次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
本発明の第1、第2の実施形態では、図1において、先ず、基材11上に表面電極12を介して積層された太陽電池の光電変換層13上に導電性酸化物微粒子を含む透明導電膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布し、透明導電塗膜を形成する。
基材11には、ガラス、セラミックス又は高分子材料からなる透光性基板のいずれか、或いはガラス、セラミックス、高分子材料及びシリコンからなる群より選ばれた2種類以上の透光性積層体を使用することができる。高分子基板としては、ポリイミドやPET(ポリエチレンテレフタレート)等の有機ポリマーにより形成された基板が挙げられる。
表面電極12は、基材11側から入射する光を光電変換層13へ透過させるとともに、電極として機能する透明で導電性を有する膜である。この表面電極12としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:Snドープ酸化インジウム)、IZO(Indium Zinc Oxide:Znドープ酸化インジウム)、ATO(Antimony Tin Oxide:Sbドープ酸化錫)、SnO2(酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)等の膜が挙げられる。また表面電極12は、ZnO,In2O3,SnO2,CdO,TiO2,CdIn2O4,Cd2SnO4又はZn2SnO4のいずれかに、Sn,Sb,F又はAlのいずれかをドープした金属酸化物の群から選ばれた1種又は2種以上の金属酸化物により構成してもよい。例えば、AZO(Aluminum Zinc Oxide:Alドープ酸化亜鉛)、TZO(Tin Zinc Oxide:Snドープ酸化亜鉛)が挙げられる。上記表面電極12は、例えば、熱CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、湿式塗工法等の従来から知られている方法で形成してよく、特に限定されるものではない。表面電極12を湿式塗工法により形成する場合には、後述の複合膜14を構成する透明導電膜14aを湿式塗工法で形成する場合と同様にして行うことができる。なお、上記ZnOは、高い光透過性、低抵抗性、可塑性を有し、低価格であるため、表面電極12の材料として好適である。
上記表面電極12上に積層される光電変換層13は、アモルファスシリコン又は微結晶シリコンのいずれか一方又はその双方により構成される。この実施の形態では、光電変換層13は、アモルファスシリコン半導体により形成された第1光電変換層と、微結晶シリコン半導体により形成された第2光電変換層とを有する。具体的には、第1光電変換層は、基材11側から順にp型a−Si(アモルファスシリコン)、i型a−Si(アモルファスシリコン)及びn型a−Si(アモルファスシリコン)が積層されたp−i−n型のアモルファスシリコン層である。また、第2光電変換層は、第1光電変換層側から順にp型μc−Si(微結晶シリコン)、i型μc−Si(微結晶シリコン)及びn型μc−Si(微結晶シリコン)が積層されたp−i−n型の微結晶シリコン層である。
このように光電変換層13にi型a−Si(第1光電変換層)とi型μc−Si(第2光電変換層)とを用いたタンデム型太陽電池は、光吸収波長が異なる2種類の半導体を積層した構造であり、太陽光スペクトルを有効に利用できる。ここで、本明細書において、『微結晶』とは、完全な結晶状態のみならず、部分的に非結晶(アモルファス)状態を含むことを意味するものとする。
なお、光電変換層がアモルファスシリコン層又は微結晶シリコン層のいずれか一方からなる単接合型か、或いはアモルファスシリコン層又は微結晶シリコン層のいずれか一方又は双方を複数含む多接合型のいずれの形態もとり得る。また、p型a−SiC:H(アモルファス炭化シリコン)/i型a−Si/n型μc−Siのような構造もとり得る。それらは特に限定されるものではないが、プラズマCVD法のような従来から知られている方法で形成することができる。更に、例えば上記タンデム型構造の例で示すと、第1光電変換層(アモルファスシリコン光電変換ユニット)と第2光電変換層(微結晶シリコン光電変換ユニット)との間に、中間層を形成してもよい。この中間層には、上記表面電極12や後述する複合膜14を構成する透明導電膜14aに用いられるような材料を用いることが好ましい。
透明導電膜用組成物は、導電性酸化物微粒子を含み、この導電性酸化物微粒子が分散媒に分散した組成物である。導電性酸化物微粒子としては、ITO(Indium Tin Oxide:Snドープ酸化インジウム)、IZO(Indium Zinc Oxide:Znドープ酸化インジウム)、ATO(Antimony Tin Oxide:Sbドープ酸化錫)の酸化錫粉末や、Al、Co、Fe、In、Sn及びTiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属を含有する酸化亜鉛粉末等が好ましい。このうち、ITO、IZO、ATO、AZO(Aluminum Zinc Oxide:Alドープ酸化亜鉛)、TZO(Tin Zinc Oxide:Snドープ酸化亜鉛)が特に好ましい。また、透明導電膜用組成物に含まれる固形分中に占める導電性酸化物微粒子の含有割合は、50〜90質量%の範囲内であることが好ましい。導電性酸化物微粒子の含有割合を上記範囲内としたのは、下限値未満では導電性が低下するため好ましくなく、上限値を越えると密着性が低下するため好ましくないからである。このうち、70〜90質量%の範囲内であることが特に好ましい。また、導電性酸化物微粒子の平均粒径は、分散媒中で安定性を保つため、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、このうち、20〜60nmの範囲内であることが特に好ましい。なお、本明細書中、平均粒径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製 LA−950)にて測定し、粒子径基準を個数として演算した50%平均粒子径(D50)をいう。
分散媒としては、水の他、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類やエチレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類等が挙げられる。
また、透明導電膜用組成物は、加熱により硬化するポリマー型バインダ又はノンポリマー型バインダのいずれか一方又は双方を含む組成物である。ポリマー型バインダとしては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリウレタン、アクリルウレタン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、セルロース及びシロキサンポリマ等が挙げられる。またポリマー型バインダには、アルミニウム、シリコン、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銀、銅、亜鉛、モリブデン又は錫の金属石鹸、金属錯体或いは金属アルコキシドの加水分解体が含まれることが好ましい。この金属アルコキシドの加水分解体にはゾルゲルを含む。ノンポリマー型バインダとしては、金属石鹸、金属錯体、金属アルコキシド、ハロシラン類、2−アルコキシエタノール、β−ジケトン及びアルキルアセテート等が挙げられる。また金属石鹸、金属錯体又は金属アルコキシドに含まれる金属は、アルミニウム、シリコン、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銀、銅、亜鉛、モリブデン、錫、インジウム又はアンチモンである。これらポリマー型バインダ、ノンポリマー型バインダが、加熱により硬化することで、低温での低いヘイズ率及び体積抵抗率の透明導電膜14aの形成を可能とする。これらバインダの含有割合は、透明導電膜用組成物中の固形分に占める割合として5〜50質量%の範囲内が好ましく、10〜30質量%の範囲内が特に好ましい。
透明導電膜用組成物は、使用する他の成分に応じてカップリング剤を加えるのが好ましい。それは導電性酸化物微粒子とバインダの結合性及びこの透明導電膜用組成物により形成される透明導電膜14aと、光電変換層13或いは導電性反射膜14bとの密着性向上のためである。カップリング剤としては、シランカップリング剤、アルミカップリング剤及びチタンカップリング剤等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。またアルミカップリング剤としては、次の式(1)で示されるアセトアルコキシ基を含有するアルミカップリング剤が挙げられる。更にチタンカップリング剤としては、次の式(2)〜(4)で示されるジアルキルパイロホスファイト基を有するチタンカップリング剤や、次の式(5)で示されるジアルキルホスファイト基を有するチタンカップリング剤が挙げられる。
カップリング剤の含有割合は、透明導電膜用組成物に占める固形分の割合として、0.2〜5質量%の範囲内が好ましく、このうち0.5〜2質量%の範囲内が特に好ましい。
また、使用する成分に応じて、低抵抗化剤や水溶性セルロース誘導体等を加えることが好ましい。低抵抗化剤としては、コバルト、鉄、インジウム、ニッケル、鉛、錫、チタン及び亜鉛の鉱酸塩及び有機酸塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上が好ましい。例えば、酢酸ニッケルと塩化第二鉄の混合物、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸錫と塩化アンチモンの混合物、硝酸インジウムと酢酸鉛の混合物、アセチル酢酸チタンとオクチル酸コバルトの混合物等が挙げられる。これら低抵抗化剤の含有割合は導電性酸化物粉末に対して0.2〜15質量%が好ましい。水溶性セルロース誘導体は、非イオン化活性剤であるが、他の界面活性剤に比べて少量の添加でも導電性酸化物粉末を分散させる能力が極めて高く、また、水溶性セルロース誘導体の添加により、形成される透明導電膜における透明性も向上する。水溶性セルロース誘導体としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。水溶性セルロース誘導体の添加量は導電性酸化物粉末に対して0.2〜5質量%の範囲内が好ましい。
上記透明導電膜用組成物を用いて透明導電塗膜を形成するには、先ず透明導電膜用組成物を、加熱又は焼成後の複合膜14を構成する透明導電膜14aの厚さが0.01〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.1μmの範囲内となるように、光電変換層13上に湿式塗工法により塗布する。ここで、透明導電膜14aの厚さが上記範囲になるよう塗布するのは、0.01μm未満又は0.5μmを越えると増反射効果が十分に得られないからである。透明導電膜用組成物を光電変換層13上に塗布した後は、これを20〜120℃、好ましくは25〜60℃の温度で1〜30分間、好ましくは2〜10分間乾燥して、透明導電塗膜を形成する。
上記湿式塗工法は、スプレーコーティング法、ディスペンサコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又はダイコーティング法のいずれかであることが特に好ましいが、これに限られるものではなく、あらゆる方法を利用できる。
スプレーコーティング法は分散体を圧縮エアにより霧状にして基材に塗布したり、或いは分散体自体を加圧し霧状にして基材に塗布する方法であり、ディスペンサコーティング法は例えば分散体を注射器に入れこの注射器のピストンを押すことにより注射器先端の微細ノズルから分散体を吐出させて基材に塗布する方法である。スピンコーティング法は分散体を回転している基材上に滴下し、この滴下した分散体をその遠心力により基材周縁に拡げる方法であり、ナイフコーティング法はナイフの先端と所定の隙間をあけた基材を水平方向に移動可能に設け、このナイフより上流側の基材上に分散体を供給して基材を下流側に向って水平移動させる方法である。スリットコーティング法は分散体を狭いスリットから流出させて基材上に塗布する方法であり、インクジェットコーティング法は市販のインクジェットプリンタのインクカートリッジに分散体を充填し、基材上にインクジェット印刷する方法である。スクリーン印刷法は、パターン指示材として紗を用い、その上に作られた版画像を通して分散体を基材に転移させる方法である。オフセット印刷法は、版に付けた分散体を直接基材に付着させず、版から一度ゴムシートに転写させ、ゴムシートから改めて基材に転移させる、インクの撥水性を利用した印刷方法である。ダイコーティング法は、ダイ内に供給された分散体をマニホールドで分配させてスリットより薄膜上に押し出し、走行する基材の表面を塗工する方法である。ダイコーティング法には、スロットコート方式やスライドコート方式、カーテンコート方式がある。
次に、透明導電塗膜上に、金属ナノ粒子を含む導電性反射膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布し、導電性反射塗膜を形成する。
導電性反射膜用組成物は、金属ナノ粒子が分散媒に分散することにより調製された組成物である。上記金属ナノ粒子は、金属元素中の銀の割合が75質量%以上、好ましくは80質量%以上である。金属元素中の銀の割合を75質量%以上の範囲としたのは、75質量%未満ではこの導電性反射膜用組成物を用いて形成された導電性反射膜14bの反射率が低下してしまうからである。また金属ナノ粒子は炭素骨格が炭素数1〜3の有機分子主鎖の保護剤で化学修飾される。金属ナノ粒子を化学修飾する保護剤の有機分子主鎖の炭素骨格の炭素数を1〜3の範囲としたのは、炭素数が4以上であると加熱により保護剤が脱離或いは分解(分離・燃焼)し難く、上記導電性反射膜14b内に有機残渣が多く残り、変質又は劣化して導電性反射膜14bの導電性及び反射率が低下してしまうからである。
金属ナノ粒子は一次粒径10〜50nmの範囲内の金属ナノ粒子を数平均で70%以上、好ましくは75%以上含有することが好適である。一次粒径10〜50nmの範囲内の金属ナノ粒子の含有量を、数平均で全ての金属ナノ粒子100%に対して、70質量%未満では、金属ナノ粒子の比表面積が増大して有機物の占める割合が大きくなる。このため、加熱により脱離或いは分解(分離・燃焼)し易い有機分子であっても、この有機分子の占める割合が多いため、導電性反射膜14b内に有機残渣が多く残る。この残渣が変質又は劣化して導電性反射膜14bの導電性及び反射率が低下したり、或いは金属ナノ粒子の粒度分布が広くなり導電性反射膜14bの密度が低下するおそれがある。また、導電性反射膜14bの導電性及び反射率が低下してしまうからである。更に一次粒径と金属ナノ粒子の経時安定性(経年安定性)との相関より、上記金属ナノ粒子の一次粒径を10〜50nmの範囲内とした。
この金属ナノ粒子を含む導電性反射膜用組成物中に有機高分子、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属化合物及びシリコーンオイルからなる群より選ばれた1種又は2種以上の添加物を更に含むことが好ましい。添加物として導電性反射膜用組成物中に含まれる有機高分子、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属化合物又はシリコーンオイルが用いられる。これにより、基材との化学的な結合又はアンカー効果の増大、或いは加熱して焼成する工程における金属ナノ粒子と基材との濡れ性の改善が図られ、導電性を損なうことなく、基材との密着性を向上させることができる。また、この導電性反射膜用組成物を用いて導電性反射膜14bを形成すると、金属ナノ粒子間の焼結による粒成長を調整することができる。この導電性反射膜用組成物を用いた導電性反射膜14bの形成では、成膜時に真空プロセスを必要としないため、プロセスの制約が小さく、また製造設備のランニングコストを大幅に低減することができる。
添加物の含有量は金属ナノ粒子を構成する銀ナノ粒子の質量の0.1〜20%、好ましくは0.2〜10%である。添加物の含有量が0.1%未満では平均直径の大きな気孔が出現したり、気孔の密度が高くなるおそれがある。添加物の含有量が20%を越えると形成した導電性反射膜14bの導電性に悪影響を及ぼし、体積抵抗率が2×10-5Ω・cmを越える不具合を生じる。
添加物として使用する有機高分子としては、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone;以下、PVPという。)、PVPの共重合体及び水溶性セルロースからなる群より選ばれた1種又は2種以上が使用される。具体的には、PVPの共重合体としては、PVP−メタクリレート共重合体、PVP−スチレン共重合体、PVP−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。また水溶性セルロースとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等のセルロースエーテルが挙げられる。
添加物として使用する金属酸化物としては、アルミニウム、シリコン、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銀、銅、亜鉛、モリブデン、錫、インジウム及びアンチモンからなる群より選ばれた少なくとも1種を含む酸化物或いは複合酸化物が好適である。複合酸化物とは具体的には、上述したITO、ATO、IZO、AZO等が挙げられる。
添加物として使用する金属水酸化物としては、アルミニウム、シリコン、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銀、銅、亜鉛、モリブデン、錫、インジウム及びアンチモンからなる群より選ばれた少なくとも1種を含む水酸化物が好適である。
添加物として使用する有機金属化合物としては、シリコン、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銀、銅、亜鉛、モリブデン及び錫からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む金属石鹸、金属錯体或いは金属アルコキシドが好適である。例えば、金属石鹸は、酢酸クロム、ギ酸マンガン、クエン酸鉄、ギ酸コバルト、酢酸ニッケル、クエン酸銀、酢酸銅、クエン酸銅、酢酸錫、酢酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、酢酸モリブデン等が挙げられる。また金属錯体はアセチルアセトン亜鉛錯体、アセチルアセトンクロム錯体、アセチルアセトンニッケル錯体等が挙げられる。また金属アルコキシドはチタニウムイソプロポキシド、メチルシリケート、イソアナトプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
添加物として使用するシリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイル並びに変性シリコーンオイルの双方を用いることができる。変性シリコーンオイルは更にポリシロキサンの側鎖の一部に有機基を導入したもの(側鎖型)、ポリシロキサンの両末端に有機基を導入したもの(両末端型)、ポリシロキサンの両末端のうちのどちらか一方に有機基を導入したもの(片末端型)並びにポリシロキサンの側鎖の一部と両末端に有機基を導入したもの(側鎖両末端型)を用いることができる。変性シリコーンオイルには反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとがあるが、その双方の種類ともに本発明の添加物として使用することができる。なお、反応性シリコーンオイルとは、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシ変性、カルビノール変性、メルカプト変性、並びに異種官能基変性(エポキシ基、アミノ基、ポリエーテル基)を示し、非反応性シリコーンオイルとは、ポリエーテル変性、メチルスチリル基変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、フッ素変性、並びに親水特殊変性を示す。
一方、導電性反射膜用組成物を構成する金属ナノ粒子のうち、銀ナノ粒子以外の金属ナノ粒子は、金、白金、パラジウム、ルテニウム、ニッケル、銅、錫、インジウム、亜鉛、鉄、クロム及びマンガンからなる群より選ばれた1種の粒子又は2種以上の混合組成又は合金組成からなる金属ナノ粒子を更に含有することが好ましい。この銀ナノ粒子以外の金属ナノ粒子は全ての金属ナノ粒子100質量%に対して0.02質量%以上かつ25質量%未満とすることが好ましく、0.03質量%〜20質量%とすることが更に好ましい。これは銀ナノ粒子以外の粒子の含有量が0.02質量%以上かつ25質量%未満の範囲内においては、耐候性試験(温度100℃かつ湿度50%の恒温恒湿槽に1000時間保持する試験)後の導電性反射膜14bの導電性及び反射率が耐候性試験前と比べて悪化しないからである。
また導電性反射膜用組成物中の銀ナノ粒子を含む金属ナノ粒子の含有量は、金属ナノ粒子及び分散媒からなる導電性反射膜用組成物100質量%に対して2.5〜95.0質量%含有することが好ましく、3.5〜90質量%含有することが更に好ましい。導電性反射膜用組成物100質量%に対する含有割合が95.0質量%を越えると導電性反射膜用組成物の湿式塗工時にインク或いはペーストとしての必要な流動性を失ってしまうからである。
また導電性反射膜14bを形成するための導電性反射膜用組成物を構成する分散媒は、全ての分散媒100質量%に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上の水と、2質量%以上、好ましくは3質量%以上の水と相溶する溶剤、例えば、アルコール類とを含有することが好適である。例えば、分散媒が水及びアルコール類のみからなる場合、水を2質量%含有するときはアルコール類を98質量%含有し、アルコール類を2質量%含有するときは水を98質量%含有する。更に分散媒、即ち金属ナノ粒子表面に化学修飾している保護分子は、水酸基(−OH)又はカルボニル基(−C=O)のいずれか一方又は双方を含有する。水の含有量を全ての分散媒100質量%に対して1質量%以上の範囲が好適であるとした。これは、水の含有量が2質量%未満では、導電性反射膜用組成物を湿式塗工法により塗工して得られた膜を低温で焼結し難くなるためである。更に、焼成後の導電性反射膜14bの導電性と反射率が低下してしまうからである。なお、水酸基(−OH)が銀ナノ粒子等の金属ナノ粒子を化学修飾する保護剤に含有されると、導電性反射膜用組成物の分散安定性に優れ、塗膜の低温焼結にも効果的な作用がある。また、カルボニル基(−C=O)が銀ナノ粒子等の金属ナノ粒子を化学修飾する保護剤に含有されると、上記と同様に導電性反射膜用組成物の分散安定性に優れ、塗膜の低温焼結にも効果的な作用がある。分散媒に用いる水と相溶する溶剤としては、アルコール類が好ましい。このうち、上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、イソボニルヘキサノール及びエリトリトールからなる群より選ばれた1種又は2種以上を用いることが特に好ましい。
導電性反射膜14bを形成するための金属ナノ粒子を含む導電性反射膜用組成物を製造する方法は以下の通りである。
(a) 銀ナノ粒子を化学修飾する保護剤の有機分子主鎖の炭素骨格の炭素数を3とする場合
先ず硝酸銀を脱イオン水等の水に溶解して金属塩水溶液を調製する。一方、クエン酸ナトリウムを脱イオン水等の水に溶解させて得られた濃度10〜40%のクエン酸ナトリウム水溶液に、窒素ガス等の不活性ガスの気流中で粒状又は粉状の硫酸第一鉄を直接加えて溶解させ、クエン酸イオンと第一鉄イオンを3:2のモル比で含有する還元剤水溶液を調製する。次に上記不活性ガス気流中で上記還元剤水溶液を撹拌しながら、この還元剤水溶液に上記金属塩水溶液を滴下して混合する。ここで、金属塩水溶液の添加量は還元剤水溶液の量の1/10以下になるように、各溶液の濃度を調整することで、室温の金属塩水溶液を滴下しても反応温度が30〜60℃に保持されるようにすることが好ましい。また上記両水溶液の混合比は、還元剤として加えられる第1鉄イオンの当量が、金属イオンの当量の3倍となるように調整する。即ち、(金属塩水溶液中の金属イオンのモル数)×(金属イオンの価数)=3×(還元剤水溶液中の第1鉄イオンのモル数)となるように調整する。金属塩水溶液の滴下が終了した後、混合液の撹拌を更に10〜300分間続けて金属コロイドからなる分散液を調製する。この分散液を室温で放置し、沈降した金属ナノ粒子の凝集物をデカンテーションや遠心分離法等により分離した後、この分離物に脱イオン水等の水を加えて分散体とし、限外ろ過により脱塩処理する。更に引き続いてアルコール類で置換洗浄して、金属(銀)の含有量を2.5〜50質量%にする。その後、遠心分離機を用いこの遠心分離機の遠心力を調整して粗粒子を分離することにより、銀ナノ粒子が一次粒径10〜50nmの範囲内の銀ナノ粒子を数平均で70%以上含有するように調製する。即ち、数平均で全ての銀ナノ粒子100%に対する一次粒径10〜50nmの範囲内の銀ナノ粒子の占める割合が70%以上になるように調整する。これにより銀ナノ粒子を化学修飾する保護剤の有機分子主鎖の炭素骨格の炭素数が3である分散体が得られる。
続いて、得られた分散体を分散体100質量%に対する最終的な金属含有量(銀含有量)が2.5〜95質量%の範囲内となるように調整する。また、分散媒をアルコール類含有水溶液とする場合には、溶媒の水及びアルコール類をそれぞれ1%以上及び2%以上にそれぞれ調整することが好ましい。また、導電性反射膜用組成物中に添加物を更に含ませる場合には、分散体に有機高分子、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属化合物及びシリコーンオイルからなる群より選ばれた1種又は2種以上の添加物を所望の割合で添加することにより行われる。添加物の含有量は、得られる導電性反射膜用組成物100質量%に対して0.1〜20質量%の範囲内となるように調整する。これにより炭素骨格の炭素数が3である有機分子主鎖の保護剤で化学修飾された銀ナノ粒子が分散媒に分散した導電性反射膜用組成物が得られる。
(b) 銀ナノ粒子を化学修飾する保護剤の有機分子主鎖の炭素骨格の炭素数を2とする場合
還元剤水溶液を調製するときに用いたクエン酸ナトリウムをりんご酸ナトリウムに替えること以外は上記(a)と同様にして分散体を調製する。これにより銀ナノ粒子を化学修飾する有機分子主鎖の炭素骨格の炭素数が2である分散体が得られる。
(c) 銀ナノ粒子を化学修飾する保護剤の有機分子主鎖の炭素骨格の炭素数を1とする場合
還元剤水溶液を調製するときに用いたクエン酸ナトリウムをグリコール酸ナトリウムに替えること以外は上記(a)と同様にして分散体を調製する。これにより銀ナノ粒子を化学修飾する有機分子主鎖の炭素骨格の炭素数が1である分散体が得られる。
(d) 銀ナノ粒子以外の金属ナノ粒子を化学修飾する保護剤の有機分子主鎖の炭素骨格の炭素数を3とする場合
銀ナノ粒子以外の金属ナノ粒子を構成する金属としては、金、白金、パラジウム、ルテニウム、ニッケル、銅、錫、インジウム、亜鉛、鉄、クロム及びマンガンが挙げられる。金属塩水溶液を調製するときに用いた硝酸銀を、塩化金酸、塩化白金酸、硝酸パラジウム、三塩化ルテニウム、塩化ニッケル、硝酸第一銅、二塩化錫、硝酸インジウム、塩化亜鉛、硫酸鉄、硫酸クロム又は硫酸マンガンに替えること以外は上記(a)と同様にして分散体を調製する。これにより銀ナノ粒子以外の金属ナノ粒子を化学修飾する保護剤の有機分子主鎖の炭素骨格の炭素数が3である分散体が得られる。
なお、銀ナノ粒子以外の金属ナノ粒子を化学修飾する保護剤の有機分子主鎖の炭素骨格の炭素数を1や2とする場合、金属塩水溶液を調製するときに用いた硝酸銀を、上記種類の金属塩に替えること以外は上記(b)や上記(c)と同様にして分散体を調製する。これにより、銀ナノ粒子以外の金属ナノ粒子を化学修飾する保護剤の有機分子主鎖の炭素骨格の炭素数が1や2である分散体が得られる。
金属ナノ粒子として、銀ナノ粒子とともに、銀ナノ粒子以外の金属ナノ粒子を含有させる場合には、例えば、上記(a)の方法で製造した銀ナノ粒子を含む分散体を第1分散体とし、上記(d)の方法で製造した銀ナノ粒子以外の金属ナノ粒子を含む分散体を第2分散体とすると、75質量%以上の第1分散体と25質量%未満の第2分散体とを第1及び第2分散体の合計含有量が100質量%となるように混合する。なお、第1分散体は、上記(a)の方法で製造した銀ナノ粒子を含む分散体に留まらず、上記(b)の方法で製造した銀ナノ粒子を含む分散体や上記(c)の方法で製造した銀ナノ粒子を含む分散体を使用しても良い。
上記導電性反射膜用組成物を用いて導電性反射塗膜を形成するには、先ず、上記導電性反射膜用組成物を、上記形成した透明導電塗膜上に湿式塗工法によって塗布し、加熱又は焼成後の複合膜14を構成する導電性反射膜14bの厚さが0.05〜2.0μm、好ましくは0.1〜1.5μmの厚さとなるように導電性反射膜用組成物を塗布する。ここで、焼成後の導電性反射膜14bの厚さが0.05〜2.0μmの範囲となるように塗布するのは、0.05μm未満では太陽電池に必要な電極の表面抵抗値が不十分となるからである。導電性反射膜用組成物を透明導電塗膜上に塗布した後は、、これを温度20〜120℃、好ましくは25〜60℃で1〜30分間、好ましくは2〜10分間乾燥して、導電性反射塗膜を形成する。なお、湿式塗工法については、上記透明導電膜用組成物を塗布する際の方法と同様の方法を用いることができる。
次に、導電性反射塗膜を形成した後、導電性反射塗膜表面から5〜100N/cm2の圧力で加圧する。本発明では、この工程を経ることによって、光電変換層13と複合膜14構成する透明導電膜14a間、複合膜14における透明導電膜14aと導電性反射膜間14b間の導通性又は接触性を大幅に改善することができる。これは、特定の条件で加圧を行うことにより、他の不具合を生じさせることなく、光電変換層13と透明導電膜14a中の導電性酸化物微粒子、及び透明導電膜14a中の導電性酸化物微粒子と導電性反射膜14b中の金属ナノ粒子の接触面積を大幅に増加させることができるからである。また、複合膜14の形成後に加圧を行う、後述する本発明の第3の実施形態に比べて、複合膜14の膜厚をより均一にできるという利点がある。加圧の際の圧力を上記範囲に限定したのは、下限値未満では加圧による導通性又は接触性の改善が十分に得られず、一方、上限値を越えると光電変換層13を劣化させる不具合が生じるからである。また、この加圧は、大気中若しくは窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中、1〜120分間、外気圧2.0×103Pa以下の条件で行うのが好ましい。上記雰囲気中で行うのは、形成後の複合膜14へ不純物が混入するのを防ぐためである。また、加圧時間を上記範囲とする理由は、下限値未満では加圧による導通性又は接触性の改善が十分に得られず、一方、上限値を越えると圧力を上記範囲に設定した場合でも光電変換層13を劣化させることがあるため好ましくない。また、外気圧2.0×103Pa以下で行うのが好ましい理由は、上記加圧時の圧力をより均一に保つためである。
本発明の第1の実施形態では、上記導電性反射塗膜表面からの加圧は、透明導電塗膜及び導電性反射塗膜の加熱と同時に行う。一方、第2の実施形態では、複合膜14の形成を完結させる焼成前に単独で行う。第1の実施形態の場合、上記加圧と同時に行う透明導電塗膜及び導電性反射塗膜の加熱により、透明導電膜14aと導電性反射膜14bからなる複合膜14が得られる。この方法は、焼成前に単独で行う第2の実施形態に比べて、加圧と同時に熱が加わることにより、透明導電膜14aと導電性反射膜14bの接触面積が更に大きくなり、導電性がより改善されるという利点がある。一方、第2の実施形態の場合、導電性反射塗膜表面から加圧した後、透明導電塗膜及び導電性反射塗膜を有する基材を焼成することにより、透明導電膜14aと導電性反射膜14bからなる複合膜14が得られる。この方法は、加熱と同時に行う第1の実施形態に比べて、製造コストを低減できるという利点がある。
導電性反射塗膜表面からの加圧と透明導電塗膜及び導電性反射塗膜の加熱を同時に行う方法は、特に限定されないが、ラミネータ、熱間等方加圧装置又はホットプレスのような装置を用いて行うことができる。このとき、加熱温度は、100〜300℃、好ましくは100〜200℃の範囲である。加熱温度が100℃未満では透明導電膜14aにおいて表面抵抗値が上昇する不具合が生じ、一方、300℃を越えると光電変換層13が熱により劣化するからである。
また、上記第1の実施形態では、上記加圧と同時に行う加熱によって複合膜14を得た後、更に大気中若しくは窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中、130〜350℃の温度で、形成後の複合膜14を有する基材11の焼成を行っても良い。これにより、形成後の複合膜14の表面抵抗を更に低下させる効果が得られる。下限値未満では、焼成による上記効果が十分に得られない。一方、上限値を越えると、特にアモルファスシリコン、微結晶シリコン、或いはこれらを用いたハイブリッド型シリコン太陽電池は比較的熱に弱く、焼成によって発電効率を低下させるため好ましくない。
一方、導電性反射塗膜表面からの加圧を焼成前に単独で行う場合の加圧方法は、特に限定されないが、上記ラミネータ、熱間等方加圧装置又はホットプレスのような装置を用いて行うことができる。焼成前に単独で行う第1の実施形態における加圧の際の温度は、後工程で焼成を行うため、加熱の必要がないことから特に限定されないが、10〜40℃の範囲にするのが好ましい。導電性反射塗膜表面からの加圧後は、透明導電塗膜及び導電性反射塗膜を有する基材を、大気中若しくは窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中、130〜350℃の温度で焼成する。焼成温度が130℃未満では、複合膜14を構成する透明導電膜14aにおいて、表面抵抗値が上昇する。また、導電性反射膜において、金属ナノ粒子同士の焼結が不十分になるとともに、保護剤が焼成時の熱によっては脱離又は分解(分離・燃焼)し難くなるため、焼成後の導電性反射膜内に有機残渣が多く残り、この残渣が変質又は劣化して導電性反射膜の導電性及び反射率を低下させるからである。一方、350℃を越えると、低温プロセスという生産上のメリットを生かせない、即ち製造コストが増大し生産性が低下してしまう。また、特にアモルファスシリコン、微結晶シリコン、或いはこれらを用いたハイブリッド型シリコン太陽電池は比較的熱に弱く、焼成工程によって発電効率を低下させる。
以上の工程により、太陽電池の光電変換層13上に、透明導電膜と導電性反射膜同士間又は透明導電膜と光電変換層間の接触性又は導通性に優れ、発電の際の太陽電池における直列抵抗を低下させ、発電効率を向上させ得る複合膜14を形成することができる。
続いて、本発明の参考形態について説明する。本発明の参考形態では、上述した第1、第2の実施形態と同様、図1において、先ず、基材11上に表面電極12を介して積層された太陽電池の光電変換層13上に導電性酸化物微粒子を含む透明導電膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布し、透明導電塗膜を形成する。次に、透明導電塗膜上に、金属ナノ粒子を含む導電性反射膜用組成物を湿式塗工法を用いて塗布し、導電性反射塗膜を形成する。ここまでの工程は、上述した本発明の第1、第2の実施形態と同様である。
次に、透明導電塗膜及び導電性反射塗膜を形成した後、これらの塗膜を有する基材11を、大気中若しくは窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中、好ましくは130〜350℃の温度で焼成することにより、光電変換層13上に形成された透明導電膜14aと透明導電膜14a上に形成された導電性反射膜14bとからなる複合膜14を得る。
次に、得られた複合膜14表面から5〜100N/cm2の圧力で加圧する。加圧条件については、上述した本発明の第1、第2の実施形態と同様であるが、この実施形態では、複合膜14の形成後に行う。このように、複合膜14の形成後に行うことによって、光電変換層13と複合膜14を構成する透明導電膜14a間、複合膜14における透明導電膜14aと導電性反射膜間14b間の導通性又は接触性を大幅に改善することができる。これは、上記本発明の第1、第2の実施形態と同様、特定の条件で加圧を行うことにより、他の不具合を生じさせることなく、光電変換層13と透明導電膜14a中の導電性酸化物微粒子、及び透明導電膜14a中の導電性酸化物微粒子と導電性反射膜14b中の金属ナノ粒子の接触面積を大幅に増加させることができるからである。また、複合膜14の形成前に加圧を行う上記本発明の第1、第2の実施形態に比べて、導電性反射膜14bにおける銀ナノ粒子の焼結が十分に進むため、導電性反射膜14b内に有機残渣が残りにくく、高い導電性及び反射率が得られるという利点がある。
上記複合膜14表面からの加圧は、加圧のみを単独で行っても良いし、加圧と同時に所定の条件で加熱を行っても良い。前者の場合、加熱を同時に行う後者に比べて、製造コストを低減できるという利点がある。一方、後者の場合、加圧のみを単独で行う前者に比べて、加圧と同時に熱が加わることにより、透明導電膜14aと導電性反射膜14bの接触面積が大きくなり、導電性をより改善することができる。
複合膜14表面からの加圧のみを単独で行う方法は、特に限定されないが、上述した第1、第2の実施形態で用いるラミネータ、熱間等方加圧装置又はホットプレスのような装置を用いて行うことができる。加熱の必要がないことから特に限定されないが、10〜40℃の範囲にするのが好ましい。
一方、複合膜14表面からの加圧を加熱と同時に行う方法は、特に限定されないが、上述した第1、第2の実施形態で用いるラミネータ、熱間等方加圧装置又はホットプレスのような装置を用いて行うことができる。このとき、加熱温度は、好ましくは100〜300℃、更に好ましくは100〜200℃の範囲である。加熱温度が100℃未満では上記加熱を同時に行うことによる効果が十分でなく、一方、300℃を越えると複合膜14の表面抵抗が上昇するため好ましくない。
以上の工程により、太陽電池の光電変換層13上に、透明導電膜と導電性反射膜同士間又は透明導電膜と光電変換層間の接触性又は導通性に優れ、発電の際の太陽電池における直列抵抗を低下させ、発電効率を向上させ得る複合膜14を形成することができる。
次に本発明の実施例と参考例を比較例とともに詳しく説明する。以下に示す実施例15〜22及び実施例31〜48は、実施例ではなく参考例である。
<実施例1〜7、比較例1〜4>
導電性酸化物粉末として平均粒径0.025μmのITO粉末7.5質量%、分散媒としてイソプロパノール、エタノール及びN,N−ジメチルホルムアミドの混合液(質量比4:2:1)を第1混合液とし、これを92.3質量%、バインダとしてノンポリマー型バインダの2,4−ペンタンジオン0.038質量%、カップリング剤として上記式(4)に示すチタンカップリング剤0.162質量%の割合で、合計量を60gとして100ccのガラス瓶中に入れ、直径0.3mmのジルコニアビーズ(ミクロハイカ、昭和シェル石油社製)100gを用いてペイントシェーカーで6時間分散することにより、透明導電膜用組成物を得た。
次に、以下の手順により、導電性反射膜用組成物を調製した。先ず、硝酸銀を脱イオン水に溶解して金属塩水溶液を調製した。また、クエン酸ナトリウムを脱イオン水に溶解して濃度が26質量%のクエン酸ナトリウム水溶液を調製した。このクエン酸ナトリウム水溶液に、35℃に保持された窒素ガス気流中で粒状の硫酸第1鉄を直接加えて溶解させ、クエン酸イオンと第1鉄イオンを3:2のモル比で含有する還元剤水溶液を調製した。
次いで、上記窒素ガス気流を35℃に保持した状態で、マグネチックスターラーの攪拌子を還元剤水溶液中に入れ、攪拌子を100rpmの回転速度で回転させて、上記還元剤水溶液を攪拌しながら、この還元剤水溶液に上記金属塩水溶液を滴下して混合した。ここで、還元剤水溶液への金属塩水溶液の添加量は、還元剤水溶液の量の1/10以下になるように、各溶液の濃度を調整することで、室温の金属塩水溶液を滴下しても反応温度が40℃に保持されるようにした。また上記還元剤水溶液と金属塩水溶液との混合比は、金属塩水溶液中の金属イオンの総原子価数に対する、還元剤水溶液のクエン酸イオンと第1鉄イオンのモル比がいずれも3倍モルとなるようにした。還元剤水溶液への金属塩水溶液の滴下が終了した後、混合液の攪拌を更に15分間続けることにより、混合液内部に金属粒子を生じさせ、金属粒子が分散した金属粒子分散液を得た。金属粒子分散液のpHは5.5であり、分散液中の金属粒子の化学量論的生成量は5g/リットルであった。
得られた分散液は室温で放置することにより、分散液中の金属粒子を沈降させ、沈降した金属粒子の凝集物をデカンテーションにより分離した。分離した金属凝集物に脱イオン水を加えて分散体とし、限外濾過により脱塩処理した後、更にメタノールで置換洗浄することにより、金属(銀)の含有量を50質量%にした。その後、遠心分離機を用いこの遠心分離機の遠心力を調整して、粒径が100nmを越える比較的大きな銀粒子を分離することにより、一次粒径10〜50nmの範囲内の銀ナノ粒子を数平均で71%含有するように調整した。即ち、数平均で全ての銀ナノ粒子100%に対する一次粒径10〜50nmの範囲内の銀ナノ粒子の占める割合が71%になるように調整した。得られた銀ナノ粒子は、炭素骨格が炭素数3の有機分子主鎖の保護剤が化学修飾されていた。
次に、得られた金属ナノ粒子10質量部を水、エタノール及びメタノールを含む混合溶液90質量部に添加混合することにより分散させ、更にこの分散液に、添加物としてPVPを3質量%、酢酸銅を1質量%の割合となるように加えることで、導電性反射膜用組成物をそれぞれ得た。なお、導電性反射膜用組成物を構成する金属ナノ粒子は、75質量%以上の銀ナノ粒子を含有している。
次に、太陽電池の光電変換層上に本発明の方法により複合膜を形成し、太陽電池を得た。具体的には、先ず、図1に示すように、テクスチャー構造を持つ表面電極14(SnO2膜)を持つ基材11上に、プラズマCVD法により、光電変換層13として、厚さ1.7μmのマイクロクリスタルシリコン層を成膜した。次に、焼成後の複合膜14を構成する透明導電膜14aの厚さが0.1μmとなるようにスピンコーティング法により、上記調製した透明導電膜用組成物を塗布した後、温度25℃で5分間乾燥して透明導電性塗膜を形成した。更に、上記調製した導電性反射膜用組成物を、形成した透明導電塗膜上に焼成後の導電性反射膜14bの厚さが0.2μmとなるようにスピンコーティング法により塗布した後、温度25℃で5分間乾燥して導電性反射塗膜を形成した。
次に、エヌ・ピー・シー社製の真空ラミネータ装置を用いて(実施例1〜4、比較例3,4)、又はアプライドパワージャパン社製のホットプレス装置を用いて(実施例5〜7及び比較例1,2)、次の表1に示すそれぞれの条件で、上記形成した導電性反射塗膜の表面から加圧すると同時に、透明導電塗膜及び導電性反射塗膜を加熱することにより、光電変換層13上に形成された透明導電膜14aと透明導電膜14a上に形成された導電性反射膜14bとからなる複合膜14を形成した。
複合膜14が形成された太陽電池について直列抵抗を測定した。具体的には、太陽電池セルのライン加工後の基板にリード線を配索し、ソーラシミュレータとデジタルソースメータを用いて、AM1.5、100mW/cm2の光を照射した時のI−V(電流−電圧)曲線を得た。更に、得られたI−V(電流−電圧)曲線における電流値(I)を太陽電池セルの表面積で除することによりJ−V曲線(電流密度−電圧)を求め、開放電圧(電流値が0の時の電圧)近辺の傾きの逆数を直列抵抗とした。その結果を以下の表1に示す。
表1から明らかなように、所定の条件で、導電性反射塗膜の表面から加圧すると同時に、加熱を行うことにより、透明導電膜及び導電性反射膜からなる複合膜を形成した実施例1〜7では、加圧を行わない比較例1に比べて、直列抵抗が大幅に低い結果が得られた。また、加圧時の圧力が100N/cm
2を越える比較例2、100℃に満たない加熱温度で加圧を行うことにより複合膜の形成を終えた比較例3、加圧時の加熱温度が300℃を越える比較例4では、実施例1〜7のような低い直列抵抗が得られないことが判る。
<実施例8〜14、比較例5,6>
先ず、実施例1と同様に、光電変換層13上に透明導電塗膜を形成し、更に透明導電塗膜上に導電性反射塗膜を形成した。次に、上記真空ラミネータ装置を用いて(実施例8〜11、比較例5,6)、又は上記ホットプレス装置を用いて(実施例12〜14)、次の表2に示すそれぞれの条件で、導電性反射塗膜の表面から、同時に加熱を行うことなく加圧した。その後、次の表2に示すそれぞれの条件で、透明導電塗膜及び導電性反射塗膜を有する基材を焼成することにより、複合膜14を形成した。複合膜14が形成された太陽電セルについて実施例1と同様にして直列抵抗を測定した。その結果を以下の表2に示す。
表2から明らかなように、加圧後の焼成温度が130〜350℃の範囲であった実施例8〜14では、加圧後の焼成温度が130℃に満たない比較例5、350℃を越える比較例6に比べ、非常に低い直列抵抗が得られた。
<実施例15〜22、比較例7,8>
先ず、実施例1と同様に、光電変換層13上に透明導電塗膜を形成し、更に透明導電塗膜上に導電性反射塗膜を形成した。その後、加熱、加圧を行うことなく、次の表3に示すそれぞれの条件で、透明導電塗膜及び導電性反射塗膜を有する基材を焼成することにより、複合膜14を形成した。続いて、上記真空ラミネータ装置を用いて(実施例15〜18)、又は上記ホットプレス装置を用いて(実施例19〜22、比較例7,8)、次の表3に示すそれぞれの条件で、形成された複合膜14の表面から加圧を行った。複合膜14が形成された太陽電セルについて実施例1と同様にして直列抵抗を測定した。その結果を以下の表3に示す。
表3から明らかなように、複合膜の表面から所定の条件で加圧を行った実施例15〜22では、非常に低い直列抵抗が得られた。一方、加圧時の圧力が5N/cm
2に満たない比較例7、100N/cm
2を越える比較例8では、非常に高い直列抵抗を示した。
<実施例23〜30、比較例9>
先ず、実施例1と同様に、光電変換層13上に、透明導電塗膜を形成し、更に透明導電塗膜上に導電性反射塗膜を形成した。次に、上記真空ラミネータ装置を用いて(実施例23〜26)、又は上記ホットプレス装置を用いて(実施例27〜30、比較例9)、次の表4に示すそれぞれの条件で、形成した導電性反射塗膜の表面から加圧すると同時に、透明導電塗膜及び導電性反射塗膜を加熱することにより、複合膜14を得た。その後、次の表4に示すそれぞれの条件で、複合膜14を有する基材を焼成した。複合膜14が形成された太陽電セルについて実施例1と同様にして直列抵抗を測定した。その結果を以下の表4に示す。
表4から明らかなように、複合膜を得た後、更に所定の条件で焼成を行った実施例23〜30では、非常に低い直列抵抗が得られた。また、表1及び表4から明らかなように、実施例23〜30では、複合膜を得た後に焼成を行わない上記実施例4〜7と比較しても更に低い直列抵抗が得られることが判る。一方、焼成時の温度が350を越える比較例9では、非常に高い直列抵抗を示した。
<実施例31〜40、比較例10,11>
先ず、実施例1と同様に、光電変換層13上に、透明導電塗膜及び導電性反射塗膜を形成した。その後、加熱、加圧を行うことなく、次の表5に示すそれぞれの条件で、透明導電塗膜及び導電性反射塗膜を有する基材を焼成することにより、複合膜14を形成した。続いて、上記真空ラミネータ装置を用いて(実施例31〜35)、又は上記ホットプレス装置を用いて(実施例36〜40、比較例10,11)、次の表5に示すそれぞれの条件で、形成された複合膜14の表面からの加熱と同時に加圧を行った。複合膜14が形成された太陽電セルについて実施例1と同様にして直列抵抗を測定した。その結果を以下の表5に示す。
表5から明らかなように、複合膜の表面から所定の条件で加熱と同時に加圧を行った実施例31〜40では、非常に低い直列抵抗が得られた。また、表3及び表5から明らかなように、複合膜表面からの加圧時に加熱を行わなかった上記実施例15〜22と比較しても、更に低い直列抵抗が得られることが判る。一方、加圧時の圧力が5N/cm
2に満たない比較例10、及び加圧時の加熱温度が400℃を越える比較例11では、非常に高い直列抵抗を示した。