JP5457541B2 - 防火処理部材および防火処理方法 - Google Patents

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本発明は、建物などの防火区画を画成する防火壁や床などを、ケーブルや配管などの長尺体が貫通する長尺体貫通部の防火処理に使用する防火処理部材、およびそれら防火処理部材を用いた防火処理方法に関する。
建築物の防火区画壁や床には、ケーブル(プラスチック被覆電線)や配管などの貫通物(長尺体)が貫通するための貫通穴が設けられている。これらの貫通穴では、火災の際に貫通物が延焼して火災が広がるのを防止するために、貫通穴に防火処理を施す必要がある。
こうした箇所における従来の防火処理は、貫通物と貫通穴の隙間を、直接シート状耐火材やパテ状防火材で覆う処理であった。こうした処理は、現場での施工の手間が大きく、工事期間・費用がかさむ上に、貫通物の追加や除去の融通性に欠けるものであった。
そうした問題を解決するために、以下の特許文献1ないし特許文献4に示されたような技術(耐火処理部材)が提案されている。
特許文献1には、貫通穴と長尺体の間に詰める成形充填材を熱膨張性耐火材の小片を内包する発泡体を含むものとすることが開示されている。また、特許文献2には、厚み方向に縮変形可能なシート状の熱膨張性閉塞材を複数枚積層して、これら熱膨張性閉塞材を周方向に相対移動を許容するように拘束する拘束手段(不織布製の袋)を設けた貫通穴閉塞具が開示されている。さらに、特許文献3には、セラミックファイバブランケットにパテ状の熱膨張性耐火材をシート状に積層し、その積層体を合成樹脂布で包んだ防火処理用充填材が開示されている。さらに、特許文献4には、加熱により膨張する膨張材料と樹脂材料とを混練した熱膨張性耐火材料を含み、弾力性を有するとともにチューブ状に形成された熱膨張性耐火部材が開示されている。
特開2007−291795号公報 特開2007−032601号公報 特開2008−215625号公報 特開2008−253644号公報
しかしながら、これら従来の耐火処理部材においては、その取り扱い性や施工性、および火災時の貫通部閉塞の能力およびその信頼性にいまだ改良の余地がある。
例えば特許文献3のようにパテ状の熱膨張性耐火材を使用する場合には、パテに含まれるオイル成分が防火処理部材を包む布から滲みだすおそれがあり、使用箇所によっては防火処理部材の外周をさらにビニル袋などで包むなどの配慮が必要となって、取り扱いや施工が煩雑となることがある。
また、特許文献2に開示された耐火処理部材は、ロックウールを主体として未焼成バーミキュライトなどの粉末状熱膨張性材料を含ませた熱膨張性閉塞材を使用するものであるが、このような閉塞材からは、粉末状の熱膨張性材料がこぼれやすいため、施工現場を汚して施工性を悪化させることがある。また、粉末状の熱膨張性材料は火災の際の膨張時にばらばらになりやすいため、耐火処理部材の袋を耐火性の不燃素材のものとする必要があり、耐火処理部材のコストを引き上げる要因となる。
また、特許文献1や特許文献2に示された防火処理部材においては、熱膨張性の部材が袋や布の中に一杯に詰め込まれているため、材料の利用効率が低いものであった。一方、特許文献3に示された耐火処理部材においては、火災時に膨張する方向が主にパテが設けられた側となるため、貫通部を確実に閉塞できるように施工時の配慮が必要となることがある。このように、耐火処理部材においては、熱膨張性耐火材料の利用効率を高めながら、貫通部閉塞の信頼性を高めることが望まれている。
本発明の目的は、上記課題の少なくとも1つを解決して、長尺体貫通部の防火処理において、施工性・取り扱い性がよく、火災の際に貫通部を閉塞できる信頼性が高い防火処理部材およびそれらを用いた防火処理方法を提供することにある。
発明者は、鋭意検討の結果、弾力性を有する熱膨張性耐火材料でチューブ状に成形した2つの耐火成形体を特定の形態で組み合わせ、袋で包んで防火処理部材を構成すると、上記目的が達成できることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、防火区画における長尺体貫通部の長尺体の周りに詰め込むための防火処理部材であって、樹脂材料と膨張材料を主成分として混練された弾力性を有する熱膨張性耐火材料をチューブ状に成形した2つの耐火成形体が、一方の耐火成形体の内側に他方の耐火成形体が内蔵されるとともに、両者の耐火成形体中心軸が互いに直交するようにされて、布又はフィルムからなる袋で包まれてなることを特徴とする防火処理部材である。
上記樹脂材料とは、弾力性を有する樹脂材料であり、例えば、ゴムや樹脂やエラストマーなどである。また、膨張材料とは加熱により膨張する材料であり、例えば、熱膨張性黒鉛や発泡性窒素化合物などが例示できる。
本発明の防火処理部材においては、外側に配置される耐火成形体と内側に配置される耐火成形体の間で、外側の耐火成形体の加熱時の膨張性を内側の耐火成形体よりも高くする一方で、内側の耐火成形体の加熱膨張時の粘度や形状保持性を外側の耐火成形体よりも高くすることが好ましい(請求項2)。
また、本発明は、請求項2に記載の防火処理用部材を、外側の耐火成形体の中心軸が長尺体貫通部の開口面と略平行となるように長尺体の周りに詰め込むことを特徴とする防火処理方法である(請求項3)。
本発明の防火処理部材によれば、以下のような効果が得られる。
まず、本発明の防火処理部材において膨張材料は樹脂材料と混練されてチューブ状(シート状)の熱膨張性耐火材料となっているので、本発明の防火処理部材からは膨張材料などの粉が漏れることがない。したがって、施工現場を汚染することもなく、施工作業が簡単になるうえに、耐火成形体を包む袋やその封止も簡単なものとすることができる。
また、本発明の防火処理部材においては熱膨張性の耐火材料はパテ状ではないので、防火処理部材からオイルなどがしみ出ることもなく、その取り扱い性に優れる。
また、本発明の防火処理部材においては、耐火成形体がチューブ状に形成されて袋で包まれているため、袋に近接あるいは接触して熱膨張性耐火材料を配置して、外部からの加熱に対して効果的に耐火層を形成できる。
一方で、耐火成形体が中空なので、熱膨張性耐火材料を節約でき、その利用効率が高い。
また、本発明の防火処理部材は、部材の弾力を利用して、防火区画の壁などに設けられた貫通穴と長尺体の間の隙間に押し込むだけで簡単に施工が完了するため、施工性もよい。特に本発明の防火処理部材においては、耐火成形体を包む袋が、その摩擦により防火処理部材同士を互いに固定するので、防火処理部材の貫通穴内部での納まりがよい。
そして、本発明の防火処理部材は、貫通穴に対してどのような姿勢で押し込んで施工しても、貫通穴の開口部にシート状の熱膨張性耐火材料が壁を作るように配置することができ、防火処理作業を簡単にしながら防火処理の信頼性を高めることができる。
また、本発明において、外側に配置される耐火成形体と内側に配置される耐火成形体の間で、外側の耐火成形体の加熱時の膨張性を内側の耐火成形体よりも高くする一方で、内側の耐火成形体の加熱膨張時の粘度や形状保持性を外側の耐火成形体よりも高くした場合には(請求項2)、火災時の開口部の閉塞の確実性や、防火処理の信頼性をさらに高めることができる。
また、本発明の防火処理方法によれば(請求項3)、火災時に開口部を効果的かつ確実に閉塞し、防火処理の信頼性をさらに高めることができる。
防火処理部材の実施形態を示す模式図である。 防火処理部材を構成する耐火成形体の形状を示す図である。 防火処理部材により長尺体貫通部の耐火処理を行った状態を示す模式図である。 図3におけるX−X断面を示す図である。 防火処理部材の他の実施形態を示す模式図である。 本発明の防火処理部材の実施形態を示す模式図である。
以下、図面を使用して本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、防火区画を区画する防火壁(軽量発泡コンクリート製)に設けられた貫通穴に電力ケーブルが挿通された長尺体貫通部の防火処理を行う実施形態を中心に説明する。
図1には、防火処理部材の実施形態を示す。防火処理部材1は、弾力性を有する軟質熱膨張性耐火材料をチューブ状(中空筒状)に成形した耐火成形体2(図2に示す)が、袋3で包まれて構成されたものである。
防火処理部材1は、図3に示すように、防火壁10に設けられた貫通穴11の内周面と、ケーブル12の外周面の間との間に詰め込まれて、複数の防火処理部材1,1によって貫通穴11のケーブル周りの空間をふさぐようにして防火処理が行われる。防火処理が行いやすいように、防火処理部材1,1は、あらかじめ種々の寸法のものを作成しておき、防火処理作業時には、それらを適宜選択しながら貫通穴11のケーブル周りの空間をふさぐようにして防火処理が行われる。
耐火成形体2は、しなやかで弾力性を有する熱膨張性耐火材料から形成された部材であり、シート状の部材を円筒状に丸めたような、チューブ状をなすように形成されている。本発明においてチューブ状とは、中空の筒状であること、すなわち部材の軸線方向に沿って、ほぼ同一な断面を有する中空の形状であることを意味し、円形の断面を持つ中空円筒状の形状だけを指すのではなく、楕円形状や、矩形状、多角形状の断面を持つような形状のものなどを含む。本実施形態では、耐火成形体2は、耐火処理部材1と概ね同じ長さLを有する直径Dの略円筒状に形成されている。また、チューブ状の耐火成形体2は、施工時に手で押すなどして、外力によって弾性変形させることができる。
耐火成形体2を包む袋3は、布又はフィルムからなる袋である。布としては天然繊維や合成繊維などを含む織布や不織布が使用でき、フィルムとしては金属箔や合成樹脂フィルムが使用できる。好ましくは、布やフィルムには、難燃性または不燃性の材料を加え、その耐火性を高めることが好ましく、そのようなものとしては、バサルト繊維とポリエステル繊維を混紡した不織布素材や、アクリル繊維を紡糸、織製した織布や、アルミニウム箔とポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した積層フィルムなどが例示できる。また、袋3は、耐火成形体2の弾性変形に追随して変形するだけの可撓性を有するものであることが好ましく、その限りにおいて、布やフィルムに合成樹脂を塗布・含浸させたものを使用することもできる。
本実施形態では、合成樹脂繊維を織製した織布製の袋にバインダー樹脂を含浸させて袋3を構成している。
本実施形態においては、袋3は長さL,幅W、高さHの略直方体状に形成されて、耐火成形体2を包んでおり、円筒状に形成される耐火成形体2の直径Dと比べ、幅Wはやや大きく、高さHはやや小さくされている。その結果、略直方体状の袋3の中で、耐火成形体2は袋3に近接してあるいは接触して配置され、袋3の中央部には熱膨張性耐火材料が配置されず中空状態となっている。また、発泡ウレタンや発泡ポリエチレンなどの樹脂発泡体を、耐火成形体2の中空部分に配置して、防火処理部材1の弾力性を高めるようにしても良い。また、後述するように、耐火成形体2の中空部分に難燃性・不燃性のかさ高い素材を入れておき、耐火成形体2が加熱された際に潰れてしまうことを予防してもよい。
袋3で耐火成形体2を包む形態は、あらかじめ開口部を有する袋状にしておいた袋3に耐火成形体2を押し込んで開口部を閉じるようにしてもよいし、布やフィルムで直接耐火成形体2を直方体状に包んでもよい。袋3の形態は必ずしも直方体状に限定されるものではなく、帯状や円柱状、リング状など、貫通穴やケーブルなどの長尺体貫通部の形状に応じて適宜決めればよい。
以下、耐火成形体2を構成する熱膨張性耐火材料について説明する。熱膨張性耐火材料は弾力性を有する軟質の樹脂材料と膨張材料を主成分として混練された弾力性を有する樹脂組成物である。
樹脂材料としては、特に弾力性のあるゴムや樹脂やエラストマーが使用される。すなわち、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、熱可塑性エラストマー(オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマーなど)、α-オレフィン系コポリマー、エチレン系コポリマー等が例示される。
上記樹脂材料は単独で、あるいは適宜混合して使用しても良い。
さらに、上記樹脂材料に、弾力性に乏しいポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリルスチレンブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂などの樹脂材料を混合しても良い。フェノール系樹脂は加熱により硬化・炭化するので、フェノール系樹脂を樹脂材料として混合すると、耐火成形体2が加熱された際に容易に軟化・変形してしまうことが防止され、袋の中で耐火成形体2が当初の位置に保たれて、耐火断熱層を形成することに有効である。
上記樹脂材料に混練される膨張材料は、熱膨張性黒鉛や発泡性窒素化合物などの加熱により膨張する膨張材料が使用できる。中でも、従来公知の熱膨張性黒鉛を膨張材料として使用するのが、組成物の膨張倍率を高くできるので望ましい。熱膨張性黒鉛は、後述するリン化合物と反応したりすることがないように、中和処理されたものを使用するのが望ましい。本発明における膨張材料の好ましい膨張倍率は、体積膨張率で2.5倍〜200倍、更に好ましくは5倍〜150倍である。
本実施形態においては、熱可塑性エラストマーを樹脂材料のベース材料とし、膨張材料として熱膨張性黒鉛を配合して、これら材料を混練して熱膨張性耐火材料としている。
本発明における熱膨張性耐火材料には、その他、必要に応じて以下のものを適宜加えることができる。
赤リンやリン酸エステル、リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム類などのリン化合物を加えると、難燃性を高め、耐火断熱効果を向上させることができる。特にポリリン酸アンモニウムの添加が好適である。
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの含水無機物を加えると、加熱時に脱水反応が起こり、生成した水の吸熱作用によって耐火断熱性能を向上させることができる。
耐火成形体2に適度な弾力性を与えるための、熱膨張性耐火材料の好ましい弾性の程度は、JIS K 7171による曲げ弾性率で1MPa〜1000MPaである。貫通物の重量を耐火成形体2により支持する必要がある場合には、熱膨張性耐火材料の曲げ弾性率は100MPa〜1000MPaであることが特に好ましく、その必要がない場合は、曲げ弾性率は1MPa〜200MPaであることが特に好ましい。
本発明における熱膨張性耐火材料の加熱時の体積膨張率の好ましい範囲は2倍〜40倍であり、より好ましくは、5倍〜30倍である。膨張倍率が低いと、防火性能を確保するために多量の熱膨張性耐火材料が必要となるために不経済であり、膨張倍率が高すぎると、膨張した耐火材料が散逸しやすくなり、形成される耐火断熱層がもろくなる。熱膨張性耐火材料の膨張倍率に異方性を持たせる場合には、耐火成形体2のチューブの肉厚方向の膨張倍率を高くすることが好ましい。
調製・混練された上記熱膨張性耐火材料は、押し出し成形や射出成形やロール成形など、ベースとなる樹脂材料に適した成形方法によりシート状あるいはチューブ状に成形される。押し出し成形法によれば、直接チューブ状に熱膨張性耐火材料を押し出して、所定長さにカットして耐火成形体2を形成できる。その他、熱膨張性耐火材料をシート状に形成した場合には、所定の幅や長さの短冊状としてその両端を粘着テープなどによってつなぎ合わせてチューブ状とすればよい。
さらに、耐火成形体2の剛性や膨張の程度を調整するために、多層構造を持つようにシート状あるいはチューブ状に成形しても良い。多層構造を持たせる場合には、前記した熱膨張性耐火材料からなる熱膨張層に加え、他の材料からなり剛性を保持するとともに加熱された際の形状保持を目的とする耐火層とを設けることが好ましく、特に耐火層を複数の熱膨張層でサンドイッチ状に挟み込んだ構造とすることが望ましい。耐火層としては、フェノール樹脂などの樹脂材料や金属薄板などで構成される層が例示できる。特に、耐火層を金属薄板で構成した場合には、加熱された際にも耐火層が剛性を失うことなく、防火構造の維持が確実に行われる。
以下、上記防火処理部材1の作用・効果について説明する。
防火処理部材1の耐火成形体2を構成する熱膨張性耐火材料は、軟質樹脂材料に膨張材料が練り込まれているので、膨張材料が粉状や小片状に脱落することが抑制・防止される。したがって、防火処理部材1の取り扱い時や施工時に粉などが漏れることがなくなり、施工作業性が向上する。また、耐火成形体2を包む袋3を密閉性の高い素材とする必要もなく、袋3の封止も簡便な方法で済ますことができるようになり、防火処理部材1の製造コストを下げることができる。
また、防火処理部材1では、オイルが滲み出すようなパテは使用しないので、オイルによる汚れへの対策をとる必要もなく、取り扱い性がよい。
火災などの際に、防火処理部材1が加熱されると、袋3の内部で、耐火成形体2を構成する熱膨張性耐火材料が膨張して、耐火層を形成し、長尺体貫通部の開口部を閉塞する。
防火処理部材1においては、袋3と耐火成形体2が近接してあるいは接触して配置されるようにできるので、袋の外部から加熱される際に、耐火成形体2の熱膨張性耐火材料が速やかに膨張して、開口部を閉塞することができる。また、袋3や耐火成形体2の中心部や中空であるので、熱膨張性耐火材料を節約することができる。
また、耐火成形体2の熱膨張性耐火材料が膨張する際には、樹脂材料と膨張材料が一体となって膨張するので、熱膨張性耐火材料自体がある程度の形状保持性を有している。したがって、袋3によって膨張した耐火材料の散逸を防止する必要性が低下し、袋3の耐火性はそれほど必要とされないので、袋3に高価な不燃材料を使う必要がない。
もちろん、熱膨張性耐火材料の膨張過程までの間、袋3がしっかりと残存する程度の耐火性を有するものであれば、袋3によって膨張した耐火材料の散逸がより確実に防止されてしっかりした耐火層を形成することができ、防火処理の信頼性を高めることができる。そのためには、袋を構成する素材に、難燃性または不燃性の材料を含ませることが有効である。
以下、防火処理部材1を用いた、長尺体貫通部の防火処理の方法について説明する。
図3に示したような防火壁10の貫通穴11に挿通されたケーブル12の周囲に複数の耐火処理部材1,1を以下のようにして順次押し込んでいく。
防火処理部材1の施工に当たっては、防火処理部材1(耐火成形体2)の弾力性を利用して、チューブ状の耐火成形体2を袋3とともに扁平に押しつぶすようにして、その状態で、ケーブルに沿う方向にスライドさせて、貫通穴11とケーブル12の間の隙間に詰め込む。詰め込まれた耐火処理部材1,1は、耐火成形体2の弾力性により、貫通穴11やケーブル12、あるいは隣接する他の耐火処理部材との間に生ずる摩擦力によって貫通穴11の内部に保持される。以上の作業を繰り返して、ケーブルと貫通穴内周面の間の空間を複数の防火処理部材1,1で埋めて、防火処理が完了する。
この防火処理方法によれば、耐火成形品2の弾力性を利用して、耐火処理部材を隙間なく並べて押し込むだけで防火処理が完了し、施工性がよい。また、防火処理部材1の袋3が互いに接触しあって、複数の防火処理部材1,1が一体となって安定して貫通穴11の内周面に固定される。必要に応じて、接着剤や粘着材、粘着テープやパテ材料などを併用してもよいが、通常はその必要はないため、非常に施工性がよい。防火処理部材1の固定がより確実に行えるようにするためには、袋3の表面が適度な摩擦を生じやすくされていることが好ましく、そのような袋としては織布の織り組織が袋の表面に現れた袋や、不織布素材の袋などが例示される。また、袋3の形状が直方体状となっていると、防火処理部材1、1の間に隙間ができないように並べるのに好都合である。
防火処理部材1の施工方法(防火処理方法)で、特に好ましい形態を以下に説明する。図4は、図3に示した長尺体貫通部防火処理部分のX−X断面図であるが、防火処理部材1の施工においては、チューブ状の耐火成形体2がこのような向きとなるように施工することが特に好ましい。すなわち、図4に示すように、チューブ状の耐火成形体2の中心軸の方向(図1における長さLの方向)が長尺体貫通部の開口面とおおむね平行になるように(図4では紙面奥行き方向となるように)設けることが好ましい。換言すれば、耐火成形体2の中心軸と長尺体とが、互いにねじれの位置関係にありながら壁の上方から見て直交するような関係である。なお、ここにいう長尺体貫通部の開口面とは、防火壁10に設けられた貫通穴11の内部空間が室内空間に向けて開放する面を意味し、防火壁10の壁面の延長上に存在する面である。
耐火成形体2がこのような向きになるように防火処理部材1を施工すれば、長尺体貫通部の開口面には、袋3のすぐ内側にチューブ状の耐火成形体2の一部(円筒状の側面)が、耐火材料の壁をなすように配置されて、長尺体貫通部の開口面全体がこうした耐火材料の壁の集合で覆われるようになる。したがって、火災の際に長尺体貫通部の開口面に炎が吹き付けるようなことがあろうとも、耐火成形体2がチューブ状で中空の部材であるにも関わらず、長尺体貫通部の開口面全体を速やかに耐火層で閉塞することができ、耐火材料を節約しながらも、防火処理の信頼性を高めることができる。
以上、防火処理部材の実施形態について説明したが、防火処理部材は上記実施形態に限定されるものではなく、その作用効果を損なわない範囲で、種々の変形・改変を加えて実施することができる。以下に、防火処理部材の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分については、図に同じ番号を付してその詳細な説明は省略する。
図5には、防火処理部材他の実施形態を示す。本実施形態においては、袋3で包まれた弾力性を有する耐火成形体2の内側の中空空間に、スチール製のリング(支持体)4が挿入されて防火処理部材1’が構成されている。なお、図5においては、リング4の形状をわかりやすくするために、袋3や耐火成形体2の内側に配置されるリング4を実線で示している。リング4は弾力性を有するリングであり、リング4を含む平面が、耐火成形体2の中心軸を含むあるいは中心軸と平行となるような姿勢で、耐火成形体2の内側に押し込まれている。そして、防火処理を行う際には、リング4を含む平面が鉛直方向におおむね沿うように防火処理部材1’を貫通穴に詰め込む。
火災などの際に加熱されると、リング4は、膨張しながら固化していく耐火成形体2を内側から支え、耐火成形体2が膨張時に潰れてしまうことをリング4によって確実に防止できる。このように、膨張時の支持体となる部材を耐火成形体2の内部空間に保持させることも、本発明の好ましい実施の形態である。
支持体となる部材は、上記スチール製リングに限定されるものではなく、耐火成形体2の施工時の弾性変形を阻害しない程度の弾力性と、ある程度の難燃性や耐火性を備えるかさ高い部材であればよい。例えば、不燃繊維からなるかさ高い不織布(ロックウールなど)や、難燃性の合成樹脂発泡体などを、耐火成形体の中に配置する支持体として使用することもできる。
図6には本発明の防火処理部材の実施形態を示す。本実施形態においては、2つのチューブ状の耐火成形体21,22が組み合わせられた状態で、袋3の中に包まれている。なお、図6においては、耐火成形体21,22の形状および組み合わせ状態をわかりやすくするために、袋3の内側に配置される耐火成形体21,22を実線で示している。2つのチューブ状の耐火成形体21,22は、一方の耐火成形体21の内側に他方の耐火成形体22が内蔵されるようにされ、両者の耐火成形体中心軸が互いに直交するようにされて、袋3の中に入れられている。したがって、図6に示した箱状の袋3の上面及び下面では、耐火成形体を構成するシート状の熱膨張性耐火材料が2重になって袋に近接して配置されると共に、箱状の袋の四方の側面では、耐火成形体を構成するシート状の熱膨張性耐火材料が袋に近接して配置されるようになる。すなわち、本実施形態においては、箱状の袋3のいずれの面においても袋に接触あるいは近接して熱膨張性耐火材料を配置することができる。そのため、貫通穴に対して本実施形態の防火処理部材をどのような姿勢で押し込んで施工しても、図4に示したように、貫通穴の開口部にシート状の熱膨張性耐火材料が壁を作るように配置することができ、防火処理作業をさらに簡単にしながら防火処理の信頼性を高めることができる。
さらに、図6に示した本発明の防火処理部材の実施形態においては、組み合わせて配置される耐火成形体21,22の間で、熱膨張性耐火材料の特性が互いに異なるようにすることも好ましい変更の形態である。
例えば、外側に配置される耐火成形体21と内側に配置される耐火成形体22の間で、外側の耐火成形体21を加熱時の膨張性が内側の耐火成形体22よりも高い配合の熱膨張性耐火材料で形成する一方で、内側の耐火成形体22を加熱膨張時の粘度や形状保持性が外側の耐火成形体21よりも高い配合の熱膨張性耐火材料で形成するようにすることが、火災時に開口部を確実に閉塞し、防火処理の信頼性を高める上で特に好ましい。
また、外側に配置される耐火成形体21と内側に配置される耐火成形体22の間で熱膨張性耐火材料の配合や特性を変えた場合には、加熱時の膨張性が内側の耐火成形体22よりも高くなるような配合とした外側の耐火成形体21の側面が貫通穴の開口部に面するように(すなわち外側の耐火成形体21の中心軸が貫通穴開口面と平行となるように)すると共に、形状保持性が外側の耐火成形体21よりも高くなるようにした内側の耐火成形体22の側面が貫通穴の内周面と対向するように(すなわち内側の耐火成形体22の中心軸が長尺体と略平行となるように)して、防火処理部材を貫通穴に施工することが好ましく、そのようにすれば、火災時に開口部を効果的かつ確実に閉塞し、防火処理の信頼性をさらに高めることができる。
本発明は、防火区画を画成する壁や床に設けられた貫通穴にケーブルなどの長尺体が貫通する長尺体貫通部の防火処理に利用できる。本発明は、材料節約的でコストの点で優れる上、その取り扱い性や施工性が良く、防火処理の信頼性も高めることができる。
1 防火処理部材
2 耐火成形体
3 袋
10 耐火壁
11 貫通穴
12 ケーブル(長尺体)
4 支持体
21,22 耐火成形体

Claims (3)

  1. 防火区画における長尺体貫通部の長尺体の周りに詰め込むための防火処理部材であって、
    樹脂材料と膨張材料を主成分として混練された弾力性を有する熱膨張性耐火材料をチューブ状に成形した2つの耐火成形体が、一方の耐火成形体の内側に他方の耐火成形体が内蔵されるとともに、両者の耐火成形体中心軸が互いに直交するようにされて、
    布又はフィルムからなる袋で包まれてなることを特徴とする防火処理部材。
  2. 外側に配置される耐火成形体と内側に配置される耐火成形体の間で、外側の耐火成形体の加熱時の膨張性を内側の耐火成形体よりも高くする一方で、内側の耐火成形体の加熱膨張時の粘度や形状保持性を外側の耐火成形体よりも高くしたことを特徴とする請求項1に記載の防火処理部材。
  3. 請求項2に記載の防火処理用部材を、外側の耐火成形体の中心軸が長尺体貫通部の開口面と略平行となるように長尺体の周りに詰め込むことを特徴とする防火処理方法。
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