JP2010278048A - スーパーストレート型薄膜太陽電池用の複合膜及びその製造方法 - Google Patents

スーパーストレート型薄膜太陽電池用の複合膜及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い裏面反射率及び高い導電性を有し、かつ基材との密着性に優れた透明導電膜及び導電性反射膜の2層からなる複合膜を提供する。真空蒸着法やスパッタ法などの真空プロセスを可能な限り排除し、湿式塗工法を使用することでより安価に透明導電膜及び導電性反射膜の2層からなる複合膜を製造できる方法を提供する。
【解決手段】スーパーストレート型薄膜太陽電池の光電変換層12上に透明導電膜11bが形成され、この透明導電膜11b上に導電性反射膜11aが形成された2層からなる複合膜11において、透明導電膜が透明導電膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布し、焼成することにより形成され、導電性反射膜が導電性反射膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布し、焼成することにより形成され、導電性反射膜用組成物が炭素数が3以上の有機銀溶解液を含み、導電性反射膜が有機銀の焼成物で構成されることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電膜と、導電性反射膜の2層により構成される複合膜に関する。更に詳しくは、スーパーストレート型薄膜太陽電池に適する複合膜に関するものである。
現在、環境保護の立場から、クリーンなエネルギーの研究開発が進められている。中でも太陽電池は、その資源である太陽光が無限であること、無公害であることなどから注目を集めている。従来、太陽電池による太陽光発電には、単結晶シリコンや多結晶シリコンのバルク状結晶を製造し、これをスライス加工して厚い板状の半導体として使用するバルク太陽電池が用いられてきた。しかしバルク太陽電池に使用する上記シリコン結晶は、結晶の成長に多くのエネルギと時間とを要し、かつ、続く製造工程においても複雑な工程が必要となるため量産効率が上がり難く、低価格の太陽電池を提供することが困難であった。
一方、厚さが数マイクロメートル以下のアモルファスシリコンなどの半導体層を光電変換層として用いた、いわゆる薄膜半導体太陽電池(以下、薄膜太陽電池という。)は、ガラスやステンレススチールなどの安価な基板上に、光電変換層となる半導体層を必要なだけ形成すればよい。従って、この薄膜太陽電池は、薄型で軽量、製造コストの安さ、大面積化が容易であることなどから、今後の太陽電池の主流になると考えられている。
薄膜太陽電池は、その構造によってスーパーストレート型やサブストレート型があり、透光性基板側から光を入射させるスーパーストレート型太陽電池では、通常、基板−透明電極−光電変換層−裏面電極の順で形成された構造をとる。光電変換層がシリコン系材料で形成されたスーパーストレート型太陽電池では、例えば、透明電極、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、裏面電極の順で形成された構造をとることで発電効率を高めることが検討されている(例えば、非特許文献1参照。)。この非特許文献1に示される構造では、アモルファスシリコンや多結晶シリコンが光電変換層を構成する。
光電変換層がシリコン系の材料によって太陽電池が構成されている場合、上記材料による光電変換層の吸光係数が比較的小さいことから、光電変換層が数マイクロメートルオーダーの膜厚では、入射光の一部が光電変換層を透過してしまい、透過した光は発電に寄与しない。そこで、裏面電極を反射膜とするか、或いは裏面電極の上に反射膜を形成し、吸収されず光電変換層を透過した光を反射膜によって反射させ、再び光電変換層に戻すことで発電効率を向上させることが一般に行われている。
薄膜太陽電池におけるこれまでの開発では、電極や反射膜はスパッタ法等の真空成膜法によって形成されていた。しかし、一般に、大型真空成膜装置の維持及び運転には多大なコストが必要であった。そのため、これらの形成方法を真空成膜法から湿式成膜法に代えることが検討され、湿式成膜法への変更によって、ランニングコストの大幅な改善が期待されている。
湿式成膜法で形成された導電性反射膜の例として、光電変換素子の裏面側に形成される反射膜を無電解めっき法を用いて形成することが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に示される方法では、反射膜を無電解めっき法を用いて形成することにより、生産性の向上を図ることができると記載されている。具体的には、基板の表面側にめっきの保護膜となるレジスト膜を全面印刷により形成し、その後、基板の裏面側を不導体用前処理液にHFを2〜4質量%の割合で加えたものを用い、前処理を施し、無電解めっき液を用いて、約3μmの銅めっき膜からなる反射層を形成する。次に、基板を溶剤中において、超音波洗浄を行いレジスト膜を取除くことで光電変換素子が形成される。
しかしながら、上記特許文献1に示される無電解めっき法は、表面側にめっき保護膜を形成した後に、めっき処理する側をHF溶液で前処理した後に、無電解めっき液に浸すなどの工程を経るため、煩雑な工程に加えて、廃液の発生も予想される。
また、より簡便な方法として、金属超微粒子を有機系溶媒に分散させた溶液を塗布し、100〜250℃の低温で焼結する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。上記特許文献2に示される方法によって、高真空プロセスを用いずに、反射率、導電率共に高い大面積で均一な金属電極を形成することができる。
しかしながら、上記特許文献2に示されるような方法で得られた金属膜では、基材側の反射率は、反対側の面に当たる露出面側の反射率に比べて低下する傾向にある。それは、一般に金属超微粒子の分散液を塗布、焼成して金属膜を形成した場合、金属膜と膜を形成する基材との間に気孔が生じるためである。金属膜と基材との間に気孔が生じると、気孔内部に入り込んだ光が気孔内で反射を繰り返すことで減衰してしまったり、基材側へ到達した反射光も、基材面に対する入射角が大きくなる場合には、低屈折率媒体(気孔の空気)/高屈折率媒体(基材)の界面で全反射される割合が増え、その割合に応じて光が減衰してしまうものと推測される。
例えば、基材表面に高い反射率とめっき調の金属光沢を呈する金属塗膜を形成する方法として、基板上に金属コロイド粒子を含有する塗料を塗布し、塗膜を乾燥した後、塗膜を加熱して、塗膜中のコロイド粒子を融着させて金属薄膜を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この特許文献3に示される方法でも、基板側の反射率は考慮されていない。
特開平05−95127号公報(発明の詳細な説明の段落[0015]、[0020]及び[0021]) 特開平09−246577号公報(発明の詳細な説明の段落[0035]) 特開2000−239853号公報(発明の詳細な説明の段落[0015]、[0097]及び[0098])
柳田祥三ほか著、「薄膜太陽電池の開発最前線 〜高効率化・量産化・普及促進に向けて〜」、株式会社エヌ・ティー・エス、2005年3月、P.113図1(a)
金属ナノ粒子の分散液を塗布し、焼成することで反射膜を形成した際、ガラスなどの透光性基材側から反射率を評価すると、反対側の面に当たる露出面側から反射率を評価した場合と比較して、反射率が著しく低下する傾向が見られる。
本発明の目的は、高い裏面反射率及び高い導電性を有し、かつ基材との密着性に優れた透明導電膜及び導電性反射膜の2層からなるスーパーストレート型薄膜太陽電池用の複合膜を提供することにある。
本発明の別の目的は、真空蒸着法やスパッタ法などの真空プロセスを可能な限り排除し、湿式塗工法を使用することでより安価に透明導電膜及び導電性反射膜の2層からなるスーパーストレート型薄膜太陽電池用の複合膜を製造できる方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、スーパーストレート型薄膜太陽電池の光電変換層上に透明導電膜が形成され、この透明導電膜上に導電性反射膜が形成された2層からなる複合膜において、透明導電膜が透明導電膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布し、焼成することにより形成され、導電性反射膜が導電性反射膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布し、焼成することにより形成され、導電性反射膜用組成物が炭素数が3以上の有機銀溶解液を含み、導電性反射膜が有機銀の焼成物で構成されることを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に有機銀として、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、ネオペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、エチルブチル酸及びモノメチルコハク酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の銀塩を用いることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に有機銀溶解液を含む導電性反射膜用組成物を、焼成後の厚さが0.05〜2.0μmの範囲内になるよう湿式塗工法を用いて塗膜を形成し、130〜400℃で焼成することを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点に基づく発明であって、更に湿式塗工法が、スプレーコーティング法、ディスペンサーコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又はダイコーティング法のいずれかであることを特徴とする。
本発明の第5の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に透明導電膜用組成物が加熱により硬化するポリマー型バインダ又はノンポリマー型バインダのいずれか一方又は双方を含むことを特徴とする。
本発明の第6の観点は、第5の観点に基づく発明であって、更にポリマー型バインダがアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリウレタン、アクリルウレタン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、セルロース及びシロキサンポリマからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする。
本発明の第7の観点は、第5の観点に基づく発明であって、更にポリマー型バインダがアルミニウム、シリコン、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銀、銅、亜鉛、モリブデン又は錫の金属石鹸、金属錯体或いは金属アルコキシドの加水分解体を1種又は2種以上含むことを特徴とする。
本発明の第8の観点は、第5の観点に基づく発明であって、更にノンポリマー型バインダが金属石鹸、金属錯体、金属アルコキシド、ハロシラン類、2−アルコキシエタノール、β−ジケトン及びアルキルアセテートからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする。
本発明の第9の観点は、第8の観点に基づく発明であって、更に金属石鹸、金属錯体又は金属アルコキシドに含まれる金属がアルミニウム、シリコン、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銀、銅、亜鉛、モリブデン、錫、インジウム又はアンチモンであることを特徴とする。
本発明の第10の観点は、第1又は第5の観点に基づく発明であって、更に透明導電膜用組成物がシランカップリング剤、アルミカップリング剤及びチタンカップリング剤からなる群より選ばれた1種又は2種以上を含むことを特徴とする。
本発明の第11の観点は、基材上に透明導電膜を介してスーパーストレート型薄膜太陽電池の光電変換層上に透明導電膜用組成物を湿式塗工法により塗布して透明導電塗膜を形成し、透明導電塗膜上に炭素数が3以上の有機銀溶解液を含む導電性反射膜用組成物を湿式塗工法により塗布して導電性反射塗膜を形成した後、透明導電塗膜及び導電性反射塗膜を有する基材を130〜400℃で焼成することにより、0.03〜0.5μmの厚さを有する透明導電膜と0.05〜2.0μmの厚さを有する導電性反射膜からなる2層を形成するスーパーストレート型薄膜太陽電池用の複合膜の製造方法である。
本発明の第12の観点は、第11の観点に基づく発明であって、更に湿式塗工法がスプレーコーティング法、ディスペンサコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又はダイコーティング法のいずれかであることを特徴とする。
本発明の第13の観点は、第1ないし第10の観点に基づく複合膜を搭載した太陽電池である。
以上述べたように、本発明によれば、スーパーストレート型薄膜太陽電池の光学変換層上に透明導電膜が形成され、この透明導電膜上に導電性反射膜が形成された2層からなる複合膜において、透明導電膜が透明導電膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布し、焼成することにより形成され、導電性反射膜が導電性反射膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布し、焼成することにより形成されるため、スパッタ法などの真空蒸着法で形成される透明導電膜よりも低屈折率の透明導電膜が形成され、そのことにより導電性反射膜において増反射効果が生じ、十分な反射率が得られる。
また、導電性反射膜用組成物が炭素数が3以上の有機銀溶解液を含み、導電性反射膜が有機銀の焼成物で構成されることにより、薄膜型太陽電池用途の電極に求められる電極として好適な高い裏面反射率及び高い導電性を有し、かつ密着性を兼ね備えた複合膜とすることができる。
また、真空蒸着法やスパッタ法などの真空プロセスを可能な限り排除し、湿式塗工法を使用することでより安価に複合膜を製造することができる。
本発明のスーパーストレート型薄膜太陽電池用の複合膜の断面を模式的に表した図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
スーパーストレート型薄膜太陽電池は、一般的に、図1に示すように、基材14上に透明導電膜13、光電変換層12がこの順で積層された層上に、更に透明導電膜11bが形成され、この透明導電膜11b上に導電性反射膜11aが形成された構造を持つ。
本発明は、光電変換層12上に形成された透明導電膜11bと、この透明導電膜11b上に形成された導電性反射膜11aの2層からなるスーパーストレート型薄膜太陽電池用の複合膜11に関するものである。
本発明の複合膜11を構成する透明導電膜11bは、導電性酸化物微粒子を含む透明導電膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布することにより形成された透明導電塗膜を焼成することにより得られる。透明導電膜11bがスパッタ法等の真空成膜法により形成される場合、この透明導電膜11bの膜の屈折率は、ターゲット材料の材質によって決まるため、スパッタ法等の真空成膜法により形成される透明導電膜11bでは、所望の屈折率が得られ難い。一方、湿式塗工法を用いて形成される透明導電膜11bでは、導電性酸化物微粒子と他の成分との混合物である透明導電膜用組成物を塗布することにより形成されるため、湿式塗工法を用いて形成される膜は所望の低い屈折率が得られる。この透明導電膜11bが持つ屈折率は、1.5〜2である。低い屈折率を持つ透明導電膜11bは、接合する導電性反射膜11aに対して光学設計上の増反射効果を与えるため、従来のスパッタ法等の真空成膜法により形成された高い屈折率の透明導電膜11bと接合した導電性反射膜11aよりも高い反射率が得られる。
また本発明の複合膜11を構成する導電性反射膜11aは、炭素数が3以上の有機銀溶解液を含む導電性反射膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布することにより形成された導電性反射塗膜を焼成することにより得られ、有機銀の焼成物で構成される。導電性反射膜11aは、湿式塗工法を用いて形成された塗膜を焼成することで得られているので、薄膜型太陽電池用途の電極に求められる電極として好適な高い裏面反射率を有し、かつ良好な密着性を兼ね備える。また、導電性反射膜11aは、有機銀の焼成物で構成されているので、高い導電性を有する。
なお、ガラス等の基材上に成膜する場合には、スパッタ法等の真空蒸着法で成膜した場合でも、良好な成膜性及び高い拡散反射率は得られるが、湿式塗工法を用いて形成された透明導電膜11b上にスパッタ法等の真空蒸着法で成膜すると、透明導電膜11b中に残留した溶剤が、成膜された導電性反射膜11aに悪影響を与えるため、高い反射率を持つ導電性反射膜11aを成膜することが困難である。
このように、本発明の複合膜11では、低い屈折率を持つ透明導電膜11bが与える光学設計上の増反射効果と、導電性反射膜11aが持つ良好な密着性及び高い拡散反射率により、高い裏面反射率が得られ、かつ高い導電性を有する。
本発明に係る透明導電膜11bの形成に用いられる透明導電膜用組成物は、導電性酸化物微粒子を含み、この導電性酸化物微粒子が分散媒に分散した組成物である。
透明導電膜用組成物に含まれる導電性酸化物微粒子としては、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、ATO(Antimony Tin Oxide:アンチモンドープ酸化錫)の酸化錫粉末やAl、Co、Fe、In、Sn及びTiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属を含有する酸化亜鉛粉末などが好ましく、このうち、ITO、ATO、AZO(Aluminum Zinc Oxide:アルミドープ酸化亜鉛)、IZO(Indium Zinc Oxide:インジウムドープ酸化亜鉛)、TZO(Tin Zinc Oxide:スズドープ酸化亜鉛)が特に好ましい。また、透明導電膜用組成物に含まれる固形分中に占める導電性酸化物微粒子の含有割合は、50〜90質量%の範囲内であることが好ましい。導電性酸化物微粒子の含有割合を上記範囲内としたのは、下限値未満では導電性が低下するため好ましくなく、上限値を越えると密着性が低下するため好ましくないからである。このうち、70〜90質量%の範囲内であることが特に好ましい。また、導電性酸化物微粒子の平均粒径は、分散媒中で安定性を保つため、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、このうち、20〜60nmの範囲内であることが特に好ましい。なお、本明細書に記載される導電性酸化物微粒子の平均粒径の値は、SEM像からの粒度分布評価法により算出される値である。
透明導電膜用組成物は、加熱により硬化するポリマー型バインダ又はノンポリマー型バインダのいずれか一方又は双方を含む組成物である。ポリマー型バインダとしては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリウレタン、アクリルウレタン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、セルロース及びシロキサンポリマなどが挙げられる。またポリマー型バインダには、アルミニウム、シリコン、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銀、銅、亜鉛、モリブデン又は錫の金属石鹸、金属錯体或いは金属アルコキシドの加水分解体が含まれることが好ましい。ノンポリマー型バインダとしては、金属石鹸、金属錯体、金属アルコキシド、ハロシラン類、2−アルコキシエタノール、β−ジケトン及びアルキルアセテートなどが挙げられる。また金属石鹸、金属錯体又は金属アルコキシドに含まれる金属は、アルミニウム、シリコン、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銀、銅、亜鉛、モリブデン、錫、インジウム又はアンチモンである。これらポリマー型バインダ、ノンポリマー型バインダが、加熱により硬化することで、低温での低いヘイズ率及び体積抵抗率の透明導電膜の形成を可能とする。これらバインダの含有割合は、透明導電膜用組成物中の固形分に占める割合として5〜50質量%の範囲内が好ましく、10〜30質量%の範囲内が特に好ましい。
透明導電膜用組成物は、使用する他の成分に応じてカップリング剤を加えるのが好ましい。それは導電性微粒子とバインダの結合性及びこの透明導電膜用組成物により形成される透明導電膜と、基材に積層された層或いは導電性反射膜との密着性向上のためである。カップリング剤としては、シランカップリング剤、アルミカップリング剤及びチタンカップリング剤などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。アルミカップリング剤としては、次の式(1)で示されるアセトアルコキシ基を含有するアルミカップリング剤が挙げられる。また、チタンカップリング剤としては、次の式(2)〜(4)で示されるジアルキルパイロホスファイト基を有するチタンカップリング剤、また、次の式(5)で示されるジアルキルホスファイト基を有するチタンカップリング剤が挙げられる。
Figure 2010278048
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カップリング剤の含有割合は、透明導電膜用組成物に占める固形分の割合として、0.2〜5質量%の範囲内が好ましく、このうち0.5〜2質量%の範囲内が特に好ましい。
透明導電膜用組成物を構成する分散媒は、水の他、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類やエチレングリコールなどのグリコール類、エチルセロソルブなどのグリコールエーテル類などが挙げられる。分散媒の含有割合は良好な成膜性を得るために、80〜99質量%の範囲内であることが好ましい。
また、使用する成分に応じて、低抵抗化剤や水溶性セルロース誘導体などを加えることが好ましい。低抵抗化剤としては、コバルト、鉄、インジウム、ニッケル、鉛、錫、チタン及び亜鉛の鉱酸塩及び有機酸塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上が好ましい。例えば、酢酸ニッケルと塩化第二鉄の混合物、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸錫と塩化アンチモンの混合物、硝酸インジウムと酢酸鉛の混合物、アセチル酢酸チタンとオクチル酸コバルトの混合物などが挙げられる。これら低抵抗化剤の含有割合は導電性酸化物粉末に対して0.2〜15質量%が好ましい。水溶性セルロース誘導体は、非イオン化活性剤であるが、他の界面活性剤に比べて少量の添加でも導電性酸化物粉末を分散させる能力が極めて高く、また、水溶性セルロース誘導体の添加により、形成される透明導電膜11bにおける透明性も向上する。水溶性セルロース誘導体としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。水溶性セルロース誘導体の添加量は、0.2〜5質量%の範囲内が好ましい。
本発明に係る導電性反射膜11aの形成に用いられる導電性反射膜用組成物は、炭素数が3以上の有機酸の銀塩を溶媒に溶解した有機銀溶解液が含まれる。炭素数が1〜2の有機酸の銀塩である場合には分散媒への溶解度が低いことに起因する膜性能の低下が生じる。有機銀は、炭素数が3以上のアルキル基を有するカルボン酸銀である。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、ネオペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、エチルブチル酸及びモノメチルコハク酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の銀塩が用いられる。使用する溶媒は、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、n−オクタノール等が好適である。
導電性反射膜用組成物を製造する方法は以下の通りである。
先ず、脱イオン水中に水酸化ナトリウムを溶解させて、水酸化ナトリウム水溶液を調製する。実用性の観点から0.5〜2モル濃度、好ましくは1モル濃度とすることが好適である。また、水酸化ナトリウム水溶液と等モルとなるように炭素数が3以上のカルボン酸をメタノール中に溶解させてカルボン酸溶液を調製する。次いで、両溶液を混合し、この混合液を室温にて撹拌することで、反応を生じさせる。反応は100〜1000rpm、好ましくは200rpmの撹拌速度で10〜120分程度、好ましくは30分間行うことが好適である。その後、カルボン酸と等モルの硝酸銀水溶液を調製し、上記混合液に添加して沈殿物を生じさせる。次に、生成した沈殿物を含む混合液をメンブランフィルターでろ過して沈殿物を回収し、回収した沈殿物に脱イオン水とメタノールを交互に複数回振りかけ、減圧ろ過する。脱イオン水とメタノールを交互に振りかけるのは、沈殿物中に残留する硝酸ナトリウムなどがイオン水に溶出し易く、一方残留するカルボン酸ナトリウム塩などはメタノールに溶出し易いためである。また、振りかける回数は脱イオン水とメタノールを交互に1〜5回ずつ、好ましくは交互に3回ずつが好適である。また、1回に振りかける量は、沈殿物量に対して0.5〜3倍が好ましい。次に、得られた沈殿物を回収して、室温で乾燥させる。更に、乾燥させた沈殿物を溶媒中に添加して溶解させることにより、導電性反射膜用組成物が得られる。沈殿物と溶媒との割合は、沈殿物1〜20質量部に対して溶媒80〜99質量部が好適である。
次に、本発明の複合膜の製造方法について説明する。
本発明の複合膜11の製造方法では、先ず、基材14上に透明導電膜13を介して積層されたスーパーストレート型太陽電池の光電変換層12上に、上記透明導電膜用組成物を湿式塗工法により塗布する。ここでの塗布は焼成後の厚さが0.03〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.1μmの厚さとなるようにする。続いて、この塗膜は温度20〜120℃、好ましくは25〜60℃で1〜30分間、好ましくは2〜10分間乾燥される。このようにして透明導電塗膜を形成する。次いで、上記導電性反射膜用組成物を透明導電塗膜上に湿式塗工法により塗布する。ここでの塗布は焼成後の厚さが0.05〜2.0μm、好ましくは0.1〜1.5μmの厚さとなるようにする。続いて、この塗膜は温度20〜120℃、好ましくは25〜60℃で1〜30分間、好ましくは2〜10分間乾燥される。このようにして導電性反射塗膜を形成する。上記基材は、ガラス、セラミックス又は高分子材料からなる透光性基板のいずれか、或いはガラス、セラミックス、高分子材料及びシリコンからなる群より選ばれた2種類以上の透光性積層体を使用することができる。高分子基板としては、ポリイミドやPET(ポリエチレンテレフタレート)等の有機ポリマーにより形成された基板が挙げられる。
更に上記湿式塗工法は、スプレーコーティング法、ディスペンサコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又はダイコーティング法のいずれかであることが特に好ましいが、これに限られるものではなく、あらゆる方法を利用できる。
スプレーコーティング法は分散体を圧縮エアにより霧状にして基材に塗布したり、或いは分散体自体を加圧し霧状にして基材に塗布する方法であり、ディスペンサコーティング法は例えば分散体を注射器に入れこの注射器のピストンを押すことにより注射器先端の微細ノズルから分散体を吐出させて基材に塗布する方法である。スピンコーティング法は分散体を回転している基材上に滴下し、この滴下した分散体をその遠心力により基材周縁に拡げる方法であり、ナイフコーティング法はナイフの先端と所定の隙間をあけた基材を水平方向に移動可能に設け、このナイフより上流側の基材上に分散体を供給して基材を下流側に向って水平移動させる方法である。スリットコーティング法は分散体を狭いスリットから流出させて基材上に塗布する方法であり、インクジェットコーティング法は市販のインクジェットプリンタのインクカートリッジに分散体を充填し、基材上にインクジェット印刷する方法である。スクリーン印刷法は、パターン指示材として紗を用い、その上に作られた版画像を通して分散体を基材に転移させる方法である。オフセット印刷法は、版に付けた分散体を直接基材に付着させず、版から一度ゴムシートに転写させ、ゴムシートから改めて基材に転移させる、インクの撥水性を利用した印刷方法である。ダイコーティング法は、ダイ内に供給された分散体をマニホールドで分配させてスリットより薄膜上に押し出し、走行する基材の表面を塗工する方法である。ダイコーティング法には、スロットコート方式やスライドコート方式、カーテンコート方式がある。
最後に、塗膜を有する基材を大気中若しくは窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で130〜400℃、好ましくは150〜350℃の温度に、5〜60分間、好ましくは15〜40分間保持して焼成する。ここで、焼成後の透明導電膜11bの厚さが0.03〜0.5μmの範囲となるように透明導電膜用組成物を塗布する理由は、焼成後の厚さが0.03μm未満、又は0.5μmを越えると、増反射効果が十分に得られないからである。また、焼成後の導電性反射膜11aの厚さが0.05〜2.0μmとなるように導電性反射膜用組成物を塗布する理由は、0.05μm未満では表面抵抗値が高くなりすぎて、太陽電池の電極として必要な導電性が十分に得られず、2.0μmを越えると特性上の不具合はないけれども、材料の使用量が必要以上に多くなって材料が無駄になるからである。
塗膜を有する基材の焼成温度を130〜400℃の範囲としたのは、130℃未満では、複合膜11における透明導電膜11bにおいて表面抵抗値が高くなりすぎ、導電性反射膜11aにおいて有機酸の分解が不十分となる不具合が生じるからである。また、400℃を越えると、低温プロセスという生産上のメリットを生かせない、即ち製造コストが増大し生産性が低下してしまう。また、特にアモルファスシリコン、微結晶シリコン、或いはこれらを用いたハイブリッド型シリコン太陽電池は比較的熱に弱く、焼成工程によって変換効率が低下するからである。
塗膜を有する基材の焼成時間を5〜60分間の範囲としたのは、焼成時間が下限値未満では、複合膜11における透明導電膜11bにおいて表面抵抗値が高くなりすぎ、導電性反射膜11aにおいて有機酸の分解が不十分となる不具合が生じるからである。焼成時間が上限値を越えると、特性には影響しないけれども、必要以上に製造コストが増大して生産性が低下してしまうからである。更に、太陽電池セルの変換効率が低下する不具合を生じるためである。
以上により、本発明の複合膜11を形成することができる。このように、本発明の製造方法は、湿式塗工法を使用することにより、真空蒸着法やスパッタ法などの真空プロセスを可能な限り排除できるため、より安価に複合膜11を製造できる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1〜16>
以下の表1に示す分類1〜8の成分、含有割合で本発明の複合膜における透明導電膜用組成物を調製した。各実施例で使用した透明導電膜用組成物の表1における分類番号を表2に示す。
分類1では、以下の表1に示すように、導電性酸化物粉末として平均粒径0.025μmのIZO粉末15質量%、分散媒としてイソプロパノール72.77質量%、バインダとしてノンポリマー型バインダの2−n−ブトキシエタノールと3−イソプロピル−2,4ペンタンジオンの混合液10質量%、低抵抗剤として硝酸インジウムと酢酸鉛の混合物(質量比1:1)2.23質量%の割合で、合計量を60gとして100ccのガラス瓶中に入れ、直径0.3mmのジルコニアビーズ(ミクロハイカ、昭和シェル石油社製)100gを用いてペイントシェーカーで6時間分散することにより、透明導電膜用組成物を得た。
分類2では、以下の表1に示すように、導電性酸化物粉末として平均粒径0.025μmのITO粉末7.5質量%、分散媒としてイソプロパノール、エタノール及びN,N−ジメチルホルムアミドの混合液(質量比4:2:1)を第1混合液とし、これを92.3質量%、バインダとしてノンポリマー型バインダの2,4−ペンタンジオン0.038質量%、カップリング剤として上記式(4)に示すチタンカップリング剤0.162質量%の割合で、分類1と同様の方法により、透明導電膜用組成物を得た。
分類3では、以下の表1に示すように、導電性酸化物粉末として平均粒径0.025μmのATO粉末5質量%、分散媒として上記第1混合液を50.99質量%、バインダとしてノンポリマー型バインダの2−n−プロポキシエタノール44質量%、カップリング剤として上記式(4)に示すチタンカップリング剤0.01質量%の割合で、分類1と同様の方法により、透明導電膜用組成物を得た。
分類4では、以下の表1に示すように、導電性酸化物粉末として平均粒径0.025μmのAZO粉末5質量%、分散媒として上記第1混合液を74.64質量%、バインダとして2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオンとイソプロピルアセテートの混合液(質量比1:1)20質量%、カップリング剤として上記式(3)に示すチタンカップリング剤0.36質量%の割合で、分類1と同様の方法により、透明導電膜用組成物を得た。
分類5では、以下の表1に示すように、導電性酸化物粉末として平均粒径0.025μmのTZO粉末5質量%、分散媒として上記第1混合液を93.95質量%、バインダとして2−イソブトキシエタノールと2−ヘキシルオキシエタノールとn−プロピルアセテートの混合液(質量比4:1:1)0.8質量%、カップリング剤として上記式(5)に示すチタンカップリング剤0.25質量%の割合で、分類1と同様の方法により、透明導電膜用組成物を得た。
分類6では、先ず、平均粒径0.010μmのATO粉末を水に懸濁させてpHを7に調製し、ビーズミルで30分間処理した。水溶性セルロース誘導体としてヒドロキシプロピルセルロースをATO粉末に対して質量比で0.01%になる量を懸濁液に添加して導電性水分酸液を得た。このようにして得られた導電性水分酸液を固形分濃度18.5%の濃度に調製し、この分散液100gと13.2質量%ゼラチン水溶液100gとを40℃で混合して、水系の透明導電膜用組成物を得た。
分類7では、以下の表1に示すように、導電性酸化物粉末として平均粒径0.025μmのATO粉末5.3質量%、分散媒としてエタノールとブタノールの混合液(質量比98:2)を第2混合液とし、これを85質量%、バインダとしてSiO2結合剤1.7質量%、カップリング剤として上記式(3)に示すチタンカップリング剤8.0質量%の割合で混合することにより、透明導電膜用組成物を得た。なお、バインダとして用いたSiO2結合剤は500mlのガラス製の4ツ口フラスコを用い、テトラエトキシシランを140g、エチルアルコール240gを加え、攪拌しながら12N−HC11.0gを25gの純粋に溶解して一度に加え、その後80℃で6時間反応させることにより製造した。
分類8では、以下の表1に示すように、導電性酸化物粉末として平均粒径0.025μmのITO粉末8.0質量%、分散媒として上記第2混合液を88質量%、バインダとしてSiO2結合剤2.0質量%、カップリング剤として上記式(2)に示すチタンカップリング剤2.0質量%の割合で混合することにより、透明導電膜用組成物を得た。なお、バインダとして用いたSiO2結合剤は分類7と同じ方法により製造した。
Figure 2010278048
次に、以下の手順により、本発明の複合膜における導電性反射膜用組成物を調製した。先ず、100gの脱イオン水中に4gの水酸化ナトリウムを溶解させて、水酸化ナトリウム水溶液を調製した。また、水酸化ナトリウム水溶液と等モルとなるように次の表2に示すカルボン酸を、メタノール中に溶解させてカルボン酸溶液を調製した。次いで、両溶液を混合し、この混合液を室温にて撹拌することで、反応を生じさせた。反応は200rpmの撹拌速度で30分間行った。その後、カルボン酸と等モルの硝酸銀水溶液(濃度10質量%)を調製し、上記混合液に添加して沈殿物を生じさせた。次に、生成した沈殿物含む混合液をメンブランフィルターでろ過して沈殿物を回収し、回収した沈殿物に脱イオン水とメタノールを交互に振りかけて、減圧ろ過した。振りかける回数は脱イオン水とメタノールを交互に3回ずつ、1回に振りかける量は20mLである。次に、得られた沈殿物を回収して、室温で乾燥させた。更に、乾燥させた沈殿物を次の表2に示した溶媒中に添加して溶解させることにより、導電性反射膜用組成物を得た。沈殿物と溶媒との割合は、沈殿物5質量部に対して溶媒95質量部とした。
得られた透明導電膜用組成物を次の表2に示す基材上に焼成後の厚さが1.0〜2.0×102nmとなるように様々な成膜方法で塗布した後、温度25℃で5分間乾燥して透明導電性塗膜を形成し、次いで得られた導電性反射膜用組成物を、形成した透明導電塗膜上に焼成後の厚さが5.0×101〜2.0×103nmとなるように様々な成膜方法で塗布した後、温度25℃で5分間乾燥して導電性反射塗膜を形成した。次いで、次の表2に示す熱処理条件で焼成することにより、基材上に複合膜を形成した。
なお、表2中、PETとあるのは、ポリエチレンテレフタレートを表す。
<比較例1>
有機銀として炭素数が2のカルボン酸塩である酢酸銀を用いた以外は実施例1と同様にして導電性反射膜用組成物を調製し、実施例1と同様にして基材上に複合膜を形成した。
Figure 2010278048
<比較試験1>
実施例1〜16及び比較例1で得られた複合膜における透明導電膜の反射率及び膜厚を評価した。評価結果を次の表3に示す。先ず、焼成後の透明導電膜及び導電性反射膜の厚さをSEM(日立製作所社製の電子顕微鏡:S800)を用いて膜断面から直接計測した。
<比較試験2>
実施例1〜16及び比較例1で得られた導電性反射膜を形成した基材について、裏面反射率及び導電性反射膜の厚さを評価した。評価結果を次の表3に示す。
導電性反射膜の裏面反射率の評価は、紫外可視分光光度計と積分球の組み合わせにより、波長600nm及び1100nmにおける導電性反射膜の拡散反射率を測定した。
導電性反射膜の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察により測定した。
<比較試験3>
実施例1〜16及び比較例1で得られた複合膜の基材への密着性を評価した。評価結果を次の表3に示す。複合膜を形成した基材への接着テープ引き剥がし試験により定性的に評価し、『良好』とは、基材から接着テープのみが剥がれた場合を示し、『中立』とは、接着テープの剥がれと基材表面が露出した状態が混在した場合を示し、『不良』とは、接着テープ引き剥がしによって基材表面の全面が露出した場合を示す。
Figure 2010278048
表3から明らかなように、実施例1〜16及び比較例1では、基材への密着性は全て良好な評価が得られた。しかしながら、導電性反射膜を炭素数が2のカルボン酸塩である酢酸銀を含む導電性反射膜用組成物を使用して形成した比較例1では、1100nmの反射率は65%と高かったが、600nmの反射率が40%と低く、波長によって反射率にばらつきが生じてしまう結果が確認された。一方、導電性反射膜を炭素数が3以上のカルボン酸塩を含む導電性反射膜用組成物を使用して形成した実施例1〜16では、600nm及び1100nmの双方の波長の反射率は70%以上と高い反射率が得られていた。
本発明は、容易に鏡面が得られる特長から、透明基材の裏面に形成することで、鏡を得ることが可能である。加えて、最も重要な用途は、いわゆるスーパーストレート型薄膜型太陽電池であり、ガラスなどの透明基材を受光面とすることが特徴である。このタイプの太陽電池は、形成した導電性反射膜の裏面側に高い反射率を持つ必要がある。本発明を用いることで、従来真空製膜法で形成している導電性反射膜を、本発明の導電性反射膜に置き換えることが可能であり、製造コストの大幅な削減が期待できる。
11 複合膜
11a 導電性反射膜
11b 透明導電膜
12 光電変換層
14 基材

Claims (13)

  1. スーパーストレート型薄膜太陽電池の光電変換層上に透明導電膜が形成され、この透明導電膜上に導電性反射膜が形成された2層からなる複合膜において、
    前記透明導電膜が透明導電膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布し、焼成することにより形成され、前記導電性反射膜が導電性反射膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布し、焼成することにより形成され、前記導電性反射膜用組成物が炭素数が3以上の有機銀溶解液を含み、前記導電性反射膜が有機銀の焼成物で構成されることを特徴とするスーパーストレート型薄膜太陽電池用の複合膜。
  2. 有機銀として、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、ネオペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、エチルブチル酸及びモノメチルコハク酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の銀塩を用いる請求項1記載の複合膜。
  3. 有機銀溶解液を含む導電性反射膜用組成物を、焼成後の厚さが0.05〜2.0μmの範囲内になるよう湿式塗工法を用いて塗膜を形成し、130〜400℃で焼成する請求項1記載の複合膜。
  4. 湿式塗工法が、スプレーコーティング法、ディスペンサーコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又はダイコーティング法のいずれかである請求項1ないし3いずれか1項に記載の複合膜。
  5. 透明導電膜用組成物が加熱により硬化するポリマー型バインダ又はノンポリマー型バインダのいずれか一方又は双方を含む請求項1記載の複合膜。
  6. ポリマー型バインダがアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリウレタン、アクリルウレタン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、セルロース及びシロキサンポリマからなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項5記載の複合膜。
  7. ポリマー型バインダがアルミニウム、シリコン、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銀、銅、亜鉛、モリブデン又は錫の金属石鹸、金属錯体或いは金属アルコキシドの加水分解体を1種又は2種以上含む請求項5記載の複合膜。
  8. ノンポリマー型バインダが金属石鹸、金属錯体、金属アルコキシド、ハロシラン類、2−アルコキシエタノール、β−ジケトン及びアルキルアセテートからなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項5記載の複合膜。
  9. 金属石鹸、金属錯体又は金属アルコキシドに含まれる金属がアルミニウム、シリコン、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銀、銅、亜鉛、モリブデン、錫、インジウム又はアンチモンである請求項8記載の複合膜。
  10. 透明導電膜用組成物がシランカップリング剤、アルミカップリング剤及びチタンカップリング剤からなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む請求項1又は5記載の複合膜。
  11. 基材上に透明導電膜を介してスーパーストレート型薄膜太陽電池の光電変換層上に透明導電膜用組成物を湿式塗工法により塗布して透明導電塗膜を形成し、前記透明導電塗膜上に炭素数が3以上の有機銀溶解液を含む導電性反射膜用組成物を湿式塗工法により塗布して導電性反射塗膜を形成した後、前記透明導電塗膜及び導電性反射塗膜を有する基材を130〜400℃で焼成することにより、0.03〜0.5μmの厚さを有する透明導電膜と0.05〜2.0μmの厚さを有する導電性反射膜からなる2層を形成するスーパーストレート型薄膜太陽電池用の複合膜の製造方法。
  12. 湿式塗工法がスプレーコーティング法、ディスペンサコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又はダイコーティング法のいずれかである請求項11記載の製造方法。
  13. 請求項1ないし10いずれか1項に記載の複合膜を搭載した太陽電池。
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