JP2004329655A - 防火区画貫通措置具及び防火措置工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】防火区画10の貫通穴11内に配管12を貫通させたのち、この貫通した状態の配管12に担持体1を装着し、その上でこの担持体1に熱膨張性黒鉛2に装着し、これを貫通穴11内にずらし込んで防火措置を行う。このようにすることで、措置作業がしやすく、また措置具は担持体1と熱膨張性黒鉛2に別れているため、製作コストが安く、分別廃棄もしやすい。
【選択図】 図 1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防火区画を貫通する配管やケーブル等(以下「被措置対象物」と云う)を防火措置する際に用いられる措置具であって、措置具を専ら被措置対象物に対する装着性だけを目的とする担持体と、専ら火災発生時の熱で膨張して貫通穴内を閉塞することだけを目的とする熱膨張性部材とに分離することによって、施工性及び性能の向上とコストの低減を図ることが可能な防火措置具とその防火措置工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
防火区画貫通措置具としては、次のようなものが公知である。
(1)特開平9−262305号
この措置具は、金属管29が床25(防火区画体)の穴27を貫通する部分に、防火性、防水性、防音性の良好な防火処理を施すために、難燃性発泡プラスチックシート13と熱膨張性耐火材シート15を複合したものを内部充填材17とし、これを、金属箔と耐火性布を張り合わせたカバーシート19で覆った防火処理用シート11であって、このシート11を金属管29に巻き付け、防火処理用シート11の外周面と穴27の内周面との間の空隙をモルタル31で穴埋めするもので、難燃性発泡プラスチックシート13のクッション性とカバーシート19の防水性で貫通部の防水性を確保し、且つクッション性で防音性を確保し、加熱時の難燃焼性発泡プラスチックシート13の体積減少を熱膨張性耐火材シート15の体積膨張で補い、防火性を確保する構成である。
【0003】
(2)特開平7−204287号
この措置具は、不織布などの断熱性シート2の表面にアルミ箔3を張りつけ、その上に、火災時の熱で発泡する熱発泡性塗料4を装着したものであって、この防火シート1を可燃性ケーブル5に巻きつけて、防火処理を施すようにすることで、可燃性ケーブルに、延焼防止とケーブル機能維持を含めた防火処理をきわめて簡単に施すことができる構成である。
【0004】
(3)特開2000−334058号
この措置具は、低コストにより施工することができる防火区画貫通穴用熱膨張充填材であって、熱膨張充填材1をスパイラル状に形成し、現場でこの充填材1を配管2等に捲きつけて使用する構成である。
(4)特開2002−172181号
防火区画を貫通して施工された樹脂配管、ケーブル、又は断熱被覆管が火災時に変形したり、焼失するようなことがあっても、防火区画貫通部の仕切り部の一方の側で発生した熱、火災、煙等が他方側へ到達するのを防止し、且つ安価で施工の容易な防火区画貫通部材、及びそれを用いた防火区画貫通構造であって、建築物の仕切り部に設けられた防火区画3を貫通する樹脂配管、ケーブル、又は断熱被覆管1に装着される防火区画貫通部材であって、該防火区画貫通部材が、50kw/m2の照射熱量下で加熱した際の膨張倍率が5〜40倍であり、且つ加熱後の膨張材料を0.1cm/sで圧縮した際の破断点荷重が1N/cm2以上である熱膨張性材料からなるテープ状成形体で形成され、該テープ状成形体の厚みが、上記樹脂配管、ケーブル、又は断熱被覆管の外径の0.5〜20%となされ、且つ、該テープ状成形体の幅が、防火区画貫通部の厚みの25〜150%に形成したことを特徴とするものである。
【0005】
しかし、上記(1)〜(4)に例示した従来の防火措置具にあっては、次のような欠点がある。
(1)熱膨張性部材は、樹脂やゴム等のベースポリマーに熱膨張性黒鉛やバーミュキュライトあるいはポリ燐酸アンモニウム等のような熱を加えると膨張する材料を混練して成形したものである。
このように、ベースポリマーに熱膨張性材料を混練して製品化する理由は、熱膨張性材料はそのままであると保形性がなく、配管等に装着することができないために、ベースポリマーに混練し、このベースポリマーの保形性能によって例えばテープ状、シート状あるいは円筒状あるいは液状(塗料)とするためである。
しかし、熱膨張性材料をベースポリマーに多く含有させると、熱膨張率は高くなるが、保形性能が損なわれる。
一方、熱膨張性材料の含有量を少なくすると、熱膨張率は低下するが保形性能が良くなり、装着性が向上する。
このようなことから、熱膨張性部材は、装着性と熱膨張率を考慮して成形されているが、通常は汎用性に重点を置いた設計となっていて、措置条件によっては硬すぎたり、寸法が大きくなったりして使い勝手が悪いことが多い。
(2)さらに、上記したテープ状、シート状の防火措置具にあっては、
1.配管の措置部分を明確にし、措置具を取付けた後に施工するため、微妙な位置調整が難しい。
2.措置具を取付けた後に、配管施工をやり直す必要が生じたときに位置調整が不可能である。
(3)また、上記した公知の防火措置具にあっては、断熱シートやアルミ箔等を用いたシートで熱膨張性部材を被覆しているため、製作にコストがかかり、また、スパイラル状に形成した措置具にあっては製作に手間とコストがかかると云う問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は斯る点に鑑みて提供されるものであって、その目的は、専ら熱膨張に寄与する部分と、保形に寄与する部分とを分離することによって配管等に対する装着性を高め、併せて性能の向上と製作コストの低減を図ることができる防火区画貫通措置具と防火措置工法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、防火区画貫通措置工法において、防火区画の貫通穴内に被措置対象物を貫通させたのち、この貫通させた状態の被措置対象物に担持体を装着し、その上でこの担持体に熱膨張性部材を装着し、その後この熱膨張性部材を装着した担持体を貫通穴内にずらし込んで防火措置を行うことを特徴とするものである。
【0008】
更に、請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の発明において、熱膨張性部材がテープ状又はシート状又は紐状の場合は、この熱膨張性部材を担持体に捲きつけ、熱膨張性部材が粉末状又はペレット状又はパテ状又は液状の場合は、担持体の表面に層状に付着又は塗布させることを特徴とするものである。
【0009】
更に、請求項3に記載の発明においては、請求項1に記載の発明において、担持体は、樹脂又は紙材又は弾性金属薄板から成ることを特徴とするものである。
【0010】
更に、請求項4に記載の発明においては、請求項1に記載の発明において、担持体は、円筒形状、楕円形状又は軸方向に1本の割りを入れた断面C字状又はつる巻きバネ板形状から成ることを特徴とするものである。
【0011】
更に、請求項5に記載の発明においては、請求項1に記載の発明において、熱膨張性部材は、熱膨張性黒鉛又は熱膨張性バーミュキュライト又はポリ燐酸アンモニウム又はこれらの熱膨張性部材を含有する熱膨張性樹脂又はゴム又は塗料から成ることを特徴とするものである。
【0012】
更に、請求項6に記載の発明においては、防火区画措置具において、被措置対象物に装着可能な担持体と、この担持体に装着自在な熱膨張性部材とから成ることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記した措置具は、熱膨張性部材と担持体とは別々に構成されているため、担持体に柔軟性のある材質を利用することによって、配管等に対する装置性が向上する。例えば、担持体と熱膨張性部材は、始めは別々に用意されていて、現場において担持体に熱膨張性部材を装着させたのち施工するか、あるいは担持体を先に被措置対象物に装着しておき、あとから熱膨張性部材を担持体に装着し、その後貫通穴内にずらし込むことにより施工する。
【0014】
【実施例1】
図1は、円筒形のポリエチレン樹脂製の担持体1の外側に、熱膨張性黒鉛2を装着したもので、この措置具は、図2に示すように、防火区画10の貫通穴11を貫通している配管12等に対し、貫通穴11の外で装着し、矢印のように貫通穴11内にずらし込んで図3に示すように措置する形態である。なお、図3において、貫通穴11の空間は後でモルタルあるいはパテで処理するが、この状態の図示は省略してある。
図4は、図1のように、あらかじめ担持体1の外に熱膨張性黒鉛2を装着しておくのではなく、現場で、テープ状又はシート状に成形した熱膨張性黒鉛2を担持体1に捲きつけると同時に粘着剤(接着剤)3で貼り付けるもので、このとき、一重が原則であるが、措置条件によっては二重又はそれ以上であっても良い。
【0015】
【実施例2】
図5(A)は、円筒状の措置具にあらかじめ割り4を入れて断面C字状に形成しておくことにより、(D)に示すように、担持体1、熱膨張性黒鉛2を割り4で開放し、ここから配管12に被せるようにして装着することができるように構成した例である。
【0016】
【実施例3】
本実施例3は、担持体1に対する熱膨張性黒鉛2の装着例であって、図5(B)は担持体1の内側に熱膨張性黒鉛2を装着した例、(C)は担持体1の内外両面に熱膨張性黒鉛2を装着した例であって、これらの装着例は、措置条件により任意に決定される。
【0017】
【実施例4】
図6は、担持体1の表面に粘着剤(接着剤)3を塗布しておき、紐状に形成した熱膨張性黒鉛2を捲きつけるようにして装着する例である。この際、粘着剤3を用いずに、紐状の熱膨張性黒鉛2を縛りつけるようにして装着しても良い。
【0018】
【実施例5】
図7(A)は、つる巻バネ形状に形成した弾性金属薄板で担持体1を形成し、この担持体1の内面に熱膨張性黒鉛2を張りつけたもので、図7(B)に示すように、担持体1を一旦拡張して配管12等に外装すると、バネ効果で配管12等に巻きつく。この結果、配管12等の外径寸法に対する適応性が広く、また巻きつき効果により縦配管等においてはずり落ちない利点がある。
上記各実施例は、ポリエチレン樹脂及び弾性金属薄板を担持体1として利用しているが、その他紙管のようなものを担持体1として利用することもでき、柔軟性を有する材質ならば、他の材質のものを利用しても良い。
また、熱膨張性黒鉛2は、テープ状、シート状の他に、粉状、ペレット状、パテ状、液状のものであっても良い。その他の熱膨張性部材としては、熱膨張性樹脂、熱膨張性ゴム、熱膨張性バーキュライト、熱膨張性塗料等がある。そして、熱膨張性部材が粉体、ペレット状、パテ等の場合であって、それ自体に接着性がない場合には、担持体の表面に接着剤等を用いて付着あるいは塗布する。
【0019】
【発明の効果】
本発明は以上のように、熱膨張性部材と担持体を別構成としたことにより、次の効果を奏する。
1.ポリエチレン製等の担持体は柔軟性を有することから、このような担持体を用いて熱膨張性部材を保持し、配管等に装着できるので、措置作業を簡単にできる。
2.熱膨張性部材の熱膨張率を高めることができるため、措置具の性能の向上と薄肉化が可能である。
3.担持体と熱膨張性部材を別々に用意しておくため、製造コストの低減が可能である。
4.担持体と熱膨張性部材の分別廃棄が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る措置具の説明図。
【図2】配管を措置している状態の説明図。
【図3】措置終了状態の説明図。
【図4】担持体に熱膨張性黒鉛シート(テープ)を巻きつけている例の説明図。
【図5】(A)〜(C)は割りを入れた措置具であって、担持体の外、内又はこの双方に熱膨張性黒鉛を捲きつけた例の説明図、(D)は措置具を配管に装着する状態の説明図。
【図6】紐状の熱膨張性黒鉛を担持体に捲きつけている状態の説明図。
【図7】(A)はつる巻バネ形状の措置具の説明図、(B)は配管に装着した状態の説明図。
【符号の説明】
1 担持体
2 熱膨張性黒鉛
3 粘着剤(接着剤)
4 割り
Claims (6)
- 防火区画の貫通穴内に被措置対象物を貫通させたのち、この貫通させた状態の被措置対象物に担持体を装着し、その上でこの担持体に熱膨張性部材を装着し、その後この熱膨張性部材を装着した担持体を貫通穴内にずらし込んで防火措置を行う防火区画貫通措置工法。
- 熱膨張性部材がテープ状又はシート状又は紐状の場合は、この熱膨張性部材を担持体に捲きつけ、熱膨張性部材が粉末状又はペレット状又はパテ状又は液状の場合は、担持体の表面に層状に付着又は塗布させることを特徴とする請求項1に記載の防火区画貫通措置工法。
- 担持体は、樹脂又は紙材又は弾性金属薄板から成ることを特徴とする請求項1に記載の防火区画貫通措置工法。
- 担持体は、円筒形状、楕円形状又は軸方向に1本の割りを入れた断面C字状又はつる巻きバネ板形状から成ることを特徴とする請求項1に記載の防火区画貫通措置工法。
- 熱膨張性部材は、熱膨張性黒鉛又は熱膨張性バーミュキュライト又はポリ燐酸アンモニウム又はこれらの熱膨張性部材を含有する熱膨張性樹脂又はゴム又は塗料から成ることを特徴とする請求項1に記載の防火区画貫通措置工法。
- 被措置対象物に装着可能な担持体と、この担持体に装着自在な熱膨張性部材とから成る防火区画措置具。
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