmの中空壁を用いた。
貫通孔の開口径は、185mm, 163mm, 138mm, 113mm, 78mm, 78mm, 78mm, 78mm(それぞれ実施例1及び比較例1、実施例2及び比較例2、実施例3及び比較例3、実施例4及び比較例4、実施例5及び比較例5、実施例6及び比較例6、比較例7、並びに比較例8で使用で使用)とした。
各開口径に対して、最大占積率を超えないように配管として保温材付きの銅管(因幡電機産業株式会社製)及びACドレインパイプ(積水化学工業株式会社製)と、ケーブル(西日本電線株式会社製)とを用いた。
(2)実施例1〜6及び比較例1〜8の構成
実施例1〜5では、熱膨張性スリーブとして、フィブロック(エポキシ系フィブロック、積水化学株式会社製)を用い、熱膨張性長尺部材(4個、寸法47.5mm×185mm、端部にフック状の切り欠きを入れた端部L字型にして配管と配管の間に各々配置)として、フィブロック(エポキシ系フィブロック、積水化学株式会社製)を用いた。実施例1〜5のエポキシ系フィブロックはアルミニウムガラスクロス基材と不織布の間に黒鉛含有エポキシ樹脂を挟んで成形シートを作製し、該成形シートを所定のサイズに切り出して作製したものである。
実施例6では、実施例5と同じ貫通孔の開口径、熱膨張性スリーブ、及び熱膨張性長尺部材を用いたが、熱膨張性長尺部材の数を2つとし、これらを貫通孔を横断するように貫通孔の直径に対応する一直線上に配列させた。実施例1〜6における熱膨張性長尺部材の個数と寸法は、実施例1では寸法92.5mm×121mmの熱膨張性長尺部材を4つ、実施例2では寸法81.5mm×121mmの熱膨張性長尺部材を4つ、実施例3では寸法69mm×121mmの熱膨張性長尺部材を4つ、実施例4では寸法56.5mm×121mmの熱膨張性長尺部材を4つ、実施例5では寸法39mm×121mmの熱膨張性長尺部材を4つ、実施例6では寸法39mm×121mmの熱膨張性長尺部材を2つ用いた。
尚、カバー材としてアルミテープを貫通部が直視できないよう配管周に巻くと共に、スリーブの周囲に貼り付けた。また発泡ポリエチレンテープ(ソフトロンテープ、積水化学株式会社製)を用い、貫通処理のための化粧テープとして貫通口周辺のスリーブに貼り付けた。
比較例1〜5では、鋼製スリーブ(鋼製スリーブEZS、因幡電機産業株式会社製)と粘土状充填材(セキスイ 耐火パテ、品番NCJM001、積水化学工業株式会社製)を用いた。粘土状充填材が貫通孔全体に充填されたら完成とした。
また、比較例6では、鋼製スリーブ(鋼製スリーブEZS、因幡電機産業株式会社製)と粘土状充填材(セキスイ プロセレクトパテ、品番NCJM003、積水化学工業株式会社製)を用いた。粘土状充填材が貫通孔全体に充填されたら完成とした。
比較例7では、熱膨張性スリーブとして、フィブロック(エポキシ系フィブロック、積水化学株式会社製)を用い、熱膨張性長尺部材(4個、寸法47.5mm×185mm、端部L字型にして配管と配管の間に各々配置)として、フィブロック(エポキシ系フィブロック、積水化学株式会社製)を用いたが、熱膨張性スリーブの貫通孔の延びる方向における両側に特開2013−23838に記載のようにポリウレタンフォームの弾性突起部を設けた。
比較例8では、熱膨張性スリーブ内に特開2011−36290のエラストマー層を有する柱状熱膨張性成形体を敷き詰めたものを用いた。
<1.施工時間評価>
区画貫通部の防火構造の施工時間(作業者数=1)は表1の通りであり、貫通孔の大きさに関わらず、実施例1〜6の施工では施工時間が大幅に短縮されることが判明した。比較例1−6は充填材の充填に、比較例7はポリウレタンフォームのため貫通孔への挿入に、比較例8は隙間なく熱膨張性成形体の柱状構造を配置するのにそれぞれ時間がかかり、作業効率が悪かった。
Figure 0006397333
<2.耐火試験評価>
ISO834に基づく壁用1時間耐火試験を行った結果、比較例では合格に相当する60分を経過する前に防火構造が溶融、焼失するものがあった(表2)。実施例1〜6は、簡便な構造ながら、比較例と同等かそれより優れた耐火性を有することが判明した。
Figure 0006397333
実施例II
(1)試験体条件
実施例Iと同じとした。
(2)実施例1〜3及び比較例1〜3の構成
実施例1では、熱膨張性スリーブとして、フィブロック(エポキシ系フィブロック、積水化学株式会社製)を用い、熱膨張性長尺部材(4つ、寸法92.5mm×121mm、端部L字型にして配管と配管の間に各々配置)として、フィブロック(エポキシ系フィブロック、積水化学株式会社製)を用い、カバー材としてアルミテープを貫通部が直視できないよう配管周に巻くと共に、スリーブの周囲に貼り付けた。実施例1のエポキシ系フィブロックはアルミニウムガラスクロス基材と不織布の間に黒鉛含有エポキシ樹脂を挟んで成形シートを作製し、該成形シートを所定のサイズに切り出して作製したものである。また発泡ポリエチレンテープ(ソフトロンテープ、積水化学株式会社製)を用い、貫通処理のための化粧テープとして貫通口周辺のスリーブに貼り付けた。
実施例2では、鋼製スリーブ(鋼製スリーブEZS、因幡電機産業株式会社製)と、実施例1と同じ熱膨張性長尺部材(4つ、寸法81.5mm×121mm、端部L字型にして配管と配管の間に各々配置)を用い、実施例1と同じ化粧テープを用いた。
実施例3は、実施例1と同じ熱膨張性スリーブ及び熱膨張性長尺部材を同じ個数及び寸法で用いたが、エポキシ系フィブロックからなる熱膨張性長尺部材は、2つの熱膨張性長尺部材のアルミニウムガラスクロス基材を一組として、基材面を互いに突き合わせできるものを作製し、基材面を向き合わせて用いた。又、実施例1と同じ化粧テープを用いた。
比較例1では、鋼製スリーブ(鋼製スリーブEZS、因幡電機産業株式会社製)と耐火パテ(セキスイ 耐火パテ、品番NCJM001、積水化学工業株式会社製)を用いた。化粧テープは用いなかった。耐火パテが貫通孔全体に充填されたら完成とした。
比較例2では、熱膨張性スリーブとして、両側の基材が不織布のフィブロック(エポキシ系フィブロック、積水化学株式会社製)であらかじめ端部に発泡ポリエチレンテープ(ソフトロンテープ、積水化学株式会社製)を備えたスリーブ(アルミニウムガラスクロス基材は無し)と耐火パテ(セキスイ 耐火パテ、品番NCJM001、積水化学工業株式会社製)を用いた。カバー材は用いなかった。
比較例3では、熱膨張性スリーブ及び熱膨張性長尺部材(8つ、4つを一側から、4つを他側から貫通孔へ両側施工)としてアルミニウムガラスクロス基材が接着されていない比較例2のフィブロック(エポキシ系フィブロック、積水化学株式会社製)を用い、8つの熱膨張性長尺部材の外周に一つのエラストマー層を付与して断面楕円形の成形体とした。カバー材は用いなかった。
<施工時間評価及び耐火試験評価>
施工時間及び耐火試験を実施例Iと同じ条件で行い、作業者数を1とし、5種類の貫通孔の結果の平均を取った結果、表3の通りであった。実施例1,3では施工時間及び耐火試験とも比較例1に比べ優れており、熱膨張性スリーブを用いず熱膨張性長尺部材のみを用いた実施例2でも、施工時間こそ実施例よりも長くなったが、比較例1に比べて施工時間は大幅に短縮でき、耐火試験の結果も良好であることが判明した。比較例2はあらかじめ熱膨張性スリーブに弾性突起部が付いており、実施例1〜3と比較して施工に時間がかかった。また膨張性スリーブと貫通孔の周面との間の開口周囲に炉内貫通が起こった。比較例3はエラストマー層があるために施工に時間がかかった。またエラストマー層が、形成される膨張層の膨張速度を阻害し、それが無い場合と比較して密な膨張層ができず炉内貫通が起こった。
Figure 0006397333
1・・・仕切り壁、3a,4a・・・周面、6・・・貫通孔、10・・・長尺物としての配管、16・・・複数の配管としてのケーブル、20・・・熱膨張スリーブ、24・・・熱膨張性長尺部材、30・・・不燃性部材、A,B・・・防火区画。

Claims (8)

  1. 区画貫通部の防火方法であって、
    複数の長尺物を貫通孔に挿通すること
    前記複数の長尺物を貫通孔に挿通する前または挿通した後に、貫通孔を画成する周面に熱膨張性スリーブを固定すること、および
    複数の長尺物が挿通された貫通孔内に熱膨張性長尺部材を配置することからなり、
    熱膨張性長尺部材の幅は、熱膨張性長尺部材の長手方向全長において前記熱膨張性スリーブの内径よりも小さく、熱膨張性長尺部材を配置した状態で前記貫通孔内には空隙が存在し、
    貫通孔内において、少なくとも一つの熱膨張性長尺部材は長尺物と長尺物の間に配置される区画貫通部の防火方法。
  2. 前記熱膨張性長尺部材は2つ以上配置され、少なくとも2つの熱膨張性長尺部材のなす角度が90°以上である請求項に記載の区画貫通部の防火方法。
  3. 前記熱膨張性長尺部材が、樹脂成分、リン化合物、熱膨張性黒鉛、および無機充填材を含む熱膨張性樹脂組成物からなる請求項に記載に記載の区画貫通部の防火方法。
  4. 区画貫通部の防火構造であって、
    長尺物の配設用の貫通孔を備えた、仕切り壁からなる防火区画と、
    貫通孔に配設された複数の長尺物と、
    前記貫通孔を区画形成する仕切り壁の周面の形状に適合するように配置された熱膨張性スリーブと、
    少なくとも一つの熱膨張性長尺部材が長尺物と長尺物の間に配置されるように前記貫通孔に施工された熱膨張性長尺部材であって、その幅が熱膨張性長尺部材の長手方向全長において前記熱膨張性スリーブの内径よりも小さい熱膨張性長尺部材とを備え、
    熱膨張性長尺部材を配置した状態で前記貫通孔内には空隙が存在する、区画貫通部の防火構造。
  5. 前記熱膨張性長尺部材の横断面がL字型である請求項に記載の区画貫通部の防火構造。
  6. 前記熱膨張性長尺部材は2つ以上配置され、少なくとも2つの熱膨張性長尺部材のなす角度が90°以上である請求項に記載の区画貫通部の防火構造。
  7. 前記貫通孔の内部に充填材が存在しない請求項のいずれか一項に記載の区画貫通部の防火構造。
  8. 前記熱膨張性長尺部材が、樹脂成分、リン化合物、熱膨張性黒鉛、および無機充填材を含む熱膨張性樹脂組成物からなる請求項に記載の区画貫通部の防火構造。
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